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1968-10-31 第59回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月三十一日(木曜日)    午前十時十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村禧八郎君     理 事                 黒木 利克君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 松井  誠君                 高山 恒雄君     委 員                 亀井 善彰君                 木内 四郎君                 佐田 一郎君                 佐藤  隆君                 菅野 儀作君                 山本  杉君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 小柳  勇君                 戸田 菊雄君                 矢山 有作君                 和田 静夫君                 上林繁次郎君                 峯山 昭範君    国務大臣        国 務 大 臣  増田甲子七君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        防衛庁長官官房        長        島田  豊君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君        防衛施設庁長官  山上 信重君        防衛施設庁施設        部長       鶴崎  敏君        経済企画庁総合        開発局長     宮崎  仁君        外務省アメリカ        局外務参事官   大河原良雄君        大蔵省主計局次        長        相沢 英之君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君        大蔵省主計局主        計官       秋吉 良雄君        食糧庁長官    檜垣徳太郎君        通商産業省企画        局参事官     井上  保君        運輸省港湾局長  宮崎 茂一君        労働省労働基準        局労災管理課長  桑原 敬一君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        自治省大臣官房        参事官      岡田 純夫君    参考人        財団法人日本万        国博覧会協会事        務総長      鈴木 俊一君        雇用促進事業団        理事       阿部  泉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家財政経理及び国有財産管理に関する調  査  (国家財政経理及び国有財産管理に関する  件)     —————————————   〔理事松井誠委員長席に着く〕
  2. 松井誠

    理事松井誠君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発議願います。
  3. 大橋和孝

    大橋和孝君 前回は時間がなかったものでありますから、舞鶴軍港についてはしおって二、三点をお伺いしたわけでありますが、きょうは、一ぺんこの旧軍港関係に対してのいろいろの問題について数点にわたってお伺いをしたいと思うわけであります。  まず第一番目には、昭和四十一年の七月に、防衛施設周辺整備等に関する法律というのが制定をされたわけであります。防衛施設運用に当たって生ずるところの障害防止及び周辺住民の民生安定、福祉向上等のための措置が講ぜられることになったのでありますけれども、現在、呉、佐世保、横須賀、舞鶴など、いわゆる旧軍港市につきましては、港湾施設、特に大型船係留施設だとか、臨港地帯主要部分基地使用されているために港湾開発の面で大きな支障になっておるので、管理運営にもまた多く困難に直面しておるのであります。平和産業港湾都市への転換が致命的に阻害されておるばかりではなくして、さらには、これにかわるところの新しい港の建設等港湾整備事業に多額の経費を要するのでありまして、全く二重の負担を余儀なくされておるという状態現状であるわけであります。しかるに、この法律の第三条による障害防止工事対象として、艦船または舟艇の頻繁な使用障害の原因となる場合それを防止軽減するための助成対象制度として、漁業用施設あるいはまたその他の施設が取り上げられているにもかかわりませず、この港湾用施設が除外されておるのでありまして、この点は非常に因る問題だと思うのでありますが、その理由は一体どこにあるのか、御説明を願いたいと思うわけであります。  特に、この第四条の民生安定施設助成につきましても、港湾施設主要部分を占めておるところの基地運用によって、港湾経済のもととするところの周辺住民事業が著しく阻害されているので、またそれでは新たに港湾施設整備を行なわなければならないという実情であるわけでありますが、これもまた港湾用施設が第四条の助成対象から除外されておるというありさまで、この法律の審議の段階におきましては、わが党の代議士大出俊代議士が衆議院の内閣委員会で質問いたしたときには、防衛庁施設部長は、この港湾用施設を入れることを明示しておるのであります。実際はこうであるのにかかわらず、いまもってこれが対象外となっておることは、どうもその期間からいいましても、どうしても納得のできない点でありますが、この点についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  4. 山上信重

    説明員山上信重君) 港湾施設につきましては、防衛施設周辺整備法補助対象から全然除かれておるという考えではございませんで、防衛施設運用によりまして周辺住民事業活動が著しく阻害されておる、その障害を緩和するために、港湾施設補助対象とする必要がある場合には、この四条の場合におきましては、施行令第八条によりまして、私のところで告示をするということのたてまえはあるのでございまするが、ただ現在までのところ、さような補助対象の具体的な事案がまだございませんので、その必要がないということでやっておらないというのでございまして、今後さような具体的な事案が出た場合におきまして検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 大橋和孝

    大橋和孝君 いま述べられたように、そういう例がないと、あるいはまた民生安定には直接には関係していないとか、いろいろいままでは理由があるようでありますけれども、実際は、ことに舞鶴市のような場合、小さな経済能力しかないところは、いろんなことを考えましても非常に負担が大きいために考えが及ばない。あれもしたい、これもしたいと思っているけれども実情としてはできないという状態があるわけでありますからして、最近のような場合でありますと、非常にいろいろな障害を来たしているわけです。事実いままでからの経過を考えてみると、やはりいまおっしゃったように、実際そういう場合がないというようなことに片づけられておる。特に公営企業性格が強いからとか、まあいろいろな理由をいままであなたがおっしゃっていることを私は聞いておるわけですが、ことに問題点とするところは、やはり経済力が非常にないことで制限をされておる。こういうことに対しての補助をしてもらうことが非常に重大だ、こう思いながらもできてない現状であるので、私は、いまの実際問題があったときにはするということは、これは確約していただいたから非常にいいと思うのですが、そういう場合をもう少し拡大して、十分これを港湾の問題に対しては取り入れていくということを普及していただかないと、いま受け取るほうの都市としてはなかなかそれをよう踏み切らないし、よう計画をしないという現状であるだろうと思うので、そういう点については特に明確にしておいてもらいたいと思うわけです。  それからその次の点は、——いまの問題で少し落としているのは、特に運輸省関係があるというので、いろんな問題を、たとえば、倉庫というような運用の問題とか、あるいはその他運輸省との関係では係留施設とか外郭施設、そういう問題に対しても、これが補助対象でないとか、いろいろ所管省の違いによって多少そういう問題もいままでは処理されてきたように思います。実際、そういうことがあったろうと思いますから、そういうことに対しても特に注意をしてもらいたいということと、それからことに公営企業性格が強いという理由でもっていままではやられてなかったことがあると思うんですね、そういうふうなことなんかも、特に注意をしてもらわないと、いま申したように、経済力の非常に弱いところは特に計画ができないし、このものに入ってないということでよう計画をしてないということもたくさんあると思いますから、むしろ、これは施設庁のほうでは、特にそういうことを指導してやってもらうようにしてもらいたいと思います。  次には、旧軍港における港湾工事の費用についてでございますけれども、国の負担または補助は、港湾法附則第五項、「国内産業開発上特に重要な港湾に関する特例」という規定に基づきまして、特定重要港湾として取り扱うべきでないかと思うんでありますけれども、これが特定重要港湾として取り扱われてないために、非常に大きな障害になっているのがあると思うんです。特に重要港湾は国は二分の一の負担であって、それからまた特定重要港湾は七割五分から十割という大きな開きがあるので、地元のほうにとりましては大きな負担となっているわけであります。このことはどういうふうな理由であるか、私どもまだよくわからないわけでありますから、こういう点についてもひとつ明確にして、どうかひとつこの重要な特定重要港湾として取り扱ってもらうようにしてもらいたいと思うわけですが、その点はどうですか。
  6. 山上信重

    説明員山上信重君) 運輸省関係ではございませんか。
  7. 大橋和孝

    大橋和孝君 ええ、運輸省関係なんですが……。
  8. 山上信重

    説明員山上信重君) 見えておらないようであります。
  9. 松井誠

    理事松井誠君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止
  10. 松井誠

    理事松井誠君) 速記始めてください。
  11. 大橋和孝

    大橋和孝君 じゃ、この分は運輸省にも関係がありますので、ちょっと飛ばします。  それから国有提供施設等の所在している市町村助成交付金ですが、これは自治省まだ来てないですな。——じゃ、もう一つ飛ばしてあれさしていただきます。  港湾施設産業発展のために十分活用できるような防衛施設を再検討してもらいたいという点でありますけれども、新たに防衛計画それから港湾使用計画を立てるにあたっては、旧軍港市産業港湾都市への転換計画等支障を来たさないようにしたいと思うわけですが、これも特に考慮をしてもらいたいという考えからお尋ねをしたいと思うんですが、現在、港湾施設の中で防衛施設あるいはまた自衛隊が使っておるところの施設でありますが、雑然と混在しておりまして、港湾施設効率的利用に対して非常に大きな支障を来たしているわけであります。港湾管理運営の面からはむろんのこと、産業発展のためにも大きなマイナスになっている点がいま非常に大きく指摘されているわけでありますが、港湾施設を再検討の上に整理統合する必要があるので、私は防衛施設庁施設を一カ所にできればうまくまとめて、両方とも効率のあがるような方向にまとめるべきではないかと思うわけです。そういう点でいま防衛施設として使用されておる雑然たる状態整備してもらうとともに、また今後その使用に対していろいろ計画を立てられる場合には、やはり関係都市とよく連絡をして、特に産業的な港湾都市としての転換計画支障がないような形で前もって計画をするときには準備をしてもらいたい、こういうふうに思うのですが、そういう点については、どんなふうな考えであり、現状はどれくらいになっておるか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  12. 山上信重

    説明員山上信重君) 先ほどの港湾に対する周辺対策の問題について補足して申し上げますが、現在までのところ、そういったような具体的な事例がございませんでした関係で、この措置がとられておりませんでしたが、今後さような具体的な問題が出てまいりました場合には、もちろん、われわれ前向きで検討してまいりたい、こういうふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。  それからもう一つ自衛隊その他防衛施設と、重要港湾あるいは軍港との関係につきまして、これは先生承知のとおり、自衛隊施設は、きわめてあとからぼつぼつのような形で設置せられましたために、われわれとしても、でき得ればこれは一つのところに大きな区画というような形があれば望ましいのでございまして、そういう意味では整理されることが望ましいことは、もう申すまでもないわけでございまするが、施設の中におきましてそれを簡単に右左ということもできない現状でございますので、今後長期的な計画観点から検討してまいりたい、かように考えておりますので御了承願いたいと思います。
  13. 大橋和孝

    大橋和孝君 やはりいままでの状態を振り返って考えてみますと、旧軍港市転換法に基づいて、旧軍港の未利用——まだ利用されていないところの国有財産産業施設あるいは公共施設に活用して旧軍港の形態から平和産業新興都市への転換ということでいままで切りかえられてきたのでありますけれども仰せのように、そういうことがあればそのような方向でやられているとは私思いますけれども、実際からいえば、まだまだそういう点で不備の点があって、軍港では非常に困っている状態も現にあるわけですね。ですからそういう点からいって、特にこの問題も大きく取り上げて、もうほぼ軍港に対する処置は終わったというようなふうな考え方ではなくて、これからもむしろ指導をして、そういうふうになるような方向に持っていくことが望ましいと私は思うわけであります。ことに、最近では情勢の非常な変化によって、平和産業施設といいましても、いろいろな高度な要求をされているわけでありますからして、そういうところでこの調整がやはり必要になってくるんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、特にまだ利用されていないところの国有財産をうまくここで転換することによって、そうした目的が非常に大きくなっていくんじゃないか。いままでの状態よりもより高度な、そうした平和産業的な港湾としての発展のために必要であると、こういうふうになるわけであります。特に私は、舞鶴軍港などのときに、この間も少し話を触れましたけれども、非常にりっぱな港湾、特にいままでも何万トンという軍艦が出入りをしておった港である。そこにはやはり海上自衛隊の設備もあるわけでありますけれども、先ほど申したように、まだ未利用のものも、数は少ないけれども散在をしておる。そして、それをもう少し整理統合することによってこれが非常にまた有効にもなるというふうなことから考えますと、ほんとうに将来の計画——私は、特に舞鶴あたりでも自衛隊の使っておられる場所をもう少しそうした産業都市港として使えるように、まあ御存じのように、西港と東港とでは、西のほうが比較的産業、東のほうが軍事ということになっていることは、私も承知をしておりますけれども、なお東のほうを見ましても、利用していない部分がたくさんある。また、散在しているために十分でないという点もたくさんあるわけですから、今後これはおそらく地区のほうからも、そうした要請のもとに産業都市としての転換計画をされると思うのでありますけれども、こういう場合にも、当然うまく転換をできるような話し合いのもとに指導してもらいたい、こういうふうに考えておるわけであります。特に平和産業転換をする場合に、最も効率的にやらないと、舞鶴のような場合ですと、散在をして、このごろまたほかの計画一つされているようでありますけれども、一地区に限られておる、こういうようなことがあってはならないと思いますので、そういう点について配慮してもらいたいと思うわけでありますが、その点いかがでございましょうか。
  14. 山上信重

    説明員山上信重君) 先ほどもお答え申し上げましたように、防衛施設が発足した経緯といいますか、それが非常に影響いたしまして、今日必ずしも集約的な施設となっておらないためにいろいろ問題があるかと思いますが、われわれのほうも、でき得ればそういった施設が集約されることは望ましいことでもございまするし、これはしかしながら簡単にはまいらない問題でもあろうかと思いまするので、長期的な線で措置してまいりたい。なお、今後、施設の取得その他の場合におきましては、もちろん地元等とも十分調整をした上でこれがやっていけるように、またあるいは関係の各省、財務局等とも十分連携を保って、産業防衛というものが両立してまいるような方途について検討してまいりたい、かように考えております。
  15. 大橋和孝

    大橋和孝君 特にそういう点は配慮してもらって今後指導していただきたい、こういうふうに思います。  それから次に、自治省おいでになったようですから、これは、国有提供施設等があるところの市町村助成交付金を出している、いわゆる基地交付金というのを出しておられるわけでありますが、その対象資産には、自衛隊使用の分が加わっていないわけです。それの特に港湾施設自衛隊が使っているところの港湾施設を加えることにひとつやっていただきたい。特にその予算額は、固定資産税相当するくらいに増額してもらわないと、これがなかなか十分にいかないのではないか、こういうふうに思うのでありますが、その点はいかがなものでありましょうか。特に基地交付金は、固定資産税にかわるところの財源補てん制度としてこれは制定された趣旨がありますので、この自衛隊使用施設もまた米軍使用港湾施設と同じようにこの対象とされるべき性格のものだと、こういうふうに思うわけであります。ことに予算額予算総額から考えてみて、また性質上から考えても、この固定資産相当した額をひとつこの中に組み入れてもらいたいと思うのでございますが、その点いかがでございますか。
  16. 岡田純夫

    説明員岡田純夫君) 四十三年度の基地交付金十九億でございますが、その対象になりました資産の中で、いまおっしゃいましたような自衛隊関係の飛行場、演習場建物工作物等対象になっておりません。もっともこの点は米軍についても同様な点がございますが、そういうふうな対象と、それからことに自衛隊関係で、自衛隊使用しておりますところの港湾施設の土地、建物工作物対象になっておりません。したがいまして、これも含めてぜひ提供資産交付金対象になるように目下折衝中でございます。  なお、考え方といたしましては、固定資産税にかわるものとして創設されたものであるというふうに考えておりますので、そういうふうな沿革等念頭に置いて一・四%相当の額ということで、四十二億でいま極力折衝中でございます。そういう方法でやってまいりたいと思います。
  17. 大橋和孝

    大橋和孝君 仰せのように大蔵省に対しては、入れて要求はしていただいているということは、私どももいままでしばしば聞いておるわけでありますけれども、なかなか実現がされていないわけでありますが、自治省のほうとしては、この実現方に対してどんな見通しを持っておられるのか、特に折衝のしかたによっても、実施できるような場合と、つけ加えて要求してあるというのとはまた意味が違うと思うのでありますが、そういう意味におきましても、来年度ぐらいにはこれが何とかできるものかどうか、特に私は資料も見せてもらいましたところが、やはり来年度分は四十二億でしたか、四十四年度として請求しているということのようであります。特にこの点で固定資産税相当額——百分の一・四でございますか、千分の一四ということになるわけでありましょうが、そういう点から考えましても、ひとつそこら見通し、あるいはまた今後の折衝について、どういうふうにあれしていただけるか、そんな点もちょっと伺っておきたい。
  18. 岡田純夫

    説明員岡田純夫君) 従来からの基地交付金予算化状況を見ましても、毎年一億ないし二億ずつ前年度対比増加してまいってきており、四十二年度が十七億、四十三年度が十九億、こういったようなことでございますので、まあそういったような、何といいますか一、二億ぐらいずつふやしてもらうといったような性質のものでは困る、やはりいま申し上げましたような沿革、あるいは先生の御承知のような沿革にかんがみましても、一・四%相当の線ということで進めるのが、理論として通っているのじゃないかということで、そういう方向で、ぜひはっきりしてもらう必要がある、財政硬直化でありますとか、交付税、いろいろその他の問題はございますけれども、この問題は事柄からいって、事柄としてはっきりしてもらいたいということで、強く望んでまいりたい、かように考えております。
  19. 大橋和孝

    大橋和孝君 大蔵省のほうにちょっとお伺いいたしておきたいと思うのでありますが、いまちょうど自治省のほうに考え方をお伺いをいたしまして、いわゆる基地交付金というものに対しての、ひとつ自衛隊使用の分までも加えてもらいたいという点と、それからまた総額固定資産税相当額にしてもらいたいということでお話を伺ったわけであります。特に自治省もそういう考えのもとに要求をしておってくださるわけでありますが、いまのような状況で、やはり財政硬直化とか、いろいろな問題はございましょうけれども、この問題はひとつ重要な問題でありまして、特に舞鶴のようなところは非常に都市そのもの経済力の弱いところでありまして——そのほかの都市でもそうでありましょうけれども、特に舞鶴市はそういう条件にありますから、そういう観点から考えましても、この基地交付金として自衛隊港湾施設を入れてもらいたいとか、あるいは固定資産税並みにしてもらいたいということが、非常に大きく財政上に影響するわけでありますからして、特にまあいま大蔵省のほうで、これに対して来年度、四十四年度に何とか配慮してもらえるものかどうか、ひとつそこらのところの見解を伺っておきたい。特にこの問題としてはいろんな問題があろうけれども、これをひとつ入れてほしい、こういうことを思うわけでありますが、その点をひとつ聞かしていただきたい。
  20. 秋吉良雄

    説明員秋吉良雄君) ただいまいろいろ先生から御指摘がございましたが、どうも冷たいようなことを申し上げて恐縮でございますが、この国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律がございまして、これは先生御案内のとおり、毎年度予算の範囲内において助成金を検討するということに相なっておるわけでございまして、いろいろ経過的には固定資産税見合いというような議論があったことも、私ども十分承知はしておりますけれども、やはり問題は行政財産でございます。国の行政財産について、およそ固定資産税課税対象になることがいいかどうかというまあ基本問題もございまして、現在の法体系になっておるわけでございまして、いわば私ども大蔵省の立場としましては、先生の御指摘のように固定資産税見合いのものだというふうには割り切ってないわけでございます。したがいまして、これが従来の実績をごらんいただきましても御賢察いただけますように、率につきましても、一・四%というような固定資産税率そのものには実はなってないわけでございます。  それからもう一つ、御指摘自衛隊基地について、駐留軍基地と同じような扱いをしてはどうかという御指摘でございますけれども、これにつきましても、駐留軍基地はいわば行政財産でございますし、また住民感情等考えまして、駐留軍基地自衛隊基地よりも対象範囲が拡大されておりますことは御指摘のとおりでございます。ところが自衛隊基地につきましては、自衛隊基地はこれは行政財産で、非収益財産でございます。それから駐留軍基地は、これはいわば普通財産というようなかっこうになっております。やはり住民感情等においても、おのずから相当の差があるというようなこと等を勘案いたしまして、現在のところ法律によりますと、自衛隊につきましては、飛行場とか演習場とか弾薬庫、燃料庫、そういったものについては、特別な住民感情を配慮いたしまして、いわばどちらかといえば現実的、例外的に対象になっておるというのが現在の法体系になっておりまして、したがって、いろいろな基本問題等もございます。したがいまして、今後基地問題につきまして、いろいろ私どももよく検討はいたしますが、そういう基本問題があるということを踏まえ、またこの基地問題につきましては、ただ基地交付金だけではなくして、あるいは特別交付税の問題とか、あるいは基地周辺施設整備法の関係の問題とか、総合的にいろいろ政府としても施策を進めておるわけでございます。そういった総合的な問題、また今後における財政事情等勘案しつつよく検討したいと思います。
  21. 大橋和孝

    大橋和孝君 まあそれは大蔵省考え方もひとつあると思うのでありますが、しかしこれは、私の思いますのには、せっかくこの基地周辺整備法なり、いろいろこうして国のほうからもこの法律に基づいてその周囲のいろいろ整備をしようということになっておるわけでありますけれども、いま先ほどからも何回も繰り返して申し上げておりますように、経済力の弱いところであれば金が非常にないためにできない。だからしていまのような状態ができてきているのじゃないかと思うわけであります。ですから、やっぱりこの経済的に弱い都市に対しては、やはりこの自治省のほうからも考えられているように、こうしたものを拡大解釈して、そうしてまあいまおっしゃいましたように、特別のものはそういうようなものの中に入れていくということもあり得るわけでありますから、そういう解釈を拡大して、できればやっぱりいま私のほうで申し上げておりますように、固定資産税に見合うぐらいの額を入れるということにひとつぼつぼつ踏み切って、最終的にこうした事柄がうまくやっていけるように、それからまた、私は舞鶴港あたりを見ましても、自衛隊がやっているのと米軍がやっているのとは、市民感情的に多少差があるとおっしゃいますけれども、それは確かにそのことはあるだろうと私も認めますが、実際問題としてそれは使われているわけでありますから、それを何とかしようと思えば、そういうものに対しても基地交付金としてワクを拡大してもらわなければ、やはりその都市としては非常に困っておるところが多い。特に私は舞鶴あたりに行きまして、あの小さい都市から見てみると、そういうことが如実にわかるわけであります。ですから、そういう観点で今度の予算の中にはそうしたことを入れてもらいたいと思うのですが、その見通しなんかどうですか。何とか配慮してもらえませんか。
  22. 秋吉良雄

    説明員秋吉良雄君) いま予算についていろいろ私ども検討させていただいておる最中でございまして、いまここで確定的な見通しを申し上げる段階でないことは、御賢察をいただけるかと思いますが、いずれにいたしましても、この基地交付金につきましては、先ほど私が申し上げました基本問題もまた別にございます。それから基地周辺施設整備防衛施設庁予算関係もございます。それから何と申しましてもこの基地から生ずる特別な財政需要、そういうローカルな財政需要については、別途特別交付金という弾力的な運用の道もあるわけでございまして、そういったことを総合的に勘案いたしまして、財政的に勘案しつつ、慎重に検討させていただきたいと思っております。
  23. 大橋和孝

    大橋和孝君 重ねてくどいようでありますけれどもね、まあその筋であるいはわかると思いますけれども、こういうふうな基地を持っているところとしては、そうした米軍基地ではそういうものがあるのに、自衛隊基地であるためにそういうものがないという、私は一つには片手落ちに感ずる点もあると思うのです。そういう点でありますから、まあいろいろその理由もあろうと思うけれども、私はこの際、ことにそういうふうな特別交付税でやることもそれはありますけれども、それはまあ貧しい都市であるから、当然もらわなければならぬものでありますけれども基地を持っているという点からいえば、特にそういうものがあるわけでありますからして、特に私は今後こういう問題に対しては、拡大解釈を特に要望するわけでありまして、その点に対しては大蔵省のほうでは根本的にこれはひとつ考えてもらいたい。自治省のほうからも言っておられるような観点があるからして、特にそのことはあなた自身の腹でなくて、大蔵省の中のすべての今度の予算の中で、この基地交付金に対しては、一考してもらうということを強く要望しておきますので、その点お願いしたいと思います。  次に、米軍に提供しておるところの施設で、また未利用、有効に利用されてない施設の返還をひとつ促進をしてもらいたいと思うのですが、この点についてどういうふうなお考えをお持ちになるか、ひとつお考えのほどを聞いてみたいと思います。  それから特に市域の中心に大きな面積を防衛施設の用に供しておるところの旧軍港市におきましては、都市発展が非常に阻害されておることは、前から私が申し上げておることでもあるし、皆さん御承知のことだと思うわけでありますが、この旧軍港市転換法の精神からいいまして、この平和産業港湾都市への転換計画実現のために対しましても、この際米軍使用しておるところの施設で、現にあまり利用されてない、あるいはまた効率が非常に少ないという施設に対しては、私は返還促進方をひとつ十分に配慮してもらいたいと思うわけであります。その問題につきましてはいろいろあるわけでありますけれども、たとえば横須賀なんかにおきましたらば、何というのか、ほんとうかしりませんけれども、追浜の海軍航空施設のこれなんかも、三十四年以降数回にわたって米軍が兵器廠のようなものにして使っておった。そしてそれが返還されまして五十社ほどが入っていろいろやっておりますけれども、いまでは非常に狭くなっておる。だからここにおきましても相当あいているところがあるわけでありますから、いまはほとんど弾薬の荷揚げ場としてしか使っておられないと思いますが、こういうところに対しましてもひとつ返還ができるのではないか、あるいはまた久里浜の倉庫地区におきましても、これはやはり横須賀の工業開発の中心地であって、現在市が工業団地として開発しているわけでありますが、この港を直結するところの重要な位置にありますので、提供施設があるために有機的なつながりが断たれておる地域があって、発展のために非常に大きな支障を来たしているわけであります。こういうものに対しましても、ひとつ考えてもらったらどうかとこういうふうに思うわけであります。この点なんかもどんなものでしょうか。  あるいはまた横須賀におきましては、いろいろな問題があるわけであります。ことに横須賀の海軍施設の一部には、もう返還されておる部分もありますが、特に産業施設転換されていく場合に、まだまだ非常な土地の未利用があるわけであります。ことに返還希望の施設が一部返還されて、それがガントリーつき船台施設——現在では浦賀の重工業が使用しているようでありますが——こういうような施設におきましても、まだまだ周辺にこれを何とかできるような余地がある。いろいろこういうふうなものがたくさんあるわけであります。あるいはまた呉につきましてもあるわけでありまして、この資料をいろいろいただいているわけでありますが、こういう問題に対して、ひとつ未利用あるいはまた利用効果があがっていないのを、何とかこの際米軍に交渉をして何かできないものか、その辺のところをちょっとお伺いいたします。
  24. 山上信重

    説明員山上信重君) 米軍に提供されておる施設につきましては、御承知のとおり地位協定の二条三項に、必要がなくなったときには、そういうものはいつでも返還する、ということになっておりますし、また、米軍施設の必要性を絶えず検討することに同意する、という条項もございまして、これによりまして、講和発効以来今日まで、日米双方におきましてこれにつきましては従来引き続き検討が行なわれておったのでございまして、その結果、御承知のとおり、講和条約の発効当時は、施設の数は二千八百二十四施設、面積にして約十三億五千万平方メートルという区域が施設としてあったわけでございますが、本年の七月末におきましては、米軍の専用の提供施設といたしましては、これが施設数にして約二十分の一の百四十一施設、面積にいたしまして約六分の一の二億一千八百万平方メートルというふうに減少してきておるわけでございます。  この点につきましては、今後こういう処置をさらに一そう継続していくという考えでございますが、特にただいまお話のありましたような、米軍におきまして未利用であるとか、あるいはあまり使っておらないというようなものにつきましては、これはただいまの規定の趣旨からいいましても、政府としても、これらについては米側に検討を求めて、あるいは返還あるいは自衛隊への使用転換あるいは民間への使用というようなことについて、今後とも検討していくような考えでございます。  そういうような考えにつきましては、御承知のように今年の九月日米協議会におきましても、そういった基本的な考え方を米側にわれわれのほうから申し述べておるのでございまして、今後これらについて具体的に措置してまいりたいと思っております。  それから、ただいま先生がおあげになりました幾つかの施設につきましては、これはおあげになったものの中には、米軍が現在高度に利用しておる施設もございますし、また一部には、一部あるいはその他において利用の十分でないものもございます。これらにつきましては、ただいま私が申し上げたような線に沿って、今後、日米間の検討を続けていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  25. 大橋和孝

    大橋和孝君 それじゃ、おそれいりますが、追浜とか久里浜倉庫ですね、それから横須賀市の海軍施設でFACの三一〇八施設の一部、それから観音崎の艦艇の監視所、それから海軍の兵員クラブFACの三一〇八ですか、追浜地区の制限水域、これは横須賀であります。それから呉市では、呉の停泊地、海岸通り七丁目といいますか、その辺、それから灰ケ峰通り、通信施設がここにもあるわけですね。それから第六突提、昭和通りの三丁目、こういうようなところあたりの問題は一体どういうふうになっているか。どれくらいできるものかできないものか、どういうふうな状態であるかということをひとつ資料としてあとでいただけばけっこうでございますが、できますか。
  26. 山上信重

    説明員山上信重君) これらにつきましては、いろいろ現在調査中のものもございますので、資料が提出できますかどうか、検討さしていただきます。
  27. 大橋和孝

    大橋和孝君 なかなか発表しにくいものもあるかもわかりませんから、よくわかりますけれども、ある程度こういうところが、それならどういうふうに利用されておるかという利用状況、できればそれをひとつ聞かしていただきたいと思います。それから見通しですね、何かそういうことを含めて資料としていただきたい、御検討願いたいと思います。
  28. 小柳勇

    ○小柳勇君 関連。私も、いまのお話に関連しまして、門司港の岸壁、あそこに御存じのように第一号岸壁と第二号岸壁とありまして、第二号岸壁は、先般私ども施設庁にお願いをして、米軍と日本とが共同使用になりまして、いま自由使用の程度で使用しておる。一号岸壁のほうは、米軍が押えまして日本に使用させないで、先般来返還要請をしておるのです。市議会も返還要請を決議しようとしたけれども、どうも決議だけしても効果はあるまいということで、いま、一応保留しておりますけれども、この岸壁の返還要求について、現在まで折衝されたことがあるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  29. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) ただいまの門司港の第一岸壁の問題でございますが、これは過去におきまして、返還の問題について、非公式ではございますが、米側と交渉をしたことがございます。しかしながら、御承知のように北九州において米軍のいろいろな物資を荷揚げする唯一の港というような重要な港になっておりますので、返還ということはむずかしいということで、さらに一歩下がって共同使用ということについても交渉をしたわけですが、第二号の岸壁のほうが現在共同使用である、さらに第一号のほうもというようなことから、米側が難色を示しておったわけでございます。そこで、まあ正式の共同使用ということでなくても、米軍使用状況によっては、あいているときに日本側に使わしてもらいたいという申し入れをしたわけでございますが、これについては、現地の部隊では、一応好意的な考え方を持っておったようでございますが、それが米軍の中央部にあがりましてから、最近特に基地問題がやかましいというようなことから、遺憾ながらまだはっきりした結論を得ていないという状況でございます。
  30. 小柳勇

    ○小柳勇君 一号岸壁のほうはほとんど現在共同使用の見込みがないというような判断を現地でしているわけです。ところが、いま国内の船舶の停泊が非常に多うございまして、岸壁が足りないで二号のほうも一ぱいのような情勢でございます。したがって、正式にまた管理組合の決議なり、市議会の決議がくると思いますけれども、さらに強く返還要求なり、それができなければ共同使用にひとつ踏み切ってもらうように、現地のほうではいまおっしゃったように好意的なようですけれども、中央のほうで非常に壁が厚いようですから、中央のほうで最小限度共同利用に踏み切るように再度の折衝をお願いしておきたいと思います。
  31. 大橋和孝

    大橋和孝君 いま一番最後の質問の中でお願いを申し上げました点でありますけれども、特に未・利用部分あるいはまた利用効果の少ない部分を転用してもらうということは、先ほど小柳委員のほうからも門司のほうのあれがありましたが、私は非常に現在混在をしている状態の中で、この産業転換をされた都市港湾産業に使う場合に、いろいろ高度にこのごろ変わりつつあると思います。たとえばタンカーにしても、あるいはまた船舶にしても、いろいろな問題がありましょうし、あるいはまた、その他の基地に使われている部分周辺におきましても、産業経済発展の上からいって、周囲にいろいろな要求があるわけでありますので、そういう点から申しますと、転換精神にのっとって、相当交渉を拡大してもらって、そして重要性のないところは十分に利用できるような方向の交渉というものは、相当積極的にやってもらわなければいけないと思います。これは私、自分の憶測であって、そうでないかもしれませんけれども、旧軍港の場合を考えてみましても、いろいろ施設はいままでの転換した法律に基づいての処置はかなりやられてきていた、もうぽつぽつおしまいだという考え方が非常にあるようであります。この間舞鶴の問題について、いろいろお話を承った点でも、非常に転在してあるやつを一つにするという、そうするためには、いま自衛隊でやっておられるところを、むしろ地方に移して、そして、もっと自衛隊として使われる場合でも、有効なところがあれば、それを手ごろなところにひとつまとめる、そういうふうなことが十分配慮されることによって、同じいままで旧軍港として使われておった——いつも申し上げるように軍港として使われておるために、港そのものは非常に優秀な港である。だからしてお互いにそれをうまく分け合って、そして整備して効率的にそれが利用できるということのほうがより望ましいわけでありまして、そういう点がほぼできておるではないかという考え方のもとに、もう一歩踏み出されてないという点が私はあると思うのです。ですから、そういうのは、私のほうのあれかもしれませんが、実際私は舞鶴軍港あたりは、見て回ってそういう感がいたします。こっちに民間のものがあれば自衛隊のものがある、あるいはまたこっちにドックがある、そういうふうなことであっては非常に利用価値がないように思うわけでありますから、そういう意味でこの問題はこの時期にもう一回再検討してもらって、そうして、そういう範囲でこれができるものはぐっと推し進めてもらいたい、こういうふうに思いますので、その決意のほどをひとつお伺いいたします。
  32. 山上信重

    説明員山上信重君) 先ほどの御質問とあわせてちょっと申し上げたいと思いますが、たくさんおあげになりました中で、追浜につきましては、ただいまこれは御承知のように弾薬荷揚げに米軍が使っておりまするし、全然利用していないというところはございませんが、一部利用していない場所もございます。それから久里浜につきましては、これは御承知のように、海軍が倉庫として相当フルに活用いたしておりますのが現在の実情でございます。それから呉につきましては、広の弾薬庫の一部でございますが、これはすでに一部について返還の要求をいたしております。折衝中でございます。それから追浜の水域の一部と申しますのは、おそらく浦賀重工の造船所の建設の問題だと思いますが、これにつきましては、最近米側にこれの建造についての一部の突堤等の利用並びに水域の利用等について要求いたしておる実情でございます。また第六突堤等は、これは事の性質上、間隔的に使うというような性質のものになっておると考えております。その他兵員クラブとか、小さなものにつきましては、具体的に承知いたしておりませんが、大きなものにつきましては、大体実情はそういうことでございます。したがいまして、そういった実情を前提といたしまして、今後の米側の利用状況等も十分話し合った上で、これをやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、いま申されました旧軍港に関連する問題についてとおっしゃいましたが、私のほうは旧軍港だけではなく、全米軍施設につきまして、先ほどお答え申し上げたような基本線にのっとって、米側が利用しないようなもの、もちろん現在ただいま利用していなくても、これは防衛施設の特質上、現在はあいておっても、また状況によって使わなければならないというようなものもございます。したがって、いまあいているから直ちにどうということにはならぬと思いますが、今後とも利用しないというような性質のものにつきましては、先ほど申し上げたような線に沿って米側としかとした折衝をしてまいりたいというふうに考えております。
  33. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう一つ、ちょうど運輸省がお見えになっておりますからお尋ねしておきたいと思うのですが、旧軍港における港湾工事の費用に関する国の負担の問題であります。あるいはまた補助が、港湾法の附則第五項「国内産業開発上特に重要な港湾に関する特例」という規定に基づきまして、この特定重要港湾として取り扱っていただきたい、こういうふうな要望があるわけでありますが、この点についてはどのようにお考えになっておるのか。特にこの工事の費用に関しては、特定重要港湾として取り扱うということに対してどんなふうなお考えを持っていらっしゃるのか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
  34. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) ただいま旧軍港に関しますところの国庫の負担率と申しますか、補助率のお尋ねかと思いますが、御承知のように、特定重要港湾におきましては、普通の重要港湾よりも高い補助率を施設によっていたしております。つまり普通の重要港湾では国が五〇%負担をするわけでございますが、特定重要港湾の中に特に外国貿易に関連いたしますところの施設につきまして、外郭施設と水域が一〇〇%、係留施設が七五%というふうな判断をすることができるという港湾法の規定でございまして、現在では特定重要港湾は全国で十三ぐらいございますが、その中で高率負担をいたしておりますのは、神戸と横浜、門司、これだけでございまして、これは港湾法のできる前から実は国の港として全額国庫でやっておりました関係からそのままやっておるわけでございます。したがいまして、旧軍港と申しますのは、これは重要港湾でございまして、特定重要港湾になっていないわけでございまして、戦後しばらくの間はいわゆる商港転換と申しますか、そういうことで準用規定で特定重要港湾並みの補助率を適用した個所がございます。しかし、もうだいぶ最近、私、ちょっと記憶がはっきりいたしませんが、ここ数年以上そういう高率の補助はやっていないと考えております。今後出てまいります分は、旧軍港のこのあと片づけといったものじゃなくて新たに発展をするような場所につきまして、いろいろと施設をなされておりますが、これにつきましては、やはり港湾法のほかの規定と同じように五割補助と申しますか、特別な扱いをしないということに現在は考えておるわけでございます。これにつきまして、もとどおり高額の補助をしてくれという要求がございます。しかしながら、そう私ども全般的に見まして、旧軍港におきましても、あるいはその他の商港におきましても、そう変わらないのじゃないかということで、現在は来年度要求におきましては、特に高い補助率を要求しておる段階ではないわけです。
  35. 大橋和孝

    大橋和孝君 前にいろいろな質問あるいは過去の参議院におきます運輸委員会の質疑の中にも、やはりこれは当分の間はこうするんだということも、その時分の政府委員のほうから答弁があって、これは当分の間というのもやっぱり旧軍港において、そして転換事業が終了する時期まではやるのだという話があったのですが、それはいまではだいぶできておるし、最近数年間やられていないというふうなことでありますが、私は先ほどからいろいろ申し上げておるように、このために一方では二分の一ですか、補助になった。それからまた七割五分ですか、補助があったりそういうふうなことで重要港湾特定重要港湾とでは大きな開きがあるわけでございますね。特に地方財政の非常に逼迫しているようなときで、なお一そう最後に仕上げをしてこれをやるというような場合には、やはり特定重要港湾になるかならぬかで非常に大きな負担になるし、それが前提となって、いまなかなかそれを認められないためにやりたくてもできないというところがだいぶあるように聞いておるわけでありますからして、そういう意味からも最後の仕上げとして講じた、最後でもなかろうかと思いますけれども、一度最終的にこういうものをひとつ産業転換のための一つのあれをしようと、特に私先ほどから申したように、産業経済が進んでまいりましたから、そこに大きく手を加えなればならないという状態に追い込まれている点もありますからして、特にそういう点を配慮してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  36. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) 個々の特定な、そういういまお話しのような、昔から引き続き高率補助でやっておりまして、締めくくりのためにもう一つ必要だというお話でございますが、私もきょう急にお呼び出しになりましたので、具体的なことをひとつ各港について調査してまた何らかの機会に先生のところなり、あるいはこの席上で意見を発表したいと思います。
  37. 大橋和孝

    大橋和孝君 旧軍港関係はこれでちょっとやめまして、今度は一般米軍基地の対策、あるいはまた沖繩の問題に対しましても、その米軍基地周辺の対策について二、三点を伺っておきたいと思うのです。  日本の安全と極東における国際平和のために米軍に提供されておりますところの在日米軍基地というものは、沖繩の米軍基地と一体となって、やっぱり実際はアジアにおけるところのアメリカの支配のための軍事的な拠点としておるところの色彩が非常に濃いわけでありますが、日本の国民が率直に考えてみまして好まないところの戦争に巻き込まれるのではないかというような危険も率直に感じておるわけであります。しかも、この在日米軍基地百四十八個ですか、先ほどおっしゃいましたように三億六千五百九十七万平方メートル、これは昭和四十二年の七月のようでありますが、主としてやっぱり都市工業地帯に非常に密集しておるわけであります。これに関連するところの道路であるとか、鉄道網あるいは海域、空域等はほとんど日本の全土をおおっていると言っても過言ではない。ことに在日米軍基地は、国民の生活に対して非常に大きく食い入っておるような感じがする、こう言っても言い過ぎではないような感じがするわけであります。そうして米軍基地の存在に基づいて航空機の墜落だとか、あるいは騒音だとか、あるいは殺傷事件だとか、あるいは異常放射能の問題だとか、それらが非常に大きくなってまいりまして、国民が受けておるところの災害というもの、あるいはまた不安というものは、非常に憂慮にたえない点があるのではないかと、こういうように思います。  以上のような軍事基地を拠点とし、あるいはまた戦火を招くような危険性あるいはまたいわゆる基地の公害、あるいは日米安保条約の破棄の点から考え、あるいはまた在日米軍基地の無条件あるいは全面的な転換というものを考えなければ、なかなかそれは解消しないものだろうと思いますけれども、もちろん解消されないと、こう思うわけでありますけれども、しかし、日本の国民の六割が安保条約に対しましても廃棄をしてもらいたいという心からの望みを持っておるという現状でもあるし、また、日本の安全保障は、安全保障条約の廃棄、米軍基地返還ということでなければならぬというふうな考え方もあるわけでありますが、こういうような問題に対して、外務省あるいはまた防衛庁あたりではどんなふうにこれをとっておられるか。公害あるいは基地の問題等ということ、ひとつお考えをちょっと聞いておきたいと思います。
  38. 山上信重

    説明員山上信重君) 基地につきまして、先生非常にマイナス面だけをおあげになりましたのですが、御承知のように、日本の基地につきましては、日本の安全を保障する、日本の安全のために日米安保条約があるわけでございまして、それに基づいて米軍が日本におって、日本の安全を守ると、その安保条約のうちの義務といたしましても、基地を提供するということに相なっておるわけでございまして、この基地が、日本の一方の安全を守る反面、そこの基地周辺に、いわゆる基地公害と申しますが、そういった障害を及ぼすということは、まことに遺憾なことではございまするが、事実としてそういう障害はございます。したがいまして、これにつきましては、われわれといたしましては、障害をでき得る限り防止する、またそれによって周知の住民がいろいろな経済あるいは精神その他生活上に阻害を受けておるというような場合におきまして、民生の安定施策を講ずるとか、いろいろな各般の周辺対策をやってまいる、あるいは場合によりましては、これらが一部きわめて過密な都市の中に存在する場合に、移転集約ということも考えの中に入れて、いろいろと各般の措置を講じておるわけでございます。なおそのほかにも、先ほど申し上げました未利用あるいは不用な施設については返還させるというふうなことによって、かような基地の及ぼす影響を少なくし、周辺住民との生活の調和というようなことをでき得る限りやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。私ども考えはさようでございます。
  39. 大河原良雄

    説明員大河原良雄君) 大橋先生から御提起のありましたいろいろな問題につきましては、安全保障に関します基本的な問題も含んでおりますと同時に、日米安保条約に関連いたしまする基地の問題、その他についても問題を投げておられるわけでございますけれども、安全保障の問題につきましては、御承知のとおり、政府といたしましては、現在、日本の置かれた国際環境のもとにおいて日米安保体制の堅持ということが最も日本に与えられた適当な政策であると、こういう方針をとっておるわけでございますし、それに伴います基地の問題につきましては、ただいま施設庁長官から御答弁ございましたように、政府としては、一般国民の不安解消、また、基地に伴いますいろいろな障害の除去による民生の福祉安定と、そういう方向で極力努力をいたしておる、こういうことでございます。
  40. 大橋和孝

    大橋和孝君 この問題は非常に深く議論をしなければならない問題でもあるし、また考え方においても非常に大きな開きがあると思います。特に私どもは、その安全を守るということよりは、基地の公害、あるいはまた、その基地を拡充整備して、非常に大きくこれを拡充していくことによって、かえってその災いを招くような不安感を国民は率直に持っているということを私どもは認めていま申し上げましたようなわけでございます。  この問題については、まず別問題といたしまして、いわゆる私の考えといたしましては、おそらくこの米軍基地が全面的に返還されなかったならばこの問題は解決しない、いかに公害を予防し、あるいはまたなにするとおっしゃいましても、なかなかできない問題であると私は考えておりますけれども、そういうことを議論する前の、いまの状態におきましても、私はこの公害、特にいろいろ問題を生じておるところの基地、あるいはまた、その不急不要となったような基地については、直ちに、無条件に返還を要求するか、あるいはまた、この基地を変える、どこかへ密集地帯から変えるというようなことが相当大きくいま行なわれなければならないのではないか、そういうことをしなければ、いまその地域の住民に対する不安、あるいはまた、その害というものを除くことができないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。ことに、そういう観点から地位協定というものを改定しなければならぬ点もあるのではないかと思うのでありますが、こういう改定は、国民に公害と不安を与えるような米軍基地運用を規制して、そうしてかつ基地の平和的な用途への転換の有効な手段となるわけでありまして、このような改定は安保条約の維持の立場をとる政府におきましても当然に実施をしなければならぬと、こういうふうに私は思うわけでありますが、その点はいかがなものでございましょうか、御見解をひとつ聞いておきたいと思います。
  41. 大河原良雄

    説明員大河原良雄君) この点につきましても、先ほど施設庁長官から御答弁がありましたように、触れておられますけれども、現在の地位協定第二条におきまして、両国政府はいずれか一方の要請によりまして、施設及び区域に関する取りきめを再検討するという規定がございますし、また同じ条の第三項には、そういう施設、区域が必要でなくなりましたときには、返還するということを規定いたしておりますし、さらにまた同じ項におきまして、アメリカといたしましては、施設及び区域の必要性を返還を目的として絶えず検討することに同意するということがうたわれております。したがいまして、従来からもこういう規定に基づきまして合同委員会の場で話し合いが行なわれておりますので、先生指摘の点から、地位協定の改定を行なうという必要をさしあたり考えておりません。
  42. 大橋和孝

    大橋和孝君 去る九月の十二日に、政府は基地問題について日米協議会を行なったと伝えられておりますが、その概要についてちょっと説明をしていただきたいと思います。その協議において、日本側は比較的利用度の少ない基地、それから重要度の低い基地、公害や民生に関連して特に配慮を要する基地、特に政治上問題のあるところの基地、あるいはまた非軍事的な施設についてのそれぞれに対しまして対応した措置をとることについて、米国側の理解を求めたと、こう伝えられておるわけでありますが、それらの点について、該当する基地の名前とか、あるいはまた、どういうふうにそれが話し合われたか、その点についてひとつ御説明願いたいと思います。
  43. 山上信重

    説明員山上信重君) 去る九月の日米協議会におきましては、先ほど来私がお答えいたしましたような趣旨に基づきまして、現在の在日米軍基地の検討方針という考え方、これは先ほど申し上げましたように、現在の基地そのものは、安保条約の上で必要でもあり、これを提供するという大前提では変わりはございませんのですが、これらの大前提は当然認めつつ、それらの円滑な、何といいますか、運用ということをはかるためにも、未利用施設、あるいは利用度の低い施設等について検討をいたしてもらわなければいかぬというような意味合いの話をいたしております。それの考え方といたしましては、利用度の少ない施設及び区域につきまして、あるいは自衛隊使用転換する、あるいはその一部または全部を返還してもらう、あるいはその返還の結果一般に対する利用に供する、あるいは自衛隊が使うというようなことを含めまして返還等も考えていこう、それからさらにまた公害あるいは民生安定等に留意してこれの運用を十分規制していただく、それから問題の特にある施設につきましては、先ほども申し上げたような移転ということも考える、それから非軍事的な施設につきましては、極力これが集約整理をはかってもらうというようなことを申しておるのでございます。これらの施設をそういうふうな観点から再検討していくようにということを申したのでございます。これに伴いまして、それらにつきまして若干の事例を参考にあげて説明いたしたのでございまするが、これはこの席におきましては参考として申したのみでございまするので、この際どこがどうであるということを申し上げるのは、協議会の会の性質もございまするので、控えさしていただきたい、かように思う次第でございます。
  44. 大橋和孝

    大橋和孝君 ちょっとそのお話、申し上げたように、比較的に利用度の少ない基地であるとか、あるいは重要度の低い基地であるとか、公害や民生に関連して特に配慮を要する基地とか、あるいは特に政治上問題になっている基地だとか、こういうふうなことに特に分類をしまして、どの基地がどれに当たるかということは、やはり秘密の上でできないということですか。
  45. 山上信重

    説明員山上信重君) これらにつきましては、今後逐次検討を日米間でやってまいる、その検討の場として合同委員会あるいは施設委員会でやってまいるいうことについて了解されておるのでございます。日米協議会におきまして若干の例をあげましたのは参考に申したのみでございますので、協議会の性質上これは差し控えさしていただきたい、こういうふうに考えます。
  46. 大橋和孝

    大橋和孝君 かなりこの日に行なわれた協議会では、突き進んだところまで話が進んだということも漏れ承っておるのでありますが、そういう点からいって、かなり進んでおるかどうか、どの程度まで——いまちょっとお話を聞いたのでありますけれども、その協議だけだというアウトラインだけであるのか、個々の性質まである程度話が進んだかどうかということをちょっと聞かしていただけませんか。
  47. 山上信重

    説明員山上信重君) 先ほどもお答え申し上げましたように、協議会におきましては、参考として若干の事例を、まあたとえば使用転換のものであればこういうものもありましょう、それから返還というものについてはこういうものもありましょうということを、それぞれ参考例としてあげたのでありますが、これの具体的な検討は、合同委員会もしくは施設委員会——これは合同委員会の場で検討するということに了解はされておりますので、今後この委員会で検討するということになっております。特にこれは合同委員会の合意を見ておるのですが、具体的には施設小委員会において、当方からこういうものはこういうふうに考えたらいいということを提出するということで、今後出すということがこの協議会においては話し合われたということに御了承願いたいと思います。
  48. 大橋和孝

    大橋和孝君 なかなか申してもらえないかもしれませんが、特にこの中に公害や民生に関連して特に配慮を要する基地あるいはまた政治上特に問題がある基地、こういうようなものは運用上についての特に規制が必要であって、運用規則ですか、そういうようなものが必要であって、ことに移転がまた別に必要であるという場合もあるわけでありますが、これらのこういう基地問題に対しての状況と、その措置はいま方向だけがきまったとこうおっしゃるのですけれども、何か将来どういうふうな形で。いわゆる公害や民生に関連して特に配慮しなければならぬ基地だとか、あるいは政治上非常に問題になっている基地というものは、どうしていこうかという方向くらいはきまったんじゃないですか。特に秘密でない限りひとつお願いしたい。
  49. 山上信重

    説明員山上信重君) 運用上の配慮もしくは規制を要望したという点につきましては、これはたとえば横田の飛行場であるとかあるいは厚木とかいうような飛行場につきましては、周辺都市住民相当の、何というか、音響あるいは事故等の危険というものがございますので、これらの運用について、たとえば夜間飛行の制限をするとかあるいは都市上空の制限をするとかいうようなことが、過去においても実は日米間でいろいろな協定が行なわれておるのでございまするが、今後さらにこれの運用を厳密にしていくとか、あるいはさらに一そう円滑にやっていってもらいたいというような意味合いを含めて、運用上の規制をしてほしいということの考慮をいたしておるのでございます。これは飛行場だけではございませんで、その他の施設にもあると思いますが、たとえばという意味ではそういうようなことでございます。  それから移転あるいは集約移転というようなものにつきましては、特に過密都市の中にあるような王子であるとかあるいは板付の飛行場の移転というような——これは一つの例でございますけれども——ものにつきましては、これはひとつ移転ということについて米側の協力を求める、それからただ移転と申してもこれまた移転先その他いろいろ問題もございますので、きわめてむずかしい問題でございます。したがってこれらについて、できるだけ、何といいますか、移転措置の場合においては米側の条件を緩和するとか、そういったようなことをしてほしいというようなことを申しております。
  50. 大橋和孝

    大橋和孝君 協定の中のことについてはかなり秘密もあるかもしれませんが、防衛庁としては、政治上特に問題がある基地だとか、あるいはまた、ことに公害やら民生に関連して配慮しなきゃならぬというような基地等はどこだと考えていらっしゃるか、あなたの考えを聞かしてもらいたい。それから同時に、もう一つは、比較的利用度の少ない基地、あるいはまた重要度の低い基地、あるいはまた非軍事的な施設というようなことで返還を求める個所と面積ですね。あるいはまた平和的に利用する予定の個所、こういうようなものについての面積などは、あなたのほうではどんなふうに思っていらっしゃるかあわせて聞かしてもらいたい。
  51. 山上信重

    説明員山上信重君) 政治的な配慮等が望まれるものについては、先ほど申し上げましたように、横田とかあるいは厚木とか、あるいは板付等もございましょうが、しかしそれは一つの例でございまして、それに限らないわけでございまして、周辺にいろいろ問題を起こすような施設については、ひとつ運用上の配慮をしてほしいということを協議会で申しておるわけでございまして、どこであるかということを、いますぐどことどこと限っておるわけではございません、私ども考えは。それから移転につきましても同様でございまして、こういったものについては移転を要する例として考えられるけれども、それに限ったわけでもないし、今後それは逐次検討の上、そういうものを提出してまいるという考えでございますので、その辺でひとつ御了承を願いたいと思います。
  52. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連。非常に答弁がわかりにくいのですね。具体的に聞きますが、市会等において決議されて、飛行場の移転等の問題がきておるはずです。そういう例があるはずです。たとえば岩国等は市会でそういう決議をした、移動の申告をぜひ政府にしてやってもらいたい、こういう陳情もきておるはずですが、そういう問題も今度の会議の俎上にのったのかどうか、そういう点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  53. 山上信重

    説明員山上信重君) 特に移転等につきまして考慮を要するようなものについては、ひとつ移転をしてほしいという一般論としては言っております。しかし具体的なものにつきましては、これは今後それらについてその必要があるかどうかというようなことを検討してやってまいるということでございます。
  54. 矢山有作

    ○矢山有作君 ちょっと長官に関連してお聞きしたいのですが、その前にまず一言申し上げておきたいのは、軍事基地のあることがいかにも利益があるような考え方に基づいての答弁が先ほどあったと思うのです。というのは、軍事基地の問題で大橋委員の質問に対して、マイナス点ばかりあげられたと、こういうようなことを言っておられましたが、これは認識に私は根本的な相違があると思う。たとえば先般読売新聞社がアメリカのギャラップ世論調査所と共同調査をした、そのときに、安保条約に基づいて軍事基地を保有しておることに対するアメリカのいわゆる市民の世論調査の結果を見ると、アメリカの防衛のためであるというのが四九%、二二%は、日本は信用できないから監視のために必要なんだというのが二二%、合わせて七一%というものがアメリカの防衛ないしは日本が信頼できないから監視のためにやっておるんだと、こう言っておるんですから、ここには根本的に、アメリカのいわゆる市民の安保条約に基づく軍事基地保有に対する認識と、あなた方の認識との間に大きなズレがある。このことが今後の私は行政を推進していく上に非常に大きなものを含んでおると思いますので、この問題で私はきょうは議論しようとは思いません。その点もひとつ念頭に置いておいていただきたいと思うのです。  それから私が聞きたいと思いますのは、大橋委員の質問に関連いたしまして、日米合同委員会でどういう話をしたかということは、私は、言えないと言うのなら聞こうとは思いません。しかしながら、少なくとも軍事基地の問題についてその委員会の席上で防衛庁のほうから協議をしたということの中には、防衛庁としては日本のアメリカ軍の軍事基地を分析検討して、どれが政治的にあるいは民生安定上早急に処理しなければならぬものであるか、あるいはまた軍事的にほとんど利用価値のないものであって早急に返還なりその他の措置を講ずべきものであるかというような基礎調査はしておるはずだと思う。その基礎調査を発表するということは、当然のあなた方の義務じゃありませんか。いま軍事基地をめぐる問題がどれだけ重大な問題として国民、世論をにぎわしておるかということは、あなたのほうがよく御承知でしょう。そうするならば、私は防衛施設庁としての調査に基づく見解を発表願いたい。委員会の席上でどういう話をしたかということを、私は言えないと言うのなら聞こうとは思いません。その点はどうですか。
  55. 山上信重

    説明員山上信重君) 施設全体の検討と申しますか、調査というものにつきましては、われわれ現在もいろいろ調査なり何なりをいたしておるのでございまして、この段階におきましてこういう状況であるというのは逐次調査をしつつ、そしてこれを検討の場に持っていくというような仕組みに考えておる次第でございます。全般的に、現在防衛施設があるものといたしましては、先ほど申し上げましたように百四十幾つかのものがございます。この中にはいろいろ周辺に問題のあるもの、全然ないもの、あるいは利用上等について何ら問題のないものもございます。われわれが現在までの調査並びに今後の調査を含めまして、そういった措置を必要とするものについて今後逐次この委員会において検討してまいる、こういうつもりでおる次第でございます。
  56. 矢山有作

    ○矢山有作君 関連だからこれでやめますけれども、逐次調査をしておるのでしょう。そしたら、現在の段階で調査したその結果を発表されるのはあなた方の義務だと思うのです。それが出てこなければ、おそらく私は大橋委員にしても非常に質問がやりにくいと思う。それをなぜ発表できないのですか。これだけ世論の問題になっておるのだから、そうした問題の解決というのは、政府がむしろ世論に積極的に訴えて国内世論とともにそういう問題は解決しようという姿勢を示すのがほんとうのあり方じゃないですか。特に軍事基地という問題については、私はそれが望ましいと思うのですがね、再度、発表できなければできないという根拠を示していただきたい。あくまで秘密主義を貫くのかどうか、その辺のところを明確にしてください。
  57. 山上信重

    説明員山上信重君) 私ども特に秘密主義を貫こうという考えはございません。国民の皆さん方の、何といいますか、世論というものを十分頭に入れまして仕事をやってまいりたいというふうに考えております。現在までわれわれが調査したものは、現在の段階では、もちろんあるわけでございまするが、この調査はわれわれの、何といいますか、一方的な調査である場合でございまするので、何と申しますか、その調査結果を、十分自信を持ってこれだという段階までまだ至っておらない中間的な段階でございまするので、さようなものが外に出て、それによっていろいろなかえって問題を起こすということも考えられまするし、この問題については十分検討させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  58. 大橋和孝

    大橋和孝君 ぼくの質問の言いたいところをだいぶ補足して言ってもらったわけですが、なかなかそれは発表しにくい段階らしいですからあれですが、先ほど私申した平和利用に使ったりあるいはまた返還を求める面積や個所を聞きたいと思ったのですが、それも同じような御答弁だと思います。  それでは昭和四十三年三月三十一日現在の米軍基地のうちで、提供施設百三十九カ所三億三百万平方メートルから昭和四十三年七月三十一日現在百四十一カ所二億一千八百四十五万平方メートルとなった。一時使用施設が、同じ期間に六カ所五千六百五万平方メートルから七カ所の一億四千七百五十一万平方メートルになった、これの事情についてひとつ御説明願いたい。
  59. 山上信重

    説明員山上信重君) 十分でございませんでしたら後ほど他の政府委員からも補足させていただきたいと思いますが、三月から七月の間に、相当大きな面積が専用提供施設として減りましたのは、御承知の東富士の演習場米軍の専用施設から自衛隊施設使用転換になりました。これが約八千万平方メートル。非常に大きな面積でございまするので、それでけたが一けた下がったような次第でございます。それから施設の数がふえましたのは、その際にマックネアというごく小さなキャンプでございますが、それを提供施設として残したということと——富士の場合ですね。それからもう一つは、小笠原の返還に伴いまして、御承知のロランCの施設が二つございます、硫黄島と南鳥島、これが新規提供という形でこれは他の地域が日本への返還に伴いまして、一部提供がふえたという実情によりまして、面積がふえたというのが大きな要素でございます。
  60. 大橋和孝

    大橋和孝君 わかりました。  それじゃちょっと沖繩の問題で一言だけ、ひとつ触れておきたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、この沖繩の条約上、実質上の役割りから、平和条約第三条の破棄と沖繩即時無条件全面返還を要求するわけでございますけれども、この沖繩の返還に関する最近の政府の見通しについて、特に政府というよりは、施設庁あたりではどういうふうに考えておられるのか、これをちょっと聞いておきたいと思います。  それからまた沖繩における米軍基地の拡張状況ですね、外務省からでもけっこうですが、米軍基地の拡張状況についてちょっと聞いてみたいのですが、嘉手納基地周辺では十四カ所の井戸にジェット燃料が浸入したり、井戸水に点火すると燃えたりすることも聞いておりますし、住民の側からは米軍に対しまして十二万七千ドルの賠償要求をしておるのですね。これに対しまして米軍は、その二十五分の一しか提示していないというふうに伝えられておりますが、そのほか騒音だとか原子力潜水艦による異常放射能の問題など、住民が受けておるところの被害や不安というものは非常に深刻なものがある。そしてこの状態は広く伝えられて、国民ひとしくいろいろ心配をいたしておるわけでありますが、この沖繩米軍基地の存在に伴って住民の被災の状況なんかをとらえて、どういうふうに救済するか、この方法についてはどのような話し合いを進めておるか、外務省のほうのいままでの経過あるいはまた今後の状態というものをひとつ聞かしていただきたい。施設庁と両方に。
  61. 大河原良雄

    説明員大河原良雄君) まず沖繩返還の交渉の見通しと申しますか、そういう御質問でございますが、昨年十一月、佐藤総理がジョンソン大統領との間で会談を行ないましたあとで発表されました共同コミュニケによりますと、両三年内に沖繩返還のめどをつけるという日本側の要望に対しまして、ジョンソン大統領は十分これを理解したということにいわれておりまして、自来、政府といたしましては両三年内に返還のめどをつけるという方針のもとに、いろいろ考えてまいっております。具体的には本年五月の二十七日に共同コミュニケに基づきます沖繩の地位に関します日米間の継続協議の第一回が三木外務大臣とジョンソン大使の間で行なわれまして、自来事務的にいろんな接触が行なわれているわけでございますけれども、今後の交渉につきましては、まだ具体的な計画を固める段階に至っておらない。しかし、目標は沖繩の早期返還でございますから、その大目標に向かって種々の作業を進めてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。  次に、沖繩の基地にまつわりますいろんな問題を御指摘になりましたのですが、まず、嘉手納で起こりました例の井戸の汚染の問題につきまして御質問がございました。これにつきましては、嘉手納の米空軍基地から航空燃料が流出したことに基づく汚染ということが起こりまして、御指摘のとおり当初十二万四千ドルの損害賠償の要求がございましたのに対して、米側は慎重に調査の結果、本年初め、航空燃料に基づく公害であるという事実は認めましたものの、その後、補償額につきまして合意に達しておらないままに推移しておりましたのが、本年八月の一日に補償額につきましても大部分の解決を見まして、一、二まだ補償額につきまして不満を持って米側の提示額を受諾しておらない人がおりますけれども、ほとんど大多数につきましては、この補償の問題について解決を見ております。  その他原潜入港に伴う汚染の問題もございましたけれども、これも米国民政府とそれから現地沖繩琉球政府との共同調査という体制もでき上がっております。先般本土にアメリカの原子力軍艦の入港に伴います日米間の覚え書きというものができ上がりました後におきまして、先週の末に現地におきまして、日本で今度合意を見ました諸点は、沖繩についても適用されるという発表がございまして、したがいまして、今後原子力軍艦が沖繩の港に入港いたします際にも、日本におけると同様の安全に関する十分な考慮が払われるということになっておりますので、この面からも不安感の除去に大きな進歩が見られるという状況でございます。  先生指摘の、その他沖繩の基地に伴います公害の問題があるわけでございますけれども、この面におきましても、米国民政府並びに琉球政府の共同によりまして、いろんな手が具体的に打たれておりまして、われわれといたしましても、沖繩の住民の生活に影響する大きな問題として、重大な関心を持っておりますので、米側といたしまして、現地住民の重大な関心事を十分に考慮して、適切な手を打っていってくれるということを期待しております。
  62. 大橋和孝

    大橋和孝君 だいぶ八月に入ってから補償もまとまりつつあるといま御答弁を得たわけでありますけれども、私ども聞いておりますには、かなりまだ不満であって、非常な不安を持っている人も相当あるやに聞いておるわけでございます。特に、いろんな基地の騒音だとかという問題なんかについても、もう非常に大きな害があるようでありますから、先ほどおっしゃいましたように、できるだけそういうものが起こらないようなことを、内地並みにやられるわけでしょうが、もう少しこうした基地が充実され、また拡大されていく中で、そういう公害が非常に多いわけでありますから、これに対してのある程度の補償といいますか、そういうような方面にも話をうんと進めてもらわなければなりませんので、そういう観点に対しては、特に御配慮を願っておきたいと思うわけでございます。  それから、一般的な米軍基地でございますけれども、あるいはまたその関連施設都市、工業地域における集中によりまして、いわゆる基地公害は非常に必然的なものでありますし、最近は安保公害とまでいわれるくらい非常に基地周辺対策というものが充実を要する状態に追い込まれてきているのではないかというふうに感ずるわけであります。特にまた警察庁の資料によりますと、百四十七基地中に二十九基地周辺対策上の問題があるようであります。最近のジェット機墜落事故のおもなものを拾って見てみましても、埼玉県のほうにおきましても、病院への墜落によって十五名が死傷しているということが、これは三十八年の五月の問題、あるいは都下の町田市への墜落によりましても三十三名が死傷している。その後の神奈川県の大和市の墜落によりましても五名が死亡しているというふうに、住民の死傷事故が再三再四起こっているわけであります。また、騒音におきましても、調査によりますと、正味六時間十五分の間に五十九機、すなわち一時間に八・五機の割でジェット機が横田の基地に飛来し、滑走路の南千五百メートルの地点では最高が百十九ホーン、すなわち平均百ホーンという結果が出ている。あるいはまた百三十ホーンをこえるところの、人によっては聴力さえ失ってしまいそうだというような報告もあるわけであります。また政府は、この米軍基地周辺における災害の実情をいまどのように今日とらえておられるのか。こういう報告を見ますと、相当深刻なものがあるように思うわけでありますが、昭和四十一年度以後現在に至るまでの年度別の実情がもし具体的にお聞かせ願えたならば、そのとらえ方をひとつ報告していただきたい。きょうここでいただかなくても、あとからいただきましてもけっこうでございます。
  63. 山上信重

    説明員山上信重君) 事故等の推移につきましては、ただいま私資料を持ち合わせておりませんが、事故の件数は、過去にさかのぼりますと、相当人命傷害等がございます。本年度に入りましては、板付におきまして、学校構内に墜落いたしまして、建造物の損壊で非常な問題を起こしましたが、それ以外としましては、人命を落としたというようなことは本年に入っては幸いにないと承知いたしております。これらは必ずしも偶然ではない、米側においてもこれの運用にはできるだけ規制をいたしたいということの成果の一端でもあろうかと思っているのでございます。しかしながら、かような事故は必ずしも全然絶無ということにはなっておりませんし、間々いろいろな物を落としたりなんかするという事故もございます。いずれそれの資料につきましては、後ほど関係説明員から説明いたしたいと思いますが、これの対策といたしまして、これを含んでの御質問かと思いまするが、事故につきましては、何と申しましても、これを起こさないように、できるだけ米側において自粛してもらうということが一番でございますし、今度は飛行していることによるところのいろいろな障害防止するというのには、第一に防音、音が非常にうるさい、だからこれを何とか防止しようというので、騒音の防止というようなことにつきましては、学校を第一に重点を置いたわけでございまするが、小学校、中学校あるいはその他の学校、それから病院といったようなものの騒音に対する施策を二十八年以来、引き続いて今日までやっておるのでございまして、そのほかに障害防止関係、河川であるとか道路であるとか、そういったようなこと、あるいは非常にうるさいからそこにいるのはぐあいが悪いから移転をさしてほしいという希望の向きに対しましては、家屋の移転の補償あるいは家屋だけでは生活ができないから農地もついでに移転させてほしいというような場合には、土地を含めての移転の補償であるとか、あるいはそのほかの民生安定諸施策を講じておるのでありまして、障害防止、騒音防止、それから安全措置、道路改修、民生安定といったような措置の合計では、昨年におきまして、約百三億円ぐらいの予算を執行いたしております。その他の漁業あるいは農業等の補償も含めまして、いわゆる周辺対策といたしましては、昭和四十三年度、本年度におきましては、約百七十一億円の予算をもってこれらの施策をやってまいるつもりでおります。しかしながら、周辺対策はこの程度では十分でございませんので、来年度におきましてはさらに一そうこれらの施策を強化いたしまして、周辺の方々に御迷惑の少しでも少なくなるようにということのつもりで施策を拡充してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  64. 大橋和孝

    大橋和孝君 いろいろ聞きますと、基地周辺に対するこの公害に対しては非常に大きなものがありますので、特にその点に対しては十分な配慮をしてもらいたいと思うのであります。この防衛施設周辺整備法、これは昭和四十一年に法律第百三十五号で出ておるのでありますが、それに基づくところのこの障害防止対策あるいは教育施設等の騒音防止対策などの補助金は、最高これは十分の十の補助率で支出されることになっているのでありますが、この予算単価が実績単価をまかなうことにまいらないために、地方公共団体が非常に困っているわけです。こういうようなことは、まあいろいろいままで指摘されてきております。この四十四年度における基地対策費の大幅の増額によってこの超過負担を解消する要望も出ているわけでありますが、最近与党のほうでも四十四年度にはこの予算を大幅に基地対策としてつけようというふうに考えておられるわけでありますが、この防衛施設庁整備のものに対して、防衛施設庁としてもこういうふうなことに対していままでどのように意見を具申し、あるいはまたその施設に対しての周囲のその公害に対してはどういうふうにしてそれを補償するように、あるいはまた施設改善のためにその予算を取ってもらうように要求したのか、その辺のところをちょっと聞かせてください。
  65. 山上信重

    説明員山上信重君) 御質問は、周辺対策としてどういうような措置をとってきたか、また、これからとるかという御趣旨かと思いますが、概略先ほど申し上げたとおりでございますが、周辺整備法が四十一年にできましてから、これの中で特に第三条の障害防止、それから第四条の民生安定、第五条にありますところの特定飛行場周辺の移転の補償、これに非常に力を入れて予算を従来もとってまいっておるのでございます。その関係では、昭和四十三年度、本年度におきましては、障害防止工事のうち騒音防止には約六十二億円、その他の障害防止に三十五億八千万円、民生安定施設助成といたしましては十二億四千六百万円、それから集団移転の措置としては十四億四千百万円等となっておるのでございます。そのほかにも周辺対策といたしまして、基地施設の移転集約のための費用として約九億八千万円、その他の漁業補償あるいは提供施設の借料等を含めますと、その他の経費で約三十六億円、それで四十三年度におきます基地対策費は約百七十一億円でございます。明年度の方針といたしましては、これに対しまして、現在これはまだ大蔵省予算折衝中でございますが、基地対策費の百七十一億円に対して約四六%増の二百五十一億円というものを要求いたしているわけでございます。その中身といたしましては、騒音防止が約七十八億円、その他の障害防止が四十九億円、民生安定が二十二億円、安全措置、いわゆる移転等でございますが、これが約二十三億七千万円、それから損失補償の関係が九億九千万円、その他の関連施策が六十六億円、合計いたしまして二百四十八億円、このほかに労務関係の労務対策等が二億三千万円、これを合計いたしまして二百五十一億円、大体周辺対策といたしましてはその程度の規模をもってやっていきたい、これはただし目下まだ大蔵と折衝中でございまして、結論ではございませんが、現状でございます。
  66. 大橋和孝

    大橋和孝君 これは与党のほうにも非常に四十四年度には予算を拡大しようという方向で進んでいるといわれておりますが、先ほど申したような、何といいますか、予算の単価が実績の単価に満たないために非常に地方公共団体が超過負担をせんならぬということが一つの要因になっているということをあちこちで報道されているわけでありますし、現実的にそういうふうになっているわけでありますが、そういう点から申しますと、この予算は、大体いま要求しておられるのは、むしろそれでも私は不十分だと思うわけでありますから、この予算折衝にあたっては、基地周辺整備法に基づく補助金というものを十分出してもらって、地方公共団体の超過負担とならないような状態を、十分施設庁のほうにおいても考えてやってもらわなければ、特に先ほどから大蔵省のほうの話がありましたが、総合予算主義をとって前年度に引き続いてこれを踏襲するのだという意向を漏らされているようなこともありますので、いまの予算要求に対しては、よほどそういう点に重点を置いて、少なくとも安保公害といわれているところの基地の公害を十分に処理できるような形で、日本各地には一ぱい起こっているわけでありますから、それを十分見通して、そうして予算折衝も十分に意を用いてやってもらいたいと思うし、少なくとも私が申し上げた地方自治体の超過負担になっては、これは表向きはやることになっても、実際は実績があがらないということになるから、そういうことによって地方にしわ寄せをするということは、趣旨からいっても間違っていると思いますので、防衛施設庁のほうではこの基地周辺対策というものに対しての十分な処理ができるようにひとつ努力してもらいたい。ことに周辺住民の民生安定の上からいっても非常に大事な問題でございますので、これに対して特に注意してもらいたいし、特にそういった心がまえを聞いておきたい。まだいろいろここにデータを持っておりまして、この問題についてもこまかく質問を展開したいとは思いますけれども、ちょっと時間の都合もありますので、このくらいでやめておきたいと思います。
  67. 山上信重

    説明員山上信重君) ただいま先生のおっしゃいましたように、明年度の予算につきましては、いろいろ困難もございまするが、われわれといたしましては、できるだけ施策の拡充をはかりたいと考えておる次第でございます。新規のいろいろな採択項目という希望も多いものでございますから、そのほうのこともいたさなければならぬと思いまするし、が、同時に、従来の施策の拡充並びに民生安定等の施設についての補助率の引き上げ等につきましてもやってまいりたい。総合いたしまして、施策の拡充につきましては、われわれといたしましても全力を尽くしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  68. 松井誠

    理事松井誠君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  69. 松井誠

    理事松井誠君) 速記を始めて。
  70. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょう私は、万国博覧会全般にわたりまして質問をさせていただきたいと思います。いよいよきょうから入場券の前売りも始まりまして、総長も非常に忙しいところをありがとうございました。開会まで余すところ五百日でございますので、会場の準備また建物等ができましてから開会までに至るいわゆる場内の準備等も含めまして、非常に日にちもかかると思いますし、きょうは建設その他会場のことについていろいろとお伺いしたいと思うのでありますが、現実に五百日でありますけれども、建設関係等含めますと、あと四百日くらいしかないのじゃないか、このように思っております。実はほんとうに猶予のできないような状態でございますので、ここでいろいろと質問しなければ後々問題も起きますので、きょうは全般にわたって質問をさしてもらいたいと思っております。  それでは初めに、特に最近総理大臣はじめ各大臣が非常に熱心に現場を視察しているようでございますけれども、総理並びにどういう大臣がいつ視察に行ったか。この点を明らかにしていただきたいと思います。
  71. 井上保

    説明員(井上保君) お答え申し上げます。  四十三年に入りましてからは、一月の十六日に、西村自民党の万博対策特別委員長、それから……
  72. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣と総理だけでけっこうです。
  73. 井上保

    説明員(井上保君) 一月十七日椎名通産大臣、一月二十五日保利建設大臣、それから五月の三日に佐藤総理が見えておられます。七月十日が小川労働大臣、七月二十七日保利建設大臣、八月二十一日が三木外務大臣、八月二十六日が赤澤自治大臣、九月十四日佐藤総理、十月三日通産大臣、以上でございます。
  74. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、いろいろとまあ私の調べたところと比べますと、だいぶ抜けているところもあるようでございますが、あとそのほか文部大臣それから総務長官等も行かれているようであります。実は私は総理の行かれたことに焦点をしぼって話を聞きたいと思うのですが、総理が行かれたときに、協会としてはどういうふうな準備をされたか。特にこれは文書とか書類等は別にしまして、会場における準備、こういうようなものをどんなことをされて総理を迎えられたか、この点総長にお伺いしたいと思います。
  75. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 総理が会場を視察されましたのは五月の三日と九月の十四日、二回でございますが、もちろん総理がお見えになるわけでございますから、全般の準備進捗の状況を詳細に書面並びに口頭によって御報告を申したわけでございますが、会場の全貌を視察してもらうのは、ひとり総理に限りませんで、外国から大臣あるいは外交機関の人たちあるいは博覧会の関係者、毎日のようにやってくるわけでございますので、会場の南のほうに展望台をつくりまして、そしてそこから会場全体が一望できるように施設をつくっております。皇太子殿下もそこからごらんになったわけでございますが、そういうところから総理にも見ていただいたわけでございます。  なお、会場の当時までの段階は、敷地造成の段階でございまして、敷地造成の段階で、やはり各種の工事用道路等の問題もございますので、工事用の道路を一番先に整備しておったわけでございますが、展望台に至る道等につきましても、雨等でいろいろ補修を要するというようなものにつきましては、随時必要な調整をしておるというような状況でございます。
  76. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま展望台並びに道路のことについて聞きましたけれども、もう少し突っ込んで聞きますけれども、現在名神高速道路からは会場には行けないようになっておりますけれども、総理は当日は名神から直接入ったと聞いていますが、事実ですか。
  77. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 九月の十四日に来られましたときには、実は工事用のランプを名神高速からおりられるようにつくると、こういうことでその工事を急いでおりまして、ちょうど総理が見えますころは一応通れるような段階になっておりました。総理はその前、全体の関連道路でございますとか高速道路の進捗状況を見ながら来られまして、そのランプの工事の状況等も見つつ会場の中に入られたというのが事実でございます。
  78. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、その総理が入られた道路は現在もあるわけですね。名神から入られた道路は現在もあるわけですか。
  79. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) ございまして、これはたとえば外国から視察者が来るというような場合に、これを利用するとかいうようなことをいたしておりますが、もちろんこれは工事用のためにつくったわけでございまして、大阪市内あるいは神戸港、大阪港等で陸揚げいたしました建築資材等を搬入するということが本来の目的でございます。もちろん名神高速から会場に入れますような正式のランプウエーをつくって会期に間に合わせるようにするわけでありますが、それは時間がかかりますから、その前に工事用に用いるということで仮ランプをつくっておるような次第でございます。
  80. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、さきおとついですか、現地へ行ってきたんですが、現実に総理が入られた道はないんですよ。もうその総理が入った道の先に工事用の道を現在つくっているわけですよね。総理が入られた道はないんですよ。いま総長、こちらのほう——総理の入られた道の手前に、わざわざインスタント道路をつくって、そうして総理が入るようにしたんです。そのあとに、私は、総理が入った道の全部を、そのコースを走りたいと言ったんです。車で行ったんですよ。ところが入れない、つぶしてないんですから、砂が盛り上がって。その先にいまの工事用のきれいな道をつくっているのです。事実はそうなんです。まあ何ならここに、この図面に一ぺん記入してもらってもいいんですが、いまちょうどこの図面がありますけれどもね。総長、記入ができますか。総理が入られた道路を名神からどういうぐあいに入って、そしてその展望台へ行かれたか。現実にそのように通れる道というのはほんの三分の二ぐらいしかない。三分の一ぐらいはいわゆるインスタントにつくったとしか私は言えないと思うんです。実際に現地を見まして私はそう思いました。そこで、この道幅が大体八メートルぐらいあるんですが、相当費用もかかった。たとえば総長は工事用とおっしゃいますけれども、私は工事用と見ないわけです。どのくらいの費用がかかったか。要するに展望台も含めて、展望台がどのくらい、道のいわゆる舗装した費用がどのくらいかかったか、わかりますか。
  81. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) いまのお話の総理の通りましたその道でございますが、これは、もう私いま申し上げましたように、工事用の道路としてつくりましたものを通られたわけでございまして、この近傍は、いまの正規のランプウエーをつくるので、いろいろ掘り返しておる場所でございます。したがって、どの道のことがいまのお話に出ましたのか、私聞きませんが、私はこの道を何回も通っておりますので、こわして通れなくしてあるということはないと私は思っております。私は、実は中米にちょっと二十日ほど行っておりまして、その後帰ってから通っておりませんから、私自身体験をしておりませんけれども、これは申し上げましたとおりの目的でつくったものでございますから、さようなことはないと私は存じております。  それからこれに要しました費用は幾らかということでございますが、これは日本道路公団のほうでつくってもらったわけでございます。それからなお展望台に要しました費用は、こまかい数字は私いま記憶しておりませんが、概略五百万程度であったと思っております。これは非常に場所柄も全体がよく見えるところでございますので、会期中もそのまま残して利用するようにしたいと、かように考えておる次第でございます。
  82. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あのね、私は現地を見て言ってるんですから、いいかげんなことを言ってごまかしてもらっては困るんです。実際に工事用のためにダンプカーが通る道は、いまできている。その道を通って総理が入ったのなら、私は問題ない。その道はないんですから、その道を現実に私は見てきた、いま入れるようになっています。ちゃんとその手前から入ったんです。工事事務所の一緒について回った人がここから入ったんですよ、ところが、その道は現実に通れなくなっている。いいかげんなことを言ってもらっては私はほんとうに困ると思うんです。なぜ私はこんなことを言うかといいますと、視察に来るたびに、大臣や総理が来るたびに砂利をまいたり掃除をしたり、一体その費用が全部どこが負担しているか、いま道路公団とおっしゃいましたけれども、全部そうなんですか。現場の業者とかそういう人には一切迷惑かけていませんね、どうですか。
  83. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) いまの名神高速道路からおります仮ランプ、これは日本道路公団がつくりまして、それを受けるところは若干協会のほうでこれは出しておると思います。いまの工事用の道路であるということは、いま鋭意、高速道路のゲートでございますね、おりるところで料金を取らなければなりませんから、その料金を取るゲートをすみやかにつくりまして、そしてそれから正式に供用開始をする、こういう段階でございまして、これは名神高速の仮ランプウエーはほんとうにつくったわけでございます。それを総理が通られたのでございます。それから会場の中の工事用道路の問題とはこれは別でございます。
  84. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題につきましては、実際のところ業者がすべて負担をしている。中の砂利をまいたり、そういうふうな工事について実際のところ業者がいろいろ負担をしている、そのことについては協会にも言えないし、またどこにも言っていくところがない、こういうぐあいに業者は嘆いているのです。私は聞いたんですよ。それをどこにも言っていくところもない。言ったらば今度は工事の面やいろいろの面で締めつけられる、そうなんですよ、聞いていますか、こんなこと。
  85. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 工事の進捗の段階におきまして、ひとりこの問題に限りませんけれども、道路のいろいろな調整、維持、補修というようなことにつきましては、敷地造成などの際におきましては、さようなものも一応予算の中に含めて計算をしておる、こういう考え方でございまして、まあ通常の土木慣行と申しますか、業者と官庁、あるいは公共団体との工事の慣行において行なわれておる程度以上のことを強いておることは私はないと考えております。
  86. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あれですね、あの万博の工事をやるにあたりましてね、その中の砂利をまいたりする工事、そういうようなのが普通の工事より相当多いわけですよ、実際のところ。大臣の視察もこれ全部勘定しただけでも十数回に及んでおります。そのたびにすでに現実にやっている。そうしますと、こういう予算は組んでいなかった——それは多少は組んであるでしょう。しかしながら、通常以上に負担をさしている、そういうような実情のようです。そういうところから結局は手抜きの工事につながる。現実に私はたとえば日本庭園の造園工事、または植木の工事がたくさんありますけれども、そういうふうな工事のいわゆる植木ですがね、植木も万博が終わったら枯れる、万博の間だけは生きているけれども終わったら枯れる。いわゆるなぜ枯れるかというのはいろいろ理由があるでしょうけれども、要するに、そういうようなうわさが現実に飛んでいるわけです。御存じですか。また現実に千里ニュータウンでは植木に関連して汚職がありました。その植木の業者と万博の植木の業者と一部つながりのあるところがたくさんある。そういうようなところからも植木に対しても相当手抜きが行なわれているのではないか、そういうようなうわさもあるわけです。ですからほんとうに私はこの視察そのものについては、これは通産省もみんな関係各省同じでありますけれども、視察に行く場合は、少なくとも現地の人に、現場の人に迷惑をかけないでください。ぬかるみならぬかるみのまま現場へ行って視察をする、そういうような姿勢がなければいけないのではないか。現場の人に、来るから砂利をまかせる、展望台、ほんとうは展望台をつくることもいろいろ問題なんですけれども、それは外国の問題もありますからやむを得ないとしましても、そういうふうなことについて特に特別の道路をつくったりする必要はない、私はそういう点も十分考えて今後万博を進めていくべきできないか、こういうぐあいに思うのですが、いかがですか。
  87. 井上保

    説明員(井上保君) ただいま先生からいろいろ御注意をいただいたわけでございますが、今後ともそういう点十分注意いたしまして、そういうことのないように指導していきたいと思います。
  88. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に進みますけれども、初めに、具体的に現在工事が非常におくれている、こういうぐあいに私はいろいろ聞いてまいりました。工事のおくれはいまのうちに何とかしないとたいへんなことでございますので、きょう申し上げるわけでありますが、特にきょうは、基本ネットワーク工程表というのがございますが、その工程表に基づいて、それぞれの工事がどのくらいおくれているか、これを率直にお願いしたいと思います。
  89. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 工事につきまして、まず概括的に申し上げますと、会場の敷地造成、それからこの上に建てます建物の問題、二つあるわけでございます。敷地造成につきましては、昨年の三月十五日に作業を開始いたしまして、これはすでに一部買収のおくれました、また現に中国縦貫道あるいは中央環状線の入ってまいりまするところのくぼ地ののり面の工事を除きまして全部完了いたしております。  それから敷地造成と、その次にあります工事は上下水道管を埋設する、あるいは電気、管でございます。それから通信管、ガス管、会場の地域冷房のための冷水を送る管、こういう六種類の管を地下に埋設するわけでございます。これらの作業も引き続いてやっておりまして、展示館の区域が、いわゆる百万坪の中のまん中の約五十万坪の区域でございますけれども、そういう地域のほうを先にやって各国の建築に支障がないようにするということで進めております。現在おおむねこれらの管路は地域冷房管を除きまして九〇%程度進んでおるのでございます。地域冷房だけは初めてのいわば施設でございまして、また地域冷房に関する規則をパリの国際条約の理事会あるいはその事務局に打ち合わせる必要もございましておくれておりますが、これが予定よりも若干おくれておるのでございますが、これもおおむね五〇%程度進んでおります。そういうようなことで敷地造成及び敷地の下に埋めます管路の進捗状況は、地域冷房を除きましてはおおむね予定と大差ないところまでいっておるということが申し上げられると思います。  それからあとは会場の中のいろんな施設でございますが、一番中心になりますのが例のシンボルゾーンのお祭り広場の大屋根工事でございます。この大屋根の工事は非常に斬新なアイデアデザインでございまして、それに用いまする鉄材あるいは屋根に使いまする資材といったようなものに新技術を駆使いたしました。そういうような関係で非常に時間がかかりましたが、いずれもこれはもうすでに発注をいたしておりまして、下の掘り方などをやっておるわけでございまして、来年の六月ごろまでには大屋根もあがる、こういう段階になっております。  それからあと多目的ホールと申しますか、催しものをやりますところ、これもすでに発注いたしておりまして、来年の十月には完了の予定でございます。  それから美術館は同じくすでに発注済みでございまして、来年の八月、要するに開会六カ月前に各国の美術を陳列するものでございますから、完成をして湿度調節をしなきゃなりませんので、来年の八月に完成をする予定でございます。また会場の……
  90. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これからの予定はいいですから、現時点でどの程度おくれているかということをはっきり言ってください。
  91. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) それを二、三申し上げたわけでありますが、現時点で主要なる施設につきましてはほとんど発注を終わっておるわけでございまして、残っておりまするのが迎賓館でございますが、これも工事としてはさほどの工事ではございませんので問題はございませんし、それからあと名店街、こういうものもまだ発注が終わっておりませんが、これもどんどん施設が進んでおります。  それから報道センター、これも実はちょっとおくれておりましたが、これも主として中に入ります各新聞社、報道機関の割り振りの問題でおくれておったのでございまして、これも近く発注ができる段階でございます。  それからなお、いろいろ話題を呼びましたものは例のランドマークと俗に申しておりますが、会場に建てます百二十メーターの展望塔でございます。この展望塔のやはり設計が非常に斬新でございまして、ことしの三月に入札に付しましたときには落札できませんで、入札価格と予定価格とが非常に食い違っておったのでございますが、その後、これも技術的にいろいろ詰めまして設計を若干変更をいたしまして、その結果これも落札をしておるわけであります。ただその後、このランドマークだけは開会の一年前に完成をして、会場の状況を一般の人にも見てもらえるように利用しよう、こう考えておったのでございますが、これはやはりさようなわけにまいりませんで、会期にはもちろん間に合いますけれども、来年の秋ごろが完成になろうかと考えております。その他装置道路、モノレールでございますが、これもいずれもそれぞれ発注をいたし、着工の段階でございまして、現在の段階を総括して申し上げますというと、先般もカナダのモントリオールの博覧会の副会長が参りまして、会場を視察しまして、現段階で進捗度合いをどういうふうに観察するかということをただしたわけでございますが、このショウ副会長は、カナダの場合には厳寒期は工事をストップしなきゃならぬ、そういうようなことがございまして、現在の進捗状況を見ると、カナダの五百日前に比べると若干おくれておるようであるけれども、しかしそういう気候の点を考えると、これで十分やっていけるであろう、こういうのがショウ副会長の批判でございまして、私どももさように考えておったわけでございますが、全体としてはさように考えておる次第でございます。
  92. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私もきのうおたくのほうの担当の方からネットワーク表をいただきまして説明を受けましたのですけれども、いまのお話を聞いておりますと、工事はひとつもおくれていない、そういうふうにとれるわけです。実際はこのネットワーク表からいきますと、たとえば具体的に申し上げますと、地域冷房にしましても一カ月半のおくれです。モノレールが一カ月、お祭り広場が四カ月、それからメインゲートが三カ月半、それから美術館が一カ月半、ランドマークが大体五カ月半、迎賓館が三カ月ちょっとですね、そういうふうなおくれが現実にある。これは現場でもこの工程表を使っておりまして、そういう点から考えましても、工事は確かに現在の時点においてはおくれている。それは間違いないと思うのです。そこで、先ほどの話をお伺いしましても、たとえば具体的にいいますと、敷地の造成はほぼ終わった。確かにあの堰堤を除いてまあ全部終わった。それじゃもう少し突っ込んでお伺いしますと、堰堤をとる時点は、これは大正川が完成しないとできないと思いますが、大正川はいつごろできるのですか。
  93. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) これは大阪府のほうで鋭意工事を進めていただいておるわけでございますが、大体来年の六月までにはでき上がる予定という打ち合わせになっておりまして、私どものほうもそれが済みませんというと、いまのお話のごとく堰堤がとれませんので、これを鋭意促しておるような次第でございます。
  94. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 来年の六月といいますと、もう来年一ぱいに全部完成しないといけないわけですから、半年前です。ほんとうは私はそういうふうな状態では、結局は川というのは全部完成しないと水を流せないわけですから、現在五割くらいしかできてないそうでありますけれども、実際問題、敷地の造成が全部終わったとはまだまだ言えない。ほんとうにたいへんじゃないかと私は思うのです。そういう点についても、やはりもっともっと現状をみんなに——おくれてないのだと言うだけじゃなくて、現状はこうなんだ、こういうぐあいになっているということを知っていただいて、そうして工事を進めていくべきではないか、私はこういうぐあいに思うのです。まあもっと突っ込んでお伺いしたいのですが、たとえば迎賓館はなぜおくれたのですか。
  95. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 迎賓館は、実はこれは予算的には施設参加——施設参加と申しますと、寄付を受けまして、その寄付を財源にしてつくる、こういうふうなことになっておるわけであります。施設参加について鋭意努力いたしておるのでございますが、それが固まるまでは設計のほう等も施設参加者との間の話し合いがございまして、固まらなかったわけでございますが、これも先般セメント協会がこれを引き受ける、こういう話になりまして、設計の詰めをいたしまして、これは近く発注をいたす予定でございます。
  96. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先般聞きましたら、迎賓館は日本庭園の設計がおくれた、だからおくれた、建設省の承認がおくれたということ、こういうぐあいに現場の人は言っていましたけれども、どうなんですか、建設省、来ていませんか。
  97. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 若干お話のようなこともひとつなかったとは申しませんけれども、しかし、一番中心の問題は、財源がどうなるかということが基本でございまして、いま申し上げましたような次第でございます。
  98. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ちょっと進みまして、今度は万博の参加国の問題について質問したいと思います。  現在、協会に正式に申し込みのあった国は何カ国でしょうか。
  99. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 四十七カ国と香港政庁で、香港政庁は英国の保護領でございますので、ほんとうは国家扱いがどうかという点がございますが、まあ引っくるめまして俗に四十八カ国参加しておる、こういうふうに私ども申しております。
  100. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今後の予定の国ですね、大体協会としては、最終何カ国の参加をめざしておるか、この点はどうですか。
  101. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 各国の参加は、これは実は政府の外交ルートを通じて、本来ならば政府のルートでやっていただくわけでございますが、実質的には政府と一体となって協会もやっておるわけでございまして、私どもはモントリオールが、これはいろいろ数を言っておりますが、カナダを含めまして六十二カ国ということにいわれておりますが、そうなりますと、私どもは少なくともあらゆる点でカナダを、若干なりともオーバーした万博に持っていきたい、こういう念願でございまして、まあ一九七〇年に行なわれる万国博であるから、七十カ国の線をぜひ確保したい、こういう趣旨で鋭意努力をいたしておる次第でございます。
  102. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、政府並びに協会はその七十カ国を参加させるために具体的にどういうふうな働きかけをやっているか、この点をお伺いいたします。
  103. 井上保

    説明員(井上保君) お答え申し上げます。  政府はこれまで外交ルートを通じまして、招請の活動を種々行なってきたわけでございますが、最近におきましても中米に鈴木事務総長が行かれまして、向こうの関係の当局と会合をされたわけでございます。それから南米につきましては、萩原政府代表がアンデス六カ国を回ってこられまして、それから現在アフリカには里井常務理事が行かれておりますし、また市川常任理事が東欧国を訪問中であります。その他、協会の専門家を派遣したり、あるいはいろいろな会議で政府の政務次官とか大臣とかが外国に行かれた場合に、または先方から政府要人の来訪のあった場合において勧奨をいたしております。それからまた向こうからいろいろな関係で人が参りました場合にも、あるいは通商関係の場合でも、各省でいろいろとそういう話のあとで、万国博に参加していただきたいという話もいたしておるわけでございます。そういうことを今後もひんぱんに続けていきたいというふうに思っております。それからいろいろと参加を検討しておる国からいろいろな申し出がございますので、それにつきましてもケース・バイ・ケースにいろいろなことをいたしまして、なるたけ多くの国が参加してくるようにしたい。一例を申し上げますと、たとえば小さな国が集まりまして共同館をつくるというようなことを提案するというようなことを実際やっております。そういうようなことで勧奨したいというようなことを考えておるわけでございます。  以上ございます。
  104. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いろいろとありますけれども、これから新しい国を参加させるということも大事でしょう。しかしいま、参加の申し込みのあった国で、まだ着工していない国がたくさんあります。こういう点に対しては、やはりもっと積極的に私はやらなければいけないのじゃないか、こういうふうに思っております。そこで実は私の手元に万博協会の資料が幾つもあります。印刷されたものもいろいろあります。この中で一つだけお伺いしたいことがあるのですが、参加をきめた国、いわゆるいろいろその時点によって違いますが、こういうプリントでは三十九カ国、それからもう一つのプリントではいろいろとその時点によって違いましょうけれども、ここでは四十カ国ですか、いろいろありますが、その中に十月一日の一番新しい資料を見ますと四十五カ国で、この中にアルゼンチン共和国というのがあります。アルゼンチン共和国は正式に申し込みを確定した、このように記入してあります。しかし聞くところによりますと、それは取り消したということを聞いておりますが、そのいきさつについてお願いいたします。
  105. 井上保

    説明員(井上保君) 実はアルゼンチンにつきましては、アルゼンチン共和国から経済労働大臣が参りまして、日本の外務大臣、総理大臣にお会いになりまして、万博に参加することをきめたというような非常に確定的なお話がございました。総理のところで話があったので間違いないだろうということで、政府といたしましても協会にアルゼンチンも入りたいということを伝えたわけでございますけれども、その後、数回督促をいたしましたけれども、正式の口上書が参っておりませんので、一応口上書ベースで計算いたしております関係上、一応これははずしておるということでございます。
  106. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大体、経済労働大臣が来て、要するに総理大臣と会って、万博がありますよ、そうか、それじゃ私のほうも参加さしていただきますという、そういうふうな口頭でちょっとした話し合いできめて、それで実際に督促したり催促したら、それが何でもなかった、こういうふうな、先ほど言った正式に申し込みのあった国、四十八カ国の中にも、こんな国がもっとほかにもあるのじゃないですか。
  107. 井上保

    説明員(井上保君) 四十八カ国の中にはそういうものはございません。
  108. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実際にこういうふうな万博の申し込みの問題にいたしましても、総理のちょっとしたことで申し込みを正式に受け付けたようにきめて進めるということ自体に、非常に不合理な点があるのじゃないかと思うのです。  それでは、時間がございませんので次にいきますが、現在工事に着工した、いわゆるいま四十八カ国と申しましたが、その四十八カ国のうら、工事に着工した外国の外国館は、一体どことどこが現在あるか、それを教えてもらいたいと思います。
  109. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 現在着工いたしました——と申しますのは、起工式をあげました国は、カナダ、ソ連それから北欧五カ国のスカンジナビア館、それからベルギー、この四カ国と、カナダのブリティッシュコロンビア州というのが独立の展示館を出します。この五館でございます。
  110. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一つ伺いしたいのですが、それじゃたとえば大国——大きな国で着工していない国が、たとえばアメリカとかフランスとかイギリス等あるわけですが、こういうふうな国の建物は、普通考えまして、大体どのくらいの工期があったら建物は完成するのですか。
  111. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 私ども、いま御指摘のございましたいわば主要国、米ソは一番最大規模でございますが、英国とかドイツとかフランスというのは、大体二十億ドル程度の費用を出されるのではないかと思います。ソ連は二千万ドル、アメリカは一千万ドルと、こういっておりますが、こういうクラスのものはやはりもう十月には発注の段階になってもらわなければ、通常のペースではなかなかたいへんでございます。来年の四十四年の十二月末までにすべての会場の建設工事を終わることを目標にしてネットワークを私どもも組んでおるわけでございますが、外国館につきましても同様な目標でひとつやってもらうように言っているわけでございまして、そういう点から申しますと、これらの国の着工は確かにおくれておるわけでございまして、これは私どもといたしましては、おくれを取り戻すように関係国に注意を九月来喚起いたしております。
  112. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま年内に着工するという予定はないのですか。先ほどお伺いしましたのは、全部で四カ国並びにコロンビア州、五つですが、あと年内にアメリカとか、こういう大きなフランスとかイギリス等の着工の予定はないんでしょうか。
  113. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 大体アメリカのほうも近く着工する——業者の選定をだんだん進めておる模様でございます。西独もそうでございますし、フランスももちろんそうでございます。英国も大体もうきまっております。とにかくさような一流国は、若干おくれてはおりまするけれども、最終的にはこれはもう心配がないというふうに私ども考えております。しかし、その他の国につきましては、とりあえず在京の各国大使館を通じまして督促をしておるような状況でございます。
  114. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 するとかりに七十カ国が参加するとしまして、一応合同の館を幾つかつくるにいたしましても、これは実際のところたいへんなことになるのじゃないか。来年になるともう工事は一斉に始まる。そうしますと、実際問題、現場もトラックや労務者やいろいろな問題が一ぱい出てくるのじゃないか。実際突貫工事といいましても、まわりのいろいろな環境等考えてみましても、公害とかいろいろな問題が一ぱい出てくると思うのですが、そういう点についても、十分関係各省並びに関係者が集まって、そういう点を考えて対策を練って進めていかなければいけないのじゃないか、こういうぐあいに考えております。  次にもう一つ伺いしたいのですが、それはきょうから割引の入場券の売り出しが始まったわけですが、これは事実かどうか私はわからないのですが、協会は二十九日、入場券付積み立て預金を進めてきた全国の信用金庫並びに信用組合に対し、PRに貢献したとの理由で、千五百万円の援助をすると、そういうことをきめたと、こういうぐあいに聞いていますが、詳細について教えてもらいたいと思います。
  115. 鈴木俊一

    参考人(鈴木俊一君) 入場券の発売につきましてのいまの信用金庫等のお話でございますが、これは実はこの信用組合あるいは信用金庫、地方銀行あるいは相互銀行、農信連、漁信連といったような金融機関もございますが、こういうような全国の金融機関に対しまして、万国博を見に行く旅行の積み立て預金というものを勧奨いたしまして、それに応じてこれらの金融機関に、現在までに大体百三十万口の積み立て預金をしてもらっておるのでございます。  これらの金融機関にこのような仕事をやってもらい始めましたのが、たしか昭和四十年であったのでございます。その当時は、博覧会についての一般の認識はまだほとんどなかった時代でございまして、こういうところにさような積み立て預金の制度をやってもらったことは、博覧会のPR上非常に効果があったと思っているわけでございます。その際、積み立て預金をいたしまして、もちろんその利子がつくわけでございますが、そういうようなものによって入場券を差し上げると、こういうのが積み立て預金の一つの特色でございますが、入場券を当初幾らに計算してやりましたらよろしいかというような問い合わせが協会当局にございました際に、当時の協会当局といたしましては、博覧会の入場料は正式にきまってないけれども、当時予算上も六百円と考えておりましたので、六百円というようなことを実際上申しておったわけでございます。それに基づいて積み立て預金制度をいたしましたわけでございます。ところが、その後、協会として正式に政府の承認を得てきめました料金は八百五十円、次いで八百円——この八百円ということになったわけでございまして、そういたしますと、その積み立て預金の制度では六百円でできておりましたものが実行困難になってきたわけでございます。これはさような協会のいわば一種の方針の変更というような形——確定した方針ではなかったのでございますが、そういうような形になりましたので、協会としてもこれは責任を感じなければならぬ点でございまするし、かたがた先ほど来申し上げましたように、早期から預金制度を普及して、万国博の普及に非常に広報的役割りを果たしていただいた、こういうようなことで、一般の出展者並みに扱いまして、出展者と同じような方式で、六百円を基礎にして旅行積み立て金をやりました分についてだけ同じような特殊の取り扱いをすると、こういうことにいたしておる次第でございます。
  116. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この点は非常に問題が私は多いと思う。PRに貢献したからということになりますと、たばこ屋さんでもどこでもみんなPRに貢献しているわけだ。また万博のために積み立てをやっているということになりますと、これはまた個人で、ないお金を積み立てて行こうという人は一ぱいいると思うんです。また、そういうような点、たとえば実際問題、資金不足で入場料も初め六百円から八百五十円、八百円と、こうなりましたけれども、ほんとうに、入場料を値上げしておきながら、実際のところ、端的に言うと、特定機関にだけ資金援助をすると、こうなる。そういうような点からいきますと、一般市民の考え方、いわゆる一般市民を無視したやり方、私はこういうぐあいになるんじゃないか、実際問題こう思うんですけれども、いわば関係省の通産省のほうはこのことは御存じだったんですか。賛成されたんですか。
  117. 井上保

    説明員(井上保君) 実は私は新聞で初めて見まして、それで至急に意見をいろいろと聞いておりまして、現在通産省の中では一応検討いたしたわけでございますが、いま事務総長から御説明がございましたように、そういうことでございまして、さらに省内でもよく検討いたしまして、特に問題があるということならば、通産省のほうでも何か意見を述べるということにいたしたいと思いますが、まだ十分に検討いたしておりませんので、今後検討いたしたいと、こういう感じでございます。
  118. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に労務管理の問題にまいりたいと思います。いろいろとありますけれども、現在何人ぐらい労務者が働いているかどうか、それでピーク時にはどのくらいになるか、それから労務者の住宅、娯楽施設等についてはどういうぐあいに考えているか、この三点をお願いしたいと思います。
  119. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 万博関係の建設関係の労働者の数でございますが、なかなか関連部門が相当広範囲にわたっておりますのでつかみにくい点はございますが、近畿一円に建設関係の労働者としてすでに働いておる方々が三十数万人ございます。これにさらに万博の工事関係の純増加分として考えられる数字が四万から五万という数字を予定しておるわけでございますが、先ほど事務総長のほうから御説明がございましたように、工事の若干のおくれというようなこともございまして、現在の段階では、当初予定をいたしました今年度のピーク時五万人純増というところまではいっていないと思います。さらに、今後の見通しでございますが、これは工事の進捗状態とにらみ合わせながら、各請負業者の具体的な現実の求人申し込みというものを基礎にいたしまして、全国的な視野で万博建設の労務者はぜひ確保していくように最善を尽くしてまいりたいと思います。  住宅の問題でございますが、これは建設業者がみずからの労働者の福祉施設として住宅を建設するわけでございますが、労働省といたしましても、それだけでは不十分でございますので、約二千戸分をこれから用意しようということで、希望業者の申請をいま受け付けておる段階でございます。  さらに、これだけの多くの労務者が万博工事をめぐってあの地域に集まってまいりますので、御指摘のような娯楽施設の問題等のことも考えなきゃいけない重要な問題だと思いますが、これはまあなかなか政府が直接やるというわけにもいきませんので、大阪府当局と相談をしながら、建設関係の業者の協会がございますので、そういうところと相談をしてこの娯楽施設の問題についても、できるだけのことはやってまいりたいというふうに考えております。
  120. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実際問題、現実にはまだ何にもできてないのですね。娯楽施設にしましても、また住宅にしましても、現実にはまだ何にもできていないような状態ではないかと思うのです。現実に現在二千人くらいですかの労務者がいらっしゃるそうですけれども、そういう方々に対する配慮もまだ全然なされていない。そのために近郊の町が荒らされている、そういうことを聞いておりますが、この点御存じですか。
  121. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 近郊の住民の方に御迷惑をかけているという御指摘でございますが、私どもに具体的な事件としてはっきり報告を受けた事例はございませんけれども、何せ建設労務者が相当多数すでに集まっておりますし、これからもピーク時を迎えて相当の労務者が集まってまいりますので、御指摘のような点につきましては、警察当局とも連絡をとりながら万全を期してまいりたい、かように思っております。
  122. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 雇用促進事業団の住宅でございますね。あれの万博前の予定、ことし一年間の予定ですか、各業者からいま希望を受け付けているそうでございますが、実情はどうでございますか。
  123. 阿部泉

    参考人(阿部泉君) 私の雇用促進事業団は、本省の指示によりまして、先ほど局長からお話がありましたように、本年度の予算として一棟四十人収容、五十棟、二千人、二億円の予算をこれに充てております。また九月、十月両回にわたりまして地元で万博の事務当局、さらに建設業関係の方々、一般業者の方々をお集めいたしまして、この問題に対しまして説明会、打ち合わせ会を開催いたしまして、その十月のときにおきましては相当の方々が希望しておったのでございますが、現在のところ正式にまだ申請がきておりません。
  124. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの四十三年度は二千人でございますか。
  125. 阿部泉

    参考人(阿部泉君) はい、本年度二千人。
  126. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この万博のプリントによりますと、四十三年度分までは七千人分と、こうなっておりますけれども、どうですか。
  127. 阿部泉

    参考人(阿部泉君) 雇用促進事業団におきましては一応二千人ということになっておりますが、先ほど来いろいろお話がありましたように、現在工事がおくれているような関係、また工事も全盛期になっておりませんので、これから工事が全盛期になりまして需要が多くなりましたら、これに対応するだけの予算は講ぜられるように準備しております。
  128. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一回聞きますけれども、先ほどまだ一棟も申し込みがないというお話、一棟もないのですか。
  129. 阿部泉

    参考人(阿部泉君) 二十数業者が現在希望しておるように聞いておりますけれども、先ほどお話申し上げましたように、今月の中旬に最後の打ち合わせ会をしたわけでございまして、その後まだそれほどの日数もたっておらないので、正式に文書によりましてはきておりません。
  130. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 こういう点につきましても、やはりこういうふうな予算措置もしているわけでありますし、当然各業者とも打ち合わせをしまして、ほんとうに就業者の、いわゆる現場で働く人たちの福利厚生、また住宅、そういう点についても十分打ち合わせをして、万博は完全にスムーズに流れるように、できるように進めてもらいたいと思います。  それから診療所はどうなっていますか。
  131. 桑原敬一

    説明員(桑原敬一君) 万博の労災の診療につきましては、労災の病院その他指定医がございますけれども相当の数の労務者が入ってこられますので、十分な準備をしておかなければならないということで、万博診療所を開設することにいたしました。で、ことしの五月から工事にかかりまして、八月の下旬に一応病院ができ上がりまして、十月の八日から診療を開始いたしております。建物の規模は、土地が六百四十坪、建物が二百十五坪、その他機械、設備等を入れまして総工費約三千二百万の建設でございます。診療科目は内科と外科と整形外科が置かれておりまして、これに当たります現在の体制は、医者が一名常勤、それから非常勤で医師会のほうから派遣される方がございまして二名、看護婦が三名、その他事務員、薬剤師等入れまして八名で現在診療を続けております。十月の八日から十月の三十日までの私どもの実績では、四十八名の方が診療をお受けになっておられます。その中で労災の診療を受けられた方は十六名でございます。以上が現況でございます。
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまお話ありましたとおり、結局診療所の問題も現実には医者が少ない。要するに結局は実質的たった一名なわけです。それで診療所ができまして長い間医者がいなくて開設できなかったと、そういうことも聞いておりますが、これは事実ですか。
  133. 桑原敬一

    説明員(桑原敬一君) この施設は一応労働福祉事業団がつくりまして、大阪の医師会に運営を委託いたしております。大阪の医師会といたしましては、大阪大学の医学部のほうと十分話し合いをなさいまして、現在常勤の方は大阪大学のほうからいただいております。それから先ほど申し上げましたように、非常勤で医師会のほうから来ておられますが、今後の労務者の働く人数がふえますにつれまして、医者の問題も出てまいりますので、これにつきましては、大阪の医師会長と大阪大学の医学部の部長との間で、これは大阪大学のほうで医者の確保、看護婦の確保については努力をするというようなお話し合いもできておりますので、そういった方向でぜひ私どもとしても進めていただくようにお願いをいたしておるようなわけでございます。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これで質問もう終わりますけれども、実際問題としまして、あらゆる観点から見まして、万博そのものは非常に問題点がたくさんあります。労務管理の問題にしましても、いまは問題が起きていないけれども、現実に突貫工事になりますと、たくさんの人がやってまいりますし、また場内の問題にしましても、いろいろなダンプカーの問題とか、交通規制の問題とか、また材料置場の問題とか、種々問題があると思います。そういう点特に連係をよくして、そして万博そのものを成功裏に終わるように進めていただきたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  135. 松井誠

    理事松井誠君) 午前はこの程度とし、二時に再開いたします。  それでは暫時休憩いたします。    午後一時十三分休憩      —————・—————    午後二時六分開会
  136. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それでは、委員会を再開いたします。  午前に引き続き、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題とし、質疑を続行いたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  137. 大森創造

    ○大森創造君 FXの問題について何回か質問をしてまいりました。いよいよ大詰めになりましたので、ひとつ質問をしたいと思います。前回の質問で増田長官に機種決定はいつするかということをお尋ねしましたところ、あれは十月の二日に委員会がございましたので、今月中にきめるということでございますが、そういう今月中というときょう一日でございますが、そういうことに変更ございませんか。
  138. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 大森さんにお答え申し上げます。  大森さんにこの前お答えいたしたのは、大体においてそのとおりでございまするが、なるべくという字が書いてございます。なるべく今月中ということでございまして、その点を御了解願いたいと、こう思います。
  139. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、なるべくという点を今月中ということになればきょうで終わり、これは二、三日中にきめますか、それともあしたきめるのですか。
  140. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 近くきめたいと思っております。
  141. 大森創造

    ○大森創造君 近くきめる、一週間は出ませんな。
  142. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 近くきめたいと思います。
  143. 大森創造

    ○大森創造君 押し問答しても始まりませんから……。近くということで、どうも近ごろは含みのあることばが多いので……。二、三日中にきめるのでしょうね、あしたあたりに。そこできめるとすれば、何にきめますか。
  144. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 検討中でございます。
  145. 大森創造

    ○大森創造君 心づもりをお漏らしください。
  146. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 心づもりというようなものも、まだ検討中でございます。申し上げる段階になっていないのでございます。
  147. 大森創造

    ○大森創造君 何機買いますか。
  148. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 最初、予算を一応二兆三千四百億円、上下幅二百五十億と、この段階のときには七百八十億というものをわれわれは予定しておったわけでございます。そのときにはおよそ六十機というようなことも考えた段階はございます。そういうわけでございます。
  149. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、何機買うのだかわからないわけですね、防衛庁長官。何機買うのだか、その心づもりございませんか。
  150. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) これは、当時のやっぱり多少積算は基礎があったわけでございまして、一機当たり十三億と仮定いたしまして七百八十億が、六十機といたしますと七百八十億、こういうふうにおよその見積もりはいたしておるけれども、あくまでもおよそでございます。
  151. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、私は何機買うのだかということがいまもってさだかでないわけですね。こういう買いものは常識的におかしいと思うのですよ。F4ファントムかCL1010か、機種から始まって、二機種のうちいずれか、私の想像するところではF4ファントムときまっていると思うのです。だけれども機数がわからないという買い方はいかがなものでしょうかな、長官。これは常識的にお答えいただきたい。ここ二、三日中か、あしたにでもきめようというときに……。私はF4ファントムだと思っているのです。その際に、どん詰まりのきょうになって機数幾つ買うのかわからないということはいかがでしょう。大蔵省来ていますか。この辺ひとつお聞かせください。どういうわけですか。飛行機はこれにしよう、高性能のF4ファントムにするということはよろしいけれども、何機買うかわからないというのではいけませんから、防衛庁とあなたのほうの折衝で何機買うのですか。
  152. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 三次防には、「将来における防空要撃能力の向上のため、新戦闘機の機種を選定の上、その整備に着手する。」、これだけが三次防の閣議決定になっているわけでございます。それであとは三次防計画の二兆三千四百億というものの中身というものは、一応防衛庁自体である年次別の金を計算はいたしておりますが、これが閣議で了解されて決定されているとか了解されているとかいうふうな性格のものではない。また大蔵省との間でこういうものでこういうふうな金というふうなことを了解しているものでもない。ただ閣議で決定されている点は、二兆三千四百億という五年間の財政負担、それからそれぞれの事項について、文章で出ているものはそれぞれの事項として出ておりまして、このFXにつきましては、「将来における防空要撃能力の向上のため、新戦闘機の機種を選定の上、その整備に着手する。」、これだけがきまっているだけでございます。
  153. 大森創造

    ○大森創造君 その二兆三千四百億というのは五年間に消化するという第三次防衛計画の全体の計画、きょうかあすにF4ファントムの機種を決定しようというときに、この段階において何機買うのかわからないということは私はないと思うのです。この前の何年か前のロッキード、グラマンのときも、ロッキードかグラマンかということで血道を上げまして、国会を中心として戦闘をやった、空中戦をやった、御承知のとおり。きょう、あす、あさって、近いうちにということを長官お答えなんですが、いよいよ煮詰まってきたこの段階において、何機買うのかわからないということについては、何とも私はふに落ちかねる。目安も何もないのですか。そこでお伺いしますが、目安はありますな、大蔵省も御存じのとおり、七百八十億、六十機、単価十三億。そこで防衛庁のほうにお尋ねしますが、これはめくらめっぽうに出した数字ではないと思うのですよ、十三億という数字は。これはいずれかに決定した場合には、十三億というものの参考までに積算の基礎を示してくださいませんか、私のほうに。いかがでしょうか。  それから十三億というのも当てずっぽの数字じゃないですよ。飛行機の価格、購入価格というものを頭に置いて十三億という数字をはじいたのだろうと思います。それから六十機合計七百八十億という場合に、六十機という数字もでたらめでないと思うのですよ。架空の数字ではないはずだ。この六十機、十三億、合計七百八十億という数字は大蔵省のほうは御存じですね、お答え願います。
  154. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほども申し上げましたように、第三次防衛整備計画というものは、閣議で決定いたしましたものが正規のものでございます。あとは、防衛庁がそのそれぞれの事項につきまして金額を試算したものはございますが、それが大蔵省があるいはそれを認めたとか、あるいは閣議で決定したというような性格のものではない。したがいまして、いま申し上げましたような数字も、防衛庁が試算されたかもしれませんが、それが何らかの形で政府の意思として決定しているというものではございません。
  155. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、その六十機、十三億、合計七百八十億という数字は大蔵省のほうにはいっていないのですね。防衛庁のほうにお尋ねします。
  156. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 大蔵省と合意に達しておりますのは、先ほど海堀次長からお答えのとおり二兆三千四百億、上下幅二百五十億という数字でございます。先生お示しの数字は防衛庁の試算でございます。
  157. 大森創造

    ○大森創造君 それでは、その試算の基礎は御説明願えませんか。もしくは文書にして出していただけませんか。十三億、六十機……。
  158. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 二兆三千四百億の中でいろいろな項目があります。その主要なのは閣議決定、三次防決定ということになりますが、個々のことにつきましては、このことに限らず試算はいたしておりますが、数年前に数年後のことをきめることでございますので、数年後の状況をいろいろ想定をいたしました試算でございます。そこで、たとえば十三億ということにつきましても——当時はまだ機種がきまっておりません。きょう現在でもまだきまっておりませんので、この機種でどういうふうに国産して何機やれば、というふうな試算の根拠の精密なものは当時つくることはできませんでしたので、世界全般の戦闘機の大体の価格を想定した程度の試算でございます。
  159. 大森創造

    ○大森創造君 そこで次に、その点はさらに詰めた議論をしても始まらぬので、別な角度からお尋ねいたします。この機種決定の手続において、増田長官、正式な国防会議は開かないのですか。
  160. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 私は機種の決定は国防上の見地からもよろしいと、こういうものを、運用計画等の調査をいたしておりまするが、その関係防衛庁長官の行なうべき、また行ない得る行政行為である、こう考えております。もとより国防会議の議員等には、それぞれ寄り寄り相談をいたしておりまするが、そういう段階でございまして、そこで今度は費用対効果その他の関係から見まして、予算を編成する、そういう段階になりますというと、もし長期にわたるものであるならば、国防会議あるいは国防会議の議員懇談会等において機数を決定していただくということが妥当である、こういうことについて確信を持っておる次第でございます。
  161. 大森創造

    ○大森創造君 どうもその手続が私はおかしいと思うのです。この前のF104J、ロッキード、グラマンのときでも、この国防会議というものを正式に開いておりますね。回防会議の構成員を言ってください。
  162. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 構成員は総理大臣、外務大臣、防衛庁長官、経済企画庁長官、それから大蔵大臣でございます。
  163. 大森創造

    ○大森創造君 それをどういうふうにするのですか、長官。持ち回り閣議みたいに一人一人電話で了解を得るということですか。これは会議を開いたほうがいいのじゃないですか、わずか五人なんだから。どうしてその手続を怠るのですか。
  164. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 怠っているわけではないのでございまして、私はグラマン、ロッキードのときに、元来自衛隊法の中に書いてございます国防会議の所管事項というのがございますが、その中にある第一は国防の基本方針、第二は防衛計画、第三は産業との関係における基本計画、第四は防衛出動に関すること、第五は、その他総理大臣が必要と認めたる事項——というのは法制局長官にもこのごろ聞いてみましたが、大体において第一から四までに該当するような重要事項である、こういうふうに聞いております。そこで国防会議というものはその範囲のものをかけべきものである、グラマン、ロッキードのときにおよそかかったでございましょうが、かかるべからざることもかかっているんじゃないか、かかるべきこともかかっておりまするが、そういうことでわれわれはいまグラマン、ロッキードをかけたからといって、直ちに盲目的に今度のものをかけなくてもよろしいと、こう考えている次第でございます。それはどういうわけか、この前も内閣委員会等においても申し上げております。当委員会等においても申し上げておりまするが、この前は、国産化を初めてジェット戦闘機について行なう、これが第一でございます。第二は、迎撃戦闘力において格段に開きのあるものである。すなわちF86F等は〇・八マッハしか出ないのに二マッハ出る。すなわち一・二マッハも迎撃能力が向上する、強力なる迎撃の武器をつくる、こういうようなことで、おそらくかかったと思います。それからまた、年次計画等にも相当またがる関係もあっでかかったと思いますが、今回は機種の決定等は防衛庁長官がなし得ることであって、そこまで国防会議で、しかもまだ初めてという方々がいろいろ時間をかけるというと、ここ数年かかってしまうんじゃないかと私は思っております。私も常識しかございませんけれども、しかし国防関係に携わる長官として二年間研究をしてきておるのでございまして、常識より多少高い国防の常識を持っておるわけでございます。その国防に関する主務大臣が防衛長官でございまして、長官が迎撃用の関係につきましては一昨年十一月二十九日国防会議と、それから閣議決定を経ましたのが新戦闘機の選定をするということが書いてございます。昨年の三月十四日に同じ日だったかあるいは翌日にまたがったかよく詳しくは存じませんが、国防会議を経た閣議決定において、迎撃能力を高めた新戦闘機を選ぶということが書いてございまして、そのことが閣議決定になっております。その閣議決定を施行する機種の選定は、施行細目であるというふうに私は考えております。そういうわけで何も国防会議を忌避するわけじゃありませんが、従来グラマン、ロッキードのときにかくべからざることもかかっているんじゃないかと私は考えております。やはり行政官庁という部面もあるわけでございますから、防衛庁長官は。その行政官庁という部面において行政処分的な行為として機種の決定はなし得るものである、こう考えております。
  165. 大森創造

    ○大森創造君 それもわかりますけれどもね、長官、五人でしょう、国防会議の構成員は。その五人の個々の人に了解を得る手続はやるわけですね。
  166. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 機種の決定につきましてはだんだん話をしておりまするが、防衛庁長官の行政行為でもあるし、まかせる、こういう結論を、国防会議の議員たる国務大臣から得ております。
  167. 大森創造

    ○大森創造君 私の聞いたところによると、その総理大臣以下外務大臣——外務大臣はきのうあたりから兼任のようだけれども、そうすると四人になります。そこで、海原さんは国防会議の事務局長のポストにあられるわけですね、そこで海原さんはいろいろな立場もございましょうが、こういう高性能の戦闘機を現在購入することは時期尚早であるという意見をお述べになっておられるようである。そこで、総理大臣以下五人の構成員であるけれども、海原さんは総理大臣や外務大臣やあるいは経企長官や大蔵大臣よりは飛行機のことについては詳しいはずである、いままでの経歴からいうと。その人が明らかに、どういう事情かしらぬが漏れ承るところによるというと、F4ファントムのような高性能の戦闘機を現時点で購入するということは時期尚早であると、公然とお漏らしになっておるように聞いているので、会議を開けば当然海原さんがそういう意見を述べるので、だから国防会議を正式に開かないのだという意見がある、いかがでしょうか。
  168. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 機数その他になりますときは財政関係もあるし、それから予算の先取りという関係もございますから、私と大蔵大臣とは緊密に話をする必要があると思います。それからその際に国防会議の議員懇談会的なものを開いてもよろしいと思っております。  それから、あなたは役人の意見等をすぐ公の場所で引用されますけれども、一事務官がかれこれ責任ある意見を言うはずはない。政府の外にあるものじゃございませんからそういうはずはないと私は思っております。
  169. 大森創造

    ○大森創造君 ないと思っていても事実あるとすればどうするのですか。
  170. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) あるべからざることであります。
  171. 大森創造

    ○大森創造君 あるべからざることであっても事実存在する、あるということになるとどうなります、好ましくないことであるけれども事実あるということになれば。
  172. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) そういうことは私は聞いておりません。
  173. 大森創造

    ○大森創造君 あなたが聞いてなくても、事実あればどうなんです。
  174. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 今度の調査は、神のごとき心持ちで、しかも専門家が実際。パイロットで——私はある事務官がパイロットであったという話は聞いたことないです、まだ。そのパイロットである人が行って操縦したりいろいろして、上昇試験だとかその他いろいろな迎撃能力だとかあるいは実際にたまを撃ってみたりする、そういうことをした事務官があったという話はまだ寡聞にして聞いたことはございませんが、大森さんはどうかしりませんが。そこで各種の意見があっても、調査団長以下の人人が行ってからの後の知識というものが、ほんとうの新知識でございまして、あとのものはすべて旧知識に属するということをこの際やはり冷静に考うべきではないでしょうか。
  175. 大森創造

    ○大森創造君 さあ、そうですがな。そこで依然としてひっかかるのは、機種はいずれかにきまるであろう。機数ですね、これが防衛庁はほんとうは何機ほしいのですか、心づもりは、目安はあるでしょう。ただCL1010よりはF4ファントムがすぐれているといって、機数を予想しない買い方はないですからね、どこいらの心づもりがございますか。
  176. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) ちょっと御質問がわかりません。
  177. 大森創造

    ○大森創造君 機種はこうだということでだいぶ非常なる関心があるけれども、それなら何機買うかというその機数ですよ。少なくともそれは何かの一定の心づもりがあるに違いありませんよ、機数です、何機買うのですか、大蔵省も困るでしょう。
  178. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 機種というものは、われわれは迎撃能力という閣議決定がありました迎撃能力を高める、F104よりも高い、こういうことを目安にして検討してきておるわけでございます。でございますから、最初九種というのが三種にしぼられて、六種は現在私どもの持っておるF104Jよりも劣っておるというわけで落としたわけでございます。あとの三種はいずれも現在持っておるF104Jよりも上であろうという第一回の調査団の報告によりまして三種にしぼりまして、その三種のうちやはり迎撃能力の高いものというような見地からしぼってまいりましたけれども、しかし費用対効果の関係もございますから、いずれは機数等はしぼられてくるでございましょうけれども、何と申しましても防衛ということが大切でございまして、金で防衛ができるわけではございませんから、十三億で防衛ができるわけではないんですから、そうしていままでのところ、オファーされた値段はCL1010もミラージュもF4Eファントムもいずれも十三億以上でございます。そのことだけ、私、デスクの上でわかっている点だけは大森さんにお話しておきます。
  179. 大森創造

    ○大森創造君 増田長官のお答えでもどうも私はわからぬのです。機種はいずれきまるでしょう、二、三日中に。機数がばくとした機数も出ないということはどういうことなんであろうか。漏れ承るところによるというと、防衛庁の制服は百十機ぐらいほしいという気持ちをお持ちのようですが、百十機なら百十機と言えばいい。非常に飛行機が高いので、十三億以上ということになる。何機にするかということについて予定がないはずはないと思うんです。大蔵省聞いておりませんか。二兆三千四百億ばかりを繰り返してるんですか、そんな話ばかりを。この段階においても、こういう大みそかみたいになったときに、何機ほしいと防衛庁からお漏らしにならないのですか。ふしぎな話と思う、機数がわからぬというのは。何という機にきまるであろうということに一生懸命頭を痛めて、何機にきまるということが、何機かわからないということはおかしい、この財政硬直化のおりから。それから大蔵省にしたってちょっとこういうことじゃやりにくいじゃないですか。大蔵省がしっかりしてたら——大蔵省しっかりしておりますが、何機だということを押えなきゃいかぬでしょう。機数によって金額違ってくるんですよ。百機と十機じゃ明らかに違う。そこら折衝の段階でどれくらいの機数が示されておりますか。
  180. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 国防会議できまりました三次防計画では、先ほど申しましたように、「将来における防空要撃能力の向上のため、新戦闘機の機種を選定の上、その整備に着手する。」、こういうふうに書かれているわけでございます。したがいまして、一般的にその飛行機は、防空要撃能力の向上をはかるわけですから、当然そこにある集団による防空ということになってきて、当然機数の考えが、要撃能力の向上ということが機種とともに機数の見当ももちろんつけて検討が行なわれる。しかも将来の財政負担の問題ですから、もちろん財政負担も同時に検討される。それからさらに、できればそれの生産方式なんかも同時にそれらのことと関連して検討はされると思います。ただ、それをどういう形で今後きめていくかという問題は、それはまだ私のほうが関与している段階ではございませんので、どういう形で内閣がそれを取り上げていくかということについては、私のほうからは何とも申し上げかねると思います。ただ、当然防空能力というものは、単独の飛行機でやるわけではなくて、ある集団でもって行なうわけですから、当然機数とか、あるいはそれも財政負担を伴う問題ですから、それの財政負担、さらには生産方式というふうなものが、当然検討が同時にされまして、そして機種も選ばれていくということになると思いますが、ただきめ方それ自身につきましては、どういう形できめていくかということにつきましては、内閣の方針できまっていくことであろうと思います。
  181. 大森創造

    ○大森創造君 どうも私は納得しないんですね、そういうことでは。国民の税金ですからね。しかも高い買いもの。アメリカではいま大統領選挙のまっ最中であって、日本でも総裁選挙が十一月の二十七、八日ごろに行なわれるということを聞いておるし、それからベトナムの情勢も何とか安定の方向に向かいそうだ。どうですかね、これはもう少し延ばしたら。機種のみきめて、それから機数がきまらぬような買い方はいかぬ。情勢も変わってくるんですから、少し延ばしたらいかがでしょう。
  182. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) まあ私は国会でFXの問題でこれほど論議されるというのは、私はほんとうはおかしいと思うのです。私は神のごとき気持ちでやっております。それなのにしょっちゅう御質問を受けることが大体おかしな話であると、大森さんお思いになりませんか。あなたは百十機と十機とは違うとおっしゃる、十機はテンですよ、百十機はハンドレッドテンなんで、そんなばかなことはありませんよ。どんなものにしたって。この三種の機種のうちで、百十機と十機とは違うのだという、そういう子供だましのような世間に誤解される発言は慎んでもらいたいと思う。百十機がたった十機になってしまう、とんでもない。この三種のものがそれぞれオファーされた値段から逆算してみたら、機数がこれ以上ふえっこはない。十二億以上でみんなオファーしておりますから、十三億以下で提供したところはございません。ですから多少なり減ります。しかし、これは海堀さんの言うように防衛庁の腹づもりだといえば、腹づもりでもいいでしょう。しかしながら、一応八十八億の予算化ということを考えております。それは二兆三千四百億に入っております。あと六百九十二億の国産化ということも考えております。これは財政当局との折衝過程においてきまることでしょう。要するに、われわれは国会にはコンセンサスを得るためにわれわれの腹づもりはたびたび七百八十億——六百九十二億プラス八十八億ということを言っております。十三億に六十機をかけてみると七百八十億になる。当初はそんな腹づもりでございましたと、おおよそのことは言っております。そういうわけでありまして、このことが議題になってしょっちゅう問答になることは、これは国会ですからけっこうでございますけれども、私は疑惑のないために一生懸命この二年間努力しているのですよ。それをまた一カ月も二カ月延ばして、やたらに変なことになりかねないと私は思うのですよ。こういうふうなことはやっぱり国防会議を経た閣議決定において、迎撃能力を高めるために機種を選定するというふうな指令が出されておれば、防衛庁長官たる国務大臣がその機種を選定するということが閣議決定によっても命令されておる、委任されているというふうに解釈するのが日本語の解釈のしかたであると、私は考えております。
  183. 大森創造

    ○大森創造君 よくお説はわかりました。私の言っているのは、しかし、ごく常識のことなんですよ。九種から三機種になって今度は二、三日のうちにF4Eファントムになるであろう。何機買うのだという質問をしたのであって、私の申し上げたのは防衛庁の制服が百十機ぐらいをほしいということを聞いている。目安があるであろう、何機ぐらい買うのであるか。私は長官が神のごとき気持ちでやっておられるということはよくわかっているのです。だけど神のごとき気持ちでない私のほうには、いろいろなことが入ってくるわけです。神さまが神さまでおられるようにしたいと思って国会でお尋ねしているのです。  そこで長期間というか、ある程度の期間にわたり日本の防空体制の整備計画みたようなものがあって、それに見合った機数というものが順次発表されてくる。その一環として今度の場合、この二、三日のうちにきまるであろう機種については、まず最初はこの程度の機数がほしいという数字が出されてしかるべきだ。さっきから大蔵省の話、防衛庁の話を聞いておりますと、機種はいずれかにきまるであろうが、機数については、さっぱり言っておりません。一応試算として十三億、それから六十機、合計七百八十億という数字はあるけれども、それ以上はばくとしてわからぬでしょう。だから私も単に増田長官以下非常にまじめによくやっておられることはわかりますけれども、しかし、それならば、いま申し上げたとおり積極的な提議をしたいと思います。長期の防空体制整備計画みたいなものがあって、日本の防衛計画整備計画があって、防衛の、それに基づく機数がここらであるけれども予算上、財政硬直化のおりから、まず初年度はここらであろうという数字の目算でも立っておりますか。
  184. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 私は、また百十機ということは聞いておりませんのですが、あなたが十機ということは極端な言い方だということで御修正になったようですから、けっこうでございますが、ある程度のこの機を選んだときはどのくらいがよろしかろう、この機を選んだときはどのくらいがよろしかろう、またこの機を——つまり三回言うのは、三機種しかないのですから、それは費用対効果の関係でどのくらいがよかろうというような目安は立っております。
  185. 大森創造

    ○大森創造君 目安は立っているわけですね。目安はお漏らし願えませんか。
  186. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 目安のことは立っておりまするが、まだそこは申し上げる段階ではないことを遺憾と存じます。
  187. 大森創造

    ○大森創造君 腹づもりはあるけれども、申し上げる段階でない。外部には漏らしたくないという意味ですか。
  188. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) さようでございます。
  189. 大森創造

    ○大森創造君 そうですか、そこでですね、今度はこれをお伺いしたいと思うのです。国産化ということになると、で、国産化ということになるのは、あの前のロッキードのとき、F104Jの場合に、ミサイルをはずした完成機ですね、それは、まあ専門的なことばで国産化率といいますか、どの程度の国産化率ということになってるんでしょうか。どうなんでしょう、どなたかおわかりですか。
  190. 蒲谷友芳

    説明員(蒲谷友芳君) FXにつきましては、まだ機種も決定しておりませんし、細部の部品の生産の計画も、検討終わっておりませんので、いまの段階で、国産化率はどうかということは申し上げられません。ただやはり、こういう一線の重要戦闘機でございますし、相当の期間これを維持運用する関係でございますので、その補給を考えまして、できるだけ国産化はしたいというふうには考えておりますが、機種がきまりましてから部品の検討をしまして、最終的に国産化率がきまるということでございます。
  191. 大森創造

    ○大森創造君 それでね、この前のロッキードの場合には、数字的には六四%ぐらいが国産化率だということを聞いておりますけれども、実際の製造の工程上の国産化率というのは、実際はいろいろ事情があって一〇%前後であろうということを聞いておりますが、これは事実でしょうか。
  192. 蒲谷友芳

    説明員(蒲谷友芳君) いまの104の経験でございますけれども先生の御指摘の第二次生産については総合六四%でございました。その中で機体とかエンジン、あるいは搭載電子機器その他の射撃装置とか、そういう各部門ごとの結果は、われわれの調査では、機体では六五%、エンジンで八二%、通信機器で七八%、その他で五二%、それを総合計しまして、加重平均で六四%ということになっております。
  193. 大森創造

    ○大森創造君 数字のこまかいことは私しろうとですから申し上げません。それで、これは国産化をするということについて、どういう利点があるかお伺いします。完成機を買ったほうがいいじゃないか。そこで、今度のファントムの場合には、増田長官御存じかどうかわかりませんが、私が調べたところによると、アメリカから完成機を買う場合には十億前後と、十億幾らか。そこで、国産化した場合には、十七億ぐらいかかるということを聞いているのだけれども、これは事実かどうか。百機ということにかりに押えてみると、そうすると七百億の差ができる。完成機買ったほうがいいような気がするのだけれども、国産化を進める、そういう国産化ということに持っていく利益は、メリットはどういうところにありますか。
  194. 蒲谷友芳

    説明員(蒲谷友芳君) いまの御指摘で、F4というふうなお話でございましたけれども、で、いま国産化をするという前提で試算をしておりまして、その試算価格は持っております。ただ輸入した場合という、完成機を輸入した場合の価格は現在持っておりません。先生の御指摘の数字は、私たちの承知しているものとだいぶ違うのではないですか。米軍の調達している価格を聞きましても、もう少し高い、だいぶ高いわけでございます。それも米軍相当の資金を投入し、相当の機械を貸与しておりましての段階でも、もう少し高いように聞いておりますので、完成機が入った場合にそう安い値で入るというふうに了解はしておりません。それからいまのお話の国産化のメリットでございますけれども、何と申しましても、国防上の重要な最先端の技術でございます。それをある程度の機数を長期に運用維持するという、その補給整備の問題が大きな問題でございます。価格の問題を見ましても、単に一機の購入価格だけではなくて、相当長期にわたってそれを整備する価格ということも考慮に入れる必要がございます。特に補給整備の緊急性、必要性という面から見ましても、われわれは国産化が望ましいということでございます。  第二点は、何と申しましても、いまのこういう最先端をいきます技術を持ちます航空機、航空技術、あるいはそれに載っております電子機器その他の機器は、何と申しましても非常に進んだ技術でございます。こういう技術をわれわれは導入しまして、そのピラミッド型の頂点に技術を持ちまして、国内への相当の技術の波及効果も考えられる。やはり将来の防衛考えた場合、あるいは国内の航空工業を考えた場合にも、相当大きな影響を与える、こう考えております。  もう一つは、簡単に申しまして外貨の問題でございます。何と申しましても外貨ということは非常に大きな問題でございまして、国産化によりまして、外貨の流出を防止する、そういうような、あげればメリットと申しますか、そういうことを考えまして、われわれは国産化を進めておるわけでございます。
  195. 大森創造

    ○大森創造君 まあその問題についても、私は私の考え方がございますけれども、これはもう時間の関係で割愛しておきます。別の角度からお伺いしますけれども、F4Eファントムという高性能の戦闘機、これは増田長官、私のこの前の質問、十月二日のときには爆撃能力はないと、そうして外国の基地をたたくということはないので、片道四百海里、往復で八百海里ということになるのだから不可能である。私の質問に対しては爆撃能力がないということをおっしゃいましたけれども、そういう爆撃の装備をつけないということをおっしゃいましたが、これは事実ですか。
  196. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) そのとおりでございます。爆撃装置を施さない、私は昨年の国会からずっと言っているのでございます。
  197. 大森創造

    ○大森創造君 そうするとF4Eファントムというのは、高性能の飛行機で、この新聞は相当権威のある新聞なんだけれども、「従来の艦載戦闘機の常識を破る大型、重量級で、完全武装すると二十七トンを越える。双発、複座(二人乗り)で、最大速度マッハは二・四、航続距離三千七百キロ、武器はバルカン砲一門、空対空ミサイル、サイドワインダー、スパロウ各四発のほか、六トンの爆弾も搭載できる迎撃戦闘機だが、場合によっては相手国の基地都市も爆撃できる戦闘爆撃機として有名で、米軍はベトナム戦でも使用しており、威力は実証ずみである。」ということなんだけれども、そうすると日本の航空自衛隊で購入する場合には、こういう高性能の飛行機というものを、性能を落として、ずっと爆撃の装置をつけないという措置をとられるわけですか。
  198. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 爆撃装置というものは三つあるのでございまして、レーダー関係と、コンピューター関係、それからコントロールボックスとがあるわけでございます。これは三機種のうちどれを選びましても、これは装着しない、これは爆撃装置を装着しないということになるのでございます。
  199. 大森創造

    ○大森創造君 そこで長官の、いままで私が十月二日、それから衆議院の内閣委員会が十月十七日にありまして、それから十月二十二日に参議院の内閣委員会でそれぞれ長官がお答えになっていることと、私が十月二日にお尋ねをしたときの内容と、ちょっと私が見たところでは食い違っているようでございます。そこで私についての答弁は、F4Eファントムに爆撃装置はつけないから基地をたたく能力がないという答弁でありましたけれども、その後違った答弁をされておりますね。爆弾をぶらさげるもの、そういう装置はつけるのだ、それから照準装置をつけるのだ、こういうお答えが衆議院か参議院の内閣委員会でなされておりますね、いかかでですか。
  200. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 先ほど長官からのお答えのとおり、一般的に爆撃装置といいました場合には、空対地のレーダーあるいは爆撃のコンピューター、コントロールボックスを指すのが軍事的な常識でございますので、それを前提にして長官はいままで爆撃装置をつけないと、つまりいま申し上げました三種類をつけないと、こういうことを従来から言っておられるわけでございます。先般の内閣委員会でのお答えもそういうことであろうと思います。今度の三機種につきましても、もともとそういういま申し上げた三種類がないものもあります。一部あるものもあります。しかし、かりに一部あるものが採用されましても、それはつけないということになります。お示しの懸吊装置あるいは目視照準、こういうものは普通爆撃装置と言いません、目視照準器は本来ガン、機銃を撃つためについております。今度採用されます三機種のうちのどれにつきましても、われわれは要撃能力を向上させることを目的として機種が採用されると思います。その場合にガンが使えないようでは要撃能力の向上になりませんので、これをはずすわけにはまらない。たまたまこれがありますと、爆弾を翼にぶらさげて物理的には投下することは可能でございますけれども、この目視照準器は要撃能力向上のためにはぜひ必要であるから、これをはずすということは長官も従来言っていない、こういうことでございます。それからその爆弾の懸吊装置そのものをつけるというふうに先生おっしゃいましたが、これはつけるのではなくてもともとづいておりまして、これは燃料タンクもそれにつけますしミサイルもそれにつけます。爆弾もそれをつけようと思えばぶらさげられるということで、爆弾のためにつけるものではございませんので、そういうように御了解いただきたいと思います。
  201. 大森創造

    ○大森創造君 どうも私飛行機のことよくわからないものでございますから、今度は別の角度から、私のわかるようなことをお尋ねいたします。  ずいぶん行政協定における事前協議ということが、いままで国会でも問題になりましたけれども、海外派兵とかいろいろなことが問題になりましたけれども、私はこういうことをひとつお伺いしたいと思います。日本の領土、領空にどこかの飛行機が侵入してきて爆撃しようという場合に、日本の航空自衛隊はどういう戦闘行動をとりますか。これは小学校の一年生のような質問でございますけれども、飛行機が来たとき黙っていますか。やられっぱなしにしますか、どうしますか、日本の航空自衛隊は。これはもうまことに常識的な桃太郎のような話ですが、飛行機が攻めてきたときにどうしますか、日本の領土、領空に。沖繩ではないのですよ。
  202. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 自衛隊法八十四条というものがございまして、常時これは長官の命令で対空関係の監視を二十四時間いたしておるわけでございます。二十四のレーダーサイトがございましていたしております。そこで国際法規に違反して侵犯した飛行機に対する措置というものが、自衛隊法八十四条に書いてあるわけでございます。そこで八十四条の措置をまず講じます。それ以上のことはまた御質問があればお答えをいたします。
  203. 大森創造

    ○大森創造君 その八十四条というのは、領空を侵犯された場合に正当防衛的な、刑法における緊急避難的な思想があるが、そこでどうするかということについては増田長官まだきまっていないでしょう。どうするかというその具体的な措置についてはきまっていないでしょう。
  204. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 私どもは、いまスクランブルのためにそれぞれ航空団がおります。御承知のとおりレーダーサイト航空団がおるわけでございます。その航空団の最高の指揮所が府中にあるわけでございますが、八十四条に従って行動する、こういうことに承知しております。そこであなたの御質問がもし侵入機が兵器を使用した場合にはどうするかということなら、それは御質問があればそのときにまたお答えいたします。
  205. 大森創造

    ○大森創造君 府中にあるというのは航空総隊ですね、日本の。
  206. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) さようでございます。
  207. 大森創造

    ○大森創造君 それから米軍施設もありましょう。COCというのは何ですか。
  208. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 一緒にあります。
  209. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、府中にある航空総軍、航空総隊というのは、いま日本の航空自衛隊は十七スコードロンあるわけですね、その全体を総括するヘッドクォーターでしょう。
  210. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 府中の航空総隊は、三つの航空方面隊の指揮所でございます。その三つの航空方面隊は、それぞれの八つの航空団を指揮するわけでございます。それからレーダーも府中が最高の本部になるわけでございまして、アメリカ軍のCOCもそこに一緒にあると、こういうわけでございます。
  211. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますというと、日本の航空自衛隊の全体をにらんでいるのが航空総隊ですね。あらためて確認しますけれども、府中にある航空総隊というものですね。
  212. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲七子君) さようでございます。そこで二十四のレーダーは、ナイキのほうに本通報いたしますから、ナイキアジャックス——現在もナイキハーキュリーズは配置されておりませんから、二個大隊ありますナイキアジャックスのほうに弔通報いたします。それから陸上自衛隊が装備しておりますホークのほうのそれぞれのところにも通報いたします。でありますから、陸上関係とも連絡があるわけでございまして、二十四のレーダーサイトには、ホークのほうに直接連絡をすべき要員も陸上自衛隊からそこに駐とんいたしておる、こういうわけでございます。
  213. 大森創造

    ○大森創造君 わかりました、  そこで米軍、外国空軍のヘッドクォーターが府中にあるわけですね。同じ建物の中に。
  214. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) さようでございます。
  215. 大森創造

    ○大森創造君 そこでCOC、すなわち敵艦船、航空機というものを見るほう、これは日米共同ですね。
  216. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 第五空軍司令官と航空総隊司令官とが——その代理人がおることもございますが、見ておる。四六時中見ておるということは、事実でございまして、すなわち日本の領空を——領土、領海の上を領空というわけでございますが、領空の侵犯者がないように、そして国民の生命、身体、財産を平和と安全のうちに守ると、こういうことのために二六時中勤務しておるわけでございます。
  217. 大森創造

    ○大森創造君 そこで今年の春、衆議院で岡田春夫君が質問した問題の速記を見まするというと、問題の提示だけにとどまっていて内容に入っていない。防衛庁側は答えていない。それは正式にこういう文書を申し上げます。航空総隊発第八号「領空侵犯の措置実施に関する達」、こういうものがあるでしょう。あったら出して見せてください。
  218. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) そういうものは、ございますけれども米軍との関連がございますので、国会にお出しすることは、米軍の了承を得ておりませんので、ごかんべん願いたいと思います。
  219. 大森創造

    ○大森創造君 そのごかんべん願いたいというのは、文書の中に書いてあることは、いわゆる松前・バーンズ協定であって、そこで、さっき素朴に私は質問を申し上げましたけれども、そのときに、いわゆる日本では交戦規則がないわけですね、ないです。思想はあっても、敵の飛行機がやってきた場合にどういう戦闘をするかという戦闘交戦規則、ルール・オブ・エンゲージメント、これがないですね。そこで、第五空軍の交戦規則、ルール・オブ・エンゲージメントというものを準用いたしますということを、いまお出しできませんという、航空総隊発第八号「領空侵犯の措置実施に関する達」に書いてあるはずです。そうすると、そのここに出せない達しの中には、交戦規則、ルール・オブ・エンゲージメントというのを第五空軍が持っている。その内容は御存じですか。これは知っているでしょう。米軍の第五空軍のルール・オブ・エンゲージメント、交戦規則と日本語で翻訳できるでしょう。そういうものは、どういう内容が書いてあるか。その内容を準用するということであって、これは日本は、いわゆる敵の飛行機が領空侵犯してきて日本の領空、領土を侵した場合において、考え方はあっても具体的な戦闘行動は起こせないということになっている。とんでもない、何というか、全くの無防備なんですね。そこで一方、機種選定にあせっている。私から言わせれば、性能の高い機種選定ばかりあせっていて、まだルールがないでしょう。これは、東海道新幹線、名古屋、大阪行きということがわからなくて、そうしてただ新幹線の高性能の機関士ばかり用意するということにひとしいと思うのですよ。ないでしょう、そのルールは。そこで第五空軍の交戦規則、ルール・オブ・エンゲージメントを準用するということだけになっている。この事実はおわかりでしょう。
  220. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) わが国の領空侵犯がありました場合に自衛隊がどうするかということは、先ほど長官のお答えのあった自衛隊法八十四条に基づきまして着陸さしたり、あるいは日本の上空から退去をさせるために必要な措置を講ずることができることになっております。これは法律に書いてありまして、それに基づきまして長官の訓令をつくってあります。で、その訓令に基づいて必要な措置をとることになっております。
  221. 大森創造

    ○大森創造君 いや、私の聞いているのはこれですよ、ルール・オブ・エンゲージメント、いわゆる第五空軍がルール・オブ・エンゲージメントというものを持って、それに相応するものを日本の航空総隊が持たなければならぬものを持っていないというのです。戦闘規則といいますか交戦規則といいますか、そういうものが第五空軍にはあるにもかかわらず、日本の航空総隊においてはないのである。だから第五空軍が採用しております交戦規則、英語で言えばルール・オブ・エンゲージメントというものを準用するということをうたった内容というものが、ここに出せない航空総隊発第八号「領空侵犯の措置実施に関する達」これは今春岡田春夫君がこの問答をしたけれども、これは全然それ以上明るみに出ていないわけです。そこでTOCというのはどういうのですか、御存じですか。
  222. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) TOCという略語につきましては、調べておりますが、ちょっといまわかりません。TOCという略語は、もうこの関係で使っておりませんのですが、事実的に先生の御質問につきましては、先ほど申し上げましたように訓令がございまして、その領空侵犯の場合に、これこれの場合——具体的に申しますと警報による緊急避難、正当防衛の場合には武器は使用できるけれども、それ以外にはできない、その他は信号弾を出すとか誘導するとか、そういうふうな規定はつくられております。
  223. 大森創造

    ○大森創造君 TOCのお答えになりませんね。COCは見るほうですが、レーダーで捕捉するほうですね、敵艦船並びに航空機を。TOCというのは御存じないはずないと思う。ほんとうに知りませんか、知らないなら大問題、知らないなら非常に心細いですよ、府中にあるのだから、重要な機関なんだから。これは国会では問題になったことない、TOCは。しかし防衛庁のほうは御存じですよ、知らないはずないです、TOCは有名です。非常に大きな機能を果たしている、府中にある。
  224. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) わかりませんか、時間がたちますから、わからないならわからないと答弁してください。
  225. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) ちょっとわかりかねますから、大森さんのほうでおわかりならば御指摘願って、それから議事を進めていただきたいと思います。
  226. 大森創造

    ○大森創造君 これはこういうことになっております。ほぼ間違いないと思いますが、府中でお調べになったらわかりますし、電話できっと防衛庁のほうに連絡されていると思うのでありますけれども、COCのほうは何回か問題になったでしょう、しかしTOCはきっと初めてでしょう、委員会で問題になったのは。TOCはタクティックス・オペレーションズ・センターかな、とにかくこういうことです。要するに日本の航空自衛隊とそれから第五空軍、第五空軍の場合は三沢基地と、あとどこですか、それと韓国の基地と、それから沖繩の基地と全体を統合するような、指揮命令するような第五空軍のヘッド・クォーターがある。それと同居しているのが——さっき長官のお答えのように、日本の航空自衛隊全体ににらみをきかしているようなそういう航空総隊が同居している。そこで先ほど申し上げましたCOCなるものはレダーで捕捉する、見るほうのもので、これは四六時中やっていて、米軍のほうと日本軍は共同で使っているが、いま私のほうで申し上げましたTOCというのは、いわば戦闘指揮所であって、日本人は入れられないのですね、共同作戦のときには。何というか、敵艦船が日本にきた、だんだん日本本土に接近してきたなどということについては日米共同で見たりなんかしているわけですね。だけれども共同作戦のように指揮する場合は、日本人は参加できなくて、米軍が一方的にこれを指揮することになっている。その場所が二階にある。いわば戦闘指揮所です。御存じございませんか。
  227. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 先ほどのおことばでございますが、戦闘指揮所はわがほうにも米軍にもあると思います。やはりここで言いますと、先ほど先生がおっしゃっておりましたCOC、コンパット・オペレーションズ・センターならわれわれは略語で聞いておりますが、TOCというのは普通聞かなかったものですから申し上げたわけでございますが、第五空軍としては当然戦闘指揮所を持っていると思います。ほがほうの総隊司令部としても戦闘指揮所は持っているわけでございます。
  228. 大森創造

    ○大森創造君 それはそうなんですよ。それは日本の航空自衛隊として、日本の航空自衛隊の戦闘指揮所はあるに違いありません。COCは米軍も当然あるでしょう。共同作戦の場合にですね。これは当然その合議ありませんよ、共同作戦の場合に。さらに具体的に言えばこういうことですね、日本海なら日本海で、この日本の艦船がどっかの戦闘機に襲撃をされて沈められた場合、あるいは日本の艦船がやられた場合、あるいは日本の航空機がやられた場合、それから米軍の艦船なり戦闘機が某敵国からやられた場合に、どういうことをするかという場合に、これらの日本の船がやられた場合に米軍が出動するということですね。私が言うTOCというのは、日米共同の作戦戦闘行動が起きる場合に、それの両方にまたがる戦闘指揮をとるところである。そこでその日本の自衛隊はこれには参加しないはずである。米軍だけでやっていくことである。そういうことになっているのです。  そこで一体その日本海なら日本海海上において日本の艦船がやられた場合には、米軍が出動するでしょう。あるいは日本の航空自衛隊も出動するということになるでしょう。その場合に共同作戦ということになるでしょう。そのときの指揮はだれがとるかといえば、これは第五空軍がとるでしょう。日本の航空自衛隊とアメリカの第五空軍というものが共同作戦というものをすることは、当然演習ばかりでなくて実戦の場合に想定できるでしょう。そのときの指揮をとる場所がTOCである。
  229. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 私は政治家という立場で日米安保条約の立場にも関係しますから申し上げますが、日米安保条約第五条のような状況が起きた場合にどうするか、こういう御質問と仮定いたしましてお答えいたします。細部のことは政府委員から補足答弁させます。  そこで防衛を要するような事態が起きて、国会の承認を原則として事前に得る、やむを得ない場合は事後において、そして防衛出動したという場合があるといたします。その場合には、もちろん米軍も共同して共通の危機に対処するということが書いてございますから、オペレーションは同じでございまするが、指揮は二つの系統であくまでもあるのでありまして、わが自衛隊の最高指揮監督者は内閣総理大臣であり、その指揮監督を受けて三自衛隊を動かすのは防衛庁長官である、こういう系統でございます。アメリカの系統は、大統領であり、国防長官でありそれから太平洋軍である。あくまでも並列の指揮系統でございまして、タクチカル・オペレーションズ・センターというのは私どもは聞いていないのでございまして、タクチカルといったらストラテジカルという字がなければおかしいと思います。むしろストラテジカルというものがあるべきである。その次にタクチカル・コンバットというものがあるべきであって、タクチカル・コンバット・オペレーションズ・センター、TCOCということになるのじゃないかと思います。非常にあなたはそちらのほうを御存じのようでありますが、私の知っておることばでは、COCがあり、それからADCCがあり、それからADDCがあり、SSがある。それらのものをすべて加えて、府中は別といたしまして二十四ある、レーダーサイトは。そういうことでございます。  それで自衛活動として働く場合には、アメリカと協力してやるからこそ日米協力並びに安全保障条約でございます。その場合の指揮系統がよく一本になってしまって最高の指揮系統があるんじゃないかという御質問は、これは非常になさってけっこうでございます。このことは国民の前に解明する必要がありますから。そこで指揮系統は二つであって、NATOとは違う。NATOは総司令官がありまして、アメリカ軍の大将レムニッツァーが総司令官でございます。それから各国の軍隊は、あるいはNATOに全部所属している場合と所属していない場合とありまするが、所属しているその部隊に関係しておる副司令官はイギリスの三軍の総司令官で、つまりピラミッド型になっております。こちらは並列の系統でございますから、大森さんの御質問は非常にいい機会でございますから、お答えを明確にいたしておきます。
  230. 大森創造

    ○大森創造君 私の調べたところによると、長官と違うわけですよね。TOCというのがあって、これは日本人というか、日本の航空自衛隊が参加できなくて、日米共同の作戦行動を必要とする場合には、その日本の戦闘指揮所と米軍の戦闘指揮所というものがあるんでなくて、両方一緒になった場合の戦闘指揮所というものがある。それは米軍がとるんだということです。事実を調べてみればわかりますけれども、私の調べ方によるとそういうことになっている。そこでそういう私の言うようなことが、前提が違ったならば議論にならんですけれども、そういうことであれば、私の考えではF4Eファントム、高性能の戦闘機を買った場合に、戦闘指揮所が米軍であるという場合には、これがそういう高性能な飛行機というものはフルに活用するんではないかと思うのです、いろいろお答えになりますけれども。私は、高性能な飛行機を性能を落として使うという日本の航空自衛隊というものはどうなんであろうか。あまりにも慎しみ深い。どうなんであろうか。高性能だから、高性能を予想してF4Eファントムを購入するのであろうし、その高性能の機能を果たせないというようなことは、ぼくはTOC、戦闘指揮所というものを米軍の手にゆだねられている場合にはとんでもない、F4Eファントムの性能を発揮せぬではないかという不安を持ちます。  ところで増田長官にお伺いしますけれども、これは各新聞に出ておりましたけれども、これは十七日の参議院内閣委員会で、「次期主力戦闘機の有力」云々と書いてある。「かつて鳩山元首相は、憲法九条は〃座して死を待つ〃ということを規定していない、わが国が侵略を受けた場合、その侵略者の基地をたたかなければ、死中に活を求めることができないときは、その侵略者の基地をたたくこともできると答弁している。十年ぶりではあるが、私もそのことを明瞭に衆参両院で答弁している。」ということですね。「それでは一体、どういうふうに(「敵」基地を)たたくかということだが、こんどのFXでたたくとはかならずしも限っていない。海上自衛隊もある。」云々という答弁があった。それから「陸上部隊がいく場合も、艦艇がいく場合も、飛行機がいく場合も、他の領土、領空にでかけて武力行動をとることになれば、やはり海外派兵の観念にはいる。したがって日本の憲法上はすべきものではないと考える」そこで増田長官どうなんでしょう。私に対する答弁は、爆撃能力はない、爆撃の装置はつけないということであるけれども、この十七日並びに衆参両院の内閣委員会で答弁されている趣旨、ちょっと違うんじゃないですか、私に対する答弁と。基地をたたくことをするという鳩山元首相のそういう考えでいるわけですか。そこでこれは安保条約特別委員会というので、岸元総理それから林法制局長官などは全然それとは違う答弁をされておるわけですよ。どういう位置にあるんですか。いまのこの衆参両院の内閣委員会で、長官が「公然と憲法じゅうりん」、「増田長官が重大発言」、見出しはそれぞれ違いますけれども、多少私に対する答弁とはニュアンスが違うような答弁をされておりますが、真意をお聞かせ願います。
  231. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) これはFXの問題と離れて自衛の能力について申したわけでございます。すなわち日本の憲法に照らして、日本は独立主権国家として自衛権までもないわけではないという解釈が出てくるわけでございます。九条の一項、二項を通じてです。そこでそのことはサンフランシスコの平和条約においても認めておりまするし、日ソ共同宣言という、国会の承認のもとに批准を政府がいたしましたその条約同様の扱いを受けておる日ソ共同宣言の中にも自衛権のことは認めておるし、そして安全保障条約のことも認めております。そこで、憲法九条の関係において、敵の基地をたたき得る場合というのはきわめて局限されておる。それは万策尽きてほかに方法がないという場合である。そのあと二度にわたって岸さんのときにもその後の統一見解というのもございますが、万策尽きて座して死を待つ以外に方法がないという場合には、敵の基地もたたき得るという可能性はある。しかし実際問題としてはなかなかめんどうであるということを補足的に昭和三十五年ごろ答えております。また昭和三十二年ごろも答えておりますが、基本的には鳩山さんのおっしゃったことを認めておるわけでございまして可能性があるかないかというと、それは可能であるが実際問題としてはなかなかむずかしいことである。しかし鳩山さん御指摘になった線も、わが国が攻撃を受けて、そしてもう座して死を待つ以外に手がない、万策尽きてこれ以外にないという場合には敵の基地もたたき得る、こういうことを鳩山さんおっしゃったのでございまして、その線を根本的にあとの政府統一見解で変えたというふうには私は考えていないのでございます。  それから爆撃装置と爆弾を装着し得るという関係についてみなまでは十月にそのとおり大森さんの質問に答えなかったのではないか。私は、前国会において——昨年の国会において、たびたびこれは衆議院でございますが明確にしておきましたから、参議院においても明確にいたしますが、FXに爆撃装置をつけるというようなことがあれば第三国に脅威を与える。そういう脅威を与えるようなものは自衛能力の限界を越えておるから爆撃装置は施しません。こう言っておるわけでございまして、そこで爆弾をつけるかどうかという質問も実は昨年衆議院でございました。爆弾をつける場合はある、その場合はどうやるんだというまた衆議院の御質問がございまして——衆議院の内閣委員会予算委員会でございます。その爆弾を落とす場合には、たいてい陸上あるいは海上の自衛隊の行動に対する支援行為である、こういうことを申しております。支援行為として爆弾を落とす場合にはどうやるんだ、それは何かちょっとめがねくらいはございましょうから、そのめがねくらいをちょっと見て落とす、いわゆる腰だめでございますと言って国会議員が爆笑されたことがございますが、私はその範囲でよろしい、こう考えておるのございますが、爆撃装置を施したFXであるならば第三国の脅威となる。わが国を守るだけで十分ですから、迎撃能力ということはそういうことでございます。  そこで、迎撃能力を主眼として、これを高めることを主眼として機種を選定するというのが閣議決定の私に対する命令であると、こう考えておる次第でございます。
  232. 大森創造

    ○大森創造君 松前・バーンズ協定というものはどういうことなんですか。
  233. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 協定の趣旨をお尋ねかと思いますけれども、約十年くらい前までは、現在のレーダーサイトは米軍管理をしておりました。十年くらい前からわがほうに管理がだんだん移ってまいりました。それから、スクランブルをやります空軍も米軍が主として担当しておりましたが、だんだんわがほうも部隊がそろってまいりました。そういう時期にサイトがわがほうに移ってまいりました。それからまだ米空軍が配置についているという時期に、両方の情報交換、それからサイトと基地との連絡、そういった問題についてわがほうと米軍との打ち合わせ、協定が必要であるという趣旨から、総隊司令官と米空軍の司令官とがそういう趣旨の協定をした。それが松前・バーンズ協定でございます。
  234. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、問題の松前空将というのは免職になりましたね。どういう事由で免職になったんですか。
  235. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) 私は、依願退職されたものと伺っております。
  236. 大森創造

    ○大森創造君 事情があったんでしょう、米軍との関係で。
  237. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) これは、松前さんの名誉にも関することでございますから私がお答えいたしますが、期限がきて、そうして退職したわけでございまして、松前・バーンズ協定をつくったから云々というわけでは全然ないわけでございます。
  238. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、さっきTOCということを申し上げましたけれども、どうしても戦闘指揮所というものがあって、それが日本の自衛隊が参加しないで指揮命令をされるという機関があるに違いないということを前提にして私は申し上げておる。  そこでもう一つ、F4Eファントムは非常に高性能の飛行機であるということ、さっきこれを読み上げましたけれども、こういう情報は、やはりニュースソースというものは、新聞の名前を申し上げますが、「今週の日本」というものであって、これは相当政府のほうで補助金を出している新聞でございますが、防衛庁の方、御存じでしょう。「今週の日本」、週刊です。
  239. 島田豊

    説明員(島田豊君) 最近「今週の日本」というものが、ある程度政府の肝いりだと思いますけれども発行されていることは承知しております。
  240. 大森創造

    ○大森創造君 政府の肝いりということは、政府のどこの機関が肝いりなんですか。
  241. 島田豊

    説明員(島田豊君) 総理府ではないかと考えております。
  242. 大森創造

    ○大森創造君 総理府広報室でしょうな。これは、あとでお調べいただきたいと思うのですが、防衛庁は御存じございませんか、これに幾ら金を出しているかということ。
  243. 島田豊

    説明員(島田豊君) 承知いたしておりません。
  244. 大森創造

    ○大森創造君 六千万円だという話なんですがね。これはあなたも御存じのように、政府の肝いりであって、政府のPRの権威のあるべき週刊の新聞だと思うのですが、それに、こう、えらい飛行機であるということを書いてあるわけです。  そこで、このニュースソースは、やはり政府の肝いりの週刊新聞でございますから、政府が補助金を出資しているんだから、防衛庁でこういうものにニュースを提供するんでしょうね。
  245. 島田豊

    説明員(島田豊君) 防衛庁から資料を提出したものであるということは承知いたしておりません。
  246. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、この内閣広報室で六千万円、来年は幾らか、もっと多い金額だろうと思うのですが、そういう補助金を出していて、そこで、これは、「今週の日本」というのは、これは株式会社なんでしょう。
  247. 島田豊

    説明員(島田豊君) その辺のことはよくわかりません。
  248. 大森創造

    ○大森創造君 防衛庁のことがいろいろ書いてございますから、しかも、政府の肝いりでございますから、これはお調べ願って私のほうに御報告いただけませんか、この「今週の日本」という権威あるべき新聞の内容について。
  249. 島田豊

    説明員(島田豊君) 調べまして、私のわかり得る範囲でお知らせいたします。
  250. 大森創造

    ○大森創造君 それから、二、三日中か近いうちに、機種をきめるということだが、そうすると佐藤総理とはこれは増田長官しばしばFXの決定については御相談なされておりますか。
  251. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) ときどき報告等を申し上げております。
  252. 大森創造

    ○大森創造君 やはり重大な問題ですから、総理も非常に関心を持っておられるだろうと思うのですが、これは長官三つのうちの一つを、ずばっと明日か二、三日中にきまるとすれば、あとのごたごたはないでしょうね。
  253. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) これはほかの委員会においても申し上げましたが、いまから十年前にグラマン、ロッキードというごたごたがあったということは事実でございます、内容の実否はわかりませんが。そういうごたごたがあっては困りますから、正確無比にやるように、君に防衛庁長官になってもらいたいという、こういう私は懇請を受けまして、私の人生観と合致しておりますから、総理大臣が、正確無比である、こういう防衛産業について、私は、一銭一厘でも不正なことがあれば、日本の国は滅びてしまうというのが私の信念でございます。そういうつもりでこの二年間やってまいりました。それで最初の調査団、次の調査団が行くときにも、調査団長なり、あるいは団員の顔ぶれが、あなたはTOCまでおっしゃるのですから、わからないことはないと思います。非常にりっぱな方でありまして、神様ほどかどうかわかりませんが、神様の次くらいの人を私は選んでおります。そういうわけで、このFXのことがしょっちゅう国会で、黒い霧とかいう関係で質問があることは、非常に私は不愉快で、良心が不愉快に感ずるのですが、その他の迎撃能力とか、日本の自衛態勢ということで、大森さんその他の国会議員が御質問になるのでしたら、これは私は大いに歓迎しますよ。だけれどもこの点については、毎日、防衛庁は上から下まで正確無比にやっておりますから、私の見たところ、この二年間は。でございますから、何もFXに限りません、BXでもCXでもナイキでもホークでもそうでございます。一つもあとごたごたが起きておりませんし、私が防衛的、技術的、事務的良心のもとに選ぼうとするものに対して何か悪いことをするやつがあれば、それは全然その関係のないところでたかるというものでございまして、そのたかり屋にだまされるやつがばかなんです。要するに私は、もし、メーカーだって多少はもうけなくちゃいかぬでしょうけれども、感謝するならば、事務的、技術的、防衛的良心に感謝しなさい。あと感謝すべきものは何もないのですということをはっきりとメーカーを呼んだときにも申し渡しております。でございますから、これにからんであれこれするやつがあるとすれば、それはみんなばかなんでして、大森さんのほうでも御如才ないと思いますが、排撃していただくようにお願いします。  それから、もう一つつけ加えてお答え申し上げますが、いま調べたところ、TOCなるものは日本に存在いたしておりません。
  254. 大森創造

    ○大森創造君 前半のお答え、非常に心強く思いました。私もそう思います。増田長官を頂点とする防衛庁についてはいかがわしいあれはないと思います。あったらひとつ増田さん一緒に切って捨てることにいたしましょう。今後一週間か十日のうちにいまわしいことがあったら調査しまして、それはばかなんですから、そういう者は容赦なく切ることにいたしましょう。必ずそのうちにもたもた出てきますから、これは切りますよ、増田長官。私は増田長官の誠意のほどとまじめさはよくわかっております。だけれども、くどいように私が申し上げるのは、それなりの理由があるわけでありまして、いたずらに一番正当で、まじめに熱心にやっておられる増田長官が、たまたま防衛庁長官であらせられますから、私は増田長官を相手にして問答するしかないので、雑音はあなたの周辺に起こっておりませんでしょうが、なぜ私がこれほど執拗に言うかというと、雑音があるのです、神さまでない私のほうには。増田長官は非常に断言的に、確信的に申されましたから、しかるべき態度で機種の問題について国民を代表して取り扱っていただきたいと思うわけでありますけれども、その場合、いかがわしい問題が出てきましたら、私の耳に入ったものは容赦なく申し上げますから、与野党共通でひとつ一緒になって切って捨てることにいたしましょう、本委員会の名において。長官、勇ましいことをおっしゃいましたから、私も勇ましいことを申し上げます。そこでいろいろございますけれども、増田長官の断言的なおことばを信頼いたします。そうしてここ二、三日のうちにファントムがきまる。きまったら、片っ方はきまったから片っ方はぐあい悪いというふうなことのないように私はいたしたいと思います。そこで、あとは増田長官を御信頼申し上げて、しばらく機種決定された後の推移を見守ることにいたします。
  255. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  256. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 速記をつけてください。
  257. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 本日、農林大臣、それから企画庁長官の出席を要請しておったのでありますが、都合上きょう出られないというので、政策上の問題についてはできるだけ避けまして、一応食糧事情の問題について食糧庁長官にお伺いしていきたいと思っておるのです。  それで、質問の本旨に入る前に、当面の米価問題についていろいろな新聞やあるいはテレビ等で報道になっておりますから、当面の諸問題について若干質問してまいりたいというふうに考えるわけです。  これは、過日、衆議院の大蔵委員会あるいは西村農林大臣の総合農政、こういうことについて大蔵大臣あるいは農林大臣から食管制度改正の動きが今日具体的に日程にのぼっておるのでありますが、政府は、六九年度の食管法及びそれに付随する関係法令、こういったものを直接手をつけるというようなことを言明しておるのでありますが、こういった食管制度に対する本格的改正、こういうものを考えられておるのかどうか。もし考えられておるとすれば、その改廃の構想の主要点は一体どういうところにあるのか。この点について食糧庁長官の見解を伺いたいと思います。
  258. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) いま戸田先生から御質問があったわけでございますが、食糧管理の制度についての改善の問題はきわめて国民生活上あるいは日本の農政上重大な問題でございまして、したがいまして、これについての基本的な政策的見解は当然農林大臣からお答え申すべきでございます。そういう意味で私ども事務当局としては、御質問に対して十分意を尽くしたお答えはいたしかねる場合が多かろうと思いますので、あらかじめお許しいただきたいと思うのでございます。  それで先般の臨時国会におきまして、佐藤総理が、現在の食糧の需給の推移にかんがみて食糧管理制度の改善を検討すべき段階に達したと、施政方針の中でうたわれたのでございますが、私どもも農林大臣から、現在の需給事情にかんがみて食管制度の運営の改善について検討をしろということで検討は命ぜられておりますが、何しろ冒頭に申し上げましたように、食糧管理制度は、米穀の生産者にとりましてもあるいは消費者にとりましても二十数年の長きにわたる制度として非常に根強く、根の張っている問題でございますので、軽々にこれを改変をするということは非常に問題が多いということで、私どもも慎重に検討をしておるという段階でございまして、最終的に基本的な方針あるいは具体的な措置というものがきまっておらない段階でございますので、私からどういうような方針でやるのだということをお答えいたしかねますことをお許しいただきたいと思います。
  259. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いまの回答で、検討ということを言われたのですから、その検討の内容を食糧庁長官として知り得る範囲はどういうことですか。
  260. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 私ども現在の需給の事情にかんがみてということでございますから、需給の事情ということになりますと、これは事実関係でございまして、御案内のことと存じますが、現段階におきまして、御案内のように、最近におきましては、国民一人当たりの米の消費量が減退をいたしてまいったということと、米の生産の水準が上がってまいったということから、供給過剰の状態になっておるのでございまして、本米穀年度、言うなれば、本日の段階で、精米は約二百六十五万トン、玄米にしましても二百九十二万トン——約三百万トンの繰り越し米が出るというような状態でございます。また、四十三年産米の作況も非常に順調でございまして、豊作が見込まれるというような事情でございますから、その需給事情のもとでは、少なくとも米の絶対不足を前提にいたしました現在の食糧管理法並びにそれに関連いたします法令の集荷、配給に関する厳重な規制という問題は、この段階では再検討をしてしかるべきことではないだろうかというようなことで、検討いたしておるのでございます。
  261. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いろいろと言われまするけれども、これは、まあ食糧庁長官の意に反することかもしれませんけれども、われわれがいろいろ検討する範囲内では、一つは、生産者米価の消費者米価へのスライド体制化、あるいは間接統制への移行、支持価格制度の導入等、こういったことが、将来、検討の中にいろいろ考えられておるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうですか。
  262. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) まず、私ども、検討するということに相なりますれば、需給事情に即してしかも慎重な前進を考えるということになりますと、まず第一には、現在の食管法並びにそれに伴います政省令の規定によりまして、およそ生産者の生産した米穀は、農林大臣が特に定めるもののほかは、政府以外に売ってはならないという一元的な全面集荷・全面管理的な規定があるわけでございますが、そういうことの必要性、あるいはそういうことの妥当性という問題について、現段階では検討をしてしかるべきではないかというふうに思っております。それ以上の問題につきましては、いまの基本的に横たわっております問題についての見解を整えた上でさらに検討を深めていきたいというふうに思っておりまして、米価それ自身、あるいは米価の建て方をどうしていくかというようなことにつきましては、まだ十分な検討に入っていないという段階でございます。
  263. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 われわれの理解では、六八年の産米の政府買い入れ価格決定数、こういう中で、政府としては、米価そのものの水準はもちろんですけれども、当然それと並んで、食管法をその後どうするかということが、こういうことがやはりその一つの焦点だったろうと考えるわけですけれども、そういう意思はなかったのですか。
  264. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 国会におきます総理大臣の言明、あるいは農林大臣の答弁等を通じましても、私ども、現段階においては、食糧管理制度の根幹は維持をしつつ、食糧管理の改善を検討するというふうに承知をいたしておりまして、その限りにおきまして、私は食糧管理法の全面的なあるいは基本にわたる問題の改正を現段階で指示を受けておるというふうに理解をいたしておらないのでございます。でございますので、正直に申し上げまして、食糧管理法の基本的な改正というようなことを私どもはまだ検討はいたしておりません。
  265. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それでは、六八年の生産者米価決定方法について若干お尋ねをしたいのでありますが、私は、今回の算定について特徴は三つあるのではないかというふうに考えるのですが、その一つは、昨年までは政府が米価で補償したと称する米作農家割合ですね、これは大体八〇%程度と理解しているのでございますが、誤まりがあれば、あとで指摘していただいてけっこうですが、そういうことで、農家の補償態様が八〇%程度、これを限界に置いているのではないか、これが一つであります。  それからもう一つは、限界反収農家、それから平均反収農家、この差の十分の一程度縮めて、その結果、この農家の四%程度下がっている。実際は今回の決定で七六%程度じゃないかというふうに考えられますが、さらに政府は、平均概念、こういうものを導入して、いわば生産者米価というものを決定しなければいけないというような——これは西村農林大臣の過日の記者会見などでも明確にされておりまするから、これは明らかなんだろうと思いますが、まあそういうことで、結局現在の食管制度のもとで生産者米価に、このように、限界概念ですね、こういうものを放棄をして平均概念を導入するのだ、こういう考えで私は一貫作業を進められておるのじゃないかというように考えますが、その辺の考えはどうでしょうか。
  266. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 御指摘のように、昭和四十三年産の生産者米価までは反当生産費、これは物財費あるいは自家労賃、その他評価がえをしたものでございますが、反当生産費を平均反収から反収ばらつきの一標準偏差を引いたもので除するということで米価を算定をするというやり方をやってまいったのでございます。で、その考え方は、昭和三十五年生産費所得補償方式がとられまして以来、算定の方式としてはずっと一貫をしたものでございますが、基本的にはこの算定方式というのは、米の全体的不足というものを前提とし、米の増産を誘導するための価格算定の方法として採用せられたというふうに理解をされておるのであります。でございますので、現在のような需給事情になってまいりますれば、平均反収から一シグマ分を差し引くというようなことで限界反収を求め、それで除するというようなことの意義は非常に問題であるという点を、たとえば米価審議会等においても指摘をされておるのでございます。したがって——したがってといいますか、そういうような客観的な情勢なり、各方面の意見等を考えあわせまして、現在のような需給事情である限り、従来の算定方式そのままということは必ずしも妥当ではない、平均反収の観念に近づけていくということが妥当ではないかというような考え方が政府部内にもあり、ということは、私は事実であると思っております。
  267. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その平均概念を導入していく、こういうことは、私は食管法と照し合わせてみまして、法を無視するものではないか、こういうように考えるのですが、その辺の考えはどうですか。
  268. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 私は、平均概念とおっしゃられますことは、反当生産費を平均反収で除したものを算定の方式にするということを意味しての御質問と思うのでございますが、私は、今日ただいまそういう方式が最も適当であるというふうにここで意見として表明をした上でお答えをするということではないという点をお含みをいただいて御理解をいただきたいと思うのでございますが、かりに平均反収による計算の方式をとりましても、私は、食糧管理法第三条の規定そのものには違反するということではないと考えるのでございます。第三条二項で、「前項ノ場合二於ケル政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所二依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」ということでございまして、平均的な反収で除するということが即米の再生産を確保することを旨とするということに反するというふうには私は認めないというふうに解釈をいたしております。
  269. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 数字的なものにはあまり触れませんけれども、政府の米価算定でもう一つ伺いをしておきたいのは、この逆ざや解消の問題についてですね。で、政府としては、食管赤字の解消ということを常に言っておるわけでありますけれども、このことについては多くの反論があり、論議をされているところでありますけれども、逆ざや解消について、政府は、この食管赤字を埋めるためと、したがって末端逆ざや、コスト逆ざやを全部解消していこうという将来の見通し、こういう考えがあるように私たちは印象を受けておるのでありますが、この逆ざや解消について、一つは消費者米価の大幅値上げ、こういうことに負担増をかぶせていっているんではないか。それからもう一つは、食管制度の自由流通、こういうものにひとつ持っていこうという気持ちを持っているんではないか。こういうふうに考えるのでありますが、具体的に、今後逆ざや解消していく場合に、食糧庁としてはどういう一体構想と考えを持っているのか、その辺のことについて若干意見を聞かしておいていただきたい。
  270. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 従来逆ざや解消ということを私ども主張といいますか説明をいたしてまいりましたのは、食糧管理特別会計が米を管理いたします場合に、まず生産者から食管法三条に定める価格で買い入れをするわけでございます。それにいわゆる政府経費、つまり金利、保管料、それから人件費、運賃、そういうものが加わって初めて総コストが出るわけでございます。ところが現在までの米価につきましては、消費者米価のきめ方は、御案内のように家計の安定を旨として定めるということで、家計米価を上限として定めるというルールができておるわけであります。そういうきめ方の中で、いつの間にかといいますか、そういうきめ方の相互の関係から、最初の生産者から買い取ります米価よりも、末端の消費者の段階で小売り商が売ります値段のほうが安いという状態が出ておる。このことは、財政負担の問題もさることながら、食糧管理運営についても至って不自然な姿であって、大きな支障を生じる懸念があるということで、少なくともその両米価の間に逆ざやのないようにすることが、食糧管理運営の健全をはかるという意味からも必要であるということで、私ども言ってきたのでございます。  なお逆ざやということばの中には、御指摘にもあったようでございますが、コスト逆ざやという問題がなお大きく残るわけでございますが、この問題は、私といたしましては、食糧管理法の定める基本的な精神、あるいは米をめぐります客観的ないろいろな諸情勢を十分考慮した上で判断をすべき事柄であって、少なくとも私たちは、コスト逆ざやの解消というところまでをいままで米価決定の考え方として取り入れたことはなかったのでございます。
  271. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっとこまいようですけれども、数字的な問題を質問したいのですが、六七年産米の末端逆ざやはどのくらいになっておりますか。それからもう一つは、コスト逆ざやの場合どのくらいになっておるか。六八年産米の場合は見通しとしてどの程度になるか。その辺ちょっと教えていただきたい。
  272. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 昭和四十二年産米の末端逆ざやは百五十キロ当たり五百十五円であったわけでございます。これはもとの数字から申しますと、生産者米価一万九千五百二十一円ということでございまして、消費者が小売りから買います精米を玄米に換米した価格で申しますと、一万九千六円ということで、末端逆ざやが五百十五円であったわけであります。今回の米価の改定によりまして、それぞれ米価水準は上がったのでございますが、四十三年の生産者米価は二万六百七十二円ということでございまして、消費者米価の精米価格を、ただいま申し上げましたと同様に玄米石当たりに換算いたしますと、二万五百四十一円ということで、現段階での逆ざやは百三十一円残っておる。昨年の五百十五円が百二十一円という幅に縮まったということでございます。
  273. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 コスト逆ざやは。
  274. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) コスト逆ざやという場合に、先ほどちょっと触れましたように、生産者米価の上にコストとして積み重ねますものは、政府管理経費、いわゆる金利、保管料、運賃、それから人件費、事務費等がございます。その上にさらに販売業者のマージンが加わって初めて最終のコストということに相なるわけでございますが、その計算をいたしますと、昭和四十三年産米では、末端における最終コストは二万四千五百八十四円ということになるはずでございます。それを消費者米価二万五百四十一円というものと対比いたしますと、コスト逆ざやの総計は石当たり四千四十三円ということになっておるのでございます。
  275. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 コスト逆ざやの場合は運賃とか倉庫料とか利子とかが含まれているわけです。こういった流通経費がすべて逆ざやにしわ寄せされていくというようなことに対する一つの計数上の整理について、食糧庁長官は当然だと思っておりますか。
  276. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 政府管理経費は、多少の問題点は、私はないとは申し上げませんが、食糧管理特別会計が独立の会計として運営をいたしてまいります場合に、米の管理のために支出される経費の総計でございますから、私はそのこと自身は特段の問題点はなかろうというふうに思っておるのでございます。
  277. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ私の理解としては、こういったものは基本的に除外をすべきじゃないかというふうに考えておるのでございますが、これはあとに回しますけれども、いずれにいたしましても、こういった逆ざや解消等、赤字解消策は、すべて消費米価に上積みされて大衆の負担に上乗せをされていく、こういうのがいまの状態である。ことに三十八年度も、そういう意味合いにおいて一四%何がしか消費者米価が上がる。こういうような状況にあることは世論一致したところでありますが、こういった問題について、非常に私は、このこと自体食管法に触れる問題ではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、その辺に対してはどうですか。
  278. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 誤解をなさっておるとは存じませんが、私は、政府管理経費が総コストの中には積み上げられるべきものだということを申し上げましたけれども、四十三年の十月一日に改定いたしました消費者米価の算定の中には、全くそういうような経費は算入されていないのでございまして、先ほども申し上げましたように、政府が生産者から買い取りました価格よりもまだ下だということでございますから、政府管理経費とは全く無関係であるということでございます。ただ、将来の問題として食糧管理特別会計の総コストと消費者米価の関係をどういうふうに考えるかということになりますと、私は、現行制度の上では、消費者米価のきめ方は消費者家計の安定を旨として定め、またその安定という指標としては消費者米価というものを限度とするという考え方でございますので、その考え方と調和をするということが少なくとも最小限の要件であり、また物価その他の諸事情を考えて消費者米価をきめなければならないということでございますから、この経費のうちどの程度のものが吸収されるかは、その時期、時期における両米価の関係から生じることであって、一がいにどこまでは当然消費者がかぶるべきである、あるいはどの限度以上は消費者はコストをかぶるべきではないという議論はたいへんむずかしいことであるというふうに思っております。
  279. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いまの食糧庁長官の回答では、こういう理解にもなるんじゃないかと思うんですね。少なくとも食管法のたてまえからいえば生産・消費米価はそれは別々にきめられるたてまえである。これは食管法の三条、四条で明らかだと思うのでありますが、そういうことになれば末端逆ざやは当然これは制度上あり得るということだと思うんですね。この辺についてはどうですか。
  280. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 先ほど来申し上げておりますとおり、生産者米価につきましては、生産費及び物価その他の事情を参酌し、米穀の再生産の確保を旨として定めるという規定がございます。また消費者については、消費者家計の安定を旨として定めるということで、それぞれのルールが少なくとも現在あるわけでございますので、そのルールによって計算いたしました結果、末端逆ざやというものも起こり得るということは、私はそれに反対の意見を持つものではございません。ただ、そういうようなルールの中で、本来、少なくとも不自然な姿でないということの条件としては、生産者米価のほうがいろいろのコストをかけられた消費者米価よりも高い、逆にいえば消費者米価のほうが安いということはきわめて不自然な形であって、ただいま申し上げました条件の中で解消できる限りはこれは解消すべきであるというのが私どもの見解でございます。
  281. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は運用論を聞いているのじゃないのですよ。食管法の三条、四条の法律上の解釈、それから見解というのを聞いているわけですけれども、当然いまの食管法のたてまえからいけば、末端逆ざやというのは制度上あり得るのだ、そういう状態が出てくるのだ、この辺まではいま食糧庁長官もそのようなことをおっしゃっておるのであります。私はそういう点で、いまの制度というものは、明らかにそういうことに制度上なっているのだ。たとえばコスト逆ざやにしましても、食管制度が米流通の完全統制を政府に義務づけているわけでしょう。ですから、そういった義務がある以上は、政府としては、当然こういうものに対する負担はやるのだ、あるいはそれに伴う行政費用というものを負担していくのだ、これがいまの食管法に基づく解釈じゃないか。こういうふうに考えるのですけれども、その辺はどうですか。
  282. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 生産者米価、消費者米価がそれぞれ法律の条項に従って定めらるべきであるということについては、もう仰せのとおりでございます。またそういうような規定に従って、結果として末端逆ざやも起こり得る場合があるということは、私も先ほど申し上げたとおりでございます。しかし食管法三条、四条の規定が、当然に生産者米価よりも低い消費者米価をきめるべきであるという私は制度になっておるとは思わないのであります。むしろそれは法律制定の本来の思想からいえば、予想もしなかったことではなかろうかというふうに思うのでございまして、それはどういうことかと申し上げますと、食糧管理制度が、農家に対しては、その生産された米のうち、自家用に消費されるものは、いわゆる保有米として留保をする、それ以外のものを政府に売り渡すということでございますが、生産者が全量を政府に売り渡して、そうして必要なだけは米屋から買うほうが有利な価格関係ということを前提にしておったとは、とうてい考えられないのでございまして、本質的には、私は、これは不自然な形であるが、ある条件のもとに二つの法律の条項に基づいて両米価をきめた場合に、やむなく逆ざやが出てくるという場合はあり得る、また過去においてもあったわけでございまして、私は法律の規定が当然に逆ざやを予定していた、また逆ざやを規定しておるものであるというふうには解釈しないのでございます。
  283. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これは食糧庁長官が出られた七月十七日の米審懇談会の席上だろうと思うのですが、このときに、米の自由流通について、安定価格制度導入について、若干食糧庁長官がそれらしい意見を述べられておるわけでありますが、いまもそういう考えをお持ちですか。
  284. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 七月十七日と申しますと、米価審議会の開催中かと思いますが、御質問いただきました御趣旨にちょっと理解いたしかねる点がございますので、恐縮でございますが、もう一度お願いいたします。
  285. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 七月十七日の米審懇談会の席上で、食糧庁長官が、現行制度でも米の一部自由流通は可能だという見解を述べた、こういうことを私は記憶しておるのでありますが、その発言はそのとおりでありますか。
  286. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) その表現は若干私は食い違いがあると思うのでございますが、正確に申し上げますと、米審の懇談会の席上におきまして、ある委員から、現行の食糧管理法、法律自体が、生産者が生産した米を政府以外へは一切売ることはできないというならば、政府が一元的に買い入れをするという規定になっておるのであるかどうかという質問があったのでございますが、私は食糧管理法第三条の規定は、これは米穀の強制買い上げについての規定であって、したがって食糧管理法第一条の目的、つまり「国民食糧ノ確保」ということ以下の文言がございますが、第一条の目的達成のために必要な数量については、政府に強制買い上げの権限を付与する規定であって、政府が全量買い入れをすべきであるという規定ではない。そういう意味では、現在は、政令の、食管法施行令の五条の五で、生産者は、生産した米穀を一定の農林大臣の指定する場合のほか政府以外に売ってはならないという政令の規定で初めて全量買い上げの体制になっておるのであるから、少なくとも法律の規定としては政府以外へ売ってはいけないという解釈は出てまいりません。その限りで、政令のきめ方いかんでは、政府以外へ売る場合も、制度上も許され得るものであるということを答えたのが本旨でございます。
  287. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 で、いまの食糧庁長官の発言がさらに、法制局長官きょうおりませんけれども、いま法制局を中心にして、そういった内容について政府の統一見解を見出だすためにいろいろ検討されておる、こういう検討の中には食糧庁長官も当然入られて、相談や何か受けられておるわけですか。
  288. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) この解釈につきましては、私はそういうふうに解釈しますが、なお政府部内でも十分検討をして、統一見解を得たいということを申しておったのでございまして、その後法制局と食糧庁との間でこの解釈の検討を進めたのでございますが、本年の八月八日の農林水産委員会の席上で、高辻法制局長官から、表現等については、私どもより専門的な表現を用いておりますが、私と同様の見解である旨の答弁があった次第でございます。
  289. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いろいろそういった政府内部における検討の結果、水田大蔵大臣の私案なるものが大体まとまっていると、われわれ理解しているんでありますが、その水田私案なるものをわれわれが得た実は情報によりますと、一つは、米は原則として自由販売にして、良質米は高く消費者に売りつける。米価には安定価格を設けて、市中価格はそれを下回ったときには政府がこの価格で買い入れる。二つ目は、一般会計から食管に繰り入れている二千数百億円は要らなくなるから、五カ年にわたって、それに見合う一兆二千億円を農林系統金融に長期、無利子で貸し出す。三番目は、現在の集荷手数料を廃止して、そのかわり単協には農業構造改善金融の貸し付け手数料を出す。こういった趣旨の水田大蔵大臣の私案なるものが最近つくられたという情報があるわけですけれども、そういったことは食糧庁長官御存じですか。
  290. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 新聞等の報道で、大蔵大臣がどういうようなことを言われたというようなことは、おりに触れて私も読んでおります。しかし、大蔵省から正式に大蔵省考え方はこうであるという連絡は受けたことはございません。ただ、いまのようなお話がかりに事実であったといたしましても、それは私は言い過ぎかもしれませんが、政治家としての長期遠大な構想の一端ではないかというふうに思うのでございまして、私どもは、事務的にはとうてい直ちにそれを理解し切るということは困難な御発言と受け取ております。
  291. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 次長にお伺いいたしますが、いまの水田私案なるものは、御存じですか。
  292. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 私も食管の問題につきましては、大臣の御意見をときどきお聞きすることはございますが、ただいまおっしゃいましたような意味での水田構想なるものをそういう形で聞いたことはございません。新聞などにいろいろと出るものを、私も読みまして、こういうことを大臣ほんとうに考えておられるのかなあというような気がしたことはございますけれども、おりに触れておっしゃる中に、たとえば自由流通を認めたらいいじゃないかとか、あるいは自由流通を認めた場合に価格の安定はどうするかと言えば、それは一定の価格帯というものを考えて、政府が需給の操作をするというようなことになるのかなというようなことでございまして、水田構想というような具体的な形で私どもに話があったこともございませんし、また書面等で見たこともございません。
  293. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 もし、かりにこの水田私案なるものが今後実現をされるということになれば、私は現行の食管法からくる国民の食糧の確保とか、あるいは食糧の管理、需給と価格及び配給などの統制、あるいは米の再生産確保、生産価格と家計安定の消費者価格、こういったものが軒並みに骨抜きにされるのではないかと考えるわけでありますけれども、そういうことであれば、食糧庁長官としては、四十四年度に向けて具体的に食管法の改廃には手をつけない、こういうことをここで言い切ることはできますか。
  294. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 大蔵省の事務当局から正式に、お読み上げになったような水田構想というものを聞いたり、見たことはないというお話でございますので、水田構想という前提ではございませんが、新聞から引例をされましたようなことをしようとするならば、それは当然食糧管理法の改正が必要なことであるというふうに私は思考いたすのでございます。  そこで、食糧管理法の改正を四十四年産米の間までにやるのか、やらないのかということにつきまして、私に返事をしろということでございますが、私が、そのことについて、法令の改正のことを言明することは、私はやや越権にわたると思いますので、お許しをいただきたいと思いますけれども、事務的にはきわめて困難であり、食糧管理法の改正という大問題は、十分な時間をかけて、慎重な検討を経た上で結論を出すべき問題であるというふうに思っております。
  295. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、事務的には、四十四年度、かりに大蔵大臣等の私案に基づいて改正をしなければいけないというようなことになってきても、事務的にはそういう作業はできない、こういうのが食糧庁の態度ですね。この点もう一回お願いします。
  296. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 私ども事務当局は、すべて大臣の指示に基づきまして、作業、事務の処理をいたすわけでございますので、大臣の指示がございますれば、結果としてできるか、できぬかは別として、努力をいたさなければならないことでございますので、いかなる場合にも、法律改正の事務的努力はいたさないというようなおこがましいことは、私は言い切れないと思うのでございますが、ただいま申し上げましたように、現段階で直ちに食糧管管理法の改正ということを取り上げることは、事務的にはきわめて困難であるということだけは言えると思います。
  297. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ、これ以上押し問答をやっても、法改正についてはらちがあかないと思いますから、いずれ機会を見まして、大臣の出席を要請して、さらにまた追究をしてまいりたいというふうに考えます。  そこで、四十二年度、当初予算の国内米買い入れ見込量、補正予算の買い入れ見込み量、実績買い入れ量、この数字を明らかにしていただきたいと思います。
  298. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 手元に、たいへん申しわけないんですが、四十二年度の当初予算における買い入れ見込み数量、それから補正後の数量という正確な資料を持ち合わせておりませんのですが、その点は直ちに資料を整えまして、後刻御報告を申し上げますが、たしか当初の買い入れ予定見込み数量は七百七十五万トン、それから補正後は九百四十五万トンということでございます。買い入れ実績は九百八十二万トンでございます。
  299. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私が調べた数字とは若干違うようでありますけれども、あとで正確な資料を資料としてこれは要求しておきたいと思います。当初予算計上は七百七十五万トン、これはそのとおりだと思うんでありますが、補正予算が九百五十二万トンと記憶しておるんであります。買い入れ実績は九百七十万トン、こういうことになっているんではないかと思いますが、これはあとでひとつお調べ願って資料提示をしていただきたい。  それで、この四十二年度の当初予算審議の際、わが党の矢山議員から買い入れ量七百七十五万トンの見込み額では少な過ぎるんではないか。これは五兆円予算のワクに固執して食管特別会計の赤字額を少な目に押え、特別会計の繰り入れを少なくするための操作で、必ず補正が必要となると、こういうことを矢山議員は指摘をしておるわけでありますが、こういった補正含みの四十二年度予算財政法にさらに違反するんではないか、こういうことも加えて当時の政府に対して質問しておるわけであります。で、こういった、当時の農林省はこれに対して、そうは考えないといったような主張が当時行なわれている。ただいまこの報告を受けたとおりでありますが、こういった補正含みで今日この実績が具体的になっておる現状に対して、農林省の食糧庁長官の明確な見解をお伺いをしたいというように考えます。
  300. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 米の買い入れ量の見込みをどういうふうに算定するかということは、申し上げるまでもなく、天候その他の自然条件等にも支配される産物の収穫の結果からくらものでございますから、非常にむずかしいということがあるわけでございます。行政的に通常合理的に見込まれる数量を計上し、それによって予算を組むということは、私は少なくとも予算性格上やむを得ないものではないだろうかというふうに思うのでございまして、四十二年度予算が当初から補正見込みで組まれたというふうには理解をいたしていないのでございます。ただ、四十二年産が御案内のように何びとも予想しなかったような千四百四十五トンというような未曾有の大豊作であったというふうなことから見込み数量で食い違いができまして、結果的に補正ということになるのは、これはやむを得ないことではないかというふうに思っております。
  301. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 あとで、その数字的にいろいろお伺いをしてまいりたいと思うんですが、少なくともこの国会の質疑はお互いにもう言いっぱなし、回答しっぱなしと、こういうものでは私はないだろうと思うんです。少なくとも予算があり、それに対する決算というものは常に連結してものを考えていくというのがわれわれの常態だろうと思う。またそういうことでないと国会の審議に対する信憑性とかあるいはその責任体制、こういうものは全く空に浮いてしまう、こういうことに私はなるんではないかというふうに考えるわけであります。ですから、どうしてもこれらの補正含み予算の必要があるようなこういった問題については、明確に今後やはりこの補正予算というものを組んでいくという、こういうことが私としてはこの一番いい処理ではないか、こういうように考えるんでありますが、四十三年度以降は総合予算主義、こういうものをたてまえにしてがんとして政府は補正予算を組まない、こういうことになっておるんでありますが、これは財政法上どういうことでしょうか、間違っておらないんでしょうか。これは主計局次長にお伺いしたいと思うんですが、どうですか。
  302. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 財政法上、予算の補正ということはあり得るということで、それに必要な規定が設けてございますから、これはいかなる場合にも絶対に補正を組むとか、組まないとかいう問題は、これはその制度上の問題ではなくて、要するに、予算を編成する際の政府としての考え方の問題ではないかというふうに思っております。すなわち四十三年度予算を編成いたしまする際は、総合予算主義のたてまえで、従来のような政府職員の給与改定であるとか、あるいは米価改定に伴う食管の繰り入れ、そういう経費の増加というものは、過去におきましては、毎年のように補正要因となっておったわけでございますけれども、そういったような当然考えられるような補正要因を当初予算を編成する際にこれを取り上げまして、全体の歳入の範囲内において、それらの歳出要因をいかに国として配分して経費使用の合理性、効率性というものを立てていくか、そういう観点で、今年は予算を組んだわけでございますので、当然公務員の給与改定あるいは生産者米価引き上げに伴う補正というのは、たてまえとしてこれはやらないという考え方で組まれている。したがって、通常の状態であれば補正する必要がないだろうということなんであります。したがいまして、かりに大災害があったとか、その他の要因によってこの補正を既定予算の範囲内、たとえば予備費の使用その他によってまかなえない場合にも、予算の補正をしないということではないというふうに考えております。
  303. 矢山有作

    ○矢山有作君 ちょっと関連してお伺いしたいのですが、食糧庁長官、あなたはいとも簡単に、七百七十五万トンの買い入れを見込んで予算編成をしたことはこれは間違いじゃないか、これは補正含みの予算であるということで、私がかつて議論をしたということに対して、七百七十五万トンの買い入れ予想というのはいかにも正しかったのだというお話なんですが、私は何も七百七十五万トンの買い入れ見込みに基づいて予算を組むことが、あなたの立場のように正しかったと思うならば、ああいう質問はいたしませんよ。四十一年の買い入れ、その前の四十年の買い入れ、ずっと従来の買い入れ実績を踏まえて四十二年度の買い入れは七百七十五万トンでは絶対済まない、これは八百数十万トンを上回ることがあるのじゃないかと、私は過去の買い入れ実績の上に立ってそれを分析して、その上で七百七十五万トンの買い入れ見込み数量というものはあまりにも低過ぎる。したがって、これは補正を見越しての予算を組んだのじゃないか、そういう話をしたのです。あなたのようにそういった過去の実態を踏まえないで思いついて質問したのじゃないのですから、その点はひとつよくお考え願いたいと思います。しかも、補正予算を組むという場合は、一応私は制限されていると思うのです。それは当初から補正を見越しての予算を組むというやり方はやっていないはずだ、その立場で私は質問したのですが、その点誤解がないようにやってもらいたい。何だったら、いままでの買い入れ数量をずっと言ってください。
  304. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 当時七百七十五万トンを組みましたことについて、矢山委員から非常に、その見込みの適否についてきびしい追及のございましたことは、私も承知をいたしております。いま数字を言えということでございますが、年次別の買い入れ数字は、三十五年から申し上げますと、三十五年が六百十三万九千トン、三十六年が六百二十二万九千トン、三十七年が六百七十五万九千トン、三十八年が六百八十六万二千トン、三十九年が六百八十八万六千トン、四十年が七百二十万三千トン、四十一年が八百六万四千トンということでございました。この過去の買い入れ実績というものを見ました場合に、四十一年は御案内のように、従来生産水準がなかなか伸びませんでした、数年の間停滞しておりました生産水準が千二百七十四万トンというふうに、いわゆる当時計算されました平年収量というものに復したという第一年目の生産の好調年次にあたったったわけでございます。そういうことでございましたために、過去の数年の供出の実績というものを勘案をいたしまして、七百七十五万トンというものを定めましたのは、必ずしも私は当初において不当に低く見通しを立てたというふうには考えられないのではないかというふうな観測を持っておるのでございます。
  305. 矢山有作

    ○矢山有作君 なるほど前年来の買い入れ数量の推移はわかりました。しかし、それだけを見ても、前年、四十一年度の買い入れ数量は八百万トンをこえておる。しかもそのときに、あなた、私がもう言わんでもおわかりだと思うのですが、政府の売り渡し量というものは年々ずっとふえていくという傾向にあったのです。それらを含めて、私はやはり七百七十五万トンの買い入れ見込み数量というものは低過ぎる、こういう議論をしたから、政府売り渡し数量が漸減傾向にあるとか、横ばいとかいうことはいまさら言えないと思います、あなた数字を持っておりますから。ですから、少し誤解のないようにしていただきたい。しかも、その当時のあなた方の考え方というのは、それはやむを得ぬ事情があれば補正予算を組むこともしかたがないのだ、それは財政法上問題がありません、こう言い切っておった。ところが、四十三年度の予算編成に至るや、今度は補正なしの予算を組むのだ、こういう言い方をやってきたあなた方のやり方というのは、まことに財政法という法律財政運用というのはすべてそうですが、そのときどきの都合に合わせて都合のいいように解釈して、予算編成をやりあるいはその他行政運営をやっておるということなんです。そういうような、かってにそのときどきの都合で、都合のいい法律解釈をやってやられておるのでは、その対象にされておる国民はたまらぬ。したがって、もう少し法律の解釈適用については、やはり朝令暮改的な態度をとらないで、やはりしっかりした腹を踏まえてやってもらいたいと思うのです。あまり都合のいい解釈をされるとかないません。
  306. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) ただいま申し上げましたように、七百七十五万トンの買い入れ予想量が故意に過小に見積ったということでは私はないと思うのでございますが、結果において、矢山委員の御指摘のほうが事実に合ったということ、この事実は私ども先生の先見の明と申しますか、御判断の正しさに敬服せざるを得ないと思うわけでございます。予算の編成にあたりましては、予算関係諸法規に忠実に、またできる限り合理的な積算のもとに予算を組むべきであるということについては私も同感でございまして、十分留意をしてまいるつもりでございます。
  307. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ただいま食糧長官も正直に話をされましたように、まさしくこの問題についての見通しは矢山委員のほうが正しかった、こういうことになるだろうと思うのですが、裏を返せば食糧庁の推測というものは全くでたらめだ、問題にならない、こういうことじゃないかと思うのです。そこで、四十二年度関係は終わりたいと思うのでありますが、しからば、この四十三年度はどういう見通しですか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  308. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 四十三年度の食糧管理特別会計において買い入れ予想量を計上いたしております量は、八百五万トンでございます。ところが、四十三年度も、これも私どもおよそ予想もいたしておりませんでしたような二年続きの豊作ということに相なっておりまして、現在のところ、私どもと農家との間で予約いたしました予約数量の合計が九百三十三万トンということでございまして、当初の買い入れ見込み数量を上回った数量になっているということが事実でございます。
  309. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 最終買い入れ見込みはどのくらいなんですか、おおよその見通しについて。
  310. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 最終買い入れ見込み数量は、まだ私どもも確然と申し上げるだけの実績を見届けておらないのでございますが、常識的に考えまして、四十三年産米の総買い上げ量は、生産の状況から見まして、昨年の買い入れ数量に匹敵するような数量になるのではなかろうかというふうに思うのでございますが、ただ四十三会計年度中にどれだけ集荷されるか、本年は時期別格差の廃止あるいは出荷調整対策の実施と、買い入れの条件が変化をいたしておりますので、確然とお答えすることは非常に困難な段階でございます。
  311. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そういうことだとすれば、これもまた四十二年度同様、四十三年度も当初の予算計上は八百五万トン、そうしてさらに九百三十三万トン、さらに最終日にはそれを上回るおそらく一千万トン近いものになっていくのじゃないかと思うのですが、そういうことになると、百三十万トンもその開きが出てくる、こういう状態だと思うのです。こういう問題についても、今年度の四十三年度の予算委員会において、これはわが党の村田、鶴園両議員から同じような質疑がなされておる。ですから、毎年毎年そういう予想というものがくつがえされていくという、こういういわば農林省の計画について非常に疑問を持たざるを得ないのですけれども、こういう点についてどういうふうに一体考えられておるのか。さらにこの予算措置もあるいはこれで一体いいのかどうか、そういう問題についても主計局次長のほうからもお伺いしたい。
  312. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 四十三年の集荷の見込み、当初の予算に計上いたしました八百五万トンというのがすでにその程度にとどまらないということは、もう明らかになったと、私も見ざるを得ないと思うのでございます。八百五万トンについては国会でもいろいろ御論議があったわけでございますが、四十二年が御承知のとおり、ほんとうにだれも予想しなかったような、有史以来の大豊作ということでありましたために、四十二年はわれわれとしては異常な豊作であるというふうな見方をいたしまして、それ以前に最高の集荷量でありました四十一年の集荷量とほぼ同じ八百五万トンを予想すれば、大過ないのではないかという考え方で集荷量の予定をいたしたのでございますが、この見込みがまた最近の自然条件とともに、技術水準等の向上も相まちまして、二年続きの大豊作ということで、正直申しますと完全に予想がくずれてしまったということであるわけであります。ただ、その後生産者米価、消費者米価の改定等行ないましたので、必ずしも、八百五万トンを上回る数字が出れば直ちにそれが補正の要因になるということではないのでございますけれども、食糧管理特別会計として今後、年度内にどのような集荷になるかということによりましては、何らかの予算措置を必要とする場合もあろうかと思っております。
  313. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 四十三年の米の買い入れ数量の見込につきましては、ただいま食糧庁長官から答弁がございましたとおりに、私どもも八百五万トンという見積もりは過去における実績に徴して、それほど過小ではないというふうに考えておったわけでございますが、その予想がはずれたわけでございます。まあ、三十八年から四十一年まで千二百万トン台の生産の実績でございましたし、まあ四十二年は千四百四十五万トンという大豊作、しかし大豊作が二年続くというふうに考えるのも、かえって過去の実績に合わないことでございますし、四十一年の買い入れ数量が八百六万トンという過去最高の数量でありましたので、大体その辺の数字をとっておいたらどうだろうかということで、あれを見たわけでございます。本年度内の買い入れ数量につきましては、買い入れ数量の実績見込みにつきましては、ただいま食糧庁長官から答弁がございましたとおりに、まあ相当の数量になるようでございますが、ただいまのところ、買い入れ実績は、正確には覚えておりませんが、九月三十日までが前年対比で六〇%、十月十日現在で六九%、十月二十日現在で六〇%ということで、だいぶ去年よりもそのテンポが落ちております。その原因は、やはり時期別格差を暫定加算の制度にかえたということ、それからおそ出し奨励というような施策をとっていること、いろいろ原因はあると思いますが、年度内に去年のような多量の米の買い入れをすることになるか、ならないか、これは今後の買い入れ数量の推移を見なければわからないことであると思っております。したがいまして、その買い入れ数量の増減見込みのほかに、国裕金の増減の推移、その他食管の損益に影響を及ぼす要因につきまして、なお今後の実情による面がございますので、いま直ちにここでことしの食管の繰り入れにつきまして補正が必要になるかどうかという点につきましては、まだ何とも申し上げられない段階であると思っております。
  314. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 非常に買い入れ量がふえてきている。しかし総合予算主義だから補正予算を組まなくていいんだ——結果的には予算総則の乱用になると思うのでありますが、そういうやり方がはたして財政法上いいのかどうか、こういう問題についてどう考えられますか。
  315. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) ちょっと御質問の趣旨がはっきりいたしませんでしたのですが、その弾力条項を使う点がどうかという御質問でございますか。
  316. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうです。
  317. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 弾力条項は、これは食糧管理特別会計以外にも、特に企業会計等につきましては、たいてい設けられている制度でございますが、これは特別会計の予算総則に規定がございまして、その発動によって行なっておるわけでありますが、その特別会計の予算総則は財政法の第二十二条の第六号の規定に基づいておるわけでございます。歳入歳出が有機的に関連する事項につきまして、食糧管理特別会計で申しますと、食糧の買れ入れと売り払い、そういうような事項につきまして弾力条項の規定が設けられておるということは、私ども決してこれは財政法の乱用であるというふうには考えておりません。
  318. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 四十三年度の特別会計予算書を見ますと、一時借入金が限度額を一兆五千億円、対前年度比でもって五千二百億円増、さらに弾力条項の大幅適用によって経費の一時借入金でまかなえるといった種類の内容説明があるわけです。こういったことは、いま私が指摘をしましたように、予算総則を無原則的に拡張した財政法の乱用ではないかというふうに考えるのですが、その辺はどうですか。
  319. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 弾力条項の考え方は多少の例外はございますが、いずれもこれは、ある歳入がございます場合に、これに関連して相当因果関係と申しますか、そういう関係を持ちまして歳出の増額が発生するというような場合に設けられておるわけであります。食管について申しますれば、国内米なら国内米の買い入れがございますれば、買い入の増加があれば当然その国内米の売り払いに伴うところの収入の増加がある。したがいまして、その国内米を買い入れることにつきまして借り入れ金をいたしましても、それは後日国内米の売却によって生ずる収入で返済できるというふうになりますものですから、こういうような、いわば収入の担保がございますところの経費の支出につきまして、借り入れ金の弾力条項で増額をするということは経理の健全な運用というものを害することにはならないという考え方で弾力条項の規定が設けられておるわけでございます。
  320. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 一つの例でありますけれども、政府の米の買い入れ量がかりに四十三年度一千万トンになったということで仮定をいたしますが、その一千万トンになっ場合、当初予算の計上が八百五万トンですね、そうすると、それと比べまして二百万トン程度、大体食管特別会計の国内米勘定、こういうところに顔を出していない経理内容になってくるわけですね。そういうことになるとすれば、これは全量の二割です。そういう大きい量が国内米勘定の予算に載らないということがはたしていいということが言えるのかどうか、その辺の見解はどうですか。
  321. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) これは、国内米の買い入れ数量の見込みにつきましては、先ほど答弁申し上げましたように、はたして一千万トン程度内、買い入れが一千万トンになるかならないかにつきましては、これは今後の買い入れ数量の推移にかかることでございますので、その点は、私どもなおはっきり申し上げる段階ではないと思っておりますが、もし御質問のように、かりに年度内に一千万トン買い入れるということになるといたしますと、ただいまお話ございましたとおりに、当然現在の二千四百十五億円という食管会計の繰り入れではまかなえない事態が生ずると思っております。したがいまして、そのように食糧管理特別会計の損失が増加するというようなことになりますれば、現在の食糧管理特別会計法は赤字決算をすることを予想いたしておりませんので、その場合には、この食管運営についてさらに追加をする必要が生ずるというふうに思っております。食糧管理特別会計につきましては、昭和三十一年に調整資金勘定を設けました際に、それまでにとられておりましたところの赤字決算という考え方は、経理の健全性を保つゆえんではない。赤字がさらに赤字を生むというような経理運営は適当ではないということで、調整暫定を設けた際に、その損失、赤字のままに決算をするという考え方を一応あのときには放棄しております。したがいまして、もし一千万トンというような買い入れということになって食管の損失が増加するということになれば、それは何らかの予算措置をとる必要が生ずると思っております。しかしながら、たとえ八百万トンの買い入れ数量がある程度増加いたしましても、これは収入支出の問題でございまして、直ちに損益に響くということには相ならぬわけであります。で、その収支の資金繰りにつきましては、先ほど申し上げましたとおりに、買い入れ数量の増加と売り払いの増加というものとを見合いにいたしまして、あるいは買い入れ金額の増額、売り渡し金額の増額というものを見合にいたしまして、糧券等による食管の借り入れができることになっておりますから、これは、弾力条項の発動によって予算の是正は必要ではございません。しかしながら、買い入れ数量が一千万トンに達するということになりますと、売買の逆ざやあるいは金利、倉敷等の管理経費の増加ということによりまして、食管自体の損失が増加する、予算に見込んだものより増加するという事態が発生しないでもございません。その場合には、この損失を追加する必要から、損失を補てんする必要から、調整資金勘定への一般会計からの繰り入れをふやさなければならないという事態が発生しないでもないのであります。
  322. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、そういったものに対して、形としてはやはり補正予算を組むということになるわけですか、どういうことになりますか。
  323. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) これもまたはなはだ仮定の質問にお答えすることになって、ただいま申し上げにくいのでございますけれども、もしかりに一千万トンを年度内に買うということになりますれば、若干の補正を組まざるを得なくなりますが、食管特別会計への繰り入れの追加をしなければならなくなると思いますが、その追加を予備費の使用でやるか、あるいは補正予算でやるかということにつきましては今後他の補正要因、歳出の追加要因との関連できめらるべきであると思っております。
  324. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 しかし、予備費はもう一定の額がきまっておるわけでしょう。おそらくそういうことになって予備費から繰り入れる余裕があると考えられるのですか、その場合。
  325. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 予備費は昨年七百億円を五百億円増額いたして千二百億円で計上しております。今年はまことに幸いなことに、非常に風水害等の災害による被害が例年よりも少なく、多分今後もう台風による被害もまずないだろうと思いますが、そういたしますと、昨年度の六割程度の被害ではないかというふうに思っております。まあ例年災害に伴う復旧事業費その他の経費といたしまして大体五百億円くらい支出しておりますが、その災害復旧関係の経費も若干は節約できるのではないかというふうに考えておりますし、その他公務員の給与改定に伴う予備費の支出、その他の歳出の追加要因がどの程度になりますかは、まだ年度半ばを過ぎたばかりでございますし、今後の推移を見ないと何とも申せないのではないかというふうに考えております。
  326. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ、この四十二年度の国内米勘定のこの歳入に立つ、これは九千三百六億ですか、それから歳出に立つこの買い入れは一兆四百八十三億、それから調整勘定、この受け入れ、予備費、これは一千五百億、この総額が二兆五百五十四億である、こういうふうに理解をしているのでありますが、それに対してさらに弾力条項の借り入れ金ですね、これが一兆五千億、こうなると、まさにこの弾力条項が適用されるものがきわめて大きいということになりはしないかというふうに考えるのです。だから、ここからくる財政法の乱用、こういうものが生まれるのではないかと思うのですが、これはどうですか。数字的に間違っておったら訂正してもらいたいと思いますが、私の理解ではそういうふうに考えております。
  327. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 先生おっしゃいましたその二兆何千億という数字はいまちょっとチェックいたしておりますけれども昭和四十三年度特別会計の予算総則第八条の第二項に食管の証券、借り入れ金及び一時借り入れ金の限度額一兆五千億円というふうになっておりますが、これは食糧管理勘定その他各勘定の予備費を全額使用した場合に必要な財源と、四十三年度の年度当初において予定される糧券の発行高とを加え、さらに各勘定におきまして収入額が予定よりも五%程度下回った場合に必要となる金額等を加えまして、これをまるめて一兆五千億というふうにしたわけでございます。したがいまして、これは弾力条項の使用を予定しての借り入れ金の限度ではございませんので、弾力条項を、つまり特別会計の予算総則第十一条の弾力条項の規定によりまして、国内米等において買い入れ金額を増加した場合には、さらにこの限度額をその限りにおいて増加することができるというふうな規定になっているわけであります。
  328. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうすると、この数字は妥当だということですね。
  329. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 私どもはさように考えております。
  330. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私たちの理解では少なくとも予算というものは国民に理解されるものでなければいけないというふうに考えるわけですが、少なくとも食管に見られる限りでは国内米管理勘定に匹敵する含み予算、そういう借り入れ金の形が織り込まれて、さらに国民から見た場合には何が何だかさっぱりわからない、こういう印象がそういう説明のしかただと思うんですね。そういうことになれば当然いままで行なわれてきた糧券含み予算というものは、四十三年度とられようとする形よりもきわめて善良じゃないか、予算の編成としては。そういうことに対してもう少し検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  331. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 借り入れ金の限度額等につきまして、どうも算出の根拠その他がよくわからないじゃないかというおしかりを受けたわけでございますが、そういった点につきましては、確かに私どもとしてさらに今後こういう予算の内容につきまして、国民の認識をいただくためにさらに努力しなければならないというふうに思っておりますが、ただこの一兆五千億円というふうに、従来よりも相当に限度額を上げ、さらにこの糧券の発行限度につきまして弾力条項を新しく設けるということにいたしましたのも、従来この糧券の限度額が予算総則においてきめられており、かつこれについて弾力条項がないために米麦の買い入れにつきまして、その最盛期に予算のワクがないために、あるいは農中のたてかえ払いにたよるとかいろいろ——どう考えまして経理の適切な執行という面から見ましては、若干問題があるやり方をせざるを得なかった。もちろん予算の限度内において買い入れればいいという、そういう考え方からしますと、米が幾ら食管に持ち込まれてもそれを予算がないという理由で買わなければいいじゃないかという議論もあろうかと思いますが、それはまた生産者たる農民に対しまして非常にぐあいの悪いということにもなりますし、その点従来も政府としてジレンマにおちいっていたわけで、これを何らかスムーズに買い入れをできるようにするためには借り入れ金の限度も上げ、さらに弾力条項を発動する場合には、その限度も弾力的に引き上げることができるように直したらよいじゃないかということでやったわけでございまして、決して政府としてできるだけ対国会の関係でフリー・ハンドを得てかってにするというような気持ちからではなく、もっぱら米の買い入れを、検査院等からの批難をこうむるようなやり方ではなくスムーズにやりたいということで、こういうような規定を設けたわけでございますので、そういった点は御了承いただきたいというふうに思っております。
  332. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 委員長から、もう少し問題点をはっきりさせるために、この弾力条項についてひとつ明らかにしていただくように質問いたします。  それは、一つは、今度買い入れの数量をふやしますと、それが食糧証券の発行の限度内でまかなえるかどうかということが一つ問題がありますが、しかし、まかなえるとしても弾力条項を使って、そうしてこれはファイナンスの場合、金融ですね、インベントリー・ファイナンスの場合は、こういう弾力的ないわゆる金融でころがしていくというやり方を否定するものじゃありませんけれども、しかしその場合に、経費はふえるでしょう。買い入れ数量が予算よりふえた場合、買い入れの経費、それから売り渡しの経費がふえますね、経費が、人件費その他ですよ。そういう経費分までも金融で、ファイナンスしていいかどうか。これは当然予算措置をしなきゃならぬ問題じゃないですか。弾力条項というのをいいことにして、当然経費面として計上しなきゃならぬ面までも金融で泳ぐ。こういう安易な財政運営のしかたはこれは問題ではないか。そういう点をおそらく戸田君は乱用と、こう言われてそういう面いろいろ指摘されているのじゃないかと思うのです。この点は、ことに四十三年度につきましては、弾力条項というものを設けて、特に予算より予定した買い入れ数量が多くなった場合、安易に、しかも経費までもこれでファイナンスするというのは許されない。さっき主計局次長はこの弾力条項の趣旨についてはっきりと、それは一種のインベントリー・ファイナンスであって、買い入れの場合の支出が買い入れたものの売り渡しの収入によってカバーできる、そういう場合の措置であるということを言われたでしょう。このことは、買い入れ数量がふえることによって今度は売り渡し数量もふえます。このことによる政府経費の増加までもファイナンスによってやっていいということではないと思うのですよ。弾力条項の乱用だと思うのです。だから、当然そういう経費分の補正は予算として出さなきゃならない、こう思うのです。何でも弾力条項によって、経費でまかなわなきゃならぬものまでもファイナンスでまかなうというようなことは乱用ですよ。私はそう思います。その点はひとつどういうようにお考えですか。それを主計局次長答えてください。
  333. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 食糧管理特別会計法の第三条に規定がございまして、「本会計ノ負担二於テ一年内二償還スヘキ証券ヲ発行シ又ハ同期間内二償還スヘキ借入ヲ為スコトヲ得」ということになっておりますのは「食糧、農産物等及輸入飼料ノ買入代金ノ財源二充ツル為必要アルトキハ」ということになっております。したがいまして、おっしゃいますとおりに、買い入れ数量の増加に伴う買い入れ代金の増加は、糧券の発行によってまかなうことはできますけれども、それに伴いまして金利、倉敷等の歳出の増加が必要になる場合には、これは予備費の支出で従来もやっております。
  334. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) いまの説明でいいですか。
  335. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 訂正いたします。  第三条には「買入代金ノ財源二充ツル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担二於テ一年内二償還スヘキ証券ヲ発行シ又ハ同期間内二償還スヘキ借入ヲ為スコトヲ得」という規定がありますが、第二条におきまして「本会計二於テ食糧、農産物等及輸入飼料ノ買入代金以外ノ経費ヲ支弁スル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担二於テ」、「借入ヲ為スコトヲ得」というので、買い入れ代金以外の経費についても食管会計の負担で借り入れをなすことができることになっております。
  336. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それは、経費分も金融で——ファイナンスで泳いでいいということですか。今度買い入れ数量がふえますね。そのときに弾力条項を使って一応金融で泳ぎますね。食糧証券を増発して、ファイナンスでそれは買い入れた米を売るから、収入によってカバーできますね。しかし、経費の増加はできないでしょう。経費の増加は収入によってカバーできない。それは当然歳出として計上しなければならぬ、補正として。それをいま予備費でまかなっている。何でもかんでも最近予備費といってみんな逃げちゃうのです。これは予備費の乱用ですよ。買い入れ数量が——ふえれば、いま言った金利とか倉敷とか人件費とか、みんな経費がふえるのです。そういうものには当然補正を組むべきです。このごろは非常にそういうところが乱用になってしまって——それは明らかにすべきです。そうしなければ、何でも予備費でつぎ込んで、これをあいまいにしてしまうということは、これは財政民主主義の立場からいって、これはもう許されないことだと思うのです。最近ではルーズになってきている。いかがですか。
  337. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) ただいま委員長がおっしゃいました趣旨は、結局買い入れ代金そのものはかりに売り払い代金でまかなうということが可能であるにしても、これは現在逆ざやですから、ちょっとその辺は差損がございますけれども、経費そのものは、これは当然歳出で手当てすべきじゃないかということだと思いますが、その点は、私はそういう経費の増加をまかなう方法としては、これは歳出の追加でございますから、予備費あるいは弾力条項の発動でも、これは差しつかえないと思いますけれども、しかしながら、それがたとえば完全に米の売り払い価格がコスト価格になっておりますれば、つまり生産者価格に政府経費を加えた価格で食管が売っているとすれば、それはかりに買い入れ代金の増加あるいは経費の増加がございましても、食管としての損失はふえないわけでございますから、これは繰り入れ予算の問題にはならない、しかしながら、米の買い入れ数量の増加に従って、たとえそういう諸経費——金利、倉敷等の経費の支出財源が予備費とか弾力条項で手当てされましても、これは必ずしもその金額は米の売り払い価格で回収されるわけじゃないので、そのことによって損失の増加が起こることがあるわけであります。これは現在のような両米価の関係では、当然それは買い入れ数量がふえれば、売買逆ざやプラス政府経費の増加分というものが食管の損失の増加になるわけです。その食管の損失の増加は、これは当然にその調整資金勘定の損失の増加となり、それは一般会計からの繰り入れの増加によって補てんしなければならなくなる。そういった場合には、当然一般会計の予備費の使用とかあるいは一般会計の補正予算の計上ということで、予算措置をする必要が生じてくるというふうに考えております。
  338. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) わかりました。  私が一番言わんとするところは、買い入れ数量の増加によってコストがふえるでしょう、そのコスト分までも金融でやっていいかという問題なんですよ、ファイナンスで。コスト分の増加までは、ファイナンスで、弾力条項を使ってやるということは乱用だと言うのです。それはコスト分の増加は弾力条項でやるべきじゃないですよ。やっちゃいけないですよ、そういうことは。これは予算を私は乱すものだと、それはさっき言いましたように、はっきりとね、それはインベントリーファイナンスの立場でやるべきであって、コスト分までもファイナンスでやることは私は予算を乱すものだと、こう思うのです。どうですか、その点。今後そういう問題がだんだんと大きくなってくると思うのです。
  339. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 御意見でございますけれども、私どもは、かりに、その国内米の買い入れ費に政府の諸経費を加えましたコスト価格で米を売ることが可能になりますれば、つまり売り払い代金で買い入れ費及びその経費を回収することができれば、これは米の消費者価格といいますか、米の売り払い代金ということで買い入れ費及び経費が担保されていることになりますので、それは弾力条項を適用いたしましても、決して不健全な経理運営ということにならないのではないか。もしその買い入れ数量の増加に伴いまして、先ほど申し上げましたように、売買逆ざややあるいは政府経費というものの増加によって食管の損失が増加するようなことになれば、これはもう食管の予備費の使用とか弾力条項の適用の問題ではなくて、調整資金勘定における損失の増加ということに相なりますので、これは当然一般会計からの繰り入れの増加によって補てんをしなければならない。したがって、そういうような措置をとるということになれば、委員長の御心配のような経費の増加を、単に糧券の発行というようなファイナンスで処理する、糊塗するということにはならないのではないかというふうに思っております。
  340. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) この問題は、あまりこればかり議論していると、あとの質問に差しつかえますから、私はこの程度でやめますが、しかし私の質問の趣旨を正しく理解していないようですから、またあらためて——。というのは、さっきの戸田さんのは、一千万トン買い入れになった場合に生ずる赤字について、これは補正を組むなりあるいは予備費で赤字を埋めなければならぬということを議論したのですよ。私はそうでない場合を言っているのですからね。とにかく買い入れ数量がふえるに従って、それで現状に、いまの状態では結局コストがふえるのですよ。そうでしょう。そのコストをやはりこれは補正に組まなければいけないというのですね。どうしたって予算以上に経費がふえるのですから。それを一応この弾力条項があるから、そこで非常に便利で、それを乱用して泳いでしまうということは乱用だというのです。これはまああとでよくまた考えてください。そういうことです。食糧庁長官、何か御意見あったらひとつ……。
  341. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 財政運営のあり方についての御質問と思いますが、私から申し上げるのは的はずれになるおそれがあると思うのですが、一応食管特別会計を運用しております責任者として申し上げますと、根本的に申し上げますれば、食管特別会計に必要な資金の調達はすべて糧券で行なっておるということでございまして、その結果の赤字の補てんということだけを一般会計からの繰り入れでまかなうというやり方をしておるわけでございます。そこで、買い入れ数量の増のために弾力条項を発動するということにいたしますれば、またそういうことで買い入れの増大に対処し得るという歳出権が認められるということでございますと、買い入れに伴って当然発生する諸経費の支払い財源といいますか、支払いの歳出権を弾力条項で持たしていただきませんとつじつまが合わなくなるということだけは私の立場から言えると思うのでございます。でございますので、問題は、もう少し前の段階の財政運用上の問題かというふうに理解をいたします。
  342. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) そうやって非常にルーズにして、弾力条項を乱用して弊害があるということを指摘しているわけです。
  343. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まだ問題があるのですけれども開発局長が五時半ですか、何か会議があるというので。
  344. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) けっこうです。
  345. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 開発等の問題について若干質問をしておきたいと思うのですが、東北開発について岩手県の肉牛増殖生産会社、それと福島県の磐梯観光開発会社というのが四十三年当初に発足しまして、それで四十三年度予算で三億円計上して認可になっておるわけです。ところが実際は事業認可が企画庁からおりておらない、そういうためにいま宙に浮いているというような状態ですけれども、年度もあますところあまりないのですけれども、こういう実情についてまず御存じかどうか、お伺いをしておきたいと思うのです。
  346. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 御指摘のとおり、東北開発会社の四十三年度事業計画といたしまして、新たに準公共事業的な事業を始めようということで、財政投融資等で出資を入れまして四億円の計上を見ておるわけであります。一応予定をいたしておるわけでございます。これにつきましては、その内容がいま御指摘の岩手県肉牛生産公社に対する出融資、福島県の観光道路事業、こういうことで大蔵省のほうに持ち込んでいったわけでございますが、岩手県肉牛生産公社につきましては、四十三年三月三十一日付をもって認可をいたした次第でございます。福島県の有料道路事業関係につきましては、実は道路関係事業は、御承知のとおり、四十三年度に建設省関係で新たな融資事業が始められたというような関係もございまして、そういった別途の措置によってこれができないかどうかというふうな問題、また、有料道路事業というものを、こういう会社でやることがいいかどうかということについてかなりいろいろ議論がございました。また、一方、福島県当局のほうでも、若干諸般の事情もございまして準備ができておらないというようなこともありまして、まだこれは保留にいたしております。私どもなるべく早い機会に福島県当局とも、また会社のほうとも相談をいたしまして、このほうもひとつ結末をつけたいと考えておる次第でございます。
  347. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 この現地の実情はいま局長も話をされたとおりだと思うんですが、この磐梯山の観光開発の場合は、大体福島県において四千万の出資ですね。県で四千万出した。それから、地元の猪苗代、磐梯、この両町でそれぞれ五百万円ずつ出資をしておる。それから東北開発会社が四千万。合計九千万の出資金で福島観光開発会社——これは仮称でありますが、そういう観光開発会社を設立をして、でき得れば四十三年三月から開発を進めたい、こういうことで諸準備が終了したという状況であります。必要総事業費は八億五千万と言われておりますが、この内訳として工事費七億円、こういうことで万般の準備が整えられて、いわば四十三年度当初予算の際に、大蔵省もそれは明らかに認可をして企画庁の話し合いのもとに、こういう状態で発足をさせた、こういうことなんです。ところがもう十一月ですよ。いまだにこれら問題について明確な認可がなされていない。一体その辺の状況はどうなっているのか。  それから、この岩手県の肉牛増殖事業については、これは東北開発会社が二千万円、岩手県農協連合会合わせて八千万円、計一億円の出資でもって肉牛生産公社、こういうものを設立して、さらに集団牧場は二つ現在つくる予定だ、これの結果、事業認可が出ないために一部工事着工しているような状況でありますけれども、こういった問題についても非常に心配の種があるということを言われている。ですから、どっちを見ても当初予算では財投資金から四億円、いま局長が言われたように明確に計上されて、そして内容としては企画庁も十分そういう事業ケースについては了解をし、そして政府出資の東北開発会社もこれに一枚加って、それでいままで現地ではいろいろな作業準備を終了した、こういうことになっている。それがいまだに企画庁の認可がないものですから、いま言ったような状況になっておる。どこに一体ガンがあるのか、見通しはどうなのか。明確にひとつお答えを願いたい。
  348. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) ただいまの御質問でございますが、岩手県の肉牛生産公社関係につきましては、すでに認可をいたしておりまするし、それに基づきまして事業は着々進行中、こういうふうにわれわれは承知いたしております。  福島県の磐梯地区の有料道路事業につきましては、先ほど申しましたように、確かに大蔵省筋でも議論がございました。また建設省関係でもその新しい制度をつくったという関係もございまして、こういうものは建設省の新制度にのせてはどうかという御議論もございました。いろいろその辺の検討は私どももいたしておるわけでございますが、同時にまた福島県当局のほうでも、その辺若干迷いもあるのだろうと思いますが、若干態度を留保しているということでございまして、まだ予算措置等も県において行なっておりませんし、先ほど申しましたように近く態度を明らかにしてくるからということでございますので、その辺の御意見を伺ったところで、さらに大蔵省のほうとも話をしてみたいと考えておるわけでございます。
  349. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 この福島の場合は、まだ決定してないというのですが、予算計上としては四億のせられているわけでしょう。当然その中には当初は福島の観光開発事業についてはやるということではなかったのですか。どうなんですか、その点は。
  350. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) この点は、四十三年度にこれは新しい種類の事業を始めようということでございましたので、実は私どものほうも若干準備不十分でございまして、当面この二つの事業考えられるということは申し上げたわけでありますが、筋としては準公共事業としていろいろのことが考えられるということで、具体的にどことどこの事業を四十四年度で採択するということが予算編成の際にきめることができなかったわけでございます。したがいまして、一応の資金ワクとして四億円程度を予定いたしまして、具体的な内容はさらに事業計画の認可の段階で相談をしてきめましょう、こういうことになっておりまして、その後の経過がただいま申し上げたような状況になっておるわけでございます。
  351. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ですから、そうだとすればそれの見通しは一体どういうことですか、今後の見通しは。
  352. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 有料道路のほうはただいま申しましたような事情でございますから、県のほうがどういう態度を出してこられるかということを待たないとはっきりしたことは申し上げられませんが、もし本年度にはこの時期の関係もあってもう着工がむずかしいということであれば四十四年度からということで資金の繰り越しをするなり、そういったことを考えていきたいと思っております。なおこの有料道路事業につきましては、四十三年度だけの事業ではございませんで、ただいま御指摘のとおり総体として八億五千万、四十三年度予定は三億六千万ということでございますので、四十四年度の財政投融資計画要求もいたしておりますので、場合によりましては四十四年度にずれ込むことになるのではないか、こういうふうに考えております。
  353. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 もう東北開発会社としましてはすでに四十四年度財政投融資概算要求、こういうものをつくって、これはもうおそらく企画庁にも出されておると思いますけれども、この内容を見ますと、公共的投資事業、こういうものに対して、この肉牛増殖事業として岩手、宮城、こういうことでもうすでに四十四年度予算要求というものは十三億円というものを要求してきているわけですね。だけれども四十三年度のいま言ったような問題が明らかになっていかないと、四十四年度の要求内容についても支障をきたすのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますけれども、その見通しですね。いま大体聞きましたけれども、年度内には結着をつけるという情勢にはないのですか。
  354. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) いまのところ何とも申し上げられませんが、御承知のとおり非常に積雪の深い地域でございますので、十二月ということになりますと——これから予算措置をすると十二月ということに結局なりますが、まず工事としては困難ではないかと考えております。そういった点から四十四年度にずれ込む公算が非常に強いと考えております。
  355. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 主計局次長のほうはどうですか。
  356. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 実はいまの東北開発会社のほうは担当が現在海堀になっておりまして、私はちょっと経緯をよく存じておりませんので……。
  357. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 あと二点程度でやめますけれども、時間がありませんから。この前私は企画庁長官に北東開発公庫の特利問題について質問したんでありますが、その際はまあ特利を六分台にひとつ引き下げようじゃないかというような趣旨の回答があったと記憶しているんです。現地のほうをいろいろ調べましたら、七分二厘だと、こういうことだった。金額の総額は五十億、こういうことであります。いま東北開発公庫の場合は非常に需要が増大をしているわけでありますけれども、これらに対する四十四年度の前途見通し、おそらく現地からは百億近い特利の増額がなされてくるんじゃないかと思うんですが、その辺の見解をひとつ承っておきたい。
  358. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 御指摘の北海道東北開発公庫の特利の問題は四十三年度から設けることにいたしたわけでございますが、ただいまもお話しのとおり、宮澤企画庁長官の非常なこれは御主張によりまして、特にこういう制度がつくられたと、こういうふうに私ども理解いたしております。そういうことをも受けまして、実際の金利その他の条件は事務折衝できめるようにということでございまして、せいぜい努力をいたしたわけでございますが、本年度決定いたしましたのは利率七・七%、適用対象事業は化学、非鉄金属、紙パルプ、機械の四業種というようなことで、ある程度の規模以上のものをやる、こういうようなことに決定を見ておるわけでございます。金利の点につきましては、これはわれわれもなるべく下げてもらいたいということもあったわけでございますが、北海道東北開発公庫の資金コストとの関係どもございまして、またほかの金利体系との関係を見まして、七分七厘ということになったわけでございます。一般の金利よりも五厘下がりということでございます。まあ、この程度で本年度はやむを得ないではないかと、こういうようなことで決定をいたしておる次第でございます。四十四年度といたしましては、これは御承知のとおり北海道東北開発公庫でございまして、北海道開発庁の御意見もあるわけでございますが、私どもといたしましては、これをさらに七厘下げて七分程度にしていただきたいということで、資金ワクについては百億円ということで四十四年度の要求をいたしております。
  359. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それでわかりましたけれども、東北開発公庫の支店は仙台にあるだけなんですね。ところが、新潟を含めて東北七県ということになるわけですね。利用は。そうしますと、非常に事務の繁雑さや、あるいは時間的なロスが生じて、非常に業務運営上うまくない面が起きている、こういう状況なんです。ですから、もう少しこの東北開発公庫のいわば機構の設置等について、四十四年度に向けて検討されないかどうか。たとえばこの出張所的なものを、せめて新潟とか青森程度ですね、このくらいに設置をして、もう少し利用に便利がいいように考えられないものかどうか、その辺の見通しはどうですか。
  360. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 御承知のとおり、ただいま支店としては札幌と、それから仙台の二つでございまして、新潟方面は主として本店の貸し付けになっておると思いますが、今後の貸し付けの状況によっては、あるいはさらに支店または出張所の増設というようなことも問題になるかもしれませんが、ただいまのところ比較的案件は大規模なものでございますので、大体業務としては支障なく行なわれておる、こういうふうに私ども報告を受けておるわけでございます。御指摘の点もございますので、さらにそういう点は検討していきたいと思います。
  361. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これで終わりますけれども、四十四年度の東北開発関係について、各省の予算を含めまして、もしおわかりでしたら、あとでけっこうですが、その資料を御提示願いたいと思うんですが、その点はどうですか。
  362. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 御指摘の点につきましては、毎年十一月末ごろまでに東北開発審議会に資料を提出して御審議を願うことになっておりまして、本年度もただいま関係各省から資料を集めまして作成中でございますので、できましたならば、できるだけ早くお届けをいたします。
  363. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時期的にいつごろになりますか。
  364. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 大体十一月末までにはできると思います。
  365. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十分散会