○黒木利克君 私の
質問は、宮崎県の西都市にある三納川の上流の吹山国有林、それに隣接の田野川上流の籾木国有林、この
二つとも西都営林署の管内でございますが、個々の国有林の伐採を中心にした問題についてでございます。この吹山国有林の下流は、昭和四十一年に大きな災害を受けております。今回宮古島台風がございましたが、これでも被害を受けた地域でございます。籾木のほうは、今回初めて大きな被害を受けたのでありますが、この吹山国有林の下流の地域は、昭和四十一年に建設省の
政務次官がわざわざ視察をしたくらいに
相当被害があったのであります。そうして五、六億円の復旧費をかけて、現在では一応の復旧を見ております。地元もたいへんに感謝をいたしておりますが、この籾木のほうは今回災害を受けたばかりでございまして、まだ復旧には着手していないようでありますが、建設省出身の上田議員あるいは山内議員が視察をしたくらいでございますから、これも
相当の被害を受けたのであります。しかし、いずれもその災害復旧という観点からの視察と思うのでありますが、私は別の観点からきょうは取り上げてみたいと思うのであります。実は当
決算委員会も、一昨年
委員長はじめわれわれ三名の者が南九州の視察をしたのでありますが、その際も国有林野の
管理とか運営あるいは災害防止についてのことが問題でございまして、当時熊本営林
局長から詳細な
説明を受けたことがございます。実は、私は一昨日この宮崎県の災害の現地を視察して来たばかりでありますが、それは地元の
人たちが非常に
政府を恨んでおる、怨嗟の声が高いのであります。非常なまた不安を持っておる。そこでぜひ見てほしいというので要請がございました。実はこういうような国有林等の
関係の災害というものは、何も宮崎県だけではありません。全国至るところで聞いております。最近では青森県の災害でもだいぶ問題になったようでありますが、そこで私はひとつこれは全国的な問題として取り上げたいということから、現地を視察をしたわけでございます。
それともう
一つは、われわれが当時この吹山国有林で営林局の当局に考慮を促したやさきでございますが、全く同じような経過で同じような災害をこの籾木のほうが受けておるのであります。全く同じことの繰り返しでございますから、私はさらにひとつこの問題を究明したいという気になったわけでございます。
ところで、その現地に参りますと、地元の当局は、圧力というか、さわらぬ神にたたりなしというか、どうもあまりわれわれに協力的ではありませんでした。そういう
質問はしてほしくない、これは天災だというような考え方で、地元の人の怨嗟をそっちのけにして、どうも糊塗してしまおうというような空気がございました。私は、こういうような大問題がなぜ大きな政治問題にならないのか、これは地域の住民福祉に重大な
関係があるわけでありますが、ここでその原因がわかったような気がしたのであります。なぜ私がこういうような
質問の理由をくどくど申し上げるかというと、地元の営林署の立場を考えておるからであります。私も地元の営林署長をよく知っておりまするし、よく忠実に仕事をやっておられるりっぱな官僚の一人だと尊敬をしておるのでありますが、問題は、その地元の営林署の
責任ではなしに、これを指導監督をする、あるいは国有林の
管理なり運営の根本方針をきめる林野庁に私は大きな問題があるのではなかろうかと思うから、そういう
意味で
質問をするわけであります。
なお、当
委員会で私がこういう
質問をするのは、この
決算委員会に最もふさわしいと思うからであります。これは
国有財産である国有林の
管理、運営というような直接の問題になるのでございますから、そういう
意味で御
質問をいたしますが、先ほど申しましたように、地元の当局の協力が得られなかったために実は手ぶらでございます、
資料はない。ただ、一昨日なまな現地を見てまいりましたから、私の
質問もそういう
資料なしで、ただ一時の観察の結果からの
質問でありますが、これは林野当局にも今後協力していただいて、必要なこれから申し上げる
資料の御提出をしていただいて、その上で、林野庁の所管の決算を審査するときに、場合によっては詳しく再度
質問をしたいと考えておりますから、協力してほしいのであります。
そこで、まず要求
資料の
一つでございますが、これは建設省の
関係でありましょうが、吹山国有林の下流の昭和四十一年度の災害でどれくらい一体復旧費がかかったかということが
一つであります。それと、林野庁の
関係では、吹山国有林の伐採計画というか、その面積なり、あるいは石数なり、あるいは収益といいますか、一体それがどうなっているか、収益がいかほどになっているか、また将来の伐採計画がどんなものがあるのかというような
資料をひとつ出していただきたい。なぜこういう
資料を要求するかと申しますと、先ほど申しましたように、災害復旧費はダムやあるいは橋梁の永久橋の架橋とかにおそらく五、六億円かかっておるのではないかと思うのでありますが、それに比べて国有林野の伐採の収益はおそらく数千万円にすぎないのではないか。そうなると、わずかに数千万円の国有林を伐採するために、災害ごとに何億円という
——何十倍あるいは何百倍という国費を出しておるということが、いかにもこれは矛盾のように私は考えられてならないのであります。もちろん、その年度の国有林野の伐採による収益はわずかでありましょう。おそらくこういう雑木を中心にした国有林ではもっと成長率の高い樹木に植えかえるんだという長期の計画、それはおありになるだろうし、これはよくわかるのでありますけれども、しかし、それにしても、いかにも復旧費の額の高さに比べて、国有林の伐採の収益というものが少なく思えてならないのですが、林野庁はどういうふうに考えるか、この辺からひとつお尋ねをしてみたいと思います。