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国務大臣(
三木武夫君)
大和さんが共同声明を御指摘になって、実際共同声明にあらわれておる点は、非常に
中国の脅威をうたい、反共的な色彩があるのではないかというような点が第一点でございます。共同コミュニケをごらんになればわかりますように、
中共の脅威というようなことは
一つもございません。あのコミュニケの中にあるものは、
中国大陸の
情勢がなおやっぱり流動的であります。アンサーテンという
ことばを使っておるわけであります。したがって、この推移を見ようというのが
中国大陸についてのコミュニケに言っておる個所でございます。それ以外に、
中共の脅威をうたい
中共に対抗するために団結しようというようなことはございません。だれが見ても
中共の
情勢が流動的であるし、この推移を見守ろうということで、
中共に敵対する意思がいささかも含まれておらぬということは、これはおわかりのとおりでございます。
第二点の
ベトナムに対してでございますが、われわれは
ベトナム問題の、
ベトナム戦争の早期の解決を願っておるわけでありますが、その解決は結局一九五四年のジュネーブ協定の振り出しに戻るよりほかにはない、それ以外にこの
戦争を急速に解決する道はない、こういう
立場であります。そうなってくると、将来は外国の軍隊も撤退し、みずからの運命をみずからきめる民族自決の権利を
ベトナム人が持っておることは当然でありますが、とりあえずは南北両
ベトナムに分かれて、そしてお互いに
戦争で荒廃した国内の建設に当たっていくという以外にこの場合解決の方法はない。したがって、そのコミュニケの中にも北のことについては何も言っていないのであります。北を非難するようなことは言っていないのであります。ただ、南
ベトナム政府が南
ベトナムの独立を守り領土を保全するということに対してストラッグルという
ことばを使ってありますが、これは武力的な
意味ではないのであります。ホステリティというような
ことばではない。努力、こういうものに対しては同情と支持を与えるということであります。これが北に対して南の勢力を拡大するとか、そういうことは含んでいない。ただ、南
ベトナム、これを、やはり自国の独立を守っていこうとする努力に対しては同情と支持を与えるということで、非常にこのことがハノイ
政府を非難したり、あるいはまた
ASPACの加盟国が協同して北に当たろうとか、そういう意図は全然ないのでありますから、御指摘の二点、いろいろ問題にされておる二点でありますが、これはいささかも、他国あるいは他の国のグループに対して敵視したり対抗したりする意図を持つものではないという
ASPACの性格を逸脱した共同声明だとはわれわれは思っていないのでございます。また、マレイシアのラーマン首相の
発言、私も
新聞で読みましたが、
新聞によっていろいろ記事が違うのでありまして、しかし、ラーマン首相が共通して言っておることは、読んでいないのだ、まだその代表の報告も聞いていないのでどういうことを言ってあるかよくわからない。そうして、記者からいろいろなことを、こちらのほうから
中共の脅威をうたいなんかしたら、そううたってあるというようなときはどうだと言うと、それは重大だと答えてある。ジョハリというのは向こうの文部
大臣ですけれども、ラーマン首相が
外務大臣兼任していますから、であるから文部
大臣が来るのですが、非常に信頼が厚い男です。彼がラーマン首相によく報告すれば、そのマレイシアの信頼厚きジョハリ文部
大臣がこれは全面的に賛成をしてつくったコミュニケでありますから、こういう誤解は解けるものと、こう
考えております。