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1968-08-08 第59回国会 参議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月八日(木曜日)    午前十時十一分開会     —————————————    委員異動  八月七日     辞任         補欠選任      二宮 文造君     阿部 憲一君      黒柳  明君     山田 徹一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         三木與吉郎君     理 事                 木内 四郎君                 長谷川 仁君                 山本 利壽君                 大和 与一君     委 員                 石原慎太郎君                 梶原 茂嘉君                 佐藤 一郎君                 廣瀬 久忠君                 加藤シヅエ君                 羽生 三七君                 森 元治郎君                 阿部 憲一君                 松下 正寿君                 野坂 参三君    国務大臣        外 務 大 臣  三木 武夫君    政府委員        外務政務次官   藏内 修治君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省アメリカ        局外務参事官   大河原良雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件) ○一九七〇年に日米安全保障条約終了通告をす  ることに関する請願(第六七号) ○在日朝鮮公民の帰国に関する請願(第一四五号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨七日、黒柳明君及び二宮文造君が委員を辞任され、その補欠として山田徹一君及び阿部憲一君が選任されました。
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 羽生三七

    羽生三七君 日米安保自動延長固定延長かという問題については、これは自民党では外交調査会というのですか、およそ自動延長ということにきまったようでありますが、しかし、先日の総理の答弁では、これはまだ党議決定ではないと、こう言われておるわけですが、外相は、これは別に期限という性質の条約ではないということをしばしば言われているわけでありますが、それはそれでことばのあやはきょうは申しませんが、かりに、もし自動延長というような場合には——固定延長になればあと五年とか十年とか二十年ということになるのですが——自動延長という場合には、その間に情勢によっては解消もあり得るという前提条件自動延長の場合ですね、そういう前提があってのことですか。それがないというとちょっとこれはいささかおかしいのですが、それはどういう御判断でしょうか。
  5. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 最初に、参議院の選挙に当選なされ、外務委員会に新たに加わられた方に対して祝意を表しておきたいと思います。  いまお話しの安保を一九七〇年にどういう取り扱いをするかということは、まだ自民党として決定をしていないのであります。しかし、自民党大勢は、自動継続といいますか、そういうふうの方が多いようでありますけれども、党としてはいまだ決定をいたしておらないのであります。いずれこれは政府、党とも一体になって一九七〇年以後の安保をいかに取り扱うかということはきめらるべきものである、相当な期間を置いて国民批判を受けるべきだと思っております。
  6. 羽生三七

    羽生三七君 いや、私の質問はそういう取り扱いの問題ではないのですよ。自動延長あるいは自動継続という表現は別として、それが自民党大勢——大かた考えという場合ですね、外務大臣としては、いわゆるこの自動延長なるものが、その場合には、情勢変化によっては安保解消もあり得るということでないと、この自動延長あるいは自動継続ということが、この意味するところのことがはっきりしないわけですね、固定延長という場合はわかりますけれども。その外相考え方を聞いているわけです。取り扱いの問題ではありません。
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 一切の条約が絶対不変というものはありません。したがって、変化はあるわけでありますが、自民党は相当な長期にわたって日米安保条約は必要であるという見解に立っておりますが、しかし、政党政治でありますから、自民党永久政権でもないのでありますから、そのことについては、これは将来の日本の時の政府というものにも影響するでしょうが、自民党政権の続く限り、相当長期日米安保条約はこれは維持していきたいという考えでございます。
  8. 羽生三七

    羽生三七君 自民党の場合ということ、まあ、他の政権交代というようなことを私は頭に描いて言っているわけじゃないのですね。自民党の場合においても、国際情勢変化によってはそれに対応する姿勢の変化があるということを前提にしなければ、こういう自動延長あるいは自動継続という考え方は出てこないではないかと思うのです。したがって、長期にわたるというのは外相の個人的な願望でしょうが、国際情勢変化によってはそういう変化に対応し得ることもあり得るということですね、これ。自動延長とか自動継続、そう理解してよろしいですね。
  9. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 最初に、絶対不変のものはない一切のものが絶対不変のものはない、こういうお答えをいたしております。そのことは、羽生君の言うことをそのまま私がコミットしておるわけではありません。しかし、万事絶対不変のものはない。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、時間の問題がありますから、じゃ、その場合の国際情勢変化とはどういうものかという具体的な問題がありますがね、時間の関係できょうはこれは省略をして適当な機会に譲らしていただきます。  それから、これは沖繩返還の問題ですが、これは本会議でも、衆議院の外務委員会でも論議をされたようでありますが、問題は、私は、スナイダー発言というものがその総理の言っておることと食い違っておるとかおらぬとかいうそのことばじりの問題を言うのではなしに、実際問題として、総理の言う両三年という確信というものですね、それが総理個人の主観的な願望あるいは悲願なのか。あるいは、それを客観的に裏づける何らかの——まあ約束条件というものはもちろんなかったでしょう、あの場合。しかし、約束条件はなかったにしても、総理確信を裏づけるような具体的な、それに相当する先方側の、ジョンソン大統領側発言の中からそれをくみ取ることができたのかどうか。できたものがあるとすれば、それはどの部分かということであります。ですから、私はことばじりをとらまえて、これは、あの下院歳出委員会ですかにおけるいろいろな論議のあれも一応読んでみましたが、その辺についての外相考え方を確かめておきたいと思います。
  11. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国会においてもこの問題がいろいろと論議を呼んでおるようでありますが、佐藤総理は両三年中に沖繩返還のめどをつけられるというまあ自分確信を持っているような——ことばそのものはどういう——そういう意味発言があったのです。しかし、スナイダーはそういう約束はしていないとこう言うので、いかにも全然何かこう受け取り方が違うような印象を与える面があるのかもしれませんが、その間にあることばを、両方とも、その間をつないでおることばというものを少し無視しておるのではないか。その間には、そういう日本国民願望を理解して、そういうことを頭に入れながら日米外交チャンネルを通じて沖繩返還の方針のもとに協議をしようというのが、間をつないであるのであります。だから、佐藤総理のそういう、自分確信を持ったということも、スナイダー日本部長が、そういう約束ジョンソンがしていないということも、両方私は正しいと思います。それをつないであるそのことばを、何かこう両方とも、一方佐藤総理を非難する者のは、そのことばを無視してかかる。またスナイダー氏の言うことに対していろいろな批判を加える者は、またやはりその間につないであることばというものをあんまり引用しませんけれども、これをつないであることばは、やはり両方が、そのときの感じとしては、あるいは事実としては、やはり正しいことを言っていると私は思います。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 外交のことでありますからね、これは紋切り型に文書に、たとえばスナイダーの言うように、小笠原返還のような形での約束ということを彼は特に言っておるわけですが、そういうものはなかったことはこれは事実です。それはそれとして、少なくともここにあらわれておる日米共同声明で見る限り、総理が個人的にそういう感触を持たれたかどうかは別として、それを客観的に裏づける具体的な条件は非常に乏しいと私は思います。その後ラスク国務長官がある新聞記者との会談におきまして、まあ佐藤総理を援護するような発言もやっておりますがね。あるいはスナイダー日本部長もこれに対して訂正をしておるけれども、若干の補足説明をしているけれども、いずれにしても、私はスナイダーがどう言ったとかということではなしに、日米共同声明の全文を通じて受け取られる限りでは、それは総理の個人的な主観であって、客観的にこれを裏づける具体的な事例に乏しいという感を深くするわけであります。外相自信としてもそういうことをお感じになりませんか。
  13. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはまともに、ジョンソン大統領佐藤総理願望に対して、わかりました、お約束いたしますと、そういう表現ではないけれども、日本国民願望はよく理解できる、そのことも頭に入れながら日米返還についての交渉を始めようではないかということは、かなり政治的なやはり含みを私は持っているというふうに考えますから、これは佐藤総理がそういう確信を持つということが、この日米首脳会談からは確信を持ち得るような何も材料がないのに、しいて国民に対してその期待を持たすために言っておるということは、私はその批判は当たらない、こう考えております。
  14. 羽生三七

    羽生二七君 この下院歳出委員会海外活動小委員会、この場におけるアメリカのこの下院関係議員発言を見ると驚くべきものですね。まるで旧時代、旧植民地時代の観念そのままの質問をしておる。これはアメリカ上院外交委員会とだいぶ違いますから、専門家のいないところですから事情は若干異なると思いますが、それにしても全くこれはひどいものです。驚くべき認識で沖繩を見ておる。二億の国民を持つアメリカと一億の国民を持つ日本、三億のこの民衆を百万の沖繩島民が追い出す権利があるかというような表現ですね。何もかも全部アメリカが全権を持っていて、少しでももう沖繩の島民なり日本がかれこれ言う筋合いのものではないという発言で貫かれておる。驚くべきことだと思いましたが、それはともかくとして、この沖繩返還問題については、主として核つき核抜きかが議論の中心になっているのです。私はそれも重要な一つ要素だと思いますが、それとともに、もう一つ重要なこれに劣らない条件は、基地使用態様の問題ですね。私たちはもちろん無条件返還を求めているわけですが、その原則論は別としても、基地自由使用を認めるかどうか。核つき核抜きかが議論の対象になっておりますが、私は基地使用態様というものがどういうものかということが非常に大きな問題になると思うのです。ということは、核抜きであっても、実際問題として基地自由使用を認めるような場合には、これはもう実際に極東諸国におけるアメリカ戦略前進基地としての役割りを、いままでの沖繩とは違って、返還された場合の沖繩、つまり日本の一部がそれを果たすということになるわけです。根本的に従来と事情が違ってくる。そういう意味で私はこの基地使用態様というものが非常に大きな問題である。核つき核抜きかだけが議論されて、このことが影が薄れておりますが、このことが特に私は非常に重要なことだと考えますので、外相見解を伺いたい。
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も羽生さんの意見に全く同感であります。核抜きか、核抜きでないかということ、それも重要でありますけれども、使用態様というものは重要であるという羽生委員のお考えに私も同感でございます。重要であります。
  16. 羽生三七

    羽生三七君 その場合に外相としては望ましい形はどういうふうにお考えになっておりますか。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この問題については、御承知のように、第一回の日米外交交渉を始めたばかりでありますから、したがって、今後日本政府としても、常々申し上げておりますように、極東情勢、あるいはまた世論動向軍事科学の変遷、こういうことも頭に入れながら、いま言った基地態様基地の核の問題、こういう問題も政府として考え方をある時期が来ればまとめて話をするということになると思いますが、いまはそういう不確定な要素が多いわけでありますので、こういう日本政府考え方であるという旗を立ててアメリカ交渉するという段階にはなっていないのであります。しかし、白紙である、終始白紙であるというような外交交渉はありませんから、いずれの時期か、政府としての考え方をまとめる必要があると思います。
  18. 羽生三七

    羽生三七君 総理外相がしばしば言われておる返還のこの三つの条件——世論動向、あるいは科学技術発達及び国際情勢変化。ところが、両三年と言われておるが、この前、森委員が前国会で言われておるように、両三年はもう一両年になってくるわけですね。それでは急激な科学兵器発達が突如として起こるか。世論動向はおおよそ定まっておる。そうすると、あと国際情勢変化なんです、残された問題は。そうすると、ベトナムがどう解決するかという問題ですね。そうすると、外相はすでにこの間のASPACにおいても、ベトナム戦後の南北両ベトナムを含む復興計画考えられて、その基金制度を提案されておる。そうすると、外相考えからいえば、ベトナム戦争はもう片づく。そうなると、世論動向はほぼ定まっておる。科学技術発達は一年や二年ででんぐり返るような変化はない。国際情勢はいま申し上げた募り。そうなれば、日本としても沖繩返還基地沖繩返還態様についてゆっくり考えるということでなしに、もう具体的な問題に取り組むべきではないか、そう考えますが、いかがですか。
  19. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ベトナム問題は、私は自分願望も含めて、こういう戦争は早く片づけるべきである、いつまでもこういう戦争を続けていくということは、これはベトナムにとっても不幸なことであるし、世界にとっても非常に不安を与えることであるということで、パリの和平会談の成功を私は祈っておるものであります。しかし、これがいつどういう形でベトナムに対する和平話し合いが結論に達するかということは、今日の段階で予測できないのであります。それから、どういう形でベトナム戦争というものが収拾されるかということは、その後のアジア情勢に非常に影響を与えると思います。そういうことで、極東情勢はこうだということを現在の段階で言い切るべくあまりにも不確定要素が多いと私は思っております。これはベトナムの収拾をどういう形でするか、その後の極東情勢を見るだけのやはり時間的な要素がないという考えでございます。
  20. 羽生三七

    羽生三七君 アメリカ下院歳出委員会では、七月十六日に、一九六九年度の軍事建設計画に関する秘密聴聞会議事録を発表したそうですが、それによると、B52の戦略爆撃機基地補強策のために、金はわずかですが、二百四万ドルの支出を要請されておる。これは沖繩基地におけるB52の常駐を目ざす処置と受け取られておるようです。したがって、日本のいろいろな願望にもかかわらず、あるいは、国際情勢変化というような政府の持ち出しておるいろいろな条件にもかかわらず、依然としてアメリカがこの点についてはかたいんではないかという観測が有力になっておりますね。したがって、そんななまやさしい考えでこの沖繩返還問題が達成されるとは思わないし、それから、特にこの機会に私はあわせて申し上げたいことは、在日米軍基地問題についても、これを総合的に検討するために九月から、これは両国の基地関係専門家ですか、事務レベル合同会議か何か——小委員会ですか——持たれるようですが、しかし、アメリカ側は、聞くところによれば、これは極東情勢関連させて、この極東におけるアメリカ戦略との関連基地問題を考えようとしておる。それから、日本国民感情ということを主要な条件としておるですね。しかし、いまのように、もうどんどんアメリカ沖繩におけるB52の常駐化を目ざして予算増額要求もしておる、それが可決されるかどうかは別として。しかし、そういう状況のもとで、私は専門家事務レベルが技術的に討議して解決される問題ではないと思うんです。やはりもっと高いレベルで、真の極東における平和、安全とは何かということ、基本的な問題を持ち出して、その立場からこのアメリカの不当な極東政策について日本が思い切った発言をしなければ基地問題についても解決は容易に得られないんではないかと考えますので、いまのこの下院歳出委員会B5戦略爆撃機予算増額とも関連して、日本在日米軍基地の今後のあり方と極東情勢全般との関連、これらを含めて外相見解を承りたい。
  21. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 首脳部会議が必要ではないか——私はそういう時期があり得ると思いますが、それぞれの事務当局で検討するという、いろいろ外交交渉のプロセスが必要である。基地の問題については、羽生さんと見解の違うところは、われわれは安保条約必要性を認めておる。当然に基地日本が提供するという前提に立っておるわけであります。基地を全廃せよという立場ではない。必要最小限度基地はこれを確保する、こういう原則の上に立って、できるだけ基地は縮小さるべきものです。現に、終戦直後は二千七、八百の基地があったですが、現在は百四十七、こういうふうに非常に数も少なくなってきておる。むろん、基地といってもファシリティーズ——施設であって、倉庫とか事務所とかいうものもみな基地基地と言っておるんですが、そういうことで、ほんとうの基地らしい基地というものはごくわずかなものでありますが、それでもやはり基地は縮小さるべきである。必要最小限度基地にすべきであるし、また、必要な基地はこれは日本は提供をするという、こういう原則でありますが、あるいは都心のようなところで住民との摩擦があるような基地に対しては郊外に移転する場合もあろうし、こういうことで、できるだけ基地というものが縮小し、しかし、必要な基地というものはこれは確保しなきゃならぬ。その原則の上に立ってできるだけ縮小し、また、住民との摩擦というものが起こるということは基地有効使用に対しても障害になることは明らかでありますから、こういうものに対しては郊外への移転等考えて、そういう形で日米間で話し合いをしながら基地の問題を現実的に解決していきたい、こういう考えであります。
  22. 羽生三七

    羽生三七君 一部新聞に、米軍基地撤去等の場合——全部じゃないですよ——撤去に応じてそれを日本自衛隊肩がわりをさせるというアメリカ側考え方だということが伝えられておるんですが、そういうことはあるんでしょうか。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうことはまだアメリカの意向としてわれわれに伝えられてはおりません。
  24. 羽生三七

    羽生三七君 それが現実の問題になった場合、こういう問題がありますね。肩がわりとは一体どういうことを意味するのか。たとえばアメリカのそこにおった部隊と同じ質の機動力といいますか、兵器その他の力を、つまり同等のものを日本がそこで持ってこれにかわるという場合、あるいは兵員をふやすとか、そうでなかったら、ただ自衛隊の駐とんの場所が変わるだけですね。ですから、肩がわり意味というものが、そういう質的なものなり、あるいは、これは事前協議がなければできないことですから問題にはならぬと思いますが、米軍にかわって日本が何らかの役割りを果たすという、そういうことだったら非常な重大問題で、とても看過することのできない非常に大きなこれは問題だと思います。したがって、これは十分御検討を願いたいと思います。  それから最後に、時間の関係で一問だけで終わりたいと思いますが、中国問題が、これは本会議外務委員会等でしばしば論議になるのですが、さきの予算委員会で申し上げたとおり、中国国連加盟をすみやかに行なわなければならないことは当然ですが、これまた代表権問題でなかなか容易でない。これは国連規約改正等も必要とするような条件もあるだろうし、容易でないが、かりにもしそれ以外にできる問題があるとするならば、たとえば核拡散防止条約等が多くの国によって調印されましても、しかし、フランス中国を除外して何の意味もないことはこれは明らかである。中国フランスを含める核の全面禁止というのはどうしてできるか。その一つの手がかりになる世界軍縮首脳会議で、これはこの前のこの委員会で申し上げたように、中国周恩来首相も繰り返して言っているわけです。しかも、原爆の実験後にも言っておりますね。核兵器を全廃するために世界軍縮首脳会議を開こうではないか、また、アメリカを含む太平洋非核武装地帯をつくろうではないか、こう言っておるわけです。向こうが提案しておるわけです。しかし、これに対して国連あるいは特定の国がイニシアチブをとって何らの試みも行なったことはない。したがって、私は文化革命後の中国がどういう考え方を持っておるか、いまだ明らかではありませんが、その後の考え方を打診する意味においても、国連なりあるいは日本イニシアチブをとって世界軍縮首脳会議を一度開くことを提案してはどうか、特に日本がその音頭をとってはどうかということを考えるわけです。そうしなければ、これはいつまでたってもどんなに国連が多数の国が核兵器禁止核拡散防止条約を成功さしても、近い将来中国が、フランスがこれに参加するという可能性はほとんどない。したがって、それを打開する道がもしあるとすれば、しかも、最も日本に近いところに位する中国が核をどんどん今後発展さしていくという場合、これは大きな問題になってくるでしょう。その場合のただ一つの道は、周恩来首相が言っておるわけですが、それが真実かどうかを確かめる意味で、世界首脳軍縮会議を開くようにする、それを日本音頭をとってはどうか、こう思うのですが。
  25. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 羽生さんの御意見、非常に傾聴すべき意見だと私は思います。これは検討いたします。日本としても核拡散防止条約、この中には軍縮の条項が含まれておるわけであります。日本はこれを誠実に履行してもらいたいという強い希望を持っております。したがって、中共フランスとが核拡散防止条約に参加しないであろうといわれておることは、まことに遺憾であります。何としてもやはりそういう国際条約の中に入り、そしてその条約の中において義務づけられておる軍縮というものを実行してもらいたい、そういう意味においては、どのような形で中共フランスというものがいわゆる国際的にこの問題を共通の課題として話し合いができる、その糸口はどういうところから出てくるであろうかということは、これはわれわれとしても十分に検討すべき課題だと思いますので、御提案は十分検討いたします。
  26. 羽生三七

    羽生三七君 これで終わります。
  27. 大和与一

    大和与一君 大臣ASPACにおいでになって御苦労さんでした。中身を聞かぬとほめるわけにいかぬけれども、五分以内で会議の大体のところだけちょっとお話し願いたい。
  28. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、ASPAC——いわゆるアジア・太平洋閣僚会議、これはソウルとバンコク、今回は第三回目であります。回を重ねるに従ってASPACの性格というものに定着したものがございます。  その一点は、このASPACという会議は、他の国あるいは他の国のグループというものに対して対抗し敵対する結合体ではないという点であります。したがって、夫加入、未参加の国に対しても入会は歓迎する、これが一点。もう一点は、ASPACは、しいて結論あるいは合意を求めるという会ではなくして、できるだけ自由な論議を通じて相互の理解の増進をはかり、その理解の増進を通じて地域協力の基盤を拡大していこう。そのために、ASPACの事業として、国際機関と重複をしないような適当な事業があったならば、共通の事業としてこれも取り上げる。こういう二点の性格というものが定着をしたと申し上げていいと思うのであります。  しかし、今回の会議はまだ不安定な極東情勢を背景にいたしておりますから、いままでにない活発な論議が展開された会議でありました。また日本代表の態度も、せっかく一年に一回外務大臣が寄る会議であるから、この問題は話さずにおこう、この問題は避けて通ろうという態度はよくない、何でも話したらいい、何でも話す、そのことで理解を増進するという、理解が増進されるということはASPACの大きな意義である、こういう態度をとりましたから、そのことも活発な論議を呼んだ一つのやはり要素にもなっていたと思いますが、しかし、全体の論議の基調は、とにかく極東情勢は不安定だけれども、結局は自分がしっかりしなければだめだ、そして、その上に立って地域協力ということで社会的なあるいは経済的な、政治的な安定をはからなければ、軍事というものだけにたよって一国の安全というものは維持できるものではない、これが基調でした。いろいろなことを新聞に書かれておりますけれども、会議の底を流れておる基調というものはそういう基調である。一同が、三日目の日でありましたが、参加各国の要望によって、今度第四回目のASPACの大会を東京で引き受けることにいたしました。これは、この会を健全に育てていくということについては日本も責任を持っておる一国でありますから、みずから主催国となり責任をとって、このASPACというものが相互理解と協力の基盤拡大の本来の目的をよりよく達成できますように、日本は主催国を引き受けたのでございます。そして、日本が主催国となりますから、これから一年間常任委員会というものが外務省内に置かれて、各国の大使を常任委員として大会の準備をする。その間夫参加の諸国などにも参加を呼びかけて、どの程度成功するかはまだ見通しは立ちませんけれども、できるだけ域内多数の国の参加のもとに明年夏を予定されるASPACは開催をしたいと思います。
  29. 大和与一

    大和与一君 共同コミュニケには「いかなる国家ないし、国家グループに対しても敵対の意図を有するものでなく」とうたうことによって一応非軍事的性格を確認した形をとっておりますけれども、反面、多くの政府代表からは、安全保障、ことに中国の脅威に関する懸念が表明されておる。たとえば「中国の核爆発は許せない」とか、あるいは「アジアの紛争の背景にはすべて中国がある」、こういったようなタイ、フィリピン、台湾などのタカ派の演説などもあったと思うのですが、それがコミュニケの第一項に盛られたことと、また、「独立のために戦う南ベトナム政府国民への同情」に加えて、前回のコミュニケにはなかった「支持」をうたい込んだことなど、幾つかの面でいわゆるタカ派的な色合いが濃くなっていることは否定できないようにちょっと考えられます。来年わが国で開催を予定されているが、このようなASPACに内在する強い反共的な性格とわが国の立場とをいかに調整するつもりか。外務大臣は、新聞なんか見ますと、あくまでも「反共的」ということばを使うのはいやだから、盛んにそうでないとえらい力んでおられるけれども、たとえばけさの新聞でもマレイシアの総理大臣中国なり韓国なり、こういうまるで質の違ったものが入っておって、それでほかのものを呼び込もうとしてもなかなかそれはうまくいかぬじゃないか、こういうことも言っておりますが、そういうことについてのお考えはどうですか。
  30. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 大和さんが共同声明を御指摘になって、実際共同声明にあらわれておる点は、非常に中国の脅威をうたい、反共的な色彩があるのではないかというような点が第一点でございます。共同コミュニケをごらんになればわかりますように、中共の脅威というようなことは一つもございません。あのコミュニケの中にあるものは、中国大陸の情勢がなおやっぱり流動的であります。アンサーテンということばを使っておるわけであります。したがって、この推移を見ようというのが中国大陸についてのコミュニケに言っておる個所でございます。それ以外に、中共の脅威をうたい中共に対抗するために団結しようというようなことはございません。だれが見ても中共情勢が流動的であるし、この推移を見守ろうということで、中共に敵対する意思がいささかも含まれておらぬということは、これはおわかりのとおりでございます。  第二点のベトナムに対してでございますが、われわれはベトナム問題の、ベトナム戦争の早期の解決を願っておるわけでありますが、その解決は結局一九五四年のジュネーブ協定の振り出しに戻るよりほかにはない、それ以外にこの戦争を急速に解決する道はない、こういう立場であります。そうなってくると、将来は外国の軍隊も撤退し、みずからの運命をみずからきめる民族自決の権利をベトナム人が持っておることは当然でありますが、とりあえずは南北両ベトナムに分かれて、そしてお互いに戦争で荒廃した国内の建設に当たっていくという以外にこの場合解決の方法はない。したがって、そのコミュニケの中にも北のことについては何も言っていないのであります。北を非難するようなことは言っていないのであります。ただ、南ベトナム政府が南ベトナムの独立を守り領土を保全するということに対してストラッグルということばを使ってありますが、これは武力的な意味ではないのであります。ホステリティというようなことばではない。努力、こういうものに対しては同情と支持を与えるということであります。これが北に対して南の勢力を拡大するとか、そういうことは含んでいない。ただ、南ベトナム、これを、やはり自国の独立を守っていこうとする努力に対しては同情と支持を与えるということで、非常にこのことがハノイ政府を非難したり、あるいはまたASPACの加盟国が協同して北に当たろうとか、そういう意図は全然ないのでありますから、御指摘の二点、いろいろ問題にされておる二点でありますが、これはいささかも、他国あるいは他の国のグループに対して敵視したり対抗したりする意図を持つものではないというASPACの性格を逸脱した共同声明だとはわれわれは思っていないのでございます。また、マレイシアのラーマン首相の発言、私も新聞で読みましたが、新聞によっていろいろ記事が違うのでありまして、しかし、ラーマン首相が共通して言っておることは、読んでいないのだ、まだその代表の報告も聞いていないのでどういうことを言ってあるかよくわからない。そうして、記者からいろいろなことを、こちらのほうから中共の脅威をうたいなんかしたら、そううたってあるというようなときはどうだと言うと、それは重大だと答えてある。ジョハリというのは向こうの文部大臣ですけれども、ラーマン首相が外務大臣兼任していますから、であるから文部大臣が来るのですが、非常に信頼が厚い男です。彼がラーマン首相によく報告すれば、そのマレイシアの信頼厚きジョハリ文部大臣がこれは全面的に賛成をしてつくったコミュニケでありますから、こういう誤解は解けるものと、こう考えております。
  31. 大和与一

    大和与一君 私、いままでも中国からの脅威はない、だから、中国に対してはあらゆる角度から積極的にもっと日本が働きかけるべきである、こういう立場でいままでもお尋ねしておるのですが、思い出すのですが、この前次官がアフリカへ行かれましたね。あのときに新聞にでかく出て、いかにも日本中国に対して積極的に非常に働きかけをする、こういう印象を国民は持ったのですけれども、そのときに大臣は、いや、あれはちょっとお茶の会に出るとかそんな程度でたいしたことはない、盛んにこれも言っておられたが、どうも大臣の性格が少しにじみ出ているような気がするのですけれども。ところが、次官がおいでになってどういう話をされたのか。これはその後の様子をいろいろ新聞その他で拝見しますと、それは中国自体で少し外交的に接触面をゆるめようじゃないか、何もこっちがやったのじゃなくて、向こうがそういうふうにやったということがわかったのです。何もこっちがえらいおとなしくやりかけたのでなくて、向こうの情勢に応じて、即応してちょっとさわってみた程度でしかないのですが、そうすると、その点がどうも積極性がないような気がするのですが、その辺どうですか、次官にちょっとお伺いしておきたいのですがね。当面つまらぬうわさは別としてですよ。
  32. 藏内修治

    政府委員(藏内修治君) 私の中国に対する間接接触の意図と申しますか、気持ちを率直に申し上げてみたいと思います。  現在、中国政府はあらゆる機会に、日本政府が、特に佐藤政権中国に対する敵視政策をとっておるということを指摘をいたしました。ところが、政府立場からいたしますと、具体的に敵視政策をとったという記憶がほとんどございません。というよりも、むしろ中国日本に対して敵視政策ということを指摘してまいりますそのものは、実は日本の置かれておる国際的な地位と申しまするか、国の具体的なあり方を指摘して敵視政策というぐあいに言われておる面が非常に強いと私は思うのであります。日本といたしまして、そういう立場から日中関係を今後基本的に改善していこうということでありまするならば、台湾の問題もございまするし、アメリカとの関係の調整もございまするし、いま非常に悪化しております中ソ関係というものを考慮いたしまして、ソ連との関係も調整をしなければならぬ面がございます。そういたしますれば、日中関係の基本的な改善という点を考えてまいりますると、これは非常に時間を要する長期的な問題である、基本的な問題であることは、これはもうだれが見てもわかることでございまするし、中国政府自体が最もよくこれは御承知の点であろうと思います。それにもかかわらず、あらゆる機会に、日本中国を敵視している、敵視しているということを指摘せられますことは、現在の日中関係を現在よりも悪くすることはあってもよくすることはない。したがって、われわれはそういう問題をここに一々あげつらうことなしに、現状をいかにすればいまよりもさらに悪くすることなしにいけるであろうか、いまよりもよりよい日中関係を維持しながら将来の日中関係改善という大きな時点というものを迎えることができるか。そういうことから考えれば、われわれはもっと別に考えなければならぬ問題があるんじゃないか。そういうために、特定な世界中のある数カ地点を選んで大使級による継続的な協議の会を開いたらどうかという点が一点。第二点は、日本中国とが直接接触するパイプと申しますか、ルートと申しますか、チャンネルがただいまのところございません。あるものは覚書貿易事務所だけでございまするけれども、これも民間なのか政府機関なのか、性格の非常にあいまいな点がかえって日中関係の意思疎通を妨げるおそれがある。できることなら、これを通商代表部のような性格のもの、もしこれが不可能であるとするならば、いまの機能をさらに充実強化することによって何らか外交事務の一部をもこれによって解決する機会を持つことができないか。そういう可能性中国政府としても検討してみる気はないかという、この二点につきまして中国政府の意向をできるならば聞きたい。日中関係が、今日日本人のだれをとってみましても、現状のままでいいと思っている人間はいないと思います。しかしながら、いま直ちに日中関係が基本的に改善されるということを信じている人間もまた少ないだろうと思います。そういう時点に立ってこういうことを両者で考えるということは、日中関係の改善のために私は決してマイナスではない、こういう政治家としての個人的ら判断からやった行動であるということで申し上げておきます。
  33. 大和与一

    大和与一君 それはもうたいへんけっこうなお話なんですが、実際おいでになって具体的にはどんな程度の話し合いといいますか、場面がありましたか。その具体的な空気を少しお聞きしたいのです。
  34. 藏内修治

    政府委員(藏内修治君) 現実に中近東からヨーロッパを経由して私が通りました国は十一カ国でございまするけれども、十一カ国のそれぞれにおきまして、中国のいわゆる外交団のあり方を各地点においてかなり詳細に見てきたつもりでございます。ところが、各世界外交団の中で何となく疎外されておるという感じ中国代表団が置かれておる。それから、文革の進行情勢にもよると思いますが、かなり接近しようという意欲が見られるような地点、まちまちでございます。まちまちでございまして、しかも、外交団も必ずしもあらゆる機会中国側が出席をせしめていない。むしろ意図的に外交団に対する接触を控えさしておるような傾向すら感じられた地点もございます。そういう状態でございますので、なかなか接触もむずかしい。そこで、私のごく親しい友人にお願いをしまして、いま私が申し上げました意図を正確に機会をとらえて相手側に伝えてもらいたい——私が直接接触しようと思いましても向こうさまなかなか出てまいりませんので——できるだけ早い機会に間違いなく正確にひとつ伝えてもらいたいということで、いま申し上げた趣旨を私仲介者に話をし、仲介者が先方のしかるべき立場の方に話をしたと私は確信をしております。その意図がどういうぐあいにはね返ってくるか、いまのところ、まだちょっと予測ができない状態であります。
  35. 大和与一

    大和与一君 これも大臣、ワルシャワにおけるアメリカ中国との接触ですね、百回くらいやっていると思う。この前、大臣にお尋ねしたら、何も成果があがっていないと、こう簡単におっしゃったのですが、ソビエトがこれに対してきびしい監視というか、関心を持っているのはあたりまえだと思うのですけれども、非常に注意していると思うのです。そうすると、何も、夜が明けたら日本を追い越してアメリカ中国が手を握るということは考えませんけれども、いずれにしても、日本中国に最も接近して最も理解をしているとすれば、その一顰一笑をほんとに政府がつかまなければいかぬと思う。それをこちらの外務省の出先が正確につかむように十分の努力をしているかどうか、ちょっとこまかいけれども、なかなかこれが頭から離れない。やはりこれが窓口になって、おそらく相当大きな変化が起こる。もう一つアメリカの国内態勢からいって、大統領選挙が終わったら、これは中国に対する重大な、相当大きなアメリカ変化が起こる可能性が、いい意味において、あると思う。そうなれば、やはり橋が通じているんだから、それをおろそかにできないだろう。それ以外に日本政府として確実に中国なりアメリカなりの情勢をちゃんとつかむ万全の態勢があれば心配ありませんけれども、私は何も追い越されると言うのではなくて、むしろ日本イニシアチブをとるという意味で申し上げているんですが、それに対してはどうですか。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、目がさめてみたら米中の和解ができておって日本が取り残されると言う人がありますが、けっこうなことだと思います。目がさめてみたら米中の和解ができておったということはけっこうでございます。何も日本がそれを非常に憂え、これに対して取り残されたというような感じは要らない。アメリカ以上に日本中国問題は大事であります。日本自身の地理的な条件から大事だと思う。絶えず日中関係というのはできるだけ改善していこうという姿勢であるべきだ。しかし、何でもやみくもにやっていいということではない。したがって、これは慎重な態度が必要でありましょうし、中共自身の客観的な情勢というものに対する判断も要りましょうけれども、とにかく、どんなにむずかしくても中共との共存共栄の道を追求する以外に日本のやはり生きていく道はない。これは私の信念であります。しかし、やり方については、やはりいろいろな客観情勢もありましょうし、慎重を期すべきである、こういうふうに考えております。
  37. 大和与一

    大和与一君 もう一つだけ。  アメリカのアジアに対する考え方を見ておって、非常に核兵器などが発達して大陸間弾道弾などありますから、どうもこれもしろうとですけれども、戦略的に考えて、グアムがあるからこれでいいじゃないか、ちゃんと弾道弾があるから前のほうにいろいろ置かぬでいいじゃないか。特に沖繩などにB52が常駐するとか、羽生さんからお話がありましたけれども、そういうことは、戦略・戦術的にきわめていくと、ますます核兵器の配備が高度化してそうして精度化しているわけですから、実際には必要ないんじゃないか。少なくとも下がるというか、十分に備えができるから地域的に下がるというか、そういう考え方に動く可能性はないんですか。
  38. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日中関係を改善するためには、中共自身もその気にならなきゃいかぬですね。こちらだけ——日本のやることにいろいろ、こうせよ、ああせよと、日本ばかりに注文をつけて、これでやっぱり日中関係がよくなるとも思えない。中国もまた日本との共存共栄を考えなければ、中共の将来、安定発展のためにこれは非常に障害になるという考えで、両方、やっぱり努力しなければならぬので、ひとり、こっちは沖繩基地があるから、何に基地があるからと、こういう形で私は日中関係改善できると思わない。両方が、この日中関係が改善される必要性というものを認め合って、お互いに尊敬し合って、もっとやっぱりこれはおとなのつき合いをしなければいかぬですよ、両方が。そういう意味で、少し長い目で日中関係を私は考えていきたいという論旨です。いますぐ急転直下というような形では、なかなか中国問題というのはむずかしいものを持っている。そういうことで、台湾問題一つとったって、目がさめてみたらと、こう言うけれども、アメリカだって一体台湾というものをそのときにアメリカはどうするのか。そんなに、目がさめて和解ができるほど簡単な問題ではないではないか、台湾問題は。そういうことを考えますと、やっぱり何かこう、ベトナムが終わった、今度は中共だと、こういうのでなしに、やはり極東情勢全般の中における日中関係の改善、こういうことをやっぱりひとつ腰を据えて日中関係を改善していかたくちゃならぬ、改善されなくちゃならぬと私は思いますよ。しかし、その改善のしかたというものが、ベトナムだ、今度は中共だ、こういうのじゃなしに、もう少しやっぱり腰を据えた日中関係というものを考えていきたい。改善に対して積極的な意欲を持っておることは事実であります。しかし、それには、いま言ったような形で、衝動的のような形でいくのじゃなくて、やはり腰を落ちつけてやりたいと思っております。
  39. 大和与一

    大和与一君 ベトナムはいずれおさまると思いますが、やはり残った焦点は三十八度線ですよ。これはいまの大臣ことばじゃないけれども、目がさめてみたらぱんぱんやっておったじゃ困ります、そんなこと知らなかったら。これは一体、ほんとうにここで間違いが起こらないという——いろいろ小さいことはありそうですけれども、それは大臣のお見通しはどうですか、もう問題はここだと思う。
  40. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはもうわれわれとしても朝鮮半島の動向というものは、非常に心配です。事あるごとに韓国に対して、あるいはその他北鮮との関係のある国に対しても、結局は、まあ将来朝鮮は統一される必要があるのでしょうけれども、それにはやっぱりそれだけの条件がなければ。いまはやっぱり休戦ラインということで、みんなが平和的な国内の建設ということに努力することが好ましいわけですから、武力的な問題に訴えることのないように、いろんな問題が次々に——プエブロ事件が起こったときにも非常に緊張しましたから、さでそくアメリカに対しても、まあ、北鮮というのは外交関係がないわけですから、ソ連に対する態度はどうか、この問題を発展させるようなことのないようにひとつお互いに直接あるいは間接の努力をしてほしいということを申し入れて、われわれとしてもできる限りの日本として努力のできる点については、いま大和さんのおっしゃるように、三十八度線でまた戦闘が始まるというのではたいへんなことです。これにはわれわれとしてもできるだけの平和維持のための努力はしなきゃならぬと思っております。
  41. 大和与一

    大和与一君 終わります。
  42. 森元治郎

    ○森元治郎君 少し、二、三質問をします。からだのぐあいが悪くて勉強していませんから、思いつきですから、丁寧に答弁をしてもらいたいのだが、そもそも「両三年以内に返してくれ」という例の沖繩の首相の申し入れ、この「両三年」というのはどこから出てきたのですか。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはもとのことばは、ウイズイン・ア・フュー・イアーズと、こうなっているのです。「両三年」と訳していいでしょう。それは佐藤総理が強い希望を述べた。両三年——ウイズイン・ア・フュー・イアーズに沖繩返還のめどをつけてもらいたいという強い希望を述べた。これに対してスナイダー部長は、ジョンソン大統領約束はしていない、しかし、そういう日本国民願望もよくわかったと、そういうことも頭に入れて外交交渉を……
  44. 森元治郎

    ○森元治郎君 そこは要らないんです。
  45. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうことになっております。
  46. 森元治郎

    ○森元治郎君 そこで、「両三年」というのは、重大会見ですから外務大臣もくっついて行ったのだから、何を話そうか、表現も十分練ったと思うんですよ。ことにコミュニケに載せる以上、これは練りに練った案である。だから、「二、三年」とは一九七〇年までということを頭に置いたのかどうか。ただ思いつきでウイズイン・ア・フュー・イヤーズということは、佐藤さんは英語はもう忘れちゃったろうから。通訳がいるのに、軽率にはできないんだから、七〇年ということを頭に入れておやりになったのかどうか。そういうことを。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) もう少し的確に、あるいは千九百何年と言うほうがはっきりするのかもしれませんが、森さんはよく事情を御承知のように、大統領の選挙の年でありますし、だから、非常に大きなコミットメントというものはなかなかやりにくい時期でもあったわけです。また、極東情勢も非常に不確定、不安定な事態であったので、何年ということは言える状態ではなかった。そんなら適当な表現は何がいいか。それは考えことばなんです、ひょっと出てきたものじゃないんです、ウイズイン・ア・フュー・イヤーズは。どういう表現がいいか私もいろいろ考えてみたのでありますが、また、これがあんまり先だということも、これは日本国民全体の希望にも合わないし、そうは言っても、もうすぐだということになれば、なかなかそういう客観情勢もない。まあ、だから、ウイズイン・ア・フュー・イヤーズというものは、松下さんなんか非常に英語の大家もおいでになりますが、どういうふうに考えるか。まあ、人によったら、「両」だから二年から四年くらいまでの間ではないかと言う人もおるんですが、まあ、二、三年、三、四年。五年、六年になると、ア・フュー・イヤーズということは使えぬですね。「両三年」ということじゃないでしょうが、まあ二、三、四くらいの間はやっぱりア・フユー・イヤーズの中に入るのじゃないか。これは何というんですか、何年かと言うことはむずかしいが、日本語では数年と、こう言っているんですが、その数年は何年か、こう問い詰められると、私ちょっとお答えに窮するんですが。
  48. 森元治郎

    ○森元治郎君 いまの御答弁で、十分考え抜いた表現だと思うんだが、もともと英語で考えたんじゃないんだから、日本語で考えてア・フュー・イヤーズになったんだから。その場合に、私の伺っているのは、七〇年というのはちょうど「両三年」ぐらいに当たるんですね。それ過ぎてもいいんだということはもともと本来のお考えにあったのかどうか。私は、七〇年までにめどをつけたいというお気持ちでおやりになったと思うんだがどうですかと聞いているんです。
  49. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 七〇年というものを頭に置いてはおりません。七〇年を置いて、そしてそれに合わすためにこういう表現を使ったのではないのであります。これは、できるだけ早く返還のめどをつけてもらいたい、できるだけ早くというこの気持ちをもう少し——それを、「できるだけ早く」と言うと何かばく然としておるので、もう少しワクを入れた考えはできないだろうかということが「両三年」ということばになり、それがウイズイン・ア・フュー・イヤーズということばになってきたと思います。
  50. 森元治郎

    ○森元治郎君 私は、どうしてもやっぱり七〇年ということが腹の底に無意識あるいは有意識的にあってそう言うべきだったと思うんですね。ところが、そういう先のことは考えてない、あるいは四年になるかもしれぬ、三年、四年になるかもしれぬというんでは、いやしくもトップレベルの話としては少したるんでいるという感じがするんです。  そこで、通訳はだれがやったのですか。アメリカ側の通訳も一緒に。
  51. 大河原良雄

    説明員大河原良雄君) 日本側の通訳は外務省の当時の島内調査官、アメリカ側はウィッケル大使館書記官であります。
  52. 森元治郎

    ○森元治郎君 これはジョンソン大統領総理とただ二人ですか。
  53. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そうです。そのとおりでございます。
  54. 森元治郎

    ○森元治郎君 何かこう、佐藤総理国会では高姿勢だけれども、百戦練磨のおっさんのところに行くと一方的にだけしゃべっておって、エンファサイズ——強調しただけで相手をつかめなかったというのは、ほんとうに残念だと思うんですがね。まあ、国際外交やってないから……。  そこで七〇年に関連するんですが、これは時事通信の「世界週報」に載っていたものを見たのですが、例の三月の下院の歳出委員会での討議、パスマン委員長のもとで質疑応答をやった中に、コヘランという代議士がラスク長官に質問をしておるんですが、ほかのものには載っていないのですが、これには載っているんで事実を伺います。コヘランというのが、日米安保条約更新の見通しについての見解はどうか。ラスク国務長官は答弁して、「一九七〇年に更新の決定が行なわれると思う。現在のところ、日米両国政府はこの条約が更新されるものと期待しているが、日本がその利益の点からみずから決定しなければならないことであり、われわれはこれに対する日本の態度を知りたいと思っている」と、こういうことが当日行なわれていたのかいないのか。あるいは別なときのやつをくっつけちゃったのか知らぬが、その事情を知りたいことと、「更新」ということは、これは原文ではこういう意味なのか。
  55. 大河原良雄

    説明員大河原良雄君) ただいま森先生御指摘ございました議事録には、その点公表された分にははっきり出ておりません。したがいまして、もう一回調べてみたいと思います。
  56. 森元治郎

    ○森元治郎君 七月に公表されたものにはこれは載ってないんですね。
  57. 大河原良雄

    説明員大河原良雄君) 私ただいま手元に議事録を持っておりませんので、はっきりした回答はできませんですから、もう一回調べてみたいと思います。
  58. 森元治郎

    ○森元治郎君 いやしくも外務省の専門家が、きょうは何の質問が出るだろうかぐらいのことはわかっているだろう、スナイダー、はやりだから、これに関するものはさっと答弁できるはずだ。持ってきてないなんて、たわけているよ。それでもって逃げちゃうんだから、国会なんか楽なものだよ。当然これはみんなが聞きたい言って、衆議院でもやり、予算委員会でもやるんですから、大臣、そのくらいのことは注意しておかなければだめですよ。  そこで、七〇年に政府としては何事かを発言しなければならないのですか。この条約上では「十年間効力を有す」とは書いてないんですね。だから、ずるい書き方で、「この条約が十年間効力を存続した後は」となって、ちょっと珍しい書き方なんですよ。これは七〇年に今度外務大臣の解釈では——政府では自動継続だそうですが——その場合に、一年前に両国で何か言うんですか。こういうラスク長官の発言などから見ますと、何か一言言わなくちゃならないと思うんですが、いかがでしょうか。
  59. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは条約上はあくまでも日本がものを言わなければならぬという性質のものではないです。したがって、日本は一年前に安保条約が終了したという通告はできるわけですから、そういうことはしないで、ということは、じっとしておればずっと継続していくわけですから、特に、条約発言しなければならぬというのではありませんけれども、こういう安全保障というような重大問題に対しては、条約上のいかんにかかわらず、政府はこういう考えでありますということを事前に国民の前に明らかにして、国民批判を受けることが政治の態度としては当然だと私は思います。条約上はものを言わなくてもいいのです。
  60. 森元治郎

    ○森元治郎君 そこで、これは私のサゼスチョンなんですが、日本ではレフェレンダム、プレビシット——国民投票という制度を活用するためにひとつ勉強したらどうか。この間のドゴールのあの大騒ぎのときに国民投票をやった。外国ではよくありますね。日本なら衆議院、参議院の国会の選挙を通じて、安保条約に対して国民はわが自民党を支持しているなどと佐藤さんはよく言うけれども、これは雲をつかむような話です。そうではなくて、具体的に一つの案件を取り上げて、そして国民の一人一人が、外交問題でも、あるいは財政問題でもいい、それに国民の意思を投じて、国政に直接参加する道という意味国民投票制度というのがあればいい。日本の場合は私は詳しくは知りませんが、裁判官の審査といいますかな、あれも国民投票ですが、あれだけではなくて、新たにこういう制度を活用する時期が来ているのではないか。よく総理大臣国民批判を受ける。態度を決定したあと国民批判を受ける。われわれ普通はこれは総選挙にかけるのかなといった感じがしますが、そういう場合に、国民の気持ちを吸い上げるのには国民投票というものをひとつ活用する、これを研究なされてはいかがかと思うのです。どうですか。
  61. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) このレフェレンダムの制度は憲法改正を伴ないます。憲法改正を伴なう。したがって、やはりこれは、この各国が国民投票によってその国民の意思を聞くという制度は、民主政治のもとにおいては、国民の端的な意思を聞く制度としては、非常によりよく国民の意思を聞き得る、早く短期間に正確に聞けるということで、非常に検討に値いする制度だと思いますけれども、憲法改正を伴ないますので、これはどうでしょう、与野党なんかで一緒に検討してみるのは。
  62. 森元治郎

    ○森元治郎君 それで、これは非常にむずかしい問題で議論が長くなりますが、簡単に言えば、参考的な投票もあるのです。これでずばりきめるのではないのもあるのです。国民意見を聞く、世論調査を聞くような国民投票のしかたもあるのです。実際問題として、なかなか問い方にも問題があるでしょうし、時期の問題もあるだろうし、いろいろな問題があると思いますが、国会の選挙はこれは間接的な国政参加ですからね。直接参加するという道なら国民投票がいいと思うのです。あなたはすぐ、憲法改正を伴なうとあっさり法解釈をおっしゃられたけれども、伴なわないでもやれるかどうかはこれまた研究すべきだと思うのですね。そういうことを、法制局あたりで、どういう意見に立っているか知らぬが、つくる方向に向けていけばこれはできるので、今だってほおかぶりで自衛隊をつくっているのですから、ほおかぶりで国民投票をやっても一向差しつかえないのです。(笑声)むろん、差しつかえないのですよ。これは「男は一度勝負する」というので、何か近くおもしろいことがあるようですが、(笑声)そういう人がこれを取り上げて国民の声を聞くということをやらなければ、それはだめだと思うのですね。その点は一つの問題点を国会の速記録に載せておくという線で御質問を申し上げたのです。
  63. 羽生三七

    羽生三七君 関連して。実はいまの問題は、この前の予算の総括のときに、日本では国民投票制がない。残念だが国民投票制がないので、何らかの形で沖繩返還の方式について、あるいは安保について国民の意思を問うたらどうかという質問佐藤総理にしたときに、佐藤総理は、安保については問う意思はないが、沖繩返還の方式については国民の意思を問うかどうか、私の胸中をその気持ちが去来しておると、こういう答弁でしたね。ですから、その形はいずれであれ、やはり何らかの形でそういう問題をひとつ検討してみてはどうか。ついでに憲法改正をこれ幸いとやられるのは困りますけれども、そうではなしに、そんなことをしなくても他の次善の処置がある。いまは各新聞社などの世論調査や内閣調査室の調査等がたよりになっているようですが、何らかの広範な形で国民動向をつかむ方法を考えられてはどうか。いまの森委員質問関連して。これは答弁要りません。
  64. 大和与一

    大和与一君 関連して。「両三年」というのにちょっとこだわるのですが、両三年というのは、日本語で言うのは、六年まではいくと思うのです。もしそうでなければ、ほんとうに相手と話をした場合に、英語の解釈、ことばは別として、向こうがどう解釈するかは別として、総理の言う両三年は何年ですかということを確かめておかないとはずいぶんいいかげんなものではないか。確かめていなければ、総理自分だけで考えておられる。だから、総理の腹三寸か五寸か、そこの中に入っておる、こういうことですか。外務大臣は、それは知らぬと、ずいぶん無責任な感じがするのですが、そこのところを伺いたい。
  65. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ア・フュー・イヤーズという中には、おのずから常識的な年限がある。それを一年とか、二年とか、三年とか、こうはっきり言ったほうが国民にもわかっていい面もあるのですが、こちらは願望を述べたんですからね。だから二、三年という意味。そうでないと、あの場合、何年という年限を限ってということは客観情勢が無理だと思う。やはり、ア・フュー・イヤーズということばでこれを大統領が受けておりますから、こっちが言ったといっても向こうが受けたことばがありますから、あまり何年と言い切るということであったら、こういうふうにウイズイン・ア・フュー・イヤーズということで先方もよくわかるということであのコミュニケはできたというわけで、これが何年何月と、何月とまでは言わなくても、何年までにめどをつけるという、こういうコミュニケであった場合には、コミュニケは両方が承認しなければできませんから、問題があったんではないかと思う。やはり、多少二、三年というようなことで不明確な点もあって、ああいうコミュニケになったんだと思います。
  66. 森元治郎

    ○森元治郎君 それは違うよ。だって、原文を見なさい。エンファサイズド——強調した。中学で習った英語では、強調した、です。エンファサイズド・ザ・ストロング・デザイア、これだけ言って、雲をつかむように何年かわからぬ。これはおかしい。私は問題の七〇年を頭に置かれて総理は話をされたと思うのですね。そうでなければ、それまでにたるんでおるから、ジョンソン大統領にもエンファサイズはしたものの、向こうにはぴんと来ないで、すぐ打って返して、極東基地のために沖繩は大事だということをイン・リターンで打ち返されておる。そこらを見ないから、向こうもコミットメントしないからコミュニケには載せられなかった。スナイダーの言うことはほんとうなんですよ。裏づけようと思ったが裏づけられない。新聞に出たものはぬるっとしたようなあなたの言うことを頭に置いて、共同的に継続的に検討しましょうと、あそこでは強い願望を強調したというくらいに大臣おっしゃるならば、向こうは絶対それに答えなければならぬように追い込まれると思うのですがね。だからそれはウイーク・デザイアになっておる。それでは、いつだってかまわないですから、急ぐことはないのだから、そこらが取り組みが弱いですね。スナイダーがほんとうなのは、コミュニケではそう言っていないと、そのとおりです。日本約束はとれなかった。そのとおりです。とれなかったが、おれが強調したらジョンソンさんも聞いていたと。何と答えたか。まさか黙っていないと思うので、そこを聞きたいと思いますが、これは外交機密だから聞けませんが、あなたも言わないと思うが、向こうは声をあげるはずです。音を出すはずです。音を出さずにじっとしていて、継続的に検討しよう、こうコミュニケに出ているんですね。コミュニケのつくり方を見ると、よく両方のやり方が目に見えるようですね。たるんでるですな、あんたのほうは。  そこで今度は、そういうことを言ったってしょうがないが、あなたは戸叶君のきのうの質問で、沖繩基地を取り返すことについては白紙だという、白紙問題で答弁していわく。いつまでもこっちで案を出さないで、だまっているわけじゃない、「ある段階にくれば、日本もこういう考えであると述べる時期がある。その時期は、いろいろな不確定な要素があるから、見通しをたて、落ち着いた環境の中で考えていくことが、政府の態度である」、この「落ちついた環境の中で考えていく」というのは、これは総裁選挙、日本では。アメリカでは大統領選挙。何を「落ちついた環境」と言うんですか。そんな環境なんか政治をやっている間はないんですよ、いつも戦いですから。
  67. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) その、不確定な要素が多いという中に、極東情勢というのがその中に入っております。まだ落ちついた情勢じゃない。極東情勢は落ちついた情勢ではないです。もう少し、ベトナムもせっかく和平会談が行なわれてるんですから、どういう形で収拾するかということも見きわめる必要があるでしょう。極東情勢も落ちついてないという意味で、これは総裁選挙とかいろんなことを言っているのではございません。
  68. 森元治郎

    ○森元治郎君 そうすると、「落ちついた環境」というのは、もっぱら外の環境——国際情勢極東情勢ということなんですか。「考えていくことが、政府の態度である」、あなたの答弁見ていて、これは全体の印象はけさのジャパン・タイムスにも書いてあったが、総理をバックアップしているというふうに書いてあるんですね。そうすると、私個人の考えはどうだとか、政府はどうだとか、使い分けがあるんですね。これはやっぱりしっくりいってないんだな、これは。ある場合には政府、これは私の個人の考えである、というような答弁があるんですね。これが非常に目につくんです。  そこで、もう一つ伺うのは、これは私の疑問ですから、説明してもらいたいと思うんですが、返還を求めますね。この返還についてはどういうことばが正しいんですか。沖繩返還、琉球諸島及び大東島の返還というか、あるいは略してあるいは代名詞で沖繩と言っているのか、沖繩返還といい、施政権返還といい、使い方はいろいろあるんですね。アメリカ側のステートメントみたいなコミュニケを見てもそうなんですね。いつでもこれは施政権返還ということであると思うんだが、どうですか。沖繩返還、施政権返還……。
  69. 大河原良雄

    説明員大河原良雄君) 「沖繩の施政権日本への返還」でございます。
  70. 森元治郎

    ○森元治郎君 それが正式だね。それで、今度沖繩を向こうから返してもらう。そうすると、返してもらうというときには、一応きれいに返してもらう。もとどおり、戦争に負ける前の状態の沖繩で返ってくる。相談してここに、たとえばかりに基地はどこどこにこれは与える。それは地位協定やなんかでやはりやるんだと、こういうことになるんですか。しょっぱなから、ある軍事基地、軍事施設は従来どおりアメリカの施政権下にあって、その他の地域は日本の施政権下に入る、こういう形になるんでしょうか。
  71. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういう分割返還考えていません。全体が返還される。
  72. 森元治郎

    ○森元治郎君 返還ですね。一応受け取って、向こうに貸さざるを得ないならそこから貸していくと、こういうことになるんですね。
  73. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうことです。
  74. 森元治郎

    ○森元治郎君 ありがとうございました。
  75. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 少し伺いたいことがございます。  今回ASPAC外務大臣が非常に御努力をなさって、たいへんに御苦労さまで、たいへんけっこうであったと思います。その意味は、日本がこのアジアの地域において平和をあくまで維持するために、あらゆる形で積極的な協力をするというその態度が非常に大切だと私は思っております。日本の場合は、何と申しましても、国の工業力の発達の状態から申しますと、客観的に見て、ASPACに参加している国あるいはしない国をも含めまして、非常に強力な指導力を持った立場に立ち得ると考えますけれども、戦前のいろいろな問題もございますから、そういうような態度ではなくて、あくまでも同じ水平線に立って協力を惜しまない、そうしてできるだけの貢献をする、それが日本の使命である、こういうような立場から大臣は御協力をなさっていらっしゃると私は理解いたしますので、たいへんけっこうだと思うわけでございます。そうして私は、その指導のやはり少し先を見通しての東南アジアのほんとうの平和ということと、経済的な将来の発展と、そうして現在あるところの貧困とか無知とか、こうしたものを少しでも早く追放するにはどうしたらよいか、こういうような面はもう少し具体的にいろいろと次の機会には大臣から発言をしていただきたい、私はこのように思います。その意味では、いままでも漁業、農業の開発について基金をおつくりになったり、そのほかの技術指導もなさったり、それはたいへんけっこうだと思います。私は、そのときに、いつもいまのアジアの人口の問題にもっともっと日本外交としてはこれを重要視していただきたいということを前二、三回この委員会においても大臣に申し上げております。大臣はいつもそれに対して、私の申し上げたことについて大体賛成をしていてくださいます。ただ、私が具体的にどのように御協力くださるかということを申し上げますと、それは、人口問題は非常にデリケートである、その解決は家族計画にたよるというようなことになればなおさらデリケートなことであるから、日本からそれに対してイニシアチブをとるようなことはできないんだ、向こうから呼びかけられたときに初めてこちらもいろいろ考えなければならない、こういうような御答弁であったと思います。これも一応ごもっともなことだと思いますけれども、情勢はだんだんに推移いたしてまいりまして、現段階におきましては、日本がもっともっと人口問題に対してこれを重要視していいのだ、そうしてその解決についても、具体的にいろいろ考えなければならないのだというようなところまで現在は進んでいると思うのでございますけれども、どうもまだ外務当局ではそこまでの御認識があまり一般にないのではないかということを私は心配いたします。現にこの前私の質問に対しましたときに、向こうから呼びかけてくれば何とか言うけれども、みずから、おまえの国はあまり人口が多過ぎる、子供を生み過ぎるぞというようなことは言えないとおっしゃって、向こうから呼びかけてくればとおっしゃったんですが、インドネシアにつきましては、協力を要請されたときには——大臣は御存じないことなんですけれども、非常に下部機構においてすげなくそれを断わってしまった。これにつきまして大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  76. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そのインドネシアのことは調べてみます。  人口問題、確かに人口が三%近くもふえている国が多いわけですから、食糧問題というのは大問題だと思います。アジアにおける食糧問題は大問題だと思います。それで、積極的な農業開発によって食糧の増産も必要ですけれども、やはり人口という問題も一つの家族計画のような考え方が必要であるというように指摘もされ、各国の政府もみずから取り上げようとしているわけですね。そういうことで、私はやはり各国の政府からそういう点で日本に対して寄与してほしいという申し出があれば、日本の財政の許す限りで援助すべきであるという考えです、この問題は。ただしかし、各国の政府から何も言わないのに、日本政府がある団体——加藤さんが主宰されるような団体が、そういう一つの啓蒙運動の形で国際的に活動されるということは、私は非常に意義があると思います。政府自身が、向こうの政府から何ら要請がないのに、その国の人口問題というものに政府が乗り出していく、人口問題の解決に乗り出していくということは、ちょっと抵抗を感じさすものがあるのではないか。そういうことで、やはり政府は他国の政府の計画にできるだけ協力していこうということで今後も臨みたい。こっちのほうからは、君のほうは食糧と人口がアンバランスで少し家族計画やったらどうかということをこちらからイニシアチブをとるということも、どうも適当でないという感じがするので、むしろ、政府よりも民間ベースで何かそういう運動が国際的な運動として起こるならばそのほうが適当ではないかという感じがいたします。
  77. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 政府がいろいろ人口問題について指導すると申しましても、そういうことは具体的にできることではございませんから、それはいま大臣が申されますように、私ども国際的なこういう団体が、その仕事を民間ベースでやるということが適当でございますけれども、それをするにつけても、その国の外務当局がそれに対してやはり非常な高い関心を持っていてくださいませんと、これはなかなかできにくいことでございます。また予算も必要といたしますので、何かの形で予算が取れるときにはやはり取るというような、そういう積極的な態度も持っていただきたい。これは、ほかのアメリカ、英国、スウェーデンその他の国々がみんな先進国としてこうしたたくさんのお金を国の予算として取っておりますので、やはり日本としてもそういうような立場をいまはとるべきではないか。ことに南北問題に対しての日本の援助の声明もございますから、これをとりましてもこれはりっぱなことだと私は思いますので、外務当局としてはもう少し認識を高めて、民間団体をもっと奨励する、助成するというような意味でもけっこうでございますから、もう少しこれは関心を持たなければならないことだという、そうした態度をとっていただきたい。ことに一昨年十二月のコロンボ会議のときには正式に家族計画援助の声明をお出しになって、そうして国連からまたそうした声明を出したときに佐藤総理大臣はそれに署名をなさっていらっしゃるのでございますから、このこともどうぞお忘れにならないで積極的な態度をお持ちになっていただきたい。こういうことをもう一度大臣からはっきりおっしゃっていただきたいのでございます。
  78. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 加藤さん御指摘のようにこの問題は重要な問題でございますので、日本政府としても財政の許す範囲内で協力をいたします。
  79. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私は、この特別国会の会期が非常に短いので、こういうような外務委員会が開かれて大臣に直接いろいろ御所見を伺う時間があるかどうかわからないと考えましたので、書面による質問書、「低開発諸国に対する家族計画援助問題に関する質問主意書」というものを、これを出してございます。これは当然外務当局のほうに回ってまいるような性質のものだと考えますので、どうぞこの機会に十分皆さまに認識をお持ちになっていただいて、いろいろと御協力をするような態度であっていただきたい、このことを強く要望いたしまして私の質問を終わります。
  80. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  81. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 請願第六七号、一九七〇年に日米安全保障条約終了通告をすることに関する請願外一件を議題といたします。  まず、専門員から請願の趣旨について説明を聴取いたします。瓜生専門員。
  82. 瓜生復男

    ○専門員(瓜生復男君) 本委員会に付託されました請願は二件でございます。  六七号は、政府が、安保条約第十条の規定により、一九七〇年六月二十三日以後すみやかに条約終了通告を行なうよう要求するものであります。  一四五号は、在日朝鮮公民の帰国に関するものでありまして、国際法と人道主義の諸原則在日朝鮮公民の歴史的事情に照らして、帰国船の入港を認めるとともに、赤十字会談を即時再開し、帰国事業が従来どおり保障されるよう適切な措置を直ちに講じられるよう要望するものでございます。  以上で説明を終わります。
  83. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記とめてください。   〔速記中止〕
  84. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記つけてください。  それでは、請願第六七号外一件はいずれも保留すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  86. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  国際情勢等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  89. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  国際情勢等に関する調査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等につきましても、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十三分散会      —————・—————