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岡澤委員 時間がございませんので、多くを論じられないのでございますけれども、緊急重大、たとえば、すでにある大学では、大
学生の行為と目される事実によって
警察官の命が失われておる。あるいは読売
新聞の記者が取材に関連して暴行を受けた。ある
意味で、私はきわめて緊急重大という解釈も――たとえば言論の自由が侵される、国家権力が侮辱される、あるいは死者まで出す。なくなられた
警察官にとっては、私は最大の、これ以上大きな問題はないと思われるくらいの
事案だと
考えてもいいと思うのでありますが、そういうようなケースが現に続発いたしておりまするし、しかもそれに対する
捜査その他は、
一般の地域における
犯罪とは全く違った取り扱いがなされておる。
先ほど、治外法権でないとおっしゃいましたが、現実の取り扱いはまさに治外法権的な様相を呈しております。私が
心配いたしますのは、もちろん学問の自由は何よりも尊重いたしたい。これは憲法上の要請ではございますけれども、これを拡大解釈して、単に大
学生であるがために、あるいは大学構内で起こった問題であるがために、通常の
犯罪――私の聞きましたところでは、現に学校内部で窃盗
事件が起こったり、あるいは
学生間自体で組織暴力的な行為が行なわれておるという事実があっても、結局それは救済もされないし、また法の制裁もない。こういう
状態は、私は
法務大臣のお
ことばとはうらはらに、治外法権的な特権をあたかも認めたかのような態度を
検察当局、
捜査当局が持っておられるというようなことを
心配いたすものでございますし、また
先ほどの、
大臣が
検察長官会同でおっしゃった、
法秩序を確保し、社会不安を一掃する責任を持つということについて私どもはほんとうに疑問を持つのでございます。時間の
関係でこの
質問はこの程度にいたしますけれども、ぜひ文部
大臣あるいは総理
大臣等とも――この
学生問題につきましては、
治安対策からだけではもちろん解決する問題ではございませんけれども、ぜひひとつ
法秩序の
最高責任者としての善処をお願いいたしたいと思います。
最後の
質問でございますけれども、御
承知のとおり、去る十月二十五日に八海
事件の最終判決がございました。十七年九カ月という記録的な裁判
経過をたどった
事件でございました。私は、この問題につきましては、いろいろ論ずべき点があろうと思いますけれども、この際、時間の
関係もありまして、ここですべての答弁を得ようとは思いませんけれども、この問題点の多い
事件によって、
裁判所は何を反省をし、また法務省あるいは
検察当局は何を自戒すべきかというような点をぜひお互いに謙虚に検討していただいて、この裁判が将来に向かって意義があったといわれる方向で解決するしか道がないのではないか。憲法三十七条第一項の「すべて刑事
事件においては、被告人は、公平な
裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」――ここで問答を繰り返す必要はございませんけれども、どう
考えましても、十七年をこえる裁判が迅速な裁判という解釈は成り立たないと思いますし、公平な
裁判所という点につきましても、
最高裁だけでも三回ですが、前二回はいずれも原判決破棄、差し戻しではございますけれども、破棄、差し戻しの内容は全く違います。第三回目は無罪でございますので、この
事件を判断をされる同一
裁判所が異なる判断を重ねられる。これもやはり公平な
裁判所という
国民のイメージをぶちこわすものではないかというように感じますし、あるいは公判中に大事な証拠書類が紛失する、証拠品が紛失するというような
事態も起こっております。あるいはまた問題の吉岡上申書が広島の刑務所で握りつぶされようとしたというようなケースもございます。また私は、やはりこの裁判の結果的な議論になるかもしれませんけれども、
経過をたどってまいりますと、いわゆる初動
捜査の不備あるいは起訴に無理がなかったか。公判上もあるいは
捜査上もいろいろな問題点を含んでおると
考えるわけでございます。もし現在の
時点で、
検察の立場から、この
事件について御意見があればお聞かせをいただきたいし、もしまだまとまっていないということでございましたら、ぜひ次の法務
委員会までに――この
事件を含めまして、たとえばこの種の純然たる刑事
事件ではございませんけれども、いわゆる長期裁判として問題になりました各種の
事件がいずれも無罪に終わっておるというような点を
考えていただきましても、やはり長期裁判の弊害といいますか、問題点、これを特に
検察当局としては、無罪をたくさん出された原因がどこにあるかというような点も含めて、
国民に
検察の立場をこの際明らかにしていただく。刑事訴訟法に不備があるのか、あるいは
捜査機関のあり方に、あるいは
捜査機関の持つ
捜査能力に限界があるのか、そういう問題も含めまして、ぜひこの際
国民に対して納得のいくような御説明が当局からあってしかるべきではないか。そういう点から、
最高裁がお見えでございましたら、
最高裁の立場から、ぜひこの問題を契機にして起こりました裁判
批判の問題も含めまして、長期裁判、公判のあり方等について御見解を、そうしてまた法務省当局からは、
先ほど申しました初動
捜査あるいは起訴の適否の問題、あるいは長期裁判がいずれも無罪になったという点を含めて
お答えをいただきたい。ことに裁判
批判につきましては、前々長官の御発言もございましたけれども、結局あれだけ世論を喚起し裁判
批判があればこそ、結果として無罪判決がなされたというような
国民の感情も私は無視できないと思うのです。大騒ぎをしなければおそらく死刑が確定したであろうというようなことを
考えますと、園長としては何か割り切れないものを持つのも当然かというふうな感じもいたしますので、そういう点から、きょうの段階で
お答えいただけることがあれば
お答えいただき、なければ次回の法務
委員会でぜひ、いま申しましたような問題点についてまとめた御答弁をいただきたいと思います。