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灘尾国務大臣 科学研究費の配分について、昨年来学術
会議との間にいろいろやりとりがありましたことは、先ほど申し上げましたとおりでございます。残念ながら、私
どもの配分方法の
改善と
考えております点につきまして、本年は学術
会議の同意を得るに至らなかった、そしてわれわれの希望するように
委員の推薦もしていただけなかった。こういうことから、今回は
文部省が各方面と御相談をいたしまして審査
委員をお願いして、そうして
事務を処理した、こういう経過でございます。願わくは明年度におきましては、学術
会議がわれわれのほんとうに意図しておるところを十分に御了解願って御協力願いたいものだ、そのように
考えております。
ただ、これはざっくばらんに私は申し上げたいと思うのでありますが、いま二、三の研究グループから補助金の辞退ということが出ております。これはいかにも残念なことだと思っております。せっかく申請書をお出しになっていらっしゃる。それに対して、不十分かもしれませんけれ
ども、とにかく補助金を出すことにした。これに対して辞退をせられるその
考え方というものが、どうも
委員の選考方法に不満があるというところにあるように見受けられます。これはただ単にそれらの
方々だけの問題ではないと私は思います。その点について
日本学術
会議と私
どもとの間に、ものの
考え方に若干の相違があるというところから胚胎しておるのではないかと思います。それさえなければ学術
会議はもちろん御協力いただけるものと思います。
その要点はどこにあるのかということを
考えますときに、この科学研究費の配分という仕事が
日本学術
会議の仕事である、
日本学術
会議がこれを配分する主体である、そのような
考え方を今日持っていらっしゃる方が
日本学術
会議の中に支配的な
空気になってきておったために、いまのような事態が生じてきたのではないかと思うのであります。私
ども、もちろんおっしゃるとおりに——くちばしを出そうなんということは毛頭
考えておりません。それぞれ専門の
方々の公平な慎重な
検討の結果、これを尊重して私
どもやってまいりたい、こう思っておるわけでございますけれ
ども、しかし、あくまでもこの科学研究費というものは
文部省が配分すべきものでございます。私自身にわからぬとしましても、終局の
責任は私の
責任においてなすべきことであります。この筋道だけはあくまでも立てていただきたいと思うのであります。それがあたかも
日本学術
会議の当然なすべき仕事であるかのごとく何か錯覚でも起こしていらっしゃるのではないかと思いますけれ
ども、そういう
考え方のもとに
文部省の
考え方に対して賛成をしていただけないということは、私は筋道から申しましていかにも受け取りかねる
考え方ではないかと思うのであります。
日本学術
会議につきましては、もとよりその組織が設置せられました趣旨から申しましても、
政府としてこれを尊重するのは当然のことでありまして、十分尊重し、また従来もいろいろな問題について貴重な
意見もいただいております。また、それに従って私
どもやっておることもございます。尊重すべきは当然でございます。けれ
ども、
責任の所在を明確にする必要は私はあろうと思う。そこらの点に何かお
考え違いがあるのじゃなかろうかというふうなこともございますので、こういうふうな点については、私はこれは筋道の問題である、筋道の問題だけは正しておきたい、そのような趣旨で今後もよく
お話はしたいと思っておりますけれ
ども、願わくは、私
どもがただ政治的に科学研究費を支配するとかなんとか、そんな
考えは毛頭ございません。ございませんけれ
ども、しかし学術
会議は
責任の主体ではないのでありますから、そこがみずからが、これはおれ
たちがかってに配るべき科学研究費であるということで
考えていらっしゃるとすれば、たいへんな
考え違いであるというふうに私は思うのでありまして、そういう筋を正してまいりたいというのが私
どもの
考え方でございます。学術
会議がよくその点を御了解になって御協力を願えれば幸いである、かように
考えております。