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武部委員 それではこの問題はまたの機会にいたしたいと思います。
公正取引委員会に最後にお
伺いをいたしたいのであります。
再販
価格の問題でいろいろ
論議がなされました。本年の初め、具体的には二月二十二日、
公正取引委員会は新法の制定を見送った、その当時に公式
見解を発表されました。その公式
見解の一とか二とかございますが、その一の中に「再販行為は流通
段階における不当な
価格拘束を通じて、
小売り価格の硬直化をもたらし、
消費者物価の下支えの一因となるばかりでなく、
消費者の利益を無視した流通
段階におけるゆがめられた競争をもたらす要因となり、公正な競争を阻害するという弊害が顕著となってきている。」これが公式
見解の第一項であります。その後、
委員長は当
委員会で、現行法の運用を強化することによってその弊害を除去することができる、そのために品目を減らすための洗い直し作業等をやっておる、しばしばこういう言明がございました。あとで私は申し上げますが、この再販行為が
現実にこういう具体的な弊害を持っておるという事実を
一つ申し上げますので、直ちにここで答弁ができないかもしれませんが、その点は
調査をして報告をしていただきたいと思います。
神戸のある医薬品
小売り業者、
名前を言ってもいいですが、チラシを
消費者に配りました。そのチラシは「
消費者の皆様に訴える!」というチラシでありまして、これは製薬会社ははっきり載っておりますから申し上げますが、「特にSS製薬商品お買上げの皆様に」というチラシであります。その全文は、「SS製薬は近年、
公正取引委員会にウソの原価の届出をなし(リベートを小売店に出したり割増し商品を大量に添附したりしている為本当の原価は届出の値段より大変安い)不当に高い利益の確保の為、私的猶占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(第二十四条の二第一項)を悪用し、
消費者並びに
公正取引委員会を欺まんしております。その上もし小売店が安く売ればその店に対し出荷を停止したり、在庫品を差し押えたり個人の財産まで侵害する等の暴挙を敢えてまでして、
価格の吊り上げを強制致しております。
消費者の皆様だまされないよう値段を監視致しましょう! 参考に当店のSS製薬の仕入
価格を差し上げます。」こういうことがずっと書いてありまして、そうして商品名がここに五つ書いてあります。原価が四十六円のものを再販で百円、これはリベートを加算しております。百十六円のものが二百五十円、あるいは七十七円のものが百八十円、こういうチラシを
消費者に配っておる。
そこでお聞きをいたしたいのは、このSS製薬の商品、あとで
名前を申し上げますが、このリベート、割り増し計算後の卸原価、これを
公正取引委員会にどのような
金額で届け出をしておるか、再販の
金額は幾らなのか、これをぜひお
伺いをしたい。
もう一点の
資料は、確実な
資料として申し上げます。ちょっと語弊がありますので
名前は言いません。A社の本年の下期の販売要領でりますが、この百二十錠のある錠剤、
小売り価格は千四百円、卸
価格八百四十円、現品添付三五%、特別報償、八%、したがって正味の卸
価格は五百五十五円であります。これは三九・六%の卸
価格、それを千四百円で売っておる。なおこの会社は、五十万円のある薬を買った場合に海外旅行、東南アジア七泊八日参加の景品もつけておる。行かない人は三〇%、十五万円のリベートを出す。しかし、行けば一人が二十三万円から二十五万円費用がかかるんだから、行ったほうが得ですぞということをつけ加えて書いてある。こういう事実があります。
もう
一つB社。これは総合ビタミン剤、
小売り価格は千九百円、卸
価格は千三百三十円。ところが現品百に対して現品おまけの数量は同じように百。百買ったら百のおまけがついておる。そこで正味卸
価格は六百六十五円になります。正味仕入れ
価格は三五%です。三五%、六百六十五円で買って千九百円で売っておる再販
価格があります。
こういうものがまだたくさんあります。少なくとも再販の精神というものは、
委員長や
事務局長がたびたび当
委員会でお述べになったように、あのような精神のもとに行なわておるはずであります。ところか洗い直しをするとか——高級の化粧品についてはいま私、申し上げません。きょうは医薬品だけ申し上げますが、一体このような弊害はあなた
たちのおっしゃっておる公式
見解の第一の項に該当するのでありますか。こういう事実を
御存じでありますか。