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1968-10-25 第59回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年十月二十五日(金曜日) 午後一時四十一分
開議
出席委員
委員長
八百板
正君
理事
小笠
公韶君
理事
砂田
重民君
理事
竹内 黎一君
理事
唐橋 東君
理事
武部
文君 青木 正久君 木野 晴夫君 坂村
吉正
君 山下 元利君 木原 実君
戸叶
里子君
有島
重武君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
経済企画庁長
官)
宮澤
喜一君
委員外
の
出席者
公正取引委員会
事務局取引部長
吉田
文剛
君
経済企画庁国民
生活局長
八塚 陽介君
経済企画庁国民
生活局参事官
小島 英敏君
国税庁長官
亀徳
正之君
厚生省環境衛生
局食品衛生課長
野津 聖君
厚生省環境衛生
局食品化学課長
小高
愛親
君
農林省農林経済
局長
亀長
友義君
農林省畜産局参
事官
平松甲子雄
君
通商産業省企業
局商務
第一
課長
小山 実君
通商産業省重工
業局電機通信機
課長
久留 義雄君 ───────────── 十月二十五日
委員大野潔
君辞任につき、その補欠として
有島
重武君が
議長
の指名で
委員
に選任された。 ───────────── 本日の
会議
に付した案件
物価問題等
に関する件
派遣委員
からの
報告聴取
────◇─────
八百板正
1
○
八百板委員長
これより
会議
を開きます。 この際、去る九月、
物価問題等
に関する
実情調査
のため、
長崎
県及び
熊本
県に派遣せられました
派遣委員
の
報告
を聴取することといたします。
武部文
君。
武部文
2
○
武部委員
物価問題等
の
実情調査
のため、議長の承認を得て先般当
委員会
より派遣せられました
派遣委員
といたしまして、長崎県及び熊本県における調査の概要を御報告いたします。
派遣委員
は、
砂田重民
君外四名であり、他に
地元選出議員
の御参加を得まして、長崎県及び熊本県の
物価問題等
の実情について、つぶさに調査をいたしてまいったのであります。 まず長崎県につきましては、九月五日早朝より
長崎魚市場
及び長崎市
設卸売市場
を視察後、県庁にて
消費者行政
の実情について説明を聴取し、引き続き
消費者代表
との懇談を行ない、次に翌六日、熊本県におきまして、やはり早朝より
熊本総合市場
を視察後、酪農、
肉用牛
及び
草地改良事業等
に関して、
県畜産試験場
、
農林省熊本種畜牧場阿蘇支場及び北山酪農組合牧場
を視察いたしてまいった次第であります。 以下順を追ってその概要を申し述べたいと存じます。 まず、
長崎魚市場
について申し上げます。本市場は、代表的な
産地市場
で、長崎駅構内に
道路一つ
を隔てたところに位置し、
開設者
は長崎県、
卸売り人
は
長崎魚市株式会社
であります。本市場は、業界の強化と
水揚げ率
の急増に対処するため、県が
漁港修築事業
により、中の島に約二万平方メートルの
埋め立て地造成
を計画し、新
魚市場
の建設に着手し、昭和三十一年、
中の島突堤
の完成に引き続き、
市場施設
の建設を進め、昭和三十三年八月、県みずからが
開設者
となり、昭和二十三年六月に設立された
長崎魚市株式会社
を
卸売り人
として新発足し、昭和三十九年四月
長崎魚市場条例
を制定し、本条例に基づいて運営されております。
仲買い人
は、現在、
発送仲買い人
、地元売り
仲買い人
、
加工仲買い人
を合わせて百四十七人で、そのほか運送業、製氷、製箱、労務等の業務を円滑にするため、これを
付属営業人
とし、市場内での営業を許可いたしております。
水揚げ高
につきましては、四十二年度、遠洋底びき等で十五万トン、アジ、サバを主とする青物のまき網、小網等で七万二千トン、近海もの一万三千トン、合計二十三万五千トン、百八十九億二千九百万円であり、長崎県の総
水揚げ量
五十四万トンの約四六%を占めております。
仕向け地別出荷数量
については、京阪神を主として、四十二年度、大阪府に二万九千トン、兵庫県に一万八千トン、愛知県に一万五千トン、東京都に一万四千トン等、十五都府県に合計十六万七千五百トンであり、県外に
水揚げ高
の約七〇%を出荷いたしております。 なお、その輸送につきましては、
冷凍車
を主とする
貨車輸送
が七〇%、
トラック輸送
が三〇%を占めております。ちなみに輸送に要する時間を申し上げますと、たとえば、東京には貨車によりますと特急で約二十七時間、急行で五十一時間、
トラック
によりますと三十六時間で直送いたしておるとのことであります。 本市場の視察の当日は、特に入荷量の少ない日とのことでしたが、その鮮度の高いこと、接岸船から直ちに行なわれる選別、計量、
箱詰め作業
及びスラットコンベヤーによる
冷凍車
への
積み込み作業等
から、さすが
生産地
の市場であるとの感を深めた次第であります。 なお、長崎県からは、漁船の大型化並びに
水揚げ高
の増加により、
接岸水深
及び岸壁の不足と
荷さばき所
の狭隘を来たし、さらに車両の増加による
市場内外
の
道路幅員
と
駐車場
の不足によって、
市場業務
の停滞を来たしている実情から、第四次
漁港整備計画
による
長崎漁港尾上岸壁
及び
荷さばき用地建設
の
早期実現
について御尽力をお願いするとともに、
当該用地
に建設する
荷さばき施設
についても
国庫補助
の対象とされるよう願いたいとの要望が述べられました。 次に、長崎市
設卸売市場
について申し上げます。本市場は、蔬菜及び果実の
卸売り市場
で、
長崎魚市場
に隣接し、海を背にして、
魚市場
に通ずる道路に沿った幅約三十メートル、長さ約二百メートルの細長い市場であります。
敷地面積
は、
蔬菜売り場
二千百六十平方メートル、
果実売り場
千七百二十八平方メートルと、東西の
駐車場
を合わせまして、四千六百平方メートルであり、
有効売り場面積
は、仲買い店舗を除いた二千六百八十平方メートルと、
売り場狭隘
のため
売り場
として使用している
駐車場
並びに
道路面積
を合わせて約四千三百三十平方メートルであります。 本市場は昭和三十四年九月
都市計画
に基づき、旧魚市を市が買取の上開設し、ここへ移転したものであります。
卸売り人
は、蔬菜を主とする
長崎青果
、
長崎天満青果
、
長崎丸協青果
と、果実を主とする
丸富青果
、
文長青果
の五
株式会社
であり、年間総
売り上げ高
は七万三千三百五十トン、三十九億六千万円でありまして、野菜につきましては県内産が五九%、県外産が四一%であり、果実につきましては県内産が四〇%、県外産が五九%、
転送入荷
が一%となっております。 視察いたしましたところでは、何としても
売り場面積
の狭隘を感じた次第であります。
卸売り代表
からの要望としては、移転当初より逐年の
取り扱い量
の増加に伴う現在の狭隘の実情にかんがみ、
市民食生活
上欠くべからざる
青果物価格
の安定と、その確保のため、現市場の整備、拡張について御援助願いたいとのことでありました。 なお、長崎の
魚市場
及び
青果市場
とも、その拡張につきましては同一場所を希望いたしております現状からいたしまして、本問題の解決には県と市との調整が第一の課題であると思われましたので、この点を申し添えます。 次に、
長崎県庁
における
消費者行政
の
事情聴取
並びに
消費者代表
との懇談について申し述べます。 長崎県
消費者行政
の概要につきましては、昭和三十八年四月、
消費者行政
を含め、広く
生活行政
の必要性を認め、他の
都道府県
に先がけて、文化と生活を組み合わせた
文生課
を当時の
企画室
に設け、
消費者保護
、
消費者教育
、
物価対策
の三本の柱を立て、当面の
消費者行政
は対話の行政であるとの認識のもとに、離島の多いこと、深い入江、海に迫る山と谷に開けた耕地等の
地域的特性
を考慮しつつ、各地で
消費者
の声を聞く会、
消費者問題地域別懇談会
、
買いもの座談会
などを進め、五島、壱岐、対馬等五カ所に
消費生活相談所
の看板を掲げて窓口を開くとともに、
移動消費生活相談所
を適時開設して住民との対話を行ない、
消費者
の声を行政に反映させるようつとめ、同年十二月には、
文生課
と新
生活運動推進連盟本部
が共同して月刊「
消費生活
」第一号の発行を見、現在すでに五十号をこえ、
発行部数
六千部となっております。 次いで四十年、長崎県
消費生活懇談会
を発足させるとともに、新
生活運動推進連盟本部
は、その名称を長崎県豊かな
生活創造運動協議会
と改め、この協議会が
生活学校運動
を始めたのであります。 この
生活学校
は、三十八年以降
消費生活行政
の一環として実施してきた
消費者
と行政、業界との
意見交換会
が移行発展したもので、当初は、長崎に三校、佐世保に二校開校いたしましたが、現在三十一校を数えるほどに発展いたしております。 四十一年四月より
企画室
を企画部と改め、
内部機構
の充実をはかり、新しい業務として
特定地域生活向上対策事業
を開始いたしたのであります。 四十二年におきましては、県民の関心を高めることに重点を置き、長崎県
生活者大会
、
消費生活展
、一日
公正取引委員会
、
牛乳問題懇談会
などを開催するとともに、
消費生活モニター制度
を取り入れたのであります。 また今年四月には、
技術革新
の進展と
大量生産方式
の一般化に伴う
販売競争
に対処するための
消費者
の強い要望に応じて、
買いもの相談
、
商品テスト
、展示などの機能をあわせ持った
生活科学室
を設けております。 以上が過去五年間の長崎県
生活行政
の概略でありますが、県民の
消費者意識
の高揚と
生活行政
への関心にこたえるためにも、
生活行政推進
の目標を、一、
消費者保護
、
消費者教育
を中心とする
消費生活対策
の推進、二、低
所得地域
の
生活意識
の向上と
健康管理
を中心とする
特定地域対策
の推進、三、
生活学校
、
村づくり
、
職場づくり
、
環境づくり
の四つの運動を進める豊かな
生活創造運動
の推進の三点に置き、施策を進めているとのことであります。 なお、
県当局
から、本年五月の
消費者保護基本法
の制定と相まって、
消費者保護
については、
消費者
の安全を確保するため、
監視体制
の一そうの強化を進めるとともに、
消費者教育
についても、
学校教育
の中に商品の
基礎知識等
を大幅に取り入れるとともに、
都道府県
の行なう
消費者教育
の推進に必要な制度や施設の充実について、格段の御配慮をお願いしたいとの要望がありました。 次に、
消費者代表
との懇談の概略について申し上げます。 御出席になりました代表の方々は、長崎市あるいは佐世保市からお集まりいただいた方々で、いずれも
生活学校
の
代表者
の方々十四名であり、約一時間にわたり十三名の方々から一人一
問題づつ
、問題によっては具体的に商品を提示するなど、非常にきめのこまかい、しかも活発な意見及び要望が述べられたのであります。 概略を列記して申し上げますと、 一、
食管制度
の再検討、古米の
取り扱い問題等
について、
一般消費者
が納得するような解決をはかるとともに、
消費者米価
の
値上がり
はこれを抑制すべきである。 二、本県は鮮魚の
生産県
でありながら、その
小売り価格
は、必ずしも安くなく、特に天災の場合には価格の上昇も見られる実情にあるので、安くかつ多量の鮮魚が供給されるようにしていただきたい。 三、食肉の
安定供給
をはかり、価格の安定をはかっていただきたい。 四、離島、辺地の多い本県の
特殊事情
が一原因となり、長崎県の
LPガス小売り価格
は
全国水準
より高くなっているので、
家計負担軽減
の見地から格別の配慮を願いたい。 五、電力の
公共的性格
にかんがみ、
課税方法
の改善等による全国的な
価格調整
をはかり、他地区と比較して割り高となっている
九州地区
の
電力料金
の引き下げに尽力されたい。 六、メートル法の
完全実施
並びに
量目不足
の
勧告公表
の実施等、計量の適正化を進められたい。 七、
再販価格維持契約制度
の現状は、
末端価格
を硬直させ、
消費者
に不当な
経済負担
をかけているので、本制度の
早期撤廃
をお願いしたい。 八、
生活物資
の正しい表示を確保するととも に、不必要な
外国文字
を排し、たとえば
日本文字
による商品名を考案するなど、指導にあたって配慮してほしい。 九、技術、経験の差を考慮せず、
最低料金
のみを定めている現在の
理美容料金認可制度
については、サービスの低下、料金の安易な引き上げなどの弊害が見られるので、
消費者保護
の立場から再検討されたい。 十、一日最低七十種類にも及ぶ
食品添加物
を摂取している現状にかんがみ、
監視体制
の強化、
有害食品添加物
の排除をお願いしたい。 十一、特に野菜、果物に付着し残留する農薬が
消費者
の不安を招いている実情から、農薬の
利用制限
など、取り締まりの強化をはかられたい。 十二、近年の
社会経済事情
の変化に伴い、国民の
福祉増進
の見地から公害の
抜本的対策
をはかられたい。 十三、
消費者保護基本法
及び決議における
自主的活動促進
の趣旨に沿って、
関連施策
の強化とともに生活協同組合の健全な育成について格段の配慮をお願いしたい。 以上でありました。 これら各問題につきましては、各
派遣委員
よりそれぞれの立場から、国会における
関係論議
並びにその経過、考え方、及び姿勢あるいは感想等が述べられた次第であります。 次に、熊本県について申し述べます。 まず、
熊本総合卸売市場
について申し上げます。本
卸売市場
は、
消費地市場
でありますが、その特色といたしましては、自県のみならず他県にまでわたる
流通機構
をかかえているにもかかわらず、市場の用地、催物並びに隣接して設置されている鮮魚、
塩干物等
の
問屋団地
までの一切が民営で建設、運営され、その
取引内容
及び
取り扱い量
を見ますと、ほとんど
中央卸売市場
に匹敵するものと言っても過言でないものであります。
魚市場
の
開設者
は
株式会社熊本魚市場
で、
卸売り人
は
熊本魚株式会社
と
大海水産株式会社
であり、
仲買い人
七十七人と、六十三人の
売買参加人
が置かれております。
敷地面積
は約四万五千平方メートルで、そのうち
鮮魚卸売り場
は四千八十平方メートル、仲買い
売り場
は二千二百八十平方メートルであります。 昭和四十二年度の
取り扱い高
は約四万一千五百一トン、五十七億五千八百万円に及んでおり、昭和三十五年の
売り上げ高
二十一億三千三百万円を一〇〇とした場合、その二七〇%となっております。 なお、運営は県条例に従って行なわれておるとのことであります。 販路は、熊本全県下に及ぶとともに、福岡県大牟田、久留米、大分県竹田市近郊、宮崎県高千穂、鹿児島県出水市近郊に及んでいるとのことでありました。 われわれが
魚市場
を視察いたしましたときは、すでにせりが済んだ後でありましたが、
仲買い人売り場
におきまして、ちょうど
調理作業
が行なわれており、
仲買い人
の持つ役割りというものを実感をもって見ることができた次第であります。 次に、
青果市場
について申し上げますと、
開設者
、
卸売り人とも
に、熊本大同
青果株式会社
と
株式会社西村青果
であり、買い受け人として
仲買い人
及び買参人を置き、
任意取引
で規制は行なっておらないとのことでありました。
敷地面積
につきましては、
大同青果
が二万六千平方メートル、
西村青果
が一万一千八百八十平方メートル、計三万七千八百八十平方メートルであり、そのうち、
卸売り人売り場
としては、
大同青果
が六千三百平方メートル、
西村青果
が六千四百三十五平方メートル、計一万二千七百三十五平方メートルであります。 昭和四十二年度の
取り扱い高
は、蔬菜が六万二千二百トン、二十二億一千万円、果実が一万六千四百六十トン、十一億一千万円、合計七万八千六百トン、三十三億二千万円で、昭和三十八年の
売り上げ高
十五億一千万円を一〇〇とした場合、その一八九%となっております。 われわれの視察いたしました感じを申しますと、前日の長崎市設の
青果市場
が非常に狭隘に感じられたためか、広々として、荷も秩序整然と並べられており、したがってせりの状況も長崎に比べゆったりとした感を抱いた次第であります。 なお、両市場の
理事者
との懇談におきまして、開設当時は、約二十年以上は十分な面積であると思っていたが、予想以上の伸びであり、この先十年後を考えた場合、交通量の増大ともあわせ、まだ約五万坪程度の拡張が必要であると思われる。また、
中央卸売市場法
の適用を受けるべきかどうか、現在検討中である等の意見が述べられました。 次いで熊本
県畜産試験場
におきましては、今日の農業の現状を考え、畜産の経営について、小労働力による経営と生産性の向上を目ざした
試験研究
、牛の役使用がなくなり、食肉牛に転じてきた現状に対応するための
改良研究
、平坦地における草のみの
肉用牛肥育
に関する研究、
凍結精液実用化
に関する
研究等
について説明を聴取いたした次第であります。なかんずく
肉用牛改良
について、
交配研究
の結果を実際の牛について観察いたしましたことは、まことに興味深いものがありました。 なお、
県当局
より次の
要望事項
がありました。 一、国の直轄による山地における
草地畜産開発調査事務所
の設置 二、国立の
草地畜産試験場等
の設置 三、国立の
草地畜産研修所
の設置 四、
九州ブロック公共育成牧場
の建設及び
助成措置
五、国営の
草地畜産開発基幹道路
の建設 六、
九州ブロック凍結精液供給センター
の設置及び
助成措置
七、
草地開発関係制度
の改正 次に、
農林省熊本種畜牧場阿蘇支場
におきましては、
山岳地帯
における
採草地
、放牧地の
耕作研究
、牧草の
月別生産量
、特に最盛期と最小期との平均化と
肉用牛
一日当たりの増体量及び若
齢肥育牛
についての両者の
関係等
について説明を受けた後、
採草地
、乾草の
合理的貯蔵方法
、放牧及び
耐寒研究等
、実地について視察いたしたのであります。 最後に、われわれは
北山酪農組合
の牧場を視察したのであります。 本牧場は
阿蘇地域
大
規模草地改良事業
の一環として、四十七人の
組合員
による
協業経営
によるものでありますが、その実際を目にいたしまして、なかなか困難な事業であるにもかかわらず、よくここまで実現したものであるとの感を抱くとともに、各
組合員
のかたい結集の結果があってこそこの実現を見たのであると、あらためて感を深くした次第であります。 なお、
組合長
より、
農協融資
の金利が高いことと、木事業の将来の発展のためにも、現代の若者の中から、かくやれば
牧畜経営
は可能であるとの考えを身につけたほんとうの
後継者
を実地に養成できる
研修機関
の設置をはかられたいとの強い要望が述べられた次第であります。 以上、長崎、熊本両県にわたる調査の概要を申し上げまして、
派遣報告
を終わります。(拍手)
八百板正
3
○
八百板委員長
以上で
派遣委員
の
報告
は終わりました。 ────◇─────
八百板正
4
○
八百板委員長
次に、
物価問題等
に関する件について
調査
を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
武部文
君。
武部文
5
○
武部委員
前回
の当
委員会
で、
ビール
の
値上げ
直後に、
経済企画庁長官
及び
国税庁
の、
酒類販売免許
について種々の
報道
がなされました当時、
間税部長
の御
出席
をいただきまして、この
酒類
の
販売業免許等
の
取り扱い
について、
ビール
あるいは酒の
値上がり
の
状況
その他から見て
国税庁
の
見解
を求めたわけであります。いろいろ
お話
がございましたが、結論からいうと、
最高責任者
の
長官
からひとつお
伺い
をいたしたいと、こう思いまして、きょうは御
出席
をいただいたわけであります。 これは
ビール
の
値上げ
が最終的にきまりました。たぶん翌日だったと思いますが、九月の十二日、
宮澤長官
の
記者会見
の模様が
新聞
に
報道
されまして、それを拝見をいたしました。その
報道
によりますと、これは
前回
の
会議録
の速記でありますが、
国税庁長官
もこの
酒類業
の
免許
については、
酒類行政
の
自由化
について本気で
考え
ておる、こういうような
報道
がなされまして、自来、その二、三日後、同じような
報道
が各
新聞
に
報道
されました。ところが九月十九日の
参議院
の
委員会
に
国税庁長官
がお見えになって、この
酒類免許
についての
答弁
をされておりました。一週間たったあとで非常に
内容
が変わってきております。これは非常に不可解でございましたので、
宮澤長官
にその間の
経過
をお聞きをいたしました。十二日の日、間違いなく、そこにお二人おられるわけでございますが、
国税庁長官
も自分の
意見
に賛成である、こういうことをお述べになりました。
酒類
の
免許
について、
国税庁長官
はどういう御
見解
を持っておられるか、最初にお
伺い
をしておきたいと思います。
亀徳正之
6
○
亀徳説明員
若干の誤解がおありではないかと思いますが、私もかねがね、
酒類行政
のあり方が現在のままでいいとは決して思っておりません。また、
酒類行政
と申しましても非常に幅広うございまして、
対象
は
ビール
、清酒、また製造、
販売
、その中でいま御
質問
の点は、特に
販売面
の
免許
という点に限っての御
質問
でございますが、
酒類行政全般
を通じまして、大きな流れとしては、やはり
自由化
といいますか、そういう大きい方向で進んでおるのではないか。それをきめこまかく
実情
に合うように
実現
していくという私の基本的な
気持ち
は変わりはございませんし、また
宮澤長官
にも、いろいろ
お話
のときにそういう基本的な私の心がまえ、そういったものをもちろん
お話
し申し上げたことはございます。ただ、
酒類免許
を、一気に全部
免許制度
を
撤廃
するとか、非常に急激な
変化
を与えるような改革をやるということは、私、
考え
ておりませんで、これはやはり
実情
に合うように処理していかなければいけない。また、
参議院
の
物価対策特別委員会
でも、基本的な
免許制度
をここで全面的に
撤廃
だ、急にどこでも酒を売っていいようにするということは現在とうてい
考え
られないことであるけれども、さりとて、現在の
通達
の
運用
がこれでいいかどうかという点は、いろいろ問題がありますし、その
運用
の
合理化
というか、そういう点は前向きに
考え
なければいけませんし、また、そのためにいろいろくふうもいたしておるというふうにお答えした次第でございまして、私自身の
気持ち
の上では、その間に大きな変革があったようには
考え
ておらないのであります。
武部文
7
○
武部委員
いまの
お話
を聞きますと、
実情
に沿うように
運用
の面で前向きに
考え
ていく、こういうような御
答弁
であります。九月十九日の
参議院
の
物価委員会
の
会議録
を見ますと、
長官
の
答弁
は、五千五百三十三億にのぼる酒税の
重要性
を
考え
るならば、
免許制
を自由にして
業界
に混乱を与えるようなことは好ましくない、
免許制
をやめる
考え
はない、こういう
答弁
であります。 そこでお
伺い
するわけでありますが、あなたのほうから各
国税局
を通じて税務署に
通達
が出ておる。
国税庁長官通達
、四十年八月四日、これは
前回
も問題にしたのでありますが、ひとつ
長官
の
意見
を聞きたいのであります。
免許
の
要件
に二つありまして、
人的要件
、その他の
要件
と二つある。端的にお
伺い
いたしますから、簡単にお答えいただけばいいのです。
人的要件
に、なぜ、酒の
販売
をするのに五年ものそうした
調味料
とか
酒関係
の
営業
をしたという実績がなければならぬのか。非常にこれは単純な
商売
なんであります。
前回
申し上げましたように、別にカクテルをつくって売るわけじゃないのですから、これは非常に簡単な
商売
でありますが、なぜこういう、
経験
を特に五年というようなことをおつくりになっておるのか。これはあなたの
通達
なんです。 それから第二は、ここが問題なんです。こういう
要件
が、たとえば距離とか需給の
要件
が整っておっても、当分の間、
生協
とか
農協
とか、そういうものをさしておるんだと思いますが、
免許
してはならぬ。しかし
国税局長
が認めた場合には、酒場や旅館や
料理店等
、
酒類
を取り扱う
接客業者
であっても認めてもいい。これが非常に私ども不可解なのであります。なぜこういう
通達
をことさらにあなたのほうがお出しになるのか、これは非常に疑問でありまして、
間税部長
からもいろいろ御
答弁
をいただきましたが、どうも納得できないのであります。したがって、当分の間とは一体いつまでなのか、それからなぜこういうただし書きをつけて、旅館や料理屋や酒場に酒の小売りの
免許
を与えなければならぬのか、そのことをひとつお
伺い
したい。
亀徳正之
8
○
亀徳説明員
いろいろ、むしろこまか過ぎるように書いて若干の誤解もあるような書き方になっておりますが、基本的な
考え
方はやはり酒税の保全という
見地
が頭にかぶっておりまして、こういう
免許制度
ができております。したがってそういう観点から、やはりどうしても資力というか、
経験
というか、また酒の需給
状況
から見まして弊害がないようにという観点からいろいろくふうをしなければならない。先ほどの御
質問
はその第一点の
人的要件
でございまして、やはりある程度
経験
がなければいけないではないか、また同時に資力というものも問題にいたしておるわけでございますが、
経験
のところで若干、いまおっしゃいましたような、酒、
調味料
で五年、その上におおむね——たとえばそういう判断というときに、端的に申しますとそういう
経験
の方は非常になれておられるという意味で、そういう趣旨が書いてあるのでございますが、やはり
実情
を調べてみますと、いろいろたくさん申請があって、なかなかどちらにもおろせないという感じで断わるときに、どうしてもいまおっしゃいましたような機械的な点をたてにとって拒絶するという
実情
も率直にいってあるようであります。そこはある程度の一つの感じをつかむ意味で書いたつもりでございますが、若干どうもその辺はやはり誤解を招きやすい。したがいまして、むしろわれわれが下部に注意いたしておりますことは、そういうことで機械的に指導してはいけない。むしろそういうことを機械的にとってそれを却下する、それだけを機械的にたてにして却下するということがあってはならないということを逆に注意いたしておるような次第でございまして、われわれもやはり
免許
の上にあぐらをかくといいますか、ということであってはならないという
見地
からいろいろ指導していきたい。そういう点で、むしろ
運用
上いろいろ御指摘のような問題もございますので、私たちもその点を率直に反省して適正に処理したいと
考え
ております。 御
質問
の第二点の、おっしゃいますように、原則として与えないもののうちにいまの
生協
、それから旅館、飲食店というようなものが例示してございまして、旅館、飲食店のほうに逆に、ただし書きに、特別の場合には
国税局長
が認めた場合はということで、
国税局長
が認めればすぐそれがおろせるような印象のふうに読めるような規定になって、確かにその点誤解をお与えして申しわけないと思っておりますが、
実情
は先生が御心配になる方向とは全く逆でございまして、旅館、飲食店で許可している例はまず皆無に近いような
状況
でございます。昨年一件でございますが、それもちょうどそこに飲食店をやり何をやり、そうしてそこに許可をしたというケースでは全くないので、たまたまその人が非常に離れたところで飲食店ですか、
経営
しておりまして、駅前の全然別個の場所に支店といいますか、別個に酒屋を開くのを許可したという例で、むしろ許可のときの条件に、それを飲食店で売るようなことがあってはいけないという条件を付しておるような
状況
でございます。むしろ話は逆でございまして、一度酒の小売りの
免許
を得て酒屋をしておられた方が、いつの間にか資産も得られ、また料理屋を別個に開く、こういうケースはあるのでございます。逆に、いまある旅館とかそういうものにそういう
免許
を与えるということは、むしろ皆無に近い
状況
でございます。 それからなお
生活
協同組合その他につきましては、やはり
販売
の
対象
がその会社なり何なり特殊なところに属しておられる
方々
だけだということによるものでございまして、最近
生活
協同組合につきましても員外利用の許可が出るケースが非常に多くなっているようでございまして、そういった場合には一般の
考え
方と同じように処理する。しかしそうはいいましても、すでに相当小売り業者の方がおられるわけで、白地にものを書くようなわけにはいかないと思いますが、
生協
なるがゆえに特別なあれをするというよりも、やはり需給関係その他を見て判断しておる。ちなみに、
生協
につきまして現在百九十七件許可がおりているというような
状況
でございます。
武部文
9
○
武部委員
大体のことはわかりましたが、この
通達
はたいへん誤解を生むような
通達
の
内容
になっておると思います。また現実から少しかけ離れたような
内容
にもなっておるのではないか。そこでこの
長官
の
通達
を
撤廃
されたらどうかということを
前回
も主張いたしましたが、それを急にやると、一気には混乱を招くんだというような
答弁
もございました。ところが、先ほどの
長官
の
説明
によりますと、機械的に指導してはいけないというようなことをおっしゃっておるわけですが、全くこれは逆で、機械的もいいところで指導がなされておるのであります。 これを具体的な例で申し上げます。
生活
協同組合は全国で各税務署長に申請をいたしました。それに対する税務署長の回答がそれぞれ出ております。大別してみますと、
免許
を与えられないという理由に、
酒類
の需給の均衡のため、
販売
業者の数をふやすと過当競争になる、
生協
だからだめである、
国税庁
の方針だからだめだ、例がないからだめだ——これはとんでもないことを言っておるようでありますが、前例がないから許可できぬ、こういうことを言っておる。また近くの業者の承諾がとれぬからだめだ、こういうのであります。これが現実に各税務署長の
生協
の申請に対する
答弁
であります。全くこれは機械的にそういう
答弁
がされておるといわざるを得ないのであります。一つ一つ具体的にあります。どこの
生協
に対してどこの税務署長がどう言ったかということは全部わかっておるわけであります。こういうことでは全く機械的にこの
通達
を
運用
しておるといわざるを得ないのであります。
長官
は
前回
おられませんでしたので、私はぜひお聞きいただきたいのでありますが、それどころか、
免許
をたてにとって、税務署長が自由
価格
であるべき酒の値段にまで介入しておる、この事実を私は申し上げました。現実に私は北海道へ行って
調査
をしてきたわけでありますから、これはうそでも何でもない。当時現地の
新聞
にも大々的に
報道
された
内容
であります。お聞きになっておると思いますが、釧路の税務署長のとった態度であります。洋酒を安売りしたところが、それに対して文句をつけてきた。この洋酒を安売りしたところは太平洋商事、それから十条サービスセンター、これはいずれも太平洋炭礦、十條製紙の関係の、
生協
とは若干違いますが、すでに
免許
がおりておるのであります。そこで洋酒の安売りをしたところが、税務署長から、安売りをしてはいかぬ、もし安売りをするならば次の
免許
の更新の際に考慮せざるを得ないというようなおどかしをかけておる。そのために、
免許
を取り上げられては困るからというので、安売りをやめた。利用者から投書が
行政
監察局に来て、
行政
監察局がこれを
調査
をし、世論の背景もあって、税務署長はこれを最終的には認めた、こういう例があります。これは私が現実に北海道へ行って
調査
をしてきた事件であります。 いま私が申し上げましたように、四十年の八月四日の
長官
の
通達
を全く機械的にやっておる。それよりもむしろ、釧路のように税務署長が安売りにまで介入をして圧力をかけるというようなことは、これは許されないと思うのであります。こういう点について、将来、
国税庁長官
としては、こうした
生協
等について——さきに員外利用の話もありましたが、今度
消費者保護基本法
の
立場
から、われわれは員外利用を
生協
に認めるべきであるという
検討
をいまいたしておるのであります。そういう点から、
生協
の申請の許可については一体どういうお
考え
で臨まれるのか。具体的にいま私が申し上げたような五つ六つの例がありますが、どういう点についてどうお
考え
になるか、これをお聞きしたい。
亀徳正之
10
○
亀徳説明員
お答え申し上げます。 この
通達
の改定という点につきましては、いろいろ最近出された
通達
がございます。またこの
通達
に対する批判はいろんな角度からあるわけでございます。また逆にいえば、たとえばいまある
販売
数量が相当ふえたという観点をとらえていろいろ見る場合に、だからやはりもっと場数をふやしてもいいじゃないかという議論とともに、一場数当たりの平均
販売
数量というものをもっと高い水準に上げていいじゃないかという
販売
側の
意見
も実は強いのでございまして、これの全面的な改正にいま踏み切るかどうかは、率直にいってなかなか問題が多いかと思います。しかしその
運用
につきましては、先ほど申し上げましたように、
実情
に合うように処理したいと思いますし、先ほどの、
生協
なるがゆえに今度は逆にじゃんじゃんおろせというわけにもまいりません。やはり酒の需給関係その他の
状況
に合致すれば
免許
をするということに相なろうかと思います。 ちなみに、先ほどの御
質問
の中ではないのでありますが、若干補足的に御
説明
しておいたほうがいいかと思います。先ほどの釧路の
お話
、やはり署長のいろんな発言の中に、率直にいって行き過ぎた面もあったかと思いますが、
実情
は、私もちょっと心配しましてさっそく
調査
いたしてみたのでございますが、その安売りの度合いが実は相当極端な安売りでございまして、そういうことになるなら百貨店もと、こういうぐあいで、全体の需給上に与えるその度合いが非常に激しかったものでございますので、問題があって署長がそういうあれをして、発言のしかたについてはいろいろ問題があったかと思いますが、そして結論的には安い値にしますが、先ほど申したような極端な値下げでなしに、若干の値下げはもちろんやりましたが、極端な値下げを逆に自粛をしていただいたというようなのが
実情
でございます。ここにも、何といいますか、われわれの
立場
といいますのは、極端な乱売でお互いが値くずれして、極端な混乱が起きるようなことがあっては困るという他面の要請もあるんだということも御理解願いたい。 しかし、いずれにしろやはりこの
価格
問題というものはなかなかデリケートでございますし、われわれの
行政
の分野も、むしろたとえば清酒でいえば特級とか一級、こういうものについては、非常に銘柄のいいものは高く売れるし、そうでないものは低いし、しかしまあ極力大衆的なものについてはあまり極端なことにならないようにというふうに、段階的な指導も
考え
なければいけませんでしょうし、なかなかこの辺は今後むずかしい問題であろうかと思いますが、われわれも
行政
が万能だと
考え
ておるわけではありませんし、やはりしょせんは一つの経済原則というものが冷厳に働く中で、同時にわれわれは酒税の保全という
立場
とどう調和させていくかということが、私たちの基本的な課題であろうかと
考え
ております。
武部文
11
○
武部委員
たいへん大事なことをおっしゃったわけですが、すでに許可を受けておる業者が、いまあなた方がおっしゃったのは極端なという、極端というのはこれは判定が非常にむずかしいのです。すでに許可を受けておる業者が極端な値引き、安売りをした場合にはその
免許
を取り消すというようなことのお
考え
はあるのですか。
亀徳正之
12
○
亀徳説明員
その点は若干先生のおっしゃった点にも誤解があるように思うのですが、
免許
の更新というものは実はないのでありまして、極端なことをやれば
免許
の取り消しがございますが、いま言った
状況
でほんとうに取り消すと言ったかどうか知りませんが、
免許
の更新というようなことはございません。先生御発言のこの間の速記録を拝見いたしましたところ、次の
免許
の更新のときに許可しないというふうにおっしゃっておりましたが、そういうことはございません。ただ、非常な値引きといいますか、極端な値を引いての話でありましたので、その点は税務署長が注意したことは事実のようであります。そのためにいま直ちに
免許
を取り消すということは
考え
ておりません。
武部文
13
○
武部委員
私の申し上げましたのは、更新ということを言いましたが、それは確かに間違いであります。しかし、いまおっしゃった極端なということは、一体どの辺で線を引くのか。自由
価格
である酒を損をせぬ程度で売っておった。それを非常に安売りだからといって税務署長が一々文句をつける、そういうことが許されていいかということについて私は問題があると思うのです。あなたのほうは
国税庁
という
立場
から酒税の確保、酒税の確保のために
免許制度
が必要だという。それなら砂糖消費税の確保のために砂糖について
免許制
が必要かという逆論も成り立つと思うのです。とにかく物価問題特に値段の問題について、あなたのほうは税金という
立場
からこういう一つの
免許
権を持っておる、そういう役所が一々税務署長を通じてやるということについて、たいへん大きな問題だと思うのです。値段について一体どの程度が極端なのかという判定はなかなかつきがたいわけですが、税務署長が一々そういう問題について口をはさむということについては問題があると思うのですが、この点はいかがです。
亀徳正之
14
○
亀徳説明員
いま全般的にそういう点で税務署長が一々介入しているという事実はございませんし、いまおっしゃったような事例は非常にレアなケースでございましたので、私もそういうことがあるのかと思って逆に詳しく調べましたわけです。むしろそこの具体的のケースを私申し上げるのは避けたほうがいいかと思いますが、非常に前からのいろんな関連ということがございまして、何と申しますか、むしろ
現状
はほどいいところにおさまっておりますので、私はそこのこまかい
実情
をああでもない、こうでもないと言うことは差し控えたいと思います。やはりマージン、あらゆるものを切って損してでもともかく乱売して——結局小売り業者のほうも売った金をメーカーに払わなければいけないわけで、 〔
委員長
退席、
砂田
委員長
代理着席〕 無理な安売りをしていてメーカーにも払えないということが、回り回って結局はメーカーが酒税を納めることもできないというような事態があってはいけないという意味で、いまおっしゃったようなケースはまことにレアなケースで、ほとんど実際問題としてはまず皆無に近い話で、聞いてみれば非常に特殊な事態であったので、むしろ一般論として御議論願うのにふさわしくない問題かと私は
考え
ております。
武部文
15
○
武部委員
それじゃ最後になりますが、
前回
間税部長
から十年間の
ビール
あるいは酒の数量等について具体的な数字の
説明
を受けました。それから小売り
販売
業の軒数についても
報告
を受けました。これによると、大体蔵出しは四倍になっておる。ところが十年間に小売り業がふえた軒数は約一割程度である、こういう具体的な数字がわかったのであります。いま
長官
は、メーカーが酒税を納めることが困難になるというようなことをおそれておられるようでありますが、そういうことは私どもから見るとあり得ない、こういうふうに
考え
るわけであります。四十年八月四日のこの
通達
、これを撤回される意思がないようでありますが、しかし、おっしゃるように、機械的に指導してはいけないということを言っておられるわけでありますから——先ほど申し上げるように、どうも機械的に各
国税局
なり税務署長はおやりになっておるようであります。これでいろいろ問題が出ておるわけでありますから、ひとつ機械的にならないように、いまの生産量の推移、需給の推移等を見て適正な指導をおやりいただきたい、そのように思いますが、いかがでしょう。
亀徳正之
16
○
亀徳説明員
おっしゃるとおりに、逆に
通達
の中身が非常にこまかく書き過ぎているために誤解を招いている点もございますし、それから機械的に処理している点があることは、率直に言ってございますので、むしろ指導といたしましては、そういう機械的でないように、同時に
実情
に合うように、円滑に適正に執行していくように努力いたしたいと思います。
武部文
17
○
武部委員
それでは次に
経済企画庁長官
にお
伺い
いたします。
前回
、
消費者
物価のこれから先の見通しはどうなるだろうか、また特に原因等についていろいろやりとりいたしました。私も
会議録
の
答弁
を全部読ましていただいて、
長官
はこの
消費者
物価上昇の原因についていろいろお述べになっておりますし、将来の見通しについてもいろいろございました。当時から一カ月ばかり
経過
するのでありますが、昨年の上期の
消費者
物価の
値上がり
は、総理府統計によって三・一%。ことしの上半期の上昇は五・七%。これは企画庁がお述べになったとおりであります。上半期に大体二・六%去年よりも上がっておる。後半については、われわれはいまの動向から見ると、去年の同一視することはできないだろう、こういうように申し上げました。去年の下半期は五・四%であります。その数字は、結果的に平均して四・二という数字に落ちついておるのであります。その中で特に
宮澤長官
は、去年五・四であった、そのときには
消費者米価
は一四・四%上がっておった、ことしは約八%であります、そこで、そうことしは去年のように下半期において高い数字が出ると思わないというような趣旨をお述べになりまして、四・八という数字についてはこれを改めるところの
考え
はない。われわれは何回か、何人か、四・八というような数字はもうこれはだれも信用しないし、率直にこれはお認めになって、もうこれはだめだから、新しい数字を述べて、新しい対策を立てるべきではないかということを述べてきたのでありますが、本年上期の物価上昇は五・七%であります。これは去年に比べてたいへんな高い数字になっております。特に九月は
東京
都の物価指数が三・八と、十五年ぶりに上がったという数字が発表されております。十月の
東京
都の物価指数は本日の夕方でないとわからぬそうでありますが、おそらくや九月の七・四%という数字をはるかに上回った数字が出るのじゃないだろうかという予想すらできるのであります。残念ながらきょうの夕方でないとわかりません。わかりませんが、九月が七・四であったということから推測すると、この十月の
東京
都の
消費者
物価の数字は相当高いものが出るのじゃないかということが推定できるのでありますが、今後の見通しについて、一カ月前といまと、
長官
どういうふうにお
考え
になっておるか、これをお
伺い
したいのであります。
宮澤喜一
18
○
宮澤
国務大臣
前回
申し上げたことと大筋においては変わらないことを申し上げることになると思うのでありますが、御指摘のように、上半期の
消費者
物価の上昇は前年度対比で五・七でございます。これには二つの要因がございまして、今年度に入りましてから、年度内毎月の上昇がかなり見られるということと、もう一つ、前年度対比を問題にしておるわけでございますから、前年度が上期に物価が上昇せずに、むしろやや低落をしたというその二つの合成の要因で上期に五・七という上昇が見られたわけでございます。そこで、せんだっても申し上げましたことは、今後残りの期間、十月から年度末まで、今後
消費者
物価が低落するということはあるいは申し上げられないかもしれませんけれども、しかし比較すべき前年度が十月ごろから物価が急上昇しておるのでございますから、それとの対比において、上半期五・七であったから、したがって下半期はもっと大きくなるであろうと
考え
る理由はない、こういうふうに申し上げたわけであります。それで、それとの関連で
消費者米価
が云々というととも確かに申し上げたわけでございます。 それでございますから、その
考え
方の筋をたどってまいりますと、九月の
東京
都が前年対比で七・四%であった、したがって十月の
東京
はそれよりももっと上にいくだろう、かりにそうなれば、それは
武部委員
の言われることが正しいということになりますが、私どもはそうではなくて、九月が前年九月対比でかりに七・四であったとしても、十月は、たとえば前年の上がりが大きく上がったわけでありますから、今年と前年度対比でその七・四がかなり落ちてもいいはずだ、私どもはそういうふうに実は
考え
ておるわけでございます。それでございますから、上期が五・七でございました。そこで、年度を通じて四・八で済ませ得るためには下半期が三・九でよろしいわけでございます。昨年の下半期があれだけ大きく上がっておりますから、そのこと自身はもう不可能だぞ、こういうふうに断定してあきらめてしまうことは、何もそうしなくてもいいんじゃないかということを申し上げておるわけなんでございます。
武部文
19
○
武部委員
私どもの見通しとその辺がちょっと違うわけですね。あなたのほうは専門家ですけれども、現実の数字が物語っておるのですよ。それで、おっしゃるようにことし四・八にするためには、前年に比べてことしの上半期は五・七ですから、少なくとも三%台でないとあなたのおっしゃっておる四・八にならないのです。ところがいまの推移をずっと見ると、三%台などということはおそらく
長官
も
考え
ておられないと思うのだけれども、四・八をくずすというとどうもぐあいが悪いとお
考え
になっているからえらく固執されるのでしょうが、数字がすぐ出てくるのですよ。そのときに、いやそれはもうしかたなかったでお済みになりますか。われわれは少なくとも下半期が三%台でいくなどということを
考え
ている者はいないと思う。これからあとで
新聞
代の
値上げ
の問題が出てくると思うのですが、そうするとこの
新聞
代の
値上げ
ですぐ出てくるのが牛乳でしょう。これは配達賃がそうなっているんだから牛乳配達が
新聞
のほうにとられてしまう。こういうことでこっちを三円ぐらい上げようとしておるのでしょう。そうすると今度は、三円上がった牛乳代がどこへ影響してくるかといいますと、出前の人間に影響するのです。これは当然外食に影響する。そういうかっこうが去年も出ておるのです。そういうことをちゃんと承知の上で、
長官
が三%台で下半期がおさまるなどとお
考え
になっておるのが非常に不可解でございますが、御専門家の
宮澤長官
がなおいまでもそうお
考え
になっておるか、もう一ぺんお
伺い
しておきたい。
宮澤喜一
20
○
宮澤
国務大臣 それは簡単に申しますとこういうことでございますね。
武部委員
の
お話
では、九月の
東京
が前年の九月に比べて七・四の上昇であった。そこで十月はたとえていえばそれがもっと大きくなるんじゃないか。私どもは、そうとは限らない、前年の十月からの急上昇があるのですから、かりに十月の
東京
都の
消費者
物価が、前年対比で七・五でなくて五%とか何とかいうところへ落ちましても別にふしぎはないんだ、こういう意味のことを申し上げておるわけでございます。
武部文
21
○
武部委員
何べん言っても同じことなんで、もうやめますが、私が申し上げたいのは、去年からの、企画庁からもいただきましたが、数字をずっと対比をして見、いま現実に上がりつつある物価の数字を
研究
しながら実は予測をしておるのであります。
長官
は来年の予算に触れられて公共
料金
のことを非常に強く主張されました。私は
前回
の
委員会
で、物価の
値上がり
に公共
料金
ということを使ったら、すかさずあなたが御反論になって、物価が上がるから物価が上がるんだというようなことをおっしゃっておられましたが、私が公共
料金
に触れたのは、公共
料金
が波及するところの問題が大きいんだ、それがいまのわが国におけるところの
消費者
物価の
値上がり
の非常に大きなウェートを占めておるんじゃないか、これをなぜお触れにならぬのだろうかと思ってあのときに
質問
をしたわけであります。 それはさておいて、
長官
は来年の公共
料金
の問題に触れておられます。来年の予算の編成について、受益者負担の原則というものはある程度、それから公共
料金
に対する財政投融資その他利子補給とか、そういうことによって公共
料金
の
値上げ
を食いとめなければ、来年はたいへんなことになるだろうということをお述べになっておるわけであります。ということは、おそらく今年よりも来年はどんと物価の
値上がり
は大きいだろうということを予測されるからそういうことをおっしゃっておると思うのです。去年四・二で、ことし四・八に落ちついてしまったら、そう御心配になることはないのですよ。
長官
はそういうことをすでにちゃんと
考え
ておられるから、下半期はほんとは上がるんだが、いまそういうことを言えば、四・八はだめだと言えば——八塚さんですか、
国民
生活局長
はどこかで四・八はもうだめだと誓われたそうで、こういうことになればすぐ物価が上がるぞということを述べられたそうですが、この間も
宮澤長官
は、そういうことを固執すると、かえってそういうことが混乱するだろうということを言って逃げておられるわけですが、もう来年のことをあなたはすでにそういうふうに御想像になっておられるわけですよ。そうすると、だれが見ても下半期の上昇というものはまだまだ想像以上に上がるのではないか。特に
消費者米価
の
値上がり
というものの効果があらわれるのは二カ月後なんですよ。去年もそうでした。十月ではなくて十二月にどんどん上がっているのです。ことしも当然それが予想されるわけです。私の町では、一斤三十五円のパンが四十五円に上がりました。ちっちゃなこのくらいのパンが、負けず劣らず五円上げておるのです。そういうことが具体的に出てきているのです。それを見ても、十月の
消費者米価
の
値上がり
というものは、おそらく十二月になって相当な数字になってあらわれてくるのではないかということが予想できるわけであります。いろいろお述べになっておりますが、四・八というような数字に固執しないで、少なくとも後半の物価の安定について具体的な事実をひとつ
国民
の前に明らかにして、具体的な政策をお述べになる意思はないか、この点をお
伺い
しておきたい。
宮澤喜一
22
○
宮澤
国務大臣 今年度の後午も
消費者
物価が根強い基調にあるということは、私もそのとおり認めておりますので、その点は
武部委員
といわば憂いを同じくしておるわけでございます。でありますが、繰り返すようでございますけれども、上半期が五・七であったのだから下半期はさらにそれを上回る、これは必然ではないかと言われますことには、前年度との対比でございますから、私は必ずしもそう思っておりませんということを申し上げておるわけでございます。しかしそれにいたしましても、年度を通じて
消費者
物価が根強い上昇傾向にありますことは間違いはないところでございますから、もしこのような、賃金平準化ばかりでなく、いわば所得平準化のような傾向が来年に持ち込まれますと、かなり高い
消費者
物価の上昇というものが経済の中へ組み込まれることになって、その結果は、家計も企業も、おそらくは政府自身もそういうものを前提にしてものを
考え
るようになる。そうなればはなだ危険なことでございますから、そこで、今年度の残り及び来年度にかけまして何とかそういう——一年だけ起こる現象ならともかくでございますけれども、経済にやや恒久的にビルドインされるような、そういう情勢は食いとめておきたい、こう
考え
ておるわけでございます。 〔
砂田
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
武部文
23
○
武部委員
それでは時間の関係もございますので、最後になりますが、そうするとこれから後半、来年三月までにかけて——来年の予算のことについては
長官
も非常に心配をして、いろいろと第二次
宮澤
構想のようなものをお出しになっておる。これは来年の予算を非常に心配をされておるわけであります。それは物価の上昇を心配されるからああいう
意見
が出ておるのだと思うのです。われわれは、後半三月までに、いまの推移から見ると相当な上昇がくるだろうという心配をしておるのであります。
宮澤長官
もいろいろ御心配のようでありますが、具体的に、政府としてはこれから先の物価の
値上がり
について、このまま別に新しい政策といいますか、具体的な方針を立てて物価の安定に努力するというような、何か具体的な方針がございましょうか。最後にそれをお聞きしたい。
宮澤喜一
24
○
宮澤
国務大臣 もちろん政府が自分で左右し得るような系統の
料金
、
価格
については、できるだけ今年度の残った期間、抑制をしてまいるということは申すまでもないことでございます。それとまた同時に、やはり所得の平準化といったような傾向は総需要が根強いというところに関係があるわけでございますので、本来国際収支の関係で申せば、日本銀行の金利をもう少し下げてもいいという情勢であろうかと思いますが、ただいま御指摘のようなことも
考え
ますと、これ以上総需要に増勢の勢いをつけるということもいかがかと
考え
られますので、そとで金利政策も国際収支ばかりでなく、いま御指摘のようなことも
考え
て運営をしていくべきだ、私としてはそう思っておりますし、この点については通貨当局も、いろいろ
考え
方の筋道は同じでないかもしれませんが、結論としては似たような
考え
を持っておられるのではないかと思っております。また
行政
自身にいたしましても、かりに何がしかの自然増収でも出るようであれば、やはり国債の減額をするといったようなことが、政府の総需要抑制とまでは申しませんけれども、あまり総需要を元気づけない、適正な水準に保っていくという、そういう政府の態度を示すゆえんになるであろう、こう思っておるわけでございます。
武部文
25
○
武部委員
数字は今月の終わりに出てくるわけですから、また来月このことについてやりたいと思います。 終わります。
八百板正
26
○
八百板委員長
木原実君。
木原実
27
○木原(実)
委員
長官
にまず御
意見
を承りたいのですけれども、どうもたいへん憂うつな問題を取り上げたいと思うわけであります。 御案内のように、日本を
代表
するような
新聞
が、発表の日は違いますけれども、いずれも十一月一日から同じように値段を上げるんだ、こういう社告を出したわけであります。私ども議会の人間にとりましては、
新聞
というのはたいへん縁が深い仲でございますから、
新聞
よおまえもかと言いたいような
気持ち
でございます。ただ、これについてはいろいろな問題があるような感じがいたします。そこで、最初に、政府側を責めましてもしようがない面もあるわけですけれども、この際にひとつ賢明な
長官
の、
新聞
代の
値上げ
というものについてはどうだ、こういう御
意見
、御感想を承りたいと思うわけです。
宮澤喜一
28
○
宮澤
国務大臣 お尋ねといたしましては、これはやはり鬼門に当たるお尋ねでございますけれども、
新聞
はしばしば従来、わが国の物価情勢について社説等において非常な
関心
を示して、政府に善処を求めておられる。これは私どもそれにいろいろな意味で教えを受け、また元気づけられておるわけでございますし、一般に
新聞
当局というのは良識の
代表
のように
考え
られておるわけでございます。そこで、今回、社告によりますと、配達をする人たちの賃金水準であるとか、あるいは人を確保することがむずかしいといったようなことが一つの理由になっておるようです。それはおそらく事実でありましょう。そのこと自身に間違いがあるとは思いません。しかも、従来から物価については非常な
関心
を持っておるところの機関のすることでございますから、よほどそれなりの理由はあったのだろうとは思っておりますけれども、私の
立場
とすれば、据え置いてくれるなり、あるいは上昇の幅をできるだけ小さくしてくれるなり、そういうことが本来望ましいことであった、こう
考え
ております。
木原実
29
○木原(実)
委員
新聞
につきましては、
長官
おっしゃいましたように、いわば世論の形成機関であるし、それから特に政治にしましても
行政
にしましても、その紙面を通じて切っても切れない仲なんですが、ただ、しかしながら、これも私企業でございまして、
新聞
の
販売
あるいは広告の収入、そういうことで、しかもこれは自由な言論を確保するために、こういう前提をもって特に
行政
的にはほとんど立ち入る余地のないような形で
経営
が行なわれておる。私はそれはいいと思うのですが、しかしどうも
新聞
の紙面を通じて果たしておる公共的なあるいは社会的な
役割り
と、それから現在の
新聞
の業態といいますか、
経営
面における姿というものは、これは何らかの形で、これでいいのかと疑問を持つ面も多いわけなんです。しかし、さらばといいまして、
新聞
の機関の中にあるいは
経営
の中に
行政
が積極的にタッチしていけ、そういうことはもちろんわれわれも
考え
ておるわけではございませんけれども、ただ、こういう議会というような場で、この定価の
値上げ
という問題についていろいろな意味で
意見
の交換をし、議論をしておきませんと、ほかの物資の問題その他につきましては、われわれは
新聞
その他の機関を通じて世論に訴えるところがありますけれども、
新聞
は自分のところの
経営
でありますから、
消費者
にとりましても直接行動以外には意思のあらわしようがない、そういう側面もあるから、これからしばらく
新聞
の業態の問題について私どもの
意見
を申し上げ、お
考え
を聞きたい、こういうことで始めたいと思うのです。 第一には、
武部委員
も先ほど触れましたように、今度八十円の
値上げ
をするその理由は、ほぼ各社とも、特に朝日
新聞
、毎日
新聞
、読売
新聞
、その他の
新聞
がありますけれども、こういう三つの
新聞
というのは
発行部数
が数百万、全国に及んでおりまして、企業としていえばたいへん独占の度合いの高い企業というわけですね。しかも、読者にとりましては、
値上げ
をしたからほかの
新聞
に乗りかえようかという選択の余地も、いろいろな
特殊事情
からなかなかむずかしいような側面もある、そういう性格を持つ側面があると思うのです。そういう性格を持っておるのですが、第一の問題は、定価の
値上げ
をすることによってほかのものへのいわゆる波及効果がすでにあらわれておる、こういう側面が一つあると思います。それはもう牛乳の
値上げ
の問題が具体的に出ておるわけなんですが、これは同じような配達員の確保という側面から
新聞
値上げ
に便乗してどうやら牛乳店が
値上げ
をするような傾向が一つ出てきておる。あるいは出前の問題も出ましたが、そのほかにも、いままで過去の例を調べてみますと、
新聞
代の
値上げ
をしますと大体一年以内くらいで今度は広告
料金
の改定を
新聞
社が行なっておるわけです。これは一般にはちょっと知られないことなんですが、しかも今度の場合には、続いて
新聞
用紙の
値上げ
ということになると思うのです。これは
新聞
用紙の
値上げ
がありそうだから先手を打って定価の改定をしたのかどうかわかりませんけれども、おそらく
新聞
の定価改定に続いて、むしろ改定を理由にして用紙の
値上げ
というのが口を開いて待っておる。そのために道を開いたような傾向があるわけなんです。そうしますと、続いて
考え
られますことは、他の出版物、月刊の雑誌その他あるいはまた一般の出版物、そういう方面でも
新聞
の
値上げ
に藉口して値段が引き上げられていく。そうなりますと、印刷文化全般にわたって軽くない影響が当然見通されるわけなんですね。そういう何といいますか、波及効果を
考え
てみますと、かなり深刻なものがある。そういう事態について、これはわれわれ
新聞
社の反省を求めたいわけなんです。おそらく政府も
行政
的にアプローチをしておる側面が薄いと思うので問題だと思うのですけれども、そういう波及効果を、私のようなものが
考え
てみましても当然
考え
られるわけなんで、いままでおそらく通産省その他で
新聞
の
業界
のことについてお触れになっておる側面がやはりあると思うのです。今度の定価
値上げ
が及ぼす一つの波及効果みたいなことについて、何かお調べになるか、あるいは観測をされたかというようなことがありましたら、これはひとつ当局のほうから伺っておきたい、こういうふうに思います。
小山実
30
○小山
説明
員 お答えいたします。 木原先生もかねがね広告その他でいろいろ御造詣の深いところでございますので、十分おわかりのことだと思いますけれども、
新聞
の
値上げ
の問題につきましては、もともと
新聞
自体について
行政
庁のタッチというのが非常に薄うございまして、率直に申し上げて、今回も、やはり
新聞
もどこか所管をさがせば通産省であろうということで、あわてて勉強している段階で、非常に申しわけないことでございますが、そういう状態でございます。
木原実
31
○木原(実)
委員
これはどうも、議会のこういう慣習上、政府を相手にものを言わなくちゃならないので、ときどき御
意見
を特におっしゃっていただきたいと思うのです。やはりこれは
国民
の声を
代表
して、一つの世論の場としてあれをして、善処の道を一緒にさがしてもらいたいと思うのですが、波及効果、そういうことが私ども
考え
られるわけです。そればかりではなくて、しからば
値上げ
をしなくちゃならぬ必然性というものがあったかどうかということについても非常に疑問があるわけです。 というのは、広告収入というのがこれは相当あがっているわけですね。特に昨年度は
新聞
社の広告収入というのは史上空前といわれておる。その傾向はことしもまた続いているわけですね。われわれが知っておる小さな
新聞
社でも載せ切れない、かなり余しておるというようなことになりますと、
新聞
社の収入の主柱である広告収入はそれだけ得ているわけですから、現在でも当然
販売
店その他についての手当てというものはこのワクの中でできるような計算が私どもにはされるわけなんですけれども、その面には触れていない。広告収入が非常にふえている。したがって、普通の形でいけば
新聞
社の収入はかなりいい、こういうことがいえると思うのです。従来は、三十四年ごろから三年ごとに定価の改定をしておるのですが、いままでの定価の改定の理由というのは、広告収入が伸び悩んだ、あるいは諸物価の
値上がり
があった、人件費が高騰したとかいうようなことであったのですが、今度の場合には、
販売
店の人手を確保するために
値上げ
をするんだ、こういう理由をいろいろあげているわけですね。ところが、広告収入がふえているわけですから、本来ならば
新聞
社のふところぐあいはいいわけですから、当然
販売
店に対する手当てもそのワクの中でやれるというふうにわれわれは観測するわけなんです。ところがどうもその面には触れていない。 いろいろ理由をあげておりますが、
販売
店の人手確保の問題、どこも人手
不足
なんですが、この
販売
店の
新聞
の
販売
方法についても非常に問題があるんじゃないか、こういう気がするわけなんです。そこで、これは政府としてもやってもらいたいことがあると思うのですけれども、われわれは、日本独特の
販売
方法で、朝寝ているうちに朝刊が配達されて読むことができる、夕方帰れば夕刊が待っておる、こういう形になっていて、これはいいことなんですが、これはいろいろな問題があると思うのです。人手が
不足
になってきたからそこの手当てが必要だというのですが、あの
新聞
配達、日本は昔からあるわけなんですけれども、少年の労働が多いわけですね。
考え
てみますとこれは非常に過酷な労働です。そういう過酷な少年たちの労働の、しかも低賃金の上に配達
制度
がつくられてきたわけなんですが、しかしもうそれではやっていけないところへきているというのは明らかだと思うのです。少々の待遇改善をしてもやっていけないのじゃないかという観測をわれわれはせざるを得ない。また、政府としても、いつまでも年少者のアルバイト、特に寒い時分なんか早朝の労働というようなものは、労働基準法の関係でどうなっているのかわかりませんけれども、許しておいていいのかどうか、こういう問題も一つ出てきておる。 それから、理由にあげておりますけれども、
販売
店の
合理化
について道がないとはわれわれは
考え
られないわけなんです。現在はいわゆる専門
販売
というような形で一社が一つの
販売
店を使っておるが、合販、いわゆる共同
販売
というような
制度
を設けたらどうだ、こういうふうなことが
考え
られるわけなんです。しかし朝日の社告か何かによりますと、それをやってもたいした
合理化
にはならぬ、こういうようなことをいっているのですけれども、しかし一社が一つの専門の
販売
店を持っているということは、その背景にはまた非常に激烈な、紙を売るための第一線の部隊として自分の
販売
店を確保しよう、こういうような競争のためのあれがある。なべかままでつけて
新聞
の
拡張
をやるというようなことが一時ありましたけれども、それに類似したような競争がある。 そんなようなことで、いろいろな問題があるわけですけれども、そういう
制度
を守るために、その部分をひとつ読者に負担してくれというのが、今度の
値上げ
の最大の理由なんですね。そうなりますと、これは
新聞
社に
考え
てもらわなくてはならぬことなんですけれども、はたしてこの外国に例のないそういう
販売
制度
というものが、もうこういうふうに世の中が変わってきた段階でいつまでも維持できるものなのかどうなのか、こういう問題が実は一つあるわけなんです。そうかといって、これは政府にどうこうしろと申すわけにまいりませんのであれなんですが……。 ただ、これは
行政
当局にお願いしたいわけなんですが、
行政
当局は、もし今度のような
新聞
の
値上げ
が、影響するところが非常に大きい——朝日
新聞
自体もいっておりますけれども、公共
料金
的な性格を持つ
新聞
の
値上げ
であるからわれわれも慎重を期した、こういうふうな社告をいっておりますけれども、まさにそのとおりだと思うのです。しかしながら、それならば
新聞
社の定価の
値上げ
あるいはまたそういう
販売
方法のあり方、こういうような問題について、
行政
当局として、今度の定価改定の及ぼすいろいろな影響というものが意外に深刻である、こういうふうにもし判断をされるのであるならば、やはり
新聞
の業態の
合理化
のために、ひとつ
行政
当局が、あっせんというとおかしいのですが、あっせんならあっせんをして、何らかの
合理化
なり改革の方向なりに手をかしてやる、こういうようなことができないのだろうかというのが、ひとつ私のお尋ねをしたいことなんです。 というのは、もう少しプロセスの問題を申し上げますけれども、半ば公共
料金
に近いような
新聞
の定価でありますから、もし
新聞
の定価を改定するあるいは維持する、いろいろな問題について
価格
を変えるというような場合には、できれば
新聞
社が自主的に第三者機関のようなものをつくって、
価格
のあり方について審議を求めるというような努力が私どもとしてはほしいと思うのです。しかし、
新聞
社も良識の人たちが集まっているところですけれども、いざ
経営
のことになりますと、激烈な競争の世界ですから、なかなかそうもいかないだろうと思います。ですから、
行政
的に深くはタッチできないでしょうけれども、何らかの形で、定価の改定なら改定については、第三者機関のようなものにひとつ審議を求めるような方法をやったらどうか、あるいはまた、配達
制度
がそれほど深刻ならば、配達
制度
のあり方についても何らかの形で改革の方法というものについて第三者のところに
意見
を求めるくらいのことをしてはどうかというような、勧告というとおかしいのですが、政府の声というようなものはあがらないものだろうかどうだろうか、このように
考え
るのですが、いかがなものでしょうか。
宮澤喜一
32
○
宮澤
国務大臣
新聞
の定価
値上げ
について私どもがあまりものを申しておりませんのは、それが言論機関であるからというのではございません。言論機関でありましても、たとえばNHKの聴取
料金
のように、ある程度政府が責任なり関与なりがあるというものについては遠慮なく申すときには申さなければならないと思いますし、また過去に申しておりますが、これが
新聞
の場合には全く私企業である。ただいま木原
委員
御指摘のとおりでございますが、そういう意味から私どもが関与し得る程度というものは実際上非常に少ない、あるいは無に近いというふうに
考え
ますので申しておらないわけでございます。 しかしながら、どういう感想を持っておるかというお尋ねであれば私もいろいろな感想を持っております。その多くのものは、ただいま木原
委員
が言われましたようなことに確かに関係をいたすのでありまして、いわゆる一つ一つの専門
販売
店の
制度
というものが、今後わが国の労働情勢等々を
考え
ますと、いつまで維持できるかということは実際に問題であろうと思います。しかしそのことはおそらくだれもよりも
新聞
自身が気がついておられることなのではないだろうか。
販売競争
との関係でいままでが専売店で来ておりますが、将来の
労働力
を
考え
ますと、これにもおのずからいつかは
考え
直さなければならないときが来るのではないだろうかということは、私もおっしゃったとおりに思いますし、また広告につきましても、幾つかの
新聞
は相当広告がふえて広告料の収入がふえておるというふうに私も思うのでございます。それからまた、多くの
新聞
が同じ値段であるということにつきましても、必ずしもそうでなければならぬというふうにも思えない。一人の読者として感じておることはいろいろございます。が、それらのことすべて、たてまえとしてはやはり
新聞
自身においていろいろ
考え
られるべきことではないだろうか。できるだけ政府が関与しない、そうして私企業の側でもって
考え
てもらうということが私どものたてまえであろうと思っております。
木原実
33
○木原(実)
委員
そうだろうと思うのですが、ただ私はこの議会という場を通じて、
新聞
の今度の定価改定についてははっきりと非難の意思を明らかにしておきたいと思うのです。物価等に関する
委員会
の一員としてそのことだけははっきりと公の場で言っておきたいと思うのです。 と申しますのは、
経営
面を
考え
てみますと、
新聞
社でいろいろな良識の世論を形成するわけなんですが、業態的には非常におくれたような面があるような感じがするのです。そればかりではございません。中には職業野球の球団を
経営
しているところもありますし、あるいはまた、さまざまな関連の企業に投資をする、あるいはテレビ、ラジオその他にも資本の
参加
をする、いろいろな形で多角
経営
をやっておる、そういう側面もある。最近は御案内のように大阪の朝日
新聞
が大きなビルをつくった。毎日
新聞
も御案内のようにりっぱな社屋をつくった。それから読売
新聞
も近いうちに何か新しいりっぱな社屋をつくる計画がある。これはけっこうなことなんです。ところが
新聞
社の資本金を見てみますときわめて少ないのです。外部の資本が入ってこないために資本構成は小さくしておるんだ、こういう
配慮
があることなんで、それはそれでいいのですけれども、そのために今度は逆に銀行その他、いわば金融関係の資本がかなり多額に入ってきておる。そうなりますと、いまの
新聞
社を資本的に押えているのはやはり金融資本だ、こういう側面もある。
新聞
社は非常に強いのですけれども、やはり銀行屋さんには頭が上がらぬ、こういうことになりますと、本来の、どこからも制約されない自由な
新聞
でありたいという
立場
から出発をしたことが、皮肉なことには銀行屋さんには頭が上がらないという側面が実態としてある。しかも設備投資に次ぐ設備投資、こういうことが相次いで行なわれておる。だから今度の定価改定の中には、直接の動機はおそらく
販売
店からのいろいろな要求にこたえるということであったと思うのですが、しかしもっと内実に入ってみると、これはおそらくそういう新社屋の
建設
その他の、言ってみれば、何といいますか、やはり金融を受けたそれに対する負担というようなものもかなりあるのではないか。そうするとたいへんりっぱな壮麗な
新聞
社の社屋が建つということはいいことなんでしょうけれども、その負担はやはり何といいますか、読者が背負っていくわけなんですから、これは八百屋が店を直したからといってそこの大根が高くなったのではおかしな話なので、そういう側面があると思うのです。これも、そうかといって
新聞
社がビルを建てたり設備の更新をやったり、あるいはいろいろな関連をする社会的に有用な企業に資本
参加
その他のことをするということについて、われわれはとめる力はございませんけれども、しかしその辺のことは、やはり
新聞
社の本来の社事というものが何であるかということをこの辺できちんと踏まえてやってもらわないと、やがて
新聞
というものについて読者が全体として離れていく
状況
になっていくのではないか。そうなりますと、われわれはやはり世論の中で政治をやり
行政
をやっている者といたしまして、何かはなはだ心もとないような感じがするわけです。また、これは政府がどうのこうのというわけじゃないのですけれども、お互いに
長官
も政治家として、あるいはわれわれも議会人として、
新聞
の今度の定価改定にあらわれた問題の背景そのものについて非常に憂慮すべき点が多いし、それからまた、今度のような
値上げ
については、一言でいうとやはり私としてはこの場を通じて非難をしておきたい。だから、いろいろな角度から
新聞
とつながりの深い政治家として、いろいろな場を通じてその実態というものを明らかにし、社会的に
新聞
社の責任を追及していく、そのことを通じて
新聞
社の企業としてのありようというものをもっと健全なものにしていくために間接的な協力をしたい、努力をしたい、実はこういう気持なんです。そういうことについてならば
長官
もおそらく——何といいますか、政府の一員としてはなかなか御発言の限界があろうと思うのですけれども、政治家としての御感想みたいなものをあわせて伺っておけたらと思うのですけれども……。
宮澤喜一
34
○
宮澤
国務大臣 政府としての
意見
を申し上げることは差し控えますけれども、国権の最高機関でただいまのような御議論がありますことは、私はきわめて有意義なことだと思います。
新聞
経営
者におかれてもただいまのような御
意見
、おそらくおのおのの
立場
においていろいろ
考え
られ、また将来に向かってくふうをされるであろうというふうに期待をいたします。
木原実
35
○木原(実)
委員
私、あわせて
委員長
にお願いをいたしたいわけなんです。御案内のようにこの種の問題ですから、できましたらきわめて近い将来に、
新聞
の関係のしかるべき人を何人か参考人としてこの
委員会
にお招きをして、今度の
新聞
値上げ
の問題を
中心
にして関係の
方々
の
意見
をこの場で述べていただく、それに対してそれぞれの
委員
から必要な
質問
をする、そういう機会をできればつくっていただきたい、このようにお願いを申し上げるのですが、いかがでしょうか。
八百板正
36
○
八百板委員長
木原君の
意見
にお答え申し上げます。 木原君の提案と申しましょうか御
意見
については、
理事
会にはかって相談の上処置いたしたいと存じます。
木原実
37
○木原(実)
委員
それからなおあわせて、きょうは大蔵省の関係の方はいらっしゃらないのですが、これはひとつ
長官
に
意見
を承っておきたいと思うのです。 大蔵省の中でも、広告の問題について、広告税のようなものを新設したいという一部の
考え
方があるやに聞いておるわけなんです。私はこの
委員会
で別の機会にも申し上げましたけれども、広告
料金
等についての、特に過剰と認められる広告
料金
について、やはり一定の課税を必要とするんじゃないだろうか、こういう
意見
を何回か申し述べてきた一人なんです。そこで、この
新聞
の
値上げ
の問題と関連をする面もあるわけなんですけれども、今日、広告の問題について通産省当局が、いろいろな
業界
との
懇談
その他で、広告
業界
の近代化のために努力をしているやに聞いているのです。やはり広告というものが、これは
新聞
広告だけではございません、広告全般について非常に広告の全体の伸びが著しい。その中には、われわれから見ると、企業にとって非常に大き過ぎると思われるくらいの、つまり、たとえばその会社の全体の総売り上げ量に比して非常に大き過ぎると思われるくらいの広告
料金
を支出して、ともかくはでに広告をやっている企業が見受けられるわけなんです。それやこれや
考え
合わせますと、やはり一定額以上の広告
料金
については一定率の課税を行なっていくというような形で、広告という問題についてアプローチしていく時期がきているんじゃないか、こういう感じを持つわけなんです。そこで、広告の問題についてはそれだけではないいろんな問題があるわけですけれども、広告について一定率の税金をかけていくという
考え
方についてひとつ御
意見
を承っておきたいと思うのです。これはいろいろ動きがあるものですから、
長官
のこの段階での御
意見
をひとつ伺っておきたいと思います。
宮澤喜一
38
○
宮澤
国務大臣 御承知のように、かつて広告税というものをいたしたことがあるわけでございますが、いろいろむずかしい問題がこれにはたくさんあるように存じます。たとえば過剰の広告とは何であるかというようなことについて、おそらく企業の
立場
から申しますと、明らかにやや長期にわたって収支の償わないような広告をするということは、企業の
立場
からいえばないはずでございますので、私どもが過剰だと思われることが企業にとってはそれだけの利潤を生むという結果に、企業が合理的である限りはなっておるのではないかとも
考え
られます。問題は非常にいろんな複雑な問題を含んでおるように承知をしておりますので、にわかに
意見
を申し上げることはできませんが、御指摘の点は私どもでも
研究
をいたしますし、なおそういう御
意見
のありましたことは財政当局にも私どもから伝えておきたいと思います。
木原実
39
○木原(実)
委員
まあ直接政府の問題でございませんので、
長官
にお
伺い
することはこれで終わりにいたしたいと思いますけれども、あわせて、通産省の方がせっかくお見えでございますので、今度の定価の
値上げ
につきまして、いままで
行政
的にタッチをされた範囲の中で、当局として何かおつかみになった問題はございませんか。たとえば、定価の
値上げ
が妥当であるかどうかという判断は別にいたしまして、
新聞
界全体の
業界
としての動きの中で何かおつかみになったことがあれば、この際ひとつお聞きをしておきたいと思うのです。
小山実
40
○小山
説明
員 お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、
新聞
というのはどこか所管の官庁があるはずだということです。それで、
新聞
協会というのがございますが、これは何か
新聞
の倫理基準の
向上
というようなことで、文部省で御認可になっておるというふうに承知しております。その文化面と、それから産業面ということになりますとやはり通産省であるかなということでございます。実は、きょう先生の御
質問
があるかもしれないということで、あわてていろいろ勉強をし始めたような段階でございますので、まあ
長官
ぐらいにおなりになりますといろいろ御
答弁
もなさられますけれども、私といたしましては、いろいろむずかしい問題がございますので、お答えはごかんべん願いたいと思います。
木原実
41
○木原(実)
委員
たいへんどうも……。ただ、私はこう思うのです。確かに言論の府ですから、これはもうちょっとどこも当たるところがないわけですよね。だから、
長官
はほかの物価の
値上げ
については抵抗しろというたいへん勇ましい、われわれの党が言うような御発言があったのですが、
新聞
の
値上げ
についても、つまるところは読者が、今度の
新聞
の
値上げ
についてはけしからぬと思ったら、これはもう
新聞
を読まないか、直接値引きの交渉をやるか、何かそういう
消費者
としての読者の直接行動しかないわけですね。世論に訴えるといいましても、やはりこれは御自分のところですから——きょうは記者諸君も来ておりますけれども、けしからぬという筆致はちょっと書きにくいと思うのですね。そうなると、世論のあれがないのですよね。読者もこれは、こんちくしょうと思ってもなかなか——しかも社告を見ましても、年少の子供たちが、中学生たちが寒い朝も配っているのだからこれにせめて八十円やりたいのだ、こう子役を使って訴えられると、おかみさんは、これはしようがないと言うのですよね。その弱みにつけ込んでいるわけですよ。しかもわれわれだって、もう三十年も四十年も朝日
新聞
を読んだり読売
新聞
を読んだり毎日
新聞
を読んだりしておると、やっぱりこれは空気みたいなものですから、こんちくしょうと思ってもそれを読むわけですよね。そういう一つの弱みがあるわけなんです。それに対して、しかもわれわれは、読者であるそういう大衆を
代表
してきておる者とすれば、どうも政府相手にものを言うわけにいかぬけれども、何かここにきっちりしたことを言っておかないと
立場
はないと思うのですね。 そうなりますと、まあこれはあわせてお願いだと思うのですけれども、おそらく
行政
的にはタブーの一言だと思うのです。ただ産業としての
新聞
、企業としての
新聞
の問題については、
行政
的にもっと積極的にやはりタッチをする側面があると私は思うのです。これは広告についてもそうなんですね。私は昨年、広告の問題を若干取り上げまして、通産当局も、いろいろな
業界
関係その他で、いわゆる広告
業界
の近代化のための援助といいますか、手助けみたいな仕事を始められたと聞いておるのですが、同じようなケースで、
新聞
も企業としての、産業としての
新聞
の分野については、公共性が高いだけにやはり
行政
的な面でのそれ相応のタッチがありませんと、しかもいろいろこれから
新聞
関係というのは激動期に入っていくわけですね。それだけにいままでとは違った、それからかりにも
新聞
社の一番きらういわゆる官僚統制的な面ではなくて、
新聞
が健全に発展をしていくという目標でアプローチをしていく道をぜひつくってもらいたい、こういうふうに思うのですが、ちょっと
現状
はほとんどノータッチだろうと思うのですね。いかがなものでしょうか。
小山実
42
○小山
説明
員 非常にむずかしい御
質問
でございますが、実は私、昔郵政省関係でございますけれども法律関係の仕事をやっておりましたときに、電波法とか放送法の問題にちょっとタッチしたことがございます。そのとき、
新聞
は特に昔のように用紙のあれとかそういうものもございませんし、企業形態としては私企業でございます。その辺に
行政
のタッチの程度が違います。まあ放送の場合には、電波というものが経済的に、割り当てに限度がありますことから、やはりある一つの権利が出てきて、それにいろいろ政府が規制をするという面があるわけでございます。その場合にも、
報道
機関に対します政府の側の干渉のしかたというのは、その産業という面と
報道
の面と非常にデリケートな限界がございまして、ある産業面でも強く干渉をばしますと、いろいろ中身に響いてくるという問題もございます。特に
新聞
の場合は、いろいろ放送のように有限の電波を使っておるという問題もございませんし、その辺どういうふうに
行政
庁がおつき合いをしていけばいいのかということは、私どもこれから大いに勉強しなければならぬことではございます。ただ、せっかくの木原先生の
お話
もございますので、一生懸命勉強さしていただくということで御了承願いたいと思います。
木原実
43
○木原(実)
委員
ただそれだけではすまないのですがね。今度は八十円の
値上げ
、こういう具体的な問題が出ているわけです。この
値上げ
を必要とするいろいろの理由がすでに紙面を通じて一般に明らかにされておりますから、これはやはり
値上げ
に至る背景というものについて、多少のお調べをぜひいただきたいと思うのであります。それはひとつお願いをしておきたいと思うのです。 それから、きょう公取の方いらしていると思うのですが、これは言うもおろかなことなんですが、
前回
の
値上げ
のときにも、独禁法に触れるのじゃないか、こういういわゆるさたがございまして、問題がございまして、どうも結果は非常にあいまいに終わったような印象を私は持っているのですが、今度の場合はどうですか。
吉田文剛
44
○吉田
説明
員 私、実は取引部長なものですから直接審査——これは審査の問題になると思いますが、一応お答え申し上げておきます。 今回の一斉
値上げ
でございますが、十一月一日を期して朝、毎、読、それから日経が
値上げ
をするという点については、協定の事実があれば、共同して
値上げ
をしたという事実があれば、これは独禁法に違反しているということになりますので、現在全力をあげまして情報を集めている段階でございます。地方
新聞
の
値上げ
もございますので、本局とそれから地方事務所、これが一体になりまして
値上げ
に関する情報収集をしているということでございます。もちろん、これで協定の事実がつかめれば、共同して対価を引き上げたということで独禁法違反ということになると私は思っております。
木原実
45
○木原(実)
委員
これは、まあいまの法のたてまえがずいぶん抜けたところがある面もあるのですが、関係筋ではもう何カ月も前からこの
値上げ
についての動きその他ございまして、情報を集められるとおっしゃるのですが、情報の本拠でそれを上回る情報を集めるということは、役所の機構としてはたいへんなことだと思うのです。これは一般のわれわれの側から見ますと、発表した日取りは違いますけれども、いずれにしましても十一月一日から、いろんな
新聞
がずいぶんたくさんあるわけですけれども、それが一斉ということでないことは明らかなんですが、しかし、影響力は別にしまして、少なくとも
発行部数
でかなりシェアの高い、たとえばいま名前をあげました三社なら三社が一斉
値上げ
ですよ。しかも、どういうわけか定価もきちんとしている。十円の違いもないわけです。その理由もまたみんな似たようなことですね。確かに話し合いをして、談合をして、文書で協定したなんという、そんなへまなことをやるところじゃないですからね。それだけにこれは割り切れませんね。ある意味じゃ、これは公取がなめられているわけですよ。それで、これから情報を集めて——これは情報を集めたって集まりっこないと思うのですよ。しかし、
お話
としてはずいぶんあるわけです。ある
新聞
社は千円の定価にすべしという非常に強硬論があったというような
お話
もあるし、各社の中の話し合いはいろいろだったと思うのです。しかしながら、プロセスはともあれ、事実問題として十一月一日からそろって八十円の
値上げ
をする。理由もみんな似たようなものですね。これだけきちんとしていてなおかつ、いわゆる法で問えないというのは、いわば読者というか、
国民
としては割り切れない面があるのです。その辺はどうなんですか。法の抜け道というとおかしいですが、弱みですかね。
吉田文剛
46
○吉田
説明
員 確かにある一定の時期から一斉に関係数社が値を上げたというのは、
新聞
社だけではございませんで、他にも例はございます。ただその場合に、すぐそれだけの事実で、ある期間から一斉に値が上がってそろってきたというその事実だけで、はたしてこれは独禁法上共同行為があった、協定があったと断定できるかどうかは、ちょっと疑問じゃないかという気がいたします。やっぱり独禁法のたてまえ、
公正取引委員会
のたてまえとしましては、そこに協定があったという事実、証拠をつかんでこないと、それだけで独禁法違反によって処理するということはむずかしいのじゃないかというふうに
考え
ております。 ただ、そこは情況証拠という問題もございまして、ある程度はその
状況
によってできるのではないかと私個人は
考え
ておりますけれども、いままでの例としては、やはり協定があったという事実がつかめないと、違反として処理していないと思います。
木原実
47
○木原(実)
委員
それはそのとおりだと思います。この春でしたか、ウイスキー三社が同じようなケースで
値上げ
しておりますね。しかしこれがつかまえられない。情況証拠ということばもおっしゃいましたけれども、これは結果は同じですからね。話し合いをし、協定をし、あるいは文書等の証拠があったかなかったかという、それはプロセスの問題でして、結果は一様なわけなんです。情況証拠というのがどのくらいのウエートを持つのか私はわかりませんけれども、何らかの形で公取としてこの問題については、多少むだでも、努力をしてもらいたいと思うのです。そうしませんと、特に
新聞
のように社会的に影響を持つものだと、公取の存在自体が疑われるわけですから。
新聞
社の
値上げ
を押えられなかった、ほかの何か小さな末端のいろいろな排除をやったりしましても、
国民
の受け取る印象としましては、やっぱり
新聞
にはかなわないのだなという印象じゃ、これは公取の存在もおかしくなるのじゃないか、そう思いますので、ひとつ努力をしていただきたいと思います。 それではこの辺で終わりたいと思います。
八百板正
48
○
八百板委員長
戸叶
里子君。
戸叶里子
49
○
戸叶
委員
企画庁
長官
がお帰りにならないうちに、一点だけ
伺い
たいと思います。 最近企業の大型合併の問題があっちこっちに出ているようでございまして、そのうわさされた企業に働く人たちも何となく不安な、どうなるのだろうというような
気持ち
でいるようでございますが、その問題につきまして、何か
国民
生活
審議会の中の
消費者保護
部会で
意見
が出されて、そして、
消費者
の
立場
から見れば大型合併を支持することができないという、大型合併についての批判的
意見
が出ていたように私は聞いておりますけれども、これに対して、
消費者
を保護する
宮澤長官
のお
立場
として、どういう態度をもってお臨みになるか、どういうふうな指導をされていこうとするのか、この点をまず
伺い
たいと思います。今後のこの問題自体についてのいろいろな問題についてはまた別に取り上げるといたしまして、きょうは
長官
のそのお
考え
だけを伺っておきたい、こういうふうに
考え
ます。
宮澤喜一
50
○
宮澤
国務大臣
国民
生活
審議会の
消費者保護
部会で、「企業の大型合例についての
意見
」というものをおまとめになったことは、御指摘のとおりでございます。 この
意見
がまとまりますまでのいろいろな過程を承っておりますと、
委員
の
方々
はかなり幅の広いいろいろな
意見
をお持ちであったようであります。部会長はじめ
委員
の
方々
、必ずしも同じ御
意見
ではない。そこで、最後にまとまりました、いわゆる紙に書かれました
意見
というものも、当面問題になっております大型合併について述べておられるという形ではなく、一般論として、「大型合併が
市場
支配力の形成に連なるような場合には、
消費者
の利益を害する公算が大きいから、これを支持することは困難である。」こういう立論になっておるわけであります。 これは私そのとおりだと思いますので、
市場
支配力の形成に連なる、もっと申しますと、一定の分野における取引を制限することとなるというような場合でございましたら、これはそもそも独禁法上認められない種類のものでありますし、それに至りませんでも、あるいは
市場
支配力の形成に連なる場合があるかもしれない、その場合には
消費者
の利益を害される公算が大きい、これはそのとおりであろうと思います。この
意見
につきましては、したがって、私は別段の異見があるわけではございませんで、そのとおりであろうというふうに承っております。しかし、これが当面問題になっております合併について、
消費者保護
部会が
意見
を表明されたというふうには私は受け取っておりません。
戸叶里子
51
○
戸叶
委員
この問題については、ゆっくり時間をとっていろいろ議論をしたいと思いますけれども、そうしますと、さしあたり、出されております
意見
については、
意見
として出されたなということだけで、企画庁
長官
はそれをそのまま受けとめておくだけでございますか。これに対してはどういうふうにもなさいませんか。たとえば八幡と富士の合併の問題等も出ているようでございますけれども、そういうふうな問題についてはどういうふうな態度を持っていらっしゃるか、もう一度お
伺い
したいと思います。
宮澤喜一
52
○
宮澤
国務大臣 八幡と富士との合併につきまして私がどう
考え
ておるかということは、すでに以前にも申し上げました。このたびの
意見
が
消費者保護
部会から出されたことについて、それによって私は自分の前々から申し上げております
考え
を変更する必要があるとは思っておりません。ただ、現在の段階は、
公正取引委員会
においてこの問題をいよいよ本格的に審議をされる段階になりましたので、私としては、ここまで間近にまいりますと、いわば雑音に類するようなことはもう重ねて申し上げないほうがいい。影響を与えるとは思いませんけれども、しかしそういうふうにとられやすいことでございますので、したがって、最近は他の
委員会
でも、おまえどう思っておるかというお尋ねがございましても、いまの段階としてはもう何も申し上げないほうが私としてはいいのではないか、こうお答えいたしておりますので、
戸叶
委員
にもそのとおり申し上げる次第でございます。
戸叶里子
53
○
戸叶
委員
ではもう一つだけ。
消費者保護
部会の出された
意見
は尊重されますか。これだけ伺っておきます。
宮澤喜一
54
○
宮澤
国務大臣 尊重いたすべきものと思います。
八百板正
55
○
八百板委員長
砂田重民
君。
砂田重民
56
○
砂田
委員
私は、きょうは北九州のカネミ製油のつくりました例の米ぬか油の問題について、厚生省、農林省のほうから承るわけですが、今度のこの事件に関連して、実は従来こういう事態が起こるかもしれない非常に不備な食品衛生法であったというふうなことが——
消費者保護基本法
を私ども政府と御一緒にいろいろ勉強いたしました段階で、われわれ
委員
の側にいたしましても政府の側にいたしましても、いままでの食品衛生法では、これだけ変わってきてしまった食
生活
の規制ができないという
見解
をお互いに持ったわけなんです。そうして食品衛生法の改正なり農林物資規格法の改正なり、それぞれの所管省が改善の方向で努力をしていただいている途中でこういう不幸な事件が出てまいりました。全く残念なことなんです。これから政府も予算編成にかかられるわけでございまして、こういった
消費者行政
、
消費者
という角度から見ての
消費者行政
を拡充していくことを、経済企画庁、通産省等は来年度の重要政策の柱に立てておられるのですが、
消費者行政
の所管大臣として、政府の来年度の予算の立て方に
消費者行政
の拡充、いろいろ法改正の裏づけになる予算、そういったことに重点を置いてお
考え
になっていただきたいと思っているのでありまして、
長官
の御
見解
を承りたい。
宮澤喜一
57
○
宮澤
国務大臣 ぬか油の問題につきましては何かかなり複雑な事情があるようでありまして、現在関係者が一緒になりまして
調査
を進めております。 なお、そのことに関連いたしまして、ただいま
砂田
委員
の御指摘の点はそのとおりでありまして、実は当
委員会
に対しまして、私ども
消費者保護基本法
に基づいて在来の法制を全部見直すというお約束をいたしまして、各省でその作業はただいま通常国会を目ざしまして進行いたしておりますが、今度のぬか油の事件にも特に関連いたしまして、農林大臣及び厚生大臣としては、食品衛生法及びJAS規格の問題についてあらためて
検討
する必要があるという御
意見
であると私は承知をいたしております。政府としては、そのように進めてまいりたいと思います。
砂田重民
58
○
砂田
委員
長官
、もう一つ私
伺い
ましたのは、そういった法改正の最終的な答えが出る前に予算編成のほうが先にきてしまうわけですね。ですから、たとえて申し上げますならば、食品衛生法を改正して
監視体制
をもっと
強化
する、そうすれば食品衛生監視員の頭数の問題、予算の問題のほうがおそらく年末に先にきてしまうと思うのです。こういった法改正の裏づけになる予算をこれから政府が編成なさるわけでございますので、この食品衛生の監視員の問題だけではなくて、各省が出してまいります
消費者行政
拡充のための予算というものを、企画庁の
長官
としては政府としての重要予算事項の一つとお
考え
になって取り組んでいただきたいと
考え
るものですから、そういう御決意がおありになるかどうか、実は念押しをいたしておきたいと思ったわけであります。
宮澤喜一
59
○
宮澤
国務大臣 すでに私から大蔵省事務当局に対しまして、明年度の予算編成に際して、いわゆる公共
料金
的なものを受益者負担との関係で
調整
するということのほかに、直接物価安定の
行政
に資するような費目について特に
配慮
をしてもらいたい、経済企画庁所管の予算とは限らないのでございまして、むしろそうでないものが多うございますが、特に
配慮
をしてもらいたいということで、これは財政当局も了承してくれておりますので、基本的にはそう了解ができております。具体的な予算編成の段階になりまして、私としては他省にわたるそういう予算要求につきましても、経済企画庁の
立場
からできるだけ応援態勢をとりたいと思っております。
砂田重民
60
○
砂田
委員
それでは、カネミ製油の米ぬか油の問題を伺うのですが、私どもは実は
新聞
報道
を通じてしか事を知っておりません。そこでまず厚生省の食品衝生
課長
から、いままでの経緯を相当こまかく御
説明
願いたい。
野津聖
61
○野津
説明
員
新聞
紙上等に見られております米ぬか油によります中毒事件の
経過
につきまして御
説明
申し上げます。 事件の端緒でございますが、これは十月の四日に、大牟田市にございます大牟田保健所から福岡県の衝生部に対しまして、油によると思われます中毒患者が発生したということの通報があったわけでございます。現行の食品衛生法の場合でございますと、大牟田市は政令市でございますので、特別に通報する義務はないわけでございますが、油によります中毒事故ということでございまして、非常に珍しい例だからということで、県のほうに通報があったわけでございます。 これに基づきまして、九日に、同大牟田保健所の
調査
によりまして、患者が九大病院の治療を受けているということがわかりましたので、さっそく県のほうでは九大に参りまして主治医の方とお会いしまして、いろいろ
状況
などをお
伺い
したということでございます。そうしましたら、ほかに同様な患者が四名現在九大で受診しているという
報告
を受けたわけでございます。また一方、大牟田保健所のほうとしましても、八日に患者の宅に残っておりました油約五百ミリリットルをいただきまして、これを衛生部のほうに送ってまいったわけでございます。 それで、同日福岡県の衛生部は、県下の各保健所、それから各市に対しまして、患者の発生の
状況
を
調査
しろということを指示たしいますと同時に、工場に対しまして、北九州市にございますので、北九州市と打ち合わせた上で、自主的に
販売
中止をしてはいかがというふうな勧告をいたしたわけでございます。 以上の
状況
につきまして、十一日に厚生省に
報告
があったわけでございまして、厚生省といたしましては、この
報告
に基づきまして、福岡県に対しまして、関係機関等と十分な連絡をとりながら、原因の究明あるいは何か物質が入っておればその汚染経路等を解明するために、努力をしてもらいたいということを指示したわけでございます。その後、福岡県といたしましてもいろいろ患者の資料等をまとめていた段階でございます。 それから十月十五日に、全国の
都道府県
の衛生部長に対しましても、これに類した患者の発生が届け出がございましたら至急
報告
してもらいたいということを通知いたしたわけでございます。 なお、当時の
状況
によりますと、かん入りの油から患者が出ているというふうなことがありましたものですから、一応食品衛生法の四条四号違反ということで、一斗かんに入っております油の
販売
停止を十五日の時点で各市、各保健所に通知いたしたわけでございます。また同日付で北九州市の衛生局も、食品衛生法四条四号違反ということで、カネミ倉庫
株式会社
に対しまして一カ月間の
営業
停止を命じたわけでございます。 十月十六日に、厚生省は現地に食品衛生
課長
及び係官を派遣いたしまして、現地の
状況
調査
、今後の方針等について、いろいろ現地と打ち合わせをいたしたわけでございます。同日付で、先ほどはかんだけでございましたが、びんに入っております油につきましても
販売
、移動禁止をいたしたわけでございます。 また、福岡県におきましては十六日付で、副知事を本部長といたします福岡県油症対策本部を
設置
いたしまして、この対策に全力をあげて当たる体制を持ったわけでございます。 また、同日厚生省は全国各県の衛生部長に対しまして、同社製の米ぬか油に対しまして食品衛生法四条四号違反があるから、この
販売
の停止及び移動の禁止の措置をとるようにということを指示いたしました。なお、それにあわせまして、この油の検査及びそれ以外の油の製造工程につきましても点検あるいは製品の検査を行なうようにということを通知いたしたわけでございます。 十月十七日に現地福岡県におきまして、当時一番患者が発生しておりました一府七県三市の関係者を集めまして、さらに九州大学、久留米大学の専門の教授、講師に集まっていただきまして、厚生省主宰によります油症対策関係打ち合わせ
会議
を実施いたしまして、各府県におきます
現状
を聴取すると同時に、今後の方針につきまして指示を与えたわけでございます。その今後の方針の
内容
といたしましては、患者の発見と同時に、その患者が使用いたしました油の原因物質、さらにはその油を収去いたしまして分析するということを
中心
といたしまして、さらには患者の発生につきましては逐次厚生省に
報告
をしてもらいたいということを指示したわけでございます。 なお、当時
新聞
紙上等で砒素の含有があったということが
報道
されましたので、まず検査の
対象
といたしましては砒素を重点としてもらいたい、そのほかに、有毒性がございます重金属、それから有機塩素系化合物、
農薬
でございますが、その他の
農薬
、それから油の脂肪酸の状態あるいは酸化いたします状態というものについて重点的に
調査
しろということを指示したわけでございます。 さらに厚生省といたしまして、厚生省の医務
局長
名をもちまして全国の地方医務
局長
と
国立
病院長に対しまして、同一疾患と思われるような患者についての資料を
整備
するということ、さらには各関係の
都道府県
と十分連絡をとってもらう、さらには治療法で非常に効果のあるものがあれば至急連絡をしていただくということなどを、各
国立
病院に対しまして指示いたしたわけでございます。 さらに、実はこの症状そのものが非常にむずかしい疾病でございまして、発見いたしましたのが九大の医学部の付属病院の皮膚科で発見いたしたわけでございまして、診断に非常に困難な問題がいろいろございまして、各県といたしましても、この届け出があるという状態がございましても、一体これがどういう疾病であるかということにつきまして非常に判断に困っている状態がございましたので、十月十七日にお願いいたしまして、十月十八日に九大を
中心
といたしまして関係の専門家が寄りまして、その疾病の症状はこういうものであるという典型的なものをおまとめいただきまして、二十二日に各県にその症状
概要
につきまして送付をいたしました。 さらに、この問題は油の製造工程あるいは原料になりますぬかの問題等、非常に大きな広い問題がございますので、十月二十三日に農林省と第一回の打ち合わせ会をいたしたわけでございます。 さらには、非常に多府県にわたっておりますので、疫学的な
調査
を行ないます場合でも、各県まちまちにやっておりますのでは十分な原因究明ができないというふうな
状況
がございますので、患者の疫学
調査
の方法あるいは試験項目はこのようにというふうな中身で、厚生省から各府県に対しまして通知をいたしたわけでございます。 現在、患者の数は、昨日の十六時現在で一万一千十二名の
方々
が届け出をしておられます、この届け出の内訳といたしましては、医師によります届け出、それから患者が自分でその油を使用しておりましてそういうふうな症状がありましたということで、積極的に本部に申し出ていただいた数というふうな、いろいろな状態があるわけでございますが、まぜまして一万一千十二名が届け出られた数になっておるわけです。
内容
は二十三府県にわたっております。 以上、簡単でございますが、
概要
を申し上げました。
砂田重民
62
○
砂田
委員
それでは農林省に伺っておきたいと思うのですが、患者発見が十月の三日か四日だったと思うのです。ところが二月に、同じ会社カネミ製油が米ぬか油をつくる製造工程の途中で副産物的に出てくるというダーク油を、二社ばかりの飼料メーカーが鶏のえさの添加物に使って、そのえさを使った養鶏家のところで、西日本一帯で七十万羽のひなが死んだ、こういうことが
報道
されているのですが、この実態の経緯をひとつ御
説明
願いたい。
平松甲子雄
63
○平松
説明
員 本年の二月から三月の上旬にかけまして、中国及び九州の各県で、特定の飼料会社が
販売
した配合飼料を投与したひなと成鶏が、ひなが斃死あるいは成鶏が病気におかされた状態があるということで調べてみましたところ、いま申し上げましたように特定の配合飼料を投与しておるというので、その配合飼料工場を調べてみましたところが、先ほど
お話
が出ましたカネミ製油のダーク油を使っておるということがわかったわけでございます。こういうことで、鶏の被害といたしましては、ブロイラーが約百万羽、それから成鶏が、これは死んだわけではございませんけれども、百十万羽の被害ということで、そのうちブロイラーの死亡が四十万羽というふうな被害が出たという
内容
がはっきりいたしたわけでございます。 そういう状態でございましたので、さっそく飼料の
販売
店から飼料を回収させますと同時に、飼料の製造工場についてはその当該ダークオイルの使用禁止いたしますとともに、問題になりました配合飼料二工場の責任者を呼びまして、今後のダークオイルの使用についての厳重な注意を喚起するということと同時に、
都道府県
知事なり関係飼料団体に対して、飼料の品質管理について厳重な注意を喚起するという措置をとったわけでございます。 それからまた、問題の地域にございます福岡肥飼料検査所の所長は、問題の配合飼料の工場長を呼びまして注意をいたしますと同時に、カネミ製油の工場長に対しても注意をいたしたという
実情
でございます。
砂田重民
64
○
砂田
委員
いまの農林省の
お話
で、追跡
調査
をされてカネミ製油から出てきたダーク油だということははっきりしたように承ったのですが、カネミ製油に注意をしたとおっしゃったけれども、それはどういう注意なんですか。
平松甲子雄
65
○平松
説明
員 本年の六月二十六日に肥飼料検査所長はカネミ製油の工場長に出頭を命じまして、事故に対する厳重な注意と、それから今後ダーク油を飼料用として
販売
する場合には、動物試験によって安全を確かめた上で使用するようにという注意を与えました。
砂田重民
66
○
砂田
委員
私はえさのことはよくわからないんですが、工場長を呼び出して注意をなさったので、工場そのものの立ち入り検査その他は、そのときには農林省はおやりにならなかったのですか。
平松甲子雄
67
○平松
説明
員 私どものほうは、まずえさの所管でございますので、えさの工場のほうに追跡
調査
をいたしまして、特定のロットのえさについて事故が起こっておるということがはっきりわかったわけです。その特定のロットについて原因を調べてみますと、カネミ製油の油を使っておるということがわかったということでございますから、そのダーク油について原因があるというふうに
考え
ましたので、ダーク油の使用について動物試験をするということで今後の使用について注意をいたしますならば、家畜の被害は今後起こらないであろう。わりあいに簡単に結果が出てくるものでございますから、そういうふうな動物試験をすることによって安全が確保できるという観点で注意を与えたということでございます。
砂田重民
68
○
砂田
委員
簡単に答えが出たんですか。カネミ製油のダーク油だったことはわかったわけですね。それでカネミ製油のダーク油すべてがそうであったのではなくて、限られた、何月につくられたどれだけの分量というのか、そういうロットがはっきりして、そのロットについてだけこういう事故が起こったということがはっきりしたのですね。それで動物試験その他を命ぜられたのだけれども、それじゃ動物試験その他の結果の
報告
を聞いておられるのかどうなのか。一体どういうダーク油の中に何が含まれていたからそういう事故が起こったのか、そういうことが判明をしたのですか。
平松甲子雄
69
○平松
説明
員 二工場について調べました結果、二月七日と二月十四日にカネミ製油から出荷されたダーク油に基因するものであるということがはっきりわかったということでございますので、当該ダーク油を一〇%添加した飼料を家畜衛生試験場でつくりまして、ひなに給与して再現実験をしてみた結果、当該ダーク油にひなに対する致死毒性があるということがはっきりわかったということでございます。
砂田重民
70
○
砂田
委員
ほかのダーク油は何でもなかったのですね。ダーク油がそういう事故を起こしたのではなくて、ダーク油の中に含まれている何かがそういった事故原因なんですね。その事故原因というものははっきり判明をしたのですか。
平松甲子雄
71
○平松
説明
員 その点については十分
調査
をいたしたわけでございますけれども、どういう物質が毒であるのか、つまり死を招くというような要素であったのかということについても
研究
してみましたけれども判明しない。ただそのダーク油に原因があるであろうということだけははっきりしたわけでございます。
砂田重民
72
○
砂田
委員
二月の七日、十四日に、二つのえさ工場に対してカネミ製油が出荷したダーク油のそのロットのものについてはそういう事故が起こったということがはっきりした。それからその工場長を呼んで注意をして、動物実験をしてから出しなさいという注意をあなたのほうはなさった。その結果、その二つのロットのダーク油のどういうことからそういう事故が起こったか。その二つのロットのダーク油については、通常ならばダーク油に含まれていない何か毒性のあるものがあったが、それが何であるかということはわからずじまいでずっときたわけですね。
平松甲子雄
73
○平松
説明
員 その点については鋭意
調査
もいたしましたけれども、当該物質というものについての検出はついにできなかったわけであります。農林省の中でも、
畜産
局なり農林水産
技術
会議
なり、食糧
研究
所なり東海区水産
研究
所なりというもので、飼料用脂油
研究
会というものをつくりまして八月以来
研究
をいたしておるのでございますけれども、まだどういう物質がその有毒物質であるのかという物質の析出には至っておりません。
砂田重民
74
○
砂田
委員
カネミ製油の工場長を呼んで注意をなさったのは、どこのどなたが注意をなさったのですか。
平松甲子雄
75
○平松
説明
員
畜産
局の下部機関で福岡に福岡肥飼料検査所というのがございまして、その所長が工場長を呼んで注意をいたしたわけでございます。
砂田重民
76
○
砂田
委員
その福岡県の所長さんは、カネミ製油という会社が人間が食べる油もつくっている工場だということを承知しておられたのでしょうか、どうでしょうか。
平松甲子雄
77
○平松
説明
員 もちろんダーク油が米ぬか油精製の過程でできるものでございますから、所長は承知しておったと思います。
砂田重民
78
○
砂田
委員
食用油は食糧庁の所管ですか。その食用油をつくるメーカーに対する
行政
的な管轄権というか何というか、そういうものをやっておられるのは食糧庁ですか。
亀長友義
79
○
亀長
説明
員 機構改革によりまして、本年の六月から経済局のほうで一括扱っております。
砂田重民
80
○
砂田
委員
それから、農林省のえさのほうの関係ではなくて、食べるほうの油は、農林物資規格法のJASマークにも米ぬか油の規格基準はきめられておりますか。
亀長友義
81
○
亀長
説明
員 現在すでにJAS規格の中に設けられております。しかしながら、これは御承知のように強制検査ではございませんので、食用油でJAS規格の検査を受けて現実に
市場
に流通しておるというケースは非常に少ないのでございます。そういうような事情でございまして、私どももこの規格の改正なりJASの普及方についていろいろ
研究
中のところ、今回の事件が起きたような次第でございます。
砂田重民
82
○
砂田
委員
消費者
の側にしますと、特に今度そういう被害を受けた方たちは、農林省のえさのことを扱っておる部門と食用油を扱っておる部門が違うというような感じは、
国民
としては持たないのですね。おそらく被害を受けられた方も、またそういう方を友だちや親戚に持っておられる大ぜいの人たちも、あの二月の鶏の事故が起こったときに、それがえさの係だとか食べるほうの油を管理しておられる部門だとか、そういう区別は
消費者
の側ではしませんから、しかも同じメーカーが食べるほうの油もつくっているのだから、農林省としてはあの鶏事件が起こったときになぜ検査をするなり
調査
をするなり、注意を喚起するなりしてくれなかったのだろうかという
気持ち
が多分にあると思うのです。私もそういう
気持ち
がするのですけれども、おそらく今度の事件に関係しておられる役所の皆さんも、これは一つの反省点だろうと思うのですが、率直にひとつえさのほうの方に伺うのですが、ひなが少々死んだくらいのことでこんな事故を起こしてくるとは思いも寄らなかったので軽く
考え
て、農林省の食べる油のほうの係に、このメーカーのところの食べる油ではないけれども、飼料の添加物についてこういう事故が起こったなんということを別に御連絡なさらなかったのか。そこらのところをひとつすなおにお答えをいただいておきたいと思うのです。
平松甲子雄
83
○平松
説明
員 ただいま
砂田
先生から
お話
しの食用油のほうへの注意という点につきましては、現在時点で
考え
ますと注意しておくべきであったということを私どもも痛感いたしておるわけでございますけれども、ただ、当時といたしましては、ダーク油と米ぬか油とは中間で精製過程が分かれるということでございますので、精製過程がある段階では別になっておるということがございますのと、それからダーク油で被害を受けましたのはひなでございまして、成鶏が死亡するというような
状況
ではない。被害程度が非常に軽い。ひなみたいに小さなものはそのくらいの被害があるかもしれないけれども、成鶏では被害が出ていない。卵を産む分量が減るという程度のものでございましたために、人間にそんなに大きな影響があるものとは
考え
なかった。その点がうかつであったといえばうかつでございましたけれども、そういうような被害の程度であったと認識をいたしておったということ、それから有毒物質の析出に成功いたしておりますと、それが油に可溶性のものであるかどうかはっきりしたと思うのですけれども、有害物質が何であったかわからないということでございましたために、家畜に被害が起こらないようにということだけ、自分の守備範囲だけにとどまったという事情にあったということであります。
砂田重民
84
○
砂田
委員
したがって、農林省の食べる油のほうの係の人も知らなかったくらいだから、厚生省の食品衛生課ではこの鶏の事故のことについては何にも御承知なかったわけですね。
野津聖
85
○野津
説明
員 本件につきましては連絡はいただいておりませんでした。
砂田重民
86
○
砂田
委員
消費者保護基本法
をわれわれが
検討
した段階でも、こういった、どういいますか、
消費者
の危険を守るという
行政
、そういう意識がいままでの
行政
の中に、低かったということを、政府側の皆さんもわれわれもお互いに肝に銘じさせられた。御記憶に新ただろうと思うのです。しかし、そういう意識がなかった、欠除していたということが、今度の事件を幅広くしてしまった非常に大きな原因になっているという感じがするのです。 それから、やはり福岡県のそれぞれの係の方がそれぞれ担当なさって取り組んでこられたのだけれども、
消費者行政
の国と府県、市町村との事務の責任分担というふうなことも、いままでそんなことすら、どういうふうにそれぞれ責任を持ってやっていったらいいかなんということを
考え
てもみなかった貧弱な、
消費者行政
の欠除がここにあらわれているという感じがするのですね。福岡県のことが中央まで聞こえてきてこの連絡をとったということよりは、福岡県の
県庁
の中で比較的身近な人たちが、片方では鶏の事件を知りながら、片一方で福岡県の
消費者行政
の係の人たちは知らなかった。非常に不幸なことであったと思うのです。 さっき野津
課長
から患者数の
お話
がありましたけれども、一万一千十二人の方がきのう現在で届け出があったようです。ほんとうにお気の毒なことなんですが、この届け出というのは、このカネミの油を食べた結果こういう皮膚疾患をわずらったという届け出なんですか。どこかの大学なら大学で、治療を受けに見えられた患者さんを診断をしてみて、確かにカネミの油が原因でこうなったんだろうというふうな、そういうお医者さんとしての診断がついているような数字がおわかりだったらひとつ……。
野津聖
87
○野津
説明
員 現在の段階では、先ほど申し上げましたように、自分もその油を使った、それでやはり多少異常感がありました、あるいは現在もそういう症状がありますということで、御自分のほうから保健所に申し出られた方、それから医師にかかっておりまして、やはり非常にがんこな発しんがあるということで届け出られた方、あるいは中には、先ほど申し上げましたように、九大で専門に診断を受けまして、そして間違いなくそうであるという方というふうに、三とおりに現在分かれております。 ちなみに、九大では特殊の外来をつくりまして、油症外来という形で、皮膚科を
中心
といたしまして、内科、神経内科、眼科というふうな総合診療科をつくっておるわけでございますが、この二十三日現在で、総数で三百二十九名の患者さんがその外来を、自分もそうではないかということで訪れたわけでございます。そこで確定の診断を受けられた方が六十五名、そうして一応疑いを持たれた方が二十七名ございます。残りの方は別に異常がない、こういうふうな診断を受けたわけでございます。
砂田重民
88
○
砂田
委員
それから、しろうとのわれわれ
消費者
が
考え
ますと、どうも砒素説が消えたんだという
お話
のようですが、一体どういう毒性のどういうものが含まれていて、それが原因でこういう皮膚疾患を生じたのだという原因究明をやっておられると思うのですけれども、これだけ科学
技術
が発達したら、ぬかの油の分析くらいわけはないような気がしろうとのわれわれにはするわけなんです。したがって、
行政
がたいへんサボっているのじゃないかという印象を世間に与えていますね。これは、小高君も見えているので、あなたからでも、そんなに時間がかかるものなのか、一体どれくらいの時間をかければ答えが出てくるのか、そこら辺のところをひとつ
技術
屋さんから、われわれしろうとにわかりやすい
説明
をしてくださいませんか。
小高愛親
89
○小高
説明
員 お答え申し上げます。 こういった中毒事件の原因物質を検査いたしますには、たいていは、たとえば中毒症状を第一手がかりとしまして、ここからまず疑わしい物質を推定いたしまして、それに見当をつけて分析を行なうというのがまず第一でございます。 それから、あるいは現場の立ち入り検査等によりまして、いろいろな資料を得まして、そこの現場の
状況
から疑わしい物質というものを取り上げまして、そういったものについて分析をいたす、こういったことになります。その場合でも現在分析器具が非常に発達しておりまして、かなり高度な実験ができるのでございますが、これはいわば遠めがねでもっとより遠くのものが見えるようになったという
技術
の発達というのがおもでございまして、その場合でも、たとえば遠めがねで、
運動
場のまん中に人が一人おる、これがだれかということを当てるのはきわめて容易でございますが、非常に大ぜいの人が一緒におるときに、その中から特定の人を見つけ出すということ、これは非常にむずかしい。そういった特定の物質を検出する場合でも、そういった困難さがございまして、そのために日時がかかるということがございます。 それから、そういった一応目当てにしたものが見つからなかった場合に、それでは全く白紙の状態で特定の原因物質を見つけようということになりますと、これは非常にむずかしい問題になりまして、いわばある一つの植物から特定の成分を
研究
して見つけ出すのと同じくらいの手間を要することになるわけでございます。したがいまして、現在も各機関で、地元の大学あるいは
国立
衛生試験所あたりで原因を追及しておりますけれども、そういった特に目標となる物質が全部否定されてきたといたしますと、新しくそれ以外のものを見つけ出すということはかなり手間もかかりますし、努力も要しますし、時間も非常にかかるのじゃないかと
考え
ます。
砂田重民
90
○
砂田
委員
そんなものかなと思って聞いているのですよ。できるだけ努力をしていただいて原因究明をしていただかないと治療方法もまたむずかしいのだろうと思うのです。 そこで、食品衛生
課長
にひとつ伺っておきたいと思うのですが、治療の問題ですけれども、お医者さんのことは私もよくわからないけれども、原因がわからない皮膚疾患である。したがってその治療法にしてみても、必ずしも保険でカバーできないのじゃないかと思う。お医者さんもいろんな治療方法をあるいは試験的にでもとってみなければならないかもしれない。その保険でカバーできないという点をあとでどういうふうにあなたのほうの
行政
としてカバーしますか。何か厚生省の中で御相談になって結論が出ておれば、これこれこういう使える金がありますからこういう金で見ますとか、そこまで明確な御
答弁
をいただいておきたい。
野津聖
91
○野津
説明
員 原因がわかりませんものですから、現在非常に治療がむずかしい状態にあるわけでございます。なお、皮膚疾患と申しますのは概して非常に治療が困難であるということがございます。いずれにしましても、診断いたします診断基準のようなものもいままではっきりできていなかったという非常に珍しい病気でございます。ですから非常に手探り的な治療、あるいは専門医師の
立場
でこれでというふうな場合に、現在の保険の医療基準というものに合わないような治療もしていかなければいけないというような問題も出てまいりますので、その部分につきましては一応
研究
費でカバーしていきたいということで、現在省内に残っております
研究
費をいただくように折衝を重ねている段階でございます。 また、原因究明の問題は非常に広範囲に及びます。したがいまして、この問題につきましては科学
技術
庁で持っております
研究
費をいただくようにということで、現在折衝を始めたところでございます。
砂田重民
92
○
砂田
委員
大体事情はわかりましたが、皆さんも
行政
としての反省がいろいろ今度の事件にもあったのだろうと思うのです。農林省のほうでこれはひとつ——農林省としての御反省だけではなくて、JASに米ぬか油の規格基準がきまっているけれども、ほとんどこのJASを使っておられる
業界
、企業はない。おそらく
業界
の側でも相当な反省をなさっただろうと思う。ただ一社の失敗が同業者全体にたいへんなマイナスをもたらしている。純正ないい
商品
を世の中に出していただかなければ、一社が失敗しただけでも同業の全企業がだめになってしまうということを身をもって感じておられると思うのです。いままでJASなんというものに見向きもしなかったということについては、
業界
でも反省をしておると思うのですが、そういう
お話
が
業界
と農林省との間でございますか。その問題を含めて農林物資規格法を、今度の事件に照らしてみても、やはり相当な改正をしておいでにならなければならないはずなんですが、こういうものも含めて農林省のこの事件についての御反省を伺っておきたい。
亀長友義
93
○
亀長
説明
員 今回の事件は非常に残念なことでございまして、今回の事件そのものの対策といたしましては、先ほどから厚生省の
お話
もございましたが、われわれも厚生省と十分に協力をいたしまして、適切な措置を講じてまいりたいと思っております。 事件発生後も私のほうから現地へ係官を出しておりますし、さらに食糧庁にも御協力を願いまして、食糧事務所にも協力をしてもらっております。さらに私どもの経済局からも、
業界
に対して品質管理の自主検査をもう一回やってもらいたい、それから衛生関係の出先機関あるいは県等の
調査
には
業界
としても全面的に協力をしてもらいたいという
通達
も各製油業者に出してございます。 今後の問題といたしまして、もちろん原因の究明の結果いかんによって、それに見合った措置を
考え
ていきたいと思っております。 同時に、御指摘のJAS規格の問題につきましては、先ほど私がお答え申しましたとおり、規格はあるけれども実効があがっていないという
実情
でございます。そこで、どうしてもこれはやはり
業界
の協力も得まして、規格そのものあるいは
内容
、特に添加物等につきまして、いろいろ食品衛生面の規制等もございますが、そういうものも含めて表示基準というものを設けたい、かようなことで実はいろいろ
研究
をしておった矢先にこの問題が出たような事情でございます。
消費者保護基本法
も成立したことでございますし、私ども、農林物資全般につきまして、できれば次の国会に改正をしたい、JAS規格法の全面改正をやりたい、かような意気込みで目下鋭意
検討
いたしております。 ただ、食用油につきましては、こういう事態が発生をいたしましたので、まだ最終的にきめてはおりませんが、法律改正を待たずに、食用油についてはJAS規格をもう一回すみやかに
検討
する、あるいは表示基準についても
検討
して、改正を待たずして現行法でやれる部分はとりあえず新たな方法で着手してみようじゃないか、かようなことも
考え
ておりますが、基本的には法律改正ということで、
消費者保護基本法
の線で新しく体制を立てていきたい、かように
考え
ております。
砂田重民
94
○
砂田
委員
法改正を待たずとも私は措置ができることがあると思うのです。ぜひひとつ早急にやっていただきたい。 それから農林物資規格法も根本的に大幅改正を、できれば次の国会でと言われたけれども、できればではなくて、次の国会には必ずお出しにならなければいけない。この
委員会
で、
消費者保護基本法
の精神に基づいて、政府は全面的に
消費者行政
の現行法を洗い直して云々というふうな御
答弁
もあったわけですから、次の国会にはお出しなさい。 それから厚生省にも伺っておきたいと思うのですが、現行食品衛生法では、法律そのものではなくて、
監視体制
、検査体制が非常に弱いということはわれわれ議論し尽くしていると思うのですね。あなたのところも食品衛生法を改正するように取り組んでいただいているようにも承っております。なお法改正の改正点というのは、あるいは年が明けなければわれわれのところには話が入ってこないかもしれないけれども、
監視体制
、検査体制を強めるための予算というものは、この年末には編成しなければなりませんね。食品衛生監視員の数の問題もある。こういったことを、どうもさっきの木原さんの
質問
ではないけれども、こういう形で質疑応答するとたいへんあなたもお答えしにくいと思うのだけれども、食品衛生
監視体制
を強めるということは大事なことですよ。第二の米ぬか油が出てきかねない。同じような危険な輸入食品が、輸入されている食品の中でわずか四%かそこらが検査を受けているだけで、あとの九〇数%は手放しのまま日本の
市場
を、店頭をにぎわしていて、非常に危険な状態にわれわれはあるわけなんで、食品衛生の検査体制、
監視体制
というものはぜひ強めてもらわなければならないのだが、もうすでに八月末にはあなたのほうから概算要求が大蔵省に出ている。率直にいって、野津衛生
課長
御自身で要求しておられる、あなたが要求しておられる人員で
強化
したということが言えるのかどうか、どう思いますか。
野津聖
95
○野津
説明
員 いま御指摘ございましたように、
監視体制
なりあるいは試験体制というものを
整備
しなければいけないというのは自明の理でございます。特に、監視員の人員
増加
、あるいは新しい食品が次々と出てまいりますために、先ほども食品化学
課長
のほうから御
説明
ございましたように、非常に検査の
内容
が複雑化してまいっております。それに対応できるような形をとらなければ、
業界
の進歩にわれわれ監視する側、取り締まる側が追いついていけないという非常に情けない状態が起こるのではないかということを思っておりますが、私の
立場
といたしましては、全力をあげまして来年度予算要求に対しましての人員要求なり、あるいは試験
施設
の
整備
なりというものをいたしたわけでございます。努力が足りなかったということもあるかと思いますけれども、やはりステップ・バイ・ステップで
強化
していかなければいけないというふうにも
考え
ておるわけでございます。 さらに一番大事なことは、実際に食品を扱っておられる
業界
の方に、食品というものが大事なものであるということを自覚していただくということが大事じゃないかと思っております。食品衛生法改正の段階でも一応その
業界
の自覚に合わせまして、
業界
のほうがみずから安全で衛生的な食品を製造するというふうな形での措置基準、あるいはみずからが管理をしていくというための食品衛生管理者
制度
の拡充というふうなものを現在
検討
いたしておりますので、できるだけ早く
国民
に安全で衛生的な食品が入ってくるような形に持っていきたいということで、現在最善の努力は尽くしているということでございます。
砂田重民
96
○
砂田
委員
米ぬか油の問題は、私自身のいただいた時間を超過してまことに申しわけないので、以上で終わらしていただきますが、
畜産
局見えていますか。——実は私どもの物価の
委員会
が九月に九州へ
視察
に参りました。そのときに
熊本
県で阿蘇の草地改良の
実情
を見せていただいて、幾つかの
農協
による団地が出きている、その団地を見せてもらい、まことに雄大な牧畜をやっておられる
実情
を見せていただいたのですが、ああいうところはそうどこにもあるここにもあるというものじゃなくて、おそらく九州なり北海道なり、わずかの地点だろうと思うのです。やはり日本の
畜産
行政
の大事な拠点だと思うのです。そのときにあのやり方をいろいろ伺ってみましたら、草地改良をやっていくいろいろな
施設
費といいますか、牛を入れてスタートするまでのいろいろな問題については
制度
的な融資の道が講ぜられたり非常にうまくできている。ところが熱心な農家の
方々
が
農協
をつくって、あなたのところのそういう助成的な融資を受けてあの団地をスタートすると、今度運転資金に困ってしまう。さっそくその改良している草地に与えなければならない肥料、その肥料を買っていくのに、
農協
の九分の利息ではとてもいまの
畜産
では合わない、採算がとれない、こういう問題にぶつかって、せっかくあそこまでいっている各団地はみんな頭をかかえているという状態を実は見てきたのであります。この運転資金は何とかなりませんか、何か
検討
しておられないかどうか。
平松甲子雄
97
○平松
説明
員 確かに、造成いたしました草地が
畜産
経営
とうまいぐあいにマッチいたしまして、
畜産
経営
の改善が
実現
するということは最も望ましいことだろうというふうに私どもは
考え
ておりますが、ただ運転資金につきましては自まかないで、そこまで見るということはなかなかむずかしい。自まかないでやるべきだという
考え
方でやっておるわけでございますが、ただ造成された草地の中で
育成
に使用されるものにつきましては、その
育成
牧場
におる牛が食べるえさ、これを運転資金——
育成
牧場
の運営からいたしますと、まあ運転資金の一部になろうかと思いますけれども、近代化資金であるとか、あるいは
畜産
振興
事業
団のほうで
酪農
特別助成
事業
という
事業
をやっておりますが、そこで利子補給をするということで、近代化資金でございますと六分、
酪農
振興特別助成
事業
でございますと三分五厘というふうなことで助成するということでやっておりますし、それから、毎日
育成
牧場
で子牛が
育成
されるわけでございますけれども、その
育成
牧場
の子牛の
育成
費につきまして、一日一頭当たり三十円という経費を、特殊法人でございます地方競馬全国協会から助成をしておるというようなことでございますので、ささやかながらそういう形で、造成された草地が乳牛なり肉牛の
育成
に使われるという場合には、それに対して助成していくということは
考え
ております。
砂田重民
98
○
砂田
委員
私ども
消費者
にしてみますと、だんだん牛肉をたくさん食べるようになって、ともかく牛の絶対数が足りない、これは日本だけではなくて世界的に牛が足りないのだということをあなたのほうからも御
説明
をいただいているのですが、そういうときにあるだけに、あの阿蘇の、あそこで赤牛を飼っているやつは私は大事な拠点だと思うのです。そうすると、たとえば経済局では
畜産
の増産に励んで
消費者
に迷惑をかけないようにしていくのだという御
答弁
なんだけれども、あなたのほうがあまりいまの御
答弁
のような形でかた苦しく、せっかくあそこまであれだけの規模のものをスタートさせておいて——
消費者
の側から見ますとありがたいですよ。ありがたく見えるのです。ところが設備その他はできてスタートはできているけれども、それじゃそれがほんとうにあの
農協
が成功してどんどん牛をふやしていけるかということになってくると、運転資金は自払いでやるべきだというふうなことを初めからきめてしまっておられるようないまの
お話
しでは、それではあそこまで
制度
的な融資その他を講じておやりになったことが生きてこない。仏をつくって魂入れずというか、また
消費者
はだまされるのじゃないかという感じが現地ではしてきたわけです。ですから何かそういうことを新しくお
考え
になる気はないかどうかということを伺ったので、いまあなたのおっしゃったことはわれわれも聞いてきたのです。それではだめなんです。それではだめなんですということだから、肥料代として運転資金をもう少し何か
考え
てやれないものだろうか。経済局で牛をふやしていって
消費者
に迷惑をかけないのだというふうなお答えであるならば、あなたのほうでやはりそれの裏づけを現実の問題としてやってもらわなければならない。
畜産
振興
事業
団をつくって、豚のことについては
消費者
に迷惑をかけませんといっても、いま豚肉は五百何十円かはしておる。こういうことにならないように、牛の肉についてももう少し何か運転資金を見てやればどうですか。わずかなことでしょう、もうちょっとのところでしょう。ただ設備資金はいいけれども、運転資金はいかぬのだということを始めからきめてかかっておられるから、いまのあなたのような議論が出てくるので、あれをものにしようじゃありませんか。私は、農林省の
畜産
行政
にしてみても、草地改良が大事だというだけではなくて、ここは
畜産
行政
全体の中で大事な拠点だと思うのです。少し
考え
てもらいたい。何か
検討
される御意向ございませんか。
平松甲子雄
99
○平松
説明
員 運転資金の融資という点につきましては、
畜産
で先べんをつけるということになりますと全般的に波及するということもあろうと思いまして、融資
制度
全般の問題としてなかなか簡単に踏み切れないという問題もあろうと思いますけれども、先生ただいま御指摘のように、まあ造成された草地における肉牛
経営
なりあるいは
酪農
経営
というものがうまいぐあいにいくようにという点について、現地でそういうふうな声があるということでございますならば、私どもは今後の問題として
検討
してまいりたいと思います。
砂田重民
100
○
砂田
委員
検討
していただけますね。——終わります。
八百板正
101
○
八百板委員長
有島
重武君。
有島重武
102
○
有島
委員
前々回の八月七日の当
委員会
におきまして、コーラ飲料の酸度につきましていろいろと
質問
いたしました。
消費者保護
という
立場
でもってずっといろいろな質疑をしているわけでございますが、コーラ飲料のあるものは胃酸よりもさらに強い酸性を持っているというような話を私は聞いた。そのことについて金光環衛
局長
さんに伺ったのだと思いましたけれども、これについて資料を出していただけるとかあるいは
調査
してくださるというふうな
お話
しがあったと思うのですが、その後の御
報告
を
伺い
たい。
野津聖
103
○野津
説明
員 御指摘がございましたように、私のほうでは酸度の試験を
国立
衛生試験所におきまして実施いたしましたところ、酸度につきましてはほかの炭酸飲料とあまり差がないというふうな結果が出ております。ちなみに数値を申し上げたいと思いますが、PHといたしまして、コカコーラが二・四二、ペプシコーラが二・五一、ファンタ、オレンジでございますが、二・四二、それからファンタ、グレープでございますが、二・五〇、それからサイダー、三ツ矢でございますが、これが二・八九、コアップガラナが二・五〇と、ほとんど大差がない酸度でございます。
有島重武
104
○
有島
委員
胃液との比較はどういうことになりますか。
野津聖
105
○野津
説明
員 現在胃液の酸度をちょっと覚えておりませんけれども、コーラ飲料特有の酸度が高いというふうな状態はないと思います。
有島重武
106
○
有島
委員
一つの物質として、これはいまのPHが二・四程度の高さもあるということがわかったわけでございますが、胃に与える影響についてさらに突っ込んでお調べになるべきじゃないかと思います。これは多少故障があったというような話があったので私も申し上げたわけなんです。その限度を、これは個人差もあると思いますけれども、大体どの辺に置くべきであるかということは、やはり一つの基準を
考え
ていかなければならないのじゃないか、そう思いますので、それではまた今度さらに伺うことにいたします。 次に、ただいま
砂田
さんのほうから
質問
がずっとございまして、私も米ぬか油についていろいろ
伺い
たいことがありますけれども、なるべく重ならないように伺っていきたいと思います。 非常に素朴な話なのでございますけれども、この二月に製造された
商品
でもって、その中毒症状が十月に
報告
されたわけでございます。これはいまの御
説明
では、そういった
報告
義務が別にないにもかかわらず、北九州でもって
報告
があったわけです。それを端緒としてこのようなことがわかってきた。これはその限りにおいてはたいへんけっこうであると思いますが、そうしたものが春あったことが、秋の十月になってから初めてわかってきたということはずいぶんおくれた話ではないか、そういうふうに思います。そういたしますと、従来の病院におけるそういった判断、それが環境衛生のほうに連携づけられるということと、従来は非常に連携がとれてなかったのじゃないか、そういうふうに思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
野津聖
107
○野津
説明
員 現在把握されております患者は、必ずしも二月の油を使ったとかあるいは二月に購入した油を使ったということではございませんで、最近届け出られました例では八月に使ったというふうな例もあるわけでございます。この初発患者も、買いましたのは二月でございますけれども、まだ現在その油が残っているような形で、結局この疾病の一つの特徴といたしまして、継続的に微量ずつ摂取しているということによって発病するという問題もあるかとも思いますが、これは必ずしも二月に製造されたものだけから起こっているという現象ではないわけでございます。したがいまして、これは一般の皮膚病と似ている、あるいはにきびによく似ているというふうな症状もございますものですから、そのために、従来までの急性の食中毒でございますと、診療しました医療機関も、これは食中毒ではないかということで非常に早期に届け出られるわけでございますが、このように慢性の
経過
をたどりますものにつきましては、届け出そのものがおくれてくるということもやむを得ないのではないかというふうに
考え
ております。事実九大で診断を始めましたのが八月以降でございまして、それまでには九大では見ていないという状態があるわけでございます。
有島重武
108
○
有島
委員
九大では見ていなかったという話でありますけれども、振り返って調べてみればそうした症状が実は出ておった、そういうことは事例としてあるはずですね。いま一万人以上のこういった被害者を出したわけでございますけれども、そういうことが潜在的にはまだまだあるかもしれない。それをさかのぼっていまの時点でもう少し
考え
れば、もっと早く発見もでき、また処置もとれたのじゃないか。これは一米ぬか油の問題だけでなしに、今後のこともあるわけでございますから、こういった医療関係と環境衛生のほうとの連携というものは今後もますます密接にとっていただきたい。そのことをまず
要望
します。 次に発見以後の処置なのでございますけれども、いま伺っている範囲では非常にてきぱきと手が打たれていたような印象を受けますけれども、実際にはその毒性を発見していくということについていまどのくらい総力をあげておるのか。その総力のあげ方がまだ手ぬるいのじゃないかということを私どもとしては非常に感じます。それで、科学
技術
庁のほうの予算をとっていただいて云々ということもございますけれども、そういった人命にかかわること、人の健康にかかわることに関して、その辺の連携といいますか、一つの事件が起こった、それではというのでいまの科学
技術
の総力をすぐそこに集中できるようにしなければいけないのじゃないかということを痛感いたしますね。それで、実際的にはどことどこがいまそういった
研究
に当たっておられるのか、そのことをもう一ぺん
伺い
ます。
野津聖
109
○野津
説明
員 この問題が起こりましたときに、いち早く九州大学、それから久留米大学を
中心
といたしまして、これに福岡県及び関係三市が連携いたしまして油症
研究
班というのを
設置
いたしたわけでございます。そこで、九大及び久留米大が
中心
になりましてこの問題を追及していくということで、臨床方面からは皮膚科、内科、神経内科、眼科の先生方が
参加
されまして、基礎方面では公衆衛生、病理、薬理、それから薬学部の先生方が
参加
されまして、まず第一回の
会議
から開かれていたわけでございます。それが一つございましたが、十九日の日にあらためてこの油症
研究
班を再編成していただきまして、九大といたしましても、九大をあげてやりたいということで、医学部、薬学部だけでなく、法学部、農学部、理学部の専門の先生もその中に入られまして、久留米大学からも
参加
をいたしまして、それに県、市の衛生当局が入りまして、この
研究
体制を十分詰めていこう、こういう形になったわけでございます。さらに国といたしまして、十九日の日にこの米ぬか油による中毒事件の対策本部を
設置
いたしまして、
国立
衛生試験所、
国立
予防衛生
研究
所、
国立
公衆衛生院、
国立
栄養
研究
所等の専門の先生方を
中心
といたしまして、それに厚生省の
行政
担当者が
参加
して油症対策本部をつくりまして、福岡県に
設置
されております現在の油症
研究
班を
中心
といたしまして、国の油症対策本部はこれに協力し、あるいは援助する、こういう形をとって現在行なわれているわけでございます。
有島重武
110
○
有島
委員
私心配いたしますことは、そういった組織的に総動員したような形はとれておるけれども、実際には打ち合わせ程度に終わっておったり、その実務がどれほど進んでいくかということにどうも——これはお金も時間もそこに集中していかなければならないことでございますから、そういった点が実質的にほんとうに進んでいくように、そのことを十分見ていただきたいと思います。 それから、これは農林省に
伺い
たいのですけれども、さっきのダークオイルなんですけれども、ダークオイルというのは何か琉酸で油に戻すとかなんとか、そういった操作があるのですか。
平松甲子雄
111
○平松
説明
員 米ぬか油の精製の過程で苛性ソーダを入れまして、一回ダーク油のもとになるものを抽出いたしまして、それはアルカリ性になっておるものでございますから、また硫酸を加えて中和するという工程をたどるということでございます。
有島重武
112
○
有島
委員
さっきは、まだ毒物性を検出するということで厚生省だけにまかしておるという形ですが、農林省としてはその
調査
研究
はどのように突っ込んでおられるのか、その点を……。
平松甲子雄
113
○平松
説明
員 飼料の関係につきましては、先ほど
お話
し申し上げましたように、
畜産
局家畜衛生試験場、食糧
研究
所、それから東海区水産
研究
所等のメンバーで飼料用油脂
研究
会をつくっておるということがあるわけでございますが、そのほかに厚生省のほうでやっておられます
調査
のほうにも私のほうからも協力をいたしておるという
状況
でございます。
有島重武
114
○
有島
委員
そのことについて、いつごろからどなたが
中心
になってそれをやられておるのか。
平松甲子雄
115
○平松
説明
員 私どものほうの関係だけを申しますと、八月から三回にわたって開会いたしておるわけでございます。主管者は家畜衛生試験場の米村さんでございます。
有島重武
116
○
有島
委員
倉庫の中に何か脱色用の白土と
農薬
等を一緒に積んであったというような
お話
がございましたけれども、それで
農薬
が混入したのじゃないかというような話が一時
新聞
に出たことがございましたが、その点についてはどうなんでしょうか。
野津聖
117
○野津
説明
員 この会社は倉庫業と製油と両方やっておる会社でございまして、その辺の問題もあったのではないかということで、北九州市をいたしましてこれを調べてもらったわけでございますが、倉庫部と製油部というのははっきり分かれておりまして、しかも倉庫の中の物品はすべて預かり物品であるために、伝票あるいは帳簿と現品というのが常に一致してなければならないというふうな
現状
もございまして、伝票及び帳簿を調べましたところ、そういうふうなものが混在しておるという事実はございませんでした。
有島重武
118
○
有島
委員
それからひとつJASのことについて
伺い
たいのですけれども、JASのほうを改定するなり何なりすると、こういったような事件は未然に防げるのかどうか。この問題について農林省のほうでもすぐにJAS規定のことを言われたようですけれども、直接に関係があるのかどうか、その関係性についてちょっと言っていただきたいと思います。
亀長友義
119
○
亀長
説明
員 先ほど
砂田
先生の御
質問
がございましたので、私どもJAS改正等の措置により食品、特に食用油の適正な流通をはかりたいということをお答えいたしましたが、もちろんJAS規格と申しますのは、食品衛生上の考慮も十分加えたものでございます。しかし基本的には食品衛生法及びこれに基づく保健所の取り締りというふうな、食品衛生警察的な面での取り締まりが、中毒というふうなことに対してはきめてになるわけでございまして、JAS規格としてはあくまでも
消費者
に喜ばれる良好な製品をつくるという
考え
でございます。したがいまして、JAS規格が合理的につくられて、これが普及されるという面は、当然食品衛生面の改善という点で非常な効果があるとわれわれも信じておりますが、食品衛生警察という面では、これはやはり食品衛生法の取り締まり法によらなければならない、かように
考え
ています。
有島重武
120
○
有島
委員
ですから、今度の事件には直接のつながりというわけではございませんね。それで、今度の事件については、あくまでも毒性の検出ということにどうしても集中していかなければならない問題じゃないかと思いますけれども、どうですか。
亀長友義
121
○
亀長
説明
員 御
質問
の趣旨のとおりでございます。もちろんよい食用油を流通させるという意味ではJAS規格は有効でございますけれども、毒性があるかないかというような点は、もちろんそういうものがあるものはJAS規格には認められないという規格をとっておりますけれども、JAS規格というのは本来必ずしも強制的なものでございませんし、またこれは一つの推奨
商品
的な意味があるものでございますから、現にJAS規格が採用されて流通しておるものにつきましても、その大部分は強制検査でなくて自主検査というような面もございますし、当然その検査をやったとしても、それはサンプルでございますので、食品衛生あるいは毒性というような問題に対しては、やはりこれは食品衛生の面で取り締まっていただくというのが本来の筋だと思います。
有島重武
122
○
有島
委員
それでいいわけでありますけれども、こういった事件が起こったときに、この前ダークオイルのときにもう少し突っ込んでおけばよかったということが反省されるのを、何かJAS規格のことをばっと前面に押し出して雲隠れしているように感じられましたので、そう申し上げたわけです。やはり厚生省だけにそれをおっかぶせるのではなくして、農林省の
立場
でもって毒性の検出ということに全力をあげてやっていただきたい、そう思います。 それで、あと時間がありませんので次の問題に移りますけれども、有名な大メーカーの消費物資について、ちょっとうたい文句と実際とが違うような場合が目につきましたので……。 東芝のゴキトールという、何か虫を退治する器具のことなんです。これは、一匹とると、それのにおいでもってずうっと寄ってくるという話ですけれども、これはちっとも役に立たないのだという苦情が
消費者
のほうから出て、それで調べてみようと思ったら、もういまは売り出すのをやめちゃったというような答えがあったわけです。それでこの
実情
は一体どうなっているのか、ちょっと
伺い
たい。
久留義雄
123
○久留
説明
員 仰せのとおりでございまして、実はこれは発売されましたときは、きくという説の人ときかないという人の説と両方ございまして、結局東芝のほうで、そのきかないという説もあながち根拠のないものではないというような反省から、実は生産を中止しておるような状態でございます。
有島重武
124
○
有島
委員
生産を中止したという。それじゃ、いままでの品物は回収するのでしょうか、したのでしょうか。
久留義雄
125
○久留
説明
員 この点につきましては、購入した購入者が使ってみたけれども効果がないといってクレームを持ち込んだ場合においては、メーカーといたしましては、具体的には小売り店でございますけれども、小売り店のほうでおとりかえをするというような措置をとっておるようでございます。
有島重武
126
○
有島
委員
こういった
実情
を積極的に調べて処置をとるということはなさらないのですか。
久留義雄
127
○久留
説明
員 メーカーをして生産を中止に至らしめました動機になりましたのは、いま申し上げましたような
消費者
側からの苦情もさることながら、通産省といたしましてもこういう苦情がときたま耳に入ってくるというようなことで、メーカーはよほど自信のない限りはひとつ
考え
直したらどうかというような慫慂をいたしまして、そういう結果に基づいてメーカーは中止をしたというような経緯でございます。
有島重武
128
○
有島
委員
ところが、知らない人はやっぱり残った品物を買って損害を受ける人もあるわけですね。そういったこともあったらば、積極的にそれを
通達
するというようなことはなさいましたか。メーカーのほうに注意をして、それでもってそれはやめたのでしょう。これはこういった理由でもって今度やめたのだから、
消費者
のほうもそれはお買いにならぬほうがいいというようなことが一番親切な行き方ですね。そういった事情を知らぬ人が残った品物をやはり買って、あとから見て、もう前からきかないということは評判だったのだというようなことで、重ねてまた損害をこうむる人が出てくるのですね。そういったことについてさらにもっと積極的に、これはだめなんだと、そういうことを
通達
すべきじゃないかと思うのですけれども……。
久留義雄
129
○久留
説明
員 これは、メーカーから流通段階に流れました製品は大体回収をいたしておりまして、現在は店頭で
消費者
が間違って買うということはないわけでございます。私、先ほど申し上げましたように、このゴキトールの問題につきましては、効果があるとする
方々
もおいでになるわけでございまして、実はこの辺のところは学問的と申しましょうか、
技術
的と申しましょうか、はたして効果があるかどうかはっきりしていないのが
実情
でございまして、ただ
実情
がはっきりしていないがゆえに、メーカーは大事をとって製造を中止したということでございます。ですから、使い方のいかんによっては効果の出ておるような使用者と申しましょうか、ございました場合にはその
方々
は現在使っているんだというような
状況
じゃないかと思っております。
有島重武
130
○
有島
委員
それから次に、別な
商品
ですけれども、何かジェット気流だとか、コインでも吸収できるのだといっている掃除機があるわけです。家庭用に掃除機を使うのに、それだけのパワーが必要なものだろうか、どうだろうか。ほとんど必要ないのではないだろうか。ただ、そういう力が強いことを、あたかも掃除する能率がいいようなふうに使う、あれはやはりおかしいのじゃないかと思うのですけれども、そのことについてはどうでしょうか。
久留義雄
131
○久留
説明
員 従来の掃除機の吸引力が弱かったというような反省から、ああいう吸引力の強いような方向に
技術
改良をしていったという
実情
だと思うのでございます。それから最近は居住様式も非常に西洋化してまいりまして、じゅうたんを敷いたりするような場合におきましては相当な吸引力が必要じゃなかろうかというようなことで、メーカーといたしましては
技術
改良を加えた結果、ああいうような形になったのだろうと思っております。
有島重武
132
○
有島
委員
実際には、こういったじゅうたんならじゅうたんの場合に、どの限度まで一番有効なのか、家庭用にはどの限度まで一番有効なのかという目安がまだないのですか。あればそんなことが問題にならないと思うのですけれども。
久留義雄
133
○久留
説明
員 現在、品質表示法というのがございまして、これによりまして電気掃除機につきましては性能を表示しなければならないということで、吸引力等につきましても表示義務が課せられておるわけでございますが、幾ら以上でなければならないとか、また幾ら以下でなければならないかということは、実は基準はございません。
有島重武
134
○
有島
委員
これだけ一般に普及されておりますので、これは自動車のメーカーなんかでも、二百キロも飛ばすのはおかしいじゃないかというような論も出ておりますけれども、過度に高性能なものを製造してそれを押しつけるというようなことは、やはり
消費者保護
という
立場
から見ますと非常なむだになるのではないかと思います。これは適当なところという一つの目安をつくってももういい時期じゃないか、そのように
考え
ますが、いかがでしょうか。
久留義雄
135
○久留
説明
員 あるいはこの問題は、将来JIS規格で適当なところを規制する必要が出てくるかもわかりませんけれども、いまの段階は先ほど申し上げたとおりでございます。
有島重武
136
○
有島
委員
私としては、それは早く大体の目安をつけたほうがメーカーの側もむだな競争をしなくてもいいし、それから
消費者
側としてもはっきりするのではないか。 それから自動車の値下げがございましたけれども、あの値下げした千五百と千三百の車種がございますね。あれはコロナの千五百と、それからもう一つはブルーバードだったと思うのですけれども、最近値下げしたのは今後は製造をだんだん減少させる方向にして、それでもってそうでないものの製造台数をふやしているというようなことを聞きましたけれども、その辺の事情はどうなっていましょうか。
小山実
137
○小山
説明
員 まことに申しわけございませんけれども、先生の御
質問
がこちらのほうに連絡がよくとれなかったものですから、きょう担当の
課長
が参っておりませんので、次回にあらためてお
伺い
をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
有島重武
138
○
有島
委員
では、その点は調べておいていただきたいと思います。 それで、いま自動車も消費物資みたいになってまいりましたけれども、買うほうも非常に喜んで買おうとしているものについて、それをたくさんつくらないで、それでまたほかのものを売りつけようとするのだとすると、その値下げというのはちょっとした会社の宣伝みたいなふうに使われているようなふうでまずいと思うわけです。そういうところについてはやはり指導なさったほうがいいんじゃないか、そう思うわけです。 それでは、詳しいことは次回に譲りまして、私はこれで終わります。
八百板正
139
○
八百板委員長
本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会