○西村国務大臣 おっしゃることはみんなごもっともです。私も
国民の一人として、その
実感というものはまことにそのとおりだと思います。私も、実は呼ばれるたびに喜んで
主婦の会合に進んで出ております。昨日も実は都内の
主婦の会合に出まして、よく話し合いをしてみたのであります。そうすると、まず、お米が余っているのに値段を上げるとは何だ、これは正しいと思います。それが
一つ。それから、味のいいものをつくれ、これも正しいと思います。それから、配給についても、一体いまごろ何か配給所というような看板をかけて、それで通帳で配給してやるという
感じを持つのはおかしいじゃないかという
実感は、私はまことにそうだと思います。ただ問題は、御存じのとおり
政治でございますから、その
実感だけを取り上げて、それでできるなら、これはもう
政府万々歳の
政治になって、皆さんから
委員会でおしかりを受けたり、御批判を受けたり、
新聞で御批判を受けるようなことはないわけです。
現実の状態はどうなっているかというのは、御存じのとおり、
一つは、基本には農林省の総予算というものをお
考えいただくと、その中でもって、もうすでに米の赤字というものの占める率が三八%あります。さらにその上に、米に対していろいろとられておるそのエネルギーというものと農民の
努力が、今日の
米価の安定あるいは食糧安定を来たした、こういうことも、あまり多くしゃべると申しわけありませんが、また一面の事実だと思います。それから、
農業のいわゆる格差是正といいますか、少なくとも農家の
生活の向上をはかっているということも事実なんです。こういうような、いわゆる
国民経済全体のバランスの中から
考えてみますと、
政府としては、直すべき点は直していかなければならない。
そこで、私としては、まず第一に
考えましたのは、農林省はもちろん
生産者の再
生産意欲というものは守っていかなければならぬが、同時に、米をはじめ各般の
国民の食
生活に
関係しているものを扱っておりまして、
みそ、しょうゆ、かん詰め、コンニャク、要するにデパートの地下室に並んでいる
品物はみな農林省の責任のように私は
感じます。ですから、農林省であると同時に食料省的な
性格というものもはっきり体していかなければならない。これが、私の大臣就任以来の
考え方です。そこで、農政についても、総合農政というものを
考えるときに、
一つの指針としてそういう
性格をはっきり出すように、たとえば市場の問題は、これは先生御存じのように、市場の近代化につきましてはいろいろな手を打ちつつあることは事実です。それから
消費者保護につきましても、皆さんのような御熱心な方々がおつくりになりました
消費者保護
基本法、あるいは保護のいろいろな体制というものができております。これをできるだけ生かすように、たとえば規格の問題とかいろいろな面できめこまかくやっていかなければならぬ。いろいろ御質問が出ておると思いますが、
価格につきましても、やはり
価格というものをきめこまかに
考えていかないと、大ざっぱないき方では各方面の満足は得られない。いわゆる
国民の
実感にくっつかないから、
国民と
政治が非常に距離のあるような印象を与える。これだけはやはりわれわれの責任として
努力していく、こういうことであります。
それからいま
一つ大事な点は、
生産面におきまして、やはりこれだけ過剰になってきておる米の中において、
国民感情に対しては、
一つはやはり量から質への転換ということを叫んで、私はできるだけその
努力をしていきたい。少しでもその
努力をしていきたいということと、もう
一つは、そういう中でもって農林省のいわゆる予算の組み方あるいはあり方、使われ方というものを、
国民の求めておる、需要のふえておる面に合うように、畜産なり果樹なりあるいは動物性たん白質源のほうの質のよいものの増産と安定供給のほうに、少しずつ力を注げるような方向にいくべきではないか。これが総合農政の思想で出しておる、非常に範囲が広いのでございますが、また抽象的だとおしかりもありますが、そういう気持の中でやっております。
それから今度は
現実の米の問題に入りまして、米の位置づけというものを、何といってもこれからも主食でございますから私は問題にはしてまいりますが、しかし、私の思想は、できるだけ主産地というものを
——国土の総合利用ということも総合農政の基本でありますが、その中において、主産地においてやはりごめんどうを見ていくということになりますと、米のおいしいものをつくる地力を持ち歴史を持つ、そういうところは当然いいお米がつくれる方向に持っていけるのではないか。こういうような、すべて主産地というものによく目をつけて、何でも量さえつくればいいのだという事態から質のほうへ方向づけするような
努力をしていきたいと思うのであります。
それからもう
一つは、
価格の問題で、
消費者価格というものは、私は四年も連続して上げないほうがいいと思います。したがって、来年あたりに対しましても、いずれは年末を控えての予算、あるいは少なくともこれからの将来の
見通しとして、
政府全体として一体どうすべきかということをよく慎重に
考えないと、ただ財政の都合とか計算上とかで出すべきでない。やはりお米を食べておられる
国民の
実感、それからくる
波及というものをいろいろ
考えていかなければならない。しかし、一方におきまして、先ほど申し上げましたように、農林省の予算の中で
現実にそれだけの一種の赤字の王座を占めておる、これもどう直していくか。そうなりますと、末端の
価格まで逆ざやで置いておいていいのか、末端の逆ざやまで今日置いておいて、犬に食べさせる御飯にまで補助金をつけて配給をしていく、この現象だけくらいは早いうちに直していかなければならないのではないか、これが今回の
消費者米価のときに、特に農林省としては、
消費者の方々には御迷惑でありますけれ
ども、そういうふうな
努力をいたしまして、そしてある
程度のものは解消さしていく。しかしまだ残っております。
それからいま
一つは、味に関連いたしまして、早場米のようなものはもう時代に合わないと同時に、早場米ということによって、急いで収穫することによって味を落とすのを少しでも、まあ農民のいわゆる既得権を一挙に奪うとか、そういうショックを与えないような方向の中で、時期のかきねをとってしまった暫定加算の形で、早場米奨励という、早場米で、ただある時期までに持ってくれば高く買ってあげます、そして悪い米を出すというようなこと、そういうものを、いろいろな御
意見もありましたけれ
ども、やめさせていただいております。こういうようなこともやっております。
もう
一つは、確かにおっしゃるように、
生産者の場合にも相当いろいろな
意見が出たのだから、
消費者の場合にも考慮すべきではないかと
考えましたけれ
ども、さっきも私申し上げましたように、農林省予算の中に占めておる大きな食管の逆ざやその他から
——もちろん大きな逆ざやもございます、それから小さい末満の逆ざやもある、そういうようなものを少しでも解消していく方向へ
努力していくことが
一つ。
いま
一つは、やはりそこに
政府全体として総合予算主義というものをとっておる、これを破壊してまでこの段階にやることと、どっちをとるべきかという判断の問題、これは正直に申しまして、
国民はそれはおれらにはわからることだ、
関係ないことだという点があろうと思います。しかし、それは長い目で見ますと、やはりインフレ防止であるとか、ぐるぐる回りであるとか、ただ見せかけの一時の糊塗の財政よりはそのほうがいいのだという御説明で御納得をいただく以外にないのじゃないかと思っておるのであります。
それから配給面でも、御存じのとおり食管の経理その他から
考えますと、
現実に先にできているお米をいただいていって、
あとからきたものはそれだけ保存がきくのだから残していけば一番いいのでございますけれ
ども、それだけをやっていることはいわゆるただ数をたよった
政治になりますので、その問題は十分あるとは知りながらも、新米を繰り上げて、食味を増すと申しますか、そういう方向をとって、五〇%ずつの配給混入緩和をやっていることは事実でございまして、ここいらのところをひとつ勘案していただきますと、
実感としてはぴたっとくる御納得がいただけない面が残ると思いますけれ
ども、私は
政治の誠意としてそういう形でもって
努力をし、さらにわれわれとしては配給面もすぐできるととから、これから時間は少しかかりますけれ
ども、
国民の当然
考えられておるような方向のいろいろ配給改善というものをやはり抜本的に検討して、できるところからやってまいりたい、こんな気持ちでおります。