○高辻
政府委員 るるおっしゃっておられます御
趣旨はよくわかるわけでございますが、いま私が申し上げることは、実は、先ほど申し上げたことと同じことでございますので、それをもう一ぺんお聞き願いたいと思うのですが、要するに
食糧管理法、確かにさっき
法律の
解釈論が出ましたが、むろんその
法律の
解釈というものが、そうかってに変わっていいものでないことは先ほど申し上げたとおりであります。しかし、その
解釈というのが、むろん正当な
解釈でなければならぬことは言うまでもございません。
そこで、現在の
食糧管理法、これは昔できたときと多少変わっておりますけれ
ども、本質的な部分、米穀についてはほとんど変わっておりませんから、その点は問題がございませんけれ
ども、先ほど申し上げましたように、その
食糧管理法が
国民食糧を確保する、それから
国民経済の安定をはかる、これは大きな公共の福祉上の要請であると認めて、これを確保するために、あるいは安定をはかるために
食糧を管理する、この基本の目的がまずある。これは非常に貴重な目的であるわけですが、その目的に従って実は制度ができておる。その制度は、目的と一緒に
考えなければならぬことも言うまでもないと思います。
そこで、そういう目的を達成するための
食糧の管理というものには、どうしても必要な量というものがないわけではない。必ずこれはある。このできました当時は、
食糧が非常に不足しておりまして、
国民の
食糧を確保して経済の安定をはかり、みながひとしくこの
食糧を得られるという状態を実現するためには、その当時は、少なくも
全量を買い上げてやらないことには、法の目的は達せられなかったわけです。その点は、実はいまでも変わりがない。やはり法の目的を達成するために必要な
食糧の確保、これは売り渡し義務を課して、そうして
政府が買い上げる。これは全然変わりがないわけです。しかし、その量をこえる量、これはほんとうにもうダブついて——いまの状況がどうか、これは私にはわかりませんが、それまで買って
配給なり何なりして統制しなければならぬというのではなくて、法がもっとぎりぎり一ぱいの、
国民食糧を確保し
国民経済の安定をはかるということによって公共の福祉を実現する、そのためには、むしろ
政府に強権を与えて、そうしてそれを買い入れる義務を課して、むしろ権能として
政府はこれを取り上げるのがいまのたてまえでございます。それをこえるような数量、それまでも買えというわけではないだろう。しかし、だからといって、まさに結局は量になってしまいますけれ
ども、もう大部分買わないでいいのだとかいうようなことはあり得ないので、現実問題と照らして
考えなければなりませんが、法の目的が全くそこにある。
したがって、由来いろいろ論争の種になっておりましたでしょうが、
法律もまた、
生産者の生産した
食糧で
命令の定めるものを、
政府が強権的にといいますか、強制的にこれを買い上げて販売に供するというようなことになっている。
法律の現在のたてまえもそうである。
食糧管理法の施行令の五条の五というのがございますが、これも、むろん
法律の根拠なしに現在の政令はできません。
食糧管理法の九条に載っているわけです。条文を見ればすぐわかりますが、特に必要があると認めるときには、譲渡の制限について必要な
命令を発することができる、こういう仕組みになっておるわけです。したがって、やはり買い入れ制限をすることができるかどうかというその一点については、まあ簡単にお答えすればできるということになりますけれ
ども、やはりその前段には、いま申し上げたような仕組みの上に乗っかってのことである。その点を私は特に申し上げたいと思うわけであります。