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1968-11-12 第59回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月十二日(火曜日)    午前十一時八分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 井原 岸高君 理事 浦野 幸男君    理事 塚田  徹君 理事 藤尾 正行君    理事 大出  俊君 理事 木原  実君    理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    小澤 太郎君       桂木 鉄夫君    菊池 義郎君       熊谷 義雄君    中山 マサ君       淡谷 悠藏君    伊賀 定盛君       工藤 良平君    武部  文君       華山 親義君    浜田 光人君      米内山義一郎君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 栗山 廉平君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         自治政務次官  細田 吉藏君         専  門  員 茨木 純一君     ───────────── 十一月十二日  委員赤城宗徳君、内海英男君、藤波孝生君、稻  村隆一君及び安井吉典辞任につき、その補欠  として小澤太郎君、中山マサ君、熊谷義雄君、  工藤良平君及び伊賀定盛君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員小澤太郎君、熊谷義雄君、中山マサ君、伊  賀定盛君及び工藤良平辞任につき、その補欠  として赤城宗徳君、藤波孝生君、内海英男君、  安井吉典君及び稻村隆一君が議長指名委員  に選任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件  公務員の給与に関する件(人事院勧告に関する  問題)      ────◇─────
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 施設庁長官がまだお見えにならぬようですから、FX問題から先に承りたいと思います。  装備局長に承っておきたいのですが、いわゆるRアンドDなる問題、開発研究費ということになるのだと思うのですが、これはフランスなりあるいはアメリカなりに、RアンドDは一体どのくらいかかるのかということを質問をされておったのだろうと思うのでありますが、回答が一体来たのかどうか、その結果一体どうなっておるのか、とりあえずお知らせいただきたい。
  4. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 FX導入につきましては、当然RアンドDが問題になると思いまして、アメリカ政府フランス政府には正式な質問状を発しました。それから調査団が参りましたときも調査してまいりました。その後十月に入りまして、もう一回最終的に両政府で調べまして、大体十月末で最終結論に達しております。ただ形式は、今度のF4につきましては日米間の正式の協定をまだ結んでおりませんが、実質的にRアンドDの話はついております。
  5. 大出俊

    大出委員 どうもはっきりせぬわけですが、そうすると十月末に回答は来たというわけですね。念を押しておきたいのですが、来たのですね。
  6. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 米国側から代表が来まして、MACで交渉しまして、そこで実質的な妥結はしております。そこで返事が参っております。
  7. 大出俊

    大出委員 返事は来ているが、額について承認をするとかしないとかいう点はどうなっているのですか。
  8. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 私のほうと米側交渉しまして、現在ではこれ以上の交渉をすることは困難であるというところの額は出ております。防衛庁側としましてもいろいろなあれはございますけれども、現在の情勢ではこの程度はやむを得ぬかというかっこうになっております。
  9. 大出俊

    大出委員 ナイキホークのときに森田さんが通産省からかわって来られて間もない時期でございましたが、伝えられるところによれば、そのことが理由でおなくなりになっているというわけですね。これは私はこの席で御質問申し上げたことがあるのですが、増田さんの時間が非常に短いということで、海堀主計局次長大蔵省からお出かけをいただいて、午前一時過ぎに話した内容は何かということを質問をして、長官がどうしても時間がないとおっしゃるので打ち切ったことがあるのですが、実はきょうは当時のいきさつから全部ここで並べて御質問申し上げたいと思って用意してまいりましたが、またああいうばかげたことがあってはこれはえらいことになる。当時のナイキホークの例から申しますと二十七億、これは海堀さんの答弁です。きょう私はここで海堀さんにも御出席をいただこうと思って連絡をしておいたのですが、給与関係閣僚会議のほうにお出になるということでかわりの方がお見えになると思うのですが、私当時の議事録を持ってきておりますが、海堀さんが当時お答えになった額についてまずここで再確認をしておきたい。ナイキホークで一体どのくらい研究開発費をお払いになっておりますか。開発研究費が正式な名前だと思うのですが……。
  10. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 ナイキホークにつきましては、当時初めてのあれでございまして、いま先生のおっしゃいました額につきましては、実は私たち米国政府との関係で発表はできないことになっておりますので、申しわけないと思います。
  11. 大出俊

    大出委員 ただ大体このくらいの見当ですということはいえるはずでございますね。先般の二十七億というのも三%ということでしたからそういう額になるのです。大体そういうことでございますという、つまりそこのところは少しぼかした回答になるにしても、そのくらい言うていただきませんと論議にならぬ。立場はわかりますよ。わかりますが、大体そんな見当でございますくらいのことは言うてもいいのじゃないですか。いかがですか。
  12. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 ナイキホークの場合には、たしか防衛庁長官がその額に近いものであるということを国会で申されたと思います。
  13. 大出俊

    大出委員 つまりその額に近いものということになりますとおおむね三%に近いもの、こうなるわけですよ。  そこで、ここでひとつ念のために伺っておきたいのですが、RアンドDなるもの、つまり開発研究費なるものはどういう筋道でナイキホークのときに突如としてあらわれたのかという点、どういう経緯があってどうしてああ突如あらわれたのかということ、そしてそれはたとえば米軍開発会社に委託をしたという場合に相当な金銭負担をしているからということが理由になると思うのですが、そこらを日本政府の側として、当初正当なものだと考えていなかったようでありますが、そういう意味の御見解、これをあわせて承っておきたい。
  14. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 日本防衛につきましては米国側援助しておりました。初めは無償援助でありましたが、それがだんだんと変わってまいりまして大体有償援助になりましたけれども、一昨年ですかアメリカ国会で問題になりまして、もう相当進んだ国については援助はおかしいという問題と、米国政府が払っている開発費についてはそれは回収すべきである、適当な負担をさせるべきであるということになりまして、国防省から省令が出まして、外国に米国政府援助して費用を分担してつくった武器を輸出する場合、その場合には適切な分担金を取れというディレクトが出ているわけであります。それに基づきまして、初めてのケースとしてナイキホークが出たわけでございます。  それでいまの日米間の援助協定につきましては、向こう技術については無償でくれるという規定がありますので、その関係の意見の調整がございまして、まあ米側のほうではそういうこととは別なものであるということを主張いたしまして、現実には現在はNATO諸国カナダ豪州も払っております。そういう前提がございますので、われわれはナイキホークの場合にもやむを得ないという言い方でございますけれども、それで出したわけでございます。  今回の交渉につきましてもその根本論をやりまして、まず払う払わない、入っている入っていないという問題が一々ありましたけれども、われわれとしましては現在の情勢ではやむを得ないという態度で、向こうでは払うと納得するかということを言ったのでございますけれども、私ども納得はできないけれどもやむを得ないという態度で臨むということで、額の交渉に入りました。  それが経過でございます。
  15. 大出俊

    大出委員 納得はできないがやむを得ない、つまり払うということですね。  そこで額の交渉に入って、向こうの言う額の見当はついた、ここまできているわけですな。そう理解していいですな。
  16. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 いまのお話の額の問題につきましては、向こう側の言っていることは相当向こう側計算がございます。そのディレクティブも非常にむずかしい計算方式がございまして、なるべく日本側に有利に解釈できるようにということで、両方でそのディレクティブの数式の話をしておりますが、向こうの言ったものと違ったわけでございます。われわれとしましては日本側に相当有利な計算方式に変えているということでございます。
  17. 大出俊

    大出委員 そうすると、額の交渉に入って、おおむね額は幾ら幾らだというところまできている、こういうことだと思うのですがね。  そこでライセンス生産をする場合と直接製品輸入をする場合、RアンドDはどういうふうに変化しますか。どういうふうになりますか。
  18. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 実は今度の交渉輸入という問題のRアンドD交渉はしておりませんが、ライセンスディレクトを見ますと両方が含まれるように書いております。それでわれわれとしてはライセンス生産前提RアンドD交渉をしたわけでございます。  いま輸入の問題につきましても当然勉強してあるということで、まだこまかくは詰めてございませんが、向こう担当官の話では輸入の場合にはほかの国の例もあって多少高くなるのではないかという感触のようでございますけれでも、その点は詰めてございません。
  19. 大出俊

    大出委員 ほかの国のことがあってといういまのお話、かつまた先ほどNATO諸国なりあるいはカナダ豪州等は払っておる、こういうお話がありました。NATO諸国なり豪州などが買い求めているという機種はおおむねわかっております。しかも事後の発注もあります。そうなると、そちらのほうで払っておるからやむを得ぬということになると、そちらのほうの額は幾らになっていますか。一体何%くらいになりますか。
  20. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 実はこの問題、非常にめんどうくさいものでございまして、ほかの国が払っているものと全く同じ率ではないというのは、生産方式導入方式援助方式が違っているわけでございます。しかも、これは相手方の国のあることでございますので、むずかしいのでございますけれども、たとえば、ある問題については日本側のほうでもわかるから、それはまけろ、そのかわりに、ほかの国ではまけていないので、これは困るとか、ほかの国はこっちをもらっているんだ、これは高いのだ、そういう問題がありますので、全体の問題としては、私たちほかの国のことはつかんでおりません。大体の様子は知っておりますが、そういうことで、全く同じ品物をここで買うというかっこうではございません。それぞれ国の事情、国の導入方式援助方式が違っておりますので、そういうことでございます。
  21. 大出俊

    大出委員 どうもそこがはっきりしないのですけれども、時間がありませんから、あまりこまかく詰めてもしかたがない。また、これは予算委員会なら予算委員会であらためてやっていきたいというように思いますけれども、どうも総裁公選があるものだからやりにくくてしかたがないのですね。かわっちゃったということになると、また困るわけです。  いまのお話の中のいろいろやりとりがある。日本の言っていることはよくわかるから、じゃこれだけまけておこうとかいうことになると、これは三機種候補にあげたのでしたね。フランスミラージュが入っておりますね。最後までこれはフランスから人が来たりなんかしていろいろありました。そうすると、いまいろいろな事情があると言われた。例をあげれば、たとえば、アメリカとの間におけるRアンドD交渉をやった額について、その場合に、それがいかにも他国の事情から見て高い、そういうふうに高いならば、何も買うという機種F4Eファントムだけではないんだからということになって、そうなると、CL1010だとかミラージュだとかということだってございますということをおやりになる。そうすると、どうもそのあたりむずかしいのですけれども、政治的にも、また商法の上からも、それじゃ少しまけておこうなんということになる。そういうことも入るわけですか、いまあなたのおっしゃる事情の中には。
  22. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 いまお話ミラージュにつきましては、正式な話は、最初の回答には政府RアンドDについては留保するということはありましたけれども、最終的には政府RアンドDはとらぬ、そのかわり会社ライセンスのほうに入れることになりました。結果論になりますけれども……。いまの私どもとしましては、少なくとも三機種を並行して交渉しました。特に米側に対しましては、フランス側言い分を逆に申しまして、いまお説の取引上にも使ってみたのでございます。それで相当なむこうの言い分をまけさせたつもりでございます。それから、いま申しましたように、たとえばある機種のあるものについては、ほかの政府交渉がついたものである。しかも、それについて、いまのあなた方の言い分をここだけのむと、表に知られるとたいへんなことになるということがあったということを申し上げております。そういう意味で、われわれとしましては、一機種にしぼってからではなかなかできませんので、三機種の段階でそういうような交渉をしたいと考えていたわけでございます。その効果はあがっておると思います。先生おっしゃるように、三機種並べて、それを力にして値引きをしたつもりでございます。
  23. 大出俊

    大出委員 ちょっとどうもはっきりしないのだけれどもフランス政府マルセル・ダッソー社ならマルセル・ダッソー社開発研究費を払っているのですか。
  24. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 フランスマルセル・ダッソーにかなりの金を出しておる。その金をRアンドDとして政府で徴収する権利は日本側に対して留保する、そういう向こうの初めの回答だったわけでございます。だから、とるかもしれぬということだったのですが、最終的にはRアンドDというかっこうではとらぬ、しかし、ダッソー社がとるローヤリティの中には含まれますよという言い方をしているわけです。
  25. 大出俊

    大出委員 それはここにありますけれども、それを申し上げてもしようがないのですが、F4Eファントムにきまっておったようですから、装備局長、あまりそういってみたって効果がなかったのだと思いますけれども、しかし、機種選定上きめておかなければならぬわけでしょう、商法上も。つまり、国民の税金で買うのですから、安く買うためには、機種選定の前に、RアンドDはこれだけである、もし高過ぎるならば、ほかから買うぞということをきめてから機種選定をしなければならぬはずである。だから、機種選定以前に、RアンドDについては、すでにこれくらいであるということをきめているというふうに考えるのが、私は常識ではないかと思いますが、違いますか。
  26. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 そういう意味で、機種決定の前にきまっておりました。きまった額の中に入れまして、機種決定の判断をいたしたわけであります。
  27. 大出俊

    大出委員 そうすると、RアンドDなるものはF4Eファントム一機あたりについては何%ということは、おおむねきまっている。きまっているが、ここで言えない、こういうことですか。
  28. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 さようでございます。
  29. 大出俊

    大出委員 そうすると、ナイキホークの先例に基づいて三%前後というふうに理解してよろしゅうございますか。そんな見当だというふうに理解してよろしゅうございますか。
  30. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 パーセンテージで申しますと、はるかに低いと思います。
  31. 大出俊

    大出委員 はるかにというのがちょっと気になるのですがね。ちょっと低いというなら、三%くらいということになるのですが、はるかにというと、三からはるかかなたを見たら一だ、こういうことになるのです。そういう解釈ですか。一%くらいで済むのですか、はるかにということは。どうですか。
  32. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 そこまではなかなか申し上げにくいのですが、三%というようなものから見ますと、相当低いというふうに御了解願いたいと思います。
  33. 大出俊

    大出委員 はるかにと相当とどう違うのですかな。とにかくそうすると、これは一%から二%、三%、こういうことなんですけれども、まん中くらいですか。幅くらい言ったっていいじゃないですか。
  34. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 特にこの問題につきましては、相手方もありまして、相手方もほかの国との関係がいろいろございますので、これ以上ごかんべん願いたいと思います。
  35. 大出俊

    大出委員 そうすると、はるかに低いというのと、次は相当低いというのですから、はるかにと相当の間くらいですか。私がなぜこれを聞くかということなんですが、大蔵省防衛庁の間に、どうも機種決定その他を含めて、また一機当たり単価をめぐって、いろいろやりとりがあるようであります。しかも、これは長官に聞いておきたいのですが、大蔵省側言い分をいろいろ分析してみると、F4Eファントム防衛庁機種決定をしたけれども機種決定を含めて、つまり大蔵省はものを考えたい。だから、大蔵省言い分からすると、まだ機種はきまっていないんだ、こういう言いっぶりに見える。だから、F4Eときめたのは、これは閣議できめたのですか。閣議できめるのでなくて、いままで国防会議の持ち回りで——国防議員懇談会できめる、国防会議できめない、こういうことになっているわけですね。どういう手続で機種決定をされたのですか。機種決定経緯と、これはもう絶対変わらないものであるという認識でいいのかどうか、そこのところどうですか。
  36. 増田甲子七

    増田国務大臣 申し上げることを用意してございますが、それを申し上げてよろしゅうございますか。——では読ませていただきます。  防衛庁におきましては、かねてから航空自衛隊が将来装備する新戦闘機機種選定作業を進めてまいりましたが、去る十一月一日、私から内閣総理大臣作業結果を報告し、その了承を得まして、米国マクダネル・ダグラス社F4Eファントムわが国使用目的に応じて改修を加えたものを新戦闘機として採用することに防衛庁長官として決定いたしました。私の行なう行政行為という意味におきまして、総理了承を得て決定いたしたわけでございます。  新戦闘機機種決定につきましては、従前から各界の関心が集まり、国会におきましてもしばしば御質問が行なわれてまいりました。この際、新戦闘機整備目的機種決定に至りました経緯、及び採用機種性能について申し上げたいと思います。  第一に、新戦闘機整備目的必要性でございますが、このことは、三次防整備計画の策定にあたりまして審議され、昭和四十二年三月十四日、その前日の国防会議の審議の結果を閣議決定いたしたのが昨年の三月十四日の閣議決定でございます。「第三次防衛力整備計画主要項目について」これが閣議決定の標題でございますが、その中で、将来における防空要撃能力向上のため新戦闘機機種選定の上、その整備に着手するという柱が立てられて決定されております。  わが国防空を有効に実施するためには、空からの侵攻機に対して、これを早期に探知、発見し、味方機の行動を有効に管制し得る防空警戒管制組織の充実と、侵攻機の直接排除に当たる要撃戦闘機部隊、及び地対空誘導弾部隊整備が不可欠のことでございます。このため、二次防、三次防の計画を通じまして、防空警戒管制組織自動化ナイキ部隊建設を進めてまいったところでございます。  要撃戦闘機につきましても、F104J、F86F及びF86D、各機種部隊をもって防空体制整備し、かつ平時におきましても領空侵犯対処のため、不断の警戒体制をとり、その任務を遂行してまいっておりまするが、現在、次のような問題が生じております。まず、本年度までにF86Dの全部隊は廃止され、現有勢力としては、F104J約二百機、七飛行隊、F86F約三百機、八飛行隊を保有しておりますが、三次防の終了する昭和四十七年以降の五カ年間の事故あるいは耐用命数等の推移を勘案いたしますと、F86Fの八飛行隊の大部分がその間に廃止され、F104Jの飛行隊の一ないし二飛行隊の減少が見込まれております。  次に、F104Jにつきましては、その導入以来、航空自衛隊防空力を著しく増強しておりますのみならず、一般の技術的水準にも貢献してまいっておりますところでございますが、なお今後の世界における軍事技術の進展に対応することを考えます場合には、さらにF104Jの要撃性能を上回る戦闘機導入が必要でございます。すなわち、新戦闘機は、要撃戦闘機部隊量的減勢防空要撃能力相対的低下に対応することを目的としてこれを整備しようとするものでございまして、したがいまして、悪天候下でも活躍できる全天候能力、高々度、高速目標や、低空侵入目標への対応能力電子妨害に対抗する対電子能力、さらに敵戦闘機に対しての格闘戦闘能力において特にすぐれていることが望まれ、また総合的防空要撃能力を維持向上するに足る飛行隊整備が必要と考えます。  次に、機種決定に至りました経緯を御説明申し上げます。  まず、機種選定のための作業は、第三次防計画決定後直ちに開始いたしましたが、新戦闘機検討対象としては、広く現在自由圏諸国使用し、または開発中の新鋭戦闘機を考慮いたしまして、昨年八月検討対象機種米国CL系列機F4、F5、F111、P530、英国のライトニング、フランスミラージュF1英仏共同開発のジャガー、スウェーデンのビゲンの九機種とし、これらの調査のため、昨年十月下旬から五十日余にわたって米、英、仏、伊、スウェーデン、西独の六カ国に海外資料収集班を派遣いたしました。班員一等空佐以下八名の航空自衛官でございます。本年に入り、この海外資料収集班の報告を受けて検討した結果、この機種CL、いわゆるCL1010−2、F4EミラージュFlCの三機種にしぼりました。この選定あたりましては、総合的に要撃機として、日本が現在所有いたしておるF104Jよりもすぐれていること、全天候要撃能力を有しておること、現在各国において使用中のものについては、将来も引き続き生産を継続するものであること、現在開発中または開発を行なう予定であるものについては、所要の時期までにわが国において取得し得るものであること、さらに、わが国に対して提供される可能性のあるものであること等の諸点を基準といたしました。その後、これら三機種につきまして、航空自衛隊パイロットの手により実地に操縦する等の各種の調査、テストを行なわせるため、本年七月中旬より九月初めに至る約五十日間にわたって、米仏両国に新戦闘機調査団を派遣いたしました。団員は諸方空将以下十二名でございます。また、これと並行して、航空幕僚監部において、候補機種を中心とする総合防空武器体系防空効果を比較考量するための運用分析作業を進めるとともに、候補機種生産単価及び部隊建設等費用について、防衛庁側としての経費見積もりを実施いたしました。次いで、航空幕僚長は、新戦闘機調査団の報告書と各般に及ぶ航空幕僚監部の研究成果を基盤にして、新戦闘機機種についての総合的な評価を行ない、F4Eが最も適当であるとの結論を得て、本年十月八日、私に上申書を提出いたしました。  この上申書につきまして、さらに私の手元で慎重に検討いたしました結果、機種といたしましては、航空幕僚長の上申のとおり、米国マクダネル・ダグラス社F4Eファントム選定し、ただ、わが国使用目的に応じまして、国会においてもしばしば皆さまにお約束申し上げておりますとおり、核装置並びに爆撃装置を施さない等の改修をすることとし、機種選定については、防衛庁行政行為として国防会議関係の閣僚に私が選ぶことにつきまして了解を得まして、去る十一月一日、内閣総理大臣に説明をいたし、総理大臣の了承を得た上で、機種防衛庁長官としてF4E決定いたした次第でございます。  なお、この間、通産省におきましては、新戦闘機生産する場合の担当会社として、主契約者として三菱重工業株式会社を、副契約者として川崎重工業株式会社をそれぞれ選定いたしました。十月十五日、通産大臣より内示されております。もとより法に基づきまして、防衛庁長官とも合議をいたした結果の通産大臣の内示でございます。  そこで、機種選定作業については概略申し上げましたが、次に、F4E選定いたしました理由について御説明申し上げます。  F4E選定の主要な理由は二点でございます。  第一に、新戦闘機の三候補機種が単体として有します性能につきましては、一三機種はいずれもF104Jを上回る要撃能力を有し、わが国の将来における防空要撃能力の向上に寄与し得るものでありましたが、飛行性能、戦闘能力、開発生産、後方兵たん関係、安全性及び成長可能性といった各般の分野にわたりまして、評定方式による専門的検討を行ないましたところ、F4Eが他の機種に比して総合的にすぐれておりました。  第二に オペレーションズリサーチ等の技法を用いて実施いたしました運用分析作業の結果によりますと、総合防空武器体系の一つとしての防空能力として、費用効果の面でF4Eが他の二機種に比してまさっておりました。すなわち、同一の防空効果をおさめるに必要なる飛行隊数について三機種を比較いたしましたところ、F4E導入した場合が最小の飛行隊数で済み、F4Eがすぐれているとの結論を得ました。  次に、F4E性能について申し上げます。  F4Eは、すぐれた全天候要撃能力を有する米空軍最新鋭の複座式戦闘機でございまして、同系列機はすでに約三千機も生産され、米英等の空・海軍に採用されて、すぐれた運用実績を示しております。  同機は、最新のターボジェットエンジンJ—79−GE−17を二基装着しており、重量約十四トン、最大離陸重量約二十六トンという重さにもかかわらず、スパロー・ミサイル四発を装備した上での最大速度二マッハ以上、戦闘上昇限度が約一万八千メートルに達する優秀な速度性能、上昇性能を備え、高速目標機の要撃に必要な加速性能も有しております。また、スパロー・ミサイル四発、ファルコン・ミサイル四発をそれぞれ装備したいわゆる基準兵装時の要撃行動半径は、アフターバーナーを使って短距離要撃の場合で半径が約百ノーチカルマイル、常用推力で行なう長距離要撃の場合で約四百五十海里であります。対地戦闘支援の場合の行動範囲は、二百五十キロ爆弾八発を積んで約二百五十海里、同じく四発を積んで約四百海里でございます。さらに、同機は、約一時間の空中戦闘哨戒を行なった上での要撃戦闘を実施できる能力を備えております。離着陸能力は、最大離陸重量時における離陸の滑走距離が約一千メートル、着陸滑走距離が約七百五十メートルと良好でありまして、所要滑走路長は約二千二百メートルと見込まれております。  同機に装着いたしますレーダーは、ウエスチングハウス社のAPQ120型であります。武装は、M61型二十ミリ機関砲一門のほか、空対空ミサイルとしては、レーダーホーミングのスパロー3型四発、赤外線ホーミングのファルコン型四発の同時装備が可能でございまして、対地戦闘支援を実施する場合には爆弾を搭載することができます。  F4Eにつきましては、以上御説明申したように、要撃機としての性能がきわめてすぐれており、わが国防空要撃力の向上に寄与すること大であります。反面、爆弾を装着しました支援戦闘時の能力は、さきに申し上げましたとおり、限定的でありまして、決して他国に脅威を及ぼすようなものではないと考えております。  特に、現在米空軍のF4Eが装備しております核爆弾用装置は、もとよりこれを備えつけません。また、国会でしばしば私が申し上げておりまする爆撃装置、すなわち、空対地レーダー、爆撃用コンピュター、コントロールボックス等のいわゆる爆撃専用装置は、一切これを施さないことにいたしておりますので、十分皆さまの御理解をいただけるものと確信いたしております。  以上をもちまして、私の申し上げることはF4Eにつきましては大体終わりでございますが、最後に、機種決定に至る全作業を通じまして、あくまで、私がかねて国会議員の皆さまに申し上げておりますとおり、防衛的、技術的、事務的良心に基づいて公正適切な結論が得られましたことは、私をはじめこの任に当たりました防衛庁職員一同の深く喜びといたしておるところでございます。
  37. 大出俊

    大出委員 いまいろいろ経過並びに考え方の説明を承りましたが、一つ一つについて伺っていきたいのでありますが、まず、長官行政行為としておやりになった、こういうわけですね。なぜ一体行政行為ということになるのですか。
  38. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはホークあるいはナイキ——ナイキもハーキュリーズをアジャックスのかわりにきめた、あるいはTC——TX、CXと同様に、FX行政行為できめ得るものである。その根拠は、昨年の三月十四日に国防会議の議を経まして閣議決定がなされておりまする新機種選定方針が、これこれでやれという方針が示されておりました。あとは行政官庁としての防衛庁長官が、この主要項目に書かれておりまする防空要撃能力の向上のため支援戦闘機機種選定しろ、これを項目に——この項目の施行細目である、これを施行したものである、こう考えておる次第でございます。ただしかしながら、事柄は重要でございますから、国防会議の議員の閣僚の皆さんには、私が防衛的、技術的、事務的良心のもとに最良と思われるもの、また国会においてお約束した、特に外国に脅威を与えない、そういう範囲のものを選定いたしますからといって、おまかせしますという了解を得ました。しかしながら、事柄はやはり重要でございまするから、総理大臣の御了解も得ました上、私は決定をいたした次第でございます。
  39. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは将来に向かって変わることは絶対ない、こういうわけですな。
  40. 増田甲子七

    増田国務大臣 閣議決定は他の閣議決定をもって変え得るとか、あるいは行政官庁の決定はその次の行政官庁が変え得るということばございます。法律も他の法律で変え得る、こういうわけでございまして、それぞれ所要の手続が必要である、こう考えております。
  41. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これは先が長いのですね。四次防とも非常に大きな関連を持っているわけですね。そうすると、いま長官二つ言われましたが、F4Eファントムという決定は絶対的なものではない、こういう解釈でよろしゅうございますか。
  42. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、あらゆることについて絶対ということはないという意味におきまして、法律は他の法律をもって変え得る。行政官庁の決定は他の後任者の行政官庁が変えようと思えば変え得る。しかしながら、それぞれの手続が必要である。一応決定したものは、機種決定として現在F4Eファントム、こういうふうに決定されておる次第でございます。
  43. 大出俊

    大出委員 機種を含めてどうも国防会議できめないというのはまことにけしからぬという、つまり四次防との関連も非常に強くある。したがって、機種を含めてまだきまっていないものという解釈を大蔵省側は持っているように新聞にも書いてありますし、そういう話も聞く。したがって、私は、これはあなたが行政行為としておきめになったんだ、こういうふうに当面言っておられますけれども、必ずしもそうは言い切れるのかどうかという点に疑問を持つわけであります。そういう意味で私はものを申し上げているのですが、法律は他の法律をもって変え得る、閣議決定閣議決定をもって変え得るという、情勢変化ということに基づく閣議決定のし直しということもあり得るわけでありまして、過去にもあったことがある。そうなると、どうもいまたいへんあなたのほうはお急ぎになってこれはきめてきたわけでありますが、私は、どうもその急がれる理由がはっきりわからぬ点がたくさんある。何もいま防衛庁が四次防にわたるものまで全部このくらい必要なんだなんというようなことを、この四次防にかかわりのある問題まで含めてものを言う必要は私はないと思っている。ところが、あなたのほうはそう言っているわけでありますから、したがって、そういう意味で絶対的なものではないなということを念を押しているわけでありますが、四次防にかかわることまでものを言うならば、四次防をあわせて論議していただかなければならぬし、四次防を少なくともきめるんだとすれば、これは国防会議決定が必要なはずであります。そうなってくると、当面の二機だけの問題というふうに言いきれない問題が実はある、こう理解をしていかなければならぬと思うわけであります。そういう意味で、大蔵省側との関係はどうお考えになっておりますか。
  44. 増田甲子七

    増田国務大臣 大出さんの御質問もごもっともな点もございます。そこで、私どもは、機種決定というものは、あくまで国防会議——これは諮問委員会でございまして、諮問委員会の議を経ました閣議決定によって私にまかされておる、こういうふうに感ずるのでございます。もとより、一切の防衛というものが財政との関連において財政当局が種々考慮される、また発言されることは当然だと思っておりますが、国防会議のほうもそれぞれ打ち合わせをいたしておるわけでございまして、大蔵大臣と私ども関係が、やはり国防会議としては大きな問題だと思いまするが、あるいは国防会議を主宰していらっしゃるのは官房長官であります。これが事実上主宰していらっしゃるわけでございまして、正式の議員としては、議長たる内閣総理大臣のほかに、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経済企画庁長官だと思います。それからオブザーバー的に参加いたしておるのが通産大臣と科学技術長官でございます。これらの方方とは打ち合わせをいたして、一応機種は、別に急いでいるわけではございませんで、私の赴任当時から早くきめろきめろということをいわれておるわけでございまして、すでに任についてから二、三年たっているわけでございまして、そこで、いよいよ予算折衝に入りますが、予算折衝の最中に、予算折衝の前提として、防衛庁長官としては、昨年三月十四日の閣議決定の方針に基づいて、機種はこれこれであるから、ひとつ財政関係を考慮してくれということを頼むわけでございます。でございますから、大蔵省といたしましても、大臣は、防衛庁長官が良心的に選ぶのが一番いいのだという発言は十月十四日に私にされております。他の国防会議の議員も、それから事実上国防会議に出られておる議員たる閣僚も、私にゆだねられておりますが、正式には十一月一日に私のほうの幕僚を引き連れまして、性能その他の点から見て、要撃能力が現有のF104より高まらなくてはいけない、高まるということが良心的に考え得るものはF4E以外にはございませんということを私が申し上げまして、それではまかせるということを総理からも言われました。その日の午後に決定をいたした次第でございます。財政関係から、大蔵大臣を首班とする大蔵当局がこれからも審議されることは、もとより予定いたしておる次第でございます。
  45. 大出俊

    大出委員 大蔵省防衛庁に対して資料提出を要求をしているということは事実でございますか。そして輸入単価などというものも調べまして、国内生産をするということと輸入をするということを比較対照をして、輸入をするとすればたいへん安くなって、このくらいになるのだというような大蔵省側の主張もある、こういうふうに承っているのですが、そういう事実はございますか。
  46. 原徹

    ○原説明員 そういう新聞記事が出たことは承知しておりますが、私ども実はまだ予算の要求を受けておらないわけでございます。したがいまして、私ども、この問題そう簡単に予算要求を受けてすぐ結論が出せるというような性格の問題ではございませんから、予備的にいろいろ概論的な説明を聞いております。その際、輸入単価であれば幾らであるかということを聞いたこと、これは事実でございます。ただし、これはその新聞に書いてあることは間違いなんでございまして、大蔵省はまだ概論を聞いているだけで、態度というものはきめておりません。白紙でございます。したがって、それの新聞記事に、何か大蔵省がそういう態度をきめて、そして防衛庁に資料を要求したという点は間違いでございます。ただし、私どもはいろいろな検討の一つの資料としてそういう要求をしたということは事実であります。
  47. 大出俊

    大出委員 非常に微妙な御発言で、大蔵省態度は白紙であると言われた。これは佐藤総理が好んで使う白紙ということばが出てきましたが、どうも総裁公選が近づいておるようでありますから、そうなってまいりますと、妙な言い方で恐縮ですが、ひとつ間違うと、絶対的なものはすべてにわたってないという長官の御発言どおり、現総理がお続けになるものやら、二期にわたって御苦労いただいた増田長官がお続けになるものやら、これまた不確定要素であります。絶対的なものがないのであります。そうなると、長官行政行為としてこうやるがよろしいかと言ったら、総理がよろしい、こう言ったとしても、さて次に防衛庁の行政責任者、行政長官がおかわりになり、あるいは内閣の責任者がおかわりになるというふうなことになった場合に、責任継承の原則というようなものは一応ありますけれども、予算はそこから先編成するのでありますから、しかも予算当局は、今日いまの答弁で白紙、こういうことでありますから、佐藤さんがよく言う白紙というのは何もないということですから、そうなると、そこから先、白紙でなくなるわけですから、必ずしもここで——先ほど、一般的にいって絶対的なものはないというならばないんだと、いうおっしゃるけれども、目の先にある具体的事実の進展をながめた場合に、私は、その意味でも、これは絶対的なものではない。次期総理がはたしてうんと言うものやら言わないものやらという問題さえ、考えればある。何しろ大蔵当局は白紙なんですから、費用効果の問題であるからといっても、大蔵省防衛庁とは別個な見解に立つんだということになることだってあり得る。白紙なんですから、そうでしょう。そうなると、一応の行政手続に従ってここまでお進めになったということであって、絶対的なものでない。もうこれは将来に向かって、いま長官がお述べになったことが、間違いなくそのとおりになるんだということは言い切れない、こう私は理解せざるを得ないのであります。もう一ぺん、念のだめにひとつ御見解をお聞かせいただきたい。
  48. 増田甲子七

    増田国務大臣 機種決定については、大体の御了解を得たようでございます。そこで、行政官庁たる防衛庁長官がきめたこと、この範囲のことも大出さんは御了解くだすったようでございます。これは変更することはあり得るかどうか、それは書面の上で決定してございますから、同じく書面の上で決定変更という重大なることをしなくてはなりませんから、この前のグラマン、ロッキードのときは、まだ国防会議——これはあくまでも諮問委員会でございます。しかしながら、諮問委員会で内定した、その内定したものをあとまた変更したということでも、政治上の重大なる一種の紛争が起きましたが、私は、閣議決定を他の閣議決定で変更するということは、相当の理由がない限りは、やはり行政の一つの信頼性とかあるいは安定性という見地から見て、きのう、きょうと、すぐ朝令暮改ということになってはしかるべからざるものである。法律といえどもそうでございます。ただ、あり得るかどうかという大出さんの御質問でございましたから、あり得ることはありますけれども、この二年間かかって私が防衛庁長官として、技術的なこまかい点までは存じませんけれども、ある程度の防衛知識を得まして、そうしてまた政治家という立場で諸般のことを考えまして、それからCL1010のことも考えましたし、ミラージュのことも考えました。それからなお、先ほどの一般的説明の際には申し上げませんでしたが、通産大臣が内定いたしました三菱重工業をプライムメーカー、川崎航空機をサブコントラクター、この両社にもそれぞれ検討させましたところが、やはりF4Eというものが自分が生産する上からいっても一番よろしいんだという報告を十月二十七日に私は受けました。それを受けるまで私は待っていたわけでございます。それから十一月一日に、ちょうど時期が参りまして、私の頭も固まりましたから、決定ということに相なったわけでございます。決定前提としては、大蔵省を主管する大蔵大臣、通産省を主管する通産大臣、その他の国防会議議員たる閣僚にはおまかせを願っておる、こういうわけでございますから、各般の防衛的、事務的、技術的良心に基づいて、二年間かかって積み上げしてまいったものがこれでございまして、あと、ちょっと考えたら安いからこれがいいわということも——それは大蔵省は全部白紙と言えば言えるでしょう。たとえば、建設事業についてだって、白紙だということは言えます。来年のことはゼロかあるいは何兆かわからないということは言えましょうけれども、やはり行政の信頼関係から申して、防衛費がゼロになるとか、あるいは土木事業がゼロになるということはないと思います。同じ白紙とおっしゃっても、それは財政関係から、予算の折衝をするにあたっては白紙の態度で臨んでいく、これは当然あるべき良心的の姿で財政当局は発言されたもの、私はいま主計官が発言されたことをそういうふうにとっておる次第でございまして、何が何だか来年度の予算はさっぱりわからない、ひょっとしたら零になるかもわからないということはないわけでございます。
  49. 大出俊

    大出委員 具体的に承りますが、三次防にいうところのFXの予算は、もう一ぺんあらためて聞きたいのですが、幾らでございますか。
  50. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもの腹づもりでは、三次防中に予算化をしていただきたい、すなわち二兆三千四百億円、上下幅は二百五十億円という総理裁断の三次防五カ年計画費用が概算的にきめられております。その中に、予算化すべきものとして八十八億を予定しております。これも大蔵省と正式に判こを押したというわけじゃございませんが、ある程度の了解点に達しておるものと私どもが考えておる線でございます。それからなお、これは長期発注でございまするから、六百九十二億というものを国庫債務負担行為として考えております。このことも、前国会、前々国会等においてしばしば大出さんにも申し上げておりまするし、他の国会議員各位にも申し上げておるわけでございます。すなわち、七百八十億を予定しておりまするが、なおF4関係生産関係その他のことを勘案いたしまして、将来のことの腹づもりということにもなりますると、機数の決定は一これからはっきり申し上げるわけですが、機数の決定国防会議の議員懇談会か国防会議で諮問さるべきである、その上に財政当局と私どもとが折衝すべきものである、こう考えております。
  51. 大出俊

    大出委員 いまのところをもうちょっと詳しく聞きたいのですが、三次防策定の際のFXに関する積算数字、これは七百八十億円ということに一応なっておったんじゃないですか。そうでしょう。だから、一機当たりの単価が十三億円、そうなっておったんじゃないですか。そこのところはどうなんですか。
  52. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは前国会、前々国会等においても申し上げました。一応そういうような基準で、七百八十億を防衛庁としては予定いたしておるわけでございます。
  53. 大出俊

    大出委員 そうすると、防衛庁が予定をしておるというのは、一体今回のFX問題について、これがどういうふうに予定上変わるのですか。
  54. 増田甲子七

    増田国務大臣 機種選定につきましては、私ども各大臣の了解を得まして、総理了承を得まして、私の責任で決定いたしましたが、防衛的見地からだいぶ長い間勉強して決定したものでございますから、これを、防衛庁以外の者から、金目から見たらこれがいいんだというようなことには私はなかなかならないと思います。そこで、七百八十億といたしておりまするが、F4Eになりまして、今度は機数という問題になりますと、F4Eは複座式でございまして、練習機その他が、TXの開発まではよろしいということでございますから、TX関係の中間に導入することを予定しておりましたものが、こちらの腹づもりで二百十億円ございます。その二百十億円を加えたもの等が、三次防において一応考えて、大蔵省に対して折衝する場合のこちらの腹づもりということに相なると思います。
  55. 大出俊

    大出委員 そこをもうちょっと詳しく御説明いただきたいのです。断片的じゃ困る。私が質問しておりますのは、三次防で皆さんが積算をしたときのFX関係費用は七百八十億円という積算であって、一機当たり十三億円になっておったということは事実かどうかという点と、あわせて、今回皆さんが言っている中身からすると、だいぶそれが先々変わってきそうに思える。つまり、三次防の分として四十八機、さらに四次防の終わる五十一年度までに——五十一年という計画をどこで承認しているか知らないけれども、四次防の終わる五十一年度までに合計百三十機ぐらいにしたい、こういうふうにいま皆さんのほうからも伝えられておりますね。そうなってくると、いま長官がそう簡単に断片的に言われたのじゃ困る。いまTXの問題を言われましたが、これは私はあとから聞きますけれども、これはいままでの予算上、計算上まいりますと、TX、つまり次期ジェット練習機、これはいまのつなぎのほうの話ですね。つなぎでいきますと、現に練習機の予算が二百十億ある。二百十億考えておられるわけですよ。だから、これは三十一機分、こういうことになります。私はこの際あわせて承っておきたいのだが、TXというのは複座席だからということを理由にされて、つなぎのTXをやらない、つなぎのジェット練習機を要らない、こういうことでこの予算を投入をしてということだとすると、つまり、それで予算はどう変わってどうなっていくのかということをもうちょっと詳しく言っていただかぬとわかりませんから、そこのところをひとつ詳しく言ってください。
  56. 増田甲子七

    増田国務大臣 私ども大蔵省なりあるいは国防会議等において機数をきめるときのその腹づもりということを申し上げております。それは先ほど大出さんがおっしゃいました七百八十億プラスTXは日本開発でよろしい、こういうことが航空幕僚監部の私に対する申し出でございます。そこで二百十億を充てる、すなわち九百九十億というものを一応充てまして、そうしてそれに見合うものを三次防の段階において発注いたしたい、こういうふうに大蔵省当局や国防会議当局には申し入れをいたす所存でございます。
  57. 大出俊

    大出委員 九百九十億で何機になるのですか。
  58. 増田甲子七

    増田国務大臣 六十機にはちょっといきませんけれども、五十機にちょっと満たないという、まだそこが交渉でございますから、五十機にちょっと満たないという辺でございます。
  59. 大出俊

    大出委員 そうすると、新聞その他に載っておりますのは四十八機といっているのですが、これはまんざら当たらない数字でもないと解釈していいのですか。五十機にちょっと満たないというのですから、四十九・五機なんていうのはないんだから、そうでしょう。どうもそこらまことに不明確なんだけれども、私さっき四十八機と申し上げたのですが、それでいいのですか。
  60. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 機数につきましては、これから財政当局といろいろ折衝してきめられることでございます。ただ、われわれとしては一応の構想をいろいろ描いておりますが、三次防中の機数としましては、長官が言われましたように、五十機足らずというところでございます。
  61. 大出俊

    大出委員 二十億なら、四十八機で九百六十億のはずですね。そうでしょう。四十九機にすれば、九百六十億が二十億ふえるのですから九百八十億の勘定ですが、皆さんのほうの七百八十億円に二百十億を足したのですから、九百九十億ということになる。そうすると、二十億単価で計算すると、さっき私が言ったように、四十九・五機なんです。だから、金の割り振りからすれば、確かに長官の言うように五十機にちょっと足りない、二十億で四十九・五機だ。そうでしょう。やはり一機単価というのはそのくらいほどになる。大蔵省と折衝するには違いないが、折衝する原案があなた方あるでしょう。それは一体何機なんだと聞いている。そして一機当たり単価幾らですか、皆さんの計算で。
  62. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 ただいまの機数の問題は防衛局長からお答えすると思いますが、その問題の基礎になります単価の問題は現在まだ検討中でございます。もちろん、われわれといたしましては相当な資料を集めまして計算をしております。ただ、きょう現在、最終的に申しまして、予算の要求もいたしておりませんし、また機種決定しましてからマクダネルなり国内のメーカーなりと交渉する段階でございます。そういう意味で、われわれとしましては、機種単価についてまだ最終的なものを出しておりませんが、現在われわれが考えておりますというか、得ました資料から出しました数字の中で、今後ある程度値引きする余地があると思っておりますが、決定しておりませんので、そういうものを含んだもので考えております。
  63. 大出俊

    大出委員 これは長官、あなたは先ほど九百九十億で五十機ちょっと欠ける、こういうふうに現に答えておるのですよ。だから私は、二十億とすれば四十九・五機になるから、まさか〇・五機なんという半端なものはないだろうと言ったのですが、あなたは先ほど五十機ちょっと欠けるとおっしゃった。九百九十億、計算すれば予算上は二十億になる。そこで装備局長、これは、一機当たりの単価の中にRアンドDというものがどういうふうに含まれていくのかという問題がある。数%という言い方になる。あなたは、先ほど私が三%と言ったら、それよりはるかに少ないと言って、その次は相当少ないとおっしゃったけれども、それにしても数%ですね。一%か二%かわかりませんけれども、これが単価の中に入っていくかどうかという問題がまずある。これが一つ。  それからもう一つは、機体だけの製造単価でいけば十六億前後です。爆撃装置等をつけて大体二十億前後です。そうなると、これはこの間爆撃装置の問題をいろいろやりとりをいたしましたから、これは議事録に残っておりますが、最後の爆撃用照準、つまり、コンピューター等の問題が残っておりますから、これはあらためた時期にやりますけれども、明らかにさせていただきますが、きょうは時間がありませんからさておいて、いまの単価計算というものは、私どもからするとたいへんな金なんですね。一億どっちにいってもいいというものじゃない。そういう意味で聞いているのですから、そこのところをもうちょっとはっきりしてください。これは新聞にちゃんと載っかっているのです。国民の税金でこしらえる飛行機なんだから、このくらいのところは明らかにしてくれてもいいでしょう。そこのところはどうなっているのですか。
  64. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 こういうような大きなものの御審議をいただくわけですから、ある時期には当然われわれの計算単価というものはお示しする必要がありますけれども、実はただいま申しましたように、きょう現在、機種決定までに詰めるだけ詰めました。しかし、相手方は、機種決定が済まないことには、たとえばどこをどうつくるのかというこまかい部品の製作過程、あるいは日本がつくるもの、つくらないものというような問題の関係があって、価格の問題が最終的に不確かなものでございます。あるいはわれわれのほうで、これは少し高過ぎるじゃないか、これはもっと詰めるべきだということをメーカーに指示した問題がございます。そういう問題がございますので、われわれは現在十六億円台であると申しておりますけれども、その点は、私たちの予定価格が表に出ることは不利であるという考え方を持っておりまして、十六億円台と言っております。この中でまた私どもは少しでも詰めたいということで詰めております。いま申しましたそれが二十億近くなるのではないか、その問題につきましては、いま先生のおっしゃったことが、少し私違いますが、爆撃装置に関係ありません。いまの十六億円台というのは、裸の一機の価格でありまして、当然これは装備をする場合には予備部品があります。その予備部品を幾らにとるかというところの問題でございます。大体一般論として、日本では二割、外国では三割か四割組んでおりますけれども、もしもその機種を実際につくります場合に、各部品の必要性を考えてきまってくるものでございますので、そういう問題を一応概算しているものでございます。そういうふうにお考えいただきまして、いま十六億円台と申し上げるだけで、もう少し詰めたいと思っております。ただ、私どものほうとしましては、一応の現在の価格の見積もりは、各段階で持ってはおります。
  65. 大出俊

    大出委員 私の言っていることと何も違わないでしょう。私は機体と申し上げているのですから、十六億台というのは機体とちゃんと申し上げましたよ。そうなるでしょう。そこにあなたのおっしゃるいろいろな部品をくっつけるわけでしょう。爆撃装置などと私は申し上げておるのです。長官、この間、パイロンタンクをくっつけないのですかと言ったら、あなたはつけると言う。これも爆撃装置の一部ですよ。爆弾をひっかけるんだし、体内には爆弾を積めないんだから。両翼の下と胴体の下にくっつける。この間どんどん詰めていったら、兼用照準の話が出てきて、単独照準はないんだから兼用照準だ。それはなければ困るんだ。それだって爆撃装置の一つだ。そうでしょう。やはり爆撃装置などになる。そうすれば二十億近くになるのじゃないかと私は申し上げているのです。そんなに変わってはいないでしょう、あなたの言っていることと。そうでしょう。そういうことになるでしょう。どこが違います。もう一ぺん言い直してください。
  66. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 爆撃装置という言い方は、これは防衛局長の申し上げているのは、現在そういうものを別にしました、いま私たちが考えている一機が幾らである。それに対して当然予備部品が要る、それを加えると幾らになる、こう言っているので、そういうものをくっつけるのじゃございません。いまわれわれが予定しておるものが一機幾らで、それを装備する場合には、当然運用上何%かの予備部品が要るということを申し上げているわけでございます。少し違うかと思います。
  67. 大出俊

    大出委員 けれども、予備部品なんというものをくっつけたにしても、十六億台が二十億台になることはない。そうでしょう。パイロンタンクだとかなんだとかつけるようなところだとか、これはまたこの間の質問を繰り返してもしようがないけれども、そういうようなものをくっつければ二十億近くなるということであって、何も予備部品というもので何億も変わるわけはない。  ところで、これは長官に承っておきたいのですけれども、TXなるものが、これは防衛庁で参事官会議までいきましたね。そこで、つなぎのジェット練習機ですな、これは途中からおやめになったですね、おたくのほうは。どういう理由でおやめになったのですか。長官、答えてくれますか。
  68. 増田甲子七

    増田国務大臣 防衛庁の検討のプロセスの内容等はちょっと申し上げにくいわけでございますが、ただ、私といたしましては、TXというものはできるだけ早く国内で開発しろ、そういうようなことで、つなぎなんということを考えずに——つなぎなんということを考えておると、国内で開発するスピードがおそくなっていけないから、国内で開発するように、督促する意味からも、TXを外国から買ってくるというようなことでなく、日本技術水準も相当高まっておりますから、ぜひともそういうことをするようにということを私が言った段階はございます。
  69. 大出俊

    大出委員 長官、参事官会議では、TX問題について、やれノースロップであるとか、これはうまくない、ジャガーであるとか、いろいろな話が現に出ている、いまあなたが申し上げたくないとおっしゃる論議の過程では。これはある時点であなたのほうがそれをおとめになった。妙なことだ。そこまで話が参事官会議で進んでいる。普通ならば相当なレベルなんだから変わりそうもないと思っておった。とたんに変わった。何で変わったかよくわかりませんが、あなたは申し上げたくないとおっしゃった。言わないからわからないんだ。言っていただければわかると思うんだけれども。だから、推測すれば幾つかある。  もう一つは、いつの間にか会社をおきめになった。やれ三菱重工と川崎航空機だ、こういうわけですね。川崎航空機というのは三社グループの一つですよ、いままで。これは前のいきさつ等から見てふしぎに思うのですけれども、川崎航空機、富士重工、日本飛行機、三社グループです。この中で川崎航空機だけ取り出したわけです、今度あなたのほうは。前のFXのあとの部品納入その他の関係からいくと、ずいぶん混線しているけれども、これから先、部品云々の先ほどのいろいろある話にからんで問題が出てきそうな感じもする。一方、TXというのはある時点で消えていった。ところで、二百十億のこの金を、F4Eファントムというのは単価が高いからというようなことで、そちらに入れて、四十八機ないしは四十九・五になるかわかりませんけれども、九百九十億というふうに込みで計算している。じゃ一体TXなるものは、つなぎを含めて要らないのかということになる。複座だから、練習機はなくても、操縦するときは一人乗っておれば練習できるというのかもしれぬ。しかし、そうなるとF104Jのときのいきさつからして、少しおかしくなるのじゃないかという気がする。そこのところがあなたの答弁ではわからない。そこのところはほんとうのところはどうなっておるのですか、ほんとうのところを言ってください。
  70. 増田甲子七

    増田国務大臣 ほんとうのところを申し上げます。それでこまかい点はまた防衛局長その他から申し上げます。  私は、日本技術が非常に進展しております今日、国産でやるべきものであるということを考えまして、そのとおり指示した点もございますが、参事官会議でどうなっておるこうなっておるというようなことは、私は部内のことであまり存じませんが、そういうことを私が指図したことはございます。日本技術が進歩しておるのであるから、いつまでも外国からそっくりそのまま買ってくるというような、そういう幼稚な時代とは違うのであるから、早くTXを国産で開発しなさい、こういうことを指示したことも、たしか十月ごろだと思いますが、ございます。
  71. 大出俊

    大出委員 つなぎのTXは要らないという解釈をおとりになっておるのですか。そこのところはどうですか。お答えがないのですが……。
  72. 増田甲子七

    増田国務大臣 その指示をしてからあと、偶然といいますか、F4Eというものを航空幕僚長が良心的に私に推薦して上申書を出したわけでございます。そのときに、TXのつなぎを外国から買ってくる必要があるかということを聞いたのでありますが、外国から買ってこなくても、複座式でございますから、F4Eに乗ってこれを操縦したり練習したりするということは、非常に都合がよろしい、一人教官がおって、一人生徒がおる、こういう関係でやりますから、ちょうどF104Dと同じであって、これでやっていけます。でございますから、TXが日本開発されるまでは外国から買ってくる必要はございません、こういうことでございました。結局、私の指示した線と結果的に同じに相なった次第でございます。
  73. 大出俊

    大出委員 変な話を聞くのですが、長官がたまたま参事官会議までいっておるものをやめろと言った。その理由はいいですよ。いろいろあるでしょう。国内生産をやるのだからという理由、それも理由かもしれません。しかし、通常、常識的にいえば、参事官会議までいっておるものというのは、ほぼまとまったものだと理解していいはずなんですね。突如として長官がやめろと言ったのでやめてしまった。その間には外国の相手方の名前まで出てきた。やれノースロップがいいとか、ジャガーが悪いとか、そうですね。それがすぱっとやめになった。おかしな話があるものだということを耳にしておる。ところが、いつの間にか、七百八十億にTXつなぎ分二百十億を足して九百九十億だ。これはF4Eの金なんです。では一体つなぎのジェット練習機はどうするのかといったら、複座だからそれは要らないのだと言う。そうすると長官、いままだなおかつ長官の答弁は、国内で開発するまで、こう言っておられる。では一体将来どういうふうに国内開発するのですか、その予算はどうなんです。二百十億使ってしまったのですが、そこから先はどうお考えなんですか。
  74. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 国産TXの開発のお尋ねだと思いますが、三次防期間中に六十二億円予定いたしております。これはもちろん先ほどから長官申し上げておるように促進いたしたいという考え方でございます。
  75. 大出俊

    大出委員 そうすると、四十六年までにつくるというわけですか……。
  76. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 最初のができ上がってまいりますのが四十八年の予定でございます。     〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕
  77. 大出俊

    大出委員 ここで大蔵省に承っておきたいのですが、先ほど来、予算要求が出ていないけれども、検討しているのだというお話がございました。態度としては白紙である。その場合、この輸入の話が出ておりますけれども、このFX輸入する、つまり、F4Eとして、これは英国あるいはアメリカの空軍がこれからつくるのが約六百五十機ありますね。これはF4Eです。こういうふうなものもありますが、新聞等が取り上げている中身からいえば、常識的にもそうであろうと思うのですが、ベトナム戦の主力ですから、たいへんな生産計画で進んでいる。私がここに持っている資料だけでいっても、F4系統だけで四千百機ありますね。だから、相当な機数が将来に向って見込まれている。ところが北爆停止という現状もある。そうなると過剰生産になる。確かにそうだと思う。どこから考えてもそういうことになる。いまさらどうもあれは引き返すわけにいかないのですから、ベトナム以後ということを考える世の中がくる。だとすると、これだけの生産計画を持っているのですから、このとおりはいかない。それはあたりまえの話だ。そうなると、輸入をすればたいへんに安くなるという、RアンドDなんかの問題も含めて、そこらあたり大蔵省の側で調査されているそうですけれども、どういうふうにごらんになっているのですか。
  78. 原徹

    ○原説明員 先ほど来申しましたように、私どもは、このFXの問題は、そう要求があってすぐきめられるというような問題ではないから、そこであらかじめ勉強しておきたい。勉強しておきたいということに相なりますと、それは確かに国内生産です相当の値段になるわけであります。かりに国内生産をするといたしました場合におきましても、それはやはり国内生産によるメリット、それは後方の補給だとか、支援だとか、ドルの問題とか、技術水準の問題とか、確かにそういうメリットはある。しかしそのメリットは、逆にいえば、どのくらい高いか、国内生産することによってそういうことのデメリットもあるわけですから、そういうこととの相互関係において判断をすべきものであろうかと考えましたわけです。したがって、そういう見地からすれば、まず輸入すれば幾らになるかということを聞くことは、これは当然でございますから、そういう意味で資料の要求をしているわけでございます。
  79. 大出俊

    大出委員 数字をおっしゃらぬようですけれども、ほかの国も買っているのですからね。一機当たり三百十万ドル、これは間違いですか。三百十万ドルで計算すると十一億一千六百万ということになる。これは間違いですか。こんなものですか。
  80. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 現在輸入した場合の価格の計算はしております。まだ大蔵に持っていく段階でございませんが、いま先生のおっしゃったのは、米軍が買った場合の数字でございます。米軍が買った場合でも、いろいろな数字がございますけれども、そういう数字も聞いております。米軍の場合には、RアンドDに相当するものは別の予算項目になっております。それから、そのほかに米軍としては相当な生産器材を貸与しております。ということで、それだけで計算はできないと思います。われわれは、現在輸入する場合の価格を計算しておりますが、いま先生のおっしゃったものよりも、変な言い方でありますが、まだ相当高く予想しております。  ほかの国が買っている問題、たとえば西ドイツがRFを買った。いまのお話にございます方法で計算しますと、一機当たり二十三億五千万円くらいになるのではないかと思います。あるいはイスラエルが買った。新聞の情報では相当高いようでございます。ただそれも、各国とも、アメリカ援助方式あるいは導入方式がそれぞれ違っておりますので、日本側として、輸入した場合どうなるかという計算は現在いたしております。
  81. 大出俊

    大出委員 どうもはっきりしないですが、何機輸入するか、あるいは国内生産ライセンス生産するにしても、何機するかによってきまるわけです。簡単にいかぬですよ。イスラエルがいま買ったといったって、百何十機も一緒に買ったのじゃないのですから。ここに数字がありますよ。そうすると、いまRアンドDの問題まで触れておられるけれども、そこまでおっしゃるなら、輸入の場合のRアンドDというものは幾らになるかということを検討しておかないとおかしいでしょう。していないのですか。
  82. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 現在私たちは国内生産する場合のRアンドD交渉は済みましたので、その価格をそのまま織り込んで輸入の価格と見て計算しております。
  83. 大出俊

    大出委員 それならば事は簡単で、大きく見ても数%、私が三%と言ったらはるかに低いというのだから、それならば一%か一・五%かわかりませんが、そういうことになる。そうだとすると、これは十一億一千六百万の一%か一・五%、計算したら幾らになるかおわかりでしょう。その意味ではたいした額じゃないですよ。そうなればこれは確かに大蔵省の側が言うように、輸入すれば安くなるのは当然だ。しかもそれは国内生産よりは相当以上に安くなる。それだけは間違いない。そうでしょう。輸入をすればたいへん安くなる、その点は間違いない事実でしょう。いま私の申し上げた三百十万ドルが米軍購入の価格であったにしても、それが基礎になるのですから。そうでしょう。そういう解釈はできませんか。
  84. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 RアンドDだけを計算する方式も問題がございます。たとえばいまわれわれが得ております資料で、米軍がこのF4開発するために使った金が、いろいろなものを加えますと開発費だけで九億ドルという計算もございます。相当な高い計算もあるわけです。われわれは先ほど申しましたように、日本側としましてそれを削りまして、非常に安い価格にしたわけでございますけれども、それがさっき申しました三%よりはるかに低い、こう言ったわけであります。単にF4Eがそのまま裸で、いまのままでくるという前提の場合と、いま私たちが国内生産として考えているF4E、それは日本防衛に必要なF4Eの場合は、国内生産と同じものをやはり輸入の場合もつけなければいかぬ。そういう関係でいろいろな計算をしまして、日本として計算しますと、開きはございますけれども、いまの私たちの試算では、二〇%は開かないという試算になっております。
  85. 大出俊

    大出委員 少し違うのじゃないですか。RアンドDというのは基準があるでしょう。過去十年間の生産機数で開発費を割った額、これが基準になっているわけですよ。そうなるとF4系統というのはたいへんにたくさん生産をされている。これは御存じのはずだ。そこに基準があるのですからね。いまあなたはRアンドDのことをおっしゃるけれども、全く基準がなくてでき上がっているのではないんだから、主張する点は明確にあるわけだから、こんなに開きが出てくるはずがない。  それからもう一つの問題は、国内で生産した形にしなければならぬとおっしゃるけれども、それは必要なものをつけないというだけのことでしょう。先ほど来長官が私の質問に答えているのは、本来装備すべきものをしないということです。装備すべきものをしないということがたいへんな額になるなどという、そんなばかな話はないでしょう。それならもう少し納得できるように中身を言ってくださいよ。幾らぐらいなんですか、ほんとうのところ。
  86. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 最終的にまだ予算も要求しておりませんから、こまかい問題については別の機会に申し上げますが、たとえば大きな問題をあげますと、いまのF4Eはデータリンクがついておりません。それをつけなければいかぬ。現在は裸のままでついていない。だから国内生産にします場合には、つける前提計算しております。そういうところも相当大きな開きがあると思います。
  87. 大出俊

    大出委員 それでどのくらい違いますか。
  88. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 いまの試算では、データリンクだけで五千万円以上違います。
  89. 大出俊

    大出委員 ほかに大きな違いがありますか。
  90. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 あとこまかい器材などがございますけれども、大きな、まとまったものはデータリンクです。
  91. 大出俊

    大出委員 それならたいした変わりはないでしょう。私がさっき申し上げた三百十万ドルが米軍購入の価格だということにしても、いまおっしゃるRアンドDという話が出るけれども、これは過去十年間の生産機数で開発費を割ったのですから、それが基準なんだから、そんなに大きな変動はない。日本側にも主張するところがある。それがつまりプラスされる。三百十万ドルというのは十一億一千六百万円ですから、それにいまのRアンドDがくっついて、そしてデータリンクをくっつけた場合に五千万以上だといまあなたはおっしゃる。五千万以上のものが五億なんかになるはずがない。五千何百万だ。そうなれば、十一億一千六百万ドルにかりに三%のRアンドDがくっついて、それにプラス五千万だということになっても、十二億五千万程度のものだ。そうなってくると大蔵省が、ここにある新聞記事には大蔵省言い分などが載っていますけれども、ほんとうかどうかは別だが、そうたいへんな開きがあるとは思えない。日本ライセンス生産をするという場合と比べれば、それこそたいへんな低価格になるということだけは間違いない。お認めになりませんか。
  92. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 国内生産する場合と輸入する場合との差のあることは事実でございます。しかしそれが国内生産との関係でどのくらいの額になるかということが問題になると思いますけれども、いまのわれわれの試算では、輸入した場合の価格と国内生産をした場合の価格が、二割は開かないという試算になっております。
  93. 大出俊

    大出委員 その試算の中身というものは世の中に出せませんか。
  94. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 いずれは国会の御審議を経ることでありますので、われわれの国産する場合の生産単価をお示しするときがあると思いますけれども、そのときはお示しできると思います。
  95. 大出俊

    大出委員 それはどうせさる人を通じて、商社を通じて、そのくらいのことはわからぬことはないのでございます。だからあなたがそこで抽象的に、これこれは開かぬと思いますと言ったって、私のほうは数字をあげて何が大きく違うのですかと言ったら、あなたはデータリンクをくっつけるんだ、それは幾らだと言ったら、五千万以上だ、そのほかに大きなものはあるかと言ったら、あとは小さなものだ。そうだとすると、そんなにべらぼうに、あなたが二割も開かぬと思うなんというようなことになるはずはない。どこの国だって買っていることだし。そうでしょう。それはライセンス生産する場合だって、国と国との関係によって、日本アメリカだということになれば、それなりの価格で計算をされるから、さっきの十六億だとかあるいは二十億近辺だとかいう数字が出るのですから、それに見合った輸入ということになるのですから、そうなるとどうもそこらは私もはっきりしない。不明確なところばかりです。しかも、北爆停止に基づく過剰生産になることはまず間違いない。そうだとすると、これはそんなに急がぬだって、あわててこっちだあっちだきめなくたって、生産予定のものが生産しなくなるという段階、あるいは過剰生産になるという段階なんだから、あるいはもっと輸入が安くなるのかもしれない。そういう条件がいろいろあるのに、しかも現状をながめてみて、そんなに無理してあなたのほうは急いでものごとをきめなければならぬ理由があるのですか。どういうわけですか、それは。
  96. 増田甲子七

    増田国務大臣 大蔵省からも説明がありましたけれども、私は国務大臣という立場において、やはりよき意味の政治的配慮がなければ国務大臣とはいえないと思います。そういう立場で配慮もいたしました。すなわちプライムメーカーにも調べさせましたところ、ある種の飛行機は日本で設計をしてくれ、自分たちはやるのはいやだ、こういうことなんです。それではとんでもないことで、昭和五十年になっても入るかどうかわからない。まるきりこれは話が違うのです。日本で設計してくれというと、日本で初めから一切やるようなことになってしまって、とんでもないことでございましたということを、公式に向こうからも、プライムメーカーからも大ぜいの者が来て、わがほうも大ぜいの者が一緒に聞いたときにそういうことを答えております。これではほんとうに良心的に一体生産しようとするのかいなかは疑問でございました。それが十月二十八日の私が受けました報告でございます。  それから同じく二十八日に、外国の電報でございまするが、外国の新聞等を見ますると、十月二十四日にドイツが、これはRでございまして日本のようなFではございませんけれども、しかし同じF4をドイツの下院議会において決定をいたした。そのときが八十八機でございまして五億ドルでございます。八十八機を五億ドルとすれば、部品を入れないといたしましても二十億円をオーバーすることは、賢明なる大出さんがよくおわかりだと思います。  それからその同じころ、これも日本の自衛隊とは必ずしも一緒であるということは申しませんが、ミラージュよりももっと要撃能力があるという意味におきまして、イスラエルが五十機買うということにいたしております。これは二億ドルでございまして、割ってみますと十四億四千万円になっておりますが、これはFMSもあるようでございまして、これはイスラエルの関係の武官からも情報を入手しておりますが、相当程度アメリカから援助してもらっておるから、そこで一機当たり十四億四千万円である。まだプラスアルファであるということを言っておりました。ドイツで買うのは五億ドルでございますが、そのうち一億ドルだけ国産でやるということが、タイムスでございますが、新聞記事に報道されております。これはドイツの下院議会の報告をそのまま書いてあるわけでありまして、そこで五億ドルといたしますと一千八百億円を八十八機で割ってみますと、二十億何がしでございまして、そこでそれにエンジンを、エンジンが二基ございますが、日本はもう一基買うわけでございますから、一つの飛行機について三つのエンジンを備えておくわけでございます。一つは予備に備えておきます。でございますから、裸は十六億でございましても、いろいろな部品をそろえますと二十億くらいになるという装備局長の話は、そのとおりでございまして、私どもは、ことに私は新聞記事やその他から見まして、日本と必ずしも事情は同じではございませんからすぐイコールというわけにはいきませんけれども、西ドイツの入手せんとしておる八十八機五億ドル、それからイスラエルのFMSが相当あるということで十四億四千万円の五十機、また五十機以上だということをイスラエルの技術アタッシェが言っております。そういうわけでございまして、輸入が何でもいい、あるいはお古がいいということには私はならない。日本技術水準を高めるということも前国会、前々国会、昨年の国会を通して、日本の一般産業技術水準を高めるためにもあらゆる武器の国産化が望ましい。買っておる段階では日本の文明というものはないのだ。これだけ日本の文明は進展しておるということ。それからいま大蔵省からも申されましたが、ロジスティックス——兵たん補給かまさかのときに続きませんと一々マクダネル・ダグラス社に注文したのでは間に合いませんし、それからIRAN一つだって、やはりメーカーでないとIRANもできないのじゃないか。見当がついたオーバーホールというものはやはりメーカーができるわけでございまして、オーバーホールのこともやはりやっておく必要がある。そのためにはメーカーが自分でメークしなくてはいけない。やはり日本で国産するのが日本防衛のために一番よろしい、こういう一般的方針はすでに私の赴任以来、国防産業の国産化という方針はきまっておるわけでございまして、あっちから安いから買う、こっちから安いから買うという検討は必要でございますよ。これは大蔵省は十分検討してもらいたいと思います。またわれわれも検討しておりまするが、有事の際にはやはり一般テクノロジーの水準の向上という意味もございまして、国産がよろしい、こういうふうに考える次第でございます。
  97. 大出俊

    大出委員 山上施設庁長官会議にお出になるので退席するということでございますから、質疑応答の時間がなくなりましたが、ともかくいま防衛庁がものを言っております中身というのは三次防の域を出ている、つまり四次防と大きなかかわりを持つ。先ほどの説明の中の費用対効等を含めて、最小の飛行隊数で済むということを言っておる、F4Eなるものは。そうするとこれは将来に向かっての、つまり四次防なるものまで想定して、昭和五十一年ころまでのことを言っておる。まだ四次防は何年までどうするということがはっきりしない。しかし五カ年だとすれば、四十六年までが三次防ですから、五十一年になる。そこまでのことを想定されてのFX問題ということになると、そう簡単に行政行為できめられて、それでよろしゅうございますということにならないという見解を私は持つ。じゃ一体四次防というのはどういうものなんだということをはっきりさせなければ、明らかにならない要素はたくさんこの中に入っている。しかも国際的な状況は変化してまいりまして、過剰生産傾向になってくるということも明らかになっている。そうするとそれらの関係で、一体これからどうなるのかという点が出てくる。さらに輸入に関する詳細な資料なんというものもどこにもない。ここは担当委員会ですから、やはりいろいろ疑問に思う点についてはできるだけ内閣委員会に所属する方々の納得を得るように皆さんがしむけなければいかぬと私は思うのです。たとえば、これは通産省との関係もありますが、さっきちょっと私があげました三者グループなんて言われてきたいきさつの中で、川崎だけぽんと抜き出されると勘ぐりたくなる面も出てくる。だからそういう点等々について、できる限り皆さんのほうでわれわれの納得を得るという努力をしてもらいたいということを申し上げておきたい。しかし、やがてこれが予算を請求される時期が来て、大蔵折衝に入って、国会の審議の場面が登場して来るわけです。そうするとその間におけるいろいろなやりとりは国民の皆さんに——それはそんな右も左もわからぬ人もたくさんおりますけれども、大きな関心を呼ぶことにもなる。何しろ二千億だなんという話が出てくればそうなる、あたりまえです。そういう点についてはそのつど皆さん方から私は説明をいただきたい、こう思っているのです。だから装備局長、先ほどのようにあなたのほうがそういう計算をされているのなら、そこらのことはやはりある時点で説明をしてもらわぬと困る。しかもそれがとんでもない先の話のようなことをさっきのように言われると、これはまた私ども判断のしょうがない。それでぽんぽん新聞でものが書かれる、大蔵省はこう言った、やれ防衛庁はこうだなんということが出てくる。その中におまけみたいに、部品についてまた黒い霧だなんというのが乗っかってくると、ちょっとどうも私どもとして担当委員会の責任上困る。だからこの際、資料要求等あらためて出しますけれども、出し得るものはやはり出していただいてわれわれに検討させるという進め方をひとつしていただきたいと思うのです。これはアメリカとの関係がある、そんなことはわかっている。そういうことをひとつ申し上げておきたい。どうせこれは予算委員会でいろいろ取り上げなければならぬ問題ですから、そういう意味であらためて私どものほうも勉強してやりますけれども、そういう意味質問をきょうはしたつもりなんです。ぜひひとつそういうふうに御配慮いただきたいと思います。資料要求等いまやってもしかたありませんから、あらためていたします。  それから、せっかくおいでいただいて一時間ばかりお待たせしたようなことになったわけでありますけれども、この基地問題について山上さんに質問をしておきたいと思うのです。  現実に都市発展あるいは経済的な効用というような問題を含めて非常に問題があって、市民なりあるいは県民なり町民なりの皆さんがどうしても困るという場所がある。あなたのほうは幾つかの問題を、この基地は要らないのじゃないかというようなことでお出しになったというようなことが前に新聞に載っておりました。そういうようなところについて、もっと現実的に処理していくということをお考え願えないかという気がするのです。抽象的では恐縮なんで、具体的な例をあげますと方々にあることだと思うのです、百四十八の中には。横浜に中央青果市場というのがある、その隣にいわゆるランドリー、洗たくをやるところがある。これは本牧の米軍一号住宅地あるいは山手住宅地あるいはその周辺の住宅その他を含む洗たく場なんです。ところがこれが中央青果市場の隣にあるだけに、横浜のようにマンモス的に人口がふくれ上がって、ここ四、五年で人口が四十万からふえている、そうするとその台所をまかなう青果関係だって、これはやたらにふえる。だから生産者が積んできて中に入る、朝の六時なり七時あるいはもっと早く。あとから買いに業者が入っでくる、入ってきて、荷物を運んできたトラックというものは夕方三時まで帰れない、そういうかっこうなんですね。業者が買いにきたんだが中は車がひしめいてどうにもならない。だから横浜のそういう青果市場では生産者の側も荷を持ち込みたくない、ロスが多くなるから。そういう現実が目の前にあって、その隣に米軍の洗たくをするところがあるのです。こういうものがどけられないということになるのだとすれば、基地問題というものはそういう面からもますます複雑になってしまう。だから私は防衛庁はこのあたりで勇断をふるって、そういう全く市民の経済生活まで困ってしまうということについては端から手を打ってやはりこれは変えていくという努力をすべきだと私は思っている。基本的な問題なのです。その点、最近は三年間あるいは五年間で千五百億どうこうするという、いろいろなお話があるのだけれども基本的にその点どうお考えになっているのか、答えていただきたいのです。
  98. 山上信重

    ○山上説明員 お答えいたします。  米軍防衛施設問題、いわゆる基地問題につきましては、先般来基地その他等で利用度の低いもの、あるいは使っていないもの、あるいはいろいろな意味合いで都市の発達というものに矛盾してくるような問題、いろいろ検討いたしまして、利用度の少ないもの等でこれは返還してもらったほうがいい、あるいは自衛隊等にこれを使用転換していったほうがいい、あるいはこれを専用していったほうがいい、あるいは民間の施設に変更したほうがいいというようなことを現在検討中でございます。先般の日米会議におきましてもそういった考え方を米軍側には申し出ております。それで今後検討の済み次第そういった要求もいたし、そして国民生活との調和をはかってまいりたいというふうに一般的には考えております。  そこで、ただいまのランドリーの問題でございますが、これを私伺いましたのは実はつい最近でございます。そういう、付近に市場があって、それとの関係で問題があるということでございますが、御承知のように現在のランドリーというのはそう大きな施設ではございません。数百平米かでございまして、付近の洗たく、米軍関係の横浜付近一体からの業務をやっておりまして、非常にたくさんの仕事をいたしておりますので、これの必要性はどうしてもこれは否認できない。したがいまして、これをただどこかへ持っていけというようなわけにはまいらぬのではないかというふうに考えております。ただ、しかしながら付近の開発との間に問題があれば、あるいはその要望される市との間で、市のほうで代替施設をつくって、どこかに設けるからひとつ移転してほしいというようなお話でもございますれば、そういった線でまた検討してみるのも一つの方法かと思っております。いずれにいたしましても、でき得る限りそういった事態が付近の方々との間に調和がとれていくようにということにつきましては、私どもも、できるだけ今後も努力してまいりたいというふうに考えております。
  99. 大出俊

    大出委員 どうもほかの問題があるものですから、いつも基地の問題になると時間がなくなってしまう。長官も何か四十五分から会議だというお話ですから、そのおじゃまはいたしませんが、旧来この金沢地区における弾薬、燃料貯蔵庫などの問題もあって、相当地域では問題が大きくなりつつあります。いままた一軒一軒の御家庭の台所に直結している問題だけに、この問題も非常に大きな問題になって、長官が耳にされたのは新しいようでありますけれども、これはもう、ずいぶん昔からの懸案で、皆さん方が条件をお出しになって、ほかの建物との関係で、この条件で何とかかんべんしてくれなんという答弁もあって、かつてそういうふうにきめたこともある。横浜の施設局長の久保さんは長いですから、その古い時代のことまで御存じでしょうが、もうこれはここまでくると捨てておけない、都市現象からいって。そういうふうな点を、おそらく地元からもたくさん陳情が出てまいりますし、また、私どももお伺いいたしますが、そういう市民がほんとうに困ってしまっているという問題は、やはりひとつほかのいろいろな理屈を離れて、ともかく解決するという熱意が皆さんにないと、基地問題というものはますます大きくこじれていきますから、そこのところをひとつあなた方のほうで、いま具体的な例をあげたのですけれども、ここだけじゃないと思いますけれども、お考えおきいただいて、少し基地問題の整理をこの際やっていただきたいと思うのです。私どものほうもやっておりますが……。  せっかく御出席をいただいて、時間がなくなりまして恐縮でございましたけれども、そのことだけ基本的な問題ですから申し上げて終わりたいと思います。
  100. 山上信重

    ○山上説明員 基地問題につきましては、ただいま私が申し上げましたような線で今後もせっかく努力してまいりたい、かように考えております。
  101. 大出俊

    大出委員 最後に防衛庁長官に伺っておきますが、FX問題は、これから具体的には日程を追ってどう進めていくおつもりですか。
  102. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま下交渉を財政当局といたしております。それから木交渉のためには、まだ一機当たり詰めておりませんから、装備局長も御答弁申し上げましたとおり、一機当たりが詰まったときに本交渉を開始する。それから機数等におきましては、その時期等におきまして、国防会議議員懇談会あるいは国防会議を正式に開きまして、その諮問、答申を得まして閣議決定をいたしまして、お説のとおり三次防よりも先に上回った線もございますから、そういうふうに処置いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  103. 大出俊

    大出委員 やめようと思ったのですが、いまのところもうちょっと念を押しておきたいのですが、そうすると四十八年ですか四十六年ですか忘れましたが、とりあえず二機防衛庁が最初入手をされて、それから先々どのくらいの機数にするかということをどこかできめなければいかぬ。そうすると四次防ならぬ四次防にわたるということが、たとえば百二十機とおっしゃるならわかっておるわけで、五十一年なら五十一年を想定しておるわけですから、そうするとそれは四次防と関係なしに、この機種問題は機種問題で行政行為である、機数その他については行政行為とは言い切れないから国防会議で四次防まで想定をしてきめる、こういうことになるのですか。そこまでの間に、一機当たり単価その他について詰まっていない。国内生産をするのだとすれば、指定をした三菱なり川崎航空なりというところに積算をさせて一機当たりどうなるかということを全部これから詰めて、それから資料としては輸入した場合にRアンドDを含めてどうなるかということまで全部詰めて、それからという運びになるのですか、いまの話は。
  104. 増田甲子七

    増田国務大臣 メーカーをきめた線は、これはちょっと余事にわたるかもしれませんが、私は客観的に見ましてきわめて妥当な線をきめたという確信を持っております。そこでそのメーカーとわれわれとの交渉幾らぐらいでつくるかという交渉もございますから、交渉前提としてはなるべく安くつくらせたいということでございますから、装備局長もまだ詰めておる段階であるということを申し上げたわけでございまして、メーカー側も詰めますし、われわれも詰めまして、ある程度きまりましたときに、それを基礎にして財政当局には予算要求を出します。それと同時に、今度は機数に関係いたしますから、年次も他の年次にわたるかもしれませんから、そこで国防会議ないし国防会議議員懇談会に正式にはかる必要がある、並行的にそのことも考えたい、こう考えておる次第でございます。
  105. 大出俊

    大出委員 機数をきめなければ一機当たりの単価はきまらないのでしょう。これはいま皆さんのほうで出している当初のいわゆる六十機だとかいうのじゃないのですから、今度は二百十億のTXの予算まで使って、つなぎの予算まで使って九百九十億ということですからね、さっきのお話では。そうすると、これはそこらのところを含めて五十機足らず、こういうふうに考えておられるというわけですが、それもきまってはいないのでしょう。これからきめなければいかぬわけでしょう。それをきめなければ、しかも当面は四十八機なら四十八機をきめるにしても、あるいは四十九・五機をきめるにしても、先々百二十機という目標まで新聞等は書いておる。そうするとこれは四次防の終わり五十一年が目標になる。そこまで含めて機数をきめなければ、最終的に一機当たりの単価は出てこないでしょう。そうなると、当面この予算要求をするならば、予算要求に合わせて機数をきめておかなければならぬことになる、そういう筋合いじゃないですか。だとすれば、一体機数は時期的にいつきめるのですか。
  106. 増田甲子七

    増田国務大臣 下交渉は財政当局といたしておりまするが、正式交渉は、およそ機数の見当がつかないと一機当たりがわからないという大出さんのお説はそのとおりでございます。そこで大体どのくらいということは、三次防の発注段階においては五十機に満たない、五十機に接近した数であるということは申し上げましたが、四次防という字を使っていいかどうかわかりませんが、その他の年次にわたる、つまり昭和四十七年以後にわたる線も、一応防空能力という見地から策定をいたして、そうしてある程度の見当をつけまして国防会議ないし国防会議議員懇談会にかけると同時に、並行的に正式に財政当局に請求をする、こういうことに相なると思っております。
  107. 大出俊

    大出委員 そうなると、いま十一月で、これは少なくとも今月、来月中にきめてしまわないことには予算要求ができないということになりゃしませんか。そこらはどうなんですか。
  108. 増田甲子七

    増田国務大臣 お説のとおり今来月中でございます。
  109. 大出俊

    大出委員 そうすると、今月中に機数をおきめになるおつもりは長官自身ございますか。
  110. 増田甲子七

    増田国務大臣 今来月中でございます。
  111. 大出俊

    大出委員 そうすると長官、これは二十七日以降もおやりになるというおつもりであるとすればそのとおり受け取れるのですけれども、そこらは非常に微妙でございまして、今来月中にとおっしゃるのですが、それは予算が組めないのだから当然そうなるでしょうけれども、今月中にきめてしまうということはありますか。
  112. 増田甲子七

    増田国務大臣 今度は大出さんが政治家的の立場でお話をお聞きのようでございますから、政治的の情勢その他を見ますと、何も急ぐことはない、やはりある程度政治関係政府・与党として安定したときに各般のことを考慮して、事務当局としても、また内閣当局としても勘案すべき問題であると考えております。
  113. 大出俊

    大出委員 それじゃ大いに安定させていただく御努力を願って、その上でということになるとまあ来月だということになりますが、その辺でこの点は後日に譲ります。
  114. 藤尾正行

    ○藤尾委員長代理 受田新吉君。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 私はポイントを三点にしぼって簡明にお聞きいたしますので、簡明に御答弁願って、二時までにはお昼御飯をいただけるようにお手伝いをします。とてもきょう一日で解決できる問題でもございませんので、基本的な問題だけを尋ねします。  先ほど大出委員質問長官は、次期主力戦闘機決定に対しまして、機種は行政措置でよろしいのだ、国防会議にはかる必要はないのだ、ただし機数は当然国防会議の議題になるものであるという御答弁をされたように思います。昭和三十三年の四月にグラマンが一たび決定され、それが三十四年の十一月に庁議、国防会議と、機種決定に対するロッキードへの転換がはかられたことは御存じのとおり。このたびは機種については国防会議を必要としない。防衛庁設置法六十二条国防会議第二項にある第五号、内閣総理大臣が必要と認める重要な国防関係事項というこのことに私は機種決定は当たると思うのですが、もう一度明確な御答弁をお聞きしたいと思います。
  116. 増田甲子七

    増田国務大臣 受田さんの御質問は一応ごもっともでございます。そこで六十二条を見てみまして最後の第五号、その他内閣総理大臣が必要と認めたる事項、これは法制局とも打ち合わせいたしておりまするが、第一号から第四号までのような事項、こういう意味に解釈するのがほんとうであるということでございます。そこでグラマン、ロッキードはなぜかけたかという問題になりまするが、私は六十二条に該当するというふうに総理大臣が認めたともいえまするし、あるいはそうでないともいえる。結局この前かけたことは事実でございますが、そこで今回のことはもう国防会議を経ました閣議決定で、機種は要撃能力を向上することを主眼としてこれを選定するという国防会議があったわけでございますから、それを経た閣議決定が三月十四日にあったわけでございますから、その施行細目として、行政庁という立場も防衛庁は持っております、また運用という関係の立場も防衛庁は持っておりまするが、運用を離れた行政という立場において決定し得る事項である、こう考えております。ただし機数ということになりますと、将来の相当の年度の予算の先取りとかあるいは拘束とかいうことになりますから、国防会議の議員懇談会あるいは国防会議等にかける準備をいたしておるのでございまして、その必要がある、こう考えております。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 私は機種と機数とは不可分の関係にあると思うのです。機種選定することによって、機数が当然関連する問題として提起される。少数精鋭という立場と、それから多数不精鋭という場合もあるでしょうし、したがってこれは因果関係があるのです。この不可分の因果関係がある中で、機種はかってに防衛庁できめるのだ、それから機数になると、これは予算を伴う問題であるしするので国防会議にはかるべきである、この言い分はちょっと矛盾しておる。つまり非常に優秀な飛行機であるならば飛行機の数を少なくすることも可能なんです。したがってこれは因果関係があるのですよ。機種も機数も同時にこれは基本的な問題として国防会議に提示して、そのお答えをもとにした措置をすべき問題だと私は思う。因果関係なしという判断をどこでおとりになられたのか、もう一度伺いたい。
  118. 増田甲子七

    増田国務大臣 受田さんの御質問は一応ごもっともでございます。そこで機種のことに全然国防会議で触れてないならば格別でございますが、昨年の三月十三日に国防会議が開かれまして、議長たる内閣総理大臣が内閣全体を統率する内閣総理大臣に答申をいたしております。すなわち、新戦闘機機種は要撃能力を向上することを主眼としてこれを選定する、そういうことで決議があるわけでございまして、また一つ一つのことまで防衛庁がやれないということになると、防衛庁の行政庁たる実がありゃなしやが疑われるわけでありまして、この国防会議の答申、それに基づく閣議決定に基づいた施行細目くらいは防衛庁長官がなし得ることである、こう考えております。それから機数のことは、将来の相当の年度の予算先取りの約束にもなりますから、これは閣議決定前提とした国防会議議員懇談会あるいは国防会議でもけっこうでありますが、そういうことが、一種の継続的な意味になりますから必要である、こう考えておるわけでございますが、機種のことまで——国防のことをほんとうは私もよくは存じないのでありますから、部下に厳重に防衛的、事務的、技術的見地から選びなさいということを言っておるものでございます。私どものほかにほんとうに武器のことに詳しい人があるというふうに私は考えないのでございまして、つまり国防会議の趣旨にのっとって機種を選んだ、だから国防会議機種についてはもうあったんだ、こう考えてくだすっていただければ幸甚でございます。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 それが問題だと私は思うのです。事務当局ちょっと——事務的に技術的にこの機種選定はさるべきで、政治的に決定さるべきでないことは私たち同感です。その事務的の中にあるいは技術的の中に価格が入っておるのかどうか。値段のほうはどうなっておるのですか。
  120. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 新戦闘機機種選定のいきさつ及び内容につきましては、先ほど長官から詳しい御説明をされたとおりでございます。ああいう手法を用いました中には、いろいろな性能を考慮いたしましたが、価格の点も一応考慮の中に入っております。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、最初九種から最後に一種にしぼられて、そうしてF4EにおきめになられたんですけれどもCL1010それからミラージュF1Cという、この二つの機種については価格はどういう関係になっておるのか、お答え願いたいと思います。
  122. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほど申し上げましたとおり価格も考慮のうちに入っておりますので、きまりましたファントムにつきましても一応当時選びました資料に基づきまして、この程度の幅の価格であろうということを算定いたしました。同時に他の二機種CL1010及びミラージュにつきましても、当時の資料に基づきまして、かりに採用すればこの程度の価格になるであろうというふうなことを考えまして費用効果等を行なったわけであります。具体的に何億円というふうなことは、外国製品の立場もあるいは会社の立場もあろうと思いますので、具体的な数字は差し控えさせていただきたいと思います。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 それがはなはだ大事な点なんでございまして、安上がりで買えるものならば、三次防の七百八十億円という中で多数の機を購入できる。いまのミラージュCL1010等の飛行機を採用する道もある。機種とそれから機数とは因果関係が必ずある。これを抜きにすることはできない。それを機種だけ分離して、すでに閣議決定を得た要撃能力が高いというような条件にかなっておるからといって、その分は防衛庁だけで単独にやってもいいのだ、これは一般行政官庁でもあるのだ、こういう面だけでそれをお取り上げになっておられる。いま、さっそく、飛行機の値段というものがつながりがあることを、はっきり防衛局長が申されておる。申されているそのことと大臣の御決定と、私はちょっと矛盾しておると思う。  それではもう一つ掘り下げて聞きますけれども、この調査をされた際に、飛行の性能とかあるいは戦闘の性能とか入手の確実性とか、いろいろな点を基礎的にお調べになられただろう。それからこの間から問題になっておる電子計算機のORの問題とか、あるいはこれを国産化したらどのくらいの経費がかかるか、買えば幾らかかるかということを御研究されたと思う。そういうものが入っている総合的な判断で結論が出たのじゃないのですか。
  124. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 総合的な判断かとおっしゃいますと、そのとおりでございまして、単体の性能及び部隊を構成しました場合の全体的な防空効果、及びその効果費用とどの程度見合うかという費用効果、そういうことをすべて総合的に評価した上で機種選定に至った、こういうことでございます。
  125. 受田新吉

    ○受田委員 ますます機種と機数を分離して処置することの不適当であることをいま御説明に相なったと思うのです。これは完全な因果関係長官、どうですか。私、これをまたさらに掘り下げてお聞きすることにもなるのですけれども、いま指摘された点だけでも機種と機数とは完全な不即不離です。機種だけ分離し、機数のほうはあとで国防会議にかけようという、この密接な因果関係のあるものを、なぜ分離されるのですか。どうも私納得できない点がある。
  126. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 手法につきまして、先ほど申し上げたとおりのことをやったわけでございますが、その中には費用も一要素として入っていることは申し上げたとおりでございます。先生のおっしゃいますとおり機数と機種とが関連するということは否定できませんけれども、その際に機種だけ先にきめられたということの理由につきましても、先ほど長官からるる御説明のあったとおりでございます。因果関係——全然関連がないということを申し上げるわけではございませんけれども、三次防以来の決定のいきさつからいたしまして、機種だけ先にきめる理由があるということを長官は申し上げたわけであります。さらに、事務的にいいまして、先生御指摘のようにOR作業あるいはその他の作業から、いろいろやりました。まず単体の性能を、先ほど御説明ありましたように評定方式で詳しくやりました。それから部隊のいろいろな防空効果等をOR作業で詳しくやりました。そして機種選定に至りましたが、その三機種の中でファントムはすぐれている、当時得られます程度の費用の点を考慮の一要素に入れましていろいろ組み合わせをつくりましても、ファントムが他の二機種よりもすぐれているということは動かない。非常に性能等がすれすれで、ごくわずか動かせばこちらの機種になりあるいはこちらの機種になるというふうなことではございませんで、単体の性能から見ましても総体的な防空効果から見ましてもファントムがすぐれているということが、部内の一致した意見でございました。事務的にはそういうことがいえる、さらに三次防以来の根拠からは長官のお答えのとおりのことがいえる、両方合わせて機種選定が先にきめられた、こういうことでございます。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 これは防衛庁の予算といえども国民の予算で、これは雲の上の予算ではないのです。したがって国民が血税を拠出して国防の充実をはかっていくという意味における大事な予算の扱いであるのであります。それをいまいろいろと商社関係会社関係等の都合もあるので、最後に残された三つの機種について値段の点では公開できないのだ——アウトラインくらいは国民に知らせて、大体この金が幾らかかって国産も可能であると思われる、そういうのがあるならば、三千七百キロというふうな航続距離の足の長いものを持って、しかも爆撃装置がちゃんとある、核装備もできる、これがF4ファントム、それをその部分だけはずすのだということになれば飛行機をかたわにするのだ。そういうものをつけるのが飛行機の性能を高めておる大事な飛行機の核装備の部分をはずし、爆撃能力も取り去って、長距離爆撃機という性格をもぎ取るというような、人間をかたわにするのと同じように飛行機をかたわにして日本は使うというわけですね。そのようにかたわにして、無理をして、いかにも防衛のためのみの戦闘機である、こういう印象を国民に与えておる。ところが他の二種については、あるいはこれがその飛行能力、性能、戦闘能力等においてやや劣るとしても、防御のためのみで考えたならば他の二種のほうが価格も安いし、都合によれば国産も可能である、かたわにする度合いが少なくて済むのだ、こういうようなことであるならば、この機会に他の二種の飛行機を選び取るという必要もある。ミラージュなど、フランスの飛行機で、イスラエル戦闘になかなか活躍をしてソ連機を悩ませたというような名門の飛行機もあるわけなんです。スウェーデンにもスウェーデンなりの、百五十年全然戦争がない国が持つ優秀な飛行機もあるわけなんです。そういうようなもののなかから、防御のためのみの飛行機ということであるならば、もっと日本の性格に合致したものがあるのではないか。価格も安上がり、国産にしても可能である、こういうものがあるのではないか、そういうところを考える。ただ単に戦闘能力が強大であるという理由だけで、性能の一番大事な戦闘能力が強大ということは、結局核装備もし、それから爆撃能力も長距離爆撃にたえるような力を持って、ベトナム戦争にも参加して威功を立てたこのすばらしい飛行機であるという、その点の魅力で機種をきめるべきではないと思う。そういう意味からいったならば、いま日本の立場で一番いい純粋な防御能力というもので採用するのには、他にもっといいものがないかということを別の角度から考えるべきではないか。  私はここで、今度バッジシステムも一応採用されていることでもありますので、もう一つ、管制組織としてアメリカが一時考慮したと伝えられておるのですけれどもAWACSといいますか、エア・ウォーニング・コントロール・システム、こういう制度、つまり対空警戒管制組織というものがあって、一つの飛行機が空中から指揮して防空効力をあげるような組織というものが一時採用されたとも聞いておる。こういうようなものをひとつわが国が採用して、基地から発進した敵の爆撃機をすみやかにレーダーで、その他あらゆる機関を利用して、いまのAWACSのような機構も十分利用して、そしてバッジシステムを十分利用して、これを途中で撃ち落としていくというような形のものでりっぱなものが考えられるのではないか。三千七百キロの長距離航続力を持つような長距離爆撃機であるという印象を国民に与えておるこのF4ファントムのようなものを取り上げないで、純粋な防御のための戦闘機である、そしていまのような管制装置の幾つかを、そのほうに力を入れて、これを途中で要撃して要撃能力を高めていくという道があるのじゃないか、じっくり考えてこの次期主力戦闘機というものを決定すべきだったと思います。いかにも性能の高い、戦闘能力が高い、要撃能力が高いということで、それをファントムにおきめになった。私がいま指摘したことについての御答弁を願います。
  128. 増田甲子七

    増田国務大臣 受田さんの御質問はやはり防衛庁長官としてお答えすべき部分が相当多いと思いますから私からお答え申し上げます。残余の点は政府委員から補足的に御答弁申し上げます。  今度のF4Eファントムが最適ということは航空幕僚長の二カ年間の勉強の結果の上申でもございますけれども、その後に、ドイツやイスラエルと日本は国情が違いますけれども、しかしドイツにおきましてF104ではうまくないということで八十八機以上をこれから買うわけでございます。そのうちもちろん国産でできる部面もありまして、一億ドルの部面は国産をいたしたいといっております。ところが、日本ではかりに五億ドルといたしますと、四億ドルぐらいは国産でできる。日本技術水準のほうがある意味において高いということもいえるわけでございまして、これは喜ぶべき現象だと思っております。  それからF104に本来備えてある核装置あるいは爆撃装置ははずす必要はないかのごときお説でございましたけれども、私ども防衛、自衛ということだけを考えておるのでございまして、核装置のようなものがあるならばたとえ能力がございましてもこれは除去することが当然である、こう考えております。その点は受田先生とちょっと説が違いますかもしれませんが……。  それから爆撃装置等も、腰だめの爆撃は地上支援あるいは海上支援等で行ないます。いまのF86Fも腰だめの爆撃をするわけでございまして、海上から日本に侵攻せんとするものを爆撃するあるいは陸上ですでに上陸作戦等が行なわれた侵略者を排除するための爆撃はします。これはF86Fの程度の爆弾の装置はしますけれども、爆弾の装着はするがいわゆる爆撃装置はしないということで、国民の皆さまもその点がよくおわかりにならぬかもしれませんけれども、この際受田さんはよくおわかりなのですから明瞭にしておきまするが、やはり攻撃的性質を除去することが必要であると国会に私が答弁したことに対して責任を持つ必要がある。これは論者によっては受田先生のようなお説もございます。部内にもありますけれども、私は国会に対して説明したことに対して責任を負うということと、また日本の自衛力はその範囲でよろしいという私の確信もございます。その確信のもとに、攻撃的の性質があればそれを除去するということで、爆撃装置を施さないわけでございます。  それから先ほど大出さんにもお答えいたしましたが、受田さんに特に御理解を願うために申し上げますが、メーカーをきめた線は客観的にきわめて妥当である。黒い霧も白い霧も何にもない。このことだけは国民の皆さまに国会を通じて明言し得ることでございます。  そのメーカーにも調べさせましたところが、アメリカにおける他の飛行機、これは具体的には申し上げかねますが、自分でつくるつもりはないのだ、日本で設計をしろということでございますから、ちょうどTXやCXと同じになります。日本でCX、TXは開発しているわけでございますから、それと同じになって、いつのことやらわかりません。これは向こうに当たってみてたいへんなまずい収穫でございましたということを、プライムメーカーに指定しましたものが責任を持って私のところに言うてきております。すなわち日本でデザインをしてくれ、設計をしてくれというのですから、これはもう間尺に合いません。昭和五十年でもできるかどうかわからないという、日本のメーカーが向こうで十日間ばかり当たった結果の、十月二十八日の私に対する復命でございます。日本でつくってくれというものを幾らあとを追っかけたってしようがないと思うのです。おれはやれないのだから日本でつくってくれ、こういうことが事実でございまして、私自身がびっくりいたしまして、ある程度心証を固めたゆえんもそこにございます。  それからイスラエルと日本とは必ずしも国情が同じではございませんけれどもミラージュのことをあまり言うことは差し控えたいのでありますが、他の有力なる要撃能力を持った戦闘機がほしいということで五十機以上を発注する、これはアメリカ援助もございますから安いわけでございますが、しかし当面の額は新聞に報ぜられたところは二億ドルで五十機でございます。すなわち十四億四千万円で、それにまた援助が入っているわけでございます。でございますから相当高いものである。しかしながらそれでも、ミラージュのことは具体的にはあまり言いたくございませんけれども、それではちょっと不満足であるからF4Eを自分たちは購入するのである、しかしパーツ等は自分でつくるということをイスラエルの技術専門家が私のところに来て話をしておりました。そういうようなことをかれこれ勘案いたしました。  それからなお提示されました、ミラージュにいたしましても、CL1010にいたしましても——CL1010は日本でつくってくれ、こう言うものですからとんでもない話でございますが、それにいたしましても提示された金額というものはいずれも十数億でございまして、結局たいして変わりがないのです。安いものならばうんと買えばいいじゃないかという受田先生の御説は一応ごもっともでございますが、安もの買いの銭失いということもございますから、やはり二億や三億は違ってもしっかりしたものをつくることが結局は予算上もためになるという話を——機種のことは別でございますが、機数のことについては国防会議があるわけでございますから、その際にも、それからまた国防会議を離れてでも、財政当局によく話をいたしたい、こう考えております。  防衛局長費用効果ということを相当強調されましたから、密接不離の関係があるというふうに受田先生とった点があるかもしれませんが、それは一応の費用効果を検討したわけでございまして、やはり財政当局が費用効果関係を主として検討する責任と権限を持っておるということは認めるものでございます。また国防会議等においても、受田さんのおっしゃったとおりの検討をした結果機数がきまるべきものである。これはあくまで一応のことでございますから、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  129. 受田新吉

    ○受田委員 なかなか了承がむずかしい問題でございますが、いま御答弁の中でCL1010もミラージュ日本でつくってもらいたい部分があるのだということでしたね。(増田国務大臣「全部ですよ」と呼ぶ)だからそこを一つ考えると、日本はこのあたり防衛生産力というものをある程度高めていいと思うのです。輸出するまでの力は養う必要はない。けれども、国内で必要な飛行機ぐらいはつくる能力、高度の技術力はもう発達している。こういうものを引き受ける力がないようであれば防衛生産技術というものは高まってこない。それは自衛のワクを越えて、兵器輸出ということにかこつけていくかっこうになる危険が一つあるが、それはこういう生産メーカーはよその国から注文をとらぬととても採算が合わぬ、需要が相当ないと採算が合わぬというような考え方を持つ傾向が私はあると思う。あるけれども、このあたりでせめて自衛のための最小限の措置を、輸出ということに関係しないで、そうした兵器生産力について国内の需要に対しては果たし得るぐらいの力を日本は持たなければならぬと私は思うのです。そういう意味からは、まる買いではなくて、このあたりでできるだけ日本生産力を生かす方途を講ずべきではないか。その意味においては、このミラージュもそれからコンコルドという大型ジェット飛行機も、去年は私はフランスでちょっと輪郭だけ見てきたけれども、そういうふうにあちらでもなかなか意欲を燃やしておる。飛行機においては世界を制覇するのだという意気込みがある。そこで研究したものがそうむざむざオミットされる筋でもないと私は思うのですが、できるならばひとつこのあたりで国産の分野を開拓するという努力を、この次期戦闘機で考えるべきじゃなかったか、まる買いという行き方から一歩前進すべきじゃなかったかと思います。いかがでしょう。
  130. 増田甲子七

    増田国務大臣 受田さん、私がお話すると今度はまた飛躍されて、全部国産だというお話ですが、いまのところ、新戦闘機ライセンス生産でございまして、ライセンス料と若干の部品と、それから研究開発費等を米国に払えば、あと六割ぐらいまでは国産でございます。     〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 そこでライセンスを買ってこないとまだノーハウがわからぬという程度でございまして、日本技術水準がGEのエンジンよりも上であるというところまではまだ行ってないのでございます。いずれはお説のようなことがあると思いまするが、受田さんがよく御存じのとおりTXでもCXでもエンジンは向こうからライセンスを買ってきて、そして日本でそのエンジンを型どおりつくるわけでございまして、日本自身の開発したジェットエンジンというものはT1しかないわけでございますから、ほんとうはT1をだんだん開発していって、向こう生産いたしておるF111ぐらいのエンジンをつくれればなおけっこうでございますが、そこまでに至る段階として、専売特許を買ってきて、そうして日本生産する。生産するうちにはだんだん受田さんの御期待のとおりに日本技術水準も上がってくる、こう考えておる次第でございます。
  131. 受田新吉

    ○受田委員 三菱、川崎航空機へそれを依託してきておるわけでございますが、日本技術は決して欧米の技術に劣る段階ではないと思います、いまここまでくれば。そこで日本が国産をまるがかえする時期というものを一体——TXはそういう方向でやることになっておるのですけれども、どの時点で兵器生産について自信を持った国産化をはかろうとしておるのか、その一応のめどを承りたいと思います。
  132. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 各装備品によって違いますし、先生の御指摘のような目標をつくって進んでおりますが、航空機につきましては非常におくれておりまして、現在外国の技術を買って勉強するという段階でございます。むしろこれは通産省のほうが航空機工業の育成を考えておりますが、われわれとしましてはできるだけ早く技術を修得して自前でまいりたい。そういう意味で、現在、いままでのF86FなりあるいはF104の経験をもとにいたしましてCX、TXをやっております。TXも超音速のものをつくりますので、その経験によってはさらにわれわれの目標が早くなるのではないかというふうに考えております。
  133. 受田新吉

    ○受田委員 私は今度の機種決定についてもうひとつ懸念があるのです。それは、長官がいかに弁明されようとも、F4ファントムはベトナム戦で大活躍をしている。そして長途の飛行に耐えて高度の爆撃能力を持っておる。核装備も可能である、こういう飛行機であるということはもう宣伝され過ぎるほど宣伝されている。国民感情の上からこのあたりでひとつ、実際問題としてもうアメリカから十年おくれた飛行機を結果的には日本が使うことになるんだから、そのずれを解決するためにも、時期をあまり遷延するということは問題だと仰せられるかもしれないが、ひとつ、比較的金がかからないで、そして長距離の航続能力、また戦闘能力を持ち、長距離爆撃をやるというような印象を与えないものを日本開発することができるんじゃないか。長官おっしゃるとおり、国内でどこか上陸地点を選んで、向こうの海上部隊が陸上部隊を連れて上陸しようとした、そういうときに、沿岸でこれを爆撃する能力も今度の飛行機にはある。低空でやる手もある、こういうようなお答えもあったようでございますが、長距離の航続能力と、それから高度の爆撃能力というものが、大体このF4ファントムの持つ高度の性能の柱ではないかと思うのです。そういう沿岸に上がってくるものを爆撃するときの爆撃能力を持つ程度で、そのほかには爆撃能力を使うわけじゃないんだ、そういうことや、三千七百キロという長い足を持たなくても、もっと短くても、いま申し上げたような管制組織でこれをとらえてやる、その場合には無人機でも有効な場合があると思うのです。有人機の最後のものだとおっしゃっておられるが、無人機をもってそうした敵の進攻に対して対処する道もある、そればこういう管制能力が充足するならば、そういうものも私は可能であると思う。そういう意味からいったら性能の高い、世界で最もおそるべき兵器として賞讃されているファントムをあえて用いないほうがいいんじゃないか、こういう印象があるわけなんです。そこをひとつ、御説得いただくにはなかなか骨の折れる男でございますので、もう一度……。
  134. 増田甲子七

    増田国務大臣 受田さんの御質問が多岐にわたっておりますから、一々お答えできなかった点は政府委員から補充させます。  まずファントムがベトナムで非常な威力を発揮したとおっしゃいますけれども、これは長距離爆撃ではございません。私どものある程度調査したところによりますと、トンキン湾の近所におる航空母艦から発進しただけでございまして、いわば非常な短距離でございます。そこで、三千七百キロも足があるとおっしゃいますけれども、これはいわゆるフェリーでございまして、油だけを持っておるという、そして無装備の飛行のときのことを航空年鑑等には書いてあるわけでございます。そこで、先ほど大出さんにも御説明いたしましたのは、皆さまにお聞きを願うために先ほども申し上げたわけでございますが、重装備をいたしますと、半径百海里前後、それから半装備をいたしまして四百五十海里前後ということは、結局どこの国の領土にも関係がない。それはこまかに、顕微鏡的に見れば、千島と日本とはどうだというような話もあるかもしれないが、そこまで言われるといまのF86Fも問題でございます。そういうことは賢明なる受田さんはおっしゃらないと思いますが、要するに威力があり過ぎるというわけではないのでございまして、これくらいな威力がないと日本の自衛にはよくないということで、国防会議を経た閣議決定において、次期戦闘機は要撃能力向上を主眼として、その機種選定するという決定がなされておるわけでございまして、いまのF104でいいならばそんなことは何もきめていはしません。いまのF104Jではうまくないというわけで、いまのF104でいいならばこれをどんどん増産したらいいのです。追加発注追加発注で、あと三十機また発注する、また百機発注する、これで間に合うわけでございますが、それではいけないというのを防空関係の識者が一応認めまして、昨年の三月十四日に次期戦闘機は現在われわれが持っておる要撃能力よりも高いものを新機種として選定しろ、こういう御命令が閣議決定であったものと考えておりますから、何も敵に脅威を与えない、いまのままでいいじゃないかというお説は、国防会議の内容なり閣議決定の内容はしばしば受田さんには申し上げておるのですから、そのお話まで返らないようにしていただきたいと思います。  それから第二に、ミラージュということを——もう具体的に申したほうがいいと思います。これはもうすでにいろいろ言っているのですが、ミラージュでは要撃能力が足りないということで、イスラエルもF4を購入するわけでございますから、その点も御考慮に入れていただきたい。イスラエルのことを別に弁護するわけじゃございませんけれども、四国くらいなところで国を立てていくという場合に、他から国の存在さえ許さぬといったような、あの範囲のことはなかなか私どもが理解と同情ということは少し差しつかえがございますが、イスラエルは非常な苦心をしている状態ではないかと考えております。そこで、ドイツもF104ではまずいということで、F4ファントムにきめたのが十月二十四日でございます。それから、十月二十七日ごろにイスラエルがF4ファントムを五十機購入するということにきめました。その心持ちと、それから十月二十八日になりまして、メーカーとしてきめました三菱重工業の責任者が大ぜい私のところへ参りまして、こちらも大ぜいで聞いたわけでございますが、日本CL1010というものを開発してくれ、おれたち開発するつもりはないんだ、そういうようなものを選ぶということは、日本はこれはほこりとしては、将来はCL1010なりF104なり、ライセンスで買わなくてもどんどん日本自身が、ライセンスでない、ノーハウを知らないでも、日本開発したエンジンを持ち、開発した胴体と翼を持って、それがF4よりも強力であるということにすべきではないかという受田さんの国民的誇りを代表された御発言は、ごもっともだと思っております。  一体いつごろまでに日本の純国産でFを持ち得るかという御質問にお答えいたしますが、将来近いうちです。ここ十年を出ないうちに日本自身がもう外国の専売特許なんかを持ってこないで、自身のエンジンを——T1は大体開発したんですから、そしてそれがスリーマッハ近くになるが、すべて自衛の目的によってやるわけでございますから、そういうものを持ちたいということを私の部下である技研においては言っておりますということを申し添えます。
  135. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 技術的なところをちょっと補足して申し上げますが、先ほど防御専門の航空機を採用すべきではないかという御意見をおっしゃって、かつAWACS、エア・ワーニング・コントロール・システムのことを御引用になりましたけれども、いま長官からるる御説明がありましたとおり、ファントムは現在世界で存在しております戦闘機の中で非常にすぐれた戦闘機で、かつこれは戦術戦闘機として米軍は使っております。先生が、非常に長距離でかつ高度の爆撃能力を持っている機種ではないかというふうにおっしゃっておられましたけれども、その御批判でしたら、米軍が新しく採用しかつ豪州が採用しようとしているF111、これはおそらく非常に長距離でかつ度高の爆撃能力を持って、いわゆる戦闘爆撃機という範疇に入るかと思いますけれども、このファントムは必ずしも米軍なり国際的にそういう爆撃能力のほうに重点を置いた機種ではなくて、戦術戦闘機、つまり要撃機と、対地攻撃のほうもF104に比べれば相当な能力を持っております。われわれのほうはその対地攻撃のほうの爆撃装置をはずしまして——それを除きましても現在の世界にあります戦闘機の中で非常にすぐれた、かつそれを除きますと先生のおっしゃいます非常に日本に適した防御専門の要撃機となるというふうな性能を持っておる、そういう飛行機であるというふうに判断しているわけでございます。  AWACSの点につきましては、これは現在米空軍で開発中で、レーダーを持ってずっと上空で哨戒するというふうなことを考えておるようでございますけれども、これは米軍でもまだ開発中でございまして、日本で将来採用するかどうか、相当な金もかかるだろうと思いますし、直ちにお答えはできかねるわけでございますけれども、そういう構想の芽ばえはあるわけでございまして、このファントムを今度採用になりましたけれども、ファントムはいわゆるCAPといいまして戦闘哨戒能力を相当持っております。一時間以上も沿岸で哨戒をいたしておりまして、それで見つけて要撃できる能力を航続距離の関係で持っております。現在のF104ですとそれがごく短時間しかできません、あまり期待できませんけれども、ファントムですとそういうこともできますので、沿岸で侵攻機を要撃する可能性が現在のF104よりはだいぶあるという点も着目して、この機種にきめていただいた、こういうことになっております。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 まだお答えが願えないのが残っております。いまのF104Jでもいいじゃないか、それをどんどん買えばいいじゃないかという道もあるのだが、それをもっと高い性能のものというので切りかえたんだということですが、いまのF104Jは、航続能力が三千二百五十キロメートルしかない。それよりも五百キロメートル近くも一航続能力を持つ、つまりいま防衛局長のおっしゃったような意味からいうならば滞空時間が長いのが大事なんだという要素が入っているように見られるのですが、その三千七百キロメートル——私がいま申し上げているのは最大の場合ですよ、爆弾や重いものを積まないで行った場合の航続能力というものが三千七百キロもあるということが、何だか国民の感情の上にも、えらい飛行機だという印象を与えておる。それはやはり国民感情を無視できない。もう一つは憲法第九条にある戦争放棄の規定、この規定というものもやはりこのあたり——何だか攻撃の場合の役に立てる飛行機だという印象を与えるようなものはなるべく避ける方法をとるべきである。これは国民感情ということも同時に考えていくべきものだ。事務的技術的なレベルという問題——私はここでちょっとつけ加えますが、今度の機種決定について何だか黒い霧があろうとは思わないし、またあってはならぬことでございます。今度は純粋な形でできておる、こういうことで一応了解した上でいま私はお尋ねしている。日本の国はドイツとかイスラエルとかとは違うんだ、つまり自衛のための自衛隊しかあり得ないのだという独得の国情があることもひとつ前提にして、これは考えていかなければならぬ問題だと思うのです。これを忘れてドイツ、イスラエルと比較しちゃ困る。日本独得の憲法の規定に基づく国民感情、こういうものをひとつ強く防衛庁がお考えになって、この機種決定などにも御判断を仰がなければならぬと思うのです。私の言っておることが間違っておればもう一度おしかりを願いたい。
  137. 増田甲子七

    増田国務大臣 私はもう昨年来二カ年間にわたって、国会においては憲法九条の趣旨にかんがみまして新しきFは爆撃装置を施ましせんとこう言っておるわけです。これが憲法九条を尊重した精神でございますから。そこで中には、せっかく爆撃装置のあるのにそれを取りはずすのは惜しいじゃないかと言う人もございますけれども、それはいけない。私の信念からも出ております。それから国会における答弁に忠実であるということもございます。そこで攻撃的性質はなくなるわけでございまして、ドイツやイスラエル等が買うF4ファントムというものはおそらくそういうものを備えるんじゃないか。でございますから必ずしもドイツやイスラエルとは比較になりませんということを前提して、いつも用心しつつ受田先生にもお答えいたしておりますが、そのことはわかっていただいておるのじゃないでしょうか。  それからまたその国々のことは私は申しませんが、ただ飛び上がるとすぐ国境があるのですね。上がっただけですぐ国境が見える国が西ドイツなんでして、ロング・レーンジ・リコニサンスと書いてありますけれども、長距離偵察機ではなくて、私はあれはファイターである。Fである、こう考えております。またイスラエルのごときは四国ぐらいしかないのですから、飛び上がればすぐまた外国が見えるというわけで、そこで自分の国を守るためにやはりミラージュよりよろしいということで今度選んだということを、技術アタッシェが一昨日も来て私に話をしておりました。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとここで第三次の防衛力整備計画大綱、整備方針ですな、その中に主要整備目標の中で航空自衛隊関係で重要地域の防空力を強化するため地対空ミサイル部隊を増強するという点がある。重要地域というのは一体どこなんですか。ちょっとここで疑義が起こっておりますので、重要地域の防空力を強化するというのが第三次防衛力整備計画の大綱の中にうたってある…。
  139. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 三次防でそういうことがうたってありますのは、具体的に申し上げますと、北海道方面、東京を中心といたしました関東方面、それから京阪神方面、北九州方面、そういうところにナイキあるいはホーク部隊を置きます。北から申しますと、特に北海道、あるいは青函も含めますが、北海道、青函、それから東京を中心とする関東一円、それから京阪神、北九州、そういったところを三次防ば主として頭に描いてナイキホークを配置いたしたい、こういうふうな考え方でつくってあります。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、時間がないようでございますから、質問もおしまいにしたいと思うのですが、米軍基地と日本のそうした防空体制を強化する地帯との関係、そこで、ひとつ一例を申し上げますが、いま岩国という町に帝人という繊維会社がスタートして、今日、盛大をきわめているのですが、岩国という町に米軍基地が一つある。その基地の飛行機、ジェット機発進のために三十メートル以上の煙突はつくれないということで、帝人は、ついに本社、つまり主要工場をだんだんと取りやめて他へ移転して廃墟になろうとしておるわけです。こういう行き方を考えると、ちょっと質問を今度は基地のほうへ移しますが、何だか国内の経済発展を阻害してまで岩国という町をあえて米軍基地にしなければならないものかどうか。いまのような主要地域、そこには適切な日本のミサイル基地もある。それと米軍基地もどこへか整理して、そして一般的な経済発展を目ざす都市、公害問題なども発生している都市には、なるべき都市へ入る前にそういうものを要撃して落としてしまわなければならぬのだから、都市の近くにある基地あるいは日本の基地を漸次、そうした重要地点に入る前にこれを要撃して撃滅するという形に切りかえる必要はないのか。あえて、たとえば岩国のような都市の近くに米軍基地を置き、あるいは自衛隊の基地を置いて、一般の経済発展を阻害するということは、賢明でない。国民の感情からいっても問題があると思うのでございまするが、基地整理、そして米軍基地と日本の自衛隊の主要地域における防空能力を発揮するための施設を、ひとつ大所高所から検討をして、基地の整理と、そして自衛隊の置かれている地域は、民衆の多い地域を避けるという方針をお立てになる必要はないか、ちょっと御答弁願いたいのですがね。
  141. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 ただいまの御質問の、人口綱密な地帯の近傍に飛行場等を設置することについては検討を要するではないかというお話でございます。具体的にあがりました岩国の飛行場につきましては、航空機の離着陸のために進入表面下の物件の制限ということで、帝人が生産品目をかえたこと等に伴いまして、工場を高層化しなくちゃならないという事態になったわけでございますが、そのために、岩国の工場を他に分散するという事態になっておるわけでございます。こういった進入表面下における物件の制限につきましては、米軍飛行場については国内法による規制がございませんので、行政指導によって関係の方々の協力を得ておるわけでございますが、帝人の場合も、市当局と帝人のほうと協議の結果、そういうふうになっておるわけでございます。まあこういったことで、周辺に影響を与えておるということは事実でございますが、全般的に言いまして、そういった都市開発と基地の相関関係というものにつきましては、私ども、基地問題が非常にやかましい現在でございますし、全般的に検討を進めております。ただ、防衛上の観点ということになりますと、施設庁のほうとしては、専門家でございませんので、御答弁いたしかねるわけでございますので御了承願いたいと思います。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 これは一般の都市の周辺に米軍の基地があり、また自衛隊の重要基地があるということで、一般住民が非常に困っておることも同時に考えながら、防衛力の整備計画を進めていくというところに配慮願いたい。  そして、もう一つ、国の総予算の中に占める防衛費という防衛庁費というものは大体七%前後ということに押えようとしておる努力を防衛庁長官もお認めになられるのでしょうか。国の総予算に占める防衛費、防衛庁費というものはどの点がいま現時点では適当であるという形になっているか、これは大蔵省との関係の前にひとつ防衛庁でお考えになられる大事な問題だと思います。
  143. 増田甲子七

    増田国務大臣 基地のことについて防衛本庁側から補足的にあと御答弁を申し上げます。  それから、防衛費の全体の予算に占める割合、これは各国の例等を勘案することは必ずしも適当でございませんが、しかし、年々、総予算に比べましてだんだん低くなっておるのでございまして、一方において、日米安保体制のもとアメリカのやっかいになって、そうして防衛の実をあげていることもこれは事実でございます。日本の平和と安全が、本日というこの時点においても、必ずしも無努力でやられているのではないわけでございまして、米国の努力もあり、日本の努力もある。そのうち、米国の努力におぶさる部分が多ければ多いほど、日本の独立主権国家としてはうまくないのではないか。私は、将来、五分五分ぐらいにいたして、しかも、日本防衛目的というものは、日本防衛をするだけなんですから、そういうふうにいたしたいと思っております。  パーセンテージでどれくらいかというと、総予算に対して七・二五でございますが、昨年は八%でございました。それから、GNPは著しく上がっておるわけでございまして、GNPから見まして〇・八八%でございます。まず、GNPの一%ぐらいはという感じをいたしております。  それから、国民所得に対しては、GNPに対するものの二割を上回ったものでございまして、一・一二%ぐらいでございまするが、将来は二%ぐらいを目標にいたしたい。そうでないと、日本防衛に関する。パートナーから、日本防衛努力はろくにしていないじゃないか。それから、自主防衛、自主防衛ということをこのごろ言っておりますけれども、みずからの手をもってみずからの国を守るということばと非常に遊離した状態に日本の自衛隊の現状はある。あまりたくさんということは私は要望しておりませんが、やはり総予算の九%ぐらいはもらってもいいんじゃないか。一二%という時代もありましたし、一四%という時代も受田さん御存じのとおりありました。それがだんだん減る一方でございますから、これだけ減ったではどうも面目を落としはせぬか。やはり自主防衛のことについて特に御関心の深い受田さんの御協力をお願いいたしたい、こう思います。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 これで私は、時間がきたようでございますから質問を終わるのでありますが、私は、パイロットの養成計画と今度の次期戦闘機との関係、それから教育計画並びに秘密関係の訓令も出されておる。その問題はあとへ回しますが、長官は久しぶりに防衛庁長官として二期連続、二年以上長官の任にあられて、近来まれなる熱心な勉強大臣として誉れが高いと思うのですけれども、この次の委員会のときに長官に相まみえるやいなや懸念があるが、勲一等旭日大綬章をいただかれた栄誉を背負われた、防衛庁としては近来まれなる貫禄ある長官を迎えられたわけです。長い間御苦労いただいたことに深く敬意を払って、私の質問を一応これで終わります。      ────◇─────
  145. 三池信

    三池委員長 次に、公務員の給与に関する件について調査を進めます。  この際、藤尾正行君外三名から、公務員の給与に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  趣旨の説明を求めます。藤尾正行君。
  146. 藤尾正行

    ○藤尾委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党四党共同提案にかかる公務員の給与に関する件の決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    公務員の給与に関する件  公務員の給与については、昭和四十年十二月二十四日本委員会が行なった決議の趣旨に基づき、人事院勧告を尊重し、これを完全に実施すべきである。  右決議する。  本決議案の趣旨につきましては、これまでの本委員会における質疑を通じまして明瞭でありますので、よろしく御賛同をお願いする次第であります。(拍手)     ─────────────
  147. 三池信

    三池委員長 本件に関し、大出俊君より発言を求められておりますので、これを許します。大出俊君。
  148. 大出俊

    大出委員 一年抜きましたが、一昨々年並びに昨年、あわせて本年、引き続いて勧告の完全実施の決議を本委員会でおきめいただいてきたわけでありますが、ついては、総務長官が七人委員会の給与担当の大臣という立場で当面の問題、さらに来年の問題等含めまして、きょうもおそらく七人委員会あるいは給与関係閣僚会議をおやりになっておったんだと思うのでありますが、特に先般の七人委員会等で勧告の完全実施に関する論議をおやりになっておりまして、新聞発表その他も幾つか見られるところでありますが、この間の経緯を、いまの決議の趣旨もございますので、御説明を賜わりたいと思います。
  149. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 経過を一応簡単に申し述べますと、御案内のとおりに、給与担当閣僚会議を開きました直後に大蔵大臣が盲腸炎になられまして、それで手術をされました。予想外長期にわたりまして、なかなか御退院ができない。しかし、その間じんぜん日を過ごすことも愚でございますので、さような関係関係の各省の事務当局の諸君にお願いいたしまして、これはむしろ事務当局といたしましては非常に真剣に、毎週関係者が集まりまして論議を尽くしてまいりました。私はそのなまの案なるものを存じませんが、大きく分ければ十幾つばかりのいろいろな対案があったわけであります。いまさらいうまでもなく、どうしたらばいいかということにつきましては、実は毎年毎年同じようなことを繰り返してまいったのであります。さような関係から、事務ベースにおきましては、やはりいろいろな研究もできておるわけでありますから、そういうのを持ち寄りまして論議を重ね、数回にわたって話を詰めてまいりました。結局幾つかにしぼりまして、ようやくこの五日の日に大蔵大臣の御退院を待って再度関係閣僚会議を開いたわけであります。そこには私のほうの人事局が、一応いままでの論議を分類いたしました結論につきまして御報告も申し上げ、また閣僚間で話をいたしたのでございますが、しかし、やってみますと、口では簡単に言えることも、いざあるいは大蔵省、あるいは人事院、あるいはその他のところで具体的に作業をするということになりますと、容易なことではないということが、やはりそこでも議論になり、また露呈されてまいりました。そこでとうとう話がつきませんで、次回までにもう一度話をまとめてこい、つまり言えば事務当局レベルではどうしても割れない壁を政治的な大所高所に立った判断で割っていかなければならないのが閣僚会議の本体でございまして、それを命じまして、本日の閣議終了後再び閣僚会議を開いたわけであります。人事院の総裁も非常に真剣に論議せられ、また大蔵当局におきましても同様に今回は非常に真剣でございますし、また経済企画庁等におきましてもまじめに長官が取り組んで議論をせられる、あるいは労働省あるいは文部省その他自治省等におきましても、ぜひともひとつきょうじゅうにでも話をまとめようじゃないかというようなところまでまいったのでありますが、しかしながら、ついにどうしてもその線が出ませんでした。そこで、それでは十五日の日にでも、三日間猶予をおいて再開しようじゃないか、こういたしたのでありますが、たまたま十五日の日は私のほうが主催をするまた閣僚会議がございますので、私自身のほうがからだが詰まっておりまして、それでは十九日の日には最終決定をするというはっきりとした気がまえで取り組もう。じゃ、十九日に再開をして、この日には人事院勧告の完全尊重、完全実施ということで、お互いそれを前提にしてこれだけ話し合っておるのだから、今度はもうきめてしまおう、こういうところまで話を詰めまして、本日を過ごした次第でございます。  以上、簡単でございまするが、みんなが持っております真剣な気持ちにつきまして、どうぞ十分に御了解いただきたいと思います。
  150. 大出俊

    大出委員 二つに分けて承りたいのですが、一つは、いま来年のことを話してもしかたがないという気もしますが、長年の懸案でありますだけに承りたいのです。五日の給与関係閣僚協議会といったらいいですか、結果の新聞発表等ございましたが、あるいは新聞の方々がお書きになったのかもしれませんが、技術的な手続の面はさておきまして、来年にあたって人事院勧告の完全実施をするのだということについては意見が一致したという意味の発表、記事等がございますけれども、まずそこらのところは、手続的なものはいずれにいたしましても、来年はとにかく完全実施をするのだという点についての意見の一致がおありになったという点について、確たる御回答をいただきたいわけであります。
  151. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 これは開会の冒頭に私から、この関係閣僚でまずもって完全実施ということをきめていかなければ話が進まないじゃないか、それが前提になって初めてあとは技術的にどう解決するかという問題になるのだから、大前提としてこのことだけはお互いがひとつはっきりしようということできめてまいった次第でございます。
  152. 大出俊

    大出委員 となりますと、来年は完全実施をするという大前提については意見が一致をした、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますね。  ところで、手続的な問題についてその後論議を続けておられるわけでありますけれども、次回は十九日、そこで決着をつけたい、いまこういう趣旨の経過の説明がございました。  そこで二、三承っておきたいのでありますが、予備勧告ということがとかく方々で取りざたをされるわけでありますが、予備勧告というものは一体どういうものを予備勧告というのか、御説明をいただきたいのであります。
  153. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 これは御案内のとおりに、人事院が民間の春闘その他のベアといううものを精細に調査いたしまして、それに比べまして均衡のとれた公務員の給与決定いたす。その公務員給与の本格的な勧告の予備が、予備勧告と申します。
  154. 大出俊

    大出委員 一応ここで打ち切ります、いまの決議案の採決をしなければならぬと思いますので。     ─────────────
  155. 三池信

    三池委員長 採決いたします。  藤尾正行君外三名提出の動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  156. 三池信

    三池委員長 起立総員。よって、藤尾正行君外三名提出の動議のとおり決しました。  この際、田中総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。田中総務長官
  157. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 ただいま御決議いただきました趣旨をば十分に体しまして、これを尊重し、善処いたしたいと思います。
  158. 三池信

    三池委員長 なお、本件の関係方面への取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  160. 三池信

    三池委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  161. 大出俊

    大出委員 人事院の尾崎給与局長さんに御出席いただいておりますが、きょうは総裁が御不幸がおありになるということで御出席いただけぬようでありますので、答弁をいただく限度がおありになるだろうと思いますけれども、差しつかえない範囲でひとつお答え願いたいと思います。  いま総務長官からお話のございました予備勧告といわれるもの、これがどうもまことに不明確だという気がするのでありますが、何をもって予備勧告というのかということ、ここのところについて人事院側も本日まで検討されただろうと思うのです。そこらについての御見解をひとつ承っておきたいわけであります。
  162. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 私どもといたしましては、公務員給与のあり方といたしまして、御承知のとおりでございますけれども、民間が非常に上がるというときに、それをとらえまして、またその配分等もとらえまして調査し、そしてそれに追いつかせるということで勧告をしてまいっておりますけれども、そうしたあり方がどうしても年度途中になるという関係がございますので、いろいろ問題があるというような点が問題になっているわけでございます。したがいまして、その完全実施のために、つまり結局財源と申しますか、そういう関係との調和の問題というものがそこに生じておるわけでございまして、したがって、あらかじめ財源というものが御準備いただければ私どもとしては最も望ましいというわけでございますけれども、その準備のしかたにおきまして、何か勧告と申しますか、人事院から何かそういう要望と申しますか、そういう関係の検討をすることはあり得ないかどうか、そういったような問題がいわゆる予備勧告というようにいわれているんじゃないか。予備勧告の内容にもいろいろあると思うのでありますけれども、私どもの立場としましては、そういう感じとして受け取っておるということでございます。
  163. 大出俊

    大出委員 総務長官の時間もおありになるようですから、できるだけ簡単に御質問いたします。したがって、要点の御答弁をいただきたいんですけれども、いまの人事院側の受け取り方からすれば、調査時期、勧告の出る時期、予算の編成をされる時期等々の関係から見て、あらかじめ人事院側から、予算の編成にあたって公務員の給与についてはこのくらいのところをというような形の示唆なり、要望なり、あるいは人事院側の意思表示なりというものが考えられないか、このことを称してつまり予備勧告という、こういう趣旨のいまお話だったのだと思うのであります。その場合に、旧来の人事院の方式からいたしますと、四月調査時期ということを設定をされてサンプリング調査をおやりになる。九十一の職種で六千何がしという事業所、四十何万かの方々の抽出調査をおやりになる、こういうわけでありますから、それにまた別途賃金が春の時期では引き上げられたとする場合に、それがどのくらい調査の面にあらわれるかというものを加えまして、いわゆる積み残しを加えまして、勧告という運びになっているのが、旧来のシステムだと思うのであります。そうすると、四月に調査時期を設定をされて、それから具体的なサンプリングに入られて、それを集計をされて、俸給表の改定を含めてお出しになる、こういうわけでございますが、それが終わった、さてそのあとで次の調査は翌年の四月になる筋合いであります。その間に翌年の四月の調査を想定をして、はたして公務員給与というものは民間比較の面でこれこれ上がりそうだから、何がしかの予算要求という形の意思表示をするということができるかどうかという点であります。政府が経済見通しを立てるなり成長率をきめるなりというような形の中で、あるいは国民所得というものを考えるという中においてこのくらいという算定をするというなら、これまた賛否の論はともかくとして、一つの考え方かもしれない。しかし、そういう立場でない人事院の側が、しかも今日まで一貫してとってきた方針は、官民比較というところにだけ重点が置かれている、こうなると、その比較の作業をしない限りはどうなるかはわからぬといって答えてこられたのが、人事院の立場です。だから、その作業なしに、本年四月にやっておいて、本年の予算編成期のところで勧告はしちゃっておいて、あと来年のものをこのくらいなんというようなことを調査その他の手続なしに、はたして意思表示ができるものかどうか。だから、質問は、そういう形の意思表示ができるものかどうかということと、もしできるとすれば、それは俸給表も何もないはずだし、どういうものになるのだろうか。一体何を根拠にそういった想定をするのだろうか。旧来人事院方式の中にはないものですから、そこらの点に触れて御答弁をいただきたいわけであります。
  164. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 ただいま申し上げましたように、私どもとしましては、やはり民間に追随するということで、民間の上がり方を実際にとらえ、その配分もとらえてやるということが、いままでやってきた方法でございますし、これが一番摩擦も少なく、一般にのみ込みやすいということだということで、従来やってきた方向でございます。ところで、いまのような問題がございまして、何かそういうことであらかじめ財源の盛り込みに資する何らかの考え方というものがそこにできないかどうかという場合におきまして、やはりその場合の考え方としましては、たとえば今年の場合に、来年の民間の上がり方がどうなるかということを正確に見通すということは、これはとうてい不可能でございます。それはやはり経済の流動ということも含んでおりますから、経済企画庁の見通し、そういうこととも関連をいたしまして、やはり総合的に見通した経済企画庁の見通しと申しますか、予算の基礎になっている見通しというもの、たとえば来年の見通しとしましては、それ以外に実際方法がないのじゃないかという感じはいたします。そうなれば、やはりそういう調査機関を十分お持ちでございます財政当局におかれてあらかじめ盛っておいていただくほうが望ましいというふうに思っておるわけでございますけれども、私どもといたしましてどうしてもそういうことで何かアクションが望ましいということでございますと、やはり同じ方法で根拠を置いて考えざるを得ないわけでございますし、たとえばかりにそう考えましても、来年度の場合に正確に見通すということは初めから不可能でございますから、そこはやはり弾力的な措置というものもあわせて考えていただかなければならぬのじゃないかという感じがいたしておるわけでございます。
  165. 大出俊

    大出委員 ざっくばらんな話、旧来の人事院の調査方式で予備勧告といってみても、これは時期設定その他のことからいって不可能です。これはできない。つまり予算編成にあたって何がしかの来年度のものを想定をしてこうだというようなことをやろうと思っても、旧来の調査方式をとったのではやれない。私はやれないと思うのですが、そこのところはどうですか。
  166. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 公務員法二十八条に基づきまして私どもとしてはやっているわけでございますし、それはやはり民間その他の経済情勢等の変動、社会情勢の変動に伴いまして、そういう情勢適応ということでやってまいっておりますし、そういうことでいままでの読み方としてわれわれは考えてきたわけでございますから、やはり二十八条の読み方としてはそういうふうに考えておるということでございます。
  167. 大出俊

    大出委員 だから、そうなると、時期的な関係でやれないのじゃないですか、実際上は。情勢の変化に応じて皆さんのほうは調査をされるわけですから、そうすると、四月に調査をされて、八月に勧告をして、今回のように閣議決定があって、それが臨時国会給与法改正で出てくる。この時期に翌年度の予算編成が始まっておるわけでありますから、このときに幾ら人事院が何か調査を別にやろうといってもできないわけです。だから、そうなると、来年のことなんですが、来年の四月というと、来年の民間の賃上げもすでに終わっちゃっているんですから、出てこないのです。その時点で似たような形の調査によって何がしかの意思表示をするということは、不可能とまで言い切らぬにしても、私は不可能に近いと思う。とすれば、人事院が何か別の方式をお考えになって、たとえば経済の成長の度合い云々というようなことを人事院が別に調査になってお考えになるなら、これはまた別です。そこらのところちょっと気になるので、くどいようだけれども……。
  168. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 いま申し上げましたように、公務員法二十八条で勧告をするということにつきましては、やはり民間の情勢適応ということでございますので、そういう意味では限度があるというふうに考えておるわけでございます。ただ、それ以外の方法で来年の見通しというものを、たとえば経済企画庁その他の見通しによりまして——非常にこれは困難でございます。困難でございますけれども、そういうことをすることによって完全実施ができるということでございますれば、そういう——これはまあ政府のほうでやっていただくことが望まいわけでございますけれども、人事院がそういうアクションをとることによって完全実施ができるということでございますれば、やはりそこには研究の余地はあるんじゃなかろうか。もちろんそこは絶対正確というわけには最初からいきません。弾力的な方法もあわせて考えていただきまして、そういう方法があるかもしれないということは研究の余地があるんじゃないかということで検討をしているということでございます。
  169. 大出俊

    大出委員 この問題の結論にいたしますが、総務長官に承りたいのですが、総務長官は、前々からのお話によりますと、いま来年完全実施をするという大前提で手続その他を研究されている段階。さてその手続その他というのは、あくまでも人事院の勧告制度そのものの変革、変更に触れない、この点は明確でございますか。
  170. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 私どもは、政府が俸給表、給与表をつくるとかなんとかというふうな立場は断じてとりません。あくまでもやはり人事院の勧告というものをまたなければ、私のほうはさようなものは考えないということでございます。
  171. 大出俊

    大出委員 そうすると、人事院の今日の勧告権なるものについては一切触れない、また政府みずからが俸給表をつくるということは考えない、こういうことになるのですかね。その限りでは理論的にはわかるのです。当然そうなければならぬと思うのですが、ただそこで問題は、そうなると、問題は人事院のほうにあくまでも移るわけでありまして、とにかく私どもが何となく危惧を感ずるのは、大蔵当局もうしろのほうにおりますが、いつもどうもさいふのひものほうは大蔵省のほうでがっちり握るということになるから完全実施ができないわけですから、完全実施をしようということが、完全実施できる金額に人事院勧告を押えて完全実施をするというのであっては意味がない。これはとんでもないことになる。ここに実は公務員一般の危惧の焦点があるわけであります。だから、一つ間違って妙な予備勧告などをされて、それが一つのワクになって、人事院がそのワクを出られないという形の勧告になるということになったのでは、えらいことになる、そういう心配だと思うのですね、率直に言って。だから、その意味では反対だということになる。あぶない、こういうことになる。そこで研究の余地があるとおっしゃるその研究の中身を、そう簡単に関係閣僚会議だけでぽんときめるということでなくて、事人事院の存立の問題にかかわるのだから、研究をされるのはけっこうですけれども、その研究の中身というのはやっぱりそれなりに受け取る側のほうにも理解がいくような手続はとっていただきませんと、そのことのために無用なトラブルが起こってもまた困る。これは総務長官おわかり願えると思うのです。閣僚間の話し合いあるいは事務段階の話し合いで、人事院がそのことを十九日までに研究をして何らかの結論を出さなければならぬのだとすれば、私が幾らここで反対だと言ったって事は済まぬ。だから、そのことが、いま私が申し上げた端的な危惧というものを払拭できるものであるのか、納得できるものであるのかという点を、やっぱりひとつ判断の時間というものを含めてこれを与えていただくようにしなければ、そのことのためにまたえらい騒ぎになったら困る、こう思いますので、そこのところはひとつ慎重にお考えをいただきたいと思うわけでありますが、いかがですか。
  172. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 ただいま申し上げましたように、私どもといたしましては、人事院制度の本質にかんがみまして、これに対する制肘を加えるとかいうようなことは断じていたしません。同時に、皆さま方の御決議も賜わりましたように、完全実施をあくまでもいたすように貫いてまいります。さあそこで、いまいろいろと御質問が出ましたようなこと、これは大出先生が一番よく御承知のとおりになかなか壁が厚いところでありまして、どこかの壁がどうにか割れないことにはこれは幾らあれしてもだめなんで、どうせ事をなしますにあたりましては、どこかにひずみもありましょうし、またお互いがゼロと一〇〇%ということもございませんでしょう。どうぞくれぐれも皆さま方の御協力、御支援のほどをひとえにお願い申し上げます。
  173. 大出俊

    大出委員 つまりその予備勧告、あるいは示唆、あるいは要望、意思表示などといわれるものが、たとえば何%だなどという形の、よくいわれる何%以内に押えるのだなどという数字が予算のほうから出てくる。実は人事院の示唆だったなんということになったのでは、これはえらいことになるので、そういうことではない、純粋に人事院が、そのことによって人事院の勧告権というものが法律どおり生かされて、つまり押え込まれるという形でない、二十八条に基づく、公務員の適正な賃金を維持していくという意味で、そういうふうに考えられるものであれば研究してみる必要があることだということを言っておられるわけだから、そこのところは尾崎さんしかと念を押しておきます。私どもは賛成しかねる。なぜならば、さっき言ったように危惧がある。こういうわけでありますから、そうではないのだという明確な研究の成果があっての話ならば、これはまた私どもも長年の懸案だけに研究するのにやぶさかではないわけでありまして、そこらのところを念のために申し上、。  ところで、総務長官にもう一つここで承りたいのですけれども、総務長官が御出席いただかぬ席上で、弘津総務副長官の御出席の席上での御答弁の中で、当面の問題として閣議決定が行なわれている。つまり八月、この実施時期の問題について閣議決定が行なわれているのだけれども情勢変化という意味閣議決定の変更があり得るかという質問に対して答えておられます。ここに議事録そのものもございますが、要約して申し上げますと、総合予算というたてまえが一つあるので、税金の自然増収というようなものを財源にして補正をとなるとすれば、これはそこで一つの制約があろう。ただしかし、今日の予算の中において、つまり予備費なら予備費というワクの中で財源がある、こういうことになるとすれば、閣議決定をしておりますけれども、その決定を変更することは当然あり得る、こういう答弁をされておるのでありますが、これは総務長官の答弁と多少食い違いがあるわけであります。念のために読んでおきましょう。こう言っておられます。「要するに、総合予算主義というたてまえの中で、予備費がいままで閣議決定をした当時考えていた以上に余分が非常にある、だぶついているということが情勢の変化という私のことばでございまして、したがって、総合予算主義のワクを一応とった上で閣議決定をやったものですから、総合予算主義の千二百億のワクの中でまだ出し得る余地があるという場合には閣議決定をやり直してもいいのじゃないか、そういう一応大義名分が立つというふうに私は思っています。」こういう答弁なんですが、ここのところは、総務長官おらぬ席ですけれども長官はどうお考えでありますか。
  174. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 本件につきまして私は、ただいま大出委員がお読みになりましたのは十月七日付の議事録の一六ページのところであろうと存じます。(大出委員「一八ページ」と呼ぶ)一八ページのほうですか。これは、私が総理府を代表いたしましてお答えをいたし、また私の不在中副長官が申しましたことにつきましても、私の代表答弁を御信憑いただきたいと存じますが、これは本年の閣議決定それ自体を改める意思はございません。そのことはすでに御了承のとおりと存じます。いま弘津君の答弁は、私は一八ページではなくて一六ページのほうを読んだときには、一般論として、一ぺんいたしました閣議決定が変更になるときの理論を立論いたしたような気がいたしたのであります。本年は本年の決定どおり、閣議決定を貫いてまいります。
  175. 大出俊

    大出委員 答弁が食い違いましたが、食い違う点は、時間がないようでございますから、またあらためて質問をいたしてまいりたいと思います。きょうは時間の関係でそれ以上のところは保留をさせていただきます。  ところで、大蔵省の皆さんお見えになっておるわけでありますが、先般大蔵省の答弁された中で言っておられますことは、予備費というものの内訳とそれから大体のこの見通しということに触れておられるわけでありまして、現時点で分けて伺いたいのですけれども、「災害は、四十一年度の実績では四百七十四億、四十二年度は五百六十九億、予備費と補正で支出しておりますが、これに見合うものとして現在見込んでおりますのが四百六十億という数字でございます。」こう言っておられますが、現状、災害関係の予算支出の見通しというのはどうなりそうでございますか。十一月ですから、暦年で十二月までのはずでございますから。
  176. 海堀洋平

    海堀説明員 この前御説明申し上げました計数は、八月まで実績でとりまして、九月以降十二月までは過去三年平均の数字をそのまま置いた数字でございます。現在十一月になりまして九、十の実績が出てまいりました。十一、十二は、まだ十一は半ばでございますので、これもしかたがございませんので、これは過去の実績で置く以外にございません。そういたしますと、いまのところ三百八十億円ということに相なります。九月の災害が非常に少なかったものですから、この前申し上げた数字から八十億円程度の減少は見込まれると存じます。ただ、これはあくまで十一、十二はやはり過去の平均で見ているという数字でございます。
  177. 大出俊

    大出委員 十一月、十二月を過去の平均で見ていかれるといういまのお話なんですが、これもいまの状態で何が起こるかわかりませんが、九月、十月という月等と比較勘案をいたしますと、あるいはまだ三百八十億が減るということも可能であると考えられるかもしれない。こういうことになるわけですが、ともかく現状でいきますと、ここに八十億ばかり——当初のかきねがあるのかないのかという論争もいたしましたが、かきねがあるということになるのだけれども、これでいくと、一応四百六十億というかきねをつくってあったことになるのですが、そのかきねのうちの八十億ばかりその意味では支出しないで済む金ができたということになる、こういうことになりますね、千二百億のワク内でかきねがないという出発からすれば。
  178. 海堀洋平

    海堀説明員 二つ話がございました。十一、十二で減る可能性があるというお話は、これはもう十一、十二がほんとうにネグリジブルでございますので、減る可能性はあるかもしれませんが、それは先ほど申し上げたような、要するに災害というのは八月、九月が勝負でありまして、十一、十二がどう動こうとも、そんな大きな額は動かないということでございます。  それから災害に関しましては、四百六十億と見ていたものが現時点においては所要額が三百八十億円であるということは、仰せのとおりでございます。
  179. 大出俊

    大出委員 そのほかのほうの話をしますと、またあなた、千三百億くらいになるのだから千二百億のワクの中に押えたいというよけいなことが出てきますから、答弁を災害だけの話にしておきます。これは予定したのだけれども、八十億浮いたというのですから、そうなると、弘津さんの答弁はまんざらうそではないので、災害の四百六十億というのは八月、九月、十月あたりの実績が全部入ってみると、四百六十億要らない、三百八十億で済んだ。十一月、十二月は例年災害がないのだから、大きく変動はないという。そうなると、ここで八十億という金が出てくる勘定になる。そうすると、大体国家公務員だけに限っていいますと、今回の勧告に基づいて計算したら、一カ月分幾らになりますか。六十億くらいですか。
  180. 海堀洋平

    海堀説明員 五十三億ないし四億程度のものであろうと思います。
  181. 大出俊

    大出委員 これは防衛庁を入れてですか。
  182. 海堀洋平

    海堀説明員 防衛庁も、要するに一般会計予算において負担すべきものと考えていただいてよろしゅうございます。義務教育の国庫負担金も含んでおります。
  183. 大出俊

    大出委員 それからもう一つ念のために大蔵当局に承りますが、昨年はこの決算の面等で見ていろいろな意味理由がついておりますが、特に節約財源といわれるものを三十億円くらい計上しておりました。ことしはこの計算の中でそれはいまのところ出てきておりませんね。
  184. 海堀洋平

    海堀説明員 昨年人事院勧告を実施するに際しまして、人事院勧告に充当いたしました額は三十億円でございます。ただ、先ほどからの前提といたしまして、この前申し上げましたように、予備費の使用見込みはこの前はしりが合っていなかった、しりが千二百億円に合った四百六十億円の災害ではなかったということだけを、一言つけ加えて申し上げさしていただきます。
  185. 大出俊

    大出委員 そこで総務長官、当面の問題なんですが、この給与法の改正案が臨時国会に出てくるという勘定なんですが、これはやはりいまの完全実施決議等で、これはもう何回も重ねたわけでありますが、それに基づきまして担当委員会である本委員会では、できるだけの努力をしたいと実は思っているわけです。理事会等を通じましても、ワク内におけるそういった余裕財源があるのかないのか、それからそれが先行き予備費の使用というもの全体をながめてどう変わっていくのかということについて、やはり少し突っ込んだ検討をお互いにし合ってみようじゃないかという御相談をけさ私申し上げて、必要であれば理事懇談会でも開いて予算当局の諸君にお見えをいただいて話をしようじゃないか、こういうふうにけさ理事会では話し合いをしたところなんです。そういう意味でたいへん御苦労いただいて、まあ総裁公選ということもございますから、さらに田中総務長官にものをお伺いしなければならぬことになるのかならぬのかこれはわかりませんけれども、たまたま十九日という問題もありますので、これは閣議決定決定として、やはり私は、かつて十月七日の日の関係閣僚の御相談の席上で大蔵省のほうから、わずかな金ではありますけれども、何がしかの努力のほどをという論議のあったことも承知しておりますので、そういった意味の努力をなお私は続けるべきだと考えるわけですが、長官の御見解のほどはいかがでしょうか。
  186. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 大蔵省政府委員の一応の推算を、この席で拝聴いたしました。私どもは、財政当局の責任者である大蔵大臣から正式のお申し出がない限りは、本席の政府委員の積算だけではお答えできない現時点の状態でございます。
  187. 大出俊

    大出委員 それはわかりますが、つまり私の申し上げているのは、いままでもずいぶんそういう意味で、当面一応閣議決定はしているのだけれども、何がしかさらに努力をしなければならぬということで御努力を願ってきた経緯がある。これは予備費の使用その他とからむ。その意味では最終的に予算当局の責任者である大臣が、どういう見通しになるかということを明らかにする、そこまでいかなければならぬことはわかります。わかりますが、それらはなお完全実施なる目標に向かって努力するという点をお続けいただかなければならぬというふうに考えております。そこのところをどうお考えになるかと聞いておるわけです。
  188. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 私どもは、完全実施を目標にしてあくまでも努力をいたしております。
  189. 大出俊

    大出委員 それでは、十九日に制度問題その他手続的なことも含む論議をされるということでございますから、また次の機会にでも御質問いたしたいと思います。時間の関係もおありのようですから、総務長官に対しましてはこの程度にいたしておきます。  自治省にお見えいただきましたので承っておきたいのでありますけれども、細田政務次官はわが委員会の御出身でございまして、たいへん給与に関しては詳しいわけでございますけれども、当面、都市交通関係の方々が、十五日という日を想定されて、世上いわれる八次賃闘といいますか、八賃と申しますか、これの決着をつけなければならぬ、こういう意思表示をされようという動きにあることは御存じだと思うのです。いま公営企業の中でいわゆる八賃が実施されていないというところは、どのくらいございますか。
  190. 細田吉藏

    ○細田説明員 六大都市のほか、たしか三市だと承知いたしております。
  191. 大出俊

    大出委員 私のほうで先般質問した中からいたしますと、十カ所残っておるはずであります。六大都市と、それから鹿児島が入りまして、さらに海南市が入っていたと思いますが、そのほかに病院関係が二カ所あって、たしか合計十カ所残っておるのではないかと思うのでありますが、その後これはどんなふうなことになりましたか。——公営企業第一課長がおいでにならぬようでありますから、事務的な点は後ほど申し上げたいと思います。  大筋を申し上げたいのですけれども、地方公営企業に関する制度調査会をつくって以来、答申も出て、その後企業法の改正をして再建方式をとることになって今日まできているわけでありますが、自治省という立場でごらんになって、はたしてこの再建計画なるものによって各自治体の公営企業というのは再建をされているか、される方向に進んでいるかという点ですね。この点について、ひとつ御見解を承っておきたい。
  192. 細田吉藏

    ○細田説明員 公営企業の再建につきましては、多くの都市におきまして再建計画を立てておるわけでございますが、きわめて一般的に申しますと、その後の情勢はいろいろな条件がございまして、再建計画自体を再検討しなければならぬというような部面が非常にたくさん出てまいっておる、かように存じておるわけでございます。また、部分的にはすでにこういうものを修正しようというような案が実は各地方から出てまいっておりまして、いま事務的にもいろいろこれを詰めておる段階でございます。
  193. 大出俊

    大出委員 法改正に基づく再建方式というのがどうやら現状再建につながっていないという気が、私は非常に強くするわけであります。そこで、再建計画なるものを今日立ててやってきているのだが、なぜ一体再建ができないのか、その原因、理由、そこのところをどうお考えになりますか。
  194. 細田吉藏

    ○細田説明員 いまおっしゃいましたように、再建計画が全然アウトといいましょうか、効果がないじゃないか、これはそこまでではないと思います。ただ、私が先ほど申し上げましたように、いろいろな悪条件がこのごろございます。そういう意味でいわゆる再建をしなければならぬじゃないか、そういうことで申し上げておるので、再建計画は、大筋としましては、私はたとえば経営の合理化なんかにつきましても、血のにじむような経営の合理化をやっていただいておると思っております。あるいは収入の増加策などについても努力はしていただいておると思うのですが、実績があがる、あがらないという問題は、別の要素からくる障害でございますから、そういうことであろうと思いますが、これは公営企業の中でも、各業態によっていろいろ違っておると思います。特に大きい問題になっておりますのは、交通関係の公営企業でございます。交通関係公営企業につきましては、もうすでに御承知かと思いますが、いろいろな悪い条件が重なってまいっておると思います。二、三の例をあげましても、たとえば、大都市における交通混雑による能率低下、あるいは一般のマイカーといいましょうか、自家用車の増加による収入の減少、こういったようなことがある。そのほかにもございますが、特にまた大都市については大きな資本の投下もしていかなければならぬといったような問題で、しかもこれは建設途上にある都市もかなり多い、そういういろいろなことで刻々変わってくるような事情でございます。しかも一方では都市交通の整備を促進しなければいけない、こういうことでございますので、そういう点でいろいろ考えていかなければならぬ面が多い、かように思っておるわけでございます。ほかの事業につきましてもそれぞれの理由がございますけれども、特に大きな問題になっておるのは交通問題でございますので、大体そういうふうに考えておるわけでございます。
  195. 大出俊

    大出委員 六大都市の市長会議が再三行なわれておりますが、ここから要望書が出ておりますね。これはごらんになっておると思いますが、一一ごもっともな言い分でございまして、一つは大都市交通の自治体への一元化などという問題ですね。これは相互乗り入れの形でいろいろ乗り入れてきておりますから、過去の歴史の面からいきますと、市内に乗り入れをさせないという、郡の時代にそういう措置をとった自治体もございます。ところが、旧来そうでなかったという歴史を持っている自治体もある。だから、これは自治体の力だけで民間交通を市内へ入れないというわけにいかない地域もある。となりますと、公営交通というものの今日的な赤字原因の大きな部面が、いまおっしゃったようにどうも輸送機関がふくそうしておって、そういう意味で競合し合っているというような問題があったり、あるいはそういった路線がたくさん入ってきた意味における逆の交通混雑、駅前の混雑等々を含めて、効率的な大衆輸送ができない。してみると、これも自治体の責任というよりは国の政策だという問題のとらえ方をされて、大都市交通の一元化というのをどうするか、ここに問題がぶつかっていくと思うのですね。かと思うと、この二番目にいっている大衆輸送機関の優先輸送という問題、確かにこれも今日的な大都市の混乱の事情を考えた場合に、それらも考えなければならぬことになるだろうと思う。これは特に企業外的な要因、いまの二つもそうですけれども、物価がどんどん上がってしまう。公共料金には限度がある。したがって、物価上昇に伴って賃金が改定をされる、こういう最近の現象からすると、そのために企業経営が苦しくなるという面が、ここ数年来重なっているわけですね。私、横浜におりますから横浜を例にあげれば、八次賃闘というものを完全に実施をした、こうなりますと、それだけで平年度で三億三千万くらいありますから、再建計画が五十四年まで立っておりますけれども、つまり八次賃闘分が平年度三億三千万で、五十四年まで累積すると、それだけで実は三十七億金がかかってしまうわけであります。これは八賃というものがなければ物価が上昇しない、だから、賃金も人事院が勧告をしない、こういうことになっておるとすれば、いまから五十四年までを見通して三十七億という金は要らない。ところが、そうでないということになるから、公営企業は非常に苦労をして、企業外の要因に悩まされながら八賃問題というものを労使間の爼上にのぼせていかなければならぬことになるわけです。この責任を自治体におっつける形になったのでは、どうも、片手落ちだろうという気がするわけであります。ここらのところをいま三つ申し上げましたが、これとあとは大都市の中で高速鉄道、地下鉄をやっているところでは、私の出身の横浜なんかもそういうふうに動いていて、四十六年までに一号線をつくろうというわけであります。ところが、この地下鉄が入ってくれば、東京の地下鉄一号線の例に見合った形で考えれば、なおのことその面で何らかの政治的な手を打たなければ、地下鉄そのものも行き詰まる、こういうことになる。  この六大都市の市長さんの会議では、以上のような点をあげて基本問題解決のための協議機関、いうならば大都市交通対策協議会みたいなものを設置して、大都市の言い分も十分そこで聞いて、企業体に責任を押しつけるのではなくて、国の政策という面からの解決をはかるべき筋合いではないかということに結論がなるわけですね。これらの点をおそらく自治省でも御論議いただいていると思うのですけれども、一体大筋どういうふうにお考えになっているかという点ですな。
  196. 細田吉藏

    ○細田説明員 都市交通の問題につきましては、私が申し上げるまでもなく、運輸省所管の問題と自治省所管の問題とございます。運輸省の中には都市交通審議会というものがございます。しかし、この都市交通審議会の答申等を私ども見ますと、やはりいまの通勤難をどう緩和するか。これはもちろん、たとえば東京なんかについては、交通機関の大合同論も抽象的には答申にはうたわれております。しかし、当面何を一番主題にやっておられるかというと、大都市における地下鉄の建設、これをどうやってやるべきか、あるいは通勤輸送をどう解決するかということに重点が置かれておるようでございまして、その市長会の御決議のものとちょっと角度が——本来はそういうものではございませんけれども、そういうかっこうになっておると思います。そこで私は、公営交通事業について申し上げますと、まさしく市長会のおっしゃるような財政再建といったような狭いものでなくて、やはり根本的な問題を——これは関係各省いろいろございます。たとえばいま優先輸送というお話がございました。交通機関の優先輸送の問題にいたしましても、私どものほうの大臣がもうすでに交通閣僚協議会——これもいままでの事故防止だけでなくて、混雑問題等も取り上げようということになりまして、これを閣僚協議会にぶつけております。しかし、それにしましても直ちに運輸省の問題であり、あるいは建設省の問題になる。まあ大臣は兼務ですけれども……。そういうことで非常に範囲が広くわたりますから、私は、どうしても政府全体としてそういうものをつくるという方向は、これを考えていかなければならぬ時期がきておると思います。いまおっしゃったように経済外的要素といいますか、公営企業が責任を持てないような事態が周辺にたくさん起こっておる、かように思っておるわけでございます。それから大都市の一元化にいたしましても、これは前々から実は交通関係者の中でも、あるいは地方行政関係者の中でもいわれておることですが、なかなかしかし困難です。しかし、早い話が、公営企業がたとえばもうちょっと路線を延ばせばもっと収入があがるとか、もっと合理的にいくという場合でも、やはり免許の問題を考えたならば、必ずしも思うとおりいっておらぬというような問題がございます。そういう点につきましては、私ども政府としまして、この問題がここまできておりますから、これは日本のいろいろむずかしい問題がある中で一番むずかしい問題の一つだと思います、そういう意味で内閣として真剣に取り組んでいただかなければならぬ。私どものほうの大臣もそのように思っておりますし、私どもも全部そう思っておるわけでございます。
  197. 大出俊

    大出委員 もう一、二問で終わりますが、これは大臣にもこの席で私、長時間何べんも質問をいたしておりますが、いま細田政務次官の答弁の中に、企業外的な要因というものをおあげになっておる。お認めになっておる。しかもそのことは企業に責任を負わせることは無理である、そういった要因、これもお認めになっておる。だとすると、つまり企業に合理化という形のものだけを押しつけて解決するというのは、もうその限度にきてしまっていると見なければならぬ都市が、全部とはいわないけれどもあるわけであります。たとえば路線の撤去の問題についても、あるいは四十八時間を四十四時間に変えろという問題についても、これは超勤とからみます。あるいはワンマンカーを走らせるという問題についても、自力でいろいろやれるだけのことは全部やってきた。自治省との見解の相違で一つ残っているのは、古い職員の方々、長年勤続した——たとえば交通というのはみんな平均二十年勤続以上でございまして、路面交通というのは早くからあったのですから、したがって、この方々はそれなりに給料が高いという面が、自治省側から見れば一号、二千円くらい高いのだから、そのくらい切れなんということを言うけれども、よしんばそれを切ってみたって、じゃ再建できるかというと、今日の事情はできない。だとすると、その問題は働いている方の生活、死活に関係するのですから、労使おのおのあるわけでございまして、なかなかそう簡単にはいかない、おのおのの組合を組織しているわけですから。だとすると、ここで企業外の要因をお認めになっているのだとすれば、自治省の側で企業の合理化だけに焦点を合わした解決方法というのは限界がきている、こう実は私は思うのでありますが、もしそうでないとおっしゃるなら ない理由をお聞かせいただきたいのです。私の出身の横浜なんか見ると、企業の合理化というとらえ方だけではもう限界である、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
  198. 細田吉藏

    ○細田説明員 先ほども申し上げましたように、合理化については非常に努力していただいておることは、これはもうはっきりしておると思います。しかし、余地がないかどうかという点になれば、これば私はないということはいえないと思う。ただ、そういうことだけで一体解決するのかというと、これはおっしゃるとおり限界があると思います。これは何らかの形で根本的なてこ入れをしなければ成り立たない、こう思っておるわけでございます。  そこで、それじゃいままでほったらかしておるのはということになるのじゃないかと思いますけれども、この点につきましては、実は私ども昭和四十四年度の各種の予算要求等につきましても、そういうてこ入れをする、あるいは国なり一般会計、各種の一般会計、そういったものにつきまして、できる限りひとつ考えていただかなければならぬ、こういうふうに進めておるわけでございます。
  199. 大出俊

    大出委員 ところで、六大都市が八賃解決をめぐって労使の交渉をおやりになって、おのおの貸し付け方式をとってとりあえず当面の歯どめをしておられるわけでありますが、このままでほっておけない。ほっておけないからこそ十五日ということで都市交通そろって意思表示をしよう、こういうことになってきておるのでありますが、この問題の解決に何かお考えがございますか。
  200. 細田吉藏

    ○細田説明員 十五日に予定されておるといわれるストライキ、これは困るのでございまして、法律の禁止するところでございますし、また一般市民の皆さんの足を奪う。そうでなくとも、いろいろ収入の面が減るだけでなく、一般市民の信頼感といったようなものもあると思います。私ども政府としては、これは避けてもらいたい。当然法の命ずるあれですし、避けていかなければならぬ、こう思っておるわけでございます。ただ、給与の問題、もうすでに大出先生御承知のとおりで、いろいろな便法が講ぜられておるということも承知しております。しかし、実際は知らぬことになっておるらしいけれども、まあ私はいろいろ聞いております。そこで、この問題につきましては、昨日も、私どものほうの大臣も組合の幹部の皆さんとお会いしておるようでございますし、私もただいままでお会いして、つぶさにいろいろ——ストライキの問題ではございません、賃金の問題につきましていろいろ承っておったわけでございまして、おっしゃるお気持ちというのは、私どもよくわかります。ただ、いま再建計画をやっておる公営企業については、三十八条によりまして一応とにかく独立採算のたてまえをとっておる、こういう一つのワクがあるものでございますから、そこでどうしても再建計画そのものをどう考えていくか、個々には具体的に出てきておるものもあるわけで、それをいま折衝というか、いろいろ詰めておる最中であります。そこで十五日だ、こういうような話があるわけでございます。私ども、先ほども組合の幹部の皆さんにも申し上げたのですが、事はやはり政治的な問題としてつかまえなければならぬと思います。いろいろな角度から公営企業というものをとらまえた上での解決方法でなければならぬ、こう思うわけでございまして、大臣とも十分よく相談をいたしまして善処をいたしたい、こう思っておるわけでございます。ただ、申し上げますように、三十八条という一応のワクを持っておりますから、その点でどういうことにいたしますか、私ども十分省内あるいは政府の中で相談をさしていただきたい、かように思っておるわけでございます。
  201. 大出俊

    大出委員 これで最後ですが、私のほうから申し上げておきますが、私横浜におりますから横浜の状態がよくわかるという意味で申し上げるのですが、他のほうにもそれぞれ理由はあります。ありますが、四十年度末における横浜の公営交通におけるいわゆる不良債務、再建計画その他をめぐる不良債務が六十六億八千二百三十六万一千円あった。これは自治省御承知のとおりです。これを解消するために、各種の企業の合理化もやろう、そして再建債の発行をひとつ認めてもらおうということで、第一号ということで自治省の計画に載ったわけでございます。そして、これは五十四年度までに、つまり十四年間で返済をしようということになっているわけでございます。  さて、そこでその後バスのほうの料金値上げその他のからみ合いもありまして三十円ということになっておるわけでありますが、運輸省には、よしんばバスのほうの黒字が出ても、それで軌道の赤字を埋めてはいけないなどという条件があります。それにもかかわらず、実はバスそのものを黒字に持っていくのになかなか骨が折れております。したがって、合理化の面ではいま申しましたように、いわばワンマンカーまで含めての合理化をやってまいりました。勤務時間変更までやってまいりました。それから始発あるいは終わりのほうの廃止、間引きなどいろいろやってまいりました。ところが、それも限界があるのですね。そこで問題は、昭和四十六年までに軌道電車のほうは全部撤去をしてしまう、こういう方針を立てているわけです。そうすると、これはずいぶん思い切ったことなんですけれども、バスを多少増発いたしませんと、それを利用している方々の足が拾えないのですから、その意味で総計いたしますと、六十車両くらいはふえなければなりませんが、それでも四十六年までに軌道は全部撤去しよう、こういうことです。ところが、四十二年度実績でいきますと、それだけ努力をしても、撤去することになっている軌道の赤字が年間十一億二千万円あるわけです。そうすると、撤去することをきめて、進めておいて、そしてそのつど試験などをやって、交通会計からほかのほうにどんどん配置転換をしていっているわけですから、減っていっている。かといって、いまいきなり全部路線を廃止するとどうなるかといったら、市民がおさまらない。利用しているわけです。それにバス路線というものとあわせながら、しかもそれがなくなるのですから、人をほかに移しながら、それを受け入れる横浜の他の会計の受け入れ体制も整えさせながら進めていこうとすれば、いま四十三年ですから、四十六年という限度を早めようにも早めようがない。そうすると、その間に累積をする赤字が年間十一億二千万円も出てくるとなると、それも交通会計の責任だからおまえさんたちがと言われてみても、さっきもお話に出ましたところの、細田政務次官が答弁されている企業外要因というものが非常に強い。賃金引き上げだって、企業外要因だといえる、物価が上がるわけですから。四十六年撤去をきめているのに、それでもいけないと言われてみてはやりようがない。物理的にできない。そうすると、累積をしていく赤字が六十六億八千万円、これはさっき申し上げた金額です。この時点の不良債務たな上げのときに軌道部分は一体幾らあったかというと、おおむね四十億八百万円、これは軌道部分だけ。それに、いま言ったように四十六年まで年間十一億からの赤字が累積する、こういうわけです。だから、私どもの立場からすれば、軌道はなくそうという方針で進んでいるのですから、そういう再建計画なんですから、だとすると、軌道部分というものは一応たな上げしてもらって、四十億八百万プラスあと四十六年まで撤去していく間に累積する赤字、これは一応たな上げしていただいてその分の起債を求めるなら求めるという形でその利子、国で補給した残りの利子、三分五厘までということになっておりますからそれは含めて、一般会計なら一般会計に持ってもらって、ともかく四十六年までに軌道はなくしてしまう、そしてバス一本で再建計画を立てていくのだというならば、先ほど申し上げた関係閣僚会議等で市内乗り入れなんかについての調整だとか大衆輸送方式優先だということをあわせ考えていただけば、バス路線についてものを考えればこれは再建計画ができるかもしれない。しかも、それでもワンマンカーというものをほとんどしなければなりませんが、そこまでの出血を覚悟してやればできるかもしれない、実はこう考えているのです。そうするとやっぱり、当面、そういったところまで自治省に踏み切ってもらわぬと、いかに一つの自治体があるいは一つの公営企業がさか立ちをしてみても、どうにもならない。よしんぱ金額の高い——これは長年勤続したから高いのですけれども、てっぺんを若干削ってみたからといって、若い人がたくさんいるのですからこれは成り立たない、こういうことになるわけなんで、ずっと詰めていくとそういった無理からぬところばかりが出てくる今日的状況だからこそ限界があると申し上げたのですけれども、そこのところあたりをお感じになるならば、さっき言われた善処をするという中に、まさにその善処という意味を前向きにお取り上げいただいて、そこまできめこまかな——個々に違うのでしょうけれども、やはり自治省がそこまでの親切な指導と配慮をこの際やる。そしててっぺんで、十月の七日に閣議で田中総務長官から提起されて、自治大臣もものを言い、総理もものを言って、交通関係閣僚会議を開いて検討しなさいということで皆さんのほうも出発しているわけですから、そういった施策とあわせて——これはストライキをするのがいいか悪いかということは労使双方の見解があるでしょうから別として、やはり片づけなければならぬ。それが廃止をするということ一つをとってみても、市民には一々生活上の問題とからむのですから、そういうことを含めて解決する方向への善処ということで御努力をいただきたいと思うのです。
  202. 細田吉藏

    ○細田説明員 各都市、各企業によりまして多少ずつ事情が違うと思います。そこで、いま横浜市を例にとっていろいろお話がございましたが、真剣にこの問題に取り組んでやれるようにしてやらなければ、独立採算といったって、むしろ守られないようなことをあまりいっておりますとかえって相手にしない、こういうことになると思います。  そこで私は特にいろいろな関係、これまでの私個人の関係もありますから、やはり自治省と運輸省というものが、特に交通事業の再建については呼吸を合わせないとうまくいかぬと思います。必ずしもぴったり合っておるかどうか、それぞれの立場もありましょうから、そういう点含めまして、この時点でここまできておりますから、独立採算ができるような経営の合理化も徹底的にお願いしなければならないし、いろいろ御無理もお願いしなければならぬと思います。とにかくいけるという長期的な見通し、こういう方向で真剣にこの問題に取り組んでいきたい、こう思っております。
  203. 大出俊

    大出委員 これは細田さん、私ども委員会で御一緒にやってきた仲ですから、もう御出身のことも私のほうもよくわきまえておる。だからこそ自治省と運輸省が一緒になってやらなければというお話もおできになるのだろうと思います。それだけにわかっておられる政務次官だから、実は事務当局おいでにならぬけれどもいままで質問を続けたということで、気持ちのほどもよくおわかりをいただいたと思いますから、ひとついま最後に言っておられますように、一つの企業に合理化をしろといった、これは再建方式の性格がそうですから企業は一生懸命になってやってきた、顕著なものがあります。しかし労使双方という形の交渉の場面もある限りは、そう一ぺんに何もかもいかない面もあり、ぎりぎりのところにきておる。そういう意味で前向きに、せっかく閣議でも提起をされて協議をされておるわけでありますから、早急にひとつこの問題の解決に御尽力をいただきたいということをつけ加えまして、時間の関係がございますので終わりたいと思います。      ────◇─────
  204. 三池信

    三池委員長 引き続き、国の防衛に関する件について質疑を進めます。鈴切康雄君。     〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕
  205. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど同僚議員から非常に重要な質問がなされたわけであります。それは防衛庁が一日、航空自衛隊の次期主力戦闘機を、米国のダグラス社のF4Eファントムを採用するに決定をした、そのようにいわれたわけでありますが、これは防衛庁決定であって、どこまでも内定であります。ゆえにその後来るものはやはり何といっても国防会議を経てそしてさらに閣議決定ということによって初めて正式決定というふうになると私は思うのですが、その点について国防会議にかけないという、そういうことは私にはどうしてもふしぎでならないわけですが、その点についてもう一度明確な答弁をお願いいたします。
  206. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほど来大出さんにも受田さんにも明確にお答えいたしております。すなわち、三次防の主要項目というものが昨年の三月十三日に国防会議にかけられまして、越えた十四日に閣議決定ができております。そこで新戦闘機は要撃能力の向上を血眼としてこれを選定するという、すでに委任事項が国防会議決定されたものと私どもは承知いたしております。そこであくまでも新機種選定は、国防会議の答申並びに閣議決定に基づきまして防衛庁長官という行政官庁の行ない得る行政行為である、あくまでも決定でございまして内定ではないのでございますので、行政官庁の行なった行政処分の一つである、こう考えております。
  207. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ここに防衛庁設置法の第六十二条に「国防に関する重要事項を審議する機関として、内閣に、国防会議を置く。」そして第二項第五号に「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というふうに規定されてあるわけです。そういうことから考えると、このFX機種並びに何機購入するかということは国の防衛については最も重要な問題ではないかと思うのですが、その点についてどうお思いになりますか。
  208. 増田甲子七

    増田国務大臣 お説は一応ごもっともでございます。しかしながらこの第五号というものは第一号から第四号に匹敵する重要事項、法制局とも打ち合わせをいたしましたが、こういうふうに考えておる次第でございまして、武器のうちで相当重要なるものでございましても国防会議にかけない。「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というのは、国防に関する基本方針、防衛計画、産業との関連の諸般の基本計画、それから防衛出動に関することと比肩すべき重要事項である、こういうふうに法制局も考えておりますし、われわれも考えております。そこで昭和三十四年のグラマン、ロッキードを国防会議にかけましたのは六十二条に根拠があるというふうに私は考えておりません。ただ総理大臣が、この六十二条の必要なる事項というふうに考えませんけれども、重要な事項の一つだからかけた、そこで今回も機種選定はすでに国防会議にかけております。その施行細目をわれわれが、つまり行政官庁である防衛庁決定できるのである、こう考えております。しかしこの決定あたりましても、やはり重要だと思いますから、機種選定ということは国防会議並びに閣議において私にまかされておると思いますが、大事をとりまして国防会議関係議員である閣僚とは打ち合わせをいたしまして、防衛上、技術上、事務上の良心にかんがみて最も適当であるものを選ぶからということで、それぞれ打ち合わせをいたしましたところ、全面的に防衛庁長官増田甲子七にまかせるからということでございました。そこでそれぞれの方々の——実は内部のことでございますが、サインもいただいております。それから総理大臣は防衛関係の最高指揮監督者でございますから特に御説明を申し上げまして、そうして御承諾を得た後に、防衛庁長官という行政官庁が新機種選定国防会議並びに閣議決定によってきまった方針にのっとって決定をいたした次第でございます。
  209. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国防会議のあり方としては、やはり何といっても一つはシビリアンコントロールの最も重要な、権威のある場所であるわけです。ゆえに、私は当然これが前にも行なわれましたP2VとF104J、このときにはすでに国防会議できめられて決定をしているわけです。そういうふうな観点から考えると、今度のF4Eファントムの場合においてもしょせんは何ら変わるところはない。やはりこれを国防会議にかけてしかるべきではないか。むしろ増田さんに多くの閣僚がまかされたというのでなくして、増田さんはこの問題について少なくとも国防会議を開いて、そして国防の問題について、この重要な機種選定にあたってはもう少し多くの意見を聞こう、そういうふうな姿勢になってしかるべきではないか、こう私は思うのです。その点についてP2VあるいはF104J、これがきまったときの時点と何ら遜色がないと考える。今度の機種選定にあたってどうして国防会議にかけないのか、かように私は思うのですが、その点どうですか。
  210. 増田甲子七

    増田国務大臣 国防会議にすでに新戦闘機の内容を示して、こういうふうなものさしで選定せよということが国防会議並びに閣議によって決定しております。その範囲内のことであるならば防衛庁長官がなし得ることである。もちろん防衛庁長官の独断はいけません。私はこの二年間苦心に苦心を重ねまして、そうして部下には君らを信頼するからしっかりやれ、そのかわりに技術的、事務的、防衛的良心の命ずるところに従ってやらないと承知しないぞということを固く命じまして、調査団長その他の人物を、鈴切さんがごらんになればわかりますが、私はほかの委員会においても申し上げましたけれども、この辺は神様以外の人でりっぱな人があるとすればそのような人という見地から私は選んだつもりでございます。そこでこの二年間もかかってやったことをまたやり直すとかいろいろなことをいたしますと非常に時間がかかる。形式的にでしたらすぐにもできるのですが、そういうわけで、二年間も苦労をして、それぞれのエキスパートが自己の良心の命ずるところで、ほんとうに神様のような気持ちに徹してこれがよろしゅうございますという上申と、私自身がいささかこの二年間調べた、また諸外国の例等が参酌しましてこれが一番よろしい、それから先ほども受田さんや大出さんに申し上げましたが、鈴切さんにもう一ぺん重ねて申し上げてもよろしいと思いますが、先月十五日にメーカーを、私も相談にあずかりまして、通産大臣が三菱がプライムである、それから川崎が従契約者である、こういうことできめまして、そのきめたと同時に諸外国に連絡をして、そうしてあなた方自身が——どものほうで調べたいろいろな書類もあるけれども、その書類を離れて調べてきてください、それはやはり神のごとき見地からよく調べてください、こう言いました。そこで二十八日に私のところに参りまして、ミラージュの線のことも申しましたし、CL1010のことも申しましたし、それからF4Eファントムのことも復命をいたしましたが、メーカー側の復命と航空幕僚長側の復命とがぴたっと合っているわけでございます。そこでこれはもうよろしいと、私は勇気をもって決定して差しつかえないと心組みをきめました。きめましたけれども、やはり総理大臣の御意向を伺う必要があると思ったので、各省の国防会議の議員にも大体こんなような結論になりつつあるがどうでしょう、それは増田さんが苦労したのだからおまかせします、こういうようなことでサインもいただいておりますが、総理大臣には、私の部下を連れてまいりまして、さらにメーカー側の復命等もあわせて総理お話をいたしまして、F4Eファントムが新機種として最も適当だと思います、それであったらそれを選んだがよかろう、こういうことで私が選定をいたしたわけでございます。
  211. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまお話を聞いておっても、この決定にあたってはやはり防衛庁の制服が軍事的要素だけできめられている、そういう色が非常に濃いわけであって、背広はそれに追随をしたというように世間ではとらえている向きもあるわけであります。日本には平和憲法というものが存在をしているので、他の国の憲法とはおのずと違う点があるわけです。やはり日本の政治姿勢の観点からこの問題を検討することがまず第一義的でなければならないし、ゆえにシビリアンコントロールの立場からも当然最高の国防会議にかけるのがあたりまえではないか、私はこう思うのですが、その点はどうなんです。
  212. 増田甲子七

    増田国務大臣 まず第一にユニホームのほうに引きずられているじゃないかという点、私はそういうふうに考えておりません。もちろんユニホームにも内局にも命令は下しております。諸官が良心に照らして最もよろしいと思う線を出すならば、これを委任する。そうでない場合には私が再検討を、これは幾らでも命じますから——そこでほんとうに鈴切さんもごらんくださればわかります。それぞれの人を、ユニホームの人はあまり国会に連れて来ない慣習になっておるそうでありますから、差し控えさせておりますけれども、良心に照らして、苦心惨たん二カ年間の検討した結果を尊重する。これはやはり行政官庁というものはピラミッド型で仕事をしておるのでございまして、その長といえば防衛庁長官でございますが、補助官府がたくさんあるわけでございまして、その補助官府の手助けを得なければ仕事をなし得ないわけでございまして、内局もユニホームも両方のものが最も適当だという線が出ておりまするし、私自身も諸外国の関係をずっと調べておるわけでございます。私の立場において。それで最も適当と思われましたから、これを決定いたしたわけでございまして、ユニホームに引きずられたということは絶対にございませんから、どうぞその点は御安心願いたいと思います。  第二の御質問は、国防会議のことでございまするが、重要事項は国防会議にかけるということは、原則的に鈴切さんのおっしゃるとおり賛成でございます。そこで新戦闘機について、国防会議の答申を読んでみます。その内容は閣議決定にあらわれた文章と同じであります。すなわち、新戦闘機種のことが書いてあるのでございまして、そういう尺度をもって、そういうものさしをもって選べと書いてある。それをしも選び得ないということになると、もう防衛庁長官は何も長官ではない。官庁にあらず、単なるタイピストみたいなものである。私はそうは考えていないのでございまして、ある程度の思慮、分別、判断によって決定したり、行政行為をなし得る、そういう官庁的色彩があるのが防衛庁長官であると考えております。
  213. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁長官国防会議に対しては、非常にこれは重要事項であるし、大いにそれをかけることは賛成だという話があったのですけれども国防会議の中において重要事項であるところの第三号の「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」というものを出しておる。これは国防会議でかけられたことがありますか、これだけ大切な問題ですよ。この問題をあなたのほうで何回国防会議にかけたのですか。それを答弁願います。
  214. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは細目は政府委員に答えさせますけれども、私は大綱お答えいたします。  まだ私が在任しておる二カ年間に、このことが国防会議にかかったことを知っておりません。これはやはり国防会議が主体性を持って、そうして計画を立てる。そうしてそれを国防会議にかけるべきものである。よその官庁にも関係することであり、港湾とか運輸とか、あるいは道路とか、あるいは産業全体のGNDだとか、いろいろな関係から見て国防との関係の産業の調整計画というものを早く立てまして、国防会議に早くかけてもらいたいと私は考えております。
  215. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まあその問題にしたって、いずれにしても、かかったというためしは、まだ私は聞いておりません。ゆえに、国防会議がそれだけ重要であるとすれば、やはり最高のシビリアンであるところの国防会議にすべてかけて、そしてそこでいろいろ練って初めて自信の持てる増田さんのことばが証明され、そして機種決定するというなら、国民はそれで安心できるわけです。しかし防衛庁長官は何でも知っているんだ、だから私にまかしてください。それくらいきめられなければ防衛庁長官といえないんだ、そういうふうなことを言ったならば、私は国防会議というものが、いかにも空洞化されてしまう、おそろしいことではないかと思うのです。エスカレートしていくような、そういう気持ちを私は受けるわけであります。ゆえに国防会議については、やはりこういうふうな機種も、それから何機だというふうにきめる機数も、すべて因果関係にあるならば、これはやはり国防会議にかけて、そうしてシビリアンで多くの論議をかわした上で増田さんの言われたとおりであるということになれば国民が納得するのではないか。私は、こう思うのですが、その点について、もう一度増田さんに、総理大臣に国防会議というものを開いてもらって——いずれにしても、きょうこうやって論議がなされた以上は、もう一度何とかその国防会議を開いて審議をやってもらいたい。そういうふうに総理に、あなたは進言する気持ちはありませんか。
  216. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、原則として、国防会議を尊重する。それから、むしろこれを活用するということは賛成でございます。  そこで、このことについて、なぜ私がこれだけ同じことを繰り返すかと申しますと、新戦闘機を選ぶということは、もう国防会議にかけてきまっているわけでございまして、その新戦闘機の選び方も国防会議にかけた閣議決定できまっておるわけでございます。すなわち、要撃能力を高めるということを主眼として新戦闘機種を選定する。これだけのことがきまっておるのでございますから、あとはその決定に基づく小使い役として私が働いて、新戦闘機は、現在存在いたしておるF104よりも要撃能力が高いということと、それから現在のF104ではないんだ——新しいというのですから、F104ではないんだということと、それより要撃能力が高いんだという、この二つのものさしが与えられてあれば、大体、技術的、純防衛的見地からこれを忠実に執行すればよろしいのでございまして、国防会議には新機種に関するいろいろなことが、もうかかっておるのでございます。かかっていないというふうに鈴切さんおっしゃいますけれども、かかっておるのでありまして、そのものさしに従いまして、半機械的に——悪い意味ではございませんよ、半機械的に選定をいたした、こういうわけのものでございまして、何ら政治的配慮も——悪い意味の政治的配慮も全然ない。われわれは忠実に国防会議の答申に基づく閣議決定に従ったのであるということを鈴切さんも御了解を願えれば、幸いだと思っております。
  217. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その機種をきめるという、そんな単純な問題では実はないわけです。すべてが、それが国防に対して、どれだけの大きな影響を及ぼし、そうして今後それに対してどのような働きをするかという、そういうふうな諸点を全部勘案した上において、そこまであなたが段取りを踏んでこられたとすれば、そういうものは最後はやはり国防会議にかけてしかるべきではないか、私は、かように思うのです。いま私はいろいろ論議をずっと聞いておったわけですけれども、軍事力の面だけを聞いておりますと、よりよい点について非常に論争をされておるわけです。そうしますと、平和を願う国民の側からいいますと、それは当然よりよいということ、また金を無駄使いされたらたまらないということはよくわかるけれども、しかし、それかといって戦争に巻き込まれるということは、これはもう全く避けなければならない、こう思うのです。  そこで、日本の国には平和憲法というものがおのずとあって、そのワクがはめられているいるわけでありますが、専守防衛と抑止力とに限定されているわけですが、憲法上、当然できない範囲はどのように考えておられるか、その点について、増田さんの御意見を伺いたいと思います。
  218. 増田甲子七

    増田国務大臣 鈴切さんにお答え申し上げます。  これは鈴切さんが、たびたびの国会でお聞きのとおりのことをまた繰り返すことになりますが、外国に脅威を与えず、しこうして侮られず、こういう見地を私の信念としても、また国会の皆さまに対しても責任をもって答弁いたしております。答弁したから、それにあくまでどんなことがあっても拘束されるというものでは、これはないと私は思いますが、私は、やはり答弁に対しては、相当の責任を負うべきである。自分の信念が答弁に反しているかというと、自分の信念が、たびたびの国会において御答弁申し上げた内容と反していないのであります。信念からいっても、外国に脅威を与えず、しこうして侮られないという要撃機選定が必要である、そういう見地から良心的に選んだものでございまして、私の良心というのはいまこのF4Eというものを選んだということについて非常に満足しておる状態でございます。それから皆さまにも申しわけが立つ、というのは、外国に脅威を与えないということで、F4Eが核兵器を搭載し得るとか、あるいは爆撃装置があるとかいうものがいまF4の外国における姿でございますが、それを全部取ってしまうのですから、それを取ってしまって外国に脅威を与えない、さればといって全然無力でも困る。すなわち外国から侮られない、それだけの範囲の新しきF4Eをつくるわけでございまして、F4Eというものは鈴切さんの御心配にならないような範囲のものである。それで、私が無理をさせてでも各種の爆撃装置は取ってしまう。大出さんが、懸吊装置があるじゃないかということをきょう午前中おっしゃいましたが、これはごもっともな御質問でございます。そこで、懸吊装置はありますが、これは他のスパローだとか、あるいはファルコンだとか、あるいは油を積むタンクだとかそういうものを懸吊するところへ懸吊し得るわけでございまして、そのための有効なる爆撃装置はない。結局、海上もしくは陸上の支援行動をなし得るだけのものでございますということを前に国会でたびたび私が申し上げて笑われましたけれども、それではどうやって支援行動として爆撃をやるのだという御質問がございました。そのときに私は腰だめでやるのだということを言っておりましたが、腰だめでやることに結局なるわけでございます。そういうわけでございまして、不侵略であり、脅威を与えないし、侮られない。こういう線としてまずこれ以上のものはないというのが私の良心の声でございますことを鈴切さんにおいて御了解を願いたい次第でございます。
  219. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま、脅威を与えない、そして侮られないという、そういうふうなことから、私はいつも裏解釈がなされながらエスカレートしているような感じを受けるわけです。きわめて重要な攻撃力のある第一線機を兵器として持つことは他国に脅威を与えることに当然なると私は思う。制服の立場では、よりよい、そして高いものを持ちたがることは当然であるけれども、私はそこで、自衛力の限界というものはどういうところにあるのか、そのことについてお伺いします。
  220. 増田甲子七

    増田国務大臣 自衛力の限界ということは、国民一億の団結体である国家の生命というものは悠久でございまして、この一億国民を守り、国家を守る、こういう常識の線できまるわけでございまして、先ほど脅威を与えてはいけないということで戦闘機を選んだというのも憲法九条の精神に照らしまして日本の自衛力というものには一定の限界がございますから、そこで、その機器も取りはずしを命ずる。こういうわけでございまして、自衛力の限界というものは常識できまるものである、こう考えております。
  221. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ファントムは自衛力の限界を越すほどの攻撃力を持っている性能の高い機種であります。ベトナムでいえば、爆撃の中心であったし、またファイターボンバーとかあなたがしょっちゅう言われる有名な機種であります。そうすれば、相手に完全に脅威を与えないなんということはとうてい考えられないと思うのですが、その点はどうですか。
  222. 増田甲子七

    増田国務大臣 鈴切さんがベトナムのことを言われましたから、ベトナムのことにつきましては、先ほども私は他の国会議員にお答えいたしたと思いまするが、ベトナムで活動したことは事実でございまするが、これは航空母艦から発進しておる、トンキン湾上、海南島の少し南のほう、それからトンキン湾といいますか、とにかく北ベトナムの東のほうの洋上から発進しておるというふうに聞いております。グアムなんかからとうてい発進できませんし、タイからもおそらく距離の関係で発進していない、こういうふうに考えるわけでございます。爆撃をしておることは事実でございますが、爆撃をしておりましても、われわれはベトナムで行なった爆撃というようなことは、おそらく爆撃装置のもとにしておるでしょうから、そういう爆撃装置はこれをはずすということにいたしておるわけであります。そこで、きわめて近距離から往復しておるというのが実情のようでございます。ようというのは、あまりはっきりわかりませんからそう申し上げるわけでございます。
  223. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 近距離といったって、いまの航空技術からいうならば当然空中給油というようなやり方等もあるわけであります。だから足が短い長いということも、それは大切な問題があるにしても、もうすでにそういう段階に来ているわけでありますが、それではF104Jがファントムに比べて使用にたえないものであるか、その点について相対でひとつお伺いしたいわけでありますけれども、まずファントムと104Jについての航続距離、それから完全武装時の飛べる距離、それからスピード、巡航速度、上昇限度、武装、こういう点についてひとつお伺いしたいと思います。
  224. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 ファントムと104Jとの比較でございますが、重量で申し上げますと、ファントムが約十四トンに対しまして、104Jは約六・五トン、全機重量で言いますと、ファントムが二十六トンで104Jが約十トンでございます。エンジンは、ファントムが二基で、104Jが一基でございます。それからエンジンの推力は、ファントムが約八トン、104Jが約七トン程度でございます。スピードで申し上げますと、104Jが約二マッハ、ファントムは二マッハ以上でございます。それから上昇限度で申し上げますと、ファントムが約一万八千メートル、104Jのほうは約一万五千メートルでございます。それから航続距離の点でございますが、フェリー、つまり武装しませんで、タンクをつけるだけつけまして飛ぶだけ飛ぶという単純な計算でございますけれども、その場合に、ファントムがノーチカル・マイルで言いまして約千六百、キロで言いますと約二千九百キロ程度、それに対しまして104Jは約千七百キロ程度でございます。要撃の半径で申し上げますと、二種類ございまして、アフターバーナーを吹かせて急に上がるダッシュプロファイルと言っておりますが、これは距離が短くなります。常用推力でわりあい燃料を節約して遠くに飛ぶという場合もございますけれども、その短いダッシェプロファイルのほうで申し上げますと、ファントムが約百海里、104Jはその約半分程度でございます。それからロングプロファイル、常用推力で飛ぶ場合でございますけれども、ファントムが約四百五十海里、104Jはやはりそれの半分程度でございます。  それから支援戦闘でございますが、これは爆弾を積みまして行く場合、対地支援の場合でございますが、ファントムが約四百海里、104Jは、これもやはり半分程度でございます。  それから、基準の兵装を申し上げますと、ファントムは、レーダーミサイルと赤外線ミサイルと両方、スパローとファルコンの両二種を兵装いたしまして、四発でございます。それから104Jのほうは、赤外線ホーミングのサイドワインダーを二つしか積めません。  それから、爆弾搭載の量でございますが、ファントムのほうは、二百五十キロにしまして通常は四発、最大にしまして八発程度、104は、二百五十キロにしまして二発程度でございます。  それから、離陸距離は、ファントムが約千メートル、104Jは約千二百メートル。着離距離は、ファントムが七百五十メートル、104Jは九百メートルでございます。したがいまして、所要の滑走路長は、ファントムが二千二百メートル、104Jは二千七百メートル、こういうようになっております。  大体、以上でございます。
  225. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまこまかいことを言われましたけれども、そういうお話から察しますと、まず非常に足が長いということ、これは言えると思うのですね。それから、武装がF104Jとはまるっきり違うということ、それからレーダーがまるっきり違ってくるということですね。そうなると、要撃能力よりも主として攻撃能力のほうに重点が置かれたようにも思われるのですが、そこで、先ほど増田防衛庁長官が、爆装でも空対地ミサイルでも、それは全部取りはずしてしまうんだというふうに言われておったわけでありますけれども、これはいつでも取りつけようと思えば取りつけられる状態ではないか。国内生産であればなおさら、それを容易ならしめる問題であると思いますが、そうなってまいりました場合には、それがF4Eそのままもう相手方に脅威を与えるものである、こう私は思うのです。その点はどうなんですか。
  226. 増田甲子七

    増田国務大臣 行動半径その他から見まして、重装備をいたした場合には、百ノーチカルマイルということでございます。それから軽装備で爆弾だけという場合でも四百五十海里、すなわち七百三、四十キロでございます。そこで、わが国から七百二、三十キロの線を引いてみましても、主要なる外国はどこにも入っていないわけでございまして、千島等は、これは別でございます。これはわが国固有の領土であるかどうかをいま私どもは真剣に争っておるわけでございますから、これは別でございまするが、あとは、日本のファントムを置くというところから半径を描いてみましても、攻撃が主目標であって要撃は従目標であるというようなことまでは、鈴切さん、おっしゃっていないと思いまするが、私どもは、支援という場合には、海上、陸上の支援はいたしますということを申し上げております。すなわち、爆弾投下をいたします。海上自衛隊を支援する、陸上自衛隊を支援する、この場合にはいたしますが、侵略勢力の相手方に脅威を与えるということまではしない。自衛を目標に新機種を選んでおるわけなんでございます。
  227. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 相手方に脅威を与えないとあなたは言っても、相手方が脅威を感ずるわけです。少なくとも爆装でも空対地ミサイルでもつけないとは言うけれども、実際にもう国内生産をするわけでしょう。国内生産をやりますと、いつ何どきだって、そういうものを取りつけようと思えば、取りつけられる技術はもうあるわけですよ。そうすれば当然に相手方に脅威を与える。相手方に脅威を与えるからこそ抑止力になるんじゃないですか。抑止力と脅威とは、私は、うらはらの関係にあって、抑止力を高めれば高めるほど相手方に脅威を与える関係になるんじゃないですか。その点はどうですか。
  228. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは社会通念、常識というようなものも働かして、単に武器関係だけでなしに、良識の豊かな鈴切さんにおいてもお考え願いたいと思うのですよ。それで、わが国を侵略せんとするものにとって都合が悪いということが脅威とは普通は言わないのでありまして、そのものの存在それ自身がもう脅威になっておるということが脅威でございます。暴行を加える者から見てどうも都合が悪いというものを脅威と見るならば、ピストルも出刃ぼうちょうも、こちらで護身用のものを持っておっても脅威ということになりますが、そうではない。社会通念上客観的にきまるものである。すなわち、外国に対して脅威を与える武器であるかどうかといえば、私は、要撃能力が高まった武器である新戦闘機種は脅威とは考えていないのでございます。
  229. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに脅威という問題についてはいろいろの要素はあるでしょう。しかし、脅威の中には、脅威の大きさは、こちら側の軍事力または対抗策との関係できまる相対的なものでもある、こういうことになれば、私は、そのものずばりじゃないかと思うのですね。やはりいまのファントムは完全に相手方に脅威を与える状態になる。それはほかにもあるでしょう。しかし、ファントムを取り上げれば、完全に相手方に脅威を与える、そういう状態になるわけです。いつも脅威を与えない与えないといいながら、それは一つの抑止力を高めるということだけでどんどんとエスカレートをしている。そこに私は、攻撃力のある兵器をつくられていくことによって、非常に危険を感じているわけです。裏解釈をもってなしくずしをするような考え方というものは、もはや私は、そこは憲法の解釈においても、すべて第九条に抵触するものである、そのように私は思うのですがね。この点どうでしょうかね。
  230. 増田甲子七

    増田国務大臣 わが国が一定の防衛力を持っておって、かりにですよ、わが国を侵略せんとする勢力ら見て都合が悪い、そこで日本を侵略しないというようなことになれば、これは思うつぼでございまして、われわれは、侵略を受けないために、侮られないために自衛力を備えておるのでございまして、侵略せんとする側から都合が悪いということを脅威とするならば、ちょっと脅威ということばの乱用になりはせぬか。私どもは、やはりオフェンシブかディフェンシブかということは、客観的にきまると思うのです、侵略的の武器ではないのでございますから。ところが、日本に侵略せんとして進攻してくるものに対して要撃して撃ち落とす、それだけの力は備えていないと、国民から高い税金をいただいて、何もしちゃいないじゃないかということになると、申しわけないという心持ちのほうが先でございます。そこで、侵略せんとする勢力はどこかわかりませんけれども、そのほうから見て不都合だということは、こちらとしてはけっこうなことでございまして、それをしも脅威というのでは、まさか鈴切さんはおっしゃらないと思います。それは脅威ではございません。もう最初から攻撃的な武器である、侵略的な武器であるということは客観的にきまりますから、それが脅威でございます。そこで私は、爆撃装置等を施してあればいけないからという——足が短い、長いという論争は去年実は終止符を打ちまして、そこで、爆撃装置を施さぬか施すかということにつきまして、来たるべきFXに対して爆撃装置を施すということは、外国に対して脅威を与えるやもしれませんから、これを施しませんというのが、最後の結びとしての私の答弁でございます。また、佐藤内閣総理大臣も、爆撃装置は新戦闘機に対してはこれを施しませんということを明確に、私の言ったことと同じことを答えております。すなわちそれが脅威ではないということでございます。
  231. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 憲法第九条にはいろいろ規定されております。戦争の放棄ということ、軍備及び交戦権の否認という問題そのほかありますけれども、その中で戦力の定義をどのように長官は解釈されていますか。
  232. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはまあ昔のことしか私はよく存じませんけれども、前に私が官房長官のころ答えておったことで申し上げさせていただきますと、近代戦争を有効に遂行し得る力、こういうものを戦力であるというふうに答えておりました。その後の段階でもし変わっておるならば修正申し上げることを条件に一応のお答えをさせていただきます。
  233. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 吉田さんのときに、たしか自衛のためであっても戦力は持ってはいけないという答弁がなされたと思うのですが、その後鳩山さんにおいては、自衛のための戦力は持ってもよいというように変わってきていると思いますが、いまの政府の統一見解では、自衛のためには戦力は持ってもよいと解釈をされておるかどうか、もう一度その点……。
  234. 増田甲子七

    増田国務大臣 戦力といえないと思うのです。近代戦争を有効に遂行し得るということになると、長距離爆撃機も入りまするし、ICBMも入るし、ポラリスも入ると私は見ております。そこで、そういうものは一切持たないし、それから戦闘機というものは、これは要撃能力だけのものなんです。その戦闘機すら中の爆撃装置をはずすというのですから、憲法九条第二項のいわゆる戦力ではない。最小限度の自衛力は憲法九条の禁止するところではない。しかしながら憲法九条一項、二項は、最小の自衛力はこれを禁止するものではない、こう考えております。  それから、鈴切さん御存じでございましょうが、憲法九条第一項のような条文を憲法に持っておる国はたくさんあるわけでございまして、共産圏と北アメリカ合衆国はないようでございますが、あとの国には憲法九条一項のような憲法は持っておりまするし、また私どもの若いころ締結いたしまして、現在も有効であるケロッグ国務長官の提唱した不戦条約というものがいまでも六法全書に載っております。その中にも憲法九条一項のようなことがあるのでありまして、すなわち侵略はこれを行なわない、戦争はこれを犯罪と思って否認する、こういう条項は、そういう憲法九条一項みたいな憲法を持っていない国々でも同様な文章があり、国際紛争を解決する手段として武力、武力の威嚇もしくは戦争という手段には訴えないということについては国際的の約束がされてあるし、国家間の義務であるということをこの際再認識する意味におきまして自分に言って聞かせるつもりで鈴切さんにも申し上げるわけでございます。
  235. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 戦力とは近代戦の遂行能力である、そういうふうにいまお話がありましたけれども、それじゃ戦力の許容限度はどこを基準としてきめられているか、具体的にひとつお知らせ願います。平和憲法下において戦力の許容限度をどこに具体的に……。
  236. 増田甲子七

    増田国務大臣 具体的には、今度選ぶFXすら爆撃装置をはずすのですからその辺が限界だと思っております。  それから、もとより非核三原則というものを佐藤内閣は堅持しておるわけでございまして、この範囲のことも守りまするし、それから国会においてしばしば御質問が皆さまからございました、つまり長距離爆撃機のごときものは、これは侵略的な攻撃的なものを主として目的としておりまするからこれを持たない。単なる足の長さ短さではないということで、あとで私が修正したことがございますが、現在われわれの保有しておる段階が最小限度の自衛力という範囲だと思っております。ただしかしながら、これはやはり相対的のものでございまして、どんどん向こうが自動車、飛行機といくのに、こちらがいつまでも馬車でいくというわけにもいきませんし、相手方によってある程度の上下はいたすけれども、現在申し上げ得る段階は、われわれは憲法九条にいわゆる戦力にあらずというわけで、しかしながら自衛権はあるわけでございますから、これは国家としては当然固有のものであります。でございますから、その範囲のものを持つことは憲法九条一項、二項の禁止するところではないという信念を持っているわけでございます。
  237. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 核を持たないということは、再三防衛庁長官も言われているわけですが、近代戦の遂行能力ということから考えると、それでは核を持たないという限度においては、相手方の戦力が増強すれば、それにつれてどんどんどんどんエスカレートしていくというところまでこれは自衛権の範囲である、そのように増田さんはお考えになっておりますか。
  238. 増田甲子七

    増田国務大臣 私が申し上げたのは、いまの自衛力でどんどんエスカレートすると言われると困りますから、そこのところを注意して申し上げたわけで、ただいまのところはあの範囲が自衛力の範囲だと思っております。すなわち、来たるべきFに対しましては爆撃装置を施さない、この範囲だと思っておりますが、しかし相手のあることでございまして、軍事科学の進歩によりまして、どういうふうに変わるかもわからないという非常に希有の場合でございますが、多少の上がり下がりはあり得るということでないと、国民が非常に不安だと思っております。ただしかしながら、現在存在いたしております潜水艦から発射する中距離弾道弾だとかあるいは大陸間弾道弾だとか、IRBM、MRBMというものがあります。そういうものに対処するためにわれわれは核兵器は持たない、持ち込まない、製造しない、この三原則を堅持しておるわけでありまして、それが近代戦——つまりそういう場合にはどうするか、そういう場合にはアメリカの強大なる核抑止力、つまり核抑止力とは、御承知のとおり、核を保有しておるために核戦争がないということでございます。核戦争をなからしめるその抑止力に依存をいたしておるわけでございます。
  239. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、結局は戦力の許容限度というものは近代戦の遂行能力が高まれば高まるほどどんどんエスカレートしていくのだというふうにどうも私はとれてしかたがないわけです。なお、さっきもお話がありましたように、脅威と抑止力との関係はまさにうらはらの問題であるし、こういうふうな巧みな近代戦遂行能力があるというような、こういう解釈の、まことに抽象的なことからどんどんエスカレートするような感じを実は受けるわけです。  私一つ聞きたいわけですが、鳩山さんが言われた非常に有名なことばであります。増田さんもときたまこれを引用されますが、座して死を待つより施すすべのない場合には敵基地を攻撃することは自衛の範囲である、こういうふうに言われている。こう耳に入ってきますと、いかにも名文句のように感じますけれども、これを分解してみると、非常に危険なところもあるのではないかと思うのですが、具体的にはどのような場合ですか。
  240. 増田甲子七

    増田国務大臣 具体的にはよくわかりません。わからないのです。
  241. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 具体的にはわからないものを、これをいかにも政府答弁みたいな、しかも引用するという危険はよしてもらいたいですね。訂正してもらいたいのです。
  242. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は訂正は必要でないと思っております。従来からそういうことを言っておるのでございまして、わが国が座して死を待つ以外にほかに方法はないという局限されたような場合においては、わが国を侵略する相手側の基地をたたくこともあり得ると言った鳩山さんの答弁は、多少表現の内容は変わっておりますけれども、あり得るということは、従来から、昭和三十四年の段階においても言っておるのでありまするし、私も言うわけでございまして、そうでないと国民が非常に不安がる。その敵の基地をたたく者はだれがたたくかは、これは別問題でございますよ。日米安保体制でございますから、共同防衛の相手、われわれのパートナーがやるかどうか、その辺まではわかりません。でございますから、一つ一つの場合を想定したり、特定の国をさしていろいろ言ったりする危険がございますから、そこで、わからないわけではございませんけれども、架空の場合を想定して、言えといえば幾らでも言えないことはございませんが、それはもう千差万別、たくさんの現象が想像されるわけでございます。でございますから、一応申し上げかねる、こういったわけでございますので、あしからず、おとりを願いたいと思います。
  243. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 敵基地を攻撃することは、自衛の範囲と解釈もされるということなんですが、自衛の範囲ということになりますと——結局自衛というのは、こちらで守るということですよ。そうすると、これを攻撃するということは、そちらを攻撃するということになる。そうでしょう。そうなったときに、敵基地を何で攻撃されますか。
  244. 増田甲子七

    増田国務大臣 とにかく、法理論として私が言ったことを今度は具体的に、あとは八幡船みたいなものでやれとか、あるいは運送船でやれとか、あるいはC46みたいなものでやれとか、いろいろ言われても、それはちょっと困るわけでございまして、ケース、ケースによって、こういう場合はどうなるかということをほんとうにお聞きになれば、私も答えられないわけじゃないのですよ。幾らでもお答えいたしますけれども、ただ、自衛力の名においてどんどん脅威的にエスカレートするんだというようなお話は困ります。これは、そんなことがないために、F104というものが、現在保有しておる能力さえ落としてしまうわけですから——爆撃装置を落としてしまいます。でございますから、あとは憲法上自衛の範囲において敵基地をたたくこともあり得る。そのあり得る場合はきわめて局限された場合であって、万策尽きて、これ以外に方法がないという場合に、わが国を攻撃しておる敵の基地をたたくこともあり得る、こう言っただけの話でありまして、具体例を述べろというと、いろいろ差しつかえもございまして、なかなか言いにくくなりますが、私があなたに確信を持って申し上げられるのは、自衛力の名において脅威的の武力を絶対にエスカレートしないのであるということだけは申し上げられます。
  245. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 自衛の範囲であればそういうこともあり得るということになれば、当然相手方を攻撃できる戦力を持つということになるわけですね。まさかぶうっと飛んでいってばあっと帰ってくる、それは攻撃にならぬのですよ。そうでしょう。少なくともそういうことになるわけです。そうすれば、完全に相手方に脅威を与えるし、また攻撃力のある兵器を持つということで、私は憲法に違反する、そのように思うのですね。この鳩山さんの解釈というのは、非常に危険な要素を含んでおる。そして、これを巧みに使いながら今日までずっとお茶を濁してきた、私はそう思えてならぬのですが、この点について……。
  246. 増田甲子七

    増田国務大臣 私はそう思いません。ごまかしでも何でもないのでございまして、憲法九条一項、二項というものは、比較憲法学でも私は研究しております。そして、比較憲法学からいって、憲法九条一項を持っている国はたくさんあるのでございますが、第二項のような憲法を持っている国は日本だけでございます。そこで「前項の目的を達するため、」という字を生かして使えという論者もあるにはあります。これは論者ですよ、どこにおるかわかりませんが。われわれは狭く解釈しておるのでございまして、結局戦力になるようなものは持たない、こういうことに徹しております。しかしながら近代戦においては核戦争も予想できるわけでございまして、それがあっては困りますから、米国の核抑止力によるわけでございます。そこで万々一というような、非常に局限された場合、万策尽きた場合に、座して死を待てというのは憲法の趣旨ではないから、その局限された、きわめて希有な場合には敵の基地もたたき得るが、たたく方法等はまだわからない。一応アメリカにたよるかもしれませんが、その点はまだわからない。要するにポシブルかどうかというときに、従来ポシブルである、そういうことは可能であるということを、ずっと鳩山さんのみならず、昭和三十四年においても政府の、基地攻撃に関する統一解釈として申し上げておりますし、このとおりの文句が官報の速記録にも載っておるわけでございまして、その内容を私が申し上げておるだけでございます。
  247. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 FX決定にあたっては、防衛構想の上から、日米安保下にあっては、日本はどういう規模の防衛範囲を考えておるか。抽象的には何だかんだと言われておるが、具体的にひとつその点をお伺いしたいのです。
  248. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本の国家目的としての自衛はどんな範囲か、この御質問にまずお答えをいたします。  私は、日本の自衛というものは、日本の領土、領海、領空を守ることである。それからもう一つありますのは、日本の商船というようなものは、外国の領海に入るまでは日本の領土として扱われております。所要の場合には、日本の商いの船でございますね、商いの船を守るということも、これは日本の領土の延長と認められておりますから、これを守る。この範囲でございます。FXがどう働くかということは、前からも申し上げておるとおり、日本並びに日本周辺の、日本に侵略せんとするものに対する要撃能力だけを中心に見ておるだけでございまして、陸上支援能力とか、海上支援能力というのは、日本の領海、領空、領土並びに領土の延長である日本の商いの船等が侵されることを防ぐ。防衛出動がもちろん前提になっておりまするが、その防衛出動の場合には、これを守る。スクランブルの場合にはスクランブルの規定がございます。すなわち自衛隊法八十何条かによって、今日ただいまの時点においても、日本防空をいたしておるわけでございます。
  249. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いままでは、よく答弁なんかでは、日本は要するにたての役目であるし、それからアメリカはやりの役目だ。なお日本は内線防衛であるし、アメリカは攻勢防衛だ、そういうようなことを聞いておったのですが、その点、そのとおりですか。
  250. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 ごく比喩的に、そういうことが言われておりますが、比喩的に言えば、日本はもともと攻勢ということを考えておりませんで、空で言いましたら要撃一本、領土内の対地支援ということのほかは防空要撃一本でございます。アメリカのほうは、世界全般のことを考えておりますし、極東のことを考えました場合にも、先ほどお話の出ましたいろいろな要撃のほかにも基地をたたく、その他のことはやり得ると思います。そういうことから片一方はやりであり、片一方はたてであるというような比喩が言われておることだと思います。
  251. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 在日米軍のいまの主力戦闘機はファントムですね。ファントムでございますけれども、結局日本の国も同じ戦闘機をそろえるということになりますと、ちょうどアメリカの極東戦略の一環として非常に近づき、危険になってくる。しかもいまあなたの言った、そのたてとそれからやりとの関係というものは、いつ何どきでもくずれるという状態になりやしませんか。
  252. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 日本のたてがくずれるということはないと思います。先ほど長官からたびたびお答えがありましたように、日本は憲法九条を持っておりますし、そういう法律上の問題から見ましても、さらに政策上の問題から見ましても、さらに今度のFXその他の持っております機能、性能から見ましても、たての線がくずれるということはないと思います。
  253. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、在日米軍がやはりファントムを持っておる。今度はこちらもファントムを持っておる。しかし、それはいつ何どきでも、たてもやりもともに交差できる、そういう要素を多分に私は持っておると思うのですね。要するに米軍のコミット体制として、もし三十八度線に紛争が起きた場合——もしですよ、もし三十八度線に紛争が起きた場合に、在日米軍がやられたというときは組み込み体制の中に入れられてしまうじゃないか、そういう危険を十分に感ずるのですが、その点どうなんですか。
  254. 増田甲子七

    増田国務大臣 極東における出撃をする場合には、交換公文の関係で事前協議の対象になります。その事前協議のときに政府がどういう態度をとるかということは、一々のことまでは鈴切さんにお約束できませんけれども、われわれは、交換公文には書いてございますけれども日本を基地として出撃するというようなことはあまり好んでいないということだけは申し上げます。
  255. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まあ補助的な役目といっても、しょせんはF4Eファントムというのは、もうすぐにやりそのものの姿になってしまうわけです。たてがやりにさっと変わってしまう、そういうふうな非常に危険な要素を持っている。今度新しく大統領になられたニクソンさんが、アメリカ防衛を肩がわりするような要望が非常に強いように私は感じているわけですが、極東在日米軍はファントムが主力であるし、同じ機種を採用すればアメリカがファントムを引き揚げても肩がわりを容易にして、アジア防衛日本に肩がわりするんではないかと、非常にこのところ危惧するわけであります。国民も、ニクソンさんが当選したときに、すぐにそのことを感じられたのじゃないかと思うのですが、その点について増田防衛庁長官の所見をお伺いしたい。
  256. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもは初めから自主防衛の線をもう少し上げていかなければ——GNPだけが世界第二位になって、そうして自衛さえできないで、ほとんど半分以上のものを日本を守るためにアメリカにたよっておる、こういう現象は、世界的に見て、日本が経済的な利己的動物であると言われたゆえんもそこにあるんではないか。中近東のある国から、日本人が、総理を含めて言われております。でございますから、みずからの国はみずからの手でというような訓辞を総理がされておって、非常にりっぱでございますが、それをされるならば、それにふさわしきある程度の自衛力の漸増をはかるということが新安保条約第三条の精神でもございまするし、多少ずつは上げていかなければ一つまり、それでもやっかいになるのですから、やっかいになる程度を少なくいたしてまいりたいと思っております。これはやはり誇りある国民としても当然のことではないか。極東に関係することじゃないのですから。わが国を守るのに、いまわが国の半分以上の力をアメリカに依存しておる。つまり防衛力ですよ。防衛力の半分以上を依存しておるというようなことは、非常にさびしいことだと私は考えております。  それから、鈴切さんが前におっしゃいました、F4ファントムを備えるとアメリカF4ファントムとも同じではないかという点は、違うのでございまして、こちらは爆撃装置は施しませんから、すなわち、たての、防衛の作用は営みますが、ほかの、攻撃の作用は営まないわけでございます。
  257. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど私が申し上げましたとおり、とにかくF4Eファントム、それがライセンス生産で行なわれるということになれば、これはいつ何どきでも爆撃能力、あるいは兵器を積めばもうすぐにやりになってしまうのですよ。もう十分そういう可能性だってあるわけです。私は、だから、そういう意味において、いつ何どきでもやりとたてとが変わる危険性が非常にあるということを申し上げたわけです。  そこで、ニクソンさんが大統領になられたわけですが、ニクソンさんはいままでいろいろ言われているわけですね。それに対して、増田さんとしてはニクソンさんが大統領になられて、日本防衛に対してはどのような状態に今後変わっていくか、それについての所見をお伺いいたします。
  258. 増田甲子七

    増田国務大臣 国防長官くらいと私どもが話をするならばなんでございますが、ニクソンにはちょっと取っつきにくいわけでございまして、総理大臣等に聞いていただきたいと思いますが、私は日米関係はそんなに変わってこないと思う。ただ自主防衛の線は、自分の国くらいはもう少し自分でやったらどうかくらいなことは、ジョンソンさんのときだって言っておるのですから、ニクソンさんのときも同じように言うであろう、こう考えております。これはあまり公にしたことはございませんが、私一人がちょいちょい言われているのです。私は、東南アジアという開発途上国に経済的の支援を行なっております、これがどういうことを意味しますかなんということをよく聞かれますから、それは極東並びにアジアの平和と安定に非常に貢献しておるのです、こういうふうに答えておりまして、日本の自衛力自身を漸増するというような関係については、彼らとコミットするというようなことはいたしておりません。われわれはわれわれ独自の考えで、また財政の許す範囲におきまして、自衛力を国力に応じて漸増してまいればよろしい、こう考えておるものでございます。
  259. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 商売でもやはり取引というものがあるわけですね。なるべく安く買おうというのは商売の常道だと思うのです。ところが、増田長官FX決定は、ちょうどジョンソンさんが北爆の停止のことを全米向けにテレビ並びにラジオで発表されて二時間後にあなたはやったのですね。そうなんですよ。そうすると、ぼくはずいぶんおかしなものだと思うのですね。こういう問題については、なぜもう少しあとでゆっくりとおやりにならないのですか。ジョンソンさんが今後ベトナムで北爆を停止して平和にいけば、FXのファントムは幾らだってできますよ。そうすればこちらでは幾らでもたたけるのじゃないですか。どうも増田さんともあるものが、商売のことにおいてまことにへたというか、そんなに何か内密的なことがあるのですか。
  260. 増田甲子七

    増田国務大臣 何ら内密的なことはございません。
  261. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ジョンソンが北爆を停止するということは、先に日本の国にある程度知らされてきているわけですね。あなたはいつそれを御存じになったのですか。
  262. 増田甲子七

    増田国務大臣 あんまり存じません。
  263. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 都合の悪いことになりますと、存じませんというようなお話ですが、増田さんは非常に正直な方であって、何でも知っていることは全部答弁をしてくださる人だと思っているのですが、その点ぼくはずいぶんおかしいなというふうに感ずるのですね。これは国民だって非常におかしいんじゃないかと感ずると思うのですよ。今後の取引は、一機が何十億という金ですよ。そして何機お買いになるか知りませんけれども、少なくとも何千億という金を国民の税金から負担をするということになれば、何もベトナムの北爆が停止になるということがジョンソンから発表になって二時間後、あなたがこれを決定するなんということは、私は、国民のすべてに対しても大きなマイナスであると思う。私は、少なくとももっと延ばして、決定しないで、そしてそういう点についてどんどん取引をすべきじゃないか、やはりそれがほんとうの国務大臣であり防衛庁長官であるあなたのとられる態度ではないか。そういうふうなことをするので、ついこういうFXに対しては黒い霧とかそういうふうなことがうわさをされるのではないか。どうも、私は、もう少しその点を慎重にやるべきじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  264. 増田甲子七

    増田国務大臣 鈴切さんのおことばですけれども、私はこのFの選定については——もういまではXではない、ただのFです。Fの選定について黒い霧なんというものは全然ありませんから、そういうことを言うとほんとうにおこる人がおおぜいあると思います。私は慎重なる鈴切さんのために惜しむものでございまして、ほんとうにあなたの良心が、ほんとうにわれわれが何か黒い霧でもあるとお考えになるのですか。政治家というものはことに感覚があるのですから、これは絶対にございません。私はそのためにまた佐藤さんから頼まれまして、十年前のグラマン、ロッキードのような騒ぎは困る——あのときに黒い霧があったかどうかは存じませんけれども、騒ぎがあったことは事実でございます。そのような騒ぎがないように、君の公正なる判断によってFXでも何でもきめてくれ、こういわれて、私は勇躍任について二年間慎重審議しておるわけでございます。黒い霧なんということは全然ありません。白い霧も赤い霧も、何も霧はありません。もうほんとうに、良心に照らして、神に照らしても言えることでありますし、また私の部下の航空関係、内局関係、ほんとうに神のごとき心持ちで選定をいたしております。いろいろな誘惑の手があったかどうかということも調べてみましたが、それもほとんどありませんし、誘惑の手がかりにあろうとしても、断固として拒絶する、こういう態度で終始いたしております。そこでこれを選んだ過程、この過程に対してはだれにもお礼をする必要はないのです。これは、お礼をせんとするなれば、技術的、事務的、防衛的良心にお礼をせよと、こういうことを、私はメーカー側にもどこに対しても言っております。また鈴切さんに対する答弁がおそらく速記録に載りますから、これをお読みになれば、どこかでだれかわいろを出したい人があっても、それはそうじゃないのだな、あれは防衛的、事務的、技術的良心に基づいてきめたんだから、だれにもお礼をする必要はないのだなということはわかります。でございますから、黒い霧は、これから発生するかどうかわかりませんが、発生するならば、まるっきり理由のない発生のしかたがあるわけでございまして、だれにお礼することもない、お礼をせんとするならば、あなたのお信じになる仏さま、神さま、あるいは事務的、技術的、防衛的良心にお礼をせよ、こういうことを公然と私はどこの人にも言っておるわけでございます。単にメーカーばかりじゃありません。アメリカ——まだ向こうに接触はしておりませんけれども、ファントムとか何とかという、そういうところにだって私は言います。商社に対しても言います。とにかくお礼をすべき何ものもない。人間の行ない方なんというものは、政治家は目がうしろについているというのですから、ことに道徳的感覚なんというものはわからない政治家はいないのですから、鈴切さんはおわかりになるのでありまして、黒い霧が云々されているという字だけは、むしろ修正願いたいのです。われわれは、航空幕僚監部その他、ほんとうに心血を注いで、そして公正にきめたのがあたかも十一月一日になったかもしれませんが、向こう関係をあれこれあんばいしてだしぬけにやったなんということはございませんし、それからベトナム戦争が終わるということはわれわれも歓迎するところでございます。もう終わるであろうということは、たしか十月十九日に、もう私は聞いております。大統領選挙の過程においてこれを言明するであろうということも、うわさとしては聞いております。十一月一日ということまでは聞いておりませんが、近く北爆は停止されるということも聞いております。そこでF4が要らなくなるからと申しましても、F4CというものとF4Eというものとは違うわけでございまして、かりにF4Cを日本に売るにしても、なかなか相当の値段でなければアメリカが売りはしません。よく買えばいいなんということを言いますけれども、買えばいいということは大蔵省も言ってはいないことは、午前中の答弁でおわかりのとおりでございまして、やはり兵器をつくりましても、その兵たんという関係、後方支援、後方の補給という関係ができないとたいへんでございまして、部品一つこわれてもアメリカに買いに行くということではだめでございますから、そこでドイツやイスラエルのような買い方は、私はドイツの高いテクノロジーから見て惜しむものでございます。やはりドイツはドイツで国産すればいいと思いますが、私はドイツの総理大臣でもなければ国防大臣でもございません、いわんや産業大臣ではございませんから申し上げませんが、日本技術をもってしてライセンスを買ってくれば生産し得るとなれば、オーバーホールもできます。やはり生産したものでなければオーバーホールはできません。それからパーツのそろわなくなったのをまたそろえるというようなこともできます。誇り高き日本人として、産業技術水準の高くなった日本人としては、F4というものが当然選ばるべきものであって、選ばれたのである。メーカーも当然選ばるべきものが、プライムとして、あるいはサブとしてそれぞれ選ばれたのであるということは、賢明なる鈴切さんがおわかりにならぬことはないと私は思う次第でございます。
  265. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これはもう黒い霧があったらそれこそたいへんなことですよ。もちろん黒い霧、あってはならぬ問題です。増田防衛庁長官は、いかにも私が黒い霧があったようなことを言った、そのように勘ぐられて言われておられますけれども、私はそう言ったのじゃありません。しかしいろいろの観点から考えてみますと、アメリカのジョンソンがベトナムの北爆を停止するというふうに発表があったその二時間後、増田さんがその話をされるということは、少し軽率じゃなかったか。もしもそれが当然だというならば、あなたは要するに政治家としては非常に惜しむべきことです。政治家としてはあまりにも読みが浅いのではないか。それがどこもやましいところがなくしてそれをきめたとするならば、あなたはよほど政治家としては資格がないというふうに、私はどうしてもあなたのために惜しむので、私は言っているのです。それだけです。
  266. 増田甲子七

    増田国務大臣 鈴切さんに惜しまれなくてもいいのでありまして、北爆が停止されてもF4Cというものをアメリカが余っておるからポンコツにするとか、あるいはユーズドプレーンとして売り出すということはないのでありまして、みんなエアクラフト・キャリアーの中に載っておるのです。そこで七つの海を歩いておるのですから、大体太平洋の西側を受け持っておるのが第七艦隊でございまして、航空母艦の上に載っておるものが、今度は出かけなくてよろしい、練習だけしておればよろしいという状態になるだけでございまして、何かあなたは北爆停止のためにF4Cが余ってそれを安く買えるものを、その機を逸した、商人としての増田甲子七の商業的感覚を疑うなんということを言われましたが、第一、その前提がないのですから。第一、これは売りはしません。安くもなりはしないのです。ましてF4CというものはF4Eとも違うのでありまして、どうもあなたの前提がお間違いでありますから、私はあなたに惜しまれる必要はないということを、ちょっとこれはけしきばんだ形でございますが、申し上げておきます。
  267. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いままで使っておったその機種が北爆停止によって戦争から離れていけば、当然今度はダグラス社等においても、それは過剰生産ということになるわけです。過剰生産になれば、当然今度は競争は激しいのですから、競争が激しければ、言うならば有利な方向に持っていかれるということは当然考えられる問題です。だから具体的にはどういうことか、それはあなたたちがきめる問題であって、有利な方向にどんどんと持っていかれる、これはもう当然なことだと思うのです。これがわからない増田さんではないと思うのですが、その点について申し上げたわけです。  以上をもって、質問を終わります。
  268. 塚田徹

    ○塚田委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後五時十二分散会