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1968-10-22 第59回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月二十二日(火曜日)     午後零時三十六分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 浦野 幸男君 理事 藤尾 正行君    理事 松澤 雄藏君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    上村千一郎君       桂木 鉄夫君    菊池 義郎君       塩谷 一夫君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    武部  文君       華山 親義君    浜田 光人君       安井 吉典君   米内山義一郎君       吉田 之久君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  委員外出席者         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         警察庁警備局警         備課長     丸山  昮君         防衛政務次官  三原 朝雄君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛施設庁長官 山上 信重君         科学技術庁原子         力局次長    田中 好雄君         外務省アメリカ         局外務参事官  大河原良雄君         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         文部省大学学術         局学生課長   石川 智亮君         日本国有鉄道常         務理事長    長瀬 恒雄君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 十月十一日  委員華山親義辞任につき、その補欠として井  岡大治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井岡大治辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員華山親義辞任につき、その補欠として佐  々木更三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  華山親義君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員永末英一辞任につき、その補欠として吉  田之久君が議長指名委員に選任された。 同日  委員吉田之久君辞任につき、その補欠として永  末英一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  先般、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査のため、委員青森県、秋田県及び北海道に派遣いたしました。  この際、派遣委員からの報告を求めます。木原実君。
  3. 木原実

    木原委員 東北、北海道地方国政調査の結果を御報告申し上げます。  派遣班は、三池信木原実浜田光人武部文鈴切康雄の五委員で構成し、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査をおもな目的として、九月十七日より二十二日までの六日間の日程で、青森県、秋田県及び北海道に参り、航空自衛隊北部航空方面隊三沢基地)、青森営林局、三本木営林署秋田営林局、八郎潟新農村建設事業団陸上自衛隊秋田駐とん地、航空自衛隊第二航空団(千歳基地)、陸上自衛隊第七師団、同第一〇二高射大隊ホーク部隊)、人事院北海道事務局行政管理庁北海道管区行政監察局及び北海道開発局等をそれぞれ視察してまいりました。  これら調査内容の詳細につきましては、時間の関係上、委員長の手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるようお取り計らい願い、それによって御承知をいただくこととし、この際省略をいたします。  なお、各機関より受けました資料等は、当委員会調査室に保管してありますので、適宜ごらんいただきたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。
  4. 三池信

    三池委員長 おはかりいたします。  派遣委員調査報告書は、これを会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――   〔報告書本号末尾に掲載〕      ――――◇―――――
  6. 三池信

    三池委員長 次に、国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤尾正行君。
  7. 藤尾正行

    藤尾委員 実は昨日夕刻から本朝にかけまして、非常に残念なことでございますけれども新宿駅あるいは防衛庁国会等東京都内の枢要な数カ所におきまして、いわゆる三派全学連と称する学生を中心にいたしまして、これに反戦デモということを主張されて行動されましたデモ隊、これに一般群衆が加わりまして収拾のつかない混乱を起こした。政府は、これに関しまして、本朝騒乱罪といいますものを適用をして検挙に乗り出した、こういうことでございます。  私どもかねがねこういったことにならなければよろしいがと思って、こういった事態を非常に心配をしておったわけでありますけれども、とうとうこういうことが起こってしまったのであります。私はこういった問題に対しまして、国民各位が非常に心配をされておられると思いますのは、こういったことがこのことだけで終わらない、今後もこういったことについて警官隊との衝突事件、そして放火をする、あるいは公共物を破損をするというようなことに成功をしたというような感じを持つ非常に誤った考え方が一部に出てまいり、今後も、時により、事に応じてこういったことをひんぴんとしてやるのではないか、こういうものがエスカレートしていくのではないか、こういうおそれを国民各位は非常に持っておられると思います。こういったことに対しまして、政府騒乱罪という、ここ十数年お使いにならなかった伝家の宝刀と申しますか、刑法百六条を適用されて事態収拾をはかられたということなのでございますけれども、まず防衛庁長官にお伺いいたしますが、こういった事態に対しまして、政府は、きょうは閣議を行なったはずでありまするけれども閣議において、こういった事態にどのように対処していこうとしておるかということを御協議になったはずでありますから、その御協議内容についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  8. 増田甲子七

    増田国務大臣 藤尾さんにお答えいたします。  まずもって、一昨日の午後九時の、たとえ十分間にせよ防衛庁の第一庁舎のある部屋が若干乱暴ろうぜきを受けたということは、防衛庁警備上遺憾しごくでございまして、この際、遺憾の意を表明いたします。  当時は――当時のことはまだ御質問がございません。きょうの閣議段階のことが御質問でございますから申し上げます。  本日は、一昨日の午後九時の二十六名の乱暴した全学連の事柄並びに昨日の午後五時と午後十時との第一波、第二波にわたり防衛庁を襲撃せんとした事故等につきまして私が閣議において報告をいたしました。その前に、国家公安委員長が一昨日並びに昨日の防衛庁周辺条例違反デモ並びに騒乱状況お話をされましたし、新宿駅その他が交通が麻痺した、こういう状態につきましても、状況報告するとともに、警備関係報告されました。運輸大臣からも新宿関係のことにつきまして報告があつたわけでございます。そこで、今回は刑法のいわゆる騒乱罪適用する、厳重に臨むつもりであるということも国家公安委員長が付言されたわけであります。私といたしましては、防衛庁関係の昨日並びに一昨日の事故状況報告いたすとともに、従来の警備状況についてもお話をし、それから将来、すなわち昨日以後の将来は警備状況をこういうふうにいたしたいということもお話をいたしました。各閣僚とも私と全然同感でありまして、しっかりした警備をしてほしいということを総理大臣はじめ強く私に要望をされた次第でございます。  そこで、騒擾罪等のことは、主として新宿駅のことを主眼として国家公安委員長報告されておりましたから、きのうの問題は全体の問題として騒擾罪を考究するならば考究してもらいたい。防衛庁関係だけが騒擾罪対象でなくて、新宿関係だけが騒擾罪対象であるというようなことをいま予断してかかることはまだよろしくないのではないか。これは警察庁なり警察全体の捜査員等にまかせべき問題であって、一括して検討の対象にしてほしいということをお話しいたしまして、これも了承を得たわけでございます。  閣議状況はそうでございまして、あと防衛庁が一昨日どういうような侵入を受けたか。昨日は侵入は受けませんでしたが、どういうような状況乱暴ろうきが街頭から防衛庁に向かって働きかけられたかということは、藤尾委員の御質問に応じましてだんだんお答えをいたします。
  9. 藤尾正行

    藤尾委員 防衛庁の問題につきましては、非常に重大な問題があると私は思いますので、事を追ってお伺いをいたしたいと思うのでありますけれども、まず、ただいまの増田長官お話に基づいて警察庁にお伺いをいたします。  きのうの深夜、けさにかけての事件、これを一番ひどかった新宿事件だけを騒乱罪としてお取り上げになった、新聞によりますとそのようでございますが、ただいまの長官お話でございますと、これは防衛庁襲撃と申しますか、侵入と申しますか、こういった事件、あるいは国会に対して乱入してきたという事件も事きわめて重大であって、相互に関連を持っておるような気が私はいたすのでありますけれども、これを一括して騒乱罪として騒乱罪適用をなさるおつもりであるかどうか、この点を次にお伺いをいたしたいと思います。
  10. 丸山昮

    丸山説明員 騒擾罪適用するかどうかの問題は、実はこの管轄権を持っております警視総監、最終的には警視総監判断によるわけでございますが、私ども昨日騒擾罪の決定までの過程に多少御意見を申し上げた立場から申し上げますと、昨日とりあえず新宿構内構外騒擾地域とした騒擾罪適用考える、こういう方針をきめたわけでございます。ただいま藤尾委員指摘のように、防衛庁国会あるいは麹町警察署といったようなところで、個々には騒擾罪適用に該当するかどうかという点については疑問があるわけでございますが、一連の全学連の各派の活動に関連した刑事事案が発生しておるわけでございまして、今後の捜査によりまして、その地域が拡大するかどうかということについては、現在の段階でははっきり申し上げることはできないわけでございます。
  11. 藤尾正行

    藤尾委員 そうすると、事態がきわめて混乱をした新宿構内あるいは新宿構外というものだけにいまのところは騒乱罪適用されておる。他の、国会あるいは防衛庁あるいは麹町警察署等に起こりました事件は、それと別個の事件としてお取り扱いになっておられる、このように解釈してよろしゅうございますか。
  12. 丸山昮

    丸山説明員 ただいまの時点においては先生の御指摘のとおりでございます。
  13. 藤尾正行

    藤尾委員 その点は今後さらに発展をするかもしれませんし、また、今後の取り扱いをどうされるかという問題とも関連をいたしますから、私はあえてこの問題について、とかくのことをいまのところは、増田長官閣議におきまする御発言もあったことでありまするので、これは政府の問題といたしまして御処置を願えればいい。そこでお伺いはいたしません。  それではひとつお伺いをいたしたいのでございますが、騒乱罪といいまするものは血のメーデー事件以来過去何回か適用せられておるわけであります。ところが、第一回の十六年前の血のメーデー事件といいまするものが、十六年たちました今日におきましても、その公判が遅々としてなかなか進んでいないというような状態にある。これは十二分に御承知になられまして、そして騒乱罪適用をされたと思うのでありますけれども、そうでございますか。
  14. 丸山昮

    丸山説明員 戦後の騒乱罪はいままでに十三件適用事例があるわけでございますが、その中で特に大きな事件としていわれておりますのが、平事件メーデー事件吹田事件大須事件でございます。現在メーデー事件大須事件が係属中でございます。確かに非常に裁判が長期化しておることは事実でございますが、私ども騒擾罪適用の際にこの点について特に考慮に入れるというようなことは現在の段階ではございません。あくまでも騒擾罪構成要件が充足するかどうかということを判断するということが一番の主眼になっておる次第でございます。
  15. 藤尾正行

    藤尾委員 そうしますと、事件が起こって、その事件騒擾罪を構成すべき要素に該当しておるかどうかということの判断がなければ、騒乱罪といいまするものの適用には踏み切れない、こういうことですね。そうすると、事前に、そのようなおそれが十二分に出てくるということに対して、予防措置といいまするか、何らかの取り締まりの切り札というようなもの、そういったものは現在の法体系の中にはないのではないかという考えを私はしておるのですが、一体そういったことに関して、今後もやはり現状のような事態が起こって、そうしてそういう事態にならなければ騒擾罪適用ができないということで、はたしてこういったエスカレートしていく学生運動といいますか、私はこれは学生運動じゃないと思いますけれども、こういった暴徒騒乱というものにどのようにしてあなた方は対処していかれるおつもりなんでしょうか、その点をひとつお伺いいたしたい。
  16. 丸山昮

    丸山説明員 騒乱罪適用につきましては、そのような実態が出ましてから騒乱罪適用に踏み切るということは現実の問題としてきわめて困難な場合が多いわけでございます。すでにいろいろ問題になっております十月八日の夜の新宿駅の東口実態、これはある時点を限って申しますければ騒乱罪適用可能じゃないかという問題もあるわけでございます。私どもといたしましては、騒乱罪適用すべき事態が発生するということが予測される場合において、事前にそのための最初証拠を集めます体制を整備をいたさなければならないわけでございますけれども、今後騒擾罪適用の問題については、できるだけこのような体制を確立するということによって、騒擾罪本来の目的である首謀者あるいは率先助勢といった悪質な犯罪者検挙に重点を置くということで対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  17. 藤尾正行

    藤尾委員 話が隔靴掻痒みたいな感じで要点を得ませんからずばりと申し上げますけれども、きのうのこういった集会の発端といいまするものは、これは反戦記念日ということでございまして、新宿構内に起こった問題の主眼は、新宿構内に入ってくる米軍軍事輸送車を何とかとめようというところに目的があったやに私どもはこの新聞を見るとうかがえるのであります。その事態は、事前にそういったことを避けるという国鉄措置がこれは公表されておるはずであります。にもかかわりませずこういった事態が起こった、それが予想されておったというときに、一体そういった混乱状態が起こらなければそういう大量検挙に踏み切る、あるいはそういった首謀者検挙するというような措置がとれないのかどうか、私ども国民立場からいえば、事が起こってめちゃくちゃになって、非常に被害を受けて、自分たち周辺被害が出てこなければ警察は何にもやってくれないのか、こういうことにこれはつながってまいるのでありまして、治安自体に対します国民の信頼といいまするものが非常にここにゆらいでくる、不信を招いておるということが私は非常に大きな問題だ、かように思うのでありますが、一体この点はどのようにお考えでございますか。
  18. 丸山昮

    丸山説明員 昨日のいわゆる反戦闘争というものに対しましては、私どもの及ぶ限りにおきましてそれぞれ関係の向きに事前防御措置と申しますか、そういったことについての御配慮をお願いいたしたのでございます。たとえば、駅の出入のために厳重なさくを設けるとか、あるいは学生が投石に利用いたします石を取り除くようにお願いをするとか、あるいは新宿周辺におきまして街路の敷石をアスファルトに構造のし直しをするというような措置を、それぞれの分野においてとっていただいて、できるだけ騒擾事態になることを防止するようにつとめたわけでございますが、結果的には、ただいま先生指摘のような事態に立ち至った、こういう次第でございます。
  19. 藤尾正行

    藤尾委員 十二分に予防措置をとったつもりであるけれども、それが守られなかった、そうして結局ああいう事態を引き起こした、こういうことのようであります。それじゃ、なぜその予防措置が十二分にとられなかったのか。その点は一体だれが責任を負うのですか。その責任の所在は一体どこにあるとあなたはお思いでございますか。
  20. 丸山昮

    丸山説明員 これは私から全面的に申し上げるべきことではないかと思いますが、たとえば騒擾罪適用にいたしましても、騒擾罪というものは一定の構成要件を備えておらなければ適用にならぬ、その騒擾罪的な実態というものがあらわれないと適用ができない、こういうことでございまして、そのための予備的な行為、そういうものは現在科罰対象になっておらない。したがいまして、事前にそういった動きが把握されましても、現行法規適用の範囲内でしか取り締まりの実施ができないというところに一つの原因があるように感じております。
  21. 藤尾正行

    藤尾委員 まあ、あなたもそれだけのことしか言えないのかもしれませんけれども、それはそれとして了承はできますけれども、そうすると、兇器準備集合罪というものがある。何が凶器で何が凶器でないかという、非常にむずかしい問題が技術的にありましょうけれども、そういったことが、たとえば昨日の場合のことを新聞で読みますと、角材は先をとんがらかしておる。あるいは鉄棒もほんとうの鉄の棒を持ってきて歩いておる。そして、駅の構内の石はみんな袋に入れて持っている。あるいは、あらかじめそこらの歩道のコンクリートをこわして全部準備している。そういったものがほんとうに集合して隊形を組んで目的地にどんどん行く。あなたのほうは全部情報がわかっている。そういった状態でも何もできないということになりますと、いまの法体系の中できわめて不備があるというようにあなた方は思っておられるのかどうかということです。その点はいかがですか。
  22. 丸山昮

    丸山説明員 現在の集団犯罪適用される法律は、ただいま御指摘にございました兇器準備集合のようなものを除きますと、大体個別犯罪を主とした法律になっておるわけでございます。したがいまして、公務執行妨害にいたしましても、個々公務執行妨害を取り上げて論議するというような形になっておりますために、個々被疑者と、公務執行妨害を受けました警察官との間の関連性が立証されなければその犯罪が成り立たないというのが現状でございます。したがいまして、集団犯罪適用した法律というものが私どもの運用の上においては望ましいということを申し上げたいと思っておるわけでございます。
  23. 藤尾正行

    藤尾委員 警察あるいは法務省の責任者の方がお見えになりませんので、警備課長さんに幾ら聞いてみたって、それ以上のことは言えないでしょうから、私はそれでやめますけれども、私は、こういった問題に対して、警察当局が相当なる見識をお持ちになって、将来かくあるべきであるという一つ方針をしっかりお持ちになっておられないということになると、国民は非常に不安に思うということだけを申し上げておきます。  そこで今度は、国鉄、運輸省の方がお見えになっておられるようでありまするが、いまの警察の話によりますと、こういうことが起こり得るであろうということで、それぞれの措置をやってほしいということが事前にあなた方のほうに通告があったということであります。にもかかわりませず、新宿駅の構内におきまして、あるいは信号機が焼かれ、あるいは電車が焼かれ、破壊せられ、あるいは線路まくら木が抜かれ、敷石がはがされるというような事態が起こっておる。ということは、もし事前に十二分の通報があって、それに対する当然の行動がとられておれば、あんな混乱にならなくて済んだのではないかというような感じも私はいたすのであります。この点はいかがでございますか。
  24. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 ただいまの御質問でございますが、国鉄といたしましては、この全学連統一行動中央集会があるということは知っております。さらに、警察庁等と連絡をいたしまして、警備の問題につきましては十分打ち合わせをいたしております。その前に副総裁から、群衆の協力と申しますか、群衆に対する警告を発しております。それからもう一つは、米タン輸送でございますので、タンク車も、あらかじめ新宿駅の構内からは全部除去いたしております。そういうような事前措置を講じておりまして、根本的には、私ども立場といたしましては、旅客あるいは職員負傷事故を起こすということのないようにするということが私どもとしての使命でございます。したがいまして、警備といたしましては、新宿東口に対しまして、構内からすぐ入れるところのものにつきましては、高さ三メートルの鉄板のへいをつくったわけであります。これは不幸にしまして、学生の暴力によりまして、これは町から持ってまいりましたコンクリートポールによりまして裏のほうから完全に破壊されて、そこから数百名の学生構内に乱入してしまった。そのほかに、国鉄といたしましては、公安職員を三百名、それから東鉄の職員を二百名、さらに駅の徹夜明け職員を使いまして二百五十名、こういうような警備態勢をしいたわけでありますが、遺憾ながら私どもの力では何ともならない。さらに、石の問題でございますが、国鉄は御承知のとおり、線路には無数の石がございます。これは全然除去するという方法はございません。その点につきましては、遺憾ながらこうした事態になるということに対しては、私どもとしては最善努力をしたと考えております。
  25. 藤尾正行

    藤尾委員 私は、ただいま長瀬常務理事が言われました、国鉄としては最善努力をしておるんだ、このことばを信じたいし、また信じます。しかしながら、それだけの最善準備をし、努力をせられたにもかかわりませず、ああいう事態が起こった。今後ああいう事態が再び起こらないという保障はどこにもない。もっとエスカレートした事態も想像されるというようなときに際しまして、それでは何らかの方法をこれから講ぜられる御意思がおありになるかどうか。やられたらやられっぱなしでおられるのかどうか。一体、国民の足といいまするものは、その足の最も基本的な国鉄が、とにかく三派全学連とかなんとかという暴徒が何かやろうということになると、意のままになってしまうということで、国民がそのために非常に迷惑をこうむる。それだけでなく、通勤の足の大混乱を起こす。鉄道自体が本来の仕事を行なえないというような事態が起こっております。今後これが、きのうは新宿駅だけでございますからよろしゅうございますけれども東京駅にも起こり、あるいは上野駅にも起こり、あるいは大阪にも起こり、名古屋にも起こる、各地で起こったら、これは一体どういうことになりますか。そういう予測といいまするものが立てられなくて、国民の足を確保するんだということが非常事態に際してできますかどうですか。その点の御自信のほどはいかがでございますか。
  26. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 ただいま申し上げましたとおり、国鉄といたしましては、私どもが持っております力、あるいは設備というものを最大限に固めたわけでございますが、御承知のとおり、たとえば新宿の駅におきましては、入り口が四方八方にございます。たとえば、構内の裏にいたしましても、昨夜も、相当高いところでございますが、そこにまくら木を置く、あるいは有刺鉄線を張ったのが、これは完全に破壊されております。それから、電車で乗客が来てしまうということになりますと、これはお客かそういう暴徒か見分けがつきません。したがいまして、国鉄といたしましては、こうした事態につきましては、最善努力をいたしたつもりでございますが、これに対して手段がない。何か強力な手段があればと思うのでありますが手段がない、こういうふうに判断いたしております。
  27. 藤尾正行

    藤尾委員 そういうことだから困る。一体、国鉄におかれましても、こういう事態が起こったら処置がないということを言われる。警察のほうにお伺いをすると、事前にこれをとめる措置はない。事態が起こって、これが騒乱罪というようなものを適用するかどうかということを判断して、そのときになって発動できるなら発動するのだというようなことをおっしゃるということになりますと、今後のこの種の事態、さらにエスカレートすると予想されるような事態、そういったものに対して、国民は一体何にたよればいいのですか。これは何が起こるかわかりませんよ。一体、これはどうするのですか。だれが責任を持つのですか。この点は、長官、ついででございますから――あなた、閣議に出られて、きょうもおそらく相当な論議があったと思うのですけれども、こういうことは国務大臣としてどのように御処置になられますか。
  28. 増田甲子七

    増田国務大臣 藤尾さんが、防衛庁長官でなく国務大臣という立場におきまして、国務大臣は連帯して国会に対して責任を負う、こういうような立場の御質問でございますからお答えいたします。あるいは国家公安委員長たる国務大臣、あるいは運輸の関係をつかさどっている運輸大臣関係にわたってもよろしいという立場の御質問のようでございますからお答えいたします。  政府といたしましては、何どきといえども運輸という営造物は、運輸交通手段として民衆の足を奪わないようにすべきものでございまするし、また民衆が他の民衆から危害を受けないようにするのが当然でございます。それから、治安の最高の責任者国家公安委員長でございますが――もっとも任命権者は内閣総理大臣等が任命する場合もございますけれども国家公安委員長たる国務大臣も総理大臣が任命します。それから警察庁長官警視総監等は国家公安委員会政府の同意を得て任命する、こういうことになっております。若干の幹部諸君もそういうふうでございます。運輸関係は、国鉄は公社でございますけれども運輸大臣が直接の監督をしておる、こういう立場でございまして、事がある段階はいろいろ予想されますけれども、最悪の段階とその次の段階と、いろいろあると思いますが、昨日のような段階で約七、八時間民衆の足を奪われたということは、政府としては国会の皆さまに対し、国民の皆さまに対して申しわけない。ベストを尽くしたからこれでいいというものではないと私は思っております。ただいま運輸大臣の監督を受ける国鉄の常務理事の答弁もございますけれども、予想せられるあらゆる事態に対して備えておったということはいえます。しかし、その裏をかくということもございますから、その裏のことも考えて、なお、すべきである。それから警察も、昨日のやり方は、閣議においても国家公安委員長たる赤澤自治大臣に対しまして、よくやってくれたということを私としても感謝をいたしましたが、しかし、秩序の維持という見地から見れば、法秩序が破壊されておる。それを収拾したそのやり方はなかなか巧妙でございましたけれども、しかし迷惑をかけた事実は方々にあるのですから、現に警察署自身も襲撃をされるとか、国権の最高機関である国会構内の中にも侵入したり、それから防衛庁にも一昨日は侵入した。その事後の手段、手配、措置等は、なかなか私はよろしいと思っております。いま警察庁を代表して丸山警備課長が来ておりまするが、しかし、民衆から見れば、まだ不満であるということには違いないわけでございまして、防衛庁の守備のしかたもそうでございます。防衛庁はあれ以上できないということも事務関係からはいえますが、しかし一般の民衆の生活を預かる、ことに法治国家において法秩序の維持を大いに督励される国会という見地から見まして、御不満であるということは多々あると思います。そこで、第一次段階、第二次段階、第三次段階等に備えまして、これから総理を首班として各閣僚が協議をいたしまして、交通機関は交通機関として民衆に迷惑をかけないように、どんな事態があっても、ゼネストがあってもやっていけるように、その他相当の武器、凶器等が使われましても、それに対応する措置考えておかなければならぬ。それから、日本の国家の安全を守るべき総本部である防衛庁がやられておるなんということは、民衆から見ればはなはだしく不安感を持つと思います。これに対しましては、もうああいう事態があったのですから、従来から私はやかましく言っておりまするが、営造物の管理行為として会計課長が守っておるというようなことでは防衛庁はあってはいけないと思っております。会計課長の守るべき範囲は、ガラスがこわれたからガラスを直すとか、水道がとまったから水道を直すとか、あるいは電灯がショートしたから電灯のショートを直すとかいうことが会計課長の仕事であって、防衛庁というものはやはり一種の日本の平和を守ってくれておるということで、自衛隊の存在に対して反対する人でも、自衛隊が存在する以上はある程度の信頼感を持たれなくてはいけない。その総本部がああいうような被害を受けたということはまことに遺憾しごくでございまして、私は、建造物の管理者として、自衛隊の総木部である防衛庁を守るべきである、これは治安行動とは違いますから、もう少ししっかりした守り方をいたしたい、こう思っております。  その他、諸般の藤尾さんの御心配は、国民の御心配を代表した御発言でございまして、おれのほうの所管はしっかりやっておるからだいじょうぶだということはないのでありまして、全体としての国家の機能が、あるいは公的機能が動いていかなくては、平和のうちにしあわせな生活を国民が送り得ないということ、また送らせるようにして差し上げなくてはいけないということについて、やはり閣僚は連帯の責任を負うべきである、こう考えておる次第でございます。あらゆる事態に備えてこれからやはり準備をしておくべきである、こう考えます。
  29. 藤尾正行

    藤尾委員 いまの長官の御発言に関連をいたしまして、私は二つの重大な問題が生起すると思います。  一つは、防衛庁という役所は、一体ほかの官庁と同じような、一般官庁かいなかということであります。これは防衛庁というところには、長官はじめコントロールをされる内局というものがある。この辺の機構といいますものは大体一般官庁にやや似ておる。しかしながら、同時にその中に統合幕僚監部あるいは三幕等があり、それぞれのきわめて重要な特種な任務を持っておられる方々の活動される場所でもある。そういうところに、ともかく二十六人か何か知りませんけれども、いままでは二十六人であったとしても、今後これが千人になるか、あるいは三千人になるか、五千人になるかということもわからないような暴徒侵入ということがすでにその萌芽があらわれてきた。実際これが実現をしたというときに、その警備にあたって、長官はただいま万全を期して防衛庁の管理はやるんだというおことばでございますけれども、それは一般官庁としてお考えになっておやりになるのか、あるいは防衛庁というものは一般官庁と違った部面がある、したがって違った部面というものを含めて特別な管理をなさるのかという問題が一つあります。この問題をひとつ、これは重大な問題でございますから、国民にお知らせをいただきたい、これが一点。  それから、もう時間がございませんし、他の同僚諸君がたくさんのほかの問題で御質問を用意しておられるときに、こういう非常事態質問をやっておるのでありますから、時間を節約する意味におきまして端的にお伺いいたしますが、今度の場合は騒乱罪といいますものを適用した。しかしながら、その騒乱罪適用というものをもって万全であった、すべてのものを押え得たということにはなっていない。今後日米安保条約の改定であるとかいろいろなこの種の問題と関連をすると思われるさらに大きな規模のことが起こるやもしれないということを国民心配をいたしております。そういったときに、騒乱罪でいまの警察の相当な勢力をあげておやりになってなお手に余るというもののもっと規模が大きくなった場合、一体自衛隊のいわゆる治安出動というものとの関連はどのようにお考えになるか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 藤尾さんの御質問のうちの第一は、私も、この四月、一時防衛庁を襲うという全学連デモがございました、そのときは、防衛庁というものは自衛隊の中心であり象徴であって、最後に日本の存立を守ってくれるのは自衛隊であるということは一億国民がひとしく顕在意識もしくは潜在意識において信頼しておるところである、そこへはひとつ一千メートル以内に近づいてもらっては困るということを、当時の警視総鑑に――現在も同じ警視総監でありますが、強く申し入れまして、そうして青山の交番を破壊しただけで帰ってしまった。投石等も青山通りでございましたが、それで済みまして、防衛庁の威信というものは保ち得たわけでございます。それから後に、私は、一般官庁並みの扱いではいけないからよくやれということを部下にも命じ、私自身も検討しておりましたが、今日までそういう一般官庁並み以上にしていませんでした。その点は非常に遺憾に存じております。私は一般官庁とは思っておりません。それは一般官庁は、夜は引けてしまって、小使さんが火の用心でもして歩けばよろしい。こちらはやはり二六時中スクランブルをするというような体制も第一線においてはあります。その第一線は命令によって動くわけでございまして、その命令というものは防衛庁長官が内閣総理大臣の指揮を受けてやる。防衛出動のごときは国会の承認も要ります。それから治安出動も国会の承認が要りますが、実際に動くのは行政行為として動くのでありまして、総理の指揮を受けて私が現在の防衛庁のあの自分の部屋の自分のいすで指揮をするわけでございますから、そこが占拠されたでは、もうはなはだしく威信も失墜しますし、第一自衛隊の用をなしませんから、とんでもないことであるということで、十月二十一日の段階ではあれでやむを得なかったと思いますが、二十二日以後の段階におきまして万一のことがないように、一日のために一万日をしっかりやれ、あるいは一日の不慮のそういう遺憾なる事故なきを期するために十万日何もなくてもひとつ警備をやれ。それは治安出動ではございません。いわゆる建造物の管理者として自衛隊のユニホームの者をそこに相当駐とんさせまして、二、三万坪あるようでありますが、その二、三万坪のへいの外でなくてへいの中をずっとぐるぐる回らせる。不慮に直ちに五千人入るということは私はないと思いますが、やはりあのへいの外は――へいの中もそうでございますが、へいの外も警察権が及ぶわけでございまして、警察官があるいはその他の警察情報を入れてくれる。一昨日のことは、全く警察情報も何も入らず、突発的にああいうことになりまして、まことに遺憾でございましたが、事後の処置は非常によくやってくれました。十分以内に二十六名全員逮捕いたしたわけでございます。  そこで、一般官庁とは考えていない、防衛出動の実際の指揮をするところもあそこであるし、治安出動の実際の指揮をするところもあそこであるし、海上における警備行動の実際の指揮をするところもあそこであるし、災害派遣等の実際の指揮をするところもあそこである、その本拠がやられて一体どうなるのだという国民の不安があることはもちろんでございまして、私はほんとうに遺憾にたえない、こう感じておるわけでございます。でございますから、一般官庁とは違います。よい意味の現業的官庁である、だから、これは二六時中働いているべきものである、こう考えております。  それからその次に、騒擾罪等適用警察庁、厳密にいえば司法行政官である検察庁の仕事だと思います。そこへ送検をするというのが司法警察官の仕事でございまして、事件を検事局へ送るというだけが警察庁の仕事であり、警視庁の仕事である、こう考えております。そこで、この騒擾罪でやるのもいいけれども、それだけで事柄がおさまらない場合はどうするか、警察段階でどうしてもおさまらないということがあり得ることも自衛隊法で予想しておるのでございます。すなわち自衛隊法七十八条に、間接侵略もしくは緊急事態であって警察力をもってしては治安の維持が困難であると認めたら、内閣総理大臣自衛隊の出動を命ずることができる、このことはわれわれは予想いたしております。また、そのことを前提といたして教育もし、訓練もいたしております。
  31. 藤尾正行

    藤尾委員 大体そういったことで、国民の皆さま方にも防衛庁がどのような態度でこの種の問題に対処していかれようとするのかということがかなり明らかになったことだと思います。  そこで、これはもうまことにくだらぬ話でありますけれども、せっかく文部省の方が来ておられるようでありますから、文部省の方にお伺いいたしたいのですが、との種の学生運動といいまするものは、これが学内で行なわれております間は、学内の問題として大学の自治とかなんとかというようなことで――これも論議はいろいろありますけれども、ともかくおさまりはつくでしょう。ところが、こういった学校外に出てきた学生と称する暴徒、その行動、こういったものに対してあなた方はどのようにお考えになり、どのように今後これに対処されていこうとされておられるのか。一体この問題に対して文部省としてどのようにお考えになっておられるかということをお伺いします。
  32. 石川智亮

    ○石川説明員 御案内のとおり、第一次の羽田以来、二回目の羽田、佐世保、王子、成田とずっと校外活動が続いておりますが、現在の文部省の考え方では、三十八年に中央教育審議会から大学教育の改善問題について御答申をいただいております。その中でも学生の学外活動について大学は当然責任があるという考え方で答申がなされておりますが、現在、御案内のとおり、非常に残念でございますが、大学がみずから律する力を多分に失っておりまして、今度の二十一日のことにつきましても、関係方面なりからいただいた情報を国公大学全部に流しまして、しかも日ごろ都内で拠点校と思われる大学からも職員に来ていただいていろいろ懇談をしておりますが、こういった事件に対して大学の力がフルに発揮されておりません。そういった面から先生の御指摘のような問題が出てくると思いますが、現在までは、たとえば逮捕なり起訴になりました学生につきまして大学の中でいかなる指導ができるか、あるいは大学によっては懲戒による形をとる大学もございますが、大学の教育の路線の中で今後そういった学生の補導を十分にしていただきたいという連絡は、その時点ごとにしております。ただし、大学によりましては、すでに明らかに大学の能力を失いつつあるやに見える大学におきましては、必ずしもそういった補導が十分に行なわれていないという感じがございますので、今後自分の力でそういった人間の涵養であるとか、どういう路線に乗せられるかということについて検討させているわけでありますし、あるいは中央教育審議会で現在学生生徒全般にわたりまして文部大臣の諮問に答えて審議中でありますので、そういった中でもさらに取り上げていただいて十分な指導ができるような体制に持っていきたいというように考えております。
  33. 藤尾正行

    藤尾委員 最後に、こんなことを繰り返し繰り返しばかばかしくて聞く気もいたしませんが、あなたのことばの中に大学の機能を失った大学ということばがございました。大学の機能を失ったような大学に対して一体どのようにされるのかということを目下検討中である、あなたのそう言ったことがそのまま国民に伝わりますから、そうすると国民は文部省あるいは大学に対しまして非常な不信を抱くであろうと思うのです。もうこういった問題が始まってから一体どれだけの時間がたちますか。それに対して何らの措置もあなた方はおとりになることができない。私は非常に残念だと思う。(「文部省も機能を失ったよ」と呼ぶ者あり)いま横からお話がございましたように、文部省が機能を失ったということであっては困る。早急に機能を取り戻してもらいたい。それをひとつ御要望申し上げまして私の質問を終わります。
  34. 三池信

    三池委員長 大出俊君から関連質問の申し出がありますから、これを許します。大出俊君。
  35. 大出俊

    ○大出委員 けさほど委員会理事会におきまして、この問題を取り上げて質疑を行なう、ついては各党おりますので、その経過に基づいて各党おのおの意見を申し上げる、あるいは質疑に入る、こういうように取りきめておりますから、そういう意味で私どもの党の立場に立ちまして幾つかの質問を申し上げたいと思います。  最初に、けさほど来いろいろ閣議で御相談のようでございますから、増田大臣にお尋ねをいたしたいのでございますが、最近学生運動なるものが各方面で相当活発に行なわれておりますが、これは何も日本だけの現象ではございませんで、昨年の五月に例のフランスで大きな問題がございましたし、ほかならぬアメリカでもたくさん学生の問題が出てきております。オリンピックをやっておりますメキシコでも学生問題がたいへん心配をされているわけでありますし、また、社会主義国といわれるチェコなどでも学生問題があるわけでございます。そうなりますと、日本の学生運動あるいは学生問題というものを一体政府はどういうふうに分析されて、その一番根源になっているものをどういうふうにおとらえになっているのか。そういう原因を明らかにいたしませんと、問題は、先ほどから力ということが出ておりますし、文部省まで力というお話をされているわけでありますが、幾ら力々といっても問題は解決しない。したがって、その本質的なもの、学生運動というものは一体どうしてこういうふうに――先ほどから質問に出ておりますことば、だいぶ激しいことばが出てまいりましたが、そこに一体何があるのかということ、そこらの分析はおやりになったことがございますか。
  36. 増田甲子七

    増田国務大臣 大出さんに申し上げます。  私は文教調査会長というものを三年ばかりやりましたけれども、最近は、なるほど閣僚は連帯ではございますけれども、あまり存じないわけでございます。
  37. 大出俊

    ○大出委員 私がいま御質問申し上げているのは、閣議というところで、つまり政府、ここでやはり、なぜ一体こういうことが起こるかという、学生運動の一番本質的なものは何なんだという、ここのところをとらえて分析をいたしませんと、単に騒擾罪がどっちを向いたとか、あるいは兇器準備集合罪がどっちを向いたとかいう現象形態だけをとらえていったところで、問題の解決は出てこない。だから、閣議でそのことに触れて論議をされるなら、これは防衛庁長官だって閣議の中にいるのですから、今日的学生運動の中心は一体何なんだということをまず国民の前に明らかにする、そこから対策が生まれてくるという筋道にならぬと、幾ら現象を追っかけ回したって本質的には片づかない。だから、そこのところを論議されたことがあるのかないのか、あるとすればどういうふうに分析されたのかというところを、閣議に参画をされておる一員の大臣という立場でお答えいただきたい、こういうふうに質問している。
  38. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は防衛庁長官になる直前までは文教調査会長をしておりましたけれども防衛庁長官たる国務大臣という立場におきまして、大学問題を、先般日大の大衆団交というものがございましたあの直後、二日にわたって閣僚が相談をいたしたことはございますけれども、しいて欠席をいたしました。もちろん、私は連帯責任を拒むものではございませんが、防衛庁長官たる国務大臣があそこへ出てあまり学生問題を論議することはしかるべからず、こう考えまして出席いたしておりませんから、閣議段階等で話になったことは申し上げられますが、あと二日間にわたって日大の大衆団交を中心とした全国の学生運動が非常に過激にわたっておるという問題につきましては、よく存じないのでございます。
  39. 大出俊

    ○大出委員 これは私は一つの社会問題、さらに大きくいえば大きな政治問題、こう理解しなければならぬというふうに思っておるのです。政党内閣でございますから、当然、これは政府の政治責任というところに一番突き詰めていけば帰着する問題だというふうに実はとらえなければいかぬと思っているわけです。そういう意味で実は承ったわけですが、論議をしたことはある、しかし、出席しておらなかった、こういうととでございますから、閣議では論議をされましても出席しておられない大臣だということになれば、それを承ることは無理だろうと思います。  そこで、文部省に承りたいのですが、文部省は、今日起こっているこの学生運動の本質的なものは一体何だというふうにおとらえになっておりますか。
  40. 石川智亮

    ○石川説明員 非常にむずかしい問題でございまして、私がお答えしていいかどうかあれでございますが、現在、御存じのように、いわゆる大学ごとの学園紛争の形でなっております大学と、それから二十一日、昨日のように、学外へ出ましたいわゆる過激なる学生団体の指導による、学生の参加によるいろいろな学外活動、二つの類型がございます。これは先ほどちょっと中央教育審議会の問題を申し上げましたのですが、現在の大学生数が、昭和十年に比べまして、同年齢層の三%から大体いま二〇%増ぐらいの形で、大学の学生が現在百四十万という数を数えております。そういった大学の歴史的なものを見ましても、わが国の戦後の学制改革によりまして新制大学の形をとり、国民の高等教育機関としての位置づけを出発させたわけでございますが、その点からまいりました場合に、学生数に対応する学生の多様化、いわゆる百四十万の学生層を分析してまいりますと、国民所得階層から見ましても、国民各階層に全部学生が入っております。それから資質、能力の点から申しましても、従来の昭和十年の学生層に比べまして、あらゆる資質、能力のある学生が入っております。それからその能力別と、またいわゆる精神面と申しますか、入ってまいります学生のメンタルの面でも、いろいろな差異、多様化がございます。そういったものの多様化の中で、大学が現在の大衆社会における高等教育機関としての大学の使命にピントを合わせた場合に、十分に大学教育が行なわれているかどうか、そういった問題が非常に根深く入ってまいります。そういったものと新しくできました新制大学の教員なり施設のあり方が、学生をいまの社会にこたえた大学の教育として満足させるような環境になっているかどうか、そういったものが全部あげられてまいります。そういったものを全部分析してまいりますと、学園紛争の中にそういったものをもう一回洗いざらい考える時期が来ておりますし、そういった問題から比べました場合に、私どもささやかな分析でございますが、いわゆるスチューゲントパワーという世界的な現象があります場合に、たとえばフランスと比べました場合に、学制改革の面では、日本の場合がワンクッション戦後に置いたという面では、制度の面では改革されておる面がある。ただし、新制大学の発足なり現在の大学が、新しい大衆社会の大学の目的に照らした制度なり内容なり教員配置なり学校の施設や環境なり、そういったものが必ずしも十分ではないだろうということが、各学園紛争の中の根底の問題にあるということも考えなければなりません。それから、先生方がそういった学生の多様化にこたえ得るような教育環境の中で大学の使命に向かった教育なり研究をはたしてやっておられるかどうか、そこら辺が非常に教育の問題としてむずかしい観点になってまいります。そういったものを、学園紛争の中で、もう一度文部省の立場で、あるいは大学の立場で今後あるべき制度論なり大学教育の問題として、先ほど申し上げましたように、文部大臣が中央教育審議会にも大学問題を含めた教育制度の問題として現在諮問し、検討中でございます。これが一つの解決策に向かう問題じゃないかと思います。  それから、もう一つのいわゆる学園外の問題といたしましては、必ずしも各大学の問題ではなくして、先生方御存じだと思いますが、これを指導しております学生団体が幾つもございますが、その学生団体が掲げておりますスローガンあるいは規約その他を見ていただきますと、これが学生だけがやっている、いわゆる学生だけの年齢に合った課外活動と申しますか、そういったものとは離れた政治活動の部面を非常に持っております。こういったものに対しては、一般の学生がその学生団体との間でどういうふうなかっこうで引きずられていくのか、そういったものを十分に分析いたしませんと今後の対策が立ち得ないだろうという想定で、現在文部省でも検討しておる最中でございますので、明確にお答えを申し上げることができないかもしれませんが、この点御了解いただきたいと思います。
  41. 大出俊

    ○大出委員 あとの問題と関連がありますので、時間がありませんが、簡単に申し上げたいのですが、きょうは実はこの委員会で人事院の総裁なり総務長官なりにお出をいただいて――明治百年というのを記念をして、政府が、明日になるのですか、半日、業務に支障がない限りは仕事をしないでよろしいという人事院指令十四の幾つかをお出しになる。これは人事院がすでに出している。この問題をとらえて総裁と電話でいろいろやりとりをしたのですけれども、いま明治百年というものを記念して休みにするんだなんということを考えるよりも、問題は、明治初年の日本の歴史的な現実は、二十代の若い方々がほとんど動いた、一つ体制に対する反体制の運動を起こしたことだけは間違いない歴史的な事実です。何しろ西郷隆盛なる人が活躍したのも二十代からですが、ほとんど二十代の者がやっていた。西郷が縦横に活躍した後、城山で腹を切ったのは五十一歳というのですが、とにかくほとんど若い世代の方々が動いたことは事実です。私どもの年代でいくとみんな兵隊ですから、何々運動をやるなんといったってやる余地はない。みんな兵隊に持っていかれた。その私どもが兵隊に持っていかれた世代の諸君が学生なんですね。きのう、衆議院の第二会館が私の部屋ですが、きょうの質問関係がありましておそくまで残っておりましたが、何が起こったかというと、サイレンが鳴って、やたら警察の車が飛んでくる。ひょっと窓から首を出してみたら、おまわりさんが一ぱい固めて、参議院へ突っ込まれたという騒ぎです。私は最後に地下鉄の中で学生を二、三人とっつかまえて聞いてみた。各大学はきょう自治会が授業に参加しないということをきめたから、どこもやってない、一般学生の諸君も自治会がきめたからというのでみんな授業を受けない、こう言うのです。うちへ帰ってせがれどもに聞いてみたら、やっぱり同じことを言う。つまり、そうなると、一般学生が単にいま動いている諸君に反対だと言っていない。そこまでやることは無意味だと思うとは言っても、いきなりそこから先へ――いまここでいろいろ質問が出ましたが、われわれの年代の諸君が言うようにものをとらえていない感じがする。  そこで、ひとつ承りたいのですが、きのう全国的に六百何十カ所でいろいろな集会をやった学生の総数、これはどのくらいあったとおとらえになっているのですか。
  42. 丸山昮

    丸山説明員 私からお答え申し上げます。  合計がちょっと出ておりませんが、これを足しますれば合計になります。いわゆる反代々木各派の集会が三十八都道府県、八百二十カ所、約二万九千、それから代々木系の集会が三十五都道府県、六十九カ所、約三万三千二百でございます。
  43. 大出俊

    ○大出委員 きのうのラジオのニュースを聞いておりましたら、全国でおおむね六百カ所、学内集会その他を含めて二十七万の学生が統一行動に参画をした、こういっている。それは町の中へ出てきていろいろやった人たち、これは反代々木系とか代々木系とか、こういう名がつきますけれども、この方々だけでもいまのお話で五万からになる。そうなると、これはたいへんな行動だということになる。にもかかわらず、これだけ大きく日本の若い世代の諸君が動いているのを、ものごとのとらえ方として、いきなりこれを騒乱罪というところに持ってきて、これは警備課長さんの立場だから無理はないのですけれども、現象があらわれなければ騒乱罪というものは発動のしようがないんだ、だからしかたがない、まさにそれは不備なんだという発言がさっきあった。つまり、現象があらわれないうちに、何か相談があったからというので騒乱予備罪的にその方々を押えることができるとすれば、これはひとつ間違えば治安維持法ですよ。何に引っかけても全部検束できることになる。この騒乱罪なるものの危険なところというのは、町でこういう問題が起こったときに、ぼやっと立っている一般の人たちまで持っていけるという思想でこの法律がつくられている。ここに問題があるのですね。だから、これをさらに改正をして前へ進めるということになれば、昭和四年ころにできた治安維持法と同じものだ。そうなると、一体、今日の日本の民主主義がどういう形であるにせよ、民主主義と新憲法がどういう関係を持つのか、こういう問題にぶつかっていく。だから私は、取り締まり当局にある方が、こういう席で今日の騒乱罪といわれる刑法百六条が不備であるなどということを軽々しく口にすべきではないと思う。これがまず一つ。  それからもう一つ防衛庁責任者である増田防衛庁長官が、これだけのことが起こったからということを理由に、あるいは防衛庁に二十六人の若い方が飛び込んだという理由で、いきなり七十八条にいうところの治安出動の話までここでされるということではいけないと私は思う。われわれの役所は警察で足りなければ七十八条で出ていく役所なんだから、しかたがなければ出ていくんだということは法律できまっている。しかし、今日的民主主義の世の中というものは、民主主義を守るということは、いずれの側に立つにせよ、相当な人間の意思が必要になる。でなければこんなことは守り切れませんよ。それが今日の憲法の趣旨でしょう。そうでなければ治安維持法のいにしえに返る。そのことを増田さん自身だって承認はされない。だとすれば、にわかにこれだけの問題が起こったからということをとらえて、そこまでの話がこの委員会で出てくるということは、私は考えなければいかぬ、それはもっと慎重かつ冷静でなければいかぬという気がする。それはものごとの前提なんです。そして問題は、今日これだけ大きく動いている学生運動の本質は一体どこにあるのかという点をとらえる、そしてそれにどう対処するかということを政治的な分野で考える、こういうふうに本質的に進めなければ、現行法規をたてにとって一つ一つ押えにがかったところで、この態勢がますます広がっていくものを押え切れやしない。先ほど警備を厳重にし、何か一万日でも守るんだとおっしゃっているけれども、一万日でも守るということは、歩哨でも毎日歩かせておけば――私も軍隊育ちで士官学校の教官だったが、文官だからということで、増田さんは士官学校の教官をおやりになったことはないから、そんなことを簡単におっしゃられるけれども、そんなことを言ったら、防衛庁の中で現体制に反対だという連中があらわれたらどうするか。いかに一万日で守るのですと言ったって、その人間が納得しなければ守れっこない。戦国の武将武田信玄じゃないけれども、人は城だと言っている。そうでしょう。つまり、やっぱりそこに今日的民主主義――だから議会制民主主義という形に政治があるのですから、やはり政治的な責任を強くお感じいただいて、よきにつけあしきにつけ、政治的責任という立場でものごとを考えるということにならなければいけないと私は思うのですが、いきなりある実体法をとらえて、これは不備だからこれを直したいということになると、これはえらいことになる。兇器準備集合罪だって、凶器凶器で送った。人は別に行って、沼津で一緒になってやくざの親分を殺しに行った。凶器準備がいきなり凶器準備にならない。ここで相談したって、殺そうと思った相手は沼津にいたということなら、これは成り立たない。民主主義のもとにおける法律だから、そうなっている。昔の軍隊時代なら、憲兵がどこへでも行けた。そうでしょう。だとすれば、民主的手続に基づいて、まずその一番てっぺんは政治でしょう。そこにいけば責任の所在を明らかにして、どうしたら一体学生運動の本質をとらえて今日的問題の解決の方向に進めていけるかということを考えるのが私は筋だと思う。この点は、間違いでしょうか。長官、どうでしょうか。
  44. 増田甲子七

    増田国務大臣 大出さんの御質問の中で、私に関する部分をお答えいたします。  増田甲子七がいきなり治安出動だということを言ったことはないので、いきなりは言っておりません。これは藤尾さんから、各種の段階がある、あらゆる段階に備えてあるか、こういう御質問がありまして、いろいろな段階がございましょう、警察力をもってしては治安維持困難なりと認めた緊急事態に対して、七十八条所要の条件が完備するのなら、社会的不安が現実に起きて、治安が至るところ攪乱されておる、警察力ではどうにもならぬというときには、治安出動のこともわれわれに課されたる任務でございますということを言ったのでございます。そして最悪の事態のときに警察力以外にはないのかという御質問に対しまして、それはあります、治安出動する場合もありますし、またそれに備えて教育や訓練も平素においてしておるのでございます――これは答えておるのでございまして、いきなりは申しておりません。いきなりということは、ひとつ御考慮願いたいと思います。  それから騒擾罪――私はどうも騒乱罪ということはよくわかりませんが、現行刑法騒擾罪と書いてあるもので、騒乱罪とだれが言ったか、よくわかりませんが、世の中で騒乱罪といっているから、俗称に従いましょう。騒乱罪が不備であるとか不備でないということは私は考えておりません。現行刑法に照らしてそれに該当するものを見のがしておるものがあるならば――見のがしている場合が私は多々あるのではないかと思うのです。私はよくわかりませんが……。今回の場合は、刑法にいうところの騒擾罪に該当するということを警察当局が認めたということは、けだし当然である。ただしかしながら、新宿だけに限るということはおかしな話であって、全体として検討の対象にしてほしいということを赤澤国家公安委員長にも今朝閣議において要請したということを藤尾さんにお答えしたことは、そのとおりでございます。しかしながら、騒擾罪自身の条文が不備であるというふうには一つ考えておりません。法は、やはり解釈適用によって生きるわけでございまして、解釈適用のほうでしっかりしてもらえばよろしいのではないか、こう考えております。しかし、立法論としてはまた私も検討して、答えろといえば答えますが、そういうわけでございます。  それから私は、あの二十日の事件騒擾罪とも何とも考えておらぬのです。いきなり建造物へ侵入してきて、そして器物を損壊した。建造物侵入罪とかあるいは器物損壊罪ということになると私どもは思っておるのであります。しかし、これもやはり司法警察当局あるいは検察当局の御判断にゆだねるべき問題ですが、私は、昨日の事件新宿騒擾罪になるが、こちらのほうは相当投石をやられたり、ガラス窓を全部こわしたり、ほっておけばおそらく防衛庁の中を攪乱されてしまったでしょう。そういうようなことで、やはり一連の騒擾罪になるかならぬかということを検討すべきものである、検討してもらいたいということを、司法警察当局である国家公安委員長には閣議の席上でお願いをいたしたわけでございます。
  45. 大出俊

    ○大出委員 私の言いたいのは、この種の問題でことばのはじをつかまえてもしようがないんです。問題は、若い方々に各政党ともども、私も政党の一員だけれども、満足な対策なしになっているという感じがする。どうにもしようがないということになっている気がする。そういうことにしておいて、一方で、いま長官が百六条にあるとおり申しておられますから、そのとおり騒擾罪と申し上げますが、こちらのほうを騒擾罪などというのは一般受けしないから騒乱にしたんでしょうけれども、似たようなことばだから百六条の騒擾罪のほうからいっても、こちらのほうをひねくり回してみたところで、本質的には解決しないんじゃないかという気がするということを先ほどから私は申し上げておるわけであります。  そこで、今回のこの警察当局の動き等の意見がここに載っておりますが、その中で幾つか承りたいことがあるんですけれども警視総監に権限があるとして、何時ごろ騒擾罪適用をするということをおきめになりましたか。
  46. 丸山昮

    丸山説明員 けさ方の零時十五分でございます。
  47. 大出俊

    ○大出委員 この混乱は何時ころまで続いておりましたか。
  48. 丸山昮

    丸山説明員 最終にはけさ方の三時に事態がおきまっております。
  49. 大出俊

    ○大出委員 きのう十二時の、NHKですから正確にいうと十一時五十分からのニュースですが、その中で、新宿の駅、現地からの記者のなま放送が入ってきているわけであります。これによると、ほとんどの学生はいなくなりました、なお学生以外の一般諸君と少数の学生がおりますというので、テレビ中継車からその状態を全部映しておりました。その少し前に、マイクロバスがひっくり返されて火がついて燃えている。ところが、アナウンサーの報告では、マイクロバスをひっくり返して火をつけたのは学生ではないようだ、一般の人だというふうに伝えられている。これは現地からの放送で私は直接に聞いておりました。片方で何か座席をひっくり返して積み上げたところにも火がついた。実はそういう状態です。それがテレビに映っておりました。だから、非常に明るい状態です。確かにテレビがなま放送しておりますように、非常に数も減ってしまっている段階であります。ということになると、六千人などといわれたり、あるいは二千何百人にやじ馬があって六千人といわれたり、いろいろいたしましたが、それがほとんど数が少なくなってしまって、テレビでながめましても、ほとんどもうまばらになっている。片方、車がひっくり返って燃えている状態がある。しかもテレビでは、それは学生のしわざではないと言っている。まさに言うなけば、片がつくという最終的な段階、終わりかかっている、こういうふうに見える時期に騒擾罪適用に踏み切られたのか。この時間的な、かつまた現状との関係、そこらはどういう理由になっておりますか。
  50. 丸山昮

    丸山説明員 これはまだ詳細に捜査中でございますので、私が申し上げるのはごく大ざっぱなことになると思いますが、ただいま御指摘がございました五、六番ホームの南口の上り階段に電車のシートを積み上げまして、これに放火をいたしましたのが二十三時四十分でございます。それから警察のテレビ車が引き出されまして、これが転倒されて火をつけられましたのが二十三時三十分ごろでございます。したがいまして、こういった事態に立ち至った時点において、騒擾罪適用について関係者が――もちろん警察、警視庁並びに東京地検の間での問題でございますが、打ち合わせをいたしました結果、ただいま申し上げました十二時十五分になりまして適用するという最終的な結論に到達した、こういう状況でございます。
  51. 大出俊

    ○大出委員 けさの読売新聞の十四版の十四面を見ますと、警視総監と記者との一問一答がずっと載っておりますが、この中で、記者の側から――記者はずっと現場におりましたから、ほとんど事情はわかっている。テレビでも実に詳細な報告ですよ。マイクロバスがひっくり返されて火がつけられたけれども、火をつけたのは学生ではなかったというようなことまで言っておるんですからね。ここでもそれが出ておりますけれども、何で一体あそこまでいかなければ警察は何もできなかったのかという質問をしています。全く情報収集の不備があったのではないかということを記者の側から質問している。それを警視総監はしぶしぶでしょうが、最後には認めたようなかっこうになっている。だから、これは少しひねくれた見方になりますが、見方によれば、事前にわかっておったことで、そこで警察の側の方々もいろいろ御努力をなさったが、しかし、結果的にどうもちぐはぐになってしまった。私が国会にいてもそうなんですが、ほとんどだれもいないところに入ってきたから、中に待機していたおまわりさんも、入り出してしまってからつかまえたというわけです。だから、ことごとくちぐはぐだったろうと思います。だから、そういう意味での警察側に対する世間一般の批判上、おくればせながら騒擾罪適用した、そうなれば、新聞は伝家の宝刀を抜かれたというようなことを載っけるから、そういう状態だったなら、警察はおたおたしたようだけれどもしょうがないということになる。どうもそういう意味の責任のがれのような感じまで、この一問一答を読んでみますと、ひねくってとれば受け取れる。とにかくこの時点までいって、なぜ十二時過ぎというような段階騒擾罪になるものを持ち出さなければならなかったのかという点が、いまの御答弁だけでは全く不明確きわまると思うのですが、しかし、課長さんですから、それ以上申し上げてもしかたありませんから申し上げません。  そこで、ちょうどここに「戦後の騒乱事件」というので新聞に全部表が載っておりますが、ここの最後のほうに、二十七年五月一日、東京桜田門のあそこで一合戦あったメーデー事件というのがあります。私はあのときたまたま官公労百八十万の事務局長をやっておりました時代のメーデーでありますから、総評の事務局長高野実さんと一緒に立っておった。ところが、学生集団がどうしても皇居前広場を使わせろといって、また私どもの団体もしきりにいってきたけれども、時の政府は強引に押えて使わせない。それで、桜田門のあの辺から、こっちの警視庁の前から皇居前広場に学生諸君がなだれ込み、それに一般労働者もくっついてなだれ込んだという事件です。堀の中に落っこちたおまわりさんが泳ぐ、それをまた学生が突き落としたといううようなことを目の前でやる。ガス弾が撃たれ、しまいにはピストルを発射するような騒ぎが出てくる。こういうところに私も行っておりましたから、よくわかったのですが、このときに実は大きな騒ぎになった。GHQがあった時分でありましたが、騒擾罪という形の適用が出てきました。このあと、引き続き二十七年五月一日のメーデー事件。ちょうどサンフランシスコ条約のときです。だから朝鮮戦争が始まった翌々年です。ところが、一カ月たって六月二十五日には、例の大阪で吹田事件が起こった。さらにすぐもう一カ月たって七月七日には、名古屋で有名な大須事件が起こりました。ところが、吹田事件は、二審で騒擾罪は不適用、つまり、公判では共同意思の確認は結果的にできなかった。したがって、なお慎重になるのでしょうが、メーデー事件にしても、大須事件にしても、三つとも結論が出ない、こういうかっこうで今日延びてきておる。こういうわけです。だから私は、ここで騒擾罪云々というものを持ち出してみても、そのことで今日的な学生状態というものがおさまるとはどこから考えても思えない。なぜかというと、昭和二十七年当時というのは、背景に政治的な朝鮮戦争というものがあったからですよ。そうすると、今日いろいろ起こっているものの中に、例のジェット燃料の輸送をとめようという一つのねらいがある。そのことを世間一般にアピールしようという、これも大きな反体制運動の一環かもしれない。ジェット燃料というのは、防衛庁に御質問しようと思っておりますが、私どもの選挙区である横浜に、不法占拠を含めて米軍の燃料置き場がある。われわれが知らないうちに、地下にジェット燃料の埋蔵タンクがたくさんできておる。現実にそこから運び出しておるのですよ。そして鶴見からタンクローリーで持っていったやつを新宿を通って立川に輸送している。これは横浜から厚木にも行っているのですよ。しかも町の中では、そのタンクローリーの車が町の電柱にぶつかって人家にあぶなく飛び込むところの大きな写真が載って、それこそ町じゅうひっくり返るような騒ぎになった。爆発したらどうするかというのです。そういう状態が至るところにあるわけです。そうなると、やはりそこに一つの問題点がある。政治的な意味での背景がある。こういうものと結びついている。だから、掲げているスローガンからいえば、ジェット燃料輸送をとめさせようというそのことは、安保条約というものとからんで、七〇年というものを一つの目標にした考え方につながっていく、こういう動きなんです。そうすると、これは大きくいって、ある意味ではやはり政治問題ですよ。だから、それをどういうふうに解明をして、どういうふうに押えるかということは、むしろ法律的な騒擾罪というふうな形のものの発動という以前の問題、私はやはりそこに問題があるというふうにとらえておるわけです。だから、おそらくこの二十七年の例からいっても、ここで騒擾罪をより広げるという長官の御意見のようだけれども防衛庁のほうもひとつ適用にお踏み切りなさいというお話閣議でおやりになったのでしょう、検討してくれとおっしゃっているのだから。そういう形の押え方で、それによって学生運動というものは押えられるというふうに長官考えですか。
  52. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、学生運動の本質なりその他のことは、他の主管大臣がおりますからおまかせしておるのでございまして、ここでは発言しないのみならず、学生運動関係の閣僚懇談会等にもしいて欠席をしておるわけでございます。このことは御了解願いたいと思います。これはやはり、防衛庁という大きな武力を背景としておる団結体の長官が、学生運動の本質いかんというようなことの究明にいつも参画しておるということはおもしろくない。自分で自分を規定しまして、わざと欠席しておるわけでございますから、学生運動を本質的に分析、解明してそれに対する対処方策いかんということについてのお答えはいたしかねます。  それから、昨日の騒ぎというものは一連の騒ぎでございますから、一連の騒ぎとしてとらえるべきである。新宿だけを限るということは、どういう趣旨かわからないけれども、一連の騒ぎとして考えてもらいたい、こういうことを申し出べきことは当然であると思います。そこで、警察当局あるいは検察当局が、一連の騒ぎではあるけれども新宿の何々ホームだけのことをとらえてそこをやるということの結論になればそれまででございます。しかし、少なくとも昨日の東京反戦デモというものは一連の騒ぎでございますから、一連の騒ぎとしてとらえて検討すべきではないかということを発言するのも、これは閣僚としての当然の職責であると考えております。だからといって、騒擾罪の範囲をこの際拡張せよ、実質的に刑法の範囲を逸脱せよなんということを私は毛頭考えておりません。
  53. 大出俊

    ○大出委員 ゆうべは一連の騒ぎはまだありまして、私がテレビを見ておりましたら、千人ばかりの学生諸君が防衛庁に押しかけて大騒ぎになった。それでガス銃その他を持ってきて追い払った。そうしたら、また態勢が立て直って、八百人ばかりまた防衛庁にあらわれたというのがテレビに出ました。それはニュースですからね。それがぱっと変わったから何が出るかと思ったら、自衛隊中央病院で改修工事をめぐる汚職、三等陸佐三人逮捕、警視庁も本格的に取り調べというのがすぐあとに出ておる。これは一連の事件ですよ。そこへもってきて、この間、「防衛庁にまた〃黒い霧〃」「F104J戦闘機の部品問題」「装備担当の一佐退職」「〃大手商社の供応受けた〃」これもついこの間、十月三日ですから、一連の事件ですよ。こういう現在の世相というもの、そこいらにやはり一つの大きな問題がある。今日学生諸君が若いがゆえに純粋なところがあるわけですから――私どももこの暴力行為には断固反対、絶対反対。反対だがしかし、若い諸君の運動の中には、明治百年だから明治の話をしましたけれども、そういったやはり反体制運動が起こってくる。それがさらに強くなっていく。そういった世相がやはり現実にある。それがやはり私のところなんかでも、せがれがおやじ何しているんだと言うけれども、社会党だってだらしがないじゃないかということになるのだけれども、そういう世相が――正直言って与野党の問題ではないかもしれないけれども、それがやはり学生運動というものに移っていくのですね。あたりまえだと私も思う。だからそうなると、これは単に騒擾罪などというふうなことを持ち出して云々という問題ではなくて、現象形態を追っかける前に、本質的にこれをどうするかという点を政府の政治責任として考えるというところに出発点を置いていただかぬと、この新聞に出ているこういう例の取り上げ方では問題は解決をしない。この点だけは意見として最後に申し上げておきます。
  54. 三池信

    三池委員長 引き続き関連質疑を許します。菊池義郎君
  55. 菊池義郎

    ○菊池委員 私、簡単に十五分か二十分で関連質問を済ませたいと思います。  ただいま大出君から汚職の話が出ましたが、汚職は各党共通でございまして自民党ばかりを責めることはできないと思うのです。共産圏国家にも汚職はたくさんございます。どこの国も共通の現象でございますから、自民党ばかりを責めることはできない、政府ばかりを責めることはできないと思います。   〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕 私、実はアメリカから中南米、それからドイツ、フランス、ソ連を回って、文教政策のあり方について調べてまいりましたが、そのうちで、各国大学の騒動について調べてまいりました。メキシコでは七月ごろにえらい騒動があって、百八十人も学生がぶち殺された。その騒動の原因は何かというと、財政が困窮しているメキシコがオリンピックなんというたいへんな金がかかることをやり出すというと、さらに財政が逼迫して、国民の税金がたいへんだというようなことから起こってくる、これはもっともしごくな学生考え方であります。それから、フランスでもたいへんな学生の騒動が起こりましたが、これはフランスの大学が貧乏人の子供をシャットアウトする、ブルジョアの子供ばかり大学に入れる、そういうことに憤慨しての騒動であった。それに引きかえ、日本の学生騒動は何から来るかというと、結局わが日本に共産政権を打ち立てよう、そういう最終の目標から来ておると私は考えております。その証拠には、すべて共産主義の学生が中心となってあばれている。この事実が明らかに証明すると思うのであります。でありまするから、こういう学生運動は徹底的に弾圧するほかはなかろうと私は考えております。これが最もよい手段であると考えておるのでございます。  そこで、私は、法制局あるいは警察庁の方にお伺いしたいと思うのですが、七〇年の安保騒動はこの五倍になるか十倍になるか、おそらく全国的にたいへんな騒動が起こると思うのであります。ことに、全学連のごときは死を賭して戦うということをいっております。そういうわけでございまするからして、その大きな騒動に備えまして、何らかの立法措置が必要である。昔は軍が戒厳令を発動しまして、一定の地域においてその行動を弾圧いたしました。これにかわるところの何か立法措置ができぬものか。いまの自衛隊は軍ではなくて、まあ文官でございますから、そういうことはできませんが、政府としてこの戒厳令にかわるきびしい立法措置が何か考えられなきゃならぬと思うのでありますが、これについて増田先生及び法制局あるいは警察庁の御意見を伺いたいと思います。
  56. 増田甲子七

    増田国務大臣 いまのことばの中に、自衛隊は文官であるというお話がございましたが、私はいわゆる軍隊とも言いませんけれども、文官ということでもない。やっぱり日本の平和と安全を実力をもって守る、一定の実力を持った自衛官である。このことは、ぜひ菊池さんが自衛官が文官だというようなことをおっしゃらないようにしていただきたい。これは自衛官である、ただそう言ってもらえばいい、お願いいたします。  それから、事があって防衛出動するとか、治安出動するとかいうような場合に、何か一定の区域を限って自衛官が行政をするということを考えるかどうか、これはいまのところ考えておりません。
  57. 菊池義郎

    ○菊池委員 法制局にお伺いいたしますが、政府の指示があったならばそういう立法措置ができますか。できるとすれば、たとえばどういうことが考えられるか、それをひとつお答え願いたい。
  58. 真田秀夫

    ○真田説明員 法制局としてお答え申し上げますが、予想される治安の乱れと申しますか、そういう事態に対処してどういう立法が考えられるかという御質問のようでございますけれども、そういう方面のことは、やはり治安の責任の衝にある当局の方で立案、政策をお立て願いまして、それを立法化する段階で、私どものほうで憲法に照らして、果たして許されるかという観点から審査をするというたてまえでございますから、この段階で私のほうから積極的にどういう内容の立法をすべきであるとか、したらいいじゃないかということを述べるような立場でございませんので、御了承願いたいと思います。
  59. 菊池義郎

    ○菊池委員 そのくらいのことはふだんに考えていただきたいと思うのです。それを考えることができないようじゃ、あなた方政治的意識が全然ないといわなければならぬ。増田長官に申し上げますが、これは答弁なさらなくてよろしい。自衛隊というものは、ふだんに国民から誤解されておる点がございます。たとえば自衛隊が通ると税金が通ると言う。税金食らいというふうに一部の国民考えられておる。そういう誤解、そこへもってきて、この間のように、全学連の坊やたちがもの好きにあんなところに入り込んでいたずらをする。そういう中でそれを規制することができないとなると、日本の自衛隊はまるきり無力無能である。結局国家の飾りものにすぎない。そういうアクセサリーのために税金を払うなんてばかばかしいというような考えが、国民の頭の中に必ず出てくるに違いない。これはおそろしいことなんです。でありますから、今後はそういうことの絶対にないように気をつけていただきたいと思うのでございます。これは御答弁に及びません。  それから、新聞を見ますと、アメリカの大統領の候補であるニクソンとハンフリーが同じようなことを言っておるのです。ニクソンのことばは二十一日の読売新聞に出ておる。それからハンフリーのことばはきょうの朝日新聞に出ておるのでございますが、どういうことを言っておるかというと、ニクソンは、大国間の衝突を予防するためには、アジア諸国が集団安保体制をつくることが望ましい、だが、それは決して米国の孤立主義を主張するものではない、自分が提唱しておるのは、地域的結集は支持するけれども、これら諸国のために戦争を買って出ることはしないということを言っております。つまり、アジア諸国のために戦争を買って出ることはしない。それからハンフリーはどういうことを言っておるかといいますと、これはきょうの朝日新聞でありますが、将来米国のアジア政策は軍事的にアメリカ一国で介入することはしないということを言っておるのです。こういったような新聞記事が出ますと、世間一般に、アメリカと安保条約を締結しておっても、アメリカは一たん緩急あるときに助けてくれぬのじゃないかというような印象を非常に与えるのでございますが、このことばの解釈について防衛庁長官はどういうようにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いしたい。  もう一ぺん申しましょうか。ニクソンは、自分が提唱するのは、地域的結集は支持するが、これら諸国のために戦争を買って出ることはしない。ハンフリーは、将来米国のアジア政策は軍事的にアメリカ一国で介入することはしないであろう、そういうことを言っております。
  60. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、いま菊池さんのおっしゃった新聞記事等はまだ見ておりませんけれども、日米安保体制だけのことについて申し上げます。  両国間以上のものは集団安全保障体制でございまして、すなわち、日米安保体制は集団安全保障体制でございます。それから米加安全保障体制もございます。米比安全保障体制もございますが、これは二国間のものでございます。そこで、二国間である安保体制を一応このままとするというのが一九七〇年まででございまして、一九七〇年以後においては、両国政府のいずれか一方から廃棄の通告があったときは云々という第十条の第二項がございます。第十条の第一項は、両国のいずれもが国際連合が国際の平和と安全について適当なる施設を施したると認めるときまで、この条約はその効力を存続する、これがすなわちいわゆる永久条項といわれるものでございます。しかし、第二項によりまして、一九七〇年の六月二十三日以降は、一方の政府が廃棄通告をすれば、一年の有効期間を置いてその後に効力を失うということになっておりまするけれども、私の見るところでは、ニクソン候補が大統領になろうとも、ハンフリー候補が大統領になろうとも、アメリカ側が一方的に一九七〇年の六月二十三日以降において廃棄通告をしてくるとは絶対に考えていないのでございます。
  61. 菊池義郎

    ○菊池委員 私も全く同感でございます。そういうことは絶対にないと思いますが、もしもアメリカが安保条約に飽きてしまって、つまり、日本に対する安保条約は、アメリカが世界の四十二カ国と締結しておりまする条件とは全く違いまして、ほかの国との条約はこれは双務協定でありますが、日本との安保条約は、全くこれは片務的な条約で、アメリカは日本の防衛を負担するが、日本はアメリカが他国と戦争してもこれに介入する必要がない、アメリカを助ける必要がないということになって、全く片務的の条約でありまするからして、いつ何どき向こうからして議会の世論によって破られてくるかもしらぬというようなことが一部の国民の懸念になっております。私はそういうことはないと思いますが、万が一にもアメリカが安保条約を破棄することを申し入れてきた場合に、つまり、安保条約が破棄されて日米が手が切れた場合に、日本は孤立無援におちいらなければならぬ。そういう場合においては、いかにして日本の国防を維持するかということになるのでありまするが、そういうときに、英米やあるいはソ連、中共みたように核兵器を持つ必要が出てくるし、また徴兵制もしがなければならぬということを私は痛切に感じますが、長官はどういうふうにお考えになりましょうか。
  62. 増田甲子七

    増田国務大臣 菊池さんは日米安保条約を片務的とおっしゃいますけれども、これは普通日米安保、日米安保と言っておりますけれども、その前段の日米相互協力並びに安全保障に関する条約、こういう題目がこの条約の題目でございます。この題目から見ましても、日米相互協力をいたしておるわけでございまするし、また第六条といったような規定もございます。すなわち、極東の平和のためにも米軍は日本に駐留する。ただし、これは交換公文がございまして、事前協議対象になっておりますけれども、全然片務ではないということをまず大国民として、もちろん御如才ないと思いまするけれども、御配意を願いたい。  それから、日本は国際連合貿易開発会議等の決議によりまして、GNP――国民総生産の一%というところに最近は逃げておるようでございまするが、本来的にはGNP、国民総生産の一%を開発途上国に援助をしておる、また援助する方針のもとにやっております。これがやはり東洋の平和と安全に非常に貢献しておるわけでございますから、このこともわれわれの安保条約上のパートナーであるアメリカはよく認識しております。  そこで、一方的に破棄されることを前提として各般の手段を講ずるというそのあとのことにつきましては、お答えをいたしかねる次第でございます。
  63. 菊池義郎

    ○菊池委員 私は仮定を言ったのでございますが、これは当然に考えられることで、日本が孤立無援の立場に立ったならば、おそらくみずから守らなければならぬのですから、核兵器を持たなければならぬし、それから徴兵制度を各国並みにしかなければならぬ。これは当然なことだと思うのですが、これに対してどうお考えになりますか。
  64. 増田甲子七

    増田国務大臣 核につきましては、非核三原則というものを厳守しております。すなわち、製造せず、そこに重点があるわけでございます。これは製造する能力はないことはないでしょう。現に原子力の平和利用による電力も十六万六千キロワット、水戸の近所で生産いたしておるのですから。そこで、原子兵器等を生産せんとすればなし得るかもしれませんが、政府の厳重なる方針で製造せず、これがまず第一でございます。それから保有せず、それから持ち込まない。この非核三原則を貫いておるということが佐藤総理並びに自民党のしっかりした方針であるということを、有力なる党員である菊池さんはおわかりになっていらっしゃると思います。  それから、一方的に日本だけで守るというのが世界の大勢ではございませんし、いま東洋やヨーロッパでひどい目にあっておる国々の状況を見ましても、きわめて雄弁に、集団安全保障体制というものは、もう国際連盟時代からこれは唱えられておったのです。しこうして国際連合になってからいよいよ唱えられまして、国際連合憲章第五十一条にも、国際連合自身は、世界の平和と安全を維持する能力があまりないようなことをはっきり書いてあるのですから、そこで、個別的もしくは集団的の安全保障の取りきめを締結する権利があることが確認されたということで、国際連合憲章第五十一条を援用したのが平和条約の第五条でございます。また、日ソ共同宣言の第三項の(b)にも、日ソは相互に固有の自衛権があるのであって、そのためには集団的の安全保障の取りきめを締結する権利があることを確認する、相互に確認し合っております。すなわち、ソ連は、日本のアメリカと締結しておる日米安保条約を日ソ共同宣言において――日ソ共同宣言は、国会の承認を得た、しかも批准を得た条約と同様に扱われておるものでございます。その中にも書いてあるわけでございまして、日本が独自で守るのは世界の傾向に反しまするし、そういうことはございませんから、日本独自で守るために徴兵令をしくとかいうようなことは、私は考えていないのでございます。
  65. 菊池義郎

    ○菊池委員 私のことばがあるいは誤解されておるようでございますが、アメリカから安保条約の破棄を申し入れられた場合、そう仮定した場合、さらに日本はどこの国としからば安保条約を締結する可能性がありますか、軍事同盟を。
  66. 増田甲子七

    増田国務大臣 それも考えていない。ただ日米安保条約でずっとやっていこうというのがわれわれの考えでございまするし、菊池さんの考えでもあるということでなければ、やはり自民党の有力幹部と言えないのではないでしょうか。
  67. 菊池義郎

    ○菊池委員 それじゃ、核拡散防止条約は米国の議会で繰り延べになりましたが、防衛庁長官としては、これをどういうようにしようとお考えになりますか、御希望は。
  68. 増田甲子七

    増田国務大臣 そのことにつきましては、外務大臣からときどき相談を受けておりますが、私は、原則的に、米ソの間において苦心してでき上がった核拡散防止条約というものはけっこうなものである、日本はいろんなことを言わないで進んで調印すべきものである。ただ各種の国際情勢から見送れという議論もありますけれども、私は、そんなことを超越して、日本がまっ先に、原子力の核の関係のことは拡散しないほうがよろしいという、米ソが非常に苦心してでき上がったものは、積極的に賛成していくべきものである。チェコ問題等にかんがみて調印を延ばせという議論もございますけれども、私は積極的に調印すべきであるという立場に立っておる閣僚でございます。
  69. 菊池義郎

    ○菊池委員 この条約は、不必要になった場合には条約から脱退することができる規定もありますので、長官のおっしゃること、しごくもっともであろうと思うのであります。  それから、航空自衛隊の次期の主力戦闘機でございますね。これは大体きまっているようでございますが、千億、二千億とたいへんな金がかかるらしいのでございますね。それで、この飛行機の性能から見ますと、F4Eファントム、三千キロから四千キロも飛ぶというのですね。そういう長距離の飛行ができる戦闘機を持つ必要があるのかないのか。いままでの飛行機でも、安い一機五億円くらいの飛行機でもって間に合うはずだと思うのです。一機二十億ですか十億ですか、そんなにかかるという戦闘機を用意する必要はないように思いますが、これに対してどういう見解を持っておられますか。
  70. 増田甲子七

    増田国務大臣 FX、すなわち将来の戦闘機、これは初め九種ばかり候補がございましたが、三種にしぼったわけでございます。三種にしぼって六種を落としたのは、現有いたしておりますF104というのが三百機近くございます。この三百機近いF104をもってしては現有能力は――すべて相手方のあることでございますから、相手方が非常に高速性能を持ったり、あるいは装備等が優秀であったりした場合に、F104では不足であるということで、そこでFXということが言われだしたわけでございまして、現有しておるF104に比べて劣っておるのが、あるいは同等くらいであるのが六種でございまして、その六種は落としました。あとの三種は、いずれも現有いたしておるF104よりはまさっておるということで候補にいたしまして、調査団を派遣いたしまして、各種の報告をさせておるわけでございます。それをまた空幕長が検討して私のところまで報告が来ておりますが、私自身がメーカーというものを指定いたしまして、生産者は三菱重工が主たる生産者であり、川崎航空機というのが従たる生産者であり、こういう生産者を指定いたしまして、生産者側からも各種のデータをいま計算させておるわけでございまして、その結論が出た場合には、FXというもののそのXがXでなくなる時代が――もう今月中にももしできればしぼりたい、こう考えておる次第であります。
  71. 菊池義郎

    ○菊池委員 この安保条約がある以上は、何も三千キロも四千キロも、大陸の奥地までも飛ぶようなものをつくる必要はないように考えるのです。そんな遠くまで飛ぶような飛行機を備えてみたところで、それは原水爆でもすぐ積むということならたいへんなる脅威にもなるでありましょうが、単なる爆弾ではほとんど何にも役に立たない、どうにもぜいたく過ぎるような考えがいたしますが、どんなものでしょうか。安保条約によって守られると私は考える。あまり高くつき過ぎると思うのですね。
  72. 増田甲子七

    増田国務大臣 この航続距離三千キロ、四千キロとおっしゃるのは、油だけ積んで何も積んでない場合のことなんです。ノーチカルマイル二千海里といっておりますが、普通のキロに直せば三千八百キロくらいでございましょう。これはただ飛んでくる、よその景色を見にいってくるということなら別でございますけれども、やっぱり武器を積まなければ戦闘機になりませんから。その戦闘機の主たる目的は、侵入する、侵略する相手側の戦闘機――戦闘機はあまり来ないでしょうけれども、爆撃機その他を撃墜する。つまり、要撃というのはそういうことでございます。迎え撃つという邀撃でございます。ほんとうはヨウという字はむずかしい字でございますけれども、いまは漢字制限で非常に楽になりました。必要の要という字を書いておりますが、必要の要ではほんとうはわからないのです。ほんとうのヨウの字はむずかしい、しんにゆうがついた字ですけれども、これは迎え撃つという字でございます。迎撃という字になってはじめて邀撃という字と同じ意味になるわけでございますが、要するに、迎え撃つのが目的でございまして、裸で方々飛び回って、ちょっとスピードが早かったり航続距離が長かったりしてもいたしかたがないわけでございまして、装備を完全にした場合には四百海里くらいしか往復できない。また航空時間等も短いわけでございます。すなわち、日本の国土、領海、領空、領土等を守るためにFXを選ぶ、そういう見地から選んでおる。いませっかく選考中でございます。
  73. 菊池義郎

    ○菊池委員 それから在日米軍基地ですね。これはまあ、入り用でないものはなくする、あるいは基地を移転するとか、あるいは自衛隊に肩がわりさせるとか、そういうための日米合同委員会がつくられるということが報道されておりますが、それはその後どうなっておりますか。
  74. 増田甲子七

    増田国務大臣 この際、詳しく申し上げておきます。これは参議院で申し上げたことと同じことを申すのですが、日米安全保障協議委員会というものが、日米安保条約を改定したときに岸・ハーター交換公文のもとに設けられております。これはこちら側が二人、向う側が二人でございまして、こちら側は外務大臣と防衛庁長官の二人でございます。それからパートナーである向こう側は、東京におるジョンソン駐日全権大使と太平洋軍司令官でございます。その会議は一年に一回くらい持たれますけれども、それでは用事が足りないというわけで、下打ち合わせを時々いたしております。一年に三回くらいいたしておりまするが、去る九月十一日、十二日に下打ち合わせをいたしました。国会においてときどき議題になりましたスナイダーという人も来たようでございます。そういたしまして、種々の極東情勢の話をしたり、日米安保体制運営について話をしたりいたしております。そのときに、われわれの側から、防衛施設庁という私どもの部署がございますが、防衛施設庁長官から、基地の問題はこれこれの問題があるんだということを紙に書いて、一応参考に出しました。ところが、この下打ち合わせ会というのは安保条約の運営に関する下打ち合わせ会でございますから、基地の問題までは一々具体的に討議をいたしがたい、しかし、この参考の書類を出してくれたことは多とするというようなことが、アメリカ側の返事でございました。私は出席したわけではございませんが、報告を出席いたしました事務次官から受けております。  それからそのときに、さらにアメリカ側は、この問題は地位協定――御承知と思うのでございますが、安保条約のときに国会の承認を受けました地位協定というものがございますが、その地位協定に基づいて日米合同委員会というものが常置されております。現在も常に存在しておるわけでございまして、これは、日本側は外務省のアメリカ局長議長、アメリカ側は駐日軍の参謀長のウイルキンソンという少将が議長であって、交互に議長をやっており、しこうして常置されており、月に一回くらい開いております。この常置されておる日米合同委員会の議題にしてくれ、こういう話でございまして、それももっともであるということで、ケース・バイ・ケースのことは日米合同委員会でこれから順々に議題になるわけでございます。  そこで、さらに具体問題といたしましては、その下部機構として施設分科委員会というものがございます。地位協定に基づく日米合同委員会のその下部機構に施設分科委員会というものがございます。その施設分科委員会議長防衛施設庁長官でございますが、そこで議題として、水戸の射爆場をどうしようとか、北富士をどうしようとかいうことを一つ一つ片づけてまいる。しかしながら、九月十一日、十二日に開かれました日米安全保障協議委員会の下打ち合わせをするときに、米国のほうからも国務省の次官補とかいうような人も来ましたし、国防省の次官補というような人も来ました。こちら側からは外務次官も出ましたし、また防衛庁の事務次官も出ておりまするし、施設庁長官も出ております。基地に関することを、一応解決はつきませんけれども、こういう問題があるといって出した。これが非常に基地問題を解決する上においては大なる前進を見たものである、こういうふうに相互了解したわけでございます。
  75. 菊池義郎

    ○菊池委員 それから最後に、私はアメリカ、ブラジルへ行って、日系の米人、在留邦人から話を聞いて、もらい泣きさせられたことがあります。日本の練習艦隊が向こうへ行って至るところの在留邦人を泣かせておる。それはどういうことかというと、戦前においては五万トン、七万トンの大艦をはじめ七百ほどの艦艇があって、七つの海を圧倒しておった。いまではたったの一千トン、二千トン、三千トン、まあ川蒸気のようなものだ。それが大きく新聞に日本の練習艦隊が来るというので報道される。そうすると、外国人もみな日本の軍艦はどんなものだろうというので、海岸へ密集して見に来る。在留邦人もみんなやってきます。そうすると、外国人はそれを見て、あんまりちっぽけなものですから、みんな笑うというのですね。日系人はそれを見て、ほんとうにくやしさあるいは恥ずかしさで、みんな泣いて帰るというのですよ。だから、あんなちっぽけな軍艦を――アメリカ軍は八万トンの軍艦すらある。ちっぽけな軍艦を世界各国に向こうに出して、そして各国の嘲笑、侮べつを買い、日本人を泣かせるようなことをしないで、何とか練習するためならば繁華街へ上陸させなくてもいいのですから、南洋あたりでもいいし、航海には少しも差しつかえない、そういうことを一つ考えていただきたいと思います。みんな泣くんだそうです、在留邦人が。これはひとつ考えていただきたい。  私は終わります。
  76. 増田甲子七

    増田国務大臣 いまの御発言、お答えは要りませんというようなことですけれども、日本の造船能力は世界の半分造船しておるのですから、いままではイギリスのほうがはるかに上でございましたし、その次はドイツでございましたが、イギリスとドイツを加えて日本の半分しかつくっていない。世界全体の四八%も日本が大なる船をつくっている。五十万トンの船もつくります。そういうときに、やっぱりわれわれのほうもちょっとPR不足じゃないか。いまは大艦巨砲主義ではないのです。いまはわが国の防衛から見れば護衛艦で適当である。あとはエアクラフト・キャリア、ヘリコプターを搭載する船くらいはほんとうは欲しておりますけれども、外国の攻撃を主として目的としておる航空母艦ということはわれわれは考えておりませんし、また戦艦というものは全世界にもうございません。一隻くらいありましても、これは何かひな形みたいなものでございまして、軍事博物館に陳列されるべきものであって、結局巡洋艦以下のものでございまして、大艦巨砲が日本の防衛に役立ってはいないのである。護衛艦がまあ役立っておる。しこうして、大きな船ならば五十万トン日本人がつくるのであるということくらいは、今度は練習艦隊司令官から、泣かせないように言うつもりでございます。
  77. 松澤雄藏

    ○松澤委員長代理 引き続き関連質疑として受田新吉君。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 きのうの緊急事態に対処する意味における関連質問をきわめて短時間にさせていただきましょう。  端的に申し上げて増田防衛庁長官、たいへん唐突な質問でありますが、鳥類の中であなたはハトを愛せられるか、タカを愛せられるか、御答弁願いたい。
  79. 増田甲子七

    増田国務大臣 私の趣味を問われますが、あまりハトもタカも――私は山登りが好きでございまして、あとは別に、ハトやタカについては関心はありません。
  80. 受田新吉

    ○受田委員 関心がないということですが、きのうはハトを放って国際オリンピックが開始されたメキシコにおいて、わが国の代表選手たちはレスリングの各級において相次ぐ金星を獲得しておる。またマラソンにおきましても第二位を獲得する選手も出ておる。そうしたハトによって開かれたこのオリンピックで、日本の代表選手がわれわれ国民の期待にこたえる戦果をあげた。この平和の戦果にどれだけ大きな期待を持ち、感謝をしたかしれない。そのあとであまりにもこれまた突如として暴動事件が起こっておるわけです。きのうは国民は明暗の二面をひしひしと感じた一日でございました。私は増田さんがあの平和の使いのようなハトを愛していただく防衛庁長官であっていただきたい。もしメキシコのオリンピック会場に、また四年前の東京会場に、平和の象徴のハトの飛び立つところで幕あきされたあのオリンピック会場にタカが飛んで来たらどういうことになるでしょう。そういうことを思うとき、防衛庁長官として平和の使者のようなハトを愛せられる長官になっていただきたいことをまずお願いしたいのであります。山登りをされる長官、ハトを愛していただきたい。  そこで防衛庁がおととい、きのうとあの事件に、いままで不用意にも警備が十分でなかったという反省から長官が叱吃激励されて、防衛庁はわれわれで守ろうということで部内に警備隊も置かれたようでありますが、防衛庁の中に警務官という職制があります。この警務官はそうした治安維持の担当者として今回の場合のごときはどういう役割りを持っておるのでございますか、御答弁願いたい。
  81. 増田甲子七

    増田国務大臣 警務官のことは官房長からあとでお答えさせます。  いまハトとタカのことをおっしゃいましたけれども、私は平和を愛好する点においては受田君にはあえて劣らないつもりでございます。平和を愛しますハトというものはずいぶんけんかをするという話です。相当の大げんかをするのに、世の中では何しろ平和の象徴だということになってハトはいいということになっておりますが、ハトを飼ってみて――松野鶴平さんがハトが来て非常に弱った、ハトを追っ払うために非常に苦労したということです。タカは夫婦相むつまじいということで有名ですが、私はタカ派とかハト派とかいうことで、子供のころ、いい人、悪い人ということで片づけて解決したのですが、そのうちにドストエフスキーによって悪い人でもいい人でもない人が出てきた。大学生のおばあちゃん殺しというものも、あれは非常にいい人であって、悪い人でもなかったということで非常に戸惑ったという話も聞きますが、やはり類別していろいろ考えるところは、タカやハトに使われないように、私は平和を愛好するということのために自衛隊がある、こういう信念に徹しておる者でございます。総理大臣もまた平和に徹する、こう言っているわけでございまして、それをしいてタカとか何とかいって、それで人をことばの魔術で解決してしまうということは私の最も欲せざるところでございます。要するに平和を愛好する、これはもう一億国民ほんとうに戦争の惨禍に顧みて徹底しているのではないか。その徹底している上にも徹底しているのが自衛隊である。しかしながら侵略する者もありますから、ただ平和だといって、どろぼうが来ているときに平和という字を出してやったって帰るかどうかわからないから、そこでおまわりさんに来てもらって逮捕してもらうということが必要なのでして、平和を愛好するから自衛隊が必要ではないということは受田さんもおっしゃっておらないと思います。  あとの警務隊のことは、官房長からお答えいたさせます。
  82. 島田豊

    ○島田説明員 昨日の事態に対処いたしますために所要の措置を講じました。御質問の警務隊につきましては、約六十名ぐらいを配備いたしまして、これは主として任務といたしましては、庁舎内に侵入してきました場合にそれに対する各種の措置がとられますが、それに伴います証拠収集という任務をこれに与えたわけでございます。もちろん施設内の犯罪でございますので、逮捕の権限は自衛隊法で持っておりますけれども、事案の性質上、逮捕いたしました場合には警察官に直ちに引き継ぐという方針をとりまして、わが方の警務隊は証拠収集活動に当たるように配慮いたしたわけであります。
  83. 受田新吉

    ○受田委員 きのう、おとといの程度のものは警務官――下士官以上は警務官、兵が警務官補ということになっておるようですが、その職種を持った皆さんに御苦労願う程度でいいものじゃないかと私は思うのです。   〔松澤委員長代理退席、藤尾委員長代理着席〕 一般自衛官がこれに出動する、学生の暴動に自衛官が出動するというようなかっこうに、大げさにいえば自衛官が動く場合、出動というかっこうがとられるということは好ましいものではないと判断しますが、いかがでしょう。官房長でけっこうです。
  84. 島田豊

    ○島田説明員 現在の防衛庁の庁舎内におきましては、いわゆる守衛――警備員と称しておりますけれども、これが約七十名おります。そこで日々の内部の秩序維持ということに当たっておるわけでございますが、今回の事案につきましては、原則として警察官に門の外部及び内部を固めていただくという方針でまいりまして、わが方は庁舎内の警備という方針でまいっておりますが、この七十名の警備員のみでは、事案の性質上十分なる措置が講じ切れないのではないかということで、庁内に勤務しております自衛官をもって庁舎警備隊というものを編成いたしまして、もし境界線を越えて侵入してくるというふうな事案の場合におきましては、もちろん警察官も当たるわけでありますけれども、わが自衛官自体においても、要するにこれは庁舎管理の目的で活動する、そういう任務を与えまして配置をいたしたということでございまして、すべてを警察官並びに自衛隊の警務官あるいは一般の守衛、これにゆだねるということについては、必ずしも措置としては適切ではないのではないかという判断でございます。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 警務官は司法警察職員たるの職務を持っておる。したがって、警察官と同様な仕事をするという法律上の規定がちゃんとある。したがって、この警務官が行動をされるというのであれば、これはわれわれとしても一応納得できる。しかし、自衛官が学生の暴動に対して行動を起こすという形は、一般警察官も待機しておることなのですから好ましい姿ではない。せめて警務官と一般警察官とが提携してその秩序の維持に当たるというのが筋ではないかと思うのです。自衛官が学生に対抗して出るというのは――事実上防衛庁の区域内においては、こういう事態がいま起こってきたわけなのです。いままで一般自衛官が、そうした暴動に際して官庁内で行動を起こしたというのは、このたびが初めてではないですか。
  86. 増田甲子七

    増田国務大臣 自衛官が――何も警務官たる自衛官ではなくて、自衛官が営造物の管理行為の補助者として、すなわち自警、警備の補助活動をして、それで防衛庁の境内を守るのは、受田さんが自分のおうちを守るのと同じで当然である、これはもう自衛官の治安出動なんというものではございません。このことをよく誤って伝えられがちであるために、防衛庁という、第一師団やあるいは横須賀の地方隊よりも大切なところ、私がおるところ、二六時中ほんとうはおらなければならぬところなんです、そういうところが侵されるかもしれない、侵されかかったというはずかしめを受ければどうなるか。天下の信頼を失います。たよられなくなりがちになります。権威を落とします。やはり日本が独立主権国家である間は、一定の自衛隊は持ってよろしい、防衛力は持ってよろしい、こういうわけでございます。ただし、各般の法規に照らして出動する場合以外は、自衛官が自衛官として活動してはいけないのでございまして、結局会計課長とか、そういうものが管理者でございますけれども、しかし会計課長というのは行政管理庁にも会計課長がおって、その行政管理庁の会計課長と防衛庁の会計課長と同じような権限がある。その部下として働くということでは私はどうかと思います。もう少し、やはり防衛庁は侵されないのだ、あの境内へむやみに乱入させないのだ。きょうなんかの新聞等には乱入と書いてあります。ガラス等が相当やられておるし、石も相当投げ込まれておりますけれども、乱暴な学生は中へ入れないということは私は貫いたと思っております。中へ入れたのでは、もう国民から威信――威信といって別にいばるわけではありませんが、むしろ信頼感を失ってしまう、これはたよりないということになってしまう。そうして有事のときに指令を下すところは、第一師団でもございませんし、市ケ谷の東部方面総監部でもないのであります。防衛庁の私のおる、私の机が指令を下すところでございますから、それがひっくり返されたり、とっくり返されたりしてしまったのではいけないから、自警行為として守ってしかるべきである、自衛官が守ってしかるべきである。家の中でございますから、これだけの信念は持っております。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 では警察の御意見をひとつ承りたいのですが、防衛庁の中に暴徒を乱入せしめない力は警察にはないのでございますか。自衛隊員の自衛措置をとる以外に道がないという場合にはやるのだ。増田長官はいまはっきり言われたのですが、防衛庁警察では守ることができない、そういうときには自衛官の御協力を願わなければならぬという、警察の治安維持、秩序保持目的の中に、何か自衛官をたよりにする考え方があるのかないのかをひとつお答えを願いたいのです。
  88. 丸山昮

    丸山説明員 防衛庁だけが単独の攻撃目標になるというような場合におきましては、警察力をもって十分阻止できるというふうに考えております。ただ、警備現場が同時多発的にたくさん出るような場合におきましては、これは防衛庁のみでなく、どこででも当然管理権に基づいた自衛措置というものをとっていただくことを前提としなければならないというふうに考えております。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 まあ防衛庁は兵器を保持しておる公務員である。したがって、そういうものを排除する実力は持っておる。しかし、一般の官庁はそうした武装のできる管理員というものはないわけなんですね。そこで武装のできる自衛官が防衛庁にはおる、御苦労ながら自衛官に自衛措置をとってもらいたい。ほかのところへ入った分は警察で排除しましょう。国会などへ来ても、国会の衛視は武装ができない。したがって、警官がここへお入りになって御処置を願っておるということですね。そう了解してよろしゅうございますか。
  90. 丸山昮

    丸山説明員 そのとおりでございますが、防衛庁の施設内は警務官に措置してもらう場合もあります。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、防衛庁だけは警察は手を抜いてもよろしいんだ、中は警察官の力は要らないんだと解釈してよろしゅうございますか。これははっきりしておいてもらいたい。
  92. 丸山昮

    丸山説明員 最初に申し上げましたように、警察力によってまかなえるかどうかという、情勢によると思います。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 このたびの事件については、三万五千の警視庁管下の職員をもってしては防衛庁は守れなかった。そこで増田長官の命令一下自衛官にこれを阻止してもらった、排除してもらった、こういうことになるわけですか。
  94. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもが自警行為――自衛行為というとちょっとまずいですから、自警行為としてすることは当然でございますが、このごろは、でございますから、警察官に対してガードマンが、――ちょっとそういうと自衛官はおこるかもしれませんが、ガードマンがお手伝いして、そして大ホテルなら大ホテル、大ビルなら大ビルを守る、こういったようなことでございまして、権利のあるこちらとしては、めいめいのお宅をめいめいが守る権利はございます。増田甲子七は自分のうちを守り得るし、受田さんは自分のおうちを――何もうちに限りません。庭が二百坪あったら二百坪守り得る、その範囲でございます。そこで警察官に引き渡すということでございますが、ゆうべなんかは警察官にあまり引き渡さなくても警察官がよくやってくださいました。すなわち、われわれは警察のお手伝いといったようなことで、あくまでも自警行為としてやっているわけでございます。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 防衛庁の正門までは警視庁の職員警察官が出てこれを守ってもらうべきであって、中へ入らせないように、警視庁ではそのくらいの能力がある。つまり、自衛官の出動をこいねがわなくてもいいような力を現状では持っておる。私はそういうふうに考えていいと思うのです。それを警官以外の自衛官がどんどんお手伝いをしなければいかぬような形ほど深刻な問題ではないと私は思っております。もう一ぺん御意見を承りましょう。
  96. 増田甲子七

    増田国務大臣 受田さん御存じのとおり、あそこに四号館あって、その第二号館というところに私はおるのですが、そこがあっちこっちひっくり返されたりとっくり返されたりしたんでは、もう日本の自衛隊員二十八万に対する信頼度は非常に落ちると私は思うのですよ。そのためには警察官に中へ入ってもらったって、警察力があればけっこうなんです。現に四月のときには警察力に中にも入ってもらったし、外にも来てもらったし、青山一丁目で阻止してもらった。第一、あの前へ来て石を投げたりすることは、もう防衛庁という自衛隊の総本部の威信に関することであり、また民衆も非常にたよりながるから来させないでくれということで、警視庁は当時は一千メートルの外でもう阻止してくれました。昨日は、元来が不法なるデモンストレーションでございます。許可を受けなかったデモンストレーションであるにもかかわらず中まで来て、警察力が方々分散配置された関係もございましょうが、ある程度やられて、そうしてやられてからようやく、たよりないなと思ったときにようやく逮捕に向かったということで、まず民主的に、これほど民主的に警察力が働いてくれたことはない。しかし、全体としての感じは、私はきょう閣議においても国家公安委員長に申したのですが、昨日は警察はよくやってくださってありがとうございました、御苦労さまということを申し上げました。働き方はどういうことかというと、警察官の事実上の――法律上じゃありません、事実上の補助者として防衛庁なり自衛隊の構成メンバーが働いたということでございます。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 その自衛官とそうして警察官の職務の関係というものははっきりして、こういう場合の治安維持あるいは秩序の保持に当たってもらいたいと私は思うのです。その意味でいまちょっと伺っておきますが、長官はさっき藤尾議員の質問に、緊急の場合に警察力をもってしては秩序が保持できないというときに治安出動する七十八条があるのだということでしたけれども、これを要請する都道府県知事の権限が一つある。つまり、治安出動を要請によってなされる場合がある。たとえば東京都――東京都というのは警視総監がやりますか。治安出動はやはり知事ですね。知事が公安委員会と相談して出動を要請する。そういう念の入った順序をとっていくのが、むしろ八十一条を適用する場合のほうが、これが念が一段階よけいに要るだけ筋が通る。ハトのような――ハトはけんかするとおっしゃったのだけれども、ハトがつまり平和の象徴であることは至るところの手院、沸閣の中でハトが愛されているのを見てもわかる。そういう意味で、都道府県知事の要請によって防衛庁長官総理大臣の指揮を得て治安出動するという形をとるべきで、七十八条の適用をじかにぽかっとやられるのは、私はよほどの場合以外はやるべきでないという考えを持っておるわけです。したがって、三万五千の東京警察官のこの人数をもってしてはとても秩序の維持ができないという、そういう場合に美濃部知事が公安委員会と相談して、そこであなたのほうへ要請されるような、筋を通すようなものが要るのではないかと思うんですね。これだけは。いま七十八条と八十一条の関連問題で私の申し上げていることが一応筋が通るかどうか。段階的に見た場合に、なるべく八十一条を適用するような方法をとるべきではないか、もしかりにこれをやる場合にですよ。
  98. 増田甲子七

    増田国務大臣 八十一条と七十八条と両方あることは事実でございます。そうして扱い方が八十一条のほうがむしろ簡易ではないか。ですから、容易に治安出動してはいけないという見地から見ると、八十一条でめったに出動さすべきではないという議論になります。というのは、あとで県会に報告すればいいのですから。都道府県会に報告して承認を得る。承認を得ない場合には事後において効力を失う。ところが七十八条の場合には国会に二十日以内に報告して承認を得る。国会の承認を得ない場合には事後において効力を失うということで、慎重に扱ったわけでございまして、私は、八十一条のほうがよくて七十八条がいけないというようなことは、むしろ慎重さから見れば七十八条だというふうに考えております。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 いまの八十一条の解釈ですが、要請があったら必ず出動しなければならぬということはないんですね。要請があったら必ず出なければならぬのは――あなたの御説では私は賛意を表します。その要請に対して結論を出すのはあなたであって、あなたが、これはいかぬといえば要請を断わればいいわけです。
  100. 増田甲子七

    増田国務大臣 いずれも内閣総理大臣でございます。そこであとのことを考えますと、それは八十一条のような場合もございましょう、日本は何しろ南北に長いですから。八十一条もありまするし、七十八条のような場合もあって、いずれの場合がよろしいとか悪いとかいうことは言えないというふうにお考えになるのが、立法者としては慎重な御意見ではないかと私は考えております。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 立法者として慎重な御意見は、私が提案したことが慎重な御意見だと思うのですよ。だから、なるべく念の入った方法で出動をするべきだ。長官の命令一下、ぱっと総理大臣の指揮によってあなたが治安出動をされる危険がタカである、府県知事の要請でそれを慎重に、内閣総理大臣のもとにあなたが御判断される。これは段階を踏むことがハト的な存在になってくるんですね。これは意見になりますからこれでおきましょう。  そこでもう一つおしまいに。今度の場合、学生の暴動というものはすでにもう計画的にずっと前から宣言して、そのスケジュールまでも組まれている。十月二十一日の行動については六月の月でしたか、もうすでにこれに対する一応の目標を天下に宣言しておる。それを今度国際反戦デーに実行をしているという形です。だから予定のコースがわかるのです。目的もわかる。こういうときには治安当局が――彼ら若き学徒たちは未成年者が三分の一もおる学生です。これは少年法の適用を受ける学生が三分の一おる。その学生がやることについて、もっと事前にその計画性を十分検討して予防策というものを十分に講じ、また一般民衆をやじ馬に参加せしめないような一般民衆との遮断工作というものもできたはずです。ここは六時ごろから危険ですから一応一般の方々はなるべく避けてくださいというふうな事前予防策もできたはずです。そういうものを事件が起こってから騒ぎ立てるという傾向を繰り返しているとしか見えない。最近の学生行動には相当前の時期において目的を明示し、そして予定コースを宣言しておるという傾向ができておる。これに対して、これは長官、国務大臣としての立場もさることながら、部長さんからちょっとそうした事前の情報収集、それをはっきりつかんで一般民衆を寄せつけぬようにやじ馬を排除しておけば、あの収集策をもっと迅速に、円滑にできたはずです。何かそこに大きな当局のミスがあるのじゃないかお答え願いたいのです。
  102. 丸山昮

    丸山説明員 先生のおっしゃいますように、確かにことしのかなり早期――御承知のように一〇・二一というのは一昨年から国際反戦デーという形になっておりますが、ことしは全学連の各派が本年度最大の闘争を行なうという情報がございまして、私どももこれに対処する各種の対策を検討してまいったわけでございます。特に警備実施現場で困りますのは、御指摘のとおり一般のいわゆるやじ馬といわれる関係のない大衆でございまして、これが警備実施の際に巻き添えを食らってけがをするとかという不祥事件が起こることを極力防止する、こういうことで、今回の場合には警視総監がたしか二日前であったと思いますが、記者会見で一般都民に当日は極力現場に出かけないようにという呼びかけをいたしました。また国鉄副総裁からも記者会見をしていただきまして、当日の列車の運行計画について談話を発表していただいたわけでございます。たとえば、時間のかかる舗装をし直すというような問題は、かなり前からやっておりますけれども、実際の情報がはっきり固まりますまでの段階には相当時日を要しますし、また実際の警備実施までの期間が差し迫った時期でございますので、一般の皆さん方に対する呼びかけはどうしても直前ということにならざるを得ないわけでございます。今回私どもは総監の呼びかけその他の措置によりまして、やじ馬の数がかなり減るんではないかという判断をしておりましたのですが、実際は平生よりも大幅に増加しておるということで、これは今後の検討材料として十分審議をしていかなければならないことであると思っております。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 もうおしまいにしますが、私は警察力をもってしては不足する事態が起こるという治安出動一歩前のような感じをきのうの事件などでは受けるのです。各所にそういう事態が起こっておる。それから長官御自身も騒擾罪適用新宿周辺だけでなくてほかのところもやれ、こう提案されておるくらいですからこれは相当きびしいものであると私は思います。だから三万五千のうちで実際武装してこういうものを排除する訓練を受けた者はそうたくさんはないはずです。そういうときに治安出動の命令が下される危険が目の前に迫っているような印象さえ受けるきのうの事態だと私は思うのです。だから私はそういうことを起こさせないためにも、願わくはひとつ政治の姿勢を正して――学生が暴動することについての一つ目的は、金銭的な授業料その他の問題あるいは制度の問題、そういうもののほかに現在の世相に対する大きな不満がある。恩赦政令をお出しになろうなんということは学生を非常におこらしておる。恩赦政令などというものはさっとこの際おやめになっていただきたい。恩赦の中で破廉恥罪と選挙違反だけはお除きになっていただきたい。これは長官御自身ひとつ選挙違反を恩赦政令の中へ入れることを排除するだけでも学生たちの気分の上にすかっとしたものを与えると私は思うのです。そして総裁選挙を前にして自民党の方々もどうか選挙を公正に、堂々たる選挙をやられて、学生たちにも政治の腐敗を嘆かしめないようなりっぱな態度をいまから一カ月あまりの間に示していただきたい。そういう政治の姿勢というものが汚職とかあるいはいまのような特別の目的を持った政治的恩赦政令、こういうようなものを排除して、政治犯という形のものを、特に選挙違反という形のものをのがすような形のないりっぱな恩赦をやれるというそういう目的が自民党としておありであるならば、われわれは自民党の立場を一応理解します。  こういう点を十分お含みをいただきまして、学生自身にわれわれがえりを正し、私を含めた政治家もえりを正し、また政権を担当しておられる与党で特にこの点不信感を一掃していただくように国務大臣として御協力を願いたい。そうして学生問題懇談会に増田さん、あなたがお出にならないということは私はいかぬと思う。防衛庁長官が出たら印象を悪くするということはあり得ぬと私は思う。あなたの長い経験を生かされて、懇談会も欠席されないで進んで出られて、いつまで留年になるかわからぬほどに迫っている、学生にとっては生涯を貫く大問題が起こっておるのです。この学生問題に対して文部省も基本的な態度を――なまぬるい懇談会でなくて、何か早急に長期の展望に立って大学制度、学生の問題等を含めた、学生が安心できるようにある程度授業割り編成等を含んだカリキュラムの問題等、あるいは学生会館の使用等は学生の参加を認める道を開くような、そういう幅の広い努力を文部省もやられない限り、いま大出さんも御指摘になり、あなたもお答えになったように、少したるんでおる傾向がある。藤尾さんが言ったように役所がたるんでおって、百四十万の学生が塗炭の苦しみを味わうし、次代の学生に私は申しわけないと思うのです。一般良識学生中心の対策を立てていただきたい。あばれん坊の学生は断じてこれを戒めなければいかぬけれども、一般良識学生はいま死んでおる。これを生かす道を文部省は大急ぎで立てていただきたいし、増田防衛庁長官が出ると学生に悪い印象を与えるということをお考えにならぬで、進んで懇談会に入って学生問題の解決にひとつハトのような――これは普通世間では一般平和の象徴といっておりますよ。事実けんかをやっても平和の象徴です。これをひとつハト派の防衛庁長官が愛情を持って学生問題にも当たるのだとなれば、あとに続く次代の学生がどんなに希望を持つでしょうか。ひとつ早急に時間をかけない間にこの当面する学生問題だけは国家をあげ、各政党をあげて、ひとつ愛情を持って処理してあげようじゃないですか。  最後に、これに対する文部省の見解と防衛庁長官の見解、国務大臣たる増田先生の見解を伺いまして、関連質問を終わります。
  104. 増田甲子七

    増田国務大臣 恩赦の関係は承っておきます。  それから、私は行政のうち文教歩一番大切だと実は思っておるのです。そこで文教調査会長のときも、非常に意欲的に文部省を督励しまして、検討もいたしましたし、一個の見解もないわけではございませんが、やはり防衛庁長官たる国務大臣が出ますというと、何かすぐ実力を用いやせぬかという印象を与えますから、しいて私は出ないわけですが、御意見としては承っておきます。
  105. 石川智亮

    ○石川説明員 先ほどからたるんでいるという御指摘を受けておりますが、学生問題は非常に根が深いし、横に広い非常に大きな問題であります。御趣旨のあるところに沿いまして努力したいと思っております。
  106. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 これにて関連質問を終わります。  質疑を進めます。大出俊君。
  107. 大出俊

    ○大出委員 FXに関しまする問題について、私ども内閣の理事会の決定がございまして、二十二日の担当委員会である本委員会を開催いたしますまでおきめいただかぬようにということを、あらかじめ委員長よりお話しいただいたわけであります。ついてはいつごろまでにおきめになるつもりでございますか。
  108. 増田甲子七

    増田国務大臣 できれば今月中にきめたい、こう思っております。
  109. 大出俊

    ○大出委員 そこで、参議院の内閣委員会長官が答弁をされております中で、新聞に、敵、と申しましてもこれはどこが敵だという意味ではないがという表現のようでございますが、敵の基地をたたくことができるという意味の新聞発表がございます。ここに私読売を持っておりますが、「外国から侵略うけたら基地をたたき得る」との見出しでございます。見出しは長官関係ございません。中身に「相手国の基地を攻撃するのは必ずしもFXとは限らないが、わたしの気持ちはかつて故鳩山一郎氏が言明したように“座して死すよりは死中に活を求める”の趣旨と同じである。侵略された場合、敵国の基地を攻撃するのは憲法上認められた自衛の行為であると信じている」と答えた。こうなっているのですけれども、これに間違いがないというふうに受け取ってよろしいのかどうか。何かまたおつけ加えいただける点があるとすれば、あわせてひとつ御答弁をいただきたい。
  110. 増田甲子七

    増田国務大臣 自衛権のことにつきまして、私が私の見解を述べたのでございまして、それは鳩山さんが当時国会において述べられた点と同じである。侵略勢力の基地をたたく以外には万策尽きて、死を待つよりほかはないというときには、侵略勢力の基地もたたき得る。そういう場合はきわめて少ないわけでございますが、他に方法がない、日本は死滅する以外に方法がない、こういう場合には、という厳重なる制約のもとに、私が発言をしたわけでございます。それからFXというようなことと関連なしにお話を申し上げたわけでございます。でありますから、新聞報道のFXとは関係ないがということは、そのとおりでございまして、FXと関係なしに、自衛権の及ぶ、行動し得る限界の極点を申したというわけでございます。
  111. 大出俊

    ○大出委員 もう一ぺんお聞きいただきたいのですが、この記事によりますと「相手国の基地を攻撃するのは必ずしもFXとは限らないが、」こういうふうに新聞報道は書いてあります。十七日の読売の夕刊であります。ここで「必ずしもFXとは限らないが、」というのは、これはとりようでございまして、ことにFXの審議をやっておる最中であり、かつおきめになる前の委員会としては――この委員会が所管の委員会でございますから、私もこの委員会が最後になるのだろうと思っておりますが、しかしFX問題は、一回や二回論議をしたからといって片がつく問題ではない。予算という時点での段階もございますから、じっくり時間をかけてやってまいりたいと思っておりますが、その一番出発でございますので、いままでFX論議をここでじっくりしたことはございません。そういう意味で念のために伺っておるのでありますが、新聞にこのとおり載っておるのでありますから、これはどういう意味かということをお答えいただきたい。
  112. 増田甲子七

    増田国務大臣 戦闘機に関連しで申すわけではありません。こう言って、自衛権が究極の場合に、これ以外に手がないという場合には、侵略勢力の基地もたたき得る、こういうことを私は言ったわけでございます。
  113. 大出俊

    ○大出委員 私が直接質問しておりません。しかもまた今日議事録ができておりませんから、質疑の書き抜きでありますので、逐一文章を読み上げて申し上げませんけれども、このあとの質疑の中身からいきまして、質問者の側から、一体何で必ずしもFXとは限らないがということを言ったのだという話を質問の中でしておりますが、あなたの答弁は、何か今日軍艦もあればいろいろあるというようなことをおっしゃっておるようであります。そこのところを、一体どういう意味かという点を、私から申し上げるよりもお聞きしたほうが正確だと思いますので、御答弁いただきたい。
  114. 増田甲子七

    増田国務大臣 Fというものに関係なしに私は発言しております。言っていることは、ここに速記録の要約もございまするが、この際北村さんに対して明瞭にしておきたい。それは日本国の憲法九条は、座して死を待てということを規定してはいないということを鳩山さんがおっしゃいました。それに続いて、わが国が侵略を受けた場合、侵略者はどこかわかりませんけれども、その侵略者の基地をたたくにあらずんば、日本は死中に活を求めることができない、滅びてしまう、こういう場合には敵の云々と書いて、また、その侵略者の、と直しまして、侵略者の基地をたたくこともできるということを答弁しております。十年ぶりでございまするが、私もそのことを明瞭に衆参両院において答弁しております。大体衆議院の内閣委員会において述べたわけでございますが、それを、このことを北村さんに、つまり参議院においては今度初めて申し上げたわけでございますが、北村さんにおいても御理解願いたい、御認識を願っておるところでございまするが、さらにこの委員会において明瞭に答弁いたしておきます、こういうことを申しただけでございまして、Fのことについてのことではないのでございます。
  115. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、FXとは全く関係がない。はっきりこれはFXとは全く別個に発言したのだということを確認してよろしいわけですね。
  116. 増田甲子七

    増田国務大臣 さようでございます。
  117. 大出俊

    ○大出委員 もう一つこういう新聞の見出しから中身を見ますと、とる人の主観が入りますので、そういう意味で一律にはまいらぬと思いますけれども、受ける印象からは外国から侵略を受けたら基地をたたき得る。増田防衛庁長官の答弁中には、いま私が申し上げたとおり「必ずしもFXとは限らないが、」こうなっておる。そうなると、やはりいまの長官の言っていることが真意だとすれば、だいぶこの書き方を読んだ国民に誤解を生ずるおそれがある。そういう意味で、私は、この点がまさに――国会の議事録を読みますと、本格的な論争は十年ぶりでございます。したがって、いま長官のおっしゃった中に、非常な厳格な意味で範囲の狭いもの、こう言われましたが、基地をたたくということ、そのことはめつたないことだけれどもという、つまり、たまにあるかもしらぬということが裏にある。そこに実は問題がある。私は、いままでこの論争の経緯からすると、憲法九条というものの法理解釈の面からいって、座して死を待つ云々と関連をいたしまして、相手の基地をたたくという見解をとるそのことも、憲法九条にいう法理解釈の中に含まれると考えてもいいのではないかという解釈であって、現にたたくことがあるということを想定してものを言ってはいない。いままでの経緯からいたしますと、そう私は理解をしている。それをいま長官の言っている答弁からすれば、新聞の方々が、外国から侵略を受けたら基地をたたき得ると書くことも無理からぬと思う。あなたの場合は、あくまでも想定してものを言っている。厳密な意味で、範囲は非常に狭い。非常に狭いんだけれども、たたくことがある。そうなると、これは私は、旧来の解釈というもの、国会の論争というものとだいぶ離れてくる、したがって、受け取替方が当然大きく変わってくる、こういうふうに思いますので、そこのところをもう一ぺん念のために御答弁いただきたい。
  118. 増田甲子七

    増田国務大臣 鳩山総理の言ったことを私は確認するという意味において言っただけでございます。それで、鳩山総理がどう言ったかというと、敵と鳩山先生はおっしゃっています。私は侵略勢力というふうに必ず言いかえておりますが、侵略勢力の基地をたたくにあらずんば他に生きる道はない、滅びてしまう、そういうような場合には侵略勢力の基地をたたき得る、これだけのことでございまして、新聞のほうの見出しが、アクションに対するリアクションとして多くの場合たたき得るような印象を与えておるとすれば、私は、その新聞記事に対しましては修正を求めたいと思っておりますが、もう時間もたちましたから、この機会において、侵略勢力の基地をたたき得るということはきわめて限局された場合である、他に方法がないという場合である、そうしなければ日本が滅びてしまうという場合であるということを、さらに大出さんに明瞭にいたしておきます。
  119. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、現実問題として、たたくことがあるということでございますか。
  120. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはあり得るという、つまり、ポシブルというほうで、プロバブルよりだいぶ少ないという、ほとんどまれである、しかしながら全然道がないわけではない、こういうことでございます。
  121. 大出俊

    ○大出委員 これは非常にむずかしい論争でございますから、一つ間違うと現実的な問題としてたたくことがあり得るというところまでいってしまいますと、現在までの論争の中身からすれば変わったということになる。だから、変わったのか変わらぬのかということをお聞きしたい。
  122. 増田甲子七

    増田国務大臣 私が昨年もこの内閣委員会で申し上げましたその範図と変わっておりません。
  123. 大出俊

    ○大出委員 時間の関係で節約をしたいのですか、ここに、船田さんが防衛庁長官のとき、この一年前の鳩山答弁というものと、いま言われる座して死を待つが出てくるところで、鳩山さんの見解が変わった。あすこで詳しい方がうなずいておられますが、変わった。だから大きな論争になった。  そこで、非常にむずかしい大事な問題ですから正確に読んでおきますが、昭和三十一年の二月二十九日でございます。質問者は石橋政嗣委員でございまして、船田国務大臣がお答えになっておりますが、これは総理が直接答弁するのを、書いたものを読み上げて総理にかわって答弁をする、こういうことで答弁をしている政府の統一見解でございます。「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、」――いいですか、現にたたくというのではない。「法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」これが見解です。「昨年私」――ここで読んでいるのは船田さんですが、ここで「私」と言っているのは鳩山さん自身です。「昨年私が答弁したのは、普通の場合、つまり他に防御の手段があるにもかかわらず、侵略国の領域内の基地をたたくことが防御上便宜であるというだけの場合を予想し、そういう場合に安易にその基地を攻撃するのは、自衛の範囲には入らないだろうという趣旨で申したのであります。」こういうふうにつけ加えまして、この点が実はこれから先のこの統一見解をめぐる論争になっている。論争になって、一年前に鳩山さんが言ったのは前提条件を置いてない、法理的にはたたくことが自衛の範囲に含まれる、しかもそれは含むことが可能であるというべきものと思いますという、非常に手前でものを言っている。うんと狭くものを解釈しているわけです。このときに飛鳥田一雄さん――いまの横浜市長ですが、この飛鳥田一雄さんに対する答弁で、実は鳩山さんははっきり、たたくことはできないということを言っている。それを田村質問――皆さんの党の田村さんの質問で変えられたわけです。これははっきり文章上出ております。飛鳥田さんの質問がこのあとに出てまいりますが、飛鳥田質問は、「飛んでくる無線誘導弾は侵略だから、これに対して防衛できる。だがしかしその根拠地に行って根拠地をつぶすのは自衛の範囲を逸脱している。一体飛んでくる無線誘導弾を空中ででも受けとめようとなさるのか、一つ伺わしていただきたいと思います。」と鳩山総理に対して詰めているわけです。これに対して鳩山総理は、「私は戦闘のことはよくわかりませんけれども、攻撃する力、出かけるということは自衛の、あそこに書いてある直接の侵略に対して防衛するという範囲外に出るものと思うんですが、それに対して、出ないでもって、こっちも同じようなたまを撃ったらいいだろうと思います。」つまり、こっちから出ていくということはしない、出ないということをはっきりここで鳩山さんが答弁している。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 つまり、守る権利はある。その意味で、たたくということは法理的には憲法九条の法理解釈の中に含まれる。そういう可能性があると考えていいだろう。しかし、こちらから出ていくことはしない。これが鳩山さんの答弁です。それをいま言った統一見解で変えたわけです。これはそのあとにまだ論争がある。伊能さんがこの翌年防衛庁長官になられて、この論争が引き続いている。そこでさらにはっきりしてくる。つまり、現在の時点では、法理的にはこういう解釈ができるけれども、相手をたたくという武器は持たない、ここまで言っている。したがって、法理的な解釈はできるけれども、現実的にたたくということはない、その現在の時点と伊能さんが防衛庁長官でお答えになっていることが、現在変わったとおっしゃるなら別だ、それ以後変わった論議はない、そこのところをどうお考えになりますか。
  124. 増田甲子七

    増田国務大臣 変わっておりません。
  125. 大出俊

    ○大出委員 石橋さんと伊能さんの論争をはっきりさせておくために申し上げておきますが、伊能さんが、「政府が統一解釈をしている通りでございまして、他に道がないというような場合にはそのときに考えるとして、現在においては持てないと思います。」つまりこれは石橋委員のほうから鳩山さんとの、いまの長官がお出しになったこの参議院の北村さんの質問にお答えになっている、座して死を待つ云々のところ、それをとらえて、爆撃機が持てますかというところから始まりまして、法理的には鳩山さんの解釈が出ている。いるけれども、現在の時点で、それじゃたたく兵器を日本が持つことができるのですかという点を追及して、伊能さんが、政府が統一解釈しているとおりであって、他に道がないというような場合にはそのときで考えるということにして、現在においては持てません、持てないと思いますということをはっきり答弁をされておる。そうすると、法理的にはたたくという可能性を自衛の範囲に入れた。入れたんだけれども、たたく武器は現在の時点では持てない、こういうふうに明確になった。したがって、先ほど長官がおっしゃっている答弁は、人おのおのとり方が違うと申し上げましたように、その限りでは政府の統一見解のワク内であるというふうにとることは可能であります。したがって、私は現実的にたたくことが現在あるのかというふうに念を押したわけでありますが、あるという答弁になるとすれば、この統一見解並びにその後の論争、この伊能さんの答弁も統一見解なんです。このときに論争になりまして、そこで持てないということをはっきりさせた。そうするとFXも、FXとは関係ない答弁だとおっしゃる限りは、以後今日まで、このときに言うところの現在の段階では、言っていることが変わってはいない。いま長官が変わっていないとおっしゃいましたから、だとすればこの解釈に、親一見解に従っていただきたい。したがって長官が申しているんだというのであれば、私はそれではっきりするので、この点については了解ができる、こう思います。
  126. 増田甲子七

    増田国務大臣 統一見解が二つございますが、二つとも私は承認しておるわけでございまして、そのことを明瞭にいたしましたし、北村さんに対する答弁の際にも、でございますから現実の問題として、他国に脅威を与えるような武器は持たない、こういうこともさらにつけ加えてございます。同じ私の発言の中に締めくくってあるのでございまして、伊能発言とも船田発言とも、両方とも私の意見どおりでございます。
  127. 大出俊

    ○大出委員 それでは私の質問した趣旨に沿う御答弁をいただきましたので、いまの点はっきりいたしたと思います。  私はいま読売の夕刊を読み上げましたが、東京新聞の、これは版が違いますけれども、つまり東京から少し離れたところの、朝刊に載っているほうの東京新聞によりますと、いささかもってこの北村発言に対する長官答弁は行き過ぎである、勇み足的であるという意味の書き方をしているのがございまして、そこらの点も心配でございましたから、明らかにさせていただきたい、こう思って質問したわけです。  ところで次に、時間がございませんので、いささか前もって質問を申し上げてからものを言いたいわけでありますけれども、時間を節約いたしまして、ずばり質問を申し上げたいと思います。  大森創造さんの参議院の決算委員会における質問の際に、長官がお答えになっておる点が幾つかございますが、どうも私は納得のできない表現があるのです。それは石橋委員が予算委員会長官に答弁を求めましたFX問題があります。私は本会議長官並びに佐藤総理に、三次防にからむ御質問を申し上げまして、本会議で佐藤総理からこの問題は直接答弁をいただいたのです。したがって、少なくとも予算委員会の答弁であり、本会議の答弁である限りは、そのことがそう簡単に変えられる性格のものではない、こう実は思って私は今日までまいりました。ところが、長官がここであげておられるのからいたしますと、足が長いとか早いとかいうふうなことを言ったのは――正確に読みましよう。「いままで速記録等に残っておりまする、よく足が早いとか、足が長いとかいうことは、一時私も無学の段階において言ったことがございますけれども、いまはそういうのわかりまして、事爆撃はいけませんと、ICBMがいけないと同じでございますというふうに言ってあるわけでございます。」ちょっとごろが続きませんが、これは速記との関係だと思います。つまりここで言っておる趣旨は、私どもを含めて長官が答弁をされたのは、つまり長官の答弁をそのまま私が議事録に従って本会議で読み上げて、佐藤さん並びに長官に御確認を求めた、佐藤総理が御答弁になっている。ところで私がこの確認を求めたことは、実はこれは長官が無学のときにお答えになったことについて私が確認を求めたことになる。それであなたはてんたんと、おれは無学であったんだから責任はないのだとおっしゃるなら、これは論議ができない。どうお考えになりますか。
  128. 増田甲子七

    増田国務大臣 昨年参議院においては、ほんとうはこういうことを言ったことはないのです。参議院の決算委員会において初めて申しましたから、衆議院の段階において足が長いのはいけないと言った時代もあります。しかしつまるところは、最後の決着は同じ理論でございます。同じ理論に戦闘機のXを選ぶ場合に足が長かったりいろいろいたしましても、結局爆撃装置を施しませんということで、私も総理大臣も結論はそういう結びになっております、こういうことを参議院段階において初めて明らかにしましたが、衆議院段階においては最初は足が長いのはいけない、なぜいけないかということは石橋さんの質問のときに、爆撃機はいけない、なぜいけないのだ、こういうことを聞かれましたから、それは足が長いからいけないということをまず言ったわけなんです。そのころはちょっと政府委員も遠いところにおりまして、私も政府委員の援助もなかなか得られなくて、即問即答みたいな形で爆撃機はいけない、これは足が長くて攻撃的性質があるからいけない、こう言ったわけでありまして、それが今度は戦闘機を選ぶ場合も足が長いのはいけないというふうに転化されそうになりましたから、それはちょっと待ってください、結局戦闘機を将来選ぶ場合には足が長くても爆撃装置を施さない、すなわち侵略勢力に対して脅威を与えない、こういうことに修正をしております。同じ衆議院の方でしたら、私が修正した段階は御存じなわけでございまして、ただ参議院において発言したのは初めてでございますから、ああいう形容詞を用いましたけれども、私も勉強した過程もございますから、そこで私と総理大臣と話が合っており、皆さまに申し上げた責任ある結びは、戦闘機を採用する場合にかりに足が長くても爆撃装置は施しません、総理大臣も同じく私の言うことを、増田の言うとおりであるとは言わずに、爆撃装置は施しませんということばを重ねております。いま速記録はここにありませんけれども、速記録をお出しになれば、そういう字で結ばれておる、これがFXを選定するときの最後の基準になっておる次第でございます。
  129. 大出俊

    ○大出委員 これは長官、そう簡単にはまいらぬわけでございまして、そう簡単なことであっては困る、責任が全くなくなってしまう、そんなに簡単な論議じゃないですよ。あなたは戦闘機、戦闘機とおっしゃるけれども、私は議事録を全部持っておるけれども関係が全部ある。あなたのほうからファイターボンバーということばをお使いになった、ファイターだけの論議をしているんじゃない、石橋さんは何を言ったかというと、爆撃機は持てないはずですよという話をした。さっき私が読み上げました統一見解のところにある。伊能さんのところで。ところがあなたのほうからファイターボンバーの話を出しました。それでたいへん無学どころか有学でした、この中身を読むと。F86を改装して爆撃訓練をして、そこからファイターボンバーの話が出てきた。そうしたら石橋君のほうから、そういうわけのわからぬことを言われちゃ困るじゃないか、目下爆撃機と戦闘機というのは、戦略爆撃というものはB52なんというものは別として、そんなに区分けはつかぬのだ、ほとんどのものはファイターボンバーなんだ、長官そういうことを言うならば、というところからファイターボンバーの性能をあげ始めたわけですよ。そうしたらあなたのほうがいささか、確かに議事録を読んでみたら困った答弁、それはわかる。なぜならば、あなたは大森さんのところでいみじくも述懐しておる。「そこで、戦闘機は爆撃機じゃないかというふうにだんだん詰めてこられて、まあ一種のこれは論理の争いで、私がちょっと負けかかったときに、まあうまくやられて負けかかったときに、」とこう言い直された。「うまくやられて負けかかったとき」などというような認識じゃいけないですよ、長官、これはもう少しまじめに考えてくれなければならぬ。こういうふうに明確に議事録に残っているでしょう。それで石橋君を呼んできて、君うまくやったのか。うまくじゃないですよ。彼は一生懸命政府の統一見解から全部の例、飛鳥田質問の例まであげてあなたを詰めた。うまくやられたから負けかかったんじゃない。かつてから詰めてきている国会論争だから、それをあなたははずれた答弁をしているから、あなたはしかたなく本筋に戻らざるを得なくなったのだ、負ける負けないじゃない。あなたはここでこういうことを言っている。「私がちょっと負けかかったときに、まあうまくやられて負けかかったときに、そういうようなこともありましたが、だんだん研究しまして最後に爆撃装置は施しません、」と答弁を変えたとあなたは言っている。しかしそれは衆議院で変えたんじゃない、参議院のほうに行って変えられた。変えたといったって一ぺんに変えたのではない。何となくわけのわからぬようなことをあなたは言っているだけだ。そこで私ははっきりしていただきたいのですが、石橋質問というのは四十二年三月二十九日の予算委員会の議事録の第九号にあります。ここでいまのファイターボンバーの論争をずっとやって、最後に石橋さんが詰めた。「そこで少し核心に入りてきたんです。F105、F111、F4、そういうものは当然この新機種の候補機にあがってくる有力な飛行機だということは、お認めになるわけですね。」と佐藤総理に言って詰めをかけておる。総理は何と最初に答えたかというと、憲法の前文の趣旨に反するという言い方をされた。そうして「自衛権の発動として通常兵器による局地的な戦闘を抑止する、それを持ちたい。だから、やむを得ない場合、また最小限度の必要にとどめるものだ、」FXというものはそういうものだというのですね。「かような観点に立って今後FXもきめてまいるわけであります。したがいまして、御指摘になりましょうなFXなら、これはもう明らかに他国に脅威を与えるものだと私は思いますから、その選定にあたりましても、これから十分注意してまいるつもりでござまいす。」ここで明らかに石橋さんは機種を三つあげている。いまあげたとおりのF111、F105、F4の三つあげている。御指摘のようなFXならば他国に間違いなく脅威を与える。だから今後の選定にあたっては十分注意する、こういうふうに総理は答えている。そうでしょう。それを私とりまして、この点についてものを言って、本会議で、あなたもおられるところで私は総理に質問しているのです。私はこの中でF4ファントムというものをあげております。F111、CL101、YA12全部あげておる。ところが、この石橋質問に対する答弁を、総理あなたは確認いたしますかという点を念を押した。そうしたら総理は明確にこの点についても、予算委員会で御指摘のとおりに、お答えをしている点についてはそのとおりこれからもやっていくという答弁を総理はされておる。ここまで明確に、長官、あなた自身と質問者との間ではっきりしておって、それをさらに私のほうで本会議で持ち出して総理に確認を求めて、総理もそのことを認めておられる。それを簡単にどこかの表現を少しずつ変えましたということで、この際にきて答弁をされるところでかねて爆装しないんだと言った。それが答弁でございますという言い方はこれはないんですよ。そういうことは認められません。もしそれが違うというならば総理が明確にお答えになっているんだから、総理が明確にここで言ったところのF111とか、F105、F4ファントムだとか御指摘のようなそういうものについては敵に脅威を与えるからこれからも十分注意するんだとおっしゃった。脅威を与えることを認めておるんだから、だとすると、これはあなたが変えるとおっしゃるならここではっきりしてください。お変えになるというなら長官からはっきりそれを変えてください。
  130. 増田甲子七

    増田国務大臣 私が答えたところは総理も同じ答えをしまして、詰まった答えを申し上げます。それは将来の選ぶべきFは、すなわち将来選ぶからXでございますが、Fというものは爆撃装置は施しませんということが詰まりでございまして、このことばは予算委員会において総理が明瞭にしたことを私ははっきり記憶しております、私が総理のところに紙を出したのですから。総理が同じく爆撃装置は施しません、こういうふうに言っておるわけでございます。それからあなたがいらっしゃったときといらっしゃらないときとありましたから、話をすれば長くなりますけれども、最初はファイターというものはボンバーであるということを石橋さんが私に教えられて、ファイターはファイターであって、ボンバーであるということは私はわかりませんと言ったところが、現にF86Fがボンバーとして使われておるじゃないか。現にF86Fは爆弾投下演習をやっているじゃないか、こういうお話しでございまして、向こうのほうから私のほうにだんだん話を落とされてきたわけです。ある意味におきましては非常に巧妙なる――私が知らないものですから、誘導尋問にかかったという感じで、そこでF86Fの範囲内における爆弾演習をしておるそのものをファイターボンバーというならば、戦闘爆撃機というならば、F86Fはファイターボンバーでしょう。こう石橋君があまり主張するものですから、私はそれを認めたわけです。しかし将来のファイターはすべてボンバーになるということをまた石橋さんが私に教えてかかったわけです。将来のファイターはすべてボンバーということになりません。将来もファイターはファイターです。それはポンピングのいろいろなセットはつくらないというところに最後は帰着したわけでございます。その途中において足が長いといったのは、よく新聞等に伝えられておって、今度FXを選定する場合に、足が長ければ増田は自分のことばに縛られるのだということを言っておりますけれども増田甲子七は自分のことばに縛られっこないのです。それはボンバーというものはいけない。ボンバーは一体憲法違反かどうか、こう聞くから、ボンバーはいけません。どういうわけでいけないか。それはいわゆる爆撃機というものは給油なしに一万キロも飛ぶのですから。そして日本を一周した某国の爆撃機もあるわけですから。最近三回もあるわけです。そういうものは明らかにわが国にも脅威を与えております。だから、脅威を与えるから足の長いものはいけません。爆撃機、ボンバー自身の足が長くていけないと言ったのであって、ファイターの足が長くていいとかなんとかいうことは当時私の頭にあって答えたわけではないのですけれども、石橋さんはあらゆるファイターはボンバーであるときめつけて――非常に武器の研究も詳しいものですから、おまえは知らぬけれども、あらゆるファイターはボンバーなんだ。そこでそのファイターがボンバーにならないということを私はあとで言ったのです。というのは、F104というのは、ドイツにおいてファイターボンバーでしょう。同じようなF104が日本にあるけれども、これはファイターだけであって、ファイターボンバーではない。そこで将来のFXはファイターを選ぶ。それは足が長いかもしれぬしあるいはスピードがもっと早いかもしれぬし、装置ももっと充実しておるかもしれぬ。そこで石橋さんやあなたにも申し上げたと思いまするが、強調したのは、第三次防の策定にあたっての基本方針というものがございます。その中に将来の新戦闘機は要撃能力を向上することを主眼とする。その要撃という字は、先ほど申しましたけれども、むずかしい字のしんにゅうのついた迎え撃つという字――邀撃なんですが、敵機が来た場合に、侵略機が来た場合に迎え撃つ、これを主眼として選定をする、こういうことでございまするから、ポンピングをするというようなことは、われわれは考えていませんし、でございまするから爆撃を考えていない。われわれはサイドワインダーとかスパローとかそういうもので侵略しつつある敵機――そういうときは敵機といっても私はいいと思うのです。敵機を撃墜することが使命であり、そういうことを主眼として選定をします。しかし爆撃装置やその他を施せば施し得るんじゃないか、現に南ベトナムでやっているじゃないかというお説もございましたが、あとでだんだん調べてみると、グアムあたりから戦闘爆撃機は行っちゃいません。やはりグアムあたりから出ているのはB52という長距離戦略爆撃機でございます。石橋さんのきめてかかられることも、なかなか武器に関する学は深いですけれども、私から見れば相当ドグマもあるわけでして、独断もあります、これは。学の深いことは敬意を表しますが、ファイターがボンバーの役目を果たし得るから、そこで一切いけないということは私どもとしては困るわけでございまして、やはりファイターの性能のしっかりしたものを日本がある程度充実整備してこそ、日本の国土を守り、一億国民を平和と安全のうちにお守り申すことができる、こういうわけでございまして、最後のつまりは、同じ昨年の国会において、場所は予算委員会だとたしか覚えております。しかしどの回の予算委員会かは忘れましたが、つまり通常国会もあり、通常国会の後の特別国会もあり、さらに臨時国会もございましたが、通常国会で解散があったその後の特別国会において最後に明瞭にしたのは、――そう二、三変えてもらっては困るというならば、大出さん、そのとき指摘してもらいたかった。そのときの詰まりは、要するに、新戦闘機を選ぶにあたって迎撃能力の向上ということを目標にします、しかしながら爆撃装置は施しません。同じことを総理大臣にも言ってもらっております。
  131. 大出俊

    ○大出委員 私は、さっきあなたが読み上げたように、詰められて負けそうになったのでうまくやろうとして――あなたおっしゃっているのだから、つらい答弁になっているのは私もわかっておる。あとで、「軍事研究」という雑誌だってそうですし、そのほかのたくさんの関係雑誌が筆をそろえて、足が長いとか敵に脅威を与えるという答弁をあなたがして、そういうことで将来FXの選定ができるか、けしからぬという形の書き方が至るところで出ておる。週刊誌まで出ておる。だから、あなたが一生懸命それを何とかそこでひっかかっちゃたいへんだということでお変えになっておる気持ちは私もわかる。だいぶ苦労されている気持ちはわかります。だから、大森さんの質問でこんなことをあなたは言い出したのだろう。それはユーモアの多分にある長官であるには違いない。違いないけれども、ここまであなたが答弁するということは、よくよく腹にあるからです。それをいまそういうふうに言いくるめてみても、これは議事録に載っているのだから、議事録を何とかしてくれなければ困る。これは本会議の議事録ですよ。ちゃんと私の質問、予算委員会の例をあげて質問しておるのです。F111、F105、F4ファントム等ではないか、これは総理はここで言っておるのは、「御指摘のとおりでございますし、また、侵略的、攻撃的な脅威を与えるようなものを私ども考えておりません。」とちゃんと言い切っておる。私は機種はほとんど全部あげてある。こういうものを選定しておるけれども、そうなると予算委員会の答弁と食い違うじゃないか。本会議の議事録をお持ちならば、六六八ページの一番下段に、私は全部あげております。この質問に対して総理はお答えになっておるのです。総理の答弁がちゃんと載っかっておる。総理答弁は六七〇ページの下段にあります。「御指摘のとおりでございますし、また、侵略的、攻撃的な脅威を与えるようなものを私ども考えておりません。」とちゃんと言っておる。御指摘のとおりでございますとちゃんと言っておる。そんなことを長官言うなら、何でそのとき、総理、答弁が違いますとおっしゃらぬか。そのときに言ってもらいたいというならば。だから変わったなら変わったとはっきり言ってくれればいいのですよ。
  132. 増田甲子七

    増田国務大臣 ここに大出さんの質問も、確かにF111、F4ファントム、CL1010、YA12、F105というものをあげておって、とりわけここに三機種が有力となっております。F4ファントム、CL1010、こう書いておりますけれども、このときの段階で、私も総理も、御指摘のとおりでございますと言って、何か非常に詳しくあなたのおっしゃったことをかみくだいて、そしゃくして、理解し、体得して、そうして御指摘のとおりだと言っておるわけでは、これはないわけであります。要するに、そのあとのほうの侵略的、攻撃的な脅威を与えるようなものは考えていないというところへ重点を置いてもらいたいと思います。もしこれだけのことを一切総理がわかっているなら、私は総理のところへものを聞きにいきますよ。総理はわかっちゃいないです、正直な話。わかっているということなら、防衛庁にもだいぶ幕僚がおりますけれども、商売上がったりになってしまう。ダイアローグとして申し上げておるのですから、おこらないでください。対話として申し上げておる。YA12、いまもって私はよくわかりません。CL1010、F105とかF111というものは、これはある程度聞いております。そういうわけでございまして、おっしゃるとおりすべてわかっておって、そうして内閣総理大臣佐藤榮作君と書いてございますけれども、そのときに言ったのだから一切その見解以上変わっちゃいけないということはないのでありまして、だんだん研究した過程において話が変わってきても、本質的に侵略的、攻撃的な脅威を与えるようなものではないというそのプリンシプルが変わらなければ、まず総理大臣としては大合格である。増田甲子七も国務大臣、防衛庁長官としては合格さしてもらうということになるのじゃないでしょうか。そのために苦心をして、大出さんの御質問のあとでまた予算委員会があった段階において、あなたはいらっしゃらなかったように思うのですけれども、爆撃装置は施しませんというのが最後のFXに対する結びでございます。
  133. 大出俊

    ○大出委員 変わったということなら変わったと言うてくれと言っておるのであって、それ以上のことを言っておるのじゃないのです。だから、あなた、変わることはあるのだから、変わったなら変わったと言ってくれればいい。ところがここで言っておるのは、大森さんに答えておるのは、どうも負けかかったときの、あなたのミスだといわんばかりの言い方ですね。そうでしょう。そういう言いわけじゃなくて、内外の情勢から見て変わったなら変わったのだと言えばいい。どこかでファントムを約束したのだという人もあったりなんというのが伝わってくる。それから足が長いとか、しろうと長官のくせにそういうことを言って、将来選定に困ってしまうじゃないか、どうしてくれるのだということでわいわい書かれて、長官は頭が痛いところだった。情勢の変化だから変えたというなら、変えたでいいのですよ。はっきりしてくれればいいのです。言い抜けられると、どうもおもしろくないのです。
  134. 増田甲子七

    増田国務大臣 それはもうすでにその前に石橋さんに話をしてあるわけです。F105とかF111とかいうものは憲法のワクを越えると、こう言いまするから、佐藤さんが、御指摘のようなFXならば明らかに他国に脅威を与えると思いますから十分注意したい、やらないとまで言っておる。十分注意してまいるつもりであります。そこで、われわれがいま選定しつつある三機種の中にはF105もなければF111もございません。そこで爆撃装置ということについては、私はきわめて慎重であるということを、この三月二十九日の衆議院の予算委員会において石橋君に明瞭にしております。あなたの衆議院の本会議における御質問は六月の九日でございます。そのころもそういうことはもうすでに頭の中にあったわけでして、そのときは足が長い短いという論争はないのです。足が長い短いという論争は、爆撃機はなぜ憲法違反なのかと言うから、それは足が長くて攻撃的であるからと言ったのでして、私はやはり爆撃機は爆撃機として、戦略爆撃機というものはいけないと思いまするし、もう将来なくなるのだ、フェイズ・アウトするのだということを石橋さんがおっしゃったけれども、これは悪く言えば石橋さんの誘導質問でして、現在あるのです。やはり戦略爆撃機はあります。われわれは戦略爆撃機というものは夢にも考えませんし、ファイターという戦闘機を選ぶだけでございます。
  135. 大出俊

    ○大出委員 ともかく私の指摘をしたいのは、長官がだいぶ苦労しておるのはわからぬわけではない。先ほどの答弁でいろいろ苦労して、変わってきたのだ、敵に攻撃的な脅威を与えるとか侵略的な脅威を与えるとかいうふうなことが考えられなければ、総理は合格だとあなたがおっしゃるのだから、ほんとうはその辺にしておいていいところだけれども、これは一々そういうふうに変わられたのでは、今度はよほど本会議で再質問、再々質問くらいして、十分注意いたします、こう総理が言われれば考えるわ。それを今度は十分注意するとはどういうことだと――そこまでのことはいままでやっていないでしょう。そこまでいけば、大体政府のほうも、総理なんだからいいということになる。そういう旧来のしきたりでやってきているわけですよ。そうでしょう。だからそこのところを、いまあなたはぬけぬけと変えられると困るんで、変わったなら変わったとはっきりしてくれ、こう言っているので、あなたは、ある意味では変わったというようなことを言っているのでそれでいいけれども……。  次に移りましょう。あまり同じことでやっていると、皆さんが飽きますから中身に入ります。どうせFX問題というのはこれだけで終わるわけじゃなくて、次の国会の予算委員会に予算が出てくるわけですから、当然そこでまた論争をやることになりますから、重ねてやりますからいいです。  次に、本来FXというものは、いまF86Dがなくなって、F86Fのほうは四十八年までだ、こういうことになっていると思うのですが、これはF104もございますが、一体FXというのは何の後継機なんですか。
  136. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 私からお答えいたしますが、次のFXは要撃能力を高めたい、防空能力のうち特に要撃能力を高めたいということを基準にして選定いたしておりますが、何の後継機かという端的なお尋ねでございますけれども、これは見方によろうかと思います。つまり時期的に見ますと、ちょうどいま御指摘のように、F86Fがいまから相当消耗してまいります。四十八、九年から五十年ごろにかけましてほぼ現在の交代が――なくさなければいけないかと思います。そのころ次のFXが実戦部隊に登場することを期待しておりますので、時期的に見ますとF86Fのちょうどあとを継ぐようなことになります。性能的に見ますと、現在御承知のようにF104が主力戦闘機で、それに付随してF86Fも持っております。次のFXは、いまなくなると申しましたF86Fを後継するようなものでは十分でございませんので、F104をさらに上回る要撃能力を持つような機種を期待しておりますので、性能的には現在主力戦闘機であるF104にかわるものである、こういうふうに申し上げていいかと思います。
  137. 大出俊

    ○大出委員 その件は総理にあらためて聞きますからいいですけれども増田長官、あなたの議事録だからひとつよく聞いておいてくださいよ。あなたは明確にF86Fの後継機だと言い切っているのです。いいかげんなことを言われては困りますよ。みんな、それもちょっ違いましたとか、無学のときでございましたので、なんということでは困る。だからあなたに聞いている。日にちを言いましょう。昭和四十二年七月五日の内閣委員会です。ほかならぬ受田さんの質問です。受田さんからFXというのは一体何の後継機なんだという質問をちゃんと端的にしている。あなたは答えている。「それからFをどういうふうに定めるか、Fの将来がわからないというのがXでございます。」Xだから将来わからない、こう言っておいて、将来わからないからFXと言っているのだ、こういうふうに答えておいて、「F86Fにかわるものである。F86Fにかわるものということで、これを代替更新する。F86Fというものが昭和四十八年度で……」ここまで言ったら「(受田委員「間違いないかね」と呼ぶ)私がいままで得た知識で申し上げまするから、なお補足すべき点は政府委員に補足させますが、昭和四十八年末でなくなるから、」F86Fの後継機なんだとあなたは言っている。何かまたこれ変わったのですか、もう一ぺん答えてください。
  138. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは技術的には、こまかいことを言うといまの政府委員の言うようなことになるでしょうけれども、要するに、あなたの御存じのとおり、F86Dは本年なくなってしまう、F86Fは昭和四十八年になくなってしまう。そうすると、防空能力というものは激減するわけでございますから、それを補足する意味である、こういうことで、あとファンクションのほうはどうかといえば、それは防空はF104の後継機ということになるかもしれませんが、われわれが予算措置をしたり防衛行政をする見地から見れば、なくなったものを補充するという意味におきまして新しき戦闘機を選ぶ、こういうことには少しも変わりはございません。また防衛局長の答弁とも別にそごしておらないとこう思っております。
  139. 大出俊

    ○大出委員 F86Fの後継機であることはお認めになったわけですな、いまの御答弁は。そう理解していいですな。
  140. 増田甲子七

    増田国務大臣 政治的、防衛行政的には、F86Fがなくなりますからそれを継ぐもの、こういうことでございまして、機能的、ファンクション的にはどうかというと、それはそのときまでは私の言ってないことでありますが、いま政府委員の言ったことはそれでいいと私は考えます。
  141. 大出俊

    ○大出委員 ところで次に、いま三次防の終わりまできまして、このF86Fの飛行隊の数は幾つになっていますか。
  142. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 F86Fの部隊は、現在八個部隊でございますけれども、三次防末、四十六年度におきまして一個隊減りまして七個飛行隊程度になろうかと思います。
  143. 大出俊

    ○大出委員 間違いございません。七個飛行隊でございますが、その七個飛行隊をどういう任務分担に分けておりますか。
  144. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 対地支援の部隊と要撃の部隊と二種類でございます。
  145. 大出俊

    ○大出委員 いま御答弁いただきましたとおり二種類に分けられております。ところで七飛行隊のうちの四飛行隊が――場所を申し上げるのは省略いたしますが、陸海の作戦支援のための戦闘爆撃を主任務とする飛行隊、こういうことですね。それから残りの三飛行隊、これが要撃戦闘機としての飛行隊、こう分かれているわけですね。間違いございませんね。
  146. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 そのとおりでございます。
  147. 大出俊

    ○大出委員 そうなると、少なくともF86Fの後継機であるということになると、F104のほうはあわせて使っていくのですから、現在別に任務を持っておりますからね、そうでしょう。そうすると、F86Fを考えて後継機としてFXを選ぶということになるとすれば、この任務からはずれたんじゃ困ることになる。そういう理解をしなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  148. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 時期的にF86Fを後継すると私申しましたし、長官もそうおっしゃたわけであります。機能的には主としてF104のほうを後継するというふうに申し上げたわけでございまして、次のFXに期待するものは要撃機能であるというふうに申し上げたわけです。そういうふうにわれわれは考えております。ただ、現在F86Fの四個飛行隊は対地支援の部隊でございますが、この対地支援の部隊は、全体から八個飛行隊がダウンしてまいりますけれども、早くなりますものは要撃隊でございます。これは使い方によってでございます。対地支援のほうが少しあとに残ります。しかしいずれはなくなります。これを何とかしなければならない。これの後継機も考えなければいかぬということは、頭の中では考えてはおりますが、現在選考しておりますFXに主として期待するというふうには、必ずしも考えておりません。また別個に検討いたしたい。対地支援がなくなりますが、それの後継機につきましては、また別個に検討いたしたいということが主でございます。同時にまたつけ加えて申し上げますが、F104にしましても次のFXにしましても、主として要撃機能に期待をいたして選考いたしますが、対地支援能力こおいてF86Fが持っております程度のものは現在のF104も持っておりますし、次のFXも持つだろう、候補機でありますが、いずれも持つであろうというふうに考えております。
  149. 大出俊

    ○大出委員 非常にそこがむずかしいところなんですが、つまり、いま宍戸さんお認めになっておりますように、七飛行隊あって四飛行隊は陸海の作戦支援のための戦闘爆撃を主任務とする。だから、F86Fというのは爆撃装置をつくるようになりましてということで、ファイターボンバー論争に発展をして、長官お認めのとおり、爆撃演習をやっておられる。これは大森創造氏の質問でもF86Fのほうは爆撃演習をやっておることをお認めになった。そうでしょう。あたりまえでしょう。四飛行隊というのは明確にこれは地上支援のための、戦闘支援のための戦闘爆撃を任務とするのですからあたりまえです。いま宍戸さんは将来のFXについてもそのことを頭に置いている。しかし、いまここで選定しようとするFXは要撃のほうに主任務がかかっている、こういうふうにお答えになっている。あたりまえです。  さてそこで、F86Fというのは何年でなくなりますか。さっき長官四十八年とおっしゃっていますが。
  150. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 四次防にかかりますと、急激にダウンいたしますが、実はこの飛行機には寿命がございますけれども、その時間のとり方によって飛行隊のダウンのしかたもおのずから違ってくるわけですが、実は現在その疲労試験をやっておりまして、何時間もつものか、必ずしも明確でございませんが、上限、下限勘案いたしまして、かりにわりあいもってくれました場合には五十二、三年ごろまではもつかなという計算も、非常に数が少なくなりますが、可能でざごいます。それから、わりあいもたなかった場合には、要撃部隊においては四十九年で終わりになる。しかし、そのころまで対地支援部隊は少し残るかなという程度の計算を現在しております。
  151. 大出俊

    ○大出委員 長官に承りたいのですが、現在のFXは、防衛庁の計画でいきますと、第三次防衛力整備計画、これは変更されればまた別だ。これでいきますと、大体最終年度昭和四十六年ですね。ここで大体二機、そうでしょう。それから、四十七、八年で五十八機。つまり、そうなればこれは四次防ですよ。計六十機、こういうのが皆さんの計算です。そうでしょう。そうなると、いまおっしゃられる年次とダブらして考えてみると、F86Fというのはいずれにしても相当にロートルになり使えなくなったものができ、数も減りあるいはなくなるかもしれない。四十八年と長官明確にどこでも答弁している。大森創造さんのこの議事録によると、大森さんは四十九年にF86Fはなくなるんですねと言ったところが、そうじゃありません、四十八年になくなりますと言っている。これはあとで問題になるから聞いているのです。いまの答弁とうんと違う。そこの点をはっきりしておかないと、また長官いろいろ言いのがれるから。大森さんの質問長官、あなたは大森さんのほうが四十九年ですかと言っているのに、あなたは四十八年になくなると答えた。そう一々食い違っちゃ困るんですよ。何を当てにしていいかわからなくなるじゃないですか。
  152. 増田甲子七

    増田国務大臣 いままで聞いておるところでは、四十八年末をもってフェイズアウトにするというふうに私は聞いておるわけです。多少残存するかもしれません。それは寿命も使い方によっては長くなりますから。
  153. 大出俊

    ○大出委員 しかし、いずれにしても、四十八年という一つのめどで、非常に老朽化しあるいはなくなる、なくなりかかる、これは間違いないですね。そうなりますと、このF86Fはそういうことになるが、もう一つ念のために聞いておきたいのですが、F104のほうは、おたくのほうの減耗見込みというのがございますね。あんまりあなたのほうでこれは残る残るとおっしゃると、またいままでの答弁と食い違うのですよ。F86Fも、残らぬで、だめになっちゃうのだからFXを急ぐのだと答えているのですからね。F86Fのほうも長もちしますよ、F104のほうもとんでもなく延びますとあなた言うと、前の答弁と正反対になりますよ。気をつけてください。  そこで、F104の減耗見込み。これは現在七飛行隊でしょう。四十七年からこれはどうなるのですか。
  154. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 お断わりしておきますけれども、86Fのことにつきましても、意図的に延ばすとかいうことを申し上げているわけではございませんで、全く技術的な試験の結果、それは一年前と多少違います。試験によりますと、これくらいもつだろうと思ったものがもたなかったり、あるいはもっともったりすることもまた技術的な試験の結果によります。そういう数字で、きょう現在申し上げていることも、さらに試験の結果によっては多少修正する余地はございます。そういう前提で申し上げますけれども、F104につきましては、四十七年現在では七個飛行隊が、ある場合には維持されるし、一個隊減るかもしれない。これも事故率によります。事故率を多くとった場合と少なくとった場合によって、一個隊の差が出てまいります。こういう場合は一個隊減るという計算が現在可能でございます。
  155. 大出俊

    ○大出委員 ここで念のために聞いておきましょう第二次防におけるF104の減耗率、減耗の計画値と実績値、どのくらい違いますか。――わからなければ、私のほうからあげましょうか。  時間がありませんから、私のほうから言いましょう。二次防におけるF104の減耗の計画値と実績値の差、これは三十八年から四十二年までの問で、計画六十機に対して実績は十二機です。そうすると、F104というものは、いまあなたはあいまいなことを言われたけれども、計画というものはあなたのほうに明確にあるわけでしょう。やってみなければわかりませんというようなことをおっしゃる。それはそうかもしれないけれども、私は、計画としてはどうなっているのですかと聞いているのですから……。四十九年だから、まだ先のことだから。これは七飛行隊が一飛行隊減って六飛行隊でしょう。それから、五十年から五つの飛行隊になる。そういう計画は皆さんのほうは持っておられるでしょう。そうなるかならぬかは別だ。だから、そういう一つの前提に立っていまFXというものを考えていくということでいいのです。新たにやってみなければわからぬのです、昭和四十三年なんだから。そうならなければいかぬ。そう理解していいのではないですか。違いますか。
  156. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 事故率等も将来を見通して計画を立てております。その計画にもいろいろ案がございますが、ある場合には、五十年においては一つの計画は五になるだろうという計算をしている計画もございますし、ある場合には六という、これは事故率をさらに精密にやりまして、それは少し甘過ぎるじゃないかという場合に、そういう修正をする可能性もあるということで別案もありますけれども、おっしゃるように五という数字での計画もございます。
  157. 大出俊

    ○大出委員 別案もあるけれども、いまFXの選定の段階にあたって、たくさん残るようなものをお出しになってない、あなたのほうは一番危険負担の大のところをとるから、そうなれば五飛行隊というところが正しいのですよ。そうしなければ、いまFXを選定するという意味がないのだから。だからそういうF86FにしてもあるいはF104にしても計画値をお出しになって、それはこうなる――いまのところですよ、やはりなくなってからじゃ困るという考えを皆さんお持ちなんだから。そうでしょう。そうすると、将来の展望を、計画値として五飛行隊に減るかもしれないという危険率をあなたは考えているのだから、それが一番スタンダード・ポイントにならなければおかしい、一飛行隊足りなかったということになるのだから。そうでしょう。そういう前提に立ってものを考えなければおかしいと思うから、私は五飛行隊と申し上げているのですよ。  そこで、その場合に、私の言いたいのはここから先なんだけれども、F86Fの主任務からいくと、F104のほうには爆装はないでしょう。ありませんね。どうですか、もう一ぺん答えてください。
  158. 増田甲子七

    増田国務大臣 ありません。
  159. 大出俊

    ○大出委員 だとすると、今度はあなたがお求めになるFXなるものにも爆装はないでしょう。
  160. 増田甲子七

    増田国務大臣 爆撃装置は施しません。
  161. 大出俊

    ○大出委員 爆撃装置と爆装と、ことばの使い分けをはっきりしていただきたいのですが、どう違いますか。
  162. 増田甲子七

    増田国務大臣 あなたは省略されて言っているのだと私は思います。
  163. 大出俊

    ○大出委員 それでは同じだということですね。いろいろ変わったことを長官よく言われるから、念を押しておかぬと……。そうすると、爆撃装置、略して爆装はつけない、こういうわけですね。F86Fというものはどんどん損耗していって老朽化するか残るかわからぬというところなんだが、そうすると、現在の任務からいって、要撃に主任務を置いてFX選定に当たるということは筋だけれども、三次防にまさに書いてあるのだから、そうでしょう、それが主任務だから。現にF86Fがやっている中身というのは地上戦闘支援の戦闘爆撃が入っている。だとすると、長官、F86Fは間違いなく損耗していくのです。四十八年を境にしてなくなってしまうか、幾らか残るということです。そうすると、爆装を持っている飛行機はない、そのときには地上の戦闘爆撃という任務はどこへいってしまうのですか、なくなるのですか、どうなんですか。
  164. 増田甲子七

    増田国務大臣 私はいまあなたの爆装と私の爆撃装置が同じだということを言いましたけれども、爆撃装置とは、爆弾をつり下げて、いまF86Fが腰だめで爆弾の投下演習をしています、ああいうものとは違うのですよ、レーダー、計算機その他各種のものがあって、その照準にきたときに落とせば正確に命中する、こういう装置のことを私が頭の中に考えて、そういう爆撃装置は施しませんということを言っているのですから、やたらにことばを簡単にされて内容が違ってくると困りますから。爆装と爆撃装置は違いますよ。
  165. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、先ほどそうならそうとお答えになればいいので、あなたは省略していると言ったのだけれども、そう一々変わったのでほ困るじゃないですか。ではやはり爆装と言っては困るので、爆撃装置と正確に言わなければならぬ。そうすると、F86F爆撃装置ができているでしょう。どうなんですか。
  166. 増田甲子七

    増田国務大臣 あれは爆装です。
  167. 大出俊

    ○大出委員 事務当局、いいですか。防衛庁内はそう使い分けているのですか。
  168. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 爆弾の懸吊装置あるいは落下装置といいます。爆装ということばがついているけれども、爆弾装備というふうなことの省略でおっしゃっているとしますと、懸吊装置も入るということで、それはF104やF86Fそれから次の候補機にもみんなございます。
  169. 大出俊

    ○大出委員 そう言っているとすると、いまF86Fがやっている懸架装置にひっかけて落とすだけでしょう。めくら爆撃みたいなことをやるのでしょう。そっちのほうも爆装とはいってないですね。――首をかしげている、あなただめですよ、長官がそういうことを言ってはだめです。そこのところをはっきりしてください。
  170. 増田甲子七

    増田国務大臣 私が爆撃装置を施さぬというのは、自分で発明して――というのはなぜ発明したかというと、侵略勢力に対して脅威を与えてはいけない。それには正確なるレーダーが出てくる、それで落下させると正確に落ちるという、そういうものではいけないのだ。F86Fが現在やっているのは腰だめ爆撃でして、その腰だめ爆撃のような懸吊装置を施したのならば現在やっておりますから、ほかのものだって、やったってそれは脅威を与えるという程度にはならないでしょうというところまでは、言ってはいないけれども、頭の中にあるのですよ。
  171. 大出俊

    ○大出委員 長官、いまの発言ちょっと重要なんで、ちょっと宍戸君待ってください。あなたに聞きたいのだけれども、いまそういうことをおっしゃるならあなたに聞くのだけれども、あなたは国会の答弁の中で、爆撃機の照準の問題――照準器という問題についてあなたは答弁をされた。爆弾を落とすような照準器はつけない、そういう答弁をあなたは明確にされている、議事録を私はちゃんとここに持っています。この際明らかにしていただきたいのですけれども、照準器というものはそんなに単能力の、爆弾を落とすだけの照準器というものを、いまやたらにそこらの飛行機は使っていますか。
  172. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 照準器について申し上げますと、F104も86Fも目視照準の照準器があります。ディプレッションといいます、その角度を修正して――目視照準で、コンピューターはございませんけれども、修正する装置がございます。長官がいま爆撃装置をつけないとおっしゃっている意味は、爆撃の専用の装置、これを分けて申し上げますと、空から地上への空対地のレーダー、それから爆撃の計算装置、投下用の計算機あるいは核の場合には核の管制装置が入りますけれども、そういった爆撃計算装置、それにコントロールボックスという三種類がそろって、これは爆撃専用の装置になります。そういうものはF104もF86も持っておりません。それを将来のFXにもつけないということを申されておるのでございまして、ディプレッションのついた目視照準は現在もございますけれども、それを将来も現在と同じように、そこまでなくす、そういうことを申し上げているわけではない、われわれはそう思っております。
  173. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いまF104というのは簡単な照準装置というのですか、やはりそれは角度修正等ができるのだから、それはつけているというわけですな。そうすると、その意味ではF104も爆弾を落とす訓練もやっているということですか。
  174. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 F104にもそういう装備はございます。爆弾をつり下げる装置がまずあります。それから目視照準でそれを落とす装置がございます。ただ任務が要撃専門の任務を与えておりますから、そういう意味の訓練は現在いたしておりません。現在86Fがありますから、86Fの半分の部隊を、御承知のように、その分は対地爆撃、対地支援のほうの任務を与えておりますから、目視照準で訓練をするというふうな訓練もありますけれども、F104は機能的には持っておりますが、現在そっちのほうの訓練はいたしておらない、こういう状況でございます。
  175. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、現在言われているFXの関係が将来出てきますね。そうなると、順番に聞いてまいりますけれども、先ほどの点に戻りまして、二次防の減耗するであろうということでお立てになった、皆さんの計算をされている、つまり計画の上での減耗機数、実績の上での減耗機数、これは出ておりますけれども、さっき申し上げたとおりですけれども、たいへんに差がありますね、想定と実績値との間には。そうすると、F104のほうは、さっきお答えをいただかぬ途中から少し横のほうにそれましたが、いまからの計算でいって、大体先行きここ十年ばかりを見通してF104というのはどんなふうになってきますか。
  176. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 二次防で実績と計画値に差があったということで、ちょっと私の手元にその点の資料を持っておりませんので、先生のおっしゃるような差があったのだろうと思います。それはおそらくF104を初めて採用いたしまして、まだ国際的にもそれほどたくさん飛んでおりませんでしたから、実績がよくわからなかった、それで計画値をとったのだ、その後日本で訓練をいたしまして事故をできるだけ少なくするということで実績値は違ってまいりましたから下がってきたということだと思いますが、将来のほうを見通しますと、すでに数年来の実績がございますので、それによってずっと計画することが可能でございます。ただ、それも相当先になりますので、先ほど申し上げましたように必ずしも断定的に申し上げられませんけれども、趨勢として申し上げますと事故率のとり方によりますと事故率が非常にいい場合、あまり落ちない場合には五十年まで一飛行隊が残って五十六年ではゼロになるということになろうかと思います。
  177. 大出俊

    ○大出委員 そうするといまのF104とF86Fの関係で任務分担等から行きまして、将来は地上戦闘の陸海の作戦支援のための戦闘爆撃を主任務とするというのは変わっていきますか。
  178. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほども申し上げましたけれども、86Fの現在の四飛行隊の対地支援部隊は五十年ごろまでつくるかもしれない。四十九年か五十年までつくるかもしれませんけれども、そのあとのことをお尋ねでございましょうか。
  179. 大出俊

    ○大出委員 FXは六十機になるのは四十七、八年ですね。四十六年に二機つくって四十七、四十八年で六十機にしようというわけでしょう。そうすると、現在の86Fはそれまでもたないというわけでしょう。何機かはもつかもしれない。何機かはもっと考えられるにしても、総体的に見たら86Fというものは地上戦闘の支援部隊の戦闘爆撃を主任務とするものが現在四飛行隊あるわけですが、その体をなさなくなることは間違いない。そのときになって地上戦闘の作戦支援のための戦闘爆撃の任務を持つものがなくては困る。本来なら、だからFXを選定するにあたっては防衛の姿勢というもの全体を考えてFXが出てこなければいけない筋でしょう。なくちゃ困る。なくなると困るんだから。それではその任務は一体どこが持つのか、どうやってやるのかという問題が残るじゃないですか。そこはどうですか。
  180. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 その点先ほども申し上げましたけれども、別個に検討したいと思います。86Fが消耗するにつれて何らかの機種を持たなければならぬと思いますが、その点は別個に検討したいと思っております。
  181. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、地上戦闘作戦支援のための戦闘爆撃のためのFでいくならば、FXですね。やはりもう一ぺんどこかであなたのほうは出そうというわけですか。片一方の筋から行けばいま選定するFXはつまり照準問題その他がありますから、あとからこれはお聞きします。これをやりますと一時間ぐらいかかりますからね。これはあとから質問いたしますけれども長官、あなたの御答弁は行ったり来たりしますからね。ここに議事録があります。この議事録で言っているのは、爆撃用照準器のないもので云々というふうに言っておられるわけです。爆撃用照準器とは何かということをもう少し掘り下げなければいけませんが、ともかくたてまえとしては爆撃装置は施さない、こういうんだからそれをすなおに受け取りまして、要撃一本やりのものを選ぶというわけですよ。足が長くないなんと言ったってけっこうこれだって長いんだから、そちらのほうに爆撃装置を施すなんと言われたんじゃこれは迷惑だ。そうすると、いま選ぼうとするF4ファントムか何か知りませんけれども、これはつまり地上戦闘の支援には使わない。そうなると86Fが損耗していった場合にはF104を代替機に使えるかどうかという問題があるけれども、あなたのほうは別途選定する。これはかみ合わない議論だ。本来ならばFXを選定するときに全体計画として86Fはこうなっていくんだ、F104はこうなるんだ、したがって現在想定している防衛に支障のないようにするためにはこの作戦任務は今後こう変わっていきますということにならなければ、あなた方の構想を明らかにしたことにはならぬでしょう。そこを聞いておる。だから長官、はっきりしておきたいが、何かF86にかわるものを別途考えるというような考えがあるのですか。長官答弁してください。重大な問題だから、聞いたこともないじゃ困る。予算もからんでおるんだから。
  182. 増田甲子七

    増田国務大臣 F86Fが地上支援をしていることは大出さんも御承知のとおりでございます。それがフェイドアウトしてしまったときにどうするか、なくなったときにどうするかということは問題として残ります。そのことにつきましてはかわりのものをいま考慮中でございまして、たとえばF104というのも爆装はし得るわけです。爆装はいましておりませんが……。そこで私腰だめ腰だめと言いましたけれども、目見当はあるわけでございます。ただあとで爆撃装置のことであなたが御質問があるというからそのときにお答えをしてもいいのですけれども、そういうような各般の放物線を描いてこうするとこう的確に命中するとかそういうようなしかけのものはないというわけで、F104をもって代替し得ますけれども、ほかにPXも開発中でございますからPX等を充てる場合もございますし、そういう意味において防衛局長が選定中、考慮中、こう申したわけでございます。
  183. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、F86FがなくなるからFXはその後継にというのは、これは少しおかしな話になりませんか。
  184. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほども申したとおり時期的に後継なんで、政治家というものは大ざっぱにものを考えますから、やはりF86Fがなくなってしまうのに、あとなければいかぬから新しき戦闘機を求める。せっかく戦闘機を求めるからには、F104よりも要撃能力の高いものというのが第三次防の基本方針に書いてあります。その方針に従って求める。こういうわけで、政治家的見地に立ってお互いが見たときに、F86Fの後継機といって差しつかえない。機能的にはF104よりもちょっと高いもの、こういうわけであります。
  185. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、ここではっきりしておきたいのは、PXなるものを選定するときに、F86Fの地上戦闘支援のための戦闘爆撃任務というものを考慮してきめるとか、あるいはF104が代替するとか、あるいは別なものを選ぶとかいうふうなことを、あらためて皆さんのほうは結論を出す、こういうことですか。
  186. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 大筋そういうことでございます。
  187. 大出俊

    ○大出委員 それから、これも問題がありますが、時間がありませんから、いまの論議は少し先に延ばします。  先ほどの議事録をめぐる問題等もありますので、あらためてひとつやりたいと思いますが、F4ファントム、これは正確にいえばF4Eですね。それの問題なんですが、長官のいままでの答弁の中に、FXの選定というものは調査報告は出てきた。それに意見書がついてきたというだけではきまらない、こう言っているわけですね。PPBSなるもの、大蔵省折衝が必要である。そして問題は、もう一つORというものが必要である。この二つがなければだめなんですということを長官答えていますね。そうなりますと、ORというのはどういうことになるのですか。あなたは選定に当たっての大森質問に対する答弁の中で明確にされておるのだけれども、これからどういうように進むのですか。
  188. 増田甲子七

    増田国務大臣 ORの段階は終了いたしました。そこで、緒方調査団長の報告書と合わせて空幕長がOR段階調査をいたしました。運用計画の調査をいたしましたものを合わせて私のところへ一応報告書は出ておりますが、まだ公にはできないという段階でございます。そこで、新聞で御承知だと思いますが、メーカーをきめまして、三菱重工をプライムにいたしまして、それからサブというわけでもございませんけれども、六対四くらいの割合ということで、川崎航空機、その川崎航空機を支援するのが、川崎航空機関係のいわゆる三社というのがあるそうでございますが、その川崎航空機の責任者を招致いたしまして、私と次官と装備局長でプライムメーカーはこれこれ、サブメーカーはこれこれ、それは六対四の割合である。そこで、国防産業という立場において、それぞれ外国へ問い合わせて、そしてPPBS関係の、あるいは防衛庁長官が決定するときの参考資料をこの十月二十五日くらいまでの間に出してください、そういうことを指示してございます。
  189. 大出俊

    ○大出委員 この大森質問は今日の二日なんですけれども、あなはこれからORをやる、こう答えている。答えましたね、間違いありませんね。ところが私が調べてみたらとんでもない話ですね、とっくの昔にORは終っている。39Lというのは、Lというのはロング、ロングならば三十九年度長期、こういう意味だと思います。それから四十二年度に入っても皆さんのほうはORはしきりにやっておられる。これはF4ファントムが主ですよ。そうして、あなたのほうのこの分の予算、本年たしか一億七千万くらいでしょうけれども、これからいきますと、あなたのほうは大体四千万くらいかけている。最近の各種戦闘機に関する研究、こういう42M、これはミドルでしょう。中期です。この資料によると、42Mは、つまり十月八日の二次調査団の調査結果に基づいてORやPPBSなどの手法を用いて検討すると長官が言われたのだが、もうかなり前にこれは全部あなたのほうは終わってしまっておる。いま初めて終わったとおっしゃっておるが、間違いない事実としてここに資料があるのですが、いかがなものでありますか。
  190. 増田甲子七

    増田国務大臣 十月のたしか初句の後段のほうで私が報告を受けたわけでありまして、十月二日というと十月初旬の前段でございますから、そのときに私がORは現在進行中であります、オペレーション・リサーチをこれからしてということを答弁しても別にうそではないと思います。
  191. 大出俊

    ○大出委員 うそでないよりも何よりも四十二年に終わっておる。そうしてこれは当時三千万の金が支出されておる。四十三年第一・四半期に一千万OR予算の中から出ておる。合計四千万、あなたのほうはもうすでに調査を終わっておる。あなたは御存じないですか。
  192. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先生のおっしゃった42M作業というのは確かにやりました。それは四十二年度のOR予算を使ってやりました。長官のおっしゃっておるのは、その中期のことをおっしゃっておるわけで、四十二年度中に終わった、完全に終結したというわけじゃない。四十二年度から作業をずっとやっておりまして、計算機を使うのが主でございますけれども、計算機を使っただけでは全部終結というわけにはまいりませんで、最後に計算機のほかに人間がいろいろ評定いたしますが、そういう作業がずっと残っております。これは本年度に入ってやっております。長官に最後に正式に上申いたしたのは今月初旬でありますが、ずっと四十二年度からやりまして、特にことしの前半期はそれに精力を集中いたしまして、秋に間に合うような作業をやった、こういうことであります。
  193. 大出俊

    ○大出委員 第一次調査団が行ったのはいつですか。
  194. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 四十二年の十月だったと思います。
  195. 大出俊

    ○大出委員 去年の十月という段階は42Mは終わってしまっておりますね。
  196. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 42Mがとおっしゃったのでしょうか。――それだったら終わっておりません。
  197. 大出俊

    ○大出委員 四十二年中期、だからMがついておる。Lはロング、長期、Mというのは中期というとり方でしょう。あなたが十月と言ったのは四十二年度、計算してごらんなさい。ここにちゃんとありますが、あなたのほうはファントムというものを中心にしてORの作業の結果の諸元をインプットして、そうしてあなたのほうは契約をつくってあとは計算機の会社に頼んで計算するだけでしょう。この計算するのはどのくらい時間がかかるか聞いてみたら、諸元さえきまって入れれば一時間か二時間で出てくるという。そうすると、四十二年度の、最近の各種戦闘機に関する研究という、それをやってくる過程、諸元がきまるまでの過程というものは時間がかかってくる。しかし、それは会社に頼んで計算機に入れさえすれば、えらい高いものにつくそうですけれども、すぐ出てくる。そうすると、十月という時点には少なくとも最近の戦闘機に関するORというものはほとんど片がついておる。そうすると、世の中で当時しきりに言われておること、F4Eにきまっておるのだというのはうそじゃない。私は本年の予算委員会でバッジシステムの問題とからんで川崎さんの問題が出てきて山口さんがおなくなりになった。このとき私は明確に長官に予算委員会で御質問申し上げておる。もうF4になっているのじゃないかという前提で、議事録にも載っておりますが、ものを言っている。これに対しては、総理も皆さんおられたけれども、当時は答弁されなかった。いまはしなかったことをとやかく言うわけではない。ないけれども、そういうことにしておいて、まあ長官はあるいはほんとうに知らなかったのでしょう。だから、長官、これはひとつ重大な問題なんだけれども、この毎日新聞なんかを見てみても、大室空幕長がものを言っている。主としてみんなF4ファントムについてものを言っている。当時、あの川崎事件が起こったときに、空幕はもうF4ということをきめてかかっていたということが新聞にも載っていた。確かにそうだ。いまになって調べてみれば、42Mのこの計画の中で作業をやってしまっている。だから、そうなると、私は今回のこのFX選定というのは例のバッジをめぐるあのときの騒ぎ、FX情報が漏れたの漏れないの、長官報告書を受け取るの受け取らないの、たしか何かいろいろあった。新聞記者の方々からもいろいろのことが耳に入ってくる時期があった。そうすると、それ以後今日までというのは、私はどうも世間一般のていさいを整えるという意味しか持たないのじゃないかという気がする。私は、非常にこれは不明朗なことだと思うのですが、これは長官いかがですか。四十三年度の予算から一千万埋めて四千万にして、OR予算が足りなかったのだから。それはそれでもいいけれども、そういうことは幾らでもできるのだから。おかしいですよ、大体。
  198. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 42Mにつきましてちょっと御説明を申し上げますけれども、Mは中期の意味だから、昨年、四十二年の十月ごろには終わったというふうに聞こえましたけれども、そういうことで42Mということを言っているわけじゃございません。39Lというのは三十九年にやりましたL作業ということで、部内でそういう略称をしております関係でございます。それから42Mは四十二年度にやりましたM作業ということで、そういう略称を用いております。  去年調査団が行きましたのは、機種選定のための資料収集でございまして、それまでにいろいろ公刊資料等でもちろん空幕もわれわれも持っておりましたけれども、不正確なものでございました。高い金を出してコンピューターにぶち込むのには不正確でございましたので、調査団を派遣いたしまして資料収集を九機種についてやりまして、そうして42Mの作業のいろいろなコンピューターにインプットするその資料を持ち帰ったわけでございます。それから本格的に42M作業の準備はいたしておりましたが、いろいろ資料が整いましたのはことしの一、二月でございます。それから42Mは作業も本格的に活動し始めた。ですから、二月から三月、四月にかけましてコンピューターをおもに使ったということでございます。  そういう経過でございますので、もちろん九機種の中で三機種に残りました候補機種は、当時から、作業をやらないでも相当有力であるということは専門家の常識になっていたかもしれません。ですから、ファントムがいいとかCL1010がいいとかミラージュがいいとかという意見は当時からあったかもしれませんけれども、作業そのものはいま言いましたような経過をたどっておりまして、最初からファントムのほうということにきめておったのを、十月に終わってしまったというのではございません。
  199. 大出俊

    ○大出委員 四十二年度、四十三年度の支出負担行為の計画がありますね。この示達書、それから会社との契約書がありますね。これは皆さんのほうは通常どこにもお出しにならぬことになっていますか。
  200. 増田甲子七

    増田国務大臣 いまの御質問の前に一言やっぱり申し上げます。それはバッジとF4とは全然関係がないわけでございます。このことを当時あなたが予算委員会で御質問になりましたが、そのときにFXというものはまだ問題になっておりません。F4ということをしきりにあなたが内定したとおっしゃいますけれども、そのことはあとで申し上げますが、要するに山口将補のために弁じておきますけれども、彼は非常に正確無比な、まじめな、謹直な男でございまして、部下になわつきを出したということで、道徳的の責任感じて自決したわけでございます。崇高な人格者であるということをこの際重ねて申し上げておきます。  それから川崎という一等空佐がいたしたことは、これは非常に不本意の至りでございまして、皆さまに遺憾の意を表明しておきます。ハッジに関係があるからといってバッジに関係のないような書類まで、親しさのあまり、さしで渡した。われわれがコントラクターにものを渡してこの仕様書でつくってくれというときには、こちらも三人ぐらいおりますし、向こうも三人ぐらいおります。対々で二人のさしということは間違いのもとであるから、私宅はもちろん、公の役所においても、そういうことは絶対禁じておるわけでございます。それをあえてしたというところに彼の間違いがあるわけでございます。しかし、その動機は川崎健吉といえども掬すべきものがあるのでありまして、バッジをできるだけ早く運用し得るような状態にしたい、そうしてことしの三月三十一日が目標でございましたから、三月三十一日までに調達実施本部へ納入するということをあせったために関係のない書類まで見せた、こういう関係でございまして、その動機は掬すべきものがある。懲戒免官にはしましたけれども、何らわいろ等をとったような事実もございません。しかし、バッジを早く納入させたいあまりに関係のない書類まで、われわれの調達方式に違反して、さしで貸与したということは、非常に不注意でございます。でございますから、懲戒免官という罰にも処したわけでございます。また、関係者もそれぞれ譴責その他訓戒あるいは注意というような処分をいたしました。しかしFXとは全然関係ないことでございまして、大出さんはそのことはきわめて明瞭にわかっていらっしゃるにもかかわらず、いまの御発言によりますと、どうも関連があるように、――黒い霧があるかのごとき印象を国民が得てはいけませんから、大出さんは賢明でいらっしゃるし、事柄はよくわかっていらっしゃるけれども、その点をやっぱり不明朗な印象を与えるといけませんから、私が特に発言を求めて、明瞭なる発言をいたす次第であります。
  201. 佐々木達夫

    ○佐々木説明員 予算の示達の関係でございますが、予算の執行につきましては、航空幕僚監部に予算を示達いたします。OR経費は、御存じのように庁費一般に入っておりまして、庁費の科目で示達されておりますが、機種選定のOR経費は、四十二年度の第三・四半期に一応配賦されております。しかし、執行は、配賦されたあとに執行されるわけであります。年度内に執行するというような形になります。
  202. 大出俊

    ○大出委員 第三・四半期にどのくらい示達しておりますか。
  203. 佐々木達夫

    ○佐々木説明員 全体といたしまして庁費の中に入っているわけでございますが、積算の内訳といたしまして、約四千万円強の数字が出ております。
  204. 大出俊

    ○大出委員 さっき私が四千万と申し上げましたが、間違いないところになっております。  いまの長官の言っておられる点、おなくなりになった方を私はとやかく言っているのではないですよ。誤解をされては困ります。あのときのことを話をし出せば、これは長官自身も怪しい空将補がいるとかなんとか言ったというのが新聞に載ったり何かして私は取り上げましたが、言えば切りがないけれども、そのことをいまここで言っているのではないので、このOR作業というものの進行過程を、私は防衛庁の中の人間じゃない、防衛庁の外部にいる人間なんだけれども、私の調べた限り、おおむね四千万という金で、42Mというところで――これは中期というとり方がどこからどこまでかということも、皆さん方なかなか明らかにされぬものだから、私の認識の不足かもしらぬ。かもしらぬけれども、やはりものは言うておかないと将来の問題があるから私は申し上げておるのだけれども、OR作業というものがずっと進んでしまっていて、第二次調査団が出かけるときはもうほとんどはっきりしていたといっていい時点、こういうふうにOR作業の中身を見ると受け取れるのです。だからそうなると、どうもあなた方はいろいろ隠されるけれども、世の中はおかしなことになりはせぬか。これはロッキードの社長が出てきてどうのこうのということがいわれている。大森さんも言っているけれども、あなた方はわからないというのだから、否定はしていない。それはどこの国にも、どこの会社にも、利益を得ようという気持ちがあるのだから、それはいろいろ動くかもしれない。しれないけれども、きまっちゃっているのならきまっちゃっているので、何もそう大騒ぎをいつまでやっていることはない。F4ならF4とはっきり言われればいいと思われる節々が中身を見るとたくさんある。したがって、私はいまの問題を取り上げたのであって、根も葉もないことを言っているのではない。ただ皆さんがそれを認める認めないは別だ、私ども自身が防衛庁の中にいるのではないのだから。だがしかし、OR作業というものは42Mでほとんど終わっていると私は申し上げているわけです、第三・四半期にそれをつくったとおっしゃるのだから。いまの話はそういう意味だったですね。そうすると、金はあるのだから少なくともその時点からOR作業を始めていいわけだ。そうだとすると、この調査諸元をどこでとらえるかという問題が残る。インプットだとおっしゃったが、確かに計算機に入れるわけだから、そうだとすれば、ほかの39Lのこれらのことを考えても、どこからいっても終わっていないはずはない。だから、時期的におおむね見当がついてしまっていて調査団が出かけていったという勘定になる、このことを私は言っているわけです。これは長官はいろいろ言われるけれども、それは世の中の形を整えるという意味では必要でしょう。必要だが、しかし私が前から言っているように、F4ということで空幕自体がそう考えてやっているのだから、それが出てくるのはしようがない。だからその点は42Mを取り上げて私が指摘をしているということであって、違うなら違うと言ってくれればいいのですよ。
  205. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほど経理局長から申しましたように、四十二年度の第三・四半期から金を使い始めているということでございますが、同時に作業も、先ほど申し上げましたように、昨年の十月から十一月にかけまして第一次調査団が資料収集に出かけております。それが帰りましてOR作業は本格的になってまいりました。資料をずっと整理をいたしまして――持ち返ったものを十二月ごろからずっと準備をいたしまして、それで整理をいたしまして、二月、三月、春ごろコンピューターは大いに動いた、こういう経過でございます。第一次調査団のころもうきまっておったじゃないかというふうに先ほど伺ったものですから、そういう経過を申し上げた。いま伺いますと、第二次調査団のことをおっしゃいましたので、第二次調査団はこの夏、七、八、九月と行っております。コンピューターが動きましたのは主として春でございますから、その夏にかけましては大体作業の八割方は進行をしております。その機械も相当信憑すべき点もありますけれども、機械だけで判断できない点がまだたくさんございます。それで夏から秋にかけまして――このコンピューターの作業ももちろん頭に置きましたけれども、完結はいたしておりませんで、最後にしぼりました三機種に今度はパイロットが実際に乗りまして、いろいろな資料なんかも会社から九機種のときよりもさらに詳しい資料をとりまして、コンピューターの作業もあわせまして、最後に十月上旬に空幕長は腹をきめまして長官に上申した、こういう経過をたどっているわけでございます。
  206. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。私も確かにさっきちょっと勘違いして言い間違えたようですけれども、私がさっき申し上げているのは、つまり四十二年度に予定をしておったOR予算が、四十三年度は少しふえていますね。たしか一億七千万くらいですな。間違いないでしょう。――そうなると、昨年のほうが少ない。少ないけれども、四千万ぐらいのワクがある。それでずっとおやりになっておったのだからそんなにかかるわけがない。第一次と申し上げたのは私が錯覚して恐縮ですが、緒方さんの第二次調査団がお出かけになるときはほとんど動くものは動いてしまっていた、こういうことになりますね。それで私は委員部を通じて正式に緒方さんをここに出していただけぬかと言った。長官は大森創造さんの質問に対して答えて、制服の方がここに出てくることはよろしくない、われわれが答えるのがシビリアンコントロールのゆえんだと言ったけれども、何もそれがシビリアンコントロールのゆえんではないと思う。必要があったら出てきてもらって、国民の金を使うのだからわかるところまで詳細に私ども質問をしたいし、言ってもらいたい。大室空幕長にしても、新聞記者の皆さんにF4ファントムについて推奨されている事実があるでしょう。そういう方針だからそう言ったんだろうけれども新聞記事にまで出ているとすれば、ここで増田さんに聞いても、それは大室さん本人にじゃないのだから、ますますおかしくなる。コンピューターでやって結果は出ている。それから調査においでになって、方々で実際に乗ってこられた。どこまで乗ったかということは別だ。そうすると、長官が今月に入ってから、PPBSから始まってORという決定の要素のまさに非常に大きなウエートがあるということをあなたは言われた。そうなると、どうもいささか長官がつんぼさじきにあるのじゃないかという気がするものだから、それでいまORの問題を持ち出したわけです。長官、あなた大森さんの質問のときにそこまで聞いていなかったということでしょう。
  207. 増田甲子七

    増田国務大臣 あなたの御発言中の昭和四十二年度の秋ごろもう機種がきまっているのじゃないかというお話は事実と反します。これは明瞭に反しますから。あとOR関係の予算が出るのがこうだからこうというわけではないのでありまして、予算は前に出る場合もあるし、あとに出る場合もあるし、要するに年度内に出る場合もあり、年度過ぎても、五月末日までは会計法上いいわけであります。そういうわけで、予算関係から見てORが昭和四十二年にきまっているということは、相当勉強されております大出さんだけれども、それできまっているならば第一次調査団を出す必要もないし、第二次調査団を出す必要もございません。第一次調査団は昭和四十二年の十月にきまっているとあなたおっしゃいますけれども、十月の下旬から十二月の十日まで五十日かかって行ってきて、これは防衛局長の言うように主としてカタログを中心に調べてきたわけであります。それをまたORにかけまして三機種にしぼって私のところに参ったのが本年の五月二十八日でございます。総理大臣とも話をいたしまして、この三機種にそれぞれ試乗してみるということで調査団を派遣いたしたい、それには緒方空将が最も適正なる人物であるということまで総理にお話をしまして、出かけたのが七月十九日で、九月五日に帰ってきたわけでございます。それから三機種についてそれぞれ調査報告書はございますけれども、これは一つの参考にすぎないのでございまして、これを参考にしつつ空幕でORをいたし、また防衛局でもORをいたしたわけでございます。そこで、私のところに空幕長の報告がある前に、防衛局と連絡をとりつつ空幕長が報告書をつくったことは事実でございます。報告書ができたのが十月八日でございまして、十月二日の大森創造さんの質問時点においては、私としてはORは進行中でございますということを答えるのはきわめて当然であると考える次第でございます。それから現在も私はまだしぼっていないのでございまして、報告書等は出ておりますが、これはプライムあるいはサブ等のコントラクターに対して、三機種それぞれPPBSの関係もあるし、それぞれ材料をとって、彼ら自身がコンピューターも持っているようですからやってみてこいということで、この二十五日ごろ持ってくることを期待しておる次第でございます。
  208. 大出俊

    ○大出委員 いずれにしても、これは冒頭に申しましたように次の予算という場面がありまして、時期とともにいろいろなことが明らかになってくるだろうと思うのですが、そういう意味で私はきょう幾つか問題になる点の指摘をして承っている、そういう立場なんです。したがって、少しこまかい点ですけれども、幾つかあわせて承っておきたいわけでありますが、先ほど爆撃装置の問題についてお話がありましたが、簡単に一つずつ聞きますが、戦闘機搭載の照準器というもの、これは空中戦闘用と爆撃用というふうに二種類ございますか。
  209. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 一種類でございます。
  210. 大出俊

    ○大出委員 つまり単能型の爆撃なら爆撃専門の照準器というものは特殊なものにしか使っておりませんね。戦闘機と名がつくと、照準器が二つあるなんというばかなことはないですな。いまあなたは一つとおっしゃったから念を押すのですが。――時間がありませんから続けますが、いいですか、長官、あなたが六月三十日のこの委員会で永末質問にお答えになっている。この趣旨からいきますと、長官の御答弁というのは、爆撃用の照準器を装備しない、こうお答えになっている。戦闘機つまり要撃能力を持つものというFXですから、そこでいま宍戸防衛局長がはっきりお答えになったように、私の質問は、もう一ぺん繰り返しますが、戦闘機についていえば、空中戦闘用の照準器と爆撃用の照準器と二種類あるかと言ったらないとおっしゃった。なぜならば戦闘機の場合は、ねらう目標が違うだけで照準器そのものは一緒だからです。そうすると長官、あなたが答弁している六月三十日の衆議院内閣委員会の永末質問に対する答弁、爆撃用照準器を装備しない、こうあなたはお答えになっている。そんなばかな話はないでしょう。
  211. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは重要なことですから私お答えいたしますが、私がしろうととして考えて――しかしながら防衛庁長官たる立場です。それは爆撃用の爆撃装置は施さない、こういうわけでございまして、新しき戦闘機はおそらくスパロー等はいずれも搭載できます。そのスパロー等はサイドワインダーと違うわけで、赤外線フォーミングではありませんから、いきなり撃って赤外線のほうへついていくというものではございませんから、一定の電波を出してみて、それの反射によって測程器というものに出てきまして、それでスパローを発射する、こういうものだと私は思っております。でございますから、攻撃用のレーダーは、かりに敵といたします。つまり侵略機でございます。侵略機に対して正面からロケットを発射できる、それがスパローでございます。そういうようなものあるいはファルコンのようなもの、そういうものを今度装置するわけでございますから、そういう関係のレーダーが当然空対地のほうに転用できるかどうかその点まではわかりませんが、空対地の関係のブルパップもつくりませんし、また爆撃装置も施しませんというのは、つまり空対地の関係の計算機であって、電子計算機、コンピューター、並びにレーダー、並びにポンピングボックスというようなもの、そういうものを設けない、こういうわけでございます。
  212. 大出俊

    ○大出委員 念のために申し上げておきますが、この爆撃用の照準器を装備しないというふうにあなたはお答えになっているのです。ところがいま宍戸さんお答えになっているように、私も宍戸さんの意見と全く同様な意見なんです。専門家に私も聞いたのですから。いまの戦闘機に空中戦闘用の照準器と爆撃用の照準器と二つもあるなどというばかなことはない。事実あり得ない。そうすると、長官の言っている爆撃用の照準器を装備しないという答弁、こんなものはないのですね。銃座と別になっていれば別です。そういうものにはこれはある。  そこであらためて聞きたいのですけれども、爆撃に必要な装置、こう言ったほうがいいと思うのです。爆撃に必要な装置というのは何と何ですか。
  213. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほども申し上げました空対地のレーダー、それから投下用の計算機、それをコントロールするコントロールボックス、こういうものを爆撃専用の装置としてはずすということを長官はおっしゃっているわけですが、以上の三つにさらに目視照準、サイトといっておりますが、この目視照準器が残ります。これは爆撃に必要でございますが、現在の104Jあるいは86Fはこの目視照準の機能を持っております。それで将来のFXも、かりに空対地のレーダーあるいは計算装置、コントロールボックスを持っておりましても、採用されましたらそれは除くということを長官は明瞭におっしゃった。
  214. 大出俊

    ○大出委員 もう一ぺん言ってください。何を除くのですか。
  215. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 除くほうでございますが、空対地のレーダー、それから爆撃計算装置、これは投下用の計算機と核の場合の管制装置が両方含まれますが……。
  216. 大出俊

    ○大出委員 核とは……。
  217. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 核爆弾の核でございます。
  218. 大出俊

    ○大出委員 核の管制装置だね。
  219. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 はい。この二つを合わせて爆撃計算装置といっておりますが、それが二番目でございます。それから三番目がコントロールボックス、この三つを合わせて爆撃専用装置というふうに普通いっております。これを、かりにありましても除こうというのがFXの場合でございます。  それから先ほどお尋ねになりました目視照準の機能は、現在104Jも86Fももちろん持っておりますが、次のFXにつきましてもその目視照準の機能は持たせたいということでございます。目視照準器は機銃を撃つ照準にも使います。こういうことでございます。それからサイドワインダ一等は別のレーダーで撃ちます。こういうことでございます。
  220. 大出俊

    ○大出委員 将来の問題でありますから一つずつ確認をしたいのですが、爆撃に必要な装置、まず爆弾装着装置というのがありますね。あるでしょう。ありませんか、爆弾装着装置。
  221. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 翼の下につける爆撃のパイロンといいましたか、懸吊装置、懸架装置、それはございます。それは広い意味の爆撃装置になるかと思います。
  222. 大出俊

    ○大出委員 この爆撃装着の装置は補助タンクの装着装置と兼用でしょう。違いますか。
  223. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 そうでございます。
  224. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、補助タンクを使わない想定を将来ともにとるなら別ですが、そうでないとすれば、爆弾装着装置を取っぱずせば補助タンク、パイロンタンクはつきませんよ。これはどうなんですか。
  225. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 それは残すつもりでございます。現在もございます。空対地レーダー、爆撃計算装置、コントロールボックスを爆撃専用装置と言いましたが、それは除きますけれども、いま最後におっしゃった爆撃の懸架装置、これは爆弾をつり下げる装置、あるいは燃料をやりましたりということで胴体の下にくっついておりますが、それは爆撃専用装置とは普通いいませんで、それは残すつもりでおります。現在の104Jもそれにぶら下げて目視照準で落とそうという機能は持っております。それから86Fも持っております。それに燃料をぶら下げることも可能でございます。将来のFXもその懸架装置はもちろん残します。目視照準も残します。いざというときには爆弾をぶら下げて目視照準で爆弾を落とすということはできます。現在の機種でもできますし、FXもそれは残すつもりでおります。爆撃専用装置、つまり計算機あるいは核装置、コントロールボックス、レーダー、そういうものは本来の普通の懸架装置というものと違いまして、あるいは機銃を撃つための照準器と違いまして爆撃専用の装置ですからそれは除く、こういうことを従来長官もおっしゃっているし、われわれもそういう見解をとっておる、こういうことでございます。
  226. 大出俊

    ○大出委員 図を見るとこれはいわゆる爆弾装着装置と書いてありますが、これは補助タンクと爆弾装着装置と兼用なんですから、くっつけようと思えば爆弾はいつでもつく。これはその限りでは爆弾は間違いなく使えるわけでしょう。そうすると、爆撃装置はしないと、こう言うのだけれども、爆弾を運ぶことは、このFX三機種どれを選んだってできる。三機種の図解の絵が全部ありますが、何がどこにあるか全部ありますが、これはできる。  それからもう一つ、さっき私、念を押しましたが、爆弾装着装置はつくのだから、補助タンクと兼用だから、取れないから爆弾は積める。それから照準器、これも空戦と爆撃機用と兼用なんですから、これをおっぱずしたら空戦はできないのですよ。そんなことはできませんよ、照準器は兼用なんですから。装着装置はある、こうなるのでしょう。そうすると何に向かって照準をつけるかの差だけですよ。爆弾をこっちの照準器でねらって落とさないなら意味ない。そんなものつくってもしようがない。読んでみると全部わかる。ちゃんとこれは爆弾装着装置が補助タンクと兼用になっておって、照準器というものは空戦用と爆撃機と一緒の照準器になっておる。それから爆撃用のコンピューター、これは器材としてあるのじゃないのです。器材としてあるのじゃなくて、これは照準器と一体なんです。爆撃用の計算諸元をソフトウエアすればいいのです。それを与えておけば落っこっていっちゃうんです。それもはずした日には使いものになりませんよ。そうでしょう。そうすると、長官がこの爆撃装置ははずしますと言っているのは一体何をはずすのかということになる。これはちゃんと調べてみたのです。爆弾装着装置と補助タンク、これは兼用になっている。照準器は空戦と爆撃機と兼用、ねらいが違うだけです。それから爆撃用のコンピューター、これは計算諸元を与えておけばそのまま使える、こうなっておるのです。それをおっぱずしたら飛行機は使いものになりません。長官、そこはどうなんですか。
  227. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 照準器が機銃と一緒である、それから懸架装置も兼用である、だから除いてはものの役に立たないとおっしゃる点はそのとおりでございます。先ほど私も申し上げましたように、現在も持っておりますし、将来も持ちたいということでございます。しかし、それは爆撃専用装置とはいわない。それから爆撃計算装置、これは専用装置であって、除くつもりであるということを申し上げましたが、先生はそれはほかのと兼用である、だからそれをとっぱずすとものの役に立たないとおっしゃいましたけれども、われわれの調べではそうでございませんで、別になっております。これは三機種のうちではファントムの場合でございます。CL1010はそれを持っておりません。ミラージュも持っておりません。ファントムの場合でございますが、かりにファントムが採用されましたら、その計算装置は除くつもりでおります。除き得る機構になっております。
  228. 大出俊

    ○大出委員 除き得るようにつくるのかどうか、これは見解の相違だからしかたがありませんが、私どもにそれを全部見せてもらって云々ということになっているのじゃないから、ただ書いてあるもの――私がいろいろ調べた中で一番詳しいのを読みますと、爆撃用の計算諸元というものを入れる。これはコンピューターというものは照準器と一体なんです。計算諸元を入れれば爆撃に使える。一体なんですね。そうなるとそれはつくり変えなければ――それは、いまあなたがここでわしの言うのと一緒でございますと言ったら、これは全部何もかも体内にかかえる、爆装しないだけで、あとは全部ひっかければいいんだから、そのまま使えるのだから、それは言えないだろうと思うけれども、F4ファントムというものは詳細にわかっている。いまのアメリカの陸海空の偵察機を含めてほとんどの飛行機が、近い将来の数字まで出ておるけれども、全部F4系統になってしまうのですね。たいへんなことになる。だから、これは安保条約五条に基づく共同作戦をやるのだから、アメリカはほとんどF4ということになるのは明らかになっているのに、F4と違うほかのものを持ってきたら一緒にやれなくなる。これを調べてみると発注されているものだけで四千八百機ある。F4系統がこれだけある。アメリカで米海軍が海兵隊を含めて六百四十七機だ。空軍が五百八十三機、それから海兵隊独自のものがある。これが四十六、これはずっと分かれておりますけれども、そうすると当然そっちの系統に行く。これだけ詳しく書いてあるものを調べてみた。爆撃用コンピューターというようなもの、これはやはり計算諸元だけほうり込んでおけば落ちていってしまうから、そうなると、長官の言っている点はここから先が問題だ。長官だって技術的な専門家じゃない。そうでしょう。私もいま申し上げているとおり技術的専門家じゃないけれども、宍戸さん、あなただって技術的専門家じゃない。そうでしょう。だから私は調査団長の緒方さんなら緒方さんに来てもらって、少し詳しく納得のいく説明をしてもらわないことには――絵までかいてあるんだ。そうすると、長官が前から爆撃装置はつけませんとかなんとか言われてみたって、現に補助タンク、つまりパイロンタンクとひっかかるものを一緒にとっぱずしてしまうわけにいかない。これは非常にあいまいで、ナイキハーキュリーズのときもそうです。核弾頭にならないように日本でつくるんだから、改装するんだから、部分品をかえればいいということだった。この点はその二の舞に近い感じにならざるを得ぬのですよ。これはあとで検討するなら検討しましょう。そこで長官、ひとついまのところをもう一ぺん答えてくれませんか。どうしてもそう書いてあるからしようがない。
  229. 増田甲子七

    増田国務大臣 あなたも御勉強のようですけれども、私は爆撃装置を施さないということだけは、幕とかその他でどんなものを私に勧告してこようとも、厳重にどの機種につきましても徹底しております。  そこで聞いたところでは、ある機種を選んだ場合に三つばかり機械をはずすということでございました。しかし他の機種を選んだ場合にははずさないでもいいということを聞いております。要するに、爆撃装置を施さないということに徹底しておるわけであります。ある機種を選んだ場合にこの三つのものを――いま防衛局長が三つのものを答えておりますが、すなわちコントロールボックス、それからスパローとかファルコン用のコンピューターではなくて爆弾専用のコンピューター、それをはずす、それからそのときには空対地のレーダーをはずす、空対空のレーダーはあるでしょう。なければ戦いになりませんから、現役のためになる空対空のレーダーはあります。
  230. 大出俊

    ○大出委員 くどいようだがはっきり言っておきます。爆撃専用のコンピューターは器材としてない。それは宍戸さん、幾らあなたがごまかしてもだめです。爆撃専用のコンピューターは器材として存在していない。こんな狭い飛行機の中で、これっぽっちのものでも惜しんでやっている世の中に、爆撃専用の照準器と空戦用の照準器が別々になっていないのと同じで、そういうものはないのです。爆撃用の計算諸元を入れればいいようになっている。幾らあなたがそれをごまかしてもだめですよ。
  231. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 調査団長からの報告によりましても、それからそれ以外の資料によりましても、爆弾を投下する計算装置はございまして、名前はASQ91でございます。それが爆弾を投下するための計算機でございますが、これは現在のファントムにはついております。アメリカで使っておりますのにはついておりますが、かりに日本に採用されました場合にはそれを改修いたしたいというのが現在の考え方でございます。なおCLにもASQ91をつけるということを提案しているくらいでございまして、別個にそういうものが存在するということでございます。それをわれわれは、採用されてもはずそうということを申し上げているわけでございます。
  232. 大出俊

    ○大出委員 ここから先は、あなたのほうの調査団が御報告になったというのだから……。ASQ91はここにもありますよ。ありますけれども、これは兼用装置なんだ。これは明確な相違点なんですからね。私はこれはあとなお質問しますけれども。ここに明確にありますよ。ありますけれども、これは兼用装置なんだ。だから、あなたのほうの調査団長がそういう出し方をされたというのならなおのこと私は緒方さんを一ぺん呼んでみてもらわぬと、これは非常にむずかしいポイントですから。いずれにしても懸架装置はあるのだから、間違いなく爆弾は積める、そうでしょう。  それから胴体の中の爆装はどうなんですか。A5みたいに、あとから偵察機に変えたりしていますが、本来あれは水爆なんか積めるようにわざわざ大きくこしらえていますが、そういう例もありますが、これはお答え、どうですか。
  233. 増田甲子七

    増田国務大臣 候補三機種はそういう爆弾を内装する装置にはなっていませんで、つける場合にはいずれも外にぶら下げるという、こういうことでございます。
  234. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いまのパイロンタンクの兼用装置があれば、爆弾は完全に予定数量積めるということになりますね。間違いないですね。
  235. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 そのとおりでございます。積めます。
  236. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、爆弾は間違いなく予定数量だけ積める。六百キロなら何個、四百キロなら何個というふうになっていますが、それは積める。そうすると照準器というものもある。目標が違うだけだ。問題はコンピューターだけ残った。これが一緒に使えるんだとすれば、何も爆装をはずしたことにならない。これは明らかに使える。核の装置を抜くなんということはあたりまえのことだ。こんなものつけたら困るのですからね。これは長官、あなたいろいろおっしゃるけれども、百歩下がって宍戸さんの言うとおりだとしても、これはまさに爆弾を積む積まないという問題についてはほんとうに紙一重ですよ。これは予定数量だけちゃんと載せられるのだから。あとからそれも取り上げますけれども、だから、あなたの言っているのも、どうも私からすれば、かつての、日本でつくるのだからナイキハーキュリーズは核弾頭を載っけられないようにしておくのだという話に類することぐらいにしか思えない、ちゃんと使えるのだから。そうでしょう。  さて、そこで、今度は航続距離を聞きたいのですが、このF4ファントムの航続距離を、長官あなたは四百キロというふうに大森質問ではお答えになって、あわてて、あとで四百ノーチカルマイルというふうに言いかえましたね。御記憶ですか。
  237. 増田甲子七

    増田国務大臣 四百海里でございます。ノーチカルマイルでございます。
  238. 大出俊

    ○大出委員 四百ノーチカルマイル、つまりそれは四百海里ということでございますというふうにお答えになりましたね。間違いないですね。そうしますと、それはヤード・ポンド法による海上の距離の単位ですね。ヤード・ポンド法による海の距離の単位という一海里、これは一・一五マイルですね、キロに直しますと、千八百五十二メートルだから一・八五二キロ、これは私はちゃんと辞書を引いたのだから間違いない。そうするとヤード・ポンド法による距離の単位と書いてある。そして一・一五マイルで間違いない。千八百五十二メートルと書いてある。キロに直せば一・八五二キロです。四百ノーチカルマイルというのは四百海里のことですから、そうすると一・八五二キロを四百倍すればいい。キロにして七四〇・八〇〇、約七百四十キロです。こういう数字になる。もうちょっとあるけれども、残りの八〇〇を省略すれば七百四十キロに間違いない。と、あなたはお答えになったことになる。ここまではいいでしょう。間違いないですな。  しかも、あなたのこのあとの答弁によりますと、何しろ行動半径は四百海里でございまして、この四百海里である限りは、どこもこれで敵の領土、領海なんというものを爆撃するような行動半径を持っておりません、こうあなたはお答えになった。議事録がございますよ。違わないですな。いいですな。-いいようだ。そうすると、日本というところを中心にして行動半径七百四十キロ、多小切り捨てて、一体これはどの辺までいきますか。何なら地図を貸しますよ。地図がちゃんとある。三十八度線まで何キロありますか。
  239. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は大体のことを申したわけでして、国境からすぐその国境に接しているというような場合には、これは別でございますから。それで、おそらく東京から福岡までは千キロあります。東京から勘定すると、三十八度線でしたら千三百キロぐらいあるんじゃないでしょうか。私はわりあい地図のことは詳しいですから、どうぞお聞き願いたいと思います。
  240. 大出俊

    ○大出委員 じゃ承りますが、あなたは沖繩から上海まで何キロあると思いますか。地図のことはだいぶお詳しいようだから。――八百キロですよ。私ずっとこれを全部調べてみた。そうすると三十八度線まで六百キロちょっとです。これでいきますと。七百四十キロあると、朝鮮の三十八度線を越えちゃうですよ。ちゃんと地図というのは目盛りがついているのですから。この目盛りはこれだけで千キロです。宍戸さん、「航空宇宙年鑑」のF4の性能なんかにはずっと書いてあるでしょう。それの一番最後をごらんになるとよくわかりますよ。日本を中心にして距離を全部出しております。あの三十八度線までは五百のラインに入るのですよ。平壌まで八百足らずです。七百何ぼですよ。そうなると、長官、あなたはおおよそと言ったというでしょうけれども、地図はなかなか詳しいとおっしゃるけれども、あまり詳しくない。これはよしんぱ長官の言うとおり百歩譲ってみても、懸架装置その他全部含めて考えてみたときに、あなた国会答弁をいままでずいぶんやってきておいでになるけれども、どうもちょっとおかしいのじゃないかな、そこのところが。どうですかね長官、これは、あまり詳しくないというふうにお認めになりませんか。
  241. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は登山が専門家でして、山のほうの関係で日本の地図を開いていただくと――日本から外国というのはちょっと弱いのですが、東京から勘定して三十八度線というのはおそらく千三百キロあります。そこで、板付からどうだとか、築城からどうだとか、新田原からどうだとかという問題はあまり考えないで、やはり東京を中心にしてものを考えるということを政治家の常にしていただきたい。
  242. 大出俊

    ○大出委員 基地は東京にはないんです。あまり都心にはないんですよ。そうでしょう。五島列島だって基地をこしらえれば上海まで七百キロしかない。佐世保となりますと、かれこれ八百キロ近いですよ。そうなれば、七百四十キロだから少し上海には足りないということになるけれども、このくらいのところというのは、載っけるものを少し滅らせばどうにでもなる。そうでしょう。しかも、おたくの大室空幕長は何を言っているかというと、ロー、ロー、ハイでいくのだといっている。ロー、ロー、ハイというのは知っていますか。
  243. 増田甲子七

    増田国務大臣 専門的なことはわかりませんが、低い、低い、高いというのですから、超低空それからあとで高くなるというよなことで、またロー、ローというようなことも聞いております。L、L、H、Lというようなことも聞いております。
  244. 大出俊

    ○大出委員 つまりロー、ロー、ハイでいくのだ、超低空で目標に接近していって、爆撃したら飛び上がってハイになって帰ってくるのだ。だからローで行ってローで目標を爆撃してハイで帰ってくる。そうでしょう。それは大室さんの言うとおりでしょう。そうすると、高々度で飛ぶよりはだいぶ航続距離が減るんだという言い方をする。だから、そうだとすればそれなりにやはりほんとうは専門家に来ていただいて言っていただかないとおかしなことになる。それにしてもこれはどういう程度の装備をするかということと密接にからむ。何種類もありますよ。いま「航空情報」をどこかでおあけになっているようだからそれをごらんになるとわかるけれども、あなたがおきらいな青木日出雄さんが書いている。そうでしょう。その青木日出雄さんのものをぼくも読んでみて知っている。その青木日出雄さんのでいけば、そこにこまかいガソリンのガロン単位で距離計算をしている。何を積んだらどうなるかということを全部書いてある。そうすると、青木さんの計算では四百海里どころじゃない。おそらく青木さんのほうが少なくとも長官より専門家だ。それらを読んでみれば、宍戸さんよりも青木さんのほうが専門家だ。そうでしょう。そこにちゃんと五百海里、六百海里というのは爆弾の積み方で六百二十という数字も出ています。六百四十という数字も出ている。そこはCL1010とF4Eとの相違なんです。四百海里どころじゃないです。六百二十海里、六百四十海里という単位、五百海里という単位がそこに書いてある。そうすると、いずれもみんな千何百キロですよ。そうなれば鴨緑江まで行ってしまうのですよ。ウラジオストックなんて近いのですから、千歳から行ったらすぐ目の前です。そうなると、これはやはり足が長い短いから敵に脅威を与える与えないという問題にどうしてもぶつかってしまう。かくてこのFXの選定というのは納得できないですよ。そこのところをお答えにならぬようだけれども、どうなんですか。
  245. 増田甲子七

    増田国務大臣 大体においてこの戦略爆撃機ということばはよくないのですけれども、あとのものはたとえばかりに宗谷海峡を仮定してもあるいは関釜海峡を仮定しても、そういうところからすぐやれば、四百海里はおろか四百キロ以内です。これはしかしながらわが本土の、私は東京と言いましたけれども航空団としては百里ときまっているのですから、百里というようなところを中心として見て、そして千三百キロもあるところへとてもじゃないけれども――われわれは自衛だけのためでございますから、いろいろあなたのようにおっしゃると、航続距離が百キロあってもいけないということになってしまうのですよ。百キロあっても壱岐、対馬から大韓民国へは五十キロで行ってしまうのです。ですから、百キロあってもいけないというようなことになりますから、それではものの役に立ちませんので、完全武装した場合にある程度の航続距離があるということは日本の防空関係で必要であると私は考えております。
  246. 大出俊

    ○大出委員 ならば、あなたはそう答えればいいんじゃないですか。一々ころころ変わるから困るのですよ。大森創造さんの質問、彼だってやはり国会の議員ですよ。あなたはその大森さんにぬけぬけと四百キロと言って、あわてて、宍戸さんに言われたのでしょう、ぼくは決算委員会でいなかったからわからないけれども、つと立って、さっき四百キロと申し上げましたが――聞いているほうも聞いているほうだ、四百キロと言われて、そうですがと言っているんだから。それをあなたは立ち上がって、キロと申しましたが、これは間違いでありまして、四百ノーチカルマイルでございます、ノーチカルマイル、すなわち海里でございまして、あなたはそうおっしゃる。だからあなたのおっしゃるとおり、ぼくのようにかりにヤード・ポンド法に基づいて海の距離の計算でいくとこうなると、私は指摘した。だからあなたは四百海里、ノーチカルマイルで、したがってそれしか行動半径はないのですから、日本からどこへ行ったって爆撃なんかできるような行動半径ではございませんとあなたは言う。あなたは御自身でそういうふうに議事録に残しているんだから。そうでしょう。だからあなたがいま答えたように初めから答えるんなら話は別だ。ぼくはそれなりにものを言いますよ。しかしあなたは敵に脅威も与えない、こう言っているから、申し上げる。そこで私はいまのようなもの言いをする。大室さんが新聞にうしろのほうに書いている。ソビエトだってみんな原子兵器を持っているじゃないか。中国だってそうじゃないか。そんなところへ日本が六十機やそこらF4Eファントムを買ったって、そんなものは脅威にならない、相手はそんな国じゃない、こう言ってしまえば話は別だ。そうでしょう。だから、私は大室さんが毎日新聞にたいへんりっぱにロー、ロー、ハイから始まってお書きになっているから出てきていただきたいと、私はけさ理事会で申し上げた。まことにもって迷惑千万で、制服の方が新聞記事になるようなことを、こういう時期に言ってはいけませんよ、ほんとうに。しかもこのF4Eファントムとはっきり銘打ったような言い方をされてはいけませんよ。それは空幕が幾らF4Eファントムがほしくたって、そういう印象に受け取れるようなことを――大室さんのことですから、個人を傷つけるような意味で言うのではありませんよ。そうとられては困るが、御本人に専門的に記者が聞いたら答えたということで記者が記事にしたのかもしれないけれども、やはりそういうものが表に出てしまうと、これはやはり一般の受け取り方もあり、われわれも黙っていられない、こうなる。だからそういうころは、長官あなたが立ってさっきの私の言っているのに答えているんだから、それは間違いましたら間違いましたと言ってもらわなければ困るじゃないですか。
  247. 増田甲子七

    増田国務大臣 大室空幕長というのは非常に公正な慎重な人でありまして、いろいろここにしゃべったようなことを書いてございますけれども、FX全体について聞かれた場合に言ったことばであると私は断定して差しつかえないと思います。またFXのうちのXを固定したというふうには、口が裂かれても言ってはおりません。でございますから、大室さんはこういうふうに言ったといいましても、ここまで全部私は読んでいませんけれども、おそらくFをどういうふうにするんだということを言ってはいないと私は思うのです。ただ従来のベトナムなんかのやり方はロー、ロー、ハイといったようなことがあるんだ、そこで各国の常識になりつつあるんだ、向こうのレーダーにもかかりたくないからといったような話をしただけだと私は考えております。これは全部読んだわけではございませんが、別段大室君の失言とも思っておりません。この記事はなかなかうまくまとめられてあるようでございますが、やはり参考にいろいろ聞いただけであって、参考にいろいろなことを答えた、こういうことに考えております。
  248. 大出俊

    ○大出委員 読んでおりませんがと言って、この記事はうまくまとまっておるようですがと言う。それはかばうのはいいけれども、そういうあなた、下のところまで読んでもいない人間が、うまくまとまってもあれもないじゃないですか、だから私も大室さんを傷つける意味で言っているのじゃない、こう申し上げている。私が言いたいことは、いままでの経過を見ると、何となくF4Eファントムだというふうなにおいがする。それから経過をずっと追って調べてみると、長官もずいぶんでたらめばかり言うたものだという気がする。だからそれはただしておかなければ困る。爆撃装置――爆装と言うと変わるそうですから、爆撃装置を除くといっても、そう簡単にはいかない。一々あなたが言い抜けてきた答弁を、そうはなっておりませんぞということを私はあなたに指摘している。そうしたらあなたは、おおむねそんなところだと思って言ったんだとか言うが、前に残っているんだから……。私が指摘したところをあなたは一々直されたから、私の言うとおりになったのもだいぶあるけれども、ならぬのもあります。そうすると、これは爆撃装置というものと距離というものと対比して考えた場合に、将来まさかのときに何をやるかというと、伊能繁次郎さんが、他に方法がない場合何が残るかというと、アメリカとの共同作戦だと前に言っているけれども、日本だけでやるわけじゃないでしょう。そうなると、F4を持ってきたときに、アメリカだってみんなそういう装置なんだから、そうなれば将来の共同作戦を考えてということになる。給油する飛行機がないんだということをここに書いてあるけれども、ベトナムの場合にはF4Eファントムに給油しているからそれが長く行くのだということもそこに書いてあるから、アメリカの給油する飛行機を持ってくれば、日本のF4Eファントムだってどこまでも行ける。だから、そこのことがあるから、私はそれの確認を明確に求めておきたい、こういう意味でそこのところはものを言っているわけです。  そこで、自衛隊の滑走路の厚さというのはいまどのくらいあるのですか。
  249. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 百里が十五センチ、それから新田原は二十五センチです。松島十五センチ、小松十五センチ、浜松十七センチ、築城十五センチ、それから千歳三十センチ、小牧三十五センチ、そういったところでございます。
  250. 大出俊

    ○大出委員 そこで、F4でいいますと、自重が全部で十九トンから二十トンありますね。そうでしょう。CL1010でいって十四、五トンですか、ありますね。特にF4の場合に、長さを含めていまの滑走路そのままで使えますか。
  251. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 長さのほうは使えます。それから厚さのほうですと、問題のあるところがあるわけでございまして、たとえばいま申し上げました中では、松島とか小松とかの十五、六センチのところが、ファントムの場合には補修を要するものと思います。
  252. 大出俊

    ○大出委員 三次防の中で、滑走路の舗装をすでにやっているところがありますね。
  253. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 新田原、千歳、それからさらに百里の計画もございます。そんなところでございます。
  254. 大出俊

    ○大出委員 ほかにたいした飛行場はないのだから、それだけでたくさんなんです。千歳、新田原、百里、これは耐荷重舗装をやっているんでしょう。耐荷重というのは重くなるからです。違いますか。
  255. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 つまりそういうことで、厚くするのは耐荷のためでございます。
  256. 大出俊

    ○大出委員 つまり、そうなりますと、CL1010ではどのくらい厚くすればいいのですか。
  257. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 CLの場合も、場所によりますけれども、改修を要するところもございます。ファントムよりはトン数が少ないので、さっきの全部というわけではございませんけれども、改修を要する場所もございます。
  258. 大出俊

    ○大出委員 千歳、新田原、百里、これはみんな耐荷重補強という形の補強計画ができている。そうでしょう。一部はいま実施中ですね。どうもそこらのところも、これは世の中がF4ファントム、F4Eだというのだけれども、CL1010なら耐荷重舗装しなくたって済む。F4Eだということになるとそうはいかない。十五センチから二十五センチの間はだめ。そうなりますと、これは長官いろいろ言うけれども、何もかもそっちのほうにあって、どんどん進んでいるような感じがする。ここまで言えばいいかげんたくさんだと思うくらい私ものを言っているのだけれども、どこから考えても、これは納得しかねる。ここのところはどういうふうに説明されますか。
  259. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほど申し上げました千歳あるいは小牧等につきましては、民間との共通の空港でございますので、本来早くやらなければいけなかったというところでございます。ファントムに仮定をしてそういうことをやったというわけではもちろんございません。
  260. 大出俊

    ○大出委員 いまどのくらいの厚さがあるのですか。
  261. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 千歳の場合は二十三センチ、薄いところで十七センチ、これを三十センチ以上にしようということでございます。
  262. 大出俊

    ○大出委員 三十センチ以上あればF4ファントム一切支障がないのです。CL1010なら二十五センチで間に合うのです。これは私は専門家に聞いた。そうすると、皆さんのほうの計画を見るとどうも納得しないのです。しかし、これは冒頭から申し上げておるように、FX問題はいま初めて私は取り上げたわけだけれども、これだけで決着がつくとは思っていない。疑問点だらけですよ。先ほど来申し上げておるように、長官いろいろ言われてはそのつど変えているような感じで、まことにもって不明確きわまりないと私思います。思いますが、これはこういうのをあげていけば切りがないです。したがって、どうしてもやはり一番最初に戻りますけれども、予算委員会なり本会議なりで皆さんが約束されたはずなんですね。特に冒頭に取り上げましたように、本会議でも佐藤さんがちゃんと答弁をされている。にもかかわらず、ここでF4ファントムにきめるということになりかねない状態になっている。まことにもって納得しかねる。この点だけ申し上げておきます。  そこで、大蔵省の方に承りたいのですが、予算的にはこれはことしの予算――ことしというか、いまから編成する予算に入れて出してくるのです。だから、国庫債務負担行為その他で十三億ということで想定をしておられるようだけれども、それが二十億になってもふしぎはない、あらためて国会に審議を求めるのだから。筋道はこういうことになるのです。そこをひとつ承りたい。水田さんが新聞発表している中身からすると、PPBS、マクナマラ方式を防衛庁予算に取り入れるということだけれども、具体的にはどういうことをおやりになるのですか。
  263. 原徹

    ○原説明員 PPBSにつきましては、私どもその導入につきましてただいま研究を続けているわけでございますが、一挙にやるということには非常に無理があるわけでございます。と申しますのは、やはりPPBSでやりますと、目標の設定のしかた、それからいわゆるシステム・アナリシス、そういうやり方、そういうことがいろいろありまして、私ども一ぺんに来年度予算からそれを取り入れるということはなかなかできないと考えておりまして、来年度におきましては、まず要員の研修から始めなければならぬ、それから情報、資料の収集ということをやらなければいけない。それにいまのケーススタディーに至る、そんなことを来年度やろうと考えております。したがいまして、防衛庁予算につきましても、どの項目をPPBSでやるということはきめておりません。
  264. 大出俊

    ○大出委員 いまのおことばにシステム・アナリシスということばをお使いになりましたね。それをやると億単位の金が必要なんではないですか。
  265. 原徹

    ○原説明員 システム・アナリシスはいろいろなやり方がありますが、どういう場合に億単位か私存じませんけれども、大きなことをやる場合にはそういうこともあるかもしれません。しかし、一般に考えるシステム・アナリシスはいろいろな方法がありますから、必ずしもその一件で一億かかるという場合にはならないと存じます。
  266. 大出俊

    ○大出委員 もちろんその一件でというのじゃなくて、予算ですから、多岐にわたるわけですから、だから数量管理云々ということばがしきりにはやりますけれども、どれだけ予算効率を高めるかということなんです。これは私も専門家じゃありませんからわかりませんが、いろいろ調べた限りでは、相当やはり綿密にやらなければならない。いいかげんにやったんでは意味がないということになる。だから、マクナマラ氏が評価されているゆえんというのは、金をかけて思い切ってやったということでしょう。だから、日本がそれを取り入れてやるんだとすれば、それ相当に大がかりなことをやらなければ、いいかげんなことをやっても効果がないということになると思うのです。そうすると、いま取り入れてやるといっても――なぜこれを私が質問するかというと、これまたそうじゃございませんとおっしゃられれば別だ。そのときはそんな気になったんだ――増田さん、長官、あなた初めて見たものだから一生懸命読みふけっていらっしゃるけれども、さっきのやつはたいへんよくまとまっていますか。わかりましたか。PPBSというのと、ORを機種決定のもう一つの大きな要素にあげている、そういう答弁をあなたはされている。調査報告があがっただけ、意見書がついただけではだめなんです。PPBSは大蔵省がやかましいので、大蔵省とやるので、それまでやってみなければわからぬ。それからOR、こう言っているけれども、それほど大きな要素にお考えですか。今日、機種決定を左右するほどの大きなことですか。
  267. 原徹

    ○原説明員 PPBSというのはバジェティングシステムで、これは予算にからむのでございますが、しかし、ただいま私どもの聞いております範囲では、防衛庁ではORというのをやっている、それから費用効果分析というのをやっている、こういうふうに聞いております。それが厳密の意味のPPBSかといえば、もちろんPPBSではないのでありましょう。しかし、ORから発展してPPBSはできたということもございます。したがいまして、そういうことでORをやり、費用効果分析をやって、そうして私どもに予算の要求がございますれば、私どもはもちろん、それはPPBSといい、ORといいましても、要は政策決定の資料といいますか、データ、客観的、合理的にやるということでございますから、その範囲内におきましていまのORなり費用効果分析を出していきましたのを十分検討さしていただいて、そしてきめたい、そういうふうに考えております。
  268. 大出俊

    ○大出委員 簡単でけっこうですから、装備局長になりますか経理局長になりますかわかりませんが、防衛庁のほうはどうなんですか。長官は、時間の関係で読み上げるのを避けますけれども、十月二日の答弁で、PPBSというものをやってみなければわからぬ。まず性能、これが一番よろしい、あるいはPPBSの関係というところから始まって答えておられるのだけれども、ここのところは、予算の関係、経費、装備の関係はどうなんですか。これからどう進むのですか。
  269. 佐々木達夫

    ○佐々木説明員 ただいま大出先生からPPBSの話がございました。PPBSにつきましては、マクナマラの採用した初めての方式でございまして、現在アメリカの各省における予算制度に採用されておるわけでございます。ただ、PPBSの解釈が非常にむずかしゅうございまして、PPBSの具体的適用の範囲も問題です。たとえば国の政策について、国の全般の予算にわたりやるということになると非常にむずかしいと思います。ということになると、各省の予算の場合、どういう項目を選ぶかというようなこととの関連から、まず、小範囲の事項から出発いたしますとすると、先ほど大蔵省から説明ありましたようにORあるいはシステム・アナリシス、それと関連いたしますところの費用効果分析、それが一応の前提となるとすると、これらはPPBSの一部となると思います。PPBSは、まず目標の設定、それを達成するための選択的な手段、そうしてそれらの費用効果分析が要素となるのでありまして、今回もこれらの手続を経て機種を決定することとなると思います。さらに長期的計画、短期的企画のもとに予算として実行に移すというのがPPBSでございます。そういう意味で、PPBSの一部ということでは、今回のFX選定も、ORと費用効果分析、システム・アナリシスの採用という意味におきましては、PPBSの芽ばえと申しますか、一部ではないかというふうに考えております。
  270. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、PPBSといってみても、どこまでのものをどうするということはまだはっきりしてない、現時点ではたいした要素になってない、こういうことだろうと思うのですが、どうせ予算が出てくるのですから、その点、そのときに譲ります。  あと簡単に質問しますから、山五さんのほうからお答え願いたいのです。  御存じの本牧の例の米軍の海浜住宅、あれは公有水面埋立法との関係で、最近だいぶ新聞に載ったりしておりますが、どんなふうにこれから――あれは五億八千万、繰り越しが二億、こう金があるのですけれでも、二億の金はどこに行っちゃうのかというのと、それから米軍住宅一号地、正式に言えば海浜米軍住宅一号地ですか、あれはこれから一体どういうことになりますか。
  271. 山上信重

    ○山上説明員 横浜の海浜住宅並びに山手住宅を含めましての移転につきましては、これは先生承知のように横須賀並びに厚木を対象にいたしまして、一部厘木、そして主力を横須賀の基地内のブリックス湾といいましたか、一部埋め立てをして、そこに土地を造成しで移すという計画で、ただいませっかく米側とはある程度の話し合いがつき、地元ともただいま話し合いをしておるところでございまして、われわれといたしましては、これが地元と円満に話がついた上でこの作業にかかりたい、その上は本年度の予算を執行に移せるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  272. 大出俊

    ○大出委員 簡単でけっこうですが、この公有水面埋立法を使って、横須賀の基地内の日本でいうと泊港、ブリックス湾といっておりますが、あそこを公有水面埋立法を使って埋め立てるということなんですか。かちっと聞いておきたいのです。
  273. 山上信重

    ○山上説明員 そういうふうに計らうつもりでおります。なお、これにつきましては、地元ともいろいろ話し合いをしておる段階でございます。
  274. 大出俊

    ○大出委員 これは地元の市議会で議決が要りますね。それから久里浜の倉庫地区、これは八万坪ぐらいあるようですが、これとの関連があるわけですね。ここに入りたいという点があるわけですね。あそこは現在ベトナムの軍需品の集結地として使っているわけですね。これはほんとうにいまの皆さんの見通しで、いまお話しのようにスムーズに地元と話がいきそうになっているのですか。
  275. 山上信重

    ○山上説明員 久里浜につきましては、ただいまの移転先としては考えておらないのでございます。
  276. 大出俊

    ○大出委員 そうじゃなくて、新聞に出たことを言うのですが、つまり、浦賀重工で三十万トンタンカーをつくろうとしているわけです。それからあそこは日産も出てきたいというんですね、そこで、追浜の米軍の基地内に――これはあそこには弾薬臨時集荷所があるわけです。ここへ出たいというわけですね。この久里浜の倉庫地区八万坪との関係がもう一つあるわけですね。そこで、ブリックス湾を埋める云々という問題、市議会の側では、公有水面埋立法を使うなら市議会できめなければいけない。そうすると、市のほうは、それならば浦賀ドックとの関係その他で久里浜のほうをという、そういう関係になっているんですか。新聞にはそう出ているんだが。十六日の日におたくの小幡さんと横須賀市長とが話をして、小幡さんがその方向でいくということを言ったということが新聞に載っているのだけれども、そこのところを確認を求めたい。
  277. 山上信重

    ○山上説明員 ただいまのお話の中で、追浜の地域に浦賀ドック等で埋め立てをいたしたいという希望は聞いております。したがって、これについては今後いろいろ折衝してまいりたいというふうに考えておるのでございますが、久里浜の倉庫をこれの見返りと申しますか、そういうようなことでは特段と私どもただいままでのところは伺っておりません。
  278. 大出俊

    ○大出委員 いいです。わかりました。  そうすると、例の地位協定の三条に基づく合意議事録がありますね。御存じですか。時間がありませんから省略をいたしますが、つまり、米軍の側からつくるという場合にはこれでやれる。そうじゃなくて、日本側がつくるという場合、公有水面埋立法を使わなければならない、そういう解釈をとっていいんですか。ポイントだけですから、簡単に答えていただけばいいのです。時間とりません。
  279. 山上信重

    ○山上説明員 大体そういう見解でございます。
  280. 大出俊

    ○大出委員 いまたいへんな騒ぎになっている金澤富岡の小柴の米軍の貯油タンク、燃料の貯蔵所、あの問題は、あなたのほうから回答がきているようだけれども、どういうふうにするおつもりですか。あれはジェット燃料が入っているのだけれども、あそこには……。
  281. 山上信重

    ○山上説明員 小柴の燃料施設内におきまする地下タンクの所在するところは、かつてあやまって一部返還の区域に入ったために、今日問題を惹起しておりますが、これにつきましては、地元と十分円満に話をいたしまして、これが何といいますか、現在の施設としての利用に差しつかえのないように話し合いを進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  282. 大出俊

    ○大出委員 時間がありませんからけっこうです。深く突っ込んだ話をしないことにいたします。  それでは、科学技術庁においでいただいておりますので、一つだけ伺いたいのは、原子力潜水艦の寄港をめぐって、これは外務省と関係がありますから、外務省のほうから先にお答え願いたいのですが、最近何か外務大臣とジョンソン大使の間で、いままでいろいろ項目別にやりとりしてきた問題が、近く何か合意に達しそうな新聞記事があります。また、聞くところによると、相手方、アメリカの側は、原子力潜水艦が入港した場合に、日本側と一緒にこのモニタリングポストなりポイントなりというところを使って合同調査をやる、しかし、第一次冷却水等については、原則として出さないということはいいけれども、出さないとはいい切れない、出すことはあり得るという形のものだというテレビ放送がある。この辺のところを外務省のほうとしてはどう考えておられるか。
  283. 大河原良雄

    ○大河原説明員 お答えいたします。  本日午後、外務大臣のところへジョンソン大使が参りまして、かねて日本側から申し入れをいたしておりましたアメリカ原子力軍艦の寄港に伴う放射能の問題についてのアメリカの回答を持ってまいりました。そこで、本日夕方、その結果を外務省情文局の発表という形で発表いたしておりますけれども、その概略を御説明いたしたいと思います。  この発表文によりますと、五月二十九日に、原子力委員会が、国民の不安除去のために四カ条につきまして政府の善処を求めるという見解を発表したわけでございますけれども、この問題につきましては、佐世保の港において検出されましたソードフィシュ――平常と異なる測定値の問題につきましては、それ自体としては放射能によるものであっても、人体に害を及ぼすものではないということを、原子力委員会が五月十四日の見解で明らかにしている点でございます。五月二十九日付の委員会の見解におきましても、その点をあらためて明確に指摘いたしたわけでございますけれども政府といたしましては、いずれにいたしましても、原子力委員会の見解を尊重するという、こういう基本的な立場から、外務省に関係のあります三項目につきまして、米側との折衝を進めてまいったわけでございます。去る六月三日に、三木外務大臣がジョンソンアメリカ大使に対しまして、先ほど申し上げました原子力委員会の見解に述べられております三つの点、すなわち、米側は一次冷却水を放出しない、それからそれ以外のあらゆる角度からも放射性物質が廃棄されない、それから調査に関しまして米側から協力を得たい、この三点につきまして強く要請をいたしました。  自来、外務省と大使館の間で折衝が行なわれておりまして、本日、外務大臣とジョンソン大使の会見におきまして覚え書きを作成いたしまして、それを確認という形で発表したわけであります。  覚え書きの骨子を申し上げますと、まず第一点といたしまして、外務大臣からは、日本国民の不安解消のために、五月二十九日付の原子力委員会の見解の第一点から第三点までを強く要請した。これが第一点でございます。  第二点といたしまして、これに対して米国の大使は、米国政府としては、外務大臣の要請に留意し、原子力委員会の見解に照らして、日本国民一般の不安の解消に寄与するため最善を尽くします、こういうことを述べたわけであります。  第三点といたしまして、外務大臣の述べました第一点及び第二点、すなわち、一次冷却水を放出しない、その他の放射性物質を廃棄しないとか、この放射性物質の管理を厳重にするという二項目につきまして、米国の大使は、去る昭和三十九年に「外国の港における合衆国原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明」という声明の中で述べております約束は、今後の寄港の際にも厳重に履行いたすということを述べますとともに、さらに寄港中における一次冷却水の放出は例外の場合でありまして、したがって今後日本の港におきましては、通常一次冷却水は放出されることはなく、これが現在の実施方式に即したものであるということを述べました。さらにまた、日本の港においては米国原子力軍艦により、すべての放射性廃棄物の災害につきまして、従来に引き続き今後とも厳重に管理が行なわれるということを述べたわけでございます。  第四点といたしまして、外務大臣から日本側の放射能調査体制の整備強化に言及いたしましたのに対しまして、アメリカの大使は、米国側としましては、引き続き海水及び海底のどろのサンプルの定期的な分析を行ない、その結果を日本側当局に提供いたしますという点、及びアメリカ側は引き続いて艦上の放射線管理及び軍艦の直接の近傍における環境放射能のモニタリングについて責任を負うものであるということを述べております。  これがきょうかわされました覚え書きの要旨でございます。
  284. 大出俊

    ○大出委員 いまの中で一つだけ聞いておきたいのは、そうすると、日本の港に入港した場合の第一次冷却水は出さないという理解ですか。
  285. 大河原良雄

    ○大河原説明員 ただいまの点につきましては、通常の場合には出すことはない、まずまず出すことはない。ただし、絶対に出さないというのは、どういう状態があるかわかりませんので、論理的に例外の場合を一応設けております。こういう趣旨でございます。
  286. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと科学技術庁に承りたいのですが、絶対に出さないとは言えない――どういう場合に出すと予測をされますか。
  287. 田中好雄

    ○田中説明員 これは私ども想像以上の域を出ないのでありますけれども、通常の場合でございますと、原子炉の一次冷却水は一定の温度に保たれているということが、この前の会談のときにございまして、一定の温度に保たれておりますと出ないわけでございますが、緊急に出ていくような場合に冷えている。一ぺん一次冷却水が冷えますと、これを上げるために冷却水が出るわけであります。そういう関係でございますので、どういう事態ということをちょっとわれわれとしては予見しがたいのでありますが、外務省のほうのお話では、予見し得ないような事態のときにということなので、その場合を考えて、いまのような案文になった、こういうふうに考えております。
  288. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いまのお話は、推測、予測の範囲を出ないけれども、出るとすればこういう場合であろうということを想定をされたのですね。だから、出る場合があり得るということになる。そういう場合もあり得るわけです、冷えている云々という場合もあるわけですから。そうすると、放出されることがあり得るという想定が成り立つ限りはある、あるいはあるかもしれない、こういう危険性を含むということで、外務省のほうは、そのあとその回答に基づいてどうされるのですか。認めるのですか。旧来寄港していたわけなんですが、その点はどうなんですか。
  289. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど私、発表文の概略を申し上げましたとおりに、まずまず通常の場合には出さないということで、出さないほうにむしろ重点が置かれておるわけであります。
  290. 大出俊

    ○大出委員 だから、その結果に基づいて、旧来寄港していたわけですから、あの問題以来来てないわけですけれども、将来寄港するということがあり得るというふうにお考えなんですか。それとも、かつて待ったをかけた形になっているけれども、これで了解いたしましたということになったのですか。
  291. 大河原良雄

    ○大河原説明員 ただいま申し上げました会談の覚え書きというのは、三木外務大臣とジョンソン大使との間で確認された覚え書きでございます。
  292. 大出俊

    ○大出委員 相互に確認し合ったということですね。そうすると、旧来の線に戻って入ってくるということですね。そうすると、それは科学技術庁がおっしゃっているように、予測されるということでものを言えば、出ることがあり得るということですな。これはもうそちらさんもやる、こちらさんも専門的にやる。わかりました。  それからもう一つ聞いておきたいのですが、例の那覇のコバルト六〇の大量検出の問題がありますね。これは私、いつか皆さんにおいでいただきたいと言ったら、科学技術庁は、私どもそのほうに関係ないという話をされたのだけれども国民がこれだけ心配しているのに、関係ないと言ったって、ほかに担当省がないのだから、ほんとうならば――時間がたったから私もあまりものを言う気はありませんが、いささかもって不届き千万だという気がしたのですが、やはりこれはこういうところまで気をつかって、皆さんのほうも、お二人とも相当名のある学者なんですから、違った方法で検出されたわけですけれども、それにしても国民の多数が知っている学者なんですから、それに対してどうだこうだというようなことは、見解として持っておいていただいていいと私は思うのですが、何か御見解ございませんか。
  293. 田中好雄

    ○田中説明員 どういうことを答弁をしたか存じませんが、当時、私どもに入ってきました話では、数字自体が私ら先生方からなかなか入手できないものでございますから、それを入手してから参上して御説明いたしましょう、こういうふうに申し上げたようにいわれておるのでございますが、私らの同僚は、沖繩の関係も外務省なりを通じまして数字その他をいただくように努力して、手元にはございます。先生方のデータは、学会その他で発表されております信憑性のあるものと信じております。
  294. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、やはり沖繩の問題についても、これは外務省が全くノータッチというわけにはいかぬと私は思うのですけれども、このコバルト六〇検出問題をめぐって、これは那覇の港のどろの中からですから、この辺のところは外務省のほうは何かものを言いましたか。
  295. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど私申し上げました今回の覚え書きにつきましては、これは直接には佐世保並びに横須賀の寄港に関する討議ということでございましたので、直接的な意味では沖繩の場合は対象になっておりません。しかしながら、アメリカ側といたしましても、原子力艦の沖繩寄港にあたりまして、現地の方々に不必要な不安感を与えたくないという基本的な気持ちは日本政府と全く同様でございますので、現地の状況に応じて適切な措置をとり、適切な考慮を払ってくれる、こういうように信じておる次第でございます。
  296. 大出俊

    ○大出委員 いまの科学技術庁の御答弁では、学会等で報告された信憑性のあるものと実は御回答をいただいておりますから、いまの御答弁でいきますと、もうそれを向こうに申し入れた、あるいはそういう意味の意思表示をしたということなのか、それとも現地事情に合わして今後ということなのか、いずれですか。
  297. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど御指摘のございました那覇の港におきますコバルトの問題につきましては、実は現地におきまして九月十日付で公式に発表いたしておりまして、その際に、日本の大学教授の発表しました算出のデータにつきましては、アメリカ側が琉球政府と共同で行ないました現地の結果と一致しておらない。しかしながら、サンプルの採取方法も違いますし、この種の分析には誤差があることは間々あることでありまして、このこと自体によりまして、日米間の、日本の大学教授の分析結果とアメリカ側で琉球政府と共同で行なわれました結果とが、人体の安全に関する影響について重大な結果を持つものではない、こういう発表をいたしておるわけでございます。
  298. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、これから外務省としてこの問題をどうするこうするというお考えはない。先ほどは現地の事情も考慮してというお話でしたが、いままでそれを特にやっておるというお話ではないのですね。そう理解していいのですね。
  299. 大河原良雄

    ○大河原説明員 沖繩の人々の不安はすなわちまたわれわれの関心事でございますので、この点については、十分米側と話し合いをしていきたいと思います。
  300. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。  たいへんどうも長時間済みません。
  301. 三池信

    三池委員長 七時二十分再開することとし、休憩いたします。    午後六時四十九分休憩      ――――◇―――――    午後七時三十五分開議
  302. 三池信

    三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。吉田之久君。
  303. 吉田之久

    吉田(之)委員 先ほどからFXの問題につきまして大出委員から相当詳しく各般にわたっての御質問がなされましたが、一応民社党としても諸点にわたってこの際明らかにしておきたい点がございますので、重ねて質問をいたしたいと思います。  まず、防衛庁長官は、首相の了解を求めた上で次期戦闘機FXの購入をCL1010―2、それからF4E、ミラージュF1C、この三機にしぼって、その適否を検討され、近く正式にその決定をなさろうとされておりますが、その決定の時期は、菊池委員や大出委員にもお答えになりましたとおり、できれば今月中ということでございますが、その決定の手続についてどのようにお考えになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  304. 増田甲子七

    増田国務大臣 ただいま三機種につきましてメーカーを一応きめましたから、そのメーカー側がアメリカ二機種、フランス一機種それぞれのメーカーに、民間でPPBSということはございませんけれども、しかし予算と効率との関係その他の関係につきまして打ち合わせをいたしております。三菱並びに川崎航空機におきまして……。その報告は二十五日ごろ出してほしいということを言っておりますが、多少は延びる模様でございますが、それが出た場合に、従来空幕長が私に報告書を出しておる線がございます。その線と勘案いたしまして、私自身が一応心がまえをきめまして、それから総理大臣に話をし、国防会議の議員諸君に打ち合わせをいたしまして防衛庁長官が決定をいたす、こういうことに段取りをいたしておる次第でございます。
  305. 吉田之久

    吉田(之)委員 日本のメーカー側とアメリカのメーカー側とが打ち合わせをして、その答えを報告させる。それと空幕長から受けている上申とをよく見比べて、それからいまおっしゃったような順序で決定していこう、こういうお話ですね。そこで、二十五日ごろにそのアメリカのメーカーとも打ち合わせて予算や効果等の結論が大体こちらのほうに答えられる、そういう意味ですか、二十五日とおっしゃるのは。
  306. 増田甲子七

    増田国務大臣 メーカーをきめましたのは十五日でございまして、二十五日ごろと言ったときに、ちょっと渋い顔を実はいたしておりました。もう二日ばかり余裕をいただきたいということで、装備局長とも打ち合わせをいたしましたが、いませっかく向こうと、現地へ渡りまして検討中だそうでございまして、どうしても二日くらいはよけいに要るからという話だそうでございますから、時間をあまりせくわけでもございませんしいたしますから、まあ二十七日ごろあたりまでに報告したらよかろう、こういうようなことを申しておるわけでございます。
  307. 吉田之久

    吉田(之)委員 そこで、総理と相談して国防会議の議員団、議員懇談会というような形で打ち合わせ会をやって、長官みずからで正式決定を最終的にしたい、こういうふうにいま承ったように思うのですが、そういうことですか。
  308. 増田甲子七

    増田国務大臣 さようでございます。
  309. 吉田之久

    吉田(之)委員 前にF104の機種の決定のときには、国防会議に正式に相談なさっていると聞いております。それからP2V対潜哨戒機を決定するときにも同じく国防会議にかけられたと承っております。もしそうだとするならば、いままでのこの種の問題では正式に国防会議にかけて、その上で決定なさっているのに、どうして今回に限ってだけ議員懇談会というふうな形式の会議の打ち合わせで事を済ませようとなさるか、その間の理由をお聞きいたしたいと思います。
  310. 増田甲子七

    増田国務大臣 国防会議の審議事項は三つございまして、防衛計画に関することが第一、第二は防衛と産業とに関連した総合計画のことであるし、第三は防衛出動に関すること、これが付議事項でございます。それで、これもあるいは大出さんあたりがお笑いになるかもしれませんが、初めよく知らないときはロッキード、グラマンを国防会議にかけますということを言いましたが、昨年の三月永末委員に対しまして私が、要すればFXは国防会議にかけると言っておりますのが、その後だんだんまた修正いたしまして、国防会議の議員懇談会にいたしたいと思います、それでいまの段階では国防会議の議員にそれぞれ打ち合わせをいたしたいと思います、この程度でございまして、これはやはり行政処分的に、行政行為である。防衛庁長官のなし得る行政行為であるが、慎重を期する意味におきまして国防関係の最高指揮監督者である、自衛隊の最高指揮監督者である総理大臣にはお認めを願う。ほかの国防会議の議員にはそれぞれ、こういうふうにしたいと思いますからよろしくという話をするつもりでございます。
  311. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま長官は、国防会議にはからなければならない事項は三点だとおっしゃいましたけれども、五点ではございませんか。防衛庁設置法第三章六十二条の2、その一は国防の基本方針、二つ目は防衛計画の大綱、三つ目は前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱、四は防衛出動の可否、五がその他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項、私どもはこの五つだと思っておりますが、いかがですか。
  312. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田さん御指摘のとおりでございます。
  313. 吉田之久

    吉田(之)委員 そこで、もともとグラマン、ロッキードのはなやかな問題が起こったころには国防会議にかけておられるし、その後も、次期FXについても国防会議にかけるべきであると当初長官がおっしゃっておりながら、どういう心境の変化かだんだん修正をして、実は議員懇談会で事を済ませようとするのだとおっしゃるのですけれども、今度のFXの問題は、いままでのそうした一次のケースと比べて、さして重要な問題ではないというふうに判断しておられるのか、あるいは前に国防会議にかけたことが実はぎょうぎょうし過ぎた、いわば誤りの措置であったというふうに判断しておられるのか、そのいずれでございますか。
  314. 増田甲子七

    増田国務大臣 初め国防会議考えましたのは、グラマン、ロッキードが十年前に国防会議にかかっておりますから、そこで国防会議にかけるのがまあ常識だろうというような線でお答えをした時点もございます。しかしながらだんだん考えてみますと、これはやはり防衛庁長官の所管しておる行政行為である、こう考えておるわけでございます。でございますから、多くの国務大臣に話をして、それぞれの所管事項であるといったようなことにこういうことはあまりしないでもよろしいというような結論に到達したわけでございます。そこでCX、TX等は通産大臣に話をしております。それからホークは通産大臣と総理とにお話をしております。そういうようなことでまずよかろうではないか。と申しますのは、三次防の基本方針の中に、次期戦闘機は要撃能力の高いものを定める。このことが国防会議において決定されてございます。それを受けた閣議決定もございます。すなわち昭和四十一年の十一月二十九日でございます。それでこれのまあ細目でございますから、もうすでにF104よりも迎撃能力の高いものをきめると書いてございますから、その施行細目であり、施行事項である、こういうふうに考えておるから、だんだん国防会議の議員に打ち合わせをすればよろしい、総理に御承諾を願えればよろしい、そして防衛庁長官が決定すべき行政行為である、こういうところに来たわけでございます。
  315. 吉田之久

    吉田(之)委員 それじゃ、いまのお話でしたら国防会議議員懇談会という会にはおかけにならないのですね。個々にそのつど必要な事項について必要な各関係大臣と耳打ちをして、あとはおれがきめるのだ、こういうことなのですか。
  316. 増田甲子七

    増田国務大臣 まずそんなところでございます。
  317. 吉田之久

    吉田(之)委員 それじゃどうして個々に会って耳打ちしてきめることが、いままでぎょうぎょうしく国防会議議員懇談会にかけるのだというような表現をお使いになったのですか。これはどうしてもわれわれ常識では納得できない表現だと思うのです。何かやはり国防会議にかわる、しかしそれほど形式的ではない、内容的には同じようなメンバーの懇談会を開きたいという気持ちからまた変わったのですか。
  318. 増田甲子七

    増田国務大臣 懇談会というような形式的なものを持たずとも、持ち回りということもありますし、それ以下の段階である打ち合わせということもあり得る。要は話をすれば足りることである。それからこれにつきましては、一生懸命われわれが検討いたしまして、参議院におきましても申し上げましたように、衆議院においてももう一ぺん申し上げますが、私は国防産業全体につきましていやしくも、中央病院のあの事件が出たばかりで非常に申しわけございませんが、少しでも手を抜いたということがあれば、よく一銭一厘ということを言っておりますが、そういうことがあっては納税者に対してすまぬし、国民に対して相すまぬし、日本のオーダー、秩序というものがひっくり返ることもあり得るというぐらいにきびしく自分も考え、また部下にもそういう態度で臨んでいるわけでございまして、そういう見地からも私は、いま選ぶに至るこの段階の苦労というものは、この二カ年、そういう意味におきまして私は部下にほとんどまかせておりますが、まかせたからには諸君の技術的、事務的、防衛的の良心の命ずるところに従って選定をせよということを強く言っておりますし、また私の部下もそういう見地から非常に心持ちよく愉快に、自分たちの良心を働かせれば長官はまかしてくれるのだということで、一生懸命過去二カ年間作業をいたしておるわけでございます。それについて特にほかの国防会議議員にということでは、また新規まき直しでやらねばならぬということになりますし、二カ年間の苦労も水泡に帰する。何といたしましても大蔵省の承認を得なければなりませんし、そのときに説明もしなければなりませんが、ほかの省では、通産省の重工業局所管の人は別でございます、これはよく知っておりますから。ほかの人はそれほど知っておるわけではないのに、一々待てということでまたやられますと、それこそ変な疑いをかけられるゆえんにもなる。でありますから、国防の基本方針関連するような、たとえば国産をはかるというようなことがP2Vのときでございました。それからF104というのも初めて日本で国産化しよう、ライセンスを買ってぐるけれども国産化しようというときでございましたから重要なる扱いをしましたが、今度はいわばその線路の上に敷かれた延長である、こういうふうにも私自身は考えております。でございまして、いまのような計らいがまず最も公正妥当な線であると考えております。
  319. 吉田之久

    吉田(之)委員 長官は非常に学のある方ですから、あつものにこりてなますを吹くということばを御存じだと思いますが、ちょうどいまのお気持ちはそういうふうな気持ちで、一つのまた大きな間違いをおかそうとなさっておられるのではないかというふうな気が私はいたします。確かにこの前の機種決定のときには非常にいろいろな問題が起こりました。秘密が漏洩したとか、黒い霧が発生したとか、政界、財界の者がうしろに動いたとか、政治的圧力がかかったとか、たいへんでございましたので、できるだけ今度は事務的に技術的にすんなりと事を運びたい。ついては、いまおっしゃるようなあなたの理屈で、これは行政措置ででき得ることなんだという御判断から、相談はするけれども最終的決定は長官みずからの独自の決定で一挙にやりたい、こういうお気持ちだと思います。しかし私は、それは間違っておると思うのです。事きわめて重要な問題です。しかも先ほど来おっしゃっております国内の防衛産業についても、非常に新しい機種になるとするならば、ライセンスのアグリーメントの問題であるとか、いろんな今後のわが国の防衛産業の対応のしかたであるとか、非常に重要な影響を及ぼす問題でもございます。また、あとで申し上げますけれども、さきにもいろんな質問がありましたように、それが爆撃能力を確かに持っている飛行機であるとするならば、それを使う使わないはもちろん重要な問題ではございますけれども国民の世論に対しても十分にこたえなければならない要素を含んでおります。これから相当長期にわたって日本の国防の姿勢そのものの質をはっきりと決定していく問題でもあるわけであります。あなたは非常に部下思いの方ですから、せっかく空幕やあるいは内局の人たちが誠心誠意あらゆる調査を行ない、データを集めて、そして科学的に出してきた結論であるからそれをそのまますんなりと尊重してやりたいという気持ちを持っておられることはわからないではございませんけれども、それは誤った考え方であります。シビリアンコントロールというものはそういうものではない。そういういろんな正しいそれぞれのデータを集めさして、その上でなおかつ、わが国の置かれている特殊事情、わが国の持っている憲法、いまわが国の周辺を取り巻いているもろもろの情勢、そういうものから判断して、政治家である増田長官やあるいは総理が、国防会議という正式の会議にかけて、こうするのが正しいんだということで決定するのがシビリアンコントロールの真髄であります。それをなさらなければわが国の今後の防衛というものは正しい運び方をしないのではないか。考えれば考えるほどこういう重要な問題を、ただF104ができているんだから、ほとんどその延長にすぎないし、三次防はきまっているんだから、ただこれを行政措置でできるんだ、しかもその気持ちの中に、非常に部下思いの気持ちがあるとするならば、その気持ちもわかりますけれども、私はいま長官としてとられるべき態度ではないというふうに考えますけれども、私の申し上げるところを少しも御理解いただく点はございませんでしょうか。
  320. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田さんのおっしゃることはわかります。わかりますが、私の言ったこともまた、もう一ぺんそしゃくを願いたいと思うのです。すなわち、F104というものは国防会議にかかりました。そして第三次防において、迎撃能力を高めた新戦闘機を選ぶという方針もかかっております。そこでF104というものは、F86Fに比べればマッハが一つよけいだという、つまり一方は一マッハに足りないのですから、一方はアフターバーナーをもやせば二マッハにいくのですから、マッハが一・二くらい上なんですから。一・二マッハも上である、つまり二マッハにもいくというものがつくられておる。今度つくられるものは二マッハ四までいくかどうか、私はわかりません。二マッハ以上ではありますけれども、そうたいしてマッハは上がっていない。音速の二倍四分くらいが最高である。つまり〇・四マッハ上がるだけでございまして、前に国防会議にかかったときは、一・二マッハF86Fよりもよけいになる、こういうときでございまするし、また初めて国産化をいたすわけでございまして、でございますから行政行為ではございましたが、この前はかけました。今回は、新戦闘機はライセンスで国産をするというルールが一つできております。それに対して迎撃能力を高めるという国防会議の議決、そして内閣の閣議決定にもなっておるその一つのものさしもございます。その線に乗って私自身が、部下にまかせ切りというわけじゃないのですよ、私自身が考慮をいたしまして、ある程度迎撃能力がある、しかしながら、将来CL1010にしても、F4Eにしてもあるいはミラージュにいたしましても、暴撃装置を施さない、つまり侵略勢力に対して脅威を与えてはいけない、しかし一面侮られてはいけないことはこれは事実でございます。このことは参議院で言いましたが、衆議院で申し上げるのはきょう初めてですが、侮られるようなものをつくったって意味がないのですから、侮られてはいけない。そういうようなものを選ぶというようなことは、まず従来の国防会議の議員がすべて私に委任されたことである。しかしながらやはり話をしたほうがいいですから、話はいたします。総理には御承認を得たい、こう思っておる次第でございます。これは二十七日以降の問題でございます。まず、私の考えるのがそんなに無理な考えをしていないということは、吉田さんもお認め願えるのではないかと考えております。
  321. 吉田之久

    吉田(之)委員 だいぶ無理な考えをなさっておると思いますが、これ以上ここでこの問題ばかりを論争してもいたし方ございません。私はいまあなたがおっしゃいましたように、確かにわが国の防衛は他国に侮られてはならない。しかし、同時にわれわれは他国に脅威を与えてはならないという二つの命題を解決しながら事を処理していかなければならない。しかも、いま日本じゅうの世論はFXの機種の問題をめぐって、しかも最有力機種がファントムだそうだ、これは他国に脅威を与えるのではないかということが毎日騒がれているわけなんです。そういう状態であるにもかかわらず、ただ事務的に事を運べばいいんだと考えておられるその辺の感度が少しどうも、われわれから考えればいまの長官の感度が国民と合っていないのじゃないかというふうな気がいたします。いかにこの問題が重要であるかを、さらに諸点をたどって質問の中で申し上げていきたいと思います。  特に私は、まずFXの予算について、あらためて確かなところを承っておきたいと思います。先ほども大出委員質問の中に申されておりましたが、きのうも防衛庁の方にいろんな予算の問題などを聞きますと、いまPPBSのデータ待ちなんだということを伺いました。長官もPPBSでいろいろと調査をさしておるのだということを委員会でおっしゃっておるようでございます。ところが先ほど聞きますと、いや、そのPPBSというようなまだ完全なシステムには至っていないんだ、ORという程度のところで、防衛庁防衛庁でいろいろと検討してもらっている最中だというふうなことを聞きました。私はORがどの程度のものであり、PPBSがどの程度のものであるかはさだかには知りませんけれども、しかし、承りますところによりますと、要するにプログラムメモランダムというのですかPM、あるいはスペシャル・アナリティック・スタディ、SASというのですか、こういう重要な諸要素について、ともかく最高責任者の方々が重要な考え方を決定して、そのデータをほうり込んでいかないと、相手は機械ですから、何が何でも、どんなことでも計算をして答えを出す、予算を組むというふうなわけにはまいらないように思うのです。さらに、いまも長官がおっしゃいましたけれども、費用と効果に関する分析、コスト・エフェクト・アナリシス、CEAと申しますか、こういう点についても、それがどの程度電子計算機によっていま計算されているのか、あるいは高度な経験と判断と勘によって考察されているのかは知りませんけれども、ともかく重要なFXの機種の決定にあたってはこういう諸要素について、長官が何らかの決定をしておられなければ答えは出ないのではないかというふうに私は考えるのですが、長官はこの点でいままでどのような考察をなさってきたか、最も重要な諸要素についてのどういうような判断をなさってきたかという点を、この機会に承りたいと思います。
  322. 増田甲子七

    増田国務大臣 九機種のうち最初あがっていた、たとえば、吉田さん御存じだと思いますスウェーデンのビゲンというのがあります。こういうようなものを落とすのは非常に楽でございました。というのは、F104よりは劣っておりましたから。そこで昭和四十一年の十一月二十九日に迎撃能力を高めるという基本方針が立ってございまして、それから昭和四十二年の三月十四日には、同じく国防会議を開きまして、主要項目というものをきめました。将来における航空要撃能力の向上のため新戦闘機の機種を選定の上、その整備に着手する、こういうことで私はもう国防会議から委任を受けておるというわけで、この前後から話が、前には国防会議のことを言いましたが、お話し申し上げることが少し変わってきておるわけでございます。  それから六機種を落とすのは、このF104よりは迎撃能力が劣っておりますから、楽でございます。これはビゲンといえども劣っておりますから落とした。F104よりまさっておるのはF111、それからCL1010それからF4ファントム、それからミラージュ、この四機ございましたけれども、F111というものはもっぱら攻撃を旨としておる飛行機でございまして、Fとは書いてございますけれども、三マッハ近いというようなことでもございまするし、われわれのほうから政治的立場において私が忌避をいたしたわけでございます。そこで三機種にしぼって、その三機種はいずれもそれぞれのデータを電子計算機にぶち込みまして、そしてその結果を得ております。これはあるいはORの段階、オペレーションリサーチ、運用分析調査段階ともいえますし、PPBSともいえると思います。しかし先ほども大蔵省の防衛担当の主計官がお答え申し上げましたとおり、大蔵省自身がまだマクナマラ方式というものをそのまま採用するには早い。理解するにはマクナマラの方式はわかるのですから、しかしながら採用するには早いということで、幾分はその線を採用しようということになっております。わがほうにおきましてもPPBSの線を研究しておる役人がおりまして、それを監督するという立場において前の教育局長がもっぱらPPBSのことをいま担当しております。これらの部課と防衛局長とそれから空幕とで一緒に作業し、また別に作業している線もございます。別に作業しているという線は、三機種を通じて、先ほど大出さんに私がお答えいたしたとおり、爆撃装置を施さないという防衛庁長官増田甲子七の政治的方針を――つまり脅威を与えますから、これは施さないというわけで、これは全部取りはずすわけでございまして、さっき大出さんに対するお答えに対して全部までは申し上げませんでしたけれども、ナイキハーキュリーズなんかは核をつけようと思えばいつでもつけられるといったような大出さんのお話がございましたが、これは本題に触れることじゃありませんからお答えをいたしておりませんが、もう核でない機械を初めからランチャー自身も、ミサイル自身も、ミサイルのコンピューター自身もそういふうに製造してあるのですから、それを核にだっていつでも使えるのだというお話もございましたけれども、そういうことは絶対にないのでありまして、そういうことは、その目的で新しくつくったのではないのでありまして、そこで三つの爆撃装置をいずれもスパロー、空対空、あるいは空対地のときも使えるというようなお話もありましたが、これはそんなことはないのでありまして、三つの爆撃装置を最初から取りはずして製造しておきます。これがやはり政治が優先している証拠でございまして、この三機種いずれもそうした三つの爆撃装置はやらない。私の決意にささえられて、結論に対しても、その結論がどんな結論が出ようとも、私の決意が結局結実する、実る、こういうことでございまして、爆弾というようなものはあるいは懸吊装置くらいはあるかもしれませんけれども、目視的のいろいろなものはございましても、いま申した三つの装置がないというようなことは、空幕とかその他の報告なんかと、あるいは要求性能と違ったことを私がかたく決意をし、命令し、実行さしておる、将来も実行させるつもりでございます。
  323. 吉田之久

    吉田(之)委員 ぼくらPPBSというのがどういうシステムであるかわからぬままにいろいろ木を読んだりしておるのですが、どうも長官のお考えのPPBSというものは、全然われわれの思っておるのと違う意味で使っておるのじゃないかと思うのです。もっと長期的な展望に立って予算をどう組むべきであるか、総合的には日本のすべての予算をどうすべきかということを考えるべきではあるけれども、なかなかそこまでいかないから、たとえば社会保障の面なら社会保障の面だけで、どういう条件に対応するために、そうして現状を加味した場合はどの程度の予算をどのように積み上げていくべきであるか、あるいはこの内閣委員会関係の諸要件の中でも特に防衛費についてはその範囲を限って予算全般の検討分析をしながら、そうしてどういう財政効果を探求していくか、こういう意味でやられていることであって、機種の決定にともかく攻撃用は抜いておけ、あるいは爆撃装置ははずしておけ、そういうデータをほうり込んでおけばすぐに自動的に答えが出るのだというふうなことはPPBSの本来の仕事ではないというような気がするのです。それからあなたのおっしゃることで、そういうORかPPBSか知りませんけれども、そういうことでデータをほうり込んでやられたのだったらF111なんか出てこないはずですし、あるいはF4Eというような問題に非常に大きくひっかかってこなければならない。そういう爆撃装置を抜いておけというような、そんなこなし方の機械というのはあるのですか。
  324. 増田甲子七

    増田国務大臣 ORの関係とPPBSとをからませてコンピューターにやらしたことは事実でございます。これはあります。その際は主として迎撃能力だけを見てやっておるわけでございまして、そして迎撃能力の関係でちょっとでも、〇・一でも迎撃能力がよけいあれば、少ないのを二機買うより一機のほうがよいという結論が出るか出ないか、それからまた長期的展望に立ってどういうデータが出るかというようなことで、全体として、俗なことばでありますが、安もの買いの銭失いということがあってもいけないということで、プランニング・プログラミング・パジェティング・システムですか、ともかく企画、計画が予算上の効果をどのくらいに果たすかという効果を見た、費用と効果との関係を見たバジェティング・システム、予算方式というものを完全にまだマクナマラの言うとおり大蔵省でもこなしておりませんが、来年あたりからこれをこなして、あらゆる予算に、防衛庁の予算のみならず厚生省の予算でも運輸省の予算でも応用したいということでございますが、われわれは率先して、一番先にと申すとあるいは失札かもしれませんが、参議院の社会党の本村禧八郎先生のおっしゃることは、私どもいいことはすぐ取り入れまして、そうしてこちらは専門家をアメリカに派遣しまして、そして勉強してきておるのが一人おりまして、それを監督して使っておるのが前の教育局長で、専任参事官としてこれに当たっておるわけでございまして、ある程度アプライされておるということだけは事実でございます。
  325. 吉田之久

    吉田(之)委員 要するに、ORかPPBSか知りませんけれども長官のそういうコンピューターを使ってのいろいろないままでの検討された結果というものは、性能とそれにかかる費用と申しますか、そういう点できわめて科学的な調査をされておるのだろうというふうに私は判断いたします。しかしそこに攻撃的な要素は加わっておりはしないかどうかというような判断まで、この機械的な科学的な検討によっては私はまだなされておらないのではないか。なされているならばちょっと説明してください。攻撃と要撃との区別、そういうものをはっきりデータ、要素にほうり込んで、それでどういう答えが出たのでしょうか。
  326. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 われわれがOR作業をやりましたのは、機種を初めは九機種、後半は三機種でございますが、それの総対的な効果、比較的な効果、性能と費用とからみ合わせた効果を比較する、そういう作業でございます。その作業の場合には単機の、単体の性能をまずぶち込みまして、そして全体の防空能力の効果の判定でございますので、有人機だけではだめでございまして、ナイキとかホークとか、そういった他の防空効果のあるもの、あるいは飛行場の数とか、そういったものをすべてからませまして、そういう要素をコンピューターにインプットしまして、そしてそれの総対的な効果を出しまして、そしてA機種の場合にはこういう効果があり、これだけの費用がかかり、B機種の場合にはこういう費用がかかって、この程度の効果である。Cもこの程度であるというような作業をいたしました。それで、A、B、Cそれぞれ長短がもちろん出ます。費用の点ではCならCが安い、それから侵略者の爆撃機に対してはこの機種はこういう性能である、戦闘機に対してはこの機種はこういう性能があるというようなことを全部からみ合わせまして、比較的な効果を出しまして、それと費用をからませる、こういうことでございます。先生のお尋ねの要点は攻撃的というおことばでございますけれども、敵の戦闘機、敵の攻撃機に対するこちらの攻撃能力というものは入っております。しかし、先ほどの大出先生の御質問で問題になりました対地攻撃ということにつきましては、もともと要撃機の比較でございますので、そういう要素は入れておりません。対地攻撃の先ほど問題になりました爆撃装置云々のことでございますけれども、これを入れた場合にどうで、取りはずした場合はどうだというような作業はいたしておりません。
  327. 吉田之久

    吉田(之)委員 だいぶわかってきましたが、もともといまおっしゃるように対地攻撃とか、あるいは敵の基地をたたくとか、そういうことは一切考慮に入れないで、要撃機同士の比較としてやったということなんでしょう。しかしその要撃機が、われわれの感じ方からすれば、純粋な要撃機もあれば、要撃機であると同時に爆撃機的な要素も具備した機種がまじっているわけなんですね。そういうものは全然要素に入れないで計算したとか、総合評点をつけたのが世にいわれるいろいろな点数であるというように解釈していいですね。
  328. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 OR作業でやりましたのはそういうことでございます。対地支援能力は、先ほど申しましたけれども、非常に限定されたものを実態において持っておりますが、それの比較はもちろん机上ではできます。そういうことを全然やっていないかとおっしゃいますと、絶対にやっていないというわけではございませんで、限定された能力の比較はやっておりますが、OR作業でやるほど重要視はしなかったということでございます。
  329. 吉田之久

    吉田(之)委員 長官、だから結局いまあなたの手元に空幕長などから入っておるいろいろな調査資料の結論としての報告あるいはいろいろなORなどを使ってのデータの結論、そういうものはいまお話しのとおり爆撃力を持っておる機種の、その爆撃的要素などは全然考慮に入れない一列に並べた三つの要撃機としての総合評価があなたの手元に届いていると思うのです。私はそれでいいと思うのです。そこで長官自身が判断しなければならないのは、先ほど大出委員ども申されましたように、この今日の日本のもろもろの事態の中で加味しなければならない政治的要素、正しい意味の政治的要素ですよ。政治的圧力とか、そういう変な意味ではなしに、ほんとうに正しい意味の政治的要素、シビリアンコントロールが果たさなければならない重要な要素、これを付加しなければ正しい答えにならない。その付加する場所はどこか、それは私は国防会議以外にないと思います。そういう点をお気づきにならないですか。
  330. 増田甲子七

    増田国務大臣 同じことをお答えしてあるいはおしかりになるかもしれませんが、一昨年の十一月二十九日に新戦闘機を選定するという一つの国防会議の決定がございます。これは閣議決定も同じ日になっております。それから昨年の三月十四日に、将来における防空要撃能力の向上のため、新戦闘機の機種選定の上その整備に着手するという委任を受けているわけでございまして、委任を受けた範囲の行政処分行為が今度の機種選定でございまして、F104のときのように、新しき体系の新戦闘機を持つとか、あるいはライセンスによって国産をするとかいうような、一つのこれは方針でございますから、昭和三十四年の国防会議においては決定を見たものと思っております。昭和三十四年十月でございますか。今度は敷かれたそのレールの延長としてのものでございますし、また爆撃装置を施さないということは、いかなる機種を選んでも、これは国会において皆さまにお約束しましたし、また私の信念でもございます。これは答弁用のことばではございません。私の信念でもございまするし、そのことは十二分にシビリアンコントロールの実をあげておる、私の言うことを聞かせるつもりでございます。
  331. 吉田之久

    吉田(之)委員 ある程度譲って、ほんとうに純粋の要撃戦闘機だけの機種の決定であるならば、長官のおっしゃるとおり、すでにレールに乗った一つの延長であり、改良にすぎない。三次防の方針もきまっていることだからというので、長官のいまのような行政措置で処理されるということも、ぼくは場合によったらあり得るというところまでかりに譲りましょう。しかしながら、今度は、先ほど来お聞きのように、ORとかいろいろな電子計算機などにたよって、より科学的な答えを出そうとして、いままでにない一つの操作をされたわけです。しかもその操作の中には、爆撃的要素を含んでいる要撃戦闘機も普通の戦闘機と見て三機種同列に並べて計算しているのです。いわば全然不必要な要素、絶対に取りはずさなければならぬ要素を含んだまま、それが一つの要素としてデータの中にインプットされているわけです。そこに問題が一つある。いま一つは、いかに優秀な電子計算機であっても、PPBSであっても、日本の平和憲法というのをそこへほうり込むわけにはいかないと思います。そういう要素は、最後には長官などが責任を持って選択しなければならない、高度の判断をしなければならない要素がどうしても残ると思うのです、今度の機種の決定については。その点はお気づきでございますね。
  332. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田さんのお説のように、いかに高度なコンピューターといえども、憲法九条のことまで判定はできないのではないか、それは政治家のすべきことであるというお説は全然同感でございます。それからPPBSも必ずしも全面的にこれを活用している段階に至っていないということは、私は水田大蔵大臣からも承っております。わがほうではむしろ少し進んだくらいにやっておりますが。そこで吉田さんの御指摘のうちでお考え直しをいただきたいのは、三機種いずれを選ぼうとも、地上支援能力というものは、爆撃装置を施さない地上支援能力という立場においてインプットしておりますから、これは全部イコールであります。ミラージュにしてもCL1010にしてもあるいはF4Eファントムにいたしましても、地上支援能力というものはすべてイコールということでインプットいたしますから、出る答えはすべ七マイナスになって、プラスの要素になってはいない、こういうことでございます。
  333. 吉田之久

    吉田(之)委員 それでは長官に具体的にお聞きいたしますが、たとえばF4Eファントムの場合、そのF4Eというのは、大体全部爆撃装置、先ほどいろいろお話しありました装置がついておりますね。これをどうしてもはずさなければならない。そういう現についている装置をはずす、そういういろいろな操作、それに要する費用のよけいな分、そういう要素まで全部この効果と費用の計算の場合にインプットされているのですか。
  334. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 F4Eに関しまして爆撃専用装置を除去する、改修するということにつきましては、先ほどお答えしましたとおりでございますが、これに関しまして費用の点は、これを改修するために若干の費用が要るかと思います。しかし、同時に、その中身が要らないわけで、中身といいますか、その構造部分が日本では要らないわけでございますので、その点では幾分安くなるという要素もあろうかと思います。一部改修するための費用が要るし、それからその中身が要らないという点では若干安くなる要素もございますが、OR作業ではそこまではインプットしてはおりません。
  335. 吉田之久

    吉田(之)委員 いろいろ弁解は別として、入っていないということだけわかりました。どうせプラス、マイナスとんとんだろうぐらいの、しろうと判断かくろうと判断か知りませんけれども、それが正しいであろうか、いずれあとで議論が出てくるのではないかというふうに思いますので、この問題だけは特に注意を申し上げておきます。  しからば、その機種を選定する場合に、その一機について幾らぐらい費用がかかるか。飛行機の費用というものは、大体何機ぐらい製造するかということによってもいろいろ変わるそうですね。全部それぞれ何機ずつと想定してインプットされたのですか。
  336. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 お話しのとおり、生産する機数によって単価は異なってまいります。その数字も、最後は三機種でございますけれども、三機種につきまして、それぞれABCD、それぞれ何機の場合、何機の場合、何機の場合というふうな入れ方をいたしました。具体的な数字はごかんべん願いたいと思います。
  337. 吉田之久

    吉田(之)委員 長官にお聞きします。  まだFXの長期的な将来にわたって大体どのくらいの予算を組んで何機ぐらいつくりたいという問題はきまっておりませんね。何か大体の構想をお持ちなんですか。どうなんですか。われわれの聞いておりますところでは、あなたは昨年の四月二十七日に、社会党の加藤清二委員質問に対して、FXを三次防中に二機だけはつくりたい。三次防、だから四十六年までに二機だけつくりたい。四十七年以降はと聞かれたら、それはまだわかりませんというふうに答えております。その後いろいろお答えになっておられますけれども、いよいよ機種決定を数日後に、あるいは数週間後に迎えられた今日、あなたのいまのお考えとしては、どの機種になろうとも、大体三次防と四次防と、あるいはそれ以降になるのかもしれませんけれども、このFXは最低何機ぐらいは持たなければならないというふうに考えておられるのか。その考え方もなしに三十機入れてみる、五十機入れてみる、二百機入れてみる、そんなインプットのしかたはないと思うのですね。その点長官はどのように判断して指示をなさいましたか。
  338. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは従前の国会においてもしばしばお話しいたしておりますことでございまして、昭和四十六年度末までにFXは二機取得いたす。そのお金は八十八億円である。それをノックダウンを行ないます。最初完全なる飛行機を買ってきまして、そして完全に分解いたしまして、また完全にアセンブリーをするということをいたしております。それから、そういうことを一、二回やりまして、昭和四十八年ぐらいまでには相当取得いたしたい。それは金目にもよります。でございますから、正確には申し上げませんが、いまのところ、われわれの腹づもりで、大蔵省とも話し合い、ある程度詰めてあるのは、三次防の二兆三千四百億、上下幅二百五十億の中に占める割合は八十八億でございます。しかしながら、そのあと、長期発注契約というものをいたしますから、その関係で国債というものをいたします。その国債は六百九十二億、それに八十八億が加わって七百八十億というものが一応腹づもりにあるわけでございます。
  339. 吉田之久

    吉田(之)委員 そうすると、全部で、八十八億と六百九十二億、合計七百八十億。この三次防中の残された分と、それから国庫債務負担行為で三次防中に四次防に入る分のFXも、そろそろ生産に取りかかろう、メーカーに生産させようということですね。それで、われわれの聞いておりますところでは、四次防では四十七年と四十八年に五十八機、三次防ではいまのノックダウンなどいろいろやって、とりあえず二機、合計して六十機。この六十機を第一次分として防衛庁は購入したい。なお、でき得べくんばさらに六十機程度第二次分として購入したい。こういう考えを持っておられると聞いておりますけれども、それで間違いがないかどうか。さらに八十八億も金を投じて、いかにノックダウンをやったり、あるいはシュミレーターとか整備用の材料等もお整えになるのでございましょうが、どうして二機に八十八億もかかるのか、ちょっとわれわれしろうとにはわかりかねますので、その辺の御説明をお願いいたしたい。
  340. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは政府委員からひとつ補足さして答弁しますが、八十八億最初かかるのは、やはり治具工具あるいはプラントをつくる、アセンブルのためでもプラントをつくる。ことにライセンスでいろいろ、いよいよ製造するわけでございますから、従来の治具工具あるいはプラントを使い得るならばそれも安上がりになる一つの要因でございましょうが、従来と違ったものであるならば初度調弁費が相当かかるのではないか。でございますから、飛行機二機の費用プラスアルファで八十八億になって、そのアルファというものは、いま申した治具工具あるいはプラントに要する費用でございます。
  341. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 いま長官がお答えになりましたのは、もともと三次防で、二兆三千四百億の経費算定の根拠になっているという前提でお答え申し上げております。来年度の予算のようにかっちりきまったものでございませんので、その前提でお聞き取り願いたいと思いますけれども、所要機数は一応六十機で三次防をはじきました。そして第一次に二機を取得いたしたい。これは四十四年度に契約いたしまして、四十六年度までに取得したいということで、その費用と、それから、あと五十八機残りますが、これの契約を三次防中にいたしまして、前払い金を若干払う。大部分はこれは四次防にかかりますけれども、三次防中に一定の前払い金を払いますので、両方あわせまして三次防中に要ります経費が八十八億、後年度負担が六百九十二億、こういうことで算定をいたした。三次防はそういうことでございます。
  342. 吉田之久

    吉田(之)委員 長官、くどいようですけれども、いまあなた自身がおっしゃいました治具工具、それからライセンスを取りつけなければならない、新しいプラントをつくらなければならない、ともかく在来あったプラントでは間に合わない、全然新しいことになるのだろうからということですね。従来と違った生産方法がとられなければならない……(増田国務大臣「かもしれない」と呼ぶ)かもしれないでしょう。それほど重要な問題なんですよ。先ほどあなたがおっしゃった、単なる行政措置ですんなりいけそうなたんたんたる問題ではない。私は何べんでもこれから言いますけれども一つそのこともお預けいたしておきます。  それからこの三次防の八十八億の中で、四次防で購入したい五十八機分の契約の前払い金も払わなければならない、いまの御説明ではこういうことでございますね。われわれはまだ四次防を決定いたしておりませんね。今後の機種の問題はそのことにかかる、この問題なんですよ。あなたは、四次防が国会でもあるいは総理もまだ何もきめていないのにそれにまで将来かかわっていく問題について、単なる長官の行政措置でこのFXの機種の選定ができるとお考えですか。
  343. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは継続費ではございませんが、継続費的な性質を持っていることはお説のとおりでございます。そこで護衛艦等は継続してやっておりますけれども、護衛艦の新鋭なるターター等をつくるという場合には国防会議にかけません。それからP2V等はかかりましたけれども、PXは非常に新鋭なのでございまして、UFよりもはるかにすぐれたものでございますが、これもかかっておりません。予算措置と私の決定だけでございます。そういうようなことで、F104で敷かれたレールの上のその延長線を――これは国家が永久の存在組織体であると同様に、国防関係も相当長期にわたっていることは必要でございますが、だからといって、あとの期にまたがりますものはすべて国防会議にかけなければならぬということは私はないと思っております。  繰り返すようでございますが、F86FからF104になったときは、マッハ二にもなったわけでございますから、〇・八マッハぐらいが二マッハになったということで、非常に新鋭なる戦闘機でございます。そういうわけであるし、もう一つは初めてライセンス生産をする、そういうようなこともございましたから、だんだん勉強した結果でございますが、国防会議にかけた、そして閣議決定をした、それは昭和三十四年十月のことでございます。昭和四十三年何月ともなれば、その辺のことは従来敷かれた線の上を――文章は二つあるわけで、すなわち迎撃能力の高い新戦闘機種を選定しろという閣議決定と、国防会議の決定がありますから、この線を具体化する。各論的なことまで一つ一つ国防会議にかけて、そしてその決定を経なければやれないということではありませんし、それから吉田さんのおっしゃるシビルコントロールの実は、侵略勢力と思われるもので脅威を与えない、こういう線だけは、私は政治の方面でりっぱに武官に言いつけてやらせるつもりでございます。
  344. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、最近の新聞それからテレビ、そういうところでも、このFXの問題をすべて報道いたしております。実は私十九日にテレビを見ておりまして、そこで長官、テレビでこういうふうに言っているのですね。FXは、二千億円の費用を投じて今後十年間に及ぶわが国の空の防衛を全うしようとする計画である、その防衛に当たる主力的な新鋭戦闘機種がいま近く決定されようとしている。しかも、空の防衛は仮想敵国の爆撃機何十機がわが国に一挙に侵入してくるという場合を想定して、その場合にいま申したようなFXなどで、あるいは在来のF104その他で全力をあげてこの三分の一を撃ち落とすのだ、残りはわが国の地上に置かれているナイキやホークや、その他高射砲などでこれを迎撃するのだ、現在F86Dは百機あるけれども、これは早晩使いものにならない、F86Fは三百機あるけれども、これも昭和四十九年現在ではほとんど使用にたえないであろう。F104Jは現在二百機あるけれども事故などでその時点では百四十機ぐらいに減少しているであろう。そこでどうしてもここで二千億ぐらいの金を投じてFXというものがそれを補い、かつ新しい任務を果たすためにつくられようとしているのだ、こういう報道が大体新聞やラジオなどの共通した報道でございます。この報道は非常に大きな力を持っております。もしもその報道が長官のいま考えておられる計画と非常に大きなそごを来たすものであるならば、これは防衛庁の最高責任者である長官は直ちに訂正をされなければならないと思うのです。訂正なさいますか。それとも大体このとおりでございますか。先ほどの六十機を購入したいという計画とも比較して、その辺の答えをお願いいたしたいと思います。
  345. 増田甲子七

    増田国務大臣 四次防のいまのことは、先ほど言ったことをちょっと訂正さしていただきます。三次防の段階で、後年度に取得するけれども、それは三次防である。そこで価格の関係でいろいろ多少出入りはございますかもしれませんが、二機を含めて、残余の五十八機、すなわち六十機をFXとして一応生産を計画するわけでございます、三次防の段階で。四次防以後のことにつきまして新聞その他に報道が、あるいはラジオ、テレビ等にございましても、私がむきになってここで訂正するということはいたしませんが、常識上いろいろな想像をなさるかもしれませんが、十年計画というようなことでわれわれがものを考えていないということだけは申し上げます。
  346. 吉田之久

    吉田(之)委員 あえて否定もなさらないし肯定もしない、とにかくいま防衛庁としては、そこまでの十年計画、あるいは総額二千億円に及ぶFXの国内製造あるいは防衛庁としての講入はまだ考えていないというふうに解釈してよろしゅうございますね。――そこで、いま申しましたたとえば何十機の爆撃機がかりにわが国に侵入してきた場合に、これはFXは三分の一落とすのですか、全部落とすのですか、その辺の計画はどうなっています。
  347. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 OR作業の中で、先ほども申し上げましたけれども、次期戦闘機のいろいろな機種を比較するために、ナイキ、ホークあるいはレーダーサイト等の能力を込みにして、いろいろな能力を算定をいたしました。かりに侵略があった場合の総合的な撃墜率等もOR作業の中では計算した一部でございます。具体的な数字は差し控えたいと思いますけれども、そういう作業がOR作業全体の中の一部には含まれております。
  348. 吉田之久

    吉田(之)委員 もしも、その巷間伝えられるところ、残念な話ですが、わずかに三分の一ぐらいしか要撃してこれを破砕することができないということであるならば、あとは地上の兵器にたよらなければなりませんね。座して死を待つことに近づいてくるのじゃないですか、その程度ならば。その点どういうことなんですか。
  349. 増田甲子七

    増田国務大臣 OR作業のうちでいろいろなことはしてみまして、私も聞いてはおりますけれども、最悪の場合にそんなようなことがいわれているのじゃないかと思いますが、私は三分の一よりは、もっと二分の一に近いほうではないかと思います。しかし最悪の場合、日本がハチの巣をたたいたようにやられるというような場合でも、それぐらいの力は、ナイキハーキュリーズが将来四個大隊と一教育大隊になりますから、それから、おそらく四次防というものは、きょうは言ってはいけないことでございますが、やはり地対空というものももう少し増強することが必要ではないかと思っております。ホークのほうももっと増強することが必要だと思っております。しかしこれは継続費ではございません。そういうようなことと相まちまして、最悪の事態でもそれくらいですから、それよりも散発的に来るというような場合はたいてい国土を侵されずに済む、ことに国民が惨害を受けずに済むというだけの力が航空自衛隊になくてはいけない、こう考えております。
  350. 吉田之久

    吉田(之)委員 そうすると問題は、とりあえずやはり来年度以降の三次防の予算をできればどのようにふやしていくかということによって、この計画が順調に進むか進まないかということにかかってまいると思うのです。いま長官がおっしゃったようなことが必要であるとするならば。  そこで十九日の読売新聞では、増田長官が三次防の増額を示唆された。しかもFXが予定より高価なことがその原因のようである。水田大蔵大臣などと非公式に政治折衝が進められているというふうなことが書かれております。当然だろうと思うのですが、その辺の長官の見通しと申しますか、このFXと関係ある、FXとからんで、しかも日本の空の守りを全うしていくためには三次防は固定的なものではなしに、情勢の変化によっては逐次修正されるものであると考えておられるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  351. 増田甲子七

    増田国務大臣 あらゆる現象に事情変更の法則というものが適用されるわけでございますが、河川改修計画、道路改修計画等は五カ年計画でございまするが、三年目にはもう変わっております。しこうして防衛計画だけはいつも固定的でございまして、多少出入りはございますけれども、物価その他の関係で給与だけが毎年毎年変わりまして八%ずつぐらい上がりまして、そして武器の関係は昭和四十二年の三月十四日にきめた線で固定して五年先の昭和四十六年まで行くということはいまのところ私は考えておりませんし、水田君と交渉したということもございません。ただこちらが固定した予算計画であって、河川計画にしても住宅計画にしても道路計画にしても五カ年計画を三年目に変改したということが常例となっておりますということはこの際吉田さんの御注意を喚起いたしたい、こう考える次第でございます。
  352. 吉田之久

    吉田(之)委員 いままでFXは一機十三億くらいにおさまるだろう、したがって四十八年までには六十機程度は用意できるだろう、ところが最近どうも十三億どころじゃなさそうだというふうな考え方が一般に広がってきておりますけれども、そういうことも大いに当然あり得ることですし、またそういうことによっても当然三次防というものは訂正されなければならないというふうに考えていいわけですね。長官考え方はそうだというふうに考えていいわけですね。
  353. 増田甲子七

    増田国務大臣 予算の拘束力のほうが強うございまして、防衛庁関係はめったにローリング・バジェット・システムというものは応用したくないという考え方でございます。河川や道路のほうは三年目に変わっておりましてしょっちゅうローリングしておりますから、ほかのほうにはローリング・バジェット・システムはございますということをあるときに言ったことはございますが、防衛庁については考えておりません。もし諸般の場合でいろいろな所用の必要がある場合にはやりくりをしていくということも考えられるわけでございまして、やりくりができなかった場合に初めて、昭和四十六年くらいのときに、いまからは言えませんが、もう二年もたったときにあるいは新しく財政当局にお願いするという事態なきを保しがたいということだけは今日言えることではないか、こう思っております。
  354. 吉田之久

    吉田(之)委員 よくわかりました。要するに三次防の防衛関係予算は、他の各省庁の五カ年計画のようにここ当分ローリングはしない、したがって増額要求もしない、こういうことですね。しからばFXの費用そのものについていろいろこれから聞いていきたいと思います。非常にこの予算とも関係が出てまいります。  そこで私どもの手元にございますFXの経費でございます。飛行機というのはただ単に一機の単価だけではなしに、それに伴うところの予備部品であるとか支援用地上機材であるとか、あるいは部品のストックであるとか輸送機の輸送費であるとか、技術援助であるとか経費負担であるとか、もろもろの要素が加わっているようでございますが、ひとつこれは局長にお伺いいたしましょう、  いろいろなデータから計算されて、非常に科学的な計算値が出ていると思いますけれども、F4Eの場合、それからCL1010の場合どれくらいの答えが出ているか。全然説明できないことですか、そのことは。
  355. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 具体的な数字は現在では差し控えさせていただきたいと思います。機種そのものがまだきまっておりませんし、それから機数もきまっておりません。機数も、先ほどもお話が出ましたけれども、どの機種にして何機生産するかによって単価もおのずから違ってまいります。いろいろな場合を想定して現在計算はいたしております。プライム予算もきまりましたので、精密な計算をさらに進めております。従来の資料で大体計算したものもございますが、さらにその後詰めておる段階でございますけれども、どの機種で何機生産して何億円になるというような具体的な数字については、きょう現在では差し控えさせていただきたいと思います。
  356. 吉田之久

    吉田(之)委員 それでは総合評価でF4Eが八十点であるとかF1Cが六十五点であるとかあるいはCL1010―2は五十点であるとか、あるいは場合によってはある機種は落第点であるとか、あるいはわが国の防衛一つの効果を果たすためにはF4Eであるならば六十機で足りるけれども、それがある飛行機の場合には何機要るんだとか、いろいろな計算が流れておりますね。全然根拠のないことでもなさそうですね。そうでしょう。
  357. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 機種の選定の作業の中でいろいろ資料が整ってまいりましたので、いろいろな候補機種の飛行性能だとか戦闘能力だとか、あるいは安全性だとか教育訓練の面だとか、整備補給の面だとか、いろいろな面におきまして、項目をきめまして、それぞれについて専門的な検討を加えて評定をいたして、抽象的な基準もございますけれども、点数化できるものは点数化いたしまして、それによってどれが何点であるというようなことも作業の一部にはしております。しておりますが、いま先生お話しになりましたような数字になっているかどうかということについては私のほうからは差し控えたいと思いますが、必ずしもお話しの数字が根拠のあるものというふうに私から申し上げにくいわけでございます。
  358. 吉田之久

    吉田(之)委員 非常に微妙な問題ですから、われわれはあえてその数字を知りたいとかあるいは飛行機の値段を知りたいとか、そんな愚かなことは申しません。ただ長官に聞いておきたいのですが、たとえばこの三つの飛行機、相当値段が違うように思うのです、われわれの想像で。たとえばある飛行機がかりに一機八億円くらいでできる。いろいろな先ほど申しました諸経費も含めて、百機つくる場合に八億円くらいでできる。ある飛行機は十九億円かかるというふうなことであると仮定いたしまして、十九億かかる飛行機だったら、いま数字を言いましたが、たとえば六十機で事足りそうだ。それから八億の飛行機だったら百機で事足りそうだ。かりに私が先ほど言いました数字が正しいとすれば――あなたは正しくないとおっしゃた、どちらでもいいのですけれども、しかし、何らかの数字が出ているはずです。だから、かりに六十対百、これでバランスがとれるのだという科学的な評定であるならば、六十かけるその飛行機の単価、それから百かける飛行機の単価、それを比べてみて、経費による効果というのは出てくるのじゃないですか。そういうことは、機種の決定の際には全然考慮なさらないのでしょうか、どうなんでしょうか。
  359. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 お話しのような手法は用いました。何機、何機というよりも、むしろ飛行隊の数によりまして、A機種の場合にはこういう撃墜率、こういう効果を得るのには、どの程度の飛行隊をもって、そしてナイキ幾ら、ホーク幾らという組み合わせをした場合に、この機種が何個飛行隊あればこの程度の撃墜率、つまり効果、そういうものが期待できる。この機種であれば、何個飛行隊なければこれだけの効果は期待できない。かりに、Aの場合と、Bの場合と同じ飛行隊の数にしました場合には、今度は撃墜率が片一方の場合にはこの程度であり、片一方の場合はこれだけ落ちるというふうな比較をする、そういう手法は用いました。したがって、費用対効果が出ております。A機種の場合の何個飛行隊とB機種の場合の何個飛行隊と、同じ飛行隊の数の場合には、この程度効果が違う。逆に、かりに予算が一定である場合には、A機種であれば、単価が違いますから、この程度の飛行隊が維持できるはずである。その場合の効果はどれである、というふうな手法は用いております。手法を用いておりますが、それでは何個隊であって、何機だ、単価何円だということについては、現在まだ結果がきまっておりませんので、申し上げることを控えさせていただきたい、こういうことでございますが、手法はそういう手法を用いております。
  360. 吉田之久

    吉田(之)委員 そう簡単な、単純な算術計算では、事はきまらないと思います。しかし、一つ考え方として、この機種は幾らかかる、それが何機分、こちらは幾らだけれども、何機分にすれば、このことではイコールだ。その場合にどちらが、全体の費用として高いか、安いかというふうなことも、十分勘案して答えが出るのですね。出たのですか、近く出るのですか、どちらですか。
  361. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 お話しのような手法を用いたわけでございます。防衛庁なりの一応の答えは出ております。さらに関係当局と相談をしたいと思っておりますけれども、この場合にはこういう数字である、この場合にはこういう数字である、だから比較的これがいいというふうな手法を用いております。
  362. 吉田之久

    吉田(之)委員 そのくらいにしておきまして、次に、FXの性能について、ちょっと簡単にお聞きいたしたいと思います。  一番問題になりますのが、やはり航続距離なんですが、これもいろいろなうわさでまちまちでございまして、やはりこういう重要な機会に、内閣委員会としても、国会議員の一人としても、十分その数値を明らかにしておかなければならない責任があるのではないかというふうに考えます。そこで、先ほど来大出さんの質問でも問題になっておりましたが、長官は大体四百ノーチカルマイルであると言い切っておられますけれども、たとえばここにある毎日新聞の場合に、F4Eの場合、それは航続距離が三千七百キロである。マッハ〇・九で飛んだ場合には、三千七百キロである。三千七百キロを二で割りますと、大体千八百五十、したがって、半径千海里になるのだろうと思いますが、長官は四百海里説をとっておられますけれども、千海里になるのではないか。しかも、武装としてはバルカン砲一門、サイドワインダー四個、スパロー四個、爆弾搭載能力が六トン、はたしてこれだけを積んでこれだけ飛ぶのかどうか、われわれよくわかりませんが、一つの資料として出ております。それからNHKで報道しておられだと思うのですが、この場合も四百五十キロの爆弾を六個積んで、したがって二千七百キロ、二・七トンそれだけの爆弾を積んで、片道ならばやはり三千七百キロ飛べる。これは直径、だから半径にすれば、往復を考えれば、やはりこれも千海里飛べるのではないか。それから増槽ですね、この補助タンクも六トンくらいまで積めるのではないか。この六トンというのが大体何ガロンなのか、その辺の説明。それからF4Eの場合には爆弾を最高に積めば一万六千ポンド、トン数にして七・二トン積めるということを聞いておりますが、この場合にロー・ロー・ハイで飛ぶのか、どういう飛び方をするのか知りませんけれども、大体何海里くらい飛べるのか。その辺のところ、非常にはっきりしたピーク、ピークの状態における航続距離というものを正確に御説明いただけませんでしょうか。
  363. 増田甲子七

    増田国務大臣 一応ラフなことでお答えいたしまして、詳密なことは防衛局長から答えさせます。  この毎日新聞にございますマッハ〇・九で三千七百キロ、これはわれわれはフェリーといっておりますが、武装をほとんどしない、増量タンクにはオイルを一ぱい詰めてただ飛んでくるという場合に、三千七百キロくらいを想定しております。でございますから、この下欄の武装をしたときには、先ほど申した四百海里前後になるわけでございまして、その点がこれはどういう線で出したかわかりませんが、これはおそらくジェーン年鑑とかミリタリーバランスとか、そういうものに出ているのではないかと思いますが、航続距離という線はF4Eの三千七百キロ、CL1010―2の三千四百、これはすべて裸のときで、オイルだけを積んでおるというときと一応お考えくだすってけっこうだと思います。あと、武装を完全にしたというような場合は、やはり四百ノーチカルマイル、ことにLLLHというのは非常にオイルを食いますから、三百海里ないし四百海里、こういうことになります。HLH、ハイ・ロー・ハイのときは少しよけい飛べますけれども、大体これはすべての三機種に通じます。それからF104J、これに対してもそうでございまして、われわれの現有しておるF104Jなんかでは、二千九百キロも飛べるものではない。一時間も飛んで歩けば、帰投しなければどうにかなってしまう、せいぜい一時間のものでございます。
  364. 吉田之久

    吉田(之)委員 いろいろ詳しく聞きたいのですが、しかし長官、戦闘する場合にはずいぶん燃料を食うようでして、航続距離が短いということはわれわれ常識的にわかります。しかし、ほんとうに爆撃を考えていく場合には、相当装備をしても、巡航速力で飛んでいくと、ずいぶん行けるのですね。たとえば、F4Eの場合、クリーン状態で離陸、高度三万五千フィートでマッハ二まで加速、目標付近で六万フィートまで上昇して超音速で五分間戦闘するダッシュ迎撃の場合、戦闘行動半径は百七十ないし二百ノーチカルマイル、非常に少ないのです。長官のおっしゃるとおりです。ところが、主翼下と胴体下にパイロンタンク三個をつけて離陸、三万五千フィートで巡航し、目標上空で降下、低空を正規出力で十分間攻撃、再び三万五千フィートを巡航、帰投する対地攻撃の場合、戦闘行動半径は四百五十ないし五百二十ノーチカルマイル、三百四十キログラムの爆弾六発か四百五十キログラムの爆弾四発が携行できる。これが現にあるF4Eの実績なんですね。この点、長官、何か四百ノーチカルマイルに、一たん言い出した以上、無理にこだわっておられるのではないかというふうな気がするのですが、どうなんですか。
  365. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、おおよそ四百海里、こう言っているわけでございまして、四百海里前後というわけでございます。
  366. 吉田之久

    吉田(之)委員 ちょっとピッチを上げますが、だんだん修正なさっているようです。四百海里前後、前もあるし、後もある。後は大体は五百海里くらいまでいけるのではないか。大体朝鮮半島は、北朝鮮全域は、日本の本州を絵にかいて、それから等距離で円をかいていくとおさまるのではないかというふうな気がいたしますので、この点でも先ほど来言われておりますように、特にF4Eの場合には、爆撃能力をある程度持って――たいした爆撃能力だとは思いませんけれども、ある程度持って、外国の基地をたたき得る能力はあるということだけは考慮に入れて、爆撃装置は一切装置しないんだという長官の言明は再度繰り返されておりますので、それ以上追いはいたしませんけれども、そういうおそれを機体自体は持っているんだということ、ここに私は非常に大きな意味がある、非常に大きな変化がある、F104の場合と違った、いわば重要な体質の変化がある。これをしも単なる行政措置で、増田防衛庁長官一人でどのようにでもきめられるんだというような問題であるのかどうか、私は非常に疑問を感じます。  次に、F4Eの場合は、もともと艦載機として開発されてきた爆撃戦闘機であるというふうに聞いておりますが、このF4は艦載機であった。F4Eは、艦載機には、いったんつくった以上は、絶対ならないのかどうか。あるいはできた飛行機は艦載機になるとは私も思いませんけれども、何らかの場合に、同じような製造過程で多少の修正をした場合に、艦載機になり変わるものかどうか、この辺技術的にはいかがですか。
  367. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 F4Eは空軍の採用している型でございまして、艦載機ではございません。
  368. 吉田之久

    吉田(之)委員 それはわかっているんですよ。F4の中には艦載機がたくさんあるのです。あのエンタープライズに載っているのも、F4何かでしょう。ほとんど性能、性格は一緒ですね。親類、兄弟みたいな飛行機でしょう。だから、日本の場合に、そんなことはあり得ないと思いますけれども、急に将来艦載機をつくろうというふうな場合には、非常に簡単にそれは転換できるものなのかどうか。
  369. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 海軍用は古いのでF4B、それからG、Jというのもあるようですけれども、そういうのは海軍用で、もちろん艦載機になっているわけですが、F4Eはそれとも違いますし、それからF4Eが簡単な改修で艦載機、F4B式になるかどうかつまびらかでございませんけれども、離着陸距離からしまして、そう簡単にはできないのじゃないかというふうに思われますけれども、この点詳細にはわかりません。
  370. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、CL1010―2もF4も、ミサイルを積んだときのスピードは音速の二・二倍であるが、ミサイル発射後のスピードはCL1010―2のほうがはるかに速い。したがって、M61機関砲で再攻撃する性能は、CL1010のほうがすぐれている。F4Eはミサイルを胴体内に入れているので、それを発射した後も空気抵抗が減らないからである。F4Eは操縦、燃料の制御などに制約があり、重心が不安定なので、音速の二倍以下にスピードを落とさないとミサイルを発射できないというようなことを聞くのですが、その辺はいかがですか。
  371. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 いまのだいぶ早くお読みになりましたので、ちょっと正確に理解できたかどうかわかりませんけれども、大体の感じでは、いままで調べてきました話から推測いたしますと、どうもその数字は必ずしも十分な根拠があるような感じがいたしません。少し違っているのじゃないかという感じがいたします。
  372. 吉田之久

    吉田(之)委員 一度こういう点も、もちろん精密なデータを根拠にしていろいろいま検討を急がれているところだと思いますので、そのミサイルを発射するときにスピードを落とさなければならないのかどうか、あるいはミサイル発射後のスピード等については、三つの機種のうちどれがどういう形になるのか、よく検討をなさらなければならないのではないか。  それから安全性の問題でございますが、操縦士が一人よりも二人のほうが安全だ。万が一、一人がやられたときも一人が残る、これは常識でございます。また、そのようでございますが、しかし、この二人乗りのF4Eの場合には、これは操縦装置が連動になっているそうですね。連動になっているそうですが、しかし、私どもの常識で考えれば、大体二人乗りの戦闘爆撃機というものは、一人は操縦専門であって、一人はレーダー士ないしは爆撃士である、こういうふうに私はいままでの常識から、考えているわけなんです。  ところで、先ほど来大出さんの質問に対しても、長官は、今度は爆撃専用装置三つははずすのだ、こうおっしゃっていますね。そうすると、二人乗っかってはいますけれども、その本来爆撃士のほうはほとんど自分の仕事を持たないで、ただお客さんみたいに乗っているわけではないだろうけれども、あまり主たる任務を持たないで乗ることになりはしないか。もともと自由自在にこの飛行機を何にでも使えるならば、これは二人乗りとして大いに性能ある飛行機であるけれども、日本における特殊事情として爆撃専用装置をはずした場合には、この二人乗りという意味は、本来の二人乗りほどの意味を持たないのではないか。むしろ非常に意味のない二人乗りになりはしないのだろうかというふうな気がするわけなんです。その点いかがでしょうか。
  373. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 安全性におきましては、エンジンが二つあるということで、ファントムの場合は、普通の他の戦闘機よりも事故率はずっと少ないようでございます、米軍の経験では。それから、前席、後席の関係では、おっしゃるように装置が連動できるようになっております。それから前席、後席の役割りでございますけれども、役割りは、必ずしもうしろが全部爆撃するという、その専門じゃございませんで、大体は前のほうは、パイロットとしての操縦とミサイル等を使いまして攻撃する任務、それからうしろの者は、通信とかナビゲーション、航法関係で、自分の位置を知るとか地上と連絡するとかいう通信、そういう役割りを持つことになろうかと思います。お話しの爆撃装置の関係につきましても、専用装置そのものは除きますけれども、もともとそれがありました場合には、ボタン一つ押せば簡単に計算機で投下できるふうになっておりまして、複雑な任務ではございませんけれども、かりに地上攻撃の任務をやる場合には目視照準でできますから、コンピューターがある場合よりもかえって仕事はふえるかもしれません。一般的にいいまして、前はパイロット、操縦関係、攻撃関係が主であり、うしろの者は通信とか航法関係がおもである。適当なる任務割りをするということになろうと思います。
  374. 吉田之久

    吉田(之)委員 その次に、機体の大きさと被発見度と申しますか、見つかる度合い、これは私は関連があると思うのです、このF4Eの場合は、機体が非常に大きいので、肉眼でも十三キロ離れているところからでも発見される。しかもエンジンが二つあるわけですから、二基から出る排気ガスのあとが非常に大きい。だから十六キロぐらい離れたところからも航跡は明らかに発見される。小さいFXの場合には、三ないし五キロ近づかないと見つからない。朝鮮戦争やベトナム戦争での米空軍も、その八割が敵に発見されなかったというところから勝利をもたらしたということがいわれておる。したがって、これからの戦闘機の選定にあたっては、ただ大きくていろんな性能を備えているだけがすべてではなくて、小さいということも非常に重要な要素の一つになってくるというふうなことがいわれておりますけれども、そういう点での検討はなさいましたか。
  375. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほどのOR作業ではそこまでインプットしておりませんけれども、その点は、OR作業と別個に、そういう批判も耳にいたしましたので、調べさせております。私がいままで耳にしておりますのでは、いまお示しの数字そのものが必ずしも正確ではないということを、私どものほうの専門家は言っているようでございます。しかし、数字そのものが、具体的に何キロ何キロという数字がそれほど正確でないのじゃないかということを言っておりますけれども、それでは片一方は何キロで見つかって片一方のほうは何キロで見つかるというところまで、現在まだ調べは至っておりません。そういう点も、全体を比較する場合の考慮の一つにしなければいけないかと思っておりますけれども、お示しの数字そのものが直ちにわれわれの調査の結果の数字というわけではないことを申し上げておきます。
  376. 吉田之久

    吉田(之)委員 それではこれは別に軍機に入る問題じゃないと思いますから、そちらの数字をおっしゃってください。
  377. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 そのお示しの数字はわれわれも見ましたけれども、われわれが調べました数字そのものをいま申し上げるだけの資料を現在持っておりませんが、ファントムが何キロで見つかって、CLが何キロで見つかるか、そのことの数字そのものは、それとは少し違うのじゃないかということを言っている、こういうことであります。
  378. 吉田之久

    吉田(之)委員 あなたの答弁は、ちょっと失礼だと思うのですよ。違っていれば違っている。こうですと言わなければ、何だかよくわからぬけれどもあなたの数字は違っているようだという言い方では、失礼ですよ。数字は違っているようだとか――さっきはそう言わなかったですよ。数字は違っていますとか、そういう感心しないような言い方はないですよ。われわれは何も万能じゃないから、間違っている数字を言っていれば、あなた方もわれわれの調査ではこうですと言ってもらいたい。こんなものは別に実験しなくたって、飛行機を置いてみればわかりますから。肉眼で、空の上だって下だってそう変わらないですからね。そういう答え方は、あまり感心しません。  長官お聞きのとおり、私は、内局の方であるとかあるいは空幕の方が、ほかのことを考えないで、もっぱら技術的、戦術的に考えた場合の結論と、それから長官などのレベルでさらにいろいろな要素を含んで高度に判断されなければならない要素とが、ずいぶんあると思うのです。だから、その点、ただ機械の答えにたよったりあるいは専門家の方々がただ戦術的にこの性能が最高ですと言ったって、それが日本の国家防衛のために、ただ大きいから、強いからそれでいいんだということにはならないということでございます。いよいよ重要な段階に入られると思いますので、われわれがいま申し上げましたことも、特に慎重に考慮される要素の中に入れておいていただきたい。これは局長はまた私の資料はおかしいだろうと言いますから、局長には言いませんけれども長官のお耳には入れておきますが、米軍は、最近、非常に重い双発戦闘機は必要な制空能力を持たすためには正当化されないという結論に達している。米空軍はこのことを国防総省に確認させ、主要任務が要撃である次期主力戦闘機に高性能の単発戦闘機を研究する承認を得たというふうなことも聞いております。また、米空軍次期主力戦闘機として単発を選んだことは、一九六七年における米軍のFの事故率、戦争に関係のない事故率が、単発のほうが双発よりも二〇%も低いということによって支持されている。要するにふだんの事故率が、双発の場合のほうが多くて、単発のほうが双発よりも二〇%も低いのだというふうなことも、アメリカのほうではいろいろと論議されているように聞いております。したがって、われわれは、特にF4Eが爆撃能力を持っておる、はずすとはいえ、飛行機それ自身は本来持っておるのだから、よけいなことでせっかくあるものをはずしたりして日本でむずかしい国産やあるいは改修をするよりも、むしろこの機会に、そんなに重く複雑で高価なものよりも、在来のF104に非常に似通って、さらに性能の高いものに変えていくほうが賢明なのではないかというふうな考え方を持っておりますので、そのことを強く申し上げておきまして、さらにいろいろと申し上げたいこともございますけれども、時間の関係もございます。要するに、私が最初に申し上げましたように、このことは非常に重要な問題でございますから、長官としても単なる事務レベルあるいは単なる行政措置だけでこの重要な機種の決定をされるべきでないということをあらためて申し添えておきまして、私の質問を終わらしていただきます。
  379. 三池信

    三池委員長 伊藤惣助丸君。
  380. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 簡単に聞きますから、国民にわかるようにひとつ答弁してください。  航空自衛隊の大室幕僚長は、去る八日、航空自衛隊が装備する次期主力戦闘機のFXについて増田長官に上申書を提出した、こういわれております。先ほど来からの質問を聞いておりましたら、国防会議の懇談会等にはかって、総理とともに正式にきめると言われておりましたが、これは事実ですか。
  381. 増田甲子七

    増田国務大臣 国防会議の議員たる国務大臣と打ち合わせの上、総理の承認を得てきめたいと思っております。
  382. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今月中にきめるという理由を伺いたいと思うのです。
  383. 増田甲子七

    増田国務大臣 今後の予定等も、昭和四十四年度の調達計画もございまして、もう過去二年間ばかり机上においてあるいは現地について調査を進めてまいっておるわけでございまして、いまが最も適当な時期である。また、予算等が十二月に編成される関係から見ましても、今月あたりにきめておくことが、最も適当な時期であると考えるわけでございます。
  384. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 現在まで三機種にしぼられまして、そして最後に選定するわけでありますけれども、その三機種についての価格は、はっきりしているわけですか。
  385. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 これは機数によってきまることでございますので、機数そのものがまだきまっておりませんので、単価そのものもそれぞれの機種について確定的なことがきまるところまでいっておりません。ある機種を採用するということがまずある時期にきまりまして、そしてどの程度それを生産するということも次にきまりまして、そのときに同時に単価がきまるという順序になろうかと思います。
  386. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは非常に大事なことでありまして、普通商売するときは、何を買うということをきめるのではなくて、たとえば六十機の場合は一機幾ら、百機の場合は幾ら、そういう概算、あるいはまた正式な契約になれば、相当厳密に積算計算、そういうものをした上でそれからきめる。すなわち、非常に安いものであればその必要もありませんけれども、一説には二千億円というふうな大きな金額でもあるといわれているわけですね。ですから、私は、選定を急ぐには何かある、こう思うわけです。本来の筋からいけば、それらの三機種をうまくあやつるといってはおかしいのですけれども、性能その他についても、確かに航続距離だとか、爆撃装置は積まないけれども、積んだ場合にはぐんと性能がいいが、それ以外にはあまり変わらない。たしかCL1010の場合ですと、ほとんどマッハも変わらないわけですね。ですから、この機種を決定する前に、三機種の一機当たり、あるいはまた予定機数当たりのはっきりした金額をきめた上で、そしてそれを競争させて安く買う。国の予算を使う上において、また国民の税金を使う上において、そういう行き方が一番いいのではないか、こう思うわけですけれども、その点について長官伺いたいと思います。
  387. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、伊藤さんのような御意見は非常にけっこうだと思っております。それで金額が先か機種が先かということはわかりませんが、おそらく同時である。金額の上からのみきめてもいけませんし、機種というものは、攻撃能力は絶対ごめんでございまして、迎撃能力、これを高めるということを主眼としておるわけでございます。そこで三機種のうち、やはり発注するからには――まだきまっていないというのは、競争もさせまして、そしてオファーをする値段がございますが、うちはこれこれで出しますといってあとでふえないようにということを、ことに注意をしておるわけでございます。一たん十億なら十億で出すといって、あとで十二億になったというようなことでは困りますから、そういうことまで厳密な、きびしい態度で、しかも競争させつつ最もよい機種を選ぼう、こういうわけでございます。
  388. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いまの長官の答弁だと、私と同じような気がするのですがね。そうしますと、何も急いで今月中になんて言わなくてもいいと私は思うのです。いま言った三機種の中で競争させて、それである程度のワクをきめまして、そしてその中でなるべく安く買う。それが逆に、最初にファントムを買うぞとこう一言えば、あなた方が選んだのだ。だから、性能がいいんだ、高いのはあたりまえだ、こう言われて、十三億が二十億になって、それでももう機種のほうは政府のほうできめてしまったからどうにもならないということになりかねないと思うのですね。ですから、そこら辺のところを国民の前に明らかにしていただきたい。私は、何も今月中に急いで機種をきめる必要はない、こう思うわけなんです。それでその反対に、どうしてもきめなければならない、そういうスケジュールに乗ってきたとするならば、いまもおっしゃいましたように二年間もやってきたわけですから、事務レベルにおいてもっと真剣にやれば、その価格を出せたはずなんですね。ですから、そうなると、今度は政府のほうにおいていままで調査団を派遣したけれども、その点では真剣でなかったともいえるわけですよ。その点について、長官どうですか。
  389. 増田甲子七

    増田国務大臣 今月中にというとえらいせいたように聞こえますけれども、私は昨年から昭和四十四年度の予算編成前までにということを言っておるのでありまして、十月になって急に思い立って、どうでもこうでも今月中にと言っているわけではないのでございまして、昭和四十四年度の予算編成前までにということは言っております。そうすると、予算はおおむね十二月中に閣議決定を経まして、それで一月の通常国会の再開劈頭において印刷として国会に提出する、これが順序でございまして、その順序を逆算してみますと、最終のぎりぎりが今月ということに相なるわけでございます。
  390. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がないですから急いで聞きますけれども、私もそう思うわけですよ。長官が急ぐ理由はわかります。来年度の予算編成もあるし、本来なら八月くらいまでに決定したかった、今月中に決定しなければ来年度予算編成について困るという気持ちは、よくわかります。であるならば、なおさら早く価格競争をさせた上でお互いに決定する、あるいは価格を安くするのに値切るといいますか、そういうようにさせていくほうがよいのではないか。私は時間があればこの前にもっと聞きたいわけですけれども、機種がきまらないうちに、CL1010であろうとファントムであろうと、ライセンス生産するのは全部三菱である、こう決定して発表いたしましたね。それはやはり私はそういうことがあるのではないかと思ったわけです。そうしてメーカー同士のそういうこまかい打ち合わせ、あるいはまた技術提携に対するいろいろな問題を検討するために、早くきめるべきではなかったのか。そして一機当たりの価格競争をさせた上で、長官が、ちょうど予算の最終ぎりぎり、十月の末あたりに安く手を打って決定する、こういう形がいいのではないかと思うのですけれども、まだ時間は多少ありますので、その点について長官から御答弁をいただきたい。
  391. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤さんの御意見は全然同感でございまして、まずメーカーをきめまして、私どものほうも打ち合わせをいたしますけれども、メーカーが向こうのメーカーに打ち合わせをして、そうして公正なる競争をさせて安いところへ落ちつけられるかどうかということを、メーカー自身にもPPBSというようなことでやらせておるわけでございます。そういうわけで先にメーカーをきめましたが、このメーカー自身は客観的に妥当な線できめたものでございますことは伊藤さんも御承認願える、こう感じるわけでございます。そこで、メーカーを先にきめてから向こうのメーカーと打ち合わせをいたしまして、なるべくフェアな競争をして、そして安いもので、しかも機能が迎撃能力としてすぐれておるもの、そういう見地からやらせておるのでございまして、お説は全然同感でございまして、いまそういうコースをたどっておるわけでございます。
  392. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ですから、その機種が選定されろ前に一機当たりの価格がはっきりするということだと思うわけです。それを私が認めるということはまた別なことですから、必ずしもおっしゃっていることが――ただ買う段階においては、そういう行き方が当然なんだし、それを、値段をきめる前から機種を決定するのはおかしいということを申し上げたわけです。  次に、これはきのうの報道でありますけれども、一二次防、四次防としてFXを百機装備する、またこれに伴ってFXの飛行隊の編成は現在のF104J七個飛行隊から五個飛行隊に改編するということが報道されましたけれども、これは事実ですか。
  393. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 FX百機というふうにおっしゃったと思いますけれども、そういうことでしたら、そういう数字はまだきまっておりません。
  394. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 現在の航空自衛隊の勢力と減耗関係について、ちょっと説明していただきたいと思います。
  395. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 104について申し上げますと、現在七個飛行隊でございますけれども、四十七年ごろから一個隊減ってまいりまして、さらに五十年ごろになりますと、もう一個隊減る。つまり現在七個飛行隊が四十七年では六個隊、五十年では五個隊程度になろうかという勘定をしております。それから86Fで申し上げますと、現在八個隊でございますが、四十五年度に一個隊減りまして七飛行隊、四十八年度にまた一個隊減りまして六飛行隊、そのあと急激に減ってまいりまして、五十二年度ではゼロになる可能性がございます。先ほど大出先生のときに申し上げましたけれども、こういう計算はいろいろな仮定の数字を前提にしておりますので、このとおりいくかどうかわかりませんが、一応そういう推測をいたしております。
  396. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、大体わかるわけですが、今度きまるFXの部隊の配置計画ですね、これをちょっと伺っておきたいと思います。
  397. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 FXにつきましては、飛行隊そのものの数字もまだ確定的でございません。機種そのものも確定的でないと同時に部隊数そのものも確定的でございませんので、どこにどういうふうに置くか、配置をきめるというところまでまだまだいっておりません。
  398. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するにはっきりいえばわかっているんでしょうけれども、ただ言えない理由があるのだろうと思うんですけれども、こういうことから逆算して、初めて今月きめなくちゃいけないということになると思うのです。たとえば長官が二年間かかって検討して、もうそろそろいいだろうというのじゃなくて、こういう問題については、すでにそういう一つの裏づけがあって、初めてそこから説得力のある説明がつくのだと思うのです。先ほどからも聞いているのだけれども、そういう話が何もないわけですね。そういうことをはっきり言っていただきたいということですよ。特に今度のFXについては、いろいろありますけれども、前の会議録なんか読んでますと、F104Jなんというのは最後の有人機だ、こういうことを言われているわけですね。そしてファントムがFXになって――なるかどうかわかりませんけれども、なりそうな関係にあるわけですね。さらに、これについては相当の研究開発費が負担させられるのじゃないかというようなこともいわれておるわけです。ですから、ここら辺の考え方をはっきりと聞いておきたいわけなんです。わからないようでしたら、次の機会に聞きたいと思いますが、F104のパイロットの養成費とファントムに乗る場合のパイロットの養成費というものはどのくらい違うのか、これを両方教えていただきたいと思います。
  399. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほどのをちょっと補足して申し上げますけれども、部隊をどこにどういうふうに置くかということは決定しておらないわけでございます。先生指摘のそういう検討の作業の要素としては、先ほど申し上げましたOR作業なんかには、どこにどういうふうに置けばどういうふうに効率的である、別の置き方をすれば効率が下がるというようなことは計画としていたしておりますが、その結論が得られておりませんので、具体的には申し上げかねる、こういうことでございます。  それから次にお尋ねの104パイロットの養成費は、一人当たり約五千七百六十万円程度でございます。新戦闘機の機種につきましては決定しましたら、詳細にそういうことも計算しなければいかぬと思っておりますけれども、現在それぞれの機種についてどういうふうな費用がかかるかということを申し上げる段階でございませんので、数字はごかんべん願いたいと思います。
  400. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ファントムの場合幾ら、CLの場合幾ら、ミラージュの場合幾らというくらいに、当然計算してあたりまえじゃないでしょうか。そうしなければ、先ほどから何かいろいろ言っておりますその費用対効果の上からいっても、これは全然ずさんといえばずさんといわざるを得ないと思うのです。しかも、ファントムのほうは二人乗りですね。ですから、相当に違うと思うわけです。その点ひとつはっきり教えてください。
  401. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 費用対効果を出しますために、いろいろな積算はいたしました。ファントムの場合には、御指摘のように後席、前席ありますので、二人のパイロットが要ります。二人のパイロットも、完全なパイロットである必要があるかという点もございます。それからミラージュとかCL1010でしたら、単座でございますから、パイロットの乗務員数は一機について一人でございますけれども、それを仕上げるために104Jの場合にDJという複座練習機を必要としましたが、CL01010、ミラージュの場合でも、本来の実用機のほかにそういう練習機も必要になろうかと思います。ファントムの場合にはおそらくそれが必要でないというふうなことでずっと積算をいたしまして、三機種を性能的にも比較いたしましたが、そういうパイロット養成のための積み上げ計算もいたしまして、それが比較の一つの要素になりまして、どれがすぐれている、どれが劣っているというふうなことの計算はいたしておりますけれども、結果はまだ出ておりませんので、どれがすぐれているか、つまり費用だけの点で見ますと、結局安いほうがすぐれていることになりますが、それだけでは決しません。先ほども申し上げましたナイキとかホークとの組み合わせ等、全部比較しなければなりませんので、そのこと自身、いままだ全部きまっておりません。いろいろ取りざたをされておりますけれども、公式にきまっておりませんので、その点の具体的な数字は御容赦をお願いしたい、こういうことでございます。
  402. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がありませんから前に進みますが、四次防におけるわが国の防空基本体制ですね、構想とまでいかなくても、体制について伺っておきたいわけです。特にミサイルというか、ナイキとの関係についてどのような体制でいくのか、それによって、やはり防空体制のほうもきまっていくと思うわけです。
  403. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 次期防につきましては、まだぼつぼつ勉強を始めているところでございまして、具体的な構想を立てるというところまでいっておりません。四次防とおっしゃいましたけれども、次期防全体の構想については、まだ数年ございますので、これから詳しい検討をしなければいかぬと思っておりますけれども、まだ具体的な構想を立てる段階でございませんが、今度のFXをおきめ願うことに関連いたしまして、防空関係については若干の検討をいたしました。お尋ねのミサイル関係、ナイキ、ホーク等の関係につきましては、先ほどから申し上げております導入する新機種との関連において、ある種の想定をつくりまして、どういう効果があるかということを計算いたしております。具体的な数字はやはりごかんべん願いたいと思いますけれども、現在御承知のように二個大隊あり、三次防中にあと二個大隊ずつふやしまして、さらに一大隊準備をするということで、大体次期防にかかりますころには四個ないし五個大隊程度のものが、ミサイル関係、ナイキ、ホーク関係で予定されております。次期防におきまして、FXとの関連で申しますと、それよりも若干増勢をする必要があろうか、わが国の防空力を整備しますためには、それよりも若干増加したいという希望を持っておりますけれども、どの程度ふやせばいいかということにつきましては、ずいぶん費用がかかりますし、これから具体的にきめていきたい、こういうふうに考えております。
  404. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 機種選定の基準について伺いたいわけですが、これは秘密でやっているようでありますけれども、できるだけ国民にわかるように簡単に答弁願いたいわけです。
  405. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 選定の基準ということでございましたら、現在九機種から三機種にしぼっておりますけれどもいそのしぼりました基準としまして、第一には新戦闘機の単体、一つの飛行機の性能におきまして、飛行性能、あるいは戦闘能力、それから航法関係、開発関係、それから安全性、将来の成長可能性といった分野にわたって総合的に考えて、わが国の防空上の運用要求に即応するものというふうな基準を立てて選定いたしました。さらにこの三機種から一機種にしぼるということにおきまして、現在OR作業その他をやっている。その基準は先ほどから申し上げているとおりでございます。さらに、先ほども申し上げましたけれども、その新戦闘機の単体の性能のほかに、現在持っております104Jとの組み合わせあるいはナイキやホークとの組み合わせを考えまして、総合的に武器体系から考えまして費用対効果を見まして、最も効果的な効率的なものにしたい、こういうふうな考え方で作業を進めております。
  406. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 一つは作戦運用、要するに用兵目的というものがあると思うのです。そういう点は基準に考えなかったわけですか。
  407. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 最初に申し上げました飛行性能あるいは戦闘能力、そういったものが主としてそういう作戦関係の要求でございます。
  408. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 秘密だから言えないのでしょうと思うのですけれども、そのほか、要求性能であるとか、整備性と信頼性だとか、国内の生産を前提に考えた生産性、それから作戦可能飛行状態考えた上での価格、こういったものをそれぞれ三〇%、二〇%、二〇%、一五%、一五%、こういうふうに当てはめて総合評価し、ファントムが八〇%とか、ミラージュが六五%であるとか、あるいはまたロッキードが五〇%だとか、こういうふうにきめたのではないかと考えるわけですが、その点いかがでしょうか。
  409. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 選定の作業としまして、そういう先生のおっしゃったような性能ごとに評定をいたしまして、三機種それぞれ長短を評定しまして点数を出したということは、先ほども申し上げましたけれども、そういう作業はやっております。お示しの数字がそれであるかどうかについては、ちょっと言明いたしかねますけれども、そういう作業はいたしまして、候補機種をきめる作業をやっております。
  410. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いままであった質問は割愛しまして、次に進みますが、防衛庁納入までの過程をはっきり聞きたいわけです。すなわち、機種がきまって、国内で生産される。そうすると、予算要求とか、政府間協定とか、技術援助協定とか、いろいろな問題があるわけですね。どういうふうな経路でいくのか、その経路を伺いたいわけです。どんな商社が入るか、ただ商社でかまわないわけですけれども、その点伺っておきます。
  411. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 現在までにメーカーがきまりましたけれども、今後機種がきまりましたら、その機種につきまして、こういう第一線戦闘機でございますので、政府間協定が必要になってきます。その交渉が始まります。もちろんその前に予算要求がございますが、予算が国会で承認されますと、それに基づきましてメーカーが向こうのメーカーとの技術導入協定を結びまして、それが米国政府の承認を受けるということになっております。それに基づきまして、われわれは予算が確定しますと、現実の調達計画を行なうという経過になっております。  いま先生のおっしゃいました商社という問題でございますが、御質問の意味がよくわかりませんが、現段階では、われわれの作業には商社は全然関与しておりません。われわれはいままでの機種決定に必要な、またわれわれがFXを導入するについての必要な、いろいろな価格の勉強はいたしております。これは全部直接にわれわれが必要方面からとって勉強しております。  それから現実にわれわれは国内のメーカーと契約いたします。現在十五日にメーカーがきまりまして、昨日から三菱、川崎は相手側の関係会社に行っております。アメリカに参っております。そういう交渉は、直接メーカーでいたします。そういう関係で、われわれの事務段階の作業には商社は入っておりません。
  412. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それはわかります。しかし、いままでもやはり商社は表面的には出てきていないわけです。しかし、部品をいままで何回も輸入している場合に、必ずそれらの商社を通ってこちらに入ってきておるわけなんですね。その点どうですか。
  413. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 現実に仕事が進んでまいりますと、商社を活用したほうが有利である、有効であるという面につきましては、商社を活用しております。たとえば現地に人間がおる。その人件費なり事務費なりそういうような作業を考えまして、商社を使う、商社活動を使ったほうが有利であるというものにつきましては、今後も商社を使っていきたいというふうに考えます。
  414. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いままで数多くの装備品等を輸入しているわけでありますけれども、装備品等の輸入取り扱い手数料について、ありましたら、主要品でけっこうですから、簡単に伺っておきたい。
  415. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 大体商社を使います場合の手数料は、品物の価格によって差がございます。商社の手数料は、通信費なり、人件費なり、旅費なり、滞在費なり、あるいは私のほうにはございませんが、一般商社の経費の中で大きいのは金融関係でございます。そういうものの中から、私どものほうから必要とする経費を見ますけれども、やはり額の大きなものでも小さなものでも、手数がかかる部面が共通の面につきましてはございますので、額の小さいものにつきましては比較的手数料が高うございますが、大体私のほうで使っておりますものにつきましては、一%ないし二%、大きなものになりますと〇・三%くらいからございますが、大体一般的に申しまして、一ないし二%の手数料を払っているということでございます。
  416. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その輸入取り扱い手数料について、いままでの資料ですね、それを要求したいのですが、いかがですか。
  417. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 一般的な数字としての資料がございますので、これをお出しいたします。
  418. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、たとえばファトムを買う場合には、いろいろな経路で日商もタッチしておる。CL1010を買う場合には、やはりその裏に丸紅飯田がタッチしている。通称そういわれているわけですね。それはそれなりの理由があるでしょう。さらにまた、いまいったような正規の手数料というような面からも、払わなくちゃならぬという事実もあるわけです。しかし、それに比べまして、いままでアメリカから有償援助の中で、政府間協定で購入したものがあると思うのです。それがどんなものがあるか、ちょっと伺いたいと思います。
  419. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 FMSで買っておりますもの、政府間協定と申しますか、向こうの政府から買っておるものでございますが、一番大きなもので、第二次ミサイル、ホークがございます。その他、大体日本で米軍から供与されました装備品の部品は、大体が買っております。それから、たとえばアスロックのように非常に機密度の高いものは、米軍から買っております。
  420. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私がここで申し上げたいことは、FXをめぐりましていろいろなうわさが出ているわけであります。特にうわさの原因になっておりますのは、やはり政治家と商社の関係というようなことがいわれているわけです。われわれ国民立場から申し上げますと、同じ兵器を買った中でも、いま申し上げましたように、全然商社の入らないものと入っているものとあるわけであります。私は先ほど来から話を聞いておりまして、やはりファントムというのは相当に秘密がある、パテントがあるというふうにも聞いているわけでありますけれども、こういうものの購入には、そういううわさの温床となるような関係を断つことが大事じゃないか。したがって、商社等の介入は一切許さない。いままでも政府間協定等において、商社を入れないで購入したケースも多いわけですから、そういう点の考えがあるかどうか、長官から伺っておきたいのです。
  421. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもは、商社というのはあまり介入しないほうがいいと思っております。そこで、このCL1010とミラージュのことはよくわかりませんけれども、F104等は、それぞれ商社があるようなうわさは聞いておりまするが、いずれもアメリカ側のメーカーが日本側の貿易商社を使って、そうして日本のメーカーにいろいろな取り次ぎをするとか、こういうことでございまして、日本政府と交渉し、金を払うのは今度きめました日本政府調達実施本部長になると思いますが、その名前で、三菱重工業約六割、川崎航空機約四割、取りまとめは最後は三菱重工業がやる、こういうことでございますが、そのアメリカ側のメーカーと日本のメーカーと、直接話ができれば一番いいと思いますけれども、アメリカ側のメーカーが日本側の貿易商社をたよるわけでございまして、そこで〇・三%だとか、あるいは一%だとか、私はよく存じませんけれども、手数料を払う。アメリカ側のメーカーが、日本側の商社に払う問題でございまして、政府は三菱重工業ないし川崎航空機に払う。これだけといいたいところですけれども、それ以外に実はございます。それは三菱重工業を通じて、生産のライセンスを買ってくる。専売特許を買ってくる。その専売特許の費用、これは払います。プラスアルファでございます。これは一機当たり幾らということに結局なると思います。  それから伊藤さんのお聞きになりたかったのは、RアンドDというリサーチ・アンド・デベロップメント、研究開発費でございます。研究開発費は、CL1010につきましても、F4ファントムにつきましても、フランスのミラージュにつきましても、それぞれ政府が力を入れて開発をしたという歴史がございますから、そこで、最近RアンドDがやかましくなったのは、ドル防衛関係でRアンドDを日本政府から、ぜひアメリカの国防省、国務省、外務省といいますか、そちらへ払ってくれ、こういうことになりまして、これは若干払うことになると思います。しかし、その支払い方は、いつ払うかといいますと、それは製品を納入したときにわれわれが金を払います。その金の中にRアンドD、アメリカ合衆国政府の研究開発費が一機ごとに含まれていくということでないと、なかなか大蔵省も承知しませんし、私はそのほうが、大蔵省の言い分がものの道理にかなっておると思います。その線だけは、二つは払います。要するに、それだけが全体の生産費と見てもよろしいのではないか。生産費の中に、一機当たりにRアンドDの部分が幾部分か入っておりますし、ライセンス料が幾部分か入っておる。しこうしてライセンスや何かの払い方は、私はちょっとさだかではございませんが、RアンドDだけは実物が生産されて金を払うときに、一機ずつに金を掛けていくというような支払い方式で、日本政府からアメリカ合衆国政府に払う、あるいはフランス政府へ払う、こういうことになると思います。
  422. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ほんとうに時間がなくてなんですけれど、現在のシステムでは向こうが商社を通して指定していくからしようがないというような長官お話のようでございますが、しかし私は、今後いろいろな面でやはりそういう調達ということがあると思うのです。ですから、それが商習慣として、また国際間において、一つの商取引の常識だというかもしれないけれども、やはりいろいろなうわさがある以上、あえてそういううわさを断ち切っていくぐらいの、長官としての一つは姿勢を示していただきたい。いろいろな人が言っているわけですね。たとえば、これはうわさですからあれですけれども、今度の機種の決定は総裁公選に関係があるとか、さらに商社が関係すれば最低一割は商社の手に落ちるとか、これはラジオやテレビでも放送になりました。さらに、そういう黒い霧といわれるような、いままでの商戦も、すでに政治献金は四十二年度あたりからやっておる、こういう事実もあるわけであります。したがって、私たちはそういう問題は契約が終わったあとでなければわからないことであります。しかし、そういうことが一般に出ておるという面から、前向きに長官が、そんなことはないのだ、商社なんか一切タッチさせないのだ、いままでの商習慣はそうであっても、今回に限っては政府間協定のような姿でいくのだとか、そういう体制でいくべきだ。さらにまた、国民立場からいうならば、高い買いものですから、たとえ一円でも幾らでも安いほうが国のためになるわけです。本質的には公明党は、かような次期戦闘機については賛成はいたしませんけれども、しかし、現在の過程でいうならば、そういうところにもまた問題があり、長官としてはっきりとした姿勢を示すべきではないか、こう思うわけですが、長官の所見を伺っておきたいと思います。
  423. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤さんの御質問ではございますけれども、その黒い霧云々ということにつきましては、私はきわめてきびしい態度をとっております。伊藤さんから何かあるやのごとき御発言は、返上いたしたいと思います。私は、グラマン、ロッキードのときに一つ騒ぎが起きました、ああいう騒ぎが起こった場合、これは問題があったかどうかわかりませんが、騒ぎがあったことだけは事実でございますから、そういうふうな騒ぎを再び起こしたくない、起こすなよ、こういうようなことの特別な委任を総理から受けまして、特別の指示を受けまして、防衛庁長官を拝命しておるものでございますが、この二年間にわたりまして、多少の黒い霧がないでもなかったようです。飲ましてもらったとか食わしてもらったとかいうことで諭旨免職にしたのもあります。だけれども、伝えられるごとき一〇%だとか一五%だとかいうことはとんでもないうわさでございまして、そういうことがあり得るはずはありません。要するに、商社に払うものはおおむね一%であり、かりに二千億としても――これは二千億ということはございませんが、昭和五十二年度までに二千億で、それの一%で二十億円なんですから、十年間かかって一年に二億円というものを、通信料やあるいは飛んで歩いたりまとめたりするために商社も働くから、アメリカのメーカーが日本の商社に払うわけでございます。そこで、防衛庁関係、調達庁関係はきわめて公平である、上から下まですべて公正である、このことをぜひとも御認識願って、公明新聞等においてこのことを特に明瞭にお書きを願いたいと思います。これはやはり対話が必要でございますから、私が特にあなたに陳情申し上げる次第であります。  それから、商社で政治結社に寄付したものがあるのじゃないか。私はあることは認めますが、非常に好ましくないことである。特に国家の請負に携わる者が寄付してはいけないのです。それから国家に対して間接の請負でありましょうとも――つまりアメリカのメーカーが日本のメーカー、日本の商社を使う。そこで一その日本の商社が日本の政治結社に政治献金をするというようなことは、多少あったでありましょう。届け出もありましょうし、私もそれが二千万とかなんとか聞いておりますが、これは好ましい姿ではない。やはり自粛してもらいたいと考えております。やめてもらいたいと思っております。
  424. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 非常に勇気のある発言のように私は思うわけですけれども、装備局長にちょっと伺っておきたいのですが、この融資の援助の中で、先ほどホークと申しましたが、これは商社が入らなかったわけですね。
  425. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 契約は日本とアメリカとしておりますけれども、運搬等の実務は商社がやっております。それでございますと、商社には手数料を払っておりません。
  426. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いずれにしても、事実政府間協定で、どのような形でタッチされたかわかりませんけれども、全然そのような手数料を払わないような姿でやっていることも事実なわけです。この次期戦闘機については、当然そのような姿でいくべきである。さらにまたこれからの調達方式についても、商社などを絶対にタッチさせるべきではない。さらに今回の機種選定に至るまでについては、商社を通さないでメーカーに直接行って調べてきた、こういうようなことを伺っております。私はその点ではいいと思います。ただ、しかし、最後に商社を通すということについては、やはりこれはいろいろな面で問題があるのではないか、こう思いますが、その点長官から……。
  427. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、メーカー同士話をするのが一番いいと思いますから、伊藤さんと同意見です。そこでメーカー同士の話もあるのです。ホークなんかそうでございます。ホークというものはメーカー同士の話である、こう考えております。途中に商社が入ったとすれば、それはどこかが頼んだのであって、政府は頼まない。そこでF104は、いままでのところ三菱商事という商社が入っております。これは将来はもう新しく増加生産ということはいたしませんけれども、いままでは入っておりました。そこで今度はCL1010はない、あるいはF104ファントムはないというようなことが伝えられておりますが、一面非常に便利であるということで、取りまとめに苦労したり、奔走したりいたします関係で、ことばの相違等もありまして、メーカー側にはなかなかそれだけのことばを駆使できないというようなこともあって、アメリカのメーカーがたよりにしているわけなんですよ。できれば伊藤さんのおっしゃるように、私は、貿易商社が仲に入るということはやめて、メーカー同士が話をしたらやはり一番いいのではないかということを申しましたが、ほんとうに些少な手数料を払ってやってもらうことが結局取りまとめ役として必要なんだということをアメリカ側のメーカーが言っておった、こういうことでありまして、これから後も商社なんかとは話し合いはいたしません。三菱重工業、川崎航空機と直接話し合いをするわけでございます。そこでライセンスを持ってきたり、いろいろなものを持ってくるときに、アメリカ側のメーカーが使うわけでございます。このことをぜひとも国民の前に明らかにいたしたい。われわれが直接交渉をするのは、三菱重工業並びに川崎航空機だけでございます。
  428. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 どうかどんな形ででも商社にタッチさせない、こういう形でやっていただきたい、このことを要望申し上げておきます。  さらに、各機種のいろいろな操縦士の費用だとか飛行機の性能だとかがきまるまでは極秘でしょうけれども、決定すればかくのごとき状態であったということを国民の前に明らかにしたほうがいいのではないかと思うわけです。その点について長官から伺っておきたいわけです。たとえばファントム、ミラージュ、CL1010の、すなわち極秘極秘というのは、いわゆる装備の点だとかいろいろな性能の点だと思いますが、それ以外はこのような状態でこうきめたのだということを当然公表すべきだと思いますが、その点の長官の所見を伺っておきたいと思います。
  429. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤さんにお答えいたしますが、通常F104を動かすまでに二億円かかるということをいっておりますが、事実は五千七百六十万円であるということは、先ほど防衛局長お話し申し上げたとおりでございます、パイロット一人当たりの養成費が。もっともこれは飛行時間にもよりましょうが、一応F104が操縦し得る状態になるまでには、五千七百六十万円であるということを先ほど申し上げました。そこでCL1010の場合はどうか、ミラージュの場合はどうか、これは単座でございますから、少しよけいかかるのではないかと私は考えております。よけいかかると申しましても、それは比較的な問題でございまして、たいしたことはない。それからF4ファントムの場合は、二人で操縦して連動式になっているという関係もございまして、F104Dと同じようなものでございまして、Dを動かし得る状態になればF4ファントム機を動かし得る。比較的。パイロットの養成は――比較的でございますけれども、安いのではないか。きまりました場合には、パイロットの一人当たりの養成費ということについて、機会を得て、外国に対して失礼にならない程度において国会議員のコンセンサスを得たい、そういう意味において申し上げたいと思っております。
  430. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最後に一言……。  長官が相当の決意で今度は取り組んでいらっしゃることがよくわかるわけですが、最初長官は、商社なんか絶対入れるべきではない、しかしアメリカがどうしても使いたいのだ、そう言っていることに、長官が何となく納得しているような姿を感じます。ですから、最初の考えどおり、最後まで商社はタッチさせない、こういう形でいっていただきたいと思うのですが、長官の所見をお伺いします。
  431. 増田甲子七

    増田国務大臣 私の考えは、伊藤さんと大体同じでございます。がしかし、アメリカのメーカーがどうしても日本の商社を使いたいと言うのですから、そこまでいろいろ言うこともなんでございまするし、また商社側にやると便利なこともあって――取りまとめを一切やるわけでして、安い費用でやっているわけで、伝えられるごときことは絶対ない、このことだけは、だんだんお話の間において伊藤さんもおわかりくだすったのではないか。そういう意味で、伊藤さんの御質問国民の皆さまの前に明らかになる意味において非常に有益だったと思う次第でございます。
  432. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 じゃ、終わります。
  433. 三池信

    三池委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後十時十二分散会