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1968-10-07 第59回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月七日(月曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 浦野 幸男君 理事 塚田  徹君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 受田 新吉君       淡谷 悠藏君    板川 正吾君       大原  亨君    武部  文君       華山 親義君    浜田 光人君       安井 吉典君   米内山義一郎君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府総務副長         官       弘津 恭輔君         総理府人事局長 栗山 廉平君         経済企画庁長官         官房長     岩尾  一君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主計局給         与課長     相原 三郎君         労働省労政局長 松永 正男君         自治省行政局公         務員部長    鎌田 要人君         専  門  員 茨木 純一君     ───────────── 九月十七日  委員塩谷一夫君及び華山親義辞任につき、そ  の補欠として増岡博之君及び八木昇君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員増岡博之君及び八木昇辞任につき、その  補欠として塩谷一夫君及び華山親義君が議長の  指名委員に選任された。 十月七日  委員淡谷悠藏君及び稻村隆一君辞任につき、そ  の補欠として板川正吾君及び大原亨君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員板川正吾君及び大原亨辞任につき、その  補欠として淡谷悠藏君及び稻村隆一君が議長の  指名委員に選任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件(人事院勧告に関する  問題)      ────◇─────
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 あしたという日にちで公務員皆さんストライキをおやりになるということで、ほとんどすべての新聞が扱っているところですけれども、私もここに神奈川のローカル新聞を持っておりますが、これには、「あす公務員統一スト最大規模発展か」というので、公務員方々ストライキと銘打った形のものが、いまだかつてない最大規模、こういう取り扱い新聞がいたしておりますが、これは旧来の例からいきますと、処分だの、あるいはそれに対してまた反対の行動だのという繰り返しが続いているわけであります。そういう意味では、公務員皆さんはよほどの決意をしたという実は気がするのでありまして、ここまでの決意をさせてしまったということ自体に私は問題があると思うのですね。これは労働省労政局長見えたけれどもドライヤー委員会日本に参りまして、当時石田さんが労働大臣をやっておるときなんですけれども労働大臣がお目にかかって、相互信頼回復という形のことを強く主張されて、特にそのイニシアチブ政府がとるべきであるというのですね。このことをドライヤー委員会は特に強調して、そのことを政府は受けたわけですね。そこに総評等との定期会議なんてものが何回か、中断されましたが、持たれたわけですね。そうすると、相当な相互不信がなければ、戦後最大規模だなどという、これは公務員皆さんだけの計画ですから、ここまで来るなどということはあり得ないわけですね。だとすると、あのころからいままで相互信頼回復どころではなくて不信感が強まれこそすれ、緩和されていないということになる。大臣おいでになりませんから、労政局長のお立場では答えにくいことだと思います。思いますが、先般小川労働大臣おいでいただいて私が質問申し上げたときに、今日のこの代償機関たる人事院というもの、これが代償機関としてはきわめて不完全なものであって、閣議がきめた八月実施というものはきわめて遺憾だというふうに表現されておるわけです。だから、私はそのことを前提に置いてひとつお考えをいただきたい、こういう気持ちなんです。だから、ここまでのことにしてしまった責任の一半は政府にある。この点を私はまず総務長官に承りたいわけです。これは公務員だけが悪いんだとは決して言い切れないものが政府にある、責任がある、この点を御確認をいただきたい。いかがですか。
  4. 田中龍夫

    田中国務大臣 公務員諸君とわれわれは、いわゆる資本家労働者というようなものでは本質的にはない。われわれは同じかまのめしをともに食っておる同士であり、公務員同士でございます。さような関係から申しまして、われわれは財政の許す限りにおいては公務員諸君生活向上なり社会的地位向上ということについて真剣に取り組まなきゃならぬ、そこに不信感というものがあっては相ならぬと私は存ずるのでございます。さようなことが原則として前提として考えられました今日の時点において、人事院勧告を私どもはぜひとも完全に尊重いたしたいということで、この委員会で何べんも私は御回答申し上げております。しかるに予備費の問題に関連いたしまして、総合予算主義というたてまえから、私はここでは前回は、渡れる橋から渡ってまいりたいということを大出先生にお答え申し上げたような次第でございますが、現在、財政当局回答を待ちますと、どうしてもすでに渡る橋がなくなっておるというような回答になっておる。この点はなはだ遺憾にたえないのでございますが、しかしながら、私どもはこの限りにおきましても人事院勧告の趣旨をできる限り尊重いたしまして、まあこれはわずかなことで申しわけないとは思うのでありますが、しかし、通勤手当につきましては実費弁償というような考え方からも五月実施ということにいたしたわけでございますが、他の一般給与の面におきましていろいろと検討いたしましたが、財源の上から申しまして八月実施にとどまらざるを得なかったことは非常に残念に存じております。そういうことから端を発しまして、公務員共闘諸君ストというようなことを御計画でございますが、ただいまも公務員共闘諸君と面会をいたしてまいったのでありますが、私ども国家公務員地方公務員を通じまして、国民奉仕者であるということから申しましても、あるいはまたその本質にかんがみましても、国民に御迷惑をかけるようなストというものは断じて行なうべきものではないんだ、それは違法性のものであって法的に許さるべきものでないということをじゅんじゅんとお話をしてまいったところでございます。まあ私ども完全実施できなかったことにつきましてはまことに痛恨禁じ得ないものがありますが、しかしまた政府の台所ということも同士である公務員諸君に一面わかってもらわないと困るのでございまして、その点は今後ともにお互いかもっともっと話し合ってまいりたいと考えております。
  5. 大出俊

    大出委員 私は端的に申し上げたのですが、各官庁、使用者側としての政府という立場でものを考える場合、通達その他いろいろお出しになっているんだけれども、一方的に公務員諸君責任を追及するという形のものばかり出ているわけですよ。政府努力つまり政府責任というものに触れてものを言っているものはほとんどない。ここに私は非常に大きな問題があると思う。だからいま冒頭に、相互信頼回復、これをドライヤー調査団日本に来たときにはっきり表に出した。しかもその相互信頼回復イニシアチブ政府が持つべきであるという明確な言い方をした。政府はそれを受けたのですね。だから定期会議なんてものを考えたわけですよ。これはお互い責任を持ち合うという意味における政府責任、これをやはり明らかにした上でものを言っていただかぬと、いささかもってこれは公務員諸君に酷であり、あまりにも上方的だというそしりを免れぬことになる。だから完全実施しないでいいとは、思っておられないでしょう。総務長官自身そう思っておられない。だから先ほど来、このどたんばへきてもなおかつたいへんな努力をされている姿が現にある。だとするとそれが通らなかった、給与担当大臣としてできなかったという点については、努力のほどは十分了解をいたしますけれども、なおかつやはり政府責任というものをお感じをいただきたい、こう私は思う。先ほど来努力をされた総務長官の主張が閣内を通っておるとすれば、今回のこの問題は解決をしているかもしれない。そうだとすると、そこにやはり政府責任というものがある。この前提でものをお考えいただきませんと、人事院勧告をしたものを、何回も何回も、毎年完全実施をされない。一方、労働省松永さんおいでになるけれども、三十二年来公労委の裁定というものは完全実施をされてきている。先般小川労働大臣が、総務長官おいでになるところで答弁をされましたが、はっきりあそこでも小川さんは労働省立場でものを言っておられる。そういう意味政府にも責任がある、この点を私はやはりはっきりしておいていただきたい、こう思っているわけです。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 毎年のように完全実施のことを申しておるというようなことがさらにまた不信感を増しておるという結果にも相なってくるということでございますが、私どもは過ぐる給与決定あたりまして、来年こそはわれわれがどうしてもこれは完全実施できるようにしなければならぬのだ、各閣僚ともにみんなが同じような気持ちでございまして、そこで来年度の四十四年度の予算編成以前までにわれわれは人事院を加えました関係閣僚会議を開いて——いままでは確かに事務当局同士いろいろ話を詰めた、詰めたけれどもどうしてもそれを乗り切れない壁がある、その壁というものが事務的には乗り切れなくても、そこを大悟一番打ち破っていかなければ解決できない。そういうことから、今回は来年度の予算編成までに必ずその壁をこわして、そうして人事院勧告完全実施ができるようにひとつ全力をあげよう、これが七人委員会のわれわれの総意でございまして、その点はどうかひとつ今後の推移をごらんになっていただきたいと思います。
  7. 大出俊

    大出委員 ここまできて長いことばは私のほうも一要求いたしませんが、政府の側にも一責任があるという点をお認めいただきたいのですが、いかがですか。
  8. 田中龍夫

    田中国務大臣 さような意味におきまして、政府人事院勧告でございますから、われわれといたしましては、これを完全に行なうという当然の政治的な責任を負っております。
  9. 大出俊

    大出委員 私はこれから先のことがありますのでくどくいま申し上げたのですが、つまり、相互信頼回復というものは、相互責任を持ち合おうというところから出発するのだと私は思いますね。そういう意味で、あまりにも一方的に、政府のほうは完全実施への努力はされたが、結果的にできなかった、現時点では。先に法案が出てくるのですからまだわかりませんよ。わかりませんが、閣議決定あるいはその後における情勢をながめるならば、現時点では、完全実施考えたができなかったという結論が出た、こういうわけですね。その意味における責任はまず政府の側で負っていただいて——いまお認めいただきましたからいいのですが、その上でものを言っていただくということでないと、あまりといえば一方的ではないか。片方はそれによって生活をささえているのですから。だから、幾ら幹部諸君職場へ行ってものを言ったって、職場皆さんが、公務員皆さんがついてくるこないというのは個々の判断です。ところがそれがついてきて、皆さん処分処分とおっしゃるにもかかわらず一つの統一した行動をやろうというところまで発展をしてくるということは、個々人の気持ちの中に、それはいろいろな複雑な気持ちがありましょうけれども、その行動に参画をするという意思が働いている。なぜかというと、あまりといえばひどいじゃないかという気持ちがあるからです。毎年毎年のことですから。だから、そうだとすれば、一方的にその責任だけを追及したのでは事は決着しない。政府の側にある責任というものについてはお認めをいただいて、その上で皆さんのほうもわかってくれというのがこれは順序です。そういう意味でいま申し上げたわけです。だから、これはひとつ冒頭に申し上げておきたいのでありますけれども、きょうからあしたにかけてどういうことがあったにしても、できるだけ政府皆さんの側は——なおこれは、法案を立案をされて政府はお出しになるのですから、それらの問題をめぐって公務員諸君ともひとつできるだけ話し合いをしながら、先々のことがありますので、お互い信頼を持ち合えるような形のお立場をとっていただきたい。端的に言えば、何かストライキ云々というならば、今回とかということではなくて、できるだけひとつ相互話し合いを詰めていく、そのことが私は、先々に向かって相互信頼の上に立って労使間を軌道に乗せるという方向だと思いますが、そこらのところを承っておきたいわけです。
  10. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま私ども政府のほうといたしましても、政府の一機関である、同時にまた非常に重大な保護機能であります人事院勧告に対しまして、当然政府は政治的な責任を持つというのでございますが、ただいまお話しのように、公務員共闘諸君とも私いまこちらに参りますまで話し合っておったのでございます。しかしながら、これがやはり、それならばストライキをしてよろしいかということに相なりますと、それはまた立場を異にいたしまして、法の上から申しまして許されないことであり、同時に、一億国民の全体の奉仕者であるという責任もおのおのの公務員諸君は十分よくわかってもらっておるわけでございます。さようなことで、私どもは、こういうふうな違法性のことにつきましては、これは全くそういうことがないように十分に話し合いもし、また特に申しておる次第でございます。
  11. 大出俊

    大出委員 つまり、今後とも話し合いはできるだけお互いに続けていく、こういうふうに受け取っていいわけですね。
  12. 田中龍夫

    田中国務大臣 私どもは、今後のあり方につきましても、七人委員会をずっと続開をいたしてまいります。
  13. 大出俊

    大出委員 この違法性スト云々という点は、だから労働省労政局長にも来ていただいているわけでありますが、ここでこの論議をいたしますとこれは非常に長いことになる。実はきょうは自治省皆さん方も、公務員部長もお見えになっておりますが、在籍専従問題をめぐって、内簡になるんですか、あるいは通達になるかわかりませんが、文書の用意をされたりしておる。中身を私ずっと読んでみましたが、ずいぶんかってなことをお書きになるものだという気がする。鎌田さんはILO問題は堪能ではない——参事官をおやりになっておったわけですから、公営企業等についてはまさにベテランですけれども、ではないかという気がいたしますが。何しろあれは三十八年に国会ILO特別委員会をつくりまして、ずいぶんこれは長い論議をしたのです。私もあのときに正味六時間質問しているのですからね。あの当事の議事録をちょっとこの間あけて見てみましたが、在籍専従問題あるいは許可認可という問題等については、私の質問にもとてもじゃないが自治省があんなことを書けないように答えておられる。そうするとよくも書きも書いたりという気がする。そこまで言えば、流してないのだとこうおっしゃるんです。だからそういうことは——松永さんもおいでになるけれども、あの当時松永さんがお答えになっていたんじゃないのだけれども、あのときは堀さんなんかがおやりになったことですけれども、やはり十分そういうところまで配慮をして気をつかっていただきませんと、ただ単に違法性違法性といってみても、国際労働基準もあるのですから。しかも特にこの六月のILO総会におけるILOと人権という事務総長報告モースさんの報告があります。この中に結社の自由という項がある。この中でずっとモース報告は述べております。これは原文がございますけれども、ずいぶん整理した訳文がここにあります。この中でやはり団結権条約八十七号条約交渉権条約九十八号条約をめぐってストライキ権保護という問題を取り上げておられるでしょう。そこまで国際労働基準というものは進んできているわけですね。だからもしもいま総務長官違法性ストストと言われるならば、権利かしからずんば代償機関という形のILOの対置したものの考え方をもう一ぺん特別委員会時点にさかのぼってやり直さなければならぬことになる。だからここまできてそのことに触れて総務長官言われても、相互信頼回復あるいは労使関係の正常なあり方ということについては大した意味がない。それよりもお互いが持ち合った責任を果たすことのほうにウエートが置かれなければ、私は信頼回復にはならない、こう思っているのです。そういう意味冒頭から、政府責任をお感じいただきたいということを申し上げているわけです。そのことが先行しなければならぬと思っているわけですね。そういう意味で、実はきょうはせっかく松永さんにおいでいただきましたが、時間がきわめて短時間でありますので、理事会で打ち合わせている時間がありませんので、自治省皆さんのほうにも、たまたま関係の団体の皆さんと話し合っている時点でもあろうというふうに思いますから、きわめて抽象的に申し上げましたけれども、そのあたりは少し慎重に、できるだけ話し合いの中でお互い意思が疎通するように事をお運びをいただきたい、こういう点だけを自治省皆さんとそれから松永さんのほうには私のほうから希望を申し上げておきまして、あらためてひとつこの点は機会を見つけまして承りたいと思うのでありますが、どうか総務長官、そういう点で自治省なり労働省なりの方々のほうでも、一つ文書を流すそのことが非常に大きな影響がある、しかも公務員制度審議会というものが御存じのような形になっておるという中でのことですから、あそこにゆだねられている面もあるのですから、この在籍専従などの問題の取り扱いはそこまでひとつ御配慮をいただいて、できるだけ相互話し合いを詰める、こういう態度を一貫して持っていただきたい、そのことがやはり信頼回復につながる、こういうふうにお進めいただきたいと実は総務長官、思っているわけであります。  そこで委員長、どうも引き合いに出して恐縮なんですけれども委員長にひとつ御発言をいただきたいというふうに思っております。  それはけさほどの理事会でこの種のことと、申しますのは、私が新聞を例にあげて申し上げました明日の問題でありますが、でき得れば、これは、国会にも勧告をされている問題でございますから、国会責任においても努力をしなければならないという点で、その努力の一環として、理事会での話し合いの結果を三池委員長さんのほうから、総務長官のほうにお話をいただくということになっておったわけでありますが、そこらのところ、差しつかえない範囲でひとつ御発言をいただき、この委員会に御報告を賜っておきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  14. 三池信

    三池委員長 委員長のほうから、ただいま大出委員からありました理事会でのお話について、御回答を兼ねて御報告を申し上げたいと思います。  給与に関する人事院勧告については、当委員会の累次の決議にもかかわらず、完全実施がされてないということは、まことに遺憾である。なおかつ、明日に予想されるような事態に対して何か効果のある方策もがなというような考えから、理事懇談会の協議に基づきまして、委員長並びに与党理事藤尾浦野両君とともに総理官邸におもむいて、開催されております給与関係閣僚懇談会に行きまして、そういう意見についていろいろと意見の交換をなしたのであります。その交換した意見の具体的なことは別としまして、結論を申しますと、結論においては、政府としては現段階においては、閣議決定の線をくずすということはできない、そして来年は、と申しますと、政治上あるいは事務的な関係から、ただいまこの時点で、来年は完全に実施いたしますということを確約することはできないけれども、それに向かって最善の努力をするということを申し上げます、こういうようなことであったのであります。  ここで私は、一言つけ加えておきたいのは、まあいろいろな事情や情勢影響もありましょうけれども閣僚懇談会会議の空気というものは、従来とは非常に異なって、勧告完全実施ということに前向きに、かつ、非常な真剣な気持ち会議に臨んでおるということを、私は、十分に認めてまいったということであります。このことをつけ加えて、きょう参りましたところの報告にいたしたいと思います。
  15. 大出俊

    大出委員 理事会決定に基づきまして御努力をいただきました点につきましては、感謝を申し上げる次第でありますが、つきましては、閣僚懇談会という名称でよろしいのかどうかわかりませんが、きょうのその努力の過程があったと思いますが、総務長官のほうから、ひとつ給与担当責任ある大臣という立場で、現時点における御努力の経過を、これは差しつかえない範囲というふうに申し上げますが、この席でひとつ明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  16. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御質問のございました点でございますが、私どもは、人事院勧告というものをつぶさに考えてまいりますると、やはり財政法上の予算編成と、それから勧告との間に、これはぜひとも調整を要する点が確かにあると存ずるのでございます。人事院勧告が、昭和三十何年かまでございましたように、期日を明記しない姿におきまする勧告であります場合にはけっこうでございまするが、それが期日を明確にお示しになるという段階に相なりますと、やはりこれは予算編成の事、実上の問題ともそこに確かに抵触するものが出てまいります。そういうことから考えまして、私どもは、今後のいろいろな方法論的な問題につきましては、ひとつ人事院総裁も加わっていただきまして、また、大蔵当局その他関係方面関係者みんな集まりまして、来年こそは人事院勧告完全実施できるように、どうか、先ほど申しましたような事務的な壁を一歩突き破りまして、大所高所に立って、完全実施という目標の貫徹を期したいと思うのでございます。  なお、これにつきましては、またいろいろと御注意なりあるいはまた御意見等ございますれば、ひとつできる限り御協力のほどを切にお願い申し上げます。
  17. 大出俊

    大出委員 二つのことをいまの御答弁の中から承りたいと思いますが、私ども、いま事態を円満に解決をはかるためにという面で、現在、当面の問題の努力をしているわけなんでありますが、そういう意味で、総合予算主義あるいは総合予算のたてまえというものが一つあります。ありますが、しかし、本年は税収その他も多少なり好転をしてきている。人に言わせれば、八千億という自然増収を言う人がある。あるいは、一兆と言う学者まで最近は出てきている。たいへんなわけであります。先月あたり、三千二百億なんていうことが出てきたと思いましたら、そういうことになっている。前経済企画庁長官をおやりになった、皆さんよく御存じの方の直接のお話を私は承りましたが、私が遠慮して、三千二百億ぐらいでしょうと言ったら、いや、とんでもない、大出さん、八千億ですよと言われた方もある。こういうことですから、相当あることは間違いない。そこで総合予算というワクのたてまえが一つある、こういう関係なんですね。だから、そうだとすると、現在の時点努力をして、完全実施ということが一つ目標になっているのでありますから、そうだとすれば、一カ月早めたところで、これは六十億ぐらいの金。大蔵省の当時の発表じゃ一カ月で六十二億ぐらいだと思いますけれども、そのくらいの金額。また、〇・一なんという話もありますが、一カ月なら十一分の一ですから一〇%にはならない。だから、〇・一のほうが金額が多くなると思いますけれども、そういう話も一過程の中には出てきている、こういうふうに聞くわけでありますが、現在の時点で、今回のこの問題を円満に解決をはかるために、完全実施目標にする限りは、努力をしてなし得る最大限のつまり予算捻出をはかるべきであったんだと思うのでありますが、それができないという理由はどこに一体あるのか、将来のこともありますから、その点をまずお答えをいただきたい。総務長官に伺いたい。
  18. 田中龍夫

    田中国務大臣 私どもは、一つには、人事院の制度という問題をあくまでも尊重するということを貫きたい、でございますから、人事院勧告範囲の中においてこれを処理したい、こういうふうに考えております。他方は、予備金という問題がございます。私どもは、千二百億円という予備金は、その中に、いろいろ御質問が出ましたように、五百億というワクがあるんじゃないかというふうなこともございましたが、決してそうではございません。予備金というものは必要に応じて私どもが出すための保留である、こういう点から申しまして、現に、六百億をちょっとこえる金額を出しておるのでございますが、しかしながら、今月の予備金の中におきまして、予備金の取り方が非常に少なかったと申しますか、いろいろ前年の災害その他の財政需要というものを勘案いたしますと、これがぎりぎりであるというような回答財政当局からいただいておるのであります。でありますから、予備金そのものの総ワクが千二百億では非常に小さかったというふうなことに相なるかもわかりませんが、しかしそれは私ども財政当局ではございませんのであれですが、一番の問題は、そこである程度の御満足のいくような線を打ち出そうといたしますると、どうしてもいわゆる予備金を補正しないんだという総合予算主義というものに頭をついてしまうような結果に相なります。予備金を最初に十分とってある。しかし、それが渡れる橋から渡っていって、それで足が出た場合には、最終的にはこれを調整するのだという気楽な考え方を持っておりますれば、私は、予備金をとっておいたことは非常によかったと今日も思っております。これは人事院総裁もたびたび御答弁になっておるところでございます。ところが、この総合予算主義の上から言うて、絶対に最後の調整をしないということに相なりまするから、問題は行き詰まってまいるようなわけでございます。問題の焦点はそこでして、それさえできれば何とか……。
  19. 大出俊

    大出委員 そうすると、結論はこれははっきりしたわけですが、金はある、あるが、しかし総合予算主義のワクを立てた。このワクをどうしてもくずさない限り金の出どころがない。つまり金はあるんだけれども総合予算主義というワクがある。このワクをはずせない、むしろはずさない。こういう大蔵省意思がきわめて強い、だからできない。これだけのことですね。  そこで私は大蔵省の政務次官に承りたいのですけれども、実は昨年も水田さんは、私が委員部を通じまして御出席をいただきたいと言うたら、おからだのぐあいが悪いとおっしゃった。たまたま昨年は直接お電話をかけたところが、おいでになった。おからだが悪いということだがと言ったら、そんなこと言った覚えはない、それじゃ出てくれということで去年は出てきた。ことしも実はおからだが悪いという。昨年の例じゃないかと思ったところが、ことしはほんとうに盲腸で入院されておるというので間違いないという。それできょうせっかくの機会に大蔵大臣おいでにならないというばかなことはないのでありますが、やむを得ず政務次官にかわっておいでいただいた勘定になるのですけれども、金曜日から本日にかけての皆さんの御努力の中で、各閣僚の方々が、ほとんどがいま総務長官のおっしゃったように、予備金というものを考えたのだけれども、この総合予算主義なるものの考え方の出発は、補正財源がないということが前提だ。補正財源がない。だから年間予算、総合予算というワクのたてまえでいくのだということで説明を当時された。これはもう前提条件になっておった。ところが、補正財源がないどころの騒ぎじゃない。ことしの九月期の決算をながめてみてもたいへんよろしい。だから、中には八千億だということも出てくる、自然増収ということになってくる。こうなってきて、だれの目で見ても万人ひとしく認めるように、本年は税金の自然増収がだいぶある。しかも物価調整もしないで、その分の減税は例年と変わった形でやっている。そうなると、明らかにだれが考えても金がある。あるにもかかわらず、総合予算主義のたてまえだというので、あっても出さない。一体だれのために予算を組んだのだ。総合予算主義のために予算を組んだのじゃない。国民一般の方々のために、あるいは公務員皆さんを含めての。だとすると、私はそこがどうしても理解できない。まさに全くもってこれは政府責任、特に大蔵省のたいへんな責任だ、こういうふうに私は思う。総務長官はじめ皆さんが何とか解決しようと思ってずいぶんこまかい話までしておる。政務次官御存じですか、皆さんの話の中にはこんな話まで出ておる。総合予算主義のワクをはずさない、ワク内で計算をする。つまり予備金その他を含めて計算をすると、一億かせいぜい二億足らずの金しか出てこないということをおたくの主計局長が言っておられる。それじゃ具体的にそれをどうするのだと言ったら、このくらいはいいでしょう。このくらいはいいでしょうということはどういうことだと言ったら、通勤費について現在三カ月定期というワクで基準を立ててものを考えておられる。ところが、これは三カ月というのを一カ月のワクぐらいに考える。このぐらいのことならいいのですという。これは私、そういう話を聞きまして計算してみた。現在一カ月で定期を買えば二千七十円という計算になる、この定期券の場合、これを三カ月分まとめて買っておりますと、三カ月分の代金を三つに割って、つまり一カ月分に直すと千九百七十円。だから、一カ月ずつ買えば二千七十円のものを、三カ月まとめて買えば一カ月当たり千九百七十円になる。この例でいくと、差し引き百円安くなる。つまりこの人の場合には、いま言ったおたくの主計局長の言い分からすれば、三カ月を一カ月に直してワクを変えるとすると、一カ月百円ずつその人はふところにふえる。これは百円です。ところが、これは自転車で通っている人もある、公務員全体からながめれば。人事院勧告はそこに出ておる。そうすると、全部平均してみると何と一人当たり四十六円、こういうこまかいことまでおたくの主計局長は言っておる。そこまではいい。そうかといって、政治的にものを考えれば、与党の方々、これだけ皆さんを前に置いて、この時点で何とか解決しなければいかぬというので、閣僚協議会をやってひねり出した金が一人当たり四十六円でございますなんて、そんなばかな話はないということになっちゃう。だから、ここまで論議をしたら、これは表に出さないなんて、私はこういうばかげたことまでおたくの大蔵省はやらなければならぬのですかと聞きたい。総合予算のワクを自分のほうでつくっておいて、これで逆に硬直化して、金は幾ら余ったって何もできない、こういう事態解決もはかれない、こういう無責任な話は私はないと思うのですが、政務次官、いかがですか、これは。
  20. 倉成正

    ○倉成説明員 ただいまいろいろお話を伺いましたが、総合予算主義というのはやはり諸施策の斉合性ということに非常に重点を置いておるわけでございます。したがいまして、財政に対する需要はいろいろな問題が非常に無限でありますので、財政に対する需要をどういう優先順位でアレンジしていくかということが財政当局の使命であろうかと思うわけでございます。そういう意味で、ことしは当初において補正を組まないということで、総合予算主義というたてまえをとったわけでございます。したがいまして、そういうことになりますと、やはり予期せざるいろいろなものに対する予備費を充実しなきゃならないということで、これまで七百億であった予備費を諸施策のいろいろな節約によって千二百億ということにいたしたような次第であります。したがって、先ほどからいろいろ自然増収その他のお話もございましたけれども、御案内のように六千四百億という借金で財政を運営しておるわけでありますから、したがって、やはり総合予算主義、諸施策の斉合性、こういうたてまえから考えていけば、現在われわれがお答えしておるのが限度ではなかろうかと思っておるわけであります。
  21. 大出俊

    大出委員 まあ政務次官は大蔵省の御出身ではないと理解をいたしておりますし、そこにお書きになっているのをお読みになったのだと思いますから、あまりどうもからんだ質問は申し上げたくはないのですけれども、まあしかたがなくて政務次官はそう答えておられるように思えるんですけれどもね。それは六千四百億の公債発行の問題だって、ずいぶん当時議論をしたことですよ。一番前提になっているところをお答えになりませんが、本年は補正財源がないという。年間経済を見通して、日本国内経済を見通した場合に、補正財源がない、そこで総合予算主義というものを立てたのだと、水田さんが私の質問に答えてちゃんとそういうふうに答弁をされておる。そうでしょう。そうすると、どうあなたのほうで理屈をつけてみても、補正財源が見込めない、だからこういうふうにしたのだと言っておられて、今日だれがながめてみたって補正財源に当たるものは相当ある。変わってきているわけですよ、情勢が。九月期決算がこんなにいいとは思ってない。読売新聞に水田さんが自分の署名入りで書いておられるでしょう。総合予算主義を立てるときには、とてもじゃないが補正財源が見込めないと思ったと本人が書いておる。天下の読売新聞が、一面の左端に大きく書いている。その中で、日本経済というものは意外に腰が強かったと御自分で書いている。九月期決算なんというものはこんな状況になるとは思わなかった。たいへん悪いと思った。ところが非常に立ち直りが早かった。だから、アメリカの下院の歳出小委員会あたりでどんどん歳出を削ったり、あるいは増税法案も通っちゃったりしているから、六月時点考えて、四月−六月あたりの対外貿易というものを考えた場合に、昨年に比べて二・四から八くらいふえている。だがしかし、それは主としてアメリカだ。だから先行きアメリカの状態というものがいま言った二つの要因で変わってくるかもしれない。しれないけれども、今日の九月期決算をながめた限りは、たいへんに日本経済というものはその意味では強気なものだ。だから、相当な実は税収が見込まれるというふうに楽観をしてきているというふうに自分でお認めになってお書きになっている。それをあなたは、ここで答弁をされるのに、あらかじめそういうことまで想定をして六千四百億をこういうふうにするんだなんということを考え総合予算主義をとったなんて言われてみても、それは筋が通らない。答弁をされているんですから、御自分で。大蔵大臣自身が自分の見通しについて、かくのごとく情勢が変わったということを自分で署名入りで書いている。そういう点をあなた前提にお考えにならぬといけませんよ。看板に偽りがある。にもかかわらず、なぜいま金があるのにいまのような理屈をつけてお出しにならぬかという政治責任をそれなら追及したい。なぜ一体総合予算主義をお立てになるときに補正財源は見込めないという前提で立てたかということ、明確に見通しを誤ったということになるのかならぬのか、はっきりお答え願いたい。
  22. 倉成正

    ○倉成説明員 総合予算主義を立てるときに税の自然増収が大きく見込めるかどうかということは、率直に申しまして経済がこういう情勢になるとはわれわれも予測しなかった。その点は御指摘のとおりだと思います。しかし逆に申しますと、今度は何というか、非常に大きな穴があいたときにはどうなるかという問題等も関連するわけでありますので、やはりわれわれは当初予算を総合予算で組んだときに、いろいろな諸施策を並べて、そしてこれがどういう斉合性を持つかということを検討した結果千二百億という予備費を組んだわけでございます。たとえば食管の問題にいたしましても、やはりそういう角度から優先順位ということで総合予算の中での位置づけを行なったわけであります。たまたま八月の税収で四〇・九と、昨年に比しますと約二%、二・一%程度税収がいいわけでございます。これもまあ年度途中でありますから、いかほどのものが出るかということはなかなか予想がつかないというのが現状でありまして、当初の諸施策の斉合性ということで位置づけた中でやはりものを考えるべきじゃないかと思っております。  それから先ほど国債のお話がございましたけれども、やはり国債を発行して経済を運営しているわけでありますから、なるべくこれは少なくしておくということが国民の長期の借金を減らすという意味で大事なことであろう、これは結局は国民の福祉に最後はつながってくるのだと思っているわけでございます。
  23. 大出俊

    大出委員 この問題で長い論議をする気はもちろんありませんが、あなたが口に出されるとやはり一言言っておかなければなりませんが、国債発行のときにもさんざっぱらこれは議論があった、与党の中でも政府の中でも。特に福田さんなんかもいろんなことを言われた。発行しないということを何べんか言われて、変わってきた。銀行協会なんかもそうでしょう。当時依存率という問題等をめぐってずいぶん論議をした。ところで、私どもは、とにかくすべきではない、あるいは極力それは押えるべきであるという議論をずいぶん吐いた。ところが、そんな心配は一つもないと言って、たいへんな強気でものを言っておられた、政府皆さん、大蔵大臣も。ところがいまになって、これは当初見通しのように補正財源どころではない、これはとてもじゃないが、自然増収など見込めないということになってくるとすれば当初見通しのとおりですよ。しかし、いまあなたがお認めになっているように、当初のそういった見通しが大きく狂ってきている、いい意味で。だから、当初から予定していなかったわけですよ、皆さんは。ところがそれをいま予定していたかのごとく、幸いこれこれ自然増収があった、予定していたかのごとく正当づけようとしても、それは無理だと言うのだ、私は。あなたがお認めになっているんだから。そうでしょう。そうだとすると、この機会に長年の懸案である人事院勧告完全実施がなぜできないか。私は満五年間ここで質問してきておりますが、私が出てくる前の年に三千億ばかり自然増収があって、これは当初予算からくる自然増収あるいは決算からあがってくる自然増収、いろいろ両方問題にいたしましたが、結果的に金があった、あったが完全実施をしなかった。そこで私は当時の大蔵大臣論議をして、先行きそういう機会にはということを当時答えておられた。そうだとすると、いま先行きそういう機会にはという、予定しないその財源が入ってきているのですから、だれでも認めているのですから、ここまできているから、前の言質からするならばやるべきなんですね。だから閣僚の皆さんが一生懸命大蔵省を攻めているわけでしょう。ところがいまあなたが言ったきわめて公式的な答弁で逃げているわけでしょう。それでは政治的に公務員諸君責任が負えないのはあたりまえです。そうならば、公務員諸君だって腹を立てるのはあたりまえ、無理からぬことですよ、それは。そのことは相互信頼回復には役立たない。だから総務長官も本来ならああいう答弁はしたくないでしょうけれども責任の所在ということについては多少は認めておられる。そうでしょう。だとすると、いまこの席だって、問題はここにあるという総務長官の指摘は、私がいま言っていることと同じことを指摘しておる。そうでしょう。閣内でそうなんだから。それをあなたの一片の答弁で、公務員諸君の自身の生活につながる問題を、そうですがというわけにいかない。これはどんなことがあってもあなたのところでもう一ぺん考えてもらわなければいけない。どうしても筋が通らない、どこからいっても。いかがですか、もう一ぺん答えてください。
  24. 倉成正

    ○倉成説明員 あまりここで議論しようとは思いませんが、やはり諸施策の斉合性ということを申し上げましたが、たとえば生活保護にしましてもあるいは住宅施策にしましてもあるいは米価にしても、やはりいろいろな御要望からすると、今日の施策というものは必ずしも十分ではないと思うわけであります。しかし総合予算主義のたてまえから、全体の予算を組みますときに、大体こういう位置づけをしようということでわれわれは原案を提案いたし、国会の御承認をいただいたわけでございます。その中でやはり公務員給与等についても考えるべきだ、そういう基本的な考え方に立脚しているわけであります。
  25. 大出俊

    大出委員 それならば、公務員給与というものを考えるにあたって、まずその公務員給与というものの今日の給与決定に至る機構というものを考えたいときに、冒頭に私が取り上げて言うストライキ権というもの、あるいは代償機関というもの、そういった対置の上で、労働大臣も労働施策全般をとらえている立場から、完全実施をしなかったということはきわめて遺憾である。きわめてということを強調されている。そこまで明らかな筋がある、国際的にも。その筋にのらないことをあなたがいま答弁の形でおっしゃっても、まさにそれこそ筋が通らない。それは筋が通らない。金がないとは言えない。特に念のために聞きますが、自然増収は現在の見通しではどのくらいありますか。
  26. 倉成正

    ○倉成説明員 ちょうどいま四〇・九%の八月末での収納でございます。全体の収入の大体四割でございますから、これから先どういうことになるか、まだ見当がつかないというのが実態でございます。現在のところ伸びておるのは、御承知のとおり給与所得、それから法人税が若干伸びてきておるというわけで、酒税等はこの夏場のビールやその他の売れ行きが悪くて少し落ちている、それから印紙税収入が若干落ちている、こういう状況でございますが、総合的に幾ら伸びるかということは、まだ明らかでございません。
  27. 大出俊

    大出委員 それは酒税の話は、あなたは国税三税の中で酒税のことをおっしゃるけれども、これも長い論議をする気はありませんが、日本くらい酒の税をよけい取っている国はないのですからね。ビール一つ取り上げたってそうでしょう。これはフランスが無税、西ドイツは八%、イタリアで一九%、英国で三二%、日本はフィンランドと一緒に世界最高の税金を取っているわけですよ。そうでしょう。五一%をこえているから、そこへもってきてビールを値上げをしたのですから、値上げをしただけ税金はふえるに違いない。あなたが幾らそういうことを言ってもそれは通用しない。しかしいまの答弁でわかるように、相当な自然増収があること、だけは明らかだ、二%でも。だからそうだとすると、金がないのではない、ここのところははっきりしておる。これはいいですな、金がある、それはいいですな。
  28. 倉成正

    ○倉成説明員 今後自然増収がどうなるかということは、現時点では金額がどのくらいになるかということは明らかでございません。しかし、若干の自然増収があるであろうということは予想されます。
  29. 大出俊

    大出委員 金があるということになった以上は、筋からいって、公務員給与というものが人事院勧告完全実施につながっていくのですから、あるのに出さないということで事が済まない。そうすると、当初予定していなかった金がある。かつての答弁では、将来そういう機会があったらば、これはやりたいということまで答弁をしている大臣がいる。責任の継承ですよ、今日まで大臣がおかわりになっても。そうだとすると、金があるのに出さないのは政府責任大蔵省責任。そうだとすれば、どういう事態が起こったにしても、その責任はあげてあなたのところが負わにゃいかぬ、こういうことになりますよ。ここで長い論議をいたしてもしかたがありませんけれども総務長官、これはいま倉成政務次官がおっしゃるように、金があることになった、明確に。一点にしぼりますが、あるのに出さない。この点を、総務長官、これからまだ法案を出す段階まで時間があるのですけれども、ここのところはどうお考えになりますか。
  30. 田中龍夫

    田中国務大臣 それは、大出委員お話でございますが、いわゆる総合予算主義というたてまえから、予備金というワクというものから申しますと、やはり今後の、あるいは災害その他のことからいいまして、幅がないのでございます。そこでいまお話しのように、国全体としての資金ということに相なりますと、これは財政当局のほうでお考えになっておられるように、フィスカルポリシーというときのあれからいうて、あるいは公債の縮小の問題でありますとか、いろいろの問題がやはり財政事情としてあるわけで。ございます。しかしこれは、私財政当局じゃございませんからということで、それを前提に置きましても、私はやはり公務員方々が、公務員ストライキをなすってはいかぬという一つの法的な制約を逸脱して、それじゃやってもいいのかということは決して議論にならない、絶対にさようなことがあっては相ならない。私どもは、やはり一億国民の全体の奉仕者としての公務員という特殊な立場というものを十分に考えなければならない、こういう点でございまして、そのストライキの問題に相なりますと、こういうことだからこうやるのも当然じゃないかという議論は、私は首肯いたすことはできません。やはり法を犯しては絶対に相ならぬ、これが法治国の公務員の当然の責任でございます。
  31. 大出俊

    大出委員 私が聞いてないことをあなたは答えては困るじゃないですか、時間がないのに。私が聞いているのは、金があるという限りは、あなたは給与担当責任ある大臣なんだから、まだ給与法を国会にあなたは出しておるわけじゃない、そうでしょう。この間私が、何でこんなに早くきめたのですかと言ったら、改定ベースが早く手に渡るように閣議できめたとおっしゃる。それで手に渡りますかと言ったら、法改正が必要だと言う。法改正をするのに臨時国会が必要だと言う。いつだと言ったら、私にはわからない、総裁公選のあとだ。そういうことになると、十一月になってしまう。そんなことを言えば、早く渡そうと思ってきめたことがうそになる。そうでしょう、肩透かしでしょう。そういう考えではいけないと私は言うのです。何も公務員諸君だって、たいへんな金を使って東京まで出てきたり、処分が出るということをしきりに言っておられるさなかに、好きこのんでストライキなんということは言いはしませんよ。万やむを得ない生活権の問題ですよ。労働組合というものは自力救済の手段なんだから、好きこのんで——必要があれば、生活に直結するのだからやらざるを得ぬでしょう。だから、それは好きこのんでやるんじゃない。これを論議する限りにおいては、そうじゃなくて、金があるんだから、その金をどう使うかということです。だから今日まで御努力をいただいた点はわかるけれども、なおかつ、ある以上は努力してもらわなければ困るじゃないかということを言っておる。あなたは努力をして、こうしたいとかああしたいとかいうことをお答えすればいいのであって、ストライキの話までされちゃ困るのです。
  32. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに、この給与の問題につきましての人事院勧告についての完全実施の問題を迎えまして、われわれは、先ほどお答えいたしましたように、関係閣僚会議を今後ともにずっと続けまして、努力をいたします。
  33. 大出俊

    大出委員 じゃ金がある限り——はっきりしておるのですから、ひとつ長官、大いにこれから御努力をいただいて、その点の最善を尽くしていただきたい。これはそうおっしゃっておられるのだから、それでいいですけれども、いまお答えになったように、これからも給与関係閣僚会議を開いて御努力くださるというのですから、それで確認をいたしておきます。  さて、そこで人事院の総裁おいでになりますので、総務長官のおられるところで聞きたいと思います。  人事院給与勧告をするにあたって、政府並びに国会——これは法律に基づいて国会も入っておるわけですね。それでよろしゅうございますか。
  34. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 そのとおりであります。
  35. 大出俊

    大出委員 そうすると、例年と変わったことでもないのですね。しかし、ここで問題は、これは総務長官に承りたいのですが、昨年は、政党政治ですから、与党の理事方々にもずいぶん御配慮をいただいて、政府と連絡がずっととれていて、閣議で大体煮詰まってきた、このあたりできめるというときに、最終的に院の意向をはっきりさせなければならぬというので、私ども内閣委員会を開いて、そこで完全実施の決議というものを踏まえて、石井衆議院議長を通じて、内閣委員会として完全実施決議をしたのだということで、夜、副議長さんと石井さんが御相談をいただいて、翌朝官房長官に院の意思ということで完全実施をすべきだということを申し入れをされた。こういう経過があるわけであります。したがって、当然国会にも勧告されておるのですから、やはり国会意思を確かめた上であなた方が閣議決定に持ち込まれるというのが筋だと私は考えておる。特に今回の場合は、他の院のことを言ってもしようがありませんけれども、参議院などは、ほとんど担当の委員会をやっていない。だから重宗参議院議長自身が、全くもってけしからぬ、全くのつんぼさじきに置いて、ということを現に言っておられる。ことしの場合も、与党の理事皆さんなり所管の衆議院の内閣委員長さんが、政府が三十日にきめるなんということは全然知らない、つんぼさじき、私は、そういう筋はないだろうと思うのです。国会軽視もはなはだしいと思っておるのです、その点は。これは参議院なんかは全然聞いていないのですから、全くの無視だ。衆議院の場合は一、二回質問をしましたから、どこかの耳の端にそれが入っておることは事実でしょうが、そういうことではやはりものごとはうまく進まない。そういうところをきめこまかに配慮をされて、筋を立ててやっていただかぬと、国会のほうがまだそこまで論議をしていないのに勧告されておるのですから、それを与党出身の委員長以下理事方々全部つんぼさじきで政府がすぽっときめる。何できめたかというと、早く支給したいのだ。法律改正だとか臨時国会なんということはたなに上げてそういうことを言われても、これは筋が通らない。そこらのところはどういうふうにお考えですか。
  36. 田中龍夫

    田中国務大臣 政府側に対しまする勧告と同時に、衆参両院のほうに勧告がございますので、今回はそれこそ従前と異なりまして千二百億円という予備金がとってございまして、その中に給与の分が十分入っておる、こういうことにつきましては、すでにその千二百億円の予備金という問題につきましても、たびたび両院におきまして御質疑がございましたとおりでございます。問題は、組合のほうの諸君も早く決定してほしいという要望も出ておることは御承知のとおりでございますが、早く決定いたすことが早く安心していただけるということにも相なりますので、さようなことで私どもは、いまお話しのように、法案として提出されました分につきまして、十分両院のほうで御審議をいただくわけでございまして、まあそういうことを別に議論立てて申すわけではございませんけれども政府決定だけをすみやかにいたしたという段階でございます。もちろんこれは法律案と相なりまして、委員会その他両院で十分に御検討を賜わりますことはもとよりでございます。
  37. 大出俊

    大出委員 総務長官は、これからも給与関係の閣僚協議会を開いて努力をされるとおっしゃっているから、その限りは、その点は深く追及はいたしません。御努力をいただくということでいいのですけれども、ところで国会との関係を、やはり両方に勧告されているのですから、十分御配慮いただいた上で持っていきませんと、世間一般からながめると、国会は全くつんぼさじきにしておきめになったということでは、理由はそこにつけられたにしても、これは与党の皆さんだって腹を立てておられるのだ。そうでしょう。私どもだけではないんだから、この筋を追えば、委員長、先ほど御報告されたように、委員長立場皆さんに話をしなければならぬことになる。筋が通らぬことをおやりになると、あとでいろいろ問題が出てくることになります。だからそこのところは重々今後とも御配慮いただかなければならぬ、こう思います。  きょうは時間が非常に制約をされておりますので、あと二、三点だけ簡単に承っておきたいのでありますが、総務長官、この人事院勧告の制度について、予備勧告などということが新聞に載っておりますね。しかも人事院の増子事務総長の名前まで出てまいりまして、この増子さんのほうも、条件はありますけれども、何かしら多少認めるがごときものの言い方が出てきております。ここのところは、どこからどういう筋書きで予備勧告制度などというものが出てきたのですか。人事局の考えですか。
  38. 田中龍夫

    田中国務大臣 予備勧告というようなことは、私正式にはまだ全く聞いておりませんが、私の考え方を申し上げまするならば、あくまでも給与表その他の点につきましては、人事院勧告を待って政府としては行なうべきものでございまして、政府人事院の制度上の権限を侵すようなことは全く考えておりません。
  39. 大出俊

    大出委員 法律上の人事院勧告権を侵すようなことはしない、一口に言えばこういう御答弁ですから、それはいいです。  人事院の佐藤総裁に承りたいのですが、これはどういう筋で——私のここにあるのは東京新聞ですが、これだけじゃない、方々新聞にある。だから、火のないところに煙は立たないのですから、そこに何かあるのだろう。勘ぐれば、増子さんは前の総理府の人事局長、その前は公務員制度審議室の室長なんだから、私も長いおつき合いだけれども、勘ぐれば切りがない。栗山人事局長の前任者である。前任者が人事院の事務総長に先になっておって、あとから栗山さんの人事局長が出てきている。これはどうもツーと言えばカーということになるとすると、疑えば何かそういうムードづくりをやっているんじゃないかということになる。そこで総裁にぴしゃっとお答えをいただきたいと思うのですが、人事院の事務総長が協力にやぶさかでないというところが一つあるのですが、そこらのところを踏まえて、一体どういう経緯で増子さんが答えなければならぬことになり、新聞に載るようになり、何となく予備勧告制度をやるのだということになる、その原因、理由、それからそれに対してどういうふうに総裁はお考えになっているのか。総務長官勧告権に触れることはしない、こういま言い切られた、そこらをどういうふうにお考えになりますか。
  40. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 増子という人はたしか事務総長でございまして、私は総裁ではないと思っておるわけでございます。大体基本的なそういう重大問題は、私が最後には責任をもって決断すべき事柄だろうと思います。ただその研究の過程においては、いろいろな話題が事務局の間にも出てくるだろう。ただ、いまもお話しの、政府の案に何か予備勧告というのがあって、それに協力的な発言をしたというようなふうにとられてのお話のように思いますけれども、実はこの間もここで申し上げましたように、閣僚の懇談会が始まってまだ一回だけで、そんな話は全然出ておりません。私も新聞を拝見しておりますと、いろいろだめになることが書いてありますものですから、切り抜いて勉強の材料にしております。ただそれを検討しますと、この予備勧告という名前、この名前自身がどこからきた名前か、さっぱり私にもわからぬのですけれども、これはどうも二色あるらしい。もっと簡単に申しますと、要するに第一次勧告及び第二次本勧告、その第一次勧告を予備勧告という意味と、財源保留の申し入れあるいは要請という意味のほうに使われているケースもあるやにうかがいますので、なおその点十分勉強してみたいと思っております。
  41. 大出俊

    大出委員 二番目のほうの答弁からいいますと、このくらい人事院勧告するから、財源をこのくらい予算上組んでおいてくれというような意味勧告だ。二つある、あとのほうの答弁はこうなるわけですね。これは一つ間違うと、五%という変動条件が法律的にはあるわけですよ。四月調査やったものを、これまた七月勧告にしろ八月勧告にしろ、あるいは十一月勧告にしろ、そんなに適当にやるわけにはいかぬです。そうでしょう。六千七百からの事業所を調べるのですからね。いまのお話では新聞にいろいろ出て、ためになることがあるというけれども、あまりためになりませんな。どうですか。
  42. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 私はそういう点がためになると思って実はよく読んでおるわけであります。
  43. 大出俊

    大出委員 つまりそういう意味ならば、田中総務長官人事院勧告権制度には触れないと言っておられる。当然それは人事院の総裁は触れさせない、こういう筋合いになる。こういうやじ馬的ないろいろなもの、幽霊みたいなものが出てくるけれども、そういうものには左右されない、勧告権は勧告権としてあくまでも守っていく、こういう筋合いでいいわけですな。
  44. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 基本的には、この間御指摘ありまして、例の一、二、三の一、二はとてもいけませんと申し上げた、その趣旨で大体おわかりいただけるかと思います。
  45. 大出俊

    大出委員 あの趣旨は、新聞と逆になっている  一、二、三でありますけれども予備費でという言い方ならば、せめてたっぷり予備費を組んでいただけばという答弁を総裁されましたが、総務長官は先ほど、どうも一千二百億という予備費は足らなかったというふうにおっしゃっておられる。たっぷりない、だからこういうことになる。だから、そういう意味で総裁はお考えである、こういうふうに確認をしておきます。
  46. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 この間はまあまあと申し上げたはずだと思います。正確に申し上げさせていただけば、それは給与費の中であろうと予備費の中であろうと、たっぷりとっていただきたい。それで足りなければ補正予算で補っていただきたい、それが一番正確なことです。
  47. 大出俊

    大出委員 つまり総合予算主義というようなことをとっぱずせということになります。これは金があるのだからはずしていただきたい、こういうことになります。これは総務長官ますます努力していただかなければならぬ。  経済企画庁の官房長お見えになっておりますから伺います。簡単でけっこうです。  総理の諮問機関でございますから、経済審議会への答申の形をとるのだろうと思いますが、熊谷小委員会の所得政策云々という問題、政府はこれを導入すべきであるというふうにとれる答申がありました。これは実は非常にたくさんの問題がありまして、この差し迫った時間で中身の論議はほとんどできないと私は思いますけれども、これは一体経済社会発展計画なる佐藤内閣の五カ年計画がありますね。この計画をお立てになったときに、あわせて諮問しているという経緯があります。だとすると、当然経済企画庁の所管になると私は思います。そういう意味で、これにはいま方々から学者の間でもたくさんの反論があり、これに関して反対だという方がざらにいらっしゃる。いま市販されているエコノミストなんかで座談会が載っておりますけれども、この中でも学者は相当たくさん、反対だという意思表示をされている。ガイドポストの問題なんかでも、例のTTラインの問題でも、これはめちゃくちゃじゃないか。分配率をあらかじめ一定させておいたような横軸のとり方はおかしいのではないかという意見も学問的にある。なぜ一体こういうものをあなたのほうは諮問されて、表に出そうと考えたかという内幕の根本の問題、つまり賃金を押えるということにしか役立たぬことになる。しかもその種の答申を出させておいて、宮澤さんの宮澤構想ではないけれども、その中で政府の都合のいいところだけぽっぽっととって理由づけをするということになるのではないかというのですね。これは非常に大きな疑問がある。だから、一体なぜこの種のものをお求めになったかということと、これをどう扱おうとお考えかということと二つをお答えください。
  48. 岩尾一

    ○岩尾説明員 熊谷委員会が提出いたしました所得政策の論文でございますが、御質問は、なぜこういうことを取り上げたかということだと思いますが、第一点の問題は、いま先生御指摘になりましたように、先般経済社会発展計画を作成いたしますときに、経済成長と物価というものを安定さして伸ばしていくにはどういうような方法があるだろうかということはいろいろ議論がございました。先生も御存じのように、外国では、所得政策という名のもとにガイドライン政策というものが行なわれている国もございます。さようなことを頭に描いた人もおったかもわかりません。いずれにいたしましても、経済成長とそうして完全雇用、それから物価の安定、この三つを全部満足さすには何か方法はないかということが非常に議論の的になったわけでございます。そこで、そういうものを議論するには、当時のわが国の状況におきましては、労使双方におきまして、所得政策そのものに対する理解というものが少なくとも万全ではないという状況でございましたので、発展計画をつくります際に、計画を作成後引き続きこの問題について検討を続けなさい、こういう答申をいただきました。したがって、その答申を受けまして熊谷委員会というものをつくったわけでございますが、これは、いま先生御指摘になりましたように、学者の中で、所得政策について非常に批判的な方あるいは非常に賛成な方、これを全部網羅いたしまして、まあそういう表現が適当かどうかわかりませんが、右から左までの学者の方に全部御参加願ってやったわけでございます。そうして、少なくとも現在あまりその辺の理解が行き届いていない日本労使あるいは経済界の中に一つの議論の基礎的なデータとして、こういうものを中心に今後検討したほうがいいのじゃないかということを、そういった反対、賛成両方含んだ学者の方の中でその最大公約数は何であるということを御議論いただきたいということで検討を続けてきたわけでございます。そこででき上がりましたのが、いま申し上げましたような所得政策の熊谷委員会の論文でございます。今後、これは十月十七日に経済審議会の総合部会に正式に報告がされるわけでございます。総合部会がどういうふうに取り扱うことになりますか。先ほど、企画庁の所管であろう、こう申されましたが、いま言ったような経緯でございますので、私らは、長期の計画、それから経済政策の調整という任務を持っておりますので、今後、長期計画を改定するとかあるいは立案するとか、あるいは経済政策を調整する場合に、この報告を総合部会がどういう受けとめ方をされるか、これはわかりませんけれども、その受けとめ方によってはそういう場合の参考といたしたい、こういうことでございます。
  49. 大出俊

    大出委員 これは、私の意見だけ申し上げておいて、あらためて論議をしたいと思うのでありますが、いまお話のように、出てきた答申の中身、原文をいただきませんでしたから、「エコノミスト」が収録をしている巻末にあるものしか読んでおりません。率直なところ読んでおりませんが、大体骨子がそれですから、大まかにはわかっているつもりです。もともと、この答申そのものを全部流して読んでみると、言うならば賛否の意見の中での妥協の産物ですね。その意味では、オーソドックスな政策が必要である、物価と経済成長というものをとらえて一方に賃金というものを考えて、それが一体どこでどういう関数等を求めての指標を出したらいずれも発展をしていくかという角度からの……。だから、オーソドックスな政策が正面から出ていかなければならぬものであって、その意味では補完的なものなんだ、こういう出し方になっていることは事実です。だがしかし、このことは一つ間違うと各組合、ナショナルセンターといわれるようなところがみんな反対意見出しておりますように、これは諸外国の例があるからですね。どこでも一成功した事例はあまりない。つまり価格形成というものに対して政府が説得をするという形を片方でとるからですよ。そうすると、やたら物価は上がってしまった。にもかかわらず物価は引き下げの政策としては役に立たない。逆に賃金のほうだけが理由づけをされて押えられるという結果になる。各国の政府は何と言っているかというと、政府のガイドポストに企業が従わなかったのだ、けしからぬというので終わっている中で、賃金を押えるということにしか作用しないという結果が方々に出ておるところに試行錯誤だなんということばが出てきて反対だということになる。これはあたりまえだと思う。まして日本のように、非常に企業の価格形成の要因がこの答申の言っているような形でない、簡単に言えば日銀の支払い残高なんかも、三十五年から六千億、八千億、一兆二千億、一兆四千億、一兆六千億というぐあいに年々ふえてきたということになると、政府イニシアチブに基づく、つまり通貨の膨張ということも現に考えられているわけですから、だから信用インフレ論なんというものも出てくるのです。そうなると、そういうところから、極端に違う事情にある中で、やれもしないことをなぜ出さしたかということを疑えば、例の宮澤構想ではないけれども一、このあたりでひとり賃金を押えなければならないというのですね。しかも中身の中に矛盾があるのは、大企業だけが、日の当たるところだけがどんどん賃金を上げているじゃないか。しかも逆にそのほうは価格そのものも管理価格、独占価格的にあるいは話し合い価格というものがわからずに上がっているじゃないかという言い方があり、中小企業のほうはどんどん置いてきぼりを食うじゃないかという言い方がある。そうだとすれば、平均生産性を求めて、それに基づく、つられて上がるところを押えなければならぬという所得政策の出発からすると、そんなに大企業と小企業と差が開くならそんなことを考える必要はないじゃないかと、逆になる。だから中身で矛盾がある。だからこんなものをうかつに表に出してきて、そういうところに利用されるなどということになると、これは労使紛争の種をよけい拡大するにすぎない、こういう結果にしかならない。一つ間違えば、来年の賃金闘争というものは所得政策との対決なんという形の闘争方式がとられることになる。そういう意味ならば、私は意味のないことだと思う。だから、そこらのところは、念を押しておくようだけれども、総理はにわかに取り入れる意思はないと、こう言う。宮澤構想のときも、にわかに取り入れる意思はないと言った。同じことを言った。しかし、総合予算主義だ何だ、いま論議のあるようなことが出てくる。となると同じことになるじゃないかという点があるのです。ずばり聞くんだが、そこのところはどうお考えかということを、これは先ほどお答えになっていないので、そこのところを聞きたい。
  50. 岩尾一

    ○岩尾説明員 先生のお話は、一つは、実はそういう議論をしていただきたかった。しかしもう一つは、そういう議論のもとにこの問題を提起することがまずかった、おっしゃるところはまず私は納得がいかないわけであります。総合予算といいましても、申し上げましたように、私らの基本的な問題は経済成長、しかも完全雇用を伴った経済成長、そういう場合に物価の安定をどういうふうに押えていくか。これに対しましていろいろと、おそらく「エコノミスト」でお読みいただいたのは要約であろうと思いますが、その中の文章あるいは文字には先生のお気にさわるところが非常にあったかと思いますが、全体を読んでいただきましたならば、あの文の中には、日本に現在直ちに所得政策を導入することは早計である、こういう感じで書かれておるわけでございます。むしろこの問題についてはうんと議論してほしい。そうして日本全体が安定した経済成長と、しかも完全雇用を達成し物価を押えてほしい。そのためには何といっても政府が総需要を抑制し、しかも価格形成に競争原理が働いて、そうして価格が下がっていくということを一番主眼にすべきである。主眼にすべきであるが、それはなかなか当てにならないと言うと語弊がありますけれども、むずかしい条件がそろっておるから、したがって所得政策のようなものも補完的に検討しなければならない、こういうようなことが大体骨子として書いてあるようでございます。したがって、そういう意味合いでは私らも今後の日本経済成長の参考として、皆さん方の御意見を聞いてやっていきたいと思います。
  51. 大出俊

    大出委員 これで終わりますが、いま言われる自由競争原理というものを生かしていきたい。ところが、抜粋かもしれませんが、私の読んだ限りでは、つまりほうっておいたのでは自由競争の原理が逆に働かないから、所得政策というもの、一つのガイドポスト、ガイドラインみたいなものをつくって、政府が説得をするというかっこうの中で競争原理を逆に働かさなければならぬというふうにとれる面もある。ところがそんなことを言ったって、紙の三社の合併じゃありませんけれども、私的独占の禁止法に触れると思われるものを、椎名通産大臣じゃないけれども、私的独占禁止法を変えてしまえという暴論が出てくる世の中、管理価格が山ほどある世の中で、そこのところを全部ほっぽり出してかってなことをさせておいて、もうけるところは山ほどもうけている。再販価格なんかみんなほうっておいて、だから薬屋さんが長者番付の最高になったりする世の中なんです。その人が閣僚の重要な地位にあるというのでは、ますますもってばかげておる。そういう形のものをまずやめなければならぬ、というのは、オーソドックスな政策を出せと言っている理由でしょう。だとすると、私は総理の言っているように、にわかにこんなものを取り入れる意思はないということをまともに受けておきたいわけですが、それでよろしいですか。
  52. 岩尾一

    ○岩尾説明員 いま申し上げましたように、経済成長と完全雇用を両面満足さす、しかも物価の安定をはかっていくには、政府の総需要の抑制という政策と、それから市場原理が価格形成に働くように努力をするというのが必要である、二つが柱である。しかし、これは二つの柱だけではなかなかうまくいかないかもしれない。そこで、その補完的な意味で所得政策というものを検討する余地が十分あろうというのであれば、私はおっしゃるとおりだと思います。
  53. 大出俊

    大出委員 総理が言っている、にわかに取り入れる意思がないということをまともに受けておきたいのですが、それはいいですか。
  54. 岩尾一

    ○岩尾説明員 私が先ほど申し上げたような意味で、にわかに取り入れる意思はないということをおっしゃったのであればそうだと思います。
  55. 大出俊

    大出委員 最後に、松永さんのところはILOの六月総会もあり、それからアジア地域会議もあり、人権条約七つばかりを各国が批准しろというような空気もある。労働行政全般の面から、今後これから先のことになります、あしたのこともあります。そういう意味で、さっき申し上げましたが、ぜひひとつ相互信頼回復ということに向かえるような形の各般の御配慮をどうしてもいただきたい。そういう意味で一言答弁を賜わっておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  56. 松永正男

    松永説明員 労働省の任務が労働者の福祉の増進、地位の向上労使関係の、安定ということでございますので、七人委員会にも労働大臣がそのような立場で御出席になっておると理解をいたしております。本日のこの内閣委員会の御論議もよく報告いたしまして、今後とも労働省立場におきまして努力をいたすようにいたしたいと思います。
  57. 大出俊

    大出委員 倉成さんがさつきお答えになったように、金があるのに出さないという単純な理屈なんですけれども、働いていて完全実施生活に結びつくという気持ちでいられる方々にすれば、金があるのに出さぬとは何事か。しかもその金は当初予定してなかった金ではないかという理屈になる。だから、例年と違って各公務員方々がやる気になっているということなんですよ。だから、そこのところをぜひ労働行政全般で——非常に御勉強になる小川労働大臣でございますから、これから先のことがありますので、ぜひひとつそれはお伝えおきいただきたい。  それから、これは関連質問がございますが、自治省に一言承っておきたいのですが、学校の先生だとかあるいは警察官だとかいうふうな方々、これは給与については予算上当然国の責任がありますね。したがって、当然地方公務員全体というものとのバランスの問題が出てくるから、そういう意味で準ずるということにならざるを得ぬかっこうになっているわけですね。そうして赤澤さんがここでお答えになったのは、金云々じゃない、政策の問題なんだ、つまり国に準じてというならば七百五十億組んである、したがって、それがよしんば完全実施になったからといって——私は完全実施を主張した男なんだ、完全実施になったからといって予算上何も御心配いただくことはない、やれますということをここで赤澤さんが言い切った。ところがあとになってからどうも当初のものの言い方あるいは計算のしかたに苦しい点が出てきている。ということは総務長官に自治大臣からいろいろ話がいくということが関係の団体の話し合いの中で響いてくる。したがって、どうも地方財源がということがまた表へ出てくる状況にあるのですけれどもそこらのところはどういうふうにつかまえておられますか。
  58. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方公務員給与につきましては全体的に国家公務員に準ずるという制度のたてまえ、運用の指導方針をとっていることは御案内のとおりであります。そういう考え方に立てば、地方団体の職員の給与改定の原資というのは国家公務員に準じて給与改定が行なえるようにいままでも財政措置をしてまいったわけでございますが、ことしは御案内のように国自身がああいう形で財源留保をしたものでございますから、地方財政計画におきましては予備費という項目がない。予備費という項目がないわけでございますけれども、一般行政費の中に給与改善諸費ということで項目を一つ立てまして、国家公務員並みの給与改定が行なえる原資というものを確保した。それが御案内のとおり七百五十億でございますが、実際の所要額は七百九十九億であります。この差額のうちで寒冷地手当等でございますと特交回しになりますので、大体交付団体といたしましては、こまかい数字は省略させていただきますが、何とか財政のやりくりでいけるのじゃないかという見通しを現在つけておるところでございます。
  59. 大出俊

    大出委員 そうしますと、地方の自治体関係で当初の七百五十億から七百九十九億になったということの関係でいろいろものを言ってくるという面が見えるわけです。それらについては責任がある、こういうことになりますね、いまの点は。これは五月実施ということでこれから私ども努力するわけでございますが、ひとつその辺のところは大臣答弁にありましたように、地方財源がなどということをおっしゃらぬように御処置をいただきたい。  そこで公営企業関係ですけれども、一言言わざるを得ぬので申し上げるのですが、大臣は同じ地方自治体の中にある企業職員である限り、地方自治体の一般職の職員と同じレベルであってほしい、つまり片一方がベース改定が行なわれるなら片一方も行なわれなければならぬという原則なんだ、私の気持ちとしてそう思うという言い方をこの間されておるわけであります。ここらのところもあわせてひとつそういう方針でぜひこれからお進めをいただきたい、こう思っているのです。  なお、先ほどの通達の件ですが、先ほど私の意見を申し上げましたから、いろいろ慎重に関係諸君と詰めていただきたい、こう思っておりますが、あわせて最終的に——関連があとございますようですが、お答えいただきたい。
  60. 鎌田要人

    鎌田説明員 公営企業関係につきましては、実はこの席でも再三お答えを申し上げたところでございますが、御案内のように財政再建団体という一つワクがかかっておりますので、結局再建計画の中でどういう形で給与改善をはかっていくかということで実は大臣以下非常に苦慮いたしておるところでございます。前の藤枝大臣のときに申し上げましたように、ケース・バイ・ケースで善処するという基本的な考え方で是正してまいりたいと思っておるところでございます。  なお、在籍専従通達の問題につきましては慎重に取り扱いたいと思っております。
  61. 大出俊

    大出委員 大臣がおっしゃっていたように、原則は公営企業であっても地方公共団体のワクの中であるという。だから片一方が上がったなら片一方が上がらぬということがあっては困る、こう思っているということを言っておりましたから、その点だけ申し上げておきます。
  62. 浜田光人

    ○浜田委員 ただいまの自治省関係に関連いたしましてきわめて簡明に質問しますが、ずばり御答弁いただきたいと思います。  いま地方自治体は公務員に準じてという指導をしておるのだ、こういうことでありますが、給与ばかり指導しているのではなくして全般的な行政水準で指導せなければならぬと思います。しかし地方へ行きますと、あなた方はもう決算も予算もみんな自治体からとってよく知っておらなければならないのだけれども、何年間もほっておかれるような状態、給与関係につきましても今日ざっと新聞にも出ておる特別職の通勤費とか特勤とかあるいは勤勉手当を入れている。たくさん入れておりますね。これも一年や二年じゃないのです。したがって、あなたたちはこの勧告実施しないで一方的に弾圧している。やったら違法だ、すぐ自治省通達を出されておる。だから一般職の、あるいは現状も含めてそういう職員の給与のことに対してはすぐ準じなければいかぬ、こういうやり方、そこで地方公務員法あるいは自治法でもそうですが、私は地方議員のときにもしばしばやってきた。実際その自治体では財源の操作ができるわけです。それでもすぐあなたたちは圧力をかける。あるいは交付金をもらわない不交付団体だと補助金を云々、こういうことをやられる。ところが「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」となっておるでしょう。地方自治体では人事委員会が必ず報告出しますね。そのときには民間の事業体をずっと調査して出すのです。実施時期は必ず人事院実施時期と同じように出している。三つの要素があって、生計費と公務員とのバランスなどが出ている。しかも不交付団体等は、もう世論は実際政府もむちゃをするなということになってきておる。これだけ何回となく勧告されてもただの一回も完全実施しない、違法だとかいって弾圧するならば、せめて一回くらい完全実施をして、しかる後に職員やあるいは職員組合が違法行為をやったときに取り締まるならともかく、自分のところはやらずしてただ違法だ、違法だといっているから、地方じゃ政府なり役所、自治体というものは非常にむちゃをするのだなという声にいまはなりつつある。そうして不交付団体が完全実施の方向へやるのがあたりまえだ、こういうことでやろうとすると、あなたのほうはすぐけしからぬという通達出している。いま、広島県で府中町というのは御案内だと思いますが、これは長い間不交付団体である。そして町であってもこれはもう変な市よりも大きな人口を持っておるところです。年間三千も四千も人口がふえておる。そこがそれだけ行政量がふえるから、そうかといって定員をすぐふやすわけにいかぬ。だから人事院勧告したり人事委員会報告するその線に沿うてせめてもやることが職員に対して働いてくれと言いやすいからやろうとする、そうしてそれを両方できめた。そうすると、あなたたちは行政局からけしからぬという通達出した。こういう点こそ、自主財源もあり、しかも人口もふえて行政量がふえているので、この勧告の線に沿うて実施しようとするのだから、奨励こそすれストップをかける筋ではないと思う。しかも公務員法からいっても三つの要素のうち二つの要素は達成することになると思いますが、どう思われますか。
  63. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方公務員給与のきめ方をどういう形できめるかという基本的な問題に、御質問の趣旨はあるいは触れるところもあろうかと思います。と申します意味は、地方自治体は文字どおり自治体なんだから、結局公務員給与もそれぞれの団体の実情に応じて、ただいまお話しになられましたような要素がいろいろあるわけでございますが、その団体の中での、たとえば標準的な生計費でございますとか、あるいは地域内の民間企業の給与水準でございますとか、あるいは地域内の国家公務員給与とのバランスでございますとか、あるいは団体の財政事情というものもございましょう。そういったもので、それぞれの団体はそれぞれの団体ばらばらで、まさにそれが自治だ、自主的にきめてしかるべし、こういう御意見も一方をあり得ると思います。そういうことに相なりました場合は、これは申し上げるまでもないことでございますけれども財政の苦しいところでは事業を切ってある程度の給与水準を維持するか、あるいは事業を優先させるためには結局ある程度給与の水準を切り下げざるを得ない、あるいは財政の豊かなところでは、いま例にあげられましたように、給与をうんと上げてやろうということになれば、そういうこともできる。こういうことになるのでございますから、すべての団体にひとしく財源を確保する、こういう考え方からいたしまして、公務員に準ずる給与の財源措置というものをやっておる、こういう面が一方財源の問題でございます。  それから制度上の問題といたしましては、ただいま御指摘のありました地方公務員法第二十四条の規定の運用といたしましては、たとえば生計費でございますとか、あるいは民間企業の給与でございますとかいうものは、一応国家公務員給与というものに集約された形で出てきておるのではないか。したがいまして国家公務員に準ずるという形で、同じように公務員でございますから、公務としての類似性という面から見ましても国民の納得が得られるのではないか。かたがた、教育公務員特例法でございますとかあるいは警察法でございますと、たとえば教育職員の給与の額、種類は国立学校の教員の給与の種類、額に準じて定める、こういう規定もございまして、国家公務員に準ずるという線を、私どもといたしましては、そういった制度上あるいは財源措置上の面から打ち立ててまいっておるわけでございます。したがいまして、国家公務員に準ずるという場合におきましては、その給与の中身なりあるいは実施時期というものも一当然国家公務員に準ずる、こういうことでなければ理屈が合わない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  64. 浜田光人

    ○浜田委員 時間がないから、ずばりずばり言っているんだが、あなたの言われるものさしというものは、そこに人事院総裁おられるが、人事院総裁なり、地方自治体なら人事委員会があって会長がおる、それがきめたのがものさしですよ。それをオーバーするなら、いまあなたが言われたように、私はいかぬと思う。アンバランスになると思う。そのきめられたものさしの中に押えることが一番忠実で、バランスをとることなんです。それを一方的にあなたたちが値切ろうとするからいかない。そこに問題が起きる。それが財源上できるというならば、あなたたちが不交付団体に文句を言う筋合いじゃない。勧告をオーバーするならば文句を言いなさい。その勧告のものさしの中なのに、何をあなたたち文句を言うことがあるか。そこです問題は。地方の人事委員会がやったそれをオーバーするなら初めて文句を言いなさいよ。そこはどう思われますか。
  65. 鎌田要人

    鎌田説明員 したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、財政の問題というその以前に、地方公務員給与あり方、きめ方ということについての原則的な考え方を申し上げておるわけであります。国家公務員給与というものが、たとえば、いま問題になっておりますのは、実施時期の問題であろうと思うわけでございますけれども国家公務員給与なりあるいは他の地方団体の給与というものが、この八月から改定が実施される。その場合に特定の団体だけが、自分のところは財政上の余裕があるからということで四月からやられるということになりますと、これは、やはり国家公務員に準ずるという地方公務員給与の現在のきめ方というものから見て、理屈が合わないのではないか、こういうことを申し上げているわけでございます。     〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
  66. 浜田光人

    ○浜田委員 だから具体的にぼくは言っておる。時間がないから、これを言ったのだから。たとえば行政水準を、この自治体だけとっているのですよ。他の自治体もたくさんあるけれども。できるだけ財政をいろいろ切り詰めたりして、学校でもあるいは公民館でも非常にりっぱなものを建てたりして、ここは日本でも一というような文化会館とか中学校もある。それをやるためには、やはり職員も一生懸命努力しているだろう。さっきしばしば申し上げるように、年間何千人という人口がふえる。それだけ業務量というものはふえるわけですよ。だから、その町長や為政者というものは、これはいかぬからというので、しかもものさしの中でおさめようとするのですよ。しかもわずか六億八千万、七億ぐらいのところで一億五、六千万の黒字を出しているのです。勧告された中身を変えるというのじゃない、完全実施の時期を守ろうとするのに、なぜあなたたちがせっかいやくのか。むしろあなたたちは、逆に他の地方自治団体も五月実施にそろえるようにすることが、勧告されたものさしの中では忠実なるゆえんだと思うのです。何も政府一つもごやっかいをかけるのではない、不交付団体だから。それをけしからぬというような水のぶっかけ方というのは、人事院総裁、どう思われますか。こういう役所があるのです。どう思われますか。あなたがせっかく一生懸命国会やら政府勧告して、ここまでやってもらいたいといっているのに、政府がけしからぬのですよ。国会で何年も何年もこの完全実施を決議しても、それを無視しおる。今年こそはといって、昨年はあなたがずいぶんやられた。この五月実施については、だれよりもあなたが一番熱意を持っておられると思う。それをすぐぶっこわそうとするところの役所があるのですよ。どう思われますか。
  67. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 御指摘のような問題は、私ども一も伺っております。私どもuとしては、国家公務員の兄弟分であられる地方公務員方々の措置についても、これは私情として念願するわけでありますけれども、いかんせんここにおられますように、他の所管責任当局がおりますから、ここで批判がましいことは申し上げませんけれども、しかし、何しろ問題を探ってみれば、国家公務員の分をちゃんと完全実施していただければ、当然これは消滅する問題ではあるまいかと思います。したがって、まだ私は、この段階でも、国家公務員のわれわれの勧告に対して、ぜひ完全実施をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。
  68. 鎌田要人

    鎌田説明員 基本的に国家公務員給与に準ずるという私どものたてまえの必要な理由と申しますか、趣旨という点については御理解をいただいたと思うわけでございますが、基本的には、いま人事院総裁がお答えになりましたように、やはり国家公務員においてそういうことが実現すれば、私どもも当然それに準じて行なうということについては異存がないわけでございます。  ただ一つ、これはあるいは言い過ぎになるかと思いますけれども一、地方の特定の団体が、財政に余裕があるからそういうことをやるということ進んでまいりますと、私どもの率直な気持ちといたしましては、戦後二十年かかりまして、先生方のおかげながら、地方財源の確保ということに努力してまいったわけでございますけれども、そういう面におきまして、やはり今後いろいろと障害が出てくるのではないかという感じも実はするわけでございます。
  69. 浜田光人

    ○浜田委員 さっきも言うように、職員の給与だけをすぐあなたたちはバランスをとれと言うのではなくして、ほかにもたくさんあるじゃないか。いま具体的に言った行政水準も一、さらに低いのは、あなたたちは放置しているのだ。これまで実施しておる町村はたくさんありますよ。そういうのはほうっておいて——実際、これの実態を調べましたか。年間三千人も五千人も人口がふえる町村ですよ。実態を調査して、それだけ働いておる職員諸君にはどう対処するのか。あるいは、いまのような一般の行政水準を、それだけはけしからぬと言うのではなくして、ほかのものはどうするのか。大体、そういう金のない、金を持たない自治体と他の自治体とのバランスは、交付税でとるようにしておるのでしょう。しかも、しばしば言うように、ものさしより出るならばいかぬけれども、ものさしの中でやろうとしておるのではないか。それをなぜけしからぬというようなことをやられるのか。むしろ実態をよく把握して、実態がこうならしかたがないな、そういうことにならなければいけない。それがほんとうに自治省として自治体を行政指導するゆえんだと思う。よくこの自治体なんか調べてごらんなさい。これはやるのかあたりまえなんだ。これは各新聞ともみんなそうなんだ。そういう実態なんですが、実態調査して、あなたたちがただけしからぬと言うのでなくして、どういう指導をされようとしているのか、再度……。
  70. 鎌田要人

    鎌田説明員 人口が急増する団体は、たとえば大都市周辺でございましても一ぱいございます。そういう団体でも、国家公務員に順ずるという指導方針のもとに八月から実施しておるわけでございます。特定の団体だけがたまたま財政上余裕があるからそういうことをやられるということにつきましては、私どもといたしましては、どうしてもこれは認めるわけにはまいらないということでございます。
  71. 浜田光人

    ○浜田委員 それじゃ、意見として言っておくが、東京周辺にもたくさんあるでしょう。あるけれども、ほかの行政水準はどうなんだ。さっき言うたこの団体などは、他もずっと上がっていっているのですよ。職員だけが労働がオーバーになってきておる。だから、こういうような自治体は実態をよく把握しなければいけないと言うのだ。ただ画一的にやるのだということでなく、交付税というのでちゃんと調整すればいいのだ。ところが、不交付団体だから、そういう不交付団体の特殊な実態があるとするなら、それはどうするかという、ほかの次元でぼくは検討すべきだと思う。ところが、職員の給与だけをすぐけしからぬというようなせっかいをあなたたちがやくのは、私は筋違いだと思うのだ。全部の行政水準もよく検討しなさい。その上でこういうことも指導したりすべきなんだ。片寄った行政指導をすべきじゃない。しかも、これは生きた人間がやることなんだから、むしろ将励すべきなんだ。それは、ものさしより出たらいかぬよ、勧告というそのものさしの中なんだから。それを出たら、ぼくはあなたの意見にすぐ賛成する。出ない中だから、ぼくの意見に賛成してもらわなければいけないと思う。だから、よく実態を調査して、ほんとうにいけないならば、あなたたちはけしからぬというようなことを言うてもいいけれども、この点はぼくは強く要求しておきますよ。
  72. 浦野幸男

    浦野委員長代理 兼山親義君。
  73. 華山親義

    華山委員 総理府の人事局、それから自治省にちょっとお聞きいたしたいのでございますが、明日不幸にしてストライキが行なわれる。ことしはかりではございませんが、その際に、私は主として県庁、市町村等の自治体から聞く話であるけれども、管理者のほうで特にその日に限って出張を多くしてみたり、また早朝の出勤をやらしてみたりいろいろなことで、ことばは適当でないかもしれませんけれどもストライキ破りをさせるようなことをやっている。こういうふうなことは、これは人事局なりあるいは自治省のほうでこういう指導をしているのですか、どうなんですか。
  74. 鎌田要人

    鎌田説明員 自治省といたしまして、地方団体に対しまして指導いたしておりますのは、地公法三十七条に違反するような違法な争議行為というものを行わないように、十分職員の管理、監督ということに留意するようにという指導をいたしております。  ただいま御指摘になりましたような事例は、おそらくそれぞれの団体におきまして、その法に違反する行為というものが行なわれることのないように、当日職務命令をお出しになりまして、そういう違法行為というものに参加することのないように、未然に防止の措置をそれぞれの団体の自主的な判断に基づいておとりになっておられるというふうに理解いたしておる次第でございます。
  75. 華山親義

    華山委員 内閣のほうはどうでございますか。
  76. 栗山廉平

    ○栗山説明員 お答え申し上げます。  各省に連絡を申し上げまして、違法の事態にならないように気をつけていただくように、前もって連絡いたしておる次第でございます。
  77. 華山親義

    華山委員 私、自治省に関する限りは、いろいろの話を聞きます。しかし、文書でお出しになっているわけでもないでしょうから、いまここでこういうことをやっているじゃないかというふうなことは私申しませんけれども、私の見聞するところによれば、文書ではいわないにしても、いろいろな面でそういうふうな戦術を授けている形跡がある。それで私申し上げる。  地方自治体の明日の職員のストライキというのは、これは県知事に対してやるのでも一ない、市町村長に対してやっているのでもない、地方公務員国家公務員に準ずるのだということで、国家公務員給与のやり方がこのようなやり方なものだから、あの人たちの考え方は、国家に対してストライキをやっているのですよ。知事に対してやっているのでもないし、市町村長に対してやっているのでもない。そういう慎重な——それで私は考える。私の経験からいっても言えるのですけれども、いろいろな問題について、労働組合というものと管理者との間にいろいろな意見の食い違いができ、またそこに論議をかわされたにしても、私は常に気をつけておることは、また気をつけさしておることは、その論議はよろしい、大いに論議をしてもいいけれども、そのあとで感情的なしこりを残しちゃいかぬということを常に私も考えておったし、言ってもいるわけなんです。ところが、今日各地方地方で見られるような方法を管理者がとりますと、不必要な悪い感情をあとに残す。そういうことを私はおそれる。ことしはもう明日でございますからおそいのでございますけれども、来年は、いままでの話を聞くと、完全実施だそうですからないはずでございますけれども、来年ももしこういうふうなことのあった場合に、そういうふうなことはやめろ、控え目に控え目にすべきだということを自治省はお考えになっていただきたいのでございますが、どうでしょう。
  78. 鎌田要人

    鎌田説明員 私どもの基本的な考え方といたしましては、いかなる理由がありましても、やはり法律を率先して守らなければならない公務員が地公法違反の行為をやるということについて、これは何としても容認するわけにはまいらないという気持ちでございます。この問題は来年以降ということでございますので、ちょっと私としては大きな政治的な問題がその前提にありますので、お答えしにくいわけでございますけれども、やはり法律に違反する争議行為というものが行なわれる場合には、それに対する十分な事前の警告制止の措置というものは、任命権者として当然とられるべきが住民に対する責任ではないかというふうに考えます。
  79. 華山親義

    華山委員 私は、警告が悪いなどということは一ぺんも言っておらない。そういうふうに故意に出張を命じてみたり、朝早く業務命令で出勤を命じてみたり、そういうふうなストライキ破りをさせるような——ストライキ破りということばが悪ければ、これは訂正いたしますけれども、そういうことをさせておるようなことはやめさせるべきではないかということを言っている。警告のことを言っているんじゃありません。もう一度お答え願いたい。
  80. 鎌田要人

    鎌田説明員 当日、職務命令を出すことによりまして、そういう違法行為に参加することを未然に防止する、やはり管理者といたしまして私は当然おやりになってしかるべき行動ではないかというふうに考えるわけでございまして、それを一律に私どものほうでやめさせるということは、それこそ私どもあほうの指導として行き過ぎではないかという感じがいたします。
  81. 華山親義

    華山委員 私はここで言いますけれども一つの県庁に三千人か四千人か五千人の人がおる。それらの人にすべて出張命令を出すわけにもいかない。その中の二百人なり三百人はあるいは参加しないかもしらぬ。しかしそのことのためにストライキはやめられない。あなたのようなやり方によってストライキが中止になるならば、これはまた一つの方法かもしらぬけれども、やめられないのです。そして残るのは何か。むだな出張をさせて県庁の経費を使うことと、組合と県庁との、あるいは市町村との間に悪感情を残すだけのものである。そういう愚かなやり方というものは、私はやめてしかるべきだと思う。警告を発するというようなことは、これはやめたほうがいい。それはいいでしょう。いいでしょうけれども、そういう皮肉な方法は私はとるべきじゃない、こういうことを申し上げて、なお私今度のいろいろなことにつきまして実態を見てまいりまして、十一日は地方行政委員会があるそうですからもう一度お尋ねしますので、きょうはこの程度にしておきます。  それからお聞きいたしますが、明日ストライキが行なわれることについて、いろいろな理論はあります。非常に重要な理論でありますし、いままで論議をされたところでありますけれども、あの人たちがやむを得ずストライキをするということは、やはり生活関係なんですね。生活が苦しいからなんです。簡単に一例を申し上げますけれども、中級の幹部、中級の官吏の人たちですね、この人たちは、むすこさんを二人くらい大学に出している。しかも地方から出している。今日大学の学生の数は、割合において昔の中学生と同じだという。大学を出さなければ、父と同じような人生を送れないかもしれない。二人のむすこを大学に入れて東京に出しておるということは、これは容易なものじゃない。みな奥さん方は子供を預かって私設保育所をやったり、自分のうちに下宿人を置いたりして家事のやりくりをやっているような実態なんです。生活関係があるのです。その生活実感が明日のようなストライキになると私は思うのでございますけれども、それで今年人事院は八%の勧告をされた。しかし、これを八月で値切った。八月で値切ったために、実質的にはどれだけのことになるか。この点は四分の一減ったわけですから六%ともいえますけれども、二面において交通費も五月から出すことにした。しかし、六月の昇給はない。こういうふうなことはいろいろ計算も困難でございますけれども、たとえば完全実施をした場合と八月から実施する場合との見込みの所要経費、そういう経費から要素として計算いたしますと、ことしの昇給は六%にも一足りない五・八五%になる、こういう実態。しかし、その後八月以降、内閣で閣議決定をされた以後の物価騰貴というものは、非常に顕著なものがある。九月の前月比、これは全国からは出ておりません、東京でございますけれども、八月に比べて九月は三・九%の上昇。これは十五年ぶりの上昇だといわれている。しかも十月以降はもっともっと上昇するであろうと政府みずからもことばの間にほのめかしている。このような実態が八月の決定以後に起きている。私考えますのに、いままであまり例のなかったことでございますけれども、今年の物価の上昇率は、政府は初め四・八%といった。しかも、その際には、米の値上がりは考えないといっていた。それを加えないで四・八%といっていた。こんなものでおさまるものではない。東京だけでございますけれども、すでに前年同月比七・四%の上昇率を示している。年平均を考えますと、九月、十月でございますから、十月の実態を見たならば、十月がちょうど中央にあたりますから、それが平均と考えてもいいと思うのでありますが、七・四%以上こすだろうと思う。そうすれば、先ほどの五・八五%と七・四%、これを考えますと、官公吏の実質賃金は低下する、こういうふうな実態が八月以降の物価上昇によっていよいよ明白になってきたわけです。こういう点につきまして、長官のおられないこと、はなはだ残念でございますけれども、役人の立場を守っていかれようとする人事局は、どうお考えになりますか。八月以降に起きた物価上昇の状態、こういうものを勘案して、なお今後考慮すべき点があるんじゃないか、お答えを願いたいと思います。
  82. 栗山廉平

    ○栗山説明員 先生、物価の状況から公務員のことをどう考えるかという御質問でございますが、われわれも物価上昇には相当な関係がやはりございます。しかし、給与の改定の点に限って申し上げますれば、やはり現在のたてまえは人事院勧告に従いまして最善の努力政府はしていくというのがたてまえであろうと存じまするので、われわれはその線に沿って努力をしていきたいというふうに存じておるわけでございます。
  83. 華山親義

    華山委員 そうしますと、人事院勧告完全実施するということで今後努力するということでございますか。
  84. 栗山廉平

    ○栗山説明員 十分努力してまいりたい、こういうたてまえでございます。
  85. 華山親義

    華山委員 そうしますと、この間の閣議決定は今後これを変更するところの考慮があるわけでございますね。
  86. 栗山廉平

    ○栗山説明員 先ほどからるる総務長官が述べられましたるごとく、ことしの八月三十日の閣議決定の線につきましては、これは再検討いたさない、つまり変更することはできないという返答を申し上げておる次第でございます。なお、来年以降につきまして、予算編成期までに何らかの完全実施の方向に向かっての精一ぱいの努力をしてまいりたい。こういう、先ほど総務長官がおっしゃられましたその線でございます。
  87. 華山親義

    華山委員 私のお尋ねしておるのは、そういうことじゃない。ことしの物価騰貴の上昇率から見るならば、先ほど数字を申し上げたとおり、公務員の実質賃金が下がる。公務員の実質賃金が下がっても、なおかついまのままでいい、こういう態度でございますか。私は、いままで実質賃金が国家公務員について下がったということは、統計的にあまり見ておらぬ。ことし初めてそれが起きようとしている。それでいいものだろうか、どうなんです。
  88. 栗山廉平

    ○栗山説明員 決して好ましい状態とは存じませんけれども、先ほど申し上げましたるごとく、閣議決定の線は変えないという政府の方針でございますので、われわれはその点を体しましてまいりたいというふうに存じております。
  89. 華山親義

    華山委員 あなたはそれでいいのでしょう。長官がいらっしゃいませんから、初め申し上げましたとおりはなはだ残念ですけれども、私はそういうものではないと思う。日本経済界が好況といわれるときに、実質賃金を割るようなことがあってはならないのじゃないか。その点をひとつ長官にもよくお伝えを願いたい。  それからもう一つ伺います。これで私言うのですけれども総合予算主義をとられた、それから独立採算制をとられた。独立採算制ということは、これは物価の上昇を招きます。公共料金のこれに伴うところの物価の上昇を招く。受益者負担という、これだって物価の上昇を招く要因になります。こういうふうに片方のほうでは独立採算制といい、受益者負担といって、物価の上昇するような原則を定めておきながら、片方のほうでは総合予算主義といって、公務員の人件費を押える。これではたまったものじゃない。今度の予算の内容というものは、物価を上げることと人件費を押えることなんです。これが総合予算主義になり、独立採算制になり、受益者負担になる。これが大蔵省のやり方なんです。それじゃ公務員はたまったもんじゃない。先ほど言ったとおり、公務員というものは苦しい生活をしていなければそれでもいいでしょう。そういうことじゃ私はいけないと思う。そういう予算の立て方それ自体に問題があります。大蔵省給与課長どう思いますか。今度の予算のつくり方は、そういうつくり方じゃないですか。片方では物価を上げる。片方のほうでは人件費を押え、あるいは減らす、予算の立て方はこういうやり方じゃないのですか。そうだとすれば、公務員がおこるのはあたりまえだと思う。
  90. 相原三郎

    ○相原説明員 給与課長としてはたいへんにむずかしい御質問で、どう御答弁申し上げたら御満足いくか、はなはだ自信がありませんけれども、やはりこの総合予算主義と申しますのは、従来の財政の硬直化を打破しようということで、将来に向かっての財政の基本的な素地をつくろうということで採用された方針でございます。したがって、大蔵省としましては、この予算編成方針に基づいてやるほかないというふうに考えております。
  91. 華山親義

    華山委員 あなたの答弁は何だかさっぱりわからない。今度の予算の原則は、総合予算主義であり、独立採算制であり、受益者負担でしょう。あなたのお話では、これは物が上がるのにきまっている。公共料金が上がるにきまっている。総合予算主義はどんなものかと見ていたら、今度人件費は押えるんだ。物価は上がる、人件費は押える、これはひどい所得政策だといわざるを得ない。私はいま給与課長がいらっしゃるのでそこは言いませんけれども、私はその点非常におかしなやり方だと思わざるを得ないので、この点は反省していただきたい。  それから、ひとっこれは人事院総裁にも伺いたいのでございますけれども人事院ではもちろん物価というふうな問題を勧告の要素にいたしておりません。ただ初任給を定める場合には、生計費なりまた物価上昇というものも参考にしておられるようです。ところが先ほど、いままでるる申し上げたとおり、実質賃金さえも割ろうとするような傾向なんです。一面民間においてはどうなんだ。人手が足りない。事業はますます人手を要する。また会社のほうには相当利得もあるというふうになれば、この秋等にきまるところの初任給というものは、相当高いものでないかと思う。しかるに、国のほうではこれを値切っている。それで人事院総裁がせっかくお考えになった、優秀な多くの人たちが民間にだけ行って、そして官界には入らない、そういうふうな傾向を是正するという意味で今度の勧告ができておるようでございますけれども、そういうふうなことも、いまの情勢からいきますとおかしくなりはしませんでしょうか、伺っておきたい。
  92. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 御指摘のとおり、初任給の問題は、当面公務員を採用する立場から考えますと、相当重大な要素をなしておるということで、いまおことばにもありましたように、ことしの勧告におきましても、これはできるだけ考慮したつもりではありますけれども、これまたいまお話しにありましたように、さて来年度募集する民間の初任給は一体どうなるだろうか。そしてこれは従来のとおりであるはずはなかろうという考え方が、当然出てまいります。ただし私ども立場は、先ほど予測勧告とか予備勧告とかということばがありますけれども、将来を予測してやるということがまたたてまえとしてたいへん冒険な面を持ちますものですから、おっしゃるようなことは十分考えられますけれども、そこまでにわかに踏み切るわけにはいかない。やはり来年度の四月現在で突き合わして見るということになるわけです。そういうこともございますからこそ、やはり現に勧告されてありますものは、これは四月にさかのぼれというお説もございますけれども、私ども勧告では五月になっておりますから、せめて五月にさかのぼっていただければ、ことしに採用された人たちの分は、これはある程度カバーされる、こういうことからも、まだいまでも私は死にもの狂いで完全実施をお願いしたいと思っておるわけであります。
  93. 華山親義

    華山委員 これで終わります。
  94. 浦野幸男

    浦野委員長代理 受田新吉君。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 総裁いま死にもの狂いで人事院勧告完全実施を戦っておると、悲壮な決意の表明がございました。そこで伺いたいんですが、死にもの狂いで人事院総裁完全実施に陣頭敢闘されつつあることに対して、閣議決定というこのことを変更して、完全実施あるいは一カ月繰り上げ実施ということが可能であるのかどうか、総務長官にかわる立場のお方はこの中で那辺に存在せらるるやいささか疑義があるわけでございますが、さしあたり栗山人事局長より御答弁を仰ぎたいと思います。
  96. 栗山廉平

    ○栗山説明員 先ほどから総務長官が御答弁なさいましたごとく、本日も二時間余にわたりまして給与関係閣僚の懇談会で真剣に検討されましたのでございまするが、去る八月三十日の閣議決定につきましては変更できないということで結論になりました。先ほどから申し上げておるとおりでございます。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、人事院総裁のお答えにかかわらず、完全実施政府としては不可能だということでございますか。
  98. 栗山廉平

    ○栗山説明員 今年度の閣議決定につきましては、先ほど申し上げましたるごとく、変更できない。ただし、閣議決定(注)の一にございまする点につきまして精一ぱいの努力をしてまいりたい、こういうことでございます。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 閣議決定が変更できないというのは、いかなる根拠からそういう御発言をされるのでございますか。
  100. 栗山廉平

    ○栗山説明員 私の承っておりますところでは、各般の事情を十分に検討されました結果、やはり変更できない。こういうことであったように記憶いたしております。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 自民党政権になって以来、閣議決定の変更をした事例ありやいなや、御答弁願いたいのです。大事なことでございます。
  102. 栗山廉平

    ○栗山説明員 たいへん恐縮でございますが、私いまはっきりした資料持っておりませんでございますけれども給与の改善の点につきまして閣議決定を変更したという事例は、おそらくなかったのではなかろうかというふうに私は記憶いたしております。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 閣議決定のやりかえということは、内閣の責任政治の基本に触れる問題ということになるかどうか、ひとつ……。委員長、これはどうもきょうは責任答弁をいただく方がおられないのが、何かこの委員会の実態というものがきわめてコンニャク問答になる危険がある、たいへん残念な現象がここに当面しておるわけです。総務長官はやがてお帰りになるかどうか。
  104. 浦野幸男

    浦野委員長代理 一時間ないし一時間半という予定ですから、一ぺん請求してみます。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 御出席の時間の見通しをひとつ承っておきたいのです。これは栗山先生に御答弁願うのが困難な問題だと思いますので、総務長官がお出になって一時間ないし一時間半ということは、お帰りになった時点よりスタートしての一時間ないし一時間半とすれば、あとわずかですね。それではひとつ保留をさしておいてもらいます。  次に、きょうは、どなたの御答弁になるかですけれども公務員の処遇の改善を担当する人事院がせっかく——まだわれわれから見ると物足りない形ではあるが、一応法律に基づく勧告をされた。その実施について、仲裁裁定を基準にしておおむね労使間の納得のもとに実行をされている公労法の適用を受ける方々と比べたときに、人事院の対象になる一般公務員というものは、完全実施をされないという非常な悲劇の対象になっている人々である。その人々が何らかの形で抵抗を試みる。明日はさっそくその抵抗が行なわれるわけです。その抵抗を試みた人々に対して、その違法性を追及して処分をされるわけになっておる。ここではっきりしたお答えを願いたいのですが、公務員が中央・地方を通じて何らかの形で争議行為をやる。その争議行為が違法性を帯びたときは、適当な規定に基づく処分をされる。いかなる場合にいかなる処分をされるのか。明日さっそくその争議行為が行なわれるわけですから、争議行為が法律に違反するという場合は、いかなる場合であるか。具体的に例示するならば、勤務時間を一時間ほど抗議集会に当てたという場合に、一斉に遅刻の手続をしてやる、あるいは休暇の手続をしてやったような場合に、それは違法性があるというので処分をするのかどうか。一例でございますが、政府で意図されている争議行為に対する違法性をどう見られるのか、お答えを願いたいのです。
  106. 栗山廉平

    ○栗山説明員 ただいま先生の御質問の件でございますが、公務員法の第八十二条の第一項第二号というのがございまして、先生つとによく御存じでいらっしゃいますけれども、それの「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」という、この条項にかかるか、かからぬかの問題だと思います。これは、具体的にはその場その場の個々の事実に照らしまして行なうことでございまして、必ずしも一律にどうこうということは私からは申し上げることはできませんが、おのおのの任命権者——つまりそれが懲戒権も一持っているわけでございますか——の判断におきまして、いまの条項に照らして適当な措置を行なうということに相なろうかと存じます。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 たとえばその八十二条の規定の職務違反をやった、つまり勤務時間に割り込んで抗議集会をやった、こういう場合に、一斉に休暇戦術でおひまをもらって抗議集会に参加したというような場合は、どういう形になるのか。判例があれば、判例をもとにしてでもひとつお答え願いたいのです。
  108. 栗山廉平

    ○栗山説明員 ただいまのような、たとえば休暇をとってやった場合はどうかという先生の御質問でございますが、休暇をとるに際しまして、たとえば時間内食い込みの職場大会のために休暇をほしいというようなことは、この休暇も一方的ではございませんので、申し出があった場合は、これはやはり当局側といたしましては、そういう場合の休暇は与えられないというふうに相なるかと存じます。その場合に休暇なしにやられますというと、やはりこの条文に関係を持ってくるということに相なろうかと存じます。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 その集会の性質によって休暇を許さない場合がある。にもかかわらず、やった場合は、そこに違法性が発生する、こういうことですね。そうしますと、その管理者の立場にある人の判断で、これが抗議集会か、あるいは公務員の研修集会か——研修にもなるわけですからね。研修を目的とするとも判断できるわけです。その公務員給与改善をいかにするかを研究する会合をしたという判断に立てば、これは違法性がない、こう了解できますか。
  110. 栗山廉平

    ○栗山説明員 たいへん微妙な御質問でおそれ入りますが、ただいまのような場合におきまして、たとえば争議行為の一つの手段としまして、先生のおっしゃいますような研修と申しますか、研究といいますか、というようなことを一斉におやりになるというような場合には、やはりこれは争議行為の一環としての意識をもっておやりになることでございましょうから、おのおのの任命権者におきまして、個々の人々の具体的な行動は、これはまたいろいろニュアンスがあろうかと存じますが、そういう個々の実態に応じまして、この条文とどういう関係を持ってくるかという判断をなすことになろうかと存じます。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 きょうここで御答弁いただくことは、明日の争議行為をやる方々に非常に参考になって、勇気をもって争議行為をやれる人もあるし、また萎縮する人々も出てくると思うのですが、まだ結論は出ていないという——大体公務員というのは、任命権者という立場の人といえども、また一般公務員といえども国民主権という立場で主権在民という原則からいうならば、ひとしくパブリックサーバント——これはもう労使関係というものを抜きにした原則が一つあるわけです。その中で政府対一般公務員というものの関係が発生するという意味からいって、そこに任命権者という地位が認められるわけで、基本的には全部が国民全体の奉仕者である、主権在民ですからね。そういう関係立場公務員が争議行為をやる。しかし、それは一斉であるから職務の遂行に支障があるからという意味のことがあるのかないのか。ばらばらにやるのなら差しつかえないのだが、一斉にやるというところに問題があるという理由が別にあるのかないのか、これをひとつお答え願いたいのです。
  112. 栗山廉平

    ○栗山説明員 ただいま先生の御質問は、一斉にやる場合と個々ばらばらにやる場合に、個々ばらばらであるならばむしろ問題ないのじゃないか、こういう御質問のように承っておりますが、一斉にやる場合には、なお色が濃い。個々ばらばらの場合には、それでは問題にならぬのかということでございますが、これはやはり個々ばらばらの場合におきましても、その個々の具体的な行動によりまして問題になってくる場合がある。それから一斉の場合には、なおその色が濃いというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 明日、公務員共闘の争議行為が行なわれる。それに対して政府がいろいろな警告を発しておると思うのですが、その警告を発した官公署のおもなものを御指摘を願いたい。
  114. 栗山廉平

    ○栗山説明員 すでに先生新聞紙等で御承知のごとく、総務長官から公務員共闘会議にあてまして、その決意をされましたときに一般的な警告を発しておるわけでございます。それから各省、つまり詳しく申し上げますと、先ほどから申されました任命権者のほうにおきましては、別途任命権者の立場——もちろんわれわれとしまして各省のそういう立場方々と常に協議会を持っているわけでございますが、そういう話し合いといいますか、そこの話で、各任命権者の立場におきまして、これはその任命権者のも一とにおける個々具体的な事例に適当な警告なりあるいはその他のいろいろな措置をおとりになっていることと存じますが、これは具体的にわれわれのほうでどうこうといって結果をとっているわけではございません。 受田委員 それぞれの省における、あるいは地方官公署における警告通達、何らかの形のものがそれぞれ発表されておる。それにある程度具体的な内容をもって違法行為と判断する場合の例示がしてあるかないか、お答え願いたい。
  115. 栗山廉平

    ○栗山説明員 総務長官のほうから出しました警告につきましては、例示はいたしてございません。それから各任命権者のほうにおかれましては、その各任命権者のもとといいますか、各省各庁における動きに対処しての何らかの措置、警告をおそらくおとりになっておられることと存じますけれども、おそらくあまり具体的なことはないのではなかろうかと推察はいたしております。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 その警告の内容をある程度、かかる場合はこうだというようなものがはっきりしないと、公務員共闘皆さんにしても、自分たちの判断では、これは違法性がない、こう解釈する場合がある。それを処断するということになると、また問題が起こる。根拠法規は何である、そうした公務員法以外の別途の法律の適用を受ける場合もあるわけです。現に国立の大学校などに争議行為が起こっている。そういう場合に、国家公務員である大学の先生自身がその職務を遂行し得ないような事態になっているものに対する問題も、そこで実際に起こっておる。これは教育の実績をあげ得ないような先生の責任ということがやはりある。学生の争議とあわせて、国家公務員たる大学の先生が職務が遂行できない、現実に職務を遂行していない。これは一体どういうことになるのですか。授業をやっておられない。先生自身が授業を放棄しておられる。これはどういう解釈になるのか。国家公務員を担当される立場から、政府のどなたからでもいいです。——人事院総裁でもいいです。——それじゃ、もう一ぺん私お尋ねします。  ここに弘津総務副長官が来られたから、警察官としての長い実績をお持ちの方でありますから、ひとつ御答弁願いたいのです。国家公務員法の八十二条による職務違反の行為に対する処分規定が、公務員関係にある。また、その他の諸法規で、公務員が争議をやった場合に該当する規定もある。これは文部省でなくわかることなんです。いま国立大学の先生が、学生の争議行為によって授業を怠っておられる。職務を遂行していらっしゃらぬ。職務違反をやっておられると見るべきかどうか、お答え願いたい。
  117. 弘津恭輔

    弘津説明員 ただいまのあれで、私は各大学それぞれの実情をつぶさに調査しておるわけでございませんが、大体新聞その他いろいろな情報で私の承知しておるところでは、各大学の先生方がみずからの意思によって職務放棄をしているというふうな状態でなくて、実は授業をやりたくてしかたがない。しかしながら、学生側の授業放棄あるいは実力行使、そういう問題でやむを得ず事実上授業ができないという状態のように考えております。そういうことであれば、いま御指摘のような公務員法違反といったような問題には該当しないのじゃないかというふうに一応了承しております。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 教育の実績があがらない、子弟の関係がこまやかでない、学生が先生についてこない、こういう事態は、先生に責任なしということになりますか。
  119. 弘津恭輔

    弘津説明員 受田先生のたっての御指名でございますが、私実は文部省の問題に対して答弁するようなかっこうになって、ちょっとどうかと思いますが、私個人の——個人と言ってはちょっとあれですが、私の考えでよろしければ申し上げますが、……(受田委員「どうぞ。私見でけっこうです」と呼ぶ)私は、そういう場合に、法律的な責任ということはともかく、道義的な責任といいますか、あるいはどういいますか、先生としての責任と言ってはちょっと語弊があるが、やはり先生としてはもう少し努力すべきである。一般の場合に、学生が悪いことは私は重々悪いと思っておりますが、しかし、それに対して、先生はやはり教える立場にあるわけですから、できるだけそういうことのないような学園の雰囲気をつくることは、先生に課せられた社会的な義務であるというふうに考えますから、その面においては、先生も一応いままでの経理なり学校の運営については、何といいますか、自己批判をして、改めるべき点は改めるべきであるというふうには考えますが、総体的に申しますと、やはり学生の側に非常に大きな問題があるというふうには考えております。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 自治省として公務員部長さんにお答え願いたいことがあります。  いま国家公務員の場合の争議行為に対する警告通達は承りました。自治省としては地方公務員のそうした行為に対する警告通達というものは、いかなる形のもので出されてあるか、お答えをいただきたいと思います。
  121. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方公務員に関連いたしましては、地方公務員法第三十七条の規定に違反する行為というものを行なうことのないようにという警告を出しております。当然私どもといたしましては、都道府県知事なりあるいは都道府県知事を通じまして市町村長に通達をするという形になるのでありますから、事前に十分警告、制止の措置をとる。また不幸にしてそういう違法な行為が行なわれた場合には、厳正な処分というものを講ずべきである。こういうことを内容にしたものを通達として流してございます。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 その通達の内容が公務員自体に理解できるような形のものになっておるのかどうか。公務員自身のほうから見たら、自分は違法性を持たない行為をしているのだ、こういう形になっているときに、客観的な判断でこれを処断する、こういう結論に役所としてはなると思うのです。そういうときに、何らかの判例か何かを示し、かかる場合はかかる措置をするというような具体的な事例を示して、そういう警告なり通達を出すのが親切というべきじゃないかと思うのです。いかがでしょう。
  123. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方公務員法第三十七条の規定違反というものにつきましては、御指摘のように判例もございます。あるいはまた、私どもといたしまして、会議あるいは研修等の席におきまして、そういった規定の解釈——こういった行為がこの規定に当たる、こういったようなものにつきましては、日ごろから十分研修なりあるいは示達をいたしまして、遺憾なきを期しているところでございます。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、明日全国的規模で展開される公務員の争議行為に対することでありますが、私は、明日の時点において大量の処分が行なわれるというような悲しいことはなるべく避けられるようにしなければならぬと思うのです。そうしないと、国民全体の奉仕者に対する威信にも関する別の意味の弊害が発生するんだ、この点ひとつ総理府並びに自治省において各省間並びに各地方公共団体間の連絡を密にされて、十分公務員が理解されるような形で何らかの根拠を示して、かかる場合はこうなりますよ、こういうことを親切に言っていく通牒等が出されてしかるべきであり、そうして、何かの研修会などのときにちょっと言われるぐらいのことではよく理解できないし、あるいは新聞その他のマスコミを通じて事例をあげて具体的な態度をはっきりしていただく必要がある、かように思います。要するに、今度の公務員共闘の争議というものは、人事院勧告完全実施をせぬからというところに原因があるのであって、これはどう考えても政府一つの大きな責任が持ちかけられた形の争議になっておると私は判断するんです。  そこで、きょうは長官がおいでいただけないというので、弘津副長官が御足労になったようですから、これはいま副長官から責任ある御答弁がいただけるものと判断します。  弘津さん、八月末の閣議決定、これを変更する、し直すということは絶対不可能なものか、あるいは情勢の変化によってはこれはなし得るものか、お答え願いたいのです。
  125. 弘津恭輔

    弘津説明員 閣議決定を変更することは絶対不可能であるということは言えません。過去においてもそういう事例は一、二あったようでございます。ただしかし、これは、閣議決定をした場合の情勢というものと、それからその後の情勢というものと比較してみて、閣議決定を変更することが妥当であると判断されるような客観的情勢の変化というものがあった場合には、閣議決定の変更はなし得るというふうに思います。今回の場合、その問題ずいぶん議論されましたけれども総合予算主義というものをとっておりまして、その総合予算主義のワクの中で人事院勧告の尊重実施というものをはかるというたてまえをとっておりまして、その総合予算主義の千二百億のワクの中でどの程度がぎりぎりであるかということをずいぶん詰められた結果、五面にわたって閣僚協議会をやられましたが、最後の線が御承知のような結果に相なっております。  そこで、現在、その後災害があまりないではないか、だから少し予備費の余裕があるのじゃないか、もし余裕があるならば閣議決定をやり直してもう少し何とか色をつけたらいいではないかということがいわれまして、そういう面で、ずいぶん大蔵省当局その他関係官に来ていただきまして、どの程度具体的に予備費が余るかどうかということをずいぶんやりましたが、現在のところ、閣議決定した当時と、予備費の見通し、実施状況というものについて、ほとんど変化がない、せいぜい一億程度どうかというふうなことを事務当局は言っておりますから、それではもうほとんど変化がないという判断で、閣議決定の変更ができないという状況になっております。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 田中長官は、大出委員質問したときにお答えになったおことばをよく覚えているのですが、千二百億円の予備費は、災害などというのはいま起こっておるわけじゃないのだから、前の橋から渡る意味で五月完全実施するのは可能である、こういう意味の御発言があったわけなんです。そうなりますと、前の橋から渡れるような予備費であるという田中長官の発言というのは、これはうそであるということになるのかどうか、お答え願いたい。
  127. 弘津恭輔

    弘津説明員 私は、田中長官の御趣旨は大体こういうふうに理解しております。あの予備費というのは、普通の災害というものを予想した上で考えられた予備費でございまして、それ以外、普通の状態で考えられないような大きな災害が出た場合には、もちろんあのワクにとらわれないでやるということで、千二百億のうち、普通これから考えられる災害も無視して、ゼロになってもいいからあの中でとにかく給与に全部向けろというふうなことで総合予算主義がきまったも一のではない。だから、前の橋から渡れという趣旨は、おそらく普通の災害ということは一応頭に置いて、まあ五十億とか三十億とか、その程度の——まあ百億ぐらいになりますか、その辺のゆとりというものは、ある程度どっちに食い込むかということは、先に取った方が得だという意味になるかもしれませんが、やはり常識的に考えて、ほとんどあとの災害はゼロと見てもいいというぐらいに予備費を使い込むということは、総合予算主義のたてまえ上できないのじゃないかというふうに思います。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 弘津さんが指摘された三十億とか五十億とか百億とかいう程度の幅ならということでしたが、大蔵省がお考えになった予備費の千二百億というのは、大体来年もことし並みのベースアップを考えるとして、そして昨年並みの八月から実施ということを計算して一応予備費というのは計上されたと思う、常識的に見て。そうしますと、ことし昨年よりも一カ月繰り上げて七月から実施としても、六十億あれば足りるのだ。そうすると、三十億とか五十億とか百億以内に、ゆっくりこの一カ月の繰り上げという幅も私は考えられると思うのです。そういう意味からいったら、せめて昨年よりは一カ月繰り上げ支給、七月から実施という幅を持たせる措置も、この予備費の中でとれたのではないかと思うのですがね。どうでございましょうか。
  129. 弘津恭輔

    弘津説明員 千二百億のワク——大蔵省の方に説明していただくといいのですが、千二百億のうち、平年度の災害が、大体いままでの統計数字では七百億というふうになる。そうすると、五百億ぐらいが一応常識的に考え給与のほうに回せるというふうに承っておりますが、しかし、この五百億のワクにとらわれることはない、五百億というものは必ずしもぶち破れない壁ではないというふうに、当初から考えられておりますが、今回は約百億近くこれをぶち破って、六百億近くを給与に回す、平素の災害の七百億から見れば、災害のほうに回る額は去年よりも少ないというふうになっておりまして、その辺がそれぞれの閣僚の間でずいぶん議論になってまとまらなかった点というふうに思います。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 それで、多少勧告の比率が昨年よりちょっと高い点があったわけですが、大体それは昨年並みの八月実施人事院勧告をのむという一応のワクを考えられた上に、百億以内ぐらいの幅を持たすという意味からいうたら、ここに一カ月繰り上げ支給というお心づかいをいただいてもいいんじゃないかと私は実際は思ったのです。これは長官御自身が五月を盛んに主張されて、私は、そのときに七月とか六月とかいう場合もあるから、五月が実施されない場合は、せめて一カ月でも繰り上げるという措置をお考えになる幅もお持ち願いたいと、強硬なる長官に逆に寛大なる御要求をこの席上で申し上げた。だからその意味では、長官御自身は、五月を完全実施するんだというのはわしの目標だと繰り返し言っておられたのだから、長官御自身の御主張であるならば、総合予算主義を破壊するのだということを長官があえて主張されたということなら、これはまた非常におかしいことになる。だから私は、この意味では、千二百億のワクというのは、一カ月繰り上げ支給という特別措置、多少の前進の措置をおとりになっても、決して総合予算主義を破壊するものじゃないという常識的な判断を持つし、またたいてい国民も納得する問題だと思うのですがね。いま総裁は、あえて五月完全実施のために最後まで戦うという決意のほどをお示しになっておられるこうごうしい姿をさっき拝したわけです。この点、明日の公務員共闘というのは、おそらく私は、きょうでも一カ月繰り上げ支給という措置を政府考え直したいという談話でも発表されたら、一ぺんに争議が直るのじゃないかと思うのです。別に五月完全実施でなくとも明日の争議を取りやめる可能性があると私は思うのですが、いずれにしても、閣議決定を是正することが不可能ではないという法律的な御解釈あるいは慣例的な御解釈をいまされたわけです。そうしますと、この閣議決定は、人事院国会政府勧告されておられる。その勧告された一方の国会はまだ何らの話し合いにも一応じていただけないし、双方の協議もやってない。勧告された者同士が話ができてないその段階で、一方的にスカッとやられたという意味において、国会との話し合いで、両方が勧告を受けたのだから、国会意思も含んで、国会完全実施の五月ということであれば、せめて一カ月前進しましょうという話し合いも可能であったと思うのです。そういう努力を怠って、急ぎ閣議決定をされたというこのこと、また、その後における物価上昇が著しいとかいう現象、あるいは外貨準備高もどんどんふえておる、株価も暴騰しつつあるという事実は、これは情勢の著しい変動であります。それを前提にされて、閣議のやり直しということも不可能ではない。そうすれば人事院総裁の悲願も達せられる、また国会意思も尊重せられる、共闘会議の争議もやまる、すべてめでたしめでたしというかっこうに栄光の結末がつくわけです。ハッピーエンドということになると思うのですが、それに対する長官の代理としての弘津先生の御決意のほどを最後に伺っておきたいと思います。
  131. 弘津恭輔

    弘津説明員 今回のストの問題については、政府はぜひそういうことのないようにということで非常に心配しておりまして、実は土曜日もそのために七関係閣僚集まりまして二時間余り、何とかわれわれとして考えられる手がないだろうか、俗に言う色をつけるということがもしできれば、少しでも親心としてあたたかい気持ちを示してやりたいということで、ずいぶん具体的な問題に立ち至りまして一つ一つ検討してまいりましたけれども、その結果はどうも思うような成果が得られないということで、もう一度きょうまた集まってやろうということになったわけでございまして、きょうも午前中ずっと二時間余り熱心な討議がされました結果は、官房長官から総評あるいは新聞記者等にいま発表されておると思いますが、結論的に申しますと、われわれがいろいろない知恵をしぼってやったにもかかわらず、思うような成果が得られない、この点は非常に残念である。しかも政府人事院勧告を尊重するということをしばしば言明してきておりますし、また人事院勧告を尊重するということは、当然完全実施が望ましいということになるわけでございます。そういう点も、いままで完全実施ができなかったことに対する遺憾の意を表明することに決してやぶさかではないわけでございます。ただ、財政問題その他いろいろな情勢から考えてずいぶん検討した結果、あの閣議決定のワクを変えるわけにはいかないということでございますが、しかし、せめて来年から完全実施ができるような方策を責任を持って考慮しようという方針が、実は閣議決定をされる場合に打ち出されまして、閣議決定に注としてつけ加わったのです。その線として、実はこれは十二月末までに何らかの方途を見つけ出すように検討するというタイムリミットまでつけております。そこで、関係閣僚熱心に今後も検討をしていただくことになると思いますが、人事院総裁にも出ていただいて、勧告の制度それ自体についてわれわれはこれを変更するということを意味するわけではございませんが、人事院勧告が制度的に予算の中に完全実施が確保されるような方策を何とかして見出していこうという真剣な努力をこれからも続けるというのでございまして、これはいままでと違った政府の熱意というものが切実に感ぜられるということで、非常にことばが足りませんけれども、十分責任は感じておりますし、今後も努力するということだけはお約束したいと思います。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 私この機会にちょっとお尋ねしておきたいことがあるのですが、三カ月、五、六、七という積み残しがこのままでいくと残るわけです。一人当たり五千円と計算して一万五千円分ずつ平均残る。その積み残し分は来年の改善で一緒に積んでいってあげるという意味の来年度の改善かどうか、ひとつお答えを願いたいのです。
  133. 弘津恭輔

    弘津説明員 私はそこまで具体的に話を伺っておりませんが、おそらくいま閣僚会議でやっておられるのは、来年の人事院勧告が出た場合に、その勧告を完全に実施するという方策を考えることであって、いままでいわば借金みたいになっておるものまで払った上でまた完全実施ということまで話し合っておらないように思います。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 弘津副長官のお話によると、人事院勧告をされるならばそれはやろうという意味があると思えますね。そうでしょう。
  135. 弘津恭輔

    弘津説明員 そうです。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、積み残し分を一緒に勧告の中に来年入れていただけませんか。事実これは公務員がそれだけ損害を受けておる。完全実施によって支給されるのと積み残された分とでは、大体一万五千円平均残る。その分を来年の勧告の中で同時に処置を勧告することは、法律的に違法かどうか。前年度の積み残し分を入れてはならぬというのは、法律的にはどこにも書いてないと私は思うのです。毎年と書いてあっても、毎年の段階で前年の積み残りがあったという分を、この機会にあと払いという形でこれを支払う道があると思う。これは勧告されるならばやる、こういうことでございます。明言があったわけです。
  137. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 いま御指摘の点は、公務員の代表の方々からもう毎年そういう手はないかということで御意見と御要望を承っておるわけです。私どもは、国会委員会でもあるいはお答えしたかとも思いますけれども、われわれの筋からいうとそれはできません。何となれば、私ども勧告は、たびたび申しますように、国権の最高機関である国会に直接とにかく勧告を申し上げて、最高の御判断をお願いしておるわけです。日本で一番有力な機関です。そこへ直接勧告を申し上げて御判断を願って、それでだめだというならば、もうわれわれとしてはことしの勝負は終わったということで、それを翌年度に持ち越すことはとうてい筋が通らない。これは憲法の精神からいってもおそらくそうでしょうと思います。したがいまして、いまのこの段階においても大きな声を出し完全実施をお願いしているのは、国会に対する勧告がものをいうのはこれからであるから申し上げておるわけです。私ども国会での御裁断を最後の勝負と心得ているわけです。したがいまして、国会がその御裁断をなさるときに、これを来年払ってやれよという御意思を立法か何かでなさる分には、われわれとして何らくちばしをいれることはない。これは立法機関がその権威をもっておやりになることであります。私どもとしては勧告はできませんと申し上げておるわけです。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 それなら、その積み残しを来年の支払いに附帯決議か何かで処理して、あるいは法律の末尾に、この未支払い分は来年度の支払いに繰り越す、こういう形をとれば、それは国会がきめるのだからよろしい、こういう御発言だと思うのです。これはあなたから国会あり方についていま御意見があったわけでございますが、それはいま私がお話ししたような総裁の御発言であったと了解してよろしいかどうか。
  139. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 私は、国会の権能は憲法に違反しない限り、国会の立法権は憲法に違反しない限りは、イギリスに、男を女にする以外はできるということわざがありますように、非常に強大なものと思っております。したがいまして、これはいまとっさのお答えであって、十分考えた上でのことではありませんけれども、その筋からいえば、先ほど私が言ったことは間違っておらないだろうと思います。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 大体結論がいろいろの角度から出てきたようでございまして、方法としては、政府閣議決定をやり直すという情勢の急激な変化、税の自然増収等も大幅に期待できるというのは大体十二月の初めごろにはわかる、そういうことから閣議決定をやり直すというのが第一案。その次は、国会でこれを修正する第二案。第三案は、この積み残し分を来年支払うという国会意思をはっきりすることで、いずれにしても、いま申し上げたあとの二つは——弘津副長官、そういう政府の第一案が一つ考えられる。次の第二、第三の案というものも十分御理解をいただけるかどうか、御答弁いただいておきたい。
  141. 弘津恭輔

    弘津説明員 私の言ったことに足りない点があったように思いますが、情勢の変化というのは、税の自然増収があった場合を情勢の変化というかどうかという点については、私は、これはもう少し検討する必要がある。要するに、総合予算主義というたてまえの中で、予備費がいままで閣議決定をした当時考えていた以上に余分が非常にある、だぶついているということが情勢の変化という私のことばでございまして、したがって、総合予算主義のワクを一応とった上で閣議決定をやったも一のですから、総合予算主義の千二百億のワクの中でまだ出し得る余地があるという場合には閣議決定をやり直してもいいのじゃないか、そういう一応大義名分が立つというふうに私は思っています。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 それじゃもう一つお聞きしますが、二月ごろになって、災害が結局なかった。災害に充てた分を使用しなくても済むようになった。そうすると、総合予算主義をこわさなくてその積み残し分を二月、三月の支払いでやることも、これは総合予算主義を破壊しないという立場考えられる問題になりますね。お答え願いたい。
  143. 弘津恭輔

    弘津説明員 そういうことであれば、これは閣僚会議決定されれば当然考えられると私は思います。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 はっきりしてきましたから、この質問はその分は終わりまして、鈴切先生もあとに控えておられますので、もう一分間ずつのお尋ねを二点だけお願いしたいと思うのです。  地方公務員給与改善について国家公務員に準ずる措置が法律で規定されておる。ところが、東京都の特別区で特別職の方々がいわゆる管理職手当の支給を受けておるというこの現実について、自治省が何らかの注意をやられておるようです。この問題は、いままで自治省としては長くほうっておいて急に起こった問題であったのかどうか、その給与の指導において何らかの手落ちがあったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  145. 鎌田要人

    鎌田説明員 手落ちがあったということになるのかどうか、私も実はちょっと寝耳に水の話であったわけでございます。事柄の始まりは、例の世田谷区の議会におきまして特別職の報酬の引き上げの審議の際に、区議会におきまして管理職手当を出しておるということが適当か不当か、こういうことが論議になったようでございます。私どものほうにも実は問い合わせがございまして、私どもの判断といたしましては、特別職の方々が管理職手当をいつも支給を受けておられるということは実はちょっと考えられないことであったわけでございまして、その点はうかつではないかというおことばになりますと、おしかりは十分受けたいと思うわけでございますが、急遽調べましたところが、特別区において六区出しておる、そのほかにも若干の市町村において出しているらしい、こういうことでございまして、現在、急遽実態を調査いたしますと同時に、理論的な解明を行ないまして適切な指導を行ないたい、こういう段階にあるわけでございます。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 それは確かに調査してみたら変なことになっていたのだということになると、これは手落ちですわね。給与指導を怠っていた、給与の実態調査を十分やっておられないということになる。同時に、今度の閣議決定の注二のほうには、国家公務員の処遇よりも上回る地方公共団体の給与の実態を合理化させたいという閣議決定がある。このことについて現にわざわざこれをうたっておられることになると、地方公務員給与国家公務員より相当上回っているのがあって、それが不合理であるという面があるのではないかという判断がこの閣議決定を見るとできるわけですが、国家公務員給与に準ずるというこの大原則のもとにつくられた、それへローカルカラーを多少取り入れるという形で地方公務員給与はきまっていると思うのです。この点、自治省調査された最近の地方公務員給与の実態というものをごく簡単にお答え願いたいと思います。
  147. 鎌田要人

    鎌田説明員 国家公務員給与に準ずるということで指導を行なっておるわけでございますが、現実に国家公務員給与地方公務員給与の水準がどういう形になっておるかということを、例のラスパイレス方式によりまして調査をいたしておるわけでございます。実は、悉皆調査は予算並びに人手の関係がございまして五年ごとに実施いたしておりまして、この昭和四十三年度が悉皆調査の年になっておるわけでございます。したがいまして、四十二年四月一日現在におきますラスパイレスの指数は悉皆調査でございませんので、大体の傾向を示すというふうにお受け取りいただきたいわけでございますが、それによって見ました場合に、同一学歴、同一経験年数の国家公務員地方公務員給与水準の比較を行なったわけでございますが、国家公務員を一〇〇といたしまして、都道府県の場合が一〇七でございます。それから東京を除きます六大都市、この場合が一二四・五でございます。それから市が一〇七・五でございます。逆に町村の場合は八九・一、こういう状態になっておるわけでございまして、大体大きな府県あるいは大都市あるいは中都市、こういったところが総体的にはラスパイレス比較におきまして国より高いところが出てまいっております。  このおもな原因といたしましてはいろいろ考えられるわけでございますが、一つは給料表の構造がございます。国家公務員に準じた給料表の構造をとっておらない。独自の給料表をとっております。あるいは初任給におきまして国家公務員よりも二号高い、あるいは一号高い、こういったところがございます。それからいわゆる渡りと称しまして、給料表の運用によりまして、峰渡りなどと申しておるわけでございますが、給料表の有利なところをずっとつないで峰渡りして上がっていく、こういう渡りというのがございます。あるいは三短、六短、十二短などと申しておりますが、昇給の期間を一斉短縮をいたしております。そういったような状況が累積いたしましてただいまのような結果になっておるわけでございまして、先ほどから金のあるところはうんと出したらいいじゃないかという御議論もあるわけでございますけれども、やはり私ども給与の指導といたしましては、国家公務員に準ずるという基本線を踏まえながら行なってまいりたいということにいたしておるものでございますから、そういった面で給与水準の高いところにつきましては、給与が高くなった原因というものを十分に把握、究明していただきまして、適切な是正の措置を講じていただきたい、こういうことをお願いをいたしておるわけでございます。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 ひとついまの問題は全国の一覧表をお出し願いたいと思います。余裕のある町村はばかに何もかも待遇がいい。貧弱町村はいつも交付団体として不交付団体との間の均衡が保たれていない。いろいろなものがあるけれども、余裕のあるところは余裕のないところへ回す配慮というのは、その問題は自治省の大きな仕事の一つにあると思うのです。  最後に、三十九年と思いまするが、人事院公務員宿舎の充実の要望をしておられる。その要望をされて四年たっている公務員宿舎について、どの程度の普及がされておるのか。これは大蔵省に大体聞きましたけれども、ただここで問題は、今度の通勤手当で三千六百円をこえる遠いところから通勤をしているような人が一体どのくらいおるのか。この人々にはできるだけ公務員宿舎を優先する。その通勤に要する疲労度というもの、毎日一時間半以上もあの列車でもまれて通勤する人は、執務をするのに非常に支障が起こると私は思うのです。そういう人々の通勤の疲労、またその負担を軽減する意味から、公務員宿舎の利用をこの人々には特に高める措置をして、この間の均衡を保つ手がないのか。それについて最後のお答えを願って、私の質問を終わります。
  149. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 今回勧告をいたしました通勤手当につきましては、民間の実態を調べまして支給額を定めたのでございますけれども、一方におきまして、公務員の側におきまして通勤費の負担状況を調べているわけでございます。今回の通勤手当の増額は、二千四百円までは全額、それから二千四百円をこえるものにつきましては半額ということで、全体といたしまして三千六百円まで支給することにいたしているわけでございますけれども、その場合のいわばカバーされるところの職員の通勤費というものは、四千八百円の負担額までカバーされるということになるわけでございます。その四千八百円の通勤費を現在支払っている者を調べてみますと、全体の九五%ということでございます。全体の職員の中で四千八百円の通勤費用を支払っている者がカバーされる範囲というものは九五%でございまして、特殊な職員につきまして五%はおりますけれども、ほぼ全体としてカバーされておるというつもりでございます。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 宿舎対策について答弁してください。
  151. 栗山廉平

    ○栗山説明員 直接の担当でないものでございますから、先生の御質問にそのままお答えできるかどうか存じませんが、この間の八月三十日に、公務員給与につきましての閣議決定の際に、官房長官のほうからも、公務員の宿舎、国設の宿舎の充実については別途十分努力するという旨の談話がたしか出ているはずでございまするので、私のほうの関係といたしましては、その点だけをお答え申し上げておきます。
  152. 浦野幸男

    浦野委員長代理 鈴切康雄君。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公務員の統一ストがあすに控えております。政府は、最悪の事態に対してそれを収拾するのに何か具体的な解決策を考えておられるかどうか。またどのように話し合いをされておられたかどうか。またさらに話し合いを進めていくつもりであるかどうか。その点についてお伺いいたします。
  154. 弘津恭輔

    弘津説明員 私のほうは、これを解決するための具体策をいろいろ考えて、ずいぶん苦心してまいりましたけれども、こういう答えを出せば解決するだろうと思うような、そういう回答がなかなか出ないという現状でございます。したがって、私のほうとしては、具体的な解決策というもののうまい方法が見つからないで現在に立ち至っております。ただしかし、来年度からの人事院勧告完全実施をめどにして、何とか一歩でも二歩でも前進させていきたい、その具体的方策をもつと真剣に取り組もうという決意をきょうも七人の閣僚全部全員一致で再確認されたわけでございます。そういう意味で、できるだけこの政府の熱のあるところを十分労組の人たちに伝えて、政府の意のあるところを理解してもらって、何とか今度のストを避けていただきたいということで、いろいろ労組の責任者あるいは社会党、総評の関係者にも、その他全労関係の人たちにも、官房長官やそれぞれの——労働大臣あたりもそうだと思いますが、いろいろ話をしておられる現状でございます。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 スト権や交渉権の剥奪されておるところの公務員があえて実力行使をせねばならないという、そういう事態に追い込ましたのは、私は政府責任であると思います。一方、公社並びに現業に対する仲裁裁定の実施経費は約八百二十六億円と推定されておりますが、それは補正なしで四月から完全実施をされております。なぜ一般公務員を差別扱いをするのか。もしもこういう事態をいつまでも繰り返しておれば、公務員が納得しないのはあたりまえではないか、私はそのように思うわけでありますが、その点についていかがでしょう。
  156. 弘津恭輔

    弘津説明員 私のほうは、たびたびいろんな機会に申し上げましたが、予算のワクに一応縛られておりますし、できるだけ年度当初の予算のワクの中でこの公務員給与の改善というものをやっていくたてまえになっておりますので、ほかの民間やその他公社等の関係とは、やはり実施の面において思うような融通がつかないという点がございます。ただ、おっしゃるように、ストライキの禁止ということを受けております公務員に対して、人事院勧告が十分に満足のいくように実施できないという点は、これは非常にわれわれとしては残念だというふうに考えておりますが、何とかこの状態というものを一日も早く解決していきたい。ただ、この間も文教委員会で話が出ましたが、九年間完全実施することができないでいるということ、一体これはどうしたことかという御質問がございましたが、しかし、この九年、十年の間の過去を振り返ってみますと、人事院勧告完全実施はできておりませんけれども、毎年一歩ずつ前進してきておる。九月実施であったのが八月実施になる、あるいはその前はもっとあとから実施されておったというふうなこともございますし、だから、それが後退した歴史は一つもない、絶えず前進しておるという点は、政府の一応誠意のあるところをお認めいただきたいと思います。それから、ことしも少なくとも通勤手当は五月から実施ということに、これも非常にいろいろ問題がございましたが、踏み切っていただきました。私は、もう少し一、二年先を見ていただければ、必ず一歩ずつ前進していって、やがては完全実施になる日がそんなに遠くないのじゃないかというふうに思いますが、努力の至らなかった点は確かにございまして、今後十分これを検討していきたいというつもりでございます。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院の要するに設立という意味合いからいって、私は、それが毎年毎年前進するからそれでいいというものの考え方ではいけないのではないかと思うのです。当然人事院勧告完全実施をされるべきである、私はそのように思うわけであります。なしくずしのような、何か値切り倒すような行き方であっては、それは人事院の存続の意味はない、そのように私は思うのでありますが、政府はいつも人事院勧告を尊重すると答えておりますけれども、本年は総合予算主義をたてにまたも勧告を値切り、八月実施の方針を閣議決定いたしました。閣議決定に対してまたきょうは給与関係閣僚会議が開かれて、公務員給与のことについて、またおそらく明日のストの問題についていろいろの話し合いがあったと思うわけでありますが、それについて総務副長官はどのようにお聞きになっておりますか、お伺いします。
  158. 弘津恭輔

    弘津説明員 やはりいろいろな閣僚あるいは事務当局の話を聞いてまいりますと、予算というものは非常にむずかしいので、各般の情勢を検討した上で予算が決定されるということでございまして、また、この公務員給与という問題だけとってみても、全体に影響する経済的な問題や物価問題について、いろんな面に非常に大きな影響を及ぼすということで、いろんな意見が各方面から出るわけでございます。そういう意見も全部総合いたしまして、政府としてこういう方針でやらざるを得ないということできまるのでありまして、人事院勧告どおり実施できないという面がやはり内部にあるように思います。しかしながら、少なくとも一人事院という制度ができ、その勧告を尊重するというたてまえを貫く以上、ある程度の問題が起きましてもできるだけ人事院勧告勧告どおり実施する方向で努力しなければいかぬということは、それぞれの閣僚がみな意見を一致しておられます。  それから、今度のストの問題についても、政府としては、一応公務員法によってストライキが禁止されている以上、その違法行為が出た場合には、やはり法律の趣旨に従ってわれわれは処置しなければいかぬということは、これはたびたび官房長官あるいは総務長官からの言明、通達によって明らかにされておりますが、私たちはそういう犠牲者ができるだけ出ないように念願して、それぞれの部署を通じて説得をお願いしております。私も一二回、次官会議で各省の次官に、ストライキの起こらない方向で事態を円満に解決するように、何とか説得あるいは意思の疎通をはかるように特に頼んでおります。またきょうも、全農林だけ時間内職場集会をやる予定があるように聞いておりますので、農林次官とは特にその面についてまた詳しい打ち合わせをいたしましたが、私たちはそういう違法的な状態が起こらないことをひたすら念願しております。  いままで申し上げましたように、どうもわれわれは予算というものに縛られて仕事をしなければならぬという面で、われわれの意図どおり給与の改善というものがなかなかうまくはかどらない面もあるという点、非常に残念に思います。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ストの違法のことだけを強調して、ちょうど手足を縛ってぶんなぐり倒すというような政府のやり方であり、また政府自体がほんとうにこの問題を解決するのには、私はさほどむずかしい答えはないと思うのです。いま現在、閣議決定されておることを撤回する、そしてさらに誠意ある答えを出すことによって、それは解決の見通しはできるものと私は思うわけでありますけれども国家公務員は、皆さんも御承知のとおり労働基本権が制約され、基本的労働条件の改善は、一に人事院勧告を完全に実施する以外に解決する道はないわけであります。人事院勧告は、制度的にも唯一の基本権の代償措置であり、政府の今日までの勧告完全実施は、法律的にも道義的にも許すことはできない問題であります。政府はすでに過去において八年間このような不完全実施を繰り返していますが、このことに全公務員の耐えがたいふんまんとなって大きな禍根を残しているということが現在の状態ではないかと私は思うのです。この労使関係の安定が、いまのような状態では、はたして得られるであろうかどうかということ、この点についてどのようにこの問題を政府としては解決するか、責任ある立場として御答弁をお願いしたい。
  160. 弘津恭輔

    弘津説明員 公務員ストライキの禁止の問題は、確かにおっしゃるような点はございますけれども地方公務員たると国家公務員たるとを問わず、公務員は公共の奉仕者でありまして、全体の福祉に貢献する、それに奉仕するということを本質としております。したがって、このストライキ禁止の条項というものは、もし国家公務員なり地方公務員なりが職場放棄をすることによって、国民全体を非常に大きな社会的経済的な混乱状態におとしいれることを避けるためにとられた措置でございまして、その面からはもちろん人事院勧告という代償的な措置もございますけれども、やはり公務員の自覚というものをお互いに胸に刻んで、ストライキだけはどんなことがであってもやってはいかぬ。しかし賃金的な要求その他の面については、あらゆる努力をして、相互話し合いによって解決するという方法が望ましい。したがって私は、ストライキを避けるということは国民全体に対する義務であるというふうに考えております。ただ、この正常な労使関係というとちょっと語弊がございますが、労働条件の改善をはかることは政府に課せられた義務であり、いささかも回避できないもあだ、その点は政府として今後も十分考えてやっていかなければいかぬというふうに考えております。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵省にお伺いしたいのですが、今年度の税収の見込みはどういうふうな状態になっておりますか。
  162. 相原三郎

    ○相原説明員 八月末の収納割合で申し上げますと、四〇・九%になっております。昨年度の八月末は三八・八%でございますから、約二二%ほど収納率が上がっております。しかしこれは、先ほども政務次官からも御答弁申し上げましたように、まだ年度を通しまして四割程度のものでございますし、これをもってにわかにどれくらいの増収ということは申し上げかねるのであります。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今後の見通しについては、大蔵省としてはどのように考えられておりましょうか。数字を示す必要はありません。
  164. 相原三郎

    ○相原説明員 御存じのように年末のボーナスとか三月の確定申告——この確定申告の数字などはわりあい大きいのですけれども一、それから九月決算もuまだ全然わかっておりませんので、そういう状況を勘案いたしますと、にわかにここで幾らかということは申し上げかねると思います。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それではあなた個人でけっこうですが、自然増収があるか、あるいはこれから減るかということは、あなたも長い間御経験がありましょうから、あなた個人でけっこうですから……。
  166. 相原三郎

    ○相原説明員 私は給与課長でございまして、残念ながらそういうことを申し上げる立場にございませんものですから……。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほども私は、大蔵省に必ず責任ある答弁のできる人を置いておくように言ったわけですが、いつも海堀主計局次長ですか、ここに出席するというふうに約束をしていながら、なかなか出席もしていただけないし、それから途中でほとんど座をはずすということが毎度の例でありますが、その点についてひとつ御注意を願いたいと思います。
  168. 浦野幸男

    浦野委員長代理 はい、わかりました。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それで私は、少なくとも今後かなりの自然増収がある、そのように見ておるわけでありますが、総務長官も、財政の許す限りは完全実施をしたいという政府考え方を明らかにしておりますが、相当な自然増収があるとすれば、完全実施への努力をするべきではないか。総務長官はそのように言っておるわけですが、その点について副総務長官いかがでしょうか。
  170. 弘津恭輔

    弘津説明員 努力はいたします。
  171. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは閣議決定を撤回して、新たに財政の許す限り完全実施努力される、そのように判断をしてよろしゅうございますか。
  172. 弘津恭輔

    弘津説明員 先ほど申し上げましたように、閣議決定を変えるということを私は申しているわけでございませんで、自然増収が出たその増収分を給与関係に振り向けることができるかどうかということは、また別途の問題でございまして、私が努力するということを申し上げましたのは来年度の問題でございます。
  173. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 去年はいわばないそでは振れないというような論旨であったわけです。ことしは総合予算主義をくずさないという立場を堅持するといっておるが、しょせんは総合予算主義が隠れみのであって、不完全実施をするために政府としてはすでに予算編成上において勧告を無視する意図があったと思われてもしかたがない、そのように私は判断しておるのですが、その点いかがでしょうか。
  174. 弘津恭輔

    弘津説明員 総合予算主義については、いろいろな議論が現在われわれの内部でも出ております。それを含めて、完全実施をするためにはどうしたらいいかという具体的な方策を今後検討していく、したがって、総合予算主義の是非、欠陥、長所、そういうものもあらためて検討されるというふうに理解しております。
  175. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、総合予算主義というのは財政一つの手段である。絶対だめだというふうにものを考えてしまったならば国民財政でないわけです。すなわち政府・自民党の財政政策になってしまうわけであって、国民財政として、言うならば総合予算主義というものは当然こういう場合においてはもっと幅のある考え方でいかなければならないと私は思うのですがね。  それで私は非常にふしぎに思うのは、公務員給与決定について、完全実施をするという立場において早く決定をしたというならば、ぼくはやぶさかでないと思うのです。例年は大体十月二十日前後に閣議決定がなされているわけですが、ことしは何と早く八月三十日に急遽閣議決定をされたのですが、何かわけがあるのでしょうか。
  176. 弘津恭輔

    弘津説明員 例年は御承知のように補正予算を組んで公務員給与の改善をはかるということでございまして、やはり税の増収の状況その他いろいろなものを勘案して決定することになりますので、財源が初めから予算に組んでなかったために、いろいろな折衝をする、あるいは情勢を見るというふうなことがございまして、いつも十月から十一月にずっと延びたわけでございます。ことしは、初めから総合予算主義というもので一応の財源を確保してございます。したがって、いままでのように、財源がないからというので引き延ばせないという情勢である。この千二百億の中でどれだけを今度の公務員給与に充てるかということだけが残された問題であるということで、あまり長くこれを放任しておくことは、かえって公務員諸子に対して不親切である。したがって、さいふの中の金が全部わかっておりますから、その中でどれだけ公務員に回すか、あとの災害がどのくらいあるかということをあらかじめ検討いたしましたけれども、災害は例年並み、あるいは例年より少なく見てもいいというぐらいのつもりで、できる限りこの中から公務員給与に回すということ、まあいつこれをきめるかということは、いろいろずいぶん議論になりましたが、できるだけ早くということで、親切のつもりでこれをやったということでございます。
  177. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 親切にやっていただいたとするならば、私は完全実施というそのことに踏み切ったときに初めて親切であると、そのように判断をするわけです。いま現在値切り倒されるようなことを早く急いで閣議決定をするなんという必要は毛頭ない。もっともつといろいろ税収の伸び等のことを考えたりいろいろして、もつともつと親切な判断の上からそういう閣議決定をすべきではないかと私は思うのです。  税収の見込みが立たないという理由の総合予算主義が、実際には税収の伸びが大幅に見込まれるようになったわけでありますが、私はそれを悪くとれば、米価等の問題のかね合いもあるので早く決定しておいたほうが無難だという考え方から、そのような閣議決定がなされたとされてもしかたがないような組み方であります。補正財源がないという理由から総合予算主義をとっているのに、財源ができたら、総合予算主義を組んだ趣旨からいっても当然補正を組んで完全実施をすべきではないか、このように私は思うのですが、どうでしょうか。
  178. 弘津恭輔

    弘津説明員 私は、これは大蔵当局のほうからあとで説明していただきたいと思います。というのは、私の言うことに不正確な点があることをおそれるからであります。私の理解するところでは、自然増収、税収入が自然増加したということでもって、いまの総合予算主義が当初組まれたこのワクを広げるとかいうふうなことは予算上できないのじゃないか。補正予算でまた組んでいくということになりますと、総合予算主義という立場がくずれるのじゃないかという気がいたしますが、これはまた別途の問題で、自然増収が出た、その金をどこへどう使うかということは、私はまた別の問題として総合的に考えていくべきも一のだと思いますが、ちょっと正確に大蔵省のほうで予算の仕組みを説明していただきたいと思います。
  179. 相原三郎

    ○相原説明員 仕組みの問題でございますか。自然増収が出たらどうするかという御質問ならば、やはり現在のように、六千数百億の国債を出しておるという状態からすれば、自然増収が出れば当然国債のカットに充てるということが財政立場からはいえると思います。
  180. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は水田さんが参議院の、これはいつでしょうか、答弁をされているのに、こういうことが書いてあるのです。これは木村禧八郎さんが「人事院がかりに五百億以上になったときは、その千二百億の予備費の中からそれはまかなえますか。」という質問に対して「いままでは、こういう人件費とか公務員給与費とか、あるいは食管への繰り入れというような大きい補正要因をそのまま残して当初予算を組みました。ずいぶん冒険な話でございますが、幸いにして経済の成長期でございましたので、年度の途中において何とか補正要因を満たす財源というものが生まれたというのでございますが、もう今後はこういうことは望めません。これははっきりしてまいりましたので、私どもは、当初においてできるだけの予備費を用意するということにして、再び年度の途中でこういう補正のないようにということから、今度の予算においては、いわゆる総合予算主義というものをとって、これを年度の途中で、もうそういう財源が見込めないから補正はやらぬということで、予備費範囲内において最善の努力をする」、こういうことなんですね。そうしますと、要するに大蔵省の財源の見通しというものはいかに甘かったか。総合予算主義を組んだときの精神と現在の自然増収、そして国際情勢が非常によくなってきている、好転をしておる状態においては、これはもうまるっきり違うわけです。政府考えられた総合予算主義考え方とすでにもういまの時点においては大きな隔たりがあるわけです。そうなった場合に、何も総合予算主義にいまここでとらわれる必要はない。すなわち、見通しが甘かった、見通しが違っておったわけでありますから、当然それは総合予算主義に固執をする必要はないのじゃないか、私はそう思うのですが、その点どうでしょうかね。
  181. 相原三郎

    ○相原説明員 予算を編成します時点においては、政府の経済見通し等によりまして編成するわけでございます。したがって、その時点にはプラスのほうにくる要因もマイナスのほうにくる要因も両方あるかと思います。たまたまことしは経済成長が見込みよりも大きかったということでございますけれども、とにかく予算編成時点におきまして、予算の均衡ということでバランスをとってつくっておるわけでありますから、その後に出た自然増収といいますものは、これは先ほど政務次官からも一答弁したとおりでございますけれども一、国債のカットということに振り向けまして、財政の将来の弾力性を確保したいということが財政立場であろうと思います。
  182. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国債の減額についても、それは一つ考え方でありましょう。しかし、公務員給与の問題も大きな問題だと私は思うのです。それを一方的に、公務員給与のほうだけは総合予算主義を守って、これはもう絶対に譲れないというものの考え方は納得がいかないじゃないか。少なくとも、そうやって当初の税収の見込み違いによって現在は状態が非常に変わってきているという時点においては、あらためてここで総合予算主義というものに対して公務員給与考え方を変えていかなければならないのじゃないか、私はそのように思うのですが、その点いかがでしょうか。
  183. 相原三郎

    ○相原説明員 予算編成方針にもありますように、予備費範囲内でまかなうということになっておりますものですから、政府としてはその方針で貫きたいと思います。
  184. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 予備費の内訳はどのように考えられておりますか。
  185. 相原三郎

    ○相原説明員 千二百億の予備費でまかなう対象は、大ざっぱに申し上げまして公務員給与と災害とその他と、この三つに分かれるわけでございますが、災害は、四十一年度の実績では四百七十四億、四十二年度は五百六十九億予備費と補正で支出しておりますが、これに見合うものとして現在見込んでおりますのが四百六十億という数字でございます。これは過去二年間の数字よりも小さい額でございますが、一応そういう数字を見込んでおります。それから、その他では、四十一年度二百八十九億、四十二年度二百五十四億という数字でございますが、これにつきましては二百五十億という数字でございまして、合計しますと七百十億になります。これに公務員給与の改定に見合う約六百億という数字を加えますと千三百十億になります。これは千二百億のワクを百億ちょっとオーバーしておるわけでございますが、災害につきましては、まだ変動要因もございますし、その他の内訳も必ずしもはっきりしないものがありますから、今後努力しましてその千二百億のワクの中におさめたいというぐあいに考えております。
  186. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いままでは予備費というと、これは幾ら組んであるかわからないというようなお話でありました。ところが、きょうに至って、それは災害対策に四百六十億、公務員には六百億、その他に二百五十億という予備費の一応の割り振りを考えておったのだ、こういうことになりますと、総合予算主義はこれをくずさないという考え方に立つならば、もはや八月実施ということは予算のときにきまっておった問題である、どうも私はそのように思えてならぬのですがね。その点いかがでしょうか。
  187. 相原三郎

    ○相原説明員 ちょっと舌足らずであったかもしれませんが、これは当初からこう見ていたというわけではございません。たとえば、災害につきましては、八月までの実績に、九月から十二月までの過去三年間の平均を加えて推算したということでございますから、当初からこういう数字だったというわけではございません。
  188. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 少なくとも千二百億円という、その数字の内訳がそれに近い線が出ているということは、やはりそういうふうなものの考え方があった。そういう以外に私は方法はないと思うのですが、それで、財源があっても総合予算主義を堅持する、すなわち予備費範囲内でやるということは、結局景気調整のしわ寄せを公務員にしわ寄せをするというようなことになってしまうのではないかと思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
  189. 弘津恭輔

    弘津説明員 先ほどのお話で私ちょっと補足いたしますと、私たちの理解しているのは、いま給与課長が言われたのは、いままでの過去何カ年かの平均をとると、災害その他の額が大体七百億くらいかかっている。それから、総合予算主義の千二百億であとは五百億くらい、これが給与に取られると一応常識的には見られるかもしれぬけれども、しかしこの五百億とか七百億というのは一つの壁であって、それから一歩もどっちにも踏み出せないというものではなしに、千二百億のうちである程度の融通がつくということで、そこで先ほど田中長官が橋を渡ったほうがいいと言った趣旨はそういうことであって、これを百億ばかり私のほうが先取りしたというくらいのつもりで実はおるわけです。そういうことで、いまお話しのように、財政硬直化ということから総合予算主義というものが生まれたわけでございまして、財政が非常に好転していくということになったら、また別の考え方もあり得るのじゃないかという気はいたします。しかし、私は財政当局ではございませんので、あまり内政干渉的なことになってしまってはいけないので、責任のある大蔵省当局のお考えを聞いた上で私の考えをきめたいと思いますが、一応総合予算主義というものはそういうものだというふうに理解しております。
  190. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 災害に対しては、もちろん災害がないことを祈るわけですけれども、たとえて言うならば、災害に対するところの予備費、それが災害がなかったために非常に浮いたとなりますれば、これは当然公務員給与のほうに上のせをするということもさらにできるのではないかと思うのです。その点についてはいかがでしょうか。
  191. 弘津恭輔

    弘津説明員 それは、先ほど言いましたように、千二百億のワクの中でどれだけを公務員給与に充てるかということはさまっておるわけではございませんので、もちろん余分があればできるだけこれは公務員給与に充ててもらいたいということは私たちの希望、また一つ努力目標でもございます。
  192. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、最後に人事院総裁にお伺いいたします。  今度の閣議決定の不完全実施というその結果については、人事院総裁はまことに心の痛むような思いだと私は思います。いつもこのようなことを繰り返すということでは人事院の存在すら疑いたくなってしまうような結果に実はなってしまうわけであります。そこで、毎年このような労使のもんちゃくを起こすことを避けるために、完全実施のためには少なくとも人事院総裁の佐藤構想というものが練られているのではないかと思うわけでありますが、その責任者である佐藤総裁から、人事院勧告完全実施に対する佐藤構想をお伺いいたします。
  193. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 大いばりで佐藤構想などと申し上げるのはたいへん僭越でございますけれども、実は昨年でしたか、以前衆議院の地方行政委員会か何かで宮澤構想、高橋構想に対する批判を述べよという御質疑がございまして、そういう構想もさることながら、実は佐藤構想というのはもつと早くからあったのだということを申しましたものですから、佐藤構想と呼ばれて、これはたいへん光栄なことだと思いますけれども、これはきわめて単純な考え方でありまして、いまおことばにもちょっと出ましたように、私どもはかねてうらやましいと思っているのは、三公社五現業の仲裁裁定が、もう十年以上毎年年度半ばに仲裁裁定が下りながらも四月にさかのぼって完全に実施されている、これはどういうわけだ、しかも補正もなしに当初予算のやりくりだけでこれが完全実施されている。お金の額も、ことしの場合でいうと、われわれの勧告五月実施で八百二十何億とかいうお話でしたが、公社、現業の仲裁裁定の実施も八百二十何億くらいで、たまたまこれは合っているような形で、これがいま申しましたように、年度半ばに裁定が下って、当初予算のやりくりだけで、あとで補正で赤字をお埋めになったことはありますけれども、何しろ当初予算で給与の分だけはやってくださっておるというのはどういうわけだろうということは、結局当初予算に相当含みのあるお金が盛り込んであるに違いない、これは当然のことであります。そうすれば、従来は人事院勧告に関する場面においては、当初予算には一文も組んでない、勧告が出たあとで、やれ自然増収がどのくらいあるかということでお金をかき集めて、自然増収はこれくらいあったから、じゃ何カ月分やりましょうということであった。これはそもそも不自然なことではないか。したがって公社、現業式に当初予算でたっぷり準備しておいていただいて、そうして勧告に備えていただいて、万一、勧告実施にそれが足りなければ、補正なり何なり、そのときこそ補正や何かの手当をしていただいて完全に実施していく、これが一番手近な方法ではありませんかということをずっと申し上げてきたわけであります。それが実は根本の——ひやかし半分だろうと思いますけれども、いま佐藤構想と言われるようなもので、私はその考え方は今日でも間違っているとは思いません。当面一番手っとり早い方法じゃないかと思っております。
  194. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それじゃ、要するに当初予算に、相当の、見合うだけの予算を組んでいくというふうな行き方ですか。それとも、来年も特別にまた人事院総裁として、勧告に対してさらに新しい構想がおありでありましたらお伺いをいたします。
  195. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 たびたびお話に出ますように、いま閣僚の協議会をおつくりになって、私自身も加わって、何かうまい方法はないかという検討は、実は第一回しかまだ開かれておりませんが、これからその検討に取り組んでいただける段階にあるわけであります。私としては、もう数年前から実は同じような問題で閣僚懇談会が開かれてきて、私も参加しておりますけれども、しかしまた、今度の場合は今度の場合として、新しい顔ぶれの閣僚もお加わりになっております。どういう名案が飛び出すかこれはわからない。名案が出て、なるほどということであればもちろんそれにこしたことはありませんし、という期待を持ちつつ私もこれから臨んでまいろうと思っておりますけれども、格段の新しい名案が出ないとすれば、手っとり早いことを、さっきの話で申し上げれば、ことしの場合にしても、あと二百何十億か予備費にかけてあったらうまくいったのではないか、きわめて素朴な話ですけれども、相当自然増収でもあったら、それにプラス二百何十億くらいを充てていただけば完全実施できるわけです。この内閣委員会でも、たびたび完全実施についての全会一致の御決議をいただいて、そうして財政完全実施ができるように、特段の配慮をすべしという決議をいただいておるわけであります。私の念願は、この累次の内閣委員会における全会一致の御決議にも沿っておるものじゃないかという気持ちを持っておるわけであります。
  196. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に総務副長官に……。いずれにしてもこの問題を解決するには、閣議決定を固執するというのでなくして、やはり幅のある考え方、そして、今後もその点を十分検討されるように要望いたしますし、また、来年度においては完全実施を必ずやるという決意のもとに進んでいただきたいことを要望して質問を終わります。
  197. 浦野幸男

    浦野委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十一分散会