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大出委員 そこで、ひとつ、これは基本的な問題でお尋ねしたいのですが、標準生計費というものを
人事院がずっと出してこられた過去の歴史があります。ところで、これは、いまの初級試験行(一)でいきまして八
等級の二号に格づけをする、こういうかっこうになるわけでありますが、この場合に、私は、標準生計費云々というのはもうあまり
意味がないじゃないかという気がする。というのは、
人事院自身が困っちゃっているのではないかという気がする。
旧来どおりとおっしゃるけれども、昨年と一昨年は違うのです。去年ここで指摘を申し上げているから
繰り返しませんが、明らかに違う。これは
皆さんがいろいろやってこられたのだけれども、
初任給のうんと低い時代はいいです。標準生計費はここですよと言うのですから、
初任給はこんなに低いと言うのだから、何とかここへ持ってこなければならぬという
意味においてはいいです。ところが、最近の事情というものは、二つ三つ要素があるのです。電機産業みたいに、若い世代の
方々が一ぱいつとめている職場というものはどうしても同一労働同一
賃金的な
考え方が支配する。同質同量の労働は同一
賃金だという
考え方。そうすると、仕事別
賃金というものが出てきて、どうしても上下格差を埋めていこうということになる。あるいは
初任給を上げていこうということになる。やがて日本の年功序列型の
賃金というものは変えていこうということになる。そこからさらに横断賃率的な
考え方が出てくる。日本の
賃金はこういうようにどんどん動いているのです。そうでしょう。そうなると、どうしても
初任給が高くなっても低くならないのです。そうすると、標準生計費の計算をマーケットバスケット方式でやっていくことになると、あまり開いてしまってはかっこうがつかない。標準生計費はこんなところだけれども、
初任給はこんなほうに行っちゃったということではかっこうがつかない。さっき見合いということばが出てきたけれども、見合いにしなければしようがない。いま聞いても、一万九千四百九十円という標準生計費でしょう。これは八
等級二号で二万一千二百七十二円というわけであります。何で一体生計費との間に差があるのかということになる。格づけのほうが高いのですよ。そうなると、これはさらに今度二人世帯、三人世帯、標準の四人世帯というふうに引き伸ばしていったら、到達年数という
考えが出てきて、食えないとかちょうちんとかいうことになってしまうのです。だから、ここまでくると、標準生計費というものは一体何か
意味があるのか、ないのか、前近代的なマグロ一切れ、二切れというようなことを並べてみてもしようがないということになる。そこで、この間私は
総裁に、
人事院は創立以来今日までどういうふうにはじき方がいろいろ変遷したのですかと言ったら、あなたのほうが知っているのだから言わない、私が就任してから変わっていないという答弁をしているけれども、私が言いたいのはそこを言いたいのではないのです。こんな無理な理屈をおつけになるとますます筋が通らないことになる面が出てくる。ことしは
人事院が出さない資料が幾つかある。マル秘なんて判こを押すのは好きだけれども、それにしても、それがとっつかまってぎりぎりやられるものだから出さない。官民比較をして、一
等級から
等級別にアップ率を出してみると、去年の
勧告なんてまさにとんでもない。これは
民間の場合——いまさっきの防衛庁じゃないけれども、防衛庁の場合はピラミッド型ですよ。ぼくは担当だからわかっているんだけれども、下のほうが非常に多い。
公務員というものはちょうちんみたいなかっこうになっている。そうすると、これと対比して合わせようというのですからどうしても形を変えなければならぬ。だからありのままに比較したものと並べてしまうと——ここに去年のがありますけれども、これをまたことし出したらまたたたかれる材料をつくるというので、あなたのほうはさっきの
予算の積算はしないという
総裁の筆法と同じ、いみじくも先ほど言われるように、ああいう積算をしたら
人事院はといってたたかれたからもう出さぬという。それもたたかれたから出さない。ことしは
給与表別、
等級別
給与比較を出してないでしょう、あなたのほうは。これを見ると去年の
皆さんの
俸給表と逆になる。これで見る限りは去年も下厚上薄でなければいけなかったわけです。
そこらがあなたのほうはたたかれてこういうものはなるべくつくらない。ことしはアップ率がここに書いてない。計算すれば出てくるという筆法だと思うけれども、そうでしょう。だからそういうことはいささか
考えなければいかぬと思うのです。そこで、この点、標準生計費というものはどうですか。