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1968-08-22 第59回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月二十二日(木曜日)    午前十時三十九分開議 出席委員   委員長 三池  信君    理事 井原 岸高君 理事 塚田  徹君    理事 藤尾 正行君 理事 松澤 雄藏君    理事 大出  俊君 理事 木原  実君    理事 受田 新吉君       藤波 孝生君    稻村 隆一君       武部  文君    浜田 光人君       安井 吉典君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官木村 俊夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 栗山 廉平君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         文部大臣官房人         事課長     諸沢 正道君         文部省初等中等         教育局財務課長 岩田 俊一君         労働省労政局長 松永 正男君         自治省行政局公         務員部給与課長 潮田 康夫君         専  門  員 茨木 純一君     ───────────── 八月十日  一、行政機構並びにその運営に関する件  二、恩給及び法制一般に関する件  三、国の防衛に関する件  四、公務員制度及び給与に関する件  五、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件(人事院勧告に関する  問題)     ─────────────
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  去る十六日の、一般職職員給与等の改正に関する人事院勧告につきまして、当局より説明を聴取いたします。佐藤人事院総裁
  3. 佐藤達夫

    佐藤説明員 今回の勧告につきまして、早々とこの御説明機会をお与えくださいましたことを厚く感謝申し上げます。  きわめて簡単にポイントを説明申し上げさせていただきます。  勧告基礎といたしましては、例年どおり本年四月に官民の給与を精密に調査いたしました。その結果、公務員給与民間給与に八%下回っておるということがはっきりいたしましたので、これを埋めさせていただくというのが勧告出発点でございます。この八%の格差を埋めますについてもとより一番主力を注ぎましたのは俸給表改定でございます。これに七・一%をさいております。  そこで、俸給表改定につきまして、今回の目ぼしい特色といたしましては、御承知のように初任給民間において非常に上がっておりますために、また、民間における傾向が各職務階層としては下のほうに厚くなっておるという傾向がございますので、私どもの勧告においても初任給に最も力を入れました関係上、いわゆる上薄下厚というような形になっております。それが一つのことしの特色でございます。  なお、それぞれの俸給表改定扱い方につきましては、大体医師方々に対して思い切って改善の手を打ちました。それから、続いて研究職方々についても力を入れておるわけです。それから、なお技能労務職関係の方たち、これらの人人にも格段の考慮を払っております。  初任給につきましては、一般事務技術系、これが大学卒で二千四百円、高校卒で千六百円、これは民間均衡をはかってこれだけ改善を加えることにいたしております。  なお、医師看護婦などの初任給についても、また別に格段引き上げ考えております。  それから、職務関係の分化と申しますか、これは技術的なことでございますけれども、税務職関係あるいは公安職関係海事職、それから医療職の(三)の関係等につきまして特三等級というようなもの、あるいはまた特一等級というような特別の等級を設けまして、職務段階実情に即応させておるわけでございます。  それから、なお今回の勧告におきましては、いわゆる成績主義の推進を目ざしまして、従来ございました特別昇給のさらに一そうの向上をはかっていこうというわけで、特別昇給のワクを広げますとともに、別途職務上非常に功績の大きかった者、あるいは辺地等においてきわめて困難な勤務条件に屈せず挺身して働いておる人たちに対しまして、顕彰の方法とともに給与上の優遇措置を推進しようということになっております。  諸手当関係におきましては、これは通勤手当が一番顕著なる改善になるわけです。御承知のとおり、本年四月におきまする国鉄の定期の値上げというようなことから、民間においても相当これについての改善を加えておりますし、われわれといたしましても、大体従来を基礎にして申しますと五割増しくらいの改善をはかっております。  なお、従来取り上げておりませんでした交通機関と自転車などを併用しておる人たちに対しては、一定条件のもとにこれらについて通勤手当を併給しようという新しい道を設けておるわけでございます。  初任給調整手当につきましては、医師初任給調整手当につきまして、ことしは格段改善を加えました。去年辺地について非常に思い切った一万円という初任給調整手当を定めまして、辺地を特に優遇する形の調整手当制度をつくったのでございますが、ことしはさらにそれを徹底させまして、去年一万円といたしましたのを二万円にするというようなことで、倍近い改善をはかって、これはいなかにいる人ほど高く手当を支給するという形で体制を整備したわけでございます。  なお、そのほか刑務所等矯正施設につとめる人々宿日直手当関係、あるいは夜間道路作業に従事する人々、あるいは税関におきまして夜間自動車をみずから運転しながら監視業務に従事する職員などに対しまして、特に特殊勤務手当を支給するというようなきめこまかい手当てをいたしました。  なお、期末、勤勉手当の年間の支給割合につきましては、ことしの調査におきましては民間とほぼ均衡が保たれておるということが明らかになりましたので、今回はこれを据え置くことにしておるわけでございます。  実施期日は五月一日にさかのぼって、ぜひ完全に実施していただきたいということであります。  これと同時に別途寒冷地手当関係勧告を申し上げておりますが、これは主として現在の寒冷地手当制度は、いわゆる俸給扶養手当に何%をかけてというような定率額をおもな柱にしております関係上、だんだんとベースアップが続くにつれましてこれが不合理になってきて、現在一番定率の高いところ、北海道五級地関係でいいますと、八五%というのが定率最高になっておりますが、これではだんだんと給与改善に伴って不合理を増してまいりますので、この際思い切って従来の定率主義を新しい定率分と新しい定額分に二つに分けまして、新しい定率分最高は百分の四十五と押えますとともに、新しい定額分につきましては、各級地ごと職員の世帯などの区分に応じてそれぞれ定額を定めることにいたしております。なお経過的に不利益の生ずることのないように、既得権の保障については十分意を用いているわけでございます。  なお寒冷地手当の個々の支給地区分につきましても一応再検討いたしました結果、今回三十三の市町村及び若干の官署について級地引き上げを行なうことを勧告申し上げておるわけであります。  それから申し落としましたけれども、従来の北海道関係石炭関係、それからその他の地域についての薪炭関係加給分、これもその後石炭薪炭等の値上がりが見られますので、これらについてもそれぞれ増額の措置をとることにいたしました。  以上がその大要でございますが、これは本年八月三十一日から実施するということにしております。従来八月三十一日をもって基準日とされておりますので、その関係上ことしも基準日からお願いしたいということでございます。  たいへん急いで御説明申し上げましたが、以上が大要でございます。
  4. 三池信

    三池委員長 質疑の申し出がありますのでこれを許します。大出俊君。
  5. 大出俊

    大出委員 官房長官に御出席いただいたのですが、時間の関係がおありのようでありますから、すでに十五、六分たってしまいましたが、重点的に承りたいわけであります。  ちょうど昨年のきょう、八月二十二日に内閣委員会がやはりこの席で開かれまして、労働大臣並びに自治大臣に出席いただいたのでありますが、順序からいいますと、やはり政府関係閣僚相談ごとが続くわけでありますから、そこらの手順などを含めてやはり官房長官に承っておくのが筋だろうという気持ちできょう御出席いただいた、こういうわけであります。  二十日の閣議におきまして、十六日に出されました、いま総裁が御説明なさいました勧告長官から閣議に御報告をされた。その際、園田厚生大臣並びに灘尾文部大臣等から意見が出されて、その後記者会見その他でもその点が述べられておるようでありますが、ここらは一体どういうニュアンスの話になっているのかまずもってお聞かせいただきたいと思います。
  6. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 いまお話しのありました二十日の閣議人事院勧告報告をいたしました際に、園田厚生大臣灘尾文部大臣から発言がございました。その発言概要は、人事院勧告政府として尊重すべきである、こういうような発言でございます。
  7. 大出俊

    大出委員 この記事によりますと、園田さんがお話しになっておりますのは、人事院勧告が出る前から財政的に完全実施はできないなどということをにおわすような動きがあったのはまことに遺憾であるという点、私も同感なんですが、それからもっと勧告を尊重する姿勢が望ましい——もっと勧告をというこの表現は、旧来完全実施をしてきていない、十月が九月になり八月になったという現在の段階なんですね。そうすると、もっと勧告を尊重すべきであるというものの考え方は、もう少し政府は前向きで完全実施に向かって努力をしろ、こう理解をしたい。ここのところがいまのお話ではないようですが、そこらのところはどうお考えになっておるかという点、それからもう一つ灘尾さんのお話の中には、各地教育委員会から完全実施の要望が非常に強く出ているということ、そしてこれを認めないと、これまでのようにストライキと処分繰り返し行なわれるということではあまり好ましくない、こういう御発言ですね。これも各地教育委員会から出ているのは完全実施要求である。これを何とか認めたい、そうしないと教育委員会段階処分繰り返しなんということが起こる点を心配されておるわけですね。この気持ち閣僚皆さんに持っていただきたいと私は思うわけです。そういう意味で実は質問申し上げているのですが、重ねてひとつ御答弁いただきたい。
  8. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 園田厚生大臣発言は、そういうニュアンスはございましたが、しかしこれは園田厚生大臣に限らず、閣僚全体として、政府としてできる限り尊重したいという気持ちは変わりございません。  また文部大臣発言でございますが、毎年御承知のようなああいう処分繰り返しは避けたいという気持ちから出た発言だと思います。
  9. 大出俊

    大出委員 人事院代償機関という性格を持っている限りは、どうしてもやはりここらあたりは灘尾さんがおっしゃるように、各地教育委員会完全実施をしてくれといっていることはもっともだという気持ちで、そういったトラブル繰り返しにならぬようにという気持ちが表面に出ていると思う。ですから、そこらのところは完全実施をするたてまえでなければならぬのですが、そのように長官はお考えかどうかを承っておきたい。
  10. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 今後政府部内でいろいろ協議をし、検討してまいりますが、政府方針といたしましてはあくまで人事院勧告を尊重して最善努力をしたい、こういう考えでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 まだ時期が少し早いですからあまり突き詰めた質問は避けたいと思っておりますが、ところで閣議が終わったあと関係閣僚皆さん懇談会をおやりになったようでございますが、大体どんなふうな御相談をなさっておりますか。
  12. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 便宜、勧告に対する政府方針を取りまとめますために、御承知のような関係閣僚会議を毎年開催しております。その第一回をこの勧告のありましたその日の午後二時から行なっております。第一回でございますので、まず内閣人事局から人事院勧告概要説明を受けまして、それについて今後政府部内でこの取り進め方についての段取りを協議いたしました。
  13. 大出俊

    大出委員 毎年六人委員会でやってこられたわけですが、昨年は剱木さんが文部大臣でございましたが、剱木さんを入れて七人委員会にされた。これは当時のいきさつからすれば、人事院都市手当勧告をされておりましたから、文部省は大きな関係があるということでお入れになったという経緯があるようであります。御本人の剱木さんは、わしは地域給だけで入ったのじゃない、調整手当だけで入ったのじゃないと言っておられましたが、いまのお話関係閣僚は、今回はどういう方々になる予定でございますか。
  14. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 お話しのとおり昨年は特に都市手当がございましたので、文部大臣に入っていただきました。しかしこの閣僚会議の性質から申しますと、いずれの閣僚といえどもやはり使用者関係におりますので、できるだけ広い範囲が望ましいと思いますが、便宜上従来は六人の閣僚でやってきました。しかしながら教職員手当に関する給与重要性から考えますと、今後もやはり文部大臣に入っていただいたほうがよくはないかという方針のもとに、今後は俗称六人委員会ですが、七人委員会にしてやりたいと思います。
  15. 大出俊

    大出委員 そうしますと、給与担当責任ある大臣田中総務長官でございますが、取りまとめという意味官房長官が当然お入りになっておられる。あと労働大臣労働行政全般ということでお入りになっている。それから地方公務員がございますから自治大臣が当然関係閣僚としてお入りになる。それと大蔵大臣財政当局ですから当然お入りになる。それに文部大臣……。
  16. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 経企長官です。
  17. 大出俊

    大出委員 そうですね、経済企画庁長官。合計で七名、こういうふうな理解でよろしゅうございますか。
  18. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 そのとおりでございます。
  19. 大出俊

    大出委員 明日、関係閣僚懇談会をもう一ぺんお開きになるという予定と聞いておりますけれども、ことしは例年と違いまして、補正計上という形で給与財源手当て中身はともかくとしていままでされておるたてまえでございます。だとすると、例年と違ったものの見方、考え方政府皆さんに持っていただかなければならぬと思うのですが、そこらはいかがでございますか。
  20. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 明日第二回目の閣僚協議会を開催いたします。ことしの給与問題の扱いにつきましては、予算編成方針に出ております総合予算主義のたてまえからいたしまして、例年と違った考え方はもちろん必要でございます。しかしながら、これは大蔵大臣の言うことかもしれませんが、総合予算主義と申しましても、今回給与問題につきましては給与改定財源を充実するために一般予備費にこれを計上しておるというたてまえございます。いわば一つ財政の方式でございます。したがって、ことしにおける給与問題の取り扱いにつきましても、国民経済全般財政の全体から見ることにおいては私は本質的に変わりはない、こう考えております。
  21. 大出俊

    大出委員 昨年までの例を申し上げますと、九月の決算期がどうなるかというのを横目でまずにらまなければいかぬ。それから当初予算からくるところの歳出歳入状況をながめてみなければならぬ。その中で補正要因と称するものがどのくらいあるかということを考えなければならぬ。さらにあわせて自然増収を含めた国税三税の伸び率その他を見てどの程度の財政収入があるかということを考えなければならぬというふうなことでおそくなって、昨年の例を申し上げれば十月二十日になっておきめになっているわけですね。そうすると、この間公務員は、八月に五月実施勧告が出ていて、これが十月までたなざらしということになる。これが例年問題になった焦点で、補正要因であるとか、あるいは税収であるとか、あるいは九月期決算であるとかいうふうなもののやりとりで見通し立たずというのでおそくなる、それでは困るというところに、財源を充実させるといういまおっしゃった方針が出てきている。とすれば、筋道からしてことしは十月二十日などということにならぬ筋合いだろうと思うのです。いまお話しの点がわからぬわけではないけれども、そこらのところをどうお考えかということを承りたい。
  22. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 私から申し上げるのがはたして適当であるかどうか存じませんが、確かにそういう意味においては昨年と時期的に異なる感じもいたします。しかしながら、一般予備費計上をいたしましたのも、かりに千二百億の中で給与財源にどれほど充当するか、仕切りはございません。したがって、今後における災害の発生その他いろいろな不確定要素もございますので、そういうこともにらみ合わせて、できる限り人事院勧告を尊重する立場において財源というものを考えていかなければいかぬ、こう考えております。
  23. 大出俊

    大出委員 この完全実施というたてまえを、官房長官という立場、つまり七人委員会まとめ役という立場でおとりにならぬわけですか。先ほど灘尾さんの例をあげましたが、灘尾さんの言っておられるのは、地方教育委員会からいろいろ完全実施要求が出てきている、何とかそれを認めなければトラブルが続く、それは避けたい、だからもっと旧来に増して人事院勧告というものを地方教育委員会が言っている趣旨に基づいて認めていきたい、こういう気持ちなんですが、そこのところ官房長官どうもはっきりしないのだけれども、これは最善努力をすると言っているのだけれども、人事院は五月実施勧告しているから、それに向かって最善努力をしていただかぬと、公務員立場からすればまことにもってどうも官房長官たるものおかしいじゃないかということになる。そこのところを、あなたは財政当局じゃないのですから、その辺のところはどうなんですか。
  24. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 尊重することの最大限はもちろん完全実施、そういう意味においてできるだけ尊重するように最善努力をする。
  25. 大出俊

    大出委員 尊重の最大限完全実施だからそういう意味において最大限努力する、そういう意味ですからその限りで了解いたしますが、ひとついまおっしゃった点で関係閣僚をおまとめいただいて御努力いただきたいと思います。  それから、これは官房長官やりとりをする筋合いよりも、むしろ財政当局なり総務長官とのやりとりになると思うのですが、とにかくことしの場合は例年と違う、どう違うかというと、物価上昇あるいは民間春闘状況等々とにらみ合わせて、公務員の側からすればできるだけ早く完全実施をやってもらいたい、勧告中身についてもいろいろな異論がある。これはあとから申し上げますが、しかしとにかく出た勧告については例年のようにいつになるかわからぬでずるずる延ばされるのではなくて、早く政府完全実施ということで態度をきめてもらいたい。その背景は、民間給与も本年は非常によく上がっているし、物価は追っかけてきているという状態であります。そういう実情にある。だとすると、長年論議をしてまいりまして財政的な手当てということをおやりになっているたてまえですから、そうだとすれば早くきめなければならぬ、その責任政府にあると私は思うのです。そこのところ、問題は責任の度合いですが、早くきめる必要があると私は思うのですが。
  26. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 これはことしに限らず早くきめるべき問題だと思います。ただ、毎年のごとく九月下旬に集中する災害その他も考慮してという考え方もございます。いろいろな政府部内の考え方を総合いたしましてできるだけ早い機会にきめたい、こう考えます。
  27. 大出俊

    大出委員 災害がどれだけ起こるかわからぬから九月末の災害の起こる時間を待ってみてきめるなんということを言われたのでは、これは公務員の側にとってはえらいことです。ほんとうにそういう気持ちですか。災害が起こってしまって、災害が起こらなくなる時期がある。災害シーズンの最たるところを、山を越えてみなければ公務員賃金はきめかねるなんということを公におっしゃるのですか。事件ですよ、そうなると。
  28. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 そういう考え方もございますと申し上げました。しかしながら、それは一つ考え方ですが、それも善意に解釈していただければそれだけ予備費余裕部分がふえるだろうというような考え方に基づくものだろう、しかしながら政府としては別にその考え方に縛られておりません。できるだけ早い機会に確定したい、そういうふうに思っております。
  29. 大出俊

    大出委員 いま、そういう考え方もあるとおっしゃるのですが、その考え方もあるとこう考えている人たち大蔵省ですか。
  30. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 むしろ災害に食われると申しましたら語弊がありますが、予備費部分が少なくなることは、またこの勧告実施についての財源がそれだけ充実するということでもあろうと思います。そういうような考え方もございますということを御披露したのであります。
  31. 大出俊

    大出委員 ちょっとそこおかしいのじゃないですか。考え方もあると言っておいて、政府考え方ではございませんとあとでこうおっしゃっているわけです。そういうことをおっしゃると、これは公の委員会の席上ですから、九月という時期を待ちたい、災害シーズン、最たる時期だからそこまでいかないと災害に幾ら食われるかわからぬから公務員賃金のほうはきめかねるなどということを公に言うとすると、人事院勧告はどこかに飛んでしまうことになる。そうでしょう。これは官房長官がそこまで言うとするとたいへんなことになる。だから、その点をあなたに再度質問したら、災害にこれから幾らかかるかわからぬ、そういう考え方もある、しかしそれは政府考え方ではない、こうおっしゃる。政府考え方でない、そういう考え方もあるという考え方は、ならば財政当局考え方か、こう聞いておるわけですから、ずばり言ってくださいよ。
  32. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 政府考え方は御承知のとおり閣議で最終的に決定いたします。政府部内でいろいろそういう考え方もあるということを率直に申し上げたので、これは政府考え方ではございません。
  33. 大出俊

    大出委員 まあ政府考え方は、いまお話しになった努力最大限完全実施である、したがってそれに向かって最大限努力をする、こういう意味である、こういう官房長官お話ですから、そう受け取っておるわけですが、つまりそれは人事院勧告というものが一つ出されて、片方では財政当局があって、そっちのほうは災害がもっとふえてくれば勧告実施時期はだんだんあとに戻る。いまの意見でいえばこれにつながる考えだ。そうでしょう。だから、そういう考え方もあるという点が気になるから、あなたにくどいようだけれども聞いている。そういう考え方を持たれては困る。そんなことを言ったら、異常な災害が起こった場合には公務員給与はなくなってしまう。そんなばかなことはないでしょう。人事院は一体どうなるのだ、ここに非常に大きな問題がある。だからいまのところはもう一ぺんはっきりしてください。災害がいかにあろうとなかろうと人事院勧告というものは、代償機関である人事院が出したのだから、先ほど官房長官がお答えになった趣旨完全実施に向かって最大限努力をしていただかなければ困るのでありまして、その限りそうではないですか、間違っていますか。
  34. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 その意味におきましては災害の有無とは関係がありません。人事院勧告はあくまで尊重する政府方針は変わりません。
  35. 大出俊

    大出委員 先般のこの委員会田中総務長官から災害がないことを祈っておるというお話が出ていましたね。軌を一にする考え方に通ずるわけです。いまのもあるという考え方は、そういう考えに立ったのでは、これは灘尾さんが言っておるようにまた例年のようなたいへんなトラブル繰り返しになる。だから、そうではなくて公務員給与というものを、人事院勧告が出ておるのですから、五月実施という線でできるだけ早くひとつおきめをいただく。そこから、あるいは異常な災害が起こるかもしれない、起こらぬことを私も国民皆さんのために祈ります、起こらないかもしれないけれども、それは皆さんが、四百何十億か五百億ちょっとこえた昨年の例、こういった予備費から出ていく災害予算というのはおおむね見当がついている。だからそういった組み方で組んでおられる予備費でしょう。そうだとすれば、公務員給与給与としてできるだけ早く決着をつけて、災害その他が将来に向かって不幸なことであるけれども起こったとすれば、それは災害そのものを——異常な災害であるならば異常なように別な処理をする以外に手はないのではないですか、そこのところは。それが筋ではないですか。
  36. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 確かに総合予算主義財政体質の改善、これは国民経済の必要に基づいた方針でございます。しかしながら、人事院勧告は、またいま仰せられたとおり、一つ代償機関としての答申でございますので、これは政府としては極力尊重しなければいかぬ、こう考えております。
  37. 大出俊

    大出委員 いまのお話そこらはっきりしてきたようですからいいですけれども、時間の関係上十一時とおっしゃっておられましたから決着にしておきたいと思うのでありますが、旧来から人事院勧告完全実施ができないのは一体どこに原因があるのかという論争を、私がここへ出てまいりましてからもまる五年やっておる。昨年のきょう同じ日に——藤枝泉介さんが自治大臣をやっておられた。藤枝泉介さんは内閣委員会理事も長年やっておられる。藤枝さんの御答弁では、いつも地方財政が苦しいからというので、それが勧告の足を引っぱってきた犯人にされてきた、しかし私に関する限りそういうことは申し上げない。つまり政府の政策だから人事院勧告完全実施するのだということを政府がおきめになれば、もし地方財源が足りないとすれば政府が国として手当てをせざるを得ないということになるのです。だから地方財源などとはこんりんざい申し上げないということを、この席で昨年のきょう、同じ日に言っておられる。それがやはりたてまえだと私は思う。だから、そういう意味ではやはりこの際関係閣僚の御相談を進めていただいて、公務員給与についてはできるだけ早く結論を出す。不幸なことだが、しかし災害その他がもし起こるとすれば、それはその時点で全体的な財源その他をお考えいただくということにしかならぬと私は思う。先ほど冒頭にお話しになったように、総合予算主義といっても総合予算主義それ自体が目的ではないです。あくまでも国民全体に対する行政というもの、そのための裏づけの財政ということですから、だからそういうふうにそこのところを長官にはぜひ割り切っていただかないと困る、こう思っておるのですが、よろしゅうございますね。
  38. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 御趣旨を体して最善を尽くしたい。ただ政府といたしまして財政体質改善——ただ、私どもで考えたいのはこの公務員給与財源と申しましても、結局これは一般納税者の負担でありますので、いま世論が要望しておりますとおりこのうらはらになりますことは没却できないと思います。すなわち、できるだけ行政機構を簡素化いたしまして能率化する。そのための行政改革と、これはうらはらで必要になる。その点もひとつ御了承願います。
  39. 大出俊

    大出委員 たまたまどうも話がほかのところにいきまして行政機構の改革が出てきました。あるいはいまの削減の問題が出てきましたが、これは三カ年で五%削減ということを行政管理庁は目標にして法案を出されておる。これは私もこの席で長官に、十九条二項の問題をつかまえて質問申し上げたから御存じだと思う。ところで、いま削減率等をめぐって各省庁の間で行政管理庁とやりとりが続いている。さらに各省から回答も出されておって、削減率はきまったから最終的に各省がきめるという態度になって、私は八日にここで四時間ばかりその点で質問を申し上げましたが、現状を克明に実は答えていただきましたが、しかし問題はそういうことを考えている一方、片方では人事院勧告というものはさっぱり完全実施しないということになったのでは、やることはやらないで、片方のほうで人は削減するのだ、機構を簡素化するのだといったって、公務員諸君はたまったものではない。そこまで長官行政機構の簡素化なり削減率をきめて三カ年間五%削減なりをおやりになろうというならば、一方で人事院代償機関として出したところの勧告は、それをまかなうのは国民の税金であることは百も二百も三百も承知の上で人事院は出しておられるわけですから、国家公務員といえども生活を持っておるわけですから、官民比較の中でこれは妥当という勧告をされておって、しかも時期は五月だということを明らかにされておるのだし、しかもこれは八回も九回も完全実施しないというそんなばかなことがあっては困る。それは国民の税金であるということは人事院総裁は百も承知。そこに代償機関意味がある。それだからこそ使用者としての政府は、完全実施ということでそこに向かって全力投球をしていただくということになっておるのですから、そこらのところは片手落ちでは困るのですね。片一方で行政機構云々とおっしゃるならば、することはしておくという態度をぜひ私はとってもらいたい、いかがでしょう。
  40. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 政府のほうにおいても片手落ちはいけませんけれども、しかし世論から見て片手落ちもいけないと思います。そういう世論の納得するような行政改革の実施給与改善完全実施と並行して進みたい、こう考えております。
  41. 大出俊

    大出委員 ちょっと承りたいのですが、そうなると行政改革が進まなければ給与完全実施しないというように聞こえるのですがね。世論がそう思っておるなら、世論に見合って片一方では行政改革をやり、片一方給料を考える。人を減らすほうと金をふやすほうとてんびんにかけて、減っていった分だけふやす。そうなると人事院勧告を自分で代償機関といっておるのだけれども、これでは意味がなくなってしまう。そこのところはどうなるのですか、いまの関係は。
  42. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 私はそれを同時にやらなければ政府勧告の尊重をやらないという意味では申しません。とにかく世論が納得するように考えていきたい、こういうことを概括的に申し上げております。
  43. 大出俊

    大出委員 もう一ぺん聞きますが、公労協関係には公労委の裁定がありますね。これは政府が四の五の言えた義理じゃない。完全実施をしていきますね、昭和三十二年から。そうでしょう。これは公労委というものは一体どういう性格かということが明らかだからでしょう。あなたのようなことを言えば、公労委だって、片一方、三公社五現業の人を減らさなければ世論が納得しないという理屈になるのですか。それはどう違うのですか。
  44. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 私は政府立場として申し上げたのであります。政府はその場合使用者立場におりますので、そういう意味において公労委の裁定の場合の公共企業体当局立場とは多少そこに違うものがあります。
  45. 大出俊

    大出委員 三公社五現業は法的に団体交渉権がある。国家公務員は団体交渉権がない。まして労働三権全部。だからこそ人事院という存在がある。こういうわけでしょう。これはILO条約からいったって明確でしょう。だとすると、むしろ団体交渉権がない公務員が守られていかなければならぬわけですよ、生活というものをながめたときに。いま使用者としての政府というおことばを使われたのですけれども、じゃ一体ドライヤーミッション等にいう使用としての政府とそうでない政府はどういうふうに考えておられますか。
  46. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 どうもお話が少し食い違っておるようですが、私が申し上げた行政改革は別に公務員に対して要求するのではなしに、政府が国民に対する責務として考えなければならぬ、こういうことを申し上げたのです。
  47. 大出俊

    大出委員 きょうは人事院勧告の取り扱いをめぐって私があなたに質問しているわけですよ。そうでしょう。ところがあなたの答弁の一番最後に、国民世論というものを前提にして行政改革の話を出してきた。私が質問をしたのじゃない。どうも話が食い違って横のほうにいったとあなたが言うけれども、あなたが自分でそう言った。私が言ったのじゃない。私はあくまでも人事院勧告というものを、代償機関という性格上どうするかということを聞いておる。これと総合予算主義という立て方をとっておるあなた方の財政方針、これとのからみ合いで一体どうなるのだということを聞いておる。行政機構の改革なんというものはあなたがかってに出したんですよ。だからややこしくならざるを得ない。そこのところをもう一ぺん言い直してください。そこのところは関係ないでしょう、いまの点では。
  48. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 政府立場では関係ないとは申せません。というのは、公務員給与改善をはかる一方、当然世論を尊重しながら行政改革と真剣に取り組まなければならぬ、これは政府の率直な考えです。
  49. 大出俊

    大出委員 もう一ぺん聞きましょう。そうすると、行政改革のほうが進まなければ勧告完全実施はできない、こういうのですか。
  50. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 そういう考えではございません。人事院勧告はあくまで尊重しなければならぬが、しかしながらそれと並行して、といいますと時期を同じゅうしてというような誤解を生じますが、そういう意味でなしに、あわせて世論のおもむくままに要求する努力を、行政改革も政府として責任をもってやらなければならぬ、こういう考えであります。
  51. 大出俊

    大出委員 ずいぶん矛盾した話をあなたは自分で気がつかぬでしておられるのですが、人事院勧告代償機関だから尊重しなければならぬと言っておられるのでしょう。私の質問をもう一ぺん繰り返しますが、行政機構の簡素化や削減をやらなければ人事院勧告完全実施しないという意味かと言ったら、そうじゃないとあなたは言った。そうじゃないならば、削減しようと簡素化しようと、あるいはしなかろうと関係ない。私のいまの質問をもう一ぺん言いましょう。行政機構の簡素化あるいはその削減をする、これをやらなければ勧告完全実施しないのかといまあなたに聞いたら、そんなことはないとあなたは言う。そんなことがなければ関係ないじゃありませんか。政府責任で別にやるんでしょう。もう一ぺん答えてください。
  52. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 この場所は申すまでもなく国会の論議でございますから、政府として給与勧告の尊重を申します際には、やはりこれは国民に訴えるべき筋を持っていなければならぬ。そういう意味におきまして、国民の世論はいまや行政改革を望んでおりますので、それも合わせて政府としてはその責任を果たしたい、こういうことを申し上げただけでございます。
  53. 大出俊

    大出委員 もう一ぺん聞きますよ。行政改革をするとか、削減をするとかいうことをやらなければ人事院勧告完全実施しないとあなたおっしゃるんですかと聞いている。もう一ぺん答えてください。
  54. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 そうは申しておりません。
  55. 大出俊

    大出委員 あなたそう言ってないんでしょう。人事院勧告というものは本来尊重すべきものとお考えなんでしょう。いいのでしょう。それであなたは行政改革なんというものは、ことしの通常国会に総定員法という形で出されたでしょう。通らなかっただけだ。じゃ、あれが通っていたら完全実施するか。あなたそんなことを考えていないでしょう。だから行政機構を簡素化するあるいは改革するあるいは何%削減をするというふうなことは、これは旧来から臨時行政調査会もあれば、そのために川島さんが管理庁長官のときにさんざん論議してきめた。これは人事院勧告がどっちに向こうと、そのことに関係ない。現在の行政機構というものをどう国民というものを前に置いてできるだけ金のかからぬようにするかということだ。何も行政を簡素化するということは給与に関する問題だけじゃない、国政全般にからむ。だから人事院勧告というものはその限り関係はない。そこにあなたはそれをひっつけるから話がおかしくなる。私の言っておるのは、人事院勧告代償機関としての性格を認めて完全実施するかどうかということを言っておる。あなたは、努力最大限完全実施である、だからそれに向かって最大限努力するとあなたは言っておられる。そこまでの話じゃないですか。
  56. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 この公務員給与問題についての御意見はよく拝承いたしました。私としましても、いまの勧告実施について最善努力をする、これはもう変わりございません。ただ、政府としての立場で、やはり国民に向かってはそういうような責任を痛感しておりますので、そのことをあわせて申したわけでございます。
  57. 大出俊

    大出委員 つまり給与の話をしてそこであわせて申しておきますということを言うから、何か知らぬけれども給与改定をやるということは、片方で公務員の首を切りますよとか、あるいは機構を減らしますよということと裏表であるという言い方になる。だからそうかと聞いたらそうじゃないと今度は言う。あなたはさっぱり筋が通らないじゃないですか。それは別な問題でしょう。
  58. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 当委員会では大出委員の質問に答えておるわけでございますが、これはすなわち国民に対して答えるという立場政府考えなければならぬ、そういう意味において申しておるわけでございます。
  59. 大出俊

    大出委員 それは長官同じですよ。私も国民に対してものをやりとりしているんですよ。私一人でやっているのじゃない。それは、あなたは政府だということですが、私も一代議士だから、そんなことは同じですよ。ただ人事院勧告完全実施をめぐり行政機構の改革だの、あるいはその削減率だの出てくるということになれば、先ほど来からみ合ってしまうということになる。だからそこをあなたに念を押しておる。関係はない。政府責任において機構をいかに改革するかということは国民のために行なう行政の機構を改革することでしょう。だからそれは複雑なものでなくしていただくことになれば、あるいは簡素化すればいい、それは当然政府の責務ですよ。そうでしょう。それが国民のための行政にならない面があるとすればわれわれは反対する。しかし、どうしてあなたは、人事院勧告をめぐって努力はするが、行政機構の改革をあわせてやるんだということを言うのですか。どうもそこのところがわからぬ。もう一ぺん答えてください。
  60. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 公務員給与の問題に限定すれば、先ほどから申し上げたとおり、政府としてはこの勧告を尊重して最大限努力をする、これはもう当然のことでございます。ただ、私ども政府全体といたしますと、いまの国民世論の要望は、やはり同時に公務員の能率向上ということを強く要望しているとわれわれは感じております。その面もあわせて、これは政府責任として申し上げておる、こういうことでございます。
  61. 大出俊

    大出委員 政府もあまり責任をとっておられませんで、六月までに三カ年五%削減の方針を立てます、あわせて機構改革の案をつくります、そういうものが全然表に出されないままで総定員法が出てきた。ついこの間、私が八月八日の日に行政管理庁長官にこの席で四時間ばかり質問した。まだできてない。私のほうから質問を電話で何べんも入れておるけれども回答を持ってこない。そのままになっておる。何か、中身がどうなのかさっぱりわからぬ。わからなければこれは論議のしようがない。だからいま政府責任ですと最後におっしゃっているからいい。あなたが政府責任で一方的に、私の質問とは別に言いっぱなしだというならいい。それならばあらためて、行政機構については内閣委員会は所管の委員会だから、あなたがいまそこまで言うなら、どう考えておるのですか、行政機構改革に対する対案をいま持っておるのですか。
  62. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 私は総定員法を国会で成立しなかったことをむしろ政府責任として感じておるわけでございます。したがって、行政改革についてもいまだ政府努力が足りないという意味において努力しようということであります。
  63. 大出俊

    大出委員 非常に努力の足りない提案をされたと私も思っておるのです。通らなかったということは、これは公の機関である国会が論議したのですから、それがけしかるのけしからぬのといわれても私は迷惑だけれども、通らなかったことは事実だ。それだけの理由もある、いまだに案ができないのですから。そうでしょう。だからそれはそれとして、これはあらためて論議すればいい。いつ出すのですかと言ったら、次の通常国会に行政管理庁長官は出すと言われた。おそらく来年でしょう、そうなれば。それはそのときにやればいいじゃないですか。いまの点が妥当なものであるかどうかは国会が審議するのです、国会は審議権があるのですから。それだけのことです。だから、いまの人事院勧告は、先ほどあなたが言ったように、最大限完全実施である、したがって、そこに向かって全力をあげて努力するということでいいんですな。
  64. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 そのとおりでございます。
  65. 大出俊

    大出委員 どうもあまり行政機構云々にひっかかるものだから何か一物あって長官言っておるのではないかと思って……。ここまで質問しましたから、そう言ったということに理解いたしておきます。  たいへん時間をとりまして恐縮でございました。なるべく早く片づけるようにお進めいただきたい。  総務長官に承りたいのですが、この間の質問で、十分に予算の準備をしてあるとおっしゃった。十分してあるということはありがたいのですけれども、高い勧告が出たときにどうするかと言ったら、さいころを振ってみなければわからぬと言った。そうしたら人事院総裁は、さいころの目は六つしかないけれども近くさいころを振りますから、こういう話になった。だから、ここまできたらお答えをいただける筋合いだと思いますけれども、給与担当大臣として現状災害のないことを祈るとまでおっしゃったのですが、第一回の関係閣僚相談をおやりになり、あした第二回目を控えておるわけでありますけれども、これからどういうふうにお進めいただくお考えでありますか。
  66. 田中龍夫

    田中国務大臣 第一回目は、これはほんとうに勧告が出されましてから直後の関係閣僚の顔合わせの会合でありました。明日からが本来の会合であります。おのおのの閣僚立場立場もありましょうが、まことに簡単に申し上げて申しわけないのですけれども、総合予算主義で予備金というものが取ってある現状においては、渡れる橋から渡っていくというのがこれが常識ではないかと私は思っております。それについて努力したい、かように考えております。
  67. 大出俊

    大出委員 渡れる橋から渡っていくというそういうふうに聞こえたのですが、どうですか、いまの話は。
  68. 田中龍夫

    田中国務大臣 つまり言えば、災害の問題でありますとかなんとかということはまだ起こってないのですから、一方においては予備費がとってあり、一方においては勧告がなされておる、そういう意味でまず渡れる橋から渡らせていただきたい、こういうことであります。
  69. 大出俊

    大出委員 なかなか世故にたけたことをおっしゃるものですから……。いまのお話はよくわかります。ところで人事院勧告の性格は、先ほど官房長官がおっしゃっておったように代償機関というたてまえですから最大限努力の上限は完全実施だ、こういうことでありましたが、それに向かって努力するというのですか。それに御異論はないのでしょう。
  70. 田中龍夫

    田中国務大臣 私も官房長官の御答弁と全く同じであります。
  71. 大出俊

    大出委員 そうなりますと、いまの予備費でまかなえるというふうに総務長官はお考えで渡れる橋から渡っていこう、こういうふうにおっしゃったと理解してよろしゅうございますか。
  72. 田中龍夫

    田中国務大臣 ぜひさようにありたいと思います。
  73. 大出俊

    大出委員 さようにありたいと総務長官が思っておって、さてそうであるかどうかはあと財政当局だ、こういうのですか。
  74. 田中龍夫

    田中国務大臣 まだ第一回の会合を真剣に論議しておりませんからわかりませんが、財政当局のいろいろの分析も明日よく聞きたいと思います。しかし私の所見と申しますか立場から申しましても、これはぜひとも最大限完全実施に置かなければならぬのは当然のことであります。しからば財源がいまないのかといえばあるわけでありまして、そういうふうなことを詳細に分析いたしまして、そして先般もお答えいたしましたように災害のないことを祈っておるわけでありますから、そっちのほうはあとから来ることである、先のほうからひとつ渡っていきたいと思います。
  75. 大出俊

    大出委員 そういう意味で、総務長官、ことしは十月の二十日までも引っぱっていくというのではなく、何としても、どうも長い論議をした結果として政府なりの手当をされてきたわけですから、ここまでくれば。だとすれば、結論を出すまではなるべく早くやはり出していただいて、公務員皆さん政府の誠意のあるところをお示しいただきたい、こう思うのですが、そこらの見通し、めどなどを正確なところをひとつお聞かせいただきたい。
  76. 田中龍夫

    田中国務大臣 大出委員の御質問、全く同感でございます。一日も早く処理いたしたいと考えております。
  77. 大出俊

    大出委員 先ほどの灘尾さんのお話各地教委のほうから完全実施をしてもらいたいということをしきりに言っておる、それをしないというと教育委員会はまたいろいろトラブルを繰り返さなければならぬ、だからこの際、そういう意味でひとつやってもらいたいという気持ち。これも先生方をかかえている灘尾さんですからよくわかる。また園田厚生大臣がおっしゃった中身も、まだ勧告も出もしないうちに金がないということを言っているのはよくないと言っておる。これもほんとうに公務員皆さんを前に置いて考えれば、また人事院の性格を考えれば当然のことだと思う。だから、旧来よりも尊重すべきである。これも前向きなニュアンスでものを言っておられるわけです。そういう雰囲気が閣内にある。厚生大臣にしても、あるいは文部大臣にしても、いままでは六人委員会にも入っていなかった。だから六人委員会の中でいままで論議している中で一番最後になりますと、結局大蔵大臣立場ということが一つ残ってしまう。こういうかっこうになる。だからことしの場合は、ひとつぜひ総務長官に大いに努力をいただいて、予算のたてまえその他もわかっているわけでありますから、ひとつ昨年のような形にならぬように、何としてもひとつ財政当局のほうに向かってものを言ってもらって、おなくなりになりました森さんが総務長官の時代には、きめる前の日の午後一時からというのがさらに延びて翌朝まで持ちこして、なおかつねばって完全実施を言っておられたわけであります。この間の塚原前総務長官も、たいへん努力をされて、まあともかくもいろいろな意見がありますけれども、曲がりなりにも九月が八月になったわけです。どうか、そういう意味田中総務長官もひとつ大いに完全実施の上限に向かって御努力をいただきたい、こう思います。
  78. 田中龍夫

    田中国務大臣 私も先輩の後塵を拝しまして、皆さま方の御支援とともに全力を尽くしたいと思います。
  79. 大出俊

    大出委員 そこで、労働省の方、お見えになっておられますか——。このことしの公労委の裁定をめぐりまして、これは完全実施をされたと思うのでありますが、大体どのくらいのアップ率と申しますか、引き上げ額、引き上げ率、ともにほしいのでありますが、昨年と比べてどのくらいの比率で伸びておるかという点ですね、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  80. 松永正男

    ○松永説明員 本年の公労協関係は仲裁裁定によりまして解決をしたわけでございますが、伸び率におきましてこれは定昇も入れましてベースアップ二・九%でございます。それからベースにおきまして約七・九%、多少端数がございますが、そういうことでございます。それから昨年におきましては、定昇込みの賃上げ率で一一・四%でございますので、定昇込みで約〇・五%の伸びでございます。
  81. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは昭和三十二年からだと思いましたが、完全実施をずっとしてきている、という理解でよろしゅうございますか。
  82. 松永正男

    ○松永説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように、昭和三十二年までにおきましては仲裁が出ましても、いろいろな事情でたとえば実施時期がおくれるとか、あるいは実施の内容がやや違ったものであるというような事情があったわけでございますが、三十二年以降におきましては、仲裁裁定は毎年やった場合には完全実施という実績になっております。
  83. 大出俊

    大出委員 昨年のきょう八月二十二日、早川さんにおいでをいただきまして、そこらの御質問を申し上げたところが、早川労働大臣労働行政全般という視野からものを考えて、三公社五現業のほうが三十二年以来完全実施をしてきているにもかかわらず、公務員給与人事院勧告をめぐるトラブルがいつもあって、これが完全実施を行なえないという形になってきているということについては、非常に大きな矛盾である。だから同じ労働行政全般をあずかる責任ある立場にございます総務長官に、大いにバックアップして全力をあげて完全実施努力する、こう明快なお答えをいただいたのですが、松永労政局長にお尋ねするのは筋が違うように思いますけれども、昨年も松永さん御同席でございましたので、目の前でお答えになったことでありますから、労働省側の気持ちとして、そこらのところは——実はきょう大臣においでをいただくのは少し早いという気がいたしましたので遠慮したのでありますが、どうお考えになっておりますか。
  84. 松永正男

    ○松永説明員 ただいま申し上げましたように、公労協の関係の仲裁裁定におきましては、そのような実績が引き続いてまいっておりまして、いろいろ困難な事情がございますけれども、連続そういう処置をしてきておるわけでございます。公務員給与につきましても、公労法のたてまえと国家公務員法のたてまえとは、たてまえが違いまして、いろいろな制度上の違いがあるわけでございますけれども、人事院勧告の取り扱い、仲裁裁定の取り扱いについての態度といいますか、考え方といたしましては、やはり尊重をするということにおいては同じ趣旨のものであるというふうに考えるわけでございまして、前大臣と同様現大臣におきましても、六人委員会ないし七人委員会の中におきまして、これをできるだけ尊重するという強い方向で御努力をいただきたいというふうに考えております。
  85. 大出俊

    大出委員 たてまえとしては公労法の関係方々も、あるいは人事院という一つの機構のある公務員の場合であっても、たてまえとしては機構は違うけれども、同じように受け取らなければならぬという意味で尊重するという方向で大臣が進むであろう、こういうふうなお話しでありまして、私もまさにそのとおりでなければならぬと思っておるのですが、ついてはこの予算額として、本年の公労委仲裁裁定をめぐってどのくらいかかっておりますか。概略でけっこうですが……。
  86. 松永正男

    ○松永説明員 財源関係につきましては大蔵当局がおられますので、そちらのほうが正確かと思いますので……。
  87. 大出俊

    大出委員 たしか八百億くらいかかったのではないかと思いますけれども、海堀さんおいでになりますので、公労協関係どのくらいかかっておりますか。
  88. 海堀洋平

    海堀説明員 公労委の仲裁裁定が三公社五現業で行なわれ出した時点におきましては、林野特別会計の日雇い関係のものが入っておりませんでしたので、その段階におきましての、いまお話が出ました、いわゆる給与改定七・九余りということに見合います数字は、電電から郵政の繰り入れがございまして、そこの計算のやり方が多少違います。要するに財源として要した額というもので八百二十七億円程度でございます。
  89. 大出俊

    大出委員 八百億ちょっとだというふうに記憶しておりましたが、やはり八百二十七億円ということでありますが、これは総務長官、公労委関係、つまり公労協関係あるいは三公社五現業関係がいま御答弁をいただきましたように、三十二年からずっと完全実施をしてきている。本年の場合にいまのお話にありました八百二十七億だとすると、これもそう簡単な数字ではない。まして総合予算主義をとっておるたてまえ等からすれば。しかし各三公社五現業ずいぶん苦労をされて何とか処理をされてきている。これは仲裁の完全実施のたてまえでこういうようなことなのでありますが、そこらと比べてどうも公務員給与というものが、五月実施ということであったにもかかわらず、年々どうもこれが切られてきているということ、私はこれは非常に大きな矛盾だという考え方なのですけれども、長官、この辺はどうお考えになりますか。
  90. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおり、たてまえが若干違ってはおりますけれども、しかしその精神とするところにおきましては、全く御説のとおりでございます。
  91. 大出俊

    大出委員 当然完全実施すべきものが切られてきたという点について、三公社五現業と比べて矛盾ではないかという質問を実は私はしたのでありますが、精神としては御説のとおりということでありますので、その辺のところをひとつぜひことしの場合には踏まえていただいて、ずいぶんこれはいままで長くやってきておりますから、ものを言えば重複することになるくらいこれはやってきておるわけであります。そういう意味で、どうしてもことしあたりは、完全実施ということは形を表に出していただきたい、こういう気持ちでございます。  そこで人事院に承りたいのですけれども、今回の勧告なんですが、八%と先ほどおっしゃっている。八%とこういうことなんですが、冒頭に、一つ気になりますので承りたいのでありますが、人事院説明書に八%の中身がカッコして三千九百七十三円、こう書いてあるはずであります。八%(三、九七三円)。この「四三・八・一六人事院」と書いてある「給与勧告についての説明」この一の最後から二行目のてっぺんに「計八・〇%(三、九七三円)となっており、」こうなっておるのですね。この三千九百七十三円という数字を横にして読みますと、三九七三だから昨年並みとこれは読めるのですね。人事院総裁、あなたは笑っておるけれども、これは実際に昨年並みなんですよ、単価が違うけれども。よくも昨年並みのものを出したものだと思って私は感心しておるわけです。  そこで、これは総裁でも尾崎さんでもいいのですけれども、少し数字が違いはせぬかという気がする。というのはこれは皆さんのほうの計算でいくと、全公務員というとり方をすると、全体の国家公務員の平均賃金は四万九千七百九十二円、こうなっているのです。四万九千七百九十二円に八・〇をかけますと十円高くなる。そこで尾崎さん計算してごらんなさい。十円高くなる。だからこの数字、金額のほうが正しいのなら、さっき言った昨年並みなら三九七三が正しければ八%になりませんよ、七・九八%になる。なんで公に出すものをカッコして書いてあって、どうして違うのですか。
  92. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 御指摘の三千九百七十三円と申しますのは、いわゆる官民格差を算出いたします俸給表だけにつきまして計算をしたものでございまして、かつ官民格差の算出の俸給表のいわば比較給与につきまして計算したものでございます。それは報告書に書いてあるとおりでございますけれども、その比較給与の平均は五万一千二百七十九円ということになっておりまして、それに対しまして八・〇%、こまかく申しますと、七・九八%を計算いたしますと、三千九百七十三円というのが今回の格差の精密な数字でございます。
  93. 大出俊

    大出委員 それは私がいただいている資料の中にどこかに書いてありますか。私がもらっている資料というのはこれしかないのですよ。これはおたくのほうの参考資料、それから説明、それから総裁の談話の要旨、これだけですね。あとは寒冷地、それから定期に出してあるものです。どこかにございますか。
  94. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 勧告書と申しますか、報告書の中に官民格差の数字がございますけれども、そこには精密に計算いたしましたものが五・四%、それにさらに積み残し分が二・六%ということでございまして、その精密に計算しました五・四%分のものがそこに資料として載っけてあるわけでございます。
  95. 大出俊

    大出委員 別にこまかいところにこだわる気はないのだけれども、ここに計八%と書いてあって、カッコして三千九百七十三円とぽっと出されておると、これは普通じゃなかなかわからないですね。  それじゃしろうと流に聞きますけれども、〇・〇二というのはこれは何に当たるのですか。差が出てくるでしょう。つまり八%じゃなくてこれは三九七三ならば七・九八になりますね。そうするとここに誤差が〇・〇二ある。十円違うんです。
  96. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 報告書の別表第一に書いてございますように、四月現在で支払われました官民給与につきまして計算した結果が五・四%ということになっております。その五・四%はいわばコンマ以下一けたで表示してございますけれども、精密に計算してございますのは五・三八%ということでございまして、それにいわゆる積み残し分二・六%というものを加えまして計算したものが先ほど御指摘のような三千九百七十三円という格差ということに相なるわけでございまして、これを改善をいたしますれば民間に追いつくというつもりでございます。
  97. 大出俊

    大出委員 この別表第一を見ると、行政職俸給表(一)が、民間給与五万七百九十四円、これが公務員給与で四万七千九百二円、これから始まりまして、行(二)、海事の一表、二表、教育職の一表、二表、研究職、それから医療職の一表、二表、三表、こう入れると、全職種計が民間が五万二千四百七十円(A)、公務員は、これは全公務員ですよ、四万九千七百九十二円(B)でしょう。そうだとすると一〇五・四というのはやはりおかしいんじゃないですか。いまの数字でいくと全公務員、平均で四万九千七百九十二円になるんじゃないですか。
  98. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 間違えまして、失礼いたしました。御指摘のとおり四万九千七百九十二円がその比較給与でございます。それに対しまして七・九八%を掛けますと御指摘のとおりの数字になります。
  99. 大出俊

    大出委員 そうでしょう。なるでしょう。だから、そうなると八・〇というのが、これは専門家の皆さん方には失礼だと思うのですけれども、やはり合わぬものは合わないんですよ。だからそこらのところは何かやはり納得し得る理由づけがほしいと私は思っているんです。だからそういう意味で、これは第一表でいけばそうなるでしょうけれども、だから資料がなければないでいいのだけれども、まあ計算上こうなったんならなったというような算式がほしいのですが、あげていただけませんか。
  100. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 ただいま申し上げたとおりでございまして、比較俸給表における、官民を比較する場合の比較し得る俸給表につきまして、かつ比較するための総合的な給与全体ということで四万九千七百九十二円という数字がございます。これに対しまして、四月現在に支払われた民間給与につきまして比較をいたしますと、こまかく申しますと五・三八%の格差が出たわけでございます。それを、表示のしかたとしましては五・四%という形で表示をいたしているわけでございます。それと、それから別に積み残し分というものを計算いたしました結果が二・六%という数字が付加いたしまして、合わせまして七・九八%で、普通の表示のしかたとしましては八・〇%という形で、こまかく計算しましたものが、先ほど御指摘のとおり、三千九百七十三円ということに相なるのでございます。
  101. 大出俊

    大出委員 私の指摘した数字であって、それが皆さんのほうの計算でいくと、七・九八になるのだが、それを八にした、こういう理解でいいわけですね。だから、ここで八%と書いてしまうと、こっちの計算からいくと、別表の第一表の全公務員平均が四万九千七百九十二円ですから、これ(B)になっていますね、(B)分の(A)で、五・四が出ているのですよ。つまり全公務員平均四万九千七百九十二円が前提になっているとすれば、掛ける八でいい勘定なんで、掛ける八ではこの数字が出てこないのです。十円違うことになる。十円といっても財源にして相当な額ですからね。だから、ここらはきちっとしていただかぬと、まるめるならまるめるでいいんだけれども、どこかで、こうこうこういうことでこうなったのだということにしていただかないと、私もしろうとでわからぬのかもしれませんけれども、困る、こう思うわけであります。  そこで、俸給表改定分が、四万九千七百九十二円掛ける七・九八、三千九百七十三円、こうなるわけですね。そのうちで、内訳は、七・一が俸給表改定分、こうなっているのですね。これもわからないから聞くのですけれども、この説明書の(5)のところに「勤務成績の特に良好な者に対する特別昇給のわくの拡大」云々と、さっき総裁が言ったようなことが書いてありますね。この七一%の中に入っているのでしょう、この(5)項は。特別昇給一〇%を一五%にするというのはどこにも書いてないけれども、そこのところは七・一の俸給表改定に入っているのですか。
  102. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 入っておるつもりであります。
  103. 大出俊

    大出委員 入っているのだとすれば、その分は幾らになりますか。〇・幾つになるのですか。
  104. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 特別昇給の時期によって異なるかと存じますけれども、私どもとしましては、大体十月ないし一月ということを考えまして、O・一%弱というふうに考えるのでございます。
  105. 大出俊

    大出委員 そうすると、俸給表改定七・一%というのは、このO・一分はこの(5)項にいうところの特別昇給のワクの拡大だということになる。そうなると、俸給表自体は七%、こういう勘定になる。違いますか。
  106. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 端数の問題が、いろいろございますけれども、七%強というふうに考えております。
  107. 大出俊

    大出委員 それならまさに昨年並みで、昨年は七・九の勧告で、今年は八になった、〇・一ふえたということでしょう。あえて表書きといいますが、表書きからいえば〇・一ふえた。ところがふえた〇・一は何だといったら、特別昇給のワクの拡大だ。そうなると、昨年はワクの拡大はなかったのだからこれはたいへんなことになる。組合の側からすれば、勤務評定にあれだけ大騒ぎしている世の中に、きわめて非科学的な勤務評定に、今度ワクの拡大が五%、七・一の中に入っていた、こうなると、何という勧告人事院はしたんだということになる。この面でも簡単におさまりはつかぬ。何でまたこの時期にこういうものを入れなければならなかったか、その理由を聞きたい。
  108. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 公務員給与の全般的な現在の運営でございますけれども、いわゆる昇給制度といたしましては、勤務成績に応ずる給与のあり方といたしまして、まず第一に昇給制度がございます。それから他面におきまして手当の上におきましては、いわゆる勤勉手当という関係がございます。昇給制度におきましては、勤務成績の良好な者につきましていわゆる普通昇給という形が行なわれているわけでございますが、さらに特に良好な者ということで特別昇給制度があるわけでございます。現在は、その特別昇給制度は、年間一割の定数で各省にやっていただいているわけでございますけれども、一面における勤務評定におきましては、成績の優秀な者のワクと申しますのは三割以内という形になっているわけでございまして、勤務成績の非常にいい人という関係として評定される方が三割もおりますのに、一〇%の昇給ワクとしてはやや実行運営上狭過ぎるというように考えまして、その約半分ということで一五%に今回しようと考えたのでございます。
  109. 大出俊

    大出委員 完全実施もできないで来ている世の中に、これは〇・一といったらこれだけで七十億から金がかかるのですよ。そんな金を何で一体中だるみ云々といって、この間も国立療養所の方がみんな来て大騒ぎになっているという世の中に、これはきわめて政策的なにおいがする。個別賃金の比較をやってきて、極端に違うものを最終的にベースというワクでもって何%という勧告になるから、したがってそこだけ飛び抜けて上げればほかに響くという形で上げられないでいる、そういう世の中に七十億という金が要るというものをここにほうり込むというのはどこからも出てこない。もうちょっと満足な完全実施が行なわれて、しかも今日までたくさんある人事院方式の矛盾というものについて解明されてきて——今度だって頭打ち是正で、俸給表の中で幾つかてっぺんを延ばしてきているでしょう。そういう苦労をしているでしょう。そういう場合に何でこんな金をここに使わなければならぬのか。昨年より〇・一%ふえた、七・九が八になった、やれやれ、こう思ったところが、中身を調べてみると、〇・一ふえた分というのは、七十何億というのはそっくりそのまま特別昇給のワクの拡大であったということになったのでは、尾崎さん、おさまりはつかぬですよ。だからこれが出てきた背景、いまのお話じゃないけれども、団体交渉権を持っている三公社五現業は特別昇給分はみんな切っちゃっている、どこだって出てきていない。ところがそういうものをここに入れてくるという政策的意図をなぜ人事院が組まなければならないか。そんなゆうちょうな俸給表じゃないですよ、いまの人事院俸給表は。しかし、ここから先は政策論争になりますから……。人事院方々からわいわい言われて、しようがないから各省の顔を立てたということだろうと思う。だからそういう意味で、〇・一つけなければまさに昨年並み、横に並べて三九七三になって、昨年並みと読めるけれども、まさに昨年並み、単価が上がるだけ引っ込むことになる。  ところで総裁、そういうことまで入っているこの勧告なんですが、総裁佐藤総理に手渡したときに御苦労さまということなんでしょうけれども、完全実施の段に及んだら、とたんに佐藤総理は苦虫をかみつぶしたような顔をしたということがあるところにちょっと載っていたんだけれども、そんな顔しましたか。同じ同姓の佐藤なんだけれども……。
  110. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ここに立ち会われました総務長官がおられますから、証言は総務長官からとっていただいていいのですが、いつも佐藤総理にはにこやかにあいそうよくお迎えいただけるので、たいへん喜んでいます。ことしもこちらの説明は熱心にお聞き取りいただきまして、別にとたんに苦い顔になったという場面は私は覚えておりません。一生懸命にやっていただけるものだと大いに期待しております。
  111. 大出俊

    大出委員 ことしはこの委員会に、もう幾ら何でもまた不完全実施じゃかなわぬですから、佐藤総理に御出席いただこうということで理事会にお願いしようと思っているのですけれども、いまここで確かめておきませんとね。総裁が苦心の労作を持っていかれた、ずっと説明を聞いて御苦労さんというところまではいいんだけれども、人事院佐藤総理が完全実施を強調されたところが、自民党のほうの総裁は、完全実施ということになったらあまりいい顔じゃなかった。苦虫という虫はどんな虫か知らないけれども、そういう顔をしたというんだが、それじゃこれはいまからほんとうにそれこそ佐藤人事院総裁のほうもひとつねじを巻いて、完全実施にもう少し力を入れなければならぬと思ったんです。後ほど総理を呼んで質問するときに確かめておかぬと間違いが起こるので聞いたんですが、だいじょうぶですね。それは総理はやる気でしたか。
  112. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大いにやりましょうとまではおっしゃいませんですから、やる気であるかどうかというところまで私が判断することは行き過ぎであります。しかしわがほうとして強く要請しておいたということは事実であります。
  113. 大出俊

    大出委員 毎年毎年強く要請して、どうも不完全実施というのじゃおさまらぬ時期にきていると思うので、少し勇み足的な質問をしたわけですが、実はそこらまで公務員皆さんというのは非常に神経を高ぶらせているのですよ。それでそういう質問が出てくるわけです。佐藤総裁佐藤総理に持っていったら、前段はいいんだけれども、完全実施になったら何とも言えない顔をしたというようなことが伝えられているという、そこまで公務員皆さんが神経を使っているという現実ですよ。だから、総裁は国会と政府勧告をしたんだから、そこから先はどうも私どもの権限ではということにいつもなるけれども、ひとつ今年のところはそういうことでなくて、財政事情のほうも変わってきているわけでありますから、そういう意味でひとつ御健闘いただきたいわけです。  そこで俸給表にさわってものを申し上げたついでに、財源について承りたいのですが、人事院の計算で八百五億ですか。
  114. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大出委員はたしかその現場に立ち会われておられたと思いますけれども、昨年の勧告に伴う説明の際に、旧来人事院の所要経費の見積もりというやつを、あれは報告書でしたか勧告書の中につけておきまして、それでいろいろ問題になるものですから、去年は参考として一歩下がった形でつけておいたところが、やはりそれはたいへんな袋だたきにあいまして、人事院は安目につけているのだろうというような、あらぬ疑いまで受けて、もうやめたということを私は宣言したことがあるのです。そういうことでお金のことは一切言わぬ。ことしも全部お金のことは落としてしまいました。大蔵省という権威あるお役所がいらっしゃるわけですから、われわれふぜいとしては不可能である、そういうふうに考えます。
  115. 大出俊

    大出委員 どうも人事院のほうは、口をつぐんで語らずになったんですが、そうすると、ことしは全然積算はしてみなかったというわけですな。やってみたけれども言わないのか、それともやめたのですか。
  116. 佐藤達夫

    佐藤説明員 権威のないものであるという前提でお聞き取りいただければ、年間予備費の千二百億からいえば、たっぷりおつりがくるはずだというところまでは見通しがついております。
  117. 大出俊

    大出委員 それじゃさいふを握っているほうに聞いてくれというから大蔵省に承りたいのですが、日本経済新聞に出ておりました数字、おそらくごらんになっていると思うのです。ここに一応ありますけれども、中身は「公務員給与引き上げの所要財源大蔵省試算(単位億円)」こうなっているのです。五月、八月、九月、十月、こういうふうになって、最後は四十二年度実績、こうなっている。五月実施でいきますと一般会計で八百五億円、八月実施で——八月は必要はないけれども、たとえば八月をあげておくと五百八十五億円、それから特別会計が、五月の一般会計八百五億に対して百八十億、地方公共団体が千九十五億、これは五月実施財源。こうなっているのですけれども、ここらあたりの積算は大蔵省の側でどういうふうに見ておられますか。
  118. 海堀洋平

    海堀説明員 人事院勧告が出ました段階で、すぐどのくらいの金になるのかという質問がありましたので、実際は、その人事院勧告をいただきまして、しかも人事院勧告は御存じのように一般職公務員だけを対象にした勧告でございます。ところが実際の実行といたしましては、それに準拠いたしまして特別職の公務員についても給与改定を行なっております。したがいまして、一応一般会計が負担しなければならぬ額というものを、その八%という率で急遽算定いたしまして、まあ概算この程度でございましょうということを申し上げたわけでございます。ただその後、これもまだ具体的になかなかとても精密な計算はできないのでございますがただ御存じのように、今回の人事院勧告は、多少下の俸給表の改定率が平均率より高くなっている。それでそういう状況を入れまして、特に影響のありますのは、防衛庁の職員は下の給与の方が多いものでございますから、俸給表に具体的にその部門を精査いたしました結果、まだこれは全くの試算でございますが、数字が若干ふえてきております。人事院勧告の五月実施といたしまして、これを人事院勧告の対象である一般職職員だけではなくて、特別職の職員にも準拠して及ぼすというふうに計算いたしますと、一般会計負担で八百二十一億円程度を要するというふうに考えられます。特別会計で百八十二億円、合計しますと千三億円程度になろうかと思いますが、この中には財源的には一般会計で負担しまして、それが特別会計で給与として支払われるという二重になっておりますので、その部分を除きまして、国の全部の負担と考えますと、人事院勧告どおり実施いたしますと八百七十五億円というふうに考えております。しかしこれは今回の給与勧告寒冷地手当に関する勧告を両方とも実施したという場合の計算でございます。
  119. 大出俊

    大出委員 いまの八百二十一億と百八十二億の重複分というものはどのくらいあるのですか。この差額ですか。
  120. 海堀洋平

    海堀説明員 差額でございます。
  121. 大出俊

    大出委員 そうすると、寒冷地を除きますとどのくらいになりますか。
  122. 海堀洋平

    海堀説明員 寒冷地手当の分は一般会計負担で十五億円、それから特別会計で三億円、合計しまして十八億円でございますが、重複分を除きますと十六億円ということになっております。ただし寒冷地手当の計算が非常にいまのところむずかしいものでございますから、人事院とまだ数字的に十分に詰めておりませんが、多少具体的にやりますとふえてくるのではないのか、あるいは一、二億円の増額になろうかと思いますが、現在までのところは、一応国の負担として十六億円程度というふうに考えております。この十六億円程度は、前に申し上げました八百七十五億という純計の中には入っております。
  123. 大出俊

    大出委員 差し引き八百五十九億というのが給与関係、寒冷地を除く人事院勧告実施財源、所要財源ということですね。  松永さんもすみませんでした。大臣にあらためてまたお出かけいただきますけれども、御健闘いただくようにお願いします。  自治省に承りたいのですが、おいでになっていますか。きょう細郷さんはおいでにならぬそうでありますが、この新聞の発表の中身を見ますと、自治省としてはだいぶ明るい先行きの見通しをお持ちのように書いてありますが、自治省関係で、昨年たしか七百四十九億円くらいだったと思いますが、この人事院勧告完全実施の所要財源としてどのくらいにお考えになりますか。
  124. 潮田康夫

    ○潮田説明員 お答え申し上げます。五月実施でやりますと、総額で千三百六十七億でございます。ところが義務教育負担金、一般補助金の国庫支出金とございますが、国庫支出金を除きますと、一般財源で、ただいま大出先生おっしゃいました千九十五億円になります。
  125. 大出俊

    大出委員 給与課長さんということになると、ぐあいが悪いように思いますが、大蔵省皆さんのほうから承りたいのですが、本年、国税三税の伸び、その他、大体どのように判断されておりますか。自治省の言っている新聞の記事からまいりますと、たいへんいいように書いてありますが、どういうふうに判断をされておりますか。
  126. 海堀洋平

    海堀説明員 現在、各県別には正確には六月までの収納実績が出ておりますが、六月までの収納実績で申しますと、去年の最終的な決算の税収、四十二年度の決算の税収に対する、六月までの収納額の比率、これは補正で追加しまして、それが収納されたわけですが、その決算の税収、去年の六月までの税収の比率に対しまして、ことしの予算に対する六月までの税収の比率は下回っております。ちなみに申し上げますと、去年の決算の税収は、予算に対しては多少下回りました。
  127. 大出俊

    大出委員 自治省としては、国税三税の伸びに伴う地方交付税の増加と、それから地方税自体の伸びに加えて、経費削減なども昨年並みにやっているということ。財政的にはそれほど問題がないというようなことが書いてある。これは自治省の皆さんのほうはどういうふうに踏んでおられますか。細郷さんじゃないのでちょっと御無礼な感じがするんだけれども……。
  128. 潮田康夫

    ○潮田説明員 財政課長がきょう来ることになっておりますが、ちょっとおくれておりますので、参ってからお答えをいたします。
  129. 大出俊

    大出委員 昨年に比べてちょっと下回る、こういうようなお話なんでありますけれども、だとすると、本年の自然増収というものはやはり相当額見込めるということになりそうに思いますがね。
  130. 海堀洋平

    海堀説明員 そうなるのではなくて、ことしの予算額に対しての六月までの税収の実績が去年の決算額、これはほとんど予算と一緒と考えていいと思いますが、補正を追加したものに対する六月までの実収額の比率より下回っているということですから、もしそのままで推移したら、現在の税収が去年と同じ形で推移すれば税収が完全に収納できないということを——六月までの実績で云々することはできませんが、少なくとも四、五、六の三カ月をとってみる限りは、ことしの税収が去年と同じ季節配分で入ってくるといたしますと、完全収納はできないということを意味していると思います。ただ六月までの実績で、年度間を推算することについてはもちろん問題がございます。
  131. 大出俊

    大出委員 これは論議になりますから時間がかかりますけれども、経済企画庁も呼ばねばなりませんので、簡単に触れておきますが、経済成長率をどのくらいに本年度の当初予算を組むときにお踏みになっておりましたですか。いまの話が出てくるとどうしてもそこまで言わざるを得ない。
  132. 海堀洋平

    海堀説明員 私、いまちょっとここに正確な数字を持ってございませんのですが、名目で一二・八ぐらいじゃなかったかと思うでございますが、間違っておりましたらあとで調べて御返事申し上げます。
  133. 大出俊

    大出委員 経済企画庁の数字でいきますと、後ほど二・五ぐらいに修正していますね。ですから、つまり成長率を読みかえているということからすると、旧来の例からいくと、一番最初予算委員会で問題になったときの政府説明からすれば、当初で一二%というのが、企画庁の成長率の読みなんですね。これが二・五ぐらいあるのではないかということになってきて、現在経済成長率は一五という読み方をしている。企画庁は現在一五ですね。そうなりますと、これは当然大蔵委員会等で問題になりますけれども、通例二千億ぐらいの自然増収があっていい、こういう予測ですね。先ほど、海堀さん決算の面からものを言いましたけれども、私どもが見る限りはそう見ていない。だから自治省なんかの見方からいっても、これは国税三税の伸び率、その他から見て、相当地方交付税交付金はふえてくる、こういう見方をしているわけですね。ここらはしかしいまここで論議をしても、数字をお持ちでないようですし、企画庁を呼んでこなければなりませんし、これはあらためてやりますが、したがって、いま私がここで申し上げておきたい中心は何かというと、相当税収はあるだろう、だがしかし、それは公債発行限度などというものを考えながら、そちらのほうを少し減らすのだというものの考え方旧来からある。特に数日前の日本経済新聞に、水田大蔵大臣自身が一面に書いておられますが、この中でも、総合予算主義というものを堅持をしたい、そうして自然増収というものが見込めなくはない、なぜならば総合予算主義というものを立てたときの考え方はもっと悪くなるだろうと思った、ところが悪くならない、それだけ日本経済には底力があったことになる、だからそれらのことも含めて二四・七%ぐらい四月——六月の間における輸出が伸びている、主としてそれは対アメリカだけれども、そこらのことも含めて、公定歩合の引き下げをやったんだ、こういう説明を御自分が書いておられる。その中で増収が出てきた場合、これは公債発行を減らすのだ、こういうふうに写真入り、名前入りで自分で書いてあります。これは間違いない。そこでいま私が申し上げた数字にぴたり合っている。だから次長いろいろ言われますけれども、大臣が新聞に御自分で公に書いておられる。ですから、本年は総合予算主義を貫く、貫かぬという問題は一つありますが、先ほどの官房長官の答弁じゃないけれども、経済全体を考え、あるいは歳入歳出全体を考えるということになっても財源がないとは言わせない、こういうことになると思うのですね。  そこで総務長官、これから大蔵折衝をやるたてまえなんですけれども、あらためてこの委員会大蔵大臣にも御出席いただこうと思っておりますけれども、全般的に見て——これは日本経済新聞に書いてあるのですから、ごらんになればわかりますけれども、水田さん御自分で書いておられるのですから、したがって、ことしは財政硬直化を訴えて、宮澤さんの所得政策に類する話があって、さて予算は組んだということなんだけれども、そのときにおそくした国内経済の成長率などというものが、日本経済の意外な底力というものがあって、決して当初見通したようにならずに、非常に経済力が強くなってきておる、こういうことなんですから、ひとつ先ほどの、渡れる橋から渡ろうということ、そして、公務員給与のほうを先に渡って、さてそこから異常な災害だというなら、事災害である限りは、これはそれこそ自然増収も見込めるということである限りは、処理のしようは幾らでもある。公共事業費なんて振りかえることができる、そういうたてまえで、これは総務長官という立場で、給与担当大臣立場でひとつ御努力をいただかなければならぬと思うのでありますが、その辺の全体のものの見方、日本経済を含めて、官房長官が言っておられたように、ここらについては総務長官何かお考えがございますか。
  134. 田中龍夫

    田中国務大臣 私の考え方は、まことに卑俗なことばではございましたが、あれが私の気持ちでございます。どうどよろしく。
  135. 大出俊

    大出委員 しごく明快で、さいころを振ってみなければわからぬとおっしゃったけれども、総裁は、六つまでしかさいころの目がないけれども、振った結果、渡れる橋は渡るのだ、金はあるじゃないか、災害はまだ来ないじゃないかという、こういうことだったのですよ。総裁、ひとつ意を強くして、勧告をしっぱなしではなくて、ことしは大いに完全実施するということで御健闘いただきたいと思います。  あとこまかい点に何点か触れて、御答弁は簡単でけっこうでございますが、気になる点だけ触れておきたいと思います。  中身でございますけれども、ことしは初任給をいろいろ手直しされておるわけでありますけれども、新高卒、初級試験合格者の場合に、ことしは幾らになりますか。一般行政職で行(一)でいった場合、この勧告でいきますと。
  136. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 新高卒につきましては、初級採用の八等級二号俸について申し上げますと、調整手当の非支給地の場合には、若干の暫定手当を含めまして二万二百四円でございます。それから、六大都市の場合には調整手当を六%含めまして二万一千二百七十二円という数字でございます。
  137. 大出俊

    大出委員 私が二万円ですかと言ったら、返事をされませんので、二万百円ですかと言ったら、総裁笑われましたが、数字のゼロが一つ足りないですかと言ったら笑っておられましたけれども、大体そんなところまで来たわけでありますが、これでもまだ非常に低いという感じがしますけれども、そこらあたりは、人事院総裁、率直なところどう思っておられますか。まだこれでも、現場の場合で例をとりますと、採用がなかなか困難だという面がたくさん出てくる、こう思うのですけれども、どうでしょうか。
  138. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私ども、給与面のみならず、公務員の採用について相当大きな責任をしょわされておるわけであります。その面から、今度は採用側としての立場から考えますと、これは欲を言えば切りのないことで、高ければ高いほどいいということになるわけであります。ことに高校卒の人の初級試験の応募者が去年からだいぶ減っておるのでありますが、ことしは一七%また減ってきました。気が気でないというのが率直な気持ちでございますが、さればといって、公務員だけが民間水準をこえて多額の初任給をきめるということは、また一方から考えてみて許されないところでありますし、まあ民間の水準には絶対に負けないところというところで、この数字でやむを得ないということであります。
  139. 大出俊

    大出委員 これはついでと言ったら語弊がありますけれども、時間の関係がありますので、標準生計費にひとつ触れておきたいのですが、給与局長さん、ことしの十八歳青年男子の標準生計費はどういうふうにはじいておられますか。幾らですか。
  140. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 標準生計費の計算につきましては、昨年と申しますか、従来と同様の方式をとりまして、食糧費につきましてはマーケットバスケット方式をとりますし、それ以外につきましては、いわゆる換算係数を使いまして算定したわけでございます。従来から、東京における十八歳程度の初任給との見合わせに使っております。東京における独身男子の標準生計費との結果は一万九千四百九十円という数字になっておるのでございます。
  141. 大出俊

    大出委員 そこで、ひとつ、これは基本的な問題でお尋ねしたいのですが、標準生計費というものを人事院がずっと出してこられた過去の歴史があります。ところで、これは、いまの初級試験行(一)でいきまして八等級の二号に格づけをする、こういうかっこうになるわけでありますが、この場合に、私は、標準生計費云々というのはもうあまり意味がないじゃないかという気がする。というのは、人事院自身が困っちゃっているのではないかという気がする。旧来どおりとおっしゃるけれども、昨年と一昨年は違うのです。去年ここで指摘を申し上げているから繰り返しませんが、明らかに違う。これは皆さんがいろいろやってこられたのだけれども、初任給のうんと低い時代はいいです。標準生計費はここですよと言うのですから、初任給はこんなに低いと言うのだから、何とかここへ持ってこなければならぬという意味においてはいいです。ところが、最近の事情というものは、二つ三つ要素があるのです。電機産業みたいに、若い世代の方々が一ぱいつとめている職場というものはどうしても同一労働同一賃金的な考え方が支配する。同質同量の労働は同一賃金だという考え方。そうすると、仕事別賃金というものが出てきて、どうしても上下格差を埋めていこうということになる。あるいは初任給を上げていこうということになる。やがて日本の年功序列型の賃金というものは変えていこうということになる。そこからさらに横断賃率的な考え方が出てくる。日本の賃金はこういうようにどんどん動いているのです。そうでしょう。そうなると、どうしても初任給が高くなっても低くならないのです。そうすると、標準生計費の計算をマーケットバスケット方式でやっていくことになると、あまり開いてしまってはかっこうがつかない。標準生計費はこんなところだけれども、初任給はこんなほうに行っちゃったということではかっこうがつかない。さっき見合いということばが出てきたけれども、見合いにしなければしようがない。いま聞いても、一万九千四百九十円という標準生計費でしょう。これは八等級二号で二万一千二百七十二円というわけであります。何で一体生計費との間に差があるのかということになる。格づけのほうが高いのですよ。そうなると、これはさらに今度二人世帯、三人世帯、標準の四人世帯というふうに引き伸ばしていったら、到達年数という考えが出てきて、食えないとかちょうちんとかいうことになってしまうのです。だから、ここまでくると、標準生計費というものは一体何か意味があるのか、ないのか、前近代的なマグロ一切れ、二切れというようなことを並べてみてもしようがないということになる。そこで、この間私は総裁に、人事院は創立以来今日までどういうふうにはじき方がいろいろ変遷したのですかと言ったら、あなたのほうが知っているのだから言わない、私が就任してから変わっていないという答弁をしているけれども、私が言いたいのはそこを言いたいのではないのです。こんな無理な理屈をおつけになるとますます筋が通らないことになる面が出てくる。ことしは人事院が出さない資料が幾つかある。マル秘なんて判こを押すのは好きだけれども、それにしても、それがとっつかまってぎりぎりやられるものだから出さない。官民比較をして、一等級から等級別にアップ率を出してみると、去年の勧告なんてまさにとんでもない。これは民間の場合——いまさっきの防衛庁じゃないけれども、防衛庁の場合はピラミッド型ですよ。ぼくは担当だからわかっているんだけれども、下のほうが非常に多い。公務員というものはちょうちんみたいなかっこうになっている。そうすると、これと対比して合わせようというのですからどうしても形を変えなければならぬ。だからありのままに比較したものと並べてしまうと——ここに去年のがありますけれども、これをまたことし出したらまたたたかれる材料をつくるというので、あなたのほうはさっきの予算の積算はしないという総裁の筆法と同じ、いみじくも先ほど言われるように、ああいう積算をしたら人事院はといってたたかれたからもう出さぬという。それもたたかれたから出さない。ことしは給与表別、等級給与比較を出してないでしょう、あなたのほうは。これを見ると去年の皆さん俸給表と逆になる。これで見る限りは去年も下厚上薄でなければいけなかったわけです。そこらがあなたのほうはたたかれてこういうものはなるべくつくらない。ことしはアップ率がここに書いてない。計算すれば出てくるという筆法だと思うけれども、そうでしょう。だからそういうことはいささか考えなければいかぬと思うのです。そこで、この点、標準生計費というものはどうですか。
  142. 佐藤達夫

    佐藤説明員 先ほどの財源の問題は、私はここで、国会で声明したのですから、これは堂々たるもので、いまお話しのそのほかの点は何も隠した覚えはないので、これは給与局長からりっぱに御説明申し上げることができます。標準生計費は全く御同感で、あれはもうやめたらどうかと思うんです。
  143. 大出俊

    大出委員 何度もやめたらどうかと言っているのに、いまになってやめたらどうかと思うなんて言い出した。去年はまことしやかに言いわけをしてぼくに答えていた。尾崎さん、そういうことはやめて必要なことはやらなければいかぬ。個別比較をしたのだから個別比較をした上で高いものは高いもので上げなければしょうがない。研究職なんというものは、医者だってそうですよ。今度初任給一万円上げたって、いまいる医者がよそに逃げるのを防げるというのじゃないですよ。国立療養所のお医者さんがほかが高いからと抜けていくというようなことを、国立浩風園の所長さんの長井博士がお見えになってそこで陳情をしておられたでしょう。いまいるお医者さんをどうするというのです。そうでしょう。そういうところにやっぱり中心を置いて変えていっていただかないと困る。どうも出てしまった勧告書を言ったってあとは来年のことになってしまうのだけれども、しかしやっぱり言っておかないと困るから一例を申し上げたのですけれども、ぜひこれは一ぺん御検討願いたい、こういう気持ちです。  それからもう一点ですが、私、これも去年いろいろ申し上げたのですけれども、尾崎さん、春闘の積み残し分を拾うにあたって事業所比率をとりましたね。昨年は明らかに人員ウエートじゃないですね。事業所比率ですね。これで事業所比率と人員ウエートとこうあるのですけれども、これは人員ウエートでやって何か特段に悪いことがございますか。
  144. 佐藤達夫

    佐藤説明員 さっき標準生計費のことについて全く同感だということを申し上げたのですけれども、初任給に関する限りは去年といいことしといい全く御同感だと思って、ついもうやめましょうかということを口ばしりましたけれども、これは給与局長からちょっと待てという声がかかりましたので、やめましょうかの点は撤回いたします。
  145. 大出俊

    大出委員 わかりました。いいですよ。どうせそれはそのうちにやめるようになりましょうからいいですけれどもね。  ところで、給与局長、人員ウエート、それからここで出しておりますのは事業所ウエートでいっているのですね。ことしは少し変わってきているようでありますけれども、人員に中心を置いてはなぜいけないのですか。何か違いが出てきますか。
  146. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 いわゆる積み残しの計算につきましてはいろいろ方法があろうかと存じます。私どもがほんとうにこの調査をやりますからには、やはり本調査のように、四月分に支払われましたものにつきまして個々の人員についてインタビューするということが積み残しについても必要だという方向が、やはり一つの大きな方向だと存じます。つまり実施時期をずらしましてそういう方向でやるということが端的な解決方法でございまして、それをやらない限りは、いずれにせよこれはいわばその途中の精密性を欠く。しかしながらできるだけ調査としては把握するというつもりではおりますけれども、本調査と比べるとどうしても精密性を欠くということに相なると思うのでございます。御指摘のように、そういう積み残し事業所を調べました場合に、その事業所の人員について、いわば人員が多い場合にはそれにウエートをかけるということも一つ考え方かと存じますけれども、しかしながら民間の場合には、通常はいわゆる職員、工員のウエートにおきまして、大体平均的にいいますと職員と工員とが半々くらいの勘定でございます。ところが公務員の場合にはほとんど事務職員になっているわけでございます。実際問題としまして、ことしの一年間の毎勤の上がりを見ましても、いわゆる工員の場合には一四%上がっておりますし、職員の場合には一一%しか上がってないという関係がございます。職種別にやはりいろいろ違いがございます。そういう関係をただ単に従業員ウエートだけで持ってくる、向こうの民間の工員ウエートの大きいものをそのままこちらのほうに入れてくるということについてはやはり問題がございます。労働省のたとえばいわゆる春闘の場合の調査につきましては、ことし二・五%という数字を出しておりますけれども、ああいうものはすべていわゆる事業所単位、一会社一単位という形の単純平均になっておりまして、そういう関係と同じ関係におきまして、われわれのほうも一事業所一単位というウエートで調査考えてやっているわけでございます。
  147. 大出俊

    大出委員 尾崎さん、そこに非常に大きな相違があるのですね。これはまた総裁いまお取り消しになりましたが、私は別にこれを取り消してみても取り消さないでみてもそんなことはかまわないのです。なぜならば、公務員皆さん賃金民間に比較してやはり不合理なものであってはいかぬという気がするからです。まして五月実施が難航に難航を重ねているのですから、私はどうしても五月実施にしたいというふうに思っているのです。かつまた勧告するにあたって人事院が苦労されているのもわかっているのだけれども、しかしやはり実態として、政府皆さんだって、大蔵当局だって認めざるを得ないものは認めざるを得ないのですから、そういう意味で言いたいのですけれどもね。労働省がやっているのは、百五十五なら百五十五をやっているのは比較的大きいのをやっている、人員も非常に多いのです。ところが人事院のほうでやっているのは、昨年は六千六百八十二、ことしは六千八百五十の事業所を調べているのです。サンプリング、抽出調査を三万何ぼのところからやっているのです。そうすると、去年でいえば、四月の賃金台帳に遡及して春闘で賃金が上がっている民間の事業所、これが全事業所の中で二三%あったわけです。そうでしょう。ところが人員でいえば、その二三%の事業所の人員でいけば四〇%あったわけです。だから人員ウエートをとるという政策、方針人事院がお立てになればそれで計算ができる。それをけしからぬとはどこからもいえないですよ。なぜならば、人事院調査というものは労働省と違って百五十五の大きなところをとっているわけではない。六千七百からの事業所を相手にしている。そこで問題は、ことしの場合には六千八百五十の事業所をお調べになった。そうしてことしの場合の従業員ウエートのほうは去年よりは少し落ちて三八%くらいでしょう。それでもその計算を皆さんのほうでやっていただければ——皆さんの計算を申し上げますと、ことしは一三・七%、付属調査をやったら春闘の積み残し分として上がっていた、どういう事業所で上がっていたかというと、全体のうちの二四・三%の事業所で一三・七%四月賃金台帳で見られるベースアップが行なわれていた、こういう調査の結果ですね。だから、皆さんの算式をおそらくこうだろうと思って申し上げれば、一三・七%から四かける四分の三、これを引いたわけですね。そうして、それに二四・三%の事業所比率をかけたわけですね。出てきた数字が二・六ですよね。この二・六と四月段階の官民比較の五・四と足したものがぴったり八になったというわけでしょう。そうすると、非常に大きなウエートを持っているわけですよ、いまのこの算式は。この場合の二四・三%なる事業所比率、これが従業員ウエート、従業員比率でいったら三八%ある。現実に三八%あるということであったとすれば、これに三八%をかけていただけば二・六%じゃない。明らかにこれは四・〇%くらいになってしまうわけですよ。そうでしょう。そうすると、勧告というのは八%勧告じゃない。これは明確なんですよ。そうすると疑問がわくというのは、なぜ一体従業員ウエートをとれないのかということ、とっては間違いなのかということ、従業員ウエートをとったからといったって現実に調べた職場の働いている人たちの数からいってその三八%をこえる方々が四月遡及という形で賃金が上がっていた、こうだとすれば、そういう算式があっていいわけですよ。ただ、人事院がいまさっき労働省の例をあげられましたが、厳密に言えばそういう方式をとっているにすぎない。ただその場合に、あるいは年度年度によっては、小さい百人規模、二百人規模という事業所にベースアップが多く行なわれている年もあり、あるいは大企業に片寄って多く上がっている年もあるでしょう。そういう意味の現実の格差は出てくると思います。思いますけれども、しかし過去も今日も、当分の間、大企業中心にやはり春闘のベースアップは行なわれているのですよ。そうだとすると、なぜここで従業員ウエートをとれないか、ここが私はどうしてもわからぬ。間違いですか、とっていけないですか。
  148. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 私どもがいわゆる積み残しにつきまして配慮をするという場合の主眼と申しますか、そういうものは、やはり先ほど申し上げましたように精密な官民格差をとりたいという面からそういう積み残しについても見ていきたいという角度でございます。四月に支払われた分につきましては、御承知のとおり非常に精密にやっているわけでございます。つまり公務員におけるいろいろなウエート、職種なり年齢なり学歴なりのウエートによりまして、そういう公務員の特異な構成によって格差を見ようというところに主眼があるわけでございます。そういう角度からやはり積み残されたものにつきましても見ていくというのが一つ筋合いでございます。そういう角度で、できるだけそういう方向から接近をしていきたいというつもりで考えているわけでございます。したがいまして、ただ格差が、その数字が大きく出さえすればそれはいい方法であるということにはならないわけでございまして、そういう意味で、まあ労働省でやっております単純平均の場合とは、同じ方法でございましても一つの目的が若干違っているわけでございます。先ほど御指摘になりましたけれども、たとえば大事業所、ことしの場合、これは毎勤の調査でございますけれども、規模別の上昇率を見ますと、過去一年間に五百人以上ですと一一・一%、百人以下ですと、小さい事業所では一三・四%という形で、大きい事業所よりも小さい事業所のほうが上昇率が高うございます。またしたがって、その事業所のほうにウエートがかかればいいということには必ずしもいかない年もあるわけでございます。去年はそうではなかったわけでございますが、ことしは下のほうが非常に上がっておるという関係がございます。それから、先ほど御指摘申し上げましたけれども、やはり民間会社におけるウエートは工員のウエートが非常に大きい。そこに上昇率が今回のベースアップの場合も、いわゆる行政二表の格差が大きく、また改善率も高いわけでございますけれども、そういう関係の上昇率がもろに入ってくるという面がございまして、やはりそういうことをいろいろ考えますと、現在の事業所単位のやり方が、先ほどの趣旨からいって近かろうという感じできているのでございます。
  149. 大出俊

    大出委員 これは論議をすればきりがないところなんですがね、いろいろな見方、考え方がありますから。ただここで時間をとりたくないので、どうせ勧告が出ているわけですから、あらためてまた次の機会にいまの点もう少し掘り下げてものを申し上げますが、ここでも実は正直のところ皆さんのほうでもう少し検討する必要があるのじゃないかという気がするのです。  もう一つは、それならば調査時期をおくらせて、こういう考え方がさっき出ておりますけれども、そこに中心を置くというのは、いままでの経緯からして私はおかしいと思う。やはりいま与えられている時点ということで人事院の職責上最大限努力をして積み残しを拾うということしか手がない。ないとすればその一つの方法、あり方として、私が申し上げている従業員のウエートがなぜとれないか。人事院は他の部面ではほとんど全部従業員ウエートできているわけですよ。個別比較でやってきたのを、ここでどうして事業所別比率を出さなければならぬかという点、これはどこからいっても私は矛盾だと思っている。だからそういう点を、これはいまここでこれ以上論議してもしかたがないというふうに思いますけれども、これは検討していただかなければならぬというふうに思うのです。五月台帳に載っているものだって五〇%以上あるわけですから、それを拾えない理由もないだろうという気もする。だからここにも問題がある。しかし時間の関係もありますので、そこらの点は省略をしておきたいと思います。  そこで次に、今度特徴的に出ております通勤費なんですけれども、この通勤費ではどうして全額支給というところに踏み切れないのですか。今回の場合には四千八百円まで想定しているわけですね。二千四百円をこえるものの半分ですから千二百円、そうすると、三千六百円ですから、四千八百円までを見越して三千六百円、そういうことになるわけですね。あとは併用という形をとる。こういうことなんですが、これは一体なぜ全額支給はまずいというふうにお考えなんですか。その根拠をひとつ示していただきたい。
  150. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 報告書の別表第三に掲げておりますように、現在民間において支給されております通勤手当の支給状況につきましては、支給のしかた、形態別に見ますと、全額支給制が三七%でございます。大体全体の三分の一ということでございます。一部支給制というのが残りになっているわけでございまして、したがいまして全額支給制の割合は、このところ非常に問題点でございますのでずっと全額支給制の動き方を見ているわけでございますけれども、前回に調査いたしましたときも三七%でございまして、その関係が動いておりません。大体民間において三分の一が全額支給をとっておるというふうに承知いたしておるわけであります。そういう関係で、公務員制度を構成いたしますときに、そういう全額支給制——従前は一定額までという形になっておったわけでございますが、この全額支給制が三七%ほどあるということを考慮いたしまして、ある一定限度までは全額、これ以上につきましては半額という制度を取り入れて、現在に至っているわけでございます。
  151. 大出俊

    大出委員 この理由は旧来からの理由のままなんですが、公務員は官民比較でものをきめていく人事院のたてまえからして、住宅手当なんかも一緒ですが、本年たしか四三%何がしになっていると思いますが、これは五割をこえなければやらないという、こういう性格のものですか、この種の手当その他は。五割をこえたらやるのですか。
  152. 佐藤達夫

    佐藤説明員 住宅手当のときには、たしか圧倒的多数がというようなことを私お答えしまして、圧倒的多数とは何%ぐらいだというような押し問答があったことは覚えておりますけれども、要するに、機械的に五割をこえたらどうというようなことで、何といいますか、硬直化した考え方を持っておるわけではありませんけれども、しかし、いまの住宅手当のごとき、その他非常に顕著な問題を包蔵しておるものについては、やはり用心深く臨むべきだという気持ちでおるわけでございます。
  153. 大出俊

    大出委員 そこで大蔵省に承りたいのですが、通勤手当の税金ですが、これは何べんか質問しているのだけれども、実施時期とのズレの関係はその後少し御検討いただきましたか。
  154. 海堀洋平

    海堀説明員 主税局のほうで検討するということでございましたが、税の遡及ということがなかなかむずかしいものですから、やはりいままでのとおりに、その法案が通って実施された後の分について考える以外にやりようがないんじゃなかろうかというふうに思いますが、できるだけそれに合わせて、年末調整を早くやらなければならないという検討はいたしておるということでございます。
  155. 大出俊

    大出委員 先般海堀さんから連絡があったというので、主税局の一課長さんでしたかから連絡がありまして、御指摘の点はよくわかっておりますので前向きで検討したい、こういうお話でございました。  ところで、通勤手当の金額がだんだん大きくなっていきますと、取れる税金も間違いなくだんだん大きくなっていく筋合いなんですね。おまけに数が多いですからね。だから、それだけよけい取れるからいいという筋合いではないんで、二千四百円の時期から三千六百円になったのですから、実施時期が早まれば早まるだけその間取られてしまうわけです。これも人事院はまるまる実施をしてくれと言っているわけですが、そうだとすれば、これはまさに前向きで年末調整をやらない限りは——技術的な点ですから、年末調整のしようはあるのですから、これをやっていただかないと困る。ただでさえしぶい大蔵省のことですから、それくらいのことはとりあえずやっていただいて、あと財政当局らしいことを言うことはいいけれども……。これはひとつこの次に担当の方においでいただいて論議をしたいと思っていますので、お伝えおきいただきたい。  それから、今度の人事院勧告の中で、つまり上下比率は下厚上薄といっておられるわけであります。これは民間給与との比較の面でそう出たんだろうと思いますけれども、ことしの場合、生活保護基準の引き上げが一三%をこえているわけですね。ところが、これは人が言う言わないは別として、俸給表からいけば、行(二)の段階では生活保護給的なところもあるわけです。そうなると、今回の引き上げ幅は、確かにそこに意を用いているという見方ができなくはないけれども、生活保護基準の引き上げ倍率よりもなお低いというような、行(二)という制度制度的な問題ですね。途中採用なんかの問題もありますが、これは人間並みでない採用のしかたなんで、根本的な問題なんですけれども、このあたりを何とか考える必要がありはせぬかという気がするのですが、ここらのところはどんなものですか。
  156. 佐藤達夫

    佐藤説明員 生活保護基準の問題は、たびたびこの席でも申し上げておりますように、われわれとしては一番気にして臨んでおるわけでございます。また、いまのおことばも、気にした形跡はあるということでありましたので、その点たいへんうれしく思います。ただし、生活保護基準なるものは、われわれ勉強してみますと、実にあれは複雑怪奇なものでありまして、特殊な家族構成など考えていくと、これはきりのない問題であります。したがいまして、それはもちろんわれわれとしては限界があるわけでありますが、いまのおことばにありましたとおり、十分気にしながら、そうして今回の倍率などをきめるについての考え方が相当大きくこれに入ってきているということだけは御了承願いたいと思います。
  157. 大出俊

    大出委員 行(二)という制度について、これは一ぺん根本的に検討する必要があるという気がするのですが、個々に当たっていきますと、非常に悲惨なものですよ。同じように仕事をして、また仕事は実際によけいやっていても、制度的にこうであるということのために、並んで仕事をしていても、片方は上がっても片方は上がらないということになる。こういうことは政策以前の問題として放任できないという気がするのです。私は、そこのところを何とか制度的に変える手はないかという気がする。そこらのところは、これはまた長い論議になってしまいますからこの次に譲らざるを得ないのですけれども、ぜひ一ぺんそこのところも御検討いただきたいという気がいたします。  それから、この調整手当なるものですが、暫定手当の本俸繰り入れとのからみ合いでずばり聞きたいのですけれども、今度の勧告が出される過程の計算の中で、人事院皆さんが昨年の勧告に基づいてゼロ、一、二級地を本俸に積み上げる。たしか平均二・三%くらいだと思いましたが、それは官民比較に乗らない分ということで先般海堀さんにも答えていただきましたが、どのくらいにごらんになっているか。というのは、なぜそういうことを言うかといいますと、私のほうの計算からすると、まず今回の人事院勧告というのは八%と出ておる。それに四%の昇給予算が別にある。だから八%プラス四%、それにゼロ、一、二級地の整理その他を含めて本俸に積み上げた分があったとする。これを私なりの計算でいくと、前から〇・七%といっておるんですが、皆さんの計算では多少ふえるかもしれませんが、これを足してみて全部計算してみても、つまり八%プラス四%プラス〇・七%と足してみて一二・七%になる。そうすると、これは本年の春闘の民間引き上げ率一三・七%などと比べてみて、やはりどうも例年どおり春闘の引き上げ分が埋まらない、こういう感じの勧告になる。だから人事院のほうは八%というのだけれども、昨年の時点で本俸に積み上げられている分があるということがおそらく陰ではあると思う。だとすると、それはどのくらいに見ているか。差しつかえあって言えないというなら言わなくてもいいが、もし言えるんだったら言っておいてください。
  158. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御指摘の点は、ことし四月の本俸に繰り入れられた分がその焦点になるわけであります。したがいまして、それが格差を縮める作用を営んでいることは間違いない。私どもはそこまではわかりますけれども、何もそれから先をこまかく計算する実益も必要もないのであって、四月に支払われた民間給与はこれだけ、四月の公務員給与はこれだけ、これを突き合わせて八出ましたと申し上げればりっぱなものでありまして、どういう比較で八になったというようなことを申し上げるだけの義理も何もないということです。確かにそれは格差についてはマイナスの要因になったということははっきり申し上げられますけれども、これを精密にどうというようなことまで精算しておらないのは当然のことではないかと思います。
  159. 大出俊

    大出委員 はち合わせということばもあるのでありますが、八%の勧告をしたが陰のほうで〇・八やったというようなことで、そういうふうなことになっておるのではないかというような気がいたしますが、そこらのところは大蔵省海堀さんの言い分もこの前あったが、なかなか微妙なようだから、そこのところはいずれともわからない。四月の官民比較を、六千八百五十の事業所と四十七万人かの人をやってみたらこうなったというのだから、特に計算上ああだこうだということは考えていない。それは一番うまい答弁ですが、しかし先ほど来申したように、人事院のいままでの給与算定のあり方というのはいろいろうまくできていますから、そこらを念頭に置かずにおやりになったはずはないと思いますけれども、そういうことは考えなかった、考えていない、率直なところ、四月時点における官民比較の結果ということで勧告したのだ、これだけだ、こう言い切るわけですか。
  160. 佐藤達夫

    佐藤説明員 そのとおりでございまして、四月に支払われた民間給与の水準と四月に公務員側が支払いを受けた水準とを突き合わせて格差が八出ました、それだけのことでりっぱなものだと思います。
  161. 大出俊

    大出委員 それじゃ、陰ながら八%勧告は低いじゃないかと言ったら、そんなことを言ったって、去年の四月に調整手当で積み上げ方式をとった。あのときは都市手当ということで勧告した。六%、三%で下がるところもあるだろう、こういう質問も出て、あとは言えなかったから適当にごまかしたら、それじゃ下げるところがあってはいけないということがあって、下げるところはつくらなかった。だから、これは上がっちゃった。だから、何のことはない、ことしの勧告よりもっと前々に上げるものは上げたんだ。だから、それは皆さんが八%低いじゃないかというけれども、陰のほうにこれこれありますよということはおっしゃられぬわけですな。
  162. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それはだんだん詳しいことになりますと、大体去年の積み残しのさらい方がよかったか悪かったかまでさかのぼらなければならぬわけです。五・四%出ましたからよいと、さらっとおそらくおほめいただけるだろうと思いますけれども、そういうことはたくさんありますから、それを一々青筋立ててなまじっか計算してここで披露して、また間違ったなんていうことは全く実益のない話でございます。ただし、お尋ねを受ければ、そういうことはありましたから、それは格差は縮んで出たでしょう、これは申し上げられます。
  163. 大出俊

    大出委員 これが最後ですけれども、そうだとすると、三年ということで暫定的に調整手当をつくりましたが、さて、これは一年たったわけですね。あと二年しかない。いずれにしても、これは何らかの手を加えなければならぬことになる。また、この間のような勧告で、これは法律上そうなっておるんだからというので、研究の成果はこうですよというので、都市手当六%、三%が勧告  の中に出てきたわけですね。どうもああいう形の出し方だというとまだかなり——したがって、三年先、あと残り二年ですが、調整手当というものは一体どういうふうに考えていこうとなさるのですか。
  164. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもは、無責任に、無思慮にああいう勧告を申し上げたわけではありません。しかし、いろいろ御批判もありますし、十分調査をしろという国会の御意思でございますから、データを十分これから整えて——実は、ことしの調査においても、先ほどお触れになりました住宅手当などもそちらのほうの調査の一環としてやっておるわけなんです。幅広く精密な調査を進めております。
  165. 大出俊

    大出委員 ざっくばらんに言いますが、私は、人事院が六%、三%勧告を尾崎理論に基づいて出されたときに、昔の山下理論なんという理論も人事院の中にはありましたね、そこらは、そんなものはあり得べきじゃないという理屈もあった。だから、あれが出たときに、いなかのほうの公務員の方というのは、産業が少ないから比較的、地場賃金的にものを見れば悪くないというような場合に、今度は逆に都市のほうは、大企業その他がたくさんあるから、公務員賃金は低い。隣の企業、隣の会社に公務員がさらわれているなんて現象が起こる。都市別に見て違いがあるわけですね。そういうところに将来的には、たとえばベースの改定幅が低くなった場合であっても、都市現象、六大都市を中心にしたところは、上がるものは上がっていくんだという、そういうものの考え方が根本的にあの勧告基礎にはあったと思うのですよ。その考え方が現在、人事院として変わっていないんだとすれば、これから先二年間というもの、よほど考えないと、これはなかなか、人事院勧告した、そうですかというわけにいかないと思うので、これは二年前にものをいうのは早いようだけれども、いまからそこらのところは問題にしていきませんと、また自治省とぶつかり合ったとか、文部省がどう考えたとかいう騒ぎが起こる。それじゃやっぱり正しい形の公務員給与というものは生まれてこない、こう思うのです。だから、そこで暫定措置調整手当なんですから、だとすると、そこらのところを基本的に、人事院が今回調査をされてみて、特に地方のお医者さんを上げたりなどされておられますけれども、そこらのところについての基本的な考え方をひとつぼつぼつきめてかかっていかないと、これも大きな問題になる。これはいまなぜ私がこの質問をするかというと、これは寒冷地手当の問題ともからむのですよ。寒冷地手当を四年間も何でほっといておいたのか、私に言わせれば、そうでしょう。その間に研究してきた都市手当というものがある。それはどういうふうになっていくかということを頭に置かなければならぬ要素もあったのじゃないかと思う。そうでしょう。北海道といったって、函館と札幌と旭川とでは違う。そういうこともあるのだから、調整手当というものはそう簡単でない。だからいま質問したのですが、どうもあまりそっけない答弁のような気がするのです、総裁の答弁は。からみ合う点が非常に多いのです。そこらのところを、何か考えがあれば、もうぼつぼつ言っておいていただかないと、この際困るのじゃないかと思うのですがね。
  166. 佐藤達夫

    佐藤説明員 特にそっけないお答えをしたつもりはございませんが、御承知のように、給与法の二条六号の地域差に応じた措置を検討しろという至上命令がありますので、まず現在のところでは、あの至上命令のもとに調査を、いまおっしゃったような幅広く目を配りながらやることは、これは適当だと思いますが、そういう方向でいきたい。あるいは二条六号自身が、これはもう変わるべきだということになるかもしれませんけれども、いまのところはあれを念頭に持ちつつ周到な作業を進めておる、こういうことでございます。
  167. 大出俊

    大出委員 寒冷地給付ですが、一つだけ聞いておきたいのですが、支給率の最高を一〇〇としろという陳情が出ておりましたですね。これはある意味では、物価スライドといいますか、つまりそれだけ炭価が高くなればそれだけのものは寒冷地の性格上かかるのですから、そういうふうな点、ここらあたりがどうも今回の実冷地給付の中身を見ますと、いささか矛盾を感ずるのです。ここらのところはどう考えておるのですか。
  168. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大まかな立場としては、いままでの定率制度というものは、発足当時に比べるとこれは相当不合理な形になっておる。八五%というのはそういう意味でですね。たえとば北海道のたいへんたくさんの月給をお取りになっておる方にかけてみて、そうしてはじき出された金額というものは、寒冷増加費に対応する適当な額だと言えるかどうかという問題に戻ってきて、あげくは、やはりここでもう一ぺん根本的な調整をしなければならぬ、それだけであります。
  169. 大出俊

    大出委員 時間がございませんので、この寒冷地手当も、ものを言い出しますとずいぶんいろいろございますので、この際はあまり申し上げたくはないのですが、どうせまた決定までに委員会がもう何回か開かれる機会がございますので、そこらのところでもう少し申し上げたいと思っているわけでありますが、要は、今回の人事院勧告をめぐる当面の論争点というのは、やはり私は何と・いっても完全実施だと思うのですね。そこで、何とかしてことしは完全実施に持っていけるようにお互いに努力しなければならぬ筋合いだと思うのですね。  そこで、けさほどの理事会で、昨年ぎりぎりでつけていただきました、賛成をしていただきました完全実施決議というものをこの委員会でもひとつ取り上げていただいておきめいただく、こういうことに運んでいるのですけれども、国会に出した勧告だからということを総裁いつも言われるので、私もその一人なんですが、ここに藤尾さんもいますけれども、皆さんが賛成してしまえば、これはどうということはないんだけれども、なかなかどうも皆さんが賛成するところにいかないというところに、総裁、やきもきしている点もあるので、今回は、ひとつ早目に完全実施決議を担当委員会としてはして、完全実施に向かって努力の意思表示をあげておきたいと思うわけですが、どうかそういう意味で、ひとつ総裁のほうも、勧告したんだから先は政府と国会だということではなくて、最大限努力をお願いしておきたい、こう思うわけです。  大蔵省のほうは、またあらためて大蔵委員会でも取り上げることになりましょうし、例年の慣行で、また私の委員会に水田さんあたりにおいでいただいて、海堀さんがいろいろうしろから引っ張ってひもをつけるのでしょうけれども、ことしは完全実施のほうに持っていく努力をしたいと思いますが、あんまりどうも海堀流、ここまできたらいつもの理論でなくて、災害災害で、これはさっき総務長官が言ったように、渡れる橋は渡ったあとの話だそうですからその辺のところも総理府と意思統一をしていただいて、渡れる橋は渡らせるということにしていただくということで、ひとつ大臣によろしくお伝えおきをいただきたい。よろしいですな、伝えておいてください。  以上です。
  170. 三池信

    三池委員長 受田新吉君。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 政府委員各位お疲れでございましょうが、質問を続行しますから……。  このたび、例年のごとく、うだるような暑さの中で、人事院勧告が国会並びに政府に提出されているわけです。この作業をなさるのに、人事院はずいぶん苦労されたと思うのですが、数百名の職員をもって超過勤務作業というのがどの程度行なわれたか、まず伺っておきたいと思います。
  172. 佐藤達夫

    佐藤説明員 どの程度もこの程度もございませんで、ほんとうに死にもの狂いでこの暑いまつ最中に、ことに給与関係では居残りして、去年は一人——毎年大体一人か二人犠牲者が出ます。去年は一人大きな犠牲者が出まして、命がけの犠牲者が出ました。ことしは幸いにして犠牲者は出ませんが、そんなことをわれわれとしては心配しながら作業を進めているという実情ございます。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 人事院のこの作業をお進めになる上において、特に勧告案を提出される直前における勤務量というものは、相当なものである。それに頭脳明晰な各位が取っ組んでいただくわけですけれども、この企業規模百人、事業所五十人という、これをもう少し圧縮して、三百人ないし五百人という点で押えれば、非常に楽になると思うのですが、そういう御案はありませんでしょうか。
  174. 佐藤達夫

    佐藤説明員 そういう立場から考えさせていただけば、企業規模二千人か三千人ぐらいのところでいきたいものだ、国ほど大きな企業はないわけですから、そうありたいと私は個人的には考えておりますが、ただし今日の経済情勢、あるいは一般賃金水準ということから申しますと、やはり公務員といえども労働者の仲間である。民間の労働者諸君がどういう待遇を受けておるかということとやはり見合いながらいかなければいかぬということから申しますと、ただいまの企業規模百人、それから事業所規模五十人というのは、ちょうど日本の全労働者の方々の五〇何%ぐらいをカバーすることになるわけであります。五十何%ぐらいの労働者諸君のとっておられる給与とその水準を合わすということが、今日の情勢のもとでは、納税者大衆の御納得を受け得ることであり、あらゆる面の御納得を受け得る線だろうということで、いまの数字の規模が出ておるということでございます。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 厳密に言えば、中小企業を含めて一〇〇%の全従業員の実態調査を根底にするほうが正確であることはわかります。しかし、規模の小さいところは、給与体系というものも経営者の独自のアイデアでなされる傾向もあるし、そしてその企業内容というものが経営者兼労働者一点である、労使一体であるというかっこうでなされておる。そういうところに薄給に甘んずる諸君もおるわけで、国家を基礎にした公務員給与体系を考慮する調査の対象として、いささかずれたものが入ってくると思うのです。その意味では、少なくとも三百人ないし五百人のところを拠点にされて、そこで十分こなされた給与体系のできているところを対象にして、国家という大きな規模の上に立つ公務員給与の参考にする、こういう形をとることが、私はむしろ国家公務員の基本的な、つまり非常に体系づけられた対象を調査をして、それに基づいてきわめて明確な給与体系を打ち立てることができると思うのですが、どうでございましょうか。
  176. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御趣旨はよくわかります。私どもが民間の百人以上の企業規模のところの水準を取り上げておりますこと自身が、先ほど申し上げましたような根本に基づいております。また、特定の職種、特定の職種をつかまえて突き合わせることも、これは事実でありますけれども、しかし、いまの体系の問題としては、公務部内なら公務部内としての、ちゃんと組織体としてあるわけです、秩序を持っておるわけですから、それに当てはめる場合においては、もちろん民間の面も見ますけれども、公務部内の秩序ということを主眼に置いて、そして給与体系をつくり上げていく、その点においては、公務の組織というものに即した給与体系をつくっておるというつもりでございます。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 いかがでしょう。この五十人から九十九人の事業所六百十七を対象にしておられるわけですが、この分だけを取り除くことによって、これは対象数も少ないわけでございますけれども、百人以上のものに限定していく。これは事業所というものを抜きにしたという点で問題をはらむかとお考えじゃないかと思いますけれども、少なくとも百人以上の事業所を対象にするということで、これは百人以下のものはあなた方のほうの御調査で全産業に占める部位というものは非常に少ないのですから、これを取り除くだけでも、人事院の作業量も幾分減ってくるし、そして本格的な体系をもって給与を支払っているほうへ漸次近づく民間の実態が把握できるのじゃないかと思うのですがね。
  178. 佐藤達夫

    佐藤説明員 作業量のほうは、これは従の問題で、われわれとしては正確なデータをつかむということが終局目的でありますから、幾ら作業が多くてもそれは忍ばなければならぬということで、結論は、先ほども触れましたように、一般民間の事業所の従業員の過半数を押え得る線はどこだろう。御承知のように、数年前は従業員五十人であった。それがだんだん一般の経済界の伸展に従って、百人以上で過半数をつかまえようということになりまして、だんだん今後そういう水準が上がっていくことはけっこうなんで、これはそっちのほうを主としてにらんでいきたいと思います。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 漸次そういう方向へ進もうということである。現に、あなたの機関で調査対象にされた事業所の中に、調査不能のものが出てきておる。その調査不能のものというのは、一体どのくらいの規模のところに多いか、御答弁を願いたい。
  180. 佐藤達夫

    佐藤説明員 詳しいことは局長からお答えしてもいいのですけれども、これは毎年若干あります。たとえば百人以上ということで行ったところが百人を割っているとか、あるいは不幸にして倒れてしまった、つぶれてしまったというようなものもいろいろございますが、大体そのくらいのことは、調査をしていきます上では、毎年定例的に若干のものはもちろんわれわれとしてはオミットしてしまうということでございます。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 あなたのほうの報告資料には、集計から除外した事業所が四百四十六あるというのです。これは相当の数字ですよ。その数字の内容を示していただきたい。
  182. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 御承知のように、本年の調査対象に事業所として抽出をいたしましたのは六千八百四十六事業所でございましたのですが、実際に調査を行ないましたのは六千四百ちょうどでございまして、四百四十六事業所が不適格というふうになっております。  その内訳といたしましては、不適格、特に規模が不適格、つまりいわゆる会社の規模百人以上、事業所の規模五十人以上、そういう規模の不適格、いってみますと、従業員が非常勤が中に含まれておる、こういう関係が非常に多うございまして、その関係が三百七ございました。これがほとんどでございまして、あと残りは、たとえば賃金台帳が未整理であるとか、あるいは移転をしたとか、あるいは参りましたら解散をしておったとか、そういったようなところ、あるいは経営形態が不適格であるとか、そういうものが残りでございます。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 総裁、局長が仰せられたように、対象になって調査不能となった事業所というものは、小規模のものです。大規模の中に倒産するものもまれにはあるが、今回大規模で、五百人以上で、当たってみて倒産しておった方があるかどうかということを含めてお答え願いたい。非常勤を含めて百人に達しておったとか、五十人に達しておったとかいうもの、それから賃金台帳が未整理になっておったり、解散しておったり、給与体系そのものにはなはだ疑わしいようなものが、あなた方が調査されるという対象の中にあった。賃金台帳が未整理のような事業所というのは、これはいいかげんなもので、そういうものまで含めて人事院公務員給与をきめようとするところに一つの問題がある。それを五百人以上の規模の事業所に限定されるとかりにしたならば、おそらくそういうものはほとんどまれな事例がたまに起こる程度であって、完全な調査ができると私は思うのです。つまりあいまいもこたる、対象がこの五十名とか百名とかいう規模あるいは事業所を考えていくから、そういうことになる。明らかに小規模のそういう事業所というものは、給与そのものに対して社長の独裁でものをきめていくような形の、ワンマン的なものが多いと思うのです。そこで薄給に甘んずる従業員が、生活苦にあえぐという実情も起きてくる。そこで、国家公務員というものは、一応かっこうのついた最も大きな規模の従業員でありますから、そこに国家公務員給与をきめる調査対象らしいきちっとしたものを限定するという意味からいうならば、やはり三百人ないし五百人という数字をきちっとして——それをきめるのは、人事院でできるのでしょう。政府にお伺いを立てなくてもいいはずなんです。そういうことにすれば、公務員給与はもっと上がるのです。小規模のものが、低いところのものが入っておるから、全体を通じて下がる。これは規模別の給与の数字の比較を見てもわかる。もう相当の差がそれらを含めることによってついており、給与が下げられてくる原因をつくっておる。この意味においては、人事院の苦悩を抹殺する——行ってみたら賃金台帳がなかった、行ってみたら解散しておった、そういうものを調べ上げて公務員給与の実態に参考にしようというようなことを考えるのがちょっとおかしいような事件が、現実に起こっている。今後の総裁としての見解を、もう一度表明願いたいのです。
  184. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いまのお話ですと、つぶれたものを調べるようなことに聞き取れましたけれども、これはもちろん不可能なことで、つぶれたものを調べておらないわけでございます。それ以外の残ったものにつきまして、われわれとしてはやはりここに働いている人の給与というものをつかまえ得る限りはつかまえてきて比べるべきであろう。役所の廊下のふき掃除をしている人も、小さな工場の廊下のふき掃除をしている人も、同じ労働者ではないか。役所につとめているからといって、こっちに高い給与を差し上げるわけにもいくまい。そういうことが、実はいまの賃金情勢を基本にしていえば、公務員も労働者の一人である、特権的であってはならないということが、一つの原理としてあるわけで、これがまた納税対象によって支持され、納得されているところであろうと私どもは思うわけです。個人的には、私、昔役人であったころのことを思いますと、白紙に絵をかくようなぐあいで、公務員のまず地位を考え、その他の点から給与をきめておったわけであります。まだそういう事態ではあるまい。将来また再びそういう時期のくることを念願いたしますけれども、いまのところはそうはまいらない、こういう気持ちでございます。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 行ってみたらつぶれておったのは、はずれているはずなんです。しかし、調査をしたあとでつぶれてくるというのは、すぐできるはずです。調査したけれども、来年そこはつぶれておった、そういうのは必ずたくさんあるはずです。あるのは規模の小さいところですよ。そういうものを対象にしては、国家公務員という最大の規模を持つ公務員給与をきめる対象としては、あまりにもあわれである。したがって、そういう危険をはらむ小規模のものを除外する意味から、規模をもう少し高い水準に置いて今後検討さるべきである、私はさように思うのです。そして、そういうところで働かれる人々を、つまり国家公務員給与を参考にしながら、そういう小規模のものが、今後会社の繁栄をはかって、そういうささやかなところに働く勤労者にも喜びの日が来るようにしむける国家の給与体系というものが、私は必要だと思うのです。そのことを申し上げて、いまあなたはそういう、前向きでものを考えようとされておることを了承して、一応これ以上は申し上げぬことにします。非常に寛大な扱いをさしてもらいます。  それで、主計局の次長さん、かつて今井さんがやっておられたときに、給与局というのが大蔵省にあったのです。これはどうしておやめになったのですか、その理由を聞きたいと思います。
  186. 海堀洋平

    海堀説明員 たぶんその時期におきましては、人事院という組織がなくて、終戦直後に非常にインフレーションが進行いたしまして、公務員給与予算において非常に大きなウエートを占めるというふうなことから、大蔵省給与局を設けたわけでございます。     〔委員長退席、井原委員長代理着席〕 その後公務員制度全体が整いまして、公務員法に基づきまして人事院という、初めは人事委員会だったかと思いますが、組織ができまして、給与局の必要がなくなったということで廃止されたというふうに記憶いたしております。ただしこれは、時期的には多少のズレとかいうふうなものはあろうかと思います。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 必要がなくなったということでございますが、この給与局というものは、戦後の混乱期における公務員給与改善にたいへんな貢献をしたわけです。これは今井さんが一人で、今井さんのあとへ続く者がなかったという歴史がある。ところが、この給与局のかつてやった仕事を、いま主計局の次長がその責任者で主計局がなさっておると理解してよろしゅうございますか。
  188. 海堀洋平

    海堀説明員 それはちょっと権限の関係が違いますので、現在の人事院、それから人事局、そういった仕事に近い仕事を大蔵省給与局がやっておりまして、現在の主計局は、給与そのものについては、特に権限あるいは仕事の範囲は及んでいないというふうに考えていただきたいと思います。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 いま人事局というのが総理府にできてきたわけなんです。公務員の身分、給与を担当する機関として総理府の人事局、大蔵省の主計局−主計局もその仕事の一部に給与の支払いのお仕事があるわけなんです。あなたの下に給与担当の課長がおられるはずなんです。きょう来ておられますか。
  190. 海堀洋平

    海堀説明員 相原給与課長が来ております。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 給与の担当の課長があるということは、これはもうかつて給与局のやった仕事のうちで、給与支払いの仕事をどうしたらいいかということを担当されるセクションが一つある。したがって、人事院大蔵省の主計局と人事局、この三つがよくつながりを持って人事院勧告実施するためには、完全に大蔵省の主計局と人事局とが非常な力を出さなければならない大事なポストを占めておると私は理解しておるのですが、間違いですか。
  192. 海堀洋平

    海堀説明員 大蔵省主計局といいますか、予算については、いわゆる大蔵省は、国庫大臣という立場で各省の行政に関連しまして、たとえば通産省担当の主計官、これは通産何とかという名前はついていませんが、担当としましては、通産行政一についての予算を担当する者がございます。そういう意味におきまして、給与というものは、各省にまたがりまして、しかも国の財政負担として大きいものでございますから、そういう意味の国庫を担当する大臣給与関係で補佐——給与に要する財政上の負担といいますか、そういう面で局長を補佐し、大臣を補佐するという意味で、主計局給与課というものがあるわけでございます。それ以外に、もちろん共済関係のように、ある意味で所管大臣としての仕事を一部いたしておりますが、いま給与に関連して申し上げますと、国庫の立場から給与予算を担当するという意味給与課長というものを置いておるわけでございます。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 したがって、給与の担当の局長は、主計局長である、こう了解していいですね。
  194. 海堀洋平

    海堀説明員 それは、通産省の所管の予算を国庫大臣として策定する担当者もまた主計局長であるという意味におきまして、同様でございます。
  195. 受田新吉

    ○受田委員 総括責任者です。そこで、その総括責任者と人事局長と常に連絡を密にして、この勧告扱いをなさっておられるのかどうか。終始連絡を密にしてやっておられるのかどうか。人事局長から御答弁を願いたい。
  196. 栗山廉平

    ○栗山説明員 先生、非常によく御承知でいらっしゃいますように、人事院から勧告を受けました場合には、給与担当大臣を含めまして、関係閣僚懇談会でいろいろ政府方針協議されるわけでございます。われわれのほうは、事務的の線におきまして緊密な連絡をとりまして——もちろん予算の面にも非常に大きなウエートを持っておるわけでございますから、事務的にいろいろ補佐の面としまして緊密な連絡をとってまいるわけでございます。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 これは政治的な配慮と事務的な処理とがぴたっと一致して、いい結果を生むと私は思うのです。その意味において、せっかく人事院勧告が出た、そうしてこれをどう実施するかについて、人事局と主計局との密接な話し合い、それに担当国務大臣が上から政治的な配慮を加えていくという、これをきわめてひんぱんに、そして密接に進めていく必要がある。いま主計局次長海堀さんが、普通人事局長と事務的処理をされますか。主計局長自身がやられますか。ちょっと海堀さんから御答弁を願いたいと思います。
  198. 海堀洋平

    海堀説明員 事務的な連絡は、主として私が人事局の次長の宮内君に連絡をとってやっております。
  199. 受田新吉

    ○受田委員 次長同士でやっておられるわけですね、事務処理は。局長を含んだ会談でなくて、両方とも次長同士ということで了解してよろしゅうございますね。
  200. 海堀洋平

    海堀説明員 給与の問題というのは、先ほど申されましたように、非常に諸般の政策との均衡を配慮しなければならない重要な問題であるとともに、事務的に考えますと、非常にこまかい部門までにわたるものでございますから、その事務的な部門の連絡はそれぞれ担当のところでいたしているという意味でございます。
  201. 受田新吉

    ○受田委員 いま事務段階における連絡、折衝を含めたこの勧告扱いをお尋ねしてみたのですが、もう一度総裁にお尋ねを申し上げます。  この勧告書をお出しになるについては、国家公務員法の第六十四条にある俸給表の規定を十分根拠にされておる。ところが、それには、 「生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」という明文があることは、あまりにも有名である。ところが、この中でまっ先に生計費が出ておる。それから民間における賃金その他の人事院の決定する諸事情、こういうようなものをどのようなウエートで出されたかをひとつお答えを願いたい。
  202. 佐藤達夫

    佐藤説明員 給与法の御指摘の条文は、一つのめどとしていろいろな条件をあげておりますけれども、近年ずっと人事院でやっておりますところは、御承知のように、ほとんど主として民間給与というものを大きな柱として、これに追随するというたてまえをとっておるわけです。なぜ最近民間給与に重きを置いているかと申しますと、要するに民間給与がいかにしてきまるかと申しますと、結局、物価が上がった、あるいは生計費が上がったというようなことで勤労者の皆さんが賃上げを要求されて、その結果妥結したものが民間給与としてきまる。したがって、かくしてきまった民間給与の中には、物価の要素も、あるいは生計費その他の要素も、当然織り込まれておるだろう。したがって、それをつかまえて比較をして、これだけ足りないということでいくのが、いまの条文の趣旨にも実際合うことになりますから、実際上も、運用の上でも適正であろうということであるわけです。ただ、さっき大出さんのお話に、標準生計費の話が出ました。あまり標準生計費は意味がないじゃないかというお話があって、ほんとうに意味がない、もうやめようかと思うということをちょっと口走りましたけれども、実はいまの条文に生計費というものがあがっております。そうやすやすとやめましょうということがいけないことに気がつきまして、前言をひるがえしましたけれども、しかし、本体は民間給与というものに合わせていけば、六十四条の条件は大体満たされるということで今日まで来ていると申し上げてよろしいのじゃないかと思います。
  203. 受田新吉

    ○受田委員 生計費というのはまっ先に出ている。あなた方の積算の基礎であるそれを軽々しく問題にならないようなことをおっしゃるのは、これははなはだ不謹慎である。私は、いま大出さんの質問に答えるあなたのお答えを聞きながら、これは法律違反をやりおる、これは人事院総裁としてはあまりにも軽率であると思ったのです。あの頭脳の明晰なりっぱな方が、一番大事な根元を忘れるような一もとあって道が生ずる、これはひとつ御注意をしておかれなければいかぬと思いました。そこで、この標準生計費を東京都において一万九千四百九十円とお出しになっておる。これはマーケット・バスケット方式を採用した数字であるので、やや文化的な要素も入っておる。ところが、この標準生計費の中に住居・光熱費というものが入っておるのですが、これは「その一」にある四千二百七十円に例をとりましても、この数字でまかない得る十八歳の独身青年がどれだけおるかということになるわけですが、ちょっとお答えを願いたいのです。
  204. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 標準生計費につきましては、受田先生御承知でございますけれども、この場合には、東京におきましていわば標準的に生活をしております階層につきまして算定をいたしたものでございまして、御指摘のような内容が現在の実態から算出をされるということでございます。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとそれははっきりしないのです。現在の実態というのは何ですか。つまり世帯人員の数の区別による標準生計費の中に、一人の場合があがってある。いま私が指摘したのは、一人の場合です。一人の場合に、これで実際やれるかどうかの問題がある。光熱費まで含んで四千二百七十円ということになるならば、公務員宿舎の独身寮か何かにおらぬ限りは、こういう少額ではとても済ましていけないわけですから、そのことをちょっとお答え願いたい。
  206. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 御指摘の住居・光熱費につきましては、東京においては本無四月の標準的な生計費といたしまして、四千二百七十円という形で算定をしたわけでございますが、それは東京に現在住んでおります方々の実態を総理府統計局で調査をいたしておりまして、その調査の結果、つまりその実態の面から計算して算定したものでございます。もちろんその内容は、住居・光熱費として支出している方々につきましては、いろいろな形態があり得るわけでございますけれども、その総平均という形で、実態から算出されたものだというふうに考えております。
  207. 受田新吉

    ○受田委員 その総平均ということになれば、持ち家におる家族の一員の場合もあるし、それから自分で一万円もかけてアパートを借りておる人もおろう。そういう、平均がこうだ、そういうお説ですね。このお説ははなはだ現実に即していないわけなんで、その標準生計費の四千二百円ばかりを出せば、もう住まいの得られない人もがまんをしてもらわなければならぬという理屈は、成り立たぬわけです。  そこで、この俸給表を拝見して、行政職(二)の場合に、この標準生計費に満たない号俸がある。五等級の五以下はみな該当するわけです。五等級の五号の一万九千四百円、これまでは標準生計費に達していない。これから下の人は生きていけないわけです。ただ、中学を卒業した見習い程度のものが初号のほうで考えられておるわけですけれども、しかし、食えない俸給表をつくっておるということはどうも問題なんで、人事院ともあろうものが、標準生計費にも満たない号俸を五号俸も用意しておる。最初一万六千六百円から始まって、一万九千四百円まで、標準生計費に達していない号俸がある。これは食えない号俸。というのは、食わないで死ねという号俸をつくったのか、ひとつお答え願いたい。
  208. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 標準生計費の算定のしかたは、先生十分御承知のところでございますけれども、あくまでも東京における標準的なものを、現実の実態から算定したものでございます。したがいまして、いわば標準でございまして、実際はこの上の人もおられますし、下の人もおられるという形になっておるわけでございます。そうしてこの標準生計費に見合わした給与というものは何かという問題がございます。生計費の高さと申しますのは、私どもが算定いたしておりますのは四月でございますけれども、四月の高さというのは、一年の中では比較的高いほうの数字でございまして、大体年間における各月の生計費の平均に相当いたしております。そういう関係考えてみますと、見合わせる給与と申しますのは、いわゆる本俸だけでなくて、いろいろな給与をもちまして、端的に申しますれば、期末、勤勉手当も法律において用意されているわけでございますから、そういう関係も生活の上においては十分使用できるということで、見合わせる場合にはそういう関係も無視はできないというふうに考えるのでございます。  また、御指摘の五等級の下のほうの関係につきましては、実際には私ども一人の標準生計費はいわば十八歳程度の者として算定しておるのでございますけれども、五等級の若いほうの人々は一号が十五歳程度から出発しておりますので、そういう関係が、標準生計費との関係におきまして若干ギャップがあるという点は言えると思います。
  209. 受田新吉

    ○受田委員 若干のギャップが問題なんです。つまり食えない俸給表がつくってある。十五歳、中学を卒業した子供が、一万六千六百円から始まって、三年たったら一万八千六百円にしかならない。標準生計費に千円近く足りない。これは食えない俸給表です。それから十五歳なら一万六千円で食えるかというと、決して食えるはずはない。十五歳の標準生計費が出してないんだ。行政。というこの俸給表は、人道的に非常に大きな欠陥をはらんでいる証拠が、ここへ出てきたのです。食えない俸給。若干のギャップという、これはゆゆしい。これは食えないギャップですからゆゆしいのです。したがって、この行政職の五等級の下のほうは、整理せにゃいかんと私は思うのです。こんな安い俸給表を天下の国法の中にうたいあげるということは、問題がある。総裁、御見解を、お疲れでございましょうが、ひとつお答えを願います。
  210. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもは、いまお述べになりましたような基本的な気持ちを持って、行政(二)の人たちについての俸給計上は、ずっと努力をしてきておるわけでございます。この改善の実績は、これはまた別にお示ししてよろしいくらいの自信を持っております。ただ根本は、最初に申し述べましたように、やはり民間給与とのバランスということをそう破るわけにいかないということが基本でございます。特にいま御指摘のところは、中学出たての十五歳というようなところでございますので、これらのところは、よくするについてもまだそこのところにいろいろな考え方が入ってくるべきところであるが、大体のあり方としては、行(二)の表全体についておっしゃられましたような立場から、先ほど標準生計費のことはあまり重きを置かぬというようなことも申しましたけれども、そういう点も頭に置きながら勘案しているということだけは、はっきり御説明申し上げられますし、また御了承いただけると思います。
  211. 受田新吉

    ○受田委員 私は、人間を尊重するという観念が、この俸給表に流れていなければならない。上下の格差をあまりにもはなはだしくし過ぎて、下級者を冷遇するというようなことがあってはならない。したがって、行(二)そのものは、人道的に非常に欠陥のある俸給表です。長期に勤務しても一向うだつがあがらない。薄給に甘んじて生涯を終えなければならないという人を認めるような俸給表が、ここに出ておるわけです。ひとつ総裁、高い人道的観点からも、食えない俸給表、食えない号俸を早急に改めて、来年の勧告にはここに一つの目をみはるような、あなたのあたたかい愛情があらわれるように御希望申し上げておきます。  次に、上下の格差を縮めて上薄下厚の原則を確立したと、総裁はたいへん自慢をしておられます——されておりませんか。それはこの俸給表の中で下級者のアップ率を高めて、行政(一)で申し上げるならば、八等級を一〇%にして、一等級を六・三%にしておるじゃないか、このアップ率によって下級を優遇しておるじゃないか、こういうまことに巧妙な数字をお出しになっておられるのです。ところが、現実にこの俸給表は上厚下薄の傾向があらわれてきていることが、このたびの勧告によってもはっきり出ている。すでにこの六月十五日適用された等級別標準職務表の点にも触れてみたいのでありますが、「本省の局長若しくは局次長又は部長の職務」を一等級とされておったものを、今度は「本省の局次長又は部長」に限定されて、局長は全部指定職の乙にいくようにあなたのほうで人事院規則を出された。一等級というのは局長、次長または部長が該当職種であったのが、局長は一階級上がって指定職の乙に昇進したわけです。非常に上のほうは優遇してきたんです。そうして下のほうは一向そういう措置をとってない。ただ、ここに主任という制度をお設けになっておられるようでございますが、それはほんとうにかすかなる気休め程度のものである。局長は今度は全部指定職になる。つまりわれわれは行政職(一)という俸給表公務員の大半の、局長以下が全部吸収されると思っていたら、局長は行政職(一)の俸給表からワク外に出て、指定職の俸給表に全部移ってしまった。局長の一等級はなくなってしまったのです。これは上薄下厚でなくて、上厚下薄という、実に巧妙なるやり方をもって上級者を優遇する措置をおとりになっておられる。これは、せっかく上薄下厚のアップ率による方針が堅持されたという勧告にかかわらず、そういう措置をぽこっと途中で、勧告を出す前の六月十五日にやられておるのですね。実にあざやかな敵前急転回だ。御答弁をお願いしたいです。
  212. 佐藤達夫

    佐藤説明員 どうもまことにあざやかなことばかりやっておるようでたいへんうしろめたいのでありますけれども、上薄下厚というのをあまり大いばりでは私は申し上げておらないわけで、いわば上薄下厚の形をなしておるというようなことを申し上げた記憶はございます。これは表を見ていただけばすぐわかることですから、幾ら大きな声で言ったところで、これは違うじゃないかと言われればそれっきりのことで、そういうことは至って謙虚にまいろうという気持ちでおるわけでございます。さっき行(二)の話がございましたけれども、これはちょっと御説明漏れがありました。いまの下厚ではありませんけれども、一〇%をこしているくらいの上げ率をやっておりますから、それはつけ加えて申し上げさせていただきます。  それから、いまの標準職務表の関係は、これはたいへん各方面の御注目を受けて、われわれとしてはいささか以外な感じがいたしますけれども、これは申すまでもなく主として技術的な面からすべてを考えておるわけであります。もちろんあるいは優遇の趣旨で、たとえば主任なんというのは優遇の趣旨も入っているという、多少宣伝がましい言い方をすればできますと思いますけれども、いま御指摘の局長のところなどは、これは主として、御承知のように一局削減でもう各省から一局ずつなくなっていく。大体それがいまの一等級人たちがそれに当たっておったという見方ができるものですから、一局削減に対応してきれいにした。給与局長説明させればもっと詳しい説明をいたしますけれども、私はそういうことで、別に他意はない。少しばか正直にやり過ぎたなという批判は、これはあるかもしれないと思いますが、他意はないということで御納得いただけることだと思っております。
  213. 受田新吉

    ○受田委員 局長もっとじょうずにやれるそうですから、局長にひとつ……。
  214. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 先般標準職務表を改正いたしましたのは、昭和三十二年以来の十年間におきまして、業務の遂行の形態その他が非常に違ってきている面がございまして、それで実際公務員の中の人員構成が非常に特異でございまして、現在で申しますと、四十歳くらいの方が非常に多い。したがって、経験を積んだ方が非常に多くなってきているために、業務のやり方自身も、その人たちをよく使うという方向で変わってきておるという面がございます。そういう関係におきまして、先般の標準職務表の改正におきましては、主として地方官におきます課長、係長等々の職務につきまして、従前は等級別定数の上で個別的に評価してまいりましたのを、それを標準的な職務——等級格づけをするための標準的な職務という形で振りかえた。各省がそれを等級格づけをするための一つの標準、めどということになるために、標準職務を特に掲げたものでございます。  その中でお目にとまりましたのは局長の関係でございますけれども、従来局次長及び局の部長は一等級の標準職務であったのでございますけれども、そういう人たちとその上司たる局長が同じ一等級の標準職務になっているということは、やはり職務責任関係を主眼といたします給与体系といたしまして、これは非常にふぐあいな問題が従来からございました。従来重要局長というのは指定職という形になっておったのでございますけれども、今回一局削減ということがございましたので、それが従来一等級の局長として評価されておりましたものとほぼ見合っておりますので、今回一等級から削減をとりまして、一等級は局次長及び部長の標準職務という形にいたしたのでございます。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 はなはだ謙虚な御説明で私は理解ができないのですが、一等級の中に局長、次長、部長が同棲しておる。そうすると、局長の権威を失墜する危険がある、こういうお話でございまするが、それははなはだ私としては納得できない。そうして重要局長は指定職に従来しておった。しかし、局長からすぐ次長、部長を抜きに課長にいっている局があるわけです。どのくらいありますか。部長、次長のいない局がどれだけあるのか、本省だけでひとつ数字をあげていただきたい。
  216. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 ここに資料がございませんのでちょっと申し上げかねるのでございますけれども、部長及び次長を有しております局というのは、やはりそれなりの業務における必要性を持った局というふうに承知しております。
  217. 受田新吉

    ○受田委員 そういう局の分は、指定職乙でいままできておる。したがって、局長の下に次長もおらなければ、部長もおらぬ、課長しかおらぬという局は一等級で置いているという、こういう理屈なら私は成り立つのですが、局長を全部指定職乙にするというのは、局長、次長、部長全部同棲しておっては局長の権威を失うという御説明とは、いま言っておられることとは全然違うと思うのですが、この趣旨説明をもっと明解にしていただきたい。
  218. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 局の構成でございますけれども、やはり局を行政組織上構成いたします場合には、局間の業務の大きな意味均衡ということは、十分考慮されて設定されているものと考えます。そういう意味合いにおきまして、局長という職の評価におきまして非常な格差があるということは、やはり各省における局の分化のあり方からいって、問題がございまして、実際そういった問題がその評価の問題につきまして運用上各省との間にいろいろ問題が生じてきたという点がございます。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 運用の点で各省の間に問題が生じてきた。たとえば厚生省の例をとっても、次長のある局というのは医務局、これが一つあるだけなんです。あとはもう薬務局は参事官というちょっとあいまいな呼称が一つあるだけです。環境衛生、公衆衛生、児童家庭、保険、年金——援護局に次長が一つありますが、いま指摘したところは、全部局長からすぐ課長にいっている。そういうところは局長と次長、部長が同棲していないのです。ちっともその間に権威を失墜するような理由は成り立たない。そういう局長を一等級——行政職の一等級といえば、もう最高のポストなんだからね。行政職俸給表の(一)の一等級、これはもうりっぱな権威です。それをなぜ局長だけを指定職にするかということに、私は疑義があるわけなんです。重要な、次長を持ち部長を幾つか持っておる局というのは、従来でも指定職になっておった。総理府の人事局長も指定職のポストにおいでになる。ただし大蔵省の主計局は次長が三人もおられるから——海堀さん、相沢さんと三人おられる。そういうところの局長は指定職にしても一応私は肯定せざるを得ないけれども、もう局長からすぐ課長ばかりがあるような局のほうが多いですよ、これを見ると。その局長と次長、部長が同棲したら権威が失墜するという理由が、全然成り立たない局が大半である。いまあげられた理由とそれからそれを指定職にされた理由とが、どうも成り立たぬ局がたくさんあるわけですが、御説明は私は非常に納得できませんので、もう一度ひとつ……。
  220. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 おことばを返して恐縮でございますけれども、御指摘のとおりやはり次長、部長を持っている局長は、それはまさに重要局長であろうというふうに存じますけれども、それ以外の局といたしましても、局を構成するという関係は、各省の行政組織の体系におきまして局間の業務のあり方ということを考えますと、やはりその間のバランスをとって構成されているべき性質のものだと思います。そういった意味合いにおきまして、実際の人事運用の場合におきましても、局次長あるいは部長というのがいわば中二階でございまして、それから局長に昇進するというのが、普通の人事運用のあり方でございます。そういう関係で、やはり局長間のバランスという関係が強くございますので、そういう意味合いにおいて、先ほど申しました局次長あるいは部長と局長との間を同じように標準職務にしておくのは、やはり適当でないというふうに考えたのでございます。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 重要局と重要でない局というものの差別は、それで全然なくなった。いままで人事院が言っておった重要性を持った局とさにあらざる局というのはなくなって、局はみな同等だ、こういういまの御答弁になってしまう。そうですが。前言をひるがえしておられるから、私はちょっと……。
  222. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 やはり先ほど御指摘のように、局次長あるいは部長を持った局は、それなりの重要性といいますか、仕事の忙しい局であるために、そういう局次長あるいは部長を持っているというふうに考えます。したがいまして、評価そのもの、実態そのものについての評価と申しますか、そういうものの若干のニュアンスというもの、あるいはかなりのニュアンスというものがあると思いますけれども、私どもといたしまして、ただ局次長及び部長と同じように局長を原則として一等級という標準職務に掲げておくことは、やはり適当でない、そういう一点だけを今回改正をしたということでございます。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 どうも先ほどの御説明としまいの御説明がだんだん違ってきている。局長、次長、部長が同じ等級の中で同棲しておったらぐあいが悪いという御説明だった。それが今度はだんだんと局長は同じでなければいけないというところに発展して、そして階段の上へ一つ置いておくのは、局長は、重要な局も重要でない局も同じだ、こういうことにとうとう——さっきからのお話を承っていると、途中でお話がだんだんと変わってきた。それほどこの問題は自信のないやり方をやっておられるわけなんです。指定職というものを一体どういう趣旨で設けられたか、もう一度この席で総裁から御答弁願います。
  224. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは近年設けたものでございますけれども、その節御説明いたしましたように、大体その官職の責任あるいは仕事の重さというものが、客観的に特定しておる、いわば属人的な要素というものから離れて、官職そのものの責任の度合い、重さというものがつかみ得るというようなものを指定職にいたしまして、その中で最も単純明快にいったのが指定職の甲で、これは幾ら長年事務次官をしておっても絶対に昇給も何もない、くぎづけの俸給ということでいったわけです。それに準ずるものとして乙というものができまして、その中にいま御指摘の局長などが入っておる。そしてさらに局長の場合でいえば、普通の行政職の一等級のほうに足を踏み込んでおったということはございますけれども、指定職俸給表考え方からいうと、ほんとうは、足を一等級のほうに踏み込んでおったというのは、いま受田さんが言われておる同棲——同棲ということばは非常にいいことばだと思いますけれども。一等級の中に同棲しておるというのは、実はちょっとずれておる。そこで先ほど私が申しましたように、たまたま一局削減ということもありましたし、したがって、ずれ込んでおった分をこの際整理する、きわめて自然な形で処置をしたというつもりでおるわけでございます。
  225. 受田新吉

    ○受田委員 きわめて自然じゃないのです。指定職というのは行政職俸給表の(一)のらち外にある指定職なんです。だから、特別の重い任務を持ったものが指定職というのであって、局長の中の非常に重要なものを入れる、あるいは外局の長官などで重要ポストを持ったものが指定職ということになる、こういうことなら、私は理解しますよ。全部の局長を指定職にするというのは、おかしな話だと思う。局長の下にすぐ課長がおる、次長も部長もおらぬ局、その局長までも一斉に指定職にしてしまう。だから純粋な基本的な俸給表のワク外に置いてしまう。局長以下が全部行政職の(一)の俸給表におさまるような形が自然で、まれな地位にある特別のものを指定職にするという従来の行き方なら、私は納得できたのです。局長を全部指定職にする、行政職俸給表の(一)は次長以下である、こういうことになると、官職を一つ一つふやすことで、一官職一俸給という——指定職の甲制度、これはやむを得ぬとして、一官職一俸給だ。ところが、指定職乙というのは、局長をこれを充てるということになると、行政(一)の最上級の俸給表を適用すべきものをそれへ持っていくということになると、これはもう俸給表そのものは次長以下の俸給表であって、局長を中心とした体系のある俸給表じゃないようになってしまった。つまり課長しか持っておらぬような局長、同棲をしていない局長までも持っていくというのは、はなはだおかしいのじゃないかと私は聞いておるのです。
  226. 佐藤達夫

    佐藤説明員 どうも指定職というものについての基本的なお考え方が、私どもの考えているところよりもちょっとニュアンスをつけてお考えになっているのじゃないか。たとえば特別職的なものというふうに、基本的な性格が多少違うというようにごらんになっているから、そういうお話が出るのではないかという気がちょっとしてまいったのです。そうじゃなくて、ただ俸給表の表のつくり方の問題で、一等級の上に指定職の箱をつくってつなげてもいいようなものだというふうに御理解いただければ、一官に一給与で徹底できるもの、あるいはそこまではいかぬけれども、何号俸か号俸を多少つけてやってしかるべきもの、そういうものは、甲と乙との区別ができますけれども、その乙のほうから行政職の俸給表の一等級までずっと何か足の先を伸ばしたという形は、指定職としてあまりりっぱな形ではない、これを整理するのが一つの一これは御批判はありましょうけれども、考え方としては一つのりっぱな考え方であろう、そういう自信を持っております。
  227. 受田新吉

    ○受田委員 それが上厚下薄の考え方人事院がどんどん実行しておられる、つまり行政職(一)の一から八までの俸給表に二階級上に加わったと同じことです。現実に十階級と同じことになってしまった。そういうような上だけをぽっぽっとひっつけて高い俸給を支給する。つまり局長の俸給表では高い俸給をやれぬから、指定職に入れれば俸給表が高い。最低でも十三万六千円、そして最高が二十一万五千円まで出せるのだ。ところが、局長におったのでは、ワク外昇給してもたかが知れておる。六万円の差がある、そういう高いところにみんな上のほうだけ持っていく。局長以上をその上のほうに持っていく。下級のものは一向そういうチャンスを失っておる。つまり上のものへ指定職という特別の俸給表を適用して、ワク外に二つも俸給表をつくって、上のものだけを優遇する、こういう形でできてしまったのです。明らかに上厚下薄になってしまった。下のほうのアップが一〇%というが、一万六千六百円の一〇%といえば、千六百円ですよ。それが上のほうへいくと、十五万円が、たとえば五%としても、七千五百円という上昇になってくる。非常な金額の差がついてくる。局長を指定職にするという、上のものはばかに優遇して、下のものは非常に冷遇するという措置を六月十五日から実施しておられる。私は、指定職というものは別に特別職とは思わない。特別職であるべきでない、一般職です。私はあなたに、かつて大学総長の任免法が出たときに、もし東大のあるいは京大の総長に特別の俸給を出さんとすれば、ワク外昇給の制度をつくるかあるいははみ出る制度を何か新たにつくられたらどうかと進言したことがある。そのとおりいま指定職ができてしまった。その指定職をつくったのはいいが、その指定職が局長以上のまさに極楽浄土のような俸給表になってしまっておる。しかもそれが非常に高い俸給表だ。こういう制度をつくって、下と上がぐっと開いておる。一等級どまりであれば、たかが知れている。ところが、指定職になれば、六万円も高いところまでいくという俸給表にあぐらをかくことになる。それで私は昨年も、ヨーロッパのスウェーデンという国をここで指摘しました。総理は月給三十万円、国務大臣は二十五万円、高等学校を出た者の初任給公務員で六万、大学出が七万、私は調べてきた。総理大臣と高校出の初任給、日本は初級を通って八の二から行った場合やっと二万円。にもかかわらず、総理大臣は五十五万、それに別の手当を加えて六十何万円かになる。まさに上と下の差が三十倍ある。民主主義の典型的な、平和を愛するスウェーデンの場合は、初任給は六万円で、総理が三十万円、国務大臣は二十五万円、わずか五倍の差しかない。総理の俸給は、あちらさまは日本の半分である。そのかわり、下のものは日本の三倍だ。住宅は完全に整っておる。そして公務員に就職すると、直ちに住宅も公務員宿舎がもらえる。そして結婚ができる。こういうお国ぶりをながめてきたときに、私はその他の事情の中へ、人事院ができれば諸外国の事情なども研究してもらいたいということを申し入れたい。そうした上のものが薄給——薄給ということはないが、俸給を低くして、下のものを上げるという、この民主主義の、非常に平和な、人間の長生きをする国、そういうものの制度を私は日本は学ばなければいけないと思うのです。ところが逆に、あなた方は指定職へどんどん局長以上の者を持っていく。下の者はそこまでいけない。そうしたら、今度は課長の中で特別優秀な者は、局長の俸給表を適用されるというわけにもいかない。ワク外昇給でがまんしなければいかぬ。階等が八つあったのが、今度は十階級になっておる。上だけを優遇しておる。まさしく火事どろ的に、人事院勧告の前に、六月十五日にあなた方は人事院規則でこれを出された。  それからもう一つ、この機会に、東大と京大だけは指定職甲の最高を総長に差し上げた。その他の旧制の五つの大学では、さらにその下の指定職の甲になっておる。それからその他の国立大学は指定職乙に残しておる。同じ国立大学で、国家が経営する大学の総長が三階級に分けられた。この点につきましても、私がこの機会に指摘したいのですが、国立大学の総長になると同時に、指定職の乙の何号からか始まって、それから指定職の甲まで進んでいけるような、国立大学は同じ立場で、そしてだんだんと階段を踏んで上級に進む、そして最高が次官と同じところにいく、最高俸給にいく、こういうかっこうにしていくというのが、私は筋だと思うのですが、これがやはりそういうふうな差がつけられておる。上のほうがばかに優遇されて、しかも同じ国立大学でもその差をつけておる。これは学校の規模が違うとかなんとかいう理屈は成り立たない。そういうものではなくして、それはやはり階段を踏んで、年数を積んだ先生が上位に上がるというかっこうにすべきだと私は思うのです。  鈴切先生、どうですか、私は乗りかかった船だからちょっとやりますが……。
  228. 佐藤達夫

    佐藤説明員 だんだんおわかりいただいてきたような気がしておりますが、要するに、この標準職務表というのは、ただその職務の記載をしただけの話で、その人を優遇するとかせぬとかいう問題は格づけの問題であって、これは全然別問題でございますということが一つ。それから、何も上の者をいじめるのが美徳で、上の者を優遇するのが悪徳だというようなものではないので、給与法のたてまえからいうと、その職務職務重要性、困難性というものに即した給与であるならば、それが望ましい姿であるというのが、給与法のたてまえなんですから、いまのお話で申し上げれば、局長にこれだけの給与を保障することは、職務責任からいって当然で、低過ぎやせぬか、高過ぎやせぬかという問題に集中して論議せらるべき事柄だと思うわけです。そこで、いま大学の総長のお話もございましたが、いま申しました給与法の根本原則からいうと、職務責任というものをやはり判定し得る限りは判定をしていく。先回りして言われてしまったんですが、やはり規模が大きいとかなんとかいうことは、その職務責任を論ずる上においては大きな問題になる。そういう点からいくと、いまやつておりますようなことは、間違いとは申しかねるということでございます。
  229. 受田新吉

    ○受田委員 だんだんおわかりいただけるというけれども、あなたのほうがだんだん理解してもらうようなかっこうにいくんだが、指定職を設けたときになぜ局長をやらなかったか。つまり当面をごまかして、最初はちょっと糸口だけ出して、だんだんと計画的になしくずしていこうという明らかな意図が、上厚下薄の思想をあなたがお持ちであることがここであらわれてきておる。指定職を設けたときの初心に返らなければいけない。初心に返らず、いま一局削減をやったからというこの理屈は成り立ちません。一局削減をやったということと指定職にしたということは、どこに理屈が成り立つか、もう一度御説明願いたい。ちょっとそれを先に……。
  230. 佐藤達夫

    佐藤説明員 標準職務表というものは、格づけの問題とは別でございますということですね。要するに、局長というものの標準職務はこういうことだ、こういうものをもって局長と見るんだということでありますから、ある特定の官職にある者を優遇するとかせぬとかいう問題は、直接そこから出てくる問題ではありません。さてこれを優遇するにしても、その官職の責任の度合いを見て、それにぴったり合った待遇ならば、むしろこれは法律の期待するところであって、ぴったりとした待遇をしてどこが悪いのですか、こういうふうに開き直るべき性質の問題ではございませんかということです。したがって、いま御指摘のような点はよくわかります。たとえば、初めはちびりと指定職をやっておいて、あとでじわじわと持っていったじゃないかということは、経過的にはそういうことが確かに言えると思います。しかし、あるべき姿というものは初めからあって、現実をその理想に近づけていくには、ものごとは革命的に一挙にいくというものでもないし、やはり漸を追って理想の姿に近づけていくということで、これがちっとも間違ったことではない。職務責任ということを強調すれば、指定職ばかりではありません。課長から、あるいは係長から、主任から、全部職務責任できちっきちっと分けていく、それは理想としては言えるかもしれません。しかし、現実は、われわれから言うと、いま生活給すれすれの、御承知のように食えるか食えないかというような賃金水準だと思うのです。それを指定職制度考え方で全部職務給に分けてしまって、主任はここで頭打ちだ、係長はここで頭打ちだということでやってきた場合にどうかということがあって、現実としてはそういうことでは忍びないし、やるべきではありません。しかし、やれるものは職務責任においてきちっきちっとやっていくべきじゃないかということが、指定職の範囲が多少広まってきた、その傾向の裏づけの説明ということになるわけです。ですから、いまの行き方のままでずっとやろうとは、現在の段階では夢にも思っておりません。そういう考え方のもとに成り立っておるということでございます。
  231. 受田新吉

    ○受田委員 私は、職務責任の度合いというものが、ますます階等を広げていって、甲の外局長官とか乙の局長とか、または行政職(一)の一等級の次長とか部長とか、こういうものがだんだんと広がってきて、しかもそれが上位の者だけに特に広げていく傾向がある。そして最初局長になりたてくらいの若い人は、それは一等級でそのまま局長にしておいて、二、三年して指定職乙にするということなら、私は一応うなずきます。しかし、局長になったらすぐぱっと指定職の乙にいくという、その行き方に私は問題がある。つまり、次長も部長もいない局長を一ぺんに指定職に持っていくというような行き方が、それは観念の上からいって職務責任の度合いにおいて指定職らしいものだから一斉にやったんだ、こういうことであれば、最初からそれをやるべきだ。指定職を設けたときにそれをやるべきだ。それをいまになって途中でぽっぽっと変えていく。方針が途中で変わる。この姿は、人事院としてははなはだまずいやり方で、適当に、しかもこういう機会に途中で局長を変えていくようなやり方をしておるという、ちょっと言えば火事場どろぼう的なやり方でこれをやっておる。これらも、われわれがちゃんと調べておるからわかるのであって、調べてなかったら、わからないままでいつの間になったかなということになる。われわれも勧告の前にこれをつかまえておるからわかるけれども、これをわからぬままでおる議員が多数あるわけです。そういうものを、あなたのほうは最初の初心を忘れておる。これをひとつよく考えて、上の階等の者だけに優遇の措置が講ぜられるのではなくて、もっと下の者を優遇するというかっこうで、つまりスウェーデン方式を学ぶ方向でいくならば、上を押えて下を上げる、そういう基本的な態度が私は要ると思うのです。私の見解は、日本の人事院としては逆な方向にいっている。これははなはだ残念な現象であると思うが、これはこのくらいにしておきましょう。  皆さんお食事を召し上がっていないし、鈴切先生があとにおられるから、あと一、二問だけお尋ねしますが、教育職の俸給表の日の三等級というものは、該当者が国家公務員に全然ないのですが、この三等級に全然該当者がいないのになぜここに等級が残っているのですか。これはあなた方の参考資料に、該当者が一人もおらぬ。おらぬものがなぜあるのですか。
  232. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 教育職の(三)の三等級につきましては、助教諭あるいは実習助手等が入る等級でございます。そういう職員が現在は国立の学校にはおりませんけれども、教育組織の上ではあり得る場合が十分考えられるわけでございますので、そのためにそういう俸給表を設けてあるというわけでございます。
  233. 受田新吉

    ○受田委員 文部省でいまどれだけおるか。
  234. 岩田俊一

    ○岩田説明員 公立学校関係を所管いたしておりますので、その面でお答え申し上げます。  正確な数字は、資料をここに持ってきておりませんが、概数で申し上げますと、三等級の適用を受けるいわゆるいまお話のありました助教諭、これは約九千人、それから実習助手、これは高等学校におるわけでありますが、これが約一万一千人、そのほかに寮母、これは特殊学校におるわけでありますが、この関係で約三千人、その程度の人員と記憶いたしております。
  235. 受田新吉

    ○受田委員 私は、いま高等学校は聞いてはおりません。教育職俸給日を聞いておるのであって、(二)のことは、全然聞いておらぬことはお答えにならぬようにしてもらいたい。(三)のことでもう一ぺん、中小学校だけ。
  236. 岩田俊一

    ○岩田説明員 御質問の意味がとりかねるわけでございますが、いまの俸給表には、高等学校俸給表、それから小中学校の俸給表がある。それぞれに一等級、二等級、三等級、それぞれございます。ですから、御質問は全部を含むものと思いまして、高校学校の分までお答えをいたしたわけでありますが、小中学校の分につきましても、(三)の適用を受けるものが、助教諭で九千人あると先ほどお答えしたとおりでございます。
  237. 受田新吉

    ○受田委員 助教諭で(三)の適用を受ける。それから寮母は中小学校にどれだけありますか。
  238. 岩田俊一

    ○岩田説明員 これもまたいまお答えいたしましたように、これは主として特殊学校でございます。特殊学校の中には、これは御承知のように小学部、中学部、高等部とありまするが、小、中学部はそれぞれ小学校、中学校に対応するものでありますけれども、そこに約三千人おる、こういうことであります。
  239. 受田新吉

    ○受田委員 この九千と三千で一万二千おる。公立の中、小学校の教員は何人おります。
  240. 岩田俊一

    ○岩田説明員 総数でございますか。——これもいま正確には記憶いたしておりませんが、小学校で教員数だけ申し上げますと、公立学校だけ申し上げますと三十四万七千人、中学校が二十二万三千人、若干端数がありますけれども、そういう数字だと記憶いたしております。
  241. 受田新吉

    ○受田委員 約六十万の中で一万二千人というのがおる。この助教諭という制度については、小、中学校において漸次解消の方向にいくべきだ。これは助教諭というのはあるべきものではなくて、実際は教諭がやるべきものだ。それを助教諭といういまのやむを得ざる措置が残っておると思うのですけれども、これは本質論からいったならば、もう教諭がやらなければならないことになっておる。それから実習助手とかというものは、これは高等学校にしかない。それから寮母というものを教職員の対象にするということの根拠は、どこにあるわけですか、法律の根拠は。
  242. 岩田俊一

    ○岩田説明員 給与表の中に規定がございます。
  243. 受田新吉

    ○受田委員 給与表をちょっと読んでください。そして任免規定、資格。
  244. 岩田俊一

    ○岩田説明員 お答えいたします。いま給与表と申しましたが、その給与表の規定を受けまして定められておりますところの人事院規則九の二第十条に「教育職俸給表日は、次の各号に掲げる職員に適用する。」という規定がございまして、その中に「国立大学の学部に置かれる附属の盲学校、ろう学校又は養護学校に勤務する校長、教諭、養護教諭、講師、助教諭、養護助教諭及び寮母」に適用するという規定になっております。
  245. 受田新吉

    ○受田委員 国立学校にそれが全然ない。国立学校にないものを地方へ押し売りという制度になっておる。国立学校にないものを地方へなぜ押し売りするかということです。つまりそういう該当者がない。しかし、地方にはそれを押し売りする。その資格がどういうところからできるか、任用基準がどこにあるかということが、寮母については全くさだかでない。おまえ寮母にすると、かってに校長がやるというようなかっこうになっておる。こういう選考をし、こういうふうな任用試験をやるとかいうことが、全然ないかっこうでいっておる、この寮母というものは。だから、そんな非常にあいまいなものなんだ。そういう国立にないものを地方に押し売りしておるわけです。これは一つ問題がある。  それと同時にもう一つ、今度文部省は教特法そのものを改正して特別手当制度を創設するという、超勤を配慮してやるという、これが廃案になったわけでございますが、これをこの廃案のままに置くのか。教職員俸給表の(三)というのは、校長が一等級もらって、教諭が二等級というかっこうになっておるのであるから、二等級から一等級になる道はふさがれておる。非常に長期間勤務したら一等級になる配慮をこの機会になすべきではなかったか。つまり実質的には一等級と二等級しかない、教職員の場合は、特に(三)の場合は。そうすると、ほとんど通し号俸、校長給と教諭給と二本立てなんです。したがって、教諭をいかに長くやっても一等級に上げられない。二つしかない通し号俸の中で、一方に長く長く死ぬまで蟠踞しなければいかぬというかっこうになっておるが、それが行政職(一)のように八つに分かれておる、その上にさらに二つがある、十階級もあるというようなかっこうではなくして、たった実質的に二階級しかない。その二におった者が一になる道はふさがれておるというような道をひとつ切り開くような措置人事院においてなされるべきじゃないか。文部省も特別手当制度なんというばかげたことをおやめになって、そういうことに人事院のお知恵を借りてひとつ法案をお出しになるという、そういう道はないのか。これは文部省の御見解をまず伺って、しかる後人事院総裁の御見解を承ることにいたします。
  246. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 ただいまのお話の点につきましては、現在の教職員俸給表の立て方からいたしますと、教育職俸給表の(一)、(二)、(三)、(四)とも、それぞれ校長、教諭、助教諭あるいは教授、助教授、講師というふうに、職務に応じましてそれぞれの適用号俸を異にしておるわけであります。その点一般職公務員のごとく、課長補佐でも三等級と四等級の適用があるというたてまえになっておらないわけでございます。現在の制度としては、私どもはそうあるものと考えております。ただ、現実の問題として、御指摘のように、長い間教諭として現在教諭の号俸がいま頭打ちになっておるというような実情等が非常にひどければ、またその頭を伸ばすというような措置考えていただいておるようなわけでございます。大体そういう現実に即してやっておるわけでございます。
  247. 受田新吉

    ○受田委員 それでは総裁
  248. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大体いま文部省のお答えのとおりで、現在の教育制度のもとにおいては、現状でいかざるを得ない。ただし、各俸給の処遇措置は、十分考えてまいっておるつもりであります。
  249. 受田新吉

    ○受田委員 特別手当制度はだめになったのですね、文部省。だめになったときに、できればだめ部分人事院が肩がわりするという配慮が必要であったと思ったのが、それもなっていない。だから、その専門的立場から何らかの優遇措置をとる配慮が欠けておる。それに法律が流れたらもうおしまいだというようなこそく的な手段ではなくて、根本的な改正が要ると思うのです。その点について、私は御意見を聞いておる。基本的な御方針を承りたいのです。人事院総裁、今度あなたのほうに所管が移っておる。
  250. 佐藤達夫

    佐藤説明員 基本的な態度は、御承知の昭和三十九年の際の報告書にも出ておりますが、われわれは重大な問題であるという認識を持って現に勉強を続けておるということでございます。
  251. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、海堀次長さんが三時からあるというので、鈴切さんの質問の余裕であるように、一問で私、質問を終わります。それで鈴切さんが質問に入られて、おしまいに時間があったら、予算扱いのことを聞きたいのだが、それは総務長官でいいです。  そこでもう一つ文部省せっかく来られた機会ですから、例の労働基準法の適用除外の問題が地方公務員の場合は非常に議論になったわけですが、この中央における労働基準審議会の結論はその後どうなっておるのか、お答え願いたいのです。
  252. 岩田俊一

    ○岩田説明員 この労働基準審議会の運営につきましては、労働省のほうでお進めになっておると思いまするが、先国会における御案内のような経過をたどりまして、法案が審議未了、廃案になったという事後の段階におきましては、一、二度審議会が開かれたということを聞いておりますが、この問題の関係につきまして、なお詳細な審議が行なわれたということにつきましては、全部は聞いておりません。
  253. 受田新吉

    ○受田委員 結論は、文部省の味方になっていないのです。はっきりしておる。つまり適用除外を認めない、そういう結論が出ておる。そういうときに、文部省もひとつ心機一転、この機会にこそく手段をとることなく、人事院の適正なる勧告を待って、それによって教職員の処遇改善をはかるというところへ頭脳を切りかえていただくように、私から特に要望しておきます。  鈴切さんの質問のあとで私予算の問題、完全実施の問題を最後にお尋ねしておきたいと思います。文部省の方、わざわざ御苦労でございました。
  254. 井原岸高

    ○井原委員長代理 鈴切康雄君。
  255. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 主計局次長にお伺いします。これは一問でいいと思いますが、大型景気空前の持続ということで、企業のふところが岩戸景気のときの連続七期を上回る増収、増益が見込まれるのは確実であるといわれております。経企庁の見通しによると、国民所得の計算による本年度の民間設備投資は、年度当初の政府見通しである七兆九千億を上回る八兆三千億円にふくらみ、税の自然増収も相当見込まれているということでありますけれども、本年度の税収の見込みはどれくらいですか、お伺いします。
  256. 海堀洋平

    海堀説明員 先ほどお答え申し上げましたように、現在の国税収納状況、正確にわかっておりますのは、六月末までの数字しかわかってないわけでございます。六月末までの数字で見ますと、去年の補正後の税収に対する去年の六月末までの収納割合に対しまして、ことしの予算に対する六月末までの収納割合は去年の率を下回っております。これは三カ月、四、五、六というものをとってみる限りにおきましては、そしてそれだけしかいまわかってないわけですが、去年の収納割合を下回っておりますので、去年と同じような時期別配分で税金が入ってくるといたしますと、予算まで達することが困難であるという数字が出ております。ただ三カ月で年度間を推測するということはとうていできませんので、今後の推移を待つ以外にないだろうと思います。
  257. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 経企庁の見通しは、かなり大幅な自然増収があるというふうに言っているわけでありますが、そのことについて、どこまでも見込みでありますが、大蔵省としては見込みをどういうふうに考えられているかということをお聞きしているのです。
  258. 海堀洋平

    海堀説明員 現在まだ年度の半ばにも達していないわけでございまして、その時点で成長率がどうであるか、あるいは企業の収益状況がどうであるかということをまだ正確に推算する時点に達しておりませんので、大蔵省として現時点において、予算を越える税収があるかどうかというふうな見通しをまだ現在立てるに至っておりません。
  259. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと関連して海堀さんに一言だけ。  あなたがおられないからあとでお伺いするわけにいかないのでお尋ねしますが、人事院勧告実施面において、八月からの実施は、去年並みは困難だから九月からというような声が大蔵省にあるということもわれわれ伺っている点もあるのですが、そのようなことは全然ない、つまり九月実施などという逆行するようなことは全然ないというようにひとつ確言していただきたい。
  260. 海堀洋平

    海堀説明員 御存じのとおりに、予算の編成方針、ことしの財政運営の基本としての編成方針がございまして、この中には、 「総合予算主義の原則により、公務員給与改定に備えて予備費の充実を図る」云々というふうに編成方針で書いてございます。したがって総合予算主義のもとに、公務員給与改善予備費をもってまかなうのだということが書いてございますということは、これは内閣の方針でございますが、あとはそういう原則に立ちまして、人事院勧告実施する場合にはこれほどの負担になりますというのを各月、たとえば完全実施であれば先ほど申し上げましたような数字になり、さらに八月実施であればどうである、九月実施であればどうであるというふうな数字は、これは財政当局としまして事務的に判断を願う方々に申し上げねばなりませんので、そういう計数は、判断をされる方に申し上げております。ただ私たちは、いつどうするということを決定する立場にあるわけではございませんので、大蔵省がどうこうということではないだろうと思うのでございます。ただ予算の編成方針に基づきまして予備費内で処理するといたしますと、千二百億の予備費というものを前提として考えますと、一般会計の負担から見ますと、なかなか人事院勧告を尊重するということがつらいということは数字上出てくるということを上司に申し上げているだけでございます。
  261. 受田新吉

    ○受田委員 上司に申し上げているというが、非常にあぶない点があるのだ。九月の場合と八月の場合をいま言われているようだが、七月なり六月なり五月になったらどうするということが一緒に入っているかどうか、ちょっとお答え願いたい。
  262. 海堀洋平

    海堀説明員 先ほども五月の完全実施の場合の数字を申し上げたつもりでございます。
  263. 受田新吉

    ○受田委員 六月の場合、七月の場合の数字は出してあるかないか。
  264. 海堀洋平

    海堀説明員 それはそれぞれ出してございます。
  265. 受田新吉

    ○受田委員 それでけっこうです。
  266. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五月十日の仲裁裁定並びに大手の春闘の妥結状況からの人事院勧告は、昨年の七・九%を上回って八%をこすだろうと一般には予想されておったわけでありますけれども、勧告は八%アップ、つまり人事院調査による官民格差が五・四%、春闘積み残し分の推定が二・六%、合計八%というのでありますけれども、どうしても私にはちょっとふに落ちないわけであります。もう少しその内容を分析して説明をお願いしたいと思います。
  267. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御承知のように、新聞等に出ておりました一般の観測は、ことしの春闘の模様でありますとか、あるいは労働省の毎勤の統計の結果でありますとか、大体ほとんどが民間側の上がりだけをつかまえての観測であったと申し上げてよろしいと思うのでございます。先ほど申しましたように、私どもの勧告基礎は、四月に支払われた民間給与と、同じく公務員給与とを突き合わせて、その間の格差を求めるわけでございますから、民間側の上がりもさることながら、公務員側の上がりというのも当然そこに反映してこの格差に出てくるわけでございます。そこで、先ほどもいろいろ御指摘がありましたけれども、じゃ公務員側の上がりというものはどういうものがあるだろうかということは、常識的には一つの問題になる。もちろん昇給もありますし、特別昇給というのもありますし、その他ことし特に顕著なのは、去年都市手当関係でごやっかいになりまして、暫定手当というのを解消する一つの方便として、暫定手当の五分の一を四月現在で公務員給与に全部繰り入れてしまったという措置、これは特殊の措置であります。それなどが相当顕著な働きをして、その結果、格差としては八%ということになったのだろうと存じておるわけでございます。     〔井原委員長代理退席、藤尾委員長代理着席〕
  268. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ことし春の三公社五現業に対する仲裁裁定が史上最高を記録し、春闘の妥結結果も前年比が一三・五%アップ、昨年を大幅に上回ったわけであります。昨年度の全国勤労者世帯実収入が前年度比一一・二%であったことを考えると、決してことしの勧告は高額ではない、むしろ私にしてみれば思ったよりかなり低いような感じを受けるわけであります。そこで問題は、積み残し分の推定がどうも問題があるように思うわけであります。先ほど大出議員から、事業所比率でいくべきか従業員比率でいくべきかの質問があったわけでありますけれども、どちらの方法によればどうなるか、つまり結果はどう出るかは別としまして、官民の比較というものは人員分布の状況を考慮して行なわれているのだから、理論的には従業員比率でいくほうが実情をより一そう忠実に反映できるのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  269. 佐藤達夫

    佐藤説明員 従業員比率がいいかどうか、これは先ほど実は給与局長から一応お答えしたところでございますが、そもそもその問題の根本にさかのぼりまして、一体この積み残しの問題というのはいつごろから起こったかということを回顧いたしますと、御承知のように従来はそんなことはなかったわけです。人事院民間調査をしようというときになぜ四月を選んだかというと、そのときにもう民間給与というものは大体上がるべきものは上がっておる、したがってそこをつかまえたら一番新しい正確なデータがつかめるだろうということで四月調査をやってきたわけです。ところが数年前から春闘のおくれというのが始まってまいりまして、したがって四月につかまえただけでは完全につかまえたことにならぬのじゃないか、ほっておいたらその格差は来年回しになってしまうという問題が昭和三十九年か四十年ごろに起こってまいりました。したがって、これは春闘を早めてもらえばいいわけなんですが、これはあちらさんの御都合でなさることなので、早めてくれと人事院が命令を出すわけにもいかず、したがってまた、ほうっておけば、いまのように格差がみすみす来年おくれになって公務員諸君が困るわけです。ということで、できるだけ、おくればせながらも、われわれが調査に回っている間に、ちょうど妥結しました。ついては四月にさかのぼって支払うことになりましたという工場なり会社があれば、それはひとつあれしましょうということで帳面につけて回って、そうして集まった結果を見て、なるほど相当おくれておるわい、そうして四月にさかのぼって支払った工場がこのくらいあるわいということで、その分だけ拾えるだけ拾って、その年の格差にそれを積み足しまして処置することを始めたわけです。その最初のときは、これはもう異例のことだ、ことしだけが特別におくれたからということで、ことし限りぐらい、そのとき限りぐらいのつもりで実はやったのですけれども、幸か不幸か、毎年毎年春闘がおくれるばかりだ、そこで、いま大出さんの御指摘のようないろいろな問題が、ずさんではないかとかなんとか、いろいろなお話も出てくるわけで、これはもうずさんには違いないので、精密にやろうとすれば春闘を繰り上げていただくか、わがほうの調査時期をずらして、六月とか七月に調査して、そうして正確な調査をしていくということのどっちかでなければ、どなたにも御批判を受けないようなりっぱな調査はできません。事柄の性質上そういうものだということがあるものですから、いろいろこまかい御批判があっても、われわれとしては、それは確かにわかりますけれども、いまのやり方ではしようがない。したがって、それじゃ調査時期をずらしますかという話のほうへ話を持っていかざるを得ない、そういうのが実情なのでございます。
  270. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 勧告の基本は、何としても民間公務員との格差が基本になるわけであります。そこで、民間のほうでそのようにだんだんとおくれる状態で、結局は人事院のほうとしても積み残し分を取り上げざるを得ない状態になっている時点においては、やはり正しい一つのデータというものを出すということが非常に大切になってくると思います。そういう意味においては、民間企業にもいろいろあって、その比較は非常にむずかしい点もあろうとは思いますが、現在の引き上げ率を事業所単位でする給与は、私はちょっと適当ではないのじゃないか、むしろ当該従業員ウエートの数値で算出するというのが本筋ではないか、そのように思うわけであります。あなたのおっしゃるその点もわからないわけではありませんが、そういう場合の、現在の状況からやはり勧告は出されているというならば、私はそれのほうが正しいのじゃないか、そういうふうに思いますが、もう一度。
  271. 佐藤達夫

    佐藤説明員 精密にやるとなれば、いわゆる本調査の際にやっておりますように、九十何職種をちゃんととらえて、そうして年齢別あるいは学歴別というようなことにちゃんとばらして、公務員給与とぴっちり合うような、いわゆるラスパイレスの計算方式をとった上で突き合わせていかなければ理想的な答えはできないわけです。したがって、中途はんぱなやり方はいろいろありますけれども、それは結局理想にはほど遠いことになって、いずれをおとりになっても同じことだ。しからば本来の調査の時期をずらしてやるよりほかには正確な計算のできる方法はございませんよという話のほうへどうしてもいってしまいますので、そこのところはひとつ十分御承知の上で御批判願いたいと思うのです。
  272. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 このたびの勧告において初任給をどのように反映させたか、その点について……。
  273. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは前々から申し上げておりますように、初任給についてはわれわれいつも重大な関心を持って臨んでいるわけであります。したがいまして、やはり民間初任給をとらえてのことではありますけれども、大学卒については二千四百円、高校卒については千六百円ということを引き上げの額といたしておるわけでございます。
  274. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 初任給と標準生計費との関係はどのようになっているか、また中学卒業の初任給はどうやってきめたのか、その点について御説明願いたい。
  275. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 東京におきましての独身成年男子の標準生計費は一万九千四百九十円という形で算定されたのでございますけれども、それをいわば給与面でカバーをするという関係で見ますると、今回の俸給表の改正におきましては二万円でございまして、それに暫定手当の端数が六十八円ついておるのでございますけれども、それによりまして約百円強カバーしておるという形で高校卒初任給のところ、つまり八等級二号俸が標準生計費に合わさっているということでございます。それから中卒でございますけれども、中学卒につきましては行政職(二)の五等級一号俸がそれに相応しておるのでございますが、今回俸給月額は一万六千六百六十円という形になっておるわけでございます。それに、東京の場合には、暫定手当が百二十円つきまして一万六千七百八十円という形になるのでございますけれども、東京における見合いの民間における中学卒の事務見習い職員初任給が一万六千七百五十四円ということで、それに見合わせておるということでございます。
  276. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまお話しになりましたとおり、中卒で十八歳の俸給の方が標準生計費の一万九千四百九十円まで追いつかないという状態だと思うのです。それで、実際にこのことで初任給の問題が事足りているかどうかということについて、ちょっとお伺いしておきたい。
  277. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 中学卒の場合には、ただいま申し上げましたとおり、民間初任給にまさにぴたりと合わせた形になっているわけでございますけれども、先ほどの御指摘の関係で申しますと、標準生計費に若干見合わないじゃないかというお話でございますが、この一人当たりの標準生計費は、まさに単なる一人当たりということではございませんで、十八歳程度の一人当たりということで算定をいたしております。独身の一人当たりの標準生計費につきましては、統計局の調査もございまして、各年齢別の調査がございます。そういう関係で、各年齢に沿って各生計費が若干ずつ異なっているわけでございますけれども、私どもが算定しておりますのは、高校卒に見合う十八歳程度の者で表示してございます。したがって、十五歳程度と直接見合わせるという性質のものではないわけでございます。
  278. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中学卒で十八歳の者の俸給は一万八千六百円ですね。標準生計費が、いまあなたがおっしゃったとおり一万九千四百九十円でありますから、それでも追いついてないという状態です。これについてはどうですか。
  279. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 ただいま御指摘のとおり、十八歳で一万八千六百円ということになるわけでございますけれども、標準生計費との見合いの関係、収入の面の見合いの関係から申しますと、結局生計費に見合わせるものは、通常の収入というものですべて見合わしておるわけでございます。かつ、四月現在の生計費でございますから、これは年間の平均的な生計費ということで、年間収入の平均のところと普通見合わせるという形に相なるわけでございまして、そういう意味合いから申しますと、俸給月額だけでなくて、その他の種々の手当——期末、勤勉その他も無視できない。そういうものも含めて見るということも十分可能でございますし、通常の生計費の見合わせの場合には、そういう形になっておるということを御了解いただきたいと思います。
  280. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 標準生計費一万九千四百九十円まで追いついていない中卒の十八歳の俸給、はたして人事院としては、この程度でかまわないのかどうかということですね。さらにこれを考慮する余地があるかどうかということ、これをお聞きします。
  281. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 単身者の生計費というものは、なかなか標準的なものとして策定することがむずかしゅうございます。実際問題として、親がかりの場合には、生計費は非常に少なくて済みますし、独身、いわば独立してうちを借り、部屋を借りまして住む場合には非常に高くつくという関係がございまして、生計費関係として、ある標準的なものをつかみ出すということは、なかなか実は困難でございます。実際問題といたしまして、そういう関係給与は、やはり民間給与との比較という関係でやることが適当でもございますし、それ以外に方法がないのじゃないかという形で、民間給与をそのままこちらのほうに移しかえる、官民の給与の比較、バランスということに、その辺では特に留意してやっておるということでございます。
  282. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 指定職の俸給表改定の根拠はどこにありますか、それをお伺いします。
  283. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 今回の給与引き上げにあたりまして、上下の引き上げ傾向をどのように考えたかという点でございますけれども、それぞれの等級と申しますか、段階におきまして、官民格差はどの程度あるかという点が、まず一つの問題点でございます。そういう傾向を片方では留意いたしますとともに、民間におきまして、上下におけるそれぞれの引き上げ傾向がどうであるかということを調べましたところが、先般御審議がございましたように、いわゆる比率としましては上薄下厚的な傾向でございます。上のほうが大体六%、下のほうが約一〇%から一二%といったような傾向を示しておりまして、したがって行政職の一等級につきましてはほぼ六%程度でございますが、そういう傾向をいわば指定職の方向に引き延ばしまして、バランスをとりまして、指定職の引き上げをきめたわけでございます。
  284. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院勧告によって俸給表改定されるようになった当時は、上下の格差は約十倍ぐらいだったと思うのです。ところが、今日約十八倍まで広がってきたわけでありますが、その理由はどういうふうな理由であったかということ。それから、あなたはいま上薄下厚だというふうに言ったわけでありますけれども、この状態から見るならば、決して上厚下薄のそしりは免れない、このように思うのですが、この点について。
  285. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 上下の倍率が、どこをとって指標とするかという点が非常に問題でございます。先生いま御指摘のところは、おそらく最高、最低のようなところをおとりになっているのじゃないかというふうに考えます。  たとえば最高の指定職の甲の非常に上位者につきまして、たとえば事務次官あるいは東大、京大の学長等につきまして、これをどの程度の給与、適正な給与にするかという点、民間と比べてどの程度のものにしたらいいかという点は一つの大きな問題点でございまして、私どもとしましては、そういう職員は一応官民比較という形ではやっていないわけでございます。行政職で申しますと、一等給以下を官民比較をしておるわけでございまして、したがって官民比較をしているところの各等級につきましては、民間との格差、民間の上昇傾向というものを十分反映するように俸給表改定をいたしておりますので、行政職の等級の中における各等級間の格差というものは、民間における傾向をそのまま反映しておるというふうに考えておるわけであります。
  286. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 どうもあなたの言っておることは、指定職の俸給改定の根拠も何か要を得ないようでありますが、下のほうはいつも標準生計費にすれすれの状態で、しかも成績主義をとっていながら、実際には公務員の昇進は一部上級試験合格者のみと限られております。一方、民間給与の表は、この参考資料の第十一表によりますと、支店長が九百五十六人中新高卒以下で三百三十二人もいるわけであります。工場長、事務部長、技術部長等の各級でも、こういう学歴の低い者は相当数いるようです。こういうようなありさまでは、はたして下級の公務員の勤労意欲を盛り上げていくことができると、そのようにお思いになっておりますか。その点について。
  287. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 御指摘の、職種別の民間給与調査の結果は、まさに私どもが民間調査、インタビューをいたしました結果でございまして、民間の結果をそのまま反映しておるというふうに思います。その中で、学歴別の構成などもございます。これが公務員におきまして同一の昇進状態であるかどうかというお話でございますけれども、公務員の中における昇進状態は、やはり各省庁におきましてそれぞれの適材を昇進させるという形で、それぞれの各省における運用にまかされているわけでございます。その場合に、多くの省庁におきましては、試験区別分に、つまり上級職のグループとその他中級職あるいは初級職という、それぞれの試験合格の区分に応じまして昇進のあり方をきめておるように見ておるわけでございますけれども、その関係につきまして、各省、私どものほうで昇進のあり方というのは原則としてやはり適材適所という関係になりますので、そういう関係民間に比べてどうかという点になりますと、やはりそれなりの特殊性はどうしても出てくるということじゃなかろうかというふうに考えます。
  288. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中途採用者においては、食えるか食えない賃金であるということは、賃金体系に問題があるのであって、年齢別の最低保障はできるような賃金体系として、国家財政の見地から、公務員独自の賃金政策が検討されなければならないと思いますが、その点について。
  289. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 中途採用者の初任給は、現在民間事業所におきましてもいろいろございます。概観して申し上げますと、大体一年おくれて入りました人は約二%ぐらい通常の者に比べて低くなるという感じでございまして、二十年おくれて入りました者は約四割低いといったような感じで中途採用者の初任給が大体きめられているというふうに私は承知いたしております。公務員の場合につきましては、そういう民間の中途採用の初任給につきましてのあり方を十分いろいろ検討しておりまして、それにバランスいたしますように、特に中途採用の多い行政二表と申しますか、運転手さん等、あるいは守衛、小使さん等におきましての、そういう中途採用が多い職種につきましては、先般、そういう民間における実情を反映させまして、各省が現実に採用しております場合の一つの規制をいたしたわけでございます。そういう関係で、中途採用の関係はさらにいろいろ動く、民間においても動く可能性がございますので、十分注意してこの関係に対処してまいりたいというふうに考えております。
  290. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院勧告でやはり最大の問題となるのが財源実施時期であると思います。先ほど田中総務長官は簡単に、渡れる橋から渡ると言っておられたわけでありますが、渡る橋も関所をどの程度見込んでおられるかどうか。大蔵省の試算によりますと、勧告どおり五月完全実施をすれば、国家公務員の場合は約八百数十億円の財源を必要とします。昨年の場合、五百七十億が災害、その他二百七十四億円の予備費、計八百四十四億円が災害とその他に使われておりますが、千二百億円の総合予算主義のワク内においてどのような処置をとっていくおつもりであるかどうか、その点についてお伺いします。
  291. 田中龍夫

    田中国務大臣 私のほうは渡るほうでありまして、橋のほうのそういう幅まで考えておったらば初めから渡らないことになります。
  292. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、あなたは人事院勧告を尊重するという立場であるならば、当然渡る橋に対しての決意もおありだと思いますが、その点について。
  293. 田中龍夫

    田中国務大臣 やはりある程度まで強引でないと渡れません。
  294. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、勧告実施の強引なる見通しというのはどういうところか。
  295. 田中龍夫

    田中国務大臣 先ほど官房長官からお話しいたしましたように、最高完全実施でございます。
  296. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総合予算主義を貫くとすれば、予備費のワクははっきりしているのでありますから、見当はもうつくはずであります。もし完全実施へ向かって一歩の前進も見られないとするなら、公務員給与改善を押えるものは総合予算主義だということになります。それも予算審議のときには明らかにしなかった約五百億円というワクであったことになってしまうわけであります。しかも、これまで公務員給与改定について政府はいつも、人事院勧告を待ってから措置をすると言い続けてきておりますけれども、一体こんなことで労使関係の安定が得られる、そのようにお思いであるかどうか。
  297. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は自分の立場というものを堅持しなくてはならぬと思うのであります。公務員の諸君の官紀を正し、能率を向上させて、そして国民の奉仕者としての万全を期そうと思えば、当然社会生活においても、その給与を確保して差し上げなければならない、そういうことから、やはりおのおのの立場立場があるわけでありますから、財政当局は国全体の財政の見地からいろいろ立論もされ、議論もされるだろうと思います。私は、私自身がそういうことを言うておったのでは話になるものじゃありません。私は、ただいま申し上げたように、公務員の諸君の給与を守ってあげる、生活を守ってあげるというのが私の立場でありますから、その見地に立って関係閣僚とこれから戦わなければならない、こういう立場にあるわけです。五百億云々という議論は今日までもいろいろと論議されましたが、これはたびたび財務当局におかれましても、五百億というのは積算の一応の財源としての振り込みの過程においてそういうことがあったのだが、そういうせきはない、千二百億なんだということをずっと主張し続けておられるわけです。それから災害というものも、今後どう災害が起こるか。私が申し上げたように、災害が起こらないことを国家、国民のために祈ってやまないのでありますが、起こりもしない災害が起こるだろうと思って渡れる橋も渡らないのじゃ、これは私は、責任から申しましても相済まない話である。そういうことで私の立場、私の今後の考え方につきましては、どうぞ深い御理解と御協力をいただきたいと思います。
  298. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五月実施と見たとき、一%アップに約百億円の財源が要る、そのようにいわれております。いまあなたは、積算の一つの過程として五百億円というようにお話しになりましたけれども、それは約五%アップにしかすぎなくなってしまうわけであります。結局そうなりますと、何かあらかじめ繰り下げを目的とした意図が含まれているようにしか思えませんし、人事院勧告を尊重するといっても、実際には有名無実になってしまいます。財源の裏づけがなくては実際には完全実施ができないわけでありまして、さもなければ、災害に対するところの経費はやむを得ない場合は補正を組む、そういうおつもりであるかどうか、その点はいかがですか。
  299. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは私の立場ではございません。私は、ほしいものはほしい、これだけのものは要るということを強く主張します。
  300. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 去年までは、いわばないそでは振れないという論旨であったわけですが、ことしはあっても、そういうふうなことになると、やらないということになってしまうわけです。こういう状態が続くようでは、ますます労使の間におけるところの紛争を大きくするばかりであり、一方公社、五現業に対する仲裁裁定実施経費、約八百二十七億円と推定されているのに、補正もしないで四月から完全実施をされている。何ゆえ一般公務員がそのように差別扱いをされるのであるか。これでは公務員が実際に納得がいかないと思うのですが、その点について給与大臣から。
  301. 田中龍夫

    田中国務大臣 いままでの経緯にかんがみましても、ぜひともこれの完全実施を目標に最善努力を尽くしたい、かように考えております。
  302. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、人事院は政令二百一号によって公務員労働者から団体交渉権と争議権を奪うその代償として中立的な第三者機関として設立された以上、公平かつ公正に公務員給与を決定するためにも、勧告が当然全面的に実行されなければならないわけであります。本年完全実施勧告どおりするためにも、担当給与大臣としては、今後の六人委員会にさらに力強い前向きの姿勢をもって交渉をされることを要望するわけであります。
  303. 藤尾正行

    ○藤尾委員長代理 受田新吉君。
  304. 受田新吉

    ○受田委員 総務長官、最後に一言お尋ねをしておきたいのですが、この人事院が出している案を見ますと、五百人以上の規模の中の工場長とか支店長とかいうものを行政(一)に振り当てて、そして下のほうの者は五百人未満のものを対象にして、上厚下薄をやっているのです。これは非常に問題がある。つまり、規模の大きいところの責任者を対象にして行政職の上位の者の俸給をきめる調査をやっておられて、下の者は規模の低いものを中心にやっているという一つの大きな手落ちをしているのです。この点はあなたにおわかりにならないと思うのですが、いま人事院総裁に聞きますから、よく頭に入れておいていただきたい。  総裁、五百人以上の規模の支店長とか工場長とかいう地位にある者の給料を行政職の(1)に振り当てて、下のほうは、今度は未満あるいは全体のものを対象にしているという、この上位にある者を規模の大きいところを対象にしている理由をちょっと説明しておいていただいて、国務大臣にお尋ねします。
  305. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは先ほどの受田委員のお話にちょっと触れるところなんですが、要するに一定の組織体をつかまえます場合に、五百人以上のところの組織体と、それから組織があるのやらないのやらという企業体とが実際上あるわけです。したがって、責任ある地位を押えていきます場合には、やはり組織のしゃんとしたところのその長を押えないとぴったり合わない結果になる、これは受田委員さっきおっしゃったとおりの原理がそこに働いているということで御了承願いたいと思います。
  306. 受田新吉

    ○受田委員 下級の者は全規模で対象にされている、上級の者は五百人以上のものを対象にしている、この大きな片手落ちを私たちは十分指摘しなければならぬ問題なんです。それは時間がかかりますから、この次の論戦の対象にします。  そこで総務長官、特別職の俸給表を出されるときの一つの御注意。この一般職俸給表に準じた扱いをされるのだが、特別職の俸給表はもうこのあたりで、上を押える主義でストップさせる対策をいまから用意しておいていただきたい。そうしなければ上厚下薄はますます激しくなってくる。総理大臣とかその他の俸給を定めるときの御注意。  それから、はしなくも給与局長は鈴切君の質問に対してごまかしの答弁をされた。つまり、行政職の(一)の俸給表の上位と下位を比較されることを言われておる。ところが、かつては、三十二年の改正のときに、八等と一等を比べたときに、一等の最高位が七万二千円であった、八等の最下位が六千百円であった、十二倍であった。ところが今度の比較は二万九千百円と最高が二十八万五千円になっておる、これは非常に大きな上下の差がある。指定職をはずしておるのです。指定職は最初はなかった、なかったものを行政(一)の俸給表からはみ出て二階級つくったのです。それをはずして計算されようといまされたのだが、指定職の最上位と行政職の最下位と比較するのが、従来一本の体系であったものからはみ出たがゆえに、これはそう比較するのが正しいのであって、いまの指定職をはずした立場をとられるのは正しくない比較論です。これは今後改めてほしい。私注文します。はみ出た分は一般職だから当然行政職の俸給表で……。
  307. 藤尾正行

    ○藤尾委員長代理 受田君に伺いますが、それはどなたかに御質問されておられるわけですか。
  308. 受田新吉

    ○受田委員 質問しているのです。それに対して御答弁を願いたい。
  309. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 各倍率の指標を見ます場合は、いろいろな指標のとり方があると思いますけれども、やはり現在指定職にございます事務次官、外局長官あるいは東大、京大学長等、そういう一般職の指定職につきまして、これは民間と比較をしてどうかといったような、そういう関係の職ではないわけでございまして、昔から官民比較の対象外でございます。私どもといたしましては、官民比較をしている職務につきましては、民間における上昇率の傾向をこちらのほうに引き写す、民間の上昇に追いつくという形で給与改定をいたしておりますので、民間のほうの上昇傾向に合わせるという意味合いにおきましては、合わしておる俸給表の中で見ることが適当じゃないかということを申し上げたのでございます。
  310. 受田新吉

    ○受田委員 あなたの理論で言うならば、いまの指定職の甲と乙は、それぞれ五百人以上の規模のどれにあたると見られるのですか。
  311. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 先ほど受田委員が、官民比較の上で、上級職につきましては五百人以上と比較しておると申されましたけれども、たとえば二等級の場合におきまして、本省課長級の場合におきましては、五百人以上の本社の課長級とそれから五百人以下における部長級というものを両方あわせて比較をしておるわけでございます。そういう関係で比較をしておりますけれども、指定職のような職になりますと、民間と直接比較するものはないというふうに考えられまして、たとえば、民間における大会社の本社の部長級という関係につきましては、公務員の本省庁における部長級と比較をするという形でやっているわけでございまして、指定職については直接民間と比較をするような仕事の内容ではないというふうに考えておるわけでございます。
  312. 受田新吉

    ○受田委員 それは考え方が違っている。民間給与との比較で公務員給与をきめるわけです。指定職は民間に比較するものがないじゃないかというようなことでは民間給与との比較にならない。指定職の甲乙はたとえば民間の常務とか専務とかというところのものにあたるとかいう比較論をわれわれは期待しておるので、比較するものがないというなら一般職じゃないわけだ。一般職民間給与を対象に比較するから、かつて行政職の一等級がそういうものに比較対象された。それを今度は、それをはみ出して指定職にしてしまったから比較するものがない。ついこの間まで比較するものがあったが、指定職になって比較するものがないというような理論は成り立たぬ。比較するものがないといえば特別職だ。そうすると、さっき総裁が、特別職と同じではないということを盛んに言われたが、ここでは一般職だ、一般職の指定職ということになっておるのだから、特別職と同じような見方ではいけないのだ。御説明があったとおりなんですから、指定職は比較するものがないなどという理論は、これは比較論の新型の理論がいま出てきた。いままでそういうものはなかった。一般職ですから、特別職じゃないのですから。その点をひとつ——最近の雰囲気はどうも怪しい。比較するものがないようになった、こうおっしゃる。驚くべきことです。民間給与との比較で一般職公務員給与をきめるのであるから、指定職といえども民間給与との比較できめなければならぬ。どうです。それは。
  313. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 民間と比較をするかしないかということによって一般職か特別職かということではないわけでありまして、一般職における上級職、たとえば国税庁長官あるいは事務次官という職を民間のどのようなものに比較したらいいかという点になりますと、これはなかなか議論のあるところでございますし、職務内容からいって、それに匹敵するものは直接には見当たらないわけでございます。そういう意味合いで、直接比較するということはなかなかむずかしい。したがってそういう意味合いで比較するものがないと申し上げたのでありますけれども、それはやはり給与でございますから、民間におけるたとえば重役級の給与はどうなっておるかということを調べまして、昨年の場合にはそういう調査もいたしまして、そういうものを参考にして改定勧告をしたわけでございますけれども、そういう程度の参考にはいたしておりますけれども、直接比較する同じような仕事のものがない、そういう意味合いで比較するものがないということを申し上げたのであります。
  314. 受田新吉

    ○受田委員 それはついこの問まで比較するものがあったのです。指定職になってなくなった、こういうことですが、さっき申した国家公務員法の六十四条の生計費、民間給与等を対象にして調べるのだから、それに対応するような形で給与をきめるということになっておるのだから、民間給与対象で比較するものがないなどという議論は成り立たない。何かの形で民間給与との比較がされなければならない。そうじゃないですか、総裁
  315. 佐藤達夫

    佐藤説明員 給与局長は非常に技術的に正確を期して御説明するものですから、だいぶニュアンスが違うのでありますが、私に言わしていただけば、ちゃんと比較しておるということです。
  316. 受田新吉

    ○受田委員 比較していただかなければならぬ。それは何か政治的な発言……・。
  317. 藤尾正行

    ○藤尾委員長代理 受田君、それは質問ですか。
  318. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことです。私の意見が入っている。  おしまいに、勧告実施時期についての議論は、大出委員も鈴切委員も言われたことですが、私は、この勧告実施するのには五月、六月、七月、八月とがあるべきで、九月というものを対象にすべきものでないと思う。ところが、いま八月、九月を大蔵省調査しておる、こういうことでしたが、私は五月、六月、七月、八月、ぎりぎり八月で、その四段階でどれをとるかということに限られるべきであって、九月をいま取り上げて数字を出したということについては、田中長官、これはたいへん不愉快な大蔵省発言だとお思いにならないかどうか。御答弁願いたい。
  319. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は、九月、十月は全然考えておりません。
  320. 受田新吉

    ○受田委員 したがって、八月以前ということがはっきりしました。しかる上は、一カ月繰り上げる七月の場合、六月の場合、五月の場合ということがさらに検討されると了解してよろしいか。八、七、六、五、さように了解してよろしいかどうか。
  321. 田中龍夫

    田中国務大臣 私のあくまでも実現したいと思っておりますことは完全実施でございます。
  322. 受田新吉

    ○受田委員 なかなかいい答弁のようであるが、いささか釈然としない節もある。完全実施ということであなたは推進される、そうしてその推進がきかなかった場合に、六月、七月ということが次善の策として考えられることがあるかないかということです。つまり八月より一歩前進する、七月という段階くらいまでやれるということが起こり得た場合に、そのくらいで、ぎりぎりの譲歩の限界は八月というのか、あるいは七月、昨年より一歩前進することがあるかどうか。
  323. 田中龍夫

    田中国務大臣 さようなことはいま考えたくないと思います。
  324. 受田新吉

    ○受田委員 完全実施、それ以外にはないということですから、一応了解しておきます。
  325. 藤尾正行

    ○藤尾委員長代理 次回は明二十三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十九分散会