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1968-09-10 第59回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月十日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 塩川正十郎君 理事 野呂 恭一君    理事 古屋  亨君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 折小野良一君       亀山 孝一君    辻  寛一君       渡海元三郎君    永山 忠則君       太田 一夫君    河上 民雄君       山本弥之助君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   赤澤 正道君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局次長   渡辺 哲利君         警察庁刑事局保         安部長     海江田鶴造君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         厚生省薬務局薬         事課長     野海 勝視君         通商産業省化学         工業局化学第二         課長      菊地 一寛君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省行政局公         務員部長    鎌田 要人君         自治省財政局長 細郷 道一君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政及び警察に関する件      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政及び警察に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますが、暫時休憩いたします。    午前十時四十八分休憩      ――――◇―――――    午後一時三十八分開議
  3. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。山本弥之助君。
  4. 山本弥之助

    山本(弥)委員 自治大臣にお尋ねいたしますが、給与改定に関する人事院勧告に対しまして閣議決定がなされたようでございますが、給与改定関係閣僚の一人であられる大臣から、その結果をお聞かせ願いたいと思います。
  5. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 閣議決定を持っておりますけれども、これを全部読み上げるのもいかがかと思いますが、簡単ですから読み上げましょうか。
  6. 山本弥之助

    山本(弥)委員 要点だけでけっこうです。
  7. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 「一般職職員給与に関する法律の適用を受ける国家公務員給与については、さる八月十六日に行なわれた人事院勧告どおり俸給表等改定を行なうものとする。」これは前提になっております。「なお、寒冷地手当についても、同日行なわれた人事院勧告どおり改定を行なうものとする。」  その次は、「特別職国家公務員給与については、おおむね上記人事院勧告の趣旨に沿って、その改定を行なうものとする。」  その次に、「上記改定は、昭和四十三年八月一日から適用することとし、関係法律改正案は、次期国会に提出するものとする。」  次は、「上記給与改定に要する経費については、昭和四十三年度予算編成方針に基づき、予備費の使用によるものとする。」  別に、「今後の公務員給与の取扱いについては、昭和四十四年度予算編成時までに結論を得ることを目途に、合理的改善を加えるよう検討するものとする。」  もう一つ、「地方公務員についても、各地方公共団体において、それぞれの財政事情給与事情等十分検討のうえ、国家公務員に準じて給与改定を行なうものと考えるが、すでに国家公務員あるいは民間給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、現行給与水準との調整を図る等給与費合理化について格段の努力を行なうものとする。」これが大筋でございます。
  8. 山本弥之助

    山本(弥)委員 去る八月二十三日の本地方行政委員会におきまして、山口委員が、人事院勧告改定実施時期につきまして大臣に対して質問をいたしておりますが、それに、大臣は、完全実施について努力をするという御答弁をなされておるわけであります。ただいまの閣議決定お話を承りますと、完全実施というのは――勧告が五月一日でございますが、八月一日というふうになっておるわけでございます。おそらく二十三日は一週間前くらいだったと思うのです。閣議決定の際、自治大臣といたしまして、あるいは給与改定関係大臣とされまして、この答弁に対しまして、閣議決定におきましてどういう御努力を願いましたのか、お聞かせ願いたいと思います。
  9. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 あの委員会で発言いたしましたときは、給与関係閣僚七人委員会でいろいろ議論している最中でございました。御案内のとおりに、やはり実施時期も含めて勧告を完全に実行するということは、私たちもいろんな意味でしなきゃならぬということを信念的に考えておりましたので、そういうことを中心としていろいろ議論をいたしました。しかし、今年度は御案内のとおりに総合予算主義をとりました関係上、あらかじめ大体の見当をつけたものをそれぞれ、国家公務員の場合は予備費に、地方公務員の場合は国庫補助を伴わない一般行政経費の中に一応含めておいたことも、御承知のとおりでございます。今年は八月に最終的になりましたけれども、しかし、こういう状態を続けるべきではないという考えもいたしましたし、また総合予算主義という名のもとに、これはこれなりに一歩前進した予算編成の形であるとは思いまするけれども、長い国会中、御質問になっても言を左右にして何か逃げ回るような答弁をした経験にもかんがみまして、こういうことは二度と行なうべきものではなかろう。いままで何か、公務員給与がこういう形で行なわれました際に、あとでこの次はぜひ完全実施するような形にしようということで委員会を開いたようですけれども、そのつど結論を見ないで、少なくとも五年くらいは経過しておると思うのです。こういうことを繰り返すということはまことに遺憾であるということを非常に強くも主張いたしましたし、委員会全体の空気として、総合予算主義という名のもとにこういう中途の金額を組み込むということは不合理であるということで、それで、ただいま申し上げましたとおりに、例年と少し違いまして、「昭和四十四年度予算編成時までに結論を得ることを目途に、合理的改善を加えるよう検討するものとする。」という意味は、総合予算主義を貫くにしても、給与などは今年のような形で組み込まないで、そうしてこの実施時期においても完全に実施ができるような形に直そうという皆さんの非常な決意でございます。私たちもそういうことで進めましたが、ことしは、御案内のとおりに、財政扱いとして、いま急に五月でというわけにいかぬいろいろな事情大蔵当局からの説明がございますし、御不満かもわかりませんが、少なくとも明年以降はことしのようなきわめて不合理、と申しますか、いまの人事院のあの制度から考えました場合には、私どものほうでもあまりいいやり方ではないと思いますので、改めるという決意をしたわけでございます。
  10. 山本弥之助

    山本(弥)委員 結論から先にお伺いいたしますが、ただいま、四十四年度からは人事院勧告を完全に実施するということの申し合わせがなされたわけでございましょうか。
  11. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 完全に実施するような方向で、人事院を含めて検討しようということで、第一回は先般終わりましたが、人事院総裁にもお出向きを願って、先般の委員会では、いままでの経過並び人事院のこの問題の扱いについての実情などを承って、この次からは関係各省議論をする、それから事務段階にも移して、ここでも前向きに十分検討するということで進みつつあるところでございます。
  12. 山本弥之助

    山本(弥)委員 人事院勧告は、従来もそうであったわけでありますが、この点は何回も質問をいたしておるわけでありますけれども官民給与格差を是正するということは、国家公務員給与改定前提になっておると思うのであります。その場合に、給与を是正するということは、是正を必要とする四月一日が当然でありますが、勧告にありますとおり、五月一日ということと不即不離の関係にあるべき問題ではないか、こういう感じがするわけであります。それがゆえに、いままでの委員会における関係も、あるいはその他本会議におきましても、極力人事院勧告を尊重するということになっておったと思うのであります。しかも、閣議決定のいわば直前まで、新聞紙上で伝うるところ、あるいは正式の委員会におきましての各大臣からの答弁は、総合予算のたてまえであるけれども、これについては極力勧告内容実施時期を一体として、ことしこそは十分考慮をする、努力をするという言明をなすっておられるわけであります。それが一週間たって本式にきまります段になりますと、例年のように勧告時期というものが狂ってくる。私、いままで政治姿勢といいますか、そういう努力をするとか、実施をするとかという問題が、国家公務員にいたしましても、これに準ずる地方公務員にいたしましても、生活上の関係におきましては、きわめて重要な問題であるわけであります。ことに、四月以降の物価上昇は著しいものである。その間、苦しい生活に耐えながら給与改定を延ばされて、これは勧告都合もありましょうが、調査関係もありましょうけれども、それをいまだにこの勧告に対しまして、答弁が常に誠意を欠くような結果になるということについては、非常に遺憾に存ずるわけでありまして、ただいまの四十四年からの問題につきましても、そういう努力をなさるということでありますけれども、これまたどういうことなんでしょうか、従来どおり制度としての人事院勧告――勧告の時期がどうなるかということは別問題にいたしまして、その勧告をいままでと違って、あくまで尊重をするたてまえで、いわば予算人事院勧告に合わせていくのだというようなお考え検討をされるのか、どうですか。あくまで予算というものに拘束を受けながら、あるいは人事院勧告というものが、ややともすれば予算編成あるいは財政都合というようなことによってゆがめられる、それをどう糊塗するかという考え方に立つならば、不安を感ずるわけであります。その辺のことをもう一度お聞かせ願いたい。
  13. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ことしのやり方は、御案内のとおりに、まだ人事院勧告がない段階予算編成をいたしました関係上、やはり給与に引き当てる金額というものは言わば腰だめ的なものでありました。いろいろお答えにも苦慮したわけでありますが、一番いいことは、やはり予算編成期勧告を間に合わせてもらえば、完全実施できるはずだ。当然予算法律によって組み込むことになるわけです。ですから、人事院総裁が述べられましたことは、四月の時点で、一カ月かかって、五十人規模以上の事業所調査した対象は五十万人に近い人員のようですけれども、その調査書を集計しますのは、物理的にいってもどうしても八月の声を聞くことになるとおっしゃるから、そうすれば、調査時点というものを少しずらすことによってこの予算期に間に合うように勧告をいただけないかということも、一案でございました。それがどうしても人事院でおできにならなければ、別の方法というものもいろいろ話題にはのぼりましたけれども、そういったことを含めまして、やはり予算編成期に間に合わせませんと、次の予算完全実施金額を盛り込むことができませんので、そういう方向で、いままでと違って今度は必ず予算に盛り込むという形にしたい、かように考えて作業を進めておるわけであります。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この前の同じ委員会質問に対しての佐藤人事官答弁は、責任のある人事官としての答弁でごもっともだと思うのであります。三公社現業の同じ公務員でありながら、四月一日の時点において給与改定がなされる。にもかかわらず、国家公務員あるいはこれに準ずる地方公務員は、人事院勧告勧告どおり実施されない。いわば当然四月一日なり五月一日に是正されるべきものが是正せられないということは、不合理である。ぜひこれについては政府側において配慮を願いたいというふうな答弁がなされたと思うのであります。確かにこれは、人事院がその人事院としての使命を考え、また今日団交権あるいはスト権を剥奪されておる公務員側立場に立ちますと、これは万難を排して本年からまず実行をいたしまして、それによって予算編成上の支障があるならば、それに合わせるような措置考えていくということが、むしろ妥当ではないだろうか。総合予算というたてまえがありますけれども、それは予算編成の一応の原則であって、必要やむを得ない補正を必要とする場合には、補正を組むのが当然なわけです。ただ、公務員の場合は、多額の補正財源年度途中で計上するということを避けるために、腰だめで前年度同額で国の予算に組む、地方公務員のためには地方財政計画によって計上される、そういうことでありますならば、一応の財源が確保されるということが言えるわけでありますので、本年こそそれらを基礎財源として当然必要な補正予算を組むべきであるというふうに考えられるわけであります。どのくらいの額になるわけでありますか、五月実施の場合。地方公務員の場合は一千九十五億円要るというようなお話がありましたが、計上額からいくと三百億円でございます。あるいは国家公務員同額くらい必要になっておるのか、あるいはもっとかからぬのかわかりませんけれども、そういうふうなたてまえを、地方公共団体公務員のことを十分お考え願う大臣立場から、またあわせて国家公務員立場から、どうしてそういう御主張をしていただけなかったのか、その辺の事情をお聞かせ願いたいと思います。
  15. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そういうことを含めて、いかにも今回のやり方は不合理じゃないかということでいろいろ議論した結果、これは前向きとして、この次からはぜひ完全実施できるような方向勧告を願えないものかということを、いま研究の対象にしているということを申し上げたわけでございます。例年は、御案内のとおりに秋になって臨時国会を開いて補正すればいいんだ、必ずそういう補正予算を組むということが長らく例になっておりました。これなら一つ方法だけれども、しかし、国の一カ年の予算というものは、そういう補正予算の膨大なものを途中で組むということを前提にして組むということは、だれが考えても不合理なことなんでして、一ぺんに公務員給与も全部含めて年一回の予算編成をするのが、どこだって当然のことだと思うわけであります。どっちかといえば、そのつど補正を組むということは、災害など予見せざることが起こった場合はやむを得ませんけれども、しかし、給与のためにいつでも補正をするということは、私はやはりおかしいという考え方に立っております。それはやはり勧告の時期のとり方でありまして、それがうまく人事院との間に話がつくことになれば、最初から、そういう補正などを組まないで、全額組むこともできるし、その時点完全実施することも可能であると考えてやったわけでありまして、ことしのことはいろいろ議論いたしましたけれども、結局総合予算主義ということで腰だめ的なものを計上はいたしました。それにさらに若干のものを予備費から追加した。また、その他われわれのほうでもあとう限りの知恵をしぼりまして、どうにか人事院勧告どおり数字だけは全部実施することにした。これは、実施の時期の問題で皆さんの御不満を買ったことはよくわかっております。ですから、少なくとも来年以降はこういうことがないようにという努力をいましつつあるわけでございます。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 繰り返して申し上げますが、この前佐藤人事官答弁がありましたように、三公社現業が直ちに実行せられまして、国家公務員の場合は直ちに是正せらるべきものを、いわば民間給与との格差を是正する、その正確を期するというたてまえで改定の時期が自然におくれておると思うのであります。そうなりますと、当然五月一日の時期にさかのぼって実施すべきものではなかろうか。それに多少予備費計上額の狂いが生じても、財源捻出努力をなさることが当然じゃないか。これは当然御努力願うことじゃないかと思うのです。一方の公務員は直ちに改定が行なわれ、国家公務員の場合は、給与改定の正確を期する、公平を期するという意味から慎重な調査をする結果、時期がおくれることによって改定の時期がおくれる、こういうことは不合理じゃございませんか。その不合理をいままで何年間か繰り返してきたわけであります。しかも、この勧告内閣及び国会になされるわけであります。昨年の国会におきましては、人事院勧告を完全に実施せよという決定内閣のほうに申し出ておるはずであります。そうすれば、当然――私は重ねて申し上げますが、一応それだけの財源を確保しておるんだということであるならば、それに上積みするということは当然やるべきことではなかろうか、どうしても財源捻出ができないというたてまえでございまするならば、それはそれなりに、非公式にでも、あるいは正式にでも、公務員団体話し合いをして十分な了解を求め、あるいは将来の態勢についての話し合いをするというふうな御努力がなされるべきではないか。いわば仲裁裁定にかわるべき人事院勧告に対しまして、大臣どういうふうにこれを理解しておられますか。
  17. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 言うまでもなく、三公社国民税金経営されておるわけではありませんので、大きくても、一つ企業体であることは言うまでもない。これが、公労委の仲裁裁定がありまして、そうして企業ですから、どういう御計算か知らぬけれども赤字赤字だと言いながら、時期的にも完全実施ということに踏み切られました。私は、このことをはなはだ不合理だと思ってもおるし、だからこそ、きょうの閣議でも非常に強く私は発言した。公営交通は一体どうするんだということを言ったわけです。しかし、公務員給与というものは、これはまた中心国民の血税ということでございまするので、この配慮も当然あることと思います。そこで、いままでのようなことを繰り返しておるということはいかにも不合理だから、公務員の場合もやはり時間的にも完全実施すべきであるということは、だんだん実を結んでいくものと確信しております。しかし、ことしのことをおっしゃると、ずいぶんそのことも委員会議論いたしましたけれども、及ばなかったということを申し上げる以外に道はないということでございます。
  18. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そのことが、大臣みずからお話しになりましたとおり、公営企業ということであれば、市町村の公営企業部門もございますし、これは昨年から、大臣も御承知のとおり、公務員としては経営者側経営のしわ寄せを受けて、十分な給与改定も行なわれないままに推移しておる。本年度も、かりに八月一日からの給与改定が行なわれても、公営企業につきましてはどうなるかという不安があるわけであります。また、かりに公営企業でなくても、今日、公営企業、三公社現業以外の部門におきましても、こういう現業部門と同じような現業部門も持っており、また、地方公共団体におきましても、同じような現業部門を持っておるのもあるわけなんです。しかも、それらの部門ほど、給与面におきましては生活ぎりぎりの給与を受けておる。今回の人事院勧告におきましては、従来と違いまして、上に薄く、下に厚いというふうな改定がある程度できまして、前進をいたしております。しかし、真実、最も高給者の一万五千円というのは、税金も取られましょうけれども給与改定については均衡上の問題であって、それほど今日の物価上昇のときにおいて切実な問題ではないわけであります。むしろ、下位等級にある公務員こそ、一日も早く是正すべき階層になるわけでありまして、そういうところにもっと思い切った改善が行なわれておるという給与改定ならば、あるいは多少時期がずれるということも許されましょうけれども、そういうところに対して十分な措置もなし、内容から言いますと改善を加えたと思えないのが、これがやはり依然従来と同じように改定の時期を延ばされるということは、私は公務員に対する待遇上の適切な措置ではないというふうな感じを受け、しかも特別昇給というような問題についていろいろ特殊の配慮をしておられるようでありますが、私、特別昇給等につきましても、かつて経験があるわけであります。苦しい生活の中に給与を受けております地方公共団体職員は、特別昇給を受ける職員すら非常に心苦しい思いをしているというのが現状であって、やはりみんなが一律に生活に見合うだけの待遇を受けるという配慮を、地方公共団体の長におきましても、あるいは給与担当の各大臣におかれても、努力するのがほんとうだと思うのであります。そういうことを考えますと、ことしこそはぜひ五月実施を、いわゆる人事院勧告を尊重するという態勢で御努力を願いたい、かように存じております。地方公共団体は、これはいろいろ大臣地方財政白書等につきましても本年の本会議お話がございましたが、従来非常に財政の苦しい中を、自治省のきびしい指導もあった関係もありましょうし、また、地方公共団体努力もあったわけでありますが、住民の期待に沿い得ない態勢のもとに努力をしてまいって、四十年から四十一年と、順次赤字団体も解消しておるようであります。四十二年度も、おそらく私は赤字団体は解消になり、黒字団体がふえる趨勢にあろうかと思います。これは余裕があるからではないのでありまして、やはり地方公務員努力によりましてそういう態勢をつくり上げておるわけであります。こういう公務員に対して、自治大臣として、国家公務員のことと同様に十分な配慮をするということは、きわめて必要なことであり、今回の措置につきましては、非常に私ども不満を感ずるわけでありますが、この財政上の財源関係について配慮できる余裕はないのかどうか、大臣から、あるいは財政局長からでもけっこうですが、どういう状況にあるか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  19. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方公務員給与は、言うまでもなく、国家公務員に準ずることになっております。ですから、議論国家公務員給与中心に行なわれたわけですが、おっしゃるまでもなく、私ども地方公務員をかかえて、そうして給与の支払いについては責任を持っておるわけでございますから、国家公務員ということは、私の頭では地方公務員に聞こえるわけでございまして、ずいぶん御指摘のような問題につきましては議論は尽くしたわけですけれども、ことしは大体御案内のような事情で、あらかじめ、初めて総合予算主義などということをやってみることになりました。先ほど申しましたように、制度としては私は一つ前進だと思うけれども、少なくとも給与の面はちょっといただけないといった気持ちから、この問題につきましては議論は尽くしましたが、明年度から確実にやろうということにしかならなかったということでございます。
  20. 山本弥之助

    山本(弥)委員 先ほどから総合予算の問題が出ておりますが、そういたしますと、総合予算計上した国家公務員の五百億、これは予備費全体は、災害その他の関係もありましょうし、千二百億あるようでありますが、地方公務員は、財政計画で七百五十億計上されておる。しかも、この金額は、大体前年度の実績とたしか同額計上しておったのじゃないかと思う。そうしますと、もうすでにそういう国の予備費計上あるいは地方財政計画において、人事院がどういう勧告をなさろうと、その計上額のワクの中に押し込めようという考え方でなすっておるわけでございますか。
  21. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 全然そういうことはありません。ただ、昨年と同額計上いたしました意味は、今日のようなこういう経済状態の推移からいたしまして、おそらく人事院勧告が出るであろうと予想される数字は、七・八か七・九か八・〇、これが九・〇とか一〇・〇ということにはならぬというように、いろんな状況判断からして考えておった。ただ、国のほうは千二百億の予備費をどう扱うつもりか知らぬが、地方財政ではそういう便利な制度がないわけですから、ぎりぎりしか組むことができない。多少の過不足はどうせあるわけですから――多少といっても、不足額が一体どの程度まであった場合は耐えられるかということは、私たち責任を持つ者として非常に不安を覚えたわけでございます。今度八・〇ということで計算してみますと、最初七百五十億前後と思っておりましたのが、かなりはみ出しまして七百九十五億という数字になりましたので、この扱いについてもいろいろ苦慮いたしております。しかし、申し上げておきたいことは、あらかじめ一定の腰だめの数字をあげて、そうしてそれで人事院勧告を牽制するなどということは毛頭考えてもおりませんし、また、これは国家公務員に準じて地方は扱うということになっておりますので、そういうふうに御了承をお願いいたします。
  22. 山本弥之助

    山本(弥)委員 数十億はみ出すわけであり、国の場合もたいしてはみ出していないわけでありますが、その金額は、いわば総合予算のたてまえで、先ほども予備費でこれを充当するというふうなお話がありましたが、それは多少はみ出しても予備費とたいして変わりないという金額、いわば本会議その他で議論されました結果においては、総合予算というのは人事院勧告をまさに拘束をし、その予備費計上の範囲を一歩も出ないという方針だということが、結果においては明らかになっておると思うのであります。国の財政も多少好転していると思われるのでありますが、この機会に、来年あたりから思い切って改定をするというふうな――本年度から公務員の期待にこたえるという意味、あるいは将来の地方公共団体がいろいろ複雑になってまいりますこの際、多くの公務員努力に期待しなければならないことが私は多いと思うのであります。そういう問題について、どうしてことしから英断的にこれが実行できないのか、その財源措置ができないのか。国の財政の好転、あるいは地方公共団体が国に対して本年度財政計画では四百五十億を貸すような協力ぶりも示しておるわけなんです。その協力の中には、これはやはり地方公務員努力によって一%の人員の削減があり、無理をした行政簡素化があり、いろいろな苦労を重ねての努力がある。国家公務員も私はそうだと思います。ことに地方公務員においては、そういう非常な従来の苦労の上に苦労を重ねてきておる。その努力の成果は、やはり多くの公務員努力の結果であるわけであります。私は最後のいろいろな適切な方法をお考えになる前提として、本年なぜこのことができないのかということに非常に疑問を感ずるわけであります。ことに地方行政の進展をはかり、過密、過疎の問題を解決していくということは、今後自治省にも非常に御努力を願わなければならないし、地方公共団体もそれぞれ努力をしなければならないと思うのであります。そういう公務員に対しまして、あくまで財政計画に組んだからそれ以上の配慮ができないのだという態勢は、私は人事院仲裁裁定にわかるべき制度を尊重するという意味からいいましても、あるいは今後の地方団体の進展の上からいっても、とるべき策ではないというふうに考えておりますが、この点について、大臣さらに思い切って閣議でもう一ぺん地方自治体のために主張なさるような御勇断を持っていただけませんか。
  23. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 閣議で私もその席にあって最終決定いたしましたのを私からこわすというわけにまいりませんが、しかし、国全体の経済にもちょっとお触れになりましたけれども、私が申し上げる限りじゃないが、やはり大蔵省には大蔵省として、国も相当大きな借金もしておるし、これは国民の借金になるわけですから、それを返済するということが、おそらく頭にもあったでありましょうし、今後多少でもゆとりができれば、それに充てなければならぬということも知っております。しかし、いま過密対策にもお触れになりましたが、公務員給与と過密対策とは、そう直接には私は関係はないと思います。しかし、ことしはただいまるる申し上げましたように、総合予算主義ということで最初から出発いたしました関係上、それをこわしてまで完全実施という線が、努力して議論しましたけれども、なかなか出せなかった。ただ、そういうふうにあらかじめ前年度金額を腰だめで計上いたしましたけれども、結局そのワク内におさまったわけじゃないので、論より証拠、大いにはみ出しておるわけなんです。はみ出しておりますけれども、やはり勧告勧告だから、とにかくできるだけ忠実に従おう。ただ、実施時期は、御案内のように五月までさかのぼれば一千数百億円の金額になりますので、それは一たん総合予算主義ということで決心してやったわけだから、なかなかそれをつぶしてしまってというわけにもいきませんので、やむを得ませんから、将来にわたっては完全実施をぜひやりたいという決意をるる申し述べたわけでございます。そういうことで御了承をお願いいたします。
  24. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そのはみ出した数字を、八月実施の場合、お聞かせ願います。
  25. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 七百九十五億、あとで最終また少し調整をいたしまして――ということは、人事院がお示しになったものを、わずかなものでもとにかくできるだけのもうじゃないかということで、最終七百九十九億円、これは通勤手当が中心ですが、ふやしまして、八百億をちょっと切ったところへきまったわけであります。
  26. 山本弥之助

    山本(弥)委員 七百九十九億という数字は、これも大臣答弁のことばを借りますれば、七百五十億と比べてそう重視すべき数字じゃないんじゃないですか。大臣は三百億とか二百億違えばと言っておられましたが、私はあの答弁を聞きますと、三百億違ってもお出しになるというお気持ちがあったのではないかと思いますが、はみ出した、はみ出したと言われる七百五十億と七百九十九億というのは、数字の点からいったら、そう大臣が頭を痛めるような問題じゃない。あくまで計上額に押し込めるというふうなお考えがきわめて強い。河上委員が、くしくも鬼のいぬ間にというような比喩を出されましたが、私は自治大臣は地方行政のためには鬼になってもらいたくないのでありまして、今後臨時国会が始まるまでには相当の期間もありましょうから、どうかその間御努力を願いたい。  私は与えられた時間が違約になりますので、この辺で打ち切りますが、ただ一つ、最後に一点だけお聞きしたいのは、国家公務員に準ずるという解釈は、どういうふうにおとりになっておりますか。
  27. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 準ずるということは、いまの閣議決定には出ておりますけれども、私は法律ではちょっと見たことがないわけです。しかし、地方公務員法の二十四条の三項か、あれをつぶさに検討してみますと、給与のきめ方は、国家公務員人事院でおやりになるわけですけれども、大体内容は同じことになっておりますので、そういうことから国家公務員に準ずる。ということは、こういう公務員給与勧告機関としての人事院というものは、実に綿密にいろいろなデータをおそろえになっておきめになっておりますので、それを借用して、準ずるということで目的を達するものと私は考えておるわけでございます。
  28. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大体自治省の指導どおりということになるわけですか。準ずるということですから、多少実施時期を繰り上げたり、あるいは初任給を考えるとか、そういう配慮を加えるとかという、法の精神は人事院勧告の趣旨に大きく食い違わない程度の地方自治体の自由裁量ということは許されるわけでしょう。
  29. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方公務員給与について責任を持つ役所でございますので、部内で給与関係の勉強会をやろうとしてもとやかく疑われる時代でございますから、やはり公務員関係給与をいろいろ御計算になる公正な人事院に依頼するということが、一番いいことじゃないかと私ども考えております。
  30. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私これをお聞きしているのは、地方自治体の自主性の問題に関連があるわけですが、おそらく変えますと交付税あるいはことに特交で締めつけられるということが、地方公共団体としては痛いわけです。地方公共団体は、いろいろ内容が違うわけですね。職員の福祉のことを考えましても、十分な福祉ができない団体もあれば、また超勤ということを一切認めないで努力を願い、あるいは給与改定考えるとかというように、私は相当複雑だと思うのであります。しかも、人事院の指導によりまして格づけまでちゃんときまっているわけなんですね。そういう全く自主性のない団体であると同時に、複雑であるということと、その環境環境によって理事者の労務管理の方法も、私は変わってくると思うのであります。そういう理事者の自主的な、いわゆる財政を悪化させるとか混乱させるとかという立場でなくて、能率をあげるという意味の労務管理ということは、まちまちであってもいいのじゃないか。そういう努力に対しまして本来自主性をお認めになると同時に、多少の給与表の改定その他配慮に対しましては、もう少し自治省地方自治体の実情に即応したやり方、これに対する配慮があってしかるべきだという意味で申し上げておることであり、しかも多少府県の地方課長の指示その他にたがいました場合には直ちに交付税という武器で締めつけられるというあり方は、ほんとうに真剣に考えておる理事者側の苦労が水のあわになるということが間々あるわけであります。この点を準ずるという取り扱い人事院のとおりにおやりになれ、そういうことであれば、これはどういうところでも部長制を設けたり、あるいは課長をふやすということによって幾らでも待遇方法はできるわけです。ただ、そういうことをやらぬで、ほんとうにその地方公共団体の実情に即したやり方によって考慮するということになりますと、私はそれらの配慮を多少考えていいんじゃないか、交付税の交付で締めつけるようなことはすべきではないんじゃないか、こういうふうな感じがするわけであります。その点をお聞きしたがったわけなんです。
  31. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 先ほどの大臣のお答えに若干補足させていただきたいと思うわけでございますが、御案内のとおり、一般職地方公務員、すなわち単労職員なりあるいは公営企業職員を除きました一般の職員につきましては、地方公務員法の二十四条の三項に先ほど大臣の御説明ございました条文があるわけでございます。それから公務員のほかの大きな分野を占めておりますところの義務教育の教育公務員につきましては、御案内のとおり、国立学校の教員の給与の種類及び額を基準として、となっておるわけでございます。あるいはまた警察官につきましては、国の警察庁の職員の例を基準として、こういうことで、警察なり教育なりの場合でございますと、国家公務員給与体系と申しますか、給与の仕組み、運用というものと非常に直につながっておる表現に相なっております。そういう全体の条文の構成も前提に置きまして、地方公務員給与につきましては、国家公務員給与の体系あるいはこういった改定の時期におきます改定の幅なり、あるいは実施の時期、こういうものにつきましては、すべて国家公務員の例に準ずるという方針でまいっております。これは法律の条文の解釈、運用の問題でございますと同時に、国の公務員、地方の公務員、ともにいわゆる公務としての共通性というものがある。そういったところから、地方公務員国家公務員給与の取り扱いは同じにするということが、納税者である国民の納得を得られるゆえんでは高いだろうか、こういう考え方でおるわけでございます。したがいまして、給与改定実施時期につきましても、国家公務員の例に準じて行なうべきものである、こういうことで考えておるわけでございます。
  32. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いろいろお尋ねしたいことはございますが、委員長との約束の時間もありますので、またの機会にいたします。
  33. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷治嘉君。
  34. 細谷治嘉

    ○細谷委員 給与関係について二、三お聞きしたいのでありますが、先ほど質問がありましたが、七百九十九億円財源が必要だ、地方財政計画に見込んでありますものは七百五十億円でありますから四十九億円、せんだっていただいた資料は五億円単位による所要額ということなのですから、四十九億というのは、精算しますと若干変わってくるかもしれませんが、一応約五十億ですね。その五十億はどういうふうにしてひねり出せということですか。具体的にお答え願いたい。
  35. 細郷道一

    細郷説明員 全体で五十億でございますが、交付団体と不交付団体に分けて考えてみなければいけないと思います。不交付団体は御承知のように税の自然増収ということに期待する。交付団体につきましては、五十億のうち約三十九億ぐらい、まあ四十億と見てもよろしゅうございますが、それほどが不足をするわけでございます。  そこで、私どもいま考えておりますことは、寒冷地手当につきましては非常に地域が限られておりますので、この分については特別交付税で措置をしたい。寒冷地手当の分が約二十二、三億交付ベースでございます。それを差し引きますと十七、八億になるわけでございます。交付団体全体で十七、八億でございますので、何とかそれぞれの団体でやりくりをしてもらいたい、こういうふうに思っております。
  36. 細谷治嘉

    ○細谷委員 やや具体的になりましたが、不足財源の四十九億円のうち寒冷地手当改定増分が、資料によりますと三十六億円になります。これは交付、不交付を突っ込んでの数字でありますが、そのうちの二十二億か二十三億程度は特別交付税で措置する、こういうことですね。
  37. 細郷道一

    細郷説明員 そのとおりです。
  38. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと私がお尋ねしたいのは、残りの二十七、八億というのはどうするのですか。
  39. 細郷道一

    細郷説明員 交付団体では、先ほど申し上げましたように、三十九億ほどが不足になります。そのうち二十二億がいまの寒冷地手当の問題でございますが、残りが十七億ということになります。したがいまして、十七億が府県、市町村、そのうち府県分が大体十一億ぐらい、市町村が六億ぐらい、こういうふうに見込んでおるわけでございますが、その程度の額でございますので、何とか個々の団体でやりくりをしていただきたい、かように考えております。
  40. 細谷治嘉

    ○細谷委員 昨年の財源措置の例を見ますと、昨年は交付団体分が五百五十六億円、不交付団体分が百九十三億円、計七百四十九億円の財源措置をしたわけですね。それをまるくして、今度財政計画で七百五十億織り込んだ、こういうことですね。そういたしますと、不交付団体分というのは、今度は七百九十五億のうち百九十五億円、昨年は百九十三億でありますから、数字はほとんど変わってない。二億の差しかないわけです。大部分の不足というのは、この交付団体分にきておるわけですね。そうでしょう。いま、三十九億というのは、あなたの答弁があったのですが、どういうふうにして出した数字なのか、これはひとつ詳細な資料をいただきませんといかぬと思うのです。
  41. 細郷道一

    細郷説明員 この前差し上げました資料は、そこにございますように五億単位でございます。もちろんこの数字は、なお精査を要するわけでございます。御承知のように、各等級別の実態というものをも見て精査しなければならぬと思いますが、一応見込みでは、交付団体分が六百三億――六百億と書いてございますが六百三億。不交付団体分が百九十六億、合計七百九十九億、こういうことでございます。  そこで、交付税ですでに措置をいたしております分は、交付団体で五百六十四億、不交付団体で百八十六億、合計七百五十億。したがいまして、交付団体について見ますれば、その差は三十九億円、そのうち寒冷地手当分二十二億円、残り十七億円ということでございます。
  42. 細谷治嘉

    ○細谷委員 わかりました。  残りの十七億円というのはどうするのですか、はっきり言ってください。
  43. 細郷道一

    細郷説明員 先ほど申し上げましたように、全体で十七億円でございますので、個々の団体で、苦しいでありましょうが、やりくりをしていただきたい、こういうように考えております。
  44. 細谷治嘉

    ○細谷委員 やりくりというのは何ですか。節約しろということですか、はっきり言ってください。やりくりというのがわからぬのだ。
  45. 細郷道一

    細郷説明員 御承知のように、いわゆるやりくりであるわけでありますが、まあ節約のものもございましょうし、執行上の問題もございましょうし、あるいは交付税の基準収入に見ておりました以上に税収が上がってきておるという問題もあろうと思います。そういったようなことを勘案してやっていただきたい、かように考えております。
  46. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方財政計画では、当初に百二億円の節約をすでに織り込んでありますね。交付と不交付の内訳はどういう状態になっておりますか。
  47. 細郷道一

    細郷説明員 ちょっと手元に詳細な資料を持っておりませんが、大体八対二ぐらいと見ていただいていいと思います。
  48. 細谷治嘉

    ○細谷委員 八対二といいますと、百二億すでに当初の地方財政計画で地方団体に節約を求めているわけですから、交付団体に対してはおおむね八十二、三億程度、まあ八十億ですね、節減を求めているわけです。それにまた求めるというのですか。一体、いままで給与財源関係で、当初の財政計画で節減を求めて、また給与財源で二度節減を求めたという例がありますか。年度当初の財政計画では節減を求めてないので、年度の半ば、給与勧告があったので、それを実現するために、国もずいぶん無理して金まで借りてきて財源措置をしようというのですから、地方団体もひとつ節減努力をしてもらおう、そういうことでの過去の例はありますよ。当初にもやらして、この段階でもやらしたという例がありますか。しかも八十数億、そんな例がありますか。
  49. 細郷道一

    細郷説明員 節減といっても、年度途中の財政計画上の節減は、御承知のように、実態的にどういう効果があるかと、いろいろ議論のある点でございます。ただ、今回私がいま申し上げておりますのは、これをすべて節減というわけではなく、やはり財政運営上の措置によってこれをやってもらいたい、こういう意味で申し上げておるのでございます。  本年度は特に年度当初から私どもも一応去年並みの七百五十億を組んでおるけれども、これが大きく動けばともかくへわずかであるならば、それぞれの団体補正という措置をとらない考えだから、したがって運営上十分気をつけてくれ、こういうことを注意をいたしておるわけであります。たまたま結果に出ました数字が、いま申し上げたような十七億でございますが、これをそれぞれの団体ごとに見てまいりますと、一番財源的に窮屈だと思われますのは小さな町村だろうと思うのでございます。小さな町村ではまあ数万円程度というようなことにもなるものでございますので、まあ一応何とか財政上の処置でやっていただきたい、かように考えております。
  50. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私がこの数字についてしつこく質問しているのは、国はなるほど千二百億の予備費の中で五百億円相当額を見積もっておったわけですけれども、ことしは災害等も幸いに少なかったので、千二百億のワク内でやれるわけだ。操作がきくのですよ。百億程度のものは出せる。地方団体地方財政計画できまってしまっているのですよ。総合予算主義を貫くというのですよ。そうでしょう。やりくりといったって、やりくりというのはどこから出るのですか。やりくりしますよといったら税がよけい入ってくるわけじゃないでしょう。やりくりするということは、節減するということでしょう。  私が申し上げているのは、四十二年度には経費の節減を九十億円求めている。四十一年度には節減は求めていません。四十年度には六十八億円も不交付団体に節減を求めている。三十九年には八十億円求めているのですよ。それを、すでに年度の当初にそういう節減を求めておいて、またぞろ二十億程度のものを求める、こういうことになってまいりますと、どこにしわ寄せがくるかというと地方団体、そのワク内で押えようということになりますよ。文字どおり所得政策に一歩を進めることになるのですよ。ですから、これではいかぬ。大臣、これは小さなことでありますけれども、アリが掘った穴からたいへんな災害が起こるのですよ。私は小さな数字にこだわっているわけではない。筋の問題として申し上げている。いままでは一応全部財源措置しているのですよ。今度だけは年度当初に節減を求めて、また節減しなさい、数字だけ合わしている。不交付団体の問題もあります。いままでの財源措置の中では、不交付団体のやつは交付税がいかぬものですから、適当に数字を合わして、あとは節減だ、こういつております。こんなインチキもないのだけれども、それはあまり追及しません。少なくとも交付税方式で措置するのならば、ぴしゃりそれは措置してもらわなければならぬ、こう私は思うのですが、大臣いかがですか。たいした金額じゃないですよ。それだけの太っ腹を持っているのですから、これは解決してやらなければいかぬですよ。
  51. 細郷道一

    細郷説明員 同じことになるかもしれませんけれども、何しろ地方財政計画どおりに各団体がぴしっと財政規模を定め、運営していくということでございますと、おっしゃるとおりだと思うのです。しかし、現実は先生すでに御承知のとおりでございまして、私どもはやはり大きな方向ではいろいろ指導し、つかんでいかなければならぬ、こう考えております。先ほど申し上げたような状況でもございますので、私はそれぞれの団体にこの程度くふうをいただいても今年度地方財政の運営に大きな支障を与えるとは考えられない、こういうふうに思っておるのでございます。そういう意味で、別にこれをもって所得政策、そういったような大それた考え方は全然持っていないということを御了承いただきたいと思います。
  52. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 同じ答えになるわけですが、やりくりと節約とどれだけ違うかということは、これはことばの概念から見ても詳細な説明はなかなかできかねる気がいたします。しかし、公共団体とはいっても、これは企業ではありませんけれども一つ経営体には間違いないのですから、その事業遂行中において多少締めていくとか、あるいは合理的に財政の運営をするとか、それぞれ責任ある立場の方が御苦心なさっている過程で消化し得ると判断できる金額のものだったら、そう目にかど立てる必要もないのじゃなかろうか。かといって、みすみす地方団体におっかぶさってくるのを見て見ぬふりをしているわけではありませんけれども、やはり今度ああいう総合予算主義をつくりました裏には、政府としてもいろいろ苦しさもある、そういうこともいろいろにらみ合わせてこういう結果になったわけでございますので、これはみなでうまくいくように知恵をしぼることにかかっておるわけでございます。
  53. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あとでほかの問題とも関連して、私はこの点は非常に重要な点だと思う。今回は金額が少ないのでありますけれども、たいへん重要な点だと思いますので、大臣答弁には承服しません。  そこで、倉成政務次官がいらっしゃったのでありますが、ことしは補正予算をお組みになるおつもりですか、もう補正予算は組まないつまりですか。
  54. 倉成正

    ○倉成説明員 今年度補正予算を組むかどうかというお話でございますが、特別な異常災害でも起これば、それは当然補正予算を組むことになろうかと思いますけれども、そうでない限り、通常の場合は組む意思はございません。
  55. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、生産者米価、引き続いての消費者米価、この問題は片づいた、給与改定も片づいた、それもワク内に――自治大臣のことばを借りますと、総合予算主義、こういう予算があったので、勧告を完全に実施したかったけれどもやむを得ず、こうなったのだ、こういうことばを先ほど言われた。たいへん総合予算主義というのに拘束されておったわけですけれども、今度は、たいへんな天変地異でもない限りは補正予算を組まぬということであります。大体今年度予算計上してある税収は、自然増はどのくらい予定されておるのですか。
  56. 倉成正

    ○倉成説明員 国税で申し上げますと、現在租税及び印紙税収入で、七月末の累計を申し上げますと、予算額四兆六千九百七十八億に対して一兆四千九百六十三億、収入の歩合が三一・九%ということであります。これは、昨年度に比しますと、昨年度の収入歩合がちょうど七月末で三〇・八ということで、若干上回っておりますが、何ぶん全体の三割がやっと入ったかどうかということでありますので、今後の見通しについてはまだ申し上げる段階でございません。
  57. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この予算を組むときの経済成長率と現在見通される経済成長率は狂ってきておりますね。そういう観点から税の弾性値等を考えますと、かなりの税の自然増が期待されると私も考えておりますし、いろいろな報道関係もそういう記事を書かれております。新聞等によりますと、大蔵省はかたく見積もっても一千億円の自然増収はあるだろうといわれる。せんだっての臨時国会で、参議院の論議では、二千億円で首をかけようという論議までなされておるわけです。経済成長率はこの税を組むときには大体一二%でしょう、名目大体一五%になることは必至だというのですね。そうしますと、相当の税収が出てくるでしょう。どうなんですか、どのくらい自然増は期待されるのですか。
  58. 倉成正

    ○倉成説明員 ただいまもお答えいたしましたとおり、七月末で若干よろしいということであります。もう少し中身を申し上げますと、所得税の特に源泉分が、昨年の同月と比較しますといいわけであります。これは御承知のとおり春闘の相場が高かったということと、ボーナスがよかった。しかし、反面、法人税のほうは、昨年と比較しましてやや低いわけでございます。それから酒のほうも、夏場がちょっと涼しかったというせいもありまして、ビールその他売り上げが少なかったということで、酒税のほうも昨年と比較しましてやや低いということでございます。物品税がやや低い、印紙税収入が低いということでございますので、やはりいま軽々に一千億であるとか二千億であるとかいうことを申すのはいかがだろうか。新聞紙上でいろいろ報道されておるのは承知しておりますけれども、大蔵省としましては、もうしばらく経済の状況、また税収の模様を見きわめる必要がある、かように考えております。
  59. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いつものいまごろの答弁は、きまっていまの次官の答弁のようなものなんですね。それならなぜ――まだ税収は三割程度しかいってないと新聞に発表されておりますね。七月末の税収は、なるほど個人所得税はふえておる。法人税は減るはずはないけれども、納め方をあとに延ばしておる。酒は少しビール等が減ったといっておりますけれども、そういうことでありますが、経済成長率から見ても、これは間違いなく増加するといわれているわけですけれども、いまのあなたの答弁でありますと、いつも十月の二十日ごろに人事院勧告に対する政府の決定をしておったのに、ことしは八月の末に、五十日も早く出したというのは、これは何でしょう。ただ予算に、予備費の中に五百億程度組んであるという、それだけの問題じゃないでしょう。何かあるはずですよ。税については間違いなく予算を相当オーバーした自然増収がある、こういうお見通しも立って決定しただろうし、その他の理由もあるかもしれませんが、おたくのほうは九月実施だ、こういうことを主張したらしいのですけれども、いまのお答えのようでありますと、例年よりも五十日も早く、言ってみますと、突如として閣議決定をしたことについては、その説明では理由がつかぬじゃないかと私は思うのです。自然増はあったのでしょう。そして、その自然増というのは、予算を組まないで国債の減のほうに向けようというのでしょう。そうじゃないですか。
  60. 倉成正

    ○倉成説明員 自然増がどれだけあるかということは、まだここで見通しを申し上げる段階ではないということを申し上げております。  それから、いまの御指摘は、自然増があった場合に国債の減額に向けるのではないかという御質問のようでありますが、それはそのとおり考えております。やはり自然増があれば、その分について財政の節度を保って、景気の過熱を避けるために、できるだけ将来の借金を減らしていくということは当然のことであろうと思っております。
  61. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私はそういう方法を否定し去るものではありません。しかし、いまの政務次官のお答えですと、総合予算主義財政あって人事院なし、職員生活なし、こういう基本的な考えに立っていると申し上げる以外にないと思うのです。国債を減らすのだ、そのために自然増収は全部つぎ込むのだ、もうよほどの天変地異、ノアの洪水でもない限り補正予算は組まぬというのですから。そうでしょう。人事院勧告は完全に軽視されている、こういうことですね。完全実施完全実施なんて、先ほど来大臣のことばを聞きますと、来年度完全実施をやる心がまえ、またぞろいつも同じこと、人事院勧告のあり方について検討をして予算編成期までに問い合わせるなんて、毎年、毎年言っていることです。案の定、あなたが言ったように、自然増があったらそれはひとつ国債の減額に回そう、経済界がそれを主張しておりますね。それを地で行っているのだ。財政あって職員生活権もなければ、人事院制度もない、こういうことにつながるのではないですか。それは不服ですよ。
  62. 倉成正

    ○倉成説明員 自然増があった場合に国債を減らすということは、やはり国の財政が非常に健全になるということであります。したがって、総需要の中に占める財政の節度を保つということは、結局物価安定その他公務員を含めて一般国民の福祉につながる、さように確信をいたしております。したがって、公務員給与の政府の方針が早くきめられたということは、別にこれとは関係ないというふうにわれわれは考えております。
  63. 細谷治嘉

    ○細谷委員 倉成さん、時間が足らぬようでありますが、ちょっと中にはさましていただいて赤澤さんにお伺いいたしたいのですが、大臣閣議段階において、それなりに地方自治体の財政の問題、地方公務員国家公務員に準ずるべきであるという原則に立って努力をしたことについては私は認めます。これはあなたをはじめあなたの部下は、新聞の記事は全部否定するのですけれども、それが書いてあったから私はこれを信用しています。あなたが、その報道関係のあれによると、たいへんいろいろな点で努力したことは認めます。  そこでお尋ねいたしたいわけですけれども、先ほど来の財源の不足、大蔵は補正予算を組まぬ、そうしますと、勢い地方団体に節減を求める、節減ということばはちょっと財政局長は言いたくないものですから、やりくりということを言っているわけですが、それでもあくまで通すつもりですか、それだけ一言、通すか通さぬか。
  64. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 当面その方針でおります。
  65. 細谷治嘉

    ○細谷委員 当面はその方針――当面その先はどういうことですか。年度内は何か考えているのですか。当面というのは今年度はそういうことということですか。
  66. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ことしはその方針でありますことは閣議できめたわけでございます。ただ、明年以降につきましては、私が先ほどるる申し上げたように、重大な決意を持っておりますし、また例年とおっしゃいますけれども、ことしは閣議できめました扱いについても違っておるということはごらんを願いたいと思います。
  67. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは次に、ちょっと大蔵省は忙しいらしいから……。  大蔵省は去年もたいへんな宣伝をおっ始めたんですが、またぞろ始めておりますね。来年は大体一兆円以上の自然増収があるだろう、しかしその中の相当部分というのは経費の自然増だ、その張本人は地方交付税だ、こういっております。ですから地方交付税はひとつ率を減らそうじゃないか、国税三税の三二%を減らそうじゃないか、きのうあたりの新聞を見ますと、国税三税じゃなくて国税全体にひっかけて二〇%以下に押えるのだ、こういうある新聞の記事があります。  お尋ねしたい点は、財政硬直化の主犯は地方交付税だという考えに立っているのか、それから二〇%以下にするという考えに立っているのか、まずこれからお尋ねしたい。
  68. 倉成正

    ○倉成説明員 地方交付税が国の財政支出の中でかなり大きなウエートを占めておる、また、この制度が所得、法人、酒税の三二%と固定されておりますから、そういう意味で国が財政支出をする場合に一定の制約を受ける、こういう意味においては、私は国の財政支出の中に地方交付税が非常に大きな役割りを果たしておると思っております。  それから、国税の一定比率を二〇%にしたらどうかというような新聞記事を私も拝見いたしましたけれども、大蔵省としてはまだそのようなことは全然考えておりません。また、部内で論議したこともございません。
  69. 細谷治嘉

    ○細谷委員 倉成さんにお尋ねしますが、地方交付税の第一条の「この法律の目的」というところに、これは読んでいると思いますけれども、性格をきめる問題ですからちょっと読ましていただきます。「この法律は、地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能をそこなわずに、その財源の均衡化を図り、及び地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」そこで私はいろいろ聞きたいのでありますけれども、末尾のことばの「地方団体の独立性を強化する」ということを大蔵省はどういうふうに御理解なさっているのですか。
  70. 倉成正

    ○倉成説明員 これは地方団体はそれぞれ地方自治の本旨に基づいてそれぞれの機能を発揮しておるわけでありますから、その意味において財源をこれに付与していくという意味に解釈いたしております。
  71. 細谷治嘉

    ○細谷委員 財源を付与していってそれが独立性の強化になるのですか。大蔵省の意のままになるように、そんなものが独立性の強化になるのですか。
  72. 倉成正

    ○倉成説明員 ことばが足りなかったと思いますけれども、結局交付税の率を法律で三二%というふうにちゃんと第六条できめてあるということは、やはりこれはそういう第一条の趣旨を生かしたものだと思っております。したがって、この法律国会の意思によって変えない限りにおいては、大蔵省の恣意的にできるものではございません。
  73. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治大臣に聞くのはおとなげないから財政局長に聞きます。財政局長、交付税法一条「地方団体の独立性を強化すること」というのは一体どういうことですか。
  74. 細郷道一

    細郷説明員 まあ、独立性を強化するということは、御承知のように自主性を尊重してやるということでございますが、この交付税法の第一条で特にそれが非常な意義を持っておりますことは、やはり一般財源として付与するのだということが大きな意味を持っておる、こういうふうに考えております。
  75. 細谷治嘉

    ○細谷委員 独立性ということと自主性ということはあまり変わりないですね。財政局長答弁、それだけですか。交付税というものは、国で法律を通じてやるんだけれども、それが使途を制限をしない、ひもつき財源でない、自主財源でさえあれば独立性、自主性が強化された、それだけなんですか。
  76. 細郷道一

    細郷説明員 まあ、いろいろ内容を突き詰めていけばいろいろあると思います。あると思いますが、私ども考えておりますのは、本来の地方税を与えるということでございますれば、その地方税によってその団体で何をやるかということは住民と相談の上でできる。その地方税にかわるものとしての一般財源としての地方交付税を与える。そこに地方団体財源的な独立性を保障していく、こういう考え方であるというふうに思っております。
  77. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなたの部下、いまはちょっとかわったようでありますけれども、その人が「地方財政」という雑誌の冒頭にたいへんうまいことを書いてある。あなたよりも視野が広い書き方をしている。読んでみます。  「地方財政は、極めて自主性に乏しい。」これはまあいってみますと独立性に乏しいということですね。「ここで自主性に乏しいというのは、財源内容において自主財源が少ないという意味」ばかりでなく――文章は「意味ではなく、」と書いてありますけれども、私は意味ばかりではなく、こう言っているんですよ、あなたのやつを一つは認めて。「財政の見透しを立て、これを運営する上において、国の施策ないし措置に左右されざるを得ないということである。」財政の見通しが立たぬというのです。毎年毎年幾ら交付税がもらえるのか、そういうことがわからぬようでは、いかに自主財源があったって、これはもう不安定で自主性もない、独立性もない、こういうことを言っているんですよ。量ばかりではなくて安定したものでなくちゃいかぬ、そういうことなんです。  ですから、いってみますと、国から恩恵に交付税をやっているんじゃなくて、一条の精神に基づいて自主性を強化するために一般財源として交付税を与える。いってみますれば、これは国と地方との間の法律による財源の配分ですよ。しかし三千数百ある地方団体の中には格差がありますから、国においてひとつそれを調整してやろうという意味において平衡交付金制度から地方交付税制度というふうに発展したものなんですね。  ところで、私はずばり言うと、地方団体というのは自主性に乏しいのは、一つは自主財源の量が少ない。その量が少ないところへ持ってきて毎年毎年不安定だ。もらってみなければわからぬ。先ほど倉成次官は、いや六条によって三二%ときまりましたから、こう言っているわけだ。   〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕 こう言っているわけですけれども、一体今日の地方交付税制度というのは、法律の五条の精神に基づいて着実にやっていますか。やっていないでしょう。五条が基本なんですよ。五条があるから六条があるのですよ。そういう点からいくと問題である。  そこで私は大臣にお尋ねしたいのです。先ほど公務員給与財源問題で、アリの穴からでも災害が起こる、こう言って、四十二年度の交付税は三二%で計算しましたけれども、四百五十億あなたは国に貸したじゃないですか、これは大阪城の外堀を埋めるものだと私は申し上げた。いや、断固そんなことはない、こう言いました。そうして、頭のいい人は違うわね、四百五十億円貸しておいて、そうしてそれは来年以降三カ年で百五十億円ずつ返してくれ、こう言っている。そうして新たに二百五十億円というやつを借りてきて配っておる。こんなばかばかしい、手間のいった、しかも基本を忘れたことをやっていらっしゃるわけです。今度出てきたでしょう。大蔵はまた来たでしょう。三二%じゃないですよ、出てきたのは。三〇%だと言っているかと思うと、今度は国税全体にひっからめて二〇%――二〇%というのは、そろばんの強い大蔵省が一体どういう形で出したのか、私はきのうちょっと計算してみた。かりに国税全体の二〇%になりますと、交付税というのは三〇%ではないですよ。二四%くらいになっちゃうのですよ。そんな数字をぬけぬけと――少しことばが倉成さん、失礼ですが、ぬけぬけと出している。新聞のことだから責任がないといいましても、新聞にはうそを書いてない。いつまでも大体新聞に書いてあることはほんとうですよ。そうでしょう。去年もそうですよ。ここで何べん聞いても、私は、あなたの前の政務次官、一体自然増は幾らあるのですか、新聞では一千億から一千二百億あると言っていましたよと言いましたら、いや、五百億円くらいでしょうと言っている。どうですか、二カ月ばかりした補正予算段階では、千七、八百億円の補正予算を組んだでしょう。新聞に書いてあるのはほんとうですよ。煙が立てばどこかに火元があるわけなんですね。  そこで、倉成さんにお尋ねしたいのです。いま私は財政局長とやりとりしたのですが、交付税というのは、大蔵省が恩恵に自治省に事務をさせて配ってやっているものなんですか。恩恵的なものですか。補助金的なものなんですか。国が都合が悪ければいつでも変更できるものですか。法律の六条があるからそれは変えてもらわなければいかぬとおっしゃっていますけれども、大蔵省はたいへんなことを言っているのですね。   〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕  そんなものなんですか。
  78. 倉成正

    ○倉成説明員 地方交付税の格性についてはいろいろ御議論があろうかと思いますが、私どもはやはり地方交付税の本質は、地方の財政調整資金だというふうに考えております。地方交付税法の中でも第六条の三にございますように、地方団体財源の不足額と普通交付税の総額とが著しく異なる際には、地方財政制度または地方交付税率の変更を行なうたてまえになっておるわけです。したがって、地方財政が非常に悪い場合には、過去において、この税率の変更を行なって、四十一年度において三二%になっておるわけですから、やはりこれは全体の財政を見ながら、最も地方財政が健全になるように働かしていくのが地方交付税のあり方であろうと思っております。
  79. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方交付税法六条の三の条文を取り上げられて「著しく」ということばがあるのですが、この法律立法の際、「著しく」というのは百億円だというのです。百億円狂ったときに交付税率を変えたという例はないのですよ。立法の趣旨にはずれている。これはまあこの本に百億円だと書いてある。大体それが定説のようですね、昭和二十八年ごろの話ですが……。  そこで、倉成さんはいま多数おる政務次官の中でも、とにかく一番まじめに勉強するトップの政務次官だ、こういわれているのですから、やはり三千数百の地方団体のことを考えていただきたい。そして、この交付税制度の由来というものは、国から恩恵的に与えた財源ではない、国の都合によってこの法律は改正すべきものではない。いってみますならば、県や市町村のその基準財政需要額、そういうものを積み上げて、収入を積み上げて、そしてその差額というものが交付基準になっていく、こういうのが法のたてまえなんですから、これは簡単に動かす筋のものではない。いってみますならば、これは国税という名で取っておりますけれども、その三二%というのは地方の固有財源だ、こういう理解に立つべきではないか、私はこう思うのですが、そういう理解に立つことはできませんか。
  80. 倉成正

    ○倉成説明員 国が恩恵的に与えている、こういうものではない、これはもう御指摘のとおりだと思います。これはやはり地方の財源をまかなうために第一条の精神に基づいて交付されるのが地方交付税の本質であると思います。しかし、さればといって、この法律の中にも明記してありますように、やはり財政需要が著しく異なったら地方交付税の税率は上げる場合もありましょうし、下げる場合もある、これは当然のことじゃないかと思うのです。ただ、その場合に、大蔵省なら大蔵省が恣意的に、ちょっと苦しいからこの税率を下げるというようなことはやるべきじゃない。客観的な標準で、どう見ても地方交付税を下げるのが至当だと考えるならこれを下げるのが地方交付税法の精神であろうと私は思います。また逆の場合も成り立つ、かように考えております。
  81. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それは、いまおっしゃった六条の三というのは、地方制度が変わったり、あるいは地方団体のいろいろな事情、そういうものから来るものであって国の都合ではないのですよ。新聞等における大蔵省の交付税率を変えようという理由ははっきりしておりますね。財政硬直化だ、これが一つの原因。だからそれを減らさなければいかぬ、これが一つ。もう一つは、今日の経済社会の中においては、国はフィスカルポリシーというものを進めておるのだから、そのフィスカルポリシーのワク内に地方財政を置かなければならない。いまや、フィスカルポリシーというワク内に完全に閉じ込めるというなら、憲法に書いてある地方自治の本旨なんというものは吹っ飛んでしまうのです。しかし、大蔵省がねらっているのは、フィスカルポリシーのワク内に入れて国がコントロールできるような地方財政、そういうものにしたい。出す分が多いからその額を減らそう。絶対量を減らそう。質と量と両方ねらっているのでしょう。地方財政面、地方自治の本旨という面から見て、質と量と両方ねらっての話なんですよ。これはたいへんなことですよ。そうでしょう、質と量、フィスカルポリシーに協力させよう、そのワク内に閉じ込めよう、額が多いから減らそう、この二点に大蔵省のねらいがあると理解してよろしいですか。
  82. 倉成正

    ○倉成委員 細谷委員におことばを返すようで恐縮でありますが、やはり地方財政もフィスカルポリシーと無関係であってはならないと思います。それは、御承知のとおり地方財政は公経済の中に占める比重が非常に高いわけであります。四十三年度の国、地方の財政を通じて考えてみますと、国の一般会計財政が五兆八千百八十五億、地方の一般会計の場合五兆六千五十一億、大体同じ程度でございます。しかし、国の場合には、地方に対する国庫支出金あるいは地方交付税、こういうものがございますから、これを差し引いたもので比較をいたしますと大体一対一・八ということで、地方の規模のほうが国の約二倍になっておるわけであります。したがって、景気政策の点から考えますと、国民経済全体の健全さを保つためには、やはり公経済である国、地方の財政を通じて健全であるということが必要でありますから、そういう意味において、財政運営の態度として国民経済を誘導するといういわゆるフィスカルポリシーを考える場合には、地方財政も当然これに協力するのがあたりまえだ、当然のたてまえじゃないかというふうに考えております。
  83. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなたは規模の点からお話があったのですけれども、私も、地方自治の本旨、それを推進する地方団体、その台所である地方財政というものはいまや国の予算とほぼ変わらない、いってみますと、決算額においてはおそらく国の予算より上回っておるでしょう。それが今日の実態です。しかし国の予算地方財政計画というものを見ますと、ここ十年ばかりの間には地方財政計画が国の予算を上回ったというのはたった一ぺんしかないのです。あとは全部国の予算のほうがわずかに上回っておるというのが実態です。しかし、決算額は地方団体の決算額の総額のほうが上回っておったでしょう。  そこで、あなたのおことばに対して、私は地方財政いうものはそれほどの規模を持っておるのだから、国がフィスカルポリシーというものを推進しておるのに、それをじゃますべきだとか、自治体だから無関係だとか、こういうことを申し上げておるわけじゃありません。それは協力すべきことは協力するということはあたりまえであります。そのワク内に閉じ込めるということは、もはや憲法に書いてある地方自治の本旨を無視したものだ、こういうことになる。私はこういうことを主張しておるわけです。しかし、大蔵省のおっしゃっておるのは、文字どおりそうじゃないですか。あまりにも大きい地方財政計画になり過ぎた。これをコントロールせぬ限りはフィスカルポリシーを推進することはできない。それだから国税三税を対象にするのじゃなくて、租税全体を対象にして一定率にしようじゃないかという理論まで発展してきておるのが何よりの証拠ですよ。そういう考えでは、大蔵省はいまや憲法に書いてある地方自治を否定するトップに立っておる犯人だ、こう申さなければいかぬ。犯人というのはことばが悪いですけれども、私ども立場からいうと犯人ですな。私はそう思うんですよ。そこで、あともう一点尋ねたいのですが、自治大臣、そういう経過で、けさの新聞によりますと、あなたのところの事務次官が大蔵省の主計局長と話し合って、これは地方の固有財源的な性格を持っておるのだから、調整的な財源であって、その本質が地方団体の固有のものであるから、一般会計にのせるのじゃなくて、税収の三二%相当額というものを直ちに譲与税特別会計に入れていけ、目的税もそういうふうにやっておるのだからそういうふうにしろという主張をしたのだけれども決裂したと、けさの新聞に報じております。これはけさの新聞ばかりでなくて、前にも新聞に出ておりますが、自治省はどういうお考えなんでしょうか。
  84. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私が不在中に事務次官が申したことは、省内では当然そういう考え方に立っておるのでありまして、大臣としても、これは常に主張しておるところでございます。先ほどからの御議論ですが、細谷さんは地方財政には非常にお詳しい方でもありますし、私どもとしては全面的に共感する議論を展開してくださっておるわけですが、大体自然人であれ法人であれ、税金を納めます日本国民全体の累積というもののうち、七割は国がとって三割しか地方には財源として与えられておらぬわけですから、ここにもやはり、これで必ずしも地方自治の本旨にもとらぬだけの行政ができるかどうかということは、みなそれぞれ考えはありましょうけれども、私たち立場からいたしますと、まだ税源の配分については不十分であるという考え方を持っておるわけでございます。  そういうこととは別に、何か恩恵的に、大蔵省のごきげん次第で交付税が多くなったり少なくなったりすることは、はなはだ地方行財政を運ぶ上において安定性を欠くわけですから、柴田君が言いますように、こういうふうに法律で明確にしてあるのなら、一たん国に入ってそれを配分するという形は疑問を起こす余地もある。だから譲与税みたいな形で、国を飛び越えて特別会計に入る仕組みになっておれば――私はそういう扱いになるのが当然だと思っておる。しかし、それがいまのような姿になっておりますために、何か金額が大きくなったものだから目ざわりになるということ自体が間違いなんでして、私どもの判断では、交付税は少なくともじかに特別会計に入るようにしてほしいという主張を持っておるわけでございます。
  85. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣のその主張は、それはそれでいいでしょう。税の性格からいって、道路目的税もそういう形にしているのですから。けさの新聞を見ますと、自治省側はこういう考えをとっているのですね。一般会計を経由しないで特別会計に一ぺんに移してしまえ。それに対して新聞によると、「自治省側は特別会計になると1三二%の税率が固定化する2地方財政の好転を理由に国側から削減を要求することができなくなるが、その半面地方としても赤字を理由に交付税率引上げを要求できなくなる」こういうことが書いてある。これはちょっとおかしいでしょう。そんな消極的なものですか。三二%はもう完全に大蔵省から攻撃をかけられて受け身になっているから、必死に三二%を守るのだ、そのために目立たないようにこそっと三二%は特別会計に入れちゃえ、そのかわり、ふやすことはできないけれども減らすときはこれは防波堤になる。こんなものなんですか。むろん自主財源、交付税じゃなくて――交付税制度の必要性は当然でありますけれども、これ以上交付税率を上げるということの是非については、私は意見を持っておる。しかし、この自治省の態度というのは、この前、この春の交付税の際に、あなたが開き直った態度どころじゃなくて、たいへん追い詰められて、これは全くズロース一枚になったような姿じゃないですか。そんなに押し込まれているのですか、この新聞の記事をほんとうとするなちば。この新聞の記事は、三二%を防備するためのあれであって、もう攻撃のことは考えていないのだ。別のほうの、攻撃は自主財源の増強か何かで考えているのだ、こういうことなら話は別ですよ。これに関する限りは、自治省の姿勢は何もない。恥も外聞も忘れて、去年大阪城の外堀を埋めた。だから何とかひとつ淀君を助けてくれというような姿じゃないですか。徳川家康にこびを売るような姿勢ではいかぬと思うのですが、いかがですか。
  86. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どの新聞がどう書かれたか、私はしさいには読んでおりませんけれども、もし細谷さんにそういう印象を与えたとしたら、これは大失敗だと思います。交付税率がきめられてあるのは全然別の角度からであって、これは国会の議決によって伸び縮みがあり得ると私は思います。絶対固定したものであるはずはない。しかし、とにかくこっそり裏から特計に入れておけばとやかく言われぬで済むという、そういう消極的なことではありませんので、やはり一たん国に納まったものが相当大幅に固定して交付税に流れるということになるものだから、何か恩恵的に地方団体を国のほうでめんどうを見ているのだという考え方が出るとすると、根っこが間違っているから、そういうのではないのじゃないか。何も一たん国に納めなくたって、右から左に直通で特計に入れておけばいいじゃないかということだけ言ったにすぎないはずでございます。その余分のことは、何に書いてあったか知りませんけれども、私はそういう消極的な考え方でないということだけは申し上げておきます。
  87. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣の姿勢は、春の答弁からいけば、そういう姿勢でなくちゃならぬと思うのです。  そこで、私は倉成さんにお尋ねしたいのであります。交付税を決定するにあたって、これは地方制度調査会の答申等に基づいて国税三税、いわゆる所得税、法人税、酒税というものが選ばれたのでありますけれども、国税全体ではなくて、交付税の基礎として三つの税が選ばれた経緯というものについて、あなたは御承知ですか。
  88. 倉成正

    ○倉成説明員 こまかい経緯は承知しておりません。しかし、大体税の伸びから考えましてこの三税を選ぶのが妥当であろうという判断に立ったと思います。  もしあれでありましたら、主計官が参っておりますから御説明いたさせます。
  89. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 私も的確な御答弁ができかねるかもしれませんが、私が調べた限りの文献によりますと、特に法人、所得、酒税の三税を選びましたゆえんのものは、法人税は非常に伸長性のある、あるいは伸縮性のある税金である。それから酒税は最も安定的な税金である。それから所得税はその中間的なものである。したがって、この三税であれば安定的な成長といったことが確保できる、こういう意味で三税が選ばれた、このように了解しております。
  90. 細谷治嘉

    ○細谷委員 主計官のお答えでありまして、この本にも書いてありますが、ちょっと読んでみます。「これら主税は、いずれも国税中その収入額の大きな主要税目である。地方財源の確保と地方財政の安定化をねらった交付税としては、そのリンクすべき国税は、収入額の大きな税目であるとともに、伸張性と安定性という二面の性格を持ったものであることが必要である。この点を考慮して、最も景気の変動に対し敏感であるが、その伸張性も極めて強いものとして法人税が、景気変動に対し安定性の強いものとして酒税が、その中間でしかも着実な伸びを示す所得税がそれぞれ選定されたものである。」こうでしょう。これはやはり調整的な性格を持った税として、地方制度調査会が審議に審議を重ねて結論を出したわけですね。  そこで、大臣にお尋ねしたいのであります。伸長性、いわゆる税の弾性値ということで表現されるわけでありますけれども、ひとつこの国税三税の弾性値と、大蔵省が考えている税全体に対する弾性値はどういうものであるか、どういうふうに交付税に影響してくるのか、これをひとつわかりやすく説明してください。
  91. 倉成正

    ○倉成説明員 自治大臣からお答えになる前にちょっと私から申し上げますが、大蔵省が考えておるというおことばでありますが、一番最初に申し上げましたように、国税の一定比率ということについては大蔵省としては考えておりません。ですから、新聞記事にそう載っているかもしれませんけれども、それを前提として御議論になることはいかがかと思います。
  92. 細谷治嘉

    ○細谷委員 国税全体ということは考えておらぬということであります。私はそうだろうと思うのです。  私はちょっと試算してみました。昭和三十年から四十年までの税の対国民所得弾性値、これは国税は一・四五ですよ。道府県税は一・四二です。市町村税は一・〇九です。ですから国が一番伸長性がある弾性値の大きな税をかかえている。その次にわずか下がるけれども道府県税です。市町村に至っては一・〇九です。格段の差がある。そこで、その場合の源泉所得税は弾性値が幾らかというと二・二九、申告所得税が二・三六、法人税は一・三八、酒税は〇・七七です。そこで私は、大蔵省がいま否定なさったのですが、かりに国税全体ということにいたしましてこれを加重平均してみました。加重平均してみますと、国税三税の昭和四十三年度予算から見た加重平均の弾性値は一・八九になるのです。それを弾性値が一・四五の国税、租税全体に置きかえようということになると、地方団体はたいへんなことになりますよ。申すまでもなく、ゆさぶっておいて、とにかく国会が済んでみなければ予算が組めない、こういう状況、仕事もやれない、そういう不安定な状況、いざもらってみたら量は減っておった、こういうかっこうになるわけですから、これはあなたが何と言おうが、実質上地方自治の無視です。憲法の地方自治の本旨に沿うておらぬ、こういうふうに申し上げなければならぬと思うのです。しかし、倉成政務次官は、いま、そんな国税全体なんて考えておらぬ、やはり国税三税というのが基本だ、こういうお考えであります。私が申し上げたように、この数字から言いましてもそうでしょう。弾性値のきわめて低いものに取りかえたら、その当年度はいいかもしれないが、二年、三年目となったらたいへんなことになるわけですから、そんなことは頭のいい数字に詳しい大蔵省はとらぬと思うので、倉成さんのおことばは千釣のものとして私はこれを受け取っておきます。  そこで、倉成さん、門司さんの関連質問があるそうでありますから私は途中でちょっとやめますが、先ほど来おっしゃったように、あんまり毎年毎年交付税でけんかすることはよろしくない。三千数百の地方団体予算が組めない。しかもこれを財政硬直化の犯人にするなんということはけしからぬことだ。さらには国のフィスカルポリシーのワク内に閉じ込めるなんということはできない。協力はいたさなければならぬ。これは次官の言うとおりであります。そういうことでありますから、ひとつこの問題については――私は別に地方団体立場に立ってものを言っているわけではありませんで、やっぱり民主主義の土台というのは地方自治の本旨を実現することだ、こういう観点から申し上げておるわけですから、ひとつ最後にこの交付税をめぐっての税の問題もいろいろ聞きたいのでありますけれども、時間もあるようでありますから、租税全体なんということは考えない、それなら、国税三税という基本線でいくのだから、交付税率というのはそんな簡単なものじゃない、交付税法六条三なんということで大蔵省が持ち出すべきものじゃなくて、それは自治大臣が持ち出す筋のものだ、こういうふうに理解をすべきものだと思うのでありますが、ひとつ政務次官の答弁を聞いておきます。
  93. 倉成正

    ○倉成説明員 国の財政が健全であると同時に、地方の財政がやはり健全でなければならないと私ども考えております。それから、国と地方との関係もやはり相互信頼に立って、あまりぎすぎすしたものでないように、できれば有無相通じていくのが望ましい姿だと思っております。どちらかというと、率直に言わしていただけば、少しそういう点で欠けている点が従来あったかと思います。しかし私は、やはり国も地方も財政もともどもにそれぞれの目的で仕事をしているわけでありますから、いずれを重しとし、いずれを軽しとすべきものではない、したがって、相互の信頼関係に立ってよく話し合っていくべきものであろうというのが私の考え方でございます。
  94. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、私が申し上げたように、去年は一般の人は外堀が埋められだといっておるのですから、もう四十四年度予算を組むときにはそういう心配は要りません、倉成次官もおっしゃったのであります。地方団体の独立性強化のために、これはひとつ私が責任を持って保証します、そんなことはありませんからそういう線で安心して予算を組みなさい、計画を立てなさい、こういうふうに言うということをひとつここで約束してください。
  95. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 はっきり約束をいたします。大体先ほど議論になっておる交付税の扱いについて、火のないところに煙は立たぬとおっしゃったけれども、何かいろいろな情報が乱れ飛んで紙面をにぎわしておることははなはだ遺憾に思います。先ほど、去年は外堀を埋められたとおっしゃったけれども、私はそういうふうに考えてはおらぬ。ずいぶんそのことは委員会で幾たびか議論をしましたけれども、これは御案内の一年限りの特例措置としてやったまでであって、例外中の例外ということを幾たびか申し上げました。その理由も申し上げたはずです。しかし、そういううわさが流れておる重大な問題の扱いについて、私も深く決するところがあるわけですから、いろいろな方々に相談いたしまして、私はいまここでぱきっと言うことがありますけれども、向こうさんのほうの火元が大蔵大臣か何かわからぬ、大蔵大臣が何か正式にそういうことを言ったということになったら、私は即刻それを打ち返すという準備はしておりますけれども、いまの段階で私がものを言えば、何か風声鶴唳の形になるかもしれませんから差し控えてはおきますけれども、非常に強い決意はしておりますので、その点は御安心をお願いいたします。
  96. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷君の発言中でございますが、大蔵政務次官に門司亮君が特に質問をしたいということでございますからこれを許します。門司君。
  97. 門司亮

    ○門司委員 次官、忙しいそうでありますから率直に聞いておきますが、きょうは、実は次官がおいでになったら、ほんとうに地方の財政状況がどういうものであるかということを大蔵省の立場から聞きたかったのであります。自治省には始終申し上げておりまして、これは私は答弁は要らぬと思いますけれども、御承知のように、大蔵省はもう少し見てくれないと、高度成長政策の陰におくれておる社会資本のおくれは一体だれが取り返すか、どんなに福祉国家、福祉国家といわれても、下水の問題にしてもインドよりは少しいいような程度で、経済だけが、世界の三番目といっておる国が一体どこにありますか。これは地方の財政ですよ。そういうものを地方はやりたい。道路がこういうふうにたくさん自動車ができて交通災害が起きておる、このしりぬぐいをだれがやっておりますか。これも地方がやらなければならない。人口の流動性が非常に多い、そうして過密都市ができる、そこには常識で考えられないほどの財政需要が待っておる。教育も云々しておるけれども、大都市に行ってごらんなさい。満足な教育の場所がございますか。一つの学校に二千人、三千人、プレハブの校舎でなければできないような状態で一体国の教育といえますか。大蔵省はものをお考えになるなら、ただ資本家の手先みたいなことだけで、国の成長率がこれだけだからといっていばっておること自身がおかしいと思うのです。社会資本のおくれをどう取り返すかということ、これは何も自治大臣だけの責任でも何でもない、国全体の責任なんです。そういう点についてもう少し大蔵省は目をあけてもらいたい。これについてここにたくさん書いてはおりますけれども、これを一々聞いておりますと長くなりますからそのくらいにしておきます。  もう一つの問題としてぜひひとつ明らかにしておいていただきたいことは、先ほどからちょっとした議論がございました。これは参議院の内閣委員会か何かで相当突っ込んだ議論があったそうでありますが、税収の伸びからくるあとの始末について、先ほど次官は国債の償還に充てるとおっしゃったが、これは非常に重大なことでありまして、御承知のように公務員給与はどう定めなければならないかということであります。人事院勧告を尊重せよと書いてある。ただ、その場合に、財政その他をおもんぱかって、予算財政上という文字が入っておるだけでありまして、これは従であります。予算があれば当然人事院勧告を尊重しなければならない。そうなってまいりますと、税収の伸びがあって国債を減らすなんという能書き――能書きというと悪いかもしれぬが、そういうことをおっしゃっております前に、こういう国債の減額をする、あるいはこれを償還をするよりも、それだけ余裕があるならば、人事院勧告についてさかのぼってこれを支払うのだ。たとえば、いままで財源がないから八月に一応きめておりますが、財源があれば五月にさかのぼって支払われるということがこの人事院勧告の本旨であり、また国のとるべき処置だと考える。公務員に対するきわめて親切な一つの処置だと考える。おおよそ国の行政にいたしましても、地方の行政にいたしましても、その行政に携わっておるものの協力がなくては満足な行政は行なわれません。私は、国がほんとうに真剣に国政の遂行を円満にやっていこうとするならば、やはり公務員に対してそうした配慮がなければならないと思う。先ほどの御答弁はひとつ訂正しておいていただきたいと思うのだが、どうでしょうか。
  98. 倉成正

    ○倉成説明員 前段の地方自治が非常に末端行政をあずかっていろいろな困難な問題に直面しておるという点、また、これを大事にしなければならないという点については、門司委員と全く同感でございます。  後段の、公務員給与と自然増収との関係でございますけれども、自然増収につきましては、先ほども申し上げましたように、現在では七月末で三一・九%という収入がある。昨年に比すと若干よろしいわけでありますけれども、しかしこれは所得税の特に源泉分についていいわけです。法人税あるいは酒税、物品税、印紙税収入においては、昨年の七月末の収入歩合よりも下回っておるという現況でありますから、軽々に自然増収が幾らあるということは申し上げるわけにはいかないということを先ほどからるる御答弁申し上げておるわけであります。かりにこれの増収があった場合にはというお話でありますから、そういう場合には、やはり国の財政を健全化するために国債の減額ということは当然考えるべきじゃないか、さような意見を申し上げたわけでございます。
  99. 門司亮

    ○門司委員 私はその最後のところをひとつ訂正しておいてもらいたいと思うのです。税収の伸びがあるかないかわからぬというのが現状です。あなたのおことば、あるいは大体そのとおりかもしれない。しかし、その先に――同じ仮定の問題ですよ。いまのお話も、いまの現実を踏まえた仮定の問題であって、伸びるか伸びないかわからぬというわけです。増収のあった場合はこれを国債に回すんだというお考えをここで聞くことは、私はきわめて不穏当だと考えております。お金があるならば、なぜ一体人事院勧告を尊重しないか。何もさかのぼって払って悪いという規則はどこにもない。現在最高裁で裁判しているでしょう。あなたは御存じでしょう。人事院勧告が過去にわたって満足に支払われなかったということは憲法違反だといって裁判しているのは事実でしょう。そういうことを考えると、私は先ほどの答弁はあまりにもむちゃな答弁だと思います。自然増収がなければないでよろしいのですよ。あったらこっちに回すのであって、公務員給与については人事院勧告を尊重するという法律がありながら、これを尊重しないで、そうして八月に据え置くということは、私は大蔵省の考え方は少し間違いではないかと考えておるから、その点をひとつ、できればここで、税収の伸びがあればこれを国債の償還に回すのだというようなことはひとつ取り消しておいてもらいたい。もしそれが取り消せないとすれば、これは公務員全体にとってかなり大きな問題になりはしないかと考える。その辺をひとつはっきりしておいていただきたい。
  100. 倉成正

    ○倉成説明員 税収の伸びにつきましては、まだ全体の三割程度の収入歩合でありますから、今後どうなるかということはわからないということを申し上げたわけでありますが、さらに、あった場合どうするか、国債の減額をしたいという希望を大蔵省は持っておりますけれども、方針をきめたわけではございませんから、この場で申し上げるのが適当でないということであれば訂正をいたしておきます。
  101. 門司亮

    ○門司委員 私は、さっきから申し上げておりますように、人事院勧告はぜひ尊重してもらいたいからさようなことを申し上げているわけであります。金が余れば国債に回す、あまりにも国の御都合主義であって、公務員のことをちっとも考えないような大蔵省の発言については、いまお話がありましたのでそれでよろしいかと思いますが、もう一つ、これはついでですかち、このことだけを自治大臣に聞いておきたいと思います。  御承知のように地方公務員給与国家公務員に準ずるという、こういう規定になっております。しかし、これは例の地方公務員法の中の一つの文句である。ところが、地方の自治体本来の姿である地方自治法の百三十八条における市町村長、都道府県知事の権限について一体どういうふうに考えるかということは、私はその次の問題として出てきはしないかと思う。したがって、何かの関係で非常に給与の安いところがあったり、あるいは給与が少しぐらい高くっても、いろいろな関係でどうしても給与を上げなければならない。国は八月だが、私のところは七月からやるとか、あるいは六月からやるとか、五月からやるとかいうような意見が必ず地方の自治体ではあると思う。そういう場合に、一体自治省はどういう態度をとられますか。大蔵省はどうですか。まさか、そういうことをやったからといって百四十六条を発動するわけには私はいかぬと思うが……。
  102. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 自治省は地方行政の指導あるいは監督をする機関でございますので、やはりそれぞれ特殊事情地方公共団体ごとにあるとはいえ、一方は八月、一方は五月などという乱雑なことになりますと、やはり行政運営全体から考えていい形ではありませんので、私どもはできるだけ全国同じにしていただくようには指導はいたしたいと考えております。
  103. 門司亮

    ○門司委員 だからそれは監督だけにとどまるのであって、さっき私が百四十六条をちょっと言いましたのは、百四十六条は制裁規定なんですね、国務大臣その他の地方の長に対する。だからこれを適用されるかどうかということなんです。
  104. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それぞれの事情によってどういう扱いをかりにされたとしても、こういうことで制裁規定まで発動する筋合いではないと思う。その前段階で今日の経過等よく訴え、また、将来こういう処置をとりますからということで、みな理解していただけるものとかように考えております。
  105. 門司亮

    ○門司委員 これも時間の関係でそう長くお話しするわけにはいかないかと思います。  最後にもう一言だけ聞いておきたいのは、いま細谷君からいろいろお話しになりました大蔵省と自治省の間の交付税をめぐるいろいろな問題、あなた方のほうではそんなことはやったことはないのだ、そんなことを聞いていると言うけれども、火のないところに煙はたたない。これは新聞記者の諸君が捏造してそういうことを書きはしないと思う。どこかでそういうことがあると思う。  そこで、考えていただきたいのは、交付税の性格で先ほどからいろいろ議論されておりますけれども、御承知のように交付税の沿革というのは非常に古いのでありまして、昔からいえば大正年代からこういう形があり、あるいは明治の時代にもそういう意見があったことは事実であります。地方の自治体がたくさんあって、そうしておのおのやる仕事は大体同じようなことをやらなければならぬが、財政は非常にまちまちだから、これを何とか補給していかなければならぬという形は昔からあったわけであります。それがいろいろな形で今日の状態まで続いてきた。そこで税制上の一つの大きな問題として考えていただきたいのは、戦後の税制は大体一物一価の原則を貫いております。戦前は御承知のように付加税制度をとっております。ここに税の変革、地方と国との間に非常に大きな変革がもたらされておるのであります。所得税付加税あるいは営業税付加税というようなことで、まごまごしておれば本税よりも付加税のほうをよけい取ったという例がたくさんあるのであります。したがって、戦前の地方の財政は豊かであったということがいまでもいわれている。これは付加税制度があったからです。ところが、戦後は税金税金をかけるということはいけない、一物一価の原則を貫こうということでいまの税制に落ちついている。  そこで、どうしても問題は、国がみんなとってしまうということになると地方はどうにもならないということで、これは一応は交付金にしたが、交付金にすると、大蔵省がかってに上げたり下げたりして国の御都合でやったりする。同時に、積み上げ方式でなければならないものが、それができないので、事実上困難だから、結局国のあてがいぶちで、税という字をくっつけて――くっつけてというと語弊がありますけれども、税であれば地方自治体が徴収すべきであるが、これを国に頼んで、当然の地方自治体の権利としてこれを認めたということである。したがって、これは地方自治体の固有の財源であるということは間違いないのであります。その辺は大蔵省でも十分考えてもらいたい。同時に、固有の財源として間に合わないというならば、これは税率で間に合わないというならばこれを増額することは当然であって、これを減額すべき筋合いもなければこれをいじる筋合いもない。  私は、昨年の処置からことしの――新聞を通じて見た大蔵省のものの考え方については非常に大きな不満を持っておる。当然地方にいくべき四百五十億という金が地方にいかない。そうして、さっき冒頭に申し上げましたように、社会資本の非常なおくれというものと高度成長政策のひずみからくる地方自治体の今日の財政の困難性――公害なんというものは昔はほとんどこういうものの対策はなかったはずである。ところが、公害はどうにもならぬでしょう。交通、住宅、あげて国の高度経済成長のひずみが全部地方にかけられているときに、私は、自治省と大蔵省との間で財政の問題で議論されるということは非常に不愉快であり、同時にまた、大蔵省に対して非常に大きな不満を持っておる。きょうはこれを議論する時間がありませんからこれで質問は終わりますけれども、大蔵省としても特にその点をお考えを願いたい。それで自治省としても要求すべきものはもう少し目を上げて要求する必要があるのじゃないか。おれたちは自治体を監督しておるんだという考え方の中でやられると困る。自治体を監督しているんだ、監視しているんだというのではなくて、自治体のたよりは自治省なんですから、したがって自分たちの下には三千幾つかの市町村があるんだという親心を持ってもらわなければならないが、どうも自治省のものの考え方というものは、大蔵省に追随しておって、大蔵省から言われればそれを受けて立つというような弱腰では困る。これは私は意見だけ述べて質問を終わります。答弁は要らないと思うが、何か自治大臣言いたいことがあればお言いになってけっこうであります。
  106. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷治嘉君。
  107. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんから、行政改革の点を質問したいのですが、その前に人事院一つだけお尋ねしておきたいのは、今度の人事院勧告内容はそのまま実施される、実施期日だけに違いがある。   〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕 この前もこの委員会で問題になったところの特別昇給制度というのは勧告のワク内に入ってきたわけですけれども、それは国家公務員法のどの条項に基づいてやったのですか。それだけ明らかにしておいていただきたい。
  108. 渡辺哲利

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  特別昇給につきましては給与法の第八条でございます。第八条七項に「職員の勤務成績が特に良好である場合においては、前項の規定にかかわらず、同項に規定する期間を短縮し、若しくはその現に受ける号俸より二号俸以上上位の号俸まで昇給させ、又はそのいずれをもあわせ行うことができる。」この条項でございます。
  109. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大体あなたのほうの俸給表というのは国家公務員法六十四条でできたものなんでしょう。そうでしょう。六十四条というのは、「生計費、民間における賃金その他人事院決定する適当な事情を考慮して定められ」る。いまおっしゃったのは「人事院決定する適当な事情」という形で入れたということですね。
  110. 渡辺哲利

    ○渡辺説明員 勧告の中に入れましたのはそういう趣旨ではございませんで、勧告のほうは俸給表の改定という形でいっております。その俸給表の改定の中で普通昇給なり特別昇給なりが行なわれるわけでございまして、その昇給もしくは特別昇給等はもちろん公務員給与水準の上昇の一因でございます。そのような意味におきまして、勧告の中で取り上げることもまた考えて差しつかえないのではなかろうかというような意味勧告の中に取り入れたわけでございます。
  111. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはワク外に出すべき筋合いのものじゃないのですか、簡単にお尋ねしておきます。
  112. 渡辺哲利

    ○渡辺説明員 特別昇給につきましては、過去に特別昇給のワクを五%から一〇%に広げたことがございます。そのような場合に、勧告の中でやるか、あるいは財政当局と御相談の上予算措置でやるかといういろいろなケースがございますけれども、それは予算措置でやるということも一つ方法ではございますが、いずれにいたしましても、特別昇給公務員給与水準を上げるという一つの要因であるということを考えますれば、それは当然勧告の中に取り入れても差しつかえないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  113. 細谷治嘉

    ○細谷委員 勧告の中に入れるというのはおかしいと思うのです。生計費、民間の賃金その他のもの、こういうものが尺度、こういう形になっておるわけでしょう。内容のことをすでにきめられたので、ここであまり時間を費やしたくないけれども、たいへん人事院の姿勢に問題があるものですから、私はこの点を簡単に質問したいわけであります。この種のものは生計費、民間の賃金その他、そういうものを勘案してあなたのほうは精密な資料に基づいてできたものですから、それをワク内に押し込むということはこれはよろしくないということだけを申し上げまして、時間がありませんからこれであなたのほうは失礼いたします。  そこで、行管おりますか。――行管が二月の閣議決定に基づいて行革三カ年計画というものの策定に当たったわけですが、大体において八月一ぱいに閣議決定をするということになっておったわけですけれども、一体どうなったのか、お尋ねします。
  114. 河合三良

    ○河合説明員 ただいまお話しの閣議決定に基づきました行政改革案につきましては、六月三十日におきまして各省庁より各省庁の改革案を提出いたしまして、これを行政改革本部において調整をいたしました結果、八月三十日の行政改革本部におきまして行革の第一次計画を行革本部案としては決定いたしております。その後さらに引き続きまして、第二次以降の案を策定いたしまして、十二月十五日までにこの計画の策定を終わるという予定にいたしております。
  115. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この第一次計画は八月三十日の閣議決定されたのですか。
  116. 河合三良

    ○河合説明員 八月三十日の行革本部におきまして行革本部の決定を見ております。ただこれは閣議決定にはまだ至っておりません。
  117. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、八月中に閣議決定をする、こういう方針でありましたね。
  118. 河合三良

    ○河合説明員 そういう方針でいたしておりました。ところが、種々の事情、省庁の案の調整その他に手間どりまして、行革本部の決定には至りましたが、閣議決定にはまだ至っておりません。
  119. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうすると、これからは、行革本部できまった、行政監理委員会にはかる、その上で閣議決定という経過をとるのですか。
  120. 河合三良

    ○河合説明員 今後は臨時行政改革閣僚協議会におはかりいたしまして、それから閣議におはかりするという段取りになります。
  121. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いつごろになりますか。
  122. 河合三良

    ○河合説明員 現在、まだはっきり日にちをきめておりませんが、できるだけ早い時期というふうに考えております。
  123. 細谷治嘉

    ○細谷委員 できるだけ早いと――まあきまっていないのですから、八月決定が破れたわけですから、そこでお尋ねしたいんですが、第一次計画と第二次計画というのは、どういう方針で仕分けしたのですか。
  124. 河合三良

    ○河合説明員 第一次計画につきましては、八月三十日までに調整を終わりましたものを決定いたしたわけでございます。
  125. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省にお尋ねしたい。  自治省のほうでは、百二項目のアンケートを出されたんですが、その資料はきょういただいたわけです。それに基づいて、すでに地方団体は百数十億円の行政改革というか、行政能率の向上で成果をあげておるけれども自治省の案でいけば七百億円くらい節約になるということで自治省試案なるものを行管に出されたんですか。
  126. 長野士郎

    ○長野説明員 行政改革の中で、特に地方行政の合理化に資します関係の部分、お話しのような百二項目について地方公共団体の意見を求めました。その結果に基づきまして、九十一項目に整理をいたしまして、地方行政の合理化に関する行政改革意見というものを取りまとめました。そしてこれを自治大臣から先月二十三日、閣議に報告をいたしまして、各省にこの案の実現方についての協力について、強く要請をいたしたのでございますが、引き続きまして、先ほどお話のありました八月三十日でございましたか、行政改革本部におきましても、そのことを強く要請をいたしました。そして、行政改革本部では、今後の行政改革を進めますにあたって、この行政改革意見というものを重要な資料として行政改革のための検討材料として重視してまいりたい、こういうことにきまっておるのであります。  そこで、先ほどの話に関係がありますが、この改革案というものは、いわゆる第二次計画と申しますか、そういうことの中で各省調整をいたしました行政改革項目の中に取り入れられるというふうに私ども考えております。
  127. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まあ、自治省の百二項目のアンケートを、そういうものに基づいて国において五百億円、地方団体で二百億円くらいが節約できるのだ、こういう案を出されたわけであります。  時間がありませんから一点、その中でお尋ねしたい。今日、地方自治法の附則八条に基づいて、地方事務官制度なるものがあるわけですね。この法律は、自治法が施行された昭和二十二年の五月三日から「当分の間」となっておるわけですけれども、戦後二十三年、依然として「当分の間」が続いておる。この地方事務官制度、これは第一次計画には入っておりませんね。
  128. 河合三良

    ○河合説明員 第一次計画の中では、地方事務官制度は廃止の方向において検討するということが入っております。
  129. 細谷治嘉

    ○細谷委員 廃止の方向でというのはどういうことですか。
  130. 河合三良

    ○河合説明員 これは、この制度を廃止するということでございまして、具体的に廃止したあとどういう形をとるのかということは、今後できるだけ早い時期に検討するということでございます。
  131. 細谷治嘉

    ○細谷委員 廃止するということでやるが、具体的なことについては今後話し合いを進めていく、こういうことなんですね。
  132. 河合三良

    ○河合説明員 廃止したあとどういう形をとるかにつきましては検討していくということでございます。
  133. 細谷治嘉

    ○細谷委員 廃止するというのにもいろいろあるのですね。言ってみますと、地方事務官制度というのは、みんな国家公務員にしてしまう、あるいは臨時行政調査会のように、附則八条に基づく当分のものでありますから全部地方公務員にする、こういうのもありますね。ある部分は国家公務員だ、ある部分は地方公務員だ、こういう案がありますね。どうなるのですか。
  134. 河合三良

    ○河合説明員 その点につきまして行政管理庁長官が自治大臣及び関係大臣の御意見を伺いまして、目下具体的にどういう措置をとるかを御相談中でございます。
  135. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治大臣、どうなるのですか。実は三つの案、全部国家公務員にするという案、これは臨時行政調査会の答申とは反する。政府は臨時行政調査会の答申を尊重する、地方制度調査会の答申の線には沿う、こう言っておるわけですね。そうなりますと、全部地方公務員にするということですよ。何か知りませんが、妥協の産物で、一部国家公務員、一部地方公務員と、こういう手もあるわけですね。その三つになるでしょう。その一部というのがどの程度かということについては無数にありましょうけれども、どういうことになるのですか大臣、皆目わからないのですよ。廃止する方向というだけでおまえ了解しろと言われたって、ちょっとわからぬ。
  136. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方事務官制度は、御承知のとおりに、地方自治法ができたときのきわめて暫定的な措置としてつくりましたものが三省関係だけいまだに残っておるということでございます。そこで今回、行政改革をやろうという強い決意を私いたしましたが、内閣自体でも、いままで行ない得なかった行政の刷新をやろうという腹組みでございますので、いろいろ関係の方々の意見を徴しましたところ、こういうものはこの際思い切って廃止してしまうべきであるという意見をいただいたわけであります。臨調などの意見も承知をいたしております。  そこで、この八月からそれぞれ三省の関係大臣と二回ずつ会いまして、行管長官も中に入ってこの問題を議論いたしました。第一回のときは、それぞれ三省からこの問題についての意見を述べられました。私は聞くだけでした。その次は、私のほうから自治省としての考え方を申したのであります。なお、引き続いてこの次の段階でどう整理するかという、一回で済むとは考えられませんけれども、最終結論を見出すということになっております。結論を得たものはありませんが、いま行管から申しましたように、とにかく地方事務官はやめようじゃないかということで、廃止の方向ということは、これは各省ともそれぞれ確認をしておりますが、御指摘のとおりに、地方事務官はやめたけれども、一部は労働事務官だ、厚生事務官だ、つまり国家公務員にするのじゃないかという懸念もあります。私どものほうとしては、やはりそういうことでなくて、身分が地方公務員になったからといって、何も国家公務員との間にどれだけの違いがあるのだ。やはりそれぞれ身分上の、また指揮監督上の権限などは一致させることが一番人事管理の上からいっては望ましいことには違いないわけですから、この際、全部思い切って地方公務員にしなさいとすすめておる。しかし、それぞれ、労働省でいえば職業安定などにつきましては広域労働行政の時代に入っておるから、なかなかこれは地方公務員ということでまかせきりにはできぬのじゃないか。それから、厚生省のほうでは、保険、年金業務のごときも国全体として一括してやるべきものであると思う。どの省でもコンピューターシステムということを盛んにいわれて、やはり国のほうで一括して握るのがいいと考えられる部門もある、いまこうおっしゃっておる段階です。私どもは、なにコンピューターシステムだって、パンチカードを切るのに国家公務員地方公務員で切り方に違いがあるわけじゃないでしょうし、あなたのほうは監督の目が行き届くシステムをつくればいいじゃないかということで渡り合った。それから、運輸省関係の陸運事務所のほうは――私ちょっと気がつきませんでしたけれども、最初の臨調よりあとに、行政監理委員会がちょっとそういったニュアンスと違う見解を何か出しておられます。こういうことがからみ合って、なかなかそう簡単に処理はできないとは考えますけれども、しかし、私どもといたしましては、人事管理上から見てまことに不適当なこういう身分というものを残しておくということは、働いておられる公務員諸君にとっても、またこれを指揮いたします者にとっても、はなはだ不都合千万でございますので、私どもは、自治省考えておるとおりにやっていただきたいと思うが、ただ、こういうことは、自治省が言ったように各省が動くわけではありませんので、最後にはどうしても何がしか妥協的な態度が生まれるんじゃないか。そういう際にもやはり今回すっきりしたものにしておきたい。こういうふうに決意をしておるわけでございます。
  137. 細谷治嘉

    ○細谷委員 すっきりしたものにしたい――そこでまた大臣、否定なさるかもしれませんけれども、新聞等で私ども拝見しますと、たいへんすっきりしたようなかっこうですね。それでコンピューターがうまくできるのかどうか、私も疑問に思っておりますが、新聞に書いてあるのはこういうことなんです。行政監理委員会が意見を出した中で臨時行政調査会の答申と違ったニュアンスがあるというのは運輸関係ですよ。労働関係と厚生省関係とは違いがないですよ。ぴしゃり同じなんです。これは地方制度調査会も臨時行政調査会の答申もぴしゃりでありますし、行監委員会結論とぴしゃり合っている。違っているのは陸運関係だけです。そこで、すっきりするという点で私が心配しているのは、県庁におる、いわゆる事務をやっている人たちは、これは地方事務官ということであるから、ひとつ地方公務員に移そうや。そうして、地方公務員であるその課長か何かが――現業のほうは出先の安定所とか、社会保険出張所とか、そういうものは国家公務員だというのですね。そうすると今度は、地方公務員の中に入って、そこの人事権のもとに国家公務員が動かされるということになるのですか。あるいは厚生大臣が直接社会保険事務所の職員の人事をやるというのですか。それではいまより複雑になっちゃうでしょう。すっきりしないです。新聞に書かれてあるようなそういう形をすっきりとした姿だとお考えなのか。何か聞くところによりますと――きょうは残念ながら行管長官来ないのですが、大臣も認めておるのですけれども、やっぱり各省あることだから、妥協しなければいかんわいということで、どうもその辺の妥協に行管長官は賛成の意向だということもちょっとこれも風のたよりに私の耳に入ったわけですが、それでは行管長官の役割りが果たせない。ほんとうに文字どおりすっきりしなければならぬと私は思うのです。どうなんですか、そのすっきりというのは。
  138. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まあ、先ほど申しますとおりに、自治省が言うとおりにはなかなか完全には運ばぬかもしれぬと思っております。私たちはやはりそういう形にしたいと思っております。ただ行管長官が言われることは、どうも新聞の伝えるところには私の真意ではないようなこともあったと言われましたが、しかし、大体自治省だって、たくさん自治省職員というものを地方団体に入れてあります。身分は地方公務員になっておる。また地方公務員をやめて国家公務員に帰ってくる、こういう交流というものは私はあってもいいと思う。ただ宙ぶらりんの地方事務官というのは一体何だということを私たちは常に考える。国の行政だって統一的に把握しなければならぬ部分も確かにあります。ありますが、それはそれで何も中途はんぱな身分のものをつくっておかなくても、それが地方公務員だったって掌握のしかたはあると思うのです。ですから、そういった意味で、私はできるだけこの際すっきりさせたいという考え方をもっていろいろ努力しておるわけでございます。
  139. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんからもう終わりますが、ぜひすりきりしていただきたい。しかも昭和二十二年の五月三日の附則八条に基づいて旧法から新しい自治法に乗っかるような経過措置法律をいままで生かして、その経過措置法律の中で御丁寧に「当分の間」と書いてある。そういう地方事務官をいままで生かしていること自体もおかしいのであって、もうすっきりしなければいかぬと思う。しかし、私が心配しているのは、すっきりしなければなりませんけれども、それを大臣、すっきりしたつもりで、とにかく事務関係地方公務員だ、現業国家公務員だ、こういうことになりますと、安定所がいい例であります。安定所はところによると違いますけれども、県庁の安定課とかあるいは保険事務をやっておる人たち地方公務員ですよ。安定所の出先におる人はみんな労働事務官で、国家公務員ですよ。厚生省は一本で地方事務官。各省のやり方も違っているんですよ。そうすると、不統一になりますね。労働省が、地方事務官というのは事務屋だから、これはひとつ地方公務員にしましょう。出先の現業のほうは全部労働事務官で、もはや地方公務員じゃなくて、れっきとした国家公務員ですよ。そうしますと、コンピューターを扱うべき県の中心である県庁の安定課とか失業保険課の職員地方公務員である。ますます複雑になりますよ。こんなことはすっきりしたゆえんじゃありませんから、ひとつ行管においても、自治省においても、やはりこの際すっきりするように、とくとお願いをしておきたいと私は思うのです。この問題については何べんも申し上げますが、どうもすっきりということばがすりかえられそうでありますから、あえてこの機会に申し上げて、私は第一次計画に入れるべきだったと思う。しかし、それがいろいろな関係で第二次計画に入ったことはまことに遺憾に思いますけれども、十二月中旬に予定されておる第二次計画の中で、すっきりとこの問題は解決していただきませんと、国と府県、それから市町村との間の関係というものは、行政改革、行政簡素化をねらって、かえってそれを複雑化する迷路におちいらせる、こういうことになりますから、特に私はそのことを申し上げて、きょうのところは質問を終わっておきたいと思います。
  140. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 大臣の時間の御都合がございますので、引き続き委員会を続行いたします。小濱委員
  141. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣の時間が制限されているようでございまするので、二、三点大臣にお尋ねしたいと思います。  七月二十六日ですか、中曽根運輸大臣が全国知事会議に出席いたしまして、来年度から国鉄納付金について廃止をする方向考えてもらいたい、こういう発言があったということで、だいぶ新聞紙上でもそのことが取り上げられておりました。国鉄側のこの考え方ですが、臨時支出のような、そういう考え方に立っているようですし、また、さらには地方財政が非常に困っておった当時の臨時措置というような解釈になっているようですが、私どもは国鉄納付金については、固定資産税にかわる地方公共団体の公共的な財源と、このように思っておるわけですが、ひとつこの問題については、運輸大臣の発言がありましたので、自治大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  142. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 国鉄納付金の問題についてではありませんけれども、きょうも、例の赤字線を廃止するとかいったような新聞記事が至るところ出ておるのに対して、閣議で木村行管長官が真意をただしましたところ、運輸大臣が、いや自分のほうではそういうことを言った覚えはない、ただ、経営合理化のためにいろいろな検討をお願いしている筋からそういった答えが出ておることは知っておるということです。だから、まあこの路線を扱う最終の機関は国会になるということも運輸大臣言っておられたわけでございます。納付金問題も同じであって、知事会議で正式に運輸大臣が発言されたようには私は記憶しておりません。何かやはり審議会などで、国鉄の今日の財政状態に照らし、こういう納付金のごときはなるべくやめてもらったらどうかという意見があったというふうなことで意思表示があったと私は思っております。  それから、納付金の扱いについては、小濱委員がおっしゃるとおりでございまして、私はその考え方を捨てておりません。
  143. 小濱新次

    ○小濱委員 市町村へ行きますと、いろいろとその話が出てくるわけです。御存じのように、千九百八十五団体、こういう市町村が納付金に依存をしておるわけです。中には三割以上、財政規模の中で四割も納付金をいただいている自治体もあるわけです。これが廃止となった場合、地方財政上どういうふうになっていくのかということを考えますと、これはどうしても、具体的には国鉄の納付金の問題、あるいはまた電電公社の問題、専売公社の問題、それからその他交付金の四十五億の問題等とあわせますと、二百八十七億円になるわけです。こういう数字になるこの納付金について、大臣は認識をどのようにお持ちになっておられるか。これは当然お尋ねしておかなくちゃならない問題だと思いましてお尋ねしたわけですが、いまはその考えに変わりはないということでございますが、それでよろしゅうございましょうか。
  144. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  145. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一つ聞いておきたいことは、専売、電電公社、国の貸し付け財産等、当然これが廃止となった場合、これに対する影響が起こってくるわけです。これはもう国鉄だけということでは筋が通らないと思うのですね。このバランスのことも考えていかなくちゃならない。こういうふうにいろいろ問題が起こってくるわけでございまして、こういう点でも大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか、こういう点もあって実はこの問題を取り上げたわけでありまして、もしも廃止という方向が、その徴候が出てきた場合の自治大臣としての考え方ももう一ぺんここで披瀝をしていただきたいと思います。
  146. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は考えは変えていないわけでありまして、ただ国鉄納付金については特例的に多少減額はしてあります。しかし、これ以上国鉄だけにサービスするいわれもありませんし、国鉄だって、納付金は運賃計算に当然織り込んであるはずです。すべて民間企業であれ、何であれ、それぞれ納付している固定資産税につきましては、そこから生まれてくる製品の価格に織り込まれてあるわけでございますから、国鉄だけが納付金を廃止して、ほかの公社に及ぼさないということもできない。また、極端に言えば、単にこういう三公社現業みたいなものだけ廃止して、民間を廃止しないというわけにいかない、こうなれば、どこまで波及していくかわからぬことでございまするので、そういうことでなくて、納付金は、始まりました経緯に照らしましてもやはり軽々に廃止すべきものでないというように考えております。
  147. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと大蔵省の問題、あるいはまた運輸省との、事務ベースではどうなっているかということもこれは問題になるかと思います。そういう点から、自治省として今後どういうふうな方向で具体的にこれらの省と交渉を続けていかれるつもりなのか、最後にもう一ぺんこの点だけお尋ねしておきたいと思います。
  148. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いままでそういったことの提案は一回も正式にはないわけです。はたのほうでいろんなうわさがあるだけでございます。正式に提案がないものを、私のほうから問題を提起するわけにまいりません。ですから、一体どういうお考えなのか、国鉄のほうで何か結論めいたものが出たら、働きかけがあると思います。その時点でこれに対処する方策については考えております。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 私のほうとしては、当然現行でいくべきである、こういうふうに考えましてお尋ねしたわけであります。  だいぶ時間もおそくなりましたし、大臣の時間が少なくなってきたようでありますので、私も少しはしょって御質問いたしますが、これは最近よく新聞紙上で報道されておりますが、シンナー、接着剤遊び、こういうことでだいぶ紙面をにぎわしております。社会問題になっておりますが、この問題について少しお尋ねしたいと思うのです。  少年が新しい刺激を求めてシンナーや接着剤を吸入する遊びが流行しているわけであります。これは社会問題として大きく取り上げられておりますが、その実態についてお伺いしたいわけですが、警察庁の海江田さんおりましょうか。昨年一年間の補導件数あるいは死亡数、それからことしの、現在までに判明している補導件数と死亡数、おわかりになりましたらばお願いしたいと思います。
  150. 海江田鶴造

    ○海江田説明員 シンナー遊びにつきましては、私ども警察がこれを問題として初めて取り上げましたのは昨年の夏ごろ、広島で五名の高校生らが船でシンナー遊びをしてみんな死んだという事案があり、さらに群馬県等でそういう中毒者の問題が起こったからでございまして、それに基づきまして、昨年下半、警察といたしましては、こういうものの防止のために内々努力をいたしたわけでございます。しかしながら、下半期におきましても、この遊びは漸次広がってまいりましたので、昨年の十二月二十二日に初めて警察庁として全国に通達を出しまして、学校あるいはこういうシンナーなりボンドを売っておる業者、こういうものと緊密な連絡をとって、シンナー遊びの防止に協力するよう全国の警察に示達したのであります。しかしながら、そういう私ども努力にもかかわりませず、その後さらに死亡事故がふえましたので、本年の二月二十日に再び通達を出しまして、特に少年のシンナー遊びの予防、補導についての通達を出して、さらに一そうの努力を一斉に願ったわけでございますが、その後も関東から漸次北海道あるいは九州等にも広がってまいりましたので、特に夏休みに入りましてからこういう遊びが青少年の間に、特に生徒の間に広がることをおそれまして、七月の二十六日に私どもとしましては全国の警察にさらにこまかな通達を出すと同時に、文部省、厚生省、通産省、それに総理府の青少年対策本部に要望書を出しまして、私どものやっております補導活動に一そうの御協力をお願いをしたわけでございます。これに対して総理府では、八月七日に関係各省庁を呼ばれまして、これの対策を検討され、総理府としても各都道府県知事に通達を出しておられるようでございます。  そこで、いまお尋ねの、昨年のシンナー遊びによる状況と今年の状況でございますが、昨年中、大体これは後半でございますけれども、シンナー遊びで死亡した者は九名となっております。なお、シンナーあるいはボンドを使用して遊んでいるということで補導をいたしました者が全国で約二千五百七名でございます。これはほとんど全部が少年でございます。ところが、本年に入りましてから現在までに私どものほうで確認しております死者は、少年二十二名、成人六名、合計二十八名に達しております。この死亡者のうち学生が十五人でございまして、学生の比率が非常に高うございます。   〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕  なお、本年シンナー遊び等に対する警察の補導活動によって補導された少年が、現在まで、ことしの六月までで五千二百二十五名にのぼっており、昨年の約倍になっておるわけでございます。なお七、八月の夏休み期間中に相当な乱用事例があったようでございますが、この統計は近くまとまるので、現在はその統計はまとまっておりませんで、大体六月まででございますが、御参考までに警視庁については七、八月の両月で、東京都内だけで二千二百七十四名を夏休み期間中に補導しておりますので、この傾向からしますと、約八千から一万ぐらいの少年が全国で補導されておるということになろうかと存じます。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 保安部長にお尋ねいたしますが、この青少年はどのようにして入手をするのか、あるいはまたシンナー遊びが青少年に与える影響はどのようなものになるのか、これもあわせて説明をいただきたいと思います。
  152. 海江田鶴造

    ○海江田説明員 どのようにして入手するかにつきましては、入手方法は、現在は薬局あるいは文房具店等で、こういうものは容易に入手できるのでございます。御承知のようにシンナーは溶剤として各家庭で広く使われておりますし、ボンドは接着剤として、特にプラモデル等の接着剤として、かなり広く一般家庭、特に青少年になじまれておりますので、入手はこれはきわめて容易であります。ほとんどが文房具店等で買っておる状況であります。  なお、このシンナーの乱用が全体にどういう悪影響を与えているかにつきましては、現在専門家に私どものほうでも依頼をしておる状況でございますが、やはり依存性が強くなると申しますか、それを使用しておりますと習慣的になってくるおそれがある、またこれを長く使っておると、麻痺あるいは造血機能の障害を来たすというようなことで、身体に大きな影響があるというふうに承っております。  なお、このシンナー等を使用いたしました者が犯罪を犯すか、あるいは非行化するかという問題につきましては、現在まで私どものほうで全国的な調査はまだいたしておりませんけれども、警視庁並びに群馬県におきまして調査した結果がございます。群馬県で四百名のシンナー遊び少年について調査したところが、実際に犯罪を行なった者が十八名、あるいは犯罪に近い、いわゆる虞犯不良行為を行なった者が百九十八名、合計二百十六名が非行に関連があるという調査が出ております。また東京の警視庁におきまして、一月から六月までの上半期に補導しました少年約二千八百名についてでございますが、このうち約百名、これは三.一%でございますが、これが実際に犯罪行為を行なっており、また虞犯不良行為を行なっている者が約六百人、一九%くらいという結果が出ておりますが、事例といたしましては、シンナーによって精神状態がもうろうとなっていろいろ犯罪を犯している例は、若干私どものほうで報告を得ております。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと数字を示していただきましたが、私のほうではまたこういううわさを耳にしましたので、昨夜新宿の駅の前に青年を派遣いたしました。ところがあの駅前の芝生の上で、ビニール袋を口にくわえて、袋のけつを軽くたたきながら、けつをおろして楽しんでいる。そうかと思うとふらふらふらっと歩き出している。そういう人があっちにもこっちにもいたということです。昨晩の話です。私は試みに中学生に聞いてみました。シンナー遊びって知っていますか、おじさん、全部知ってますよ、そんなの知らないのがおかしいですよと中学生が言っておりました。そういうわけで、いろいろと示された数字より以上の被害が発生しているのではないか、こういうふうに考えられるわけであります。これは三十七、八年ごろに睡眠薬の被害が非常に蔓延した時代がありました。それから、同じ時期に麻薬患者が路上にあふれ出たことがありました。まあ、麻薬のおそろしさはよく御存じであろうと思いますけれども、冬裸でも寒くないとか、おなかが減らないとか、眠くないとか、またそうした歴楽患者を死体にして焼きますと、骨まで粉になってしまう、こういう実績を私どもは聞いたことがございます。今度の問題についても、いろいろと調べてみますると、常習的になると中枢神経がおかされてばかになっていく、無気力になって、自制心を失って非行化する、さらに肝臓、じん臓、血液に障害が起こって廃人同様になっていく、こういう可能性があると、はっきりこれは大学の先生方が発表をしておられるわけでありますので、このおそろしい遊びが流行したならば、どうなっていくのであろうか。ところが、やはり睡眠薬の問題にいたしましても、麻薬問題にいたしましても、路上にあふれ出た麻薬患者の対策は一応全部終了しているわけです。現在では、ちまたにあふれ出たというようなことは聞いておりませんが、麻薬の密輸入はだいぶあるようです。まあ、これは潜行してしまったのかどうかわかりませんけれども、一応対策は功を奏したというふうに考えております。この問題がこのまま流行していくと――もち中学の生徒が、知らない人はおりませんよと言ったこの一言を、私はほんとうに驚きながら聞きましたし、ゆうべの新宿の駅前でのこういう事例を聞きまして、ほんとうに驚いているわけです。私は、これで大臣への質問は一応中断いたしますが、この点について赤澤自治大臣、ひとつ何とか手を打っていかなくちゃならないと思うのです。よく御存じかと思うのですが、お考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  154. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 つまらぬことがときどきはやってきまして、たいへん困るわけです。しかしこれもなかなか――シンナーとか麻薬ではありませんけれども、酒だってアルコールの麻酔薬ですから、未成年者に酒は飲まさないようにと言っておっても、やはり未成年者の酔っぱらい運転なんかも出る時代でございますので、こういう方面へも十分配意いたしておりますが、それと同じように、特にシンナーのごときは健康に非常に有害でもあるし、死者もたくさん出ておりますから、警察のほうとしても、こういったものの販売などにつきまして、またそういう傾向のある子供の補導などにつきまして十分努力いたしますが、やはり家庭でもまた教育の面でも力を合わせて、十分こういった根を絶つようにしなければいかぬという考え方を持っておりますけれども、なかなかきめ手がないので困っておるわけでございます。
  155. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣、いままでも睡眠薬とか麻薬とか、こういう患者の人たちはほとんどおとなであったわけです。今度の場合には少年なんですね、中学生。それから二十前の、将来有為な青年がほんとうに脳回転を失っていく、こういうことは大きな国の問題として取り上げなくちゃならない、私はこういうふうに決意したわけであります。それで、対策はある、これはもうあの麻薬でさえできたのですから、こんなのは対策がないわけはない、一日も早くこれは強硬な処置をとるべきである、このように私思うわけであります。子供でありますので、これが対策は急がなくちゃならないと思うのですが、もう一度ひとつお考えをお聞かせいただきたい。
  156. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 前々閣議で総理から特にこの問題について発言があって、厚生大臣のところでこの問題の処理を急ぐようにということでございました。麻薬も厚生省の所管になっておりますが、シンナーは麻薬ではありませんし、睡眠薬でもない。どういう子供がどういう機会に発見したか知りませんが、もうろうとしてなかなかいい気持ちになるらしいのです。しかし健康上非常に有害でもありますので、こういうことが起こり得るような可能性をつぶしますためには、やはり少年の補導をしなければならない、こういうことは、私ども警察の所管でも十分留意をしまして、根絶を期したいと考えておる次第でございます。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 時間でありますので、これで私は中断いたします。
  158. 吉川久衛

    吉川委員長 林百郎君。
  159. 林百郎

    ○林委員 時間の関係で、大臣に集中的にお聞きしたいと思います。  御承知のとおり、東京都の水道料金の値上げがいま問題になっておりますが、これは東京都の水道問題というのは、地方公営企業が今日かかえておる深刻な問題を象徴的にあらわしておるし、それから八百四十万という供給を受けておる都民の重要な生活問題にもかかってきますし、物価にも影響する、それから全国の地方公営企業、ことに水道事業の関係者も注目しておるところですから、自治省としても、やはり適切な行政指導をする責任があると思うのです。ですから、都のことだからちょっととばかりいかないと思うのです。  そこで、問題をしぼってお尋ねしますが、今日東京都の水道事業のかかえておる重要な問題の一つは、拡張工事をもっぱら起債によって行なっておる。上水道のほうは、国の補助は全然見られない。昭和四十二年度末の東京都の水道事業の未償還企業債は約千六百億といわれておる。四十三年から五十年までの拡張工事は約千五百億必要だといわれておる。これは都民の人口も増加してきますから、工事なども、四十三年から五十年までのこの水道の起債の利払いだけで総計千三百億、元金の償還が七百億、合わせて二千億、これは、水道料金収入に対する企業債の元利金の支払い率は、昭和三十年に二二・四九%であったものが昭和四十三年には八〇・二%になっておる。これは一つの重要な問題なんですね。したがって、この拡張工事に対して国がやはり財政的な援助をしてやるということは、公営企業の性格からいっても、してやらなければならない問題だと思いますが、この拡張工事に対する国の財政的な援助、こういう問題について大臣はどう考えておりますか。
  160. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 国でということになりますと、御承知のとおり厚生省で――総体からいえばわずかと言えますが、国のほうでも何がしかめんどうを見ておるわけであります。しかし、この間の東京都の水道の料金値上げに伴う将来にわたっての計画書を都知事が持ってまいりまして、いろいろ説明を聞きました。また水道事業に携わっておる職員諸君もたびたび来られまして、いろいろ実情を訴えておられました。そこで大体、水道はもちろんですが、いろいろな公営企業の面で投下される資本がだんだん大きくなっていきまして、資本費の重圧に耐えかねて、なかなか企業経営自体がうまくいかぬという面があちこち出てきております。これはどんな事業でもそうですけれども、自己資本なくして借金だけでやる企業というものがうまく立ちいくはずがない。当然それは資本費がふえればふえるほど、利払いに追われるということはあたりまえのことです。しかし、かといって受益者が資本参加をするというわけにもまいりませんし、ですからいま第一段階考えなければならぬことは、やはり借り入れ金の質の問題、良質の、そうして少なくとも償還期限の長いもの、こういったものを国で世話をいたしませんと、なかなか企業の回転がうまくいかぬことは当然のことでありますし、ですからそのことはきょうも私閣議で発言をしたわけですけれども、大体企業内の経営努力によって利益を生み出していくことが限界にきているものが数々あるわけでございます。そういうものに対してやはり利子負担などがあまり過重になってしまう、利子払いに現に追われて企業経営が成り立たぬといったものに対しては、債務の負担と申しますか、そういうものを軽めるという意味においても、やはり政府資金など大幅にこういうところに向けていくとか、きょうそのきっかけになりましたのは、運輸省が再建にやはり利子補給を期待しておるようですから、そういう発言がちょっとありましたので、私は公営企業中心にしての議論を展開したのですけれども、いま各方面にそういう要請が出ておりますが、いまの段階ですぐ利子補給というところまではいきがたくても、少なくとも政府資金は条件もいいわけですから、そういうものにできるだけ肩がわりさしてあげるとか、あるいはそういったものを大幅に投入するという道を開くといったようなことについて、総理自体もこれをもう考え直さなければならない時点にきているという発言もあったわけでございます。そういうことをひっくるめまして、やはり健全な経営ができるだけ行ない得ますような方向へ取り運びたいと考えまして、再建企業の中にもいろいろ調査いたしまして、私どものほうでも作業はいたしておりますが、ただこの間うちからも、人件費は一般会計でと言われましても、これはなかなか一つ企業である限りにおいてはそういうことは私も考えられない。やはり独立採算ということでやっておりますから、その他の普通の企業努力で克服し得ないいろいろな外的要因等については、できるだけ除去するというほうに私たちは全力を傾けるつもりでおりますので、まあとにかく水道につきましては長期計画を見まして、われわれのほうでも言うべきことはたくさんありますけれども、まあ責任者の経営者の方、都などとも話し合って、こういった問題も前向きで扱っていきたいと考えております。
  161. 林百郎

    ○林委員 私は、いま拡張の設備費をやはり国が持ってやる必要があるのじゃないか。ことにこれは東京都というような日本の国の首都で、ここに人口がもう無限制的に増大してくるということは、何もこれは東京都だけの責任じゃないわけですね。やはり国の施策、ここにいろいろ企業が集中してしまって、その企業のための人口もずっとふえてきますから、これをこの人たちが空気と同じように生活必需品の水を供給するのに、独立採算だから都でやっていけ、国は企業性を監督するだけだということでは、大臣これは問題解決できないのじゃないですか。ということは、それは自治省企業性を非常に主張することはわかりますけれども、しかしこれは公営企業ですし、公営企業法の三条には、「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」ということがあるわけですね。何も公営企業というのは企業だけの問題じゃないわけですね。一方、工業用水道のほうを見ますと、これは独立採算制をとってないわけですね。たとえば江東工業用水道、これは七十五億出して完成しておるわけですけれども、この三十五億の拡張費を国と都が半々ずつ見ている。いままた城北工業用水道というのを建設中ですけれども、これは約二百三億建設費がかかるわけですけれども、このやはり半分を――四分の一の五十億を国庫補助、四分の一を都の一般会計、合わして半分はやはり国と都の一般会計で見てやっているわけですね。しかもこの工業用水道の単価を見ますと、トン当たり五円五十銭といろ原価を割っているわけですね。工業用水道のほうにはそういう独立採算制をとらずに、二分の一以上を国と都の一般会計で見てやっている。ところが八百万という都民、いま水を供給されている都民は八百四十一万といいますけれども、このほんとうに生きるための空気と同じような性格を持っている水を供給する事業に、工業用水道のほうは二分の一の国と都の一般財政からの補助を見るのに、こちらのほうは独立採算なら独立採算だ。いま大臣もだいぶ遠慮したようなものの言い方を若干はしていますけれども、これだけで済まないじゃないでしょうか。ことに田中角栄君などは、将来の自民党の都市政策の中に、将来は東京都民は三千万になるだろう、こういうことを言っていますね、自民党の都市政策を見ますと。そんなものを、その人たちの水道事業を全く国が知らぬ顔しているというのは、これは許されないことだと思うんですね。だから拡張工事はあとでまた、起債の肩がわりや起債の負担を軽くするという問題はこの次聞きますけれども、まず基本的にやはり拡張工事の費用を国が負担してやる、ことにこんなにマンモス都市になっているわけですから、たとえば他の一般財政の中から見るような方法も認めてやるというようなことにならなければ、これを料金料金でやっていったら、いま昭和五十年までには水道料金の収入が起債の元利支払いの八〇%になるというんですからね、これはやはり見てやる必要がある。その点どうでしょう。
  162. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ここでよく上水道と工業用水道の比較論がいつでも出るわけですけれども、そのつど答弁申し上げておることは、全然同じ水でも質が違うということ、水質の問題ではありませんけれども、行政上の扱いが違うということを言ってまいっております。それは上水道は公営企業ではございますけれども、これはやはりみんなが水というものは日常生活で使用するものですから、それを昔は井戸掘りでやっておったものを、だんだん便利に、水源を求めて、じゃ口一つひねれば水が出るようにしていく。これはお互い水道の水を利用する者で応分に負担しながら、その便宜を共用し共有しようという考え方に立っている。これは日本だけじゃない、世界じゅうそういうことでやっております。ただ、いまの東京都内の工業用水に関し都が負担し国が負担したということは、これは別の政策目的から出ていることは御承知のとおりでありまして、そのかわり、地盤沈下があるから一切水をくみ上げてはいかぬという水のくみ上げを禁止までしたわけですから、その代償として工業用水は引かざるを得ないとか、あるいはその他でも、東京都でなくても、別な政策目的のために工業用水というのはもちろん引かれてありますけれども、私は上水道と工業用水とはおい立ちも違いますし、これは別に考えるべきものである。ところが一方上水道のほうだって、どんどん新しい水源を求めて建設もしていかなければなりません。これには非常なばく大な資本が必要になってくる。そのことはいま御指摘のことでございます。これにつきましては先ほど申しましたように、やはりいまの段階では、建設に要する資金の良質なものをできるだけ供給するということを考えておる。ただ、そういう建設費を全部国で持つなどとおっしゃいましても、東京は首都だから、首都は日本に一つしかないじゃないかとかりにおっしゃっても、なかなかそういう形をいまの段階でつくることはむずかしかろうと思う。東京都の今度の料金アップにつきましても、もちろんこれは都がやるべきであって、都議会に最近かかることになっておるようでありますが、私どものほうにも当然相談に見えたということは、将来計画もあわせて、いま御指摘のようなことで将来とも援助してほしいという含みがあればこそ計画書を持って都知事が来られたわけです。  そこで東京都の水道料金のことですけれども、これは御案内のとおりに東京の水は日本で一番安いんじゃないでしょうか。とにかく平均の水道料金から見ますと一般の家庭用のものは半分ですから、東京がこれだけ人口があって膨大な設備をし、そうして他の地区ではそれぞれの料金で受益者が負担しておるものを、東京が日本の料金の半分だというのは異なものだと私は思う。しかしこれは都自体に一つ考え方もありましょうし、そういったことでおやりになっている。しかし、だからといって新しい水源を求めるについてのいろんな建設費などはみな国が持てということにはつながらないと私は思う。なかなか、水道の問題一つ考えても頭が痛くなるような面がたくさんあるわけです。おっしゃることはよくわかる。ほかの何ものにもかえがたい飲料水ですから。ですから、それはやはりできるだけ低廉に受益者が利用することにならなければならぬということは当然のことですから、将来の計画もあわせて、私たちもまた再検討の時期に来ていることは認めております。
  163. 林百郎

    ○林委員 私たちが工業用水道の例を引きますと――地盤沈下という次元の違う問題があるということはわれわれも十分知っております。しかし、地盤沈下がある、そういう公共的な次元の違った政策も含まれているんだから、工業用水道に対しては国の補助や都の一般財政が見るというなら、そういう公共性だったら、都民の健康を維持するということは地盤沈下にまさるとも劣らない重要な公共性ですよ。大臣は水道料金が安いじゃないか安いじゃないかと言いますけれども、水道料金が上がりますと値上げムードが出まして、おとうふだとかメッキだとかクリーニングだとかふろだとかビールだとか、どんどん上がってきちゃうのですよ。この一角をくずすということはたいへんなことなんですよ。そういう意味にとっていただかなければならないし、地盤沈下といったって東京以外のところは地盤沈下も何もないのに、工業用水道は全国的に国が見たり一般財政で見ているのだから、それでしかも安い安いというけれども、工業用水道のごときは原価を割った安さでやっているのですから、要するに大きな資本が、企業が使う水はなるべく安くしてやって、原価を割っても国が見てやる。都民のほうは水を飲まなければ生きていけないから、このほうは無理しても出すだろう、こういう自民党の政策が象徴的に出ているんじゃないですか。  それはそれとして、企業の使う工業用水道は、企業が固定資本として自分で投資して設備をつくっているのは、もう先進的な資本主義国は大体そうですよ。そんな企業の使う水道を日本みたいに国が至れり尽くせり見てやって、そうして原価を割るような形で見てやるというのはそう例がないですね。  時間がありませんから次の問題に移りますが、先ほどから大臣のおっしゃる良質の金を見てやるとか、あるいは元利支払いの負担を軽くするということも考えなければいかぬじゃないかということがちらりほらり聞えていますけれども、その問題をもう少し質問してみたいと思うのです。  御承知のとおり政府債は金利が六分五厘で五年据え置きで二十五年償還、こういうふうにわれわれは知っておるわけです。それで公募債それから市中銀行債は金利七分三厘で二年据え置き五年償還、三回の借りかえというのですね。この条件のきびしいほうの公募、市中銀行債が東京都の水道の起債の七一・二%を占めて、政府債が二三・九%になってきているという問題ですね。ここからも非常に重要な問題が出てくるわけです。  それからもう一つは耐用年数があるわけですね。固定資産の耐用年数がダムは八十年、取り水設備は四十年、導水設備は五十年、浄排水設備が六十年というのですから、普通の償却期間にして、そしてその間に起債を償却していくという、償却の年限を延期して、そして条件の有利な政府債のほうへ借りかえさしていく。こういうことにしますと、四十三年から五十年の間に三百三十二億ぐらい削減できる。同時に、もし利子補給をするとすれば、これは政府は川崎汽船とか日本郵船とか大阪商船三井船舶とか、こういう造船については二分五厘と二分七厘六毛にしておりますけれども、もしこれを政府が積極的に利子補給をしてやって金利を四分にするなら、四十三年から五十年までに約八百八十億の赤字が償却できるという数字がいま出てきておる。この有利な起債に借りかえさしていくという、こういう方法を積極的に大臣考えないだろうか、あるいは利子補給というような形での補助か援助を考えられないだろうか。こういう点についてなるべく具体的に、これはやろうと思えば政府がいまでもできることなんですから、その点について大臣考えを少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  164. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのことをきょう私も発言しまして、総理が大蔵大臣一つの要求をされたわけです。
  165. 林百郎

    ○林委員 なるべく具体的に話してください。
  166. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 具体的にといっても、具体的にいきません。きょう初めて総理の発言があったのです。それを大蔵大臣がどう取ったか知りませんが、これからまた私たちは大蔵省と交渉に入るわけですが、いままではそういう事態がなかなか運びがむずかしかったわけですね。しかし、やはり政府債あたりに借りかえするという方向で、また一方公募債、これも借りられる道を開く。こういったことで前向きにどんどん取り組んでいくというつもりできょう言ったのです。ただこれを、私は利子補給を含めてという意味ですけれども、大蔵省がどう取っておるか知りませんけれども、やはりできるものならば、ものによっては部分的にそういう扱いをしなければならぬじゃないかと考えておりますけれども、まだそこまではいっておらぬのが実情でございます。  そこで工業用水道のからみですけれども、経済は実に複雑ですから、それで東京都だって都民に安い水を飲ませたいという都知事のお気持ちはわかる。じゃ口の大きい大口使用者に対しては、思い切った値上げになっておる。それはそれで、ただ値上げがどこへ吸収されるかというと、最終やはりこれはそこから生まれてくる生産物のコストにかかってくるわけですから、おのおのの人が家庭では安い水を飲んだって、買う品物は、大企業が高く売りつけられたものだけのものはやはり消費者がかぶってくるということになるのじゃないか。こういうことを私たちは一応心配するけれども、しかしこれは都知事の政策としておやりになったわけですから、あえてこれについては異議は差しはさんでおりませんけれども、こういったことが御案内のとおり非常に複雑に食い合っておるということ。工業用水だってやはりそういう配慮も多分にあるから、政策的にああいう制度をつくったわけでございますので、これはこれで述べれば議論は長くなりますけれども一つの効果的な措置としてやっておるわけでございますので、私たちの政策のそういう意味の点もひとつ御了察をいただきたいと思う次第です。
  167. 林百郎

    ○林委員 いま大臣が触れられました今度の美濃部案の一つの特徴は、あなたの言うように累進的になっているわけですね。大口消費者には累進的に高くする。一定の市民にはむしろ下げ、一定の市民には据え置く、こういう体系になっておるわけですね。そうすると、それがあなたの言う商品のコストに転嫁されて、それが結局また消費者に転嫁されるのではないかというお話があるわけです。しかし、それは非常に膨大な利益を受けておる大きな会社が使っている水なんですね。だから大臣がそれをそのまま商品のコストに転嫁させるのでなくて、ここのところ毎年五割から二倍、三倍もの膨大な利益をあげているところもある。たとえばビール会社のごときは、中びんを一円上げるだけで四十億、三円上げるだけで百二十億、さすがの宮澤経済企画庁長官も、値段を上げたビールは買うななんということを言っているけれども、そういうふうに、水道料金が上がったからといってすぐそれを製品に転嫁させないようにする措置もできるわけですよ、それでその経営が倒れてしまうわけじゃないのですから。だから、そういう意味で今度の美濃部案の中にある累進的な料金体系、これに対しては大臣はどう考えられますか。それは美濃部さんが独自の案でそういうことを考えた以上、自治大臣としてあれこれ口を差しはさむ気持ちはないんだというような意味のことを言われましたが、そう考えていいか。そして、やはりこの方式は全国的に注目されると思うのです。だから、それをどう考えられるか。たとえば私のほうで調べますと、東京で一番水を使っている十五、六の企業の一番は東京瓦斯株式会社の豊洲工場です。これは月に二十七万トン、家庭用にしますと一万八千世帯分を一月に使っているわけです。ここでは膨大な利益をあげているわけですよ。あなたの言われるように、こういう大企業は水道料金をコストに転嫁して、そしてまるまる負担を一般の都民に再転嫁して吸収している。一般の家庭の人は、水道料金が上がったからといってこれをどこにも転嫁することはない。これは自分の安い賃金からの支出になるわけです。だから、やはり大口の、こういう一月に一万八千世帯分の水を使うようなところの料金は、しかも、膨大な利益をあげているところについては、累進的に水道料金を上げていくというのは、私は合理的だと思うのです。それは上げ方や累進の率だとか、そういうものについてはわが党としてもいろいろ意見がありますけれども、そういう考え方自体については、私は一つの積極的な面を持っていると思いますが、大臣どう考えますか。またこれが、あるいは全国の水道企業の料金の非常な参考として取り入れられるようになると思いますけれども……。
  168. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大体経済の原則から言いますとおかしいですよ、あれは。ああいう料金の段階は逆なんですよ、常識的には。ということは、大口消費者というものは、どこでもサービスしてもらって、小口消費者よりはものを有利に仕入れているのが今日の社会なんです。あなたのほうの社会から言うとちょっと別かもわからないが、普通はそうなんですよ。しかし私は、水の問題だけはやはり別個に考えたいと思って、あえて美濃部君の今度とられた措置に異議は述べませんでしたけれども、私が感じましたところは、なるほど大口に対しては料金アップのカーブがかなりきびしいのですよ。ここまですることはどうかなと思ったけれども、あえて私としては異議は言いませんでした。東京瓦斯をたまたまお引き合いのようですけれども、これは公益事業で、ガス事業法によっていろいろ監督も受けておりますし、料金アップいたしますといったって東京瓦斯が自由にはできない仕組みになっている。ですから、ガスの原価計算をいたします際には、当然水道の料金アップがどれだけ響いているかということはちゃんと通産省で計算いたしますから、これはいいです。なかなかそう簡単にガスの需要家に転嫁することもむずかしかろうと思う。ただ、いま全般からいって自由経済の基盤のもとでわれわれは生活しておるわけですから、そうすると、経済の原則からいって、こういう生産者に対する原料のコストが上がるということは、それはやはり製品の原価に響く、これが経済の原則であることは、林先生先刻御承知のことでございます。しかし、末端物価に響かないような措置はいろいろ考えはいたしますけれども、やはり私どもとしては、経済の原則がどういうふうに働いていくかということについて非常に注意はしておるわけでございますので、そういった点で心配はしているということははっきり申し上げておきます。
  169. 林百郎

    ○林委員 それではもう二問で……。  大臣、水道の大口消費者のほうを高くし、小口消費者のほうに安くするということはおかしい、資本主義の原則から言うと、大口のほうはサービスしてもらって安くなって、小口消費者のほうが高くなるのが何か自由主義経済の原則だというようなことをおっしゃいましたけれども、それはとんでもない話です。大口消費者というのは大きな企業で、それはその水を使って膨大な利潤をあげているわけです。あなたは、東京瓦斯の豊洲工場のことを私が言ったからといって、それにひっかかっておられますけれども、それでは、大口に水を使う十五事業所の第三位が旭電化工業です。それから第七位が麒麟麦酒東京工場、第八位が日本電気三田事業所、第九位がホテルニューオータニ、十位が大谷重工業、十一位が朝日麦酒、十二位がホテルニュージャパン、十三位が日本特殊鋼、ここらは月に十万トンから六万トン以上使っている。これは何千世帯分です。これはみんな膨大な利益をあげているところです。そういうところには、それこそ受益者負担ですよ。水道によって利益を受けているものがその利益を受けただけの料金を払い、そして安い賃金で生きるか死ぬかの状態にある人たち、一食六十円、一日百八十円で生活しなければならないという勤労者に対しては料金を安くする、これが普通じゃないですか。それを、十分、不十分はあっても、そういう考え方を美濃部さんが取り入れることはおかしいという大臣の言い方は、おかしいという大臣のほうがおかしいんじゃないですか。
  170. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それは林さん、私の言っていることをたいへん誤解しておられると思うのです。どこへでも行ってごらんなさい。物をまとめて買えば安く売ってくれますよ。一個一個よりは安い。しかし水の場合は、私はそうでなくて、別の考え方をもってこれに対処しましたと言ったまでであって、これはあなた、そうおっしゃったって、世間ではみんなそういうふうに物は取引しておりますから、しかたがない。卸でまとめて買っている人は安く買っている。小売りの場合は、どうしても多少ずつ高くなっているのは、いまの日本では、また自由主義社会では通っているということをちょっと言ったまでです。それから言うと、大口消費者に対するカーブがあまりきつ過ぎるということは、最終的にそこから生産されるもののコストに響きやしないかという心配を言ったまでであって、美濃部君の今度やったことをあえて否定したわけでは決してありません。  それからガス事業にひっかかったわけではないのです。たまたまガス事業の料金のきめ方を私は詳しく知っておりますので、水道料金のアップがガスの一立方メートル当たりの単価にどれだけ響くかということは計算上すぐ出てきますから、水道料金がアップしたからといって、それをすぐ転嫁することはできないという仕組みになっておる。ただ、ビールなんて水もののようなものはべらぼうに高いですから、こんなものは――私はそこまで知らなかったが、一円上げれば四十億円になるなんという計算は知りませんでしたけれども、しかし、こういった巨利を博している企業等が、水道料金の値上げがはね返ったからということで生産物の価格を上げるということは、これは何も自治省だけの問題ではありません、政府全体の責任においてできるだけチェックしていく必要はあると私は思っております。
  171. 林百郎

    ○林委員 それでは時間がありませんので、この問題はまた大臣にゆっくり質問したいと思いますが、物をたくさん買えば安くなるのではなくて、たくさんつくって、そういう独占企業がむしろ価格をつり上げているんじゃないですか。たとえば白黒のテレビが原価一万円くらいでできるのを五万円で買わされる。三つか四つの独占メーカーが価格を協定すれば幾らでも上げることができる。独占企業のほうがむしろいま価格をつり上げて、そして一万何千世帯分の水を使っているようなところは大きな利益をあげている。そこに、その受益に応分した水道料金を負担させて、そして負担能力のない人は据え置きかむしろ下げるような方策をとるというのが条理を尽くした方法だと思いますがね。  もう一つ聞きますが、さっき、総理があなたに、水道企業の起債の問題についても考えなければならないじゃないかというような示唆があったというのですけれども、これはどういうことなのか、あなたが言える範囲のこと、聞いた範囲のことでいいですから、ここでもう一度聞かしてくれませんか。
  172. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 きょう記者会見でも言っておきましたから、新聞に何らかの形で出るのじゃないかと思うのです。それは、ほんとうのことを言いますと、きっかけは、運輸省の国鉄の赤字対策についてであったわけです。それと同じ立場のものが、地方団体では公営企業というものをかかえておるわけですから、国鉄国鉄とおっしゃるけれども、同じ業種の公営企業はどうしてくれるのか、公営交通はどうしてくれるのだということから入りまして、私は東京都の水道もちょっと例に引きましたけれども、資本費の重圧のためにいかに内部で企業努力をしても普通の採算ベースに乗らないものも出てきつつあるのだ、そういうものに対して、やはりいままでにない格段の配慮をしてもらわなければ、幾ら賃金問題を論じたって、それから企業経営を論じてみたところで、これはだめだと言ったわけです。それに対して大蔵大臣からも、やはり企業努力という点についてもっとやる余地があるのではないかというような発言もありましたけれども閣議で言い合いみたいなことになりそうだったから、やはりいまの段階では、いろいろ企業努力で解決しなければならぬ問題もだんだん限界が近づいておるから、林さん御指摘のような、たとえば資本なども、公募債、縁故債、こういったものは政府関係の資金よりは利息も高いわけだから、こういう公共的な性格を持っておるものに対しては、できるだけこういう政府債等を多く流すような配慮が必要であるという意味のことを総理は言われたわけです。だから、今後やはりこれを窓口として、公営企業をかかえておる自治省としても本格的に取り組んでいかなければならぬという決意を新たにしたわけです。
  173. 林百郎

    ○林委員 その問題はこれで終わります。  もう一つ、これは別な問題ですけれども、これは委員長関係があるからひとつ聞いていただきたいのです。実は、今度の秋雨前線の集中豪雨で長野県でも被害を受けたのですが、その特徴を見ますと、国が管理しているような一級河川だとか国道、これよりは県や市町村が管理している道路や河川、場合によってはみぞみたいなもの、こういうところに、規模はそう大きくないのですけれども、非常にたくさんの決壊や被害が出てきているわけですね。これは調べてみますと、やはり地域の住民は、こういうところには集中豪雨の場合には災害があるのだということは以前から指摘はしているわけですけれども、どうしても財政的な措置がないために、みすみすわかっていても手がつけられなかったところが、今度は集中的に方々にたくさん出てきているわけですね。したがって、この復旧ということになりますと、県や市町村の財政的な負担が非常に多くなるわけです。きょうも長野県のこの要望事項を見ますと、「財源の確保について」という点がありまして、「災害応急対策の実施にあたっては、県および市町村は、莫大な一般財源の支出を必要とするので、これらの特別な需要に対し、特別交付税を増額されたいこと。」それから「中小河川の改良事業の促進について」ということで「今回の災害は、中小河川の災害が多く、抜本的な改良を要するので、すみやかにこれら中小河川の改良ができるよう配意願いたいこと。」いま私の言ったような意味のことが長野県の陳情書にも出てきているわけですね。こういう災害応急対策について、特別交付税というような形、どういう形にしろ、考えればいろいろの処置があると思いますけれども、この県、市町村の財政的な負担になる災害の復旧に対して、国としてはどのような財政的な配慮をしておるか、それを聞かしてもらいたい。それで私の質問を終わります。
  174. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 災害復旧については、御案内のとおり特交また起債でそれぞれ見ております。しかし、大体、河川の場合は一級河川とかいろいろクラスがありましたけれども、いま直轄河川もだいぶ幅広く指定もいたしました。また河川改修も直轄区域等もつくり、建設省が全額国費等でやっておるというところもありますが、その次の、いま御指摘の中小河川、また中小河川までいかぬ小さい川が、まるで原始河川のままで放置されているのが実にたくさんあるわけです。これが人命に被害を与え、田畑を押し流すというようなところが至るところ出ている。災害亡国とまでいわれていることは御案内のとおりであります。しかし、こういった問題は、やはり地方団体の非常な財政負担にもなっておりますし、それをどう考えるかということは、将来こういった面の財政需要というものを前向きに受け取って処理いたしますと申し上げるより現在手がないわけであります。しかし、実情はよくわかりますので……(林委員「とりあえずの措置はどうするのですか」と呼ぶ)とりあえずといって、災害の起こったものはただいま申しましたようにすぐ処理いたします。――すぐといって、特交の段階で処理するわけです。しかし、そうでない普通の河川の場合、そういったものに対してはそれぞれ地方団体の行政需要というものを前向きに受け取って処理する必要がありますということを申し上げておきます。それ以上のことはちょっとむずかしいと思います。
  175. 吉川久衛

  176. 小濱新次

    ○小濱委員 少年の危険なシンナー、接着剤遊びについて続けますが、めいてい状態とか陶酔とか、あるいはときには死さえ招く危険な遊び、こういう遊びに落ち込んだ者が非常に多く目立ってきているわけです。社会問題となっているわけでありますが、そこで私は要点だけ二、三問お伺いしたいと思います。  厚生省関係、野海薬事課長さんですか、お尋ねしたいことは、シンナー販売ですが、薬局等に対して十分注意をする、あるいは行政指導を徹底する、そういったような方策、処置を何か講じられたかどうか、この点が一つ。  それからもう一つは、同じく厚生省関係ですが、シンナーを毒物、劇物取締法に基づく劇物に指定する考え、これはどうか、これが二つです。  もう一つは、入手経路が非常に簡単だし、値段も安い、販売を法的に規制する用意、これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、この三点についてひとつ課長さんのお答えをいただきたいと思います。
  177. 野海勝視

    ○野海説明員 御承知のように、シンナーは塗料の溶剤として用いられるものでございます。したがいまして、麻薬でもございませんし、医薬品として用いられるものでもないということで、厚生省として現在法的に規制する方法がないわけでございます。ただ毒物、劇物取締法という法律がございまして、毒性の強いものについて、主として流通段階で規制することを目的とするものがございます。シンナーの問題が出ましてから、この毒物、劇物取締法の劇物等に指定できるかということでわれわれ検討したわけでございますが、このシンナーは単一の成分からできておるものではございませんで、数種類の成分を混合した混合溶剤でございます。数種類、その成分も必ずしも一定しておりません。相当のバラエティーがありますけれども、典型的なものを取り上げてみますと、五種類ないし六種類の成分でできております。そのそれぞれの成分を文献等によりその毒性を調べたわけでございますが、いずれの成分も毒性は必ずしも強くない。その中で最もその毒性に問題がありそうだと思われますのは、トルエンという成分でございます。これにつきましても、吸入した場合の毒性、あるいは口から摂取した場合の毒性、それぞれにつきまして調べましたが、劇物に指定するほどの毒性がないということでございます。現在劇物に指定されておりますものと、その致死量等について調査しますと、一けたぐらい違う程度の毒性、一けたぐらい弱いという程度の毒性でございまして、本来の用途に使用される限り、多少の誤用等が行なわれましても、その点については心配がないということで、毒物劇物取締法による劇物としての指定は、その面、毒性の程度から見ると、基準に該当しない、劇物に指定することは無理であるという結論でございます。  また、その毒性の問題は別としましても、いま申し上げました各種の成分は、溶剤として、あるいは接着剤として広く家庭あるいは中学校、高等学校あるいは小学校等の子供にも使用されておるものでありまして、これを毒物、劇物に指定するなり、あるいは別途の方法で販売を規制するということは非常に困難ではなかろうかと思います。  そこで、最初に御質問ございましたように、私ども考え方としましては、やはり警察あるいは文部省、通産省、われわれのほう、それぞれ協力いたしまして、各地域でこれらについての総合対策を立てて、この問題の解決に当たっていくということが中心でございますが、われわれの厚生省としましても、警察のほうから御説明ございましたように、このシンナーなるものが文房具店、塗料店あるいは薬局等において売られておりまして、私どもの行政の範囲内におきましても、薬局その他医薬品販売業の面の問題がございますので、これらに対しまして、販売の際に十分注意するよう、特に少年に販売する場合にはその身元を確認し、不審な者には販売しないように注意すること、また売る場合には、ナンシーを乱用した場合には被害が生ずるおそれがあるという注意を十分しなさいといった趣旨の通達を、先般、ちょっと日は忘れましたけれども、数日前に各都道府県知事あてと、それから日本薬剤師会なり日本薬種商協会等の販売小売り関係団体あてに通達しておる次第であります。
  178. 小濱新次

    ○小濱委員 法的に規制する用意はどうか。
  179. 野海勝視

    ○野海説明員 毒物劇物取締法で指定することは困難でございますが、またその他の法的規制の問題になりますと、やはり一般に広く使われておるものでございますし、その毒性自体、本来の用途に利用される限り、その毒性という面についても、その見地からもなかなか規制する根拠というものが出てこないのじゃないかというふうに考えられます。
  180. 小濱新次

    ○小濱委員 通産省、菊地化学第二課長さん、お願いします。  この有毒性ということは、はっきりと医学会から発表になっておるわけですね、いまの説明にもありましたけれども。こういうことで、この有毒性を取り除いて接着剤をつくることはできないのか、こういう指導は行なってきたのかどうかということをひとつお答えいただきたいと思ます。
  181. 菊地一寛

    ○菊地説明員 いまの、有毒性のないシンナーや接着剤はつくれないのかということでございますが、いまのところ相当むずかしゅうございます。まだ今後研究しなければなりませんので、決定的なことを申し上げることはできないと思いますけれども、いまのところは非常にむずかしいというのが現状でございます。
  182. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に、海江田保安部長にお尋ねしたいのです。  先ほども話が出たのですが、ビニール袋に接着剤を塗って、そしてこうふくらました袋のけつをたたきながら満喫をしておる、ほんとにうまいという感じで、そうして公園をあるいは道路上を歩いているわけです。この姿をみて、みんなやはり笑っておる人もありますし、ふしぎがっている人もあります。道交法問題も起こってくるんじゃないかというようなことを言っている人もありました。  こういうことで、どうしても、いまの通産、厚生関係の御意見を聞きましても、これは警察関係で補導強化をしていかなければ、この問題の解決策はない。麻薬では、みごとに麻薬課を設置していただいて努力をしていただき、いい結果を出してもらったわけですが、これもひとつやっていただきたいと思うわけです。そういう点で、この遊びに対して当局はどういうふうな処置をとられていくのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  183. 海江田鶴造

    ○海江田説明員 御質問の件につきましてはきわめてむずかしい問題でございまして、新宿あたりでフーテンがそういうものをやっておることにつきましては、私ども承知しておるのでございますが、少年につきましては、私どもも少年法に基づきまして補導ということができるわけでございますけれども、警視庁の調査によりますと、先生がごらんになったようなものは、大体二十歳以上の者であるということで、なかなかこれを補導することはむずかしい。したがって、いま仰せられましたような道路交通のじゃまになるとか、あるいは犯罪を犯すおそれがあると認めた場合に、これを事前に制止するという程度にとどめておる状況だと承っておりますが、今後とも私ども、少年については積極的に補導を進め、成人につきましては、やはり本人にいろいろ指導をいたしまして、そういうことから遠ざかるように努力をいたしたいと考えております。
  184. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に、厚生省の薬事課に対して劇物に指定されるようにこれを申し入れをした、こういうふうに書いてありましたが、その返事はもちろんあったかと思いますが、どういうことになっておりましょうか。
  185. 海江田鶴造

    ○海江田説明員 新聞にそういう記事が出ておったわけでございますが、実際は警視庁が厚生省に、これは毒物劇物取締法で取り締まることはできないものであろうかというようなお尋ねをした程度でございますし、私どものほうで七月の二十六日に厚生省に申し入れたのは、そういう方向で御検討できないだろうかというふうにお願いをした程度でございまして、この点は、先ほど厚生省からの御答弁のように、なかなかむずかしいというふうに承っております。
  186. 小濱新次

    ○小濱委員 これは大きな社会問題として、そしてやはり国で取り上げて対処していかなければこれが解決策はないと思いますので、今後ともひとつ皆さん方の御協力を得て、これが一日も早い解決ができますことを心からお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  187. 吉川久衛

    吉川委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十九分散会