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1968-08-23 第59回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月十二日(月曜日)委員長の指名 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  消防に関する小委員       青木 正久君    大石 八治君       奥野 誠亮君    塩川正十郎君       古屋  亨君    山口シヅエ君       太田 一夫君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君  消防に関する小委員長                 古屋  亨君  地方公務員等共済制度に関する小委員        大石 八治君   奥野 誠亮君        亀山 孝一君   塩川正十郎君        野呂 恭一君   古屋  亨君        河上 民雄君   細谷 治嘉君        山口 鶴男君   折小野良一君        小濱 新次君  地方公務員等共済制度に関する小委員長                 大石 八治君     ───────────── 昭和四十三年八月二十三日(金曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員   委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 野呂 恭一君 理事 古屋  亨君    理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君       青木 正久君    亀山 孝一君       山口シヅエ君    太田 一夫君       河上 民雄君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  委員外出席者         人  事  官 佐藤 正典君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         警察庁長官官房         会計課長    渡部 正郎君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君         専  門  員 越村安太郎君     ───────────── 八月十日  一、地方自治に関する件  二、地方財政に関する件  三、警察に関する件  四、消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件(地方公務員  の給与改定に関する問題等)      ────◇─────
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋亨君。
  3. 古屋亨

    古屋委員 私は数点について人事院並び自治省にお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に、民間におきましては、給与改善企業努力の成果を分配することであり、また、逆にいいましても、ベースアップをした場合には、合理化努力で吸収しているのが実際でございます。公務員の場合におきましては、官民均衡といわれておるのでありますが、この点につきまして、人事院としてベースアップの理念というのを公務員についていかにお考えになるか、まず第一にその点についてお伺いいたします。
  4. 佐藤正典

    佐藤説明員 お答えいたします。  民間におきましては、生産性というような問題が非常にはっきりしておりますので、それでベースアップその他の点もきわめて明瞭に区切りがつくのでございますが、公務員の場合は必ずしもそういうふうにまいらないのでございます。したがいまして、公務員の場合におきましては、民間の全体の賃金の上昇程度平均的に見まして、それに合わしていこう、それに追いつかせていこうというたてまえで、こまかく調査いたしましてそれに合わせようというたてまえでございます。
  5. 古屋亨

    古屋委員 それでは今回の勧告におきましては、民間に合わせるというのは昨年と比較してどの程度になっておるのでありましょうか、その点をひとつ……。
  6. 佐藤正典

    佐藤説明員 御承知のように、毎年四月における官民給与格差を精細に人事院といたしましては調べまして、そして、特にその後におけるいわゆる春闘によって四月に遡及して支払われるものも考慮に置きまして、両方の格差を調べて勧告するのでございます。その結果が八・〇%ということに相なっている次第でございます。
  7. 古屋亨

    古屋委員 それではことしの八%というものの、つまり四月以降の民間ベースアップについてはどのくらいであるか、大体の御見当がありましたらお話しを願いたいと思います。
  8. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 四月現在で支払われました民間給与につきまして精細に官民比較をいたしましたところ、五・四%の格差がございました。しかしながら、いわゆる春闘におきまして、四月分にさかのぼって追い払いをされるといったような会社がございまして、そういう会社につきまして、調査に参りましたときにすでに内容が決定されておったという事業所が全体として事業所数の二四・三%ございました。で、それらの事業所におきまして一三・七%のアップ率調査されましたので、それを総合いたしまして、その影響分というものを二・六%というふうに算定をしたわけでございます。合わせまして八・〇%の格差があったというふうに判定をいたしたわけでございます。
  9. 古屋亨

    古屋委員 次の問題に移りますが、公務員給与は職務と責任に応じてこれをなすことになっておりますが、昨年の改善上下同率というような勧告でございましたが、本年は上薄下厚になっておるのでありますが、この辺の事情をどういうふうにお考えになっておるか、人事院のお考え方をお知らせ願いたいと思います。
  10. 佐藤正典

    佐藤説明員 昨年は、ただいまお話しのように、上も下も大体同率程度ベースアップをいたしましたのですが、今年の民間給与調査を拝見いたしますと、どちらかと申しますと、やはり下のほうに厚く上に薄いというような数字も出ております。そういう関係もございまして、今年は特に上薄下厚という方針をとりましたわけでございます。
  11. 古屋亨

    古屋委員 いまの点は、民間がそうなっておるから、公務員についても大体そういう考えでやったという意味でございましょうか。
  12. 佐藤正典

    佐藤説明員 大体お話のような趣旨でございますけれども官民格差を調べた数字の上でも下のほうの差が多いのでございます。そういう意味において下をよくいたしましたような次第でございます。
  13. 古屋亨

    古屋委員 それでは次に、人事院勧告総裁談話の要旨の中に「全体の奉仕者としての自覚のもとに、綱紀の厳正を期することはもちろん、行政サービス向上公務能率の増進に一層の努力を傾注され、全国民の期待にこたえられるよう切望する。」ということが出ておるのでございますが、そこでお伺いしたいのは成績主義推進ということでございまして、一つ特別昇給ワクの拡大の問題、二番目は、特に功労顕著な者に対する顕彰とそれに伴う給与上の優遇措置というようなことが出ておるのでありますが、このねらいにつきましてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  14. 佐藤正典

    佐藤説明員 大体民間の傾向なんかをずっと見ましても、能率本位に仕事をやっていくように事業の経営をいたしておる現状でございます。その点が年とともに非常に顕著でございます。公務員のほうは、いままでは必ずしもそういう点を明確にいたしておりませんのですが、相なるべくは成績考慮に入れての昇給ということも考えてみたいと存じまして、特別昇給ワクを何ほどか広げたということでございます。
  15. 古屋亨

    古屋委員 そういうような成績主義推進総裁談話行政サービス向上ということは相関連しているとお考えになりますか、その点、もう一つつけ加えてお伺いをしておきます。
  16. 佐藤正典

    佐藤説明員 私、こまかいことを存じ上げておりませんけれども、やはり行政に誠実にサービスされるということは業務能率を上げることだと私考えております。  なおちょっと申し落としましたのでございますが、先ほどお話しのございました顕彰とか表彰とかいうおことば、それも総裁談話にあったかと存じますけれども、これは特に科学者などで優秀な研究業績をあげた者に対してはやはり何ほどかの考慮をしなければ研究意欲もわかないのでございます。したがって、技術革新の現在の時点におきましては、特に科学者などについては、そういう発明、発見あるいは考案というものにつきまして幾らかの考慮をすることは当然じゃないかと私自身は考えております。古屋委員 それでは、ここはまだお伺いしたいことがありますが、時間の関係で、次の問題に移りまして、人事院勧吾の「給与勧吾についての説明」というものの二番目の「給与改善内容」、その一番終わりに「附記」というところがございます。これは期末勤勉手当合理化ということにつきまして、「附記」の中には「期末勤勉手当年間支給割合については、民間とほぼ均衡が保たれていることが明らかとなったので、これを据え置くこととした。なお、期末勤勉手当支給期別の割り振りおよび期末手当在職期間に応ずる支給割合について、制度運用上の実情を考慮して合理化を図ることとしている。」ということばがございますが、具体的には合理化というのはどういうことでありますか。その趣旨はどういうものであるか、お伺いをいたしたいと思います。
  17. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 現在のいわゆる特別給でございますけれども、これはいわば俸給扶養手当等に比例して支給されております期末手当と、それから成績に応じて支給されることになっております勤勉手当という二つに分かれておりまして、それが六月、十二月及び三月という形に三つに分かれておるわけでございます。で、その間におきまして、特に勤勉手当成績に応じて支給するという関係につきまして、現在各省においていろいろ研究しておるわけでございますけれども、六月に六カ月間の勤勉成績によりまして勤勉手当支給する。それから十二月にまた六カ月間の勤務成績によって勤務手当支給し、今度三月の年度末にもう一ぺん一年間の勤務成績によって支給するといういわば二回成績を評価するということをやっているわけでございます。そういうやり方が現在の成績評定する上に——たとえは勤務評定あり方といいますと、年に一ぺんしかやっていないといったような関係もございまして、その間の勤務成績評定あり方と、それからいわば勤勉手当支給あり方とがマッチしていないという面がございまして、各省人事管理者からいろいろ問題が寄せられております。そういう関係がございますので、たとえば三月の勤勉手当につきましては、これを六月と十二月に振りかえまして、そして年二回それぞれの六カ月間の評定によってやるようにしたらいかがであろうか、そいったような案を現在考えておりまして、そういう点につきまして、今後十分各省人事管理者と相談をいたしまして、次の国会には人事院の案というものをつくって参考までに総理府のほうに送付したいというふうに考えているところでございます。
  18. 古屋亨

    古屋委員 次に、自治省にお伺いしますが、国に準じて給与改定が行なわれるといたしますと、地方公務員分としては幾らになりますか。同時に、自治省見通しとしては、八月実施可能性、いろいろいわれておりますが、どういうふうに考えられておるか、その点をひとつお話し願いたいと思います。
  19. 細郷道一

    細郷説明員 勧告どおり五月実施ということになりますと、地方財政計画計上職員に対する一般財源で千九十五億円、かりに昨年の八月と同じ時期にやるといたしますと七百九十五億円、平年度化いたしますには千二百五億円、こういうことになります。  なお、本年度につきましては、さきの国会でもいろいろ御審議をいただきました地方交付税法改正案によりまして、一応昨年の際の所要額七百五十億円について交付税措置をいたしております。
  20. 古屋亨

    古屋委員 そうすると、七百五十億円があるが、いまのお話では、八月実施では七百九十五億という計算だということでありまして、もし八月実施する場合には四十五億という差が出てくるわけでありますが、それは何らかの処置でできるものであるか、財政局長、ひとつ見通しを聞きたいと思います。
  21. 細郷道一

    細郷説明員 何月実施するかについての大前提があるわけでございますので、私ども地方財政全体について確たることは申し上げかねますが、かりに御設問のように八月ということでございますれば、他に地方税自然増収等も若干あることと考えますので、その程度のものはまかなえるのではなかろうか、こういう気持ちを持っております。
  22. 古屋亨

    古屋委員 そうすると、いまのお話では、もし八月実施と決定されれば、財源上は自治省としては大体見通しがついているというふうに考えてもよろしゅうございますか。
  23. 細郷道一

    細郷説明員 大体そういうことになるだろうと思います。
  24. 古屋亨

    古屋委員 次に、お伺いしますが、公務員組合人事院勧吾完全実施をもちろん要求しておりますし、完全実施が最も望ましいものと考えておりますが、しかし人事院勧告完全実施のために、従来、昨年、一昨年等におきましては、実力行使を含む統一行動を行なっておるのでありますが、本年は、その点についてはどういうふうに自治省としては考えられておりますか。昨年はたしか十月二十六日、一昨年は十月二十一日であったと思うのでありますが、こういう点についての自治省考え方見通しをお伺いしたいと思います。
  25. 長野士郎

    長野説明員 自治労その他の職員団体行動がはっきりきまっておるようには私ども見ておりませんけれども新聞報道によりますと、十月八日ということで日教組が統一行動をとるという日にちをきめたというような新聞報道があったように思うわけであります。かりにそういうことでありますと、自治労のほうももちろんそれに歩調を合わせるという公算が大きいのではないだろうかというふうに思いますが、現在聞くところによりますと、熊本におきまして大会を持っておるようでございまして、そういうところでいわゆる戦術なるものがきまり、その際に、それをどうするかということをきめていくということの段取りになるのではなかろうかと思っております。
  26. 古屋亨

    古屋委員 最後に、もう一回人事院にお伺いします。  寒冷地手当がございますが、寒冷地手当地域区分改正考え方の大筋はどういうところにあるのか。と申しますのは、この地域区分交付税寒冷補正関係があるものでありまして、相当な影響を持つものでありますから、十分合理的にしてもらいたいということは当然でございますが、今回の改正は、この合理的にするという趣旨から考えましてどうであるか、万全のものであるかどうか、その点をひとつ御説明願いたいと思います。
  27. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 今回、寒冷地手当につきましては、制度改正と合わせまして、地域区分改正につきまして若干勧告申し上げたわけでございます。地域区分につきましては、いままで累次の改正が行なわれてきておりまするけれども、現在の区分を見ますると、終戦直後からの、いわば大まかな格づけをかなり引き継いできておるという面がございまして、それぞれの各県間あるいは地域間の公平という見地から見ますると、かなり甘辛がございます。最近職員団体人たちからも、全国的な公平という見地で、同じような基準については同じようにやってもらいたいという要請が強くございます。そういう角度からながめてみますと、確かにいろいろ問題がございますので、私どもとしましても、過去三十九年の勧告以来すでに四年になりますけれども、その間各地域における寒冷増高費関係の資料その他をいろいろ検討をいたしまして、また寒冷増高費手当との関係はどうかといったような問題を研究をいたしまして、格づけ基準につきまして、これはもちろん基本的には積雪及び気温という二つ条件が大きな条件でございますけれども、根雪の期間とかそのほかの補正要因を含めまして一つ基準を打ち立てておりますけれども、その基準につきまして再考をいたしまして、それによって上げるべきところは上げ、下げるべきところは下げるといったようなことを検討をしてまいったのでございます。  今回の改正につきましては、上げるべきところにつきましては若干の改正をいたしておりますけれども、なお、下げるべきところにつきましてはやはり問題点がいろいろございますので、今後その点の調整につきましては、そのやり方その他について十分研究をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  28. 古屋亨

    古屋委員 以上で質問を終わります。
  29. 吉川久衛

  30. 河上民雄

    河上委員 先般人事院勧告が出されましてから初の本委員会でございますので、私は人事院勧告内容並びにそれが地方公務員に適用といいますか、及ぼされた場合の影響について、人事院並び自治省にお尋ねをいたしたいと思います。  本日は質問時間もかなり限定されているようでございますので、その申し合わせを尊重する意味で、質問につきましては、人事院が八月十六日に発表された「給与勧告についての説明」という文書に従って、二、三疑問点をお尋ねしたいと思います。  まず、これを拝見いたしますと、今回の改善につきまして、給与表並びに諸手当についてきめこまかい配慮を加えたというようなことが書いてございますが、先ほどの古屋委員に対する御答弁の中でも、この数字の算出にあたっては、民間給与の実態を精細に調査した上科学的に行なったというようなことであります。それでは、この俸給で七・一%、諸手当で〇・五%、その他で〇・四%、計八・〇%という数字積算基礎というものが明らかにされなければならないと考えるものであります。この数字計算基礎について、人事院から御説明いただきたいと思うのです。
  31. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 人事院におきまして勧告基礎になっておりますのは、民間の水準を調査をいたしまして、公務員比較をした場合にどれだけの格差があるかという点を調査して勧告申し上げているわけでございます。  その比較のしかたにつきましては、たとえば民間比較をする場合に、同じ職種、たとえば課長なら課長という同じグレード、いわゆる等級、それから学歴、年齢、地域といったような諸条件を、給与決定にあたって重要な役割りを演じます諸条件を全部同じにいたしまして、その場合に民間のほうが十一万円であり、国のほうが十万円である場合には、その差の一万円を継ぎ足すという意味合いで、原則として各人ごとにそういう条件につきまして比較をいたしまして、その格差平均をいたしますと、四月分に支払われました民間給与につきまして比較をいたしますと、これが五・四%、金額にいたしまして二千六百七十八円という数字に相なったのでございます。詳しく申し上げますと、この二千六百七十八円という数字は、五・三八%に当たるわけでございます。これを、表示のしかたといたしましては、ポイント以下一けたにいたしまして、五・四%という形で説明を申し上げているわけでございます。  それから、四月分の給与を調べておりますので、いわゆる春闘がおくれまして、調査に参りました際にすでに決定しておった、かつ四月分に追い払いをされるということもきまっておったという場合の企業が相当ございますので、そういう企業についても調査してまいりまして、ことしはその調査割合が二四・三%あったわけでございます。それらの事業所平均上昇率が一三・七%ございまして、その両者から従来どおりのいわゆる積み残し計算というものをいたしました結果、二・六%という数字が出ましたので、合わせまして八・ 〇%、厳密に申しますれば七・九八%、三千九百七十三円という数字をもって官民格差というふうに判定をいたしまして、その格差官民格差でございますので、この点を埋めていただくように勧告を申し上げたのでございます。
  32. 河上民雄

    河上委員 いまの御説明を一応そのまま了承いたしましても、いまのお話の中でも、基礎的な俸給部分格差についての調査方法を詳しくは御説明なかったわけですけれども、伺っております限りでは、各人について精細に調べたというような話でございます。ところが、いわゆる積み残し分といいますか、春闘部分計算については事業所別に調べたのだ、こういうようなことでございまして、しかもその二四・三%という数字そのもの事業所別数字であるということになりますると、春闘を行なってすでに獲得した、すでにきまっておるというような事業所規模というものは、そこでは全然問われておらないわけでございます。基礎的な部分については各人別に調べておる、ところが、積み残し分については事業所別という全然違った基準で当たっておるということになりまして、しかもそれを、単に機械的に算術計算的に足したものをもって科学的な基礎であるというのははなはだおかしいように私は思うのでございます。まあ例はあまり適当でないかもしれませんが、本質的に違うものを、ただ物理的に結びつけるという場合は、最近話題の人体の臓器移植の場合に、必ず拒否反応というものが起こるわけでございまして、数字でもやはり一種の拒否反応が起こるのは当然だと思うのでございます。ましてや、数字だけではなくて、これによって影響を受けるのは実は給与を受けるなま身の公務員労働者でありまして、こういう勧告に対してとかく公務員労働者の間に拒否反応が起こるのはむしろ当然じゃないかというふうに私は思うのでございます。一体、こういう点について人事院は、これをもってしてなおかつ科学的な基礎に立っているというふうな自負を持っておられるのかどうか、その点を重ねてお伺いしたいと思います。
  33. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 拒否反応かどうかはなにでございますけれども、お説はごもっともだと思っております。やはり人事院といたしましては、現在の公務員給与民間とのバランスということのとり方におきまして、精密に民間との格差を算定するというところに最も科学性を見出すということでやっているわけでございます。ところが、それだけでいいかということになりますと、調査一般原則といたしましては、やはり四月分に支払われたものを調べてくる、そこで官民格差を調べるということに相なるわけでございますけれども、そうなりますと、どうしても、三十九年からこういうことをやっているわけでございますけれども、そういういわゆる春闘がおくれてきておる場合に、それをそのまま積み残しておいていいかどうか。それは当然来年の格差に入ってくるわけでございますけれども、現在の景気情勢のもとにおいて、そのまま公務員の待遇という問題を停止いたしました場合に、それをただ積み残すだけでいいかどうかという点が大きな見地から問題でございます。そういう意味合いにおきまして、それにつきまして御説のような問題があることは重々承知しておりますけれども、やはりできるだけそういう関係を事実関係としてがっちりとらえまして、とらえた上でともかく調整をするということが大きな立場において適当だろうというふうに考えてやっておるわけでございます。もちろん、さらにこの点について精密化を期するということでございますれば、当然に四月時点から六月なりにずらしまして、その時点においてこまかい格差を算定するということにならざるを得ないわけでございますけれども、やはりそういう関係についてもいろいろ問題がある、こういうことで、現在御指摘のような問題は若干承知しておりますけれども、大きな立場からこれが適当であるというふうに考えてやっておるのでございます。
  34. 河上民雄

    河上委員 人事院でもそういう不合理があるのを承知で目をつぶってやっておられるというようなお話でございましたが、そういう場合、次善の策としても、たとえば事業所別に調べたその積み残し分の比率が二四・三%であったといたした場合に当然予然されることは、その調査対象になった企業規模というものは相当大きいというふうなことで、これをもし個人別に直していったら、概算であったとしても四〇%であるとか三八%であるとかいうような数字が当然出てくるはずであります。ですから、そういうことを考えると、人数本位で推算するということだってできるはずであります。もし、そういうこまかい不正確さは多少やむを得ないという立場に立つといたしますならば、そういう方法だって当然とられてしかるべきだと思うのでありますが、その点について伺いたい。
  35. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 確かにそのとおりでございます。私どもがいま御指摘のような事業所別にとらえまして、そして事業所ウエートでやっておるということは、たとえばいわゆる春闘の、ことしは一三・五%、昨年一二・一%という労働省発表でこれだけの給与の引き上げ率があったというような計算の場合には、すべて事業所ウエートでやっておるのは御承知のとおりでございまして、そういう関係に準じてやっておるわけでございますけれども、御指摘のような問題もございます。  そこで、内容をさらに精査して見ておりますけれども、たとえばそういういわゆる積み残しをやったような事業所につきましては比較的大きな事業所が多いのではないか、それは確かにそうでございます。ところが、そういう事業所につきましてことしは一三・七%といったような数字が出ておるのでございますけれども、たとえばそれを職種別に見てみますと、これは労働省の毎月勤労統計にあるのでございますけれども、いわゆる職員と工員というように分けてみますと、職員につきましては平均二%、工員につきましては平均一四%という形の上昇率が出ておるわけでございます。われわれのほうで調査をいたしました五・四%の中身を見ましても、いわゆる技能労務者の格差が非常に多いという関係が出ております。そういう関係がございまして、そのいわゆる一三・七%の中身は、民間の人員構成、つまり平均的に申しますと職員と工員とがほぼ半々くらいの人員構成に基づいて一三・七%というのが出てくるわけでございます。ところが、国家公務員の場合の職員構成は、御承知のとおりそういういわゆる工員に匹敵するような職員というのは非常に少のうございまして、まず職員的な層が圧倒的大部分でございます。そういうふうにして考えますと、ただ一三・七%を持ち込んでくるということでいいかどうかという問題にもなります。  また、ことしは大きな会社と小さな会社とでどういう関係かと申しますと、大きな会社の上昇率が一一%あったわけでございます。それで小さい会社のほうは一三、四%というのが毎月勤労統計の数字でございまして、小さい会社のウエートのほうが二二・七%の中にかなり入ってきておるという面がございます。そういったような関係がいろいろございまして、結局はどういうことかと申しますと、端的に申しますと、四月分でやっているようなこまかい職種別の、公務員の職種に合わせてこれらそれぞれの職種がどの程度上がっているかということを精密につかむという方向に結局行かざるを得ないという問題になるわけでございまして、そうすれば結局調査時期をずらす以外に方法はないのじゃないかという方向になるわけでございまして、現在は現在のあり方でやむを得ないという形で考えているのでございます。
  36. 河上民雄

    河上委員 いまのお話ですと、私が最初お尋ねしてそれに対して人事院のほうでお答えになったように、不合理があるという点について承認されたわけですが、何かそこからだんだん議論がずれてきたような感じもするわけです。もしあやまちがあるならば改めていくという姿勢をやはり堅持していただきたいと思うのであります。  きょうは時間がたいへん制限されておりますので、この問題はこの辺にいたしまして、次にこの説明の中の二の(5)というところに「なお、勤務成績の特に良好な者に対する特別昇給のわくの拡大等を図るとともに、職務上特に功績のあった者および辺地等において極めて困難な勤務条件に耐え職務に精励している者等に対する顕彰給与上の優遇措置の整備を推進することとしている。」こういうことばがありますけれども、この点について少し疑問をただしてみたいと思うのであります。  これはいわゆる特別昇給の拡大というふうに理解してよいと思うのでありますが、われわれはこのような方針の背後にある意図というものに対して一まつの不安と疑惑を消すことができないのでありますけれども、この文章それ自体をどういうふうに理解してよいか、これをつくった人に明らかにしていただきたいと思っておるわけでございます。  まず、現在は、これは人事院細則であろうと思いますけれども、どういう法規にのってこれをやっておるのか、それからこの文章が「特別昇給のわくの拡大等を図るとともに」というふうになっておりますが、そうしますと、拡大というものとその後とは関係がないのかどうか、別の問題であるのかどうか、そういうようなことにつきまして御説明を願いたいと思います。
  37. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 現在の昇給あり方につきましては、一般職給与法の八条に根拠を置きまして、人事院規則の九−八の十七条及び細則九−八−二という関係におきまして、一般昇給及び特別昇給という関係が構成をされているわけでございます。特別昇給はそういう制度におきまして勤務成績が非常にいいという形で表彰を受けたような場合、あるいは勤務評定による評語が非常にいいといったような場合につきまして、あるいは職員研修において優良な成績をあげた場合、その他長年勤続して退職する場合、あるいは殉職等の場合といったような場合を定めているわけでございます。  今回、御指摘のように給与報告におきまして特別昇給について言及しておるのでございますけれども、これはもちろん給与に関する報告でございますから、給与上の措置が裏づけされておる形で報告がされているのでございます。  内容二つに分かれておりまして、一つは前段のほうでございますけれども勤務成績の特に良好な者に対する給与上の優遇措置を充実するということが一つでございます。それは現在の特別昇給ワクが年間に一〇%というワクになっておりますのを、それを一五%に広げたいということが第一点でございます。それから第二点は、後段の場合でございますけれども、業務成績向上、能率増進、発明考案等によりまして職務上特に功績のあった者及び辺地等におきましてきわめて困難な勤務条件に耐えて職務に精励しておる者等に対しまして、これは一般的には表彰あるいはそれに準ずる方法をとりまして、それに対していわゆる特別昇給の裏打ちをしようという考え方でございます。  いまの場合につきましては、現在のあり方、運用をいろいろ考えているわけでございますけれども、たとえば後者のほうの場合におきましては、警察の場合の特別表彰とか、農林省等におけるいわゆる研究者の発明発見という関係に非常にワクの狭い表彰を行なっておりまして、かつわれわれのほうの特別昇給の裏打ちも、たとえば六カ月昇給短縮とかいったような形で比較的微温的な措置をとっているわけでございますが、たとえばそういう功績のあった者に対する表彰につきましては、もう少し各省庁におきましてそういう関係を十分見てもらいまして、そして、そういう功績のあった者に対する給与上の優遇、さらに辺地等におきまして、あるいは国の機関でなければやれないような特殊の社会施設その他、あるいは刑務所等、そういう施設におきまして困難な勤務条件のもとにおきまして真摯に職務に精励しておるという職員につきましても、やはりそれはそれなりに優遇の道を講じてよろしいのではなかろうかという考え方に立ちまして、この二点について勧告を申し上げておるのでございます。
  38. 河上民雄

    河上委員 いまの御説明ですと、この(5)の部分から判断いたしますと、特別昇給に当たるものには三つのパターンがあるように理解してよろしいわけですか。つまり勤務成績の特に良好な者に対する特別昇給というのと、職務上特に功績のあった者というのと、それから辺地等においてきわめて困難な云々というふうな、この三つのパターンがあるというふうに理解してよろしいのですか。
  39. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 そのとおりでございます。
  40. 河上民雄

    河上委員 そうしますと、先ほど細則の中できめられておる一〇%を一五%に広げたい、こう言われたわけですが、一五%に広がるワクというものは第一のパターンのみにかかる、第二、第三は一五%のワクの外であるというふうに理解してよろしいのでありますか。
  41. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 一般の特別昇給と申しますか、成績の特に良好な者に対する特別昇給というものはいわゆる第一のパターンでございますが、それに対しまして一〇%のワクを現在講じておるわけでございますけれども、それを一五%に拡大をいたしたいというのが第一点でございます。  それから、これ以外のパターンにつきましては、各省における表彰あるいはそれに準ずる形で表彰的なことが行なわれました場合に、それに対していわゆるワク特別昇給をもってこたえるようにいたしたいということでございます。
  42. 河上民雄

    河上委員 じゃ一体、第二、第三のパターンの意味ははっきりしないのですが、従来とも遠隔地手当というのは支給されておるわけですけれども、それと辺地等において云々というのとどういうふうに関係するのか。そのこと一つあげましてもこの規定は非常にあいまいなような気がいたします。
  43. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 もちろん、辺地等におきまして、特に隔遠地におきましては、手当といたしまして隔遠地手当が一定の条件のもとにおきまして支給されることは申すまでもございません。しかしながら、そういう職員に対する見方という点につきましても、もう少し現在よりも見ていく必要があるのではないかという考え方をとったわけでございまして、これらのいわゆる第二、第三のパターンの問題につきましては、各省庁における表彰の整備といいますか、そういう措置に応じまして特別昇給を裏打ちしてまいりたいということでございます。
  44. 河上民雄

    河上委員 この部分について私ども非常に疑問を感じますのは、公務員は、国家公務員地方公務員を問わず、いずれも公僕として全身全霊を傾けて仕事に励んでおるわけでございます。そういう中で、勤務成績特に良好なる者とか、職務上特に功績のあった者というようなパターンがどういう角度で選ばれてくるのか。たとえばソニーの会社で非常に大きな発明をしたから、これに対してほかの一般の従業員よりも特に何かボーナスを出すとか、そういうような種類のものが一体公務員の仕事の中でそんなにたくさんあるのかどうか。こう考えてまいりますと、この三つのパターンそれぞれについて、特にそういう特別昇給を行なう場合の基準というものは、どうしても政治的な角度からなされるような危険も出てくるのではないか、そんなふうに思うわけですが、一体こういうものを特に強化する意図というか、そういうものはどこにあるのか。これを人事官のほうから御説明願いたいと思います。
  45. 佐藤正典

    佐藤説明員 ただいまの、公務員の中には顕彰に値するような仕事をやる人はきわめて少ないのじゃないかというお話、また事実いままで顕彰をやられた方は非常に少ないのです。しかし、私自身は実は科学者でございます。まことに目に余るものありと思うのです。最近の報道によりましても御存じのように、らい菌の培養だとか、きわめて極微の放射線の測定機を発明したとか、いわゆる公害対策や硫黄をとりますような研究、目に見えて功績のあるものはたくさんあるのでございます。私、その点では国家がもっと表彰し、同時に優遇しなくちゃならぬと思っておるのですが、いままではそういうことはありませんので、こういうことができればきわめてしあわせだと考えております。
  46. 河上民雄

    河上委員 いまのお話ですと、そういう方はそうたくさんおられないのじゃないかという気がするのでございます。私どももそういう方々に対してそれ相応の感謝の意をこめて顕彰するということの意図については反対ではなく、むしろそういうことはけっこうなことだと思いますけれども、はたしてそれがこういう給与改定の中で大きな一つのシステムとして、特別昇給ワクの拡大とか、そういうような思想と結びついて出てくる根拠が非常に理解しがたいのでございます。何かそういうことを一つの突破口にしてほかの問題も一緒に入り込んできているのじゃないかという疑惑を持っているわけなのでございます。その点については、いまの人事官の出されました例は適当といたしましても、はたしてそれが勤務成績の特に良好な者に対する特別昇給ワクを一〇%から一五%に拡大しなければならない理由になるのかどうか、その点をもう一度明らかにしていただきたい。
  47. 佐藤正典

    佐藤説明員 お説のように非常に顕著な業績をあげたという人はいままでも少ないでしょうし、今後もそんなにたくさんないと私思います。ですから、それをもっとたくさんそういう人ができるように奨励したほうがいいと私自身は考えてておりますが、今後といえどもそうジニアスな人、格別な献身的に仕事をするという人は少ないとは思いますけれども、いまの技術革新の新時代に対処する道としては、なるべくそういうことを奨励することは国としては正しい道だと、私自身はそのように考えております。
  48. 河上民雄

    河上委員 いま私の言ったところによる第二、第三のパターンについては、多少そういう点はあるかもしれませんが、第一のパターンについては、いま言われたようなことがはたして当たるのかどうか、私どもとしては理解しがたいのでございます。そういう点非常に御答弁に不満でございますけれども、一体、地方公務員についてこういう問題はどういうように適用されるべきであると人事院ではお考えになっているのですか。
  49. 佐藤正典

    佐藤説明員 いまの第二のパターンですか、第三のパターンですか、発明発見とか考案とかいうのを別にしますと、特に困難な仕事と申しますか、余人をもってかえがたいような非常にむずかしい仕事をやられているというような人は、私はほんとうにそれも少ないと思うのです。しかし、それとて科学者が新しい技術を開発していくのにも劣らないようなそういう献身的な人がいらっしゃるのじゃないかと思って、そういうことを考えたい。それで地方の方々については、私自身直接は関与する資格がございませんので、何とも申し上げかねるのでございます。
  50. 河上民雄

    河上委員 いまの御答弁は、地方のことは私は知らぬというような意味にとれるわけですけれども地方公務員の場合は国家公務員に準じてこれを施行することになっているわけでございまして、そういう点から見るとはなはだ無責任な御答弁のように思うのであります。これは、いま人事官が強調されたような点については、だれも文句はないと思うのですけれども勤務成績の特に良好な者というその第一のパターンの内容が明らかになっておらないのに、それを一〇%から一五%にワクを拡大するという意図が、いまだにこの委員会では明らかにされておらないように思うのです。そういう点、ここでいまあらためて繰り返しましても時間がたちますので、自治省伺いますけれども自治省では地方公務員について特別昇給のこの勧告をどのように取り扱うべきであるというお考えであるのか。その指導の方針といいますか、どんなふうにいま考えておられるか、伺いたいと思います。
  51. 長野士郎

    長野説明員 自治省としましては、いまこの給与改定勧告を全面的にいま詳細に検討いたしておる最中でございます。したがいまして、この特別昇給関係につきましても、まだ最終的な方針をきめておるというわけではございませんが、私ども一般的に受けておる印象といたしましては、国の御措置に準ずる措置を講じて差しつかえないのではないかと考えております。
  52. 河上民雄

    河上委員 ただ、いまの人事院お話では、この特別昇給の一応三つのパターンが考えられるわけですが、それについての内容が必ずしもはっきりしておらないのでございますけれども自治省では一体勤務成績の特に良好な者というのは、一体どういう場合を想定して、どういうふうに自治省なりに理解しておられるか、その点を伺いたいと思います。
  53. 長野士郎

    長野説明員 地方の場合と国の場合で職種その他によりまして必ずしも内容が同じでないということもときにはあるかと思いますけれども、おおむね勤務成績良好というような範囲では大体合致するものだと私ども考えております。具体的な詳細につきましては、なおまた人事院等のお考えも十分伺いまして、なるべく国の措置に準ずるように措置してまいりたいと思います。
  54. 河上民雄

    河上委員 私は、おそらく地方公務員の場合もみんな一生懸命やっていると思うのでありまして、もしそういうことであるならば、一五%のワクじゃ足らないくらいじゃないかと思うのですが、何かこれは自治省側といいますか、そういう管理者側から見て、好ましい人物がその対象になる危険を非常にわれわれは感じておるわけでございまして、この一〇%から一五%にふやすという意図が一体どこにあるのか、それが明らかにされない限り、この要項に非常な危険性を私どもとしては感じているわけでございます。結局何か馬の前にニンジンでも出せばもう少し働くんじゃないかというような考え方でおられるのかどうか、その点をちょっと伺いたいと思います。自治省にお伺いしたいと思います。
  55. 長野士郎

    長野説明員 私どもとしましては、やはり特別昇給につきましてもいろいろなお考えを承ったわけでございますが、先ほど来、人事院当局の御説明がございましたように、国家公務員におきましても成績のきわめて優良な者につきまして特別な措置を講じたい、講ずべきだ、そのためにはワクを拡大するということも必要じゃないかというお考えのようでございます。地方公務員につきましても、その事情は同じであろうと思うわけでございます。ただ、これはそういう該当者がないとかあるとか、具体的なケースがそれぞれの場合に起こってくるわけで、一五%にワクが拡大されたから必ず一五%まではいくということに必ずしもならないわけでございます。それはそれぞれの人事管理当局の責任におきまして具体的な措置はきめていく、しかし、そういうものがやはり——信賞必罰というわけでもございませんが、特別に他の職員よりもぬきん出た勤務成績良好な者であるということが万人に認められるような人についてそういう措置がとられるということは、私は国においても望ましい形であると同様に、地方においても望ましいのではないだろうか、こう考えておる次第でございます。そういう意味で国に準じて行なって差しつかえないのじゃないか、こういうふうに思っております。
  56. 河上民雄

    河上委員 勤務成績良好云々の問題は、大体こういう行政サービスというのは、全体として国民に対してよいサービスをするのが趣旨であって、こういうことはあまり意味がないのではないか。それは評価する管理者側に対する顔色だけをうかがうような傾向、風潮を促進する可能性、危険性すら私はあるように思うのでございます。  質問を次に移らしていただきますけれども、今回の人事院勧告地方公務員に及ぼしていった場合、地方財政計画の中での財源がどうなるかという点でございますが、先ほど古屋委員から御質問がありまして財政局長からお答えもございました。あらためて同じことを質問することもいかがかと思いますけれども、先ほどのお話ですと、何か自然増収なども見込まれるから一もちろん八月実施ということを前提のお話のようでございましたけれども、かりにそういうことであるといたしましても、そういうことで大体間に合うのではないかというような御答弁でございましたが、しかし、その場合、不交付団体は一応それで何とかなるといたしましても、交付団体分は一体どうするのか。結局これは補正予算が必要になってくるのではないか。もし八月ということをかりに認めたとしてもそうでありますし、五月実施ということになりますならば、絶体的に補正予算は必要である。交付団体分については一体どういうふうに自治省考えておられるのか、また予備費というものの性格が、一体ここまでは給与分、ここまでは災害分というようにちゃんと仕切りができておるのか、それとも、何かびょうぶを立てたように必要に応じて動かすことができるものなのであるか、そういう指導は一体どうされておるのか、そういう点を伺っておきたいと思います。
  57. 細郷道一

    細郷説明員 先ほど申し上げましたように、今回の給与改定を政府がどう取り扱うかということは、実はこれから大いに議論をしてきめるべき問題であろうと思います。したがいまして、いまここで軽々に、何月ならばいいのだ、そして、それについてはどういう措置というようなことをまだお答えする段階に実はございません。しかし、先ほどお尋ねのございましたように、八月実施とかりにするならば、財政面ではただいまお配りいたしました資料でごらんをいただきますように、一般財源ベースで七百九十五億が必要でございます。先般の地方交付税法改正の際に、そのうちに相当する七百五十億の財政措置を交付税を通じて行なっております。残り四十五億ほど不足でございます。その不足についてどういうふうにやるのかということについて見てまいりますと、従来の例で申しますれば補正予算、そして交付税の再算定といったようなことをやるわけでございます。その再算定をいたします場合には、税の自然増を収入の要素に加えまして再算定を実はいたしておったわけでございます。したがいまして、今回どの程度の額になれば再算定またはそれに準ずる措置をすべきであるか、これは今後なおきめるべき問題であろうと思います。非常に大まかに申しまして、最近におきます地方税の収入の状況からいたしまして、この程度の額であるならば、地方税の自然増等もまじえて何とかなるのではなかろうか、こういう見通しを申し上げたわけでございます。  それからなお、個々の団体についてどういう指導をしておるかということにつきましては、画一的な指導をいたしてはおりません。たとえばこの分を予備費に計上をあらかじめしておけ、あるいはするなといったような画一的な指導はいたしておりません。したがいまして、個々の団体によってその措置が変わると思います。違っておると思いまするけれども、大体を見ておりますると、御承知のように、地方団体は当初予算に加えて年度間に三回あるいは四回という追加予算を組んでおります。何も給与費に限りませんで、いろいろ事業費等も追加予算に計上するものもございますので、多くの団体におきましては、こういった年度内の所要見込み額に見当をつけて財源留保を行なっておるというのが実態であろうと思っております。
  58. 河上民雄

    河上委員 いまのお話ですと、八月実施を前提としたお話ですけれども、もしこれが完全実施ということになりますると、いかに操作をしても非常にむずかしいということが一つと、もう一つは、八月実施の場合でありましても、交付団体分については、四十五億のはみ出し分のうち大体三十五億前後は交付団体に当たると思うのですけれども、その分は結局何か措置をしなければ、おたくのお説に従いましても、いままだ何とかなるのだということはちょっと解せないように思うのであります。  それからもう一つ、予備費の使い方については何らこまかい具体的な指導はしていないというお話でございますが、もし一応災害部分として予備費を地方団体がとっておきましても、たとえば十勝沖地震とか、えびの地震というような非常に大きな災害が部分的にすでに起こっているわけですし、今後も起こる可能性があるわけでございます。そういう場合、おそらくその地方団体のほうでは災害分として予備費の中に一応予定しておっても、それだけでは足らなくて、給与部分にもかなり入ってくる場合が多いと思います。そういうような場合については、自治省としてはどういう指導をするつもりか、それを伺いたい。
  59. 細郷道一

    細郷説明員 小規模な災害でありますれば、その団体でやりくりをしてもらう。しかし相当程度規模の災害ということになりますれば、従来と同じように特別交付税あるいは地方債、そしてその元利償還をまた交付税で見ていく、こういったようなやり方でやってまいりたい、こう思っております。
  60. 河上民雄

    河上委員 時間がすでに参りましたので、最後に、先ほど八月実施を前提とするというようなお話数字が示されたわけでございますが、その前にまだきまっておらないのだというようなお話でございました。これはきまってはたいへんなことでございますが、先般の新聞を拝見いたしますと、八月二十日の閣議で、この人事院勧告につきまして閣僚の間で非常に活発な議論が行なわれたという記事が出ておるのであります。園田厚生大臣は、政府は誠意をもって完全実施すべきだという異色の前向き発言をしたということが書いてあるわけでございます。また、灘尾文相も、勧告を出す。不完全実施、ストライキ、処分、こういうことを毎年繰り返すこともこの際改めたらどうか、完全実施に踏み切るべきではないか、こういうことを主張したというような記事も出ておるのでございますが、読売新聞によりますと、この閣議には佐藤総理大臣と水田大蔵大臣と赤澤自治大臣、宮澤経企庁長官、田中総務長官らが欠席しておったというようなことが書いてございまして、「“鬼”のいぬ間に実のある閣議」という題がついておるのでございますが、一体自治省では——きょうは、たいへん残念ながら赤澤自治大臣がおられないので、その感想を聞くことができないのでありますが、 「“鬼”のいぬ間に」となっておりますけれども自治省赤澤さんのアシスタントであるお二人の局長は、ここに述べられました園田厚生大臣あるいは灘尾文部大臣の主張に非常に同感の意うを表されているのか、それとも赤澤大臣というのは鬼のほうに入っているのか入っていないのか、それを伺いたいと思うのであります。
  61. 長野士郎

    長野説明員 大臣が鬼かどうかということは、私どもは何とも申し上げられないわけでございますが、自治大臣といたしましては、公務員給与について、特に地方公務員給与あり方についてはやはり深い関心と責任を持っているわけでございます。その意味人事院勧告実施地方公務員に及ぼす影響というものについても、従来から国に準ずるという考え方でやっておりまますが、完全実施ということができれば、その面ではぜひ実現をすることが望ましいという基本的な気持ちは持っておられるものと考えております。ただ片一方で、地方財政、要するに給与改定に伴いますところの財源負担というものは、これは当然にまた必要になる巨額なものでございますが、そういう面で地方財政全体の考え方、全体の国家財政との関係、こういうものもあわせて考えるという立場に立っている、つまりそういうことで両者関連いたしておりますから、国の措置に全体としても準じていくということにならざるを得ないということで従来やっているわけでございます。決して何でもかんでもおくらせることがいいというふうな立場にはいないものと考えます。
  62. 河上民雄

    河上委員 すでに時間が参りましたので、私の質問はこれで終わりたいと思いますが、最後に、できるならば、ひとつ国に準ずるというたてまえと同時に、鬼でないようにひとつお願いしたいと思うのであります。  それではこれで終わります。
  63. 吉川久衛

    吉川委員長 午後一時に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ────◇─────     午後一時十八分開議
  64. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最初に佐藤人事官にお尋ねしたいと思いますが、今度人事院勧告国会並びに政府に対してお出しになったわけでありますが、これは国家公務員法の規定によって、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたからお出しになったと思いますが、その場合に法律では「給与を決定する諸条件の変化により、」 と、こう書いてあるわけですが、人事院としては、この給与決定の諸条件、これは一体何をお考えになっておりますか。まずお尋ねをいたしたいと思います。
  66. 佐藤正典

    佐藤説明員 お話しのように、まさしく法律ではそう書いてございます。しかし、先ほどもお話し申し上げましたのですが、人事院給与勧告は、官民格差を埋めて、民間給与に追いつかせるものであるという原則のもとに、これまでずっとやってきたわけでございます。その他の「諸条件」ということが書いてございます。ありますけれども、現在までのところ、あれは昭和三十九年でございましたか、特別の社会情勢であった場合で、私、参ります前ですから存じませんが、そのほかには、まさしく官民格差のみを重点に置いて考え勧告いたしております。「諸条件」については、現在のところあまり考慮しておりません。
  67. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、官民格差のみに注目をして、その調査をやった上で勧告されているということですね。
  68. 佐藤正典

    佐藤説明員 はい、そうです。
  69. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、私は、法律に諸条件と書いてあるわけですから、まずそれから若干お尋ねしてみたいと思うのですが、いただきましたこの報告、これは第七項でありますが、物価及び生計費についても触れておられます。本年四月の対前年同月比では、全国において消費者物価指数が五・二%、東京においては五・一%の上昇となっている。また、家計調査による本年四月の全世帯の消費支出は、前年同月に比し、全国では一二・七%、東京では八・一%の増加を示している。こう書いてある。昨年もこのような趣旨はお書きになっておられますね。昨年の報告を拝見いたしましたら、消費者物価指数は、昨年の場合、三・一%全国で上がっている。東京では三・〇でした。家計調査による消費支出は、全国では七・○、東京では一・四しか上がっていないということですね。それに比べますと、本年はやはり著しい変化ではないですか。物価のほうも三・一が五・二、二・一%全国で上がっていますね。さらに消費支出に至っては、昨年七%ふえておって、ことしは一二・七%でありますから、全国で五・七%も上がっている。東京では一・四に対して八・一ですから、これは六%以上上がっているということですね。そうしますと、昨年の勧吾の際の物価の上昇、消費支出の上昇に比べて、本年は著しくふえているということではありませんか。しかるに、昨日も内閣委員会で大出委員が指摘したように、勧吾率では七・九が八・〇——実質的には七・九と同じじゃないかと思いますが、それはまたあとで議論したいと思います。しかも、上がった金額も昨年並みという三千九百七十三円ですか、という金額ですね。これはおかしいんじゃないですか、この法律の趣旨からいって。どうですか。
  70. 佐藤正典

    佐藤説明員 物価指数あるいは生計費その他お説のような数字でありますが、官民給与格差という場合に、民間給与の上昇は、そういったようなものが含まれてそういう上昇の結果を生んだものと考えております。
  71. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 こういう物価上昇が民間の賃金にいわば吸収されたといいますか、はね返ったと申しますか、そういうことだから、官民格差のみに注目をして勧告をした、こういう御答弁だと思いますが、しかし、私は、国家公務員法の精神からいけば、その他の事情というこの規定があるわけでありますから、単に官民格差のみでなしに、本年のように、昨年に比べれば物価上昇もはなはだしい、それから家計調査によるところの消費支出というものも著しく増加している。こういうときには、十分これを勧告の中に含める、こういうことが、私は国家公務員法に忠実なゆえんじゃないかと思います。この点はどうですか。
  72. 佐藤正典

    佐藤説明員 その点も、ただいまお答えいたしましたように、やはり人事院としてはそういうことを考えながら民間給与調査を精細にいたしたわけでございます。それで、人事院としてはそういう点の特別の考慮をする必要なしと判断したわけでございます。
  73. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間も制限されておりますから、押し問答を続けてもしかたがありませんから、この問題についてはこれでやめますけれども、しかし、国家公務員法の規定からって、給与を決定する諸条件の変化ということを法律が規定しておる以上、しかも本年のごとく消費者物価についても消費支出についても著しく増加しているという現実がある以上、人事院はもっと国家公務員法の規定に忠実に勧告をなさるべきであるという意見を私は申し上げておきたいと思います。  それでは次にお尋ねしたいと思いますが、とにかくそういう著しい増加があるが、それは目をつぶって、いわば官民格差にのみ注目をして勧告をやったということであるならば、官民格差比較をするにあたりましては、可能な限り理論的にも正しい調査をやらなければいかぬのじゃないかというふうに私は考えます。そういう観点からお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、別表第一、官民給与格差民間給与公務員給与を、行政俸給表(一)の関係、あるいは行政俸給表(二)の関係、あるいは教育職俸給表の関係研究職あるいは医療職、それぞれの職種にわたって御調査をされておるようであります。その結果、民間給与公務員給与について比較をしたところが、五・四%民間給与のほうが高いという数字を出しておられるようであります。この数字は簡単な算術平均ですか、加重平均ですか、お答えをいただきます。
  74. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 午前中もお答えしたのございますけれども、官民の給与比較いたします場合には、現在精密な比較をやっておりまして、つまり給与決定の諸条件としまして、大事な条件につきましてはすべてこれによって比較をするという形をとってているわけであります。したがって、職務の種類、それから段階、学歴、年齢、地域、こういう五つの条件に基づきまして比較をするということにいたしておりまして、つまりそういう条件を持っておる各人について、民間平均のものを持ってきて差をとるということでございます。各人についての、民間とどれだけ違うかということを平均いたしましたものが、先ほど申し上げましたものでございますけれども、二千六百七十八円という各人ごと平均数字になったのでございます。それを現在もらっておるもので割りますと、五・四%ということになったわけでございます。
  75. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、これは年齢あるいは学歴等の五つの条件をとりまして、それに相当する民間給与公務員給与とがどの程度の差があるかということを精密に比軽検討いたしまして出た結果だということであります。その点は了解をいたしましょう。  そうしますと、問題は、昨年も問題になりましたが、いわゆる積み残しの算定を一体どうするかという問題だろうと存じます。本年の七月二十四一日内閣委員会で、昨年のこの積み残し分の算定をめぐりましてわが党の大出委員人事院との間にいろいろ御議論があったようであります。尾崎さんとの間にいろいろやりとりがあったようですが、その議事録を拝見をいたしました。これを見ますと、昨年の場合積み残し分の計算のしかたを見ますと、一二・六%積み残し分についての給与格差というものがあった。これが二三%の事業所にあらわれている。さらに四月でありますから、公務員の場合昇給が一回行なわれているということから、12・6%−(4%×3/4)×23%ということで積み残し分が二・二%というかっこうで計算をした。しかし、これはおかしい。少なくとも本年の場合は四月におけるこの官民格差は五・四%ですが、昨年は五・七%だったようであります。この五・七%に二・二を足すのはおかしいのであって、もし正しい計算をするならば、ことしの五・四に相当する昨年の五・七、これは年齢なり学歴なりそれぞれ精密に比軽検討いたしました結果でありますから、事業所の数でもって大まかにやったというような、小学校の五年か六年でやるような算術ではないわけであって、相当精密な計算をやられた。ところが、この積み残しの計算については事業所を掛けている。そうではなくて、この二三%の事業所に勤務しておる従業員の数は、四〇%に相当する。ですから、当然この計算は12・6%−(4%×3/4)×23%でなくて、 この二三%は四〇%でなくてはならぬ、こういう議論をしているわけですね。四月にとりますところの官民格差については精密な御調査をされていながら、積み残しについてはなぜ昨年こういう大まかな計算をされたのですか。これについては当然人事院も反省をしておると私は思うのですよ。(「基礎資料を出せ」と呼ぶ者あり)基礎資料を出してくれというお話もありますから、この積み残しの計算に対する基礎資料、計算の資料というものを出してください。その上でお尋ねをしますが、そういうことで、昨年のやり方については国会でも議論をされて、どうもその計算方法はおかしいじゃないかという指摘もあったのでありますから、本年は少なくとも事業所の数を掛けるというような、算術的にいってきわめて不確かな、むしろ言うなら私は誤りだと思うのでありますが、間違った計算のしかたをやらぬで、当然事業所の率ではなしに、従業員の率を乗じて積み残し計算人事院はおやりになっただろうと私は思うのですが、どうなんですか。
  76. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 いま御指摘の、いわゆる春闘の積み残しにつきまして官民格差として認定をするという関係の問題でございますけれども、参考資料という問題が一つございます。この関係の資料といたしましては、人事院といたしまして精密な官民比較を行ないます四月の給与というものをまず調べに行くわけでございますけれども、その際に、それぞれの事業所におきまして、四月に支払われなかったけれども、その後におきまして四月分として支給するということがきまった、かつその金額がはっきりしておるということがございましたから、そういうものをしっかりつかまえてまいりまして、その関係の配慮をしようということでございまして、したがって、つかまえてきておりますデータといたしましては、そういう事業所が何事業所あったかという問題が一つと、それからそこにおける平均アップ率というものが何%であるか、そういう二点でございます。したがいまして、その関係の資料と申しましても、いまおあげになりましたとおり、全体の事業所の二四%、こまかく申しますと二四・三%でございますが、そうしてその事業所平均引き上げ率は一三・七%であったということが、給与の報告書のほうに掲げてございます。その二点だけを実は調査をしてきているわけでございまして、さらにその資料としましては、ほかに実はないわけでございます。この二点について調べてきて、平均をしてそれを考慮するということにしてやっているので、その二点以上のことを特別に調べてきておりませんので、資料として特に掲げてないということにつきまして御了解をいただきたいと思うのでございます。  第二点といたしまして、そういう事業所が相当あった。これは三十九年以来のお話でありますけれども、そういう事業所が、春闘のいわゆるおくれがございまして、それをそのまま放置しておいていいかというところに実は問題があるわけでございまして、従来はそういう関係をいわば目をつぶってまいったわけでございます。ところが、そういう問題はやはり看過し得ないということでございますので、午前中もいろいろ御批判がございましたけれども、そういう御批判にもかかわらず、やはりそういうことをやるほうが適当だろうということを考えて、あえて行なっているわけでございます。ただいま御指摘のとおり、たとえば従業員ウエートをどうするかといったようなこまかい問題もございます。午前中も若干御説明申し上げたわけでございますけれども、従業員ウエートをとるという問題も一つございましょう。しかしながら、民間における平均的な従業員の構成と申しますのは、大体職員、工員半々の構成でございます。ところが、公務員の場合には職員が圧倒的多数でございまして、ことしの労働省の毎月勤労統計の結果を見ましても、一年間に平均約一三%でございますが、事務のほうは一一%、工員のほうは一四%という形で、職種別にやはり非常に違うわけでございます。したがいまして、その職種別に違うものを、こちらのほうにそのまま違った人員構成を持ってくるということは適当でございませんし、われわれとしては、やはり公務員の人員構成に合うようなものを実はとりたいのでございますけれども、そこまではなかなかいかないということで、やむを得ず現在のようなことでやっておるということでございます。
  77. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの御答弁は、言いわけとすれば、それはいろいろおっしゃるあれはあると思うのですが、しかし、片方が加重平均と申しますか、学歴別、年齢別、しかも従業員の数ということも十分勘案をした上で計算された。ところが、積み残し計算に至っては、突如として非科学的な計算になりまして、佐藤人事官は、午前中の答弁を聞きましたら技術者の御出身だそうでありますから、特にお尋ねしたいと思うのですが、五・四のほうは精密な計算をして、あとの積み残しのほうは小学校の五年か六年がやるような簡単な計算、しかもウエートというものを全然抜きにして簡単な算術平均だけでつけた答えを出すということについては、私は技術者出身の人事官がおられてなぜそういう非科学的なことをするのか、そういう疑問を抱かざるを得ないわけです。特に、しかも昨年の積み残し計算が非科学的ではないかということは、国会の場でも十分指摘をされたわけです。ところがいまの尾崎さんの御答弁を聞きますと、本年も137%−(4%×3/4)243%まで二・六%という値を出して、積み残し分として五・四%の上に上のせされたということのようであります。全く昨年の誤りと同じことを今回やったのではないですか。先ほど河上さんが、こういうことでは心臓の移植をやってもだめだ。何か和田教授のやったのを聞きますと、AB型のところへO型を継いだそうでありますが、この人事院やり方を見れば、血液型A型のところへB型の心臓を継いだようなものじゃないですか。これでは全く拒絶反応といいますか、拒否反応が起こることは当然だと思うのですよ。どうして五・四の計算は精密におやりになりながら、片方はずさんな計算をおやりになるのですか。しかも、先ほど私は聞きました。いろいろな他の条件があるじゃないかと言いました。消費支出もふえているじゃないか。物価も上がっているじゃないか。しかし、そういうものは一切抜きにして、官民格差だけに注目をして、これだけについては科学的な計算をやるのです、こうあなたは言われたでしょう。それが何ですか、このありさまは。
  78. 佐藤正典

    佐藤説明員 科学的に申しますと、おっしゃるとおりだと私も思います。ただ時間というファンクションもございまして、こまかい調査をやりますと、自然勧告の時期がおくれるというような事態に立ち至りますので、その点でこまかい調査が間に合わないというわけでございます。ほんとうを言えば、もっとゆっくり勧告の時期をおくらして、そして正確に春闘の全部を調べていくことがほんとうだと思います、ウエートを考えて。しかし、それはそれだけの時間の余裕がないために、いま局長の申し上げたような結果になっておるわけでございます。
  79. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 事業所の率でいけば二四・三%であるが、この事業所につとめておる従業員の数を調べまして全従業員との比率をとれば、これが三八%だということも人事院はわかっておるのでしょう。なぜその三八%をかけないのですか。三八%を先ほどの二四・三%にかえて乗ずれば、四・一%という積み残し分が計算上出るはずじゃないですか。私は、こういうことはやればできると思うのです。少なくともこの事業所の率をかけるよりは従業員の率でかけたほうが正しいことは、私は人事官もお認めになると思うのです。それがわかっていながらやらなかった原因というものが、あるのじゃないかと私は思うのです。それがいわゆるガイディングライトであるとか、去年宮澤構想とか高橋構想とかいわれたその構想が、本年度の予算に反映されている。国家公務員の場合は五百億、地方公務員の場合は地方財政計画の中に七百五十億、昨年と同額の給与改定分しか予備費の中に組んでいない。だから、できれば国家公務員の場合は五百億、地方公務員の場合は七百五十億のワク内にとどめるような勧告にしてくれぬか、こういう圧力といいますか、そういった一つの指導と申しますか、要請といいますか、そういうものがあったからこそ、このような間違ったことは万々承知の上で、事業所の率では間違いである、これは当然従業員の率をかけなければいかぬということは人事院も思いつつも、昨年と同じような間違った計算をされたというふうに私は考えるのでありますが、いかがでしょう。
  80. 佐藤正典

    佐藤説明員 お答えいたします。  いろいろお考えがありますようですけれども、少なくも私は、ただいま御指摘のような宮澤構想とか、あるいは高橋構想とか、いろいろな構想、考えがございますが、そういうものを考慮に入れて官民格差をかげんしたということは絶対にないことを確信いたしております。こまかい計算のことは、給与局長にひとつ聞いていただきたいと思います。
  81. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それならば、なぜ事業所の比率を掛けたのですか。二四・三%を掛けたのですか。それよりは、昨年の場合だったら四〇%、本年の場合だったら三八%、いわば従業員の比率で掛けたらいいのじゃないか。なぜそれを掛けなかったか。算術平均よりは加重平均のほうが正しいということは人事官当然お認めになるでしょう。なぜそういうおかしなことをやったのですか、こう私は問わなければいかぬ。
  82. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 お説のように、いわゆる春闘として賃金決定がおくれるという事業所につきましては、大きな事業所が多いのは確かでございます。そういう意味合いにおきまして、事業所のウエート、事業所の単純算術平均よりは従業員のウエートを入れたほうが高くなるということは、単純にはそういうことが言えると思います。ただ問題は、いわゆる官民格差というものを推定することがわれわれの本旨でございまして、そういうものの筋の上で、官民四月現在における五・四%の上に同じ筋のものを足そうというところが、本来の目的でございます。そこで、従業員ウエートの問題もございますし、事業所ウエートの問題もございますけれども調査そのものは事業所ごとに調査をいたしておりますので、調査そのものが事業所でやるというのが筋でございます。  ただ、いまお説のような問題についてもいろいろ検討はしてみるのでございますけれども、たとえば一三・七%の中には、先ほど申しましたように、いわゆる工員の上昇率の非常に高いのが入っておるというような問題がございまして、そういうものを事務職員の非常にウエートの多い公務員に、ただ一三%を持ってくればそれで足りるかというような問題があるわけでございます。ですから、やはりそこをますます精密にやるというお話の筋の上では、この問題は四月現在でやっております筋をさらに追究する、こまかくやるというかっこうにならざるを得ないわけでございまして、徹底してやりますれば、時期をおくらしてやるという以外に方法はないというふうに考えております。
  83. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 少なくとも算術平均よりは加重平均のほうが正しいということは、これはもう数学の上からいってはっきりしておるのでありますから、そういった正しい方向をとることが、私は正当だと思うのです。他の条件をいろいろ勘案しているのならいいんですよ。とにかくことしは消費支出もうんとふえているわけです、物価もうんと上がっている、昨年に比べて。そういったものを一切ネグレクトして、そうして官民格差のみに注目をして計算をする。ところが、肝心の官民格差の、しかも積み残し分の計算——昨年も計算のしかたの誤りが指摘されておりながら、本年もそれをそのまま踏襲するということは、私は賢明な人事院としてはそういうことはやりたくなかったというのが本心じゃないかと思います。ところが、ここにも大蔵省の方おられますけれども、いわば大蔵省筋かどこか知りませんが、いろいろなところからいわば所得政策を守らなければならぬという圧力があったからこそ、こういう数学的にいって全く間違いな計算をやったというのが、本筋だろうと思います。時間がありませんから、また、このことはさらに政府が人事院勧告に対する態度を決定するまでに時間もありましょうから、さらに他の方から御議論をいただくとして私はおきたいと思いますが、とにかくそういう数学的にいっても筋の通らぬ計算のしかたは、私は、やめていただきたい、少なくとも今後はこれについては当然再検討をしていただきたい、こう思います。どうですか。来年もまたこのような非科学的な計算をお続けになりますか。そういうことはせぬでしょう。
  84. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 この問題の本質は、何といいますか、結局官民格差を精密に調べるという筋の上でものごとをやはり考えていかなければいけないというふうに思うわけでございます。そういう意味合いの筋でいいますれば、調査時期をおくらして、六月なら六月ごろにしっかり調べるということのほうにどうしてもなっていくということにならざるを得ないのじゃないかという感じがしております。
  85. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうではなくて、積み残しの計算の方式を改めるということが、当然ではないのですか。人事官、どうですか。技術者出身の人事官、最も科学的な人事官が、こいうい非科学的なことだけは改めてもらいたいと思うのですがね、いかがですか。
  86. 佐藤正典

    佐藤説明員 お説のようにこまかく正確にやるということになれば、どうしても尾崎局長が言われましたように、個々の事業所についてウエートを考えてやるということになりますと非常に時間がかりますので、自然勧告の時期がおくれるということになりますので、昨年もことしもこういう方法でやったわけでございます。ただ、先ほどのことをもう一応繰り返して申し上げますけれども、いろいろの人のお考えはございますけれども、私どものほうの佐藤人事院総裁構想というものがございますのは、御承知のとおりでございます。これは初めから予算の中にある程度ベースアップを見込んだ予算を組むことのほうが——完全実施がやりたい、完全実施ということを実際にやりたい熱望のあまりにこういう構想を初めから出しておられるわけでございまして、決して作為があっていろいろ数字をなぶったようなことはございませんから、その点だけは御了承願いたいと思います。
  87. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 積み残し分の計算のしかたを来年は改めますかどうか、こう聞いておるわけです。
  88. 佐藤正典

    佐藤説明員 御意見のほどは、参考として検討いたします。ですが、いま言うように、はたして精密にやれるかやれないかというような点。今後の問題に残して検討いたしたいと存じます。
  89. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 もう一つ聞きますが、数学の上からいって、単純な算術計算と加重平均とは一体どっちが正しいと思いますか。その点だけお答えしておいていただきましょう。
  90. 佐藤正典

    佐藤説明員 ことばを返すようで恐縮なんですけれども、これはただ算術的のものの考え方でなくて、やはり精密に、科学的に、ほんとうに正しい調査ということを考えますものですから、ついそういうことになるわけでございます。今後十分検討はいたしますが、ここで何ともお返事はいたしかねるわけでございます。
  91. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷治嘉君の関連質問を許します。細谷君。
  92. 細谷治嘉

    細谷委員 局長にお尋ねしますが、平均一三・七%という数字はどういうふうにして出てきた数字ですか。
  93. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 私ども調査は、抽出されました約四千八百の事業所に参りまして調査員が直接インタビューをいたしまして調査をするわけでございますけれども、いまの御指摘の場合の問題につきましては、結局、おたくのほうで今回四月にさかのぼって給与改定をするということがすでにきまったというならば、その平均引き上げ率は幾らでありますかということを聞いてまいって、その平均でございます。
  94. 細谷治嘉

    細谷委員 各事業所に行って尋ねた。あなたのところの引き上げは幾らですか。たとえば先ほど来答弁がありましたけれども、職員層については平均一一・何がしかである、あるいは労働者の場合には一四%だ、こういうことがありましたけれども、Aの事業所は、私のところは職従突っ込みの一二・五%でした、Bのほうの工場は、私のほうは一三・五%でした、私のほうは一五%でございました、こういうふうにいっておることは、それぞれの事業所はこれは加重平均なんですよ。単純平均じゃないのですよ。そうでしょう。そうしてAからBCというたくさんの工場の、あなたのほうは幾らですか。ここのやつはみんな加重平均ですね。そういうものが出てきて、そうしてそれを算術平均したのですか、一三・七というのは。どうなんですか。調べただけの工場、そうして算術平均したものが一三・七であったのか。あるいはさらにそれを加重平均したのか。それはどうなんですか。
  95. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 事業所別に調べてまいりまして、その事業所ごとの単純算術平均でございます。
  96. 細谷治嘉

    細谷委員 事業所ごとに調べたのは、間違いなくこれは加重平均ですね。これは確認されましょう。そうでしょう。
  97. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 御指摘のとおりだと思います。
  98. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、集めた幾つかの工場の加重平均されたものを次に単純平均したというわけですね。出てきたものが一三・七ということです。いいですか。私は、この段階において、百くらいの工場あるいは二百という工場について一一から一四くらいでありますから、そう大きな違いはできていないと思う。加重平均と算術平均掛け合わせたのですから、この場合は私はいいと思うのです。ところが、その次に事業所数というものを持ってきますと、これは全くナンセンスなんですね。あなたに聞きますと、私が気がかりなのは、そこまでやるとすると、もうとても八月には勧告できません、こういうことにすぐ問題をすりかえるのでありますけれども、各工場では加重平均されたベースアップの率というものが発表される。調べた工場について算術平均をとる。そうしますと、調べた各工場では、二二%上がったところは、そこの従業員は五千人だ、一四%上がったところは七百人だ、こういうことがわかっているはずですよ。そうしますと、すぐ事業所数の算術平均的な二四なんてとるのじゃなくて、これこそやはり異質なものじゃなくて、事業所数割合じゃなくて、そこにつとめておる給料生活者の数というものをとるのが筋でしょう。これは人事官、あなたも技術者、山口さんも技術者、私も技術者ですよ。ですから、一プラス一は二以外にならないのですよ。それを大体加重平均したものと、算術平均したともいえないような事業所数にそれを掛け合わせるなんてことは、これはB型の心臓をA型に移すよりもっとひどいですよ。そんな作業はできないですよ、少しでも数学やった人ならば、少しでも科学の考えを持っておる人なら。しかもあなたは、官民の差というものを常に科学性に貫かれて的確につかんで、それに対処していかなければならぬという原則をおっしゃっておるわけです。生計費とかなんとかじゃないでしょう。いかに官民の差というものがあるか、それをつかんで対処していくのが人事院役割りだと、あなたはその使命をおっしゃったのですけれども、そうなってまいりますと、山口質問に答えておる——ことしはいろいろ問題があるけれども、三十九年以降やっておるこういうやり方については、きわめて非科学的なんですから、もっと一歩科学らしいところまで進めなければいかぬ。いまのは科学じゃないです、これはごまかしですよ、そういうことを言っているわけです。ですから、これはもうはっきりと、来年からは改めます、ともかくかけ合わせられるものについてかけ合わせます、 こういうことにしてもらわなければ、犬とネコをかけ合わせたって、子供は生まれやしません。そういうことでありますから、きちんとやはり人事院は権威を持って科学性に貫かれたようにやらなければならぬ。ことし不満なら、来年はより完ぺきなものにしなければならぬ。これはお答えするのが当然ですよ。それをまたあやふやしておりますと、先に進みません。重要なポイントですから、関連でお答えしていただきたい。
  99. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 積み残しの許算につきまして、いろいろ問題があることは十分承知いたしておりますし、またこういう関係をどうしてもやはり大きな行政上やる必要があるという意味合いにおいて、精密な計算にいわば継ぎ足すという関係において御批判があることは、十分承知してやっているわけでございますけれども、ただいまの御指摘のように、ただ問題は、従業員ウエートをとることがいいか、事業所ウエートでやることがいいかという問題ではないと思います。つまりやはり問題は、正確な官民格差を出すというところに主眼がございます。お説のとおり、従業員ウエートでやります場合には、それは当然にいわゆる春闘でおくれました事業所は大会社が多いということが前提条件になるわけでございますけれども、そういうことをやりました場合には、結局それによって何が出てくるかということを申しますと、民間における平均的な職員構成におけるいわゆる上昇率というものが出てくるわけでございまして、これを全然内容が違う公務員にそのまま持ってくるということについては、これは問題があまりにあり過ぎるわけでございます。したがいまして、やはりその問題は、通常の統計的な例としてやっております、たとえば労働省でやっております春闘平均は幾らかといったような場合には、単純算術平均でやっておるわけでございますけれども、そういう形で現在はやっておるということを申し上げさせていただきたいと思います。
  100. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 先ほど犬とネコをかけ合わせるという話が出ましたが、これは大蔵省の総合予算主義と人事院考え方をかけ合わせた、たいへんおかしな妥協の産物が、この計算の方式だろうと私は思わざるを得ません。どうなんですか。人事官、技術者の方なんですから、先ほど細谷委員が関連してお尋ねしたように、来年はどうなんですか、この加重平均と単純算術計算とをかけ合わせるようなおかしなことはしない、少なくとも科学的な方向に一歩踏み出すということだけはお答えできるのじゃないですか。
  101. 佐藤正典

    佐藤説明員 ただいまのお話はよくわかるのですが、大蔵省とかなんとか、そういうものじゃございません。実は従業員ウエートと申しましても、職種が違いましたり、同じ大会社にはいろいろな人がおりますから、それを同じ職種、同じ年齢、同じ学歴等によってこまかく調査しなければ、ほんとうの官民格差が出ないものですから、つい手っとり早いことをやっているわけです。今後ともそういう点はなるべく科学的にやることば必要だと思いますけれども、さしあたり、来年それまでこまかくやれるかどうかということは、非常に疑問があると思います。
  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 少なくとも、昨年、ことしのような、小学校の生徒が見てもその計算の誤りが指摘できるような、こういう非科学的な計算はやらないということだけはおっしゃっていただけますね。
  103. 佐藤正典

    佐藤説明員 同じようなことを言ってはなはだ恐縮なんですけれども、時期をおくらしていただければ、いまのように職種別、年齢別、学歴別という、こまかいほんとうの官民格差を出すことにいたします。なるべくそういう方向には進みますけれども、必ずしもある一定期間の短い間にそれができるかどうかということについてのお受け合いは、できないということを申し上げたわけであります。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間もありませんから、押し問答をやってもしかたがありませんから、この点はこれでやめますが、しかし、一三・七%の計算をする際には、この加重平均というものを中心にして調査もし、計算もして、事業所の従業員の数、事業所の数という問題になりますと、突如として事業所の数をかけるというような、だれが考えても不合理な計算のしかただけは、来年はひとつやっていただきたくない、そういう希望だけを強く申し上げまして、この問題については終わりたいと思います。  次にお尋ねをいたしますが、住宅手当については、なぜ勧告をなされなかったのですか、お尋ねをいたします。
  105. 佐藤正典

    佐藤説明員 住宅問題は、年々非常に切実な問題として皆さまからの御要望がありまして、いろいろと調査いたしております。年々民間のほうで住宅手当を出しておるところをこまかく調べてみますと、昨年とことしとでは、昨年三九か何かで、ことしは四三、ごく少し伸びております。それで、これはもう少し伸びれば当然住宅手当の問題も考えなければなりませんが、一面、率直に申しますと、昨年つくりました調整手当というものが、やはり幾らか住宅手当にも関係があると思います。ですから、そういう点も勘案しなければならないのと同時に、官民を調べた場合に、民間会社の住宅の社宅に入っている人と官庁の人が官舎に入っている数がだんだん接近してまいりまして、官舎に入っている人がだいぶふえてきている。このごろはほとんど変わらないぐらいに官舎に入っている人も多うございますから、この点はだいぶインプルーブされていると思いますけれども、しかしながら、非常に大事な問題でございますから、将来とも慎重に考えまして、この住宅手当の問題は、著しく変化がありましたならば、もちろん考えるところでございます。
  106. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いろいろ言われましたが、昨年の場合は、三九・五%、民間で出しておるところですね。本年はこれが四三・一だ。要するに、過半数に至らないから勧告をしなかった。そのほか、調整手当等の問題もあるというお答えのようであります。そこでお尋ねをいたしますが、国家公務員のように、住宅施設もある、それから転勤もある、こういう公務員に似通った事業所の場合は、五五・一%が住宅手当を出しているのですね、公務員と類似の民間事業所。こうなれば、過半数をこえているのじゃないですか。それが一つ。  それからいま一つは、時間がないから申し上げますが、昨年、宿日直手当について四百二十円から五百十円に改善勧告をされました。このときの根拠を見ますと、宿直手当を出しております民間事業所割合が四五・三%、日直の場合は四八・三%、これも五割にはなっていなかったわけですね。それでいながら、昨年は宿日直手当について改善勧告をされた。とすれば、住宅手当についても、公務員と類似な事業所においては五五・一%がすでに住宅手当を出している。全事業所平均でいきましても四三・一%、まさに五割に接近をしておるわけです。昨年の宿直手当、日直手当民間事業所割合とほぼ同じである。とすれば、ことし住宅手当勧告しなかった理由というものは、つじつまが合わぬじゃないですか、どうでしょうか。そういった他の手当との状況と比較をした上においていかがでしょうか。
  107. 佐藤正典

    佐藤説明員 宿日直手当関係比較すれば、なるほどお説のようなものにやや近いと私も思います。住宅手当がもし民間に広く普及されてずっと圧倒的に多いということになれば、これはもちろん住宅手当の問題を考慮しなければならないと思います。
  108. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから、どうも人事院勧告をされます態度に一貫性がないような感じが私はするのです。  さらにお尋ねをしたいと思うのですが、ちょうどここに鎌田さんがおられますね。民間では福利厚生費の形で住宅手当に類似するものを出している例が多いことは、鎌田さんもよく御存じですね。私は人事官にお尋ねをしたいと思うのですが、民間では、自治省の鎌田公務員部長の御答弁ですと、毎月四千三百十六円の福利厚生費が出ている。日経連の昨年十二月の調査だそうであります。毎月四千三百十六円でありますから、年額にいたしますと五万円をこえる金額になるかと思います。これに対して国家公務員の福利厚生費が年額幾らだか、人事官は御存じですか。
  109. 佐藤正典

    佐藤説明員 福利厚生費の問題はまことに重大な問題ですが、お説のように公務員の場合は必ずしも十分でないと思います。やっと昨年千円から千三百円にのぼったという程度です。これは十分今後調査しなければいけないと思います。福利厚生の内容どもございますから、慎重に考慮したいと考えます。
  110. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 国家公務員の場合は年額わずか千三百円、民間の場合は福利厚生費が月額四千三百十六円、年額五万円、こういうわけです。しかも、その民間の福利厚生費の内容を見れば、住宅に対する手当、あるいは通勤費に対する補助、それから食堂等における食費の補助、こういうものなのですね。この四割は住宅の補助なのですよ。こういうことを見ないでいるということは、私は非常に片手落ちじゃないかと思うのです。こういうものを見れば、当然今回公務員に対して住宅手当勧告をしてしかるべきではなかったか、かように私は思うのでありますが、人事官、いかがでしょうか。
  111. 佐藤正典

    佐藤説明員 住宅手当の問題にはね返ってまいりますけれども、いまの福利厚生のほうの問題も、実は公務のほうでもいろいろと金目に勘定できないようなものもございまして、たとえば食堂の施設とか、あるいは理髪であるとか、いろいろなものがございますから、必ずしも非常に悪いと思いませんが、住宅の問題はただいま支給しておりませんから、こういう問題は将来大いに考えていきたいと存じます。
  112. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから、こういうものを考えれば、本来は当然住宅手当勧告をすべきだったんですよ。昨年、宿日直手当で四五%と四八%で改善勧告をやっているんですからね。ことしは少なくとも全事業所で四三%、公務員類似の民間事業所では五五%をこえている、こういう現実に目をおおって、しかも積み残し計算ではああいう非科学的なことをおやりになる、これはまさに所得政策に人事院が追随したと言わざるを得ないんですよ。  そこで、私は押し問答の議論をしてもしかたがありませんからずばり聞きますが、来年は福利厚生費について人事院改善勧告をされますか。民間が月額四千三百円、公務員が年額たった千三百円、これで官民格差がないとは言えぬと思うんですね。いかがでしょうか。
  113. 佐藤正典

    佐藤説明員 繰り返して申しますけれども、実は宿日直手当のようなものも増額いたしましたが、あれはもともとございましたんですね。住宅手当のほうは全然無から有に変わるものですから、その点は非常に踏み切りが悪いわけです。それから福利厚生施設というものは、民間の場合と官庁の場合との比較が非常にむずかしいものですから、もちろん今後十分慎重に検討いたします。いたしますが、来年どうするというお約束は私自身としてはちょっとできませんけれども、慎重に検討いたします。
  114. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治大臣がお見えですから大臣にお尋ねしたいと思うのですが、今回の人事院勧告内容につきましては、ただいま大臣もお聞きになったと思いますが、積み残しの計算のしかたにいたしましても、あるいは住宅手当の問題を取り上げなかった問題にいたしましても、さらに午前中河上委員が指摘をいたしました特別昇給などというものを非常にふやすというような考え方、私どもから見まして非常に欠陥がございます。欠陥はございまして、この点は当然是正をいただかなければならぬと思っておりますが、そこで、本日午前中、聞くところによりますと、給与関係閣僚協議会もありまして、人事院勧告の扱いについて論議をいただいたと承っているわけでありますが、政府といたしまして、この勧告に対してこれを完全実施をするのか、また昨年同様値切ろうとするのか、この点はどういう方向で政府は対処しようといたしておるのですか、お尋ねをいたします。
  115. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 各閣僚とも同じように、こういう中立機関である人事院から勧告されたものは完全実施したいという考え方は、一様に持っておると思います。それに類する発言もありました。しかし、きょうの六人委員会では、まだこれをどうするかという結論は出ておりませんので、こういった問題をめぐりましてなお数回検討のための会議がある予定になっております。
  116. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 閣僚協議会ではまだ結論は出していない。そこで赤澤自治大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、午前中も河上委員が触れたのでありますが、二十日の定例閣議、大臣は欠席をされましたですね。この二十日の定例閣議では、園田厚生大臣、それから灘尾文相、このお二人から口をそろえて政府は完全実施をすべきである、こういう意見の開陳が行なわれました。一時間にもわたって非常に熱のこもった御議論をされたそうであります。ところが、肝心な水田大蔵大臣あるいは地方公務員につきましてはその財源を当然考えるべき赤澤自治大臣、さらには、宮澤構想などで人事院に圧力をかけたかどうか知りませんが、そういう構想を大いに発表された宮澤経済企画庁長官、こういう鬼がいない間に議論があって、どうもぐあいが悪かったということが新聞に報道されております。大臣としてはどうなんですか、その鬼のほう、いわば完全実施に反対するほうのお考えを持っておるのか。そうではなくて、園田厚生大臣や灘尾文相と同じように完全実施すべきである。もし二十日の閣議に大臣がおったとするならば、このお二人の大臣と同じような御意見を開陳いたしたのかどうか。どういうおつもりであったか、これをお尋ねをしたいと思うのです。
  117. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほども申しましたように、私もやはり一日も早く人事院勧告完全実施するようにいたしたいと考えればこそ、やはり行政改革と取まなければならぬという考え方から、鋭意御承知の作業を進めてまいりました。きょう閣議でも発表いたしましたけれども、これをやることによって概略国費五百億、地方費二百億節約ができるという数字まで出したわけでございます。どの企業でも同じことですが、こういう行政組織におきましても、やはり簡素化、合理化するべきことはまずやる。同時に、やはり公務員諸君の期待にこたえる意味におきましても、人事院勧告は一日も早く完全実施すべきものだという考え方に立っております。
  118. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 赤澤自治大臣が各省の抵抗にもめげずに各自治体に対して行政改革のアンケートをお出しになって御奮闘いたしておりますことについては、新聞でいろいろ拝見をいたしております。ですが、問題はやはり法律できめられた制度、それを政府が完全実施をしたい、したいということを言いながらも、過去において人事院勧告を値切った。いわば公平な第三者であるべき人事院勧告したもの、それを政府が完全実施しなかったということが、やはり今日までの公務員制度の上において非常に暗い影を投げてきたことは、大臣もお認めになると思うのです。ですから、この際は、ひとついまのお答えもございましたが、あくまでも政府としては完全実施をするということで、閣僚協議会の中で大いに御主張いただきまして、そうしてそれをぜひ貫いていただきたい。お願いをいたします。せっかくこういう重要な問題を論議する閣議に欠席をされぬように、今度はぜひとも閣議において堂々とひとつ議論をやっていただきたいと思いますが、次の閣議の機会があれば、園田厚生大臣や灘尾文相と同じような御発言をされるお気持ちはあるわけですか。
  119. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございまして、そういう考え方であればこそ、やはり総合予算主義だとかいろいろいわれておりますが、国また地方団体の財源のことにつきましてもいろいろ配慮しなければなりませんので、こういった前提としてやはり行政改革なんかに真剣に取り組みたい、こういうことでございまして、欠席いたしましたのは、公安委員長として公務の出張をその日にいたしたわけでございまするけれども、やはり次の段階でこういう議論が出てくれば、当然そういった考え方で私は自分の意見を申し述べることになると思います。
  120. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 完全実施の決意はけっこうであります。ただ問題は、行政改革というのは、それは前提なんですか。それをやらなければ完全実施しないということであれば、私は問題だと思うのです。それは合理的な行政機構をつくるための努力をされることは、私はけっこうだと思いますよ。問題になっております地方事務官等の問題を解決することは、大いにけっこうだと思います。そういう努力を一方においてはする、並行して人事院勧告完全実施をするという意味ならわかりますが、行政機構の改革ができなければ、これは完全実施できない、こういう形では、私はやはり問題があると思うのです。いずれですか。
  121. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 こういう問題を含めて、行政全般の取り組みについて将来のことを申し上げておるのであります。いまベースアップを扱うこの時期に行政改革を論じてみても、この問題とは少なくともじかに結びつかぬことは、言うまでもないと思うのです。しかし、私が申し上げることは、やはりこれは全国民の要請と私は考えておりますので真剣に行政改革と取り組む、その結果は単に国費を節約するということではなくて、こういった給与面にもやはり合理的な解決をする道が開けるということを申したわけであります。
  122. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、当面人事院勧告実施するという差し迫ったこの問題については、精神はいずれであれ、それを前提にしなければやらないというかたくなな態度ではなくて、人事院勧告というせっぱ詰まった問題については、片や行政機構の改革ということはやはり時間のかかる問題ですから、その問題とは切り離して、完全実施の方向で大臣としては対処する、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  123. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございますが、完全実施云々ということは、冒頭に申しましたように、きょうも六人委員会で意見は出ております。しかしながら、それはいま直面しております問題ですから、そういった議論も交えながら最終結論が間もなく出ると思いますが、考え方としては、ただいま申し上げましたとおりに、こういう人事院の性格、またこういう人事院を含む制度自体は、やはり閣僚諸君がみな言うとおりそういうことを期待しておるわけでございますので、私も、できるだけすみやかに完全実施をいたさなければならぬという考え方は、同じでございます。
  124. 吉川久衛

    吉川委員長 そろそろ御協力をお願いいたします。
  125. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間もあれですから、あと一つだけ聞いて終わりたいと思いますが、最近大臣は、過密状態にあります都会における都市交通の問題を改善するために、大量運送の問題を考えるとか、道路規制の中でこういった都市交通がよりスムーズに運行されるような方法を考える必要があるとか、積極的に閣議等において御発言をしておられることを新聞で承っております。その御努力については大いに多といたしたいと思うわけでありますが、問題は、地方公営企業職員の給与改定の問題であります。地方公務員につきましては国家公務員に準ずるということで、当然これは歴代の自治大臣と同じように赤澤自治大臣も対処をするおつもりであることは私も疑いませんが、問題は地方公営企業の職員の問題であります。地方公営企業法の三十八条ですか、三十八条によけいな規定がございまして、それをたてにとりまして、前藤枝自治大臣は地方公営企業の職員の問題についてはなかなか歯切れのいい御答弁をされなかったのであります。しかし、現在の地方公営企業の職員の人たちが。昨年の第八次賃金の問題についてすら、いまなお解決をされていないという現状がございます。こういうことでいきますことは、私はいかにしても不合理ではないかと思います。現在の交通の状況、これは都市交通の職員やあるいは管理者がいかに努力しても、解決のつく問題ではありません。そういったみずからの努力以外の要因によって地方公営企業が非常に困難な財政状況に置かれている、再建をしなければならぬという状況に置かれておる。そういう中で給与改定の問題がいわば進まないということについて、大臣不合理をお考えになっておるからこそ、閣議等において積極的な御発言をされたと思うのです。そういう点でひとつ解決に御努力をいただくことは、たいへんけっこうであります。しかし、そういう努力が一朝一夕にしてなるわけではありません。とするならば、国家公務員地方公務員が準ずると同じように、公営企業職員の諸君についても、当然地方公務員に準じて給与改定を行なう、八次賃金についても解決をする、それからこれから起こるであろう第九次の賃金問題、給与改定についても、地方公務員に準ずるという形で解決をする、こういうことが、筋の通ったやり方ではないかと私は思うのであります。この点に対する大臣の御見解を承りたいと思います。
  126. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 きょうも、六人委員会で特に私この問題に触れたわけでございます。基本的には、私たびたび申し上げますとおりに、公営企業も、企業であるからには人件費だけは別計算企業採算をとるわけにはまいりませんので、やはり人件費もひっくるめてそろばんはとるべきものであるという基本的な考え方に立ち、ですから、この赤字の企業を再建いたしますためにも、そういったことを含めましていろいろ努力をしていただくように要請しております。しかし、ただいま御指摘のとおりに、こういう、特に六大市の公営交通に至りましては、非常に公共性も高いし、もちろん公益事業であるのにかかわらず、何が一体これほどの正常な運営を阻害しておるかということを考えました場合に、言うまでもなくこういう交通混雑が非常に激化して、これではまるで路面電車もバスも動かぬという状態になっております。そうすると、利用者も激減してくるのは当然でございます。これを徹底的に除去して正常な運営、運行をいたしますためには、隘路を除去するしか道がないわけですから、それがなかなか結論が出ないでもたもたしておりましたので、先般閣議でも発言をいたしまして、総理府の安全調査室ではいろんな試案、中間的なものもまとまりかかっておりますけれども、この段階で抜本的な方向を打ち立てますためには、なかなか事務レベルではむずかしかろう、そこで交通関係閣僚協議会も早急に招集して、この方向づけをやろうじゃないかということを言ったわけです。きょうもそのことにもやはり触れまして、近くやろうということになったわけですがまあ企業でございまするから、こういった面も一日も早く解決の方向を見つけまして、それでもどうにもならぬという場合には、この問題は、現状にかんがみまして、別途解決の方法も考えなければならぬことになるかもしれぬと私は思っております。
  127. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 都市交通も、いま大臣が言われたような状況もあります。それからまた、地下鉄を掘ります場合の負担区分を一体どうするのかということも、前々からの議論の問題であります。それからまた水道につきましても、水源が遠くなったために原水の単価が非常に高くなったものに対して、一体どうするかという議論もございます。さらに横浜等におきまして、いま路面を走る電車とバスがありますが、いわば路面電車を撤去いたしましてバス一本にする。しかし、路面のほうの赤字というものをそれではバスがしりぬぐいするような形でこの再建問題を認めてくれるかというと、そうではない。バスはバスでもって経営が成り立つような形でもって再建対策を立てられる。それで片や路面の赤字というものは膨大にある。こういう状態では、何といっても公営企業の財政がよくなるはずはないわけであります。そういう状態でありますものを抜本的に改善するために、大臣が非常に御努力をいただいている、けっこうであります。しかし、この問題を解決するためには、どうしたって一朝一夕にはいかぬと私は思います。そちらの問題は片づかぬ、片づかぬ限りは公営企業職員の給与改定についてはこれは待ったということでは、筋が通らぬ。片方の問題は解決するために全力をあげるが、しかし、これはなかなか一ぺんに片づく問題ではない。とするならば、この片方の公営企業職員の給与改定については、やはり別途、これは地方公務員と同じような状態にあるわけでありますから、それに準じて給与改定についても認めるということでなければ、おかしいと私は思うのです。大臣としてもそういう趣旨でお考えになっているのであろうと思いますが、特にこの点だけひとつ大臣の明快な御答弁をいただきたいと思うのです。地方公営企業の職員についても地方公務員に準じてやるつもりであるという御答弁をいただくならば、私はこれはもう画期的な善政だろうと思うわけでありますが、大臣いかがでしょうか。
  128. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま申し上げましたとおりに、公営企業一つ企業である限り、採算を度外視して人件費というものは考えられないということを申し上げたわけですが、私の言わんとするところは、してあげたいという気持ちは山口さんと同じであっても、やはり企業努力をきびしく要請し、とても企業努力で間に合わぬことは、政府のほうでいろいろお手伝いできることはいたしましょう、とにかくぎりぎりまでやってみて、それでもだれが考えてもそういった面がどうにも是正できない場合は、やはり別途の方法を考えざるを得ないということを申し上げたわけでございます。その点で十分努力はいたしたいと考えております。
  129. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これはまだ時間のある問題ですから、これで一応終わっておきたいと思いますが、しかし大臣、まだ昨年の給与改定が片づかぬというような状態は、これはどう考えても私は遺憾なことだと思うのです。企業努力は大いにしなければいかぬ、またそういう条件をつくるために政府としても努力をする、たいへんけっこうであります。しかし、どうも従来のやり方を見ますと、政府としてやるべき措置というものはなかなかされぬが、企業としての会計を締めるほうだけは財政局を中心にして非常に一生懸命やっておるというような感じが、私どもしたわけであります。そういうことでないように、政府がやるべき措置もすみやかにやり、そういう中で地方公務員と同じような給与改定が十分できるように、ひとつ大臣としても大いに御努力をいただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  130. 吉川久衛

    吉川委員長 門司亮君。
  131. 門司亮

    門司委員 給与改定についてはいろいろ論議がされ、さらにまた論議が行なわれることだと思いますので、きょうは率直に大臣に聞いておきたい。     〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕  給与改定については地方の自治体の自主性を認めますか、認めませんか。  私がこういう質問をしますのは、いつだか人事院勧告より少し上回った給与改定をしたところにはあとで交付税をやるとかやらぬとか、少し財政上でいじめたことがある。私はそういう記憶を持っておる。したがって、地方自治体の自主性を認めるということになりますと、最低限を一応のめどとして、あとは地方の自治体にその時期、方法、額というようなものを率直にお認めになるかどうか、この点をひとつ確かめておきたいと思います。
  132. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方公務員の場合は、御承知のとおりに法律によって国家公務員に準ずる形になって、それでずっと踏襲してきておるわけでございます。それで計算いたしますと、去年どおりに準備したものよりはちょっと上回るというか不足が出ております。しかし地方税収だってことしは多少いいほうに動くという、淡き希望ではありませんが、私はそういう一つの見方もしております。結局、何がしか不足が出ました場合には、今度は総合予算主義を貫くという——これはいろんなほかの理由からしてたてまえを貫くということにもなっておりますし、地方財政の中で何とかまかないをつけなければならぬ、かように考えておりますけれども、まだ最終の結論はただいま申し上げたより出ておらぬわけであります。
  133. 門司亮

    門司委員 そこで問題になりますのは、総合予算関係であるし、それから地方の公務員は国に準ずるというのだけれども、政府はそういう自分の都合のいいところだけ解釈しているのだな。いま問題になりますのは、私が聞いておりますのは、非常は過密された都市がございます。そうして財政が非常に膨張している。国は総合予算でいいかもしれないが、地方はいま実際は総合予算なんというものでやれる筋合いではないのですね。地方と中央との財政上の大きな開きがあるものを、国が総合予算だから地方もこれでおやりなさいといっても、私はそれは無理があると思う。したがって、さっきのような、少し回りくどい話をしたわけであります。  総合予算制を国がとっているから、どうしてもそれでやらせるという、そうして、足りない分だけ何とかしてやろうというような考え方以外にできないものですか。私は地方の自治体は今度は困ると思っております。それはこの短い時間の間でもかなり地方公務員がふえたのもありましょうし、仕事量もふえておりますし、非常に無理をしている。それをあくまでも、さっき言いましたように、国が総合予算だから地方もこれでということはいささか無理があると思う。その辺は、大臣は少しはゆるめてもいいというようなお考えがございますか。あったらひとつこの際はっきり言っておいていただきたいと思います。
  134. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 財政計画もすでに立っておるわけでございますが、御指摘のとおりに、地方団体ごとに過密地帯もあるし過疎地帯もある。答弁としては、やはり交付税の傾斜配分であるとかあるいは起債の重点化であるとか申しますけれども、今日の過密地帯の財政需要というものは、なかなかこういった従来の措置ではまかない切れぬものがあることは御指摘のとおりでございます。ですから、この際、税制その他いろいろ検討を加えまして、そうして過密地帯のほうにはそれをまかなえるような形で諸施策を進めなければならぬ、かように考えております。
  135. 門司亮

    門司委員 給与関係について、財政の問題とあわせて、私はこの際もう少し突っ込んで聞いておきたいと思います。  そのことは、御承知のように、過疎地帯につきましてもあまり縮小するわけにはいかぬのですね。人が減ったからといって、役場の機構をむやみに小さくするわけにはいかぬ。かかるだけはやはりかかるのです。  御承知のように神奈川県はすでに人口五百万をこえております。戦後約三百万の人間がふえております。毎年何十万かの人間がふえておる。私の住んでいる横浜でも同じであって、すでに二百万をこえて、名古屋より人口が多くなっている、こういう状態でございます。  御承知のように、人間が一万人ふえれば小学校が大体一つふえることになる。二、三万もふえれば中学校を大体一つ建てなければならぬというのは常識ですね。そういたしますと、地方においては、給与の問題がからんできて、財政上非常に苦しいのです。そうして、学校の敷地がしたがってないということ、こういう財政上の最も苦しい状態の中に置かれておるこれらの都市に対して、どういう処置をおとりになるのか。給与関係だけでなくて、財政全体から考えてどういうことになるかということ、大臣も忙しいと思いますからはしょって申し上げておきますが、こういう問題を加味した来年度地方財政計画について、いま大蔵省との間にどういう交渉がされておるか。もし交渉がされておる片りんがあれば伺っておきたいと思います。
  136. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大蔵省との交渉ですけれども、明年度の予算の概算要求は今月末までにやってほしい、新聞で御承知のとおりに、確かに閣議で大蔵大臣が大体二五%以内に増加分を押えてほしい、こういうことでした。しかし、まだ具体的な折衝に入る段階ではございませんし、しかも一方、うわさでは去年もだいぶこの問題で困りまして、難関は一応突破した形ですけれども、大蔵省としては、できるだけ、地方財政好転説などが流布——大蔵省が流布したわけでもありますまいけれども、そういった一部の意見に乗じてやはり減額と申しますか、ふやしてくれるより減らすという方向へどうも頭が向いておるようでございます。こういったことは、また議論を繰り返すようですけれども、実情はそうではありませんので、そういうことを私極力主張いたしまして、従来のいろいろな地方財政財源になっておりますものは確保する、その上に先ほど申しましたような地域等を配慮いたしまして、さらに税収その他で特別の措置をしなければならぬ、かように考えておるわけでして、これは単に地方公務員給与などとはまた切り離してそういうふうに考えております。
  137. 門司亮

    門司委員 それから、もう一つ二つ財政上の問題で聞いておきたいと思います。  それは、最近における地方自治体の状態というのは、いま大臣もお話しのように非常に片寄っております。要るところはばかばかしいお金が要るようになって、どうにもこうにもならない。だからといって、少ないところを減らすわけにいかないということで、大蔵省のいう財政が幾らか好転しているというようなことは、大蔵省は全く地方の財政を知らない連中の集まりだと思うのです。だから大蔵省の連中は、少し地方の助役さんか局長ぐらいになったら大蔵省も気がつくと思うのですが、なかなかそれも困難だと思います。  いずれにしても、そういう現状であって非常に困っておる。ことに最近問題になっております基地の問題を一体どうするかということであります。従来も基地に対する——国民というと語弊があるかもしれませんが、世論の考え方は、たとえば砂川な問題、横田の問題がありますが、これらは、いずれも朝鮮戦争の時期における基地の拡張であるとか、あるいは用地の収用であるとかいう問題を契機にしていろいろ問題が起こっておる。しかし、最近の状態は、御承知のように、これらは基地公害ということばが使われておる。新聞にもそういうふうに書いております。公害にひとしい状態である。そうしてこれが都市の発展をどれだけ大きく阻害しておるか。どれだけ大きく都市計画を阻害しておるか。私の住んでおる横浜には、こまかいところまで計算しますと大体二十二カ所の基地があります。都市計画も何も立ちやしません。大和は非常にやかましいことをいわれておりますが、これは大体面積の三八%というものが基地になっておる。これなどは都市計画も立たない、どうにもならぬところに追い込まれておって、そして電波障害があったり、あるいはいろいろな弾薬庫の問題だとかなんとかいうものがたくさん出てきておる。最近はこれを公害と考えるほうがよろしい、いわゆる基地公害ということばのほうが私は適当だと思うのです。こういう状態があるということ、したがってそれについての行政上の処置というものを、一体どういうふうに考えておいでになるかということ、これは内閣の問題であるかもしれない。しかし、地方の自治体が一番困っておりますので、これは単なる内閣の問題として取り上げるわけには私はいかないと思う。地方の担当大臣としてこれらの問題に一体どう取り組もうとされておるのか、その点をひとつこの機会に聞かせておいていただきたいと思います。
  138. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 基地問題は、一見所管は防衛庁、防衛施設庁のように見えますけれども、基地があるのは事実地方団体の行政区域内にあるわけでございまするので、もちろん住民の福祉その他を中心に行政をやっております私ども立場からすれば、重大関心を持たざるを得ない。そこで米軍に提供した施設、基地、これは日米安全保障条約によって義務づけられておりますけれども、しかしながら、国際情勢は変転もしてまいっておりまするし、事実今日提供しておるだけの基地がこの時点で必ず必要なのかどうか。必要なものは残さなければなりませんけれども、それほど急がないものはやはりこの際返してもらいたいという交渉を、外務省で積極的にやってもらっておるつもりでございます。  それから、わが国の国防上の自衛隊の基地は、これは私どもといたしましては、やはり今日国防力は必要であるという観点に立ちますけれども、とにかく航空基地の騒音あるいは電波障害、地域住民に、ただいま公害ということばがございましたけれども、やはりいろいろな生活面に影響を与えておることは事実でございます。そこで、私たちは基地交付金というものを毎年受け取りましてそれぞれの市町村に配分しておりますが、基地交付金と申しますのは、言うまでもなく基地所在の市町村の一般行政費としてこれは交付するものでございまするので、何も特に基地周辺の住民対策に振り向けなければならぬ性質のものではないわけですから、別に新しい法律を一昨年かつくりまして、俗に基地周辺整備法あるいは民生安定法といっておりますけれども、この法律を十分活用することによって、これはただいま門司先生が御指摘になりました基地による公害といったような種類のものを取り除く、また、多少そういうことがありましても、やはり国防基地というものは、その基地所在地だけでなくして、国全般のもののためにあるわけでございますから、そういった理解のもとに、できるだけ周辺住民の不便にかえて、何か国防の事業というものをやってあげなければならぬという考え方に立って政府はこの施策を進めておるつもりでございます。
  139. 門司亮

    門司委員 いろいろお話がございましたけれども、いまのはほんとうにおざなりのお話であって、そういうことでよろしいかどうかということですね。事実上の問題として、御承知のように都市の将来性、都市の発展性というものは、現状における状態を基盤にして伸びなければなりません。同時に、これは他の都市と競争しておるわけです。おのおの成長するために競争しておる。したがって、これだけやっかいなものがあるところはそれだけどうしてもおくれるのですね。その点はひとつ大臣のほうで、きょうは私はくどく聞きませんけれども、やはり考えてもらわなければならない。多少の利益があると言うけれども、利益はそうありはしない。みんなとってしまったからといって横浜ではどうということはない。大和市がなくなるわけでもない。不必要なものが幾らでもあってどうにもならない。ほんとうに大和のように三八%も占められておって、そして都市計画が立たないということになると、これはどうにもならぬ。そういう問題がありますから、もう少し基地交付金がどうだ、基地周辺の民生安定費がどうだということを大臣がお話になるなら、この額を思い切ってひとつふやしてもらいたい。これを私は要求しておきます。大臣もお認めになっておるようですから、ふやしていただきたいということです。  それから、もう一つ問題点として聞いておきたいと思いますことは、ちょっと飛び離れた問題でありますが、時間がございませんから率直に大臣の所信を伺っておきたいと思いますが、沖繩の問題をどうされるかということです。私は現在の沖繩の置かれておる地位というものに対する日本政府のとるべき一つの大きな手段としては、いま総理府にある南方連絡事務所であるとか、あるいは特別地域連絡局であるとかいうようなあいまいなものでなくて、本土との一体化ということなら、いま思い切って沖繩の所管は自治省に移すべきだ、そうすることが、沖繩の返還あるいは沖繩の行政が日本本土に近づく最も大きな一つのポイントじゃないか。いつまでもあの状態のままで置いておいて、いま山野君が行ったりあるいは岸君が行ってやっておりますけれども、とてもこれでは日本政府を代表した一つ行政官としてアメリカさんに現地で太刀打ちができようとは考えられない。やはり総理府というようなばく然としたものでなくて、自治省の所管に移して、沖繩県であるというはっきりした立場の上ですべての施策を進めることがこの段階では必要だと私は考えておる。大臣もそういうことをいろいろお話しになったように承っておりますが、その後の経過と大臣の現在の所信をこの機会に披瀝しておいていただきたいと思います。
  140. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この問題につきましては、これまた門司先生と同じ見解でございます。しかし、何せ米軍の施政権下にありますので、やはり外交的ないろいろな関係もございます。しかし、自治省といたしましては、ただいま御指摘のとおりに、沖繩は間もなく日本の一地方公共団体になるはずでもございますし、おっしゃるように沖繩県として日本に復帰するはずでございます。そこで、その前段階として、ただいま特連局などをお取り上げになりましたが、私も全く同じ意見でございまして、特連局はいま総理府の所管になっておりますけれども自治省といたしましては、沖繩事務所も特連局も結局同じものだ、その上に、こういう事態のもとだから日米琉諮問委員会というのがあるのはやむを得ないけれども、やはり統一して、自治省が一体化に備えて、特連局も沖繩事務所も統括してやるのがいいと考えておりますけれども、なかなか事態はそう簡単にそこまでいくわけにまいりません。しかし内部ではいろいろこの問題につきましても折衝を進めておる次第でございます。
  141. 門司亮

    門司委員 どうも答弁があまり歯切れがよくないのだが、私はもう少し自治大臣として率直に、あるべき姿はかくあるべきだということを話していただいて、そうして、実際の問題として、あるいはいろいろな障害が多少あるかもしれない、あるかもしれないが、しかしこの所管をどこに移すかということについては、何も講和条約に拘束される必要もないし、あるいはまた、アメウカさんにそんなに気がねする必要もない、日本の国内の機構の改革で済むのではないかと私は思う。したがって、そう遠慮しないで、ひとつほんとうにいま移しておかないと、これから先の仕事が非常にやりにくくなる危険がありはしないかということが危惧されるのでありまして、どうもいままでの総理府のいき方を見ておりますと、どうなるか見当がつかなくなってきた。したがって、確固とした、やはり日本の沖繩県であるというたてまえから、すべての行政をここに基本を置いて行ないませんと、結局、いろいろ沖繩返還についても、議論をしておりますが、その議論のまとまる場所というものが非常に散漫になってきているような気がいたします。何か依然として沖繩は日本と離れたもののような錯覚が非常に多いようであります。したがって、そういう錯覚をなくするためにも、やはり自治省の所管だということで、日本政府から考えれば、あれは日本のものだ、日本の沖繩県だというたてまえで処置される段階に私はきていると思います。だから、はなはだ答弁はしにくいかもしれませんが、もう少し歯切れのいいはっきりした大臣の所信を聞かしていただきたいと思います。
  142. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 歯切れが悪いとおっしゃいましたが、ただ残念ながらまだ日本の施政権下にないということを申したので、ちょっと焦点がぼけたかもわかりませんけれども考え方としては完全に一致しているつもりでございます。やはり一体化の準備段階、予備段階におきましても、これは自治省が所管いたしまして、そしてすべての統一的な窓口になるということが私はいいと考えております。
  143. 門司亮

    門司委員 それから、もう一つだけ大臣に聞いておきたいと思いますが、それは自治省の機構の改革をされて選挙局をなくされたということであります。これは行政管理庁から一局をなくしろということで、あそこが一番抵抗が少なかろうという考え方であったかもしれないと思いますが、私はいまの日本の選挙の状態を見てまいりますときに、はたしてこの選挙局をなくしていいかどうかということです。これは事務量あるいはその他のものから見ればそう大きな組織でもございませんし、これが部になったからといって変わりがないような事務的な処置はできると私は思う。しかし、これほど選挙法がやかましくなり、資金規正法がやかましくなっておって、日本の政治がよくなるか悪くなるかということがあげて選挙に原因があるということになっている現在、この選挙に関する役所を縮小されるということは、この事態に対して大臣はどういうお考えを持っているか疑わしい。少なくともほかの課やほかの部はある程度——なくなってもいいと言うと役人におこられるかもしれませんが、縮小されることもやむを得ぬかと思いますが、これだけ時代の要求で、何が何でも選挙だけは公正にやるようにしたいという国民全体の切実な願いにもかかわらず、この選挙局を部に直されたということについては、どう考えても私は合点がいかないのであります。選挙に関する、あるいは選挙制度全体に関する考え方は、いままで大臣のお話しになっておったところと全く違った方向に進みはしないかという気がするのですが、これはどういうわけですか。どういうわけでこれをなくされたのか。
  144. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それをまたいま聞かれるとちょっと私はたいへんつらいわけなんでして、これは門司先生先刻御承知のとおり、私は、最後まであなたがおっしゃったと同じことを言って、自治省は選挙局とも四局しかないわけですから、自治省は例外に願いたいといって最後までがんばりましたけれども、とにかく総理が、どの一省も例外は相ならぬということで——総理と申しますより総理にかわって行管長官がそういう方針で臨みましたので、最後は、とにかく結果的には御期待に沿うことができなかったというわけでございます。しかし、選挙というものはおろそかにはできません。少なくとも民主政治、議会政治のもとにおいては、これは最も大切な業務の一つでもございまするので、一応、局が部になりましたとはいえ、格段の努力をして、そして国民の御期待にこたえたい、かように考えておるわけでございます。
  145. 門司亮

    門司委員 私は、大臣としてはそれ以上の答弁はできないと思う。国民の期待にこたえなければならぬ、こう答える以外にはないと思うのです。しかし、感じとしては、どう考えても、この大臣の処置はあまりにも画一的過ぎはしないかということです。何も、総理が何とおっしゃろうと、あるいは行管の木村さんが何とお話しになろうと、必要なものは必要なんです。そして、特にいま世論の中で選挙をどうするかということが、あげて政治の姿勢を正すにも何をするにもすべてがそこにくるのです。選挙が悪いからだ、選挙が悪いからだ、その政界にとって一番大きな問題である選挙局をなくされたということについては、私は非常に残念に考えておるのであって、一体、大臣は、選挙粛正をする意思があるのかないのかを疑わざるを得ないというような——こんなことを言うと大臣はまたおこるかもしれませんが、そういう気がする。同時にまた、佐藤内閣は一体ほんとうに選挙粛正ということを考えておるかどうかということ、選挙の公正なんということを考えておるかどうかということすら疑いたくなる。単なる一部局のことでごはざいますけれども、いま日本で——繰り返して恐縮ですけれども、一番世論の的になっておるといっても差しつかえのない選挙の制度が縮小されるということを私は非常に残念に考えておる。  そこで、なお突っ込んで聞いておきたいと思いますが、局を一応なくされて部にされたことによって、私どもから考えてまいりますと、ただ単に外向けだけ局が部になったというだけであって、内容はちっとも変わらないと大臣はおっしゃるかもしれない。また、いままでのお話もそういうことだったと思います。しかし、事実上そういうことでよろしいのかどうかということでありまして、これは行政局担当になっておるのだと思いますが、従来選挙局はなかったのであって、選挙局をこしらえるときのいきさつというものも考えてまいりましても、私は廃すべきではなかったと考えております。しかし、廃止された以上、これをもとに戻すということはなかなか困難だと思いますが、取り扱いとして、特にこれを大臣官房の中に入れるとかなんとかというようなことで、直接大臣の指揮下に選挙制度だけを置くというようなことはできませんか。これは行政機構の中に私がくちばしをいれることははなはだ不見識であるし不穏当かもしれません。しかし、どう考えても、やはり私は権威のあるものにしておきたい、こういう考え方があるわけでありまして、その点についてひとつ大臣の所感を聞いておきたい。
  146. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 選挙局が生まれたその後の足取りなどをいろいろ検討いたしまして、いま官房へというお話もございましたけれども、いろいろ省内で協議、意見も聞き、私もまた判断を加えました上、行政局の部にしたわけでございまして、同じことを申し上げて恐縮ですけれども、国民に対する責任というものは必ず果たさなければならぬと考えておるわけでございます。
  147. 門司亮

    門司委員 これもこれ以上私は大臣とやりとりしても時間のないときにしようがないと思いますが、もう一つだけ聞いておきたいと思いますことは、御承知のようにアンケートを出されて、いま何か刷りものをもらったわけであります。このアンケートは例の、私もまだよく見ておりませんので、内容をどうこう言うわけにはまいらぬと思いますが、行政管理庁のほうでいろいろ調べておりますものと比較されたことがございますか。もし比較されたことがあるとするならば、両方の突き合わせを資料としてひとつ出してもらいたいと思いますが、そういうことをされたことがございますか。
  148. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは出発と構想が全然そうではありませんので、行管では行管としての役割りから別途行政改革の案をつくっております。しかし、行管には別に手足はありませんので、私どもは国の機関委任事務というものを大部分市町村が窓口になってやっておりまする関係もありますし、かねて六団体などから、行政の実情に合わないとか、こんなことはむだじゃないかとか、こんなことは煩瑣だからもっとこう直したらどうだといったような、いろいろな要請、陳情等も受けた累積もありますし、とにかくそういった行政の大部分をやっておる窓口の意見をただすのが一番いいということから、平たくいろいろな設問をいたしまして、そうして意見を求めたその累積は、先般新聞紙上その他を通じて、またお手元に資料も差し上げたわけでございます。しかし、それをどういう形に整えるのが自治省としては、つまり自治体としては行政運営上適切であるかという自治省の判断も加えて実はお手元へ印刷物を差し上げたわけでございます。したがいまして、そのおい立ちからいたしましても行管の行政改革の案とは全然別なものです。しかしながら中には一致するものもある。これを分析いたしますと、この中の四十七問だけ臨調の答申と一致しております。それからまた、地方制度調査会の長年の累次のいろいろな答申の中に含まれておるものもやはりそのくらいな数字あります。また、六団体あたりから要望されたものもたくさんあるわけでございます。しかしまた、そういうものに関連したということでありませんで、全然独自に調査いたしました結果がこういうものとある程度一致しておる、こういうことになっております。
  149. 門司亮

    門司委員 そうすると、調査をされて、いまのお話のようにだいぶ一致した点もあるようでありますが、一致した点が多ければ多いほどこの実施は楽だと思うのです。したがって、このアンケートによる実施の計画というようなものを、いますぐお出しになるということはなかなか困難でしょうが、これは財政との関係もありましていろいろむずかしい問題もあろうかと思いますが、一体、自治省としては、これをいつごろ法律改正その他に持ち込まれる腹づもりなのか、その点をひとつあらかじめ聞かせておいていただきたい。
  150. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 このアンケート調査の中にあります地方事務官制度だけは第一次の三カ年行革案というものに組み入れたいという行管の御要望でして、要望をされるまでもなく、ぜひ全部同時にと思いましたけれども、八月末といえば時間がありませんし、そこで関係の三省とはあすからまた具体的な折衝に入ることになっております。その他は実に膨大な数でございまして、これは関係各省が実に多くて、またそれぞれ関係の団体あるいは業種などが多い関係上、反対する者、賛成する者、いろいろな陳情や圧力が私どものところにも来ておるわけでございますが、これはやはり最後は十二月半ばを目途として、そして政府でも関係各省といろいろ接触もし、その中には行管も立ち合ってもらうことになるでありましょうし、それから範囲が非常に広いわけですから、各委員会にもわたり、政策面にも触れていくことになると思いますので、十分国会でいろいろ御検討願って、そうして年内には所期の効果を生み出していきたい、かように考えておる次第でございます。
  151. 門司亮

    門司委員 いま、ことばじりをとらえるようですけれども、年内とおっしゃったのは十二月までなのか、三月の期末までなのか、どちらですか。
  152. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 十二月の十五日までと考えております。
  153. 門司亮

    門司委員 それはそれで聞いておきますが、問題は、もう一つだけ聞かしておいていただきたいと思いますことは、来年度地方財政計画について先ほどちょっと私は予算のことで触れましたが、ことしの地方財政計画のような形で、もし来年度地方財政計画が組まれるとすれば、先ほど申し上げましたように、総合予算制というものは地方にはほとんど通用しないといっていいくらいなんですから、非常にむずかしい段階に来るであろうということは想像にかたくございません。それはもう大臣のほうもよく御存じのように、過疎地帯は過疎地帯でいろいろな問題があり、あるいは過密地帯は過密地帯でいろいろな問題がある。しかし、これはいずれも一つの社会現象でありまして、当該自治体で好んでやっているものでもありませんし、また当該自治体がこれをどう考えてみたところで、これを防止することはなかなか困難であります。これは大分県のどこでありますか、一つの町が、人間が非常に減っておったのであるが、最近若い者が村に帰ってきて、そうして立ち上がったというような報道がないわけではございません。したがって、これら自治体が自主的に過疎地帯についてはやるべきだという議論も私はないわけではないと思う。しかし、これは例外中の例外であって、世間全体の傾向としては、これは全部社会増でありあるいは社会減ということばが使われれば社会減である。あげて国の施策に私は非常に大きな関連性があると思います。それを今日、地方の自治体の現状のままで一体地方財政計画を立てるということがよろしいかどうかということであります。私はほんとうに個々の自治体の実況、個々の自治体の状態というものを十分踏まえて、来年度地方財政計画がかなり弾力性のあるものでなければ、実際の地方の自治体の運営は困難ではないかと考えておる。こういう点について、もし大臣のお考えがあるとするなら、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  154. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方団体の財政上の全体の傾向は、御指摘のとおりでございまして、それを十分考慮いたしました上、明年度地方財政計画は策定しなければならないと考えております。
  155. 門司亮

    門司委員 そうだといたしますと、今度具体的にもう一つだけ聞いておきますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、人口が非常にふえているところでは、学校がどうにもならない、あるいはその他のものについても同じでありまして、いままでわれわれが地方公営企業についての先行投資云々と言っておりましたけれども、最近は大都市のほとんどの行政について、すべて先行投資をしなければならぬという非常にむずかしい問題にぶつかっております。したがって、これらに対する財政措置を一体どういう形で行なおうとされるのか。ことしはわれわれは、初めははなはだ不本意でありましたけれども、四百五十億ばかりお金があるからといって大蔵省にお貸しになったようでありますが、これも自治体に置いていただければ、公務員ベースアップについても一つ財源になったかと私は思いますが、そういう措置をとられるということになると、私がさっき申し上げましたように、どうにもしようのないことになる。そのことの一つは、御承知のように都市がだんだん伸びておりまして、そうして同時に中央といいますか、まん中がだんだん空洞化していって、そして従来からドーナツ現象といわれておりましたが、ドーナツ現象がこのごろははなはだしいのである。そして、それが地方の財政には非常に大きな影響を持っておるということも御存じのとおりであります。したがって、地方のそうした特殊の事情を考えて、そうして起債あるいは利子補給というようなものについても、私がさっき弾力性と申し上げましたのはそういうことでありますが、そういうお考えができるかどうかということであります。このことは、もう一言つけ加えて申し上げておきますが、いま学校の問題だけを取り上げましたけれども、道路にいたしましてもすべてそうでありまして、先行投資をどうしても必要としてくる。そうして、そこから上がってくる収益というものは非常に少ないのである。したがって、何らかの特別の財政措置をとっていただかないと、起債ワクをふやすということにするのか、あるいは利子補給をすることにするのか、いずれかの措置をとってないと、もう大都市財政というようなものは、どうにもならぬ形に現在追い込まれつつある。これは、いま即答は、私から考えてみても、大臣非常にお困りだろうと思いますけれども、そういう特別の財政措置をとるということだけぐらいはお話しは願えると思いますので、その点についてのお答えをひとつ願いたいと思います。
  156. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、公共用地の先行取得、特に大都市の急速に人口が密集しつつある流動の激しい地域などでは、全く地方財政が行き詰まるという現象を呈しております。ことしも去年もそうですけれども事業債のワクをとりましたけれども、実際はとったワクの数倍ものワク外債を許可いたしまして支弁しているような状態でございますが、明年を見越しまして、公共用地先行取得のための資金源というものを十分確保しておかなければならないと考えまして、明年度のものはかなり大幅な要求を大蔵省にする考えでおります。
  157. 門司亮

    門司委員 それともう一つだけ聞いておきます。この資金の獲得について外債が一つありますね。いま横浜がドイツでマルク債を約九十億でありますか、この契約が二、三日前にできたと思いますが、私は外債自身についてはもう少し根本的に掘り下げた議論をすべきだと思いますけれども、ここでその議論をしているひまはございませんが、一体なぜ外債ができるかということは、日本の金利が非常に高い、外債を求めたほうが安上がりだ、こういうことと、それからもう一つは、外債ならある程度まとまった金が借りられる。どうも日本の大蔵省や自治省に頼んだって、まとまった金を貸してくれないから、自治体としては仕事ができないということで、最近神戸も大阪も東京もみんな大都市は外債を持っておるようであります。外債自身のよしあしということはここで議論をする時間がありませんからいたしませんけれども、そうした傾向は、結局日本政府のとっておる地方自治体に対する財政上の措置が、極論すれば非常に冷淡だ。外国のほうが親切だ、あるいはドイツは金利が非常に安いところでありますから、それがいま横浜が借りておる約七分に近い六分八厘五毛くらいになりますか、その利息とドイツの金利と比較すると、ドイツでは非常に有利な形になる。日本の政府から借りるよりもあるいは有利になるかもしれません。そして、まとまった金が借りられるからということで外債を借りてくる。しかし、国と国との間の借金は別にいたしまして、地方の自治体が、大蔵省が引き受けておるといっても、外債をとるということがいいか悪いかということについては、私はまだ多少の議論があると思います。しかしその議論は別にいたしまして、こういう結果の出るということは、あげて日本政府の地方の自治体に対する財政上の措置の誤りとまでは申し上げませんが、冷淡さからくるものではないかと考えられる。こういう点について大蔵省の意見を聞くこともいいかと思いますが、ひとつこの際自治大臣の御意見を聞かしておいていただきたいと思います。これは将来非常に大きな問題を残すと考えております。
  158. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 国自体が地方公共団体に冷淡だとおっしゃっていましたけれども、私はそういうふうには考えていただきたくないと思います。今日繁栄途上の国の財政でこのくらいはできないかとおっしゃる気持ちもあるかもしれませんけれども、     〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 やはり国自体としては地方公共団体のためにすべきことはしております。当委員会でもずいぶんいろいろな点で御審議願っておるわけでございますが、外債は先般神戸、また今般横浜にマルク債というものを許可いたしました。これも起債の引き受け条件等いろいろ勘案いたしますと、御指摘のとおり、発行者にとっては有利な点もございますので、いろいろ検討を加え、大蔵省とも財政秩序その他の面につきましてもいろいろ相談もいたしまして、ああいう許可をした次第でございます。ただ、外債を借りてこなければならぬほど困っておるのに、政府が金を出してやらないのは冷淡ではないかということは、そういうことではございませんので、御理解をお願いいたしたいと思います。
  159. 門司亮

    門司委員 この議論は少ししておきたいのですけれども、約束の時間が大体来ておりますので、これで質問はいたしませんが、外債については地方の自治体としては考えるべき問題があるわけであります。国内債であるならば、いろいろな将来に向かっての話ができますが、外債はこの点は非常にむずかしい問題である。したがって私どもは、横浜の外債、いわゆる米貨公債あるいは東京都のフランス公債、これはかなりいじめられた体験を私ども実は持っております。東京都などもかなり困って、つい先年、戦争を終わってしばらくしてからやっと仏貨公債についてもきまりをつけたということで、将来に向かって非常に大きな問題でありまして、したがって国が国際上の関係からある程度の信用度を確保するというような形における外債は別にいたしまして、地方の自治体はそれほどの国際的に大きなウエートを持っておりませんので、結局ある意味においては国の犠牲になるようなことができないとは限らぬと思いますから、その点等については、ひとつきょうはこれ以上質問はいたしませんが、私はそういう気持ちから実はお尋ねをいたしたわけであります。いまの大臣の答弁だけではちょっと納得しにくい点がありますが、きょうはお約束の時間ですから、これで終わります。
  160. 吉川久衛

    吉川委員長 小濱新次君。
  161. 小濱新次

    ○小濱委員 私は主として自治大臣、長野行政局長にお尋ねしたいと思います。  先ほどもちょっとお話が出ておりましたが、米軍の基地が存在することによりまして住民の生活が脅かされ、そして基地公害に抗議する動きが最近はあちこちに起こっております。こういうことで国務大臣を兼ねる赤澤自治大臣として政府の基本的な御意見をまず最初にお伺いいたしておきたいと思います。
  162. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 基地の所管は防衛庁、防衛施設庁でございまするけれども、所在はそれぞれ市町村にあるわけです。地域住民のいろいろな福祉あるいは行政上のいろいろな要求等は、地方団体が一身に責任を負っておることはいうまでもないところでございまして、その範囲内で当然重大な関心を持っておるわけでございます。  そこで、先ほども申し上げましたけれども、日米安全保障条約の関係で義務づけられておる基地、施設につきましても、やはりこの段階で必要最小限にしぼるべきであるということで、外務省を窓口にしていろいろ折衝も開始しております。また自衛隊の基地、これは私どもがやはり国防はみずからの手でやるべきであるという判断に立っていろいろな施策を進めておりまする関係上、これまた必要最小限度のものは存置しなければならない。その上に立って、しかしながら基地というものは所在市町村のためにあるのではなくして、日本国全体の防衛のためにあるのだ。ですから、そのために生ずる公害は、やはり全国民の責任において解決すべきであって、あえて基地周辺住民にだけ負わすべきものではないという判断に立っております。そういった意味でいろいろ法制なども進めてまいっておりますし、また所在市町村としても、そういう判断のもとに基地住民の要望にはこたえているつもりでございます。
  163. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、きょうは住民の立場からいろいろとこまかい点をお話し申し上げまして、そうしてお答えをいただきたいと思うわけでございます。先ほども、住民の福祉行政をあずかる立場としてというお考えのもとに御答弁があったわけでございます。必要であるかどうか調べてもらっているというようなお話も先ほどございました。また、基地は国全体のもの、国防の上に立って基地公害に対しては当然何かやってあげたいというそういうお話もございました。私は、そういう話を聞いておりまして、大臣が積極を欠いているとは申し上げませんけれども、何かまだ基地公害に対しては真剣に内容をおつかみになっていないのじゃないか、こういうふうに考えざるを得ないわけでありまして、ぜひひとつこれからの質問にお答えをいただきたいと思うわけです。  先ほども神奈川の話が出ましたけれども、全国の三分の一にも及ぶ四十五の米軍基地をかかえております。基地県であります。そして、その周辺は急激な人口流入によって極度に都市化、過密化の傾向の中にあって県は悩んでいるわけです。お聞きだろうと思いますけれども、いままでにも住民大会を何度か開いて、そうして決議をしては国に訴えてまいりました。総力をあげてやっているようでありますが、こうした問題について自治大臣はどのようにお考えになっておられますか、もう一度御所見のほどを承りたいと思います。
  164. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほどから申し上げておりますことは、やはり私どもは国を防衛するに必要な最小限の基地というものは、全国民の責任において確保しなければならぬというふうな判断に立っているわけでございます。しかし、やはり相当な地積を占めますと、そのことがおっしゃるとおりに所在市町村の発展のためにじゃまになっているということもあるでしょう。ですから、これは固定資産税見合いのものとして基地交付金の制度というものもありますし、やはりそういったものも財源にし、また、ただいまも申しました周辺民生安定法もすでにつくられてありますので、あわせてこういう基地周辺の公害をこうむっている方々の御要求にこたえなければならぬということで鋭意進めているわけでございます。
  165. 小濱新次

    ○小濱委員 去る五日の本会議で総理大臣も地域住民の生活に著しい悪影響のあるものは善処する、こういうふうに答弁をしておられました。あるいはまた、府中市の在日米軍司令部のウイルキンソン少将がいろいろとこの問題について話し合いをした結果のお答えをなさっておられます。これはもう日本政府がキャンプを移転する意思があれば米軍側は反対はしない、こういうふうに言っておられるわけですし、また七月二十六日政府招集知事会、これは自治大臣も御出席になったと思いますが、適当な代替地がある場合は移転を積極的に進める、このような結論のようでございました。私どもは期待を持っているわけでありますが、この移転問題については、その候補地として名前があげられるというと、どこでも住民が積極的に大会を開き、運動を起こして、そうして反対をしておるようでございます。これはうちのほうでもまた二十五日に大会を開きます。あさってであります。また、いままでにも開かれてまいりました。ずいぶんと議会でもこの問題を取り上げては反対活動をやっているようでありますが、こうした中にあって、やはりこの基地公害問題を一日も早く解決をするためには、その福祉行政をあずかる自治省として、私は、住民の声を積極的に取り上げて、本腰を入れてこの問題と取り組んでいかない限り解決はあり得ない、こういうふうに考えているわけですが、先ほどの大臣のお話でございますと、どうしても積極性を欠いているような、いままかしてあるんだから、そのうちにいい資料が出てくるに違いない、そうしたならば、またその問題に対処していこう、こういうようなお考えにしかとれないわけです。私は、そうではなくして、自治省としては、この問題をどう調査しておるのか、またどのように手を打っておられるのか、積極的な活動を自治省自体がやるべきである、このように思っておりますので、その点大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  166. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 基地問題になりますと、多くの議論がやはり国防中心になってまいりますので、直接これは自治省の所管でない部分が大きいわけでございます。しかし、基地の必要性をどう判断するかという問題になりますと、先日のチェコに対するソ連の武力侵入、こういうありさまを見て、やはり全国民冷汗三斗の思いがあったことと思います。しかし、政府自体としては、国民の生命、財産の安全を最悪の事態においても保障するという立場がありますので、ただいま申しました必要最小限の基地というものは、判断の上確保しなければならぬということを申し上げたわけでございます。  ただ、付近の諸君にしてみれば、そのために起こる公害をどうしてくれるか、こういうことでございますので、それは全国民の責任においてこういった要望にはこたえて、できるだけその害を少なめであげなければならぬという筋道をいま申し上げたわけでございます。それを自治省としてはどう受け取っておるかという質問でございますけれども、大部分やはり国防中心の議論になります。しかし、事実基地があるのは所在市町村ですし、そこには住民がおるわけでございます。ですから、自治省といたしましては、予算的には基地交付金、この獲得にも努力いたしますし、また、それでなくして、民生安定のためには別途法律も準備して、そのほうもやはり基地住民のために予算を確保してもらわなければならぬと考えまして、この所管は他省ですけれども、やはり地区住民の福祉に直接つながりがありまするので、このことにも重大な関心を私自身持っておるわけでございます。
  167. 小濱新次

    ○小濱委員 もちろん国防も大事でございます。したがって、それは国の責任において条約を結んでやっておられるわけであります。それがために地元住民がたいへん被害を受けているという事実、これは国の問題よりも、むしろ自治大臣としてこの問題に対しては積極的に取り組んでいくべきである、私はこのように思っておりまして、そういう立場からお考えをお聞かせ願いたい、こうただしているわけであります。  国防といってしまえばそれまででありますが、とにかくこれからいろいろと申し上げますが、それがために、いまこのような平和国家といわれる日本の国情において非常な犠牲があらわれて、あるときには生命を奪われているという事実もございます。そういう犠牲を払い、そしてまた、基地をかかえている都市では、住民を救えというスローガンで大会を開いておりますが、こういう立場ではたして——閣僚としてはそういう御答弁もよろしいかと思いますけれども、私は、自治大臣としてはもう少し慈悲のある、あたたかい思いやりのある処置なり御答弁がなければならない、このように思っておるわけです。いや聞いておりまして、どうしてもこれは住民の立場からもう一ぺん大臣の考えをお聞かせ願いたい、このように思うわけであります。
  168. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いままでるる申し上げましたように、自治大臣といたしましても、地域住民のためにこの問題につきましてはずいぶん努力してまっておるつもりでございます。
  169. 小濱新次

    ○小濱委員 水戸の射爆場がございます。ここでは、三十二年であったと思いますが、親子が自転車に乗っておりましたところが、横田基地からの訓練のための飛行機が低空飛行をやりまして、そしてその親子をひっかけまして母親の命を奪っております。そしてこの射爆場にはいままでに誤射事件という——標的訓練をやるわけですが、誤って爆撃をやる、そういうことの回数を二百回も起こしているということ。現在でも一日十数回必ず飛来しては、機銃弾、ロケットを容赦なくたたき込んで標的訓練を行なっているわけでありますが、こうした事件がいつも繰り返されているわけです。なぜここだけが危険にさらされなければならないのか、これが純朴な農民の偽らざる感情であるというふうにも地元では言っておりました。こういう問題がある。これは一つの例でありますが、もう仕事も手につかない。そして仕事はおくれます。何か不安でたまらない、言うなれば戦々恐々として飛行機を見詰めながら仕事をやっている、こういうこともあるわけです。ですから、こういう危険な射撃場を一日も早く一掃してもらわなければならないわけですが、こういう射撃場の訓練については非常に事故が多いのでありますが、自治大臣としてはどういうふうにお考えになっておられましょうか、お答えいただきたいと思います。
  170. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 国民、住民の福祉と申しましても、やはり内閣はそれぞれ所管がありまして、住民の期待にはそれぞれ持ち腸持ち場でこたえておるわけであります。私の場合は、党におりましたとき長く基地対策特別委員長をやっておりました関係上、全国に点在する米軍基地、施設等につきまして何がしかの知識があるというまでであって、実はただいま御指摘のような問題につきましては、所管といたしましては正式には自治省ではありません。かといって、住民に関係のあることですから無関心ではあり得ないということを申しまして、予算的にもいろいろこれについて積極的な努力をしておることを申し上げたわけでございます。ただいまの水戸の射爆場の事故等につきましても、実は私はかなり詳しく知っておりますけれども、しかし、自治大臣としてこういった問題に触れるのはどうかと思いますので、きょうは防衛施設庁も来てはおりませんし、詳しくはまた政府委員などからも説明をいたさせますけれども、しかしながら自治大臣としては、地方団体いずれにも責任を負っております関係上、こういったことには無関心では決しておりませんということを申し上げたわけでございます。
  171. 小濱新次

    ○小濱委員 佐世保の異常放射能事件でも、これは御存じだろうと思いますが、あそこでは三百数十人の漁民が漁ができなくなってお手あげになってしまった。それに対して、大体一カ月の水揚げ金額の七割程度の補償を願っておりますが、これが全然手を打っていただけない、補償をしてもらえない、こういう問題も起こっておるわけです。その問題についてはこまかく申し上げませんが、とにかく漁はできないし、補償もしてもらえないし、その生活権を脅かされるような内容は、これはやはり国の責任において行なわれた問題でございまして、これは国に対して補償要求をしたのでしょうけれども、何ら回答がない、こういうことも今度は住民としては行政上の問題として悩みを訴えてきておるわけです。こういう問題については大臣はどういうふうにお考えになりましょうか。
  172. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 佐世保港における先般起こりました放射能の問題につきましては、所管が違いますので、これまた責任ある答弁を申し上げる立場にありませんけれども、しかし、第三者的に冷静に当時の記録を調べ、また報道などを見ましても、これはやはり人体に被害を及ぼすような放射の密度ではなかったというふうに私ども感じております。しかしながら、これは私は所管が違いまするので、ここで御答弁申し上げる限りではありませんが、ただあの程度の放射能の汚染のために、魚が売れなくなった、あるいは出漁できなくなったということは、私どもの理解では、住民の皆さんに御理解が足りなかった、人体にあれだけの放射能で害を与えるということがあれば、政府としてもさっそく何らかの手配をしなければならぬ、するのが当然だろう、こういう事態になれば、自治大臣だって放任しておくわけにはまいりませんけれども、しかし私は、そういう形に受け取っておるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、放射能の所管は科学技術庁長官もありますし、あるいは防衛庁でも重大関心で調査もしておるようでもございますし、これは別の機会にしかるべき答弁があるものと考えますから、そのほうでおき取り願います。
  173. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほども申し上げましたように、私はきょうはあえて各省を呼ばなかったわけです。大臣によく聞いていただきたいし、これからいろいろと努力をしていただきたい、こういうふうに考えましていろいろとお話を申し上げておるわけです。  板付の飛行場での事件についても、これはもう詳しく御存じだろうと思いますが、これまでも墜落炎上事件、不時着事件、給油タンクの落下、こういう問題、合わせますと百回以上の事故を起こしておるわけですね。こういうことで非常に各基地で問題が起こっているわけです。それで、時間がありませんので少しはしょってまいりますが、東京の横田基地の問題については、これはもう御存じであろうと思いますが、やはりあそこの滑走路は日本一大きいわけで三千三百メートルもあるわけです。ここへあらゆる種類の軍用機が離着陸をしているわけですが、このごう音がものすごい音だ、こういうことなんです。しかも飛び立つときのエンジンの音よりかエンジンテストの時間のほうが長く、それがまたえらい爆音になって子供は不寝症になるという、そういう問題もあります。それから、老人は血圧が高くなるし、ノイローゼになってしまう。電話に出てもまともに話もできません。そして通話料がかさむとか、あるいはまた、最初からやり直すとか、こういうこともありますし、テレビの画像は乱れてぎざぎざになってしまう。ラジオは聞こえなくなる。おまけに飛行機はちょいちょい物を落とす。こういうことで、住民の平和な暮らしを破壊しているわけでございますが、こういう問題について現地に行ってみますると、その被害はことばでは表現できないような内容なんですね。私どもがおりましてもものすごい爆音が通ってまいります。しばらく話がとだえてしまいます。寝ている子供がぴくっと起き出す。こういう姿を見ておりますと、これは何としてでも一日も早く基地返還をしてもらいたいし、また撤去もしてもらいたい、そう持っていかなければならない責任が私どもあるように感じまして、いろいろとお話を申し上げたわけであります。老人の病気が非常に多いようですね。音を聞くとぶるぶるっとふるえるのだそうです。乳牛は乳がとまってしまった。これは大和市の上草柳というところでありますが、そういうこともあります。そういう騒音から起こる被害が非常に多いことと、そしてまた、基地公害から受ける被害がこの他たくさんあるわけであります。こういうことに対しても、このままいつまでも半永久的にほうっておくわけにはいかないと思うのですね。やはり住民は損失補償の合理的改善を望んでいるようですけれども、どこまでやれるかわかりませんが、やはり大臣としては、政府の考え方については披瀝をしておいていただかなければならないわけでございまして、この点についてもう一度お答えをいただきたいと思います。
  174. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も、かつて農林水産委員会に籍を置いたこともありますし、また内閣委員会でものを言ったこともありますし、十数年前から、飛行機の爆音のために牛が乳を出さぬ、鶏は卵を産まぬ、いろんなことが話題にのぼりまして、そのたびに学者なども動員されて、いろんな報告なども出ております。しかし、冒頭申しますように、これは私どもの所管ではありませんので、なかなか私の立場から責任あるお答えをすることはできかねるわけですけれども、とにかく基地住民に関したことには間違いありませんので、ただいまいろいろお述べになりますことは記憶にとどめまして、そうして機会あれば私たちは住民のそういった立場というものをよく政府に反映しなければならぬ、かように考えております。
  175. 小濱新次

    ○小濱委員 この騒音の音響についてですが、ガードの下あたりで列車が通る音響、あれが八十から九十ホンぐらい、こう聞いておりますが、横田基地に飛んでいくときの騒音は、四十年あたりは九十八ホンぐらいだったそうですが、現在では百十五ホンになっているそうです。日に平均百十一回ぐらい飛んでいるそうです。三年前の約三倍になっているそうです。特に今回の調査では、夜の十時から翌朝の六時の深夜測定結果が出ておりますが、やはり非常に騒音回数も多い。時間的には、一時間で十二分から十二分十九秒ぐらい連続的に、このくらいの時間ごとに騒音を起こしているわけですが、そういう点では非常に睡眠を妨げられている、こういうこともあるわけです。この動きから見て、横田基地がベトナム戦争にとっていかに重要な基地であるかということもわかるわけでありますが、基地公害に対してはこのほかたくさんあるわけです。特に心配なことは、呉市の弾薬輸送についていろいろと調べてみました。これは全国には八カ所こういう弾薬庫があるそうでありますが、港の弾薬庫から川上弾薬庫まで、トラックで十五台、二十台、約四十キロメートルぐらい輸送するわけです。あるいはまた、あるときには逆に輸送されることもあるわけです。弾薬ですから、信管は装てんされていないと思うのですが、この信管も当然何らかの方法で輸送されているわけです。そのことを知って住民が非常に不安がっているわけです。これは呉の問題ばかりじゃなくして、神奈川県でもそうですが、全国に八カ所、ここではやはり戦々恐々として、この事実を目撃している人、話を聞いておそれおののいている人、こういう人がいるわけです。こういうことで、これは大きな問題でありますけれども、こういう問題はこの一カ所ばかりじゃなくして、同様の問題は全国に起こっている。大小合わせて百四十七の基地、施設があるそうであります。こういうことに対して、ほんとうに自治省としもさらに認識を改めていただき、これが積極的な対策を練っていただきたい、こういうふうに思って申し上げたわけであります。  私は、もう少し具体的に地元の問題を取り上げてみたいと思うのですが、イーストキャンプ、大和市内に主としてこれがあるわけでありますが、三万八千坪の無人兵舎がある。地理的には大和市のこぶのようにぐっと出ているわけでありますが、元海兵隊のキャンプがある。これがもうただ番兵の人が何人かいるだけであって、放置してあるわけです。町全体の発展をこれがはばんでいるわけです。町としては、学校も建てたい、あるいはまた移転のための住宅も建てたい、こういうふうに思っているわけで、このキャンプの返還が大和市の悲願になっているわけですが、これがどうにもならないで、そのまま草ぼうぼうとなり、そしてそこでいろいろな社会悪を起こしている、こういう事実もあるわけですが、こういう問題があるわけです。こういうふうな基地に使用されてないところが調査をすれば相当出てくるのではないか、こういうふうに思いますので、この問題に対しては大臣としてはどういうふうにお考えになっておられましょうか、ひとつお答えいただきたい。
  176. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そういうあき地だって、何らかの使用目的があるからこそ提供その他について要請してきておるのではないかと思います。しかし、現時点ではやはりもう一ぺん洗い直して、ただいまおっしゃるように、もう使わないで、必要がない、しかも草がぼうぼうはえておるにもかかわらず、広大な地積を占領しておるということは、いかにも許されぬことでございまするので、先ほどから、もう一ぺんこの基地というものを洗い直すということをいまやっておることを申し上げたわけでございまして、これはそれぞれ所轄の省で検討しておってくれると思います。  それから弾薬の輸送のことにちょっとお触れになりましたが、最近山陽筋から九州にかけて弾薬列車が走っている、あるいはトラックが走っておるということが非常に伝えられまして、これに対して学生諸君がそれを阻止しておるとかいったようなことから、非常に危険なものが日夜運ばれておるといったような世評を生みまして、あまり御理解のない方が恐怖しておられるということを聞いたわけですが、大昔から弾薬というものは汽車でもあるいはトラックでも運ばれておりますけれども、いまだかつて爆発事故などを起こしたことはないわけです。と申しますのは、言うまでもなく、信管がはずしてあるダイナマイトにせよ、砲弾にせよ、そのものが瞬時に爆発するというわけではありませんし、まあ裸の火薬のばら積みなんかでありましたら、これはたいへんなことが起こり得ますけれども、安全ということについては私どものほうでも十分注意をしておるわけです。そのことを案外国民の皆さんは御存じない。危険物、爆発物となりますと、やはりこれは警察に関係があるわけですが、たとえば貨車で弾薬を大量運びます際にも、トラックでも同じですけれども、目方にして幾ら以上のものを運搬する場合には、これを通過する都道府県の公安委員会にそれぞれあらかじめ通報しなければならぬということになっています。この間も確かめてみましたところ、一応正確に通報はしておるようでございまして、今度は警察のほうでその安全度というものをよく調査いたしまして、そして付近に被害が及ぶか及ばないかということにつきましても十分検討しておるわけでございます。ですから、貨車に弾薬が積まれたからといって大爆発を起こすような恐怖をお持ちになる方があるかもしれませんけれども、そういったことにつきましては、私どもも重大な関心を持って、国民に万一の被害がないようにということを期し、また弾薬庫等につきましては、安全と考え得る地積なども確保いたしまして、そして国民に被害が及ばぬという措置はやっておるわけでございます。しいて野放しになっておるわけではございませんが、こういうことはよく誤解を生みますので、そういった面につきましても御検討をお願いする次第でございます。  いずれにいたしましても、こういう問題は、ただいまの条約だとかあるいは国防等にも関連いたしまして、私がここで責任ある答弁をいたす限りではございませんので、また別の席でも、こういった問題につきましては十分突き詰めて御検討をいただくようにお願いする次第でございます。
  177. 小濱新次

    ○小濱委員 この弾薬については少し話をしたいと思ったのですが、戦艦でも誘爆でごう沈していくわけです。それから横浜では大きな火薬庫が吹っ飛んだ例もあります。これはもう一つでも事故を起こせばえらい事故になる。三千名の生命を一瞬にして奪っていった例もある。あれはもう大昔からという話も出ましたので、そういうようになってしまったわけですが、国民にはこういうあぶないんだという感じは持たしたくありません、そういう気持ちで大臣は御答弁になっておられるのだと思いますが、とにかく弾薬輸送というのは相当危険な仕事なのであります。もう絶対に事故を起こしてはならないわけでありまして、そういう立場からずっとお話を申し上げたわけであります。  もう一つ伺いしたいのですが、米軍から全国十二カ所に電波障害緩衝地帯設置の要求が出ております。自治省として、この要求に対してはどのような見解を持っておられますか。この問題でも住民大会を開いて、あちこちで反対運動をしておるわけでございまして、やはり住民の悩みをこの大会で訴えているわけでありますから、これについては、大臣、どういうふうにお考えになっておられましょうか、お答えいただきたいと思います。
  178. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 電波障害を起こしていることは事実でありまして、これは限られた地域です。そこで、この問題も十年も前からいろいろ検討いたしまして、NHKのほうで聴視料を減免させるとか、いろんな交渉もしてまいっておりますが、ただいまの段階でどういうことになっておるか、ちょっと私記憶いたしておりませんが、これまた重大関心を持ちまして、それら住民のためにいろいろ努力をしております。
  179. 小濱新次

    ○小濱委員 第一ゾーン、第二ゾーンというふうに指定された地域がありまして、もちろんこれは大臣御存じであると思いますが、そこには家を建ててはいけない、小屋程度、電線も引いてはいけない、水洗も使ってはいけないというようなことで、住民は非常に苦しんでいるわけです。土地も売れない、地価も上がらない、といって越すわけにいかない、こういうことで、この住民の悩みを訴えている、そのことについては、自治省としてもよく承知をしていただき、これに対する対策も練ってもらわなければならないわけであります。  もう一つ申し上げておきたいことは、相模原市の基地周辺地域の排水計画についてでありますが、この町のどまん中に大きな米軍ハウスがあるわけです。これはちょっと大臣、この地図を見てもらいたいと思います。     〔小濱委員赤澤国務大臣に地図を示す〕  基地をかかえているために排水施設ができない、したがって、キャンプのほうから、大雨が降るたびごとにいろいろと文句を言われる。やろうとするのですが、これは国有地の関係で、防衛庁あるいは大蔵省と折衝を続けてもう三年近くになりますが、これができません。そういうことで、住民としてはたいへん悩んでいるという、これもやはり基地公害の一つであります。こういう問題も起こっております。  だいぶ時間も過ぎましたので、これ以上はいろいろな事例は一応省きますが、こういうことから基地公害に対しては非常に数多くの問題を残して住民は悩んでおります。もう犠牲も限界にきている、このようにも現地では言っております。そういうところもあるわけです。住民を救えという声で、いろいろ大会を開いておりますが、ただ一つの苦情の吐きどころ、陳情、請願をもって国に、訴えておりますが、なかなからちがあきません。そういうことで、これはその運動も必要であるけれども、私ども立場から、これはやはり全体の人が積極的にその認識の上に立って、これと真剣に取り組んでいかない限りは、この問題の解決はありませんし、一朝一夕で解決できる問題とは思いませんので、あえてきょうはいろいろと申し上げさせていただいたわけであります。  最後に、先ほど大臣は洗ってということばを使っておられました。それはどういう意味になるのですか、もう一ぺん説明をしていただきたいと思います。
  180. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どこで洗ってということばを使ったか、ちょっと忘れましたが、おそらくは、現時点に存在する基地というものをもう一ぺん調査し直してという意味で言ったのではないかと思います。いま御指摘の滑走路というものは膨大な地積を占めるものですから、至るところで、雨の降ったときの溢水の問題、あるいはこういうベトンで固めますために、いままで開渠であったものを暗渠にすると、逆にこれが通水を阻害する問題、いろいろなことが各方面の基地で公害として起こっておることも承知しております。しかし、これはそれぞれ防衛施設庁で地元の御希望、御要望などを聞いて措置しておるはずでございますが、なお不十分だと思われる場合に、私のほうでお取り次ぎもいたします。力を合わせて基地周辺の住民の不便を取り除くというつもりでおりますので、そういった面で、もしぜひにということでございましたら、しかるべき官庁のほうへ私どもから申し送ってもよろしゅうございます。
  181. 小濱新次

    ○小濱委員 そこで、先ほどもいろいろと予算の面でお話が出ておりましたけれども、この問題については、基地をかかえている自治体では、やはり国の責任において何とか援助をしてもらい、負担を少くするように努力をしてもらいたい。これはもうたっての要望でございますが、この飛行場周辺の移転あと地、それから買い上げた農地がそのまま放置してありますので、カヤが非常におい茂っておりまして、たばこでも捨てられると火災が起こる。そういう例もあった。ごみの捨て場にもなっておる。あるいはまた、利用価値も少なくなって、その周辺の地価は安くなる。この状態について、これは国で買い上げたそういう移転あと地でありますので、国の負担で整備をしてくれるのが当然ではなかろうか、これが一つ。それから、そうしておいて、そして管理委託を市町村にするべきである。そうすれば、そういう危険から救うことができるのではないか、このようにも言っておりましたが、これは自治省としてはどういうふうにお考えになりましょうか、お答えいただきたいと思います。
  182. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どうも、御質問の多くは私の所管外のことばかりでございますので、ちょっとお答えに困るわけでございますが、国有地などが放任されてあるために雑草がはえる。ただいま御指摘がありませんでしたけれども、その雑草の種が付近の田畑に広がって非常に迷惑しているとか、いろいろな問題がそういった周辺に起こっておることは承知しております。ですが、これはやはり所管としては防衛施設庁になると思いまするので、そういった専門家でよく調査も行き届いておると思いますので、そういった方面で確かめて、またいろいろ検討していただくようにお願いをいたしたらいかがかと思います。
  183. 小濱新次

    ○小濱委員 そういうことから、当然、本年度の予算計画も立てていかなくちゃならないでありましょうし、四十四年度の予算にも当然組み込んでいかなくちゃならないと思いますが、そういう点のお考えはどうでしょうか。
  184. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 あれこれ合わせまして、自治大臣といたしまして努力いたしたいと思います。
  185. 小濱新次

    ○小濱委員 私どものいう基地総点検についての考え方については、ことばは違いますが、大臣から御答弁いただきましたので、それでけっこうでありますが、このような問題は、自治体だけの問題ではありませんし、あるいはいまお話にありましたように、所管が違うといって、そうして適切な御答弁はどうかというようなお話でございましたけれども、そういう点からも、私は、この基地問題については、国会内に基地対策特別委員会というようなものをつくって、そして超党派でこれは検討していかなければならないんじゃないか、こういうふうに考えているわけです。そういう点では、これはこれから大きな問題に取り組んでいく、そういうやさきでありますので、ひとつ最後に、この問題について大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  186. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も、先ほど、党におりましたときにやった仕事のことにちょっと触れました。ですから、まんざらこの問題につきましては、ほんとうはずぶのしろうとではないわけですけれども、責任のある答弁ということになりますと、所管が違いますので申し上げかねるという前提を置かざるを得なかったわけでございます。しかも、当院内に基地対策特別委員会をつくるということになると、これまた議運で扱うことになると思いますので、なかなか自治大臣としてここでいろいろなお答えはいたしかねるわけでございますが、しかし、基地の問題はいろいろな意味で重要なことでもありまするし、また最近、特にいまの時期では、基地問題というものはいろいろな面で再検討を迫られておるわけでございまするので、ただいま小濱委員のいろいろお述べになりましたことには私も全然同感でもありまするし、所管外でありましても、重大関心をもってこういった問題は扱いたいと考えております。
  187. 小濱新次

    ○小濱委員 ありがとうございました。
  188. 吉川久衛

    吉川委員長 林百郎君。
  189. 林百郎

    ○林委員 自治大臣にお尋ねします。  人事院勧告が出たわけです。地方自治体としては、これに対してどういう財政的な対策あるいは受けとめ方をするようにお考えですか。どういうような措置をさせるつもりですか。
  190. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方公務員の場合は、法律のたてまえ、扱いから申しまして、国家公務員に準ずるということで今日まで来ておりまするので、今年度勧告につきましても、そういう受けとめ方をいたしたいと考えております。  そこで、具体的には、とりあえず一般行政経費の中に昨年同額のものを計上はしてありまするけれども勧告がありますと、当然多少過不足が出てきます。不足分についてどう考えるかということにつきましては、いま給与関係閣僚六人委員会でいろいろ検討しておる最中でございますので、その扱いにつきましては、まだきまっておりませんから申し上げかねるわけでございます。
  191. 林百郎

    ○林委員 昨年同額のものを地方財政計画の中に組んである、それは、交付税交付金として地方自治体に交付する計画として組まれておる、こういう意味ですか。そうすると、それはどのくらいの金額になるわけですか。
  192. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 七百五十億円でございます。
  193. 林百郎

    ○林委員 七百五十億というのは、そうすると、もう交付税交付金として地方自治体のほうにはその計画は予定されているのであるから、その範囲で処理しろ、こういうことになるわけですか。それとも、これから新しく交付をするという意味ですか。
  194. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 交付税ですから、いままでその一部はすでに交付をされてあるわけでございますし、その含みでそれぞれ地方公共団体のほうでは財政を処理しておると思います。ちょうど七百五十億円ぴたりということには絶対になるはずはありませんので、過不足につきましては自治省のほうで方針をきめて処置しなければならぬ、そのことについてただいま触れたわけでございます。
  195. 林百郎

    ○林委員 今度の勧告で実質八%ベースアップといっていますが、そうすると、七百五十億ですと実質八%ベースアップで何月からの分という数字がこれから出てくるのですか。
  196. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 前の山口さんの御質問にも答えたわけですが、考え方としては完全実施したいと思っておりまするけれども、なかなか実情はそういかぬ面もありまするので、いろいろ計算をしてみますと、昨年どおり八月といたしましても七百九十五億円で四十五億の不足が出る。これが五月ということになりますと、一千九十五億円ということになるわけでございます。逆に一部の心ない人といいますか、うわさもありまするが、これは九月といたしますとだいぶ余るわけです。六百八十五億円、こういう数字になるわけでございます。
  197. 林百郎

    ○林委員 だから自治大臣は大体七百五十億円を交付税交付金の中に組んであるというわけですね。それで国は総合予算主義をとっておる。そうしますと、総合予算主義でいって新たな財政措置をしないということになると、五月実施の千九十五億ということになりますと、約三百億ぐらいの措置をしなければならないのですけれども、それは新たな財政措置、たとえば補正予算を国も組むと同時に地方自治体もそういうことをしなくてもできると思いますか。要するに、あなたの腹としては、もう八月か九月ということがきまっているのじゃないですか。それを思わせぶりに、五月ならこうだということをにおわしていますけれども、それはあなた、実際やる腹はなくて、九月かよくいって八月くらいということを考えていると見ていいのですか。五月からやるという腹がほんとうにあなたあるのですか、検討するという腹が。
  198. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのことを検討中でございますということを言ったわけです。
  199. 林百郎

    ○林委員 そうすると、検討中として、五月から実施するとして、七百五十億が計画として置かれておるというと、約三百億のものはどうするつもりですか。その検討内容をここで説明していただきたいのです。
  200. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どうも仮定のことについては、なかなかお答えできませんので、最初の、去年と同額を財政計画に入れます際にも、過不足があったらどうしようかということはずいぶん考えました。しかし昨年同額といたしましたのは、たいへんな経済の変動があって一〇%あるいは一二%などという勧告数字が出ましたらこれはたいへんだぞという気持ちもありましたけれども、まあ最近の経済の推移から考えて過不足もそうたいしたことはあるまいという判断のもとに、昨年同額を一応計上しておいたということでございますが、それについても不足が出てまいりましたので、この金額をどう処理するかということについていま検討中だと申し上げました。ただ、それが三百億足りなかったらどうする、五百億足りなかったらどうなるとおっしゃいましても、そのことについていまここでお答えすることは慎みたいと思います。
  201. 林百郎

    ○林委員 昨年同額というと、昨年は八月実施でしょう、人事院勧告について。だから大体八月実施ということで組んだのか、そういうことを聞きたいのですよ。昨年同額ということはそうなるわけでしょう。そう見ていいのかということなんです。
  202. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それはおっしゃるとおりでございます。
  203. 林百郎

    ○林委員 そうすると、大体国の総合予算主義からいっても、地方財政からいいましても、総合予算主義というものは、人事院勧告がどういう勧告があろうと総合予算主義はそれに優先する、こういう制度になりませんか。これは言うまでもなく、われわれは人事院勧告というこの制度自体は、私たちには独自な見解があって、これはもういま国家公務員の賃金を適正化する制度としては役に立たないと考えているわけですけれども、しかし、人事院勧告のそういう立場は別としても、本年度人事院勧告の中には「昭和三十九年以降二度にわたって漸進をみたものの、完全実施との間にはなお隔りの存している事実をここに指摘しておきたい。」ということは、完全実施してもらいたいということを人事院としては一応ここで述べたと思うのですけれども、しかし、国の予算が総合予算主義でもう補正予算を組まないで、年度途中から出る財政需要はもう当初予算のワクで処理していくということになるとすれば、あなたも正直に言ったように、地方財政計画の中でも、大体もう八月ということで七百五十億組んであります、しかも八月からでもまだ四十数億足りない。あなたの足りないのを処置するというのは、五月から実施するのに足りないのを処置するのじゃなくて、かりに八月からしても七百五十億でも足りないから何とかするというのがあなたの本音だと思うのです。そうすると、人事院がこういう「完全実施との間にはなお隔りの存している事実をここに指摘しておきたい。」などといっても、もう国の総合予算主義でこれは政府としては受け入れる財政的な弾力性はないということになりませんか。佐藤内閣の国務大臣としてもそれをお聞きしておきたいと思います。
  204. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 たてまえは、先ほど申しましたとおり、私は八月までしかさかのぼらぬということを腹できめておるわけではございませんので、やはりこれは国全体の予算とにらみ合わして国家公務員のほうでおきめになる、それに準ずるということを私が言ったわけでして、私自身が八月までしかさかのぼらぬつもりであるという腹の中まで読まれるということは、私はちょっといかがかと思うわけですが、いずれにいたしましても、私は前回の答弁でもいたしましたとおりに、やはりこういう人事院という中立機関があって、公正な賃金をきめるという現体制下においては、やはりこれは完全実施をしなければ片手落ちだ。それにはやはり前提として行政改革も行なって、詰めるところは詰めて、そうして並行してこの賃金問題についても考えるべきである。ただ、いまの時点ではすぐの間に合いませんから、いま行政改革後の数字というものについては、きょうも閣議でも触れておきましたけれども、これは私は将来への姿勢を申し上げたわけでございまして、とりあえずいまの問題といたしましては、ただいまもう閣僚会議も二回重ねておりまするので、まだいつまでというさかのぼる時点までは検討が進んでおりませんけれども、何とかこの人事院勧告を十分尊重するという考え方会議を進めておる最中でございます。
  205. 林百郎

    ○林委員 口で幾らそんなきれいごとを言ったって腹は——そんな腹を読まれちゃ困ると言ったって、読めるからしようがないですよ。  そうすると、あなたは国の政策に準じてとりあえず七百五十億の計画を立てておいた、これは八月からだ、国のほうの国家公務員ベースアップにあなたは準じちゃうといわれる基本なのだから、八月からのものが千二百億の予備費の中で約五百億ですか、組まれておる、こう見ておいていいんですね。だから地方財政計画もそう組んだ、こう見ていいですね。
  206. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  207. 林百郎

    ○林委員 そうすると、あなたが人事院勧告を完全に実施したいということになるならば、これは補正予算を組むとか、そういう措置を当然考えなければならないことになると思いますね。そういうことも検討しなければ、国も地方財政計画も八月という計画になっているわけですから……。それで、あなたは人事院勧告をあくまで完全実施したい、こう言っているのですから、そうすると佐藤内閣の国務大臣としての赤澤自治大臣は、総合予算主義に対して補正予算を組むということも考えなければならない、こういう見解をあなたが持っているとここで答弁できますか。
  208. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 総合予算主義を貫くということは内閣全体の政策でございまして、それは間違っている、補正予算を組むべきだなどということは、私は絶対に言いませんし、また言うつもりもありません。
  209. 林百郎

    ○林委員 だからあなたは、口では人事院勧告を完全に実施したいというきれいなことを言う。しかし、実際の佐藤内閣の、政府の予算措置は、もう総合予算主義で、しかも八月から、千二百億の予備費のうち五百億とか大体政府も言っているし、あなたも八月からということを言っている。あなたがここで言われるようなことをほんとうに実施しようとすれば、どうしても総合予算主義を排して補正予算を組むとか、そういう手を打たなければ、あなたが口先で言うことを財政的に実現できないじゃないか。そうでないなら、あなたは正直に、佐藤内閣の財政政策は総合予算主義です、だから人事院勧告はさることながら、佐藤内閣の方針によって、やむを得ず実施については場合によっては完全実施できません、そう言ったほうが正直じゃないですか。私は地方行政委員会の担当大臣としてあなたに正直さを求めるからこう言っているのですよ。そんな口先できれいごとを言って、できもしないことを言ってこの委員会をごまかすなんて言うとあなたはおこるかもしれぬけれども、そういうことをさせたくないから私は言っているのですよ。佐藤内閣としての連帯責任のある国務大臣の一人なんだから、私はやむを得ず佐藤内閣の国務大臣の一員として総合予算主義を貫くよりしかたがありません、だから人事院勧告はこういうことが書いてありますけれども、なかなか困難な状態でありますとか、むずかしい状態にありますとか、そう言ってくれたほうが、私は赤澤自治大臣らしい答弁だと思うのですよ。だから私はこう聞いておるので、あなたはどう思いますか。
  210. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 話に食い違いがあるような気がするわけですけれども、過日の閣議で、まあ総理がおらぬから鬼の留任の間にかってなことを言ったという、一体自治大臣はどっちのほうに賛成するのだという御質問もあったわけです。ですから、私は、先ほど申しましたように、人事院勧告というものを完全に尊重するということは、やはり完全に行なうということを意味しますから、それには前段階として、また同時に取り組むべき問題が残されておる。行政改革と取り組むことによって、あの程度のものでさえここで七百億も財源ができますということを実はきょう出しておるわけであります。ただ、これは前向きの姿勢ですよと申し上げましたが、いまの時点ではこれは間に合いませんということになりますと、じゃことしはどうするのだということになりますと、やはり、一方には内閣として総合予算主義を貫くという大方針を打ち出しておりますし、ですから、そういうことを私どもはにらみ合わせて、非常に苦しい答弁になることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、私どもとしては、できるだけ尊重して、一歩でも勧告に近づきたいという熱意を持っておりまするので、その点はひとつおくみ取りをいただきたいと思います。
  211. 林百郎

    ○林委員 次の問題に移っていきたいと思いますが、御承知のとおり、地方公務員給与の問題につきましては、これはそれぞれの地方自治体が条例やいろいろあって、相対的な独自性があるわけです。そういう中で地方人事委員会が、政府がかりに八月あるいは九月実施ということになっても、五月から実施すべきだというような勧告をする。また、力のある地方自治体としては、それを受けて財政的な措置をしようとする自治体もあるということも考えられる。そういう場合に、政府はそれに対して干渉をするのですか。あるいは、それは地方自治体の自主性ということで認めるわけですか。将来の地方人事委員会勧告についてどういうようにお考えになるのですか。
  212. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 法二十四条の三項によって、準じろとは書いてないけれども地方公務員はやはり国家公務員と同じにしなければならぬ仕組みになっておりますので、まあ国家公務員がどうきまりますか私は存じませんけれども、国家公務員がきまりました場合に、それと違うことを各地方人事委員会などでやりましても、私はそういうことは成り立たないと思います。
  213. 林百郎

    ○林委員 かりに、そうすると政府が国家公務員について八月か九月か知りませんけれども、あなたは検討中だと言うから、その立場で言いますと、そういう場合、そうすると地方の人事委員会勧告もまたそうならなければならない、国の方針の勧告をしなければならない、また、地方自治体は国の受けとめ方のとおりに受けとめなければならない、そういうようにあなたのほうは行政指導するわけですか。力のあるところで、地方人事委員会のほうは人事院勧告を完全に実施しろと言った、だから地方自治体のほうも、その地方人事委員会勧告に忠実に従って、それを完全実施するという財政措置しようとする場合、赤澤自治大臣は、それはいかぬ、国の方針に準じろということがあるのだから、かりに国が八月か九月ということになれば、おまえのほうもそうしろということを——干渉ということばが強いなら行政指導なさるのですか。
  214. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方公務員の場合は、少なくとも公務員である立場において、かりに臨時の財源があるからといってそれを給与に流用するということは、私としてはそういうことは認めるわけにはまいりません。やはりこれは国家公務員に準じて処理すべきものであるという考え方に立っておるわけでございます。
  215. 林百郎

    ○林委員 地方人事委員会勧告もし、その地方人事委員会勧告に従って、財政的な余裕のある地方自治体が地方公務員の労働条件をできるだけ誠実に果たそうとすることを、国の方針と違うからそれはやってはいけないというようなことを、赤澤自治大臣が行政指導するとすれば、あなたがここでどんなことを言っても、あなたは決して地方公務員の味方だといえないのじゃないですか。制度上地方人事委員会というものがある。これは相対的独自の勧告もできる。そうして地方自治体は条例でもって相対的に地方人事委員会勧告に従った財政処置をしたっていいわけですから、自一分の財政の余裕の範囲内で。それを自治省が、いや国のほうが八月実施だから、九月実施だから、おまえのほうも、そんな五月とか六月はいかぬということをどうして言うのですか。
  216. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 国に準ずるということは、言うまでもなく、実施時期も含めて準ずることであると私は考えております。国が八月と打ち出したものを、財政的にゆとりのある地方自治体が、いや私のところは五月にさかのぼります、四月にさかのぼります、こういうことは自治大臣としては認めるわけにはまいらないわけです。
  217. 林百郎

    ○林委員 地方公務員の労働条件地方自治体が最大の誠意をもって努力してよくしようというのをよくするのはいけないから、悪いほうに戻せなんてことを自治大臣が言ったら、地方公務員は自治大臣に対して信頼を寄せることができると思いますか。まあそれはいいです。だから、われわれのほうは、人事院勧告制度というものについて、もうこれは機能を果たしていない、憲法で規定されておる国家公務員地方公務員の基本的の労働権を奪った代償としての役割りは果たしておらないというように考えるわけです。さっきから人事院が他人ごとみたいにそこにおいでになるので、佐藤さんにちょっとお聞きしますが、私たちは、人事院勧告制度にも問題があると思うのですよ。今度の人事院勧告の中身は上に薄く下に厚いとおっしゃっていますけれども、一体今度の人事院勧告で本俸の平均引き上げ額は幾らになるのですか。佐藤さんでなくても、数字のわかる人でいいです。私のほうですと三千五百五十七円という数字がここに出ております。
  218. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 俸給の引き上げにつきましては七・一%、三千五百五十六円と算定しております。
  219. 林百郎

    ○林委員 国家公務員全体で、この三千五百五十七円のベースアップに実額がならない者は全体の何%ですか。私のほうは五四・七%という数字がありますが、あなたのほうの計算はどうですか。
  220. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 それぞれの等級、号俸におきましての給与改定の金額につきましては、それぞれ精密に検討してやっておるのでございますが、平均値というのはいわば抽象的な値でございまして、その上下ということについての検討はいたしておりません。
  221. 林百郎

    ○林委員 そうすると、あなたは、私がいま示した数字、国家公務員労働者全体でこの本俸平均引き上げ額三千五百五十七円に満たない者が五四・七%ということを反駁する数字もないというわけですね。そうでないならそうでないと言ってもらえばいい。あるようなないような一ないなら私のほうはこれからこの数字を使うつもりです。人事院のほうでは計算しておらないようですから。
  222. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 私どもとしては、抽象的な平均値以上か以下かという点につきまして、意味合いをそれほど認めておりませんので、計算しておりません。
  223. 林百郎

    ○林委員 行(二)のほうでは、これが実に八二・五%。平均の引き上げ額に満たない公務員数字が八二・五%という数字があります。これもあなたのほうは、そういうことについて意味を感じないから計算してない、こう聞いていいのですね。  私のほうは、そこが人事院が問題だと思うのですよ。平均引き上げ額に満たない人がどのくらいあるかということは、国家公務員にとっては重大な問題ですよ。半分以上も、五〇何%も平均引き上げ額に満たない人たちがいる。そうして行(二)に至っては八〇%も平均引き上げ額の実額に満たされないのだ。こういうことでは、人事院勧告が決して上に薄く下に厚いなんということはいえないのだ。人事院勧告制度というのは、依然として巧妙な、上に厚く下に薄い、そういう賃金体系を依然として続けている。若干の手直しがあったにしても、本質的には変わっていないのだ。そういう立場から、私たちは本俸の平均引き上げ額以上の公務員労働者が幾らあるのか、それ以下が幾らあるのか、行(二)は幾らあるのか、幾らないのかという問題は、これは重大な問題だと思うのですよ。だから、行(二)のほうも八二・五%という数字が、計算してないというならないで、そう答弁してください。やむを得ない。
  224. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 それぞれの俸給表におきますそれぞれの金額を、どれだけ民間給与比較をいたしまして適正に改正するかという点が問題のポイントでございます。御指摘のような平均ということは、それぞれの等級、号俸の改定の問題と、それから人員がどこに集中しているかというそれぞれの人員構成の特殊性の問題も含まれておりますので、それ自体を計算することにつきましては、私のほうとして特に計算してないわけでございます。
  225. 林百郎

    ○林委員 そうすると、人事院では、ことし公務員の三人家族で標準生計費は幾らと見ているのですか。三へ世帯ですから、子供一人と夫婦。去年度のは私のほうにある。
  226. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 全国の場合には四万三千八十円でございます。それから、東京の場合には四万九千六百四十円と算定しております。
  227. 林百郎

    ○林委員 それはことしの三人世帯の標準生計費と見ていいですね。
  228. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 さようでございます。
  229. 林百郎

    ○林委員 それでは、公務員の中で、行(二)と一般の公務員と分けて、その三人世帯の標準生計費四万三千八十円に達していない人たちというのはどのくらいあるのですか。
  230. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 その標準生計費でございますけれども、標準生計費の意味合いということがまず問題点でございます。標準生計費は、現在、本年四月におきまして総理府統計局で調査をいたしました国民一般の生計費の中で、いわばモード階層と申しますか、そういう階層につきまして、算定をいたしたものでございます。それはいわば家計支出のほうでございますが、それに見合っております家計収入のほうにつきましては、ここで申します本俸と申しますか俸給以外に、あらゆる収入を含んでいるわけでございます。かつ四月現在で算定しておりますということは、一年間の平均的な高さでございますので、そういう意味合いで申しますと、収入の中にいわゆるボーナス的なものも全部含めて、その平均として比較をするということが、比較のしかたとしてふさわしいということになるわけでございまして、この標準生計費に見合うか見合わないかということは、そういう関係を全部考慮して考えるべき性質のものであるというふうに考えておるわけでございます。  私どもとしまして、標準生計費の使い方といたしましては、ただいま御指摘の場合の三人世帯という場合には、期末勤勉手当を含めた場合に大体七等級四号俸に相当するということで、これは年齢が普通の場合には二十七歳ぐらいに相当しておりますので、そういう意味合いではまずまずの見合いではなかろうかという意味合いのチェックはしているのでございます。
  231. 林百郎

    ○林委員 それで、結局三人世帯標準生計費四万三千幾らに達していない公務員がどのくらいのパーセントがあり、行(二)はどのくらいのパーセントがあるかというその数字は出ませんか。あなたの言うようなそういうものをかりに入れたとしてもいいです。何かそういう計算はあるのですか、ないのですか。
  232. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 いわゆる生計費のほうは標準でございますから、その標準としての使い方と申しますのは、先ほど申しましたように、俸給表をつくります場合に期末勤勉手当等を入れましてチェックをするということに使っておりまして、いま申し上げましたように、全国の場合には三人世帯は七等級四号俸、二十七歳くらいのところに相当しておりますから、まあ俸給表の上においてはまずまずのところではなかろうかといったような、そういうチェックだけに使っておるわけでございます。
  233. 林百郎

    ○林委員 私のほうは、標準生計費以下の賃金を給支されている公務員がどのくらいいるのか、また行(二)はどのくらいいるのかという数字が知りたいのですが、そのことに時間をえらい使うわけにいかないのです。  そうしますと、担当に聞きますけれども、今度、次官はどのくらい上がるのですか。次官と局長、その辺のところは一体どのくらい上がるのですか。
  234. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 次官を含めまして指定職甲の場合には、金額にいたしまして一万五千円でございます。それから局長等が格づけされます指定職乙におきましては、最低が八千円、最高が一万五千円ということで、指定職全体といたしまして六・四%の改善になっております。
  235. 林百郎

    ○林委員 次官、局長、指定職の平均が大体そのくらい。それから一方では圧倒的な多数の人が千五百円から四千円。平均が三万幾らですからね。こういう職階的な賃金体系の基本をそのままにしておいて、その基本の俸給表に基づいてどうするかということでは基本が直らないのだから、こういう上に厚く下に薄いという公務員の賃金体系というものは人事院勧告によっては直らない。基本的なものはそこに置いておいたままやっていきますからね。われわれはそう考えるわけです。そういう中で、午前に河上さんが聞かれました成績主義による特別加俸の問題ですが、これも運用によっては非常に公務員の団結を阻害したり、あるいは非常に官僚主義を助長するものになるのですけれども勤務成績の特に良好な者に対する優遇措置、たとえばその人の持っている政治的な信条とかそういうもので、幾ら事実上の勤務成績をあげても優遇措置がとられないということもわれわれは聞いているわけです。勤務成績の特に良好な者というのはどういうことですか、具体的に説明してください。
  236. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 今回特に昇給制度の拡大につきまして勧告を申し上げておるわけでございますけれども一つは普通の成績優秀者に対する特別昇給ワクの拡大、一つは特殊な者に対する表彰の制度検討いたしまして特別昇給制度を裏打ちをするという二つの点でございます。  いま御指摘の前者、成績優秀者に対する特別昇給ワクの拡大という関係は、成績優秀者に対して行なうものでございますけれども、その基準は、勤務評定が行なわれておりまして、その勤務評定の場合に最も上位に評定されます人が全体の三割以内という形になっているわけでございますけれども、その中の三分の一に現在一〇%を特別昇給ワクとして認めておるわけでありますけれども、それを半分の一五%にいたしたいというのが、今回勧告申し上げました中身でございます。
  237. 林百郎

    ○林委員 時間の関係佐藤さんにお尋ねしますが、御承知のとおり、公務員は本年度の要求としては平均一万円のベースアップ、それと住宅手当支給しろという要求です。これとはほど遠い勧告なわけです。そのほど遠い勧告、そして、しかも本質的にはやはり上に厚く下に薄い。これがやがて日本の公共企業体の労働者や民間労働者にも、この人事院勧告の賃金体系というものがいろいろの形で援用されたり、賃金決定のてこになったり軸にされることになるわけです。そういう意味人事院勧告のこういう制度というものが、日本の低賃金を制度化していく役割りをいまの段階では果たしているのではないか。そして恒久的な安定賃金の制度になっているのじゃないか。そういう人事院勧告すら、いまの赤澤自治大臣の答弁でもおわかりのように、これは一度だって完全実施されたことはない。しかも、これから後はもう総合予算主義というような形で、勧告がどういう内容であろうと、どういうことをその中でことばで言われようと、国の財政あるいは総合予算主義が優先してしまって、人事院勧告というものが実質的には否定されていく、はっきり申しますとこういうことになっていると私は思うのです。  あなたの前でそういうことをはっきり言って、あなたどう受けとめられるか知りませんけれども、しかしあなた方自身も佐藤内閣で任命している。決して純粋な第三者的な制度でもない。そうなると、むしろもうこういう制度をやめて公務員に労働基本権を与えてやる。たとえばフランスやイタリアは与えているわけですからね。そういう制度に戻すべきじゃないか、私たちはこう考えているわけです。ということは、人事院勧告完全実施、これは公務員からいえば無理もないことで、おまえたちはおまえたちが奉仕している国民の利益を考えて、憲法で保障されている労働権もたな上げしよう、そのかわり人事院勧告で見てやるといったのが、その人事院勧告完全実施が一度もされたことがないということになれば、これはもとの権利を戻してもらいたいというのは当然だと思うのです。そうすると、いまの公務員法や地方公務員法で処罰され、あるいはいろいろの懲罰をされていくということになりますね。だからそれは堂々めぐりで、毎年毎年そういうことになって大きな犠牲がしいられてきている。こういう段階では、人事院勧告という制度を基本的に考え直すべきじゃないだろうか。そうして労働者にむしろ基本的な労働権を与えるべきじゃないだろうか。よその国では、フランスやイタリアではそういうものがちゃんと与えられているわけですから。私はそう根本的に考えますけれども、あなたはどうお考えになりますか。こういうように人事院勧告が一度も完全に実施されない。ことしに至っては、総合予算主義というまたもう一つワクが出てきてしまって、それが大きく締めていくということになりますれば、もう人事院勧告というもの自体の存在意義がない。われわれはもともとこの制度に反対していましたけれども、しかし、今日あなた方の立場に立ってみてももう非常に効果のない制度に堕しているように思うのですが、どう考えますか。人事院に奉職しているあなたにこういうことを聞くのはなにですけれども……。
  238. 佐藤正典

    佐藤説明員 お答えいたします。  もういまさら繰り返して申すまでもなく、御承知のように人事院勧告は毎年四月における給与の実態を調査して官民の格差をなくしよう、追っつかせようというのが元来の趣旨でございます。しかも四月の調査でございますから、五月からは必ず実施していただきたいということを繰り返しいままで強調してまいっております。やっといままで二回ほど前進して、十月が九月になり、昨年やっと八月になったのであります。今度こそはわれわれの希望どおりに五月実施をぜひ実現していただきたい、かようにわれわれ一同考えておりますが、これが総合予算とかなんとかというふうには人事院はいささかも拘束されることはないと私は思っております。そうして、これはただ人事院勧告を政府にするのみでなく国会に対しても行なってあるわけであります。なお。御承知のように三公社五現業の中にわれわれと同じような公務員もいるわけなんで、この人たちには何らの抵抗もなく四月実施を仲裁裁定どおり実施していることを考えれば、公務員に当然われわれの勧告どおりに政府及び国会はこれを五月実施に踏み切っていくということをことしこそやっていただきたい、私どもはそういうふうな気持ちでおります。
  239. 林百郎

    ○林委員 総合予算主義に私たちはこだわりません、拘束されませんと言ったって、そういう立場でかりに勧告がなされても、その勧告実施する政府が、また国会で多数をとっている自民党与党が総合予算主義というワクをはめてしまって、当初予算の中に今年度公務員ベースアップはこうだというワクをきめて補正予算を組まぬということになれば、勧告自体は、私のほうは拘束されない、勧告いたしますと言っても実施できないじゃないですか。だから、あなた方も、あげてこの総合予算主義というものについて人事院が重大な警告でも発せられるなら別として、幾ら拘束されない、されないと人事院がひとりで力んでいても、事実上その勧告実施されないことになるのじゃないか。そういう意味で、いまや人事院制度、しかもこれを完全実施ということで公務員が労働権を発動すれば多数の処罰者が出てくるということになれば、これは公務員立場に立った、そして公務員の憲法で保障されている労働権までも放棄した代償としてのそういう重要な存在意義が公務員にとっては必ずしも認められなくなるのではないか。しかもこれがあるために毎年毎年多くの犠牲者が出ていくことになば、人事院としても考えるべきじゃないかと思います。
  240. 佐藤正典

    佐藤説明員 そういう事実が年々繰り返されておりますので、私ども佐藤人事院総裁が、昨年いろいろの詮議をされましたときに、やはりべースアップが完全に行なわれるためには、何ほどか事前に予算の中に繰り入れられることが希望であると言われた佐藤構想は、ここから出ておるわけでありまして、せんじつめるところ、人事院勧告どおり実施していただきたいという、いても立ってもおれない気持ちのあらわれだということをお察し願いたいと思います。
  241. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  242. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。
  243. 林百郎

    ○林委員 いても立ってもおれな気持ちをお察しくださいと言ったって、公務員の生きる権利、賃金が、あなた一人のそういう感傷的なことばで解決される問題ではないわけです。だから結局、人事院というものが第三者的な性格を失ってきているというところにもう一つの問題があるし、それから人事院勧告というものがもう形骸化されてしまってきている。私のほうからいいますと、人事院は任命権は内閣が持っておる、内閣の人事局から派遣された人たちがたくさんその中に入っておるということになると、もう人事院というもの自体が、これは政府と裏、表の制度であって、決して制度的にも政府に対してき然として権威のある勧告のできるようなものになっていないようにわれわれは思っているのです。それでそう言っているわけです。  時間の関係でこれはこれとして、ひとつ赤澤自治大臣にお伺いしたいのですが、あなたは公務員給与に対してははなはだ冷酷ですけれども、警察の予算を組むにあたってははなはだ寛大なんです。そこにあなたの思想がよくあらわれていると思いますが、あなたは一九七〇年もあるから騒擾罪の予備罪を考えるべきだということを表明されましたね、これは新聞に出ました。それはあなたそう考えておられるのですか。新聞に発表になっておりますね。
  244. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 騒擾罪などは刑法でございまして、法制審議会の刑法部会で、この秋そういった問題が検討されることになっておると私は聞いております。そのことに触れたことが何か騒擾罪なんかを立案するとかいうことになったかどうか、私は新聞記事を存じませんけれども、何か取り違えているのではないかと思います。
  245. 林百郎

    ○林委員 法制審議会でそういう問題が出されておるということにあなたは言及されたんですね。どういう意味で言及されたんですか。そのことが一つ。  それから新聞を見ますと、一九七〇年を目ざして治安体制の強化のために警察庁の来年度予算要求が総額四百二十八億ときまって、二十二日の国家公安委員会に報告された。あなたのほうへ報告された。その内容を見ますと、一が警備捜査専従の私服刑事を一千人増員する、二、警備車両、装備の増強をする、三、機動隊の隊舎など後方施設の拡充を重点にして七〇年対策として、百九十億を計上して、二年後の不測の事態に備えて総合警備訓練をはじめ周到な準備を進めることにしている、とありますが、これはこまかい何台だとか何人ということは別として、二年後の一九七〇年を目ざして治安対策として警察の予算がこう組まれ、その大きな筋としては警備捜査専従の私服刑事一千名増員、警備車両、装備の増強、機動隊の隊舎など後方施設の拡充、こういうことを重点として予算要求がされ、あなたのところに報告された、こうなっております。それで、いまの段階ですけれども、なるべく具体的にあなたにどういう報告がされておるかということを説明願いたいと思います。
  246. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 何も画期的な増強だとは考えておりません。御存じのとおりに、大蔵大臣としては、今月末が予算の概算要求をする時期になっておるので、各省の要求は前年度の二五%増以内にとどめてほしいということであります。ただ警察の場合は、御案内のとおりに、国民の生命財産の安全を最悪の事態においても保障するという責任がございます。しかし、その不測の事態が起これば先立つものが要るわけでありますから、場合によってはさらにワク外の予算を要求するようにしますよということは私は発言いたしました。しかし、その予算は大体各省並みということで特に警察だけが優遇を受けたということではございません。
  247. 林百郎

    ○林委員 ではそれでけっこうです。  もう一つ、警察の方が来ておりますね。これは大臣にこまかいことを説明さすのもなんですけれども、いま私が言いましたあなたに報告された要求内容の大筋、来年度増強する人員、それから車両、機動隊の実態、これを説明してもらいたい。
  248. 渡部正郎

    ○渡部説明員 簡単にお答え申し上げたいと思いますが、まだ概算要求を大蔵省のほうに出しておりません。大体事務的には今月の末に出す予定でございます。そういうことで最終的には固まっておりませんが、概況について申し上げたいと思います。  四十四年度考え方としまして柱が三つございまして、一つは治安警備力の強化の問題、第二の問題は市民生活を守る警察体制の確立の問題、それから第三番目に専門的技術水準の向上と犯罪と警察に関する基礎調査の問題、いま申し上げた三本の柱で組んでございます。その三本の柱にいろいろなものを入れておりますが、これはあくまでも重点でございますので、これからはみ出す基礎的な経費がこのほかにございます。それを全部突っ込んで先ほどお話のありました四百二十八億見当になる予定でございますが、最初の治安警備力の強化が、百九十億が欠けまして百八十九億ほどございます。それから次の生命、財産の保護、市民生活を守る警察体制の問題が約六十五億ほどございます。三番目の専門的技術水準の向上その他というのが十五億ほどございますが、御承知のとおり警察の予算は非常に複雑でございまして、国庫をもって支弁する費用もございますし、都道府県の支弁にかかわるものもございます。補助金のあるものもございます。この四百二十数億の概算要求というのは補助金を含めまして国庫で支弁するものだけでございますから、この予算をもって警察の予算の姿というものをこの概算要求の形からだけ想像していただきますと違ってくるわけでございますが、いずれにしましても、いま申し上げましたような三本の柱にいま申し上げましたような数字を組んでございます。  で、お話のございました件でございますが、特にこれといった新しいものはございません。ただ去年と比較いたしまして違うという点は、いろいろあるわけでございますが、三つの重点項目それぞれにあるわけでございまして、一つは、第一番目の治安警備力につきましては、最近投石等の事案が非常に多くてけが人が出る情勢になってまいりましたのて、それを完全に防護するものでございます。個人装備と呼んでおりますが、たて、出動服でございますとか、あるいは特殊な、石を投げられてもけがをしないような装置をしたものでございますとか、すね、けがをしやすいひざなんかに当てるものでございますとか、いろいろそういう防護の装備、これは単価として安いのでございますけれども、どこにどういうことが起こるかわかりませんので、ある程度の数をそろえておきませんと対応ができません。その額が相当ふえております。  それから、もう一つちょっとふえておりますのは、これは警察官は普通派出駐在所に勤務しておりまして、それを集めて現場に持っていかなければなりませんので、車両が少しふえております。そのほか警備では変わったものはございません。  それから、もう一つ申し上げると、現場でけが人が出ます。そのときに一一〇番の車で運んでもらっているわけでございますけれども、それだけではなかなかうまくいかないという場合もございますので、特殊な救護車というようなものも考えまして、これは十台ほど要求してございます。その程度が新しいところでございます。  第二の項目につきましては、最近の都市化、人口移動に対応いたしまして、非常に伝統的な派出駐在所と社会生活との関連性というものが少しゆがんできております。それを何とか直していきたいということで、一つは派出駐在所の合理化の問題ですとか、それから動く交番というとおわかりいただけるかと思いますが、そういう巡回しながらサービスしていくような新しい車を考えて要求してみようというのが去年までにはなかった新しい考え方でございます。  三番目の、専門的な技術水準の向上でございますが、いろいろな問題がございますが、額はあまりありませんけれども、目新しいものとしては、現在刑法犯として百五十万件前後が認知されているわけでございますけれども、もっと届け出られない犯罪があって、市民の方が困っていられるということがあるのじゃないかということで、犯罪の暗数と申しますか、それに対する基礎的な調査をして、その対策を考えてみようというようなことが従来にない一つの形として出てきております。いずれもまだ最終段階の整ったものではございません。
  249. 林百郎

    ○林委員 これで終わります。  たいへん時間を超過して恐縮でございますが、結論を申しますと、これは警察の予算関係についてはいずれまた内容を詳しくお尋ねする機会があると思います。中心は、そうしてまた公安委員長としての赤澤自治大臣がお考えになっているのは、やはり一九七〇年に備えての処置だと思うのです。これはわれわれからいえば、一部にトロツキスト学生のようなものがありますけれども、民主的な勢力の当然の運動を弾圧するということをわれわれは非常に懸念しておるわけです。そういう方面の予算は相当大幅に認められているのではないか、これは今後の推移を見なければわかりません。いまの段階では言えません。しかし一方、公務員の問題については、先ほどの自治大臣の答弁にもありますによう、はなはだきびしいことを言っている。こういう中で赤澤自治大臣並びに佐藤内閣の反人民的といいますか、そういうものの性格がよくあらわれているように思うわけですけれども、この点についてはなお今後いろいろ質問して明らかにしていきたいと思います。  きょうはこれで私の質問は終わります。
  250. 吉川久衛

    吉川委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会