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1968-09-04 第59回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月四日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長代理理事 渡辺美智雄君    理事 金子 一平君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       大久保武雄君    鯨岡 兵輔君       河野 洋平君    四宮 久吉君       古屋  亨君    村上信二郎君       村山 達雄君    山下 元利君       吉田 重延君    阿部 助哉君       井手 以誠君    佐藤觀次郎君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       武藤 山治君    岡沢 完治君       河村  勝君    広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         警察庁刑事局長 内海  倫君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵大臣官房審         議官      細見  卓君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         大蔵省理財局長 青山  俊君         大蔵省証券局長 広瀬 駿二君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         食糧庁次長   田中  勉君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 八月九日  委員西岡武夫君、岡沢完治君及び田中昭二君辞  任につき、その補欠として黒金泰美君、西村榮  一君及び浅井美幸君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員黒金泰美君及び西村榮一辞任につき、そ  の補欠として西岡武夫君及び岡沢完治君が議長  の指名委員に選任された。 同月十日  委員浅井美幸辞任につき、その補欠として田  中昭二君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 八月十日  一、国の会計に関する件  二、税制に関する件  三、関税に関する件  四、金融に関する件  五、証券取引に関する件  六、外国為替に関する件  七、国有財産に関する件  八、専売事業に関する件  九、印刷事業に関する件  一〇、造幣事業に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の会計に関する件  税制に関する件  金融に関する件  証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長不在のため、指名により私が委員長職務を行ないます。  国の会計税制金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 佐藤人事院総裁にお見えをいただいておりますから伺います。  いままで出されました人事院勧告が、勧告内容実施をされておりますけれども、時期については、きわめて遺憾なことでありますが、完全に実現をされたことがありません。したがいまして、今回も内閣に対しまして勧告をすると同時に、国会衆議院議長あるいは参議院議長に対しまして報告をして、強い要請をされているものだと思うのでありますが、やはり閣議で、六人委員会で御承知のように昨年どおり八月実施ということにきまりました。しかし、これは政府としての態度がきまったのであって、給与法の制定は国会の権限でございます。しかしながら、その間におきまして、現在の議会の構成から見てまいりますると、政府できまったものを修正をするという事実上の行為というものが非常に困難であることは、人事院総裁よく御承知のとおりであります。したがいまして、あなたは、ただ勧告をし報告をしっぱなしということは、あなたの職務上からいいましてもとらざるところであろうと思うのでありますが、その意味においてどれだけの御努力をされてきたものか、まずその点についてお伺いをしておきたいと思います。
  4. 佐藤達夫

    佐藤説明員 現実人事院勧告が、従来少なくとも実施期日関係においては、完全にそれが実現することなくして今日に至っておるということは、全くおっしゃるとおりでございまして、私どももきわめて遺憾とするところでございます。  いまお話がございましたように、今回もはなはだ遺憾な結果になったわけでありますが、国会に直接勧告を申し上げておることでもございますし、また、従来の例としては、与野党一致して給与法案を御修正になった例もあるわけであります。私どもは決してそのことはあきらめておりません。最後にお述べになりました点については、これは御承知のように、法律上からいえば人事院勧告するまでが義務であり、責任でございまして、勧告した後はこれをいかようにお扱いになるか、国会及び内閣の良識ある御裁断にまつということがおそらく法のたてまえだと思います。これは申すまでもなく、われわれが精魂を傾けて、また正しいと信じてかくあるべしという勧告を申し上げた以上は、法律的にそうであるからといって、われわれ関係者がじんぜんとして腕をこまねいておるということではとうてい気の済まないことであるということも、お察しいただけると思うのであります。従来、私どもがそういう趣旨からできるだけの努力をしてまいりましたことも、村山委員は十分御承知だと思うのであります。今回もまた従来以上に努力をしてまいりたいということをはっきり申し上げておくことができると思います。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 昨年に比べて、閣議決定事項というものの中で前進をしたものは通勤手当があります。そういうように認識をなさっていらっしゃいますか。ただ通勤手当の場合に、今度いわゆる支給限度額を引き上げました。これらの問題点については、税法上の問題もございますが、そういうふうな問題で特に何らかの措置を前向きでやってくれということで、具体的に一つ一つ取り上げておやりになった事実がありますか。それとも、勧告はしたというところで一応あと政府責任国会責任だからということで置いておかれたわけですか。その点をお尋ねいたします。
  6. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもは、勧告は完全な一体として、分離すべからざる関連した内容をそのまま持っておるというたてまえで、その全体を五月にさかのぼって実施していただきたい。これは言うまでもなく、四月に支払われた官民給与、これを突き合わせての格差を埋めていただきたいというのでありますから、全体として少なくとも五月にさかのぼって完全実施していただきたいということは当然であります。したがいまして、政府筋にお願いするにあたりましても、中でもこの点は重点だから少なくともこれだけはお願いしますよというような言い方は絶対に申しておりません。全体として五月にさかのぼっていただきたい、これ一本やりでまいっております。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、人事院勧告中身についてでございますが、これは主たる委員会でございます内閣委員会で論議をすべき内容のものが大部分であると思いますけれども、私たちが今度人事院勧告を拝見をいたしまして、この点はもっと今後において、あるいはいまの段階でも十分考えるべきものがあるのではなかろうかと思う点が二、三ございますから、この点を御指摘を申し上げます。  というのは、民間給与対応する等位のとり方でございます。本省の部課長、出先の管区の部長クラス、これは民間の五百人程度の規模の支店長クラス対応してとっております。ところが、いわゆる役所中堅層に当たります係長クラスはそれに比べて非常に低い、いわゆる民間主任クラスのところと対応させておる。こういうような事実があるわけですが、この対応のしかたは、高級公務員については非常に高いところで例をとり、中堅公務員についてはこれを低いところで押えていくという操作をやっているのではないかという点を、この官民比較実態表の中から受け取るわけですが、これについてはどういうふうにお考えになっておるのかというのが一点。  それからもう一つは、この勧告には直接私たち関係ないと思うのでありますが、別個に人事院規則で定めればよろしいわけですけれども、いわゆる特別昇給制、いままで一〇%だったものを一五%にこれを格上げしておいでになります。従来勤務成績の特に優秀な者については一〇%程度特昇分財源措置を講ずるようにということで措置されてきた内容であります。ところが、今回は発明発見をした者とか、あるいは僻地に派遣をされた者等について、きわめて困難な職務を完了した者についてこれを認める、こういうようなワク拡大といいますか、そういうような中身で一〇%を一五%にされておる。しかし、この問題はやはり勤務評定との関係があろうと思います。今日、人事院のほうでこの職階制給与体系というものが完全なものとして示されてはおりません。その職務内容が分析をされて十分なものとはいえない給与体系であります。そういうような中におきまして、今日、各省庁ごと勤評実施を促進をさしていこうということでありますが、勤務評定にたえ得るような内容のものであるかどうかということについて、私たちはその勤評制度そのものの、いわゆる客観的な合理性というものが欠けているという点を絶えず指摘をしているわけであります。したがいまして、公務員全体から見てまいりますると、コンスタントに一般昇給をさしていく公務員層というのは、平常の勤務によって普通の成績をあげた者はやはりあたりまえに四%程度財源措置によって昇給をさしていく。しかし、特に勤務成績良好の者についてはさらにその上に特別昇給制度をやっていく。その層というものは、私は一〇%を一五%に拡大をするというようなやり方ではないほうがいいのではないかという考え方です。ところが、今回は人事院は、これについては特昇ワクを五%ふやしてやろうというような方向をお出しになった。このことについては非常に政策的な意図が感ぜられるのでありますが、この点について御回答をいただきたい。  それからもう一点は、春闘の結果、民間給与が上がるわけであります。それのいわゆる追跡調査をやりまして、四月からの実施分については幾らかこれを今度の算定の中に入れておいでになる。しかしながら、完全なこれの捕捉ということができない。したがいまして、大体どれだけの率でそれがはね返っているのかという積み残し分を算出をするのに三つ方式があります。その三つ方式の中で一番低いところの方式を用いてあなた方は積み増しをしておいでになるのであります。だから、そういうような点からいえば、いわゆる総合予算主義という名のもとにおいて、まあ、圧力をかけませんと大蔵大臣言っておりましたけれども、しかしながら、人事院はそれを意識されて低いところのそういうような積み増しをしておいでになるのではなかろうかという点を私たちは懸念をするわけでありますが、これは積み残しがあった分は来年度のときに生きてまいりますといえばそれまでですけれども、しかし、それが現実民間給与対応する正しい勧告の姿とはいえませんから、そういうようないわゆる積み残し分を一体どういうふうにするのか。この点が第三点。  時間がありませんからもう一つ申し上げます。それは、民間法定外福利費の問題であります。公務員の場合には法定福利費が千三百円程度しか計上されておりません。したがいまして、いつも私たちは、公務員福利費についてはもう少し増額をすべきであるということをこの委員会等においても言っているのでありますが、それに対しまして、民間の場合にはいろいろな形において法定外福利費というものがあります。これを計算をしてみますと、月に四千円程度のものがあるのではなかろうかと思われるのであります。そういうようなものと——もちろんその中には住宅のものもありましょう。しかし、それを除く部分については、これは確かに官民比較をとってみますと、公務員のほうが非常に悪いということは、私たちがずっと民間企業等を見て回りましていつも感ずることであります。したがって、この点については、今度の場合には十分な取り上げ方がされていないでも、将来においてはこういうような点にメスを入れていただいて、人事院として公務員給与全体の中における位置づけを福利費の問題についてもされるべきではなかろうかと思うのでありますが、そういうような点について、今度勧告をされましたあとにおいて、今後においてやるべき仕事はないのかどうか。  こういうような私が特に感じました四つの問題点について、総裁の見解をお伺いしておきます。
  8. 佐藤達夫

    佐藤説明員 非常にごもっともな御指摘であろうと存じます。また、問題のポイントあるいは私どもお答え趣旨もあらかじめ十分御承知の上でのお尋ねかという気もいたしますけれどもポイントに触れてここであらためてお答えを申し上げたいと思います。  第一点の対応関係、これは私ども官民格差というものを非常にかたくとっておりますために、これを比べるについてどういうものを対応させるかということがきわめて深刻な、また重要な問題になることは十分私ども意識しており、またそれだけに従来各方面からこの対応やり方はおかしいじゃないかとか、かくあるべきではないかというような御指摘を受けてまいっております。私どもとしては、そういう御指摘に対しましては、いま申しましたように、これはきわめて重要なことだという認識のもとに、常に反省を加えながらこれに当たっておるわけで、かつてはある種の訂正をしたこともございますけれども、今日の段階におきます対応は、これは釈迦に説法で、申し上げるまでもないことでございますけれども、職名だけでこれを比べるわけにいかぬことは当然のことでありますから、その実態、素朴な言い方をすれば、部下を何人持っておるかというような実態に即してこれを比べなければならぬということから、われわれはその点に十分着目してやっておるわけでありまして、今日の段階ではこれが誤っておるとは思っておりません。しかし、先ほど申しましたように、事が重大でありますから、今後も謙虚な態度をもってこれに臨んでいきたいという気持ちでおるわけであります。  それから第二番目の特昇制度は、これはおっしゃるとおり勧告には載せておりませんので、私ども報告のほうにその意図を明らかにしておるわけでございますが、申すまでもなく、公務員法あるいは給与法はあくまでも成績主義ということを貫いており、普通の昇給の場合においても、良好な成績で一年たったら上げることができるというような形で、きわめてその趣旨ははっきりしておるわけでありますし、また、民間をごらんになりましても、すべてそういう趣旨で貫かれて運用がされておるというわけでございます。民間側からいえば、公務員は単なる年功序列だけでやっているのじゃないかというような批判さえも出ているような実態なのでございます。したがいまして、現在特昇ワクというものはいまお話に出ましたように一〇%にとどまっておるということは、実態から申しましてあまりに狭過ぎる。この際、五%だけワクを広げるべきであろうということに出たものでございます。その基本には、いまお話し勤務評定が根本になっておることは、これまた当然のことであります。勤務評定は、これも法の命ずるところでありまして、われわれとしては勤務評定が正しくまた完全に行なわれるように努力すべき責任を持っておるわけであります。幸いにして最近においては各省相当に御理解いただきまして、勤務評定は相当のところまで徹底して行なわれております。これはけっこうなことだと思いますけれども、ただ、いまのおことばにちょっとありましたように、勤務評定のしかただとか実態やり方の問題については、なおわれわれとしてはさらに改善改善を重ねていかなければならないという気持ちでおるわけでありまして、その二つが組み合わさってのものであるということに御了承をいただきたいと思います。  それから第三点は、世にいう積み残しの問題であります。三つの案があるとおっしゃいまして、あとでこれは教えていただきたいと思いますが、われわれとしては一つの案しか知らないということで、したがって、御批判によれば非常にラフなやり方じゃないかという方法をとっておるわけであります。これは実質上、実行上かような形でやらざるを得ない、またこの程度でけっこうであろう。これをさらに精密にということになりますというと、春闘のほうを、いつも申し上げますように、昔のように早めていただくか、あるいはわれわれの調査時期のほうを今度はずらしていかなければ正確な、理想的な積み残しの算定はできないということであります。先ほど、これもおことばにありましたように、どうせ翌年の格差にその清算が出るじゃないか、これはまさにそのとおりでありまして、私ども毎年積み残しの算定を始めましてからその次の年に格差を見ておりますが、大体五%台というようなことでいっておりますのは、相当積み残しを見てきたからであるという気持ちがいたします。  総合予算制度との関係については、これはもう申すまでもないことでございますが、ここに大蔵大臣が見えましたが、私どもとしては千二百億予備費があるということだけから考えておるわけでありまして、総合予算との関係で何ら圧力を感じるというようなことなしに、この作業を進めてきた次第でございます。  それから最後法案外福利費の問題、これも近年相当皆さんの関心をお持ちいただいてきておるわけであります。私自身としても、きわめてこれは重要なこととして、その実態調査に当たっておるわけでありますが、予算上は千三百円ということになっておりますけれども、これはごく限られたものの費目が千三百円で、それ以外にいろいろな施設をお役所でもしているではないか。しかし、民間の場合に比べてどうかという御発言が常にございますので、これは人事局の所管にも関係がございますから、われわれ人事局と連携いたしまして、民間実態調査にも十分努力をしつつある現状でございます。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 法定外福利費につきましては、これはあなたのところの職員局とも関係があるわけですね。ですから、政府総理府の中にある人事局だけではないのですから、その点は十分今後対策を立てていただきたい。ちょうどきょうは文教委員会のほうが開かれておりますから、もう佐藤総裁は引っぱりだこでございますから、このあたりでけっこうです。  そこで、私は田中長官に、給与担当のあなたが主務大臣という形でやっておいでになりまするから、その立場からお尋ねをしてまいりたいのですが、非常に公務員政府に対する不信感という問題は一たとえば生産者米価につきましては、私たちはこれは認めていないのでありますが、あなた方が任命をされまして、そうしていまの中立学識経験者のみによる米価審議会が開かれた。その結果、米審としては三%に満たない生産者米価の上昇の答申を行なう。それが今度は政府段階では、党との間に話し合いが行なわれると五・九%にはね上がっている。二倍にはね上がる。そうしてそれでもおさまらずに、なお調整費と称して六十億を足して、実質的には六・四%の改定を行なう、それが決定をされているという段階にあります。こういうような政治的に圧力の強いものについては、そういうような審議会答申は無視して処置していく。しかしながら、公務員給与については、これは値切れるんだという基本的な考え方がやはり政府のほうにあるのではなかろうかと思うのであります。六人委員会と申しますか、いま文部大臣まで入れたら七人委員会になりますが、その席において田中長官は終始完全実施、五月から実施ということを主張されたと聞いております。しかしながら、事実問題としては、閣議決定の線で八月、昨年と同じような線において収拾をする、こういうようなことになったように新聞で承るのであります。  一体人事院というものを一つ勧告機関だというふうにみなして、あと実施については政府がもう全部責任を持つんだ、こういうような理論になりますると、公務員団交権なり、あるいは罷業権なりというものは、人事院がそういうようなたてまえでつくられておりますから、認められておらない。そういうような形の中でいつも値切られておる状況にございますから、少しずつでも財政の許すワク内においては前進をさせていくんだというかまえで、私は対処されるべきであろうと思うのであります。ところが、それが現実的には通勤手当の問題だけが五月実施ということでちょっと浮かび上がっている程度で、昨年より何ら前進をしていないと私たちは見ているのでありますが、田中長官は、これでも前進をさせたんだ、そしてこれでもう限度一ぱいだったんだというように御認識になっておるのでありますか、お聞かせ願いたいと思います。
  10. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまこの決定の経過につきましていろいろとお話がございましたが、   〔渡辺(美)委員長代理退席毛利委員長代理着席〕 私どもは、人事院勧告に対しましてはこれを尊重するという一貫したたてまえに立ちまして、何とかこれを完全に実施したいという願望のもとに、最善の努力を尽くしたわけでございます。御案内のとおりに、この人事院勧告が、春闘の結果を精細に調査いたしまして、民間ベースとの比較を検出されるわけでございますので、時間的にも八月となるということが非常に実は財政上から申しまするとやりにくい結果になりますが、私どもは、あくまでも人事院勧告はこれを一〇〇%尊重していかなければならないし、また、それに向かって全力をあげる、そういうふうな気持ちのもとに、閣内におきましていろいろと交渉してまいったのでございます。その点につきましてはただいまお話しのとおりでございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 努力をしてみたが、事実問題としてできなかった。これは田中長官が力がなかったということを示しているわけですか。
  12. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに、人事院勧告はこれを尊重しようという熱意にもかかわりませず、いろいろと財政上の諸般の問題もあるわけでございます。かような次第で、通勤手当に対しましては勧告どおりの、これをぜひ五月にさかのぼらせなければならない、他のケースにつきましても勧告どおり行ないたいのだが、これが容易にできにくい。そういう関係から、しからばどういう点で一体勧告どおりにやれないのだろうかという点になりますと、いろいろと技術上の点や何かがあるわけでございます。  そこで、御案内のとおり閣議決定の注の一といたしまして、四十四年度の予算編成時までにそういう問題について詳細に検討して、そうしてぜひとも人事院勧告どおりにこれを行なうことができるように、これはもう関係の七閣僚あげて全く同意見でございまして、大蔵省にいたしましても、経済企画庁にいたしましても、あるいは自治省にいたしましても、ぜひともそういうふうなことで相談をし合おう。さようなことから、実は人事院総裁のほうにも御連絡をとりまして、総裁のほうも、それは非常に希望するところだというような前向きの御意見もございましたので、即刻これに向かいまして取り組もうということにいたしておる次第でございます。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、八月の三十日に閣議決定をされましたその注の中の1ですね、これは四十四年度予算編成の中で合理的な改善を、それまでに編成に間に合うようにしようということは、一〇〇%完全実施を目ざしてやっていこうというふうに考えて差しつかえございませんね。
  14. 田中龍夫

    田中国務大臣 さようでございます。なおまた、四十四年度予算編成時と申しましてももう十二月のことでございますので、日がございません。そこで、実は第一回を昨日、閣議終了後にいたそうと存じたのでございますが、米価その他のいろいろ案件もございましたので、昨日はやめました。この次の閣議の終了後、金曜日に人事院総裁もまじえまして閣僚懇談会を持ちたい、そうして同時にまた、それまでにある程度いろいろな資料なり考え方もおのおの考えてまいりたい、こういうふうな考え方で、これは真剣に取り組みますと同時に、また時期的にも鋭意非常に早く着手してまいりたい、かように考えております。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 文教委員会のほうから田中長官もお呼びでございますから、これでもうやめますが、注の2の中で、私はいつも考えるのですが、国家公務員より上回っているものについては国家公務員並みにしなさいということはいつもいわれているんだけれども、国家公務員よりも下回っている地方公務員についてはこういうようにしなさいというのを書いたものを見ません。今度の閣議決定でも下回ったものについては書いてない。だから、多いものはこれは押えるけれども、少ないものはいいんだという考え方では——私は地方を回ってみますと、とてもじゃないけれどもひどいところがあるのを知っております。二十年つとめて二万七千円しかもらってない村役場の吏員がおります。そういうような実態を放置しておくということは、私は、あなた方の給与政策の上からも許されるべきではないと思う。その点はもう時間がありませんから、ひとつそういうような実情があるということをお忘れないようにお願いをしておきたいと思います。長官、けっこうでございます。  大蔵大臣お尋ねをいたします。  財源の問題です。大蔵大臣は、大蔵省のシビアーな考え方総合予算主義はゆるがさないんだという考え方でありますが、私は八月実施というものをとらえてみました場合には、財源として五百九十五億、それに通勤手当を五月分から遡及をするのに六億、合わせて六百一億、一般会計のほうからの繰り入れ分等がどういうふうになりますか、特別会計分が百三十二億、合わせて七百三十三億になるのですが、その中の純計分が六百四十億だというふうに聞いております。ところが、昨年の実施時期にあたりましては、三十億の合理化推進措置で財源をひねり出しました。それから五十億程度は内部操作でこれはできると思うのです。いま各省庁に配分をされております給与費の中でも、欠員不補充の政策をとっておいでになるのでありますから、これまた六十億から七十億くらいはひねり出すことはできる。こういうように考えてまいりますと、事実上八月実施ということにいたしました場合でも、一体予備費の中からどれだけひねり出したらいいかということになると、六百億に満たない数字で足りるのではなかろうかと思うのであります。ところが、給与改定等に充てる経費として千二百億が予備費に計上されておりますから、これは五百億円が給与改善費でございますというワクははまっていないはずです。したがって、八月から実施をするということについては、国家公務員の場合には六百億円程度支出すれば十分措置ができる。  それから、地方公務員の場合には、これは自治省の財政局長から後ほど御説明いただきますが、これは七百九十五億かかるが、そのうち交付団体の場合を考えてみると、六百億程度一般財源が必要なのですが、この中で地方交付税の交付税額の中に前年並みに五百六十四億入れられているはずであります。そうすると、三十六億が不足をする。ただ、例年と違いまして補正予算を組まないから、交付税の調整額として昨年は五十二億程度計上されておりますが、ことしはないから、不足をする財源というのは八十六億程度、これは経費節約と地方税の自然増収によってまかなうから、財源的には八月実施だったら地方公務員の場合も全然問題はない。  こういうふうに考えてまいりますと、まあ八月実施というのは政治的にもあるいは実際的にも決して無理のない数字であるというふうな認識を私たちは前からしておりました。ところが、それが大蔵省にいわせると、いや総合予算主義をくずすことになるからというので、非常に強い線で十月実施ということで六人委員会大蔵大臣は臨まれたように新聞で承っております。こういうふうな形の中で閣議で八月実施というふうにきまったわけでありますが、大蔵大臣財政当局の立場を常に堅持をして、できるだけ実施時期をずらしていこうという考え方で対処されるその背景の中には、この十月から実施をするということになったら、八%の給与改善というのは事実上四・五%程度にとどまる、物価上昇が四・八%だからその範囲内に給与改善は押しとどめるべきなんだというような考え方を持っておられるのではなかろうかと勘ぐるのですが、そういうようなことはありませんか。これはもう少し前向きの形で八月実施というのはすんなりとできる。ではもう少し、一カ月でも前進をさしてやろうではないか、こういうような考え方をとられたときに、千二百億の予備費がまだあるわけですから、その中において操作ができないということはあり得ないと思うのです。最近においては、経済の伸び等を考えてまいりますと、税収の伸びも予想できます。これはその税収を使わなくても、総合予算主義をくずさなくても、私は七月からでも実施ができるのではなかろうかと思うのでありますが、それについて、そのような努力をなぜされないのか、大蔵大臣の所見をお伺いしたい。
  16. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いまの御質問の中で、できるだけ十月にずらそうとかいうようなことを考えておったんじゃないかということでしたが、これは考え方が全く反対でございます。私どもはこれをずらせばいいというふうに考えているのではなくて、御承知のように、国の一般会計年度は四月に始まって三月に終わるということですが、いまの人事院勧告制度によってやっておる現在のやり方は、いわば公務員給与についての会計年度は八月から始まって七月に終わるというふうに、一般会計年度と公務員給与会計年度が四カ月ずれているというふうにお考えになったらいいと思います。これをできるだけ一般会計の年度に合わせることが望ましいと私どもは考えています。ですから、人事院勧告内容を変えたら、給与を削ったとかなんとかということがいえると思いますが、内容は変えないで、そのまま尊重する。給与会計年度というようなものが一般会計と四カ月のズレがあるということだけでございますので、このズレをどうなくそうかというのがいま政府部内ののわれわれがこれから取り組もうとしている問題でございます。人事院はこれに対して五月までさかのぼれというのですから、人事院の言うことを聞きますというと、公務員給与会計年度というものは五月から始まって四月に終わるということが人事院のいま希望だというのですが、これでもまだ一カ月、一般会計とのズレはあるのだということになりますので、できたら、私ども人事院勧告の時期を変えてもらって、四月から当初予算で、きめられた勧告完全実施できるような予算編成の仕組みができないかというような問題、それからそうでなかったらどういうやり方があるかというようなことをいま研究しているところでございまして、人事院勧告内容を削ったり、それからいたずらにずらせることがいいというようなことでなくて、できたら七月あたりまで、一カ月でも縮めた会計年度というような考え方ができないか、そういうことを考えたのです。  今回は、やはり六百億円をこすということが、これから起こり得る予算の不足というようなものを推定して、この辺が総合予算の立場から見るとやはり限度だということで今度のような措置をとりましたのですが、これでは問題が依然として残る。もし来年、ことしのような予算編成方針をとろうとしますと、四月なら四月、五月なら五月からの予定した金額を全額あらかじめ予備費に組めということになりますし、もしそういう予想でこれを予備費に組んだとすると、人事院勧告とは無関係にベースアップの一定の率を国が予定するということになって、これは他の公企業体のベースアップのいろいろな団交についても、あらかじめ国が相場を出して予算編成のときに臨むというようなことで、これには非常にむずかしい政治問題そのほかが伴いますので、ただ予備費で全部準備するという方法はなかなかむずかしい。  そうなりますと、別個にこれを解決する。やはり年度の最初から盛れるような形をみんなが考え出すのが一番いいという考えで、これは引き続きそういう形でその問題の解決をしようということで、今度は政府が一応きめたような形になったということでございまして、ずらせばいいとかなんとかいう考えは一切持っておりませんので、これはひとつ御承知願いたい。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 いま大蔵大臣がそういうような積極的な発言をなさるのに、新聞のほうでは「十月を固執する大蔵省経済企画庁」というふうに出る。そこに私は、大蔵大臣の言が正しいのか、新聞の記事が正しいのか疑わざるを得ないような気持ちになるのですが、しかし、私は、一カ月でも前進をさしてやろうと思ったら、財源的には多少無理ではあるとしても、できないことはない、予備費を取りくずしてやっていけばできるのだという考え方をいまでも持っている。ところが、いろいろな税収入や予算を考えて昨年並みという線にした。ところが、財源収入は、九月の法人の決算の結果を見なければわかりませんけれども、最近の経済の状態からいえば、自然増収等、予想以上に税収はあるという見通しのほうが強いと私は思うのであります。それまで手をつけろとは私は言いません。手をつけないでも、予備費の中にあります分だけでも実施できるのだ、こういうふうに考えてまいりますと、どうも閣議できめたものは誠意をもってやろうとしているのではないんじゃないかという印象を公務員与えていると思うのであります。これでは問題は解決をいたしませんので、ぜひ今後大蔵大臣は、先ほどの積極的な発言に見られましたような形の中で、もう一回再考を願いたいと思うのであります。  その注の1を、いま田中長官並びに水田大蔵大臣からお聞きをしておりますと——私たち人事院勧告の五月から実施というのが正しいとは思っておりません。調査時点が五月だから五月からやるのだという理屈は成り立たないと思うのであります。やはり新年度の四月から実施をすべきである。公労協の場合にはそういうふうになっているのでありますから、公務員だけが、五月調査なんだから五月からやるという人事院のへ理屈は、これは通用しないと思う。ただそのときに、あらかじめ公務員給与改定を織り込んだ単価で予算を組んでいくということになると、所得政策をそこに導入していくのではなかろうか、こういうような疑いの目で見られることになる。したがって、それは一応予定をされるものとしてある程度のものを見込んで、残りを予備費の中に計上をしておく。そして人事院勧告対応できるような、そういう二段措置を講ずることによってトラブルをなくしていくこと以外に解決の方法はないと思うのでありますが、そういうような方法を大蔵大臣はお進めになるお気持ちでございますか、お尋ねをしておきます。
  18. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま申しましたような合理的なやり方を私どもは十分研究したいと思います。たとえばさっきも申しましたが、ごくわずかでも、民間との開きが五%以上出たときには人事院勧告をしなければいけませんので、あるいは五%以内で、人事院勧告とは無関係に、政府が今年度の物価がどうとかいるようなことを考えまして、一応一定の金額で四月にもう組んでおく、そういうような方法をとりますと、予備費というもので準備するものがわりあいに少なくても済むので、人事院のほんとうの勧告が出たときに非常に対処しやすくなるというようなことも、やろうとすればできることだと思いますが、そういう場合に問題になるのは、給与について、政府がかってに公務員給与政府自身がきめて、そうして国会に法律を出して、一定の金額を先にあげておくとかなんとかいうようなことができるかできないかというような、またそこにむずかしい問題がありますので、どうしてもこの問題は人事院が中に入って、政府人事院で両方が共同研究をしなければ、これはうまく解決できないと思いますので、さっき田中長官が言われましたように、人事院にこのことを話しましたら、人事院も喜んで研究しようというようなことになったようでございますので、来年度からできるだけ合理的なしかたを考えたいと思います。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 これで終わりますが、あらかじめ政府予算単価の中に五%以内の数値を入れておく、とするならば、今度は人事院がそれを基礎にして、対民間との比較において五%以上格差がついたときに勧告をするということになると、げたをはいたところから今度はひとつとっていくというようなことで、勧告をしなくてもいいというような技術論も出ておるようでございます。そういうような考え方をとる人たちもおるのでございますから、まさにこの問題については人事院制度との問題の関係もありますし、所得政策を導入をするのではなかろうかという疑いを持って見ている労働者の諸君もおることでございます。したがいまして、人事院総裁を入れて七人委員会ですか、これで検討しようという政府態度については、それは十分に検討していただきたいと思いますが、いまより以上に悪くなるような方向で検討された日にはたまったものではございません。そうなら、もうここで公務員にスト権も団交権も返しなさいと私たちは言いたいのであります。  いまこの政府閣議決定をめぐりまして、いろいろ労使の間でトラブルが発生をいたします。そういうような不信感を除去していただくように、そういうようなトラブルが起こるということは決して好ましいことではございません。その原因は、政府人事院勧告というものを完全に実現をしない、前向きに一歩ずつでも前進をしようという姿勢を現実に示していないというところに私は問題があると思うのであります。その点については、今後水田大蔵大臣がまず先頭に立って先ほど積極的な発言もいただきましたが、そういうような姿勢の中で取り組んでいただくよう要望して終わります。
  20. 毛利松平

  21. 只松祐治

    ○只松委員 米価の御質問をする前に、ちょっと税制問題について一、二お尋ねをしておきます。  けさの朝日新聞等を見ましても、だいぶ一面トップに載っておりますが、いままでもたびたび新聞に出てまいりました。前回私がお尋ねしたときも、大体そういう趣旨努力するというようなお話があったわけでございますが、たいへん重くなっておる所得税の課税最低限を百二万円まで引き上げると同時に税率の引き下げを行なえ、こういう税調の答申があったわけでございます。概算要求が大体出そろったようでございますから、おおよその方向というものはぼつぼつ出さなければならないのじゃないか、こういうふうに思います。まあせっかく大臣から前回の委員会お答えをいただいたわけですから、大臣におまかせしておいたほうがいいと思うのですが、こういうふうにたびたび出ますと、私たちも多少気がかりになりますので、こういう方向で御努力をいただけるかどうか、そういうことだけこの際、重ねてお伺いをいたしておきたいと思います。
  22. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御承知のように税調の答申が出てまいりましたので、ただいまこの答申を検討中でございます。一方、概算要求も締め切りましたので、これから予算編成に取りかかるということでございますので、この予算のあり方と関連して税制はきめらるべきでございますが、まだどういう方針でいくかという大蔵省の方針もいまのところきまっておりません。しかし、考え方としましては、税調のこの答申の線に沿うということと、それから前にこの席上であなたにお答えしましたように、単に課税最低限の引き上げというだけではなくて、率を取り込んだ考慮をして、いわゆるいままでよりは相当大幅なサラリーマン減税というようなものをできるだけやりたいというのが私ども考え方でございまして、いまその線に沿って一応検討中でございます。まだ案を得ておりません。
  23. 只松祐治

    ○只松委員 この新聞等を見ましても、大臣は、一兆億円時代に一千億減税が池田さんのときにできたことが、六兆億円時代に二千億円減税ができないことはないというふうなお考えのように書いてありますが、ぜひひとつそういう点では、たいへん重くなってまいっております勤労者の所得税に対して、格段の御努力をいただきたいと思います。  そういうことと関連しまして、具体的には税調にまた諮問される、こういうことになるだろうと思いますが、ひとつ税調のほうに、私たちも前からときどき言っておりますように、一つはやはり階層別というものをもう少し明確に出していく。あるいは所得税関係が国税収入の約半分近くになってきておるわけでございますが、そういう意味で税の実収の面から、単に学識経験者というような人選のしかただけではなくて、そういう面を見たり、あるいは私たちが要求しておるようにもっと勤労者の声を反映する、こういうような形で、税調の人選についてもひとつぜひ御考慮をいただきたい。きょうは時間がありませんから、別の機会にまたあらためて要請に参りたいと思いますけれども、ぜひ御考慮をいただきたいと思います。  それから、いまから消費者米価の問題について若干お尋ねをいたしますが、時間がきわめて限られておるのと、経企庁長官と食糧庁長官がお見えになっておりませんので、これは関連した問題で大蔵大臣だけに抽出して聞くのはたいへんに困難なわけでございますが、経企庁長官が午後三時からお見えになるということでございますので、たいへん質問しにくいわけでございますが、大蔵大臣に関連する面だけをできるだけ聞いてまいりたいと思います。  経企庁長官のほうは、できるだけ米価を上げないように、八%以内に押えるようにというような要望が出されておるように聞いております。大蔵省側は、財政的な面を理由に、逆ざやをなくすように、いわば消費者米価をもっと大幅に引き上げろ、こういう主張がなされておる、こういうことが報ぜられております。しかし、こういうどん詰まりにきまして、一般論はさておいて、財政の問題から今度は論ぜられるようになると思いますが、私は、こういう機会にやはり食管問題の根本的なあり方について論議しなければならぬ。ただ本委員会は、農林委員会ではございませんので、こういう問題について論議するのもどうかと思いますが、ただ、大蔵省側からのそういう強い意向が経企庁の意向をはねたり、あるいは農林省の意向をつぶす、こういう結果にもなりかねない、あるいはなりつつあるわけでございますから、大蔵大臣としても、ぜひそういう点のお考えをいただきたい。釈迦に説法かもしれませんが、この食管法というのは、第一条に書かれておりますように、国民食糧の確保、あるいは第三条に書かれておりますように、農民は米を政府に対して売り渡すべし、こうやって、命令をもって農民に売らさせておる。あるいは第四条の消費者の家計を安定させる。一方、生産者には強い売り渡し命令を出しながら、消費者、日本国民一般に対しては家計を安定させる任務を持っている。こういう食管制度をどうするか。戦時中のように、米が足りなくて強権を発動させたり、あるいは戦後のように、ジープをかり出して百姓から米をはたき出さした。こういう時代を過ぎて、いま在庫が二百五十万トンにふえ、来年は四百万トンをこすであろう、米が余ってきておる。こういうことで、食管制度の根本を検討しなければならぬ、あるいはいろんな問題が出てきておるわけでございます。ひとつ大蔵省側においても、単に財政的な理由からだけではなく、あるいは昨年、本年度の米の増産、余剰米の現出、こういう面からだけではなくて、ひとつそういういままでの過去の、農民が日本の国家経済あるいは社会生活の安定のために果たしてきた実績、あるいは今後のいろんな動向というものを考えて、その上に、なおかつ財政の面というものを考えて、ひとつ取り組んでいっていただきたいと思います。大臣の御所見をお伺いしたい。
  24. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 食管制度は、いわゆる国民食糧の確保ということと国民生活の安定というものをねらいとしてできた制度でございまして、国民食糧の確保という点から見ますと、やはり米の生産者の生産費が償われるということが一番大切でございますので、したがって、この生産者価格の決定方式もきめられており、また、国民生活の安定という点から、消費者価格の決定も家計を安定させるための別の考え方から計算ができているというようなことから、この二重米価というものができてきておるのでございますが、しかし、一つの制度においてこの両方を実現しようとするためには、やはりこの両方の値段の正常化というものが制度の中で調整されないというと、制度自身は維持できないということになりますので、そこに食管制度のいろんな改善問題がいまあるわけでございます。  一方、もともと食管制度というものは、食糧不足のときに、国民の食生活を安定させるという趣旨から出発した制度でございますので、したがって、当時と事情が変わって、需給状況が違ってきているということになりますというと、この制度の根幹趣旨を生かしながらこの制度を運営していこうとしますと、そこに相当いろいろ改善すべき問題がたくさん出てくるのは当然でございますので、これを合理的に改善したいということが私ども考え方でございますので、これは与党の中にもいろいろ機関ができてこれと取り組むことになっておりますし、政府自身も、これは主管官庁を中心として研究することになろうと思いますが、できるだけ来年度の予算編成までには、一歩でもこの合理的な改善ができるように努力してみたいというふうに考えております。
  25. 只松祐治

    ○只松委員 私は、ここで資本主義対社会主義、あるいは統制経済論のような本質論を論議しようとは思いません。しかし、水田大蔵大臣にもひとつすなおにお考えいただきたいと思うのは、いまもおっしゃられたように、確かに昭和十七年の二月にこの法は制定をされました。そういう経過もある。その結果、集荷販売面においては統制が実施されております。若干くずれかけておりますけれども、統制が実施されておる。しかし、いわゆる作付においては、米をつくることにおいては、これは自由なんですね。いわゆる自由主義経済のもとにおけるこの農業と、それからできた、収穫されたものは統制経済のもとに行なわれておる、こういうところに根本的な一つの矛盾があるし、問題が露呈されてきておる。  結論的にまた私はいろいろ申したいと思いますけれども、やはりそういう自民党あるいは政府・与党の無為無策とまでは申しませんけれども、無放任な農業政策、そういう結果、農民にもあるいは国民にもこういう結果を及ぼし、迷惑を来たしておる。そのことをやはり静かにお考えをいただきたい。ただ単に米価がどうであるとか、あるいは米が余って古米がどうである——そう言っちゃなんだけれども、われわれ政党が言っても新聞もなかなか書かないしあるいは騒ぎませんけれども、そこいらのおしゃもじなんかを持ってちゃかちゃかやれば、いかにもそれが何か根本的な解決につながるかのような騒ぎ方をする。私はこの問題はそういう問題ではないと思う。自由主義経済と統制経済、それからこの法が制定されて、子供の寸法に着物が合わなくなったような形の、実態にそぐわなくなったそういう問題は、やはり根本的に掘り下げて考える。それと、いまの大蔵当局がかかえておるいろいろな財政硬直化の問題からくる逆ざやの問題、そういうことを総合的に考えてぜひ問題に取り組んでいただきたい。そういう問題と取り組まないで、ただ単に自由販売にするとかなんとかいって、財政の面からだけおっしゃるのは私は片手落ちだろうと思う。そういう根本問題を論議しないで、現在の食管制度そのものだけを根本から改める、こういうことは行き過ぎではないか。大蔵省側に、もっと強い財界の要望を反映して、そういう意向があるやに聞いております。ひとつ大蔵大臣に、そういういまの食管制度だけから根本的に改める、これは農民を極度に不安におとしいれます。これは自由販売になればたいへんなことになります。あるいは消費者側も、こういう豊作が続いておればいいけれども、もし万一、不作になればたいへんなことになるわけでありまして、国民の食生活を根本から破壊する。こういうことも招きかねない現状において、食管制度を根本的に改める、こういうことはあまりおっしゃらないようにひとつお願いしたいということでございます。
  26. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは先般、農林大臣から言われましたいわゆる総合農政の推進、この問題とからんで食管制度は徐々に改善さるべきものでございまして、こういう一方、いままでやってきた農政の改善とからめなくて食管制度の改善というようなものは現実にはできないというふうに考えておりますので、この点は食管制度だけ切り離してどうこうするのがいいという考えは持っておりません。
  27. 只松祐治

    ○只松委員 食糧庁長官、大蔵省側もいまおっしゃったような意向ですが、食糧庁としては、農林省としては、まあ大体守るという方向、そういう趣旨に解しておいてよろしゅうございますか。
  28. 田中勉

    田中説明員 事務的なお答えで非常に恐縮でございますが、食糧管理制度が持っておりました需給関係の背景が最近非常に大きく変わってきておるわけでございます。同じ農林省といたしましても、各種農産物の作目をどういうぐあいに調整をして行政を進めていくかということが、ここにきまして大きな課題になるわけであります。先般農林大臣も、総合農政を推進するという観点から、その一環として食糧管理の改善に着手する時期が来た、こういうことも言明されておるわけでございますので、事務当局としてはその方向に沿いまして、いまこれから検討する考えでございます。
  29. 只松祐治

    ○只松委員 何を言っているかあまりわからないのですが、まあ次長ですからあまり聞いてもしようがないから、また大臣のほうにお聞きしたいと思います。  それから、時間がありませんから問題点だけ大蔵大臣お尋ねをいたしますが、いまの段階一つの問題になっておるのは余剰米のことでございます。本年度の需給状況を見ましても、九百十何万トンですか、締め切っていま予約米の申し出があっておりますね。これは昨年は二二%といわれておりますが、通例一〇%ぐらい予約よりも実際の買い上げ数量が多い。まあことしは古米より新米のやみ米が売れるということになっておるのかどうかわかりませんが、大体一〇%ぐらい多い。そうすると一千万トンをこす、こういうことになりますね。そうすると、いまの状況では八%値上げをして——一千百八十億円くらい必要になってくる。まあそこは何とかやっていけるだろう、こういうことで八%程度の値上げということになっておる。これが一千万トンということになると、政府の見積もった九百万トンより百万トンからふえてまいりますから、三百億近くのまた新たな財源が必要になってくるわけであります。債券で処理されるかどうか知りませんが、いずれにしても大蔵省のほうで何とかめんどうを見なければならぬということになると思いますが、その場合にはどういう形でされますか。あるいは補正予算を組む、予備費の中で十分まかなえる、大蔵省側としては、大体百万トンぐらいふえる、これは間違いないようでございますが、そのときの財政処理はどうされますか。
  30. 相沢英之

    ○相沢説明員 本年産米の作況につきましては、八月十五日に一〇七ということになっておりますが、過去の八月十五日以降における作況の推移を見てみますと、昨年は例外的に最終的な収穫見込みが八月十五日の作況を相当上回りましたが、三十九、四十、四十一、いずれも八月十五日の作況を、これは災害その他の影響があったのだと思いますが、下回っております。極端な例で申しますと、三十九年は一〇五の作況が最終的に九九ということで、六ほど下がっております。いまのままでまいりますと、千万トンに近い、ないしはこれをこえる政府買い入れがあるのではないかというようなことも予想されますが、しかし、今後における台風その他の災害の影響等がございますので、どの程度になるかということはなかなか現在予想を立てることは困難だと思います。当面、私どもとしましては、一応平年収量を基礎にいたしまして、大体政府の買い入れは九百万トンぐらいというふうにかねて予定をしておったわけでございますが、現在のところでは、先ほどの生産者米価の五・九%の引き上げ、今回の消費者米価平均八%の引き上げということをもとにして大体九百万トンの買い入れということでいけば、食管の損益は当初の見込みと大体とんとん、まあ多少損失がふえるかもしれません。そういうような予想を立てております。
  31. 只松祐治

    ○只松委員 そんな答弁を聞いていないのですよ。一千万トンになって百万トンふえた、それは一つの説がある、論があるわけですよ。一千万トンになるかもしれないという論がある。百万トンふえたときはどうするかということです。
  32. 相沢英之

    ○相沢説明員 私は、一千万トンになるかならないかということについて申し上げたのですが、一千万トンになりますれば、当然現在の九百万トンにおける損益に比べまして約三百億円程度の損失の増が生ずる見込みでございます。しかし、これは買い入れ数量の増減のほかに国庫余裕金の利用率の増減とか、あるいは輸入麦、輸入米等の買い入れ価格その他食管の損益の変動要因がもろもろございます。そういうものをにらみ合わせてみませんと、最終的にはどの程度の損失が生ずるということはまだわからないと思います。
  33. 只松祐治

    ○只松委員 どの程度か最終的にはわからないでも、大体三百億近くのものが生ずる、大幅にそういうものが生じた場合にはどうやって処理しますか、こういうことを聞いているわけですよ。こう処理します、しませんならしませんと答えればいいのです。
  34. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いまのところでは私どもの見込みは、いまお話ししましたように、九百万トン程度政府買い入れであったら何とかやっていける。それ以上どれぐらいになるかという問題でございますが、私は、あまり多くこれをしないで済むというふうにいまのところは考えております。  と申しますのは、これはまあ私どものやる仕事じゃございませんが、食管当局でも、今度の調整費というものがどういうふうに活用されるかということによって、予約は多くなっても、どれだけの数量が四月以降に持ち込まれるかというような問題とも関連しますので、そういういろいろな運営によって、できるだけ食管から予想以上の赤字を出さないようにするということも考えておりますので、そういう意味で、実際問題としてはそう大きい買い入れにならなくて済むのではないか、また、そういう運営をしたいというふうに考えております。
  35. 只松祐治

    ○只松委員 それは、いままで早場米奨励金をお出しになっていたのを今度はおそ出し奨励金をやる、これは農民を愚弄するもはなはだしいですよ。いままで早場米をつくって早く出せ、こういったのが突如として今年からそれは打ち切っておそ出し契励金を出す。古米を上げるのも一つはやみ米に流して倉敷料や倉庫料、そういうものをできるだけ払わぬで済むようなあなた方テクニックを弄していることを知っているのですよ。時間があればそういうことをしなさるな、あるいはこうだということを論議したいのですが、時間がほとんどありません、約二十分か三十分で、大臣がおられる間に問題を討議しようということですから。そういう問題を私も知っているし、勉強もしてきている。しかし、そういうことを一切抜きにしてエキスというか結論だけをいまお伺いをしているわけです。だから、こまかいことを答弁するなと次長に言っているわけです。  そういうことをいろいろ私は勉強したり知った上で、一つ問題点として百万トン出た場合の補正予算という問題が出てくるが、それはどうするかということを聞いておる。ほかにも二、三まだ聞きますけれども、そういういろいろな前提なり何なりがあることを抜きにしてお聞きしておるわけです。出てこなければけっこうですよ。九百万トンでいければけっこうだけれども、いままでのあれでは昨年は予約米が二二%ふえているわけですよ。例年でも一〇%ふえている。一〇%ふえれば約百万トンふえるということになるわけです。その場合どうしますか。あなたたちがいろいろ手を打っておるにもかかわらずこういうふうにふえてきている。私は常識的な質問をしているのですよ。お答えをいただきたい。
  36. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 出たらどうするかという質問でございますが、私どもはできるだけ予想に反したそう多い買い入れにならぬようなくふうをいましている。そのためにはやはり金利も倉敷料も、もし農家で保有しておってくれたらその分を払うというような金も準備しておりますので、そういう点の調整をしますから、できるだけいまおっしゃられるような数量にならぬようにしたいということでございます。
  37. 只松祐治

    ○只松委員 押し問答してもしようがありませんから、次に移ります。  この食管制度の一つの象徴的な問題として、余剰米すなわち古米という問題がいま問題になってきているわけです。この古米に関連してまず外米が輸入される。本年も三十万トンくらい入るのですか、これだけ国内産が余っておるときに、しかもその買い付けの一番大きい先は多分アメリカだと思いますが、こういうものが必要であるのかどうか、あるいは今後もこういう外米の輸入をいろいろな貿易関係その他で続けていかなければならないのかどうか、ひとつお聞きをいたしたいと思います。
  38. 田中勉

    田中説明員 外米の輸入の御質問でございますが、まず最近の状況をちょっと申し上げますと、四十三米穀年度ですから昨年の十一月から現在に至る間におきまして輸入いたしました外米は二十七万トンでございます。そのうちでいわば準内地米が十八万トン、その他が普通外米とか砕け米という原材料の問題でございます。このうちの準内地米の輸入につきましては、アメリカではありません、台湾と中共でございます。  これは昨年の計画で輸入したわけでございますが、今後の方針といたしましては、やはり国内米の需給が大幅に緩和しておる現状からいたしまして、国内米と競合関係にあるような準内地米の輸入は、今後は差し控えたいというような方針のもとに、ただ原材料というような非常に低品位のもの、こういう価格的にやはりある程度輸入することが必要であるようなものにつきましては、若干の輸入をする必要があろうと思うわけでございますが、少なくとも国内米に代替する、あるいは国内米と競合する、こういうような準内地米の輸入につきましては差し控えてまいりたい、このように考えております。
  39. 只松祐治

    ○只松委員 国内米が余っているときですから、外米の輸入についてはぜひ慎重にやっていただきたいと思います。  それから、時間がありませんからあれですが、一般にいわれておりますように、新しい製品ができて新しい製品に新しい値段をつけるのはけっこうですけれども、古い製品はおのずから下がっていく、これは常識だろう、経済の原則だろうと思うのです。ところが、古い売れなくなった品物も新しい値段をつけて店頭に並べたり売っていく、これはちょっと、いかに統制経済のもとにおいてもいかがなものだろうかと思いますね。こういう問題について、新米と古米の配給の問題、小売り店の実際の配給の問題から始まって、いろいろあると思います。少し前に酒とたばこの値上げがありました。たばこもその晩のうちに証紙を張って、一斉に切りかえた。そうして古いたばこを新しい値段にしました。たばこの場合、別にそう古い新しいはないわけです。これは、やろうと思えば食糧庁も古米、新米の区分けはできると思うのです。卸、小売りで押えることはできる。それをごちゃまぜにして、古米を新しい値段で売っていく、こういうことに関して、これもまた論争する時間はありませんけれども、一番経済行為を掌握している大蔵省としては、やっぱりいささか場違いじゃないか、こう思いますけれども大蔵大臣はどうお考えですか。
  40. 相沢英之

    ○相沢説明員 古米の処理につきましては、結局いまの状態では、一年半程度たちましても本質的に味が変わるわけではございません。ただ、歩どまりを若干下げれば十分に新米と同じような味を保てるということでございますので、現在のところ、食糧庁と相談いたしまして、来年の一月から通常の歩どまりよりも一%程度下げたところで政府の売り渡し価格をきめて配給しよう、そういうことを考えております。したがいまして、一%歩どまりを下げることによりまして、何とか新米と同じような質の米の配給ができるんじゃないか、かように考えております。
  41. 只松祐治

    ○只松委員 大蔵省の主計局が食糧庁みたいなえらい詳しい話をされますけれども、どうも私はいただきかねるわけです。そういう古米は、単に古い新しいだけではなくて、いわゆる余剰米としていま二百五十万トンから、やがて四百万トンから五百万トンかかえる。そうすると、これは倉庫料から保管料から、当然に管理費から運営費から、いろいろな問題が出てまいります。この食糧管理特別会計を見ましても、内地米だけでも膨大な管理費がかかっております。いわゆる食管会計が独立会計というその制度だけから見れば、これは特別会計の中で処理していくというのは一応理屈としてはわからぬわけではありませんけれども、私が一番最初に簡単に申し上げましたように、いわゆる政府の政策の無計画による、この欠陥によってこういう状態が来て、古米が出てきた、だぶつき米が出てきた。そういうものの倉敷料から何から全部消費者米価でもって、一般国民の消費する者に持て、これは私は不当ではないかと思うのです。当然にこの食管会計一つの問題として、前にもいろいろな調査費からそういう管理費あたりは、社会保障制度とまでは言わなくても、食生活の安定という面から政府でもっとめんどうを見るべきではないか、こういう論を私はたびたび言ってまいりました。はしなくも全然消費者と無関係の、いわゆる農業政策の結果出てきたそういう保管料やなにかを全部消費者に転嫁させる、食管会計の赤字をそれでなくしていく。これは、大蔵省としてはそれなりの言い分があるかもしれませんが、日本国家全体の政府という立場から見るならば、私はこれは誤りだろうと思う。私は、時間があればこの問題だけでも論争をして、そういうことをしないように、そのことだけでも八%の消費者米価値上げというのは七%や六%に下げることができる、こういうふうに思っております。残念ながら時間がありませんからその論争をする余地がありませんけれども問題点だけ指摘をしておきます。  そういうふうに、政府の無為無策の結果出てきたものまでも消費者米価の中に織り込んで、一般国民がこれを受け持つ。これは私はけしからぬ話だと思いますが、大臣はどうお考えですか。ついでに言っておきますが、そういう結果、たとえばきのうの米審の小委員の中から、別途会計をつくったらどうか、こういうことで、それは考慮してもいい、こういう答弁があったやに聞いております。ひとつそういうことも関連してお答えをいただきたい。
  42. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 新米と古米をどういうふうに区別したらいいかということは、技術的に非常にむずかしい問題でございまして、今度のように古米といっても現在は新米であって、新しい米が出てきてから古米になるということで、いま現在の米で、これが新米が出たときに古米になっても、新米のまずい米よりはいまの古米のいい米のほうがうまいということもございます。したがって、いろいろなむずかしい問題がございますが、いま一%とにかく下げて区別する、それだけ米が白くなるということになって、味が維持されるということでございますので、そこらに若干の区別はついておるのですが、しかし、もっと大きい差別をしろということになりますと、新米も古米もとにかく政府が買ったコストに対して二千四百億円以上という国費をそこに加えてやって、消費者には全部政府買い上げよりも安くしてやるという措置をとっているのですから、この二千四百億というもので消費者に対しては大きい補充をしておるわけでございますから、その間の新米、古米の間にそう大きい差をつけることがいいかどうかというようないろいろな問題もございますので、私は、全体を通じて消費者に対して税金をもって二千四百億円の補給金を出してやるということで、これはある程度がまんしていただかなければならぬ問題じゃないかというふうに考えております。
  43. 只松祐治

    ○只松委員 論争はいたしませんが、ひとつそういう面についてもあまり財政面からだけ押さないで、国民感情というものもあるわけですから、大臣になればそういう政治的な配慮というものも十分お考えいただかなければならないわけですから、ひとつぜひそういう面もあわせて考えていただきたい。  時間がありませんから、最後に一点だけ申しておきたいことは、一つは八%上がればそれが要因となって諸物価を押し上げてまいります。これはいろいろな形でいま試算が公表されておりますけれども、いわゆる低所得者層ほどその要因が強くおおいかぶさってまいります。だから、ぜひそういう面に対して、あまり財政的な面だけから強く言わないで、ひとつ全般的な国民生活の面からお考えをいただきたいということ。  それから、多少これと矛盾するような発言になりますけれども、決して私はそうでないと思うのですが、経済界のほうから、とにかく消費者米価、生産者米価を上げるなというようなことから米価問題が非常に宣伝をされて、いまマスコミが取り上げてまいりました。しかし、生産者米価の問題、消費者米価の問題なりのいろいろな矛盾というのは、高度経済成長政策の結果もたらされた問題が根本的な問題としてあります。特に、経企庁長官が来ませんから、私は大蔵大臣だけの質問で、物価の問題から取り上げることができません。あとで問題を提起いたしますけれども、この物価の上昇というものは、確かに消費者米価を上げれば若干上がってまいりますけれども、そのことだけが本質的な物価上昇——労働者の賃金が上がればすぐ物価の上昇だ、米価が上がればすぐ物価上昇だ、こういう宣伝をされるけれども、それよりも前に、本年度も五千億円も日銀券が増発され、一七・八%かの通貨の増発になってまいります。そのほかに手形によってまた銀行がオーバーローンをやる。こういう形で根本的な高度経済成長によって物価が引き上げられてきておるわけで、何か消費者米価が上がるとすぐそのものによって農村が国民の敵であって、物価の値上がりの元凶であるかのような宣伝というものは、政府からなすべきではないと私は思うのです。ぜひそういう点もあわせてお考えいただいて、消費者米価の問題に取り組んでいただきたい。  時間がありませんから、意見だけを申し上げまして、私の質問を終わります。
  44. 毛利松平

  45. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大蔵大臣に米価の問題でたくさん質問したいのですけれども、いろいろ問題がありますから、一点だけお伺いしておきたいと思います。  日本の米価は、御承知のように世界で一番いい米だという蓬莱米の大体一・八倍になっております。農村は農村で米が安過ぎて百姓は困る。けさテレビでやっておりましたが、そのギャップがあるわけですね。そこで、いま只松君が言いましたように、米が上がるのは百姓のために上がるということを消費者が考えている。そこのところのギャップを何とか政治でうまく片づける。これは当然ある点までは政府がその間のギャップは、赤字が出てもある程度までは背負うべきだと思うのです。その点は、大臣には時間がありませんからあとで事務当局に聞きますけれども、その点は一体大蔵大臣はどのようにお考えになっておるか。重大な問題ですから一点だけまず伺っておきます。
  46. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま御質問の趣旨が聞き取れなかったのですが、価格政策だけによるのじゃなくて、いわゆる総合農政をもっととれという御質問じゃなかったかと思いますが、私どもも同感でございまして、そういう方面で農業の基盤を強化するとか、あるいは要するに生産性の向上をはかる、他の政府施策というものがもっと強力にとられなければこの問題の解決はできないと思いますので、来年から特にそういう方面へ力を入れたいというのが過般の農林大臣の声明でございまして、その線に沿った施策を今後強化したいと思っております。
  47. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 米価の問題はまたあとで事務当局とやります。  いま問題になっておるのは証券の問題で、御承知のように、最近ダウ千七百円にもなって、先行きまた非常に証券が上がる可能性が出てきたのですが、しかし政府は、下がるときにはいろいろ問題が出ていろいろな施策をやるようにしておりますが、上がるときには黙っておるというようなことで、またがたっと落ちる場合にはいろいろな問題が起きてくるということですが、この点についてどういうふうな政策を持っておるか、これは大蔵大臣からひとつ大きなところだけ伺いたいと思います。
  48. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 政府がいま黙っておるわけではございませんので、もしこの値上がりが非常に不健全な様相を持っておるということでございましたら別個の方法もございますが、まあやはり日本経済の好況とか金融引き締め緩和とかいろいろなことによって、現在の株価の値上がりがそう不健全ともいえないような様相を持っておりますので、したがって、これに対する対処のしかたもやはりいろいろ考えられるところでございまして、内面指導を一面やっておると同時に、御承知のように最初二十六銘柄、またあとから四十銘柄、六十何銘柄というものについての規制の措置を講じましたし、またさらに、いま情勢によっていろいろ規制的なこと、投資者に迷惑をかける結果にならぬような措置についていろいろ私どもは考慮中でございまして、これは手放しにしておるわけでは絶対にございません。
  49. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それから山一証券、大井証券で問題になった例の保有組合の問題、共同証券の問題も全部片づいたようでありますが、そこで保有組合は四百億円の金が利益金として処分されると思うのです。大臣はどういうように処分されますか。いろいろ意見は要りませんから、簡単にこうやる、ああやるということだけを伺いたいと思います。
  50. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 利益が出た場合に二分の一はどうし、二分の一はどうするというような最初の規約はございますが、しかし、結局この利益をやはり公共の目的のために何か使用する必要があるというふうに私どもは考えておりますので、業界とも話し合っておりますが、この問題については業界自身が現在そういう考えを持って案を考えるということになっておりますので、いま考え方を、今後どうするかのいろいろな案を業界にまかせてあるということでございます。近く業界でもやはりそういう公共的な方面にこれが使われるようないろいろな案を持ってくるのではないかと思いますので、それによって政府はいろいろな指導もしたいと考えております。
  51. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それから、もう一つ現在問題になっておりますのは、証券金融の問題について証券の銀行をつくらしたらどうかという意見があるわけであります。この点については大蔵大臣はどういうようにお考えになっておりますか。
  52. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういう案もございますし、また、証券金融について、いままで引き締め政策が行なわれているときでございましたので、日銀方面においてもいろいろいわれておった問題について検討の進んでなかった問題がございますが、情勢の変化によって今後の証券金融についての検討を大蔵省、日銀、金融当局においてもするというようなことになっておりますので、銀行をつくるという案もございますが、そういうものを全部ひっくるめて今後のあり方をどうするかというのはいまこれから検討をすることになっておる議題の一つでございますので、もう少しこれは時間をかしていただきたいと思います。
  53. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一つ大きな問題になっておりますのは、増資の場合に株券を時価で発行したらどうかという意見が非常にあるのですが、この点は大臣どういうふうにお考えになっておるのですか。これは大事な問題であります。
  54. 広瀬駿二

    広瀬説明員 時価発行の問題につきましては古くからいろいろ議論されておりますが、また、最近いろいろ証券界の動向とともに議論されております。御指摘のようないろいろな議論の中で、時価発行につきまして種々のメリットが考えられておりますが、一方また、これは時価発行への移行を非常に急ぐというような場合は、短期的には株価に大きなショックを与えて株主の利益をそこなうという心配もございますので、これにつきましては相当慎重でなければならない。時価発行への移行の前提としましては、安定配当の維持、無償交付等による増資プレミアムの還元というようなことで、株主の利益を十分尊重するような慣行がまず醸成される必要があるわけでございますので、その辺につきましては十分慎重に検討を進めなければならぬというふうに考えております。
  55. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 保有組合その他いろいろな問題がありますから、これはあとで証券局長に伺いますが、今度は理財局関係の国債発行の問題について、重大な問題でありますから伺っておきます。  初めの国債発行の年度計画については、四十年度は六百億、四十一年度が六百五十億、四十二年度が一千二百億というようにいろいろ減額されておりますが、四十三年度の発行計画は、四十二年度、ことしの三百億を含むと六千八百億円でございますが、やはり減額する見込みであるのかどうか、これはあと財政法の問題がございますので、この問題についてどういうようにお考えになっておりますか。
  56. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御承知のように、まだことしの自然増収が、四カ月たったばかりでございますので十分に見通せておりませんので、上半期は国債を予定どおり発行して減額しませんでした。下半期になりましてこの自然増収の状態を見て、それから考えたいと思っております。いずれにしましても、公債の依存度はできるだけ低くしたいという考えに変わりございませんので、この自然増のあり方を見てから国債の削減ということを考えたいということで、いまはまだ四月くらいのところでございまして、十分に自然増の動向がつかめませんので、現在のところは国債の削減はやっておりません。九月までは予定どおり発行しているということであります。
  57. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように、今年度の経済見通しでは自然増収が一兆億円といわれておりますが、その中で米価値上げの問題、それからこの補正、それから公務員の問題などのあれがございますから、国債を減らすほうに向けられるものは少ないかと思いますけれども、しかし、何らかの形で、いまはそういう御意見でございましたが、何らかの変更がありませんか。
  58. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 経済の見通しは、国際収支の点から見ましても、当初の政府の見通しよりは非常に好転しております。したがって、全般の経済の見方につきましても、当初の見通しとはだいぶ変化が見られることと思っております。企画庁においても、当初見通しが相当変化していることは認めておりますが、今後来年の三月までにどういう経済変化を起こすかという完全な見通しはまだいまの段階ではできないと言っております。いずれにしろ、政府の当初見通しと経済の動向は、ことしはだいぶ変わってくるというふうに思っております。
  59. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 きょうの新聞で全銀協の会長の長谷川君が言っておりましたが、民間の引き受けを非常に制限してくれという注文、そういうことがあれば結局日銀の引き受けになってしまうのですが、その点の見通しはどう考えておられますか。
  60. 青山俊

    ○青山説明員 その点についてお答えいたします。  けさ全銀協会長の記事が出ておりましたけれども、いま大臣からお答えいたしましたように、まだことしの減額については未確定の状態でございます。あれは全銀協会長として一つの要望だろうというふうに私たちは新聞を拝見いたしております。いま申しましたように、なかなか自然増の見込みが立ちませんので、その辺の状態を見て下期の分をどうするかということを考えてまいりたいということでございます。  なお、御質問で、日本銀行引き受けになるんじゃないかというお話でございますが、これは御承知のとおり、従来は日本銀行は経済の成長に必要な通貨は貸し出しでやっておりましたけれども、それをオペ政策に切りかえましてもう数年たっております。その間、政保債その他国債のないときはそれをオペ種にいたしたわけでございますが、国債が出ましてから一番信用度のある国債をオペの種にいたすというのがやはり一番適当だということで、現在オペの対象になっておりますが、これは御承知のとおり、一年以上経過いたしたものを日本銀行がどの程度資金を供給すべきか、あるいはどの程度資金を吸収すべきかという日本銀行自体の判断によりまして行なっておるわけでございまして、したがいまして、日本銀行が国債を直接引き受けるというものとは本質的に性格が違う。同時に、市中の金融情勢等十分に考えながら市中消化というたてまえで国債の発行というものを考えていくということもやはり当然のことでございまして、そういう意味におきまして、下期は十分そういう点を考慮いたしまして、やはり先ほど大臣のお答えいたしましたように、国債依存度というものを低めるような方向で運営してまいるということが基本だというふうに考えております。
  61. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 青山理財局長にもう一つ伺うのですが、御承知のように補助貨幣の非常に乱雑なこと、たとえば五十円は御承知のように小さい玉の穴のあいているやつ、大きな玉の穴のあいているやつ、普通のやつというようなことで、民間から貨幣のあれがまずいというような非難を非常に受けているし、百円は御承知のように札と硬貨がある。日本のようにこんなに乱雑な補助貨幣というのは少ないと思うのですが、それはどういうふうに整理されるのか。これはいまあなたが立たれましたからひとつお答えいただきたい。
  62. 青山俊

    ○青山説明員 いま正確な計画の資料をここには持っておりませんので、私の記憶しているところだけでお答えさしていただきたいと思います。  百円につきましては、全部をコインにいたす計画で現在コイン化を進めておりまして、大体大都会を中心に百円のコインを流しまして、それがだんだん全国的に普及いたしますとともに百円の紙のほうは引き揚げてまいりたい、こういうことでいたしております。それから五十円につきましては、いま御指摘のございましたように、大きい穴があいたのと穴のあかないのとか小さい穴のあいたのとか三種類流通いたしておりますが、これも造幣局の製造能力に見合いまして、漸次、一番最近出しましたいま先生の御指摘の小さい穴のあいたものに統一いたすように努力いたしております。ただ、造幣局の製造能力に限度がございますので、それと見合わしてできるだけ早く統一していきたい、こういう考えであります。
  63. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大臣、お忙しいようですから最後に、いろいろ金利の自由化という問題もありますが、こういう時期に公社債の市場を確立する必要があるんじゃないか、絶好のチャンスじゃないかといわれておりますが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  64. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私もいい機会であると思っております。やはり公社債市場を育成するためにいろんな制度的なことも考える必要があると思いますが、たとえば国債が今月は消化されたというようなとき、金融の引き締めが緩和されたというようなときに、制度的な準備をするというようなことはわりあいにやりいいことでございますので、私もこの育成のいろいろな措置を考えるのにいい時期だというふうに考えています。
  65. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いま証券界、非常に好況になりまして、一説には千八百円台にのぼるのではないかというようにいわれております。いままで長い間この問題で山一証券、大井証券その他の証券がいろいろ問題になっておりまして、いろいろお伺いしたいことがありますけれども、大臣に時間が参っておりますから他日事務当局にお伺いしたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  66. 毛利松平

  67. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大臣に質問する予定で準備しておったのですが、突然陳情の問題で大臣がおりませんから、銀行局長に二、三点お尋ねをします。二十分間の持ち時間でございますので、ひとつ答えは簡明率直に要点だけ答えていただきたいと思います。  金融制度調査会がたいへん作業を進めておりますが、この間の中間報告と申しますか、ああいう形で出されたわけでありますが、あの報告の中で、金融行政的見地から行政的に直ちに処置がなされるもの、また、銀行局でなそうと思っているものは、あの報告の中のどういう部門ですか。そういうものはまだ全くないのか。これからの部会の結果が出なければ行政的な措置を何もとらぬという態度なのか。まずそこを明らかにしていただきたい。
  68. 澄田智

    ○澄田説明員 中間報告は、金融制度調査会の特別委員会から総会のほうに二回ばかり行なわれたということは御指摘のとおりでございますが、一回目は「今後の金融をめぐる環境」ということで、将来の見通し、経済の情勢あるいは金融情勢の見通しといったようなもので、この中にはもちろん行政措置等と関係のあるような問題はございません。  それからあとのほうの中間報告は、金利の問題とそれから金融機関の規模の問題ということについて、これも総論的にこれから特別委員会で議論を進めていく考え方の基礎のようなことを主としてまとめたものでございます。この中に直ちに行政措置等で実施ができるようなものというのはございませんが、しいて必ずしも答申を待たないでもというものを考えるとすれば、これは当然日本銀行で今後検討すべき問題でございますが、公定歩合の年利制というようなものを考えてはどうかというような意見がございます。   〔毛利委員長代理退席、金子(一)委員長代理着席〕 そのほかの問題は、これはいずれも今後再び金融制度調査会がさらに突っ込んで議論をする際にもう一度出てくる問題ということになる問題ばかりでございまして、いま御指摘のような問題はないと思います。
  69. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、九月、部会を開いて、長短金融の部門と預金保険部門と、一応調査会の中に二つの部会を設けて審議をする。その結論が出なければ、あの中間報告内容というものは行政的な措置はとらない、こういう理解でよろしいわけですね。
  70. 澄田智

    ○澄田説明員 行政的措置というような意味におきましては、おっしゃるとおりでございます。
  71. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから、銀行局長はもうよく御存じですが、今回のこの金融制度調査会の大きなねらいは、これから五年後、十年後、二十年後の日本の産業体制がどうなるか、国際競争関係がどうなるか、それに対応する金融機関はいかにあるべきか、そういう大きな、マクロ的な立場に立ってひとつ金融機関のビジョンを考えようじゃないか、それが私は大体発足の当初の考えだったと思うのであります。ところが、最近の金融制度調査会の議論に並行して都市銀行の発言や三菱論文や、いろいろなそういうものを見ていると、そういう大きなビジョンを打ち出すのでなくて、個々の銀行の利害にからまった個々の問題を先に行政当局にやらせようという、何か金融行政に対してあまりにもくちばしをいれ、あるいは接近をするという姿勢に制度調査会が変わってきたような気がするわけであります。これは私は非常に重要だと思うのであります。そういう点、やはり金融制度調査会に金融全体の大きなビジョンを検討してもらうのだという姿勢については今日でも変わらないのかどうか、それをひとつあなたのほうから……。
  72. 澄田智

    ○澄田説明員 金融制度調査会がわが国の金融制度全般についてこの際もう一度検討をするというそのことですでに御審議をいただいて、実施、施行に入りましたいわゆる金融二法のもとになります答申、それから引き続いてこのたび特別委員会で検討しておりますことは、いずれもただいま御指摘のように、今後五年、十年、あるいはさらにそれ以上というような日本経済のあり方を考えて、その中における金融制度というものはどうあるべきであるか、当然、純粋の制度とそれに関連のある行政ということも含まれますが、それはあくまでも今後のそういう日本経済のあり方の中の金融の位置づけというものであるわけでございます。いろいろその過程におきまして、当然そこで銀行の業務の範囲と各種金融機関の業務の範囲というような問題がございますので、それに伴っていろいろな意見が出ておって、中には全くいま御指摘のように、個々の問題をとらえて、そうしてあたかも金融制度調査会でそれを実現するというような感じの期待をもって、あるいはそういう意図をもって議論が行なわれているというような感じがしないこともない問題があるわけでございますが、しかし、これはあくまで全体の今後の金融制度のあり方というビジョンのもとで今後その制度を考えてまいり、その中に勢い具体的な問題も出てまいるとは思いますが、これは全体の一環として取り上げる、当然そういう姿勢であくまで臨むべきであると、私どももそう考えております。今後もそういうふうに金融制度調査会を運営してまいりたいと存じております。
  73. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 特に注目すべき問題は二つあると思うのです。一つは金利の自由化の議論、もう一つはCDの発行による都市銀行のシェアを拡大をしようというねらい、この二つについて、どうも最近の新聞の論調や、あるいは各銀行の態度から見て、大きい銀行が勝利を占めて小さい銀行が押しやられて、弱肉強食の競争が激化している。それが競争原理の導入という美名のもとに、もう弱者をつぶしてやがてはそれが吸収合併への動機に発展をしていく。そういうねらいが今度の金利自由化の根底にある、私はそういうような感じがするわけであります。  そこで、金利自由化の問題についてちょっとお聞したいのでありますが、いまの法律は、金利の問題は弾力的にいじることは法的には可能でしょう。それはどうですか。法的には可能なことになっているわけでしょう。臨時金利調整法は、最高限度額というものを日銀政策委員会決定してもいいということになっているわけですね。しかもその最高限度額は地域によって、あるいは時期によって一般経済状況というものを十分勘案して変動はできるという法律になっているわけでしょう。それがなぜ金利自由化にこの法律が障害になっておるのか、私には理解できないのですが、それは銀行局長はどう考えますか。弾力化はこの法律で障害になっていないと……。
  74. 澄田智

    ○澄田説明員 金利の自由化と由しますか、あるいは金利規制をより弾力化するという問題の現在の法律制度との関係でございますが、御指摘のように、臨時金利調整法で金利の最高限度をきめる、こういうようなことになっておりますが、実際の運用においては、預金金利の場合と貸し出し金利の場合とこれは違っております。預金金利の場合については、この最高限度を決定する、これは政策委員会が金利調整審議会に諮問して決定する、こういう形で決定されておるわけでありますが、実際においてはそれの最高限度そのもので預金金利がきめられている、そういう実態でございます。それから貸し出し金利のほうは、これは最高限度の範囲内で自主規制で公定歩合等にスライドして標準貸し出し金利がきめられておる。それからさらに各種貸し出しは、それぞれ相手方との契約によってきめられている、こういう形で相当弾力化されておる面があるわけであります。これも短期と長期によって若干違いがある、こういうような状態でございます。  そこで、今後の金融機関あるいは金融というもののあり方として、競争原理を導入するというのも、決して野方図な競争であってはならず、適正な競争原理というようなことで申しているわけでありますが、そういう中で金融のプライスメカニズムというものをどういうふうにして働かしていくか、これも問題でありまして、決してそこが野方図な弱肉強食になるというようなものであってはならず、また、全体の金利水準を高めていく、その他競争のためにどんどん競争して金利を高くしていくということであっては、何のための金融制度のこの際の再検討かわからないというような問題もあるわけでございますので、その辺を十分競争原理というものと金利の弾力化というようなものとどういうふうに結び合わせていくかというような点が、今後具体的な問題を考え、今後の金融制度調査会でビジョンを描いていく上の一つの問題になるのじゃないか、かように考えております。
  75. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 どうも時間が二十分で何とも議論ができないので残念なのですが、そうすると、局長の率直な見解は、CDの発行については近い期間にやるべきであるか、それともCDは、相当慎重に長期金利の問題、長短金融分離の指導の従来の方針、あるいは公社債利回りの問題、政府関係機関の金利の問題、そういうような問題の全体を十分見渡して、総合的に慎重に判断しないと、CDの発行というものはそう軽々しく認めるべきではない、こういう見解であるか、それともこれは早急に二、三年の間にCDというものは認めていいのではないかというような御意見なのか、あなたの個人的な見解はどうですか。
  76. 澄田智

    ○澄田説明員 CDの問題につきましては、その利害得失と申しますか、影響等を十分検討しなければならない。ただいまおっしゃいましたような各般の問題との関連というものを十分検討をして、そうしてどういうような効果があり、どういう作用を持つかということを十分見きわめた上でこれは考えなければならぬ問題で、金融制度調査会においても十分そういう意味で論議を尽くしたい、かように思っております。
  77. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、これは十分論議を尽くして、そう早急に軽々にやるべきではない、こういうまだ御意思ですね。
  78. 澄田智

    ○澄田説明員 御承知のように、アメリカでこれが相当発達しておりますが、日本の金融情勢とアメリカの金融情勢とはもちろん違いますし、長短金融関係あるいは資本市場との関係等、これもアメリカとは非常に違っております。そういう状態において、日本におけるCDというものがどういうふうな意味を持ちどういう作用を持つかということは、これは十分各方面から検討していかなければならない。かように考えて、早急に実施するというようなために検討するのではなくて、今後の金融制度の中でこれがどういう問題であるかということを検討する、そういうふうな考えでおります。
  79. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから第二に、預金保険制度の検討ということも報道されておりますが、どういう危惧があるので預金保険の制度を検討するのですか。  というのは、昭和三十二年の二十六通常国会で預金保障基金法案というものが流れておりますね、継続審査になってついに廃案になっております。すでにそういう預金保険制度みたいなものは一回上程されたけれども、つぶれている。なぜつぶれたか。そういう経緯をいろいろ検討してみると、預金保険というものをなぜいま急にここで大蔵省が諮問をして検討するのか、ちょっと理解に苦しむのです。  というのは、相互銀行はちゃんと内部で自主的に保障協定をつくってやっておるわけですね。信用金庫も全信連に拠出してやっておるわけです。やってないのは、地方銀行と都市銀行なんですよ。これは強力な銀行だから預金保障というのがなくても心配はないという従来の考え方からおそらくなかったのだろうと思う。だから、まず、調査会で預金保険の問題を議論する前に、地方銀行や都市銀行の現在全く自主的なそういうもののないところをどうするか、そういう具体的な問題を先に行政指導することが先決ではないかと思うのですが、どうですか。
  80. 澄田智

    ○澄田説明員 この点もこれからの検討問題という意味で取り上げておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、従来保障基金というような考え方があったわけでございます。これから将来の金融制度を考えて、そうして適正な競争原理を導入していく。金融機関について、従来ともすれば預金者保護というために金融機関に対する保護が非常に厚くなる。保護ということも言われておりますが、これは金融機関を保護するということではなくて、預金者を保護することである、それが結果的に金融機関の保護になっている、こういう面が否定できなかったと思います。  そこで、これから開放体制が一そう進んでいく、そういった状態のもとにおける日本の金融のあり方として、金融機関の保護ということと預金者保護ということを分けて考えるというような必要もあるいはあるのではないか、今後の問題の検討でございますが、そういうふうな考え方というものも問題の一環として考えてみたらどうか、こういうような意味の問題の提起でございます。  御承知のように、アメリカには、これは金融恐慌の経験等から一九三三年からあるわけでございますが、最近においては、カナダが昨年から預金保険の制度を導入しておる。さらに現在西独でも検討中であるというような問題もございまして、いろいろな角度からまた新しくこの問題が検討されているというような外国の情勢もございます。これを直ちに日本に引き直してどうこうと申すわけではございませんが、これからのあり方として一つの検討すべき課題である、かように考えまして、これは金融機関に対する行政なりあるいは政府の施策というようなものとの関連において、もう一度この問題を見直そう、こういうことでございます。
  81. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私は、この場合、アメリカの例の場合は現在でも倒産する金融機関というのが年々、わずかではあるけれども、あるのですね。そういう実情と、国の保護を厚くされて金融機関というものが今日のように健全になっている日本とは、おのずからその基盤が違うのだ。そういう中で、預金保険制度というようなものをあんまり鳴りもの入りで検討を始めて、かえって銀行に対する信頼感、そういうようなものを希薄にしたり、あるいは全部の銀行を一つのそういう制度にすれば負担がまたまちまちで、いろいろな弊害が出てきたり、これは私は大蔵省としては相当慎重に、こういう問題については、やはり制度調査会の中で指導していかなければいかぬと思うのであります。そうでないと、大きい強い力のところの発言が調査会の中で強くなって、少数意見は付記したというような形でああいう報告がなされるわけでしょう。こういう問題は、多数意見、少数意見で議論をし、きめるべき問題ではないと思うのであります。そういう点も今後十分考えなければいかぬし、いま当面一番やらなければならぬ金融の問題は、やはり正常化の問題だと思うのですよ。銀行局長、いま日銀が都市銀行に貸している貸し出し残ですね、幾らありますか。
  82. 澄田智

    ○澄田説明員 現在日銀貸し出しの総残高は一兆七千億程度でございます。毎日動いておりますので、あれでございますが、そのくらいの程度でございます。この中には、当然に、輸出関係の輸出手形、貿易手形の割引のものとか、あるいは証券金融のための貸し出しというようなものがございまして、全体としては、御承知のように、金融調節方式をオペレーションに切りかえてからあとは、日銀貸し出しの一般的な貸し出しというものは、若干ずつ減少するような傾向になっております。
  83. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 金融制度調査会が、オーバーローンの解消が金融正常化の最大の課題であるとして、昭和三十八年にかなり詳細にその解消策について答申をいたしているわけですね。当時のオーバーローンの金額というものは一兆一千五百五十六億円、当時一兆一千億円ですね。それが現在は一兆七千億円になっている。もちろん新金融調節方式によって、買いオペ、売りオペによって調整をするから、インフレの要因になる点は従来とはかなり性格が変わってきている。それは認めます。しかし、あれだけ真剣に討議して調査会の出したオーバーローン解消策が、さっぱり解消してないというところに問題があるのですよ。  そうすると、私が言いたいのは、自由競争の原理を導入して銀行も企業としての競争をするのだ、そういう場合に、条件が違う、都市銀行と地方銀行と、あるいは相互銀行、信用金庫と都市銀行とは、まるで条件が違う。その一番違う条件の最大なるものがこのオーバーローンにある。したがって、都市銀行のこのオーバーローンをまずどう解消するかという具体的な手だてをやはり行政指導としてもきちっとして、同じ土台、同じ条件になったなら私は適正原理による競争だということも納得いくのですよ。しかし、条件が全然違う。最も保護され、最も恩恵を受けている都市銀行が、最も自分たちの有利なCDを主張したり、預金金利の自由化を主張するに至っては、言語道断だと思うのです。その見解について、局長、どう考えますか。
  84. 澄田智

    ○澄田説明員 先ほど申し上げましたように、日銀貸し出しの現状というものは、これはむしろ貿易関係とかあるいは証券金融関係のそういったものが、いま三十八年との比較において御指摘になりましたが、それ以後の増加というものはそういった関係のものであろう、こまかい内訳をいま手元に持っておりませんが、そういうことになると思います。したがいまして、過去の日銀貸し出しの累積した金額、これは必ずしもいま御指摘のような都銀だけのものではございませんが、そういった日銀貸し出しの残高というものは今後さらに減らしていくというような方向ではあると思いますが、その残高を急激にどうこうするということは、これはなかなか金融市場の状況等から見てもむずかしい問題ではないか。これから日銀貸し出しが非常にふえていくというような問題とは違う問題であるわけでございます。いろいろ金融機関のあり方、競争原理というようなものを考える場合にも、いまの御指摘のような日銀貸し出しというようなものがあるというような状況は、当然考慮に入れて考えなければならない問題を持っておりますが、当然そういう問題も含めて全体の問題として検討する。まあそれがあるからどうこうというふうなつながり方は必ずしもしない問題もあるわけでございます。その辺は全体の問題としての検討であろうと思います。
  85. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし、たとえば預金保険制度を考えるにしても、しからばいまの金融機関の正味準備金の状況はどうなっているか、この一つを調べてみても、あなた銀行局長だから常識的に大体わかると思いますが、預貸率の関係から見たり、あるいは外部負債の関係から見て、地方銀行や相互銀行の正味準備資産、都市銀行の正味準備資産はどういう状況になっていますか。大体比較してみて、どうですか。
  86. 澄田智

    ○澄田説明員 正味準備資産というようなことになりますと、ちょっとその範囲をどういうふうにあれするかということで、少し調べて申し上げたいと思います。
  87. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それでは資料として要求いたしますが、三十八年の金融制度調査会の資料によると、昭和三十五年九月期の都市銀行の正味準備金はマイナス六千二十七億、三十六年九月期がマイナス一兆三百十億、三十七年九月がマイナス一兆五千五百七十九億円。地方銀行、相互銀行は全部プラスです。この一事を見ても、最も預金保険をかけなければならぬのは都市銀行だ、もしこういう数字からだけいえば。こういう問題が一つある。それから、もう一つは預貸率の関係もそうでしょう。これも三十七年以後の動きを資料で出してください。  それから、都市銀行の預貸率と他の銀行の預貸率を見ても、都市銀行は三十六年に一〇一、三十七年三月が一〇五・三、九月が一〇七・二、預貸率が全部一〇〇をこえているのですよ。ところが、相互銀行は大体平均で八〇%ですよ。地方銀行は特に貸し出しの多いときでも九〇、一〇〇以上ということはありませんよ。そうすると、都市銀行だけこういう一〇〇をこえるような預貸率であって、そういう中で金融正常化だといって、効率化だといって、適正競争だ、自由競争原理の導入だといって騒ぐというのは、特に都市銀行のメリットが多いからでありますよ。だから、私は、大銀行、財閥銀行に引きずられるような行政指導になってはいかぬという心配から質問をしているわけです。そういう点をこの次の機会に資料を提出願って、これからの金融自由化の問題、CDの問題、さらに正味準備金と預貸率の関係の問題、そういうような点は次回に質問をいたしたいと思います。きょうは割り当て時間が終わりましたからこれで終わります。
  88. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 河村君。
  89. 河村勝

    ○河村委員 初めに公務員通勤手当の引き上げに関連いたしまして、免税点の引き上げの問題をお尋ねをいたします。  この春、四月に国鉄の定期運賃が値上げをされてから今日まで、民間では労使間、特に中小企業の労使間で通勤費を一体どれだけ企業が負担をするかということが非常なトラブルになっておる。免税点を引き上げてくれるのか、あるいはいつ引き上げられるのか、そういうことが見当がつかないために、たいへん困っている状況がだんだんひどくなっている。今日でもすでにだいぶおそいと思いますが、たまたま公務員通勤手当改正が日程にのぼりまして、政府態度決定される時期になりました。そこで、一般の通勤費の免税点の引き上げをどうお考えになっているか、それを伺いたい。
  90. 吉國二郎

    吉國説明員 国鉄運賃が引き上げられました際に、前国会で御質問がございました、そのときにもお答えをいたしたわけでございますが、現在の通勤手当の非課税の限度額は、御承知のとおり政令で定めておりますけれども、この政令は従来から公務員通勤手当支給限度額をもとにしてきめておったわけでございます。それは公務員通勤手当が最も普遍的である、妥当であろうということで慣例的にそうしてきたわけであります。その政令を定める時期といたしましては、通勤手当に関する給与法の改正が国会を通過いたしました際に、政令もあわせて改正するというのがたてまえでございます。これは一応通勤手当に対する国会の意思が決定された時期に、行政府としても政令によってそれをきめていくのが正しいことであるという考え方であったわけであります。ところが、御承知のとおりこの給与法の改正が通りますのは十二月の末ぎりぎりになるものでございますから、従来の例から申しますと、そのときに政令を改正をいたしますと、すでに民間企業等では年末調整が済んでおります。年末調整のやり直しというような非常な困難な問題が生じますので、一応翌年の一月から実施をするということで進んでまいったのは御承知のとおりだと思います。  そういう意味では従来の取り扱いが一応理由がないわけではないと私ども思っておりまして、これをもう少し改善することが考えられないかどうか。やはり一番問題になりますのは、源泉徴収の技術の問題でございます。これを含めまして、実は目下私どもとしても改善の余地があるならぜひ考えたいということで検討いたしております。いつからやるかという点につきましては、もう少し検討させていただきたい。もちろん、今度の通勤手当の額が閣議決定ですでにきまっておりますし、おそらくこのまま法制化されると思いますので、限度額自身はこれでほとんど動かないと思います。問題は実施の時期だと思っております。それについてはもう少し検討させていただきたいというふうに考えております。
  91. 河村勝

    ○河村委員 給与法に対する国会の意思というような非常にていさいのいいことばで逃げておられますが、大蔵大臣公務員通勤手当がきまり、免税点がきまらなければ一般が潤わないというのは、本来、本末転倒だとお思いになりませんか。いかがですか。
  92. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま局長が言いましたように、非常に技術的な問題もございますので、むずかしい問題でございますから、局長から……。
  93. 河村勝

    ○河村委員 私が伺っておるのは、技術的なことを一つも伺っておるのではなくて、通勤定期が上がったら、それによってその上げ幅がきまるわけですから、それによってどのくらい通勤費の負担がふえるか、それはきまるわけですね。そうすれば、そこでもって通勤費の免税をどのくらいにするのかということが常識的にきまるわけですね。そこで、逆に公務員通勤手当をどうするかということがきまるべきはずのものであって、公務員の手当がきまらぬから——一般通勤者は大ぜいおるわけですから、そういうものも公務員がきまらなければきまらぬというのは理屈に合わぬ。それをどう考えるかということを聞いておるので、少しも技術的なことを聞いておるのじゃないのです。
  94. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 やはり技術的な問題だと思います。それがきまるんだからこうしょうということについては、いろんな関係がございますので、従来からもそれがきまってから、一月から実施するというような措置をとったということも、やはり技術的に困難な問題があるからとった措置でございまして、実際に実施しようとしたらやはりそういう問題が私は出ると思います。
  95. 吉國二郎

    吉國説明員 私から若干補足して申し上げます。  この通勤手当の非課税の制度は、御承知のとおり、通勤費を支出している場合に、その支出額を一定の限度で非課税にするという制度でございまして、国鉄運賃が上がったということは、当然そういう通勤費の引き上げということを予想させますけれども、それがどの程度一般的に行なわれるか、そうしてどの程度の限度額が適当であるかという判断といたしましては、公務員の通勤費をきめるいろいろな調査その他が最も普遍的でもございますし、それによって客観的に大きなカバレージで決定をいたします公務員の通勤費の制度を採用することが一番妥当であろうというのが従来からの考え方でございます。  そういう意味で、大臣も申されたように、かなり技術的な面があると言われたのはその点だと思います。これが一定の給与所得の中から一定の金額を控除するという制度でございますと、おっしゃるような点はあると思いますけれども、実際に通勤費という手当が支給されている場合に、それを一定の限度で非課税にするという制度でございますから、国鉄運賃が引き上げられた後、どういうふうにそれが適用されていくかということを、もちろん税務当局で独自に調査するということも可能でございましょうが、それよりも政府としての最も専門的な制度として人事院が調べておりますそういうものを基礎とするのが、政府としても一貫した態度であろうということで、これによってきたことは、従来からの経緯で御承知いただいていると思います。
  96. 河村勝

    ○河村委員 従来やっておられたことは、これは承知しております。だけれども通勤手当をきめるのには、やはり第一には運賃の上げ幅ですね。それから、今後一体それがどういうふうに実際の企業負担にあらわれておるかということも今日まで調べられたわけですね。それならば、私は本来、公務員の問題とは抜きにきめるべきだと思いますけれども、一応それを抜きにいたしませんでも、免税点の引き上げは法律事項じゃございません。であれば、今回政府の意思決定をされた時期に民間の一般のものについては当然免税点の引き上げを行なうべきだというふうに考えますが、その点いかがですか。
  97. 吉國二郎

    吉國説明員 ただいま仰せの点、私どもももっともな点だと思いますが、そういう意味では、私がさっき申し上げたのは、従来技術的な困難といたしましては、源泉徴収の遡及問題、ことに年末調整の済んでしまった場合の遡及問題というのが非常に問題であったために、技術的に一月にしておった。しかし、その点についてもう少し考え方がありはしないかということで、源泉徴収の技術的な点につきましては、目下国税庁ともいろいろ打ち合わせをいたしまして、実行可能な限度でその制度の改善をはかっていくべきであろうということで検討いたしております。御趣旨の点もよく考慮に入れまして、最終的な決定をいたしたい、かように考えます。
  98. 河村勝

    ○河村委員 どうも大蔵大臣がこういう問題について、事務当局にだけ返事をさせて、自分の態度を明らかにしないというのは、私ははなはだおかしいと思うのですね。なぜ大蔵大臣御自分でもって答弁できないのですか。
  99. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま申しましたように、これは検討いたしますから、もう少し待っていただきたいと思います。
  100. 河村勝

    ○河村委員 ことしの春の予算委員会で、速記録をここに持っておりませんけれども、総理大臣も大蔵大臣も、みんなが安心するようにできるだけ早く考える——措置すると言ったか、その辺は忘れましたが、できるだけ早く安心するようにするという答弁をしているのですね。それで、いまお伺いすれば、どうも答弁ができないで、まだ検討するというようなお話では、私は答弁の精神と全く違うと思うのです。一体大蔵大臣は、このぐらいのことは当然前向きの答弁があってしかるべきだと思うのですが、それ以上のお答えはできないのですか。
  101. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私はこの問題で、やはりさっき申しましたように、いろいろな技術的な問題があるということでございますので、これはもう少し検討しようということになっておる問題でございますので、もう少し時間を与えてもらいたいと思います。
  102. 河村勝

    ○河村委員 技術的な問題は、それは十二月の法律改正後にこの引き上げをやるから技術的な問題が起きるので、いまこれをきめて実行すれば、何も技術的な問題はないのですよ。これは判断だけの問題なんです。そこに何か技術的な問題があるでしょうか。大蔵大臣、何かほかに技術的な問題というのはございますか。
  103. 吉國二郎

    吉國説明員 ただいま技術的な問題がないというお話でございますけれども、この通勤手当の非課税措置を政令で定めますと、その適用時期のいかんによっては、従来すでに有税で支給しているものに対する源泉徴収の遡及問題というのが起こってまいります。そういう点を十分詰めませんと最終的な見通しがつきませんので、そういう意味で国税庁とも相談をいたしまして、結論を出すまでに十分詰めてみたいという趣旨でございますので、その点はもう少し時間をおかしを願いたい、かように考えます。
  104. 河村勝

    ○河村委員 いまの主税局長のお答えで、もう少し時間をかしてくれ、こういうお話ですから、従来のように給与法の改正があってそれで一月から実施するという措置でなしに、いろいろな技術的な点も考えて、時期の問題、十月に免税点の引き上げをやるか、十一月にやるかは別にして、五月から通勤手当の改正が実施をされるならば、五月にさかのぼって免税点の引き上げもやる、こういうふうに了解してよろしいですね。
  105. 吉國二郎

    吉國説明員 そこまで結論が出ておりますとそう申し上げるのですが、そこまでまだ出ておりませんので、その点は、そういう考え方も十分あり得るということを前提に検討をいたしてはおりますけれども、そこまで結論はまだ出ておりませんから……。まあしかし、大臣のもとで十分検討していただいて、妥当な結論が出せるように努力いたしたい、かように考えます。
  106. 河村勝

    ○河村委員 大蔵大臣、主税局長はあそこまで言っているのですよ。ですから、ただそういうことも考えて検討する、でなしに、なるべくそういうふうになるようにする、ぐらいの御返事があってしかるべきだと私は思うのですが、いかがですか、大臣。
  107. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 まあもう少し検討させていただきます。
  108. 河村勝

    ○河村委員 どうも大臣よりも主税局長のほうがまだ政治的な答弁をするようで、たいへん遺憾でありますが、これ以上議論してもしかたありませんのでやめますけれども、いまのことばのニュアンスからいえば、従来の一月からやるなんということでないというくらいは私は確信をして、そういう結果を期待をいたします。特に、私はこれは別段冗談を言っているのではなしに、実際中小企業の労使間では通勤費をどれだけ負担するかということがたいへんなんです。でありますから、非常にトラブルが多いのです。そういう苦情がたいへん多いわけですから、ぜひとも、今月中にできなくても、十月一日にはやるという、そのくらいの決意でやっていただきたいと思います。  そのことばかりやっていて、持ち時間が二十分しかないのでほかのことはやれなくなってしまったのですが、大ざっぱなことだけ大臣に伺います。  八月六日に公定歩合の一厘引き下げがございまして、その後あと一厘引き下げとそれから窓口規制をどうするかという問題が今日まで検討されてまいりました。いよいよ国際収支もどうやらまあまあだということで、巷間伝うるところでは、大蔵大臣もIMF総会においでになる。大蔵大臣と日銀総裁が月末には出ていかれる。その前、具体的に申しますと九月二十日ころには、窓口規制の解除と公定歩合の一厘引き下げが行なわれるであろうというようなうわさが伝わっております。これは直接には日銀の問題かもしれませんが、十分御相談の上のことだろうと存じますから、その辺の見当はいかがですか。
  109. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いまのところでは、第二次目の措置については、まだどうこうするという考えを持っておりません。
  110. 河村勝

    ○河村委員 形式的にはそういう答弁になるだろうと思いますが、大蔵大臣は日本の経済のかじ取りにはたいへん重要な役割りを果たしておられるわけであります。そこで、最近の日本の経済の拡大の傾向についてどうお考えになるかを伺いたいと思います。  具体的に申しますと、今日までの状況、通産省、大蔵省経済企画庁、それから銀行、それぞれ見通しを発表しておりまして、先ほど大蔵大臣が言われたように、これは確定したものじゃないかもしれませんが、常識的にいわれておりますところは、大体鉱工業生産指数にしましても、今後年度内横ばいであっても一三・八%か一四%くらいの増、それから民間設備投資にしましても一二、三%の増、これは前年度が三三%増というのを土台にしてのものですから、かなりのものであろうと思います。経済成長率にいたしましても実質で大体一〇%くらい伸びるであろう、これは常識的なところらしいようであります。大体このくらいの感じのところは、大蔵大臣としてこれは景気として行き過ぎだとお考えになるか、大体適当のところだろうとお考えになるか、それとも、これでもまだちょっと足らぬとお考えになるか、その辺のお考え方をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  111. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは適当とかなんとか、何ともいえないのでございますが、ただ従来と違うところは、国際収支がこういうふうに非常に好調になってきているというときには、国内景気は落ちついているときということでございますが、今回はこの国際収支の好調ということと国内経済が基調が非常に強いということが重なっているということで、従来の型と少し違うところでございますので、これについてはいろいろ警戒すべきところは警戒して、これからの対策を研究しておるのでございます。  先般、引き締めの緩和をやりまして、それによってどういう動向が出てくるかということを注意しておりましたが、設備投資あたりは六月をピークにしてそれ以後そうふえていないということで、これを緩和したために特に経済が強まってきたというようなことも認められませんので、したがって、この程度の経済の推移のしかたであるなら、まあそう心配なことはないというふうに一応私どもは考えております。卸売り物価もいまのところ大体横ばいのような状態でございまして、消費者物価が少し強くなってはおりますが、引き締め緩和によって少し警戒しなければならぬという国内経済の動きというものはそう強く出ていないということで、一応安心しているところでございます。
  112. 河村勝

    ○河村委員 もう少しこの問題は突っ込んで伺いたいのですが、持ち時間があと三、四分しかありませんので、一つだけ疑問に思っていることを伺いまして、それで質問をやめます。  今回の金融引き締めが十分な効果を発揮しない、多くは輸出環境がよくなったことで救われたということになっておりますが、窓口規制と公定歩合の引き上げというだけでは十分な効果が発揮できないということが証明されたわけであります。そこで、それを補完する手段をいま政府ではいろいろお考えになっているようであります。公定歩合と長期金利を連動にするとか、そのほかいろいろなことをお考えになっているようでありますけれども、それにもかかわらず現実に準備預金制度というのがあって、昭和三十六年、三十八年の景気調整期には窓口規制もやり、公定歩合引き上げもやり、さらに預金準備率の引き上げをやっております。今度は、あるいは私が知らないのかもしれませんけれども、預金準備率を引き上げたという話も聞かないのでありますが、もし行なわれていないとすればそれは一体どういう理由に基づくのか、ちょっと伺いたいと思います。
  113. 澄田智

    ○澄田説明員 今回の引き締めに際しましては、おっしゃるとおり準備預金の準備率の引き上げということをいたしておりません。これは日本銀行の判断で日本銀行がきめることでありますが、今回特にその引き上げを行なわなかったのは、クレジットライン等の関係もありまして、今回の引き締めに際しましては、特に準備率を引き上げるというようなことをいたさないでもクレジットライン等で押えられている、その範囲内でもって貸し出し増加額を規制をするということで引き締めを行なう、こういうような考え方でやったと思われます。
  114. 河村勝

    ○河村委員 直接的には日銀でありましょうけれども、しかし、公定歩合なんかの場合と違って、準備率の引き上げは大蔵大臣の認可にかかわっているのですね。それだけ大蔵省としての発言力もあるはずだと思うのです。今度の場合、窓口規制が都銀中心にしか及ばないで一般に及ばないというところにしり抜けの原因があるわけですから、準備預金率の活用をするよい機会ではなかったかと思うのです。ところが、実際農業系金融なんかで非常に貸し出しが多くなって、最近の数字は私も知りませんけれども、昨年の引き締めが行なわれた九月からことしの三月まででも、農業系金融機関の貸し出し増加額は三千五百億をこえている状況です。それにもかかわらず、準備預金に関する法律の施行令でわざわざ農林中金なんかを対象外に置いて、なおかつこういう包括的な金融引き締めのできる制度を活用しないという理由がどうも納得がいかないのですが、銀行局長、その点は一体どうなんですか。
  115. 澄田智

    ○澄田説明員 今後の金融調節の手段という意味におきましては、十分その準備率の活用ということも検討してまいらなければならないことだと存じております。今回、金融引き締め下でありましても、コールレート等の上昇幅が従来に比べて非常に少ない。それからコールの資金量もそうふえない。従来はコール等を通じて、窓口規制の対象外の金融機関から窓口規制の対象の金融機関に資金が動く。そしてその窓口規制がそこで行なわれるというような形で、全金融機関の資金に対する引き締めが効果を持ったというような面がございます。そこは金融環境も変わってまいりましたし、コールレートの作用等も、コールの姿等も変わってまいりましたので、当然に今後の金融引き締めのあり方としては、その準備預金制度を含めて十分検討してまいらなければならぬ、かように存じております。
  116. 河村勝

    ○河村委員 時間がありませんから、これでやめます。
  117. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 広沢直樹君。
  118. 広沢直樹

    広沢(直)委員 大蔵大臣にお伺いいたします。  いよいよ四十四年度の予算編成期に入っているわけでありますが、新聞の伝えるところによりますと、概算要求は二五%増しの七兆数千億、それから予算の規模は大体六兆六千億というめどを発表されておりますが、この点について大蔵大臣から来年度の予算規模、これは確定的なものは当然出ないことはわかり切った話であります。しかし、一応そのめどとしておるものはどの程度かをまずお伺いしたいと思います。
  119. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御承知のとおり、概算要求を締め切ったばかりでございますので、大蔵省としましてはこれから各省の要求の内容の説明を聞くということから予算編成作業を始めるわけでございまして、いまのところ、来年の予算ワクをどうするかというような作業をまだ全くしておりませんので、何ともこの段階ではお答えできません。
  120. 広沢直樹

    広沢(直)委員 しかし、予算編成をする以上は、一つのめどというものを大蔵省自身は持っていなければならぬと思う。すでにもう御承知のように、各紙は全部このように出ているわけですね。   〔金子(一)委員長代理退席渡辺(美)委員長代理着席〕 ですから、もちろんその予算の規模がどのくらいになるということをはっきり言えというのは、この段階では無理なことは百も承知です。したがって、大体この程度にすべきであるという、もちろん予算編成には景気の動向というものは大きく加味していかなければなりませんけれども、当然そういっためどというものを、景気の動向と考え合わせて一応は考えておくべきではないか。それでなければ、ただ概算要求が出てきた、それは折衝の段階でいままでにあったように、折衝の末こうなったああなったというのではなくて、財政の節度ということをよくいわれるのですから、その観点で考えていくならば、一つのめどというものははっきりすべきじゃないか。各紙がこういうふうに伝えているのですから、この場合ここで言えないというのはおかしいのじゃないかと思うのです。
  121. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 先般、公定歩合の引き下げをやりましたときに、今後の経済に対する政府態度として、当面緩和、先行き警戒ということを申しましたが、やはり予算編成の基本的態度もその辺にあると私は思っています。したがって、来年度の予算も、財政が景気を刺激するというような性格の予算は組むべきでないということは、大筋として考えております。と同時に、非常に経済が好況になってきたときでございますので、国債のいわゆる依存度、これはやはりできるだけ低くしなければならぬということも考えております。そういう幾つかの基本的な方向は考えておりますが、それを柱にして、この予算の全貌を描くというところまでまだいっておりません。したがって、そこに出ている数字は、まだ大蔵省から出ている数字ではございません。
  122. 広沢直樹

    広沢(直)委員 四十三年度、本年度予算は、当然増経費が六千七百八十億ですか、そういうことであって、新規政策に関しては相当圧縮されたということが問題になりました。予算委員会等でも、これは一つの大きな問題になったわけですが、来年度の義務的経費の当然増、これは大体どれくらいになると考えられていらっしゃるか。
  123. 相沢英之

    ○相沢説明員 これは義務的経費のとり方の範囲にもよることでございますが、従来のようないわゆる義務的な経費の範囲ということで考えますと、ごくラフな試算では七千億をこすのじゃないかというふうに考えております。
  124. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、七千億をこすということになりますと、公共事業の長期的計画に伴う経費、これは準当然増ですが、こういったものを含めますと、これが約一千七百億、合わせて八千七百億ということになりますと、大体ここに出ている——先ほどこの見当であるというお話でありましたが、こうなりますと、やはりほとんどがもう当然増経費に食われてしまって、新規政策はできないということになるわけでありますが、その点についてはどうですか、簡単にお願いします。
  125. 相沢英之

    ○相沢説明員 その準当然増と申しますか、計画に伴う増加千七百億というお話でございますが、そういったような数字は実は私どもも出しておりません。義務的な経費が七千億をこすのじゃなかろうかという程度の見当をつけておるにすぎませんので、まだ何ともそういう準当然増を含めました計数がどの程度になるかということはわかりませんが、いずれにしましても、財政の硬直化の姿は、決して四十三年度予算編成をもって緩和されたということではございませんので、そういった収支の見通しはかなりきびしいものになろうかというばく然とした予想を持っております。
  126. 広沢直樹

    広沢(直)委員 この問題については、まただんだん煮詰まってきてからやりたいと思います。  そこで、税制の面で一点また大臣にお伺いしておきたいのですが、四十五年度までに所得税の課税最低限を百万円まで引き上げる、それから税率の調整を進めたいという意向を最近明らかにしておるわけでありますけれども、そうなりますと、これから四十五年度までに百万円にする、また税率の調整をやるとして、どの程度の財源を必要とすると見込んでいらっしゃるか、ひとつ伺いたい。
  127. 細見卓

    ○細見説明員 明年のことでございますので、税の増収が幾らあるか、あるいは所得税の全体の大きさが幾らになるかわかりませんので、はっきりしたことは申し上げかねる段階でございます。
  128. 広沢直樹

    広沢(直)委員 いろいろな資料から考えてみますと、大体三千五百億ぐらい要るのじゃないかと思われるのですが、そうなると、四十四年度は相当このための減税を行なっていかなければならない。それを四十四年度に少ない減税をやりますと、四十五年度で多く減税をやっていかなければならぬということになるわけですが、きょうの新聞でしたか、大蔵大臣は大体二千億程度をめどにするという記事が出ておったように思いますが、その点はどうでしょうか、大蔵大臣
  129. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 二千億というのは、私はけさの新聞で知ったのでございますが、私のほうからは、まだそういう数字を出した覚えもございません。
  130. 広沢直樹

    広沢(直)委員 いま申し上げたとおり、その財源が相当要ると思うのです。大体百万円までするにしても、十万円上げるにしても一千億要る。そうすると、百万円にするとすると、いまからですと約二千億要ります。それからサラリーマン減税ということをいっておりますから、その点を含めるとやはりその程度要るのじゃないかと私どものほうでは考えているわけでありますが、では、四十五年度をめどということを何回もはっきり言っているわけでありますから、来年度の大蔵大臣の意向というのは、大体どの程度まで減税を考えておられるか。いまの二千億というのは初めて見たと言っているわけですから、あなたのお考えを伺いたい。
  131. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは先般この委員会で申し上げたとおりでございまして、私どもはやはり課税最低限を引き上げることを急ぐ。これをあと二年間、四十四年、四十五年で百万円まで少なくとも持っていきたい。そのあとから、私どもの日程としては率の問題に入っていきたいというようなことをいままでは考えておりましたが、税制調査会の答申そのほかを見まして、これをある程度、そう機械的に分けて減税を考えないで、やはり課税最低限の引き上げと同時に税率の調整ということも一緒にあわせ考えるほうがいいだろうという考えをいま持って、財源の計算はまだできておりませんが、方針としてはそういうことで来年度の減税案を検討してみたいというふうに考えていま作業中でございまして、まだどうこうという政府の方針がきまっておるわけではございません。できるだけそういう減税をやりたいという考えは持っております。
  132. 広沢直樹

    広沢(直)委員 なお一点この問題について。  そうしますと、四十五年までに百万円まで課税最低限を引き上げるということは、これははっきりしていますね、どうですか。——そこで、それは当初わが党としては、四十一年あるいは二年と毎年毎年、これはすでに課税負担の原則から考えていっても百万円までに直ちに引き上げる、こういうふうに主張してきたわけです。しかしながら、現在の物価高、いろいろな経済情勢を見ましても、当然もうこれは百万円ということではなくて、この課税最低限はもう少し引き上げていかなければならないのではないか、こういうふうに考えられるわけです。いま申し上げましたように、物価の上昇あるいは経済規模が拡大してきている、したがって納税人口はふえてきている。そういうようなことから考えていくならば、わが党としては、現時点で百三十万円まで課税最低限は引き上げるということを主張しているわけでありますが、四十五年度百万円までしたならば、一応それで減税の点は据え置いてという考え方があるのか、あるいはその時点に立ってまた所得減税を、課税最低限の引き上げを続けていく考えがあるのか、その点をはっきりしておいていただきたい、大蔵大臣
  133. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 従来は、与党も減税については公約しておりました。一応あの公約は、率の問題に触れたことではございませんで、限度の引き上げだけの公約でございましたが、この公約を急速に果たしてから、実現させてから、実際は中堅所得層の累進課税が非常にきついのでございますから、どうしてもこの改正をしなければ、やはり大幅な減税をやったということにはなりませんので、プログラムとしては、そのあとからということを考えておりましたが、それを、もう一緒に考えなければならぬだろうという考えをいま持っておるところでございます。財源との関係で、これを何年に実現できるか、まだこれからきめなければなりませんので、これの計画が立ってから、その次は次に考えると言うよりほかしかたないんじゃないかと思います。
  134. 広沢直樹

    広沢(直)委員 時間がもう一ぱいのようでありますので、消費者米価の問題について大蔵省考え方大蔵大臣考え方を一点お伺いしておきたいと思います。具体的な問題については、あと経済企画庁長官も見えますし、食糧庁もいらっしゃいますから、あとの時間でまた十分お伺いしたいと思います。  各省で基本的な意見というものは異なると思うのですけれども、今度消費者米価八%値上げを米審に諮問したということで、これが一つの大きな社会問題となって、毎年毎年の物価上昇に伴うものでありますから、大いにこういった問題に関しては国民は疑問を抱いているわけでありますが、この消費者米価を八%どうしても上げなければならないというふうに諮問したこの問題について、大蔵大臣はどういうふうに考えていらっしゃるか、その根拠を明らかにしていただきたい。
  135. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは先般、生産者米価決定する際に、やはり両米価の正常化という観点から、生産者米価のいろいろな検討を政府としてはしたわけでございますが、そのときに、今度生産者米価を何%上げるにしても、やはり両米価の正常化という点から考えて、せめて末端の逆ざやだけは解消したいという考えでいろいろやりましたが、その結果、三%はどうしても生産者米価につけ加えて消費者米価をきめないとこの改善ができないということで、そのときに、政府がかりに生産者米価を五%上げるということにするとすれば、八%前後が消費者米価の引き上げとして妥当なところだろうということも、生産者米価決定のときに、この八%前後という数字は出てまいりました。  一方、従来消費者米価を上げるときには、家計米価の許容範囲内においてする、しかも相当余裕を持ってするということになっておりますので、今年の家計米価を見ますと一一・四という数字でございますので、それより余裕を持った八%前後が、生産者米価決定するときの両米価の正常化という観点から出た数字とやや一致するので、この程度の値上げが妥当ではないかというふうに考えたという次第でございます。
  136. 広沢直樹

    広沢(直)委員 とにかく、消費者米価の値上げについては今度は史上最高である、あるいは生産者米価の値上げについては史上最低である、一口にいえばこのように表現しておるわけであります。そういう問題は、やはりいま申しておりました家計米価の問題が問題になるわけですが、過去の例をずっと見てまいりますと、そこでは家計米価よりもある程度、数%以下に消費者米価というものは決定されているわけですね。ところが、今年の場合は、これがとんとんというような形になっておる、こういうような関係になっておる。だから、大蔵省自身の考え方としては、財政的な赤字の問題、これは盛んに論じられておりますが、赤字の問題がある。経済企画庁としては、やはり物価の関係があるから、再々新聞にも、あるいは宮澤さんも答弁しておりますとおり、これは下げようと考えておる。農林省、食糧庁のほうとしては、これは制度上の問題からいろいろ現実の問題として困っておる、こういう各様の考え方がある。しかし、やはり先ほどから何回も話がありましたけれども、こういうふうに物価が上昇しているとき四年連続の値上げである。あるいは物価の王様であるといわれる米価をこういうふうに上げていくということは、どうも納得できないわけです。特にこういう上げ方をしていくということは、やはり大蔵大臣がよく言われる総合予算主義を貫いていく、いわゆるスライド的な行き方にならざるを得なくなってきている。これは二重価格制を前提とした食管制度の精神を無視しているという考え方になるわけでありますが、その点についてどういうふうにお考えですか。
  137. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 八%が家計米価とんとんということでございましたが、家計米価は一一・四%ということでございますので、八%というのはその点では余裕があるということが一つと、もう一つは、いまの二重米価のお話ですが、食管制度はいきさつから途中で変わった、その経過を全部私ども国会において承知しておりますが、最初はやはり国民食糧を確保して国民生活の安定をはかるということでございましたので、この会計の中でいろいろな操作はしない、政府のコストをそのまま消費者に引き受けしてもらうというふうにしたので、食管会計から赤字を出さぬというたてまえで運営されてまいりました。ところが、だんだん当時と違って経済もよくなって少しずつ余裕が出てまいりましたので、そこで生産者には生産費を十分に補償するようにという一つの要望と、政府がそこで管理費を持ったりいろいろな一部の費用を持って、政府の買い上げコストをそのまま消費者にかけないで、少しは何かしてくれる方法はないかというようなことが出てきて、計算のしかたとしては両建てにするというようなことは、昭和二十九年ころからでしたか、たぶん行なわれたと思いますが、その当時でも、二重米価をつくって食管制度を将来崩壊させるというようなことは考えていませんで、そういう計算のしかたをするが、両方おのずから一つの制度の中で、その制度を維持するためにはこの二つの価格は無関係じゃない、調整されるべきものであって、りっぱな関連性があるんだということは、もう当時からも何回もいわれて、そうして無制限に赤字を出すことを予想した制度の変革ではないということははっきりしておりましたので、したがって、私はいまの食管制度の中で両米価の調整をはかる。一方が上がったら、やはり消費者米価もそれにつれて調整をとって上げられるということは、私は食管制度の違反でも何でもない、当然のことだと思っております。
  138. 広沢直樹

    広沢(直)委員 最後に、これは意見として申し上げておきますけれども、要するに、予想外の豊作についても、政府としてはどのような事態にも応じる体制を初めからつくっておかなければならぬ。こういうときが来てから現状について努力する、あるいは解決策を考える、いろいろなことを言っておりますけれども、食糧政策やあるいは農業政策を今日まで確立してこなかった。当然こういうことは考えられてきた問題だと思う。いまお話がありましたように、生産者には再生産を補償するために米価をきめていくんだ、あるいは消費者には家計の安定をはかる目的をもって米価をきめていく、こういう二重米価ということがはっきりしているわけです。ですから、食管会計の赤字が出てきたとしても、これは先ほど言った総合的な施策の欠如をあらわしていることである。それを、国民がこういうふうに諸物価の高騰で苦しんでいる、いわんや全部とは言いませんけれども、米価の値上げが諸物価の高騰を誘因していることは、これは火を見るよりも明らかである。こういう時期にこれを上げていくということは、やはり国民のための政治を行なっていくならば、少し考えてみるべき問題じゃないか。これはあとまた時間がありますから、そのときに具体的に伺っていきたいと思います。以上であります。
  139. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 午後二時二十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時四十五分休憩      ————◇—————    午後二時二十九分開議
  140. 毛利松平

    毛利委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武藤山治君。
  141. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 刑事局長にお尋ねをいたしますが、前回の質問の際に、まだ調査が行き届いておらないから答えられなかったという問題が一、二ありましたので、その点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。  というのは、債権者会議で京阪神土地問題の収入支出のバランスがたいへん差額がある、十九億円の行くえが不明である、こういう点が指摘されておりますので、その収支の差額十九億円は、調査の結果、どのように使われたものであろうか、その内容をちょっとつまびらかにしていただきたい、こういう質問であります。
  142. 内海倫

    ○内海説明員 この前御質問いただきましたときに、私、資料を持ち合わせぬということでお答えをいたしかねたのですけれども、その後捜査を行なっております兵庫県警察のほうにいろいろ事情の報告を求めておるわけですが、この京阪神土地の収入支出の状況につきましては、現在なお鋭意山田その他の者のメモとかいろいろなものをまとめまして、収入支出の調べを行なっておりますが、率直に申し上げまして、現在まだその全部が正確に明らかになっておるということを申し上げかねるわけであります。  と申しますのは、全部がどんぶり勘定ということで、非常にこれの収入並びに支出を整理することが困難をきわめておるという実情でございます。しかしながら、御承知のように相当多数の、土地を求めるために手付金を打っておる被害者がいるわけでございますから、そういう人に関する山田の犯罪というものを明らかにいたしますためには、この収入支出の状況というものはどうしても明らかにいたさなければいけませんので、この点は、現在もこの作業を続けているわけでございます。  ところで、ただいまは十九億円ということをおっしゃっておりますけれども、私どもその十九億という数字については承知をいたしておらないのですが、ただ、現在までの収入支出の調べの中におきましても、相当額の使途の明らかならざる金があることは間違いございません。が、いまそれはまだ正確な捜査の結果というわけではございませんが、現に捜査を行なっている過程から私どもが推察いたします限りにおきましては、そうした金のほとんどが、いわゆる導入預金に伴う裏金利として支払われておるのではなかろうか、こういうふうに考えられる。これだけを、ただいまの御質問に対するお答えとして申し上げたいと思います。
  143. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 裏金利として、すでに警察当局でトータルを出した金額はどのくらい払われておりますか。
  144. 内海倫

    ○内海説明員 実は、この前私ここで御答弁申し上げましたときに、これまた資料を持ち合わせませんで、あのときに帰りましてからよく調べてみますと、不正確な形で答弁を申し上げております。いろいろな推計、推定などをいたしておりました数字の一部を私、記憶しておったのを申し上げたのですが、これは記憶間違いでございまして、現在までに兵庫県警察のほうで犯罪捜査の過程で、ある銀行に対する導入預金、これに伴う支店長あるいはこれをあっせんしましたブローカー等を検挙いたしまして、この部分については導入預金額も、またそれに支出された裏金利もある程度現に明らかに解明をしつつありますが、大体導入された金額が二十数億になり、これに支払われたと認められる裏金利が、いま私、正確に数字を申し上げかねますが、六千数百万ですか。そのほかに警察側で明らかにいたしております約六億円ほどの導入預金、これも犯罪として明らかにし得たもの、これに対する裏金利が二千数百万円と、大体一億円近い裏金利は、犯罪捜査という形において明らかにいたしておりますが、正確な数字はなお現在も詰めておる段階でございますから、いまこれを明らかに申し上げかねます。  その他につきましては、導入預金が相当額行なわれておるということは承知いたしておりますが、これらを犯罪という観点から見るのにはいろいろ問題がございますので、警察においてはそれの実態については、まだ明らかにいたしておりません。
  145. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから警察の調査の中で、農協系統の資金で導入と目されるものは発見されたのですか、全くありませんか。それはいかがですか。
  146. 内海倫

    ○内海説明員 いまそれらの個々の名前をあげることははばかりますが、農協関係の資金といいますか、預金といいますか、そういうものが導入されておるということは、捜査の中において明らかにされておるものが若干ございます。
  147. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 名前を発表するのははばかるようでありますからお尋ねいたしませんが、銀行局のその後の検査で、京阪神土地会社に融資していた銀行に農協系統の資金がどのくらい預金としてあったか。検査の結果、全然そういう調査はしてありませんか。わかりますか。
  148. 澄田智

    ○澄田説明員 いまお尋ねのように、京阪神土地に融資をしている銀行ということに限定をいたしまして、そこの銀行に対する農協関係の預金ということでしぼってみまして、私どもで一応つかんでおります数字は、四十二年の九月現在でとりますと、三十二億五千万ばかりの預金があるということがわかっております。
  149. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私どものほうでも農林省の調査で、京阪神土地会社に融資していた銀行に農協が預けた資金は、最高の農協は、単協で十二億八千万円、その次が八億、さらに一億五千五百万、一億。それから農業共済連、これは三つの共済連がある。一つは六億二千五百万、一つは三億五千万、他の共済連は四億五千万。こういうような膨大な億単位の金が、農協あるいは共済連から都市銀行なり地方銀行に預けられるというこういう姿は、通常どこの地方でもどこの県でも、こういうことがあり得るノーマルな状態なんだろうか、それともここの兵庫県を中心にしたこの事態は異常な事態なんだろうか、銀行局長としてはこの事態をどう見ますか。
  150. 澄田智

    ○澄田説明員 農業協同組合あるいは共済連といったようなところの余裕金の運用として、金融機関に対する預け金というものは認められておるものでありますので、その範囲において通常考えられるものというようなものなら、異常ということはできないわけでありますが、本件のような場合は、これはやはり特利というようなものとも結びついたものであり、農協の余裕金の運用としては、とうていこれは正常なものと申し上げるわけにはまいりません。
  151. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 今回調べただけでも三十九億の農協資金が銀行に預けられている。これはやはりこの前も議論した、銀行の預金獲得競争が非常に激烈であるということを物語る数字のような気がするわけであります。特に農協関係の資金は大蔵省が監督できませんから、これは農林大臣の出席がないと、今後こういう姿勢をどう是正するかということは、ここで議論できない問題だとは思いますが、しかし、こういう姿を見て、やはり金融機関全体を監督する立場にある大蔵省としては、農協関係と一回余裕資金の運用についての話し合いを十分すべきではないか。私は、これは農林大臣がおればいろいろ議論したいのでありますが、農林中金なども現在の資金状態がどうなっておって、融資がどうなっているかということを考えてみると、こういうものの金融の性格もそろそろこの辺で再検討して、かつて勧業銀行が農業関係中心、産業復興という意味で始まったのが、ああいう銀行の姿に変わっておりますね。農林中金もそろそろこの辺でもう性格を変更してもいいんではなかろうか、そういうような気持ちもいたすわけであります。そういう点、いろいろな角度から農業系統資金と金融機関の資金との格差の問題を、銀行局としてもひとつ検討願いたいと思うのですが、いかがですか。
  152. 澄田智

    ○澄田説明員 個々の農協の監督につきましては、これは都道府県知事が農林大臣の委任を受けて監督をしているということでありますので、われわれの直接関与する範囲ではございませんが、農林系統機関全体の金融上のあり方というような問題については、当然いろいろ検討すべき問題が多い。なお、農林中金自体につきましても、農林中金の現行法が、四十八年には法律の一応の期限が来るというような問題もございます。当然に今後農林中金を頂点とする農林系統金融のあり方という問題については、金融問題としても十分検討していかなければならない問題である、われわれもそう存じております。
  153. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 次に、この前全銀協の会長、それから三井銀行の小山社長が当委員会で答えた中で、京阪神土地問題にからむ小口債権者に対しては、これを救済するのが当然と考える。したがって、全銀協として早急に相談をしたい。同時に、あなたに対しては、相互銀行協会などにも十分大蔵省として話し合いをして、全銀協と足並みをそろえて、小口の債権者には登記ができるように救済すべきだ、こういう提案をしておったわけですが、その後の進捗状況はどうなっておりますか。
  154. 澄田智

    ○澄田説明員 京阪神土地株式会社につきましては、六月二十八日に会社更生法の適用申請がなされておりましたのに対して、七月十九日、裁判所より保全管理人が選任されております。そうして三井とそれから福徳相互、両方からその補助者を派遣して、目下会社の債権債務関係の確認を急いでおる状態でございます。関係金融機関としては、その調査結果を待ちまして、そうしてこれからの処理をするわけでありますが、その場合には、土地購入者のためには特に誠意をもって配慮するということ、それぞれ金融機関としてはそういう方針でまいるようにいずれも言明いたしておりますし、私どもとしても十分その推移をこれから注視をいたしまして、そういう点について遺憾ないように期してまいりたい、かように存じております。
  155. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 九月二日、おとといの神戸新聞によると、どうも小口土地購入者は、債権者総会でも大口の者の主張がずっと強く打ち出されて、小口債権者はどうも端のほうへ追いやられて、結局、法的な立場からいくと、全く権利が主張されない、こういうことで非常な心配をしている、こういう記事が大きく出ているわけですね。したがって、これはやはり大蔵省が音頭をとって、早く銀行関係の代表者と財務局で話し合いをさせるなりして、法律では確かに担保権を設定した者が優先権があっても、この事情からいって、確かに気の毒であるからということで全銀協会長も答えているわけですから、そのときにおいて、やはり大蔵省が音頭をとって、少し財務局あたりでも指導しなければ、私は先に進まないと思うのです。ただ、ここで銀行局長が答えただけでは、先に進まないような気がする。そういう具体的な手だてを早急に立ててほしいと思うのですが、いかがですか。
  156. 澄田智

    ○澄田説明員 先ほども申しましたように、現在、会社の債権債務関係の確認というようなことをやっておりますが、他方債権者の集会が開かれるとかいろいろな動きもあるわけでございます。そういったような動きを見まして、今後の推移によりまして、随時いまお示しのあったような財務局等を通じて指導する、あるいはそれに対して必要な監督その他のアドバイスを行なうというようなことを、今後とも十分注意してやってまいりたいと存じております。
  157. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 時間でありますから、最後に刑事局長にちょっとお尋ねしますが、もう京阪神土地会社問題にからむ犯罪容疑者は新たに出ることはないのか、まだ捜査をしてこれから犯罪容疑者が出るかもしらぬ、どういう状況にございますか。捜査はもう一段落ですか。
  158. 内海倫

    ○内海説明員 まだ捜査を継続中でございますから、いまからさらに新しい被疑者が出るかどうかということの見込みを申し上げるわけにはまいりませんが、なお犯罪捜査は継続中で、まだ終結をいたしておるわけではございません。
  159. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 時間ですからこれでやめます。
  160. 毛利松平

  161. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 証券局長にお尋ねします。  きょう大蔵大臣から午前中いろいろ聞きましたが、例の保有組合が解散にきまったのですが、山一や大井証券の今後の返済の予定及び残額は、現在どれくらい残っておりますか。
  162. 広瀬駿二

    広瀬説明員 山一及び大井の日銀特融の返済の状況でございますが、最近の株式市場の活況を反映いたしまして、この山一それから和光の収益状況は非常に改善されておりまして、日銀特融の返済も順調に進んでおります。  山一の特融は、御承知のとおり、当初金額二百八十二億でございますが、現在までの元本の返済額六十二億でございまして、残存額は二百十九億になっております。この六十二億の元本の返済のほかに、利息として五十六億の返済を行なっておりますので、合計額百十九億というふうになっております。  それから、大井証券でございますが、これは当初の特融額が五十三億、元本の返済額は六億八千万、残存額は四十六億二千万となっております。なお、このほかに利息分として十億余りがございますので、返済額合計十七億というふうになっております。
  163. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点。投資家の保護ということが非常に問題になるのですが、しかし、これはなかなか理屈どおりにはいかないと思うのです。証券局、大蔵省としては、大衆投資家があまり犠牲にならぬように、上がってくるときはいいけれども、下がってくるときには非常に問題になるので、おそらく泣き寝入りになってしまっておると思いますが、何らか具体的に、こういう方法ならそういういわゆる投機的なことをやらぬで済んでいくというような、何らかのいい方法でも考えておられるのかどうか、この点をもう一点伺いたい。
  164. 広瀬駿二

    広瀬説明員 最近の株価状況にかんがみまして、投資家の保護に万全を期すべしという御意見に承りましたが、これはけさほども大臣から申し上げましたとおり、一番大蔵省として心を砕いているところでございまして、すでに、最近の株価の状況にかんがみまして、七月十九日に証券業協会連合会会長から会員にあてまして、投資勧誘態度について自粛の要望をしております。われわれのほうと連絡の上、そういう措置をとっておりますが、なお依然として市況はかなり上向いておりますので、十分注意をしております。その後の措置としましても、これも大臣がおっしゃいましたが、八月二十日と三十一日両日にわたりまして、投機色の強い銘柄、合計六十七銘柄につきまして、自主規制をいたしまして、証拠金率を三割から五割に引き上げまして、同時に、現物銘柄の取引につきましても自粛をするように、取引所の理事長から要望しております。  なお、今後につきましても、市況の推移を十分注意いたしまして、個別に証券業者を指導する、あるいはそのほか投資家保護につきまして、できるだけ適切な措置を打てるように検討いたしております。
  165. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点最後に。共同証券は解散をするのか存続させるのか、その方針はきまりましたか。
  166. 広瀬駿二

    広瀬説明員 共同証券は、この八月の二十三日に日本銀行からの融資を全部返済し終わりましたが、なお、一般の市中からの協調融資分の約千億という借り入れ金が残っておりますし、それから保有株式も、簿価でもってたしか一千四百億くらい残っております。したがいまして、これらを今後逐次処分していくわけでございますが、その全部の放出を終わりますれば、証券会社としての免許を受けたディーラー業者としての任務は終わるわけでございますので、その時点でもって解散するのが妥当であるというふうに考えておりますけれども、なお売却のめどがついたところで、よく検討したいというふうに考えております。
  167. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 証券局長、それでいいです。  宮澤さんがせっかく来ておられますから、まことに思いつきのような質問で恐縮ですが、だいぶいろいろな点で物価が上昇するような傾向が出てきたのですが、当初お考えになっておられたような物価の上昇率の問題について、あらかたでいいのですが、あとでほかの委員からも質問があると思いますが、どういうふうに変わってきたのか、そういう点を一点伺っておきたいと思います。
  168. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御承知のように、今年度の消費者物価の上昇、努力目標を含めた意味で四・八%としておるわけでございますが、そのうち、前年度から持ち越しました、いわゆる私どもがげたと呼んでおります部分が三・二ほどございまして、それから酒、たばこの値上げ、国鉄の定期券の割引率の引き下げということがございまして、それが〇・四ほど響いております。したがって、四・八と申しますものの、この年度に許容された上昇の幅というのは大体一・二ほどでございます。この数字四・八の中には、消費者米価は一応据え置きということで計算をいたしておりましたから、今度消費者米価がかりに十月から八%上がるということになりますと、統計上その年度内に与える影響はほぼ〇・三二ぐらいと思われますが、従来消費者米価が上がりますと、その波及の効果がほぼ倍ほどあるというふうに考えられますので、まず〇・六ぐらいの影響があるというふうに考えるべきかと思います。そういたしますと、たださえ少ない本年度の上昇の許容量の中で、その半分ぐらいはこの消費者米価の値上げでとられることになるわけでございます。他方で、今日までの今年度の消費者物価の上昇はかなり根強いものがございまして、前年度対比で五%あまりというところが現段階でございます。でございますので、御指摘のように、四・八というものを維持していくということは、今度の消費者米価の値上げがございましただけ、それだけになかなか容易でないということに考えております。  ただ、私ども、理屈の上で考えますと、昨年十月に消費者米価が一四・四%上がったわけでございますが、今年度はそれがおそらく同じ時期から八%ということになれば、前年度対比では、その時点で少しこの両方の差が狭まる、理屈の上ではそういうことになるはずでございますから、その辺がどうなるであろうか。まあその他の要素は、すべて今年度は消費者物価は強含みという要素でございますから、いまのような理論的な問題はあるいは消してしまうかもしれませんが、理屈の上ではそういうふうに考えられます。  それで、私どもとしましては、この四・八%というものを何とか守っていきたいが、これはとうてい不可能であって、このぐらいの数字に置きかえますということを申し上げることが、問題の解決にはむしろいい結果にならないように思いますので、相当苦労だとは思いますが、四・八%というものをやはり目標としては動かさずにおきたい、こう考えておるわけであります。
  169. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点。米価というものは、だいぶ生活の様式が変わってきましたし、われわれの若い時代は、米が上がれば物価が上がるというような、そういう簡単な形で考えておったのですが、戦後だいぶ変わりまして、生計の費用の中には、だいぶ米というものの占めるところの割合は、わりかた減ったなどということがいわれておりますが、心理的に米が上がるということは非常に国民の生活に大きな影響があるように思っておりますが、そういう心理的な影響。あなたはそういう統計なんか専門だし、そういうことは詳しいのですが、実際に米が上がる問題ということは、具体的にはさほど影響をしていないと見ておられるのかどうか。私は心理的に相当影響があるということを感じておるのですが、その点はどういうように思っておりますか。そのことだけ一言お尋ねしておきます。
  170. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 結論としては、御指摘のように相当心理的な影響がやはりあるというふうに考えております。生計費に占める割合で申しますと、確かに昨今では、階層ごとで違いがあると思いますが、六%とか七%程度が平均だと思いますが、しかし、一般の物価情勢が、人件費の上昇もございますし、何となく上がりたいという環境の中で米が上がりますと、やはりいろいろな意味で波及をする。心理的なものも相当あると思うのでございます。したがって、かりに米だけの上昇は〇・三二であったとしても、その倍近いものは覚悟しておく必要があるのではないかと思っておるわけでございます。
  171. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今度食糧庁にちょっとお尋ねするのですが、米価問題が非常にやかましくなって、きょうあたり盛んにやっておられますが、米価の値上げと同時に酒米が同じように上げられるというようなことが問題になってきました。御承知のように、酒米が普通の米より大体石三千円くらい高いのですから、そういう点で、やはり今度も米価と同じように比率的に上げられるのかどうか、これをひとつ次長にお尋ねしたいと思います。
  172. 田中勉

    田中説明員 酒米の価格につきましては、従来も、配給米と違いまして財政負担をしないというたてまえで、酒米価格を毎年きめてまいったわけでございまして、御承知のように、毎年生産者米価に即しまして、その酒米を食糧管理特別会計で扱っていく場合におきまして、直接酒米の取り扱いに関連した費目を加算をいたしまして酒米価格をきめておるわけでございます。したがいまして、ことしはこれからの検討問題でございますけれども、御案内のように生産者米価が五・九%対前年度比上昇いたしたわけでございます。したがいまして、酒米価格につきましても、従来の考え方にのっとりまして財政負担をしないというたてまえで、酒米の取り扱いについての直接関連した諸経費を加算していくという方向で検討中でございます。
  173. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように、酒は去年も上がりことしも上がったのですが、おそらくもし酒米が上げられるとなれば、結局また来年も酒の値上げがあるというような結果になると思う。そこで、たとえばビールなんかと比べると、どうも酒のほうが絶えず上げられるという感じを持つし、われわれ物価上昇については反対をしているのですが、ほかの物価に非常に影響する。これもまた心理的な影響がある。酒を飲まぬ人もたくさんあるのですけれども、酒が上がると、酒とかたばこというものは非常な日常品になっているので、私は酒もたばこものみませんけれども、やはり大衆に非常に影響力があると思うのです。そういう点から考えたら、御承知のように、酒は大体間接的に酒屋が国の税金を自分のほうで取ってやっているような形になっておるので、そういう点で、小さい酒屋はいまぎりぎりにきておると思うのです。これでまた酒米を上げてまた酒を上げるということについては、なかなか大蔵省もうんと言えぬという非常な羽目におちいると思うのですが、そういう点について食糧庁どのようにお考えになっておられますか。
  174. 田中勉

    田中説明員 昨年も一昨年も当委員会で先生から、そういう価格のきめ方の仕組みについていろいろ御批判をいただいておるわけでございますが、私のほうといたしましては、原材料用のこういう米につきましては、やはり一般配給米と違って、財政負担をして配給するというたてまえは今後もとりたくないという考え方を持っておるわけでございます。ただ、ことしは昨年と違いまして、昨年の生産者米価は九・二%対前年度比上がっているわけでありますが、ことしは五・九%ということになっているわけでございます。なお、酒米につきましての食管の経費をそれに加えていく場合におきましても、当委員会でもいろいろ先生からも御指摘をいただいているような細目の点等については、なおよく検討いたしまして、そういうものについて最も合理的なものを加えていくというような考え方をとっているわけでございまして、食糧庁の立場として酒米について特に別なやり方をとるとかいうようなことはいま考えているわけではございませんが、先ほどちょっとビールの原料価格と対比して御発言がございましたが、過去におきまして、昨年の生産者米価、その前あるいはその前、連年九・二%ずつ上がっていったわけでございますが、ビール麦のほうにおきましては、大体パリティ価格ということで採用しておりまして、その額は大体対前年度比四、五%のものである、こういうことになっておりまして、過去におきまして、生産者米価は確かに値上がり率が高水準であったわけでございます。ことしの場合五・九%になったわけでございますが、今後こういう方式をとるにいたしましても、来年なり再来年の生産者米価がどの程度にきまるかによってまたその度合いが違ってくる、こういうぐあいに考えております。
  175. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もうこれが最後ですが、食管制度の問題がやかましくなっております。そこで、食管制度のなしくずしをやるためには酒米を先にやるのが一番いいのではないか、こういうような意見が現にありまして、食管の問題はいずれ問題になると思うのですが、そういうような仕組みが変わるようなことはありませんか、そういうことを一言だけ……。
  176. 田中勉

    田中説明員 酒米につきましては、一応限定された意味のコスト価格主義をとっているわけでございますので、その限りにおきましては、やはり需要者と生産者の間においていわば経済ベースでの流れが可能性があるわけでございますので、経済的に無理なくいまの食管制度の中において流通を考えられるということになりますと、そういう原材料用のものが大体考えられるものになっているわけでございますが、その点を特に詰めてこちらも検討したわけでございません。一部そういうような声が現段階において流れたというようなこともございますけれども、なおこれらの問題につきましては、やはり午前中にもございましたように、農林省として総合農政を推進するその一環の中において、食糧管理のあり方、また、それをどういうぐあいに方向づけていくかというようなこととも関連してこの問題を取り上げていかなければならぬと思いますが、当面いますぐどうこうするということは考えておりません。
  177. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後ですが、酒米を上げてもせいぜい五十億円ぐらいのものだと思うのです。酒米を上げて酒をまた上げるということで、しょっちゅう上げムードで、そういうことが非常に社会的に響くと思いますので、十分検討して、できるだけそういうことのないように希望して、私の質問を終わります。
  178. 毛利松平

  179. 只松祐治

    ○只松委員 午前中から米価の質問をいたしてまいっておるわけでございますけれども大蔵大臣、企画庁長官別々においでになって、こま切れの質問でございまして、質問がしにくいわけでございます。企画庁長官に向くような若干の問題だけを質問いたします。  企画庁長官は本年の物価上昇の見通しを四・八%というようなことをたびたびおっしゃっておりました。これが通じてきていることも申し上げるまでもないのであります。今度の米価値上げについても、八%以内、こういうようなことをおっしゃっておるわけでございます。これも平均は八%に落ちつきそうですが、徳用米その他を含めてですから、一般の人が買う場合には八%を若干上回る、こういうことになると思うのです。いわば、あなたがおっしゃっておったことと、いろんな意味で大きく食い違ってきておるのです。そういうことについてどういうふうにお考えになりますか。
  180. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点につきまして、今年度の生産者米価決定、それから消費者米価についての諮問というところまでを振り返って考えまして、米の需給という客観情勢もございますけれども、従来二十何年やってまいりました食管制度というもののあり方について改善を加える必要があるということが、大体の世論も、また政府・与党の中でも、方向としてはほぼ確認されたと考えております。そこで、これは何ぶんにも影響するところの大きな問題でございましたが、かなり公にいろいろ議論がされて、問題の認識も高まって、できれば明年はこの改善が実現することを私ども希望をしておるのでありますが、一般の消費者に対しては、今回の消費者米価の諮問といったような内容が、単純な従来の繰り返しではなくて、先に向かって改善されるという契機になるであろうということが、理解をしてもらえたのではないだろうか。そうしてその結果は、いままでよりは消費者にとって価格の面でも品質の面でも自由な選択がなし得るようなことに、次回からは変わっていくであろうというふうにほとんど理解されておると思いますので、今回これだけ消費者米価を上げるということは、消費者に対してはすまないことでありますけれども、しかし、長年の問題が解決の糸口を生み出しつつあるという環境のもとに消費者にも理解をしてもらいたい、こういう感じを持っております。
  181. 只松祐治

    ○只松委員 あなたと生産の問題まで話し合ってもしようがないですけれども、食糧庁のほうにも聞いていただきたいと思います。  いままで自民党政府が戦後ずっと続いてきて、食糧増産、食糧増産といってつくってきておるわけですね。三十五年に農業基本法が制定されようとした当時に、経済同友会がちょこっと一言はさんだ、あまり農業を重点にするなと。そのときからしばらく食糧増産というものは言われなくなった。しかし、また足りなくなってきたら食糧増産ということでやってきた。昨年度、一昨年度あたり、農林金融公庫から何十億の金が水田開発のために投下されてきておる。それはもちろん農民が借りておるわけですが、あなた方が食糧増産という前提に立って、そういうところへどんどん金をつぎ込んで、そうして食糧増産をやってきておるわけです。そういう自由経済のもとに、農業もそうですけれども、経済も自由放任経済が行なわれておる。それで、金融機関はどんどん水田開発のために貸す、そして急造の、ビニールを敷いて水田がつくられていく。火山灰地もそういうことでつくられていく。青森から北海道までつくられて、そうして増産させておいて、一方では配給の面なり流通の面だけ統制をしていく。あなたくらい頭がよかったら、多少先のことも見通しをして、こういうことをしておったらどういうことになるだろうか、来年も、少々の台風や水害が起こっても、おそらく余るだろう、こういうことはいわば私どもしろうとでもわかるのですよ。皆さん方のように専門で、経済企画庁という膨大な機構を握ってそういうことをやっておられるならば、わかるはずなんですよ、そんなことは。そういうことがわからないでいま論議されておるのは、結局食管制度の制度そのものです。あるいは流通、消費者米価あるいは古米、そういう起こってきた個々の問題をとらえて、皆さん方はマスコミほどじゃないかもしれないし、いろいろ考えてやるのかもしれないけれども、全体の現象として見れば、こうやって本年も昨年も一昨年も、ここしばらくずっと水田開発が行なわれてきた。そうして、膨大な借金をかかえて水田を開発した農家の人々が、すぐこれを切りかえるということはまずあり得ないでしょうね。だから、総合農政とかなんとかおっしゃっておるけれども現実に農村の方々が、食管法を中心にして農家経済を考え、そしてそれに取り組んできておる。これを今日に至って——極端な一例をあげれば、昨年まで、早く出せ、早く出せといって、早場米奨励金を出す。本年になったら、早場米奨励金を突如として打ち切って、おそ出し奨励金。これは何ですか、一体。こういうでたらめな、あなたたちにとっては都合がいいことかもしれないけれども、農民にとってはばかにした話です。農家が完全に組織——労働者も全部組織されてはおりませんが、労働組合にこんなことを言ってみなさい。一騒動ですよ、これは。農民は個々ばらばらになっておるから、農協はそこまでのことを——あなたたちと多少けんかはしているけれども、八百長だからね。それでそこまでの騒動は起こってきていないのですよ。私たちから見れば、でたとこ勝負だ、宮澤さんともあろう人が。こういう点について、真剣に問題に取り組まれるべきだ。ことしこういうことをやっておる。来年もまたこういうことが起きるだろうと思うのです、水田が開発されておるわけですから。だからこういう問題について、当面する生産者米価——いまは消費者米価の問題ですが、この問題だけではなくて、もっと経済企画庁というのは、一つの物価なら物価を扱う場合でも、やはりそういう水田開発のことから、食糧の増産の問題から、そういう問題全部を総合して、生産者米価というものはいかにあるべきか、あるいは消費者米価というものにはどういう問題が発生してきて、どういうふうにしたらいいか、こういうことを取り組まれるべきだと思うのですね。あまりにも小刻みに個々の問題だけ取り上げて問題をしぼっていこうというのは、ちょっと無責任過ぎると思う。  こういう問題を論議しますと、たいへん時間が長くなりますから、一つだけ私は基本的な問題として提示をして、お考えを聞いておきたいと思います。
  182. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点の御批判は、やはり甘んじて受けなければならないと思います。何ぶんにも長い制度であったこと、それから農業の物的生産性からわが国ではなかなかやりにくいということ、耕地が狭いというようなこともございますが、等々からこの問題を言い出すことがやはりなかなか容易でなかった。ことに一千万という農業就労人口が現在まだおりますので、そうであったと思います。したがって、事が農業でありますから、非常な急転回をするということは、これは期待するのも無理でありますし、また、それはそうあってもならないことだと思いますので、今後の転回は、やはり農業、農民の実態を考えながらやっていかなければならないであろうと思います。  まあ私自身は、昨年のいまごろこの問題を実は提起したいと考えましたけれども、やはり基本的に、わが国の米の生産が、年間の米の需要をやや基調的に上回る、そういう段階に入ったという判定は、これは農林大臣がしていただきませんと、私どもがとやかく申すべきことでないと思いましたので、昨年の場合は、とりあえず昭和四十三年度は、米の生産者価格、消費者価格を、両方とも予算の面では見込まないで据え置いた形で、そうして総合予算主義を組んで対処していこう、そうすれば、四十三年の作柄さえよければ、きっと問題が表面化していろいろの議論が起こるであろう、そういう場を財政の面でつくっておこう、こう考えまして、このたびのような総合予算が組まれ、また、両米価は一応据え置いた形で今年を迎えたわけであります。問題の性質上、もっと早く問題を持ち出して十分な準備期間を置くことがよかったではないかという御指摘に対しては、その御批判は、そのまま私、受けて反省しなければならないと思いますが、同時にしかし、問題が公に持ち出されたからといって、今後これが非常に急に旋回をして、問題をきれいに一ぺんに片づけてしまうというような心がまえでは、なかなかこの問題の処理はできないだろう、それではまた農民も困るであろうということは、十分考えながらこれから処理していかなければならないと思います。
  183. 只松祐治

    ○只松委員 宮澤さんの場合は食管制度を変えるという強い主張の立場のようでございますが、いまお聞きすると慎重にということでございましたが、なかなか工業生産物と違ってそう急に転換や何か、あるいは紡績が不況になったから休業をするとか、紡績機械を廃棄をするとか、こういう形にはまいらない。特に東北の場合、単作地帯で米だけをつくって投下資金を相当膨大にかけておるというところはどうしようもなくなるわけです。ぜひ慎重にやっていただきたいと思います。あまり当面の問題や財界の意向だけ受けて処理しないようにぜひお願いしたいと思います。  それから、もう一つ基本問題をお尋ねしますが、物価が上がる、消費者米価が上がりますと、それに刺激されて確かにいろいろ上がってきますね。食料品その他一連の値上がりが私から予想されています。しかし、こういう消費者米価によって物価上昇が誘発されることと、それから本質的に高度経済成長政策のもとで物価が上がってきた。この米価が引き上げられたのは昭和三十二年ですか、何か五年おき、三年おき、ここ三年ぐらいは続いて上がっておりますが、しかし、消費者米価が上がっておらないときでも、物価というのはずっと上がっていますよ。その平均率も私はとってみたわけですが、必ずしも消費者米価だけで物価というものは上がっておらない。だから、先ほども私はそういうことで大蔵大臣とあなたと両方にいろいろ聞いてみたいと思ったんだけれども、労賃が上がればすぐインフレが進むんだ、あるいは米価が上がればすぐ物価が上がるんだ、こういうことでさんざんたたかれた。私は極端にいえば、これは労農分離の独占資本の巧みな攻撃だと思っています。社会党も、そう言っちゃなんだけれども、こういうことに対する分析なり、こういう労働階級、農民階級の援護が足りないと思うんですけれども、私は、これは独占資本の巧みな攻撃だと思う。  それはそれといたしまして、とにかく日本の場合に、物価が上がってくるというのは、消費者米価が上がらないときでも物価というものは上がってきておる。だから、これを見ると物価上昇の原因というのはほかにあるわけなんですが、それがどこにあるかここにあるかという論争はいたしません。基本的には、やはり高度経済成長政策のもとに、日本の物価というものが上昇してきておるんだ。この点については、資本主義、社会主義と立場は違っても、分析の結果出てくるものは、宮澤さんと私はそう違わないと思うのです。それのまた直接の原因というのは、日銀のオーバーローンと日銀券の増発。昨年度も一八%から増発されましたが、本年度も一七・八%ぐらい、五千億増発されております。こういうことをそのままにしておいて——もちろん経済が拡大してまいりますと、日銀券の多少の増発は必要になるでありましょうけれども、こういう基本的な問題をそのままにしておいて、私は消費者米価だけ問題にするのは——もちろん、これは上げていいとは申しません。上げるのを抑制していかなければならない。しかし、根本的な問題をそのままにしておいて、こういう問題だけを、あたかも農民が物価値上げの元凶であるかのような方向に矢を向けていくことは、私は政府としては慎むべきことだ。だからといって、私は消費者米価を上げろという論ではもちろんありません。何とかして押えなければならないということですけれども、だから経済企画庁あたり、根本的に日本の経済計画というものを立案し、あるいは国民生活の安定を指向していく場合には、そういう本質的な問題と、抹消的と言ってはなんですけれども、現象的な問題とは、やはりおのずから区別して論じていく、指導していくということが大切ではないか、そういうことに対する御所見を聞いておきたいと思います。
  184. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 消費者物価が上がり始めましたのは、大体昭和三十五年ごろから以降でございますが、これは一つには、そのころから国内の労働の需給関係が多少窮屈になり始めたということにおそらく関係があったろうと思っております。私ども、どう考えるかと言われますので、基本的に申し上げますと、日本の経済が相当の失業者をかかえながら、しかし低物価で推移する場合と、多少物価は上がっても完全雇用に近づいていくような場合と、どちらが経済政策としていいかということになれば、私どもは、やはりなるべく完全雇用の状態、失業者がない状態を早くつくり出すということが、多少物価の面で犠牲があっても、経済政策としてはいいのではないかと考えまして、やや意識的にそういうことをいたしてきたように思います。しかし、ここまでまいりますと、申し上げるまでもなく、初任給にいたしましても、あるいは毎年のベースアップにいたしましても、相当の上昇を毎年してくるわけでございますが、私は国民経済全体として、賃金の上がりが生産性の上昇をこえておるというふうには考えておりませんが、生産性の低い部門でかなり高い賃金で人を雇わなければならないという結果、その部門では、中小企業の製品あるいはサービスの料金にそれが転嫁されてきているということは事実であろうと思います。その対策としては、したがってそういう生産性の低い部門の生産性を上昇させるような、いわゆる合理化でありますとか、省力投資でありますとか、そういうものを進めていくことが本筋であろうというふうに考えるわけでございます。ですから、御指摘のように、米が上がりますから消費者物価が上がるんだ、それが唯一最大の理由であるというふうには申し上げられないと思いますし、そうも考えておりません。しかし、無関係であるということはもとより申せないわけで、生計費が上がるので何がしかのベースアップを必要とするという、そういう主張には十分理由があると思いますし、また今度逆に、そうやって賃金が上がった結果、御承知のように、生産者米価算定については都会の製造業の賃金というものが反映されるわけでございまして、今日の生産者米価の三分の二程度はその部分でございますから、両方の間にも相関関係がある。  日銀券の増発によって上がらなくてもいい消費者価格が上がっておるのではないかと言われる点については、私ども全然関係がないとは申し上げませんが、貨幣数量説のような考え方はとっておりません。やはり今日までのところ、完全雇用に近づいてきたという成果は、ほかのものと利害得失を考えましても、私はやはり評価されていい成果ではなかったか、そう判断をいたすわけでございます。
  185. 只松祐治

    ○只松委員 私も、ここでいま経済論争をしようとは思いませんし、時間もありませんからあれですけれども、私が言わんとすることは、片や労働者、片や農民だけに物価値上げの責任があるし、元凶である、こういう形のことは、幾ら皆さん方が資本主義のチャンピオンといってもしないほうがいいんではないか、こういうことを私は言おうとしておるわけです。立場は違うかもわかりませんが、極端にいえば、あまり労働者や農民だけいじめなさるな、こういうふうに私は言っているのです。いま私は日銀のオーバーローンや日銀券の増発ということだけを言いましたけれども、それを少し突っ込んでいけば、普通は自己資金で設備投資をやっていくのが原則ですけれども、日本の場合は借り入れて、それから設備投資をやって、その借金の支払い、利子の支払いに追われて、そこから出てくる根本的な問題——あなたは意識的にやったとおっしゃるけれども、その意識的にやった結果出てくる、諸外国と根本的に違う問題というものがやはりあるわけなんです。あるいは現象面だけを見ても、そこいらの賃金労働者は七百円から八百円で働く。そこいら町を歩いてみると、キャバレーのホステス最低二千円以上保証。サービス部門にどんどん人を高給でさらっていく。こういうことで、まともに七、八百円や千円でどうして働くか。ただ単に労働組合側にあなたたちは賃金の上昇の原因を求めるけれども、そういうサービス部門や不要不急部門からいかに賃金の上昇というものを来たしておるか、また圧迫をしておるかということは全然責任を問わないで、労働組合だけに責任を追及する、こういう責任転嫁をする。私は論争しようとは思いませんけれども、こういうことはもう少し本質的な問題に目を向けて——各省なら各省なりに言い分があり仕事がある。経済企画庁というのは総合的にものを企画立案し、進められるわけですから、特に私はそういうことをお願いし、意見を言っているわけです。いまの佐藤内閣でも一番良識的といわれておりますから、ぜひお願いしたいと思います。  それから、それはそれといたしまして、今度直接八%上がるということになりますと、とにかく諸物価の値上げを誘発しますし、特に低所得者に大きな影響を与えてくる。そういう中で、いろいろありますけれども、象徴的に出てきているのは古米の問題ですね。それで余裕米をかかえて、古い米を新しい値段で買っていかなければならないという、経済法則と全然反したことを日本国民は押しつけられておる。そういうことのさらに具体的なものは、政府の無策によってできた古米、それの倉庫に保管している倉敷料やあるいは保管料や管理費やそういうものも含んで全部、新しい米を欲する消費者が、古米のそういうものまでも負担していかなければならないということは、たいへんに不合理なことだと私は思います。こういう程度のものくらいは、私は政府がめんどうを見るべきだと思うので、食管会計とまた別途に一つ会計制度を設けるというのは容易でないと思いますけれども、何らかの形で、本来ならば一つの社会保障制度の意味を含めて、食管会計の中におけるいろいろな調査費とかあるいは管理費とかなんとか、こういうものはもっと大幅に政府が見ていいものだろうと私は思いますけれども、きょうはそこまでの論議はいたしませんが、古米に関する限り何らかの形で政府が特別の会計制度を設けるなり何なりすべきではないか。そういうことさえもできなければ、私はなかなか今度の消費者米価をどこから下げていくか、逆に言うならば、上げないで済むかということは不可能だろう。もしできるならば、管理費や何かそういうものを政府がどうめんどうを見るかというところあたりに突破口を見出さなければならないかと思いますが、長官はその点についてどういうふうにお考えになりますか。
  186. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のように、今年の作柄がただいま予想されておりますようでございますと、おそらく明年は米の価格の問題と離れて古米というものをどうするかという、これが非常に大きな問題になるであろう、それは御指摘のように私も実は考えております。農林省でもいろいろ御研究のようでございますが、まだこれといって成案を得られたとは承っておりません。御指摘のようなことも私は一つ考え方であろうとは思いますが、何ぶんにも所管大臣でございませんし、農林省がまだ答えを出しておられないようでございますので、私としてそれ以上突っ込んだお返事を申し上げることは差し控えるべきだろうと思います。
  187. 只松祐治

    ○只松委員 これで質問をやめますが、ひとつもうちょっと突っ込んで、あなた個人のそういう問題に対する感想を聞かしていただきたいということと、それからさっき、食管改善論者ではありますけれども、大幅な改革は無理だろうということをおっしゃったけれども、そういうものの行き着くところ、食管のいまの流通機構の改善なり自由販売、自由価格制度というものが多少は論議されるといいますか、提起されてくるのではないかと私は思う。こういうことにでもなったら、米作を主体とする日本の農民もたいへんな動揺を来たすでありましょうが、同時に一般消費者も、高い高いとはいっても一応は安定をいたしております。これが、多くできたらとても安くなったとか、減収になれば高くなるということでは、国民生活がきわめて不安定になりますので、私は軽々しくこれを口にすべきでないと思いますが、本年度のこういういろいろな問題を突破口として、来年度以降そういう問題が提起されてくるような気がいたします。そういうことがないように私は望んでおるわけですが、経企庁長官はそういう抜本的な流通機構までの改正について、どのようにお考えになっておられますか。それこそ直接は農林省の所管でございますけれども、経企庁の経済の諸動向に対して果たすべき責務はきわめて大きゅうございますから、ここでひとつ聞いておきたいと思います。
  188. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私見でよろしいというお尋ねでございますので、そういう前提で申し上げますが、大まかに申しまして、米の価格がある水準を維持できないというときには、政府は、政府に持っていらっしゃい、政府がその価格なら買いましょうということは、やはり先ほどからるるお話しの、現在の生産体制からいいますと、最低限度そういう保障はしておかなければならないのではないか。農業は急に転換できませんから、それは必要なことだと思います。しかし、他方でそれ以外でといいますか、適当な価格で政府を通さずに売買が行なわれるということは、またあっても差しつかえないであろう。一定の価格を下回り、どこにも持っていきようがないというときには、それは政府が買います、そういう保障といいますか、それだけのことはやはり必要かと思います。それ以外ではできるだけ自由取引が行なわれるように——これは一度にそこに行けるかどうかわかりませんけれども、将来の姿としては、それが生産者のためにも消費者のためにもいいのではないだろうか、こう思っておるわけでございます。
  189. 只松祐治

    ○只松委員 まだいろいろお聞きしたいことがありますし、いまの私見に対しても言い分がありますが、時間がありませんのでこれで終わります。
  190. 毛利松平

  191. 広沢直樹

    広沢(直)委員 長官にお伺いしたいのですが、五十分でお約束の時間だそうでありますので、部分的になりますが端的にお伺いいたしたいと思います。  いままでいろいろお話がありましたが、物価安定という問題についてはこれは政府も公約しておりますし、国民もそれを渇望しているわけでありますけれども、この四年間消費者米価の問題を基準として、各公共料金の値上げが相次いでいるわけであります。そこで当然、物価の番人といったら語弊があるかもしれませんが、物価問題に対して取り組んでいる企画庁としては、これは押えていこうという一つの基本的な考え方はあると思う。ただ、野放しに毎年毎年こういうふうに公共料金をはじめとしての物価上昇を許してきたいろいろな関係は、いま申されておりましたとおりあると思いますけれども、今後の物価安定に対する一つの基本的な長官の考え方をお伺いしたい。
  192. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 基本的には物価それ自身を目当てにして押えるということは、もう限度があるわけでございますから、物価がそのようにして形成されるもとの基盤を直していくということであろうと思います。それはやはり私、企業について申せば、できるだけ自由競争の原理が自由に働くようにするということだと思いますし、公企業あるいは性質上やや独占的な企業については、できるだけ合理化をやっていく、それから生産性の低い部門、中小企業でありますとか農業でありますとかに対して、国が積極的に手をかして生産性が上がるように誘導をしていく、そういう構造的な対策をしていくということ、私はそれに尽きると思います。完全に自由競争があり、相当合理化が徹底した上でなお物価が上がるということであれば、それは受益者負担の原則に従って受益者が負担をしていく、こういうことに私は尽きるように思います。
  193. 広沢直樹

    広沢(直)委員 宮澤長官はさきの通常国会におきましても、一応物価指数の上昇は四・八におさめる、あるいはそれを努力目標にする、こういうことを再々答弁なさっておりましたし、いまもそういうようなことでどうしてもそれを一つのめどにしたい、こうおっしゃっていらっしゃる。四・八だけでも、これは非常に高圧経済の中であるとはいいながらやはり高い。しかしながら、今度の消費者米価の上昇、アップによって、やはりこれが四・八に押えられないということが常識化されてきている。ところが、消費者米価の値上げの問題については、これは当初予算編成時分においても、総合予算を貫いていくという方針で今年度から総合予算になったということになりますと、どうしてもそのワクの中で生産者米価はこれは上げていかなければならない。ならば、消費者米価がある程度上がるということは、予想として当然のこととして考えなければならぬということになる。ところが、当初においてはその四・八%の中には消費者米価の値上がり分は含んでいない、こういうふうにいまあなたは答弁なさいました。ということは、当初においてすでにこれは含まれて、どれくらいということは、それは予想でありますから何%——今回のようにはっきり結論が出てくれば別でありますが、それはある程度のことは総合予算主義のたてまえからいうならば、当然含まれてなければならない。それが、それからはずして考えておったということは、どうもその点がすっきりしない。その点についてお答えいただきたい。
  194. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 総合予算をつくりましたことは、それ自身で国の財政経済の節度を示すというメリットがあると思っておりますけれども、他方でこの総合予算を組みましたがゆえに、今回生産者米価決定あるいは消費者米価の諮問というところで財政のほうに問題を持っていけば、従来のようになしくずしで解決できるということが不可能になったわけでございます。つまり財政には持っていけないということで、初めて生産者米価の問題、消費者米価の問題を通じて食糧の管理制度の改善ということに、好むと好まざるとにかかわらず突き当たることになったわけで、当初総合予算を考えましたときに、実はそれは私どもとしてはむしろ意図をしておった結果であったわけでございます。四・八%の中に米の部分を確かに含んでおりませんが、これは算定のしようがなかったわけでございますから含んでおりませんでしたので、したがって、先ほども佐藤委員に申し上げましたように、今回消費者米価の上昇があればそれだけはこの四・八%の中へ食い込まれるということになるわけであります。
  195. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、消費者米価の問題について時間がありませんからお伺いしたいと思うのですが、先ほども大蔵大臣大蔵大臣としての御見解をお伺いしたのですが、要するに今度の消費者米価の値上げについては、先ほども申し上げましたが史上最高だ、こういう表現なんです。あるいはまた、生産者米価の値上げについても、これは比率から考えたのでしょうが、史上最低、こういう米価決定についての批評があるわけです。そこで、ことしの家計米価について経済企画庁の試算は大体どれくらいになっておりましょうか。
  196. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 家計米価と言われますと、食管法四条に定めておる家計の上限はどこか……。
  197. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そうです。
  198. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 六月まで可処分所得の統計が出てまいりまして、それによりますと一一・四でございます。
  199. 広沢直樹

    広沢(直)委員 ここに食糧庁からいただいている資料があるのですが、そのほかに「米価に関する資料」とかいろいろこれを見てみますと、全部平均が違うのですね、可処分所得の推移のほうからいいますと。だから、詳しくはまだ計算しておりませんけれども、こういうふうに平均が違ってきて金額は相当違います。こういうふうなことから考えていくと、この計算の基礎、見方によっては相当変わってくるのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  200. 田中勉

    田中説明員 お配りしてあります「消費者米価の算定(案)」これはきのう、きょうの米価審議会で一応政府が試算値として御審議を願っているわけでございますが、この中に家計米価の伸びを、ここにございますように、先ほど宮澤長官が言われましたように一一・四%の伸びということで推定をいたしております。それから参考として一二・五%というものももちろん出ているわけでございますが、これは基準期間と比較期間のとり方によって若干違うわけでございますが、一一・四%のほうは、昨年もこの方式算定をいたした、こういう家計の伸びでございます。
  201. 広沢直樹

    広沢(直)委員 資料によりますと、四十年の消費者米価値上げのときは一四・八%、四十一年は八・六、四十二年は一四・四、こういうふうになっています。ところが、家計米価は、四十年は一九・四、四十一年は一〇・〇、四十二年は一六・八ですか、こういうふうになっておりまして、結局消費者米価の値上げと家計米価との差というのは非常に大きいです。今回の場合は、これはいろいろ見方があるのでしょうが、その差が非常に縮まった感じがいたします。ということは、やはり先ほどもお話がありましたように、消費者米価の値上げというものが諸物価の値上げを誘発している。これは全部ではありません。先ほども申されておりましたとおり、三十五年くらいから考えていけば、消費者米価の値上げのない時分でも物価は上がっておりましたから、全部とは言えませんけれども、先ほど話があったように〇・六%、物価指数というものは上がってくるでしょう。その半分が消費者米価の値上げ、こういうことになりますと、八%の値上げをいま政府が米審に諮問をいたしておりますが、これはもう少し押えて考えていくべきではないか、これは一般論としていえると思うのです。ところが、新聞報道ですから直接聞いたわけじゃありませんけれども、長官はやはりこれは七%あるいはそれ以下に、こういうようなお考えを持っておったようでありますけれども、やはり物価の立場で考える経済企画庁としては、もう少しこれは下げて考えていくべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、長官の御意見をお伺いいたします。
  202. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 消費者物価の立場だけからいえば、それは低いほうがよかったことはもとよりでございますけれども生産者米価の五・九というものが先にきまりまして、そしてその条件のもとに、末端の逆ざやをできるだけ解消していこう、それからその副次的な効果としても出てくることですが、九百万トン程度はこれはどうしてもやはり米の売り渡しがありそうである、予算で考えておりましたより百万トン多いわけでございますけれども、それを買うための財源も必要であります。総合予算主義をくずさずにそれらの条件を満たそうとすれば、八%にならざるを得なかった。私は、物価だけを考えずに総合的に考えますと、やはり八%というものは、消費者にはほんとうにすまないことでございますけれども、総合的にはやはり結論として妥当なものである、こう考えております。
  203. 広沢直樹

    広沢(直)委員 長官に対する質問時間もなくなりましたけれども、要望としては、こういうふうに毎年毎年の米価の値上げに伴う諸物価が上がってきておりますけれども、今後においてもこういうことで、また毎年毎年がそういうふうに引きずられて、政府主導型の物価値上げ、こういうふうにいわれておりますが・そういう調子ではいけない。物価の安定に対して政府の公約しておるとおり、よほどこれは抜本的に思い切った処置をとっていかなければいけない。これは要望として特に申し上げておきたいと思います。  ただ、食管法の精神からこの消費者米価について考えていくならば、やはりこれは二重米価制をとっているということでありますから、食管法云々の問題が論議されるようになってまいりましたけれども、過去とはいろいろな社会条件が変わったとはいいながら、現行法としてこれが生きている以上は、やはりここにスライド的な行き方を現実に感じさせるような、そういう値上げの方向には大いに問題があると思うのです。したがって、その値上げの問題については、やはり答申があったといっても、ある程度それは考えていく、国民の声を反映したような行き方をとっていくということを、特に強調しておきたいと思いますし、この食管制度が今度云々されている過程においても、やはり今日こういうような問題が起こってきたということは、過去におけるこういった制度に対する食糧政策にしてもあるいは農業政策にしても、いま盛んに総合農政ということがいわれておるけれども、これはやはり政府が怠慢であったのじゃないか。早晩こういったことは考えつく問題である。別に長官一人に責任があると言っておるわけではないのですが、これはやはり財政を考えている大蔵省にしても、あるいはそういう物価的な問題を考えている経済企画庁にしても、あるいは食糧庁にしても、総合的にこういった問題には取っ組んで結論が出ていなければならぬ。この時点において、いまがたがた言っているということは問題があるし、それであるからといって、まだ食管法が厳然として生きている時代に、二重価格制というものがある程度ぼやけてしまったような行き方をとるということは、まことに納得しがたいと思います。この点をひとつ意見として強調して申し上げておきたい。長官に対しては以上です。  食糧庁にお伺いしますが、さっきから問題になっております古米の処理についてであります。この問題についていろいろ新聞にも出ておりますし、当局でもいろいろな意見が考えられているようでありますが、これに対して、農林大臣がいらっしゃらないからはっきりこうだと言えないかもしれませんが、いま大きな問題になって、当然食糧庁としても一番頭が痛い問題であろう。したがって、これに対して基本的にはどう考えているか、それをまず明らかにしておいていただきたい。
  204. 田中勉

    田中説明員 ことしの繰り越し米が二百六十万トンもあるということになっているわけでありますが、私ども、かつてこのような繰り越しは経験したことも実はないわけであります。したがいまして、今回の消費者米価改定にあたりまして、また今後これをどう操作していくかということは、私も実はなかなか苦労の多いことだと思っておるわけであります。  けさほども主計局の次長から只松委員お答え申し上げたように、この繰り越し米につきましては、やはり私のほうは制度上配給するために昨年買ったという米になっているわけでございます。もちろん食管制度を運営していく場合におきまして、年の豊凶の変動に対処して、それをなだらかにしていくという機能は、当然考えていかなければならぬ。ただ、非常に膨大な繰り越し米でございますので、今回の改定にあたりまして、消費者米価として新古米をどういうふうに考えていくかということでございますが、私どもいま考えておりますのは、繰り越し米にいたしましても、少なくともこの秋から来年の春ごろまでの米の持つ力と申しますか、品質と申しますか、そういう面におきましては、新米とそう遜色のあるものではないという観点に実は立っておるわけでございます。本来これが世間でいうような、いわゆる古米という品質上のいろいろのことが云々されるようなことになります時期といたしましては、私どもも米穀統制法、かつての間接統制法のような時代のことをいろいろ調査したこともございますが、やはり二度のつゆを越すということになりますと、品質上どうしてもいろいろ流通上問題がある、こういうことでございます。さればといって、私はここで全然遜色ないものであるということを強弁する考え方は持っておりませんけれども、やはりこういういわば新米も出てまいります、それから古米も繰り越している時期においての古米の認識のしかたにつきましては、管理制度の中において考えていく以上、私のほうは一応遜色のないものとして取り扱ってまいりたい。ただし、けさほども主計局のほうからも只松委員お答えを申し上げましたように、やはり一年を越してまいりますと、福精度とかそういう面において歩どまりの問題に遜色が出てくるわけでございますので、一月以降につきましては、一%の歩どまり低下をはかってまいりたい。同時に、その後において、さらに残っておる米をどうするかということは、段階的にきめのこまかい、いわば売却操作を考えながら処理していこう、こういう考え方を持っておるわけであります。
  205. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、食糧庁は七月末の米価審議会で明らかにされたことだと思うのですが、いまあなたが申されたとおり、このままでいきますと相当数量がやはりストックになる。そうしますと、いままで倉庫にストックしている米は早急に出さなければ、つゆどきを二回越すと、いわゆる味が落ちるというのですか、そういうときがやってくるということで、要するにいま倉庫にある米から先に配給米として売っていく、こういうような意見のようです。その考えでいきますと、ほとんど来年の三月ごろまでは、大体都市においてはいわゆる古米を——いま倉庫に保管してある、それを古米といっていいかどうかわかりませんが、いわゆる古米ですね、これを消費者は食べていかなければならぬ。ここにやはり一つの、いま消費者団体から非常な不満が出てきている問題があると思う。この点についてはどういうお考えですか。
  206. 田中勉

    田中説明員 今後二百六十万トンを、かりに二度のつゆを越さないように配給操作にのせていくということになりますと、十一月以降来年の三月ごろまでは全国平均で七割程度、それから四月から六月の間におきましては五割程度ということでございます。全然新米を配給しないということじゃございませんけれども、一応そういう操作上の計画になるわけでございますが、いま繰り越し米と、私はあえて古米ということを言ってないわけでございます。繰り越し米につきましては、私どもも、昨年の米があれだけ膨大な買い入れになり、また、年度を越すということは当然予想されたわけでございますので、倉庫に保管する場合等におきましても、できるだけ上位等級のものをやはり繰り越す、それから下位等級のものを年内に売却するというような操作をしてまいっておるわけでございますので、その中におきまして、やはり繰り越し米といっても、政府の買った米の中では比較的に上位等級のものが多く持ち越しておる、こういうことでございます。それをもちまして、やはり新米と抱き合わせと申しますか、ことばは適当でございませんけれども、そういう地帯ごとにいろいろ新米を同時に操作することによって、繰り越し米としての持ち味と申しますか、それから新米のそういう持ち味というものを総合調整をしてまいりたい、こういうことを考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、一月以降になれば少なくとも歩どまり等の問題については、ある程度、これは少なくとも引き下げをはかっていかなければならぬ問題があるわけでございますし、また、事に処して相当臨機応変にやはりこれらの米の処理を考えていかなければならないというぐあいに考えております。
  207. 広沢直樹

    広沢(直)委員 別にストックがあるということが問題ではないのですよ。それは食糧事情から考えていけば、非常に足りない時分、不作の時分もありましょうし、いろいろありますから、ある一定限のストックというものは当然必要だと思うのです。しかしながら、そういうことで今年は最高のストックだ、こういうことになってきているわけで、今後やはりある程度の——それを続けていくということになれば、総合的な問題はありましょうけれども、その繰り越し米といいますか、昨年の新米なんと言っている人もありますけれども、要するに、そういう古米に対しての何らかの価格の格差というものを考えていかなければならぬ。そこでそれを、いま申されたように、味もあまり変わらないと言いますけれども、やはり一年置いておくのといますぐとれた米というのとは、品質において多少違いがあることは当然だと思うのです。いろいろな科学的なデータでいろいろ言っている人もあります。しかし、事古米の問題についてだけではなくて、消費者米価がこれだけ、四年間も連続で上がってくる、今年もこういうふうに八%も、もう諸物価で苦しめられている国民の希望をよそにして上がってしまうということになれば、当然こういったところにも多少の配慮を考えていかなければならぬのじゃないかという国民側、消費者団体の考え方というのも当然の話です。  そこで、いろいろな意見がありましょう。それは、古米について格差をつけたら、古米だけまた残ってしまうのじゃないかという意見を言っている人もありますね。それから、まぜて売るとしても、それじゃどうも納得できないという議論もありましょうが、いまの国内産米が大体三つに分かれていますね。内地米と徳用上米あるいは徳用米と三つに分かれております。したがって、やはりほとんどの古米が内地米でしょうけれども、そこに格差をつけるとするならば、徳用上米あるいは徳用米と一緒にして古い米は考えていく。それは食管赤字は多少出てくるでしょうが、毎年毎年ストックや繰り越しがあるわけですから、当然そこにそれだけの赤字は当初から見込んで——これがふえたり減ったりということは、ストックの問題がありましょうから考えていかなければならぬのでしょうけれども、そういうふうにしていくならば、ある程度それは国民の食生活というものを、食糧庁というのはよく加味した考え方だともいえると思うのです。食糧庁だけできめるわけではなしに、大蔵省、財務当局とも考えなければならぬですが、そういった考え方でやはり古米に格差というものを考えていくという基本的な考え方がないものか、それを伺っておきたい。
  208. 田中勉

    田中説明員 繰り返すようでございますけれども、現段階におきましての私のほうの繰り越し米についての品質上の認識は、先ほど申し上げた観点において操作をしてまいりたいと思っておるわけでございますが、何ぶんにも二度のつゆ越しということを避ける方向でいろいろ操作をいたしましても、やはりその時点になりますれば、現実に配給できるかどうかというような問題も出てくるわけであります。そうなった場合に、そのつゆ前後等におきまして、やはりいま先生御指摘のございましたように、普通の米と同じような売却価格では売れないというようなことが、私は事態としてはあり得るというふうなぐあいに考えておるわけでございますが、その場合に、一挙に徳用の上というようなものになにするかどうか、これは一つの例示的に御指摘いただいたと思うのです。要するに、ほんとうの意味の格差をつけた配給操作というようなものを、やはりある時点等においては、その量のいかんにもよりましょうけれども、そういうことを考えざるを得ないじゃないかという御指摘だと思います。私どもも将来の問題といたしまして、そういう事態等も十分頭に置きながら、現時点においては、新、古米というようなものについて格差を設ける考え方は、現在のところではとっておりませんけれども、しかし、今後いろいろ配給をやっていく上におきまして、時期の問題においてそういうような問題にぶつかるというようなことは、当然私どもも想定していかなければいかぬ、こういうように考えております。
  209. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それはいますぐの問題ではと言っておりますけれども、ちょうど値上げのそういうふうな時期に来ておりますし、やはりそういうふうなたくさんのストックがあるということがいま問題になっているわけです。およそ物の価値から考えていって、やはり古いものと新しいもの、特に食料品に関してはそうでありますが、米はそのまますぐ変わるというものではありませんけれども、生鮮食料品なんかについては、これは朝と晩と値段が違うというように変わっております。そうじゃなくても、ほかのストック商品にしても、ある時限が来るならば、これを古いとして衛生法の上から表示をしたり、いろいろなことで廃棄にしたり、あるいはまた値下げをしたりというふうなことは、これは当然考えられるべき問題です。ですから、やはり古米自体についても、これは当然そういう考え方を持っていくべきではないかと思うのです。ただ、味があまり変わりませんからといって——それはわれわれは古米と新米と並べて食べたときに、これは古米である、これは新米であるというようにすぐわかるというわけにはいかないでしょう。しかしながら、やはりそこに科学的にいっても、多少脂肪分が落ちるとか、あるいは保管してあったためににおいがついているとか、いろいろな格差が出てくるわけですね。ですから、その格差に対して、値段的にも格差を考えるということは当然だ。本年のように新、旧米を一緒にして、一つゆ越して二つゆ越さぬようにということで、これから来年三月まで古米を一生懸命配給するということではなくて、新旧一緒に配給していこうということではなくて、そこに格差をつけたものを考えてやっていくということは当然じゃないか。  そうすると、いま言ったように、古米と新米というものを二つに分けて、これは古米、これは新米、どっちをお買いになりますかといったら、これは気分的に新米を買うにきまっている。だから、徳用上米のほうに一緒にしていく。やはりそれには格差があるわけですから、そういう考え方でやっていくべきじゃないかと思うのです。それは当然いま言ったものの考え方の理論からいっても、これは早急にそうすべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。いまの国民の意見としては、それはそういう値上がりの中で一つの問題にはなっておりますが、しかし、物の価値観から考えてみても、多少そこに値段の差異はつけるのがほんとうではないのか、こういうことはいえるわけですね。その点、将来においてはと言っておりますけれども、今度の値上げは、新旧米同じ価格で上がっていくというところに一つの問題があるわけですね。理論的にいっても、それだけの一つの矛盾というものがある以上は、その間には多少の格差をつけていくという消費者側に立った行政、国民の側に立った、一つの国民の意をくんだ考え方というものが、行政の上にもあらわれてこなければならぬのじゃないか、そういう考えからすると、新旧米一緒の値段で今度値上げしていくという考え方については、いま各方面から相当強い意見があり、あるいは米審の委員さんの中にも、この問題については非常に激しく論議がなされております。当然食糧庁としては、その考えを持って財政当局とも折衝して、国民の側に立った食糧需給をやっていくということをひとつ私は強調申し上げておきたい。よろしいでしょうか。それに対する一つのこれからの決意といいますか、考え方最後に承って終わりにしたいと思います。
  210. 田中勉

    田中説明員 やはりこういう制度の中において、ものをどういうぐあいに位置づけていくか、たとえば繰り越し米あるいは新米、それからうまい米、まずい米、こういうことにつきましては、制度の中においてそれを非常に積極的に取り上げようといたします場合においては、制度そのものの運用というものは、やはり画一的な方式にならざるを得ないという一つの伝統的なそういうあれがあるわけでございますが、何ぶんにも膨大な繰り越し米を持っているわけでございます。結局は、これがほかの用途にいくわけではなくて、やはり消費者大衆の口にこれが入っていかなければならぬ米でもございます。十分その米の持ち味を考えながら、やはり歩どまりの低下で対処していくべき時期にはそれはそれで対処していく、それから格差問題でこれを取り上げなければならぬというような時期においてはこれを格差問題で取り上げていくというような考え方で進めざるを得ない、こう思います。
  211. 広沢直樹

    広沢(直)委員 納得できませんけれども、時間がありませんので以上でやめて、またこの次にこの問題についてはやります。
  212. 毛利松平

    毛利委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会