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小山参考人 ただいまの御
指摘のとおり、現在となってみますと、非常に膨大な
貸し金、そしてまた、膨大な
預金が集積したということに対して、毎度繰り返しますが、
管理が甘かったということをはっきりここでおわび申し上げる次第でございます。ただ、現在から見ますとそうなんでございますけれ
ども、当時の
状況におきまして、先ほどの
先生の御
質問の
——これは小さなことだからどうでもいいのでございますが、先ほど私が申し上げました三十七年から
取引を持っている人の
紹介というのは、私の表現がまずかったので、三十七年に初め十四年来の
優良取引先からの
紹介でまず
山田という者の
取引ができたそうでございます、
調べてみましたら。その後一ぺんとぎれまして、三十九年に
取引が再開した、かようになっておりまして、これはたいしたことではございませんが、いずれにいたしましても、そういう先なんでございます。
まず、
山田個人の
信用問題でございますが、これがいま思うというと、全くわれわれ
ども甘い誤認に基づいていたということを申さざるを得ないのでございます。ただ、そういうことはございますが、
山田という者の
信頼が絶大であって、仰せのとおり、当時小さな
兵庫支店あたりとしてみたら、飛び切り最有力の
優良得意先、しかも純
預金先ということでもって強い
イメージアップが行なわれていたのが当時の
状況だったわけでございます。
しかしながら、御
指摘のとおり、非常に大きな金を急激に取り上げたのは一体どういうわけかということでございますが、まず
最初に
貸し金を取り上げましたときも、これは
不動産業者でございますので、どういたしましても、比較的金がかさむのでございます。そのかさむ場合に、まず第一にわれわれ
どもとしては
担保ということを、先ほど来るる申し上げましたとおり
考えまして、その
担保の適切ということについてまず吟味いたし、そしてまた、その相手方が
信頼すべき人であるかどうか、そしてさらにまた、その
貸し金の
用途というものの
公共性ありやいなや、そしてさらに、これは
銀行の
採算の点でございますが、
貸し出しのルートというものはどうあるべきか、そしてまた、その
貸し出した
資金、あるいはその
用途というようなことで、地域の大衆にもしこの
資金が浸透、密着ができ得るということになれば、それだけわれわれ
どもお
得意先もふえるというような、これは
銀行の
採算上の問題というようなことでこれを取り計らいました。したがいまして、
預金があるから、そしてまた、
預金が非常にどんどん入ってくるから瑕疵ある
ところの
融資をしたというような事実は、いま省みましてもなかったと信ずるものでございます。ただ、先ほど申し上げましたとおり、非常にこれが膨張いたしまして、そしてまた
預金も非常に膨張して、そしてまた、
貸し金に対してはもう十分な
担保はあるのですが、それ以上の
預金がいただけるということは、いわば
銀行といたしましては、
恩恵による
ところの
預金というような気持ちで優良なありがたい先だという
観念が非常にきつかったわけでございます。ただ、
考えますことは、ここにだけなぜそんなに
恩恵が集中するのか。悪くすると、そういういわば労力を費やさずに一人の
ところにだけ有利な
恩恵が集まるということは、変な惰性を起こしやしないかというような問題をむしろわれわれ
どもとしては
考えて、
支店に対してあまりピッチを上げるということはどうかと思うというような
態度に出た。
そしてまた、当時の
情勢からしますと、
山田なる人は親譲りの
山林を非常に持っていて、そしてこれを売買して非常に資産を持っているのだ、
他行にもたくさん金がある。したがって、これは
税務対策上の問題としてよそには預けてあるのだが、その
預金を持ってくるのが、こいつは自分の名前にはできないというようなことで、いわば
関連預金というものも形成され、その
関連預金というものは当初からしばらくの間ずっと
山田個人の、まさに彼が言明しているとおりの正体の
預金であるというふうにわれわれは誤認していたわけでございます、いま思いますと。さような
状態でございますので、決してだれからかの圧力とかいうことによってこれが
融資を取り上げたのではなくて、はなはだどうもいま申し上げるのは
弁解がましくておかしいのでございますが、当時の
状況での
山田という者への絶大なる
信用を持っているという
支店の
イメージアップ、そしてまた、これは優良な純
預金先なんだというような
イメージアップ、そういったものが次第次第に
貸し金の
増加並びに
預金の
増加を来たしたと思います。
くどいようでございますが、ただいま申し上げたような時点でもって
不動産鑑定士にもう一ぺん
本部から
実施調査、
担保の
調べ直しをいたさせましたが、先ほど申し上げたような
状態で、まずまず
貸し金の
基本態度には間違いがなかったということで安心をしたわけでございますが、いずれにいたしましても、
貸し金の
態度はそうであっても、それに付随した
ところの
預金というものが、当時はどうもうちだけ
恩恵が多過ぎるという気がいたしましたが、いまいろいろな問題になるようなこれが
預金であったとは、ごく最近
山田が逮捕されるというようなことになって、初めてだんだんと彼の手口というものはなるほどこうであったかというようなことに思い当たったわけでございます。