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1968-10-31 第59回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月三十一日(木曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員   委員長 堂森 芳夫君    理事 鹿野 彦吉君 理事 神田  博君    理事 野田 武夫君 理事 岡田 利春君    理事 多賀谷真稔君       大坪 保雄君    大竹 太郎君       佐々木秀世君    中垣 國男君       渡辺 惣蔵君    小平  忠君       大橋 敏雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  委員外出席者         通商産業省鉱山         石炭局長    中川理一郎君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 長橋  尚君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部計         画課長     佐藤淳一郎君         通商産業省鉱山         保安局長    橋本 徳男君         通商産業省公益         事業局長    本田 早苗君     ───────────── 十月三十一日  委員篠田弘作君、廣瀬正雄君及び田畑金光君辞  任につき、その補欠として大竹太郎君、中垣國  男君及び小平忠君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員大竹太郎君、中垣國男君及び小平忠君辞任  につき、その補欠として篠田弘作君、廣瀬正雄  君及び田畑金光君が議長指名委員選任さ  れた。     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(石炭対策基本問題等)      ────◇─────
  2. 堂森芳夫

    堂森委員長 これより会議を開きます。  今般鉱山保安局長に就任されました橋本局長より発言を求められておりますので、これを許します。橋本鉱山保安局長
  3. 橋本徳男

    橋本説明員 このたび保安局長になりました橋本徳男でございます。全く未熟者でございますが、あらん限りの力を出しましてこの保安問題に取り組んでいき、従業員はもちろんのこと、一般国民の期待に沿うべく最大の努力を払ってまいりたいというふうに考えておりますので、よろしく御指導のほどをお願いいたしたいと思います。     ─────────────
  4. 堂森芳夫

    堂森委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  5. 堂森芳夫

    堂森委員長 速記を始めて。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭対策基本問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  6. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣出張どうも御苦労さんでした。あなたが帰国をされてから植村石炭鉱業審議会会長とお会いになりましたか。
  7. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まだ会っておりません。
  8. 岡田利春

    岡田(利)委員 会っていなければ会っていないでけっこうですが、通産大臣は、私の質問に対して、会っていないということをこの際確認をいたしておきます。  近く会う予定がございますか。
  9. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 別にまだ予定を立てておりません。
  10. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣は、去る七月の末に石炭鉱業審議会に対して、石炭長期安定策について諮問されたわけです。とのときの諮問趣旨についてもう一度この機会にあらためて承っておきたいと思います。
  11. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 石炭鉱業全体の立場から生産、流通その他経営体制全般にわたって根本的な再検討を行なうことをお願いしておるわけであります。
  12. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、当時すでに石炭産業あり方について各界意見がそれぞれ出ておったわけです。それは大臣も御承知のように、公社あるいは集中一社化、また地域三社あるいは第三者機関、いわゆる植村構想、こういう各界、各層から、石炭産業あり方についてすでに意見が出されておったわけです。いま述べられた趣旨の中でこれらについても十分検討して、しかる上に石炭長期安定策をぜひ答申してほしい、こういう趣旨諮問されたと思いますが、間違いございませんか。
  13. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そのとおりでございます。
  14. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣石炭鉱業審議会諮問したということは、石炭鉱業審議会、この機関に対して政府として諮問した、こう理解してよろしいわけですか。
  15. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 政府として諮問しておるわけです。
  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭鉱業審議会は三次にわたる答申をいままで行なってまいったわけです。今回答申が行なわれれば、第四次にわたる答申になると理解をいたしております。そういたしますと、審議会の性格でありますが、私は政府石炭鉱業審議会諮問したということは、石炭鉱業審議会独自性というものを尊重し、厳格に認めておる上に立って諮問した、こういうふうに理解をいたしておるのです。私のこの理解について大臣はどういう見解ですか。
  17. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 もちろん審議会は自主的なものとして考えております。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日の石炭鉱業審議会は、いま大臣が認められたようにその独自性が尊重され、しかも審議会が自主的に答申をするという体制にあると大臣認識をいたしておりますか。
  19. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そのとおりです。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣は、諮問されて審議会審議をしておる経過については重大な関心を持たれておるものと私は思うわけです。この審議会審議経過、今日の状況経過状況について大臣はどういう理解をいたしておりますか。具体的に説明願いたいと思います。
  21. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まだ最終的な結論に達しておりませんので、その経過等について一々私も通報を受けるという立場に立っておるわけではありません。いろいろ審議を進める上において、各般にわたって調査を行なっておるようでありますから、ときどきその調査要点等について政府にある程度感知されることがございますので、大体の経過はこういう程度かというぐらいの認識は持っておりますが、その経過についてそう聞こうとも思っておりませんので、詳しい経過は私も承知しておりません。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは大臣心外ですね。これだけ問題になっている非常に重要な産業政策の問題で、しかもこの点については、一般国民向けには報道機関を通じて具体的に報道されておるわけです。大臣が知らない、報告を受けてないという形で済まされたというのは、私はどうも理解できないわけです。それを大臣が言うようにわからないのであれば、私はこれ以上質問できないです。当然その点は事務当局なり関係者から報告を受けて自分理解すべきじゃないですか。理解ないとすれば、ひとつ休憩をして事務局からよく聞いて答弁を願いたいと私は思うのです。いかがですか。
  23. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 要点については経過を了解をしたつもりでおりますけれども、一々責任を持って、こういう段階にあるとか、だれがどう考えておるとかいったようなことについては、まだ私はそう詳しくは承知しないのです。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 質問関係がございますから、大臣が知っている範囲でひとつ説明願いたいと思います。
  25. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それはもちろん知っている範囲においてお答えしたいと思います。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 それはまるっきり知らないという意味じゃないですか。それでは大臣に何を質問してもどうにもならぬじゃないですか。もしわからないなら、委員長どうですか、休憩をしてもらって、十分事情を聞いてもらわなければ全然質問になりませんよ。答弁できないならば、ひとつそういう点を委員長のほうでお取り計らい願いたいと思います。
  27. 堂森芳夫

    堂森委員長 暫時休憩いたします。     午前十時五十七分休憩      ────◇─────     午前十一時開議
  28. 堂森芳夫

    堂森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行したします。岡田利春君。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日、石炭鉱業審議会は小委員会を設けていままで検討を進めているわけです。しかも小委員会は、小委員会なりで検討しているのであって、総合部会も開いたことがございませんし、報告されたこともないわけです。こういう点について大臣は全然報告を受けていない、また知らないということは私は納得ができないわけです。連日新聞紙上ではこの問題を取り上げて報道いたしておるわけですから、諮問した大臣としてもこの点について一体どういういきさつになっているのか、どういう点が問題なのか、どうして時間が長くかかっているのか。私の質問に対しては、大臣は、八月を目途として答申を受ける、このように当委員会説明をいたしておるわけですが、もうすでに十一月になんなんといたしておるわけです。ですから、当然その問題点についてはどういう点が一体いま重要な問題として議論が出て答申ができないのか、こういう点について——知らないということになりますと質問できませんのですが、この点はどう考えられておるのですか。どう理解されておるのですか。
  30. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 小委員会の一々詳細な経過については私も報告は受けておりません。しかし要点だけは大体了解しておるつもりです。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 どの点を了解されているのか私には一向見当がつきませんけれども、では、具体的に若干の問題を聞きます。  いま、この石炭鉱業審議会審議過程の中で、特にあなたの直属の部下である熊谷次官は、との石炭審議過程についてたびたび重大な発言をしておるわけです。もちろん新聞記者会見の公式の席上でも、その分かれている意見、出されている意見について一応の自分理解のしかた、考え方、こういうものを積極的に述べられている。あるいはまた、熊谷試案などという構想というものが提示をされたりしている。この内容については大臣御存じですか。
  32. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 熊谷君が一体どういうことを考えておるか。熊谷案というものがいわれておるらしいのですが、熊谷案なんというものはないですよ。それから、個々の記者会見でどういうことを言っておるか、一々私存じません。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、大臣諮問されて、その審議過程で、あなたの直属の、しかも次官である熊谷氏がこの審議過程について発言されておることについて承知をしていない、こう大臣は言い切るのですか。
  34. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 記者会見でどういうことを言っているか、一々私は知りません。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 熊谷次官から大臣審議会審議過程についての報告を受けたことがありますか、ありませんか。
  36. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 鉱山石炭局長と一緒に大体の経過を少し前に聞いたことがあります。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 もちろん大臣に対する報告ですから、重要な問題点について私は報告したと思うわけです。その場合の報告はどういう点が報告されましたか。
  38. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まだとにかく固まっておりませんので経過報告なんですが、まあ分離問題であるとか一般的に再建方法ですね、そういったようなものについて小委員会の現在の進捗状況、そういうものを聞いたように考えております。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 その聞いたように思われるという大臣答弁、どうもあげ足をとって恐縮ですけれども、これでは全然私どもは、聞いたのか聞かないのか——確かにそういう点について聞いたのか、ぴしっと言ってもらわなければ、大臣、困るのです。
  40. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは内部の次官局長から私が聞いていることを一々——これは家庭内の問題なんで、それのどの点をお聞きになろうとするのですか。とにかくいろいろなことを言って相談することがあるのです。その内容を言えと言われたって、それは一々覚えてもおらぬし、またこういう席で次官大臣がどんなことを話したということは、あまりたいして国政関係のある問題ではないと私は思います。
  41. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は国政に重大な関係があるから聞いているのです。先ほど大臣確認をしましたように、大臣審議会独自性、こういうものについてはほんとうに尊重しているのだ、こう言われております。ところが、どうも通産省の最近の動向を見ますと、審議会独自性というものは尊重していない、そういう問題点として熊谷次官発言がある、あるいはまた原局である鉱山石炭局のいろんな問題、作業についてのいわば審議会独自性を無視をする、無視している動向関係があるから国政上重大問題ですよ。だから私は聞いているわけです。そうお思いになりませんか。少なくとも第三次にわたる国税をつぎ込んで石炭産業というものを安定しようとしてきた。これが失敗して第四次の答申を得ようとして大臣諮問されているわけです。その答申が延びてきわめて政治問題化しておることは間違いない事実でしょう。だから、私どもはこれに対して関心を払うことはもう当然といわなければならないわけです。そういう立場から私はあなたに対して質問をいたしておるわけです。一々覚えておられないことを聞いておるのじゃないですよ。これは大臣として覚えておられなければならない点は何であるか、こう聞いておるわけなんですから、そういう角度で私は受けとめてもらわなければならないと思うのです。  では、通産大臣は、審議会が独自に、独自性を保ちつつ今日石炭答申について審議されておるとあなたは認識されているのですか。
  42. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 その点は、私は、審議会独自性を持って審議をしておる、その審議を私はいま待っておるのです。との独自性を侵すとかなんとかということは毛頭考えておりません。
  43. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日、原局である鉱山石炭局で、この石炭の問題についていわば政府ベース通産、大蔵でこの問題について相当突っ込んだ話し合いが持たれて、その上に立って一応の考え方というものが積極的にまとめられておる。また、そういう中で、積極的に石炭鉱業審議会意見を述べている。いわば、通産原案なるものは、大臣出張前から出張後に至るまで、これはしばしば報道されておるところでもあるわけです。この点については、大臣は御承知ですか。
  44. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういうものはあり得ないです、通産原案なるものは。ただ審議過程において必要ないろいろな資料を求められておるその資料を作成して提出するとか、あるいはまた口頭で述べるとか、そういうことはございます。これはすべて審議会要請によって役所がいろいろな資料を提供しておるというにすぎない。でありますから、いわんや審議会向こうに回して、こっちが対等の地位において一つの案をつくるというようなことは、これは絶対にあり得ない。
  45. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、通産試案というものはないとおっしゃるのですか。そうしてまた、熊谷事務次官が、通産案植村構想に対して、折衷的な熊谷案というものを示した。こういうこともあり得ない、なかったということですか。
  46. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 絶対にあり得ません。
  47. 岡田利春

    岡田(利)委員 では、いままでの報道関係報道されておることは、これはすべて偽りである、捏造であると大臣は考えますか。日本新聞はいままでの過程について、ずいぶん積極的に取り上げて報道いたしておるわけです。これは偽りでありますか。
  48. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 どの新聞がどういう報道をしておるか、一々存じませんが、そういうものはあり得ない。
  49. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、「通産省における新石炭政策」と題して、その基本的な方向あるいは具体的な対策について、これはもう公に報道されておるわけです。われわれもその報道を通じて動きを実は知っておるわけです。こういう点については一切ないというわけですか。
  50. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 でありますから、審議会要請に基づいて資料を提供したことはあるが、審議会向こうに回しての石炭再建策に対する通産省の案というものは、少なくとも今度の審議会諮問した問題についての対抗した意味試案というものはあり得ないし、またありません。
  51. 岡田利春

    岡田(利)委員 では若干具体的に聞きます。  石炭政策方向として、石炭企業に対して八百億程度肩がわりをする、しかもその企業経理内容は、いわゆる第二会社部門、旧石炭会社勘定部門、それから新しく石炭政策以降の面については石炭部門経理、こういう三つの経理部門で、今後の企業経理内容というものをチェックする。こういう考え方について、大臣はお聞きになっていますか。これは鉱業審議会からこういう点について考えろということで、通産省ではまたそういう資料をつくったのですか、いかがですか。
  52. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 石炭会社勘定部門というものを一応分けて考えるという思想は、諮問委員会の中に有力な人の意見としてあったことは承知しております。
  53. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 関連して。先ほどの岡田委員質問に対する大臣答弁について、通産試案なるものはない、こうおっしゃっておるけれども、昨日の日本経済新聞の夕刊に、「石炭再建通産試案なる」こういう見出しで次のように書いてある。「通産省はこのほど石炭鉱業再建策について、石炭鉱業審議会事務当局としての立場試案をまとめ、植村会長はじめ関係者との折衝にはいった。」これは一体どういうことですか。試案はできた、こう書いてある。
  54. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 新聞にどう報道があるか知りませんが、さような事実は私は承知しておりません。また、審議会に対等の立場試案なるものをつくるということはあり得ないことであります。
  55. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 事実あるじゃないですか。いままでの審議会あり方と、今度は全然違いますよ。まさに審議会会長植村さんと事務当局試案が対立した中で折衝されておる、こういうばかげた審議会あり方がありますか。現実に、じゃ、新聞はうそですか。この記事は間違いですか。間違いなら間違いと言ってください。
  56. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私は真相を伝えておるものではないと思っております。
  57. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 真相を伝えておるものではないということは、新聞報道はあやまちである、こう断定していいわけですか。
  58. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 どういうように言いましても同じかと思いますが、とにかく真相を伝えたものではない。
  59. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、通産省試案というものはない、通産省ではそういう案を取りまとめたことはない、こう理解してよろしいですか。
  60. 中川理一郎

    中川説明員 私ども審議会事務局という立場を持っておりますので、現在の審議は小委員会中心にして行なっておりますので、小委員会の各種の意見につきまして、小委員各位がお持ちになっている政策目標と申しますか、こういうことを考えたい、こういうことをやりたい、これをやる方法論をひとつ事務局として行政の立場で考えてみてくれ、こういう御下命を受けまして私どもが案をつくることはございます。それからまた会長も同様でございますが、こういう角度で、たとえば先ほど岡田委員のお話ございました分離問題について、会社の分離を強制的にといいますか、半強制的にやらせるという形でなくて、同じような効果、これは全く同じではありませんけれども、似通った効果をあげ得る考え方について、何かくふうをしてみないか、どういう一般的な方向指示をされまして、それを受けて私どもが行政的な立場での準備をいたす、御意見に従ったものとして考えればかようなものが考えられるかもしれませんというようなことを申し上げることはしばしばあるわけでございます。いま大臣がお答え申しましたように、それをもって通産省案が固まったとか、通産省案があるとか、こうおっしゃるのであれば、それは事柄の真相を伝えるものではない、われわれの意見を申し上げておるのではなくて、御希望に従って私どもが行政的に用意をしておる、こういうことでございます。
  61. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ぼくは従来審議会事務当局として各官庁が作業した作業状態とは違うと思う。あなたのほうは総合的にまとめた試案をつくっておるのではないか。こういうような仮定の場合にはこういう結果になりますよということを事務当局がつくることはあり得る。しかし、ばちっとまとめて総合的な一体のものとして通産省審議会に出し、それで折衝している、現実に。そうして、植村さんはこれに対してこういう点が不満だ、こう言っている。とんなあり方はないですよ。いままでの審議会事務当局作業とは全然違う。体系的なものを、総合的なものを試案として出しておるじゃありませんか。大臣、どうですか。
  62. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それならば、審議会なんか設ける必要はない。
  63. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣、あり得ないと言うけれども現実にあり得るじゃないですか。知らないのは大臣だけじゃないですか。あり得るじゃないですか。現実に折衝しておるじゃないですか。次官も入って、あっせんするとか調整するとかやっているじゃないですか、現実に。こういう審議会審議されて。答申されるものは、審議会の案じゃないですよ、政府の案ですよ。根本的に審議会は間違っている。大臣諮問した趣旨とこれは違っています。そういう中から出された答申——石炭関係者やそういうものに対して全然不在の中で審議をされている。一方的に政府ベースで進められている。審議会をつくった理由がないではないですか。これで出される答申日本石炭産業の運命をきめるわけです。これは審議会を、諮問を取りやめたらどうですか。新しい審議会でやったらいかがですか。国民は納得しませんよ。重大な不信感をいま持っています。そういう中でこれからの石炭政策というものは進められていかないと私は思うのです。どうですか、大臣
  64. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それは事実の真相を伝えるものではないと、さっきから申し上げておる。(「事実を伝えておるのだ、新聞のほうが。」と呼ぶ者あり)そんなことはない。
  65. 岡田利春

    岡田(利)委員 あなたはそう再三言い切りますけれども、事実は報道されたとおりに進行いたしておるじゃありませんか。何も今回の総合的な試案だけではないですよ。事実は、いままで新聞報道したとおりに進行しているじゃありませんか。この事実は大臣はどうお思いになりますか。あなたは事実を伝えておるものではないと言いますけれども、その報道されておるとおりに作業は進行しておると認識されませんか。
  66. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう認識をいたしません。真相をあくまで正確に伝えるものじゃない。
  67. 岡田利春

    岡田(利)委員 正確に伝えていなくても、そうなっていくんですよ、事実は。なっておるわけですよ。大臣がそう理解されていないとすればどう理解されていますか。それを否定する根拠がありますか。根拠がありましたら示していただきたい。
  68. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう事実があることをむしろ疑っておるので、初めからそういうことはあり得ないし、ない。
  69. 岡田利春

    岡田(利)委員 あなたは常に事実は報道されていない、こう言うんですよ。報道されておるとおりに事実は進行しておるではありませんか。だから、報道されておることは事実を報道しているということになるわけですよ。それがあなたは事実ではないと言うならば、いままでの審議過程でこういう点が事実と違っておるではないかという根拠がありますか。そういう根拠を示さないで、ただことばで事実を伝えてないと言うことは、これはマスコミを侮辱することもはなはだしいし、また、国民を愚弄することもはなはだしい。そうであるならば——そういうものを中心にして、いま石炭関係者は不安を持っているし、産炭地は動揺しているわけです。こういう動いている石炭産業現実の姿をあなたは一体どう理解されているのですか。事実がないと言うならば、いままでこういう点では事実がなかったじゃないかという根拠がありますか。根拠を示すことができますか。この点はっきりしてもらいたい。
  70. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 小委員会審議過程においてどういうことが行なわれたか、一々その事実を私は知っておるわけじゃない。すべて諮問してそうしてその答申を待つという形にいまなっておりますので、その審議過程において、先ほど局長から言ったように、いろいろな資料の取りまとめをするということはあり得ると思いますが、全くこっちのほうから答申案を出すなんという、そんなばかげたことはありません。
  71. 岡田利春

    岡田(利)委員 植村会長から求められて資料をつくっているならば、私ども何も言わないわけです。しかし、いま通産省作業を進めておるのは、石炭答申の総合的な体系的なことについて、全般にわたって通産省試案というものが出ているわけです。ですから、単に資料をつくっているのではないわけですよ。いまだこういうケースはないわけです。だから明らかに通産原案植村構想の面では対立をして、むしろ植村会長説得に回っておるのが通産省じゃないですか。こういうばかげたことはないわけですよ。いままでの審議会でこういうことがありましたか、大臣。これだけ報道されているのですから、何ぼ大臣——日本新聞を読まないで外国の新聞ばかり読んでいる方かもしれませんけれども、あなたは気にかからないで夜寝ることができるのですか。こういう体系的なことを総合的に資料として出した例がありますか、審議会として。大臣は長い間大臣の経験があるわけですが、こういう点についてあなたはどう思われていますか。
  72. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう、諮問をしておるものがこっちのほうから答申を出すなんて、そんなばかげたことはありません。聞いたこともない。
  73. 岡田利春

    岡田(利)委員 ばかげた、ないことが現実に進行しているわけです。大臣はこれに対して調査をし、そういう点があれば改めるように、むしろ積極的に指示をすべきじゃないですか。そうすべきですよ。その意思がありますか。
  74. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう事実がないのですから、その問題を究明する必要はない。
  75. 岡田利春

    岡田(利)委員 あなただけですよ、事実がないと言っているのは。事実は、こう最終的な段階まで進行していると、われわれは、われわれの情勢判断なりいろいろな関係の情報なり報道を通じて、そう理解しているわけです。あなたとは天と地くらいの差がある。こういう不信をわれわれは持っているわけですよ。また、それは産炭地域住民、あるいはまた炭鉱に働いている労使、さらにそれを取り巻く消費者関係にそういう不信感があるわけですから、そうであれば、大臣はその不信感を積極的に除去すべきだと思うのですよ。そうでなければ、答申を受けても、この答申というものは、非常に国民から偏見で見られる答申になると私は思うのです。そういう事実はあるわけなんですが、不信感なら不信感を除去するために、大臣はそういう点について解明すべきだと思うのですが、積極的に解明する意思はありませんか。
  76. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう事実がないのですから、私はその事実があるという前提に立つことはできない。真相を伝えるものじゃないのですから……(発言する者あり)どうしてそれなら事実だ。ただ新聞報道するから事実だと言われるなら、これは新聞はいろいろ間違いもありますよ。思い違いもある。
  77. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣、これは記者がかってに取材してかってに報道している内容ではないわけですよ。通産省のつくられている資料がコピーされて新聞記事に載っているのですよ。通産省自身でつくった資料からコピーされて、これが新聞に載っているじゃありませんか。それでも事実はないですか。いかがですか。
  78. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それは真相を伝えたものじゃない。
  79. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産省原局でつくられた資料がコピーされて新聞にそのとおり載っているのです。一字一句違いありませんよ。別にこれは取材して書いた解説記事じゃないのです。通産省でつくった資料をそのままコピーして全文が報道されているのです。それでも事実ではないですか。
  80. 中川理一郎

    中川説明員 私どもがどういう原本を持っておってそれをだれがどういうふうにコピーしたとおっしゃるのか私にはわかりませんけれども、また審議会の、審議会と申しましてもこの場合は小委員会でございますけれども、小委員会審議がかなり大詰めに近づいておることも事実でございます。大詰めに近づいておるということは、それぞれの項目につきましてかなり議論が終わったものが多いということでもございます。終わったものを整理して事務局としていままでの御議論あるいは結論を得たもの、結論を得ていないもの、そういうものについて数案を準備していままでの議論の整理をいたすということはいかなる段階におきましても絶えず私どもはやっております。そういうものをどこからか、だれかが手に入れてこれをもって通産案だ、こうおっしゃるのであれば、そこは大臣が申しましたように真相とは全く違います。委員会のいままでの審議結果というものを整理取りまとめるということは事務局の仕事でございますから、きのうの日経のものがそのどれのどれに該当するのかということを私は言う必要もない、申し上げる筋合いでもないと思います。そういう整理をいたしておくのは審議会事務局としての当然のつとめでございます。
  81. 岡田利春

    岡田(利)委員 しかし大臣は、この国会の本委員会石炭問題がしばしば議論されてこの議論の中から石炭長期安定のために石炭鉱業審議会諮問されたわけです。しかもその過程の中で通産省通産省として資料をつくった、こうあなたは抗弁をされておりますけれども、しかしいまわれわれが得ておるいろいろな角度からの資料から見れば明らかにこれは通産省当局、植村会長意見が対立をして、意見が対立しておる過程でそれ以上進んだ案をつくるというのは何ごとですか。行き過ぎじゃありませんか。審議会無視じゃありませんか。植村さんの考え方を示している範囲において資料をつくるならけっこうですよ。それと全然違った案が、構想がすでにでき上がっているのではありませんか。この構想がすでにもうでき上がっておるわけですよ。そういうことを植村さんが求めたのですか。そういう事実があるのですか。
  82. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いま局長から話したように、委員会としても相当煮詰まっておって、だれがどういうことを言ってだれがどういうことを言って、結局どういうふうな大勢に落ちついたというようなものを、もしも整理する意味においてやっておるとすれば、これは植村案に対する対抗案としてこちらから押しつけたというようなことは全然あり得ないことなんです。またそういうことはありません。
  83. 岡田利春

    岡田(利)委員 では、小委員会というのは何回開かれたのですか。四月からもう半年になるのですよ。いつといつ開かれておりますか。
  84. 中川理一郎

    中川説明員 ちょっと正確なことは記録を持っておりませんが、六回ないし七回開いたと思いますし、そのほかに秘密会という形で、フルメンバーでなくて会長がお入りになった会議は何回もいたしております。
  85. 岡田利春

    岡田(利)委員 九月以降何回開かれていますか。
  86. 中川理一郎

    中川説明員 正確には記憶しておりませんが、少なくも四、五回はやっておると思います。これは先ほども申しましたようにフルメンバーではございません。
  87. 岡田利春

    岡田(利)委員 それは審議会で承認した小委員会ではないじゃないですか。審議会の付託は、小委員会として審議をすることを総会では承認した。そういう変則的な運営を審議会は権限を与えていませんよ。いかがですか。
  88. 中川理一郎

    中川説明員 それを小委員会とは私は申しません。
  89. 岡田利春

    岡田(利)委員 では小委員会は九月以降開かれてないということになるじゃないですか。
  90. 中川理一郎

    中川説明員 一回はありました。
  91. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣、あなたが諮問した鉱業審議会は、その総会において小委員会で一応の委員会試案をつくるということについて承認をいたしたわけです。あなたは八月中に答申ができる、こう言われておる、しかも九月、十月、この二カ月間を経過して小委員会というのは一回より開かれていないわけです。こういう審議方法が正しいと思いますか。大臣はそういうことを期待して審議会諮問したのですか。いかがですか。
  92. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 一々これが総会でございます、とれが小委員会でございますといって集まって結論が出るようななまやさしいものではないのです。でありますから、小委員会というメンバーがそろっておって、そしてこれが小委員会でございまして何日の何時から始まって何時間やりましてとうなりましたというような、そういう紋切り型で進行ができるようなものなら非常にやさしいのです。問題はまだまだ込み入っている。でありますから小委員会と銘を打たぬでも、フルメンバーでなくともいろいろ話をして、そうしてそれならわかったというようなことで、そうして最後に小委員会を開いてこうこうきまった、こう言えばいいのであって、一々どうもそういう判こで押したような小委員会を開くというようなことを私どもは期待してない。
  93. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣はそういうぐあいに審議会というものを理解しているのですか。先ほどは私の質問に対して審議会独自性というものについて尊重している、こういう答弁がなされた。しかるに非常に問題が多くてなまやさしいものじゃないと大臣が言い切るならば、何がなまやさしいものじゃないんですか、何が問題点なんですか。そう大臣答弁として言い切る以上、なまやさしくない問題点は何ですか、どう理解されておりますか。
  94. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それはあなたがよく御存じだろうと思う。これだけの大がかりな日本石炭再建をどうするかということは、これは決してなまやさしい問題ではない。私よりあなたのほうがよく御存じなはずです。
  95. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は別に行政関係関係いたしておりませんから、公式に話を聞いたことはないわけです。だから私どもはそういう意味で当委員会審議会会長の出席を求める、しかし審議過程だということで一応御遠慮をする、そういう事態は過去にございました。一番問題点は、何といっても石炭関係する多くの人々に対して不信感を払拭をしなければならない。また産炭地住民に対するいたずらなる不安を与える、あるいは炭鉱に働いている人に動揺を与えて離山ムードというものが深刻化して労働力が不足になっていく、いなめない事実としてあるわけです。だから、もし大臣がそう言い切るならば、そういう理解であるならば、当然これらについては慎重の上にも慎重に扱うべきなのにかかわらず、私に言わしめるならば、むしろある意味ではプレスキャンペーンの傾向すらあるんではないか、私はこういう受けとめ方をしているのです。日本の一産業の問題の方向をきめるのにこういう経過をたどって、しかも不信感の満ち満ちた中で答申を求めるとしても無理ではないか。そういう点については、むしろ答申案はこの際もう少し時間をかけてやるべきではないか。国際的にエネルギーの方向は静かに変わりつつある、こういう情勢をも加えられてきている。したがって、当面、来年度の予算上必要な中間答申だけをすみやかに求めて、少なくともわが国の出炭規模に関する問題や基本的な石炭産業あり方についてはもう少し時間をかけて議論すべきだ、あらゆる面から議論をして対処すべきだ、私はこう思うのですが、大臣は、そういう意味では、中間答申を求めて、とりあえず来年の一年間の予算をきめて、方向をきめて、もう少し時間をかけてこの問題について十分議論をしてもらうという、そういう意図はございませんか。
  96. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 さなきだにきわめて不安定な状況石炭業界は置かれておりまして、そのために、こう言っている間でも非常なマイナスを重ねておるのではないか。でありますから、一日も早く石炭業全体に対して一応の最終案である、そういったような安定感を与える必要があるのでありますから、これを中間答申で、そしてあとのことはすべて懸案として残しておくというようなことでは業界の安定感がますますくずれていく、こういうふうに考えますので、それは非常に困難なやり方ではないかと私どもは考えております。
  97. 岡田利春

    岡田(利)委員 当初大臣答弁されましたように、再編成問題で各界各層から出ている構想については、十分これを含んでそれぞれ検討する、そういう中で結果として一つの答申を得るんだ、こういう趣旨であなたは諮問されたわけです。では公社化、一社化、第三者化、植村構想というものについてどれほど掘り下げて検討したのですか。もし掘り下げて検討したとするならば、その検討した結果による問題点、メリット、デメリットの問題、こういう問題点について明らかにされておると私は思うわけです。十分検討されたとするならばその点について、これは大臣でなくともけっこうですから、事務当局から説明願いたい。
  98. 中川理一郎

    中川説明員 いま御質問の点に関しましては、小委員会は先般きわめて熱心かつたんねんにいろいろな構想についての審議をなさいました。小委員会の結論が出ましたならば、その検討結果についての見解を申し述べられることだろうと思いますけれども、まだそこまで至っておりませんので、結論の出てない間で諸構想に対する評価をここで申し上げるということは不適当だと思います。検討は十分なさいました。
  99. 岡田利春

    岡田(利)委員 現在審議をされておる方向というのはもう定まっておるんじゃないですか。そういたしますと、いま私が申し上げましたものについては当然審議されて、これはとらないものであるという前提があるからこそ、現在審議されておる方向審議内容も進んでおるのだと私は思うのです。これから戻って審議をするなんというばかげたことはあり得ないと思うのですね。それはさか立ちの議論ですよ。そうであるならば、当然こういう点については非常にいい点がある、こういう点については非常にまずい点があるということが、それぞれ委員間において認識をされて、整理をされた上で、今日の作業が進んでおるものと理解するのが当然だと思う。そうであるならば、こういう点についていま一応審議会過程としてはこうなっております、こういう問題点でありますという程度のことは言えると思うのです。これはもうすでに労働団体と通産省の接触の過程の中で、そういう問題点が文書で出されているじゃありませんか。私それを見てがく然としたのですよ。しかるに、この国会でそういう点について述べられないというのはどういう意味ですか。
  100. 中川理一郎

    中川説明員 いまの体制問題について小委員会で十分なる検討をなされ、それからさらに先の問題を検討されておりますので、このことについてはかなり結論に近い印象を小委員会としてはお持ちだと思いますけれども、これは最終的に小委員会が御結論をお出しになるまで、私ども立場から申し上げるということは不適当であろうと考えております。
  101. 岡田利春

    岡田(利)委員 事務局答弁がそうでありますから、七日に当委員会を開催するということを先ほど理事会できめたわけです。もちろん理事会ではからなければなりませんけれども、この終了後、七日の委員会審議会のメンバーを参考人として呼ぶことを理事会として協議をしてもらいたいということを委員長に要望しておきます。
  102. 堂森芳夫

    堂森委員長 承知しました。
  103. 岡田利春

    岡田(利)委員 では次に、現在の一応の方向として私どもが聞いておる点について重点的にお聞きしたいと思います。  特に、これからの石炭産業の政策は原料炭中心である、もちろん原料炭が大事ですということは私どもは十二分に承知いたしております。その原料炭中心であるという考え方でありますが、原料炭というのは一体何なんですか。何をさして原料炭というのですか。そうしてまた何がゆえに原料炭が中心であって、一般炭は中心ではないという根拠に立つのですか。この点についてお聞きいたしたいと思います。
  104. 中川理一郎

    中川説明員 まだ審議過程でございますので、原料炭というものをどういう定義でもって考えていくかという細部まで、もちろん定めておるとか議論をされておるというふうには考えておりません。  参考までに現在の仕組みで申しますと、増加引き取り交付金制度においては、高炉用の炭に限定いたしまして、増加引き取り交付金を交付しております。これは引き取り証明のあったものについて原料炭として処置をいたしておるわけでございます。ただ、しかし、原料炭は鉄鋼用だけではございませんで、ガス用等もございますので、もっと広い概念としてとらえることはもちろん可能でございます。今後の助成策において原料炭と一般炭との格差を設けるかどうかということにつきましては、ただいま申しましたように、審議会でも結論を得てはおりませんけれども、かなりの面において原料炭に重点を置きたいという御意見が多いということではございます。  なお、統計的なとらえ方から申しますと、石炭統計年報による原料炭と申しますものは、コークス製造の原料に使用できるものであって、粘結性があり、かつ、灰分、硫黄分、燐分の少ないことが要件となっております。
  105. 岡田利春

    岡田(利)委員 政策の立て方として原料炭中心である、こういう方向が定められておるわけですが、これは国際的な原料炭の供給事情、価格の動向についてはどう理解されますか。
  106. 中川理一郎

    中川説明員 鉄鋼中産関係から申しますと、国内の原料炭というものは、審議会の論議は別といたしまして、もし、一般的にお答えいたすのでございますならば、私どもはかねがねこの相当量を確保するということについての努力はする必要があると考えております。この原料炭の海外ソースというものが限定されておると、それからこれらの海外資源につきましても、やはり労働状況その他から、長期的に見ますと価格というものが上がる可能性があるということ、それらの点を考え合わせますと、国内の原料炭というものはやはり相当努力をしてもこれを確保する必要があるのではないだろうか、こういう感じを持っておるわけでございます。
  107. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、この原料炭は確保しなければならない。原料炭の定義についてはいま述べられたわけですが、問題は硫黄分と灰分の問題、これが私は重点になると思うわけです。そういたしますと、わが国の一般炭といわれておる石炭でも相当程度原料炭に向けることが可能である。しかも、いま局長が述べられたように、海外の供給事情あるいはまた価格の動向から考えて、こういう点については当然検討されなければならない問題だと思うわけです。したがって、脱硫ができる、あるいはまた灰分が〇・七%以下の場合には原料炭に向けることが可能であるとするならば、厳格な意味において原料炭、一般炭という区別がないのではないか。むしろ国際事情からいえば、一般炭を原料炭に回す、原料炭化するということをむしろ日本の場合には考えるべきではないか。当然答申をする以上、出炭規模に関連をするとするならば、こういう重大な問題が解明されないで政策がきまるということは基礎的な条件をすでに逸している、こう私は理解をするわけです。それと同時に、もう一つの問題は、原料炭と一般炭のコストの差というものは地質上、炭層の成層条件、あるゆる面から検討して、現実企業としては差があるけれども石炭を掘るということについては変わりはないわけです。むしろ石炭の歩どまりから考えれば、原料炭のほうがはるかに一般炭よりは歩どまりがいいわけです。そういう面では能率アップでは一般炭のほうが非常に苦しんでおる、非常に歩どまり事情が悪いというむしろギャップを持っておる。こういう面から考えると、石炭政策としてこういう角度から考えると、一般炭と原料炭の差をつけるということは成り立たないのではないか、こう私は理解するのですが、この点についてはどういう認識を持っておりますか。
  108. 中川理一郎

    中川説明員 一般炭のコークス化というものにつきましては、これまで工業技術院、資源技術試験所や石炭技術研究所等で研究をされてきております。その主要な方法として予熱法と加熱成型法の二つがございます。こういうことである程度の小規模実験が完了いたしておりますけれども、なおこれを実用化するには相当の努力が必要であるという状況でございます。したがって、一般炭を原料炭化するという努力は政策努力としては今後も十分に進めるべきだと考えておりますけれども、もし、政策として一般炭と原料炭とに差をつけるということでありますれば、これは現実に原料炭として使用されておる状況で考えるよりほかないのではないか。この技術的な追求の結果を待ってから政策をやるということでは考え方が逆になるのではないか。むしろ原料炭にメリットがあるということで、一般炭の原料炭化への努力が推進されるということになるのではなろうかと思います。  なお、第二点のコストの問題でございますが、御承知のように原料炭が単味で出ているという状況ではございませんのでなかなか比較はむずかしゅうございます。ただ、一般的に申しますと、原料炭を産出する炭鉱は、一般炭の生産をしております炭鉱に比べましてメタンガスの湧出量が多うございます。かつ自然発火の可能性が多いのでございます。このために、一般的に申しますならば、原料炭の産出炭鉱のほうが一般炭の産出炭鉱よりコストが高くなる傾向にございます。こういう状況でございます。これをやや詳細に申しますと、昭和四十二年度のガス抜き量、自然湧出ガス量の合計というものは、原料炭の産出炭鉱ではおよそ出炭トン当たり七十五立方メートル程度でございますが、一般炭のみを生産する炭鉱ではおおよそ出炭トン当たり三十立方メートルということに相なっております。また採掘あとの密閉個所というもので見ましても、おおむね前者につきましては出炭十万トン当たり四カ所という数字に相なっておりますが、一般炭のみの産出鉱におきましては三カ所というふうなことになっております。代表的な原料炭の産出炭鉱でございます夕張と大夕張、二子の三炭鉱の平均コストは、四十二年度トン当たり四千七百七十円でございます。一方、代表的な一般炭のみを産出する炭鉱、茨城、幌内、太平洋というものの平均コストをとりますと、トン当たり三千三百七十円でございます。この設例がよろしいかどうかは問題のあるところではございましょうけれども、約千四百円差と相なっております。
  109. 岡田利春

    岡田(利)委員 原料炭の問題についていま通産省局長説明をしましたけれども、そういう理論の展開というものは、逆に能率アップの面では一般炭のほうが能率アップしやすい、原料炭の場合にはしづらいということを証明したものである、こう私は理解するわけです。そういたしますと、戦略的に確保する原料炭の能率アップはむずかしくて、まあどちらかといえば戦略的な目標に置いてない一般炭のほうが能率アップが可能であるというようになると私は思うのです。先般参議院で中川局長は、あくまでも客観的に日本石炭の現状を見て、エネルギー資源の一つであるとすれば、十分活用できるかを目標に考えたい。石炭に大きな期待を持つことは不可能になってきている。決して撤退論を言っているのではなく、石炭が今後のエネルギー資源の中で占めるべき地位について考慮しているだけだ、こう言われております。しかしエネルギーに占める比率というのはどういう理解をするのか。たしか昭和六十年度になれば一〇%を切る。五千万トンでもそうなっていく。これはエネ調ですでに出しておるところです。では、現在火力発電所で発電をされておるわけですが、この面における石炭の比率は、石炭によってどの程度の電力が今日発電されておるか、こういう点について中川局長は御存じでしょうか。
  110. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  四十二年度の実績でまいりますと、全発電量の中で火力が六八%になっておりますが、石炭火力はそのうちで二六%、五百四十万キロワットアワーとなっております。
  111. 岡田利春

    岡田(利)委員 電力事情から見れば、これは現在の水力発電の総量よりも石炭火力の総量のほうが多いわけですよ。一次エネルギーのバランスで見て一〇%以下になるという、こういう単純な理解ではいかぬのです。今日の電力事情から判断いたしますと、石炭火力の持つウエートというものはかなり大きいわけです。しかもこれは、石炭が一〇%以下になるとは違って、六十年になっても五千万トン体制でいけば、このウエートはそれよりはるかに高いわけです。しかも、水力の場合には調整用でありますから、総発電量としては石炭のほうが多いわけです。日本の全水力よりも石炭火力のほうが多いわけです。そういう点で、エネルギーに占めるウエートを過小評価するということは、ほかの局ならいざ知らず、石炭局がそういう理解をするということは、根本的なあやまちをおかすのではないか、こう私は思うわけです。私どもの推計では、今年の十二月から来年にかけて、電力事情の危機とはいいませんけれども、相当深刻な状態がくる。現実に、石炭火力発電所はフルに運転をしておるけれども石炭の供給が間に合わない。来年の八月は石炭電力の危機ではないか、こういわれているわけです。こういうサイドからの検討というものは十分なされておるのかどうか。なされておるとすれば、どういう点が検討されておるのか。こういう点について所見を承りたいと思います。
  112. 中川理一郎

    中川説明員 これから先の石炭産業を考えます場合に、一般炭につきましては、先生も御承知のように、一般産業需要というものが逐次後退していくであろうことは非常にはっきりした事柄だと思います。暖厨房用炭はまだしばらくは相当のウェートは持つのではないかと思っておりますけれども、どうもそれもすでに減退する徴候が出てきているのではないかと思われます。そうなりますと、私ども石炭の出炭規模を小さくすればそれでいいんだというふうに考えておるものではございませんで、なるべく可能な限りこれを再建して維持をしたいと考えておりますので、一般炭の需要先としては電力用の需要というものを大宗として考えるということにおいては、決してこの電力用需要を過小に見たりこれに期待をかけてないということとは違うわけでございます。ただ、原料炭と違いまして、電力会社から見た経済的な燃料源の選択という問題がございますので、この間の調整は十分はからなければならないと考えておるだけでございます。
  113. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はそういう平面的な理解について納得できないわけです。なぜかなれば、いま申し上げましたように、石炭火力の占める役割り、ウェートは先ほど数字が発表になったとおりです。それと同時に、いま火力発電所で一番問題になっておるのは、御存じのとおり、亜硫酸ガス公害対策の問題です。先般美濃部知事と木川田東電社長の間でサルファ分についての調整をした。この中に木川田さんは、石炭火力をたく、しかもサルファの少ない石炭をたくことによって二・五以下に押える。積極的にそういう石炭の役割りを木川田・美濃部会談の中で示したことは御承知だと思うのです。特に北海道の一般炭のサルファは〇・二から〇・四です。脱硫しなくても石炭と油の混焼、石炭車焼、この公害問題はこれによって解消できるのです。そういう積極的な役割りを石炭局がむしろ積極的に評価しないで一体どこの局が評価するのでしょう。さらにまた、現在設置されておる石炭火力がもし二十年なら二十年、十五年なら十五年、これを新しい施設に更新をしなければならぬという場合に、この地点に石油専焼の火力を設けることができるでしょうか。公害対策からいっても、ユニットからいっても、おそらくそれは求めることはできないでしょう。私は、そういうエネルギーの総合的な見地に立って石炭の果たす役割りをむしろ開発をすべきではないか。むしろ外国のそれぞれの関係者のほうが、なぜ一体日本石炭を粗末にするんだろう、そういう長期的なエネルギー展望の中でむしろ石炭の果たす役割りを積極的に開発をしていく、こうなるわけです。おそらく通産省が考えておる程度のものであれば、逆にサルファの多いところだけが残るのじゃないですか。代表的な炭鉱としては三池炭鉱でサルファ三%。あるいは松島炭鉱といっても、これは原料炭から一般炭に大きく変わってサルファが多い。現実に公害対策でこれらは問題になっているわけですよ。そういう意味では、いま通産省検討している内容を仄聞すれば、むしろそういう役割りを果たし得る石炭の主産地である北海道の炭鉱のほうがむしろスクラップ化されていく、こういう傾向になるわけです。今日のエネルギーを取り巻く客観的な条件からいえば、まさしくさか立ちといわなければならない。こういうあらゆる点について一体検討されておるのですかどうですか。私はあまりにも石炭サイドだけで考えていき過ぎて、そういうあらゆる条件についてはあまり検討されていない、こう理解するわけです。こういう点は十分検討されていますか、いかがですか。
  114. 中川理一郎

    中川説明員 いま石炭に御造詣の深い岡田先生の御意見でございますので、三池が要らないということをおっしゃっておるのではないと思いますけれども、三池の炭でありますとか、あるいは常磐の炭にいまの公害上の非常なデメリットがあることは御承知のとおりでございます。私どもも、これらがもし長期的に再建可能であると考えますならば、こういうサルファ分の多い一般炭と混炭の相手になるサルファ分の少ない一般炭の産出量というものについての配慮は十分いたさなければならないと思っております。事実小委員会におきましても、三池の相手先というものの議論はかなり行なわれておることを申し添えておきます。
  115. 岡田利春

    岡田(利)委員 三池炭鉱というのは、これは世界でも有数な炭鉱であり、わが国の炭鉱の主力をなす炭鉱で、出炭量から見てもこれからの石炭の政策に大きなウエートを持つから、当然これを考えないで石炭政策は成り立たないわけです。そうしますと、いま局長が言われたようなことは一般論としてはどっちでもいいわけですよ。しかし石炭政策を立てるにあたって、では流通関係を一元化するという考えがあるのですか。そういう点についてそれがスムーズにできる体制をつくるという検討がなされておるのですか。私は一向に聞いていないのですが、いかがですか。
  116. 中川理一郎

    中川説明員 どうもまだ小委員会の結論が出ていないときは、その結論の予想についていろいろ御質問がなされまして、たいへん恐縮なのですが、私どもお答えしにくいわけでございますけれども、流通合理化という意味合いの検討も逐次進められております。
  117. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はいままで当委員会でもしばしば議論してまいりましたけれども、流通間にはさまっている商社、特に中小商社の場合若干問題があっても、天下の商社が石炭のさやかせぎをしなければならぬというばかな話はない。天下に名だたる商社を経由しなければ大手炭鉱の石炭を納められないものがある。この石炭を放置して石炭政策は成り立たないと思うのです。また国民は、そういうことを解明しないで税金を出すことは納得しないと私は思うのです。こういう点はむしろ積極的に勇断をもってやるべき問題なのにかかわらず、あまり手を触れない。私はこういう傾向を非常に残念に思うわけです。だから、いまやっているようなことであっては、ぜいぜい二、三年もったら、またどうするかということをやらなければならぬことになるでしょう。非常に残念ですけれども、私はそう認識せざるを得ないわけです。小委員会の結論が出ていないということなんでありますけれども、こういう点が詰められて、いわゆる石炭の位置づけ、こういう客観的な条件というものが十分検討されて、石炭の果たす役割りを開発していく、こういう姿勢を今日の石炭局が持たないで、これはだれもやってくれないわけですよ、観念的に撤退論を言っておるわけですから。あまりにも観念的ですよ。まして今日の国際的なエネルギー動向、こういう事情、あるいはまた日本のエネルギーに対する海外の識者等の意見を聞いても、今度の場合には非常に危険性を持っている、このように私は痛切に実ははだでもって理解をいたしているわけです。何がゆえに炭鉱を開発して、炭鉱というものをどう一体ある程度積極的な面で維持をするか、こう考えるべきであって、消極的な面で撤退をするという思想は私は理解ができないと思うのです。窓口整理などということがいわれておりますけれども、こういう点は議論としても詰まったのですか、一番肝心なところですが、まだ残っているのですか、この点知っている範囲でお聞かせ願いたい。
  118. 中川理一郎

    中川説明員 まだ残っております。
  119. 岡田利春

    岡田(利)委員 日本の炭鉱で、極端にいえば再建炭鉱というのがあるわけですね。そして再建資金を出し、また坑道掘進補助金を出し、安定資金を出している炭鉱があるわけです。こういう政策がいままで展開されてきたわけです。しかし単位炭鉱としては、たとえば山が三つあり、四つあり、二つある。単位炭鉱としてはこれを果たす役割りがある。また単位炭鉱としては骨格坑道の深さがある。あるいは地域に暖房用とかその他の供給面からも十分果たす役割りもあるし、これを見詰めていかなければならない。むしろこの立て直しをしていかなければならぬという面があるわけです。いまの管理炭鉱の中にもあるわけです。企業自体がやっていけないといって、これを閉山してしまうということは重大な国家の損失だと思うのです。こういう点については心配ありませんか、こういう点はやはり議論されておるところですか、お伺いしたい。
  120. 中川理一郎

    中川説明員 山を単位として考えるという問題、これがいつの場合でも考えなければならない問題でございます。同時にやはり企業を単位として考えるという問題も以前とは違いまして、昨今は特に大きな問題になってきているわけでございます。むしろ苦慮をいたしておりますのはその二つの調整、かね合いをどう考えるかということであろうかと思いますし、小委員会の議論毛まさにそういうところで行なわれておるわけでございます。
  121. 岡田利春

    岡田(利)委員 まさに議論されておるのはけっこうでありますけれども、そういう単位炭鉱が国策上企業とともに運命をともにすることは、先ほど来から述べてきた見地から言って、これは絶対にすべきではない、こういうばかげたことは絶対やるべきではない。なぜかなれば、いまわれわれは石炭企業を救済するという立場ではないわけです。日本石炭産業の果たす役割りを位置づけをして、そして積極的な役割りを果たさせるべきである。いわゆる石炭産業という全体の立場に立ってこれを見詰めているわけです。国民会社に、それぞれの私企業に税金をどんどん出すことを理解はしていないわけです。そういう積極的な位置づけや果たす役割り、こういうものを認めるから、石炭産業というサイドの中で政策というものを立てるならば、これはやはり国家の政策上容認せざるを得ないだろう、これが国民の気持ちだと思うのです。こういう立場に立たないで、抜本策とか最後の案だとか言っても、これは全然話にならぬわけです、おのおのの見方、考え方がさか立ちなんですから。こういう点は、考え方についてはそういう産業政策のサイドから求めて初めて国民理解するのだということを、特に私は痛切にひとつ感じてほしい。そういう点を積極的に理解するように努力されなければならない。こう思うわけです。そういう点について、特に私はこの機会に考え方を述べて強調しておきたいと思います。  では、私は、もう一つの積極的な面として、原料炭という事情が先ほど来から説明されておりますけれども、いま有明の問題を度外視して石炭答申はなされないと思う。すべきではないし、この問題は当然ある意味では解明されなければならない問題だと思う。解明される状態にありますか、検討されておりますか、そういうことが議論になったことがありますか、お聞きしたい。
  122. 中川理一郎

    中川説明員 有明炭鉱は有望な原料炭の埋蔵地域でございまして、そこでの開発が進められておったわけでございまして、政府におきましても新鉱開発資金融資制度によりましてその開発を促進してきたのでございます。しかし開発工事の進行に伴いまして坑内の湧水が非常に増加しまして、そのため開発工事を一時中断することとなったわけでございます。これに対しまして政府は四十三年五月、石炭鉱業審議会の専門委員による調査団を派遣いたしまして、湧水の原因等について一応の調査結果を得た次第でございます。これによりますと、災害についてはなお長期的に今後の湧水量等について調査する必要があると指摘されておりますので、有明炭鉱においてさらに湧水量の現場調査を実施中でございます。企業としては、この結果を待って今後の開発を継続するかどうかについて判断を下すのではあるまいかと思っております。
  123. 岡田利春

    岡田(利)委員 企業としての判断だけにゆだねて、戦略的に原料炭を中心とした最後といわれる石炭答申というものができるものでしょうか。わが国最大の残されておる原料炭の山です。単なる企業の判断にゆだねるだけでよろしいのでしょうか。それが石炭の抜本策といえるのでしょうか。その点の見解はいかがですか。
  124. 中川理一郎

    中川説明員 どうも先ほど来のことで、小委員会についての御質問なのか、私に対しての御質問なのか、はなはだ答えにくいのでございますが、もし私に対する質問ということでございますならば、やはり開発の主体である企業の判断というものを無視して政府がものを考えるというわけにはいかぬのではなかろうかと思っております。
  125. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣から諮問された石炭鉱業審議会が、こういうものに触れないで素通りしようとする審議会自体が、抜本策を審議する資格があるのでしょうか、こう言いたいのです。そういうことが素通りされて、日本の最後といわれる——力んで最後最後と言っていますけれども、そういう答申ができるのでしょうか。審議会の諸君がほんとうにそういう点についてはどういう気持ちで審議をしているのか、私は非常に不満なんです。そういう点はむしろいままでの石炭政策から出てきている問題ですから、こういう素材こそあなたのほうから積極的に出して解明していかれるべきではないか、いままでの政策でずっと来た問題なんですから。なぜ出さないのですか、出す意思がありますか。
  126. 中川理一郎

    中川説明員 どうも私ども何か申しますと意見を押しつけておるということになりますし、いまの有明の問題を小委員会に問題として提示してよろしいということでございましたならば、もちろん私のほうから出します。ただ小委員各位は有明の問題は十分御承知でございます。
  127. 岡田利春

    岡田(利)委員 最近通産省石炭の持つ面をいろいろ解剖しておりますけれども、どうもその解剖のしかたがやぶ医者ではないか、こう私は思います。たとえば鉱区の問題について、最近の通産省のものの言い方というのは非常に間違っておるのじゃないか。鉱区の調整は部分的に行なってきたからもう当面、ここ十年なら十年心配はないという答弁をされる。石炭の構造というのは十年、二十年先を見通して坑道設計なり骨格構造を定めなければ取り返しがつかないわけなんです。炭鉱というものはそういうものなんです。そういう角度から見れば当然鉱区なんていうのは、各社を調べると簿価で三井、三菱といわれる大企業であっても財産としては三千万以内ですよ。年産二百万トン出す炭鉱でも簿価としては百万円ないんですよ。むしろそういうものを切り売りして、トン当たり百円なり二百円なりつくようなコスト上、その買収価格を払わなきゃならぬような石炭設備をやって、何が抜本策ですか。何が税金をもって石炭をささえるという面で国民理解させることができるのですか。こういうものは、もう事実上掘れないのですから、無償でむしろ単位炭鉱当たり採掘可能のものについてはやって、調査をするなり、坑道展開をその展望においてさせるべきじゃないですか。そういうことをやらないで、限定してとにかく近視眼的にものを見ていこうという問題は、もうメリットがないんだ、こう言われていることについて私は納得できないわけです。これは、いずれあなた方が調整すれば結局は買収代金を払わなければならぬ。安いといったってトン当たり百円ぐらいになるでしょう。いま百円のコストを下げるためにたいへんな苦労をしているのですよ。こういうことをやらないで、長期的な石炭安定策とか、いわゆる抜本的な再建政策を含む石炭政策検討とは言えない。あまりにもそれを固執するならば石炭を知らなさ過ぎる、こう私は考えるわけです。この点特に私はこの機会に強く意見として述べておきます。いずれ具体的に解明をいたしたいと思います。  そこで最後に、三千五百万トンは、昭和四十八年になれば三千五百万トンまで縮小せざるを得ないという、確定はしていないけれども、その方向が一応示されていることは、これは否定できないと思うのです。三千五百万トンの場合では、三千五百万トンの内訳はどうなるのですか。原料炭、一般炭、原料炭に付随する一般炭、どういう数字になりますか。
  128. 中川理一郎

    中川説明員 結論は出ておりませんので、仮定の問題としてお答えしますが、三千五百万トンの場合でございますと、原料炭千二百万トン、電力用一般炭二千百万トン、その他一般炭二百万トンという数字であったかと思います。
  129. 岡田利春

    岡田(利)委員 この場合、原料炭炭鉱から付随して出炭される一般炭は幾らですか。
  130. 中川理一郎

    中川説明員 大ざっぱな話でございますけれども、大体原料炭と同じと見ておりますので、千二百万トン随伴炭があると思います。
  131. 岡田利春

    岡田(利)委員 原料炭が千二百万トン、付随する一般炭が千二百万トン、合計二千四百万トン、あと残りは千百万トンです。だからそういう場合には、一般炭の炭鉱が年間千百万トンまで縮小されていくのですよ。そういうことになるわけでしょう。仮定の場合ですけれども、純然たる一般炭より出さない炭鉱の生産規模は千百万トンになるのだ、そういう意味でしょう。そうなるとどういうことになるのですか。現在の一般炭の炭鉱の産炭地域はたいへんなことになりますよ。千百万トンは、現在の一般炭の総出炭量の何%を占めておりますか。
  132. 中川理一郎

    中川説明員 数字の問題がありますので計画課長からお答えさせます。
  133. 佐藤淳一郎

    ○佐藤説明員 四十三年度の計画で申し上げますと、全生産四千七百万トン計画しておりますが、そのうち原料炭が千三百万トンでございまして二七・八%でございます。
  134. 岡田利春

    岡田(利)委員 今年千二百七十万トンの原料炭の目標でしょう。そうすると一般炭が千二百七十万トン原料炭で山で出るということでしょう。そうすると二千五百四十万トンですか、一般炭はさらに二千二百万トン程度出ているわけでしょう。千百万トンに三千五百万トンの場合なるというのですから、純然たる一般炭より出ない炭鉱は半分にするということでしょう。その場合、そうなるでしょう、どうですか。
  135. 佐藤淳一郎

    ○佐藤説明員 大体そのようなふうになると思います。
  136. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣たいへんな問題ですよ。三千五百万トンという場合は、原料炭の山はいざ知らず、これはフィフティー・フィフティーに原料炭に随伴して一般炭が出るわけですから、そうなると一般炭の炭鉱は半分にするということですよ。半分にするということはどういう意味になるか、常磐が二百万トンちょっと出すと仮定しますと、釧路炭鉱が三百五十万トン出るのですよ。これでもう五百五十万トンから六百万トン近い石炭にそこだけでなるのです。ですから産炭地住民や炭鉱に働いておる人々が、こういうことがどんどん報道されるといかに動揺するかということはきわめて当然なのです。わかるのですから、きわめて重大なのです。特にその主力は北海道に向けられていることは当然産炭構成からいえば理解できるわけです。どんなに頭の悪い人でもさっと計算すると出てくるわけですよ。まだ最終的なまとめはないと言われますけれども、ましてこれら一般炭の炭鉱の存在している地帯を詳細に単位炭鉱別に調べていきますと、この地域のほとんどは産炭地振興対策の不可能な地帯、木を植えるよりしかたがない。一方において重油専焼火力がふえていくけれども公害問題が起きる。そういう地帯の石炭はサルファ〇・二で公害対策上まことに有益である。むしろサルファの多い山のほうがビルドアップ炭鉱、広く炭鉱が存在している。これがわが国の炭鉱の現状なのですよ。こういう角度から理解する場合に、私は現在の出炭を、どんどん生産を高めていけという暴論は言いません。しかしながら国民総生産が西ドイツを追い越して、資本主義の国では第二位になった。その西ドイツすらも一億一千万トン程度石炭を確保している。イギリスにおいては一億六千万トン程度石炭が確保されている。まして過密が進んでいく日本のエネルギー事情からいえば、電力もまた当初予想を上回る伸び率から見れば、そういう石炭の果たす役割りというものがあるわけです。こういう点、われわれが政治ベースで、政策的に慎重に考えないで、石炭の最後の対策だ、そしてもし、仮定とは言われておるけれども、その方向現実に実践化されていけば、二度とこれは復活することが不可能なんです。そういう立場にあるものが資源産業の特徴なんです。だからきわめて重大問題であると指摘をしているわけです。いままではスクラップ・アンド・ビルドです。今度はスクラップ・アンド・スクラップなんです。重大な石炭政策の質的な転換の岐路に今日立たされている。いままでのいかなる答申の場面よりもきわめて深刻な、重要な立場に立たされている、こういう認識を、大臣は、私といま具体的な質問のやりとりで深められたと私は思うのです。この点について所見を承りたい。
  137. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 お説のとおり、この出炭規模をどうするかということはきわめて重要な問題であり、産業自体のみならず、社会問題としても相当重大な問題であることを了解いたしました。
  138. 岡田利春

    岡田(利)委員 同僚委員がおりますから、私も終わりますけれども、こういう点が国民の納得できるように解明されないで、従来の第一次−第三次答申の感覚で、惰性で今度の答申が出されるとするならば、まことに迷惑しごくであるし、また国家的利益からいっても重大な問題といわざるを得ない。この点については、特に私はそういう点を強く指摘をいたしまして——もちろん、どういう答申がなされるか、いずれ閣議決定の段階もあるでしょうし、最終的な方向がきまるまでは時間がございましょうけれども、少なくともこれを担当しておる通産大臣としては、こういう点が解明されないで石炭政策がきまるということは、これは何と言っても国民から見て納得ができない。しかもいままでの石炭政策を進めた関係者から納得のできない答申を出しても石炭は安定しません。私はきょう労働力の問題についても意見を述べたいのですが、時間がありませんから省略いたしましたけれども、この点を特に、厳に通産大臣として十分受けとめて、慎重な対処をしていただきたいということを強く要望いたしまして、終わりたいと思います。
  139. 堂森芳夫

  140. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ごく簡単に一、二点質問いたします。  大臣答申がなされた後、閣議決定は総裁選挙後の新しい内閣と新しい自民党の三役でおやりになるのでしょう。
  141. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そうなるおそれがあります。
  142. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 結局、大きな政府の政策を決定するわけですから、やはり新しい与党の三役ができて、そうして新しい内閣ができて、そうしてこれを四十四年度の予算編成前に決定をする、こういうように理解してよろしいですか。
  143. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 四十四年度の予算に反映させるという目標は、これは必ず堅持してまいりたいと存じます。
  144. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大臣、おそれありますという話ですが、大臣の気持ちもこれだけ大きな問題であるから、やはり新しい総裁とその三役、さらに新しい内閣で決定をされる、こういうように理解をしてよろしいと思うわけですが、そこで私が先ほどからの質疑の中で、結局これは通産、大蔵の両官僚がつくった作文を審議会の名において答申をするという感じしかないわけです。そしてそれは第三次答申のあやまちの轍をまた踏もうとしておる。第一、この伝えられるところのものはビジョンがないじゃないですか。全然ビジョンがないですよ。ただしりぬぐいだけでしょう。
  145. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ビジョンというのはどういう意味かよくわかりませんけれども、とにかくこの石炭産業の現状を放置することは大問題である。これを再建をやりまして、そして石炭資源を国家の利益に乗せてこれを活用する、こういうねらいでございます。
  146. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 御存じのように、ドイツはいよいよ一月一日から新会社発足ということをいっております。あるいは事実は三月くらいになるかもしれないといわれておりますが、もうすでに二十九社の二十七社はルール炭田の一社に参加するということを表明をしておるわけです。そしてルール炭田は一社の管理会社の下に七社が統合をされる。これだけドイツは同じ自由主義の国でも新しい前進を開こうとしておるわけです。日本の場合はなぜ個別企業の救済にばかり重点を置くのか。どこにこだわっておるのか。一体どこがドイツと違うのか。現実に同じ時期に審議をされて、すでにドイツではそういう方向を見出しておる。これについてどう考えるのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  147. 中川理一郎

    中川説明員 先ほど来繰り返しておりますように、審議会の小委員会がまだ結論を出しておりませんので、審議会の小委員会に関しまして何かお答えするということは不適当かと思います。私どもだけの感じでございますと、ルールの状況日本の炭田分布の状況とはかなり違うのではなかろうかという感じを持っております。非常に狭い範囲のところに多数の鉱区がふくそうしておるわけでございますので、そういう意味でのあの個所の企業の統合ということは、十分に意味のあることだと私どもも評価をいたしております。日本の場合にもそういうものがございましたならば、それはその限りにおいて十分に考えていくに値することだと考えております。
  148. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 確かにルールの場合は一カ所ですが、日本だって北海道、九州、あるいは小さくいえば筑豊炭田とかあるいは石狩炭田とか、大体炭田は集約されておるわけです。ですからそれは逃げ口上でしょう。ルールの場合は、実際は統合して合併をしておるのは七つですね。その上に管理会社が一社ある。なぜ日本はできないのか。同じような発想で論議をしておるのに、なぜこんなに違うのか。私は実はそういう点が不可解でならない。そしてまた同じ赤字救済の企業救済をやろうとしておる。この前も、第三次答申の失敗として、あれは企業救済に終わったから産業政策でなかったということは大臣も言ったし、局長みずからも言ったでしょう。新局長が前の政策を批判して、あれは企業救済であった、こう言ったでしょう。データがでたらめであった、各企業から出してくるデータが違っておったのが根本的な政策の間違いだった、こう言った。速記録にありますよ。私が委員長をして、あなたがだれかの質問に答えて、ちゃんと書いてある。この轍をまた同じように繰り返そうとどうしてしておるのか。こういう点が、石炭政策を幾らやったって前進しないゆえんです。しかも、今度再び赤字救済をやろうとしておる。いま金融機関の救済も、市中銀行はわりあい担保をとっているでしょう。あとから貸した開発銀行とか合理化事業団が担保をとっておってもそれは価値が少ない。結局は大蔵省の役人がしりぬぐいをするために、自分の責任回避のためにやっている手段じゃないかと思う。こちらではいままでの債務返済という形で出ておる。返る金は結局は国に返るのですよね。たらい回しをやっておる。もしそれが焦げつきになれば責任者が出る。責任者が出ないために結局政府の公的金融機関のしりぬぐいをやっているのじゃないか、こういうふうにしかこのシステムは考えられない。結局大蔵省と通産省がなれ合いで、全然前進をしない政策をやっている。われわれはこれらの答申が出ても、審議会がつくった答申とは考えない。君たちにそれだけできる能力があるならば、なぜ初めから審議会にかけたんです。私は、大臣はいろいろ表向きの話を言われるけれども、実際は十分知っておっておやりになっているのだろうと思う。大臣、もう一回、あなたはいままでの政策のあやまちを繰り返そうとしておるのですか。
  149. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 りっぱな審議会ができておりますので、これをあくまで信頼して、エネルギー革新といわれるこの現在の情勢下において、日本石炭資源をいかに国のために活用できるか、その方法いかん、こういうことを諮問しておるわけでございまして、役所がかってに案をつくっておるのではございません。そしてこれらの専門家は、外国の事情もつぶさに調べて十分に頭の中へ入っている。でありますから、外国の事例は外国の事例であり、日本日本でやる。その日本石炭資源活用のためにどうすればいいかということをせっかくいま専門家が頭をしぼって考えておるのでありますから、それに信頼して、私はその答申を待っておる、こういうわけであります。
  150. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 審議会審議をしているのじゃないのですよ。役所が審議をしている。ですから、先ほどから言うとおりであります。審議会の名前を借りておるだけですね。隠れみのにしておる。この前木村官房長官にわが党が抗議の申し入れをしたところが、隠れみのでなくてもう破れがさになっているという実態がはっきりしてきた。事務当局がやっておるということをはっきり認めましたよ、長官は。ですから、公の席でこういう話はしたくないけれども、要するに事実行為はそういう方向に行っている。しかも何ら展望もない。私の一番心配しておるととは、あなた方は三千五百万トンという数字を仮定とはいいながら、お出しになったけれども、四十八年に三千五百万トンという数字にはならない。初年度、千数百万トンになる。初年度、減産が起こる。四十八年度に三千五百万トンということを打ち出せば、初年度起こりますよ。もうすでに御存じのように昭和四十二年を目標としておやりになった第一次答申が三十八年から三十九年にかけて一年半で行なわれたでしょう。現実、そういうものなんですよ。労働者だって、四十八年には閉山をされるのに、何をいまから待っておりますか。もう労働者は抵抗しませんよ。四十八年以降にない山になぜおるかというので、抵抗しない。ですから、現在四千七百万トンとして三千五百万トンというならば、千二百万トンの炭鉱は四十四年度に閉山が集中する。このことは、もうすでに苦い経験をわれわれはなめておる。これに対して歯どめがありますか。どういう歯どめをしようとしておるのか。大臣答弁
  151. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そう答申も出ないうちから先回りして、いろいろなことをここで申し上げることはできません。
  152. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 では、いいですよ。あなた方が四十八年三千五百万トンということを打ち出して、四十四年度に集中して起こらないという保証の政策ができるかどうか。そうすると、四十八年三千五百万トンになりませんよ。三千万トンになる。さらに五十年には二千万トン台になる。このことは、労働者の心理状態から見ても、現在の炭鉱企業が全産業の中に置かれている地位から見ても、日本の雇用情勢から見ても明らかである。その展望がないくらいなら、審議会はめくらである。ですから私は局長に聞くのは、一体その歯どめが完全にできるかどうか。年次計画によって閉山をするような歯どめができますか。しかもあなた方は、私企業だという。一定経理基準に達しないものは別の方法で閉山交付金を出すという。そういう制度のもとで、一体、漸次トラブルなくスムーズに、あなた方のいう撤退なら撤退ができる方法の保証があるのかどうか。これを審議会ではどういう議論をしておるのか。これをお聞かせ願いたい。
  153. 中川理一郎

    中川説明員 大臣もお答えしましたように、いませっかく審議中の事柄でございますので、中身に立ち入って私がお答えするということは適当ではないと思っておりますが、いまおっしゃいましたようなことも、まさに大きな問題として審議が行なわれておることだけを申し上げておきます。
  154. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 いまのような作業過程で、小委員会に押しつけ、さらに審議会に押しつけて答申という形で出るならば、われわれは絶対反対せざるを得ない。そしてそれは日本石炭鉱業を破壊に導くものであると断定せざるを得ない。現実に苦い経験をわれわれは三度もなめておる。それと同じことを繰り返そうとしておる。一体、なぜ同じことを繰り返そうとしておるのか。そして、企業対策ではなくて、今度は産業政策をやるのだと銘打って、事実上、企業対策をやろうとしておる。こういう点については承服できません。いずれ近く委員会を開いて、大臣に再度出席を願って質問をするつもりですが、われわれが心配しておる幾多の問題が解明できるかどうか。解明できるような政策の樹立をぜひ要求いたしたい、かように考える次第であります。  これで質問を終わります。
  155. 堂森芳夫

    堂森委員長 大橋敏雄君。
  156. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 私は、きょうの委員会には実は張り切ってやってきたわけです。というのは、新聞報道等によりまして、いま審議会の成り行きが非常に注目されておりますし、またわれわれも関心を深めております。答申はまだなのか、答申はまだなのかというところで実はきょうは来たわけです。また予算審議を目前に控えまして、確かに石炭産業に対するぎりぎりの線にきているのではないかという立場から、あらゆる意味からきょうの石炭委員会に対して期待をかけて来たわけですけれども、先ほどの同僚委員質問に対して、大臣答弁を聞いておりますと、全く不誠意といわざるを得ない。不誠意といいますか、これが政治的な発言というのかよく知りませんけれども、もしそうであるならば、おそらくこれは政治的な発言の典型的なものではないか、私はそう感じた次第であります。  そこで、大臣にお尋ねしますけれども新聞報道を見たこともない、あるいは知らない、このような言い方をなさってきたわけですけれども、少なくともきょうこの委員会に出る前に、石炭関係に関する新聞報道等はなかったか、そういうふうな気持ちになってそれをさがすくらいの誠意はお持ちでないのでしょうか。その点ちょっとお尋ねします。
  157. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 きのうの夕刊については大体の話は聞いております。けさ新聞を見ても、新聞報道の重ねての報道は私に見当たらなかった。
  158. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 とにかく大臣答弁を聞いていると、義憤を感じますよ。ひとつ実例といいますか、事実を私ここに示しますが、十月の八日の某新聞の発表ですけれども、「椎名悦三郎通産相は八日、閣議後の記者会見で「石炭再建策の最終的な方向を決めるため、二十三日、訪タイから帰国後、水田三喜男蔵相、植村甲午郎経団連会長らと会うつもりだ」と次のように語った。「石炭再建案についての植村構想石炭鉱業審議会答申の最終案ではないが、植村会長考え方はよくわかっている。したがって帰国後、水田蔵相、植村会長と会って最終的な基本方向について話し合いたい」」こういう記事が載っているわけですが、これはどうなんですか。真相ですか。誤報ですか。
  159. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 よく覚えてませんが、まあそれらしいことを言った覚えはあります。
  160. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは、これはいつお話し合いになるのですか。いつ、どこで、何時ごろからなさる予定ですか。
  161. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まだ予定を立てておりません。
  162. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 もう質問する元気がなくなってきました。  ではいままで石炭産業に対して、いわゆる抜本策といわれた対策が三回もとられてきたわけでございますが、これは失敗であったということは認めますか。
  163. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう簡単な表現で言うのは誤解を生ずるわけでございまして、少なくとも完全なものではなかった。まあ時勢の進行があまりにも急ピッチであって、どうもその点がうまく歯車が合わなかった、こういうことは言えると思います。
  164. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 大臣もきょうは時間が限られているように聞いておりますので、ごく簡単にいま聞いているわけですが、それでは今度の第四次対策といいますか、つまりいま答申を待って最終的な石炭対策を打ち出そうとなさっているその目的といいますか目標といいますか、それを端的に表現した場合、たとえば撤退なのか安定なのか再生なのか、こういう表現はあなたの気に入らないかもしれませんが、もしこれ以外に大臣の気持ちを率直に表現することばがあれば言ってもらいたい。
  165. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 石炭資源を国のために活用する方法を見出そう、こういうわけであります。
  166. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 たとえば植村構想は完全撤退の方向であるというように一般通念的になっておりますが、大臣として、今度の石炭対策にあたっての基本的な柱ともなるべきそうした考え方を一口で表現してもらいたいと言っているわけです。
  167. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これだけの重大な問題を一口で表現するということはむずかしい。とにかく石炭資源を国のために最大限に活用する、そういう方向を見出そうとしているわけであります。
  168. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それじゃ縮小していくことは間違いありませんね。それとも逆ですか。
  169. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは審議会のほうにおまかせして、その答申を待ってわれわれの政策を立てたい、こう考えておりますから、いまの段階ではそういうことを言い切ることは私としては遠慮したいと思っております。
  170. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いろいろといま対案らしきものが社会党からもあるいは審議会内容からも推測されるわけでございますが、どのような内容をとるにしても、つまりスクラップ・アンド・ビルド政策というその基本的な方向は変わりませんね。その点はどうですか。
  171. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういうハイカラなスクラップ・アンド・ビルド、そういったようなことで片づけるということはなかなかむずかしい。複雑ですから、とにかく石炭資源というものを活用するその具体的な方法諮問しているわけであります。
  172. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いわゆる縮小均衡をはかるという方向であることは間違いないと思いますが、要するにこれも無条件に認めるわけにはいかないと思うのです。つまり、国内炭の比重がいかに重要な位置にあるか、また国内の唯一のエネルギー資源である石炭に対する考え方をもっとそれこそ抜本的に考え直してもらいたい。これ以上幾らお話ししてみてもナマズをつかむか何かみたいなもので結論になりませんけれども、また七日の委員会の席上でもっと掘り下げた検討をお互いにしてみたいと思います。  以上で大臣関係は終わります。
  173. 堂森芳夫

    堂森委員長 次回は、来たる十一月七日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時散会