○岡田(利)委員 いま鹿野委員からも非常にきびしい御
意見がありましたけれ
ども、いまわが国の
石炭産業は、まさしく長期的な安定策を樹立をする過程にあるわけです。こういう時期にあたって、
炭鉱災害が続発することは、われわれ
炭鉱に特に関係のある議員として非常に遺憾に感じておりますし、むしろこういう
災害が続発することは、
石炭産業を残すよりも、むしろ
石炭産業というものは国民の
生命を守るために思い切ってなくしてはどうか、こういう
意見が国民の中からむしろ出てくるのではないか、こういうことを私は深刻に実は考え、心配をいたしているわけです。
私はそういう前提に立って考えてみますと、昔から貧すれば鈍するということばもありますが、まさしくこの
災害はそういう感じを与えておるのではないか、特に
炭鉱災害に対しては重大な頭の切りかえをする必要があるのではないか、私は実はこういう
意見を持っているわけです。と申しますのは、今日、日本の
炭鉱で無理をしないで、きわめて標準的な
努力で
石炭を
生産している山が一体あるだろうか。私は
一つもないと思うわけです。非常にアブノーマルな
状態においてわが国の
石炭産業の
生産がささえられている。まずその
一つの証拠には、
労働時間で見れば、時間外
労働が全国平均一・九。ですから一時間五十六分
程度の時間外が平常に行なわれているわけです。その上でなおかつ経営が成り立っていかない。ここに非常に
基本的な問題がまずあるのではないかということを第一点感じているわけです。たとえば、いままでの再建計画を
経営者が出しておりますけれ
ども、一応計画は出す。しかしその計画どおりに実行できない。もちろんいろいろな要因はあります。しかしその計画の出し方自体にも、また受けとめ方自体にも問題があるのではないか。初めからやはり無理な計画を出すから、当然この実行というものがなかなかできない。予定どおり出炭というものができないから経営が苦しくなっていく。そういう点でさらにこれを挽回するために、無理な
生産体制を進めていかなければならない。こういう
状態にあるのがわが国の
炭鉱だと私は思うのです。この認識が、
政府もまた
経営者も
労働者もわれわれも、そういうぐあいにほんとうに一致するかどうか。これが一致するとするならば、そういう無理な過程における
保安対策というものは、より従来の感覚と違った形で
対策を立てなければならないのではないか、こう私は思うわけです。
そこで、私はそういう前提に立って、
大槻参考人に質問いたしたいと思うのですが、いまこの
石炭再建途上の過程における
保安対策をどうするか。これはやはり緊急な
対策を自主的に立てる決意と必要があると思うわけです。もちろんそれぞれ
企業は違いますけれ
ども、
石炭協会には
評議員会もあるわけですから、そういう意味でこの
保安問題についてはこれだけの
災害の実例にかんがみて、まず自主的にお互いに研究をなし、考え方を持ち寄って、こういうことをお互いにやっていこうではないか。そういう態度、そういう非常に前進的な
経営者自体の態度というものが非常に望まれるのではないか、こう実は私は考えるわけです。きょう参議院ではすでに
保安に関する決議が行なわれておりますし、当
委員会においても、
参考人への質問が終われば、私
どもは私
ども独自の立場で決議をする予定に実は相なっておるわけです。そういう意味で、そういう点の決意があるかどうかということが第一点であります。私はぜひそういうものを私
どもにも示してほしいし、国民にも示してほしいし、そして今後の再建についての協力を仰ぐ、こういう姿勢の確立が大事だと思いますので、この点をまずお伺いしたいと思います。
第二点の問題は、いろいろ
問題点はございますけれ
ども、まず
重大災害、なかんずく死亡
災害をどう絶滅をするのか、これが私は
炭鉱保安の最大の目標であろうかと思うのです。もちろん
災害はすべて撲滅できることが望ましいのでありますけれ
ども、当面
石炭の場合には、
重大災害、死亡
災害をどう一体撲滅するのか、ここにまず重点を置いていかなければならないと、こう考えるわけです。そういたしますと、
重大災害の場合に、
坑内火災とか、
自然発火、
ガス爆発あるいはまた
ガス突出あるいは異常出水、もちろん運搬炭車事故その他
落盤、倒炭等の問題については、それぞれ個別にその状況において
対策は立てなければなりませんけれ
ども、この
重大災害については、私はやはり統一的な
対策を立て得るのではないか。とにかく最近の
炭鉱というものは、
坑内で
合理化が進んで、重機械がどんどん導入をされておりますから、
能率をあげるためには電動機を持つ、いわゆる電気の導入をすることによって重機械を動かす、この点は非常に急速に進んできたわけです。そういたしますと、
坑内はどこでも火源がある、一応こういう理解に立たなければならないわけです。ですから、
坑内で火災を起こす要因はいつでもある。しかも燃えやすい
石炭である。
石炭であるがゆえに
自然発火、これはもう古くから研究はされておりますけれ
ども、
自然発火は当然起きてきます。
ガスがあっても火源がなければ爆発はしないわけです。どんなに
ガスがあっても、火源がなければ爆発しないわけですから、結局
ガスと火源との分離をはかる、あるいはまた異常出水等についてはそれぞれ地質上、構造上、
対策も立て得ると思いますので、こういう
重大災害の要因に対しては統一的な
対策、方向というものが立てられ得るのではないか。先ほど鹿野委員が述べられた
意見は、今度の平和の
災害の場合には、まず
坑内から
災害の通報が非常におくれた。なぜ一体すぐ通報できる
体制をとらぬのだろうか。たとえば日本の
炭鉱では、
大槻さんの会社の高島のように、もうテレビで全体の
坑内が、事故が把握できるという装置を備えておる
炭鉱もあれば、あるいはまた、誘導無線をみずから開発をして連絡をとり得る
体制の
炭鉱もあれば、いろいろくふうをしてやっておるところもあるわけです。こういうことが一体なぜ
業界全体として取り上げられていかないのか。もちろん古い
炭鉱の場合には近代的な
体制をとることがむずかしいとしても、でき得るものを取り上げて、まず通報
体制というものを
強化をする、こういうことをなぜ一体統一的にできないのだろうか、私は、当然こういう疑問が出てくる。あるいは一、二、三交代の現場であって、
経営者は一番方に出勤をする、もちろん
保安管理者あるいは鉱長は一人でありますから、当然一番方が出れば帰るわけです。そうすると、二番方、三番方にも相当の
人間が入っているわけですから、通報が来た場合に、その自宅に通報しなければ
対策が立てられない。措置ができない。指令ができないという、こういう事態が平和であったとするならば、これはゆゆしき問題だと思うのです。少なくとも高級技術職員か、あるいはまた経験のある管理係長あたりが二交代、三交代をして坑口にいて、どこの
災害があっても当面緊急な指令だけは出し得る、こういう人が待機をし得る姿勢でないということは、これまた国民の失望を買うということも当然だと思うわけです。こういう点が出てきているわけですから、この点についてはやはり統一的に問題を解決していく、私はこういう積極的な姿勢が出なければいかぬのではないか、実はこういう見解を持っているわけです。私はやはりそういうものが積極的に出てまいらなければ、今後の
石炭産業を進める上において非常に支障を来たすし、むしろそういう立場で心配をしているわけです。むしろそういう面ではわが国の
石炭産業というものは、私に言わしめれば、半永久的にこれはいろいろ政治との関係を持つ宿命下に置かれた、国際エネルギーの動向から見れば、そういう
状態に置かれた、こういう認識を持っておるわけですから、特段にそういう積極的な態度というものが要望されるわけです。こういう点についてひとつ見解を述べていただきたいと思います。