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1968-10-18 第59回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月十八日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 鴨田 宗一君    理事 堀  昌雄君       小笠 公韶君    大橋 武夫君       岡本  茂君    鍛冶 良作君       神田  博君    坂本三十次君       島村 一郎君    永山 忠則君       丹羽 久章君    水野  清君       佐野  進君    千葉 佳男君       古川 喜一君    三宅 正一君       塚本 三郎君    近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         大蔵省理財局資         金課長     岩瀬 義郎君         農林省農林経済        局企業流通部長 大河原太一郎君         通商産業大臣官         房長      両角 良彦君         通商産業省企業         局長      大慈彌嘉久君         通商産業省重工         業局長     吉光  久君         通商産業省繊維         雑貨局長    高橋 淑郎君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 十月十八日  委員内田常雄君、櫻内義雄君及び武藤嘉文君辞  任につき、その補欠として永山忠則君、水野清  君及び鍛冶良作君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員鍛冶良作君、永山忠則君及び水野清君辞任  につき、その補欠として武藤嘉文君、内田常雄  君及び櫻内義雄君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件及び私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 本日は通産大臣が御出席をいただけないので、実は通産大臣に申し上げるべきことでありますけれども通産大臣、政務次官とも御都合があるようでありますから、通産省官房長に来ていただいて、最近の一連の問題の中で私が感じたことを少し申し上げて、通産省としても少し考えてもらいたいと思う点がありますし、また公正取引委員会側におきましても十分ひとつお考えをいただきたいという問題が二、三ございますので、まず最初にその問題からちょっと触れておきたいと思います。  実は参議院物価委員会が九月の十日、十九日と開かれておりますけれども、この参議院物価委員会で最近一連王子製紙に関する事前審査の問題の経過なり、それに関連する問題が取り上げられておるわけであります。その中で私ども木村委員なり鈴木委員なりがいろいろ取り上げておりますことは昨日当委員会で私もちょっと触れましたけれども、御承知のように、近代経済学者皆さんが百四名でございますかお集まりになって、現在独占禁止政策懇談会というのをおやりになっておりまして、そこで大型合併についての意見書というものが出されておりますけれども、この中で二点問題が出されておりまして、その一つには、政府首脳通産省当局者合併を積極的に支援する態度については問題があるのではないかということと、経済審議会産業構造審議会委員の構成がやや関係のある財界人が非常に多い、これはやはり欧米のような少数の中立的な委員をもって構成するのが妥当ではないのか、こういう御意見が実は二つ述べられているわけであります。  で、私はその特に前段のほうの問題について昨日少し論議をいたしましたけれども、きょうは少しこれらについて具体的に、そんな事実があったのかどうかということを——もちろんここには事務次官の御出席お願いいたしておりませんから、事実についてどうであったかということを明らかにするについてはやや不十分であろうかと思いますけれども、いろんな過去におきましての新聞報道と事実とは一体どうであったのかというような点について通産省側としての意見を伺っておきたいと思うのであります。  そこで、古いほうからまいりますと、これは九月三日の日本経済新聞でございますけれども、こういうふうな記事が出ておるわけであります。「王子系合併否認の時は業界高裁提訴も」「椎名通産相が語る」。記事の中にも触れられておりますけれども、「まだ公取委結論を出したということは何も聞いていない。ただ、仮定の問題としていえば、公取委否認答えを出してきた場合、製紙三社の方は仕方がないとしてそのまま引き下がるわけにはいくまい。」表現はいろいろあったんでしょうけれども、その三社がどうするかということは三社自体がきめることで、何も通産大臣が、引き下がるわけにはいくまいとかいうような、たとえ仮定の事実にしても意見を述べておられるのは、どうもあまり適切でないし、さらに「産業構造審議会基本問題特別委員会が出した合併に関する意見書は私の思ったとおりのものであったし、その意味から公取委結論否認と出れば、通産省としてもだまって見過ごすわけにはいかない。大型合併は重大な国益の問題である。もし正式の合併申請否認されることになれば、通産省が教唆するつもりはないが、業界はだまっているわけにはいかず、高裁に持ち込むことも考えられる。」こういうような報道であります。表現はいろいろありますから、大臣がどうおっしゃったのか、そこのところは私もよくわかりません。やはり同じ九月三日の日本経済のほうでは、「金井局長はまた三社合併が実現しない場合には八月二十二日に打ち出した関税引き下げの繰り上げ実施、外資導入設備調整撤廃などの前向きの政策を再転換して関税引き上げ資本自由化時期の繰り延べなどの国内保護政策を検討しなければならないと強調した。」というようなことが出ておるわけです。ここらの問題について、これは大臣もいらっしゃらないし金井さんもおいでにならないわけでありますから、事の真偽をつまびらかにすることはなかなかむずかしいかと思うのでありますけれども、これらのことの報道は、実は事実と多少違いがあっても、読む国民にとっては、通産大臣がそういうことを言ったのかあるいは繊維雑貨局長がそういうことを言ったのだ、こう理解されることに間違いがないわけであります。  その次に、今度はこれは九月十六日にまいりまして日本経済でありますが、「王子三社提携重ね合併実現も」「通産省公取否認に備える」。どうも否認するかしないかわからないやつが否認に備えるというのが私もよくわからないのですが、その中には「通産省はあくまで三社合併の容認を期待しながらも、公取委否認した場合にも備えて事後対策の検討を急ぐことになった。」こういうようなことがいろいろ書かれておるわけであります。そこでこの下のほうには、「通産当局では、かりに否認されても三社合併妥当性をあくまで主張するという意味公取委への正式届け出審判審決に持ち込み、さらには長時間をかけても裁判で争うべきだとの意見が有力である。」これは「有力である」というのですからどうなるかわかりませんが、いろいろそういう記事が伝えられておるわけです。そこで、それから先へまいりますと、私もここが非常に問題がある点だと思いますのは、今度は九月二十日にまいりますと、「申請取り下げ感心しない 熊谷通産次官談」これは非常にはっきり出ておるわけです。「熊谷通産次官は十九日、次官会議後の記者会見王子系三社合併問題について「理由もはっきりせずに合併事前申請取り下げるのは好ましくない」と述べるとともに、公正取引委員会からは三社合併否認する理由を聞き出し、今後の産業編成政策参考にする意向を明らかにした。また引き続き三社合併が必要であるとの考え方には変わりはないと強調し、さらに三社合併タナ上げになった場合でも、外資導入弾力化設備調整自由化などの製紙行政は推進する方針を明らかにする一方、「三社合併の撤回は鉄鋼合併などの大型化に影響することはない」と断言した。」ここは、金井さんが言われたと伝えられるものとちょっと違うわけです。ですから、新聞報道というものがどこまで真実を伝えておるかという点については、これらの記事を読む中でも私も多少疑問は持っておるわけです。ただ、しかし、火のないところに煙は立たないと申しますので、この参議院会議録をずっと読んでまいりますと、最近では通産大臣記者会見には皆さんのほうで速記をつけられておると見えて、木村さんか鈴木さんがあとでその書きものを見せてくださいと、こう言っているわけですが、大臣それを見ながらお答えになっているので、倉石発言以来いろいろ問題もありますから、私はたいへん適切な処置だと思っておるわけでありますが、これらの問題について企業局長の側から、あなたでお答えできる範囲でけっこうでありますけれども、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  4. 大慈彌嘉久

    大慈説明員 お答えをいたします。過去の事実の関係でございますが、一番最初にお尋ねいただきましたのが、大臣の閣議後の記者会見における発言でございます。これはただいま先生がおっしゃいましたように、参議院のほうでやはり同じ質問が出まして、それに対しまして大臣から記者会見の記録によるとこういうことだということで、説明があったわけでございます。その内容は、独禁法の改正を考えているかということと、ただいまの高裁なりに訴えるかどうかという問題と二つございましたわけでございますが、独禁法の改正問題を考えているかということについては、そこまではね、こういうことで否定されております。それから高裁に対する提訴の問題でございますが、それは会社側の問題である、こういうことが本筋でございます。ただし、いろいろ報道新聞によりましてニュアンスが違いまして、先生に御指摘いただいたようなことも載ったような状況であります。  それから、その後王子三社の合併否認された場合に備えて、その場合はこうするであろう、設備調整等もまた撤回するというようなことを当時の金井繊維雑貨局長が話をしたとか、いろいろ報じられておりますが、正確には私もつまびらかにしておりませんが、省としてそういう態度を明確にきめたということはございません。それから申請取り下げた場合に、熊谷次官談というのも出ておりますが、それも私は立ち会っておりませんので、正確にはつまびらかにいたしませんが、相当公正取引委員会事前審査も進んでいるということであれば、その理由がはっきりしていますと、今後の政策運営参考になるのではないかというような感じ次官が話をされたのではないかと思いますが、会社のほうが自発的に取り下げたことでもございますし、そのままになっておりまして、その後発展はないように思っております。次官記者会見あと大臣記者会見がやはりございましたが、そのときは大臣は、当事者の問題だし、決定的なことまで行かずにさらっと別れたわけだというような話をせられたように聞いております。事実は大体そういうことでございます。
  5. 堀昌雄

    堀委員 事実新聞に出たことでもありますし、私は済んだことをいまからとやかく言うことはあまり意味がないと思うのでございますが、公取委員長一つお伺いをいたしたいのは、まだ事前審査の途中で、突然この三社が、大体、どういう情報が入ったのかは別として、事前審査では否認をされるという見通しが濃いからということで取り下げをされたのだろうと思うのであります。しかし、本来公正取引委員会では、この間の参議院でのいろいろな質問についても、そういう点は御容赦を願いたい、こうおっしゃっておりますし、私は問題の中身に入って伺うことはいたしませんが、おそらく公正取引委員会事務局がいろいろ調査をなすっても、それを正式に外に発表なさるのは、皆さん否認をなすったあとで、正式のそういう会議できまった後でなければ、中間では外部に発表なさることはないのではないか、その調査内容なりその方向なり問題点なりはですね。私はやはりものごとの順序としては、委員会皆さんが御協議になって、委員会としての結論が出て、それが外部に発表されて、その発表とともに説明をなさるといいますか、こういうことで否認なら否認をしました、それのもとになったのはこういうことですという事務局の資料か何かが公表されるというのが筋道であろうかと思うのであります。ところが、本来そういうふうに外部としてはうかがい知ることができないはずの内部の情勢が、かなり確実に把握をされて、そうして熊谷次官談なるものによれば、どうもおかしいじゃないかというような発言が出る。これはしかし、おかしいではないかというのは、熊谷さんが言った言われないは別として、ちょっとそう感じた方はたくさんあるだろうと思うのです。結論も出ないのにお願いをしておいたものを取り下げるというのはおかしいぞという感じがする人はたくさんあると思います。そういうことを起こしたモーメントは一体何かというところに、私は今後の審査なりいろいろなことをおやりになる上についての問題があるという感じがいたしております。これらについて委員長のほうから、どうしてこうなったのかという、おわかりにならぬ点も多いかと思いますから、おわかりになる範囲でけっこうですが、お答えをいただきたいと思います。
  6. 山田精一

    山田説明員 お答え申し上げます。ものごと筋道といたしましては、ただいま堀委員のおっしゃいましたとおりでございまして、私どもまだ王子三社の合併の件につきましては、九月十九日でございましたか、第一回の委員会を開く予定にいたしておりました、まだ全然審議をいたしておらない同日に、先方から自発的な取り下げがあったのでございます。その前において結論めいたことは、私どもの口からもあるいは事務局の口からも出たことは決してございません。  それから審議の途中でということでございますけれども、ただ一言申し添えておきたいのは、これは正式な届け出があっての成規手続ではございませんで、いわば行政相談でございます。普通の税務署の窓口で、もしもいま相続が起こったら相続税はどういうふうなことになるであろうかという相談と同じような、窓口のカウンターでの私ども担当者当事者の間の御相談でございますが、事柄性質がきわめて重要なものでございますから、委員会でも審議をいたした上でその御相談答えよう、こう考えておった。それが御相談を引っ込められたということでございますので、念のために申し添えておきたいと存じます。
  7. 堀昌雄

    堀委員 いま委員長お答えになりましたように、事務局からも委員からもそういう何らか確定的なものが外に出されたことはない、こういうお答えでございます。私もおそらくそれはものごと筋道から当然だろうと思います。しかしそれにもかかわらず、いま委員長お話しになりましたように、確かに窓口相談ではございますけれども、ものの性格上、事前審査否認をして、正式審査でそれを認めるというようなことにはならないと私は思うのでございます。逆に事前審査で認めたものをほんとうの審査否認をすることもあり得ない。ですから、私はいまのこの制度は、会、社側にとってはたいへん好都合な制度だと思いますが、委員会にとりますと、通産省との申し合わせにはなっておりますが、何だかちょっと歯切れが悪いと申しますか——いまおっしゃるように相続税窓口相談でございますと、ルールがきまっておりまして、判断余地というものはほとんどないわけでございます。それは要するに物権がどうなるかということに見合って自動的に答えが出ますから、窓口相談の処理ができるということでございます。しかし問題は、特に独禁法十五条というような非常に強くその判断をしなければならない要素のものを、大体その事前審査というかっこうをとることがはたしてものごと性格上どうかという点に実は一つ疑問があるわけであります。しかし疑問がありますが、そういうお約束があるのですから、それをなさることを私はとやかく申しませんが、事前審査といえども審査と同じものだと私は実は理解をしておりますが、その点いかがでございましょうか。
  8. 山田精一

    山田説明員 仰せのとおりでございます。私、相続税の例を引きましたので、必ずしも適切な例ではなかったかと思いますけれども、私ども内部手続といたしましては、本審査と全く同じに十分慎重に各方面の意向も聴取いたしまして審査をいたしておるわけでございます。
  9. 堀昌雄

    堀委員 そういたしますと、事前審査だからその取り扱いがややおろそかであるといいますか、秘密の保持という表現は必ずしも適切ではございませんけれども、要するにまだきまらないうちにいろいろなことが外に漏れたのでは、皆さんがいろいろ御判断をなさる場合に非常に障害が起きる可能性が多い。いまいろいろと新聞の問題を取り上げましたけれども国民の側の疑惑といいますか、問題になっております点は、通産省公正取引委員会意見が一致をしておる問題については、実は問題がないわけでありますが、この王子三社問題のように、公取皆さんの御意見はどうかわかりませんが、新聞の伝えるところによると、どうも公取意見通産省意見とが違うような感触を持たれるような場合には、そこの間の問題というのは非常にむずかしい点がある。きちんとしておかなければならない問題がある。まあ現在通産省から公正取引委員会出向の形できておられる事務当局関係者も相当あろうかと思います。確かに公式には公務員秘密を守る義務がある。公務員法で課せられておりますから、私はそういう方にそういうことはないと思います。ないと思いますけれども、何かやはり会社のほうがこれだけの本審査とほとんど同じような重要性のあるものを結論の出ない前に取り下げられたというような感じで、何かその人たちの心証に対してかなり確定的に影響を及ぼす情報があったのではないかというふうに私は推測をいたします。この問題はおそらく国民すべてがそう判断をせざるを得なかったと思います。そこで、これは公取委員会の側におきましても、これらら鉄鋼の重要な事前審査を行なわれるにあたりまして、その委員各位及び職員の皆さんに二度とこのようなことが繰り返されることのないように委員長から十分お話をしておいていただきたいと思うのです。これが第一点の公正取引委員長に対するお願いでございますが、この点、いかがでございましょうか。
  10. 山田精一

    山田説明員 先ほども申し上げましたごとく、審査の途中において結論めいたことが漏れるようなことは絶対にないと確信をいたしております。ただいま御注意がございましたが、ちょうど私ども来週月曜日から地方事務所長会議を開きますので、その趣旨を十分徹底いたさせたいと存じます。  ただ一言申し添えておきたいのは、ただいま通産省から出向になっている者が云々というおことばがございましたけれども、これは抽象的に、また過去の問題についてどういうことがございましたか、私は全然存じませんけれども、少なくとも現在の段階において通産省から出向とかあるいはそういう関係の人の口を通じてどうこうというような事実は絶対にございませんことを確信いたしておりますので、申し添えておきたいと存じます。
  11. 堀昌雄

    堀委員 私がいま申し上げたのは、何もそれがあるということで申したのではありません。ただ要するに、自分たちのいる通産省意見公正取引委員会意見が同じならば非常にいいのですけれども、いうならば非常に違うときには、やはり人間でございますから、平重盛ではありませんけれども、いろいろな迷いが起こり得る余地もあろうかと考えたものですから、申し上げたわけであります。  通産省のほうに申し上げますけれども皆さんのお仕事の性格上、各部局の人が公正取引委員会の各部局の方といろいろ御相談になったり、通産省意見を述べられたりすることは当然だと思います。ただ、その経過の中で、やはり公務員として知り得た秘密が第三者である業者に知られるようなことがないようにひとつしていただきたいということを私はこの際はっきり申し上げておきたいわけであります。というのは、別に何があったという証拠を持って申すわけではありませんけれども、結果として出てきました事象は、どこからか何かが漏れたのではないかと感じられてならないわけであります。何もないのにあの時点で取り下げられるわけはないのでありまして、ものの性格から言うならば、やはり正式な結果が出てから判断をなされる、これは事前審査なんですから。要するに本審査どうこうではなしに、事前審査でだめだということになった。それで高裁提訴するということはおかしいと思います。それはやはりここにも書いてありますが、もう一ぺん本審査をいたして、審決を受けて、それから提訴ということになるのが筋道だと思います。しかもまだ時間的にも手続的にも十分余裕があるというのに、事前審査段階取り下げになったということに私は非常に疑問が残るわけであります。私は今後また取り下げられたら、それがおかしいということを何も言うわけではありませんけれども、そういう疑惑の残らないようにだけ通産側としては十分自戒をしていただきたいと思いますが、その点いかがでありましょうか。
  12. 大慈彌嘉久

    大慈説明員 御説、御趣旨のとおりにいたしたいと思いますし、当然のことであろうかと思います。今回の審理の過程におきましても、私も委員長のところにお伺いいたしまして、非常に親しくお聞きをいただいたわけでございます。それから会社のほうもそれぞれ公正取引委員会のほうにお伺いして説明するような機会もあったことでございます。それから御承知のとおり、毎日のように公正取引委員会は大体こういう考えのようだということが新聞報道されましたが、それはもちろん先ほど委員長お話のように、公正取引委員会自体の御意見として出たことでも何でもなくて、おそらく推測であろうかと思いますが、そういうことからおのずから一つのムードと申しますか、そういうことが生まれがちではないか。まあ余談でございますが、そういう感じがしております。
  13. 堀昌雄

    堀委員 以上でこの問題について終わりますけれども、私どもも今後審査をお始めになってからはこれらの問題に触れようと思いません。皆さん方が冷静に、客観的に公正取引委員会として適切な御判断をしていただくことを期待しているわけでありますので、どうかひとつ通産省側におきましても、私どももそうやって配慮していきたいと思いますが、通産省側においてもできるだけ新聞社の方とお話をいただくときには外部からの圧力と受け取られることのないようにひとつ配慮をしていただきたい。この点については特に要望をいたしておきます。  次に、私、この間八月の会議カラーテレビの問題を取り上げました。たしかカラーテレビと普通のテレビについては現在審判が行なわれておるのではないかと思いますが、これはたしか昭和四十一年暮れごろからの話になっているのではないかと思うのでありますが、たいへん時間がかかっております。中身のことはけっこうでございますが、一体いつごろになるとそういう結論が出るのか、そこらについてちょっと承りたいと思います。
  14. 山田精一

    山田説明員 審判事件がたいへん日数がかかりまして、いつも恐縮に存じておるのでございます。事柄性質上、ほとんど第一審の裁判にひとしいようなことになっておりますが、とかく日数がかかっておるわけでございます。  ただいま御指摘のございましたカラーテレビ価格協定事件につきましては、順調に進行いたしたのでございますが、途中でいろいろな事情で追加証拠の提出などがございまして、これにまた取りかかっておるのでございますから、いまのところそう早急に結審をいたすという見通しまではいっておらないわけでございます。むろんできるだけ急いでいたすつもりでおりますけれども、さればと申してこの追加証拠の提出に対し被審人側の弁護士さんからいろいろ申し出がありますが、これをむげに退けるわけにもまいりませんので、それらの申し出を十分聴取いたしまして、慎重な審判をいたしたい、かように考えております。
  15. 堀昌雄

    堀委員 通産省に伺いますが、実はこの前からアメリカからカラーテレビの受像機についてはダンピングの疑いで問題が提起をされておりまして、新聞の伝えるところでは、この問題の経過の中で通産省は輸出向カラーテレビの値上げを指導するということにきまったというふうに、実はこれもまあ新聞報道ですから私よくわかりませんが、伝えられているわけです。これの真偽をちょっと明らかにしていただきたいのであります。
  16. 吉光久

    ○吉光説明員 ある新聞にそういう記事が出ておりますことを私も拝見いたしました。実はアメリカにおけるダンピング問題とはこれは全然別の問題でございまして、やはり輸出品がある程度のマージンを持ちながら売られていくということは当然であろうかと思うわけでございまして、したがいまして、現在でも通産省といたしましてはダンピングではないというふうに考えておるわけでございますけれども、なお一般的な心理的な影響と申しますか、そういう点も無視できない問題もございますので、できることならばさらに輸出価格を引き上げるという方向で、これは輸出の全体の問題でございまして、何もただ対米輸出だけに限定した問題ではございませんけれども、切り離した問題として検討を進めておるというのが実情でございます。
  17. 堀昌雄

    堀委員 そこで、私はどうもいまの話がよくわからないんですよ。いいですか。輸出というのは、日本の中でダンピングでないということをあなた方が確信をしておるなら、これはもう引き上げなくて、安く売ってたくさん売ったほうが薄利多売なのでいいのではないかというものごと考え方でございますけれども、それを輸出用のものを上げるということは、企業としては利益になるかわかりません。数量が減るから利益が減るのかもわかりませんが、輸出用すら上げるんだから国内は下げなくてもいいという論理になりかねないんじゃないかと思うのです。私はかねてからカラーテレビも二年越しで議論しているわけです。私は結果が出るまでは何回でもやります。ともかく十万円以下にカラーテレビがならぬ限りは委員会のあるたびに取り上げるつもりでおります。私がかねて申しておる、この間早川でしたか三洋かの社長が、安いテレビを出せないのかという質問に対して、日本の需要というのはキャビネットに非常に問題があって、これがきれいでないと売れないから安くできないんだというようなことを言っておられるようでありますが、どうして一体国民がキャビネットのいいほうだけを求めて、値段が高くてもキャビネットがよければいいということを思っているかという、そういうマーケットリサーチのあり方に問題があると思うのですが、通産省としては何とかしてアメリカ用に輸出しておるのと同じ物を国内に売るような指導ができないのですか。価格が安く売られておれば、アメリカ輸出向けのものを値段を引き上げたりする必要はないんじゃないか。要するに合理化で生産が上がってきておる今日、物が安くなるのがあたりまえなんであって、それを上げるように指導をするという指導のあり方は、方向としてはちょっと問題があるのではないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  18. 吉光久

    ○吉光説明員 お話しのように、国内価格につきましてもできるだけ下げてまいりたいというのが基本的方向であろうかと思います。ただ、いまお話ございました輸出向カラーテレビと同じものを国内で売るように役所のほうで指導してまいるという点の問題でございますけれども、内々のお話はしておりますけれども、ただ何ぶんにも需要者の嗜好といいますか、そういう点もございまして、なかなかメーカーとしては、アメリカ的スタイルと申しますか、そういうふうな品物に日本人の嗜好が合ってくれるかどうかという点につきましては、一部疑問を持っておるようでございます。したがいまして、そこらあたりにつきましては、会社のほうでもっとマーカッティングリサーチをやりまして、正確な需要の動向はどちらにあるかということを端的に見きわめさせる必要があるのではないであろうか、このように考えております。
  19. 堀昌雄

    堀委員 私は、国内向けに新たに物をつくって売るのならこれは非常に問題があろうかと思います。現実にアメリカにずいぶん輸出しておるわけです。そのものを国内で売るということができないというのは私はわからない。それも大量に売れと言っておるのじゃない。リサーチのようなかっこうで少し出してみたっていいのではないか。それが売れるか売れないか。要するにアメリカに対して六万七千円で売っておるものが、国内に同じものを出しても八万五千円、九万円になるかわかりません。しかし少なくともそれが十万円をこえたものにならないことは間違いないとするならば、アメリカに大量に出しておるものを国内に出して各社が売ってみたって、私はちっとも問題はないじゃないかと思う。そうではなくて、要するにキャビネットというものに名をかりて、できるだけ利潤をあげようとしておる電機メーカーの態度が納得できない。私は独禁法を見てそう思うのですが、不公正な取引というものは業者間だけが不公正な取引ではなくて、国民に対してだって私はこういうやり方は不公正な取引だと思うのです。アメリカ人は安いカラーテレビを買って見ることができて、日本人が国内のメーカーから安い同じテレビが買えないというのは、明らかに不公正な取引だと思うのですが、これは解釈上の問題としていろいろありましょうけれども委員長どうでしょう、こういうのは不公正な取引の中に入りませんか。
  20. 山田精一

    山田説明員 よく研究してみたいと存じます。いま急には結論を申し上げにくいと思います。
  21. 堀昌雄

    堀委員 企画庁長官お入りになりましたので、話の途中からでありますが、きわめて重要な物価問題でございまして、この間本会議質問をお聞きいただいたと思うのですが、私はどうしてもいま申し上げております問題が納得がいかないのです。いま私も実は白黒のテレビしか持っていないわけです。しかししょっちゅうカラー放送、カラー放送というのが出てくるわけです。白黒のテレビしか持っていない者にとって、カラー放送というのは全く頭にくるのです。頭にくるけれども、私は十万円以下にならなければ買うなと言ってがんばって買わないわけです。白黒のテレビは家に四台ありますけれどもカラーテレビは買わないでがんばっておる。私は国民の立場に立ってみると、何とかして早く、いわゆる秋葉原でダンピングというか、非常に特別に安いからというようなことでなくて、日本じゅうで秋葉原で買えるのはそうないわけですから、東京の人はいいですけれども国民全体がそうなっていないわけですから、国民全体が秋葉原で売っているような値段で買えるようなふうにする必要があると思って私はがんばっているわけです。長官、どうでしょうか。
  22. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私も持っていないほうでございますが、やはりいつぞやも堀委員からこの問題御指摘がございましたが、消費者の立場から申しますと、できるだけいろいろなものについてスタンダードのものを買うというようなものの考え方が大事なのではないかと思います。ところが、スタンダードのものをつくれば安いし、いわゆるデラックスでないということでその分の節約もできるのじゃないかと思いますが、どうもメーカーの言われることは、そういうスタンダードのものを出すと案外それが売れずに、何かしゃれた趣向のもののほうが売れる。実体は同じであってもデラックスのもののほうが売れるということをメーカーのほうはよく言うのであります。このキャビネットに金をかけるといったふうなことも、実質的に考えますと、非常に利用者のほう、消費者のほうはむだをしいられているような感じがいたしますけれども、実際は、どういうわけかやはりそういうもののほうが売れて、実質的なもののほうが案外売れないということをメーカーはみんな一様に言われますので、一つは消費者のほうの教育の問題なのではないかというふうに私は考えております。
  23. 堀昌雄

    堀委員 実は生産台数の少ない間は、やはり価格はやや高いし、高いものならばりっぱなキャビネットででもあって、飾りも兼用でということもあったと思います。いま日本全体のカラーテレビの生産は、重工業局長、幾らですか。二百五十万台くらいもうつくっているんじゃないですか。
  24. 吉光久

    ○吉光説明員 四十二年では約百二十八万台でございましたけれども、今年度は二百万台をこえるのではないかという予想になっております。
  25. 堀昌雄

    堀委員 二百万というと、要するに国民の中での所得階層といいますと、もう特別なところにあるわけではなくて、かなり中所得層の高いところにもうすでに来ているわけです。前年が百二十万、次が二百万ですから、来年になればおそらく生産台数は三百万をこえるようになるのではないかと思いますが、私は、当然国民の消費の段階として下へ下がってきているときに、そんなばかでかいものをつくられたんでは、買う側も非常に迷惑をすると思うのですね。だいぶ狭い部屋へそんなものを置いておいたら見られないのです。大きなカラーテレビは、私どもでも家が小さいから、とてもじゃないけれどもああいうばかでかいものは買えないというのが実情でございます。ですから、この問題は、通産省も企画庁ももう少し真剣に——特にいまメキシコのオリンピックなんかというんで、盛んにカラーで放送、カラーで放送と言っているものですから、国民があまりひがみ根性を持たないように、十分な指導をしていただきたいと思います。  それでは次に企画庁長官にお伺いをいたしますが、昨日自由民主党基本問題調査会ですか何かで、長官が、本年度における宮澤構想というのを御説明になったということが新聞で伝えられておりますが、これは新聞報道でありますから、ちょっと簡単に長官のほうからお考え方を伺いたいのです。
  26. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨日私どもの党の調査会に対しまして、私の私見として申したことでございますが、第一に経済の動向を大まかにどう考えるかという問題第二に来年度の予算について、相当物価情勢がよくございませんし、しかもこれが今年のみならず来年にわたるときには経済にビルトインされる心配もあるので、したがって予算の編成についてもその点を重点的に考えてもらいたい。これは予算の規模につきましても、また減税と国債の減額等々の関連につきましても、また米の問題の扱いにいたしましてもさようでございますが、そういうことを申しましたのと、それから総合予算というものは今後とも定着させていきたい。それとの関係で人事院勧告とどのように取り組むかというようなこと。それから国と地方との行財政の再配分の問題について、これは昨年も私同じことを実は申しておりますが、一年間ほとんど進展いたしてございませんので、重ねてその問題についても言及をいたしたようなわけでございます。
  27. 堀昌雄

    堀委員 実は昨年も宮澤構想というのをお出しになりまして、その中で——ちょっといまお話しになったものから申し上げたいのですが、この減税はできるだけ少なくしたいとおっしゃったことは、来年度の景気を少し押えるという意味で個人消費を要するに総需要を押えるという意味お話しになっておるのか、自然増収はおそらく一兆円をこえるものがあろうかと思うのですが、一兆円をこえる自然増収があっても、それはひとつ減税にしないで国債発行を減らそう、こういうことなのか、その中心的な視点はどこにかかっておるのかをちょっと伺いたい。
  28. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 減税につきましては、かねて課税最低限を十万円引き上げる年次計画に従ってやっておりますので、今回九十三万円程度に引き上げるということは私どもお約束をしておることでございますので、それは当然やるべきであろうと思っております。さて、それと別個に、長い間所得税の累進の税率を調整しておりませんので、これはどうしてもしなければならない問題だということは明らかであると思いますが、それをどの程度やり得るかということ、これが問題の焦点であろうと思うのでございます。  私がどういう観点から減税について申しておるかといえば、それは三つ観点があると思います。一つは、御指摘のように総需要との関連であると思いますが、もう一つは国債減額との関連であります。私ども、国債というものは、税収があるときにはなるべく控え目にして、一般会計の国債依存率を少なくともいまの段階としては下げていくべきだと考えておりますので、それとの関連が一つございます。それからもう一つは、政府関係の公共料金を引き上げないようにするとすれば、それだけの財政措置が必要になると考えられますので、そういう意味での財源確保の観点もございます。大体その三つの観点から考えております。
  29. 堀昌雄

    堀委員 実はこの前大蔵大臣——承知のように税率調整は課税最低限の引き上げと一緒にやりませんと、ばらばらにしては非常に効果上にも問題がありますし、やるとすれば、いま宮澤さんのお考えのようにいきますと、要するに三年ほど先へいって、ことし、来年、もう一年やらなければ百万円へいきませんから、それで最低限を上げなくなってからやろうということのような感じをちょっと受けたのですが、そうではないわけですか。
  30. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはそういうふうに固定した立場で考えておるのではございません。確かにこの両方をかみ合わせてやることが非常に効果的だと思いますが、どの程度税率調整に向け得る財源があるかということは、結局自然増と国債発行、国債減額とのからみ合いのことであって、私はそこに出てまいります金額は数百億円の幅でどうなるかということではないかと見ております。
  31. 堀昌雄

    堀委員 私はこれまで長く大蔵委員会におりましたから、やはりいまの中だるみ是正はどうしてもやっていかないと、この階層に非常に実は問題が集中をしてきておりますし、いろんな物価の上昇も、御承知のように、教育費の問題なりいろんな問題で一番しわが寄るところが、実は税率のカーブが非常に高いわけでありますし、もう一つは、毎年毎年減税をしなければならぬ一つ理由の中に、あのきざみが小さ過ぎるものですから、要するに、見せかけ上の、物価上昇に伴うはね返りが非常に強く出てくるというこの問題を解決するための税率を緩和するという問題だけでなく、これは税率きざみを広げていくという問題で処置をしなければならぬ問題に私は完全に迫られているというように思うわけであります。ですから、どうか、確かに私も、公共料金の値上げをしないほうがいいということについては賛成でありますけれども、やはり問題の性格上、私は減税というものは、公共料金もさりながら、非常に重要性が高いということで、来年は幸いにして自然増収がかなり期待ができると今日から予測のできる年でもありますから、この点は大蔵大臣もそういう感触のことを新聞で伝えられておりますが、これは十分お考えをいただく必要がある問題ではないか。特にいまおっしゃる、卵が先か鶏が先かになりますが、しかし、現実に物価が上がっている中で、調整を必要とする部分というのがそこに集中しておる点は、これは否定できないと思うものですから、宮澤さんも大蔵省御出身ですから、その点はお詳しいことでありますし、ひとつお願いをしておきます。もう一つの問題は、人事院勧告の問題なんですが、私は、ことしのこの人事院勧告の処理については全く納得ができないと思うのです。私は、かねてからこの人事院勧告問題は、予算委員会でも大蔵委員会でも取り上げてきましたけれども、何しろ最初に一円も原資が組んでないのを全部補正でやるというのはたいへん問題がある。特にそれはそのときの財政状況によって支配されることは非常に無理があって、私も当初予算に組み込むことを提唱しておった一人でありますけれども、幸いにしてことしは当初予算にかなり組み込まれております。そして当初の見通しを上回って、実はたいへん景気がよくなったために、本年度の自然増収というものはかなり期待ができる。私は、本年度は大体二千億くらい追加した自然増収があるだろうと思います。大蔵省も、いまのところ大体一千億は間違いないと発表されておりますが、すでに二千億に近いんじゃないか。そう考えてみますと、公務員の、ともかく五月、六月、七月分というのは金額として見ますと、ざっと二百億余りですね。五月実施でも、上へ積むのは二百億余りしか積まないで済むときに、自然増収が二千億近くもあるのに、その一割分すらもあれへ積めないということは、私は、どうも政府としてはきわめて問題のある処置だ、こう考えておるわけですが、長官もたしか何人委員会のメンバーのお一人だと思うのですが、ことしのあの処置を、いまの私の考えから見て、一体どうお考えでありますか。
  32. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 あるいは御満足を得られないお答えであるかもしれないと思いますが、ただいまのところ、自然増収の見通しがはっきりしておるわけでもございませんし、また、国債も発行しておりますので、いわば債務を負った一般会計の姿でございますから、自然増収がありとすれば、そのかなりのものは国債減額に向けなければならない、こういう事情もございますことを御了承願いたいと思います。
  33. 堀昌雄

    堀委員 実は、そういう論理からいきますと、ほんとうは国債を発行している間は前向きのものをやるというのはおかしいということになりかねないと思うのですね。債務があるなら、まず債務を償還してから次やれということになるなら、私は、自然増収があるからそれを次に何か新規政策をやるなんということはおかしいので、それじゃ全部ともかく減額に回していくということにならないとおかしいと思うのですが、そういう形に国債発行はなっていないんじゃないでしょうか、いまの国債発行というのは。どうでしょうか、そういう発想が土台なんでしょうか、いまの国債発行というのは。
  34. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昔にさかのぼって考えますと、人事院制度が発足いたしましてから十何年の間、国債というものを発行しておりませんでしたことは御承知のとおりのことでございます。そこで、政府が財政的に勧告をどの程度実行し得るかということは、一般会計の歳出に考えておればよかったのでございますが、その後に国債発行をするようになりました。そこで、そういう新しい事態に対処して、人事院勧告というものが財政的にどの程度できるかということは、実は新しく考えてよかった問題であると思うのでありますけれども、長年の慣行でございますから、やはりできる限り尊重をしていくんだということでやってまいっておるように思います。それで結局、しかし、それは国債の減額と人事院の勧告の履行ということは原則的にどうこうといって割り切れる問題ではなくて、おのおのかね合いながら、これが財政で負担し得る限度である、あるいは、国債はこの程度まで減額することがこの際としては必要であるという、結局、与えられた自然増収をどのように配分するかというかね合いの問題なのではないだろうか。おそらく堀委員の御指摘になりますことは、いまの国債の性格は、一般会計の一般的な歳入補てんのためではなくて、将来にわたる公共投資等の建設のためではないか、こういう御趣旨だと思います。それは確かに政府の立場はさようでございますけれども、歳入という意味では、やはり自然増収があったときにそれを両者の間にどのように分けるかという問題は依然としてあるのではないだろうか、こう思っております。
  35. 堀昌雄

    堀委員 私も、自然増収が出たらそれはみんな使ってしまえという論議をしておるわけではありません。ただ、もしかりにいま大蔵省が申しておりますように、一千億円の自然増収が出たとしたならば、私は、ことしは、やれるときにはひとつ完全実施をやって、まあ、財政上やれないときがあるでしょう、国債を発行してまで補正予算を組んでその勧告を完全実施するというようなことはできないでしょうから、できないときはやむを得ないけれども、せめてできるチャンスのあるときぐらいはやるというのが誠意のある政府のやり方ではないのか。だから、私は、これまでいろいろな議論がありましたけれども、要するに、その財政上の理由というものはかなり大きいんだと理解をしてきたのですが、ことしの処置は私はどうもそう理解ができないのです。財政上の問題ではなくて、政府は、公務員はそう給料をやらなくてもいいんだ、こういうかまえだなという感じが私はことしは非常に強くしたのです。残念なことなんですよ。要するに、国家公務員といえども国民でありますから、非常に極端な例を申しますと、農林省の中に、林野庁という役所とその他の部分がある。同じような仕事をしておるところに、林野庁の諸君は四月から給料は上がっている。農林省の職員は八月からでないと上がらない。私は、同じ仕事をやっておる人たちが、まだ仕事が別の場所で完全に別ならともかく、同じ役所の中でそんなことが起きるなんていうことは全く適切ではない、こういうふうに思っておるのですが、ここらは時間がありませんから、水かけ論になりますからやめますが、もう少しやはり政府は公務員の立場を尊重すべきではないのか。人事院勧告と、この人たちからスト権なり団結権を奪っておることに対する給付というのは、当然私は、近代的な政治なら行なわれるべきではないのか。私は、宮澤さんというのは近代的な政治家と思っておるわけでありますから、特にあなたに申し上げておるわけですが、ひとつその点についてもう少し私は前向きの御答弁がいただけないかと思うのですが、どうでしょうか。
  36. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 確かに将来にわたりまして研究すべき問題はその辺ではないかと実は考えておりますので、検討さしていただきたいと思います。
  37. 堀昌雄

    堀委員 その次に、さっきお触れになりました公共料金の問題の一つですが、電話料金の問題、これが次のまた一つ問題点になろうかと思います。  私は、過去二年間にわたって、実はこの電話料金問題というのはかなり詳しくやってまいりました。そうして過去二年間においては、全く電電公社が出してこられるいろいろな資料の中には問題があった。ですから、赤字になるといっては黒字になり、赤字になるといっては黒字になるというのが最近におけるずっと経過です。私は、今年度四十三年度も景気の情勢もいいですから、おそらく当初に出された電電公社の見通しよりはるかに黒字が上回って出てくるのではないか、こう思っております、まだ十分こまかく精査をいたしておりませんが。私は、長官が公共料金を上げないほうがいいとおっしゃることについて、場合によっては利子補給その他の財政的な処置も考えてもいいんじゃないかということをおっしゃっておるようでありますが、たいへんけっこうだと思うのですが、まずその前に、やはり公社でありますから、公社としてできるだけの処置をした上でのことにならないと、国民はやはり納得をしないんじゃないか。ところが、どうも私が二カ年にわたって見てきました電電公社の概算要求その他は、全く国民の側としては納得のできない概算要求が出されておるというのが実情であります。今日上げなくてもけっこうやっていけるというのが公社の実情であります。私は、そういう意味からも、また物価上昇のおりからも、電電公社の料金値上げについてはもう少し公社の経理内容をこまかぐ分析した上で判断をする必要があるんじゃないか、ほんとうに経理内容上やむを得ざるところにきたときに初めて値上げの問題が出て、その値上げをどうするかについて財政的な援助方法を考える、こういうのがものごとの筋ではないかと思うのでありますが、どうも長官のお話を伺っておると、何か電電公社の値上げは既定の事実で、その既定の事実をカバーするために財政補給したほうがいいんじゃないかというふうに受け取れる節もあるわけでございますが、長官いかがでございましょうか。
  38. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 国鉄のように悪くないからまだがまんができるではないかといったのでは、私は少し公社に気の毒だという気持ちを片方で持っております。まあことしに始まったことではございませんで、実はかなり前から公社としては値上げをしたいといっておることも承知しております。しかしながらそれはそれといたしまして、こういう物価情勢でもあり、またなお公社にいろいろ合理化の余地もあるというふうにも考えられますし、将来の設備投資との関係がどうなるのか、いずれにしましても過去において公社の経理は、ことに好況時には結果としてはわりにいい経理が出てくる場合が多いのでございますので、今年度の場合もよくそれを見きわめましてから結論を出したい。もう当然料金値上げを前提にして考えておるというようなことではございません。
  39. 堀昌雄

    堀委員 私はかつて、藤山さんが企画庁の長官をしていられるときに、やはり物価上昇の著しいときには政府が関与できる公共料金については一番ここを考えるべきだということを申し上げて、藤山さんも、その点全く同感だ、著しく物価上昇のときには、多少公社等が苦しくても値上げをしないということがいいんじゃないか、こういう御答弁がありました。長官もおそらくお考え、そんなに変わりはないと思います。依然として今年度も相当な物価上昇でありますし、いまの景気情勢その他からすれば来年度もこれが急速に低下をするなどということは非常に期待しにくいんじゃないか、こう思っております。ですから長官いろいろと構想をお出しになっていることだと思いますので、やはりその点については、どうも何か巷間電話料金の値上げというのはもうきまってきたような感触を持つ向きもありますので、その点はひとつ企画庁長官として、電話料金値上げについては今後の問題だ、十分経理上の問題がはっきりした上できめる問題であり、同時にそれについては長官のおっしゃるような利子補給その他か何かを講じることができて、それによって上げられなければさらにいいわけでありますから、ひとつそこは二段がまえの処置ということでお考えをいただきたいと思いますが、その点だけちょっともう一言お答えいただいて次へ移りたいと思います。
  40. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のように私も考えております。
  41. 堀昌雄

    堀委員 その次に、さっきちょっとお触れになった中に入っておるかもしれませんが、何か向こう三年間ですか、消費者米価も生産者米価も上がらないほうがいいというような感触のことが新聞で伝えられておるのですが、この点はどうなんでございましょうか。長官のお考えをお伺いしたい。
  42. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これも私見として申しましたことでございますので、お含みをいただきたいと思います。その点多少受け取られ方が必ずしも正確ではなかったように私も印象を受けております。私の私見でございますけれども、今後米の流通の主たる部分は自由であっていいのではないかということをまず前提にして考えるわけでございます。その場合、しかし長年増産を奨励してまいりましたから、にわかにいわゆる限界生産をやっておる人たちにもうこの方針は突然変わったのだというようなことは、相手が農業でありますから、政治の責任として言えることではない、したがって、そういう自由市場にはいれないような種類の米については、政府が持ってこられれば買うという体制を当分続けるべきではないか、いわゆる買い上げ制限というようなことは、長年指導してきた政治の立場としては適当でないというふうに考えるわけでございます。そういたしますと、結局それは政府の買い上げ価格と申しますか、支持価格と申しますか、それをどの辺に置くかということに帰着すると思うのでございます。これを非常に高いところに置けば、大部分を自由にしたいと考えながら、結果は現在の麦のようになるおそれがございます。非常に低いところに置けば、限界生産費を容易に償えないことになるはずでございますから、私の私見といたしましては、支持価格は現在のいわゆる生産者米価に該当するもの、これをさらに引き下げられれば作付転換はあるいはそれだけ進む、財政の負担もそれだけ減るということであるかもしれませんが、どうも現実にはそれは少しきびし過ぎる、こう考えましたから、そこで現在の生産者米価に当たるものを支持価格として考えてはどうであろうか。ただ、そうしました場合に、将来のことを多少はっきりしておきませんと、先々また支持価格が年とともに上がるであろうという期待を限界生産者たちが持ちました場合には、なかなか作付転換ということもしにくいことでございましょうから、この支持価格は一定の期間は政府は変えないつもりであるということを申しておけば、その価格との関連で限界生産者たちは自分たちがどうすべきかという見当がつくのではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。その場合、これはしたがって米価と呼ばれることは私は適当でないと思いますので、私は米価は大部分は自由に形成されるということを前提にいたしておりますから、そこでその場合、考え方としては、おそらく生産費所得補償方式を続けていけば、生産者米価は逐年上がってきたわけでございますから、今後もそうであろうと思いますが、他方で平均反収をとるか限界反収をとるかということは、御承知のように、相当開きがございます。そこでそのことと生産費所得補償方式とかみ合わせることによって、つまり生産費が多少上がるであろうが、限界反収から平均反収のほうへ計算を近づけることによって両方を相殺関係に置くということは必ずしも不適当なことではないと、こう考えましたので、ああいうことを私の私見として提案したわけでございます。
  43. 堀昌雄

    堀委員 そうしますと、いまの生産者の支持価格はわかりますが、消費者のほうは、いまの長官の構想のように自由になるということになりますと、下がるのか上がるのか固定するのかは、わかりませんね。要するに、自由になれば、かつてのように今度米相場が立ち得る条件が出てくるということになって、米はやがてスペキュレーションの対象になるということになる。いまはキャリーオーバーが多いですからいいでしょう。いいでしょうけれども、私はこのキャリーオーバーはやがてはどうせそういう形になる。なかなか行政というものはうまくいきませんから、フレが大きいから、徐々に減ってくるということはいいけれども、かなりのフレが起きたり凶作が重なったりしますと、キャリーオーバーがさっと吹っ飛んでしまうというようなことがあり得るわけですね。そうすると、消費者の価格というのは自由ですから、今度は上がっても手がつけられないということになりかねないんじゃないでしょうか。そこらの、要するに消費者の側からの問題は一体どうなるのですか。
  44. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは当然私も職責上関心を持つことでございますが、まず政府が相当の米を持っておる。おそらく来年になりますと、十カ月に近いものを持つことになるのではないかと思いますが、そういう現状であるとすれば、消費者に不安を与えることはないであろう。それだけのものを政府が持つか持たないかということは、多くの方は、いまの支持価格程度では、むしろ政府にまだまだ米が集まって問題は解決できないのではないかという批評のほうが多いようでございますから、逆を申せば、したがって政府は、私どもが期待するよりはもっと多くの米をなお持ち続けるということになるのではないかと思います。そういうことであれば、需給関係からいって、米の市中価格が非常に上がるというようなことは、普通に考えればないのではないかというふうに私は思っております。しかしそれを、だんだん話を詰めてまいりますと、先ほど堀委員の言われましたような問題に実はぶつかることになるだろう。私はそこを考えないではないのでございますけれども、自分の所管の事項でもございませんし、また問題がどう展開するかわかりませんので、実は話をそこで意識的にとめております。いずれにしても、私見として大まかなデッサンをかいただけでございますから、この委員会におきましても、将来どういうような流通関係が生まれるかということにつきましては、私としてはあまり想像なり私見を申し上げることは差し控えておきたいと思っております。
  45. 堀昌雄

    堀委員 最後に一点だけ。  いまのお話で、大体率直でよくわかりましたが、裏返していくと、自由流通といいながら、十カ月のストックを政府が持っておるということは、価格は政府のコントロールいかんできまるということになりますね、そうすると。自由ですけれども、ストックがありますからね。自由価格が上がってくれば、政府が放出すれば下がるわけです。ですから、そうなると、今後の消費者の価格というのは、自由とはいいながら、要するに、コントロールはできるんだ、こういうことになりますか。そこだけをちょっとお尋ねいたします。
  46. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私の想像でございますけれども、大きな部分が自由になります結果は、やがて消費者が好むような種類の米がある程度つくられるようになるであろう。したがって、これは消費者の好みに応じては、現在よりは品質はいい、あるいは、したがって値段も高いという可能性はございますが、そういう米もつくられる。これは農民のほうでも、当然それに魅力を感じてつくる人たちがあると思います。ですから、消費者の好みに応じた銘柄と価格によるところの米と、それから現在まで行なわれておりますような大量の普通の米と申しますか、特にそういう注文のない場合の米、この両方が併存をして、消費者が選択できる、生産者も選択できる、そういう姿になるのが理想ではないかと思っております。
  47. 堀昌雄

    堀委員 終わります。
  48. 小峯柳多

    小峯委員長 塚本三郎君。
  49. 塚本三郎

    ○塚本委員 最初公正取引委員会山田委員長にお尋ねいたします。  独禁法の十五条の規定の中に「当該合併によって一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」これは合併をしてはならないということの条件として規定されておる。これの解釈でございますが、新聞紙上等におきましては、大体その判断の基準、それはそのシェアが三〇%をこえる場合に一応危険になってくるというめどを立てておる、こういうふうにいわれておりますが、三〇%前後ということのめどというものは、どんな論拠に基づいてそういう判断がなされておるか、これが第一点。  それからもう一つ、この規定は、国内における会社合併でありまするが、御承知のように、最近行なわれております大型合併の主たるものは、国内におけるシェアということはほとんど眼中に置いていない。資本取引の自由化に対処するという国際的な問題、開放経済体制下における経済界の使命、こんなことを実は旗じるしにしておられるようでございます。そうなりますると、いわゆる独禁法の設けられた立法当時の趣意というものに相当外的要因というものが加味されなければならぬという意見もここに付加されてくると思います。  この二つの問題をどのような受け取り方で解釈をなされておられるか、委員長の見解を最初にお伺いいたしたいと思います。
  50. 山田精一

    山田説明員 第一点の三〇%のお話でございますが、これはだいぶ昔でございますが、横田元公取委員長が国会での御質問に対しましてお答えをいたしたことがあるように聞いておるのでございます。そのお答え趣旨は、まあ三〇%をこえた場合違法の疑いがある、かようなお答えをいたしたように聞いておるのでございます。むしろ二九%までは絶対によろしくて三〇%からいけない、こういうような機械的のものではないと存じます。それからシェアだけがすべてではございませんで、同業者との関係あるいは取引先との関係、あるいは代替品、輸入品等を総合的に判断をいたしまして、十五条に違反しておるかどうか、こういうことを判断をいたすべきものと、かように考えておるわけであります。したがいまして、三〇%程度というのが一応の警戒ライン、かように考えておる次第でございます。  それから次に、資本の自由化等に伴いまして外的要件が十五条の解釈にどういう関係を持つかというお尋ねかと伺ったのでございますが、これは十五条の解釈につきましては、「一定の取引分野」ということばが使ってあります。一定の取引分野が全く国内だけで、輸入品が全然ないというようなものでございますれば、これは国内における取引分野でございます。それから輸入品が相当ございますような場合には、「一定の取引分野」と申します場合に、輸入品も当然あわせ考えなければならなかろう、かように存じます。いずれにいたしましても、合併の適否ということは、現状の判断ではございませんで、将来の条件を判断いたすわけでございますから、合理的に考えました蓋然性においてどういう取引分野が想定されるであろうか、こういうことで判断をいたすべきことかと考えております。
  51. 塚本三郎

    ○塚本委員 この点宮澤長官にお尋ねしたいと思いますが、この法の条文からいきますと、国内における取引分野ということが実は主たる条件になっております。ところが、最近問題になっております大型合併の問題は、そういう公正取引という問題はほとんど眼中にない。いわゆる産業界の声としては、実は外資に対抗するためのいわゆる経済構造上の問題として、資本力の問題として大きくこの問題が取り上げられておると判断されるわけでございます。このとき実は国内におけるシニアの問題からこれをチェックするということ自身が、ちょっと問題が違ってしまってきておりはしないか。もちろん公取の立場では、それ以外に法に、対処する条文がございませんし、国民の声としても、それ以外に実はバロメーターがないというところから、この問題が一応の基準になろうと思いまするが、しかし今日の経済界の声というものは全く違ったところで実は議論せられ、また違った意図というものによって大型合併が宣伝されておる、こういうふうに判断されるわけでございます。この点、結果的にはそういうことになり得ることは事実だと思いまするが、これは少し食い違った意見のままですれ違ってしまう危険性があると思いまするが、それは外資に対抗するということが最も産業界の大きな声というふうにわれわれは受け取っておりますが、その辺、長官、どういう見解を持っておられましょうか。
  52. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、いま産業界の声と言われましたのは御指摘のとおりでございましょうし、現在の私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律が書かれました段階といまの段階とは、そういう産業界を取り巻く情勢も私は違っておるだろう、こうは思います。こうは思いますが、しかし公正取引委員会が特定の合併を、この法律に照らして適当であると考えられるか考えられないかは、やはりこの法律に照らして御判断なさるしか、私はやりようがないであろう、一定の解釈の幅は、これはあり得ることかと思いますけれども。そうでございますから、客観情勢がどのように変わりましても、法律のほうの条文解釈というものが、ことに条文が動きません限りは、それは公正取引委員会がそれに従って判断をされるということは私は当然であって、それ以外に考えようはないであろうと思っております。
  53. 塚本三郎

    ○塚本委員 再度お尋ねいたしますが、もちろん私もそうだと思っております。そういたしますると、結局この条文によって判断するしか法的には根拠があり得ないということですが、そういう外的な条件を加味した上で判断なさるであろうと長官は推察してみえるわけですか。
  54. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この問題につきましては、問題が起こりました当初、私は私なりに私の所見を国会にも申し上げたわけでございます。しかし、承りますと、公正取引委員会においてもこの問題についての結論を出されるために本格的に御討議をお始めになる段階に来ておるように思いますので、そういう段階になりまして、私どもがいわば部外者として、まあ雑音ともおぼしきことをあまり申すことは、もはやいまの段階では適当でないと考えますので、私の所見を申し上げることは、いまとなりましては差し控えるべきであろうと思います。
  55. 塚本三郎

    ○塚本委員 あるいは長官のおっしゃるように、雑音になるかもしれませんけれども委員長にその所見を承ってみたいと思います。  戦後のわが国の鉄鋼業は、御承知のように設備投資の過当競争、これの歴史であったように思われるわけでございます。そして、みずから不況を招いてしまって、生産調整を行なわなければならない。そして生産調整に失敗いたしますると、そのしりを通産省のお役人さんに依頼する、こんなことの歴史の繰り返しであったように想像されるわけでございます。このことが、今日までの段階におきましては、かえって結果的には幸いいたしまして、鉄鋼業の生産というものが非常に発展をしてきた大きな一因である、こういうふうに大かたは見ておるようでございます。しかし、もはや今日の段階になりますると、想像を絶するような大きな設備が行なわれております。そして片や一方におきましては遊休設備等がある。ばく大な資金が投じられておりながら、調整のために遊ばしておかなければならない。このことは、もちろん鉄鋼業界の責任者の大きな責任であろうと私は思いまするが、しかし、今日の段階になってみまするならば、そこに外資がやってくる、こういうことになりますれば、いままでのことはともかくといたしまして、国民経済的な立場に立ちますると、設備の調整問題というものは、もはや緊急な問題だということさえも業界ではいわれておるようでございます。そうすると、これをどうすべきかということになりますと、過去の苦い経験というものを何とか整理するための一石として、このようないわゆる八幡、富士の合併ということが、これらの生産設備の調整をするための何かイニシアをとるためにこういう一石が投ぜられたという受け取り方もされるわけでございます。この点は、委員長はどんな受け取り方をしてみえるか、所信をお伺いしたいと思います。
  56. 山田精一

    山田説明員 過去における鉄鋼業の発展というものが、競争の結果非常によく促されて今日の発展を見たということは、全く御指摘のとおりになると考えております。今後の展望、またそれと独占禁止政策との関係につきましては、これから委員会におきまして十分に審議をいたしてまいりたい、かように存じております。私のただいまの気持ちは、白紙でこれに臨みたい、かように考えております。
  57. 塚本三郎

    ○塚本委員 おっしゃるとおり、これから審査を始められるところでございますから、そうでなければならぬと思っております。私どもの認識からいいますと、こんなに大きないわゆる大型の会社が、しかもそんなに数がたくさんないのでございまするから、もう少しそのような過去におけるむだというものが何らかの形で調整されていかなければならなかったという感じがいたすわけでございます。小さなものがお互いに寄り合って、お互いに競争し合って、かえって損をしてしまったり、むだをするということはいたし方がないと思います。しかし、こんなにすばらしい大きな会社で、資本力といい、資金力といい、さらにまた雇用力といい、何不足のない会社でございます。にもかかわらず、日本の産業全分野の中で、その生産された鉄鋼自身の価格の高下が、なぜこんなに大きな上下があったのであろうか。この点について、ただ設備の過当競争によって慢性不況におちいってみたり、あるいはあわてて調整をするというようなことによる高下であるであろうか。その点、われわれ部外者にとっては判断に苦しむ状態でございますが、どうしてこんな大きな波がいままで起こされたのであろうか。この点、委員長、どんな見解を持っておいでになりますか。
  58. 山田精一

    山田説明員 その辺のところも、これから十分審査をいたしたい、かように存じております。
  59. 塚本三郎

    ○塚本委員 長官の見解を承りたいと思います。
  60. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 やはり先ほど公正取引委員長が言われましたとおり、過去において自由競争が十分に存在をしておって、設備投資等についても多少の調整は行なわれておりましたけれども、しかし将来の需要が大きい。国内、また最近は輸出もございます。そういうことから、そのときどきでかなり波乱を含みながら今日まで鉄鋼産業が成長してきた、こう見ております。
  61. 塚本三郎

    ○塚本委員 波乱を含みながらという軽い表現でございまするけれども、私どもでは想像のできないような、たいへんな倍ぐらいの波が——天然の農産物等におきましてはそういう現象もあり得ることはうなずかれるのでございますが、こんな確固たる設備基盤のもとにおいて、そして資源もコンスタントに入ってまいります、こういう中においてこんな大きな高下があったということは、経済企画庁長官のほうで相当お調べになっておいでになると思いますが、もう一度具体的に、どうしてこんな大きな波がいままであったのか、その点どうでしょうか。
  62. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、長期的に見ますと、鋼材の価格というものは上がっておるわけではない、安定しておる、あるいは多少下がっておるということだと思いますが、何ぶんにも最近は、御承知のように一つ設備投資から生産される量が多くなっておりますから、そこである設備が稼働をすることの結果として非常に大量の供給が生まれる、そうしますと、それは価格にも影響する、そうすると今度はまたそれについての需要が起こってくる、次の設備投資をどうすべきかというようなこと、投資を決定してから生産開始までに相当時間がかかりますから、やはりそういったような供給側の体制が大きくなるに従って、設備が稼動し始めると、かなり、いわばその段階だけとればやや過剰ともいえるような供給が行なわれる、こういうことが繰り返されてきたのではないかと思います。
  63. 塚本三郎

    ○塚本委員 この問題はどうでしょうか。私ども全く部外者でございますから、いわゆる一般の産業の問題と比べて一番安定すべきものが一番不安定になっておるということが解せないのでございますが、この下げの最も大きいものは設備であるということもあるでしょうが、いわゆる流通過程に相当問題がありはしないかという、探りを入れる程度でございますが、その点はどうでしょうか。
  64. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私も詳しいことは存じませんので、ならば政府委員に補ってもらいたいと思いますが、片っ方において長期供給の契約というものが結ばれておる部分があるわけでございます。他方において問屋制度も非常に複雑でございますから、そうでないものについては相当価格の下げがある。その中には仮需要のようなものも過去においてしばしば発生したように思います。長期契約になっておる部分とそうでない部分が相当大きゅうございますから、やはりそこでは先ほど申しましたような供給との関係でかなりの下げが過去において生じておるということではないだろうかと思います。
  65. 塚本三郎

    ○塚本委員 重工業局長どうですか。
  66. 吉光久

    ○吉光説明員 ただいま大臣が基本的な点についてお述べになったとおりでございますが、もうちょっと具体的にお答え申し上げたいと思うわけでございます。  まず鉄鋼業の特徴といたしまして、先ほど供給面からの大型化の問題のお話があったわけでございますけれども、同時にまた需要面におきましても、産業設備投資に相当多くの需要を依存いたしておるわけでございます。したがいまして、他の産業設備投資面における変動が、鉄鋼の需給価格等に非常に大きな影響を及ぼしておるわけでございまして、たとえば不況時期といわれました昭和三十七年度におきます内需は、対前年比二〇%減の——実数において減でございますが、数字を示し、さらにまた昭和四十二年度、いささか景気がよくなっておる年でございますけれども、これは対前年度比二九%増というふうに、好不況の波に非常に大きく作動してまいっておる。要するに需要の伸びが作動されておるというふうな状況でございます。したがいまして、大きな要因はこういう需要の波にある、同時に供給力が非常に大型化し、それが固定化されているというところにあろうかと思うわけでございます。  なお、先ほど御指摘いただきました流通面の問題でございますが、これも一部作用いたしておるわけでございまして、いま設備投資の面から申し上げたわけでございますけれども、逆に土木建築向き等の需要が約五〇%程度あるわけでございます。こういう中小土建業界等はどちらかといえば流通機構を介して商品を買っておるというふうな状況でございまして、そのときどきのストックの状況等に応じましてあるいは思惑的に買いが殺到してまいるというふうな事態も見えたこともあるわけでございます。  以上のような要因がそれぞれ重なり合ってまいりまして乱高下の非常に激しくなっておるというのが状況ではないか、このように考えております。
  67. 塚本三郎

    ○塚本委員 先日私ある造船所に参りまして、三十二万トンというタンカー建造の実態をずっと見てまいりました。造船所も、あれは船を売っておるのじゃなくて鉄を売っておるような状態でございまして、三十二万トンといえば、そのドックのあいているところは三分の一だけで、その底で野球ができるというおそろしい大きなドックでございまして、私も驚嘆をいたしました。その組み立て作業をしておりまする、厚板の組み立て等を見まして、これは製鉄会社そのものだなという感じさえもした。製鉄会社という表現はちょっとおかしいのでございますが、これを考えてみますると、たとえばこの鉄鋼における価格がほんの一割、二割程度の差ならばまだいいんでございまするが、私どもが受け取っておりまする鉄鋼価格の変動というものはきわめて大きいわけでございます。そうすると、工賃というものよりも、占めるその大部分は鉄の価格ということになってしまいはしないか。この業界は一面から言いますと、もちろん長期契約がなされておるとはいいまするが、しかしあなたの会社の受注はどのくらいだと聞いてみますと、会社自身の受注も二年先、三年先までの受注をかかえておるわけでございますね。そうなると、このいわゆる基本資材である鉄鋼の価格というものがその会社の利益の一番大きなものであって、いわゆる工賃自身というものは全く取るに足りないという形で、工賃よりもいわゆる鋼材が上がってしまうということのほうが大きい、こういうふうなことに私どもは受け取らざるを得なかったわけでございます。まるっきりこれは鉄を売っておるのであって、船を売っておるのではないという、そういう判断、もちろん完成されておりませんから、船体を組み立てておるところからよけいそんな感じがいたしたわけでございます。まさに日本の産業の問題は、基礎的な資材というものの価格安定こそが日本経済の安定の基本でなければならぬというふうに私は受け取っておるわけでございます。たとえば一番大きく問題になっておりまするのは、実は鉄の問題、両会社合併が問題になっておりまするから、私はすべてこのことの安定が日本経済に与える決定的な要素になってきはしないかと、こういうふうに判断をし、そしてまたその需要部門の大きさに驚いて帰ってまいったわけでございます。労働者の諸君といろいろ話し合ってみまするときに、全く彼らの工賃に比べて見るよりも、その鉄の値段というものの高下のほうに最も会社は影響を受けるというふうに受け取ってきたわけでございますが、この点、委員長どんな判断をしておいでになりますか。
  68. 山田精一

    山田説明員 鉄鋼価格の乱高下という現象は確かにありましたようでございます。ただいま重工業局長から御説明ございましたような各種の要因が錯綜いたしておるものと考えております。
  69. 塚本三郎

    ○塚本委員 企画庁長官、中小企業の諸君に最近会っていろいろ聞いてみますと、鉄工屋さんあるいは機械屋さんに、もうかるか、うまくいっているかと聞きますると、第一はもう人手の不足の問題が一様に叫ばれることでもございます。それと、いや、いまもうかるよ、鉄が安いから、こういうわけでございまして、もうかるかもうからぬかということは、鉄が安ければもうかるということ。ということは、受注の価格はきまっております。いわゆる鋼材が安いからいまはもうかるんだ、一割ばかり上がってきたからちょっと苦しくなったわいと、こういうふうに言うんです。これがいわゆる鉄に関する中小企業の合いことばでございます。いいか悪いかというと、鉄が安いからいいんだ、いや工賃どころの騒ぎじゃないけれども、いまここで値を上げてくれと言ったら仕事を減らされるから、私どもはいわゆる工賃なんかは全くないけれども、そのうち下がるであろうから息をつないでおらなければいけない、これがおそらく鉄を材料としております中小企業の下請けでしょう。そういう会社の合いことばになっておるわけでございます。だから、やはり中小企業政策ということを考えてみましても、ことしの春などは、おい、いまのうちに鉄を買っておけよ、そうするならもうかるぞ、ちょっと金があったら、余裕があったら銀行へでも頼んで買っておきなさいよ、秋までには相当上がるはずなんだからというようなことで、その人たちは工賃よりもいわゆる資材の上下のほうにより大きな関心が注がれておる。全くこういう意味では、いわゆる価格政策というものが一体どうなってしまったんであろうか、こういうような考え方。ひとり大きな造船の問題だけでなくして、もっと大きくゆらいでおります中小企業の立場から言いますると、この価格安定の政策ということが最も大きな要素になろうと思います。いま幾つかの要素はお聞きしましたけれども、この点もっと具体的に何らかの形で安定をさせるような、自由経済ではあっても、これが動いてしまえば、この上に積み重ねられておりまする一切の工賃というもの、これが中小企業者の大部分だということになりまするならば、中小企業政策としてもこの鉄鋼の価格安定が緊急の要務ではないかというふうに考えますが、どうでしょうか。
  70. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いまいろいろ御描写になりましたようなことは、私はそのとおりだと思いますが、もう一言言わしていただければ、安定もさることでございますけれども、長期的には技術革新等によってそれが低下していくことが望ましい。御承知のように公販価格というものもございますが、それもやはり徐々に下がっていくということが望ましいのではないかと思っております。  そこで、少し話を進めるようでございますけれども、もし長期的な需給を考えて価格の安定策を、かりに自由競争以外の市場機構以外で考えてやってきた、過去においてそうしてきたといたしますならば、おそらくは私どもの経済成長の見方にいたしましても何にいたしましても、大体過小見積もりを常に繰り返してまいりましたから、もし計画の上でそういう需給安定を見計らってやつてきたとすれば、私は、とてもいまのような生産量には達しなかったであろうし、したがっていまの価格よりはさらに価格は上がっておったであろうというふうに考えておるのでございます。現在程度に価格が下がり、需給がマッチしているということは、私どもは、やはりこれは市場経済で競争が行なわれてきたからであるというふうに考えますので、需給ないし価格を安定するための人為的な計画とかプランとかいうものをかりに政府なり何なりがやるということについては、私は実はきわめて懐疑的でございます。
  71. 塚本三郎

    ○塚本委員 そこで、山田委員長にお尋ねしてもおそらく口を開かれないだろうと思いますから、宮澤長官にお尋ねいたしますが、いま問題になっております富士、八幡の合併でございますが、いまの長官の見解から推論いたしますると、自由競争してきたからここまで値段が下がった、こういうふうな御見解のようでございます。私どももそのほうに大体受け取り方は傾いております。しかし今日の段階になってみて、ここまで価格が落ちついてきておる。しかし、なお下がることが望ましいことは、需要家の立場あるいは国内産業の立場からいって当然であろうと思います。もしこれが合併ができた場合に、会社側等のあるいは産業界の言い分では、むだが省かれて、もっと安定して下げられるというような説明をしておるようでございます。しかし、長官のただいまの御説明からいたしますと、いや、自由競争が多少でも狭められるということは値段が上げられるという危険性を持っておる、懐疑的という表現はそういうふうに受け取っておるわけでございますが、その点予断を許さない、どうなるかわからないと思いますが、いまの長官の懐疑的だというお話からいたしますと、かえって会社側の言い分と違って、値段は幾ぶんなりとも上げられる危険性がある、こういうふうに受け取ってようございますか。
  72. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、具体的なケースにつきまして公正取引委員会審議をされる段階が間近うございますので、それにつきまして直接に言及することは私としてはもはや差し控えるべきだと思っております。問題は、結局十五条の第一項に該当するような事態が起これば、それはただいま言われましたようなおそれが生じるであろう、ぞうでなければそうでないであろう、こうお答えするにとどめるべきであろうと思います。
  73. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは別のほうからお尋ねいたしますが、もし自由競争が多少とも狭められるであろうという、私どももそういう受け取り方をしておりますが、そうなりますと、会社が言っておりますような、いわゆる外資に対抗する処置、そして資本を守り抜くための、企業を守り抜くための具体的な処置というものについて、たとえばこんな方法があるのではないかというふうな何か具体策は考えてみえますか。長官どうでしょう。
  74. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはこういうことではございませんでしょうか。一定の企業について、私どもは基本的には資本の自由化に向かって進んでおるわけでございますから、国内の体制が十分でないために外資によって攪乱をされるということが明らかであれば、その面についての資本の自由化はそれだけやはりおくらせる、あるいは制限をせざるを得ない、こういうことに私はなっていくのだと思います。
  75. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうすると、問題は、外資に対抗できるような体質を具体的に政府が考えるというよりも、それまでの間資本の自由化をおくらせるということにして、自主的に体質の改善をはかるべきであって、政府が体質の改善をはかるためにいろいろなくちばしを入れないほうがいい、こういうふうな判断でございますか。
  76. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 むろんそうではございませんで、政府としても合理化とか近代化とかいうことには財政でも金融の上でもいろいろ援助をいたしておりますし、また技術開発についても国も援助いたしておるわけでございます。そういうことで、国際競争にたえる企業の体質をつくり上げるということには政府もできるだけの努力をいままでもやってきたつもりでありますし、今後もやるべきであろうと思います。しかしそれにもかかわらず、なお特定の業界がまだまだ外国との自由競争にたえない、そういうことであれば、それはやはり資本自由化のテンポをその部分については少しゆるめていく、こういうことになるのであろうと思います。いずれにしても、その問題は独占禁止法との関連ではない、こう思うわけであります。
  77. 塚本三郎

    ○塚本委員 今度別の部門から話をお聞きしたいと思いますが、つい先日ビールの値上げがございました。そのとき長官のほうから値上げに反対の意見が出されたわけでございますが、結局長官の、物価を上昇させる、そういうことに対して押えようとする御努力というものがほとんど効果を奏しなかったように国民は受け取っておるわけでございます。これに対する長官の見解はどうでしょうか。
  78. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これにはやはり何十年という業界と行政との関係がございましたから、ビール業界に完全に自由な競争が理想どおりには実現していないということにやはり問題があったのであろう、私はそういうふうに考えております。
  79. 塚本三郎

    ○塚本委員 この問題で山田委員長にお尋ねいたしますが、合併のときには十五条でチェックすることができます。しかしすでにもう合併して、たとえばキリンなどのごときは五〇%だとかあるいは五〇何%だとかいうような宣伝をみずからしておいでになるようでございます。こういう状態のとき、公正競争規約というものはございますけれども、しかし実際にはそういうことに対して具体的にどうこうということは、動いたことはあまり聞いたことがございません。もうそういうふうにおのずから昔からの既得権としてなされてしまっておるものに対しては、もちろん、解散とか分割とか、こんなことをすることはいかがと思いますが、にもかかわらず、価格形成の面におきましては、先ほど堀委員からもちょっと指摘がありましたように、いわゆる会社間における不公正競争ではないと思います、もちろん一緒にみんな上げてしまったのでございますから。しかし消費者の立場から見るならば、独禁法の問題はただ単にいわゆる業界自身の公正競争だけではなくして、消費者との問題により大きな重点を注がなければいけない、私はこういうふうに考えるわけでございますが、宮澤長官のいまの御発言とあわせて、公取委員長としてはどんな見解を持っておいでになりますか。
  80. 山田精一

    山田説明員 私どもの立場といたしましては、どこまでも公正で自由な競争が行なわれまして、適正な価格が形成されることが望ましいのでございます。ビールの業界は御承知のようにいわゆる寡占の状態にございます。これをいかにいたしていくかということは、これはもう社会的に非常に大きな問題であろうと思います。私どもも十分その問題に取り組んで研究をいたしてまいりたい、かように考えております。
  81. 塚本三郎

    ○塚本委員 自由にして公正な競争という発言がございましたが、そういたしますと、たとえばいままでの状態から、この鉄鋼の業界の問題は、こんなに大型であっても、実は値をつり上げるよりも逆に自由にしておいて下がってきたというような状態の歴史のほうが多いようでございますね。そうすると、これも、六つの大きな会社が五つになるということになるだけではないか、こういう会社側あるいは業界のいわゆる声が耳に入ってまいるわけでございます。そうすると、こういうふうな状態ならばシェアの問題は三〇数%だ、しかし自由にして公正な競争をかつて一度も阻害したことはなかった、かえってお互いに自由競争によって下がってきたという形なんだから、これからもそういうことに抵触をする危険性がない、そういう主張を彼らはしてみえると思うわけでございます。この点、そういうことの受け取り方、過去の歴史から見ると、そういう意見というものも、実績からはそうかなという受け取り方もできるのでございますが、どうでしょうか。
  82. 山田精一

    山田説明員 これから審査に取りかかります具体的な案件につきましては、発言を差し控えさせていただきたいと思います。
  83. 塚本三郎

    ○塚本委員 宮澤長官にお尋ねいたしますが、そうであったといたしましても、きのうの参考人の御意見の中に、何らか公的な機関でこれを管理するとか、価格に対する監視の機会を設けるべきではないか、こんな意見が出されておったようでございます。この点は長官の御意見はどうでしょうか。
  84. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 参考人の御意見を具体的に存じませんので、ただいま塚本委員が御紹介になりました範囲だけについて申し上げますと、私は公的な管理というようなことについてはきわめて懐疑的でございます。価格監視機構というものについて、それが弊害と利益とがいずれが大きいであろうかということを考えますと、非常に理想的なものができるとすれば反対する理由はございませんけれども、どうも私自身では、利害得失を考えて、こういうものならばいいではないかという考えは、にわかには実は浮かんでおりません。
  85. 塚本三郎

    ○塚本委員 私ども考え方からいたしますと、やはり最終的には基礎資材というものだけは何らかの形で安定させなければ、そこに加えられるべき労働力の価値というものが全く危険な状態になってまいりますから、産業に対する基礎的な資材だけは、やはり公的な機関でいわゆる監視するような措置をとるべきだ、計画経済的な意味を含めてそういう考え方が出てくるわけでございます。いま長官は、うまく運営されるならばということで、実際はうまく運営できにくいという、自由にして公正な競争というものにすべて期待すべきだという考え方、これはお互いの党の基本的な理念の相違でございますから、私どもからこれを押しつけるつもりはございませんけれども、しかし、いわゆる材料費がその品物に対してこんなに大きな分野を占めるというようなものは、何らかの形でこうしないと、これはこの業界に携わっておる者としてきわめて不安だというふうなところから、やがていわゆる産業機構等が安定してきますならば、それとともにやはりうまく行ない得る道もつくるべきではないか。別にそれは国家管理だとか、そんな極論を申し上げるわけではございませんけれども、前向きな考え方で、一面においていわゆるむだを省くための合理的な方法を考えるとともに、一面独占的に価格を左右させないような監視の機会をつくるべきではないか、こういう見解があるわけでございますが、どうでしょうか。
  86. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 理念の問題と申しますよりは、私はやはり実効があがるかどうかということのほうにむしろ重点を置いて考えるべきではないかと思います。すなわち、価格が安定するというためには、需給関係の予測がかなり正確に行なわれませんければ、ことに鉄鋼業のような、一つのユニットの供給力が大きい、あるいは需要の側においても、先ほど重工業局長お話にございましたように、相当の変動がある、それらのことをどのくらいわれわれあるいはそういう機関におります者が見通し得るかということになりますと、過去の経験に徴する限り、それははなはだ疑わしいものだと思います。したがって、かりに価格を安定しようと考えましても、需給の見通しがはずれれば、これは価格を安定させるということは事実上できないことになる、これは明らかでございます。いわんや価格を低下させようということになれば、なおさら私はそれはむずかしいだろうと思いますので、これは私は塚本委員の言われることに理念として異存があると申し上げておりますよりは、実際問題としてそういうことはなかなか成功しないように思います、こう申し上げればよろしいのではないかと思います。
  87. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうでしょうね。その点は過去に実効があがらなかったということにつきましては、私もそういう理想論を持っておりながら疑念は持っております。しかし、先ほど重工業局長が言われたように、いわゆる需要のアンバランスというものがあまりにも大き過ぎるということは事実でございますね。この点いままで政府がなさっておいでになったいわゆる経済の成長の見通しというものが誤っておったところにこういう形が出てきておるのではなかろうか。だから政府がもう少し、過去のことは長官は携わっておいでにならなかったから申し上げるのもなんだと思いますが、しかしやはりこんな重要な問題は、もっと長期的な見通しを立てて、そしてある程度それに向かっての生産に対する指導、こんなことがなされてこなければならなかったのではないか。それがなされなかったところにこのような大きな変動がきてしまったということに帰すると判断されます。しかし、ともかく今日の段階では、設備投資の調整とかあるいは計画化、さらに鉄鋼価格の長期低位の安定化というもの、さらに設備規模が増大してきておるときに、これをいわゆる技術の開発等によりましてできるだけ生産性の高いものに変えていかなければならない。これらの問題は、業界としては至上命令であり、わが国産業の立場から考えても、そのようなむだは省かなければならないということでは異存がないと思いまするが、それをさてどのような方法でさせていくのか。業界のこんな大きな企業がお互いに押し合っておるだけでは、過去の実績から見て、それは成果をあげることはできないと思いまするが、そういう今日産業界に課せられておる任務という立場から見ますると、業界がかつていままでそれが十分できなかったとするなら、政府としては何らかこのことに対して考えておかなければならぬという感じがいたしますが、どうでしょうか。
  88. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる市場経済にいろいろなむだがあるということは私もそのとおりであろうと思いますけれども、しかし、そのむだは他のいかなる形の経済で考えられる弊害よりはそのむだのほうが弊害が少ないと私は考えておるわけであります。いわんやわが国のように経済機構が複雑になればなりますほど、少数の人間の企画能力、計画能力ではとうていいわゆるプランニングというものをなしがたい、市場経済原則がいよいよ重要になってくるのではないか、私はやはり根本ではそういうふうに考えております。
  89. 塚本三郎

    ○塚本委員 それじゃ、いまの段階におきましても、ただいま長官が言われたような弊害はある程度認めるけれども、それは価格形成その他から見て、弊害のほうが実は害が少ないのだということで、いまの段階でもこれからもこのままのような状態でいくことのほうが望ましい、こういうふうな御判断でございますか。
  90. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 つまり少数の人間の企画能力、計画能力よりは、たくさんの国民の一人一人の自由な創意のほうが、私は結果としてはいい結果を生むというふうに考えておりますので、いまでもその考え方には変わりありません。
  91. 塚本三郎

    ○塚本委員 基本的には私もそのことはわかるのでございまするが、いまの長官の見解の中に私はこういうことを想定するわけでございます。日本の経済ばかりでなく、行政の部面におきましても、あまりにもむだが多い。この際、もう行政簡素化のために、すべて一刀両断に、いわゆる大胆に行政機構そのものも改革をすべきではないか。もちろん今日の状態の中でそごはなかったというけれども、しかし大胆にここでいわゆる整備統合すべきだという意見は、いわゆる行政の分野において圧倒的に強いわけでございます。にもかかわらず、それが実はなされておりません。同じようなことが、産業界と官界とはこれは比較することは無理だとは思いまするけれども、しかしやはり産業界ならば一刀両断に合理化をするということも、いわゆる政治の介入する余地なくしてできる問題でございまするから、過去においてそういうような多くのむだがあった、そういうものをひとつこの際能率高いものにするために、むだを省くために、この富士、八幡の合併という問題が、日本の産業だけではなくして日本の全機構、ことにお役人さんの官僚機構等でなし得なかったことを産業界で一刀両断にやってみるということ、ああいうふうにいわゆる官界もやるべきではないかという国民の期待、こういうものを手本にしていくべきモデルができやしないかという感じがするわけでございまして、そういうふうに大胆にこの際は行なっていくということを進歩の中の一つの事象として私はあげていいんじゃないかという感じ——これは経済の問題と別でございまするが、会社、あるいはワンマン社長のおるところがこういうときに一度ずばっとやることによって、部課長さんたちが半分になるとかいうことで下が戦々恐々としておるということが週刊誌等では騒がれております。しかし私は、産業界ならばそのようなことがいま期待することができるというような感じがいたします。少し議論が飛躍はいたしておりまするが、いまの日本の中では、ここまでじりじりと伸びてまいりましたことは大きな欠陥がなかったとして高く評価すべきではございましょうが、この段階になれば、一つくらいそういうふうな形をとってみてもいいのではないか、こういうことが感じとしてするわけでございますが、どうでしょうか。
  92. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 行政についてのむだということであれば、私はそれは非常に痛感をしておる一人でございまして、たとえば今年御審議を願いました一局削減のようなことも、やはり一つのそういう試みであったと思うのでございます。ただ、産業と行政を考えてみますと、申し上げるまでもないことでございますが、目的を設定することが行政の場合は非常に困難でございます。産業の場合にはそれが容易でございます。その次に、かりに目的が設定できたとしても、それを達するための効率を測定することが行政ではきわめて困難でございます。したがって、やはりPPBSというような手法にだんだん入っていくべきだと思いますけれども、それでもなお行政の効率化ということは、いま申し上げましたような事情から本来的に非常にむずかしいところがあるのではないか。これはしかし努力をしなければならないことだと思っております。
  93. 塚本三郎

    ○塚本委員 この大型合併の問題は、最初私がちょっと触れましたように、国内におけるシェアの問題からしか法的には取り上げようがない。しかし業界の言い分といたしましては、それとは全く違った、いわゆる資本の自由化に対する体質改善の問題としてこれを取り上げておる。こういうような筋の違ったところで実はこの問題が審理されようとしておる、こういうふうなことでございますので、私はまた違った立場から、いわゆる体質を改善する方法としてこの問題をちょっと述べたわけでございまするが、政府の見解の中に、合併して、もし価格形成について独占的なところがあれば、あとから分割命令を出すこともできるんだというような見解が新聞紙上に載ったことがあるように記憶いたしておりまするが、それはどうでしょうか。
  94. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 かつて私が、独禁法をそういうふうに運用できるのではないか、私は責任者でございませんからさだかではございませんが、ということを委員会で申し上げたことがございます。しかしこの点は、後に公正取引委員長が、そういう運営はできないということを国会で言われましたので、私の見解は誤りであったということになったわけでございます。それは私自身も申し上げました。それならば立法論としていまのようなことがはたしてどうであろうかということになりますと、それはおそらくすでにでき上がった秩序に対してそれを破壊するというようなことになるのでありましょうから、経済取引の安定といったような観点から、それをはなはだしく害するというようなことも容易に想像できることでございますし、立法論としてもなかなか議論のあるところではないかと思っております。
  95. 塚本三郎

    ○塚本委員 時間もございませんから、最後に委員長に、もちろんこれから審判をなさるところでありますし、委員長発言は与える影響がきわめて大だと思いまするから、その点私はできるだけ御質問を控えておったわけでございますが、たとえばこういうような判断というものがあり得るかどうかということを聞きたいと思います。この合併に対して一定の条件をつけて認めるというようなこと——するとかしないとかいうことでなく、そういうようなことは、あるいはいわれておりまするように、きわめてシェアの大きいレールとか亜鉛鉄板であるとかいうような問題は、これは明らかなんだということだから、こういうようなときにはこういうものに——具体的なことを申し上げたから委員長としては発言しにくいかもしれませんが、たとえばそういうような条件をつけて認めるというようなことはあり得るのかどうかということをお聞きしたいと思います。
  96. 山田精一

    山田説明員 過去においてさような例はございません。これから十分よく考えてみたいと思います。
  97. 塚本三郎

    ○塚本委員 これは公ではございませんけれども通産省の中の見解として、具体的にそういう危険性がなければ、単なる想定だけではこれは却下することができないのだというふうないわゆる個人的な見解を第三者を通じて耳に入れたことがありまするが、よほど具体性がなければ却下をすることができないというふうな御意見に対して、私はちょっとそれはまだ判断に苦しむのです。そういうふうな声を私のほうは耳にしたことがございますが、その点はどうでしょうか。
  98. 山田精一

    山田説明員 ただいまの御質問の御趣旨がよくわかりかねましたが、一定の取引分野における競争の実質的制限が確実でなければならない、こういうことでございますか。私どもはこれにはいろいろ学説もあるようでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、将来のことでございますから、これは神さま以外わからないわけでありまして、人事を尽くして十分判断をいたしました上の合理的蓋然性——プロバビリティーと申しますか、合理的蓋然性によって判断をいたすべきものだ、かように考えております。
  99. 塚本三郎

    ○塚本委員 最後に長官に希望だけ申し上げておきますが、くれぐれも価格の安定、これは低位安定ということについてこれから極力意を用いていただかないと、特に中小企業等におきましてはこのことが一番の関心事になっておりますので、雇用問題とこの問題はきわめて重大な問題でございますから、この低位価格安定につきまして最善の具体策を——自由だ、そのことが一番いいのだとおっしゃいますが、しかし、それは外堀から何らかの形で安定させるような方法は講じられると思いますので、何らかの形でその価格の安定に対してより一般の御努力をいただきますよう希望意見を申し添えまして、私の質問時間が参りましたので終わらせていただきます。
  100. 小峯柳多

  101. 近江巳記夫

    ○近江委員 きのうは大型合併の問題につきまして参考人の方から御意見を聴取したわけでありますが、それに関しまして一、二お聞きしたいと思っております。  最近の合併問題に関しまして、独禁法改正の動きが一部に見られるわけでございますが、このことに関しまして見解をお聞きしたいと思うのです。まず委員長、それから長官にお聞きしたいと思います。
  102. 山田精一

    山田説明員 法律の改正は立法権の管轄に属するところでございますので、私としてとやかく申し上げることは避けたいと思います。
  103. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 公正取引委員会並びにに関係各省の間でそのような動きは現在のところないと承知しております。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 この合併の問題につきましては公取委員会のほうで審判をされるわけでありますが、私思うのでありますが、そうなってまいりますと、委員会の構成というものは非常に大事な問題になってくると思います。ところが従来、通産、大蔵あるいは法務、日銀等からそれぞれ出ておられるように聞いておるわけでありますが、これは一体どのような協定に基づいて出ておられるのか、そこらのところを公取委員長にお伺いしたいと思います。
  105. 山田精一

    山田説明員 なるほどただいまおっしゃいましたように、従来そういうような役所等から来られた方が比較的多いというような現象はあるようでございますが、これはどこまでも内閣総理大臣が両院の御同意を得て任命されるところでございます。法律の定める、法律または経済について十分の知識、経験を有する資格を備えた者の中から任命されておる、かように考えております。
  106. 近江巳記夫

    ○近江委員 この合併の問題につきましては非常に政府が積極的に推進をしておる、そういう感を受けるわけでありまして、特に通産省が中心になっておると思います。そういう点におきまして、この十月二十五日にはまた一人交代になるように聞いておりますが、国民は非常にそうした人事ということについて関心を持っておるわけであります。また当然厳正公平な立場の人から選ぶべきであると私は思います。そういう点で、委員長として総理なりにそれぞれ御意見を申し上げられる機会もあろうかと思いますが、そういう点について、この十月二十五日以降に選ばれる人選についてどういう態度でいかれるか、その点をもう一度お伺いしたいと思います。
  107. 山田精一

    山田説明員 十月二十五日に委員の一名が任期が満了いたすことはそのとおりでございます。まだわからないことでございますけれども、おそらく政府におかれては留任されるのではないかと想像いたしておるのでございます。手続が終わっておりませんからわからないのでございますが、私はそれにつきましては全く賛成でございます。
  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 きのう各参考人の方からいろいろとお伺いした中で、鉄鋼の公開販売制度のことについても私は聞いたわけでありますが、この鉄鋼公開販売制度の目的というものは何ですか。これは通産でもかまいませんし、公取委員長でもけっこうでございます。
  109. 吉光久

    ○吉光説明員 先ほど来お話がございましたように、鉄鋼価格が非常に乱高下を激しくいたしておりますので、したがいましてできるだけ低位安定をはかってまいりたいという趣旨から設けられたものでございます。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 この鉄鋼価格の安定対策要綱によりますと、本要綱の趣旨に賛同し、協力を約した鉄鋼生産業者を対象とする、このようになっておるわけでございますが、現在何社が加盟しておりますか。
  111. 吉光久

    ○吉光説明員 現 在の参加メーカーでございますけれども、高炉につきましては九社、平炉につきましては七社、電炉十二社、単圧九社で合計三十七社でございます。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 この対策要綱を見ますと、その内容というものは独禁法との関係、あるいはまたその他法的な根拠を必要とするものが含まれておるように考えるわけでございますが、非常にこのような重大な内容を含むものを一片の要綱で実施をするということについて納得ができないところがあるわけであります。これほどのことをやろうとすれば当然立法措置というものが私は必要であると思うのですが、なぜ立法化しなかったか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
  113. 吉光久

    ○吉光説明員 この制度昭和三十三年に設けられたものでございますけれども制度創設にあたりましては、公正取引委員会のほうともよく御相談申し上げまして、この程度のことであればいいだろうという御了解を得た上で出発したものと承っております。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 では公取委員長から同じ問題でお願いします。
  115. 山田精一

    山田説明員 ただいま重工業局長から御説明のございましたように、昭和三十三年に御相談をいただきまして、同意をいたしておるように私承知いたしております。少なくとも過去における経緯は私つぶさには存じませんけれども、現在の段階におきましては、この制度が価格を拘束しているとは考えておらないわけでございます。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 この程度のものとおっしゃる意味は、強制するものではない、そうおっしゃることと私は受け取りますが、形式的にはそうかもしれませんが、しかし過去に住友金属工業が勧告操短に応じなかったということについて、同社に対して原料炭の輸入割り当てを停止するというような、そういう職権乱用行為とまでわれわれとしては言いたいような状態が通産省にはあったわけです。こういうようなことが現在の法治国家で行なわれておるという点からいきまして、その辺のところは、非常にこれも関係ありますので、ちょっと説明願いたいと思うのです。
  117. 吉光久

    ○吉光説明員 いまお尋ねがございました住友金属に対する問題でございますけれども、これは実は公販制度とは関係のない問題でございまして、当時、別に生産調整につきまして勧告操短というふうな制度があったわけでございます。現在はこれはございませんけれども、当時そういう制度があったわけでございまして、これに基づきまして、生産の操業につきまして数量の指示をいたしておったわけでございます。この数量指示を守るかどうかという場合におきまして、そういうふうなことが一部あったやにも伺っておりますけれども、公販とは関係のない事項であったわけでございます。
  118. 近江巳記夫

    ○近江委員 私も公販とは関係のないことはわかっておるわけです。だけれども、要するに公販制度はあくまでも強制でない。しかしながら、そこのところに役所のそういう態度一連のものを私はここで申し上げているわけです。その辺でわかってもらえればいいと思うのです。  それからこの制度中身についてでありますが、対象事業者というのは対象品目ごとに販売価格を定めて毎月通産省届け出るとともに、これを公表しなければならない、このようにあるわけですが、このいわゆる公販価格というものは、本来ならば各社ごとにまちまちであるはずである。しかしながら、実際は大手メーカーと中小メーカーの二つのグループに分けて、各グループごとに同一の価格を届け出ることで足りておるように聞いております。このように価格が一斉にそろうというのは偶然の一致とは言いがたい。この裏には当然業者間の談合というものが行なわれておると見るべきである、私はこのように思うのです。こういうことは法律上問題でないかどうかという問題なんです。この辺のところを通産省公取委員長に聞きたいと思います。
  119. 吉光久

    ○吉光説明員 届け出にあたりまして、業者間の談合があるのではないかという御指摘だと思いますが、私どものほうといたしましては、個別的な各社ごとの届け出をいただいておりまして、談合があるというふうには考えておりません。
  120. 山田精一

    山田説明員 現在公表されておりますいわゆる公販価格、これは実勢価格とはかなり違ったものになっておるように思います。極言いたせば、ノミナルなものになっておるように存じます。実勢価格とはこれはかなり違ったもので、競争が行なわれておる、かように私どもは認識をいたしておるわけでございます。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 その問題はあとで関連をしますので、次にいきたいと思います。  次に、対策要綱に、通産省届け出価格が「当該品目の販売原価および適正利潤、国際価格、需要者に与える影響等を勘案して適当と認める最高額をこえる場合には対象事業者に対し、その引下げを勧告することができる。」このようにあるわけですが、これによりますと、通産省は品目別の最高額を算定するようでありますけれども、この算定作業というのは毎月やっておられるのかどうか、それとも年一回やるのかどうか。この対策要綱によりますと、業者は毎月通産省に価格を届け出て公表することになっておりますが、そうすると、通産省はこれに対応して毎月この届け出価格の妥当性というものを判定しなければならないという筋合いになると私は思うのです。それを毎月やっているかという問題なんです。その辺のところをまずお聞きしたいと思います。
  122. 吉光久

    ○吉光説明員 このコスト調査につきましては、毎年一回コストの実態を調査いたしております。そのときどきの市況と申しますよりか、コスト主義での計算方式をとっておりますので、毎年一回の調査ということでございます。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 対策要綱には毎月ということになっているわけでしょう。それでは運用できていないということになるのですが、その点は正確にお認めになりますか。
  124. 吉光久

    ○吉光説明員 先ほど申し上げましたのはコストについての調査でございまして、届け出につきましてのチェックは、毎月その基本的なコスト調査を前提にいたしましてチェックをいたしておる、こういう状況でございます。  ただ、先ほど公正取引委員長のほうからお話ございましたように、現状におきましては、現実の価格はこの届け出価格を大幅に下回っております。したがいまして、公販制度自身は実は現状ではあまり活用されていない、あまりと申しますよりか、むしろ昨年の一月ごろのように非常に鋼材が暴騰いたしましたときに、上限をささえると申しますか、そういうふうな働きをいたしたわけでございまして、現実は届け出価格以下のところで取引が行なわれておる、これが現状でございます。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 まだございますから次へ行きますが、要綱にはこの販売価格を調査することになっておりますが、それじゃどういう手続でこの品目別のコストをお調べになるのですか。その点をもうちょっと聞かしてください。
  126. 吉光久

    ○吉光説明員 このコスト調査でございますけれども、それぞれ各社からコストに関する資料をまずちょうだいいたします。それぞれの各社のコスト関係——調査項目はこちらで指示いたしておりますけれども、まず各社から資料を提出させます。と同時に、また通産省でもいろいろな理論値等を使いながら、別途そのコスト調査についての役所の角度での調査をいろいろといたします。そこで最終的なコスト調査をまとめておるわけでございます。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、結局この原価計算書を出させるわけでしょう。そうすると、ここでは数字はあくまで合わしておるにすぎないと思うのです。各社において原価が違うのは当然なんです。そういう届け出価格というのが大手と中小の二本建てできているわけですが、各社から出るそうしたコスト調書というものが一線にそろっておる。しかしその各社それぞれの経理状況というものは違うわけでしょう。これは同じということは考えられないわけです。どうして原価がそのように一線にそろっているのか、その辺のところをちょっと説明してください。
  128. 吉光久

    ○吉光説明員 各社から御提出いただきます原価調書につきましては、それぞれ各社の事情が入っておりまして、内容は必ずしも同一ではございません。ただ、一応の公販制度のめどをきめます原価、それの基準になります役所のほうのコストというものは、それぞれの各社の原価計算書を拝見の上で、さらに独自の調査をいたしましたもの役所の基準としての一つのコスト調査表を目標といたしております。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ、大メーカーと中小メーカーと、役所でまとめて、あなた方は、これはここから出てきたあれだということを発表なさっているのですか。問題ですよ、それじゃ。現在、大メーカーと中小と二本立てで出ているはずですけれども、その辺のところは非常にぼけましたですよ。もう一度その点をはっきり言ってください。
  130. 吉光久

    ○吉光説明員 コストにつきましては、実は公表いたしておりません。公表いたしておりますのは、この規定にも書いてございますように、各社別のそれぞれの販売価格のみでございます。したがいまして、コストはあくまでもコストとして、役所のほうで届け出られました販売価格が適正なるものであるかどうかを判断するための別の調査資料でございます。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんので次にいきます。  それぞれの品目別に間接経費というものを割り振るのは、各社ごとにどうしてやっておられるか、この点を通産省はつかんでいますか。   〔発言する者あり〕
  132. 小峯柳多

    小峯委員長 私語を禁じます。
  133. 吉光久

    ○吉光説明員 お答えがおくれて申しわけございません。  間接経費の関係でありますけれども、やり方は二通りあるようでございまして、一つは販売の金額、ウエートによりまして、各社それぞれに案分いたしておりますものと、それからもう一つは、販売の数量に応じましてそれぞれ案分いたしておりますが、そういうふうな形で、それぞれ各社によりまして、この二つのいずれかの方法で間接経費を配分いたしております。
  134. 近江巳記夫

    ○近江委員 通産省は、業者の提出してくる資料を、書面上だけで、書類上だけで審査するだけか、あるいは事業所に立ち入って調査をしておられるのか、その点はどうですか。
  135. 吉光久

    ○吉光説明員 現実に立ち入り調査はいたしておりません。提出されました資料によりまして調査いたしておりますけれども、ただ、調査資料だけをもとにいたしておりますと申しますよりか、さらに他のいろいろな調査もやっておりますので、それらと常に相互比較、参酌しながら、総合的にコスト調査の最終的な結論をまとめておるわけでございます。
  136. 近江巳記夫

    ○近江委員 では申し上げますけれども、そうすると、これだけの巨大企業の複雑な原価計算書、これは膨大なものだと思うのですが、それをながめただけでほんとうの姿というものがわかるかどうかということなんです。本気でコストをはじこうとしておられるかどうかという問題なんです。  さらにもう一つ申し上げますが、通産省の重工業局鉄鋼業務課で、現在それをやっておられると思いますが、コスト調査を担当される職員は何名おられますか。その人の能力について私は別に云云はいたしませんが、その辺のところをおっしゃってください。
  137. 吉光久

    ○吉光説明員 この関係に従事しておる職員は三名でございます。ただし、これは、ここに経理全体について従事している職員ということでございます。
  138. 近江巳記夫

    ○近江委員 常識的に、それだけのスタッフで、その人がどれだけ能力があるか知りませんが、真剣にコストをはじけるわけがありませんよ。あくまで書類上だけでしょう、これじゃ。原価計算上最も大きな変動要因というものは稼働率の問題になってきますが、この各社別の品目別の稼働率がちょっと動くと非常に原価に大きく響いてくるわけです。こうした点をどのように査定していくか。ただ単なる通産省の需給見通しでやっているのか。そういうところが非常に問題だと思うのです。役所の見通しのずさんなことは、いままでにあれだけの高低を繰り返しておりますし、わかっておりますが、非常に当てにならぬことばかりやっているわけですよ。その辺のところを少し説明してください。
  139. 吉光久

    ○吉光説明員 先ほど申し上げました年一回のコスト調査をやっているわけでございますけれども、これは一応、年全体の平均稼働率を想定いたしまして、その平均稼働率によってコスト計算をいたしております。ただ、その月々の問題になりますと、この平均稼働率は、想定されました年の全体の予定でございますので、非常に変動がございますので、さらにそれに近い時期で、それぞれの月にその稼働率についての修正を求めている、こういう状況でございます。
  140. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、いままで引き下げを勧告した実績というものはあるのですか。
  141. 吉光久

    ○吉光説明員 これによりまして価格引き下げの勧告をいたしましたのは三十七年でございます。また、昨年の暴騰時におきましては、むしろこの価格まで、これ以上こえるものにつきましては、この制度によって価格を押えてきたということでございます。
  142. 近江巳記夫

    ○近江委員 次へいきますが、この対策要綱ですね。もう一ぺん見てみますと、生産数量及び販売数量の調整について触れているわけでありますが、通産省は、需給が不均衡になるときに、対象事業者ごとに対象品目について毎月のそういう生産基準量を定めて、増産勧告あるいはまた減産勧告というものを行なわれるようになっているわけでありますが、こうした制度、あるいはまた過去のそうした粗鋼の勧告操短、何がゆえに通産省はこういう態度をとっているのか。この辺のところが、非常に理解に苦しむような、先ほどいろいろな実例をあげてきましたような態度をとっているわけですが、それはどういうわけですか。
  143. 吉光久

    ○吉光説明員 先ほど来お話がございましたように、鉄鋼業自身が非常に基幹産業でございまして、この価格の乱高下ということが他の産業分野へ及ぼす影響は非常に大きいものがあるわけでございます。したがいまして、こういう基礎素材でございますだけに、どうしても単純な乱高下だけにまかしておけない面が多分に出てまいるわけでございまして、そういう点から、他の品物と違いまして、従来国がこの鉄鋼業について関与していた面も相当あったのであろうというふうに考えます。ただ、先ほど来の公販制の問題にいたしましても、それぞれの事情、事態に応じましてやはり常に再検討さるべき筋合いのものであるというふうに考えておりますので、先ほどの勧告操短あるいはまた設備調整それからこういう公販価格というような問題につきましても、絶えずその置かれた地位に応じて、あるは経済的状況に応じまして再検討すべきものであるというふうに考えております。
  144. 近江巳記夫

    ○近江委員 基幹産業が共倒れになるという。しかし、産業界においてそういう真の意味の競争がほんとうに行なわれているなら、そういうむちゃな設備投資にしたって何にしたってこわくてやれないはずです。こういうような状態で、実際いままで設備拡張にばく大な金を入れておりますが、あとでまた中小企業の問題に入りたいと思いますが、中小企業なんかほんとうにあきれているわけですよ。一社に対して何百億という金がつぎ込まれる。そういうような状態において、結局過剰生産だから操短だ、あるいはまた公販制度だと手取り足取りそういうような保護をやっておるわけでありますが、しかし、独禁法の立場から見れば非常に問題点があると思うのです。経済的に見たときに、鉄鋼のそうした公販制というのは、寡占企業の管理価格制度を結局役所の介入というていさいをとって公認しているようなものだ、このように私は考えるのですが、その点はどうですか。
  145. 山田精一

    山田説明員 ただいま御指摘ございましたが、私どもといたしましては、現状におきましてはこの公販制度独禁法に抵触いたしておらないと判断をいたしておるわけでございます。かりに将来抵触いたすような場合におきましては、これは通産省に御連絡いたすなり何なりいたしまして、そういうことはやめていただくつりもでおります。
  146. 近江巳記夫

    ○近江委員 公取委員長通産省に遠慮は要らないのですよ。  これは前にも公取のほうで一度警告を出されたのと違いますか。あなたのときか、その前か知りませんが、ことばのニュアンスがえらく違うように思うのです。その辺のところをもう一度。
  147. 山田精一

    山田説明員 私の代にはそういう事実はございませんので、前にそういうことがありましたかどうか、私ちょっと承知いたしておりません。
  148. 近江巳記夫

    ○近江委員 だからその一代限りの、あとは知らないという態度はよくないと思うんですね。ですからその辺のところは非常に検討しなければならない問題だ、私はこのように思います。そういう点で委員長としても今後この問題についてよく監視もし、また検討もしていただきたい、このように思います。  それから、この鉄鋼業に関するこうした公販制度の問題といい、どこに原因があるだろう。まあいろいろ単純なものではないということはわかりますが、一つ目立つことは、通産省はじめ製鉄会社への天下りが多いわけですね。これについて通産省また経企庁長官お二人からひとつ御意見を聞きたいのですが、今後もこういう態度が行かれるかどうか、非常に問題だと思うのですが、その辺のところを聞きたいと思います。
  149. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まあ天下りと言われますけれども、やはり役人出身の人にはなかなかできる人が多いものでございますから、それで自然経営者のほうに入ってくれないかというようなことがあるのではないかと思います。もちろん先ほどからいろいろお尋ねのように、設備調整にしましても、公販制度にしましても、特定のどの会社に特に恩典を与えるという性格のものではございませんから、この役人を終えましたあとどういう仕事をするかということとの間に別に因果関係のあるわけでもありませんし、人事院もこの点についてはよく審査をしておられるようでございますから、そう弊害のあることではないのではないか、私はよそながらそう思っておるわけでございます。
  150. 吉光久

    ○吉光説明員 私の立場からこの問題についてお答えできるかどうか、むしろ私どもの官房のほうでお答えいただきたいと思うような事項でございますが、先ほど長官からお答えございましたように、人事院の御了承を得た上でそれぞれ就職をされておるものと思っております。したがいまして、公務員法上のチェックを受けました上でそれぞれ各会社に就職しておられるわけでございまして、その点の落ち度はないと思いますが、同時にまた私どもといたしましても、実は各社にいろいろな通産省の先輩がおられるということが現実の行政を阻害しておるというふうには考えられないわけでございまして、言うべきものは言う、これは通産省の先輩であるとないとは全然関係ない事項であるというふうに考えておりまして、もし疑わしき問題があれば、むしろ常にき然たる態度通産省としては処理していくべきものと、このように考えております。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 関係ない事項と言われるわけですけれども国民は見えない糸で非常に深い関係があるとそう見ているわけです。いずれにしても、従来まで私もこの天下りについては何回も質問もしてまいりましたし、この点についてひとつすっきりとした形で今後考えていってもらいたい。この点を強く要望しておきます。  それから中小企業の問題であります。いよいよ予算編成の大事なときに入ってきたわけでありますが、いつも中小企業が冷やめしを食わされているような状態であります。政府の皆さん方は、中小企業には力を入れますと言われる。事あるごとにその問題を聞いているわけでありますが、非常に大事な時期でもありますので、私はもう一ぺんこの中小企業の問題についてお聞きしておきたいと思います。いつも中小企業に力を注いでいる、このようにおっしゃっているわけですが、この昭和四十三年度の財政投融資計画の中身を見ると、ことばと中身は全然違うということが明白になっているわけです。第一番に、資金運用部資金から基幹産業、輸出振興等の大企業中心の投融資対象へは三千八百六十四億、前年度比千四百四十四億、約ですが、増加となって計上されているわけです。ところが、中小企業に対しては三千百八十三億、前年度比五百九十八億円の増加にしかすぎないわけです。さらに簡易生命保険資金についても、中小企業に対しては前年度比五十億円増の三百億円、それに対して基幹産業に対しては百十一億円増の百四十億円、このように大幅に増加をしているわけです。そこで、この資金運用部資金というのは一体だれからかき集めてきた資金であるか、それを見ていきますと、一つは郵便貯金あるいは厚生年金、国民年金、そのような非常に一般庶民の零細な資金であるわけです。簡易生命保険等ももちろんそうでありますが、このような国民大衆のそうした零細預貯金、積み立て金、そうした金額というものは当然あくまで国民大衆に還元しなければならない。そういう点大企業は非常に資金調達力にも抜群の優位性を持っているわけです。中小企業はそうした金融面において非常に苦しんでいることは皆さんも御承知のとおりです。先ほど数字をあげて申し上げたとおりでありますが、そういうように、この四十三年度を見ても、大企業向けの比重を非常に増加さしている。これはいままで言っておられることとやっていることが違うわけですね。その辺のところをお聞きしたいと思うのです。まずこの点を一点。それから今後の態度ですね。
  152. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 数字のことにわたりますので、私から事務的にまずお答えいたしますが、実は財政投融資につきましては、四十三年度の総規模は二兆六千九百九十億でございます。先ほど先生御指摘の中小企業だけを見ますと、そのうちの中小企業向けというのは三千八百七十六億円になっておりますけれども、いわゆる中小企業という範囲はこれだけではございませんで、農林漁業等にも資金が出ておりまして、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、農林漁業、こういうものを全般的にほとんど中小企業向けのものだと考えていいと思いますので、これを小計で二兆六千九百九十億円に対しましてこれらの金額の合計額は一兆四千四百二十一億円、財政投融資の全体の中のシェアは五三・四%になっております。これはこのほかに国土保全、災害復旧とか、あるいは道路、地域開発、こういうものが大部分中小企業向けに対して貢献しているというふうに考えられますので、先生の御指摘の基幹産業をとってみますと、これは二兆六千九百九十億の中で六・六%のシェアでございまして、先生の御指摘のように中小企業向けが少ないではないかという御指摘はこの数字からいくと必ずしも出てまいらないかと存じます。四十三年と三十七年のだいぶ前の数字とを一応比較してみますと、基幹産業は三十七年当時は全体の九・九%でございましたが、これが四十三年度は六・六%になっておりまして、中小企業いわゆる狭義の中小企業のシェアから申しますと、三十七年に一二・六%が一四・四%に上がっておりまして、先ほど申し上げました小計である住宅とか生活環境整備、厚生福祉施設、農林漁業、中小企業全部を合わせましたところで、三十七年に四八・七%でございましたものが五三・四%というふうに構成比は相当中小企業向けに上がっておるということでございます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろんな基盤を入れればそうかもしらぬけれども、その基盤のことを言っておるのと違うんですよ。大蔵省としてはあなたのとってこられたそういう態度でいいんですか。通産省と言うことが違うじゃないですか。通産省はいままで中小企業に対してその方向に向けていきますという。大蔵省と通産省と全然通じてないのですか。その点ここで言っていることはうそですか。いまのあなたの答弁はこれでいいというような態度ですよ。中小企業に対する今後の大蔵省の態度、それから通産省態度、その点を聞かしてください。
  154. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 ただいま申し上げましたのは、過去における数字がどういうふうになっておるかという説明でございまして、中小企業向けに対して大蔵省が中小企業庁と異なった見解を持っているというふうには考えておりません。中小企業向けに対する財政投融資の重点を、いま御説明申し上げましたように、過去においても重点を移してまいりましたということを申し上げておるわけでございます。
  155. 乙竹虔三

    乙竹説明員 中小企業庁といたしましては、一般会計予算におきましては中小企業のシェアは比較的少ないと申しますか、まことにまだ少ないのでありますけれども、財政投融資につきましては、一般会計に比べますると、相当国全体として重点を注いでおり、今後もだんだん注いでいきつつあるというふうに思います。四十二年度と四十三年度の伸び率を見ますると、財政投融資全体で一三%伸びたわけでございますが、中小企業関係は一六%というふうな伸びを示しております。もちろん、これは先生御指摘のように決して十分な数字ではございませんし、特に中小企業は、国民経済全部の近代化のために現在こそ中小企業を近代化しなければむしろ大企業の足を引っ張るというふうな大事な時期でございますし、特に後進国の追い上げもあるという時期でございまするので、われわれとしては今後ますます中小企業に対する国の比重をかけてほしいというふうに考えておるわけでありまするが、来年度に対しましては、財政投融資、これはまだ現在要求段階でございまするけれども、三機関全部で貸し付け規模におきまして本年に対しまして四三%増の要求、すなわち本年度七千五百九十六億、これは三機関だけでございます。これに対しまして来年度は一兆八百二十三億という貸し付け規模要求をしております。この貸し付け規模を達成いたしますためには、財政投融資といたしますと六千三百四十六億、本年度が三千四百七十八億でございますので、本年度に対して八二%増という非常に大きい数字でございますが、これを極力達成いたしたいというふうに考えておりますが、さらに広義の財投といたしましては、このほかに中小企業振興事業団がございまして、この事業団によります団地、共同事業の画期的拡充を考えておるわけであります。事業団の助成規模といたしまして、本年度が三百七十三億に対しまして、来年度五百四十三億、四六%増というふうな規模の達成を期待をいたしておる次第でございます。先生承知のように非常に重要な時期でございますから、私たちといたしましては全力をあげて中小企業に対しまする財政投融資の拡充に努力をいたしたいと考える次第であります。
  156. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでわかりましたが、要求はしても、いままではそれを大幅に下回る額しか獲得できてない。だから要求はしたけれどもやはり、先ほど長官のことばの端々をとらえるわけではありませんけれども、伸びつつあるとか、いきつつあるとか、自然に大蔵省も考えてくれるだろう、そういう何かそこに弱い感じを受けるわけです。私は長官ともいろんな点でお話もしておりますし、歴代長官の中でも一番中小企業に力を入れておる、かように見ております。そういう点でそれを要求なさる以上は必ずその貫徹に努力してもらいたいと思う。大蔵省もあまり厚い壁にならずに、中小企業に対してもっと大蔵省の方向を中小企業に向ける、こういう態度でおられるかどうか、その点をひとつお聞きしたいと思うのです。
  157. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 ただいま長官から御答弁がございましたように、一般の平均の伸びからいきますと、従来も中小企業にはさらに厚い伸びを加えておるわけでございますが、中小企業の重要性につきましては十分大蔵省も認識いたしておりますので、この認識のもとにこれからの査定をやってまいりたいと考えております。
  158. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に伺いたいことは、融資条件に対する政府の態度でありますが、一口で言うならば非常に不公平な態度だと申し上げたいと思うのです。たとえば中小企業金融公庫の中小企業近代化事業に対する貸し付け金利七・七%でありますが、開発銀行における基幹産業に対する金利というものは六・五%になっております。ここで企業のそうした収益性から考えていきますと、ばく大な企業利益をあげて、しかも資金の調達力というのは非常に強い、そういう大企業の金利を、倒産にいつもおびえなければならない、一般市中の金融市場でも非常に不利な立場にある中小企業に対する金利より低くする理由というものがどこにあるか、この点は私は納得できない。この点を納得できるように一ぺんここで説明してもらいたいと思うのです。
  159. 乙竹虔三

    乙竹説明員 御指摘のように、中小企業が一般市中金利におきまして大企業に比べて不利な立場に立っておるというわけでございますので、補完的な意味におきまして、政府三機関、特に政策金融を行ないます中小企業金融公庫の金利につきましては特段の措置を講じたいわけであります。したがいまして、ただいま先生御指摘の近代化促進法の特別融資におきましては、一般金利に対しまして、特別金利、七・七%という特利を設けておるわけであります。これが御指摘のような開銀の特利、御承知のように開銀の中でいろいろ特利があるわけでありますけれども、その特に優遇されております六分五厘に対しましては確かに七分七厘というのは高いわけでございますけれども、ただ、この中小企業近代化促進特別融資につきましては業種につきましては広い範囲のカバーがございます。さらに来年度におきましてはこの七分七厘を七分五厘に下げてほしいという要求を実はしておるわけであります。われわれといたしましては、中小企業の政策金融の金利の低下につきましては今後も努力をしてまいりたいと考える次第であります。
  160. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんので次に行きますが、ひとつ早急に、七分五厘なんと言わずに、もっと下げる努力をやってもらいたいと思うのです。要望しておきます。  それから、先ほどからるる説明がありまして、予算面にしろ、また財投にしろ、確かに逐次増強されておるという点はわかりますが、しかし、中小企業対策というのは独立して存在するものではない。したがって、大企業とのアンバランスということが一番問題になっておるわけです。ですから、それの解消に全力をあげなければならない、このように思います。この大企業と中小企業というものが相互に自由に、しかも公正な競争を行ない得るような、そういう環境の整備、これが結局独禁法の第一条に掲げる目標である、このように思いますが、この際政府の皆さんに、この理想追求のために、ほんとうに中小企業を守っていこう、そういう決意があるかという点、さらに長官の決意を聞きたい。この点が一点です。  それから特に、これはいつも申し上げておりますが、この機会に強調しておきたいことは、都市銀行はどうしても中小企業の金融というものを実質的に締め出すような傾向を持っているわけです。中小企業が非常に不利な金利に走らざるを得ない。都市銀行、なかんずく財閥系とでもいいましょうか、そうした不公正な姿勢に対して、政府はいままで、そういうような注意もしておりますとか、われわれとしても再度このようにやりますとか、いろいろ聞いておりますが、なかなか実効があがっていない。それが実現できるようなほんとうに強力な手が打たれてないわけです。そういう有効、強力な措置を講ずるその責任を持ち、かつそれを実行なさる意思があるかどうか。この点をお聞きしたいと思います。
  161. 乙竹虔三

    乙竹説明員 大企業と中小企業の立場、これの対等化と申しますか、格差の是正と申しますか、これにつきましては二つの方向があると思います。根本的には、中小企業の体質が改善されまして、これは機械産業あたりが典型でございまするが、建設業におきましても、繊維産業におきましても、あらゆる産業において、先生御指摘のように、大企業と協力関係といいますか、からみ合って初めて完成した商品に成熟する経済でございまするので、大企業としても協力者である中小企業の存在は当然非常に大事であるわけでありますが、ただ遺憾ながら中小企業の体質が弱いことと、これはうらはらでございますが過当競争があるということのために、取引関係において中小企業が不利な立場にあるということでございますので、二つの方向において、すなわち、一つは中小企業の体質を強化するということ、これは急がば回れ、こういうたとえは失礼でございますけれども、こういうことがどうしても必要であるということで、中小企業の体質強化対策を強力に進める必要があるというように思います。これにつきましては、先生承知のことでございますから繰り返しません。第二には、しかしそれを待ってもらえませんので、直接に大企業と中小企業の取引関係に政府が関与するということにおきまして、たとえてみますと、下請取引に対しての支払い遅延の防止、下請関係の改善というふうなことについて直接的な介入をしておるわけであります。  それから第二の都市銀行の場合について御指摘がございましたが、歩積み・両建ても同様でございまして、これも銀行と中小企業の関係に対する政府の関与でございまするが、この歩積み・両建ての関係は非常に改善はされております。現在まで残存はしておりますが、改善はされておるということは御報告できると思います。  なお、都市銀行の中小企業に対する締め出しでございまするが、この点は、私たち心配しておりますのは、大企業においては自己資本の蓄積もだんだん進みましたためでございますか、むしろ都市銀行としては中小企業の中の優良なる部分に対しては積極的に貸し出しを進めていきたいという態度でございまするが、中小企業の中以下の部分についての差別的な扱いと申しますか、こういう点もなきにしもあらずということでございまするので、中小企業向けの専門金融機関と申しまするか、相互銀行、信用組合、信用金庫、こういう機関の健全な発達が必要であるということで、大蔵省と密接に連絡をとりまして、いろいろ対策をとっておるというわけでございます。
  162. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間もあまりありませんので、簡潔に答えてもらいたいと思います。  下請に対する支払い遅延防止法、これの運用は皆さんも御承知のように全然できていない。結局、下請企業はそうした後難をおそれて、当局に対して救済を求めようとはしない。ですから、いうならばこの法律自体は開店休業のような状態である。こういう法律をつくっても何にもならないような、そういう状態をどうしていくか、その欠陥をどのように是正していくか、この辺のところを伺いたい。
  163. 山田精一

    山田説明員 下請法が実効をあげていないというおことばがございましたが、なるほど下請業者のほうから直接私どもの役所に対しまして申告をいたしてまいります例は、ただいま御指摘のように後難をおそれるというようなことで少ないということは事実でございまして、残念でございますが、しかし、私どもはそれで腕をこまねいておるわけでは決してございませんで、非常に大きな企業、一流の大企業をはじめといたしまして、こちらのほうから積極的に立ち入り検査をいたしております。そうして不適当な事例を摘発いたしまして改善させておる例は、今日統計を持ってまいりませんでしたけれども、非常に数多くございます。むろん現状で私ども満足いたしておるわけでは決してございませんけれども、ある程度の実効をあげておるということは御承知いただきたいと存ずる次第でございます。
  164. 近江巳記夫

    ○近江委員 別に公取委員長にどうだこうだというあれはないのですけれども、それは確かに若干やっておられるかしりませんが、この膨大な中小企業に対して、じゃどれだけみんなが納得するような結果が出たか、これはほんとうに氷山の一角であるということを私あえてここで申し上げておきます。そういうわけで、ただ一つの守り手といいますか、とりでである公取でありますから、その辺のところをいまおっしゃったように、さらに実効のあがるように努力していただきたい、この点を要望しておきます。  時間がありませんので最後に一つだけ申し上げたいのですが、きょうの日経にも「ITT世界食品市場ねらう」、食品業界へのこうした進出というものが取り上げられておるわけであります。特に最近の物価上昇というものは非常に大きな国民の悩みの種でありまして、その中でも特に食料品の値上げが著しいわけです。そういう問題で、特に食品工業というのは中小企業が非常に多いし、そういう問題で最後に一つだけお聞きしたいと思っておりますが、食品加工、流通部門の構造改善の問題であります。この業種は非常に典型的な中小企業である、これは御承知のとおりでありますが、このように外資の攻勢に非常にあえいでおるわけでありますが、何としても物価対策の上からもこれは近代的に合理化しなければならない、早急にしなければならないと思います。きょうは農林省も来られておりますからお聞きしますが、この四十三年度の農林予算を見ますと、農林企業対策として一千三百万円、食料品関係企業の合理化として一千四百万円以外には何も見当たらないわけです。こういう予算で一体何ができるかということなんです。この施策の内容を見てみますと、調査研究といっておるわけでありますが、農林省は実施官庁であって、研究所ではないと私は思うのです。農林省として、食品工業の近代化について、こうした予算面から見ましても、われわれは、何一つやっていない、このように言ってもいいんじゃないかと思います。これは当然通産の中小企業等の問題が入ってきますから、通産の人もよく聞いてください。では農林省。
  165. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 ただいま御指摘のように、食品工業につきましては、従来農林関係の施策が——これは農林水産業自体がたいへんなむずかしい問題をかかえておりますので、施策の重点がそちらにございまして、関連企業の対策につきまして必ずしも十分でなかったということは、率直に認めざるを得ないと思うわけでございます。もちろん中小企業一般といたしまして、中小企業近代化促進法、その他ただいま中小企業庁長官からお話がございました各種施策につきましては努力しておるわけでございます。予算関係におきましても、おことばを返すわけではございませんが、関連企業の合理化資金対策費等を二千四百万円計上しておるわけでございますし、また、個々の流通小売り業等につきましては、四十三年度から国民金融公庫の百三十億の貸し付け額を決定したというようなことで、不十分でございますが、これについての努力を重ねております。基本的に、食品工業の近代化合理化、諸般の御指摘のような要請にこたえるということで、行政機構簡素化のきびしい状況でございましたけれども、四十三年度六月に企業流通部を農林省として新設いたしまして、この問題について真剣に取り組む。特に食品工業はただいまお話のございましたように、食生活の変化あるいは外資進出の問題、たいへんな問題をかかえておりますので、先般学識経験者やあるいは業界、多数にお集まり願いまして、食品工業対策懇談会を開き、そこで中小企業一般のみならず、食品工業固有の問題について、今後年内に結論を得て、施策の実現につとめたいというふうに考えております。
  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんので、簡潔にお願いしたいと思います。  通産省にお聞きいたしますが、通産省が中小企業構造改善対策として、中小企業振興事業団を中心に重点施策を実施しておられるわけでございますが、この中に農林省所管の食品工業というのは含まれておりますか。
  167. 乙竹虔三

    乙竹説明員 当然共同施設または団地といたしまして事業団の対象になるということでございます。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、制度的にそのように可能である、そうしたときに、予算上この食品工業は入っておりながら、実際上はなかなか適用を受けておらないという実態を非常に聞くわけです。こういう点で通産省としても、農林省の管轄であるか知りませんが、なぜもっとこの食工品業等についても力を入れなかったか、その辺のところをもう少し聞かせてもらいたい。
  169. 乙竹虔三

    乙竹説明員 おことばをちょっとあれして恐縮でございますけれども通産省は所管ではございませんけれども、中小企業庁といたしましては、根本策についてこれは所管をしておるわけでございます。具体策は農林省が御所管になっておるということで、共通の制度は私たちのほうでお世話を申し上げておるというわけでございますので、農林省が具体的な農林の行政上の政策をお立てになりまして、それに応じまして私たちのほうで、事業団の融資でございますとかあるいは中小企業金融公庫——先ほどもございましたがことしは百三十億のワクでございます。来年度は三百五十億までワクをふやそう、これは私たちのワクとしてお世話を申し上げている。しかし直接の責任は農林省がやっていらっしゃるわけでありまして、相携えまして努力をしておるわけでございますが、先日の、篠原委員会と言われております中小企業政策審議会の企画小委員会の報告の中にも、食品工業におきましては特に重点を置いて報告がなされているわけでございます。
  170. 近江巳記夫

    ○近江委員 ところが、毎年中小企業庁で融資をなさるでありましょうけれども、やはり所管のところの熱意というか、それが大きく結果に出てきているわけです。その点で私は、むしろ本筋は通産あるいは公取、経企庁でありますけれども、農林省の人に言いたいのですよ。いまで言うならですよ、ほとんどこうした問題について力を入れてない。つけ足しみたいなことではいけないと思うのですね。むしろ農林省の所管からみなはずしてほしい、私もいろいろ聞きますが、そういう声が圧倒的に多いわけです。そういう点について通産省と農林省と今後どういうようにその辺のところを——農林だからこれは私のほうは言えない、農林は農林でほっておかれたのでは、これほど大きく国民に影響のある工業です、こういう冷やめしを食わせるようなことではいけないと思うのですね。その点どのようにお考えになっていらっしゃるか、両方からお聞きしたいと思います。
  171. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先ほどから申しますように、中小企業庁といたしましては、農林省所管の中小企業も、また建設省所管の中小建設業も、運輸省所管のトラック等の中小運輸業も同じ立場、通産大臣の所管しております重工業、繊維工業と同じ立場で私たちお世話をしておるわけでございます。この中小企業がいずれもとにかく日本経済のいしずえといたしまして非常に重要な立場でございますので、長官といたしましては、通産大臣所管のものはもちろんでありますが、他省所管の農林、運輸、各大臣御所管のものにつきましても、一生懸命がんばってまいるつもりであります。
  172. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 基本的には中小企業庁長官お話のとおりでございますが、中小企業庁の各種の施策というものの充実強化につきまして、食品工業の育成と切実な要求を生かすようにいろいろ努力してまいりたいと思います。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうはほんとうは農林省から所管を通産省に移せばどうか、ここまで私は言おうと思っておったのですが、それは言いませんけれども、今後の農林省のそういう態度を見て、また今後私も考えていきたいと思っております。そういう点でよく力を入れていただきたい。そのことを要望しておきます。  以上で終わります。
  174. 小峯柳多

    小峯委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十分散会