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1968-08-06 第59回国会 衆議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十三年八月一日)(木曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 海部 俊樹君 理事 鴨田 宗一君    理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       内田 常雄君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    大橋 武夫君       岡本  茂君    神田  博君       木野 晴夫君   小宮山重四郎君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       始関 伊平君    塩谷 一夫君       島村 一郎君    田中 六助君       丹羽 久章君    橋口  隆君       武藤 嘉文君    岡田 利春君       久保田鶴松君    佐野  進君       多賀谷真稔君    楯 兼次郎君       千葉 佳男君    中谷 鉄也君       永井勝次郎君    古川 喜一君       三宅 正一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫————————————————————— 昭和四十三年八月六日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇野 宗佑君 理事 海部 俊樹君    理事 鴨田 宗一君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       小笠 公韶君    大橋 武夫君       岡本  茂君    神田  博君      小宮山重四郎君    坂本三十次君       塩谷 一夫君    丹羽 久章君       橋口  隆君    武藤 嘉文君       岡田 利春君    佐野  進君       多賀谷真稔君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   綾田 文義君         大蔵大臣官房審         議官      田代 一正君         大蔵省主計局主         計官      亘理  彰君         通商産業省重工         業局自動車課長 田中 芳秋君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         自治省税務局長 松島 五郎君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 八月五日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として佐  々木更三君が議長指名委員選任された。 同日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  中谷鉄也君が議長指名委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  中小企業に関する件
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、日本経済総合的基本施策樹立及び総合調整並びに通商産業行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策樹立のため、  一、通商産業基本施策に関する事項  二、経済総合計画に関する事項  三、公益事業に関する事項  四、鉱工業に関する事項  五、商業に関する事項  六、通商に関する事項  七、中小企業に関する事項  八、特許に関する事項  九、私的独占の禁止及び公正取引に関する事項  十、鉱業一般公益との調整等に関する事項 以上各項について、小委員会設置関係方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中に国政に関する調査を行なうため、議長に対し、国政調査承認要求を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。  すなわち、先ほどの理事会で協議いたしましたとおり、小委員十一名よりなる、産業構造並びに貿易対策に関する小委員会産業金融に関する小委員会及び鉱業政策に関する小委員会をそれぞれ設置することといたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、各小委員及び小委員長選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員並びに小委員長は追って指名いたします。  次に、小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じた場合の参考人出席を求める日時、人選、手続等、並びに小委員及び小委員長辞任補欠選任等に関しましては、あらかじめ委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 小峯柳多

    小峯委員長 中小企業に関する件について調査を進めます。  この際、乙竹中小企業庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。乙竹中小企業庁長官
  9. 乙竹虔三

    乙竹説明員 中小企業環境条件の激変を迎えておりまして、今後いかなるビジョンを描くべきであるかということを示すのは、中小企業業界に対しまして、また政府関係方面に対しまして、あるいは学識経験者等に対しましてぜひ必要なことであると考えたわけであります。したがいまして、それによりまして中小企業政策審議会が内閣に設置されておりまするが、その政策審議会企画小委員会にさらに専門委員会設置いたしまして、昨年の秋報告を求めましたところ、七月の十九日付をもちまして、今後の中小企業政策のあり方につきまして中間報告がございましたので、報告をいたしたいと存じます。  中間報告について、お手元に配付いたしましたものでございまするが、概略をかいつまんで御説明を申し上げます。  目次のところをお開きいただきますと、第一章から第六章までになっておりまするけれども、この報告書のねらいましたところは、先ほど御説明申し上げましたように、今後中小企業日本経済成長とともにいかにその役割りを果たしていくか、世上一部で伝えられておりまするように、中小企業は次第に分解をして勤労者になっていく運命になるのであろうかどうであろうか、この辺のところが非常に問題であるということで、第三章の「今後の経済成長中小企業の役割」というのがこの報告の核心になるわけでございます。  この将来のビジョンを第三章で描きます前段階といたしまして、三十年代の経済成長段階において中小企業がどのように発展し、変貌をしてきたかが第一章に掲げられ、この発展変貌してきた中小企業に対しまして、労働力不足賃金上昇後進国の追い上げ、資本自由化等々の内外の環境変化がどのように大きな影響を及ぼすかが第二章に掲げられ、そして第三章が導き出されたわけでございまするが、この第三章の将来の日本経済の中におきます中小企業役割りを踏んまえまして、このような役割りを十分に達成させますために、中小企業政策基本的方向はいかにあるべきかというのが第四章に掲げられ、この第四章の基本方向に従いまして、「現行施策問題点改善方向」が第五章に掲げられ、さらに緊急に中小企業施策を施すべき方向といたしまして第六章があるわけでございます。したがいまして、ポイントは第三章でございまするから、第三章につきましてやや詳しく、他の章につきましてははしょって、簡単に御説明申し上げます。  まず第一章でございます。四ページでございまするが、「成長過程における中小企業発展変貌」ということで、成長過程での中小企業、これは非常に重要な役割りをしたけれども、このページの下から五、六行目にございまするように、重化学工業が先導的な役割りをしてきて成長した、それに対する補完部門としての機能を果たしてきたということを中小企業分野指摘し、また軽工業分野につきましては、新製品を衣料、家庭用品等開発し、バラエティーのある商品をつくることによりまして、豊察消費生活に貢献をした。また、流通部門においては、近代化がおくれているけれども、生産消費をつなぐパイプの役を果たしたということを書きまして、六ページは自動車産業の例をとりまして、現在アセンブラーであります大自動車メーカーは一応世界水準に達しておるけれども、このまん中の完成車ということでございますが、ここの工場でできますのは付加価値で四割弱、他は購入をしておる、下請に出しておるということでございまして、右側の関連部品なり左側の完成品部品工業なり、これにいずれも二次、三次の下請が非常に大量にありまして、そして現在世界で非常に大きなシェアを占めるに至った自動車工業が成り立っておるわけでございますが、問題はその下請工業近代化がおくれておる、これによりまして日本自動車工業がいまもって体質的に脆弱性を持っておる、こういうことを示しておるわけでございます。  なお、中小企業の地位が七ページに書いてございますが、これは御高承のとおり、就業者数では二千四百万人、就業人口では七七%、非常に大きな比率を占めておるということで、八ページに参りまして、これの数字が掲げてございます。  成長過程でこれが変化をしてきたわけでございますが、重工業分野においては主として部品なり部分の下請加工なり、こういう面、また繊維、雑貨の面では商品高級化多様化、こういう面、あるいは合成繊維プラスチック製品等が発生をすることによります適応をして、中小企業成長経済とともに成長をしてきたということを書いてございます。  一一ページは流通分野についてでありますが、一二ページになって、このように一応順調に表面的には成長してきたけれども、実は成長過程でいろいろ非常に多くの問題をはらんできたという指摘をいたしまして、まず企業間の格差拡大をした。これは大企業との格差拡大をしたことよりもむしろ中小企業の内部における格差拡大をしたということでございまして、この点につきましては、後ほど図でもって示してございますが、特に一二ページの下の六、七行目にございますように、収益の面で中小企業の総資本利益率、これは実は大企業よりも高いということが、調査の結果わかったのでございますけれども、しかし小規模層、五十人から九十九人、この層におきます企業間格差が非常に大きく、しかもこれが拡大をしておる。したがって、小規模層底辺部門限界企業では適応ができないで倒産をしておるという例が多い。この報告書には省きましたが、最近倒産調査を一応まとめましたところによりますと、数字的にこの辺が立証されております。  この企業間の格差が開いたというのが一四ページにございまして、この表はまず線が三本書いてございますが、五十人から九十九人の中小企業の中の小というものと、それから中小企業の中である百人−百九十九人、中小企業の大である二百九十九人までと三つ企業につきまして、一つグループの中にどの程度企業間格差があるかということを調べた表でございまして、このグラフの格差拡大、上のほうにいっておりますのが格差が開いた、すなわち五十人−九十九人の層におきましては、三十五年のときにもうすでに二百人−二百九十九人よりも格差は開いておるけれども、時が進むに従いまして、四十年、四十一年には非常にこの五十人−九十九人層は、順調にいっているものとそうでないものとの格差が開いた。しかしこれに比べますと、百人−百九十九人等の中ないし大の層は企業間格差が少ない、こういう表でございます。  それから一六ページに参りまして、物的生産性賃金、申すまでもなく賃金上昇に比例して物的生産が増大すれば、企業収益は順調であるわけでありますが、中小企業におきましては、賃金ののぼり方のほうが生産性ののぼり方よりも激しいということでございまして、その結果は、収益が減少するか欠損になるか、あるいはやむを得ず製品の値段に転嫁をして価格上昇を来たすか、こういうことになるわけでございますが、大企業は大体生産性賃金上昇がパラレルになってきている。それで一体中小企業もうけはどうかというのが第八図にございまして、マージン率は三十五年から四十一年に次第に増加をしておる、これがマージンでございまして、大体一五%弱であったマージンが一七%くらいまでふえてきておりますが、このマージンが配分されたのは純利益としては大体横すべりにすべっておりまして、資本費が若干増大をしたというほかに、非常に顕著なものに人件費が三二%から四二%ということになっておる、これを指摘いたしております。さらに企業間の格差のみならず、業種間の消長が非常に大きいということで、同じ中小企業の中でも金属工作機械等伸びたものも非常に多うございますが、人絹スフ織物、竹すだれ等停滞したものもあり、あるいは家庭用ミシン電球等のあまり伸びなかったものもある。中にはプラスチック造花、ゴムはきもののように、発展途上国からすでに侵食されたというものもございまして、業種間の格差が非常に広くなった。  それから賃金及び生産性格差の解消上の問題ということで、これが生産性賃金上昇が吸収されませんと、一九ページに参りまして、物価にやむを得ずはね返ったというものもある。  それから流通機構近代化のおくれと物価上昇で、日本流通機構が特に近代化がおくれているということが二一ページの表で、小売り商業国際比較で、アメリカに対しまして、日本はこのように五分の一以下の売り上げ高ということでありまして、特に流通部門近代化のおくれておることを示しております。  以上のような過去の回顧に立ちまして、第二章によって中小企業経済環境は大きく変化をしてきておる。  第一は労働力不足深刻化賃金上昇であります。しかし二三ページに参りまして、労働力不足はまだいわば序の口と言ったら言い過ぎかもしれませんが、先進国に比べますと、まだゆるいものでございまして、ほんとうの欧米型の労働力不足経済は今後やってくる、その覚悟をせねばならない、したがいまして、機械設備導入技術開発など、積極的に省力的な経営をせねばならないということで、二四ページに逼迫の状況がございますか、二五ページに非農林漁業従業者増加産業別寄与率という表が出ておりまして、これは新たに農林漁業以外の産業に追加投入されたと申しますか、増加された労働力がどのように分配されたかということてございまして、この三十八年——四十一年をごらんいただきますと、製造業に分配されたのが非常に少ない、第三次産業には比較的多い、こういうことでございまして、この結果、二六ページに参りまして、経営者としては、製造業経営者——この白い棒が労働力不足、それから斜めはちょうどいいという感じでありますが、製造業のまず中小企業、次に大企業、これが不足に悩んでおりまして、これは意識調査でございますが、これに比べると、サービス業が比較的ゆるい、こういうことになったおります。  それからついでに、この二七ページの表は二九ページ、この次の項目に関係するわけでございますが、三つに分かれておりまして、アメリカ市場におきます、上のほうが輸出がふえる、それから右のほうにいくとシェアがふえる、逆に左にいくとシェアが減り、下にくると輸出が減るということでございますので、この右の上のほうのワングループは、アメリカにおいて輸出もふえたし、シェアもふえた、それから逆に左の下のほうは輸出シェアも減った、完全にこれは追い上げられた、こういう表でございます。  二九ページ、国際環境変化でございまして、これは低賃金後進国に追い上げられ、したがって下級品をつくっておる産地が非常に大きな影響を受けて、さらに一九七〇年から特恵制度になるということ。  三〇ページに参りまして、資本自由化影響を受けまして、特に資本自由化は、外資は需要の成長が大きい産業、要するにもうけのあるとこにに出てくるという指摘をいたしますとともに、三一ページに下請部門に非常に大きな影響、これは国内産業編成と相携えて大きな影響を来たすであろう。さらに流通部門におきましては、強力な販売力と合理的な行動様式、豊富な資金を持つ外資が非常に大きな影響を及ぼすであろうという指摘をいたしまして、中小企業を取り巻く国内経済条件ということで、技術革新進展をしておるということと、三三ページで消費構造が大きく変化をしておる。それから流通構造が変動しまして、都市においては過密化現象、それから僻遠地におきましては過疎化現象、したがって商圏が非常に大きく動いて、そのために商圏適応する商業流通部門の再編成が急速に進められつつある。  三四ページにおきまして、近代的な経営管理方式導入で、コンピュータは、企業別に三五ページの表にございますように、百人以下にはほとんど入っておらぬ、五千人以上の工場によけい入っておる。それから産業編成進展をしてくるということが三四ページの(5)にございます。  以上、はしょりましたが、第三章が、今後の経済成長中小企業役割りということでございまするが、これの言わんと欲するところは三六ページ、今後の経済成長における中小企業役割りということに書いてございますように、まず三十年代の中小企業重工業補完したけれども、三七ページに参りまして、これからの日本経済はむしろ中小企業ボトルネックになるということを書いてございます。すなわち、大企業中小企業と相携えて国民経済を持っておるのだが、大企業生産性は向上したのにかかわらず、中小企業は低生産性にとどまっておりまするので、中小企業ボトルネックを解消することが、わが国の経済成長力をこのまま維持することのために必要であるということを強調して、これがポイント考え方になっております。  三八ページに、自動車産業の親工場子工場がどのように違うかというふうなことを書いてございます。  今後の産業構造中小企業ということで、一つの示唆として、三九ページに高加工度産業という考え方が出ておりまして、中小企業加工度の高い産業で栄えていくべきである。また日本経済は、単に重工業化率上昇を求めるのではなくして、加工度を高めていく。それから技術が濃縮された産業、ここにいかなければいけないという指摘をいたしまして、中小企業はそこに行き得る可能性が十分あるということを繰り返し強調しておるわけであります。  四三ページに参りまして、したがって、それではどういう分野に栄えるのかということでございまするが、まず第一は重工業分野、その中で三つございまして、第一は量産部門、これは、部品部門あるいは加工部門として、専門化が進むに従って、次々に中小企業がそこの部品部門加工部門に誕生をし、または他から移駐をしてまいりまして、親企業アッセンブラー企業発展とともに誕生し、ないしは移駐した中小企業中堅企業に、さらに大企業発展をしていく、こういう方向一つ。それから四四ページ、第二は、先端産業部門では部品が非常に多数要る。この部品部門で生きていくということと、第三に、包装とか、新しい製品を製造する機械労働力を節約するための機械をくふうして、その部門で生きていく。  こういう三つの点を指摘しそれからあとは、四八ページ、軽工業の部門におきまして、消費多様化高度化、それから石油化学工業技術革新等、原材料が新たに生まれた場合に発達をしていく、こういうふうな指摘をいたしております。四八ページから四九ページ、輸出市場でもこういうふうな高級品の競争で十分にやっていけるのであって、四八ページの最後にありますように、いままではむしろ労働力が豊富低廉であったから知恵が回らなくなったのだ、労働力がたりなくなれば知恵で生きていくよりしようがなく、それで生きていく可能性があるという指摘をいたしております。  四九ページが第三次産業分野で、飛ばしまして、このようなものが第三章でございます。  右のような将来の中小企業日本経済の中におきます中小企業は、一言で申しますと、日本経済成長をささえていく、リードしていく重要な部門である、こういう考え方で、決して中小企業は斜陽でもなければ、滅びてもいくものではない、したがってそういう方向政策を考えるべきであるというのが第四章の考え方でございます。したがって、これによりまして、政府は、五四ページの下から六、七行目に書いてございますように、新しい環境への適応努力を払うために必要な手段、すなわち資金調達力販売力技術力、この辺を補完をすることは国の責任である、中小企業強化することは国民経済を富ますことであるから、これに対する援助をするのは国の責任であるという考え方をとっております。  五五ページ、政策の視点ということで、右のような政策基本方向中小企業が新しい方向に脱皮していくことが必要だが、それは中小企業が独立して中小企業として日本経済から孤立したかっこうで考えるのでなくして、日本経済の全体との関連で考えていかなれればいけないということを特に強調し、五六ページで、しかし自助努力、まず自分で助けるという力を政府は涵養してやる必要がある。自助努力と申しても、力が弱い中小企業でございますから、自分で助ける努力を引き出すような政策をとるということが一つ。それから政策を受け入れる能力を強化してやる。したがって、組合の強化なりリーダーの強化なりを考えるべきであるということ。  五七ページに至りましてから、施策は効率的に考えなければいけない。従来の中小企業政策は数が多く、体系は整っておるけれども、一本一本の柱は弱く、かつ斉合性に欠けておるので、施策効率化を考えるべきであるということ、それから五八ページに参りまして、特に配慮すべき事項として協業化問題をあげておりますが、協業化は目的ではなくして、何でも協業化すればいいのではなくして手段であるという点を主張し、それから五九ページで販売力強化、従来反省いたしますと、生産力強化を強調し過ぎておるのだが、販売力はこれはぜひ必要だ。特に高級品転換をしていかなければならないという場合には、新しい市場開発をしていかなければいけないということと、それから販売力と同様な下請からいえば親企業に対する交渉力を強める、これによって下請体質改善をはかっていくべきである。なお世の中は大きく移り変わっていくので、積極的に転換を考えていくべきであり、政府はこれのために必要な情報提供金融等の措置を考えるべきである。  六一ページに参りまして小規模企業に対します特段の配慮、これは基本法においても特にうたわれておるわけでありますが、経済合理性の差し示す方向と申しましても、小規模企業は数が多く、また資金調達力が弱く、また経営者みずからの力も弱いということでございますので、小規模企業に対し特段の配慮をすべきであるというふうなこと。  以上をもちまして第四章を終わりまして、第五章に現行施策問題点改善方向を書き、それから第六章に中小企業政策として特に重点を向ける方向ポイントをきめております。そのポイントは八三ページでございますが、まず第一の方向は、発展途上国から追い上げられている、一番典型は綿スフ織物でございますが、そのほかに陶磁器であるとか洋食器等々のいわゆる産地産業、この発展途上国から追い上げられているものが第一グループ、それから第二はむしろ成長部門の底辺、機械産業部品なり加工なりを分担しております関連中小企業、これは先ほどくどく申し上げましたように、これの生産性を向上することが日本経済成長性をこれから確保するゆえんであるという認識に立ちましての成長部門に対する中小企業分野、建設なり、運輸なりもこの中に入るかと思います。それから第三のグループは、食品に多く見られる大企業といま食い合っている部門、それから第四は物価上昇の見地から大事である商業部門、それから第五として小規模企業分野、この辺に重点を向けるべきであるということを第六章で指摘し、最後に、なお、この委員会は一応中間報告というかっこうであるが、今後検討すべき問題は非常に多いのでありまして、まず中小企業の対象、これはことばをかえますと中小企業の定義の問題でございますが、この問題は中小企業政策をどこに重点的に施せば国民経済上プラスかという問題でございますので、この問題を検討すべきである。基本法の成立当時といまの経済は一回り大きくなってはおるけれども、もし国の中小企業に対する援助の額が大して変わらなければ、中小企業の範囲を広げるということはすそが薄くなるという問題にもなる。この辺をまず勉強しなければならない。  それから第二に、一〇四ページに参りまして、建設や運輸やサービス業、それから成長部門関連中小企業小売り商業についても勉強はまだまだできてはおらぬ。それから労働対策も勉強せねばいかぬ。それから施策斉合性というところで、現行施策が国の経済政策のみならず農業施策、社会保障政策等とのからみ合わせも考えまして、斉合性について勉強せなければならない。以上をもって結んでおるわけであります。  私たちはこの報告を受けまして、この報告によりまして中小企業政策の運用並びに必要な場合には新しい政策の立案を考えていきたい、こう思っておるわけでありますが、なおこの企業委員会はさしあたり中間報告をいたしましたものの、秋からさらに活動を開始いたしまして、相当長期間腰を据えて中小企業問題に取っ組んで、いきたい、こういう考え方でございます。
  10. 小峯柳多

    小峯委員長 長官の中間報告に関する陳述は終わりました。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  11. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 中小企業政策審議会企画小委員会の「今後の中小企業政策のあり方について」の中間報告乙竹中小企業庁長官のまことに微に入り細にわたる御説明を聞きました。通産省の熱心な、中小企業のあり方について中間報告といえども説明をお聞きし、それに伴って読んいきますると、全くそのとおりと私は深く敬意を表するものである。  そこで、まだお見えになっていない方がありますので、私の質問に対して答弁のでき得ない面があるかもしれませんけれども、答弁のでき得ない点がありましたら、おいでをいただくようにしてありますから、おいでいただいてから御答弁をしていただくことにしまして、私は自動車生産に対する問題をひとつ全体的責任者である乙竹長官にお尋ねいたしたい。  まず第一に、いままで先進国といわれてきましたアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ソ連等々の国は、現在どの程度の自動車の生産をいたしておるか、まずこの一点をひとつ聞きたい。  それから第二の問題は、日本におけるところの自動車でありますが、これは通産省がもっとでかせ、もっとでかせ、増産しろ、増産しろということで奨励をせられておる。そうして生産が多くなればコストが安くなる、安くなれば、海外のマーケットに出したときに、これに対する他国とのつり合い、そうしたものに対する対抗ができるがために、そのような方針を進められておるかどうか。  それから日本の自動車の生産量の何%までが海外に売られており、そして自動車の性能というものに対してはどんなような海外では評価を得ておるか。新聞紙上なんかで見ますると、日本の大メーカーと称するトヨタあるいは日産あるいは東洋工業のでかしているマツダ等々は、世界に劣らない車だと盛んに宣伝いたしておる。私どもは、日本人として国産品を愛するゆえに、外車を求めなく、真に日本の道路に沿う車としてそういうふうな車を愛用いたしておるのでありますけれども、最近の新聞紙上で見ると、外車が日本に対して売り込みをいたしたいという強い要望がある。それに対して相当自動車界、生産者は反対をいたしておる。その原因は一体どこにあるか。はたして性能が劣っているのか。そういうものが入られると日本自体の自動車界というものはどのような困難になるのか、あるいは困難でなくて経済的に負けるのか。一体どういうところにその原因があるのか。こういう点をひとつ明細に聞かなければ、国民自体も首をかしげて、日本の車はこんなに性能がよくなったというならば、何もよその車が入ってきたって負けなければそれでいいじゃないか。同時に、どんどんでかすならばその車を海外へどんどん売り出したらいいじゃないか。なぜでかした車が、こんな、頭金は要りません、どうぞ月賦で買ってくださいというような売り方をしなければならないのか。こういう点に対して最近は一まつの疑惑を持つようになってきた。こういう点を通産省はどのように指導していらっしゃるのか、どのようにこの点についてお考えを持っていらっしゃるのか、ひとつ詳しく御説明を願いたいと思います。
  12. 乙竹虔三

    乙竹説明員 事、自動車政策に関しましては、自動車課長が来ておりますので、重工業局自動車課長からお答えいたします。
  13. 田中芳秋

    田中説明員 まず御質問の第一点でございますが、世界の主要先進国におきます自動車生産の状況でございます。一応一九六七年で申し上げます。  まずアメリカでございますが、総生産台数は約九百万台でございます。その内訳を申しますと、乗用車が七百四十万台、トラック、バス等が百六十万台、合計九百万台でございます。これは生産高におきまして世界第一位でございます。続きまして、生産高が世界第二位になりましたのが日本でございます。これは乗用車が百三十七万台、トラック、バスが約百七十万台で、合計いたしますと、ちょっと数字はあれでございますが、三百十五万台ということでございます。続きまして世界第三位は西ドイツでありまして、乗用車は約二百三十万台、トラック、バスが、これは非常に少なくて約二十万台、合計いたしまして二百五十万台という生産でございます。第四位がフランスで、乗用車が百八十万台、トラック、バスが二十三万台、合計いたしまして約二百万台。第五位がイギリスでございまして、乗用車百五十五万台、トラック、バスが約四十万台、合計百九十五万台。それから第六位はイタリアでございますが、乗用車が百四十四万台、トラック、バスが十万台、合計いたしまして百五十四万台。一応この六カ国が世界の主要国となっております。  これで見ますと、日本が総生産台数では世界二位でございますが、乗用車の生産台数ではイタリアよりも落ちまして世界第六位、こういう形になっております。  以上が先進国生産状況でございますが、今後の国際競争に耐えていくために、やはり自動車といたしましては規模の拡大、スケールメリットの享受という点が一番重要であると考えておるわけであります。わが国は、いま申し上げましたように乗用車の生産台数が世界六位でございますが、実はこれを生産しておりますのが約十社でございます。月産一万台ないし二万台をこえる国際水準にかなり達しております車種は三つ、四つは見受けられますものの、大半の車種が三千台ないし五千台程度の規模で生産されておりますために、この辺に今後の国際競争力上非常に問題があるというふうに考えておるわけでございます。  このような見地から、私どもといたしまして、やはり企業の再編成ということを今後強力に推進いたしまして、そして車の大量生産方式を確立すること、それと同時に企業のスケール、この拡大をはかっていく。世界第一にございますGMに比べまして、日本のトップメーカーでございますトヨタの生産高、これが実に二十二分の一という程度にとどまっておるわけでございます。西欧におきますトップメーカーのフォルクスワーゲンに比較いたしましても半分以下という形でございます。大体生産台数におきまして、トヨタの生産台数は、フランスの生産台数におきまして三位のメーカーとほぼ肩を並べるに至ったという形でございますから、日本企業のスケールはヨーロッパのやや中堅企業の程度にやっと達した段階である、こういう状況でございます。今後引き続きこうした方向で強力な再編成を進めてまりいたいと思っているわけでございます。  御質問の第三点の生産量の何%程度を輸出しているかということでございますが、総生産量に対しまして、現在の輸出は大体一一%程度でございます。ただし乗用車につきましてはやや高うございまして一六%程度でございます。四十三年度はこれをもう少し高めたいというふうに私どもは思っております。ちなみに、ヨーロッパ諸国におきましてはドイツが五割をこえておりますし、イギリス、フランス等におきましても大体三割程度の輸出をやっております。したがいまして、わが国は西欧諸国の半分以下の輸出比率、こういう形になっております。
  14. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いま関連で聞きたいという話でありますから、もう一ぺんちょっと言ってくれますか。生産の一六%が乗用車においては出ている。それはいい。その次を言ってください。
  15. 田中芳秋

    田中説明員 ヨーロッパ諸国、特に西ドイツでございますが、五割をこえた輸出比率を持っているわけでございます。それからイギリス、フランス等におきましては大体三割前後の輸出比率になっておるわけでございます。わが国におきましては、まだ輸出産業としてのウエートは小さい、これから伸ばしていきたい、かように考えているわけでございます。  第四点の海外における日本車の評判はどうかということでございますが、この点につきましては、特に最近乗用車の輸出が目ざましいことは御承知のとおりでございます。その主たる市場アメリカ向けでございますが、実はアメリカにはセカンドカーとして出ておるわけでございます。ただエンジン等々の諸性能を比較いたしますと、日本車はかなりいい線に達しておると思われます。問題は日本の車の総合性能におきまして、若干諸外国にまだ至らざるところがあるのではないかという点が指摘されておるわけでございますが、むしろ日本車と同じような形のもの、クラスのものをつくっておりますヨーロッパでの評価というものが、まだ十分なされておりません。これからこの辺が一つ問題になるのではないか。ただ私どもといたしましては、自動車の商品としての競争力は相当高い数字になるというふうに考えておるわけでございます。  以上の点から、五番目の外資の進出等に対します考え方についてどうかという御質問とも関連してくるわけでございますが、私ども、自動車の商品としての競争力は、いま申し上げましたように技術水準で総合性能に若干のまだ差があるとはいいながら、かなり強い競争力を持つに至ったということから、御承知のとおり昭和四十年の十月に完成車の輸入を自由化をいたしました。いまは、いつでも外車を自由に輸入することができる体制になっておるわけであります。しかしながら、現在日米間で交渉が続けられております主たる論点は、こういうでき上がりました商品日本に持ってくるということでなく、日本で組み立てあるいは生産をするというアメリカ側の要請でございます。すなわち日本資本を持ってまいりまして日本で車をつくっていきたい、こういう形でございます。この点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、業界の再編成、これが現在進行中でございます。しかも個々の企業単位という企業力から見ますと、日本自動車メーカーの体質はまだ非常に弱いということがいえると思います。したがいまして、こうした再編成を今後は強力に進め、その間の時期は、いま急激な外資の進出を迎ふますことは、自動車産業産業秩序に相当の混乱をもたらすと考えられますので、この点につきましては、影響をできるだけ受けない形で外資を受け入れていく、こういう考え方のもとにいま交渉を進めておる状況でございます。  以上でございます。
  16. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 お話を聞いておりますと、日本自動車工業とというのも、戦後二十数年の間に非常に目ざましい発展をいたしてきたことは、私ども喜びにたえないわけであります。その間に中小企業の潤いも相当あったことだと思う。  しかし、私はここでもう二、三点質問いたしたいと思いますことは、いまおっしゃった生産に対して一六%まで上がってきた。しかしドイツにおいては五割の輸出をしておる。五割は国内で一応使用している。日本でいうと、まだ日に浅いといえども、一六%海外へ輸出して、八四%というものは国内で使っておるということなんです。その一番よく買ってもらえるところのお客さんはどこかというと、アメリカで、セカンドカーとして買ってくれる、こういう説明です。そこで、日本の車がまだ若干おくれているところがあるのだという説明ですけれども、私はそう思っていないのです。かつて私がドイツへ行きまして、ベンツ会社の副社長か重彼に会ったのです。いろいろの話をいたしておりましたときに、日本はずいぶん自動車工業が発達し、そしてそれぞれが研究せられて相当いい車ができておるそうだ、こういうことを言うことは非常に失礼だけれども、日本の車にわが国のでかしておる、このベンツ会社のでかしておる車を五十キロのスピードを出して正面衝突をさせたとするならば、一体どういう現象が起きるか、事実がおそらくあらわれてくるだろう、こういう表現で通訳を通じて私に話してくれました。それは何を意味するかというと、わが社のでかしておるものは、生産をただ単に多くするということでなくて、堅牢なものをつくるということに中心を置いてきておる、私はそういう意味の解釈をしてきた。これは私の自分かっての解釈であるかどうかは別として、工場内の一つ一つの組み立てにおいて、あるいは製品の監査において非常にきびしいものがある。同時に外車を好む一部の日本人にベンツの車はどうなんだといって聞いてみると、もう六年も七年も乗っているのだけれども、ボデーがまだがたんともいわないほどじょうぶですよ、こう言っている。私は日本の車をけなしたりこなしたりするものじゃないのです。ほんとうにこれからの中小企業——なるほど自動車工業自体、自動車生産会社というものは大メーカーであり大企業であるかもしらぬけれども、それに伴っていくところの部品をでかす人たちは零細企業であり、中小企業である。そういう人たちは、値を下げられるたびに苦しんで、そうして手形をもらい、あるいは難儀をしていかなければならない。そうして国内向けの車は、頭金は要らないから買えというところに少々の無理が生まれ出ているのじゃないか。そうまでして車を押しつけに売らなければならぬというようなことはどうかと私は思う。それがしいて言うならば、きょうの新聞紙上に出ておるように、もうすでに七千六百有余人という人が四日までになくなっておる。史上最高の死者を出したという四十一年に七千七百四十九人を死なしておる。この差はわずかに五十六人である。このままの状態でいくならば、今年の死亡者というものはどれだけになるかわからないというようなことが言われておる。これはあなたのほうの所管でない、警察庁のほうで交通指導の取り締まりということ、安全という問題、いろいろ御研究を願っておるのですけれども、私は生産に対する制限を加えよとは言うのじゃないのです。いい品物をでかして、一六%を三〇%にも四〇%にもすることが通産省の指導の方針ではないかと思う。中間報告によっても、協業化していけ、そうして大資本に対抗できるような体制を整えていかなければ、日本というものは将来が危ぶまれるということがこの中小企業中間報告にもあるじゃないですか。  そういう点を考えてくるときに、それぞれの自動車がよその国よりもすぐれた性能のいい面がありましょう。それを秘密にして、隠して、そしてわが社独占としてそれを他に公表しない、そういうようなことがあるとするならば、そういうことを総合的にいい面を全部集めて、そうして指導していって初めて日本の自動車というものが海外にどんどん売れてもいこう、あるいは日本の自動車をどこでも求めてくれるではないかということを私は考えるのです。そういうようなことについてどういうお考えを持っていらっしゃるか、この点をひとつもう一ぺん聞きたい。  ということは、トヨタはトヨタでかってに研究をしていくのだ、日産は日産でかってに研究をしていくのだ、マツダはマツダでかってに研究をしていくのだ、そういうようなことで、通産省は、ただでかすということだけに目標を置いて、それをうまく売ってくれるようにということをその会社にまかしきりでやっていくのか、もっと大乗的な立場に立って、国の方針としてもっとこれを協業化するというような方向へ持っていくようにし、そうしていい車をつくらせるように指導していくという研究部門を持つような考えはあるのかないのか、それを一ぺん自動車課長、あなたのお考えを忌憚なく伺いたい。生産会社に遠慮することはないのです。私は愛知県の出身であるから、私の土地にはトヨタという自動車会社がある。二十数年もたった今日、日本のトヨタといって豪語していらっしゃる。実際そのとおりたくさんの車ができるようになってきた。私はその車を愛好している一人である。けれども、海外へ出ていく面を見ると一六%だ。そうして国内放送向けの新聞には百何十キロ出ますといって、制限外のスピードが出るようなことが平気で書かれるような場合がある。そういうようなこまかい点についての指導というものに対して、ばく然とお考えになっているのか、こまかい点についてでも注意に注意を重ねて、いいものをつくろうとお考えになっているのか、一体どういうふうにお考えか。私は、まだここで言いたいことは——聞いてきた話でありますから、相手の言うことを信用いたしません。しかしドイツは五割出しておりますというけれど、彼らは五割と言っていない。ベンツにおいては六割、ワーゲンにおいては六割以上も海外へ出しておりますと言っておる。これは向こうのことばを信用すればそういうことになるけれども、私はあえて向こうのことばを、どこまでがほんとかどこまでがうそかということは、それはあくまで相手のことばを信用しようとはしない。あなたの言うことばを信用いたしましょう。そういう意味からいっても、これからの自動車というものは非常にむずかしい段階にきている。すでに日本に対しては、こちらで組み立てをさせろといって、ずいぶんやかましくいっている。そういうことが今後すべての、繊維においても何においても、問題が関連性を持ってくるんじゃないかしらんと私は思っておる。その点についてひとつ御答弁を願いたい。
  17. 田中芳秋

    田中説明員 自動車の非常な需要の増加、モータリゼーションの急激な発展がございましたために、先生から御指摘がございましたように、交通事故の増加、かなり昨年を上回ろうという現在の死傷者の発生を見ておりますことは、まことに申しわけないことでございます。この点につきましては、運輸省あるいは警察庁等々といろいろ連絡をとりながら、私どもも常にこうしたことのいろいろ起こらないようにやってまいりたいと思っておるわけでございますが、いま御指摘のございました安全あるいは公害等に関します研究開発の体制につきまして、各社ばらばらでやっておるのじゃないかという御指摘、実はこの点は、四十二年度から、私どもこういう形ではいかぬということで、谷田部にございます自動車の試験場、あそこを自動車の総合研究所という形に改組することにいたしました。そして、これらの研究開発に関します事業をここで行なわせる。その場合に、やはり官民一体となってこうした仕事をしようということで、大体四十二、四十三、それから来年度におきまして、政府側といたしましては十億円程度の投資をそこにしたい、それから民間側といたしましては同じくその隣接した個所に二十億円程度の投資をいたしまして、そこで衝突実験場あるいは公害関係の研究等々の各種施設を総合的につくり上げまして、各メーカーがやっております、現在の、あすの生産のための技術研究をさらにもっと長期的、根本的に考え直してみる、そして総合的な安全、公害の研究をここでやっていこう、こういう体制に現在集約をいたしまして仕事を進めておる段階でございます。
  18. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いまの課長さんのお話を聞くと、官民一体の総合研究所をでかし、よりよきものをつくっていこうという考え方をしておる、そういう話でありますから、私はそれでまず一応その点は満足いたしますから、いい品物をでかしてもらって、くどいようでありますけれども、一六%を五〇%に、あるいは六〇%にするように努力を願いたいと思うのです。  そこでお尋ねいたしたいと思うことは、現在日本で走っておる車というものは、私は一千万台を突破したと聞いておる。しかしそれは事実であるかどうか。通産省に統計が出てきておるはずであると思うが、一千万台を突破したとするならば、昭和五十年という年——いまから七年先の話で少し長いけれども、昭和五十年という年には、大体どのくらいの車が国内を走るという見通しであるか。そしてどのくらいの数が日本生産せらるか。そんな先の長いところまでは計画が立ててないというならば、両三年ぐらいのうちでもいいでしょう。一応説明を願いたい。
  19. 田中芳秋

    田中説明員 ただいま御質問の第一点でございますが、現在の保有台数でありますけれども、これは運輸省のほうの登録という形になります。したがいまして、実際の正確な数字はちょっと私どものほうは把握していないわけでございますが、現在大体一千二百万台程度に達しているのだろうというふうに考えております。  それで、昭和五十年時点におきます保有台数という御質問でございますが、実は私どもまだこの辺の数字をちょっとはっきりつかんでいないわけでございます。諸外国のモータリゼーション等々から見まして、大体いまヨーロッパは六人に一人、アメリカは約三人弱に一人という台数でございますが、昭和五十年の国民所得等々から考えまして、どの程度になるかというところは一つの大きな問題でございますし、同時にまた道路環境等々の制約条件もございますので、この点につきましては私ども正確な数字を申し上げる前に、もう少し勉強をさせていただきたいと、かように考えておるわけでございますが、大体経済社会発展計画の生産見通しでございますが、四十六年度で、この時点では約四百八十万台という生産見通しになっているわけでございます。ただ最近の実勢から見ますと、私どもは五百万台をもう少しこえるのではないかというふうに一応見通しておる状況でございます。
  20. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 三年先に五百万台からの車ができる。そのときに三〇%や、あるいは二五%の輸出であったら、一体国内は現在の状態でさえもう収拾つかないのに、そうして通産省はそれに対してでかすことをあえて食いとめもしなければ、そのままのあり方で施設は次から次へ認めていくというようなことになってきたら、一体どういうような状態に交通量というものはなっていくかということは、言わずと想像できるだろうと私は思う。しかもこれほど自動車問題がやかましくなってきたときに、通産省の自動車課長が三年先にはあくまでどの程度の輸出をする、どの程度の内地向き車を使用する、そういうことを考えていかなければ——道路の問題なんということは第二の問題である。生産そのものに対する考え方、これは通産省の責任であると私は思う。同時に運用面においては運輸省の関係があろうと思う。この運輸省と通産省との話し合いというものは、そのつど十分にしておられるかどうか。横の線というものの連絡が緊密にできておるかどうか、この点どうですか。
  21. 田中芳秋

    田中説明員 私どもその辺の連絡については、大体原則として一カ月に一回程度、課長レベルでございますが、そういうものの連絡をやるという体制をとってきているわけでございます。
  22. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 きょうは特別に綾田交通指導課長においでいただきましたから、ちょっとお尋ねいたします。  交通指導課長さん、あなた方非常に御苦労せられて、交通指導に対して、事故のないようにやっていらっしゃる。車はますますふえていくばかり、死亡者はふえていく、けが人はふえていく。そうしてけが人に対する補償というものは、お医者さんは、どんな傷でも入院をしてくれなければ、それに対して労災というのか保険は払えないというような幾多の問題がまだ残されているのです。たとえば、それがために少しの傷でも入院手続をとらなければ補償費がもらえないというようなことで、働けないほどの傷でなくても一応そういう手続をするというような場面もある。そういうようなことから、このままの状態で車がぐんぐんふえていくということになってくると、あなた方がいかに交通整理の署員をふやされようとも、あるいは歩道橋をどんどんつくられようとも、至るところで事故が起きている。その事実は、なくなっていった人の頭数というものから明らかになっている。そこで、通産省とあなたのほうで話し合ってもらって、大都市だけが車庫を持つというような考え方でなくて、人口二十万以上のところは車庫を持つということが最初にあって、それからだんだん減ってきて五万になったか八万になったか十万になったか、そのころ休んでいたから私は知りません。いまでは大体十万だと私は記憶する。これをさらに——車庫を持たないようなあり方で車が買えるというような行き方というものは、私は実際妥当でないと思う。たとえば車庫の必要のないところで車検を受けておいて、都市へその車を持ってきて都市で働いて、しかも路上に放置しておく、駐車禁止以外のところに放置をしておく。そうなってくると救急車が入るときにも入り切れない、あるいは消防車が入るときにも入り切れない、そういう事態があちらこちらに起きるのです。だから車を買う人は何にしても全国的に車庫を持つ必要があると私は思う。こういうような点は通産省、運輸省、警察庁、この三者でお互いに話し合って検討してもらう必要があると私は思う。  同時に、生産する側においても、頭金というものは——これは交通指導課長に聞くべきことでない、大蔵省に聞くべきことか、あるいは通産省の規定にあるのかどうかしらぬけれども、車を買うときには頭金を納めて買うというのか、最初から月賦でもけっこうですという買い方をするのか、どちらがほんとうであるか、この点をひとつ、もし通産省の所管とするならば自動車課長から一応聞きたいと思う。それから、交通指導課長はどういうお考えを持っていらっしゃるか明らかにしてほしいと思う。
  23. 綾田文義

    ○綾田説明員 ただいま丹羽先生のお話のように、私も現在のような交通の情勢下におきましては、車を持つ者はやはり車庫を持つべきであると考えます。と同時に、安全運転をする能力、それから損害賠償を支払う能力、そういうものも備えるべきだと考えております。  それで車庫規制法の地域の拡大の問題でございますが、そういう観点から私どもも現在よりもさらにこれを拡大すべきではないかということで、現在府県警察なんかに意見を聞きまして検討中でございます。
  24. 田中芳秋

    田中説明員 頭金の問題でございますが、現在自動車の販売状況でございますがおおむねキャッシュで買いますときは頭金は要らないという形になっております。大体全体の二割くらいがキャッシュベースと記憶しております。残りがいわゆる割賦販売でございますが、これは割賦販売法に基づきまして標準条件が設定されております。それはたとえば乗用車につきましては、頭金の比率が二五%、残りの割賦の期間は二十カ月、こういうような標準条件を設定しておる状況でございます。
  25. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 わかりました。  そこで二五%というのが守られておるかどうかということは、一体だれがそれを監督するのです。
  26. 田中芳秋

    田中説明員 割賦販売法に基づきまして、このような点について順守状況の調査をし、それが守られておりませんときは通産大臣が勧告をし得るという形になっております。現在私ども、調査を今月いたすことにしております。過去におきまして二回ほど、若干問題のありますものにつきまして調査をいたしたわけでございます。府県の数が非常に少のうございますが、頭金につきましては大体三割弱が逸脱しておる、割賦の期間につきましては一割七、八分がちょっと条件からはずれておる、こういう状況になっております。全国的な調査は今月いたしたい、かように考えております。
  27. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 課長さん、あなたはいま調査をせられたことを申されたが、全国的ではありません、一部的を調査にすぎません、こういうお話です。私は全国的なことを調べたわけではないが、至るところで聞いてみますと、どうぞひとつ車を買ってください、頭金は要りませんという声のほうが多いということを知ってもらいたい。それでは幾らでも車はふえていくばかりである。そして交通事故はどんどんふえていき、とうとい人命がなくなっていくという事態が起きる。  そこでもう一点お尋ねいたしたいと思いますが、たとえば沖繩で車を買う場合、これは日本領土でないといえばそれだけのものであるけれども、沖繩で買う場合の車の値段とここで買う値段とは相当な開きがあるのです。また外国で日本の車を買う金額と私どもが買う金額とは、これまた相当の開きがある。それは税関の問題であるか、あるいは商品税の問題であるか、どういうところに——きのうの質問でないが、テレビと一緒にそういうようなことが行なわれておるのか私どもにはわからぬ点がある。この点ひとつお聞かせいただきたい。
  28. 田中芳秋

    田中説明員 輸出車と国内単の価格の問題でございますが、輸出車につきましては、国内で現在かけられております物品税等のあれがかからないということは御承知かと思います。そこで、現在輸出しております価格と国内の価格——外国で買いますときは、日本から向こうへ送ります船賃、それから向こうに行きますディーラーのマージン、これが加わるわけでございます。それから若干、たとえばアメリカ向けの仕様のものでございますと、特定の会社のあれをあげてちょっと問題があるかもしれませんが、たとえばコロナという車でございますと、国内で買われます場合、千五百CCのエンジンが載っているわけでございます。アメリカで買われます際は千九百のエンジンが載っておるということで、国内車と輸出車と仕様が違うというような点がございます。こうした点に問題があるわけです。同時に国内の販売につきまして、たとえば広告宣伝費あるいは販売の目標に達した場合のいわゆる商慣習といたしまして、リベート等があるわけでございます。こうした点を一応洗い直しまして、国内価格と輸出価格とを比較してみますと、そうした二重価格構造というものは自動車につきましてはほとんどない、私どもはこういうように考えておるわけでございます。
  29. 小峯柳多

    小峯委員長 丹羽君、ひとつそろそろ結論に入ってください。
  30. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 もう結論に入りましょう。それじゃもう一点だけ聞いておきますが、同じ車の価格というものは、通産省は一応生産者の要求に応じてというか、あるいはよく協議をして、そして一定価格というものがきめられておるのかどうであるか。あるときにはセールスが相当大幅にまける場合もあるし、あるときにはまけっこなしに売っていくというような場合もある。そういうようなことに対しては公正取引委員会が処理するものであるのか、それとも安いことなら幾らでも安く自由に売ってくださいという指導をしていらっしゃるのか、その点はどうですか、それをひとつお尋ねしておきます。
  31. 田中芳秋

    田中説明員 先ほどちょっと割賦の点でも申し上げましたように、自動車の買い手によりましてかなり価格差が実際の問題として生じておるわけです。これは私どもはなはだ遺憾なことであるというふうに考えております。むしろこのような状況が生じておりますのは、自動車の価格につきまして、管理価格というものがあるのではなく、むしろ末端で非常な過当競争の結果、相手側のシェアを奪いたいというディーラーの一つのビヘービアー、そうしたことからお客さんに対して非常に価格の差をつけるというような状況を生じておるわけです。これはユーザーをばかにする行為でありますとともに、ディーラーの体質それ自体を非常に弱めておる形でもございますので、私どもこの点につきまして、先ほど申しました調査等の結果も十分見ながら、できるだけこうしたことが起こらないように強い指導を行なってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  32. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは結論に入ります。  それじゃ一体自動車というものは、生産して、でき上がったときに物品税をかける、その価格というものは幾らででき上がるのですか。それから今度お互いに自販という会社を持ってそこへ持ち込みをする、そこでどれだけかの利益をとる、そしてさらにそれを出店へ持っていく、セールスに売らせる、そしてセールスに幾らかの手当を与える、こういう順序になるわけであって、一体車というものはほんとうに幾らでできるのか、そういうことは通産省は知っていらっしゃるのかどうですか。それとも各社は秘密にして、絶対にそういうことを言わずに製品をでかしているのか、その点だけはっきりしていただきたい。
  33. 田中芳秋

    田中説明員 原価を算出いたしますにつきまして、私ども法律的な調査権を持っていないわけでございますので、的確な数字はわかりにくい、こういうのが実情でございます。したがいまして、現在一応の推定はいたしております。物品税プラス適正なディーラーズマージン、一応こういうものを見てこのくらいの値段になるというところは定性的な形として私どもつかんでおるつもりでございます。
  34. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 もうやめようと思ったが、あなたがそういうことをおっしゃると監督官庁が、品物をつくらして、そうして物品税をかけておいて、幾らでできるかということがはっきりとわからないというようなことで物品税をかけるなんということは私はおかしいと思うがどうか。そういうことなら、法律をつくって幾らかかるということぐらいは役所は知っておるべきことだと思うが、どうです。中小企業庁長官、あなたはどう思いますか。物品税をかけておきながら幾らででき上がるかという値段がわからないなんというようなあり方というものは、それは正しいあり方でしょうか。私は与党ですよ、あえて追及しようとは思わぬが、よく一晩寝てお考えいただきたい。質問を終わります。
  35. 小峯柳多

    小峯委員長 佐野進君。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  36. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、さっき中小企業庁長官から説明があった「今後の中小企業政策のあり方について」という中間報告について、若干の時間質問してみたいと思います。  私はいまの説明を聞きながら率直に感じたのですが、中小企業政策というものは、中小企業基本法をはじめ、政府としてもあるいは国会としても検討し、法律となり、あるいはそれに基づいてそれぞれ施策が行なわれておるわけですが、そういう面と、いまお話のあった政策のあり方についての中間報告と対比しながらお話を聞いておりますと、「いわゆる中小企業施策のあらまし」昭和四十二年度版というものをこの前私どもいただいておるわけですけれども、これと「今後の中小企業政策のあり方について」というのと比べてみて、いろいろな文句、文章上における表現については差があるけれども、基本的な差が一体どこにあるのかということが全然わからないわけです。中小企業庁長官は、先ほどいわゆる中小企業対策というか、施策というか、そういうものを評価する場合、中小企業者というものに対しては、いわゆる日本経済の根幹として重大な役割りを果たしてきており、これがまた今後もそういうような役割りを果たすべき立場にあるのだというとらえ方に基づいてそれぞれ報告も出されておると言っておるのですが、では、そういう報告と、中小企業施策といういままでの対策との間に何が違うのか、こういっていろいろ比べてみると、これが違いますというようなものは何も出てないわけですね。そうして今後検討する問題点として一番最後に何項目かあげてありますね。今後検討すべき問題点としてあげておるその内容も、われわれがいままで何回も何回も繰り返し巻き返し議論したことと全然変わらぬことがここに出されておる。そうすると中小企業政策というか対策というか、そういうものはもう手がないのだ、手がないのだけれども、表現上多少変えたものとして発表しなければいけないのだ、こういうようなことしか印象づけられないと思うのですが、その点について、中小企業庁長官として、あえて中間報告を求め、出した、その形の中におけるいままでの中小企業施策と対比してきわだった差異というものがあるか、私はないように感じるのだけれども、あるとすればその点はどこかという点を明確に何点でもいいからあげて御説明を願いたいと思います。
  37. 乙竹虔三

    乙竹説明員 現在までに行なわれております施策が誤りであるという考え方からこの見直しをしようということは決してございません。ただ、中間報告にあらわれておりますように、中小企業問題といいますか、それに対します中小企業施策というのはそのときどきで重点が変わっていく、これは必要なことであるというふうに思います。戦後、昭和二十年当時の復興期の中小企業は完全に傾斜生産の犠牲になったわけでございまして、これに対していかにして金をつけるかというふうなことが施策の重点であったかと思うのでありますが、三十年代になりますると、成長経済補完部門として中小企業全般についての諸施策が行なわれたわけでございます。そういう意味で施策は非常に多岐にわたり、広範にわたったわけでございまして、この中小企業施策の四十二年度版のあらましもこういうふうに分厚なものになっておるわけであります。ところが、いまの中小企業は非常な激変期を迎えておりまして、先ほど御説明申し上げましたように、中小企業基本法において、過去の中小企業日本経済国民経済のあらゆる領域において非常に重要な機能、使命を果たしてきたということは基本法に書いてございまするけれども、さて、これからこの激変期を迎えた中小企業日本経済の中でどういう位置を占めるべきであるかということは、これは法律では「確信する。」ということばが前文に出ておりまするけれども、私たち法律を執行いたします者といたしまして、中小企業がどちらの方向へ行くのか、また、どちらの方向に持っていったらいいのか、日本経済上どういう地位を占めるのが適当であるのかという勉強はせなければならいと思うわけでございます。そういう立場におきまして謙虚といいますか、白紙と申しますか、そういう立場で勉強したいと思ったのが篠原委員会が活動を始めた一つの動機でございます。  それから第二の動機は、先生の御質問に直接触れるわけでございますけれども、中小企業策施は世界でおそらく日本ほど項目として整っているものはない、ほとんど至れり尽くせりといわれております。  しかし、それにもかかわりませず、財政投融資においては、日本の財政投融資総額の中で一三%弱の比率は占めますが、肝心の一般予算におきましては〇・六%の比率しか占めていないわけでございます。抽象的に中小企業施策が整っておるということと、中小企業施策が量的に十分であるということとは別でございまして、また、この抽象的に整備しております中小企業施策の中で、どういう問題に対してこの施策のどういう道具を重点的に向けていったらいいのかということ、また、その重点的に向けるという意味は、量的にどの程度の、つまり一例を申せば一般予算をそれにつけるべきであるかというふうなこととはまた別であると思うわけでございます。そういう立場におきましてこの勉強をしたわけでございます。しかし歴史の流れは大きく変わってはおりますけれども、別に断絶するわけではございませんし、国会でわれわれにお示しいただいております法律制度も、これは徐々にその運用、精神においては変わってまいりますものの、急激に変わるわけではない。したがいまして、四十二年度版のあらましと今度の報告内容と変わっていないというふうにお考えになりますのはまた当然でございますけれども、四十二年度版に載っております施策のあらましをどういうふうに重点的に運用していくかということについての勉強にもこの報告は役立つというふうに思うわけであります。
  38. 佐野進

    佐野(進)委員 そういたしますと、この報告書の最後に、これは中間報告であり、「今後検討すべき課題」というのが出ておるわけですね。そしてその「今後検討すべき課題」の中で「中小企業政策の対象」「中小企業の地位と役割」「労働対策」「施策斉合性」、こういうように出ておるわけですが、そうすると、これはいま長官の言われた形の中からいうと、いままでの対策と異なったというか、いわゆるいままでの「中小企業施策のあらまし」を補強する対策と考え、それまでの間においての中間報告というものはその考え方をつくり上げる前提としてこのような勉強をした、こういうぐあいにわれわれは理解していいのかどうか、この際ひとつ聞いておきたいと思います。
  39. 乙竹虔三

    乙竹説明員 具体的施策に対してものさしと申しますか、先ほど申し上げましたように第四章までがそういう条に当たるわけでございまして、第五章の「現行施策問題点改善方向」ということ、この章におきまして現行施策においても種々見直ししなければならないという点をあげておるわけでございます。たとえてみますると、「技術についての施策というふうなことが七三ページに報告がございますが、この第四章までで示しておりますように、中小企業がこれから日本経済の中で栄えていきますためには、少し結論的に申しますと、結局技術で生きていくよりしようがないということになるわけでありますが、この技術に対しまして政府はどれほどの施策をやっておるかと申しますと、全部合わせましてわずか十億に足らない金しかつけていないわけであります。またこの技術施策につきましても、政府は国立の試験研究機関、公設の試験研究機関を持っておりますが、この活用もばらばらでございますし、また指導員制度ということで、小規模事業対策に対して指導員制度がございますが、これと公設試験研究機関は総合指導所というようなかっこうで結びついておりますけれども、その結びつきははなはだ十分ではないというふうに思います。  また先ほど自動車についての御質問がございましたが、機械振興法が自動車工業部品の上部のものについて適用されておりまするが、部品の二次、三次の下請技術振興をやる場合に、機械振興法でこれをどういうふうに取り上げていくべきかというようなことは全然取り上げておりませんし、近代化促進法においてはごく一部の自動車部品を取り上げているだけでございまして、この部面における技術開発も欠けておる、こういうことを意識しておるわけでございます。  このように技術対策についてもそうでございますが、金融対策についても業種別対策につきましても、現行の施策においていろいろ私たちは反省をし改善を考えていかなければいけないというふうに考えますが、この報告書では、すでに取り上げました施策のほかに、先生御指摘の定義の問題でございますとか、またさらに建設業あたりは非常に大きな業種だと実は思います。ところがこの建設業についての勉強は非常に不十分、運輸業、サービス業もまた同様でございます。こういうふうな他の業種の勉強とかあるいは労働対策とか、こういうふうな問題をさらにどんどん引き続いてやっていきたい。私どもの考え方では、この中間報告は現在持っております中小企業問題のほんの序の口、この勉強の門をくぐつたという程度しかまだいっていない、非常にまだ貧弱な成果しかあげていない、こういうふうに考えております。
  40. 佐野進

    佐野(進)委員 ぼくは、この委員会、さらに専門委員会が果たしてきた努力ということについて敬意を表しております。いま長官がほんの序の口だ、こう言われてしまえばもう質問する必要もないということになるわけです。しかし長官自身も腹の中では相当努力したんだということを一つの自信として答弁しており、表現としてほんの序の口だ、こう言われておると思うのですが、私たち当面する中小企業対策を考え、そしてまた中小企業者が当面するいろいろの要望を考えたとき、全くいま長官が言われたようにほんの序の口であり、平面的に問題点を羅列し、その問題点について政府なりあるいは学者という立場において、それの裏づけ的ないろいろな肉づけをした、こういうようにしか考えられないわけですね。これを読ましていただいて、私ども中小企業問題については相当深く研究さしていただいておると自負しておる者の立場からすれば、きわめて食い足りない中間報告だと思うのです。したがって、私は、中間報告ですから、あと本報告があるわけだし、さらにじっくり腰を据えて取り組みたいという先ほどの結びの報告でありますから、これからの中小企業対策を考える際、そういう面における、腰を据えるといって、長期にわたってただだらだらやるということでなく、早期に内容の充実、だれがそれを見せていただいても、この「中小企業施策のあらまし」に書かれておるように、この問題についてはここへいってこうすれば解決できるんだという具体性を持った報告をできるだけまとめていただかないと、何もこれを読んだからといって、「中小企業施策のあらまし」以上のものは何もない。いやむしろこれのほうが現実的に具体的に問題を解決する方向につながっているんじゃないか、こういうような気がいたします。  それはこういう中間報告だから当然なんだと言われればそうでしょうけれども、いま中小企業者をはじめ零細企業者がこの激変する経済情勢の中でどうしなければならないかということについて、非常に方向としてその問題をとらえることに苦慮しておるとき、政府が一刻も早くその対策を立てて指針を与えてやるということが非常にいいことではないか、こう思いますので、あえて非常に抽象的な質問になりましたが、前段の質問をいたしたわけであります。  そこで、私はこれとの関連の中で具体的な問題を若干質問してみたいと思うわけです。  その一つは、「中小企業をとりまく環境変化」のとらえ方ということで、この報告書は第二章の中で報告をいたしております。この報告をされておる中で、結局「中小企業をとりまく環環の変化」の中で問題点になるのは、いわゆる労働力というか、そういうような新しい情勢の変化になって、いわゆる青田買いといわれておるような年少労働者というか、いわゆる第一次産業に従事する労働者というか、そういうものをどう確保するかということが当面の非常に大きな課題になっておる。このことが今後講ずべき施策ということの中で、労働力の問題が取り上げられておることと私は関連してくると思うのですが、これをどうやっていったらいいのか、これから勉強しますよということはもちろんわかっていますけれども、いま町の中小企業者、特に商業者等については店員を確保するということがその企業を維持する一番大きな課題になっておるわけですね。そういう問題について、中間報告とはいいながら、いまの段階の中で、それについてもっと具体的に、この「中小企業施策のあらまし」の中にもそれぞれ指摘はされておりますけれども、もっと親切な取り組みがあってしかるべきではなかったのか。その問題を解決しない限り、一般的な中小企業のいわゆる労働力確保ということだけで——これはまた違った意味においての重要性があると思うのですが、中小企業庁としてはこの面について現在どのような対策を立てつつあり、どういうような指導をしておるか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  41. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先生の御質問は労働力の確保の問題だと思います。私たちがこの報告で取り上げておりますのは、むしろ確保の前に、労働力は非常に不足をしていく。で、現在中小企業者がすでに非常な不足感を感じておるのでございますが、この不足をしていくのはまだ途中であって、もっとほんとうの先進国経済になると労働力はなお現在よりも足らなくなるという指摘をしておるわけであります。これはつまりそういう覚悟をしていただきたい。それならば、そういう覚悟をしたら一体どうしたらいいのだということになれば、当然省力化の投資によって機械で人力を補うという点が一つと、それから技術開発をして付加価値の高いものをつくっていく、高級品化ということが大事であるというポイント、こういう点を指摘をしておるわけでございます。そういうこととともに、しかしなおかつ先生御指摘の確保の問題につきましては、この二五ページの表あたりに、これは間接的でございますけれども、日本労働力不足しつつある、中間報告段階ではあるけれども、しかし特に製造業に対する配分が少ない、第三次産業が非常に多い、この辺のところは政府として考えるべきであるという示唆をいたしますとともに、労働力の確保、つまり少ない労働力を活用するという問題になりますと、主としてこれは労働省の問題でございますが、中小企業政策の重要なポイントでございますので、今後この少ない労働力の活用の方法について具体策を勉強していこう、こういうことでやっておるわけであります。
  42. 佐野進

    佐野(進)委員 この報告書を読ましていただいても感ずるのですが、日本における労働力不足しておるということは、全体的に、就業労働者のパーセントをこの資料の中にも示されておると思いましたが、不足しておるというわけではないんですね。欧米先進国に比較して、日本における労働人口がきわめて希薄である、そういうことを断定すべき要素は何もないわけですね。むしろまだ潜在的な労働力は非常に多いと思うのです。しかし多いにもかかわらず、実際上労働力不足しておるという感じ、感じではなく現実の問題として各零細企業ないし商店等においてはそういう動きが顕著にあらわれて、中学卒業者に対する需要というものは、まさに死にもの狂いの獲得運動になってあらわれておる、こういうことによっても明らかなんです。だから私は、ここでも示唆されておりますが、労働力の問題を検討する場合、一番簡単に解決し得る問題は、政府施策の中で、第三次産業に従事する、いわゆる、不要とまでは言わないけれども、欧米先進国に比較して、必要以上の労働力が第三次消費産業というか、そういうような部面に多数吸引されておることは、これはいなめない事実だと思う。みなそれを指摘しておるわけです。そういうことを指摘しながら、他面労働力不足不足だということもいわれておる。それから大企業労働力が吸収されて、中小企業には労働力がなかなかこないということもみなが指摘していることなんです。これは何もきょう、いま始まったことじゃない。もう数年前からそのことは指摘されておる。その指摘された重大な事項についてどうすべきかということが当面緊急の課題なんです。中間報告で、腰を据えてじっくりやるなんという問題ではなくて、当面、しなければならない最大の課題であり、その労働力を吸引するためには、魅力ある職場にする、あるいは第三次産業よりもこちらの第二次産業なり第一次産業のほうがむしろその働く労働者にとって将来とも希望があるという対策を立てざる限り、問題の本質的な解決はないし、まだまだ不足しますよという評論家的な中間報告であってはならないと思います。そういう意味において、私はこの際、中間報告から本報告に入る、これからの課題を検討するという際ですから、先生方も皆さんそれぞれ考えてそういう結論をお出しになると思うのですが、政府のほうにおいても、そういう点についてはひとつもう少し積極的に取り組む姿勢において、本報告をいただく際に、何か具体的なものを示す必要があるのじゃないか、こう思うのですが、長官の見解をひとつ聞いておきたい。
  43. 乙竹虔三

    乙竹説明員 御指摘のとおりでありまして、したがってこの中間報告は、まず、先ほど申しましたように、労働力不足というのは今後もなお不足するが、いまなぜ不足感が強いかといえば、労働力を豊富に使うといういままでの生産形式と申しますか生産形態と申しますか、こういうことを原則としようとするからいけないのだということが基本的な態度としてあるわけでございます。したがいまして、そのポイントを変えて、つまり付加価値の高いものをつくる、ないしは極力省力化して労働力の有効活用をはかるということをまず第一に考えるべきであるし、それは中小企業庁ないし通産省としてもいわばお家芸でございますので、それをまず明示したわけでございます。  次に、しかしいま先生御指摘のように、第三次産業には、すでにいままで感じとしていわれておったわけでございますけれども、表にしてみますと、如実に第三次産業のほうによけい行き過ぎているということは出ておるわけであります。したがって、この辺は労働省としては、この報告の二五ページの表でございますけれども、職業紹介制度の運用等においてはこれは当然考えるべきでございますし、また私たち産業担当の者といたしましては、先生御指摘のような魅力のある職場にするということが非常に大事で、したがってその辺については抽象的でございますけれども、協業化というふうなことを非常に強く指摘しておるわけでございます。工業団地、商業団地が非常に盛況をきわめておりますけれども、これが労働力不足に対しまして非常に的確な施策にいま実はなっておりまして、これによって魅力ある職場ができるというふうなことも具体策として出ておるわけでありますが、さらにこの報告で言っておりますのは、その上さらに、しかしもっと労働力というものを有効な産業方面の労働力にする方策というものを具体的に今後勉強していこう、こういうことをあとの問題点指摘しておるわけであります。
  44. 佐野進

    佐野(進)委員 だから私は、指摘しているのはけっこうだと思うのです、こんなことばみんな常識なんだから、それを、その報告をし、対策を立てるということが必要なんだから、そうしなければならない。たとえば二五ページの表でいうと、三十六年から四十一年にかけての第三次産業従事労働者の数は、これは製造業に比較して飛躍的に伸びて、製造業は非常に狭まっておるわけですね。中小企業政策のあり方についてという中間報告なんだから、そのあり方を前提としてどうするかというのをこれから出すのだというのだから、そうした際において、だからもっと積極的に中小企業庁としては取り組むべきじゃないか。報告を受ける際においても、単なる、現実はこうですよということを聞くのじゃなくて、現実に対する処方せんもつけたものをやはり聞いておかなければ意味がないのじゃないか。さらに、聞いただけではなくて、どう具体化するかということは、予算をつけて政府施策としてそれに対する対策を立てていかなければならないでしょう。だからそういう意味において、この報告書はいま行なわれておる施策に対して何ら変化がないという前段の指摘がそこにあると思う。そういう意味で決意を聞いておきたいということですから、もう一度それは聞きたいと思うのですが、時間がだんだんなくなりますから、次の問題を指摘して、その答弁の際ひとつ言ってください。  次の問題は「今後の経済成長中小企業の役割」ということですね。この報告でいうと第三章になるのですが、あなたが言われた一番重要なところだ、こういうことなんですが、私はこの「今後の経済成長中小企業の役割」の中で表面的にこれこれですよということはたいへんけっこうだと思うのです。そのとおりだと思うのですが、これに付帯する、そしてどうしても克服しなければならぬ中小企業者の悩み、問題点、こういうものを同時に併記して、それらに対する解決点を示さなければ、この報告施策と対策にはならないのではないかと思う。それらについては幾つかありますが、その一点だけ指摘してみますと、私は、経済成長に伴って中小企業発展していくという形になると、必然的に機械化され、人力を制限した形の中にいろいろの対策が出てくると思うのですけれども、いま一番われわれがその中で心配していかなければならぬのは公害問題だと思うのです。公害問題は、いわゆる四日市をはじめあらゆる近代企業が集中してくる地域の中においては、もう解決しなければならない重大な事項になっておるわけですね。ところがこの報告をずっと見てみても、公害問題に対する対策、その公害問題に悩まされる中小企業の存在を脅かす条件、それをどう克服するかについてはほとんど触れられてないわけですね。公害問題に触れないで地域の中に中小企業が存在し、企業発展させていこうなんということは、およそこれからだんだん都市が近代化され、農村が整備される状況の中においては不可能なことだと思うのです。  そういう点について私はひとつ中小企業庁長官に提言をしてみたいと思うのですが、たとえば東京ならば東京という一つの都市の中に中小零細企業というものが非常に多いわけですね。特に下町、住居地域以外の中小零細企業をその生活の基盤にし、一つの町ができつつある地域は東京の中に相当あるわけです。こういうところは大企業はどんどん近代化され、設備が新しくなり、公害に対する防衛措置もそれぞれとられておるのですが、こういうところは設備が老朽化し、地域的にそれを改善するところの条件がない、そして資金的に貧困だという形の中で、しかも長官が言うような協業化してそれらを克服していくというのもなかなかむずかしいような条件企業集落が相当あると思うのです。こういうところはそれはしようがないんだといって手をこまねいていくことが「今後の経済成長中小企業の役割」というこの表題の中における対策の面から見るならば、きわめて重要でありながら取り残された面だと思う。これはどうしてもやらなければならぬ。これは何も東京だけでなく日本全国にあると思う。そういう点について、もう少しこの中間報告をする際において、あるいは本報告をする際において配慮していく必要があるのではないか。こういう点についてひとつ考えをお聞きして、あともう少し具体的にその点について質問してみたいと思うのです。
  45. 乙竹虔三

    乙竹説明員 公害にさらされておる環境の中における中小企業——成長経済が当然遺憾ながら公害をもたらしているわけでありますが、これと中小企業との関係、特に具体的にいま先生お示しのような下町、たとえば雑貨工業ないし機械工業、こういうものに対しての考え方指摘がないという御指摘、これは確かにおっしゃるとおりでございまして、私たち十分この点に重点を置いた勉強を今後この委員会でしてもらおうという覚悟をいたします。  なお、労働力不足の具体策、これにつきましても、先ほど申し上げましたような不足労働力を活用するという省力化とか、付加価値のほうは示してございますけれども、確保するほうの具体策ははなはだ貧困でございますので、これも先生御指摘のとおりでございます。一般的に——決してこれは口だけで謙遜しておるのではございませんので、私たち昨年の秋からこの委員会に取り組みまして、実は委員長以下委員、また私以下の者も、これは十二回開かれましたものを全然無欠席でみんながんばったのでございますけれども、先生御指摘のように、所々方々にまだ至らぬ点ばかりでございます。私はそれだけ現在の中小企業問題は非常に複雑で広いと思います。しかし、それにもかかわりませず、こういう中間報告ということで世間に出しましたことは、これによってひとつ御批判を受けたい、少しなまいきなことばで言いますと、みんなに考えてもらいたい、識者の人々、一般の方に考えていただきたい、先生方にはお教えをいただきたい、こういう意味もございまして中間報告というかっこう、したがいまして、これは実は答申にはしていないのでございます。ただ一生懸命にやりましたがまだこの程度であるということを白状せざるを得ない、こういうことでございます。
  46. 佐野進

    佐野(進)委員 それではいまの公害問題について私ひとつ長官に提案して、検討の素材にして、委員会においてもあるいは中小企業庁としてもやっておいてもらいたいと思うのです。  その一つのモデルケースとして、東京都の墨田区の京島、八広といういわゆる向島地区ですね、この一画の中へいわゆる魚骨処理をする工場群、それから皮革の処理をする工場群、そのほか悪臭を放つ末端処理をする工場群が集落というか集まって、その事業をやっておるわけです。この地域の人たちは、そういう工場が先にあって、あとへ来たわけですから、比較的その工場を排撃するという意味におけるところの運動は激しくない。しかしこの八月の真夏のいま、あの地域へ一歩足を踏み入れた人たちは、その悪臭のために耐えがたい思いをし、その町へ再び行くことをよそうではないかということを語り合うほどひどい地域である。これについては、いま公害防止事業団あるいは東京都のほうで、魚骨工場だけでも何とかしようではないかということで取り組みをしています。そして公害防止事業団のほうでは、東京都のほうの保証があればこれに対して融資をしようということになりつつあるわけですが、そういう中小零細企業者の集団であるだけに、企業の将来の発展ということについては、社会の中においては重要性を持ちながら、非常に弱い基盤の上に立たされて、非常に苦慮しているわけです。したがって、こういう面における中小企業対策というものがあることによって、その町のそういう最末端の処理をする業者も近代化される、同時にその地域の人たちにも喜ばれる、こういうことは目に見えてわかっていながら、現今の施策の中においてはなかなかそれが行なわれない。これは私だけでなく、その地域の人たちはみんな取り組んでおるわけですが、そういう状況がある。公害防止事業団ができたということでその道が開けてくることは非常にいいことですが、こういう点は単に私どものところだけでなく、去年国会の調査で長崎県へ行って、諫早地区のある獣骨処理工場を私どもも視察いたしましたが、ここにおける公害も同じような意味において発生しておるわけです。したがって、そういう面についての対策を立てることは中小企業近代化あるいは日本経済に寄与する役割りを果たすとともに、その関連する地域住民に対して非常に大きないい影響を与えることですから、こういうような問題を具体的に解決するということ、それに対して積極的に取り組むということは、単にこただけじゃない、いろいろな画がありますけれども、必要なことなので、あわせて強く要望しておきたいと思います。  そこで、私はもう一つ二つあるのですが、時間の関係がありますので、できるだけはしょっていきたいと思います。  もう一つは、「今後の中小企業政策基本的方向」の中でも出てくると思うのですが、いろいろここで基本的な方向を示されておるわけです。私どもこれを読ましていただいて、それからいまの説明を聞いて、たいへん努力していただいておる、そして問題点をあげてこれに積極的に取り組もうという姿勢については敬意を表するわけです。ただ私は、こういうような問題について、単に指摘事項にとどまらず、いま少しく親切な取り組みをしないと、中小企業者、特におくれた形の中において、まだどんぶり勘定的な経営の方針なり方向なりをもってその企業を運営しておる人たちに対する対策としては不親切のそしりを免れないと思われる点が幾多ある。  そこで私は具体的な例をあげて質問してみたいのですが、こういう場合は中小企業対策としてはどうあるべきかということなんです。一つの大企業が仕事を下請企業におろす。下請企業はその仕事を終わって会社に品物を納める、あるいは完成してその報酬を受けることになるわけですが、そうした場合、その受けた金額について、長くなるとかあるいは何回にも区切って払うとか、いろいろ問題があるわけです。もう一歩進んで、その受けた中小企業者がここで倒産した。それで倒産したその中小企業者に対して何人かの人たちが債権を持っている。中小企業者のまた下の中小企業者がその物品を納入した形の中において債権を持っている。   〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 こうした場合、親企業がこの倒産した会社に対して支払わなければならぬ債権についてどういうような処理をするかということになってくると、大体親企業の判断、それを支払わんとする人たちの判断に基づいて支払いが行なわれておる。こういう例が多いわけですね。あなたがさっき説明された中においても、自動車産業一つをとっても、下請下請、またその下請というのが日本の中小企の現状なわけですね。そうした場合に、その関連の中で親企業の判断に基づくところの支払いの方法によって、倒産した下の中小企業がまた連鎖的な倒産をするという場合が相当多いわけです。こういうような倒産を防ぐために、そういう親企業に対して具体的な指導なりあるいは救済方法なりについての取り組みをしてやらないと、その親企業関連する幾段階かの中小企業者は安心してその物品の納入ができない。ましていわんや、今日倒産屋というのがあるそうです。一つ中小企業を形成的につくって、親企業から品物の注文を受け取って、それから下へおろす。それを自分の名前で受けて金だけもらって、あるいは一部の金をもらって倒産という形にして、自分たちだけは一定の利益を確保して逃げてしまう場合もあるわけです。そういう場合における対策をこの施策の中においてはほとんど指摘もされていないし、生きてもきていない。これは中小企業対策の今後の基本方向についての一つの大きな問題点はないか、こう考えるわけですが、これらの点についての考え方あるいは対策はあるのかどうか、それをひとつ聞かしていただきたい。
  47. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先ほども申し上げましたように、どうも具体策については、まだ各方面とも、詰めといいますか、知恵の出し方が足りないということはわれわれ認めるわけでございますが、いまのような点につきましては、親と子と孫の例で、子供が倒産した場合に孫がどうなるかということでございますが、この報告で示しておりますのは、これも抽象的だとしかられるかもしれませんが、ワンセット主義という考え方を出しております。親と子と孫、これは一つの、たとえば自動車という完成品に向かってお互いに協力をするという協力関係にあるもので、親と子と孫の関係は一体の連体関係を持つべきであるという、これは精神論の、お説教といえばお説教でございますけれども、これは非常に大事な考え方である。親が子供を収奪し、子供が孫をしぼり上げるということではなくて協力関係にあるという考え方、この考え方を中心にいたしまして、これを適用するといたしますと、いまの子供の倒産の場合には、親と孫との債権者会議を開いて親が孫の世話をするという考え方がすでに出てくるわけでございまして、こういう方向の指導は私たちすでにやっておるわけでございます。なお、この場合に、信用保証制度とからみ合わせて運用するという具体策もございますが、それとともに非常に大事なのは、子供と孫との関係について、孫のほうの親に対する交渉力を強力しておくということが非常に必要だと思います。そういう意味で、交渉力強化について、金の世話であるとか、技術の世話であるとか、設備の近代化であるとか、こういうふうな対策を講ずべきであるというふうな方向をこの中間答申は示しておるわけでございます。
  48. 佐野進

    佐野(進)委員 それは、そういうふうにいわゆる下請関係におけるところの子、孫、その孫というような形になってくる一連の関連について中小企業庁はお世話をしているということですが、このお世話をする課はどこなんですか。
  49. 乙竹虔三

    乙竹説明員 私たちの仕事のやり方は、先生御承知のとおりでございますが、業種別にはみな原局があるわけでございます。したがいまして、たとえば自動車の部品でございますと、重工業局の重工業課が下まで具体的に部品業界の世話をするわけでございますけれども、それに対しましていま申し上げましたような一般的な考え方とか、特にこういう倒産の場合に、債権を持っております銀行に対しまして大蔵省なり日銀を通じて要請する、こういうふうな一般的な問題は中小企業庁の金融課が担当する、なおそれから下請関係でございますと、下請担当の課がうちのほうにございますので、これでもって監視的な意味、監督的な意味のタッチのしかたをしておるわけでございます。
  50. 佐野進

    佐野(進)委員 私はその点について、中小企業施策というか、これからの対策というか、そういう面においていわゆる中小企業者が当面するいろいろな困難な場合、特に高度に経済成長が続いて行なわれるということを前提に考えたとき、そういう問題が数多く出てくるような気がするわけですから、そういう点についてはせっかくの機会ですからひとつ十分検討していただきたいと思います。そういうようにこの報告を聞きながらあるいは読ましていただきながら私はちょっと短い時間でありますが検討させていただくと、指摘したい事項というものが非常に多いと思うのです。その多い中においても、特に根本的に日本における中小企業対策というものが、いままでもそうであったのですけれども、どうしてもさっき長官が言われたように、一つ現象を追って対策を立てていくというところの積み重ねの中において今日の中小企業対策というものがあるということに原因があるような気がしてならないわけです。だからせっかくこういうような中間報告をし、それから答申という形になってくるこの機会の中で——まだまだ時間があれば私はそれこそ一時間でも二時間でもあなたと話してみたいことは山ほどあるのだけれども、そういう時間的余裕もないので非常に残念ですけれども、集約的に何点かをしぼっていま質問したわけですが、せっかく中間報告をなされこれから答申を求められ、この中小企業政策に取り組まれる中小企業庁としては、学者の先生方に対して、私がちょっと指摘しただけでも何点かあるわけですから、もっと幅広く、現実に即した、しかも親切な対策を立てられるよう要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  51. 小峯柳多

  52. 中村重光

    中村(重)委員 昼食抜きの質疑でございますから簡単にお尋ねしてみたいと思います。きょうは、いま同僚委員からお尋ねをしました「今後の中小企業政策のあり方について」という問題に簡単に触れてみたいと思います。それから四十四年の予算編成を前にいたしましていま概算要求をまとめる段階であろうと思います。したがいまして、中小企業の予算要求をどういうかまえでやろうとしておられるのか、きょうは大蔵省からも自治省からも見えておられると思いますので、お尋ねしてみたいと思います。  ただいま同僚の佐野委員から質問いたしておりました今後の中小企業政策のあり方ですが、長官は、勉強しなくちゃならない、そういうことで篠原委員会にこの中小企業問題について検討してもらって、そこで勉強するために中間報告をしてもらったんだ、こういうことでございますが、これは形成はどうなんですか。諮問という形式をとったわけですが、最終的には答申という形式ですか。あるいはそうでなくて、これを検討して、そこで最終報告を求めるということになるわけですか。
  53. 乙竹虔三

    乙竹説明員 ただいまのところまだ諮問をしておりません。したがいまして答申がないということであります。ただ政策審議会及びこれの企画小委員会、時に企画小委員会は諮問がなくしても当然活動し、建議することもできますし、また建議という法律上のある一定の型にはまったことではなくて、自由に勉強をし役所と意見交換をする、こういうふうに相当フリーに実は企画小委員会は動いておるわけでございます。そういうふうなかっこうでこの問題は企画小委員会で取り上げることをわれわれとしてはお願いをし、企画小委員会報告した、こういうかっこうでございますが、これが将来形が整ってまいりましたときには、当然われわれとしては正式諮問し、正式諮問に対しまして答申をもらうということになりますると、企画小委員会では答申の権限はございませんので、本委員会、内閣に付置してございます中小企業政策審議会の答申というかっこうで結実する、そういうふうにまた持ってまいりたいと思っております。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 あなたが長官になられて、自分はしろうとなんだということをざっくばらんに言って真剣に取り組んでおられる姿勢に対してば敬意を表しておるわけです。ただ、これはけちをつけるわけではないのですけれども、毎年中小企業政策のあり方ということについて勉強をされて、そして私どもに対しましてもその結果の報告を実はしていただいておるわけですね。そして四十二年度の白書、さらにこの四十三年度において講じようとする中小企業施策、これも実はいただいておるわけです。この中身を完全に突き合わせてみておるわけではないのですけれども、これも同僚佐野委員から指摘しましたようにたいして変わらないですね。ですからこれはどういう形式をおとりになったのですか。あなたのほうで素材をおつくりになって、そこで篠原委員会にそれを検討してもらう、そういう形式をおとりになったんじゃないかというように思われるのですが、そうなのか。そうしますと、いままであなたほうで勉強してそうした素材をおつくりになって御提出になった、そこで検討の結果篠原委員会でどういう点を加えられたということになっておるのか、具体的に各項目にわたってはお尋ねをしないわけですけれども、特徴的というのですか、特にあなたのほうで確かにこれは勉強になったというようなことでいま印象にあられるような点はどういうところですか。
  55. 乙竹虔三

    乙竹説明員 私たちの中小企業行政の責にある者といたしまして、虚心たんかいに持っております問題意識をざっくばらんに申し上げますと、基本法において中小企業国民経済上いままで果たした重要性は明示されておりますし、さらに今後の日本経済においても中小企業は重大な使命を持っておるであろう、こういうことが明記されておるのでありますけれども、世上中小企業につきましては必ずしもそうでない意見、中小企業者自身にもそういう考え方といいますか、将来に対する不安といいますか、これがあると思います。世の中が非常に激動するものでございますから、従来低賃金、豊富な労働力にに日本中小企業者は依存しておったものでありますが、労働力が足らなくなり賃金が上がるということになり、しかも自由化してくる、後進国が追い上げる、こういうことになりますと、ほんとうに自分たちは生きていけるのかどうという迷いが中小企業者自身にございます。またわれわれ役人にも、基本法では将来の中小企業の使命を確信すると御明示になっておりますけれども、一体どういう方向中小企業をリードしていったらいいのか、そのビジョンといいますか方向を何とかわれわれはほんとうに確信の持てるような勉強をしたい、こういうことが問題意識であったわけであります。そういうことで篠原委員会にざっくばらんなかっこうで、一体日本中小企業はどういうふうになっていくと思いますかということで問題提起をしたわけでございます。普通の審議会は、これは先生御承知のとをり、役所が原案を書きまして審議会に批判をしてもらうというかっこうでございますが、今回の審議会は、問題は、われわれがこういうことを教えてほしいというかっこうで持ち出しましたが、むしろ篠原委員会自分で歩いた。もちろん事務的な整理は役所がいたしたわけでございますが、そういうかっこうででき上がったわけであります。  それで、一体どういう点でおまえはためになったと思うかという御質問でございますが、端的に申し上げまして、日本中小企業が非常に激変してきた日本経済にうまく適応してきた、もっとも適応できなくて倒産等に追い込まれた中小企業も多々あったわけでありますけれども、しかしとにかく大部分は適応してきたということをあらためて思い知らされました。また、今後の進むべき方向として、従来は中小企は軽工業分野、労働集約的な分野が得意であったわけでありますけれども、むしろそれよりも成長部門である重工業分野において大いに中小企業はこれから重大な機能を果たすべきであるし、また果たす可能性が欧米の中小企業を見た場合に十分それが期待できるということを委員会指摘をしておるわけでありますが、この辺は私たちとして大いに行政の重点をそういう方向に今後向けていける、参考になり得ると思っております。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 私はこれれをしさいに検討していないので、ちょっと目を通したという程度ですが、この中間報告の中で問題点として感じ取っておるのは、基本的な問題を避けて通っておるような感じがしてならなら。なるほど中小企業の育成強化という点に対しては、金融の問題であるとか税制の問題であるとかということがあるわけです。さらにまた構造改善という形になってまいりますと、これは協業化あるいは共同化を推進していくということになっていくであろうと思うのです。それはそれなりに、抽象的にではありますけれどもこれを指摘しております。しかし、いまあなたは、中小企業を取り巻く情勢というものが急激な変化をしてきた、その中において大部分はこれに適応しておると考えておる、アメリカ等の先進諸国家における中小企業の実態から見て、中小企業というものは存在し得るという確信を実は持ったのだというようなお答えであったと思います。私もそうした先進諸国家の中小企業の実態というものを、これもまた十分ではありませんけれども見てまいりましたし、あるいはいろいろな資料等を見て日本における中小企業の問題と比較して考えてみておるわけですが、そうした先進諸国家の中小企業は大企業との間にほとんど格差がない。いわゆる経済の二重構造というものは日本の特異な現象であるということですね。  そこで、中小企業基本法に何を私どもは求めてきたか、また政府はその目的というものをどこに置いたかというと、格差を是正していかなければならぬ、二重構造をなくさなければならぬ、そして大企業中小企業とは均衡のとれた所得というものが確保されなければならないということであります。現状においては、大企業中小企業のそうした均衡というものはとれてきたのかというと、格差はさらに拡大をしておる。大企業に働く労働者の賃金と比べて下請に働く労働者の賃金は半分または三分の一というひどい、悪い条件の中に置かれておる。そのようなことを考えてみますと、いまあなたは、中小企業というものは存在し得るのだ、中小企業というものは、現在の大きく変化しつつあるところの情勢の中において大部分はこれに対応しておると言われたが、中小企業基本法の目的に沿っていないこの条件の中において、どうしてそういうことが言えるのかということです。私はそういうことであってはならぬと思う。政府中小企業基本法というものを提案してきた、その目的を達成させるための施策というものが講ぜられてこなければならない。ところがその目的とははるかに反対の方向中小企業はいま置かれておる。いうならば、中小企業は青息吐息ということで生きたり死んだりしておるけれども、中小企業がほんとうに健全な姿において存在をしていないということは、すなわち急激に変化するそうした条件の中において中小企業適応していないということがいえるのではなかろうか、私はそのように考える。それならばそれをどうしたらよろしいのかということをあなたがほんとうに勉強しようとするならば、そうした根本的な問題というものにメスを入れていかなければならないのであるから、まずそこに勉強の視点を置いていかなければならぬというように私は考える。その点に対してあなたはどのようにお考えになりますか。
  57. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先生御指摘のように、中小企業基本法の目途は、中小企業生産性を向上する、取引条件を向上する、そして格差を是正するということを明定しておるわけでありますし、私たち行政を担当いたします者も、この基本法の方針に沿った行政といいますか、基本法のお示しのように行政をやっておるわけであります。今回の報告もまた中小企業格差を是正するにはどうしたらいいのかという点に実はほんとうのといいますか真のといいますか目的を置いておるわけでございまして、格差を是正しよう。先生いま御指摘のように二重構造というか、ずいぶん差は縮まりましたけれども、依然として大企業との間には生産性格差、それから賃金格差があるわけでありますが、これは当然是正をする努力といいますか是正をする方向を見出していかなければいけない。どうしたら是正をされるかということであります。その是正をするためには、中小企業の一言で申せば収益力が高まる、世の中は変わっていく、その変わっていった環境条件変化を乗り越えて、それで中小企業が脱皮をしていって収益力が高まっていく、そして高い収益のもとに高い賃金が払えるということがまず賃金格差を縮めることでありますし、収益力が高まるということは、イコールこれは生産性が高まるということであります。もっとも、釈迦に説法でございますけれども、収益力が高まるのは付加価値生産性物的生産性のいずれかないしは両方高まる必要があるわけでありますが、この収益力をそれじゃ高める方向はどういう方向であるかという勉強をこの中間報告はしておるわけでございまして、それは結局中小企業が適者として生存し得る部分はどこであるかということになるわけでございますので、重工業分野、軽工業分野流通分野それぞれについて勉強いたしまして、重工業分野につきましては、まず第一は、量産部分の部品の供給者ないしは部分の加工、メッキ等の部分加工の担当者としての機能、それから第二は、先端産業、電子計算機等々の先端産業部品、これはまあ十万点にもなるというわけでございますが、これは大企業には適さない部分でございますので、この部分における機能、それから第三には、包装、食品加工等、新しい分野におきます機械化、この機械をつくるというのは相当知恵が要るわけで、これは大規模生産に適しない部分でございますが、この部分における分野、こういう重工業分野におきまして、中小企業が将来収益力を上げていくという道を発見し、また軽工業の部分におきましては、高級品分野ないしはバラエティーに富んだ商品分野、こういうものに対する中小企業の生きる道を示す、こういうこと等を業種ごとと申しますか、分野ごとに勉強いたしまして、そういう方面に中小企業が向いていくならば収益性を上げることができる。ただし、その前提としては、技術を高め、設備の近代化が大前提になる。したがって政府としては、技術を高め、設備の近代化努力をする、援助をするとともに、また生産性を高めるだけでは、これは車の両輪の一面が欠けておりますので、販売力、また交渉力を高めるという点において政府が支援をするならば、そこで中小企業収益性が高められる、それによって格差が解消されるというふうな考え方報告はしておるわけでございます。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 まあ勉強はいいんです。勉強はいいんだけれども、いまあなたは、大企業中小企業との関係において格差は縮まってきたという。なるほど労働者の賃金というのは、労働者が集まらないから、人手不足の中において、若年労働者の初任給というものを引き上げていくという形にならなければ集まらない、したがって無理をして初任給を引き上げる、そういう意味において、賃金格差というものが、若年労働者を中心にして縮まってきたということは事実です。しかし、また拡大の傾向にある、これも事実なんですね。しかし、ここで指摘をいたしておりますように、中小企業におけるところの労働者の賃金というものは生産性を上回っておるということも指摘してあるわけです。そこで、いまあなたが、収益性が縮まってきたといって、特に収益性の問題に触れられたんですが、この中には、収益性というものは非常に中小企業は大企業と変わらないように高まってきている、ただ、五十人から九十九人の零細企業はそうではない、これは非常に格差拡大をしておるのだというような指摘があるわけです。収益性がどうして高まってきたのか。これはかつて炭鉱の再建案の中においてトン当りに千円なら千円の補給金を出そうということで検討した際、赤字炭鉱に対してこの補給金というものは出すのだということですね。赤字炭鉱はどういう炭鉱かといったら、大手の炭鉱だけが赤字だという。中小炭鉱は黒字だから補給金を出すというような形の保護はできないというのです。ちょうどそれと同じなんです。それじゃ中小炭鉱というものはほんとうに収益が高まって黒字が出ておるのかというと、なるほど帳簿面においてはそういうことになっているのだけれども、中身を見てみると、中小に働く労働者の賃金と大手に働く労働者の賃金というものは格段の差がある。低賃金で、劣悪な労働条件で実は働かされておるのです。これは株主に対するところの配当というものも、配当らしい配当というものは実はなされていない。そういうことはどこかにたいへん無理をして、そこで中小企業というものは国の保護が非常に少ないのに生き伸びてきておる、そうして若干でも帳簿じりに黒字というものを出しておる、それとちょうど同じなんです。中小企業政策の中に、一般のプロパーの中小企業の場合におきましても、収益力が高まっているというけれども、実際は労働条件も悪い、その他の条件というものも非常に悪いのですよ。そこでこの純利益というようなものは、そうした悪い条件の中において、締めつけの中において黒字が若干出、収益が若干高まってきた、ただそこだけを見て収益というものは大企業と実は変わらないのだ、資本効率というものは非常に高まってきたというような見方をして、中小企業政策というものを立てていこう、勉強の結果立てていこうとすると、私はたいへんな間違いが生じてくるように思います。だからして、やはり根本的な問題にメスを入れていかなければならぬ。基本的には、先ほど申し上げましたように、中小企業基本法格差是正、二重構造をなくしていく、そのためにはどうするのかということですね。これにも、成長する経済の中において一つ分野中小企業は確保してきたということを指摘している。なるほど確保してきた、確保したと思っておると、今度は大企業からまた駆逐されていくというような、そういう中小企業は非常に不利な条件の中に置かれておるわけですね。だから中小企業を健全に日本経済の中においてその役割りを果たさしていこうとするならば、やはり中小企業の事業分野を確保していくということが絶対に私は必要な条件であると考えるのです。同時に、私どもがいつも言っておりました行政の面におきましてもこれは触れていない、行政のあり方の問題について。四百万事業所と言われる中において、その九〇%近い中小企業、そういうものに対して行政的にいま通産省の中におけるところの一つの庁という形で、外局的な存在としておいてよろしいのかどうかということにつきましては、やはり中小企業省の設置といったようなことも、これは絶対に避けていくわけにはまいらないと思う。いまあなたが勉強して、中小企業に対するところのどうあるべきかということについて答申を求めようとするなら、やはりそうした基本的な問題に対しても遺憾なくここにメスを入れていくということでなければならないのです。そういう基本的な問題を十分えぐり出す、そうして具体的な問題をここで打ち立てていく、施策を講じていくということでなければ、ほんとうの意味の中小企業政策にはならぬと思うのです。同時に、この中間報告を見てみますと、問題は比較的に正確に指摘しております、現状分析というものはですね。しかし現状分析というようなことだけでは問題の解決にならないでしょう。ただいま私が申し上げたような基本的な問題にまずメスを入れて、その上に立った具体的な施策というものを打ち立てていくのでなければならないのですから、事業分野の問題をどうするのか、これは中小企業省の問題等々とも関連する大きな政治問題ですから、一長官によってこの問題を解決をするというわけにはまいりますまいが、とにかくこうした委員会等において意見を求めていこうとするならば、そういう点について、いやなことだって諮問することは諮問して、そうして答申を求める、報告を求めていくということでなければ私はならぬと思う。そのような点についてどのようにお考えになるか、これは大臣がいまお見えですから、政治的な問題でございますから、ひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。
  59. 乙竹虔三

    乙竹説明員 まず私から事務的な点で先ほど私の答弁が足りません点があったかと思いますので、補足をさせていただきたいと思います。  まず、中小企業が現状において収益力を高めてきたから、大企業と対等に太刀打ちしていけるのだという考え方は、この報告書はとっておりません。むしろ格差を是正するという基本法のねらい、これを達成するためには、生産性を高める、付加価値並びに物的両生産性を高めるということでなければこれは格差の是正ができないわけだが、そういうのはどういう方面で可能であるか、生産性を高める方向はどういう方面で可能であるかという勉強をしたわけでございます。この勉強はまだ決して十分ではございませんけれども、しかし重工業分野なり軽工業の分野なりで大企業と五分に太刀打ちできるように生産性を高める分野があるという指摘報告はしておるわけでございます。ただ生産性を高めましても、御指摘のように、もし新たに生み出されました生産性中小企業に分配されずに、これが大企業に収奪されるということになりますと、格差は是正されないわけでございますので、どうしたならば中小企業の立場を強くすることができるのか、これが結局販売力強化なり交渉力強化であるという指摘をし、この辺のところは先生御指摘のようにまだ非常に不十分な点ではございますけれども、問題がそこにあることは自覚をしておるわけであります。さらに進んで、先生御指摘のように、中小企業のための事業分野というものを隔離するほうがいいのか、あるいはこういう国際化時代でございますので、日本だけで隔離をいたしましても外から入ってくるわけでございますから、中小企業の体質を強化することによりまして格差を是正するという方向をとるのがいいのか、これは今後十二分に研究すべき大問題であると思います。  それからなお行政上の中小企業省の問題につきましては、われわれ事務当局といたしましては、とにかく一生懸命企業庁としてできるだけのことをやっておる、その上で、あとは高度の政治的御判断にまつということだと思います。
  60. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 途中から来ましたので的確なお答えになるかどうかわかりませんが、私は自分で見聞したことでありますが、実は愛知県の商工課長をしばらくやったことがある。あそこに、尾西地方に中小の毛織物業者がたくさんあるのです。それがいまどうなっているか、あまり詳しくはありませんけれども、私のおったとき、そのころの状況を見聞しておるのですが、相当に収益力をあげておる。それで近所に大工場がもちろん進出しております。おりますけれども、まあ斉一な製品を大量に出すということは大工場では可能であるけれども、いろいろな規模のものを、こまかに細工をして考案を加えて、そしてそれをあまり大量に出すということはちょっとむずかしい。もし大量に出せば値段がくずれるということで、反対に逆効果を生ずるということもありますので、見ていると、いまでもやはり大工場制度と中小企業規模というものがちゃんともう自然発生的に軒を並べてやっているんですね。私は企業分野を外部から強制的に確保せぬでも、ああいうふうに、大工場ではこういうことはできるけれども中小規模のまねはできない、中小規模のことは中小企業の連中が一番適当なのでありまして、それを大工場がまねをしろといったってできはしない、結局自然に分野が分かれて、そして両方とも栄えておる、こういう状況を見ておるのでございます。私はそういったようなことで自然に分かれていくのがいいのであって、これはおまえの領域である、こっちへ入っちゃいかぬ、こういうことを言ったって、それはとても長続きをするものじゃないと思う。  でありますから、その他の問題についも、かりに話は聞いているのですが、自動車の大工場があって、それの部品メーカーがたくさんある、ところがある工場は下をいじめつけている、少し苦しくなると百五十日あるいはそれ以上の手形を出していじめつけておる。片一方のほうはそういうことは絶対にしない、非常にその技術を尊重してほんとうに、まあ心服というのは少し語弊があるけれども、全く一体になって責任感を持ってやっておる、そのかわりちゃんと与えるものは与えるということで、ほっておいてもほかに逃げないらしいんですね。そして、いじめていじめ抜いているところはいいかといったら、だんだんやはり製品の成果というものは劣ってくる。そういうことでありまして、それぞれ中小企業というものにはおのずから自分分野というもがちゃんと確立されていくんじゃないか。その点がどうもいまあいまいなものだから、ただもういじめつけたりいろいろな文句を言って、都合の悪いときは変える、都合のいいときは甘やかす、こういうようなことをやっておるのが大体の状態ではないか。そういう問題をつぶさにこれを整理することによって中小企業分野というものはだんだん確立していくのじゃないかと私は考えておるのです。これで全部を律することはもちろんできないと思います。できないと思いますが、そういうところにひとつ目標を置いていけるのじゃないか。私の選挙区にもいわゆる工業団地というものがぼつぼつでき始めた。でき始めてくると、たまたまそのうちの一工場に非常に大きなメーカーの注文が発注された。そうすると隣にもいろいろなのがおるものだから、それで両方で歩み寄ってだんだん拡大されてくる。しかしあれは一工場になったほうが得じゃないか、それが自然じゃないかという気がいたしますけれども、やはりそういうものじゃないらしいですな。そういうわけで、指導のしかたにもよりますけれども、私はそう無理してなわ張りをきめないで、自然に中小企業が生きる分野というものを広げて、それが定着するというような形になっていくんじゃないかということを考えております。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 まああなたが言われる自然の流れにまかせる、そういうような考え方というものも一つあると思うのです。無理をしてはいけないということ、無理に何かワクの中にはめていくということは適当ではない、そのことは私も別に反対ではない。しかし中小企業というものを日本経済の中においてどう位置づけていくかということが一つですね。そのことを考えてみると、やはり中小企業というものが重要な役割りを果たすことを期待されるならば、中小企業が健全に存立し得るようなことを当然これは政府としても施策の面に生かしていかなければならぬと、こう思います。だからいま政府としても中小企業の共同化であるとかあるいは協業化というものを推進しておられるのだろうと思うんですね。そういうことをされるならば、やはり中小企業がおのずから果たすべき事業の分野というものはどういうものがあるのかということを検討しなければならないと思うのです。大企業は強いんだから、強い資本力にものをいわして、ここがもうかるぞと思ったらどんどんそこへ入っていくということでは、中小企業は混乱します。それでは中小企業というものが日本経済の中に果たしていく役割りというものが果たせなくなってくるということになる。やはり混乱というものは私は適当ではないと思いますね。無理にワクの中にはめ込むというようなことを避けなければならぬというお考え方があなたにあるといたしましても、やはり大きな一つ方向づけというものだけはしていく必要があるのだというように私は思います。中小企業倒産ということに対しても、あなたは無関心ではないと思います。好景気になっても不景気になっても、好不況を問わず中小企業倒産の一途をたどっておるということはどういうことなのか。これは税金が高いとかあるいは金融というものが十分行なわれていないとかいうようなこともあるかもしれないけれども、やはり構造的な問題があると思います。そうした構造的な問題にメスを入れていくのでなければ、問題の解決にはならないのではないか。あなたが一時半までの時間ということでございますから、そうした問題に対して十分ひとつお尋ねをし、また考え方を聞かしていただくことはきょうはできませんけれども、中小企業に対する役割りを期待されるということであるならば、その大きな目的、いわゆる基本法の目的に沿って具体的な施策を進めていくということでなければならぬ。ともかく大企業がいやがるようなことは避けていこうというような、あくまで大企業発展成長に対してお手伝いをさせるというような中小企業施策であってはならぬ、このように私は考えます。  あらためてこれらの問題に対してはお尋ねをすることにいたしますが、来年度の予算編成に対しまして、八月三十一日までに法律に基づいて概算を試算して要求されることになると思うのですが、その前に、商工会その他の中小企業団体、私は商工会にしぼってお尋ねをしてみるのですが、この商工会は第六条の第三項で「特定の政党のために利用してはならない。」ということがあるのですが、この解釈はどのようにしておられるのか。まずこれは長官からひとつお答えを願って、あとは大臣にお尋ねをしてみたいことがありますから、それはあなたからお答え願います。
  62. 乙竹虔三

    乙竹説明員 商工会は、小規模事業者に特にその指導をいたします指導員を商工会に持つ、ないしはそれ以外に小規模事業者の種々の面につきましての援助をするということを主たる目的としてこうやって法律でつくられた組織でございまして、単位の組織のみならず、県の連合会さらにまた全国商工会というふうな公的な機関でございます。したがいまして、当然これが特定の政党に傾斜した行動ということは望ましくないわけでございますので、ただいま先生御指摘のような条文が明定されておるわけでございます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 特定の政党に傾斜するということは、具体的にたとえばどういうことが考えられますか。
  64. 乙竹虔三

    乙竹説明員 第六条の第三項は、これは商工会のみならず他の公的な中小企業団体全部に妥当する条文でございまするが、特定の政党の支持活動を商工会の名前でやってはいけない、こういうことが一つの場合であるというふうに思います。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 商工会がいろいろな出版物を出しておられる。そこで自由民主党の特定人にのみその出版物を利用させる、意見を発表させる機会を与え、その他の政党というものには全くそういう機会は与えないというようなことがかつてあった。小川労働大臣が当委員会理事をしておられたとき、あの人は御承知のとおり商工会の地域の会長をしておられるのですね。これは適当ではないのではないかということでいろいろ話をいたしましたところ、さすがに小川さんでございますから、そのとおりだ、そういうことは改善しなければならぬといって、直ちにそうした自民党の特定人に対してだけ意見を求めるというようなことを避けた、改善をした。これは私は正しい態度であるというように思っておるわけですね。だからそういうこともやはり私どもは、特定の政党のために利用させないというこの第三項に違反すると思う。選挙の場合だって同じようなことが言えるのではないか。自由民主党なるがために商工会あるいはその他の中小企業団体が推薦をするということは、これは私は適当ではないと思う。あるいは商工会の中央の組織であるとかあるいは県の組織に、自民党の最高の幹部に当たる者がその人事に介入をして、あれを会長にしてはならない、これを専務理事にしてはならないというようなことでいろいろと干渉していくという姿も私は適当ではないと思う。だからあなたは長官として、中小企業諸団体がこの原則にもとるような行為をしていないかどうか、どういうことがそうした原則にもとるのかというようなことについて絶えず監察をしていなければならないし、目に余るような行為があったならば、これに対して注意を与えていくということでなければならない。私はいろいろなことを耳にしているのだが、あなたはそれをお聞きになったことがありますか。
  66. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先生御指摘のように第六条の第三項が明定をしておりまするし、特にまた、この商工会及びその他中小企業団体の性格上、特定の政党に傾斜した行動を商工会の名前において行なうということは、これは違法でございます。また不適当でございます。したがいまして、私たちそういうことを耳にしたならば、厳にこれは取り締まらなければならないというふうに考えております。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 今度の参議院選挙で、私は中小企業の十二団体の大会に出席をいたしました。自民党から代表で豊田さんが来ておられた。私は社会党代表、民社党から麻生君、それから公明党から近江君が来ておった。日比谷公会堂で行なわれた。豊田さんの名前をその大会において、豊田はがんばっているのだ、中小企業のために働いているのだと三回か四回、豊田さんの名前をあげた。私は演壇に立った。いま皆さんは豊田さんの名前を三回ないし四回言われたが、社会党の中村を言ったか、民社党の麻生氏の名前を言ったか、公明党の近江と口にされたか。この大会は特定人のための選挙活動のための大会であると誤解されるおそれすらある。私どもは何も自分の名前を言ってもらいたいというのではない。しかし、中小企業のために特定人だけがほんとうに働いておるというようなことであるならば、その名前をあげられてもけっこうなんだが、そうではないじゃないかというので、大会のあいさつの中で、私も言いたいことを言わせろということで言ったことがあるのです。参議院選挙の際において、商工会、中小企業等の問題に対して、私どもの目で見て何も取り組んでおるように感じられないような人たちを、自由民主党の公認候補なるがゆえに商工会連合会の名をもって推薦をしていくということは適当ではないと思う。参議院においてもあるいは衆議院においても、ほんとうに委員長であるとかあるいは理事その他の委員、与党であっても、委員といったそれぞれの人たちが、ほんとうに中小企業のためにがんばっているんだから、そういう特定の政党という意味ではなくて、ほんとうにこの候補者は中小企業発展のためにがんばっておるという意味において、何らかの形において推薦をする、当選を期待するということを私は言うのではない。縁もゆかりもないということを言うと言い過ぎるかもしれませんけれども、ともかく中小企業のことについて特別の取り組みをしておるとも考えられない、ある場合においては相当批判的な言動すらしておるような者であっても、自由民主党の公認なるがゆえに、商工会の連合会等においてこれを推薦をしていくということは、私は特定政党の下請機関的なものに堕しておると思う。そういうことは適当ではないと考えておる。だから、通産大臣としてはこれらの点に対してどのようにお考えになるか、またこれら諸団体をどのように指導、監督をしていこうとお考えになっておられるのか、ひとつ御意見を伺ってみたいと思います。
  68. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 申し上げるまでもなく、これは公法人でございまして、特定の政党あるいは特定の個人に傾斜するということは、これはもう厳に戒むべきであると考えます。そういういったようなことが今後起こらないように気をつけてまいりたいと思います。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 私は、混乱が起こるかもしれませんから、きょう名前をあげませんけれども、自由民主党の最高幹部の地位にある——総理とは私は言いません、主たる幹部の地位にある人が商工会の人事に介入をして、総意によって選任された幹部にけちをつけて、これをかえろというような圧力をかけておるという事実があります。これらの点に対しては十分調査をして、そうした行き過ぎがないようにしてもらわなければならないというふうに思います。これらの点ひとつお答えを願います。
  70. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これもどの程度のことか、これは非常にむずかしい問題でございまして、たとえば商工会の人事の問題に関して、たまたまある職員あるいは役員の進退に関して外部からいろんな注文が出た、こういったような場合がよくあるわけであります。その場合にその外部の人がたまたま政党に籍を置いたような場合も間々あると思いますが、それが政党という一つの背景によって、そして適当な限界を越えるというようなことは、これはどうも許されないだろうと思います。ただ、個人的にそういうサークルにいろいろな因縁が従来あって、それで商工会のシンパの一人として信念をもって何かものを言うというような場合は間々あることでありまして、その区別が非常にむずかしいと思いますが、これは具体的によくその場に処して判断を下していかなければならない、こう考えております。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 大臣は部落は川島派にたしか属しておられるように思います。川島副総裁にお聞きになれば、そういうようなことも何かあったんじゃないかというふうに言われるかもしれません。ともかくそうした商工会等の人事に介入をしていくということは私はいかぬと思う。やめろとかあれをせいとかいうことを言うべきじゃございません。  長官にお尋ねをいたしますが、四十四年度の概算要求を八月三十一日までにお出しになるのだろうと思いますが、信用補完制度の問題であるとか、あるいは小規模事業予算であるとか、あるいはその他政府関係金融機関に対するところの出資、財投、それらの点に対してどういうかまえで今度はひとつ要求をしていこうとしておられるのか、考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  72. 乙竹虔三

    乙竹説明員 お答えいたします。来年の予算は大蔵省に今月末提出するわけでございますが、予算要求額についてのある制限もあることでございますが、しかしこれから申し上げます諸点につきましては、ぜひこれは拡充強化せなければいけないということでございますので、目下鋭意勉強しておる段階でございます。  その勉強しております重点項目を申し上げますと、まず第一は中小企業振興事業団の関係でございますが、これは団地、共同施設を中心にいたしまして、かつての高度化資金特別会計当時と違いまして、本年度の予算執行においても非常に要望が強く、予算執行に難渋をしておるわけでございますが、さらに来年度は各府県を通じまして共同施設、団地に対しまして特に金額の大きなのは商業団地でございますが、非常に大きな要望が出ております。私たち、中間報告でも示されておりますように、激動期を迎えております中小企業の協業化は一刻もゆるがせにできない点でございますので、できるだけ多額に予算要求の中に織り込みたいと考えておるのが一つでございます。  第二は、いま先生御指摘の信用補完制度の点でございますが、保証基金、準備基金につきましても本年度追加をしていただいたわけでございますが、さらにこれも中間報告に示してございますように、特に小規模事業対策の中核的な制度としてこの信用補完制度の意味があるわけでございますし、またしたがいまして、この運用に必要な融資基金はできるだけ多額のものを計上いたしたい。とともに、この金融引き締めの影響がまだ当分続くと思いますが、そういたますと代位弁済は依然として高水準でございましょうし、その結果信用保険公庫の準備基金、これに対します補完といいますか補充は、制度の円滑な運用を期するためには相当額を計上しておかなければならないというふうに考えております。もっとも形式的に信用補完制度は大蔵省予算に計上されることは御高承のとおりであります。  第三点といたしましては技術対策、それから情報サービス事業の充実、この点は重点に考えたい。それとともになお小規模事業対策の骨格をなしております指導員制度でございますが、これは増員の点におきまして、また給与の増額の点におきまして、さらにまた期末手当等の問題におきまして、また僻地等に勤務しております指導員の手当問題につきまして所要の措置を講じなければ小規模事業対策の運用は期し得ないというふうに考えております。  それから財政投融資の関係は、政府関係三機関に対します融資、例年二〇%程度融資量においてふえてきておるわけでございます。来年度は引き締めも終わるわけでありますが、しかし引き締めが終わるということは、従来テンポのおくれておりました中小企業近代化、国際競争力の強化のための体質改善資金、これがむしろよけい要るという時期でもございますので、この辺は相当量を計上するようにいたしたい。  以上の点が重要な諸点として、ただいま鋭意詰めておる最中でございます。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 大蔵省から例年二五%アップとか、あるいは三〇%だとか五〇%アップとか、そういう範囲で概算要求をやれというようなことがよく示されるわけですが、ことしは何%という形で示されておりますか。
  74. 乙竹虔三

    乙竹説明員 本年度予算に対しまして二五%アップ、これはただし通産全省を通じてでございますが、二五%アップの範囲内で予算をつくるというふうな閣議の取りきめになっております。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、大蔵省の亘理主計管がお見えですが、いま乙竹長官からたまたま経営指導員のことについてお答えがあったわけですが、四十三年度に全国から、商工会をつくっておるが指導員がいない、指導員をぜひひとつ配分してもらいたいというような要求が、五十七名かそこらあったように私は伺っているわけです。ところが、今度は相当数の配分はなされるのだけれども、一方八%か一〇%程度の削減というものが要求される。そこで五十数名——たしか五十七名だったと思いますが、それに対して三名かそこら、実質配当人員はその程度だということなんです。商工会あるいはその他の中小企業団体というものを組織していかなければならぬということで、中小企業庁は努力をしておられる。そうなってまいりますと、経営指導員であるとかその他中小企業の振興に必要なそうした専門家を配当していかなければならぬということになるわけです。ところが、一般の職員の減員ということも問題でございますけれども、こうした国が一つ政策としてどんどん強化していこうとしている組織、その組織というものを、一方においては必要人員を配当しないという形において、その芽をつまんでいくというようなことでは私は矛盾をすると思う。したがって、おそらくいまのお答えの中では本年度も相当要求がなされるものであると思うのでございますが、どういう考え方をもってこれに対処しようとお考えになっておられるのか、ひとつ伺ってみたいと思いますす。
  76. 亘理彰

    ○亘理説明員 お答え申し上げます。来年度の問題につきましては、まだ概算要求もいただいておりません、御説明も伺っておりませんので、何とも申し上げかねるわけでございますが、中小企業の重要性につきましては申すまでもないことでございまして、財政当局といたしましても、一般会計の支出、財政投融資あるいは税制、いろいろな面がございますが、従来できる限りの努力はしてきておると思っております。  来年の問題につきましては、一般的な財政の状況ということで申し上げますと、昨年来財政硬直化という問題が出てまいりまして、御承知のとおりでございますが、財政収支の状況が非常に窮屈なときになってきております。特に人件費あるいは地方財政費、その他いろいろの義務的経費のいわゆる当然増と申しますものが非常に大幅にふえるような傾向になってきておりまして、一方財源のほうも、国債を減らしていかなければならないというふうな要請もございまして、財政の原資のほうの伸びはかなり限られてきておるということで、かたがた政策的な経費にはその余裕というものが非常に小さくなってきておるということは御承知のとおりであろうと思います。そういう基本的な情勢は、ただいまの見通しでは来年度においても基本的にあまり変わってこないのじゃないかと思っております。その中で特に政府の重点施策として中小企業というのは年々取り上げられておるわけでございますが、できるだけほかの施策とのバランスあるいは施策の効果、効率等々をにらみ合わせながら、できるだけの配慮をしてまいりたいと思っております。  それからただいまの具体的に御指摘の点は、昨年の実行の問題かと思いますが、これ御承知のように、昨年補正予算の編成に際しまして、財源難で万般の施策について節約を加えるという必要を生じたわけでございます。中小企業につきましてもそのほかの施策につきましても、その施策自体の重要性、必要性は申すまでないことでございますが、全体の財政状況からやむを得ずとった措置でございまして、そういう場合にも中小企業に対する対策は、年々財政投融資の面で年末金融等も考慮しておりますが、できる範囲では最大の考慮を払っていきたいと考えております。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 亘理さん、おっしゃることはわかるのですよ、財政硬直化という形でのあなたの主計官としての裁量の範囲というものはね。しかし、中小企業の対策の中で中小企業を組織化していく、そして協業化、共同化の方向へ推し進めていこうということは、これはまた絶対的な要件ですね。そうすると、そうした商工会において経営指導員が二人というところは、これは皆無とは言わないが非常に少ないですね。まあ百名程度のところは完全にこれを配当しろということが要求されておるのだけれども、そういうところで五十七カ所も六十カ所も商工会を設置して、経営指導員というものを置かなければ、その組織というものはお互いの単なる意見交換をする組織にすぎなくなるのです。やはり経営指導員というものがおって——商工会に組織化されるものは零細な企業者です。そうした零細企業者がお互いに協業化して、共同購入もありましょう、あるいは共同出荷もあるだろう、あるいは共同集金という方向も目ざすでしょう。そういうことで、中小企業はやはり、そういう高度化方向へ進めていかなければならぬと思うのですね。その大きな心臓は何といっても経営指導員だと思う。その経営指導員を財政硬直化の名のもとに——組織化されて絶対必要であるということで要求されておるところが五十七カ所も六十カ所もある。それにわずか三名かそこらの配当を今年度して、そしてあとう限りの努力はした、財政硬直化上どうすることもできないということでは、大蔵省はさいふのひもを締める立場であるかもしれぬけれども、しかし私は政府の中においてそういう矛盾したことがあってはならぬと思う。節約しなければならぬところはまだ節約の余地が十分あると思う。そういうところはやらなければならぬけれども、絶対に無理押しをしてはならない。その要求を認めていかなければならぬところは認めていくという態度でなければならぬと思うのですよ。それから離島寺において、いまお話ございましたが、ともかく離島手当の問題であるとか、あるいは身分関係においても、経営指導員というものはこれは公務員でもないのですね。そして、いつ首切られるかわからぬきわめて不安定な関係の中にある。そういう人たちに対しては少なくとも期末手当というようなものを、国が三・三であるならばやはりこれに準じてその程度は、これは給料も非常に低いのだから、せめて期末手当等においてこれを幾らかでも補完してやるというような態度でなければならぬと思います。そういうところを財政硬直化という名のもとにこれをつまむということは、角をためて牛を殺すというたぐいになってくると私は思うわけですが、今度は昨年のようなことをやってはならない。今年度のようなことを明年度はやってはならぬと思います。そこいらの点についてあなたの考え方をここで言うていただきたい。そしてそういうようなかまえでもって取り組んでもらわなければならぬと思いますが、いかがですか。
  78. 亘理彰

    ○亘理説明員 ただいまお話しのように、施策は重点的にやっていかなければならぬ、中小企業の場合特にそういった組織化、共同化が大事であるということはお話しのとおりであると思います。一方におきまして財政の硬直化というのは収支の絶対的な不均衡の問題につながってくる問題でございますから、一方で伸ばすべきものは伸ばすという場合には、他方で押えるべきものを押える、あるいは節約すべきものを節約するということが伴ってまいりませんと、これはなかなか収支の適合が困難になってくるという問題があります。いまお話しの点につきましては、定員の全般の五パーセントの削減というふうな一般方針でございますが、これも全般的な方針としてそういう方向を打ち出すことがやはり財政の体質を改善し、柔軟にし、そして将来のためにその時代時代の要請に応じた施策を展開していくために必要な一つの基礎固めになるのだ、こういうふうなことで方針をきめ実行いたしておるわけでございます。お話しの点につきましては、全体の財源状況、それからほかの施策とのバランス、それからそれぞれの効率的な運用がどうなっておるのか、節約すべき余地が他にあるのかないのかというふうなことと関連しまして、お話しの基本的なお考えはごもっともだと思います。それを具体的にどう適用していくかということについては十分検討さしていただきたいと思います。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 まあ何と言うのか、押えるところを押さえなければいけない、そのことは一つの基準をおつくりになっておられる。それでいろいろな事情で、たとえば炭鉱等においては炭鉱がつぶれる。それに伴って中小企業者というものが減ってきますね。そして線を引いておられますから、この基準以下になったら、ここは二名だけれども、ここは一名にしろ。そういうようなところが相当あるのだろうと思う。それを削減をしろということなんですね。なるほどそういう点もわからぬではありません。しかし一面それは非常に現実的でもない。それは商工会、その他の中小企業諸団体でも同じですけれども、非常に仕事が多いんですよ。たとえば税金関係でも記帳継続指導等もやっておられる。これに対してもたしかに九千円かそこらの助成かなんかしておられるところもある。ところが専門員に対しては専門的にはこれを認めていないというような点もある。いろいろな中小企業者が組織化をしていったために非常に多元的な仕事というものがあるのです。それを、中小企業者の数が減ったから、それで二名であったのが一名でよろしいか、そうもいかぬですね。だから、それを減さなければならない、したがってそれをプラスマイナスすると、たとえば六十名の要求でも十名でもいいじゃないかというようなことで大蔵省方式で企業庁に押しつけようとしても、現場の中小企業団体というものはそれについてこないですね。いや実はもっと仕事は非常に多元的になったのだ、だからしてもっともっと配当してもらわなければならぬと思うのに、数が少し減ったからといって、一名減すなんてそんな無理なことはできませんよ、そういうことになってくる。だから、結局商工会はつくったけれども、指導員の配当というものはないということで、組織したけれども、依然として実質的な活動というものはできないでおるというのが現状なのです。だから、あなたのほうも、ひもを全然締めないでそのままということになってまいりますと、それはたいへんだろうとは思う。しかし、こうした国の施策の中で中小企業の組織化というようなことは非常に重要なのだから、あまりそういうところにしわ寄せをしないようにしていく必要があると私は思う。一方的にあなたのほうでものさしを当てて、それによって弾力的なやり方をやらないというようなことがあってはならぬと思います。  時間が幾らあっても足りませんから、この点はひとつ、その他中小企業の協業化関係はいうまでもなく、この際大蔵省にいろいろ注文をしておきたいことがありますけれども、もうしばらくおっていただきまして、銀行局のほうにお尋ねしてみたいと思います。  この国会金融公庫の貸し付け限度額、これも従来の三百万ということを改めていないのであって、御承知のとおり環衛公庫はこれを一千万まで、食品衛生関係は、これは御承知のとおり大蔵省と厚生省とずいぶんがたがたやったわけですが、最終的に大平政調会長と私もお会いいたしまして、そこで解決に加わったわけですが、ところがこれに対しましては原則として六百万円。同じような条件で貸し付け限度額だけが、環衛公庫は一千万。それから同じ環境衛生業者である食品衛生には、原則として、という名目はしてありますが、六百万。そして一般のプロパーの中小企業者に対しては依然として三百万。これではあまり不均衡というのか、不合理というのか、これでは納得しないです。一般のプロパーの中小企業者、これはいろいろ重要な施設というものもあると私は思うのですね。それら特定の環衛団体等に劣らないほど国民生活の上にとっても重要な役割りを果たしておるのでありましょうし、そこに役割りを果たすための設備等もやらなければならぬ。にもかかわらず、依然としてこれが三百万。こういうことでは私はいけないと思うのですが、四十三年度、今年度予算要求の際にも実は乙竹長官に対して、これは少なくとも六百万円ぐらいには引き上ぐべきだということを言ったのです。おそらく心の中ではそう思ったのだろうけれども、大蔵省の方針が非常にかたいものだから、もう三百万、三百万というのにたいへん苦労をしておられたようですが、来年度はそれでは私は通らぬと思う。ですから、どちらが先に答弁をしていただくのがよろしのか、乙竹長官もお困りでございましょうから、この点はひとつ田代審議官から考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  80. 田代一正

    ○田代説明員 ただいま中村先生のお話しのとおり、実は中小企業の貸し出し限度額という点につきましては、御案内のとおり環衛公庫ができまして、それからことしはまた生鮮食料品特別融資制度をやるということで、確かにいろいろな矛盾があちこちにできておると思います。特にそれが国民公庫のみならず中小公庫等についてもどうかという問題も私はあると思います。そういうことで、実はなるべく近い時期に実態調査等々いたしまして、従来の規制ははたしていいのかどうか、検討したいという気持ちはかねがね持っていたわけです。いろいろな都合で非常に延び延びになっておりますが、秋から以降にかけていろいろ検討いたしたい、かように考えております。
  81. 中村重光

    中村(重)委員 どうもそう率直に答弁をされると……。ともかく、そのとおりだと思います。きわめて率直明快なお答えであります。そのお答えが実際実行されるようにしなければいかぬと思うのですね。確かに矛盾がある。  それから私は環衛公庫のそういう特利あるいは食品衛生関係、生鮮食料品に対するそうした特利でもって融資していく、それはそれなりに必要だと思う。同時に、一般の中小企業者ですね、これとてもやはり特利の融資をしなければならぬというのは、私はそれはあると思う。限度額において、そうした利率の点において、あるいはその償還の期限において十分な調査をすみやかにされて、そして四十四年度、明年度予算編成期にはそういう矛盾をひとつなくすようにしてもらいたいと思う。下の低いところに合わせるような矛盾是正ではどうにもなりませんから、やはり高いところに合わせていくということでないと、もういまでも非常におくれていますからね。だからそういうことで対処してもらいたいと思います。  特にあなたに——これは所管の点がどうかと思いますけれども、離島、僻地という問題について、こう際あなたのほうで調査される中にこれをぜひひとつ検討の対象にしてもらわなければならぬと思うのは、離島というのは御承知のとおり本土からいたしますとたいへん所得水準というのは低いですね。そこで離島振興によって公共事業、特に今回は厚生、文教関係においてその高率補助という形をとったわけですね。だがしかし、その他まだ高率補助をしなければならぬという点もたくさんあります。あるいは離島振興というものは農業、漁業等を中心にした産業振興計画というものもやらなければならない。同時にそれらの振興に伴って、事業推進に伴って必要なことは、やはり離島におけるところの融資の際の利率の問題、あるいは税金、特に離島なるがための減税といったこと等をやらなければ、離島の所得水準を本土の所得水準と均衡させる方向にいかない。文化的に非常におれておるところでありますから、特に離島に対してはそういう配慮が必要であろうと思うのでありますが、それらに対してはどのようにお考えになっておりますか。
  82. 田代一正

    ○田代説明員 ただいま離島につきましては、たとえば政府が貸す場合に特に安い金利にしたらどうかというような御提案だと考えます。  御案内のとおり、私も主計局で長い間めしを食っておりましたから、離島について、社会資本という面につきましていろんな特別補助率があることは存じ上げております。ただ社会資本という段階と、それから一般企業活動という面において、はたしてどういう関係があるかという点をいろいろ考えなければいけませんし、ほかのいろんな問題もございます。検討はさしていただきますが、私はなかなかむずかしい問題があるのじゃないかという感じがいたします。非常に率直に申し上げて恐縮でございます。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 技術的にむずかしいだろうと思うのですね。しかし何とかしなければならぬ。私どもも今度はこの月末くらいから、離島振興それから離島におけるそうした零細企業者の実態等々を調査のために、委員長を中心にして実は現地視察をする予定はいたしております。さらに勉強したいと思いますが、やはり大蔵省としても、経済官庁あるいは中小企業庁等々と話し合いをされて、適切な措置をおとりにならなければ、技術的にたいへんむずかしいからといって、これはだめだということであってもどうにもならぬと思うのですね。  それから全国の離島が絶えず要望し続けているのは、政府関係金融機関の出張所を離島につくってもらいたいということです。ところがいまの、たとえば国民金融公庫の場合については、支店というのはあるけれども出張所というのはない。したがって出張所というものは必要を感じてもこれをつくれないということのようでございますが、これは私は適当でないと思う。だから、常時出張というようなこともたいへんでございましょうから、やはり何らかの形において出張所をつくる必要があるのではなかろうか、これを検討されたことがあるのかどうか、お答え願いたい。
  84. 田代一正

    ○田代説明員 離島関係につきまして、政府関係金融機関の店舗を出したらどうかというお話でございますが、国民金融公庫一つとりましても、これは直接貸しが非常に多うございます。しかしやはり同時に代理貸しという制度もできておるわけでございます。したがいまして、国民金融公庫全体の経理の運行等々もいろいろございますので、それを十分考えなければいけませんが、そういった形もあり、代理貸しでいけないという問題はどこにあるか、また店舗をつくったらどういうことになるかということもいろいろ考えなければいけない問題でございます。その点につきましては、ケース・バイ・ケースで、ひとつ慎重に考えたいと思います。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 代理貸しという制度があることは私のほうでもわかっているのです。しかしできるだけ直貸しの方向へ持っていかなければならぬということで、実は国民金融公庫にしても中小企業金融公庫にしても努力しておられるわけでございます。私はある特定の離島に対して、相当住民も多いんだから、出張所をつくられたらどうかということを言ったことがあるが、出張所をつくった実績がないということであった。ところが今度は実績ができた。そして償還成績を見ると、その離島が最高だということでございますね。だから今度はもう離島の住民もがまんせぬだろう。出張所をぜひつくりなさい。実は長崎県の対島を例にとって私は申し上げておるのであります。ところが今度は、いまあなたがお答えになったようなことで、なかなかつくろうとはしない。だから、公庫の立場から直貸しがいいのか代理貸しがいいのか、どちらがメリットがあるのかということで判断されてはどうにもならないですね。やはり政府関係金融機関なんだから、特にそうした離島、僻地といった所得水準の低いようなところには利便を与えていかなければならぬというように思う。そういう意味において、あなたがケース・バイ・ケースということで、やはり何とかそういう制度を考えていかなければ、出張所等も考えていかなければならぬのだという前向きの意味でのケース・バイ・ケースということであるならばいいけれども、直貸しがよろしいのか代理貸しがよろしいのか、どちらがメリットがあるのかという、公庫の側に立ったそういうことでケース・バイ・ケースでいくというようなうしろ向きの形ではどうにもならぬと思いますね。だから前向きの形でのケース・バイ・ケースということでお答えになったのか、いま一度この点について考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  86. 田代一正

    ○田代説明員 これは主計局でお答え願ったほうがいいかと思うのですけれども、かわりましてお答えいたします。  特に国民金融公庫の場合でおっしゃっていただいていると思うのですが、国民金融公庫の店舗を新しくつくるという場合としては、たとえばどが程度の貸し出し先があってというようないろいろな基準が内規であるようでございます。その内規に照らしまして、はたしてこういった候補地に支所を設けていいかどうかという判断があると思います。私はまだ先生のおっしゃった具体的なケースにつきまして、そういうものさしでものを見るということではないものですから、いまの段階では非常に的確な答弁はできかねると思いますが、気持ちとしては私がさっき申し上げたことで、別に注釈申し上げることはないと思います。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 それでは乙竹長官と主計官にお答え願いたいと思うのですが、中小企業振興事業団は、御承知のとおり事業団が四〇%、それから地方自治体が二五%で六五%ですね。これは私は当時も問題にしたわけです。中小企業振興事業団が非常に上昇でたいへんな期待の中にあるということを実は伺っておるわけです。同時に問題点も出てきておるように思うのです。これはきょうは自治省の財政局長がお見えになっておったらお尋ねをしたかったわけですけれども、松島税務局長いらっしゃいますね。ではあなたにお答えを願います。この二五%の負担の問題ですが、地方自治体のほうで負担能力がなければ、結局これを押えていくことになるのですね。だから新たに地域格差という問題が生じてきておるのではないか。また、いま特にそういうものがあなたのところにあがってきてないとしても、相当な負担、そこで団地をつくりたいというような指導奨励というものも結局消極的になる。そうすると、せっかく団地をつくっていこうとする国の政策というものが、そういう意味においてとんざするということにも私はなるだろうと思うのです。だから、この地方自治体の二五%負担というのをこの際是正をする、そして地方自治体の負担を軽減をしていく。事業団の負担を五〇%にするのかあるいは六〇%にするのか、これは検討を要すると思いますけれども、地方自治体の二五%負担をこの際最正をする必要があるのではないか、こう思いますから、これは長官と自治省のほうでお答えを願いたいと思います。
  88. 乙竹虔三

    乙竹説明員 この事業団の金は、もと高度化資金特別会計のときは、手金と申しますか、受益者の負担が半分でございまして、残りの半分を実質的に国とそれから府県が持つというかっこうであったわけでございますが、これで十数億の前の使い残しができておった一面、また客観的な協業化の必要性、情勢の緊迫度も少なかったかと思うのでございますが、これが振興事業団になりますると、いま先生御指摘のように、国が四〇を持ちまして、府県が高度化資金特別会計どおり、国の負担分を増すことによりまして、受益者の負担が五〇から三五に下がる、繊維におきましては、これが受益者が三〇に下がるということになって、改善されたわけでありますが、改善の結果、これは非常な要望が出てきておりまして、先刻申し上げましたように、予算編成でも難航をするという程度の大きな要望になっておるわけでございます。  ただ先生御指摘のように、府県の負担分が高度化資金特別会計当時と同じように二五%あるわけでございまして、これが財政事情も必ずしも十分でない府県におきましては、商工関係の経費として相当部分をだんだん占めつつあるということは事実でございまして、現にすでに集中的にこの需要の起こっております繊維関係、繊維の構造改革の関係等におきましては、府県分がこれは一割にすぎないわけでありますが、それでもなおかつこの一割の負担分が相当金額にのぼりますために、府県としては起債の要望をしておる、実はこういう話が起きてきておるわけであります。   〔委員長退席、宇野委員長代理着席〕 この問題につきましては、目下自治省当局と私たちのほう及び大蔵省と三省で勉強をしておるわけでございまするが、その方向といたしまして、事業団の負担を増すということで改善をするということは、現行制度におきましても非常に大きな財政上の問題になっておるという点にかんがみまして、また利率等におきましては、現行制度ですら他の制度と比べて事業団融資は相当有利になっている点等を考えまして、これ以上事業団の負担分を増加するということはなかなかむずかしい。先生御指摘のような点がございますから、むしろ府県の負担部分をどういうふうにして格差がないように、豊かな県とそうでない県の格差がないように、その点を運用上改善をしていくかという点が重点ではないだろうかという方向で勉強いたしております。
  89. 亘理彰

    ○亘理説明員 いま乙竹長官から申し上げたとおりでございまして、高度化資金の時代から比べまして、国としては制度を非常に改善し、国の負担分をふやして事業者の負担を軽減するというふうな方向改善したつもりでございます。地方財政もなかなかたいへんでございますが、先ほど来の繰り返しになって恐縮でございますけれども、国の財政もまたそれ以上に苦しい状況になってきておりますので、御趣旨の点もわからないでございませんが、現状においては現在以上の措置はなかなか困難であろうと思っております。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 長官、あなたは改善だとおっしゃる。要望が非常に多くなった、したがって不用額なんということが前みたいにない、こういうことですが、一がいに改善ということにはならないのですね。なるほど半額であった。しかしそれは無利子であった。しかし今度はそうではない。ただ改善ということになるならば、前は特定の施設に対してが融資の対象であった。今回は事業全体が融資の対象になってきた。そういうことで、自己負担というようなもの、自己資金というものがなくとも、これはいわゆる中小企業金融公庫、商工中金との協調融資というのが非常にしやすくなってきた。六五%で、早くいえば三五%、これは完全に協調融資をするということのお答えなんだから、そういうことで非常にやりやすくなってきた。そういう意味で要望というものが出てきたんですね。だから、いま私が申し上げたような意味においての改善ということであるならばわかるんですよ。ただそのときも、改善だ、改善だ、無利子であったのが今度は利子をつけるようになったのが何が改善だということで、前の長官と議論をしたのです。だからこれは一がいに改善ということにはならない。前はごまかしをしておったということです。ごまかしがあったのです。正直にいって、半分というけれども、半分ではなかった。全体の事業から見れば三五%かそこらになっていた。ごまかしであった。半分無利子でやるんですということで声を大きくして宣伝をしてきたんですよ。それでこれをこういう制度に変えようとするときに、実は三五%程度でございますと、今度は小さい声で前の長官は答えた。ごまかしてきたのに改善ということを言わなければならぬものだから、いろいろとことばを尽くされたわけです。しかしあなたはそういう意味では前の責任がないものだから、きわめて気やすくそういうことで改善改善だと言われるのです。しかし私どものように前から一貫してこれに取り組んできた者から見ると、これはそうはいかないんですよ。だからして、いま申し上げたような広い意味において協調融資というものが完全に行なわれるということになってまいりますと、非常にやりやすくなった、こういうことではあるが、一方今度は利子の負担というものが非常に大きくなってくるのです。同時に今度は地方自治体に対するところの負担というものは前よりも大きくなってきたということですね。これは問題ですよ。自治省が交付税において十分このめんどうを見てくれるのかどうか、それすらも必ずしもはっきりしてないのです。全体の中でやりますからね。そうなってくると、貧弱な地方自治体というものは、せっかく先ほど申し上げましたように団地をやりたいというようなそうした中小企業者の要望であるにかかわらず、実際はこれを受けることができないということになってまいりますから、地域格差というものが出てくるでありましょう。だからして、こういうことを検討して二五%が一挙に一五%ということにできなければ、五%でも幾らでもこれを軽減をしていく、そうして地域格差をなくしていく。同時にせっかくそうした国の政策に沿って団地を推進していこうという、そうした府県の要望にこたえ、業者の期待にこたえていくということが当然でなければならないと私は思います。もう一度、この点は簡単でけっこうですから、ひとつあなたの決意のほどをお聞かせ願いたい。
  91. 乙竹虔三

    乙竹説明員 現在のところ国の負担分を増大するということは、私たちできれば非常にけっこうと思いますけれども、むずかしいと思います。むしろそれよりも事業団の事業量をふやすという方面のほうが急務であるというふうに考えます。しからば先生御指摘の府県の負担分の急増にもし耐えられない府県が出れば、地域格差、府県間の格差が出る、この問題は十分われわれ問題として認識をし、すでに若干は具体問題としてぶつかっておる問題でございますが、これは二つの方向で考えるべきである。一つは、いままで商工関係に対する府県の配分額と申しますか、府県内の商工に対する予算の配分、これは必ずしも十分ではなかったのじゃないだろうか、この辺は府県として大いにがんばってもらいたい。やはり殖産振興で府県の自力をつけるということが府県として一番大事だと思いますので、この辺は府県としてがんばってもらいたいという方向一つ。それからもう一つは、府県がそれでもなおかつ非常に苦しいという場合には、これは補助金ではなくて融資でございますので、いつかは返ってくる。十年なり十三年すれば返ってくる金でございますから、この点はそういう方面で知恵のめぐらし方もあるのではないかという方向で、私どものほうと自治省と大蔵省のほうで勉強をしておる、こういうことでございます。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 あと二問でやめます。  国の立場からだけの御意見というものはいささか受け取りかねる。しかしきょうは時間がありませんから、あらためて議論をすることにいたしまして、一方今度は、あなたのほうでは例の近代化資金の貸し付け、これを減額するとか、やめるとかいうような意向であるということを伺っておりますが、そういう考え方があるのですか。
  93. 乙竹虔三

    乙竹説明員 近代化資金は毎年国から各府県の特別会計と申しますか、これに補給をしておるわけでございます。府県は当然これを回転して、回収金がまたふえていっているわけでございますので、現在のところ、府県におきます事業量、回転資金と申しますか、これを減らすという考え方は毛頭ございません。ただ、毎年国から府県に出します近代化資金はすでに相当程度使い残しをしておる、こういう状況でございますので、非常に中小企業予算が豊かなときでございますならば、こういう制度は本来的に小規模企業者のためにいいわけでございますから、若干程度の使い残しは意に介しない。むしろこういう制度をよけい使ってもらいたいのですけれども、先刻から申し上げましたように非常に窮屈なときでございますので、使い残しのある金はもったいない、他に活用するほうがいいのではないかというふうな考え方をいたしております。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 それは不用額がある、実際支出したよりも不用額のほうが大きいなんということだっていままで何回かあったのです。あなた、これはそのことだけをとらえちゃだめですよ。なぜに不用額になるのか、そこをひとつあなたのほうでは検討していかなければならない。三百万というような限られた金額、しかも審査条件が非常にきびしい、そして自己負担というものが半分なければいけない、そういうところにやはり問題があるのです。俗に言う帯に短したすきに長し、そういう意味で手が出ないということもある。だから問題を前向きで検討しないで、不用額なんだからこれはもったいないんだということでこれをやめるなんというような考え方を持つことは、私は誤りだと思います。自分がいまやっていることが最善だというような独善的な考え方があっちゃだめです。そうでしょう。その点あなたはお考えになってもらって、そこで来年度の予算編成の中でどう取り組むか、答えによってひとつ議論をしていくことにしたいと思います。  最後に、個人事業税の問題と電気ガス税の問題について、松島税務局長にお尋ねをいたしますが、長い間お待ちを願って恐縮でございますが、零細企業者の個人事業税というのは、これは中小企業団体も声を大にして、実はこれだけは撤廃してもらいたいというような強い要望があるわけです。私どももそういう声があるからこれに迎合するということでなくて、いろいろな角度からこれを検討してみたわけですが、どうしても個人事業税というものは、その所得に応じた所得税ということがあるわけですから、ある意味においては二重課税的な感じがしてならない。そこで、やはりこの個人事業税というものは、いま言うように、いろいろな控除でできるだけ負担を軽減していこうというようなことはわかっておりますけれども、この際これは廃止する、こういうことをひとつおやりになったらどうか。そして地方自治体の収入はまた別の方法で考えていくべきだろうと思うわけです。  もう一つは、ガス税の場合、私は予算委員会でもこれを分科会で取り上げたこともあるわけですが、従価税というのは非常に矛盾だと思います。小さい都市になってまいりますと、供給戸数も少ないわけでしょう。したがってコストが高いわけです。コストが高いから料金も高いわけです。そういう貧弱なところ、弱いところには、これに追っかけて従価税だと税金も高くなるでしょう。これはやっぼり矛盾ですよ。だから、これはやはり従量税なら従量税にかえていかなければならぬと思います。私は、電気、ガス税なんというのは悪税だけれども、これをやめてしまえという考え方ではありますが、あれもこれも一ぺんにやめてしまえという議論は無責任な議論になってまいりましょうから……。しかし矛盾しておる点、そういう弱い者にさらにこれを締めつけるという負担を要求するようなことは、ひとつこの際矯正する必要がある。  以上の二点についてひとつお答えを願いたい。
  95. 松島五郎

    ○松島説明員 第一点は、個人事業税を廃止すべきではないかというお尋ねでございます。個人事業税につきましては、かねがね各方面から御要請のありますことは私ども承知をいたしております。しかし事業税は、事業を経営しておりますことと、地方団体の経費というものとの対応関係という角度から従来課税をされてきているものでございまして、現在約三百億事業税の収入が見込まれております。三百億と申しますとかなりの税額でもございます。いま直ちにこれを廃止するということは、地方財政の現状からいって困難であるというふうに考えております。ただ負担の軽減につきましては、かねがね配慮を加えてまいっておりまして、免税点制度からさらに基礎控除制度を導入し、さらに事業主控除という形で毎年控除額を引き上げてまいっております。また税率も一二%でございましたが、現在一般は五%程度まで引き下げてまいっております。こういうような配慮をいたしております結果、昭和二十五年当時でも個人事業税は約二百五十億円程度でございましたが、今日においてもいま申し上げましたように三百億円程度で、その他の税が相当名地的にも実質的にもふえておりますに比べまして、この二十年近くの間、絶対額においてもほとんど変わらないという状態でございますので、実質的に負担はかなり軽減されてきておるのではないかというふうに考えております。なお個人事業税につきましては、現段階におきましては、国税における専従者控除の問題等との関連もございまして、さらに検討をし負担の軽減につとめてまいりたい、かように考えております。  電気、ガス税のうち特にガス税につきましては、中小都市においてはコスト高から料金が高くなっておる、にもかかわらず従価税にすることは、負担の不公平になるのではないかという御指摘がございましたが、そういった面から申しますと、御指摘の点もあろうかと思いますが、一般に消費税は価格に課税をすることが一番適当であるといわれております。すなわち消費税は、価格によって表示される担税力というものを基礎にして課税をする税金でございますから、やはり価格に応じて課税をすることが一番税としては適当であるということが言える、これが一般論であろうと思います。ただ、この電気、ガス税のように、しばしば御指摘がありましたように、生活必需品的なものにそういう制度をとるのがいいのかどうかという点については、御指摘のとおり別の面から問題があろうと思います。ただ、そういったこともありまして、ガスにつきましては、昨年度も実は本年度も免税点の引き上げをいたしておりますが、この免税点の引き上げをいたします場合にも、大体中小都市におきまするガスの使用量の一般的な水準というようなものも考えながら免税点を引き上げてまいってきておりますので、そういった配慮で問題を処理してまいるのが現段階においては一番適切ではないか、かように考えております。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 個人事業税の場合において、お答えのとおり控除額を引き上げてきつつあること、よくわかっております。しかし、きょうは昼食の時間も延びて、たいへんどうも御迷惑をおかけいたしておりますので、また場所をかえて私が個人事業税を廃止しなければならぬという根拠をひとつ申し上げて、そしてあなたのほうで廃止できないという根拠をまた明らかにしてもらいたい。  それから電気、ガス税の場合に、なるほど価格に課税をしていくということのほうが課税を補促しやすい、一般論としてはわかりますよ。しかしそういうようなことでは私は説得力がないと思う。やはり税金というものは、こうした電気、ガス税のような場合には、受益者が負担をしてくることになります。だから非常に弱い地域が先ほど申し上げたようにコストが高い。それに国が徴収する税金というものを、これは地方自治体を含めていっているわけですが、そうした団体が徴収する。そういうものに対してさらに苛斂誅求的な負担を要求しているということは無理があると思う。やはりそういう一般論は一般論として、現実ということを十分踏まえて矛盾のないようにしていかなければいけないのではないか、本来国だとか地方自治体、公共団体がやる場合には、そう考えるのですね。だからやっていることを、あまり型にはまってしまわないで、この際現実というものを十分踏まえて、それで適切な措置を講ずる、そして改善するところは改善していくということでおやりにならなければ、私は正しい行政の姿じゃないというように思うのですね。改めてひとつその点を伺いたいと思います。  最後に一つ政務次官に……。具体的なことでお尋ねしないとたいへん失礼でございますが、いま質疑応答をお聞きになって、あなたとしてこの際これを改めなければならぬといったようなことについて、お考えになったような点がありますならば、ひとつそういう点についても、誤っていないというような点は胸を張っておっしゃってけっこうでございます。ひとつ総まとめのような意味であなたのお答えをいただきたいと思います。
  97. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 御指摘のとおり、中小企業問題はよく言われますように古くして新しい課題であるという、こういった感じを御質問を通じてしみじみ痛感いたすわけでございます。わけても最近中小企業を取り巻く内外のきびしい環境変化に対処するためには、よほどこの際思い切った政府施策が予算的に裏づけられなければならぬ、このように思うわけでございまして、ときあたかも、各省八月末を目途に現在予算編成努力しておる最中でございまして、ただいま御指摘になりました御意見、十分しんしゃくいたしまして、これが予算措置に反映をいたしたい、このように考えます。  税制の問題につきまして、ただいま個人事業税の問題、私も地方議会から国会へ出た一人として、絶えず問題になっておることでございますが、先ほどのお話のように、過去からあまり税額が上がっておらぬということは、相対的には相当軽減されておるということにはなりますが、やはり二重課税のそしりは免れないという考え方は、私も同感であります。どのようににしてこれをうまく現在の財政の中でかじをとっていくか、今後の研究課題として勉強さしていただきたい、このように思います。
  98. 宇野宗佑

    宇野委員長代理 岡本富夫君。
  99. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大蔵省の方が何か会議があるそうですから、順番を変えましてお聞きしますけれども、   〔宇野委員長代理退席、海部委員長代理着席〕 五十八国会の当委員会において、三月十九日に、中小企業向けの金融問題について、保証協会の件で私が長官に要求し、長官は善処し、また大蔵省ともよく話し合う、こういうことがありましたが、その一つとして、いま現実に中小企業は保証協会に保証をしてもらって金を借りようという場合に、非常に借りられない、その一つの原因としては、保証協会の基金の五十倍以上はあれができない、五十倍が頭打ちである、これをなくさなければならぬということで、兵庫県の場合も五十倍でもうピークになっておるので、あとできなくて困っている。これは長官も確かにそうだということで、大蔵省と話し合います、そして前向きに善処します、こういう答えをいただいているわけですが、それについてどういうように話し合い、またこれをどういうようになさったか、その答えをいただきたいのです。まず長官から。
  100. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先生御指摘のように、保証協会の基金によりまして保証限度が制限されておるという状況、この点につきまして検討いたしますということを三月の当委員会において申し上げたわけでございます。その件につきまして大蔵当局に要請をする前に、いろいろわれわれのほうで勉強をいたしました。それからいま相談をしておる段階でございますが、全部が全部必ずしも引き上げなければいけないというものではない、その前にまず政府から基金を投入する、それから特に府県から出指金と申しますか、これを要請するというかっこうがまず健全な方向ではないか、こういうことで、その努力をまずしておりながら、それでもなおかつ融資限度を五十倍で制限するかどうかということは、第二の問題としていま勉強しておる、大蔵といま相談しておる、こういう状況でございます。
  101. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大蔵省のほうは亘理主計官ですか、この問題についてどういう検討をなさっておるか、お聞きしたいと思います。
  102. 亘理彰

    ○亘理説明員 たいへん申しわけないのでございますが、その問題につきましては私は話を聞いておりません。これは直接には銀行局のほうの所管の問題として出てまいりますが、具体的に聞いておりません。至急検討いたします。
  103. 岡本富夫

    岡本(富)委員 このときに、私はこの問題は各保証協会でもって非常に要求しておる、それで、長官の乙竹さんと、それからそのときは長岡さんでした。そのときにこういうように答えております。主計局の問題と申しますよりも、銀行局の関係だと思いますので、私からお答えします。いま長官がおっしゃったように、五十倍で押えられるともう保証に支障を来たすというようになっておる、これはよくわかっておるから前向きでもって検討したい。らのあとで長官は、大蔵省の主計局ともよく相談をし、そしてこの問題を解決いたしますとおっしゃっておるわけでですが、いま聞きますと、亘理さんのほうは何も聞いてないというわけですね。
  104. 亘理彰

    ○亘理説明員 銀行局のほうの……。
  105. 岡本富夫

    岡本(富)委員 銀行局のほうは、このときには前向きに検討する、こういうお話があった。そのあとで長官としては大蔵省とよく相談をして検討する、そして善処をするというように答えているわけです。この点について、これは田代さんですか。
  106. 田代一正

    ○田代説明員 お答えします。実は、長岡君が答弁したということになっております。長岡君は私のところにいますが、私は直接その話は聞いておりませんが、この問題は過去にも数回議論になった問題かと思います。まあ長岡君から聞いてはおりませんが、私どものほうといたしましても企業庁といろいろ相談いたしまして、前向きで検討いたしたい、かように考えております。
  107. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いつも委員会でこうして話があり、要求し、あるいはまた私たちがこうして要求するわけです。それに対してあとば言いっぱなし、そちらのほうは聞きっぱなしなんです。いつまでたってもこれは前向きに検討します、あなたは長岡さんから何も聞いていない、こう言いますけれども、いやしくもこの委員会で問題になったものに対して、私、聞いておりませんでした——もうだいぶになりますよこれは。この態度は私はいつも気に食わぬ。国民の前では、はい、やります、前向きに検討します。だから、私は本論のきょう出されました政策のこれの前にこのことをとらえたわけです。長官もこのときに、はっきこの五十倍についてはこれはもう非常に頭打ちで困る、この問題ではどうしようもないと私も考えておるから、どうしても大蔵省と相談をして、そうして前向きに検討します、それで善処します、こういうふうにはっきりおっしゃっている。しかしこれは、話している感じを見ますと、何も検討していないみたいだ。大蔵省とも話し合っていない。こんなことでは何ぼ審議したってだめですよ。それについて長官から明確なお答えをいただきたい。
  108. 乙竹虔三

    乙竹説明員 申しわけございませんが、きょうはその御質問が、率直に申し上げまして、出ることを予想しませんでしたもので、担当課長を帯同しなかったわけでございます。担当課長が来ておりますれば、大蔵省とどのようにいま話を進めているか、正確なことがお答えできるのでございますけれども、その点ができませんのはまことに申しわけない。これは後刻直ちに正確なお答えをいたします。  ただ、方向といたしまして、先ほど私が答弁申し上げましたように、その後府県からの出捐金あるいは銀行方面からの出指金等によりまして保証協会の基金を増大するという努力をしておるわけでございます。と申しますのは、基金の五十倍の頭打ちということは、できるならば基金を増大することによりまして保証限度をふやすという方向が非常に望ましいわけでございますから、まずその方面の努力をしながら、なおかつどうしても五十倍の頭打ちがあるのはどことどこであるか、それに対してはどういう対策をやるかという方向で、大蔵省といま検討しておるということをいま申し上げたわけでございます。
  109. 岡本富夫

    岡本(富)委員 長官、各保証協会がどんなようにしてあの基金を集めるのに苦労しているか、私は率直に言って、見てきました。あの基金をこしらえるのに相当頭を下げて回ってつくっているのです。ですから、そういうことはすでに私が、この前三月十九日に質問したときに大体おわかりだったはずです。だから、これはもう頭打ちの五十倍を何とかしなければならぬというところで、あなたもそのときに答えているわけです。またそう感じているわけです。ということは、率直に言いますと、何もやっていなかった。その後の検討はない。大蔵省の田代さんにしても、主計官にしても、聞き初めだというような顔をしていますからね。ですから、この問題であんまり時間をとるとぐあいが悪いから言いますけれども、では、今後どうするか。また亘理主計官、こういう問題についてあなたのほうで聞き初めかもしれませんけれども、いま現実に、中小企業の金融問題について、保証協会がなかなか保証してくれないということは、ワクが一ぱいになっているからで、この五十倍の頭打ちをあなたも考えるかどうか、また検討するかどうか、それを取っ払って何倍くらいまでもっていったら現状に即するかどうか、これについて全然わからないか、あるいはまたあなたのほうから返事をくれるかどうか、はっきりしてもらいたいと思うのです。
  110. 乙竹虔三

    乙竹説明員 この問題は、ちょっと私がお答えを取って恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように担当課長の面におきましては、両省間において十分いま検討しておることと思っております。そこはどこまでいま検討を進めておりますか、担当課長を帯同いたしておりませんので、いま直ちに電話で呼んでおりますから、それでお答えをいたしたいと存じます。なお、亘理主計官がこの間かわられたばかりでありまして、おそらく補佐段階等でこの問題については議論が進んでおるというふうに私は考えております。
  111. 田代一正

    ○田代説明員 ただいまさっそく事務当局に問い合わせましたところ、引き上げる方向で検討しているという話でございますので、さよう御説明申し上げます。
  112. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では現在まだ引き上げる方向で検討中だということですね。それではそれで了承しておきましょう。  また、そのときに長官にお話ししましたのは、保証協会が保証した中小企業に対する金融の金利です。これはもう保証協会が保証しているんだから、銀行が貸す場合は大企業よりまだかたい、ですから大企業並みあるいはそれ以上に金利を引き下げてやるべきではないか、こういうように私は提唱しまして、その点も検討しますということになっておるのです。これはきょうは特に田代審議官にお聞きしたいと思うのですが、そのときに長岡さんもこういう説明をしておる。金融機関に対して、この問題を通達し、また要請をしておるというような返事をしているわけですけれども、確かにそうなったのかどうか、答えが出たのかどうか。あなたのほうから通達して、銀行のほうで了承しました、保証協会が保証する分については金利をここまで下げます、そこまで答えが出たのかどうか、まだ伺っていない。これをひとつ聞きたいと思います。
  113. 田代一正

    ○田代説明員 ただいまの問題は、たとえば保証協会の保証いたします保証つきの融資につきましては普通の場合よりも金利を下げてしかるべきだというお話だと思います。これは私は、実は保証協会に関連いたしまして、私が銀行局の総務課長になりましたのが四十年の夏でございます。ちょうど不況に入る時期だったと思います。その当時年末金融ということで、御案内のとおり年末の金融は都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫というのがそれぞれ目標を掲げまして融資を行なうという慣例になっておるわけでございます。その際に私が非常に強く全銀協の皆さんに要請をいたしまして、全銀協の申し合わせといたしましては初めて文書の中に入れたといういきさつがございます。その後私もまたかわりまして、その後どうなっておるかという話は、全銀協の皆さんあるいは相互銀行の皆さんにことあるごとに申し上げておるつもりであります。たしか私の記憶では、現在保証協会の保証料率の平均が日歩にしまして三厘八毛前後だと思いますが、そのうち都市銀行その他で現在実際に資金を貸す場合に一厘ないし二厘くらい引いたところでもって貸しているというぐあいに考えます。従来に比べますとかなり金融機関も勉強してきているのじゃないかと考えます。
  114. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いまあなたの話を聞きますと、全然現実と違う。大体保証料はこう段階があるわけですね。高いところでは四厘、少ないところでは二厘余り。これはこの前も保証料を統一するようにということで話をしておいたのですけれども、保証料をまけるかあるいは銀行金利をまけるかでこの前当委員会においては問題になったわけです。保証料はやはり保証協会を運営していく上においてこれは必要でありますから、あれですが、私の言っているのは、保証協会が保証した分は非常に大企業よりかたいわけです。万一弁済が不能になった場合は保証協会から金が入るのですからね。ですから銀行は非常に安く貸していいのじゃないか。それに対してあなた再三、四十年くらいに話したと言いますけれども、じゃその後どうなったか。言いっぱなし、ただそういう勧告しただけ、あるいはそういうように絶えず言っておりますというが、そういうあとの審査ですか監査は銀行に対して確かに行なわれているか、行なわれていないのか、あるいはまたあなたがそこまで調査したのかしないのか、どっちかをひとつお答え願いたいと思います。
  115. 田代一正

    ○田代説明員 私が申し上げたことが、特別に監査したかどうかということですが、これは保証協会あるいは保険公庫からのいろいろな資料に基づいて申し上げた数字でございます。
  116. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いまあなたは保証協会からの資料に基づいてやっているのですか。それとも銀行協会といいますか、銀行で、現在中小企業に対して要するに保証協会が保証した分については前から何ぼ下がったか、あなたのほうが勧告した、あるいはまた先ほどから何べんも言っておるというのに対してどういう答えが出たかということを確かに調査したのか、しなかったのか、これをお答え願いたい。
  117. 田代一正

    ○田代説明員 独特にそれのみをねらって調査するということはしたことはございません。
  118. 岡本富夫

    岡本(富)委員 じゃ、先ほど申しましたように言いっぱなしということになるのです。ですから、この点はもう一度銀行に対して調査をして、あなたが先ほど言った、銀行に対して私は言っております、この答えが出たかどうかをひとつ調査していただきたい。これをひとつ要求しておきます。  それから現在中小企業が一番困っておりますのは、この「今後の中小企業政策のあり方について」の中で、労働力不足、要するに働く人が来ないわけです。それについての施策がこれにははっきりしてない。そこで提案といたしまして、いま中小企業に対して働く人を集めるためにはどうするか。やはり給料の問題もございますけれども、それ以外に必要なのは、厚生設備あるいはまた住宅、これがないと人は集まらないのです。いま中小企業は受注があり仕事があっても、仕事ができない。それで経済単位が下がって倒れていくところがたくさんあるわけです。これに対して住宅や厚生設備を公共すなわち政府の力によってつくっていくような考えがあるかどうか、これはひとつ長官からお聞きしたいのですが、どうです。
  119. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先ほど申し上げましたように、この中間報告の中で示されておる考え方は、まず中小企業生産性を向上することによりまして収益を出して、賃金を引き上げることを可能にする、同時に働く環境を豊かにする、これも収益があがらなければできぬことでございますので、そういう方面の努力をする。どういう方面で働いたならば収益をあげられるかということは中間報告に示しておるわけでありますが、なお厚生設備、住宅等につきましては特に大事でございますのでこの文字そのものは出してございませんけれども、施策の中で協業化ということを非常に進めておるわけでございます。この協業化の一番典型は団地でございますけれども、現在におきましても工業、商業団地におきまして労働者の福利厚生施設は相当充実しておりますが、今後とも団地においては労働者の福利厚生施設を特に重点的にやっていくという努力をいたしたい、またそういう面の融資は重点的に配慮いたしたいと思います。団地のみならず、団地まで形式しない中小企業は独力でやることも困難な場合が多いと思いますから、協業化によりまして、協業化でございますと、共同施設で事業団の対象にもなことでございますので、重点的に考えていくということで対処をいたしたいと思っております。
  120. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大蔵省の方に申しますけれども、現実の中小企業の状態を見ますと、いま長官が言ったように、収益をあげてそして住宅をつくってあげたりあるいは厚生施設をつくってあげたりすることができない。何せ、人がいない。人を集めないと仕事ができない。したがって収益があがらない。そこで今度の予算編成にあたって特にお願いしておきたいことは、中小企業向けのそうした公共住宅あるいはまた公営の住宅あるいは厚生設備、こういうものに対して相当な予算をつけていかなければならぬと思うのです。先ほどから話があったように、これは削ってしまうということのないように、特に中小企業の労働者に対するところの福利厚生設備と住宅に対してはひとつ力を入れてもらいたい、こういうふうに私は思うのですが、どうでしょう。これは亘理主計官。
  121. 亘理彰

    ○亘理説明員 お話の点はまことにごもっともだと思います。住宅問題につきましては、政府の年々の施策の中で、中小企業と並んで非常に力を入れておるわけでございます。公営住宅、公団住宅、それから厚生施設等につきましては、共同施設等の公庫あるいは事業団を通ずる融資等、いろいろな制度があるわけでありまして、特に中小企業のために特別のワクを設けてどうこうということはなかなか困難であろうかと思いますが、その住宅の需給状況を勘案して予算等を充実すると同時に、その配分にあたっても、こういう需給の実情を反映させていくということで御要望に沿うようにやってまいりたいと思います。
  122. 岡本富夫

    岡本(富)委員 住宅の問題の話をしますと、これは全然だめなんですよ。一般の住宅のやつでは、これはいままでも説明ありましたけれども、もういつになるやらわからないのです。そこで特に中小企業を育成する、これは特に政府の方針でもありますし、また日本企業の九〇%以上が中小企業で、これによって大企業をささえているような状態ですから、日本経済からいえば相当なファクターを占めておるわけです。ですから特に今度は長官にお願いしたいのですが、この中小企業の数社あるいはまた集団のところに対して中小企業向けの住宅をつくっていく、あるいはまた福利厚生施設をつくっていく、そういうことが私は今度の中小企業に対する助成に対してあるいはまた振興に対しては、一ばん大きな力でなければならぬと思う。いまごろよく新聞にも青田買いと出ているでしょうな、かなか人が集まらない。大企業には案外集まる。ところが小さな中小企業には、先行きが不安であったりあるいはまた福利施設がないというわけで人間が集まらぬ。それでは収益をあげるわけにはいかない。どんなにいろんなあとの施策をとりましても、人が来なかったら仕事ができないわけです。現在何人かの人がいて、それを機械化していくとかいろんなものを進めるのだったらよろしいけれども、ほんとうに枯渇しているのが現在の姿だ。したがって人が集まるように、労働力ができるように手当をしてあげなければならぬと私は思うのです。それに対して長官の今後の方針あるいはまた決意をひとつ伺いたいと思います。
  123. 乙竹虔三

    乙竹説明員 具体例を一つ申し上げますと、播磨の繊維センターというものがございますが、これは播州の機屋の方々が、共同施設で近代工場に織機を集めたわけでございますが、当時すでに労働力問題で相当悩んでおったのでございますけれども、この播磨センターには当然労働福祉施設、住宅が付属していたわけであります。播磨センターは現在非常に優秀な女子職員を十分かかえておるわけでございます。そういうことでございますので、先生御指摘のように、まずもうけるためにも人を確保せねばいかぬわけでございますが、そのためにはしどうてもやはり協業化を進めまして、その協業化に対して政府は積極的に力こぶを入れていくという必要があると思います。ということで、先刻中村先生にも御説明申し上げたのでございますが、中小企業振興事業団の協業施設団地には、来年度の予算要求として中小企業庁としては最重点に考えておるということは、いま先生御指摘のような点を特に踏んまえての上の考え方でございまして、この点については十分努力をしてまいりたいと考える次第でございます。
  124. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題はあとでもう一ぺんやります。大蔵省に最後に要求しておきますけれども、中小企業の労働者の福利厚生施設あるいは住宅に対しては、ひとついままでの頭を取りかえてもらって、削ってしまうことのないようにお願いしたいと思います。それだけ要求しておきますから、帰ってください。  いま長官からお答えいただきましたが、この中小企業政策のあり方を読ましていただきまして——これは一橋の篠原さんですか、これで一つだけ言っておきますけれども、構造改善あいるは近代化、こういうことに非常に力を入れておりますけれども、ではいまの企業の分類、あるいは一つ一つについて、構造改善する前の現実の姿をどうやって調査するのか、これは相当な数ですから。そうでないと適切な構造改善あるいは協業化というものはできない。これは日本全国をやりますと相当なものになります。ですからそれをどういうような方法で調査をし、あるいはまた現実に即した改善方法をやっていけるような資料をつくるのか、いつごろまでにできるのか、これをひとつお聞きしたいのですが、どうでしょう。
  125. 乙竹虔三

    乙竹説明員 御指摘の点は実は非常にむずかしい点でございまして、いわゆる篠原報告と申しておりますが、篠原座長の報告の中にも随所に見えるのでありますが、中小企業政策を実施いたしてまいります場合に、実施そのものが、何しろ四百万の企業数、二千四百万の従業員を相手にいたしまして実施するので、その方法論が非常に問題であるわけであります。その辺が必ずしも十二分でなかったわけで、従来は方法だけを、作文だけを示して実効があがっていなかった。それであるから中小企業政策の実効をあげるのにはどうしたらいいのかというのがこの中間報告一つのねらいでございますが、中に示唆しております一つのあれとして五七ページ等にも出ておりますが、中小企業近代化促進法の運用でございますけれども、百二業種現在指定をしておりまして、一千業種といわれる中小企業、その中で製造業が五百といわれておりますが、五百の中でまず優先順位をつけて百二業種を選んだわけでありますが、この百二業種につきましては一応すでに調査ができておるのであります。ただ、その調査を私たちが踏んまえて施策に移していこうと思いますと、現在の時勢の大きな変化と申しますか条件変化労働力不足等々の時勢の変化を必ずしも踏んまえた調査ではないわけでございますので、この近代化促進法の指定業種について特に重要なもの、緊急を要するもの、すなわち後進国から追い上げられておるもの、または成長産業下請等をやっております機械産業部品加工業者等の業種につきましては、まず調査のし直しをする必要がある、近代化促進法の計画の練り直しをする必要がある、こういうことで来年度これに取りかかってまいりたい。しかしこれを百二業種全部一斉にやろうと思ってもとてもできぬことでございまして、この中から最も緊急を要するものを優先度をつけてピックアップをして調査してまいりたいと思っております。
  126. 岡本富夫

    岡本(富)委員 あと三点ほどですが、その問題はここで次のときに論議することにいたします。  次に中小企業がいま困っておりますのは税金の問題ですが、これは自治省の税務局長さんが何か会議があるそうなので先に話しますけれども、毎年毎期の決算が出てまいります。この決算で売り掛けと買い掛け、それから諸経費、この残ったのが利益ということになるわけですが、中小企業で一番困っておるのは——売り掛けから買い掛けを引いた分が利益になるわけですね。そうすると金はなかなかもらえない。あとで説明しますけれども、大体いま日本の構造といたしまして鉄なら鉄、これも大企業です、セメントも大企業、ほとんど大企業から品物を買って加工をして大企業へ納める。ですから買うほうには金を早く払えと言われるわけです。これはいつ幾日までに払わなかったらあと品物を出さぬ。これはあとで話が下請代金支払遅延等防止法のほうになるわけですけれども、大体売るほうに対して納入しまして、それから検収して経理へ回る、それから手形、大体手形は全部くれないですね、悪いところでは総売り掛けの三〇%、いいところで六〇%、それも先ほで大臣からお話がありましたように、百五十日とかひどいのになると二百十日、それ以外に売り掛けが残っておるわけです。ですから確かに帳簿の上ではもうかっておる、黒字になっておるけれども、金は来年入るわけです。それをことし税金を払わなければいかぬ。もしもおくれるとそこで金利をとられるわけですね。ですからいま中小企業が一番困っているのはこの税金の問題なんです。毎年一ぺん頭を痛める。確かに帳簿の上ではもうかっておる数字が出てきますけれども、ところが金がなくて税金を払わなければいかぬという状態なんです。したがってこの中小企業に対するところの税率というものが大企業と同じような状態では非常にかわいそうだ。これについて、これは大きな根本問題になりますけれども、松島税務局長さんにその根本問題をお聞きしたいと思うのですが、どうしてでしょうか。
  127. 松島五郎

    ○松島説明員 御指摘のとおり、税務会計も一般会計の原則に従いまして、売り掛けは収入と見て利益の部になるわけでございますから、お話のような事態があろうかと思います。ただ逃げるようなことを申し上げて恐縮でございますけれども、地方税では、住民税にいたしましても、事業税にいたしましても、いずれも所得税の課税の決定を基礎にして課税をいたすことにいたしておりますので、結局問題は国税である所得税なり法人税なりの決定をどう扱っていくかという問題にも関連してくるわけでございまして、いわば私のほうはそれを受けて課税するような形になっておりますので、この問題につきましては、所得税なり法人税なりの国税の問題の一つとして、また検討を私のほうでも大蔵省とも相談いたしたいと思います。  ただ地方税について、特に個人分についてだけ申し上げますと、御承知のとおり地方税は前年所得課税のたてまえをとっておりますので、一年おくれて課税をいたしますから、いま御指摘のような問題は、この年の所得にその年課税をする国税の方式に比べれば、実際問題としては御指摘のような事例にあたることは少ないのではないかというふうに考えております。
  128. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題は、地方課税が非常に多くなったわけですね。国税外の課税が非常に多くなったので中小企業が非常に困っているのです。いまあなたのお話にありましたように、国税ともよく相談していろいろと検討するというお話でありましたから、きょうこれで終わりますから、ひとつよく検討しておいてください。
  129. 松島五郎

    ○松島説明員 国税とも相談いたしますが、やはり企業の原則から申しますと、売り掛けも収入であるというたてまえを税制上もくずすことは私は非常に困難な問題があろうかと考えております。  なお事業税につきましては、御承知のとおり、先ほどもお答え申し上げましたように、昭和二十五、六年当時は、個人事業税一二%でございましたのを、その後税率を逐次軽減をいたしてまいっておりまして、現在の一般の個人事業税は五%まで税率の軽減をいたしているわけでございます。また中小法人につきましても、その所得段階に応じまして軽減税率の適用をするということによって中小法人の負担の軽減をはかってきている、こういうようなことをやってきていることをつけ加えさしていただきたいと思います。
  130. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これまた税金の問題になりますと、いろいろすりかえているわけですから、これは今度の話にしますから、一応考慮しておいてください。きょうはこれで帰ってください。  それで次に困っておりますのは、この中間報告にもありますように、九二ページに下請代金の遅延防止法の運用を強化したりあるいは下請振興協会の機能を活用することが必要であるというように出ておりますけれども、きょうは公取が来てないのでちょっと話がしにくいのですけれども、現実にいま中小企業が困っておりますのは、下請代金を早くもらえばうまくいくわけですけれども、この下請代金がなかなか入らない。先ほど話しましたように、納入して検収してそれから手元に金が入るのが大体早くても七カ月、約一年かかる。この問題を解決するためにはどうするか、これをひとつ長官に決意をいただきたいと思います。あるいはまた御意見をいただきたい。
  131. 乙竹虔三

    乙竹説明員 下請代金の支払い遅延の防止、特に金融引き締め時でございましたし、そういうことでこの法律の運用、適用の強化をしたわけであります。今後もなおこれは強化してまいりたいと思っているのでございますが、御承知のとおりに、まずこの法律及び下請代金遅延の防止の措置、この法律の運用及び支払い遅延の防止の措置につきましてとっております手は、まず四半期ごとに親事業者の取引条件調査いたしております。これは書面調査をしておりますけれども、適当でない事業者に対しましては、通産局の立ち入り検査をいたしました上で改善指導を行なっております。四十二年度の実施状況は、書面調査で八千六百六十四事業所、立ち入り検査指導数は四百八十九ということでございます。  第二に、標準手形サイトの順守指導をしております。もっともこの標準手形は違反しても違法ということでございませんのですけれども、極力この手形の期間を守るように、いろいろな手を通じて指導をしているわけでございますが、まず四十一年三月に機械工業と繊維工業の標準手形サイトを指定いたしまして、前者につきましては百二十日、後者は九十日、それから四十一年十二月には鉄鋼業を百二十日、それから非鉄金属工業を百二十日というふうに手形の標準サイトを指定しております。違反した業者に対しましては改善指導を行なっているわけであります。  さらに本年の三月には標準外注取引基本契約書の制度を設定し、公表しております。これによりまして、下請取引が書面もない口頭だけであるということでよく問題になりますので、書面につくらせる。それから継続取引の促進をさせるというふうなことで、基本契約書をつくらせまして、業界団体に通知をして、これの精神に沿って指導をしているわけでございます。  なお、四十三年の二月以降引き締め時になりましたので、毎月下請業種中小企業団体を通じまして取引条件等の現状報告調査をしております。  ただ、ここでつけ加えますと、標準手形のサイト等でございますが、実はいろいろ抜け道がございまして、親企業者と子供の下請との間に商社が入るということになりますと、もうこの法律の適用外になるというふうな抜け道が実はございます。いろいろの抜け道がございまして、私たち非常に苦慮しているわけでございますが、要はこの中間報告にもございますように、下請と親との、一つにはこの精神と申しますか考え方下請と親とは連帯でもとに栄えるのであるという考え方、これをまず進めることが第一。先ほど大臣もちょっと答弁しておりましたが、下請に十分配慮しない親企業は結局長い目でみると衰え、競争に負けるということはもう実績であがっておりますので、そういうPRを大いにして、下請に手厚く配慮することが親企業のプラスでもあるというPRは一生懸命している、これが一つでございます。  それからもう一つの点としては、やはり下請のほうの力を強くしてやる、交渉力を強めてやるという必要がございますし、その交渉力を強めますためには、技術力それから設備の近代化、要するにこの下請に逃げられたら親が困るというふうに力をつけてやることが必要であるということ、そういうふうな方向をこの篠原報告は出しております。われわれもその方向で進めてまいりたい。  結論的に申し上げますが、下請をやはり強化するということは日本国民経済のために絶対に必要である。ここに重点的に施策を進めてまいりたいと思う次第であります。
  132. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この下請代金支払遅延等防止法につきまして、いま長官からいろいろ話がありましたけれども、もっと強力にやりませんと、下請の力をつけるということは理想的でありますけれども、なかなかつかない。これには相当な国の強力な予算、あるいはまたいろいろなものがなければつくわけはない。これから新しくつくるとか、こういうことになってだめになってしまう。したがってこれは有名無実になるおそれがあると思うのです。そこで、上場しておるところの大企業と称されるものが、二千くらいありますか、それに対してどれくらいの日数で下請にどういうふうにして払っておるかということを調査をしたり、あるいはまたいま勧告しておるといいますけれども、もっと強力にやってもらわないと、現在また先月あたりからずいぶん手形サイトが延びてきた。またこのしわ寄せが、中小企業倒産していく大きな原因になっておる。黒字倒産なんです。金がなくて倒れていっておる。こういうことを考えますと、政府施策中小企業に対していろいろな法を打ちましても、結局金が入ってこなかったら仕事ができないわけです。また支払いもできない。こういうことで倒れていくわけでありますが、最後に政務次官に、この下請代金支払遅延等防止法についてどういうような決意をもって今度臨むか、これをお聞きして、また次の機会に質問したい、こう思います。
  133. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 最近の、先ほど申しましたような中小企業を取り巻くきびしい環境変化に対応するためには、下請代金支払遅延等防止法の精神を、ただ消極的なかまえで何とかつじつまを合わせるという程度のものでは、時代の変化適応する産業のあり方ではない。むしろもう一歩、先ほど大臣も、角度は違いましたけれどもお話がございましたが、いわゆる生産共同体制というか、プロダクションチームという、こういった考え方で、それぞれの分野において適正な所得が得られ、同時にまた能率があがり、近代化が進んでくるという、こういう方向へ、すそ野である中小企業が前進するようなかまえを持たなければならぬ。下請関係の代金の支払いが遅延するというような、こういううしろ向きの対策でなくて、もう一歩前向きにこの体制を整えていかなければ、日本産業が全体的に国際競争力を持ち得ない、このように考えております。
  134. 岡本富夫

    岡本(富)委員 ぼくが先ほど言ったのは、要するに中小企業を強くして、下請企業を強くして、そしてやるという話ではもう有名無実になってしまう。したがって大企業がどの程度に支払いをしているか、下請に対してどういうようにやっているかという面に対しての強力な調査といいますか、あるいはまた審査といいますか、そういうことをあなたのほうでおやりになって、下請を助けていく、中小企業を育成していく、こういう考えがありやいなや、これをひとつ特にお聞きしたいのです。
  135. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 おっしゃることは当然なことなので、私はもう一歩進んだ考え方すら時代は要請しているのじゃないか、こういうふうにお答えしたので、ちょっとお答えが先へ通り越したので不適当だったと思いますが、おっしゃることは当然のことだと思います。
  136. 海部俊樹

    海部委員長代理 次回は、来たる九日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会