○
加藤(万)
委員 私はこの際、
政府の、特に
関係閣僚、しかもそれを所管する各省、これの
人事院に対する
考え方といいましょうか、
理解のしかたというものを、それに加えて統一をしていただきたいと思うのです。私はいろいろ
政府側の資料をいただきますけれ
ども、その中で、
人事院とは一体何かという問題についての
理解が、各省ともある
意味においてはばらばらですね。たとえば、行政機関が専門的立場から
勧告をする、そういう機能だ、こういっているわけです。行政機関が専門的立場から
勧告をする、そういう機能を
人事院は持っている。これはきわめて事務的ですよ。これは
大臣も御
案内のように、
人事院ができました
経過は、労働基本権のいわば代償処置としてあるわけですね。したがって行政機関が専門的に単に調査をして、
政府に対してあるいは
国会に対して、これこれこういう形で
勧告を行ないますからという、そういう性格のものじゃないわけですね。
私はここ二、三年の
国会の
議事録をずっと拝見いたしまして、実はこういう考えを深く持ちました。それは毎年毎年の
人事院の
勧告の
内容は多少違います。たとえば、ときには都市手当が入ってみたり、あるいは寒冷地手当の問題が出たり、特別昇給の問題が出たり等々がありますけれ
ども、しかし、おおむね大綱はそんなに変わらないですね、
人事院の
勧告について。そしてここ数年来
国会でのやりとりですね。たとえば
政府とのやりとり、あるいは
政府の中でもさいふを握っておられる
大蔵省とのやりとり、そのやりとりは、ここ二、三年ほとんど変わりませんよ。いわゆる四月
実施がどうしてできないのか、五月
実施がどうしてできないのか、
財政的な
理由はどうなのか、あるいは体系的にいえば上厚下薄がどうであるか、下厚上薄がどうであるかという、そういうやりとりですね。率直にいって私
ども初めて
国会にその籍を置いた者にとっては、ようこんなに長く同じことを繰り返して
国会が論議しているなという感じしか受けませんでした。私は
国会のそういう論議というのは、いわば十年一日のような形になっていることをどこかで断ち切っていかなければ、
公務員賃金を新しい進歩的な方向に向かわせるということは、きわめて困難なように実は
理解しているのです。私は
公務員賃金の新しい方向を見出す
一つの
——一つといいますか、大きな屈折点は、やはり
人事院勧告というものをどういうふうに見、どういうふうにに
理解をし、しかもそれをどう
実施をするかという、そういうことにきちっとした位置づけがない限り、たとえば来年といっても、今
年度——先ほど私はしつこく聞きましたが、
完全実施に
努力をする。これは
人事院勧告がありまして
閣議で
決定されるまで、各
大臣はみなそう言われたですね。そしてそのあとは不本意ですよ。まあ少しことばとして発展したなと思ったのは、無
責任のそしりは免れない。その無
責任のそしりということは、私もこの前
労働大臣にお聞きをしましたけれ
ども、おそらく憲法二十八条の
関係から見て、
人事院勧告はかくあるべきだということに対して無
責任のそしりは免れないというふうに言われますよ、ということを
閣議でおっしゃったんだろうと思う。したがって私は、
人事院勧告というものを、この際大きく
理解の統一をしておかないと、再び来年も
努力をします、不本意ながら、ということばで終わってしまう。与野党とのやりとりは、
財源があるのかないのかというやりとりで終わってしまう。こういう結果になるのじゃないでしょうか。
人事院勧告が行なわれてからもう九回目ですか、十回目ですか、この間、先輩の議員はおそらくそういう話を何回も何回もやりとりをして、そして今日に至ってもまだ同じやりとりになっているわけですね。
〔
小沢(辰)
委員長代理退席、橋本(龍)
委員長代理着席〕
私は、この
日本の
人事院勧告の
制度のあり方については、むしろ
国会の
審議よりも、その他のたとえば外部的な要因のほうがきわめて進歩した
理解をしていると思うのです。たとえばドライヤー報告がありますね。ドライヤー
勧告、レポート。あれに対して、いわゆる憲法二十八条の労働基本権を、内包的に
制約しなければならない
公務員については、その代償機能がしっかりと行なわれなければならない。国際的にはそうでしょう。
公務員関係に対するストライキ権の
制約があることは、私も十分
承知をしておりますよ。しかし、その内包的
制約というものは、常に代償行為によって完全に守られていかなければならないと、こうなっているわけです。しかもわが国においては、それがきわめて縁の遠い、距離の遠いものになっているというように報告をされておるわけですね。私は中郵のあの四十一年の判決ですか、あの
内容を読みまして、むしろ最高裁の判事のほうが、私
ども国会にその籍を置く者よりも進歩的な考えを持っているというような
理解を実はしたわけです。これも同じような要因を言っているわけですね。すなわち二十八条による労働基本権というものが、
公務員であるという立場によって、いわゆる
国民に奉仕をするという立場によって
制約をされるとするならば、その
制約は最小限でなければいけない、しかもその最小限に対してもなお代償機能というものが有効に働かなければいけないと、こう言っているわけですよ。私はそういう
観点ですね。先ほど言いましたように、
人事院が行政機関であって、それが専門的立場から単に
勧告をしたという、そういう
観点と、ドライヤー報告やあるいは最高裁の判決というものは、その立場とは違った
観点、いわば労働基本権に対応する代償機能としての最小限の
制約と、それに伴う代償機能としての形をしっかりつくりなさいということを四十一年の判決で言っておりますよ。ドライヤー報告でも言っているわけですね。私は、この
観点を早く
政府が統一をして、各省が統一をして、その
観点に立たなければ、この問題の、たとえば先ほど
人事院勧告は完全に
実施するように
努力しますとか、あるいはその機能的な問題を少し技術的に検討してみましょうとかいう問題が解決できないと私は思うのです。
きょうは
国務大臣がいらっしゃいませんから、
労働大臣に
内閣の
国務大臣を代表して、といってはおかしいですが、の立場から、一体こういう
観点に
政府が今日あるのかないのか、お聞きしたいと思うのです。