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1968-10-08 第59回国会 衆議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月八日(火曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長代理 理事 小沢 辰男君    理事 橋本龍太郎君 理事 藤本 孝雄君    理事 粟山  秀君 理事 河野  正君    理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君       澁谷 直藏君    世耕 政隆君       中野 四郎君    中山 マサ君      三ツ林弥太郎君    加藤 万吉君       西風  勲君    平等 文成君       山本 政弘君    本島百合子君       和田 耕作君    大橋 敏雄君       伏木 和雄君    谷口善太郎君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小川 平二君  委員外出席者         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         総理府人事局長 栗山 廉平君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         労働大臣官房長 石黒 拓爾君         労働省労政局長 松永 正男君         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省行政局公         務員部長    鎌田 要人君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 九月十八日  委員有島重武君辞任につき、その補欠として大  橋敏雄君が議長指名委員に選任された。 十月八日  委員三ツ林弥太郎辞任につき、その補欠とし  て小澤太郎君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員小澤太郎辞任につき、その補欠として  三ツ林弥太郎君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生関係及び労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため、指名により私が委員長職務を行ないます。  厚生関係及び労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、河野委員より発言を求められておりますので、これを許します。河野正君。
  3. 河野正

    河野(正)委員 現在、休会中に行なわれておりまする委員会というものは、原則的には一月一回の委員会でございますから、きわめて貴重な国政審議の機会でございます。したがって、私どもはこの休会中の委員会開会につきましては、国民の負託にこたえる意味におきましても、きわめて大きな期待をいたしておるところでございます。しかるに、このたび厚生大臣が、委員会開会承知しながら沖繩に出張いたしますることは、一面におきまして、私はやはり国会軽視のそしりを免れないと思います。同時に、厚生大臣不在のために、この委員会におきまする審議が滞りますことは、国民のためにもまことに悲しむべき事態だと思います。そういう意味におきまして、この際委員会といたしまして、政府当局に対して厳重に注意を喚起することが必要ではなかろうか、こういうことを考えておるのであります。  いずれこの点につきましては、次回の委員会におきまして徹底的に責任追及するわけでございますけれども、本委員会開会に先立ちまして、委員長といたしましても、政府に対しまして一言注意を喚起されんことを特に要望いたしておきたいと思います。
  4. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 ただいまの河野正君の発言に関しましては、理事会におきましても、各党それぞれの立場でいろいろ御意見がありましたが、全員、厚生大臣並びに厚生事務当局の今回の措置といいますか、態度につきましては、非常に遺憾であるという結論に達しまして、厳重に警告を発することになったわけでございます。河野正君の発言趣旨に沿いまして、委員長として善処をいたしたいと思います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。加藤万吉君。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 けさほどの新聞、各社とも取り上げておりますきょうの国家公務員あるいは地方公務員にかかわる争議の問題について、最初に国務大臣労働大臣しかいらっしゃいませんから、労働大臣から御見解を承りたいと思います。  御承知のように今朝の地方公務員国家公務員実力行動というものは、人事院勧告の完全な実施要求をする、これに対する政府側態度に対して、抗議ないしは職員団体それぞれの要求に基づく行動であったというふうに私は理解をするわけです。八月の末に閣議人事院勧告に対する態度決定をいたしましたが、その後御案内のように、本社労委員会でも、あるいは国会の各委員会でも、勧告内容に対する問題は、人事院を対象にして質疑が行なわれましたが、勧告後の政府のこれに対する対応策についてそれぞれ質問があり、またそれぞれの意見があったところであります。大臣も御承知でしょうが、本件につきましては昨年の人事院勧告段階でも、御承知のように国会意思としては勧告どおり実施をすべきである、そういう対策を政府として立てるべきである、こういう委員会決議等があったわけであります。したがいまして、私は昨年の国会意思、さらに今年度の各委員会質疑あるいは要請等に基づいて、当然、閣議決定以前にもそうでありますが、事後においても、それぞれの交渉なりあるいは国会審議を通して政府がその態度を再修正をすべきではなかったか。国会意思というものがそういう形に政府行政機能に反映していく、そういうことが必要ではなかったかというふうに考えるわけであります。  聞くところですと、この間、給与関係の七人委員会も開催されたということも聞いておりますし、また昨日は政府閣僚の間で、本問題に対するそれぞれの要求団体に対する態度の御決定もあったというふうに聞いておるわけですが、この間の経過並びに今朝のそれぞれの行動に対しまする国務大臣としての御見解をお聞きしたいというふうに思います。
  6. 小川平二

    小川国務大臣 人事院勧告制度は、あらためて申すまでもなく、公務員が全体の奉仕者であるという特殊な職務に従事しておりまするために、基本的な権利に制約を加えられている、そういう事実に対応いたしまして、給与の適正を期するために設けられた制度でございますから、あとう限りこれを尊重することは当然でございます。したがいまして、その方向で最大限の努力をいたしたわけでございますが、総合予算主義制約のもとにおきましては、これを完全に実施するということが困難でございましたので、昨年どおり、八月と決定せざるを得なかった。その際、特に通勤手当につきましては五月実施とすることにいたしまして、八月の三十日に閣議決定を見たのでございます。  ただ、この勧告に関連をして、毎年毎年同じような紛争が繰り返されるということはいかにも遺憾なことでございますから、公務員給与の取り扱いについて、ぜひとも合理的な改善をこの際加えまして、来年以降においてはこれが円滑に実施できるようにしたい、こういう気持ちで今日まで数回にわたって関係閣僚会議も開いてまいったところでございます。私といたしましては、先般の閣議決定はまことに不本意でありまするが、今後制度改善の面で鋭意努力いたしまして、勧告が完全に実施されますように、少なくとも一歩なり二歩なり前進いたしますようにつとめてまいりたい、こう考えております。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 七人委員会の中で労働大臣は、先般も私は御質問申し上げましたが、政府勧告をそのまま実施をしないということは、今日の条件の中ではその無責任のそしりを免れない。そして、この前の田邊理事質問に対しては、きょうと同じような御答弁で、労働大臣としてはきわめて不本意であるという御趣旨の御答弁があったわけです。これは私は、労働大臣とか、あるいは不本意であるという意思表示をされた大臣を責めるわけでなくて、政府決定をするわけですから、そういう意味では国務大臣としての責任の中で本問題をとらえるべきだというように理解をするわけです。昨日の公務員共闘会議に対する内閣回答といいましょうか、これが新聞にも大ざっぱに載っておりました。この中で、大臣がおっしゃられるように、八月実施という問題については、総合予算主義というワクの中でどうしても実施はできないのだ、こういうお話があったように承っておるわけです。  そこで私は、一昨年から昨年、ことしという人事院勧告に対する一連の政府側答弁ないしは国会議事録をいろいろ調べてみました。一昨年でありましょうか、人事院勧告完全実施ができない一つ原因に、地方財政がきわめて逼迫をしておる。したがって、地方財政の確立が——もしも人事院勧告どおり行なわれるとするならば、地方財政逼迫の中でこれを実施することがきわめて困難であるという内容が載っておるわけです。昨年の藤枝大臣は、私は地方財政がいかに逼迫しようと、しなかろうと、それは政府責任給与をきめるのであるから、地方財政とは関係なしに本問題は処理をされるべきであるという御見解が載っております。  したがって、私はこの際お聞きしますが、完全実施をできないという理由には、一つ総合予算主義の中でできない、いわゆる財政面でできない、いま一つ地方財政の面で、こういう焦点があったのかどうか。これは関係田中大臣に聞けばいいわけですが、いらっしゃいませんから副長官にお聞きをしますが、昨日決定をした内容の中には、いま言いましたように……。いらっしゃいませんか。
  8. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止
  9. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 速記を始めて。
  10. 加藤万吉

    加藤(万)委員 副長官、いま国務大臣がいらっしゃいませんから、労働大臣に、今朝の公務員関係実力行使に至った経過、それに対する政府側責任あるお話を聞いたわけです。  大臣としてはきわめて不本意な形で人事院勧告政府態度として処理をされたという答弁であります。  そこで、窓口が総理府ですから副長官にお聞きするわけですが、昨日、公務員共闘要求に対する政府側回答新聞に載っておりました。その回答の拒否の理由として、一つ財政問題が総合予算主義の中で処理をされておるので、この観点からいわゆる五月実施人事院勧告に沿うことはできないといわれているわけですが、そのほかに、一昨年、昨年の経過を見ますると、地方自治体財政がきわめて逼迫をしておるので、そういう意味人事院勧告どおり行なうことは、地方自治体にそれだけの経済的負担能力がない、そういう観点から勧告どおり行なえないというふうな理由があったわけです。今年度五月実施が行なわれない理由は、前段の総合予算主義からくるものだけに理解をしていいかどうか、あるいはそういう回答をなされたのかどうか、副長官からお聞きをしたい、こういうふうに思うわけです。
  11. 八木徹雄

    八木説明員 主たる原因が、いわゆる総合予算主義に準拠して財政的に余裕がない、そういうところに主たる原因があるわけでありますが、地方自治体に対する負担能力も、御案内のとおり地方自治体が持っております給与に対する予備費的な性格からいたしましても、同様に負担能力がないということも事実でございますが、両方勘案をしてこうならざるを得なかった、こういうように御理解いただくことが適当だと思います。
  12. 加藤万吉

    加藤(万)委員 五月実施に必要な財源、これは委員会でたびたびお聞きをいたしました。さらにわが党のそれぞれの委員が、内閣や、あるいは地方行政社労でも述べておりますように、本年度自然増収伸び、あるいは成長率伸び、あるいは国税三税の増収等から見て、五月実施に必要な財源というものは確保されているのではないか、国の財源としては確保されているのではないか、こういうように私どもは何回か政府側に申しておるわけですが、この点に対する見解——これは主計局次長がいいと思いますが、お聞きをしたいと思う。一体、五月実施勧告どおり行なう財源というものは、今日の私が前段申し上げましたような観点から見て財源処置が行なわれないのかどうか、この点について……。
  13. 海堀洋平

    海堀説明員 本年度は、先生御承知のとおり、予算編成方針におきまして総合予算主義の原則をとりまして、恒例的な予算補正の慣行を排除するという方針のもとに予算編成を行ないまして、さらにそのために、編成方針の細則におきまして、公務員給与改定に備えて予備費充実をはかるということをきめまして、金額的には四十二年度予備費七百億円に対しまして、四十三年度は千二百億円の予備費を計上したわけでございます。  いま、自然増収がどうかという御質問でございますが、現在の状況におきます——現在といいましても計数的にわかっておりますのは八月までの実績でございます。八月までにおきまして、予算額に対しまして四〇・九%の収納を見ております。これは税の年度間の決算額に対する前年度のその時期までの収納割合というものを、多少上回っております。したがいまして、現段階におきまして申し上げられることは、もし税の期別収納の分布が去年と同じ形であるなれば、多少の増収を期待し得るというふうに考えることが常識的ではなかろうかと存じますが、ただ法人の九月決算状況、それから年末におきます賞与その他税収に大きく影響いたします要因がまだ判明いたしておりませんので、そういう点の条件はございますけれども、現在までに判明した事情から見ますと、多少の増収を期待し得ると考えるほうが常識的ではなかろうかと存じます。ただし、御存じのように、四十三年度予算は六千五百億円という、一般会計予算規模に対して一〇%をこえる大きな国債をかかえておるわけでございます。世界各国の例を見ましても、経常的な財政運用を行なっている国におきまして、一般会計予算がカレントに一〇%をこえる国債発行している国はなかろうかと存じます。したがいまして、予定以上の成長が行なわれた場合におきましては、当然その増収分国債減額に充当することによりまして、将来の財政体質改善いたしまして、財政にある程度弾力性を回復して、将来不況時に財政のほうから措置がとれるように持っていくということが、財政政策として当然の措置ではなかろうかと存じます。したがいまして、ある程度増収は期待し得ると存じますが、それは財政政策的に見まして、当然国債減額に充てなければならないのではなかろうかというように考えております。  そういたしますと、総合予算主義のもとにおきまして、その千二百億の予備費の中で、公務員給与改善を考えなければならないわけでございますが、現在政府決定いたしております八月実施といたしましても、財源的には一般会計負担で約六百億円の金が要るわけでございます。その以外の追加財政需要といたしまして、現在の時点で考えられておりますのは、災害が、七月まで実績をとりまして、八月以降は過去三年平均といたしますと、四百六十億円程度の金を要するかと存じます。ちなみに去年は五百七十億程度災害復旧費を要しております。したがって、四百六十億というのは、最近としては非常に低い金額でございますが、一応四百六十億円程度考えられる。  それからそれ以外の予備費に対する需要でございますが、これを大体いま各省と連絡をとって集計いたしました数字が二百五十億円程度となっております。この二百五十億円程度というものは、各年それぞれの事情によって違うわけでございますが、最近の例を見ますと、災害公務員給与以外に予備費、またはいままで補正がございましたので、補正で追加いたしました財政需要というものは四十二年度で二百五十四億円、四十一年度で二百八十九億円というふうになっております。したがいまして、項目は違うと存じますが、大体二百五十億円見当というものが、各年の災害、それから公務員給与改善を除きました追加財政需要というふうになっておりますので、ことしの二百五十億円も、努力いたしたいとは存じますが、まあそんな見当ではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、六百億円の給与政善費をまかなうためには、今後の災害が少ないことを期待いたしますとともに、その他の追加財政需要二百五十億円について、できる限りの縮減の努力をいたしたいというふうに存じております。
  14. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自然増収が、傾向値としては今年度は昨年を上回るだろうということはお認になったわけです。問題は、そういう自然増収による財政収入を、国債発行が一〇%を上回っているから、それの償還に充てるという問題ですね。私は、当初予算が組まれた際に、わが党からも御案内のように、国債発行日本経済全体に対してきわめて過重な負担を与えはしないかという追及を行なったわけですね。しかし、これに対して、大蔵省大臣は、いや、これは今年度償還を含めて、あるいは長期の償還を含めて可能な発行条件である、したがって、この面に対しての御心配は要りませんというのが答弁であります。したがって、私は、このまま推移していったにしても、大蔵省が当初考えられた国債償還計画というのは、日本財政なり経済にきわめて危険な条件を与えることにはならない。それは当初の大蔵省方針がそうなんですから。またそれに自信がなければそういう予算規模を提案されるはずがないわけですから、したがって、それによって公務員賃金財源がないという理屈は成り立っていかないと私は思うのです。  一方、今度は公務員賃金のほうは、当初千二百億の予備費を組まれましたけれども、その予備費の中に、公務員賃金を幾ら組まれたかということは今日まで明らかになっていないわけです。いわゆる予備費の中で総合予算主義のもとに解決していく、こういう答弁でありますから、そうしますと、一体五月実施になるのか、あるいは八月実施になるのかということは、当時不確定要素です。したがって、昨年の政府側答弁や、院の決議等を見ていけば、五月実施をするということを前提にして、そうして民間あるいは公労協等賃金アップ率等から見てどう判断すべきかということにならなければうそじゃないですか。もし主計局次長のような発言ですと、当初から八月実施で、しかもおおむねこのくらいの引き上げ額、そういうことを想定したというふうにしか見られないわけです。補正予算は今年度は組まないという状況でありますから、そういうことがあればあるほど、これは五月実施か八月実施かという問題についてもっと慎重な配慮が編成段階に組まれてしかるべきではなかったか、むしろ大蔵省考え方は、当初から五月実施はしないという前提で本総合予算を組んだのではないかというふうにうかがえるわけですが、この辺はいかがですか。
  15. 海堀洋平

    海堀説明員 六千五百億円の公債発行ということ、それから一般会計予算規模五兆八千百八十五億円ときめましたことは、日本経済の今年度成長をたぶん一二%だったと思いますが、一二%という成長前提といたしまして、そして民間需要政府需要というものを勘案いたしまして決定したわけでございます。したがいまして、経済成長がその予定したとおりに進捗しているなれば、資金的に見ましても六千五百億円の公債発行は、その経済成長と調和をいたしていると考えていいのではなかろうかと思います。ただ、政府財政需要のほうは動いていないにもかかわらず、経済がそれ以上の成長を見るであろうということ、したがって、税も当初予定したよりも収納が多くなるであろうということになるわけでございますが、そういうふうに経済成長が当初の政府予定より上回ってくるということは、民間における需要予定を上回っておるということに相なると存じます。その場合に、政府がさらに当初予定した公債発行するということは、資金的にさらに資金需要を多くしなければいけないということに相なりますので、そういうふうなときには政府資金需要を押えまして、税金のほうで入るわけでございますから、その国債による資金需要を押えまして、予定よりもよけい入ってくる税でそれをまかなうということが当然とらるべき政策であろうと存じます。もしまた将来におきまして民間需要が落ちまして、適正な成長が持続できない時期におきましては、国債発行してでも政府需要を造出していくという態度をとることがいわゆる財政政策として適正ではなかろうかという感じを持つわけでございます。  ただ、現在の状況でどれほどの自然増収が見込まれ、どれほどの国債減額を行ない得るかということにつきましては、まだ的確な見通しを申し上げられる段階ではございませんので、いま申し上げましたことは、税の自然増収がある程度あるであろう、それはすなわち成長政府の見込みよりも上回るであろうということを前提とした考え方でございます。  それから、初めから完全実施をしないように予備費を考えたのではないのか、こういう御質問でございますが、当初の予算を編成いたします際には、経済企画庁が原案をつくります政府経済見通しに基づきまして、その経済見通しのもとにおきまして適正と考えられる予算規模を考えまして、その中におきまして各施策均衡を考えたわけでございます。したがいまして、各施策ともに五兆八千百八十五億円という一般会計予算の中ではそれぞれ均衡をとって処理されているものと考えております。公務員給与も、その経済見通しに基づきまして他の諸施策との均衡を考えまして、これくらいの程度が妥当ではないのかという一応腹づもりは持ちまして、ただ、人事院勧告というものが将来で予算編成の時期にはわかっておりませんので、一応予備費充実という形をとったわけでございます。
  16. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いまのお話を聞いていまして、経済的には私は非常に勉強が不足ですから、そういう意味では正確に理解はできませんけれども、こういうふうに理解——理解といいますか受け取れますよ。経済成長が一二%から一四%に移って、その財政コントロールを結局賃金の面で補っているというようにしか理解できない。一二%から一四%に上がったことによって起きている過熱状況を、自然増収の面を国債償還を早めてその過熱を埋めようというわけですから。逆にいうならば、一四%に経済成長がなったこと自身に問題があるわけです。それを一方の賃金の面では総合予算主義のたてまえから一銭も出ない、こういうことになれば、財政的なコントロール賃金の面だけで行なっているというふうにしか理解できない。  いま一つ後段の問題で、これは私はたいへんなことだと思いますけれども日本経済発展規模から考えてこのくらいだ、こういうわけですね。予備費の中でこのくらいの余裕をとりました、これは明らかに所得政策ですよ。賃金の場合は需要供給の問題もありましょうし、今日の民間賃金の上昇の傾向等もある、あるいは日本の全体の労働力不足という観点等もありましょう。あるいは今日の日本労働分配率が適正かどうかという問題まで含めて、今日の賃金に対する所得政策はきわめてむずかしいというのが各界の意見でしょう。しかし政府としては、日本経済成長率をこれだけに見て、民間における賃金アップ率はこのくらいであろう、したがって、公務員に払う賃金は、年間このくらいの予算で組まなければならないというたてまえでいくならば、これは明らかに所得政策じゃないですか。これ以上私は今日の段階では、問題の焦点が違いますから追及はいたしませんけれども、私どもはどうもそういう理解に立たざるを得ない。したがって、そういう観点からくる八月実施を固持するという理由は、どうも私どもには納得するわけにはいかない。  そこで、今度は副長官にお聞きしますが、昨日公務員共闘政府側をまとめて御回答になりました内容を少し正確に——新聞報道でしか私ども知っておりませんから、正確にお知らせ願いたいと思います。たとえば、一つは、八月実施以上は政府としてはとれなかったということがありますね。新聞報道では、二つ目に、しかし来年度実施については、完全実施をするように努力をするというのですか、するというのですか、よくわかりませんが、その辺のことが載っております。ひとつ、官房長官が言われた内容を正確に教えていただきたいと思うのです。
  17. 八木徹雄

    八木説明員 昨日、給与関係閣僚会議を開きまして、御案内のとおり、きょうのスト回避のためにも最終的な態度をきめなければならぬということで協議をいたしたわけでございますが、それは報道されておりますように、八月三十日のいわゆる閣議決定の線をくずすことができないということが第一点であります。実は、十月三日に総評及び同盟の方々と官房長官、総務長官が会いまして、スト回避については、何か閣議決定にとらわれないで前進的な方策というものをひとつ考えたらどうか、そういう申し出があったわけでございますから、それに答えるという意味において、きのうは十分に慎重に協議をいたしたわけでございますが、いま海堀次長が申しましたような、一つは千二百億円の予備費というものが、いわゆる八月実施をさらに七月か六月か五月とかに伸ばすというだけの財源がない。そういう意味と、それから、いまおっしゃったように、ことしの自然増収というものは期待できるではないかという、そういう話も当然あるわけでございますので、そのことも含めて鋭意協議いたしましたが、結局、本年度の対策としては、八月三十日の閣議決定というものをくつがえすことができないということになったわけであります。  しかし、そのことだけではゼロ回答ということになるわけですが、実はその八月三十日の閣議決定の中の(注)一に、いわゆる昭和四十四年度予算編成時までに新しい合理的な改善措置を検討するといっている。そのことについては作業を順次続けておるわけですけれども、来年度については、ことしの総合予算主義による予備費でもって処置するというやり方そのものについて再検討を加えるということでございますので、完全実施ができるように、いま鋭意努力をしておる最中でございまして、ただ単に形だけの努力ではなくて、積極的にそれを打ち立てるように、今後とも一そう検討を加え、予算編成時までに新しいやり方というものを見出すようにしよう、そういうことになったので、そのことを官房長官が発表いたした、こういうことだと思います。
  18. 加藤万吉

    加藤(万)委員 前段の問題は、いま主計局次長といろいろやりとりしましたから、申しませんが、後段の問題ですね、これはどういうことなんですか。正確におっしゃってください。来年度人事院勧告については、総合予算主義というようなものに対して再検討を加えるというのか、それとも完全実施をするために再検討を加えるというのか、それはどういうことなんですか。その辺があいまいですから……。
  19. 八木徹雄

    八木説明員 来年度総合予算主義でいくということは、たびたび新聞などに出ておるとおり、政府方針としては総合予算主義でいこうといっておるわけであります。しかし、もちろんそれは決定的でございません。そういう方向でいまされておるということであります。しかし、総合予算主義の中で、給与災害というものを予備費でまかなうということがことしの総合予算主義一つの特徴であるわけですけれども給与は、ことしのような予備費の中で措置するというやり方というものに改善を加えよう。おっしゃるとおり、予備費というものでやる場合に完全実施できない、そういうことが実績としてことし出てきたわけでありますから、完全実施をするためにはどのような方策をこの際打ち立てるか、そのことについて関係閣僚協議会並びに幹事会において、十二月の予算編成時期までに結論を得るべく努力をいたしておる。それをひとつ積極的に進めていくということを昨日再確認をし、そのように発表をいたしたということであります。
  20. 加藤万吉

    加藤(万)委員 給与予備費の中で予算化するということは、もう完全実施に至らないという結論になった、こういうふうに言っていいわけですね、第一は。したがって、完全実施をするには予備費で問題を処理するのではなくて、たとえば機能的なものをときどきおっしゃっていますね。十二月に人事院の中間の勧告を受けて、これを組み入れて、四月にいま一ぺん四月段階勧告を受けたらどうかというようなこと等も新聞に載っている。これは、人事院勧告を受けて、その機能として政府がどう対処するかという問題でしょうが、この二つに分けられるわけですよ。  そこで私は正確に聞きたいのは、完全実施努力をするというのは、二つあるわけですね。一つは、予算編成上の技術上の問題として、予備費での問題は困難である。予備費処理をすることは、今年度経過から見てできなかったわけですから、したがって、この面ではもうだめだ。したがって、今度は機能的な面でこれに再検討を加えて、完全実施のためにそういう方策をとってみる。こう二つあるわけですが、これはどうなんでしょうか。どちらでしょうか。
  21. 八木徹雄

    八木説明員 予備費関係は、予備費では絶対だめだということではなくて、予備費では不十分である。ことしがその一つの例でありますから、予備費制度でやるならば、もっとほかに予備費制度のやり方があるではないか。いわゆる所得政策にならざる範囲内でどういうものがあるかということも、もちろんいわゆる研究の対象の中にあることはあるのです。現に予備費制度というものがアウトになって、予備費制度は絶対やらぬのだというようにきめたわけではありませんが、予備費制度では不十分であるという意味で、ほかによき案はないかということで、いま努力をしておるわけであります。傾向とすれば、予備費に落ちつくよりも、ほかの制度に落ちつくということのほうが大きいのではないかとわれわれは期待をいたしておりますが、まだ、予備費は絶対とらないのだ、かわりにこういうやり方でやるのだというものが固まっておりませんから、予備費の不十分なところを補完しながら、ほかにいい案はないかということで、いい案についていま検討をいたしておる。そのときに、勧告のあり方と完全実施というものは相関連することでありますから、勧告のあり方についてこちらが注文をつけるわけにはまいりませんけれども、もし人事院のほうで、勧告のあり方についてもいろいろの方法があると思いますので、そこらで、ひとつ前進的な案が出てくれば、それも含めて新しい方策というものを生み出すためにいま努力をいたしておる。いま中間でありますから、大体の方向がこういう方向になるであろうというようなことが言えない段階でありますが、あらゆぬケースに対応して、そのよき面と欠点というものを洗いざらいして、どれが完全実施をするためにはベターであるかということをいま検討中である、こういうことでございます。
  22. 加藤万吉

    加藤(万)委員 わかりました。検討中であるということはわかりましたけれども、検討する終着点は完全実施をする、そういうふうに理解してよろしいですか。
  23. 八木徹雄

    八木説明員 それを目途にやっておるところでございます。
  24. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私はこの際、政府の、特に関係閣僚、しかもそれを所管する各省、これの人事院に対する考え方といいましょうか、理解のしかたというものを、それに加えて統一をしていただきたいと思うのです。私はいろいろ政府側の資料をいただきますけれども、その中で、人事院とは一体何かという問題についての理解が、各省ともある意味においてはばらばらですね。たとえば、行政機関が専門的立場から勧告をする、そういう機能だ、こういっているわけです。行政機関が専門的立場から勧告をする、そういう機能を人事院は持っている。これはきわめて事務的ですよ。これは大臣も御案内のように、人事院ができました経過は、労働基本権のいわば代償処置としてあるわけですね。したがって行政機関が専門的に単に調査をして、政府に対してあるいは国会に対して、これこれこういう形で勧告を行ないますからという、そういう性格のものじゃないわけですね。  私はここ二、三年の国会議事録をずっと拝見いたしまして、実はこういう考えを深く持ちました。それは毎年毎年の人事院勧告内容は多少違います。たとえば、ときには都市手当が入ってみたり、あるいは寒冷地手当の問題が出たり、特別昇給の問題が出たり等々がありますけれども、しかし、おおむね大綱はそんなに変わらないですね、人事院勧告について。そしてここ数年来国会でのやりとりですね。たとえば政府とのやりとり、あるいは政府の中でもさいふを握っておられる大蔵省とのやりとり、そのやりとりは、ここ二、三年ほとんど変わりませんよ。いわゆる四月実施がどうしてできないのか、五月実施がどうしてできないのか、財政的な理由はどうなのか、あるいは体系的にいえば上厚下薄がどうであるか、下厚上薄がどうであるかという、そういうやりとりですね。率直にいって私ども初めて国会にその籍を置いた者にとっては、ようこんなに長く同じことを繰り返して国会が論議しているなという感じしか受けませんでした。私は国会のそういう論議というのは、いわば十年一日のような形になっていることをどこかで断ち切っていかなければ、公務員賃金を新しい進歩的な方向に向かわせるということは、きわめて困難なように実は理解しているのです。私は公務員賃金の新しい方向を見出す一つ——一つといいますか、大きな屈折点は、やはり人事院勧告というものをどういうふうに見、どういうふうにに理解をし、しかもそれをどう実施をするかという、そういうことにきちっとした位置づけがない限り、たとえば来年といっても、今年度——先ほど私はしつこく聞きましたが、完全実施努力をする。これは人事院勧告がありまして閣議決定されるまで、各大臣はみなそう言われたですね。そしてそのあとは不本意ですよ。まあ少しことばとして発展したなと思ったのは、無責任のそしりは免れない。その無責任のそしりということは、私もこの前労働大臣にお聞きをしましたけれども、おそらく憲法二十八条の関係から見て、人事院勧告はかくあるべきだということに対して無責任のそしりは免れないというふうに言われますよ、ということを閣議でおっしゃったんだろうと思う。したがって私は、人事院勧告というものを、この際大きく理解の統一をしておかないと、再び来年も努力をします、不本意ながら、ということばで終わってしまう。与野党とのやりとりは、財源があるのかないのかというやりとりで終わってしまう。こういう結果になるのじゃないでしょうか。  人事院勧告が行なわれてからもう九回目ですか、十回目ですか、この間、先輩の議員はおそらくそういう話を何回も何回もやりとりをして、そして今日に至ってもまだ同じやりとりになっているわけですね。   〔小沢(辰)委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 私は、この日本人事院勧告制度のあり方については、むしろ国会審議よりも、その他のたとえば外部的な要因のほうがきわめて進歩した理解をしていると思うのです。たとえばドライヤー報告がありますね。ドライヤー勧告、レポート。あれに対して、いわゆる憲法二十八条の労働基本権を、内包的に制約しなければならない公務員については、その代償機能がしっかりと行なわれなければならない。国際的にはそうでしょう。公務員関係に対するストライキ権の制約があることは、私も十分承知をしておりますよ。しかし、その内包的制約というものは、常に代償行為によって完全に守られていかなければならないと、こうなっているわけです。しかもわが国においては、それがきわめて縁の遠い、距離の遠いものになっているというように報告をされておるわけですね。私は中郵のあの四十一年の判決ですか、あの内容を読みまして、むしろ最高裁の判事のほうが、私ども国会にその籍を置く者よりも進歩的な考えを持っているというような理解を実はしたわけです。これも同じような要因を言っているわけですね。すなわち二十八条による労働基本権というものが、公務員であるという立場によって、いわゆる国民に奉仕をするという立場によって制約をされるとするならば、その制約は最小限でなければいけない、しかもその最小限に対してもなお代償機能というものが有効に働かなければいけないと、こう言っているわけですよ。私はそういう観点ですね。先ほど言いましたように、人事院が行政機関であって、それが専門的立場から単に勧告をしたという、そういう観点と、ドライヤー報告やあるいは最高裁の判決というものは、その立場とは違った観点、いわば労働基本権に対応する代償機能としての最小限の制約と、それに伴う代償機能としての形をしっかりつくりなさいということを四十一年の判決で言っておりますよ。ドライヤー報告でも言っているわけですね。私は、この観点を早く政府が統一をして、各省が統一をして、その観点に立たなければ、この問題の、たとえば先ほど人事院勧告は完全に実施するように努力しますとか、あるいはその機能的な問題を少し技術的に検討してみましょうとかいう問題が解決できないと私は思うのです。  きょうは国務大臣がいらっしゃいませんから、労働大臣内閣国務大臣を代表して、といってはおかしいですが、の立場から、一体こういう観点政府が今日あるのかないのか、お聞きしたいと思うのです。
  25. 小川平二

    小川国務大臣 ただいまドライヤー報告についてお話があったと存じますが、私の記憶いたしておりますところでは、ドライヤー報告は人事院勧告については触れておらないと存じます。公務員が全体の奉仕者であるという立場にありますので、基本的権利に制約を加えられることはやむを得ない、それが違憲でないということは、しばしば最高裁の判決に出ておるところと存じます。人事院勧告も、また公務員が基本的な権利を制約されているという事実に着目して、これに対応して設けられた制度であり、スト権を制約されておるということから生ずることあるべき不利益を補正する、そして給与の適正を期していこうという制度でございますから、これを尊重することは当然であると考えておりまするし、これは私のみならず関係閣僚が繰り返して表明してまいっておるところでございます。
  26. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、人事院勧告についてドライヤー報告が云々しておるということを実は言っておるのじゃないんです。いわゆる労働三権に対する内包的制約というものが、結局代償機能としての機能を果たしなさいということを言っているんじゃないですか。まあ賃金についていえば、人事院というものが代償機能としてあるわけですから、そしてそれが出されたものが完全に遂行されてないというところに、内包的制約に対する何といいましょうか、代替的な意思の表示というものはできないのじゃないか。このことをしっかりと各省が意思統一してもらいませんと、単に人事院というのは行政機関が専門的に、いわば諮問委員会的に諮問したものを答申を受けて、それを技術的にどうするか、こうするかという観点だけになってしまうから、八月実施がいいのか、九月実施がいいのか、あるいは大蔵省に言わせれば、全体の財政的計画の面でどうかこうかということに問題点がしぼられてしまう。私は、最高裁の判決等見ましても、本来主になるものは、代替機能が出したもの、代償機能が出した結論というものが、これが主であって、それに伴って国のたとえば財政事情、あるいは国の経済の発展の問題、そういうものが従になるべきだというように理解しているわけです。そういう観点から立つならば、先ほどの財政自然増収の問題じゃございませんけれども、本来人事院勧告が五月の実施を出したというならば、それに沿って政府はいかに財政的にその財源を捻出するか、そこに最重点がまず置かれて、そしてその結果、どうしてもという部面で問題は多少残るでしょう。それは私は認めますよ。その主が、実は経済が一四%になってしまったので、その過熱国債償還で埋めていく、そういう観点になるから、人事院勧告が完全に実施できないという現象が起きるのじゃないですか。私はそういうふうに理解するわけです。しかもこれが九年、十年続いているわけですね。先ほど、国会でのやりとりについても、私は、皆さん方が御熱心によくこの論議を繰り返されておるということを申しましたけれども、同じようにこれを受けている公務員——これは賃金労働者ですから、賃金を受けてそれで生活しているわけですから、その人間にとってはたいへんなことですよ、十年間も。十月、九月、八月というように多少人事院勧告が手前には伸びてきましたけれども、この調子でいくと、たとえば人事院勧告を五月実施するには約三十年から四十年かかります。三十年か四十年後でなければ、いまの政府の姿勢でいく限りは、完全実施をするという時期的なめどはつきませんよ。そういうことを考えますと、私は公務員労働者がみずからの生活——生活の主体は、これは御承知でしょうけれども、最高裁の判決では、生活の主体が賃金である限りは、この賃金を値切るということはきわめて遺憾なこと——そうはいっておりませんけれども、直訳すればそういうような形で問題を提起しているわけです。俸給生活者に対して賃金制約することは、国全体の立場から見てもきわめて遺憾なことであるというようなことを最高裁の判決ではいっているわけです。こういう状況にあれば、私は、その公務員賃金を受けている職員あるいは労働者、これが、この態度に対して抗議をするのは当然だと思うのです。今日官房長官が、地公法や、あるいは国公法等から見て、違法な行為は行なってはならない、こういう談話を発表されておりますけれども、私は、談話を発表するほうが筋違いで、こういう態度が続く限り、結局抗議の行動、それに対する処分、それに対するまた来年同じ行動国会論議も十年一日のごとき論議のやりとり、こういうことになってしまうのじゃないか。私は、本日の早朝の行動は、官房長官が言われるように違法行為の問題もさることながら、それよりもむしろそういう、いわゆる国際的にも批判をされ、国内的には最高裁の一つの判例の中にそうあるべきだという進路を示したことに対する政府の不誠意な態度、それに対する当然の抗議の行動だろうというように理解をするわけです。この観点を、そういう人事院の機能というものについて、閣内であるいは政府で統一的に見解をまとめられるという意思はありませんか。
  27. 小川平二

    小川国務大臣 いまおことばにありましたように、あくまで人事院勧告を主としてこれを尊重するという立場から、財政事情の許します限り完全な実施につとめていくべきであって、その逆であってはならない。たとえば非常に素朴な所得政策的な観点から、公務員給与はこのくらいであるべきだということで出発して、人事院勧告制度が存在するにもかかわらず、これを無視するというようなことであってはならない、これは当然のことだと存じます。この点について政府の間に意思の不統一があるとは存じておりません。今回のことにつきましては、私は努力の至らないことを恥じておりますけれども、今後もそういう気持ちでやっていきたいと思っております。
  28. 加藤万吉

    加藤(万)委員 どうも労働大臣に、みずから不本意であるとか、努力の至らぬことを恥じているなどと言われてしまうと、問題の焦点、何と言いましょうか、私どものほんとうの意思と論議がはずれてしまうので実は困っているのです。私はこの人事院勧告と、それから現実のこの今日の状況、たとえば人事院勧告があって、それが八月で、それのやりとりが国会では行なわれる、そしてそれが公務員——いわゆる使用者と被使用者の立場でいけば、実質的な効果を生まず、そしてその結果抗議行動を起こした、処分を行なう、こういうすれ違いの行政、あるいは職員に対する労務行政といいましょうか、その歯車をすれ違いでなくてかみ合わせるようにするにはどこを直したらいいと思いますか。これは大臣案内のとおり、十年一日ですよね。先ほども私は、過去の国会のことは議事録で見る以外にわかりませんけれども、それから国会のやりとりも、そういう十年一日のやりとりのような、内容的には相当変わっていますから十年一日とは言いませんけれども、しかし大綱においてどうもそういう論議の繰り返し、しかも職員に対しては処分、弾圧というこの繰り返し、抗議、処分という繰り返し、この歯どめをどこかでかって、その行き違いの論議をどこかでかみ合わせる、そのかみ合わせる手段は何か残っていると思いますか。
  29. 小川平二

    小川国務大臣 お説のとおり、こういうことを毎年繰り返しておるということは、ばかげ切ったことだと存じております。そこで何とかこの際制度に根本的な改善を加えて、これが完全実施できるようにしたい、そういう気持ちで関係閣僚が一生懸命協議をいたしておる次第でございます。
  30. 加藤万吉

    加藤(万)委員 はっきりおっしゃいませんけれども、結局完全施実をするということだと思うのです。これはきのう、きょうに至り各新聞紙も論説で掲げておりますけれども完全実施をする、その完全実施をするためにはどうしたらいいかということが残されているだけですよ、方法論としては。私は聞くところですと、人事院勧告のあり方等についても七人委員会等で論議をされているそうでありますから、この際人事院勧告を完全に実施をするその前提に立って、たとえば予算編成上どうあるべきか、あるいは人事院の機能としてどういう方向があるのか、そういう立場で問題の処理を扱っていただきたいというように思うのですが、いかがでしょうか。
  31. 小川平二

    小川国務大臣 まことに御同感でございます。現存の制度や仕組みに手直しを加えてみましても、人事院勧告を完全に実施するという心がまえで臨みません限り、問題の解決にはならないと存じます。その方向で努力をしなければならないと思っております。
  32. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そういう観点で、人事院勧告ないしはそれに対する職員団体の行為、あるいは従来の経過を踏んまえてまいりますと、私は先ほど申し上げましたように、今日日教組なり、自治労なり、いわゆる国家公務員地方公務員のそれぞれの団体が、そういうものに反発をし、抵抗を感じ、抗議をするというのは当然な措置だろうと思うのです。私は、最近の学生運動でもそうですけれども、いわゆる古いものに固まり過ぎている今日の行政なり、あるいは社会体制というものに反発をしている若いエネルギーというものが、学生運動の一部にはそういうものがあらわれていると思うのです。私なんかのことばでよく体制内の反発ということを言いますけれども、私は今日の公務員が、人事院勧告以来完全実施をされなかったということに対する抵抗というものは、それは理解や説得ではもうできないですよ。その結果が今日の状況のもとをなしていると思うのです。したがって、そういう面ではこの際、いま言いましたような観点から、職員団体、組合に対する指導あるいは助言のあり方というものは改めらるべきであろうというように実は考えるわけです。  そこで、そういう観点からいっても、今日の政府あるいは各省のあり方をいろいろ見てみますと、そういう行き方とは違った方向に幾つかの問題が出ているわけです。きょうは自治大臣お呼びしたわけですが、きょうは自治労が全体的には闘争の規模も一番大きいし、抵抗もあるわけですから、そういう意味で自治大臣から、国家公務員地方公務員一つの型として、こういう問題についてどうなんだろうかという御意見を聞きたかったわけですが、大臣が見えませんから、次官にいろいろお聞きしますが、昨年の八月十八日にわが党の細谷委員地方行政委員会で、公務員部の設立に伴って、公務員部というのは一体何をするところか——それに対する幾つかの、公務員部とはこういうところであるという説明をされておるわけですね。これは議事録そのままですから間違いがないと思いますが、たとえば「公務員の労働運動というものに干渉したり弾圧するためのものではないということは確認できますか。」藤枝国務大臣「もちろん当然のことでございます。」「地方におきまして紛争が起こった場合に、任命権者が行なう個々の処分等について強制にわたるような指導、助言はいたす所存はございません。」これも藤枝国務大臣。「もとより地方自治の原則をおかすようなことは、毛頭いたす所存はございません。」——公務員部ができたときの国会での大臣答弁は、労働運動に干渉したり、あるいは弾圧したり、また地方におけるいろいろな、今日のような事態に対する自治体それぞれの対応策があるでしょうけれども、それに対して国から強制をすることはいたしませんということを言っておるわけです。きょうは次官ひとつ、大臣がかわりましたけれども、この所見について、今日でも変わりがありませんか。
  33. 細田吉藏

    ○細田説明員 昨年の地方行政委員会における当時の藤枝自治大臣答弁については、今日といえども何ら変わるところはございません。
  34. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最近自治省が、各自治体の管理者の労務研究をほうぼうで開催されておるように聞いておるのですが、特に大分で行なわれた管理職員研究会には、公務員第一課吉本課長補佐さんが出席をされて、いろいろいわゆる労務管理のあり方についてお話をしているようですが、そういう事実はありますか。
  35. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 大分でございました自治体の管理職員の研修会、事実でございます。出席いたしましたのは公務員第一課の課長補佐の吉本でございます。
  36. 加藤万吉

    加藤(万)委員 この中で、私どもは仄聞する範囲ですから、多少ことば上の正確さは欠くかもしれませんが、労働争議といわれる、いわゆる労使紛争といいましょうか、これに対していろいろ自治省が見解を出し、それを講習の課題にされているわけです。たとえば団体交渉をするときに、交渉のいかんによっては、建物管理権の関係から警察を呼ぶことが必要だろう、したがって、団体交渉には常に警察に連絡をすべきである、こういうようなお話をされたり、あるいはリボン闘争といわれるもの、あるいははち巻き等、こういうものをつけることは住民に対して非常に不愉快な感じを与えるから、こういうことはすべきでない。あるいは今日の当事者間の紛争の問題について、たとえば地公法三十七条ですか、等の観点から見て、それを指導した者は免職にすべきであるとか、あるいはオルグについては職場内に入れるべきではないとか、そういうようなお話をしているかのように聞いておりますが、そういう事実はありましたか。
  37. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 実は先月の二十五日でございましたか、自治労の書記長から、私、「管理職員研修会の記録要点」というものをもらったわけであります。それがそのときの話の状況であるということでございまして、なるほど読んでみますと、中にかなりいかがかと思うようなものがございますので、担当の吉本君を呼びまして、聞いたわけであります。もちろんこれは、教科書を渡してそれでやったということではございませんで、荒いテキストを渡して、それに基づいて口述をいたしました。それを受講者の方がメモをされたというのが事実のようでございます。メモでございますので、結局枝葉のところも切ってある、こういったような点が多々あるようでございまして、たとえば先ほどございました団体交渉に対する心がまえ、事前措置、警察と絶えず連絡をとり合うこと、こういうことが書いてございます。このところを例にとって申し上げますと、不測の事態が予想されるような場合には、という頭をつけて申しておるようでございます。いつも警察と連絡をとる、こういったことを申したわけではないようでございまして、いろいろとこの内容を見てまいりますと、そういう要点筆記という形でございますために、その当時において、ことばの委曲を尽くしたところが落とされておる、こういうことでございます。
  38. 加藤万吉

    加藤(万)委員 警察官の導入という問題は、一つは交渉相手の危害の問題があるでしょう。いま一つは、建物管理権の問題があると思うのです。どうもその話ないしは要点なるものから判断すると、住民の財産としての建物の管理という問題よりも、むしろ労使間の紛争に警察権力を介入をさせることによって——私は率直にいって、警察官はしごく迷惑なことだと思うのです。そういう威圧によって問題の処理をしようというようにうかがえてならないわけです。それから、私、先ほど言いましたけれども、代償機能としての人事院が完全な機能を果たさないときに、たとえばリボン闘争をするということ、自分の意思表示をすることが、一体公務員として内包的制約を受けるよりもいけないものなのでしょうか。たとえばリボンをつけて、ことしの賃金は一万円上げてほしい、このことが住民に——それはきたないリボンなら別でしょうけれども、一般的にリボンをつければきれいですよ。不愉快を与えるものではないですよ、少なくとも。それからいま一つは、いま言いましたように、内包的制約というものは、そこまで制約されるものだろうか。このお話では、リボン闘争、はち巻き等についてはこれを撤去するように指導しなさいと言われたわけですね。どうなんでしょうか。
  39. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 地方自治体の職員の場合でございますと、どうしても窓口事務が多いわけであります。窓口におきまして、住民と接触する、こういう場合に、やはりはち巻きをしましたり、あるいはリボンをしましたりという形で住民に接触するということはいかがなものであろうか、こういうことで撤去をするように任命権者のほうで処置をとられるということは、私どもといたしましては、適当なことではないかというふうに考える次第でございます。
  40. 加藤万吉

    加藤(万)委員 公務員部長、これは重要なところですよ。私は先ほど最高裁の判例を引用しました。最高裁は必要最小限度で内包的制約というものはあるべきだ、こう言っているわけです。リボンをつけたことが住民に不愉快だから、したがって労働者の基本権——二十八条との関係ですよ。それは撤去されるべき性格のものでしょうか。どう理解されますか。
  41. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 要求は、任命権者に対する要求でございますので、それを窓口に見えられる住民の方に、何もそういうリボンなり、はち巻きという形で接せられるという必要はないのではないか。なお、この撤去につきましては、吉本補佐のお説の中では、トラブルを起こさないような形で任命権者のほうで相手方の同意を得て撤去するというように指導いたしておるようであります。
  42. 加藤万吉

    加藤(万)委員 二つの点で重要なことがあると思うのです。一つは、公務員がみずからの要求——確かにそれは当事者でありましょう。けれどもその意思表示をするしかたですよ。政府人事院勧告を完全に履行しない。地方自治体には多少の幅があるにしても、おおむね国家公務員に沿っていく。その意思表示がそこでとぎれてしまうわけですね。その意思表示をするしかたが、いわゆる国民に訴えながら、私たちの賃金は低いですよ、そしてそれを議会に反映してください、そういうことが否定されたら、これはあと何が残るのですか。しかも地方自治体には団体協約権はございませんね。公労協は団体協約権や締結権があるのですよ。それでもなお内包的制約というものの最小限だと言っている。地方自治体公務員という意思表示する協約権がないものが、何によってやるかというと議会です。議会というものは住民の代表、国民の代表ですから、それに訴えて問題を処理する以外にないじゃないですか。この方法がいけないと言われたら、あと何の方法があるのですか。戦前にこういうことがあったそうですよ。要望書を出した。要望書が目の前で破られた。その次には要求書に書いていった。要求書は紙ですから破られた。その次は鉄板の上に書いて持っていった。破れるのなら破いてみなさいと言った。これは極端な例です、戦前ですから。いうならば、何に訴えて自分のみずからの生活をどこに位置づけるかということが、手段としてないわけでしょう。それがリボン闘争がいけないと言われたら、それは全くいわゆる上意下達で、それ以外はうんもすんも言ってはいけないのだということに通じませんか。これが一つ。  もう一つは、私は、公務員部長さんは、おそらく地方自治体関係全般の、たとえば国全体の視野の中から、この労使関係というものをいい意味で指導していただくという立場にあると思う。そういう立場になればなるほど、私は、司法権というものと立法府というものと、それから行政府というこの関係を、もっとシビアに見ていただかなければいけないと思う。私どもいろいろときどき、違法性があるんじゃないかということを自分自身で危惧するときがあります。そういうときには、やはり国の判例というものを一つの鏡、基準にします。最高裁の、内包的制約というものは最小限でなければいけない、むしろ本来は労働基本権、憲法二十八条であるべきだけれども、それが最小限に制約されなければならないという観点から見るならば、私は、公務員部長さんが、リボンをしたということがいまの違反になるということについては、どうも行政機能が司法の権益よりも逸脱をしておるのではないかという疑いを持たざるを得ない。いかがでしょうか、この二点について。
  43. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 地方自治体の職員であるといえども、これは公務員であることは間違いないわけでございまして、住民に接触するのに、そういう正規の服装でないはち巻きなりリボンなりを付して接触するということは、やはり服務規律の面でいかがであろうか、そういった意味合いにおきまして、任命権者のほうでこの職員に対して、そういうものをはずして接触するようにという指導をすることは、このいまの三権の範囲を逸脱する指導である、こういうふうには私考えないのであります。   〔発言する者あり〕
  44. 橋本龍太郎

    ○橋本委員長代理 御静粛に願います。
  45. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これはいずれ、一つの具体的な事例を持ちながら、いわゆる内包的制約の最小限の行為であるかどうかということについては、司法のほうで決定なさることでしょうから、おきますが、先ほど次官が確認されましたことに対して、地方における紛争等について任命権者が行なう個々の処分については、強制的にわたるような助言指導をいたすことはございません、こう言っていますね、この会議の中で。いわゆる自治省としての懲戒処分の基準というものがありまして、首謀者について、委員長については免職、オルグ者については停職もしくは減給、こういうふうに、指導要領といいましょうか、そういう形ではお話があったようです。私は、お話があったという程度なら、そういう指導もあるものかなと実は理解もしたわけです。ところが、その前段に、各地方の議会の条例で画一的にきまらないことはきわめて遺憾であるというお話をされているというふうに聞いているのです。こうなりますと、単なる助言、指導ではございませんね。先ほど藤枝大臣が言われたことに対しては、まことに相反する行為になるのじゃないですか。いわゆる地方自治体の任命権者に対するいろいろな問題については、私どもはあまり言いませんということを言っているわけですね。にもかかわらず、地方自治体の条例制定を行なう際に、そういう問題等も含めてもっと画一的に行なわれるべきでないかという意見を言われていることは、いわゆる地方自治体の任命権者に対する事実上の制限措置を一官僚の人が行なわれるということになりませんでしょうか。いかがでしょうか。
  46. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 いまの、画一的でないのは遺憾であるということを申しましたのは、例のILO八十七号条約の批准に伴う国内法の整備に伴いますいわゆるながら条例、地方公務員法五十五条の二のながら条例の制定につきまして、この条例準則を国の基準に合わせまして出したわけでございますが、それに対しまして、ある程度ゆるやかになっておるところがある、こういったような例等に関連して申したことのようでございます。と申します趣旨は、やはりこういう取り扱いについては、各団体ごとに同一の取り扱いのほうが望ましいという感じを、私ども持っているからでございます。  それから、あとのほうのいわゆる懲戒処分の基準、これはいまの条例事項ではございませんで、いまの問題とは直接関係はないわけでございます。この場合におきまして、いまの違法行為が行なわれた場合に懲戒処分を行なう、その懲戒処分の一般的な基準としてどういう指針でいくべきかという指針を示すことは、これは私ども公務員部といたしまして、公務員法の施行を適正に行なうという職責から見て当然許されるのではないだろうか。去年の八月の公務員部の発足の際の自治大臣のお答えいたしました趣旨は、たとえば何々県と何々市との間の個々の具体的なケースについて、私どもがその間に入って具体的な処置を強制的に行なうことはいたしません、こういうことを申しておるわけでございまして、いまここで説明をいたしておりますのは、いわゆる一般的な基準、こういうふうに御了解いただきたいと思うわけでございます。
  47. 加藤万吉

    加藤(万)委員 次官、いまお聞きのとおり、きわめて論議としては微妙な問題です、率直にいって。いわゆる自治省の指導というものと実際に地方自治体制約というものとはどういう関係にあるのだろうかという、きわめて微妙な、ものの判断の基礎をどこに置くかという判断のむずかしい問題です。私は、公務員部ができたときのこの藤枝自治大臣のやりとり等から見まして、少なくとも、労働関係には干渉しない、その前提の上に立っているわけですからね。ここに書いてあるのですから。こう言われているのです。労働関係には干渉しないと。労働関係には干渉しない前提の上に立って、リボンはいけない、それから懲戒の基準はこうこうこうです、こう言うことは、だれが見たって労働運動に干渉しないということは言えないじゃないですか。あらためてこれはひとつ次官に、このいま私どもがやりとりしましたことに対する見解を、きちっと承っておきたいと思うのです。
  48. 細田吉藏

    ○細田説明員 問題が幾つかあるようでございますから、先ほどお話の出ておりますような問題と分けて申し上げたいと思います。  さっきのお話で、警察を介入させて威圧を加えて何かする、これはとんでもない話だ、こう思います。ただ、そういうことは吉本補佐は言っていないのじゃないか、こう思っておりますが、何でもかんでもとにかく警察を交渉の場に呼べ、あるいは連絡しておけ、こういうばかなことは、もし万が一言ったとすれば、これはたいへんけしからぬことだ、かように思います。そのときの事態は、よほどこれは慎重に扱わなければならぬ——警察に連絡しなければならぬ場合もございますでしょう。しかしそれは、あくまでも警察官本来の任務としておるような事態が起こるという公算が非常に大きい場合に限られるものである、かように思います。  それから、はち巻きとかリボンのお話がございました。これははち巻きとりボンではだいぶ違うと思うのでございますが、先ほど来公務員部長が申し上げますように、公務員は住民に対する奉仕者でございます。不特定多数の大ぜいの方がいらっしゃるわけです。これぐらいはもっともだなとおっしゃる方もいらっしゃいましょう。しかし、こういうかっこうで役場の皆さんがやられることはどうも実に不愉快だ、こんなことまでせぬでもいいじゃないか、こういう方々も相当あるであろう、これは事実だろう、私はそう思います。ですから、そういう点については、先ほど公務員部長が申しますように、特に住民に接するような方々はそういうことがないほうが望ましい。しかも、強制的にそれを取れとか、何か規則でどうこうしよう、こういうことではございませんので、なるべく組合との間は円満な労使関係であるべきだし、よく話したらどうだ、こういうことでありまして、これもそれでいいのじゃなかろうか、こう思っております。  それから最後のお話ですが、藤枝大臣が申しておりますのは、これも公務員部長が申しておりますように、個々の処分というような問題については、これはもちろん干渉していかぬ、これは当然だと思いますし、大臣も申し上げたとおりであります。ただ基準といいますか、それでそのとおりやるというわけではないのですが、大体の基準というものはどんなものだろうか。というのは、たとえばここに、あってはならぬことですが、違法行為が行なわれた場合にどうするかということがあります。実は具体的に言いますと、全国三千からの団体でございますから、うちはどの程度ならいいものだろうか。逆に言いますと、これじゃやり過ぎるのじゃないだろうかということもあり得るわけです。そういう点についての基準を自治省が——基準ですから、あくまでも、全部こうやれ、こういうことでは私はないと思います。こういう基準で大体のところはそろえていただいて、実情を十分判断して個々の理事者がやっていただく、こういう意味だろうと思うのでございまして、これは藤枝大臣が申し上げた趣旨に反するものとは考えておらないのでございます。しかし事が事でございますから、そういう点は、先ほど来話のやりとりの中にございますように、あなたもおっしゃっておるとおり、非常に微妙なデリケートな問題でございまして、そういう点について、前置きで言ったことが忘れられたり、あとについておることばが——日本語があいまいなこともありますから、そういう点で間違った指導をしないように十分気をつけなければならぬ、かように存じておる次第でございます。
  49. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いまのは実は自治省の一つの例を私は申し上げて、全般的にそういう政府態度というものがあるのではないか、その中で特に自治省が労使関係についても少し勇み足をされているのじゃないかという気がしてしようがないのです。  それから、これはきょうは多くを述べませんけれども、在籍専従の取り扱いについても、確かにそれは地方自治体の議会との関係があるでしょう。それは承知します。しかし少なくとも五十二回のILO総会で、専門委員会意見を徴して云云という問題もあります。あるいは今度のアジア会議でも、本問題については相当ドライヤー報告をめぐって言われているわけです。だとすれば、この在籍専従の取り扱いは、たとえば人事院あるいは公務員制度審議会、そうして所管のそれぞれの省が合議をされて、その結果試案として出されるべき性格のものではなかったかというふうに私は理解をするわけです。そういうことから見まして、労使関係に対して自治省は少し勇み足をされているのではないか。したがって、行政の面では十分ひとついま言った趣旨を体していただいて、藤枝大臣なりあるいは次官が最後におっしゃられましたことばを体して、いい指導を下部に与えていただきたい、このことをお願いをしておきます。同時に、これは政府全般に通ずる問題ですから、こういう観点から労使関係を見詰める。いやなことばですけれども、弾圧をするという立場から問題を見詰めるのではなくて、十年来の労使関係をここで正常にしよう、そういう観点からすべてを律していく、こういう態度にぜひなっていただくことをお願いしておきます。  最後に、政労協関係について二、三お伺いをしておきたいと思います。  御承知のように、政労協の賃金は、公務員人事院勧告、これはよしあしは別にいたしまして、それをめぐって決定がされていくわけですね。したがって、政労協が六月に賃金要求をして今日まで、実際には人事院勧告ないしは人事院勧告に対する閣議決定がなされないままに、なされないために、政労協関係の特殊法人に対する賃金の内示がおくれている、こういうふうに私どもは伺っているわけですが、一体この政労協関係賃金交渉ないしは賃金案をめぐる問題について、政府ではどのようにお考えになっておるか、お聞きをしておきたいと思います。
  50. 松永正男

    ○松永説明員 政労協関係でございますが、政府関係の機関とまして公団、公社、事業団、公庫等がございます。そのうちの労働組合が政労協という組織をしておられるわけでございますが、ただいま御指摘のように、公団、公庫、事業団等におきましては、ほとんどのものが、経費につきましては国庫の補助あるいは交付金といったようなものでまかなわれておるというのが実情でございます。したがいまして、いろいろな面におきまして、たとえば予算につきましても、また給与規程等につきましても、主務大臣が大蔵大臣と協議をして認可をすることによって効力を生ずるというような法律構成になっておるわけでございます。したがいまして、そのような事業団の設立の目的あるいは性格からくる制約というものが事実上あるわけでございます。たてまえといたしましては労働三法が適用されておりますので、これは自由な団体交渉によりまして労働条件がきめられるということになっておるのでありますが、反面、そのような事業団、公庫、公団等の持っておる公共性といいますか、特殊な政府とのつながりということからいたしまして、実際上の制約がいろいろあるということは事実でございます。  御指摘のような賃金交渉につきましての解決のやり方でございますが、私どももこれらの点に着目をいたしまして、従来、政府のこれに対します認可なり、あるいは予算の内示なり、あるいは理事者側のこれに伴う回答なりが非常におくれがちでございまして、労働大臣が、二年ほど前でありますか、閣議でも発言をいたしまして、政府関係公務員給与閣議決定されたならば、こちらの関係のほうもできるだけ早く回答ができるようにという措置を講じまして、その点は改善をされたわけでございますが、本年におきましても、そういう意味におきまして、大蔵省と私どもとも連絡をいたしまして、それからまた公団等の理事者側で、非公式な会でありますが、一つの連絡会議を持っておりますので、そこの代表の方々とも連絡をいたしまして、できるだけ早く回答ができるようにということで努力をいたしておるところであります。
  51. 加藤万吉

    加藤(万)委員 政府関係特殊法人の労働組合と、松永さんも入っておられたかどうかわかりませんけれども、主計局長も含めてお話があって、その際に、大蔵省の内示を十日前後に行なう、こういうお話があったというように私は聞いておるのですが、間違いございませんでしょうか。
  52. 海堀洋平

    海堀説明員 政労協の組合の方と会いまして、人事院勧告に伴います公務員給与処理についての閣議決定が行なわれましたために、それに準拠して協議に応じております政労協関係の職員の給与決定しないで置いておく理由もございませんので、できるだけすみやかに各機関が主務大臣に協議をし、それを受けまして私のほうで、その措置が妥当であるかどうかという審査をして御返答申し上げましょうという御返事を申し上げました。十日くらいまでには大体そういう措置がとり得るように努力をいたしますということを申し上げまして、実際問題としても、大体今週か来週初めにはその措置をとり得ると思っております。
  53. 加藤万吉

    加藤(万)委員 公務員人事院勧告に対する政府態度は、八月実施、八%で閣議はきまったわけですね。特殊法人に対して内示をされる立場から、どういう数字で内示をされるというふうに考えておられますか。
  54. 海堀洋平

    海堀説明員 政府関係機関というものの性格は、先ほど労政局長からお話がございましたように、非常に公的な性格を持っておりますし、またその仕事の内容につきましても公務員的な立場の仕事も多いわけでございますので、従来とも公務員に対する給与改善処理に準拠いたしまして給与規程の改定を行なっておりますので、本年度も当然公務員給与改定に準拠して政府関係機関の職員の給与の改定を行なうことに相なるだろうと思っております。   〔橋本(龍)委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
  55. 加藤万吉

    加藤(万)委員 公務員関係賃金に対する政府態度に準拠して回答するように内示をするようになるだろう、こういうように理解をしてよろしいんですね。  そうですね。そこで、この特殊法人には、御承知のように、農林中金もそうですか。あるいはNHKがそうですね。それぞれの当事者は、これは当事者能力をそれぞれ持っておりますね。いま主計局次長の御答弁ですと、いわゆる公務員賃金に準拠をして内示をするということになりますと、当事者能力というものは一体どの面で発揮されていくのでしょうか。
  56. 海堀洋平

    海堀説明員 先ほど労政局長から申し上げましたように、いわゆる政府関係機関と一般的にいっておりますものにはいろいろとあるわけでございますが、まず、予算国会審議にかけております銀行、公庫といったものがございます。これは政府関係機関予算という形で国会審議を仰いでおります。したがいまして、その予算の執行につきましては、主務大臣、さらにそれを全体国庫大臣として統括いたします大蔵大臣との関係の認可といいますか、そういう関係があろうかと存じます。それから、その他いわゆる政府関係機関と広くいわれている中には公団、事業団等がございます。その公団、事業団の予算そのものにつきましては、国会審議を直接的には仰いでおりません。ただ、一般会計予算あるいは特別会計予算等からの出資とか、そういった形で間接的にその事業内容について国会審議を仰いでおりますが、その公団、事業団の予算そのものについては国会審議を仰いでいないために、それに対する監督規定が法律の中に明記されているわけでございます。事業計画については主務大臣の認可を受け、あるいは給与の規程を設ける際には主務大臣の認可を受けなければならない、その主務大臣が認可を与える際には大蔵大臣に協議しなければならない、そういうふうになっておるわけでございます。  そういうのは労働三法との関係でどういうことかという御質問かと存じますが、もちろん労働三法そのものはそれらの労使関係には適用になっているわけでございますが、他方、先ほど労政局長からも申し上げましたように、それらの機関の資金源あるいはその仕事の性格が非常に公的な内容を持っておる。したがいまして、銀行、公庫等につきましては、その予算、特に損益予算につきましては国会審議を仰いでいるわけでございます。したがいまして、そういう公的な性格からの制約というものもやはり避けがたいのではないか。それから、公団、事業団等につきましても、その資金源があるいは税金であったりあるいは財政投融資の資金であったりということで、非常に公的な資金を使っている。それからまた、道路をつくったり住宅をつくったりというふうな非常に公的な仕事をしておるということから、国会予算上の監督は間接的でございますが、それらの公的な性格が十分に保たれるように、国会審議を仰ぎました法律上こういう規制あるいは監督を行なえということを政府に命ぜられているわけでございます。したがいまして、その範囲内におきまして、それらの職員の給与決定につきましても、その法律上の制約はやはり免れがたいのではなかろうかというふうに考えております。
  57. 加藤万吉

    加藤(万)委員 特殊法人関係賃金は一体何できめるかという、これまたきわめて重要な問題なんですね。人事院勧告の場合には、御承知のように、一方では理論生計費がありますし、あるいは民間との対比という問題が出てくるわけです。しかし特殊法人は、御承知のように、それぞれの事業団体ごとによって非常に対照しやすい産業の条件があるわけでございますね。たとえば日本航空機製造、これは比較するならば日本航空というのがありますし、あるいは国民金融公庫を比較するならば市中の信用金庫というものがありますし、事業的にはきわめて対比しやすい条件ごとにまとまっておる事業体であります。したがって私は、賃金をきめる際に、それぞれの対比される事業体と比較をして、高いか安いか——率直にいって、理論的なものもあるでしょうけれども、今日では賃金というものはやや相場的なものになっているわけですから、そういう意味では、そういう角度から問題を把握されることが必要ではないか。同時にいま一つは、一体労働の量と質というものは、それに対応する対価が賃金でありますから、そういうものがどうなんだろうか。それを把握するにも、対比される産業ないしは事業団体と特殊法人関係の事業団体との賃金の比較、あるいは要求に対する答え、そういうものがあってしかるべきだと私は思うのです。いまお話しのように、確かに国家的な制約、国の財政投融資等も含めて財政の全体的な制約はあるでしょうけれども、特殊法人に関してはそういう角度で賃金決定をすべきではないか、こういうように思うのですが、これは松永労政局長もこの担当の一人ですから、労政局長から、一体特殊法人の賃金というものは、私は賃金である限りは労働の量と質、しかもそれは今日の条件でいけば、対比される事業体と対比をして安いか高いか、そこで回答があってしかるべきじゃないか。それにプラス、主計局次長が言われるように、国の制約というものであっていいのではないかというように理解いたしますが、これは第一にどうでしょうか。  時間がありませんからはしょりますけれども、第二に、これは労働大臣主計局次長両方にお聞きしますが、この組合は、それぞれ労働三法による、労働組合法に基づく労働組合運営ができるわけです。もし人事院勧告一つの基礎にして回答をし、それがかりに不満で、それが労使間の紛争になり、長期の争議になったと仮定をします。しかもそれがきわめて国民生活に重大な影響を及ぼす、こういうようになったときに、まあ労使間の紛争ですからいつかは妥協しなくちゃいけないわけですね。したがって、閣議決定された線で、いわゆるそれを基準にして妥協ができない、解決ができないとなると、たとえば公的な機関である中央労働委員会に調停を申請をする、あるいは中央労働委員会が労働委員会の権限に基づいてこれに対して仲裁を行なう。労調法は、仲裁関係は当事者の了解が必要でありますけれども、かりに中央労働委員会が調停を行なって、そして、これでまとめていってはどうかというようなことが起き得る状況があるわけです。労働組合法の適用でありますから。その場合にもなお政府は、人事院勧告に基づく閣議決定、それに基づいて処置をされようとされるのでしょうか。もしそうだとするならば、労働組合法の適用団体であるということが、どだいおかしくなるのであります。したがって、この辺の見解をひとつ聞いておきたいというふうに思います。
  58. 松永正男

    ○松永説明員 ただいま加藤先生がおっしゃいました労働の量と質によってきめるというのは、一つの有力な賃金決定についての考え方だと思います。ただその場合に、たとえばこの政労協でなくて公労協を例にとって考えてみました場合に、やはりそれらを国鉄と私鉄ということで、そういう賃金できめるかどうかという問題があると思います。実際問題といたしましては、公労協という組織を労働者側の意思によりましてつくって、そして連絡をとりつついろいろ賃金のスケジュールにつきましてもやっておられる。こういう事実から考えますと、実際問題としては、私鉄の賃金と国鉄というよりは、やはり公労協としての組合の運動方針なり、そしてまたそれぞれの単産と理事者の交渉なりということになってまいるのは事実だと思います。ただその場合に、労働の量と質をどのようにその中で考えていくかということは、今後の問題としては大きな問題ではなかろうかと思うのでございますが、政労協の場合につきましても、やはり政労協という組織を任意に労働者が集まってつくっておるという事実は、これはやはり事実として大きな重みを持っておるというふうに考えられますので、おっしゃいましたような一つ賃金理論といいますか、そういうものは確かにあると思いますけれども、実際問題としては、政府関係機関で団体をつくり、そしてそこでいろいろな要求意思表明がなされますと、それに対応する理事者側のものの考え方も、たとえば他の同種産業のものを比べるかどうかということになりますと、労使交渉でございますので、直ちにそれでいけるかどうかという問題はあるのではないかと思います。  それからもう一つの、労働三法の適用でございますから、労働委員会のあっせん、調停、仲裁ということは可能なわけでございます。もちろん仲裁は両当事者合意でございませんと、拘束力がありますので、これはなかなか事実上、民間ではケースがほとんどないというようなものでございますので、むずかしいかと思うのでありますが、あっせん、調停ということは十分可能性があるわけでございます。事実仲裁にかかりました例も相当ございますが、ただ実際問題といたしましては、先ほど申し上げましたような、基本になります公団法なり事業団法におきまして、やはり主務大臣あるいはそれが給与については大蔵大臣と協議をするというようなたてまえになっておりますので、結局におきましては、そういう公共性に基づく制約というものが出てまいりまして、実際のあっせん、調停という場合にも実行可能であるということでなければなりませんし、それから調停案を出す際にも、労使がそれをのむということでなければなりませんので、実際問題といたしましては、おっしゃったようなことにおきましても、事業団、公団等が置かれておるそのような法のたてまえというものを考えた上の調停ということになるだろうというふうに考えられます。
  59. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最後に。いまの話でわかりましたけれども、それでは、調停で調停案が示されて、そうしてそれを政府の計画から見てもおおむね遂行できる、こうなりますと、これはそれで調停が成立するわけですね。成立した場合には、結果においては、たとえば主計局次長が言われるように、いわゆる準拠してということばは従になるわけですね。いわば事前の拘束ではなくて事後拘束になるわけですよ。私は、この特殊法人関係の組合の争議が起きることを好みませんけれども、もしそうなった場合に、あるいはそういう状況がかりに起きた場合に、政府側は一体事前の拘束ですべてを律するのか。あるいはそういう公的機関がきめて、しかも可能性があるという状況になれば、それを事後承認を与えてなおその解決に臨むか、この辺はきわめて重要なことだと思うのです、紛争を解決する意味におきましても。したがって私は、特殊法人関係が労働三法で適用されておる限りにおいては、事前承認ではなくて事後承認の形が本来あるべき姿である、こういうように理解をするわけです。これはひとつ大臣から見解を承って——本問題はこれから労使間の交渉に入るわけですから、そういう紛争が起きないための努力あるいは大臣の指導のあり方をお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  60. 小川平二

    小川国務大臣 調停案が出まして理事者がこれを承諾いたしました場合は、お説のとおりになると思います。
  61. 加藤万吉

    加藤(万)委員 なお、紛争解決に対しての大臣見解はどうですか。紛争といいますか、今日の政労協関係に対する——これから交渉が始まるわけですから、それに対する大臣見解をひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  62. 小川平二

    小川国務大臣 これは遠からず予算の内示があって、それに基づいて団交が始まるわけでございましょうから、団交の場で平和的な解決がなされることを望んでおるわけであります。
  63. 加藤万吉

    加藤(万)委員 終わります。
  64. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後一時十分散会