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1968-09-10 第59回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月十日(火曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 山崎 始男君    理事 天野 公義君 理事 丹羽 兵助君    理事 河上 民雄君 理事 島本 虎三君    理事 本島百合子君       塩川正十郎君    地崎宇三郎君       塚田  徹君    工藤 良平君       中谷 鉄也君    浜田 光人君       岡本 富夫君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         科学技術庁科学         審議官     高橋 正春君         大蔵省主税局税         制第二課長   田辺  昇君         厚生省環境衛生         局長      金光 克己君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤琦一郎君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         通商産業省鉱山         保安局鉱山課長 下河辺 孝君         通商産業省公益         事業局長    井上  亮君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  高田  健君         運輸省航空局長 手塚 良成君         自治大臣官房企         画室長     近藤 隆之君     ――――――――――――― 九月十日  委員佐野憲治辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として佐  野憲治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 八月十日  一、産業公害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(ばい煙、水質汚濁及  び騒音対策)      ――――◇―――――
  2. 山崎始男

    山崎委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 委員長、きょう残念ながら大臣出席を得ることができませんし、聞いてみましたら、万やむを得ないような事情のようであります。本来ならば大臣に出てきていただいて、この席上ではっきりお伺い申し上げたいことなのでありますけれども、いません。いま各局長さんが出ておられますが、大臣答弁と同じような重さを持つということに私は満足いたしまして、その点、答弁をしてもらいたいことをお願いして、質問に入りたいと思いますから、委員長、そこはよろしくお願いしたいと思います。  まず、私は最近の問題であ然とした問題がございます。それは東電東京大井埠頭のいわゆる重油火力発電所建設問題に関しての都知事東電社長との間のいわゆる文書による交渉が妥結したことであります。最近にないさわやかなニュースである、こういうように思っております。しかしながら、これはそのままにおいて済まされない問題もあろうかと思うのです。公害基本法ができました際にも、いわゆる立ち入り検査の問題も含めて、これは十分に公害の絶滅を期せ、こういうようなことでございましたが、通産省のほうでは、この問題はやはりでき得ないというような回答でございました。残念ながら、その点において妥協せざるを得なかったわけでございましたが、今回の場合、公害監視機関を設置して、立ち入り検査、それも可能である、こういうような協定ができ上がったようであります。その詳細はよくわかりませんが、もしそうだとするならば、政府のこれに対する対策指導、今後の問題として、やはり考えなければならない問題があろうと思います。通産省並び厚生省両方から、東電のいわゆる東京大井埠頭重油火力発電所、三十五万キロ三基、百五万キロワット、この建設の問題についてどのように考えるか、また今後同じような問題が他にありますが、その関連において、どのように指導なさろうとするのか、これをひとつ双方から御答弁願いたいと思います。
  4. 矢島嗣郎

    矢島説明員 東電大井火力問題につきましては、内容新聞等でよく報告されておるので、説明を省略さしていただきたいと思いますが、これに対する通産省の感じというものを申し上げますと、申すまでもなく、大井地区というのは東京過密地帯の中央にあるわけでございまして、そこの大気汚染というものは相当に激しいものであります。環境基準がいずれ設定されると思いますが、どういう環境基準ができるかは別といたしまして、いずれにしても環境基準をオーバーするあるいはオーバーするに近いような非常に汚染度の高い地域であるということは間違いないわけでございます。そういうところにおいて亜硫酸ガス発生源である発電所をつくるということは、相当これは問題があるわけで、私どももかねてから、その大井発電所をどうするかということについては、非常な関心を持って慎重に検討しておったわけでございます。まあ一般的に言いますと、ああいうところにおいては、まず火力発電所は建てないほうが望ましい、できればもっと大気汚染の激しくないようなところにおいて建てるべきである。もちろん東電は、増大する電力需要に対応して次々と建設はしていかなければならぬけれども大井のようなところは避けたほうがいいというのが一般的な考え方であったわけです。しかしながら話を聞いてみますと、大井付近の、東京都心部の南のほうの局地における電力需要をまかなうためには、どうしてもあのところにある程度規模のものが必要である。そうしなければ、公益事業である電力の供給を確保できないということだそうでありまして、そうだとすると、できるだけ公害防止に関しては特別な防止措置を講じた上で、これをやるというのが常識的な考え方だろうと思います。そういう観点から見ますと、要するに既設の新東京火力発電所品川火力発電所を合わせまして、全体でもって五割程度カットするというような特別な防止措置を講じて、その上でやるのが適当、妥当な措置ではないかと考えておるわけでございます。  なお、ただいま公益事業局長もお見えになったので、こまかい点は公益事業局長に御質問願いたいと思うのですが、一般的に言いまして、通産省としてはかように考えているわけでございます。
  5. 井上亮

    井上説明員 東電大井発電所建設の問題につきましては、御承知のように、これはたしか昭和三十五年ごろだったと思いますが、当時の東京都に大井地区埋め立て計画がございまして、その埋め立て計画に関連いたしまして、東京電力に対しまして、この埋め立て地東電発電所として使用する気はないかというような話し合いがありまして、東電としてもそれをお引き受けして、今日に至ったわけでございます。ところが最近の情勢から、大井地区において発電所をつくることにつきまして、公害対策等観点から、東京都は東電と、さらにこの払い下げ問題に関連いたしまして話し合いを持ったわけでございます。先ほど立地部長からも御答弁がありましたように、実は、本日、都側東電側意見の合致を見まして、了承いただく段取りに相なっております。私は、今回の両者の合致しました意見につきましては、妥当なものだというふうに考えております。といいますのは、特に大井地区都心の全くの中心部でございます。そういうような大井地区特殊事情から見まして、あの程度措置話し合いがつかれたことについては妥当だ、こう考えております。
  6. 島本虎三

    島本委員 十三項目申し入れ、これは全面的に容認され、ここにみごと妥結された。通産省当局もそれは好ましい、こういうようなことでございます。十三項目申し入れそのものに対して、やはり厚生省としては、今後その申し入れそのものも、一つ基準にならぬかもしれませんけれども、これは重大な一つ指導性を持つと思うのです。この問題について十分今後、他の事業体や、こういうようなおそれのあるものに対しては、通産、厚生両省ともだ、これを下回らないように指導すべきだ、こういうように思います。この十三項目了解事項を含めて、厚生省はどのように考えて今後対処されますか。
  7. 武藤き一郎

    武藤説明員 厚生省は、従来から地方公共団体と密接な連絡をとって、こういう問題については対処いたしております。特に火力発電の問題につきましては、電源開発審議会幹事会におきまして、厚生省意見を述べると同時に、地方意見も徴して、厳正なる意見を述べて、こういう問題については対処しております。必要な場合には、いろいろな事前調査あるいは環境調査等も行なって、それに基づいて指導を行なってきております。今回の問題につきましては、これから通産省のほうでいろいろ御審議があることと思いますが、そういうような従来の方針にのっとりまして、具体的な問題については意見を述べていきたい、かように考えております。ただ、地域地域環境状況が違いますので、その地域に応じた適切な意見を述べてまいりたいということが基本的な態度でございます。
  8. 島本虎三

    島本委員 やはり今後の他の道府県への指導という面から考えたら、両省ともに、いまのような事態を十分認識された上に立ってこれを指導するのでなければ、これはだめだ、こういうように思います。いま部長のほうから、汚染度の高いところはいたしかたない、こういうような答弁もありました。私はそれで、また同じような状態で、千葉県でも建設予定のいろいろな場所があるそうですが、そっちのほうからやはり、その条件が違うじゃないか、同じにやれるはずのところ、汚染度が高い場所、これによってもなおかつ千葉県の場合には、千葉五井姉崎の三カ所、これは一・八%の硫黄分重油を使用して、これが四十八年で一%下がるだけで、〇・一%とはこれは段違いである。これでは困る、こういうような意見が出されており、当然他のほうからもこれと同じような問題が提出されると思います。私は、これでいいほうがいいのですから、よいほうに右へならえするのは正しいのですから、それに対する対策は十分考えなければならないと思います。千葉県の場合には、これはいけないという理由はないと思います。この点、やはりできる限り良質の燃料をたけばいいのですから、これがないというのならいたしかたありませんが、これは指導すべきである。それと同じに措置があるはずですから、その措置としても、脱硫装置をまた別に考えるとか、また、その拡散を十分やって納得させるとか、いろいろあるはずですから、これは同じようなところまでにして希薄して、これを納得させるべきである、こういうように思います。これは千葉県のものだけこういうように紛争しているということは解しかねるのですが、これはやはり東京都と同じように解決さしてやるべきだ、こういうように思います。通産省、いかがですか。
  9. 矢島嗣郎

    矢島説明員 他府県に対する影響について御質問があったのですが、たまたま千葉県の件に言及されましたので、千葉県を例にとりまして、いまの問題について御返事させていただきたいと思います。  千葉県につきましては、五井姉崎あたりが一番強いわけですが、五井姉崎地区大気汚染防止について、昭和四十一年度に、通産省千葉県の協力を得まして、いわゆる産業公害総合事前調査というのを実施いたしました。この産業公害総合事前調査は、四十七年度までのものを全部カバーいたしまして、もちろん電力会社だけではなくて、石油精製その他すべての大規模工場を全部カバーいたしまして、具体的にいいますと、五井姉崎に現に立地している十三社十四企業と、それから今後立地を予定しております八社九工場、合計二十一社二十三工場というものを対象にいたしまして、現地調査風洞実験拡散理論計算、この三つの手法を用いまして、四十七年度までの大気汚染を予測するとともに、同地区における最悪の風向、風速、そういうもとにおいても、大気汚染防止法に基づく緊急時の措置が必要とされる事態が生じないというようなための必要な措置を、いま言った二十三工場について指導して、具体的にいま先生のおっしゃった煙突を高くするとか、燃料を下げるとか、いろいろな諸般措置指導したわけでございます。その結果は本年の五月に千葉県と共同で発表いたしましたが、その結果、いま言ったような関係で、四十七年度まで二十三工場全部について行政指導した結果は、問題は生じないという結論が出ておるわけであります。  御指摘東京電力につきましては、三発電所ありますが、現に建設中の姉崎の第三号機のみならず、四十七年には着工するかもしれない姉崎の第四号機までの増設計画調査対象としておりまして、この調査に基づく諸般公害防止施設措置が講ぜられれば、姉崎発電所の四号機までの増設が行なわれましても、同地区大気汚染については問題は生じないということに相なっておるわけでございます。そういうわけで、御指摘千葉につきましては、もうすでに相当前から十分な調査と十分なる指導が行なわれておるような次第であります。
  10. 島本虎三

    島本委員 相当前から十分な調査が行なわれているということ、知らないわけじゃありませんが、公害基本法ができたのは去年なんです。去年の八月に、環境基準その他いままでにないような、いわば新しい立場に立ってそれを決定し、指導するようになったことは御承知のとおりなんです。その新しい一番の問題が、いまの東電東京大井埠頭の問題だ。それに次いで起こっているのがいまの千葉なんですから、決定されたそれ以後、ほとんど向こうのほうに対しては重点的に今後指導しなければならない工業地帯でしょう。その方面にこういう問題が起きたのですから、これはそれでいいというような時点はもう数年前です。これからはこれでいいはずはないのです。新たに考えなければいけない。ことに行政上の措置として、東京はいいけれども京葉工業地帯はだめだという決定は当然できませんよ。どうして差をつけるのですか。ほとんどつながっているでしょう。同じです。煙がこちらから向こうに、向こうからこっちに流れてくる状態でしょう。それはやはり同一歩調でないとだめなはずです。もう一度考え方を改めないといけません。だから私は、大臣でなければだめだというのです。よく答えてください。
  11. 井上亮

    井上説明員 先ほども御答弁申しましたように、大井火力につきましては、東京都の中枢部であるだけでなしに、先ほど説明は舌足らずの点がありましたが、羽田空港に近いために、煙突を高くするとかいうような特殊な措置もとれません。たとえば千葉姉崎では二百メートル、これは日本で最高の煙突の高さにいたしております。でございますが、大井のほうは百メートル足らずの煙突しかつくれないというような特殊な事情もありますし、都心部中枢にあるというような特殊な事情にあるというような観点から、都知事木川田東電社長との話し合いは妥当であると、私は申し上げたわけでございます。しかし公害対策を今後全国的にやってまいるわけでございますが、その基本的な立場は、やはりかねて政府が将来の方向としてきめられました――これは厚生省中心で御努力いただきました環境基準というようなものもあるわけでございますので、そういった点を参考にしながら、各地区のそれぞれの事情に応じて適切な措置を講じなければいかぬ、そう考えているわけでございます。したがいまして、これは地域によりまして、環境汚染程度も違うわけでございます。あるいは地域によりまして、ただいま申しましたように、技術的な意味合いからしましても、公害を防除する施設のでき方――あるいは煙突を高くすることができる地域とかできない地域とかいうような問題もありますし、いろいろそういった事情もございます。それから環境汚染の全体の程度の問題もございます。地域によって、それぞれ対策は異なる場合があり得ると思うわけでございますが、しかし考え方としては、全体として大気汚染防止に役立つような措置を今後考えていかなければならない、そう考えております。
  12. 島本虎三

    島本委員 いまおっしゃったのは、全部私は理解しているつもりであります。私は北海道ですが、往々にして飛行機を利用せざるを得ない場合のほうが多いのです。一たん飛行機着陸進路に入りますと、ほとんど房総半島から羽田へ向けて出るのですが、両方の煙が一体になっているのです。ですから、拡散のできるような状態の、たとえば千葉県の五井、こういうようなところの火力発電の場合では、むしろ〇・一%くらいしか含まないというインドネシアのミナス原油、こういうようなものを、またこれに近いようなものを使って煙突が低くても、これでいいんだ、〇・一%くらいしか硫黄分が出ないんだ。煙突が高かったら、もっと悪質とは申しませんが、これより純度の落ちるやつをやっても拡散はできるはずなんだから、希薄度は高められるはずですから、それは一体になって流れる現状であるということの認識がまだ不足です。空から見てごらんなさい、同じですよ。曇れば同じなんですよ。そういうような状態の場合に、両方とも基準を変えてしまうというのは望ましくない。したがって、これは何らかの方法で同じような状態にしてやるべきである。私はこれが公害対策通産省一つ指導的役割りだと思っているのです。これはそうしないといけませんよ。そうしますか。
  13. 井上亮

    井上説明員 基本的には、先生と私の考え方は違いはないと思っておるわけでございますが、ただあくまでもやはり公害対策でございますから、その地域地域実情、やはりこれが基礎になっての判断と対策になろうかと思います。そういう意味で申し上げたわけでございます。ただ、実情を申しますと、ローサルファーの原重油の確保についても、当面なかなか容易でないものがございます。これはもし物理的にそういったローサルファー重油が確保できる道がありますれば、電力会社はそれを率先入手するにやぶさかでないと私は考えております。そういった入手というような関係がありますので、若干ある地域においてはサルファー分の高いものを使うときがある、ある地域においてはサルファー分の低いものを使う必要があるというようなことに、物理的になろうかと思います。しかし基本的には、地域地域環境汚染程度に応じて、この対策を進めていかなければならぬというふうに考えております。
  14. 島本虎三

    島本委員 同じような結論だというが、やはり違うですよ。最後でいいですから、これはせっかく東京の場合には、ほんとうに厚生省通産省がせめてこれまでやりたいと思ったこと、いろいろな関係があってできなかったことが、都知事現地において社長との間で協定が成立しているのです。これは結果として望ましいし、いいのです。これを下回らないように、またこれを基準にして、今後やはり他の方面で同じような傾向のある場所には指導すべきであると思うのです。大体前にきまったからこのとおりでいいだろう、私に対してそういうことを言ってもだめです。公害基本法をもう一回やり直して――あれかできた以後は違うのですから、したがって、千葉その他についてもこの基準参考にして、十分今後はその指導をすべきである、私はこういうようなところが力点なんです。同じだったら、こういうふうに言っても差しつかえないわけです。それでいいでしょう。
  15. 井上亮

    井上説明員 要するに、先ほども申しましたように、地域地域におきます環境汚染程度に応じて対策を立てなければいかぬことは申すまでもないわけでございます。それから同時に、公害防除施設のできる、できないという物理的な事情もありますから、それに応じてまた、ローサルファー重油を使う問題とか、あるいはローサルファー重油がどうしても物理的に入手不可能な場合には、煙突を高くするとか、あるいは集じん装置をさらに強化するとかいうような措置を講じなければいかぬ地域もありましょう。地域によっていろいろな対策措置が違ってまいると思います。違ってまいると思いますけれども、しかし目ざすところは、やはり環境汚染をできるだけ防止していくという点でございますから、その意味で、私は先生と基本的には違わないと申し上げたのでございます。やはり実情に応じて対策を立てていかなければならぬ、そう考えております。東電におきましても、千葉地区現状程度の原重油の使い方、サルファー分現状維持でいいとは少しも思っておりません。年々できる限りローサルファーのものを使っていくという考えはあるわけでございます。しかしこれも物理的な関係もございますから、そうなりますと、今度は大井と違いまして、煙突を高くする、集じん装置をつけるというような別な手段で対策をやらざるを得ないというような事情でございます。したがいまして、そういった意味合いで、私は地域地域汚染状況とかあるいは物理的な問題とか、こういったものをあわせ考えて善処すべきだ、こう申したわけでございます。
  16. 島本虎三

    島本委員 結論です。いまのようなところの状態は、これはやはり東電建設予定姉崎ですか、この火力発電所の四号機、現実にこれを認められないといってきているから、これは重大な問題です。しかし大体東京都の十三項目にわたるこの了解事項、これと同一でないまでも、それだけの効果をあげられるような基準通産省が示して十分指導し、こういうようなことがないように善処させるべきであると思うのです。これはすぐやるべきですよ。いかがですか。
  17. 井上亮

    井上説明員 お話しの千葉におきます発電所建設につきましては、十分今後も、東京電力をして地元と協議をさせたいというように考えております。
  18. 島本虎三

    島本委員 少し急ぎます。  厚生省のほうにちょっとお伺いしますが、来年度の公害防止対策方針はもうきまっている、こういうようなことを聞きました。その中で、水質汚濁関係で、イタイイタイ病の原因、いわゆるカドミウム流出状況調査、この中で北海道石狩川ほか全国四河川の調査をきめるということのようです。カドミウム北海道石狩川汚染の役を果たしているというようなことは、私どもも心配しておったことなんですが、これはカドミウム石狩川との具体的な関係がはっきりしているのですか。
  19. 武藤き一郎

    武藤説明員 来年度の予算要求を発表した際に、カドミウムあるいは水銀等重金属調査を行なうというような内容がございまして、その中に石狩川カドミウムの問題があるわけでございます。石狩川上流の白井川に沿いまして日本鉱業豊羽鉱山――先生のほうがお詳しいと思いますが、という鉱山がございまして、粗鉱量月産四万トン、うちカドミウムが〇・〇三%含まれております。この水域は、水質保全法によります指定地域に指定されておりまして、排出口におきますカドミウム濃度痕跡程度だというふうに私どもは聞いております。それからカドミウムによります環境汚染があるとは現在聞いておりません。ただ、いま申したようにカドミウムを若干でも含んでおります。鉱山でございますので、そういう予防的な意味で、来年度の環境調査一つ石狩川のいまの地域を検討したい、かように考えておるわけでございます。
  20. 島本虎三

    島本委員 そういうふうな意味ならばわかりました。十分この問題に対しては――まあ予防的な見地からも十分その実をあげるようにやってもらいたい。いままでのところあらわれていないということは、これは幸いなことですが、その点等についても、今後の問題に重点を置いて、これはやはり指導的な立場でやっておいてほしい、こういうように思います。  それと、次に経済企画庁水質保全法関係工場排水規制法関係で、これは長らくの間だいぶ問題になっておって、いつかこれを改正しなければならないということは、長官からの言明としてあったわけです。しかし、やるのかやらないのかわからぬうちに、今度は特定有害重金属を規制する法律案、これは仮称ですが、こういうようなことも考えている、こういうようなことを聞いているのです。そうすると、全然、水質関係二法をそのままにして、これを別個につくるのか、それとも一緒に改正して、今度三つとも新たに、これを一対ということもないですが、三つ合わせて改正または新たに制定するのか、この辺の関係がつまびらかでありません。と申しますのは、現にあるやつをそのままにして新たにつくっても、それぞれの関係が違うはずなんです。いままでのやつは資源保護、こういうような立場で施行されている。新たにできるものは人命保護の立場でやられる。それぞれ今度また別な観点でこれは行なわれる。トラブルが起きてくる。もう両省の、これは何ですか、いろいろなわ張り争いも当然考えられる。公害はこういうようなことであってはいけませんので、この辺はもう十分考えなければならないはずの問題です。一体これの構想はどうなのか、これはもう発表してもらいたい、こう思うわけです。
  21. 八塚陽介

    ○八塚説明員 私ども先生承知のように、水質保全法につきましては公害基本法も制定されましたので、いろいろな点でさらにそういう観点からの改正をすべきではなかろうかということで、先般検討をいたしておるわけでございます。ただ、いまお話しになりました重金属云々の法律につきましては、私どものほうで必ずしも現在構想いたしておるわけではございません。ただ、いずれにいたしましても、水質をきれいにしておくというためには、水そのものがきわめて多方面にわたって利用の方法がございます。そのものを適切に管理するという場合にも、また関係するところは多いわけでございますから、気持ちといたしましては、必ずしも一つの法律だけできれいにするということを固執する必要はないのではないか、いろいろな観点から水をきれいにしていくということにつとめるべきではないかと思います。一方行政のあり方として、あの方律もありこの法律もあるということも、実際問題として必ずしも適切ではないと思います。いずれにいたしましても、目的に到達すると同時に、行政の効率をあげていくという観点から、もしそういう問題が出てまいりましたら、私どもとしては、それに検討を加えて対処していく、というふうに考えております。
  22. 武藤き一郎

    武藤説明員 新聞にちょっと出ておりました重金属による環境汚染に関する法律の問題につきまして、まだ厚生省といたしましても最終確定はしていないわけでございますが、簡単に、その考え方と、それからいま御指摘のいろいろ法律をつくってなわ張り争いみたいなことになっては困るという点について、若干説明させていただきますと、経済企画庁のほうで所管しておられます水質保全法は、いわゆる地域を指定するわけでございます。したがいまして指定地域でない場所におきまして――先生承知のように、イタイイタイ病も水俣病も、それから阿賀野川の問題も、いずれも指定地域外に起きた問題でございまして、それからまた、工場等は必ずしも川のわきに沿っていない場合もありますし、それから場合によってはどろあるいは魚あるいはその他植物、それから廃棄物のスラッジとか、そういうものによって汚染も行なわれるわけでございまして、そういう点で、私どもがいままでの経験なりあるいは調査に基づきまして現在検討を重ねているわけでございまして、もちろん現行の水質保全法と多少ぶつかる点につきましては、関係各省と十分検討を重ねた上で、どういうふうにしてこの環境汚染防止したらいいかという点については、慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  23. 島本虎三

    島本委員 その点だけは、おそらくこの法律をつくることによって、いままでの懸案が解決される希望のつなげる法律案だろうと思っているのです。これは十分その点を考慮して、経済企画庁なり通産省なり、それと、おそらくは厚生省が主になってこれをやらぬとだめだと思う。その点なんか十分厚生省は自信を持ってやっていってください。この点、私から強く要望しておきたい。厚生大臣はよくこのことは言っているわけです。産業の発達は人間の幸のためにあるべきであって、企業も、人間の健康を犠牲にして利潤追求するような企業は長続きしない、こういうような見解ははっきりしているのですから、そのためにこういうような法律をつくる場合においては、ほんとうに実効をあげるように、十分これは厚生省あたり自信を持ってやらざるを得ないだろうと思います。この点ひとつやることを希望しているのですが、これは間違いないでしょう。この次は出すでしょう。
  24. 武藤き一郎

    武藤説明員 いま申しましたように、いろいろ関係各省と折衝の問題もございますし、調査等も十分行なわぬといけませんので、慎重に検討してまいりたい、かように考えます。
  25. 島本虎三

    島本委員 時間がたって申しわけないのですが、慎重に考えるだけのことでは、まだああいうふうに、新聞に、やや確定したようなことを出しちゃいけませんよ。
  26. 武藤き一郎

    武藤説明員 当方から出したわけではございません。
  27. 島本虎三

    島本委員 しかし、あなたが出したのではないなら、それに対してもう少し配慮を十分しないといけないです。私は、もうすでにあれは出るものだ、こういうようにとっているのです。じゃ、これを出さないつもりなんですか。
  28. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生の期待に沿うように、できるだけ努力したいと思います。
  29. 島本虎三

    島本委員 初めからそう言えばいい。  今度は、これを出さなければならない理由、それはもう言う必要もないほど、皆さんのほうでわかっていると思うのですが、最近、水俣病に関して、何かネコを使って実験したら、廃液に毒物がある事実がわかって、そのネコは死んでしまっている、こういうことがいままでひた隠しに隠されておった、こういうようなことを聞いて、私はあ然としているのですが、水俣病に関して、こういうような事実がほんとうにあったのですか。
  30. 金光克己

    ○金光説明員 水俣病につきまして、先般来工場で、ネコを使って廃液の実験をしたということが報道されたわけでございますが、これにつきましては、私どものほうといたしましても、この水俣病の研究に携わられました入鹿山教授あるいは工場等から事情を聴取いたしておるのでございますが、現在までの時点におきましてはさような事実は、私どものほうとしてはまだ承知していないわけでございます。
  31. 島本虎三

    島本委員 念のためにちょっと聞いておきますが、富山県のイタイイタイ病、熊本のいわゆる水俣病、それと阿賀野川の水銀中毒の問題、これに対しての結論が出ましたか、出ませんか。
  32. 金光克己

    ○金光説明員 まず阿賀野川の問題の結論でございますが、これにつきましては、現在科学技術庁が中心になりまして、関係省と協議をいたしておる段階でございます。協議いたしまして政府見解を出すということになっておるわけでございますが、先般新聞にも、一応まとまったというような報道もあったのでございますけれども、現在なお協議をいたしておるという段階でございます。  なお、熊本の水俣病につきましては、従来食品衛生調査会等で結論が出されておるのでございますが、これにつきましても、政府見解というものがまだ出ていない、かようなことでございまして、これも一応政府見解というものを出す必要があるということで、厚生大臣としては、この問題につきましても近く政府見解を出したい、かように考えておるような状況でございます。  イタイイタイ病につきましては、すでに厚生省見解は発表したのでございます。
  33. 島本虎三

    島本委員 これは五月に、加害者は三井金属鉱業所神岡鉱山というような、いわば厚生大臣から、公害と認めるというような発表があったようです。それと同時に、科学技術庁でも、この阿賀野川の問題については、昭和電工鹿瀬工場が流出した化合物が中毒の原因である、こういうような発表をなすっておるのです。そのほかに、厚生省としては、この熊本の水俣病については、新日本窒素肥料水俣工場の排出したメチル水銀化合物が原因である、こういうふうな見解を発表しているでしょう。新しく来た局長が、そういうようなことについてまたあいまいにされたら、せっかくネコを使って、ネコがその毒物で死んでしまって、こういうことについては厚生省の見解が間違いでないということを、まさにネコが証明してくれた。これをまた人間が逆戻りさせるようなことがあっては、ネコに済まないわけです。こういうような点を十分考えておかないと、救済と紛争処理の解決にならない。そのためにも、もうすぐ法律案を二つ出さなければならないのに、まだこれがわからぬようでは、出せない。昭和二十八年以来百十一名の患者、四十二名が死んで、六十九名が療養中である。それに対してでも、見舞い金が、おとなが十四万円で、子供が七万五千円だ、死亡したら三十万円だ、葬式代が二万円だ、こういうような手当てしか受けられておらない。こういう状態を打開するためにも、早く紛争処理と被害者の救済、これを立法化し、出さなければならないし、もう出すと言っているのです。この基礎になるものに対してまだ見解がはっきりしていないなんて、言語道断です。まだほんとうにそうなんですか。
  34. 金光克己

    ○金光説明員 あるいは、ただいま私、質問を聞き違いしてはいないかと思いますが、阿賀野川の問題につきましては、食品衛生調査会の答申が昨年の八月に出されたのでございますが、厚生省としましては、その際、食品衛生調査会の答申内容をもって厚生省の見解とするということについて、科学技術庁に報告をいたしたわけでございます。科学技術庁としまして、厚生省その他、農林省、通産省意見も聴取しながら、最終的な政府結論をまとめる、かような形になっておりますので、この点につきましては、科学技術庁のほうからお答えしていただきたい、かように思う次第であります。
  35. 高橋正春

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  先ほど金光局長のほうからお答えございましたように、従来お知りおきのとおりの経緯をたどりまして、現在関係各省においての政府の統一見解の取りまとめの作業を行なっております。八月九日の参議院の産業公害特別委員会において、厚生大臣から見通し等についてお答えがございましたけれども、そのおことばのとおり、できるだけ近い機会において統一見解をまとめるべく、ただいま努力中でございます。
  36. 島本虎三

    島本委員 十月までに統一見解をまとめると、あの当時、言っていたじゃありませんか。これもできるだけ近い機会といって……
  37. 高橋正春

    ○高橋説明員 ただいま議事録を持参いたしませんので、正確にはお答えできないかもしれませんけれども、私の記憶いたします範囲におきましては、厚生大臣としては、できるだけ近い機会に出す、近い機会というのは、三カ月とか半年とか、そういうような先の時限ではない――不正確かもしれませんけれども、たしかそういうお答えがあったと思います。その御趣旨に沿いまして、私どものほうも、各省の見解を調整しつつございます。その線でお間違いないと思います。
  38. 島本虎三

    島本委員 したがって、十月ごろまでですね、と言ったら、そのとおりです、と言ったじゃありませんか。
  39. 高橋正春

    ○高橋説明員 議事録を持ち合わせませんので、それ以外に、厚生大臣からどのようなお答えがございましたか、十分記憶いたしておりませんけれども、三カ月とか半年とか先ではないというお答えだけは、私よく銘記しておりますので、かような点におきまして、御了解いただきたいと思います。
  40. 島本虎三

    島本委員 厚生省のほうで、そういうような状態でありまして、もうすでに言明もあり、その原因も明らかになっておるのですから、紛争処理、被害者の救済、この法律だけは次の国会に出さなければならないと思っている、この前、厚生大臣の言明によれば、準備を進めているということであったわけです。準備を進めているのであるから、おそらくもうできかけているのじゃないかと思うのですが、この次には出すのか。これは言明しているのだから間違いないと思いますが、準備の進行の状態はどうですか。
  41. 武藤き一郎

    武藤説明員 紛争処理と救済の法案につきましては、昨年私どもとしては厚生省案を発表し、関係予算も要求したわけでございますが、残念ながら予算もつかず、調整もできなかったわけでございます。その後、本年の春から、中央公害対策審議会の中でも小委員会を設けまして、この問題について御審議を願っております。それと同時に、本年は関係各省とよく話をした上で、昨年のように、最終的に意見が調整できなくて見送りになるということがないように、本年度は先般来から調整なり話し合いを進めておりまして、なるべく早く審議会でもまとめていただき、かつ各省間でも調整を終えたい、かように考えておるわけでございます。
  42. 島本虎三

    島本委員 大事なことですが、時間がないので、この次に延ばします。もう予定の時間を二十分も超過してしまった。それを十分知りながら、ひとつ皆さんの友愛を期待して、最後の質問に入るわけですが、これはどうですか。生活環境審議会の答申で、硫黄酸化物に対する環境基準が出されたようですが、意外に、電力、鉄鋼、石油化学業界、こういうようなところから、同じような立場に立って、あまりきびし過ぎるというような反対意見が出されてきた。こういうようなことを聞いて、われわれのほうとしては少し心配しているのですが、往々にして、こういうような問題になると、通産省厚生省、この中でいろいろ考え方の相違があらわれてくるわけです。この問題に関してはそうあってはならないと思うのです。この基準そのものは、きびしいといわれても、この達成年限、これが十年とか五年とか即時、こういうようにきまっているから、やってやれないわけはないし、これは弾力的なものであって、これだけでやれるじゃないか。しかしやれるだろうかという危惧さえわれわれにあるのです、この中に。これでさえもきびし過ぎるといったら、何もならなくなる。せっかく仏をつくって魂を入れない結果になっては困るのですが、これを出した以上、厚生省も確信があるだろうと思います。変に妥協してはだめだと思います。問題は納得してもらうことだと思うのです。これに対するいろいろな圧力がありますか。
  43. 武藤き一郎

    武藤説明員 特に圧力はございませんけれども、いろいろ御意見が出ております。したがいまして、私どもとしましては、その御意見につきまして、御意見を出された側に十分納得していただかなければいけませんので、現在そういう点について、通産省話し合いを進めております。ただ基本的には、この問題は、先生指摘のように行政上の目標でございますので、地域地域汚染状況によって、それぞれいろいろな条件、達成目標の条件なり施策が違ってくるわけでございまして、そういう点につきまして、影響を受けます関係業界のほうから、いろいろ御意見があるようでございまして、具体的に現在通産省話し合いを進めておるわけでございます。
  44. 島本虎三

    島本委員 これは守られるべき基準であって、不可能ではない、守り得る基準です。守られなければならない基準で、守り得る基準です。若干これはきびしいなんというのは、これは年限があるのですから。その年限はやはり達成年限でしょう。達成年限だとしたら、これを延ばされるおそれのほうが大きいのです。ですから、これはきびしいということがどこを押したら出てくるかわからぬ。これは通産省、よく指導しなければいけませんよ。これは一つの努力目標なんです。目標がきびしいということはあっていいけれども、これは達成年限ですから、最後がついているのですから、これに対して、これじゃだめだからこの基準を改めろ、こういうようなことに対しては応ずべきじゃないと思うのです。これはあくまでも守って、そして公害基本法の実をあげさせなければならない、こう思うのです。通産省関係は態度が弱くなっては困るんですよ。この点は厚生省と握手しながら十分やる確信がありますか。
  45. 矢島嗣郎

    矢島説明員 公害の発生が非常な社会問題を起こしている現状では、通産省としては、国民の健康保持、生活環境を保全する観点から、環境基準をできるだけ早く設定しなければならぬと考えております。同感であります。具体的な基準につきましては、先般厚生省の生活環境審議会の答申が出ましたので、これを基本的には尊重いたしたいと思っております。ただ先生がいまおっしゃいましたように、守らなければならないということでありますので、実行可能なものでなければならないというふうに考えております。たとえば、さっき先生から御指摘があったようですが、脱硫の問題、重油の脱硫対策の問題は非常に大事で、こういうものをさっきの千葉の話の以後の問題として、脱硫計画をできるだけ促進するようにする。たとえば四十五年度一・七%というのがありましたけれども、これをさらに下げるというような方向で努力をしておるわけですが、たとえばそういうような脱硫計画のようなものがどういう状況になるであろうか、この場合に、全国の低硫黄重油の供給計画がどうなるであろうか、そういう点の配慮も十分行なった上で、この環境基準というものをきめたいと思っております。
  46. 島本虎三

    島本委員 これは、基準は修正させるべきではない、こういうふうに私は思っております。最後まで両省とも、これでもって行政努力をしてもらいたい、こう思いますが、この見解をはっきり承って、もしはっきりしなければもっと続けますが、そのとおりやるというなら、これで終わりたいのです。
  47. 武藤き一郎

    武藤説明員 答申の線に沿ってきめたいと思います。
  48. 矢島嗣郎

    矢島説明員 答申を尊重いたしまして、行政上の目標として、実現可能なものにしたいと思っております。
  49. 島本虎三

    島本委員 少しことばが長過ぎましたけれど.も、しかしまだこれで意を尽くしません。まだまだありますけれども、きょうはだいぶ時間を超過しましたから、これでごかんべん願って、委員長のあたたかいお取りはからいを感謝しながら、これで終わります。
  50. 山崎始男

    山崎委員長 河上民雄君
  51. 河上民雄

    ○河上委員 去る九月八日以来の新聞で、二つの水俣病について、政府の最終的な結論が近く出るという報道がなされております。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 その問題につきましては、ただいま島本委員からも御質問があったわけでありますが、私はこの水俣病の問題について、この時期において、政府の態度をお尋ねしたいと思います。  いまの島本委員の御質問に対する御答弁では、まだ発表の時期はきまっていないというようなお話でございますが、しかし同時に、先般の参議院の厚生大臣答弁で、近い将来、それは三カ月、そういう長いものじゃないというお話しですが、念のため、それは九月中というように理解してよろしいでしょうか。
  52. 高橋正春

    ○高橋説明員 先ほど島本先生の御質問にお答え申し上げましたとおり、なお各省庁が意見の調整中でございますので、この経緯によりまして、本日の段階では期日を明定することができませんのは、たいへん申しわけなく思います。したがいまして、繰り返しのお答えでたいへん恐縮でございますけれども先ほど厚生大臣の御答弁を引用いたしましたように、三カ月ないし半年というような長期を意味するものではない、こういうような意味合いのことで御答弁申し上げる以外には、現時点におきましては、ちょっとむずかしいのではないかと思います。
  53. 河上民雄

    ○河上委員 それでは、ただ数字を当てはめていけば、十二月中ないし十一月中ということではない、もちろんそれ以後ではない、というふうに理解してよろしいわけですね。
  54. 高橋正春

    ○高橋説明員 御答弁が八月の九日でございましたので、数字的に換算いたしますと、先生のおことばどおりに相なると思います。
  55. 河上民雄

    ○河上委員 いずれにせよ、こういう問題は早く結論を出していただかなければならないと思うのです。御承知のとおり、水俣の場合は、昭和二十八年から三十五年にかけて百十一人の発病を見、四十二人の方がなくなられておりますし、新潟でもすでに五人の方がなくなられ、二十六人あるいはそれ以上の方が発病しておられるわけでございます。水俣病が発生をした。そして社会的に注目を引いた当座、小説家の水上勉さんが「海の牙」という小説を書いておられます。この小説は水俣病それ自体よりは、それによって起こった、水潟という仮名でありますが、その町の混乱した状態の中で発生した一つの刑事事件を小説にしたものでありますけれども、しかしその中に冒頭、水俣病第一号のなくなられた患者のことが描写されておりまして、それを先般あらためて読んだのでありますが、非常に悲惨な状態でなくなられております。こういうような形で、水俣病が始まりましてからすでにもう十年以上たっておりますのに、いまに至ってようやくこの病気についての政府結論を出すという、あまりにもおそ過ぎた認定という感を深くするわけでございますが、こういうような問題につきまして、政府は適切な処置をとらなかった責任というものをどのように感じておられますか。この結論を出すにあたって、私は、同時に、政府のおそ過ぎた認定に対する責任も明らかにしていただきたいと思うのであります。政府のいよいよ結論を出されるにあたっての所感というものを述べていただきたいと思います。
  56. 金光克己

    ○金光説明員 熊本の水俣病の認定がおくれたということについて、政府として、そのおくれたことに対する責任はどう考えておるかということでございますが、御承知のように、この水俣病という水銀によります一つの疾病につきましては、日本で初めてこういった集団的な発生があったというようなことでございまして、その後、学問的にもいろいろの角度から検討されてまいりまして、おおむねその全貌というものは判明してまいっておるわけでございます。そういうことと、もう一つは、この患者対策につきましては、工場側におきましても、これに対するいろいろの見舞金とかあるいは年金とかというものを支出いたしており、また国におきましても、医療費につきまして、あるいは研究費等につきましても努力してまいるというようなことで、結論としましては、はっきりした政府見解というものは正式には出されていなかったということでございますが、措置としましては、完全とは――もちろん満足のいくものとは必ずしも思いませんが、それに対しては措置はとってきたというような経過をたどっておったわけでございます。そして、今回新潟県におきまして、再び阿賀野川で、同じようと申しますか、同じ種類の疾患が発生したというような経過をたどってきたわけでございます。こういうことで、阿賀野川の問題は、現在科学技術庁におきまして、政府見解をまとめていただいておる段階でございますが、おそきに失したのでございますが、かような、いままであんまり日本においても発生していなかったという疾患であり、科学的には十分検討を必要とするという問題等で、いままで熊本の水俣につきましても、相当の期間すでにたっておるわけでございまするが、見解を出されていなかったということでありますが、この阿賀野川の事件と関連いたしまして、この機会に、熊本の水俣病につきましても政府見解を最終的に出したい、かような考えで、現在準備を進めておるわけでございまして、おくれた点につきましては、一つにはやはりこういった非常に新しい疾患でもございましたので、慎重なる経過もとっておった、かようなことでございますので、措置といたしましてはできるだけの範囲のことはしてきた、かように考えておる次第でございます。
  57. 河上民雄

    ○河上委員 ただいま非常に、何といいますか、いわゆるお役所的な御答弁で、私非常に残念に思うのであります。御承知のとおり、水俣病が起こり、また阿賀野川の第二水俣病が起こりまして以来、常に企業が疑われながら、企業からいろいろな反証、反駁の仮説が出されてまいりました。たとえば、水俣病の場合ですと、これは旧軍隊が終戦のどさくさにまぎれて海中に投棄した何か兵器が原因であろうとか、いろんなことを、ちょっとした思いつき程度の仮説をたくさん並べまして、新潟でも、農薬だろうとかいろんなことを言っておりましたが、今日まで約十数年の間に明らかになったことは、企業が出しました仮説は全部つぶれたということなんです。そうやっている間に次々と患者がふえていったのであります。私は、ことに水俣病のほかに、同じような事件を阿賀野川で二度起こしたということは、これはお役所としても、行政としても、また日本の科学者としても、非常に重大な責任を感ずべきだと思うのでありますが、ただいまのお話ではそういう点が全く感ぜられないのを、私は非常に遺憾に思うのであります。ことに、この水上勉氏が書かれた「海の牙」という、水俣病の模様に取材しながら一つの小説を書いておるわけでございますが、この小説の中で、水俣という地名をそのまま使うのを避けて、水潟という地名を使っておるのです。その理由は、同じような水銀を使っている同じような化学工場がある新潟にも、こういう事件が起こる可能性というもの、そういう連想が頭をかすめたので、そこで水俣の水と新潟の潟をとって水潟という地名をつくって、小説の舞台にしたということを書いておられる。一小説家ですら、そういう危惧の念を抱いておられるにもかかわらず、そうしてその危惧が単なる杞憂に終わらなかった、現実に数十人の死者を新たに出したという事実があるのでございますけれども、そういう危惧の念、そういう措置をとろうとしなかった点について、政府はどう感じておられるのか、私はただいまの御答弁から、非常に満足できないものを感ずるのでございます。政府は、水俣病の起こったときに、こういう問題はほかにも起こるという懸念を全然持たれなかったかどうか。その点ひとつ伺ってみたいと思います。
  58. 金光克己

    ○金光説明員 ただいまの御質問でございますが、この水俣病につきまして、科学的にも行政的にも迅速なる措置がとられなかったという点につきましては、もちろん私ども立場におきましても遺憾に思っておるわけでございます。そういうことでございまして、御承知のように、先般、工場からの排水によります水銀の河川等の汚染につきまして、暫定対策要領を出したわけでございまして、今後かようなる発生のないようにという措置を一応とったのでございますが、ただ熊本に水俣病が発生しました当時におきましては、私もその当時のことを詳しくは存じませんが、一応と申しますか、このメチル水銀が原因ではないかという科学的な一応の結論というものが表明されました当時におきまして、厚生省としては、もちろん二度とかようなる――これがかりに明快な結論ではなくとも、こういうことによって、こういった同じような種類の災害を起こすということにつきましては、厚生省としてはもちろん留意いたしておったわけでございまして、ただ新潟県におきまして再び同じようなものが出たということにつきましては、遺憾に思っておる次第でございます。
  59. 河上民雄

    ○河上委員 厚生省にちょっと伺いますが、水俣病が発生したときに魚が原因――水銀中毒といいますか、水銀の蓄積した魚が原因になって病気が起こっているわけですが、人間がやられる前に、ネコが全部ばたばたと死んでしまった。一つの村で、ネコが一匹もいなくなって、そのためにネズミが繁殖して困るというような実態がたくさん出ておった。ところが新潟の場合も、人命が犠牲になる前に、やはりネコが死んでいるというような事件の記録があるようでありますけれども、そういうような問題について、水上さんの小説によれば、ネコがネコ踊りというような状態で悶死するような現象があった場合には気をつけなければならぬというような注意をされたことがあるのですが……。
  60. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いま先生から御質問のありましたことにつきましては、私、当時担当いたしておりませんが、その当時の熊本大学の研究報告及び公式の文書に出ておるところを見ますと、初めに、何の物質が悪いかはわからないが、とにかく魚を与えればネコが病気を起こすということでございまして、それによって、水銀云々ということの問題ではなくて、汚染された魚介類によってこの問題が起こるのだというようなことを厚生省は警告を出しております。それに基づきまして、漁業については自粛して、それをたくさん食べないようにというような措置をとっておりました。しかしながら、これはあくまでも、水銀であるかどうかということが全然判明していない三十一年から三十二、三年当時の学問的なできごとでございます。
  61. 河上民雄

    ○河上委員 最近発刊されまして、新聞の書評欄でも取り上げられております宇井純という化学技術者が書かれた「公害の政治学」という本がございまするが、それによりますると、新日本窒素の水俣工場の付属病院の細川院長が、非常に早い時期に、水銀中毒の疑いがあるということに着目して、そしてネコを使っての実験データがかなり出たにもかかわらず、会社側はこれを抑圧したというような事実が暴露されているわけでございます。そういうふうな事実についてどのように承知し、またそういうことについてどういうような措置をとるつもりか、伺いたいと思います。
  62. 金光克己

    ○金光説明員 これは先ほど島本議員の御質問の中にも、その点があったわけでございますが、細川院長がその当時実験をした結果について、工場内で押えられたという問題につきましては、厚生省としましてもさっそく、当時の熊本大学の研究を担当していただきました入鹿山教授あるいは新日本窒素の工場関係者から事情を聞いております。また県の衛生部にも、その事情をいま聞いて調査をいたしておる次第でございますが、現在までのところ、そういった、隠したとかというような事実につきましては、承知いたしていない状態でございます。
  63. 河上民雄

    ○河上委員 もしそれが事実であるとわかったら、どういうふうに処置をされますか。
  64. 金光克己

    ○金光説明員 その、事実であったらどうかという仮定の問題でございますが、この問題につきましては、仮定でございますし、またその問題がいろいろな立場関係もございますし、たとえば研究班等におきましても、結論的にはそういった事実も含めた研究的なことも行なっておったということもあるいはあるかもしれませんし、いろいろとそういう複雑な事情があると思うのでありまして、これを知ったらばどうかということにつきましては、現在の時点では、私から明快なお答えができないのでございますが、もちろん行政当局としてなすべきことにつきましては、十分手を尽くしたい、こういうふうに考えております。
  65. 河上民雄

    ○河上委員 いまお話がございましたが、水俣病というのは世界的に非常に珍しい事件でございまして、水俣病の水銀中毒説というのも、実はアメリカやイギリスの科学者が水俣へ直接来て、みずから手をとっていろいろと実験をして、その発表した結果が、かなり水銀中毒説へ傾いてきたきっかけであるというようなことを記録で聞いているわけなんですが、もはやこれは世界の学界の大きな話題になっております。世界保健機構でも、この問題について相互に情報を交換すべきであるという勧告を出しておるようでございますけれども厚生省では、近く発表される政府の見解というものを世界保健機構に対して報告されるとかなんとか、そういう具体的な措置をとるつもりであるかどうか、伺いたいと思います。
  66. 金光克己

    ○金光説明員 この一連の水俣病につきましては、すでにWHO、世界保健機構に対しましては一部資料として提供しておるわけでございます。もちろん報告の義務はないわけでございますが、近く結論が出ますれば、また資料として提供したい、かように考えております。
  67. 河上民雄

    ○河上委員 実は水俣病に関しましていろいろな説を出されました清浦博士も、向こうで、世界の学会で発表されて、かなり辛らつな批判を受けたというような事実もあるわけでありまして、近く発表される政府の見解も、単に企業――もういまさらそんなことはないと思いますが、企業に対する遠慮とか思惑とか、そういうようなことから結論を出されるようなことはもはや許されない。世界の注視のもとで出されるわけでありますので、そういう点を十分責任を覚えて出されることを強く希望したいと思います。  なお、もし政府結論が出まして、そして企業の責任が明らかになってまいりました場合、水銀中毒説というものが真理であるということが明らかになってまいりました場合、いままでやってきたいろいろな取りきめとか経過というものが、もう一度新たな観点で顧みられなければならない、再考慮されなければならないと思うのでありますが、そのうちの最も重大な問題は、漁民が工場に対していろいろ紛争を起こしましたあと、例の水俣病に関する紛争の調停案というものが昭和三十四年に出ておりますが、この調停案の内容も再検討する必要があるのではないか、こんなふうにわれわれは考えるわけでございます。この昭和三十四年十二月十六日に、寺本県知事、中村水俣市長など五人の委員で提示されまして、十八日に一応成立いたしました調停案の内容の最後のほうに、県漁連は、新日本窒素水俣工場の質と量が悪化していない限り、過去の排水が病気の原因であると決定しても、一切の追加補償を要求しないことというのが含まれております。これも、考えてみますと非常におかしな調停案だと思うのでありますけれども、今日になってみますると、この部分は非常に重大な意味を持ってくると思うのであります。政府の正式見解が発表され、学界の科学的な結論に基づいて、水銀中毒であるということが明らかになりました場合、それは必然的に、工場の過去の排水が病気の原因であると決定することを意味するわけですが、そうした場合に、あのときの、いわば一時金的なもので、一切企業の責任は追及されないのだということになるわけでございますけれども、こういうことを、政府としてそのまま見過ごしてよいとお考えになるか。この調停案の再考慮というものを促すお考えはないか、伺いたいと思います。
  68. 金光克己

    ○金光説明員 この調停につきましては、御承知のように、地元の知事さんと市長さんが間に立って調停されたと承知しているわけでございますが、問題はその調停のときの内容でございまして、どういう考え方に立って調停をされ、そういった契約を結ばれたかという、考え方が一番根本の問題だろうと思うのでございます。もちろん、日本窒素から出ましたメチル水銀による被害であるというはっきりした断定は、その当時においてはなかったと思うのでございますけれども、調停そのものの内容が、どういう考え方に立っておるかということが一番問題でございますし、その後におきましても、日本窒素としましても、相当の額の補償と申しますか、見舞い金とか、あるいは年金等も支出しておる。そういったような全般の問題を考えあわせて、さらにこれを再検討する必要があれば、地元において検討していただかなければならぬ問題だろうと思うのでございます。したがいまして、現在私ども立場で、これは再検討の必要があるとかというふうなことは、まだ現時点で申し上げることはできないことであろう、かように考えておるわけでございます。
  69. 河上民雄

    ○河上委員 いまのようなお答えでは、世界的な水俣病に対する日本政府の最終的な解決の態度としては、これはちょっと通用しないと思うのです。ただ、いままでの手続がこうなっておるからこうだということでは、これは絶対に通らない問題だと思うのです。いまのようなお答えは、あるいは、大臣でないとそれだけのことは言えないということであるかもしれませんが、そういうことではちょっと困るのではないか。いまや世界が見ておるので、熊本県あるいは日本の中だけの話し合いでは済まない問題になっているわけです。その点は、関係各省それぞれ官庁の実力者と目される人がここに集まっておられるのですから、ひとつ政治的な判断というものは、帰って大臣とよく相談して、もっと高い次元から、日本がいまや公害に国家社会として取り組むという、新たな出発点にするような明快な態度を打ち出していただきたいと思うのです。いまのようなお答えでは、これはもう水俣病にかかった方々あるいはその家族の方々としては、何とも言えない気持ちだと思うのです。結局、われわれは明治二十年来、弱い者が泣き寝入りするということを、公害に関しては繰り返してきているわけですけれども、これはそれをまたここで再確認することになりますので、ひとつそういう点は、いままでのいろいろな手続とか慣例というものを取払って、基礎から考えていただきたい、こういうふうに思うのでございます。ことに私はこの調停案の内容を見て、非常にふかしぎにたえないのは、その第一に、会社は工場排水が将来に向かって漁業に損害を及ぼさぬよう、調停の日から一週間以内に浄化装置を完成させること、こういう内容があります。そして一週間以内に浄化装置を据えたら、それ以後病人は非常に少なくなってきている。たった一週間で装置できるものをやらなかったために、これほど多くの犠牲を出したというこの事実は、いかに企業責任というものがおろそかにされていたかということを、この調停案そのものが示しているように思うのです。聞くととろによりますと、重金属の排出物は、通常の水質検査では問題にならぬほど微量であるというふうにいわれておりまして、どうもいろいろな点から考えてみますと、結局いまの法律体系そのものが、こういう思いがけない大事件を引き起こすようになったのではないか、こんな気がいたします。政府は、今後二度と繰り返さないような予防措置というものを、法律面あるいは行政指導の点で、断固としてやられるということを、この水俣病に関する結論を出されると同時に、明らかにしていただきたいと私は思うのであります。  その一つとして、重金属工場排出規制について、今後どういう処置をとられるつもりか。第二に、企業責任というものを明らかにする方法として、企業に、責任なしと立証する義務を、むしろ逆に負わせるような法律体系をつくるべきではないか。そういうことについて政府はどうお考えになりますか。それから、あらゆる新しい製法について許可を与える場合に、公害防止立場から配慮を加えて、これはこれでいいけれども、このままでは公害が起こる可能性がある、もっとこういう点を配慮してから、もう一度申請してこいというような、そういう新製法の特許に関して、公害防止的な配慮を加える。そんなようなことが幾つかあると思いますけれども、何か具体的な措置を、この際水俣病に関する結論を明らかにすると同時にやられることを、私は強く希望したいと思うのです。いま私の申し上げましたのは、私の一つの提案でありますけれども、それについて政府はどういうようにお考えになりますか、お答えを願いたいと思います。
  70. 武藤き一郎

    武藤説明員 ただいまの御指摘の点につきまして、厚生省として現時点で考えておりますことをお話し申し上げます。  第一の、工場から出ますいろいろな重金属の排出の問題でございますが、この問題につきましては、先般八月十四日に、厚生省が先般来から調査いたしました結果に基づきまして、水銀によります環境汚染暫定対策要領というものをきめまして、環境衛生局長通知で都道府県のほうに指示をいたしております。これの詳細は省略いたしますが、これにつきましては、環境汚染状況調査の方法等の基準あるいは分析方法等につきまして、現在考えられておりますいろいろなことを、都道府県に実行するように要請しております。取りあえず水銀につきましては、この暫定対策要領で処理いたしまして、来年以降さらに詳細な検討を行ないまして本格的な対策を考えたい、かように考えております。それから、先ほど島本先生の御質問のときに申しましたように、重金属に対します法案も、一応現在検討を続けておりまして、こういう点からも対策を強化することを前向きで検討したい、かように思っております。  それから、立証責任の転換の問題につきましては、昨年の国会以来、無過失責任の問題と合わせて御指摘がございましたけれども、こういう点につきましても、法務当局と今後十分検討していきたい、かように思っております。  最後の、公害防止措置のいわゆる許可ないしは改善命令等の問題につきましては、あるいは重金属関係の法律をつくる際に取り入れられることができるかもしれませんけれども、この点につきましては、通産省のほうがよりお詳しいので、そちらのほうからお答えを願いたい、かように思っております。
  71. 吉光久

    ○吉光説明員 新しい製法を許可いたします場合に、公害防止等について配慮すべきではないか、こういう御質問であったかと思うわけでございますが、実際問題といたしまして、先ほど来御質問がございましたように、公害のいろいろな態様があるわけでございまして、たとえば先ほど大気汚染の問題でございますとか、それぞれに対応いたしました形で、公害防止の方法の配慮を加えておるわけでございます。ただ残念ながら従来野放しになっておりました部面、要するに技術作業につきまして、許可制でないその部面につきましては、単純な行政指導しかできなかったわけでございます。したがいまして、先ほど来お話がございますように、重金属等につきまして、これを新しく使用いたしますとかどうとかということになりました場合には、それに対応した何らかの許可制が必要である。これは新しい制度を設けることによって対処してまいる、こういうことになろうかと思うわけでございまして、したがいまして、現在法令的に許可制がとられておりますものにつきましては、公害防止基準にのっとりまして、許可の際に条件をつけ、あるいはそれが整理してない限りは許可をいたさない、また法的にブランクになっております問題につきましては、先ほど来のお話がございましたように、何らかの形で許可制を採用してまいる、それによって公害防止してまいる、こういう方法で解決いたすべきである、このように考えております。
  72. 河上民雄

    ○河上委員 すでに私に与えられた時間をだいぶ過ぎているようでございますので、最後に二点ほどちょっと伺いたいと思うのです。  公害問題、ことに水俣病に関連して公害問題を書かれた、先ほども申し上げました宇井という方の化学技術者としての反省の中に、自分自身も水銀というものがそんな大事を引き起こすとは考えずにやっておった、流しておったというようなことを述べておられるし、また水俣病の起こった水俣市の中村市長は、かつて水俣工場工場長をやっておられまして、そして水俣工場における製法といいますか工程を発明された方だ。その発明された工程があのような思いがけない悲惨な事件を起こしたという、この事実が非常に象徴的に示しますように、ケミカルインダストリー、化学工業に関しては常に新しい道が開拓されておる。未開拓のものが非常に多いわけでございます。そうなってまいりますと、そこには化学者をもってしても予測できないような事件が次々に起こるわけでございますので、それによって起こったいろいろな被害、そういうものの賠償責任の問題とかあるいは救済の問題とかいうのは、そういう制度ができてから後に起こった事件に適用するだけでは不十分であって、この問題に関しては、むしろ過去の事件にもさかのぼって適用されるというような姿勢がどうしても必要になってくるのではないか、こういうような気がするのであります。その意味におきまして、先ほど、これは法律とは違いますけれども、水俣の紛争調停案の再考慮というようなことについてお尋ねしたわけでありますが、残念ながらこれは政府の直接関与するところでないというような御答弁でございます。私は、それでは済まないのではないかということを強く申し上げたいのであります。そこでもし来たるべき紛争処理、救済に関する法律が成立いたしました場合には、すでに起こっておりますところの水俣病やあるいはイタイイタイ病などにはこれを適用する。あるいは法律的にできないまでも、その精神で再び新たな角度から処理し直すというようなお考えがあるかどうか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  73. 武藤き一郎

    武藤説明員 現在起きております公害事件等につきましては、あるものは裁判になっております。あるものはその他のそれぞれの法律の制度で方策が、いろいろ調停その他のことが行なわれておりますが、私どもが現在検討しております法律制度が施行になりました時点におきまして、なおかつ紛争が解決されてないというような場合には、関係者からの提訴によりまして、新しい制度での紛争の解決ということも可能になるのではないか、かように考えております。
  74. 河上民雄

    ○河上委員 すでに時間がなくなりましたが、一言、少し問題は変わりますけれども、姫路の出光興産の進出に関連いたしまして、いわゆる三者協定というものが調印されたと新聞に報道されております。この協定につきまして、監督官庁といいますか、政府においては報告を受けておるのかどうか、またこれに対してどういう態度をとっておるのか、ちょっと伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  75. 矢島嗣郎

    矢島説明員 御指摘の出光の石油精製所に関する三者協定は、一昨日、私のほうに県の商工部長以下が来て、正式な書類を提出してありまして、確かに受け取ってございます。内容を一覧いたしますと、二年間にわたって問題があった姫路の製油所に関するいろいろな問題がすべて解決したというふうに書いてあります。公害に関してはすべて問題ないというふうに了解しております。それを許可するかどうかは、私どものほうでなくて鉱山局のほうでやるわけでございますが、協定書を拝見いたしますと、一応問題ないというふうに了解しております。
  76. 河上民雄

    ○河上委員 本日は時間があまりございませんので、この程度で終わりたいと思いますけれども、ただ、こういうような、地方における新しい産業の進出の場合、水俣における新日本窒素が占めていたと同じように、企業がその都市に占める比重というものは非常に大きいわけでございまして、そういうところで結ばれるところのいわゆる地方公共団体企業との協定というものは、とかく住民の立場というものが忘れられてしまう。御承知のとおり、固定資産税とか、もちろん普通の税金はもとよりでありますけれども、そういうような市の収入の半分くらいを占めるというような例が非常に多いわけでございまして、そういうような中で結ばれる場合には、どうしても住民の立場は忘れられるという可能性が非常に多いわけでございます。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、単にその協定の字づらを見てどうというようなことではない、もっと実態に即した、そうして、将来どういう姿になるかという展望を持って判定を下されるように、私は特に強く希望したいと思うのでございます。  時間が参りましたので、私の質問はきょうはこれで終わりにしたいと思います。
  77. 山崎始男

    山崎委員長 工藤良平君。
  78. 工藤良平

    ○工藤委員 私は、大分の奥岳川という川の上流にあります鉱山の鉱毒の問題について、若干質問をいたしたいと思います。  この奥岳川の上流には、従来、ちょうど戦時中でありましたけれども、尾平鉱山の三菱鉱業所というのの採鉱が非常に降盛をきわめた時代かあるわけでございますが、その当時、これは亜鉛、すずを主として採鉱しておったわけでありますけれども、当時これがその地域の水田に非常に影響いたしまして、一時は不毛の地といわれたくらいのたいへんな被害が出まして、当時、国と三菱鉱業所のほうから若干の補償金も得まして、天地返しとかあるいは客土をやりまして、対策を講じたわけでございますが、その後この尾平鉱山が廃鉱になりまして、しばらくの間は非常に安定した生活というものが行なわれたわけでございますが、その後、藏内産業の豊栄鉱業所というのが再び、尾平ではありませんで、ちょっと下流になりますけれども、採鉱を始めたわけであります。ここ二、三年その被害がまた非常に顕著にあらわれてきたということから、特に昨年、ことしと続いた干害がその被害を極端に顕著にしたのではないかというふうに考慮されるわけでありますけれども、たいへん問題になりまして、地元といたしましては、四百ヘクタールあるうちの大体五割程度、二百二十ヘクタール程度が影響されているのではないか、こういうことがいわれておりまして、この問題について、実は特に通産省にお尋ねをいたしたいわけでありますが、亜鉛、すず、あるいは硫化鉄というものの採鉱が行なわれておりますけれども、全国的に見まして、これらが及ぼす公害というもの、これについて、ひとつ大体概況をまずお聞きいたしたいと思うわけでございます。
  79. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 ただいま正確な鉱山数その他のデータを持ってきておりませんのですが、全国的に見ますと、すず鉱山、亜鉛鉱山といいますものは、ほかの銅鉱山あるいは石灰石、そういう鉱山に比べまして、数は非常に少のうございます。それで、その鉱害の発生状況がどういうことになっておるかという点でございますが、先生承知のことと思いますが、亜鉛鉱山につきましては、イタイイタイ病というような問題もございまして、現在この関係公害防止につきましては、特に厳重に監督しておるという状態でございます。  また硫化鉄鉱鉱山でございますが、硫化鉄鉱は銅とか鉛、亜鉛を採掘いたします際に付随的に産出されるものでございまして、各鉱山に関連があるのでございますが、この公害につきましては、主として硫化鉄鉱が分解しましたときの坑廃水の水素イオン濃度が酸性に傾くという問題が大きな問題でございまして、この点につきましては、石灰によりまして中和をするということによって十分防止ができるという体制になっております。そういう点に主体を置きまして、中和を厳重に行なうということで現在監督しておるわけでございます。
  80. 工藤良平

    ○工藤委員 亜鉛、すず、それから硫化鉄の採鉱の際に地下から出てまいります水の問題ですが、非常に強度の酸性による水の問題と、もう一つは、この製錬の過程にどのような工程の中で有毒なものが排出されるのか、その点もひとつお聞きしたいと思います。
  81. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 鉱山に、坑内水と言っておりますが、坑内水にこのような硫化物のような鉱石が入っておりますと、どうしてもそれが酸性に傾くわけでございます。それからまた選鉱につきましては、鉱石によりましていろいろな製錬法がございます、乾式製錬とかあるいは湿式製錬とかいろいろな方法があるわけでございますけれども、その製錬方式のやり方の違いによりまして、排水の性格というものも幾らかずつ変わってきます。いずれにしましても、すべて公害を起こさないという観点で中和をする、あるいは沈でん池をつくりましてそこへ有害物は沈でんさせて、それを堆積場に堆積さすというような形で、監督を行なっておる次第であります。
  82. 工藤良平

    ○工藤委員 この地帯は従来は非常にきれいな水で、アユまでも生息していた地域なんでありますけれども、この三菱鉱業所の採鉱以来、現在もそうなんですが、一匹の魚も生息していないわけで、地域住民としては、現在被害としてあらわれておりますのは、水稲あるいは麦、タバコ、特に麦、タバコというのは酸性に非常に弱いものですから、これが顕著にあらわれておるわけでありますが、見方によっては、水が非常に冷たいということから、いわゆる水田の水口といわれる地域は萎縮病みたいなかっこうに病原があらわれてまいりますから、そういう理解もできるのですが、麦、タバコという酸性に非常に弱い作物が非常に被害が大きいということも報告されておるわけで、そういう点からいたしまして、特に酸性に転化しておる水田の被害が大きいわけであります。この点につきまして、通産省のほうとしては、この坑内水並びに製錬の際に出てくるいろいろな廃液という問題を、若干の中和をすることによって完全に防除できると理解しておるのか、現実に川には一匹の魚も生息していないという状態からいたしますと、やはり相当な被害は出るのではないだろうか、こういうように予測されるのですが、その点についてはどうでしょうか。
  83. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 酸性の水が流れますと、やはり土壌が酸性化いたしまして、農作物に被害を与えるということは当然のことでございます。それで酸性の水を中和することでございますが、現在、石灰を投入することによりまして水を中性にする。したがって、農業被害をなくするということは技術的にも十分効果があるとわれわれ考えております。しかしながら、設備ができましても、その中和が完全に行なわれていない場合には、やはりそのものが酸性に倣いていくということで、やはり農業に被害を与えるということもあり得るというふうに考えなければならないと思っております。
  84. 工藤良平

    ○工藤委員 問題は、これが完全に中和をされ、あるいは沈でん池によって十分に沈でんされたものが――いずれ川に流れ出ると思いますけれども、そういう措置がまず前提条件だと思うわけでありますが、私も現地に参りまして、他の地域のことは知りませんけれども現地を見てみれば大体わかりますが、たいへん原始的な――原始的なというと工場側に対してはたいへんよろしくないわけですけれども、原始的な採鉱というものが行なわれているのではないか、こういう感じを極端に受けるわけであります。たとえば、石灰で中和する施設が、坑内水を中和する場所にあるわけでありますが、これはやはり人手によって、スコップで石灰を入れるということでありますから、ときどきによりまして、中和する場合と中和をしていない場合とがありますので、やはりこういう施設というものは、通産省のほうで相当厳重に何らかの措置を講じてもらうというようなことができないのか。こういうまとがやはり被害を非常に大きくしているのではないかというふうに思いますので、その点についてはどのように把握をしているかお聞きしたいと思います。
  85. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 ただいま先生からお話しございました豊栄鉱山でございますが、これは大野川の上流にございます奥岳川のまた上流にございまして、労働者約百二、三十人で、おもにすずと銀を採掘している小鉱山でございます。鉱山の排水処理の設備はすべて認可施設になっておりまして、各監督局長あるいは監督部長の認可を取けて初めて使用することが認められるという状態になっております。従来、この河川につきましては、私のほうが福岡の鉱山保安監督局から報告を受けておりましたところによりますと、PHも中性であり、その他そう農業被害を与えるというようなものではないというふうな報告を受けておったわけでございます。しかしながら、先月の十日前後と思いますが、大分県当局から福岡の監督局のほうに連絡がございまして、奥岳川流域の清川村で農業被害があるというような報告を受けたわけでございます。したがいまして、先月の中旬、監督官を現地に派遣いたしまして、鉱山の排水処理施設につきまして検査を行なったわけでございます。監督官が現地で検査をいたしましたときに、若干鉱排水処理設備に不備な点もあったようでございます。その点につきましては、現地で即刻改善するよう指示を行なっております。また、現地監督の際にとってまいりました川の水あるいは鉱山排水を、現在分析を行なっている段階でございまして、この結果が出ましたときに本格的な防除対策というものを鉱山側に指示したい、このように考えておるわけでございます。
  86. 工藤良平

    ○工藤委員 いまちょっと鉱山内容について触れられましたが、生産量は亜鉛が一番多いようでございます。それからすずと硫化鉄。現地に参りますと、硫化鉄は、御存じのように、近ごろ石油化学の脱硫装置で硫黄が売れないということで、硫化鉄はそのまま沈でん池付近に放置しておるわけであります。これは雨でも降ればほとんど川に流れていくというような状態が現場としてはあるわけでございます。しかも亜鉛、すずというような採鉱でありますから、イタイイタイ病というほどにいかないにしても、これがそのまま放置されますと、水田だけではなくて、人体にも若干影響が出てくるのではないかということが心配されているわけであります。特に先ほど申し上げましたように、かつて天地返しあるいは客土という大々的な土地改良をやってまいったところでありまして、今度の場合に、これは被害が累積したからといって、再び天地返しするということは不可能になってくるわけであります。現に天地返しをいたしまして酸性土壌が下にありますので、これ以上天地返しということは不可能になってまいりますので、地元としては補償要求は現在のところしておりませんが、とにかく何らかの措置を早く講じていただいて被害の防止をしてくれという、最小限の要求でありますので、これはできるだけ早く通産省としては適切な措置をとっていただかぬと、その上流には他に鉱毒を出すところはないわけでありますから、歴然としておると思いますが、できるだけ早くその措置を講じていただかなければならぬのではないか、こういうように考えるわけであります。  それと同時に、厚生省のほうにもちょっとお伺いしたいわけでありますが、こういう亜鉛あるいはすずの採鉱をやる場合に、この鉱毒が人体に影響があるのかどうかという問題、これはいろいろ量によってあるいは条件によって違いましょうけれども、これは一般に公表してくれては困るということを地元の人は言っておりますが、この奥岳川の上流の鉱山に近い流域では、精神病患者が非常に多いということが、役場の調査では明らかにされているわけであります。それが直接影響するかどうかということはたいへん問題があろうと思いますけれども、これは厚生省にちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、たとえば家畜の場合には、この水を飲みますと、下痢を起こすとかいうことで、家畜用の飲み水も全然別にとらなければならぬという状態が、ここ二、三年のうちに非常に顕著にあらわれてまいっておりますから、そういう点についても若干見解をお伺いしておきたいと思います。
  87. 武藤き一郎

    武藤説明員 藏内鉱業のことにつきましては、厚生省といたしましては、実は初めて先生からお伺いしたような状態でございまして、直ちに大分県のほうに、飲料水あるいは健康問題に影響を与えるようなことがないか、あるいはその予防の措置を十分とるように指示したい、かように考えております。  先生のお話しの亜鉛、すず、硫化鉄、その他いろいろのそういう重金属の健康に及ぼす影響等につきましては、あとで公害課長から話していただきますが、たとえば私どものほうの水道の基準では、そういうものについてのいろいろ基準がございます。したがいまして、かりに水道でなくても、井戸で食物を洗うとか、その他の措置が講ぜられていますれば、そういう水道等の基準参考にしまして、十分な行政指導が必要ではないか、かように考えますので、その点もあわせて検討するように指示したい、かように考えております。
  88. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いまの御質問がございました重金属のグループでございますが、亜鉛とかすずというものが水質汚濁をして人間に影響を及ぼした事例がよその国にあるかというと、そういう事例は、私ども現在全然握っておりません。ただ水道におきましては、亜鉛につきましての基準を一PPMというぐあいに出しておりますが、いわゆる根拠を調べてみておりますけれども、どうも水の処理の面から出されているような文献が多うございまして、人体の影響からきめられたものかいなかということは、なかなか、私ども一番もとの文献に実は当たっておりません。いまおっしゃいましたような鉱山でしたら、ほかにカドミウムとかそういうものがあるかどうかということで、実際にいままで経験を積んだ問題があるかどうかということにつきましては、先ほど部長がお答えしましたように、一度県のほうに照会をして、金属の分析をしてみる、それによって総合判断をいたしたいと思います。
  89. 工藤良平

    ○工藤委員 この問題については、特にこの地域の住民が、従来これを飲料水として簡単に使っておったという例もありますし、また、下流の三重町というところは、この水を実は上水道に使っているということで、非常にこの問題が新たな問題として提起されておりますので、この点については、通産省はちようど八月に三日間か調査をしたようでございますけれども、ぜひ厚生省のほうも、これは県のほうを通ずるなりして、県は独自の調査をやっておるようでありますが、そういう立場から、人体に及ぼす影響があるかないか、詳細な調査厚生省としても実施していただくようにお願いをしておきたいと思うのであります。  さらに、これは話をもとに戻しまして、通産省のほうでございますが、ぜひこの鉱山、豊栄鉱業所の設備の問題については早急に指導していただかなければ、地元としてもたいへん心配いたしておりますから、できるだけ早くそういう措置を講じていただくように、お願いしたいと思います。その点、いかがでございましょう。
  90. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 現在、福岡の監督局のほうでも対策につきましては検討中のようでございます。したがいまして、先生の御指摘がございましたから、なるべく早くこのような防止施設をつくるように指導していきたいと思っております。
  91. 工藤良平

    ○工藤委員 それではもう一つ、これは、さらにその上流に、かつて、さっき申し上げました廃鉱になりました三菱鉱業所の廃坑があるわけですが、これから坑内水が依然として出ている。それも、相当強度の酸性の坑内水だということを私ども聞いておるわけですが、この廃坑になった坑内水の処置、これは一体どうしたらいいのか、通産省のほうとして、指導方針があれば明らかにしていただいて、できるだけ早急にこの問題とあわせてやっていただかなければ――一方のほうはまだ現実に作業をやっておるから話ができるといたしましても、廃鉱になった三菱鉱業所の問題はどうするか、その点についても明らかにしていただきたいと思います。
  92. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 三菱金属鉱業の尾平鉱山でございますが、現在採掘を休止いたしまして、廃山状態にあるわけでございます。しかしながら、休廃止鉱山につきましても、鉱業権者が当然公害防止するという義務は負っておるわけでございます。この点につきましても、福岡の監督局を通じまして、今後被害を起こさないように厳重に監督してまいりたいと思います。
  93. 工藤良平

    ○工藤委員 その点については、国会の答弁ということではなくて、具体的にひとつ指示をしていただいて、その結果については、後日またぜひ報告をしていただきたい、確認をしていきたいと思いますので。よろしゅうございますか。
  94. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 いま先生から具体的にいろいろ硫化鉱の野積みの問題、あるいは石灰中和の投入のあり方、いろいろ御指摘があったわけでございますが、この点につきましても、よく御趣旨を監督局の方へ示達いたしまして、万全の措置をとらせたいと考えます。
  95. 工藤良平

    ○工藤委員 終わります。
  96. 山崎始男

    山崎委員長 岡本富夫君。
  97. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 最初に、飛行場の騒音対策につきましてお聞きいたしますけれども、いま大阪の伊丹空港の地元のほうで、相当いままでしんぼうしたけれども、やかましくてしかたがない、子供の教育に対する悪影響で非常に困っているという問題で、各自治会が相当決議しておる、こういうことはすでに御存じだと思いますが、それについて、先国会あるいは先々国会で相当要求もいたしまして、また前の梶田さんでしたか、熱心にやっておりました。それについて、結局予算が少ないという結論になったわけです。それで、今度四十四年度の予算は、あなたのほうはどれくらい要求するつもりか、あるいはどういう計画を持っているか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  98. 手塚良成

    ○手塚説明員 航空機の公害防止といたしましての騒音対策事業費、これは四十三年度のことしにおきましては、すでに御承知のとおり、五億三千万で、東京並びに大阪国際空港周辺の学校の防音工事を実施いたしました。  四十四年度につきましては、ただいま大蔵省へ予算要求を提出いたしました金額は、十億九千万、昨年のおおむね倍額を要求いたしております。
  99. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 非常に少ないものですが、十億九千万の積算根拠と申しますか、どういう根拠によってそれだけの要求を出したか、これをちょっと簡単にお聞きしたいと思います。
  100. 手塚良成

    ○手塚説明員 この防音工事につきましては、一部地元の負担も必要とすることでございますし、地元の御要求といたしましては相当多数の御要求が出ておりますが、私どもといたしましては、一応数といたしまして、大阪におきましては十九校を対象に考える、東京におきましては八校を考えるということで、ただいまの金額の積算べースにいたしております。
  101. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 すでにいろいろと調査をなさったあとでありますけれども、いまかりに大阪空港周辺の防音装置を要する学校、これは全部で何校になっておりますか。
  102. 手塚良成

    ○手塚説明員 防音工事は、七十ホン以上が一応対象ということになるかと思いますが、七十ホン以上の対象とする学校といたしましては、東京周辺で六十四校、大阪周辺で百十二校、このほか病院等で東京周辺が六十三施設、大阪周辺で七十五施設、こういうことでございます。
  103. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 かりに十億九千万の要求額を全部満たされたとしても、あなたの計画では十九校。いま聞きますと百十二校が大阪周辺ですね。そうしますと、これは何年たったらできるのか。これはもうたびたび当委員会におきましても、私は要求してきたわけでありますが、聞くところによると、航空機の騒音防止法ができたときに予算がついたのが三億、これは当時の政務次官も、スズメの涙だという話だった。これを基礎にして大蔵省と折衝しておったら、地元の人たちはどうしようもない。それについてあなたは航空局として、運輸省として、どういう努力をなさっておるのか。これはどうもぼくは理解に苦しむのですけれどもね。
  104. 手塚良成

    ○手塚説明員 ただいま対象校数を七十ホン以上でお話を申し上げましたけれども、一応非常に問題になるかと思いますのは九十ホン以上、これが学校におきましては改築の対象となる校数でございます。ただいま東京周辺で六十四校と申し上げましたが、この改築の対象となる九十ホン以上というのが、東京周辺では三十五校ございますし、大阪周辺では六十七校ございます。私どもは、まずこういった改築対象、九十ホン以上のものを早急に処理をしたい。したがいまして、この三十五校のうち、四十三年度までに手をつけ実施をいたしましたのが十校ございます。大阪におきましては十四校ございます。これに四十四年に先ほど申し上げましたような数が加わってまいりまして、東京におきましては、この三十五校を対象に考えます場合十三校残るかと思います。大阪の場合に四十三校残ると思います。東京は十三校でございますが、そのうち東京都自身が、私どもが手がける以前にすでに九校を実施済みでございますので、十五校と九校、二十四校が、東京周辺で手をつけ、かつ終了した数ということになるかと思います。  先生の前々からのお話で、こういったものについての総体の将来の計画というものを早急に打ち立てて、できるだけ早いうちに処理をすべきだという御議論だと思います。私のほうでは、ただいまこういったものをオーバーオールに、大蔵省のほうと実は詰めつつあるというのが現状でございまして、できるだけ早急に、そういった線で対象校を処理したいという考えでおります。
  105. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 これは航空局長さんがかわるたびに同じことを言わなければならぬのですが、五カ年計画とかあるいはまた三カ年計画とか、そうしたスケジュールを立てて、ここまではこうやっていく、ここまではこうやっていくというスケジュールが必要であると思いますが、これはこの前も要求しておいたのですけれども、何せ予算が少ないのでできないということで、一応この前もはっきりした計画が出してもらえなかったわけであります。  そこで、大蔵省の田辺さん、航空燃料が減免になっていることは御承知と思いますが、約千三百億くらいあるそうですが、これについて、運輸省のほうから何かお話があったでしょうか。
  106. 田辺昇

    ○田辺説明員 航空機用の揮発油税の免税につきまして、特にただいまのところ、運輸省から、この免税措置をどうこうという具体的な話はまだ聞いておりません。
  107. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 当委員会におきまして、先国会ですか、私ちょっと日にちは忘れましたが、この問題について、当時航空局の飛行場部長から、検討し、大蔵省のほうに話をしますというような答えがあった。その後手塚さんのほうに報告あるいは引き継ぎといいますか、そういうものがありましたか、どうですか。
  108. 手塚良成

    ○手塚説明員 私まだ日も浅いものですから、あるいは聞き落としておるのかとも思いますが、具体的なそういった問題についてのお話は、いまだいたしておりません。ただ先生のおっしゃる意味は、こういったものをやるについての財源の問題かという感じがいたします。その財源の問題につきましては、実は私どもは、この騒音対策は、空航整備五カ年計画の中の一環として取り進めることに話し合いができております。この空港整備五カ年計画の総事業費は、千百五十億ということになっておりまして、この千百五十億の財源をどうするかという問題は、実は昨年の大蔵省とのお話の際に、一応現在の着陸料を二〇%上げる、通行税を一〇%にするということで、あと不足の分は一般国費から、こういうことで話し合いができて、その線で進めることになっておりますので、本件について新たな財源を検討する必要はないだろうというふうに理解をいたしております。そこで、この五カ年計画の中の総額で一体どれくらい、どういうテンポで組むかということが問題になるかと思う次第でございまして、その点につきまして、先ほど申し上げましたように、ただいま検討中、打ち合わせ中ということでございます。
  109. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 伊丹空港付近へあなた行って住んでみなさい。この前こっちの産業公害からも、実地にわれわれ行ったわけですけれども、もうほんとうにたいへんだ。いろいろの実例は当委員会で何べんも話をしているわけですけれども、結局結論としては、金がないからできない。そうすると、予算措置あるいはまた目的税なんかをつくって、運輸省がどんどん使えるものをつくらなければ、これは解決しないです。今度また少し拡張して大きくなってくる。そうすると、その計画も変えなければならぬし、いま話を聞くところによりますと、ぼくが当委員会燃料税の創設はどうかと言って、検討しますと言いながら、しかしこの問題は大蔵省にも何にも話をしていない。先ほどあなたはそれで十分だと言うけれども現地の人たちがどんなに困っておるか。もう少し、当委員会でわれわれが発言したことに対してまじめに検討し、あるいはまた大蔵省とも話し合う、こういう態度でなければ、あなた聞きっぱなしだよ。これは手塚さんはかわってきたのだからしかたがないとしても、航空局として、当局として聞いておきまっさというような調子では――ぼくら一つ一つ歩いて、足でかせいで、現地を調べてきて発言しているのですよ。また現地の要求はものすごい。ただ机上計算といいますか、これで十分であるというような考えでは、ぼくはけしからぬと思う。一指最初は、何か百億ぐらいは騒音問題だけに――いま千何ぼと言いましたけれども、それは買い取りも全部含めてでしょう。飛行場の騒音対策について、そんなに計上していないはずだ。だから最初の基礎の要するに三億円が少ない。そこへ積み重ねていくのですからね。こんなことでは抜本的な騒音対策はできない。ぼくはきょうはこれを強く要求しておきたいと思います。もう一ぺん頭を切りかえてもらいたいと思うのです。ほんとうに現地の人たちは困っています。  そこで、そういうことを言っていてもしかたがないから、次へ進みますけれども、夜間飛行の禁止、この時間延長を現地のほうからおそらく要求し、また陳情しているはずですが、これについてどういうような手を打っているか、これをひとつ聞かしてもらいたいのです。
  110. 手塚良成

    ○手塚説明員 夜間飛行につきましては、やはり一つ公害といいますか、地元の皆さんとして非常に困っておられるということで、深夜便の運航禁止ということをかねがね実施をいたしております。すなわち午後の十一時から午前の六時までこれを禁止するということにいたしております。ただ最近、特に伊丹の周辺におきまして、こういった深夜の便がふえてきたということで、これをさらに制限をしてくれという御要望が、先生もおっしゃるように出ておるわけでございます。私どももいろいろ検討いたしております。深夜便の内容、それの削減の影響、特に郵便輸送というものが相当この深夜便で輸送されておりますので、そういうものへの影響等を考慮する必要がある。地元で言われておりますのは、そういうもの以外の、いわゆる酔っぱらいを相手にした深夜便というものが飛ぶので、こういうものをやめさせろ、こういうお話でございます。その連中の乗っております姿あるいは実態はそういうものもあるかと思いますけれども、現在実際にこれをビジネスのために有効に利用しておられるという向きもあるわけでございまして、その辺の実情を十分今後検討調査をし、しかるべく対処したい、現在こういう考えでおります。
  111. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それでは、調査をしてその結果を報告願いたいと思います。  時間がありませんから、次にテレビの受信料の助成措置でありますけれども、幅一キロ、長さ二キロですか、基地と同じような考えで、そういうように指定するというようにいま承っておりますけれども、基地は大体ああいう都市のすぐ近郊あるいは都市の中にあるのではない。したがっておそらくこの場合、東京のほうは海のほうに向かって飛ぶし、ずいぶん違うのですが、内陸にあるところのこの空港に同じような考えを持っていくということは、大きな間違いではないか。やはり実情に即さなければいかぬ。この点について、これを拡大する考えはあるかどうか、またあなたからそういう要求をする考えがあるか、これをひとつお聞きしたい。
  112. 手塚良成

    ○手塚説明員 テレビの聴視料を軽減する問題につきましては、かねがね問題が提起されておったわけで、私どもも相当長い間をかけましたけれども、今回各方面の御協力によりまして、事実上これを減免することができるような対策を講じました。航空公害防止協会というものをつくりまして、NHKからの助成金、航空会社からの拠出金、それに船舶振興会からの補助金、こういったものを総合計いたしまして、テレビ聴視料の軽減をする。なおそのほかに、騒音防止法では手の届かないいろいろな公害注文がございますので、そういうものにこのお金をもって対処をする、こういうふうなことをやり、このテレビの聴視料は十月一日から実施に移したい、こういうところまでただいま参っております。その際に、その減免の対象範囲につきまして、先生の御指摘のように、ただいま二キロ、一キロという範囲について考えております。この二キロ、一キロにつきましては、数字といたしましては、軍事基地の周辺と同じ二キロ、一キロでございますが、一つは、その算定のやり方がちょっと違っておりまして、私どもの二キロ、一キロと言いますのは、着陸帯から二キロ、一キロということでやっておりますので、長さといたしましては、飛行機の進入表面下が軍事基地の場合よりは若干長いというふうに思っております。  なお、その軍事基地と実態が違うだろうということは、ある程度そういうことでございますが、軍事基地の場合におきましても、飛行機の種類もいろいろございますし、また軍用機の飛び方、たとえば編隊で飛ぶ場合とか、あるいに特に低空で飛ぶとか、いろいろな姿がございまして、必ずしもこの軍用基地の範囲よりも民間のほうが長くなければならぬという根拠は明確でないかと思います。ただ、これをやります趣旨といたしまして、やはり現実にそういう障害があり、これによって地元民が非常に困る、障害を受けて困っておるということを考えるわけでございますので、やはりそういった情勢に即応するような検討はいたさなければならぬと思います。しかし、ただいま申し上げましたように、これを始めますのがこの十月から実施ということに、ようやく段取りがついたところであるわけです。で、範囲を広げるという問題は、やはり地元の要望としてはもちろん非常に強いかと思いますけれども、やはりやり得ます財政、経済的な内容等の金額面の問題もございますし、その他地元の事情もいろいろあるかと思います。それから飛行場自体につきましても、大阪空港でいえば、現在三千メートル滑走路を新設中で、これが万博に間に合うごとく来年で一応竣工する。東京のほうでいいますと、Bランウェーを二千五百メートルに延ばすというのが四十五年前半でできる、というようなことになりますと、前提条件がだいぶ変わってくるということになりますので、そういう事態におきまして、なお一そう考慮検討を加えたい。当面、十月一日からのスタートにおきましては、いまきめられました二キロ、一キロという範囲で進みたいと考えております。
  113. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 私のほうへ一万数千人の署名が来ておりますけれども、このテレビの減免につきましては実情に即していない。この調査はやはり運輸省のほうでやりませんと、ただ二キロ、一キロでいいのだ、基地とそう変わらないのだ、こういうようなあなたの机上計算では、ぼくは納得できない。調査したのかどうかと聞きたい。しかし調査はしてないはずです。ですから、これはひとつ調査をしてやってもらいたいと思うのです。  そこで、NHKは、これはむしろ被害者のほうになっている。加害者は航空機です。そうしますと、先ほど私が言いました航空燃料の減免、これはもう全然非課税になっている。これは全部出すと三百億近いのですけれども、三百億全部というわけにはいかぬけれども、ある程度の課税をして、そうして目的税をつくって、こういう面に助成をしていく、現地あるいはこの被害者で困っておる人たちにも助成をしていく、こういうようにしなければ――それは日本の航空機を育成するためには必要ですけれども、そのために地元民あるいはまた人命が尊重されないというようでは相ならないと思うのですが、大蔵省はこの航空燃料の課税について、目的税をつくっていいか、あるいはまたつくる考えがあるか、あなた一人ではとてもお答えできないだろうと思うけれども、あなたの考えはどうか、ひとつ聞きたいと思うのです。
  114. 田辺昇

    ○田辺説明員 お答え申し上げます。  たいへんむずかしい御質問で、いささかお答えするにはいかがかと思うのですが、現在の航空機用のガソリン税の免税措置につきましては、いろいろないきさつから、昭和二十七年に設けられたものでございます。その後、揮発油税が道路整備事業のいわば目的税のようなものとして現在使われておりますので、その関係でずっとこの航空機用の免税措置の期限も、道路整備事業の五カ年計画などに合わせて、今日までしばしば延長されてまいったわけでございます。したがいまして、こういうような経緯から見ますると、この免税措置が一応来年の三月末に期限が到来することになっておりますが、従来の経緯ということを強く考えますと、この期限もまた、最近策定されました新しい道路整備五カ年計画、これは四十七年の三月末まででございますが、それまで同様に延長すべしというような意見が強く主張されるのではないか。こういうように考えております。
  115. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 普通のガソリン税は道路を直すため、そうすると航空機のほうは道路は通らない。しかし、それだって相当みんなに迷惑をかけておる。たとえば、いまのテレビのように、あるいは騒音の問題、結局同じじゃないか、こう思うのです。あなたにこの問題を言ったところで、これはどうするわけにもいかない。だから、ぼくは局長か、答弁のもっとはっきりできる人を出してもらいたいということを言ってあったのですけれども、これは次の機会に聞くようにいたします。よくひとつ相談をしておいてください。航空局のほうもよく要求もし――何かへっぴり腰で、大蔵省にものを言うのはおそろしいような、何か知らぬけれども、はっきり相談をしていない。これは先国会でぼくは言うたのですけれども、それについてはまだ打ち合わせも何もできていない。相談もできていない。これじゃ話にならないと思うのです。時間の都合で、この問題についてはまた次の機会に聞きたいと思います。  それで、大体伊丹空港では、内陸では、国際空港としての役を果たすとすると、相当被害が大きくなってくる。したがって、やはり新空港をつくらなければならぬ、こういうように考えるのですが、それについて航空局としては、これは相当抜本的な問題になるけれども、考え、あるいはまた現在どういうような考えを持っておるか、これをちょっと航空局長から聞きたいのです。
  116. 手塚良成

    ○手塚説明員 ちょっと前段にお話がございましたガソリン税の問題に触れさせていただきますが、私どもは、この騒音対策の問題については、繰り返すようでございますけれども、空港整備五カ年計画というものについて、一応財源を含めた検討を終わっておるということで、そのワクの中でどうすべきかということを考える段階に来ておりますので、新たな財源問題をここで考えるのは、いま直ちには尚早ではなかろうか。  なお、ガソリン税そのものは、ただいまの法律によりますと、これは道路を整備する目的税ということになっておりますので、これを直ちに減免をやめます場合には、道路の法律の改正を要します。それをかりに航空に振り向けるという場合を考えます場合にも、実はガソリンの消費が実際に行なわれますのは、空港周辺を飛んでいるときに行なわれるわけではないので、むしろエンルート、航空路を飛んでおりますときに消費が多いということになりまして、そういった周辺の公害とガソリンの消費というのは必ずしも一致しない。したがって、むしろ財源を考える場合には、私どもは着陸料の値上げの問題だというふうに一応考えておるわけです。そこでその着陸料を含めました財源は五カ年計画では、先ほど申し上げたような姿になっておるということでございます。  次に、いま御質問のございました第二空港の問題でございますが、これは伊丹空港自体が、私どもの想定によりますと、昭和五十一年ごろ、いまのままの伸び率でいきますと、大体キャパシティーが一ぱいになると考えております。したがいまして、羽田で十七万五千回のキャパシティーが四十五年に一ぱいになるということから、成田の新空港を手がけましたと同様な意味におきまして、近畿地方において、さらにもう一空港が必要であろうかというふうに考えております。ただその場所、あるいはそれに取りかかります時期、こういった問題については、いろいろな関係がございますので、ただいま慎重に検討をいたしておる最中でございます。この新空港の問題は、先ほども申し上げました伊丹のキャパシティーの問題からだけではなくて、実は先般伊丹の三千メートル滑走路新設に伴って、それに付随した、いま先生の御質問の騒音の関係から、大型機の騒音のやかましいものは、別な影響の少ないところに移転させるべきだという御意見からも、そういう要請が出たわけでございまして、私ども両方兼ね備えて、いま慎重に検討中、こういうことでございます。
  117. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 うまいこと答弁をして、このガソリン税というのは道路を走っているときに使うのだ。そして飛行機は、飛んでいるときはそんなに迷惑をかけるのではないのだ。着陸するとき、あるいはまた――そういう話がいまありましたけれども、そういうことを言うと、理屈になりますよ。発進のときは油を使わないというが、発進のときが一番やかましいのです。あなたがそういう理屈を言うのだったら、こっちもそう言いたくなる。あなたは道路の整備のためにガソリン税をかけたんだ。飛行機は、いまの話では、飛んでいるときはみなに迷惑をかけないのだ、ただ発着のときに迷惑をかける、こういう話ですから、じゃ発着のときは油を使わないのか、こう言いたくなる。そんな理屈はあなた通らないですよ。しかも五カ年計画があるのだからだいじょうぶというけれども、いま現、実におる人たち、小さな子たちは、もうほんとうに鳥はだ立ったり――五カ年待たすのですか。ぼくは無慈悲だと思う。やはり一日も早くその騒音を防止して、付近の人たちが安眠もできる、そういうようにするのが行政じゃないかとぼくは思う。五カ年計画もあるから、ほかに財源は必要ない。じゃ五カ年の最後まで待つ人はどうなるのか、学校の問題でも、ぼくはその学校へも行ってみた。先生は、授業している間に何べんもとめなければならない。あなた、いま言ったのは理屈ですよ。ぼくはそうだと思う。そんなことを新しくなられた航空局長さんが言うとは思わなかった。これはけしからぬ。あなた、やはり大蔵省ともう一ぺん相談して、一日も早く騒音を防止してあげて、そしてみんなが安心して勉強でき、また安眠できるようにしよう、こういうように努力するのが、ぼくはほんとうの政治のあり方であり、また行政のあり方でなければならないと思う。そんなへんてこな理屈を言って、五カ年計画があるのだから、だからそのほかに財源を求める必要はない――じゃ、五カ年を一年でやったらとうですか、どんなにみんなが喜ぶか。そういう理屈は、ちょっとぼくは聞けませんね。まあここでそうして言い合いをしてもしかたがないですが、もう一ぺん頭を切りかえてもらいたい。よろしいでしょうか。
  118. 手塚良成

    ○手塚説明員 私の申し上げました意味は、そういった財源を求める必要がどうしてもあるという場合には、むしろ着陸料のほうの値上げでやるのが妥当ではなかろうかということを申し上げましたので、主体でありますところの騒音について、学校の工事をできるだけ早急にやる、そしてできるだけ早急に皆さんの被害を除くという趣旨においては、私は全く同感であるわけでございます。テレビ等の軽減の問題につきましても、やや異例なやり方ではございますけれども、やはり航空会社等には相当な負担をかけて、これらから対策の拠出金を求める姿にルールをきめております。そういうようなことなどもいたしまして、そういった地元の皆さんの被害を少なくしようということに腐心しておるわけでございますので、先生の御趣旨等については、全く私どもも同様、毎日考えておることです。したがいまして、必要な予算等につきましては、非常な努力を払って、早急にそういう方向に進めるということにいたしたいと考えております。
  119. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 じゃ、もう一度考えをかえてもらって、そしてひとつ前向きに検討してもらいたいと思います。  時間がありませんから、次に、今度、出光石油が、何か姫路につくるというような話を聞いております。これは船舶局船舶検査官の高田さん来ていますね。これが一番問題になってきますのは、油による海水の汚濁問題です。御承知のように、いままでは海水浴場あるいは海で楽しむことができた。それがどんどん海がきたなくなってくる。日本は御承知のように四方海に囲まれておる。どんどんこうして、石油コンビナートだとかあるいはまたこうした油タンクができてくると、当然海水が汚濁されて、魚もくさくなる、そしてノリもとれなくなる。その一つの大きな原因になっておりますのがタンカーのバラスト水です。このバラスト水を海に捨てる。御承知のように、五百トン以下はいまその規制がない。この前の海水汚濁防止法ができたときも、五百トン以上は規制になるけれども、それ以下は、これは港則法で、みだりに捨ててはならないというような状態ですから、特に沿岸タンカーはそう大きなものは少ないわけですが、これはこのままにしておきますと、ますます海はきたなくなってくる。それで、倉内にバラストを積まないで航行できる船をつくらせる。こういう考えはないかということをまず一点お聞きしたいのです。これは高田さんお願いします。
  120. 高田健

    ○高田説明員 大きなタンカーにつきましては、専用バラストタンクを持っておりますので、御心配のようなことはございません。ただ小さいタンカーにおきましては、現在のところは、専用バラストタンクは、船首にフォアピークタンク一個、船尾にアフトピークタンク一個、それぞれ小さいものを持っておりまして、これは量としては少のうございます。空荷のときにプロペラを沈めるに足り、また表を少々の風で流されないで済むに足る程度のものでございます。普通はその状態で航海をして危険はございません。それ以上の強制はただいまのところはしておりません。
  121. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 沿岸タンカーはどのくらいのバラストを積むか、それによってあなたがいまお答えになったのだと思いますが、どうですか。
  122. 高田健

    ○高田説明員 普通に航海いたしますときには、ただいま申しましたように、船尾のタンクにバラストを積む程度で走っております。これは二、三百トンのタンカーでも二、三十トンしか積まないと考えております。で、そのタンクでは、海水を排除いたしましても油で海をよごすことはございません。問題になりますのは、荷物油タンクに油を積んだときでございます。これは相当の荒天になる場合には、荷物油の重量の三分の一ぐらいは積まなくては安全ではないと考えられておりますので、たとえば三百トンのタンカーがございますれば、百トンぐらいは荷物油タンクに水を積まなくてはならぬと考えております。
  123. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 大体私の調べたところでは、外洋、沿岸における平均的なバラストの量は、通常の天候で総トン数の四割から五割、悪天候のときは七割から八割ぐらい積んでいる。これは現実に私は船長に聞いてきたのですからね。そうして貨物船は非常に少ない、しかしこのタンカーが、また暴風になって非常に海が荒れてくると、たくさんバラストを積まなければならぬ、こういう状態のことは、あなたはわかっているはずです。そこで、このバラスト水を捨てる位置も、私は大体全部聞いてきたわけですが、いま海がこうしてよごれていくのは、石油基地へ船が来て、そしてバラスト水をその付近に捨てる、そのために非常によごれているということはあなたも御存じだと思う。だからこの前に全国で六カ所の基地に対してその処理施設をつくったはずなのです。  そこで一つの提案としていま申し上げたのは、油を入れる倉とバラストを入れる倉と別につくるというような指導をし、また改造をさせるという考えはないかどうかを聞いておるのです。
  124. 高田健

    ○高田説明員 タンカーが必要な場合に海水バラストを積みます量は、先生の御指摘では、場合によっては七割にも達するということでございます。普通三割ということを考えましても、百トンの油でよごれた海水を捨てることになるわけであります。これをバラストタンクを強制して専用に設けさせるということになりますと、ただいまの三分の一あるいは三分の二ぐらいの容積を、油を積まない構造として常に設けておかなくてはならないということになります。ただいまのところでは、つまびらかではございませんけれども、外国のルールを見ましても、専用のバラストタンクをあらかじめ設けさせておいて、これを荷物を積まないようにしておくということはやっておりませんし、それをやりますことは、現在の船の構造に対して非常に大きな負担をしていることになると考えております。非常に困難だと思います。
  125. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そういうふうに話されると思ったですが、時間がありませんから、これはこの次にもう一ぺん詳しくやりたいと思いますけれども、船価が高くなるとか、あるいは積載量が減るということはまあわかるわけですが、その考えの裏には、要領よくそこいらに捨てていいという考えを持っていることになる。そういうようなあなたのほうの指導方針であれば、いつまでたってもこの問題は解決しないと思うのです。ですから、この問題についてもっともっと研究し、現実にあなたもよく研究していただいて、そして今度はもっとはっきりとした、ただ積載量がなんだからどうとか、あるいは船価が高くつくからいまの構造ではどうとか、簡単に答えられているかもしれませんが、私は、現在の船はこうしたらいいという設計まで一々ちゃんと調査してある。だから、もう一度よくあなたのほうも調査して、勉強してもらいたいと思います。よろしいでしょうか。  そこで、通産省おりますか。時間がもうないから――出光の問題につきましては、先ほどちょっと話をあなたがしておったけれども地域の人たちは非常に不安がっております。賛成の署名をとっておりますけれども、あの署名のとり方につきましても、何もわからぬうちにどんどんとっておる。ぼくはその一つ一つについて全部調査してきたんです。ですから、もしも公害が起こった場合、何も知らない間に署名したのだということで、地域の人たち、姫路の人たちは非常に不安がっておりますが、その点をよくもう一度あなたのほうから直接調査して、そして万全を期した認可をやってもらいたい。今度の委員会でぼくはこの問題を取り上げて、もっともっと災害対策、いろんなものを私調査しているわけですが、それについて、万全な処置をとった認可のやり方をしないとたいへんな問題になる、こういうことをあなたに強くきょうは要求しておいて、この問題、終わります。
  126. 山崎始男

  127. 中谷鉄也

    中谷委員 時間もないようでありますから、簡単に質問をいたしたいと思います。  公害の基本的な法理については、無過失責任の原則であるとか、挙証責任の転換などということも本日論議をされましたが、はなはだ熟してはおりませんが、私は本日、公害行政の中においてはたしてどの程度適用できるかどうかは別として、クリーンハンドの原則、すなわち白い手の原則というふうなものを何らかの形で導入をして、そうして次のような事実関係について、各省の意見を承りたい、こういうことであります。  まず最初に事実関係について申し上げたい。去る八月の四日から十一日にかけまして、厚生省と和歌山県は、和歌山市と海南市において、主として関西電力の海南火力発電所建設に伴う公害防止等の観点から、大気拡散調査を行なわれた。その調査費用について九百七十三万八千円、厚生省が七百万円を和歌山県に対して補助し、残の二百七十三万八千円が県の負担となっている。その県の負担分二百七十三万八千円のうち、百万円が関西電力という会社から県が寄付を受けた、こういうふうな事実が最近住民の中で若干の論議を呼んでいる。こういうふうな具体的な事実の中で、私は公害行政のあり方についてという観点からお尋ねをいたしたい。  まず最初に通産省にお尋ねをいたしたいと思いまするが、通産省は、昭和四十二年度において、大気拡散等に関する調査を十二カ所、昭和四十三年度において六カ所、四十二年度、四十三年度で計十八カ所の大気に関する調査をされたということを聞いている。なお、水質の調査に関しては、四十二年度に七カ所、四十三年度に五カ所、計十二カ所で調査をされた。そのうち、大気に関する五地区についての報告書がすでに提出をされている。そうしてその調査に関する費用は、ほぼ通産省二分の一、地方公共団体二分の一ということ、ある場合には六対四ということになっている、こういう事実を私は聞き及んでいるが、通産省にお尋ねいたしたいのは、通産省はこれら三十カ所に及ぶ調査にあたって、通産省あるいは地方公共団体が、企業から、この調査に関して、寄付その他の名目をもって金員の負担をさせた事実があるかどうか、そういうような事実がないのかあるのか、この点について、まず事実関係をお答えいただきたい。
  128. 矢島嗣郎

    矢島説明員 通産省におきましては、御質問のように、総合事前調査を四十年度以来何回かやっておりますが、関係企業と申しますか、あるいは調査対象企業から、いかなる名目を問わず、一銭の費用の負担をもさせたことはございません。いかなる名目を問わず、ございません。
  129. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで通産省の見解を承りたい。熟していないということで、私自身も十分に理論的な整理ができていないけれども通産省考え方は、私の言うクリーンハンドの原則というふうなものと何らかの関係があると思う。要するに、調査にあたっては、住民の意思を尊重し、住民感情を重んじ、少なくとも企業から金を受け取るような調査、それ自体において調査としての客観的な価値を疑われるというふうなことがあってはたいへんだ、こういうふうな考え方が、企業からは一銭も金を受け取らないという考え方をなしていると私は思う。要するに、調査は常に白い手でなされねばならないということだろうと私は考える。将来加害者になるかもしれないところの企業、そういうふうなものから金を受け取ることは好ましくないという考え方が、公害行政の基本でなければならないというふうな考え方であろうかと思うけれども通産省が今日まで一銭の金もいかなる名目においても受け取っていないというところのそれは、どんなわけに基づくのか。通産省は受け取ることが好ましくないという前提にお立ちになっていると思うが、それは一体どういう理由で好ましくないのか、今後ともそのような方針は貫かれるのか、この点をまずお聞きしたい。
  130. 矢島嗣郎

    矢島説明員 通産省が従来事前調査にあたりまして一銭も関係企業から負担をとらなかったというのは、全く先生がおっしゃるとおりの趣旨でございまして、先生のおことばをかりれば、白い手でもって調査をやらなければならぬ、言いかえれば、きれいな手でもって調査をやらなければならぬ、こういうことに基づくわけでございまして、それによって調査の客観性というものをいささかも疑われるようなことがあってはならないということでございます。それから、今後ともこの事前調査というものを拡充して、個所もふやして毎年やっていきたいと思っておりますが、その方針については全く異論はございません。
  131. 中谷鉄也

    中谷委員 通産省の見解、きわめて明確な見解として承りました。  次に、いわゆる海南・和歌山におけるところの大気拡散調査の主体であるところの厚生省についてお尋ねをいたしたい。  厚生省は、昭和四十一年に小名浜、昭和四十二年に横浜、同じく水島、鹿島、昭和四十三年において和歌山・海南とともに富山・高岡、大分について、それぞれの地方公共団体と共催のかっこうにおいて、大気拡散調査をなされたということを私は聞いている。そこでお尋ねいたしたいが、昭和四十一年から四十三年に至るこれらの七つの調査について、厚生省は従来和歌山・海南を除く六つの地区調査について、地方公共団体あるいは厚生省が特定企業から、いかなる名目をもってするにせよ、金員の寄付を受けたりあるいは贈与を受けたりして調査したという事実はあるかどうか、また、ないとするならば、今後そのような方針は基本的な方針として貫かれるかどうか。  質問を続けたいと思います。もしそういうものを受け取らないという方針を貫かれるとするならば、それはどのような理由に基づくのか。熟していないということを申し上げたけれども、住民感情の尊重であるとか、調査の客観性がかりに保証されておったとしても、そのような調査というものが疑われてはならないというふうなところの配慮であるとか、あるいは厚生省公害行政に対するきびしい態度、いろいろな理由があろうと思うけれども、受け取るべきでないということであるとするならば、それについての見解をお示しいただきたい。
  132. 武藤き一郎

    武藤説明員 これまで厚生省が行ないました調査につきましては、企業から、何らの理由を問わず、一切費用の援助を受けたことはございません。  それから、今後この調査につきまして、この方針を貫くかどうかということにつきましては、いままでどおりの方針でございます。その理由につきましては、先ほど通産省のほうからもお答えがありましたように、この事前調査は、国民の健康及び生活環境を保全するという立場、それから事前にいろいろ調査をいたしまして、企業立地指導をするということもございまして、いわば国民を守るということと企業を監督するという立場に立って、この調査を行なうわけでございます。したがいまして、やはり先生がおっしゃいましたように、クリーンハンドでこの調査を行なうということが最も望ましいし、またそうであるべきである、かように考えております。
  133. 中谷鉄也

    中谷委員 ところが、和歌山・海南の大気拡散調査については、和歌山県は、関西電力との間に百万円の帯付を受けるというところの約束をなして、すでに百万円の受け入れについては、県議会において議決をしているという事実を私は聞いている。そういうような事実について、厚生省としては、この処置についてどのように考えるか。すなわち、すでに厚生省の基本的な見解というものは明確に示されたと思うけれども、まずお尋ねいたしたい。  和歌山県がそのように関西電力という特定企業から金員の寄付を受けたという事実は、本件調査にあたって、厚生省としては関知あるいはそのような事実について認知しておったか、これが第一点。  なお、現在そういうふうな金銭の寄付を受けるというところの約束があって、まだそれについての履行がなされていないということも聞いておるけれども、これについては、厚生省としては、県に対してどのような行政指導あるいは勧告等をなされるおつもりか。この点について、もし勧告、行政指導をなされるとするならば、それの理由も含めてひとつお答えをいただきたい。
  134. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生の御指摘の点につきましては、事前に県から、そういう寄付を受けて県がやるということについては聞いておりませんでした。この件につきましては、先日県のほうから、先生がお話しになりましたような事実があったけれども、これについては受け入れないようにしたいという申し出がありましたので、その点了承いたした次第でございます。
  135. 中谷鉄也

    中谷委員 厚生省について、重ねて、蛇足ではあるけれどもお尋ねをいたしたい。  従来、厚生省としては、地方公共団体がこの種調査にあたって特定企業から金員の寄付を受けるというふうなことは予想しなかったことであろうと思うけれども、今後そのようなことがあることは望ましいものでないとするならば、本委員会におけるこういう論議の結果をまって、今後、地方公共団体について、この種調査にあたって、特定企業から金員の寄付を受けるようなことは望ましくないのだという趣旨の通達をお出しになる意思はあるかどうか、この点についてお尋ねをいたしたい。
  136. 武藤き一郎

    武藤説明員 いままでそういうことが実は行なわれておりませんでしたし、それから、実は正直な話、そういうことが行なわれようとも考えていなかったわけであります。ただ和歌山におきましてそういう事実が起こりかけたということにつきましては、十分今後とも県を指導していきたい。なお通牒を出すかどうかという点につきましては、なお部内で検討いたしたいと思います。
  137. 中谷鉄也

    中谷委員 自治省にお尋ねをいたしたいと思います。  実は質問にあたりまして、横浜市の例について若干話がありましたので、調査をしてみました。横浜市役所においては、次のような処置をしているようであります。すなわち、横浜における公害行政というものについては、市役所は非常に熱心でありたいということをまず考えている。そこで、たとえば昭和四十二年には八百万を上回るところの予算を組んで、大気拡散大気汚染に関する調査をしたらしい。そこで企業との関係はどうかというと、特定の企業調査しなければならないので、その特定企業に存在するところの煙突等に登る、こういうようなことは市役所の職員ではなかなかできないので、その特定企業の職員の労務の提供、そういう協力をしてもらった。しかし、そういう労務の提供を受けたけれども、そのことが住民に誤解をされてはならない。公害行政というものは、本来主体は地方公共団体であり、国である。公害防止の責任というものは企業に第一次の責任があるということと、公害行政の主体は国であり、市であるという観点からいうと、調査にあたって企業の協力を得るということは、住民にはなはだしい誤解を招くし、行政の主体性を失うものだという考え方に立って、そういう労務の提供を受けたその労務の提供の費用を金銭に換算すると、ほぼ二十万になったらしい。それについて特に市のほうでは配慮をして、特定企業に対して、謝礼金ということで、お礼のお金をもって、そのような労務の提供についても、ただで受け取ったのではないというかっこうをつけている。これがいわゆる行政だということを、横浜市役所の責任者は私に対して話している。いろいろな考え方があると思う。しかし、行政というものは、あくまでも住民の納得の上に立たなければならないというふうに私は思います。財政があって行政がないというようなものは、私は行政ではないと思う。自治省としては、すでに通産省厚生省から明確な答弁があったけれども、この問題については、通産省厚生省と異なる見解をお持ちなのかどうか。いわゆる特定企業から、この種調査にあたって、寄付を受けることはケース・バイ・ケースであって、別にケース・バイ・ケースにおいて適用判断すべきものであるというふうなお考えをお持ちなのかどうか。もちろん私も法律家だから、この種寄付を受けたということが、違法、合法の問題にはならないということはよくわかります。しかし、そのことが、住民の納得する行政ということにならないような気もする。また、そういうようなお金の寄付を受けたところの和歌山県庁の担当者というのが、決して悪意であったとは私は思わない。一つ考え方があったと思う。その点、私も十分理解できるし、同情もできる。しかし自治省としての考え方というのは、やはり行政いかにあるべきか、特に公害行政というのは――私は行政法はきわめて不勉強であるけれども、これは一種の警察行政といってもいいだろうと思う。要するに、公害行政というのは、企業に対してこういうことをしなさい、こういう措置をしなさいということを、公害防止条例その他の法によって規制をしていく、そういう意味においては、一種の警察行政といってもいい。言うてみれば、検事総長が同期の自民党の政党の幹事長と会食をした。何を言われることがあるかと言われればそれまでだけれども、そのことが検事総長の進退問題は現在なって、大きな政治問題になっている。それがいわゆる私の言うクリーンハンドの原則、常にあらゆる者は白い手でなければならない。調査が客観的に公正だということと、そういうふうな調査について、客観的な担保があったとしても、住民がそれに納得しないであろうところの可能性を十分含んでおるということとは、私は別だと思う。先ほどから、イタイイタイ病の問題について、あるいは航空騒音の問題について、あるいは船舶の海水汚濁の問題について、同僚委員がいろいろな質問をした。企業が、大きな会社が、あまりにも住民に対して、県民に対して、国民に対して、現在まで迷惑をかけ過ぎている。こういうことで、いわゆる住民の被害感情というのは非常に強くなっている。こういうふうな状態の中で、自治省としては、そういうふうに県がお金を受け取ることが、それはもう県の主体性にまかせるのだ、そんなことは自治省としては関知しないのだ、というふうに御答弁になるのかどうか、いかがでしょう。
  138. 近藤隆之

    ○近藤説明員 公害行政におきます公費負担の限界の問題、これは非常にむずかしい問題だろうと思います。公害行政そのものが新しい行政でございまして、ほかの行政のように、負担区分の考え方等が、現在の段階ではまだはっきりしていない部分が相当ございます。そういった部分は、それ相当のケースに応じて判断をしていくということになろうかと思います。  そこで、本件の場合、法律論で申しますれば、これは先生も御承知のように、全額国の委託費ということでございますので、極端な申し方をいたしますならば、国の七百万だけで調査してもそれでいいわけでございます。残りの二百万というものは、県が継ぎ足して行なっておる、県の意思によって行なっておる共同調査であるというふうに考えられるわけでございます。したがって、この二百万の財源について、どういうふうにやるのが適当であるか。もちろんそのときの住民感情、そういったものもいろいろ考慮の中に入れなければなりませんが、そういったものを判断の基礎に置きつつ、県で衆知を集めて、寄付金をとるということに、もしいたしたいといたしますならば、一がいにそれはだめだというわけにもいかないだろうと思います。調査内容によりまして、いろいろ、ケース・バイ・ケースでございますもので、基本的な考え方は、先生のおっしゃる白い手、クリーンハンドの原則、わからないわけじゃございませんけれども、あらゆる調査を全部一律に、調査であるから地方団体が持つ、企業から受け取っていけないというふうには言い切れないと思います。このケースの場合におきましては、おそらく和歌山県においていろいろ慎重に検討いたしまして、善処をいたすであろうと思います。
  139. 中谷鉄也

    中谷委員 厚生省に最後にお尋ねをしておきたいと思いますが、厚生省の御答弁によりますと、どうも県はこのお金を受け取らないことにしたらしいということだけれども、その点については十分に確認をあらためてされますね。要するに、もしそうでなしに受け取るのだということになれば、これは厚生省としては、受け取らないということについての勧告、行政指導は、されるのかどうか。これは明確にひとつ念を押してお聞きしておきたい。
  140. 武藤き一郎

    武藤説明員 昨日、県の公害の責任者が、私直接でございませんけれども、参りまして、はっきりと、企業からのあれは受けないということを申していきましたので、よもやあとでそれがひっくり返るということはないと思います。もし先生のおっしゃるように、受けるようなことにまた事情が変わるようなことになりますれば、当然、先ほどから私が申したように、県自体で自主的な調査費用は組んでもらいたい、かように考えておりますので、そのように県のほうを指導したい、かように思います。
  141. 中谷鉄也

    中谷委員 最後に一点だけ質問して、終わりたいと思います。  和歌山・海南の大気拡散調査調査結果は、来年の四月ごろに出るというふうに聞き及んでおりますが、この点についてまず確認をいたしたい。  と同時に、いわゆる関西電力火力発電所建設され稼働されたことを予想しての調査である、というふうに私は理解しているが、そういたしますると、火力発電所建設に伴って、煙突の高さ等、この調査の結果以前にあらゆるものが決定をされた、建設が進んでいった、ということになってまいりますると、調査結果は必ずしも有効に公害防止に作用しない、機能しないということも考えられるが、この点についてはどのようにお考えになるかという点。  なお、すでに島木委員のほうから質問がありましたように、東電の場合においては、二ないし三%の硫黄分を含んでおるところの原油は使わないで、〇・一%程度の原油をもって火力発電所のエネルギーに充てるというふうな取りきめがなされているということであります。関西電力は、私も、脱硫装置についてはいわゆる協力的な会社であるということは承知しておりまするけれども、こういうふうな大気拡散調査と同時に、関西電力に対して、その使用する重油等については、少なくとも含んでおる硫黄分が〇・一%程度、少なくとも硫黄分の少ないもの、こういうようなものを使用するようにということを、厚生省としては、関西電力に対して勧告あるいは協力を求めるべきだと思う。  また、同時に、この点は通産省にも、いま私が質問した点について、どういうふうな処置をおとりになるか。いわゆる脱硫装置一般ではなしに、この関西電力海南火力発電所に使用される重油等については、今後、大気拡散調査の結果とにらみ合わせて、使用される重油等について、含んでおる硫黄分については少ないものを使用するというふうな行政指導をすることも十分にあるのだということでなければならないと思うけれども、この点についての見解を承りたい。
  142. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いま先生のおっしゃいました四月に出るかという点でございますが、事務的には四月までに全部決着をつけますが、解析が実は非常に時間がかかりまして、そしてそれを一々また学界に出されることも、よく研究しなければならないことがあるわけです。実態的には、全体に公表できますのは大体夏から秋になっておるというのが実情でございます。私どもは極力早くしたいと思います。四月に全部公表するというところまでには、実際上少し無理があるのではないか。  それからもう一つの問題は、それをやった場合に、もうすでにできておるから、貢献しないのではないかということでございますが、そこの事前調査をいたします最初の動機は、電源開発調整審議会にその増設が初めよりも早く出てまいったわけでございます。その点について、まず初めにストップをかけたのです。そういうストップをかけまして、それから次に一号機の状況に対してテストをする、そのテストの結果によって、このような条件をつけなければいけないということがあるならば、それに従うということを、県と電力の間で取りきめをして、それを確認をした上でやったわけでございます。この点につきましては、燃料の変換ということだけで対処し得る問題でございまして、煙突の高さという点につきましては、最高級のものをやっておるというぐあいに私ども思っております。そういう点について二重投資の問題はございませんで、どういう時期にどういう燃料の変換をするのかということにつきましては、その結果に基づいて指導をする、また次に一号機を運転してみてから、また調べてみて、それについてやるということによって十分確保できると思っております。そういうことで、できるだけ低い油ということは、私ども相手に対しても要求するということは十分考えております。常日ごろと非常に不利な状況という場合の二段がまえで操業の条件を規定して、それを守るようにさせたいと思っております。
  143. 矢島嗣郎

    矢島説明員 この問題は、本来公益事業局長が詳しく存じておるので、お答えをすべきでありますが、きょうおられませんので私がかわりまして、立地公害部長として、一般論になりますけれども、お答えいたしたいと思います。  電力全般につきまして、火力発電所が、公害発生源としては非常に大きな比重を占めるので、この公害防止対策というのは、やはり亜硫酸ガス対策が一番重要な面を持っております。通産省といたしましては、東電に限らず、各電力会社について、発電所亜硫酸ガスの発生ができるだけ少なくなるように、一般的に指導しております。  その対策としてはいろいろな方法がありまして、一番プリミティブな方法としては煙突対策がございますが、何と申しましても、煙突よりは、たく重油硫黄分そのものを減らす、こういうことがあります。それから、そういいましても、にわかに硫黄の少ないものをたくわけにいかない場合においては、今度ガスの段階で取るという方法がございます。この排煙脱硫というのは非常に重要な問題で、こういう点も、大口の電力会社で早く実用化するように期待しておるわけであります。そういう点が一つあります。そういう一般的な脱硫対策を強力に指導しておりますが、その一環といたしまして、海南の問題も指導いたしたいと思います。
  144. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  145. 山崎始男

    山崎委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十四分散会