運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-11-07 第59回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月七日(木曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員   委員長 芳賀  貢君    理事 井原 岸高君 理事 池田 清志君    理事 湊  徹郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 川村 継義君 理事 永井勝次郎君       阿部 喜元君    熊谷 義雄君       小山 長規君    竹内 黎一君       藤本 孝雄君   三ツ林弥太郎君       渡辺  肇君    赤路 友藏君       井上 普方君    兒玉 末男君       斉藤 正男君    平等 文成君       村山 喜一君    稲富 稜人君       小川新一郎君  委員外出席者         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         内閣総理大臣官         房参事官    川上 幸郎君         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君         大蔵省主計局主         計官      千葉 洋三君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         農林大臣官房参         事官      荒勝  巖君         農林大臣官房参         事官      小沼  勇君         食糧庁業務部買         入課長     中村健次郎君         通商産業省重工         業局車両課長  福田 敏南君         運輸大臣官房観         光部長     蜂須賀国雄君         建設省河川局開         発課長     川崎 精一君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         建設省住宅局建         築指導課長   前川 喜寛君         自治大臣官房調         査官      角田 直方君         自治省税務局府         県税課長    森岡  敞君         消防庁次長   山本  弘君         消防庁予防課長 高田  勇君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   石井由太郎君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   桑原  進君     ───────────── 十一月七日  委員宇野宗佑君、田原春次君及び森義視君辞任  につき、その補欠として小山長規君、赤路友藏  君及び村山喜一君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員小山長規君、赤路友藏君及び村山喜一君辞  任につき、その補欠として宇野宗佑君、田原春  次君及び森義視君が議長指名委員選任さ  れた。     ───────────── 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  参考人出頭要求に関する件  台風第七号、第十号及び第十六号並び集中豪  雨等による災害対策  秋田大館市及び神戸有馬地区火事による  災害対策      ────◇─────
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  先ほどの理事会で協議いたしました結果、神戸有馬地区における火事による被害状況及び災害防止のための気象観測業務の実態並びにビニールハウス等による施設園芸についての災害対策上の諸問題調査のため、現地委員派遣することに決定いたしたのでありますが、理事会決定どおり委員派遣承認申請を行なうことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  つきましては、派遣地派遣期間、期日、派遣委員の員数及びその人選並びに議長に対する承認申請手続等に関しては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ────◇─────
  5. 芳賀貢

    芳賀委員長 本日は台風第七号、第十号及び第十六号並び集中豪雨等による災害対策、並びに秋田大館市及び神戸有馬地区火事による災害対策について調査を進めてまいりたいと存じます。     ─────────────
  6. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日、台風第十号による災害対策に資するため、参考人として電源開発株式会社理事石井由太郎君及び理事桑原進君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  8. 芳賀貢

    芳賀委員長 それでは、まず政府当局から説明を聴取いたします。八木総理府総務長官
  9. 八木徹雄

    八木説明員 台風第十六号による被害状況とこれに対する政府措置並びにかねてお約束を申し上げております激甚災害指定基準のその後の経緯につきまして御報告をいたしたいと思います。  まず初めに、台風第十六号に関して御報告いたします。  台風第十六号による一般被害は、死者八名、負傷者七十名、家屋の全半壊三百六十棟、床上浸水一万二千三百六十二棟等になっております。  また、施設関係等被害額は、県報告によりますと、公共土木施設等約百十八億円、農地等約二十五億円、農作物等約百三十億円、これは農林省統計調査部の調べであります。その他農林関係施設約二十五億円、その他約二億円、合計約三百億円となっております。  政府といたしましては、これらの被害のうち、特に農作物等における被害額が著しいことにかんがみ、去る十月三十一日、政令三百十二号をもって天災融資法を適用することといたしたところであります。  また、同日政令三百十三号をもちまして、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第二条第一項の規定により、本災害激甚災害として指定し、同法第二条第二項の規定により、同法第八条第一項に規定する措置、すなわち天災融資法特例を、適用すべき措置として指定いたしたところであります。  次に、激甚災害指定基準の改正につきましては、前回の本委員会で御報告いたしました方針に基づいて、関係省庁において具体的な作業を進めているところでありますが、市町村単位という新しい考え方を採用いたしますため、過去の被害額調査する等して、鋭意努力しているところであります。  最後に、神戸市の有馬温泉において発生いたしました火災等につきましては、消防庁から説明いたさせます。
  10. 山本弘

    山本説明員 消防庁から秋田大館市の災害有馬温泉池之坊満月城火災概要について御説明申し上げます。  お手元資料を配付いたしておりますが、まず大館市の大火でございますが、出火は四十三年十月十二日の十一時十六分ごろと推定されまして、十一時十九分に覚知をいたしております。直ちに消防ポンプ車その他出動いたしまして、十四時三十分鎮火いたしております。しかしながら、被害は今年度最大焼失面積を出したのでございます。  焼失状況は、面積七万九千平米でございまして、棟数は二百九十棟、内訳住家二百十六棟、非住家七十四棟でございます。罹災世帯は二百四十八世帯。幸いにして死傷者はございません。損害見積もりは十五億円となっております。  火災原因は、火災地区におきますところの呉服店店員の人がダンボール等可燃物を焼却しておりまして、その後、焼却地を離れるときに十分にもみ消していなかったために、残火が風にあおられまして、倉庫前に積んでありましたところのダンボール箱等可燃物に飛び火をして燃え広がったものでございます。  気象状況は、参考のために書いてございますが、大体これは火災地域から約二キロ離れたところにありますところの消防本署風速計においてはかったものでございますが、四・六メートルないし七・六メートルということになっております。しかしながら、現地におけるところの風速はもっと強いものであったというふうにいわれております。  ポンプ出動状況ですが、これは四十四台、大館市の近隣の応援を得てポンプ車三十三台、手引き、可搬ポンプ十台といった消防力出動いたしておる次第でございます。  なお、水利状況でございますが、大館市全体といたしましては、なお水利の点については問題がございますが、しかしながら当地区中心に考えた場合におきましては、消火せん、掘り抜き消火せん等がございまして、地下水の利用ができますので、必ずしも水利について問題があったというふうには数字の上では出ておりません。  大火になった原因でございますが、初期消防力の不足でございます。今回の場合は、火事が起こりまして直ちに消防車出動いたしましたが、あとで申しますように、道路その他の状況から一斉の放水ができ得ない状況にあったということが一ついわれます。  それから水利の点については先ほど申し上げました。  次に、通報のおくれでございます。実は、この火事は直接消防署へは一一九番を通して入っておりません。一一〇番を通じて警察署に入りまして、警察署から消防署通報があったということでございます。  道路状況は、被災地内には幅九メートルの国道が一本通っております。しかもその幅九メートルの道路被災地のところにおきましてはやや狭くなっておるそうでございます。被災地の中へは、その国道から入る道路は三メートルというような狭いものでございまして、中心部消防車が進入するということは困難であったということがいえると思います。  それから建物等状況は、非常に木造が密集をいたしておりまして、特に商店街木材工場が混在いたしております。焼失面積七万九千平米のうち二万平米が木材工場であることを見ましても、この地域は、火事が一たん起こった場合は、いわゆる燃えやすい状況のものがあたり一面にあったということがいえるのではないかというふうに考えるのであります。また東北地方、特にこの地方習慣といたしまして、木くずをストーブに入れて使う、こういうふうな習慣がございます。したがって木くずがたくさん積んであった、こういったことが大館大火を来たした原因ではなかろうか、かように考えるのであります。  それから次に有馬温泉状況でございます。  有馬温泉状況につきましては、最近のことでございますので、すでに御承知と思いますが、発生の日時は十一月二日の午前二時三十分ごろと推定されております。この点につきまして推定と申し上げますのは、真夜中のことであり、発見者その他の言がまちまちでございますので、一応三十分ごろと推定いたしておりますが、これより発火時間は早かったのじゃないかというふうに考えられます。覚知時刻は、これは消防覚知した時刻でございますが、三時六分でございます。これは有馬出張所へ一一九番でもって、満月城の前に住居いたしておりましたところの人から通報がされておるのであります。鎮火時刻は五時四十五分でございます。死傷者は、死者が三十名、傷者四十四名というふうになっております。死者内訳従業員が一名、お客さんが二十九名でございます。  原因並びに損害額でございますが、この点につきましては、いろいろ警察消防それぞれの立場で協力をしながら調査をいたしておりますけれども、まだ確とした原因を申し上げる段階ではございません。  焼失面積は六千六百三十平米でございます。満月城の全体は約一万二千平米でございますから、半分以上の部分が焼失したということになっております。  満月城は、これは順次建て増しをいたしておりまして、大きく分けますと、木造部分と、それから本館といたしまして鉄筋部分がございます。その木造部分本館鉄筋部分の間にさらに鉄筋部分を増築をいたしまして、三者がそれぞれ廊下によってつながっておって、一つ建物になっておるというふうな状況でございます。  旅館収容人員は、一応八百六十五名、客室百二十六室というふうになっておりますが、大広間を使いますと、ピーク時には千名くらいも入れるというような大きな旅館でございます。従業員は百四十六名でございます。出火当時の宿泊者は二百五十名、出火当時の宿泊従業者は六十名となっております。この二百五十名のうちの六十名でございます。宿泊者並び従業者でもって二百五十名の者が当夜満月城において寝ておったということでございます。  非常におそい一一九番による覚知によりまして、消防隊は直ちに有馬出張所ポンプ車二台と北上分署の一台が現場に出動いたしまして、その後第二、第三、第四出動をかけまして、特令出動と相まちまして、消防ポンプ車十三台を含めて合計二十三台の消防自動車出動いたしております。  結果的に申し上げますならば、この事故ホテル火災といたしましては戦後最大のものでございます。四十一年三月に水上温泉同様事故がございましたが、これは死者数においては三十名で同数でございますが、重軽傷者水上は二十九名でございますので、有馬温泉火災ホテル火災といたしましては最大のものであるというふうにいえるわけでございます。  こういった大惨事を招いた原因でございますおもな点を申し上げますと、まず火災発見及び通報がきわめておそかったということがいわれるのではないかということであります。それは先ほど申し上げました。  それから夜間における防火管理の態勢がきわめて不十分だったといえます。これは夜間におきましては、守衛兼夜警が一人で旅館内を回っておるというだけでございます。  それからその次に、死者状況を見ますと、いわゆる煙による窒息死と申しますか、中毒死と申しますか、そういった方がたくさん出ておられますが、これは内装がいわゆる新建材を使っておりまして、煙が非常に多く出たというふうな点があげられ、かつまた火の回りが早かった。たとえば防火シャッター設備がなかったために、全館が煙突のようになって、縦横に火が早くはい回ったというふうな点があげられるのではないかと思います。  次に、自動火災報知機設備が設けられていなかったということでございます。これは木造部分本館部分では火災報知設備が設けられておりません。いずれも三十五年以前の建物でございまして、設けられておりません。その後建て増ししました本丸には設けられております。こういう状況のために、火災報知機による火災覚知発見というものがなされなかった点も一つ原因として考えられるのではないかというふうに考えるのでございます。  それから避難径路の案内も避難誘導の点につきましても、非常に手抜かりがあったということが指摘されると思います。  以上申し上げました点が大惨事を招いた原因であろうというふうに考えるのであります。  次に、この建物におけるところの消防法あるいは建築関係法令違反の有無の問題でございますが、先ほど申しましたように、消防法令違反といたしましては、自動火災報知設備及び電気火災警報器等が未設置になっております。建築基準法関係につきましては、これは建設省の所管でございまして、建設省調査をしておられるわけでございますので、その点建設省から御指摘があると思います。  次に、資料によりますと、いろいろ戦後多数の死者を出したところの火災なり最近の旅館ホテル火災について述べておりますが、先刻も申しましたように、戦後最大ホテル火災事故であるというふうに考えておるのであります。  以上、簡単でございますが、大館並び有馬温泉旅館における火災概要について御説明申し上げました。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  12. 芳賀貢

    芳賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田清志君。
  13. 池田清志

    池田(清)委員 台風十六号の関係についてお尋ねをいたします。  先般の委員会における八木長官政府被害報告は三百三十六億、こう出たのに、今日の報告では三百億、こうなっておりますが、それはどういう違いでありますか。
  14. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  前回報告いたしました数字は、県、市の報告額をそのまま使いましたものでございまして、今回の報告につきましては、農林省統計調査部等におきまして調査を行なっておりますので、査定後の数字でございます。
  15. 池田清志

    池田(清)委員 先般私は三百三十六億の被害をもとにいたしまして、この被害に対しては激甚災害指定をすべきであるがどうかということをお尋ねしたのに対しまして、政府でせっかく被害調査中であるから結論をしばらく待ってほしいということでありました。きょうの八木長官報告では、激甚災害指定をした、こういうことでありますからこれは非常にけっこうであります。そこで私はさらにこの災害に対しまして、激甚災害指定に関する適用すべき措置の内容はどういうふうになっておるかということを明らかにしてもらいたいと思います。
  16. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  ただいまの件につきましては、激甚災害指定条項に照らしまして激甚法の第八条の条文、いわゆる天災融資法特例と申します条文でございまするが、この措置を適用いたしております。この措置を適用いたしました場合におきましては、融資の場合の期間につきまして、一般に六年が最長限となっておりますものが七年、なお個人貸し付けにおきまして、今回の場合におきましては農作物生産者でございますが、二十万が限度となっておりますのが二十五万というふうな措置がとられるわけでございます。
  17. 池田清志

    池田(清)委員 台風十六号の特色といたしましては、塩害が非常に多いということでございます。政府調査におかれましても、これははっきりと把握しておられると思うのであります。私は鹿児島県でありますが、鹿児島県の被害地を回ってみますると、稲やカライモはもとよりといたしまして、果樹、園芸あるいはお茶、桑、そういうものが塩害で非常に被害を受けておるのであります。でありまするから、県当局もあるいはまた市町村当局も、これが対策について腐心をいたしておるのでありまするが、この農業に対しまする、いわゆる被害家を救済するといっては語弊がありますけれども、助けてやるという意味合いにおける自作農維持資金、ここに問題が進んでまいるわけでありますが、この自作農維持資金についての措置はどういうふうに進んでおりますか。
  18. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま総理府のほうでお答えになりましたように、天災融資法のほうは発動いたしまして、現在七億五千万円でワクを設定いたしまして、各県とこの資金需要について折衝中でございます。それに伴いまして、なお不足する場合もあり得るということで、現在私たちの手元で各県と自作農創設維持資金につきまして、資金需要ワク等につきまして折衝中でございますが、まだ各県全部出そろっておりませんので、出そろったところを見まして結論を出したいと思います。  以上でございます。
  19. 池田清志

    池田(清)委員 前にも申し上げましたように、被害を受けた農作物は米、カライモといったような単年作物をはじめといたしまして、ポンカンをはじめミカン類お茶、桑といった永年作物が非常に被害を受けておるわけです。ポンカンの畑が全部枯れてしまっておるというような実情も御調査をいただいたと思うのであります。そういたしますると、単年作物に対しまする種の措置の問題、永年作物に対しまする苗の措置の問題、これをまとめまして種苗対策と申し上げましょうか、この種苗対策について農林当局はどういう助成措置を進めつつあるかということを明らかにしてもらいたい。
  20. 小沼勇

    小沼説明員 種々の作物がございますが、これらにつきまして最近現地調査班派遣して調査してまいったところでございますが、次期作のための種イモ等の確保に対しましては、被害程度あるいは従前の例もございますので、それを考慮いたしまして関係県と緊密な連携をとりまして検討してまいりたい、かように存じております。昨年もそういうことで助成した例がございますので、それにのっとって考えていきたいというふうに思っております。
  21. 池田清志

    池田(清)委員 ぜひこれを前向きに進めていただきたいと思います。  さて、鹿児島県はカライモ全国一でございます。ことしもたいへん豊作を予想されておったやさきに、潮風によりましてカライモつるが枯れてしまった。この実情も御調査をいただいたと思うのです。つるが枯れました後、カライモ畑が青くなってきた、一体これはどういうわけかと調べてみたところが、カライモそのものから新しい芽が出てきておる、こういうわけでございます。カライモから芽が出てくるということはそれだけカライモでん粉量が減る、こういうことでございます。このままほうっておきますとでん粉含有量はどんどん減ってしまいまして買い手もないという状況に進みつつあるところであります。農林大臣はことしのカライモ価格といたしまして、二四%というものを基準に三十七円という告示をしておられます。ところがでん粉量が減ってまいるのでありますから、二四%以下に下がってくる、こういうわけです。そういたしますと、でん粉工場は受け取らない、こういう場面がいろいろございまして、地方においてはたいへん腐心をいたしておるところです。そこで鹿児島県におきましては、でん粉工場に対しまして、二四%以下一%減るごとに一円ずつ助成をするということ、さらにまた、でん粉工場に対しましては融資のあっぜんをしてその利子の補給をする、こういう措置をとっております。これに要しまする県の予算といたしましては一億円と聞くのであります。この一億円について、政府のほうにおいては何とか考慮してもらうことはないか、その方法いかん
  22. 小沼勇

    小沼説明員 塩害によりますカンショでん粉歩どまりが二次生長の結果減ってきておるという状況については承知しておるわけでございますが、十月三十日現在の現地報告によりますと、大体基準歩どまりでございます二四%に接近しつつある、下がりつつあるという状況でございます。従来鹿児島でん粉は非常に歩どまりが高うございまして、大体昨年、一昨年はほぼ二七%くらいの歩どまりと思っておったのでございますが、それが徐々に減少してくるという状況でございます。しかし、全体約百二十一万トン程度イモ生産量がございますが、その中で被害を受けたのが統計調査部報告によりますと約十万トンくらいでございます。そういうものの中のものがでん粉歩どまりが落ちるという傾向でございます。  いずれにしましてもそういう状況でありますので、これについては何らか対策は必要であろうということで、県におきまして特定の、そういう歩どまりが著しく下がるものについては、それについて助成措置を講ずるというふうに聞いておるわけでございます。国におきましては全体としてこの地域におきますカンショ基準価格維持について十分守っていただきたいということを申しておりますが、その場合に、従来、御承知のとおりでございますが、歩どまりが一%下がった場合には大体一円下げという形で買い上げが可能な形になっておるわけでございますが、そういう状況の中におきまして、私どもやはり県に対しまして農家のほうに迷惑がかからないように十分指導をしてもらいたいということを現在やっておるわけでございます。ただ、いま御質問ございました県の要した財政支出について、それに直接国が助成するということは、やはりきわめて困難であるというふうに私ども考えております。
  23. 池田清志

    池田(清)委員 地方公共団体災害のために支出するわけでありますから、災害対策の費用だ、こう考えてよろしいと思います。そういたしますと、災害対策特用については特別交付金というのが考えられてくるのでありますが、自治省はこれに対してどういうお考えですか。
  24. 角田直方

    角田説明員 お答え申し上げます。  私のほうの特別交付税のところで、災害はルールによって算定をいたしております。ただその積算をしてまいります過程におきましては、公共団体が行ないます種苗対策に要しました経費なども当然算入してまいるわけでございます。ただ、これからいよいよ各県なり各市町村から普通交付税に算入されなかった財政需要について事情を聴取してまいる段階でございます。十分その辺の事情を頭に置きまして精細な事情聴取を行なった上で措置をしてまいる、こういうふうに考えております。
  25. 池田清志

    池田(清)委員 ぜひひとつ特別交付税のところで県を救済していただくように前向きで御検討をいただきたいと思います。  最後の問題でありますが、先般もお尋ねいたしました問題でありまして、局地災害に対する激甚指定基準を新しくつくる、こういう問題でありまして、これについては八木長官が、必ずやります、次の国会前までには結論を出します、こういう約束をしておられるのでありまして、政府におきましてはいまその作業中であると思うのでありまして、ここに中間的な報告でもよろしいですからどういうことになっておるか、お聞かせを願いたいと思います。
  26. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  ただいまの件につきましては、先般八木長官より市町村単位の局地激甚につきまして、公共土木関係、農業関係、中小企業金融関係、これらの項目につきまして基準に新しい考えを取り入れたいというように御説明いたしたところでございますが、それに基づきまして、現在各省におきましては大蔵省と折衝中でございますが、その過程におきまして膨大なる資料、と申しますのは過去三年程度市町村単位におきます被害額と申しますもの、こういうものを集計する必要がございますので、現在その集計を続けておるところでございます。以上が概要で、ございます。
  27. 池田清志

    池田(清)委員 いまの御答弁は前に八木長官が答えられたことそのものでありまして、いま作業中であるということを伺ったわけでありますが、私どもといたしましては、公共土木、農地及び農業施設、中小企業に対する金融、これらの問題を対象といたしまする市町村単位のいわゆる激甚災害指定基準を新しく国会前に必ずつくっていただくようにここに強く要望をいたすものであります。  終わります。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員長 渡辺栄一君。
  29. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 私は、先般来局地激甚等につきましていろいろお願いをいたしてまいったのでありますが、十月の九日に開かれました当委員会におきまして、私は、災害のために非常に財政的な打撃を受けました地方自治体、特に市町村に対しまして、競輪あるいは競馬等によりまして、その益金をもってその財政を援助する、救済する措置も考えてはどうかということを御質問申し上げたのでございますが、そのときに、自治省のほうからはきわめて理解のある御回答をいただいたわけでありますが、この競輪の実施について、これを所管しておられまする通産省、きょうおいでをいただいておると思うのでありますが、明確な御回答をひとつお願いいたしたいと思います。  それは関係団体の中にもそういうような考え方を持っておられる方もあるのでございますが、今回考えておられますような局地激甚の制度が確立をいたしたといたしましても、なお救済のできない財源措置というものが必要になってくるであろうと思うのでありまして、この際、できるならば競輪を活用することによりましてこれを救済するのも一つの方法ではないかと思うのであります。ただ、現在私どもの承っておりますところによりますと、競輪の開催回数あるいはまた開催の日数というものにつきましては、一応の制限が設けられておるようでございますが、私どもは、でき得るならばこういう災害の問題に特に限定をいたしまして、場合によりましては回数をふやすというようなことによりまして、増加した収入をこのほうへ回すということが最も円滑に実施ができるのではないかと思いますが、こういう点につきまして、特に通産省の関係当局並びに自治省からひとつ責任のある御回答をいただきたいと思います。
  30. 福田敏南

    ○福田説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問でございますが、災害を受けた市町村の財政を救済するために特に競輪の開催回数をふやせというお話でございますが、競輪の開催につきましては、昭和三十五年に内閣総理大臣の諮問機関といたしまして公営競技調査会というものが設置されまして、その答申が三十六年に出されまして、私どもの競輪の運営はこの調査会の答申の線をいわば憲法と心得まして、それを厳密に守っできておるわけでございまして、それに基づいて法律も改正をしたといういきさつもございます。それの内容は結局、公営競技というものはいろいろ弊害もあるので、開催回数は、そのときに開催しておりました回数をふやさないという一項目がございまして、したがいまして、年十二回、日数にしまして七十二日を限度とするというふうにワクがはめられております。したがいまして、そういうことをいままできびしく守ってまいりました。今度の岐阜災害以前にも、たとえば十勝沖地震でございますとか新潟地震でございますとか、いろいろのかなりな災害がございまして、しかも新潟の場合には弥彦に競輪場がございますし、十勝沖の場合は函館、青森、おのおの競輪易がございますけれども、それにつきましてもやはりこの調査会の答申どおりにふやさないということを守ってきております。したがいまして、そういった災害に対しましてやはり要求もございますので、私どもの制度といたしましては、そういう災害のためには幾らかの基金を用意しております。四十三年度につきましては一億五千万円ほどの競輪資金を用意いたしまして、しかるべき施設あるいは救恤物資というものに対しましてはそれから出すという制度を実施してきておりますので、今回につきましてもその制度を活用していきたい、かように考えております。
  31. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 お話はわかりますが、この回数というのは答申に基づいて省令できまっておると思うのですが、今回、従来の激甚災害の制度に対しても、いわゆる市町村単位の財政力に応じまして、はなはだしい災害を受けました場合には新しく局地激甚をやろう、しかも法律を設けないで基準の改正でやろうというところまで当局も踏み切っておるわけですね。私どもとしては、あまり競輪が好ましいものでないということはよくわかりますけれども、厳然としてこれを実施しておる以上は、むしろこういう災害については、あまりいままでのことにこだわらないで、一回くらい開催をふやしてもいいのじゃないか、特に私はそれを御要望申し上げます。場合によっては、従来の回数の中へこういうものをはめ込んで、たとえば十二回のうちの一回は災害に回すということでもいいのじゃないか。私は非常に硬直化した考え方ではないかと思う。ふやすか、もしくはふやさないとすれば従来の回数の中へ災害の分を一回加えるということくらいは考えてもいいのじゃないか。今度のような局地激甚まで政府が踏み切る段階においては、もう少し柔軟な考え方で進んでいただいてもいいと思うのですが、ふやすことについての今後の考え方と、それから、ふやさないとすれば、現在きめられております回数の中で、災害等につきましてはこれを考えるほうが、むしろ今後競輪等に対する考え方、見方というものは非常にいいのではないかと思いますが、そういう点についてひとつ明確な御回答を願いたいと思います。  それからもう一つ、ただいま基金を一億五千万円設けておるというお話でございますが、これはおそらく「昭和四十四年度体育事業その他の公益の増進を目的とする事業に関する公示」ですか、この中できめられておることではないかと思いますが、実際問題としてはこの中の災害復旧事業の中でそれぞれ取り上げられておりますけれども、これは主として社会福祉関係の施設あるいは援助物資等にきわめて限定をされておりまして、今回われわれが考えておりますような災害の財政援助ということにはならないと思うのでありますが、その点どういうような形でての億五千万の金が支出されるのが、こういうことをひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  32. 福田敏南

    ○福田説明員 競輪の開催回数をふやすか、もしくは現在のワク内で一回くらいは災害用に回したらどうかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、競輪の開催については非常に厳格なワクがはめられておりまして、もしこれを変えるということになりますと、車両競技審議会というのが法律に基づいてできておるわけでありますが、その車両競技審議会にはかりましてその方針を決定しなければいかぬわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、競輪の運営につきましては、その審議会の意向も非常にきつい意向でございまして、なかなかそういう開催回数をふやす、あるいはほかの用途に回すということはできにくい状況になっておる。それで実際にそういった場合も考慮いたしまして、こういう災害に対する基金というものを用意いたしたわけでございますが、先生の御指摘のように、災害に対しまする実際のやり方につきましては、生活保護施設でございますとか児童福祉保護施設でございますとか、そういうものがやられた、あるいは生活必需品その他の救恤活動をする場合に、それを補助するという場合に支出するわけでございます。その方法といたしましては、日自振――日本自転車振興会あるいは日動振――日本小型自動車振興会、その団体を通じまして申請していただいて出すという形になっております。それから生活必需物資の救恤につきましては社会福祉協議会を経由して出すという形をとっております。
  33. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 どうも回答が要領を得ないでね。私の言っておるのは、増加をしてもらいたいが、増加ができないとすればワク内を一回回せないかと言っておる。それに対しては明確な御回答がありません。  それから、審議会にかけなければならぬことはわかっておりますが、中央防災会議においてもわざわざ従来なかった基準を設けて市町村の激甚を救おうというのですね。そういう事態です。だから当局においてもそういう手続は要るかもしれませんけれども、こういうようないろいろ批判のある制度を残しておるならば、むしろ私は、こういう災害なんかにある程度競輪というものが寄与するということにしたほうがいいのではないか、こう申し上げておるのです。だから、将来の問題としてはぜひそういうことをお考え願いたいということを希望しておきますが、増加がいまむずかしいということであれば、私は、そのワク内の問題でそういうものを一回回すことはできないか。それからもう一つ、具体的に岐阜県の場合は岐阜市と大垣市に競輪場があるわけですね。具体的に岐阜市と大垣市の場合はどういうことになるのか、これをあわせてひとつ明快に御答弁願いたい。
  34. 福田敏南

    ○福田説明員 お答えいたします。  岐阜の場合には、岐阜と大垣に競輪場がございます。それから美濃加茂市は大垣に競輪の開催権を持っております。それは美濃加茂市を含めまして五市が一緒になりまして年二回の開催権を持っておるわけでございます。したがいまして、その開催の中から出すという形になろうかと思うのでございますが、実際問題といたしまして、それでは、そのきまっております開催権の中から災害用に回せという御指摘でございますけれども、競輪の運営といたしましては、市町村が開催いたしました上がりの中から一定の、その施行に要します経費を差し引きましたものが市町村の中に入ってくるわけでございます。それをワクの内で災害のために回せとおっしゃいましても、それは実際上どういう形になりますのか、災害のために回せといわれると、それから上がったやつは市町村の普通の財政でなくて全部災害に使えという御指摘なのか、そこのところがちょっとわかりかねるわけでございますけれども、上がりはすべてその市町村にいくわけでございますから、ワクの中になりますとそういう形になってしまうわけであります。
  35. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 あまり時間がかかるのは申しわけないのだけれども、簡単にお話しを願いたいのですが、要するに一回ふやしてもらいたい。これは現状ではむずかしいということですね。私は、将来はそういうことを考えてもいいのじゃないかと申し上げておるわけです。ふやせないとすれば、ワク内の一これは競輪場設置市町村がやる場合と貸している場合とあるわけですね。そのきめられているワク内で一回災害市町村に貸すということになりますかね、実際は。そういうことはできぬのか、こういうことです。
  36. 福田敏南

    ○福田説明員 おっしゃいますのは、現在美濃加茂市は二回開催権を持っておるわけでございまして、大垣市でやるということになっておりますが、大垣市でやる二回のほかに、もう一回大垣市の競輪場を借りてやるという形になりますと、実際問題としてそれは一回開催回数をふやすという形になります。ですから、ワク内で操作ということがなかなかむずかしくなるわけでございます。
  37. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 要は、美濃加茂市だけじゃないのです。災害の市町村というのはほかにたくさんあるわけです。美濃加茂市は、われわれがやってきたのだけれども、大垣市でほかの市と一緒に開催権を持っているわけですね。だからこの問題は別問題といたしまして、災害の市町村としてワク内で一回もらうことはできないのかと言っているのです。そういうことは、たとえていうと、現在大垣なり岐阜の競輪場を使っているのですね。いまやっていますね。その中で、災害市町村を一つに考えて、その災害市町村に一回貸すというのか、どういうことになりますか、そういうことができるのかできないのかと言っているのです。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員長 福田課長に申しますが、どうも渡辺委員の質問の趣旨をあなた十分理解していないようなんです。ですから、答弁ができなければ、重工業局長があなたの上司でしょう。ですから、責任を持った答弁ができるならば明快にしてもらいたいし、できなければ局長に来てもらっていまの質問に責任のある答弁をしてもらいたい。
  39. 福田敏南

    ○福田説明員 お答えいたします。  美濃加茂市が加わっております二回のほかに、岐阜全体が災害を受けたわけだから、その災害を受けました岐阜県が、ほかの競輪場を借りてほかの競輪の回数を一回借りるなり何なり差し繰ってやれないかという御質問だと思います。そういう  ことをやりますと、ほかの市町村に何回という開催権がございますから、それを事実上削るという形になるわけです。したがいまして、ほかの市町村が持っております開催権を削るということは事実上非常にむずかしい。それならば削らずにもう  一回ふやせばいいじゃないかということになると、全体の開催回数をふやすという形になります。したがいまして、その開催回数をふやさずに開催権を差し繰るということは非常にむずかしい、こういうことを申し上げたわけであります。
  40. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 結局簡単に言えば、増加もできないし、ワク内で災害市町村に実施をさせるというか、貸すといいますか、そういうこともできないということですね。関係市町村なり競輪場の設置市町村が了承してもだめですか。
  41. 福田敏南

    ○福田説明員 お答えいたします。  それはほかの市町村が了承してくれますならば可能でございます。
  42. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 そうすると、その関係市町村が了承するということは考えられませんが、よしんばそうした場合は、通産省としてはそれは処置はできるわけですね。これからでも来年度分としては間に合いますね。
  43. 福田敏南

    ○福田説明員 来年度分としては十分間に合います。
  44. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 それではもう一ぺんぼくは確認をしますが、結局競輪としては現在のところはふやせない。それからワク内の操作についても関係市町村が了承しなければいけない。関係市町村が了承すれば、要するに一回減らせば、その一回は災害市町村に回すということはできる、こういうことですね。
  45. 福田敏南

    ○福田説明員 はい。
  46. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 続いてちょっと私お伺いしますが、そういうことになりますと、結局関係市町村の了承を得て手続をするということになりますが、通産省のほうはそれは増加はできない、しかしワク内で削ってならば回せる、こういうことでいいですね。  そうすると、これは自治省関係はどういうことになりますか。
  47. 角田直方

    角田説明員 当省で所管をいたしておりますのは、市町村が競輪を開催いたします場合の指定の問題でございます。私のほうでは、いま先生の御意見の中にございましたように、必ずしも競輪は好ましい事業ではないにしても、財政的な観点だけをとらえて申し上げますならば、被災団体が競輪を行なう、それは必ずしも筋の通らない議論ではないであろうと考えます。現に私どもが指定をいたします基準の中に、災害復旧事業が多い団体を取り入れるという一つ基準を実は立てておるわけでございます。したがいまして、いまいろいろ質疑応答の中にありましたように、本年度の開催回数をふやすかどうかという問題、これは通産省の御方針にまつ以外にはございませんけれども、現地の各市町村の話し合いがつきまして、新たな指定の問題が出てまいります場合には、私のほうで通産大臣とも十分協議いたしまして善処してまいりたい、こう考えます。
  48. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 結局増加ができないということになると、実際問題としては私は実施は困難だろうと思うわけです。しかし、もしワク内でもやるというようなことが起きた場合には、特にひとつ御配慮を願いたい。  それから、将来の問題として、あまりそういう硬直化した考え方でなしに、今後も引き続き競輪をやるのならば、むしろこういう災害のときにはその益金を寄与させるという方向で考えられたほうが私はよりベターじゃないかと思いますので、今後そういう点についてはひとつ御検討願いたいということを希望申し上げておきます。  なお、実際に競輪を実施しておる市町村の中にも、そういうことに少し寄与しておいたほうがいいという考え方を持っておる人がたくさんおりますから、そのこともつけ加えて申し上げておきます。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員長 村山五三君。
  50. 村山喜一

    村山(喜)委員 台風十六号の災害中心にいたしまして、二十分間だけ時間をいただきましたから、質問をいたしたいと思います。  第一に、激甚災の指定を今度していただいたわけですが、これはえびの災害から十号台風、そして今度の分まで含めてその地域指定をされたものだと思いますが、それの激甚災の地域指定はどことどことどういうふうになりたわけですか。その点を初めに明らかにしていただきたいと思います。
  51. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  激甚災を指定しました災害といたしましては、九月下旬の暴風雨によります災害を、激甚災に関します法律の災害として指定いたしまして、これが及びました都道府県の範囲は、高知県、宮崎県及び鹿児島県、こういうふうになっております。
  52. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうすると、九月下旬といいますと台風十六号だけです。その前の八月の十号、それからえびの、これを全部含めて激甚災の地域指定という、ふうに考えてよろしいのでしょうか。違いますか。
  53. 川上幸郎

    川上説明員 今回の指定は九月下旬におきます災害指定しておりますので、今回の災害になりますので、先生御指摘のように全部を通算することはできないと存じまするが……。
  54. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、確認しておきますが、十六号についてだけ、こういうことですね。
  55. 川上幸郎

    川上説明員 そのとおりでございます。
  56. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでお尋ねしてまいりますが、これは県が激甚災として地域指定をされた。承っておりますと、いわゆる局地災害の激甚災の問題についてはいま作業中だ、こういうことです。そうなりますと、市町村段階における指定は臨時国会前、こういうふうに考えておって差しつかえないでしょうか。
  57. 川上幸郎

    川上説明員 政府といたしましては、そのような方針で進んでおります。
  58. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうした場合にば、現在の措置の方法としては、激甚災の指定政令等の中身を改正するという考え方であるのか、別個に特別な政令措置あるいは基準というものを設定して何らかの措置を講ぜられると思うのですが、それは政令で処置される、こういうふうに考えて間違いありませんか。
  59. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  ただいまの件につきましては、先般の委員会で御説明いたしましたが、激甚災の指定基準、これは中央防災会議の決定でございますが、この決定に適宜な改正を加えて処置したいと考えております。なお、これに伴いまして、必然的に政令等が変わってくる場合もございます。
  60. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、具体的な問題に入ってまいりますが、今度の台風の経過を見ますと、私もちょうど台風が上陸をした日におったのですが、風台風、いわゆる塩害が非常にひどいという状態が特徴的でございます。  そこで農林省にお尋ねしますが、イモがやられ、米がやられ、そうして果樹がやられる、そうなってきたら、これから先はやはり塩害に強い作物を植えなければ安心ができないということで、サトウキビが塩害に対して非常に強いというので、適地が百町歩くらいある、そういうようなところはサトウキビをそこに植えようという、そういうような住民の声が出てきておりますが、そういうような方向がはたしていいのかどうか、それをあなた方としてはどういうふうに指導されますか。
  61. 小沼勇

    小沼説明員 鹿児島の南部におきましてサトウキビの栽培を若干やっておりますけれども、これにつきましては、私ども実は甘味資源の特別法に基づきます地域指定は現在しておらないわけでございます。と申しますのは、甘味法の指定基準に年平均十八度というのがございます。十八度以上ということが条件になっておりますが、どうもその基準一般的に達しないところが大部分であるということで、サトウキビはきわめて不安定であるというふうに私どもは見ております。それからまた地域としてのまとまりでございますが、やはり甘味資源の指定基準につきまして政令の二条できめております。四万四千トンの生産の達成ができるかどうかということでございますが、現在とてもそういう段階でございませんで、約一万トンぐらいができておるという状況でございます。したがいまして、工場採算ベースからいってもはなはだ無理な体勢にある。かつ最近この二、三カ年に凍霜害を受けている経過もございます。そういう情勢でございますし、また糖安法によります囲い入れ価格を、最低生産者価格をきめておりますけれども、その基準の最低生産者価格を支払い得るやいなやということになりますと、これまた南西諸偽と競争いたしますとはなはだ条件が悪い、競争力もないのじゃなかろうかということでございまして、私どもいま直ちに、これが非常に適地であるというふうに判断するわけにはまいらないというふうに考えております。なお、鹿児島県では四十年以降三カ年にサトウキビの栽培実地試験をやっておりますが、これにつきましてはことしその報告を受けることになっておるわけでございまして、それにつきましての報告を聞いて、また現段階におきまして判断をさらに重ねてまいるということはいたしたいと思いますが、現状では決して非常に安定した適地の作物であるというふうには判断いたしがたいというふうに見ておるわけでございます。
  62. 村山喜一

    村山(喜)委員 私もそう思うのです。思うのだけれども、農民はこれ以上耐えられない、だからサトウキビでもまたつくろうか、こういうような気持ちでやっているわけですね。だからそこにやはり農林省として適地通産の政策を進めていただく場合に、海岸地帯ですから果樹を中心に経営の構造改善をはかろうというような政策を立てておったら、それが一朝にして成木まで枯れ果てているという状態、こういうような問題に対して果樹共済なり、あるいは防潮堤なりといいますか潮風を防ぐような、そういう措置をとらせるとか、何かの、百姓が安心して営農ができるような措置を指導されなければならないだろうと私は思うのですが、そういうような用意がございますか。
  63. 小沼勇

    小沼説明員 御指摘の鹿児島南部の地域におきましては、比較的気候が温暖でございますので、いろいろの作物ができるわけでございますけれども、しかし、今度の台風十六号のような、そういう災害もまたかなりあり得る地域でございます。そういう意味で作物の選択がなかなかむずかしいわけでございますけれども、たとえば甘蔗について見ますと、かなり甘蔗を減らして転作をしております。転作の行き先が陸稲であったり、あるいは果樹、茶、桑、こういうようなものに移っておる状況でございますけれども、これらにつきまして、私どもすべてけっこうということではございませんが、やはりあの地域におきましても、その中で果樹がいいという地域もございましょうし、緑茶がいいというところもございましょう、あるいは桑がいいというところもございましょうが、それぞれについて、私ども構造改善事業なりあるいは地域特産なりあるいは防除体制の整備ということで、全般的にその地域の適地通産の考え方で作物を選択して育成していくということをやはり続けてまいりたい、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
  64. 村山喜一

    村山(喜)委員 一般論としてはあなたのおっしゃるとおりだけれども、もっと具体的に、この地域についてはこういうふうにやりますというのを、ひとつぜひ立案をしていただいて、農民が不安を持たないような営農指導というものを進めていただきたいと思うのです。そうでないと、お茶にしても果樹にしても、ほとんどやられっぱなしでしょう。そこからサトウキビでもつくらなければしょうがないのではないかという気持ちになるのですから、その点は強く要望を申し上げておきます。  それから、川上事官、あなたにお尋ねしたいのだが、激甚災に指定をされたことによりまして、国のいわゆる財政負担がどれだけになるという見通しをもうお持ちでございますか。  それから、時間がないので続けて尋ねますが、災害の査定の状況、進捗状態はどういうふうになっておりますか、農林省建設省。その中で出水干拓の防潮堤の問題については、この前私も参りましたが、現地に査定官が行きまして、これを直轄でやるか、それとも児の代行建設でやるか、その状況を見てからきめよう、総額は一億三百六十万ぐらいの被害ですが、それはどういうふうな災害復旧工事をやるという方式がきまりましたかどうか、その点について明らかにしていただきたい。
  65. 川上幸郎

    川上説明員 第一番目の激甚によります政府の負担額の総額でございますが、これは天災融資法そのものにからみますので、農林省荒勝事官より一括してお答えさせていただきたいと存じます。
  66. 荒勝巖

    荒勝説明員 天災融資法関係について申し上げますと、今回の災害で七億五千万円の融資総額ということになっておりまして、そのうち三分資金の分と六分の資金の分の二つに分かれますが、その仕訳がまだはっきり確定していない。それから七億五千万円の配分につきまして、各県と現在資金需要の要求額等につきまして折衝中でございますので、金額的には確定いたしませんが、七億五千万円の範囲内ということの、それは融資の対象でございますので、それの金利負担を政府が持つことになりますので、それが確定するのは各人別の融資額が決定したときに初めて確定する。それからもう一つ、それに続きまして自作農創設維持資金という制度で農林漁業金融公庫から貸すことになっておりますが、これにつきましても、まだ資金ワクにつきまして現在各方面と折衝中でございまして、需要額もまだ県から十分いただいておりませんので、これももりしばらくしませんと確定しない。したがいまして、国の直接的な財政負担額は、そういったものを全部整理いたしませんとこまかくは申し上げられない、こういうかっこうでございます。
  67. 村山喜一

    村山(喜)委員 農林省のほうから答弁をまだいただいていませんが、出水干拓の堤防の工事を直轄でやるのか、代行建設でやるのか。もう二週間ぐらい前に行かれたはずですから……。
  68. 荒勝巖

    荒勝説明員 現在災害査定のほうにつきましては、鋭意谷地区災害査定官を派遣いたしまして、もう十一月の二十口前後には査定がほほ終わるというふうに私は聞いておりますが……。
  69. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、あとでもけっこうですから、出水干拓の問題、お知らせいただきたいと思います。  次にお尋ねしておきたいのは、いま川上事官あるいは農林省のほうから説明を聞きますと、これは天災融資法とそれから自創資金だけの問題で、公共土木災害等については激甚災として指定をしているわけじゃないのだ、こういうようなふうに受け取っていいわけですね。
  70. 川上幸郎

    川上説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  71. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでお尋ねしたいのは、次は財政関係なんですが、だれか大蔵省は見えていますか。見えていなければ、自治省が見えているからいいですが、この前、災害関係で九月末までに予備費のほうから支出したものを調べてみましたら、災害に八十六億だけ支出をしている。今後その査定の結果のいかんによりまして、予備費のほうから当然支出をしなければならないわけでありますが、十一月の二十日ごろまでかからないとわからない、こういうことでございますので、全体的な災害復旧費にどれだけ使えばいいのかという見通しはなおついていないのではなかろうかと思いますが、大体見込んでおる数字の範囲内にとどまるのかどうか。この分について災害関係として四百六十億程度最初見込んでおるようでありますが、この程度で予備費の中で支出行為はとどまるかどうか。それが圧縮ができるのだという一つの見方もあるのですが、それよりも少なくて足りるかどうかという見通しについて、まず伺っておきたい。それが一点。  それからもう一つは、きのう大蔵委員会の席上におきましても、国税庁のほうから、災害地の分については、事業用資産並びに家財等についての損失について、所得税法上の課税の繰り越し猶予等の措置について通達を出した、こういうようなことで、国税関係についてはそのような災害に対応ずる対策がとられておるわけですが、いわゆる地方税であります住宅等にかかわります固定資産税等に対するそういうようないわゆる雑損控除であるとか、あるいは災害減免法による減免措置であるとかというようなものについては、これはやはり自治省としてはそういうような通達を出してこまかい行政指導をやられているだろうと思いますが、それが国税関係とあわせて同じような措置がとられているかどうか、その点についてお尋ねをしておきたい。
  72. 井上幸夫

    井上説明員 お答えいたします。  本年度の災害関係の予備費は十一月上旬現在で百九十億支出済みでございます。この中にはいわゆる負担法系統の公共土木施設、農地、農業用施設の災害と、それから文教施設等の災害復旧を含んでおります。現在までの支出は百九十億でございます。  この年度を通じてのお話でございますけれども、現在までのところ、この年度初めのえびの地震等につきましては大体調査を完了して、それに対する措置を終わっておりますけれども、それ以外の災害につきましては、いずれもまだ調査進行中でございます。現在この年度一ぱいでの予備費の見込みにつきまして、正確な見通しはやはり立てづらい状況にございます。
  73. 森岡敞

    ○森岡説明員 災害の場合の地方税の減免につきましては、一般的に当年の、災害が起こりました年の税負担の軽減、これについて非常にこまかく、事業税、住民税、固定資産税というふうに、各税につきまして被害程度に応じて全免あるいは八割減免、五割減免というふうに従来から通達を出しております。各府県、市町村では、それに応じまして条例措置を講じて、個々の災害の起きました年に措置をしておるわけでございますや  もう一つ、御指摘のありました所得の計算あるいは損失の繰り越しの控除、これにつきましては、御承知のように、関連してまいりますのは住民税と事業税でございますが、住民税、事業税ともに前年の所得を課税標準にいたしまして課税する仕組みをとっております。同時に、その所得の計算なり繰り越しの算定につきましては、所得税ないしは法人税の計算の例によることになっておりますが、仕組みないしは運用といたしましては、所得税の繰り越しなり所得計算の方式にそのまま乗っかっておる、こういうことでございます。  お話しのありましたのは、昨年の暮れに国税庁が出されました西日本の干害なりあるいは羽越災害と関連しての通達のお話ではないかと思うのでございますが、これにつきましても、もとより所得税についてとられます措置と同じような措置を住民税についても当然講じていく。所得計算の例によるわけでございます。そういうふうに考えております。
  74. 村山喜一

    村山(喜)委員 その場合に、国税関係の場合には、青色申告をしている場合はいざ知らず、白色申告の農家の罹災者の場合等については、いわゆる農協とかあるいは当該市町村長の証明があれば、これによって損害額の査定をする、認定をしていくんだという方式をとっておるようですが、地方関係についても同じような、そういう便宜的な措置というものを考慮するようなことで指導をしておいでになるわけですか。その点を……。
  75. 森岡敞

    ○森岡説明員 農業の所得につきましては、災害だけの問題でございませんで、一般的に税務署と市町村が農業所得の決定につきまして相互に協力をいたしております。したがいまして、御指摘のような税務署の取り扱いは当然に市町村も完全に承知いたしておりますので、表裏一体となってお話しのような措置がとられる、こういうふうに考えております。
  76. 村山喜一

    村山(喜)委員 最後に確認をしておきますが、一月から八月までの公共土木の被害報告は千三十億だ、そういうように聞いております。九月から十二月の分が幾らになるのか、その見通しがはっきりわかりませんが、十一月の上旬において予備費から支出された分が百九十億だ、こういうように考えてまいりますと、被害報告額の本年度の災害復旧率といいますか、この率から逆算をしてまいりますると、百九十億の分から見ますと、大体九月から十二月、六百五十四億が四十年から四十二年の平均である、それぐらいの数字でおさまり得るもの、こういうふうに大蔵省では見ておいでになりますか。それとも、査定の結果が正確にわからなければ見通しとしては狂ってくるんじゃないか、こういうような感触でありますか。その見通しについてはどういう推定をされておるか。その点について明らかにできれば、この際していただきたい。
  77. 井上幸夫

    井上説明員 数字が若干違うかもしれませんが、十月末の状況でつかまえまして、いわゆる公共土木施設、農地、農業用施設の被害報告額が千二百十四億でございます。ですから、先生がおっしゃいました数字から比べると、時点のズレがございますので、かなりふえてきております。ただいま申し上げましたように、年度を通じての見通しの問題になりますと、現在十勝沖地震関係調査がまだ完了しておりませんし、十六号以降はほとんど手つかずでございます。現在の見通しにつきましては、ちょっと申し上げかねる状況でございます。
  78. 村山喜一

    村山(喜)委員 十一月の二十日ごろに大体査定が終わるということです。いままで、十月末で千二百十四億ですから、大体千六百八十四億ぐらいの被害額を見込むということになると、若干のゆとりがある、こういうふうに見て差しつかえないですね。だから、そうなったら、予備費の予定をしておった支出額の中でおさまっていくのだ、むしろそれよりも少なくて足りるのだ、こういうふうに財政状態は見て間違いない、そういうふうになりませんか。
  79. 井上幸夫

    井上説明員 いわゆる被害報告額と初年度の国費所要額との間には、災害の態様と激甚の程度といいますか、深さの程度によりまして毎年相当の差がございます。あるいは直轄災害の多いとき少ないときは、激甚災の多いとき少ないとき、市町村災害の多いとき少ないときで差がございますので、大数観察で、現在のところ被害報告額にある計数をかけて所要額を推定するということはなかなかむずかしゅうございます。現在のところ、何とも申し上げかねる状態でございます。
  80. 村山喜一

    村山(喜)委員 総理が言われたんだが、異常災害があった場合には、既定経費、予備費の範囲にとどまらないで別途に補正の措置を講ずることは当然だ、こういうようなことを言われているんだけれども、そういうような異常災害が発生したという認定の段階ではない、こういうふうに考えていいですね。
  81. 井上幸夫

    井上説明員 御承知のように、去年の羽越災害に当たりますような大きい災害が本年度ないことは事実でございまして、いわゆる異常災害ということはございません。
  82. 村山喜一

    村山(喜)委員 災害の査定はできるだけ早目に措置してもらって、その災害復旧がおくれることに伴ってまた災害がその上に積み重なってくるというような悪循環を繰り返すことのないように。財源的にはいまのところ、報告を聞いておりますと、大体その範囲内で処理ができる、こういう見通しのように聞きますので、すみやかな復興措置をやっていただきたい。  以上で終わります。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員長 児玉末男君。
  84. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最初、農林省関係にお聞きしたいと思います。  先月の九日の当委員会におきまして、特に今回の十六号台風によりまして陸稲並びに水稲が相当被害を受けておりまして、これの災害による等外、規格外米の買い入れ措置について早急な結論を出すという答弁をいただいているわけですが、私ども宮崎県の場合、現在県が査定した数量というのが、等外上の売り渡し見込み数が二万五千俵、それから規格外の見込み数量が大体一万五千俵、六十キロ込みの四万俵という数を大体出しておりますが、これに対しまして、食糧事務所の統計は大体八千俵程度ということで、格差があまりにも大き過ぎるわけですが、このような措置についてどういうような対策を検討されておるのか、その後の傾向を含めて御報告をいただきたいと思います。
  85. 荒勝巖

    荒勝説明員 災害に伴いまして規格外を買うという方向につきましては、宮崎県に適用するということで、食糧庁のほうも十分その線に従っておると思います。  なお、災害被害状況、特に規格外でも上の分について、食糧庁としてどの程度の量を買うべきかいなかということにつきましては、食糧事務所を通じまして相当現地において調査いたしまして、その辺はなお今後、よその県の例によりましても、県と相当折衝して、ある程度数字をきめていくことになるのじゃなかろうか、こういうふうに理解しております。
  86. 兒玉末男

    ○兒玉委員 県からの要請によりますと、県の大体調査した数量の五分の一という数字はあまりにもかけ隔たって大きいのじゃないか。その理由というのは、私はやはり予算的な、財政上の問題からきておるのじゃないかと思うのですが、その辺の関係は大体いつごろ、その買い入れに対する結論を出す予定なのか。その点をお聞かせをいただきたいと思います。
  87. 荒勝巖

    荒勝説明員 いつごろというはっきりした期日は、ほかの県の先例等によりましても、はっきりきょうここで何月何日というきめ方にはならないのじゃないか。なお、食糧事務所と地元との間に、話し合いは今後相当続けられるのじゃなかろうか、こういうふうに私は思っております。
  88. 兒玉末男

    ○兒玉委員 現実にほとんどもう刈り入れば終わって、そしてその辺の状況も十分把握できている時点にきていると私は思うのですけれども、そういう状況を十分踏まえて、同時に食糧事務所と県の数量の誤差というものが非常に大き過ぎる。その辺ひとつ十分県側の意向というものを尊重して対処していただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  89. 荒勝巖

    荒勝説明員 御意見につきましては、帰りまして内部で十分に善処いたしたい、こう思っております。
  90. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、総理府のほうにお伺いしますけれども、この前の当委員会において、特に八木長官は、今回の激甚災の局地災害等を含めた基準の改正については、A基準、B基準以外に新しく市町村を対象にした局地激甚の基準を設けるという考え方であるということを明確に答弁されておると思います。と同時に、この新しい基準を設ける際、特に過去の激甚災害でそれぞれの市町村のデータが出ております。その激甚災でそれぞれの市町村の基準財政収入額というものと市町村の被害というものを対比してみたパーセンテージも出ていますが、今回のこの改正については、こういう各町村の過去の実態というものを十分把握した上で、基準を設けるというふうに答弁されたわけです。それならば、現行の基準にそれぞれ追加をするということになるわけでございますけれども、現行のいわゆる標準税収に対するところの対象額なりその基準等について、現在どういうふうな、何項目程度の作業が行なわれておるのか。先ほど答弁されましたように、その結論を急ぐということを言っておりますけれども、具体的にどういう作業が進められておるのか。もしお答えできたら御回答願いたいと思います。
  91. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  先ほどの点につきましては、前回におきましてもたしか御説明したと存じまするが、対象といたしますものといたしましては、第二章の公共土木関係、それから農林関係といたしましては第五条、第六条、中小企業関係といたしましては十二条、それから十五条、これらの点につきまして鋭意作業を進めております。
  92. 兒玉末男

    ○兒玉委員 二、三お伺ねしたいのでございますが、特に現行の指定基準の二に対して、現在の農地等災害復旧に関する件でございますけれども、農業所得推定額のおおむね一〇%あるいはその査定の見込み額が五千万円をこえるという、この程度にわれわれは対象を置くべきだという主張があるわけでございますが、その辺の具体的基準の設け方等についてはどういうふうな作業を進めているのか、お伺いしたい。まず農地関係で……。
  93. 川上幸郎

    川上説明員 本件につきましては、予算との関係もございますので、過去三年間の各市町村等におきます災害等を洗いませんと、幾らの額にするかとか、幾らの率にするかということは、ただいまのところではちょっと申し上げかねます。
  94. 兒玉末男

    ○兒玉委員 過去三年ということは、特にここ一、二年が非常に局地的な災害が発生していると私は思うのです。そうしますと、えびのなり十勝沖なり、こういうような今年度に発生した災害を含めて過去三年といっているのか、その辺はどういう見解でございますか。
  95. 川上幸郎

    川上説明員 おっしゃるとおり、本年度起こりました災害も含めまして調査をいたしておるわけでございます。
  96. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、現行の激甚災害指定基準の五のBのただし書き中に「火災」とありますけれども、これは私はいままで再三委員会でも指摘をしてきたところでございますが、やはり地震も含めていくべきだ、これはみんなが強調しているところでございますが、この辺はどういうふうな見解でございますか。
  97. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  ただいまの関係は、中小企業関係基準の改正にからむ問題ではないかと存じまするが、本件につきましては、通産省におきましていろいろ慎重に検討しております項目の中にそれが入っております。
  98. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、特に今回の連続の災害で感じますことは、個人の住宅災害の復旧について、やはり特別措置をとる必要があるのではないか。というのは、個人災害に対しては何ら補助策もないし援助の策もないわけでございますが、この際、個人の住宅災害復旧に対して特に資金的な融通措置というものを検討すべきだ、少なくとも、長期、低利、年利率三分五厘、最低この程度措置は当然とってしかるべきじゃないか。やはり基準の追加なり改定と並行的に私はこの際考えるべきだと思うのですが、その辺はどういうふうな見解を持っているのか、お伺いしたいと思います。
  99. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  ただいまの問題は、指定基準の中の、現行法の激甚法に関します部分とは別の問題として処置すべき問題ではあると考えますが、その問題につきましては、現在鋭意政府のほうにおきまして指定基準の改正につきまして検討を進めておる段階でございまして、融資のほうをいかに措置するかということについては着手はいたしておらぬ段階でございます。
  100. 兒玉末男

    ○兒玉委員 八木長官にお伺いしたいのですが、いま御答弁いただきましたけれども、今回の災害の復旧状況を見ておりましても、結局まだ突っぱりをしたままで復旧ができない、仮保守のまま住んでおる状況にあるというのがたくさんあるわけです。それも、今回現地に行きまして事情を聞いておりますと、建て直そうと思っても資金的に全く銀行も他の機関も貸してくれない、また経済的能力から、いまのような高金利では不可能である、こういう人が相当数あるわけです。これはおそらく関係の市町村団体からも強い要請が出ていると思うのですが、この個人住宅の災害復旧に対して、最低三分五厘の長期低利の融資対策ということをこの際特別措置としてぜひ考慮していただきたい、こういう趣旨でございますが、どういうふうな御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  101. 八木徹雄

    八木説明員 ちょっと交通安全のほうへ行っておりまして、質疑の全容を聞いておりませんが、承りますと、いまわれわれが策定しようとしておりますいわゆる局地激甚の災害の問題とは直接触れないで、特殊な事情としてこういうことをひとつ別途の観点で、個人災害ではあるけれども住宅問題について何らかの措置を講じてくれる必要はないか、こういう御質問じゃなかろうかと思うのでございますが、いままで政府といたしましては、原則的にはいわゆる個人災害に対する特別措置というものには直接取り組まない、そういうかっこうできておることは御存じのとおりでございます。そのこと自体が今後の災害対策上適当であるかどうかというのは別の議論になろうと思うのであります。私たちは、個人災害については共済制度をやったらどうかというような御議論が国会内外にもあるということも承知いたしておりますので、個人災害の問題については新しい観点に立って検討しなければならぬと思いますが、いま御指摘の住宅復興のための特別低利融資についてひとつ考えろということにつきましては、直ちにそれができるようにいたしますということのお答えができかねますけれども、御質問の趣旨は十分にわかりますので、今後個人災害の全般の問題との関連の中で考えてまいるようにいたしたい、こう思います。
  102. 兒玉末男

    ○兒玉委員 一般災害ということじゃなくて、激甚災害指定を受けている地域に対する個人の災害復旧、こういうことで関連する特別措置ということを聞いているわけであって、普通の災害でなくて、激甚災の適用を受けた地域における個人住宅の災害復旧に関する特別措置を考慮していただきたい、こう言っておるのでありますが、再度お伺いしたいと思います。
  103. 八木徹雄

    八木説明員 お気持ちはよくわかるのですけれども、激甚災害地におけるいわゆる個人災害の住宅資金、こういうことだといま伺ったわけでございますが、このことにつきましては、たびたびそのつどそういう御要請がありながら、実は先ほど言った原則論としての個人災害に対する措置ということまで踏み切れないことのために、問題の本質的解決ができてないわけでございます。そういう意味で、今回の局地激甚の災害基準をやる場合に、その激甚地における個人住宅に対して何らかの前進措置をこの際講ずべきであるという御趣旨でなかろうかと思いますが、現在われわれが作業を進めておる段階ではそこまで今度は及ばない。先ほど申しましたように、個人災害の基本的な考え方を解明する中で、その問題に対して考えていくよりほかに方法がないのではないかと思いますが、御趣旨のところはよくわかりますので、なお、検討はさせていただきたいと思います。
  104. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そうしますと、現行法においては、そういうふうな地域における個人の住宅復旧については、一般の住宅金融公庫等の制度しか全くないというのか、どうなんですかそれは。
  105. 八木徹雄

    八木説明員 現在はそのとおりであります。
  106. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは副長官にお伺いしたいのですが、副長官は先般の十月九日の当委員会でも答弁されたわけですけれどもせっかく新しい基準を制定するわけでございますが、関係市町村当局が考えておるのは、財政に対するところの比率なりあるいは被害の限度額というものが現状にそぐわない点がたくさんあるわけです。それですから、新しくA基準、B基準に追加することでございますので、いままでの全国的な関係町村等の声を、十分この基準設定にあたっては反映できるように最大限度の努力をしていただきたい。被害限度額というものがどうしても大蔵省との折衝の過程においてなかなか難航しておる。いままでこの基準の改定が一向進まないのも大蔵省との関係にあるようです。しかも被害を受けた町村においては、基準額というのが非常に高いためになかなか恩恵に浴しない。昭和三十七年にこの基準が設定されて以来、各市町村が災害のたびに主張しておる点を十分考慮していただく。特にまた今回局地災害に対して大幅な改定が行なわれるのでございますので、その範囲等についても十分な検討を加えて対処していただきたいと考えますが、これに対する副長官の御所見を承りたいと思います。
  107. 八木徹雄

    八木説明員 お説の精神に従って実はいま鋭意苦労しておるところでございます。せっかくできる新しい基準が有名無実の基準であったら、それはつくったことになりません。そういう意味合いで、この際、私も皆さんと同じ気持ちでありますから、誠心誠意、地元の要請に、なるほどこれならよかったと言われるものをつくり上げたいということで、最後の詰めをいまいたしておるところでございます。できるだけすみやかに結論を得て、ひとつ御安心をいただくようにいたしたい、こう思っております。
  108. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後に、これは要望になろうかと思うのですけれども、一般的に関係被災地の機関は、十一月二十七日に総裁公選がある、それによって内閣がまた改造される、せっかくいまここまで積み上げてきて、作業が大詰めの段階にきておるのですから、少なくとも年内にはぜひこの結論が出せるように格段の御努力をお願いしたいと思うわけですが、もうおそらく内容は煮詰まっておると思うのですけれども、その辺の御所見はいかがでございますか。
  109. 八木徹雄

    八木説明員 このことと総裁公選とは直接つながりませんが、実は総裁公選があれば大臣も副長官もかわるであろう、かわったらまたあとどうなるかわからぬという心配をされては困りますので、私どもの在任中にこれは必ず成案を得るようにいたしたい。率直に申し上げまして、二十口までにめどを立てたい、こういうことでございます。いままで、次の国会までにやります、こう言っていますが、またそれをひとつちびりまして、二十日をめどにやり上げたい。そのときに基準の細部がきまるということでなくて、要綱がきまるぐらいのことは二十口までにやりたいという心意気でいま最後の仕上げをしておるので、一そうの御援助をひとつお願いいたします。
  110. 芳賀貢

  111. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ちょっと副長官にお願いいたしたいのですが、今回有馬温泉の大被害が出ましたけれども、これに対してまず長官の御所見を聞いておきたいと思います。  このような観光レジャーブーム時代を迎えまして、熱海または鬼怒川、日光、川治、こういった一連の関東にある有名な温泉場を見ましても、非常に観光とか、人を呼ぶ、またはサービスに専念する点においては、確かに競争時代でありますので、鋭意これを尽くしておりますが、こういう観光地帯の都市計画、または市街地の再開発、こういうことももう行なわなければならぬと思う。これからの危険な建築、近代化の伴った建築資材、またはふとん等に用いられている有毒ガスが発生するようなもの、昔考えられないような危険な建築資材とか、そういうものが使われている今日、いまのような無計画な都市計画の中で、こういった旅館またはホテルをただ過密の中に競争を野放しにさせておくということが、こういった大きな事故を生み出す原因になったのではないかということは承知の上だと思いますが、これに対して責任者である副長官の立場で、こういった都市計画や再開発の面から見て、または今後どうあるべきなのか、この点のお考えをまず聞いておきたいと思います。
  112. 八木徹雄

    八木説明員 その御質問に私が答えることがはたして適当であるか、適任者であるかどうか疑問だと思うのでございますけれども、御質問でございますのでお答えいたしますが、これは事前に防災会議で十分熟議をしておるということではございませんので、多分に私の個人的見解ということになると思いますけれども、実は今回の有馬温泉火災状況を承っておりますと、こういう災害が起こるということを心配して、たびたび警察当局のほうでは注意を喚起しておった、構造上の問題も含めて注意を喚起しておったにもかかわらず、それが守られなくてこの事故が起こった、こういうふうに承っておるわけでございます。特に多数のお客さんを収容するこういう旅館、ホテルといったようなところで一番注意をしなければならぬことは、やはり安全が確保されるということが最大のサービスでなかろうかと思うのでございます。構造上の問題なりあるいは消火体制の問題なりあるいは警報体制の問題なり、いろいろな問題が放任されたままでおるということに問題があると思います。これはただ単に有馬の問題としてではなく、こういうレジャー地帯における全般的傾向というものがそういうようなところにあるのではなかろうかと思いますので、今後関係各省とも十分に協議をして、注意が確実に守られる方策はどのように打ち立てるべきかという見地に立って検討を加えるし、適当な措置を行なうようにいたさなければならぬのではないか、こういうように考えるわけでございます。
  113. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 本委員会で取り上げられる火災というものは非常に大きな火災、人命または財産、物的損害、こういった問題が取り上げられるのでありますが、最近のこういった観光地帯またはレジャー地帯における火災事故というものが、水上の事件または熱海の大火等、数えるまでもなく連続してひんぱんに起きておる。これは当然討されてしかるべきであります。また建築基準法、または消防法、こういったものが現在相当問題になっております。なかんずく私は副長官にお尋ねしたいことは、この有馬温泉被害を出した旅館においては、十五回も消防署から注意、勧告を受けておった、十五回受けたということは十四回守られなかったということです。そして十六回目に事故が発生した。これは一体どういう原因によってこういうことが守られないで今日まで放置されているのか。ただ単に警告だけしておけばそれでいいのか。新聞によりますと、大きな事故があったときには、必ず、警告した、消防署はこういうふうにやった、または建築基準法の立場から査察も行なった、しかし事故が起きて残念だ、申しわけない、こういうことが繰り返されておりますが、鉄砲を撃っているだけでその結果が出ない。まして、今回の一番大きな行政上の責任問題というのは、十五回という勧告が行なわれているのになおかつ守られないこの事実、この点に対しては一体総務副長官、どういうところにこういう原因があるのですか。
  114. 山本弘

    山本説明員 消防庁でございますが、私からお答えをいたします。  旅館、ホテル等、人命を預かる立場にある状態におきまして、人命を守る、お客さんに安心して泊まっていただけるという設備をしてやるのが私はサービスの第一だと思っております。消防法にもこういったものを防火対象物と呼んでおりますが、防火対象物には、しかるべき消防設備なり避難の機械器具を備えつけることを法令の義務として課しておるわけでございます。この義務が守られておるか守られていないかということを調べるために、消防法には、消防職員の立ち入り検査と申しますか、予防査察と申しますか、そういう権限が与えられておるわけでございます。この権限に基づきまして検査をした結果、当該満月城旅館に対しましても、その不備が発見されておりますので、そのつど指摘をしておりまして、それが十五回に及んだわけでございます。  しかしながら今回の火事を見て、人命の大きな損傷を見たわけでございますが、守られなかった原因はどこかということでございます。消防法におけるところの立ち入り検査、予防査察ということは、むろんそれに従わない場合は罰則の手段をとることもできます。そういった道は開かれておりますけれども、やはり予防査察の基本的な考え方といたしましては、その建物の防火診断を住民の側に立ってやってやって、そうしてできるだけ話し合って――話し合うということはおかしいことばでございますが、行政指導の中で法令に適合するようにやらしていく、こういうのがやはりたてまえであろうかと思うのであります。そういった見地から何度も行なわれたというふうに私は理解をいたしておるのでございますが、しかしながらもうこういう段階になりまして、事故が起こった場合において、警告がたびたびなされておったということをもってわれわれは責任をのがれることはできないのじゃないかというふうに考えるわけでございまして、消防法に認められておるところの手段、たとえば不備を発見して設置するように命令した場合に、聞かないという場合は告発をする、あるいはまた場合によって、その設備が不備なことによって人命に危険があるという判断がなされ得る状況であるならば、その部分の使用を停止するというような手段も今後はとっていくべきである、かように考えておるのでございまして、今後におきましてはこういった点を加味しまして、消防機関に対する運営指導をしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  115. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと消防法第五条、九条十七条、ここにおいては当然これに対して対処できるということが条文にうたってあります。それで十五回も勧告した中には当然消防に関する、また火事に対する注意、または火事が起きたときに対する注意、またはその災害が起きたときに人命に対する危険の注意、それはいろいろあると思う。特に今回の十五回の中では人命に対する勧告は何回行なわれたのですか。
  116. 山本弘

    山本説明員 この満月城におきましては、木造部分なりあるいは本館部分につきましては、消防法施行令が適用される前の建物であったというような関係もございまして、火災を早期に発見するための自動火災報知機というものも設けておりませんし、また避難器具につきましてもその設置は不十分でございます。いずれも人命に、これはいざ火事が起こった場合に関係がございます。そういう意味で、その点につきましても不備を指摘し、改善をすべく警告しておった次第でございます。
  117. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 親の心子知らずということばがありますが、親がそれだけ勧告した、さらに子供は言うことを聞かない、だけれども、それは言うことを聞かないからしょうがなかったのだで済むのか。現にここで三十人の方がなくなった、四十四人の方が重軽傷を負った、これは旅館が悪いことはわかります。悪いことはわかりますが、このように大事故が起きた。十五回勧告したけれども聞かなかっただけでは済まされない。この責任は消防庁はどう考えていますか。
  118. 山本弘

    山本説明員 ただいま申しましたように、旅館、ホテル等に対する予防査察につきましては、人命の保護の見地から当然十分行なうべきでございまして、とりわけ昭和四十一年の水上温泉火災事故を契機といたしまして、消防法も一部改正をいたしております。たとえば避難器具につきましては従来より基準を強くする、そういうことで人命の安全をはかる。これは法令的措置でございます。そのほかに春秋の火災予防週間はむろんのこと、随時点検を行なう、こういったことを指示いたしておったのでございます。その結果、いまだ十分ではございません。事故を起こした場合においては必ずその不備が指摘されておりますが、全然無視されておった、全然それは聞き流されておったというわけでもございません。たとえば当有馬地区におきましては、昨年の査察におきましては消防設備、避難器具等の設置状況が大体六〇%ぐらいだったというふうにいわれておるのでございますが、今回春に一斉査察をやりました結果、八九%ぐらいまで実は上がってきておるわけでございます。そういう意味でわれわれは責任のがれをするわけではございませんが、いわゆる査察をして、警告をして、それをもって足れりとしておったわけではございません。行政指導の中で相当程度改善された部門もございます。  それで満月城についても、これまた弁解するようなことになるかもわかりませんが、この春の予防査察の結果、本丸、いわゆる本館部分におきまして、実は消防設備の工事の着工を一部いたしております。最終的には、十月三十日にはそれでは不十分だということでもって、現地消防署におきましては誓約書をとるという段階にまできておったのでございます。そのやさきであったわけでございます。いずれにいたしましても、弁解をするわけではございませんが、行政指導という中では徐々にその強さを加えて、強力なる行政指導を行なってきておったということは御理解をいただきたいと思うのであります。
  119. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私は、お答えを聞いておりますと、まことに理解に苦しむ点が一点あるのです。それは、こういう災害というものの、また起きる可能性のあるものは、九九・九%完成していてもあとの〇・一%できなければ事故が起きるのです。漸次とか順次とか、十五回やったから十六回目には五〇%いったとかいう筋のものではないとぼくは思う。当然第一回の勧告で一〇〇%消防庁の要求を満たしたような――八百人も九百人も収容するような旅館業を営んでいるのですから、当然これはやらなければならぬ。これは業者のモラルの問題です。しかし監督をするほうで、その監督のしかたが、われわれは疑心暗鬼でものを言うわけではありませんが、何となく手ぬるいのではないか、また一ぱい飲まされているのではないだろうか、こういうようなうわさまで現地で飛んでいる。これはうわさですから誤解しないでいただきたいのですが、そういうことが事件が起きたあとでささやかれるような行政であってはならぬ。なるほど十五回も一生懸命足を運ばれた。十月三十日といいますと、事件の直前まで行かれた。なおかつそれでさえも勧告したことが守られてなくて、今回大きな事故が起きたということに対して、いま一生懸命お答えをいただきましたから、その点のところはよく理解できますが、どうしても納得のいかない点が一点あるのは、そういうものの考え方、順次やっていけばいいのだという考え方では危険だと思う。だから今後、この事例があるからというので、それでは十五回まではいいのだ、十六回目に直せばいいのだという思想が、新聞にこう書かれてきますと、ほかの業者にだって出てきますね。その点はいかがお考えですか。
  120. 山本弘

    山本説明員 消防設備のような人命に関係のあるものにつきましては、いわゆる適合が何%であるということは問題ではない。まことにごもっともでございまして、たとえそれが一%であろうとも重大事故につながるものでございます。そう  いう意味ではまことに御説のとおりでございます。したがいまして、先ほども申しましたように、行政指導を強めていくということに基本的な考え方が実はあったのでございます。しかしながら、御指摘のように、一たん火事が起こったような場合において人命の危険が起こるという可能性のあるようなところにつきましては、さらに消防法で認められておるような強い手段をとっていくべきであるというふうに考えるのでございます。と申しますのは、たとえば改善命令をしても聞かなかったという場合には、消防法に罰則がございますから告発をするとか、またたとえその整備状況がかなり改善されておったといたしましても、人命に非常に危険だという部分の改善がなされていないという場合につきましては、その部分の使用停止ということの強硬手段にも踏み切っていくべきである。かような考えをもちまして、今後におきましては現地消防機関の指導をいたしたい、かように思うのでございます。
  121. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これ以上あまり言ったのではお気の毒ですから言いませんが、最後に一点だけ聞きたいのは、告発するといま申されましたが、何回勧告したら告発するのですか。この場合でいくと、十五回やったから十六回目には告発するかということになるのですが、一体消防庁としては、勧告を何回やっても聞かないという場合には一つの限度を設けて一これから強硬措置をとられるといまお答えになったのですが、その点についてお聞きしたい。
  122. 山本弘

    山本説明員 何回したらということになりますとまた、一体何回まではいいのだということにもなりますので、あくまで御指摘のような事情のもとにおきましては、危険があるということであればこれは告発もいたしますし、また使用停止の処分もとりたい。なお、形式的な基準はともかくといたしまして、そういった今後の運営、指導の方針を明らかにいたしまして、それにできるだけ具体的な基準と申しますか、それを盛り込んだ通牒を急遽出したい、かように考えております。
  123. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは、現在消防法については法的不備はあるのかないのか、また現在の消防法で十分間に合うので、これがちゃんと活用、応用されていればこういう事故は起きないのか、こういう二つの考え方がありますが、消防法について法的不備がいま摘出されておれば、その点についてちょっとお聞かせ願いたい。また現在のままで、これさえちゃんと守られていれば万全なのか、その二点についてお聞きしたい。
  124. 山本弘

    山本説明員 先ほども申しましたように、法的不備という点について申し上げますならば、法律は運営の態度によって状況も変わってまいります。ただいま申しましたように、現行の法令をもっていたしましても、予防査察に関する問題につきましてかなり強力な手段も用いるわけでございますので、この点につきまして不備があるというふうには考えておりません。  しかしながら、消防法上、消防設備とかあるいは避難器具等の技術上の基準につきましては、この問題につきましては、最近の新しい建築形態に即応するような基準に直すべきものも若干出てまいっております。たとえば火災報知機でございますが、いままでの火災報知機は、技術上の基準としてわれわれが示しておりますのはいわゆる熱感知機でございまして、温度が急激に上昇することによって作動をするという方式でございます。現在の建築様式からいいますと、内装に、不燃ではありますけれども煙を出すという資材が多く使われておるわけでございます。その煙が室息あるいは中毒死に至らしめるということが多うございます。そういう意味で、火災報知機にも煙感知機といったものを基準として設ける必要があるのではないか。またすでにこの二、三年間研究をいたしております。その技術が開発を見た結果に現在相なっておりますので、直ちにこういった点を改正いたしたい。また誘導灯とかあるいは誘導標識等につきましても、設置の基準につきまして、最近のいわゆる煙に対応するような形で設置位置などにつきましてはさらに詳しく規定をしておく必要があるのじゃないか。そういった等々の点につきましては現在検討中でもございますし、改正をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  125. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この旅館を告発する考えはありますか。
  126. 山本弘

    山本説明員 実は明日、現地消防局長、責任者をわれわれのほうにお呼びしているわけでございますが、よく事情聴取をいたすつもりでございます。前後十五回、本年に入りましても二回、警告書を手交しているという状況でございます。一応誓約書をとる段階にいっておりますが、この警告がいわゆる十七条四によるところの消防設備の適合に関する措置命令であるというふうに理解するならば告発も可能でございますので、そういった点もわれわれの意図を十分に伝えて話し合ってみたい、かように考えております。
  127. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 話し合ってみたいということは、まだそこまでは考えていないということですね。
  128. 山本弘

    山本説明員 そうじゃございません。告発いたすのは現地消防局長でございますので、われわれとしては告発すべきであるという考えのもとに話し合ってみたい、こういう意味でございます。
  129. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点は了解いたしました。  今回の問題で、地元には消防団員が何名いたのですか。
  130. 山本弘

    山本説明員 団員は五十六名でございます。
  131. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私の質問がちょっとあれですが、消防機能ですね、消防署とか消防団、これはどれくらいあったでしょうか。
  132. 山本弘

    山本説明員 この有馬町の消防力でございますが、これは神戸消防局の中の兵庫本署の中の北上分署有馬出張所、こうなっております。有馬出張所は有馬の温泉地区だけを受け持っているわけでございます。その出張所には消防ポンプ自動車が二台、それから小型が二台ございます。消防職員は二十四名、消防団員は五十六名でございます。
  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 地元の道路消防自動車の運行に非常に差しつかえがあった。通知を受けてから現場へかかるまでには一体何分かかったのですか。
  134. 山本弘

    山本説明員 これは実は覚知がおくれたのであります。というのは、通報がおくれまして、大体出火が二時過ぎ、いろんなあれがございますが大体二時半前後じゃないかといわれておりますが、覚知をいたしましたのは三時六分でございます。そうして直ちに出動をいたしまして、最初の火がかりをした時間は後刻申し上げますが、直ちに現場の有馬出張所の者は三時七分には現地に行っております。
  135. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると一分で行ったわけですか。
  136. 山本弘

    山本説明員 場所が近うございますから。
  137. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、覚知時刻が三時六分で、現場へ消防ポンプが着いたのは三時七分、そうすると一分間で着いたのですね。
  138. 山本弘

    山本説明員 一分で行っております。
  139. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一分で行ったのですか、覚知から。そういうことは可能なんですか。
  140. 山本弘

    山本説明員 それは現地の出張所の分が二台直ちに行ったわけであります。その後第二、第三、第四出動というふうにふえておりますから、したがいまして全部の台数が一分で行ったという意味ではございません。最初に、初動に有馬の出張所のポンプ車が行ったということでございます。
  141. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは現場からその消防署までは何メートルくらいあるのでございますか。
  142. 山本弘

    山本説明員 私、現場を見たのでございますが、ほんの近くでございます。傾斜地でございますので、距離でございますが、直線距離にすればほぼ何百メートルという範囲の距離でございます。もちろん二、三百メートルの範囲の距離だと思います。
  143. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一分で三百メートルをかけつけられるなんということは、消防史上まれといってもいいくらい表彰ものです。これは議事録に載るのですから、ほんとうに正確に答えていただきませんと……私どものほうも現地に対しては、このように消防自動車覚知してから一分で行った、こう言ってもその点間違いありませんか。
  144. 山本弘

    山本説明員 その点につきまして、いろいろお手元に差し上げました表では三時六分の三時十分となっております。しかしこれは当日の報告によりますと、六分に受けまして、有馬から神戸消防局に報告して指令が出たのが七分で、そして七分のときには現場に行っておったという報告を受けておりますので、そのほうを申し上げたわけであります。
  145. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その辺が、私もよく現場を見ておりませんのでちょっと理解に苦しむのですが、後日よく調査していただきませんと、われわれが調べたところによると四十分かかったという報告があるのですが、これはもうちょっと調べなければならぬと思います。  それで、あそこは坂道で、道幅が大体何メートルあるのですか。
  146. 山本弘

    山本説明員 これは道幅は消防車一台が通り得るくらいの幅でございます。  それで、四十分という説がございますが、これは順次出動をいたしておりまして、最初二台行きました。その後、北上分署の鈴蘭台出張所から来る、それから灘の本署から来る、あるいは消防局から来る、兵庫本署から来るということをもちまして、九台くらいのものが集まったときが大体四十分ないし五十分ということになっております。したがって当初から、覚知からいうならば四十分くらいかかっておる、こういう表になるわけでございまして、私が申し上げたのは、あくまで現場の有馬の出張所の車が急行した時間だけを申し上げておるのであります。  なお、道幅等につきましては、満月城旅館に行く傾斜地の道路は大体四メートルあるいは五メートルくらいで、車が一台通り得る程度でございます。その前の道は、これは有馬の地区状況が私もあまりよくわかりませんが、そのところは道は非常に広うございます。
  147. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この有馬地帯には中高層建築が何軒くらいあるのか、そうしてはしご車があったのか、それが一つと、いま各温泉地においては鉄筋の中高層が非常にできておりますが、そういう地帯には必ずはしご車とか、近代消防に必要な消防機能を持った車や、そういったものを設置しておるのか、これが第二点。  第三点は人口の問題なんですが、この有馬なら有馬の温泉地に常時住んでおる人はたとえば二万なら二万、ところが温泉客が満タンに入ったときには八万にも十万にもふくれ上がるということは考えられるわけです、旅館を経営しておりますから。そうしますと消防機能というものは、ピークに、最高何万も収容した人数を基準にしたところの消火、消防施設というものを設置しなければならないのか、その点について私よくわからないので御説明いただきたい。
  148. 山本弘

    山本説明員 有馬の出張所にははしご自動車はございません。  それから数階建ての高層旅館でございますが、これは御承知のように有馬は非常に古い温泉地でございまして、人口は三千でございますが、しかしながら旅館として三十五軒、それからいろいろな各会社の寮だとかなんとか、そういった宿泊施設を持った寮のようなものでございますが、そういうものが三十七ございます。  そういったものを考えました場合におきましては、宿泊人口を入れた場合には、人口三千でございますが、かなりな数になるわけでございまして、したがいまして消防力基準といたしましては、そういう人数を補正いたして一応基準を出しております。その基準におきましては、消防ポンプ自動車は三台必要だということになっております。有馬町を独立したいわゆる集落地として見た場合、三台必要だということになっておるわけです。現有数はポンプ自動車が二台、小型が二台ございますが、小型二台を一台に換算いたしますから、一応形式的基準は適合いたしておりますが、しかしながら、旅館の高層といった現在の形態から、はしご車その他の自動車がないということは、この点については今後さらに増強する必要がある、対応する力が弱いのじゃないか、かように考えております。ただいまは独立した一つの集落として申し上げましたが、消防一つ一つきめるのでございませんので、やはり応変ということも考えておりますので、有馬地区については一応人口を住民人口と宿泊人口と加味したものでもって三台という形式的基準ができておる。これには適合しておるということを申し上げたわけであります。
  149. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、はしご車が出動するには神戸市内のほうから来るのですか。それは何分ぐらいかかるのですか。
  150. 山本弘

    山本説明員 神戸市内から参ります。これはやはり三十分ないし四十分かかります。夜間におきましては若干時間が早くなります。
  151. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 四十分かかると、普通の火事だと燃えるのは何軒ぐらいになってしまいますか。
  152. 山本弘

    山本説明員 建物の構造その他によっても違いますけれども、少なくとも類焼火災ということは容易に考えられると思います。
  153. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 熱海市には消防自動車が何台あって、それからはしご車がありますか。それから化学消防車がありますか。
  154. 山本弘

    山本説明員 熱海の消防力と言われましたが、ちょっと詳しい資料を持ってきておりませんので、後刻書面をもってお届けいたしたいと思います。
  155. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一応火災のほうはこのくらいにいたしまして、プロパンガスの保管場所に対する危険物取り扱いの届け出はあったのですか。
  156. 山本弘

    山本説明員 届け出はございました。しかしこの防火指導といたしましては、その点についてはやはり警告の中で指導をいたしております。
  157. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 プロパンガスの保管場所に対して、危険物取り扱いの届け出はなかったと私どもは聞いたのですが、その点、間違いございませんか。
  158. 山本弘

    山本説明員 プロパンガスは危険物でございませんので、これは話が違います。そこはいわゆる都市ガスが来ておらない地区でありまして、全館プロパンガスをもってやっておるというところでございまして、プロパンガスについては届け出はございましたが、ただボイラ室のボイラに使う油、これが危険物でございます。その取り扱いの方法が不十分であるので、この保管その他について注意をしておった、指摘をしておった、かようにわれわれは報告を受けております。
  159. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは勧告の中にも入っておったと理解してよろしいんですね。
  160. 山本弘

    山本説明員 はい。
  161. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それから、毎年有馬温泉火災が発生しておりますが、この原因については一体施館のどういうものが主なんでしょうか。
  162. 山本弘

    山本説明員 有馬温泉地区におきましては、昨年も小さなぼやと申しますか、死傷事故に至らないような一部旅館火災がございましたが、原因につきましてはいまちょっと、調査中でございます。
  163. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 修学旅行には有馬とかまたはそういった温泉に行くと思うのです。これからシーズンになってまいりますが、これらの修学旅行のような児童生徒に対する生命の安全の万全な体制というものは、この火災を見てわれわれ社会人として、また父兄として非常に関心を持っておりますが、消防庁のほうとして、今後、こういった修学旅行シーズンを迎えるにあたって、児童生徒をとめるにあたって、旅館に対しての査察またはこれらの防火に対する体制の準備、これらは一体どういうふうになっておりますか。
  164. 山本弘

    山本説明員 先ほどからいわゆる施設を中心に不備の指摘があったわけでありますが、同時に私は、人の問題として防火管理体制というものが大事であろうというふうに考えるのであります。消防法におきましては、旅館、ホテル等の防火対象物については必ず防火管理者を定めて、そうしていわゆる防火管理の徹底を期するように規定されておるわけでございます。とりわけ修学旅行と申しますか、学生生徒の修学旅行等につきましては、この防火管理上の立場から避難を中心とした対策を立てておく必要があるというふうに考えるのでございまして、むろんこれはいわゆる学校生徒を所管されておる分につきましては、省庁におきまして修学旅行の心得等におきまして、宿泊施設におけるところの火災その他の災害時における心得といったものの指導をお願いいたすようにわれわれも連絡をいたしておりますが、われわれも防火管理者に対しましては、特に修学旅行者に対しましては防火管理上の見地からよく避難を中心とした対策を立てて、そしてその趣旨を徹底さすように指導すべきであるというふうに通達をいたしておるのでございます。特に今回の事故もございましたので、具体的な避難案内というものを修学旅行の団が着いたときにやるように徹底させていく、かように考えております。
  165. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは見解を聞いておきたいのですが、現在の日本の温泉地というものはたいがい山岳地帯または非常に交通の不便なところにあります。そういうところに現在どんどん旅館が建つのでありますが、一体その収容人員というものはどれくらいが適当なんでしょうか。いまのところ何名収容するという制限は建築基準の立場からもありませんが、一体これが消防または生命の安全といった体制を万全にするためには、消防庁の考え方としては一収容物に対してはどのくらいが適当なのか、またそれは設備さえよければ何名収容してもかまわないのだ、こういう考え方も成り立ってまいりますが、これは現在ある旅館がどんどん継ぎ足しをしていく、旧館からこぶのようにふくらんでいく、こういうところに問題があるのでありまして、無制限にどれくらい収容してもかまわないという考え方でこれは万全な体制ができましょうか。消防庁としては大体限度をどのくらいに見ており、またそれが必要とあるならば法改正もしなければならぬ、こういうこともわれわれ考えておるのですが、その点についてまず見解を聞いておきたいと思うのです。
  166. 山本弘

    山本説明員 これは非常にむずかしい問題でございまして、防火管理者といたしましては、一応一部屋に入れる定員というものの算定の基礎の中には一人二坪というふうに考えておりまして、いわゆるすし詰めで入れるということを排しておるわけでございます。しかしながら、大きくなれば、この基準の中においても幾らでも、何千人でも泊めるようなホテルができるということになるわけでございます。今度の例を見ましても、終戦後ありました木造建物旅館として営業開始をして、その後鉄筋本館を建てて、その間にさらに大きな鉄筋建物を建てて、それをそれぞれ渡り廊下等によってつないで、形は一つのものにしたということでございまして、当初から一つであったわけではないので、なかなか中の構造もむずかしいし、これは大げさにいいますと、場合によっては迷路と申しますか、そういうことで、避難管理の上からいうならば非常にあぶない状況であったわけでございます。したがって、全体が単一建物であればどれぐらいだということと、御指摘にもございましたが、そういった継ぎ足しの場合にどれぐらいかという、二つに分けて考えなければならぬと思います。単一の建物であるとするならば、初めからいわゆる建物自体の問題と、いざという場合の防災的見地からの問題とを相考慮した場合、どれくらいがいいかということになりますと、これは実はそこまで検討いたしておりません。具体的な数字に及ぶような検討はいたしておりません。したがいまして、その点はここで答弁を差し控えさせてもらいたいと思います。ただはっきり言えることは、無秩序な建物というものが非常に大きな災害を招くという意味で、われわれといたしましては、防火管理の立場からいうならば、そういった雑然たる不規則な形で次々に継ぎ足されて旅館が大きくなっていくということは好ましくない、かように考えておるのでございます。
  167. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは建築基準の立場からお尋ねしたいんですけれども、最近の新建材またはふとん等の煙に有毒ガスが発生いたしますが、これは昭和四十一年の水上大火のときに同僚議員が本委員会で、その特性の分析方、またはその煙の発生状況、一酸化炭素がどれくらい出るのか、またその一酸化炭素に対してはどのような対策を講じているのか、研究に対する質疑応答がありましたが、これはその後どういうふうに進んでおるのでございましょうか。また、建築基準法の中に煙に対するあれがございませんが、今回の建築基準法改正の中に当然織り込んでしかるべきだと思いますが、煙に対するのはなぜいままで省いておったのか、この二点についてお聞きしておきます。
  168. 前川喜寛

    ○前川説明員 お答えいたします。  最初の研究体制の問題でございますが、これはその後いろいろな方面、たとえば東大の生産技術研究所をはじめ、ほかのいろいろな研究所、こういったところでいろいろ実物実験とかいったことで煮詰めてまいりまして、大体いまその骨子の見通しがついたというふうな状況でございます。  それから、今回の基準法改正については現在鋭意検討しておりますが、前々からいわれております煙の問題につきましては、われわれの一番重点にして考えております特に煙を発生する材料の問題と、もう一つは出てきた場合の煙をどう見るかといった問題を含めまして、今回の基準法の改正ということにつきましてはぜひ織り込みたい、こういうふうに考えております。  なお、なぜおくれているのかというふうな御指摘でございますが、われわれといたしましても、これは非常に問題でございまして、できるだけ早くやりたいというふうに考えておりますが、先ほども御質問に出ました、たとえば有害ガスのいろいろな発生量とかいったことにつきまして、まずその有害ガスがどの程度問題になるか、逆にいいますと、ガスそのものよりもかえってその煙の量全体の問題になるのではないか、こういったいろいろな問題がからみ合いまして、これを煮詰めるということで実際に実験とかいったことをいろいろやりましたが、おくれまして、そういった点ははなはだ申しわけないと思っております。大体の骨子ができまして、なお細目の検討をして、建築基準法の改正についてはぜひ織り込みたいと考えております。
  169. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建築基準法には自家発電の規定がないように見受けられますが、これは建築基準法の第三十二条あたりに織り込んでしかるべきだと思うのです。それが一つと、それから第二点は、消防法には安全責任者を設置するよう定められておりますが、建築基準法にはそういった安全責任の体制がしかれていないのは法の不備だと解釈してよろしいでしょうか。
  170. 前川喜寛

    ○前川説明員 まず自家発電の問題でございますが、現行法では、どちらかといえば、電気施設といいますか、設備をつくるときにはこうしなさいというふうな規定でございまして、こういう種類のものが要るというふうな、いわば設置義務的なものは抜けております。実はこれにつきましては、従来はあまり気にしていなかったわけでございますが、最近の問題の、特に煙の問題について申し上げますと、排煙でございます。煙を抜くということになりますと、どうしても排煙設備につきましては、こういった自家発電装置といったもの、あるいは排煙施設そのものが動かなくてもある程度自然に抜けるというような、いろいろなことを考えなくてはならないということで、そういった避難設備につながる電気設備といった点も検討したいというふうに考えております。それから安全責任の問題でございますが、これは先ほどから消防庁の方からもいろいろお話がございまして、防火管理者とこういったことといろいろダブる面もあるいは出てくるかと思いますが、われわれといたしましては、現在の建築基準法はどちらかといえば、建物のでき上がった結果というふうな、いわば施設の基準でございますが、それを適切に維持管理するということにつきまして、一般の方よりも持に専門的な方があるいは要るのではないかということもひっくるめまして、特に避難施設に関しての有効保持の規定はぜひ考えていきたいと考えております。いずれにいたしましても、御意見のとおりの線に沿って検討しているわけでございます。
  171. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この煙の問題は非常に大きな問題でありますが、非常に研究がおくれているように見受けられるのであります。新聞等を見ましても、有毒ガス、一酸化炭素の致死量は全体の約五〇%、ところが死体解剖によりますと七〇%も吸い込んでいる事実が発見されているわけです。こういうことを考えましたときに、この新建材並びに新繊維によるところの有毒ガスまたはそういったものが出るということに非常に不備な点がありますので、この点は今後十分ひとつ監督してもらいたいと思うのです。  その次は道路のことでちょっとお尋ねしたいのですけれども、建築基準法というのは非常に技術的な法律でございますので、私のようなしろうとが見たのではわからないのでお尋ねしたいのですけれども、第四十二条には、「「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員四メートル以上のものをいう。」とあり、第二項に「この章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、」必ずしも四メートルの幅員がなくても道路とみる、こういうふうに解釈しているわけなんですが、こういうことは現在の都市計画上または市街地再開発の点、また現在のようなこういった消防自動車または自動車の交通、非常にこの法律をつくったころとは社会情勢が変わっておりますので、このようなあいまいもこな第四十二条の二というものは、われわれ非常に迷惑しておりますが、この点について見解をまずお尋ねしておきたい。
  172. 前川喜寛

    ○前川説明員 これは実は技術的には当然、こういう中途はんぱなものでございまして、これを認めることは望ましくないわけでございます。現行法でいきますと、原則は四メートル、これは実際に四メートル幅がなくてはいけないというかっこうでございますが、いま御指摘の二項にまいりますと、現実にそれがなくても、指定をいたしますと基準法上の道路として取り扱う。ただし、その中心から二メートルずつ両側へ分けます。実際にはそこに道路境界線があって、四メートルというものが、将来何とかでき上がるようにというふうな形でできているわけでございます。ただ、実はこれは建築基準法が、公道私道両方含めまして、それで主として一般の民間のいろいろな建物、そういったものを規制しているわけでございます。日本の道路網全体ということから考えますと、細い道路が非常にたくさんある。こういったものを今度逆に、そういったものは全部いけないということで、建物は全部いけなくするかという点でございますが、建築してはいけないという規定を置くかどうかということになりますと、望ましい道路というものと、今度建築を押えてしまうということと、その辺のバランスの問題でございます。それで、実はこれは世界的にも、一体全部公道という立場で都市をつくるかあるいはこういう中途はんぱなといいますか、多少譲歩しまして、いわば財政負担といいますか、こういったものを少なくして、多少時間がかかっても道路をだんだん広げていくという態度をとるかというふうな点が問題で、結局二路ありまして、これはその国々によってやったらどうかというふうな意見におさまっているわけでございます。この辺が実際問題といたしまして今度のようなお話、たまたま有馬の場合は道路がここへは広かったようでございますが、実際問題としてこういう市街地は全般的に狭い道路が非常にたくさんある、こういったものにつきましてだんだん広くするというふうなこと、これはやはり都市計画、こういったものの推進とか、再開発の推進とかいうことで、特に危険な部分というものについてはやはりそういった方向で考えていかなくてはいけない、大体こういうふうに考えております。いずれにしましても道路の幅員とかこういったものにつきましては非常に問題でございますので、多少われわれもいろいろの研究機関、建築研究所その他に頼みまして検討しているわけでございます。なかなかまだ早急に結論を得るという段階まできておりませんので……。
  173. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まことにわれわれ建設関係に携わっている者としては困るのですね。あなたが一番よく御存じだと思うのです。こんなことを私がここで言うまでもなく、それは消防庁のほうから見まして、このようなあいまいもこの法律があるために道路が狭まってもしかたがない。でありますから、あなたのほうでは消防機能発揮のためには、どういう考えを持っていますか。
  174. 山本弘

    山本説明員 消防機能発揮のためには、言うまでもなく十分なる幅員が保持されていなければならないと思うのであります。いま有馬の話でございましたが、先ほど御報告いたしました大館におきましても、道路が狭いために、ポンプ自動車が行きましても実際に動けるのはそのうちの二台、三台になってしまって、三十台も行っても実際には活動の余地がないという場面が出てきておるのでございます。有馬の場合は、先ほど申しましたように満月城へ登る坂道は、幅員は確か五メートルくらいあったと思いますけれども、やはり傾斜地でございまして、当初二台の車が入りましてそれぞれ消火栓に位置いたしましたけれども、あとの車が二十分、三十分あるいは四十分かかってずっときたわけでございますが、これが実際に火がかりをするために位置するということになりますと、狭いために十分な活動の余地がなかったということはやはり指摘できるのじゃないか、かように考えます。そういった意味で、やはり道路と申しますか、そういった無計画な都市計画によって道路そのものが有効な働きをなしていないところが多うございますので、その点はぜひ是正していただきたいものである、かように消防庁としては思っているわけでございます。
  175. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間もありませんので、私もこれでやめますが、最後に、これは運輸省にちょっとお尋ねしたいのですけれども、旅館行政の段階があるということ、これが非常に消防機能とかまたはいま言ったようないろいろな方面に、業者のほうへ影響が出てくる。早い話が国際観光ホテル整備法という法律がある。この法律に該当するホテルは固定資産の耐用年数に対する恩典または地方税に対する特典、それからまた什器等の貸し出しや、そういった設備にわれわれの税金が非常につぎ込まれている。これは御存じのとおりです。ところがそれに加入されていない約七万の旅館業者というものは自費でやらなければならぬ。一方においてはこういった国から助成金をもらいながら自分の設備というものを充実させていくというものがある。だからおれのほうじゃおもしろくない。そんなに消防庁や建築基準法の建設省のほうでがあがあ言われたって、同じ一つの観光地、レジャー地にこのような二つの、行政の特典、恩典を受ける者と受けない者と、日の当たる者と当たらない者とが存在しているのだから、そんなにやかましく言われたって、われわれはもうけてこれにつぎ込まなければできないのだという考えが旅館業者の底流に流れている。これはいなめない事実であります。こういう点については、私はこの法律をつくったときにはまだ国会議員でありませんのでわかりませんけれども、とにかくこういった不備な点というものに対して強く言えないのじゃないかという考えをぼくは持っているのですが、その点についてはどうなんでしょう。これはもちろん旅館業法とか、消防法とか建築基準法とか、そういった法律で締め上げられてはおりますけれども、いま言った、先立つものはお金なんです。そういう面についての格差があるということについて私はちょっと納得ができない。その点についてのお考えを承りたいと思います。
  176. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 国際観光ホテル整備法は、御承知のようにホテルその他の外客の宿泊施設の整備をはかりまして、外客接遇の充実に資することを目的としたものでございます。この法律は最初、昭和二十四年に実はできておりますが、もちろん当時は外人客が参りましても外人客を接遇するのに十分な施設がなかったわけでございます。したがいまして、国策としましても、国際収支の改善等におきまして、また国際間の交流、お互いに国際間の理解を深めるというような意味におきましても、外国人の日本に入国することに対しましてすすめておるわけでございます。そういう意味から見ましても、外人が日本に参りまして十分宿泊できるような施設を整えるということでございます。そういう意味からしましてこの法律は登録制をとっておりまして、登録になった者に対しましては、ただいま先生おっしゃいましたような助成をしておるわけでございます。したがいまして、旅館業法とかあるいは建築基準法とか、あるいは消防法と観点が違うわけでございます。そういう意味ででき上がっておりますので、ただいま先生お話しございましたように、不公平といいますか、そういう考えは持っておりません。
  177. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点については、これはまた委員会を変えて議論したいと思うのでありますが、最後に、この被害者に対する補償というものは、いろいろなむずかしい問題があるのですが、これは一体どういう方法が講じられるのでしょうか。
  178. 山本弘

    山本説明員 三十名の方がなくなられたわけでございます。そのほかに重軽傷者四十四名を出しております。死者の中では、従業員一名を除きまして二十九名はお客さんでございます。これが補償の問題につきましては、火災原因が現在調査中でございます。確たるあれはございませんが、かりに旅館側に業務上過失の問題が生ずるならば、旅館側において補償をするということになろうかと思います。
  179. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ひとつ今後ともこういう事故が起きないことを祈りつつ、またその行政面で親心をあまり発揮して、かわいそうだ、かわいそうだというようなことであってもならないし、そうかといってあまりファッショ的になっても困りますが、どうかその点のところをよく御配慮の上で、こういったいま非常に危険の叫ばれておりますところのレジャー地帯、観光地帯の旅館業者の啓蒙啓発をはかっていただきたい。ひとつ今後の消防庁または関係各省の奮起を促して、私の質問を終わらしていただきます。
  180. 芳賀貢

    芳賀委員長 午後二時に再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時二十二分休憩      ────◇─────     午後二時十二分開議
  181. 芳賀貢

    芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斉藤正男君。
  182. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 たびたびのお尋ねでたいへん恐縮いたしておりますけれども、台風十号の天竜水系に及ぼした災害につきまして、なお釈然としない点が多々ございますので簡単に承りたいと思います。  最初に、天竜川の支川であります問題の大千瀬川の災害復旧につきまして、最近査定を終えられて復旧にかかっていただくということでありますが、この災害復旧は、漏れ承るところによりますと、ほとんどが原形復旧であって改良復旧になっていないというようなことも聞きます。しかし、私が仄聞したところによりますれば、かなり思い切った大千瀬川の改修も計画されているやに聞いたり見たりしているわけでありますけれども、どの程度災害復旧をやっていただけるのか、概要についておわかりになっている点を御説明いただきたい。
  183. 坂井秀正

    ○坂井説明員 大千瀬川の災害復旧につきましては、ただいまお話がございましたとおり、先般災害の査定を終了いたしました。それによりますと、災害のほうは九千二百四万一千円、こういうことになっております。ほとんどが原形復旧というようなお話でございますが、この形からいいますと、もとの施設の持っておりました機能を復旧するということでやっております。そのほかに、それだけではやはり右岸のほうの町の中に浸入する水を防ぐことができないので、これに対しまして別途災害関連事業を入れまして、総合的な改良復旧をはかりたいということで一応の調査はしております。その事業の概要といたしましては、右岸のほうの浦川町に対する洪水浸入を防ぐために堤防のかさ上げをしております。それから左岸側に堤防を引きまして、そこに捷水路を掘りまして、それでもって水位を下げて、一応本年の今回の洪水の程度のものは必ず防げるというような設計をいたしております。
  184. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうしますと、災害関連事業を含めて全部で九千余万円というように理解してよろしいか。
  185. 坂井秀正

    ○坂井説明員 先ほど申しました九千二百万というのは、災害復旧事業費が九千二百万ということであります。そのほかに関連事業をつけ加えるわけでございますが、この金額につきましては、現在調査はしてきておりますが、財政当局と現在折衝を重ねておりますので、はっきりした数字はまだ申し上げる段階にきておりません。
  186. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 県並びに関係町村、なお私どもも含めて検討した結果、最少三億ないし四億かけなければ八月二十九日の水は防げないのじゃないか。一億や一億五千万でははしにも棒にもかからぬ。やはりこの際抜本的な改修を含めた復旧をやっていただかない限り、大千瀬の洪水は防げないのではないかというような話もありますし、計算もやったことがあるわけであります。関連事業につきましては、今後財政当局とも御相談をいただいて、別途計上をいただくということのようであります。これはひとつぜひ、地元佐久間町とも当然県が密接な連絡をとった上で、建設省へお順いをすべきものでありますけれども、どうも鶴岡県と佐久間町との間に必ずしも十分な連絡がとれていないというようにしか思えません。この点御配慮をいただいて、現地の要望等につきましても十分そんたくをいただきますようにお願いをいたしたいと思うわけであります。  なお、当該区間、錦橋から河内川下流地点までが大部分でありますけれども、その下流の御要地区というようなところがございますが、ここはやはりたいへんな災害を受けたところでございますし、床上浸水を含めてかなりの犠牲者が出ているわけでございますが、この改修等につきましては今度は全く触れられていないということで、なぜ同じ水をかぶったのに差別をするのかということです。災害復旧とはいかなるものか、河川改修とはいかなるものか、防災工事とはいかなるものかというような区別は被害者にはつかないわけでございます。したがって、同じ浦川地区に住んでいて、同じときに同じ水をかぶっていながら、自分の地域の護岸については何ら施工されない、あるいはかさ上げについても何ら考えられていない、あるいは川幅の拡幅についても何ら考慮されていないということで、たいへんな不満と疑惑があるわけであります。私は、今後なお県あるいは元地とも相談をしていただいて、こうした災害から罹災者を守るという立場から、ぜひ一連の改修工事として御検討をいただきたいというように思っておるわけであります。根固めが飛んだわけでもなければ、石積みがくずれたわけでもない。まして堤防の決壊があったわけでもないというような地域でありますので、災害工事の対象にはならないといたしましても、依然として現状を放置をすれば、次期出水には水をかぶることは明らかな地域が散在をいたしておるわけであります。こういう地点に対しましてどういう御見解を持っておられますか、伺いたいと思います。
  187. 坂井秀正

    ○坂井説明員 御要地区災害につきましては、ただいま先生のおっしゃるとおりに、土木の施設の被害はございません。したがって、現在の災害関連事業という制度では救済することはできません。そういうところにつきましては別途改良事業がございますので、治水事業五カ年計画のワクの中で、そういう箇所を逐次緩急の度合いを考えて施工しておる、こういうような状況でございます。いまの神妻地区被害につきましては、県のほうからも一いままで報告を受けておりませんので、なおよく詳細な調査をいたしましてから処置を講じたいと考えております。     〔委員長退席、川村委員長代理着席〕
  188. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 たてまえ上、お説のとおりだと思うわけなんです。しかし、あの神妻地区に国鉄の変電所が一つございます。それから中部電力の変電所が一つあるわけでございますが、これらはいずれも昭和四十年、あるいは四十二年というように、一メートルのかさ上げをやっているわけでございます。なぜ中電なり国鉄が変電所のかさ上げをやったかといえば、三十六年と四十年、いずれも変電所へ一メートル以上の水がついて、変電所の機能が喪失をしたということから、国鉄であり中電でございますから金がある、したがって、やったわけなんです。しかし一般住家は、なかなか一メートルのかさ上げなんということは不可能なんです。この一つの例を見ましても、私は同地区が大千瀬の水をかぶる常襲地帯だというふうに判断いたしておるわけでございますが、たてまえ上そういう制度になっておりますので、災害対策としては不可能でありましょうとも、いわゆる一般河川改修事業として、ぜひこれは災害復旧と同時に、並行してやっていただかなければならぬというように考えております。したがって、逐次というような、あなたにとってはぐあいのいい御答弁があったわけだが、逐次では困る。同時に着工していただくような努力をぜひお願いしたい。  もう一つは、災害復旧でございますので三カ年計画というようなことになるかと思いますけれども、一体、完全復旧を先ほど査定をされたこの地域につきましては何年で完工されるのか。つけ加えてひとつ御答弁をいただきたい。
  189. 坂井秀正

    ○坂井説明員 ただいまの第一点でございますが、先生の御趣旨もございますし、よく現地調査して処理をしたいと思います。  それから、二番目の事項につきましては、現在災害復旧は四年でやっております。四年でございますが、重要な箇所については三年で全部予算措置を講ずるようにできておりまして、その個所の選定につきましてはそれぞれ管理者にまかしておるわけでございます。でございますが、われわれのほうも管理者に対しまして、今回のこの地区被害がかなりひどうございますので、早急に工事を完成できますように指導をしてまいりたいと考えております。
  190. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 ぜひ管理者とも十分な連携をとっていただいて、私の質問の趣旨に沿った対処をお願いをいたしたいと思うわけであります。  そこで、前々から繰り返し繰り返し申し上げたわけでございますけれども、今度の災害も、私どもといたしましては、電源開発株式会社がつくった秋葉ダム並びに佐久間ダムの影響するところが大きい。なるほど降水量もたいへん多かったし、時間雨量をとってみましてもかなりの集中豪雨的な性格を帯びた雨でございましたので、鉄砲水として大千瀬に一挙に大量の水が流れ出たことも事実であろうかと思います。しかしながら、私は過日もちょっと触れたわけでございますけれども、この佐久間ダム、秋葉ダムをつくるにあたって、戦後初めて大々的な国の総合開発計画の一環として、いわゆる天竜東三河地区が特定地域として指定をされ、その最初の仕事として佐久間、秋葉両ダムが建設されました。したがって、当時このことは非常にいろいろな話題を呼んだのでありますけれども、特に私は、静岡県議会において関係議員の質問に答えた当時の知事の斎藤寿夫さん――ただいま衆議院議員として国会に出られております。あるいは、これまた衆議院議員として出られております当時の秘書課長あるいは企画調整部長でありました塩谷一夫さん、こういう人たちが県議会で答弁をした内容、あるいはその輩下でありました土木部長が答弁をいたしました内容をひとつ引例をいたしますので、建設省電源開発株式会社は、こういう県議会の本会議における関係者の答弁に対して、それは間違いだと断定をされるのか、そうもいえますと解釈をされるのか、どっちかの返答をいただきます。読み上げますから、よく聞いておいてください。  昭和二十七年三月の静岡県議会において、一体佐久間ダムや秋葉ダムをつくることによって天竜川はどうなるのかという質問に対し、当時の土木部長は、「ただいま県で取り上げておりまする総合開発の中に、下流の発電事業がうたわれておりますが、私はこの発電事業は非常に当を得た仕事だと思っておるのでございます。と申しますのは、この度の総合開発にうたわれております佐久間の貯水池、あるいは秋葉第一、第二の貯水池、これらはそういう面から考えて、非常に有効なのであります。と申しますのは、佐久間は約三十五万キロくらいの発電を起すために、いままでなかった百五十米の高い堰堤を築きまして、これによって発電をするわけでありますが、その下流に五十米くらいの低い堰堤を造ることになっております、この堰堤は発電はもちろんするわけでありますが、この第一の目的は上流の平岡とか、佐久間から流し出す水を、一番具合のいいように使ふことと、先ほども申しましたように、それにつれて上の大きい貯水池の水の変動を調整いたしまして所謂逆調整いたしまして、下流に水を流すのであります。この秋葉第一、第二の貯水池の目的は何も発電だけをねらっておるのではないのであります。ただいまのところ泰阜、平岡だけでは、下流の水の変動に困難するわけでありますが、将来秋葉第一、第二と、佐久間まで同時にできますならば、変動で苦しむということは、全然なくなります上に、洪水の水を調整いたしまして、下流には水が大体平均して流れるようになりますので、非常にこの点はよくなると思っております。」とある。特にお答えをいただきたいのは、「変動で苦しむということは全然なくなります上に、洪水の水を調整いたしまして、下流には水が大体平均して流れるようになりますので、非常にこの点はよくなると思っております。」こういう答弁を静岡県議会本会議で当時の土木部長がやっているわけですが、佐久間と秋葉ができれば洪水はなくなるという意味のことを言っているのであります。この答弁は正しいのか、間違いないのか。建設省の開発課長さんと、電発の理事さんにひとつ御答弁をいただければ幸いです。
  191. 川崎精一

    ○川崎説明員 ただいまの御質問でございますが、水の使われ方全体といたしますと、やはりダムというものは下流に洪水その他でむだに流れておる水をためて、それを利水的に有効に使っておるわけでございますから、流量全体から見ればやはり平均化の方向にあると思います。ただ、しかし、洪水調節をする目的のダムではございませんで、はっきり電気専用のダムでございます。したがって、下流のいろいろなかんがい用水その他の必要の水は、これは規則によって確保するようになっておりますけれども、それ以上に、いわゆる積極的に洪水を調節するというような意味は含まれておりません。一義的には利水ダムでございますので、必ずしも、どんな洪水のときにでも役に立つとか、そういうものではないと思います。
  192. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると、この答弁は間違いだ……。
  193. 川崎精一

    ○川崎説明員 必ずしも全部間違っておるとは私は思いませんけれども、いつの洪水でもその答弁が当てはまるかどうかということになりますと、ちょっと問題だと思います。
  194. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 電発側からひとつ。
  195. 桑原進

    桑原参考人 平岡の水の変動で困っているが、これがなくなるということは間違いございません。そのとおりになっておると思います。  それから、洪水の水を調整して下流には平均して流れるから、ぐあいがよくなるということがございましたが、これはいまの川崎課長お答えになったように、平均的にはこうなると思います。  私、いつも考えておるのでございますけれども、あの佐久間のダムは天竜川の大きな洪水に対しましては非常に小さなものであって、洪水調節をするだけの大きさはないようでございます。したがいまして、小さな洪水に対しましては非常に役に立っているわけなんですが、(斉藤(正)委員「小さな洪水は洪水といわない」と呼ぶ)小さいといいますか、二千トン、三千トンの洪水に対しましては非常に役に立っている、そういう水をためまして平均して流していくという役に立っていると思います。ただ、大きな洪水に対しましては、これは洪水調整の役はできないわけでございます。そういうふうに私は考えておる次第でございます。
  196. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 この当時の土木部長の発言に対し、適当な個所もあるけれども、特に「第一、第二と、佐久間まで同時にできますならば、変動で苦しむということは、全然なくなります上に、洪水の水を調整いたしまして、下流には水が大体平均して流れるようになりますので、」云々というようなところは、やはりこれは利水ダムであって、調整多目的ダムではないのだから、こういう答弁はすべきでなかったのだというように私は解釈します。一部分は妥当だけれども、一部分は必ずしも妥当ではない――全く妥当ではないのですけれども、というように解釈して課長よろしいか。
  197. 川崎精一

    ○川崎説明員 一義的にはやはり利水専用のダムでございます。ただ、従前の川の秩序を乱さないように、あるいはいま電発からお話がございましたそういった中小部分については、これを逆に利水に転換しておるという点では非常に働いておるのじゃないかと思います。
  198. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 県議会での関係者の答弁と国会での答弁の食い違い等について、私あれこれ言うつもりはございませんけれども、とにかく県民感情、特に地元住民の感情というのは、佐久間、秋葉両ダムができれば洪水は防げるのだ、これは天の恵みだというような気持ちで、実は待望のダムだったことは間違いないのです。私も当時県議会に席を置きましたけれども、不勉強ながらそういう認識だった。知事も土木部長もそういう説明をするからです。ところが何ぞ、三十六年、四十年、四十三年と、三回にわたって大洪水にあった。佐久間ダム、秋葉ダムができたから水をかぶったのだという今日の住民感情、たいへんな違いであります。この住民感情をひとつ御理解いただかなければこの問題は前へ進まないというように思っておりますので、建設省も電源開発も、この点は鋭意ひとつ住民感情そんたくのために御努力をいただきたいというように思うわけであります。  そこで、続けての質問でありますけれども、昭和三十六年九月のやはり静岡県定例会で、三十六年の水害に対する補償につきまして関係議員が質問をいたしたのであります。この質問の内容は、「大輪橋から下流竜山の大橋までの補償工事を電源会社が三億円でやる、こういうことに聞いておる。ところが一体そうすると、それからの上と、また同時にそれらの下流のところの災害復旧はどうなっているんだろうかと、それだけを電源が人災だということを認めているならば、全部を電源がやるべきだと、こう思う。ところがそのところだけを三億円でやって、一体あとはどうするんだということが、必然的に疑問点として残される、できて来るのであります。こういうようなことにつきまして、私は知事に伺いたい。」という関係議員の質問に対し、知事はこういう答弁をしたのであります。「従いまして今回の補償等の問題につきましては、秋葉ダムの直下における各種災害につきましては、電発の責任において処理すべきであるという結論に達したのであります。もちろんこれは建設省と十分協議の上、そういう結論が出たのであります。そして秋葉以上の上流におきましては、県道の湛水面以下におきましては、これはダムによる一つ被害であるということでありまして、査定額の三分の一、要するに四億でありましたのを、県と電発が一億ずつ、あとを国におきまして災害査定して助成する、こういうことに結論がなったのであります。私は今回の放流につきまして、まず直接のやはり災害につきましては、この程度が至当であるというように考え、建設省におきましても常識的な判断として、これを了承されたのであります。」こういう当時の知事斎藤寿夫さんの答弁が明らかに議事録へ載っております。したがって、このときは、ダムよりも上の災害についても、四億のうち一億を県、電発さんが一億、あとは国が災害の費用を見るということで二億を持たれた、計四億でやられた、こういうことがあるのです。このときは、電発の主張は、秋葉ダムから下流の災害については、急激な一たんの放水によってずいぶんあの護岸も一やられたし、横山地区の浸水もあったわけですが、特に護岸の崩壊について責任を感ぜられて復旧工事をやっていた。ところが秋葉ダムの上流につきましても四億の損害に対する一億を持ったということが、この知事の答弁から明らかなのであります。そうしますと、秋葉ダムより上の災害については電源の責任ではないということは――当時すでに電源もその非を認められて補償をされておるし、今回もまた大輪橋地区の浸水につきましても補償をされようという腹がまえになっていることから考えましても、さらに上流の浦川地区の問題につきましても何らかの配慮をされてしかるべきだ。科学的にダムの責任ではないとおっしゃる根拠が絶対あるならとにかく、また私どもの主張する科学的にダムの責任であるという根拠をこれまた薄弱だというならば、水かけ論であります。私は、電源開発株式会社や建設省があの上流に秋葉ダムの影響がいくわけがないという主張も、わかるような気がいたしますけれども、しかしダムができてから七年間に三回の大洪水はいかにもひどいじゃないか、ダムさえなかったらこんなことはないぞという住民の主張もわかる。そこで、以前にもこういう例があるわけでございますので、今日なお電源開発株式会社は浦川地区の洪水についてはダムの責任は全然ないと確信をもって答えられるのか、その辺ひとつ伺いたいと思います。
  199. 石井由太郎

    ○石井参考人 石井でございます。  ただいま御指摘になりました三十六年災害につきまして、ダム下流と上流につきましてそれぞれの措置を講じました根拠でございますが、ダム下流における護岸あるいは魚類擁壁といったようなものの災害復旧は、水の放流に直接原因しておったということが究明されましたから、これによる復旧をてまえどもにおいていたしたのでございます。また、上流の河川護岸等につきましては、当時一つの併用工作物といったような姿での保有関係、すなわちわれわれが建設いたしたものがまだ全部県に移管になっておらない段階でもございましたので、その辺を私ども、ダム設置の責任限界と天然災害との関係を全体として判断いたしまして、御指摘のような割合をきめて処置いたしたものでございます。定性的には電発の責任であることはわかっておるけれども量的にはわかりがたいというような問題がございますので、御指摘のような一、一、二という割合をもって常識的な処置をいたしたというのが実情でございます。  次に、今回の浦川の災害について秋葉ダムが因果関係を持つかどうかという問題でありますが、これはその後における調査あるいは洪水の水理解析等を十分いたしております。ただ電子計算機といったようなものを用いて計算いたしております関係上、まだ両三日いたしませんとはっきりここまでということは出ないのでございますけれども、いかようにいたしましても今日のところ、従来われわれが持っております水理、水文上の常識をもっていたしましては、秋葉ダムによるせき上げないしは排水の末端付近における土砂の堆積といったようなもののゆえをもって浦川の浸水、水面が上がったり下がったりというようなことは、今回の災害につきましてはなかったものであるということを、実はこれは確信を持っておるのでございます。この点は地元からも説明を求められておるところでございますので、電子計算機の作業が済み次第、地元にも伺いまして十分御納得いくように御説明申し上げるつもりでございますが、今回の影響範囲の外にあるということは、私どもといたしましては確信を持っておるのでございます。もちろんこれはてまえどもの独断、独善の判断ではございませんで、河川管理御当局にも十分説明して、御理解を得られた数字をもって地元にも御納得いただくようにつとめるつもりでございます。ただ、地元浦川町の皆さまが今回の災害で非常に被害を受けておられるということにつきましては、同情といいますか、そういう面におきましては私どもも人後に落ちないものでございまして、心ではまことにお気の毒とは存じておりますけれども、これを秋葉ダムの設置のせいであると申されることに対しましては首骨できがたいものがあるということを、この際御答弁いたさざるを得ない状況でございます。
  200. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 確信をもってそう言われるようでありますけれども、素朴な地元住民の感情は、とうしてそれじゃ明治――私は百年というのはきらいでありますけれども、明治四十五年のその後五十五年、百年の間にこれにより大きい水が三つあった。そのうちの一つは大きな山津波があってダムができたので浦川に浸水があったけれども、あとの二つについては今後のような水害はなかった。ところがダムができてから七年間に三回、しかも三十六年、四十年、四十三年と、だんだん水害の程度も洪水線の高さも上がっている。なぜこの七年間に三回も続いたのかということはどうしたって素朴に納得できないのです。     〔川村委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、コンピューターもいいでしょう。いいですけれども、私持論としていつも言いますけれども、洪水時の河床なりあるいは川を流れる水の断面といったようなものは、今日幾らコンピューターといえどもわからない。そこで洪水時の大千瀬の水がどういう状態で流れおったのかということを想像するとすれば、かつて大千瀬川には青いよどんだふちが幾つもあった。深い十数メートルというような底のわからない、ふちが幾つもあった。それが今日あの流域、どこをたずねたって一つもない。全部瀬になってさらさらさらさら流れているだけなんです。ということは深いふちが埋まったということなんですね。何のために埋まったのであろうか。第二は、かつて大千瀬川には一かかえも二かかえもあるような大きな石がずいぶん川原に散在しておった。それが今日、行ってみればわかりますように、一かかえ二かかえというような石は薬にしたくてもない。みんな小さな土石に変わっておるし、砂れきに変わっている。なぜだろうか。どういうことであの大きな石がなくなって小さな砂れきに変わったのであろうか。あるいは、過日も言いましたけれども、二十数段あった堤防から川原へおりる階段が今日では十段くらいになってしまって、十数段は川の土石に埋まってしまっている。あるいは大千瀬川の本川の合流点における高さ約二メートルの柳の木は、昔はすっくと幹が立っていた柳の木であったのに、今日ではその二メートルは全部土石に埋没してしまって、枝の出ている部分が川原になっているという事実は一体どういうことなのか。どうも解釈に苦しむのであります。これが三十年、五十年かかってこうなったというなら別ですよ。佐久間ダムができ秋葉ダムができてから急激にふちがなくなり、大きな石が姿を消し、柳の幹はすっぽり川原の土石で埋まってしまった。ダムができる前はそうでなかったのにダムができてからこうなったという事実に対し何と釈明をする。説明をいただきたい。
  201. 石井由太郎

    ○石井参考人 ただいま御指摘の大千瀬川流域における河状の変化の実情、ないしは当初に御指摘がございました洪水における流況の掌握といったような問題につきましては、われわれ御指摘によりまして今後いろいろと調査をいたしてみる価値のあることだと考えております。ことに洪水における流況の掌握ということは非常に重要な問題でございまして、単にダムの操作とか管理という問題のほかに、下流流域に対する影響の判断、あるいは論争になりました時分の立証方法といったような問題として、今後は十分この方向にも意を用いまして把握してまいるつもりでございます。ただ、御指摘のございました柳の木の埋没とかあるいは石段の実例をあげての御指摘、あるいは深淵のなくなったというような問題につきましては、これは時間的前後としましてはたまたまダムができてからの現象であろうと思いますが、因果関係というものをダムの設置との間に直ちに結びつけることはできないのではないか。しかしそのような事実の御指摘、流域についての異変の調査というようなことにつきましては、将来もやっていきたいというふうに考えております。  それからもう一つは、地元感情といたしましてダムのせいである、七年間に三回といったような頻発した災害をダムのせいであると感ずるお気持ち、これはわからないことはございませんけれども、時間的関係の前後と因果関係というものをやはり分けて、ぜひ御納得をいただかなければならぬのではないかというふうに私どもは考えております。
  202. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 どうも押せども押せどもこういうことなんですけれども、ダムができてから、さっき言ったようなささいな四つの例ですよ。深いふちがなくなった。大きな石がなくなった。柳の木は幹まで埋まってしまった。階段は十数段川原の土に埋まってしまっている。ダムができてからこうなったのですよ。それならほかの理由を言ってください。ダムの責任ではない、しかじかかようの理由でこうなったのだ、ダムの責任でない、と言う以上は、こういう理由だろうと、想像でもいいから言ってください。私、地元住民に説得しなければならない。電源開発ではこう言っている、建設省ではこう言っているということを、私は地元住民に説明する義務がある。建設省からも、その四つのことはどうしてなったか、説明してください。
  203. 石井由太郎

    ○石井参考人 佐久間ダムを構築いたしまして以後、佐久間ダムによりましてせきとめました土砂の量、これは約三千五百万というふうにいわれております。すなわち、ダムの構築は、下流に対しましては土砂の流出を遮止いたしましたことは事実ではございますけれども、これを多からしめたことは、佐久間ダム下流におきましては私どもはないと考えております。  第二は秋葉の影響でございますが、秋葉ダムの構築によりまして土砂が排水地付近にたまっているではないかという問題がございますが、これは御指摘のとおり事実でございますけれども、秋葉ダムの構築後約十年、今日のところではまだそこまで堆砂の影響はあらわれてないわけでございます。河床標同で申しまして百十九メートル程度のところまでしか砂はいっておらないのでありまして、それから上流へいきますと原河床よりも下がっている。大千瀬川のほうも若干の間は下がっておりまして、河床沈下防止工を行ないましたところから上昇を示し、またその上が下がっておるというような状況でございまして、その点は、秋葉ダムの構築と浦川あるいは愛川合流地付近における堆砂の進行というものとの関係は一応遮断されておるのではないか、かように考えております。しかしながら、問題はいまの状況をもって将来とも放置しておきますれば、秋葉の堆砂はだんだん上流に及ぶでございましょう。この点は現状以上に進行せぬように、これは御指摘のございますところでございますので、しゅんせつ船を入れる等の措置を講じまして、現状以上に河床の上昇がないように防止措置を講ずるつもりでおるわけでございまして、ただいま申し上げましたように、河床の上昇が切れておるという点をもって御了解をいただきたいと思っておる次第でございます。
  204. 川崎精一

    ○川崎説明員 私も先般大千瀬川を少し見てまいりましたのですが、現状の河川で大体百分の一前後のかなり急流な河川でございます。浦川の地点はかなり上流に入っておりますので、天竜川の本川の影響が大千瀬川の下流にはやはりかなりあるかと思いますけれども、かなり部落もございます浦川地区までは、ちょっと位置的な常識としまして及ばないのじゃないか、こういうふうに感じて帰ったわけでございます。  なお一応念のために、いろいろ水が出た場合にははたしてどうなるか。これは今回の出水では計画洪水量は出てないわけでございますが、そういう点もあわせて地元の地建と県のほうで検討するようにということを頼んで帰ってまいったわけであります。
  205. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 洪水が出たあとあるいは平静に水が流れているときの川の状態、これをもって洪水時の実態を想像したり把握することは全く間違いなんです。あなたは御存じですか。大輪橋が流れましたけれども、あの最高出水時における大輪橋の支柱の左岸と右岸ではどれだけ水の高さが違っていたか御存じですか。
  206. 石井由太郎

    ○石井参考人 私ども調査したところによりますと、約三十センチの差が左右岸においてあったと聞いております。
  207. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 その調査はでたらめなんですよ。私は翌々日現地へ行って痕跡をはかってきたのだけれども、右岸の支柱に六十センチの痕跡がある。左岸の支柱に一メートル二十の痕跡がある。六十センチ違っているのです。あれだけの幅のところで左岸と右岸では六十センチ違っているのです。こういうかっこうで水は流れる、あるいは全体的にいうならばかまぼこ型になって流れているのですよ。こういう異常なエネルギーをもって流れている川が洪水時にどういう土石を運び、どういう状態で流れているかということは、いかにコンピューターといえども何もわからない。そのことが頭になくて、言ってみればいまこうなっているから当時こうじゃなかっただろうか、秋葉の湛水区域はここまでだから、その影響は支川である大千瀬にはないのじゃないかというようなことだけで事は解釈すべきでない。異常な事態が随時随所に発生しているということを頭に置かなければならぬ。三十センチじゃないのですよ。大輪橋が流れたときの左右両岸の水の高さというのは六十センチ違っているのですよ。あれは川幅は百メートルないでしょう。あの地点で左岸と右岸が六十センチも違っているような川の流れの異常さというものは想像できますか。水というのは水平に流れるものだ。だから水平線ということばがあるのですよ。それが洪水となれば六十センチもわずか百メートル足らずの川で高さが違うのですよ。ましてその流水の中にはどれほど土石が流れているのか、どれほどのものが流れているのか、見た人はないのですよ。しかもその洪水が引いていくときには徐々に、自然にそれらの推積した土石も下流へ持っていく。水が引いていってみたらたいしたことないじゃないか、こういうことです。そういう、科学的といいながら非常識なことを言っていると、新豊根ダムなんか絶対できませんよ。  そこで聞きますけれども、新豊根ダムの建設について電源開発株式会社は地元にうそを言っているのです。昨年地元へ来て、電源開発株式会社の佐久間出張所か営業所か知りませんけれども、そこの責任者は、国の審議会へかける前に地元の皆さんの了解を得て国の審議会へかけます、こう言って、それじゃ地元の要望はいろいろ聞いてくれるだろうということだったのです。ところが本年になって突然国の審議会はこれを許可した。地元ではびっくりぎょうてんですよ。地元の意見なんか何もその間に聞いていない。説明会があったときには必ず地元の意見を聞きます、こう言っておきながら、地元の意見なんか何も聞かずに本年突如として中央の審議会はこれを許可した。これはどういうことですか、うそを言ったことになりませんか。
  208. 石井由太郎

    ○石井参考人 ただいま御指摘の新豊根発電所の建設につきまして、地元浦川に対しまして昨年の二月下旬、てまえどもの担当者が説明に参っております。このときに申しましたことばではっきりいたしておりますのは、ことし、すなわち昨年の秋に開発調整審議会にかけたいから、それまでに地元の皆さんと用地補償的な問題についてのお話をよくしたいということを申し上げておるだけでございまして、地元の同意が得られなければこの審議会にかけないといったような発言まではいたしておらないということが、今日はっきりいたしております。郡元の受け取るほうとしてはあるいはそのように受け取ったかもしれませんけれども、てまえどもで同意を得られなければ審議会にかけないということを申した事実はないというふうに私どもは承知いたしております。
  209. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 あなた、二月の下旬と言うけれども、二月十八日なんだよ。そんなにいいかげんなことを言っちゃいけない。発言していないと言うが、絶対発言してないか。
  210. 石井由太郎

    ○石井参考人 当時交渉に参りました者にはっきりただしましたところが、地元と協議ができなければ審議会にかけないと……(斉藤(正)委員「協議なんて言ってはいない、賛成だよ」と呼ぶ)賛成がなければというようなことまで申しておりません。
  211. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そういういいかげんなことを言うものだから地元感情というのがますます悪くなって、電源開発の言うことは一から十までみなうそだ、もうだまされぬぞということですよ。新豊根の下流に住んでいる佐久間町の皆さんは絶対賛成の調印はいたしませんよ、そういう態度で終始するならば。私ももう電源開発には一切協力しない。きょう決意をしました。  そこで聞きます。いままでこの佐久間、秋葉両ダムのダム操作規程がございました。このダム操作規程が昨年ですか改定をされたわけでございます。改定というのはよくなるのが改定でありますけれども、悪くなっても改定は改定ですが、特に佐久間ダムの操作規程が変わりまして、従前なかったこまかい規定が設けられました。「貯水池」というところでありますけれども、常時満水位、標高二百六十メートル、予備放流水位、標高二百五十七・五メートル、二・五メートルのゲートの下げ幅が規定をされたのですが、従前のダム操作規程によりますとそういうものはないわけであります。したがって、ダムとしては一メートル下げてもよければ、場合によっては三メートル下げてもよければ五メートル下げてもいい。あのダムの最低水位は二百二十メートルですから、四十メートルまでは実は下げてもよかったのですが、そんな四十メートルも下げてしまえば貯水量がみななくなってしまいますからそんなことはしない。ところが佐久間ダムの操作の常識といいますか、内部の操作の規程と申しますか、それで三メートルないし三・五メートルまでは下げておった。このことが、三メートルないし三・五メートル下げる時間と方法によっては下流に与える影響は非常に大きいわけです。そういうふうにあまり急激にゲートを下げ過ぎると、一たん放水になりますからえらいことだということばかりをおもんぱかって、実際は運営上三ないし三・五メートル下げておったのを、今度は規程ができたばかりに二・五メートル以上は下げられないということに解釈をされておりますので、勢い佐久間ダムにおける洪水調節量というものは減ってきているわけです。このことが今日になってみるとまた今度は悪い結果になりまして、初め二・五でなくて三なり三・五放水をして、もっとあけておいてくれれば調整能力が大きくなるのに、二・五しか下げないものですから調整能力がなくなってしまったということで、これはダム側も前のほうがよかったと言っているし、地元でも操作に気をつけさえすれば前のほうがよかったと言っているのでございますけれども、この辺のダム操作規程についてはどのようにお考えでありましょうか、伺います。
  212. 桑原進

    桑原参考人 先生ただいまおっしゃいましたように、従来ダムの運用といいますか、そういうもので水位をある程度、満水まで持っていかないで運用はいたしております。これは放流によって水位を下げるためではありませんで、発電放流というのをふやしてそういうふうに水位を低いところに持っていって運用をしておったわけでございます。そのことにつきましては今回でも同じように考えております。それで二・五メートル下げるというのは、満水のときにダム放流によって下げる限度でございまして、私どものほうでは平常の運用によって、夏季でございますとか特に洪水期に発電放流をふやして下げるということは本年でもやっておりましたし、今後もやるつもりでおります。したがって従来より悪くなるということは絶対ないと私は思っております。
  213. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そういう解釈を現地でもしていただければけっこうなんですけれども、現地ではいままでは三・五メートルまで下げて貯水能力をふやして洪水を待っていた。ところが今回の改定で二・五メートルまでしか下げてはいけないということになったので、最大二・五メートル下げて待っておることになるので、都合一メートルの湛水能力はなくなったのだ。したがって洪水調整能力はそれだけ減っている、こういう把握をされておるやに聞いておるのですけれども、この点、もしそういう解釈をしていれば現地の解釈の誤りだというように思いますが、いまあなたの答弁のような形で操作に幅を持たせてもよろしいということでございましょうか、その辺もう少しはっきり答えてください。
  214. 桑原進

    桑原参考人 放流によって二メートル半以上下げるということは非常にむずかしいわけでございますが、常時そういう自然放流をふやして水位を下げていくということはできるわけでございます。ただ、私そんなことを申してよいかわかりませんが、たとえ三メートル半下げましても、せんだっての洪水では小さいながら二山洪水がございましたが、そういうことがありました場合にはいかんともしがたいわけでございます。それから大きな洪水がきました場合には、佐久間ダムではどうにもしようがない、いかんともしがたいということは、やはり地元の皆さんに御説明をしなければいかぬと思うのです。これはダムができましたからというふうにお感じになっているのでございましょうが、それではやはり地元との協力ができにくいようなかっこうになりますので、その辺はぜひとも御了解をいただかなければならぬ、そういうふうに思っております。
  215. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで伺いたいのですけれども、現地の罹災者は、昭和四十三年十月五日、百十名の抗議団を組織して電源開発株式会社中京電力所に古沢所長以下役員をたずね、以下のことを申し入れております。これに対する回答が今日なおないということで非常に憤激をいたしております。この場で回答できるものは回答をいただきたいと思うわけです。  抗議文に対する回答は本社と連絡をとり文書で行なう、こういう答弁をいたしておりますけれども、本社とどのように連絡をとられ、いつ文書で回答されるのか。
  216. 桑原進

    桑原参考人 先ほど石井理事が申し上げましたように、洪水解析というものはなかなかむずかしいものですから思うように進んでおりませんが、今月の下旬にはきちっとまとまるつもりでおります。それがまとまりましてからなるべく早く現地のほうへ御説明をしたい、同時に文書の回答もしたい、このように考えております。
  217. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 第二の要求は、浦川地区の洪水後の河川の状況を所長がみずから現地視察をする、こういう答弁をいただいておりますけれども、所長は現地をいつ見られたのか、あるいは見ようとされているのか。
  218. 桑原進

    桑原参考人 中京電力所へ皆さんがおいでになった直後に所長は参っております。
  219. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 天竜川の上流の泰阜地域を電源においても視察をされるというように答弁をしておりますけれども、これは実行されたのか、されないのか。
  220. 桑原進

    桑原参考人 そのとき同時に所長は泰阜のほうまで全部調査をいたしております。
  221. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 所長が来町し罹災者と話し合いをする、こういう確約をされております。所長が佐久間町へやってきて被災者と話し合う、これは実施されたのか、あるいはいっされようとしておるのか。
  222. 桑原進

    桑原参考人 それはまだいたしておりません。先ほど申し上げました文書回答、それから地元説明、それと同時ごろに行なうつもりで考えております。
  223. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこでもう一ぺんもとへ戻りますけれども、先ほど言った、深いふちがなくなったということ、大きな石がなくなったということ、それから柳の木が埋まってしまったということ、階段が十数段埋まったということ、その原因は何か。大千瀬川がそういうふうになった原因は何だ。そうでないという理由があるならその原因はわかるでしょう。それを具体的に説明してください。
  224. 桑原進

    桑原参考人 先生、実はわからないのです、なぜそうなったかということは。(「ダムのせいだよ」と呼ぶ者あり)いやいや、そうではないと私は思います。どう考えてもわからない。わからないことが非常にたくさんあるわけでございます。
  225. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 わからないですね。建設省に聞いてもわからないという。これはわからないじゃ困りますので、大臣に過日伺ったときに、鋭意原因を究明したい、こういう政治的な発言を大臣からいただいたわけですけれども、これほど皆さんがおそろいでわからぬということになりますと、おがんでもらうか何かしなければしょうがない。わからぬわからぬだけでは困るんですよね。わからぬといってほうっておいたのではいつまでたってもわからぬ。どうすればいいですか。どうしたらわかるのか。多少罹災者の気持ちにもなって考えていただきたいと思うのですけれども、どうしたらわかりますかね。教えてくださいよ。質問というのはわからぬから聞いているので、ひとつ頭を下げますから教えてください。――時間かむだですから……。  わからぬでは済まされないので、建設省にも、関係課長ではありませんけれども、開発には関係があるわけで、私どもは電発本来の開発が進んだのでこういう結果になったと判断をいたしておるわけですが、私が九月の六日に質問をして、大臣が最初の答弁で検討をしたいと言っておられましたし、参議院の建設委員会におきましても、この大千瀬川の河床の上昇については鋭意検討をするというような答弁もされておるわけでございます。電源開発に依存をして調査なんというのはだめですよ。電源開発をすっぽかしておいて、建設省独自で最高のスタッフで最新の技術で研究をしないと、電発と一緒になってやりますというのはとても信用できない。ひとつ建設省も、大臣がそういう内患を漏らしているのですから、ぜひ早急に御検討をいただたたいと思うのです。ただわからぬ、わからぬじゃ河川管理者として責任をとったということにならぬし、また河川を利用している電源開発としても責任をとったことにならぬと思う。私は、わからぬと言われたからほっと救われたような気もしているのですけれどもね。このわからない点をいかにして究明し、その原因を突きとめ対処をするかというところに政治があると思う。ですから何としてもこれは御検討をいただきたいと思うわけであります。建設省、電源開発ではわからぬと言うけれども、こうではなかろうかと思われる節でも、ある程度でけっこうですが何か原因ございませんか。
  226. 川崎精一

    ○川崎説明員 大千瀬川流域、特に浦川地区にもかなり堆砂をしておるわけでございます。これはやはりあの川の流域全体から土石が流出してくるのが結局河床が上昇してくる最大原因ではないか。そういった意味ではあの流域全体の治山、砂防といいますか、そういうものをもう一度見直す。それから現在たまっております土石をどういうふうに処置するか。これは改修の計画との関連が出てくると思います。そういうことについては、局長からも総合的に検討しろというような指示を得ておりますので、現在直接管理しておりますのが愛知県と静岡県と両方にまたがっております。これに中部地建が入りまして三者で、現地で河川管理者としての立場から十分検討するということになっております。
  227. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 やはり検討をするのであって、建設省としてもさっき言った四つの原因がどこにあるかは今日なおつかんでいない、こういうことですか。
  228. 川崎精一

    ○川崎説明員 そのとおりでございます。
  229. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで治山治水が先決問題だ、こうおっしゃる。土石が流れてきたからた去ったと言うが、昔だって上石は流れてきたのですよね。ところがダムがなかった当時は、その流れていた土石は天竜本水へ全部ぐあいよく流れていっておったのですよ。ダムができてから昔のように流れてきた上石がたまった、こういうことなんです。これは子供でもわかるのですよ。私どもはそう思っているのでね。そうじゃないというならそうじゃないという説明を求めなければならない。そこで、木を切り過ぎた、戦中戦後の乱伐がたたったと、こう言う。しからば大千瀬川なら大千瀬川、大入川なら大入川、あるいはそのほかの沿川の山が何年にどれだけ切られて、何年にどれだけ植えられて、何年にどれだけ生長したかというような科学的な資料が整備をされて、こういう乱伐かこういうことの原因ですと言えるならばいいのですよ。想像で、山を切ったずら、乱伐し過ぎたげだというようなことで、一般的な社会通念であの限られた特定地域を判断されたのでは困る。あくまでもこういうこういう、こういう具体的な例があってこうなった。このふちが埋まったのは、あの柳の木が埋まったのはこういう例があったからだと、そこまで手を取り足を取って現地説明しなければ、とてもじゃないが現地は納得できないですよ。こんな国会のやりとりを持っていけば私は現地で袋だたきにあってしまう。ぜひそこはひとつまともに検討をいただきたい、こういうように思うわけであります。  あと一問だけで終わりますけれども、上流だけでと思っていたら今度は下流からえらい要求がまた出てきてしまう。冠源開発株式会社には、いっているかどうか知りませんけれども、建設省には、いっているはずであります。静岡県磐田郡豊岡村という、天竜市のすぐ南のいわゆる浜名扇状地が天竜川によって開ける一番北端の純農村地帯であります。ここに「天竜川水位低下による稲作被害に関する陳情」ということで出てきているわけでございますけれども、被害状況といたしましては、作付不能田が五ヘクタール、損害二百四十万円、収穫皆無田十八ヘクタール、八百六十四万円、八割減収二十八ヘクタール、一千七十五万二千円、五割減収三十ヘクタール、七百二十万円、三割減収三士五ヘクタール、五百四万円、合計百十六ヘクタール、三千四百三万二千円、被害によって自家飯米不足農家百五戸、被害によって予約米取り消し農家八十戸、こういう被害が出まして、この全部の責任がダムができたことによる天竜川水位の低下とダムの一時放水による冠水のおかげだ、こういっているのであります。昨年も一昨年もこのような例があって、ことしは要求書は見ていないかもしれぬけれども、電源開発株式会社も御存じでありましょうし、建設省も御承知だと思いますけれども、この豊岡村が今度はダムの下で、しかも農作地帯でこういう被害をダムのためにこうむつたという実態を電源開発株式会社並びに建設省は御存じか。御存じであるならばこの要求にどう対処なさろうとしているか。また建設省としては電源開発株式会社に対しどういう指示をされようとしておられるか、両者から御答弁をいただきたい。
  230. 石井由太郎

    ○石井参考人 御指摘のございました豊岡村につきましては、昭和四十一年度におきまして、干ばつ年でもございましたけれども、河床低下のために磐田用水流域区域と天竜川本川の間の中間区域に地下湯水、地下からわいておりました水が枯渇したところがあるというゆえをもちまして、県が応急措置として水利施設をいたしました。この問題をめぐりまして補償の要求を受けたことがございます。これは県から受けたのでございます。現在、佐久間、秋葉ダム建設着手の結果としての下流における河床低下の問題につきましては、河状調査委員会という機関を設けまして、地元の者もそれに参加いたしまして河状を調査いたしております。この結果といたしまして現在承知いたしておりまするところは、二俣下流におきまして一メートル余の河床低下があることは事実でございまして、量的に先ほど申し上げました豊岡村の四十一年の事態に対してどのような影響があったかを断ずることはなかなかできがたいと思うのでございますけれども、全体としての景況から相当額を負担いたした事実がございます。昨年、四十二年におきましても同様な事態があったやに伺っておりますが、これは静岡県下一般の干ばつでございまして、以下全体の干ばつ措置として事が処理されておるというように了知いたしておるのであります。  本年になりましてからは、実はそのような要求はわれわれはもとよりのこと、県にもそれから地元発電所、電力所にも出ておらなかったのでありまして、実は本日まで承知いたさなかったのでありますが、ただいま電話によって知らせてきたところによりまして、本日佐久間の発電所に豊岡村から被害要求の陳情書が出てまいったということを承知いたしておりますが、内容は全然承知いたしておりませんので、よく調査いたしまして処置いたす所存でございます。
  231. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 建設省はどうですか。
  232. 川崎精一

    ○川崎説明員 私のほうにもまだ正式に報告は参っておりません。この間ちょっとそういう話を聞きましたので、県を通じて現在照会をしております。その上で処置いたしたいと考えております。
  233. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私どものところには十一月一日付で来ておるわけでございまして、おっつけ建設省へも電源開発株式会社にも正式なものが参るというように思っておりますけれども、前例もあることでございますし、抜本的には船明ダムの建設等を行なわない限り、これらの問題は年々歳々多くはなっていっても減ることはないのであります。そこで船明ダムの建設によって画竜点睛ということになる。船用をどうしてもつくらなければこの下流の治水がうまくいかぬ。ところが浦川の問題が片づかなければ新豊根もできなければ船囲もできない、こういう事態が予想されるわけでございまして、また戻るのは浦川でございます。浦川ばかり言っていないで表川もやれといっても、表川はないので、やはり焦点は浦川ばかりだ。念のために言っておきますけれども、先住権確保に関する訴訟も地元住民は用意をいたしました。法廷に出てでも、電源開発株式会社と憲法に保障された居住権をめぐって争うというところまで実はいっておるわけでございまして、私一人がここで毎回毎回蛮声を張り上げているということではないのでございます。保守党の議員の皆さん方もみんなそういう気持ちになっておられて、たまたま本委員会に出てこないというだけでございます。私一人が発言しているんだというようなことでなくて、建設省も電源もわからないといっている大千瀬川の河床の上昇の原因につき真剣に科学的に、しかもすみやかに検討をいただかないと、おたくが計画している新豊根の着工などは何年、何十年たってもできないということになります。水利権の協定ができなくてもやるというならば別でございますけれども、円満に事を運ぼうというならば、この事態の解決の糸口を何とか見つけなければならぬという事態にあることは間違いございません。ぜひひとつ鋭意御検討をいただきたい。課長さん、局長も大臣も見えておりませんけれども、ぜひひとつきょうのことはあなたを通じて局長にも大臣にも伝えていただきたい。よろしくお願いをいたしたいと思うわけであります。  最後に委員長にちょっとお願いでございますけれども、けさほど私は理事会出席をさせていただきまして、全国に三千七百もあるダムが非常に危険な状態になっているものもあるし、危険な状態にならなくても当面いろいろなダム災害が発生をしている、この際国会においてダム災害対策委員会なるものをつくってほしいということで、本委員会に設置をしていただくことをお願いしたわけでありますけれども、本委員会の性格上むしろ建設委員会が妥当ではなかろうかというお話がございました。明日建設委員会が開かれるそうでございますので、委員長からぜひ建設委員長に対し、こういう提案が行なわれるけれども建設委員会として取り組んでいただきたいということをお伝えいただければたいへんありがたいと思うわけであります。ただ、先ほどの理事会結論としては、本委員会でもう一ぺん検討の上というようなこともあったかと思いますが、お帰りになった理事各位の与野党全員に私がお尋ねいたしましたところ、時期的な問題もあることゆえ、明日建設委員会があるなら明日の建設委員会にそのことを提案すると同時に、災害対策特別委員長から建設委員会に対し連絡をとっていただいてしかるべきじゃないかという理事各位の御発言もございましたゆえに、ひとつ善処方をお願いいたしたいと思います。できれば委員長のお考え方をちょっと承れれば幸いでございます。
  234. 芳賀貢

    芳賀委員長 斉藤委員に申し上げますが、本日の当委員会理事会においては、次回の委員会においてダム災害問題を取り上げて論議をする、そうしてダム災害に対する小委員会の設置等の問題については、当委員会において設置するか、あるいは基本的の問題等については当然常任委員会に小委員会等を設置して十分審議してもらう必要もあるので、それらの点については、あげて次回の委員会において方針をきめるということに実はなっておるわけですから、御了承願います。
  235. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 明日という建設委員会の日程がございましたので私は申し上げたわけでございますけれども、けさほどの本委員会理事会では、次回に検討してということでございました。それでもけっこうでございますので、ぜひひとつ取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  長々と毎回たいへん失礼なことも申し上げましたと思いますけれども、真意はひとつ御理解をいただいて、早急に対策を確立いただきますようお願いをして私の質問を終わります。
  236. 芳賀貢

    芳賀委員長 川村継義君。
  237. 川村継義

    ○川村委員 ずいぶんおそくなりまして、どうも御苦労さまです。実は午前中、台風関係等の御質問がありましたので、そのときにお聞きしておけばよかったのですけれども、たくさんの委員の方々のいろいろの御質問がありましたので、私あとに回ったわけであります。簡単にお尋ねをいたしておきますから、ひとつ率直に御意見を聞かしていただきたいと思います。  実は私、きょういろいろ食管法の問題とか、そういうものをこの委員会で論議しようとは思いません。御意見を聞こうとは思いません。ただ、皆さん方の農林省、食糧庁の決定によって、いわゆる等外米、規格外米といわれるものの買い入れが一応中止をされておる。あとでこれは特別の臨時措置はあるようですけれども、しかし、ことしはどうしたことか非常に農村の諸君が米の生産が悪くて、等外米、規格外米というようなものに落とされる量が非常に多いということを実は見ておるのであります。このままではあまりにもひどいではないかといわざるを得ません。そこで、まず初めに食糧庁の課長さんにお尋ねをし、あとで参事官から、ちょっと御意見をいただきたいと思います。  第一は、九州各県の水稲の作況指数はどうなっておるか。九州だけでいいんですがね。全国を聞いていると時間がありませんから、九州だけでいいです。九州の水稲の作況指数、わかっておりましたらちょっと聞かせてください。
  238. 荒勝巖

    荒勝説明員 それでは御説明申し上げます。  この十一月一日の農林省統計調査部で公表いたしました計数に基づきまして、九州地区の水稲の作況指数だけを申し上げます。福島県一〇五、佐賀県一〇四、長崎県一〇八、熊本県一〇八、大分県一〇六、宮崎県一一五、鹿児島県九九。これは作況指数で、平年対比でございます。
  239. 川村継義

    ○川村委員 私がいまお尋ねしましたのは、先般農政局長会議があったときに、いろいろそれぞれ担当地域のそういう聴取があって、これを新聞で見て、これはずいぶん高く見てあるのではないかということが一つ頭に残っております。いま参事官のお話によりますと、十一月一日現在ということになっておりますけれども……。
  240. 荒勝巖

    荒勝説明員 公表でございます。十一月一日の公表でございます。正確には十月十五日現在の取りまとめで十一月一日公表、こうなっております。
  241. 川村継義

    ○川村委員 十月十五日に取りまとめて、十一月一日に公表された、こういうことですね。十月中旬までの調査結果ということになりますね。  そこで、それに対して指数が高いとか低いとか、いまここでいろいろ御意見を聞いて論議しようとは思いませんが、実際問題として、特に九州の鹿児島の場合九九という指数をおっしゃったのですが、宮崎あるいは熊本におきましても予想外に悪い。そういうところで一体どうするかということで、たいへん農村も頭を痛めておりますし、われわれもやはり一つの問題ではないかと考えます。  そこで、まず、九月の二十四日付でございますが、昭和四十三年産米の特定低品位米の取り扱い要領というのが長官から食糧事務所長あてに出ております。これを見て、いろいろ読ませてもらって論議していると、これはまたことしの食管問題、米の買い入れ問題等々に話が飛んでしまいますから、このことはいまおくといたしまして、あなたのほうから出ております農林省告示一五九四号、農林省告示一五九五号、農林省告示一五九六号、これによりまして、それから先ほどの九月二十四日の事務所長あてに出されました通達、こういうものを見て、いわゆる等外米といわれるもの、規格外米といわれるものを買い入れの対象にする、こういう定めが一つあるようですね。それはどういう場合なのか。これを読むと大体善いてありますけれども、一応大事なところだけ答弁してくれませんか。
  242. 中村健次郎

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  これのもとになりますのは農林省告示第一〇四七号、四十三年七月十七日に出しております告示でございまして、これに政令第一条の売り渡し条件を次のように定めるというのがございまして、その中で「政府に引き渡す米穀は、同項の検査の結果、五等以上の品位に格付けされた玄米又は二等以上の品位に格付けされた完全精米若しくはもみとする。」と、こういうふうに書いてございまして、元来政府に売り渡すものは五等以上、精米で申しますと二等以上、こういうふうになっておるのでございますが、そこのところにカッコが入っておりまして、「(災害等により農林大臣がやむを得ないと認めたときは、これらの玄米、完全精米又はもみ及びこれら以外の玄米、完全精米又はもみであって農林大臣指定するもの)」というふうになっております。これを受けまして、災害等がございまして農林大臣がやむを得ないと認めたときには五等以外、等外以上でございますとか、あるいは規格外の米でございますとか、こういったものを農林大臣指定しました場合には売り渡す、政府に引き渡す米穀になると、こういうふうに規定されております。そこで、そういった災害等により農林大臣がやむを得ないと認めるのはどういう場合かということを具体的に示しましたのが九月二十四日の通達でございまして、これは相当程度災害がごさいました――相当程度災害と申しますのは、一応われわれといたしましては天災融資法政令指定災害あるいはこれに準ずるような災害、こういったものがございまして、それによって被害米が相当発生し、その被害米による農家に及ぼす影響が甚大である場合に、この等外被害米のうち配給になるような一定品位以上のものを災害のあったその県に限って買い入れの対象とする、こういうふうにいたしておるわけでございます。
  243. 川村継義

    ○川村委員 いまお話しの九月二十四日の通達によりますと、いま後段のお話がこれに明示してあります。そこで具体的にお聞かせいただきたいのですが、先ほど午前中の質問でも出ましたように、十六号台風激甚災害として指定を受け、天災融資法の特別措置が適用されることになった。そうなりますと、その十六号台風の適用される範囲はどこかという質問があったのですが、そのときにたしか鹿児島県、宮崎県、高知県、この三県があげられたようですが、この三県においてはいまの通達によって等外米あるいは一定品位の規格外、こういうものは買い上げ対象になる、こう受け取って、解釈してよろしゅうございますか。
  244. 中村健次郎

    ○中村説明員 これは先ほど申しましたように、相当程度災害があるということが一つの条件でございまして、そういった災害があれば必ず対象になるというふうには考えておりません。その結果被害米が相当出まして、それが農家に甚大な影響を及ぼすという場合にやむを得ないというふうに考えております。ただいまおあげになりました鹿児島、宮崎、高知につきましては、すでに高知につきましては、十号台風指定災害になりました際に、等外米を買う対象の地域として指定いたしておりますので、これはすでに先ほどの等外被害米は買い上げるということになっております。宮崎、鹿児島につきましては、現在被害米の発生状況等を現地調査をいたしまして、それを分折して内部で検討をいたして、近くどうするかを決定する段階にまいっております。
  245. 川村継義

    ○川村委員 そうすると、たとえばこの通達にもございますように、天災融資法の特別措置の適用をやらなければならぬような、別のことばで言うならば、その基本となる激甚災害の適用地域であっても自動的に等外米等の買い入れが動くのではなくて、被害米の発生等によって農家に及ぼす影響が甚大である場合という一つの条件というものがついてくる、こう解釈せにゃならぬ、こういうことになりますね。
  246. 中村健次郎

    ○中村説明員 そうでございます。
  247. 川村継義

    ○川村委員 そこで私がいま具体的にお聞きした十六号台風激甚災害指定地域は、高知、宮崎、鹿児島。そうすると高知はすでに十号台風等の影響もあって調査が済んで、いわゆる等外米買い入れの対象になっている、こういうことでございますね。宮崎、鹿児島はいま検討中であるとおっしゃるのだが、私は十六号台風のその後の影響、これが稲作に与えた影響等を考えると、これはおそらく当然そういう方向に進むだろうと見ております。ところが私の出身県でございます熊本は、実は先ほどの話に聞くと十六号の激甚災害地域には入っていない。入っていないけれども、実は相当の米の被害を受ているわけです。一つ例を申し上げます。熊本全域のことを私がいろいろ言っていると時間がたくさんかかりますから、私のごく狭い地域実情を申し上げますが、これは場所を言いますと、熊本県の八代市に郡築という干拓地があります。大正末年に干拓されたところの干拓地があります。その郡築という地域で十月十五日に実は米の検査を受けに行った。これは早期米とは言えませんけれども、われわれのほうでは早出し米と言うておりまして、品種はマンリョウというのが主ですが、この米を十五日に検査を受けたら、相当のいわゆる買い入れ対象にならないものが出ております。十月十五日に全地域でもって、大体の俵数でいいますと六千俵ぐらい検査に行った。ところが千五十俵というのがはねられた。いわゆる等外あるいは規格外としてこれがはねられた。特にひどい一つの例は、その中の一軒の農家は三百俵だけ持って検査を受けに行って、半分の百五十俵は合格しないで持ち帰った、こういうような実例があります。これが一つ。それからもう一つは日奈久干拓、これもごく新しい干拓ですが、日奈久干拓という地域は全く皆無といってよろしい。出すものがない。そういう干拓地もございます。そこで八代市の別の資料なんですが、いわゆる穂発芽といいますか芽が出てしまう。その面積を八代市についてずっと郡築なり日奈久なりそのほかの九つの地域の穂発芽をしたところのものを調べてみましたら、百四十二・七ヘクタールに及んでいる、こういう一つ資料が私の手元にあるわけです。これは一体どうしてこうなったのか、あるいはいろいろ検討しなければならない問題もございましょう。これはあとで参事官にいろいろ方針を聞きたいと思いますが、一番大きな原因はやっぱり十六号台風ですね。課長さん、十六号台風がどういうように動いていったか、気象状況を御存じですね。鹿児島に上陸をして、私がいまお話をしているところの地域の真上を通った。もちろんそのときには思いがけなく鹿児島に上陸する時点よりも相当風速が衰えておりました。鹿児島に上陸するときには五十五メートルとか言っておったけれども、われわれの地域に入ってきたときには二十五メートルから三十メートル、そしてわれわれの地域を通って福岡に入って、今度は逆に戻って佐賀に入った。そして佐賀地域から熊本、有明海、天草、こういう上空でずっと旋回し、逆戻りして迷走してきている。そこで熱帯性低気圧という形になって消えている。ところがそこまで相当日にちがかかっている。よくわれわれの地域では台風一過秋晴れがくる、こう言うのですが、このときには相当日数、一週間くらいでしたか、全く秋晴れを見なくて悪い天気が続いているわけです。雨も相当降ったというようなことが穂発芽を招来したところの原因ではないか、それからたいへん質の悪い米をとらせてしまった原因ではないか、こう実は考えております。皆さん方のほうでは現地の食糧事務所あるいは統計事務所といいますか、そういうところからそのようなほんとうになまなましい実情というものの報告は受けていないのでしょうか。ただ単に作況指数は幾ら、あるいはどのくらいの生産量とか、そういうことだけの報告でしょうか。その辺のところをわかっておりましたら聞かせてくれませんか。
  248. 中村健次郎

    ○中村説明員 いま先生から申されましたような各地域、市あるいは部落地区等に当たりましての詳細な報告は、残念ながらそこまでは参っておりませんけれども、県全体としまして、私のほうで特に関係のございます十六号台風が参りましたことによって穂発芽とかあるいは発芽米でありますとか、そういったものが、どの程度発生するであろうという見込み、こういったものは私のほうに食糧事務所で調査いたしまして参っております。
  249. 川村継義

    ○川村委員 ことしは、ああいう米の買い入れ方針がきまってから、皆さん方の買い入れに対するいろいろ告示あるいは省令等が出た。ところが実際の農家の今日の窮状というものは、私はごく狭い地域で申し上げました。今度はまた隣桜の町村の実態もあるのですけれども、時間がありませんから、一々こまかに申し上げていないのですよ。そのようなこともありますし、いま一つは、熊本の山間地においては、これはお聞きになっておると思うのですけれども、八月の下旬から九月の初めにかけてものすごい低温が発生をしております。一つのこく身近な例を――実は、いろいろこまかに申し上げるべきでありますけれども、これはひとつ機会を見てよく調査してもらいたい。たとえば熊本の山手の清和村という、阿蘇にすぐ隣接しておりますが、清和村というところの気温状況一つ例に申し上げますと、八月の三十一口から九月一日にかけての本年度の最高気温が二十五度、最低気温が十一度、これはいままでにちょっと例を見ないような異常低温なんです。昨年は、最高気温が三十二度、最低気温は二十度なんですね。これを見ても、いかに八月の下旬から九月初めの大事なときにこういう異常低温続いたかということも、実はほかの地域の山間地を見るときに、米の生産に実に大きな影響を与えておる。しかもこの災害対策委員会でも問題になりましたように、私が申し上げておる清和村とか阿蘇とか、それからそのほかの地域は、実はことし夏干害で非常にやられた地域なんですね。そのあとにこういうような低温が発生をして、稲の生育を阻害しておる。これはたくさんの例の中の一つとして申し上げておきます。  それから、私はこれは専門家ではないから、皆さん方のほうが専門家ですけれども、ことしはその他の平たん部の地域に特にいもちが発生しておる。何かいもちというやつは大体二十七度くらいが一番発生に好都合な温度だそうですね。ことしはどうしたことか平町部においてもいもちが非常に発生をしておる。そこで収穫に大きな影響を与えておるし、それから先ほどのような品質のあまり上等でないお米がとれておる、実はこういう幾つかの問題があるわけですね。そこでそのままたくさん出るところの等外、規格外米というものをもう政府は興わないのだ、おまえたちで始末をせい、こう言われたら、先ほどの例ではありませんが、三百俵持っていっても百五十俵だめだった。こういう農家の窮状を見ると、やはりこのままではあまりに政治として芸がなさ過ぎるのではないか、こういわざるを得ません。  そこで、ちょっと課長、再門でしょうがね、この米をちょっと見てくれますか。――これは一体どのくらいの品質の鑑定になるのか。
  250. 中村健次郎

    ○中村説明員 私実は買入課長をいたしておりますが、検査のほうの専門でございませんので、これを見ましただけでどの程度の等級になるものか、残念ながら判定できません。
  251. 川村継義

    ○川村委員 それは実は規格外として落とされた米なんです。私は、少し検査がきびし過ぎるのではないか。その中にはもちろん発芽をしたような粒もあります、それから御承知のように少し胴割れをしている、そういう粒もあります。これは私も三等米だ、四等米だと言いたくありませんよ。しかし、これは規格外として落とされた米なんですがね。やはりちょっと検査がひどい、きびしいのではないかということを感じております。  それはそれといたしまして、こういうような米が三百俵ものうち百五十俵もあって持ち帰ったということで、これはやはり農家の立場からすると、たいへんな問題だとわれわれはいわざるを得ないと思うのです。そこで一体こういうのをどうしているか。あるAという男は、自分の小屋の中に、例の米を保管する入れものを持っていますね、ブリキ製のそういうものに一ぱい詰めておる。そういうことができないものは、これは自分の家にある程度俵に入れたまま積んでおく。それから、これから先もう一つお尋ねするのは、その中の幾分かは農協が引き取っているのですね。そこで、先ほどの事務所長に対する通達の取り扱い要領なんですが、農協が引き取ったものは、これにもいろいろ書いてあるようですが、一体それはだれに売るんですか、どこから買うんですか。
  252. 中村健次郎

    ○中村説明員 ちょっとお尋ねの意味があれなんでありますが、農協が預かったものは、これはその地域政府が等外、規格外米も買うということを決定いたしません場合には、あるいは決定いたしましても農家なり農協のほうがほかの民間のものに売りたいというお気持ちであるならば、先ほど御指摘にもありました九月二十四日の特定低品位米の取り扱い要領によって食糧事務所長が特定低品位米と認定をいたしました場合には、これはこの要領にも書いてございますように、仕出し屋でございますとか、あるいは原材料用の業者でございますとか、そういった、この要領で定められておりますようなものに売り渡すということで、食糧事務所長に承認を求めた場合には、これを承認して民間に流通を認める、こういうふうに規定いたしておるわけでございますので、そちらにやっていただいてもいい。この場合の価格というのは、従来生産者の販売価格の統制ワクでくず米ということで非常に低く押えられておったのでございますが、ことしからはくず米という統制ワクをやめて、ウルチ玄米というもの一本にいたしましたので、十キロ当たり千三百五円、一俵に直しますと約七千八百円程度の値段であっても統制ワク違反にならない、こういうふうに政府を通さないで流通し得る道を、価格の面におきまして、あるいは売ります買い手の制限におきましても、あるいはその承認の手続におきましても簡素化いたしまして、処分しやすいような方法をとるというふうにいたしておるわけでございます。
  253. 川村継義

    ○川村委員 いまお話しのように、いまのままじゃとにかくたいへんだというので、農協が一応引き取っておる。まだ金は払っていないのですが、引き取っておる。農協はいまお話しのように事務所長の承認を得て、あるいは食堂であるとかレストランであるとか、そのほか何か米を食わせる、そういう業者等に売っていいということになりますね。その場合には、いまお話しのように、ここにもあるように、ウルチで十キロ千三百五円、こういう値段が設定されている。これは最高値段でございましょう。それ以下だったら幾らでもいいわけですね。ということは、これから先は論議はしませんけれども、結局そういう米を自由に流通しやすいような仕組みにされた。これはほかの問題に波及しますから、もうここでは言いませんが、もしもそういう業者がこういう品質の悪い低品位の米を買わないというときには、実は農協も困るわけですね。農協に売っていい、こういうわけにいかぬでしょう。買うほうも売るほうも事務所長の承認を得なければいかぬ。買わないと農協は自分の倉の中に持ち帰らなければならない。この低品位の品質の悪い米を農家は農家で、自分のうちで食う分はいいかもしれませんけれども、これはかってに売るわけにはいかぬということになる場合、一体どうなるのであろうか、この辺のところは皆さん方考えてくださっていないのですかね。ことに、ことしのように台風等でそういう米が出た場合に措置をするということについては、あるいは一地域においてはすでに買い入れをしてよろしい、政府が買うぞときめてくださったけれども、まだきまっていない地域については、たいへんな問題をかかえていると思うのですが、どうでしょう。
  254. 中村健次郎

    ○中村説明員 この問題につきましては、そういった等外、規格外の米がどの程度発生するか、この量が少ない場合には、いま先生のおっしゃいましたように、買い手がなかなか見つからない、あるいは買うにしても非常に安い値段になるというようなことは、現在までのところ、各地の実情から見まして、あまりないようでございます。ただ災害等がございまして、こういった低品位米が多量に発生している地域、あるいはその地域が非常に山間僻地でございまして、こういった種類の米を消費する相手方が近くにないというような場合には、これの処分に非常に困ってくる、こういう状態になります。したがいまして、私のほうでは、そういった災害等がございまして、しかもそういった等外米が多量に出てくる、その処分に非常に困る、そのことによって農家に甚大な影響を及ぼす、こういった場合に、その県についてはそういったものを政府が買う、こういう考え方で検討をいたしております。
  255. 川村継義

    ○川村委員 あなたのほうの十月十七日の食糧業第二九〇五号による通牒によりますと、先ほどあなたのお話にあったように、高知はすでにそういう政府買い入れの対象になる地域として認められておる。それから千葉、長野、三重というのがなっていますね。これはどういうような理由でございましたか、あらためて聞かせてください。
  256. 中村健次郎

    ○中村説明員 千葉、長野、三重は台風十号、八月下句の台風でございますが、これが天災融資法指定災害になりまして、その中でも特に千葉、長野、三重は特別被害地域の指定をすることのできる県地域指定されております。そういう甚大な被害のあった地域でございますし、かつ等外米、規格外米等の発生の量もかなり多量にのぼっておりますので、いままで申しましたような趣旨において、その地域の等外米、規格外米は政府が買いますということに決定したわけでございます。
  257. 川村継義

    ○川村委員 台風十号によってそのような被害が出た地域、千葉、長野、三重は政府買い入れの対象措置をしておられるが、高知は十六号でしたか、十号でしたか。
  258. 中村健次郎

    ○中村説明員 高知は十号の被害もございます。それから当時すでに十六号の被害も明らかになっておりました。
  259. 川村継義

    ○川村委員 そうすると、もうこれだけしか政府賢い入れの対象地域としてはないというのじゃなくて、先ほど、鹿児島県も一応いま検討しておる、宮崎も検討しておるということばがありましたが、そのほかに台風十六号等によるそういう政府賢い入れの措置を検討しておる地域がありましたら、ひとつはっきりお示しいただけませんか。
  260. 中村健次郎

    ○中村説明員 ただいま等外、規格外米について政府買い入れをいたすかどうかということで調査をいたしまして、検討いたしております県は、台風十六号で相当の被害を受けました鹿児島、宮崎、それに大分、熊本、それから四国の徳島、山口、広島、それからこれは台風十六号ではございませんけれども、冷害その他でかなりの被害米が出るという状態になっております青森、秋田、山梨、これらの児につきまして検討をいたしております。
  261. 川村継義

    ○川村委員 わかりました。いまの食糧庁のそういう御方針であれば、おそらくこの地域の農民は、相当明るい期待をもってその処置を見ているのじゃないかと思います。  そこで、私は自分の出身だからこまかく言うのじゃありませんけれども、熊本のごく小部分地域について、実は先ほど一つ二つ被害状況を率直に申し上げたのですが、参事官の話によると、作況指数は一〇八とおっしゃったのですけれども、おそらく相当の被害が――これもまだ全部稲刈りは済んでおりません。いまが稲刈りの最盛期なんです。これからいよいよ稲を刈って、もみすりをしてみるということになりますと、これはたいへんだというような様子が出てくるのではないかと心配をしておるのです。そういう意味でぜひひとつ――これは政府自由米構想なんというような話も出ておりますし、この前の災害委員会でも円村農林大臣はいろいろと答弁をしておりますけれども、きょうはそんなことに触れることは抜きにして、とにかくあたたかい気持ちで、ちょうどいろいろな生産者米価について問題のあった年でもありますから、いまの相当被害を受けた地域については、やはりある程度政府が買い入れのめんどうを見てやるというような方針をぜひ確立してもらいたいと思うのです。何から何までみんな買えなんて私はきょうは言うつもりはありませんけれども、やはりこれはほんとうに農村の立場に立って、突っ放さないで、もう等外、規格外米を買わぬのだ、古米が余っておるのだ、米が山ほどあるのだというような非常に情けのないような考え方でなくてぜひひとつ対処していただきたい。時間もありませんから、これはぜひひとつお願いをしておきたいと思う。  そこで、時間がありますと、いろいろあなたのほうの通牒についてもお聞きしたいと思いますが、たいへんおそくなっておりますから、最後に参事官にちょっとお聞きしておきますが、これから政府は水稲栽培にはあまり力を入れぬのじゃないかというような考え方をしているのですが、参事官、今度こういう被害を受けた地域の農村の諸君はおもしろいことばを言っているのです。ことしは政府が米を買わぬと言った、米が余っているという、こんなに災害を受けて悪い米がたくさん出るならば、さぞ政府は喜んでいるだろう、こういう全く皮肉たっぷりな声を、何か捨てばちみたいに投げかけている。これを耳に入れておいてください。それから一部にはけしからぬというような話もありますが、それは私どもの耳にだけ入るのであって、皆さん方の耳には入らぬと思います。これは、これまでも農林水産委員会や各地で、食管会計の問題や食管法の問題や米作の問題についていろいろ論議のあった点ですが、米の品質がこんなに落ちるというのには、ことしは十六号台風等の問題もあったでしょうが、私から見ると、必ずしも台風だけではない、別の要素があるのではないか、そう思われてならぬ節があるのです。というのは、台風のあまり影響がなかった地域でも相当の減収あるいは悪い米が出ている。  そこで二つだけ参事官聞かせておいてくれませんか。品種というのも、これは米作には重要な問題です。特に熊本あたりの山間地には、寒冷地に適する品種というのが、まだほんとうは確立されていないという面もあります。私が申し上げるまでもなく、かんがい排水の管理の問題、肥料の問題等もありましょう。  しかし私がお聞きしたいのは農薬の問題です。私の地域でも、ことしは共同でヘリコプターによる空中防除を三回も四回もやる。そして個人個人でも必要に応じて農薬を散布している。それに先ほどちょっと触れましたように、いもち等の病害が非常に発生している。一体あれだけ農薬をやってなぜこんなに出るのか、近ごろの農薬はちっともきかぬ、農薬会社におれたちはだまされておりはしないか、こういう声まで飛び出してくる。そこで農薬そのものに問題があるのか。農林省は一体農薬についてどういうような監督指導をしているのか。それから実際問題として農薬を使う時期を農家が誤っているのじゃないか。そんなことの指導は一体どういう体制でやっているのか。これは農業改良普及所にまかせているのか。第一点は、農薬について、どうも農薬が生産を助けていないような問題が一つあると思うのです。これは、ひとつ専門的立場からぜひお聞かせいただきたい。  第二番目は、ものすごい労働力不足によって、農機具がほとんどの農家に入っているが、農機具を使う場合の使用方法、あるいは米を乾燥する場合の乾燥機の取り扱い等々の指導、それはどこへやらせているのか。いまあなたの前にあるその米にも相当胴割れが見えますね。いまコンバインというのを使っていますね。このコンバインを使って米を乾燥機に入れると、どうも胴割れ等が生じやすいようです。そこで、それらの農機具の使用、乾燥機の使用というような点についての農林省関係の指導が不十分ではないか。労力を用いませんからね。そういう点が非常に気になるのですが、これをひとつ専門的な立場から聞かせておいていただきたいと思います。
  262. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま非常に詳細にわたる御質問がございましたが、私はあまり専門家でないので、私の本日ここで申し上げることはあるいは多小間違っているかとも思いますが、その点は御了承願いたいと思います。  まず農薬につきましては、最近非常に日新月歩で農薬が発達してまいりまして、農薬メーカーの相当な開発意欲もまたあると思いますが、逆に、最近過剰農薬といいますか、農薬の使い過ぎというふうな傾向もございまして、むしろ、農業の面では効果をあげながらも、逆に多少ほかの面での逆効果も出ているというふうなことで、特に水銀剤につきましてはそういう傾向がありまして、明年からはこの水銀剤の使用はひとつ禁止したらいかがかという線でやっておるわけでございます。今後新しく次々と出てまいりますこうした農薬について、現在は農林省の農政局を中心としまして中央で指示しまして、現段階におきましては、ただいま御指摘のように、農薬の散布の方法とか使い方、時期等は、いわゆる普及員を中心といたしまして指導している次第でございます。  それからまた農機具につきましても、労働力不足に伴う農機具の普及も非常に進んでおりまして、また世界じゅうからもいろいろな実験的な機具等が入りまして、今後農機具につきましても、日本で特に水稲用の農機具は急速に伸びるのではなかろうかというふうに聞いておりますが、日本では多少いままで水稲用の農機具がまた確かにおくれておりましたので、中央では農業機械化研究所におきまして、いわゆる特殊法人でございますが、ここを中心としてこの農機具の開発、研究を進めている次第でございます。それとともに、農機具メーカーとタイアップいたしまして、今後新しい農機具も出てまいると思いますが、先生ただいま御指摘のように、いろいろ新しく次々と出てまいります農機具の中に、場合によっては実際使用するにあたって不適当なものも多少いろいろ聞いておりますので、こういったものは今後農林省といたしましてもそういう線で、なお農家に非常に使いやすいもの、それからまた使うにあたって別の面で逆効果の、反作用の出ないものということも念頭に入れまして、こういう指導を大いにしてまいりたい、こう思っております。
  263. 川村継義

    ○川村委員 いろいろ問題は非常に多いと思いますね。また複雑にからんでおるといってもいいほどだと思いますが、農林省としては、やはり農薬メーカー、農機具メーカーについては相当のてこ入れと申しますか、ひとつ力を出してやってもらわぬと――農林省はやはり農家の立場に立って農薬を見る、農機具を考えるという立場に立ってもらいたいと思います。でないと、売らんかなで、またテレビなんかで宣伝等々これつとめて、次から次へ新しい、どこをどう改良していくかわからぬけれども、農機具等々を売りつける。これでは農家はたいへんな問題をかかえ込んでいくわけです。そういう点、もう皆さん方に申し上げるまでもないけれども、われわれが実際現地でいろいろ農民から聞くこれらの意見というものを、かわってこうして申し上げることもありますから、ぜひひとつ十分つかんでおいていただきたい。これをお願いしてやみません。これからもう米はつくらぬでいいのだ、たいていにつくっておけ、そういう御方針ならいざ知らず、農家がつぶれようが、水田をおっぽり出そうが、それは知りませんけれども、おそらく農林省はそういう非情な方針はお出しにならぬと思う。やはり日本の農家をささえておるのは大体米ですからね、米はある程度大事にする。これからひとつりっぱな質のいい米をつくるようにし向けていくということを考えると、なおさら私がいまお願いしておる点を御留意いただきたいと思うのです。専門の皆さん方にわれわれが申し上げると、どうも釈迦に説法みたいだけれども、もう少しほんとうに実際の農民の立場、農民の生活、農民の気持ちになって考えていただくことを要望してやまないのです。  そこで、時間がございませんから非常にはしょってお尋ねしてまいりましたが、先ほどお話しのございました、これは課長さんにお聞きして終わりたいと思うのですが、等外米、規格外米の買い入れ等については、十六号関係にも結びついてくるように、鹿児島とか宮崎、大分、熊本、徳島、山口、広島、あるいは例外的なものとして青森、秋田、山梨、こういうところをひとつ調査、検討をしておる、こうおっしゃったのですが、大体いつごろまでに、たとえば鹿児島なら鹿児島の、熊本なら熊本の、大分なら大分の米については、いつごろまでに大体そういう見当をつけていただける見通しがございましょうかね。長官のほうから食糧事務所長に対してそういう通達がいつごろ出せるか、見通しがあったらひとつお聞かせいただくし、ぜひひとつこれは実現してもらいたい。御要望してやまぬところです。最後にお聞かせいただきたいと思う。
  264. 中村健次郎

    ○中村説明員 ただいま検討しております諸県についての結論を出しますのは、実は第一回の調査によりまして県全体の数量等は承知いたしておるわけでございますけれども、さらに先ほど先生がおっしゃいましたような細部にわたる地域、あるいは時期とか、その原因とか、そういった詳しい事情、もう一度食糧事務所に照会をいたしまして、現在取り寄せ中でございます。これが二、三日中にまとまりましたら、関係方面とも協議いたしまして、できるだけ早く方針を決定いたしまして手続をとりたい、このように思っておりますが、ただ方針が決定いたしましてから、告示その他の事務手続がございますので、県のほうに通知がいきますのは、決定してからやはり一週間くらい日にちがかかるようでございます。決定は近く、できるだけ早くやりたい、その後一週間くらいすれば通知がいくことになる、こういうことにいたしたいということで努力いたしております。
  265. 川村継義

    ○川村委員 どうぞひとつ善処方をぜひお頼みいたしておきます。  たいへんおそくまで、何かといろいろお聞きしたいことをはしょりながら一、二点お尋ねいたしましたが、ごかんべんいただきたいと思います。どうも委員長、御苦労さまでございました。
  266. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十分散会