○板川
委員 私はこの見解はなかなかりっぱだと思うのです。国民の
立場からいってりっぱだと思うのです。そういう
意味で、ひとつ早急にこの
報告書を中心に結論を出してもらいたいと思います。
それから、これは
建設大臣に伺いますが、
道路管理者の義務というのは、
道路管理者にどこまでどういう義務があるのかという問題があります。これについては、昭和四十年四月十六日に仙台高裁で、例の穴ぼこ判決がありました。オートバイで来た者が穴ぼこへ落ちて死んだ、それは穴ぼこをちゃんと修繕をしておかなかった
道路管理者に
責任あり、こういう結論であります。もしそういう悪いところを直せなかったら、事前にそこを通行どめしたほうがいい、こういう判決がありますね。これは昭和四十年四月十六日の
道路管理者の
一つの義務というものを明らかにした判例であります。また、昭和三十八年十一月三十日には大阪地裁で、雨上がりの路肩のやわらかいところをトラックが大きな荷物を積んで走ったら路肩がくずれて死傷者を出したそのときも、これは
道路管理者の失態であるということが大阪地裁の判決になっておりますが、それは、路肩注意じゃいけないんだ、危険な場所だというなら、そこへちゃんとなわ張りをしてわかるようにしたらいいじゃないか、ただあぶないから気をつけろというだけでは、どこまでがあぶないのかわからない、
道路管理者はもっと国民の安全を確保するために、安全交通を守るために、あぶないならあぶない場所になわ張りをして、そしてここはあぶないぞというふうにやりなさいという判決があるのですね。この
事件を見ますと、
岐阜国道事務所美濃加茂出張所長の村田さんは
——これまた
新聞報道を基礎としておりますから、私は事実を
調査しているわけじゃないのですが、
新聞報道によりますと、十七日の夜十時にパトロールして帰ってきた。そうして十一時三十分に土砂くずれの通知を
警察より受けた。これは先ほど
報告がありました。そうして、その現場を確かめるために第二回の。パトロールを出したが、そのパトロールは、この
監察局長の
報告によりますと、
現地まで行かないで引き返したといっておりますが、そういうように現場を確認するために第二回のパトロールを出した。当時のその時刻のその地方の
気象台の記録を調べてみましたら、十時から十一時の時刻の間には、下山地区では一時間八十ミリの
集中豪雨が降っております。一時間八十ミリというのはたいへんな
集中豪雨であります。十時から十一時の間です。ですから、十時半ころ土砂くずれの通知が
——先ほどの
警察庁の話ですと十時ごろになるわけですが、土砂崩壊の連絡があったというのですね。一般の人なら別ですが、
警察から土砂が崩壊したという通知があったならば、一時間八十ミリというたいへんな雨量からいって普通の落石崩壊ではあるまい、これだけの雨量ではあるいは大きな落石崩壊が起きそうになっているかもしれぬというような判断を下すのが常識的ではなかったか。その時刻に一時間八十ミリ降っておりますからね。しかし、この村田という所長は、これまた
新聞報道ですが、ことしの四月十七日に赴任したばかりですから、その地方の
状況に精通していなかったと思う。おそらくこの所長が古参職員に聞いたならば、この場合の土砂崩壊というのは、従来の例から、あるいはたいへんなことになっているかもしれないから、現場を確認しに行く前にまず
道路の通行禁止をして、それから現場を確認するという
措置をとってもよかったのではないかと思うのです。普通の雨で土砂崩壊があった、その崩壊は片側通行をして行けば通れる
程度の土砂崩壊なのか、それともたいしたことはない、ちょっと片づければいいという
程度の土砂崩壊なのかどうかを確かめに行ったのだろうと思います。しかし、
気象庁の調べによりますと、同じ時間に八十ミリの雨が降っているんですから、それで
警察からの連絡等もあって、村人が石ころが落ちていますよという
程度じゃない、だから、この雨量等から考慮して通行どめをして、それから
現地確認という手段をとってもいいじゃないか、
道路法四十六条で危険だと判断すれば交通どめができるはずです。ですから、これをしなかったというのは、その現場扱い者にはまことに酷な話だけれども、しかし判断上にやや誤りがあったのではないかと思いますが、この見解はいかがですか。