○岡本(隆)
委員 そうすると、いま
大臣が
都市再開発法にお触れになりましたので、今度
都市再開発法にも触れておきたいと思うのであります。
これが廃案になったのは、いま
大臣がおっしゃったとおりの理由に基づくもので、われわれは、現在出ておる再開発法である限り、あれが成立しては困る、こういう
考え方に立っておるわけであります。だから、今度せっかく再提案をしていただくということでございますなれば、われわれが協力できるような再開発法案として出していただきたい。
大臣もそういうふうな意味のおことばでございました。
われわれが反対いたしました最大の理由は、とにかく再開発をやるところの機関に二種類がある。
一つは民間の機関であり、もう
一つは公的な機関、これは自治体である場合もあるし、公社
公団等である場合もある。そこで、重点がどちらに置かれているかということについてわれわれは一番に
疑惑を持ちました。ところが、提案理由の資料を見ますと、民間資金の導入、民間資金の活用というようなことがその中の
一つにうたわれておる。そういうことになると、公的な開発機関というものは公共投資の資金が枯渇しておるから、公的な開発というものはなかなか促進されないで、むしろ民間資金によるところの開発というものに重点が置かれてくるのではないか。そうすると、商業ベースでそれが行なわれますから、勢い面開発は
事業用の開発に重点が置かれて、
住宅用の面開発はほとんど行なわれない、忘れられる。そういうことになりますと、たとえば神田であるとか、あるいはその他東京の都心部における各地において小さな住居がいまたくさんあります。あれをどんどん再開発しなければならぬ。ところが、虎の門付近を見てみましても、虎の門付近に小さな商店街がたくさんございました。たとえて言えば、そこの霞が関から、私らが毎日通う例の溜池方面の開発を見ましても、なるほど
住宅公団のアパートはできております。しかしながら、たとえて言うなれば、霞が関ビルにしても、あるいはその向かいの小松ビルにいたしましても、大きなビルができました。あそこのところには、商人や庶民の住んでおったところの小さな家がたくさんあった。それがずっと開発されて大きなビルが建ったが、あれはもう
事業用のスペースばかりであって、あそこには居住用のスペースは全然とられておりません。そういうことになりますと、
都市が再開発されましても、いわゆる
事業用のスペースの開発としてどんどん民間資金で
都市は立体化されていきましても、結果は都心から庶民がどんどん追い出されて効外に出ていく、都心には夜間人口は全然なくなる、こういうふうな、いわゆる市街地の中心部の人口の空洞化、
住民の空洞化ということがどんどん進んでいくわけであります。だから
都市再開発法案が、せっかく市街地の再開発の法案として公的な機関と民間の機関と二つでやるといいながら、公的な機関の開発というものが十分に進められなければ、結局それは再開発に名をかりたところの、言うなれば、
住民と居住ということの立場に立てば、過疎化が行なわれていくわけなんであります。そして変態的な
都市になっていくわけであります。いま
建設省は
住宅建設の条件として、かつては遠い遠隔の地にどんどん団地づくりをしてこられましたが、職と住との近接というふうな方針にだんだん方針を変えてこられまして、職と住との近接のために都心部へ戻そうという努力をしておられるが、逆に
都市再開発法案がそういうような
考え方に逆行するようなものであっては困るというのが、私
どものこの再開発法案に対する
一つの反対理由であるわけであります。さらにまた、したがって、そういう意味から言うならば、民間開発よりも公的再開発に重点を置くような、そういう再開発法であってほしい。と同時に、今度は、民間の開発機関であろうとも、民間デベロッパーであろうとも、その面開発にあたっては、少なくも二分の一
程度以上は居住用のスペースとして提供すべきである。言うなれば、霞が関ビルができました、あるいはああした小松ビルのごときものができました。そうすると、十階建てにするならば、上の五階は、公的な
住宅供給機関、
住宅供給公社であるとかあるいは
住宅公団であるとか、そういうふうなところにスペースを提供すべきである。下は
事業用に使いなさい、上は
住宅に提供する義務がある。
公営住宅なりあるいは
公団住宅、公社
住宅等に提供する義務がある、あるいは自分の会社の
職員の
住宅であってもかまわないと思うのです。とにかく
住宅として
設計する義務を負う、こういうことになりますと、
住宅用スペースというものがどんどん都心部に開発されてくることになって、私
どもが心配しておりますことが杞憂になるわけなんです。だから、そういう義務を課するということがどうしてもとられなければならない方針ではないか。また、そのことが都心部における
地価の抑制にも役立つのです。
事業用のスペースでありますと、それが十階であれ二十階であれ、やはり坪何千円、何万円というふうな金でそのスペースを貸すことができるわけです。しかし、
住宅用スペースであると、坪何万円というわけにはまいりません。やはり一軒の
家賃がせいぜい二万円、三万円でとどまりますから、勢い
地価を――銀座にいたしましても、いま坪何百万円といわれておる
地価を下げるための大きなファクターにそれがなってくると思うのです。だから、
地価安定、ことに都心部の
地価を押えるというふうな意味においても、面開発には必ず
住宅用の面開発をあわせて行なうという義務を負わせる、こういうふうなことを再開発法案の中に盛ってもらわなければならない。またそういうふうな再開発法案でなければ、これから再提案をしていただきましても、われわれの抵抗が強くて、なかなかこれは難航する。おそらく、強行採決でもやっていただかない限りは再開発法案は成立をしない、こう私は思います。これは私だけの
考え方ではなくて、これは他の党の諸君もわれわれの持っておるこの
考え方には同調していただけると私は信じております。せっかく都心部で再開発が進んでも、それは
事業用のスペースであって、庶民のためには何の役にも立たぬ、そんな再開発なら、せぬでもいいのです。やっぱりほんとうに庶民が都心に住んで、その近くの職場に通え、その周辺には緑のスペースがつくられる、住みよい住居、そしてまた住みよい職場、そういうふうないい環境をつくるためにどんどん再開発を進めていくというふうな方針で臨んでいただかなければならぬと、私はそのように思っておりますので、ぜひ今度はひとつそういう趣旨にのっとった面までお
考えをもう一歩進めて、ほんとうに庶民に役立つ再開発法案として提案をしていただくことをお願いいたしたいと思いますが、
建設大臣の御意向をこの機会に承っておきたいと思うのであります。