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1968-09-17 第59回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月十七日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 岡本 隆一君       伊藤宗一郎君    浦野 幸男君       佐藤 孝行君    正示啓次郎君       廣瀬 正雄君    井上 普方君       島上善五郎君    下平 正一君       吉田 之久君    小川新一郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  委員外出席者         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主税局税         制第一課長   安井  誠君         運輸大臣官房参         事官      水野節比古君         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省住宅局長 大津留 温君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    堀  直治君         専  門  員 曾田  忠君     ───────────── 八月十日  一、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する   法律案内閣提出、第五十八回国会閣法第九   七号)  二、土地価格の抑制のための基本的施策に関す   る法律案内海清君外一名提出、第五十八回   国会衆法第二〇号)  三、国土計画に関する件  四、地方計画に関する件  五、都市計画に関する件  六、河川に関する件  七、道路に関する件  八、住宅に関する件  九、建築に関する件  一〇、建設行政基本施策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  なお、この際おはかりいたします。  本件調査のため、本日、水資源開発公団から理事堀直治君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じます。さよう御了承願いたいと存じます。     ─────────────
  4. 加藤常太郎

    加藤委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。小川新一郎君。
  5. 小川新一郎

    小川(新)委員 建設大臣がおいでになりませんので、大臣答弁をする項を省きまして、二、三お尋ねいたしたいと思います。  第一番目に、水資源開発公団が手がけておりますところの埼玉県の利根導水路の問題で、最近いろいろと疑惑の出るような事件が出ておりますが、この点について若干質問させていただきます。  今回のこの農林省の発案によりますところの邑楽用水路工事の大きな問題でありますところの利根大きの工事に伴いまして贈収賄事件が出たのであります。この贈収賄事件につきましては、ただいま埼玉県警地検等によって取り調べが行なわれておりますが、新聞に出た概要でけっこうでございますので、そのいきさつ等についてまずお尋ねしたいと思います。
  6. 堀直治

    堀参考人 利根大ぜき工事及び導水路合口連絡水路邑楽水路の問題につきまして、新聞に出ておるとおり捜査を受けまして、六人の者が逮捕されました。こういう事件を起こしましてまことに申しわけないと思う次第であります。六人のうち四名はせき及び水路関係でございますが、あとの二人は建築でございますが、建築関係の二名の野口及び吉迫の二人はすでに釈放されました。  なお、逮捕されました中身につきましては検察当局がまだ御捜査中でございますので、内容はつまびらかにしておりませんけれども、逮捕されました容疑は、いずれも業者ゴルフをやり、あるいは飲食をともにしたということでございます。  なお、この問題は、詳しいことはもうしばらくしないとわからないわけでございます。その程度でございます。
  7. 小川新一郎

    小川(新)委員 埼玉県においては汚職がとても出るのです。汚職天国だ、汚職県だなどというあだなをこうむっているくらいなんですが、利根の水も黒かった。この黒い水が利根導水路を通って、朝霞水路を通って、東京都の小河内ダムに入っている、こういう皮肉を込められております。  ただいま申し上げましたように、ゴルフをやったとか、酒食をともにしたということは、あの利根の大ぜきが突貫工事を行なった際、相当な疑惑の目で見られておりました。取り調べにつきましては、これからおいおいにわかることでありますが、私はまず第一に、水資源開発公団がこういう大きな工事を国にかわってやるわけですね、これは社会的にもまた県内の問題につきましても相当責任があると思うのです。でありますのに、こういったゴルフとか、または飲食をした程度の問題に済んでいればけっこうでありますけれども、これが、業者からお金をもらって、工事に手心を加えたとか、または工事に際して便宜をはかったとか、こういうことになってまいりますと、これはゆゆしい問題であります。こういう点につきまして、まず水資源開発公団においては今後どのような指導体制をとっていくのか。また、なぜこのように仕事中にゴルフなどに行って業者とっき合わなければならないようになっているのですか。この点はどういうふうに公団の中では指導監督がなされているのですか。
  8. 堀直治

    堀参考人 業者飲食をやり、あるいはマージャン一をやる、またゴルフをやるということにつきましては、私どももなるべくそういうような――なるべくと申しますか、以前はなるべくそういうことはやるなというような指導をいたしましてやってまいったのでございますが、昨年、実は下久保にこれと同じような種類の事件が起こりまして、これが明らかになりましたので、昨年の十一月の初めに所長会議を開きまして、総裁から、今後絶対にそういうことはやってはいかぬという禁止の命令が出たわけでございます。また、そういう事件がほかに起こりましたときも、毎々そういうことの起こらないようにと各人にも注意をしてまいったわけでございますけれども、こういうようなことが起こりまして、まことに申しわけないと思っております。今後一そうその通達が励行されるように、自粛自戒いたしまして、二度と再び誤りの起こらぬようにつとめていきたいと思います。
  9. 小川新一郎

    小川(新)委員 今回のこの工事に伴って約百社ぐらい動いたわけですね。いまのお話では所長が二人つかまっているのですか。――建設所長井上さんという方、それから設計課長田島さん、邑楽出張所長西村行男さん、行田の第二工事課長塩谷さんという方、私の知っておる範囲で四人ですが、いまの御説明では六人ですか、これが約百社に及ぶところの業者入札に関して疑いが持たれておりますが、そういう点についての不正というものは、現在公団では関知しておりますか。
  10. 堀直治

    堀参考人 お話のように、井上所長と申しますのは、埼玉用水路建設事業をやりました羽生建設所所長でございます。それから邑楽出張所長と申しますのは、これは邑楽用水工事現場監督するための出張所長でございます。それから塩谷という行田建設所の第二工事課長と申しますのは、これはせき以外の工事監督をいたします課長でございます。それからもう一人の田島と申しますのは、利根建設局の中の設計のほうを担当いたしております課長でございます。  工事入札に関しましては、一億円以上の大きな工事は直接本社で入札施工をいたしております。それから三千万円以上の工事は、局長が直接入札契約をいたしております。三千万円未満工事だけを建設所所長工事契約をさせるという形になっております。  なお、工事入札につきましては、局では工務課というのがございまして、設計課でない工務課入札事務をやり、なお、施工契約課がやるという形になっております。  それからまた、いろいろな手続その他につきましては、こまかい内規がありまして、裁定委員会とか、いろいろな委員会を通じてやるという形になっておりますので、局以上でやりましたものにつきましては、そういうような、いま逮捕されておりますような人たちが直接関係する部分はほとんどないというふうに考えております。  なお、建設所の三千万円未満仕事につきましては、もとの設計がございまして、それに付帯して小規模事業を追加してやるというようなことが主でございます。したがいまして、単価その他につきましては、新しい単価を使うことがございませんので、まかしているような次第でございまして、そういうものに対する不正はないものと考えております。
  11. 小川新一郎

    小川(新)委員 現場責任者ですね、大きなほうの。後方の指揮官ではない、現場指揮官が、こうやって軒並みひっかかっておるわけでありますが、こういうことのないように私どもは望むわけであります。それらの方々も、刑がきまったとか、事実がどうであるとかいうことは、まだ取り調べ段階でありますから、私も軽々にこれらの方々がこうであるというきめつけはいたしませんが、まあこうやって警察に逮捕される。何にもないところにはこういうことはあり得ない。ただいまも言われましたように、こういった方々現場責任者となっている以上、業者に対する信用もございます。これに対してはどのような処置をとるお考えを持っておられますか。
  12. 堀直治

    堀参考人 業者につきましては、私のほうの取り扱いの規程がございまして、まだはっきりしない段階ですぐにそういう通達を出すことはいかがかと思われますけれども、一応新聞紙上その他で事件が判明いたしましたときには、しばらくの間、入札のほうは遠慮していただくということにしております。  なお、事件がはっきりいたしますと、それの罪状によって一年なり何年なりの入札停止期間というものをそれぞれ通達するということにいたしたいと思います。
  13. 小川新一郎

    小川(新)委員 それから、これらの警察にあげられた方々、まだいま決定しておりませんが、処理等についてお尋ねしたいと思います。  それから、邑楽用水ができたことによって、地元に現在被害の出ている地区があるのですが、御存じでしょうか。それが一つ。  第二点は、手抜き工事があったのではないかという疑惑がいま持たれております。それは羽生市内常木地区というのですがね。もう一つ宿子という地区で水はけが悪くなりました。これはそのそばを用水が流れております。それで、この間の調査によりますと、その水がコンクリートのその用水から漏れているんではないかという点が一つ。  もう一つは、取水ぜきのところの取り口がちょっとうまくなかったという点が発覚しておる。  こういったように、地元民に迷惑をかけている点がございますが、この点について御存じでございますか。
  14. 堀直治

    堀参考人 まず、前のところで、われわれの職員についての処分の問題でございますが、これは先ほどから申し上げますように、まだ捜査中でございます。これを待たないと、何ともはっきりしたことは申し上げられませんが、しかし、いやしくも公団職員たる者業者酒食をともにしたというようなことになりますと、お話しのように、国民にも御迷惑をおかけいたします。また公団の面目も失墜することになりまして、これはやはりわれわれとして戒めなければならぬところでございますので、その罪状がはっきりいたしました上においては、処分をやらなければならないと存じます。  それから次の、工事の粗漏の問題でございますが、埼玉用水路邑楽用水路というのは、いずれももともとございました水路を拡張した工事でございます。なお、用水でございますから、昔は二百カ所以上の小さな穴があいておりました。これで水を取っておったのでございますけれども、これらを幾つかにまとめまして、水を取りやすいように工事をやったのでございます。なお、昔の水路は非常に水の通りが悪くて、水位も低かったのでございますけれども、今度は水位を高く持っていったというようなことで、下流まで水が届くかわりに、下流まで行く間に、従来よりも水路が高くなったために一部排水が悪くなり、あるいはまた水路も、予算の関係で全部土造水路で、コンクリートブロック張りをやったところもございますので、やはり砂地のところは多少漏水もあるというようなことでございます。ことしは第一年目でございまして、ことしの水のぐあいによりまして、ことしの冬に、そういう分については手直しをするというように初めから予定してございますが、問題の地区についてもそういうようなことをやりまして、万全を期したいと思っております。
  15. 小川新一郎

    小川(新)委員 私の調べでは、五月の十勝沖地震のときに羽生市内常木地区漏水をしたということで、住民が避難をしたということになっておりますが、これはそちらのほうではどう解釈なさいますか知りませんが、そういった事実があった。いまは利根大きの取水系統が変わって、用水内部水位が一定していない。これらのことが地元でも言われております。こういった問題があって、この前何かのときに、やはりこういった水資源開発公団工事のことで地区内に迷惑がかかったときは補償したということを聞いておりますが、こういった、事実、開発公団工事手抜き、または手抜かり、または設計等のミスによって、こういった住民損害を与えた場合には、それに対する補償等考えられておりますか。
  16. 堀直治

    堀参考人 そういうような、いまお話しのございましたような住民に迷惑がかからないということをモットーにして計画もし、施工もいたしておりますけれども、たとえば大きな地震などがございますと、まだつくったばかりの土水路というのは、とかく地盤の悪いところでは沈下をいたしましたりして、その結果として、こういうような問題を起こすこともございます。したがいまして、そのような場合には、水資源公団のほうでそれの損害補償をするということにたてまえはなっておりますが、そういう事実があった場合には、やっておるものと考えております。
  17. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、いまの常木地区内の人たちには補償する、この前の例もあるから補償するというふうに解釈してよろしいですか。
  18. 堀直治

    堀参考人 常木地区内容は、私もまだつまびらかにいたしておりませんが、何かそういった事件があったという報告を受けております。内容経緯等についてはつまびらかにいたしておりませんが、そういう事実があり、それが完全にこちらの工事のために起こったものとすれば、当然補償をします。
  19. 小川新一郎

    小川(新)委員 ではその点は早急に調査していただいて、私どものほうとしても、それはよくあとでまた理解しておきたいと思いますが、非常に、公団内部では、ゴルフやそういった招待、料亭等において乱れておるといううわさがございますので、これは先ほども厳重にこれから綱紀を粛正していくというお話がありましたが、具体的にはどういうことをなさっていくのか、二、三お聞きして、この質問は打ち切りたいと思います。
  20. 堀直治

    堀参考人 具体的にというのは、まだ、個々の人についてどういう処置をするという点については、捜査が確定して、後でないと申し上げかねますけれども、たとえば近々所長会議を開きまして、この事件の経過をよく話をすると同時に、今後二度とこういうことが起きないようにということをさらにあらためて通達するという考えでおります。  なお、それに付帯いたしまして、いままでの指導が手ぬるかったのじゃないかと思われますので、部内の監察面その他を強化いたしまして、こういうふうなことは未然に防止するというような措置を講じていきたいと思っております。
  21. 小川新一郎

    小川(新)委員 いつも二度とこういうことの起きないように、起きないようにと言っておるのですが、いろいろ起きるのです。これは何も水資源開発公団ばかりではありません。いまもいろいろなところで起きております。それがためにゴルフとかマージャンとか、そういった業者たちから贈りものをもらってはいかぬとか、具体的なやり方がありますが、これを私どもは期待しております。また水資源開発公団も今後こういうことの起きないように、厳重に国会としても忠告をしておきますから、よろしくお願いいたします。  では、次に移ります。公営住宅についてお尋ねいたしますが、公営住宅の問題につきましては、いろいろと問題がございまして、改正案がいま検討されております。  まず、私は、第一番目に、公営住宅入居基準についてどのようなお考えを持っておるのか、お聞きしたいと思います。
  22. 大津留温

    大津留説明員 現行公営住宅入居基準は、昭和三十七年に改定されて、今日に至っておりますので、その後の所得の上昇なり、物価の変動なりによりまして実情に沿わなくなってきている面がございます。したがいまして、たとえば一種入居基準である三万六千円をこえる人であっても、公団賃貸住宅入居できないというような事態が間々見られますので、近いうちにこれを実情に沿うように改定したいと考えております。その場合におきましては、三十七年以降の物価の変化あるいは所得の上昇の状況を見ながら、公団住宅入居資格とのズレのないようにその穴埋めをするという観点から、どのくらいの程度に引き上げたらよいかということをいま研究しております。
  23. 小川新一郎

    小川(新)委員 研究していることはけっこうでございますが、公営住宅一種が三万六千円ですか、二種が二万円以下、これは現在の国民生活水準または所得水準に合わない、公営住宅に入っている方が基準よりもオーバーしている、こういうことなんでありますが、建設省の試案としては、大体どれぐらいの案を立てているのですか。
  24. 大津留温

    大津留説明員 現行入居基準でありまする一種三万六千円というのは、御承知のように、年の所得から税法にきめられました勤労所得控除相当額を除きまして、それに扶養家族一人当たり二千円の額を除いたものを十二で割った額が三万六千円以下、こういうことになっております。それに対しまして、現在検討しております額は、同じように年収から勤労控除相当額を引きまして、さらに扶養家族一人当たり二千円を三千円にいたしまして、その残りを十二で割った額が四万円以下というふうに考えております。同じように、二種につきましては、家族一人当たり三千円ずつ引いた残りが月二万四千円というふうに、現在三万六千円を四万円に、それから二万円を二万四千円に、家族一人当たり二千円を三千円というふうに改定したいと考えております。
  25. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、一種は三万六千円を四万円に、二種は二万円を二万円四千円にする。そうすると、三万六千円から四万円ということは、四千円基準が上がったということですね。それが妥当であるかどうか、私ども計算しておりますが、前回改定においてはもっと改定率の幅が大きかったと記憶しておりますが、それはいかがでございますか。
  26. 大津留温

    大津留説明員 前回は、二種が一万六千円、一種が三万円というのが、二万円、三万六千円に上がったと思いました。それから、家族控除はそのままだったと思います。今回は、いまの四千円ずつに、家族一人当たり千円ずつ上がりますから、標準世帯で申しますと、扶養家族が平均三人でございますから、三千円。したがいまして、合わせますと七千円ずつ上げたという計算になろうかと思います。
  27. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、現在住宅に一番困っているラインというのは、四万円から六万円ぐらいの月収の方々が一番困っている。しかし、そうすると、四万円以上六万円以下の方々、この人たち公営住宅に入れないで、公団住宅、こっちへいくわけですね。でありますが、公団住宅は、御存じのとおり、最近は地価問題等でこれから建てる公団家賃というものが非常に高くつく。そうすると、二万円ぐらいの家賃公団住宅ができると聞いておりますが、そういった水準の六万円から四万円クラスの間の方々公営住宅に入れるあれがありませんが、これに対してはどのように対策を立てておりますか。
  28. 大津留温

    大津留説明員 入居基準は、先ほど申しましたような計算で今度は四万円ということにしたいと思いますが、それを逆算いたしまして、勤労控除を加えて年の粗収入に直しますと、年収八十四万円ぐらいになるのです。月に約七万円ぐらいの収入になります。したがいまして、粗収入でいいますと、七万円の収入のある方以下の方々公営住宅入居資格を持つ。公団住宅は、現在の家賃が平均いたしまして一万四千円でございます。来年度は、いろいろ規模をふやしたり、あるいは単価も上がります関係で二万円程度になりますけれども粗収入月七万円をこえる方々公団住宅のほうにお入りいただけるのではないかというふうに私ども計算いたしまして、入居基準をそういうふうに改めたい、こういう考えでございます。
  29. 小川新一郎

    小川(新)委員 たいへん情けない御答弁なんですが、これはあと大臣が来たらお聞きしたいと思うのです。  次官の仮谷さんにお願いしたいのですが、いまもそういった話があり、お聞きになったと思います。四万円から六万円ぐらいの人は公団に行っちゃえというのですが、大体公団住宅家賃はどこが限度と思っていますか。
  30. 仮谷忠男

    仮谷説明員 入居基準の問題は、実はいま局長から御答弁を申し上げましたように、われわれのほうでもあらゆる資料に基づいて検討をいたしておるわけです。ただいま四万円から六万円の者は公営住宅に入れないのではないかというお話もありましたけれども、これも局長説明いたしましたように、まず粗収入で七万円というものを一応基準にしていますから、七万円程度の人までは一応公営住宅には入居できる。これは全部の人に公営住宅式のものに入ってもらうにこしたことはありませんけれども、いまの住宅政策上そこまでは行き届きませんから、結局それ以上の者はぜひ公団住宅へということになる。公団住宅も、最近いろいろ新聞にも出ておりますが、家賃が非常に高くなるということは、いまの情勢で、規模内容もよくしていこうということと、なるべく通勤距離を短くしていこうということで、都市に近い、中心地区に近いところになりますと、やはり地価の問題からかれこれああいう計算に実はなるということなんであります。基準としては全体収入の大体二割、二〇%ぐらいの家賃、そういう一つ基準で進めておるように私は承知をいたしております。
  31. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が聞いているのは、公団住宅家賃限度をどれくらいに見ているかということが一つ、それをいま聞いているわけです。  二番目は、来年度、昭和四十四年度の住宅政策というものを打ち出されておりますが、四十四年度じゅうに建てる公営住宅家賃最高幾らぐらいに押えられるか。これをちょっと仮谷さんにお尋ねしたいと思います。
  32. 仮谷忠男

    仮谷説明員 局長答弁させます。
  33. 大津留温

    大津留説明員 公営住宅家賃はどの程度に来年度押える考えかというお尋ねと承りましたが、大体一種公営住宅最高が九千七百円程度になろうかと思います。それから公団住宅家賃でございますが、これは団地の住宅家賃とそれから都市内部につくります市街地住宅家賃と多少相違がございますが、最高で二万三千円程度に押えたいと考えております。
  34. 小川新一郎

    小川(新)委員 私ちょっともう一ぺん確認したいのですが、一種住宅の現在三万六千円の限度は、今度四万円以下の収入というふうに私は理解したのですが、そこのところは間違いありませんか。
  35. 大津留温

    大津留説明員 粗収入は月七万円程度になります。それを、税法で定める勤労所得控除相当額を引きまして、それから家族一人当たり三千円を控除いたしました額が四万円未満、こういう四万円という数字が表に出ますけれども、その粗収入に逆算いたしますと、扶養家族三人の場合、月およそ七万円程度、これが今度の改定でございます。現行の三万六千円というのを同じように逆算いたしますと、六万八百三十円になります。粗収入月六万八百三十円を七万円程度に変更するということになります。
  36. 小川新一郎

    小川(新)委員 その点はわかりました。公営住宅法を改正する一つの目的の中に、要するに収入の超過の方がおるわけで、これを追い出そう、それで低所得者を入れてあげよう、これはまことにいい考えでありますが、住宅政策が総合的に開発されないときに、入った人は居住権というものを持っております。それが確かに一種、二種の収入のワクの中からはみ出している、だからもっとそれ以下の人を入れてあげろという理論はわかりますけれども、一体そういう方々が日本にはどれくらいいま公営住宅に入っているのか、それが一つ。  二番目は、官庁のお役人、すなわち、地方公務員にしても国家公務員にしても、係長さんとか課長補佐さんが県営住宅とか都営住宅に相当入っておられます。埼玉県でもおります。そういう方は収入は超過して入っていられる。こういう方々はそのままいすわっておりますけれども国民感情からして、第一番目にそういった範を示すべきお役人がまず率先して、私は課長補佐になってこれだけの収入になったのだ、もう県営住宅から出ていきます、という事例があるのかないのか、その勧告を受けているのかどうか、そういう点どういうふうに住宅当局としてなされているのか、そういう点がまずはっきりしない以上は、幾らただしてみても、私はこれはうまくいかないのじゃないか、こう思いますが、そういう点についてお伺いします。
  37. 大津留温

    大津留説明員 現行基準で申しますと、入居基準一種の場合三万六千円でございますが、入居所得がふえまして四万五千円――同じ計算をするわけですが、四万五千円をこえるに至りました場合には、いわゆる割り増し家賃をいただくことにしております。今回改正を検討いたしておりますのは、割り増し家賃を負担すべき人の中で、さらに高額な所得を得るに至った人は、どなたがごらんになってもそういう高額所得者が安い公営住宅にいすわっておるのは不当だと見られるような収入以上の人は、今度は出ていただきましょうということを研究しておるわけでございます。現在四万五千円をこえて、割り増し賃料を支払うべき人につきましては、なるたけ明け渡しをしていただくように努力していただく。また事業主体のほうも、そういう方をほかにあっせんして出ていっていただくように努力するというたてまえにしております。そういうたてまえに従いまして、たとえば公団住宅のアパートとか、あるいは公庫の融資の場合に、そういう方が持ち家を建てたいとおっしゃる場合には優先して資金を貸すというようなやり方をやっております。しかし、地方で公団住宅が近くにないというような場合もございますし、いろいろな関係で、これは努力義務ではございますが、必ず出なければいかぬということにもなっておるわけではございません。また、その入居者の方の中で、公務員だから特に率先してそういう努力をするかどうかというのは、これは御本人のモラルの問題であろうかと思いまして、私どものほうとしては、特に公務員だからどうというような扱いはいたしておりません。
  38. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういうモラルの問題を徹底していかなければ、いま言った、ただ法規制だけでは、これはだめだと思うのです。この点は私ども非常にむずかしい問題であるから、あえてそういう方々に指摘して言うわけではありませんが、そういう点もひとつ考えていただきたいと思うのです。  それから老人住宅ですけれども、これは公営二種の老人住宅は建てることになっておりますが、最近これがちっとも建っておりません。二十一県で二月も建っておりません。この老人住宅の建設はどうなっておりますか。
  39. 大津留温

    大津留説明員 公営住宅の中で、老人向けとか母子世帯向けというように、いわば社会保障的な要素を加味した特定向けの公営住宅というのを建てております。本年度は、老人向け住宅は、たしか二千戸だったと思います。これは県なり市町村の事業主体が自分の町で老人向けを何戸やりたいという希望をとりまして、それに応じまして、公営二種の中からそういう特定目的向けの住宅建設をやっておるわけでございまして、必ずしも全部の市町村にそういう種類のものがあるというわけではございません。
  40. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは厚生省のほうで、あとでお問い合わせいただければけっこうですが、非常にこの点は、取りきめだけきめて、建ってないのです。この点ははっきりあとで御調査して、どういう実情なのか――老人の日だ、老人の日だなんて言って老人をかわいがることを幾らきめても、公営二種の老人住宅は建たない。実際建っていないのです。この点で、いま取りきめだけはきめてあったと思いますが、そういう点を御調査していただきたいと思うのです。  次は、これは仮谷さんにお尋ねしたいのですが、土地問題または道路問題で、今度運輸省が、都心に乗り入れた場合にはマイカーから五百円賦課金を取る、こういう画期的な入市税みたいなものをつくって、昭和四十五年から実施することをきめておりますが、まずこの点について建設省としてはどのような態度ですか。
  41. 仮谷忠男

    仮谷説明員 新聞で実は私ども見た程度でありまして、その問題をどの程度本気でやろうとしておるのか、もちろん具体的にわれわれに対して意見を聞かしてもらった機会も全くございません。だからその問題についてはわれわれもどういうふうに判断していいか、どういう考え方でやっているのか、実は判断に苦しんでいるわけであります。そういうふうな状態でございます。
  42. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはあと大臣にお尋ねしたいと思っているのですが、都市問題は建設省が主体になってやっていかなければならぬと思うのです。私どもは国土省、自民党では国土建設省というようなものをつくるようなことをいっておりますけれども、こういった総合体制の中で自動車の規制も行なわなければならぬということはよくわかります。わかりますけれども、現在こういって、環状七号線の中に入ったマイカーは五百円取るということは、賛否両論が起きておる。これを政務次官が全然運輸省から聞いていないというのは、都市問題対策上、ちょっと情けないと思うのです。大臣にもあとで聞いてみたいと思うのですが、こういう大問題が新聞、テレビ、ラジオで盛んに報道されておる。それに対して新聞だけ見て私は知らぬというのでは、自民党だって都市問題については田中さんが一生懸命になっておられるし、この道路問題、建設行政をあずかっておる建設省が、こういった問題は、運輸省に先がけて問題を提起しなければならぬのに、その横の連絡がない。どこまで本気でやっているのか。じゃ、これは本気じゃなくて、ただアドバルーンを上げたとしか解釈できないのですが、これは運輸関係の方が来ていたらちょっと聞いておきたいのですが……。
  43. 仮谷忠男

    仮谷説明員 ちょっとその前に、建設省としてやらなければならぬことは、われわれは全力をあげてやらなければならぬと思っております。特に都市交通緩和の問題は、これは交通規制の問題から一応考えられると思いますから、その交通規制をするのに、入ってきたものから金を取れば交通が緩和されるという考え方も、これは規制の上から考えれば一つの方法かもしれませんけれども、われわれはそういうことによって自分たちがやらなければならぬ仕事をおろそかにしようとは考えておりません。ただ、私ども率直にいって、これから道路行政を積極的に進めていくためにも、やはり財源の問題も必要だと思うのです。しかし、財源を確保するためにわれわれはいまガソリン税の問題等についても、特定財源の確保の問題について十分検討しております。そういう方法で財源を確保して、そして交通を改善していくという考え方が私ども本筋だと思います。入ってくるマイカーから金を取って、それを財源にしてやるということは、私とも自体は考えておりません。――
  44. 水野節比古

    ○水野説明員 都心乗り入れ賦課金の問題でございますが、ただいま御指摘のとおり、運輸省で一応の案として考えております。ただこれはだいぶ前でございましたが、物価問題懇談会で運輸省にも都市問題について何とかいろいろ案を考えろという御下命がございましたので、私どもといたしまして都市交通につきましていろいろ案を考えておりました。その中の一つ考え方がいろいろ新聞に報道されたわけでございます。私どもとして発表いたしたわけではございません。事務的に御説明申し上げますと、ただいま、まだ建設省に御連絡いたしておりません。まことに申しわけございませんが、私どもといたしましては、総理府に陸上交通問題安全調査室がございます。ここに私どもの一応の都市交通のいろいろな考え方の一部といたしまして御説明をいたしまして、総理府として都市交通問題全体としていろいろお取り上げいただくようにただいま御説明をしておる段階でございます。
  45. 小川新一郎

    小川(新)委員 それはよくわかりますが、都市問題解決は、私は建設省――仮谷さんを前にして悪いけれども、こういうふうにたな上げしてしまうということはよくないと思うのですよ。都市問題は運輸省だけで解決する問題じゃないのです。こういうりっぱな方がここで公明党あたりに追及されてつんぼさじきの答弁をされるというのは、ほんとうにお気の毒だと思います。当然総合的に運輸省はこういう考えを持っておる、だけれども、道路管理の建設省としてはどうなんだ、また警察はどうなんだ、世論はどうなんだ、いろいろな問題が提起されてきて発表されなければならぬものを、こういうふうに発表して、国会の知らぬ間にどんどん討論をやっているのですよ。テレビ、ラジオでは学者が賛否両論を吐いておる。確かに問題がある。道路そのものはどうかということになる。これは建設省が主管だ。御大が来たところで言うけれども、ほんとうの道路とは何ぞやということを考えないで、まるで運輸省は自分の道路を使っているように、建設大臣や次臣に一言もあいさつがない。それでこういう総合都市対策について一方的な解釈でどんどん推し進めていく。こういうことはわれわれとしては理解できない。――ちょうど建設大臣もおいでになったし、あとの質問者がおりますから、私は一応これで下がりますけれども、その点をちょっと説明してください。
  46. 水野節比古

    ○水野説明員 ただいまの御指摘ごもっともでございます。ただ、私どもといたしましては、運輸省の立場としていろいろ都市交通についての交通施設というものに使うという案を考えております。ただ、総理府の場面でこの問題を十分御討議いただきまして、どういうふうな形にするかということについては、私どもそうこだわっておるわけではございません。ただ、運輸省といたしまして、とにかく何とかして大衆交通機関を建設していきたい。地下鉄の例をとりましても、とにかく穴を掘ることは非常にお金のかかることでございます。それらのことを考えまして、とにかく大衆交通機関というものを何とかしてつくっていきたいという気持ちであのアイデアを考えたわけでございまして、私どもとして運輸省だけでこういうことをやりたいということではございません。総理府の陸上交通安全調査室に持ち込みましたのも、政府全体、総理府として一応まとめていただきたいということでお話を持ち込みました。この点はひとつ御理解をいただきたい。
  47. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、これは関係がありますので、これだけ大臣にちょっとお尋ねして、またあとでお尋ねいたしますが、いま議題になっておることは、マイカーが都心に乗り入れる場合、環状七号線――これは運輸省案なんですけれども、賦課金を五百円ずつ取って交通規制をする、これがいまの議題なんです。いまも建設省に何も相談がないということで、仮谷さんは全然反対の意見なんです。私はこんなことは反対だということなんですが、こういう都市問題一つやるにも、たとえばマイカーから五百円取っても、その使い方の問題にもなってくる。われわれ建設関係としては道路にこれを使ってもらいたい。ところが、いまもガソリン税だ、いや地方道路税だ、こういう問題の強化にこれは使うべきだという言を政務次官が吐いておる。ところが、運輸省のほうでは、地下鉄のほう、都市に入ってくる都市交通の高速鉄道等に使っていくというような意見、こういう問題が何も横の連絡がなくて総理府の陸上交通安全調査室に持ち込まれたということについていま私は質疑しておるのですが、建設大臣、当面の責任者としていかがお考えですか。
  48. 保利茂

    ○保利国務大臣 現在の都市交通の現況からしまして、路面電車の状態から地下鉄に今後の都市交通の緩和機能を期待するという方向は必至だろう、だれしもそう思うわけであります。おそらく、これについてまた、それじゃどういうふうなということでいろいろ発想が持たれるわけでしょう。都内乗り入れの自動車についての乗り入れ賦課金というようなものに目をつけて、そしてそれを地下鉄建設の財源にしたいという考えを持たれる、これは一つの発想だろうと思うのでございますけれども、しかし、一面において、やはり交通の基幹というのは道路の改善に帰するわけでございますから、したがって、そういう点からいきますと、何をおいてもとにかく道路財源の整備ということが第一じゃないか、それに一体こたえておるかということからいたしますと、はなはだ不十分なわけでございますから、そこに考えられる財源があるならば、やはりその基幹的な整備に重点を置いていくべきじゃないか、私はそう思っております。  たまたまきょうの閣議でもそういう話が出ておりまして――出ておりましてということは、つまり賦課金問題じゃない、都市交通の改善をどうすべきかということで、これは交通閣僚会議か協議会があるようでございますから、事務レベルにおいて検討を急いでいただいて、閣僚協議会等も持つようにしようじゃないかというような話がたまたまきょうの閣議でも出ておりました。私はありのまま申し上げます。
  49. 小川新一郎

    小川(新)委員 岡本さんにかわりますが、大臣建設省が全然ニュアンスが違ってきちゃったんですね。道路のほうに建設省としてはウエートを置くんだ。片一方のほうでは、賦課金を取っても鉄道のほうにウエートを置くんだ。これはいろいろな意見があると思うのですけれども、こういう賦課金制度については大臣どうお考えですか。
  50. 保利茂

    ○保利国務大臣 これはどうもいま私のほうから言いますと、まあとにかく道路財源をいかにして造成するかということでなにしています。したがって、安易なことからいいますと、石油消費税にも手をつけたい、ないしはまた、車自体に手をつける余地があるならばそれはあえてしないわけですけれども、相当市民生活に及ぼす影響等を考えますと、直ちに賦課金を自動車それ自体にかける――自動車についてもいろいろな税金がかかっておるわけですから、負担がかかっておるわけですから、この上になおかつそういうものを財源ほしさに頭を使うのはどうかという感じが、私は、率直にいって、いたしております。
  51. 小川新一郎

    小川(新)委員 よくわかりました。じゃ、とにかく建設大臣は反対であるということをきょうはつかみまして、残りの質問は、岡本さんの質問、また吉田さんの質問が終わりましたら、あとでさせていただきます。
  52. 加藤常太郎

    加藤委員長 岡本隆一君。
  53. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 来年の予算の編成の準備もだんだん進んでまいっておりますから、その過程の中でやはり私はある程度建設省並びに大蔵省のほうでも心がまえを持っておいていただきたいと思う事柄に関しましてきょうはお尋ねをいたしておきたいと思います。  その第一の問題は、都市計画法の成立に関係した問題です。都市計画法では、八十五条でもって修正を加えまして、とにかく地価安定のための税制の改正をやれ、こういうことを法律の中にきちっと織り込んでおるわけです。したがって、都市計画法が成立いたしましたなれば、それに伴うところの法制の改正の準備をしていただかなければならないと思うのでございますが、それに対しましてどういうふうな準備をいま大蔵省ではしていただいておりますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  54. 倉成正

    ○倉成説明員 都市計画法の実施に伴って大蔵省としては税制の面でどういう準備をしておるかという御質問でございますが、岡本委員承知のとおり、さきに税制調査会におきまして土地税制のあり方についての御答申をいただきました。この答申に基づきまして、この答申の実現、できるだけそれを具体化しようという準備をただいまいたしております。
  55. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、その答申には、当面実施すべき事項というのと、それからさらに検討を続けるべき事項というふうに二つに分けて結論を出しております。そのうちの当面実施すべき事項というのは全部盛り込まれるのか、あるいはこれを部分的に取り上げられるのか、その辺を伺いたいと思います。
  56. 倉成正

    ○倉成説明員 土地税制として当面実施すべき事項については、包括的にひとつ取り入れたいと思っております。
  57. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この当面実施すべき事項と、それからさらに検討を要する事項ということの内容を分類していきますと、一応、土地の保有に関する課税と、それから土地の流通過程における課税――譲渡所得税ですね――をねらう方法と、二つの面に分けることができると思うのでございますが、流通過程についての課税については、不十分ながらも、ある程度の思惑買いを押えるというふうなことについては抑制効果が出てくると思うのであります。ところが、保育に対する課税方針につきましてはこの答申は非常に憶病なんです。今日日本の住宅問題は、あげて土地問題であるとも言うことができる状態になっておる。したがって、いまの日本の住宅事情からいうなれば、かつて農地改革が行なわれたと同じように、土地改革が行なわれるべきじゃないか、こういう声がもうちまたに大きく叫ばれておる情勢なんです。そういう段階におけるところの保有に対する課税ということにいたしましてはあまりに微温的である、私はこう思うのです。この当面実施すべき事項の中で、保有に対しての課税ということになってまいりますと、固定資産税の評価の適正化ということを取り上げておるにすぎません。固定資産税の評価をどの程度まで適正化するかというところに非常に大きな問題がある。したがって、かつて、固定資産税の評価がえの問題については、自治省のほうから、固定資産税の評価をもっと適正化したいということで固定資産税の評価についての適正化の案が出たときに、国会の中にも大きな反対が出まして、この固定資産税をいじくるということも、いろいろ大きな派生的な問題があって、たいへん困難なことになってくるわけであります。したがって、固定資産税の評価よりもさらにもっと適正な方法として、私どもは、いわゆる未利用地に対する課税ですね、空閑地税という構想を出しておるし、また、都市計画法が成立いたしましたときの修正の精神にいたしましても、そういうことをはっきりうたっておるわけなんです。八十五条として「国又は地方公共団体は、都市計画の適切な遂行を図るため、市街化区域内の土地について、その有効な利用の促進及びその投機的取引の抑制に関し、税制上の措置その他の適切な措置を講ずるものとする。」こういうふうになっておりますけれども、その論議の中では、この「有効な利用の促進」ということについて相当強力な施策を実施するということが、その論議の実質的な内容であったわけであります。したがって、そういう意味におきましては、修正の精神と、それから実際上この答申とはかなりかけ違っておるわけなんです。だから、大蔵省は一体国会の意思が大事と思っておられるのか、あるいはこういうふうな調査会の答申ということが金科玉条ということになっておるのか、また、調査会の答申がなければ何も実施できないのか、その辺について、大蔵省は、従来、また現在、どのような考え、方針で臨んでおられるのか。
  58. 倉成正

    ○倉成説明員 もちろん、これは申すまでもなく、国会は国権の最高機関でありますから、国会の意思を尊重することは当然のことでございます。ただし、税のように、非常に技術的な専門的な知識を要する問題については、やはりそれぞれの専門家からなる調査会の意見を十分聞いて、税の体系が非常にゆがんだり、いろいろすることは避けるべきじゃないかと思います。岡本委員の御指摘の中心は、おそらく、空閑地税の問題について、どうも調査会も憶病であるし、大蔵省当局も憶病じゃないかという御議論に尽きるかと思います。この点は、われわれも、土地が非常に不足しているときに、漫然と値上がりを待ってしかも遊んでいる土地があるということを何とかしなければならぬという点は、私も政治家の一員として岡本委員と全く同様であります。ただ、これを税で、空閑地税という形でとらえるということになると、これはやはり非常にむずかしい問題が起こってくる。大体何を基準として空閑地というかという問題、岡本委員の御判断と私の意見も違いましょうし、また多数の人たちがそれぞれ空閑地を描く場合に、それぞれの基準が違う。一般国民を納得させるだけの、第三者を納得させるだけの基準が一体得られるかどうかという点が議論の焦点でございます。しかし、残念ながらその基準はなかなかむずかしいんじゃないかということで、かような答申になったかと思うわけでございます。しかし、その精神については私ども決して岡本委員のお気持ちと変わっていないわけであります。何らかのそういう基準が見出せないかということを努力している最中でございます。
  59. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 その問題は、この答申の中にもいま次官のおっしゃったようなことは書かれております。最初私たちか空閑地税という――未利用地の利用促進税ですな、そういうふうなものを課すべきであるということを打ち出しましたときに土地の利用計画ができぬことにはかけようがないじゃないか、まず利用計画をつくってもらうことが先決問題で、それをつくってもらったらそういう制度を考えましょう、こういうことだったのです。それで、それじゃまあ何とか利用計画をつくらねばいかぬ、だから都市計画法を何とか成立させなければいかぬということで、野党も大いにその提案を建設省に強く要望して、かなりまあそれぞれの各省間に都市計画法が――これはかたかなの法律をひらがなにいまどき直っておらないということは、いかにその法律が各省間の調整がむずかしいかということを物語っていると思うのですね。かたかなであった都市計画法を二十年ぶりか三十年ぶりかでやっとひらがなに直すことができて、やや近代的なものにかえるための作業を、これはたいへんな努力を建設省もされたと思うのでありますが、ようやくできてきた。そうすると、今度はまた次に、いや、なるほど土地利用計画はできても、その土地の利用についての最低の条件というものをきめてもらわぬといかぬとか、高度利用のための誘導措置をきちっと法制的に固めてもらわぬと、空閑地税というような税制は設けられぬというふうに、いわば、はえば立て、立てば歩めですか、そういうような形で、ここまで来い、ここまで来いというようなことをいつまでも大蔵省は言っておる。言うなれば、大蔵省はこの税制調査会を隠れみのにして、そういうふうな形の税制の改革というものをサボっておるのじゃないか、私にはこう思えるのであります。  そこで、それではこういうふうな土地の最低利用基準というふうなものを――都市計画の中に用地区分をつくります。用地区分をつくられたら、その用地区分の中でこの程度は利用すべきだ、容積率なりあるいは建蔽率において最低基準をきめて、それがきめられたら、必ずそれじゃ今度は空閑地税の制度をつくるかどうかということになってくるわけでありますが、大蔵省としてはここまで来いということで、その一歩を建設省が踏み出して、さらに一歩――いま税制調査会の土地税制特別部会が出しておるところのこの土地利用促進税の前提条件としてこういう二つのものが考えられるということを打ち出しておりますが、この条件が満たされたら空閑地税というものに踏み切る御用意があるかないか、それを承っておきたいと思います。
  60. 倉成正

    ○倉成説明員 ただいま岡本委員が申されましたように、税制調査会としては、空閑地税を課すための前提条件としては「少なくとも課税主体である国又は地方公共団体として、その土地がどのような目的に利用され、又はどの程度に利用されることを要請しているかということが、土地を現に保有している者及び今後取得しようとする者にとって客観的に明らかにされていることが不可欠の条件である。」こういうふうに答申は書いております。「さらに、新税が税として円滑に執行されるためには、そのような要請を満たしていない場合にいかなる規制を受け、また、その要請に沿った利用をしようとする場合にいかなる支援が用意されているかについても制度的に明確にされていることが一層望ましい。」となっておるわけであります。この要件が十分満たされれば、これはやはり空閑地税を課していくという姿勢は、私は大蔵省としてとるべきじゃないかと考えております。いろいろ都市計画法について岡本委員をはじめ建設委員の皆さま方のほうで非常に御努力されたことについては私もよく承知しております。ただ、あの程度の――と言うとたいへん失礼でありますが、都市計画法のようなものでこれが空閑地税の前提条件になるかということになると、これはなかなかむずかしいのじゃないか。やはり税は具体的にかけられる、またかかってくるという問題でありますから、公平に客観的な要件が満たされないと、これはなかなかできるものではございません。具体的にたとえば椿山荘は一体空閑地か、後楽園は一体空閑地かというような議論さえ、われわれの内部でいろいろ議論する際には出てくるので、個々にいろいろな問題を想定して考えてみますと、これはなかなかそう簡単に税としてこれを取り上げるにはやはりとうていまだわれわれの勉強が不十分である、またいろいろな具体的な客観条件も備わっていないというのが正直なところでございます。
  61. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 いま例におあげになった椿山荘や後楽園ですね。後楽園はもう大衆が安い料金で利用しておるところの公共施設です。こんなものは空閑地でないことは明らかです。しかし、椿山荘はそれでは利用できるところの階層は何ぼあるか。私は東京にこれで十数年暮らしておりますが、椿山荘へは一ぺんか二へん行ったきりです。われわれにもほど遠い存在です。なるほどそれは多くの人が使っています。しかしながら、それは多くの人が使っておりましても、ある水準以上の人が使えるのであって、庶民にはちょっと手が届きかねる。また、かりに庶民が数年に一度使うとしても、あれは言うならばぜいたくな施設であると私は思います。だから、都心にあれほどの緑地、空地を持っておるのならば、いさぎよく開放するか、開放できなければ、一定の水準以上の人の利用に応じるということであれば、それはやはりわれわれ庶民の土地利用に超過したところの土地利用の姿だということがいえると思うのです。だから、そういう意味においては、土地の超過利用に対するところの課税という考え方に立って、これは空閑地税というよりも、土地の超過利用税といった形の――それが一種の空閑地税になるわけですから、だからそういうふうな課税はできると思うのです。あなた方が税金をかけるときには、やろうと思えばいろいろな名目をつけて上手にやっていきます。そんな課税上の技術というものは大蔵省はなかなかお上手です。だから、そういう意味においては、やろうと思えばやれるのだけれども、やるまいやるまいと思っておったら、やらぬようにする口実というものは幾らでも出てきますよ。そういう意味においては、建設省は、われわれがやいやい言うものだからまああれですが、そうでなくとも建設省は、今日の土地事情、住宅事情から、また用地取得、いろいろな面から、地価が下がらぬと困るということで、地価問題については非常に積極的です。大蔵省にしても、いろいろな財源、ことに公共事業の財源として、その半ば以上が用地費に食われてしまうというようなことで、いま国自体も困っておる。産業もこの地価の高騰には手を焼いておる。もう庶民の問題でなくて、国や産業あげての国家的な問題ということに地価問題がなってきておるときに、あれができなければあかぬ、これができなければあかぬというよりも、大蔵省自身がもっと国民の立場に立って、それを一つの財源と考えて、たっぷりゆうゆうと土地を使っておる人、あるいはまた、遊ばして値上がりを待っておる人、そういうふうな人の土地に関しては、それを一つの財源として考えて、それでもって公共事業の財源を生み出す。それだけでなしに、今度はそのことによって地価の抑制効果、あるいは地価が値下がりすることになれば、公共事業が非常に財源的に楽になるじゃありませんか。だから、そういう意味においては、二様の面で大蔵省がもっと積極的に地価の高騰を何とか押えぬといかぬということで血まなこになってもらったっていいはずだと思うが、大蔵省はどうも冷たい、地価問題についてはそっけない、私はこう思うのですが、大蔵省の空気は一体どうなんですか。
  62. 倉成正

    ○倉成説明員 私はここで議論するつもりはございません。しかし、問題を明らかにするために、ひとついまの椿山荘の問題を考えてみたいと思います。  たとえばいま椿山荘について岡本委員としては一つの御意見を言われました。しかし、それと反対の御意見の人も多数あるだろうと思うのです。やはり税として客観的に制度として取り上げる場合には、感情的なものとか、あるいはそういうばくたるものではなかなかむずかしい。やはり客観的な制度として、全国五万おります国税庁の職員一人一人が、全部同じ基準でこれを税として判定できるような基準がなければいけない。そうすると、たとえば建蔽率を取り上げたらどうかということになると、あそこにかなりの建物があるからこの程度の建蔽率があればいいのじゃなかろうかという議論も出てくるわけです。ですから、税として取り上げるというのは非常にむずかしい。また同時に、緑が全然なくなって全部ああいうところにバラックみたいなものを建てたらそれで空閑地税の目的を達するかというと、税金は取れるかもしれませんけれども、必ずしも岡本委員が理想としておられるような土地利用にはならないということになるわけですから、私はやはり根本的に税にあまり期待をかけ過ぎられておると思うのです。そういうことで、かなり土地の利用について直接規制を加える、そういう土地の利用はしてはならないというのが本筋ではなかろうか。税金で何でもこうやるということは、ちょっと一見やさしいようですけれども、制度として客観的に第三者の納得を得られる――特に税金をかけられるほうはたいへんですから、人ごとのときにはいいですけれども、ほんとうに自分に税金がかかってくるということになると、税務署は毎日たいへんな人に取り巻かれて仕事できないということになるわけです。ですから、その点はひとつ御理解をいただいて、まず、税に期待される前に、やるべきことがあるならやっていただいて、それからやはり税ということをするのがたてまえではないか。多少御意見とは違うようでありますけれども、基本的に岡本委員のお気持ちについては私も同感であります。私は大蔵省でいろいろこういうものを勉強してみまして、政治家の一人として考えてみましても、やはりそういうように実は考えておるのであります。
  63. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私は次官のおっしゃることもわからぬではありません。しかしながら、所有権ですね、ことに土地の所有権というものは、日本においては、簡単にいえば、日本の土地所有に対する概念は、土地のみが財産であるといわんばかりの考え方なんですね。だから、信用というようなものは担保にならない、とにかく金融の場合には不動産担保がなければ一応はだめだというふうな形で、財産と考えられておるのは土地が一番主軸になっておるのは確かでしょう。それほどの財産視されておる日本で、いま土地についてその所有権を大きく制限するような法律をつくろうと思えば、非常に摩擦が大きい。現に都市計画法そのものでも、その審議の過程において相当摩擦があった。それをわれわれ押し切って、土地利用計画法としての都市計画法を成立させました。しかしながら、これがいよいよ実施の段階になりますと、市街化地域になるのと市街化調整地域になるのとでは地価に大きな変動があるのです。だから、もうこれは市街化地域をどこまでの範囲にするかということについての線をきめるのがたいへんな作業になってくる、私はこう思っておる。だから短期間になかなか実施が――実施はされても、ほんとうのすべり出し、実行ということになってくると相当骨が折れるのじゃないか。それには、市街化地域になろうと市街化調整地域になろうと、あまり財産価値に変動のないようなことでなければこれはたいへんなんです。市街化地域になったら、いわゆる開発エネルギーが市街化地域に集中する。いままでどんどん効外地にスプロールしておったのが、調整地域になって開発を禁止される、こういうことになって、その線を引かれれば、そのワクの中へどっと開発エネルギーが集中して、それはもうたいへんな市街化地域の地価の暴騰になり、片や、山林とかあるいは田畑の調整地域になった部分はばっと下がるのですよ。いまもう山林だって坪三千円ぐらいのところがたくさんある。それがどっと下がるのです。そうすると、その線を引くのにたいへんな摩擦が起こって、町村ではおそらく議会で乱闘騒ぎが起こるくらいの混乱、でなければ市街化地域と市街化調整地域の区分けができないのじゃないかということを私は心配しております。そうなってくると、市街化地域になっても調整地域になってもあまり財産価値に変動がありませんよというふうな国の施策が伴わなければ、都市計画法は実際動かないのですよ。法律はつくったけれども動かないのです。だから、それをどう動かすかということについて、いまおっしゃるようないろいろな土地利用の規制をもっときびしくやる、そして少なくも利用の最低基準をきめるということも一つの方法でしょう。これはぜひやらなければならないと思っております。  それと一緒に、それに伴うところの、市街化地域になれば非常にいいが、しかしながら一面、それについては相当な税の負担というものもまた伴ってくるということになって、バランスがとれるようなことを考えなければならぬと思うのです。だから、そういう意味においては非常に補助的な効果がある。また、この都市計画法は元来地価の安定ということが一番の大きなねらいとして制定されたものであるということは、これはもう国会の中の普遍的なものの考え方です。また建設大臣もそのことは承知しておる。しかしながら、この都市計画法そのものだけでは地価の安定はできません、税制その他の補助的手段なくしてはできませんということを委員会で何回かわれわれの前で言明しておられる。だから、それに協力するところの姿勢が大蔵省になければ困るのですよ。そういう点では、私は、税制改革というものは、いま次官が、それだけじゃできない、法的な規制が先行しなければならぬと言われますが、法的規制もさることながら、税制改革もできる範囲においてはやはりやっていただくということが非常に重要である、こう思うのであります。いま倉成さんがおっしゃいました、それじゃ前提条件が満たされたらやるかということでございますが、建設大臣、いかがでございましょう。この前提条件を満たすための措置を早急におとりになって、大蔵省と打ち合わせて、片や、そういうふうな法律的規制をやり、片や、税制をそういう面ですぐ打ち出してくる、こういうふうな措置を緊急にとっていただけますかどうか、建設大臣の御意向を承りたいと思います。
  64. 保利茂

    ○保利国務大臣 岡本さんの御趣意は一応理解をいたしておるつもりでございます。先般都市計画法の成立をいただきましたので、この実施につきましてただいま事務当局において鋭意準備を進めておるわけでございます。  先ほど来御論議の税制の関係につきましては、私も、都市計画法がああいう内容をもって成立をすれば、それで税の面からしての補完的な措置がとられるんじゃないかという淡い期待を実は持っておったわけでございますが、私は、もちろん、税制調査会でどういう御論議があったか、その内容はつまびらかにいたしませんけれども、岡本委員が持ち出されております空閑地税等につきましても、内部において相当積極論もあったと思うのです。ただし、ただいま大蔵省からお話しのように、それじゃどうも少し辛過ぎるんじゃないかという、慎重論というか消極論というか、結論は空閑地税それ自体を否定するものではないけれども、やはり税の当局からすれば、いま少しく税の立て方ができやすいような措置を考えてもらいたいということに帰しておるようでございます。このことは、私ども建設省当局としてもその御趣意につきましては理解を持って、しからばどういうきめこまかい利用計画を持ち得ることができるか、あるいは目的は結局空閑地税自体を目的にしているわけではなく、だんだんお話のように、こういうふうに高度利用の必要に迫られているこの状態下において、空閑地がほんとうの都市機能を果たし得るように利用されるということが目的なんでございますから、そういう面からひとつ十分検討を急ぎまして、何らかひとつ持ち出してまた御迷惑をかけなければならぬかと思って、せっかく準備を進めて勉強しておる最中でございます。あまり突き詰めてやってこられますと、どうもこれは立ち往生せざるを得ないわけですけれども、そういうわけで、もう少し――私が一番責任を感じておりますから、何らかひとつ御審議をわずらわすような具体的な方途をもって御披露申し上げて御協力をいただきたいということで、ただいま検討をいたしております。また、すでに都市計画中央審議会にも所要の諮問を、さしあたり必要なと感じますことについては、七月に発しております。ただいま審議会でも審議を進めていただいておる段階でございますから、もう少し熟さしていただきたい。  もう一つは、これは参議院選挙の前でございましたけれども、自民党や社会党、民社党、公明党、共産党まで、都市と申しますか、土地政策についての一連の各党の提案も行なわれておるわけであります。建設省としましては、やはりこの都市問題、土地問題というものは、できるだけ広範な国民合意の上に立たないとできないことでございますから、そこで各党の提案等も検討さしていただいて、できるだけ合意点が得られるものを見出して、それをも含めてただいま検討、勉強いたしておるところでございます。しばらく時間をかしてもらいたい、こう思っております。
  65. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 まあせっかく都市計画法が成立して、来年からは各市町村ともいよいよその計画を始めようという段階になっておるのに、非常に困難な問題としてそれが自治体の前に背負わされておるということは、いま申したことでわかっていただけると思うのであります。だから、その困難さというものを解きほぐしてやるということでなければ、せっかく都市計画法は成立したが、それはもう昔のままであって、ちっとも動かない、土地の利用計画というものは全然立たない、こういうことになってくると思いますので、その点の作業を早急に進めて、大蔵省と建設省とが相はかって、地価の安定ということのためにがんばっていただきたいと思うのでございます。  それに関連して、去年は都市三法として、都市計画法と都市再開発法案と、それから建築基準法の改正案を出す、こういうことでございました。ところが、都市再開発法案は廃案になり、建築基準法案については未提出のままに終わりました。そこで、建築基準法の改正はおおよそいろいろこういうふうにしたいというようなことで承っておりましたが、その土地の最低利用基準というふうなものまで突っ込んで建築基準法の中に織り込まれるのか、あるいは都市計画法の施行法を改正するか、その他の方法でもって土地利用の最低基準というものをおきめになろうとされますか。その辺について建設省ではどちらでいこうとされるのでございますか。また、建築基準法でいこうとされるならば、最低の利用基準というもの――最高の利用基準というものはすでに建築基準法できまっておりますね。だから、最低の利用基準というものを各用途別にきめていくというふうなことを考えておられますか。その辺のことについてひとつお尋ねをいたしたいと思うのです。
  66. 保利茂

    ○保利国務大臣 都市計画法を実施いたしますについて、市街化区域、市街化調整区域の区域設定を行なう、その準備を進めております。市街化区域を設定した場合に、たとえば住居区域であるとか、あるいは商業区域であるとか、工業区域であるとかいう利用区域の設定が行なわれる。その住居区域にかりに例をとった場合に、ただいまお話のそれは建築基準法が発動してくるか、ないしは都市計画法の関係が発動してくるか、どうもこれは法のたてまえからいって建築基準法のほうに、期待せざるを得ない。そうすれば、できるだけ未利用地が促進せられるように、建築基準法がそういうふうな改正の方向になっておればよろしゅうございますし、そういう方向で検討しなければいかぬのじゃないか。いずれにいたしましても、建築基準法の改正は必至だと思っておる次第でございます。  なお、前国会で参議院のほうで審議が未了になりました都市再開発法の問題は、再開発法の審議の過程で――こちらのほうではまだ十分御審議をいただいていなかったのでありますが、参議院の段階におきましても、問題は、要するに、都市再開発法はわかるが、広範な大衆のための住宅政策というものがこの中にあまり期待できないんじゃないかということに尽きると思うのであります。その辺は私も同感なのでございます。そういう点を一ぺん検討しまして、ぜひこれはやらしていただきたい、そういうことで勉強をただいましてもらっております。なかなか、これは御案内のような問題でございますので、どうかひとつ積極的な御提言をお願いしたいと思っております。
  67. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうしますと、建築基準法はそういうふうな土地利用の最低基準をも含めるという内容も含めて来国会に必ず出してくる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  68. 保利茂

    ○保利国務大臣 その方向でただいま検討しております。
  69. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、いま大臣都市再開発法にお触れになりましたので、今度都市再開発法にも触れておきたいと思うのであります。  これが廃案になったのは、いま大臣がおっしゃったとおりの理由に基づくもので、われわれは、現在出ておる再開発法である限り、あれが成立しては困る、こういう考え方に立っておるわけであります。だから、今度せっかく再提案をしていただくということでございますなれば、われわれが協力できるような再開発法案として出していただきたい。大臣もそういうふうな意味のおことばでございました。  われわれが反対いたしました最大の理由は、とにかく再開発をやるところの機関に二種類がある。一つは民間の機関であり、もう一つは公的な機関、これは自治体である場合もあるし、公社公団等である場合もある。そこで、重点がどちらに置かれているかということについてわれわれは一番に疑惑を持ちました。ところが、提案理由の資料を見ますと、民間資金の導入、民間資金の活用というようなことがその中の一つにうたわれておる。そういうことになると、公的な開発機関というものは公共投資の資金が枯渇しておるから、公的な開発というものはなかなか促進されないで、むしろ民間資金によるところの開発というものに重点が置かれてくるのではないか。そうすると、商業ベースでそれが行なわれますから、勢い面開発は事業用の開発に重点が置かれて、住宅用の面開発はほとんど行なわれない、忘れられる。そういうことになりますと、たとえば神田であるとか、あるいはその他東京の都心部における各地において小さな住居がいまたくさんあります。あれをどんどん再開発しなければならぬ。ところが、虎の門付近を見てみましても、虎の門付近に小さな商店街がたくさんございました。たとえて言えば、そこの霞が関から、私らが毎日通う例の溜池方面の開発を見ましても、なるほど住宅公団のアパートはできております。しかしながら、たとえて言うなれば、霞が関ビルにしても、あるいはその向かいの小松ビルにいたしましても、大きなビルができました。あそこのところには、商人や庶民の住んでおったところの小さな家がたくさんあった。それがずっと開発されて大きなビルが建ったが、あれはもう事業用のスペースばかりであって、あそこには居住用のスペースは全然とられておりません。そういうことになりますと、都市が再開発されましても、いわゆる事業用のスペースの開発としてどんどん民間資金で都市は立体化されていきましても、結果は都心から庶民がどんどん追い出されて効外に出ていく、都心には夜間人口は全然なくなる、こういうふうな、いわゆる市街地の中心部の人口の空洞化、住民の空洞化ということがどんどん進んでいくわけであります。だから都市再開発法案が、せっかく市街地の再開発の法案として公的な機関と民間の機関と二つでやるといいながら、公的な機関の開発というものが十分に進められなければ、結局それは再開発に名をかりたところの、言うなれば、住民と居住ということの立場に立てば、過疎化が行なわれていくわけなんであります。そして変態的な都市になっていくわけであります。いま建設省住宅建設の条件として、かつては遠い遠隔の地にどんどん団地づくりをしてこられましたが、職と住との近接というふうな方針にだんだん方針を変えてこられまして、職と住との近接のために都心部へ戻そうという努力をしておられるが、逆に都市再開発法案がそういうような考え方に逆行するようなものであっては困るというのが、私どものこの再開発法案に対する一つの反対理由であるわけであります。さらにまた、したがって、そういう意味から言うならば、民間開発よりも公的再開発に重点を置くような、そういう再開発法であってほしい。と同時に、今度は、民間の開発機関であろうとも、民間デベロッパーであろうとも、その面開発にあたっては、少なくも二分の一程度以上は居住用のスペースとして提供すべきである。言うなれば、霞が関ビルができました、あるいはああした小松ビルのごときものができました。そうすると、十階建てにするならば、上の五階は、公的な住宅供給機関、住宅供給公社であるとかあるいは住宅公団であるとか、そういうふうなところにスペースを提供すべきである。下は事業用に使いなさい、上は住宅に提供する義務がある。公営住宅なりあるいは公団住宅、公社住宅等に提供する義務がある、あるいは自分の会社の職員住宅であってもかまわないと思うのです。とにかく住宅として設計する義務を負う、こういうことになりますと、住宅用スペースというものがどんどん都心部に開発されてくることになって、私どもが心配しておりますことが杞憂になるわけなんです。だから、そういう義務を課するということがどうしてもとられなければならない方針ではないか。また、そのことが都心部における地価の抑制にも役立つのです。事業用のスペースでありますと、それが十階であれ二十階であれ、やはり坪何千円、何万円というふうな金でそのスペースを貸すことができるわけです。しかし、住宅用スペースであると、坪何万円というわけにはまいりません。やはり一軒の家賃がせいぜい二万円、三万円でとどまりますから、勢い地価を――銀座にいたしましても、いま坪何百万円といわれておる地価を下げるための大きなファクターにそれがなってくると思うのです。だから、地価安定、ことに都心部の地価を押えるというふうな意味においても、面開発には必ず住宅用の面開発をあわせて行なうという義務を負わせる、こういうふうなことを再開発法案の中に盛ってもらわなければならない。またそういうふうな再開発法案でなければ、これから再提案をしていただきましても、われわれの抵抗が強くて、なかなかこれは難航する。おそらく、強行採決でもやっていただかない限りは再開発法案は成立をしない、こう私は思います。これは私だけの考え方ではなくて、これは他の党の諸君もわれわれの持っておるこの考え方には同調していただけると私は信じております。せっかく都心部で再開発が進んでも、それは事業用のスペースであって、庶民のためには何の役にも立たぬ、そんな再開発なら、せぬでもいいのです。やっぱりほんとうに庶民が都心に住んで、その近くの職場に通え、その周辺には緑のスペースがつくられる、住みよい住居、そしてまた住みよい職場、そういうふうないい環境をつくるためにどんどん再開発を進めていくというふうな方針で臨んでいただかなければならぬと、私はそのように思っておりますので、ぜひ今度はひとつそういう趣旨にのっとった面までお考えをもう一歩進めて、ほんとうに庶民に役立つ再開発法案として提案をしていただくことをお願いいたしたいと思いますが、建設大臣の御意向をこの機会に承っておきたいと思うのであります。
  70. 保利茂

    ○保利国務大臣 都市再開発法に対する岡本さんの御趣意はよく理解をいたしておるつもりでございます。再開発法の前国会における審議を振り返ってみましても、職住近接という大きな方針は、これはどなたにも異論のない、合意されている方針だと思うのです。それからすると、御審議をわずらわしました再開発法は、そういう真意がどうも生かされていないじゃないか、かつまた、目安がないじゃないかというところにあったように思います。  そこで、これは私が申し上げるまでもなくよく御案内のように、繁華街やあるいはビジネスセンターに再開発するにあたりまして、いわゆる高層住宅のスペースを義務づけるということは、これは私はちょっと問題だろうと思うのです。しかし、繁華街にしましても、ビジネスセンターにしましても、再開発するということにつきましては、この繁華街やビジネスセンターを利用する者はみんなやはり庶民大衆なんでございますから、庶民とは全然縁故のないものじゃないと私は思います。やはりよき環境のもとに繁華街を置くとか、あるいはビジネスセンターは多くの庶民大衆の方々がそこの職場で環境よく働かれるようにするということは、非常に必要だと思うのです。しかし、それが経済的条件からいたしまして、一般の庶民の住宅にまでそのスペースをとるとかりにいたしましても、その恩恵なりに浴する人が一体どのくらいになるかということから考えてみますと、これは私は決して議論を吹っかけるわけじゃございませんが、そういうふうに考えて、しかし、できるだけ職場と住宅が近接することによって、一面においては住宅問題、一面においては交通問題に寄与していくというこの方針で、何とか都心部の再開発にあたりまして、公共住宅等が多く持てるような方向をどうしてもこの再開発法で見出していきたいということで検討いたしておるわけです。いろいろこれは議論のあるところで、強行採決でどうとかこうとか、そういう不穏当なことを私は考えておりません。どうしてもあなた方の合意を取りつけてやりたい、こう思っておりますから、よろしくお願いします。
  71. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは表現のしかたでいろいろにもとれると思うのですが、考え方に大臣と私どもと大きな開きもないのではないかと、私はいまのお話で思いますが、しかしながら、たとえて言うなれば、面開発でも、青山の例のオリンピック道路に伴うところの開発ですね、ああいうふうな公団住宅とあわせた開発もあれば、また、そうでない、純粋に民間資金でやれば、霞が関ビルやら、今度は東京海上ビルとかいうふうなものですね、そういうふうなものが純粋な業務用スペースの開発として行なわれる。また、現にこの溜池でも多くの庶民が住んでおった。ちょうど私が昭和三十年に国会へ出てまいりました当時は、あの辺はほんとうにちっちゃなマッチ箱のような家がたくさん並んでおった。そこのあたりに多くの庶民が住んでおった。それがだんだんだんだん駆逐されて、それらの人たちはいまどこでどうして暮らしているのかということでありますが、とにかくああいうふうにして町が近代化され、高層化されていくに従って庶民の姿が町から消えていく、こういうようなのが、今日のいわゆる民間商業ベースにおけるところの開発の実態なんですね。それで、再開発法案が実現いたしましたら、そういうふうな民間の開発エネルギーがどんどん進むことによって、現在進んでいるような開発ベース、それがさらに、そこの権利保有者の三分の二以上の同意があれば、いやおうなしに強権をもって開発が進められる。そうすると、開発されて、かなり骨組みのがっしりしたりっぱなビルは建ったけれども、立ちのきの補償としてもらった金では、そこへ入ることのなにからいえば、とてもそこへは入れないというふうな人たちは、その金をもって郊外地の建て売り住宅でも買っていくよりしかたがない、こういうようなところへ追い込まれちゃうわけですね。だから、言うなれば、そういうふうな開発というものは、庶民を都心から追い出すための開発になる。だから、そういうふうなことにならぬような再開発法案として出してもらいたい、こういうことを私は申し上げておりますので、大臣のほうもあるいはおわかりいただけておると思いますから、そういう点について十分そういう配慮の加わったところの法律案として今度はぜひそういうふうな衣がえをひとつやっていただきたい、こういうことをお願いいたしておきたいと思うのです。  それから、私がいつまでもやっておると何でございますから、あともう一人吉田君が予定されておりますから、この程度で打ち切りますが、大蔵政務次官に、これもお願いでございますが、とにかく保有に対して税金をかけるか、あるいは流通過程に対して税金をかけるかということで、今度の答申は、流通過程に課税することに重点が置かれて、保有に対する課税というものがいまかなりお預けを食っておるという形でございます。しかし、流通過程に税金をかけますと、それが地価に織り込まれる危険性が相当あるのですね。だから、思惑買いを押えることはできましても、それが地価に織り込まれてまたより高くなるという心配がある。しかしながら、持っておれば保有に対して税金がかかってくる場合には、やはりこれはよけい持っていても税金がかかるばかりでしようがないから、ひとつ売ろうかというふうなことで、何と申しますか、ぜいたくなと申しますか、余分な土地の保有ということに対して、ある程度それをはき出させるための促進になる、そのことが土地利用の促進になるというように私ども考えておるわけなんですね。いませっかく建設大臣も、今度の答申に対応する措置として、建築基準法も改正をやって最低の利用基準もきめる、それから高度利用の措置も、再開発法を今度は成立さすことによってやっていきたい、こういうことでございますので、ひとつ保有に対する課税ということをもう一度よく真剣に検討していただいて、すみやかに建設省と相呼応して地価の安定のために協力するようにお願いいたしたい、こう思うのです。  そこで、もう一つ建設大臣に、これはお尋ねいたしておきたいことでありますが、この再開発法は、これは容積地区の一定以上のところにおいて適用する、こういうことでございますね。そうすると、市街化地域に指定されて、さら地として相当広い範囲のところがある、ここには低層のものが建っている、しかし、その低層のものを建てるよりも、そこを高度利用していって、せっかくあるところの土地でありますから、提供された土地をできるだけ高度利用するということを考えるべきじゃないか。だから、少なくとも今後の市街化地域の開発というものは、中高層でもって開発していくべきである。一階や二階の木造でもって開発するのではなしに、中高層の市街地として開発すべきじゃないか。また、現に、たとえて言えば、ソビエトロシアにいたしましても、またアメリカにいたしましても、あるいはその他の外国の諸国等、土地事情は日本より相当ゆったりしておる諸国でも、どんどんいま進んでおるところの住宅建設というものは、みな高層利用です。周囲はずっと野原です。野原の中にばあんと高い集団住宅が建っておるというのが、今日の世界の趨勢なんです。日本だけがどどっと横に平たく、まるでクモの巣のごとく住宅が広がっていくというようなのが、日本の住宅建設の現状であって、これが世界で一番土地事情のきびしい日本の住宅開発の姿とは思えないのですね。だから都市再開発法ということと一緒に、やはり市街化区域における土地利用は、少なくとも中高層に利用するという考え方に立ち、そうして中高層の建物を建てる場合にはある程度の補助をするとか、それを促進するとか、そのことがまた大蔵省の考えておられる高度利用の促進のための措置ということになってくるのではないかと思うのでございますが、そういう面もあわせて、ひとつ再開発法を単に都心部の容積地区の十倍地区とか、あるいは何倍地区とかいうような、ある程度高度なところだけでなしに、もっと広い範囲に再開発というものを進めていくという考え方に立っていただかなければならないのではないか。だから、今度の法律改正の場合には、もっとそういう面でもひとつ配慮が行なわれなければならないのではないかと思いますが、もう一度その点についての御見解を承りたいと思います。
  72. 保利茂

    ○保利国務大臣 市街化区域の開発に対する考え方、私は全然同感でございます。ただ、それを行なっていきますには、それはどうしても幾らか建築費が高くなってくるのではないか。いまお話しのようなことを何とか是正していきたいということで、平面的にスプロールしていく、これをある程度その勢いを押えて、そうしてある限度の中で開発していこうというのですから、これはいやでも立体的、上のほうに開発していくほかに道はないわけでございます。そういう意味からいたしまして――そうかといって、家賃がまた問題でございますから、家賃にどこまで影響を来たすか、そういう点を十分配慮して、私は全面的にあなたと同じ考えを持っておる、そういうことで所要の措置を講ずべきところについては講じていきたいと考えております。
  73. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 とにかく都市計画法が成立いたしまして、来年からいよいよ実施の段階に入るのでございますが、それに伴うところの、先国会に出てくるべきはずであった都市三法のうち二法が提案されない。いよいよ来国会にそれが提案される。そしてまた大臣も、われわれの考えておるような気持ちをその中に織り込んで提案しよう、こうおっしゃっていただくのでありますから、その成果に大きく期待いたしております。そうしてできるだけ私どもはそれの実現のために御協力いたしたい、こう思っておりますし、また大蔵省におかれましても、何とか庶民の住を確保する、また、公共投資のいろいろな用地費を低くして、それだけ公共事業が進むのでありますから、そういう方面にも資するために、ひとつぜひ建設省と大蔵省とが呼吸を合わせて地価の安定のために御協力をしていただくことをお願いいたしまして、きょうの私の質問を打ち切らしていただきます。
  74. 加藤常太郎

  75. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間の関係先ほど少し残しましたので、建設大臣にまずお伺いいたしたいことは、来年度、四十四年度の建設施策の中心を何に一体持ってくるかということでございますが、ちょっとお尋ねしておきます。
  76. 保利茂

    ○保利国務大臣 何に重点を持ってくるかといわれますと、道路を通れば道路になるし、川をのぞけば川になるし、住宅を見れば住宅になるし、土地自体の問題になるし、そういうことがとにかく一ぱいでございますから、そういう点はどれが重い、どれが軽いというわけにいかないと思います。そういう問題についてとにかく全面的の全力投球でいくほかはないと思います。
  77. 小川新一郎

    小川(新)委員 ヤツデの手が広がるように、もう総花式で、何もかも薄く広くということでも私ども困るのですが、その中で私は、特に住宅問題、都市問題、いろいろありますが、大都市に流れている河川、これにまず一番先に手をつけていただきたい。特に東京都内を流れる一級河川で、現在危険個所と思われている河川はどこでございましょうか。これは専門の方でけっこうです。
  78. 坂野重信

    ○坂野説明員 むずかしい問題でございますが、御承知のように、中小河川は各河川とも実は完全に完ぺきだという河川はございませんので、とにかく東京都内の各中小河川、神田川、石神井川、野川あるいは中川等、いろいろございますが、いずれも部分的には必ずしも治水上完ぺきな対策ができているということは言えないのでございまして、大出水があった場合には、いずれも現在においてはまだ危険な状態にあるという次第でございます。
  79. 小川新一郎

    小川(新)委員 この間、建設大臣あての、中川改修に対する五万名の署名を官房長にお渡ししておきましたが、ごらんになりましたでしょうか。
  80. 保利茂

    ○保利国務大臣 きのう河川局長のところに来ているらしいのです。私はまだ見ておりませんが、見させてもらいます。
  81. 小川新一郎

    小川(新)委員 端的に申し上げますが、一級河川の中で中川の問題を取り上げたいのです。  埼玉県から南下しまして、足立区を通り、葛飾区を経て江戸川から東京湾に注ぐ中川の件でございますが、特に葛飾区を継断する部分、南北約十三キロ、川幅が百二十メートルありますが、ここが非常な危険地帯になっておりますことは、建設大臣御存じだと思います。中川のこの地点では、何ミリの雨ではんらん、警戒水位、また洪水になるのでしょうか、この点お尋ねいたします。
  82. 坂野重信

    ○坂野説明員 むずかしい問題でございまして、確かに御指摘のように、中川はまだ未改修でございまして、三十六年ごろから直轄改修に着手しておりまして、まず下流の放水路を先にやろうということで、放水路はどうにか暫定的にできておりますが、放水路から上流のほうの東京都区内、特に埼玉県内におきましては、まだ非常に改修が進んでおりませんので、上流の埼玉県内におきましては、もう何ミリといいますか、時間雨量二、三十ミリくらいの雨が降ってもすぐに浸水するという状態でございます。場所によっていろいろ違っておりますし、雨の降り方、連続降雨の場合、夕立式に降る場合、いろいろ状況によって、一概に何ミリということは非常にむずかしい段階でございますけれども、概括的にいえば、時間雨量三十ミリ程度の雨でも冠水する、そういう状態でございます。
  83. 小川新一郎

    小川(新)委員 私の聞いているのは、例の中川の葛飾と足立を流れている区間ですが、上流の埼玉県においては、ほとんど遊水地帯に――都市計画上の問題ではありますが、住宅が建ってしまいました。ほとんど遊水地があいておりません。昔はこういった水の遊べる土地があった。それが住宅事情が悪化しておりますので、そこへどんどん家が建っております。こういう事態で、急速に水が川へ入ってくる状態になっております。いま河川局長がお答えになっておりますが、私が聞いているのは、中川の葛飾区を縦断する部分の南北約十三キロの地点ですが、満潮時には、晴天の日でも一番上から二メートルくらい満々と水が来てしまうような状態、いまお話のありました常磐線の鉄橋のところの上下ですか、ここのところは、この間の台風七号、十号のときには、警防団が来て土のうを積んだのですが、ちょっとしても警防団が土のうを積むのです。この中川は一級河川ですね。一級河川で、しかも足立区には十万世帯あるのです。この川がはんらんしますと一ぺんに押し流される、または冠水するという状態になっているのですが、この私が一番指摘している危険な部分に対しての改修はどうなっているのか。それから、その堤防敷の上を走っている道路、これは国道ですか、これは何級になっておりますか。軟弱地盤帯で道路が相当沈下しておりますが、こういう点、まずかさ上げを行なってくれるのか、この点についてこの十万世帯の人たちは不安で、実は五万名の署名を集めまして陳情書を建設大臣に差し上げたわけですが、ちょうど建設大臣がおるすだったので官房長とお会いいたしまして、つぶさにこの陳情をいたしました。このところの問題がはっきりいたしませんと、来たるべきこの秋の風水害等予想しますと、東京都の問題でございますので、一級河川の中川のこの点の計画についてちょっとお尋ねしたいと思います。
  84. 坂野重信

    ○坂野説明員 先生の御指摘の場所は、都と埼玉県の県境付近のことを言われておると思いますが、その付近は、昭和三十八年から四十二年の間に約三十センチ程度の地盤沈下を見ておるわけでございます。そういうこともございまして、河川も未改修でございますし、先生のおっしゃるように危険な状態でございますので、一応下流の放水路は暫定通水いたしました。特に最近においては先生のおっしゃる付近を重点に実は考えておりまして、河道のしゅんせつ、それから青戸地区の築堤というようなことを考えて、四十三年度も予算を急激にふやしまして、現在約二億五千万を投入しているわけでございます。これはよその河川に比べますと非常に伸び率は高く、おそらく第一位程度にふやしているわけでございますが、来年度以降におきましてもそういった築堤工事を継続すると同時に、亀有地区の築堤、護岸に新しく着工いたしたい。また地盤沈下の問題につきましては、堤防の余盛高等の関係で堤防の盛り土の量をふやすというようなことを十分配慮してやっていきたいと考えております。先生御指摘のように、都市河川の中でも特にこの河川は危険な状態にございますので、できるだけ予算を大幅につけるように今後配慮してまいりたい、このように考えております。
  85. 小川新一郎

    小川(新)委員 二億五千万は多いといいますけれども、中川は未改修ですから、ちっとも多くないのです。いままでの累積からいったら何にも手をつけていないということです。たまたま二億五千万の予算がついたといっても、現在の状態ではあの常磐線の鉄橋の上下しかできないということを聞いております。行ってごらんになればわかりますが、中川上流工事の事務所長さんも言っておりましたが、三差路のところなんかは、ちょっとの雨で水が出てびたびたしてきます。そこのところだけでも堤防をかさ上げしなかったら、そこから決壊する。これは地元民がはらはらして見ておる。これが大東京のまん中の一級河川である中川の状態である。私は、ただばく然と、かさ上げのほうはどうだああだとか言われても、納得しません。この点を明快に河川局長から、どういうようにそこのところをやるのかということを伺いたい。その点についてよろしくお願いいたします。
  86. 坂野重信

    ○坂野説明員 いまの地点については、先ほど申し上げましたように、堤防のかさ上げ、護岸というものを具体的に実施いたしたいと思います。明年度においてはできるだけこの点についての予算の増額ということについて努力をいたしたい。しかし、この河川の両岸とも非常に家屋が迫っておりまして、大幅に川幅を広げるということもできませんし、堤防を極端に上げるといいましても、道路の関係等もあって限度があるということで、根本治水としては、やはり上流部にもう一本放水路を江戸川のほうに引っぱりたい。五カ年計画においてできるだけその推進をはかってまいりたい。そういった暫定的な問題と恒久的な問題とからませてやっていきたい。暫定的な問題としては、先生もおっしゃるように、そういった築堤、護岸をあの付近において急速にやっていきたい。しかし、これは根本治水ではなくて、大雨が降れば、そのくらいのことをやってもまた水びたしになるというおそれがあるので、根本治水としては、上流部に、さっき申し上げた三郷放水路を、これは膨大な予算がかかりますけれども、われわれの計画としてはそういうものを促進してまいりたいと思います。
  87. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、暫定的には、かさ上げをやっていただけると理解してよろしいですか。
  88. 坂野重信

    ○坂野説明員 具体的な問題で、あるいは私は間違っておるかもしれませんが、付近の亀有地区の築堤、護岸を新しく着工し、それから部分的には、できるだけそういった特に低いところについては暫定的にかさ上げをやっていきたいというぐあいに考えております。
  89. 小川新一郎

    小川(新)委員 行ってごらんになればわかるのですが、亀有地区も大事ですけれども、こっちのほうは低いのです。私は現実に見てきたのだから……。その点を局長に何回も何回も言っているわけです。だから、とにかくその点を御理解いただいて、そこを一ぺんごらんになってみて、なるほどこれはひどいという――こんな坂になっておりまして、そこのところが切れたら、一ぺんに中川ははんらんします。このために十万の陳情があったということですから、その点よく御配慮いただきたいのです。  もう一つは鴨川です。鴨川水域に対して浦和市などで治水同盟をやっておりますが、荒川の排水路の建設の予定はありますか。
  90. 坂野重信

    ○坂野説明員 計画を持ち合わせております。
  91. 小川新一郎

    小川(新)委員 では、時間もありませんから、私の質問はこれで打ち切りますが、現在の中川の改修の件は、二億五千万なんて言わないで、この築堤の改修のために全力をあげられることをお願いいたします。大臣もひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  92. 加藤常太郎

    加藤委員長 吉田之久君。
  93. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 初めにちょっと大臣にお聞きしたいのですが、国の建設計画並びに民間自力住宅建設によって住宅の絶対不足数はだんだん減ってきておる。しかし、それにもかかわらず、実感としての住宅難は一向に減少しておりません。事実、いろいろな調査を見ましても、狭小、過密世帯というものがむしろ年ごとにだんだんふえてきているのではないか。結局、都市集中化によって、いなかのほうではどんどんあき家ができてきて、あるいは非常に余裕のある住宅ができて、町のほうだけがどんどん過密、狭小になってくる。こういう実態の中で、現在政府は五カ年計画によって一世帯一住宅を合いことばに強力な住宅政策を推進しておられると思うのです。しかし、現在この五カ年計画は、すべて合わせて六百七十万戸ということでございますけれども、もともと建設省の原案は七百六十万戸ではなかったか。九十万戸削られたというふうに承っております。そういうことでありますから、一体この削られた九十万戸をどの段階で手直ししていこうとされておるのかということにつきまして、この機会にひとつ大臣から所見を承りたいと思います。
  94. 保利茂

    ○保利国務大臣 住宅の問題特に大都市中心並びにその周辺における住宅難と申しますか、住宅欠乏感と申しますか、それがまだどうも解消されない。それが住宅は大体どうやらこうやら間に合うというところまできますと、住居水準等の条件の改善も、もう必然的にいろいろな要素から改善をされていく。しかし、何しろ足りないということで、当面何とかこの不足感から抜け出さなければそこへいかない。いろいろ住宅問題の内容について論議のあることもやはり私ども承知いたしておりますけれども、私個人としましては、何としてもこの住宅難といいますか、不足感を解消するという、これは何としても大前提じゃないか。そういう上からいきますと、九十万戸であれ、八十万戸であれ、百万戸であれ、六百七十万戸を建てさえすればそれで住宅問題は解決だなんというような、そんなものではないことはよくわかっておるわけでございますけれども、政府の努力目標――というよりも、どうしても実現しなければならぬ最低五カ年六百七十万戸、これだけは何としてもやってみる、そうすればまあ大体何もかも文句を言えないような状態から抜け出せるのではないか、そんなところじゃないだろうかと私は思っておるわけでございます。  そこで、六百七十五尺あと四十四年、四十五年度までのことでございますが、その辺の段階で今日想定される住宅問題の長期展望をして、そしてまた新たな計画に立ちかからなければならぬじゃなかろうか。当面はとにかく五カ年計画の遂行、実現に全力をあげるということでいかしていただきたい、こう思っておるわけであります。
  95. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いま大臣お話によりますと、それではこの五カ年計画は、ともかくその終了時点において六百七十五月は完全に達成するというふうに、自信をもっておっしゃったというふうにお聞きして間違いございませんですね。  そこで、さらに長期のビジョンを見ますと、これから二十年の間にわが国においては二千七百万戸ぐらい新たに住宅を建てていかないと、いわゆる一人一部屋と申しますか、そういう段階にまでは達しないであろうということでございますけれども、大体そういう長期展望も十分に大臣として確認されてこの五カ年計画を一そう強力に進めていくというお考えがあるかどうか、その辺のところ、二十年後のわが国の住宅事情はどうなるのであるかという点で大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  96. 保利茂

    ○保利国務大臣 二十年後といえば、正直申しまして、これは私がわかるわけはございません。ただ、建設省のエキスパートがそれぞれ勉強をされて一つの想定はいたしておると思います。と申しますのは、かりに現状にいたしまして大体全国でどのくらいの家がある、それがどのくらいの年数をたってきておる、それが今後二十年のうちにどのくらい建てかえを必要としてくるかというものも出てまいります。それからまた世帯の細分化、民法の改正によって家族のあり方が非常に変わってまいりました。それで、予想を越えて世帯の細分化が行なわれ、そのほうからくるところの新しい住宅需要というものはどの程度に想定されるか等々を考え合わせていきますと、二十年後といいますか、二十年間に建設を要する住宅戸数というものはかなりの膨大なものになるであろう。したがって、六百七十万戸の達成をいたしてみて、それで住宅問題が解決したなどということはないので、それはとば口に入っただけのことで、それからがたいへんじゃないかというふうに認識いたしておることだけは間違いありません。こまかいことになりますと、これは申し上げてみたところで見込み数字でございましょうし、そうなるんじゃなかろうか。必要があれば政府委員からお答えいたします。
  97. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 そういう将来に向かっての構想を実現していくためには、一方、受け入れ側である地方自治体の財政状況というものも十分考慮勘案していかなければならないのではないか。したがって、公営住宅の場合の補助率が現行程度の補助率でこの膨大な住宅政策を遂行していくことができると大臣はお考えになっているかどうか。あるいは、建設標準単価や用地費も実際単価まで引き上げられなければ、将来いろいろとそご、支障を来たすのではないだろうか、あるいは補助範囲を従来の十二坪から十五坪くらいまで拡大していかないと、いま申すような一人一部屋などというふうな住宅は実現しそうにもないではないか、そういういろいろな疑問が出てくるわけなんでございますが、こういう問題についても、そろそろこの辺で大臣一つの新しい決断を示されなければならないのではないかと考えますが、いかがでございますか。
  98. 保利茂

    ○保利国務大臣 住宅のみならず、地方公共団体の実際上の財政上の重荷になっておりますのは、御指摘のように、過重負担金といいますか、ある意味においては、補助率の問題よりも、実質的にこれが公共団体はたいへん弱っておられるところじゃないか、そういうことで、これは政府全体として、地元負担金の適正化につきましては、両三年のうちに何とか正常な姿を取り戻すようにということでやっていくことは、もう御案内のとおりでございます。これはぜひやっていただかなければならぬ。それからまた土地の問題、その限りにおいても、用地費の負担について、できるだけ公共団体の負担過重にならないように、あわせて用地評価の問題等につきましても、実際の実情に合ったようにいかないと、実は補助率は幾らこうやっておるんだといいましても、それがかりに本来なら一万円のところを五千円に評価してそれで補助すれば、実際はそうならないわけでございます。そういうように、実情に合わせるように、補助率がほんとうの補助率になるように持っていくことが大事じゃないかというふうに考えます。
  99. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 補助率、それから標準単価、両者完全にかみ合わなければ意味のないことでございます。その点は大臣の所信もよくわかります。両三年と言われると沖繩返還と同じで、その辺確かなんだろうと思いますが、一そうの御努力をお願いしたい。  同時に、この五カ年計画は、民間自力の四百万戸というものに非常に大きく期待をされた計画であると判断いたします。ところで、民間自力の一環として、民間住宅企業がいろいろと各地で何々住宅というふうなかっこうで市町村の中に乗り込んできております。ところが、われわれの周辺でもいろいろそれが問題になっておりまして、結局、こういうふうに何千戸、何万戸というふうな住宅が非常に財政規模の小さい市町村に乗り込んでくる、そのことによって、将来市町村が相当額の先行投資をしていかないと、その入ってくる住民人たちに対して十分な環境を提供することができない。具体的に言えば、小学校を建てたり保育所を建てたり、公園をつくったり、いろんなことをしなければなりません。とても今日の市町村ではそれを十分に受け入れる能力がない。そこで最近各市町村がそれぞれまちまちに住宅開発負担金というものを業者に対して要求しておる。それぞれ各市町村ごとにいま要綱をつくって、そして〇・五ヘクタール以上の面積に対してはあなたの会社は幾ら出しなさい、以下に対しては幾ら出しなさいというふうなことを言っていることは、御承知だと思うのです。これのトップを切ったのが兵庫県の川西市であると聞いております。川西方式を参考にして、わが奈良のほうでも、各市町村がそれぞれの特殊事情を生かしながらそういう要綱をつくっておるわけなんですよ。こういうことになりますと、将来、全国それぞれまちまちのいろんな要綱とでも申しますか、基準と申しますか、そういうものができ上がってしまう。一体これでいいんだろうかということで、やはりこの辺の段階で国と都道府県がこういう宅地開発の負担金に対しては何かしかの統一的な基準を設けるとか、あるいは指示をするとか、指導をするとかいうことが必要な時点に差しかかったのではないかというふうな気がいたします。この点ひとつ政府の見解をお伺いいたしたいと思います。
  100. 川島博

    ○川島説明員 ただいまお話のございましたことは、単に関西地区だけの問題でございません。東京周辺におきましても、横浜市をはじめ、近郊の市町村がそういう方針を考えておることは事実でございます。私どもは、近郊の民間の宅地開発事業が良好なものであるために、宅地造成規制法とか、あるいは事業法というものをつくりまして、品質の向上については規制誘導をいたしておりますが、この宅地造成事業は、公的機関が行なうものであれ、あるいは民間機関が行なうものであれ、それに伴って必要となってまいりますと公共施設につきましては、これはやはり公物でございますから、所在の市町村あるいは府県、あるいは国が、責任を持って施設をすることがたてまえであろうと思います。ところが、現実問題といたしましては、近郊の人口急増市町村では、それらの施設をするには財政が貧弱だということで、やむを得ず負担をさせるという例があるということは事実でございます。これは単に民間の宅造業者に負担を課するだけではなく、実は住宅公団の団地でございますとか、あるいは住宅供給公社の団地、いわゆる公的機関が行ないます宅地造成事業につきましても、何がしかの負担金を現実においては支払っておるというのが実情でございます。そこで特に問題になりますのは学校でございます。御案内のように、学校用地につきましては国庫補助という制度がございませんために、一番この団地開発にあたっての問題になるわけでございます。そのために所在市町村は開発主体に対して負担を求める。現に住宅公団等におきましても、住宅用地につきましては、これを所在の市町村に対して原価の半額で提供するというふうな負担をお願いいたしておるわけでございます。しかし、これはいかにしても自治体としては異常でございますので、文部省、自治省等に対し――文部省等に対しましては、私どもは、ほかの公共施設と同様に学校用地についても用地の一部は国家が負担をする、義務教育施設については国家が一部負担をする制度を開くべきではなかろうか、もしそれが不可能であるとすれば、つなぎのための地方債の制度を十分に認めるべきであるということで、再三再四にわたって文部省当局にも自治省にもお願いをしておるわけでございます。また、文部省、自治省といたしましてもこの問題は一番頭の痛いところでございます。何とか実現をしたいということで、財政当局等と累次にわたって折衝をいたしておりますが、まだ学校用地に対する国庫補助の道は残念ながら開けておりませんが、幸いに、数年来、用地買収費に対する起債の道が開かれて、まあ不十分ながらそのつなぎの手当てをいたしておるところでございます。当面私どもは、やはり国庫補助の道が開きがたいということであれば、その起債のワクを拡大いたしまして、市町村が、地域の住民が財政負担によってそれらのものが消化できるまでの間、起債によって金融の道をつけていくという道を拡大すべきではなかろうかと思いまして、ただいま公的機関、民間機関を問わず、団地開発について公的施設の整備に要する資金の調達方法について、自治省といろいろ相談をいたしております。自治省のほうでも何とか起債の道を拡大したいということでお考え願っておるわけでございますが、現状は必ずしも十分でないことは私どもも認めざるを得ないところでございますから、今後とも努力をいたしたいというふうに考えております。
  101. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 計画局長にお伺いをいたしますが、公的機関が行なう住宅建設、それから純然たる民間が行なう場合のそれ、これに対する市町村の要求する負担金があまり格差があっても、やはりいろいろと将来の住宅計画に支障を来たすのではないかというふうな気がいたします。  同時に、計画局長のほうでは、たとえば戸数一千戸、人口にいたしまして四千人になりますか、こういう団地が入ってきた場合の一人当たりの先行投資額というものは、現時点においては一体どのくらいであろうかというふうな点を試算されたことがございますかどうか。  それからもう一つは、いま学校問題についてお話がありましたが、学校、道路、下水道、その他いろんな社会施設が必要となるわけでございまして、ある町では、学校については三・三平方メートル当たり何千円、道路については幾ら、水道については幾らというふうに、分離して交渉しているところもございます。ある町では、一括して三・二平方メートル当たり幾らくれというふうなことも言っておる。こういうばらばらなことでは、どうしてもあまりいいかっこうではないと思います。さらにまた、いまお話しのとおり、その自治体が受け入れ能力に大いに欠けるところについては、そういう一方の交渉もさることながら、やはり自治省それ自体としていろいろと交付税等の勘案の中で十分な措置をしてやらなければ、幾ら五カ年計画を立て、二十カ年計画を立てても、こういう具体的なところでそごを来たしはしないかという点を非常に心配しておるわけでございまして、いま申しました試算なんかがなされたことがあるかどうか、あるいは、将来こういう民間住宅企業の宅地造成等については、上限はどのくらい、最低はどのくらい取ってもよろしい、できるだけ学校、道路、水道その他一括して取るのが望ましいとか、何らかの基準を示していただきたいと思いますが、さらにその点についていまのお考えを承りたいと思います。
  102. 川島博

    ○川島説明員 いまの団地建設に伴う公共施設の投資額と、それから地方団体の財政負担とその内容につきましては、実は自治省で数年前に調査をいたしたことがございます。正確ではございませんが、大体人口十万以上の都市に千人くらいの団地が入りましても、これが特に地元の財政に非常な負担をかけるということはないけれども、人口五万以下の町村にそういう大きな団地が入りますと、これはとたんに地元の財源に非常な悪影響を与えるということから、そういった場合に財源をいかに手当てするか、これについては、ただいま申し上げました起債の道と同時に、やはり地方交付税交付金の特段の算定方式による割り増し支給ということが問題でございます。それにつきましては、従来人口急増市町村につきましては、特別の算定基準によりまして交付金を割り増しする道が開かれておりますが、これとても十分でないために、やむを得ずデベロップ・パワーに負担させる、現実にこういうことが行なわれております。その関係を是正するためには、やはり財政当局と私ども一体になって、負担基準と申しますか、施設の設置基準とそれに伴う負担をどうすべきか、デベロップ・パワーと地元市町村の負担をどうすべきかということは、やはりルール化をすべき必要があるだろうと存じます。残念ながら、これにつきましては、現在までのところ、確定されたルールがございませんので、ただいま先生御指摘のございました民間のデベロップ・パワーへの過重な負担をいかにして抑制するかという問題とからみまして、ただいま私どもは、自治省当局とこれのルール化について協議をいたしているところでございます。
  103. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 大臣、お聞きのとおりでございますので、いま局長の御答弁のとおり、そろそろこの辺でルール化をしていかなければいけない。各省庁に関連する問題でございます。大臣として早急にこの検討についての指示をしていただきたいということを特にお願いいたしておきたいと思います。  次に、先ほど来岡本、小川委員からいろいろと御質問がありました地価問題に関する質問に入りたいと思います。  昨年六月税制調査会に土地税制特別部会が設けられて以来、約一年を経過して本年の七月にようやく土地税制のあり方についての答申がまとまったのでございますけれども都市過密の弊害の一大原因となり、また一方、都市問題解決を阻害する最大の要因となっている土地問題の解決なくしては、都市過密の弊害の解決はあり得ないということは、いまさら論をまたないところでございます。そこで、先ほど来、特に大蔵省の政務次官もいろいろ申しておられましたけれども、われわれはその答弁は不満であります。しかも、緊迫感と申しますか、税制その他の面においても、この地価の高騰問題を抑制する、あるいは土地をさらに円滑に取得するためには、いよいよ決断しなければならない時期なんだというふうな判断がまだまだ十分でないのじゃないかというふうな気がしてならないのでございます。特にこういう立場から、私どもは税制調査会の土地税制特別部会の答申につきまして今後も非常に期待を寄せ、また、その審議状況につきましても強い関心を払っていきたいと考えておるわけでございますが、きょうは大臣がおられますので、特に地価対策について若干のお考えをただしていきたいと思います。  地価上昇の傾向でございますけれども、最近の地価上昇は、日本不動産研究所が七月十日発表した全国市街地価格によれば、全国市街地価格は、平均で、四十二年の九月末から四十三年の三月末の半年間に七%上昇しておる。昨年の三月から九月までの上昇率は六%でございましたので、すでに一%だけ地価の上げ足を早めてきているということが言えると思います。また、建設省地価公示制度を実施するための準備調査として行なっている地価調査によりますと、東京周辺部では、四十年三月から四十一年二月までの一年間の上昇率は九・六%でありましたものが、四十一年十月から四十二年十月までの一年間では、何と、約二一%に急上昇しておる、こういうふうにわれわれは承っております。それから距離別の上昇率を見ますと、東京周辺あるいは京阪神地域とも、二十六キロから三十キロの地点が最も上昇率が激しいということを示しております。これらの調査によって、地価は依然として急上昇し続けており、特に、地価がまだそれほど高くなく、通勤も可能であるという地域での地価上昇が著しいといわなければならないと思うのです。こういう地価上昇の特徴を大臣やあるいは計画局長のほうではよく把握しておられることと思いますけれども、こういういわゆるドーナツ型の地価上昇に対してどのように対処していくべきか、まず大臣のほうからひとつ大まかな御答弁をお願いしたい。
  104. 保利茂

    ○保利国務大臣 何%でという数字の問題は別といたしまして、とにかく地価の上昇傾向をまだ依然として強く含んでおるというこの実情を認めないわけにいかない。先ほど来岡本さんと取りかわしておりますように、私どもといたしましては、特に東京でありますとか大阪周辺でありますとかいうところの市街化区域に今後の開発を集中してまいりますわけでありますから、相当のことを考えていかないと、これの安定抑制をはかるということはむずかしいのじゃないか。いまこういたしたいということを結論的には申し上げませんけれども、そういうことで部内でも都市計画法の実施準備の一つの大きな課題としてせっかく検討をいたしておるわけで、この実情を何とか阻止しなければならぬというように考えておるわけであります。
  105. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 東京都の例でございますけれども、現在の住宅限界地を都心から四十キロメートルというふうにかりに想定いたしますと、この四十キロメートル半径の内側における農地、山林の総面積は、二千五百平方キロメートルだそうでございます。東京都周辺三県の宅地及び工場用地等の年間増が、毎年約五十平方キロメートルにすぎないというふうにいわれております。二千五百平方キロメートルの中で、年々わずかに五十キロ平方メートルしか宅地あるいは工場用地としてふえておらない。このことからすれば、都心から四十キロ内の農地あるいは山林の有効な利用また宅地化をはかるならば、用地難という問題はたちどころに解消するのではないか。もちろん、交通施設等いろいろな諸問題もからみ合ってくる問題ではございますが、住宅局長はこの問題についてどのようにお考えになりますか。
  106. 大津留温

    大津留説明員 御指摘のとおり、現在の住宅難の根本が土地問題にございますので、土地難の緩和をはかるためには、既成市街地におきましては、住宅の高層化をはかりまして、土地の有効利用を進めてまいりたい。また、市街地の近郊におきましては、御指摘のように、山林原野また農地について有効に宅地化を進めてまいる必要があると思います。市街地近郊の未利用地を活用するためには、土地区画整理事業による宅地開発の推進、また民間のデベロップ・パワーによる宅地造成の指導助成の強化、また、土地の所有者が賃貸住宅を建てて一般の庶民に提供していただくように、土地の所有者の宅地化の促進のための融資の強化拡充、また、同じようにそれらに対する税の軽減措置等を進めてまいる考えでございます。
  107. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 次に、大臣お急ぎのようですから大臣にお聞きいたしますけれども大臣の私的諮問機関である土地問題懇談会、これが本年五月二十七日に土地対策についての提言を行なっています。大臣はこの提言をどのように受け取っておられるのか。まず一つは、土地対策の緊迫性、また土地対策についての基本的な考え方、あるいは土地対策についての提案の前提として、土地懇の考えに対する大臣のお考え方を承っておきたいと思います。
  108. 保利茂

    ○保利国務大臣 土地問題懇談会でもたいへん勉強していただきまして、一つの提案をいただいております。私どもとしては、可及的すみやかに実施すべき点も強調されておりますから、これと相前後して提案が行なわれております各党の御趣意等、できるだけ――これは全国民的、全市民的な見地から解決していくべき課題でございますから、できるだけ広く納得づくで――しかし、どうしてもやはり地価問題というものに取り組ましていただかなければならないわけですから、土地懇の提案をもちろんよく検討いたします。検討するまでもないことですが、各党の御提案の趣意等も十分勘案いたしまして実施してまいりたいと考えておるわけでございます。
  109. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 大臣からお聞きいたしておきます問題は一応以上にとどめまして、あと、土地税制の答申につきまして、それぞれ各局長あるいは課長から聞いていきたいと思います。  まず、いま土地問題懇談会の提言について、大臣からも、それぞれ一そう強力に各党とも提携しながらその推進をしていきたいという旨の御説明があったわけでございますが、宅地制度審議会、それから宅地審議会、これは現在、住宅宅地審議会というふうに一本化されているそうでございますけれども、この審議会等より土地税制の改革、改正について数多くの答申や提言を建設大臣は受け取っているはずでございます。そこで、建設省としては、土地税制特別部会の審議において、こういう場合に建設省側からどういう意見提出するのか、あるいはただそういう審議会から建議を受けっぱなしに受けるだけなのかというふうな点、少し御説明をいただきたいと思います。
  110. 川島博

    ○川島説明員 税制調査会につきましては先ほど大蔵省御当局から御答弁がありましたように、去る七月二十六日の総会で土地税制の今後のあり方についての御答申があったわけでございますが、それに先立ちまして、私どもは、過去の宅地制度審議会あるいは宅地審議会の提案、さらに、最近におきましては土地問題懇談会の提言もありましたが、土地問題懇談会の提言は、過去の各種の審議会、調査会等の提言を踏まえまして、それを最近の情勢から見て集大成したものとわれわれは考えておりますが、この土地問題懇談会が提言した中に、税制に関する若干の問題点を指摘しておりますので、これらを取りまとめまして、六月であったと思いますが、税制調査会にこれらの提言の趣旨を踏まえまして建設省意見なるものを開陳申し上げた次第でございます。この内容は、土地税制は、やはり土地利用の促進、それから開発利益の還元、騰貴の抑制という三大目的から見て、当面必要な税制を実施いたしたいということでございまして、内容から申しますと、現行の譲渡所得税につきましては、これは分離重課してほしいというのが第一点。それから土地の利用の促進をはかりますためには、保有課税であります固定資産税、都市計画税の課税を適正化してほしい。そのためには、評価額たる時価を適正に評価するということが前提でございますが、そういう現行の保有課税の適正化をはかってほしい。さらに加えまして、新都市計画法の施行に伴って、市街化区域内の土地利用を促進するために空閑地税を新設してほしい。以上三点を内容とする建設省意見を税制調査会に申し入れた次第でございます。
  111. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 特に、その中で、いま最後にお述べになりました空閑地税の問題先ほど岡本委員からもいろいろと御意見が述べられたわけでございますけれども、現在の大蔵省の考え方が、あまりにも及び腰であるというのか、優柔不断であるというのか、答弁の限りにおいては、その問題の重要性、緊急性を十分認識、把握しておられないのではないかというふうな感じさえするわけでございます。  そこで、この税制調査会の答申によりますと、「土地の利用度の判定について、税務の執行を可能とするだけの具体的な基準が設定され、かつ、その基準の客観性が納税者及び第三者の批判にたえるものであることが必要がある」というふうに述べられております。先ほど次官の説明では、いわゆる税務署員が全部納得しなければこういう税制というものは実施に移せないのだというふうな説明があったようでございますけれども、やはりこの事態に及んで建設省も大蔵省もき然たる指導性を発揮しなければならない。大体、これは空閑地であるではないか、いかにもぜいたくきわまる土地ではないかというふうなことがまずおよそ多くの人たちに納得でき得るものがあるとするならば、その辺一番はっきりした空閑地からでも新たに空閑地税などを取っていくというふうな一つの試行、そういうことをやるべき時期に来ておるのではないか。すべて非常に論議のあるところまでいたずらに論議を繰り広げて、これは非常にむずかしいから、やはりかすに時間をもってせよというようなことだけでは、一種のサボタージュにならないかというふうな気がするわけでございますが、特に建設省の側として、そういう具体的な諮問をしておられる主管省として、この空閑地税についてはどうお考えになっておるかという点を再度承りたいと思います。
  112. 川島博

    ○川島説明員 空閑地税の問題につきましては、先ほどの岡本委員の御質問に対しまして大臣から包括的な御答弁があったわけでございます。それで私は十分であると思いますが、私ども建設省事務当局といたしましては、新都市計画法の施行によりまして市街化区域というものがきまるわけでございますが、その市街化区域は、十年以内に計画的かつ優先的に市街化すべき区域ということに定義をされておりますので、これらの土地利用が計画にマッチした形ですみやかに利用されることが望ましいと考えております。この土地利用を促進する方法といたしましては、いろいろ考えられると思いますが、やはり、現在の日本の社会経済情勢下におきましては、土地の管理費用を増大せしめて、これによって土地のより一そうの高度利用を促進するということが相当有力な手段であるというふうにわれわれは考えまして、これが実現方を強く税制調査会に要望いたしたような次第でございます。ただ、税制調査会におきましては、これを積極的に推進すべしという積極論もございましたが、当面慎重論が大勢を占めて、基本的には推進すべきも、当面は土地利用計画のより一そうの詳細な法制化を待つということで見送られたように聞いておるわけでございます。それにつきましては、一体空閑地税はどういう観点からどういう地域に課するのかという基本的な問題があろうかと思います。少しこまかくなりますけれども、市街化区域は、十年以内に市街化すべき区域でありますが、全部が直ちに市街化されるわけではございません。したがいまして、空閑地税をかりに創設するといたしましても、市街化すべき区域の中で当面直ちに市街化できる、またそれを促進すべき地域というものはおのずから限定をされるだろう。これを抽象的に申し上げますれば、たとえば道路とか下水道等の公共施設の完備した地域、あるいは土地区画整理事業が実施された区域こういったものが、直ちに宅地化し、高度利用すべき地域と思います。したがいまして、市街化区域の中で空閑地税をかけるといたしましても、さらにその空閑地税をかけるべき地域というものはある程度特定をする必要があろうと思います。それからさらに個々の宅地につきまして、それを空閑地かいなかを判定するということも、税制実行のための重要なきめ手になる問題でございます。これにつきまして、税制調査会は、現在の建築基準法による最高利用制度以外に最低利用制度を法定しなければ、空閑地税の実施は困難である、こういう御見解を述べておられるわけでございますが、この点につきましては、私どもとしては若干意見もあるわけでございますけれども、そういう最高並びに最低をきめ、その中間においてどの程度までの利用がまさにこの際平均的に促進されるべきであるとかいう線を引きまして、それ以下の利用はやはり空閑地税課税の対象にする、こういう仕組みになろうかと思います。その辺で、今後建築基準法その他の法制によりまして具体的な宅地規制内容を検討するにあたりまして、そういう問題も含めまして早急に検討を進めたいというのが大臣の御答弁の趣旨だったように考えております。
  113. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いま問題になっております最低利用度、これを規制することが必要であろう、また「課税主体である国又は地方公共団体として、その土地がどのような目的に利用され、又はどの程度に利用されることを要請しているかということが、土地を現に保有している者及び今後取得しようとする者にとって客観的に明らかにされていることが不可欠の前提であると考える。」というふうに税制調査会のほうは答申をしておられるわけなんでございますが、その最低利用限度、いま文章としてはわれわれにもよくわかるのでありますけれども、さらに突っ込んで、建蔽率がどうであるとか、いろいろ具体的な何らかの構想をすでにお持ちになっているのか、ただ抽象的にこういうことを書かれただけなのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  114. 安井誠

    ○安井説明員 税制調査会の土地税制特別部会で御検討いただきましたのは、決して空閑地税が不要であるというような議論ではなくて、空閑地税というもの自身が非常に有効な政策手段であるということを認めた上で、どのような具体策を講じたらいいかという方向で検討がなされたわけでございます。いま御質問のございました、土地の利用計画に基づきましてどの程度の最低限度の土地の利用がされるかということにつきまして、一つの案が現に提示されておりますのが、建築基準法に基づく建蔽率のたとえば二割という案もあったようでございますけれども建築基準法の建蔽基準率というものは、言うまでもなく、この土地にこれ以上の建物を建ててはならないという立場からの基準でございます。それをただ単に二割という線を引きまして、それ以下であればその土地の利用が目的利用ではないかということをいうには、あまりにも理屈が飛び過ぎてはいないだろうか。政務次官が申しましたように、やはり空閑地税というものをほんとうに実効あらしめて、土地の有効利用ということをやっていくとすれば、やはり相当重い負担というものをかけなければいかぬ。重い負担をかける以上は、やはりその基準が、土地を現に持っている者にも、新たにこれから土地を取得しようとする者にとっても、納得がいくということが必要なんでありまして、私ども決して税務署の職員一人一人が納得するという意味ではなくて、税務署の職員が、そのでき上がりました――これは税務署でやるか、あるいは地方公共団体でやるか、これはまたいろいろ議論があると思いますけれども、そういう問題よりは、客観的に多くの国民のコンセンサスと申しますか、合意がそこで行なわれなければならぬ。ただ単に、建築基準法に最高限度がきめられているから、それらの二割以下であったらいかぬという程度のことでは、とうてい合意が得られないのじゃないかということが問題であるということで、調査会では非常に強く御指摘があったようでございまして、私どもその趣旨もごもっともだというふうに考えているということでございます。
  115. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 御説明非常によくわかります。確かに建蔽率というものは、もともと何もこういう空閑地税を取る基準としてつくられた概念では全くない。それをそのまま飛躍して適用するということには、いろいろなちゅうちょ、抵抗を感ぜられるというのは、もっともだと思います。しかし、国民の合意というおことばを使われましたけれども、現に何にも建っていない、しかもそれは、やがて何らかに利用されるものであろうけれども、全く普通の国民の常識、概念からいって、遊んでおる土地ではないかというふうなところでもとりあえず課税していく、特別の税制による課税をしていくというふうなことは、これは踏み切れないはずはないと思うのですよ。ステップ・バイ・ステップで、いまはその辺からやっていく、そしてまたいろいろと論議を集め、常識の線で少しずつその範囲を広げていく、高めていくというふうなことが、いまの時点でできないはずはないと思うのですけれども、その辺どのようにお考えでございますか。
  116. 安井誠

    ○安井説明員 税制調査会でいま御指摘のような見解もあったわけでございまして、とりあえず、何にも建物の建っていない土地ということからでも始めたらどうかという御議論もあったわけでございます。しかし、税制というものは、一ぺんつくりまして、たとえば何にも建っていない土地というものをかりに想定いたしました場合に、その空閑地という概念が、ちょうど先生から御指摘もございまして、あるいは岡本先生からも御指摘がございましたように、どの区域までを空閑地と考えるのかということが、皆さんお考え方が必ずしも一致をしていない。たとえば大都市、東京の、われわれの目につきますような、ビルの谷間にございますような、だれが見てもただ遊ばせているじゃないかというような土地から、あるいは近郊の宅地に介在しているあき地あるいは野原のようになっている土地、さらにそのそばにある農地――農地になりますと、いまの都市計画が市街化区域全般に一体及ぶのか及ばないのか、その辺の議論が非常に分かれているところでございます。何も建っていない土地という概念、つまり、税のほうのことばを使いまして非常に恐縮でございますけれども、税制をつくるときには、課税標準をどうする、課税対象をどうするということがとにかく明確にされなければならない。課税対象としての空閑地、その慨念が、何も建っていない土地である、その範囲はどこまでである、ほんとうに東京の中心部の土地だけでいいのか、あるいは近郊の宅地に介在しているような農地を含めた土地まで及ぶのか、その辺の概念もきめなければなりませんし、それから、これは非常に技術的なことになりますけれども、何も建っていないという概念をきめる以上は、たとえば駐車場のようなものに利用している場合はどうするかとか、非常に細目の検討をしていかなければならぬ。私ども決してそういう検討をいやがっているということではございませんで、税制というものは、試行してみてまずかったからこれをやめてしまおうというようなことはできないのじゃないか。やはりその辺、いま御指摘のような土地利用計画が立ち、それからこの土地を何に使うべきであるかということが国ないし地方公共団体で明示された段階で実効のある税制として利用していくのが筋であるのではないか、こういう考え方でございます。  空閑地税の問題は、あるいは御指摘のように税制調査会として取り上げ、今後の検討事項にはいたしておりますけれども、ほかの、たとえば短期譲渡所得を重課するとか、長期の譲渡所得については思い切った軽減措置を講ずるとか、あるいは固定資産税等につきましても評価がえをやっていくとか、私どもの立場から見ますと、この税制調査会の答申は、現段階でやはり土地問題の重要性を考えて十分指摘をいただき、また先生方の趣旨も、いま建設省のほうからお話がございました――建設省、経済企画庁、農林省等もそれぞれ税制調査会においでいただきまして御検討いただいたわけでございまして、税制だけの立場からいたしますと、相当思い切った改正を考えているのではないかというような感じがいたすわけでございます。
  117. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 その駐車場に使われているあき地、それは全然遊んでいる土地だとは思いません。この場合はどうだろうか、この場合はどうだろうかと、非常に微妙な点ばかりを心配して、全然遊んでおる土地で、だれが見ても、これは税を課してもいいじゃないか、やがて土地の騰貴を見計らって、余裕のある人が全く遊ばしておるというふうな土地が現にあるのに、問題が税制として非常にむずかしいからという理由で、その論議にばかり時間をかけておるというふうなことは、われわれにはやはり納得できないのですね。税制調査会の答申の中にも、試行錯誤――というのですか、をあまり繰り返してはいけないからという慎重論もあるようですが、錯誤でない試行というのは私はこの空閑地税においてはあり得ると思うのです。その大事なことをしないで、土地の高度利用なんて幾らから念仏を言ったって、これはもう出発点から問題は解決しないのではないか。先ほど建設大臣は、ともかく強力にこの問題は今後とも推進していきたい、税制調査会といえども相当やはり意欲としては前向きである、しかし、専門である大蔵省の皆さん方が非常に慎重だというふうな感じをわれわれは受けます。計画局長は、この辺に建設省と大蔵省との間にこの問題に対する認識のズレがあるとお考えにならないですか。
  118. 川島博

    ○川島説明員 事態の認識につきましては、大蔵省も私どもも十分過ぎるほど認識しているのじゃなかろうか。ただ、立場といたしまして、私どもは、やはり公共事業の遂行でございますとか、あるいは都市計画の確立でございますとか、あるいは土地収用法の執行とか、こういった、もっぱら土地を使う、あるいは耕地の利用の調整をはかるといった、土地プロパーの行政の立場でございますし、大蔵省はまさにこれは税制という立場に立っておられますので、その辺で若干意見の食い違うことは当然であろうと思います。しかし、土地問題に対する緊急性、緊迫性に対する認識は、私どもに劣らず大蔵省の御当局も十分お持ちになっているというふうに私は思っております。
  119. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 特に先ほど局長お話の中で、市街化区域になったところは十年以内に建てればいいのだから、この点においては、この地域の空閑地税についてはいろいろな問題があるということもわかります。しかし、やはりそういう市街化区域の今後利用すべき土地については、公共機関が一つの基金制度をつくって、そうして土地を先に買い取ってしまうというふうな方法によってその地域の問題を解決するということも可能であると思います。さらにまた、税制の問題でも、個人の長期保有土地にかかる譲渡所得課税方式の問題であるとか、あるいは個人の短期譲渡の場合あるいは事業用資産、その他収用の場合、いろいろと問題があると思いますが、だいぶ時間も経過いたしましたので、一応きょうはここまでにいたしまして、次の機会にさらに続行さしていただきたいということを委員長にお願いしておきまして、質問を終わります。
  120. 加藤常太郎

    加藤委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。     午後一時五十五分散会