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1968-12-05 第59回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十二月五日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 白浜 仁吉君 理事 田中 武夫君    理事 華山 親義君       田澤 吉郎君    中川 一郎君       長谷川 峻君   三ツ林弥太郎君       水野  清君    湊  徹郎君       高田 富之君    堀  昌雄君       森本  靖君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  委員外出席者         文部省管理局長 村山 松雄君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         厚生省医務局総         務課長     上村  一君         自治政務次官  砂田 重民君         自治大臣官房会         計課長     鈴木  博君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省行政局選         挙部長     皆川 迪夫君         自治省財政局長 細郷 道一君         消防庁長官   佐久間 彊君         消防庁次長   山本  弘君         会計検査院事務         総局第一局長  斎藤  実君         会計検査院事務         総局第二局長  石川 達郎君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 十二月五日  委員椎名悦三郎君、篠田弘作君、中曽根康弘君  早川崇君、高田富之君及び堀昌雄辞任に  つき、その補欠として湊徹郎君、三ツ林弥太郎  君、中川一郎君、田澤吉郎君、芳賀貢君及び柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田澤吉郎君、中川一郎君、三ツ林弥太郎君  及び湊徹郎辞任につき、その補欠として早川  崇君、中曽根康弘君、篠田弘作君及び椎名悦三  郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (自治省所管)      ————◇—————
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行ないます。  これより質議に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。鈴切康雄君。
  3. 鈴切康雄

    鈴切委員 きょうは幸いにしてしばらくぶりの雨に見舞われまして、長官も安堵の胸をおろされておるのじゃないかと思いますけれども、つい最近までは、東京においてはついに雨なしの新聞記録を出してしまいました。現在は異常乾燥という、まことに火災発生を起こしやすい状況下、時期を迎えて、消防強化はまことに必要性があると思いますが、昭和四十三年度において、現在までの火災の概況について、また損害について御答弁願いたいと思います。
  4. 佐久間彊

    佐久間説明員 私どものもとに全国から報告がまいりましてまとまった数字といたしましては、十日末日まででございます。この数字を申し上げますと、本年は出火件数が四万四千四百四十一件でございまして、これは前年同期に比べますと、前年同期が四万四千五百四十件でございまするから、〇・二%ほど減少をいたしております。この出火件数のうちでおもなものは建物火災でございまして、これが二万七千九百四十六件でございます。焼損むね数でございますが、これも前年と比べますと、四%ほど減少いたしております。ただ、非常に残念に思いますことは、火災による死者の数でございますが、これが十月末までで本年すでに九百二十八名になっております。前年同期は八百三十三名でございまするから、前年よりも約一一%増加をいたしておるということでございます。損害額でございますが、四百五十億余でございまして、前年同期が三百九十六億でございましたので、これも一三%増加いたしておるという状況でございます。
  5. 鈴切康雄

    鈴切委員 まず一般火災もさることながら、最近における高層建物及び地下街などの増加でありますが、これら諸施設に一たび火災が起こった場合、一般建築物とは違った消防活動が必要になると思われます。その対策として、すでに消防審議会答申を得て、本年消防法改正が行なわれたのでございますが、これだけでは十分でなく、さらに消防用設備などの設置基準強化可燃物取り扱い制限等指導などが必要とされております。これらの点について、消防庁自治体消防に対し、いかなる助言指導をされておるか、まずお伺いいたします。
  6. 佐久間彊

    佐久間説明員 お話にございましたように、私ども高層建築物地下街における火災通常火災の場合と違って、一たん発生いたしますると死傷者も非常に多く出ることも予想されまするので、これらに対する防災対策に力を入れなければならない、かように考えまして、昨年消防審議会に諮問をいたしまして、その御答申をいただいたわけでございます。現在その答申趣旨をできるだけ早く実現をいたしたいということで、せっかく努力いたしておるところでございます。  先生も御指摘になりましたように、私どもといたしましてできることから順次手をつけておりまして、先般の国会で消防法改正をいたしました。若干の法律事項はそこで実現をいたしました。なお、現在政令事項を検討いたしておりますが、これもできるだけ早く成案を得たいと思っております。  それから、いま一つは、建築基準法関係がございますが、これも建設省に連絡をとりまして、大体消防審議会答申趣旨を取り入れていただく方向で現在作業を進めていただいておるところでございます。  以上申しましたような法令の上での改正と並行いたしまして、指導の上で、地方消防機関督励をしてまいっておるわけでございます。特に、先般有馬の温泉旅館火災事故もございましたし、また、本年に入りましてからビル火災が多くなっていることが、私ども憂慮いたしておるところでございまするので、この際、従来の消防機関指導のしかたについても反省を加えなければならぬというふうに考えておるわけでございます。そこであの事故あとで、消防機関に対しまして、私どもが特に強く指導いたしておりますことは、予防査察をやりまして、その結果、相手方に再三注意をしても誠意がないという場合には、消防法の規定によって一部の使用停止あるいはさらに告発というような断固たる措置もちゅうちょしてはならない、こういう趣旨の通達も出したのでございますす。なお予防査察をさらに督励をしてやらしていくようにいたしたい。特に不特定多数のものを収容いたしますような施設温泉旅館ホテルなどがその代表的なものでございますが、こういうところに対しましては、これから春の火災シーズンまでの間に全国一斉点検をするようにということを指導いたしておるわけでございます。  大体以上のような考え方で、私ども火災件数がふえる、これも何とかして食いとめたいと思いまするが、かりに火災になりましても、ごく初期の段階でこれを消しとめて、少なくとも火災による死傷者が出るというようなことは何とかしてないようにいたしたいというような心持ちで助言指導をいたしておる次第でございます。
  7. 鈴切康雄

    鈴切委員 先ほどあなたのほうからの御答弁によりますと、十月までにおけるところの同月における出火件数というのは、昨年から比べると幾らか減少している。しかし実際には、死者というものは、昨年から比べますと、八百三十三名が九百二十八名と大幅に死者がふえておるということ。もう一つは、損害額というものが昨年よりも多くなっているということは、何が原因になってこのような状態になっておるか。人命尊重という立場で火災が起きたときに最も緊急を要する問題は、やはり人を救助するということが根本的な考え方でなくてはならないと思うのでありますが、そういう中にあって、本年はえらくたくさんの人がなくなられておるわけでありますが、それはどこに原因があるのか、そのことについてお伺いします。
  8. 佐久間彊

    佐久間説明員 これはいろいろな原因が考えられるわけでございますが、特に最近の死者につきまして特徴と思われますことは、焼死者と申しましても、実は火に焼けて死ぬのではなくて、煙にまかれて窒息してなくなってしまうというようなケースが非常に多くなっている点でございます。またこの焼けて死なれた方につきましても、おそらくまず煙にまかれて窒息死をして、そのあとで火が回ってきて焼けて死なれたというケースが多いように推定されるわけでございます。  そこで、なぜそうした煙による死者というものが多くなったかということでございますが、一つ建築構造の上から、最近いわゆる耐火建築物と申しますか、鉄筋コンクリート等建物が多くなってきておるわけでございますが、こういう耐火建築物は、外から押し寄せてまいります火に対しましては防御できるわけでございますが、内部火災が発生いたしました場合には、煙が外へ抜けて出ない、内部に滞留をしてしまうというようなことで、中におりました者が逃げる時期を失してしまう、こういうような点が大きな原因のように思います。これに対しましては、建築基準法のほうでいろいろと改正の点も検討していただかなければならないということで、先刻申したように検討をいただいておるわけでございます。  それからいま一つ、最近の火災による死者が発生しておりますケースで特徴的と思われますものは、私ども併用住宅と申しておりますが、たとえば一階が作業場であるとか店舗であるとか倉庫であるとか、それで二階、三階に居住しておられるというような場合に、一階の作業場等の火の始末が悪かったためにそこから火が出まして、そして二階、三階に寝ておるところをやられてしまう。これも一階で火が起こりますと、今日の建物構造からいたしますと、すぐ上のほうへ階段を伝わって煙が行ってしまう。こういうようなことが考えられるのであります。  それからなお旅館ホテル等火災事故を見ておりますと、旅館ホテル側における防火管理体制と申しますか、こういうようなものの上にも、遺憾な点が往々にして発見されるわけでございます。消防法なり建築基準法で、防災上の配慮からいろいろな基準を設けたわけでございますが、この基準が守られていない。したがっていざ火災が起こりました場合の避難につきましても、避難場設備なり、あるいは適当な誘導等が円滑にいっていないといったようなこともあるのでございます。そのほかにもケースケースによりましていろいろ考えられまするが、大体最近の事例を見まして私ども感じますことは、以上述べたような数点でございます。
  9. 鈴切康雄

    鈴切委員 あなたのおっしゃるとおりに、煙が非常に急速に施設全体に拡散し、または滞留するほか、消防隊救助活動のために施設に進むということが非常に制限をされる。内部におった者は、結局は救助の手を待たない前に非常に恐慌状態を来たすために、安全な避難ができないという、いわゆる高層ビル等におけるところの災害特殊災害というような、そういうふうな状態になっておると思うのですが、高層ビル及び地下街におけるところの救助体制についてはどういうふうに考えておられますか。
  10. 佐久間彊

    佐久間説明員 これも建築構造の上から、あるいはまた消防施設の上から、いろいろと多角的に考えていかなければならない、かように考えておるわけでございまして、建築の上からも避難がしやすいように、たとえば屋外避難階段を設けるというような問題でございますとか、また最近の事例で見ますというと、ベランダと申しますか、バルコニーと申しますか、そういうところがありますところは、そこに出て助かっておるという事例が非常に多いわけでございます。そういうようなものをある程度義務づけるというようなこととか、建築構造上でいろいろ考えなければならない点がございます。  それから消防関係におきましては、消防活動が円滑にできまするように、高層ビルにつきましては消防専用階段を設けさせるとか、あるいはまた新たにスプリンクラー等も必ず設置させるとかいうような配慮もいたしておるわけでございます。それから救出いたしました者を病院に運ぶということにつきまして、これは救急活動あるいはまた救助活動という点でございますが、これらの点につきましても、最近消防行政の上では一つ重点事項といたしまして、私どもとしても年々救急活動あるいは救助活動の面で拡充をはかってきておるところでございます。
  11. 鈴切康雄

    鈴切委員 近ごろ非常に可燃性建築材とか、ベニヤ加工とか、そういうものが非常に多くなっております。そういうものも非常に火災を引き起こしやすいという原因があるだろうし、建築物構造等に関する規制については、やはり消防庁のほうとして当然これは建設省等との話し合いがなされておると思うのですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  12. 佐久間彊

    佐久間説明員 この点につきましては、昨年消防審議会から答申をいただきましたわけでございますが、この答申をいただくまで、消防審議会審議の過程におきましても、建設省から幹事に出ていただきまして建設省側の意見も十分聞き、また消防側の所見も述べて、それらの点を織り込んだ上で答申を出していただきましたので、建設省もその答申趣旨につきましてはおおむねこれを了承をいたしております。そこで、現在検討されておりまする建築基準法あるいは建築基準法施行令改正につきましては、大体私どもの希望いたしておりますることが織り込まれるようでございます。なお、私どもも二、三いろいろ折衝している点もございますが、そういうことで緊密な連携をとってやっております。
  13. 鈴切康雄

    鈴切委員 先ほど長官が言われたように、煙で巻かれて死ぬというような事故が非常に多いという特殊なビル火事あるいは地下街等火事は、やはりそういう点が非常に言われるわけでありますけれども、消煙に対する化学的処置あるいは研究というものについてはどのようになされているか、それが実際そういうふうな大きな火災に対して効果があるものかどうか、それについてお伺いします。
  14. 佐久間彊

    佐久間説明員 一つ煙感知器開発でございます。従来火災感知器と申しますと熱感知器でございまして、一定の温度になりまするとそれを感知して知らせるということでありましたが、最近のような事例によりますると、熱感知器では役に立たない、やはり煙が出た場合にすぐに報知ができるというような装置でなきゃならぬ、そこで煙感知器というものを何としてでも開発をしなきゃいけない、従来、かなり高いものではございましたが、これもあったのでございますが、それでは一般の家庭あるいは施設に普及するわけにいかぬ、何かもう少し安く効果のあがるものができぬかということで、消防研究所などでも研究をさせておりましたが、これは大体実用化される段階になってまいりました。したがって、私どもとしては、消防法施行令改正をいたしまして、旅館ホテル等については煙感知器設置を義務づけるというようなことで現在検討いたしております。  それからいま一つは、煙の中で消火活動効果的に遂行できるようにという観点からの研究でございます。これは、煙の中では消防士通常の装備のままでは活動できません。そこで、煙の中でも活動できるようなということでいろいろやっておるわけでございますが、現在高発泡排煙車というのが開発されてきております。大都市ではすでにこれを実用にしておりまするが、これでございますると、煙を消すこと、それからまた、その中で消防士相当活動ができるというような効果実験の結果出ておるようでございまするので、私どもは、この高発泡排煙車をさらに国で補助金も出して、大都市から中都市に、必要なところについてはこれを給与するようにしたいというようなことを現在考えておるような次第でございます。そのほか、煙の問題は比較的新しい問題でございまするから、たとえば煙がどの程度の早さでどういう状況のもとにおいてどんなふうに動いていくものであるかといったようなことについて、若干のデーターはございまするが、なおそうした基礎研究もさらにやっていかなきゃならぬという点もございまするので、これらは消防研究所で現在いろいろやっておる状況でございます。
  15. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま私がお聞きしたのは消煙で、煙を消すという一つの化学的な研究がかなり進んでいるのじゃないかと思うのですが、そういう点についてはどうなんですか。
  16. 佐久間彊

    佐久間説明員 お話の、煙そのものを真正面から消すということにつきましては、現在のところまだ有効な研究成果を得ておりません。
  17. 鈴切康雄

    鈴切委員 高能車消防活動可能範囲は、現在消防庁で持っている程度ではどれくらいなものでしょうか。はしご車とか、そういうような高性能車ですがね。
  18. 佐久間彊

    佐久間説明員 はしご車は現在大体十一階程度まで届くものでございます。
  19. 鈴切康雄

    鈴切委員 もう一度お聞きしますが、何メートルくらいなんですか。
  20. 佐久間彊

    佐久間説明員 三十三メートル程度でございます。
  21. 鈴切康雄

    鈴切委員 三十三メートル以上の、結局超高層ビルになりまするともはやそれは役に立たなくなるわけですが、そういうふうな、要するに超高ビルというのは、日本では推定大体どれくらいありましょうか。
  22. 佐久間彊

    佐久間説明員 数字はいま調べまして後ほど御報告します。
  23. 鈴切康雄

    鈴切委員 少なくとも三十三メートルの高性能消防車はそんなに数はないと私は思うのです。そうした場合、どんどんとこれから三十三メートル以上の超高層ビルが建っていくという状態になった場合に、上のほうで火災が起きたらもうお手あがりという状態になってしまうのですが、それに対して消火という問題に対して消防庁のほうとしては何らかの具体案を待っておられるかどうか。
  24. 佐久間彊

    佐久間説明員 三十三メートル以上の階になりまするとはしご車が届かないことになりまするので、それ以上の階の場合には、建物構造なり設備なりの面におきまして、自動的に火災を早く感知して早く処置ができるようにということを考えておるわけでございます。たとえば霞が関ビルなどの場合におきますると、先ほど申しました煙感知器、これを全部設置をいたしております。それからまた煙だけが集まって上へ吹き抜けますようにスモークタワーというものも設置させておりまするし、消火上の装置といたしましてはすべての部屋に全部スプリンクラーをつけさせております。そのほか構造上、設備上いろいろ私どものほうで考え得る事項について希望を申し入れて、大体それを採用しておるわけでございます。そういうことで、かりにはしご車が届かないで消防活動が若干おくれることがありましても、建物自体構造なり設備なり管理の上で、火を出さないように、出してもすぐ消しとめるようにという装置をいたしておるわけであります。それからなお消防隊も、消防隊専用エレベーターをつけさせておりまするので、はしご車の届かないところにはそのエレベーターを使ってすぐ現場に到達できるといったような配慮もいたしておるわけであります。
  25. 鈴切康雄

    鈴切委員 高能車の、要するにはしご車というのは、いまのところあまり数はないわけです。いざ火災が起きた場合に、それに対して時間的にも非常にかかるし、また言うならばいまあなたが言われたように、相当超高層の場合においては、いろいろ火災が起こらない構造にするとは言いながらも、やはり火災というものは当然今後考えられるわけであります。そうした場合に、いまのような長官の言われることであってはとても火災を防ぐことはできない。それで一つは、やはり空のほうから消火活動をしていくという立体的な考え方をもっとしていかなければならないのじゃないか。外国においては、やはりそういう超高層ビルに対する消火というのはそういうようなシステムをとっておるわけでありますが、現在消防庁としてはヘリは何機もないように思いますけれども、訓練にせよあるいはそういうふうな設備にせよ、今後はやはりどんどんとその点についてもっと消防庁としては考えていかなければいけない時代に入ったのじゃないか、こう思うのですが、その点についていかがでしょうか。
  26. 佐久間彊

    佐久間説明員 これは先生指摘のとおりでございまして、高層ビルにつきまして、構造施設の面でいろいろ配慮をいたしましても、結局それをうまく動かしていく管理の面において、また人間の操作の上で間違いがないとは限らないわけでございますので、それらの点については今後ともなおいろいろ対策を考えていかなきゃならぬということはお説のとおりでございます。  それから、ただいま御指摘のございましたように、空からの体制をつくるということ、これも全く同感でございます。現在ヘリコプターは、東京消防庁に一台ございまして、なお今年度予算でもう一機建設することにいたしております。私は、東京だけじゃなくて、大阪とか神戸とかその他の大都市におきましても、やはりヘリコプターを配置いたしまして、空陸一体となって大都市における防災体制をつくっていくという必要があると思っておるのでございます。そこで明年度予算につきましても、さらに二機ほど要求をいたしておるわけでございます。  それと同時に、空から消火をする技術の研究でございますが、これは消防研究所で重点的な研究事項といたしまして、すでに三、四年前からやっておるわけでございます。つい今日の初めにおきましても、岐阜県の各務原で実験もいたしたわけでございますが、なおいろいろと検討する余地がまだあるようでございますが、今後そういう面の研究につきましても力を入れてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 鈴切康雄

    鈴切委員 わが国の消防制度というものは市町村消防のたてまえをとっておるわけであります。市町村はその区域内における消防を十分に果たすべき責任を有するとともに、その経費を負担するものとされております。しかし市町村消防財政というものは、補助金の交付及び地方債のあっせんその他の面で助成指導はしているとはいうものの、実際にそれだけの力のないところの市町村がかなりぼくはあると思うのですね。いまだに市町村において、実際に人が押していかなければならないような、要するに旧式な消防体制しかできていないところもあると思うのですが、そういう点について、いま消防庁としては、市町村においてこれは非常に危険だというふうに調査されて、実際にここにはもっと強化をしなくちゃならぬのじゃないかという場所は推定どれくらいございますか。
  28. 佐久間彊

    佐久間説明員 どこどこの市町村が危険かといったようなことのお尋ねでございますが、私どもは全般的になお消防力が不足しておる、かように考えております。一つ数字を御理解いただくために申し上げますと、昭和四十二年における建物火災の一件当たりの焼失面積でございますが、これが東京の二十三区の場合におきましては二十七平方メートルでございます。それが一般の市の場合におきましては六十平方メートル、それから町村の場合におきましては百三十四平方メートル、こういうことになっておるわけでございます。しかも火災の出る率というものは逆に二十三区が一番高くて、町村が一番低いわけでございますが、出ました火災が一件の火災で燃え広がる面積というのが東京は二十七平方メートルということでございまするから、ほとんど一軒まる焼けになるということもなしに済ましているということでございますが、町村の場合になりますると百三十四平方メートルでございますから、平均いたしましても五、六軒焼ける。これは平均でございますから往々にして大火もあるということになるわけでございます。そういう点から考えてみますと、通常火災に対する消防力といたしましては、私は地方の小都市とか町村はまだまだ非常に貧弱であると思っております。昨年一年間に全国で二十棟以上焼けた火災が十五件ほどございましたが、そのうち十二、三件は全部町村で起こっておるわけでございます。そこで町村では、一つ消防ポンプあるいは防火水槽などの施設の面で貧弱であると同時に、先生指摘のように常備消防がございませんので、消防団の力だけにたよっておるわけでございまするから、どうしても能率的な、効果的な活動ができない場合が多いわけでございます。  そこで、私どものいまの考え方は、小都市なり町村部においては消防ポンプや防火水槽を早急にひとつ増強をしていきたいということ、それから都市のほうはむしろ科学消防力の増強をやっていくべきだ、かように思っております。  それと同時に、消防団地区におきましても、火災地点の多いところ、たとえば温泉地などにおきましては、これはなるべく早く常備化をするように指導をしていきたい。市町村の財政の事情もございまするから、一市町村だけで常備化をすることがむずかしいところにつきましては、数市町村で共同で組合消防をつくって常備化をするというようなこともすすめておるわけでございますが、そんなことで、どこどこだけを特に重点ということでなく、全体として消防力強化をはかっていきたいという考えで努力をいたしておるところでございます。
  29. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま長官からそのようにお話があったのですけれども、たとえて言うならば、北陸あるいは東北、北海道等においては季節風が吹くわけであります。冬になりますとかなり強い風が吹く。普通のときは確かにそれだけの消防力で足りたかもわからないけれども、特殊性があるような場合あるいはまた山間僻地、そういうところにおいてはすでに働ける男の人たちというものは全部出かせぎに出ているという状態の場合が多いわけであります。そうした場合において、女や子供でその消防力をまかなおうということはとてもできない状態なんですが、そういう点について私はもっともっと消防に対しては自治省としては力を入れなくちゃならぬじゃないか、こう思うのですが、新しい大臣の野田さん、いかがでしょうか、その点について。私がいまずっと論議をしてきましたけれども、それに対してあまりにも消防に対してはまかせきりというような状態であると思うのですけれども、私は人命という大きな問題をかかえていることを考えたときに、もっと消防に来年度は力を入れなくちゃならない、こう思うのですが、その点についてひとつ大臣。
  30. 野田武夫

    ○野田国務大臣 ただいまの鈴切さんの御意見でございますが、もう申すまでもなく火災というものは一番大事な人命にかかわるものであります。同時に財産の損失とか、率直に申しますと消防審議会等でずいぶん答申が出ていることを最近見ております。答申の内容はむしろおそ過ぎるのじゃないか。もう少しこれは早くから手をつけなくちゃならない問題が多い。いま一つ一つのことを私は申し上げませんけれども、たとえば高層建築物の問題でもいまお話しのとおり非常に欠陥があって不安が多い。これらにつきましてはきょうは私、御質問を拝聴しておりましてきわめて適切な御質問があったと思っております。これはもう私、自治省を担任する者といたしましては、旧来も相当努力はしておられましたでしょうが、一般的にどうも消防問題は事件が起こってから騒ぐようなもので、事前の心がまえというものが非常に足りなかったのじゃないか。消防庁あたりは一生懸命やっておったに違いありませんが、一般を通じてそういう傾向があったと思うのです。私できるだけ重要性にかんがみまして、ひとつこの対策に対しては積極的な努力をいたしたい、こう思っております。
  31. 鈴切康雄

    鈴切委員 それでは次に進みますが、石油化学の発展とともに石油コンビナートが各地に出現しておりますが、小は町々のガソリンスタンドに至るまで科学消防の整備が急務とされております。本年一月の千葉県下におきますところの三井ポリケミカルの千葉工場の爆発事故は記憶に新しいことだと思います。私も事実そこへ行ってまいりました。ごく最近は米軍の航空燃料輸送車を全学連などが襲うという計画等もあったということを考えたときに、こういう問題から繰り広がる災害というものはもう想像に絶する状態になる。またそれは私どものほんとうに寒心にたえないところであります。こういう事態に備えて消防庁は一体どのような対策をお考えになっておられるか。自治体消防の科学消防力強化についてのお考えをお述べいただきたい。現在の状況についてお話を願いたい。
  32. 佐久間彊

    佐久間説明員 科学消防力の整備につきましては現在整備五カ年計画を持っておりまして、年々化学車あるいははしご車さらに消防艇等の整備に力を入れてまいっております。現在化学車は約二百台ほどございますが、この化学車、はしご車につきましては国から三分の一の補助金を出しまして、なお残りの部分につきましては市町村の財政状況に応じまして起債を誘導するというような方針で、できるだけこれを整備するようにいたしております。  最近の状況では大体全国で危険物施設の相当ありますような都会に化学車が行き渡ったと思っております。ただ御指摘のような非常に危険な施設がたくさんあるようなところにつきましては、いわゆる石油コンビナート地帯でございますが、これにつきましてはなお不十分なところが少なくないわけでございますので、私ども一つはやはり企業が自衛消防力をもっと強化をしていかなければなりません。現在でも消防法施行令によりまして一定規模以上の企業につきましては企業自体が科学消防力を持つように義務づけておるわけでございますが、この基準もさらに検討いたしまして、もう少し強化をしてみたいと現在考えておるわけであります。それと同時に、関係市町村消防力強化もはかっていきたい。それから関係市町村一つの工業地帯で幾つかにまたがっている場合もございますので、そういうところについては相互応援協定を結ぶとか、組合をつくるとかいうようなことで共同して消防力の増強をはかるというような方向で指導をいたしております。  なお最近は海上におきます火災も続発いたしておりますので、これは海上保安庁と市町村消防機関と両方が競合する面もございますけれども、大きな湾港の場合におきましては、消防機関といたしましてもできるだけ水上消防力を整備するというような方向で昨年から消防艇に対しても国庫補助の対象にすることにいたしまして、この点についても努力をいたしておるところでございます。
  33. 鈴切康雄

    鈴切委員 消防法第四条によれば「消防長又は消防署長は、火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、」立ち入り質問を行なう権限を持っている。また同法二十九条によれば消防対象物やその敷地を使用し、処分したりすることができるほか種々の権限が与えられておるわけであります。  一月二十四日の千葉県の市原市の三井ポリケミカルの工場の爆発については、同工場技術室長が外国からの技術導入のため機密保持の約束がされておるので、外部の人を簡単に立ち入りさせることができないというような発言をしておるわけであります。私も向こうへ行きまして一切を調査してまいりました。ところがいざその現場の写真をとろうと思ったところが、機密保持のところだからひとつかんべんしてくれというふうなことを言っているわけであります。しかしあのような爆発がもし民家のすぐそばで起こるようなことがあったならばたいへんなことですけれども、それについて消防庁としては少し態度が甘過ぎるのではないか。そういう点については、たとえて言うならば、この化学工場においてはこういうふうな薬品を使っているがゆえにここにおいてはこれとこれとの消防剤でなければだめだというようなことの研究が少し足りないのではないか。ゆえに消防が来られて変な消防活動をされると爆発を起こすから困るというような、そういう懸念もあったと私は聞いておるわけですけれども、その点について、科学消防という点についてもっともっと研究をしなくてはならない時代がやってきたのではないか、そうしなければ時代におくれてしまうのではないかというふうに感ずるのですが、その点についてはいかがですか。
  34. 佐久間彊

    佐久間説明員 御指摘いただきました点は非常に同感の点が多いわけでございます。ただ第一の消防隊を中へ入れなかった、こういうような問題でございますが、私どもも調査官をやり、私も視察をいたしたのでございますが、爆発のおそれのある、誘爆と申しますか、最初の爆発に応じて次々に爆発するおそれが非常にありましたので、そこでこの方法といたしましては、まわりのものに冷却注水と申しますか、そして、そちらに飛んでいかないようにという方法をとったわけでございます。そこで会社の自衛消防隊と地元の市原市の消防署の消防隊でございますが、これは中に入ってそれでやったわけでございますが、その市原市の消防署とそれから会社の自衛消防隊で、その作業をするのに、人員としては十分であったということで、その後応援にかけつけました消防団の方々を中に入れないで、そとで待機をしてもらった、こういうような報告でございまして、あの場合についてはおそらくそれが真実であったろうと思うのでございます。しかし一般的に、聞くところによりますと、最近企業の機密が漏洩することをおそれてなかなか外部の者を入れたがらないというような傾きがありますことは、私も承知いたしておりまするが、しかし事火災ということになりますると、一企業だけのことにとどまらず、地元の住民の危険もあるわけでございまするし、これはやはり公の消防機関として、会社がかりにどのような態度をとろうとも、自分の判断で行動するのが当然である、かように考えておるわけでございます。  それからなお、この場合こういうようなケースに対する化学消防力の整備ないし研究がまだ足らないのじゃないか、この点につきましては、私も率直にそうだと思います。新しい化学薬品がどんどんできてきております。危険性を持った物品がどんどんできてきておるわけでございますが、それらの危険物品についてメーカーはこれは危険だ、危険だということはいわないわけでございますが、一体それがどの程度危険があるのか、それが火災なり爆発した場合に、どういうような対処の方法をとったらいいのかといったようなことにつきましては、新しい問題が次々に出るわけでございます。そういう点については、私ども消防研究所をさらに強化をしてやらせたいと思っておるわけでございますが、率直なところ研究者の数も少ないので、少し追われぎみになっておるという状況でございます。
  35. 鈴切康雄

    鈴切委員 私は一つは、こういうふうに化学可燃工場ができたということについては、水をかければかえって火勢を増す、そういうふうな化学薬品もあるわけですから、これは当然消防庁としては消防庁の立場から、むしろ総点検をする——あの工場に火災が起きた、それじゃこの薬品でなくちゃだめだというくらい迅速にそのことができるくらいの備えが必要ではないか、私はそのように思いますので、その点をまず要望しておきます。  次に地震あるいは風水害等の天災に対する救難対策についてでありますけれども東京とか大阪などのような過密地区において大地震等の天災が一たびおそった場合においてはどのような状態になるだろうか、こう考えたときに、身の毛のよだつような思いがするわけであります。おそらく関東大震災なんという比ではないのじゃないか、そういうことについて避難空地の確保、食糧、飲料水の供給確保などの備えが、平時からなくてはならないと思うのですけれども防災訓練あるいは避難訓練の励行も必要と思われます。また防災計画の周知徹底も不可欠であると思うのですが、国としては、これらについて自治体当局とどのような計画を立てて、平時、有事におけるいかなる方策を講じられておられるか、そのことについてまずお伺いいたします。
  36. 佐久間彊

    佐久間説明員 現在、災害対策基本法によりまして、市町村市町村の地域防災計画というものを立てなきゃならないことになっておるわけでございます。そこで、それぞれの市町村が地震なりあるいは風水害なり、あるいは火災なりの場合におきまして、どのような対策をとるか、特にただいま御指摘のございましたような住民の避難の問題でございますとかいうことは一番大事な問題の一つになるかと思いますが、そういう計画をつくらせることにしております。ただ、これを点検をしてみますと、その地域の実情に非常によく合ったように、もう地域ごとにここから水が出た場合にはこの住民はこっちへ避難をしろというようなことで、ふだんから徹底をさせておって、災害が起こりました場合に、もう人命の損傷がなくて済ましておるというようなところもございますし、一応作文としては計画はできておるけれども、練り方がはなはだ足りないし、住民にも徹底していない、こういうようなところもございます。そこで、私どもとしては市町村の地域防災計画というものを各市町村で必ずつくって、しかもその内容についてよく検討をして、そうして必要な事項については住民に徹底をさせておく、また訓練もしておく、こういうようなことをさらに強力に指導しなければいかぬ。実は先般十勝沖地震のときでもそういう訓練をしておりましたところについては、非常に整然と避難をして人命の損傷も出なかったというような事例もあるわけでございます。それから特に関東大震災のようなものが起こった場合に、これはもちろん通常災害とやや次元を異にした大きな問題でございますが、この点につきましても、学説によりますと、六十九年周期説というものがございまして、鎌倉時代以来の記録を見ると、あるいは六十九年というものは多少前後の幅はあっても関東地方に大きな地震が起こっておるということでございますので、私どもはその計算からまいりますと、あと十数年いたしますと危険期間に入るわけであります。あるいはまたその前にあるかもしれません。そこで、関東大震災級の地震が起こりました場合に、どういう対策をとったらいいかということは、いまのうちから真剣に検討をし、準備も体制も整えていかなければならぬ、かように考えまして、これは総理府のほうとも御相談をいたしまして、実は私どものところにございます消防審議会に諮問をいたしまして、現在いろいろ検討をしていただいておるところでございます。この検討をしながら各省庁とも連絡をとりまして大災害に対する、いろいろ御指摘のありましたような問題についてできるだけその準備をしていくようにいたしたい、かような考えでおるところでございます。
  37. 鈴切康雄

    鈴切委員 きょうは時間的に制約をされておりますが、この問題は相当重要な問題じゃないかと思うのです。いまあなたがおっしゃったように、天災というものはいつ何どき起こるかわからない、そういう状況下にあって、いま、現在のたとえば東京において、十勝沖地震くらいの地震が起きた、それもときがちょうど食事どきにぶつかった事態を考えましたときは、ほんとうにたいへんな問題が起きるのではないかと思う。一台の車がえんこしてももう一キロ、二キロつながるという状態、そういう状況下にあって、相当、人心が攪乱状態にある中において、いま東京都あるいはそういうふうな自治体にできておるところの防災計画というものは、計画だけであって実際に役に立たないのではないか、そういうことを私は実は非常に懸念に思うわけであります。このことについてはまた後日いろいろ研究の上お話もしたいと思いますけれども、きょうはその点、私は消防庁として、責任ある庁として、また自治省として少なくともこういう問題についてはもっと具体的に、そうしてこの普及については住民に、こういう問題が起きたらこうするんだということまで個々に徹底ができるようにしておかなければ、烏合の衆になってしまうのではないか、こう思うわけです。その点、大臣、いかがお思いになりましょうか。
  38. 野田武夫

    ○野田国務大臣 お話のとおりでございまして、ことに東京その他の過密地帯では関東大震災のことを想起しますと、お話しのとおりはだえにアワを生ずるような感じがいたします。これは、いま長官からお答えいたしましたが、一口に言うと、まだ対策が不十分であります。率直にこれは認めます。今後そういうことに重大な関心を持って個々の対策につとめたいと思っております。
  39. 鈴切康雄

    鈴切委員 それでは最後に一、二問お伺いしたいのですが、きょうは厚生省の方が来ておられますが、救急業務についてお尋ねいたします。  救急業務は、沿革的には大都市を中心とする消防機関の任意事業として行なわれてきたもので、戦後の社会経済の急速な成長に伴って急速に発展したものといわれますが、昭和三十八年の消防法改正により一定規模以外の自治体については救急業務を義務づけることになったのであります。ことに近年における交通事故をはじめとする各種災害増加に対処するために、救急業務の重要性は特に高まっているというべきであります。  そこでお尋ねしたいことは、これら自治体の救急業務に国はどのような援助なり育成措置をとっておられるかということであります。たとえば、救急車の整備について四十二年度まで国は約四千万の補助を出していたようでありますが、四十三年度からは補助は打ち切られ、交通犯則金の収入をもってこれに充てるようになっておりますが、この金額は現在までのところ幾らぐらいか、配分の少ない市町村ではこれで十分にやっていけるかどうか、その辺のところをお伺いいたします。
  40. 佐久間彊

    佐久間説明員 救急車の整備につきましては三分の一の国庫補助をいたしておるわけでございますが、年々その額も増加をしてまいっておりまして、大体地方の要望に沿い得る状況でまいったわけでございますが、ただいま御指摘がございましたように、四十三年度については交通安全交付金の制度ができまして、この交付金を活用して市町村が救急車を整備するというようなことにしてはどうだろうか、予算折衝の際にこういうような話になりまして、その交付金がそれに必要な分だけ市町村に交付されるものであるならばそれもよかろうということで、四十三年度は御指摘のように補助金からは落としたわけでございます。しかし、その予算折衝当時には、具体的に市町村にどのくらい交付金がいくかということがまだ計算ができていなかったのでございます。その後数字が算出されてまいりますると、小市町村の場合にはとてもそれで救急車を買うというだけのほうに回すわけにいかぬ、ほかの交通安全施設にもやらなきゃいかぬ、こういうような実情がわかりましたので、四十三年度におきましても、ほかの消防施設に対する補助金の中から約二千万円流用することに大蔵省と話をいたしまして、人口四万で、新たに救急業務を義務づけられた市でございますが、これの分につきましては、従来どおり補助金を交付するというような措置をいたしたわけでございます。  そこで、四十四年度でございますが、私どもは、どうも交通安全交付金が期待しただけ市町村にいっておりませんので、四十四年度からまた従前どおりに救急車に対する国庫補助金を復活するようにしたいということで現在要求をいたしておるところでございます。
  41. 鈴切康雄

    鈴切委員 最後に、厚生省ですが、救急指定病院についてちょっとお聞きします。これは過去数回新聞の社会面にも大きく取り扱われた問題でありますが、交通事故などの場合、保険対象の取り扱いを受けられないので、運び込まれた救急指定病院で、暴利ともいえるような巨額の医療代を請求された事例があります。一体こういうような事態を防ぐためにはどんな処置をとっておられるか。救急病院の指定はどのように行なわれ、その業務の運営について国なり自治体はどのような関係を持っておられるか。救急病院は地域ごとにただ一カ所で、患者なり家族の選択の自由はないのであるかどうか。もしそうだとすると、こんなところが悪徳病院の暴利をはびこらせるのだと思うが、これらについてどのようにされているか、そのことをお伺いいたします。
  42. 上村一

    ○上村説明員 まず第一点の医療費の問題についてお答え申し上げます。交通事故の場合も医療保険の給付として医療が受けられるわけでございますので、私ども保険者なり被保険者なり医療機関に対しまして、交通事故の場合にも医療保険が適用できるのだということを周知しております。これが第一でございます。ただ、問題は、交通事故の場合には自賠法が適用になることが多うございますから、患者のほうで、保険給付じゃなくて自費診療を選ぶ場合が間々ございます。そういう場合に、相当多額の診療費が請求されてあとで問題になっているのじゃないかというふうに考えております。  それから救急病院なり救急診療所の状況でございますけれども、御案内のように、三十九年の二月に、厚生省令——消防法に根拠を置くのでございますけれども、救急病院等を定める省令をつくりまして、それで一定の基準をきめたわけでございます。御案内のことと存じますけれども、その一つ基準と申しますのは、相当経験のある医師が常時診療に従事しておる、それから必要なる施設なり設備というものを持っておるということ、それから救急隊が患者を搬入するのに適した構造設備を持っていること、それから常時病床を確保しているということ、こういう基準に合いましたものにつきまして、開設者から知事あて救急業務に協力したいという申し出があった場合に、告示をすることになっております。これが救急病院、救急診療所といわれるものでございますけれども、ことしの十月一日で、その総数が約四千、正確に申し上げますと三千九百九十八カ所、このうち二千四百六十というのが病院でございます。この省令ができました直後の三十九年八月当時では、こういった病院というのが千八百八十ばかりでございましたから、ここ数年の間に相当救急病院、診療所の網の目は広がったものじゃないかというふうに考えております。  それから最後に、救急病院なり診療所というのはその地域に一カ所ぐらいしかないので、患者に病院なり診療所を選択する自由があるのかないのかということでございますが、救急隊によって搬送されます場合には、最も近いところに運び込むのが、たとえば交通外傷の場合にどうしても必要になってまいるのじゃないか。その時点では、多くの場合に患者に選択の余地はないと思いますけれども、入院後患者が希望すれば、患者の病状とそれから主治医の話し合いによりまして、転医することは可能でございます。
  43. 鈴切康雄

    鈴切委員 以上をもって質問を終わらしていただきます。
  44. 大石武一

    大石委員長 ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  45. 大石武一

    大石委員長 速記を始めて。  質疑を続行いたします。高田富之君。
  46. 高田富之

    高田委員 私は、大津市に現在起こっております具体的な問題をとらえまして政府のお考えをただしたいと思います。  この問題は、一言で申しますと、おそらく他にも似たような例がたくさんあるのではないかと推定される事柄でございまして、最近における土地ブーム、地価の急速な値上がりということに原因しますところの私企業の地方進出、大規模な土地の買収と地方自治体のこれに対処するあり方にかかわる問題でありまして、大津市の特殊な問題とばかりは言い切れない時節柄非常に注目すべき重要な問題だ、かように考えますので、この際特にこの大津の問題を取り上げて御見解を承るわけであります。ひとつ明快に御回答願いたいと思います。  私きのうもこの質問の事項をお知らせしてございますので、内容を十分調査されたと思うのでありますが、おそらく事情はよく御承知と思います。ですから詳しいことは申し上げませんが、概略を申し上げますと、結局この問題は大津市に合併される以前の滋賀県瀬田町で、昭和三十三年ですから十年前に起こった問題が、今日、昭和四十一年に大津市に合併されまして大津市議会でこの春問題になっております。そういう問題でありますが、その瀬田町で昭和三十三年当時に起こりました問題は何であるかといいますと、西武鉄道が瀬田町の橋本、神領、大江という地区、丘陵地帯ですが、ここで土地の大規模な買収を行ないました。公簿で約六十万坪、実測で百万坪以上と見られております。この買収にあたりまして、当時の価格、一坪百七十円で西武が買収をしたのでありますが、地主が安過ぎるというので円滑に買収が進まないということから、瀬田町当局といたしまして坪五十円補給いたしまして、二百二十円にして地主に支払ったということでございます。ここから問題は発生するのでありますが、当時瀬田町は赤字再建団体としての指定を受けておったはずでございます。この事実に間違いがありますかどうですか。もし間違いなしとすれば、赤字指定団体である瀬田町がこういうようなことで——もちろん名目的にはこの当時は観光地帯をここへつくるのだ、観光施設の誘致だということで、町のために、将来の発展のためになるという名目はございましたでしょうが、そういうことで三千万円からの金を、もちろんこれは銀行から借り入れをして補給をしておるわけであります。さようなことが赤字指定団体である瀬田町にできるものであるのかどうか、このこと自体すでにおかしいと思うのでありますが、当時赤字団体に指定されておったかどうか、おったとすればそういう団体に対する特殊な財政上の非常に強い管理があったはずであるのに、どうしてこういうことが行なわれたのか、その間の事情について御説明願いたいと思います。
  47. 細郷道一

    細郷説明員 当時赤字指定団体であったかどうか、ちょっといま事実を確かめて御返事を申し上げたいと思いますが、私どもも瀬田町が赤字団体であったという事実は承知をいたしております。もし指定団体でございますれば、当初計画、いわゆる再建計画に入っていない仕事をやろうとすれば、その分についての変更手続が必要であったと思うのです。
  48. 高田富之

    高田委員 現在はっきりしていないということですが、当時赤字団体に指定されておったのであります。もう一ぺんお調べを願いたいと思うのであります。おったのでありますから、あなたのおっしゃるとおりそれを何ら認可を得ずにないしょでこういうことをしておったということになるわけであります。これがまず第一の問題です。  それからこれはいま申しましたように出す名目は観光施設の誘致ということでございまして、契約書もここにございますが、明らかに契約書にも観光開発ということがうたわれておるわけであります。ところがその当初の計画では、目的が非常に厳格に観光事業ということに限られておりまして、もしこの目的以外に利用するようなことがあれば契約不履行ということになるから、地主には無条件で土地を返し、またそのことのために町が借財をして補給金を出したわけですから、その三千万円の町の借財は西武鉄道が返済するということが明確に明文をもって町と西武鉄道の間に、また西武鉄道と売り渡しました個々の地主との間に契約が取りかわされておるのであります。  しかるに第二の問題は、そういうことであったにもかかわらず、それから八年を経過いたしまして大津市に合併する直前に至りまして、その間に一部ゴルフ場をつくったようでありますが、しかしながら大部分は、九十何万坪というものは放置されたままになっておりまして、八年後の四十一年九月に契約を突然更改しておるのです。前の契約を破棄いたしまして全く新たな契約に変えております。ちょうど合併の直前でありますが、瀬田町当局と西武鉄道の間で契約の書き直しをやっておりまして、実はこの契約の更改で性格を全面的に変えてしまっておるのです。もう第一条から変えております。つまり西武鉄道がこの土地を観光施設以外に利用してもよろしい、こういうことが明文をもってうたわれるようになりました。ところが、このことはもちろん地主のほうへは通知はしていないわけであります。町当局と西武鉄道の間で行なわれた。ですから初めの契約でいけば、当然借金をして補給しました金は西武鉄道において返済をするわけなんですが、これがこのときの契約によりまして、この借金三千万円は、結局町が銀行に返せない。そこで町にかわりまして西武鉄道のほうで返済をする。そうして町は西武鉄道に町債を発行いたしまして、将来西武の土地造成が終わったあとで、そこからあがってくる固定資産税をもって毎年百万円ずつ三十年間でその町債を西武に返していく。西武がこれを全部引き受けた形で、西武に返していく、こういう契約にしてしまったのであります。しかもこのとき、そういうふうに観光施設以外に使えるという約束をやりますと同時に、ここを高級住宅地にするという計画が町と西武鉄道の間ででき上がりまして、将来二万数千人の人口を擁する広大な庭園のついた高級住宅地を造成する、こういう計画になっております。その計画書もここにありますが「瀬田庭園都市住宅地計画」こういうふうにすっかり変わってしまったわけであります。しかもこの変わってしまった計画に対しまして、発行された町債の三千万円は西武に払うわけでありますが、これをそのまま合併いたしました現在の大津市が引き継いでおるわけであります。  そこで、初めのことでさえも赤字団体でそういうことをかってにやったということ自体、認可を経ないでやった行為なんでありますが、さらに重ねてここへきましては、その大義名分である観光施設誘致というのが飛んでしまいまして、高級住宅地建設に変わっておるにもかかわらず、町債を発行して、そうしてこれが現在市に引き継がれている、こういうふうなことになっておりますが、はたしてこういうふうな私企業の宅地造成による営利行為に対して地方債を発行するというようなことが、財政法五条にも明記してありますが、これに照らしまして許されるものであるのかどうか、合法的なものであり得るのかどうか、この点をひとつお伺いいたします。
  49. 細郷道一

    細郷説明員 いまちょっと電話で確かめましたが、先ほどの再建団体の指定は受けていないようでございます。  いまお尋ねの起債の問題でございますが、当初地主と西武の間の売買価格が低いので、それを補助するような形で町が出したということですが、その出した分の財源を起債に求めるということは、地方財政法五条から見まして該当しない、こういうふうに思っております。
  50. 高田富之

    高田委員 そうしますと、これは違法のものであるというわけでございますね。
  51. 細郷道一

    細郷説明員 そのとおりです。
  52. 高田富之

    高田委員 そこで市議会で本年の二月に議員が市長にそういう質問をいたしておりまして、いまお答えのとおり、これは非合法のものである。当局もはっきりもちろん認めております。したがって町債現在高というものには記載されておりません。結局やみのものでございます。したがって、これをどうやって返すのだという質問もあるわけですが、借金だから返さないわけにはいかないけれども、非合法の借金だから帳面に書いておくわけにもいかないのだというような答弁をいたしておる。非常にでたらめなことをやっておるわけであります。  そこで当初の契約は三者契約みたいになっておりまして、地主と西武鉄道と町当局であります。もし目的と違ったことに利用するということになれば、これは契約不履行とみなす。したがって借金は自分で払うし、土地は無条件でお返しするのだというようなことを地主に約束してありますから、現在地主は町議会のこういう問題等もありまして、西武鉄道に対してどうしてくれるのだというようなことを強く要求しておる、運動が起こっておると聞いておるわけであります。これはおそらく法的に申しましても、地主側のこの主張は正当である。なぜならば、そういう最初の契約を取り消すということについて、地主は何の相談も受けておらないということがありますので、これはかなりむずかしい問題だと思われるのであります。しかしこれをこのまま放置しておくわけにはむろんいかないのでありまして、これに対して監督官庁としましては、この不法に出されております地債をどうするか。それから当初の計画と全然違いまして、現在はおそらく時価一万円から二万円といわれている。百円そこそこで買った土地が、坪一万、二万ということになれば、何百億というようなもうけになる。こういう不当な私企業の利益に盲目的に奉仕しているのだが、どういう裏があるかわかりませんが、地方自治体がこういう全く言語道断なことをやっておることに対して、私はこれはきわめて重大な問題だと思うのですが、大臣、この種の事件は最初にも申しましたように、時節柄相当方々に起こっておったかもしれない、今後も起こり得るかもしれない、これに対しまして、はっきりとした政府の考え方、これに対する処理方針というものをお聞かせ願いたいと思うのです。
  53. 野田武夫

    ○野田国務大臣 瀬田町の土地処分、処理の問題、いまお話を承りましたが、これはやはりきわめて重大であり、内容が事実であるとすれば、不適当な措置をやったものだと思っております。これらにつきましては、関係方面とよくさらに調査を進めまして、その結論によっては私どもも態度をきめたいと思っております。その結論がどう出ますか。しかし、それはいまお話しのことが大体事実のようでございますので、適当な処置を考えたいと思っております。
  54. 高田富之

    高田委員 当時の、この二月の市議会の速記録を私は取り寄せてみたのでありますが、これは相当詳細に質問されております。それで、それに対しまして、市長の答弁はほとんどございません。ほとんど抽象的な答弁でもって、おそらく答弁できなかったのだろうと思うのでありますが、これはたいへんなことだと思うのです。この質問に対しまして、こういうことを言っておる。これは市長ですよ。西田市長。「西武の方から来た書類を見ますと、庭園の住宅地になるということでありますが、どうも初めの約束と違うじゃないかというご指摘でございますが、いろいろあそこの開発につきましては、お互いに力を合わせてやっていかなければならないことだと思います。瀬田町時代にとられた事情もよくわかりますし、また合併でこういう問題を持ち込んできたあの土地でございます。養子をもらったわけでありますが、養子には多少足りないところもあって問題があったんじゃないかと思いますけれども、われわれといたしましては、せっかく来たものを皆がこれをうまく育てて、りっぱに役立つようにしていくことが必要じゃないかと思うわけでございます。」、これっきり答弁していない。何だかちっともわからないのです。やっかいな養子をもらっちゃったけれども、育てる意思はあるということを言って逃げているのですが、これは私はこのままで放置しておくわけにはいかないと思うのです。これは非常に重大でございますから、思い切った処置をとって、こういうようなことがほかに今後ないようにしてもらわなければ困ると思う。  おまけにもう一つここでわれわれが指摘しなければなりませんことは、この新しい契約によりまして、庭園都市住宅地計画、こういうものになったわけでありますが、これに対しまして、市のほうは公共施設をつくる上で全面的に協力するのだという約束が新たな契約の中ではかわされております。西武が当該観光開発その他の事業を遂行するにあたり、道路その他の公共施設の設定の必要あるときは、甲は、大津市はこの施工について全面的に協力するものとする、こうなっておりまして、道路、幼稚園、小学校、中学校の建設、上下水道、下水道、それから公民館、市役所の支所、出張所の建設など、こういう点で公共施設を市の費用でやっていく、全面協力というその内容は何かというようなことも質問されておるわけですが、文書では、全面的に協力するということになっておりますから、金を出してやるとかなんとかということは書いてありませんが、実際には予算面に一部顔を出しておるということでこれは追及されておるわけですね。予算面にすでに道路の調査費用なんか全部計上されておる。そうすると、この全面協力の約束というのは、市の費用でこれらの公共施設をやるという意味じゃないかという追及を受けております。これに対して明確な答弁がないのであります。ですから、もしこの上さらにこういうことでも協力するなんてことになったら、これはたいへんなことなんだ。ぬれ手でアワみたいにただで大金もうけをする、何百億も金もうけをするやつに一生懸命お手伝いをしておるということになってしまう。いまはむしろ逆なんでしょう。おそらくこういう宅地造成なんかを民間業者がやる場合には、市のほうにたくさん金を寄付させる。それによって利益を受けるわけでありますから、公共施設等については造成するその業者のほうで負担をする。それは道路、学校などでも全部寄付してつくってやるのが通例だと思うのですが、まさにこれは全然逆でございます。ですから、こういうふうなことも放置しておけば、どこまで進んでいくかわからないのでありまして、これらについては、こういうふうな事例はほかに現在ありますかどうですか。あるとすれば、そういうものについてはどういう指導方針をとっておられるのでありますか。
  55. 細郷道一

    細郷説明員 昨日先生から御連絡もございましたので、時間の範囲内で調査をいたしたわけでございます。もちろん十分な調査ではないと思いますが、いろいろ中身を見てまいりますと、非常に複雑でございまして、簡単に結論は出しかねるとは思いまするが、いまわかりました範囲では、一つは、やはり土地の買収費の評価額の低いのを補うために補助を出したということが、地方団体が公益上必要あるものとしての補助支出になるかどうかという点が一点あるのと、それからいま一つは、その補助金支出の財源を地方債に求めて——地方債に求めること自身補助金支出には私ども該当しないと思いますけれども、さらにその起債自体を許可を受けないで行なっておる、こういう点が私どもとしてどうも適当でないし、あるいは違法なものを含んでおるのじゃないか、こういうふうに思っております。いろいろ聞いてみますと、町としましては、小さな町が町勢の発展を何らかの形ではかりたいという気持ちのあまりに、そういった方向に出たのではないだろうかという気がいたすのでございまして、やはり小さな地方団体におきましては、ややもするとそういった弊におちいりやすい心配のある点でございます。私どもも、そういった点につきましては公益上の判断を誤らないようにということで絶えず指導をいたしております。  いま具体的に他に例があるかということでございますが、いまのところ私ども実は材料を持っておりません。しかし、考え方といたしましてはいま申し上げましたようなことで、公益上必要であるかどうかの判断を間違いのないようにということで強く指導いたしておるというところでございます。
  56. 高田富之

    高田委員 そういう点での協力につきましては、そのほか、たとえば法的に森林法や砂防法でもって規定されております保安林などを解除させるというようなことについても責任をもって市が折衝して、要望に沿うようにするというようなことで運動しておるのですね。とにかくこういう面では至れり尽くせりなんです。だから、これはおっしゃるように、中小都市が市の発展というようなことでいろいろくふうをしたあげくにというようなことで、心情的に同情する余地がある、そういう例もなくはないと思うのです。しかし、このケースに関してはちょっとそういうものは当てはまらないと思うのですね。西武がここに目をつけたのは、この計画の冒頭のほうにも書いてありますけれども、名神高速道路ができ、その付近にインターチエンジができ、それから国鉄の瀬田駅が新設される計画があるとかということをずっと前から知っておって、そうして投機的に膨大な土地を買い占めて、八年間持っておったわけです。最初のうちは観光施設という名目のこともありますから、ごく一部にゴルフ場みたいなものをつくったというようなことはありますが、実際は将来の値上がりを見越しての投機であることはだれが考えても明らかです。当時からそういうことを言われておった。土地投機だということを指摘されておった。それがはたせるかな、そのとおりに契約書まですっかり書きかえられて、分譲住宅みたいなものになってしまった。これは非常に意識的なものだと考えられます。非常に悪質なものだと思うのです。小さい都市で工場を誘致するというようなことで、お互いに競争しながら、いい条件を出しあって自分のところへぜひ来てもらおうというようなことで、ある程度のサービスをして誘致するというような例は間々あることですけれども、この例のようなのはちょっとないと思うのです。契約書で明らかなとおり、最後は完全な建て売り住宅か何かにして大もうけをする計画にすっかりなり切っちゃっているわけなんですから、そういうものに対しても市が財政的に協力し、そのほかあらゆる面で援助協力しているというのは、これはただごとではない。これは何かあると見ざるを得ない。自治団体自体が非常に腐敗しているんじゃないか。その進出してきた西武鉄道自体の問題も、もちろん強欲なやり方に問題もありますが、そういうものにこれほど度はずれたサービスをする地方自治団体の理事者というものの側にも相当問題があると常識的に見ざるを得ないのです。ですから、これはただ普通のありふれた問題のようなあれではなしに、どうか相当厳然とした態度で処理してもらいたいと私は思うのです。無条件で地主に返してしまうか、もしそれができないなら相当の損害賠償をとるということでもしなければ、何百億の金をむざむざともうけさせるためにこんな不当なことを自治体がやるなんということはあり得べからざることだと思うのです。  ですから、以上申し上げましたような実情を十分お考えを願いまして、ひとつ断固たる処置を早急にとっていただきたい。あまり先にいかないうちに明快な結論を出してお示し願いたい、こう思いますので、再度、重ねて大臣のお考えを承って、質問を終わりたい、こう思います。
  57. 野田武夫

    ○野田国務大臣 本件についての高田さんの御意見は傾聴すべきことだと考えております。しかし、やはりさらに事情を精査しまして、その結果におきましては、もとより適当な処置をいたしたい、こう思っております。
  58. 大石武一

  59. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、決算委員会に来て質問するのはきょうが初めてなんでございますが、初めて質問する事案についてはまことにどうも、あまりおもしろくない事案で、それもそう大きな問題ではないのでありますけれども、私ども国の問題をあずかっております者から見ますと、どうも地方自治体におけるいろいろの財政上の処理というものが、きわめて安易な形で処理をされておるような感じがしていたし方ないわけであります。  そこで、きょうは、これは個別的な案件でありますけれども、おそらくこういう個別的な案件が、必ずしも会計検査院なり自治省なりあるいは文部省等において、正確に把握をされておるかというと、その点については私は必ずしも正確に把握をされていなくて、そういうことが既成事実となって、この前もあれでいけたから今度はこのくらいなことならいいのだろうというようなことで、たとえば補助の問題について申しますならば、国のほうでは補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というようなものをきちんと定めて、かなりきびしく補助金等の処置をすることにはしておるのであります。ところが、この補助金等がどう使われたかということについての精査は必ずしも十分に行なわれていない。そして、大体そういう精査を行なうときには、一般的に帳面上だけの処置で行なわれておるものでありますから、ややもすると、そういう点について不正または不当があっても見のがされておるという事実をきょうは二、三指摘をして、今後の自治省の行政の上に、あるいはまだ入っていないと思いますけれども、文部省の行政の上においてそういうことをひとつ反映をしてもらって——これはすでに起きたことでありますし、私は、自治省なり文部省当局に瑕疵があったとは思いません。しかし、こういう事例指摘をいたしました以後においては、こういうことが再び起こらないような処置については十分配慮をしてもらいたいと考えるわけであります。  そこで、現在自治省しか入っていないと思いますから、自治省の案件から少しやることにいたします。  実はこれはまだ正確にきまっておるわけではないようでありますけれども、すでに淡路島の洲本市で言われておることでありますが、洲本市に洲本第二小学校という学校がございます。この洲本第二小学校という学校は、実は現在市役所の建っておりますところにもとは建っていたわけであります。ところが、市が市役所を建築するために、ひとつそこをかわってください、こういって移転をいたしました。移転をした先はどこかと申しますと、洲本市汐見町と申しまして、もと旧制の県立淡路高等女学校が所在をしておりました場所で、その場所は戦後県立洲本実業高等学校ということになりまして、それが実は宇山という周辺の地帯の山の上に移築をすることになりましたから、そこがあき地になっておりまして、この県立洲本実業高等学校のあき地を県から払い下げを受けて、いまの洲本第二小学校というのはそこに移転をした。その移転をした横に、まだその当時のこの学校の運動場が実は残っておるわけであります。これは現在はこの小学校の運動場ということでなしに、市の教育委員会が管理をしておる土地ということで、事実上は洲本第二小学校が運動場として使っておるという土地があるわけであります。その洲本第二小学校がいまの市役所の位置から県立洲本実業高等学校のあとへ移転をいたしますときに、南側のほうに鉄筋で六校舎建て増しをしてもらう、体育館を建ててもらうということを何かPTAは条件として市と話をした結果、当時の市長——いまの市長でありますが、それは承諾いたしましたということで移転をした。ところが、移転をしても一向にいまの約束が守られない。そのうちに、最近でありますか、市長選挙が行なわれることになった。そこで市長は、その際に、PTAのほうから一体あの約束はどうなったのですかということに対して、それは必ず実行いたします、こう約束をした。その実行の内容というのはいま私が指摘をした運動場ではないのですが、運動場に使っておるそういう県から払い下げを受けたあき地を、どこかに売りまして資金ができるわけです。その資金で——県の財務事務所がいまやはり洲本市にあります。この財務事務所も非常に老朽した財務事務所でありますから、これもやはり宇山というところに県は総合庁舎を建てるということでこれが移転をする。そのあと地を、いまの県から払い下げを受けた土地を売ってて、今度は県の財務事務所のあと地を買う。その買ったところの県の財務事務所の場所は非常にいい場所でございますが、その道路に面した土地の部分をまた売って、それで得た収入で体育館を建てましょうという話になっておるというふうに実は伝えられておるわけであります。私は、いまの一連の問題をずっと調べてみまして、一体洲本市は県から払い下げを受けたもの、それはおそらく何らかの使用目的を明らかにして払い下げを受けておるのだろうと思います。特に教育委員会が管理をしておるという以上は、当然それは教育委員会が所管をすることに使うということをもって県から払い下げを受けておる。その土地を売り払って収入を得る。これがまず第一点としてすでにおかしいわけであります。その次に、今度は県の財務事務所のあと地を手に入れる。これは、どの金で手に入れるかは別として、また手に入れる。これも財務事務所の土地を市が払い下げを受けるのは、転売をして利益を上げることを目的として県が払い下げるとも思いませんし、市にそういう利益を与えようと思って払い下げるなどということにはならぬと思いますし、当然やはり市が市の公共的な目的に使用するという条件に基づいて兵庫県が洲本市に払い下げることになるだろうと私は思う。    〔委員長退席、華山委員長代理着席〕 ところが、またそこを売ってまた利益を得たので、今度は体育館を建てる。二重に入っておりますので、これは公有財産の払い下げを受けるということと、その使用の目的の問題、ここに私は非常に重要な問題が一つあると思うのであります。  私ども、実は国有財産の問題について、大蔵委員会でいろいろやっておる中で、非常に不当な使用が行なわれておることが払い下げ以後にわかるわけです。払い下げて、当然そんなことにならないと思っておったのがたちまち転売されて、一カ月のうちに何億という金もうけをしたという例が実は名古屋で起きまして、そこでこの問題を処理した結果、その後国有財産の払い下げについては必ず用途指定をするということに改めた例が実はあるわけであります。私は、県がどういうふうになっておるかわかりませんが、県といえども公有財産を地方自治体に払い下げをする場合には、そう無責任な処置をしてもらったのでは県の意思に反することでもあるし、自治省の指導のもとにおいてそういうことは行なわれるべきではないと私は実は考えるわけです。この点について事務的には最初に局長からお答えをいただいて、あとで大臣のお考えも承りたいと思います。
  60. 細郷道一

    細郷説明員 財産を払い下げます場合に、一般的にはその目的を定めて、その条件のもとに払い下げをするということがやはり原則だろうと思います。ただ、公有財産というのは必ずしもそういう目的を定めて払い下げをするのに適当なものばかりかどうかといったような問題がございます。たとえば、道路用地を取ったあとの三角地であるとか、あるいは経済的に非常に価値の少ない、将来あまり値上がりもしないだろうというような土地もいろいろ持っておるわけでございますので、一律的にそういう考えを押しつけることはいかがかと思います。その辺はよく理事者なり、あるいは関係の議会なりにおいて判断をすべきことではないだろうか。ただ、いずれにいたしましても、町民の多くの人には納得が得られるような財産処分の方法ということが必要であろう、こういうふうに私ども思っております。率直に申しまして、国有財産もそうであろうと思いますが、地方団体有の財産も実はなかなか整備、管理がつきかねておるというのが現状でございます。特に地方団体の場合には戦災に会っているといったようなことから、財産の台帳も全く焼失している、あるいは整備すべきことがわかっていながら整備するに至らぬうちに焼けてしまったというようなこともありますので、本来非常にむずかしい財産管理であるにもかかわらず、さらにそれに加えてそういった事情もあるといったようなこともあります。したがいまして、最近各地方団体におきましても、財産管理の重要性ということから、乏しい中から多少の人をふやしてでもそういうほうの整備に尽くしておるというのが現状でございます。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 一般的にはおっしゃるとおりだと思うのです。抽象論としてはいまおっしゃるようなことは確かにあると思いますが、私がいま具体的な事例を示して指摘いたしましたのは、本来学校施設等に充てるためということでおそらく払い下げを受けたから、その管理が教育委員会の管理になっておるということではないのか。その教育委員会の管理になっておる土地は、だから目的としては、県はそういう教育目的に使用するという前提で考えておる。教育目的に使用するためには、売った金で何かを建てることは、教育目的として使用すると私どもは理解しないわけです。ですから、当然それは教育目的として、運動場として使用する。それは学校の運動場でなくても、市民運動場として社会教育のために使っても私は問題ないと思いますけれども、売り払ってしまうということは、やはり県の当初の目的に違反しておるのではないかということが第一点。  第二点は、県が財務事務所を売ります。これも、そこは広い道路になっているわけで、道路を広くするわけでも何でもないわけです。道路に面したほうが値段が高いにきまっている。値段の高いほうを売って、その金によって新たに買う、この関係はこっちのほうが町中ですから値段が高い。単価が高い。だから払い下げの場合には、価格としてはそんなに違わないかもしれないけれども、単価の高いところを売って利ざやをかせぐということだと私は理解している。そうでなければ理解できないわけです。二重の手間をかける必要はない。片一方を売った金ですぐやればいい。そこをまたすぐ売ったということは、それによって利ざやをかせぐ。市の財政も多少窮屈でしょうから、それでもいいことだくらいに思っているかもしれないけれども、公共団体が公有財産の払い下げを受け、利ざやをかせぐということはおかしいのじゃないかということを伺っているわけです。その点をちょっと……。
  62. 細郷道一

    細郷説明員 先ほどは一般的なことを申し上げたわけですが、いまお話しの事例は、実は私どもも詳しいことは承知いたしておりません。したがいまして明確なお答えはいたしかねますが、お話のとおりであるとすれば、やはりあまり適当な措置ではなかったのではないか、もう少し慎重な態度がほしかったのではないかという気がいたします。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 いま私が申しているのは、売っちゃったというのではない、そうしたいといっているのです。すでに売っちゃったのなら、私はここであまり議論してもしようがないけれども、これからそうしようということです。県の財務事務所があるのです。払い下げてはいないわけです。市の教育委員会の管理地というのはこれはすでにあります。しかしそこらは自治省が指導して、やはりもう少し適切な処置、要するに教育委員会の財産は今後とも教育目的に使いなさい。それからもしそういう財源があって、そういう体育館をどうしても建てなければならぬというなら、そういうことは文部省を通じて処理なさい。いまの話から聞くと、市で全部やってしまうということのようです。それだからそういう金が特に要るのだろうと思うのですけれども、やはり行政上の筋目、折り目をただすという意味から、私は当然行政指導が行なわれてしかるべきだと思います。ですから私はそのことについてちょっと触れたわけです。  そこで、ちょっとあまりこまかいですから私もつまびらかにしておりませんが、いまの洲本市の財政規模というのは大体どのくらいですか。大体でけっこうです。感触でもいいです。
  64. 細郷道一

    細郷説明員 ちょっと正確にわかりかねますが、数億、十億近くじゃなかろうかと思います。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、実は最近ずいぶん、よく土地や何かを売るような話があるので、県を通じて調べてもらいますと、昭和三十八年から四十二年までの五年間に、約三億八千六百万円の土地売り払い代金が入っているわけですね。これはいまおっしゃるように、抽象的な問題として、当然売らなければしようがない土地もあったでありましょうし、まあいいと思うのですけれども、やはり行政上のいろいろなたてまえとして、地方財政というのは、本来的には——まあ自分たちのそういう財産というのは、御承知のように現在土地の価格も非常に上がってくるわけですから、将来の公共的な目的のためには持っているものはできるだけ持って、そうして処置ができれば処置をするというのが、地方自治体としては賢明なやり方じゃないかと私は思うのですね。あるものを売っちゃって、さあ今度何か要るというときにはたいへん高い費用を出さなければ土地が買えないというのがいまの日本の現状ですから、そういう意味ではこれは確かに必要がないという問題もあるでしょうけれども、私はここに一つ問題があると思いますのは、ある期間中に市長なら市長というのが何か仕事をしたい、財源はない、ちょうど見ると、そこらに少し公有地があるからこれを売っちゃって、自分の在職中にあれやった、これやったということにすることが、何か当面の市民に対して仕事をしたように実は見えると思うのですね。これは必要なものもありますから、公有財産を売ってでもやらなければならないものもありましょう、財政規模の小さいところは。ありましょうけれども、そこにはおのずから一つの権衡といいますか、全体をにらみ合わせての問題があるのじゃないか。だからその場合にはあまり無理をしないということでないと、結果としては市民が長期的には損失をこうむることになるのじゃないか、こういう感じがするわけです。大臣にこの点を締めくくってお伺いをしたいのですが、私はやはりあとからいろいろもう少し具体的な問題に触れるわけですが、やはりもう少し地方行政も、自治体、もちろん議会もありますが、ややもすると、地方自治体の議会というのは市長との関係において、市長が、ひとつ頼むというと、いろいろ今度は逆に議会が用事を頼むものだから、ややそこらは国会みたいなふうに割り切ったことが行なわれにくい条件が、地方議会というところはあると思うのですね。その結果は必ずしも住民にプラスしない場合もあり得るわけでありますので、そこらについて、やはり地方自治体といえども長期的な住民の利益というものを考えながら、節度のある行政を行なうべきではないのかというのが私のいまの事案に関する意見でございますが、大臣はどういうふうにお考えになるか、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  66. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いま堀さんの御指摘になりました洲本市の県有地払い下げ、なるほど、だいぶ込み入っているようでして、いままでの教育委員会が管理している土地をまた売って、県の財務事務所のあるところを買って、それを売っていろいろ公共施設をつくる。目的は悪い目的ではないと思いますからいいのですが、この間の操作といいますか、これはなるほど常識的に見て理事者の公約を果たすというのに対して苦心をしているのはわかりますが、筋道としては多少おかしいのじゃないかという気がいたしております。私、内容はよく存じませんが、そういうことはやはり一般から見て筋の通ったことをやる。住民のしあわせという目的はよくわかりますが、しかし手段としてやはり筋が通ったほうがいいのじゃないかと、いま堀さんのお話を承りまして感じました。かれこれどうするかということは事務当局とも打ち合わせますが、私もそういう感じがいたします。
  67. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと大臣が御出席の時間がありますから、特に大臣に伺わなければならぬことを先に一つ伺っておきます。  実は私、ことしの八月の衆議院の本会議におきまして佐藤総理に質問をいたしました中に、参議院の地方区の定数が非常にアンバランスになっておるのを今度皆さんもお感じになったと思いますので、これについては次の通常選挙までにひとつ改めてもらいたい、それには第六次の選挙制度審議会を設けて早急にその改正をやってもらいたい、こういうふうに問題提起をいたしましたら、総理も全く同感だ、第六次をすみやかに発足させて、ひとつその定数の是正をはかりたいというお答えをいただいたわけであります。その後実は公職選挙法の特別委員会で、前赤澤自治大臣に質問をいたしまして、いろいろ時間的に考えてみますと、かなり早く、もうそろそろ、年内にはもう無理でありましょうが、来年になりますと早々にでもスターをしていただかないと、現実問題として次の通常選挙に間に合わないという問題も起きかねると思いますので、その促進方を要望いたしておきましたところ、前回赤澤自治大臣は参議院でございますかでこの問題にお触れになって、やっておるけれども人選がはかどらないというようなことのように新聞で拝見をいたしたわけであります。  そこで、現在までの経過を簡単にひとつ選挙部長のほうからお答えをいただいて、そして大臣のこれに対するお考えをちょっと承りたいと思います。
  68. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 第六次選挙制度審議会の発足に至りますまでのいろいろな過程、御論議についてはいまお話しのとおりでございます。前大臣のときからなるべくすみやかに発足させたいということでいろいろと準備を進めておったわけでありますが、人選の問題とかあるいは全体の審議会の構成という問題につきまして手間どりまして、まだ発足できないという状況にあります。
  69. 堀昌雄

    ○堀委員 いま構成なりいろいろなことでまだはかどっていないというお話でありますので、私ちょっと私なりの意見をひとつ申し上げて大臣の御参考に供したいと思います。  実は選挙制度審議会は第一次以来五次まで続いてまいったわけであります。私は一次、二次と五次の特別委員として参加をいたしておりまして、この中には非常に最初から、古くからもうずっと引き続きお骨折りを願っておる委員もございますし、あるいは途中からいろいろとおなくなりになった方等もありますものですから、補充がされて今日に至っておるわけでありますが、一般的に申し上げますと、少し年齢が高過ぎるということを私は非常に痛感しておるわけでございます。おそらく平均的年齢七十歳くらいになっているのじゃないかという感じがするのですが、たいへん平均年齢が高いわけです。ですから、どうしてもチェンジされる場合に一番大きい要素は、なくなられる場合にあと補充するというようなことが一番多いということになっているわけです。私は確かに学識経験者なりいろいろな皆さんは、経験豊富な方ということを考えますと、どうしても年齢が高い方になりやすいと思います。しかし選挙制度というものは現在の国民の大多数の意識に近い形にならないとまずいんじゃないかと思うのです。平均年齢が七十歳の方のお考えというのは必ずしも——これは個人の問題じゃございませんから誤解のないように聞いていただきたいのですが、一般的には四十歳か、三十歳から四十歳、五十歳くらいが一番国民の数が多いとかりにするならば、やはり私は多少考え方には違いが出てくるのはやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。ですから私はそういう意味で、考え方一つにもう少し若い方を——若い方と申しましても、それは四十歳とか五十歳ということになると思いますが、若い方を少し考えていただくということが必要なんじゃないだろうか、これが第一点でございます。  それから第二点は、たいへん長く皆さんに御苦労をいただいておりますので、ここらで一ぺん少し新たな構想のもとにお考えをいただいてみたらどうだろうか。というのはこれまでお骨折りをいただいた方は非常に熱心におやりいただいて、いろいろ答申を出されておるのですが、残念ながら自由民主党と政府は必ずしもこの方たちの御期待にこたえていないわけです。そうすると、この方たちにしてみれば、たいへん忙しい中を自分たちが時間をさいて真剣に討議をして、国民のためにこれならいいと思って答申をしたものを、政府も自民党もひとつもやらぬではないか、けしからぬとお考えになっている方が非常に多いと思うのです。私もけしからぬと考えておる一人でありますけれども。しかし、けしからぬと考えておるだけではちょっとどうも、いまの自民党、政府がその皆さんの側に急速に近寄れるかというと、私も委員を長くやっていて、これはかなりむずかしい問題があると思います。ですから私はそういう方のお気持ちを察しますと、いまさらこんなことはやれないとおっしゃっているお気持ちの方がかなりあると思うのです。一番最初にこれをはっきり具体的におあらわしになったのは長谷部忠さんなんです。最初に私ども一緒にやりまして、そうして第一次の審議会の答申を出しました。全然政府は取り上げないので、長谷部さんは憤慨しちゃって、こんなばかなところで私は二度とやれないとおっしゃって、さっとおやめになったのですね。そのくらいに長谷部さんは非常に思い切りおやりになった。ほかの方はそれをがまんしておやりになって、がまんをすればするほど、だんだんその間の乖離がひどくなるというので、非常に不快に思っていらっしゃるのじゃないかと思いますが、そこらもありますから、あまりそういう方に御無理をお願いするわけにもいかないのではないか。やはり少し新しい方をお願いをして、新しい角度からこれらの重要な問題を進めていただくためにも、お考えをいただく必要もあるのじゃないか。これは私が審議会の委員として内部におりましてよく感じておりますことなので、これを私の意見として申し添えて、大臣に伺いたいのは、一体いつをめどにスタートさせられるのか。中身のことはけっこうでございますが、めどはいつなのか。要するに一月の終わりなのか、二月の終わりなのか、三月の終わりなのか。少なくとも三月の終わりまでに発足をさせないということであれば、これは総理の食言だと私は了解をいたしますので、その点については予算委員会も三月の終わりまでにはありますし、そこらで一回詰めさせてもらうことになろうかと思いますが、そういうことにならないようにひとつ自治大臣のほうで御配慮いただきたいと思います。めどはどこらでございましょうか、ひとつ承りたい。
  70. 野田武夫

    ○野田国務大臣 選挙制度審議会の経過は、私が申し上げるよりも堀さんがベテランでございまして、よく御存じのようでございますから、かれこれ申し上げません。それから前提といたしまして、参議院の地方区の議員定数のアンバランスは十分認めます。これは何とか是正しなくちゃならぬという考え方を持っております。しかしこれはもう堀さんも御承知のとおり、選挙制度審議会にかけなければいかぬことですから、そこでその基本となる選挙制度審議会でございますが、この委員の選考についての御注意はありがたく承っておきます。  めどとしては、これはお話しのとおりやはり三月前後にめどをつけませんと間に合いません。これも私も承知しております。大体そういうめどで第六次の選挙制度審議会の委員を皆さんにお願いしたい、こういう考え方を持っております。
  71. 堀昌雄

    ○堀委員 それではいまの大臣のお答えでけっこうですから、事務当局では十分ひとつそういうめどで進めていただきたいと思います。  大臣、けっこうでございます。  次に、ついでに自治省の関係を先にいたしますが、実は、やはり洲本市の海岸に大浜公園というところがございます。そのところに大浜会館と申しまして戦前からの建物がございまして、これは武徳殿ということで、戦前は柔道や剣道を子供たちがやっておったようでありますし、最近までは夏は海水浴の脱衣場等にも使われておったという施設があったわけであります。ところが昭和三十九年十月の台風二十号でこれが倒壊をいたしまして、市は昭和四十年にこれの移築を考えたわけでございます。海岸に建てると当然また台風でやられるおそれがあるから、市役所の近くに建てたい、このことは当然だと私は思うのでございますが、市役所の近くに建てたその建物というのが、大浜会館という武徳殿であったところの集会所とは似ても似つかないものが現在建っておるという問題が実はあるのであります。私は十月に洲本市における三洋電機の公害調査のために、田中武夫代議士、山崎公害対策委員長とともに洲本市に参りまして、この建物を田中代議士や皆さんと一緒に見まして、そしてこれはだれが見ても集会所でもなければ武徳殿のようなものに使えるものではないということを確認をいたしてまいったわけでありますが、調査をいたしてみますと、これに対して五百万円くらいの起債が認められておる、こういうことになっております。これについてはすでに私自治省のほうにお話をいたしておりますので、自治省側としての経過の概要を先にお答えをいただきたいと思います。
  72. 細郷道一

    細郷説明員 災害復旧の単独起債の問題でございますが、単独起債につきましては自治省から各県にワクの配分をいたします。ワクの範囲内で県が管下の市町村の単独起債の許可をする、こういう仕組みをとっております。いま問題の大浜会館の災害復旧につきましても、そういうルートに乗った起債の手続が行なわれております。
  73. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで私はおそらく災害に関する単独の起債であったと思うのですが、大体起債というものはある一つの目的を明らかにして、こういうことをいたしますから起債をしてもらいたい。これは一々いまのようなワクで処理されておるような場合には、自治省が全部末端の個別の問題を点検するということではないのかもしれませんが、県が一応そのことを処理しておるということでは、地方行政としては一体的な問題の処理があるのだろう。これは当然やはり一つのルートがあって、本来当初から、一つのいまの場合を例にとりますと、大浜会館という集会所の移築をいたしますということが起債申請の条件になっておったと思うのです。ところが建てるときにはすでにそれが変わっておるということは、たまたま市役所のすぐ横に新しく文化会館というのですか、市民会館というのですか、そういう大きな集会所が立つことになった。それが建つならここはやらなくていいのだろう、こう考えたのだろうと思うのでありますが、設計図を見ましても実は明らかに集会所になっていない。下は車庫と倉庫になっていまして、上に集会室と称するものがあるのですが、    〔華山委員長代理退席、委員長着席〕 その集会室なるものは幅が七・三メートルですか、細長い、要するに事務室には持ってこいの建物になっていますけれども、集会用の建物になっていない。階段一つだけで、階段の幅員は一メートル三十くらいのごく幅の狭い階段がたった一つついておる。集会室というのはたくさんの人が集まったり出入りするわけですから、本来の目的ならやはり最低二メートルの階段をつけるのが当然であるけれども、初めからそういうことに意図されていないから、一メートル三十くらいの階段がつけられておる、こういうことになっておるのじゃないかと私は思うのであります。ですからこの図面を見れば、これは現地をごらんになった方もおられると思いますが、当初から大浜会館という集会所を建てる意思はなかった、こういうふうに私は判断をしておるわけであります。そうして、もしそれならば、いまの起債の問題については用途を変更するという手続があると思いますね。だから起債を申請したときと建てるときとはタイムラグがありますから、申請をしたときは大浜会館の移築のつもりであった。ところが、そのタイムラグの間にすぐそばに集会所をつくるという見通しが立った。それでは、設計するときにいろいろ用途変更で問題が提起をされておれば、今日私はここで取り上げることはしなかった。ところが、私どもがこの問題をチエックしようというまですでに三年近くを経過しておりながら、用途変更についての申請も何もされていないで、そのままにされておる。県はこれから用途変更をということを言っているらしいけれども、私はそんなことは用途変更の意味をなさないぞということを言っているわけです。われわれが言ったから用途変更なんてそれはおかしいのであって、そんなのは筋が通らぬ、こう私は申しておるわけでありますが、こういう場合、もしこういうことが何でもないのだということになれば、もう適当なことを言っちゃ起債をとってきて適当にやっても問題はないのだということに地方行政がなってきたのでは、これはやはり起債等は大蔵省がワクをきめて皆さんのほうがそれの配分をやられて、いろいろ全体の問題として処置がされてくるという経過の中で、そんなことではよくないのではないか、こう思うのですが、財政局長そこら辺はどうでしょうか。
  74. 細郷道一

    細郷説明員 起債のあり方については実は私どもも意見を持っております。それは、起債というものは地方団体が自分の将来の償還能力を考えてこの程度までは借金をする。借金をして行なう施設は当然将来に負担が残るわけでございますから、その施設の利用価値というものが将来にわたって残る。要するに将来に利益が残るような施設に使うのだ、これが本来起債の原則だろうと思います。そういう意味からいいますれば、起債の許可にあたりましても、むしろ地方団体にその内容をまかせて、将来の負担能力ということに重点を置いて包括的な起債の許可をするということが私は将来到達すべき姿ではないだろうかと考えております。  もとより一方で起債をして将来に残すためには、いま申し上げましたように、将来の施設として利益が残る。その地方団体の利益が残るという意味で、地方財政法第五条でどういう場合、どういう場合ということがきめられておるわけであります。その両方で起債というものは将来いくべきであろうと思っておりますが、現実には地方団体の行ないます施設の種類の中で、全国的に非常に緊急を要するという施設の種類があります。たとえば義務教育の施設であるとかあるいは公営住宅の施設であるとか、そういうものがございますので、それのために国としてはその施策を地方団体を通じて実現したい。地方団体も国の施策に応じてそれをやりたいというようなことが相まって事業別の起債ということになっておるわけであります。したがいまして、事業別に定められた起債につきましては、やはりその事業に従って処理をしていただくというのが本来ではないかと思います。  そこで、災害復旧のような場合でございますと、本来は災害復旧は原形復旧ということがたてまえでございますが、その団体の負担においてやる場合におきましては多少の改良復旧ということもこれは認めるほうがむしろ現実的ではなかろうか。いままで木造であったものがこわれたときに鉄筋に復旧するというのを認める必要もあるということで、多少そこに普通の予算支出と違った幅を持っております。しかしながら、やはりもとあった施設の機能が必要なので復旧するわけでございますから、その機能に従ったものができ上がるということが必要でございまして、そういう意味合いにおきまして本件の場合を見てまいりますと、最初からそういう意図があったのかどうか私どもちょっと承知しておりませんからわかりかねますが、その後の経過をたどりますと、ほかの目的に使用するようになっておる。したがいまして、そういう場合には御指摘のような目的外の使用ですし、用途変更ということの手続もございますので、その手続を経てやっていくということが一番妥当な方法だろう、こう考えております。どうも本件の場合には、現在まではそういう手続が行なわれておりません。その点は私どもよく確かめまして善処をしてまいりたい、かように思います。
  75. 堀昌雄

    ○堀委員 これは実はそんなに大きなことではありませんけれども、私がこういう問題をいま取り上げておりますのは、やはり洲本の市政というもののかまえの問題なんですね。次に文部省関係も伺うわけでありますが、私ども地方自治体の問題について国や県が介入する必要はないと思っているのです。地方自治体はできるだけ地方行政、住民の側に立ってやってもらっていいわけです。私はこれまでこういう議論をしたことはないのですけれども、いろいろあらわれております事象がどうも地方行政、地方自治の本質からやや離れて、利用できるものはいろいろ利用して、それが役に立てばいいじゃないか。さっきちょっと大臣もおっしゃったけれども、目的がよければ手段はどうだっていいじゃないかということにはやはりならないだろうと私は思うのです。いま何か水道の事務所に使っているということのようです。私がちょっとそこでひっかかるのは、たいへんりっぱな市の庁舎をつくったわけですね。前には鉄筋のみごとな庁舎がある。そうしてこれは、台風の災害復旧に名をかりて水道の庁舎だとかその車庫をつくったわけです。初めからもっと計画的にそういうものは庁舎の中で処理できるようにやるべきであるにもかかわらず、最近庁舎を建てておきながら、なおかつ、そういう必要があるということだろうと思うのですが、災害復旧に名をかりてこういうことをやっておるという姿勢ですね。これは私は、やはり行政上の問題としては問題があると思っているわけです。ですから私は、この問題については、こういう場合にその瑕疵をきちんと処理するということなら、繰り上げ償還その他の問題が当然あると思うのです。私は何も、これを一斉に繰り上げ償還させて洲本の乏しい財政を苦しめてやろうなんということを考えているわけではない。洲本の財政というのは市の当局が預かっているだけであって、市民の財政ですから、市民が困るようなことはしたくないのですけれども、そうだからといって何もしなかったということになりますと、気がつかなければまたやろうということになっても困るので、そこらは向こうの財政もにらみながら何らかのデメリットをぴちっとしておかないとやはり問題がある。ですから、そこらのところは、中身についてどうするかは皆さんにおまかせします。何しろあまりそういうことをやったらまずいなということが行政当局にわかるような何らかの処置をお考えいただきたい、こう思いますが、どうでしょうか。
  76. 細郷道一

    細郷説明員 先ほどちょっと申し上げておきました洲本市の財政規模は、四十二年度決算で十一億でございます。  地方自治体の姿勢がどうかということは、私どもやはり最大の課題だろうと思います。私自身もそう考えまして、最近地方団体の人の集まるところでは絶えず姿勢を正すということを強調いたしております。理事者はもとより議会の方にもそうしていただきたい、どっちを向いて仕事をしているのかということを考えてもらいたい、こういうことを強調しております。そうでありませんとあらぬ不信論なども出たりいたします。一つ二つの事例地方自治体全部を律するような誤った判断におちいるのではないかというふうに考えて、特に強調いたしております。それは、姿勢を正せということにつきましてはもちろん強調しなければなりませんけれども、反面、私はいろいろ戦後二十年ほど地方財政に携わってまいりましたが、国のほうの態度もその姿勢を正させるにはかなり障害になっておったのではないだろうかという気がいたします。補助金の行政でありますとか、また地方債につきましても自分自身やってまいりまして、今後はもう少し、先ほど申し上げたような姿に持っていくべきではなかろうかというようなことを実は感じておるのであります。地方財政が貧乏暮らしを長いことしてきた。いまなおある意味では非常に貧乏なわけでございますが、そういったようなことも市制を育成する上に非常に障害になっているのではないか。したがいまして声を大にして強調するばかりでなく、反面におきましては私どもとしてやはり地方財政を充実にして、三千五百でございますから、中には妙なものもあるかもしれませんが、そういうものはいろいろな場での批判を通じて是正していく、体験を通じながら姿勢を正していくというような方向に持っていくべく努力をいたしたい、かように考えております。
  77. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの点、一般論としては私も局長の考えと全く同感でございまして、これまでのそういう起債なんかのワクが少し狭すぎるという問題がいろいろなことを起こしておるもとだろうと思うのですが、ただそのことといまのこの事案の問題とは私、やや違うと思うのです。だからやはり災害復旧なら災害復旧をやるということでないと、行政の折り目筋目は正されないわけですね。目的がよければ何をやってもいいのだということにならないという点については、私は何らかの処置を行なわれることを求めておきます。  それからそれに関連をして、次に文部省の関係の問題について、ちょっと二つばかり問題提起をしておきたいと思います。  一つは、由良中学校というのがやはりここの市にございますが、この体育館の新築工事に関する問題であります。この間文部省にこの問題について調査を依頼をいたしました。文部省側の調査では、私が指摘をいたしましたところのこの由良中学の体育館の新設、洲本第三小学校の危険校舎の改築の問題については瑕疵がないということのように実は承ったわけであります。おそらく帳面上はそういうことにされておるのだろうと思うのでありますが、その中で、皆さんもお気づきだろうと思うのですが、由良中学校の体育館新築工事に関しては、文部省の方の御説明では、担当いたしました長尾建設というのが市に百三十万円寄付をした、こういう事例をこの間実は文部省から承りました。それから第三小学校については三百四十万四千円、要するに古材といいますか、校舎の売却代金として三百四十万円収納されておるというふうに承りましたが、その点は間違いはありませんですね、文部省。
  78. 村山松雄

    ○村山説明員 御質問の件につきましてちょっと全体的な御説明を申し上げたいと思います。  ことしの八月に洲本の地元の方から会計検査院に投書がございまして、洲本市の昭和三十九年度と四十二年度の学校建築に関しまして水増し不正の契約があったのではないかということでございました。そこで会計検査院のほうから文部省のほうに事情の説明を求められましたものですから、文部省では地元の兵庫県の教育委員会を通じまして調査をいたしました。その結果指摘されておりますのは、御指摘昭和三十九年度の由良中学校の体育館の新築工事と、それから昭和四十二年度の洲本第三小学校の危険校舎の改築工事でございますが、いずれも工事契約並びに支払い、それから両方とも補助事業でありますが、補助金の執行は適正に行なわれておるということが判断せられました。  ただ問題点として多少残りますのは、御指摘のように由良中学校につきましては、請け負いました業者のほうから百三十万円の寄付がなされております。それから洲本の第三小学校につきましては、やはり御指摘のように危険校舎でありますので取りこわすわけでありますが、その廃材の売り払い代金として三百四十万四千円が業者から市のほうに支払われております。この寄付金並びに支払い代金は、性格としては必ずしも通常の補助事業でこういうことがあるわけではございませんので、やや異例のことでありますが、手続といたしましては適法に市の財政のほうに収納されておりますので、形式的に著しい不正ではないと判断いたしまして、検査院のほうにその旨回答をいたしました。会計検査院においてどのように処理されるかにつきましては、まだ最終的に未定のようでありまして、承っておりません。  以上が経過でございます。
  79. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの中で、学校建築をした建設業者が当該建築と別個に市に百三十万円寄付をする、これは一体どういうことでしょうか。あなた方は、必ずしもこういうのは普通ない特異の例だと言っておられる。しかしこれは特異な例というものではないでしょうね。異常のものというか、何かおかしいですね。なぜ建設業者が市のほうに百三十万円寄付されたのでしょうか。これをあなたはどう判断されますか。あなたは瑕疵ないという判断をして検査院に伝えられたわけですから、あなたの瑕疵ないという判断は、建設業者が市に百三十万円寄付をしたことは正当である、不正または不当がないとおっしゃったのだから正当であるという認識でしょうから、その正当であるという根拠をここでちょっと明らかにしてもらいたい。
  80. 村山松雄

    ○村山説明員 業者が工事を請け負いました公共団体に寄付するというようなことは異例でございます。それは御指摘のとおりであります。そこで、不正不当がないということは、このことの実質的な当否は別といたしまして、形式的には市のほうに収納されておりまして、その点においては、現行の法令等に照らして直ちに違法と判断すべきものとはいえないという、かなり消極的な意味で検査院のほうに回答したわけであります。
  81. 堀昌雄

    ○堀委員 私、実は文部省をとっちめるつもりでやっているわけではないのです。ないのですけれども、私はこの間この調査依頼に対して検査院に対する報告というふうに聞いてなかったのですが、検査院に対する報告とすると、検査院がこれから独自にどう判断してどう処理をするかは別として、行政一般は、形式が整っていればもし実体に瑕疵があってもいいということではないのですよ。やはり形式と実体は一体でなければならぬというのが、私は行政の本来のあり方だろうと思うのですがね。ただ皆さんの立場としては、実体はなかなか明らかにできませんよね。だからやむを得ず実は形式をもって処理をしておるということだと思うのです。ただ私どもがこういう問題の提起をしてくる、あるいはそういう投書か何かによって検査院が皆さんに尋ねてくるということは、これは形式的な問題だけで処理をされるということでは、その段階になるとちょっと問題があろうかと思うのですよ。検査院があなた方に尋ねてきたということは、何か形式と実体の間にズレがあるのではないか。そこをあなた方のほうで調査をしてもらいたいということだったと思うのです。私があなたのほうに御連絡をしたのも、私は私なりの資料を持っていますけれども、しかし皆さんは御承知ないだろうから一ぺん調査をなさい、問題がありますよ。そして、問題がありますよといってあなたのほうに調査をお願いしたら、出てきたのは、いまあなたがおっしゃったように、問題がないというようにメモに書いてあるわけです。問題があるんですよと提起したのに問題はないといって出てくるのは、私はやはり行政の問題としてちょっと問題があるような気がするのですね。そこで、あなたはあまりつまびらかにされてはおらない事案ですから、私から申し上げますと、これは洲本市で非常に建築課における汚職事件が起きまして、警察における調書あるいは公判廷における供述等が公けになっておるから、問題は非常に明らかなのでありますけれども、こういうことになっておるわけであります。  由良中学校体育館新築工事は、工事の実施予定額は落札金額一千四十七万円とほぼ同金額であったが、補助金交付の満額をもらうため百三十万円の水増しして総工事費一千百七十七万円として補助金交付の申請をした。ですから、落札をしました金額は一千四十七万円なんで、その差が百三十万円、実は差があるわけです。それをペンシルワークであなたのほうに出ておる一千百七十七万円ということにしたわけです。そうすると、実際には市は一千四十七万円しか支払わないから、あと百三十万円ギャップがあくわけですね。だから、そのギャップを寄付によって入ったという——金は入ってないんですよ。寄付によって受け取りましたということにして相殺をして、一千百七十七万円という価格がここにきまった。これが実は事の真相なんです。警察における自供、公判廷における証言において、請負金額の一千四十七万円を二回内金として受け取り、残金を受け取りに市役所へ行くと、受領証のほかに古材購入書の用紙を渡された。その内容は古家売却代金百三十万円であった。その後水増し工事費を税務署に申告しているので、税金分として三十五万円の請求を市長、助役にしたところ、当時由良小学校の改築工事を長尾建設が請け負っていたので、追加工事として、実際工事をしないにもかかわらず、三十三万円が支払われました。こういうふうに公判廷で証言をしておるわけです。ですからこの事実は非常に明らかなわけなんですね。だから、百三十万円寄付があったことは、これは帳面上の操作であって、一千百七十七万円といういまの皆さんのほうの側に出ておる資料は、そこには間違いがある。だから、これに基づいた計算によるところの補助金の交付については、当然最初私が触れました補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に抵触をしているということになることは、この点で実は明らかなんであります。  その次の第三小学校改築工事でありますが、いまあなたのほうでは古材売却代金として三百四十万円が収納されておる、こうおっしゃいましたね。一体、危険校舎でもう改築をどうしてもしなければならぬということで皆さんがやっていらっしゃる。校舎を取りこわしてそこへ新しいものを建てるときには、普通の場合には、私どもの通例的観念からいいますと、大体取りこわし代をこっちから払うのですよ。それを取りこわし代をこっちから払わないでおいて、逆に三百四十万円廃材分として金が入ったということは、形式はともあれ、いまの百三十万円と全く軌を一にした取り扱いが実は行なわれておるということになっておるわけです。  第三小学校改築工事でありますけれども補助金交付の申請にあたっての姿勢及び経過は由良中学校の体育館の新築工事と全く同じであるが、第三小学校の工事にあたって最初から計画的に補助金の不正交付の申請をなしたかという事実について洲本市教育委員会の計画書があるわけであります。それは、次のとおりになっておりまして、これでは皆さんのほうの金額と多少みな違いがあるわけでありますけれども、要するに契約施工者は岸本建設で、落札金額は二千五百六十万円になっております。ところが、皆さんの側の工事に関する費用は二千九百十六万四千円ということになっておりまして、いま私の申し上げた二千五百六十万円といまの二千九百十六万四千円との間の差額が古材購入費という形で——何もそこには実際の金は動いてないのですよ。要するに市に収納されたということになって、そこで水増しが行なわれておる。これがいまの関係の事実なのです。  そこで会計検査院の方——まあ文部省の担当の方でないでしょうが、仕組みは同じですから伺いたいのですが、検査院のほうで、そういうふうに文部省は瑕疵なしと認めてやったけれども、実態においてはそういう水増しで処理されたことは、この二つの事実で明らかなんですが、この場合にはいまの補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律はどういう形で適用されるのか、ひとつそれを伺いたいのです。
  82. 斎藤実

    ○斎藤説明員 具体的な事案につきまして私存じませんが、予算執行職員等の責任に関する法律の適用される対象はきまっておりますし、それに該当して、それが予責法適用の条件を充足しておれば当然適用になると思いますけれども、実態がよくわかりませんので、はたしてどういうことになるかちょっとわかりません。
  83. 堀昌雄

    ○堀委員 では、一般論で、補助金の申請をする工事がある。その工事がわずかな金額になるのだろうと思うが、どうしてこういうことになったのか、私もよくわかりませんが、一応架空の計算額と、それから実際の請負額、支払い額、その差がいまみたいに三百五十万円なら三百五十万円もの差があるもので処理されてきた。しかし、いま私はこれで事実を指摘した以上、検査院はこの事実に基づいて当然具体的な検査を行なうべきだと思う。これは補助金が不正に使用されているわけですから、これはさっきの起債や前段の公有財産の払い下げの問題とは全然趣を異にしておって、これはわれわれの側の責任のある問題です。補助金がこういう形で不正に行使されることについては、これは国民の税金ですから、われわれは国民を代表して、これは容赦することはできない。当然検査院は私どもの本日の要求に基づいて会計検査院として行動を起こして、法律の定めるところによって適切な措置をするということになる、こう思うのですが、それはそのとおりでしょうね。
  84. 斎藤実

    ○斎藤説明員 御要求があれば、現地についていろいろ検査をするということになると思います。
  85. 堀昌雄

    ○堀委員 要求があれば、というのはどういうことですか。特別の要求書か何か出すのですか。ちょっとそこらをつまびらかにしてください。私は委員会で公式に要求しているんだ。われわれがここで発言しているのは要求にならぬということでしょうか。どういうことでしょうか。正規のそういう手続か何かあるのでしょうか。  実は、この投書をした人は、会計検査院に配達証明をもってやった。何も言ってこない。それを市会で問題を提起をしたら、そんなことはまだ何もない。そこでもう一ぺん重ねて検査院に、実は一体どうなっているのですかといった。会計検査院というのはずいぶん不親切なものですね、こういうことなんです。そこで私が相談を受けた。だから、よろしい、私がやりましょうということで私がやっているわけです。  一体、会計検査院というのは本来の固有の任務は何ですか、お聞きいたします。
  86. 斎藤実

    ○斎藤説明員 憲法に規定してございます、国の歳入歳出に関する決算について検査をするというのが、本来の任務でございます。
  87. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、国民の中からその歳入、歳出について瑕疵ありという事実を承知をした、会計検査院はこれを調査をしてもらいたいという手紙がきたときには、これは国民の要求じゃないですか。それは何でしょう。いまの憲法に定めるところによって、あなたの調査をした歳入歳出の調査に疑いがある、調査をしてくださいといってきたのは、これはあなた方、どういうふうに受け取るのですか。
  88. 斎藤実

    ○斎藤説明員 国民からのそういう御要求がございました場合、検査院として検査をすべきだという判断をしたときには、検査をいたします。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 文部省に照会をしたということになっているわけですね。これは検査としてスタートしているということですか。あなたは当該局長でないから悪いけれども
  90. 斎藤実

    ○斎藤説明員 正直に申しまして、検査院は出先の機関を持っておりません。それでそういった投書その他ございました場合に、はたして検査院が現地に職員を派遣して現実に検査すべきものであるかどうか。いろいろの投書が参ります。業者の間のいざこざがありますので言ってまいりますので、それを一々行くというのも非常に困難でございますから、その事情につきまして一応主管庁にお問い合わせして、そしてそれで大体の見当をつけまして、これはたいへん微妙なことであるから行かなければならぬ、検査をやり直さなければならぬということであれば、それは検査院としても現地に職員を派遣いたします。
  91. 堀昌雄

    ○堀委員 いま当該局長がおられないのであれですけれども、いままで私がここで論議してきたことは、やはりいま日本の会計検査制度あるいは監督行政の中に少し盲点がある問題が一つあらわれておると思うのです。帳面上だけから見て少なくとも百三十万円の寄付があった。古材代金が三百四十万円収納されておる。金が入っているという帳面上のことであるからいいのではないかということで検査院に返事が行った。これを受けて検査院がまたどう判断されておるかは、あなたではおわかりにならぬから、いま担当局長を呼んでいるわけだけれども、私は、ここまであったら、普通は文部省でも検査院からの照会なら、これはちょっとおかしいというふうに考えて、これは調査の必要があるならあるということになってよかったのではないかと実は思うのですよ。そこは文部省どうでしょうか。
  92. 村山松雄

    ○村山説明員 先ほど、検査院から照会があって調べたと申し上げましたが、いわゆる検査院用語にいう正規の照会ではなくて、投書が検査院にございましたので、事実上の調査といいますか、こういう投書があるけれども文部省どうだというような、そういう意味でのお尋ねがあったわけであります。そこで文部省では、公立文教施設の執行は県の教育委員会を通じてやっておりますので、兵庫県の教育委員会を通じまして調べた結果が先ほど御説明申し上げたような結果が出てまいりましたので、検査院に対してこれまた口頭で、こういうことですということを申し上げている次第でありまして、まだ正規の文書上のやりとりにはなっておりません。
  93. 堀昌雄

    ○堀委員 私は投書とほとんど同じものを持っておるわけです。昭和四十二年八月九日東京中央郵便局の配達証明済みの証明郵便物として検査院に送っておるわけですね。これだけ証拠は非常にはっきりしているのです。おまけにその内容については、要するに警察や公判で証言している問題だから、非常に明確な事実があるわけですよ、事実は。それを検査院に言っていて、検査院はただ口頭でちょっと調べてみてくれなんてことになるかと思うと、日本の会計検査制度なんてものはでたらめなものだなあという感じが私はしますね。これは委員長どうですか。あなたもそんな気しませんか。ちょっと私、委員長の感触をここでお聞きしたい。
  94. 大石武一

    大石委員長 委員長の発言はあとにしましょう。
  95. 堀昌雄

    ○堀委員 それじゃ、時間があれですから、もうちょっと一般論で伺うのですが、もし私が指摘をしたようなことが事実であるということになると—金額はわかりません、幾らかわかりませんけれども、やはり補助金が不正に支出をされたことになると私は思うのです。やはり全体に対しての割合できているわけでしょうから。そういう場合には、これは当然この補助金に関する法律に基づいて返えさせるということに一般論としてはなるのでしょうね。いかがでしょうか。
  96. 斎藤実

    ○斎藤説明員 一般論としてはそうなると思います。
  97. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、会計検査院に入る前に文部省にお伺いをしたいのは、いまのように明らかにそういう問題がある。これは今後私のほうでは会計検査院に正規に調査を要求しますから、それに基づいて会計検査院が調査した結果はまたこの決算委員会で報告を私は求めます。だからその報告に基づいての処置をまたやる、こうなるわけでありますけれども、いまのお話の一連の経過から見まして、私はきょう洲本市の行政の問題をいろいろやっている中に、どうもどこか行政の姿勢としておかしいことがあるのじゃないか、こういう感じがしてしかたがないのですね。あなたは文部省のお立場からも要するに洲本市の教育委員会というのでしょうけれども、市の行政のワクの中ですから、洲本市の行政という中には何かがある。なぜこういうことになるか、といって私もわからないのです。あなたもおわかりにならぬから、そんなことは聞きませんが、こういうことは望ましくないということについては間違いないですね。それで今後の指導その他についての対策はどうなるでしょう。ここだってまだ危険校舎があるだろうと思うし、学校建築法の問題があるのですが、今度こういう事実が起きて、言うなれば皆さんは一回ぺてんにかけられた。これがここで明らかになってきたということになっても、私はこの分については文部省の責任を追及する意思はないのです。これはしかたがないです。あなた方は善意な行政執行者だと思っておってやっておることがそうでなかったら、これはしかたがない。これがまたもし同じようなことが起きてきたら、私は今度は文部省の責任を追及する。一ぺんあったことは二度とあやまちを繰り返してはならぬと思うのです。それに対してはひとつ十分なる注意と調査を行なって処置がされるべきことである、こう思いますけれども、文部省としては今後の洲本市における学校建築に関してはどういう処置をとっていただけますか。
  98. 村山松雄

    ○村山説明員 補助事業の一般論としては検査院のほうからお述べになったようなことだと思いますが、公立文教施設の具体的な洲本市の学校建築に関する状況についてちょっと御説明申し上げますと、たとえば問題の由良中学校について申し上げますが、公立文教施設としては当該事業の全体を必ずしも対象とするのではなくて、補助の基準がありまして、その基準に対して補助をするわけであります。  具体的に申し上げますと、危険校舎であれば危険資格坪数というものがございまして、市のほうでそういうものを内容としてかなり大きい計画をされるような場合があっても、補助事業としては資格坪数を対象として補助の計算をいたします。体育館であれば生徒数その他を勘案いたしまして、これまた面積基準がありまして、その基準面積を対象として補助いたすことになっております。由良中学校について申し上げますと、市が計画した面積は百八十坪でありまして、契約は百九十五坪でなされております。その中で補助対象としていま申したような基準に照らしてとり得るものは百二十八坪でありまして、工事費が七百六十一万六千円、これに事務費を加えまして、その二分の一の三百八十四万六千円というのが補助金でありますので、全体の事業計画、したがいまして契約の金額がこれより下回っておらなければ補助事業としては必ずしも不当でない、こういうことになります。したがいまして、由良中学校の場合は全体においてやや問題がありますが、補助事業としては不法、不当ではない、かように判断しておるわけであります。  それから後段の地方公共団体の学校建築事業についての指導の問題でありますが、先ほども申し上げましたように、件数が非常に多いものでございますので、大体は県の教育委員会に取りまとめなりあるいは監督なりをお願いしておりまして、文部省としてはなかなか市町村の現場までは出向きかねるわけでありますが、全然行かないわけではなくて、毎年何件か選びまして、一年当たり十校程度は文部省のほうでも行政調査といいますか行政的な監査といいますか、そういうことで見て、問題点があれば指摘をいたしまして、補助事業の執行の適正を期しておるわけでありまして、洲本で問題があるようでありますので、そういう点は十分留意してやってまいりたい、かように思っております。
  99. 堀昌雄

    ○堀委員 文部省は、この事実はすでに新聞にも報道されて学校建築について汚職があったわけですから、そういう犯罪があったときには、これは会計検査院のほうに報告を出しましたか、このいまの由良中学校の問題について。
  100. 村山松雄

    ○村山説明員 まだ出しておらないようでございます。
  101. 堀昌雄

    ○堀委員 問題が起きたのはことしの春ですから、ずいぶん時間がたっておるし、会計検査院法では、あなた方この報告を義務づけられておりますね。そうでしょう。犯罪が発覚したときには検査院のほうに報告しなければならぬということが会計検査院法にきちんとなっておるのです。これはなぜ報告しないのですか。
  102. 村山松雄

    ○村山説明員 実はこの事実を知りましたのが最近でございますので、まだ受け取っておらないわけでございます。
  103. 堀昌雄

    ○堀委員 会計検査院法の二十七条に、ちゃんと犯罪があったら所属の長は検査院に報告しなければならぬということになっているのですね。そうすると、最近地方自治体であっちこっちでこういう事件がしょっちゅう起きているのですが、これは自治省にも関係があると思うのだけれども、これはやはり法律だから、あなた方守る義務があるのだろうと思う。どうなんですか。文部省は別の法律だからいいというのじゃなく、会計検査院法というのは各所属長について全部網がかかっていると思うのです。
  104. 村山松雄

    ○村山説明員 地方公共団体の職員につきましては私よく存じませんけれども、文部省は所属の長ということにはならないと思っております。
  105. 堀昌雄

    ○堀委員 ではちょっと会計検査院に聞きますが、いまの二十七条の解釈、文部省が補助金を出しておる当該学校建築について犯罪が起きた場合には、二十七条に該当して、所属の長というのは文部省じゃないのですか。行政上の問題ではなくて、補助金を出しておるということに関しては、それは文部省の予算で出しているのじゃないですか。
  106. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ちょっと関連。会計検査院法二十七条は所属の長と同時に監督官庁その他これに準ずるとあるのですよ。したがって、それは学校の建築、そういうことについて補助金を出す、文部省は監督官庁じゃないのですか。違いますか。
  107. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 御指摘の点でございますが、おっしゃるとおり文部省になろうかと思います。
  108. 堀昌雄

    ○堀委員 文部省、これまでこれは報告することはあるのですか。そういういまのあなたの感触からいうと、いまのは、地方の学校というのは、文部省は所属の長ではないから関係ないという表現だったところを見ると、これまでこういう問題が起きたときには一回もやったことがないということですか。これは一ぺん文部大臣を呼び出さなければだめだ。これはたいへんなことだ。
  109. 村山松雄

    ○村山説明員 通例の場合は、たいへん迂遠でございますが、地方で起こりました事件について承知することがおそい関係もございますし、それから多くの場合、むしろ検査院のほうから先にいわゆる照会がございまして、こちらから先に報告した事例は少なくとも最近はないようでございます。
  110. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの答弁を聞いてみますと、やはり文部省は、要するに補助金というのは国民の税金だと考えていないようですね。そうじゃないでしょうか。もし国民の税金だということであるならば、補助金を支出するについてはあなた方は重大な責任が課せられておるわけですね。その補助金の支出がいかように執行されたかについては、当然皆さん方がある程度承知をしていなければならぬ問題で、これが刑事事件にならなければしかたがないけれども、刑事事件になって公判が行なわれておるというときに、それをやってない、そういう体制になってない、こういうことだろうと私は思うのです。  だから、その責任の追及はまた別として、この問題については会計検査院のほうに投書が行きましたね。そして、実は投書をした人は二回にわたって連絡をしたにもかかわらず、会計検査院は何らの返事もしない、こう言っておるのです。国民が行政上にこういう瑕疵ありということで、本来会計検査院が行なうべき仕事について会計検査院に手紙を出した。最初の手紙は昭和四十三年八月九日となっておるのです。その次は九月二十日に洲本局引き受けの書留郵便物でさらに調査を催促した、こうなっておるわけです。ですから、二回にわたって皆さんのほうにそういう事実——その事実はいま私がこの委員会で触れましたけれども、かなり具体的な事実の指摘をしているわけですね。その事実のもとになったのは警察における証言であり、公判廷による記録だ、こうなっておるわけですね。そういうものがあなたのほうに行っておったにもかかわらず、会計検査院は口頭で文部省にどうなっておるのかちょっと調べてみてくれ、文部省がさらっと調べてみて、百三十万円の反対的な寄付があったり三百四十万円——本来なら建築を解体するための費用を市が払うべきものを古材購入代金として三百四十万円歳入に立てておるなどということがあったにもかかわらず、いまさっきの管理局長の答弁によると、坪数がこうこうで、その単価がそれを下回っていなければいいということですが、しかしいまの補助対象と実際の契約落札金額との関係がどうなるかは別としても、少なくともここにそういう必要のない処置が行なわれておるわけですね。だから、こういうことについては問題があるし、何にも意味がないのならこんなことしてないと私は思うのです。やはりこういう問題は補助金に何らか関係があると思う。補助金に何にも関係がないのにこんなに水増しした工事にする必要はないし、おまけにそれがどこかで人のポケットに入ったというならともかくだけれども、それは反対的処理によって会計上合うということになれば、これの目的はやはり補助金に関連する目的ではないかというふうに考えざるを得ないと思うわけです。こういう問題をあなた方が受け取ったときは、会計検査院が文部省に口頭で聞いて、文部省では口頭で何ともありません、それじゃいいなということですね。そういうことを配達証明なり書留で送ってきた国民に対しては、何ら返事もしない。瑕疵がないなら瑕疵がない、調査をしたけれどもこうだったというような返事もしないというのが、会計検査院のあり方ですか。ちょっとそこから伺いたい。
  111. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 本件に限りませんで、投書というものは数多く各庁省にわたってあるわけでございます。投書の中には抽象的なものもございますし、中には本件のように相当信憑性のあるものもあるわけでございます。そういう信憑性のあるものにつきましては、できるだけ実地に検査に出向いております。ただ本件につきましては、投書のありましたものが、本年の八月七日、八日と二回にわたっているわけでございますが、当時ほとんど年間の検査の計画もきまっておりまして、それの実行段階でございましたので、兵庫県まで出向いて実地検査をする時間的あるいは人的な余裕がない。やむを得ず文部省に調査を依頼したという次第でございます。気持ちといたしましては、先生のおっしゃるような御趣旨に沿って、通常は検査しておるわけでございます。
  112. 堀昌雄

    ○堀委員 私が言っているのは、するかしないかは皆さんのほうの判断ですからそれはあとにして、国民が自分たちの払った税金の行くえがおかしいんじゃないかと思ったのですから、それをちゃんと調べてもらいたいというのは国民の固有の権利ですよね。検査院に手紙を出して、こういう事実がありますよ、調べてください。そうしたらあなたのほうのいまおっしゃったことを返事にして出さないのかというのですよ。それは非常に中傷というか明らかに何かそういうことで返事を出すに足らないものもあるでしょう。しかしいまあなたがおっしゃるように、この事案についてはかなり信憑性があるとおゃしゃっているわけですよ。私も、信憑性があるからここでやっているわけですよ。そういうものについては、いまあなたがおおっしゃったように、予定計画はこうなっておって検査には行けないけれども、文部省を通じて調査はしておりますという返事を出してやるくらいのことは私は当然じゃないかと思うのですよ。あなた方の頭の中には役所というのは何か国民の上にあって、要するに国民というのは、まあいえば下のほうにおればいいんだ、手紙を寄こしたら、よしわかったぞという、これでいいんだという感覚では新憲法の下では通用しませんよということを言いたいわけですよ。いまの憲法では公務員というのは国民のために奉仕するものであるはずでありますから、奉仕をする側の者ならば、そういうことを提起をされたら、返事を出すぐらいは私は当然じゃないかと思うのですよ。どうなっているのでしょうか。やはり旧憲法的感覚ということですか。
  113. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 おっしゃる点はごもっともでございまして、別に返事をすべての場合に出さないというわけではございません。出しているものもございます。ただ本件につきましては、たまたま時期的にまだ事態の真相の究明というものにつきましてわれわれのほうで十分な心証を得ていなかった、こういう関係もございまして返事を出さなかった、こういうことでございます。
  114. 堀昌雄

    ○堀委員 最終結論が出なければ返事を出しちゃいかぬということではありませんね。あなたのほうではいま百三十万円寄付がありました、三百四十万円古材購入費として入っています、こういう話を文部省は検査院に伝えたわけでしょう。どうですか、文部省。
  115. 村山松雄

    ○村山説明員 口頭でお伝えしてございます。
  116. 堀昌雄

    ○堀委員 検査院のほうでそれを聞いたら、さっき局長も異例のことだと言っているわけですね。大体あなた、建築を請け負った業者が百三十万円も市に寄付するなどということはあり得ないことですよ。要するにたくさん金をくれというのならわかるけれども、逆に寄付するなどということはあり得ないし、危険校舎を解体をして新しいものを建てるときに、解体する費用のほうが古材よりも高いはずですよ。だから普通は解体費を出すのがあたりまえ。それが三百四十万円という巨額の金が市に入っているということを文部省があなた方に伝えたとき、あなた方はどう判断したのですか。これは検査院としては正常だと判断しましたか。
  117. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 結局危険校舎の古材の価格いかんということになろうかと存じますが、それらの点につきましてはやはり実地に調査をいたしませんと判明しない点もあろうかと存じます。そういう点を考えまして、これはまた明年度あたり兵庫県に参りました際にさらに調査をする、こういう考えでおります。
  118. 堀昌雄

    ○堀委員 明年度あたりということですが、昭和四十三年度における会計検査院の予備費に幾らありますか。
  119. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 予備費という御質問の趣旨がちょっとわかりかねますが、おそらく旅費の残額というようなお尋ねだと思いますが、これは年度末の予算としてかなりの額があると思います。
  120. 堀昌雄

    ○堀委員 私が予備費と言っているのは、あなた方が、来年度あたりという話ですから、一体会計検査院というのは、いまの話を聞いてみますと、何かわれわれの世界とは別世界で問題を処理しておられるような感じがしてしかたがないんですよ。国民はやっぱり、こういう事案があったら早く調査をして、早く瑕疵を明らかにしてもらいたいと思うのは当然じゃありませんか。それをいま私が委員会でやっているのが十二月です。あと一月、二月、三月と四十三年度がまだ残っているわけですね。われわれの伝え聞くところによると、たいていの役所が年度末は出張旅費が余って、から出張をするくらいあるということです。会計検査院に予算が余っているというわけじゃないが、こういうことがあるくらいのところだから、予備費はあるはずだから、必要があれば予備費をもってしても旅費に充当して調査したってできないことはないですよ。私が言いたいのは、あなた方の感覚ですよ。国民がいってきたって、そんなのはたいしたことはないから、来年でいいや、そんなことでは、皆さんが十二億何千万不当不正使用があるといわれている、これはもっともっとあるのだけれども、来年度回しもずいぶんあるのかという気がしてしかたがないのです。もう少し国民の立場に立って検査院も処理してもらわなければ困ると思うのですが、どうでしょうか。これは今年度中にやってもらいたいと思うのですが、やれますか。
  121. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 明年度あたりという表現は適切でございませんで、気持ちとして、先ほど申し上げましたように、年度末の予算の残というものを見ました上で早急に処置したいと思います。
  122. 堀昌雄

    ○堀委員 それが、私はわからないのですよ。いいですか。要するに問題は、少なくとも衆議院の決算委員会でわれわれが取り上げておるのですね。国民の代表としてわれわれが国民にかわってやっているんでしょう。これだけやっていて、あなたのほうでは、たいしたことではないという判断ですね。そうすると結論は、要するに予算が余ったら行くけれども予算が余らなかったら行かないなんという、私はそんな性格のことじゃないと思うのです。ここで私は要求したことについて、予備費がないのならしかたがない。私は会計検査院はまだ予備費はあると思いますよ。なければ、予備費を充当したっていいのだから、少なくとも、それじゃ直ちにやります、と言って当然じゃないですか。それができないようなら、衆議院の決算委員会というものはたわ言だけを並べる場所になってしまう。どうですか検査院、そんなわけにはいかぬですよ。
  123. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 ことばが適切でございませんで、旅費の残は相当私のところにはあるわけでございますので、これは早急に現地を調査したいと思います。
  124. 田中武夫

    ○田中(武)委員 関連して。先ほど来、堀委員の質問に対する答弁を聞いておって、私はおかしいと思う。院法の二十六条では、こっちから行かなくても関係者に出頭を命じて質問することができるのですよ。旅費が問題になるというのはおかしいですよ。これは二十七条によってはっきりと会計に関する犯罪が発覚したのです。それが春だったけれども、知るのがおそくなった。こういうことであるが、これはやむを得ぬとしても、文部省は二十七条にそって直ちに手続をとるべきである。そうすると、それを受けた検査院は二十六条及び二十八条によって検査をやるべきだ。その結果、第五節のそれぞれの責任追及という問題があります。各条文が出ております。これによって処理すべきである。あまり旅費があるとかないとかいっているので、結論のほうを先に言います。これに従って処理するかどうか、その答弁を求めます。
  125. 村山松雄

    ○村山説明員 本件は、その都市の学校建築に関連いたしまして、その都市建築課長と関連する業者四人が起訴されまして、現在までに業者三人に対しては判決が出ております。建築課長と残る一名の業者については目下公判中でございまして、三人の判決に関して見ますと、汚職はあったわけでありますが、その汚職が補助事業に不正不当の影響を及ぼしたということになっておらないようでございまして、文部省として兵庫県教育委員会と協力して調査したところによりましても、事業全体については問題があるようでありますが、補助事業の部分に関しましては、目下のところ不正はないと判断しておりますので、検査院にもそのむね申しております。検査院のほうでいろいろまた御指導があると思いますので、それによってさらに善処いたしたいと思います。
  126. 田中武夫

    ○田中(武)委員 二十七条を見てごらんなさい。判決だとかそういうことじゃないんですよ。犯罪が発覚したときです。しかも、それが会計に関係のある犯罪が発覚したときには、直ちに二十七条が動くわけですよ。あなた、私にここでそんなばかな答弁をしたって通りませんよ。判決によってとは違いますよ。犯罪が発覚したときですよ。それが起訴になるとか不起訴になるとかではなく、犯罪として捜査せられた段階を意味しておるのですよ。そうじゃなかったら、ここには有罪判決が確定したとかなんとか書くわけですよ。犯罪の発覚ということは、もうすでに犯罪ありとして捜査が始まった時点をいっておるんですよ。したがって、いまの答弁は当たらない。二十七条による通知をいまさらやる必要はない。けれどもやるべきである。そういうようないままでの文部省の考え方というものは、院法も知らないし、会計ということに関して関心を持たない証拠なんだ。そして二十七条による報告がなかったとしても、堀委員から事実を具体的に述べて、ここにこれだけ問題があったんだから、会計検査院にはわかったわけだ。したがって、会計検査院は旅費があるとかなんとか、そんなばかなことで通るものじゃない。少なくとも二十六条で出頭を求められるし、質問することができる。二十八条では、関係者に対して資料その他を提出することを求めることができるとなっているんですよ。いまさらそんなものを言っておるのか、こういう感じを受けるんですよ。つべこべ言うもんじゃない。私の言うとおりするのがあたりまえなんだからそうしなさい。それともそうでないというならひとつ法律的にぎゅっと締めてみせてください。
  127. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 二十六条でございますが、おっしゃるとおりそういう規定がございます。ただ実地検査をすると申し上げましたのは、やはりこれは……(田中(武)委員「旅費の問題じゃないですよ」と呼ぶ)現物の調査を伴うものでございますから、そういう意味合いにおきまして実地に検査をするということにいたしたいと思います。
  128. 堀昌雄

    ○堀委員 たいへん長時間にわたって恐縮でありますけれども補助金ですから、済んだことについていまからきちんとしてもらわなければいけません。検査院として法律に基づく処理をいたしてもらわなければならぬと思いますが、きょうこうやって一連の問題を取り上げたのは、やはり地方自治体における姿勢の問題です。私は洲本市における事案が起きたから問題を提起したわけでありますが、文部省も自治省もこういう問題がある以上、やはり常にそれはないとは限らないという問題があるわけですから、これらの起債や補助の問題等については適正な行政が行なわれるように今後については十分ひとつ責任をもって処置をしてもらいたいと思いますので、今後についての責任のあり方といいますか、それを自治政務次官と文部省に答弁してもらって、あとは検査院で検査をするそうですから、その答弁を得て終わりたいと思います。
  129. 砂田重民

    ○砂田説明員 堀委員も私も兵庫県から出てまいったわけでありますが、まことに遺憾な残念な恥ずかしい思いをしながら先ほどから承っておりました。法律的な問題は私自身まだ内容をつまびらかにしておりませんので検討させていただきたいと思いますが、堀委員のおっしゃる姿勢の問題についてはもう御議論のとおりだと思います。地方公共団体はまず地域社会住民に対してりっぱな姿勢を示してもらわなければならぬ。私ども自治省といたしましても、当然地方公共団体に対しての姿勢は十分自戒をしていかなければならないと考えます。先ほどから伺いました自治省関係の洲本市の問題も、これは特に堀委員がちゃんと結末をつけろという御意見でございますので、厳格な姿勢で結論を出してまいりたいと思います。一般的な問題といたしましては、私ども自戒の心をもちましてこれからも対処してまいりたい、かように考えております。
  130. 村山松雄

    ○村山説明員 文部省といたしましては、補助事業の施行については従来も適正を期しておりますが、こういう御指摘もございますから、さらに一そう適正に行なわれるよう留意し、指導してまいりたいと思います。
  131. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  132. 大石武一

    大石委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会