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1968-12-04 第59回国会 衆議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十二月四日(水曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員   委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 丹羽 久章君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       北澤 直吉君    田澤 吉郎君       渡海元三郎君    長谷川 峻君       高田 富之君    堀  昌雄君       森本  靖君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  委員外出席者         警察庁交通局長 鈴木 光一君         行政管理庁行政         管理局管理官  川島 鉄男君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         大蔵大臣官房審         議官      細見  卓君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         文部省初等中等         教育局長    天城  勲君         厚生省保険局国         民健康保険課長 松田  正君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         自治政務次官  砂田 重民君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治大臣官房会         計課長     鈴木  博君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         会計検査院事務         総局第一局長  斎藤  実君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         公営企業金融公         庫総裁     荻田  保君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 十一月三十日  委員菅野和太郎君及び原健三郎辞任につき、  その補欠として椎名悦三郎君及び中曽根康弘君  が議長指名委員に選任された。 十二月三日  委員小山省二辞任につき、その補欠として三  木武夫君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員椎名悦三郎君、篠田弘作君、水野清君、芳  賀貢君及び柳田秀一辞任につき、その補欠と  して渡海元三郎君、田澤吉郎君、北澤直吉君、  高田富之君及び堀昌雄君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員北澤直吉君、田澤吉郎君及び渡海元三郎君  辞任につき、その補欠として水野清君、篠田弘  作君及び椎名悦三郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  理事小山省二君同月三日委員辞任につき、その  補欠として丹羽久章君が理事に当選した。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (自治省所管公営企業金融公庫)      ────◇─────
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行ないます。  自治大臣より概要説明を求めます。野田自治大臣
  3. 野田武夫

    野田国務大臣 説明の前に一言ごあいさつ申し上げます。  今度、はからずも自治省を担任することになりました。今後またいろいろとお世話になると思いますが、よろしくお願いいたします。     〔委員長退席鍛冶委員長代理着席〕  昭和四十一年度自治省所管決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額八千五十二億一千一百万円、予算補正追加額三百七十七億二千万円、予算補正修正減少額一億七千六百万円、総理府所管から移管を受けた額九百万円、予備費使用額五十五億二千四百万円、合計八千四百八十二億八千八百万円でありまして、これに対し、支出済み歳出額は八千四百八十億一千八百万円で、その差額二億七千万円は不用額であります。  以下、支出済み歳出額のおもなものにつきまして、御説明申し上げます。  まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は七千八百三十三億二千一百万円、支出済み歳出額は七千八百三十三億二千一百万円、でありまして、全額支出済みであります。この経費は、昭和四十一年度所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれの百分の三十二に相当する金額合算額昭和三十九年度における地方交付税の未交付額に相当する金額を加算した金額交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。  次に、臨時地方特例交付金でありますが、歳出予算現額は四百六十四億五千九百万円、支出済み歳出額は四百六十四億五千九百万円でありまして、全額支出済みであります。この経費は、昭和四十一年度における住民税減税に伴う減収等を考慮し、あわせて地方財政の健全な運営を確保するため、昭和四十一年度限りの特別措置として、第一種特例交付金二百四十億円、第二種特例交付金百七十四億円、第三種特例交付金五十億五千九百万円を地方公共団体に交付する財源として、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。  次に、市町村民税臨時減税補てん債元利補給でありますが、歳出予算現額は四十八億六百万円、支出済み歳出額は四十八億四百万円、不用額は二百万円でありまして、この経費は、市町村民税課税方式統一等に伴う市村町民税減収を補てんするために起こした地方債昭和四十一年度分の元利償還金の三分の二に相当する額の元利補給金関係市町村へ交付したものであります。  不用額を生じましたのは、元利償還金予定より少なかったので、これに対応する元利補給金を要することが少なかったことによるものであります。  次に、衆議院議員選挙費でありますが、歳出予算現額は四十七億一千六百万円、支出済み歳出額は四十六億一千八百万円、不用額は九千八百万円でありまして、これは、昭和四十二年一月二十九日に執行されました衆議院議員選挙に要した経費であります。  不用額が生じましたのは、候補者予定より少なかったため、衆議院議員選挙執行委託費を要することが少なかったこと等によるものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は十五億円、支出済み歳出額は十五億円で、全額支出済みであります。この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対して交付したものであります。  次に、奄美群島振興事業費でありますが、歳出予算現額は十四億六千四百万円、支出済み歳出額は十四億六千四百万円でありまして、この経費は、奄美群島の急速な復興をはかるため産業振興公共施設整備等事業を行なうための経費について補助したものであります。  次に、小災害地方債元利補給でありますが、歳出予算現額は十四億一百万円、支出済み歳出額は十三億六千八百万円、不用額は三千三百万円となっておりまして、この経費は、公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債昭和四十一年度分の元利償還金の全部またはその一部に相当する額の元利補給金関係地方公共団体に交付したものであります。  不用額を生じましたのは、元利償還金予定より少なかったため、これに対応する元利補給金を要することが少なかったことによるものであります。  次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は十億八千四百万円、支出済み歳出額は十億七千一百万円、不用額は一千三百万円でありまして、この経費は、消防施設等整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し補助するために要したものであります。  不用額を生じましたのは、補助事業計画の一部変更により消防施設等整備費補助金を要することが少なかったためであります。  以上が一般会計歳出決算概要であります。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計につきましては、歳入予算現額は、当初予算額八千八百七十億九千二百万円、予算補正追加額三百七十七億一千万円、予算補正修正減少額二十億五千万円、合計九千二百二十七億五千二百万円でありまして、これに対し収納済み歳入額は九千二百五十七億二千八百万円となっております。  また、歳出予算現額は、当初予算額八千八百七十億九千二百万円、予算補正追加額三百五十七億一千九百万円、予算補正修正減少額五千九百万円、昭和四十一年度特別会計予算予算総則第十一条第一項の規定による使用額二十五億四千四百万円、合計九千二百五十二億九千六百万円でありまして、これに対し、支出済み歳出額は九千二百五十一億九千二百万円で、この差額一億四百万円は不用額であります。  支出済み歳出額のおもなものは、第一に、地方交付税交付金財源として一般会計から受け入れた金額昭和三十九年度地方交付税交付金返還額合計額から、この会計借り入れ金の一部の償還に要した金額を差し引いた金額地方交付税交付金として地方団体に交付したもの七千七百七十三億二千三百万円、第二に、直接この会計歳入として受け入れた地方道路税石油ガス税及び特別とん税の収入額に相当する金額を、それぞれ地方道路譲与税譲与金石油ガス譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として関係地方公共団体に譲与したもの五百九十二億三百万円、第三に、住民税減税に伴う減収等を考慮し、あわせて地方財政の健全な運営を確保するため、昭和四十一年度特別措置として一般会計から受け入れた金額臨時地方特例交付金として地方公共団体に交付したもの四百六十四億五千九百万円であります。  以上、昭和四十一年度自治省所管決算概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 鍛冶良作

  5. 斎藤実

    斎藤会計検査院説明員 昭和四十一年度における自治省所管決算について検査をいたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上のとおりでございます。     〔鍛冶委員長代理退席委員長着席
  6. 大石武一

  7. 荻田保

    荻田説明員 公営企業金融公庫昭和四十一年度業務概況について御説明申し上げますが、その前に、当公庫設立以来昭和四十一年度までの業務運営状況について概略を御説明申し上げます。  当公庫は、特に低利かつ安定した資金を必要とする地方公共団体公営企業について、その資金を融通し、公営企業の健全な運営に資するため昭和三十二年六月一日に設立されたものであります。  昭和四十一年度をもって第十事業年度を終わったことになるのでありますが、この間、事業規模は年を追って増大し、昭和四十一年度末においては、政府出資金二十八億円、公営企業債券額面二千四百八十七億円の発行による手取り金二千四百七十五億円及び貸し付け回収金等資金百五十五億円を原資として、総額二千六百五十八億円余の貸し付けを実行いたしたのであります。また、昭和四十一年度末の貸し付け残高は二千二百四十二億円、債券発行残高は二千三百一億円に達しております。貸し付け残高事業別に見ますれば、上水道事業が全体の四〇%、次いで地域開発事業が一六%でこの二つの事業で全体の五六%を占め、以下電気事業が一四%、工業用水道事業が二二%、下水道事業が四%、その他港湾整備事業交通事業等が合わせて二%となっております。また、当公庫におきましては、昭和三十五年度から、農林漁業金融公庫からの委託により、地方公共団体の行なう公有林整備事業に対する資金貸し付けを行なっておりますが、昭和四十一年度末までに九十七億円の貸し付けを実行いたしました。  以上が昭和四十一年度末までの当公庫業務概況でございまするが、他の公庫に比しての著しい特徴といたしましては、二千六百五十八億円にのぼる貸付原資を二十八億円の政府出資金のほかはそのほとんどを債券発行によってまかなっており、資金運用部からの借り入れは行なっていないという点でございます。  次いで昭和四十一年度業務概況決算について御説明申し上げます。  昭和四十一年度における当公庫貸し付け計画額は当初六百二十五億円でありましたが、その後、地方債許可状況等を勘案いたしまして公庫発行政府保証債のワクが十億円減額となりましたため、実質的には六百十五億円の貸し付け計画のもとに貸し付けを行ないました。その結果、五百六十八億円の貸し付けを実行いたしました。この貸し付け原資といたしましては、産業投資特別会計からの出資金二億円、債券発行により調達された資金五百五十三億円と貸し付け回収金等資金十三億円を充てました。ほかに短期貸し付けといたしまして三百五十三億円の貸し付けを実行いたしました。なお、元利金回収額合計二百七十四億円でございますが、延滞は皆無でございます。  また、本年度におきましては国民生活に最も密接な関係がありながら経営の困難なものの多い上水道事業について、その負担を軽減するため、貸し付け利率を従来の七分三厘から七分に引き下げることといたしました。この措置に伴う公庫経営負担増加額については、前述の一億円の政府出資を仰いだほか、六分五厘の低利による縁故債四十五億円を発行することにより補しました。  次に、公営企業債券発行額は六百三十五億円でありまして、このうち四百十億円が公募債、二百千五億円が直接募集債でありましたが、公募債四百十億円のうち八十億円は三十四年度発行した債券満期償還に必要な資金に充てるため発行したものであります。なお、二百二十五億円の直接募集債のうち四十五億円はさきに述べましたように低利発行を行ないました。  以上のほか、昭和四十一年度における農林漁業金融公庫からの委託による市町村公有林整備事業に対する貸し付けは、二十八億円となっておりまして、期末の貸付残高は九十七億円でございます。  次に損益の状況でありますが、貸し付け金利息等利益金勘定合計額百六十億六千四百四万円に対し、債券利息及び事務費等損失金勘定合計額は百五十八億六百九万円でありまして、差し引き二億五千七百九十五万円をもって各種の償却に充当いたしましたため、利益金は生じておりません。  以上、昭和四十一年度業務について概略説明申し上げましたが、昭和四十二年度以降の業務につきましても御参考までにその概略について一言触れておきたいと存じます。  昭和四十二年度におきましては、貸し付け計画は七百三十億円でありまして、その原資として産業投資特別会計からの出資金三億円、債券発行等による収入金七百二十七億円を予定しておりましたが、年度中途に至り、政府景気調整策の一環として当公庫においても五十億円の貸し付けを翌年度に繰り延べることとされましたため、年度末における貸し付け実行額は六百七十六億円、債券発行額は借りかえ債を含め七百四十一億円となりました。  また、新たに駐車場事業貸し付け対象事業に加えるとともに、従来観光施設事業として貸し付け対象といたしておりました有料道路事業を独立した貸し付け対象事業といたしましたほか、地方公営企業財政再建に資するための貸し付け及び既往年度における高利の企業債の借りかえ等を実行いたしました。  次に、昭和四十三年度につきましては、貸し付け計画額は前年度からの貸し付け繰り延べ額五十億円を含め八百七十億円でありまして、その原資として、産業投資特別会計からの出資金二億円、債券発行等による収入金八百十八億円及び前年度からの繰り越し金五十億円を充てる予定といたしております。  また、新たに下水道事業に対する貸し付け利率を従来の七分三厘から七分に引き下げ、上水道事業並みとしたほか、工業用水道事業に対する貸し付け償還期限を十八年から二十一年に延長いたしております。ちなみに、十一月末現在におきまして、貸し付け実行額短期貸し付けを含め二百六十億円、債券発行額は三百十五億円となっております。  以上、当公庫業務概況について御説明申し上げましたが、公営企業の健全な発展をはかるためには、今後とも低利資金を長期に融通することが望ましいのでございまして、関係各省の御指導のもと、公庫設立趣旨に沿うよう一そうつとめてまいりたいと存じております。  以上でございます。
  8. 大石武一

    大石委員長 これにて説明聴取を終わります。      ────◇─────
  9. 大石武一

    大石委員長 この際おはかりいたします。  理事小山省二君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員になりました。これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認めます。理事丹羽久章君を指名いたします。(拍手)      ────◇─────
  11. 大石武一

    大石委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 自治省所管の問題をはじめ若干の点につきまして御質問いたしたいと思います。  まず最初に、野田さんおめでとうございます。そこで、新大臣に就任せられたのでありますので、これから自治省を担当せられて地方自治の問題に取り組んでいただくわけでございますから、まず基本的なものをお伺いいたしたいと思います。  憲法の九十二条に地方自治本旨というのがうたってあるわけです。この憲法九十二条に、地方自治本旨に基づき云々とありますね。地方自治本旨をどのように理解しておられますか。地方自治本旨、これをどう理解しておられますか。これがこれからあなたが仕事をせられる根本でございますので、ちょっとお伺いいたします。
  13. 野田武夫

    野田国務大臣 お答え申します。  憲法九十二条の地方自治本旨、これはあくまでも民主政治基本に立って、国民福祉増進ということを目標といたしており、私どももその心組みでもって、これから当たりたいと思っております。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 まあ私の考えております地方自治本旨の一部を言われたと思うのです。私は地方自治本旨を次のように考えております。  まず第一は、住民自治である。第二は、それから出てくることでございますが、首長知事市長等住民が直接選ぶ、さらに第三点としては、自治体固有事務処理固有行政処理、これらがいわゆる地方自治本旨である、こう思っておるわけです。そのためにはまず地方自治財政ということをはっきりと考えてやらなければならない。あとで触れていきますが、私の申し上げております地方自治本旨とは、住民自治、それから首長は直接住民が選ぶ、さらに自治体固有事務処理、この三点が地方自治本旨――それ以上もあるかもわかりませんが、こう三つに仕分けしておりますが、いかがでしょうか。
  15. 野田武夫

    野田国務大臣 地方自治本旨としていま御説明いただきましたが、全く同感でありますが、要するに私が申しました民主政治を徹底するということは、いわゆる住民自治ということに基本を置かなければできないことであります。それからその他おあげになりましたことも、大体私は同様な考え方を持っておりますが、特に国民福祉増進ということは、どうしてもやはり国の繁栄というものは、地方自治繁栄といいますか確立がなければできません。そこでいまお示しになりましたそれには、どうしても地方自治の、いわゆる財政の強化、確立と申しますか、それが基本じゃないかと思っております。いろいろな、いまおあげになりました住民直接の、いわゆる自治体固有事務処理その他の問題も、これは一貫した考え方でございまして、私は、御趣旨はごもっともと思っております。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 私の考え方自治大臣考え方基本的に変わりないとするならば、次の私の申し上げることについては、これもまた同じような意見になるだろうと思うのですが、地方選挙、ことに首長選挙にあたりまして、社会党は常に住民に直結する県政あるいは市政ということを申します。ところが与党は中央につながる、中央に直結する県政あるいは市政といっております。いま、もし憲法九十二条の地方自治本旨が、あなたが言われ私が言ったようなことであるとするならば、こういう表現については、中央に直結する地方自治ということはいささか問題があるのではなかろうかと思うのですが、その点いかがでしょうか。むしろやはり住民自治の精神にのっとり、住民に直結する県政市政であるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  17. 野田武夫

    野田国務大臣 田中さんのお考えは、私もよく理解いたします。ただ、ことばの上において地方住民に直結する政治中央に直接する地方自治というおことばがございましたが、基本的には私は全く同感でございますが、現在の行政機構上、やはりどうも地方中央というものが非常に関連が深い、こういうことからいろいろなことば表現があると思っております。基本的にはもう田中さんのお考えが正しいと思っております。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 行政機構の上において、いまおっしゃるようなことがあるということ、これ自体が私根本的に変えていかねばならない問題であろうと思うわけなんです。そうでなければ、いままでのいわゆる旧憲法下地方自治体と、日本国憲法下における地方自治体は性格が違っておるのだ、あくまでも住民自治の上に立って、中央とは独立にやるのだ、こういうことを基礎に置くべきである、そのためには固有事務処理、これが地方自治のほんとうの仕事でなければならないと思うのです。ところがこれが財政関係等で十分やれないというところに問題がある。したがって財政の点において、中央に握られておるので、結局陳情政治、こういうことにならざるを得ないのです。そこで、かつて佐藤さんは、私に協力しないような知事あるいは市長ができても私はめんどう見ないといったような発言を選挙応援に行ってせられたことがあって、問題になりました。こういう考え方が間違っておるということは、いまさら申し上げるまでもないわけなんですが、そこで一体地方自治体に対して中央自治省において一体何がやれるか。たとえば交付金、これは法律できまっておるわけです。特別交付金が若干裁量余地があるだろう。あるいはいろいろなことに対する補助金助成金、これも法律でその基礎はきまっておる。ただ運営において若干の行政裁量が入る、こういうことだろうと思うのです。したがってそういう観点に立つならば、知事あるいは市長がどういう党に所属し、あるいはどういう思想を持っておる人にせよ、地方自治体本旨からいって、自治省はこれを区別すべきではない。したがって、そういうことはいままであったかどうかは別として、今後少なくともあなたが自治大臣の間は、そういうことは一切区別はいたしません、こういうことをまず約束していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  19. 野田武夫

    野田国務大臣 ただいま田中さんの御意見承っておりまして、これは当然なことだと思っております。自治省として、革新市長ができたからとか、革新知事が生まれたから、それで考慮を別にするとか、これはもう自治省のあり方として、また私どもが今後地方自治を取り扱う上におきまして、そういう偏見をもってやるというようなことは、これはもう間違っております。また、いまお話のありました財源問題でも、相当圧迫されるというようなことですが、これは私は大蔵省と少し考えが違うかもしれませんが、地方交付税のごときは、やはり自治省考え方は、これはもう固有財源だと思っておりますが、こういうものはもう公平にこれを処理することは当然であるし、また補助金の問題もお示しになりましたが、いま、これは私よりも御存じでありましょうが、補助金も整理しなければならぬという段階に来ておりますから、基本的には私は、もういまお話しになりましたことは、私どもの態度としては当然のことだ、こう思っております。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうような気持ちで、今後ひとつ自治省仕事をやっていただきたい、こう思うわけなんです。  次に地方公営企業についてお伺いいたします。交通、水道、病院等々ございますこの地方公営企業が、いまどこも赤字に悩んでおる。そこで四十年度末から再建債の発行などをして、財政の再建計画を実施しておる。ところが四十二年度末の地方公営企業決算状況を見ますと、当年度すなわち四十二年度だけで黒字が二百五十一億、赤字が三百七十億、そうして地方公営企業の累積欠損というか赤字は千四百四十一億円というような状態になっておるわけです。そこで公営企業のあり方ということについて考えていかなければならぬと思うのです。先ほど私申しました地方自治体固有の事務、水道とかあるいは交通、いわゆる住民福祉という立場に立って、これは固有の事務ではなかろうか。それを公営企業という形でやっておる。ところが、たとえば水なんかはだんだんと入手困難になって、遠いところからこれを集めねばならない。したがって設備投資が、先行投資がたくさん要る、単価が上がる。そこで十分に地方財政というか、あるいは地方公営企業資金というものに対して考えなければ、当然水道料金の値上げあるいは交通料金の値上げ等々が起きてまいります。そのことが各地方自治体で大きな問題になっている。水道料金の値上げ、交通料金の値上げ、それは御承知のとおりであります。これがまたいわゆる物価上昇ムードを刺激しまして、物価値上げの一つの原因になるといいますか、そういうムードを刺激することになることは当然であります。こういうような地方公営企業のあり方について新大臣はどのように考えられ、今後どのように指導していくようなお考えであるのか、お伺いいたします。
  21. 野田武夫

    野田国務大臣 公営企業が赤字に苦しんでおるし、それからこれが料金値上げその他において物価に影響するということも、これは各方面を見まして、よく私どもこの対策を考えていかなければならないと思っておりますが、いずれにいたしましても、地方公営事業も企業でございますから、やはり基本的には独立採算のたてまえをとる。すなわち企業に要する経費は原則として企業に伴う収入によってまかなう、企業努力を払うべきである。こういう意味において経営の指導を行なっております。私たちといたしましては、しからば企業の独立採算を確保するにはどうすればいいか。これは企業債資金貸し付け条件を改善するとか、特に企業を取り巻く環境の整備等措置をはかる、こういうことに努力をいたしたいと思っております。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 地方公営企業でございますが、企業である限り独立採算制、こういうようにおっしゃったわけなんですが、私はここに一つの問題があるんじゃなかろうかと思うのです。と申し上げることは、この種のことは地方自治体固有の事務だ、住民福祉の観点に立って固有の問題である。それを企業でやる、企業化せしめるということに私は問題があると思う。私はこれを行政の企業化、こういうように見ておりますが、根本的には、私はこの行政の企業化ということについては賛成できないわけなんです。今日水道あるいは病院、交通等々が公営企業としてあるわけなんで、これを直ちに全部なくするということは言っても無理だと思います。しかし私は根本的な考え方からいえば、これを企業という考え方でやることが間違いではなかろうか、このように思うわけなんですが、いかがでしょう。行政の企業化ということについてどうお考えになりますか。
  23. 野田武夫

    野田国務大臣 私はやはりあなたのお考えも非常に重要なことを含んでいると思っております。従来のたてまえからしても、百も御承知のとおり、これは企業として考えられたし、したがって企業としての考えの上に立ってその運営をどうするかというと、やはり独立採算制というのが本旨じゃないかと思っております。したがって、公共性といいますか、いまのお話よくわかりますが、やはりいまの体制ではどうしても企業性というのが基本じゃないか。今後これをどう改めるか、どうすれば一番改善されていくかということは、これはもう当然検討の余地があると私も考えております。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 私がなぜ意地悪く冒頭憲法九十二条をあげたかというと、その精神からいくならば、今日のあり方は間違っておる、私はそのように考えるわけです。そこで基本的には大臣もそうだろう。――しかしこの実情を直ちにこういうことだということで一応理解できないことはございませんが、これは考え方を根本的に直す必要があろう、こう思うわけなんです。さらに現状を一応認めた上に立ちましても、地方公営企業法の三条には「経営基本原則」というのがうたってあります。そこには二つの点があげてあるわけです。一つは経済性の発揮ということ、そしてもう一つは公共の福祉増進ということ。そこでこの経済性の発揮と公共の福祉増進をどのようにマッチさせていくのか、こういうことになろうと思う。この経済性の発揮ということでも、これはいろいろ読み方、考え方があると思うのですが、これだけで直ちに独立採算だとは出てこないのじゃないか、こう考えるわけなんです。さらに第五条の二には「国の配慮」という点があります。こういうことをあわせて、今後の地方公営企業のあり方及び国の配慮等々について新大臣はどのようにお考えになりますか。
  25. 野田武夫

    野田国務大臣 財政局長から……。
  26. 細郷道一

    細郷説明員 おっしゃるとおり公営企業は公共性並びに経済性の二つの柱の上に立っておるわけであります。ただ公共性と申しましても、公営企業で行なっております交通でありますとか水道でありますとか病院でありますとか、そういう企業はそれぞれその利用者がはっきりいたしておりますので、やはりその利用者の負担に求めるということが基本になろうかと思っております。そういうような考え方から、私どもとしては独立採算制を基本とするという考え方をとっております。ただ独立採算と申しましても、公営企業の行なっております事業の中には公共的な部門もございますので、その部門につきましては一般会計とその公営企業会計との間の負担区分ということで問題を処理してまいりたい、かように考えております。現在の負担区分がそれではそのときの時代にぴったり合っているかということになりますと、いろいろやはり時代も動いてまいりますので、そういう点につきまして将来もなお改善、合理化ということに進んでまいりたい、こう思っております。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 この受益者負担の原則ですが、これもいろいろ考え方があると思うのです。もちろん水道、交通、病院等々にいたしましても、利用者が受益者ですね。だから受益者の負担、こういうこともわからぬことはないわけです。しかしあくまでも公共福祉の増進ということ、もっともとをただせば、地方公営企業にも憲法九十二条の地方自治本旨、すなわち住民の自治とそれから住民に奉仕といいますか、言うならば自治体固有事務としてそういうことをやらねばならない。だからもうこれはむしろ一般会計でもいいのじゃないか、私はこう考えておるのですが、そこで問題になりますのは、現在の仕組みを全然否定した上で議論しても始まりませんから、現在の仕組みの上に立って議論を進めるといたしましても、考えなくちゃならないことは、まず税金の配分ということです。いわゆる国税と地方税、これはもう十何年前、二十年近く前ですか、いわゆるシャウプ勧告以来、徴税に手数と費用のかからないのが国税になっておる、徴税に手数と費用のかかるのが地方税になっておる。私は必ずしも全部がそうだとは言いませんが、やはりそういうような仕組みになっておる。そこで今度は交付金だとか特別交付金だとかで還元する、こういう方法をとっておられるわけです。しかし自治体の独立性ということからいって、中央に隷属するということはここにあるのじゃないかと私は思う。したがってもし私が申し上げておるところの基本的理念が大臣とあまり変わりないとするならば、この上に立ってものごとを考える必要がある。いま直ちに大臣に、この点をこうしろ、ああしろということは無理だと思いますが、これは自治大臣だけではもちろんきまりません。大蔵大臣あるいは閣議等々を経なくてはいかぬと思いますが、私はここで国税と地方税を一ぺん洗い直す必要があるのじゃないかと思う。そして税の再配分ということについて、もう一度憲法の精神に返って考え直す必要があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。いま、この税をどうする、この税をどうしろということは一々私は議論をいたしません。しかし基本的な考え方としてはそのようなことが言えるのじゃないか、こう思いますが、新大臣はいかがでしょう。
  28. 野田武夫

    野田国務大臣 これはいまお話しのとおり、シャウプの勧告から出た日本の税制、私自身も、これは大臣になった、ならぬでなくて、やはり国会議員の一員として、平素いまの税制についてはこのままで進めていいかという疑問を多少持っておる一員でございますが、いまの立場でかれこれ私の私見を申し上げることは差し控えますけれども、どうしてもやはりいまのお話のように、いろいろな点に日本の税制というものが欠陥があることは事実でございます。しからばすぐ私の立場で、しかも自治省そのものが税制の基本的な検討写るとかなんとか言うことは少し門違いでございますが、政治的な考え方は大体田中さんに近い考えがあるのじゃないかと自分でも思っております。そこで、いま税の再配分をするとかなんとかいうことはちょっといま私の自治省としてははっきり申し上げることは差し控えたいと思います。よくわかっております。同時に国税、地方税の関係その他税制については、やはり行政事務の配分も並行して考えるべきことだ、こう考えております。御趣旨はよくわかるということだけお答えいたしておきます。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 よくあることなんですが、法律ができて、その一部を地方自治体に委任するわけです、知事とかあるいは五大市長とか。ところがこれに対する、地方自治体へ見合うところの財源を渡さない。したがってその法律が有名無実になっているということが多いわけです。たとえば私それで調べたことがあるのですが、町の金融業者を取り締まる出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律というのがある。これが知事に委任事務になっておるわけです。その必要があって、私は兵庫県なんですが、行って調べたところが、まず第一にどこが管轄しておるのやら、あっちに行きこっちに行きしてみなくてはわからなかった。ようやく総務だということで、行ってみたところが、予算が一つもついていないわけです。したがって法律が有名無実になっている。そのために町の金融業者にいわゆる悪徳者が横行しておるということがわかったわけです。そういうように、委任事務のときには必ず財政的なことも考えるべきじゃなかろうかと私は思う。そうしないから、本来の固有の事務が処理できない。そして委任事務に追われておる。そこに三割自治とか二割自治とかいわれる原因があると思う。私は、新しく野田さんが大臣になられたときであるからこそ、改革するべき問題については大いに勇敢にやってもらいたいと思うのです。俗に言うことばでございますが、富士山のふもとに住む者は富士のよさを知らない、あるいは長屋のどぶ板のにおいは長屋に住んでいる人はわからない、初めてそれを見、それをかいだ人がわかるという。したがって新大臣に就任せられたこの機会に、あくまでも一まず地方自治体財政確立といいますか、このことなくしては、憲法にいうところの地方自治本旨にのっとっての地方自治体はあり得ないと思うわけです。したがって私は、税の再配分、言いかえるならば国税、地方税の再検討も必要でなかろうか、このように申し上げたわけなんです。ところが大臣は、ここではっきり言えないけれども考え方においてはあまり変わりない、こういうことですから、一応次に進みます。  公営企業金融公庫なんですが、そういうことで、地方公営企業資金等についてめんどうを見よ、こういうことで公営企業金融公庫ができたのだと思うのです。ところが、これを見てみますと、上水道では金利七分ですか、その他が七分三厘ということになっておるわけなんです。私はこういう利息も少し高いのじゃないか、こういうように思うわけなんです。これは大臣公庫側にお伺いしたいのですが、今後利子とか返還期間等についてはもっと安く、もっと長く、公営企業という上に立って考えるべき必要があろうと思うのですが、これはどうなんでしょう。
  30. 野田武夫

    野田国務大臣 私、就任早々ですが、この間一応概要だけ自治省仕事の内容を聞きまして、いまの公営企業金融公庫の利子の問題にぶつかって、私も全く同様です。これは事務当局もその点を触れておりましたが、どうしてももう少し金利を下げねばいかぬ、努力せねばいかぬ、これは私一人の考えじゃありません、事務当局もそういう考えをしております。返還期限の問題もあわせてまたこれはいろいろ考えなければならぬ。いまのお話は事務当局、私、一緒になってひとつ努力したいと思っております。
  31. 荻田保

    荻田説明員 公営企業を健全に経営していくために、低利長期の資金の要ることはおっしゃるとおりでございます。わが公庫はその使命を持ってできたものと思っておりますが、何ぶんにも、先ほど御説明申し上げましたように、わが公庫資金は、一部政府出資はございます、それと少し利子補給がございますが、そのほかはすべて一般の、いわゆる政府保証債あるいは共済組合に引き受けてもらう限度債でございまして、大体七分で出しております。したがいまして、これの原価を計算いたしますと七分三厘に貸すのがもうぎりぎりでございまして、もちろんこれはおっしゃるような御趣旨で下げたいのでございますが、それにはどうしても政府側の措置を必要といたしますので、明年度、四十四年度におきましては、これにつきまして大幅に、政府の御指導もあり、予算を要求中でございます。それができたら実行できるかと思います。  それからなお償還期限につきましても、やはりこちらといたしましては七年の債券発行しておりますので、各企業の施設の耐用年数に即するような償還期限を求めるのが合理的だと思いますが、なかなかできませんので、これも明年度におきましてそのようなことができるようにと予算要求をしております。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 公庫を責めるのは筋違いかもしれませんが、公庫もその上に立って十分政府に対して意見を述べなくてはいかぬと私は思うのです。  そこで、公営企業資金というものを見ますと、大体公庫からの融資か起債で、公募債政府資金というものになるだろうと思うのです。しかしそれでやっておる限り、いま公庫の総裁が言われたように、ワクの中でやられた以上、公庫としてもそれ以上のことはできないと思うのです。そこで、やはり政府資金を大幅に出してやらなければならぬ、そういうことについても、ひとつ新大臣の決意を伺いたいと思います。
  33. 野田武夫

    野田国務大臣 十分考慮を払って、いまのお話の趣旨に沿うように努力してみたいと思います。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 よく人が生きていく上において、生活していく上において衣食住といわれますが、それ以前にもっと必要なのは太陽と空気と水なんです。今日まではこれはただだ、ロハだという観念だったのですね。ところが、公害で太陽も空気も必ずしも十分とはいえない。水はといえば、いま言ったようにだんだんと水資源が不足してくる。遠隔地から引かなくちゃならない。投資を多くかけなくちゃいけない。単価が上がる、こういうことになっておりますので、重ねて私は大臣に要求をいたしておきますが、地方公営企業のあり方というものをもう一度考えていただく。それはあくまでも憲法の精神に房って考える。そのためにはどうすべきかということで、やはり政府資金というものをもっと出さなくちゃいけないということになりますが、もっと根本的に言うならば、税の再配分、そして真に憲法の理想とするところの地方自治本旨にのっとって運営せられるためには、財政確立が必要である、こういう点に立って今後ともに大臣の新しい決意と、ひとつかわられた機会にちょっと閣議でも皆が驚くような思い切った提案をせられたらどうです。
  35. 野田武夫

    野田国務大臣 いまのお示しの点は、先ほどしばしばお答えいたしたとおり、もっとものことでございます。私、真剣に努力いたします。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 次に、私は国家公安委員会に関係のことについてお伺いしたいと思うのです。  当初は当然自治大臣が国家公安委員長を兼務しておるというつもりで用意したわけですが、今度の組閣で人がかわられておるので、ちょっと自治大臣には休憩をしていただいて、国家公安委員長を呼んでおるのですが、来ていないようですから、警察庁、防衛庁、建設省見えておりますか。――去る十一月二十六日の朝、兵庫県加西市の三木-山崎線、県道ですが、陸上自衛隊姫路第三特科連隊第一大隊の大型輸送車が無理な追い越しをしたために道路下のたんぼに転落いたしまして、隊員十九名中四人が死亡、十二人が重軽傷を負ったという事故がございました。  そのことについて、まず防衛庁ではどのようにこの事故の報告を受け、どう処理しておられますか、簡単でよろしいがお伺いいたします。
  37. 麻生茂

    ○麻生説明員 ただいま先生から御質問がありましたように、先月の二十六日、陸上自衛隊の第三特科連隊第一大隊の一部が、青野原演習場におきます施設整備作業を命ぜられておりましたので、その一環といたしまして、姫路の駐とん地を出発いたしまして、約六キロの姫路市の市川の川原の砂利採取場で、22/1トントラックに砂利約一トンを積載いたしまして、採石場から約二十キロばかり離れました、先ほど申しました青野原演習場の施設整備の作業に行く途中に、この事故が発生したのでございます。  発生した事故は、兵庫県の加西市の北条町西高室、県道三木-山崎線の播磨農業高校の西方約五百メートルの地点でございます。  事故当時の概況を申し上げます……。(田中(武)委員「それよりか、むしろ簡単でいいからあとの処理のことを」と呼ぶ)それじゃ、ちょうどその事故が生じました模様のところをちょっと申し上げたいと思います。  指揮官の半田一尉の指揮によりまして、五両のトラック、二両のジープに四十人の作業員を分乗させておったわけでありますが、各トラックには約一トンの砂利を積んでおったわけでございます。ちょうどこの事故車は七両中の先頭車となりまして、作業の便宜から後部の荷台に十七名の作業員を乗せて走っておりました。当時はちょうど付近一帯に濃霧が発生しておったのでございますが、事故車は時速約四十キロぐらいで事故発生地点に差しかかりました際に、前方走行中の軽四輪を追い越そうとしかかったのでございますが、ちょうど前方に対向車を認めましたので、ブレーキを踏んで追い越しを中止し、走行車線に戻ろうとしたのでありますが、その際運転を間違いまして、道路左側約二メートルのたんぼに転落をしたわけでございます。ちょうどあおむけに転落したわけでありまして、その砂利の下になりまして、先ほど御質問のありましたように、四名の死亡者、それから二名の重傷者、十名の軽傷者を出すということになったわけでございます。  この直接の原因といたしましては、当時濃霧があった、そこに追い越しをやろうとしたというのが一つの間接的な原因だろうと思います。それにもう一つは、操縦者が操縦感覚において必ずしもすぐれておらなかったという点が、直接の原因ではないかというふうに見ております。  この事故につきましては、事故発生後加西警察署のほうで取り調べを受けておりましたので、警察のほうの処置におまかせをしておるわけでございます。刑事事件としてはおまかせをしておるわけでございます。翌十一月二十七日に釈放されておりまして、その後われわれといたしましては、規律違反問題としてこの運転手及び上の者の取り調べを行なっておるのが現状でございます。  なお、この死亡者につきましてはそれぞれ――その点も申し上げましょうか。事故のほうに重点を置きましょうか。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 その辺でいい。また聞きます。  わかっている事実を長々と言ってもらうという意味じゃないのですよ。こういう事故を起こした自衛隊としては、どういう事後対策を考えておるのかということです。  当時の地元の新聞を私ここに二、三持ってきておりますが、読み上げてみましょう。見出しだけですよ。「またか!自衛隊車両の事故」「今年二度目に憤る地元民」またサブ見出しとしては「“慣れ”で無謀運転、どうなっている安全教育」あるいは「砂利満載の上に十七人、七台縦走での追い越しも非常識、“作戦”で公道上を走る」ある新聞はこう述べておる。また、ある新聞は「濃霧の中の無謀追い越し、じゃり荷に“鈴なり輸送”も災い」こういうように報じているわけです。  そこで、まず自衛隊内においてこの安全教育ということについてはどうなっているのか、こういう事故を起こして、それに対してどのような安全教育を考えているのかということが一つです。  さらに、聞くところによれば、隊員は二年たてば除隊していく。したがって三年以上の経験者というのが少ない。現にこの事故を起こした杉本という運転者も一年余りの経験しか持っていなかった。一般では普通の免許証を取っても、次に特殊なといいますか、営業用の第二種というのですか、それを取るためには何年間かの経験がなくては試験も受けられないという規則になっているわけですね。そういう点について自衛隊は一体どのような安全教育をし、どのように事後対策を考えておるのかお伺いします。
  39. 麻生茂

    ○麻生説明員 今回の事故がありましたので、われわれといたしましては今回の事例を陸幕長から説明をいたしまして、今後特にこういうことに注意をしろという通達を早速出しておるわけでございます。それによりますと、人員は乗車設備に乗車させる等、乗車人員の安全確保に万全を期し、特に貨物の積載にあたっては乗車人員に危害を及ぼさないため、貨物の固定縛着を確実にする。それから、固定縛着が困難な場合には、他の車両を利用するなど、細心の注意でひとつやりなさいということを通達として出しております。それから、さらに安易に必要以上の人員を乗車させ、事故発生時、いたずらに死傷者が増大するということがないように、これも厳重に注意をいたしました。こういうことをいたしたわけでございます。  それから第三には、先ほど先生からも御質問がありましたように、今回の主たる原因は追い越しにあると思われますので、各種状況下における追い越しの要領について、観察、判断、操作等についてさらに特に指導の徹底を期せ、こういう趣旨の通達を早速現地部隊に出しておるわけでございます。  なお、安全教育につきましては、交通事故がわれわれの事故としては従来から一番多い事故でございますので、これにつきましては指導者、監督者を設けまして、安全運行ということについてはよく指導をやってきているわけでございます。特にこの安全監視ということにつきましてチェックリストというものをつくっておりまして、ある行動をする場合には、そのチェックリストにちょうど適合しているかどうかを一々チェックさせるようにしております。しかし、今回の事件を見てみますと、従来の運行に何かマンネリ化しておりまして、安全感覚という点が麻痺しておったところがあるのではないかという感じはするわけでございます。したがいまして、すでにできております安全チェックリストを確実にチェックさせるということによりまして、安全教育の徹底というものをはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 当日は深い霧があって、視界は四十ないし五十メートルであった。ところが、いま御説明があったように、トラック五台とジープ二台、すなわち七台の車両が縦に並んで行っておるわけですね。その先頭車が無理な追い越しをしようとしたわけです。これは非常識だと思うのです。警察庁の交通局長さん、こういう濃霧の中で七台が並んでおって、その先頭車が無理な追い越しをしようということは運転感覚からいっても非常識だと私は思うのですが、どうなんですか。
  41. 鈴木光一

    鈴木(光)説明員 御指摘のように、当日の天候状況は、晴天ではございましたけれども、濃霧が非常に発生しておりまして、自動車を運転する場合には、十分視界についても配慮しなければならないことは当然であると思います。しかも御指摘のように、集団で運行するという場合に、特にその先頭車におきましては安全運転に心がけるべきことは当然であると思います。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 この事故がこんなに大きな事故になったということは、私は実は現場を見てきました。一本道の直線の県道なんです。道路とたんぼの格差といったってほんのわずかです。そこで四人死に、十数名が負傷するということは考えられない。なぜこんな大きな事故になったかというならば、いま言ったように、一トンといっておりますが、砂利を満載して、その上に十七人も乗っておったわけです。そこで警察庁の交通局長にお伺いいたしますが、道路交通法の五十五条の一項ですか、それによりますと、積んでいる荷物の看守に必要な人以上は乗ってはいかぬ、こういうようになっておると思うのです。なぜ十七人もその砂利の上に看守のために乗る必要があったのか。相当むちゃをやる土建関係のダンプカーでも、そんなにむちゃなことはやりませんよ。たしかそういうことになっておると思うのです。その荷物を看守するに必要な最小限度の人しか乗ってはいけないということになっている、どうなんですか。何で十七人も乗る必要があったのか。十七人も乗る必要があったかどうかということは防衛庁、それから道路交通法の関係については警察庁にお伺いします。
  43. 鈴木光一

    鈴木(光)説明員 御指摘のように、土砂を積みまして、それの看守に必要な人員だけの乗車しか認めないということは、五十五条の規定にあるとおりでございます。したがって十七人という人員については、私どもはその看守に必要な人員としてはあまりも多過ぎるということでございまして、その点に対しては、道交法違反の容疑をもちまして現在取り調べ中でございます。
  44. 麻生茂

    ○麻生説明員 十七名の多数の隊員を乗せた理由はどういったところにあったかという点でございますが、これは砂利運搬作業車両中の四トンダンプ一両が故障しておったということでございます。そこで青野原現場における作業員がいなくなると困るのではないかというようなことで、積みおろし人員としてこれらの人員を乗せたというのが当時の判断でございます。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 交通局長、車両が故障しておったとかなんとかいうことは、私は理由にならないと思う。しかもこれは十七人乗せてから少なくとも十数キロ走っているはずです。青野原まで二十キロと言ったでしょう。そうするとあの時点では十数キロ走っている。その間に警察官が一人もこの車を見なかったとは私は思わないわけです。道路交通法六十一条には、「危険防止の措置」ということになっておりまして、警察官は危険防止のためにそういう疑いというか、おそれのあるものがあれば、車両をまず停止させて、そして運転者に必要な措置を命ずることになっていますね。しかもそれを聞かなかったときには罰則もついているわけです。十数キロ走る間、私は交通関係――あえて交通関係だけではないとしても、その関係の警察官が一人もこれを見なかったとは思わない。これが一般の車両ならば当然停車を命ぜられ、必要な措置を命ぜられたと思うのです。これがやられておったのか、やられていなかっのか。かりにやったとしても自衛隊が聞かなかったのか、あるいは自衛隊の車だということで警察は大目に見たのかどうか。自衛隊の車であろうが何であろうが、公道を走る限りは道路交通法の規制を受けることは当然である。そういうことについて交通局長どう思いますか。特別扱いしたのかどうか。
  46. 鈴木光一

    鈴木(光)説明員 警察官が、さような法律違反をしておる状況を現認した場合には、それをとめて必要な措置を講ずることは全く御指摘のとおりでございます。しかしこの事案に際しましては、私どものほうの調査では、当日この状況を現認した警察官はなかった、したがって注意をしたということはなかったという状況になっております。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 私はあの地方の出身ですから地理はよく知っているわけです。姫路を出発して、仁豊野に行って砂利を積んだのでしょう。そこから三木-山崎県道を走ってきたわけでしょう。その間に駐在所は幾らあります。見なかったということについては、これはたまたま、それは偶然重なる場合がありますから、これを責めようとは思いませんが、こういうことが起きると、やはり一般住民が感じることは、自衛隊だから警察は遠慮したのじゃなかろうか、もし一般車のように道交法六十一条に基づく防止措置を命じておるならば、こんな大事故にはならなかったであろうと考えるのが、これは常識だと思うのです。これからもあることだと思いますが、いままでにおいても、自衛隊の車だということで警察は遠慮したことがありますか、今後も遠慮いたしますか、しないですか。
  48. 鈴木光一

    鈴木(光)説明員 私どものほうの立場として、自衛隊の車だからということで遠慮するということはいたしておりません。今後もそういうことはないようにすることは当然であると思います。  なお、この際申し上げておきたいと思いますけれども、通常自衛隊が部隊行動をするような場合は、積極的に自衛隊のほうから警察にその運行経路等を通知してまいりまして、私どものほうの協力を得ながら、あるいは指導を得ながら部隊行動をするということを慣行上やっております。今回の場合にはそういう連絡はなかったのでございますけれども、自衛隊のほうでも、その点につきましては警察と連絡を密接にしながらやるという立場でありますし、また私どものほうも自衛隊の車両の行動につきましては重大な関心を持っておりますので、自衛隊について遠慮するというようなことはなく、むしろそれを積極的に指導してまいりたいという考え方でおりますので、御指摘のような御心配のないように今後ともやってまいりたいと思います。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 新聞の報ずるところによると、高山という大隊長は、このような輸送方法は作戦上必要である、そういうようなことを言っておるのです。当日は修理ですから作戦ではなかった。しかしそういうような輸送方法は作戦上必要である、こういうように大隊長は言っておるのですよ。  そこでお伺いするのですが、この十一月の交通事故は史上最大でしたね。死亡者が十一月だけで千四百二十一名、そして本年度はこれまた死亡者は一万四千人を軽くこえて、負傷者八十万以上になるだろう、こういわれております。また、こういうような交通戦争のほかにも、もう御承知のようなほとんどの道がどこもかしこも自動車で一ぱい、交通麻痺の状態であります。このような状態の公道の中にあって、作戦上必要であったとか、あるいは作戦のために公道を使用するということはどういうことなんですか。  まず防衛庁はそういうことがあるのですか。作戦として公道を使用するのですか。  それから建設省、道路管理者としてそういうような公道を作戦のために使用せられてどうなんです。  それから交通局長は、その取り締まりの観点から見て、作戦と称して、作戦のために必要だといって道交法に違反する、あるいはまた何台かのジープ、特殊車両を連ねて走り回る、こういうことについて一般は大きな迷惑を受けております。作戦だということはどういうことなんです。それぞれの御答弁を伺います。
  50. 麻生茂

    ○麻生説明員 平時におきまして作戦ということで道路を運行するということはないと思いますが、ただ自衛隊におきましても作戦というものを想定しての演習をやるわけでありますから、したがいまして多数の車両を連ねて集団で行進をするということは、これは演習の目的から御承認を願いたいと思います。しかしながら、われわれも道路交通法の規制を受けておるわけでございます。道路交通法の規制を離れてわれわれの車両を運行するということは、これは絶対あってはならないわけであります。われわれといたしましては、この車両の運行につきまして、さらに道路交通法にマッチした運用というものについての幹部の一そうの研究というものを促進をさせていきたい、こういうふうに思います。
  51. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 ただいまの御質問の作戦ということになりますと、これは異常の事態の場合かと思いますが、そういう場合は除きまして、一般に自衛隊が演習するような場合は、現在建設省と自衛隊との間で覚え書きをかわしまして、演習の日時とかそういうようなものは通報願うようにしております。これが一般の交通に大きく支障があるという場合は、公安委員会とも相談して道路管理者の意見を述べるのが適当かと思います。ただ演習となっても、単に車を動かす、それ以外の行動があるかないか、こういうことによって違うと思いますが、道路管理者といたしましては、一般の交通にどういう支障があるかないか、これを一つの判定の基準にしたいと思います。
  52. 鈴木光一

    鈴木(光)説明員 先ほども申し上げましたように、自衛隊の車両といえども道交法の規制を受けることには変わりないのでございまして、御指摘のような道交法の除外例を設けあるいは取り締まりをゆるやかにするというようなことは絶対にないと考えております。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど言ったように、高山という第一大隊長は、このような輸送法、すなわち砂利の上に十七人上乗りしたということ、こういうことが作戦上必要だ、こう言うのです。私は、自衛隊が作戦のために公道を利用せられることはお断わりしたいと思うのです。そうでなくとも渋滞しておる、あるいは交通戦争といわれる今日ですよ。何台か、ときには十台以上の車を連ねてやっておられるわけです。事故がないからといってそれだけでは済まされぬと思うのです。そのためにものすごく交通の渋滞を起こしておるわけです。もちろん自衛隊の車も道路交通法に従って運行することについてはとやかく申すものじゃありません。しかしながら、作戦だという観念で公道を利用せられることについては拒否したいと思います。これはいま伺ってみると、道路管理者の立場あるいは取り締まりの立場からもいろいろと連絡等を受けておる、こういうことなんですが、今日の交通事情からいえば、そんなに車を連ねていってもらっては困るというような意見を吐くべきである。今日までそういう意見を吐いた例はありますか。今後は公道の上で作戦等々という考え方で行動をとってもらっては困るというたてまえに立って、そういうことに対して管理者の立場、取り締まり者の立場から自衛隊に十分チェックをしてもらう。こういう時間にそんなに走っては困る、こういうことをいままで言ってきましたか、いかがでしょう。
  54. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 私、まだそういう道路管理者の意見を述べて話がつかないというような事例は聞いておりませんが、少なくとも相当な車両を連ねていくような場合、これは道路には時間的に非常に混雑しておるときと比較的すいておる時間があると思いますので、そういう点についての時間、経路その他については道路管理者としてもいろいろ意見は述べておるものと思っております。
  55. 鈴木光一

    鈴木(光)説明員 自衛隊、部隊行動を車両としてとる場合につきまして、それを拒否したような事例はございませんけれども、先ほどから申し上げておりますように、大量な輸送をするような場合には自衛隊のほうと十分打ち合わせまして、通行する時間帯だとかあるいは通行する路線の問題だとか、あるいは通行する場合の交通整理の問題だとかいうことを十分協議を遂げまして、一般交通にも支障のないような配慮をしておるのでございます。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 ついでですから建設省に、これはあなたの所管かどうかは知りませんが申し上げておきたいと思うのです。  私の郷里に明石から淡路に渡るフェリーボートがある。道路公団がやっておるわけです。これはあらかじめ自衛隊が予約をしておるのだとは思いますが、何台かの自動車が待っておるわけなんですよ、そこへ時間ぎりぎりに自衛隊の車が入ってくる。これもジープの場合その他もありますが、私が見たのはジープです。ところがこれが先に乗るのですよ。われわれも選挙のときにはあらかじめ何時に行きますからということはみんなやっていると思うのです、私はあまり使いませんが。しかし待たされておる一般の人はこれをどう思います。これは割り込みじゃないとは思うのですよ。そういうことについてもあなたの直接の管轄かどうかは知りませんが、道路公団等にも十分に言っておいてほしいと思いますが、いかがです。
  57. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 明石と淡路島の間のフェリーにつきましては、時間的に違いますが、非常に混雑しておることを聞いております。その運営を時間をきめてやっている場合もあると思いますが、そういうような一般の人から割り込むというような気持ちを起こされるということは非常によくないと思いますので、その辺につきましても道路公団のいまやっておる状況をもう少し調べて善処したいと思います。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 いま申し上げておる三木-山崎線という県道、これは私はしょっちゅう通っています。ところがこれは姫路の駐とん部隊が青野原に行く道なんです。したがっていま私が言っているような車両を連ね無理な運転をする、あるいは交通の渋滞を来たすという原因になっていることは私はしょっちゅう見ております。したがって今後はそのような事態があれば、建設省も交通局長もいま答弁があったのですから、その場で私は注意しますよ。自衛隊にもそう言っておいてください。けしからぬじゃないかと注意します。この三木-山崎線は、国道二号線がいまもういわゆる自動車ラッシュといいますか、そこでこの道を利用するんです。この道は現在阪神、東播、西播を結ぶ一つの道になっておる。さらにこれが但馬地方へ結ぶ道になっておるわけです。去年でしたか、県道ですが、舗装が完成した。したがって、国道二号線が渋滞しておるので、これを走るわけなんです。したがって、今日ではこの県道も相当な交通量になっておる。これを毎日のごとく自衛隊が演習場へ行くために通るわけなんです。しかもこの加西市というのは、昨年市政をしいた市ではあるけれども、平和な純朴な農村なんです。それを現在でも一般のダンプカー、砂利トラック等々がわがもの顔に走り回っておるわけです。そこへ自衛隊が割り込んでくる、こういうような状態なんです。したがって、自衛隊のほうとしては、姫路駐とん部隊へ言って、あまり無理なことをすればきょうここで約束しますよ、もしそういうことがあったらその場で私その輸送しておる責任者に、これは何だと言うかもわかりませんが、どうです。
  59. 麻生茂

    ○麻生説明員 兵庫県付近の演習場といたしましては、青野原しか演習場がないわけでございます。したがいまして、青野原の演習場を使う頻度が多いのではないかと思うわけでございますが、自衛隊にはやはりわが国の防衛という任務があるわけでございまして、その防衛の任務を達成するためには日ごろから演習をしておかなければならないわけです。平時から作戦ということはあり得ないわけでありますが、しかしその作戦というものを前提にした演習というものはやらざるを得ないわけでございます。しかしそれがために国民全体に不便が生じてもいいというわけではございませんので、その辺の調和をどうするかということにつきましては、現地とよく相談してやってまいりたい、こう考えております。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 私が申し上げておるのは、普通の車と同じように動くことはこれはやむを得ぬと思うのです。しかし現に大隊長が言っているように、作戦として公道を使うことは、私はお断わりしたいと思うのです、作戦という観点に立って。これはどうなんです。
  61. 麻生茂

    ○麻生説明員 自衛隊といたしましては、先ほど来申しておりますように、自衛隊の本来の任務を達成するためには、演習をせざるを得ないわけであります。演習をやりますのには、やはり作戦というものを前提にした演習であるわけでありまするから、そうしたための多数の車両による演習というものは、これはお認めを願いませんと、本来の目的は達成できないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 演習場において演習せられることはけっこうです。しかし公道を演習場、作戦場としてあなたは考えるのですか。公道ですよ。しかも先ほど来言っているように、交通戦争といわれるこの時代、交通渋滞のあの状態の中で、作戦という観念で公道を使われることはどうなんです。道路管理者としてどう思いますか。作戦として使うことは警察はどう思いますか。作戦という考え方で使われることはどうなんです。
  63. 麻生茂

    ○麻生説明員 私が作戦と申しましたのは、要するに公道上で作戦なり演習をする、こういう意味で言っているわけではないわけでございます。要するにわれわれとしては、やはり道路を歩く場合の集団の行進というものは必要なわけでございまして、そういう意味で集団としての車両の運行というものはお認めを願いたい、こういうことでございます。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 もうこれ以上あなたじゃ話にならないから、あなたのいまの答弁は議事録に残っております。私も予算委員です。予算委員会でこの問題をもっと詰めてみたいと思います。したがってこの点は留保いたします。  しかし、交通局長さん、いま言ったように、この県道はいま重要な一つの幹線になっておる。したがっていまあなたが答弁せられたような観点に立って、加西警察署で十分注意するように特に私は加西警察のほうへも言っておいてもらいたいと思う。あまり目に余るような行動があれば、私がその時点においてこれは告発ができるかどうか、もう少し調べないといけないけれども、道路交通法に基づいて告発するかもわかりません。そのことも十分自衛隊も覚悟しておいてもらいたい、いいですね。あるいはあの道は県道ですから県の土木出張所あたりがやっていると思うのですが、道路管理者の立場からもそういう観念で使われることについては私は問題があると思います。したがってその道を管理しておる、三木-山崎線を管理しておる管理者に対しましても、私は十分この状況を言っておいてもらいたい、こう思うわけなんです。  交通局長、この加西市は昨年市制をしいて、そうして交通安全都市宣言をやっているわけであります。そこでことしに入ってから二回にわたって自衛隊が事故を起こしておる。しかもいま言ったように、これが国道二号線にかわる一つの役割りを果たしておるということから、相当な車両が走っておるわけなんです。ちょっと私が九月に調べたところを見ますと、日中半日間で四輪車が三千二百三十台この道を通っております。一時点をとってみたわけです。そうしてオートバイが半日間で六千台走っている。ほんの数時間で相当なものなんですね。しかもこれは本来農村なんです。しかもこの事故が起きてから、沿道の人は、毎日のごとく自衛隊が青野原に通うために通っておる、安心できないというのが地元の声なんです。したがって特別な取り締まりを私は特に要望したいのですが、いかがです。
  65. 鈴木光一

    鈴木(光)説明員 この県道上で自衛隊の事故が続いて二回起こったということでございますが、まことに遺憾でございまして、私どもその状況につきましてもう少し精査の上加西警察署につきましても、この道路上には相当やはり自衛隊の車が通ることでございますから、御指摘のようなもし問題があるといたしますれば、しかるべき措置をとりたいと思っております。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 自衛隊員は、先ほど言ったように、青野原に行くためにしょっちゅう通っておる。そうしてこの道はわが家のようなものだ、自分の家のようによく知っておるのだ、こういうようにうそぶいておる。この感覚が事故を起こすのです。なれが事故の原因なんです。これは自衛隊内において安全教育ということについてもっと十分なる対策を立ててもらわなくちゃいかぬと思うのです。聞くところによると、中では一般の運転者よりか長い時間の運転をさせるとかどうとかいう基準があるようですが、あっても何にもならないということは、隊員がどんどん除隊してしまうわけですね。そうすると、数年間の経験者がおらないのです。そういう点に私は問題があると思うのです。今後このような事故を起こさないように自衛隊として交通安全教育にどのような方針をとりますか、お伺いします。
  67. 麻生茂

    ○麻生説明員 今回の事故を振り返って具体的に調べてみますと、今回の部隊行動につきましても安全係というものを設けまして、安全係の幹部は絶対追い越しを禁ずるという注意を現実に出しておるわけでございます。それから、濃霧だからライトをつけろというような注意事項も出しておるわけですね。ところが、現実にはこれが守られておらなかったということが今回の事故であるわけでございます。それから、事故車両につきましても車長が乗っておるわけでございます。霧が多いわけですから、車長は車長の権威において、運転手をもう少し指導すべきであったというような感じがするわけでございます。  従来から、交通の安全というものにつきましては十分な教育をするように努力はしてきておりますが、何と申しましても安全感覚が多少麻痺してきておるのじゃないかという危惧の念を抱かざるを得ないわけでございまして、今後とも道交法あるいは先ほど来建設省関係の道路法に基づきますいろいろな諸制約もあるわけでございますが、これらは当然守らなければならないわけでありますから、そうした法規の周知徹底とともに、車両の安全の上についての十分な配慮というものを幹部が一そうに体得して、徹底的に指導していくという方針でやってまいりたいと思います。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 一般の人とは違って、自衛隊員がいわゆるなれということによって感覚を麻痺するということは重大なんですよ。交通問題だけではありません。武器弾薬を持っておるのです。それがなれで感覚が麻痺したからといって事故を起こされたらたいへんですよ。どうなんです。ただ単に感覚の麻痺だとか、そんなことでは片づかないですよ。交通問題だけではなくて武器を持っておるのですから、その取り扱い、保管、これがなれでやられたのじゃ国民はたまったものじゃないですよ。どうなんです。
  69. 麻生茂

    ○麻生説明員 われわれといたしましては、やはりこういう問題につきますところの感覚というものを常に新鮮に維持していくということが必要であるわけであります。したがいまして、場合によりましては随時監察を行なうとか、あるいは一定の期間を設けて何々週間とか安全週間というものを設けるとかいうようなことによりまして、絶えず安全運転というものに対する感覚というものを新たにすることの教育というものを徹底さしていく必要があるというふうに考えております。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 十分に武器弾薬等を持っておるのですから、そういう感覚じゃ困る。この当該の運転者はいま業務上過失致死罪で取り調べを受けておると思いますが、こういう重要な仕事をしておればこそ、なお一そう一般人以上の注意を必要とすると思います。したがって、一般人が起こした問題よりも、私は注意度においても高度なものを求めることになるべきである、そういうことを特に申し上げておきます。  それから最後に交通局長にお伺いしておきますが、この一つの原因は濃霧なんです。私どものほうの播州地方ですが、国道二号線には加古川大橋、市川橋、正条橋、相生市の若狭野といったように、いわゆる季節的濃霧地帯が多いわけなんです。しかしこれは限られた地区だけの濃霧でございます。そこで、濃霧注意報というようなことが出ないわけなんですが、濃霧注意報というのはどういうときに出すのか、そういうのはどうなっておるのか。それから一定の時間、一定の限られた場所だけでこういう現象が起こることで、これに対して警察の立場からも取り締まりということについては考えられておるか知りませんが、のろのろ運転で運転者のモラルにたよるしか方法がないような状態なんです。こういう局地的現象に対しては、何らか交通取り締まり、交通安全の上から考えるべき処置はないのですか。何とか灯をつけろと言っても、それもあまりつけていないようですね。ただプープーいっておってのろのろ運転しておる、こういう状態にすぎないわけです。この点について、局地的な濃霧現象等についてはどういうような方法が考えられますか。
  71. 鈴木光一

    鈴木(光)説明員 濃霧の注意報というのは気象庁の問題でございまして、おそらく気象庁でそういう予報は出されないような局地的な問題のようでございます。濃霧が出た場合に、運転者がそれに対応するような安全運転をするということは運転者の問題だと思いますけれども、しかし、局地的に非常に濃霧が発生しやすいところであるということでございますならば、そういう点の注意を喚起する何らかの方策を警察でとり得るならばとってまいりたいというふうに考えております。現地ともよくその点については打ち合わせてみたいと思います。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 いま申しましたのは加古川市から相生市、これは先日も汽車がべたおくれにおくれたわけなんです。二日の日ですが、私が上京する日です。べたおくれにおくれた。しかし、そういう地帯が国道二号線のことに播州地帯に多いわけなんですね。そういうところを管轄しておる警察に、特にそういうことについての対策を考えるようにひとつ連絡してもらうと同時に、交通局長というか警察庁としても、この気象庁から出る濃霧注意報というのは相当広い範囲の場合、局地的な場所についてはわからぬ。出ないわけなんです。そういうことについても、ひとつ対策を十分考えていただくように要望しておきます。  この程度で終わります。
  73. 大石武一

    大石委員長 森本靖君。
  74. 森本靖

    ○森本委員 新しい自治大臣にちょっとお聞きしておきたいと思いますが、まず最初にお聞きしたいことは、町村合併の点であります。町村合併がずっと熱心に行なわれておりましたけれども、その後ひとつとんざしておるというような形になっております。しかも、本来ならばもう当然町村合併がなされなければならないというふうな小さな村、町が至るところに残っておるわけでありますが、それがその土地土地のいろいろな特殊な事情等によって、まだ未合併の町村というのが残っておるわけであります。そういうことで、都道府県の中でも困っておるところが多分にあるわけでありますが、こういう本来ならば町村合併をしたら相当いいというところであるにもかかわらず、その土地土地の特殊な事情によって町村合併がなされてないというようなことについて、今後自治省としてはどういうふうな方策を持っておられるか、聞いておきたい。
  75. 野田武夫

    野田国務大臣 従来町村合併を相当促進してまいりましたが、お話のとおり、まだあちこち取り残されておる。これはやはり広域市町村圏と申しますか、そういう町村はやはり中心となる都市周辺、農林業地域を一体とした生活圏を単位とする地域社会の振興対策。期するところは広域行政体制の整備というふうな観点からいたしまして、やはり残された小さい地域につきましては、いま申しましたような意味において今後の行政を進めたい、こう考えております。
  76. 森本靖

    ○森本委員 これはいま残されておるものについては実際は合併をしたい。ところがそれぞれの町村における特殊ないろいろな事情によって合併ができないというところのみがいま残されておるわけであります。たとえば県庁所在地の近くで小さな、人口がもう三千くらいの村がぽっと残っておるというのがあるわけであります。あるいはまた五カ町村が合併したけれども、そのわきに一つだけ相当裕福な町村財産を持っておるということで、合併するよりまだ当分残ったほうがましだということで残っておる。そういう特殊な事情で残っておる。ところが市町村の広域行政、交通事情も相当発達してきたから、そういう点を考えた場合には、もうこれは行政的な面から見れば、当然合併をすべきであるというところが残っておるわけですね。これは単なるいま大臣が言われたように通り一ぺんではなかなかむずかしい段階にきておるわけです。そとで今後これがいまから先においても、当初町村合併したときにいろいろある程度の便宜をはかったというような点をやはり自治省が指導性を発揮してやっていかなければ、こういう特殊な事情で残っておるところについてはなかなかむずかしいじゃないか、こう思うわけでありますが、そういうことに対しての単なる通り一ぺんでなしに、何かの利益を与えてやらないとこれ以上の町村合併というものはなかなか進まぬと思うのです。そういう点をどう考えておるかということを具体的にお答え願いたい、こう思ったわけです。
  77. 野田武夫

    野田国務大臣 私もよく知っております。あっちこっち残されたところをできればひとつ早く他の市町村に合併する。これはそうしてもらいたいと思うのです。そこでこれは全国的におそらく特殊ないろいろ事情があると思っております。これは比較的に申しましてもそのケースによって違うと思っておりますから、できるだけ自治省といたしましても引き続いてぜひ合併の方向に進むように方針をきめて、またケース・バイ・ケースで、いまお話しのどうすれば合併するか。その条件なんか聞きまして、できるだけの利益の提供は、必要あれば進める以上はやはり条件がありましょうから、当然考えなくちゃならないと思っております。
  78. 森本靖

    ○森本委員 大体ケース・バイ・ケースで、その特殊事情をいろいろ考えながら合併の指導をしていくということでありますが、これは特に進めてもらいたいと思うのです。  それからこれに関連をいたしまして、新しい大臣でありますので、特に聞いておきたいと思いますことは、いままで内閣の中において公然と論議はせられておりませんけれども、道州制の問題が広域市町村行政に応じて論議せられておるわけでありますが、新しい野田大臣としては道州制という問題については一体どういう見解を持っておるのか、この際聞いておきたいと思います。
  79. 野田武夫

    野田国務大臣 いま話が出ましたいわゆる広域行政、これはもう前と比べて日本の全体の経済圏、産業圏、すべてこれは広域行政ということに指向しております。そういうことでございますから、つまり各府県においてもそういう観点において、もう境界を越えて広域行政の展開をはからなくちゃならぬというようなことは私は当然だと思っております。――当然ということばは過ぎていますけれども好ましいことだと思っております。それで、政府としては、御承知のとおり府県合併特例法案を一度出したことがありますが、今後もやはり府県合併法案を国会に出したい。そのほか広域行政の意味からして、広域的な行政需要に対して時宜に適した措置を行ないたい、こう考えております。
  80. 森本靖

    ○森本委員 きょうは一応大臣の見解だけを聞いておきたいと思いますが、またこの問題は先ほどの町村合併とも関連がありますが、相当慎重に取り扱う必要があるということはひとつ考えてもらいたいと思います。  それから次に、これは事務当局でけっこうでありますが、この決算の中で、四十一年度衆議院議員の総選挙が四十六億一千八百万円の支出になっておるわけでありますが、この中でNHKそれから民放その他ラジオ等の使用に対して支払った金額はどの程度ですか。――わからなければあとで……。  それでは、本年の参議院選挙でありますが、このときにNHKが特にテレビ放送を自主的にやったわけでありますが、これに対しては、いわゆる選挙管理委員会のほうからの経費は全然出ておりませんか。
  81. 長野士郎

    ○長野説明員 ただいまお話がございましたテレビ、ラジオ関係でございますが、選挙の啓発として、衆議院選挙の場合には、四十一年度決算におきまして一億四千百九十一万円余りを出しております。それから、あとでお尋ねのございました参議院選挙の場合におきますNHKの立ち会い演説会等のいわゆる実況放送的な取材は一応取材としてやっておりますので、その関係経費を予算から出しておりません。
  82. 森本靖

    ○森本委員 これは確かにNHKが自主的な取材ということでやったわけでありますが、しかしこれにほとんど全国的に参加をして、たしかこれがなされなかったのは香川県だけだと思います。それ以外は全部、地方区についても立会演説会がほとんどテレビで放送されているわけであります。このテレビの立会演説会というものは全国的に非常に好評を博しているわけであります。いまの時代において、選挙を行なうという場合には、テレビ放送を公営で行なうのが一番時宜にかなったやり方でありまして、またこれを使わなければ、事実一般有権者と候補者が密着するということはなかなかむずかしいわけであります。こういう点では、この時代においてはテレビを選挙の公営に使うということが事実必要な段階になってきておる、こういうように思うわけでありますが、そういう点について大臣どうお考えですか。
  83. 野田武夫

    野田国務大臣 私は森本さんの意見に同感です。もうこういう時代でありますから、しかも非常にテレビの普及率も増してまいりました。私は、できればやはりテレビを選挙の公営に使う、こういうふうに考えております。しかしこれは私だけ申しましても、テレビの所管の役所がありますから、かってには、これは希望ですから、自治省として言明できませんが、私としてはその時に来たのじゃないかかと思っております。
  84. 森本靖

    ○森本委員 これは事実やろうと思えばもうやれるわけであります。いま一番問題になっておりますのは関東だけであります。しかし関東におきましても、たとえばNHKと民放とをフルに公営化して選挙期間中に使えば、技術的に可能になってくるわけです。そういう点を考慮して、もはやこれは公職選挙法にテレビ放送を入れるということを現実の問題としてやっていいのではないか。いまでは車に乗ってお願いしますというようなことを言うて山から山を回って、一体何人候補者に面接をしておるかということを考えた場合、堂々とテレビを通じて政策を発表して、その政策を茶の間でゆっくり聞いて批判ができる。やはりテレビを使う時代になってきているわけであります。だからいま私が言いましたように、もうやろうと思えばできるわけであります。それがどこでひっかかっているか知りませんが、関東は事実NHKだけになればむずかしいわけでありますが、しかしその期間だけを民放なら民放をも含めて使うということであれば、かなり有効に使えるわけであります。だからこういう点もひとつ十分自治省選挙管理委員会の担当あたりは研究していただいて、これは前から言われていることでありますが、次の選挙あたりからテレビを公然と公営放送として使えるというふうに、ひとつこれは早急に郵政省当局とも話をして、そうして法改正なり、そのときに提案ができるという形にぜひやっていただきたい、こう思うわけでありますが、どうですか。
  85. 野田武夫

    野田国務大臣 努力いたしてみます。私も同感ですから。
  86. 森本靖

    ○森本委員 それから最後に、これは簡単なことでありますけれども、有線放送について、実は自治省の所管のいわゆる地方公共団体が受け持ってやるやつがあるわけでありますが、いま問題になっておりますのはいわゆる十二月の末に全国の中継をするやつが切れるわけでありまして、これが問題になっているわけでありますが、この三十三施設の中に地方公共団体がやっておる分についてありますか。これは事務当局でけっこうです。
  87. 長野士郎

    ○長野説明員 該当するものはあると思いますが、ちょっと手元に資料をいま持っておりませんので、後ほど調べまして申し上げたいと思います。
  88. 森本靖

    ○森本委員 そこでこの三十三施設の中に、自治省の所管する地方公共団体があるとするならば、これは十二月で時間切れになるわけでありますね。ところがこれは実は時限立法であって、一回、もう次は延長しませんよということで延長した分がこの十二月で切れるわけであります。これに対して自治省当局としてはどういう考え方を持っておるかちょっと聞いておきたいと思います。
  89. 長野士郎

    ○長野説明員 有線放送につきましては、主として農村地域におきまして住民相互の間の連絡といいますか、コミュニケーションといいますか、あるいはまた町村のあるいは農協その他の広報活動の手段といたしまして非常に有効と申しますか、そういう農村自治体におきますところの住民の生活と全く切り離せない、そういう非常に重要な機能を発揮しておるように私ども思っております。したがいましてそういう点で郵政審議会の答申でも、私ども関係地方団体等の要望も聞きまして、良好な状態で将来とも維持していきたいというようなことで答申をいただくようにいたしまして、そういう答申もいただいているわけでございます。そういう答申の趣旨に従いまして、町村の実態に従って良好な状態で今後も管理し、十分機能を発揮さしていくようにいたしたい、こう考えております。
  90. 森本靖

    ○森本委員 私も今度出た答申の趣旨に従ってやっていくということについてはある程度の法改正をするということについては賛成であります。ただここで問題になるのは、いま三十三施設の中で十二月三十一日でもう全国つながることができなくなるわけです。これは全国のほうから要請がありまして、いまから二年前であったと思いますが、いろいろの農協なりあるいは地方公共団体からの話がありまして、それでは一回だけは時限立法で延長いたしましょう、しかし、この次はもうあらゆる各方面から出てきたところの答申のとおりやりましょうじゃないか、それがために有線放送に関する審議会というものをつくって、そうしてその審議会から答申を受けてやりましょうということで、審議会をつくって、その審議会の答申が出てきたわけであります。そこでわれわれもその答申の方向に従ってやるということについては賛成でありますが、しかしそうなってくると、この三十三施設の問題については答申のとおりいけばなくなるわけであります、全国中継ということは。それで自治省もよろしいかどうかということをはっきり聞いておきたい。そうせぬと年末のどさくさまぎれにまた時限立法でぽんぽんと出すということになりますと、農林省、自治省、郵政省また三者でもめるということになると困るわけですが、このままほっておけばそのまま消えてしまうわけです。その辺の見解を自治省当局に聞いておきたい、こういうことです。
  91. 長野士郎

    ○長野説明員 御指摘のとおりでありまして、全国中継といいますかそういうことについては、私ども伺っておりますところでは、一応試験的に認めるというようなことがありまして、一定の時期が限られておる、そうしてその時期が来たという問題でございます。この施設の扱いにつきましていわゆる市外通話と申しますか、常識的に言うと市外通話でございますが、そういうものと公衆電話をどういう範囲で連絡さしていくかという点につきましては、現在郵政、農林、自治と関係省は大体この三省でございまして、いろいろ協議をいたしておりまして、まだ結論には達しておりません。まあ私どももある程度のところで調節をすることが必要じゃなかろうかという感じも実はいたしております。全国的に通話ができるということを非常に強く主張することだけでも、必ずしも全体の有線放送の育成といいますか、管理という点、それからいわゆる公衆電話におけるところの通話能力についてのいろいろな注文が、技術的にも法的にもあるわけでございますから、そういうものと有線放送施設との現況におきますところの調節というものもなお考えなければならないこともございますので、現在関係省と協議中でございます。
  92. 森本靖

    ○森本委員 もうこれで終わりにしますが、そのいわゆる有線放送の問題について審議をするために、いまから二年前にこの時限立法を延長する際に、条件としてその審議会をつくったわけであります。その審議会には自治省関係の者も農林省関係の者も郵政省関係の者も入って答申が出た、その答申に従って法律改正をやっていこう、こういう段階になったわけであります。そうなればこの全国中継というのはおのずから消えてしまうわけでありまして、その答申に出ておるとおり、県内一中継ということになるわけです。そうするとこの時限立法なるものはこれはもうこの十二月三十一日でそのままほっておけば消えてしまうわけですね。だからそれでいいのかどうか。これまた臨時国会とか通常国会のどさくさで最後にもめられちゃかなわぬので、それでいいのかどうかということを私は自治省と農林省それぞれに聞いておるわけでありますので、この際自治省にそれでよろしいか、あなたのほうは答申どおりやるといわれたから答申どおりということならそうなるのじゃないか、こういうことを言っておるわけです。
  93. 長野士郎

    ○長野説明員 私どもは現在協議中であるということでひとつ御了承を願いたいと思うわけでございまして、まあ有線放送の関係者が非常に望んでおります立場もよくわかるつもりであります。しかしまた同時に有線放送自体が農村地域におけるところの農民相互間のコミュニケーション、それから町村を単位といたしますいわゆる広報伝達の機能としてかけがえのない作用を持っておる、そういうことを重点に考えました場合に、両方に全部ネットワークが通じていくことを非常に強調するということが、全体の公衆電話全般の考え方とどう調整しているのかという問題もありまして、現在技術的な面もあるようでございますから、協議中でございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  94. 森本靖

    ○森本委員 終わります。
  95. 大石武一

    大石委員長 午後一時半まで休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ────◇─────     午後一時三十五分開議
  96. 丹羽久章

    丹羽(久)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  華山親義君。
  97. 華山親義

    ○華山委員 先ほど、公営企業につきまして、田中委員から思い切ったことをやらなければだめじゃないか、新しい大臣になられたので、思い切ったことをやれというお話がありました。私は、一つ思い切った方法を提唱いたしますから、大臣にひとつ御答弁を願いたいと思う。  と申しますことは、現在の地方公営企業原資そのものが限られている。したがって、その原資というものにつきまして考え直さなければいけないのじゃないか。そこで、社会党は国債というものについて反対です。しかし自民党が将来とも国債政策をとろうということであるならば、私は公営企業原資を国債に求めたらどうかということなんです。国債の償還は、減債基金として一千分の十六を積み立てるということになっているわけです。この計算基礎は何かということになりますと、大体いろんな公共事業の平均余命といいますか、そういうものを六十年ないし七十年にしているわけです。ところが一般の公営企業については、長くても三十年というふうなことになっている。したがって、毎年毎年の償還が多いというふうなことになっている。国の公共事業償還が長くてもよろしい、地方の公共事業償還が短い、そういうふうな理屈は私はないと思う。たとえばここに一つダムをとりましても、ダムにつきましては国及び地方が分担してやる場合がある。その場合に、このダムには公共事業費として国債から幾ら出たということはわかりませんけれども、国債というものから出ているにきまっている。その際に、国の分は、そのダムについて投資した分は七十年で償還する、地方のほうは三十年程度で償還する、そういうふうなこともあるわけです。今後水道等につきましても、遠方のところに大きなダムをつくらなければいけない。それが総合の目的で、国の部分もあるし、地方の水道の部分もあるということになるわけです。道路にしてみたところが、国のやる路面の道路については六十年ないし七十年の平均余命、地下鉄については三十年なり四十年の平均余命、こういうふうな不合理は私はおかしいと思う。  それで、財政法の規定によりましても、公共事業のほかに投資及び貸し金というのが公債で求めることができることになっている。それを地方団体にどうして回すのか、あるいは公債によった金を公営企業の機関に国が投資をする、そういうことも可能なわけです。私はこのことを提唱いたしたいと思うのでございますけれども、まず財政局長、私の言うことに、何か事務的なあるいは政治的な困難があるかどうか。おまえの言うことは無理だというのかどうか、そのことをお聞きいたしてから大臣の御所見をお聞きしたいと思う。
  98. 細郷道一

    細郷説明員 国債は、御承知のように七年間据え置きで、その後満額償還、一方、その償還に充てますために、毎年一・六%でしたかを減債基金として積んでいく、こういうやり方でございます。国債の場合はまさに一般財源にかわる財源を国債によって調達をするということから、そういう減債基金を通じての財源調達のしかたあるいは償還のしかたということを考えておるわけであります。公営企業の場合の起債は、御承知のように公営企業の直接の建設費の資金、いわば資本的なものとしてこれを調達いたしております。そこの間に多少機能が違っておりますので、そういった償還の条件等の問題があると思います。  ただ公営企業の場合の地方債につきましても、それでは償還年限がいまので妥当であるかどうかということになりますと、その施設の耐用年数等から見まして、まだ不十分なものはかなりございます。これにつきましては、私どもとしてはできるだけ条件をよくしていくべきではないか、こういうふうに思っております。もちろん公営企業自身につきましても、永久公債という制度もございます。それから別途いまの公営企業が非常に苦しいといっております一つには、資本構成が悪い、自己資本の比率が非常に低い、こういったような問題もございますので、公営企業の今後の行き方としましては、いろいろそういった問題に取り組んでまいらなければならぬと思っております。さしあたって明年度公営企業資金コストの引き下げ、償還条件の延長というようなことでこれに対処をしていきたい、かように考えております。  なお国債をもって公営企業資金にするということも一つのお考えだろうと思います。しかし要は、政府資金以外に民間の資金をどのように公営企業に吸収していくかということであろうと思います。そういう意味からは、現在でも公営企業では個々の団体において市場公募債を出して民間資金を吸収する、あるいは公営企業金融公庫で保証債を出して、公庫債を出して民間資金を供給する、そういったような意味では資金源としては同じであろうと思いますので、むしろそういった民間から吸収いたします公営企業向けの資金の量をふやしていくというようなことも、われわれとしては考えていかなければならぬというふうに考えております。
  99. 華山親義

    ○華山委員 どうも私の言うことをまともにお受け取りにならないようでございますけれども、七カ年というふうなことをおっしゃいますけれども政府は、たびたび聞きましたが、七年たったら返すなんというつもりはございませんよ。これをころがしていくというだけなんです。七年で返すつもりならば、千分の十六というふうな積み立て金でできるわけはない。それで国のほうは六十年、七十年の償還というふうな計算になっている。地方公営企業のほうは三十年というふうなことになっている。私はそれがおかしいと思う。そしていま局長は民間資金をそういうことで調達するとおっしゃいますけれども、いままで同じ答弁を何度おっしゃったって発展しないじゃありませんか。いつでも同じようなことをおっしゃって大蔵省に削られてみたり、それだけのことにとどまっている。私は、ここで自治省としましてもそういう点に発展しなければ解決しないのではないか、こう思うから申し上げている。方法を変えてごらんになったらいかがですか。原資の性格が変わらない以上、これは利子を下げるということも年限を延長するということも私は限度があると思う。そういう点につきまして私の構想を申し上げたのでございますから、ひとつ御研究を願いたい。そういう点を申し上げたのですが、大臣、どうですか。私も長い間、地方行政については細郷さんともいろいろ問答を繰り返してきましたけれども、いままでのようなやり方で、来年は、来年はと言ったって根本的な解決はないのですね。それは多少はよくなるだろう。金庫の金利を下げるといったって、方法としてはこれに政府の投資がなければだめなんです。いろいろな公庫の中で政府資金の投資が抜群に少ないのが地方公営企業の金融公庫なんです。形があるだけの話なんです。そういうふうなことからいっても、限度があるんであって、方法を抜本的に変えるところの試み――私は大蔵省はうんとは言うまいと思いますよ。しかし長年の間これを主張することによって通る時代もあるんじゃないのか、私はそう思います。大臣としてどういうふうにお考えになりますか。
  100. 野田武夫

    野田国務大臣 現在の公営企業経営状態、これがきわめて憂うべき状態であることは言うを待ちません。これは長い間、この改善についていろいろの施策を自治省も非常に努力いたしておるようでございますが、いま華山さんの御指摘のように、投資の主体をむしろ国がやって、しかも国債を利用したらいい。これはいまも御指摘にありましたから、地方債と国債との内容について何も私から御説明する必要はありませんが、これは非常に重大な御提案でございまして、また公営企業の現状の打開、いかに改善するかということにつきましての、一つの建設的な御意見だと私は拝聴いたしております。いま局長からもお答え申しましたとおりいろいろなやり方はございますが、むしろ華山さんの御主張は抜本的なそういう投資の方法を考えろということで、私もきょうお聞きしましたので、華山さんの御意思を体しまして、ひとつ事務当局とも話し合い、必要によっては大蔵省とも話し合うということを申し上げておきます。  一つの例を引きますと、たとえば公営の金融機関におきましても、お話しのとおり政府出資が少ない、また金利も高い。私も、実はきのう説明を受けて驚いていたところです。こんなことではいけないなとこう感じておりますが、万般、それらにつきましても、ひとつ今後事務当局とよく案を練りまして、そしていま非常に困っている公営企業でありますからして、自治省考え方を持って前進して、生かしていきたい、こう思っております。
  101. 華山親義

    ○華山委員 つけ加えますが、局長公営企業のほうには永久公債というふうなこともあるとおっしゃいましたけれども、いままで実現したことをまず聞かない。大規模なことを聞かない。ただ言うだけのことなんです。永久公債をやろうとすれば国債に求めるほかに方法はないと私は思うのです。七十年とか八十年とかになれば、これは永久公債といってもいいと思うのですけれども、そこに求めていくべきじゃないのか。そしてこの公営企業ば道路等と違いまして、目に見えて収入は入ってくるわけなんですね。道路というものに公債を投下した。なるほどそれによっていろいろな産業が発展するから国の財源も増すということもあるでしょうけれども公営企業につきましてはそれはそのまま収入として入ってくるんですね。私は国債は借金をするものとしては一番堅実な方法だ、それをつけ加えまして、いま大臣から御答弁もありましたから、ひとつほんとうに真剣に取り組んでいただきたい。  もう一つ公営企業についてお願いいたしますが、実は今度自治大臣が公安委員長を兼ねられなくなったということについて、私はショックを受けているのです。ということは、これは公営企業にも関係がある。私は前々から申すのでございますけれども、また本会議でも言ったけれども、三年ばかり前に政府はけんもほろろの答弁しかしなかったのだが、都市交通の最大の経営の悪化の原因は一体なんだ。車の一定の時間内の営業距離が短いからじゃないか。したがって速度もおそいから客も乗らないということもありましょうけれども、そういうふうなことは合理化でも何でも解決の道がないのです。ある一定の時間を走ったけれども、これよりの収入しかない。合理化、合理化といわれるけれども、なぜこれを合理化できるのですか。この雑踏でしょう。走りようがない。そこに根本的な問題がある。したがって、私は、勤労者その他市民の通勤のためにも都市交通というものは制限すべきじゃないか。大衆の乗るバス、そういうふうなものは優先して都市に向かっては一定の道路は走らす。その間は一般の自動車を規制をする。外国ではすでに廃止した路面電車がまた復活するという話さえある。そうでなければ大衆の運搬ができない。そういうふうなことまで――私は根本的に都市交通の経営の悪化はそこに原因がある。そういう面で解決の方法がないかというふうなことについて、先ほどくどいようですが、三年ばかり前にはほとんど意に介しなかった政府ではあるけれども、前の自治大臣は公安委員長の立場からも都市における自動車のはんらん、それについて制限をすべきだというふうなことを言いたいということを常に言っておられた。今度委員長を兼ねられなくなったということは、その点まことに心細くも思うのでございますけれども大臣、その面につきまして公営企業の立場からやはり主張し続けていただきたい。こういうことをお願いしたいと思うのでございますけれども大臣の御所見を承っておきたい。
  102. 細郷道一

    細郷説明員 大都市の交通緩和によって公営企業のバスなどの通行を円滑にしたい、こういう御意見であると思います。私どもももっともな御意見だ、こう考えておるわけでございます。  都市交通の直面しております問題は非常に多うございます。そのうちの一つとして私どももその点を推進してまいりたい、こう考えまして、前の赤澤大臣の時代に交通閣僚協議会等を通じ、あるいは警察当局とも事務折衝いたしまして、現在現地的に解決できるものは解決しようじゃないか、東京でありますとか、大阪でありますとか、名古屋でありますとかいうようなところにつきまして交通規制をしながら、そういった問題のある地点の円滑化をはかろうじゃないかということを現に現地で協議中でございます。したがいまして、そういう面での話し合いというものはかなり事務的におりております。その点は前の大臣のお考えを続けて踏襲してまいりたい、かように存じております。
  103. 野田武夫

    野田国務大臣 いま局長から御説明いたしましたとおり、事務的にもいろいろ進めておりますが、これはお話しのとおり、ことに大都市の交通政策というものはもうここまでまいりますといいかげんなことを言って見ている段階ではありません。相当の交通規制も必要でありますし、対策も必要であります。一般の使用しておるバスの運行をどう円滑にはかるか。地下鉄をどういうふうに普及していくか。これはもう私も華山さんの御意見にまことに同感でございます。
  104. 華山親義

    ○華山委員 私、皮肉を言うようですけれども政府考え方はいつでもおくれるですね。私が三年前にああ言ったときに、自動車の交通を制限するよりは道路のほうを拡張するのだなんてのんきなことを言っていたら、こんなふうになってしまった。  それから、これは細郷さんにはちょっと皮肉になりますけれども、私が、近郊に非常に人が集まってくると、小学校の建設でもたいへんだ、いまのうちに何らか手を考えないと、いろいろな面で市町村の学校の建設もうまくいかないし、あるいはその他の面に影響もあるかもしれないから、考えてもらいたい、こういうことを言ったところが、近郊に人が集まってくれば住民税がふえるから、そういう心配はありませんとあなたはおっしゃったですね。いま、どうです。私はやはり、とにかく百年後の世の中なんということを考えるのもけっこうだけれども、三年ぐらいあとのことは考えてもらいたいのですよ。  その他、幾らもあります。私はそういう点、たいへんに残念に思いますけれども、交通の問題等はせっぱ詰まってきている。どうぞそういう面で――この交通の規制、自動車がむやみに都心に入ってくるようなことのないようにすることによって、公営企業も立り直りの一つの手がかりが得られるのではないか、私はこう思うわけです。われわれは路面電車を廃止するなどということは早過ぎると言った。自治省がやめろ、やめろといってやめさせた。中央の交通を規制すれば、路面電車ほど多量の人を運べるものはないのです。いまから路面電車をつくれとも言えませんけれども、そういう点はひとつよく考えていただきたいと思います。  次に税の問題で伺いますけれども、公給領収証というものがありますね。公給領収証というものは飲食等消費税についてどういう役に立っておりますか。
  105. 松島五郎

    ○松島説明員 料理飲食等消費税につきましては、御承知のとおり消費者が消費されました税額を基礎にして課税をされるものでございますけれども、その徴収はきわめて困難な税金でございまして、できるだけ公正な徴収を確保いたしたいということから、そういうことを取り扱っております業者は消費者に対して正確な領収証を発行する、そういうことによって徴収を確保していきたい、こういう考え方でやっておるわけでございます。
  106. 華山親義

    ○華山委員 実務上どういう役に立っておるかということをお聞きしているのです。
  107. 松島五郎

    ○松島説明員 そういうことでございますから、領収証の発行が厳格に行なわれるように常に関係方面の注意を喚起しながら、結局課税いたしますためにはどれだけ消費が行なわれたかということを捕捉することが何よりも大切でございます。それには公給領収証が正確に発行されるということが必要でございますけれども、私どもといたしましては公給領収証の正確な発行ということを通じまして、徴収の成績の向上ということを期しているわけでございます。
  108. 華山親義

    ○華山委員 各都道府県はこの公給領収証だけで税を徴収しているのでございますか。
  109. 松島五郎

    ○松島説明員 公給領収証は、御承知のとおり業者の方と納税者との両面からの御協力を得なければ、なかなかその実効を確保しがたい問題でございます。私どもといたしましては、特別徴収義務者でございます業者側にもその励行をお願いをしております。また機会あるごとに納税者の方にもPRにつとめておるわけでございますけれども、なかなか現実の問題といたしましては全部が全部公給領収証が発行されておるということでないことは残念ながら現実でございます。そこで実態調査等をいたしまして、公給領収証が発行されていない、しかもなお消費が行なわれているという事実を把握いたしました場合には、更正決定をいたしております。
  110. 華山親義

    ○華山委員 各地方で更正決定をしておられるそうですけれども、確実に行なわれておるとお考えになりますか。
  111. 松島五郎

    ○松島説明員 これは税全般に通ずる問題でございますけれども、結局税法が期待しておりますとおりに申告等が行なわれない場合に更生決定をいたすわけでございます。したがいまして、もとのほうがなかなかはっきりしないという状態で更正決定を行なわざるを得ない、こういうことでございますから、税務当局といたしましては、関係資料を十分精査の上更正決定をいたしておりますけれども、それでもなおそれから漏れているというものが絶無であるということは申し上げられないというふうに考えております。
  112. 華山親義

    ○華山委員 そうすると領収証というものは、各料理店等から出てくるのは、その店の納めるべき消費税の決定の一つの資料になるということにすぎないわけでございますね。
  113. 松島五郎

    ○松島説明員 私どもといたしましては、それが完全に励行されるということが一番大事なことでございまして、完全に励行されるようになれば、単なる資料ではなくて、それ自体でもってすべての決定ができるわけでございます。ただ現実は先ほども申し上げましたように、必ずしも完全に励行されていない面もございますので、その分につきましては別途の調査に基づいて決定をしているというようなこともせざるを得ない、こういうことでございます。
  114. 華山親義

    ○華山委員 国税庁のほうに伺いますけれども、交際費、これは一般の他の経費等も同じでございますけれども経費として認められるわけでございますが、交際費、特に飲食に対する交際費というものは、各会社が立証しなければいけないと思いますけれども、それはどういうもので立証されておりますか。
  115. 細見卓

    ○細見説明員 どのような証票によって実際に交際費が支出されたかどうかということを確かめるかということになりますと、これはその会社の記帳の様式とかいろいろなものがございますので、一がいには申し上げられませんが、いずれにいたしましてもその金が支払われておるということが明らかになる証票ということでございます。
  116. 華山親義

    ○華山委員 受け取り証以外に何か方法がありますか。
  117. 細見卓

    ○細見説明員 主としたものが受け取り証であろうとは思いますが、それ以外にたとえば立てかえを証明するものがあるとかいうようなものもおそらくあり得ようと思います。
  118. 華山親義

    ○華山委員 どうなんですか。立てかえを証明するというのは、受け取れなければ立てかえでもいいということですか。どうなんですか。
  119. 細見卓

    ○細見説明員 交際費の中には御承知のように自動車代でありますとか……。
  120. 華山親義

    ○華山委員 私は飲食費のことを聞いております。
  121. 細見卓

    ○細見説明員 飲食でありますと受け取りが主たるものでありましょう。
  122. 華山親義

    ○華山委員 主たると言って何かほかにあるのですか。
  123. 細見卓

    ○細見説明員 先ほども申し上げましたように領収証等が出てないようなものもございますから、諸般の事情を見て、そこで飲食が行なわれておって金が支払われておることが会社の帳簿等で明らかな場合は、やはり法人税としては認めざるを得ないと思います。
  124. 華山親義

    ○華山委員 受け取り証もとれない飲食費というのは一体どんなものがあるのですか。
  125. 細見卓

    ○細見説明員 私あまり具体的なことはよくわかりませんが、会社の帳面によりまして支出が明らかになっておるものもあり得ようかと思います。具体的調査は私はさほど存じませんので、どのようなものがあるかということになりますと、たとえば飲食店等で出しましたチップというようなものもあり得ようかと思いますが、そのほかどういうものがあるかはちょっとつまびらかにいたしません。
  126. 華山親義

    ○華山委員 そういう点私はルーズだと思うのですよ。片方に公給領収証というものがあるわけです。それによって地方税を獲得しようと思っている、公給領収証のないものは飲食の交際費として認めない、こういう方向に行けないのですか。そういう方向に行って初めて地方税も納まるし、それから法人税の交際費に対する分の正確も期せられると私は思う。とにかくそういうものは法律をもとにして公給領収証というものを出すことになっているわけですよ。あなたの言うように出さなくたっていいんだ、出さないものもあるんだ、そういうふうなものの考え方は私は間違いだと思う。公給領収証を出せということは法律でちゃんときめてあるじゃないですか。それのみが基礎になることによって交際費というものをきめるべきだし、そういうことによって地方税の完全に近い把握も私はできると思う。なぜそういうふうにあいまいな交際費を認めるのか私は了解できない。御答弁願いたいと思います。
  127. 細見卓

    ○細見説明員 これは法人税のほうでいかなるものを経費にいたすかということでございますが、それが事業関係いたしており、かつ現実に支出されておるものである限り、やはり法人税あるいは所得税法のたてまえとしては経費にいたさざるを得ないと思います。ただそれが具体的に遊興飲食税のかかりますようなものにつきまして、おっしゃるような公給領収証がない多額の消費を国税庁のほうで漫然と認めておるということは、両方の税の適正な執行の上に好ましいことではございませんから、そういう意味で国税庁のほうにおきましても特に多額の飲食等が公給領収証等も発行されないままに支出されておるというようなものにつきましては、関係都道府県に連絡いたすように厳密な指示をいたしておるわけでございます。
  128. 華山親義

    ○華山委員 私は経験から申し上げるのですよ。私は会社の金なんて交際費に使ったことはありませんからわかりませんけれども、自分のポケットで、その辺の遊興飲食税といったってもう限度は低いのですから、かかるわけです。私は公給領収証というものをもらったことはまずないですね。気のきいたところで公給領収証を出しますかと聞く程度なんです。もっと正直なものになりますと、公給領収証を出しますとお払いが高くなります、こういうことです。これはいまの現実ですよ。堂々と脱税が行なわれておる。とにかく法律基礎を置くところの公給領収証という制度があるのだから、ここに基いて、公給領収証というのでない以上は交際費に認めない、特別の弁明でもある場合は別だけれども、これは認めない、そういうふうなき然たる態度をとることによって、私は交際費というものの正確な把握もできるし、また地方税というものもよく納まると思う。大体、国家公務員は違法のことがあった場合にはこれを報告しなければならない義務があるのでしょう。このことについて、地方税たる遊興飲食税を納めておらないということがあるならば、金額が多かろうが少なかろうが、関係官庁に国家公務員の義務として報告すべきものじゃないですか。
  129. 松島五郎

    ○松島説明員 料飲税と交際費との問題につきましては、ただいま大蔵省の審議官からお話し申し上げましたように、地方の税務当局におきましても、国税においてそういう大量の事実を発見いたしました場合は連絡をいただくことにいたしておりまして、両者相協力をしてこの問題の適正な運営をはかっていこう、こういうことで努力をいたしておるのでございます。  ただ、現在の段階で、公給領収証のないものを交際費として全部認めないか認めるかという問題になりますと、技術的な問題がいろいろございまして、必ずしも一律に取り扱うことが困難な面もございます。と申しますのは、たとえば御承知のとおり法人税の場合は発生主義でございますので、たとえ決算の段階でまだ現金としては払っていなくても、消費の事実がございますと、一応経費としては認められるわけでございますけれども、一方領収証のほうとしましては、現金の支払いが行なわれないものに領収証を出すわけにまいりませんので、その間のズレが出てくるという問題がございます。それからまた、非常にこまかい問題でございますけれども、免税点以下のものにつきましては公給領収証を発行する義務を免除いたしておりますので、これらにつきましては公給領収証が発行されないというような問題もございます。したがいまして、全部が一致するというわけにはなかなかいかぬ問題もございます。先ほどお話がありましたように、非常に顕著な事実を発見いたしました場合は適時御連絡をいただきまして、地方税の徴収に遺憾のないようにしていこうという協力体制のもとで進めているわけでございます。
  130. 華山親義

    ○華山委員 小さなことはどうなんです。そういう脱税というものを発見した場合には関係官庁に報告するのが国家公務員の義務じゃないのでしょうか。その点どうお考えになりますか、国税庁のほうから御答弁願いたい。
  131. 細見卓

    ○細見説明員 できるだけ連絡してまいるべきものだ、かように考えております。
  132. 華山親義

    ○華山委員 義務じゃないかと聞いているのです。
  133. 細見卓

    ○細見説明員 当然連絡すべきものだと考えております。
  134. 華山親義

    ○華山委員 額のいかんにかかわらず、先ほど顕著なとおっしゃいましたけれども、顕著でなくてもすべきものだということなんですね。
  135. 細見卓

    ○細見説明員 現在の遊興飲食税の全体の執行の度合いその他とも関係いたしまして、先ほど松島税務局長からも申し上げましたように、現状を改善する方向で努力いたしてまいりたい、かように考えております。
  136. 華山親義

    ○華山委員 私の聞いていることに答えていない。国家公務員が地方税の脱税があるという事実を認めた場合には、大小にかかわらず、これを国家公務員として報告する義務がある、通告する義務があるんじゃないかということを聞いているのだから、それについて的確に、簡単にお答え願いたい。
  137. 細見卓

    ○細見説明員 犯罪というものは、脱税額の大小で現実には運営いたしておりますので、そういう意味ではどこまでを犯罪と考えるかということは、全体の税務行政の執行と密接に関係しながら判断すべきものだ、かように考えております。
  138. 華山親義

    ○華山委員 国家公務員には犯罪と書いてありましたかね。――そうですか。そうすると、これが犯罪になるのかならないのかということを判断なさって、犯罪になりそうなものだけはやる、こういうことですね。
  139. 細見卓

    ○細見説明員 それからもう一つ、申しおくれましたが、公給領収証が出てないから脱税の事実になっておるかどうか、先ほども松島局長からお話がありましたように、更正決定が行なわれたことも事実でございますから、そういうもののどれに該当するかということは判断した上できめなければならないことでありますし、罪、だからどこまでが脱税犯として犯罪になるものかということも問題であろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても両方の税が適正に執行されますことは非常に大切なことでございますから、そういう意味で、われわれは今後とも一そう連絡を密にしていかなければならない、かようには考えております。
  140. 華山親義

    ○華山委員 ほかのことでお聞きしたいので、一応この問題はこれでおしまいにいたしますが、自治省局長、いままで三カ年間に国税庁から報告のあったことを私に教えていただきたい。
  141. 松島五郎

    ○松島説明員 税務署から各県別に御連絡をいただくということになっておりまして、私手元にどの程度の件数がいつどういう御連絡があったか資料を持っておりませんので、後ほどまた調べました上でお答えいたしたいと思います。
  142. 華山親義

    ○華山委員 顕著な例を報告してもらっているとあなたは言ったじゃないですか。どんなものがあったのか知っているから言ったのでしょう。いまは知らないと言った。
  143. 松島五郎

    ○松島説明員 私が先ほど申し上げましたのは、国税当局と適時連絡をしていただくようなふうになっておりますということを申し上げたのでございます。いま先生のお尋ねになったのは、具体的にどこでどれだけあったかというお話でございますので、それにつきましては資料を持っておりませんのでお答えできないということを申し上げたのでございます。
  144. 華山親義

    ○華山委員 なっていたって出てなければしようがないでしょう。なっているのかいないのか、どういうものが来ているか教えてもらいたい。
  145. 細見卓

    ○細見説明員 私直接執行いたしておりませんから、つまびらかなことはわかりかねますが、飲食店等の法人税なり所得税なりの脱税がございまして、それを調査いたしますときには、遊興飲食税の未納がどれだけあるかということができませんと計算できませんので、そのようなものは過去私が記憶いたしておるものは、少なくとも脱税事件その他で調べましたものは、全部御連絡いたしてあります。
  146. 華山親義

    ○華山委員 両省からの報告を見て、なおこの問題は伺いますけれども、要するに遊興飲食税の――遊興ということばはいまないですか。飲食等消費税についての徴収というものはきわめて不完全だということ。それですから、これを完全にするためには大蔵省のほうも協力して、そして公給領収証というものをできるだけ利用してもらいたいということなんですね。そういうことだけ申し述べて、あとはほかの問題に入ります。  文部省に伺いますけれども政府は補正予算を組まないということになるわけです。補正予算を組まないということになりますと、私は、義務教育の国庫負担、この面につきまして非常に精算事務がおくれると思うのでございますけれども、その点について御所見を伺いたい。
  147. 天城勲

    ○天城説明員 義務教育国庫負担金は御承知のとおり精算負担制でございますので、従来は補正予算で措置してまいったのが通例でございます。四十二年度の精算につきましてはただいま精査をいたしておりますが、現在の総合予算のたてまえからいって、予備費の使用によって措置したい。これは大蔵省と相談するわけでございますけれども、いまのたてまえでいくとさように考えております。
  148. 華山親義

    ○華山委員 予備費でやるのですか。
  149. 天城勲

    ○天城説明員 私のほうは、精算分につきまして大蔵省に精算の必要な金額をお願いしているわけでございますが、いまのたてまえでいくと、予備費から支出されるものと考えております。
  150. 華山親義

    ○華山委員 どのくらいになりますか。
  151. 天城勲

    ○天城説明員 四十二年度分は現在のところ大体十五億台と考えております。
  152. 華山親義

    ○華山委員 それから厚生省に伺いますけれども、これは市町村の大きな問題だと思うのでございますが、国民健康保険につきましては国庫負担の精算ということが行なわれるわけでございます。これにつきましては、補正予算を組まないという段階になりますれば、今年度生ずるところの国庫負担の不足分、これは一体どうなりますか。
  153. 松田正

    ○松田説明員 四十二年度につきましては、大体いまのところ約百二十一億程度不足をする見込みでございます。これにつきましては予備費で措置をいたしますように、目下大蔵財務当局と折衝中でございます。
  154. 華山親義

    ○華山委員 農林省に伺いますが、新聞等を見ますと、前々から私気にしていたんですけれども、食管会計の予備費の性格等もございますけれども、新聞に書いてあることは詳しく申しませんが、買い入れの金額に相当赤字の生ずるようなおそれもあります。補正予算を組まないという方針でございますから、これはどうなることでございますか。
  155. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 食糧管理特別会計で国内米の買い上げをいたしてまいっておるわけでございますが、当初予算が御案内のように買い上げの予定量八百五万トンということで組んでおるのでございます。ただ米には豊凶の問題がございますので、予測できないような数量、したがって買い入れが行なわれるという場合がありますので、食管特別会計には歳出権を与えられるように予備費が組んでございます。そのほかに、数量の増大に伴って歳出権を弾力的に増大させることを許されております。これは特別会計予算の総則にうたわれておるのでございます。この予備費とそれから弾力条項の発動によりまして米を買い上げするための歳出権を得るということだけはまず心配がないのでございます。ただ集荷量が相当多量になるというようなことになってまいりますと、米の管理につきましては買い入れと売り渡しの間に逆ざやがございますので、その間の赤字の増大と欠損金の増大という問題が起こってまいります。一般会計の予備費の問題あるいは補正の問題は、その赤字をどうするかという問題であるわけでございます。
  156. 華山親義

    ○華山委員 その赤字というのは今年度の食管会計決算する場合には必要なわけでございますから、当面これは処置しなければいけないわけですね。どうでございますか。
  157. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 現在私ども十一月十九日に食管特別会計の予備費と弾力条項を発動いたしまして、八百五万トンの買い入れ予定数量を九百万トンまで増大をして用意をいたしておるのでございます。当初の食糧管理勘定への繰り入れが二千四百十五億ということでございまして、その後、生産者米価が引き上げられましたし、また諸経費も増大したものがございますけれども、消費者米価の改定等あるいは経費の節減の面もございまして、九百万トン前後まではほぼ補正なしに決算ができるというふうに思っておりますが、九百万トンを大幅に上回るということになれば何らかの財政措置を要するというふうに思っております。ただその点は、今後の集荷の実情を見届けました上でどの程度の予算措置をどうするかということを確定いたしたいというふうに思っております。
  158. 華山親義

    ○華山委員 何らかの予算措置とおっしゃいましたが、どういう方法なんですか。
  159. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 具体的には赤字繰り入れ額の必要額の大きさにもよると思うのでございますが、額によりましては一般会計の予備費からの繰り入れということも考えられますが、もしそれが不可能であるというような額になりますれば、私はどうも予算の補正という場合もないとはいえないというふうに考えております。
  160. 華山親義

    ○華山委員 なお農林省につきましては詳しく聞きたいのでございますけれども、時間がありませんのでこの程度にしておきますが、いま私は大きい問題だけを取り上げました。義務教育費の国庫負担、それから国保の経費、食管会計、大きい問題だと思うのです。それらについてすべてが精算をしなければいけない。こういうことに相なるわけでございますけれども、そういたしますと、予備費ではとても――皆さんは予備費、予備費とおっしゃいますけれども、予備費でまかなえる額じゃない。そんなにたくさんの予備費が残っておりますか。大蔵省の主計局次長にお伺いしたいと思う。どのくらい残っているか。
  161. 船後正道

    ○船後説明員 現在、予備費の使用残は約七百七十一億円でございます。
  162. 華山親義

    ○華山委員 七百七十一億のうちで、これから出さなくちゃいけないということがきまったものは、どういうものが幾らありますか。
  163. 船後正道

    ○船後説明員 今後の使用見込みでございますので、正確なる数字は的確には申し上げられないのでございますが、一番大きな問題は公務員給与の改定に伴い必要となる経費でございます。これは従来、所要額六百億円程度、かように申し上げてまいったのでございますが、なお人件費の中には、各省別に精査いたしますと若干の不用もあるわけでございますので、これらは改善経費に充当するといたしましても、大体五百六十億円程度というものは必要になろうかと思います。なおそのほかに、災害関係経費につきましても、今後調査の進展につれまして使用しなければならないものがあろうかと思います。
  164. 華山親義

    ○華山委員 七百幾らでしたか。
  165. 船後正道

    ○船後説明員 七百七十一億円でございます。
  166. 華山親義

    ○華山委員 七百七十一億から六百億を引くとあと百七十一億。災害のこともあるから全部吐き出すわけにはいかない。そういうふうになりますと、いま関係の各省がおっしゃったが、農林省は見ている部分もあるようですけれども、とても予備費から出せないと思うんですが、各省の御要求に予備費から出せるだけの見積もりがございますか。
  167. 船後正道

    ○船後説明員 ただいま厚生省からお話がございました国保の精算不足でございますが、四十二年分につきましては、私いま七百七十一億円の使用残と申しました際には、それはすでに使用済みというように計算いたしております。これは現在手続がおくれておりますので、厚生省のほうへは正式にはまだ届いていないという状況でございます。正確には厚生省のほうはただいま財政当局と折衝中である、かように表現されたと思います。私のほうではその分はすでに使用したもの、かように計算いたしております。なお、文部省で御説明ございました義務教育の精算見込み約十五億でございますが、これは同系統の経費でございますけれども、このほうは金額の確定に若干の手続を要します。現在おくれておりますけれども、これも遠からず金額が確定する見込みでございますので、その際には予備費から支出する予定でございます。
  168. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、全部そういうものは予備費でまかなって補正予算を組まない、こういうことで予備費でまかなえるというお見込みでございますね。間違いありませんか。
  169. 船後正道

    ○船後説明員 厚生、文部両当局から御説明のあった四十二年度の精算不足につきましては、すべて予備費をもって措置するわけでございます。
  170. 華山親義

    ○華山委員 残っている大きいものは食糧庁でございますね。食糧庁のほうの会計がどうなるかということでございますが、念のために伺いますが、先ほど厚生省のおっしゃいましたのは、もうすでに次長が御説明になった、きまったものだけは入っている、こういうことでございますね。ちょっと伺います。
  171. 船後正道

    ○船後説明員 さようでございます。私どものほうでは使用済みの計算になっておる、こう申し上げたわけでございます。
  172. 華山親義

    ○華山委員 いままではそういうことでやっておりましたか。予備費から出しておりましたか。
  173. 船後正道

    ○船後説明員 従来は、この精算の金額の確定する時期に補正予算の問題もございましたので、その年度年度財政事情によりまして、ある場合には補正予算で措置する、ある場合には予備費で措置する、かようなことをいたしてまいった次第であります。
  174. 華山親義

    ○華山委員 一カ月ばかり前に私がお聞きしたときには、文部省関係の義務教育の国の負担につきましては予備費で出すとはおっしゃいませんでしたね。明後年にこれを精算するとおっしゃった。方針は変わったのですか。
  175. 船後正道

    ○船後説明員 私は前回先生の御質問に対しまして、この種の精算的経費の予算措置はどうするかということの原則について申し述べたわけでございますが、いずれにいたしましても、法律上国が精算の負担をすることは明らかでございます。ただ、これをいついかなる時期にどのような方法で予算措置をするか、これはそのときどきの財政事情によって異なっているわけでございます。ただ、たとえば四十二年度分について申し上げますと、精算金額が確定いたしますのは大体四十三年度年度途中過ぎでございますので、おそくとも四十四年度予算までには措置するのが筋であろう、このようなことを申し上げた次第でございます。
  176. 華山親義

    ○華山委員 時間もありませんのでこれで終わりますが、わかったことは、とにかく公務員給与について予備費からもっと出せる余裕があるということだ、予備費について余裕がないということはいえないということだ、やりようによっては、かりに補正予算を組まないとしても、これは来年度なり、あるいははなはだしきはこの前御答弁になったとおり明後年でも精算ができる、法律上そこに何ら無理がない、そういうふうなことだと私は思うのです。ことしは災害が少なかったから厚生省の百三十一億というふうなものも始末ができたのだろうと思う。大災害でもあったらそれはできるはずがない。そうすれば、これは補正予算を組まないということになればやはり明後年になる、こういう筋だろうと思う。したがって、明後年でもあるいは明年度補正予算を組まないということであっても、それはあとで措置のできることなんで、もう初めから八月ということを頭からきめて公務員給与というものをやっているということを、私としてはいよいよ疑わざるを得ない、こういうふうに思わざるを得ないが、この点は私一ついい資料を得ましたので、今後勉強したいと思います。  なお、米の問題についてはどうなるか、私は今後おそらく相当の米の売り渡しがあると思いますよ。来年から食管会計が変わるんだ、みな買ってくれないんだ、来年は前年度の実績に応じて各農家から米を買うだろうというのが一般農家のものの考え方なんだ。来年度への実績をつくっておこうというわけでどんどんこれから出ますよ。そういうふうな実勢のもとで補正予算を組まないでどうするのか、問題を残すと私は思いますが、きょうはこの程度にいたしておきます。
  177. 丹羽久章

    丹羽(久)委員長代理 吉田賢一君。
  178. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まず第一に大臣に伺いたいのでありますが、昭和四十四年度の国の予算編成に際会いたしまして、国の財政地方財政との関連が相当大きな課題になっておるらしいのでございますが、私自身がこういう関係は弱いので、少ししろうと論くさいことになりますけれどもひとつ御了承いただきまして、数個の点から伺ってみたいと思うのでございます。  第一は、昨年、四十三年度の予算期にあたりましては、国の財政の硬直化が大きく表へ出まして、これを中心にずいぶんと財政論議がせられたようでございます。そこで財政硬直は完全に解消したという議論はまだないようでございますが、この財政硬直の原因は一体何であるかということにつきまして、最近かなり具体的な論議が出ているようでございます。たとえば財政硬直の重要な原因は、一つは地方交付税の圧迫にある。食管会計が国の財政に大きな負担を与える。膨大な公共事業費である、ないしは減税もしくは国鉄の赤字財政、こういうような四、五の重要な問題が指摘せられまして、いずれも財政硬直化の原因であるというような認識のもとに論議がかわされております。さしあたって地方団体自治省関係には、地方交付税関係が当面しておる問題のように思われます。そこで、大臣は国の財政の硬直についてこのような見解が表明せられておるのにつきまして、大体根本的にはどういうふうにおつかみになっておるのでございましょうか。詳しくは事務のほうから伺ってみたいと思いますが。
  179. 野田武夫

    野田国務大臣 いま吉田さんのお話の、昨年の本年度予算編成期においても、財政の硬直化というものは、予算編成に大きな話題になったことはお話のとおりでございます。それには地方交付税の問題や、食管会計とか国鉄の赤字とかその他等等並べてありますが、私は財政当局じゃございませんから、その財政硬直化の基本的な問題については触れませんが、特に所管である地方財政については、これは責任上お答えいたしておきたいと思います。  財政硬直化ということからして、地方財政に悪影響を与えるということは、私どもはとうてい肯定することはできません。たとえば財政当局の考え方はどこにあるかわかりませんが、いま一部に地方交付税の引き下げの問題というのが論議されております。大体地方交付税そのものは、財政当局の考えはどうかということは別にして、ただ一般会計の中から、これだけ金があるから地方にやるんだというような考え方はとりません。少なくとも現在の財政全体から考えましても、地方交付税というものは、つまり地方行政運営に当たる固定した財源だ、これはもう絶対的の財源であるというのでございますから、財政硬直化にいわゆる名をかりて、地方財政に圧力をかけるようなことに対しましては、われわれは賛成しかねます。また、御承知のとおり地方行政の水準を上げますには、何といっても地方財政確立するということ、これが基本でございますから、私ども財政硬直化に対して財政当局がどういうお考えでおられるかは、これは別にわれわれは特別くちばしをいれることもなければ、関係することでございませんが、いまお示しになりましたことの原因としてあげられました地方財政につきましては、私どもの態度としては硬直化に名をかりて地方財政に悪影響を与えるということに対しましては賛成しかねる、こういう考え方を持っております。
  180. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 財政局長に伺いますが、地方交付税というのは地方が黒字になると、これをあるいは減縮し、赤字になると拡大していく、こういう弾力的な性格を持つべきものか。さにあらずしてこれは一つの独立財源的な性格を持っておるのかどうか。シャウプ勧告以来、例の平衡交付金制度以来の沿革を持っておるようでございまするが、かなり根をおろしたもので、これと、それからいまの地方税が地方財政の枢軸に、二つの根幹になっておるようでございますが、そういう場合に地方財政の伸び縮み等々によって財政問題から地方交付税を動かしていくということは、原則的にやはり疑問があるのではないだろうか。だから、少し地方の景気が悪くなったからふやしてもらいたい、よくなったから減らしてよかろうというふうに、そういう扱い方をするということ自体が根本的に誤りでないであろうか。この点は、いま大臣のお話し、片鱗、そこにお触れになっておりましたけれども、本質的にはどう規定すればいいのでしょうかな。
  181. 細郷道一

    細郷説明員 地方団体の必要とする財政需要をまかなう財源として地方税があるわけでございますが、地方税がその体系上、あるいはその税目の関係から、それぞれの団体の需要を満足させることができない。そこでその足りない分を地方交付税ということで財源を保障しておるわけでございまして、したがいまして、交付税制度は地方税制度と密接にからみ合ってできたものでございます。私どもはそういう意味で地方交付税地方固有財源である、かように考えておりまして、その固有財源の範囲内で地方団体財政運営をできるだけ健全にやっていく。一方では住民の要望を満たしながら、しかも運営として健全にやっていくということが地方財政の本来の姿であろうと考えております。したがいまして、地方財政で黒字が出たからすぐ交付税を減らすのだというような考え方は誤った考え方である、こういうふうに思っております。
  182. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 一体、最近の地方財政、ことに四十一年、二年と決算状況が好転の見通しというのでございますが、一体、地方財政が黒字になりつつあるというのは、もっと突き詰めていいますると、何が原因でありますのでしょうか。その点についてやはり明確にこれを把握しておくということが議論の一つの前提になるのじゃないかと、こう思うのですが、これはいかがでございましょう。たとえば、四十一年度には七百五十七億円の黒字を出しておるようでございます。こういうことでございますが、何が黒字に好転せしめておるのであろうか。こういう点を端的にお話しくださると、原因は何でございましょう。
  183. 細郷道一

    細郷説明員 四十一年度に七百五十七億の黒字が出ました。その原因は何であるかと言いますと、四十一年度は御承知のように、年度当初に予算を組みましたときには非常に景気の悪いときでございました。したがいまして、国は、一方では所得税の大減税をいたしました。国民のふところを豊かにしたい、同時に経済の不況で税収があがりませんので、その不足する分に対して国債を発行いたしました。そうして積極的に公共事業振興させる、こういう政策を国の財政はとったわけでございます。その年、地方財政所得税減税になりましたので、ほうっておきますと地方交付税が従来よりも実質的に下がります。したがって、交付税の率を二九・五%から三二%にはね返しをいたしまして、従来程度の交付税財源を確保するということをとりました。同時に、国が公共事業振興させようといたしたわけでありますが、その裏負担財源地方にはなかったわけでございます。それにつきましては、特別事業債、または地方債というものを発行することによって、四十一年度の対策としたわけでございます。そのとおりに四十一年度は経過したわけであります。  そういった年度当初の経済見通しから、地方団体におきましては、まず公共事業は国の政策に沿って大いに振興させようという態度をとりまする反面、単独事業におきましては、それだけ控え目にやっていこう、こういう財政予算を組んだわけでございます。ところが、年度の途中、特に後半、最後のほうになりまして景気が上昇いたしまして、自然増収が非常に出てまいりました。その自然増収が出てまいりましたことが黒字につながっておる、こういうふうに私どもは見ております。したがいまして、四十一年度地方決算の黒字は、実質的に見るならば、一方では単独事業を抑制をしておる、それから一方では地方債発行しながら出た黒字である、かように考えております。そういう意味合いから、四十一年度の黒字をもって地方財政の実態だ、こう把握することは少なくとも正鵠を得ていないであろう、こういうふうに思っております。
  184. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さすれば、四十一年度決算概況等は、そのような支出の抑制であるとか、あるいは特別な起債であるとか、好景気等々の諸条件によりまして黒字が出た。そうすると、実質的には好転というふうに簡単にはきめかねるんでないだろうか。私も、少しさかのぼって数字をすっと計算してみたのでございまするが、ちょうど三十四年度の黒字が、決算の面から見ますると三・四%になっております。三十六年度が二・八%ですか。過去十年間を四十一年度からさかのぼって計算してみますと、大体黒字が平均一・九%になりますが、四十一年の支出総計が五兆二百六十一億に対しましての七百五十七億でありまするから一・五%。こういうことになりますというと、率から見ますると、黒字率は、言うなれば、過去十年間に比較いたしまして、一・九に対する一・五ですから、減る。個々年度を比較すると、ずっと減っている。こういうことにもなりまするので、この辺は、実態把握の面から見まして、やはり黒字好転論というものは軽率に処しがたい、こういうふうにも判断するのですが、過去の数字から推してまいりまして、こういうふうな判断で財政的に見て適当であるというふうに見ていいのでしょうかね。
  185. 細郷道一

    細郷説明員 御承知のように、地方財政の実態は非常に内容が広範でございますし、複雑な要素を持っておりますので、一言で全体を言い切るのは非常にむずかしい点がございます。しかし、しいて申しますならば、先ほど申し上げましたようなことで、四十一年度自体の黒字が出た内容はどうであるかということは、少なくとも住民福祉の向上を押えて黒字が出た。要するに、端的に言えば、仕事をしなければ黒字が出るし、仕事をすれば赤字が出るということの端的な実態があらわれている。いま一つは、借金をかかえながら黒字が出た、こういうことでございますので、そのこと自体から、この黒字をもって地方財政を判断することは少なくとも正しい見方ではないだろう、私はこう思っておりますが、さらに、いま先生が御指摘になりましたように、四十一年度に出ました黒字の額というものがどの程度の規模のものであるかということになりますと、確かに四十一年度は歳出財政規模に比して一・五%くらいでございました。過去十年間の一・九%をも下回るということでございますので、内容の問題もさることながら、形の上だけ見ましても、四十一年度の黒字自体は、決してびっくりするような黒字ではないのだ、こういうことははっきり言えると思います。
  186. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 四十二年度の都道府県の決算を見てみまするというと、単年度の黒字が全体で九億円、赤字団体が二十二カ府県ありますね。実質収支は四十一年度と大差ございませんが、こういうふうな数字があらわれております。このような面を考えますると、やはりかなり膨大な負債を背負い込んでおりまする黒字でありますから、財政好転と即断すべきではない。結局、これは大臣地方財政は、特に黒字なるがゆえに財政状態は好転している、赤字であるから貧乏団体になっているというふうなきめ方は、これは誤るおそれがあるのでございますね。やはり赤字、黒字ということは、さらに裏を返し、中身を分析し、経過等々全体を考えないといくまいじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点は、局長、やはりそういうふうに考えていいのでしょうかな。
  187. 細郷道一

    細郷説明員 そのとおりだろうと考えます。  地方財政は、御承知のように、国の財政と違いまして、三千五百の財政の主体があるわけでございます。それらの団体がそれぞれ財政運営をいたしますのを、私ども指導する立場では、赤字を出せという指導は一言もしたことがございません。むしろ黒字を出すべきである、どんなに苦しくとも黒字を出すべきであるという指導をいたしてきておるのでございます。これが、黒字が出たら富裕、赤字ならば同情するということになりますと、地方財政の将来の運営に重大な影響がある問題ではなかろうか、私はこういうふうに考えております。
  188. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 四十四年度の予算編成期に際会いたしまして、これはそうなりますと、結局大臣の立場も非常に重要である、私はこう考えております。四十四年度の予算編成の過程におきまして、大蔵省から地方交付税の率の引き下げについて何か話し合いの糸口でも事務的にあったのですか、どうなんですか。
  189. 細郷道一

    細郷説明員 いろいろ接触をいたしておりますが、まだこの案でどうだというはっきりした具体的な提案はございません。しかし財政制度審議会その他を通じて、いろいろ大蔵省の意見が出ておりますし、また前の大蔵大臣が自民党の基本政策懇談会で明年度財政対策として、地方交付税の問題は明年度の重要な問題点であるというような指摘をしておるところから見まして、私ども交付税の問題に発展するのではないだろうかというふうに予測をしておるのでございます。私どもの態度は先ほど申し上げたようなことでございます。
  190. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この点は、大臣も御就任間もないことでありまするが、非常に政治性を持った問題に発展しそうな感じがいたします。この委員会におきましても過般大蔵省決算をやりました。その席におきましても財政制度審議会の所見、理由、自治省からこれに対しましていろいろな資料を出して反駁的な材料を提供しておる事実、これをみな一応並べまして少し論議をしたようなことがございましたが、いずれにいたしましても大いに議論をして、議論をし尽くして、そして最も国民が納得するように落ちつけてもらわねばいくまい、こう考えております。単純な首脳部の交代等によりましてなかなか問題を簡単に解決しにくいかもしれませんが、そこはひとつしかるべくせられんことを御希望申します。  それからこれも形式の問題になりますが、将来地方交付税総額を一般会計からはずして特別会計に直接入れてはどうか、こういうような御意見も内部にあるらしゅうございます。これはすでにそういったようなことは表向きに提案でもされておるようなことなんでしょうか。これは将来の運命を決する、方向、態度をきめる上におきましても、非常に大事な点だろうと思うのですが、これは簡単でよろしゅうございますが、そういうことはあるのかないのか。
  191. 細郷道一

    細郷説明員 地方交付税地方固有財源ということを形の上にでもあらわすとしたならば、特別会計にまっすぐに入れるということがいい方法ではないかということで、ただいま大蔵省と話し合いをいたしております。
  192. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで一転いたしまして、地方における行政水準の問題がございますが、これの背景をなす非常に重大な問題と、直接国民の福祉につながる面でもありますので、私ども重大な関心を持っておるようなわけでございますが、第一に道路問題、これはどうにもなりませんね。市町村道、これは生活道というのですか、ともかく舗装程度インド並みというのですから。調査によりますと舗装率五・二%ですか、改良率が一二・四%、こういうことになっておるようでございます。延長八十五万キロメートルの市町村道でございますが、これが大きな財政需要の手を待っておるということであります。農村地帯におきましては、特に都市に接続するようなあたり等々につきましては地方道、特に市町村道が改装、舗装されるかいなかということは物価にも影響してくることであります。産業開発、地域開発と直接つながってくることでございますので、この点は非常に重要なことでございます。  それからまた下水道の問題がございます。この問題もこれはきわめて重要でございます。普及率におきましてもこの点はまだまだで二割に達しないようでございます。  ことにし尿等の衛生処理の問題、これは深刻でございます。この点につきましては、厚生白書は実にいみじくもいろいろのデータをわれわれに突きつけまして、そして実情を物語っております。この白書によりますと、四十一年度におけるし尿の衛生処理の実態は、海へ流しておるものは一割九分あります。農村に還元しておるものは四・六%、自家処理が一二%、衛生処理が完全にできるものが半分という状態にございます。これはやはり地方住民の福祉の上に直接つながる問題でございます。こういったことにほんとうに最善を尽くすということなくして住民の福祉対策なんて論議ができないものと思われます。地方が単独ではなかなか容易にできるものではございませんが、特に特別清掃地域などにおきましては、この問題は至るところで論議の対象になっておるようでございます。その他ごみ処理の問題がございます。それからまた最近の公害問題、水質汚濁から、あるいは大阪や東京のように、スモッグで運転手さんは九〇%までのどをやられてしまうというような都市も実現しつつあります。公害対策等々行政水準はまさにいろいろな問題が山積して地方団体にのしかかってきておるというのが背景をなしておるのではないか。  裏を返せば要するにこれは財政需要でございますが、こういったことにつきまして、これは一体どうすればいいだろうかということ、その辺は相当精密な資料を前提といたしまして前後緩急を明らかにいたしまして地方行政の推進、環境の整備福祉増進等に指導していかねばならぬと思うのでありますが、絶えず積極的に御指導をやっておられると思いますけれども、この点はどこが御説明になるのでしょうか、どういうふうなかまえで、どのような厳密さで御指導していかれるのか伺っておきましょう。
  193. 細郷道一

    細郷説明員 いろいろ地方行政施設は不十分でございますが、いまおあげになりましたような市町村道でありますとかあるいは下水あるいは清掃施設といったようなものは市町村基本的な仕事である。こう考えておりますので、私どもも年々それらの財政需要に対しましては財政措置を講じておるのでございます。特に明年度は最近のそういった点にかんがみまして地方交付税計算、あるいは地方債の配分等で重点を置いて処置をしてまいりたい、かように考えまして、ただいま関係省とも話し合いをいたしております。
  194. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これに関連いたしまして、最近の人口急増地域の問題ですね。これも特に、たとえば団地人口などが四十三年度は三十五年と比較いたしまして十五倍ということになっておるようであります。これはある市町村二百三十一を特定いたしまして、そのうちの四十四を調査した結論でありますけれども、こういうことを思いますと、急増地域における各般の行政需要というのは、これまた急速に完備していかねばなるまいじゃないか、とこう思うのでございまするが、特にそういう面につきましての特別な配慮があってしかるべきではないか。また特別の指導を積極的に進めていかないと、あれこれと逆な結果になっていくのではないか。こういうふうに思うておるのですが、所見はどうでしょうか。
  195. 細郷道一

    細郷説明員 私どもも大都市周辺の人口の急増をしております市町村について実態を調査いたしましたところが、ただいま先生から御指摘になりましたと同じような傾向を得たのでございます。したがいまして、明年度はそれらの市町村に対しましては特に教育施設、この点の起債と交付税措置を重点的にやってまいりたい、かように考えております。
  196. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いま一方は対照的な、例の過疎地域の問題でございます。最近、全国の知事会がことしの七月十六日に発表いたしました報告書によりまして、二十二市町村を調べた実態調査がございますが、これを見ますると、これまた日本の地方行政の水準のいかにも低い面がまざまざと浮きぼりに出ておるようであります。人口構成について見ましても、次第に老齢化しつつあるようであります。若年減、したがいまして嫁飢饉、出産率低下等があらわれております。さらにまた消防力がだんだんと低下しておりますね。ことに医師とか歯科医師とか、そういう医療機関が次第に欠乏しつつある。昔から無医村とよく言われた地域がございましたが、最近は東京に医師ははんらんする。地方へ行くほどに医師はいない。ことに、いまの報告によりますと、医師は都市に比べまして四五%、歯科医師は二五%、こういう比率にしか存在しない。保育施設、幼稚園施設、福祉施設がきわめて乏しい。ことにまたいま団地の教育施設のことをおっしゃったが、また逆に今度は教育施設が中・小学校などが統合のうき目に合いつつある。反面またこの委員会で先般来、議論したのでございますけれども、主婦たちの過重労働、健康が悪化しつつある、こういう状態にあります。しからば、これに対する行政対策として裏づけの財政需要、やはり過密都市、人口急増地域と匹敵する重要な課題としてこれは速急に解決せにゃならぬ。結局、これは基本的にやはり広い意味における広範な社会開発の一環、基本施策としてこれを考えていくべきではないであろうか。過密地帯に対しても、過疎地帯に対してもこれはやはり全体として総合施策を打ち立てまして、そして均整のとれた福祉充実をはかっていくというのが地方行政の根本的なあり方のように考えます。としますと、総合行政の見地から大きくこれは国の施策として方向を打ち出していくということをしなければなるまいじゃないか。過疎は過疎で、過密は過密で、人口急増は人口急増でてんでんばらばらでやっておりますと速度はまたばらばらになってまいりますので、これは非常に大きな視野に立ちまして、総合行政の重要な根幹として扱っていってしかるべきではないかと思うが、これは大臣いかがでございましょうか。
  197. 野田武夫

    野田国務大臣 いま御指摘になりましたこの過密、過疎地帯、これはもうお話のとおり、実は率直に申しますと、こういうことは相当前に予想されていたことなんです。すでにこの都市集中、ことに農村問題を取り上げれば、いつもそういう問題が起こっていたが、これをどうして打開するかということは、これはもうやはり総合的な国の施策がなければ解決はできません。しかしそう言いましても、当面する問題は、やはり総合的な計画の遂行と相まって、やはり当面した問題についてはこれはできるだけ対策を講じていかなければならぬ。繰り返して申し上げますと、お説の通り全く政府の総合的な行政措置がなければ、いまいろいろな手を打ちましても、これはいわゆるこう薬ばかりみたいなものであります。おそらくこの問題も大きな政治問題というか、社会問題にもなっている問題で、いまの古田さんのお話は全く同感でございます。
  198. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 過疎地帯にもあらず、過密人口急増地帯にもあらず、中間地帯がどうもあるようでございます。私はそういうふうな認識を持つのです。つまり大型重工業などの企業を中心といたしました経済発展の地域の大都市と過疎地帯、この中間地帯がございますね。これは半面に都市化しつつあります。半面に過疎的な一切の要因を内蔵しております農村地帯におきまして、たとえば大都市四十キロぐらいの地域の農村などは幾多のその実例がございます。両方の悪い面を持っております。人口は微々として減りつつあります。教育施設、社会施設、福祉施設等々だんだんと衰退しつつあります。そうかといって都会まで一時間、二時間で行けるものですから、青年は都会へ走ってしまいます。都会の悪い風潮だけが入ってまいります。自動車買って、マイカーでおかあさん乗せていってやるわという調子で都市に引っぱっていくというような風潮も入ってまいります。こういうような面もございます。こういう亜過疎化地帯というのですか、亜過密地帯とでもいうのですか、こういう地域に対しましては、これはやはり大臣に特別な、私は重複するというよりもやはり複合いたしましたいろいろな要素をこれはこれなりで把握いたしまして、ちょうど農村でいいますと、例の三ちゃん農業、そして飯米農家といったものが進んでいく、純専業農家でもなければ、純非農家でもない、背中は農家で前は非農家である、そしてその辺としては一番典型的だ、こういうようなものがだんだんふえてまいります。こういう地域もございます。これに対しましては、また特別の問題をこれは持っておりますので、私はやはりこれは自治省のお立場から行政対象として相当精密な検討をやってもらいたい、こう思うのです。  財政措置につきましても、やはりこのあたりに対しましては、いわゆる社会開発の対象といたしまして幾多の法律もできております。新産都市とか、工業整備特別地域とか、いろいろな法律ができておりますけれども、そういうものの恩恵に浴する面もあり、しからざる面もある等々しますので、これをやはり今後対象として御検討あってしかるべきでないか、こういうふうに考えております。こういったことを私がひとつ御提言申し上げましてしかるべき御配慮を促しておきたい、こう思うのですが、何か御感想ありますか。
  199. 細郷道一

    細郷説明員 おっしゃるとおり将来過密の心配を起こさせるような面もございますそういった、どういう表現がいいか、地方都市と申しましょうか中都市と申しますか、そういったようなところにつきましては未然に計画的な町づくりをやることによって過密の弊を避けるようにしたい。あわせて広い社会生活圏を一体とした地域づくりというようなことも考えていくべきではなかろうかと私どもは思っておるのでございまして、そういった地域づくりを行なうこと、同時にそういう地帯に対しましての財政援助ということに力を入れてまいりたい、かように思っております。
  200. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで一転いたしまして、しからば地方財政の実態はどうかということになってまいりますと、この点は大蔵省財政制度審議会などに対しましてかなり強く指摘する点でございます。これはまた事実上いなむことのできないような幾多の実例もあるわけでございます。私が申し上げることは、これは自治省も単に九牛の一毛だというような感覚と認識を持たないで重大にお考えを願わねばならない。つまり赤字なるがゆえに貧乏団体だ、黒字なるがゆえに健全団体だというような考え方ではなくして、真に財政の運用が適切に効率的に行なわれておるのかどうか、ほんとうの高い政策にマッチしておるのかどうか、こういう角度から見ていかねばならぬのであります。もし日本で地方自治体憲法に藉口いたしまして放漫財政におちいるといたしましたならば、そんな運営は、この膨大な行政需要をかかえました地方といたしましては、これは住民福祉と背馳するわけでございます。そこでこういうことになりますと財源不足は無限であります、幾らあっても足りませんということを見ねばならず、だから形式的な財政収支、赤字、黒字ということの前に、やはり幾つか指摘される面は率直に聞かねばなるまい。たとえば公務員給与の問題にいたしましても、私どもの第三者から見ますと、国家公務員とか地方公務員というものは――とかく割り高な地方公務員の給与水準ということがよくいわれるのであります。こまかい数字は存じませんけれども、やはり全体としてもっと均斉がとれるようにする必要はないだろうか。あるいは東京都下におきまして特別職の報酬がどんどん引き上げられて新聞にじゃんじゃんたたかれたような実例もございますし、デラックスな庁舎の建設をあちらこちらで乱立いたしまして問題を起こしたり、あるいはまたいろいろと地方団体が相互に重複投資をやったようなむだなことをやる。さてまた、公害対策とか地域開発とか環境整備だとか、こういうような公的のいろいろな要請がありましても、これを何かに籍口いたしまして、拒否等まではいきませんでも、これを積極的に追及するという姿勢に乏しいというようなことで、財政を浪費しておるというような、実情はないであろうか。  そこで、そういうことを思いますと、たとえば西ドイツにおきまして、五〇年度には一回もほんとうの不景気はなかった。六〇年度になりましては、大蔵大臣もこんな状態ではどうにもなるまいじゃないかというようなことを警告したことが伝わっております。六二年には当時のシュタルケ蔵相が経済の異常な成長率を示した時代に、不況はもう済んでしまった、歳出の増加が伸びて伸び率が二倍になっておる、こういうようなことは重大な問題にしなければならぬということをいっておりましたが、そういっているやさきにだんだん悪くなったことが露呈をして、御承知のエアハルトが退陣となって、ドイツは昔のあの奇跡的な財政経済の回復は夢じゃないかとまでいわれたのでございます。一々こんなあとを追っかけていくわけでもあるまいけれども、やはり他山の石といたしまして地方財政を戒めていく御指導があってしかるべきではないか。財政放漫におちいったならばこれは何もかも食ってしまう、そうして結局住民福祉をじゅうりんする結果になる、こういうふうに思いますので、この点につきましてひとつ大臣のお考え方を伺っておきたい。  なおこれと関連するのでありますけれども、結局どうすれば地方財政というものが一体健全化したという認定ができるのか。真に住民福祉の向上に役立つという問題の解決には、根本的に一体どうすればいいのかということを財政的に少し大きく、これは長期計画的にでも立てられぬものだろうか、こういうことさえ考えるのでありますが、これはしろうとのそういう計画論でございますので、まだ前提が全然足りませんけれども、何かそういうように、私は地方財政のほんとうの健全化とは一体何だろう、健全化の条件はいかんというようなことを率直に頭で考えたりするのでありますが、これらの点についてはどう思うのですか。どなたでもよろしゅうございます。  大臣、ひとつ前の点につきましてこれは承っておきたいと思います。
  201. 野田武夫

    野田国務大臣 地方財政の強化、確立という問題は、この委員会におきましてもみな絶対に必要だという認識を、吉田さんと同じようにわれわれも持っておりますが、同時にやはり地方財政――国の財政もそうでございますが、健全化というものをもう目標にしなければならぬ。したがって、地方団体行政水準がまだ非常に立ちおくれておる、仕事がうんと残っておるのだ、それには金が要るのだ、こういうたてまえでございますから、その間にやはりむだなことが多いとか、浪費の面があるとかいうことはもう厳粛に指摘していくべきことであります。また地方住民といたしましても、相当批判の出ている場所等もございますが、これは私は公正な批判が出たほうが地方行政運営についてきわめて必要なことではないかと思って、全く同感でございます。
  202. 細郷道一

    細郷説明員 将来地方財政を健全に持っていくにはどうすればいいか、いろいろ問題があるだろうと思います。財政的にはやはり自主財源を多く与えることによって、自分から住民の方等の批判を浴びながら財政運営をやっていくということが一つの方向であろうと考えております。それと同時に、現状の制度のままにおきましても、私は地方団体財政計画運営ということが最も必要ではないだろうか、かように考えております。将来の町づくりをするにいたしましてもあるいは地域計画をつくるにいたしましても、それらのものを年度的に、計画的にどう具体化していくかということに真剣に取り組んで、それを住民の前に披露することによって住民の支持も受けながら財政運営をしていく、こういう態度が必要であろうと思っております。明年あたり、もう実施をいろんな面でやってまいりたいと思います。
  203. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 たいへんおもしろい御発言を聞きました。そのかまえがございましたならば、それならば私はたいへん手数かわかりませんけれども、あらゆる手を動員いたしまして、そしてまず地方における財政運用の実情の情報をお求めになってしかるべきではないか。これは労働省あたり全国の労働需要にコンピューターを活用いたしておりますが、何かそういった面からもう少し全国の現在における財政の実態を直ちに全体を掌握できるような調査網をひとつ確立してはどうであろうか、こういうふうに考えます。こんな時代に入ったのでありますから、全国の一流銀行などは全部施設は持っております。現在の貸し出し状況、金の出入りの状況、ある何日の何時何分時点におけるやつはすらっと出せるように、そこまでできておるのでありますから、その意気込みがございましたら、自治省は、全国の三千五百の地方団体に対しまして財政運営の実態を刻々と知るという手はぜひ打つようにひとつ方法を起案されまして、この予算の中に盛り込んで来年から実施できるように大臣せられたらいかがです。たいへんおもしろい着想でございます。これは打ってつけです。その計画的な予算査定、そして投資と効率の分折評価を刻々していくということが次年度のいろんな施策に重要な材料になるということは申し上げるまでもございませんので、ぜひ推進されんことを御希望申し上げておきます。  それから次に、地方行政の合理化等に関しまして自治省はおもしろい企画をされました。これは私は画期的なものといたしましてちょっと拝見しておるのでございますが、先般各地方団体にアンケートをおとりになっております。アンケートをおとりになりました事項が百二あります。一つ一つ重要なもののみとは言いませんけれども、重要なものが相当ございます。各省の関連行政事務にわたっております。もちろんこれは財政の関連が相当あることは申すまでもございません。単純な行政だけではございません。そこで、このアンケート調査の実情でございますが、時間もどんどん迫ってまいりましたので簡単でよろしゅうございますから、何か要項とでも申しまするか、たとえば調査項目、参加人員あるいは他の協力を得たかどうか、対象あるいは方法、調査日数、所要経費そういうところをこの報告書にも一応出ておりまするけれども、さらにかいつまんだところをお述べいただいて、そしてこれを補充してもらったほうがいいと思いますが、どうでございましょうね。一々読んでもらっては時間を食ってしまいますので、簡単でよろしゅうございます。
  204. 長野士郎

    ○長野説明員 アンケート調査につきましては、参議院選挙の終わりましたあとで百二項目の改革意見につきまして全地方団体に対しまして改革意見のアンケートを求めたわけでございます。そのために自治省の中に地方行政合理化実施本部というものを設けまして、人が足りませんので地方自治関係者の協力を得るという意味で知事会その他の担当の関係の人にも協力を得るためにそういう組織をつくりました。そういたしましてアンケートのやり方といたしましては、これを二つに分けまして、府県、五大市、一府県におおむね市町村合わせまして十カ市町村というところには直接調査員が面接に参りまして、そして知事市町村長あるいは議長の御意見を伺いました。それ以外のところにはアンケートの調査表を郵送をいたしまして回答を求めたのでございます。直接面接いたしましたところは全部結果を集めたわけでございますが、書類でアンケートを求めましたものも回収率は八六・九%でございまして、その点ではたいへん好成績をおさめたということに相なります。私どもの調査に行きました印象を全部まとめますと、地方公共団体側といたしましては非常に熱心に受けとめまして、非常によく研究をいたしまして、知事なり市町村長なり議会の議長なりが真剣に問題を研究の上で回答をいたされております。非常にまじめな受けとめ方をいたしておるという強い印象を受けております。  アンケートの内容自体でございますが、これは地方行政に特に関係の深い項目で、従来臨時行政調査会あるいは地方制度調査会、それからその後にいろいろ出てきました改革意見、そういうものを中心にいたしまして百二項目を整えたわけでございます。たとえば臨調の改革意見がこの中に約四十数項目入っております。地方制度調査会の改革意見も四十数項目入っております。そういう形で調査を求めたわけであります。八月の中旬から下旬までには集計をいたしまして、その結果を行政改革本部に提出をいたしました。それから関係閣僚会議でも報告をいたしまして、今後の行政改革の基礎的な資料としてこれに基づいて改革を検討するということに一応相なっております。  以上でございます。
  205. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは私の受ける印象では、地方行政庁に直接会って、もしくは文書等によりまして話し合いの行政の実演をなさったような感じさえ受けます。これは新しい傾向としまして歓迎すべきものであろうと思う。一々東京に呼びつけて意見を聞くという従来の官僚的なやり方ではなしに、非常に民主的な傾向が顕著に出ております。  そこで、八月に改革意見をおまとめになりまして関係行政庁にそれぞれ送付されて、さらに意見をまとめて改革意見としてこさえて、こさえたものが総計九十一あったように私は記憶いたします。そこでこの九十一の改革意見なるものをそれぞれの関係省庁に向かって送付されたようであります。そこで――あなたのほうか出したのですか、行管が出したのでありますから、あなたのほうとしましては行政改革本部にお出しになったということでありましたね。そうでございましたね。
  206. 長野士郎

    ○長野説明員 そのとおりでございます。
  207. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 各省庁にお出しになりましたか、行政改革本部にお出しになりましたか。
  208. 長野士郎

    ○長野説明員 そのアンケートのとりまとめました結果は各省庁にも御報告申し上げました。では大臣が各省庁に御協力をお願いいたしました。それから改革本部に出しました。改革本部からも各省庁に対しましてこの改革意見に対する回答を徴されたわけであります。
  209. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 行政管理庁に伺いますが、あなたのほうではすでに閣議において決定した行政改革三カ年計画を持ち、その一環といたしましてこれを取り上げるような趣向らしく思うのでありますが、かくして各省庁の意向を聴取せられましたようでありますが、その経緯と結論を簡単に御説明願えませんか。
  210. 川島鉄男

    ○川島説明員 ただいま自治省のほうから御説明がございましたように、行政改革本部のほうへこのアンケートの結果によります意見の提出がございました。行政改革本部といたしましては、地方自治団体の関係の御意見であるという意味から、これを行革本部の取り上げるべき問題に取り入れようという立場から、各省庁に対しましてこの意見に対する各省庁の意見を伺ったわけであります。その文書照会に対しまして各省庁のほうから回答がございまして、その結果を拝見いたしますと、一応区分する前にお断わりいたしますが、各省庁の御意見の中には一部賛成、一部反対とか、ある条件が満たされれば賛成できるというような、いろいろの事情がございますので、これを賛成、反対と端的に区分することは困難でございますけれども、一応の形でまとめてみますと、おおむね賛成、このアンケート結果による意見に賛成と思われるものが七件、それからおおむね反対と思われるものが七十五件、その他検討を要するものとか、あるいは意見を留保しているものが九件、合わせて九十一件というふうに一応の分類ができました。おおむね反対と申しますのは、実は各省庁の立場で一つのテーマにつきまして数省庁がお答えいただいておるというものもございますので、その中で反対があるものにつきましては賛成があっても一応おおむね反対と思われるもののほうに区分けして、大体以上のような傾向が認められたわけでございます。
  211. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで大臣、事は非常に重要でございます。やはり私ども、きょうは時間もございませんので、この百工の重要性を一々ここで申し上げることはやめます。しかし、いずれもが、地方にも中央にも国民生活にも産業にも財政にも、あらゆる面に相当重要な関係を持っておるものであります。そしてこの経緯を見ますると、それが地方自治体首長もしくはそれと責任を分かつような立場の人がそれぞれ意見を述べて、ノーかイエスか、あるいはどうかということを述べまして、その結論がどうも改革意見ということになってまとめられたようであります。ところが、たとえば第七十八の市町村の公共事業に対する補助金の項、これは交付決定の権限を知事に委任することに賛成の都道府県知事が八四%、町村が七六%、絶対数ですね、というようなことになっております。ところが、そういうものも中央にまいりますと、言うならば反対なんです。こういう例をあげたら何ぼでもあるわけです。だからあげません。だから、改革意見として地方の意見をまとめて、自治省は相当責任を持って閣議に報告をする、行政改革本部にも出す、各主管官庁に向かってもこれを出す。そうすると大半反対してしまう。反対七十五、賛成七、検討を要する等々が九というようなことになる。一体これはどういうわけです。そうすると、地方は出先、実体を行なっておる、中央は指導監督の立場にある。中央が反対して地方が賛成・そうして自治省もせっかく意見をまとめて閣議にまで報告した、行革本部にも出したということになると、行革本部といったらこれは各省の事務次官中心に、これがスタッフで構成されているのですね。一体これはどういうことであるか、いわば中央地方がばらばらですね。事非常に重大であります。何か欠陥があるのじゃないだろうか。やはり政治的に判断もせにゃいかぬ、検討もせにゃいかぬ。そうして、それは調査不十分だから、私らが読んでみましても、もっと検討の方法、余地ありというのがたくさんあります。それはよろしい、それならそれで検討すればいいんです。いずれにいたしましてもノーという意見が相当出ているんですね。こういうことでは行政改革なんて思いやられますね。お先まっ暗ですよ、大臣。これは大臣、この点は高度の政治的な配慮をもちまして、ほんとうに行政のリーダーシップを発揮していくのでないと……。閣僚会議なんかでひとつうんともんでもらったらどうかと思うのです。そうして行政改革本部にもそれぞれ反対なら反対を、こういう理由だということを明確にして、賛否論をうんとやり合ったらいいと思うのです。そこをもっと突っ込んでやってもらいたい。そうして国会にも出してもらいたいということをしませねば、私はやっぱり非常に大きな食い違いがありまして、欠陥があるような気がしてならぬのです。大臣、どんなものでしょうね、この問題は。
  212. 野田武夫

    野田国務大臣 行政改革は改造前の佐藤内閣のきわめて重要な方針として打ち出しております。さらに佐藤総理が内閣を組織したのですから、この方針はそのまま続けられると私も思うし、同時に今日の行政の実態を見てみますと、何といっても行革の必然性というものは疑いの余地はございません。そこで、特に地方自治を預かっている自治省として、きわめて積極的な態度を示して、いまお話のありましたアンケートの調査にかかり、その結果を各省にも行革本部にも出してあるわけですが、不幸にして各省の意見がまちまちであって、一向初志の目的が実らない。これはやはりいま吉田さんの示したように、やはりこの行革を遂行するには、高度の政治性が必要だと思います。そこで自治省といたしましては、さらに実態を究明しまして、十分検討を加える。いま反対が多いから、それではもうこれで断念しようなんということは考えないで、あくまでもひとつ粘り強く改革のために前進するという心がまえで、今後対処いたしたいと思っております。
  213. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なお御希望申し上げておきますが、自治省の事務次官も、申すまでもなく部員でございますので、これはやはり行政改革本部におきまして、積極的に早く議題として、日程にのぼすように、ひとつ事務的に命じられんことを御希望申し上げておきます。この問題は留保しておきまして、後日なお掘り下げてみたいと思います。  少し綱紀粛正のことについて伺ってみたいのでありますが、きのうも閣議で綱紀粛正の御意見が出て、そしてその点は、国家公務員の綱紀粛正ということが、新聞で伝わっておりますが、もちろん地方公務員等につきましても、政府関係職員等につきましても、これに準じて措置する、こういうことも伝わっておるようでございます。すでに昨年十月の六日付で、地方公務員の綱紀粛正は、それぞれ事務次官名で、府県知事あてに通達が出ておる次第でございます。よくこれも存じております。ところが、最近の地方行政につきましては、相当住民の不信感がわいてきたような感じがするのであります。何かこう、モラルがすっかり低下しているのではないだろうか。モラルが低下するということは、これはやはり財政の乱費につながってまいりますので、そういうことを心配するわけでありますが、最近、東京都下の保谷市におきましても、首脳部が問題を起こしております。ここだけではありません。大阪におきましても、奈良におきましても、その他全国的にいろいろと汚職的な事件が続発しておる現状でございます。ちょうど四十一年のときにも、黒い霧が話題となりまして、国民はひんしゅくしたのでありますが、最近は一転いたしまして、地方行政についての綱紀が相当紊乱しておるのではないだろうか、こういうことが言われるのであります。これはもうすでに明らかになっておりますので、一々私は世上伝えられた事件をここではあげませんけれども、一般的な傾向としてこれは把握したらどうか、原因は自治省において一々探求したらどうか、司直の手にあるんだから、これはわれ関せずと、こう言うべきものではないと私は思う。一たんこういう指令が出たのでありますから、これは現内閣といたしましても、地方行政、同時に地方財政の乱費につながるような綱紀紊乱は、これは厳粛にただしていくという姿勢がなければならぬ、私はこういうふうに考えております。この点はしごく大臣もき然としていかれる性格でもありますので、御信頼いたしますけれども、相当重大になるような問題は、はね返って、国の行政政治にまでくるのではないかと思います。この傾向に対しまして、ひとつ大所高所からの御所見でよろしゅうございますので、今後のかまえ、また、こういうことについて一々原因を探求いたしまして、今後絶滅を期する。小なりといえども見のがすわけにはいかぬというくらいにいたしまして、初めてほんとうの地方団体に対する指導の中央庁の御使命が全うされるのではないか、こういうふうに私は考えるのですが、どうでございましょうか。
  214. 野田武夫

    野田国務大臣 昨日の閣議で、お話しのとおり国家公務員の綱紀の問題、厳粛にひとつ綱紀を維持するようにみんなつとめようということで申し合わせたのでございます。最近の傾向では、どうも地方公務員におきましても汚職事件がかなり多いようでありまして、きわめて憂慮にたえない問題でございます。これは吉田先生がお話しのとおり、公務員がその住民に奉仕すべきみずからの使命感というものが、やはりもう少し確立をしなければならぬと思います。道義の問題であり、また自分の職務に対する自覚、こういうところに大きな原因があると私は思います。したがって地方財政にももちろん影響を受けることがありますが、その基本はやはり公務員そのもののみずからの反省と自覚、その使命感に徹するというところから立て直していかなければならぬと思っております。それで中央地方同じでございますが、国民の信頼、地域社会住民の信頼がなくては行政の円満な運営はできません。そういう意味におきまして、私はまことに適切な御意見を拝聴いたしたと思いますが、今後はひとつ十分これらにつきまして、われわれの態度をきびしくいたし、一般の公務員、地方公務員に対する注意を喚起いたし、あくまでも粛正を維持するようにつとめたい。それに対しましては、諸般の対策も考え、また方法も検討してみたいと思っております。吉田先生の御意思を十分尊重してやりたいということを申し上げておきます。
  215. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで私はこの際、結論的な御質疑を申し上げて終わりたいと思います。  つらつら地方財政を見ましたときに、今後われわれとして打たねばならぬ幾多の手があると考えます。これは財政制度自体の改革が相当必要ではないかと思います。しかし、大半が国の補助金交付税等におんぶしております地方財政でございまするので、地方独自の改革では全うできないことは申すまでもございません。そういたしますと、これは国の財政、特に国の予算制度を改革するということが先行いたしまして、そして地方これにならって可能な範囲で行なう。もちろん中央におきまして、たとえばフィスカルポリシーなどはなじまないという御意見もある。これはもっともであります。そういう意味ではなしに、構造自体を改革する。たとえば私ども予算編成期になりますと、気の毒なほど全国からそれぞれ上京されます。みんな予算に関連します。一体、なぜそう来ねばならぬのか、首長以下ひっきりなしに全国から見えます。試みに、私は十年余り前に大蔵省にいろいろな面から調査を依頼して得た数字が七、八百億円くらい、これは地方団体だけでなしに、他の団体を含めまして浪費するだろうという一つの推測的な数字が出たのでありますが、これはともかくといたしまして、いずれにしましても、予算編成期に際会して、というよりも年じゅうですよ。年じゅう地方団体三千五百が、おそらくは、これは佐藤喜一郎さんのことばではないけれども、百万円の補助金をもらうのに八十万円使っても、その村長さんはなるがゆえに選挙は当選するのです。百万円の補助金をもらうのに八十万も使う、そんなむだなことはだめだというたら、それは当選せぬのです。そこがむずかしいのですな。だからやむをえず東京に来るのです。だてや酔狂で来ませんよ。私らの地方から来るのでも、一人来れば必ず二、三万円は要りますね。東京に来れば、このけばけばしい都市生活にまた入らなければならぬ。人と会うのにちょっとコーヒー一ぱいで会うわけにいかぬという事情もあります。北海道の人、九州の人、私どもほんとうに一体どうしたことだろう、私はこういうことを考えまして、四十年にヨーロッパへ参りましたときに、ボンでドイツの政府について一体陳情というものはどれほどあるのだろうかと聞いたことがあったのですが、ちょっと向こうでは理解ができないことでありました。なるほど民主政治の時代ですから、民衆の考えを十分に政治行政に反映させるためには、意思の疎通もし、陳情もし等々、これは必要かもしれませんけれども、しかしいまは度が過ぎます。この膨大な経費とそして人力とあらゆる機関をもからっぽにしてでも行くというこのむだですね。これは一体どこからくるものだろうか。これはやはり中央財政の改革以外に手がないだろう。私は、試みに、何でそんなに行かなければならぬかと聞きましたら、行かなんだら冷淡だからというのでぷんとせられます、こういうことですね。行けば、これはきわめて熱心だ、熱心だから仕事はやる、補助金もやろう、予算をつけてやろう、何かそっちに配分しようということになる。けしからぬ話ですよ。そんなことは奉仕の態度でも何でもない。何か自分のふところへ金を入れてそれをやるような、そんな錯覚におちいるのじゃないか、こう思います。ですから、そこでみなむだにしております。それを何とかなくす手はないだろうか、これはやはり予算改革よりほかにないだろうと私は思います。陳情をなくしましたならばどれだけ予算の筋が通ってくるかわからぬ。電話で済むところは電話で、文書で済むところは文書で、重複する必要はありません。こういうことを地方にせよといったって、これは無理です。やはり中央で先に率先してしなければならぬ。しかし、これは自治省でやるといっても、自治省だけでできるものではない、大蔵省だけでできるものではない。現に、いまの行政改革につながるアンケート百人にしましても、九十一のうち大半は、地方ではぜひそうしてくれという、賛成、中央へ持ってきたら反対、こういうようなことでは、地方だけにまかして、地方で改革しなさいといってもそれは無理です。ほんとうの自治権三割しかないようなところではどうにもならぬということにもつながります。こういうことでありますので、これはやはりどうしても財政の面から、行政の面から、あらゆる意味における、財政局長の申しました、計画的に予算の作成をし、または運営をしていくように指導したいという、これはもっともでありますので、一歩進めまして、百円の金も国民の血税なりという認識を繰り返し繰り返しお経文のようにして頭に入れておいてもらいたいと思うのです。というふうにして、そして国の財政の改革が先行して、国の行政姿勢が先行して、地方行政姿勢が正されるというふうに、これは首尾一貫して政治の姿勢がほんとうにより健全化するものではないか、こう思うのでありますので、ここはひとつ新大臣でありますので新しい意気込みで、それぞれ所管大臣とも御協議になり、閣僚協議会などでも十分に練っていただきまして、何も一足飛びに二階へ飛び上がりなさいとは申しません、しかし、これは漸次その方向に向かって前進する、一歩も後退するところなし、こういうふうにしてひとつ進めていってもらいたいと思うのです。この際ひとつその辺の決意も伺って、私のお尋ねを終わることにいたします。
  216. 野田武夫

    野田国務大臣 予算の編成にあたっての陳情の状態は、これはもう多年の積弊でありますけれども、率直に言うと、だれもが困ったことだと思っております。しかし、お話しのとおり、これは陳情に来られた人だけの罪ではなくて、やはり予算の立て方、財政運営の面、いろいろなところにあろうと思います。しかし、もう非常な弊害があるのと、それから、財政的にも実にむだなことが多い、時間的にも空費しておる、こういうような政治状態というものは、これは何かしらんここで――これはひとり政府ばかりではありませんし、国会の者もまた役所の者もみんな一緒になってひとつほんとうに考えなければならぬ。私全く同感であります。おそらく今後こういう面につきましても、内閣としてもいろいろ論議があると思っております。その際は、私は御意見を十分尊重し、また私自身も痛感いたしておりますから、強くこの問題の是正に対処したい、こういうことをお答えいたします。
  217. 丹羽久章

    丹羽(久)委員長代理 次回は明五日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時八分散会