○吉田(賢)
委員 そこで私はこの際、結論的な御
質疑を申し上げて終わりたいと思います。
つらつら
地方財政を見ましたときに、今後われわれとして打たねばならぬ幾多の手があると
考えます。これは
財政制度自体の改革が相当必要ではないかと思います。しかし、大半が国の
補助金、
交付税等におんぶしております
地方財政でございまするので、
地方独自の改革では全うできないことは申すまでもございません。そういたしますと、これは国の
財政、特に国の予算制度を改革するということが先行いたしまして、そして
地方これにならって可能な範囲で行なう。もちろん
中央におきまして、たとえばフィスカルポリシーなどはなじまないという御意見もある。これはもっともであります。そういう意味ではなしに、構造自体を改革する。たとえば私
ども予算編成期になりますと、気の毒なほど全国からそれぞれ上京されます。みんな予算に関連します。一体、なぜそう来ねばならぬのか、
首長以下ひっきりなしに全国から見えます。試みに、私は十年余り前に
大蔵省にいろいろな面から調査を依頼して得た数字が七、八百億円くらい、これは
地方団体だけでなしに、他の団体を含めまして浪費するだろうという一つの推測的な数字が出たのでありますが、これはともかくといたしまして、いずれにしましても、予算編成期に際会して、というよりも年じゅうですよ。年じゅう
地方団体三千五百が、おそらくは、これは佐藤喜一郎さんの
ことばではないけれ
ども、百万円の
補助金をもらうのに八十万円使っても、その村長さんはなるがゆえに
選挙は当選するのです。百万円の
補助金をもらうのに八十万も使う、そんなむだなことはだめだというたら、それは当選せぬのです。そこがむずかしいのですな。だからやむをえず東京に来るのです。だてや酔狂で来ませんよ。私らの
地方から来るのでも、一人来れば必ず二、三万円は要りますね。東京に来れば、このけばけばしい都市生活にまた入らなければならぬ。人と会うのにちょっとコーヒー一ぱいで会うわけにいかぬという事情もあります。北海道の人、九州の人、私
どもほんとうに一体どうしたことだろう、私はこういうことを
考えまして、四十年にヨーロッパへ参りましたときに、ボンでドイツの
政府について一体陳情というものはどれほどあるのだろうかと聞いたことがあったのですが、ちょっと向こうでは理解ができないことでありました。なるほど
民主政治の時代ですから、民衆の
考えを十分に
政治、
行政に反映させるためには、意思の疎通もし、陳情もし等々、これは必要かもしれませんけれ
ども、しかしいまは度が過ぎます。この膨大な
経費とそして人力とあらゆる機関をもからっぽにしてでも行くというこのむだですね。これは一体どこからくるものだろうか。これはやはり
中央の
財政の改革以外に手がないだろう。私は、試みに、何でそんなに行かなければならぬかと聞きましたら、行かなんだら冷淡だからというのでぷんとせられます、こういうことですね。行けば、これはきわめて熱心だ、熱心だから
仕事はやる、
補助金もやろう、予算をつけてやろう、何かそっちに配分しようということになる。けしからぬ話ですよ。そんなことは奉仕の態度でも何でもない。何か自分のふところへ金を入れてそれをやるような、そんな錯覚におちいるのじゃないか、こう思います。ですから、そこでみなむだにしております。それを何とかなくす手はないだろうか、これはやはり予算改革よりほかにないだろうと私は思います。陳情をなくしましたならばどれだけ予算の筋が通ってくるかわからぬ。電話で済むところは電話で、文書で済むところは文書で、重複する必要はありません。こういうことを
地方にせよといったって、これは無理です。やはり
中央で先に率先してしなければならぬ。しかし、これは
自治省でやるといっても、
自治省だけでできるものではない、
大蔵省だけでできるものではない。現に、いまの
行政改革につながるアンケート百人にしましても、九十一のうち大半は、
地方ではぜひそうしてくれという、賛成、
中央へ持ってきたら反対、こういうようなことでは、
地方だけにまかして、
地方で改革しなさいといってもそれは無理です。ほんとうの自治権三割しかないようなところではどうにもならぬということにもつながります。こういうことでありますので、これはやはりどうしても
財政の面から、
行政の面から、あらゆる意味における、
財政局長の申しました、
計画的に予算の作成をし、または
運営をしていくように指導したいという、これはもっともでありますので、一歩進めまして、百円の金も
国民の血税なりという認識を繰り返し繰り返しお経文のようにして頭に入れておいてもらいたいと思うのです。というふうにして、そして国の
財政の改革が先行して、国の
行政姿勢が先行して、
地方行政姿勢が正されるというふうに、これは首尾一貫して
政治の姿勢がほんとうにより健全化するものではないか、こう思うのでありますので、ここはひとつ新
大臣でありますので新しい意気込みで、それぞれ所管
大臣とも御協議になり、閣僚協議会などでも十分に練っていただきまして、何も一足飛びに二階へ飛び上がりなさいとは申しません、しかし、これは漸次その方向に向かって前進する、一歩も後退するところなし、こういうふうにしてひとつ進めていってもらいたいと思うのです。この際ひとつその辺の決意も伺って、私のお尋ねを終わることにいたします。