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1968-11-07 第59回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月七日(木曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員   委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 小山 省二君    理事 四宮 久吉君 理事 白浜 仁吉君    理事 田川 誠一君 理事 田中 武夫君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       加藤 六月君   三ツ林弥太郎君       赤路 友藏君    勝澤 芳雄君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  土田 兼孝君         大蔵政務次官  倉成  正君         日本専売公社監         理官      平井 廸郎君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         大蔵省主計局司         計課長     北田 栄作君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         大蔵省国際金融         局長      村井 七郎君         大蔵省国際金融         局企画課長   結城  茂君         国税庁次長   高柳 忠夫君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農政局長 太田 康二君         会計検査院事務         総局第一局長  斎藤  実君         会計検査院事務         総局第四局長  鈴木 治久君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         日本専売公社副         総裁      佐々木庸一君         日本開発銀行副         総裁      福地  豊君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      佐々木 直君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     安井 七次君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 十一月七日  委員丹羽久章君、原健三郎君及び柳田秀一君辞  任につき、その補欠として三ツ林弥太郎君、加  藤六月君及び赤路友藏君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員加藤六月君、三ツ林弥太郎君及び赤路友藏  君辞任につき、その補欠として原健三郎君、丹  羽久章君及び柳田秀一君が議長指名委員に  選任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (大蔵省所管日本専売公社日本開発銀行)  国または公社が直接または間接に補助金、奨励  金、助成金等を交付しているものの会計に関す  る件  (全国農業協同組合中央会)      ────◇─────
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 これより会議を開きます。  委員長がお見えになりますまで、指定により私が委員長の職務を行ないます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  大蔵省所管及び日本専売公社国民金融公庫、日本開発銀行日本輸出入銀行について審査を行ないます。  本日は参考人として日本銀行より副総裁佐々木直君の御出席を願っております。  なお、参考人からの意見聴取委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。小山省二君。
  3. 小山省二

    小山(省)委員 私に与えられた時間は十一時までというようなことでございますので、十分に大臣お尋ねをするという時間もないようでございますが、ちょうどいい機会でございますので、当面の財政に関する基本的な問題につきまして、一、二この機会大臣の御所見を承っておきたいと思うのであります。  ちょうど昨年のいまごろでございますか、昭和四十三年度予算編成期にあたりまして、いわゆる財政硬直化ということがしばしば大蔵当局からいわれておりました。その内容は私が申し上げるまでもございませんが、地方交付税交付金とかあるいは公務員の給与改定の問題あるいは社会保障費公共事業費国債など義務的な経費が非常にふえてくる、つまり当然増の経費が累増して新規政策的な経費の増加に回し得る余地がきわめてなくなるということでございます。私は、地方交付税とか社会保障費など財政硬直化要因としてあげられる問題点についてはいろいろ議論があろうと思うのであります。したがって、一〇〇%われわれはそのことを賛成するというわけにはいかないのでありますが、ことしは昨年ほど財政硬直化というような問題が前面に押し出されておりません。昨年は何といってもやはりそういう財政硬直化ということば自体が目新しかったのでありましょう。いろいろとこの問題をめぐって議論されたわけであります。ことしは経済成長などによって来年度予算編成というものがかなり明るくなっておるのではないか。というような感じがいたすわけであります。  そこで、私は大臣に特にお聞きしたいことは、昨年度財政硬直化要因としてあげられた諸点が、この四十三年度予算を通してどのように処理されておるか、また予算執行租税収入あるいは国債発行との関連でどのような見通しになっていられるのか、その点をひとつ承りたいと思います。
  4. 水田三喜男

    水田国務大臣 いわゆる財政硬直化打開ということについては、昨年度予算編成で第一歩を踏み出した程度であるというふうに私は考えております。したがってこの問題はこれからさらに真剣に取り組むべき問題で、四十四年も引き続きこの財政硬直化打開ということについては努力するつもりでございますが、いまの御質問のように、昨年どの程度のことをしたかということでございますが、財政硬直化の問題は、いままでの制度慣行等に根ざしている問題で、一朝一夕に解決できる問題ではございません。どうしても法律改正制度改正とあわせて考えなければならぬ問題でございますので、昨年はそういうところまで実際は手がつきませんでした。やった仕事はまず第一に経済動向に即応した財政規模伸び予算ワクを押えることに非常に努力いたしたことが一つと、それに関連して公債依存度をできるだけ引き下げるということで一六・二%の公債依存度から去年は一〇%台にこれを引き下げるという、これもなかなかたいへんな仕事でございましたが、まずこれをやる、そうして御承知のような総合予算主義というものを採用して、年度の途中で予算の補正をしないという決心のもとに予算編成をやったということでありまして、これも財政硬直化打開のための一つの新しいやり方ではなかったかと考えております。  それと去年手をつけましたのは、まず総定員の縮減といいますか、定員、機構のきびしい抑制を昨年はやりまして、実人員を初めて昨年は縮小したのでございますが、この仕事へは昨年からはっきりと手をつけておりますし、そのほか予算陳腐化と申しますか、もうあまり政策効果を発揮していないのに、従来からそういう予算が盛られておったというために引き続き盛られているという予算各省に非常に多うございますので、新規施策とそういうものを各省予算編成のときに調整してほしい、一定の予算ワク各省に与えて、各省が自主的にその処理をしたというようなことは、去年の予算編成一つの新しいやり方でございましたが、そういうようなところへしか去年は手が届かなかった。やはり財政硬直化ということから見ましたら、問題はいま問題になっておる医療保険根本的云々ということが懸案になっておりますし、食管制度改善、それから国鉄、公営企業の再建の問題、さらに地方財政との関係の問題、こういうものの解決ができないというと、来年の予算編成にすぐに取りかかれないというような問題を硬直化の問題とからんで持っておりますので、政府関係省でこの問題のあらごなしに懸命であるという、予算編成をするための基礎的の問題の検討作業をいまやっておるという最中でございまして、来年度財政硬直化に対するやり方についてはこれから成案が出てくるところで、いままだきまってはおりませんが、去年で終わったわけじゃございませんで、これからが本番だというふうに思っております。
  5. 小山省二

    小山(省)委員 いま大臣の御答弁硬直化打開の対策というものは今後に待たなければならぬ、要するに手をつけ始めた程度だということでございます。そうなると本年度予算においてこれに多くの期待をかけるというようなことは、実際問題としてあるいは無理かとも思うのでありますが、私はやはり財政硬直化打開するためには相当長期的な計画に立ってやらなければならぬということもよくわかるのでありますが、何か本年度いろいろ景気好転もさることながら、この財政硬直化要因というものがややもすれば忘れられるような感じすら持っておる。したがって来年度予算編成される場合に、いま大臣はまだ具体的に方針を固めてないというようなお話でありますが、昨日の新聞によりますと、四十四年度予算編成基本的考え方を自民党の基本政策懇談会ですか、そこでお述べになっておられる。新聞報道でありまして、私ども直接大臣からお聞きしたわけでございませんから、はたしてこのとおりであるかどうか存じませんが、大臣としても来年度においてもこの硬直化打開のための具体的な考え方食管制度にも根本的な改善を加えなければならぬというような相当前進的な御意見をお漏らしになっておるようです。したがってこういう御発表が事実であるかどうか、まだ大臣はそういうふうな具体的な意見を固めてないというようなお話ですが、一応新聞では予算編成内容あるいは公共料金ども受益者負担でというような相当新しい考え方が打ち出されておるのですが、この点に対してはいかがですか。
  6. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだ来年度経済がどうなるかという見通しもできておりませんし、それに基づいた来年度歳入の見積もりも現在できておりませんので、したがってまだ計数的ないろいろなお話を申し上げる段階ではございません。しかしざっと予想いたしましても、来年いわゆる経費の当然増というものは食管の赤字を考えなくて、七千億から八千億をこすだろうということになっております。もし食管制度に何らの改善が加えられなくて、ことしと同じようにやったとしますというと、ことしは三千数百億、四千億円近い一般会計からの繰り入れをしなければならぬというようなことでありまして、こういうものが加わったら、来年の景気相当いいと思いますが、それによってある程度税収が見込まれるとしましても、もう新規政策費を捻出する余地というものがない。来年の予算編成方針としましては、経済の好調、むしろ過熱化が心配されるというような状態にあるときですから、どうしても国債減額というようなこともしなければなりませんし、またいまの所得税のあり方から見まして、この減税もやらなければならぬということを考えますというと、現行制度についてもよほど思い切った改革を加えるということを考えませんと、来年度予算編成というものは非常にむずかしい。やりたいという政策ができないということが、一応大ざっぱに見通されますので、そういう意味で、この財政硬直化のやりかけた仕事をさらに進めて、財政体質改善ということは、特に本年度よりは来年度のほうが非常に必要性が強いと私は考えております。
  7. 小山省二

    小山(省)委員 大臣の御説明で苦衷のほどはよくわかるような気がするのでありますが、どうも本年度予算編成からいきまして、来年度、特に硬直化の主たる要因を取り除くというようなことは、現状においてはなかなか困難なような感じが私するわけであります。いまお話しのように、昨年並みの予算からまいりますると、当然増の経費は約七千百億くらい考えられる。本年度政策予算として約二千億程度、これを来年度もこの程度だといたしましても、九千百億というものが、当然予算規模が膨張するわけであります。したがって、減税等につきましても、大臣のお考えはかなり積極的で、税率にも手を染めたい、また国債もこの機会発行高をできるだけ少なくして、予算規模の五%程度にしたいというような理想までお述べになっておられるわけであります。したがって、私は、来年の予算編成というものは、ことしにも増してたいへんむずかしい問題が相当残っておるような感じがいたすわけであります。     〔鍛冶委員長代理退席委員長着席〕 しかし、来年度予算問題については、これは別な機会お尋ねを申し上げなければならぬと思っております。  そこで本年度租税収入でございますけれども、当初予算と比較いたしまして、最近におきますわが国経済好転、そういうような点から考えまして、相当大幅な伸びが期待できるのではないかというふうにわれわれ考えておるわけでありますが、その実際がどうなっておるか。年度途上でございますから、そう正確な数字をお答え願うということは困難だろうと私も思いますが、現時点から見て一体見通しはどの程度であるか、その点をひとつこの機会にお伺いしたいと思うのであります。一緒にひとつ税外収入についても同様、現在における見通しをあわせて承りたいと思うのであります。漏れ承るところによりますと、これらを合わせて本年度歳入増は千億程度だろうというようなことをいわれておるわけであります。したがって国債発行予定額ですか、年度当初約六千五百億。そういたしますとその増収分というものは、国債発行の面から見まして減額可能になるのかどうか。その辺のお見通しについて大臣からお話を承りたい。
  8. 水田三喜男

    水田国務大臣 租税収入進捗割合を見ますというと、ことしの八月までは、本年度税収が好調であるという数字は出ていませんでしたが、八月の末になって、昨年に比べて二・一%という好調ぶりでございました。が、九月の末になりますとその調子ではいかなくて、少し収入ぐあいが落ちているというふうなことでございますが、いずれにしろいまのところ二%程度は好調であるということがいい得ると思います。この調子でいきませば、年度間において相当自然増があるだろうということが見込まれるわけでございますが、問題は下期における法人の決算状況と十二月における賞与の支払い状況、これによって税収は大きく左右されるのが例でありますし、これがまだ未確定要因となっている以上は、いまのところ自然増はこれくらいだろうという予想が、こちらの当局においてもなかなかっかない。経済状態から見ましたら、ある程度自然増収があるということは考えられますが、どれくらいの額になるという正確なものがつかめませんので、したがって今年度国債発行をどれだけ減額しようかということが、いまだにきまらない状況でございます。昨年は税収いかんにかかわらず、財政運用策として国債は思い切って削減するということで、もう七月に七百億円削減しましたが、今年は御承知のように総合予算主義のもとにございまして、税収の見込みがないのにそう先に国債を切ってかかるということはなかなかできないので、まだ現在まで減額しておりませんが、もう少したって自然増がある程度はっきりしてきたところで、まず優先的に国債減額措置というものをやりたいというふうには考えておりますが、どうしてもはっきりした数字がまだいまのところつかめません。
  9. 小山省二

    小山(省)委員 大臣からまだ見通しは困難だ、こういう御答弁であります以上は、この問題をこれ以上お尋ねを申し上げるわけにもまいりませんので、できるだけ早く見通しをつけて、ひとつ御方針を明らかにするようお願い申し上げたいと思うのであります。  ただいま新しい年度予算を、いろいろ御苦心されておるわけでございますが、世上国債減額か、あるいは所得税減税かというようなことが、たいへん議論されておるわけでありまして、そのいずれをとるかということが問題になっておるわけであります。きのうの大臣お話では、どうも同時に減税もやりたい、国債発行も大幅に減らしたいというようなお考えを述べておりますが、来年度税収自然増が、いまの経済成長が持続するといたしますると、相当な額にのぼるのではないかというふうに私は考えております。したがって所得税減税する、あるいは税率にまで手をつけたらどうかというような議論も出ております。それから一面では、この機会にできるだけ将来に備えて国債発行を少なくとも予算規模の五%程度に縮小する必要があるのではないかというような議論もあります。この二つのうち大臣の、きのうの政策懇談会では両方おやりになるような御答弁があるわけでございますが、そのどちらに重点を置いて予算編成をなさろうというお考えでございますか。御存じのとおり中堅所得者層税負担の軽減ということは最近だいぶ世論になりつつあるわけであります。それからまた税の公平化、それからいま申し上げましたとおり財政国債依存度というものもこの際できるだけ減らしておかなければならないという考えの上に立ちました場合、まだ決定的なお考えが固まっておらぬということでございますが、大臣のただいまのお考え、そういう程度でけっこうでございますが、そういう問題についてもう少し明確に大臣の御所見をこの機会にぜひお開かせ願いたいと思います。
  10. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、全体としての国民税負担をどうするかという問題と所得税減税というような問題は混同して皆さんに考えられているようですが、これは混同されると困る問題だと思っております。減税国債減額かという二者択一の問題提起というしかたが妥当ではないと思います。来年度景気が見通されてその見通しに基づく歳入が予想されるときに、一体来年度予算規模をどうするかということを決定する過程において全体としての減税の幅あるいは国債の減少の額、それから歳出経費というものが総合的に決定されるものであって、これは両方とも不可分の問題だと思っております。そういう考え方から見ますと、経済伸びれば経済伸び率よりも所得税伸び率というものが非常に多いという現在の構造になっております。したがって全体としての税負担をどのくらいの規模にするかという問題と、所得税を調整しなければならぬかという問題は別でございますので、そういう意味からいいますと、いまの所得税の実態から見て相当減税措置をとる必要がある。税制調査会からもいろいろ意見が出されておりますが、課税最低限の引き上げだけでいいかといいますと、所得税累進構造についてもやはりある程度の調整をする必要が中堅所得者のためにあるというふうに考えておりますので、所得税に関する限りは、できたらそこまでの減税措置をとりたいといまのところ考えております。
  11. 小山省二

    小山(省)委員 おとといの基本政策審議会ではそういう会合の関係もあったと思いますが、大臣、具体的に地方財政あるいは食管会計についても相当突っ込んだ御意見をお漏らしになっておるようであります。私は、いまの段階でこれ以上大臣から所見を求めることはあるいはこういう場所柄無理かもしれないと存じますが、いずれにいたしましてもできるだけ早くひとつ来年度予算編成の基本的な考えというものを明らかにお願いしたいというふうに、この機会にお願い申し上げておきたいと思います。  実はたばこの専売納付金制度、最近あの審議会からの答申がありまして、消費税制度に改めたらどうかというような答申もなされておるわけでありますので、それらの問題についても少しお尋ねしたいというふうに思ったのでありますが、もう約束の時間がまいっておりますので、ほんとうに基本的な問題についてお尋ねする程度でありましたが、以上で私の質問を終わります。
  12. 大石武一

  13. 田中武夫

    田中(武)委員 日銀の副総裁、どうも御苦労さんです。きょうは日銀法と金の問題についてお伺いする予定でありますが、大臣の時間があまりないということでありますので、こちらもできるだけ簡単に伺いますから、簡単に答弁をしていただいて、残りましたことはあとであらためてまた質問する、こういうようにいたしたいと思います。  そこでまずお伺いいたしたいと思いますのは日銀法ですが、これは昭和十七年に制定せられて戦後何回かの改正を経ておりますが、今日の日本法律としてはまれに見るかたかなであり、いわゆる文語体であります。その中の各条項にわたりましても現在の状態に合わないものが相当多い。したがって去る三十五年に日銀法改正に関する審議会ができ、それが答申をしたということも聞いております。また三十九年、四十年ごろにもそういう問題が起きたわけでありますが、こういう現在に合わないような日本銀行法について改正を国会へ提出する意思があるのかないのか。これは大臣と当事者としての日銀側にお伺いいたします。必要があると認めるか認めないのか。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のとおり昭和三十五年に金融制度調査会からの日本銀行制度に関する答申というものがございまして、これは前回私が大蔵大臣のときで、それ以来八年たってまだ改正成案を得ておりませんが、途中やはり国債発行というような新しい問題が出てきました。したがって従来政府検討しておったものをここでもう一ぺん再検討する必要があるということでいま再検討しておりますが、いずれにしてもそう急ぐべき問題ではないというふうに、いまのところは考えております。
  15. 佐々木直

    佐々木参考人 日本銀行法改正の問題につきましては、いま大蔵大臣からお話しのように、これまでにもいろいろ検討が行なわれております。私どももできるだけ早い機会に新しい事態に応じた日本銀行法が制定されることを希望しております。ただ、いろいろ情勢が最近変化しておりますので、その変化した情勢に相応じた原案を作成することを目下いろいろ検討中でございます。その検討ができ次第、できるだけ早く新しい法律をつくっていただきたい、こう考えております。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 改正検討しておる。だがしかしそう急ぐものでもない、こういうことであろうと思うのですが、それならば検討段階における考え方を明らかにしてもらいたい。もしそれがなければ私の言うことについて検討してもらえるかどうかをお伺いする。  まず第一条ですがね。「国家経済総力適切ナル発揮図ル為」というようなことばが書いてあるんですがね。どうもこれは国家総動員法を思い出すような文句ですね。それから最後のところに出ている「任ズルヲ以テ目的トス」こうなっておる。それから、第二条には、「国家目的達成使命トシテ運営セラルベシ」、何だか教育勅語でも読んでいるような感じがいたすのですが、この「国家経済総力適切ナル発揮」ということ及び「国家目的達成」ということは一体どういうことなんですか。」国家目的達成」ということは、いわゆる国民経済とは違うのか。どうもこの「国家目的達成」ということを聞いておると、国民不在感じがする。私は、時間があればそれもやりたいと思っておったのですが、時間もないのでいまさら読み上げることは差し控えますが、日本国憲法主権在民の柱に立っておる限り、こういうような国家目的ということだけをうたうということはどうも新しい憲法からいってもおかしいと思うのです。答弁いかんによっては全文を読み上げていきます。
  17. 水田三喜男

    水田国務大臣 ちょうど昭和十七年のときの制定でございますので、表現そのほかにはいろいろないまと違った問題があったろうと思いますが、日銀法の当時の趣旨とか解釈の問題でございましたら、銀行局長から答弁いたさせます。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 役人のやつはまたあとで聞く。  こういう国民不在のようなことばが載っておるのですよ。現在の憲法からいえばこの条文自体が私はおかしい。  そこで、改正の論議はある、しかしそう急ぐ必要もないと言うが、私はなるべく早くやるべきだと思うのです。こういう何だか教育勅語国家総動員法を読んでおるような感じの条文というようなものは改める必要があると思います。ここでいう国家目的ということと国民経済というのは違うのかどうか。そういうことについて事務官ではなしに大臣、どう思っているのですか。これでいいと思っているのですか。
  19. 水田三喜男

    水田国務大臣 この法律の表現というようなものについては、実は金に関した法律というものは日本はまだみんなかなかなの法律が残っておると思うのでありますが、その表現についてもいろいろいま言われるような問題があるかもしれませんが、問題は、実態的に現行法で支障があるかないかということでございまして、いまのところ特別の支障があるという状態ではございませんから、どうせいまのような問題を一括して、これは改正するときに当然検討すべき問題でございますので、いま検討をしておる最中でございますから、個々の表現がどうあろうとも、現実に支障があるかないかということで実態的な問題の検討から新しい改正をしようということをいま考えています。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 この条文で現実の問題を処理するのに支障があるのかないのかということは、私は一がいに言えないと思うのです。日本銀行日本銀行としてのつとめを果たす上においてやはり守るべきは日本銀行法です。それが国家目的達成に任すべし、こういうようなことであるならば、そのこと自体私は憲法主権在民の精神からいっておかしい。何といってもおかしいですよ。改正すべきです。でなければ、憲法の精神に抵触するものは無効であるということを言えるわけですよ。こういう文句があなたは、別に今日差しつかえないからといって、現日本国憲法のもとに存在すると思いますか。
  21. 水田三喜男

    水田国務大臣 ですから、そういう表現の問題については、改正されるときには当然字句も十分検討されると思いますが、別にそういう表現であったからといって、現在支障があるという性質のものではないと思います。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 改正を急ぐ、それでぼくはいいと思うのだが、こういう文言があっても差しつかえないという考え方がどうかしておるのですよ。あなたの頭がまだ戦時中の頭を持っておるということです。こんなことばは明らかに憲法からいってもう今日存在しないわけですよ。そうじゃないですか。一体、日本銀行の目的は何だ。どういう精神の上に立って運営せられるかといえば、国家総力の結集であり国家目的の遂行だ、こういうことになるのじゃないですか。それは憲法主権在民の精神からいっておかしいというか、こういうことば自体は無効であります。それを大蔵大臣がそんな考え方じゃぼくは困ると思う。現在差しつかえあるとかないとかじゃない、日銀を運営する上においての精神的の問題ですよ。運営の基本なんですよ。どうなんです。
  23. 澄田智

    ○澄田説明員 一言だけ補足して申し上げます。  ただいまお読みになりました第一条に「通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズル」とここにあるわけでございまして、そういう意味において現行法が日本銀行の目的の規定において欠けるところがあるということは言えないと思います。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 時間がないのであなたとはゆっくりやりますが、それを目的とすると言うけれども、それは精神じゃないと思います。それは前段じゃないです。法律のことで議論したければあとでゆっくりやるから、あなた黙っていなさい。  大臣、こんな文言が現在あって適切と考えておるのですか。それだけ聞いておきます。
  25. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま日銀の機能が別に支障がなく果たされておるので、そこの条文と別に抵触しておるとは思っておりません。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 日銀仕事を果たしておるか果たしておらぬかの問題じゃない。仕事をする上に立っての基本的精神、これがうたってあるでしょう。だったら、日銀考え方、運営の基礎は、戦時中の総動員法の考え方を持っておると言われてもしょうがないですよね。だから、すみやかに改正しますと言えばいいじゃないですか。差しつかえあるとかないとかの問題じゃない。運営の問題じゃなしに精神の問題ですよ。日本国憲法のもとで、こういうことばが条文の中に現在存在するとあなた思うておるのですか。憲法の精神に抵触した法律は無効ですよ。それをあえて大蔵大臣、まだ運営に差しつかえないからというて逃げ込むつもりですか。こういう議論になるなら、もうこれだけでもおかしいから、私は午前中はいただきます。答弁してください。こんな答弁しておって三十分や一時間で帰るということはもってのほかです。じっくりとやらしてもらいます。御答弁願います。
  27. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま私は別に改正の必要がないとか言っておるのじゃなくて、日銀法改正についてのいろんな検討をしておる、そういう過程において当然そういう問題の検討はさるべきだと考えていますが、まだ成案を得ていないというだけでございまして、それじゃその改正がなされなかったらいまの日銀の運営に相当の支障があるかと申しますと、字句についていろんな問題があっても、現実にされていることは、別にいまおっしゃられるような戦時のときの観念とどうとかこうとかというものじゃございませんで、現実には日銀が中央銀行としての機能を果たしておる状態でございますので、将来改正のときに当然考えますが、即刻すぐ変えなければならぬというふうには考えていないということを言っているだけでございます。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 答弁になっておりません。こういう文言が現憲法のもとに存在し得るかどうかということについて、あなたは答弁していない。あなたのいまの発言態度、これは日本国憲法九十九条の「国務大臣」は「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」という、この義務に反すると断定します。いかがです。
  29. 水田三喜男

    水田国務大臣 断定されるのは御自由です。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 したがって、あなたは国務大臣として適格でない、そういうことに私は認定します。  次に第五条、これも何回も言われておりますが、現在中央銀行の資本金一億円、これは常識で考えられないのです。一方において中央銀行には資本金は要らないという議論があります。それはそれで私はいいと思います。今度改正するときには資本金をうたうのか、うたわないのか、うたうならばどの程度にするのか、お伺いします。
  31. 水田三喜男

    水田国務大臣 中央銀行としての日本銀行に、資本金が必要であるかないかという点も、いろいろ議論のあったところで、御指摘のように資本無用論というのも一つ考え方でありました。昭和主十五年のときの金融制度調査会答申は、無用論の考え方に基づいたもので、資本金額の定めのない特殊法人とするというふうになっておることから見ましても、資本金が中央銀行に必要であるかどうかという問題もあるくらいでございます。したがって、一億円を据え置いているという問題も、本質的にこの資本金が必要であるかどうかという問題と同時に、また通常の民間会社における資本金のように、対外信用の基礎になっているというような意義は、日本銀行にはないのでございます。したがって、特に増資しなければならぬという必要に迫られていたわけではございませんので、今日まで据え置かれているのだというふうに思っております。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 いつかは改正をするのでしょう。そのときに大臣は資本金を必要とするのかしないのか。もし必要とするならどのくらいが適当と思うかを聞いている。それに対して、大蔵大臣は、水田さんはまだはっきりした考え方を持っていないというなら、それでいいのです。答申を聞いているのじゃない。答申はわかっているのですよ。あなたの考え方を聞いているのです。そして日銀のほうにも伺います。
  33. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、答申にあるように、中央銀行に資本金は不要ではないかというふうに考えております。
  34. 佐々木直

    佐々木参考人 私のほうも、三十五年の答申と同様に資本金は必要がないと思っております。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 次に、七条の出資証券のことですが、これは一般にいう株券と一緒ですね。ところが、株券の譲渡は商法上の問題になるが、こちらは勅令によるとなっている。勅令をさがしたのだけれども、どうも見当たらないで、どういうことが書いてあるのかわからないのですが、一部特権となって存在している、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
  36. 佐々木直

    佐々木参考人 いまの勅令の問題については、私から御説明いたしたいと思います。  これは、日本銀行法施行令というのがあって、それにございまして、二章に「出資証券」という章がございまして、その第四条に出資証券の記載事項、第五条に記名式とする、第六条に「出資者ハ日本銀行ノ承認ヲ経テ其ノ持分ヲ譲渡スコトヲ得」「出資者ノ持分ノ移転ハ取得者ノ氏名及住所ヲ出資者原簿ニ記載シ且其ノ氏名ヲ出資証券ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ日本銀行其ノ他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ」こういうような規定であります。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 わかりました。勅令によるというから、単独の譲渡に関する勅令というのがあるかと思ってさがした。いずれにしても、これは特殊なものであるから、一般商法上の株券の譲渡とは違う規定があっていいと思うのですが、これは今度はなくなりますね。資本金をつくらないというと、こんな問題はなくなると思うが、現在は、出資証券を持っている人は一つの特権階級的なものだということが言えると思います。  次に二十条の業務の第六号ですが、地金銀の売買、こういうのがある。これは金本位制においては必要であるかもしれぬが、管理通貨制度の今日において、これはあまり用をなしてないと思うのです。一体、業務のうちの六号の地金銀の売買ということは、日銀は何をやっておるか。貴金属特別会計法の第一条の「政府の」云々ということば、金管理法の、これまた第一条の「政府が」云々ということばとあわせて答弁願います。
  38. 佐々木直

    佐々木参考人 業務上の地金銀の売買は、日本銀行が自分の勘定でやるものを申しております。したがいまして、現在の状態では、この業務は全く行なっておりません。  いまの貴金属特別会計のほうは存じません。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 それはあとで聞くとして、いま全然生きていないのですね。生きてないのがほんとうです。したがって、これは改正のときには検討する必要があると思う。  次に、経理の問題ですが、三十七条で、日本銀行経費予算大蔵大臣の認可を得てきめる、これは経理だけで、いわゆる支出のほうだけである。収入のほうについては必要がない。日銀の収入は一体どんなものか。それから予算といえば、私は収入と支出の双方だと思う。しかし、その一方だけが認可になる。私は収入について大蔵大臣の認可を必要とするとは言ってないのですよ。しかし、予算は組まれると思う。予算と言わなくても、少なくともその年度の収入見込みといいますか、そういうものがなくちゃやれないと思う。ところがそれはあまり公表しませんね。それはどういうわけですか。
  40. 佐々木直

    佐々木参考人 日銀の収入は、貸し出し並びに有価証券の金利が大部分でございます。ところが、御承知のように日本銀行の貸し出しまたは有価証券の所有額はそのときの経済情勢によって非常に変わってまいります。ことに公定歩合の上下というようなことが入りますと、その収入の金額が非常に変わってくるものでございますので、いまお話がございましたように、厳密な意味予算を組むことはなかなか困難である。そういう意味では初めから貸し出し計画の確定している金融機関とはちょっと事情が違うと思います。しかしながらもちろんいまお話がございましたように、次の期における収入が大体どのくらいになるであろうかということにつきましては、そのときにおける貸し出し残高あるいは有価証券の保有残高、それに現在行なわれております金利をかけて大体これくらいの収入は、情勢の変化がなければ出るであろうというくらいの見積りはいたすことができますし、それはいたしております。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 収入が、あるいはこれは支出もそうですが、不確定要素であるというのはいかなる場合でもそうです。政府予算だってそうです。私の申し上げておるのは、大蔵大臣の認可を必要とせよとは言ってないのですよ。収入見込み概算といいますか、いわゆる予算はあるのでしょう。その収入源をなぜ発表しないか。不確定要素があるというが、予算という以上、決算じゃないのですから、不確定要素のあることは当然ですよ。なぜ発表しないか。大蔵省へこれを要求しても何とかかんとかいって出さないのです。国会が要求しても出さぬのですか。出さないのは、何か根拠があるかお伺いします。
  42. 佐々木直

    佐々木参考人 発表という意味で、そういったような見積りを外部に対して責任をもってなかなか発表できない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 ここで要求をいたします。来年度の収入見込みについて委員会に提出してください。できますか。
  44. 大石武一

    大石委員長 これは銀行局に要求するんですな。――日銀に要求するのですか。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 日銀でもどっちでもできますよ。できるはずです。
  46. 佐々木直

    佐々木参考人 来年度というと四十四年度でございますが、四十四年度の分についていまからちょっと見込みは立てにくいので、もう少し時間がたたなければ見当がつかないのではないかと思います。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、さしあたって四十三年度。そうして、四十四年度は概算ができたときに要求します。これは、もし拒否するようだったら、委員会でもって決議してもらって、その場合は、国会法に従って、閣議の決定をもって拒否していただきたい、このように思います。
  48. 佐々木直

    佐々木参考人 四十三年度については計算できるかと思います。
  49. 大石武一

    大石委員長 わかりました。それではそのように……。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 時間があまりないので、次に進みたいと思うのですが、先ほど来私が指摘してまいりました日本銀行の封建性といいますか、まだ日本銀行の目的、その運営について、憲法に照らしておかしいようなことばがある。こういうことが具体的な問題にもあらわれてきております。  ちょっと事案は古くなりますが、三十八年に日本銀行で百万円紛失した事件がありますね。これは、当時の新聞記事を見ました。そうすると、八月二十四日の夕刊の記事に、八月十四日に日本銀行から、百万円紛失したということが中央警察署に届けが出されて、捜査せられておる、こういう意味のものです。一体事件の発生がいつかということについては触れてないのです。これは、日本銀行だけでなく、銀行筋といいますか、そういうところは信用を重んじるので、あまりそういうことは発表したがらないのが普通です。だがしかし、そういうことで一体いつ事件がどういうようにして起こったかということは一般に知らせていないのです。ただそういう届け出が八月十四日にあったということ、それが八月二十四日の夕刊に出ているだけです。結局は犯人はわからずじまい。そうして、関係者はほんの言いわけ的な一日分か半日分かの減俸という処理で終わっておりますね。しかも、この百万円というのは、まあ日本銀行券といいますか、紙幣をつくる日本銀行だからどうでもいいといいますか、これを欠損に落としたのでしょう。国民の損害ですよ。こういうときには直ちに捜査当局へ連絡する、初動調査というものが必要です。そういうことが一体いつ起こったかわからない。そういうことで十分な捜査ができないから、結局犯人は逮捕せられずにうやむやに終わっております。これは三十八年ですから、いまさらこの問題をひっくり返して聞こうと思いませんが、いかがですか。私が先ほど来指摘しておるところの古色そう然たる日本銀行法に基づく日本銀行の運営がこういう面にあらわれております。それを認められるならいいけれども、認められぬなら三十八年の事件に返って追及をいたします。いかがでしょう。  古色そう然としているということ、秘密主義が横行しているということ、認められますか。
  51. 佐々木直

    佐々木参考人 こういう現金の事故というものは、そのときの取り扱いのしかたが非常にむずかしくて、お話しのように、銀行のように信用を重んじるところは、とかく中でできるだけまず自分たちの手でさがしてみて、それから警察に出すという傾向がございます。そういう意味で、もっと早くこういうことをそういう正式なルートを通じて処理すればよかったかということは、今日において反省はいたしております。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 大蔵大臣、水田さん、いいですか。これの処理はどうやっているかといえば、雑損として処理しておるのです。百万円の札束がなくなったのを隠しておって、一説によると、警察に知らせたのが一年も後だともいわれておるくらいです。いつ事件がどういうふうに起こったか国民は知らないわけです。そして雑損として処理せられておって、その責任者であるところの当時の発券局長と次長の二人を本俸の半日分の減俸、こういうことで終わっておるのです。先ほど来私が声を大にして申し上げておる、日本銀行法がまだ古色そう然としており、日本国憲法からいって適当でない文句が残っておる、直ちに改正の必要ありと言っておる、そのことが運営に出ておるじゃないですか。こんなでたらめなことが許されるのですか。少なくとも中央銀行としてどうなんです。事は古いから、いまさら追及をこれ以上やろうとは思わぬ。しかし、答弁いかんによっては、この古い事件を一ぺんひっくり返してやりましょうや。いかがでしょう、水田さん。
  53. 水田三喜男

    水田国務大臣 その処理のしかたについては、いま佐々木総裁が言われましたように、日本銀行として反省しておるということでございますので、今後こういうような措置はないように注意していただきたいと私も思います。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 もう一つはっきりわからなかったが、要は、先ほど来議論をしておる日銀の目的、運営、この根本的な問題に、国家総動員法を思わしたり、秘密主義で国民不在のような規定のあるところから、日銀の運用がこうなっておるのです。したがって、すみやかに改正し、もっと日本銀行らしく、もっと中央銀行らしく、国民の銀行らしく、もっと、ものごとをガラス張りにしたらいい。どうです。秘密主義が横行しています。多過ぎますよ。どうなんです。これが結論だ。こういう秘密主義でいいのですか。
  55. 水田三喜男

    水田国務大臣 いずれにせよ、日銀法改正ということについては目下検討中でございますので、十分検討いたします。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 答弁になりませんが、これ以上水田さんをいじめておっても、この問題に関しては結論が出ないと思う。ただ、私が声を大にして言いたいのは、日本銀行の現在の運営は古色そう然として戦時中のような精神が横行して、そこに秘密主義が起こる。そして内輪でものごとを解決しようとするのが、国民の金百万円が紛失しても、その責任者がわずか半日分の減俸で終わっておるということです。もうちょっと国民の銀行らしくもっとほがらかな、明るい、ガラス張りの運営をしてもらいたいことを希望します。いかがでしょう。
  57. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま運営についてそういう運営を希望するということは、同じでございます。
  58. 佐々木直

    佐々木参考人 当時の局長、次長その他の異動のことは、すでに御承知だと思います。係の者も全部かえました。ただ、御指摘のように罰俸が半日分…
  59. 大石武一

    大石委員長 そんなことじゃなく、方針答弁しなさい。
  60. 佐々木直

    佐々木参考人 今後の方針につきましては、もちろんわれわれとしては、国民の中央銀行として、できるだけ公明正大な運営をやっていきたいと考えております。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、もう時間がないので、金の問題を個条的に項目だけをあげて伺いますから、一つ一つ答弁を願いたいと思います。  まず第一点は、金管理法によって政府が強制買い上げしておったところの産金会社からの金地金を、今度は金管理法施行令の臨時特例に関する政令ということでもって、当分の間これを適用しないというのが出ました。ここに至ったいきさつについては、私の何回かにわたる質問状、あるいは質問主意書等もあるので、それは繰り返して申しません。そこで、この当分の間とは一体いつごろを考えておるのか。当分の間の期限はどの程度考えておるのか。それから、強制買い上げを今後復活さすつもりがあるのかないのか。もし復活さすとすればどのような条件が整ったときなのか。  それから次の第二点は、本年度の当初予算によって、貴金属特別会計予算で、金地金を十四トンでしたか買い入れる予定をしておった。九月までに大体九・五トンを買い入れたらしいですね。しかしまだ足りないということであと十トンくらいをロンドンの自由市場から買い入れよう、こういうことらしい。そこで今後、当初は十四トンを考えておったがそれを上回って金地金を買う予定なのか予定でないのか。もし買うとするならばロンドンの自由市場で買うことになろうが、それは予算どおり四百五円で買えるのか買えないのか。また九月までに九・五トンを買い入れたが、その価格は四百五円であったのかどうなのか、そういうことについてお伺いいたします。  そしてそのようなことの操作は当然貴金属特別会計内の操作だと思うのですが、それもあわせてお伺いします。
  62. 村井七郎

    ○村井説明員 数字的なことにわたりますのでちょっと答えさせていただきたいと思いますが、当初の購入予定の十四トンをふやしたというのは事実でございまして、これは閣議決定によって変更いたしまして、目標を二十四トン輸入ということに置いております。といいますのは、委員も御承知のように、いろいろ国内状況、需給状況その他の状況を勘案いたしまして当初の予定よりもふやす必要があるという認識に立ったわけでございます。ところで、その費用でございますが、これは九月の閣議できめたわけでございますが、予備費と弾力条項を発動いたしましてこれに充てたわけでございます。  それからなお、従来まで購入いたしましたのは十月末までで十四・五トン輸入しております。国内の売却は十一トン、購入の平均単価は年度当初から十月末までで一オンス約四十ドルでございます。  それから当分の問という点の御質問がございました。これはまだいわゆる二重価格制度というものが定着しておりませんので、今後の国際市場等におきます金の動向等も勘案いたしまして見なくてはいけないわけでございますが、何しろ金問題は御承知のようにまだ定着いたしておりませんので、その岡もう少し様子を見てみたいと思っております。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 私は予算委員会あるいはその分科会等でだいぶこの問題を指摘いたしました。まず当初の購入量について、十四トンが二十四トンに変更せられておる。あのとき何回か私は確かめました。国際価格グラム四百五円、すなわち一オンス三十五ドル、ところが四十ドルで買っておる。これからまだ買うのについて見通しがつかぬ、そういうことであるならば、予備費を使っておるという問題が出てくる。そこでこれは当初の見通しの誤りである。そういうことで貴金属特別会計の修正ないし予算の補正をやる必要があるのじゃないか、このように思います。この予算の修正あるいは補正ということについては華山委員からも意見がありますので、私はそういうことを申し上げておいて、あと華山委員質問を譲ります。ただし、私の質問はこれで終わっておりません。
  64. 大石武一

    大石委員長 華山親義君。
  65. 華山親義

    ○華山委員 昨日も事務当局の方には申し上げたのでございますが、大臣にもお考えを願っておきたいことがあります。と申しますことは、年度の途中で補正予算を組まない、政府のおっしゃる総合予算主義ということになりますと、年度の途中にいろいろの問題が起きる。初めの予算だけでいくものではない。そういうことに備えるために予備費というものを膨大にする。この予備費によりまして、いろいろな事務的な予算の不足等を補っていかれる、あるいは災害等につきましてこれを処置していく。こういうふうなことはいいと思いますけれども、政治的な問題について予備費で処理されるということになりますと、もちろんあとで予備費のことにつきまして国会の承認を得なければいけないことになっておりますが、事前の審査とあとの承認というものは事が違うわけです。今後日本の問題といたしまして対外援助等の問題があります。年次の途中でもその問題は今後しばしば起きるであろうと私は思うのでございますけれども、それにつきましてあらかじめ膨大な予備費をとっておいて、これによってまかなっていくということでは私は困ると思う。困るということは、与党と好党とを問わず、議会と政府との関係において政府が専恣に流れることがないかということを心配しているわけである。このことにつきまして、いま申し上げますと、公務員の給与の問題について六百億を予備費から出されるという。六百億というのは今年度の予備費の半額なんです。非常に膨大な数といわなければならない。いままでも新しい法律改正あるいは提出等に伴って予備費を出された例はあります。ありますけれども、これはわずかなものであった。そして一面災害に伴う、法律改正による、あるいは新しく役所をつくったとき、調査会をつくったときの経費等に限られている。そういうことを考えますと、今後総合予算主義から生ずるところの国会と政府との間における非常に重大な問題がここに提起されるのじゃないか。このことについて大臣の御所見を承っておきたい。
  66. 水田三喜男

    水田国務大臣 先日給与の問題についての閣僚協議会が開かれましたが、そのときにも出た問題でございます。今年度のようなやり方で予備費に給与を準備しておく、人事院勧告に対処すべき金額を予備費の中で見ておくというやり方がいいか悪いかということについて、私は来年またことしと同じようなことはやりたくないという意見を申したのですが、予備費は御承知のとおり予見できなかった経費の不足に対処するためのものであって、全く予見できないいろいろのことが起こった場合の予備費でございますので、給与ということから見ますと 勧告があるということは十分予見できる。ただどれだけの金額の勧告があるかわからないから予備費で準備しておくということで、ことしは国会で論議され御承認をとって、この予備費の中から人事院勧告については対処できますという御了解をとって予備費に盛ったのでございますから、今年度人事院勧告について予備費から支出するということは、今年度はいいと思いますが、今後完全実施をしたいという考えのもとに、人事院の勧告が予見できないというために全額を――給与増というものは当然予見される問題でございますから、それを予備費でとっておくことがいいか悪いかということは、おっしゃられるとおりそこには若干問題があると思いますので、私は給与については全額を予備費で出すというようなことでない新しいくふうをしたいということで、いま関係者が研究しておりまして、この十二日にもまた集まって意見の交換をする。何とか来年度予算編成までにこれについては改善を加えたいというように考えております。
  67. 華山親義

    ○華山委員 私お聞きしたのは、給与の問題はただ一つのこの場の問題として申し上げたのであって、原則論といたしまして、今後海外援助の問題その他の問題で年次の当初予算に組まなかった相当大きな経費が出るということがあり得るわけです。そういうことに備えるためにあらかじめ予備費を大きくしておいて、そしてそのときにそれに充てていく、こういうふうなことがあっては困るのじゃないのか。そういうことが総合予算主義の弊害を伴うのではないか。いままで大蔵大臣は、予備費の使い方は予算にないものは政府の判断でどうでもいいんだということをしばしば言われるので、私から申し上げておくのですけれども、そういうものではないと私は思うのです。それでその点につきまして、総合予算主義から出るところの弊害、そういうものが除去されますかどうか、そういうふうな弊害について心配はないというふうにおっしゃられるかどうか、そういうことをお聞きしているわけです。
  68. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はやはり総合予算主義というものは今後やっていきたいと思います。それについてはいまおっしゃられたような問題もございます。たとえば大災害というようなものが起こった場合、また予期できない、おっしゃられる金額の大きい問題については、予算の補正が必要だという場合も当然起ってくるだろうと思いますが、そうでない場合にはできるだけ予算の補正をしないという考えを持つ以上は、今後起こるべきいろいろなものに対して対処のしかた、予算編成のしかたについては相当くふうする必要があると思いますので、これは来年度においては十分考えたいと思います。
  69. 大石武一

    大石委員長 次の人がいますから……。
  70. 華山親義

    ○華山委員 ちょっと一言。  それで私は今度の公務員給与のことにつきまして決して閣議決定を承認するわけではありませんが、その前提として申し上げますけれども政府と国会との関係におきまして、予備費を削って各省の給与費を増すという修正予算は出してもらいたい。これは何も総額について影響のあるわけでもない。総合予算主義の金額の問題には触れないものだ。その点につきましていま御確答が得られなくてもよろしいので、十分に御配慮を願いたいと思います。
  71. 大石武一

    大石委員長 日銀総裁、どうぞお帰りなすってけっこうです。  どうもいいろいろお忙しいところ審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。  次に、鈴切康雄君。
  72. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十一年度の税務行政について昭和三十年と比較をしてみますと、たとえば法人数では四十九万が九十万に大幅に伸びております。それから申告所得税のほうでは二百四十万人が三百二十万人に増加して、さらにさらにこれから増加の一途をたどり、質的にも納税者の経済活動が大規模化かつ複雑化しておる。税務調査においては非常に困難の度を加えているのであります。事務の効率化、調査の重点化をはかって補っているようではありますけれども、これにもやはり限度があるのではないか。来年度予算編成にあたって低所得者の切り捨てを実施すべきと考えられますが、そのためには給与所得控除の大幅な引き上げ並びに課税最低限の引き上げとを考慮すべきであると思うのですが、その点について大臣はどうお考えになっていましょうか。
  73. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はたびたびその点について触れておりますが、課税最低限の引き上げ、少なくともここ二年のうちに最低限を百万円に持っていきたいという考えのもとにいまいろいろ作業しているところでございます。どうしてもその必要があると私も思います。
  74. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 税務署の職員、たしか五万一千人くらいだと記憶しておりますけれども、これだけ膨大な税務行政をまかなうのだから、当然大口の脱税とかあるいは不正が生じてくるわけでありますが、給与所得控除それから基礎控除、扶養控除、こういうものをもっと上げるべきではないか。そうでなければ、現在の物価の上昇、それに対して実質減税でなくしてむしろ物価調整減税、そういうふうな姿になってしまうのではないか。それが非常に心配なので、その点大蔵大臣はもっと勇断を持って、百万円ともったいぶって言うのではなくして、ここでずばっと大きく減税をはかっていったほうがいいのではないか、そのように思うのですが、もう一度その点……。
  75. 水田三喜男

    水田国務大臣 課税最低限を上げるということと同時に、やはり中堅所得者に対しましては、いまの累進構造が非常にきついということになっておりますので、やはり課税最低限の引き上げの仕事と一緒に税率調整もいまやる必要が出ておると思います。したがって財源とのにらみ合わせで、この二つの組み合わせをどう実行するかということだろうと思いますので、いま作業中であります。
  76. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 決断を持ってください。  いまその点は来年度大体どのくらいを予測されておられますか。
  77. 水田三喜男

    水田国務大臣 金額の点はいまのところはっきり申し上げられません。ということは、やはり来年の歳入の見積もりがつかないと減税をどのくらいやれるか、国債減額をどのくらいやれるか、いまいろいろな懸案がたくさんございますが、そこらを解決して、来年の歳出需要というものを見通さないと最終的にきまらない問題でございますので、いま減税はこれくらいという減税の幅は、ちょっとまだ申し上げられないということであります。
  78. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 とにかく物価調整減税のような姿になったのでは何にも実質減税というわけにはいかないわけですから、その点は大幅に減税をするように大蔵大臣に要望しておきます。  それから物価の問題でありますけれども、わが国の経済活動の規模は、過去十年間にほぼ四倍にふくれ上がっております。本年は予想をはるかに上回る国際収支の好転ども原因してイザナギ景気とまで言われているようでありますけれども、それにもかかわらず庶民の生活は物価の高騰によってますます苦しくなっている現状であります。一つの例をあげれば、米価の値上げに続いてビールも一本三円の値上げ、また食パンも一斤四十円から四十五円、十五円のうどんたまが二十円、それにラーメンまで値上げをしているということで、まことに庶民の台所は苦しい状態であります。佐藤さんはことしは物価安定の年だ、そのように国民に公約し、また閣僚諸公も国会答弁や選挙公約でしばしば物価の安定に対して努力される、そのように言明されておるわけでありますが、どうも政府がこれまでにとられた物価対策といえば、圧力団体や業界に押されて何一つ見るべき成果がないように思います。政府のやっておられることは、いたずらに高度経済成長、それを誇ってその陰に隠れて物価対策をごまかしているように考えられるのでありますが、経済の成長率が高いから物価の上昇もやむを得ないというような考えは、政治の責任として政府政策とは言えないと私は思うのであります。消費者物価の推移を見ると、昭和三十年から三十五年の平均上昇率は一・五%、昭和四十年の小売り物価は七・二%、昭和四十一年は五・一%、四十二年は四%、そしてことし、四十三年は四・八%の見込みが実は出ておるわけでありますが、上半期を終わった現在、今年度の値上げはこの程度でおさまるとはだれも思っていないわけでありますが、政府は本年の小売り物価の値上がりはどのようになると思っているか、大臣から御説明をお願いしたいと思います。
  79. 水田三喜男

    水田国務大臣 政府予定よりもなお高くなる。五%をこすであろうということをいま関係者、私どもは非常に心配しておるところでございます。それを何とか政府の最初の見通しのとおりにしたいと努力はしておりますが、なかなかむずかしい問題で、五%をこすんじゃないかということを心配しております。
  80. 大石武一

    大石委員長 鈴切君、時間ですが……。発言は簡単に短くしてください。
  81. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣に会うのは珍しいことですから……。  大蔵省の官房や主計局の談話によりますと、国債にあまり多くたよった財政は何といっても不健全である。また多額の国債をかかえていては、景気の好不況を財政面から助成する働きを鈍くするといった理由から、この際、まず第一に国債を減らすべきだというのが官房や主計局の主張のようであります。  国債発行そのものについて一言お尋ねしておかなければならないことがあるのです。  御承知のとおり、わが国は昭和二十四年以降、アメリカのドッジラインの指示によって公債の発行を中止していたのでありますが、昭和四十一年になりますと、佐藤内閣は景気の振興策として公債の発行に踏み切り、昭和四十一年度八千億円近くの公債を発行した。同時に、そのときから物価上昇というのも目に見えて激しくなってきたようであります。経済を論じた書物によりますと、公債の発行は、それを国民大衆が買ってくれれば、すなわち、いわゆる公債の大衆消化が行なわれれば、それによって購買力が吸収されるから物価は上がらないということになっておる。しかし、わが国の四十一年度以降の公債の発行は、公債の利息は年六分八厘であるから、物価の上昇が激しいときには公債を買う人がないのであります。事実、私の知り得たところでも、昭和四十二年になりますと、昭和四十一年中に発行された公債がこれを買い入れた金融機関からどしどし売り出され、これがために、四十一年の公債はその発行価額を割ってしまったと記憶しております。申し上げるまでもなく、金融機関の立場からすれば、年六分八厘の公債を持っておるよりも、これを売って年一割に貸したほうがはるかに有利なことはわかり切ったことであります。こうなると、公債は再び日本銀行の手に還流してしまうことになるわけでありますが、政府によって発行された公債が日本銀行に返っていくということはまことにゆゆしい問題であります。太平洋戦争で政府発行した公債がどうなったか、それが通貨と物価とのアンバランスを来たした、物価騰貴の原因になったことは私どもよく知っておるわけであります。  そこで、お尋ねしたいことは、昭和四十一年度以降今日まで発行されました公債の額、それの民間消化、そして日銀の還流状況というものについてお答えを願います。
  82. 澄田智

    ○澄田説明員 四十一年度以降四十二年十月までの国債発行累計額は一兆七千三百億円ということになっております。そのうちでもって運用部が引き受けるというものがございまして、これが千二百五十億円でございます。その残りは一応国債のシンジケート団が引き受ける、こういう形になって、広義の民間消化ということになりまして、これが一兆六千五十億円であるわけであります。そのうちでもって、ただいま日本銀行に還流というようなおことばでありましたが、日銀が金融政策として適正な通貨を供給するというために、その金融調節による買いオペをしているわけでありますが、その買いオペの対象として国債によっているわけであります。その購入額は、十月末現在で八千百八十八億円、こういうことになっております。
  83. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、昭和四十一年、四十二年、四十三年と、各年度予算と公債との関係を見てみますと、わが国の公債発行は全予算の十数%、こうなっており、これはアメリカや西ドイツ諸国と比べて少し多過ぎるように思うわけであります。やはり物価を押えようと思えば、できるだけ国の財政を税金でまかなうということにしなければならない、そう私は思います。  で、昭和四十四年度予算編成にあたって減税を先にすべきか、国債減額を先にするかという論議がようやくこのところ盛んになっております。これはまた私も後の機会にしたいと思っておりますが、ともかく物価という点から考えると、公債の発行は極力これを押えていくべきだと私は思うのでありますが、大臣はどのようにお考えになっているか。専門家の皆さんのほうが十分よくそのことについては知っておられると思いますけれども、公債というものはいわば税金の先取りである。言いかえれば将来の増税でもありまして、これが累増していきますと大増税、インフレに突入していくということは火を見るよりも明らかであります。ゆえに公債発行についての最後の御所見をお伺いいたします。
  84. 水田三喜男

    水田国務大臣 そのとおりでございまして、来年は経済相当好況を予想されておるときでございますので、この際、国債の依存率をできるだけ引き下げる。四十二年度からことしにかけて一六%の依存率を一〇%台、九・九%くらいにして今年は相当骨折ったつもりでございますが、来年度はさらにこの依存率を下げ、できるだけ早く五%程度にこれを持っていきたいという考えで、来年も国債の削減はできるだけの幅においてやりたいと考えております。
  85. 大石武一

    大石委員長 それじゃ田中武夫君。一問だけにしてください。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 結論をまだつけてないので、結論だけをつけます。  予算審議の段階において、私はあなたに金地金は国際価格で買えるかと何回かだめを押した。あなたは買えると言った。当時の柏木国際金融局長にもだめを押して、あなた首をかけてそれが言えるかと言った。ところが、現実において一オンス三十五ドルで買えていないのですね。しかも予備費を出して、そして予算を修正しなければいかぬでしょう、事実において。その責任はどう思いますか。あの答弁は誤りであったことを認めますか。――局長、君はあとでいい。大臣どうですか。大臣が発言したのですよ。大臣が、はっきりとそれで買えるとあなた約束した。全然買えてないですよ。だから、あのときの発言は間違いであったと認めるのかどうするのかということです。何なら予算の議事録をとってきましょうか。
  87. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはあれから御承知のような変動が起こって、二重価格制度というものができたんですから、当初の見込みと違ったということは、それは事実でございます。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 二重価格制ができたのは三月の十四日か十五日でしょう。ともかくその夕刊が出た晩にあらためて第四分科会であなたに質問しておるのですよ。その金で買えるなら行って買ってこいと言っているんですよ。だから、見通しが誤りだったということを認めればいいのですよ。国際価格であがっているのですよ。――第四分科会の議事録を持っておりますか。柏木さんはどう答えているか、事実について大臣に見せろ。買えるもんならロンドンへ行って買ってこいとぼくは言っている、だろう。
  89. 水田三喜男

    水田国務大臣 ゆっくり見ないとちょっとわからないのですが、この田中さんの質問は、あなたはロンドンへ行って十四トン買ってこれるかということについて、柏木政府委員がロンドンだけと申したとすればちょっと言い過ぎでございまして、海外から買います、買う予定でございますということを言っている。値段の問題なんか言っておりません。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、それは前から言っているのです。予算の総括のときから続いているのです。金をやり出したのは去年の予算から続いているのですよ。
  91. 大石武一

    大石委員長 田中君、大臣の時間がありますから……。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 じゃまたあとでゆっくりやりますが、ともかく見通しを誤ったことだけははっきりしております。
  93. 大石武一

    大石委員長 大臣、それじゃ御苦労さまでした。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 銀行局長、たいへんあなた答弁したがっておったから、あらためて伺いますが、日本銀行法の第一条後段で「通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ」云々ということを書いてある。しかし、第一条は、それをやる前段が精神でしょう。こういう目的を持ってこういうことをやるのだと、こういうことなんでしょう。あなたは第一条の、いわゆる後段の「通貨ノ調節」以降が日本銀行の目的であると断定するのですか。条文の読み方は、いいですか、まず前段において、そういうことをやるのはどういうことが目的でやるのか、何のためにやるのかということをうたっておるのですよ。そうじゃないですか。前を一行飛ばしてあとだけ読むなら、初めに消しておきなさい。あなた、法律の読み方を知らないのかね。あまり出しゃばった答弁をするものじゃない。それとも前段は空文だということですか。あなた、自信があるのだから、これからじっくり一条一条検討しましょう。     〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
  95. 澄田智

    ○澄田説明員 日本銀行の目的という点を……
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、あと仕事だよ。あなたの言っておるのは仕事ですよ。目的というのは前段ですよ。前段が運営の基本方針なんですよ。そうじゃないですか。
  97. 澄田智

    ○澄田説明員 日銀が「通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成」というようなそういった機能に対して、それをどういう目的でそういう機能を行なうかということについては、おっしゃるとおり、前段に書いてある「国家経済総力適切ナル発揮」というような字句が、そういうふうなねらいでもってこういう機能を行なう、こういうことになるのはおっしゃるとおりだと思います。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは後段だけ説明したのですよ。この物を売ります、これは後段ですよ。販売するのは後段ですよ。利潤追求のために売るのと公益のために売るのとは違うのです。その利潤追求のために売るのか公益のために売るのかという、利潤の追求か公益かということが前段なんですよ。そうじゃないですか。大蔵省には秀才がそろっておるというが、条文の読み方も、あなたわからないのですか。あなたはどこで法律を覚えたのです。あまり出しゃばって、大臣答弁しているときに出しゃばるものじゃないですよ。よほど自信があるようですから、これからじっくり聞きますから答弁してください。
  99. 澄田智

    ○澄田説明員 ただいま私が申し上げたとおりで、おっしゃるとおり、どういうねらいでというような点については、その前段に書いてありまして、これは日銀法あとに書いてあります機能のための目的で、機能を行なうためのねらいであるという点については、先ほど申しましたように、おっしゃるとおりだと思います。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 物を売るということを先ほど例をあげたのです。しかし、売る、それは行為なんです。しかし、目的というのは公益のためなのか利潤追求のためなのか、こういうことですよ。いいですか。「国家経済総力適切ナル発揮図ル」ということが運営の目的なんですよ。そういうことが今日許されるか、こう聞いたわけですよ。ところが、差しつかえないとあなたは答えたでしょう。あなたもまた憲法九十九条にいう国家公務員の憲法を守るべき義務に違反しておるのです。どうです。さっきの答弁は誤りであったと認めますか。少なくとも少しことばが足らなかったことは認められると思う。しかし、誤りですよ、あなたの答弁は。法律の条文を読むときに、前段をおいて後段を読むばかがありますか。前段がすべて支配するのです。それを受けて後段があるのです。そうじゃないですか。あなたはそれを知らないのですか。どこで法律を覚えたのですか。
  101. 澄田智

    ○澄田説明員 先ほど私が申し上げましたのがことばが足りなかったという御指摘でございますが、その点は確かにことばが足りなかったと思います。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 誤りだったんだよ。取り消しますか、どうですか。後刻議事録を見てもう一ぺんやりますか。  そこでお伺いしますが、あなたは自信があるようですが、「国家経済総力適切ナル発揮図ル」というのはどういうことですか。
  103. 澄田智

    ○澄田説明員 これが制定されました当時は戦時中でもございますので、「国家経済総力適切ナル発揮」というような当時のことばによって書かれているということだと思います。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 それがおかしいと言っておるのだ。欽定憲法のもとの法律日本国憲法のもとの法律は当然変わるべきなんです。そうでしょう。これは昭和十七年ごろに言ったことばです。それが今日生きておるということに矛盾を感じないかということです。しかもそのことは――憲法の条文を一ぺん読んであげましょう。読まなくともわかっておるかな。あなたも六法を持っていたら見なさい。途中から読みます。「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」いいですか、そうなっておるのですよ。この大精神からいって、一条前段のことばはどう解釈するのですか、納得のいく説明をしてください。  さらに第二条の「国家目的達成ヲ使命トシテ」の国家目的とは何か。それは現憲法の、いま読み上げました国民主権であり、その福利は国民が享受するということに照らして、国家目的というのは一体何なのか、御答弁願います。自信があるのでしょう。
  105. 澄田智

    ○澄田説明員 別に自信はございません。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 ならこれから出しゃばるな。
  107. 澄田智

    ○澄田説明員 御質問でございますからお答えいたしますが、当時の……。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 当時じゃない、いま聞くのだ。この時点で聞くのです。いまどう解釈するかということを聞いておるのです。
  109. 澄田智

    ○澄田説明員 当時日本銀行法はこういうような用語を使っておりますが、現在の時点においてこれを解釈するということになりますと、やはりいまお示しのような現在の日本国憲法の精神に従ってこれを解釈する、こういうことになろうかと存じます。
  110. 田中武夫

    田中(武)委員 それではいわゆる国家経済総力の結集というのは現在の用語に従ったらどうなるのですか。どう書くのですか。それが正しければなぜそれを直さないのです。あるいは国家目的というのは一体どういうことなのか。それがもし間違っておって、今日いまからあなたが答弁することが正しいなら、そのようになぜ直さないのです。
  111. 澄田智

    ○澄田説明員 今日、日本国憲法によりまして日本国は国民の福利ということを目的として、権威は国民に由来する、権力は国民に基づく、こういうようなことでございますので、当然にこの国家経済総力というのは国民のための経済であり、そして国家目的というのは国民のための目的である、こういうふうに現行の日本国憲法のもとにおいては、日本銀行法のこの部分の字句は、字句そのものは当時の字句でございますから不適切でございますが、読むとすればそのように読むのではないか、かように存じます。
  112. 田中武夫

    田中(武)委員 だから国民経済の発展とか国民福祉の向上とかということばになると思うのです。いまの新しい法律の目的ということになるとそのほうが正しいのでしょう。これは国家経済総力の結集というんですね。こんなことがいま通るのですか。さらに国家目的達成というのは、これは当時の全体主義からくることばですよ。国民と国家が離れている時代ですよ。一部の権力者のもとに国家が動かされておった時代ですよ。これを肯定するなら、あなた方もそうでしょう、現にいまでも国民の奉仕者じゃなくて権力の奉仕者といわざるを得ないですよ。国家公務員法並びに憲法によって、国家公務員は国民の公僕であるということになっておるのですね。ところがあなたのいまの頭は、先ほど、少なくとも私がいいと言ったときに、あえて答弁をしたあなたのあの態度、あれは権力者に奉仕する態度で、国民に奉仕する態度ではない。認めますか、どうです。
  113. 澄田智

    ○澄田説明員 先ほど私が答弁をしいて求めたような形で申し上げました点については、もし適切でないということであれば、これは私は認めます。  それから現行の日本銀行法の解釈という点においては、私がいま申し上げましたように、現在の日本国憲法に基づく国家、そういう意味に法解釈を当然すべきだ、かように存じております。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 少なくとも国家公務員の立場を忘れた、いわゆる国民の奉仕者であるということを忘れたあの答弁は、議事録から削除を願います。  委員長、しかるべく取り扱いを順います。
  115. 小山省二

    小山(省)委員長代理 よく後刻調査をいたしまして、善処いたしたいと思います。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 その前に、あなた自体が取り消すかどうか。――よく調査じゃなしに、現に先ほどのことなんだから、ここではっきりきめましょうや。大体、出しゃばるようなことを許しておくといかぬので、この際はっきりしておきましょうや。
  117. 澄田智

    ○澄田説明員 先ほど私が、前段のほうの字句を無視して、後段について、日本銀行の目的が、通貨の調節以下の日本銀行の機能の部分だけが目的であるように答弁した部分については、誤りであると思います。
  118. 田中武夫

    田中(武)委員 誤りだと言えばこれ以上言いませんけれども、あなた、あまり、大臣が時間がないというので、大臣と国会議員が一問一答をやっているときに、出しゃばるんじゃないですよ。しかも、銀行局長はなるほどいい答弁をしたと感心するような答弁ならともかく、法律の解釈すら十分にわきまえぬような答弁はやめておきなさい。どうなんです。大蔵省は秀才ぞろいだそうだが、法律の前段を飛ばしてしまって後段だけで解釈するようなことを、君はどこで覚えたのだ。取り消しなさい。委員長……。
  119. 小山省二

    小山(省)委員長代理 どうです、銀行局長はその誤りを認めているのだから……。
  120. 田中武夫

    田中(武)委員 そんなばかな答弁をしておったら、それを残しておったら問題ですよ。削除だ。私は削除を要求します。
  121. 小山省二

    小山(省)委員長代理 ただいま田中君の発言につきましては、後刻ひとつ理事会で十分協議をして善処をしたいと思います。
  122. 田中武夫

    田中(武)委員 運営の問題と違うのですよ。間違った答弁をしておるのですよ。それを取り消せと言うのに、なぜ理事会にはかる必要があるのです。法律の解釈を間違ってしておるのですよ。間違ってというか、でたらめなことを言っておるのですよ。それをなぜ理事会にはかる必要があるのです。取り消しを要求する。どうです。運営の問題と違いますよ。
  123. 小山省二

    小山(省)委員長代理 局長、どうです、取り消しますか。
  124. 澄田智

    ○澄田説明員 私が後段だけを申し上げた点については、字句が足りないというだけでなくて、間違いだとおっしゃるので、そういう意味においては間違いだと思います。したがって、委員長のほうで取り消されるのは、私としては異存はございません。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長が取り消すのじゃなしに、みずから進んで取り消すべきが正しい姿勢じゃないかと思うのだが、どうなんだ。あなたは間違うたやつが残っておっていいんですか。
  126. 澄田智

    ○澄田説明員 ちょっと私、手続のほうは暗いものですから、私が取り消すということでよろしいなら、私から取り消しをお願いいたします。
  127. 田中武夫

    田中(武)委員 「国家目的達成」ということも先ほどの答弁で答えたつもりかね。「使命トシテ運営セラルベシ」、こんなことばがあっていいと君思うのかね。
  128. 澄田智

    ○澄田説明員 国家目的につきましては、先ほど私申し上げましたように、新憲法において定められた国家、日本国、こういうもの、それは国民の福祉を基礎にしておる日本国、こういう意味に解釈すべきものだと思います。「達成使命トシテ運営セラルベシ」ということは確かに字句としては不適切だと思います。
  129. 田中武夫

    田中(武)委員 一々やろうと思ったが、こっちも疲れたからおきますが、あなた自体も現在のこの法律が適切でないことを認めるのでしょう。大臣は認めながらもそう急ぐことはないと言っておったが、私は、そういう憲法の精神からいっておかしな文言が残っているやつはすみやかに改正すべきだと思うのです。事務当局として直ちに法改正の作業に入りますか。いかがです。
  130. 澄田智

    ○澄田説明員 かねて日本銀行法改正については検討をずっと続けておるわけでございます。先ほど大臣から申し上げましたように、国債発行というような新しい事態になりましたので、そういうもとにおける日本銀行、中央銀行のあり方というような点についてなお検討いたしまして、できる限りすみやかに改正をすべきものだ、かようには存じております。
  131. 田中武夫

    田中(武)委員 事務当局としてはいつごろまでに作業を終わる予定でおりますか。
  132. 澄田智

    ○澄田説明員 その点につきましては、まだはっきりいつごろまでにということは申し上げられる段階に至っておりません。
  133. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣答弁をもどかしそうにしてまで発言を求めた偉大なる局長ですから、あなたの判断でいつまでに作業を終えて、いつ国会に提出するかを言いなさい。あなたは大臣を差しおいてまでやるという偉大なる局長なんだから、そのくらいのことはきめられるでしょう。きめなさい。
  134. 澄田智

    ○澄田説明員 まだいつごろまでというふうにはっきり申し上げられるようなところまで至っておりません。
  135. 田中武夫

    田中(武)委員 偉大なる局長がそんなことなのか。大臣答弁をもどかしそうにして発言を求めてやるような自信家が、それがはっきり言えないのですか。どうなんです。はっきりしなさいよ。さっきほどの元気を出してやりなさいよ。
  136. 澄田智

    ○澄田説明員 まだ現在の段階において、いつごろまでにということは申し上げられる段階に至っておりません。その点は御容赦を願います。
  137. 田中武夫

    田中(武)委員 もう少しいじめてやろうと思ったが、またこれからもあることだから、ちょくちょくやりましょう。  次に国際金融局長、あなたは金のことについて何かものが言いたくて用意しておったようだが、あなたが言おうとしていたことを言ってください。
  138. 村井七郎

    ○村井説明員 私、申し上げたかったことは、議事録を拝見しまして、先ほど大臣から答えられたとおり……(田中(武)委員「議事録拝見云々のときはぼくの締めくくりのときでしょう。その前にあなた、ものが言いたそうにしていたでし云う。あのとき何を言いたかったのです。」と呼ぶ)私は三十五ドルで買えないあるいは買えるということを柏木局長との間でやりとりされたということについて申し上げたかっただけでございます。
  139. 田中武夫

    田中(武)委員 そうじゃない、それは締めくくりのときですよ。その前にあなた言いたかった。言いたいことないの。――ないなら伺います。初め十四トンのやつが二十四トンに修正になったのは、どういうところから――それは私は、いままでは密輸金が相当あって、これが需給のバランスの一つの調節をしておった、ところが取り締まり当局がやかましいというか、それは当然やっておったが、現在特にきびしくて、そういうところからこういう状態が起こったというなら、私は予算委員会のときに約十トンの密輸金があると言ったわけです。それを否定しておるのですがね。あなたはその当時じゃないが、いままでは十トン近い密輸金があったと認めますか。どうです。
  140. 村井七郎

    ○村井説明員 私、密輸金がどのくらいあったかどうか承知いたしておりません。
  141. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、どういうわけで十トンを当初予定に加えて輸入する必要ができたのですか。
  142. 村井七郎

    ○村井説明員 その点は、私は、十トンの国内売却というのは、需給関係からいたしまして非常に不足だということが日を追うに従いましてはっきりしてきたということが実情だろうと思っております。
  143. 田中武夫

    田中(武)委員 当初は十四トン、予算に出てきたのは国際価格グラム四百五円、それが現実において数量も金額も誤っておったということがはっきりしたのですね。したがって、当時私は予算委員会で言いましたが、貴金属特別会計の試算ということは見通しを誤りました、大蔵省は間違っていましたと認めますね。
  144. 村井七郎

    ○村井説明員 どこそこが間違っていたというふうには私は思っておりません。それは、先ほど大臣答弁されましたように、一つは価格の点は機構、仕組みが変わった。委員も御指摘になりましたように、三月におきまして二重価格制度というふうに仕組みが変わったということによると思いますし、一つは需給の見込み、これは大蔵省といいますか、多少当初の見込みが甘かったと申しますか、そういうふうな見込みは八月に訂正されたというふうに思っております。
  145. 田中武夫

    田中(武)委員 予算委員会において私は、ゴールドラッシュ、金プール停止をもうすでにその前に言っておるのですよ、分科会でなしに、本予算委員会の総括で。そのときの答弁をよくごらんなさい。あのときの答弁は、あなたじゃないけれども、大蔵省として大蔵大臣を含めて誤っておった。これははっきりしておるわけですよ。現実の問題として出ているわけですね。これを認めるならば、おきます。結果が出ておるのだから、はっきりしておるだろう。
  146. 村井七郎

    ○村井説明員 間違っておったとか間違っていないとかいうことはともかくといたしまして、私が申し上げられますことは、おそらく当時、予算委員会の議論段階では、普通、何人も予想して……(田中(武)委員「おれはしておったのだよ」と呼ぶ)したがいまして、田中委員はよほど先見の明がおありになったのではないか。私自身も、あれほどうまく二重価格制度をすっぱりとれるというふうには想像もしていなかったということでございます。
  147. 田中武夫

    田中(武)委員 そこにもあるから見てもらってもいいが、第四分科会最終のときに、当時の柏木局長に、あなたは最近までヨーロッパにおったのだが、この事態がわからなかったのか。そういう国際経済の動きが二日か三日前のことまでわからぬようなやつには、日本の国際金融はまかしておけぬ、とぼくは言っているんですよ。大蔵省は頭のいいのがそろっておると思ったが、案外そうではないということがわかりました。したがって今後は、議員が大臣と一問一答しているときには、役人として補佐することはけっこうです、メモで渡すとかいうことはいいけれども、出しゃばって答弁はしないこと。それだけ私は注文しておきます。  この辺で、きょうはおきましょう。
  148. 小山省二

    小山(省)委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、それまで休憩をいたします。     午後零時三十五分休憩      ────◇─────     午後一時三十九分開議
  149. 小山省二

    小山(省)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田賢一君。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一点は食管会計の問題です。これはいまの現状からしますると、食糧の自給国策ないしは生産対策などにも増しまして食管会計財政への重圧がだんだん大きくなってくる情勢にあります。しかし一面におきまして、やはり生産者の生産意欲を喪失しないということは日本の農業政策の基本態度であります。他面におきまして、消費者の立場からしますと、食糧の需給の安定と価格の不安のないようにするというこの面がまたきわめて重大であります。それらを含めましての財政会計の立場からする財政的な問題、しかも連年続く最近の赤字につきまして相当大きな決意が要ると思うのであります。それで少し伺ってみたいのであります。  第一点は政府の基本的な態度でありますが、これは、きょうは大臣も御出席になっておりませんので、ひとつ事務のお立場から大蔵省の見解などを明らかにしてもらいたいのです。  去る十月二十二日に財政制度審議会におきまして食管会計制度改善に対する答申案を作成して発表いたしております。これはやがて今月の十八日ごろに最終の結論を得て答申するという段取りだということを付加しております。これに対する基本的な大蔵省の考え方をまず明らかにしておいてもらいたい、こう思うのです。どういう点が問題で、どういう点を支持し、どうあらねばならぬかというような辺まで含んだ大蔵省のお考え方を明らかにしてもらいたい、こう思うのです。個別的にはあとで聞きますから、まず総論的に結論をちょっとおっしゃってもらったらけっこうなんです。
  151. 相沢英之

    ○相沢説明員 食管制度の問題につきましては、ただいまお話がございましたとおり、財政制度審議会におきまして検討を続けておったわけでございますが、その第一部会といたしまして大体結論を出し、これを総会にはかるという段取りになっております。したがいまして、総会にかけません段階ではまだ財政制度審議会としての意見が固まったということにならないと思いますが、一応そういう方向で答申が出るという前提で考えますと、私どもは、財政制度審議会のこの第一部会の食管制度に対する今後の考え方に大体近いような考え方を持っているわけでございます。すなわち食管制度問題点としましては、例年急増する財政負担をどうするかということにあるのでございますけれども、現在では、その財政負担の観点から、ただその額がふえるということだけが問題なのではなくて、国全体として米の需給がアンバランスになっており、来年度の十月末においては五百万トンをこえる古米が発生する見込みであり、またその米の剰余が現状のまま推移いたしますと、毎年百万トン以上も累増していくという現状におきましては、何としても国全体の、食管の売買におきましても当然でございますが、米の需給を調整するということを第一に対策を考えなければならない。したがいまして、生産の面においては何らかこれを他に転換をする方途を講ずる。また米の間接統制への移行を将来の目標といたしまして、現段階においては自由流通を認める。これと関連いたしまして、食管の買い入れ量の調整をはかる。他面、価格につきましては、現状においては非常に増産奨励的な効果のある価格水準、これを是正をする。それから消費の面におきましては、これはなかなか伸ばすことは困難ではございますけれども、学校給食やその他開拓し得る需要面の開拓を行なうというような方策を総合的にとる必要があるのではないかというのが私ども事務当局考え方でございます。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 農林省が最近発表いたしました資料によりますと、この食管会計の赤字につきましては、昭和三十四年には百一億円、昭和三十六年には五百五十一億円、三十九年には千百八十億円、四十一年には二千百億円、四十二年には二千四百六十九億円、四十三年つまり四十四年の末には二千四百十五億円、こういう数字が出されております。  またその内容を見てみますると、経費面におきましても、これは区分勘定でございますけれども、国内米、国内麦、輸入食糧等合わせますと千三百四十億、金利も含みまして、こういうような勘定にもなるようでございます。  そこで、こういうような、言うならば累増傾向にあります。したがいまして、根本的にこの点はやはり、大正十年でありましたか、米騒動の直後でありましたかに食糧需給の確保というような、まあそういう方向への打ち出しが逐次だんだんと発展して、十七年でしたか食管会計法ができまして、それ以来ずっと政策が続いておりますけれども、しかし財政の見地から見ると、やはりこの累増の傾向について原因を確認をしておかなければならぬこれは一つの大事な点じゃないか、こう思うのでございます。でありますから、あとの対策は別といたしまして、この漸次累増するところの最大の原因を一、二、何であるということに政府としては認識しておるのであろうか、この点どうです。
  153. 相沢英之

    ○相沢説明員 食糧管理特別会計の損失の増加は主として食糧管理勘定の損失の増加でございまして、食糧管理勘定の損失の増加のうち最たるものは国内米管理勘定における損失の増加でございます。したがいまして、私どもとしましては、食糧管理特別会計の損失を減らすためには、まず国内米管理勘定の損失を減らさなければならない、かように考えております。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、五月でしたかの当委員会におきまして大蔵大臣に、中間経費の節減につきましてもっと合理的な検討をすみやかにすべしということを申し上げました。その点は農林省の食糧庁の次長などもかなり積極的な、意欲的な同調の意を表しておったのでございますが、こういう面につきましては、管理、輸送とか、その他いろいろな諸経費が入るのでございますけれども、かなり大きな節減の余地、合理化の余地はあるのじゃないかというふうなことが議論の中ではっきりしてきたのでありますが、次の予算作成について、こういう面に着手する意向があるのかどうか。ことに四十四年の予算は、すでに作成の段階に入っておるはずでありますから、もし政府に熱意ありとするなら、作成の当局である大蔵省は、この中間経費等につきまして、相当合理化するというようなかまえがなければならぬと思うのです。この点についてどうでしょうか。
  155. 相沢英之

    ○相沢説明員 おっしゃるまでもなく、食糧管理特別会計の業務勘定の支出につきましては、これは大いに節減をはかるという方向で努力をすべきであると私ども思っております。業務勘定の支出のおもなものは金利、それから人件費、事務費等のいわゆる事務費、それから保管料、運賃、集荷経費でございます。これらの経費のうち、まず事務人件費につきましては、食糧庁の検査員、その他の職員の人件費でございますが、これにつきましても、三年間五%という一般方針に従いまして人員を減らす予定でございます。それから金利については、できるだけ一般会計からの調整資金への繰り入れの時期を早めるとか、あるいは理財局の協力によりまして、国庫余裕金の利用率を引き上げるとかいうような手段を講じて、これまたできるだけ金利負担を軽減することを考えるつもりでございます。また運賃につきましては、これは現在、輸送の、何と申しますか、いわば試行錯誤的になる面もあるかと思いますが、リニアプログラムを採用いたしまして、現在、輸送のむだは極力排除することにいたしておりますが、なお、その合理化の余地がないか、食糧庁に検討してもらっている段階でございます。集荷経費、保管料等につきましても、その単価を引き下げるということは、現状におきまして、なかなか困難でございますけれども、米の集荷計画というものを合理的にすることによって、これらもできるだけ節減したいというふうに考えております。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 審議会答申案によりましたら、やはり、ずばっと財政問題解決への対案が出ておらぬ。たとえば、根本的には現行の直接統制から間接統制へ移行しようということを目ざしておることは、これはわかります。したがいまして、間接統制になれば米の買い上げの絶対量というものは相当減ることになるのでしょうから、したがいまして、それらの点から、中間経費の節減とか合理化の可能性はあると思いますが、どうも具体性を持っておりません。それからまた、生産者米価の引き下げというようなことがうたってあるようでございますが、こういう点につきましても、やはり日本の農業政策というものとの関連等の関係相当考慮しなければいけませんが、これは休耕地とか転換地の補助金制度というものを打ち出しておるようでございまして、この点が、いま主計局のほうでお述べになっておったようでございます。あるいはまた学校給食であるとか、あるいは自衛隊用であるとか、加工用であるとか、小麦の価格の引き上げとかいうような、かなり末梢的な対策が打ち立てられております。小売り価格の自由、こういう問題も出ておるようでございます。その他登録の廃止、小売り卸の登録の廃止とかが出ておるようでございます。どうも財政制度審議会の立場といたしましては、もっと抜本的にどうするならば日本の米政策と申しますか、農業に対する食糧政策、消費者に対する食糧政策、これらの両全を期しながら日本の国策といたしましての財政問題の解決、こういう面がどうもぼやっとしておるように思われます。これを全面的に大蔵省は支持するということが基本態度らしいのでございますけれども、相変わらずにおちいるのではないかというような危険を感じております。おそらく来国会は、予算の作成の過程における食管会計の赤字というものが大きな問題になると思います。したがいまして、食管会計の赤字解消というものは食管制度とともに並列いたしまして来国会の最も大きな課題、論議の対象になるのではないかと考えております。したがいまして、これは時間的に相当速度を早めまして研究、調査なりをどんどんとやって、審議会のほうで案を公表した以上はもうこれを先がけしてこれに手を打つというようなことを大蔵省はおやりにならなければいくまいと思います。そうして予算作成に間に合わせなければいけないと思います。  次長に聞きますが、あなたのほうの目途とされておる食管制度会計制度の問題に対しまして、四十四年度予算に何らか相当あらわれておるのでしょうかどうでしょうか、その点はどうです。
  157. 相沢英之

    ○相沢説明員 財政制度審議会の伝えられておりますところの第一部会の意見は、当面とるべき措置ということになっておりまして、四十四年度とするという意味のものではございません。したがいまして、この答申のうちどの程度にこれを取り入れて予算面に具体化するかということにつきましては、なおこれは実施官庁でございますところの食糧庁の意向等も十分調整いたしながら取り運んでいかなければならぬと思っております。農林省はこの食管制度の問題につきましては、総合農政との関連におきまして目下なお検討中でございまして、具体的に来年度どうするということについては実はまだ私どもにも案が提示されておりません。実施官庁である食糧庁からの案の提示を待って、私どもとしては最終的な取り扱いをきめたい、さように考えております。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこがやはり認識の相違であると思います。やはり食管制度並びに食管会計のあり方というものを大きな国策としてクローズアップせねばならぬという段階に来ておると私は思う。それならば農林省の内部で検討しておることも存じております。したがいまして、総合農政の見地から新しい米作対策というような農政の打ち出し方も研究しておることも存じておりますけれども、農林省にまかしておくべき問題じゃないと思う。いまは波及いたしましてむしろ財政の根幹をゆるがすくらいになりつつあるのが、火の手がそこに回っておるというのが、国策の重大問題だというゆえんであります。したがいまして、これはやはり内閣の方針といたしましてやらなければいかぬ。あなたとその問答をしてもしかたがないのですけれども、農林省の研究待ちというのでは、これはきわめて消極的で、問題を重視しないというあらわれです。次官、その点はやはり省議をまとめまして、たとえば中曽根運輸大臣がいまの国鉄赤字問題について閣僚協議会を設置して検討してほしいということを述べて了承したということが新聞に伝わっております。もしそうとするならば、やはり食管会計問題というのは一つの最大の最近の国策にならねばならぬと思うのです。一部局で研究しておるというのをじっと待っておるというのは、これはやはりそうあるべきじゃないです。ですから、これは省議をまとめまして、大蔵省は、農林省とだけじゃなしに、やはり各省とも、閣議におきまして方向決定をするくらいにまで持っていかねば、来年はたいへんになると私は思うのです。だから、ぜひその点は御希望申し上げておきますから、ひとつあなたはここで約束して、大臣とよく協議してもらいたいのですが、どうでしょう。
  159. 倉成正

    ○倉成説明員 食管制度について非常に御激励をいただいたわけでございますが、われわれも財政の中で占める、単に来年度予算のみならず、将来の財政の中で食管制度をどうするかという問題は非常に重要な問題でありまして、その認識については、私ども吉田委員と全く同様でございます。  根本は、主計局の次長から申し上げましたけれども、中間経費その他の問題もありますけれども、やはり需給事情を反映しない価格政策が安易にとられてきた、ここに一番の基本があると思います。したがって、この点を踏まえながら、農林省と十分連絡をとりながら、この問題を解決していくのが妥当な方策じゃなかろうか。特に国民の食糧の確保、また農民の所得の大宗を占める米価を含む食管制度の問題でありますから、財政当局としては、基本的な線は維持しつつ、担当の当局である農林省とも十分話し合いながらやっていくのが妥当な線じゃなかろうかと思っております。しかし、吉田委員が御指摘のように、これは焦眉の急でありますから、単に事務当局同士の話し合いを待つということでなくして、もう少し高い次元からこの問題を取り上げて解決をしていくという方向は、直ちに大蔵大臣ともよくお打ち合わせをしまして、その方向に持ってまいりたいと思っております。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 四十二年の買い入れ量は九百八十三万余トンでありました。したがって、現在量が、これも農林省の報告でありますけれども、現在の政府の手持ち玄米は二百九十万トンあります。これは精米にしますると二百六十五万トンになるらしいのですが、ざっとこれで五カ月分です。要するに、国民の需要の五カ月分は在庫しておる、こういうことになります。  そこでことしの生産なんですが、四十二年の秋の生産が千四百四十五万 、四十三年の秋の生産は同じく千四百四十三万トンという大体の数字が出ております。こういう数字を出しておりますと、やはりいまの需給関係から見ると、たとえば需要関係を見ましても、戦前は一人一石、百五十キロというたものですが、現在は一カ月一人前六・二キロになっております。そういう状態でありますので、そういう推計をしてみますると、来年の現在時点におきましては、約五百万トンの玄米を政府米として持っておらなくちゃならぬ。としますると、二度つゆを越します。二度つゆを越しましたならば、専門家の意見を徴しましても、これはまずくなってしまうのは当然なんですね。味も変われば、精白すると歩どまりもうんと減ってしまうようであります。としますと、これは何らか処分しなければならぬ。まさかえさにして捨てるわけにもいきませんし、インドネシアに持っていくという説もありますけれども、国際経済標準もみな違いますので、容易に実現しそうにありません。そういうこともあれこれ考えてみますと、来年における赤字累増はたいへんじゃないだろうか。おそらくこういうような古米とか古々米の処分というようなことで累増していく赤字を積算していきますと、三千五百億から四千億に達するのじゃないか。三千五百億から四千億円ということになりましたら、これは財政上重大な課題であります。そこで私は言うのでございます。これは公知の事実です。何も声を大にして言わなくても明白なことでありますが、やはりこういう事態に対する認識を十分にしていただきたい。財政当局といたしましては、財政の見地からどうするかということを、声を大にして――昨年度あなた方は財政硬直化を叫びなすったが、硬直化を叫ぶくらいの熱意をもってこれに対処なさらなければいくまいと思うのですね。こういう数字関係についての御認識は大体いいのだろうと思いますが、いかがですか。
  161. 相沢英之

    ○相沢説明員 今後の米の需給のおよその見通し食管の赤字の見通しは、ただいま吉田先生がおっしゃいましたようなものになろうかと私どもも思っております。ことしの米は千四百四十三万トン、昨年とほぼ同じ生産量となる見込みでございますし、従来の食管の買い入れ比率等から考えますと、おそらく一千万トン程度の買い入れになるのじゃないか。四十三年度内にどの程度くるかはまた問題でございますけれども、四十三年産米としてはその程度の買い入れ量になるのではないかと思われます。そういたしますと、来年の十月末、四十三米穀年度末における在庫は五百万トンをこえる、約九カ月分の消費量に見合う在庫ということになろうかと思います。そういたしますと、この古米をどういうふうに処理するか、これは大問題でございまして、いろいろと農林省と私ども検討はいたしておりますが、今後生産と消費のバランスを回復することによってそのストックを逐次減らしていくということができなければ、いま吉田先生がおっしゃいました点にあります、まさかえさにはできないだろうがという、そのまさかのこともしなければならないような状態になるのではないかというふうに考えております。そういうえさにするというようなことを織り込みませんでも、来年度食管の赤字見込みはおそらく三千億をこえ、三千五百億をこえるというようなことになるかもしれません、ただいまのまま放置いたしておきますと。したがいまして、財政負担を極力軽減するという見地から、何らか強力な対策を講じなければならないというふうに私どもとしては考えております。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 財政政策の観点からいたしまして、私が絶えず言うていることでありますけれども、また大蔵省もかなり積極的に推進しておいでになるのだが、財政投資と行政の効率ですね、投資と効率の関係を絶えず測定していくという、こういう態度が必要ではないであろうか。したがいまして財政負担が非常に大きいが、はたして非効率性のものはどこにあるのだろうか、それはないのであろうかという面を絶えず検討していくというふうにされる必要があるのじゃないかと私は考えております。したがいまして来年度、農林省もせっかく対策を急いでおるようでありますから、何らかの対案ができるといたしまして、来年度予算の作成時期にはそれが相当予算に反映し得るくらいな態度をもって、大蔵省はしかるべく予算作成に当たっていかねばなるまいと私は考えるのであります。  そこでいまの状況から考えてみますると、反面におきましては農業政策上の問題がありますし、農家所得の問題もございましょう。同時に経済政策の問題、それから財政政策の問題、特に経済政策におきましては消費者物価値上がりの拍車になるということをしきりに唱えられるのでございますので、それらの点につきましてもこれは常に考慮はされておるのでありますけれども、あわせまして来年度予算の作成に何らかの対策を織り込んでいかねばなるまいという点と、そうしていまの直接財政政策としてこれはどう改善もしくは改革していくか、さらに根本的には、これは間接統制移行ならば間接統制についての具体的な構想をすみやかに発表せしめて、一面世論の批判も受け、一面国会の審議にも早くかけるというふうにせなければいくまい、法の改正相当しなければいくまい。もっとも与党あたりにおきましては、食管法には手を入れないというようなことのお話があるやに聞いておるのでありますけれども、そういう手を入れるとか入れないとかいうような低い次元にとらわれておったらとてもこれはいけません。低滞してまいります。背景は一九七〇年もありましょうから、もっと問題をすっきりと解決するように前向きで放胆な姿勢で臨んでいく、そしてせっかく重大化せんとするのでありますから、火が燃えないうちに未然に防いでいく、そしてすみやかに明るい将来を約束していくというふうにどうしてもしなければいくまい、こう私は思うのであります。したがいましてこれは次の予算をめぐっての問題にもなりますけれども財政当局としてお考えいただかなければならぬ問題はあまりにも多いので、また国策としましてこれを取り上げていかなければならぬ面が多角的になっておりますので、特に深い御注意をお願いしておきたいと思っております。  一応これらの点につきましての御所見を聞いておきまして、締めくくりはまた適当な機会大臣から伺うことにしたいと思います。
  163. 倉成正

    ○倉成説明員 ただいま吉田委員から非常に適切な問題の御指摘がございました。来年度予算編成をいたしますについても、食管制度をどうするかという問題を解決しなければ予算編成もなかなか困難であるという事態でございますけれども、極力努力をいたしましてこの問題の解決に当たりたいと思います。  なお、これらの問題についてはどうしても大蔵当局だけではできないことでございまして、各政党、国会それぞれの御協力を賜わらないとこの問題の解決はできませんので、よろしくひとつ御鞭撻のほどお願い申し上げます。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 新しいたばこ消費税制度の方向を財政制度審議会がまた打ち出しておるようでございまして、この点はいろいろな機関、これは専売公社内に設けておる機関も大体その方向へ一つの結論を持っておるようであります。これらの問題をめぐって一、二簡単に伺っておきたいのでございます。  この問題は専売制度としまして相当な歴史を持っておる問題でございますが、次第に専売益金が低下してまいりました問題、この点から財政当局としてはお考えになるだろうと思うのであります。これにつきまして、大蔵省といたしましては基本的にどういうふうに取り組もうとしておるのであろうか。やがてこれらにつきましても影響するところも相当あると思いますので、また別の意味におきまして新しい反対的批判も出てくるかと思いますけれども、いずれにいたしましても財政収入が次第に低減していくという問題が相当大きく表へ出てきたようでございます。この新しいたばこ消費制度につきましてどういうふうな考え方を持って進んでいかれようとするのか、この点を少し伺ってみます。
  165. 平井廸郎

    ○平井説明員 専売納付金制度をたばこ消費税制度に改めます問題につきましては、ただいま先生御指摘のように、財政収入の安定的確保という見地から問題になった点もあるわけでございますが、それ以外にも違った二つの面を有しているわけでございまして、一つには公社の経営の合理化、企業的センスの導入という問題が考えられるわけでございます。また二つには、税制の面から見まして専売納付金というものが実質的に消費税としての性質を持ちながら、しかもこれが毎年のように変わってまいるような性質になっているために、経費の増高に伴っていわば意図せざる減税が毎年のように行なわれている。このようなことは、いわば実質的な税率が安定しないこと並びに税制としてもそのような意図せざる減税の進行というのは望ましいことではない、こういう観点もあったわけでございます。したがいましてこのたばこ消費税制度への移行の問題は、先生御指摘のように財政制度審議会で問題になりましたと同時に、税制調査会の長期税制に関する答申においても取り上げられたわけでございます。また専売事業の全体的な運営という立場から、専売事業審議会においても同じように取り上げられたわけでございます。現在までの段階におきまして、専売事業審議会並びに財政制度審議会は、それぞれ公社運営のあり方の立場並びに財政制度の立場、ただいま先生御指摘のような財政収入の安定的確保の立場からそれぞれ意見を出しておるわけでございまして、これを受けまして今月の初めから税制調査会におきまして、具体的に税制としてどのようなことが考えられるかということを検討し始めたような次第でございます。したがいましてただいま先生御指摘のように、このような制度としては財政収入の安定的確保をはかるとともに、専売公社の合理的経営の基盤を形成し、さらには税制としてもすっきりしたものをつくり上げていく見地から、大蔵省としては前向きに処理いたしたいと考えている次第でございます。
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この新しいたばこ消費税を創設いたしますと、現在の専売益金よりもふえることになるのでしょうか、そうでなくして一種の安定状態が続くと申しますか、低減することは避けることが可能であるということですか、どっちですか。
  167. 平井廸郎

    ○平井説明員 消費税制度の具体的内容につきましては、これから税制調査会で御検討いただくわけでございまして、御検討の結果を待ちませんと確定的なお話はできないのでございますが、一般的に考えますならば、消費税制度がつくられます場合には、一応現在の益金率を前提といたしまして、さらに従来考慮されておりました専売公社の固定資産の増加ないしは在庫の増加に充てるための内部留保といった要素を、将来の公社の健全な発展のために考慮するというようなことも作業としていたしまして、その上で全体的な税率がきめられていくことになろうかと思います。そのような税率を前提といたしまして、それを消費税としてふさわしい一つの体系につくり上げていくことになろうかと思うわけでございますが、その結果でき上がりました体系は税としてそれ自体動いていくわけでございまして、たとえばいま益金率が六〇%でございますが、それがかりにこれから何%か引かれた段階で全体の水準がきまりますれば、税の体系いかんによって全体の収入に占める比率は増加するか減少するか必ずしも明らかではございませんけれども、少なくとも税収としては安定的な形で推移することになろうかと思うわけでございます。
  168. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 現在の地方たばこ消費税、これは都道府県が一〇・三%、市町村が一八・一%、こういう比率になっているようでございますが、この財源は何らかの形で確保するということには違いないのですか。
  169. 平井廸郎

    ○平井説明員 地方たばこ消費税がそういう形をとっておりますことは、先生ただいま御指摘のございましたとおりでございますが、これから国として新しく消費税という名前にふさわしい消費税をつくってまいります場合に、この地方たばこ消費税との関係について何らかの調整が必要ではないかというのが、一応財政制度審議会なりあるいは専売事業審議会が下しておるところの結論でございます。と申しますのは、すでに御承知のとおりであると思いますが、いまの地方たばこ消費税は、消費税という名称はとっておりますものの、実態から申しますと、譲与税的ないわば各地方団体間の財源調整の機能を果たすような税体系になっているわけでございまして、この地方たばこ消費税と国のたばこ消費税がいまのような形で並立するということは、制度としてやはり適当でなかろうという判断をいたしているわけでございます。その意味におきまして、これから税制調査会におかれましてそういった点についてさらに審議を進めていただきまして、具体的な調整を考えていただくということになろうかと思っております。
  170. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 たばこ専売事業にもっと合理性、企業性を持たしたいというのでありますが、どの面が非企業的なんだろうか、どの面に最も企業性を持たす必要があるのだろうか、これをずばっと言ってもらいたい。どうですか。いろいろまだ聞かなければならぬので、簡単でよろしゅうございます。
  171. 平井廸郎

    ○平井説明員 具体的には公社が今後経営の方針をどちらに向けていかれるかという問題になるわけでございますが、一応はっきりと申し上げられることは、現在のたばこ納付金制度のもとにおきましては、公社がかかったものだけはめんどうを見る、そのかわり残ったものは全部国に益金として取り上げられる、こういうかっこうになっているわけでございますが、これではいわば公社経営について努力するための目標がはっきり示されておらないということがございます。したがいまして、税率という形で国の取り上げる部分がはっきりいたしますれば、少なくともこれを基準にしてその範囲において公社がもっと合理的な経営を行なうためのめどができてくる、いわば張り合いも出てくるということを考えているわけでございます。
  172. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはり必要な経費を投じまして、それだけの効率をあげない面があるならば、十分に検討していかなければいかぬ。これは絶えずなされなければならぬことは当然でございますが、反面から見ますると、やはり公共企業的な性格を一面持っておると思いますので、たとえば原価が上がった、だからまた小売り値段も上げようというようなことで――上げたのはことしでしたね、こういうようにやはり原価が上がれば、生産費が上がったら、当然それだけ売り値を上げるというのは経済原則ですからということになってきて、赤字をまた消費者の負担に転嫁するという問題、なおいまの国鉄の傾向のような問題がまた起こってくるんじゃないだろうかということも考えられるのですが、その点については相当しゃんとしたワクを持っていくんでしょうか、どうでしょうか。
  173. 平井廸郎

    ○平井説明員 先ほど申し上げましたように、当初に税率を設定いたします場合には、少なくとも公社が今後安定的な成長を確保するために必要な設備投資なりあるいは在庫投資のための内部留保といった要素は考慮いたさなければならぬと考えております。また資金繰りのために民間資金の導入というようなことも出てまいりますれば、利潤概念も積極的に導入し、これを税率の面からある程度考慮するということも考えなければならぬと思っております。このような前提に立ちますれば、今後公社が経営合理化の努力を続けてまいりますならば、少なくとも今後かなり長い間はあらためて小売り定価の引き上げということは起こらないだろうというふうに考えておるわけであります。
  174. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 全体として考えてみまして、財政的な面から考えてみますと、やはり一種の非常な不健全状態が続いておることはいなむわけにはまいりません。あなたのほうが出したり財政制度審議会が出しているいろいろな資料によりますと、専売納付金が昭和三十年には千百八十二億円で、国の一般会計歳入との比率一〇・五%、同四十二年度の納付金は千七百七十億円になっておりますが、同上の比率は低下して三・二になっておりますね。逆にまたたばこ消費税のほうは三十年の二百八十八億が四十二年に千八百六十五億と増加しておる、こういうふうになっておるようであります。また収益率についても相当大きな低下が見られますね。というようでありますから、財政的見地から見ますと、どこかでもっと合理化しなければならぬ面が確かにあるに違いない。したがいましてそこに着目したことは妥当だと思いますが、やはり私が希望を申し上げたいことは、こういう面につきましては過去において相当な累積いたしました不合理なものがあったのでこういう経営になってきたのではないかというくらいな謙虚な反省もいたしまして、そして新しい対策を立てるというふうに発足するようにしてもらいたい。幸いあなたのほうのいろいろな機関、財政制度審議会等におきましても十分に検討もしたようでありますし、世論も相当熟してきておるようであります。ことにまた昭和三十九年の臨調の答申にも専売公社の改革意見というのが出されておるのでありますから、あのころよりだいぶ議論を尽くしてきておりますので、この段階でやはり相当新しいステップが必要ではないかということも私感じるのであります。これはせっかく前向きの姿勢で解決するようにぜひともされんことを希望申し上げておきます。これはよろしゅうございます。時間がないので答弁は要りません。  第三は、交付税のことを少し聞きたいのであります。  ことしの来年度予算作成上の大きな問題といたしまして、交付税が爼上にのぼっておるようであります。この点は大蔵省の出しておる資料にも指摘されております。交付税のこれは、現在の国税三税の三二%というものを減率するという問題であります。ないしは二千四百億円ですか、これは交付税の実額が増加になる、こういうようなことで黒字に転じておるいまの地方財政関係もあって、交付税は当然もっと減率してしかるべきだ、こういうような基本的姿勢かと思うのであります。思うのでありますが、これにつきましても、やはりこういう財政制度審議会に本年五月並びに六月に自治省も出まして、自治省といたしましていろんな意見も述べておるようであります。また大蔵当局もそれぞれ参考意見を述べておいでのようであります。これらも全部一応一覧いたしてみましたが、私は、やはりもう一つ問題点につきまして十分に討議せられておる問題が相当あるんじゃないか、こう思うのであります。それは、一つは、国の財政の健全化ということは、同時に地方財政の健全化を含んでおらねばならぬということは、これは前提として議論余地がないと思うのであります。たとえば財政硬直が解消されたとまだ言い得ないと私は見ておるのであります。それならば、現在の地方の財政の実情からいいますと、こういう半面をどうしても見のがすわけにはいかぬと思うのであります。なるほど地方財政はやや好転していることは事実であります。またその見通しも当然できますが、しかし、反面におきまして、新しい財政需要が相当起こっておるということも考えなければいかぬ。この間もこの委員会におきまして、私は建設当局に向かって、地方道路の舗装率が全く低過ぎる。別な表現をかって言いますならば、インド並みであるという実情であるわけであります。したがいまして、地方道路の舗装の完成という問題もございますし、その他地方における、たとえば公営企業の赤字好転ということは十分にまだきざしは見えません。あるいはまた反面におきまして、新しい公害が続々起こってきております。しかし、単独事業で地方がこれに対する財政需要に応じることは至難であります。あるいはまた地方開発というものは、後進性のものもあり、あるいはいろんな大きな躍進を遂げる工業整備特別地域というものもございますし、これに対する財政需要というものが相当ふえてくるんじゃないかというのが現在の段階でありますので、こんな面から見ますと、いまの少々好転しております地方財政の実態について、地方交付税税率を引き下げて、そして交付税を少ししぼるというふうにしていくのは、どうもこういう面に対する需要を満たさないおそれあり。したがって、地方財政の健全化に役に立たぬ、マイナスである、こういうふうに考えられるのですが、この辺に対する十分な批判検討を遂げた上で臨むのがほんとうでないであろうか、こういうふうに思っておるのですが、これはどうでしょうね。どこが答弁なさいますか。
  175. 相沢英之

    ○相沢説明員 来年度地方財政の問題につきましては、現在、財政制度審議会検討が行なわれておりますほか、地方制度調査会におきましても、この問題を取り上げて検討中でございます。これらの審議会あるいは調査会からどういうような結論が出るかということをも待ちまして、われわれとしてもこの問題の処理にあたりたいというふうに考えております。  地方財政が全般的に見てゆとりがあるようになったかどうかという点につきましては、いろいろと見方があろうかと思います。確かに先生のおっしゃいますとおり、地方団体におきます新しい財政需要も無限でございますし、また道路その他の公共投資の必要性というものもますますふえているということは、これは私どもも否定するわけではございませんが、しかしながら、地方団体の財政運営自体についても、たとえば六大都市についていえば、国家公務員よりも三割以上も給与水準が高いとか、あるいは都道府県について申しますと、国よりも一〇%近くも給与水準が高いとかいうようなそういうような金の使い方、また庁舎、会館等の建設に八百億円をこす金を毎年投じているというような姿等がございますので、地方財政の運営につきましては、私どもとしてももう少し現下の真にあるべき財政需要に即応する使い方が必要なのではないかというふうに考えております。  国、地方の財政事情の関連性ということにつきましていいますと、私どもは、国のふところの逼迫しているのに比べまして、地方団体にはゆとりが生じてきているというふうにいろいろな指標からしてそう思っておるのでございますが、その問題はおきまして、交付税率の三二%が現状において適当かどうかという点に限って申し上げますと、この三二%の率の引き上げは、御案内のとおり四十一年度国が大幅な国債発行をいたしました際に、国の税収全体における三税の収入割合が減少したということとの関連もございまして行なわれたわけでございます。二九・五%から三二%へ上げられたわけでございます。したがいまして、その後国は国債の依存率を漸次引き下げるという方向で努力をしてまいっておりますので、総体的に申しますと、税収伸びがございますので、国の歳入全体における三税の割合というものはふえております。したがいまして、三二%余の引き上げは恒常的な措置としてとられたわけでございますが、このように三税の税収伸び、かつ、国債を減らしている段階においては、やはり三税にリンクするその率、地方交付税の率というものは再検討されてしかるべきではないかというのが私ども考え方なのでございます。
  176. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、根本的に、いまのようなたとえば財政の浪費、あるいはまた国家公務員に対しまして給与の比率は三割高というような面のある都市さえあるというような一種のでこぼこでありまするか、財政状態のでこぼこが地方にあらわれつつあるというようなこと、また批判すべきそういう財政の浪費的な問題が生じておること、これは十分に検討して、全体として是正することを努力しなければならないこと、これは当然であります。しかし、それならば行政の再配分の問題にしましましても、財源の再配分の問題にいたしましても、あるいは財政の実施状況に対する厳重な監督という点にいたしましても、もっとやはり国と地方との間に緊密な連絡をとっていかなければなるまいじゃないか、こう私は思うのです。これはPPBS――ちょっと最後に聞いておきたいのですが、この機会ですからちょっと伺っておきますが、たとえばPPBSにつきましては、その予算を今度は四十四年度には各省が若干請求しておるようであります。ことに経済企画庁におきましては、各省からそれぞれ優秀な人材が出向いたしまして研究にいそしんでおるようであります。六大都市等におきましても、財政編成等につきましてこういう新しい観念を導入して、そして財政の再建をはかるというようなことは、また裏返しするならば行政の改革にもつながってまいりますので、そういう面をもっと積極的に政府としては指導すべきでないか。これはまあ主計局の仕事かどうか存じませんけれども、大蔵省として、次官はやはり、これはやらなければいくまいと思うのです。せっかく各省は、本省におきましてはそれぞれ熱心に研究しておる。六大都市は本省に負けないくらいな膨大な予算を持つ都市もあるわけです。その力といい、またいろいろな意味における進歩の実情といい、当然これは導入する、少なくとも研究しなければいかぬ。アメリカにおきましては、ニューヨーク市などは、それぞれ人材を大学に派遣して研究しておるやに聞いております。  こんなことをあれこれと考えますと、私はやはり財政改革の一端としてそういうようなことも指導してしかるべきではないか、こう思うのであります。要するに改革すべきところは改革するということは、やはり地方も中央も一本になっていって初めて、財政の健全化が相互相含んでできる。したがって国全体の財政が健全化する。そんないまのでこぼこの批判のようなことがだんだん影が薄くなっちゃうだろう、こう思うのですが、根本はやはりそこだろうと思うのです。  そこで、PPBSにつきましてこれを勧奨するような用意ありゃ、私は、できるなら早くそういうことに手をとってもらいたい、こう思うのが一つと、いま申したような点につきまして、お考え方を聞いておきたい。
  177. 倉成正

    ○倉成説明員 ただいまPPBSについての吉田委員のお考えの御披瀝がございました。一九六一年にマクナマラが国防省に採用した、また一九六五年に連邦政府が全省に採用した手法のことをさしておられることと思うのでございます。私どももこの問題に非常に関心を持ちまして、大蔵省としてもアメリカに係官を派遣して、いろいろと調査を進めております。この手法が日本予算編成にも適用できないかどうかということについて、いろいろと研究を進めておるわけでございます。  吉田委員よく御承知のとおり、まずPPBSをやるためには施策の目的を明確にするということ、この施策を達成するために代替的な手段を包括的に列挙いたしまして、それぞれの手段について費用の効果の対比を行なう、そしてその結果に基づいて代替手段の中から最善の手段を選択する、こういう手法であります。したがって指導者が――指導者と申しますか、最終の意思の決定者がいろいろな政策を選択する際の一つの参考になるというようなものでございます。しかし、やはりこのPPBSも万能ではございませんで、共通の価値尺度がなければ、この問題はなかなかやりにくい。たとえば公共事業か社会保障か、あるいは公共事業の中で治水をとるか道路をとるかというような問題には、なかなか適用がむずかしいという問題もございます。しかし、いずれにしましても現在の予算編成やり方等につきましてはいろいろと改むべき問題があろうかと思いますので、まずとりあえずこの問題についての手法について、いろいろと大蔵省の中でもコンピューターの扱い方あるいはこのPPBSについてのいろいろなアメリカの例等について勉強を進めると同時に、もう一つ大事なことは、この基礎になるデータを十分整備し、また予算書等におきましても、現在の非常にわかりにくい予算書というのをもう少しもっと科学的と申しますか、読みやすいものにする、あるいはいろいろなデータについても、いわゆるコンピューターにおいて番地をつけるように、コードナンバーをつけていく、そういうような基礎的なデータの整理なりそういうコンピューター導入、PPBS手法の導入の前提となるいろいろな問題を整備することが大切でございまして、いきなりいろいろこういう問題を持ってくるわけにいかない。やはり相当のそういうデータあるいはコードナンバー等の準備、それからまたいろいろなプログラムシステムをつくる専門家の養成、こういうのが基本的な問題になろうかと思いますので、この問題には積極的にいま取り組んでおるというのが大蔵省の姿勢でございます。
  178. 小山省二

    小山(省)委員長代理 ちょっと吉田君に申し上げます。  理事会の申し合わせ時間が参りましたので、結論を急いでください。
  179. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 承知しました。  ちょっと資料を後刻でよろしゅうございますから、当委員会へ出しておいてもらいたいのです。交付税につきましていろいろな批判、今後のあり方等についての大蔵省なりの資料があると思いますので、ありましたらひとつ――これは自治省にも言いますけれども、大蔵省の見るところによりましての資料で何かまとまったものがありましたら委員会に出してもらいたい。これはお願い申し上げておきます。  それから開発銀行にちょっと一問だけしたいと思います。ごく簡単にしますから、簡単でよろしゅうございます。  あなたのほうでは貸し付けの対象といたしまして繊維工業それから地域開発の両方があるようであります。繊維工業は、これは日本輸出産業上繊維工業設備等臨時措置法ができまして、いわゆる構造改善でいませっかく進行中であります。零細企業もあります、中小企業もあります、大企業もあります。しかしこれは非常に重要でありまして、たとえば商工中金あるいは国民金融公庫その他と協調融資でもいいと思いますので、さらに積極的にこれに対して融資の門を開いて進むべきでないか、こう思うのが一点。  それからもう一つは、地方のいわゆる地域開発の貸し付けの問題でありますが、これも新しい全国の国土総合計画の策定の方針がきまりましたし、したがいまして、これは大きく躍進していく見込みであります。こんな際でございますので、過去における新産都市あるいは工業整備特別地域あるいはこれらの地域における工業諸開発あるいは社会開発等々幾多の財政需要がございまするので、こういう面に対する融資の道というものを積極的に開かれんことを御希望申しておきたいと思うのであります。ほんの要点だけでよろしゅうございますから、実情をちょっと御説明願っておきたいと思います。
  180. 福地豊

    ○福地説明員 総裁があいにく出張いたしまして不在でございますので、私から簡単にお答えさせていただきます  ただいまの吉田先生の御質問二つございますが、一つは繊維に関する問題でございます。これにつきましてはこまかく申し上げますとちょっと長くなりますけれども一つは例の体制整備の関係で私ども昨年から相当そちらのほうのお手伝いをしておるつもりでございます。ただ、この体制整備のほうは吉田先生御承知のとおり、紡績のほうの事業が大体対象になっております。法律上から申しますと、紡績のほかに織布も入っておるわけでありますが、織布につきましては特別の繊維工業構造改善事業協会というものがございまして、そちらのほうから政府資金が流れておりますので、私のほうはこれにタッチしておりません。しかし、これらの事業と別にいたしまして、またこれらの要件を満たしませんけれども、趣旨において非常にその趣旨に合致いたしまして、さらに地開効果が認められるものにつきましては、私ども地域開発の観点からこれに相当の援助をなしておりますし、これから先もなし得るというふうに考えております。  それから第二の地域開発の点でございますが、これは三十四年から私どものほうの融資対象でございまして、これにつきましては後進地域の開発という観点から、私ども従来相当積極的に御援助をいたしておるつもりでございます。三十四年からことしの九月までにおきまして大体二千三百億くらいこの方面に資金を出しておるわけでございます。さらにこの点につきましては国土総合開発計画の策定等も参考にいたしまして、さらに一そう力を尽くしたい、かように存じておるわけでございます。
  181. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まだ実は聞きたい点がございまして、PPBSの問題点と、それから四十四年度における中小企業の政府系の金融機関の融資率が、一般のその他の民間の専門の相互銀行等とかあるいは全国銀行等に比較いたしまして全く率が低いのであります。この点につきましてだんだんと伺ってみたいのでありますけれども、これは全部保留いたします。したがいましてこれは次の予算に中小企業対策として相当盛り込んでいく必要がある、この必要を感じておりますが、これらの諸点につきましては後日に保留いたします。なお、補助金等の合理化、整理問題は四十四年度には相当進行すべき日程にのぼるべきだ、こう考えております。これも具体的にいろいろな問題をもちまして指摘して方針を聞いておきたい、こう思うのでありますが、これもいずれも後日に保留いたしまして、時間がありませんので本日はこの程度で私は質問を終わります。
  182. 小山省二

    小山(省)委員長代理 鈴切康雄君。
  183. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十一年度の決算の報告書によりますと、租税の徴収過不足を来たしているものについて検査の結果是正されたものが、税額一事項十万円以上のもので集計をいたしますと、麹町税務署外二百十税務署において一千五十四事項、五億三千九百三十五万二千円となっております。  また四月二十五日に発表された四十二年度の査察実績によりますと、処理件数は百七十件で脱税額は五十三億円で、処理済み一件当たり税額は三千万円ということであり、業種別では金融、保険系が二十九件でトップ、続いてキャバレー、飲食店、遊技場二十三件、広告、旅館、運輸十六件でサービス業に多くなっております。新聞によりますと、一番の大口は大阪の金融業の戎商事三億三千八百万円、東京の商品仲買いカネツ商事、脱税の手口は、売り上げを隠したり、架空の仕入れをしたり、架空の経費を充てるなどの不正をやって経理をごまかしている。中には取引相手と綿密に打ち合わせて偽名で取引をするとか、一人で多くの店を経営しながら、一部の店を他人名義にして過少申告するなど手の込んだ例がまことに多くなっている、そのように報道されています。  また、最近の国税庁の発表によれば、九十五万の会社の一五%に当たる十四万八千社について調査をしたところが、実にその八〇%近くの十一万七千社が所得申告をごまかしておる。  また薬局と産婦人科を調査した結果は、いずれも八〇%が脱税をしている。年間売り上げ四千万円もある法人組織の東京の薬局が、年間所得の申告わずか百二十万円で、五年間にわたって年々三百万円をごまかしておったということが出ております。東京のある開業医では、三年間に五千五百回の中絶手術をやったが、その約半分は帳簿に記載せず、一千万円の所得をごまかしていたということもあります。  このようなことを目にすると、まじめな納税者や、毎月の月給から税金を引かれておりますサラリーマンは、実にばかばかしくなってしまうのは当然だと思うのです。法人や自家営業の脱税は押えにくいには違いありませんが、最近よく九・六・四ということばを耳にします。このような風潮が世間一般に広まれば、まじめな営業者まで、みんなが少なく申告しているから、おれも少し所得をごまかそうという気分になるかもしれないと思うのであります。そこで、このような観点から二、三の質問をいたします。  事業者等に対する指導と調査の充実についてお伺いしたいのですが、検査報告によりますと、申告所得税において、配当控除については所得税額から控除する金額の計算を誤っていたもの、損益通算については事業所得の損失額を譲渡所得の金額から控除する場合の計算を誤っていたもの。法人税においては、固定資産の減価償却について適用すべき耐用年数を誤ったり、新築貸家住宅の割り増し償却、合理化機械等の特別償却等の特例計算を誤ったりしていたもの、交際費について損金不算入額を過少に計算していたもの、輸出所得について特別控除額を過大に計算していたものがありますが、この中には専門の経理係のいる大法人も含まれているようであります。  税法はまことにわかりにくい、そのようにいわれておりますが、特に記帳も十分でなく、税務の知識に乏しく、税理士等に委嘱することもできないような中小企業あるいは零細企業の方々には非常な負担がかかっているように思うわけでありますが、これら中小企業、零細企業に対しては、いかほどの予算で、どのような指導を行なわれているか、その点についてお伺いいたします。
  184. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 長官が、「納税者の声を聞く旬間」で各地に回っておりますので、私がかわりましてお答え申し上げます。  お話しの中小企業に対する税務指導は、いろいろな方面から努力してまいっております。一つは、日本税務協会という税本来の仕事を主とした協会に国税庁から事務を委託いたしまして、もっぱら直接に納税者への指導を行なっていただいております。  第二の方法といたしましては、昭和三十八年度に、国税庁と日本税理士連合会、それから全国青色申告会総連合会、この三者の間に、特に中小企業の税務指導を、協力して、かつ低廉な価格で行なうという協議がととのいまして、この三者の組織を通じて、中小企業の納税者の税務相談に応じておる次第でございます。特に申告期を中心としての税務相談は、この三者が非常に活発に動いておる次第でございます。  さらに、中小企業庁と御相談申し上げまして、県を通じ、各地の商工会議所または商工会を通じまして、経営指導の一環として、やはり税務というのが経営の基礎になるわけでございますので、税務と経営指導とを相互に連関させて、商工会議所または商工会の活動として税務指導をやっていただいております。これらの方法、その他直接税務署の署長以下幹部、担当者が適時指導を行なっていることは申すまでもございませんが、ただいま申し上げたものだけで予算的な額を総括的に申し上げますと、総額におきまして、昭和四十三年度で四億二千七百万円になっております。内訳を簡単に申し上げますれば、先ほどの日本税務協会に委託しておるのが五千五百万、中小企業関係の講習会等の開催費補助が八千七百万、記帳指導等の費用が二億八千五百万、こんな数字になっております。
  185. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 税理士等をおかかえをしている大会社、すなわち資本金が六百六十九億円の大法人ですら、新築貸し家住宅の割り増し償却の計算が間違っておった。それから資本金が百八億円の大法人ですら、輸出所得についての特別控除額が間違っておった。まして中小企業、零細企業においては、記帳に対してはその心労のほどは想像がつかない、私はそのように思うのです。むしろ働くことだけにとらわれてしまうという、そういうような零細企業がいかにも多いということでありますけれども、これについていろいろいまお話がありました。ありましたけれども、実際には国民の税務署に対するところのアンケートをとってみますと、非常に態度が冷たい、そしてしかも税務署は敷居が高い、このように言われているのですが、その点について次長はどういうふうにお思いなんですか。
  186. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 税の本質から、納税者が喜んで、または進んでということは望ましいことでございますが、なかなかそうまいらないというのが税の本質でございます。国税庁といたしましては、五万の職員に向かいまして、常に、納税者に接するにあたっては親切でなければいけない、税の執行にあたっては負担の公平を本来の職務と考えなければいけないということは、根本的な基本方針でございます。またここ十年近く、親しまれる税務署、納税者の相談に気やすく応じやすい税務署という形で職員の訓練につとめてまいっておりますし、また申告期等の納税相談、申告指導というときには、約三カ月間というものは税務署の職員が各地に参りまして、申告の相談等にも身近に応じておる次第でございます。ただ、まだまだ努力が不足の点もございまして、御指摘のような点もわれわれも耳にするのでございますが、決して希望を失うことなく、本来の税務職員のあり方として努力してまいりたいと思っております。
  187. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 また最近の税務署における法人調査は、五年に一度くらいしか実施できない計算となっているようでありますけれども、調査を実施したものと調査を省略したものとの間の負担に不公平が生じることになるのではないかと考えられております。この点についてどのように調整をしていくのか、また調査対象としてどのような点に重点を置いて行なっておるのかということについてお伺いいたします。
  188. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 税務調査というのは、できれば全部毎年調査を行なうというのが望ましいかもしれませんが、だんだん納税思想も発達し、経理の仕組みも十分になってまいりますと、限られた税務職員でもって全部の法人を調査する必要がなくなってくるということが一番望ましいわけでございます。ただ現在法人の数は非常にふえてきておる、職員の数はほとんど十年間一定しておるというふうな状況のもとにおいて、課税の充実をその責任の一つとしております国税庁といたしましては、内部のやりくりで他の部門の職員を法人直税系統に移しかえまして、配置がえいたしまして、できるだけの充実を期しておりますが、全体の法人に対しまして三年ないし悪くしますと五年に一回全部調査するとした場合には、その回数しか行けないというのが率直にいって実情でございます。したがいまして、その調査にあたっては平板的な調査または選定対象ではなしに、平素の資料収集等から見まして悪質であると思われるもの、脱漏所得が資料の観点から十分あり得るというふうなものを重点的に選定いたしまして、限られた人員で、限られた法人数に対して調査の重点化というやり方をいたしております。したがいまして、お話のありましたように、どうしても平板的な、一般の善良な方に比べて更正決定等の割合が調査の結果相当高率なものになっておるというのも事実でございますが、だからといって、調査したものと調査しないものとが不公平になるということではなしに、調査を重点的にやることによって、税金が脱漏しているものを取るということで、公平が保たれるような考え方で努力をいたしておる次第でございます。
  189. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは調査を実施したものと調査を実施しないものとの間においては、公平が保たれないのは当然の話であります。少なくとも税務署が調べにくるについては、皆さん方の指導が非常にいいのかどうか知りませんけれども、必ずといっていいくらいおみやげを持ってくるようにというようなタブー的なことばも聞かれております。そうなってきますと、どうしても調査の対象にしているのと対象にしていないのとでは違うわけであります。  そこでひとつ問題のあるのは、あなたがいまおっしゃった十年の間、税務署の職員が約五万一千人、それが膨大な税務行政をつかさどっているわけでありまして、ことに昭和四十一年の税務行政においては、三十年と比較してみると、もう比べもののないほど膨大な数になってきているわけであります。結局それが大きな負担となって、そういうふうな調査が行き届かないということになっているわけですけれども、しょせんは私は、もう少し低所得者に対するところの給与所得の控除とか、そういうところを上げることによって対象人員を減らしたほうがいいのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  190. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 これは税制の問題でございますが、税の充実という、面から見れば、税務職員をふやして納税者の実態に応じて税の充実をはかるというのが一つ考え方かもしれませんが、同時にきめられた定員でもって納税者の執行面で公平が保たれないというならば、手の回るように納税者の数を減らすというくふうがまた一つの方法かと思います。われわれのほうも常に税制を行ないます主税局の側に向かいまして、毎年税の執行の立場から税制改正の要望というものを取りまとめて申し上げております。いまお話しのような点を含めて、税の執行面ではこれまではできるが、これ以上はなかなかむずかしいから改正検討してくれというふうに常に勉強いたしております。
  191. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 非常に脱税が多いんですが、脱税については申すまでもなく、国民全体の不利益においてそのものが不当利得をしたことになるので、その責任はきびしく追及されなければならないと考えますが、各税法に罰則の規定があり、国税犯則取締法による告発がされておりますが、その実績は昭和三十八年には八十二件、三十九年には八十六件、四十年には百件、四十一年には百十六件、四十二年には百十二件で、告発割合は毎年約七〇%となっている。税務署における特別調査の四十一年の実績は三千五百七十八件について更正決定し、増差所得金額は修正所得申告増加分を含めて三百四十億円で、一件当たり八百六十七万円となっており、不正発見割合が七二・八%、重加算税適用割合が六四・二%と相当の実績をあげているようでありますけれども、悪質な脱税をしたものはもっと告発をしたらいいんじゃないかと私は考えるのですが、告発する大体の基準はどこに置いているのか、その点についてお伺いします。
  192. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 告発は原則として査察の事案として着手し、精査し、そして脱税のはっきりしたものにつきまして検察庁に告発を行なっておるわけであります。数字等につきましてはお示しのとおりでございますが、告発査察を一見いたしましても、それを直ちに告発するかしないかという問題は、その脱税の規模または仮装隠蔽の脱税の性質の悪質さ、また将来告発いたしまして裁判事案となるわけでございますが、裁判におきまして国側の法廷維持という証拠の整備等の諸般のいろいろのことを考えまして、一律的にこれこれの金額の脱税であるから告発する、それ以下であるからしないというわけにもまいらない要素がございます。ただいま申し上げたようないろいろの要素をかみ合わせまして、ただいま実際の運営では検察庁当局と告発協議会というふうな制度を設けまして、一件ごとに告発すべきかすべからざるかの判断をして慎重に取り扱ってまいっております。
  193. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次に滞納関係についてお伺いしますが、本年三月末の国税滞納状況は税額で九百四十一億円、件数は前年同期より十一万五千件も減ってはいるけれども、金額では逆に十九億円もふえ、それだけ滞納が大型化しているということであります。新聞によれば、滞納額のトップは森脇事件の森脇文庫約四十五億円、二位が田中彰治約五億円、三位は共和製糖グループの農林開発興業約三億円、四位が森脇将光個人約二億円となっているようでありますが、収納状況の概要についてお伺いしたい。この問題はどういうふうに収納されているのか具体的に伺いたい。
  194. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 滞納はこのところ少しふえてまいっておりますが、御承知のように全体の国の租税収入もふえてまいっております。それに伴う要素もありますので、滞納税額の総額がふえるというだけでは判断はできない面もあろうかと思いますが、むしろ私たちの努力はすでに滞納になっているものをどのように整理して国庫収入にしていくかという努力でございます。現在主として一千万円以上の滞納につきましては、庁、局の段階で専門の徴収官を配置いたしまして、それぞれ分担をきめて滞納者の整理に当たっております。  ただ一口に滞納と申しましても、滞納の中身の話になりますといろいろと事情がからんでおります。ただいまお話しのありました一千万円以上の大口滞納の状況を申し上げますと、昭和四十三年三月末で三百五十一億でございます。全体が八百二十一億でございますから、約四割二分というのが一千万円以上の大口滞納ということになっております。この大口滞納を整理しつつ、かつ税務署におきまして一千万円以下の滞納をそれぞれやっておるわけでございますが、大口滞納を目がけての整理といたしましては、強制処分といたしまして差し押えまたは公売というふうな手続を進めておりますのが三百五十一億のうち百二十一億、猶予をいたしておりますのは、これは一定の納付予定の計画を達成いたしまして整理中のものが四十二億、その他五億五千万円ございます。ただ、不服申し立てまたは訴訟、会社更生法の手続にかかっているもの、こういうふうな性質のものは、どうしてもその方面の結審が出ませんと滞納整理の公売とか強制執行とか、そういうふうなことがなかなか出にくい事情にございます。これらがおおむね百八十二億程度ございます。したがいまして、できるところとできない部面とございますが、できる部面については極力滞納を整理するように努力いたしております。
  195. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国税債権の確保は適正かつ円滑に行なわれるということは当然なことでありますけれども、このような滞納関係について非常に進まないというのは何か制度的に欠陥があるのではないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  196. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 やはり国の債権ですから十分確保することがきわめて大事なことでございますが、そういう滞納をするような、ことに法人のような場合にはいろいろと債権関係が競合いたしているわけでございまして、国だけが優先的に滞納処分をして国の債権だけを確保すれば他の債権はどうでもいいというわけにもまいらない要素が多分にございます。ただいまなかなか進行しにくいと言ったのはそういう要素の多い分野であろうと思いますので、全体的に見ていまの制度が特に滞納整理を阻害しているとは私たちは考えておらないのであります。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、このほど脱税の疑いのある十四法人を対象にしたところが、十一万七千人、不正や計算違いで申告漏れがあった。意識的脱税は四万七千と見込んだが、大半が計画的脱税となって非常に手口が悪化している。新聞にもありますけれども日本は脱税天国だ、このように一口でいわれているわけであります。国税庁としては、そのような悪質な脱税に対してどのような態度で臨まれるか、もう一度最後にその所信をお伺いいたします。
  198. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 これは国税庁のみならず税制をつかさどる大蔵省も含めて本質的にはやはり税の自主申告、自主納付という大きな制度を打ち立てておりまして、それは要するに国家に対する納税者の納税意識の自覚高揚、道義というのがもう根本であろうと思います。国税庁の税務職員がただ税を執行するだけということでなしに、納税者の側が脱税をしない、自分の所得から税法に定められた税金を納めるということは、何と申しましても一番大事なことでございまして、私たちはかれこれ二十年間というもの、青色申告会、法人会その他いろいろな方法を講じまして、自主申告制度の育成強化ということにつとめてまいっておりますし、今後も全力を尽くしてまいりたいと思います。ただ、まだ新しい憲法下、新しい税制下におきましての期限というものは、二十数年でございまして、国民の御協力と申しますか自覚といいますか、そういった点において十分でない点があることは承知いたしております。その十分でない点につきましては、税務当局としては、国民の納税意識を確保する、または税を充実する、負担の公平を保つ、こういう観点から最大の与えられた力を用いて摘発につとめておる次第でございます。ただ私たちは、決していまの日本が脱税天国というふうなことになっているとも思いませんし、またそうなるようなことであっては、国税庁のわれわれとしてもまことに恥ずかしい次第でございます。そういうことのないように努力してまいりたいと思います。
  199. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公務員給与は上厚下薄だといわれていますが、税金は上薄下厚でないように、どうかその点十分に留意されることを要望しておきます。
  200. 小山省二

    小山(省)委員長代理 赤路友藏君。
  201. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと大蔵省のほうへ御注文をつけるというかっこうになろうかと思いますが、四十一年度の決算の説明、これはいつも出るわけなんですが、年度における施策の数字的な説明と申しますか、この程度年度内の具体的な行政されたもの、施策面を説明するのですから、非常にむずかしいことと思います。ただ、注文したいのは、重要なポイントだけは、説明にあたって何とかやはり考慮してもらいたい。  それで一つその実例を申し上げるわけなんですが、四十一年だけでなしに、さかのぼってずっとこの総説の中の経済の概観というのを読ましてもらいました。これをさかのぼって申しますと、三十七年の十月に引き締め政策を解除した。それから三十八年に入ると、鉱工業生産、輸入増大と経済が急テンポで拡大をした、そこで三十八年の十二月に預金準備率を引き上げ、三十九年三月に公定歩合を二厘引き上げ、金融引き締めの措置をとった。その題のところで、三十九年度のわが国の経済は引き締め政策のもとに推移をした。三十九年の十月以降引き締め効果が浸透をして、三十九年の十二月から四十年四月までに引き締めを解除した。それから四十年の経済は、三十九年以来の金融緩和策の実施にもかかわらず、停滞状態を続けた。政府は金融緩和と財政面からも積極的に景気の回復策をとった。不況は四十年秋に底をついて、四十一年に入るとともに景気は回復した。四十一年度経済国民総生産は前年度に対し実質一二・三%の伸長を示し、完全に不況から脱却するに至った。貿易収支も大幅黒字を出した。  大体三十八年度からこの決算説明を読んでみますと、概観はそういうことになっておる。これを並べてみますと、三十七年十月に引き締めを解除した。三十八年の十二月に引き締めを開始した。この間一年三カ月。それから四十年四月に引き締めを解除しておる。したがってこれは一年四カ月。それから四十年の秋不景気は底をついた。四十一年度景気は回復した。それから四十二年の九月に、これは宮澤さんだったと思うが、財政硬直引き締めということを言っておる。これが二年四カ月。こういうふうに引き締めあるいは解除し、引き締め、これを繰り返しておるわけなんですが、経済は生きておりますから、それぞれのときの変化に対応して手を打っていかなければならぬと思いますが、こういうような事態の中で中小企業の倒産、先ほど鈴切君からもありましたが、中小企業の倒産が三十九年は四千二百十二件、四十年が六千百四十一件、四十一年六千百八十七件、四十二年は八千二百六十九件、おそらく四十三年度財政硬直のあとを受け一万件近いものに倒産はなるのじゃなかろうか。これは負債一千万円以上であります。これを考えてみますと、財政金融措置を引き締めたり、解除したり、繰り返して行なわれておるが、中小企業の倒産はふえてきておる。ちょっと疑問を感ずるのは、一体そういうことはだれのためにやったのか、中小企業者はほうりっ放されたのか、こういう感じがするわけであります。何か説明があるかと思ってあっちこっち見てみますけれども、一向説明がない。この点、私は今後この決算説明を出されるときに十分ひとつ配慮してほしい。これが一点です。  それからもう一つは、これも一つの事例でありますが、日本輸出入銀行のところなんですが、この資金運用に次年度繰り越し三十五億五千五百万というのがあるわけです。これをもしお持ちになっておれば、四十一年度の説明の三百七十三ページ、ここに三十五億五千五百万あるわけです。どうしてもこれと対応するものが見出せぬ。わからない。数字と見合うものがない。それから政府機関の決算書の中にもこれに見合うような対応するものがありません。そこでこれを聞いてみましたら、年度末の貸借対照表の借り方の中に有価証券、それから現金の預金、仮払い金の合計、これから貸し方の雑勘定の総額を差し引いた残が次年度の繰り越し三十五億五千五百万円だ、こういう説明なんです。そうしてやってみるとそのとおりになるわけなんですが、何か説明がえらい不親切なように思うわけです。こういうものがあちらこちらで見受けられますので、わずかこれだけの中で一年間の総ざらいをするのですから、すべてそうしたものを入れていくということはむずかしいことだと思いますけれども、そうしたポイントだけはひとつ十分留意をしてやっていただきたい。これは注文です。答弁は必要といたしません。  そこで一つだけ聞きたいのですが、この説明書によりますと、四十一年度の不用額となったものが四千五百一億円、これだけあるわけです。そうして四十一年度の剰余金は九百二十九億円、こう記載されておる。そうしますと、この中で純剰余金はどの程度になっておるのか、この三ページに書いてありますのは「歳入歳出差引き昭和四十一年度の剰余金(歳計)は九百二十九億円となった。」こうあるわけです。そうすると純剰余金は何ほどあったのですか。
  202. 北田栄作

    ○北田説明員 お答え申し上げます。  四十一年度の歳計剰余金はただいまおっしゃいますとおり九百二十九億円でございます。このうち前年度の剰余金の使用残額が約二十一億ございます。これは四十年度の決算の剰余金にかかるものであります。これを差し引きいたしますと、当該年度剰余金が約九百八億円でございまして、これからさらに歳出予算の翌年度への繰り越し財源の充当額、これが三百九十億円ございますので、これを差し引きますと五百十七億円、こういうことになるわけでございます。この五百十七億円が翌々年度、すなわち四十二年度予算の前年度剰余金受け入れに計上される額になるわけでございます。
  203. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、純剰余金は四十二年度一般会計の中で出ておりまする前年度の剰余金受け入れ二十一億三千万円、これだけが純剰余金、こういうことですね。
  204. 北田栄作

    ○北田説明員 いや違います。ただいま申し上げましたように、四十一年度に発生いたします剰余金は翌々年度、すなわち四十三年度予算に計上されるわけでございます。したがいまして、ただいま先生のおっしゃいました四十二年度予算に計上いたしております二十一億円は、四十年度に発生いたしました剰余金を計上いたしているものでございます。
  205. 赤路友藏

    赤路委員 そうですか。四十年度に発生した剰余金が二十一億円。そうすると、四十一年度の剰余金も二十一億、そういうことになりますか。たまたま数字がそう見合ってきたというだけですか。
  206. 北田栄作

    ○北田説明員 四十年度の二十一億円に対応いたします四十一年度の金額は、先ほど申し上げましたように五百十七億でございます。
  207. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、純剰余金が出た場合――二分の一ですか国債償却は。国債償却はやっておりますか。何ぼですか。
  208. 北田栄作

    ○北田説明員 財政法の規定によりまして、当該年度に生じました剰余金の二分の一を下らない額を翌々年度までに国債償還に充てなければならない、こういうことになっております。ただしその場合の剰余金はいま申し上げました五百十七億ではございませんで、さらにこれから地方交付税等の財源充当等のひもつきのものを差し引きましたものがその対象額になるわけでございます。四十一年度について申し上げますと、地方交付税等の財源充当額が二百八十九億円ございますので、これを差し引きまして二百二十七億円、これが財政法第六条に規定いたします剰余金に相なるわけでございまして、これの半額が……(赤路委員「半額が償却……。」と呼ぶ)そうでございます。
  209. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、その次にお聞きしたいのですが、それは貴金属特別会計の二一九ページ。貴金属地金売払代歳入予算が二億八千万余りですね。それから歳入済み金額が二十六億四千百万ざっとありますが、非常に大きくふくらんでおるわけです。約九倍余りですか。これはなぜこんなに大きくふくらかったのか、その点を……。
  210. 結城茂

    ○結城説明員 お答え申し上げます。  予算のほうの二億八千万に対して決算が二十六億四千百万円となりましたのは、四十一年度におきまして金の需給逼迫ということから、特別会計で持っております金を四トン払い下げたわけであります。したがいまして、それは当初に考えていなかったといいますか、予算に計上していなかったことでございまして、その分が二十六億三千七百万円売り上げ代ということで収入に至ったわけでございます。  あと、その差額分については銀の売り払いでございます。二百五十七キロありまして、これが三百八十六万二千円、合わせまして二十六億四千百万円、かようになったわけでございます。
  211. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、最初の予定以上に払い下げがあった、それでふくらまった、こういうことですね。
  212. 結城茂

    ○結城説明員 当初の予算では金の払い下げは予定しておりませんでしたので、その分が収入になったわけでございます。
  213. 赤路友藏

    赤路委員 今度は国税庁関係に、交際費の税収入、これを少し……。これからの課題なんですが、これは非常に政治的な面になりますから、次官のほうで御答弁していただきたいのです。  三十九年度の交際費が五千三百六十四億五千百万円、それから四十年度が五千七百四十八億五千八百万円、四十一年度が五千九百二十五億九千七百万円、四十二年度が約六千億円、こういうふうにいわれておるわけなんですが、一年一年交際費の額というものが大きくふくれ上がってきておるわけです。それから四十年のものをちょっと調べてみたのですが、この五千七百四十八億五千八百万円の交際費に対して、課税対象になるのが七百四十七億、そして税額として二百二十億、こういうことになる。四十年度の交際費を会社別、金額別に見てみますと、相当大きなもので年間三億以上の交際費を使っておるのが百十二社、それから二億円前後のものが百十社、これだけ交際費と称するものが使われる。当然これは物価のほうへはね返ってきておるわけです。このままほっといていいかどうかということなんですよ。大蔵省のほうでこの交際費に対する対策を何か考えておられるかとうか。もっと率直にいえば、もっと税金を取っていいのじゃないか。それは考えておられるかどうか、そういうことです。
  214. 倉成正

    ○倉成説明員 交際費についてはいろいろ議論のあることを承知しておりますが、やはり業種によってはある程度の交際費が必要だということは赤路委員もお認めになると思うのであります。しかし、いろいろ世論の動向もございますので、四十二年度の税制改正で、交際費の支出を抑制しよ うという見地から、前年度の額をこえた場合に、超過額が前年度同期の五%をこえた場合にはその部分全額課税する。それから前年同期額より減少した場合には、減少相当額を否認対象から控除する。非常に小さいものでありますけれども、一応交際費がこれ以上伸びることはひとつ押えよう、こういう角度で四十二年度に交際費についての強化をやったわけでございます。したがって、この推移を少し見守ってみたいというのが私ども考えでございますけれども、来年三月にこの適用期限がまいりますので、これまで少し目に余るような交際費の使い方ということになれば、実態で少しつかまえてこれを否認していこう、こういうことを考えておるわけでございます。
  215. 赤路友藏

    赤路委員 いままで六千億近い交際費を使っておるものを、これはなくなるといったってすぐなくなるものではないと私も思う。ただ最近いろいろいわれておる中に、諸外国から来た人たち、特に経済人たちは、日本の交際費を使用することに対するかなりの批判を持っておる。だから社用族というのですか、日本の会社はありがたいものだ、皮肉な言い方ですがこう言うものがある。いま次官のおっしゃるように考えておられる。おそらく考えておられると思いますが、私はずばりこういうことを考えてみた。これは参考にならぬ。しろうとの私が考えるのですから参考にはならぬと思いますが、たとえば六千億という交際費があるわけですね。ゼロにするわけにはいかぬ。そうすると二千億はずばり税金で取っていいのではないか。そうして二千億はこれは社内留保をしておく。資本蓄積にもなるだろうし、同時に従業員の福祉関係にも使えるだろう。そうして二千億を交際費に使わす。三等分する。一ペンにはいかぬだろうが、しかし少なくともそのくらいのことは思い切って考えておやりにならぬと、いつまでもやはり社用族云々ということがついて回る、こういうふうに思う。先ほど公明党の鈴切君が言っていましたが、中小企業関係だとかあるいはサラリーマンの立場を考えますと、こういうものをいつまでも野放しにしておくということはどうかと思うのです。十分配慮していただきたい。それだけお願いして終わります。
  216. 小山省二

    小山委員長代理 以上で赤路友藏君の質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  217. 小山省二

    小山委員長代理 次に国または公社が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しているものの会計に関する件について調査を行ないます。  本日は参考人として全国農業協同組合中央会より常務理事安井七次君の出席を願っております。  参考人からの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと思いますのでさよう御了承を願います。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
  218. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、八月十三日に行管が行ないました民間諸団体に対する補助金についての勧告に関連をして、九月三十日に質問をいたしました。その質問に関連をいたしまして若干私のふに落ちない点がある。そこであらためて参考人の出頭を求めてこれからの質疑をすることを御了解願いたい。  まず裁判所の人定尋問ではございませんが、安井参考人に伺います。私とあなたは今日まで一面識もない。したがって何らの交際もない、そのことを一つ確認をしたい。  さらにもう一つは、この文書はあなたの自筆になるものかどうか、確認を願いたい。
  219. 安井七次

    ○安井参考人 安井でございます。いまお尋ねのように、田中先生とはきょう初めてでございます。面識がございません。御説のとおりです。それからこの文書は私が担当部のほうからお出しをするようにお願いをしておったものでございます。
  220. 田中武夫

    田中(武)委員 したがってこれの文責はあなたがお持ちになるわけですね。その二つをまず確認をいたします。
  221. 安井七次

    ○安井参考人 いま申し上げましたとおり私が部下に届けさせたもので、責任は私にございます。
  222. 田中武夫

    田中(武)委員 必要ならばあとで明らかにいたしますが、これは九月三十日の私の質問に先立って、質問内容に立ち入って、このようなことは聞かないでほしい、あるいはこのようなことは答弁をとらないでほしいというような意味のものであります。  その前に、私は郷里に帰っておりましたが、私のところに同僚から二回、三回の電話がありました。また私の地元の兵庫県の農協の中央会の会長だと思うのですが、それからも電話がありまして、地元から出ておられる代議士が、このような質問を――というのは、また私、何も言っていないのですが、このような質問をせられると私の立場がありませんのでといったような電話がありました。私自体が直後聞いた電話あるいは秘書や家の者が聞いて、直接私は聞かなかった場合、そういう電話が何回かにわたってかかっております。  そこで、まず私がふに落ちないのは、質問に先立って、もちろん出席要求をする必要あるいは資料を整えてもらう必要がありますので、ある程度のことは農林省の政府委員室あるいは衆議院の決算調査室もしくは委員部等には申しております。しかしながらいまだその詳細な内容については申しておりません。にもかかわらず、私が質問する前に、私が次の決算委員会でこのようなことを質問するであろうということがどこでわかったのでありますか。それに対してとかくの注文をつけるがごとき行動をとられたということ、私は納得がいきかねるのであります。したがって安井参考人にお伺いいたしますが、私が九月三十日にそのような質問、すなわち農協の補助金に関して質問するということをどこから聞かれたのですか。まずそれをお伺いします。
  223. 安井七次

    ○安井参考人 お尋ねの点は、たぶん九月の二十日前後と思います。私のほうの担当の部のほうから、御指摘の関係について委員会で問題になる、全中としてはどういうお考えでありますかということを農林省の担当課から私の事務局にお話があった。それが私に部のほうから連絡がありましたので、これは出なくなるとたいへんな問題でございます。そこで、そうすると委員会でどの先生がお尋ねになるんだろうかと聞きますと、残っておいでになるのはこういう先生です。そこで田中先生のお名前が出まして、いま申し上げましたとおりに一面識もございませんので、私が農政関係で社会党の先生で交際のある先生がございますから、そこへお願いをいたしました。面識がございませんので、われわれこういう予算を必要とします、先生にぜひ一ぺん申し上げたいんだが御連絡願いたいと申しましたところ、そのさる先生からは、田中先生の自宅に連絡したところ委員会が三十日で三十日の朝でないと上京しないから会う時間がないようだ、ついてはお願いの点をメモにしたためて私のほうに届けておいてくれないか、私のほうから田中先生にお願いをしておくからということで、いま田中先生お見せの文書を事務局に私の考えを申し上げて、そのさる先生にお届けをして田中先生によろしくとお願いをいたしたものでございます。
  224. 田中武夫

    田中(武)委員 残っておる委員はだれかということなんですが、残っておるじゃない、ぼくが最初の質問なんです、農林省に関しては。したがって農林省のだれかが私の名前をあげ、このような質問がありますということを漏らさなければ、あなたのほうへわかるわけがないわけです。  私がなぜこのことをわざわざ参考人にまで来てもらって申し上げておるかといいますと、御承知のように国会議員の院内の発言に対しては憲法上の保障がございます。御承知だと思います。しかるにその質問に対してとやかく――私は関係者からもちろん陳情があることは認めます。しかしこのような質問はやめてもらいたいとか、このような答弁をとらないでほしいとか、そういうことは私はもってのほかの行動であると思う。ことに、農林省の担当というのはだれか知らない。それが関係の民間団体に対してそういうことを打ち明けるというか漏らすというか、何々委員がこのような質問をいつやるということになっておりますのでということをいうこと自体、はなはだもっておかしいと私は思う。  そこで、農協中央会というところはいままででも、国会の発言に対していろいろと注文をつけたりあるいは圧力と申してもさしつかえないと私は思いますが、かけた事実があるのかないのか。実は御承知と思いまするが、そのようなことを発言に先立って手心を加えてくれ、あるいは頼んだとか頼まぬということが現にいま刑事問題にまでなっているじゃありませんか。かりにも私はこれによって私の質問をやめるというようなことはいたしません。しかし気の弱い人なら農協というところは三千万農家の上に君臨するところの組織であります。無言の圧力に屈する人もあろうと思います。国会議員の発言に対してそのような圧力的なあるいは干渉的な言動は厳に今後はやめてほしいのであります。また農林省の官房長、そういうことを担当が漏らしたということはどういうことなのか。しかもここに行管も出席を願っておりますが、行管から民間団体の補助金についての勧告が出たわけです。その勧告を受けるのは農林省であり各省であります。こういう勧告が出た、そのことで質問がありますから、農協の中央会の意見はどうですかなんて聞く必要がどこにあるのですか。どこにそういう必要があるのですか。こう考えてきたときに、どうも農協ことに全国中央会と農林省との間に何らか特別な関係があることが想像できます。今後どのようにしてやっていくのか。また安井さん自体は今回のことについてどう反省をし、今後そういうことはいたしませんということをここで確約ができるかどうか。私はこれは重大だと思うのです。こんなことに私はこだわっているようでありますが、このことは重大です。少なくとも国会議員の院内における発言に対してとやかくの注文をつけるとは何事ですか。官房長あるいは農林省の担当局長、安井参考人、それぞれの反省と今後の態度を伺います。
  225. 安井七次

    ○安井参考人 まことにどうも御迷惑をかけて申しわけがないと存じておりますが、田中先生御承知のように、その内容はわれわれが予算をする必要性、それから第二点は、特に県中央会の場合にかなりの予算をもらっております。それに及ぼす影響、そうしてひとつよろしくお願いいたしたいということに相なっております。私は普通のお願い書と考えて出しておりましたが、非常に御迷惑をかけたようでございますので、今後その点は十分注意をいたしたい、かように考えます。
  226. 太田康二

    ○太田説明員 私のほうの所管の問題に関しましてこういったことになりましたことについては遺憾に存じておるのでございますが、経過をちょっと申し上げさせていただきます。  実は農協中央会の事業活動促進補助金にかかる行政管理庁の勧告につきまして、決算委員会の調査室からこの補助金の趣旨とか内容、実態、農林省の意見につきましても説明をたしか九月十日前後だと思いましたが求められたのでありまして、その結果私のほうといたしましてはいつの日にかこの問題が決算委員会の日程にのぼるであろうというふうに予想いたしたのであります。実はこの件につきましては行政管理庁の勧告が出されて以来その取り扱いにつきまして、先生のおことばでございますと、交付先団体であるところの意見を聞く必要はないじゃないかというおことばがあったのでございますが、実は正式に農林省としての意見表明を大臣がお出になってやられるというようなことでもございましたので、それはけしからぬということでおしかりをこうむればそれまででございますが、私のほうとしては一応補助金の交付先団体でございますところの中央会の意見を聴取したのでございまして、それによりましてどう処理するか、それに対してどう対処してまいるかというようなことを決定いたしまして、九月三十日の委員会に臨んだのでございまして、その後の経過におきまして今回のごとき事態を生じましたことは、まことに遺憾であったと存ずる次第でございます。
  227. 大和田啓気

    ○大和田説明員 この問題の経緯等につきましては、ただいま農政局長から申し上げたとおりでございます。私ども農林省といたしましては、かねてから補助金の適正な運用については常に心を砕いて努力をいたしておるところでございます。今回の問題につきましては、全中の安井常務からお話がございましたように、決して圧力団体として国会議員に圧力を加えるという趣旨では毛頭なかったと私ども思います。ただ情を述べて、いわば陳情をして、事態の本質について御理解いただこうという熱意のあまりやったことだろうというふうに考えるわけでございます。いろいろな経過がございまして、先生がおっしゃるような形になりましたことを私どもはなはだ残念に思っておるわけでございますが、今後ともこういう行き違いのありませんように十分心づかいをいたすつもりでおります。
  228. 田中武夫

    田中(武)委員 これは今日の政治ですからね。私は、民主的に民間団体あるいは関係者の意見を聞く、これは必要だと思うのです。だがしかし、この問題に関しては、行管が農林省へ勧告をした、それを受けて立つべきは農林省である、あるいは大蔵省である。もしこのことについて決算委員会で問題になり、当該団体の意見が必要とするならば、私は同僚議員に申し上げまして、そんなに私に言いたいことがあるなら参考人として来てもらって意見を聞いてもよろしいと言ったのです。私のほうから委員長にはかり、理事会にはかって、農協の中央会の代表に来てくれと、こういう場合もあろうし、あなたのほうからひとつ参考人として意見を述べさしてくれということを委員長に申し述べることもできると思うのです。そんなやり方は、いま農林省の官房長と局長が申されたことについては私はいささか了解に苦しみます。  さらにもう一つは、いまのそれぞれ各自の発言を見ても、決算委員会で問題になるであろうということはわかる。当然問題になります。しかし、だれが取り上げるのかということはいまの発言から出てきていないです。おそらく決算委員、まあ与党の人はまさかやらないということなら、野党全員に同じものが行っているかと思ったら、そうでもなさそうなんです。したがって、私がねらい撃ちなんです。不肖田中質問をするということは、一体だれがだれに漏らしたのか、はっきりしておいてください。
  229. 太田康二

    ○太田説明員 実は、最初に、たしか九月十七日かと思いましたが、決算委員会がございまして、その際、吉田先生と華山先生とそれから田中先生が御質問をなさるというふうに聞いておったのでございますが、まあ吉田先生と華山先生の質問内容が大体わかりまして、現にその日にそういった質問もなかったので、おそらく農協側としては、残られる田中先生がおやりになるだろうというふうに察したのじゃないかというふうに考えております。
  230. 田中武夫

    田中(武)委員 華山委員と吉田委員と私が通告をした。その三人のうちで二人の質問内容はわかったから、あとに残っている私だということは、何のためにそういうことまで言う必要があるのです。吉田さんが何をやる、華山さんが何をやるということまで知らす必要がどこにあるのです。またかりに当該団体等の意見を聴取する必要があるとしても、それは決算委員会で問題になると思うから、あるいは今度そういうことで通告が出ておりますのでと、こういうことまでは百歩譲って考えられるとしても、やるのがだれだということは出てくるはずはないでしょう。それともよほどあなた方は予見することが予言者以上にうまいのか。あるいは松本清張以上に推理力が働くのか。私も推理小説好きなんですよ。だがこれだけの条件でそこまで推理できませんね。局長のほうがよほど推理力はいい。頭がいいということになるね。少なくとも農林省にはわかっておる。大体これこれの勧告に対して質問するということは政府委員室へ言っている。しかし、それから先農協中央会でなぜわかった。こういうことが次の決算委員会で問題になる、あるいはそれ以前に行管がその勧告をした時点において、こういう勧告があったが、来年の一月十五日ですか、までに何とか処理せなくてはいけないのだ、その段階において、すなわち八月十三日の段階において意見を聴取することは、私はそれはいいだろうと思うのです。決算委員会が開かれておるときに具体的な人名をあげてなぜやる必要があったのか、そんな必要がどこにあるのか。どう説明せられようとも、具体的に私の名前をあげて質問があるということは、言う必要もなければ、漏れることがおかしいのですよ。どう言われてもおかしいのです。いままではそういうことで、いろんな問題に関しての国会議員の発言に対し、いわゆる干渉したり圧力をかけたりあるいは頼んだり、そういうことが間々あったことが推察せられます。農林省の諸君とあるいは農協の諸君、憲法における国会議員の発言権の尊重、これの保障ということについて一体君たちはどんなに考えておるのだ。どう考えておるのか。私の名前が出るということはあり得ないことなんです。また、その必要はないわけなんです。それがわかったということはどうしても私は了承できないのです。もしかりにここではっきりしなければ、ひとつ捜査官でも入れて捜査してもらいましょうか。いかがですか。どういう経過で安井参考人、私の名前を具体的にだれから聞いたのだ、はっきりしてもらいたい。
  231. 安井七次

    ○安井参考人 私は、先ほど申し上げましたとおり、農林省からこの問題に対して全中はどう考えておるか、そこで諸般の事情を事務局同士で話し合いをしたことを私聞きまして、さて、まずどの先生に御了解を求めに行ったほうがよかろうかというそういう判断をいたしまして、田中先生のところへお願いをいたしたということでございます。
  232. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほどの答弁と若干ニュアンスが変わってきましたね。先ほどは、残っておる委員はということだった。私が言っているのだ。その日では私が一番最初にやっているのですよね。たとえば吉田さんは私のあとでやっておるのです。いや華山君が先やっていますね。その日にならないとわからないのですよ、質問の順序は。まあ社会党が先でその次が民社で公明党ぐらいのこと、あるいは自民党が希望があればそれが一人ぐらい先になるということは、前の運営でわかります。しかし具体的人名をあげて、あと先ということについては、その日の理事会にならないときまらないのですよ。それをあとから、残っている人だということを言った。いまの答弁と若干食い違っていますね。だから、いまここでその漏らした人をどうしろと私は言わないのだ。どういう経過でそういうことが漏れたということと、今後そういうことはいたしませんということとはっきりすれば、私はそれでいいと思うのですよ。このことでいつまでも私はこだわりたくない。ただ申し上げたいことは、先ほども言ったが、こういうことで質問に対して頼んだとか頼まないとか、手心を加えるとか加えないとかということで現に刑事問題として争われている事案があるじゃないですか。しかも、先ほど来言っているように、全国の農民三千万、この農家の上にあぐらをかく――あえてあぐらをかくと申します。全国中央会が、言うならば気の弱い人なら引き下がるでしょう。私のようなちょっと変わったやつも少ないですからね。相手が強くてもどうであろうが、やるならどこまでも勝負しますよ。何なら兵庫県の農協全部に指令を出しなさい。いつでも勝負します。そのことについての反省と今後どうするかということをはっきりと、ひとつ各自に、議事録に明確にとどめるように御答弁願いたい。さらに、おそらくやだれが出したかしりませんが、その名前を私は具体的に知りたいのだが、これを、ここまできて知らすと、その人の今後のつとめといいますか、あるいはもっと下僚の人であるかもしれません、その人の身分にまで関係するようなことを、名前が出れば私もやらなければならない。だから、そこまではやめましょう。しかし、だれがどういう経過でやったかということは大体想像がつくのですよ。いままで農林省というところは、とかくそういうことが多いのだよ。関係団体とツーツーで、委員会等で質問がありそうだったら人を動員して、頼んでやめさすとか、そういうことをいままでやった事実がありますよ。今後どうするかということについての決意と、このことについての反省を一人ずつ、明確に議事録にとどめてください。
  233. 安井七次

    ○安井参考人 先ほど申し上げましたとおり、私はお願いを申し上げたことと考えておりましたけれども、非常に御迷惑を先生におかけしたようで、今後注意いたしたいと思います。  なお、考えますことは、やはり時間的な関係で相すみませんでしたが、やはり、われわれは先生に会って、なまにいろいろ申し上げて御意見を伺ったほうがよかっのじゃなかろうか。いささか、文書を出したというところに相通じないものがあったのではないかと考えておりますが、これからお願いするときには十分お話を申し上げて、誤解のないように、そうして先生方の協力をいただきたいと思っております。
  234. 太田康二

    ○太田説明員 私も先ほど申し上げましたとおり、今回の一連の過程におきまして、たいへん御迷惑をおかけしたことに対しまして深く反省をいたしておるのでございまして、今後かかることのないようにつとめたい、かように考えております。
  235. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私ども農林行政を進めるに当たりましては、国会の議員方にいろいろ御説明をし、また御納得を得なければならないことが多々あるわけでございまして、たまたま今回の問題で、いろいろ行き違いができましたことについては、私ども関係者として反省をいたしておるわけでございます。今後国会の先生方に対しまして御説明いたしましたり、あるいは御納得を得るために努力を放棄するということはもちろんいたしませんけれども、その方法等につきましては、行き違いのないよう十分注意をいたしていきたいと考えております。
  236. 田中武夫

    田中(武)委員 少し、まだ時点が違うように思うのです。まず安井参考人ですが、お会いしたらよかったということですが、質問に先立って会うこと自体がおかしいですよ。私は絶対会いません。そういう問題をむしろ――あなたのほうが八月の十三日に行管からそういう勧告が出たことはわかっているのですよ。ならばその時点で説明すべきです。具体的に取り上げるからと言ったから、その人に対して何らかの方法をもってするということは誤りです。いいですか。  それから、行管どうなんです。こういう勧告を出すときには関係団体の意見は聞くのですか、聞かないのですか。調査するのですか、しないのですか。これをついでにちょっと伺っておきます。
  237. 土田兼孝

    ○土田説明員 私のほうで監察いたしますときには、直接的には農林省を調べまして、それの関係上農協に行きまして調べたわけでございます。
  238. 田中武夫

    田中(武)委員 ならば農協としても勧告に先立って、行管にも農協の考え方は出ておるわけですよ。いずれにいたしましても、今後一切個人の名をあげて、だれがこういうことを質問するからこうしなさい、あるいはこうしてほしいとか、こういうようなことは絶対許しません。農林省の各役人及び農協の安井参考人をはじめ幹部の方々に銘記してもらいたい。いかがです。
  239. 安井七次

    ○安井参考人 よくわかりました。銘記をいたします。
  240. 太田康二

    ○太田説明員 私どもも今回のようなことが起こらないようにいたします。
  241. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私の申し上げたいことは、先ほど申し上げたとおりでございます。十分今後注意をいたしたいと思います。
  242. 田中武夫

    田中(武)委員 私は気が弱いので、もっときつくやるつもりでおったが、しかし、こうしてお互い顔を見ますとこの程度でおいてやろうか、――しかし、私は手心を加えたのではありません。まあ一応この問題はこの程度にいたします。しかし、またあとで、終わったのではありません。  なお、しばらく時間をいただきまして、せっかく安井さんが見えておりますので、農協の運営について二、三お尋ねいたします。  まず第一点ですが、私の言う場合は、大体単協を意味する。ときには府県中央会あるいは全販連ですか、全購連等々も含めて農協ということばを使います。そこで農協の運営は現在民主的に行なわれているとあなたは判断しておりますか。
  243. 安井七次

    ○安井参考人 私は、不十分なところがあるにしろ、民主化の役割りを持った農協では、そういうぐあいに運営ができるよう指導いたしております関係上、事例は一、二ございますかどうか知りませんが、行なわれておると思います。しかし、改善する点はございましょう。
  244. 田中武夫

    田中(武)委員 大体私は同じようなことがどこでも行なわれておると思うのですが、私の身近な農協を例にとりますと、市内に五つ六つの農協があるわけです。そういたしますと、同じ日に総会を開くのです。そうして余興ということで芸能人を一緒に雇うのです。それでA農協は十二時から会議を開き、十二時半から余興に入ります。そういうことで芸能人を入れかえて回らすわけです。したがいまして、こちらに時間をあまりかけますと、隣りの農協に迷惑を与えます。こういうことで三十分くらいで終わるように仕組まれておるわけです。そうしてまた農協の総会に行く人もそういうことであるから、じいさんばあさんが多くて、農協の総会というよりか、何かちゃちな記念品か何か一つ出して、あとは漫才でも聞きに行くんだという気持ちで行くわけなんです。そうして何か質問でもしようものなら、あとがつかえておるということで質問ができないような零囲気である。いうならば民主的な総会が持たれていない、組合員の自由な発言が封ぜられておる、私はこう思いますが、そういう事実御存じですか。
  245. 安井七次

    ○安井参考人 具体的には、そういうことは私知りませんが、とかく言われておることは言われておるようです。そこで、その場合に、大ぜいの方々の集まりだから、組合員がなごやかにやるという意味もございましょうが、大事な議事をするところですから、その前に部落ごととか、そのあたりで十分行なわれておれば、大ぜい集まってかんかんがくがくをやります、それも一つの方法、しかし、私はそれより以上に部落ごとに十分議事が出て、やっていく必要がある、もしそれもやらないでアトラクションで終わるというなら、これははなはだどうかと思います。
  246. 田中武夫

    田中(武)委員 実態をお調べ願いたい。そしてそういうことについては中央会として当然の任務として御指導願いたい。きょうこのことは議事録に残っております。これからあとの農協の総会のあり方を――私も実は私のところの農協の準組合員――組合員ですよ。したがって、今後の農協の総会のあり方はすぐわかるわけです。どういう指導をせられるか、これはひとつ見守っていきたいと思います。いいですか。何か意見がありますか。
  247. 安井七次

    ○安井参考人 そこで、具体的にそういう指導、現実を見守るというのは、段階がございまして、その場合には県の中央会、これが指導の衝に当たります。しかし、われわれは先生のお話のありましたのを十分申し上げて、そういう指導をするように県中央会に申し上げようと思っております。
  248. 田中武夫

    田中(武)委員 言わなくてもあなた御承知のように、私兵庫県です。だから、府県中央会はどこであるかということはすぐわかるわけですね。  次にお伺いいたしたいのですが、よくこういうことばを聞くのですよ。なぞかけで、農協とかけて何と解く、その答えは何と答えても当たるということです。葬儀屋と答えてもいいし、結婚式場と答えてもいいし、ホテル、バッティングセンター、ガソリンスタンド、何を答えても当たる。まあ、組合員のために事業をやられるのだから、私はあまりそのことについては追及いたしませんが、何でもかんでもやっておるということで、その付近の中小企業等々とトラブルがある。しかしながら、農協のほうは巨大なる組織を持っておる。その役員さんは、その地元における顔役であるといいますか、実力者なんだ。往々にして泣き寝入りが多いのです。そういうような状態に対して中央会は一体どう考えていますか。農協とかけて何と解く、答えは何を答えても当たるのです。いかがです。
  249. 安井七次

    ○安井参考人 どうも、そういうおことばが出ますると、具体的に言ってみたらみんな当たる――当たらぬものもある。われわれのほうは、そういうことでなくて、農協法で定められております事業、その範囲内でやっております。農協法で許されない範囲のことは、たとえばいまのホテル、これは農協みずからやりません。これはやれません。出資をします。他の法人へ出資をしてやっておる。共済連の農民のためのホテル――ホテルといえばりっぱな名前だが、そういうものは別途法人をつくってそこへ出資をいたして、みずからの経営にはなっておりません。
  250. 田中武夫

    田中(武)委員 人格を別にしてそこへ出資しているということ、そのことがおかしいのですよ。私はそのこと自体、ホテルを経営すること、これはいけないと言わないのです。いけないと言えないが、もっと秩序ある方法がないのか、こう思うのです。たとえば、購買事業等を見ましてもどこか狂っておるのですよ。いまや農協は農民の代表機関ではなくて、独占体に奉仕する組織になっておるわけです。肥料の問題をとってもそうです。飼料をとってもそうです。私は幾らか資料を持っておりますが、時間の関係もあるからあまり詳細にわたりませんが、そういうことなんですね。そういうことについて、もっと秩序ある事業活動を私は望みたいと思うのです。いかがでしょうか。もしそういうことがないというなら、具体的な例をあげ、私の持っている資料で質問いたします。
  251. 安井七次

    ○安井参考人 いま私具体的にわかりにくいのですが、ただ独占なり寡占企業に奉仕する、あるいはその言うなりになるというようなおことばがございましたようですが、御承知のように農協は零細な農民の集まりですから、そういうことは私はないと思いますが、ありとすれば十分検討して、ないように指違いたしたいと思います。
  252. 田中武夫

    田中(武)委員 中金を通じてきた金ですね、これは農民から段階を経て吸い上げた金ですよね。共和製糖の事件を持ち出すまでもなく、独占に奉仕しておるという事実は幾らでもありますよ。飼料一つとっても、現在の飼料の原料の七〇%までは海外依存です。それを農協のほうで――だから私は定義を農協にしぼると申しました。全購連とか全販連とか経済連とか言わずに農協と言っておるのですが、やっておるでしょう。いまや農民は、言うならば国際商品の消費者なんですよ。そうでしょう。そういう観点から見て、だからといって飼料会社に出資をする、かん詰め会社に出資をする、こういうことは、一がいに悪いとはいえないとしても、そのことは農民に安い飼料を配給するという本来の姿勢から反して、むしろ高いものを買う、もっと自由なる競争があるならば――七〇%まで国際商品に依存しておる、こう考えたときに、私はもっと考えるべき問題があるのじゃないかと思うのです。盛んに小首を傾けておりますが、疑問がありますか。これは局長と双方にお伺いしましょう。秩序ある事業活動をしてもらいたいということです。
  253. 太田康二

    ○太田説明員 先生御指摘の農林中金を通ずる関連産業貸し出しの問題でございますが、これは理屈だけになるかもわかりませんが、いわゆる農業が資材を提供してもらう産業、肥料とかえさでございますが、こういったものに、いま先生のおっしゃいましたように、農民から順次上がってきた金を農林中金に集めまして、農林中金を通じて貸し出すことによって、資材の購入の場における農民の発言権を強める、逆にまた、農民の生産物を加工する産業に貸し出し等もいたしておりますが、これらは当然農家がこれを買う場合に有利に扱ってまいりたいというような趣旨に基づいて、関連産業貸し出しをいたしておることは、御了解をいただけるのではないかというふうに考えております。  えさの問題が先生から出ましたが、えさの問題につきましては、確かに現在の豚、ブロイラー、採卵用鶏等におきましては、日本でほとんど生産のできませんトウモロコシ、マイロの輸入が非常にふえておりまして、全体として輸入がふえておることはまことに遺憾に存ずるわけでございますが、そこで、全購連を頂点といたしまして、各連におきましてえさ工場をつくりまして、原料手当ては全購連がやりまして、それでできる限り安いえさを畜産農家に提供するということを一生懸命おやりになっておるわけでございます。  全購連とその他の商人系との競争ということは当然あるわけでございまして、肥料におきましても、えさにおきましても、農機具におきましても、それぞれ、確かに金融その他の点におきまして農協のほうが力があることは先生の御指摘のとおりであろうかと思いますが、われわれとしては、やはり流通二本立てということで、こういったことの競争が適正に行なわれるようにはかってまいりたい、また、まいらなければならない、かように考えております。
  254. 安井七次

    ○安井参考人 私は、先ほど申し上げましたとおりに、農家の買うものは農民のために安くなるように組合を結集してやる――これから肥料の問題でまたお願いをいたしたいと思いますが、三法の存続、延長ということで進みたいと思っておりますが、先生のおっしゃるように具体的に、そういうおまえの言うこととはちょっと違う点があるぞということがありますれば、十分検討し、注意をいたしたいと思います。
  255. 田中武夫

    田中(武)委員 農協の歴史を考えたときに、まず産業組合運動が起こってきた。私はその段階においてはそれだけの意味があったと思う。それが今度戦時中に帝国農会となっていわゆる農民統制機関となった。そして戦後農業協同組合法によって民主化せられたといわれておるが、まだ農民統制機関であったときの考え方というか遺物がどこかに残っておる、こういう感じがするわけです。具体的の事実をあげろというならあげます。しかしきょうは私も五時までには終えたいと思いますので、あとはまた、委員長にお願いして、もう一度安井さんに来てもらってやります。  たとえば農協の信用事業についても疑問がある。一つの事実でありますが、練馬区で建て売り住宅を建てた人がある。それを買いにきて、頭金の問題で施工者、いわゆる売り主と相談した。金が足りない。農協へ行きなさい、すぐ貸してくれますよというので、その人は、それは農協とは無縁の人ですが、半信半疑で行ってみた。ところが五十万円までは支店決裁で貸すことができますからどうぞということで、手続上は準組合員になって金を借りたという事例がございます。今日高度成長ということで、第一種農家と第二種農家がその地位を変えつつある。四十年を契機として第二種農家のほうが、数字をあげてもよろしいが多くなっておりますね。そういうことに従ってだんだん農協には本来の農民としての人よりかそうでない人のほうが多くなりつつある。ことに東京その他の大都市近郊においてはそういうことがはなはだしいのです。正会員たるには十ヘクタール以上の耕作とか鶏三十羽以上とかいうあれがあるのでしょう。ところがたとえば練馬農協を調べた場合、正会員は八百人、準会員が二千八百人です。大田農協では組合員の七分の一以下、三百十五人しかいわゆる正会員はいないわけです。あとの七分の六が準会員です。そうして正会員三百十五名のうちの三分の一だけが専業農家であるという実態になっております。これは経済の変わりによって、私は全然いけないともいえないと思います。しかし私は、この農協の中における正会員と準会員の比率は、いつかそういうことも言われたと思いますが、八対二ぐらい、正会員のほうが八、準会員が二ぐらいが正常な農協ではなかろうかと思うのです。それが今日その地位を逆転しておることが農協のいわゆる地位といいますか活動を変えてきたと思う。それは私は認めざるを得ない一面もあると思います。しかしだからといって、何でもやっていいとかいうことともいえないし、その辺のところをうまく考え、うまく指導する必要があると思います。  さらにもう一つは、どうも農協は何だかやる場合に、それは農協の理事ということになっておるのでしょうが、大体部落の自治会長だとかそれなりの地位を持っている人を動員して、何百万円貯金週間あるいは生命共済、火災共済目標幾らということで回るのです。ときには地域婦人会を動員しておる。ともかく部落を競争せしめる。そして隣の部落が目標を達成するならうちもということで、いつか私もこんなことを言ったと思いますが、現に選挙前であっても、選挙資金を一日だけでもかまわぬ入れてください、そういうことをやっておるのですよ。そうして現実を見ると、農協の信用部門は資金がだぶついておる。これは金利も一般金利より一分高い。そういうこともありますし、もう一つは、食管関係がある、米の予約販売と関係があるわけなんですが、そういうことで資金はどんどん集まってくる。言うならば資金がだぶついて困っておるという状態です。だから必要以外のところへ投資する。言うならば金貸しと保険屋でようやく息をついておるというのが実情なんです。保険屋というのは共済事業、金貸しというのは貸し付けです。信用事業です。そういう実情であり、そうであるからその金が変なところへ使われる。現に京阪神土地の事件をまつまでもなく、岐阜市農協が二十億円を全然関係のない山田という――その間に人が入ったのかもしれませんが、導入預金をするというがごときは、農協の信用活動として何としても許されない。一体監督の衝にある農林省あるいは指導の衝にある全国あるいは県の中央会等は何をしておったのか。現にここに私は一つ新聞の切り抜きを持ってきておりますが、最近福岡の仲原農協、これが不正の融資をして二億円を焦げつかせた。前副組合長等が背任罪等で捜索を受けておる。これはごく最近の事実です。この辺を見た場合に、何か狂っておるのじゃないですか。今日にしてもう少し私は考えなければいけないと思う。監督及び指導の立場にある御両人いかがですか。
  256. 太田康二

    ○太田説明員 確かに先生御指摘のように、最近一般的に都市化の傾向がございまして、そういった地帯におきます農協におきましては、兼業収入による預金あるいは土地の売り渡し代金による預金等が非常にたまりまして、これらの運用につきまして、ことばは悪うございますが、農協が非常に苦慮しておることは事実でございます。と申しますのは、実は農民の非常に欲する資金としては、長期低利の資金でなければならぬわけでございますが、必ずしもこれに耐え得るような資金源がないというようなこともございます。したがってそれはもちろん一定のワクでの運用は認めておるわけでございますが、やはり上部機関でございますところの信連に上がるというようなこともございまして、農協の組合系統金融の問題はいつも古くて新しい問題になっておるわけでございます。先生御指摘の不正事件も実は信用部門において起こっておることは御指摘のとおりでございます。  そこでわれわれといたしましては、農協信用事業の整備強化につきましては指導をいたしておるわけでございますが、まだ十分でないことは遺憾に存ずるのでございます。農協法上、国、県を通ずる検査を、実はこれは条例として毎年一回検査することになっておりますが、予算、人員等の関係で十分できておりません。これらを強化いたしまして、不正貸し出し等のないように、あるいは貸し出しの健全化、貸し出し体制の整備ということの指導をやってまいらなければならないというふうに考えております。現に農協におかれましても、全国の農業協同組合中央会あるいは農林中央金庫、全国信連協会等が一体となりまして、今年農協の信用事業の整備強化連動というのを自主的な運動として展開をされておるのでございまして、これによりまして一応貸し出しの健全化と貸し出し体制の整備、あるいは内部の公正機能の整備強化という点に重点を置きまして今後指導に当たられる。そして先生御指摘のような、たとえば定款違反の貸し出しをしているとか総会できめた貸し付け限度額を越えて貸し出しをしているとかいうような事実をつかまえましたら、すみやかにそれを是正するような措置を団体自体の自主的な運動として展開される。そこでこの前先生に申し上げましたように、私のほうもこれに協力する意味におきまして、明年度はそういった意味の指導監督の補助金を県のほうに出したいというので、実はたしか千二百万ほどの予算要求を出しております。というようなことでございまして、やはり私ども行政庁といたしましては、法律に基づきますところの条例検査等の権限を通じてこの適正化をはかってまいらなければならないというふうに考えております次第でございます。
  257. 田中武夫

    田中(武)委員 さすがに農林省農政局長は能吏である。ころんでもただ起きない。欠陥を指摘したらそれを切りかえして、行管の勧告があったにかかわらず来年度新たに補助金を新設する。農協特別事業費補助金ですか、それを一千二百七十五万円あげておる。欠陥を指摘されたら、だからこれが必要だときたあたりはさすがに能吏だ、称賛に値すると思いますが、直ちにそれを了承するわけにはまいりません。しかしこの問題についてまたあらためてやることにいたしまして、次に進みたいと思います。  農協法の五十二条には出資組合の余剰金配当の規定がありますね。農協はもうけていると思うのです。現に、ちょっと古いのですが、農林省が三十七年に二百四十三組合から抽出調査をしたところが、これは金額はたいしたことないですが、八十四万円ですか余剰金があったという結果が出ておるわけです。ところが農協の配当ということをあまり聞かないのですが、これは一体どういうことになっておるのかということが一点。  さらにこの配当の方法に二つある。一つは利用率による配当率及び出資組合における出資金額に対する配当率。したがってこれらのことに対して一体いま配当しておるような組合が幾らあるのかということ、その中でどういう配当をしておるのか、たとえば利用率に基づく配当についてはどういう計算をしておるのか、そういうことをひとつお伺いいたしたいと思います。
  258. 太田康二

    ○太田説明員 先生御指摘のとおり出資配当と事業利用分量配当がございまして、法律では八分以内ということになっておりますが、現在単協におきましては出資配当はたしか六分、それから連合会の段階では大体八分ということでやっておるのでございます。それから事業利用分量配当につきましては、当該年度における事業利用量の計算をいたしまして、それに基づいてそれぞれ全国連あるいは県連を通じて所要の事業利用分量配当をいたしておるのでございます。
  259. 田中武夫

    田中(武)委員 やっておるのはどのくらいあるのですか。
  260. 太田康二

    ○太田説明員 四十一年の数字で多少古うございまして恐縮でございますが、現在農協の統計ではこれが一番新しいものだと思いますが、これによりますと、出資配当金を実施いたしております組合の数が、未処分利益剰余金を計上した組合が六千二十五ありまして、そのうち出資配当をいたしておりますのが四千二百九十九組合、特別配当金としての、先ほど申し上げました事業利用分量配当をいたしておりますのが二千百四十八組合、こういう数字になっております。
  261. 田中武夫

    田中(武)委員 私も先ほど言ったように準組合員で、これは二十何年か前の出資ですからほんのわずかです。私の近くの農協、これは全国的に言えると思うのですが、どんどん農協が建物だけは近代化し、きれいな、おそらく農村では農協の建物が一番いい、りっぱな建物である。ところが私は一向に配当をもらった覚えがないのですがね。そのことはいいとして、私はそのように剰余金を出しておる、六千のうち四千組合が配当しておるというならけっこうです。しかし私は配当なんてやっておるのか、五十二条は空文になっておるんじゃないかという懸念があったから伺ったわけです。堂々たる建物を建てるのもけっこうです。しかし農協法が空文化しないような運営をしてもらいたい。  そこで委員長、もう約束の時間ですから、と言ったって私がかってにきめたかもしれない。まだ農協について聞きたいことがたくさんあるのですが、きょうはこういうように社会党のお二人が義理ですわってくれておるくらいで、こんなところでやったって、せっかくの千両役者の出演にはもうちょっと観客がいないとおもしろくないので、あらためて安井さんにはもう一度来ていただきまして、農協の問題で私はたくさん資料を持っておるのです。始まるのが予定より一時間余りおそくなったから、きょうはこの程度にします。安井参考人にはたいへんごくろうさんでございましたが、もう一度来てもらいます。そしていろいろと私が農協に対して持っておる疑問にひとつ答えていただきたい。もちろんそのときは農林省も一緒ですが、そういうことを要望いたします。委員長、よろしいですね。
  262. 小山省二

    小山(省)委員長代理 けっこうです。
  263. 田中武夫

    田中(武)委員 それではきょうはこの程度にいたしまして、自余の質問は留保いたします。
  264. 小山省二

    小山(省)委員長代理 安井参考人にはお忙しいところを調査に御協力をいただき、ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十七分散会