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華山委員 いままでいろいろな場合がございました。法律を改正いたしましたり、新しく法律をつくったりいたしまして、これに要する経費を予備費でまかなったということはあります。ありますけれ
ども、その額はきわめて少ないのです。また、たとえば炭鉱の爆発であるとか、あるいはその際に新しい法律をつくらなければいけなかったとか、あるいは災害の場合とか、あるいはどうしても緊急に新しい役所をつくらなければいけないとか、そういうふうな場合に、少額のものについて予備費でまかなったという前例、これはあります。ありますけれ
ども、今度の公務員給与の改定には六百億くらい要るのでしょう。六百一億とかいうことですね。予備費の大半をこれに使うということでございまして、法律の改正だけで予算をつけてこない、そういうふうなことは、私は、憲法のたてまえからいっても許されぬ、性質上おかしいと思うのです。予算の裏づけのない、これに見合う予算のない法律の改正案は、私はちょっと考えられないですね。御承知のように私から言うまでもないので、予備費というものは予算ではないのですから、そういうようなことは私は政治上おかしいと思うのです。もしもこういうことが許されるならば、将来にはこういうことが起きるかもしらぬ――
政府のほうがよくわかっているわけです。そういたしますと、その分だけは予備費の中にみな入れちゃって予備費をふくらましておく、そしてその段階になって法律の改正なりあるいは条約なりを出しまして、予備費から出します。それですから、予算審議の段階においてそういうことについて審議ができないわけです。私は、そこに予備費が非常に貴重なものであるとともに
政府に対しては便法を与えるものだと思うので、予備費の使い方は厳格でなければいけないと思う。このような例が広がるならば、予備費の半額は法律の改正を出してそれに使ってしまう、そして出されるところの改正案には予算はついていない、したがって
委員会の組織からいうならば、予算
委員会にはさっぱり何もない。そういうふうなことは私は憲法上のたてまえから見ても
財政民主主義のたてまえから見ても、与党の方といえ
ども同じだと思うのですけれ
ども、国会がたな上げされるのじゃないか。そして先ほど言ったとおり、国家公務員についての経費は初めから幾らだなどということは考えておりません、こういうことでしょう。これじゃ何ともならぬじゃないですか。いままでですと、補正予算を組めば、たとえば七月実施あるいは八月実施といいましても、もっと
歳入があるんじゃないか、もっとこのために
財源があって予算が組めるのじゃないかというふうなことで、予算の審議の段階においてできるわけですね。ところが今度は予算を出さないのですから、どこだって審議のしようがない。
政府の意のままです。これは
財政民主主義に反しませんか。国会の権限からおかしくないですか。