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1968-09-18 第59回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月十八日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 白浜 仁吉君    理事 田川 誠一君 理事 田中 武夫君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       石田 博英君    菅野和太郎君       野田 武夫君    長谷川四郎君       早川  崇君    原 健三郎君       赤路 友藏君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君  委員外出席者         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林大臣官房経         理課長     樋貝  勇君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省畜産局長 立川  基君         農林省蚕糸園芸         局長      池田 俊也君         農林水産技術会         議事務局長   近藤 武夫君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         林野庁長官   片山 正英君         会計検査院事務         総局第四局長  鈴木 治久君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 九月十八日  委員篠田弘作君、丹羽久章君、水野清君及び山  田太郎辞任につき、その補欠として石田博英  君、野田武夫君、長谷川四郎君及び鈴切康雄君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員石田博英君、野田武夫君及び長谷川四郎君  辞任につき、その補欠として篠田弘作君、丹羽  久章君及び水野清君が議長指名委員に選任  された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (農林省所管農林漁業金融公庫)  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  先般、歳入歳出の実況、政府関係機関の経理及び公団等、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する実情調査のため、第二班、福岡県、長崎県、熊本県、大分県に委員を派遣し、各方面から意見を聴取いたしました。  この際、派遣委員から報告を求めます。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 第五十九回国会閉会中における国政調査のための委員派遣による九州班調査報告を申し上げます。  本班は、去る八月二十六日より同月三十日までの五日間、福岡長崎熊本大分の各県にわたり、国の出先機関並びに政府関係機関及び主要な民間企業活動状況中心調査視察をしてまいりました。  次に、調査の順序に従い、概要を御報告いたします。  福岡県においては  一、通商産業省福岡通産局業務について説明を受けたのでありますが、当局は九州全域産業振興についての行政事務を行なっており、特に石炭産業をかかえた産炭地区のスクラップ・アンド・ビルドの問題については、石炭鉱業審議会の答申の実施局として、長期的視野に立ち、計画的な実施を要望しております。また、産業が発展するに伴う公害の問題や、採石による地元業者のトラブル、あるいは工業用水確保のための長期開発計画についての考え方についても意見を聴取してまいりました。  二、電源開発株式会社若松火力発電所についてであります。この火力発電所は、国の石炭政策の一環として、年間五百万トンの未利用、低品位石炭原料として十五万キロワットの電力を発電し、これを売電する施設として、昭和三十八年一月以来操業を行なっているものでありますが、今日のエネルギー資源としての石炭位置づけの変化により、原料炭確保について問題があるように見受けてまいったのであります。また、燃焼後の灰捨て場の問題についても、両三年中には検討を要するものがあります。  一方、公害の点については、海岸周辺の人家が少なく、近代的な集じん装置設備により問題は起こっておりませんでした。  三、八幡製鉄株式会社八幡製鉄所についてであります。この製鉄所は、現在八幡戸畑の両製造所に分かれており、八幡製造所明治三十四年官営製鉄所として出発したわが国で最も古い製鉄所であり、一方戸畑製造所は、海岸を埋め立てて臨海製鉄所性格を有しております。  機械設備としては、合理化によりかなり新鋭な機械を設置しているが、日新月歩製鉄所としては、同社の他県にある、たとえば堺、君津工場等に比較して旧式となっております。  最近の富士製鉄との企業合併が成立すると、世界一位の米国USスチールに次ぐ鉄鋼生産会社となるといわれております。  次に長崎県においては  一、運輸省九州海運局長崎支局についてでありますが、この支局が設置されたのは明治二十年逓信省管轄下にあったときからで、長崎佐世保両港を含め、多くの離島間の海運交通に就航する船舶等検査監督船員等の問題について行政事務を行なっているもので、特に長崎佐世保両港にある造船会社の指導、監督には、三十名余りの職員で多忙をきわめているとのことでありました。  二、三菱重工業株式会社長崎造船所視察については、戦前戦後を通じて船舶建造量は九百五十三隻、その中には、私どもの耳に残る戦艦武蔵排水量七万二千八百余トンを建造した建造工場があり、現在約三十万トンのドック二基を備え、目下三十一万トンのタンカー船建造中で、その威容は驚くべきものがありました。  また開発技術についても、三菱独特の舶用エンジン溶接技術にすぐれたものを持ち、日本造船界はもちろん、世界海運造船界に挑戦しているとのことでありました。  次に熊本県においては  一、農林省熊本農政局業務についてであります。当農政局では、九州が温暖な気象条件を有することを利用して、西日本食糧供給地域としての位置づけを生み出すべく、農業においては集約的な経営をはかり、農業所得増大につとめるべく、福岡、佐賀、熊本北九州鹿児島宮崎等南九州農業格差の解決を含む諸施策を講じているとのことであり、特に最近の果樹栽培については、従来の産県である静岡、和歌山、愛媛等ミカン産地に倍する計画をもって、品位改良機械化その他の施策を講じ、また畜産についても、阿蘇中心とする牧草地帯整備種牛等改良個人農家の多頭化についても主力を注いでいるとのことでありました。  二、農林省熊本営林局についてであります。この営林局全国十四営林局に比較し、国有林面積は中位の五十万ヘクタールであるが、気象条件人工造林努力により、成長量全国平均の約二倍に当たる成長を示しており、その分布は宮崎鹿児島両県で五八%を占めている状況であります。  経営成績についても昭和四十二年度の実績は約八十八億円余の黒字となり、四十三年度の収支差益は七十六億円余の収益を見込んでおります。  また国有林活用面積については、経済林地国有林全体の五三%、その他は保安林自然公園林等が三五%、地元共有林は九%となっており、製品工場肉用牛実験牧場国有林の中で行なっているとのことであります。  三、農林省熊本種畜牧場についてであります。当牧場では牧草地開発牧畜経営採算性及び英仏等輸入種牛による交配等調査研究がなされており、あわせて他府県からの研修生を受け入れ研修を行なっているとのことで、阿蘇高原周辺牧草改良畜産経営に大きな貢献をすることを期待した次第であります。  次に長崎熊本両県にわたる日本道路公団事業について意見聴取並びに現況視察をいたしました。  一、日本道路公団福岡支社について  当支社管轄九州全県と山口県を含む広域で、すでに営業中の道路は十四カ所、駐車場一カ所で、駐車場を除く全道路昭和四十二年度の収入予算に対する収入実績は九五・四%の良好な成績であり、駐車場については七八・三%でやや低下しております。  私ども視察した道路長崎バイ。ハス、雲仙道路島原道路、天草五橋、別区阿蘇道路で、旧国道を改修したり新たに設置したもので、大体において大分熊本長崎各県を通過する九州横断道路で、これが各県の経済、社会、文化に影響を与えるものは非常なものであることを承知いたしました。  最後大分県については、大分県が農業工業の発展のため大分、別府、杵築各市と七町にわたる面積一千百四十平方キロメートル(全県の一八%)、人口四十四万人(全県の三六%)の地域を、昭和三十九年一月に新産都市建設促進法により指定を受けたもので、産業基盤生活基盤国土保全に要する総経費二千四百億円により、工業用地一千二百五十ヘクタールを含め、工業用水住宅用地道路、空港、教育施設等施設整備しようとするもので、視察の印象としては目下建設途上で、これが整備の暁には、関西、中国並び北九州工業地帯を結ぶ経済圏としての地歩を固めることと思われました。  なお視察箇所として明野団地九州石油株式会社大分製油所昭和電工大分石油化学コンビナート住宅工場建設状況視察し、有意義な参考意見を聴取してまいりました。  以上、簡単に概要報告いたしましたが、その詳細は別途掲載の報告書をごらん願いたいと存じます。  なおこの機会に、今回の国政調査に際し関係各位の御協力を得て、無事調査を終了することができましたことを感謝する次第であります。  以上でございます。
  4. 大石武一

    大石委員長 なお、ただいま報告のございました第二班の派遣委員から、内容の詳細についての調査報告書が提出されておりますので、これを会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  6. 大石武一

    大石委員長 昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は農林省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので順次これを許します。華山親義君。
  7. 華山親義

    華山委員 昨日もお尋ねいたしましたが、きょう大臣がお見えになりましたので、要点だけをその結果に基づきまして承りたいと存じます。  このたびの決算報告によりますと農林省の留意すべき事項といたしましてせっかくの国の補助等によってつくられた採草地があるいは荒廃に帰している、あるいは牧草の成育がきわめて不良であるという指摘がありまして、その割合は相当高いのである。私考えますのに、この原因につきましては必ずしも農民に罪を着せるわけにはいかない。畜産行政そのものが安定しないためにせっかく計画をしたものも実施ができなかったという面があるのではないかと思うのであります。それで今後国土利用ということになりますと、私は採草地が大規模開発されなければいけないと思うのでありますが、現在のようにこれを民間——民間といいますか団体、そういうものにやらしておいたのではだめなのではないのか、重大な問題でございますから、国土の再開発意味で、国有地活用とも結びつけて、国がこれを大規模にやったらどうか。そうしてそれにつきまして、あるいはこれを貸し付けるなり、十分に農政が確立して民間も安心のできる事情になったならば、これを払い下げるなりあるいはその土地からとれたものを干草としてこれを売るなり、そういうふうなことをやらなければ、私は草地開発ということは非常に困難であり、また貴重な財政を投じてもむだになる場合があり、決算報告のようなことがあるのではないかと思いますので、その点大臣の御意向をお聞きしておきたい。
  8. 西村直己

    西村国務大臣 日本畜産業は御承知のとおりかなりの部分を輸入飼料にたよっております。そこに一つ畜産の根本的な弱さがございます。いま一つ国民食糧需要内容がかなり高度化、多様化して、畜産的なものに対する需要というものが強くなってきた。これに農政の焦点を合わせるというような観点から、私どもは米は米なりにこれは大事なものとして扱いつつも、なお農政の形なりあるいは姿というものは総合農政として取り上げていきたい。これは先般来私が政府その他と相談し合ってやっておりますが、総合農政ということばを使っておるわけであります。基本的な考え方については私は華山さんの御意見とおそらくそう違うわけではない。あと草地造成をどういうふうにうまくやっていくか。その上に立つところの畜産あるいは酪農というものをどう農業の中で安定させていくか、方法論の問題になってくると思うのであります。  そこで、会計検査院からたしか草地改良事業についての御指摘の点は私も聞いておりました。これは確かに遺憾な点でありまして、あるいは土地選び方自体、あるいは肥培管理、さらにまた管理技術あるいは牧草選び方、いろいろな点においての欠点もあったのであります。それでおそらく華山先生のおっしゃるのは一つの御意見だと思います。一挙にやるなら思い切って国家がひとつ責任をもって草地をつくる。それから出るものをしばらく使わしてみたらどうか、そういう点が一つだろうと思います。  それからもう一つ価格の問題がいま少しく畜産についても安定したいろいろなくふうをとれる方法はないのか、こういう問題があるであろう。生産農民立場から考えますと、確かにそういう点についてはわれわれもやはり今後いかにして畜産関係というものを安定の中で発展させていくかということについては、やはり真剣な努力はしていかなければならない。ただ、これをそれでは国でもって直ちに大きな開発をして、そうしてそれをそのままやっていくというには、国においてもよほどいろいろな観点からの準備をし、あるいは影響を考え、あるいは従来のあり方等を反省して非常な決意をもってかからなければならない。ですから、いまここでおまえはその決意をすぐ出し得るかと御答弁を求められましても、ここで私が直ちにそういうことを決意するという段階にはまだ準備が足らないと思いますが、しかし私としては、何としても国土が狭い、この国土高度利用、その中において国民の求めておるもの、しかも生産農民に対しても長い目から見たらそれが生産基盤になる、しかも国家全体、国民経済全体からも利する点、こういうものの総合点の中でくふうをこらしていくならば、いろいろな方法が立っていく。その中の一つ、二つには先生のおっしゃるような方法をとってみるか、あるいは少なくとも短期期間においての貸し付けの方法国有林そのものがやっておる実験農場実験放牧、いろいろそれに類するような試験をやっておるような形ではないかと私は思う。いろいろなそういうような過程を踏みながら、実は私としてもそういう方向を一日も早く探し出して、そして流通、価格、それから生産技術、その土台になるところの草地、こういったものの中で軌道に乗っけていきたい、こういうふうなただいまの段階では御答弁をして、したがってそういう御意見に対しては私どももよく検討研究はしていく姿勢をとりたい、こういうふうに御答弁申し上げたいと思います。
  9. 華山親義

    華山委員 それから検査報告一つには、農業構造改善における繭、養蚕のことについていっております。その報告を見ますと、増産実績があがっていない、こういっているわけです。私は、農林省農業構造改善事業において繭を増産する意味でやっておるのかどうか、あるいは省力、あるいは生産合理化する、そういうことならばわかるけれども、繭の増産ということをいわれますと私は疑問を持ちます。繭を増産して一体何をするのか。輸出をするといったって、中共や韓国に競争で勝てるわけのものでもない。現在、私から申し上げますまでもなく、あるいは絹織物として出ておるものもあるかもしれませんけれども生糸としては外国には出ておらない。むしろ外国から輸入されている。話によれば三%程度だということございますけれども、そういうふうなことであります。それで、今日生糸絹織物というものは日本需要が増しておると申しますけれども、これは希少価値としてのものだ。しばしば繰り返されたのでございますけれども、もしも多少でも余裕ができるということになると、生糸というものは暴落するおそれがある。それで私から言うならば、女の人等絹織物に嗜好が行っているという。なるほどそうかもしれない。そういう人に対して増産をして需要を満たして、そして安い絹織物を売る必要はないと思う。そういう人には高く買ってもらったらいいじゃないか。そういう人に高く買ってもらっても米なんかとは違って、他の物価に影響するというほどのことでもないのだから、そうい三面で農民を潤したほうがいいと私は思う。かっては桑を切り払って、いまではまた桑を植えつつあるという話も聞く。そういう意味におきまして、絹というものあるいは生糸というものを増産する方針なのかどうか、それでいいものなのかどうか、この点、総合農業政策の面もありますので、大臣に伺っておきたい。
  10. 西村直己

    西村国務大臣 最初に蚕糸局長から実情を申し上げまして、最後に私、結論を申し上げたいと思います。
  11. 池田俊也

    池田説明員 養蚕の将来と申しますか、そういう問題でございますが、私どもといたしましては、実は昭和三十二、三年ごろは、率直なところを申し上げまして非常に斜陽的な色彩が強かったのでございますけれども、これは需要減退をいたしまして価格が非常な暴落をして、政府が買い入れをいたしましたけれどもなかなかその落勢がとまらなかった、こういう時代があったわけでございます。その後三十二、三年ごろを境にいたしまして、実は国内需要が非常に増加をしてまいったわけでございます。たとえば三十八年ごろと比較をいたしますと現在は、当時二十万俵の内需でございましたものが約三十万俵をこえているわけでございます。これは私どもの見込みでは将来もまた相当ふえるんじゃないか、こういう期待をいたしているわけでございます。もちろん養蚕業に対する考え方といたしましては極力生産性向上をはかるということが主眼であろうと思います。しかしながら一方では非常に需要増大をいたしておりまして価格が高騰をするということでございますので、やはり私どもといたしましては生産需要とをバランスさせることが必要ではないか。もちろんその場合に生産費があまり上がるようでは困るのでございますけれども生産費の上がり方を極力押えながら生産の増強をはかっていくということは、これはいろんな地域、特に山合いの地域などの作目といたしましては非常に適した作目でございますので、そういうような意味では私ども奨励をしてまいりたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。もちろん輸出減退をいたしておりますが、これは価格さえ適当な範囲にとどまるならば私どもはそういまから悲観的に見るのは当たらないのではなかろうか。もちろん海外のほうが生産費が安いわけでございますけれども、また一面では日本生糸は非常に品質がいいとかあるいはデリバリーが確実であるとかそういう利点があるわけでございます。適当な格差であるならば相当まだ可能性があるというふうに考えておりますので、私どもは、やはりそれぞれの地域農業といたしまして非常に重要な意味を持っておりますし、需要も強いわけでございますので、生産性向上主眼にしながらやはり奨励をしてまいりたい。まああまり増産の実があがってないではないかという御指摘でございますが、四十二年ごろからやや生産が拡大の方向に向かいまして、昨年は約一割弱の増産でございます。それから本年も、まだ数字ははっきりしておりませんが、その程度増産になろうかと思っております。
  12. 華山親義

    華山委員 蚕糸局長としてはそういう立場をとられると思うのですけれども、私は大臣にお願いいたしたいのですけれども蚕糸業だけはひとつ慎重にやっていただきたい。私もおっしゃるとおりある県におりましたときには、とにかく平地の養蚕業は山に入れ、そういうふうな方針で、そのときには農林省はあまり私の言うことは聞いてくれませんでしたけれども、県独自の予算で山に入って、僻地はその土地にもよりますけれども養蚕でやっていくというふうな方針をとったこともあります。それで輸出のこともおっしゃいましたけれども日本養蚕業輸出というものを加味したならば、私はまたそれによって相場が非常な騰落によって困る時代が来るのではないかと思いますので、大臣から御答弁は要りませんけれども、ひとつ養蚕業については特に慎重に御配慮を願いたい。重工業時代養蚕業を盛んにしてこれを外国に出そうなどという考え方は、私は根本的におかしいのじゃないかと思う。そういうふうなことで、養蚕に向くところの農民を救ってやるというくらいなものの考え方でなければいけないのではないか、こんなふうに考えるわけでございますが、これは希望だけにいたしておきます。  それからもう一つ食管会計のことでございますけれども、一点だけ大蔵省のほうからもおいでになっておりますので伺っておきたいのでございますが、現在相当滞貨といいますか、企業経済でいえば滞貨といいますか商品といいますかのストックを持っているわけです。一般企業会計の観念からいいますならば、そういうストックがある以上これに見合うところのものがなければいけない。それが借り入れ金であったりまた資本であったり、また間接的な金の回し方からいいますならば未払い金であったりするわけです。ところが食糧会計においては資本金はない。未払い金というふうなもので渡っていくわけにもいかない。どうしたってこれは借り入れ金によらなければいけない。この借り入れ金にはばく大な利子がつく。しかもこのストックというものはランニングストックじゃない。固定したストックだ。中身は変わっていきましょうけれども。しかも今日の証券、この証券というものはランニング性格を持っている証券なんです。両方は性格が合わないわけです。これにつきまして私は考えるのでございますけれども、ひとつこの米の滞貨というもの、持っている米というものは一応別個の会計にでもして、たな上げをして、そして利子というものをこれにかけないようにすべきじゃないのか。あとで数字的にお示しを願いたいと思いますけれども、この利子というものが生産費あるいは生産者価格あるいは消費者価格にも影響するわけなんです。この点につきまして大蔵省農林省で十分に協議して、そういうふうなやり方に移行していただきたい、こういうふうに思うのでございますけれども、これについての御所見を承っておきたい。
  13. 西村直己

    西村国務大臣 その点は先般、私、米価審議会におきましても触れた問題でございまして、確かに通常予想されるランニングストック外におっしゃるような固定されました、内容は変わりますけれども相当量が出てきた場合に、それらの費用というものが他の生産費、特に消費者などの負担になっていくべきではないという論、これは一つ考え方、要するにそれが経済的な圧力になってきていることはおかしいじゃないかというようなことから、別会計特別勘定等を考える、私はこれは一つ食管制度上の研究課題としてやはり研究はしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  14. 華山親義

    華山委員 大体年間どのくらいの利子の額になりますか、専門の方に伺いたい。
  15. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 四十三年度の予算で、国内米管理勘定利子支払い総額が四百一億円という積算をいたしております。なお米一万トン当たりの一年間利子額は七千七百万円ということであります。
  16. 華山親義

    華山委員 そのストックのための利子年間どのくらいになりますか。簡単に、専門的でなくたっていいのです。いまとにかく古米を持っていかなければならぬ、こうおっしゃるでしょう。五カ月分とかそういうふうなことでその数量まで言っていらっしゃる。ことしの米の収穫もわかりませんから正確なことはおわかりにならないでしょうけれども年間それだけのものを持っていくというためにはそれに見合うところの金を借りておかなければならぬ、もうすでに払ったのですから。その利子というものは一体どのくらいになるのかということなんです。
  17. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 今年十月末の繰り越し在庫が約二百六十五万トンというように見ておりまして、ただいま申し上げましたように一万トン当たり七千七百万円ということでございますから、これを年間ストックとして続くものだというふうに仮定をいたしますと約二百億弱という金額になると思います。
  18. 華山親義

    華山委員 そういう点で大蔵省のほうと今後予算の編成もございますから十分に御協議を願いたいと思うのでございますけれども大蔵省のほうはどうお考えになりますか。
  19. 相沢英之

    ○相沢説明員 現在の食糧管理特別会計法は赤字決算ということは予想しておりませんので、大ざっぱに申しますと、とにかくこれは調整資金で埋めて、常に黒字の経理をしていくという考え方になっております。したがいまして、糧券は赤字見合いに発行されているわけではございませんので、在庫見合いに出されております。現在ございますところのいわゆる古米というものが将来はたして全然処分のできないものになるかどうかということは、今後の需給にもかかる問題でございます。おっしゃるとおり、これが全然将来売れないとかあるいは売ってもばく大な損失を生ずるというようになった場合におきましては、それに対する対策は別途考えられなければならぬと思いますが、糧券はたてまえからいきまして、赤字見合いに発行されることがないようには、もちろん私どもとしてしていきたい、かように考えております。
  20. 華山親義

    華山委員 私は利子を問題にするのでございますけれども、御協議を願いたいのでございます。しばしばいわれることでございますけれども、私も前から言ったんでございますが、とにかくそういうふうなことで日銀から金を借りる、日銀のほうでは別にこれについて金が要るわけでもないと私は思う。そうするとその利子というものにつきましては、結局日銀から大部分のものは政府に納付金として一般会計に入ってくる。そういうふうなものにつきまして一般会計で見てやってもいいんじゃないかというふうな気持ちも私はいたしますけれども大蔵省はなかなかそういう点については割り切られないようでございますが、どうなんでございますか。
  21. 相沢英之

    ○相沢説明員 おっしゃるとおり、もしかりに糧券の金利をたな上げにしますとすれば、それだけ日銀は利子収入が減る。したがいまして、直接その額ではございませんけれども政府の納付金の何がしかが減るということになると思います。その勘定としてはその限りにおいては合うと思いますけれども、しかしながら糧券は日銀が必ず引き受けるという前提になっておるものでもございません。市中の流通もございます。したがいまして、いまの場合は食管が糧券の利子を払う、それだけは食糧管理特別会計の損失増加になりますが、損失の増加は結局最終的には一般会計からの繰り入れによって補てんされているということになりますので、結果的にはどちらの方法をとりましても同じになるのではないかというふうに思っております。
  22. 華山親義

    華山委員 重大な影響がないとは思いますけれども、これが一般会計から繰り入れられるからとおっしゃいますが、一般会計の繰り入れというものは今度はもうこれ以上ふやさないということでございましょう。そういたしますと、それを別に考えるか考えないかによって生産費なり消費者価格影響があると私は思いますので、ひとつこの点は御研究を願いたいと思います。  それから一つ別の問題でございますが、予算委員会におきまして、公共事業につきましては前年度の繰り延べと本年度の予算と合わせて本年度は実施することができるが、これを合わせて全部やるかどうかについては今後の経済の情勢なりそういう面を見ながらきめていきたいと当時おっしゃった、これが私の記憶であります。昨日農林省に伺いましたところが、農林省のほうの公共事業については両者を合わせたものでやるということになっておるそうでございますが、すべての公共事業についてその御方針をとられたのか。もしとられたとすれば、いつからそういうふうなことで予算を配賦されたのか、その点を伺いたい。
  23. 相沢英之

    ○相沢説明員 四十三年度の公共事業関係費につきましては、前年度から合計七百六億円が繰り越されて、これが上のせになっております。これは一般会計ベースで申し上げたものでございますが、その繰り越し額を合わせましたものを本年度内に執行することにいたしております。現在特にこれをさらに繰り延べるというような措置はとっておりませんし、目下のところそのような考え方はございません。
  24. 華山親義

    華山委員 それは四月の初めからそういう方針でいられて、決定はあとでなすったということはございますか。
  25. 相沢英之

    ○相沢説明員 繰り延べの措置というのは、予算の執行におきましては特別な措置でございますから、特にそういう決定をしない限りは、予算額と前年度からの繰り越し額を合わせた予算現額が年度内に執行されるということになります。
  26. 華山親義

    華山委員 今後繰り延べということはお考えになっておらないわけでございますね。
  27. 相沢英之

    ○相沢説明員 目下のところそういう考え方はございません。
  28. 華山親義

    華山委員 大臣にお願いをいたしておきたいのでございますけれども、この検査報告を見ましても、いろいろ不当の工事といって批難されているのは山間僻地の町村等に多いのですね。なぜそういうふうなことが起きるのかという問題、それから概括的にいうならば、コンクリートが凍結したということのために不当事項に指摘されているものが寒冷地の山間僻地に相当多いといえると思う。昨年の会計検査院報告は、これは林野庁の関係でございますけれども、そういう山間僻陣地に不当な工事が多いということを報告しているわけです。なぜそういうことが起きるのかということにつきましては昨日お聞きいたしました。また私のこれから述べようということも率先しておっしゃったのだから、私はここでお聞きいたしませんけれども、実際問題といたしまして、農林省と地方庁あるいは地方庁と市町村、そういうところで協議が整って、そして入札をして仕事に取りかかるという段階はもはや七月に入っている、あるいは八月になるかもしれない。六月の議会できまって七月にそういうふうなことになりますと、八月はいいでしょう。このごろは米の取り入れが早くなりましたから、九月に入ったならばもうそういうところで働く人を得られない。十一月ごろになりますと稲の調製も早々に出かせぎに出るという実態なのです。そういうところに無理がきているのではないかと私は一つの原因として考えるわけです。それで根本的にいうならば、これは会計年度の改正からいかなければいけないわけでございますけれども、そういうことをお願いいたしましても私は無理だと思いますので、実際問題として相当の権限を市町村あるいは市町村が信用できないというならば府県にでも委譲する、また農林省の見る点はできるだけ簡略にして、これを認める。予算決定になって初めて仕事に取りかかるわけではなく、もう一月、二月、三月ごろからでもいろいろ準備にかかって、そして予算が決定したならばすぐ諸般の仕事に入る、そういうふうなことにしてできるだけ早く決定をする。そうすれば、六月県会とはいっておりますけれども、現在は六月末に県会は大体開かれておりますが、これは六月初めにでも開かれるかもしれない。そういうふうなことにつきまして大臣の特段の御配慮を願いたいと私は思うのです。そうしなければ会計検査院報告はただ報告にとどまる、こいううことになりはしないかと思いますので、大臣のこの御所見を承っておきたい。
  29. 西村直己

    西村国務大臣 会計検査院指摘等の出ている部分からそういう立論をなさいますのは当然だと思います。私どもは、これは農林省だけでなくて、他の省庁の公共事業的なものの執行においても同じだ、要するに予算執行の問題であろうと思います。適正に効果があるように、これは何といってもその事業の効果のためにやっておるものでございますから、そういうふうな努力をするようにいたしたいと思います。
  30. 華山親義

    華山委員 この問題について大蔵省にもお願いいたしておきますけれども大蔵省もあまりやかましいことをいわないでまかしてください。そうしませんと、今度はまた農林省大蔵省のほうに一々行って相談をいたして、そして予算の細部のところまで直したり何かしている間に時間がかかってしまう。同じ仕事に県庁から三回も来てやり直す、こういうことをやっていたのでは私は仕事は進まないと思うのです。どうぞひとつそういう点、おっしゃるとおり政府全体の問題でもございますので、根本的に研究をしていただきたいということをお願い申し上げておきます。  これで私の質問を終わります。
  31. 大石武一

    大石委員長 吉田賢一君。
  32. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 西村農林大臣にお伺いしたいのでありますが、多岐にわたりますので、若干の問題をピックアップいたしまして、あまり深入りしないような問い方になると思います。時間の関係もありますので、どうかひとつずばっと御自信のあるところを簡明にお答えいただきたいのであります。     〔委員長退席、鍛冶委員長代理着席〕  本年七月十三日に農林省議におきまして、大臣として「総合農政の展開について」という新発想を御説示になっております。これは非常に重大な課題でございますので、各方面にかなり大きな期待も持たれ、意見も出ているようでございます。これにつきまして逐次伺ってみようかと思うのであります。  第一に伺いたいのは、日本農政に対する農林大臣の基本的な構想といいますか、とりわけ食糧なり国土関係なりあるいは農家なり消費者なり、こういった総くるめをいたしました対象で根本的な構想の一端を伺っておきたいと思うのです。
  33. 西村直己

    西村国務大臣 貴重な時間でございますから長い話は申し上げませんが、「総合農政の展開について」という、私がその当時省議で指示をいたしまして新聞にも発表いたしました詳細な文書がございますから、もし必要でございますればそれは後刻お手元にお届けをいたします。  その考え方の基本といたしますことは、農業基本法ができましていろいろ各農民努力またその他の施策によりましてある程度農業に対する近代化が行なわれたと私は思いますけれども、その間に経済そのものが相当な高度成長をした。そこでその高度成長した中においての農業をめぐる環境というものにかなり変化が起きておる。歯車の合わない点あるいは農業自体から見ましていろいろ変わっていかなければならぬ面もある。こういう点に着目いたしまして、九項目から十項目につきまして私が農政上の考え方を省議を開きまして指針として出し、次いでこれを要約したものを閣議において口頭報告いたしたというものでございます。  そこでまず第一は、構造政策は、すでに御存じのとおり、昨年来構造政策の基本方針として幾つかの項目をうたいました。第一は、農地の流動化の促進であるとか、あるいはその他関連法案というものを三、四国会に出しまして、そのうちの一つは通りましたけれどもあとはまだ国会において御審議を願っておる最中でございます。構造政策は従来の基本方針を推進してまいりたい。  それから次には、構造政策以上に大事でございますのは、需要と供給がもっと密接な関連を持つようにしたい。需要構造というものがかなり変わってきている。経済が伸びますと、需要というものが高度化あるいは多様化という現象を起こしておる。そこでそれに相合うような生産対策——そこで一つは、この秋を目ざしまして昭和三十七年につくりました食糧の各作目別の長期見通しというものを的確にきめたい。そしてそれに基づきまして生産対策というものを進めるべきではないか、こういう考えでございます。  やや具体的に申しますと、たとえば需要高度化があります、多様化があります結果、畜産物であるとか果樹であるとか、その他の面においての需要相当濃厚でございます。いわゆる動物たん白資源というものを要求してまいりますが、これが内需だけで十分でなくて、相当量を海外に依存しているというような現象が強い。言いかえれば輸入が増加してきている。これに対して、むしろ私ども国内生産性あるいは生産力というものを高める必要があるのじゃないか。そうすると、当然それに関連いたしまして米の生産というものにも触れてまいるわけでございまして、米の生産というものに対して、相当、量というものは進んでまいりましたが、国民需要というものがむしろ質を相当求めてきておる。そこにどうしたら量から質へ転換するかという問題が起こる。しかし、転換するならば、やはり農政としての受けざら的なものを持たなければいけない。ただ、作目転換ということは農業においては簡単にできるものではないが、しかしかたわら、そういうような受けざら的なものを考えていく中において、私ども生産性の低い米のようなものにつきましては、国家としても他の面を考えつつ、量から質への転換をしていくべきじゃないか。あわせて米自体についての需給の動向を見ると、ここしばらくは需給が相当量緩和するならば、食糧管理制度という、制度自体は一つの大事な制度ではあるが、しかしこれに対する各方面の意見を聞いて改善を加えたらどうか、こういうような指針を与えたわけであります。  それから、同時に、農林省の行政機構自体も、農政自体が変わってくる段階においてそれに合うように変えなければならない。一部はもうすでに変えつつあるわけであります。  それから、食糧生産を考える場合に、米を含めて総合食糧というような頭でひとつ考えようというようなことを考えております場合に、畜産需要増大が著しいと見ますので、飼料基盤確保というような問題が当然指針に出てまいっております。野菜、果実、いわゆる園芸畑作、こういった方面に対しても生産性を高めて安定供給をはかっていく、こういうようなことでございます。  それから同時に、今度は需要と供給の関連においてやはり考えなければいかぬじゃないか。生産政策だけではいかぬ、これは農民のためにも、消費者のためにも。そこで流通確保という段階において、たとえば市場の近代化、具体的に申せばそういうようないろいろな問題が出てまいります。あるいは農産物、加工業者、たくさんございます。こういったものの近代化、こういったような問題について取っ組んでまいろう。  それからさらに大事なことは、日本国土をやはり高度有効利用しなければいけない。国土の総合有効利用をするためには、農業振興地域整備に関する法律案等はすでに国会に出しておりますが、こういう土地利用区分。同時に今度は里山を含めた山方面の相当利用度を高めていく。  それから最後に構造政策なり国土の有効利用、あるいは生産対策、流通確保の面のことを時代に合ったように考え直すと同時に、専業農家を中核体として自立経営を育成しながら、同時に兼業農家の分業助長を促進する。しかし後継者という問題がありますから、後継者対策と、もう一つはやはり農村の環境整備というものは十分注意をしていかなければいけないのじゃないか。こういったことに対しては、私ども価格の問題ももちろんございますが、問題はやはり総合農政として相当国は必要な分には有効な投資はしてもらいたい。また投資をすべきである。こういうようなことが私の総合農政に対する考えであります。  それで行政面としましては、省内に農政推進会議というものを起こしまして、これを具体化しながら、ものによっては時間がかかります、ものによっては来年度からも手がつけられるものもございますので、ものによりましては来年の予算要求からこれを具体化してまいりたい、こういう考えでおります。
  34. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 だんだん御説明よくわかりました。農業基本法以来の画期的な構想に発展する可能性もあるかとも考えております。  そこで幾つかの点を伺ってみたいのですが、まず最初におっしゃった農地法の改正ですね。農地法の改正はやがて成立するものかと思いまするが、たとえば農地を活用する、拡大する、そして拡大営農をやりたい、こう思いましても、いま一番ひっかかるのは、特に都市近郊におきましては地価問題ではないかと思います。年間二〇%も上がるような趨勢すら見受けまするので、したがいましてなかなか手離さない。そこへもってきて兼業がずいぶんふえてきた。したがって、これもまた土地を離さぬで農家として維持していきたい。これはこれなりにそれぞれ改善の手を打っていくというようなことで、土地問題、特に地価問題でひっかかるのじゃないか、これが一点。  それからもう一点は、さきに国土高度利用の問題をお述べになっておりましたが、しかし農地法の改正を横に改正して拡大をはかるという、この方法は便利ですけれども、反面やはり行政的に例の共和製糖事件以来、国有林野の開放がなかなか至難になっております。したがいまして、まだ原野あるいは薪炭材を出しておった国有林が、そのまま捨てられておるのを旅行者はずいぶん見受けるわけでありますが、こういう国有林野とかあるいは地価対策というものが一つのガンになっておるのでないだろうか。後者は内閣さえ腹をきめれば、行政を適切にやれば何の弊害も起こりません。前者のほうは、これは憲法にもつながる問題かもわかりませんから、簡単ではないと思います。しかし、大蔵省あたりにおきましても、租税制度等を通じまして検討中とか聞くのでありますが、この二点についてはどういうふうなお考えをお持ちなんですか。
  35. 西村直己

    西村国務大臣 農業の一番の基本問題だろうと思います。私はやはり農業というよりは、土地制度はいま国をあげての一つの大きな問題だ。したがって農地法の改正あるいは農業を近代化する場合におきましても、農地あるいはそれから出てくる地価対策というものが非常に一つのやっかいな問題になってくる。地価が高騰してきておる。そこでもう一つは、土地を資産保有というような考え方がございますので、なかなか流動化が困難だ。しかし、私どもとしては、土地の基本的な政策そのものについては、農林省だけの問題でなくて、政府全体として土地高度利用と地価の高騰を静めてまいる。その中において有効利用させるという全体の中からこれを解決させる以外にない、こういう努力をしてまいりたいと思います。  そうして流動化の促進にあたりましては、今度は御存じのとおり、賃貸借の緩和とか、そういうような行き方につきまして、土地の保有は認めるが、しかし賃貸借等によって流動化を認めていく。それからもう一つは、草地利用権の設定等によって、やはり公共的な目的のためには草地利用というような、市町村が間に入った場合には利用権の設定、こういったようなことによっていわゆる土地国民経済目的に使われていくように誘導してみたい、こう考えております。  それから国有林の問題につきましても、先生御存じのように国会からの要望もありまして、国有林野の活用に関する法律というのが出ております。必ずしもこれが万全のものではないかもしれませんけれども農業生産、構造改善等をあげるためには国有林野の活用はしていっていいんじゃないかというような考え方のもとに一つの法案というものを出しております。もちろん国有林野というものは治山治水目的と、同時にもう一つは、国の財産でございますから、御指摘のようなだらしのない扱い方をされてはこれはたいへんなことでありますが、本来の正しい目的のためには特に使われていってもいいんじゃないか。私は特にこれから、さっき申し上げましたような総合農政の中で考えていく場合に、畜産飼料基盤等を拡大していく場合においてはやはり山地をある程度畜産基盤草地化して使っていくことが日本国土全体をながめて大事な問題ではないかと思うのでございます。
  36. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 行政運用の面から考えまして、これにつきまして国有林野を活用するという問題に対してこれを管理するのは農林省である、それから裏づけの国の財産として監督していくのはこれは大蔵省がやる、こうありまするが、やはりいろんな場合におきまして、普通財産、行政財産なんかの区分等もあり等々しまするので、まあ随時適切にやはり横の連絡をとりつつこれは総合施策として行政運営をしていく面があるんではないだろうか、これはまあ小さな問題でありますけれども、行政の総合性という観点にちょっと触れる問題が現実の運用上はあるかに感じまするので、その点は今後の運用上特に御配慮願っておきたいと思います。別に答弁要りませんです。  それから次の問題は農産物の食糧の長期需給見通しと、そして生産対策の問題でございますが、これはいまの重要な国民経済生活の課題でもありますし、また農業全体を通じまして農基法以来の大きな懸案でございましょう。これにつきまして大臣に伺いたい一点は、わが国においては一体食糧自給は何%ぐらいをもって適当な率とするのであろうか。八五%維持していく。いまは米は過剰である。需給は緩和されておる。しかしインドネシア、インド等におきましては、数十万人食糧飢謹のために餓死者が出る。アメリカの余剰農産物、過剰農産物のために価格低落によって貿易は比較的順調に日本に入ってくる。しかし、それでも食糧輸入は一七、八%というような数字を保っておるわけでございますね。そういう点から考えてみまするときに、やはり長期需要、長期需給、それから生産対策の面からわが国は何ほどの自給率を保持すれば長期計画として適当であろうか、これはやはり国策の一つの基本的な面と思いまするので、ひとつ非常に何かとお詳しい大臣、これは簡単でよろしゅうございますからお答え願いたいと思います。
  37. 西村直己

    西村国務大臣 ただいまその目標設定に苦労をいたしておるのでありますが、全体の総合食糧と申しまするか、総合の食糧農産物全体としては、おっしゃるように現在八一%ぐらいが一応の数字になっております。ただ米につきましては一一四%ぐらいのところまできていると思います。そこで米は少なくとも自給度はもう落とすことは——自給というものはしていくのだ。たた余剰をどうするかという問題が一つ今日当面しているわけでございます。それからその他のものでも、たとえば麦のごときになりますと、なかなか自給度を上げるということは困難でありますから、ある程度の輸入に待たなければ、いわゆる国の風土、自然、いろいろな条件がそろっていないと思うのでありますが、他のくだものとか鶏卵とか野菜、こういったものにつきましては、われわれはやはり自給度というものをできるだけ自給体制に近づけたい、こういう考え方のもとに施策を進めたいと思っておるのでございます。  なおこの機会に、われわれは足りないということだけで政策をいままでやってきておりますが、場合によると、ものによってはもう余るものができた場合にどうするかという対策も、私どもは農産物においては今後しっかり考えておかないと、余った経験というのはなくて、足りない経験だけでやっていると、余ったときに今度は農民なりその他の消費者なりに非常に被害を与えるような施策でもいけない。余る場合にもどうするかということも、農産物というのは何と申しましても自然を相手のことでございますから、そこに多少のフラクチュエーションが起こるというようなことも計算には入れていかないと、機械的にぴちっといくものでもないだろうと私どもは考えておるのでございますが、いずれにいたしましても、自給度はまだ上げなければならぬものは相当ございます。
  38. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やがて昭和四十五年には例の特恵関税の実施のときに入るらしいのでございますが、これは後進諸国との間に日本におきましても特別の配慮をもって関税を引き下げたりあるいは無税のものも出るかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、過剰食糧ですか、生産ですか、そういうものの問題もこの方面との関連でも考慮の一対象になるかもしれぬとわれわれは推測するのでありますが、ただしかし日本農政としまして、特に食糧生産の長期見通し、需給の長期見通しの観点からいたしますると、やはり外国依存の食糧政策の基本になるのと、それからたとえばそれは都市あたりの非農業あたりにおきましてはばく大な財政投資を農家にするよりも、安い米を外国から買って、そうして工業生産性の高いそういったものに土地なりあるいは労働力なり資本なりを活用することが日本の新しい行き方でないかという意見さえいまなお素朴な方面ですけれども出ておるようでございます。しかし反面から考えますと、やはり全体といたしまして国際的な将来の変動のこともありましょうし、イギリスのような斜陽になってもたいへんでございますので、やはり相当自給度の高いものを維持しながらいくということが日本の長い国策として必要でないか、こういうふうに思われます。この点は大体におきまして大臣のお考え方と一致するようでありますので、私はあえて深掘りはしていかないつもりでございます。  そこで一体長期需給の見通しの問題でございますが、長期需給の見通しというのは、一種の見通しでございまするから、計画じゃありませんから、見通しだから、見通しは見通しというものの、近い見通しならともかく、遠い見通しがとかくよう狂うのでございますので、この辺につきまして、私は相当精密な調査を前提にせられることを御依頼申し上げたいのであります。  最近PPBSの予算制度が次第に大蔵省でも積極化しつつあるようでございますし、また特殊な研究対象としていろいろと御尽力になっておる面もあるやに聞いておりますのですが、やはり予算の編成の過程にかんがみましても、資材の性格、それからあらゆる将来の見通し、そういうもののきわめて精緻正当な調査資料を前提にせなければいけませんので、とりわけ農産物につきましては、ああまたしても見当が違った、実はそういうはずでなかったので腐ってしまった、安くなってしまった、高くなったというように生産者も消費者も中間の商人も混乱するということのないような、ともかくそれはまあちょっと別の要素がありますけれども、将来の見通しにつきましてもできるだけひとつ正確な資料によりまして、少なくとも十年ぐらいの見通しは立てまして、そして雄大なひとつプランをお立てになるということ、これが生産対策の基本で、こいつが狂っておりましたら生産対策は狂ってくるんじゃないだろうか、また手直し、手直しになるんじゃないか、こう考えますのです。これは申し上げるまでもないことでございまするけれども、見通し、長期需給の見通しということは特に厳格なることを要すという観点から申し上げているのでございますが、いかがなものでございましょう。
  39. 西村直己

    西村国務大臣 ただいま大蔵省でも研究されておるでしょうが、予算の編成過程においてPPBSの方式等を取り入れる、これは農林省におきましても検討いたしております。これは一つの省だけではなくて、おそらく共通事項についてはいろいろなデータを共通にしてやっているものもありましょうし、農林省農林省特有の研究もしているだろう。これは検討してまいりたいと思います。  それからなお私はこの機会に、農林省予算全体の組み方の急激な変化はできませんが、米の増産は大事でございますし、質をよくする、しかし同時に、農林省全体の予算が、率直に申しますと相当な量が米の部分を占めておる。これは御存じのとおり極論すれば約四分の三ぐらいが米に使われている。これですとあまり米偏重というような形にもなって、他の作物、その他が乗ってこないというので、私どもは急激な変化は与えたくはないが、しかしおもむろにこの施策というものを、予算方向づけを少しずつそういうふうなところでバランスをとってまいるという努力は必要ではないかと思うのでございます。
  40. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで生産対策の問題でございますが、まあ長期需給の見通しに立ちまして、そして生産対策は、これはまた具体的に実行の計画になりますと、農業基本法以来、構造改善事業等について見ましてもずいぶんといろいろな試みがされております。昨日伺ったのでございますが、国営のパイロット開拓事業、これがたいへんおもしろい傾向に発展しつつあるように考えられますので、生産対策といたしまして総合的な生産物になっておるのか存じませんけれども、いずれにいたしましてもこういった事業は幾つかが相当成功的に推進されつつあるということになりましたならば、私はできるだけそのよいところをとって全国化するというようなそういうことも一つ考え方でないだろうか、こういうふうに実は思っております。これは抜かりなくやっておられると思いますけれども、とりわけ生産地区におきましては重要な課題で、なお大きな成果が期待されるものじゃないかと思うのですが、これに対しまして簡単に御意見を伺っておきたいと思います。
  41. 西村直己

    西村国務大臣 これは具体的でございますから農地局長から……。
  42. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは昨日農地局のほうから伺いましたので省略しておきます。これはもうお返事をいただきました。詳細に現地に臨みましたので、これについて問答したのですから、これは省略しておきましょう。  それでは構造問題の点でありますが、これは何ですか、個人あるいはまた法人、あるいは共同経営とか単営とか、その辺につきましては相当新しい何か企画でもあるのでしょうか、従来の方針が踏襲されていくのでしょうか、その点はいかがでございますか。——もし事務的になるようでしたら、きょうはちょっと大臣にあまり時間もございませんので、また別の機会に事務的なことは聞くことにいたしまして、基本方針だけにとどめます、まだ聞かなければならないことがありますので……。実は生産対策につきましては私はいろいろな点から、労働力の点、資本の点等々いろいろございますので聞きたいのでありますが、そういたしましょう。  それから実は飼料対策の基本問題に触れるかと思いますが、やはり酪農、養鶏の振興、多頭羽飼養等の将来一そうの発展を期待する意味におきまして、いまのように長くアメリカとか東南アジアあたりにえさを依存するという、こういうような傾向は相当是正する方法はないのであるかどうか。国内におきましてこれにかわるもの、代案とか何かそういうようなものはないのであろうか、ここいらも再検討の時期に来ているのじゃないかと思うのです。これはまあどんなものでございましょうか。
  43. 西村直己

    西村国務大臣 総合農政の一環といたしまして、どうしても畜産奨励と申しますか畜産相当力を入れていく、これには一つ土地基盤をどこへ求めるか、私どもはできるだけ里山なり山なりの方面をこれから使っていくということをひとつ考えてまいりたいと思います。そしてこれを草地化する、いま一つは裏作があきやすい状況に入っております、これらにつきましてもできる限り飼料基盤等にこれを使っていくように今後施策を進めてまいりたい。そして少しでもいわゆる自給飼料対策あるいは輸入飼料に対してかわるべき国内産の代替飼料等を求めていく、こういうような努力をしてまいりたいと思います。     〔鍛冶委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 純農政ではございませんけれども食糧生産需給の観点から申しますと、やはり海陸一体をなして食糧需給は進められるべきものではないか、こう思います。そういう観点からいたしまして、農林省所管になるわけでありますが、きのうもちょっとその点触れておいたのですが、これは省議といたしまして大きく出すべき問題と思うので伺いたいのであります。つまり海洋資源開発の問題なんであります。これはいま科学技術庁あたりにおきましても相当進めておると思います。しかし日本にも、たとえば瀬戸内のようなところには、あらゆる分析をするならばまた栄養価を研究するならば、価値のあるものがあると思いますから、海洋資源の開発につきましてはこれは各省とも協力せられ学者を動員しあるいはいろいろな施設をつくりまして積極的に進めるべきではないだろうか、いま食糧資源にややゆとりができたからといっておろそかにすべきものではないでございましょう。そういう点についてまだいまのところは未開の段階と思うのでありますが、これは大臣どうしたものでございましょうね。
  45. 西村直己

    西村国務大臣 全く同感です。実は私のほうの水産庁といたしましても貴重なたん白資源でございますから、漁場として遠洋、近海、沿岸あるいは養殖、これに力を入れておりますが、さらに海洋資源の開発といたしまして農林省、水産庁の部分から科学技術庁等と協力しまして海洋資源の開発には来年度もやはり新しい研究を進めるための予算要求等をいたしていく、そしてこの海洋資源というものを日本のいわゆる食糧資源の一環として将来よく検討してまいりたいと思っております。
  46. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからいま一つ別な点で、日本に食用植物が相当あろうと思います。いまアメリカにおきましてある学者が三千種類を発見し集めまして、そしてある文書、報告書をつくっておりますが、わが国におきましても神戸市内に在住するある農政学者が食用植物の研究、専門家で、八千種類を研究し集めておる、八千種類です。年は八十、奥さんは七十二、なおかくしゃくとして取り組んでおられる、そんな老学者がちまたに埋もれておるのです。そこで日本は、食糧過剰時代というようなそんな安易な考え方ではなしに、やはりあらゆる天然資源を文明、文化促進のために活用するという角度から積極的にこういう開発に取り組む、これを文部省系統等の研究にまかすべきではなしに、私はやはり食糧の主管庁である農林省においてそういう面にも目をつけて、これはインドにもあろうし南洋にもあろうものだろうけれども、わが国のようなこういう高温多湿の国においてもずいぶんあるそうです。でありますので、八千というと世界的な驚異なんです。まだ公表しておりませんけれども、そういうこともありまするので、海陸を含めてやはり海のさち山のさちを追うていくというような、そういうかまえをもって進んでもらうことが食糧生産政策の基本的な姿勢の一つではないか、こう思うのですが、大臣いかがですか。
  47. 西村直己

    西村国務大臣 私しろうとでございますが、たとえば飼料、牧草なんかでも、まだ研究が十分でない。いわゆる日本に適したあるいは日本古来のものでこれに使われるものがあり得るのじゃないかというような研究もしなければならぬ。ただいまのお話もございますので、私どもとしてはさらにそういう方にもできれば御連絡申し上げて研究を進めるように努力をしたいと思います。
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから次は流通過程の問題にも入るわけでありまするが、生産と流通の関係であります。例のカントリーエレベーターという新語で、新しく米麦流通合理化モデルプラントの施設ができているそうであります。これは二十数カ所あって、かなり成功しておる地域が東北にもあるそうであります。  そこで、食糧庁の関係ですから、大臣に伺うのはちょっと時間の関係でどうかと思いますけれども、基本的な一つの問題点は、やはり生産そして貯蔵いたしまして、そして加工する。米を玄米にするか、あるいは産地にあらずして消費地にいって大量精米するのか、これは一応別といたしまして、運送の問題もございます。運送の問題につきましてきのうも聞いたんですけれども、どうも結論は得ておりませんが、バラ積みにしていくというようなことならば、それで早く踏み切るべきではないだろうか。コンテナ輸送などが国鉄あたりもかなり積極性を帯びておりますし、何万トンの船は神戸港に横づけになりましてコンテナ輸送の海の大きな役割りを果たそうとしておる現在であります。こういうときでございますから、やはりせっかくの食糧主管の省として、あなたのほうでこういう場合にできるだけ経費を節約する、そして業務を簡単にする、労務を省く、そして製品の規格あるいは品質が落ちないようにする、変化を来たさない、こういうことのために適当な方法でないだろうか、こう思うのであります。まだその点は踏み切っていないのであります。もっともこれは麻袋やらあるいは紙袋なんかの業者もあることでありますから、利害関係もあったりしますので、あるいは簡単にいかぬかもしれません。いかぬかもしれませんけれども、しかし構想といたしましては、その辺にかなり大きな——いま言ったようなことを踏み切るならば、非常に新しい財政の余裕もできましょうし、いろいろな点で有利になるのじゃないかと思いますが、それは輸送を簡単にし、輸送の手を省き、品質も変えないようにすること、経費を節約し得ること等々から見て大きな利点があると思いますが、このカントリーエレベーターの運用の一環といたしまして、大臣何かお気づきでございましたら、ことにあなたは流通につきましても相当合理化するということをここで御指示になっておりまするので、その点もし御意見がまとまっておりましたら、ひとつきょうはお聞かせいただきたい。
  49. 西村直己

    西村国務大臣 農産物の流通過程におきまして、あるいは輸送の問題がございます。あるいはまたその間の機構の問題もございます。それからことに非常に率直に申しますと、農林省の所管しております物資というのは国民の広く大ぜいの方々の口に入る、しかも種類が非常に多い。そして企業がどちらかというと中間に立って零細である。それだけに気をつけないと、おくれがちになりやすいものであります。たとえばノリなんか問題がございますが、根本はやはり流通機構における脆弱性というものが私は一つ大きな問題になっていると思うのでございます。これらはやはり民間のことではありますが、もう少し強化してノリというものを安定的供給と安定価格に近づけるような努力をしてみたい。  いま米を中心にしたお話でございますが、米は御存じのとおり規格というものが、味、質、これが大事な問題になってくるだけに、単純にバラ積み輸送というわけにいかないかもしれませんが、まず第一に質を変えないという保存の問題では、カントリーエレベーターあるいは低温貯蔵というような科学的なものをできるだけ今後検討し、地域によっては、これを活用できる向きには奨励もしてまいりたい、こう考えております。  それから米以外の飼料その他につきましてはやり得る範囲においてはかなりやっておるように私は承っておりますが、なお今後農産物のこういった輸送体系、輸送体質の改善につきましてはできる限り積極的な努力をしませんと、せっかく農民がつくりましても消費者に届く段階の中間においていろいろな不経済的な要素が入ってしまってはいけないことだと私は考えております。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 米の問題に具体的に入ってみたいと思うのでございますが、きのうもここでいろいろと伺っておるのですが、結局私には不得要領になってしまったのです。実は古米の問題ですね。一体農林省は、古米とは何ぞや、というのはどういうふうに定義しておるのです。
  51. 西村直己

    西村国務大臣 私から答弁するのは適当であるか、専門家もおられますが、大体私の観念しておるところでは、古米というのは通称語でございまして、おそらく役所用語としては何年産米、四十二年産米。ですから、ただいま現在ではまだ四十二年産米、昨年とれました米は古米でございませんで、言いかえれば当年産米こういうような意味に考えておりまして、米穀年度が参りますと、すなわち十一月一日から今度は前年産米に変わる、これを俗称古米、こういうのじゃないかと私は思うのでございます。
  52. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、四十二年の秋にとれた米は玄米として倉庫に貯蔵する、四十三年の十一月にならぬと古米にあらず新米なり、古米は新米に対比する民間一般国民の生活上のことばなんです。古米と新米とそのほかに中間米ありということはちょっと聞かぬのですが、そうすると、古米というのは、去年の秋にとれた米がこの秋の十一月にならぬと古米にあらず、こういうことなんですか。そのとおりでしょうか。どうです。それは専門家のほうで……。
  53. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 古米、新米ということを物理的に申し上げれば、翌年度の米がとれれば前の年の米が古米であるという定義のしかたもあると思いますが、通常の場合に新米、古米という区分をいたしますのは、米穀年度、つまり毎年の十一月初めに前年度から繰り越されました前年産米を古米というのが常識である。ただ商品として古米という取り扱いがされましたのは、戦前の米穀取引市場等において初めて古米の格差というものがあらわれますのは大体十一月当時ではなくて、さらに年を越えて翌年の三月ないし四月ごろに古米格差が初めて取引上であらわれるというのが戦前の姿でありましたので、そういう意味では古米の定義は必ずしも明確ではないというふうに思います。
  54. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣、政治はやはり国民のための政治ですから、何も物理的に四十二年の秋にとれました米でありますというて別に国民にお渡しにならないのです。だから、古米とか新米とか、何かそこに——常識が間違っておるならそれを是正するように何かと御指示願って、一般に古米といわれておりますのは、つゆが済んで、そして秋になってまた新米ができてきます。できてきますが、しかしできてくるまではこれを普通古米と言っておるのじゃないでしょうか。だから、四十二年の米はいま古米というのじゃないでしょうか。いな古米にあらず新米なり、私の言っておるのは間違いなんですか。間違いでしたら訂正しますが、何か国民に簡単にぴったりとわかるようにひとつ御説明願いたいのですがね。きょういまの時点、九月十八日現在、四十二年の秋にとれた米は古米にあらず新米というのですか、新米でもなし古米でもなし、四十二年の秋にとれた米でございますというて配給するのですか。それはどっちですか。
  55. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 これは常識的に申せば、新米、古米というものの呼び方は、新しい年の米が生産されまして前年の米と両方が併存するときに新米、古米というのであって、新米が出る前に前年産米がつゆを越したからといって古米という呼び方はおよそ過去にもなかったと私は思います。
  56. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ああそうですが。それじゃそれはその程度にしておきましょう。  そこで、四十二年の秋にとれた米が、自乗倉庫に玄米として保管せられて四十三年のつゆを越し、それから夏を越し、九月になる。しかしそれは特別の装置なくして、普通の常温装置で保管貯蔵しておるという場合に、これはきのう食糧庁次長は質は変わらず、味は変わらず、こういう御説明、ただにおいがどう、好みがどうとかこういうお話があったのでございます。ところが一般の常識は、つゆを越しますと虫がつく、かびがはえるというので、あるいはこれを薫蒸するとか殺虫するとかかびを殺すとかなんとか処置をする。そういうようなことで夏を過ぎると夏の暑さに当てられる。湿気もある。そうすると玄米はぬかが酸化する、こういうふうなのがどうも常識らしいのです。そうしますとやっぱり味も落ちる、おいしくない、こういわれるのでありますが、そういうようなことは何か錯覚なんでしょうか。錯覚にして、質は変わらず、すなわちくさくもならずに、まずくもならず、したがって四十三年の秋米がとれるまで、四十二年の秋とれた米は同じ味で変質はしておらず、こういうふうな説明で通るのですか。どうなんですか、長官。
  57. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 その点につきましては実は先般の米価審議会の席上でもかなりいろいろな御議論があったのでございます。また私どもは私どもの見解を申し述べたのでございますが、最終的に農林省食糧研究所の専門家を招致をいたしましてその点の解明をいたしたのでございますが、結論といたしまして、四十二年産米が四十三年のつゆを越しますと、玄米の段階ではいわゆる表皮、ぬかの質の変化がある。脂肪酸の増加等がある。ただ白米の段階に至りますと、四十二年の産米は、四十三年のつゆを越して、たとえば十一月あるいは来年の三月ごろまでの間は外観、それから食味ともに識別は困難である。これはいろいろな食味試験等をいたしました結果としてそういう証言をいたしまして結論になったわけでございます。私どもそういう主張をいたしておったのでございます。ただ昨日次長が申したように新米、いわゆる新しい米が生産をされましてしばらくの間は、前年の産米とはたき上がりのときのにおいについては差異がある。その点は認めざるを得ないということでございます。
  58. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 結局つゆを過ぎ、夏を過ぎましても玄米で保存しておれば変質はしない、精米にすれば味は同じ、こういうことですか、そういうふうに理解したらいいのですか。
  59. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 一般の人間の食味に関する判断力に関する限り、白米段階では外観も変わらず、また食味も変わらないというのが定説でございます。
  60. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そのとおり間違いがないのなら、それはけっこうでございますが、どうも私自身はこの点について十分な知識はございませんけれども、しかし通常、常温装置の倉に玄米で保管しておいて、そしてつゆを越す、あるいはメチルマロイドなどで薫蒸する、こういうこともやり、そして夏を過ぎて暑気に当てられる、そういうことになりますと、植物学者の説明では、米はやはり呼吸をしておるとのことです。こういう呼吸をしておる米が、発芽の能力を持っておるのが、同時にビタミン耳などの減少などから、胚芽あるいはでん粉層などが減る。そういうようなことの結果、これは事実上変質します。またぬか層が植物学的には、たとえば葉緑層あるいは種皮とか糊粉など七つの層があるようでございます。それから一八%も脂肪があるというのですね。そういうものが酸化して一種のいやなにおいがする。これを、いうならば古米の品質変化と一般に称しておるのではないであろうか。こういうことであるので、ぬかが非常に大切である。それが変化をするというようなことから見まして、私はやはり味覚にある程度影響をする変化を生じておるというふうに見るというのがほんとうじゃないだろうか。定説は、それは定説かもしれませんけれども、どうもわれわれの味覚常識というものは、つゆを過ぎ夏を過ぎる以前のものと、以後のものと、いろいろな手を入れて薬をまいたりくすべたりしたようなものとは違うというふうにみな言うのでございますが、それは間違いないのでしょうか。間違いなければそれでけっこうでございますけれども。その点、ひとつはっきりしておいていただきたいのであります。
  61. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私ども食糧庁といたしまして、あるいは農林省食糧研究所の専門家にしましても、あるいは食糧配給の全国団体の見解も、一度目のつゆを越しますとぬかの部分には変化があることは、これは御指摘のとおり明らかである。あるいは胚芽の部分についてビタミン耳の減少等がかなり顕著に見られる。しかし白米段階につきましては、外観、食味ともに識別は困難である。ただ、満一年以上経過いたしますと、いまの呼吸の問題もございますし、水分の蒸発等で若干の重量軽減がある。それから翌年のさらに翌年になりまして、いわゆる気温二十四、五度になるような時期がきますと、また変化が始まる。さらに二回目のつゆを越しますと白米段階にいたしましても明らかに古米臭というのが強くあらわれるようになるということでございます。個別の米について言いますと、保管が十分でなかったとか、あるいはそもそも最初の水分の調節が十分でなくて水分過多であったというようなのは、それ以前に変質が起こることはあり得ると思います。
  62. 大石武一

    大石委員長 説明は簡単に願います。
  63. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 結論を急ぎます。  そうしますと、深川の倉庫は二十五でしたか、そのうち三棟だけが低温倉庫になっているらしいですね。二十二は常温でございます。そこで、百万トンも収容能力を持った例の深川倉庫、私も行ったことがあるのですが、こういうような面につきましても、あなたのお説によれば、経費をかけて低温倉庫をつくる必要はない、だから三つともやめてしまって、二十五全部常温でよかろう、全国的に格別に温度を調整して米の生命なり質なりの変化を防ぐというような措置は必要でないということにもなるらしいのですが、それはそれでいいのですか。
  64. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 ただいま申し上げましたように、通常倉庫では一年を過ぎれば水分等の蒸発が著しい、そういう問題がございます。また、三月以降さらに次のつゆどきには相当大きな質変化がある。それを防止するためには、やはり低温倉庫というようなものの効用というものが高いということであります。
  65. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから大臣食管会計の問題ですが、食糧管理制度、食管会計の問題は、これは米の問題のみならず農林財政にもつながっていく重要な課題と考えるのであります。先般来、中間経費——米の集荷、運搬とか保管とか事務とか金利を加えますとトン当たり一万四千円もかかっておるようでありますが、この金利以外の面につきましては相当節減する余地があろうと思いますので、この点はきのうも大臣に具体的に御答弁願えるように準備をしておいてくれと言っておいたのですが、やはり食管制度にお触れになって、また食管問題等が大臣総合農政一つのきっかけにもなった様子でもございますので、かたがた食管制度を維持する以上は食管会計というものについて相当根本的な検討を加えていくという態度でないと、これは容易ではないのではないだろうか。財政全般の見地から見ると三、四年で崩壊してしまうのではないかとさえ心配いたすのでありますが、ひとつ中間経費を節減するということについての具体的な案をお示し願いたい。  それからいまの金利問題でありますが、これはさっき華山君もあるいはお触れになったのかと存じますけれども、私はいまのような高い金利の金を使うようなこと、去年四百四十億円も金利に払っておるようなこと、そういうような国全体の財政としてだらしないやり方をしないで、国の施策の遂行について、政府自身が所管する会計について年間四百億円以上も金利を払うような、そんな特別会計はいつまでも維持できませんです。大臣、これは高度の政治的な観点からいたしまして、やはり内閣の基本的な施策の一環として、あなたが食糧管理制度、食管会計にお触れになる以上はどうしてもメスを入れなければならぬ課題であろうと考えるのです。ひとつきょうは具体的に御説明願えればありがたいのですが、いかがでございましょう。
  66. 西村直己

    西村国務大臣 食管の改善につきましては、今後も検討を続け、できるだけよい結論を得たいと思います。さしあたり私どもは、いろいろな点がありますが、予算の執行につきましても経費の節減、たとえば運送費の節減につきましても、先般来すでにことしも具体的に節減はいたしたのでございますが、さらに将来に向かいましても、鉄道運賃、これの運送計画なんかの立て方の問題もあると思います。発着の結びつきの問題、これが適確であればいい。それから保管料につきましても、できるだけやはり政府倉庫の利用とか、保管料の低い産地倉庫の利用とか、こういうようなことによって、米はわずかな節約でも、量が大きゅうございますから、そういうような努力を重ねることによって経費の節約をはかれるわけでございます。  それから金利のお話がありましたが、これも私ども大蔵省と十分相談いたしまして、無利子の国庫余裕金の借り入れ、これはやはり国の財政の中で金利がかさむということは困ることでありますので、できるだけそういう努力を重ねてまいりたいと考えます。
  67. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはきょうは具体案としての数字を内容とするところの御答弁がいただけませんので、せっかくひとつ前向きに御検討いただきまして、積極的な内容の節減案ができることを強く御要請申し上げておきます。  それからあと二点で終わります。消費者に円滑に食糧を供給する面につきまして、流通、加工面に新しいくふうが用いられるようでございますが、配給面につきましては、何か具体的なくふう、案がもうできておるわけでありましょうか。もしくは方向はどうなっておるのでありましょうか。その点はいかがですか。
  68. 西村直己

    西村国務大臣 配給面につきましても、登録制度の緩和であるとかいうような方法、さしあたりやり得ることをやりまして、それから法令の改正等、将来に向かってのものをまたさらに検討を続けていく。さしあたりただいまやりたいという事柄につきまして、食糧庁長官のほうから簡単に御説明いたします。
  69. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 配給面の改善の一つは、末端の小売り店と消費者との登録制ということを廃止をいたしまして、同一市町村内ではどの小売り店からでも、通帳を提示して買うことができるということに改めたいということが一点。  それからいま一つは、卸の段階で、集中精米によって小袋詰めの配給をしたいという卸については小売りの兼業を認める。また小売りの出資または小売りの共同体で、同じように集中精米によって小袋詰め配給をしたいというものについては卸の登録を認める。いわゆる相互の乗り入れを認めるというようなことを考えていきたいというので目下検討中でございます。
  70. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 後継者問題でありますが、後継者問題というのは、これは別の角度から見まして、やはり生産対策あるいは将来の農村過疎対策、いろいろな角度からして非常に重要な内容を持っておると思うのであります。大臣、これはなかなか簡単にはいかぬと私は思うのですが、根本的な魅力のある農業であり、農村であり、農村における生活が期待されなければ、とうていこれはとどまりません。教育をして、農業学校へ入れて、そして後継者を育成する。しかし農業の専門知識、学問的知識ができますと、やはり町へ行って生活がしたい、これが普通でございます。したがいまして、やはり農業自体の問題にひっかかってくると思います。これは同時にまた生活の環境の問題にもなります。家族の関係の問題にもなります。あるいはまた青少年対策という角度からも見なければなりますまい。あるいは教育の面から、たとえば幼稚園の施設であるとか、あるいは保育施設であるとか、そういう施設。だからそういう保育とかあるいは教育とかあるいは家族、環境、また文明的にいうならば、もっとやはり排水とかそういった面まで清潔、清楚な感じのするような村づくりも必要でないであろうか、こう思いますので、後継者問題につきましては、やはり広範なあらゆる角度から検討いたしまして案を立てていく、こういうふうにしなければ、単に経済的に引っぱっていくというようなことだけでは、とてもとどまりません。それほど簡単なものでは私はないと見ておりますが、この点、非常に大事な根本に触れますので、大臣にあなたの構想をひとつはっきりしておいてもらいたい。
  71. 西村直己

    西村国務大臣 私もしばしば全国的な規模の後継者の大会、研修会等に参りますが、基本はやはり農業工業と本質的に違う、あるいはこういう第一次産業工業、第二次産業との本質が違うという点をよく知ってもらう。はっきり申しますれば、特に農業畜産等におきましては、愛情というものが基本になければ私は続かないと思う。単に経済性だけで、損得だけではいけない部分がある、言いかえれば、自然あるいは生命、いきものを相手にしている社会だ、この基本理念をもとにしながら、さらに経済性を入れていく、言いかえれば、自立ができるんだ、農業についていることはしあわせなんだ、このビジョンを与えることが必要じゃないかと私は思います。最近私ども接します若い自家農業をやろうという意欲に燃えている諸君は、かなりそういう点においてはお互い同士共感を求め合いながら固まりつつあると思います。私は、全国の非常に多くの農家を全部それに仕上げるのは、いろいろ兼業その他の農家においては困難かもしれませんけれども、自立経営できそうな後継者等においては、非常にしっかりしたものが新しい農業経営に向かってむしろ意欲的に、ある意味では都会よりより以上に意欲的に立ち上がってきているという、楽観的と申しますか、希望を持てる部分もあるように思います。したがって、われわれの施策努力をいたしますれば、後継者、特に中核体の後継者にはよりよい人を求めることもできるんではないかと私は思っておりますが、一そう努力するつもりでございます。
  72. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 農業政策が農政全般を通じましてやはりおっしゃるがごとき物質偏向のきらいがどうもないではない。やはり生活面におきましては、たとえば、御承知のとおりに農村は過疎地帯の結果、医者が来ません。東京で医者が開業しようと思ったら医学博士でも容易じゃない。しかし、農村ではどんなりっぱな病院施設をしてもなかなか医者は来ません。一万四、五千の町でも、りっぱな入れものはありますけれども医者は来ない、一ぺん去ったら容易に来ないというような現状でございますので、こういうような健康保持の観点からいたしましても、単に経済的な面だけではなしに、経済偏向ではなしに、豊かな生活——おっしゃるがごとき豊かな心情の生活可能なそういう村づくりということになりましたら、村は、言うならば理想郷です。そういうことさえ思われまするので、日本には、私はその要素、条件はあると思います。したがいまして、この点につきましていろんな角度から村のよりよい生活、新しいビジョンをそこにつくり出して、そうして新しい建設をするといったような、昔の武者小路実篤ですか、ああいった人の新しい村づくりというものは一応別といたしまして、新しい時代におけるそれというくらいなそういう一つの風潮ができるように御指導になることをひとつ御希望申し上げておきたいのであります。  結論としてお尋ねしたいことでありますが、要するに、以上あなたのお述べになっており、また企画されんとするところの総合農政を展開するということは、これはまた非常に重大な国政の進展につながっております。やはり農村の持っておる、引き合わぬがなお農業を放さない、墳墓の地でもある、都会へ出ても、事あればやはり農村へ帰りたい、そして堂々として働いておる、この百姓に対する、勤労感謝のような基本法の前文がありますが、これがやはり日本の潜在的な力ではないだろうか。こういうものを持っておる農村でありますので、私は農村に対する、特に都会と結んで、流通とつながって、生産、流通、消費という全般的な視野から見たところの新しい総合農政であるならば、やはり相当大胆に予算をつけて、そしてけちけちするのじゃなしに、成果をあげていく。きのうもちょっとそんなことも言ったのでありますけれども、試験的に何かやるということはもうしないことです。試験的にするというようなことで予算を使うべきでなしに、試験は試験、実験ではなしに、モルモットじゃなしに、やる以上は必ず成果を期待する、投資する以上はその投資はきっと成果あり、こういうような自信を持って、大胆に相当予算を組んで要求する。過去において検査院の指摘したいろいろな農林省予算の非違事項なんか見てみますと、何かしら水増ししたような感じもいたします。そういうことは一切なしに、しかし相当思い切って予算もつける、財政措置も講じるというふうにいたしまして、大胆な施策をする。そうしてまた、臨調の行政に対する改革の問題もございます。ございますけれども、これとても有用なもの、有効な、適切なものは伸ばしていくというようなかまえで弾力的にこれは運用すべきでございますので、私はそこは例のさきにお述べいただいたPPBSの精神も活用いたしまして、そうして雄大なプラン、計画を立てまして予算をつくっていく。来国会におきましては、農林省総合農政の展開の予算というものは相当組まれておる——ことしは準備不十分だからちょっと頭だけ出しておくのだというようなそんなけちなことじゃなしに——そんなけちなことならば、これはもう絵に描いたもちに終わるおそれがあります。大臣、そういうことにならぬように願いたいと思うのですが、最後にひとつそれに対する御自信を聞いておきまして、質疑を終わります。
  73. 西村直己

    西村国務大臣 私は日本農業の将来につきまして、決して暗い見通しを持つどころではなくて、むしろやりようによっては、近代化されて、しかも相当国の基本としての一つ産業の面、それから豊かと申しますか、安定した農業地域というものができるような方向農政を展開してまいりたいと思います。したがって、もちろん国の大きな財政の中の一つではありますが、できる限り御趣旨に沿うような考え方のもとに努力をしてまいりたいと考えます。
  74. 大石武一

    大石委員長 次は赤路友藏君。
  75. 赤路友藏

    赤路委員 先ほど吉田委員のほうから古米問題が出ていましたが、ちょっとひっかかる点があるので、長官にお尋ねいたします。  この四十一年の決算説明、これの二五九ページに、四万五千トンの前年産米の買い入れがある。前年産米ですから古米なんですが、これは古米を買うておるということですね。予算面を見てみますと、四十年、四十一年、四十二年、その三カ年間、やはり予定数量があって、そのつど買い付けておるわけなんですが、これはどういうことですか。
  76. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 いま先生が御指摘になりました前年産米というのは、たとえば四十三会計年度で申し上げれば、四十二年産米の買い入れが四十二会計年度中に終了しないで、四十三会計年度にわたって買い入れが行なわれるということでございますから、私どもが定義をしました古米ではないわけでございます。
  77. 赤路友藏

    赤路委員 さいぜんからの説明で、そこのところが非常にあやふやというのですか、予算面からいけば四十二年度の米を買い入れる予算は、翌年の三月三十一日までは予算年度ですから、それを越してから買い付けるということになると、さいぜんからの話の内容からいきますと、これは古米ということに確かになるのですね。新米ではない。これは新米ですか、古米ですか、どっちですか。
  78. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 これは前年の産米を翌会計年度で買い入れるということでございますから、その間には新しい米は生産されておりませんから、先ほど私が申し上げた言い方をすれば、古米でもなければ新米でもないということでございます。
  79. 赤路友藏

    赤路委員 先ほどの話でいくと、四十二年度の産米は四十三年の十一月一日から消費者価格が変わってきますね。それは年度が変わるのですね。そうしてそこまではこれは新米になる。それを越すと前年米、そういうふうじゃないですか。だからここのところ、一体、いま長官が説明したとおり、前年米というのは四十二年の秋取り入れた米が翌年の予算の切りかえ時、三月三十一日まで、ここまでですね。そうすると、四十三年を越えて四十四年の三月三十一日になりますね。そこまでは新米だ、こうきりっとけじめをつけていいですか。それだけなんです。
  80. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 四十二年産米がいわゆる古米と称せられるのは、四十三年の十一月一日以降であるということであります。で、その米が四十四会計年度にわたって買い入れがされましても、そういう意味での古米であるという性格に変わりはないと思います。
  81. 赤路友藏

    赤路委員 これは私ちょっとのみ込めないのだが、そうすると、いまの時点で言って、こういうふうに理解していいですか。四十二年の新米——いまもう四十二年度刈り取っていますね。四十三年度の刈り取っておる米は翌年四十四年の三月三十一日までは新米である。それを越した場合は古米。そうすると、たとえば、いま刈り取っておりますね、いま刈り取っておるものを来年の四月以降に買い付けるということがあれば、それは古米である、前年米そういうふうに理解していいわけですね。
  82. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 それは古米ではないわけであります。私どもが先ほど、毎年十一月一日に始まりますときに前年産米を繰り越したものを常識的に古米と呼んでおりますと言っておりますのは、米穀年度で言っておるのでございまして、会計年度で三月三十一日までに買い付けを終わらなくて四月一日以降になりましても、それを古米というわけではございません。
  83. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、米穀年度のものですべてを律していく、会計年度で越えてもそれは古米ではない、こういうふうに理解していいわけですね。
  84. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 そのとおりでございます。
  85. 赤路友藏

    赤路委員 そこでちょっと気になるのですが、こういう買い付け方の中に何か法的なものがありますか。かりに四十一年のやつはいま古米として買うかどうか。
  86. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 食糧管理法自身には、政府が命令した米だけは売り渡せということを言っておるのでございますが、食糧管理法施行令の五条の五に、米穀の生産者は生産した米穀を政府以外には売ってならないという規定があるわけでございます。でございますために、たとえば四十一年産米を四十三会計年度でなお、微量でございますが、買うという例はございます。
  87. 赤路友藏

    赤路委員 すると、そういう例がありとすると、たとえば翌年度あるいは翌々年度へ米を持ち越し得る農家というのはそう数ないと思うのです。そうすると、非常に大きな富農層になるのじゃないかと思う。こういう持ち越し得るような富農層の古米を買わなければならぬかどうかという問題が一つ出てくるわけなんです。その点は何かお考えがありますか。
  88. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 先ほども申し上げましたように、ごく微量ではございますが、前々年産米を買っておる例がございます。そういうような買い付けをする必要があるかどうかが、今後は検討すべき事柄であろうと私は思います。
  89. 赤路友藏

    赤路委員 先ほど来大臣のほうから話がありまして、食管制度に対して一応検討を要するだろうというのでいま問題になっていますが、そういう中でやはりこういう面も明確にしていく、こういうふうに理解しておきます。  次に、この二五九ページの「取扱数量」なんですが、この「取扱数量」のところで「国内産米の買入数量は、当初七百十四万九千トンと見込み、その後七百五十八万三千トンと改めたが、その実績は八百三万八千トンに増加した。」これで四十五万五千トン当初の見込みよりも増加した、こういうことなんですね。そうすると、二六一ページにこういうことがあるわけです。予算の不用額が出ておるわけです。不用額は八十二億四千百六十万九千円、この「不用額は国内米買入費を要することが少なかったこと等により生じたものである。」だから、取り扱い数量のところでは増加をしたその数が四十五万五千トン。ところが、この国内米管理勘定のところでは不用額が出ておる。これは何か矛盾を感じるわけなんです。これは予算が補正されて追加しておりますね。そういう結果から出てくるのだと思うのです。国内米買い入れ勘定の中で予算補正追加額が八百七十一億六千四百六万八千円、これだけが追加されている。そうしてその結果、最終的には八十二億余りの不用額が出た、こういうふうに解釈するわけなんです。これから受ける印象は、どうも予算の編成がややずさんではないのだろうか。もちろん補正しました総額からいきますと、一〇%に足らぬ金額ですから大きなものでないかもしれませんが、何か補正をして——この場合補正をしなければこれは出てこないのですから、補正をしている。それだけにそういう感じを私は持たざるを得ないわけなんです。予算の編成のときに少しずさんだったと言ってはおこられるかもしれないが、少し注意が緩慢ではないかと思う。この点何かありますか。
  90. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 御案内のように、食糧管理特別会計では歳出予算として組みました予算のほかに予備費の使用を認められております。そのほかに予算総則による弾力条項の発動で歳出権を拡充することができるということで、四十一年度予算につきましては、当初の集荷見込みよりも集荷数量がふえそうだということで予算補正をいたしたわけでございます。予算補正をいたしまして、歳出予算、予備費、それから弾力条項の発動によって買い入れに対処をいたしたのでございますが、結果において、御指摘のように全歳出予算額の中で八十二億の不用が出たわけでございます。一つは、もしも歳出権が非常にぎりぎりに組まれまして買い入れができないという状況になりますと、農家に対してたいへん迷惑をかけるわけでございます。でございますので、多少のゆとりを持った予算を組むということが国家全面管理の予算としては必要性がある。ただ当年八十二億の不用が出ましたのは——これは時期別格差とかあるいは等級別の見込みが違ってきた場合に出るのでございますが、買い入れ単価がやや補正予算で見込んだものよりも幅があったということから出たというわけでございます。
  91. 赤路友藏

    赤路委員 調整勘定を見てみますと、予算は二千二十億ですね。だから当初のものよりはかなり上がっておるわけですね。私がここで言いたいのは、それがどうということではないのだが、非常に食管会計は大きいですから、そういう面ではつい大まかに予算編成を考える。だから大きければ大きいほど、ひとつ細心の注意をもって予算の編成をしていただかなければならないのじゃなかろうか、そういうことを感じたので、これは申し上げるわけです。私のここで言いたいことはその点だけです。それはもう答弁も何も必要はないわけですから、そういうふうに今後御留意を願いたい。     〔委員長退席、田川委員長代理着席〕  それから輸入食糧の管理勘定、これに関連をするのですが、実は包装費ですね、これをずっと見てみますと、四十一年、四十二年、四十三年、これは二重俵は百六十一円で変化なし、それから複式のほうも百三十三円で変化なし、かますのほうは四十一年百十一円であったのが百十五円、四円上がりになっています。それから麻袋のほうは百五十六円が四十三年は百五十二円になっておる。紙袋のほうは三十二円が三十三円と一円上がり、こういうことなんですが、これをちょっと見てみて、諸物価の上がりと比較していくと、これの上がりというのでしょうか、据え置きということになっておるので、他のものとの関連を考えた場合ちょっと変に感じられるわけですね。これだけなぜ上がらないのだろうか。何か理由がありますか。
  92. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 御指摘のように、四十一年から四十三年の間に包装代につきましては、かます、俵は据え置きになっております。麻袋は四十三年期になりますと四円下げになっておるわけです。そして紙袋が一円上げということになっておりますが、俵、かますを据え置きましたのは、俵につきましてはいまほとんど使用の数量も微々たるものでございまして、現段階では俵は二重俵、複式を合わせまして二%弱なのでございます。俵につきましては、従来は農家の農閑期の所得に対する配慮というようなことでコスト主義をとっておりましたが、現在の農家の事情等から考えましてもそれほどのウエートを持ちませんし、また食管会計立場からも最も不経済包装であるということでもございますので、そういう理由から据え置きにいたしたのでございます。かますにつきましては、農家の取得価格調査いたしまして、いわばかますが農村で流通しております実勢の価格をとってやっていった。紙袋、麻袋については製造コスト、包装の際の経費というものを計算いたしまして採用してきた。したがって、そういうようなことからそれぞれ、あるいは上がり、あるいは下がったものもございますが、俵については据え置きということでございます。
  93. 赤路友藏

    赤路委員 上がったり下がったりしていることは事実です。しかしその幅は非常に小さい。だからいま長官の言われるように、いろいろな面もあることだし配慮しているのだと思います。  それじゃお尋ねしますが、輸入食糧ですね、特に小麦にいたしましてもあるいは米類にいたしましても、これはばらで入るのか、あるいは袋入りか、輸入経路というものはどういうようなことになっているのか、その点をちょっと聞かしていただきたい。
  94. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 外国食糧のうち麦類につきましてはすべてばらで輸入されております。そして本船が日本に到着いたしました場合に、岸壁につけましてそのままばらサイロへ吸い込む方式と、沖ではしけ取りをしましてばらでサイロへ詰める場合、それから岸壁で袋詰めにする場合、それから船内で袋詰めをしてはしけで取る場合、そういういろいろな場合があるわけですが、現在の比率はばら取りが約六五%、袋詰め三五%ということでございます。米は麻袋詰めの輸入が大部分であります。
  95. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、ばらで来たものは食糧庁がそれを直接操作する。袋へ入れるとか、あるいは岸壁に着いたものをどこかへ保管しなければならぬ。それは食糧庁がやるのではなしに、商社がやるのですか。
  96. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 袋詰めの場合には、商社が袋詰めにいたしまして、政府の指定倉庫内で政府が買い取りをするということになります。
  97. 赤路友藏

    赤路委員 この麻袋なんですが、いま百五十二円、四円下がったのですね。四十一年は百五十六円なんだが、麻袋百五十六円で、これを売り渡すときの価格は五十五円なんですね。そうすると、麻袋一袋でもって欠損する額は百一円、こういうことになるわけですね。かなり大きいわけなんです。そこで、私の手元へちょうど四十一年のときに食糧庁のほうから十一月十一日現在のものをとっておるのですが、やはりざっと四千万袋、そうすると四千万袋で、かりに一袋百円ずつ損をするということになると、それだけで四十億の欠損になるわけですね。そうして今度はB袋、一ぺん使用したものを購入するのが百円になっている。それもまた売るときは安くなっておる。こういうふうに一つの麻袋が幾つか段階を経ていくたびに欠損をしておるということになるわけです。これはどういうことですか。
  98. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 お話のように、御指摘の百五十二円というのはいわゆる新麻袋、それから百円というのは二度目に使うもの、それから八十四円というのは三回目に使うものでございます。そこで政府は新しい麻袋を使いますと、その麻袋代を売り渡すときに幾ら織り込むかということになるわけですが、織り込む価格は市場の実勢価格をつかまえて織り込まざるを得ないということでございますから、どうしてもその間の差損というものは出るわけでございます。その差損が相当の金額にのぼることは御指摘のとおりでございますが、二回、三回と使うに従いまして政府の差損は少なくなるということで、私どもなるべく回転を多くするということにつとめておる実情でございます。
  99. 赤路友藏

    赤路委員 四十一年のもをのちょっと数字で調査したのをもらったのですが、A、B、C合わせて五千五百十二万九千袋、それで差額損が四十八億九千二百二十四万円、こういうふうになるわけですね。ざっと四十九億の欠損なんです。というように新しい麻袋に入った米を政府が購入する、そしてこれを売るときはいま言うように百五十六円が五十五円になる。今度それを回収業者が回収をして、修繕するものは修繕をして、またそれに米が入って次年度持ってくるときは、その古いものについては百円で買う。そうすると手数料、修繕費、そうしたものがそれだけかかるのだ、そういうふうに理解していいわけですね。
  100. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 そのとおりでございます。
  101. 赤路友藏

    赤路委員 そこで問題はこの経路です。この経路を見てみますと、麻袋を取り扱う調達機関は全国で三社しかないのです。それは一体どういうことなんですか。
  102. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 御案内のように麻袋の発生をいたします場所は、輸入食糧でございますれば製粉工場でありますとかあるいは精麦工場、あるいは国内米でございますと卸の工場あるいは小売りの工場ということで、非常に数多くの場所で発生をするわけでございます。したがってそれの古麻袋集荷業者というのは数多くおるわけでございます。それを修理をいたしまして、古麻袋を購入をして、また輸入食糧なり国内米を詰めるというために取り扱うところはまた少数になってくるわけであります。その間に一種の問屋的機能を営むものが麻袋の調達機関というものであるというふうに理解をいたしております。
  103. 赤路友藏

    赤路委員 その調達機関はいまどれだけあるのですか。
  104. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私どもの承知しておりますところでは、お話のように三社であると承知をいたしております。
  105. 赤路友藏

    赤路委員 いま長官は、私どもの知っておる範囲内でと言ったが、これは実はあなたのほうに今度資料要求をしたところが、自由流通商品であるので食糧庁としては知悉していない、こういうことなんです。わかります。わかるが、この問題は私がすでに先ほど言ったように、たしか十一月から十二月にかけてだと思うが、そういうことが問題になったからこれはいかぬ、これは完全なトンネル会社でしょう。本人自身が集めてどうしたということではない。いま私はここへ当時の新聞の切り抜きも持ってきておるのだが。だからそのときに十分留意をして、そうしてよそのほうから疑惑を受けないようにすきっとした形にするようにという注意を私は申し上げておいた。ところが依然としてその点が今日に至るもそのままなんですが、あるいはやむを得ないあれかと思います。ただいえば麻袋の組合がありますね、そういう組合が自分たちで自主的にやっておる。だから直接食糧庁のほうではこれは関知しないことになる。しかし実際上の問題としては、いままでの経緯から見て、そうではない、私の言いたいのは何かといえば、先ほども言いますように、四十九億という手数料ですか何ですか、欠損分があるわけですね。四千万枚かりに麻袋を扱って帳簿へつけてそれをずっと流すというだけで七、八千万円利益が出ていくという、すでにそういう経緯があって問題を起こしたことがあるわけなんです。だからこういう線は、食糧庁の大きな食管会計の中からいけばわずかなものではあるかもしれませんが、やはりそういう点も留意してこまかく操作をしてもらうということでないとならぬのではないかと思う。私はいますぐどうせよとは申し上げません。また従来の経緯があって、すぐそれをやるということはむずかしいかもしれませんが、しかし東京資材が倒れていまなくなっておりますね、それであと二社ですか、瑞穂と……。
  106. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 麻袋の調達機関として働いておりました東京資材が倒れまして、そのあと共和資材というものが設立をされまして、いまは瑞穂資材、共和資材、全麻連の三機関でございます。
  107. 赤路友藏

    赤路委員 それではこの問題はその程度にしておきましょう。いずれにしましても、この際もう一度この流通関係は検討をして、そうしてやはり冗費節約といいますかむだのないようにおやり願いたい。このことを希望申し上げておきます。食糧庁のほうはそれでけっこうです。何か言うことがあったら言っていただきます。
  108. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 御趣旨を十分体してまいりたいと思います。
  109. 華山親義

    華山委員 関連。いまの麻袋のことでございますけれども、市場価格で取っているとおっしゃいましたが、市場価格を形成するのはだれなんですか。その関係の二社なり三社なりがやっているんじゃないのですか。どうなんですか。
  110. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 古麻袋につきましては食糧関係のみでございませんで、たとえば製鉄関係の、私もよく存じませんが、鋼津の包装用でありますとかあるいはえさ用でございますとか他の需要もございますので、それらが取引をいたします市場価格を基準にいたしまして決定をいたしておるわけでございます。
  111. 華山親義

    華山委員 市場価格はどういううふなところから出てくるのか。食糧庁ではどういうふうなことで市場価格をきめられるのですか。何か相場が立つわけでもあるのですか。
  112. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私ども全国食糧事務所の組織を持っておりますので、製粉工場、精麦工場等、あるいは米屋等の店頭で売買されておる実例を調査させまして市場価格をつかまえておるわけであります。
  113. 華山親義

    華山委員 そうすれば、お調べになるのは大体製粉関係の食糧関係のところなんですから、その価格を形成するのは先ほどおっしゃった二社なり三社なりが形成しておるのでしょう。製鉄とかなんとかおっしゃいましたけれども、そういうところまで調査しておられるのではないような様子なんですけれども、それはどうなんですか。何か私は独占的な価格というものを形成して、それによってやっておられるのではないかというような気がしますけれども……。
  114. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 先ほど申し上げましたように古麻袋を集めますものは古麻袋の収買業者というので、これは数多くあるわけでございます。何ら独占の形態をいたしておりませんで、そういう数多くの古麻袋を集めまして修理をしたりするような業者と、それから製粉工場なり米穀商なりあるいは精麦業者なり取引の実体価格をつかまえておるわけでございます。
  115. 華山親義

    華山委員 しかしそういう小さな業者とかそういうところはあまり関係がないんじゃないですか。大体製粉との関係が出てくるのであって、そういうところからもやはり価格というものが出てくるのですか。あまりないのではないですか。どうなんですか、それは。
  116. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 これは古麻袋の収買業者が自分の営業としてやります場合に、どういう値段で買えばどういうような用途に幾らで売れるであろうということで価格をきめて引き取っておるわけでございますから、これを市場価格と認めざるを得ないと思うのでございます。
  117. 赤路友藏

    赤路委員 いまちょっとあったので、まあまあどうということはない。長官は腹の中へ入れておいてもらいたいのだが、この東京資材が設立したのが昭和二十五年十月で、昭和四十一年四月二十二日に倒産している。倒産して新東京資材が設立されたのが四十一年の六月二十一日、二カ月たって新東京資材が設立された。これでは誤解を受ける。元は東京資材ですから、新がついただけでは誤解を受けるというので、昭和四十一年八月九日に共和資材に名称変更をやっている。こういう経緯があるわけですね。社長も重役もみんなわかるわけなんだが、そういう経緯があるので、私がいま言っているのは、東京資材がそういうふうにして倒産してまたたく間に共和資材になったわけですが、これがいけないとかなんとか言うのではなしに、そういう面でも非常に慎重な態度をとってもらいたい、こういうことなんです。だからあなたの腹の中へこういうこともあるのだということを入れておきなさい、これだけです。ほかのことを言っているのではないのです。  長官はもういいです。  あと科学関係です。もうこれだけですからしんぼうしてください。  それじゃ科学技術振興費なんですが、説明の四十三ページに「科学技術振興費」こういうのがあります。この中の農林省所管なんですが、まず第一にこういうことを書いています。「農林省所管の試験研究機関において放射性同位元素(アイソトープ)を利用して各種の試験研究を行なったほか、土壌、農作物、家畜、海洋生物等を対象として放射能による汚染調査実施した。」こういうふうに、これは四十七ページに載っているが、これはどういうことをやったのですか。
  118. 近藤武夫

    ○近藤説明員 農林省実施いたしました原子力関係の研究といたしましては、大きく二つに分けまして、一つは放射性同位元素など放射線を用いる試験研究でございます。もう一つは、核爆発の実験などに伴います放射能の測定調査研究、この二つに大別されます。  放射性同位元素など放射線を用いる試験研究といたしましては、おもなものといたしましては、一つは放射性同位元素のトレーサー利用といわれるものでございまして、放射性同位元素を用いまして、土壌中における肥料成分の構造でございますとか、それが作物にどういうふうに吸収されるとか、あるいはどういうふうな植物体内における代謝が行なわれるとか、そういうようなことを調べるものでございます。  もう一つは、放射線そのものの照射を利用するものでございまして、これを作物の種子なりあるいは作物体に当てまして、人為的に突然変異を起こさせ、それによって品種改良をする、あるいは食品に照射するとかあるいは木材等の高分子化合物に照射いたしまして、そうして食品の場合にはその保存期間を延長する、あるいは林産物の場合にはその望ましい性質をそこに付与していく、そういうような研究をやっているわけでございます。大体そういうことに属する研究を四十一年度においても実施したわけでございます。
  119. 赤路友藏

    赤路委員 最近、たとえば農電研究所のほうで、放射能を使ってか何か知らぬが、稲作研究をやっておる。かなり成績をあげておるということを聞いておる。しかしながら農電研究のほうはこれは政府の機関ではないですね。社団法人になっておるのですが、それでやっておるので、だから政府のほうでもある程度やっておられると思いますが、こういう研究の何か具体的なものがあれば資料としてあとでいただいたらけっこうです。
  120. 近藤武夫

    ○近藤説明員 承知いたしました。さっそく資料として提出したいと思います。
  121. 赤路友藏

    赤路委員 それから五十ページのところに、これはまたたくさん書いてあるのです。「各試験研究機関運営費」どれだけ予算がとれておったか知らぬが、すばらしい数並んでおるわけです。もうこれについては説明を受けません。受けるつもりであったけれども、これだけ説明された日にはこっちのほうが参ってしまう。説明は受けません、むずかしいことは私はわからぬから。ただこれのおも立ったものを先ほどのアイソトープと同じように資料として、こういうふうにやっておるのだということだけを書いていただけばけっこうだと思います。ただこの中で一点だけ聞いておきたいのは、これをぼくはけさがた気がついたのだが、農閑期における農業用水の地下水への還元ですね。これが全然ない。それから予算関係を見てみてもこれはないのですね。農業用水の農閑期におけるものを地下に還元する。地下水に還元する。これは重要な問題なんです。それが全然ない。これが一つ、もし説明できればお聞きしたい。
  122. 近藤武夫

    ○近藤説明員 非常に特殊な研究になりますけれども、農閑期に余った水を地下に圧入いたしまして、それを水の需要期に利用するというような研究がありまして、これは主として農地局のほうで指導いたしまして若干のそういった試験をやった例はございます。私の承知しておるのは大体その程度でございます。
  123. 赤路友藏

    赤路委員 それじゃこの点いまおっしゃったように、たしか農地局のほうでわりあい長い期間、いろいろ研究をやったデータがあるはずなんです。あります。それが現在どの程度予算を持ってどの程度のことをもってやっておるのか。それをちょっとまた後ほどでけっこうですから。いま御説明を受けるたってちょっと無理だと思うのです。私の言いたいことは、水の問題はこれからは簡単でないということですね。そうしますと工業用水にせよ、農業用水にせよ、十分これを確保するということになれば、地下水の豊水量というものがかなり大きな要素になると思う。そういう点がありますから、たとえばいま農地局のほうでおやりになっておる農閑期の水、それから別途林野庁のほうで拡水工法、要するにだんだん降った雨を一カ所へまとめて地下に入れる、こういうテストももう何年か続けてやっておるわけなんだ。そういうことが、今後大きく水に関するなにが転換してこない限り非常に重要なものになってくると思いますので、ぜひひとつ現在での予算のつけ方、それからやっておること、これは私は、どうも熱心な係官がもたもたやっておるだけであって、一向にこれに対する力というんですか、協力体制というのができていないように思いますから、重要な要素ですから、その点だけはひとつ希望申し上げておきます。  次に、これでもうおしまいになるわけなのだけれども、五十七ページ農林省所管、この中で「河川流域における水収支機構」というのがある。これを実施したということですね。これは一体何なのか、これが一つ。もう一つは、沿岸大陸だなの地形と地質、これはどの程度なされておるのか。第三は「大気汚染防止」農林省が大気汚染防止をやる。どういうことをどこでやっておるのか。それからもう一つは、「人工霧による局地気象改良」これがある。これだけの説明をひとつ簡単にお願いしたい。
  124. 近藤武夫

    ○近藤説明員 第一の河川流域における水収支機構に関する総合研究、これは、いま先生のおっしゃいました研究は、いずれも科学技術庁のほうで予算措置を講じまして、それで各省庁、二省庁以上が共同して研究した課題でございます。  まず、河川流域における水収支機構に関する総合研究でございますが、農林省として担当いたしましたのは、この調査研究は利根川、荒川地域をモデル地域といたしておりますが、その地域のうちで、山地それから中流、下流地域におきます水収支機構の解明。水収支機構と申しますのは、雨とか雪が降って水が供給される一方、地下に浸透するあるいは空中に蒸発するあるいは川を通って流れていくというその関係でございますが、その収支機構を林業試験場が山地の流域、それから農業土木試験場が中下流流域における水収支機構についての研究を担当いたしました。なお、全体を通じまして農業技術研究所が蒸発散量の推定に関する研究というのを実施したわけでございます。  それでごく簡単にどういうことをやったかと申しますと、林業試験場はモデル地区といたしまして利根川の上流宝川流域というものをとりまして、その地域における水収支機構を明らかにしたわけでございますが、特に山腹斜面の雨とか雪の水の浸透機構と、それから山地流域におきます流出の特色というような点についての基礎的な知識を得たということになっております。それから農業土木試験場のほうでは、赤城山ろく、鬼怒川流域、荒川流域、それから両総、印旛沼、霞ケ浦、こういった地域をモデル地域といたしまして、各モデル地域の水収支機構を類型的に明らかにいたしました。そうしてまた、先ほどの放射性同位元素を利用いたします地下水の流れの測定方法、もう一つは地下水中の天然トリチウムの濃度測定法というのがございますが、この二つの方法によりまして関東地域、関東平野におきます地下水の流動機構が明らかになりました。これによりまして、非常にゆるやかな速度で、関東平野におきましては地下水が大体船橋方面に向かって流れておるというようなことがわかったわけでございます。それから農業技術研究所では蒸発散量の測定方法というものを水田、林地あるいは畑地に適したそれぞれの方法を確立した、こういうのが成果でございます。  それから第二番目に、沿岸、大陸だなの地形、地質に関する総合研究、これでは簡単に申し上げまして、農林省関係では水産研究所と水産庁の漁船研究室が担当いたしまして、海底の上にございます浮遊泥層の厚さを超音波とそのエコーによって知る方法開発いたしたわけでございます。それに必要な測定器を開発いたしました。  それから東海区水産研究所ではこの大陸だなにおきます海の潮流の速度を、非常にゆるやかな速度のものでもごく短時間で測定できるという装置を開発いたしたわけでございます。そういうことで、やりましたことは非常に部分的なものでございますけれども、問題であります海洋資源開発等にも基礎的に役立つものであろうかと考えております。  それから大気汚染防止に関する研究でございますが、この四十一年度の科学技術庁の特別研究促進調整費によりまして実施いたしましたものは、農林省の機関としては林業試験場が担当いたしました。林業試験場が大気汚染の樹木に及ぼす影響に関する研究実施いたしたわけでございます。東京都を中心に街路樹及び緑地帯の各樹木の衰退度の実態調査をやりますとともに、汚染物質を樹木の葉から検出いたしまして、そうして実験室内におきまして、主として亜硫酸ガスがどういう影響を樹木に与えるかという解析的研究をも行なったわけでございます。その結果はごく常識的なことの裏づけができたという程度でございますけれども、樹木の衰退現象は東京都内におきましても地域によってだいぶ違うというようなことから、西のほうは比較的影響が軽微であるというようなことが出ておりますが、そのほか都内の大気汚染の度合いあるいは汚染源がどちらのほうにあり、風向きがどうかということと樹木の衰退現象とは非常に関係しておる、これは当然の話でございますが、そういうようなこと。  それから実態調査の結果から樹種別の抵抗性というものがわかりましてこれを五階級に分けております。たとえば、例示いたしますと、強いものといたしましてはイチョウ、クスノキあるいはキョウチクトウというようなものがございます。それから非常に弱いものといたしましては杉、モミ、赤松ということで、強いもの、やや強いもの、普通、やや弱いもの、弱いものというような五階級に分けております。  それからケヤキの葉の中に含まれます硫黄の含有量と亜硫酸ガスの濃度分布とが大体符合しておる。そして郊外になるに従って低い値を示しておるというようなことがわかったわけでございます。  それから全体としては大気汚染の農林省関係の研究といたしましては非常におくれておりまして、従来実態調査をやりますとか、あるいは測定方法開発、さらに栽培条件の改善なり抵抗性品種の育成というような研究を一部進めておるわけでございますけれども、まだ非常に不十分でございますので、四十三年度から特に予算措置を講じまして水質汚濁とかあるいは家畜のふん尿等農林水産関係のいろいろな公害関係について包括的に対策研究を始めている段階でございます。その中に大気汚染に関する研究も含まれておるわけでございます。これは農林省関係の試験研究機関とか、一部県の試験研究機関さらに大学等にも御協力を得て、さしあたって四カ年計画実施いたしたいというふうに考えております。  それからもう一つ、人工霧でございますが、この研究農林省農業技術研究所が農林省関係の研究機関として担当いたしまして、冷害特に凍霜害を防止するためには従来煙を出すというようなことが行なわれていたわけですけれども、これが必ずしも効果的ではない。水滴というもの、霧というものが非常に効果的でございますけれども、ただ水からできておる霧はすぐ蒸発してしまうということでその水の水滴に蒸発防止剤——水田なんかにまきまして水田の温度を上げるとかあるいは水が蒸発するのを抑制するOEDというのが開発されておるわけでございます。これは農林省農業技術研究所が開発したものでございます。そのOEDを霧にまぜる、含ませるということをいたしますとその霧が蒸発せずに長くとどまっておるということで、そういうアイデアに基づきまして農業技術研究所におきましてOEDを含んだ微水滴を毎分十六リットル噴射できる人工霧の発生装置を開発いたしまして、それを静岡県の谷間で現地の噴霧実験をやりました。噴霧そのものは非常にうまくいった、霧の層の生成に成功した、こういうようになっておりますが、この研究は実は今年度まで継続中でありまして、今年度実際の凍霜害の発生するような条件のもとにおいてどれだけ有効であるかということを試験してみる、こういう予定になっております。
  125. 赤路友藏

    赤路委員 大体大まかにわかりましたが、これはなかなか専門的なものですから、できれば資料として後ほどでもいただければけっこうだと思いますが、河川流域の水の収支機構、これは端的に言うと地下水の関係等もこの中に入る。それからそれぞれの川の流量の調査ということが入ってきますね。非常に重要なものですが、私が特にこういうことを全体として取り上げて言うのは、これは農林省関係だけではありませんが、こういう面に対してどうにも弱い。何か一つできるとそれで済んだことにしてしまう。やはり多方面に関連性がありますから、一つ研究する課題が済んだからといって全体が済んだものでないと思う。ところが、全部済んだことにしてしまって次の変わった課題に出ていくというようなことでは、やはり最終的な効果というものが上がらないのではないかという心配があるわけなんです。だから地下水の場合でも、これは幾つか関連してまいりますから、地下水をどんどんくみ上げるから地盤沈下が始まっておるということはあちこちに出ておる現象です。だから言いたいことは、もっと真剣になってやってほしいということ、それだけの経費は当然必要なんですから、要求すべきものはどんどん要求して新しい方向づけを取り上げていくというそういうかまえがないと、何か遠慮しながらやっておるようなことではこれはとうていできないと思います。  それからいまの大陸だなの問題なんですが、かなり広い分野でありますので、そう簡単に、また海の底のことでありますからいきませんが、いま世界的に問題になっておるのは海洋資源の開発であります。先ほど来もたしか海洋資源開発の面に触れておったと思いますが、その海洋資源開発というのは地下資源の開発中心になっているのですね。要するに海底の鉱物資源といいますか、こういうものにほとんど重点が置かれている。が、農林省としてはそれはそれでいくとしても、少なくとも農林省自体が押えておる昭和五十一年あるいは昭和六十年を押える線からいきますと、何といってもたん白資源が不足するわけですから、このたん白資源の不足するものを補っていく面では、海洋資源の開発というのは非常に重要な要素になっているので、そういうことも含んでやってもらいたいということなんです。  それから私は人工霧のことをちょっと初めてそういうふうにお聞きしたわけなんですが、いま小河内ダムの奥のほうで人工降雨の発煙所が何か三、四カ所できておる。沃化銀発煙を使いますと、大気中の雲、水蒸気といいますか、これは普通の場合は氷点下四十度でないと凝結しない。ところが沃化銀発煙をやりますと、それが氷点下六度でもって凝結するということになります。これはやはり人工降雨という面では非常に大きな役目をするのではなかろうか。まだ研究の過程にあるように思う。この人工霧というのは、そういう面をも含んでおったのかと思いましたが、そうではなさそうなんでありまして、干ばつ問題等が大きくなって、農作物には非常に大きな悪影響を及ぼしております。そういう経緯もありますので、こういう点は十分ひとつ力を入れてやっていただきたい。それだけであります。  大体のことはわかりましたから、まあ出してもらっていいとあなたのほうで了解済みのものがありましたら、ここのところはひとつぜひお願いしたい。  もう一つ、何回も言うようでありますが、予算編成にあたっては十分こうした線を考慮の中に入れてやってほしい。この説明書のところにだらだら書くだけではどうにもならぬ、こういうことを言いたかったわけであります。  以上で終わります。
  126. 近藤武夫

    ○近藤説明員 こういう特別研究等を実施いたしまして、それの期限が切れるとすぐもうそれで終われりとしてやめてしまうわけではございませんので、特別研究というのは特定の結果が出ますから、それぞれの研究機関でまた引き続いてさらに特別な研究をやるとか、経常研究をやるとか、そういうシステムでやっておりまして、決して途中でどうこうということではないということを申し上げておきたいと思います。  それから海洋資源の関係では、もちろん生物資源の利用ということが非常に重要な項目でございまして、水産庁を中心といたしまして、農林省としては積極的に取り組んでおるつもりでございます。技術会議関係の予算につきましても、たとえば本年度から漁業資源を開発するため電子工学を利用いたします機器を開発いたしまして、海の中を泳いでいる魚の数まで把握できるような、そういったものをつくるというような研究も始めておるわけであります。その他、養殖関係にもできるだけの力を注いでおる状況でございますので、この点をちょっと申し上げておきたいと思います。  それから、人口霧に関連しておっしゃいました件につきましては、これは運輸省の気象研究所のほうで、各省の共同研究とは別途向こうのほうでやっておるわけでございます。  それからなお、先ほどおっしゃいました地下水の問題につきましては、農業土木試験場のほうで基礎的な研究をいろいろやっておりまして、先生が御指摘になりました農閑期に水をためておくというような研究に直接役立つようないろいろな研究も、これもまた別途資料で御説明させていただけると思いますけれども、やっておりますので、この点も御了承願いたいと思います。  それから、資料はできるだけ御要望に沿うように提出させていただきます。
  127. 赤路友藏

    赤路委員 もう時間も相当過ぎておりますから、これ以上申し上げませんが、たとえば注意しておいてもらいたいのですが、継続してずっと研究をやっていただく。それは非常にけっこうで、そうなければならぬのですが、科学技術庁あたりでは、せっかく研究したものがもうここに出てきたのだといって、実用にならぬというような面があるわけです。それでは何にもならぬわけです。どうして実用化していくか、実用化し得ないような研究はちょっと考えなければならぬ。そう言うと、えらい実利的なことを言うようでありますが、やはりそれを研究することによって少なくとも社会に貢献するというような何らかの基礎が積み上げられていかなければならぬ、こう思います。だからよほどがんばってやっていただかぬと、私も国会に出て十数年になりますが、水産庁が資源開発予算をとったのは四十三年度予算が初めてで六億、それまでそんなものはありはせぬ。それで一体何ができるか、現在ではニュージーランドの東へ一船出していること。それからアルゼンチンのほうの太平洋岸ヘカツオマグロ船が一つ出ているということ。それからグリーンランドで底びきの漁場開発をやっているのなんかは、半分は民間から出している、こういうような始末なんです。それでもってここ数年の間、少なくとも五、六年の間に何としてでも二百万トン近いものを増量しませんと、動物性たん白に不足するという現状にある。それでありながら新しい資源開発のためにという予算はその程度しか見られないというように、こういう資源研究というものに対するいままでの各行政庁のあり方というものは非常に弱い。特に私は、農林省はそういう点では弱いから、きょう特別に変な問題を持ち出したのは、そういう意味がある。もう少ししっかりしてくれぬと国民は栄養失調で手を上げなければならぬ。そういうことになりますよ。  こういうことでございますので、どうぞよろしくその点は御配慮願います。  以上で終わります。
  128. 田川誠一

    ○田川委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十八分散会