運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-08-10 第59回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月十日(土曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 四宮 久吉君    理事 白浜 仁吉君 理事 田中 武夫君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       長谷川 峻君    水野  清君       赤路 友藏君    勝澤 芳雄君       森本  靖君    山田 太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         大蔵大臣官房審         議官      田代 一正君         通商産業大臣官         房会計課長   井上  保君         通商産業省通商         局長      宮沢 鉄蔵君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         通商産業省繊維         雑貨局長    金井多喜男君         工業技術院長  朝永 良夫君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         会計検査院事務         総局第四局長  鈴木 治久君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         国民金融公庫総         裁       河野 通一君         中小企業金融公         庫総裁     佐久  洋君         中小企業信用保         険公庫総裁   長村 貞一君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事長)  高城  元君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 八月十日  委員柳田秀一君及び鈴切康雄君辞任につき、そ  の補欠として赤路友藏君及び山田太郎君が議長  の指名で委員に選任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (通商産業省所管中小企業金融公庫中小企  業信用保険公庫)      ────◇─────
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  閉会審査申し出に関する件についておはかりをいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、  一、昭和四十一年度一般会計参入歳出決算    昭和四十一年度特別会計参入歳出決算    昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和四十一年度政府関係機関決算書  二、昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産増減及び現況に関する件  六、政府関係機関の経理に関する件  七、公団等国資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する件  八、国または公社が直接または間接に補助金奨励金助成金等を交付しまたは貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する件  以上八件について、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  閉会審査案件が本委員会に付託になり、調査のため現地に委員を派遣する必要が生じました際には、議長に対し委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議存し」と呼ぶ者あり〕
  4. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  5. 大石武一

    大石委員長 昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行ないます。  なお、本日は、通商産業省所管審査のため、参考人として商工組合中央金庫より理事長高城元君の御出席を願っております。参考人からの意見聴取委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。華山親義君。
  6. 華山親義

    華山委員 中小企業高度化資金につきまして伺いますが、本年度からこの資金中小企業振興事業団のほうに移されたわけでありますが、従来この資金につきましては、政府特別会計で直接やっておった時代に毎年不用額が多いので、私たちはこれを強く指摘してまいりました。聞くところによりますと、これが事業団にまいりましてからむしろ申し込みが殺倒して非常に足りないという現実だというふうに聞きますが、実態はどうなのか。また、どういうわけでそういうことが生じたのか、一つ貸し付け条件等に違いが出てきたということもあるそうでありますが、その点伺っておきたいと思います。
  7. 乙竹虔三

    乙竹説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、中小企業振興事業団に移りますまでの高度化資金特別会計は、毎年相当の不用額が立ったのでございまするが、この理由は、一面におきましては世の景気が非常に悪いというために、中小企業者は、近代化の意欲に燃えながら、近代化投資に踏み切ることができなかった、こういう面もあったのではないかと思うのでございます。中小企業振興事業団に移りましたとき、あたかも世の中の景気はずっと立ち直ってまいりまして、この面から、またそれからさらに貿易資本自由化後進国追い上げ、あるいは国内におきまする労働の不足等々、いわゆる構造改革を必要とする要因中小企業者を強く刺激をいたしまして、このような、景気も直り、かつまた近代化投資をせねばならぬという必要性を痛感する、こういうふうな面がございましたことが一つ理由と思います。  それから第二の理由は、先生いま御指摘の、事業団に移りましたことによります貸し付け条件の好転と申しますか、改善でございます。と申しますのは、高度化資金特別会計のときは、中小企業者所要資金の二分の一を自分負担をいたしまして、残余を県から融資を受ける。その県の負担分の二分の一を国が出す、こういう仕組みになっておったのでございまするが、振興事業団になりますると、繊維は別でありますが、一般共同施設等のものにつきましては、事業者負担分が三割五分に低減をされまして、その減りました分は国がかぶるということになりまして、国から四割の出資が出、県が二割五分を足しまして六割五分を国及び県で持つ、こういう点で非常にこの点は改善をされたのでございます。  それからさらに高度化資金の場合には、自分の手持ちが半分、事業団になりますると三五%、こういうことでございまするが、実はこれが高度化資金のときは事実上いろいろ査定をいたしまして、融資対象に制限を加えましたために、国及び県の負担分が半分であるということでありましたが、実際上の所要資金の三分の一程度しか国及び県から貸してもらえないということでございましたのが、先ほど申し上げましたように六五%借りられる、こういうことで非常に改善をされたために、事業団に対します融資申し込みが殺到したものと考えております。  なお、現況でございますが、本年度目下執行中の予算につきまして、たとえば商業団地、これが実は一番殺到しておるのでございますが、予算額に対しまして二倍をこえる要望がございます。その他共同施設につきましても、非常に要望が殺到しておる。なお来年度につきましても非常に要望が強い、こういう状況でございます。
  8. 華山親義

    華山委員 これは地方によって違うと思いますけれども、六倍だとか七倍だとかいうふうな話も聞きます。この資金は当然中小企業事業振興の上からも必要な資金でありますし、共同経営を促進する上からも重要なてこになると思いますので、来年度あたりからはもっとふやすべきものではないか。いままでわれわれといたしましては不用額が出ておるのにふやせということも言えなかったわけでございますけれども、今度はもっとふやすべきじゃないかと思いますが、御方針はどうでございますか。
  9. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先生指摘のとおりでございまして、非常に要望も強うございまするし、さらに中小企業近代化を急ぐ必要は非常に強くなってきておりまするので、私たちといたしましては思い切ってこの資金の増額を要求をしたいというふうに考えております。
  10. 華山親義

    華山委員 会計検査院に伺いますが、従来まことに残念なことでございますけれども、この高度化貸し付け資金及び近代化貸し付け資金につきまして、ここにも出ておりますとおり、不当な事項が多く、そのたびごとに御注意を申し上げてきたわけでありますが、高度化資金貸し付けが従来と変わってまいりました。これに処しまして会計検査院検査というのは、今度はここまで及ばなくなるのかどうか、従来と変わるのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  11. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、高度化資金特別会計につきまして、四十一年度決算検査報告にも指摘事項がございます。先ほど来中小企業庁長官からお話がございましたように、いろいろな制度の改正がございまして、中小企業振興事業団による高度化のための融資業務というものが非常にふえてまいっております。われわれといたしまして、中小企業振興事業団ができました段階におきまして、第四局、従来通産検査所管でございましたものが、五局の上席第二部門所管に変わりました。しかしその際、中小企業振興事業団検査重要性にかんがみまして、内部で差し繰って増員をいたしまして、そして本年度検査重点事項といたしまして検査をしてまいっておるわけでございます。検査件数にいたしましても、昨年度よりも多いような件数検査をいたしまして、充実いたしました。特に融資割合等は相当ふえてまいっております。さらにそのうちの中小企業振興事業団のウエートというものが従来よりふえておるという点にも関心を持ちまして、鋭意資金の適正な使用ということについて努力をいたしておるような次第でございます。
  12. 華山親義

    華山委員 中小企業振興事業団そのもの検査はなさると思いますけれども、中小企業振興事業団がめんどうを見た中小企業につき、直接に、従来と同じように検査をなさるわけでございますか。
  13. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 われわれの検査といたしましては、もちろん中小企業振興事業団検査対象とするわけでございます。しかし中小企業振興事業団は、これは東京に本部が一つしかございません。各県に融資をし、それから県から個々の企業中小企業組合なんかに融資するわけであります。したがいまして、その検査を充実する意味におきましては、そういう現場と申しますか、そういうところもよく調査いたしまして、その結果によって判断する、こういうことで、そういう意味での検査を充実しておるわけでございます。
  14. 華山親義

    華山委員 従来会計検査院指摘されました高度化資金あるいは近代化資金について見ますと、こういうふうな指摘は私は相当無理なんじゃないかというふうに御指摘申し上げたこともあるわけでございますけれども、府県や中小企業振興事業団そのものに私は不正不当等が生ずるものとは考えられないのでございまして、末端で最終的に借りた中小企業にそういう問題が生ずるのではないかと思いますので、やはり従来と同じように検査の手はゆるめるべきものではない、こういうふうに考えるのでございます。簡単に御所見を承っておきたい。
  15. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 先ほど申しておりますように、相当資金量もふえてまいっております。それから無利子のも一部ございますが、非常に低利の資金貸し付け、そういうことになって、実質的には補助金に相当するものがあるわけでございます。そういうような見地からいきまして、ただいま先生のおっしゃいましたように、従来どおり検査を充実する、こういうふうに考えておる次第でございます。
  16. 華山親義

    華山委員 その次に伺いますが、これは前々から私主張してまいって、一昨年から中小企業庁もお始めになったようでありますが、現在地方機械貸与の、あれは名称はいろいろ違っておりますけれども、あるわけでございます。何かしら、かえってこのほうがいいのかなと思うのでございますけれども、あるいは高度化資金貸し付け、これはちょっと性質が違いますけれども、あるいは近代化資金あるいは機械貸与制度、こういうふうにばらばらになっております。おのおの特色があるかと思いますが、これは何かまとめてでもやったほうがいいのじゃないか、あるいはおのおの特色を発揮させて、三つなり四つなり並行してやったほうがいいのじゃないかと思いますが、この点いかがでございますか。一概に私はまとめたほうがいいということを言っておるわけじゃありません。
  17. 乙竹虔三

    乙竹説明員 高度化資金のほうにつきましては、いま申し上げましたように中小企業構造改善高度化、協業化を急速に進めよう、しかもこれは指導と一本になりまして事業団が進めていく、まあ窓口は県でございますけれども、こういうふうなことでございますが、先生指摘あとの二点、設備近代化資金、それから中小企業機械貸与制度、この二つでございますけれども、非常に大ざっぱに申しますと、中小企業と申しましても大きなところ、中どころ、小さいところと分かれておるわけでございまして、設備近代化資金も実はあまり中小企業の大きなところへはいかないようにと、特に国会方面からの御指示、御議論が強くございまして、私たちもまことにそうだと思うわけで、改善はしているわけでございますが、近代化資金はなるべく中小企業の中以下に行くようにというふうな運用をしております。具体的に申し上げますと、従業員百人以下というくらいの企業に貸すような基準でやっております。ところがさらに零細層になりますと、この近代化資金制度というのは二分の一が無利子で、しかも五年償還というふうなことで、相当有利な制度でございますけれども、あとの半分は自分が手金を持たなければいけないというようなところから、零細な中小企業者の方々にとっては、なおかつこの近代化資金は利用し切れないという面がございます。  この設備貸与制度というものを考案したわけでございまするが、これは簡単に申し上げますると、県が設備をつくりまして、そして零細な中小企業者割賦で譲り渡す、こういうふうなたてまえ、したがいまして、最初は中小企業者は一文も金が要らぬ。それで機械が手に入る、こういうことでございます。したがいまして、従業員二十人以下の零細層をねらってやっておりまして運用をしておるわけでございます。しかしこのいずれも、窓口は、近代化資金も、この機械貸与資金も県が窓口になっております。高度化資金のほうもそうでございます。したがいまして、県の当局地方自治体として、どの制度運用して中小企業者を指導し改善をしていったらいいかという点は、県で有機的に一体として運用されておりますので、現在のところこの制度は分けておりましても、非常にうまくいっているというふうに考えます。
  18. 華山親義

    華山委員 おっしゃるとおりだと思います。近代化資金ではなかなか条件がむずかしいし、零細企業には及ばないというようなことから、私も県におりましたときに、国に先がけること五、六年前から始めたことがございまして、けっこうなことだと思いますが、その当時、県のほうで資金を全部出すというわけにはまいりませんので、銀行から融資を受けて、そして利子程度のものは県なり市町村で負担をしながらこれをやってまいりました。現在のこの公団といいますか、そういうふうなものにはそういう制度はもういまはなくなっておりますか。
  19. 乙竹虔三

    乙竹説明員 この機械貸与制度は県の別動隊でございます機械貸与公社出資をいたしておりまするが、この機械貸与公社に対しまして、国と県がおのおの半分ずつ、総額から申しますと四分の一ずつということになります。合わせまして総額の二分の一、それからあとの二分の一を中小企業金融公庫を活用いたしまして、ここから二分の一、機械貸与公社に貸すということで全額にいたしまして、中小企業者に御用立てております。
  20. 華山親義

    華山委員 いまお話のありました機械貸与公社でございますけれども、決算をいたしますと、どうしても赤字でなくなるのがほとんどでございまして、バランスの上からは利益金とは言えないかもしれませんけれども、余裕金が出てまいります。しかし、この余裕金はあるいは何か問題が起きた場合にとっておくべきものでもありますし、その利益はやはり中小企業者機械貸与について利用するものに返るべきものだと思うのでございますけれども、現在これにつきましてやはり税金を納める形になるのであります。私、どうもこの点、いろいろなほかの公共的事業団体等に比べましてもおかしいと思うのでございます。これを免税にする、そういうふうなお考えはございませんですか。
  21. 乙竹虔三

    乙竹説明員 機械貸与公社は、先ほど申し上げましたように完全にこれはいわば県の裏法人と申しますか、実質同一法人でございます。ただ、法律的には一応公益法人というふうになっておるものでございますので、税法上の取り扱いは公益法人収益事業という扱い。したがいまして二三%の税率を、この機械貸与公社機械貸与事業で生みました収益に対しては課せられる、こういうことになっておるわけでございます。先生指摘のように、この公社実質は県と同一の人格、実態でございますし、さらにまたここでかりに利益が生まれましても、これは当然中小企業構造改善のために活用されるべき金でございますので、私たちといたしましては、この法人税はこれは何とか免除してほしいということで、大蔵当局に実はかけ合っておるわけでございますけれども、現在までのところまだ成功いたしておりませんが、その方向で今後努力をいたしたいと思っております。
  22. 華山親義

    華山委員 中小企業金融機関でございますけれども、国民金融公庫、まあ商工中金は一応別にいたしましても、中小企業金融公庫、それからまあいろんなものがあるわけでございますね。こういうふうに分けておいたほうがいいのですか。あるいは一つにまとめて、その機能機能によって違うでしょうけれども、仕事は一カ所でやったほうがいいような気持ちもいたしますけれども、どういうものなんですか。目的は違っておりましょうが、その目的の違ったように部門を分けて運用すればいいのじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  23. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先ほど高度化資金近代化資金等のときにちょっと申し上げましたように、中小企業者もいろいろ大きなもの、小さなもの、層が違っておるわけでございます。そういう面で私たち現在のところの考え方といたしましては、違った層の人はおのおの自分金融機関窓口を持つというほうが親切に世話をしてもらえるのじゃなかろうかという考え方に立ちまして、国民金融公庫小規模零細層に、それから一般中小企業近代化中小企業金融公庫に、それから特にまた組合金融は、これは中小企業者自分の金も預金をする、出資負担をするというようなことでございまして、商工中金にというふうにして、三本のおのおのの持ち味を生かしておるわけでございまするが、現在のところ私たちは、これでいいのではなかろうかというふうに考えております。
  24. 華山親義

    華山委員 いま別にそれによって起こる弊害もないようでございますし、それでいいのかもしれませんけれども、何か組織が複雑になっておりますので、中小企業者がどういうところから金融を受けるかというときに迷う場合も多いと思いますから、そういうふうな中小企業金融のどこの窓口に行くべきかということを指導するような窓口といいますか、そういうふうなものをよく整備しまして、そうして教えていただきたいと思うわけであります。  最後にお聞きしておきますけれども、資本自由化、そういう面、いろいろ国際経済の面で日本経済にも波が押し寄せてくるわけでありますけれども、中小企業にはどういう影響が起きてまいりますか、伺っておきたいと思います。
  25. 乙竹虔三

    乙竹説明員 いまわが国の中小企業は非常に大きな波にもまれておる、先生指摘のように、非常に大きな波にもまれておると思います。国内的な要因といたしまして、労働の面でありますとか、新しい商品技術が出てまいりましたことによります需要供給関係のパターンが変わる、こういうような面でございますとか、そういうふうな国内面の大きな変わり方に加えまして、いま先生お話しのように、外からの大きな波が押し寄せておるわけでございまして、その一つ資本自由化それからもう一つ後進国追い上げ、こういうふうなことでたいへんな時期だと思うわけでございます。  先生いま御質問の外からの影響でございまするが、資本自由化は、これは先進国日本中小企業に大きな圧迫要因になるわけでございますが、その結果一面におきましては日本中小企業近代化が非常に進む刺激になりまして、何しろ日本中小企業というのは非常に適応力の強い、バイタリティの強い業界で、非常にりっぱな業界でございますから、外資刺激になって近代化が進む、特に商業部門あたりはそういう面もあるかと思うのでございますけれども、しかし外資が急に一度に洪水のように入ってきます場合には、商業関係におきましては何をいっても金の支配することでございますので、割賦の面におきましても宣伝の面におきましてもたいへんなことになるのではなかろうか、こういうふうに思います。したがってこの辺への外資流入については、やはり慎重な態度でわれわれ中小企業担当者としては処していく必要があるというふうに考えます。  それから工業関係でございまするが、この面が出てまいりますと、中小企業者にはおそらく下請関係として非常に大きな影響が出る。これは一面におきましては日本の業者から相当不利な条件をしいられておりました中小企業者にとっては、ときによれば有利な条件下請関係が継続できる、ないしは下請関係が改良できる、ないしは部品が供給できるというふうなこともあり得るかと思いますけれども、また一面外資は非常に経済合理性と申しますか、非情と申しますか、情けがないと思いますので、よほど中小企業のほうが合理化し、対抗力を強めておりませんと、非常に激動にのまれてしまうということになるのではなかろうかと思います。したがいまして、私たち中小企業に対して責任を持っております者といたしましては、いま急速に中小企業の体質を改善する、何をいっても競争力を強めていくことが第一だと思います。それが一つと、次にやはり外資の入り方は徐々であるべきである、よほどそれに対する政府態度は慎重でなければいけない、こういう二面を特に心がけて行政をやっておる次第でございます。
  26. 華山親義

    華山委員 それにつきましてもいま諸般の制度がございますけれども、資金面等におきまして特段の今後の御協力をお願いいたしたいと思う次第であります。  中小企業関係はこれで終わりたいと思います。  その次に通産省関係におきまして大型プロジェクトの問題があります。大型プロジェクトはこれは非常に重要な仕事であると思うのであります。特に日本の今後の工業の発展、そういう意味からも、国際的に見まして非常に重要な事業であると思うのでありますけれども、これは間違えておったら訂正していただきたいのですが、四十一年からお始めになったわけでございますが、どうも予算のつき方が、予算査定のしかたが私には合点がいかない。大型プロジェクトというふうなものは、これは外国との間に開発を競争していかなければいけない。外国におきまして開発ができてしまって、それよりもおくれてしまったということでは、いままでかけた財政の資金というものは全部あるいはある部分はむだになるおそれさえもあるわけであります。財政の効率ということを考えるならば、私はもっと秩序のある、予算に裏づけられた進め方があっていいのじゃないかと思うのでございますが、四十一年から始められたといたしますと、そのときには年次計画があったと思いますが、現在におきましてその年次計画におくれてないのかどうか、年次計画までにこの開発が順調にいけばできるだけの進度を示しておるのかどうか、その点伺ってみたいと思います。
  27. 朝永良夫

    ○朝永説明員 この大型プロジェクト研究開発制度はいま先生指摘のとおり昭和四十一年度に発足いたしまして、四十一年度に十億円、四十二年度には二十七億円、四十三年度には三十九億円の予算を計上いたしまして、現在電磁流体発電、それから超高性能電子計算機、脱硫技術及びオレフィンの新製造法、その四つのプロジェクトについて研究開発を進めてきております。これらの各プロジェクトはいろいろな外国の開発動向等を勘案いたしまして、四年ないし八年にわたる長期の研究期間を計画しているものでございまして、その実施状況につきましては一部技術上の問題点がいろいろ発生いたしまして、当初の計画より若干遅延しておるものもございますけれども、全般的に見ますとほぼ最初の予定どおり順調な進捗をしておりまして、特に予算面からいまのプロジュクトにつきまして研究開発に遅延を生じておるような事態は見ておりません。
  28. 華山親義

    華山委員 そうだとすると、工業技術院が予算を要求なすって、それが予算は五割ないし六割の予算しかついておらない。予算の要求が多過ぎたということですか。
  29. 朝永良夫

    ○朝永説明員 予算の要求の段階にはわれわれいろいろ理想的なことを考えておりますが、やはりどうしても予算総額において押えられましたときは、これをできるだけ有効に使えるようにくふうをしております。
  30. 華山親義

    華山委員 どうもたいへん院長には失礼ですけれども、おかしいですね。予算はあれだけの要求をなすって、しかも年次計画でやっておられる。ところが六割程度の大蔵省の査定だ、それでも進度にはあまり変わりはありません、それだけの金しかくれなければそれでやれますというのじゃおかしい。これは私はつじつまが合わないような気がいたします。私はここでは大蔵省の方が出ておられるかどうかわかりませんけれども、こういうふうな重要な問題につきましてはひとつ何としてでも強く推進しなければいけないという意味から、私はこのような予算査定をする大蔵省の気持ちを聞きたかったのでございます。院長がこれでいいのだということであれば、それでいいわけであります。  それで重ねて申しますけれども、大体いままで政府のおやりになっていることというものは第一次原子力船にいたしましても、これはほかの事情があったにせよもう三、四年のおくれを見ております。それから宇宙衛星の打ち上げにいたしましても、重要な通信の関係会議のあるまでにはどうしてもつくらなければいけないと強調していたのにもかかわらず、今日そのめどがつかない、こういう状態でもありますので、この大型プロジェクトというものも私はそのような二の舞いを見るのじゃないか、日本工業近代化、将来の日本工業にとって非常に重要なこういうものにこそ、あるいはこれは全部むだになるものかもしれないけれども、予算というものはできるだけくふうはすべきではありますけれども、つけるべきものじゃないのか、私はこんなふうに考えて、きょうお尋ねをしたわけでございます。四十一年当時計画を立てられた四カ年ないし八カ年ということにつきまして、これはもう十分にできる考えだ。あるいは四年、八年というものは、いま世界の情勢に照らして、別に短縮する必要もないのだ、こういうふうにお考えでございますか。
  31. 朝永良夫

    ○朝永説明員 現在のプロジェクトの遂行につきましては、最初の計画にほぼ沿いまして進められておりまして、現在の段階では、大体時期的には最初の計画のとおり完成する予定でおります。もちろん、外国の状況は今後もどんどん進展しておりますし、できるだけ早く研究を完成することが望ましいわけでございまして、計画は計画でございますが、できるだけ早くやるということについては、われわれ努力をいたしておるわけでございます。
  32. 華山親義

    華山委員 ほかのことと違いますので、こういうふうなものにつきまして、外国のほうでできてしまったから、もういいやというふうなことにならないように、十分にひとつ大蔵省とも協議されまして、できるだけ早くこういう性質のものは進められたほうがいいのじゃないかと思いますので、その点申し上げたいと思ったわけであります。  それからちょっと伺いますが、この点につきまして業者との契約というふうなことがあるわけでございます。これは国家資金でやっておるわけでございますが、完成されたものにつきまして、発明の所有権とかそういうふうなものは、これはどこに帰属いたしますか。
  33. 朝永良夫

    ○朝永説明員 大型プロジェクトによる技術上の成果につきましては、国が研究開発の主体となってこれを推進しておりますので、国立試験所の研究開発にかかるものはもとよりでございますが、受託企業の研究開発にかかるものも、すべてその特許権は国に帰属いたします。したがいまして、大型プロジェクトの開発の成果を、企業が利用しようとする場合には、妥当な対価を徴しまして関係の特許権などを利用させるという方針でございます。
  34. 華山親義

    華山委員 私からもお願いいたしておきますが、最近、国のこういうふうな近代的な大型なものにつきましては、特定の会社と契約を結びながらやっていくというふうなこともございますし、そういうことは万一にもあるまいと思いますが、よそにも例もあることでございますので、業者との関係については、経理上特段の御注意を願いたいと思います。これは申し上げただけでよろしゅうございます。  次に経済企画庁に伺いますが、この間経済企画庁で生活白書をお出しになりましたね。その生活白書の中で、新聞等は特に書いてあるようでございまして、私は苦々しく思ったのでございますけれども、カラーテレビとかカーとかクーラーというものがだんだん浸透し始めたということを言っているのです。  これに関連してお伺いいたしますが、この統計から見まして、そういうふうなことはわれわれ一般庶民にはぴんとこない。自分のことを言ってはおかしいのですが、私といたしましては相当の高給者でありますけれども、クーラーを買おうとかカラーテレビを買おうとかいう気持ちにあまりならぬのですね。しかもその統計を見ますと、カラーテレビについていうならば、年間三百万以上の収入のある人で約二〇%でございましょう。そうじゃございませんか。
  35. 八塚陽介

    ○八塚説明員 カラーテレビについて申し上げますと、先ほど御指摘になりましたように全世帯で五・四%でございますが、百八十万以上ということで二六・六%になっております。したがって高給者ほどたくさん持っておるという傾向はあるわけでございます。
  36. 華山親義

    華山委員 その傾向がありますけれども、それをつかまえて高給者のほうにはテレビがだんだん入ってきたということができても、国民生活全般が高度化してきたという資料にはならないと私は思う。なおそれを調べられた世帯というのは、これはほんとうの純然たる消費世帯だけですか。あるいはいろいろな営業等もあわせ行なう、そして世帯が一緒になっておる、そういうところも含んでのものでございますか。調査の客体はどうなっていますか。
  37. 八塚陽介

    ○八塚説明員 たとえば独身世帯、いわゆる準世帯等は除いておりますが、これは全世帯をつかまえております、したがいまして勤労者もいわゆる自営業者も入っておるのであります。したがいまして普通世帯約二千三百万世帯の中で、対象世帯は八千三百四十世帯、これはいわゆる無作為抽出でやっておりまして、私どもといたしましては十分に傾向をつかみ得るというふうに考えております。  なお私どものほうの国民生活白書で書きました点は、必ずしもこれをもって――カラーテレビを持つことがいわば価値観の問題として高度化である、あるいはどうという問題はいろいろあろうと思います。私どもといたしましてはいわゆる消費の大型化、つまり耐久消費財、あるいは購入するのに相当な金がかかる、そういう面をつかまえて、カラーテレビの保有状況が、いわば過去からかなりの程度に急激にふえたということを説明いたしておるのであります。そういう意味において私ども何と申しますか、その種の価値観を加えて申し上げておるのではございません。
  38. 華山親義

    華山委員 それはカラーテレビがだんだん発達して完成の時期になった。そういうふうなことからカラーテレビがだんだん普及してくる、こういうことだろうと私は思うのでございまして、カラーテレビがふえたとか何とかいうことをもって日本国民全体の生活が高度化したなどということの象徴にされることは私は間違いだと思う。また調査客体だって、その中にはいろいろお客さまのために使っているものも入っているかもしれない。しかも二〇%程度のものというのはいまもおっしゃったとおり、とにかく月額十五万円、二十万円程度の世帯、それでさえも二〇%しかできておらないのです。高度化の傾向が出始めたとはいえども、高度化されつつあるとは私は言えないと思うのです。そういう点につきまして、私がこういうやかましいことを言うのは、新聞等にも出ておりますけれども、そういう新聞を見た人は、もう国民全体にだんだんカラーテレビが普及しているのにおれの家では持てないのだと、不足感を起こすわけですね。口を悪く言うならば、経済企画庁はテレビ会社の広告をしているようなものです。ものの書き方というものは、私はよほど気をつけていただかなければいけないと思う。経済企画庁はそれでよろしゅうございます。  それから、しかしこの空間を利用するところの電波、そういうものは公益の目的のためには公共のものでなければいけない。したがって、これを利用するということはできるだけ全部の国民が利用するということにならなければいけないと思うのです。そういう意味において、私はカラーテレビというものはできるだけ早く一般世帯に普及しなければいけない、こう思うのでございますけれども、障害になっておりますのは現在の受信機の値段です。受信機の値段はティピカルのものでよろしゅうございますが、一体どのくらいになっておるのですか。通産省にお聞きしたい。
  39. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  カラーテレビの現在の値段は十九型で国内の現金小売り正価ということで十五万五千円前後の値段ということになっております。最近は十六インチのものが発売されておりまして、これは十三万円あまりということになっております。生産当初は御承知のようにわずか数千台だから五十万円台だったのでありまして、五万台前後つくりました当時はインチで一万二千円くらいになっておったわけでございますが、最近の十九型十五万五千円くらいになりますとインチ八千円という価格くらいに下がっております。約三分の一下がっておるという状況になっております。     〔委員長退席、四宮委員長代理着席〕
  40. 華山親義

    華山委員 この間本会議で堀議員が尋ねたのでございますけれども、外国には安く出ているということでございますが、真実ですか。
  41. 本田早苗

    ○本田説明員 外国には、現在FOBの価格で百八十ドル、したがいまして、六万五、六千円で出るわけでございます。ただしこれは工場出荷価格でございますので、国内に向ける場合はこの価格の上に物品税が加わり、販売経費が加わり、それから卸マージンが加わり小売りマージンが加わるという形になるわけでございまして、その辺を考慮いたしますと、われわれといたしましては特に外国向けにダンピングして出しておるというふうには考えておりません。現在外国との間でその辺の折衝を始めておりますので、そういう線で折衝をやっておる次第でございます。
  42. 華山親義

    華山委員 六万五千円というものが外国に出せる適正原価であって、そしてそれにマージンとかいろいろなものとおっしゃいましたけれども、ごもっともだと思います。それを積み重ねて十六万幾らになるのかどうか、ひとつ資料として提出していただきたい。よろしゅうございますか。あなたはダンピングではないと言うからには計算したに違いない。
  43. 本田早苗

    ○本田説明員 いま関係国との間で折衝いたしておりますので、ひとつ先生に対して御説明をさせていただいて、御理解いただけるようにさせていただきたいと思います。
  44. 華山親義

    華山委員 とにかくそれは出していただきたい。六万五千円で出るものが十五万円になるというふうなことは、いかにその中にあれがあっても、ちょっと私には考えられない。外国に対してダンピングじゃないという説明はいいだろうと思いますけれども、何か話に聞くというと、日本のものは外箱がりっぱだという、そういうようなことで金がかかるんだというけれども、日本人は何も外ワクを見ているわけじゃない。安いものでいいわけですよ。あんなところに金をかけてもうけられてはたまらぬ。
  45. 本田早苗

    ○本田説明員 外ワクに対して、キャビネットと申しておりますが、輸出用がメタルキャビネットで国内向けが木製キャビネットで、その価格差が非常に大きかったのは、この前申し上げました十九万五千円の時代のことでございまして、できるだけキャビネットを簡素化するということで最近はコンソレットタイプというのを出しておるわけでございます。このタイブになりますとキャビネットの差というのはそれほど大きな要素にならなくなるわけであります。こういうことが十九万五千円から十五万五千円に下がった一つ要因でもございます。もちろんそのほかの量産効果の合理化もございます。そういうことでメタルキャビネットの差というものについては、簡素化したタイプで値を下げるようにいたしておるわけでございます。ただ国内が大体和風の家でございますので、やはり木製のキャビネットが歓迎されるという傾向はあるようでございます。
  46. 華山親義

    華山委員 もう十五、六年前ですが、まだテレビの高かった時代、その際にある通産省の高官の方は、少なくとも今後三カ年間にテレビ――カラーでない普通のテレビ、これをどうしても何とかして五万円台に下げたい、そうすればわれわれでも月賦ででも手に入ることができるんじゃないか、そういうことで努力したい、こういうふうに言っておりました。私は良識のある考え方だと思いますけれども、カラーテレビにつきまして今後何カ年内に庶民の買い得る幾ばくかの値段に下げていきたいという目標がございませんか。
  47. 本田早苗

    ○本田説明員 現在カラーテレビもすでに百二、三十万台の生産に達しておりまして、本年度約二百万台になろうというふうに見込まれております。ここ数年後になお生産規模としては増加いたしまして、全くの業界等の試算でございますが、一応数年のうちには四百万台程度の生産規模になろう、こういうふうに考えられておるわけでございますが、百九十万台あるいは二百万台くらいになりますと量産の体制としてはかなり量産効果の上がる体制に入っておるわけでございますので、今後の生産の増加がどれだけ効果が上がるかという点につきましては若干問題があろうと思います。従来のようなテンポで下がるかどうかという問題があろうと思いますが、なおある程度の値下がり効果は出てこようというふうに考えております。幾らかという点につきましては、まだ申し上げる自信がございませんので申しかねますけれども……。  それから大体商品は百八十ドルくらいのものが十数万円何ぼは解しかねる、そういう点御指摘がございましたけれども、通常工場出荷の価格と消費者のほうに行く価格との大体半分ぐらいが流通マージンで、そのうちのまた半分ぐらいが物的な輸送費その他にかかるというのが現状でございますので、若干問題の点があるかもしれませんけれども、必ずしも飛び離れた問題というほどのことはないというふうに存ずるわけでございます。  もう一つ、現金正価で売っておりますけれども、実際の取引価格は小売り正価が実際の実勢価格でないという事情もございまして、この辺について消費者の面からいきますと納得のしにくい面があるという点もあろうと思います。この点につきましてはわれわれのほうとしても業界に対して改善につきまして研究するようにやらしておりますが、研究会を設けて検討するということになっておる次第でございます。
  48. 華山親義

    華山委員 昨年の暮れですかあるデパートでカラーテレビを十万円程度で売ろうとしたところが、もうおまえの店には売らないというふうな、大メーカーからそういう話があってやめたということも私は新聞紙上で見たことがあります。それは真実かどうかわかりませんけれども、とにかくそこに管理的な、リードプライスとかそういうふうなものがあるのじゃないかとさえ私は思うわけであります。先ほど言ったとおり、この空間というものはみな全部のものなんだ。この空間を利用するということは、これは国民あるいは人類全部のものでなければならない。一部の者が利用して、そしてそれによって少しばかりふえたからといって、日本の国民生活が高度化したなどといわれては、私は国民は迷惑だと思う。もっと安く早く切り下げるように通産当局に御要望いたします。  終わります。
  49. 四宮久吉

    ○四宮委員長代理 吉田賢一君。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一点は、繊維産業の構造改善問題をめぐりまして、それを中小企業問題の角度からとらえて、若干通産省並びに企業当局にお伺いしてみたいと思います。  昨年来実施されております繊維構造改善は、近来における中小企業並びに国際貿易等の観点からいたしましても重要な施策と考えております。そこで、この問題をめぐりまして、やはり日本中小企業のあり方、中小企業というものの持っておる宿命的な弱点、こういうものがはしなくもあらわれておるのではないだろうか。これは、ひいてはやはり国民経済の上にも重大な影響を与えると思いますので、若干まず基本的な面について伺ってみたいのであります。  第一は、現在の繊維産業を含んでの中小企業施策の基本的な政府の姿勢でありますが、この点について私は非常に重要な三つの前提があるのではないかと考えます。これについての御意見いかがでしょうか。  すなわち、一つは、中小企業というものがずいぶんと多種多様にわたっておりますし、これの実態というものは把握が容易でない。もちろん、およそ国の施策をして誤りなからしめ、膨大な財政投資をするのでありますから、その効果を測定する上から考えてみましても、過去、現在並びに将来への見通し等について正確な資料、情報を前提にする必要がないであろうか。  もう一点は、とかく戦前の保護要求のムードというものから抜け出まして、世界経済の情勢から考えましても、一そう自主的な努力にその根本振興の条件を求めることが大事ではないかということが第二点。  第三番目には、個々の業者というものは、要するに繊維産業等におきましては一そう零細化する危険がある状態でありますので、こういう点から考えましても、根本的にやはりある種の組織を強化する。一つ一つ努力するということ以外に、そういうふうに組織化するということが大事ではないか。  この三点が施策を打ち立てる上におきまして最も重要な前提と考えますが、この点いかがでしょうか。
  51. 乙竹虔三

    乙竹説明員 お答え申し上げます。  いま先生の御指摘はまさにおっしゃるとおりでございまして、第一点、中小企業の範囲が非常に広い、これに対しまして、施策は、しかし効率的重点的に行なう必要があるという見地から、情報、資料の的確なる収集が必要であります。したがいまして、業種別の近代化促進法におきましては、まず調査を先行させるということでございますし、繊維構造改善につきましても十分な調査をいたしまして、構革に着手したような次第でございます。なお、今後、通称篠原委員会といっておりますが、中小企業政策審議会企画小委員会の専門委員会の中間報告におきましても、中小企業に対しましてビジョンを与えることが必要である、そのビジョンをまず情報として与え、かつビジョンを実施いたしますための必要なる情報を与えなければならないということをまずまっ先に書いておるわけであります。  第二点といたしまして、自主的な努力、これが先行することは御指摘のとおりでございまして、これも同じく篠原委員会に自助努力という表現になっておりますけれども、自助努力がまず一番大事である。ただ中小企業者は、自助努力、この激変する世の中におきまして自分努力をするのだが、自分がどちらの方向に努力していいか、その前にまず世の中がどう変わっておるかということもよくわからないから、自助努力を引き出すための施策を遺憾なきようにする必要があるという点を指摘しておるわけであります。  それから第三に、中小企業は、業種におきましても、製造業だけで五百、全体におきますと一千にものぼるわけでありますし、かつ数におきましても四百万企業ということでございますので、政策を実施いたします場合に、これを効率的に実施いたしますためには、どうしても政策を受け入れる能力を強化する必要があると思います。御指摘のとおりであります。したがいまして、政策を強化いたしますためには、これは業種別組合を強化する。したがって、事務局を強化しあるいはリーダーが十分活動できるような環境、素地を組合内に醸成するように施策を行なうことが、まず政策を実施する前段階として必要であるというふうに考えます。
  52. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大体の構想は、過去の中小企業対策の政策の変遷のあとを見ましても、もっともなことだと考えるのです。しかしながら、現実の問題といたしましては、なかなかに中小企業には問題が多いのでありまするから、途中において手直しもせんならぬ問題が続出するのではないであろうか。そこで、やはり基本的に体質を改善する、中小企業自体の国民経済における、国際経済における、また大企業との関連における立場を考えまして、中小企業の体質の改善というものがむしろ中心になるべきではないであろうか。それから保護育成という従来の主たる考え方でございますが、これもやはりあわせまして行なっていく、その体質の改善を主にして保護育成をあわせ行なう、こういう意味におきまして、両面的の政策、こういうことがやはり基本的な姿勢として打ち出されるべきではないであろうか、こう考えるのですが、抽象的なことで失礼でございますが、いかがでしょうか。
  53. 乙竹虔三

    乙竹説明員 これは基本法でも示されておる明確なる路線でございまして、中小企業の大企業に対します格差を是正し、国民経済上中小企業の持っております使命を果たしますためには中小企業の生産性を向上する、それによりまして体質を改善することが第一であります。したがいまして、それに対します政府施策といたしましては、設備近代化でございますとかあるいは協業化を進めるとか、または技術開発を特に進めるとか、等々の施策が重要になってくるわけでございます。それと並びまして、基本法におきまして取引条件改善というふうに示されております点も非常に重要でございまして、交渉力を強化するという面はぜひ必要であるというふうに考えて、それに対します施策といたしましては、下請取引に対します政府の関与でございますとか、百貨店等に対します関与でございますとか、いろいろな対策があるわけでございまするが、問題は先ほど御答弁申し上げましたように自助努力が中心でございまして、自助努力が十分発揮できて、中小企業の生活力、適応力、これが十分発揮できるような方向に政府が保護育成することが必要であるというふうに考えます。
  54. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでやや具体的に入っていくのでありまするが、最近の国際経済の変動並びに貿易関税の引き下げ等々の激化の情勢にかんがみまして国際的な要因というものを相当重視せねばならぬのではないだろうか。したがいまして、世界の経済情勢の変動のごときは、中小企業は全く知らぬ世界の実情のごとき遠距離にあるというのが実態でございます。こういう点につきましては、やはり中小企業といえども大企業その他の一流メーカーに伍しまして、世界経済の流動の現時点における風潮とかいうようなものにつきましても、最も正確な情報を持っておる必要があるのではないだろうか。これはやはり体質改善につながっていく問題でございましょう。さらにまた国内要因といたしまして、最近の労働力不足は激化しつつあります。特に若年及び技術労働力につきまして、また技術革新は申すまでもありません、あるいは大企業とか百貨店、スーパーマーケットなどの流通革命の路線によりまして中小企業が圧迫を受けておることは申すまでもありません。したがいまして、個々の具体的な国内要因に対する中小企業のあり方というものにつきましては、かなり綿密なかつ具体的なかつ効果のある施策が必要ではないであろうか。もっともこれは政府万能でありませんので、政府がオールマイティの指導力を発揮いたしましたらかえって効果は逆でありますので、これはそうではあらずして、さっきおっしゃった自助的、かつまた政府の施策かつ指導等々いろんな要因条件がそれぞれと整備されましてこれに対処し得ると思うのでございますが、この国際的、国内的両要因に対するいま申し上げました具体的な問題点、こういうことに対しましておそらくは政府においても相当自信を持って対処しておられると思うのですが、これに対するお考え方を聞いておきたい。
  55. 乙竹虔三

    乙竹説明員 国際的サイドからの中小企業に対しての問題でございまするが、二つに分けられると思います。一つ後進国、発展途上国の追い上げの問題でございます。一つはわが国市場に対します外国資本の進出の問題でございます。  第一の点については、繊維構造改革がその範となっておるわけでございますが、繊維構造改革のほかにも、国民経済上重要性があり、また業界の自主的な姿勢の固まっておる業種で、効率的な施策のとれる業種につきましてはさらにこれに対する施策を強化すべきものというふうに考えて、その方向で勉強をいたしておる次第でございます。  第二に、わが国のマーケットに対しまする外国資本の進出問題でございますが、これはまずあまり急激に量的に多量な資本が進出し、急激な影響がございますと、中小企業はまいってしまいますので、資本自由化につきましては慎重な態度を維持するということはぜひ必要でございますが、しかしいつまでもこれは食いとめておくという態度ではいけませんので、どうしても体質を強化し、構造改善を進めるという方向で勉強をさせる必要がある。これがために必要なことは、まず第一は省力化投資でございますし、第二は技術開発でございましょうし、第三は高級品化、バラエティーのある商品をつくりあげる等々の方向が必要であり、特にまたおくれております商業部門におきましては物的流通の合理化でございますとか、さらにまた流通機構の合理化でございますとか、こういう対策が必要であるというふうに考え、それに対する施策をやっておる次第でございます。  国内要因の第一は、労働力の不足でございまして、これに対します第一の対策は省力化でありますし、さらに安い労働を使って安い労働で競争するということは、もう後進国にわが国はまかせなければいけないという方向であろうかと存ずるわけであります。高い労働を使って十分収益性をあげるような商品に中小企業は向いていくべきであるし、またこれは先進国の例におきましても十分技術の濃密に圧縮された商品に向かっていくならば、このことが可能であるというわけでございますので、それに対しまする施策としては、まず情報を提供すること、第二に技術開発に対する所要の援助をすることが必要であるというふうに考えます。  いずれにいたしましても、国際的、国内的両面におきまして事は非常に緊急を要する次第でございますので、政府といたしましては特段の覚悟をもってこれに当たる必要があるというふうに思っております。
  56. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第二問といたしましてギンガムの問題を少し伺ってみたいと思うのであります。ギンガムは綿ギンガム、合繊ギンガムにかかわりませず、中小企業繊維業者といたしましては非常に重要なウエートを持っておるのは申すまでもございません。最近、伝わるところによりますと、たとえば大阪の新聞等によりましてもギンガムの輸出の先行きが暗いということが伝わっております。アメリカが大きな得意先でございますが、綿製品は、たとえばPP加工、パーマネントプレスには適さない、こういうことや、あるいはニットの流行によりましてニットワイシャツというものが流行しておるようでございますが、こういうような流行等からするのかもしれません。あるいはアメリカにおきましては、最近たとえば縫製加工工賃なんかが一時間一ドル六十セントくらいが二ドル二十セントに引き上げられたという情報がございます。いろいろな問題があると思いますけれども、先行きかなり暗いというような見方がございますし、これは中小企業として繊維業者特に機屋にとりましては重大な課題でございます。その先が暗いのか明るいのか、最近は工賃なんかも三十三円くらいまで上がっておる実例さえもございますので、かなり明るい気持ちでやっておりますけれども、この辺につきましての輸出の見通し、そういう事情があるのかないのか、これに対する政府の施策いかん、この点はどうでございましょうか。
  57. 金井多喜男

    ○金井説明員 ギンガムにつきまして、近年、先生のおっしゃいますように、輸出がどちらかといいますと減退の傾向にあるということは、私ども実際の商社等の話、あるいは統計の数字から見ましても、顕著でございます。また、なぜ減退したかという点につきましては、先生のほうから御指摘のございましたような理由であるということも承知いたしておる次第でございます。  ギンガムは、御承知のように日本の綿製品としては古くから非常に特色のある、しかもある特定地域に発生してまいった産業でございまして、そういったものの帰趨が産地産業に与える影響というものは非常に大きいというふうに私ども憂慮しておる次第でございます。将来の対策といたしましては、アメリカ等におけるギンガムの衰退の原因が、先ほど御指摘のありましたように、いわゆる合繊、主としてテトロン混紡の代替、出現、あるいはメリヤス製品の出現、あるいはアメリカにおける加工賃の高騰というようなことになっておりますが、そういったことを、私ども何がゆえに減退しつつあるかということをよく頭に入れまして、まず第一義的にはそういうテトロン綿混によるギンガム製造への転換、あるいはメリヤス製品との競合により耐えるような新製品の開発というようなことを中心に、今後とも積極的に業界の意見等も十分考慮しつつ考えてまいりたい、こういうように思っておる次第でございます。
  58. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは特恵関税の問題に関連するわけでございますけれども、最近韓国、台湾、香港等から、綿製品の生地を日本から入れて縫製、加工して対米輸出する、しかも、これは内地の輸出業者その他関西方面の大手筋もかなりこれに協力している、こういうような事情が続発しているという情報もあるのでございますが、その点はどんな事情になっておりましょうか。
  59. 金井多喜男

    ○金井説明員 一般的な傾向といたしまして、御案内のように、後進国、なかんずく日本のすぐお隣にあります韓国、台湾、香港、これあたりが低労賃を利用いたしまして、特に繊維、雑貨産業を重点的に、日本に追いつきさらに追い上げているという状態でございます。御指摘のように、ある一部の品種等につきましては、日本から原料を入れましてそうしてそれを安い縫製とかあるいはメリヤス加工というようなことで出て輸出が増大してまいり、それが日本にも、一部日本中小企業と競合し、大きくはアメリカ市場等の先進国において非常に競合してきているということは事実でございます。
  60. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 結局、日本におきまして綿ギンガムに重点を置くという行き方を改めねはならぬのではないであろうか。こういうような素材の選択転換という問題に構造改善一つの重点を置くときがきておるのではないだろうか。そういたしまして、たとえはヨーロッパ――英国製品のごとく百番手のような高級品の製作というようなことに大胆に乗り出す必要があるのではないであろうか。むしろ十番手のような下級品におきましては低開発国にまかすというようなのが、特恵問題の現在と将来から考えましても、要請があるのではないであろうか。こういうようなことについて、これはやはり国の施策といたしまして、基本的に考えなければならぬ重点ではないであろうか。最近の流行の情勢にかんがみましても、あるいは南北の問題にかんがみましても、低開発諸国の追い上げの実情にかんがみましても、また、先進国との間に常時されておる議論、そういう事情にかんがみましても、そのように日本のギンガム問題、輸出ギンガムの問題のあり方や将来性については、かなり重大な選択時期がきておるのではないであろうか、こういうふうに考えるのですが、この点はいかがです。
  61. 金井多喜男

    ○金井説明員 まったくお説のように私ども基本的に考えておる次第でございます。十分その辺につきまして、それならば代替品種としてどういうふうに持っていったらいいか、特に御指摘のデザインあるいはより高度の品物をつくるという点については、どういうようにやっていったらいいか、ひとつじみによく検討してまいりたい、このように存じております。
  62. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第三番目には特恵関税の問題でございますが、これも去年は半年以上もジグザグしておったらしいのでありますけれども、ついに政府も腹をきめて、そしてOECDの閣僚理事会におきまする態度も決定をみまして、二月のニューデリーの国際貿易開発会議等を通じまして、日本の行くべき方向もおよそ決定をしたらしいのでございます。しかし、この問題は、やはり日本の立場といたしましては、繊維、雑貨等、特に対米輸出の相当なウエートを占めておるもの、こういう面から考えるだけでも、かなり重大な課題が投げられておるのではないであろうか、こういうふうに思うのであります。したがいまして、これにつきましては、これも時間の関係で詳細はお聞きすることも困難でありますけれども、わが国におきまして、OECDの閣僚理事会におきまして採択をみました特恵供与の六原則というものについて、特に日本といたしまして関連の面が多分にございますが、何を重点にこの六原則によって日本は特恵関税の加盟国といたしまして進めていこうとするのでございましょうか。これらの点について一、二伺ってみたい。全体は、少し時間もとりますから、私のほうで省略させていただきますが、特に重要な点は何であろうか、この辺についてまず一般的にお聞かせを願いたい。
  63. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢説明員 いま御指摘のように、昨年の十一月にOECDにおきまして、閣僚理事会でこの特恵につきまして基本原則というのを採択したわけでございますが、この中で、日本といたしまして特に問題であります点は、一口に申せば負担の公平ということでございます。特恵制度は、御承知のように、全先進国が全後進国対象としてやるというような方向に向いておりますけれども、その際に特定の先進国、たとえば日本だけがその特恵の実施に伴って非常に大きな影響を受ける、負担をこうむるというようなことはぜひ避けたい。日本の場合には、特に対米輸出等を考えますと、輸出面におきまして、特恵制度の実施要領のいかんによりましては、いま御指摘繊維とか雑貨等にからみまして、日本の輸出が非常に大きな痛手をこうむる可能性もないわけではございませんので、今後の実施の段階におきまして、その原則の実施をするにあたりまして、いま申しましたようなことが確保できるようにつとめてまいりたい、このように考えております。
  64. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 特恵問題は、申し上げるまでもなく、一般的に定められた関税率から低いものを特定国に、また特定商品に対して適用しようという趣旨でございます。したがいまして、南北あるいは後進、先進の関係、貿易の実情から考えてみましても、中小企業という膨大な宿命的な重大問題をかかえておる日本といたしましては、先進国といたしまして、アジアの日本として、平和推進の日本としまして、重大な使命、任務がある反面、国内的にはこの問題に対処せなならぬ、こういうことになっておりますので、これはあらゆる角度からかなり精密な検討を加えて、万誤りなきを期さなければいくまいと考えるのであります。そこで見通しはいかがでございましょうか。第一点は、一体どの範囲まで特恵を与えるということになるのでしょうか。まずこの点、どうです。
  65. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢説明員 まず特恵を与えるその範囲をどうするかということにつきましても、まだ実は基本的な考え方が整理されておらないのでございます。一口に申しまして、後進国、発展途上国は、できるだけ広い範囲のものについてこの特恵制度を認めてもらいたい、こういう感じを端的に申せば持っておるわけでございますが、先進国側は、国内産業との関係でやはりなし得ることにはおのずからある程度の限界がある、こういうような考え方になっておりますし、また先進国の内部におきましても、それぞれの国情によりまして多少事情が違いますので、この辺につきましてはまだ最終的にきまっていないのでございます。日本の場合には、いま御指摘のように非常に影響する範囲が多うございますので、その辺非常にシリアスな感じを持っておりますけれども、たとえば発展途上国の産品とあまり競合関係に立たない欧州諸国の場合には、日本ほど輸出国の負担の公平ということにつきましてはそれほどの関心を持ってない、こういうこともございまして、具体的にどの範囲のものを対象とするかということについてもいまだきまっておりませんけれども、今後のいろいろの意見交換を通じまして、日本だけが非常に困るというようなことにならないように努力してまいりたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  66. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 アメリカの意見は大体世界全体に適用する、欧州諸国の意見は大体地域的に適用すべし、大体こういうような方向をたどっておるようにも聞くのでありまするが、これは非常に重要なことでございまするので、きわめて慎重な態度をもって、しかし時を逸しないで態度をきめていかにやなるまいと、こう考えております。  それから三番目には、適用品目の限定をどうやるんだろうか。全然輸出余力のないようなものにしても全く無意味でございましょうし、先進国と競争可能なものまでこれを適用するということはいかがでございましょうか。この点は負担の公平という関連もありまするので、その点ひとつ基本的な考え方が固まっておれば述べてもらいたいのですが。
  67. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢説明員 いま先生指摘の中で、アメリカは全発展途上国を対象に考えたらいいという考え方をしておるじゃないか、それに対して、欧州諸国は地域的に適用したらいいのではないかという意見である、こういう御指摘がございましたけれども、今回のこの一般特恵に対しまする各国との話し合いにおきましては、一応いま検討しておりまする特恵制度というのは、全先進国が全発展途上国を対象とする一般特恵でございまして、したがいまして、全部の発展途上国を対象として考えるべきであるということにつきましては、アメリカも欧州も意見の相違はないのでございます。  それから品物の対象範囲でございますけれども、発展途上国におきましても、発展段階が違いますので、わりに先発発展途上国と申しますか、たとえばインドでありますとか韓国、台湾、香港、こういうところは、工業製品につきまして特恵制度がとられるとかなりメリットがあるわけでございますけれども、たとえばアフリカのように、そういう産業のほとんど発達してないところでは、ほとんどそのメリットを感じない。したがいまして、一次産品なんかも対象にしてもらうべきだ、こういうような主張もするわけでございまして、そういうような意見を取りまとめまして、発展途上国はすべての産品について特恵制度をとってもらうべきである、こういうようなことで一応思想統一をしております。  先進諸国の間の感じ方も、多少は違いますけれども、一応現在の考え方では、一次産品は原則的には除くという考え方になっております。それから工業製品につきましても、国際競争力がすでにあるものは除くべきではないか、こういう御意見でございます。この点は私どもも全くそのとおりだと思いまして、国際会議の場におきましては強くそういうことを主張して、その実現をはかるように今後努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  68. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 特恵関税の問題が日本に与える影響につきまして、政府部内ではかなり不一致の意見がまだあるのではないか、こういうふうに考えるのですが、これはいかがでございましょうか。たとえば通産省の見解によりますと、かなり――かなりというよりも、そんなに大きな影響はない。四十年の輸出統計等を通じて見ましても、低開発国の輸出関心の品目、種類、数額等から考えてみましても、また関税の率の点から考えても、一億三千五百万ドルないし一億八千万ドルぐらいの減少ではないであろうかというような試算があり、大蔵省のほうでは、逆に、これは二十五品目の十年間の動向の統計をとったようでありますが、こういう分析の結果によりますと、案外輸出減は少ない、これは四千万ドルぐらいになるのではないか、こういうふうなのがある。学者の意見によりましては、東京の一橋大学の小島教授ですが、二千五百万ドルぐらいにとどまるだろう。こういうふうに非常に大きな食い違いがございますか、こういう辺は調査資料の不正確に由来するものであろうかどうか。いずれにいたしましても、政府部内において、もし今日外務、大蔵がかなり寛容な態度で積極的に取り組みを要請する、通産、農林はいま言ったように逆である、影響甚大、こういうような意見が対立しておりますとなると、かなり重大な影響があるのではないであろうか。ことに賃金の比較をしてみましても、韓国やらそれから台湾、パキスタン、インドなどと日本と比べますと、断然違います。韓国は三分の一ですか、台湾は日本の四割。また四十年度におきまして、香港が綿糸布の輸出では対米で首位を占めております。こういう統計もあがっております。こういうような面から考えまして、過去の数年間の繊維もののアメリカにおけるシェアの趨勢を考えてみましても、やはりこの辺は相当慎重に、綿密な調査に基づきまして影響の測定誤りなきを期さなければ、悔いを今後に残すのではないだろうか、こういうふうにさえ考えておるのですが、その点いかがです。
  69. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢説明員 この特恵を実施した場合にどの程度具体的な影響が出るかということにつきましては、実は特恵の方式の内容いかんにかかわるわけでございます。先ほど来御説明いたしておりますように、現在まだルールがはっきりきまっておりませんので、正確な計算をすることはなかなかむずかしいわけでございます。そこで、いま御指摘がありましたように、いろいろなところでいろいろな試算をしておりまするけれども、それぞれある一つの前提を立てての試算でございますので、その試算をめぐりまして、各省間で、どれが正しいとかどれは間違っているというようなことも、特に意見交換をしたことはございません。したがいまして、数字的に特恵をやった場合にどの程度影響が出るかということを申し上げる段階にはなっていないのでございます。ただ、この特恵を実施いたしました際に、やはりやり方次第によりましてはかなり影響が出るということは当然予想されるところでございます。現在、アメリカに対する輸出は大ざっぱに申しまして六体三十億トルぐらいでございますけれども、その中でいわゆる特恵の対象になりますものというのは、約三分の一ぐらいございます。この三分の一と申しますのは、十億とか十一億とか、こういうオーダーでございますけれども、またそれをさらにこまかく見てみますと、現在におきましても、アメリカにおきましてここ数年間の動きを見ましたときに、日本の輸出品のシェアがだんだん減ってきておりますものが三億ドルくらいあるわけでございます。したがいまして特恵をやります場合にも、たとえば税率を全部ゼロにしてしまうのか半分にするのかというようなことでも違いますし、それから先ほど申しました国際競争力があるかないかということではずすとか、あるいは国内産業に影響があるかないかということではずすとか、そういうことではずれてくれば、これだけ影響が減殺されるわけでございます。したがいましてそういうことをいろいろ考えた上でないとなかなか結論が出ないわけでございますけれども、一応われわれのほうは各産業別にそういうことをいろいろ分析いたしまして、そうして特恵のルールをきめる際にできるだけ大きな弊害を来たさないように今後努力してまいりたい、こういうふうに考えでおるのでございます。
  70. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第四番目が、中小企業政府金融機関との関係について伺ってみたいのでございますが、中小企業問題の解決ないしは体質の改善にしましても、振興対策にいたしましても、根本的に横たわっておりますのは、やはり資金的に非常に弱体であるということがいなめない事実でありますることは、過去の政策の変遷のあとを見ましても明らかでございます。そこで各政府系の金融機関等にお伺いいたしたいのでございまするが、結論的に申しまするというと、中小企業の現段階における、また将来持っておる重要性は申すまでもありません。これに対しまして国策といたしまして中小企業一本にその業務を打ち込んでいかれるこれらの機関の第一は資金量の問題でございますが、資金量はこれでいいんであろうかどうか。貸し出しの実績から考えてみましても割りが少ない。これは資金量に由来するのではないんであろうか。四十年九月の中小企業白書の統計によりますというと、政府系の中小金融機関におきましては貸し出しの状況は八・七%、全国銀行のほうは四七・七%、民間の専門の相互銀行とか信用金庫とか組合などは四三・六%、全く大きな格差になっておるのであります。したがいまして、これは根本問題でないかもわかりませんけれども、どうも資金量の増大というものは、貸し出しの実績というものとの関連が相当あるのではないであろうか、こういうふうに考えるのでございます。  まず一点は、資金量を相当増大する必要がありやいなや、その必要を感じておられるかどうか。財投の数字を調べてみましても、原資の増額というものが四十二年から四十三年にかけまして、中小企業に対しましてもこれで何ぼになりますか、三二九三から三八七六億円に増額しておりますし、その他の国民公庫あるいは中小公庫などにおきましても、同様に相当な割合の資金量は増額しておるようでございますが、こういう資金計画の点から考え、また貸し出しの実績から考えてみましても、相当増額する必要があるのではないか、こういうふうにも考えるのですが、この点いかがですか、抽象的でおそれ入りますが。
  71. 河野通一

    ○河野説明員 国民金融公庫資金需要について私から御説明申し上げます。  いまお尋ねのような点につきましては、私どもの現在の情勢におきましては、いまの資金量をもってしては資金の需要に十分応じ切れないうらみがある、このことははっきり申し上げられると思うのであります。ことに最近における私どもの資金借り入れの申し込み状況を見ますと、本年度に入りましてから平均してみますと、前年比較において金額で大体約一四〇%近くになっております。件数におきましては大体一一五、六%ではないかと思いますが、件数においても相当な増加をいたしておりますのみならず、金額におきましては、いま申し上げましたように一四〇%近くの増加になっておるわけであります。したがいまして、現在の状況におきましては、本年度資金計画として設定せられましたものをできるだけ前寄りと申しますか、第一、第二・四半期の前寄りにウエートをできるだけかけることを政府当局とも御相談いたしましてやってまいっておりますが、それにもかかわらず資金的な観点から貸し付けができないで将来へ繰り越していかなければならぬ繰り越しの金額というものが、普通の場合におきましては大体二十日から二十二、三日というところでありましたが、この七月末におきましてはそれが三十数日ということになってまいっております。  こういう点から見ますると、今後の金融情勢次第によりますけれども、私どもといたしましてはできるだけ資金の充実をはかり、許されるならば資金の追加を政府からお願いをして、できるだけそういった需要に対して大きなあやまちもなく対処できるようにいたしてまいりたい、こういう強い念願を持っておる次第であります。
  72. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この点につきまして、中小公庫のお考え方はいかがでございますか。
  73. 佐久洋

    ○佐久説明員 ただいまの御質問で、資金が足りるか足りないかということですが、政府資金というのは私どもから出ておりますが、長期、低利の資金でございますから、いえば多々ますます弁ず、多ければ多いほどいいということで、それがどのくらいの金額が適正かというのは、これはちょっと判断がむずかしいのでございます。その資金源のほうも、主たる部分が政府の借り入れ金、二、三年前から中小公庫債というものを発行してその財源をつくっておりますけれども、これも一つの限度のあることで、そうむやみにふやすというわけにはいかないという一つの制約もございます。ただ一般的に見まして、資金申し込みといいますか、資金需要というのは相当旺盛でございますから、それに対応して要望にこたえていくためには、もう少し資金がほしい。特に代理貸しのほうでは、大店舗から資金をもっとほしいという要請がかなり強く出ております。
  74. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 商工中金はいかがでありましょう。
  75. 高城元

    高城参考人 商工中金高城でございます。  ただいまお話のように、中小企業金融というのは、引き締め期でありましても緩和期でありましても常に足りないわけでございます。全国の金融機関のうち、中小企業に回っておりますお金が四五%、四五%ばかりは大企業向けでございます。御承知のとおり生産の五〇%あるいは輸出の部品を含めまして約六〇%、あるいは流通関係はほとんど中小企業、サービス業に至っては中小企業が大部分であるというようなことから見ますると、基本的に中小企業に回りますお金が少ないのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。そのうち政府関係は先ほど御指摘のございました九%程度であろうと思いますが、私どものほうから申しますと、ただいまのお二人の公庫と違いまして、政府のお金のほかに自己調達ということでいろいろ債券その他の消化をやっておるわけでございますが、なかなか債券の消化にいたしましてもそう簡単ではございません。資金の不足から申しますと、ただいま国金の総裁も言われましたとおり、やはり相当の予約と申しますか、確かに貸し出さなければならぬのでありますが、ワクがないというようなことで先へ先へと押しておりますものが相当ございますわけでございます。金融緩和期におきましても大企業におきましてはけっこう設備投資をやっておりますことは御承知のとおりでございまして、金融引き締め期において、大企業中小企業設備面におきましてもまた格差が広がったのじゃなかろうかというような感じがいたすわけでございます。したがいまして、これから緩和期に向かうかと思うのでございますが、やはり私どもといたしましては、できるだけ政府のお金を御配慮いただきまして、おくれております、先ほど来お話ございますような内外の圧迫を受けております中小企業の経営改善に資することができれば幸いであると存ずる次第でございます。
  76. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二点は、政府系の金融機関といえども、本能的にやはりこげつきを少なくしたい、あるいはまた利益をあげなければならぬ、こういう面はいなみがたい、こう思います。そこで、中小企業はいまおっしゃったように大企業に比較いたしまして、金融面では非常に不利な立場に置かれております。第一経営も不安定でございますし、ことに概して近代組織を持たず、個人能力に依存するという面が多いし、担保力が不足しているし、また資金需要が小口ですから、大口の一億円の融資といえども、また百万円の融資も、あまり事務量も変わるまいというようなことを考えますと、いろいろな面におきましてやはり中小企業者に対する政府系のこの金融機関におきましても選別融資が厳格になるのではないであろうか、したがって業績不良のものは申し込み条件が過酷になるのではないであろうか、また審査段階におきまして簡単にはねられてしまうのではないのであろうか、受理件数に入らないのではないであろうか、こういうふうに考えられます。  反面考えてみますと、昔は社会保障的な沿革さえ持っておりましたこの中小企業対策の金融問題、現在はそうにあらずしてやはり体質改善という大きな飛躍を遂げておりまするけれども、しかし現実におきましてやはり無数、多種多様なこの中小企業に対してでありますから、業績不良のものこそ救わるべきものでないだろうか。この辺が、生きていかねばならぬ、自立を必要とする中小企融機関みずからと、また貸し付け対象中小企業の育成と体質改善という目的を達する機関、この二つの要請にこたえて両全を期する立場に置かれておりますので、むずかしいとは思いますけれども、ここが痛しかゆしで、つい不良なものをはねていく。そして業績のいいものはなるべく貸していく、担保力のあるものは貸していく、こういうふうになってくるので、ますます中小企業は多事多難で、追いやられてしまうのではないか、こういうふうにさえ考えるのです。  したがいまして、これに対しましては、国会等の論議を通じて考えてみましても、公庫法とか金庫法の改正をしてはどうか、そして政府系の金融機関のこのあり方、目的、運営につきまして根本的な再検討を加えてはどうか、こういう一面も持ち上がっておるようでございますが、これはまだ具体的に日程にのぼってはおりません。したがいまして、申し込みに対する貸し付けが七割になっておるような全体の状況かとも考えるのです。その辺についてどうすればいいのだろうか。資金量絶対不足、これを改めることによって解決するという問題であるのかどうか、そこらについて現業の最高責任者のお立場から考えまして、どう解決、打開していけばいいのだろうか。どういうふうにお考えになりましょうか。これは適当にどなたからなりとも御答弁いただければけっこうでございます。なお違った御意見、つけ加える御意見がありましたらどうぞしかるべくお願いいたします。
  77. 河野通一

    ○河野説明員 いまお尋ね非常に大事な問題であって、かつ実は非常にむずかしい点であろうと思います。私どもは金融機関でありまして、決して慈善事業体でないことは当然でございます。しかもその財源は政府資金でありますから、できるだけ金融機関としては貸したものが貸し倒れになったり損失を大きくしないように努力しなければならない、これは当然のことだと思います。また一方で、さればといって民間の普通の金融機関と同じように考えて、もうけさえすればいいということでないことも、これも当然のことであります。ことに私どもの顧客は、他の二機関と比較いたしましてさらに小零細企業対象でありますので、この点についてはなおさら非常にむずかしい問題にぶつかっておるのであります。私はよくたとえで申しておるのでございますけれども、私どもの仕事はやはり経済政策と社会保障との接点にあるのだということを申しておるのであります。政策機関であることは間違いありませんけれども、しかし私どもは社会保障の機関ではない。経済政策を実行する機関であるという点で割り切っております。しかしながら社会保障との境にある問題はたくさんある。理屈では割り切れますけれども、実際問題としてその境というものはなかなかむずかしい問題だと思います。いまお話のありましたように、私どもは、決して高利貸し的な考え方で、回収さえできればいい、利益さえあがればいいというような考え方で私どもの事業を運営していないのは当然でありますけれども、しかしながら、いま申し上げましたような金融機関としての限界、金融機関としてやるべき職責の範囲というものは逸脱できない、こういう考え方に立って現在仕事を進めておるわけであります。  はなはだ抽象的なお話になって恐縮でありますが、ただ一つ御参考までに申し上げておきたいことは、私どもの顧客の貸し出しに対する回収率というものは、従来あまり悪くなかったのであります。ところが昨年の秋以降私どもの回収率というものが若干低下をいたしてまいっております。私どもは、いわゆる注意を要する債権を監理債権ということばで使っておりますが、その監理債権の残高が貸し出し全体の残高の増加に比較して率がふえてまいっておる。このことは私どもは非常に注目しなければならぬ問題だと思っておりますが、そういった実情から考えましても、この監理債権の監理及びその債権の貸し出し態度というものについては、決して金が取れさえすればいいという考え方に立つのでありませんけれども、注意を要するということであります。ことに私どもの取引先で倒産をいたしますものが最近非常にふえてまいりました。少し時間がなくなって恐縮でありますけれども、大体去年の前半では、私どもの取引先の倒産は月に大体三百件から三百五、六十件というペースであったかと思いますが、去年の後半にはそれが四百件前後という数字になってまいっております。それがことしに入りますと、五百数十件というぺースに相なっておるのであります。これらの事情が示しますことはいろいろなことを示しておるわけでありまして、だからこそ中小企業に対する対策をもっと充実しなければいかぬ、強化しなければいかぬという問題が一方でありますとともに、金融機関として債権の管理についてやはり注意を要する問題が出てきておるのだということを示しておるのではないかと思います。  御参考までに最近の実情をあわせて御説明した次第であります。
  78. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 信用供与の補完機関といたしまして、保証協会というものがございますね。それから中小企業の保険公庫もあるようでございますが、この保証協会の保証の対象は、やはりまた資金量等におきまして、保証額の資金額におきましても、これもさっきの資金量の問題と同じように相当増大をする必要があるのではないだろうか、これは根本問題の解決にはなるまいと思いますけれども、あわせましてこの辺についても問題があるのではないだろうか、こう思うのでございますが、これは政府側といたしましてはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  79. 乙竹虔三

    乙竹説明員 お答え申し上げます。  中小企業者、特にその中でも資力の弱い層に対します金融についての施策、これが中小企業の持っております宿命的な格差を是正する、不利を補正するために絶対に必要であるわけでありますが、いま政府金融機関の首脳部からお答えがございましたように、特に国民金融公庫はその面を御担当でございますが、これはやはり政府金融機関でございます。この金融機関でさらにカバーできない資力の弱い層に対する施策として保証協会があり、その保証協会をカバーする政府機構として保険公庫があるわけでございますが、これの拡充は、私たちが小規模零細対策として最も重点を置いている点でございます。したがいまして、資力の許す限り、これの拡充は考えてまいりたい。特に零細層に対します保証限度の引き上げないし保証条件改善につきましては、努力をしてまいりたいと思うわけでございまするけれども、しかしこの保証制度ないしこのバックになっております保険制度も、広い意味金融ベースをはずすわけにはいかないというふうに考えておるわけでございます。ときあたかも金融引き締めを迎えておりましたわけで、代位弁済の額は非常に増加しておるわけでございます。したがいまして保険公庫の保険金額支払いも急増しておるわけでございます。私たちといたしましては、これに対します資金手当て等は十二分に考えて、保険制度の前向きと申しますか円滑な運営に努力してまいりたいと思っておる次第であります。
  80. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 要するに中小企業対策の一環といたしましての金融政策というものは、終局の根本解決の手ではないと思うのであります。やはりこれは一環にすぎませんが、重要な一環に違いない。したがいまして、いまの中小企業対策は、何といいましても中小企業の体質改善ないしはその育成に大きな力になっておるのが金融機関であろう、こう思うのであります。  そこで、こういうような根本施策の立場に立ちまして、大蔵当局から見えておるので伺ってみたいと思うのでありまするが、いまだんだんと論議がございましたように、中小企業に対する金融機関がいかに重要な役割りを果たしつつあるかということは、これは周知の事実であります。これによりまして、悩みの末破産倒産が続出しておることは統計等に示すまでもなく明らかでございますが、資金量の問題につきまして、大蔵省の意見としまして、これは来年度の四十四年度におきまして、しかるべく増額するという方向に省議をまとめるように御努力を願うのが当然であろう、こう思うのですが、この点についての御意見、いかがです。
  81. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。  中小企業金融の問題につきましては、かねがね大蔵省全体といたしまして非常に重要な問題の一環として扱っているわけでございます。  中小企業金融という分野に限って申しますならば、これは先ほど先生がおあげになりましたように、都市銀行とか、地方銀行とか、相互銀行、信用金庫、信用組合といったようなものも非常に大きな役目を果たしているわけであります。その中でも、民間の専門の中小金融機関と称せられますのは、相互銀行、信用金庫、信用組合、三つになりまして、これにつきましても、一昨年来金融制度調査会で、中小企業金融制度のあり方についてということについて審議を進めていただきまして、昨年の十月にこの答申をいただきました。それに基づきまして、去る国会におきまして所要の法改正を行なった次第であります。これもまさに民間の中小企業金融の分野を非常に拡大していく、円滑なものにしていくということをねらった一つの方法でございます。それから、四十三年度の財政投融資の計画あるいはまた一般会計という分野につきましても、非常に配慮をいたしました。  たとえて申しますと、同じ政府系の金融機関であります開発銀行等につきましては、これは景気調整その他の問題もございまして、貸し出し額は前年度の一〇%前後の伸びということになりますが、中小企業金融機関につきましては一九%の伸びになっているということでございます。保険公庫についても、同じような配慮をいたしておるわけでございます。  四十四年度におきましても、さらにそういった基本的な考え方に基づきまして中小企業金融について十分の配慮をしたい、こう考えます。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間がだんだんなくなってきましたので、簡単に進めてまいります。  次の点は、繊維構造改善の過程における問題点であります。多数にございます。  人手不足の問題がいよいよ深刻な様相を露呈してまいっております。それから、特にきょう指摘しておきたいのは、人手不足の対策にもなるし、また構造改善の重要な柱になるかと思うのですが、準備工程の部門を一そう合理化する必要があるのではないであろうか、こういう面であります。  準備工程は、特に先染めの織物の準備工程となりますと、これは六割以上の労力を要することになっておりますし、こういうものは最近はチーズ染色というような省力研究も進められておるのでありますけれども、これは、一つ労働力不足の対策として、一つは広く構造改善の進展の上から見まして、非常に重要と思うのでありますが、中間の準備工程における部門の合理化の問題、これはどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  83. 金井多喜男

    ○金井説明員 繊維構造改善につきましては、冒頭に基本的に中小企業対策の問題の一環として御指摘がございましたが、私ども、御案内のように、織布につきましては、すでに政府の特別の指導と助成について現在相当な効果をあげつつ進捗中でございます。御指摘の糸染めに関する先染め部門近代化、合理化について、あるいは省力化というようなことにつきましても、われわれいろいろの角度からこれは推進してまいる必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さらに構造改善の進行途上におきまして、産地の関連産業、たとえば産元ともっと一体化するとか、染色関係とか織布工場とか加工準備、これがもっと総合性を発揮しまして、全体の協力をしていく、そうしてどこかがさらにこれの推進力となっていく。何か現状ではばらばらの状態がとれぬと思います。由来ばらばらというのは日本人の特性かもわかりませんけれども、特に小さい零細企業中心の織布工場の構造改善等については一そうその感を深くするのでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  85. 金井多喜男

    ○金井説明員 地場産業につきまして、業種あるいは品種ごとに流通段階もいろいろ複雑でございまして、単に織布業者だけでなく、産元あるいは染め屋、そういった一連の流通過程の業種に対して総合性を強化するということは当然であろうと思います。この点につきまして、私ども織布の構革を実際やってみますと、相当効果をあげてはおりますけれども、御指摘のように、なお一そうこれについて経済的、有機的に統合性を強めるという必要は痛感しておる次第でございます。構革の途中におきましても、そういった点におきましては大いに強化してまいりたい、このように思っています。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうも時間がなくなりましたので、重大問題はたくさん残しておりますのですが、やむを得ませんので、結論に入ります。  私は、一つ構造改善につきまして、特に機屋の構造改善につきまして、労働力不足というものは決定的な重要性を持っておると思うのであります。これに対しましては、かなり深刻な反省あるいは現状の認識、対策というようなものを、これは通産省だけではなしに、労働省もあるいは各地方公共団体も、それからこれら業者の組合あるいはまた労働団体等々、それぞれの機関あるいは関連団体等が一致協力の体制でこの労働力不足の問題に対処せねばいかぬと思う。一つは省力体制の開発の問題、これは機械あるいはその他の構造面等々もございますが、また労働力の潜在するものあるいは開発の余地ありやいなや、これをどういうふうにくふうしていくか、あるいは婦人、中高年齢あるいは技術者あるいは職業訓練あるいは地域等、あらゆる角度から私は労働力不足の問題に対処せねばいくまい、こう思うのであります。大阪とか名古屋というような地域でございましたならば、別の二重の魅力もあります。しかしながら山間僻地の織布工場等に行きましたならば、それ以外に魅力はありません。したがってもしそれがうまくいかなんだらほかに転換する希望も持てません。それだけ魅力が乏しいということでありますので、いろいろな意味におきまして、労働力不足には対処していかねばなるまい、私はこういうふうに考えます。雇用対策といたしまして、労働省はかなり広範な意見を持っておるようでございますが、時間もございませんので、ひとつ結論的にその点に対する通産当局の最高の所見を伺いたい。  もう一点は行政改革との関連の問題でございます。行政改革は時代の要請であります。財政硬直の解消の意味におきましても、国民生活あるいは各般の政策、行財政の新しい開発体制を容易にする上におきましても、重要なことは申すまでもありません。現内閣の最高の一つの施策になっておることも申すまでもありません。そこで通産省の行革に対する一つのあり方といたしまして、最近伝わっておるとこうによりますと、トップマネジメントの確立の問題があるようであります。この中身いかんという問題です。すなわち、今日のこの国際経済のきわめて重要性にかんがみまして、また貿易あるいは資本、政治、経済いろいろな角度から重大でございますので、この国際経済の問題を専任に担当する首脳部を設置するというような意向があるかないか、その具体的構想。それからまた一面におきまして、いまの日本の経済、産業はエネルギーが結集いたします。したがいまして、宇宙時代に入りますエネルギーのウエートは、これは経済、財政、生活、産業、あらゆる面からきわめて重要でございます。このエネルギー問題に対処するということについて、主管官庁である通産省は、どういうふうな重要性の認識、したがってこれをどう改めていくか、こういう点。  それから第三番目には、いまだんだんと論議してまいりました中小企業対策であります。中小企業対策につきまして、中小企業庁があって、それぞれりっぱにその職責を果たしつつあることは私も認めるところでございますが、さらに一段とくふうをいたしまして、この問題に対する機構強化の必要はいかがなものであろうか。そういう面につきまして、これは消極的にあらずして、行政改革というものは私は弾力的な扱いをすべきものであって、必要な行政需要、財政需要につきましては遠慮なしにこれを求める、しかし、むだなものはまたすみやかに排除し、整理し、合理化する、こういうことが行政改革の筋でありますので、この大精神からいきまして、以上の三点に対する基本的な重要な一つのトップマネジメントの確立が考えられておるようにも伝わるのでありますが、この真偽はいかん。  以上の点につきましてひとつ通産省当局の、大臣にかわる御答弁を伺いましてこれで打ち切りたいと思います。
  87. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 労働力不足の深刻化の問題を、具体的な織物、織布企業を例にとられて御発言がございました。お説のとおりと思うのでありまして、現段階の織物企業を取り巻く労働力の不足というのは、特に産地産業、地場産業であるだけに、より一そう深刻な問題を含んでおること、御指摘のとおりでありまして、ただ単に通産省の施策だけでなくして、労働省はじめ、あるいはまたその外郭団体である雇用促進事業団等の関係機関がこのような問題を総合的に解決を急がなければならぬ、このように考えておるわけでございまして、御指摘のような線に沿うて、今後関係機関とよく連絡をいたしまして問題の解決に処したい、このように考えます。  第二点の、激しく移り変わる内外の経済諸情勢に対して、第一線の行政機関としての通産省の事務処理のあり方についていろいろ御意見がございました。いわゆるトッップマネジメントという、こういった運営の方式の御指摘がございました。これはまだ通産省として具体的にそのような方向に話が進んでおるという御報告をする段階ではございませんが、実態的に、大臣を中心に常時関係局長が集まりまして相談をする、これは表の形の上にはっきり出すかどうか、まだ検討は御報告する段階に至っておらない、こういう状態でございます。御趣旨の線はよくわかりますので、きょうの御発言を契機に十分検討させていただきたい、このように思います。  それからエネルギー対策、これは特に過去においてのエネルギー資源の中核であった石炭産業が御案内のごとき状態になって、現在抜本策が石炭対策審議会において八月末を目途として答申をしていただく、こういうことに運んでおることは御案内のとおりでございまして、したがってこういう問題を含めてやはり御指摘のとおりエネルギー対策というものは、この際ただ石炭対策のみならず原子力の問題、電力問題、こういったものをひっくるめて私は検討すべき重大な時期に直面しておる、このように思いますので、この点もよく御趣旨を体して最善の配慮をいたしたい、このように考えます。  それから中小企業対策についての機構強化の問題、おことばには出なかったのですが、中小企業省をつくるというような問題もあるいはお含みの上での御発言かと思うのでありますが、この問題についてはやはり機構を云々ということよりも、先ほど御指摘のように、機構改革の基本原則は私もいま先生が御指摘されたような考え方が正しいと思います。私自身も政務次官会議でもそういった発言をいたしておるわけでございまして、必要なところは積極的に拡大をする、行政改革の目的は行政管理庁をなくするというくらいにまで思い切ってやるべきではないかというふうな意見も加えて、いろいろ協議いたしたこともございますし、そういう観点から、特に激しい移り変わりの第一線行政である通産省の行政機構は、必要なところはできるだけ前向きで、ただ簡素化のワクの中で縮こまらないで、同時にまた必要でないものは積極的に切っていくというかまえは絶対に堅持しなければならぬ、その前提に立って中小企業を担当する別の役所を表に形の上でつくり上げるか、それとも内容的に現状で推進したほうがよりいいんではないか、これは別な役所になってくるということになると、中小企業といえども大企業への道がつながっておるということを考えますと、かえってまたマイナスの点も出てくるのではないかといういろいろの問題がございまして、十分検討をさしていただきたい。ただ基本的なかまえとしては先ほど申し上げたようなこと、また御指摘のような線で今後行政機構改革には十分環境の変化に適応する体制を役所自身がつくらなければならぬ、このように考えております。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 以上で質問を終わります。
  89. 四宮久吉

    ○四宮委員長代理 それでは、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会