○中川
説明員 たいへん率直な御質問でございまするが、多少おわかりにくいところもあろうかと存じますので、私
どもの
考えております金属鉱物に対しての政策の概要と、事業団その他
補助金、融資等を通じましての施策の仕組みと申しますか、これを少しお時間をいただいてお答えいたしたいと思います。
冒頭に御指摘がございましたように、わが国の金属鉱物に対する
需要、金属鉱物を使うほうの側の
需要でございますが、これは経済の急速な発展とともにたいへん大きな伸び率で伸びてきておりまして、今後も
相当着実な伸びが期待されているわけでございます。このような
需要の伸びに対応した安定的な供給の確保ということが大事であることは、
先生御指摘のとおりでございます。政府としましても国の内外における
資源確保政策を積極的に推進するというのが
基本方針でございます。たとえば銅のようなものを例にとりましても、
国内の鉱山から供給し得るもの、それから一度使われましたものがスクラップその他の形で回収されてくるもの、これは一番安定した供給源でございます。それから
国内には限界がございますので、
輸入鉱を自分のところで
開発するというようなことで入ってきておりますものもございますし、融資をいたしまして地金ないし粗銅という形で
輸入をいたしておるものがございます。これらも比較的安定した供給源でございますけれ
ども、これら二つの現状から見ましても、将来の
需要というものの予測と供給量とを比較いたしますと、
相当に不足をするというのがいまの想定でございます。
そこで、対処します方針といたしましては、
国内における
国内鉱山からの供給量をふやすということが
一つでございますし、もう
一つは、そうは申しますけれ
ども、これは自然条件その他の
関係から限界がございますので、
海外資源について長期的な観点に立った手を差し伸べなければいかぬ、この二つになるわけでございます。
そこで、
国内におきましては、
先生御承知のように、何と申しましても
国内鉱山の供給量を大きくするというためには、その基礎になりますところの探鉱ということが一番基本になるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、金属鉱物の鉱床と密接な
関連がある地層の
存在状況の概要を明らかにいたしますために地質構造
調査、広域
調査と申しておりますが、これは国が直接行なう。まず一番ベーシックなところは国が行なう。その結果、有望と目される地域につきまして、さらに地層の精密な
状況を、精密
調査と申しておりますが、これは先ほどお話のございました金属鉱物探鉱促進事業団が
調査をいたします。その結果に基づいて
企業が事業としての
開発のための探鉱事業を行なう。これについては国が助成をする、こういう三つの段階の方式によります
資源開発を、
昭和四十一年度以降十カ年計画で推進しておる次第でございまして、秋田の黒鉱等、この三段階方式によりまして
相当な成績をあげつつあるのでございます。しかしながら、
資源の賦存
状況等の自然的制約からいたしまして、
国内の供給には限度がございますために、本年度から
海外資源の
開発を推進することといたしまして、金属鉱物探鉱促進事業団に、
海外の鉱物
資源開発に必要な資材、情報を収集するとともに、基礎的
調査を実施させまして、その結果、有望と目される地域について
企業が行なう探鉱資金を融資させるとともに、
開発資金の借り入れに対する債務保証を行なわせるということを今年度から実施をいたしたわけでございます。
これらの施策の実施にあたりましては地質、鉱床等についての
専門的知識を有する
技術陣を要しまして、また国の資金のほか、地方公共団体、
企業の資金も積極的に動員して、強力かつ一元的な推進をはかり得る
体制をつくるために金属鉱物探鉱促進事業団というものを設立したのでございます。その実施の効果は国みずからが行なったのと同様でございます。
先ほどの仕組みについて申しますと、広域
調査は、これを国の委託費ということで国が直接これに要する資金を用意いたしまして、事業団に委託をいたしておるわけでございます。それから第二段の精密
調査につきましては、国がこれに対して六〇%の
補助金を支給いたしまして事業団に同じくこれをやらしておるわけでございます。三段階目の
企業の探鉱という段階になりますと、その面につきましては大手と中小の区別がございまして、大手の鉱山に対しましては事業団からほぼ半分ぐらいの額になります比率でもちまして融資事業を行なっておるわけでございます。なお中小につきましては融資だけでは片づかないという
状況でございますので、約五〇%を限度といたします
補助金制度でこれを実施いたしておるわけでございます。
そこで先ほどお話の出ておりました事業団の
資本金でございますが、これはどちらかといいますと、この融資事業に際しましての融資の金利を七・五%という水準に確保するための財投からの借り入れ金利を薄めるための機能といたしまして、これを実施しておるわけでございます。
そこで
昭和三十八年から四十二年までの、いま私が御
説明いたしました仕組みについての、国から出ておる金額がどのようなことになっておるかということを御参考までに御報告しておきますが、広域
調査につきましては六億九千七百万円、精密
調査につきましては四億七千六百万円、それから融資につきましては百六億六千万円、先ほど申しました
補助金につきましては十八億二千五百万円、かようなことでいたしております。それから四十三年度について申しますと、広域
調査で三億五千三百万円、精密
調査で一億九千五百万円、融資で二十八億円、それから
補助金で四億一千五百万円、同時に出資金として九億ということを事業団に対していたしておるわけでございます。
こういう仕組みでございまして、平たく申しますと、事業団は
開発の仕事を担当いたします
専門技術スタッフを持っておる一元的な機関、こういうのが
一つの性格でございますし、国が担当すべき広域
調査と精密
調査につきまして国からの委託あるいは補助を受けて、国と全く同じ
立場で基礎
調査を行なう。そして
企業側が行なう探鉱につきましては、財投からの借り入れ金を資金源といたしまして、出資金を金利を低くする財源として使いまして、これによって民間
企業の行ないます第三段階目の探鉱業務に対しての助成を行なう、こういう仕組みでございまして、新たに
海外関係の仕事がつけ加わったことは先ほど御
説明いたしたとおりでございます。
国内開発のみについて限定して、これらの三段階方式の成果を簡単に申しますならば、中小鉱山につきましては、この探鉱事業なかりせば年々採掘量が減っていくという傾向にあるわけでございますが、おおむねこの仕組みと
補助金によりまして毎年の採掘量が大体同じ数字になっておる、つまり減っていくものを補てんしていくという形においては十分に役立っておる。もう
一つは、先ほど言及いたしましたように、北鹿の黒鉱のように六千万トン以上に達する鉱量の発見がありなお引き続いてそのような成果を各地であげつつある。地質構造の解明がずいぶん進みまして、
企業側の鉱量というものが増大する傾向に働いておる。
以上、あるいはおわかりにくかったかもしれませんが、私
どもの
考えております鉱物
資源の確保政策と、それを実際運営しております仕組みについて御答弁申し上げたわけでございます。