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1968-08-09 第59回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十三年八月一日)(木曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。   委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 小山 省二君    理事 四宮 久吉君 理事 白浜 仁吉君    理事 田川 誠一君 理事 田中 武夫君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       菅野和太郎君    篠田 弘作君       丹羽 久章君    長谷川 峻君       早川  崇君    原 健三郎君       水野  清君    勝澤 芳雄君       芳賀  貢君    森本  靖君       柳田 秀一君    鈴切 康雄君       池田正之輔君 ───────────────────── 昭和四十三年八月九日(金曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員   委員長代理理事 鍛冶 良作君    理事 小山 省二君 理事 四宮 久吉君    理事 田川 誠一君 理事 田中 武夫君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       丹羽 久章君    長谷川 峻君       水野  清君    赤路 友藏君       芳賀  貢君    鈴切 康雄君       池田正之輔君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業政務次         官       熊谷太三郎君  委員外出席者         通商産業省企業         局長      大慈彌嘉久君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         通商産業省重工         業局鉄鋼業務課         長       左近友三郎君         通商産業省重工         業局自動車課長 田中 芳秋君         通商産業省重工         業局航空機武器         課長      加藤 博男君         通商産業省繊維         雑貨局長    金井多喜男君         通商産業省鉱山         石炭局長    中川理一郎君         中小企業庁次長 沖田  守君         会計検査院事務         総局第四局長  鈴木 治久君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         国民金融公庫総         裁       河野 通一君         中小企業金融公         庫総裁     佐久  洋君         中小企業信用保         険公庫総裁   長村 貞一君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 八月九日  委員柳田秀一辞任につき、その補欠として赤  路友藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員赤路友藏辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。     ───────────── 八月一日  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書 は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (通商産業省所管中小企業金融公庫中小企  業信用保険公庫)      ────◇─────
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が所用のため欠席されますので、指定により私が委員長の職務を行ないますから、よろしくお願いいたします。  この際、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、本会期中において  一、歳入歳出の実況に関する事項  二、国有財産増減及び現況に関する事項  三、政府関係機関の経理に関する事項  四、公団等国資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する事項  五、国または公社が直接または間接に補助金奨励金助成金等を交付しまたは貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項 以上の各項につきまして、関係方面よりの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等方法によりまして、国政調査を実施することとし、規則の定めるところにより、議長承認を求めることといたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。     〔鍛冶委員長代理退席四宮委員長代理着席〕      ────◇─────
  4. 四宮久吉

    四宮委員長代理 昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。鍛冶良作君。
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員 通産大臣がお見えになったら大臣にお聞きしたいと思いますが、きょうは予算委員会でお差しつかえがあるそうですから、どなたかから、かわって承りますが、まず私の聞かんとするところは、近時非常にやかましく言われておりまする、俗にいう大型企業合併でございます。特にあげられておるのは、鉄鋼業合併化学工業合併でございますが、世上いろいろこれに対して賛否の論があるし、われわれも納得できないところもございますので、この際ひとつ通産省の御意見を伺ってみたい、こう思います。  まず、この合併に対して通産省はどういう考えをお持ちになっておるのか、合併はよろしいものと考えておられるのか、それとも疑問があればどういうところに疑問があるか、よろしいならばどのような方法でやっておられるか、疑問があればどういう方法でやっておられるか、それらの点をひとつまず承っておきたいと思います。
  6. 藤井勝志

    藤井政府委員 御案内のごとく、最近大型企業合併の問、題が冨士八幡合併王子製紙系統合併問題で世論に浮かび上がっておりますが、このような問題についての通産省の基本的な考え方を御質問になったわけでございまして、現下のいわゆる経済の国際化というこの時代に対処するためには、やはり企業合併等、いわゆる集約化が必要であるというのが基本的な考えでございまして、その理由を具体的に申し上げますと、まず資本自由化によりまして、国際間の競争はいわゆる資本力競争という面が強くなってまいっておることは、御案内のとおりでございます。したがって、この国際競争力強化のために、まず企業規模拡大が必要である、これが第一点でございます。  次に、最近技術革新時代といわれておること、これまた御承知のとおりでありますが、そういう面から技術開発を積極的に進めていくということのためには、やはり企業規模相当大きくなければならぬ。設備投資もやはり企業単位が大きくなければ技術開発力というものが充実しない、こういう技術開発の点からも企業規模拡大合併という問題の必要性考えなければならぬ。  第三点は、やはりいま申しましたものと関連いたしますけれども、そのような技術開発を積極的にやるためには、小さな規模企業ではなかなか財政負担に耐え得ない。したがって、企業基盤を強化しなければ積極的に技術開発ができない、こういう点でございます。しかも二重投資による技術開発というようなむだを排して、やはり技術開発を効率的に進めていくためにも、大きな企業合併ということが好ましい、こういう考えでございまして、したがって、八幡冨士合併問題、王子系三社の合併問題については、いまのような諸情勢考えまして、われわれとしては基本的には好ましいものであるというふうに考えておるわけでございます。  以上、お答えいたします。
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員 もっと具体的に承りましょう。  鉄鋼会社合併については、やはり合併がよいと思っておられますか。合併がよいとすれば、どういう方面でよいのか、どういう結果が出ると考えておられるか、その点をひとつ……。
  8. 藤井勝志

    藤井政府委員 企業局長も来ましたので補足的には局長からお願いするといたしまして、引き続き私のほうからお答えをさせていただきますが、八幡冨士の問題については、すでに資本自由化に踏み切った鉄鋼業界でございますから、あくまで国際的視野に立ってものを判断し、業界の再編成を行なうことがかねて必要であるというふうに考えておったわけでございます。資本自由化ということができておりますから、やはり鎖国的な日本だけのスケールでなくて、世界の鉄鋼業界に伍して国際競争力をつけていくという観点から合併は好ましいという考えでございまして、同時に特に技術革新を必要とする鉄鋼業界でございますから、生産単位が大型化しなければならぬ。この傾向に沿うていかないと、欧米の鉄鋼業界のすばらしい最近の伸展を考えますと、やはり従来の資本自由化がされないときの業界あり方考え方は根本的に変えていくべきであるというふうに考えます。同時にまた、両者が合併をして適切な設備をし、一そうの技術開発を進めていくということが、やはり国際企業として大いに前進する体制として絶対必要である、われわれはこれに対する積極的な考えを持つものであります。  反面、これがそういうことになれば、いわゆる寡占状態になって消費者が不便を受けはしないか、こういう問題。これは結論的には目下公取のほうで予備審査が行なわれております。本格的な審査公取の見解を待って、われわれもその結論に従わなければなりませんけれども、いまの情勢から判断いたします場合に、鉄鋼業界の場合には、冨士八幡以外に日本鋼管というすばらしいのが福山にもできつつあります。あるいは川鉄がある。そういうふうに十分国内でも国際競争力を持ち得るようなりっぱな企業存在をしておりますし、また製鉄を需要する需要者側は国鉄をはじめとして相当力の強い需要者がある。こういうふうなことを考えると、おそらく寡占によって消費者が被害を受けるという心配はないであろう、こういうふうな判断をわれわれはいたしておるわけでございます。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員 企業局長に承りたいのでありますが、いませっかく次官がいますので、あとでまたお答え願いましょう。  次いで聞きたいのはパルプ合併ですが、ことに王子三社の合併ということに対しては、パルプ業界においてはどうもたいへんな関心を持っておるようです。これに対してはどういう考えをお持ちでございますか。またどういう直接のいいところがあるか、弊害がないか、その点を一つ承りたい。
  10. 藤井勝志

    藤井政府委員 王子系三社の合併問題につきましても、やはり資本自由化の進展に対処して、わが国のパルプ産業国際競争力を強化して産業体制を整備するということがぜひ必要である、しかも現在の原料事情考えますと、従来の体制ではなくて、やはり臨海大型企業工場の建設ということが必要であるという新たな要素も加わりまして、前向きでこれが合併を賛成しておる、こういう考えでございます。
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員 なるほど説明を聞きますれば需要が大型化する、資本が大きくなる、技術開発についても相当手広く開発の計画ができる、この点は認めますが、一つ需要が大きくなるということは、一面においては独占企業になるということが多いのですが、そういう場合に、先ほどあなたが言われたが、中小企業圧迫を受けないか、問題はそこにあると思うんですよ。ただ大きくなって、資本があるから大きくほかと競争ができる、技術も進歩できる、そこまではいいが、ほかと競争できるか知らぬが、国内中小企業圧迫するということは想像できないですか。また想像しても、差しつかえないと思われるのですか、この点はいかがですか、承りましょう。
  12. 藤井勝志

    藤井政府委員 まず第一点の合併寡占状態を招くではないであろうかという問題でございますが、一応通産省において試算いたしました合併後の生産シェアは、洋紙においては三七・五%、それから洋紙、板紙を合わせまして二四・六%、こういったことになりまして、有力な企業が多数まだ競争相手として存在をするということと、もう一つ需要者側新聞そのほか有力な立場、力強い立場需要者であるという点で心配はしないでよろしい、こういう考えでございます。  もう一つ中小企業に対してこれが圧迫の要因を起こさないであろうかという御心配でございますが、この点については主たるねらいが、問題は外国原料が手近にある外国製紙国内に入り込むということ、これを、国際競争力をわがパルプ業界につけてやっていこうということで、日本中小企業には悪影響はもたらさない、こういう見通しに立っての話でございます。具体的な内容につきましてはまた局長から補足説明をいたします。
  13. 鍛冶良作

    鍛冶委員 外国に対する問題は必要でございましょう。また国の財政から言うても必要だろうが、それが必要だからといって国内中小企業への圧迫はやむを得ないんだ、こういう考え方であるとすれば、これはたいへんな問題とわれわれは思うのです。その点の見通しです。どこを大事にするか。もちろん外国のことも大事であろうが、外国からの圧迫考え国内企業がつぶれてもしかたがないんだ、かつてこういうことで問題が起こったことがあるのですが、そういうふうに聞こえるのですが、そういうことだったらたいへんだ。  そこで私は具体的に聞きたいんだが、王子三社の合併シェアが三十何%になる、いまこう言われたが、新聞紙に至っては六〇%になっているように聞いております。これは間違いならば聞かしてもらいたい。私はそう聞いておる。そこで今日どちらへ行きましても一国の産業を三〇%以上一社に持たせるということは、必ず中小企業圧迫して、業界にたいへんな弊害を及ぼすものだということは、これはもう通説でございます。私は専門家でないからあまりそういうことを詳しく言いたくないが、聞いておるところでは、ランチェスター原則というものが学問上出ておって、一国において三〇%以上持たしたら必ず他の企業圧迫してえらいことになるという学問上の原則ができておる。それにもかかわらずあなたのほうで三六%というのは——私がいま言うように新聞紙そのものは六〇%だという。これだけはランチェスター原則からはみ出るのですか。われわれの聞いておるところでは、それはたいへんだと思うのですが、第一に、三〇%以上はランチェスター原則でいかぬという学説があるのかないのか。あったら、日本の国ではそれがどうはまるのか、はまらぬのか。ことに王子製紙がやれば三六%と言われたが、新聞紙に至っては六〇%、たいへんなことですから、これに対してどういう考えを持っておられるのか。これは政務次官でも局長でもよろしゅうございますから、詳しく説明してください。
  14. 金井多喜男

    金井説明員 お尋ねのように、王子三社が合併した場合に、スタートの場合におきまして、新聞用紙シェアは大体六〇%に相当するというふうに考えられるわけでございます。ただいま先生おっしゃいましたように、そういうシェアが高まれば、一般論として相当ほかの同業種等に対する影響あるいは独占寡占等影響について考慮しなければならないということは、日本においても同様であろう、このように思っておるわけでございます。しかしながら、一般論としてはそういうことが言えるかと思いますが、今度の合併問題につきまして、私ども通産省におきまして、そのシェア問題点につきまして具体的に問題点検討したわけでございますが、結論におきましては、ただいま政務次官からお答え申し上げましたように、これが関連企業なり需要者に極端な悪影響を来たすというようなものではないというふうに考える次第でございます。  その悪影響を来たさないということは一体どういうことかということが当然問題になってくる、このように思われるわけでございます。その点大まかに申しますると、第一番に、先ほど政務次官からお答えいたしましたように、この新聞紙におきましても、日本は逐次輸入がふえていくという状況でございます。根本的な原因といたしましては、日本木材資源は限られており、年々日本国民所得の向上とともだ紙の消費量というものは非常な勢いで伸びております。端的に申しまして、年率七、八%の割合で伸びておるわけでございます。そういった状態におきまして、当然日本における木材資源の需給の関係から木材年率四%程度上がっており、しかも海外におきまして、たとえばアメリカとかカナダ等におきましては、パルプ用材が大体日本の半分くらいの値段ということで、大きな方向から見ました場合に、今後ともこういった、基本的に紙パルプの一番大事な資源である木材価格が現実においてこのようであり、将来とも四%、それ以上の値段で上がっていくということになると、近年ふえつつある新聞紙輸入というものをこのままにしておきますと、相当な量でもって、輸出というかっこうで日本に押し寄せてくるということは必至でございます。そういったような点から、いわゆるシェアが六〇%でありましても、その点については王子三社の合併から関連新聞紙業者悪影響を与えるということはあり得ない、このように思うわけでございます。悪影響が出てくるとすれば、それはいわゆる日本紙パルプ産業原料高基盤の弱いこと、こういうことから出てくる一つの問題でございます。  第二番目は、新聞紙につきまして、私どもも、率直に申しまして、その辺需要家あたりの感触がどうであろうかということで、一応意見も聞いたわけでありますが、たとえば、その代表的な団体である日本新聞協会のほうの意見が非常に早い時期において打ち出されたわけでございますけれども新聞協会としては、一、二の問題について多少条件的希望は申しておりますが、結論的には合併需要者の側から見ても望ましい、そういうことに私ども受け取っておるわけでございます。  それから三番目に、日本国内新聞紙業界におきましては、王子三社のほかにあと有力な数社の新聞紙企業がございまして、先生のおっしゃるように、中に一、二異論を唱えておる企業もございますけれども紙パルプ産業全体として見ますと、二百数十社に及んでおりますが、私どもの耳に入ってまいりますのは、中小企業の大部分はぜひこの際王子三社が合併してほしい、こういうような意見が入っておるわけであります。その点私どもはきわめて少数の意見だからといって別に耳をかさないとか、そういう気持ちは毛頭ございませんが、大きく日本紙パルプ産業の将来のあり方日本の将来の国際収支あるいは需要家あるいは紙パルプ産業における多くの中小企業意見というものを総合いたしまして、結論的には先ほど政務次官のお答えしたような結論を持っておる次第でございます。
  15. 鍛冶良作

    鍛冶委員 どうも私自身は首肯しがたいのですが、私の言うておる主たるものは、三〇%以上を独占させれば弊害が出るということは学界の通説だ、こういうことです。しかるに日本だけは特別なのか。あなた方これをどう見ておられるのか、それを聞いておる。  それからその次に、一番申し上げなければならぬのは、資本の面でも大きくなければいかぬ、外国には安い材料があるが、資本も大きくなければいかぬ。あなた方がおって、どういうわけで、中小企業を助けて、中小企業にも安いものを入れてやることを考えてやるわけにいかぬのですか。何でも合併すればだんだん信用が大きくなって、金融が楽になる、これが一番のねらいだと聞いておる。そうしますと、ますます大きいものには大きい仕事をさせるが、小さいものはつぶれたってしょうがない、学問上の原則があったってそんなものはかまわぬ、こういうように聞こえるから、その点を聞いておるのです。そういうふうに資本の点でも便宜を与えられ、そうして片一方は圧迫される。原料輸入についても大きくなったら向こうにみんな取っていってしまわれる。小さいものは困る、そういうものを見殺しにするということはいかぬではないか、これが私の言わんとする根本なんです。もう一ぺんこの点明瞭に答えてください。
  16. 金井多喜男

    金井説明員 私は、三〇%をこえたら絶対危険であるというような断定は、学説としても相当いろいろ意見はありますけれども、その点は問題として考えなければいかぬということは言えるかと思いますが、危険であるというふうに一がいに言っていられないのではないかというふうにまず根本的に考えておる次第でございます。  それからいまの御意見を伺いますと、何か合併したところに、特に行政上何らか、輸入その他で恩典を与える、中小企業にはその門を閉ざすというような行政指導が行なわれているんじゃないかというふうにうかがえるわけでございますが、私どものほうはそういった考え方は全然ございませんでして、そういう中小企業についても海外からどんどん原木を安く長期安定的に確保して、そうして国際競争力をつけて、日本紙パルプ産業が全体として脱落者がなく発展し得るということは、行政基本方針として念願しておる次第でございます。
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員 だいぶ議論が寄ってきましたが、原料などでも、あなた方のほうで中小企業を助けてやられれば、あえて合併でなければならぬというものではないのじゃないか。合併して大きいものだけやるのだといって中小企業をほっておかれたんじゃいかぬが、中小企業へも資本考えてやったり、船の便宜を与えてやられれば、そういうことをやらぬでもいいじゃないか、これが焦点になってくると思うのです。私の言うのは、その点をひとつ考えてもらいたいということです。  もう一つ申しますが、王子製紙は戦前に一ぺん大合併をやりまして、八四%か五%の独占をやっておったそうですね。そうして値段をポンド十七銭から二十四銭につり上げてたいへんな大問題を起こした実例がございますね。戦争が起きたのでそれはうやむやになったから済んだものの、今日までそれが続いておったらどういうことになるだろう。そういう実例があるところにもってきて、あなた方が、いや、心配ないのだ、心配するなと幾ら言われたって心配します。王子製紙というものはそういう実例を持っておる。これは独占企業の親方ですよ。私は実例を申しております。それをどう思います。
  18. 金井多喜男

    金井説明員 御指摘の昭和八年に王子製紙衛士製紙樺太工業の三社が合併を行なったことは事実でございますけれども先生にこういうことを申し上げてまことに恐縮でございますが、私、いま先生の御意見を伺っていると、悪例というようなことでございましたが、私どものほうとしては、むしろ合併したことによってその当時の新聞用紙のダンピングによって日本会社が困っておったのが救われ、それから輸入面で非常に役に立ったというふうに、私ども調査では結論がくみ取れるわけでございます。その点どうもえらい、全然逆のことを申し上げて恐縮でございますけれども、私どものほうはそんなふうに考えておる次第でございます。
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員 大体これ以上私は専門でもございませんから詳しいことは申しませんが、アメリカカナダでは独占を禁止し、できるだけ独占させぬようにしておりますね。カナダにおいてはアビティビペーパーですか、これは一二・三%に押えておるという実例がある。アメリカカナダでこのとおり押えておるのに、日本だけは押えぬでもいいという、これもわからない。私はこれだけ申し上げておきますが、先ほど政務次官が言われたように、鉄鋼についても消費者悪影響があるかどうかは公正取引委員会と協議してやっておる、こう言う。私はせめてそれぐらいな思いやりがあっていいのじゃないかと思う。あなた方のほうで、やあ合併はいいのだ、そんなことは何でもないのだ、そう言われれば、そうか、それではおれももう一ぺん研究して一わたりやらなければならぬということになるのだが、私はその点を心配するから申し上げるのですよ。あなた方、いまここでそう言われるからには、十分の責任を持たれるでございましょう。持たれるでございましょうが、これによって圧迫されるということになると、中小企業者にとっては死に生きの大問題です。あなた方それだけの責任を負うことをひとつ考えてもらいたい。  それと同時に、先ほど政務次官が言われたように、公正取引委員会等ももう少し研究して、われわれに対して機会を見て結論を出してもらいたい。おまえら何を言うのだ、おれらのほうは研究しておる、こういう態度だと、そう、それならおれだって専門じゃないからこまかいことは知らぬが、大きいことは知っておるのだと申し上げなければならぬ。この点を一つ申し上げておきますが、どうです。
  20. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘の点は十分配慮しなければならぬ問題でございます。ただ先ほど繊維雑貨局長からお答えをいたしましたように、今度の合併新聞そのほかからいろいろとお受け取りになる感じは、いかにも金や太鼓で通産省がこれを勧めているというふうな、こちらが積極的にこれを勧めるというニュアンスが少し出過ぎておるような感じがするのです。実際は、申し上げるまでもなく、企業自由の原則に立ったわが政府、与党の方針ですから、企業側が自発的に合併したいというのを押える積極的な理由があるかどうか、これを考えた時分に——まあ成立の場合も、先ほどこの製紙については学説を引用された御質問でございますけれども、このような国際化時代になった生きた経済に対処する方針としては、やはり国際的なスケールでものを判断すべきである。なるほど、国内中小企業を守らなければならぬという御指摘も当然であります。しかしながら、そのことだけのために日本の経済の国際競争力というものが足を引っぱられてしまうということになっては、これは差し引き全体的に大きな日本経済のマイナスである。そこら辺を考えながら、うしろも振り向きながら前に前進するという、こういう考えで対処しなければならぬ。したがって、御指摘のように、公取意見というものが合併問題の基本的なきめ手でありますから、そこら辺の意見を十分しんしゃくしながら、われわれとしては前向きに慎重に善処しなければならぬ、このように思います。
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員 いずれまた承りましょう。ひとつ研究してください。私はこの程度で終わります。
  22. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 ちょっと関連。いま局長さんのお話の中に、王子独占した時代にそれが一つのメリットであったというような話がありましたが、私はその被害者であった。そういうことを一ぺんよく考えておいて全体を指導してもらいたいと思います。といいますのは、私は九州である地方新聞の編集の責任者をしておった。当時は王子製紙の合同によりまして、そういうふうな独占的な政策によって、用紙の配給というものでみんな王子に頭を下げなければならなくなった。これは大手筋の新聞社には契約がありましたから、小さい新聞社にそのワクをくれなかった。そこで私どものやっておる新聞カナダの外紙を苦労してようやく入れたのです。そういうことがありますから、私はそのメリットもさることながら、そういう裏に実際に悩む者がおるということをこういうときにお考えを願いたい。政務次官あるいは鍛冶委員合併論についての議論を私拝聴しましたけれども、それはそれとして了承しますが、いまの局長の、過去のことで全部メリットだけがあるというふうなことについては、自分の実例からして、簡単に役所の数字の上であるいは統計の上で、書類の上で調査されたそのことについては了承できない。そういう意味でよく御研究願いたいと思います。     〔四宮委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕
  23. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ちょっと私も関連して聞いておきたいと思いますが、八幡、富士が合併するということが論議せられて、大体政府の意向は企業者がするんだということであるから、公正取引委員会のほうもこれに対していろいろ検討してその結論を出して合併に賛成というような形になっておるらしいけれども、まだ決定的なもんではないように思われるが、これは私に言わせると、非常に大企業を政府が擁護している。資本主義国家というものは、やはり現在のところ日本もこれだけになってきたのであるから、日本国内の経済だけではいけない、世界の経済等に立ち向かっていかなければならぬということに対しては、大資本も必要であろうし、その設備内容というものもそれはスケールを大きくしなければならない。うしろを見つつ前進をしなければならないと政務次官言われましたけれども、全くそのとおりである。私はこれには同感するのですよ。しかし、たとえば私は愛知県の県会議員をしておった当時に、あの東海製鉄を誘致する委員長をいたした。当時の話では冨士製鉄とは全然関係はない、姉妹会社的ではあるけれども、内容も経営も全然別ですということがあって、そうして愛知県民を潤わせますという条件のもとに、愛知県は現在の金で見るならば何百億という犠牲を払って、そうして土地も何百坪というものを無償貸与しているのですよ。これは記録に載っておりますから私はでたらめなことは言いませんが、そういうような大犠牲を払って、そして一体何年たったらこの問題が合併問題になってきたかといいますと、わずか数年足らずしてこれが富士に合併せられてきた。私は予測しておったけれども、そういうことはあり得ない、独立していくんだ、これでけっこうやっていけます、この東海製鉄というものは十分に採算もとれる、そしてこれによって中京地区の鉄鋼を製造するんだというようなことから愛知県は誘致に踏み切って一生懸命になった。それが冨士合併し、今度はまたさらに八幡と富士が合併していくということになってくると、なるほど表向きはいいようであるけれども、いま長谷川先生の言われたように、中小企業のうちでほんとうに困る人たちがたくさんあるという一つの表現として、神戸製鋼なんかは絶対反対だということを言っておるじゃありませんか。机上のプラン、机上におけるところのそろばん勘定でなくて、面子の問題ではなくて、実質的な問題としてこれは研究をしてもらうことが通産省の責務である、また、国民の考えを反映させることが必要だと私は思っておる。そういう意味から十分に検討してもらう必要があろうと思いますから、関連的にこの問題については十分御検討願いたいと思います。
  24. 藤井勝志

    藤井政府委員 御趣旨の点は全く同感でございまして、十分慎重に検討し、対処してまいりたい、このように考えます。
  25. 鍛冶良作

  26. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それではお許しをいただきましたので、ただいまから二、三点質問いたしたいと思いますが、繊維局長は何かお忙しい用があるのですか。——あなたにも少しお尋ねいたしたいことがあるのです。飛び入りのようでお気の毒ですけれども、よそへ行く用があれば別ですが、そうでなかったらおいでいただきたい。  それから委員長に申し上げますが、けさ理事会をしていらっしゃるときに、重工業局長は都合が悪くて出席でき得ない。かわって次長が自動車のほうの関係で出席するというお話がありましたけれども、聞くところによると次長は商工のほうに出かけられて、この決算委員会には出席でき得ないということを、いま自動車課長は言っておられます。一体決算委員会という重要な位置を占めるこの委員会が、そういうようにぐるぐる変わって、それでいいでしょうか。どういう連絡が事務当局はできておったか、委員長、一応事務当局からの報告を求めて、私にまずその御答弁をいただきたいと思います。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 いまあなたの言われるように私も感じましたから、向こうの差しつかえたい限りにおいておまえのところに出てやるという態度なら容赦せんぞということを言っておきました。だから、都合でき次第こっちへ来てもらいたいということを言っておきました。
  28. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私は、あえて委員長の責任を問うということはいたしません。しかし決算委員会というものは、たとえどうあろうとも、国が予算を計上して、それをどのように使っていったかというあと始末的ないろいろの面を指摘し、そしてお互いが話し合ってほんとうにまじめに、一銭の金もとうとぶ、そしてその金が十分に生きた金として使われていかなければならないという意味におけるところの決算委員会であろうと私は思うのです。だからこの決算委員会で質問される方々は、全般的な問題であろうとも、会計検査院から指摘せられた問題、そういうような問題についても十分な質問をせられるでありましょうし、あるいは今後の考え方というものについては、どういう考えをしておるかという点についての質問もあろうと思います。そういう意味において、わずか三十分前に出席ができるんだといいながら、いまになって出席ができ得ないというようなことは、全く軽視したものだと考えても間違いないと思います。きょうは代理委員長でありますけれども、これはひとつ本委員長によくお話しておいていただきたいと思います。決算委員会の権威を高めるためにという意味でなくて、もっと真剣にやっていく上において、当面の責任者がこういうふうにいたしますという責任を十分に答えてもらいたい。きょうは政務次官においでいただいておりますので、私は副大臣として政務次官考えておりますから、あえてこれ以上のことは申しませんけれども、もう少ししっかりしていただきたいということを強く要望してやまない次第であります。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 そのとおりであります。ですから、少しでもいいからからだをあけてこっちへ来てもらいたいと申し込んであります。
  30. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私が質問いたしたいと思いますことは、自動車産業についてでありますが、きょうは課長がいらっしゃいますから、課長にお尋ねいたします。  この間私は商工委員会で原稿もなく資料もなくただばく然と質問をいたしました。重複する面があるかもしれませんけれども、その点は了承していただいて、あなたのお考えを率直に述べていただきたいと思います。  日本の最近の産業経済の発展は、自動車によって非常に経済活動も目ざましい動きをいたしております。それについて、昭和四十二年の六月には、その保有台数はこの間も申しましたように一千万台をこえまして、世界でも有数の自動車保有国になったことは事実であります。最近の自動車生産の推移を資料に基づいて見ますと、昭和四十二年度の乗用車の生産量が百五十二万台で、前年度に比べると五六%の増加をしているわけです。トラックは百八十四万台で、前年度に比べますと二六%の増加をしておる。わが国における今後の自動車の生産見通し並びにこれに対する需要見通しについて、どういうようなお考え通産省は持っていらっしゃるか。まず第一点として国内的な問題をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  31. 田中芳秋

    田中説明員 今後におきます自動車の需要でございますが、経済社会発展計画におきまして、昭和四十六年におきます自動車の需要見通しでございますが、四百七十九万台、すなわち約四百八十万台という形になっております。そのときにおきます乗用車の需要でございますが、これが約二百三十万台という形になっております。私ども最近の実勢から考えまして、四十六年度におきます総生産需要につきましても、経済社会発展計画におきます約四百八十万台の数字は少し小さいのではないか、五百万台をこえる形になるのではないか、それからその際におきます乗用車の生産につきましても、二百五十万台前後になるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  32. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 昭和四十六年に約五百万台近い四百八十万台を生産する、こういう見通しでおるけれども、ひょっとすれば五百万台を突破するのじゃないかというようなこと。  そこで、五百万台からの車ができてきて国内を走る。現在一千万台。大体自動車の耐用年数というものは、トラック、乗用車、これは使い方によって違うけれども、どのくらいの年数を考えていらっしゃるのですか、それをひとつお尋ねいたしたい。
  33. 田中芳秋

    田中説明員 これは使い方によりましてかなり長い耐用年数になるわけでございますが、乗用車、トラックとも、大体、法定耐用年数とは別にいたしまして、現在のところ六、七年が一応の耐用年数であろうというふうに考えております。
  34. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それは課長さん、あなた自動車の実態を知らないという証左をここで表現したのです。七年も走るというようなどえらいことを言っておったらだめですよ、そんなことは。一体どうやって七年使うのです。私はあげ足をとってあなたをいじめようとは考えていないが、そんな机上プラン的なものの言い方をしておっては、実際自動車課長としてあなたは研究していらっしゃらない証拠だと私は申し上げたい。一ぺん聞いてみなさい。ドイツのベンツや、ロールスロイスなら七年か十年使えるかもしれませんけれども日本の車で七年使えるなんていう車が一体ありますか。私はタクシー会社をやっておりますけれども、タクシー会社は一年あるいは二年目にはもうすぐとかえなければ、一年使って手入れをして、二年目を使って、三年目には使えませんよ。お客も乗ってくれないし、全然乗用車はだめなんです。それからもう一つは、自家用車で運転手さんがはげるほど大事にして使ってくれる車でも、幾ら長く使っても、大体五年と年数を置いたら、町を走ったらずいぶん古い車だなと、人がうしろを振り向くんですよ。トラックなんかは、砂利、砂を運搬する車あるいは長距離をやる車というのは、大体最高四年が限度なんです。最高四年使っておるようなところはほとんどないと言ってもいい。七年も一使えるというような考え方を持っていらっしゃるなら、七年でもけっこうですが、そうすると、年々生産してくる車プラス七年というものを計算したら、一体日本の車はどれくらいの台数になるでしょうか、一ぺん計算して御答弁願いたい、そういうことだったら。
  35. 田中芳秋

    田中説明員 たいへん知識が浅いというおしかりをこうむったわけでございます。六、七年と申し上げましたのは、まあかなり長い形で、大体営業用等に使われますと、確かに先生のおっしゃいますように非常に短いあれになりますが、現在のところ、大体二年目で車検が参りますために、これで買いかえてそれを中古車におろすというような形になっておるのが、普通のオーナーカー等に見られます現象でございます。私、現在の、十万キロ程度エンジンが一応もつというような状況でもございますので、少し多目に申し上げた形ではございます。もちろん、非常なばらつきがあることは御指摘のとおりでございます。  そこで、一応今後におきます保有台数の見通しでございますが、先ほどの、経済社会発展計画、昭和四十六年におきまして約四百八十万台を生産いたしますという見通しのもとにおきます日本の保有台数でございますが、昭和四十六年度におきまして一千六百万台という見込みを立てておるのでございます。
  36. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 三年後に一千六百万台だといたしますと、次長御出席のようですから、これから次長にお尋ねしていきますが、千六百万台という車か日本に動く。年々増加をたどりつつある。そしてそれは三年——いま昭和四十三年はほとんど暮れようとしておるのですから、いま八月ですからあとわずか四月でなくなる、あと二年と何カ月で千六百万台ということになるわけです。それから先というものを考えると、二千万台というものはそう遠くはない。日本国内で二千万台からの車を走らせて、交通事故というものを考えてくるときに、あなたのほうの管轄ではないであろうけれども、一体通産省と運輸省と警察庁との関係というものは、ほんとうに緊密に連絡がとれているかどうか、これを私は心配するのです。トヨタはどんどこどんどこと生産工場をふやして設備をしている、そして年間何万台をふやしてトップに立つんだという。日産はこれに負けじとまた同じようなことをする。東洋工業もそれに対して同じような状態にある。こういうようなことで、日本の各会社が、トップメーカーのこの三社が争っている。それに続いてそれぞれが四千台、五千台というものをでかしていく。それで六日の商工委員会の私の質問に対する自動車課長の答えを聞いてみると、海外に出ておる車の台数はどのくらいかというと、一五%程度でありますということです。車はできるけれども、将来は伸びるには違いないけれども、ほんとうに指導せられる通産省自体が国内で使うということを中心に車の増産をしてコストを下げる、そういうことをお考えになっているのか。いいものをでかして海外市場に負けない品物をつくり上げるということに重点を置いて指導せられて、増産しろ、そしてコストを安くしてもうけてくれよ、こういうように指導していらっしゃるのか。その点、一体どういう考え方を持っていらっしゃるか、次長にお尋ねをいたしたい。
  37. 本田早苗

    ○本田説明員 今後の経済成長にあたりまして、輸出規模拡大というのはきわめて重要であることは御指摘のとおりだと思います。今後の輸出におきまして、後進国がそれぞれ工業化を進めてまいりますし、大きく伸びてまいりました船等につきましては今後の飛躍的な増加というのはなかなか問題があるというような実情から参りますと、発展途上国の今後の発展に伴う自動車需要の増加あるいは先進諸国における自動車需要は今後も増加しそうであるということを考慮いたしますと、自動車の輸出によって輸出規模拡大をある程度になうということがきわめて重要である。先生御指摘のとおり、今後の輸出の適格車、品質、性能において十分世界の各国において歓迎されるような自動車をつくることが必要であろう。そのために技術開発も行ない、競争力のある自動車をつくっていくということが基本であるというように考えております。
  38. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私は自動車の生産を抑制せよという意味ではないのです。誤解のないように話を聞いていっていただきたいと思うのです。日本の道路というものは延長が九十九万七千キロあるのですよ。そこで舗装せられているのは何%かということを調べてみたのです。そうすると、たったの九%より舗装ができていないのです。あとは言いかえればでこぼこ道路ということなんです。ハンドルもとられるであろうし、事故も非常に多い。  そこで四十一年で何名なくなっておるということは、あなたのほうに警視庁から報告があったでしょう。なかったとするなら、私がここに数字を持っておりますから申し上げましょう。昭和四十一年に一万三千九百人なくなっておる。しかもけがをした人がどれだけあるかというと、五十一万七千七百人あるのですよ。これをなくなった人一日当たりの計算にいたしますと三十八人、一日二十四時間として、一時間に何人何分というものがなくなっていくわけなんです。負傷者もたくさんの方々が出ておることを考えてみると、生産はあなたのほうでどんどん進められる。そしていまの話を聞くと、いいものをつくって海外へ出すことが目的のようでありますけれども、事実はそのとおりでしょうか。私はそれをお尋ねいたしたいと思うのです。  また生産する自動車会社というものも、交通そのものに対してどんな関心を持っておるか。一体販売方法に対して、たとえばでかせあげていく車のうちで一五%より海外に出ていかない。そうするならば、あとは国内でさばいているんだ。この九%より舗装のできていないそうしたところに、だれにでもどうぞお買いくださいといったような売り方で、そしてあなた方と協力してもっと海外に出すように力を入れていくことは、私は生産者にも責任があると思うのです。そういう点について、一体真剣に生産者とあなた方とが一体になっておられるかどうかというところに私は疑問を持つのです。ことばの上においての表現はどういうふうにでもできるけれども、事実の上におけるところのあらわれというものは、あなたのおっしゃるようなうまいところにいっていないように思うが、この点どうですか。
  39. 本田早苗

    ○本田説明員 最近におきます交通事故の問題は、むしろ御指摘のようにもう社会問題になっておりまして、この点につきましてはきわめて重大な問題になっておるということはわれわれも認識しておりますし、自動車メーカーとしてもそうした認識は特に最近強くなっておりまして、自動車メーカーとして安全対策のための研究投資も最近とみに増加してまいっております。一昨年来安全公害センターというのを官民合同でつくりましたが、第二年目の本年度におきまして、高速試験場の中に具体的な研究施設をつくる、しかも各自動車会社の中におきましても、それぞれの研究施設を強化してまいっておりまして、その点につきましてはまだまだ十分という評価は受けられないとは思いますが、それぞれ最近特にその面の研究を強化しておる次第でございます。政府といたしましては、総理府に陸上交通安全調査室が設けられまして、御指摘のように、車両の面のみならず、交通あるいは交通安全教育、きわめて広範な対策を講じておる次第でございます。  御指摘の自動車メーカーとして交通安全問題に対してどのように考えておるかという点につきましては、いま申し上げましたように、最近特にその面の研究の強化を行ないまして、いろいろできるだけのくふうをこらして、安全な車を生産するという努力を重ねておる次第でございます。
  40. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 この間私がお尋ねをいたしたら、大体自動車生産会社として十社程度あるということを自動車課長おっしゃっておられました。そうですね。そこでその十社をそのまま野放しにしてお互いに競争をさせていくのか、あるいは運輸大臣が中に入って、日産とプリンスと合併させたような例がありますけれども、あのように十社の話し合いを進めてもう少し減らさせていくというような労をとってやろうとしていらっしゃるのか。現在のままで進めていくことが日本のためにいいとお考えになっておるか、この点ひとつお伺いしておきたいと私は思うのですが、次長どうですか。
  41. 本田早苗

    ○本田説明員 自動車メーカーは、ただいま台数の少ないところも入れると十二社ございますが、この十二社のままでいろいろな車種を、しかも同じ規模の車種を各社で少量ずつつくるという体制でまいりますと、御指摘のような安全のための技術研究費も分散するというようなことにもなりますし、それのみならず外国との競争力としても、十分な競争力の強化ができないということになろうかと思いますので、これはできるだけ集約化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。すでにいま御指摘のありましたように、日産はプリンスと合併をいたしておりますのみならず、グループといたしましては、そのほかに愛知機械あるいは日産ジーゼルというふうな三社が一つのグループとして、大きな意味で体系の中で生産をいたしております。またトヨタのほうでも、日野とダイハツがトヨタのグループの中で研究なり車種の整理なりを協定していくという形でまいっておりまして、今後なおその他の各社につきましてもできるだけこれを少なくともグループ化、できればまとめていくという形で進めてまいりたいと思っております。あっせんの労等につきましては、その潮どきというものもございますので、基本としてまとめていくべき方向でいま指導いたしておりますが、潮どきがくれば、そういうあっせんの労もいとわないという考え方でおる次第でございます。
  42. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私は自動車のことはあまり詳しくはわかりませんけれどもアメリカにおけるところの自動車生産というものは、フォードを中心にして、その次に、それに対抗してゼネラルモーターズができてきた。一緒にできたかどうかは別として、当時は相当たくさんの製造会社があったんですね。それがだんだん統一せられてきて、いまはフォード、ゼネラルモーターズあるいはクライスラー会社といったように相当制限されてきている。質も非常に研究を進められてきておるという状態にあるわけです。そういう点から考えてみると、いまの十二社というものは、いつの日にかあなたのおっしゃるような時代を迎えなければいけないということは、これはよくわかるのです。ところが現在は、日本の車というものは、なるほど最近の品質は非常によくなったと私は思っておるのです。私はずっと三十年来車はなぶってもおるし、乗ってもおるから、この点はわかるのです。そういう点から考えていきますと、よくはなったけれども、最近の新聞紙上なんかから見ますと、まだまだ海外から入ってくる車に対していろいろの制限をしたり、あるいはこれに対して日本自動車工業会はエンジンの組み立ては困るだとか、エンジンを自由に輸入してもらうことは困る、あるいは組み立て、工場をつくってもらっては困るというふうなことで、ずいぶん政府自体も頭を悩ましておる。またそれをするがために、アメリカとの貿易関係が減退してもいけないというようなことで、ずいぶん御苦労していらっしゃる点がうかがわれておりますが、日本の自動車水準というものの、生産量でなくて品質は、一体どの程度のところまで来ておるか。東南アジアなんかへ持っていって物を売るのでなくて、いまではそうではないとは思っているけれども、昔から先進国と称するアメリカあるいはイギリスあるいはフランス、イタリア、ドイツ等々の国に比べた日本の自動車の性能というものはどんな地位にあるか、これをひとつ次長、あなたのお考えをお聞きしたい。
  43. 本田早苗

    ○本田説明員 お話のように、自動車の性能につきましては、最近とみに向上してまいりましたことは事実でございまして、そういうことを反映して輸出も数量が増加しておるんだろうと思います。ただ、御指摘のように基本的に性能の水準として匹敵するのかどうか、あるいはこれを凌駕しておるのかどうかというような点になりますと、いわゆる最高速度であるとか回転半径であるとか、あるいは加速性であるとかいうふうな、どう言いますか、公表するような基準につきましては、大体外国車と拮抗できるような性能まで参っておるというふうに存じますけれども、たとえば車のスタイルであるとかあるいは、私は自動車に乗りませんのでわかりませんが、運転の中の非常にこまかい感じとかいうような点では、なお研究の余地があるというふうに聞いております。しかもこうした非常に向上してきた性能のバックになっておる技術も、導入技術か多いというような点もございますので、技術の自己開発の努力が特に重要であるというふうに考えておる次第でございまして、一応の性能としては匹敵するようなものになっておるけれども、非常にこまかい点については、必ずしも十分欧米車の水準にまで達したかどうかという点については、問題があるというふうに聞いておる次第でございます。
  44. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは、次長の話は、欧米車に対して日本の車はまだその水準まで一部分においては達していないというように解釈していいのですね。
  45. 本田早苗

    ○本田説明員 公式性能というような点については、十分達しておるというふうに聞きますけれども、そういう点で若干問題が、残っておるというふうに存ずる次第でございます。
  46. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 公式性能というのはエンジンを中心にした問題だろうと思うのですね。室内におけるところのクッションだとか、いろいろなこまかい点について言えば、総じて見習う点がまだ多々ある、こうおっしゃるのですね。私、これはあまり論議を進めようとは思いませんけれども、率直に申しましょう。まだ日本はおくれていると私は思っている。大体そういう考えを持っていらっしゃるから海外へ売れていくのは一五%や、あるいはことしは二〇%にしたい、二五%ぐらいに伸ばしたいというような考えを持っても、思うように伸びないというところはそこにあると思うのです。よその車をほめるのではありませんよ、よその車をほめるのではないが、私は昨年八月十八日に海外を回って、各国の自動車工場を見てきたのです。十カ国をずっと回りまして、十カ国のいろいろな車に乗ってみたのです。百四十キロから百五十キロのスピードを平気で出しても、おそろしいという感じだとか不安だという感じをちっとも持たないだけの性能と、何時間走っても、エンジンのふたを取ってエンジンをいささかさまさなければならぬというようなところは一カ所もなかったのです。それから、そういう長い時間走っても疲れというものに対してそれほどに感じなかったということを考えてみると、私は国産を愛するがゆえに苦言を呈するのですが、まだまだ研究してもらわなければいかぬ点がたくさんある。そうしなければ海外に対してあなた方が理想とせられる四〇%あるいは五〇%の品物は売れていかないということになるんじゃないかしらんと思う。日本はいま一番自動車に力を入れ、そして相当の融資をして便宜をはからっているじゃありませんか。そうすれば、それは国内で消費をさせる考えじゃないでしょう。少なくとも五百万台できれば五百万台のうちの二百五十万台、二百万台を外に出したいというのが希望でしょう。国民はそういう希望を持っていますよ。そういうように指導せられるのはあなたの責任であり、通産省の重大な責務であると私は思っておる。そういう点に対してもっと私は研究していただく必要があると思うが、どうです。私の言うことにもし違っている点があったらどうぞ御遠慮なく指摘していただきたい。私はあなたの指摘に対して研究もし、また次の機会にお話を申し上げることにいたしますから、どうぞ御遠慮なく私の質問が違っておったら、それに対してのお答えをしていただきたい。
  47. 本田早苗

    ○本田説明員 御指摘のとおり、品質、性能は十分匹敵できるという状態になっておらないということを先ほど申し上げておるわけでございますし、基本になっておる技術が導入技術であるという点もございまして、今後輸出を伸ばす点につきましては、御指摘のとおり技術開発を強力に進めまして、技術水準の向上を特にはからねばならないというふうに、御指摘のあったのはそのとおりだと存ずる次第でございます。
  48. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それじゃ技術の向上というものを、私はこの間も話したのですけれども、トヨタはやはりトヨタの、ほんとうに独特の、いい性能的なものを持っているのですね。あるいは日産には日産のいいものがある。そういうようなものを総合的にお互いが話し合って、そうしてその調和をはかっていい車をつくり上げていくことで、いい車ということになって、日本の輸出が伸びていくと思うのです。ところがそういう技術をお互いに隠し合っていく、自分の車のよさをお互いに秘密を守るという狭い根性のあり方であってはならないと思う。その調和をとってやるのはだれかというと、政府ではないかしらんと思う。それがあなたの責任であると私は思う。そういう点についてはどうお考えになっているか、今後どのような方針を持っておられるか、これをひとつお尋ねいたします。
  49. 本田早苗

    ○本田説明員 当面自動車メーカーの集約化をはかることによりまして、いままで分散しております各社の技術を、少なくともグループ内において総合していく、そうして研究開発の効果をあげてまいりたいというふうに存ずる次第でございます。そしてトヨタ、日産のようなところの技術の交流につきましても、当然研究の対象といたしたいというふうに存じますが、その点は今後大いに検討してまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  50. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ここまで進んできた自動車問題を、今後研究したいと言って、いま何らの腹案を持っていらっしゃらないのですか。輸出を伸ばそうというのに対しては、どうやったら伸びていくんだ、もっとうんと伸ばすんだ、そういうことを政府自体が考えて、そうして生産会社にもそれに拍車をかけるように指導していくことが、私はあなた方の責任だと思っているけれども、それに対しての何か考え方、そして技術の向上という面に対して、いまになって何の考えもないのですか。
  51. 本田早苗

    ○本田説明員 各社の研究開発体制の強化を指導すると同時に、新しい技術につきましては補助金なりその他のもので強化してまいっておるのが現在の方策でございますが、御指摘のように技術水準の飛躍的な向上の必要性という点がございます。この点につきましては、とりあえずグループ化を推進いたしまして、そのグループの中において、研究開発力が現在分散されているものを集中して、これを強化してまいるという方向でまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうも次長の熱意というのか、海外輸出に対して私はもっと積極的になってもらいたいということをこの際強く希望しておきます。  例を申し上げましょう。イタリアのモンツァで自動車レースがあった。そこへ私は日本人としてただ一人行った。日本の車が出るということを聞いて、四輪車で一五〇〇CC以上の車の競争、十八台の車が一斉にスタートした。そのときに私はあえて本田をほめるのではないのですが、本田の車が出るということで行ったのです。そしてエンジニアにも激励をし、搭乗者にも勝ってくれと言って私は手を握って、そしてその日は帰って、あくる日のいよいよスタートする三十分前に私は行きまして、最後まで日の丸の旗があがるようにがんばってくれと激励した。最後の追い込みに——四キロ八百の円周を六十八回回って、最後に英国と日本の本田の車とが競争して、最後には勝ったのであります。馬でいうならば一馬身的な差で勝った。そして日章旗があがったのです。このときの感激というものは私は生涯忘れることのでき得ない喜びとして残しているのです。私はほんとうにそのときには涙が出た。そのときには君が代が歌われた。そのときに私が聞いたところによりますと、ここへ出場するには数千万円の金がかかっております、実は二台の車を出場させようと思ってきたけれども、都合によってどうしても一台よりいけないということで一台にしました、そして一カ月前からこちらへ来ました、そして私どもはこれに対してうまくこの車が動くようにした、さらに練習をし、そして勝利を得ることができました。こう言って感激にむせんで話をしてくれた。そのときに私は、政府からどれだけの補助金をもらっておるかと言ったら、一銭も一厘もいただいておりません、三回こういうようなレースに出場し、あるときは失敗して、二百キロ以上のスピードを出して、そしてわずかな故障からさくを乗り越えて死傷者を出すような重大事故もあった。しかしそれにおいても私どもは屈することなく戦ってきた、そしてついに栄冠を得ることができましたと言って、感激にむせびつつ私に話をした。私は日本の自動車がここまできたのかということに対して、ほんとうに生涯忘れることのでき得ない非常な喜びを感じた。同時に日本の車を取り巻くイタリア人たちは、日本の車が勝ったんだということで私どもに熱狂的な握手を求めてくれた。そしてわれわれを歓迎してくれた。一体政府は——私はこういうようなときにこそ、たといどれだけでも補助金を出して激励をしてやってこそ、海外日本の自動車の力強さというものを示す絶好のチャンスであると思う。負けたといえどもそういうようなときにはそのくらいの金は何らむだな金にならないと思う。しかもそれが優勝車じゃありませんか。世界の車と伍して戦って、それをそのメーカーだけに負担を負わしておくというようなことで、ほんとうに海外へ車を出して売ろうというような意欲というものは、生産会社だけにまかしておくのか、政府自体がほんとうに中心になって各国に対して日本の車というものに対しての認識を持ちつつ販売することに対しても協力を惜しまずにやるという体制をとっていくのか、一体どういう考えを持っていらっしゃるか、これを一ぺんお聞きしておきたいと思います。
  53. 本田早苗

    ○本田説明員 実は初めて伺いましたことなんでございますので、どうした考えと言われてすぐ御返事はできませんが、実は自動車につきましては非常に数多くの競争がございますので、従来から各メーカーが宣伝の一つの部門としてやってまいったということでやってまいっておりますので、補助ということは考慮いたしておらなかった次第でございます。今後の問題につきましては一応どういうふうにやるべきか考えてみたいと思います。
  54. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 済んだことですからとやかく言いませんけれども、熱心に車を売り出そうということで各会社は犠牲を払っているのです。私は別にこの会社の顧問でもなければ相談役でも何でもない。その場にぶち当たった感激を述べただけでありますが、やはり通産局は自動車を担当していらっしゃる。そしてそれに対する割り当て、いろいろな指導をしていらっしゃる立場にあるから、もう少し海外へ売ることを望むのです。ということは先ほど言ったように、もうこの国内に二千万台から、あるいは二千五百万台なんという車がはんらんするようになってきた。一体この狭い領土、イタリアと違いあるいは他の国と違って山の多い日本ですから、ほんとうにどうやってこの都市に集中してくる車をはかしていくかということ、そして先ほどから言っておるように自動車はふえる、死傷者はふえる、交通事故は多くなっていくばかりだ、これはひとつ考えてもらわなければならない。あえて生産をこれ以上していけないというのではなくて、生産はうんとしてもらうのだけれども、その生産海外へ売り出す車をつくってもらうように、力を注ぐように指導してもらいたい、これが私のお願いするところなんです。これをもう一度よく考えてもらいたい。そういうようにひとつ通産局の統一見解をしてもらいたいということを望むのです。同時に運輸省あるいは警察庁等と連絡も密にしてもらいたい。てんでんばらばらなことをやらないようにしてもらいたい。  それから物品税をかけておりますよ。一体車というのはそれぞれによって同じ車を買っても販売店によって相場が違うのですよ、実際。どうぞ私のところの販売店の車を買ってください、こう言ってくる。それは同じ会社の車なんですよ。それが相場が相当違うのです。そういうことを考えてくると、セールスの利益を棒に振っただけのまけ方でない金額がまけられるということなんですね。一体セールスは一台売って三千円か五千円より利益をもらえないのです。きょうび一台売ったからといって三千円や五千円くれるようなことはないと思います。わずか二千円かそこらだろうと思うのです。そんな金でない、もっと万という金を交渉次第によってまけてくる。そうすると自動車の最終的価格というものは一体幾らででき上がるのだということ、政府に対する報告義務はあるのかないのか。あなたのほうは生産した車が幾らだということを認定していらっしゃるのか、それに対して物品税をおかけになっておるのか、その点どうです。きのう聞くところによるとはっきりしたことがちょっとわかりかねるというが、はっきりしたことがわかりかねるようなものにどうして物品税を一五%なら一五%かけられる。これは私はふしぎだと思う。パチンコの機械一つ置くにしても、これはくぎが幾らかかる、木が幾らかかる、ガラスが幾らかかる、これは幾らかかるから物品税は幾らだ、こういうふうになるのでしょう。だから自動車は一体幾らで生産会社は売るのか、それを一ぺん公表してもらいたい。
  55. 本田早苗

    ○本田説明員 ただいまほとんどの商品につきまして製造原価を法律的義務によってとるという形になっておりませんので、原価につきまして正確なデータをわれわれのほうとしてとるというふうになっておりません。  物品税のほうは一応大蔵省のほうでかけるわけでございますけれども、小売り価格から二四%引いたものに一五%物品税としてかけるという計算のしかたで小売り価格のほうを中心にしてかけておるわけでありまして、原価のほうとは無関係になっております。したがいまして、われわれのほうといたしまして、原価がどこどこの社の何という車種については幾らであるというふうには把握しかねる状況にあるわけでございます。
  56. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 行政指導の中心をなす税金を取るところはなるほどそれは大蔵省でしょう。そしてその販売価格に対する何%というものを取るかもしれない。けれども、指導していらっしゃるあなたのほうは、法律の義務に基づいてどの車が大体幾らくらいでできるのだということが全然わからぬのですか。そういうような調査というものは全然していらっしゃらないのですか。それは公表するとちょっと困るということなんですか。ほんとうに知らぬということなんですか。ほんとうに知らぬということなら、われわれはこれはひとつ考え直さなければならない。幾らでものができるかわからない、その品物をあなた方は——それは少なくともほかの品物とは違うのです。間違えば人の命を取る、あるいは人に大きなけがを与える。そういうような自動車に対して最終価格は大体どのくらいででき上がるというようなことが全然わからないなんというようなことで指導していらっしゃるのですか。最後の販売価格によってきめられるというならば、その一五%の税金というものは、一体消費者がほんとうに買ったときにかけられる税金であるのか。たとえば自販会社が売るときのその公定価格、引いたのは別として、言うだけの価格にかけるのかどうかという問題になってくるわけであります。私はそんなかけ方はおかしいと思うのです。
  57. 本田早苗

    ○本田説明員 報告をとって、その原価を査定するという手続をとらないものでございますから、原価について幾ら幾らだというふうに御説明できないことだということを申し上げたわけでございまして、各社からはおおむねこの程度だということにつきまして、見当としての数字はわれわれとしても持っておるわけでございますが、大体小売り価格に二四%ほどの販売マージンを引いたものを基準にしてかけるという現行の物品税のかけ方は大体妥当だろうというふうに判断しておる次第でございます。
  58. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 あまりぱっとしない答弁ですが、通産省というものは実際自動車の中心になるところである。交通事故が起きた場合はこれは警察庁がやる。それから自動車を生産して車庫だとかなんとかいうものは警察庁と運輸省とによってこれは処理していくものである。車に対する価格並びに自動車の性能というものに対するいろいろの指導面、そういうような点に対して、海外へ伸ばしていこうとするにはもっと安く上がらぬか、いろいろの問題を検討していかれるのが、私はあなた方の仕事だと思っておったわけであります。大蔵省がそういうようになっておるから、ほんとうの価格がわからない。そういうことでは私はほんとうに納得できないのですよ。これはもう少し私自身も勉強しまして、これは法律的にももっとあなた方に権限を持ってもらって、そしてもっとあなた方がやりいいようにやってもらう、指導しいいように進むべきだと私は思っておりますので、また何かの機会に私どもは私どもなりの考え方を皆さんと御相談して、そして正式な申し込みをし、政府に対しても私はただそうと思っておりますので、この点でこの問題は一応打ち切ろうと思います。  一つ次長に特にお願いしておきたいと思いますことは、何度もくどいことを申し上げるようでありますけれども日本の国にこれだけ自動車がふえてきて、そして許可するところが運輸省であり警察庁だといえばそれだけのものであるが、学生で親のすねをかじっている者までが最近は自動車に乗る。大学生のほとんどといってもいいほど通学用の自動車に乗っておる。朝自動車に乗っていって校庭に置いて、そうしてまた乗って帰ってくるというような状態にあるほど現在の自動車状況は進んでおる。東京はどうか知りませんが、愛知県はそういうような面が多いのです。世の人々はどう言うか。ほんとうにありがたい世の中だ、親のすねをかじっている学生までが自動車に乗って学校へ通えるなんというような身分は、世界の国でどこの国もそうでしょうかと私に尋ねてきた。私は十カ国の国を回ったけれども、学生が学校へ通うのにそういうようなところはほんの一、二よりなかった。そうして学生がそんなにたくさん自動車に乗ってくるようなことは、ほとんど見受けられなかった。このような自動車のはんらん状態にあるということをひとつ次長は頭に置いてもらいたい。車をでかすことに対して、何度も同じことを言うようだが反対するんじゃない。車はいい車をでかして海外に売ることに力を入れてもらいたいということを私は望む。そして日本の利益をはかってもらうようにメーカーにひとつ指導してもらいたい。きのうも私は自動車課長に申し上げたけれども、ドイツのベンツの会社へ行ってベンツの重役と会って話をしたときに、こう言っている。日本はずいぶん自動車をたくさんでかすようになった。非常に驚くべき数にたくさんでかすようになったということは全く驚異に値する。しかしできた品物というものは、私の車とあなたのほうの車とが正面衝突したときには、どういう形になってあらわれるだろうということを言いたい、こう言った。これを私はどう解釈していいかということを考えてみると、私のほうは大量的生産はしない、しかし少数たりともいいものをでかしていくということがわが国の方針であるということを示唆した、私に暗示を与えたと私は思っている。私は現在の日本が数少なくでかすというようなことに賛成するものじゃない。生産増によってうんとコストを下げてもらうということに賛成するけれども、いいものをでかしてもらう。それがどんどんと海外に売れる品物をでかしてもらいたい、これを望むのです。  もっと極端なことを申し上げましょうか。あなたはまだ次長で新しいかもしれないけれども、私はきのう申し上げておいたけれども原則としては二五%という一つの頭金をもらうことになる。現金で買う場合においてはこれは別でありますが、割賦販売の場合においては二五%をもらうことが原則であるという話でありますが、一体それが守られておるでしょうか。最近の自動車の売り方というものを見ておると、何でもいいからどうぞ買ってください、二十四回月賦でもけっこうですよ、あるいはどれだけでもけっこうですというような売り方をせられておれば、払えないようになれば車を取り上げられるようになるだけだから、買っておくだけ得だということで買うのである。また一面においては所によっては車庫の制限がないという盲点を突いて、名古屋市では車庫を持たなければ車は買えないということであるが、人口の少ないところは車庫の必要がないということで、そういうところの名前を借りてきて、しかも市内へ持ち込んできて乗り回して、救急車が来ても、その車は夜になれば道路に放置してあるために入っていくことができない。火事になっても消防車は入り込むことができない、こういうような乱売的なやり方ということでほんとうにいいだろうか、こういうことをひとつ静かにお考え願えば結論はおのずと出てくるだろうと私は思う。だから心からお願いしたいことは、どうぞいい車をでかしてどんどんと海外に出るようにやっていただくことに全力を傾倒してもらいたいということを望んでやまないのです。御意見いかがですか。
  59. 本田早苗

    ○本田説明員 最初に申し上げましたように、自動車産業が今後の輸出規模拡大の大きなにない手である産業であるという点は、特にわれわれとしても考えておる点でございまして、御指摘のようにできるだけ技術開発をはかり、技術水準の向上をはかりまして、品質、性能の点で外国が喜んで買うような車をつくりまして、生産した車両の高い比率の部分が輸出のできるように努力してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  60. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 答弁としては非常にけっこうな答弁を受けましたから、もう何も申し上げることはありませんが、今度私がもし縁あってあなたに質問をするときに——輸出は一五%から二五%に進みたいという先日の課長の話であったが、そのパーセントが下がるようなことであったら、生産に対しての考え方を新たにしてもらわなければいかぬと思うが、よろしいですね。いいですか。そのくらいの責任を持ちなさい。
  61. 本田早苗

    ○本田説明員 できるだけ早いテンポで引き上げるように努力するつもりでございます。
  62. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは御苦労さまでございました。  繊維局長さんにちょっとお尋ねをいたします。これは飛び入りでまことに恐縮ですけれども……。  実は、全国的に繊維の輸出というのがあまり伸びていないということで、私の出身地は繊維が非常にウェートを占めているわけなんですが、景気がよくないというよりも出ていかないということで、みんなたいへん心配している。これは私が説明するまでもなく、あなたのほうにも調査ができておることだろうと思いますけれども、日韓親善という意味で両国が結ばれたということで、この韓国人が日本で覚えたいろいろの紡績機械だとか、そういうようなものを向こうへ持っていくことが自由になってきた。親善の意味で持っていくことができる。そして覚えた技術を向こうで生かして、そうして繊維なんかをずいぶんつくる。このつくったものがいままで日本がお得意にしていた東南アジア方面にも相当売り出されておる。こういうようなことから相当影響があるということを言って騒いでおりますけれども、事実はどうですか。その点ひとつ、せっかく局長がおいでになっておりますからお尋ねをいたしておきたいと思います。
  63. 金井多喜男

    金井説明員 御案内のように、韓国をはじめといたしまして、後進国が繊維工業とか雑貨工業とか、そういったものの技術なり生産相当進みまして、特に繊維産業につきましては、たとえば一つの例といたしまして、しぼり加工のように従来中京地区あるいは京都地区で非常にウェートを占めておったものが、最近韓国にすっかりお株を取られてしまった。あるいはメリヤスとか合繊につきましても、それほどまいりませんけれども日本への輸入あるいは特にアメリカを中心といたしました先進国市場で日本と非常に競合しておる。そういう事実がある次第でございます。
  64. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 しぼり業者は鳴海を中心にして、京都と両方で職人が大体十方人いる。これがほとんど仕事がなくなってしまったということで、何か陳情したこともあろうと思いますけれども、それはそれとして、これからの見通しとして、一体日本でできる品物は国内消費だけでおくのか。それとも海外へ出すということについては、一体どこの国へ向かって日本はそういうものを出すかということに対して、通産局はどのようなお考えを持っていらっしゃるか。
  65. 金井多喜男

    金井説明員 繊維産業につきましては、現在年間の輸出が大体十七億ドルでございまして、日本全体の輸出のほぼ二割に近い数字を占めておる次第でございます。発展の沿革からいたしましても、一つは内需として重要な産業であり、もう一つは、古来輸出産業としてそこに特殊性があり誇りがあるわけでございます。私ども通産省の繊維産業政策といたしましても、やはり根本はその輸出振興にあろうと思うわけであります。そういった場合に、先ほども触れましたように、後進国と非常に競合しておるという点、今後必ずしも輸出の振興は容易でない次第でございますけれども、全般的にやはりそういう後進国あるいは未開発国が産業に取り組む場合には、どちらかというと、労働集約的な繊維工業というものに飛び入りやすい次第でございます。そういった点からやはり輸出市場の重点といたしましてはアメリカとか欧州諸国とか、そういった先進国というものを中心に考えるべきであろう。しかしながら一方において後進国においても韓国、台湾、香港、タイ、そういった東南アジアの国々においてそういう追い上げの顕著な状況が見られるわけでございますが、一方アフリカその他世界全体として見ますと、何ももう後進国についてあきらめ切るというようなことではございませんし、また一方において繊維産業のあるべき姿というものから見ますと、そういった後進国市場においても後進国商品と競合しない、よりデザインのすぐれたものとか加工度の高いものというようなものを中心に世界全体にわたって輸出振興を考えるべきである、このように考えておる次第でございます。
  66. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いま金井繊維局長のお話を聞いておると、八方的であってちょっと私はつかみ得ないのですよ。重点をどこへ持っていくか、こういうことですね。いままでの日本の重点は先進国と称する国、アメリカでは日本繊維は労働者向けとしてより買ってくれなかったということであって、価格は比較的、安いという面で買ってくれたけれども、現状からいきますと、私が向こうでいろいろ調べ、向こうであなた方もどうせお調べになったろうと思いますが、たとえば韓国の労務賃金というものが日本から見ればうんと安いのですね。そこでつくられてくる製品というものの価格は、後進国へ出す場合にやはり日本の価格よりも安く出す。日本で覚えた技術ですから、ほとんど品物に対する見劣りもなければ同じようなものができるということになる。あきらめる必要はないけれども、価格の問題においてなかなか太刀打ちができないだろうと私は心配をしなければならぬ。そうしますと、私の考えでいくと、どうしても先進国の、ぜいたく国と称する豊かな国に、日本は、同じ繊維でもいいものをつくって、いい品物を送り出すことが必要でないかしらんということになってくる。そういう点に私は重点を置くことが将来の日本にとってはあまり脅威を受けなくても済むのじゃないかしらんというような考えを持つんだけれども、いまのお話を聞いていると、総花的な話であって、それはなるほど日本は先進国、だけをたよりにしておるようなことでは繊維は成り立っていかないから、後進国を見捨ててはいけないという意見はよくわかるのですが、重点は今後どういうように持っていくかということについてどういう意見を持っていらっしゃるかということを聞くのです。
  67. 金井多喜男

    金井説明員 どうも私の答弁が総花的になったようで恐縮でございますが、重点は私、先進国というのは当然であろう、こう思います。ただ、私たまたま手元に統計資料を持っておりますので、その点で多少先ほどの答弁であとのほうに後進国もそうかといって軽視できないということを申し上げました理由をちょっと御説明いたしますと、たとえば昨年、日本の繊維全体の輸出を一〇〇といたしますと、アメリカカナダで三割、それからいわゆるアジアでもって四割ということになっております。それからアフリカ、欧州が一割ずつ、一割以上のおもな大ざっぱな市場はそういうことでございます。したがいましてそういう後進国との競合、特に先生御指摘の低労賃という日本競争上の不利を考えますと、重点はあくまでもアメリカ、ヨーロッパ等先進国であるべきは当然でございますけれども、さりとてまた後進国も軽視できないと私ども考えておる次第でございます。
  68. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 一日一日韓国の情勢は進歩しつつあるのです。それはもう非常な勢いで日本技術導入というもの——これは日本人が行って教えるのでないので、何十年間こちらで覚えておったことを向こうへ持っていってそっくりそのままやるのですから、繊維ばかりでなくて陶磁器にしたってタイルにしたって何にしたって全部そうなんですよ。それは東南アジア方面の先進国でない国々に安く売られていくのです。だから日本の価格よりもずいぶん安いということが事実になってあらわれているのですから、これに対する今後の日本の繊維の行き方というものに対してはひとつあなた自身が十分に御研究していただき、企業を協業化するものは協業化して、できるだけ安くでかして、あるいは持っていくところによってはデザインのいいものをつくって、そして喜ばれるものを安く売れるように、先進国に売り込みをするように、こういう点にひとつ指導をしてもらいたい。これを私は望むのです。そういう点に対して私と同感であるのかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。
  69. 金井多喜男

    金井説明員 おっしゃるとおり、とにかく特に織布、メリヤスあるいはそれ以降の二次製品といったものにつきましては、これは当然先進国が最重点になろうかと思います。そのために、おっしゃいますようにそういった製品の大部分は中小企業でございますので、これにつきましては政府ができるだけ積極的に指導いたしまして、繊維工業の振興を輸出振興と結びつけて考えるべきである、こんなふうに考えておる次第でございます。  そういう点から実のところ、私ども昨年度から織布の構造改善につきましては政府としても格段の指導助成を行なっておる次第でございまして、今後ともたとえばメリヤスであるとか染色であるとか、あるいは近い将来においては縫製であるとか綿糸であるとかいったものに、繊維産業の輸出振興という見地から重点的に指導助成してまいる所存でございます。
  70. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それじゃ、もう一点だけ聞きたいことがある。中小企業対策費のうちで設備近代化資金並びに高度化資金貸し付け金について会計検査院から指摘せられておりますね。これは何べんでも指摘されておる。そんなことを再度再度指摘せられるのはどういうところに欠点があるのか。私はこの前のときも、審査に小めんどくさいことばかりいって指導助成がなってないのじゃないかということを指摘しておるのだけれども、また今度そのとおりのことが会計検査院から指摘されている。どうなんです。
  71. 沖田守

    ○沖田説明員 設備近代化資金及び高度化資金につきまして、会計検査院から不当事項の指摘が出ておるわけであります。現在従来の高度化資金は昨年中小企業振興事業団ができましてから制度が変わったわけでございますが、それまでは二分の一無利子補助ということで、一応県が窓口で審査いたしてきたわけでございます。設備近代化資金は終始二分の一無利子補助ということで、県が現在でも特別会計を設けまして、そこで審査いたしておるわけでございます。今回不当事項の指摘があったわけでございますが、その原因といたしましては、たとえば設備近代化資金ということで零細企業が近代化設備を設置いたします場合に、申請額よりも安く設置する、そして初め予定した金額よりも安くなったときに、その差額というものを返さなければいかぬ、そういうことについての認識が欠けておる。あるいは申請しておいてお金をもらって設置していない者が場合によってはある。こういう点がいままでの指摘に出ておるわけでございまして、一応現在まで例年強く各県と連絡いたして注意いたしておるわけでございますが、各都道府県で個別の零細企業につきましてそういう設備近代化資金を貸し付けます場合の事前調査、それから事後の監査、それから中小企業者自身に対して、たとえば安かったときは返さなければいかぬだとか、もうすでに設置してしまったものについて補助金を求めるということはいけないという、そういう制度についての趣旨徹底が十分でなかったという面からそういうことが出ているのだと考えますので、今後はこういうことがないよう都道府県について強く注意を喚起いたしますとともだ、中小企業者に対しましてもそういう制度をよく理解してもらう。さらに都道府県の職員につきまして、この制度の理解を深めるための研修を強化する、こういうことで対処いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  72. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 次長さん、私がこれを指摘して聞くと、いつでも同じような答弁をして、今後は今後はと言っておられるが、今後どころじゃない。いつでもそういうことを会計検査院から指摘せられる、これじゃいけないのじゃないか。不当事項として指摘せられることが来年は絶対にないようにやれますね。しっかりやってもらわないといけないと思う。そしてあなたのお話を一応聞いておると、府県の窓口との関係、それがうまくいってない点があるからうまくいかない点もあるんだという説明、それはわかるのです。それならそのように窓口との関係はもっとうまくやってもらうようにしっかりとやってもらいたいと私は思う。それには連絡を十分にして、そしてこのような指摘を受けるような、それも一度ならず二度も受けるというような醜いことは政府の威信にかかわることじゃないか。そしてわれわれが読んでも、こういうような金がありながらもこれが十分に使えないということは、審査の上においてあるいは手続の上において、役所ばりのめんどくさいことを言うからそんなことになるのだと私は思う。だからもっと実態をつかんで、この人ならばいいという認定がついたならばどんどん貸してやるという方向にいくならば、こういう指摘は受けないのです。それが中小企業を育成していくということであり、そしてそれが通産省の責任だと私は思っておる。だから答弁はもういいから——何度も聞いている。何度も私は質問して、どうしたのだと言って、また今度もこんなことが出ておる。全く遺憾にたえない。だから、今度はそういうことのないようにひとつやってください。  それでは私の質問はこれで終わりましょう。どうもありがとうございました。
  73. 鍛冶良作

  74. 赤路友藏

    赤路委員 金属鉱物探鉱促進事業団があるわけなんですが、これをいろいろ読んでまいりました。非常に専門的なものですからどうも十分マスターできかねるのですが、この事業団の業務報告を読んでまいりますと、金属についての世界情勢といいますか、なまやさしいものではない、こういう感じを持つわけなんです。したがって、国内探鉱という面も急速に促進していかなければならぬ、こういうふうに業務報告を読みながら感じたのですが、一面四十一年度の業務報告を見てみますと、資本金が八億円なんですね。この程度の資本金でもって一体何をやろうとするのか、そういう疑問を持ったわけなんです。地下資源開発というのにしてはあまりにもお粗末じゃないのか、率直に私言わしていただくのですが、そういう感じを持ったわけなんです。同時に、どうにもふに落ちないのは、これは鉱業経営者に対する融資ということが主体になっていますが、事業団それ自身が地下資源開発ということに手をつけるというのではどうもなさそうなんですね。損益計算書などを見てみましても、事務費が一億一千六百万円で、事業費が三億二千百八十万円、こういうことなんです。どうも通産省のほうの地下資源開発に対する考え方というのが中途はんぱになっておるんじゃないのか、こういう感じがします。貸借対照表やいろいろ見てみたのです。たとえば四十一年度の事業報告の中に出ておりますのは、工具や機具、備品、そういうものが四百六万円、こういうことなんです。これは四十一年のことですよ、この程度のことなら何も事業団をつくってやるようなことはないんじゃないのか、率直に私はそういうふうに感じたわけなんです。ほんとうに通産省のほうで、あるいは政府のほうで地下資源開発するというそうした情熱が一体あるのかどうか、そういうことなんです。どうもそんな中途はんぱなことならおやめなさいと私は言いたい。いま世界的な非常に重要な一つのものにもなっておるのですから、やるんならやるで、もう少し情熱を持って積極的にやるべきじゃなかろうか、こういうふうに私は考えるのですが、その点についてどういうふうなお考えを持っておるか、それを聞きたい。
  75. 中川理一郎

    ○中川説明員 たいへん率直な御質問でございまするが、多少おわかりにくいところもあろうかと存じますので、私ども考えております金属鉱物に対しての政策の概要と、事業団その他補助金、融資等を通じましての施策の仕組みと申しますか、これを少しお時間をいただいてお答えいたしたいと思います。  冒頭に御指摘がございましたように、わが国の金属鉱物に対する需要、金属鉱物を使うほうの側の需要でございますが、これは経済の急速な発展とともにたいへん大きな伸び率で伸びてきておりまして、今後も相当着実な伸びが期待されているわけでございます。このような需要の伸びに対応した安定的な供給の確保ということが大事であることは、先生御指摘のとおりでございます。政府としましても国の内外における資源確保政策を積極的に推進するというのが基本方針でございます。たとえば銅のようなものを例にとりましても、国内の鉱山から供給し得るもの、それから一度使われましたものがスクラップその他の形で回収されてくるもの、これは一番安定した供給源でございます。それから国内には限界がございますので、輸入鉱を自分のところで開発するというようなことで入ってきておりますものもございますし、融資をいたしまして地金ないし粗銅という形で輸入をいたしておるものがございます。これらも比較的安定した供給源でございますけれども、これら二つの現状から見ましても、将来の需要というものの予測と供給量とを比較いたしますと、相当に不足をするというのがいまの想定でございます。  そこで、対処します方針といたしましては、国内における国内鉱山からの供給量をふやすということが一つでございますし、もう一つは、そうは申しますけれども、これは自然条件その他の関係から限界がございますので、海外資源について長期的な観点に立った手を差し伸べなければいかぬ、この二つになるわけでございます。  そこで、国内におきましては、先生御承知のように、何と申しましても国内鉱山の供給量を大きくするというためには、その基礎になりますところの探鉱ということが一番基本になるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、金属鉱物の鉱床と密接な関連がある地層の存在状況の概要を明らかにいたしますために地質構造調査、広域調査と申しておりますが、これは国が直接行なう。まず一番ベーシックなところは国が行なう。その結果、有望と目される地域につきまして、さらに地層の精密な状況を、精密調査と申しておりますが、これは先ほどお話のございました金属鉱物探鉱促進事業団が調査をいたします。その結果に基づいて企業が事業としての開発のための探鉱事業を行なう。これについては国が助成をする、こういう三つの段階の方式によります資源開発を、昭和四十一年度以降十カ年計画で推進しておる次第でございまして、秋田の黒鉱等、この三段階方式によりまして相当な成績をあげつつあるのでございます。しかしながら、資源の賦存状況等の自然的制約からいたしまして、国内の供給には限度がございますために、本年度から海外資源開発を推進することといたしまして、金属鉱物探鉱促進事業団に、海外の鉱物資源開発に必要な資材、情報を収集するとともに、基礎的調査を実施させまして、その結果、有望と目される地域について企業が行なう探鉱資金を融資させるとともに、開発資金の借り入れに対する債務保証を行なわせるということを今年度から実施をいたしたわけでございます。  これらの施策の実施にあたりましては地質、鉱床等についての専門的知識を有する技術陣を要しまして、また国の資金のほか、地方公共団体、企業の資金も積極的に動員して、強力かつ一元的な推進をはかり得る体制をつくるために金属鉱物探鉱促進事業団というものを設立したのでございます。その実施の効果は国みずからが行なったのと同様でございます。  先ほどの仕組みについて申しますと、広域調査は、これを国の委託費ということで国が直接これに要する資金を用意いたしまして、事業団に委託をいたしておるわけでございます。それから第二段の精密調査につきましては、国がこれに対して六〇%の補助金を支給いたしまして事業団に同じくこれをやらしておるわけでございます。三段階目の企業の探鉱という段階になりますと、その面につきましては大手と中小の区別がございまして、大手の鉱山に対しましては事業団からほぼ半分ぐらいの額になります比率でもちまして融資事業を行なっておるわけでございます。なお中小につきましては融資だけでは片づかないという状況でございますので、約五〇%を限度といたします補助金制度でこれを実施いたしておるわけでございます。  そこで先ほどお話の出ておりました事業団の資本金でございますが、これはどちらかといいますと、この融資事業に際しましての融資の金利を七・五%という水準に確保するための財投からの借り入れ金利を薄めるための機能といたしまして、これを実施しておるわけでございます。  そこで昭和三十八年から四十二年までの、いま私が御説明いたしました仕組みについての、国から出ておる金額がどのようなことになっておるかということを御参考までに御報告しておきますが、広域調査につきましては六億九千七百万円、精密調査につきましては四億七千六百万円、それから融資につきましては百六億六千万円、先ほど申しました補助金につきましては十八億二千五百万円、かようなことでいたしております。それから四十三年度について申しますと、広域調査で三億五千三百万円、精密調査で一億九千五百万円、融資で二十八億円、それから補助金で四億一千五百万円、同時に出資金として九億ということを事業団に対していたしておるわけでございます。  こういう仕組みでございまして、平たく申しますと、事業団は開発の仕事を担当いたします専門技術スタッフを持っておる一元的な機関、こういうのが一つの性格でございますし、国が担当すべき広域調査と精密調査につきまして国からの委託あるいは補助を受けて、国と全く同じ立場で基礎調査を行なう。そして企業側が行なう探鉱につきましては、財投からの借り入れ金を資金源といたしまして、出資金を金利を低くする財源として使いまして、これによって民間企業の行ないます第三段階目の探鉱業務に対しての助成を行なう、こういう仕組みでございまして、新たに海外関係の仕事がつけ加わったことは先ほど御説明いたしたとおりでございます。  国内開発のみについて限定して、これらの三段階方式の成果を簡単に申しますならば、中小鉱山につきましては、この探鉱事業なかりせば年々採掘量が減っていくという傾向にあるわけでございますが、おおむねこの仕組みと補助金によりまして毎年の採掘量が大体同じ数字になっておる、つまり減っていくものを補てんしていくという形においては十分に役立っておる。もう一つは、先ほど言及いたしましたように、北鹿の黒鉱のように六千万トン以上に達する鉱量の発見がありなお引き続いてそのような成果を各地であげつつある。地質構造の解明がずいぶん進みまして、企業側の鉱量というものが増大する傾向に働いておる。  以上、あるいはおわかりにくかったかもしれませんが、私ども考えております鉱物資源の確保政策と、それを実際運営しております仕組みについて御答弁申し上げたわけでございます。
  76. 赤路友藏

    赤路委員 いまのお話を承りますと、かなり積極的に取り組んで、事業団中心で一応内外両面にわたって推進していく、こういうようなことになる。いまの御説明を承った中で局長のおっしゃったのをちょっと計算してみますと、年間ざっと百三十億余りになりますね。事業団が計画しておる地区二十七地区、十年計画でもって千三百三十億、こういうのが出ておったようですが、それはそのまま踏襲してやっていく、それがここへあらわれてきておる、こういうふうに見ていいわけですか。
  77. 中川理一郎

    ○中川説明員 私どもの気持ちといたしましては、いま御指摘の計画で進めております。若干現状におきまして予算不足というようなところはございますけれども、大きくはずれてはおりません。
  78. 赤路友藏

    赤路委員 それから海外鉱物資源なんですが、これはマンガンであるとかタングステンであるとかいろいろありましょうが、何と言ったって鉱物で一番必要なものと言えば、いまの条件下では銅であるかもしれません。それとこれには石油関係が一番大きなウエートを持ってくる、そういうふうに理解できそうに思うのですが、そうでしょうか。
  79. 中川理一郎

    ○中川説明員 これからの資源政策を考えますと、海外資源の確保ということはたいへん重要な眼目でございまして、鉱種で申しますと、これはどれが大切であってどれが大切でないということはございませんけれども、やはり金属鉱物の中で一番大宗を占めますものが銅でございますので、海外探鉱につきましても、銅を中心にして施策を展開していくということで考えております。  それからお話のございました原油のほうは、これとは別個に、新しく発足いたしました石油開発公団というものの手によってこの仕事を進めていくつもりで。ございますので、ただいままで御説明申しましたものは、金属鉱物に関してのことだと御理解していただきたいと思います。
  80. 赤路友藏

    赤路委員 よくわかりました。いま説明を受けただけでよくわかるわけはないのですが、一応この業務報告から受けた印象と、いまの御説明によるのとはかなり私のほうで認識を変えざるを得ないのじゃないかと思います。私はこの業務報告のようなやり方なら、かえって中途はんぱになるんだから、中途はんぱなことならやらぬほうがいい。それから探鉱補助金ども、もうへたなことをするんなら、それぞれの鉱業会社のほうへそのまま探鉱補助金を出して探鉱さす、こういう手も考えられる。何かむだなような感じも受けたわけなんです。よくわかりました。それでけっこうです。  ただ国内的に、非常に鉱物資源の探鉱というのは目立たぬものであります。そこへ道路ができた、橋ができたというようなものではないわけなんですね。それだけに効果というものが目に見えて出てこないんですね。あるいはここだと思ってやってみても、何年かかって何が出るのか、失敗するかわからぬ。こういうような経緯があるだけに、私はよほどの積極的な考え方、そうして情熱を傾けてやるというような考え方でないと、地下資源開発というものはむずかしいのではないか、そういうふうに考えるわけです。中途はんぱな考え方がないようですから、ぜひひとつふんばってやっていただきたい、その点を申し上げておきます。  それからもう一点だけちょっとお聞きしたいのですが、いま科学技術庁が中心になっているのですか、海洋開発があるのですね。この海洋開発のやはり中心になるものは鉱物なんですね。もちろん魚類というようなものもありましょうが、海洋開発の少なくとも中心になるものは、私は鉱物だ、こう思うのです。これがまだようやくいま何かこう出始めるというところですか、なかなかどうということは言えないんじゃないかとは思いますが、これは世界的な問題でもありますので、相当、ある程度の経費は、突っ込んで、そうしてそれぞれ専門の権威者等も集まってもらって、積極的に推進していく、こういうことでないと、これも何か中途はんぱなようなことになったんでは非常に困ると思うのですが、何かこれに対する一つの方向づけというか、ありませんか。
  81. 中川理一郎

    ○中川説明員 海洋開発ということがにわかに話題にのぼっております。海外諸国の動向から見まして、かなりこの面では急速に私ども考えないと、立ちおくれがいよいよ開くのではないかという感じがいたしておりますことも御指摘のとおりでございます。ただ大陸だなの地下資源開発というようなことで、私どもの担当しておる分野での海洋開発に関するテーマを限定して考えますと、一番焦眉の急は石油の採掘でございます。この点につきましては、たとえば海外開発をいたします場合でも、陸上で採掘できるというような有利な地点は、すでに石油採掘業における先進諸国の手によって押えられてしまっておりまして、最近海外で私どもが手を伸ばそうと考えておるところでも、かなり海洋に手をつけないと手を伸ばす余地がないという状況が出ております。これを国内にかんがみましても、たとえば秋田、新潟地区といった陸上部に油田層のある地域におきましては、地質上これがその沿岸から先の沖合いにも賦存し得るという状況でございまして、これらのところを私どもも来年以降もう少し力を入れてみたいと思っております。ただ残念ながら、海洋工学的な技術というものがはなはだ貧弱でございまして、水面下三十メートルくらいのところでございますと、いまの私ども技術でも何とかやれるのじゃないかというような感じがいたしますが、百メートルくらいのところになりますと、外国ではやれるといわれておるのでありますけれども、なかなかわれわれの手ではいまその技術が用意されていない、こういう状況でございまして、基本的な海洋工学的な技術開発ということがこれからの焦眉の急だろうと思っております。  石油につきましてはそのように考えておりますが、石油以外の地下資源につきましては、御承知のように石炭は若干陸上のほうから海底に坑道を掘進させまして、かなり海底炭田の石炭を採掘いたしております。中には人工島によってやっておるという状況もございますが、金属鉱物につきましては砂鉄だけが若干企業化されておるという状況でございまして、その他の鉱物につきましては採掘技術上非常にむずかしいということでございまして、いまのところなかなか手がつけられない状態でございます。先ほど石油に着目して申しておりますのは、これはパイプを入れれば上がってくるという点でございまして、パイプを入れる技術さえ開発できればやれるわけでございますが、なかなか金属鉱物の場合はその点に技術上むずかしい点があるようでございます。私は事務官でございましてあまり詳細なことはわかりませんけれども、金属鉱物の海洋開発というのは、当面ではなかなかむずかしいそうでございます。おっしゃいましたように、限定された資源しか持ってない国で、これから資源問題に当面しなければならないわけでございますので、可能性のあることにつきましては海洋についても相当勇敢に取っ組んでいかなければならぬのじゃなかろうかと思っております。  なお、先ほど来の鉱物資源確保の問題についての先生からの御激励につきましては、私ども全く同意見でございまして、たいへんありがたい激励だと存じておりますので、ひとつできるだけ努力させていただきたいと思います。
  82. 赤路友藏

    赤路委員 これでもうけっこうですが、ただ最後に一言だけ申し上げておきたいのですが、いまの海洋関係技術的に非常におくれている。水面下三十メートル、まあ百メートルまでは無理じゃなかろうか。そうすると大陸だなは二百メートルです。しかも日本の国の沿岸では案外大陸だながないです。もうすぐ出ますと二百五十から三百というようなことになるわけです。ただ問題は、国際海洋法の中の大陸だな条約に関するものなんですが、これにはいろいろ疑義がございますので、現在のところでは日本もこれを批准いたしておりません。疑義があったとしても世界的にこれが国連できまってしまっておる。しかしながら一応これは今後十分討議すべき問題だ、こう考えておりますので、その点外務省のほうの関係ですから、外務省のほうにも言いたいと思っています。ただ、いまお話を承りまして技術開発ですか、海洋資源開発のための技術開発というのが優先する、こういうことになりそうなんでして、思い切ってこの際おやり願いたい、このことをお願いいたしておきます。どうもありがとうございました。  それでは航空機の問題について……。日本航空機製造株式会社、これは政府のほうが五〇%出資をしているのですが、四十一年度の営業報告その他を見てみたわけなんですが、YS11をつくっておるわけですね。川崎航空機を含めて六社ですね。それで、それぞれ分担製作したものをまとめて組み立てをやっておる。こういうような状態なんですが、これの営業報告の四十一年度のものを見てみますと、始まってから毎年欠損しているわけなんです。これは新しい開拓でありますからやむを得ぬことだと思うのですが、これを調べてみますと、設立したのが三十四年の六月。一号機のできたのが三十七年の八月、二号機が三十七年の十二月、三十九年の後期から量産したものの納入が始まっておる、こういうこと。そして四十三年の二月現在で、国内で二十九機、輸出したのが十六機、なお現在契約しておるのが四十四機、順調にいっておるようであります。ただ、四十一年の営業報告から見てみますと、借り入れ金の期末残高が二十五億八千五百万、それから、ずっと社債を発行していますね。三十七年の十月から四十二年二月までの社債発行の残高が百四十五億六千四百万、こういうことになっている。手持ち預金と未収金を合わせますと、これが百二十億。ちゃんと監査ができてあれしているのですが、ただこの八期の決算を見てみますと、欠損が四十一年度だけで十六億五千四百万円ですか、その前の七期分、四十年の分が十三億五千四百万円、こういうふうに欠損が重なってきているのですね。そうして現在、四十一年の営業報告からいきますと、資本金会計面で十七億くらいしかないのですね。そうすると四十二年でこれは吹っ飛んでしまって、なくなってしまう、こういうこと。したがってこれに対して相当な政府の助成といいますか、あるいは会社側のほうからの投資も増大して、何さま伸びておるのですから、生産関係が伸びておりますし、なおこれから伸びていく要素を十分持っておるわけです。しかしながら、それはわかるが、こういうことでやっていけばいつまでこういうことを続けるのか、そうしていま六社でつくられたものを持ち寄って、そして組み立てをされている。まあ共同といいますか、協力してやっている。こういう体制をくずさないで将来ともやっていけるという見通しを持っておるのかどうか、そういう見通しについてひとつお聞きしたいのです。
  83. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  御指摘のように、日本航空機製造は三十七年から一号機、二号機の生産が始まりまして、三十九年から量産が始まったわけでございますが、その後逐年赤字が出ておりまして、四十一年までに四十三億弱の赤字が出ておるということになっておりますが、実は航空機の産業といたしましては、売るほうの値段は目標機数で総経費を平均しまして価格をきめるわけでございますけれども生産のコストのほうは当初に多くかかりまして、逐次作業になれるに従いましてコストも下がってまいりますし、また売った飛行機の補用部品は、あとになるほど売れるというようなことがございまして、コストとしては後半に下がっていくということになるわけでございます。したがいまして、前半で収支が悪く、後半でよくなるという関係がございますので、御指摘のような赤字の収支を続けてまいっておりますが、今後は製造原価が下がっていきますと同時に、初度的な費用も少なくなりますし、先ほど申し上げました補用部品の販売量が増加してまいるというようなことで、収益の増加が見込まれますし、その上さらに企業努力を続けて、できるだけ合理化効果をあげて、収支の改善をはかるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  こうした航空機産業でございますので、すでに政府といたしましても当初から 指摘のように、政府出資もいたしましてこれを助成いたしておるわけでございますが、四十一年度に航空機工業審議会の答申を得まして、四十二年に政府としてはさらに十二億の出資をいたしますと同時に、五億円の助成金を支出いたしたわけでございますし、四十三年度としても三億円助成金を出すということになっております。また、民間におきましても追加出資として十一億円出資をするということになったわけでございまして、今後こうした合理化努力を重ねることによって、収支をできるだけ改善してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、御指摘のように六社が共同生産をいたしておりまして、それぞれが各部分をつくって、それを一社に持ってまいって完成機に組み立てるということにいたしておるわけでございますが、こうした協力は今後もさらに必要になるわけでございまして、各社とも積極的に協力をいたしておるわけでございますが、通産省といたしましても、この計画を成功さすために今後も民間の協力をできるだけ指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  84. 赤路友藏

    赤路委員 いまおっしゃるようにYS11だけをやっておる分では、たしかいま四十四年まで第一次計画が百二十機、それにできるなれば第二次計画を三十機、百五十機、こういうことなんですね。第二次計画がどうなるか別にしまして、かなり外国のほうからは、これは高いか低いかは別にして、評価されておることだけは事実です。それがやはり輸出がこれだけ出ておる理由だと思います。ただ、言いたいのは、これからずっと五年先も六年先もYS11だけやっているというんでは、日本の航空機工業といいますか、産業の伸びというものはない。だからYS11だけやっておれば、それはいまおっしゃるように確かにコストが下がってまいります。なれてくるんだからコストが下がってくる。またコストが下がるような方法考えましょうから。そうすると、現在は赤字であってもそれは当然黒字に転化してくる。これはわかるわけです。ところが、それじゃYS11だけやっておっていいかといったら、そういうものじゃない。やはり他の新しいものももちろん出てくるだろう。また出てこぬようじゃ、私は意味ないと思うのですよ。出てくるだろう、これが一つあります。  もう一つは、いまのYS11が、エンジンもプロぺラもイギリスから輸入しておるのです。こういうことになっておるのですね。当然、これらのものも将来は日本の製品で、機体だけでなしに、エンジンもあるいはその他の機器類もすべて国産で、ということが一つの方向づけとして考えられなければならぬ。そういうことを考えていきますと、まだまだ当分の間——当分というのは何年になるかわかりません。しかし、当分の間はとてもじゃないが黒字になるようなことはない。まあいわば、突っ込む一方じゃないか、こういう感じがするわけです。私は突っ込むことがいけないとか何とかいうわけじゃないのですが、いまの体制を堅持しながら、しかも新しい方向にこれを伸展さしていく、こういうことになれば、よほど積極的なものを持たなければやっていけないんじゃないか。さいぜんの金属事業団の関係と一緒ですが、私がどうも特にそう感じるのか知らぬが、いまの資源開発にしても、航空機にしても、何か中途はんぱな感じがしてならぬのですよ。戦後これが初めてなんですよ。だからもっと積極的に、情熱を持って、まあまあやればいいんだということでなしにやってもらわなければどうにもならぬのじゃないかという感じを受けるわけです。中途はんぱなことならやらぬほうがいい。そうして購入しておればいいじゃないか、こういうことになるのですがね。これは相当何はありましょうが、後進国あたりへこれを出すということになりますと、かなりそれの代償の入るのが違ってこようかと思いますけれども、それはそれなりにやはり国際収支日本の経済の国際収支をよりょくしていくための一つのものであるということだけは、私は何か間違いないように思うわけなんです。しかも、新しいこれからのものであります。戦後これだけなんですから、だからもう少し積極性を持って、思い切ってやってもらう、私の言いたいのはそれだけなんです。何か中途はんぱならもうおやめなさい。そうして、やるなら通産省のほうもうんと力を入れる。そうして業者側のほうもそれに対して本格的に取り組んでいく。しかも、もうすでにYX開発計画というのができているのでしょう。そうするとなおさらのことですね。だから、いま御説明がありますように、四十三年は三億見ましたとか、そんなけちなことを言っているのじゃ、これは伸びませんよ。それは資金は何ぼでもというわけにはいきますまい。それはわかります。わかりますが、やはりそのウェートを置くべきものと、まあまあというものとのはっきりした見分けをつけて私はやっていただきたい、こう思います。それだけなんです。
  85. 本田早苗

    ○本田説明員 YS11だけでは今後の航空機産業としてだめであろうという御指摘の点につきましてはごもっともでございまして、航空機事業というのは、航空機の技術の進歩とともに新しい機種の需要が新たに出てまいるわけでございますので、いつまでもYS11を生産して売っておるわけにはまいらぬということで、御指摘のようにYXということで次の機種の開発をやろうとしておるのであります。またエンジン、プロペラの輸入も、当然国産化することによって航空機産業が実態的に国産化されるということになるのでございますので、そういう点で今後はもちろんジェットエンジンということにでもなろうと思いますが、ジェットエンジンの開発につきましても通産省としては必要だというふうに考えておるわけでございます。これをやるについて、徹底した積極的な態度で伸ばすようにやれ、こういう御激励でございますが、まことに有力な御激励をいただいたというふうに思うわけでございまして、私らとしても、全くその線に沿うてやってまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  86. 赤路友藏

    赤路委員 さいぜんから私そこでずっと聞いているんだが、通産省の方々の答弁はどうもみないい御意見を聞きまして云々と言っておるが、言うているだけじゃ話にならないのだ。率直に言わしていただけば、もっとやはりぐっと踏み切ってやるように、もうそこではその程度に言っておいたら事は済むわ、こういう考え方では私はだめだと思います。さいぜんの丹羽君の話じゃないが、この次、あまりけちなことをしておったらもうおやめなさいと言わざるを得なくなる。まあひとつがんばって——これは戦後のたった一つ企業なんです。航空機は初めてです。非常に安定もしています。それだけに思い切ってやはりこれを伸ばしていく。それで次のYX計画をやる。それでエンジンも何も国産でやれるように相当技術改良、新しいものの発掘といいますか、そういうことをひとつおやりいただきたいということをお願いいたします。それでけっこうです。
  87. 華山親義

    華山委員 関連してちょっとお聞きいたしますけれども、このYXというのはどういう型のものか、またジェット機なのか、そういう点どういう構想を持っておられるか、お聞きしておきたいと思います。
  88. 本田早苗

    ○本田説明員 最近調査会の中間報告が出ましたが、技術的な点でございますので担当の課長から御説明さしていただきます。
  89. 加藤博男

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  YS11が国際的に非常に評価を受けて、日本の航空機といういわばブランドも確立してまいりました。一方YS11は御承知のようにターボプロップでございまして、いわばまだジェット旅客機ではないわけでございます。いずれ航空機の本命はジェット旅客機にならざるを得ないということは関係者ひとしく認めておったところでございますが、当初日本の国力なりまた当時の需要からああいうものを開発したわけでございます。したがいまして、そういう点を背景にいたしまして、四十二年度にこれから日本がつくるジェット旅客機としてはどのような飛行機がいいかということを調査するためのオペレーションズ・リサーチというのをいたしまして、昨年度一ぱいかかりまして、その報告が出てまいりました。  その結果の概要を申し上げますと、いわゆるジェット旅客機には違いありませんが、エンジンについてはファンエンジンと申しますか、非常に専門的な表現で恐縮でございますが、従来のジェットエンジンの前にプロペラを小型にしたようなものをつけたものでございまして、これは特に低空における燃料消費率が非常にいいようでございます。こういうものが旅客機として運航コストが安いということからそういうタイプがよろしい。大きさはやはり日本の実力も考慮いたしまして、九十人前後の大きさのものがいい。あと速力それから足の長さ等がございますが、ジェット機として普通のものでございます。こういうような答申がございまして、それに基づきましてただいま日本航空機製造の中にYXの開発部と申しますか、そういうグループをつくりまして、そういう答申に基づく具体的ないわば基礎研究を開始したところでございます。これにつきましては基礎設計ができまして、またエンジンも残念ながらまだ輸入せざるを得ませんので、エンジンの大きさ等々も勘案いたしまして、具体的なスペックはこれから基礎設計の段階で固まっていく、そういうことかと存じます。  以上でございます。
  90. 華山親義

    華山委員 製作に着手される目安というのはございますか。
  91. 加藤博男

    ○加藤説明員 御質問の趣旨でございますが、量産に入る……。
  92. 華山親義

    華山委員 量産といいますか、試作といいますか、そういうことに入るめどはありますか。
  93. 加藤博男

    ○加藤説明員 ただいま申し上げましたのはいわば設計の第一段階としての基礎設計でございます。でございますけれども、それはおのずから設計が固まりまして木型と申しますか、実物大の木型をつくり、また現実的な設計に戻り、それから試作機に入るということで、現在は四十七年度と申しますか四十八年度当初までには試作を完了いたしまして、四十八年度以降量産機をやりたい、そういう目標ではおります。それはこれからの具体的な検討の段階である、そういう状況でございます。
  94. 赤路友藏

    赤路委員 次に中小企業高度化資金融通特別会計なんですが、先ほど丹羽君が質問をして大体お聞きしたのでわかるわけです。とにかく事業団へかわったわけです。だからいままでのこれはなくして事業団へかわった、こういうことなんです。ただ私の言いたかったことは、四十一年度のこれを見てみますと、中小企業高度化資金融通特別会計で、四十一年度は四十五億七千万円の貸し出しをやっています。そうして不用額が三十五億六千万円ある。それから不用額の出た説明があるわけですね。この説明を見てみると「不用額は中小企業共同工場建設貸与事業の計画を変更した都道府県があったので中小企業共同工場建設貸与資金貸付金を要することが少なかったこと等により、生じた、」こういう説明なんです。この説明を読んで、それで金額を両方対比してみて、私の受けた感じはどうも中小企業に対する対策というのですか、考え方というものが非常に消極的じゃないか、こういう感じなんです。このほかに中小企業関係の融資等がありますから、そちらのほうで相当補いがつくわけですけれども、そういう感じを受けながら中小企業関係の倒産を見てみますと、一千万円以上の負債で倒立圧しているのは三十九年が四千二百十二件、四十年が六千百四十一件、四十一年が六千百八十七件、四十二年が八千二百六十九件、非常に多くなっています。ことしはなお財政の硬直というようなことで、一応金利は一厘下げた、しかしながら窓口は九月まで依然として締めていくわけです。なかなかそう簡単ではないと思うのです。より以上の倒産が出てくるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけです。それでもう少しこれを見る限りにおいては積極的にやってもらいたい、こういうことを言いたかったわけです。もっと積極性を持って中小企業対策に当たってほしい、こういうことを言いたかったわけです。しかしほとんど丹羽君に対する御答弁でわかっておりますから、ただ私が感じたことだけを言っておきます。もう答弁は必要としません。何かあったら言ってください。——これにまだ関連がありますからちょっとおってください。  工場排水等規制関係、公害関係で、非常にこまかい数字ですね。たまたまそういうこまかいところへ目がいっちゃったので、何だばかな、そんなこまかいことでと言われたら困るから、前もって言っておきますが、四十一年度を見てみますと、工場排水等規制事務委託費というのがある。これが四十一年度の予算では二百六十万八千円、決算では百五万八千九百円、そういうことになっておるわけです。そうして委託した都道府県は七県、東京、千葉、埼玉、三重、京都、大阪、奈良、にこれが交付された。一体これで何をやろうとしたのか、こういうことなんです。この工場排水等規制事務委託費と、こうあるわけなんです。おそらくこれは例の水質保全二法に関するものだ。たとえば工場排水の規制法がありますね。そういうところがらこうしたものが組まれてきた。こう私は理解したわけです。それじゃ一体これだけで何をやろうとするのか。それなんです。金額が百五万で申しわけないですが……。
  95. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 最初に、こまかい数字でございますが、先生のおっしゃった、予算の二百六十万何がし、決算の百五万九千円ですか、これについてちょっと訂正申し上げたいと思います。先生のおっしゃった二百六十万何がしというのは、これは補正前の予算でございまして、当該年度、予算が補正されまして実行予算は百十九万八千円でございます。それに対しまして、決算額はおっしゃるとおり百五万九千円でございまして、こまかいですが、不用額が十三万九千円になっております。そういうことであります。いずれにしてもこまかいことはこまかいのですが、この予算は何に使われましたかというと、先生お察しのとおり、工場排水規制法というのがありまして、水質二法のうちあとのほう——前のほうは企画庁でもって水質基準そのものをきめていく。その企画庁のきめます水質基準を受けまして、通産省はじめ関係五省がそれぞれ所管工場について工場排水の規制を、現実の監督事務をやるわけでございます。その監督事務を、都道府県に半分近くまかしておるので、そのまかすにつきましては、その事務の委託費ということで計上しているのが、いま言ったこまかい数字でございます。  先生の御質問は、それでは、これは何をするための予算だということでございますが、簡単に御説明いたしますと、国が都道府県にこのお金を交付いたしまして、分析用の機器、水をとって水質基準に合っているかどうか見る、その分析用の機械の購入費、それから都道府県の職員がその工場へ行って監査する旅費、それからその際におけるそのものの分析の費用、かようなものでございます。
  96. 赤路友藏

    赤路委員 それで問題なのは、いまの御答弁にあるとおり、工場から排水のあるのを——いま水質基準をきめてあるのは二十河川ですね、その水質基準をきめた川への工場排水というものは、当然基準内のものでなければいけない。そういうことを監督をするのでしょう。だから、水をとって分析する、あるいは出かけていく。そうすると、二十河川の中にある工場というものはすばらしい数です。東京だけをとってみたって、これはすばらしいですよ。そこで私がお尋ねいたしたいのは、七県でこれだけとすれば、一県十何万しかならぬ。それは、十何万でも金は金ですからあれですけれども、それで何をやるのだ。一体本気になってやるつもりがあるのかどうか。  だから別の角度からお尋ねしますが、水質二法は法律ができたのは昭和三十三年ですね。その後政令百九十八号が出ておる。それからある程度改正されたように聞いたのだが、調べてみると別段所管大臣がかわったということはない。権限委譲は全然ない。たとえば都道府県知事に権限を移譲する、こういうことはない。三十八年十一月のものから比較しますと、種目が新しく二十二種増加しておる。それだけであって、権限委譲は全然ないわけです。そうすると法律に基づく責任者はこの政令に示されておるとおりに通産大臣であり、あるいは種別によっては農林大臣であるわけです。だからかわりはない。そうすると水質保全に関する法律によって水質基準がきまった。そのきまったものを全工場について調査しなければなりませんね。その責任があるわけです。もちろん通産大臣は地方の通産局長に委任しております。しかしそれをやれるのかどうか。私はこの金額を見て、これだけ公害問題が大きくなり、公害基本法ができ、やあやあいっておるのに、相かわらずこういう状態で、一体通産省は工場排水を規制するということになって、どういうかまえを持っておるのかという疑問を持ったわけです。こんなことで一体何がやれるのだということなんですね。いまの部長のお話のように、それはこういう分析をするとか、職員が工場に派遣されて調べる、その委託費、こういうのに出した。ところがこれではどうにもなりません。  それからついでですから申し上げますが、通産局にそれぞれ担当の課があるところがありますね。しかしそこに何人おるか。たとえば関東ですか、東京通産局、あすこで公害関係のそういう担当官が一体何人おるか、課長をまぜておそらく七、八人しかおらぬ。すると東京の、いまの水質基準の指定を受けた河川に廃液を流す工場は何万あるかというのです。ここが問題なんです。私が言いたいのは、たとえば都なら都はみずからの支配する東京都の地域の環境衛生といいますか、これは当然考えなければならぬ。その環境衛生を考え立場に立てば、都がまず工場をそれぞれ監督し、あるいは調査をする、こういうことを当然やるべきだと私は思います。しかしながらこの二つの法律は都はどうもできない。委譲すれば別ですよ。調査、監督その他ある程度のものを、どうなるかわかりませんが都のほうに委譲しておれば別ですが、そうでなければ都は都なりの条例、東京都条例をもって取り締まりや何かやるでしょう。しかしながら水質二法に関する限りにおいては、これらの適用の範囲内に関する限りにおいては、それは私のほうは存じませんといえば終わりになる。これは通産省が直接かからなければならぬ。そういう面がありはしないか。だとするならばそこらの点をよほど考えなければ、いつまでたっても工場排水が規制されるとか、廃液がよくなるとかいうことは、実際上の問題としてちょっと考えられない。それなんです。そこのところはどうお考えになりますか。
  97. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 いろいろの点の御指摘をいただいたのでございますが、まず、現在工場排水等規制法で規制する対象となっている業種は六十三でございます。それが五省にまたがっているわけでございますが、通産大臣が一番大株主で、六十三のうち三十八業種が通産大臣でございます。そこでその三十八業種の監督体制を申し上げますと、都道府県知事と通産局長と二手に分かれてやっておるわけであります。先生御指摘のとおりですが、都道府県知事に対しては当初はそのうちの五業種だったのですが、昭利四十一年九月に新たに政令を改正いたしまして十業種について追加委任をやっているわけでございます。したがいまして、現在におきましては、つごう十五業種が都道府県知事、そして残りの二十三が通産局長ということになっております。  先ほど非常に少ないというおしかりを受けました予算は、都道府県がやっている十五業種について都道府県がやる施行費ということに相なっておるわけでございまして、通産局については別途通産局のほうに計上されているわけでございます。予算については御指摘のように非常に少ないことは少ないのでございまして、われわれとしてもこれで満足しているわけではないので、毎年これを要求はしているわけですが、なかなか飛躍的には伸びないというわけでございます。ただわれわれとしては十分と思っておらないので、今後とも増していこうと思っておりますが、現在までのところ、都道府県の予算が非常に少ないために、この大事な監督事務がしっかりできないというような不平、不満はただいまのところ受けてはおりません。  それから次に御指摘の、いま言ったように、三十八のうちの十五は都道府県で二十三は通産局である。一体通産局のほうはどうなんだ。人員が非常に少ないではないかというおしかりでございますが、確かにこの工場排水等規制法の法律の規制というものを専門に担当しておる職員は先生御指摘のような程度でございまして、通産局では八、九人くらいだと思います。通産局というのはそういう用水課あるいは公害課というようなのが、名前はいろいろ違いますけれどもみんなありまして、そこに入りつけておる人間はそのくらいでございますけれども、八、九人でございますけれども、各いわゆる原課というのがございまして、重工業課、軽工業課、あるいは局によっては繊維課とか、いろいろ産業担当をする課が三つ四つあるわけでございまして、そういうものの職員が当該産業の監督に際しては必要に応じて動員できる体制になって、現に動員しているわけでございます。それから通産省はまた試験所というものを主要都市に持っておりまして、こういうところのやはり工場排水の防止、水質汚濁の防止ということに関連する権威をこれも必要に応じて動員することができるわけでございます。そういういろいろなものを全部動員いたすようにしておりますので、動員いたしますと、十分とは申せませんでございますけれども、一応この監督体制に遺憾なきを期しているわけでございます。もちろんこれに満足しているわけではないのでして、去年も私どもは非常な熱意を持って、通産局の人員増加を要求したのですが、この公害に限らずすべて人員増加まかりならぬということで涙をのんで引き下がったようなわけでございますから、決して満足しているわけではありませんけれども、一応そういう各原課の人間を動員すればまずまずできるもの、こういうふうに考えております。  それから最後の御指摘の都は何もできない、二法に関する限りは、通産省主管業種については通産省がやろうと言わなければできないということですが、これは通産省がやろうというわけではなくて、形式論からいえば企画庁であります。企画庁が水質保全法に基づきまして水域を指定し水質基準も指定するわけでございます。先生おっしゃるとおり国法ベースによる規制に関してはいま言った企画庁が水質保全に基づいて所要の措置を講じない限りはできないわけでございますが、しかしその範囲というのは全国ベースで大体やっておりますから、全国標準の水系、数府県にまたがる水系全部をにらんでやっているものですから、おのずから範囲が狭い場合もあり得るわけでございまして、当該府県に関してはもう少しきめのこまかい規則をやりたいというようなことが現にあるわけでありまして、東京都に限らず大阪府などでも現にあるわけですが、そういう場合においてはその国法ではみ出た分については条例でもって規制は十分できるわけで、そういう点法制局その他とも打ち合わせているわけであります。たとえば牛乳の製造業については規制をやっているけれども、ヨーグルトだけはやってない。そういう場合当該府県の実情からヨーグルトまでもやらざるを得ないというような場合には、ヨーグルト等、そういうたぐいのものはまとめて別途条例でもって十分規制をやれるような法律構成になっておるわけであります。  いろいろとりとめのない返事でございますが、一応これで……。
  98. 赤路友藏

    赤路委員 いま部長から御答弁あったようなことでしょう。しかし、だれが聞いてもいま部長はもっともらしい答弁をされるがね。四十一年度の工場排水等規制の事務委託費が二百六十万八千円でしょう。それを補正して、ふえたのではなしに百十九万八千円に減っているんだね。そしてなお不用額が十三万九千百円出ている。ふえるんじゃない、補正で減っている。しかも全国へ渡っているものなんです。全国へ渡っている、これがわずか百十九万だとは、えらいこまかいことを言うようだけれどもこれでは私はてんで姿勢がなっていないとこう言いたい。それはそれぞれの線で、都道府県は都道府県なりにあるいは通産局のほうは通産局なりにそれぞれいろいろな予算があるでしょから、その中でまかなって、これはほんの二階から目薬をちょっと横へ落としたようなかっこうで、それでかっこうがついたのかもしれぬ。しかし言いたいのは、そういうかまえ自身に私は問題がある。そうして法律ができたのは三十三年ですからね。今日まで十年余りになってようやくいま公害基本法がどうだこうだといって公害問題が出てきたわけです。そういう段階にあるだけに私は通産省に対してやはり相当本格的なかまえをしてほしい、これが一つ。  それからもう一つは、これは三十三年にこの二つの法律ができるときから問題になっているんですね。特に通産側のほうが非常に大きな障害の壁になった。これは一体何なのか。それはこの排水規制という、浄化するということは業者にとってみれば一つもプラスにならぬ。それを金をかけてそうして浄化して、浄化したものをまたもう一度回収して使うというんならば別です。浄化してそのまま川に流すとか下水に流すということになれば、費用を入れただけ生産コストが上がることになる。だから、三十三年に一番通産省が問題にしたのはそこなんです。この中小企業の連中にそういうことを押しつけたのではやっていけない。ものによりますと、小さい工場なら一工場ちゃんとする、だけの資金を出しても浄化装置ができない場合がある。だからそういう場合一体どうするかといったら、公害問題は、いまはもうただ産業が伸びればいい、日本の経済全体が進展すればいいんだというだけでは片がつかなくなってきている。そうした公害の問題を考える、そうしていま言うような中小企業なら中小企業立場、大企業にしてもそうですが、企業立場考えていけば、どうするかということを真剣になって通産省なり、企画庁が本庁であれば企画庁あたりがやっぱり組んで、政府自体がそれを考えなければならぬのじゃないか。特に中小企業の場合は、そういうものを中小企業だけにやりなさいと言ったって、実際上の問題としてこれはやれるものじゃない。理屈ではわかっても、実際上はなかなかそうしたものではないと思うのです。そうすると、それをあえて、社会環境をよくするというのですか、国民のために公害はなくしなければいけないのだという立場の上に立てば、それはもうやり方は融資をする、あるいは補助を出す、あるいは税の面で減税措置を考える、こういうこと以外には私はないと思うのです。それで、それに対してはある程度やっておられる。たとえば大きなところへ行きますとわりあいやっていますよ。協和醗酵なんかは開発銀行から六億金を借りて、だっと浄化装置をつくっておる。大きな工場は全部つくっておる。それに対しては固定資産税はかけない、こういうような減免措置もとっておるわけですね。中小企業に対しても、それぞれやるものには融資の措置はとっておるでしょう。ある程度の補助をしておるかもわかりません。ただ、そのやり方に私はもう一つ積極性がない。私はこのようなことをあれするつもりじゃなかったのだけれども、見ている間に、これ、あなた、規制する事務の委託費というものが百五方や何かで、これは全国的な問題ですからね。だからかまえ自体ができていないというわけです。いろいろ官庁側にしてみれば言いたいことがあるでしょう。言いたいことがあるでしょうが、がばっとつかんでものを見た場合にはそういうことが言えると思うのです。もちろんこれと関連して建設省の下水の問題があります。これをどうからましていくか、いろいろからんでくる問題はありますが、何といっても工場を監督する当面の通産省がまずその気にならぬことには、これはなかなか進展していかぬ、こういうことなんです。これだけを私は言いたかった。公害問題についてはもう少し本格的に取っ組んでもらいたい。こんなみみっちいことではどうにもならぬじゃないか、こういうことなんです。だからその点だけ十分考えておいていただきたい。  最後にもう一点だけ。産業公害対策に必要な経費というのがありますね。これが六千四百二十五万二千円ある。それで一般会計のほうの説明は、産業公害の防止を推進するためのばい煙等の排出の規制に関する法律及び工場排水等の規制に関する法律の施行並びに新規工業地帯における公害防止総合事前調査の実施のため必要な経費、こういうふうに出ているわけですね。この面で見ると、一億はないけれども一六千四百万あるわけです。ところが、この内訳ですが、これを見てみますと、なかなか捕捉しがたいのです。これが六千四百二十五万二千円です。この内訳を大まかでいいです、こまかい点はいいですが、どういうものがあるか、ちょっと知りたい。
  99. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 それでは全部をカバーできないかもしれませんが、おもなものを申し上げます。  新規工業地帯公害防止事前調査費、これがやはりこの中で一番大きいものですが、予算額で四千四百二十四万二千円、それから問題のさっき御指摘の工場排水等規制事務委託費、先生に小さいということでしかられたのですが、これが千百九万八千円、ばい煙測定器具整備費補助費、ばい煙規制法の関係で都道府県で自動車にばい煙の測定器具を全部積んで工場を回って検査しておる、それが四百十万円でございます。そんなところがおもなんでございますが、あとは調査費的なものが騒音、震動、悪臭、これは当時としては規制が行なわれてないわけです。最近は騒音規制法ができましたけれども、当時としてはまだ規制されてないけれども、これからすぐ規制をやりましょう、その間勉強しましょうということで騒音、震動、悪臭実態調査費が六十六万四千円、そんなようなところがおもなところであります。
  100. 赤路友藏

    赤路委員 それでわかりました。ちょっと捕捉しがたいと思って、この程度ではないかと思って調べてみたのですが、当初予算では、これは新規工業地帯公害防止総合事前調査費が四千六百五十七万一千円ですね。それからばい煙のほうは五百四十六万七千円、こういうふうになっておるわけなんですが、これも何ですか、補正で少なくなったということなんですね。どうも補正というのは私はふやすものだと思っておったら、減るほうもある、公害関係はみんな減っておるということになるので、どうもおかしいことになるのですが、私の言いたいことは、ずっと調べてみていって水質保全に関する二つの法律、公害関係が最近特にやかましいので、そういう面について通産省の取っ組みが私はいかにも消極的過ぎる、もっと積極的に取っ組んでほしい、こういうことです。だからそれぞれの企業が発展していくという、これは日本の経済発展のためにはそういう施策をし、これを推進していくというのが通産省一つの大きな使命であります。その点はよくわかる。だからできるだけそういう中で伸びていくようなことのためにむだを省いてやっていこうとするその行き方はわかるのですが、何といっても公害問題はよほど考えてもらいませんと、ますますこれは混乱をしてくる。通産省は何としてでも、これは一つのポイントですから、今後その面については十分な配慮をしていただきたいと思います。よく官庁の方々は大蔵省との折衝の場でのことをお考えになる。私は無理はないと思いますが、特に政務次官にお願いしておきますが、公害関係は先ほどから申しますように、なかなか複雑なものを行政上含んでおりますので、ある程度の政治的な配慮をやっていただかなければならぬのじゃないかと思います。たとえば最近になってから何か隅田川にドジョウが泳ぐようになったとかなんとかいっておりますが、だんだん現在の法律なり施策なりが進んでいきますともっと環境はよくなるのじゃないか。またそういうように環境をよくすることを重点的にこの際考えてやっていただくことを特にお願いします。  それでけっこうです。
  101. 華山親義

    華山委員 簡単にちょっと。先ほど補正予算で減額したということを言われましたが、補正予算の減額というのは、人事院勧告等によるベースアップ等のための事務費の節約という面から、機械的に割り当てでもされて節約されたものですか、別個の意味があって節約されたものですか。
  102. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 先生の御質問の前者でございます。大体年度の途中でもって、ベースアップその他の要因で特別に財源を捻出しなければならぬ場合、五%とか七%とか一般事務費の節約をはかり、その結果で補正になったものだと思います。
  103. 華山親義

    華山委員 資料をお願いいたします。ただいまの公害のための委託費、私もあまりにひど過ぎると思うので、ひとつ資料としていただきたいのでございますけれども、最近の数カ年にわたって、東京都だけでもよろしゅうございますから、東京都には幾ら金が行ったのか、そして東京都ではどれだけの金を計上したりあるいは使ったのか、それを調べていただきたいと思います。委員長、お取り計らい願います。
  104. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 提出いたします。      ────◇─────
  105. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 この際参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  昭和四十一年度決算外二件中、通商産業省所管審査のため、商工組合中央金庫より参考人として関係者の出頭を求め、意味を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人出頭の日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時十四分散会