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帆足委員 きょうは、
在日朝鮮人帰国の問題について御
質問いたしますが、この問題はもう常識的な問題でございますし、人道上の問題でありますから、くだくだしくは申しません。ただ、私は、いまだにこの問題が解決いたさず、多くの帰国望の朝鮮人の諸君が、この暑さの中をえんえん長蛇の列をなして、そして帰国の
要望を訴えておる姿を見まして、黙視するに忍びず、あえて、人道主義的な政治家として、また中庸の道を得、ヒューマンな
タイプの政治家としてビジョンを持っておる
三木外務大臣に、簡潔でけっこうですから、
責任のあるきわめて人間的な
答弁をしていただきたいと思う次第でございます。またそれに関連いたしまして、
日本赤十字の副社長はお留守でございますから、両部長に御来席いただきまして、そして問題の解決を人道的立場からはかりたいと存ずる次第でございます。
現在約五十万の
在日朝鮮人の諸君がおられまして、すでに協定の有効期間中に一万七千人前後の人
たちが帰国の意を表明せられた。また、これを社会学、統計学的に見ましても、五十八万の朝鮮人の諸君がおりますから、おおむね月に百人くらい帰国希望者が出るであろうということは、良識ある人
たちが予想しておるところでございます。これを
政府は軽率にも一般外国人並みに帰らせればよいではないかという表現で説明されましたけれ
ども、これは法制上の表現としては適当であろうと思いますけれ
ども、常識的な表現としては、
在日朝鮮人は特殊な事情に置かれておりまして、特に南北国交断絶、
日本との国交も回復いたしておりませんために、事実問題として帰国の便がないのでございます。しかるに、この問題につきまして、下級役人の一部の人
たちはかってなことを放言いたしまして、必ずしも公務員としての良心によるものでなく、きわめて低級な観点から、帰国の貨物船は幾らでもあるではないかとか、ナホトカ線で帰れるではないか、飛行機で帰れるではないか、香港を通って帰れるじゃないか、このようなことを申しますために、予算分科会主査の野原さんは、保守党の方でありますけれ
ども、聞くに聞き余って、
政府のその
態度は何事であるか、それはあまりにも不親切でばかばかしい
答弁である、注意を望む、したがって、予算分科会主査としては、この問題は、事実として帰る手段が原則的に非常に困難であるから、赤十字等にお願いして便宜をはかろうと言うて、せっかく
政府は努力しておる状況ではないかという御注意があったのでございます。また、翌日
外務大臣からファクトはファクトとしてやはり認めねばならぬから、これに対しては赤十字精神で
タイミングを得て解決したいと思うというお
ことばがありました。しかるに、その属僚さんは、その後も
態度を改めずに、また香港とかナホトカとかいうことを繰り返しておりまして、世上では多少精神異常ではあるまいかという世評すら立っておる状況で、速記録を見ておるならば、この
外務大臣のお
ことばと予算会科会主査のお
ことばに対して恐縮するのが
ほんとうであろうと私は思いますが、まことに官吏服務紀律上遺憾なことであると思います。ただ幸いにして、先日のコロンボ会談が相互に一部意思の疎通の不十分な点があってこじれまして、これに対しまする
質問に対して、
佐藤内閣
総理大臣から、この問題に対しては、申すまでもなく帰国のことは人権上自由である、しからば、その
方法を一体どうするかということになると、今回日赤を中心として
交渉し、たぶんこれは成功するであろう、成果をあげるであろうと実は心に期待しておりました、私はこの話がどういうわけでこわれたか、こじれたか、詳しく存じませんし、せんさくするつもりもございませんけれ
ども、人道上の見地から
話し合いを続ける、こういう立場に立てば、また再び相手のほうとも協議する、こういうことであれば協議をして、私はそういうものをぜひまとめたい、かように思っております、ただいまこれが不調になったことはまことに残念に思っております、
総理はこのような良識ある
答弁をいたしておられるのでございます。どうぞ
関係官庁の方もこの
ことばを肝に銘じてひとつお聞き取りのほどを願いたい。
さらに、一昨日の本
会議におきまして、三宅野党
代表から質疑がございましたのに対して、
総理は、北朝鮮人帰国問題についておふれになりましたが、これは人道上の問題でありますから、
政府といたしましては日赤の意向をも十分に尊重いたしまして、今後とも解決に努力するつもりでございます、このような
答弁をいたしておられるのでございます。私は、この
佐藤総理の御
答弁に関する限りは敬意を表する次第でございます。
しかるに、事実はどうなっておるかと申しますと、問題は遅々としてはかどっておりません。法制的に一般の外国人と同じ取り扱いをするというのはけっこうでございますけれ
ども、しかし、実務上にファクトはファクトとして帰国の便宜はないとか、二、三の行政上の便宜と申しますか、通常の取り扱いについて打ち合わせをする必要がありますので、これは赤十字ベースで話し合うことが妥当であろう、赤十字の良識で話し合ったことについて、
日本政府はこれに深く立ち入らず、ただ実務上の面について必要なことは、淡々として赤十字精神の範囲で政治的雑音を入れずに善処せられる、このように
佐藤総理の
ことばを私
どもは解釈して期待しておるのでございます。
しこうして、
三木外務大臣がしばらくまた御旅行中でございましたので、本日はこれをもって最後の討議にいたしたいのでございますが、外務
委員会理事会の御許可を得まして、この問題につきまして、外務
委員会の権威におきましてもそうでたらめな取り扱いをいたしたくないというので、逐次御
質問いたします。
まず、ただいまの
総理の三宅議員並びに楢崎議員に対する
答弁は、私は懇切にして誠意のある
答弁と存じますし、筋道の合った
答弁と存じますが、もとより昨日の法務
大臣の
答弁もこれを確認されました。厚生
大臣もそれを確認されました。
外務大臣はお留守中でございましたけれ
ども、もうきのう、おとといの本
会議には御
出席のことと思いますから、この
総理の
答弁を御確認なされますかどうか、ひとつ明確な御
答弁をいただいておきたいと思います。