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久保委員 簡単に
国鉄再建問題というか
経営の問題で二、三お尋ねしたいのであります。先ほども自民党のほうからお尋ねがありましたが、特に最近
国鉄の
財政再建というか、全体的な
再建方策、こういうものが
政府内部でも問題になってまいりました。このことはいまさら申し上げる必要のないことなのでありますが、いまやっている第三次
計画、これを立てるときに
国鉄は大きなデッドロックに乗り上げたはずなのであります。その当時、第一次、第二次五ヵ年
計画が中途で挫折した原因、そういうものを反省し、その批判の上に立って第三次
計画は立てられるべきなのだ。ところが、その第三次
長期計画というか現行の
計画を実施する際に、
政府と自民党は
国鉄総裁にから手形を渡した。から手形というのは、
財政についても、基本問題についても、いうならば
政府と自民党が責任を持つということである。たしか昭和三十九年度の
予算編成を、それでのがれていったと思うのです。当時私どもは国会に、
日本国有鉄道緊急整備促進法案というのを出しまして、われわれの意図するところを明確に申し上げました。そのおおよそは、第一点として、第一次、第二次五ヵ年
計画とも、
計画が中途で挫折した原因は二つある。
一つは、その
計画が経済の成長に伴わないほど小さいものであったということ。
計画が小さい。ところが、その小さい
計画自体も達成することができなかった。もう
一つの原因は、
政府が
財政的に特に責任を持たなかった。いうならば、
計画はあるけれども、
財政的な
計画というのは何もなくて、単年度の
予算編成の処理にまかされてきた。その中身は
運賃値上げと内部的な合理化の二つの面からやってきた。そして急場しのぎに、
長期の負債というか借り入れ金に依存してまいりました当然の帰結でありまして、今日あらためて見直す必要も何もありません。昭和三十九年度
予算編成のときに問題になっていたことであります。この問題を三十九年度の時点で静かに反省し、きびしくこれを批判して政策を立てなかったところに問題があるわけなのです。それをいまさらのごとく、
国鉄経営は償却前
赤字も間もなくくるであろうなんて、そんなことはとっくにわかりきった話だと私は思う。
そういうところからいきますと、今回またまた
運輸大臣の諮問機関の
一つである
国鉄財政再建推進会議というものができまして、ここで一応の結論を出して
大臣に答申がなされました。そのいうところは、大体においていままでの
諮問委員会の答申、そういうものとあまり変わってはおりません。ただ変わっているのは、この中でもいうとおり、三つの方法というか、三者とも負担をすべき問題である、いわゆる三方一両損と
新聞等では書いておりますが、そういう方向でやらねばならぬ。これまた、いままでと同じ
言い方であります。
一つは、利用される
国民も
運賃値上げというか、そういうものに協力してもらわなければならぬ。それから
国鉄の職員も合理化という問題に負担を、いわゆる犠牲というか、これは当然しょってもらいたい。三つ目には、
政府が
財政的に責任を持て。この三つなんですね。これはいま新しく結論をつけたものではありません。ところが、この
推進会議の特徴は、この三つの中で、つまみ食いはいけませんというだめ押しをしている。これが、これまでの各種の
意見より進歩した
意見であります。いうならば、いままでは二つだけ、
国民と従業員の負担だけを押しつけて、
政府の責任というのは、たな上げしてしまった、そういうことなんですね。だから、先ほど
大臣から
お話がありましたように、問題は、
政府がどう
財政的にこれは措置するかという問題が最後に残るわけであります。
ところが、たまたま
けさの
新聞に出ているように、昨日の、
大蔵大臣の諮問機関である
財政制度審議会は、いうならば二方一両損という形で
再建をはかれ。簡単にいうなら
運賃値上げ、合理化を徹底的にやれ、要員を縮減せい。それから
赤字路線は
諮問委員会、
推進会議のほうは、おおよそ二千六百キロといっておるようであるが、この制度
審議会のほうは六千キロをなまのままで撤去せいといいう。
国民大衆に対しては、
運賃値上げと
赤字線の撤去でこれをやっていく。さらにもう
一つは、
長期計画の工事費は一割削減せいという。来年度
予算編成で、その要求が
国鉄からいまなされているようでありますが、仄聞するところによりますと、来年度
予算編成の中で当然既設
線区の増強が取り上げられねばならぬ。ところが、既設
線区の増強については微々たる範囲でやる。大半は東海道、いわゆる山陽新幹線の方向にこの工事費が変わっていくような形であるとわれわれは聞いております。それでなくてさえそういうことなんですから、そこへ工事費の一割削減、設備投資を一割減らすということは、既設
線区はもはやかまわぬ。しかも、
国鉄の分野は何かというと、これは
推進会議も同じでございますが、
推進会議よりは制度
審議会のほうがきちっとしている。いわゆる
国鉄の分野は都市間の旅客
輸送、中長距離の貨物
輸送、都市の通勤
輸送に限定しろ、その他は一切もうやるな、分野からはずせ、撤退作戦をやれというのである。これでもって
国民大衆が納得すると思うかどうか、これはここにおいでの賢明な
大臣、
総裁はおわかりのとおりである。ところが、
政府部内にこういう
意見が出てきている。
そこで
大臣にお尋ねしたいのは、いま私が申し上げたように、過去におけるところの
国鉄経営のあり方についての答申は、何べんやってもこれは同じであります。つまみ食いをしてはいけないという
推進会議の一言だけでも忠実に守られるかどうか。少なくともきのう
大蔵大臣に答申された
財政制度審議会のような答申では、
国民大衆は納得しないし、また
国民経済的に見ても、
国鉄の存在理由というものは薄らぐであろう、また
再建も不可能であろうというふうに私は
考えているわけであります。間もなく政局は
転換いたしまして、このまま中曽根
運輸大臣として
大臣がお残りになるかどうか、これは保証の限りではないと思いますが、少なくとも有力な現
閣僚といたしまして、将来にわたって、あなたが手がけた
国鉄再建の問題は、これは
政治家としても貫き通さなければいかぬと思うのです。ついては、くどいようでありますが、
推進会議のつまみ食いをしてはいけない、特に
政府のお
考えについて、いかように
考えられておりますか、お答えをいただきたい。