○安福
説明員 お答えいたします。
たとえば、いま、新聞紙上で報道されました私の談話というものについて
お話があったわけでありますが、必ずしも新聞紙上で私の意のあるところを全部伝えられていないように私は感じております。それをここで弁明するつもりはございませんけれ
ども、歩合制度の問題につきましては私はこういうふうに
考えておるわけでございます。経済の
発展段階がいろいろあるわけでございます。したがいまして、
経営あるいは資本と申しますか、それの漁業をつかまえる形というものは、それぞれの経済
発展の
段階においていろいろな形態があるわけでございます。農業でも同じような問題があるわけでございますけれ
ども、たまたま八戸の近くはいわゆる南部
地方でございます。あそこの農地制度をお
考えになればおわかりになると思いますけれ
ども、終戦直後までいわゆる名子制度という制度があった。これは非常におくれた
段階の経済制度だと思うのでありますが、それがさらに
発展しますと、刈り分け小作という形に
発展するわけであります。同じような
事情が漁業の中にもあるということでございます。私の新聞の報道での
意見の、歩合制が合理性があるのだという意味は、それぞれ経済
発展の
段階において、そういう給与形態と申しますか、そういったものの合理性があるのだという趣旨で申し上げた。その趣旨の報道であるはずでございます。それで水産庁といたしまして、終戦後も労働問題について前向きに取り組んでまいっておるつもりでございます。ことに歩合制度につきまして、それ自身の合理性はあるにしましても、やはり経済
発展の
段階との関係におきまして歩合制度というものは過渡的なものである、こういうふうに
考えております。したがいまして、四十二年十一月でございますか、「労働条件改善の指導要綱」というものが、
運輸省との間においていろいろ議論があり、それが実施されております。それにつきましても水産庁はそれをそのまま
地方に流し、事あるごとに歩合制度の改善という問題について指導してまいったわけであります。八戸のいまの歩合制度の問題にいたしましても、たまたま本船につきましては全歩合制であった、こういうことが報道もされ、そういうようなものであったとは思っておりますが、かなりの
部分が改善されておるというふうに私
どもは
考えております。
ただ先ほど申しましたように、経済とか、そういった
発展段階との関連があるわけでございます。ただ、ここで非常に不幸な事態でございますけれ
ども、それには当然技術の
発展、経済の
発展、そういった問題が裏づけになりませんと、急激な給与改定というものには
一つの限界があるという趣旨で申し上げているわけでございます。それで水産庁といたしましては、基本的にはやはりこの歩合制度というものは過渡的な制度であるということを前提といたしまして、将来これをなくすべきだ、近代的な雇用関係が現出できるような経済基盤を生産
段階において打ち出したい、こういうことを鋭意長期にわたって
検討してまいっております。それで八戸のイカ釣り漁業の実態につきましても、まだ大多数のものが旧態依然たる操業の実態であるということはわれわれも認めざるを得ない、こう
考えておりますけれ
ども、一割まではまいりませんが、かなりオートマチックな機械化設備を備えた漁船が現実に動いております。ここでは非常に雇用関係も近代化され、乗り組み員も非常に少数で操業し得る、そういう現実に非常に機械化されました漁船、それによる操業というものが、ある意味では給与問題まで含めました非常に近代的な操業の実態になりつつあるわけであります。ある意味ではすべての漁業についてそういう経済的な基盤あるいは技術的な進歩というものをわれわれ自身期待したいわけでございますけれ
ども、むしろそういう問題からこの問題を
考えますと、イカ釣り漁業が一番早くいろいろな面で近代化し得るのじゃないか、われわれ自身こういう技術的な自信がございます。そういう面につきまして、強力に指導してまいっております。
それと並行いたしまして、先ほどから指摘されております給与形態の問題なり、あるいは船員保険の問題なり、そういった問題を関係官庁あるいは関係団体を含めまして指導いたして、だんだんそういう改善の徴が見えておる、こういうふうに
考えておりまして、われわれ自身必ずしも漁獲第一主義で水産行政をやっていく、そういうことじゃございませんので御理解願いたいと思います。