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1968-08-08 第59回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十三年八月一日)(木曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の 通りである。    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       川野 芳滿君    菅  太郎君       菅波  茂君    中川 一郎君       西村 英一君    福家 俊一君       水野  清君    井上  泉君       板川 正吾君    神門至馬夫君       内藤 良平君    矢尾喜三郎君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       春日 一幸君    沖本 泰幸君       松本 忠助君 ───────────────────── 昭和四十三年八月八日(木曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       菅  太郎君    中川 一郎君       西村 英一君    福家 俊一君       水野  清君    井上  泉君       板川 正吾君    神門至馬夫君       内藤 良平君    米田 東吾君       渡辺 芳男君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     石原 一彦君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省航空局長 手塚 良成君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     湯川 龍二君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 栄文君     ───────────── 八月一日  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出、第五十八回国会閣法第四四号)  都市鉄道整備促進法案久保三郎君外九名提  出、第五十八回国会衆法第二八号)  自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案  (久保三郎君外十四名提出、第五十八回国会衆  法第三五号) 同月六日  国鉄会津線及び日中線完全ディーゼル化等に  関する請願八田貞義紹介)(第三四号)  山陽新幹線建設に伴う側道設置等に関する請  願(大村襄治紹介)(第三五号)  中小私鉄バス振興助成に関する請願太田  一夫紹介)(第三六号)  大阪国際空港軍用機離着陸禁止等に関する請  願外二十三件(久保田鶴松紹介)(第九九  号) 同月七日  自動車検査登録業務地方庁移管反対に関する  請願小宮山重四郎紹介)(第一三〇号)  大阪国際空港軍用機離着陸禁止等に関する請  願外二十二件(久保田鶴松紹介)(第一三一  号)  同外二十三件(久保田鶴松紹介)(第一九三  号)  列車ふん尿処理貯留方式採用に関する請願  外四件(枝村要作紹介)(第一三二号)  同外九件(久保三郎紹介)(第一三三号)  同外九件(兒玉末男紹介)(第一三四号)  同外九件(下平正一紹介)(第一三五号)  同外九件(勝澤芳雄紹介)(第一三六号)  同外九件(楯兼次郎紹介)(第一三七号)  同外九件(千葉佳男紹介)(第一三八号)  同外九件(野間千代三君紹介)(第一三九号)  同外九件(広沢賢一紹介)(第一四〇号)  同外九件(山内広紹介)(第一四一号)  同外九件(山田耻目君紹介)(第一四二号)  同外九件(横山利秋紹介)(第一四三号)  同外十七件(神門至馬夫君紹介)(第一九五号)  国鉄信楽線存続に関する請願宇野宗佑  君紹介)(第一九二号)  山陽新幹線熊本まで延長に関する請願福永  一臣紹介)(第一九四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 八月六日  自動車検査登録業務地方庁移管反対に関する  陳情書外一件  (第四一号)  国鉄第三次長期計画に対する財政措置に関する  陳情書  (第四二号)  民間空港整備等に関する陳情書  (第四三号)  大阪国際空港軍用機離着陸禁止等に関する陳  情書(第四四号)  大畑線早期復旧等に関する陳情書  (第四五号)  阿波池田、川之江間の鉄道敷設促進に関する陳  情書  (第五二号)  東北本線複線、電化後の輸送改善に関する陳情  書  (第七九号)  阿佐東線の早期完成に関する陳情書  (第八〇号)  鳴門線、小松島線及び鍛冶屋原線の存置に関す  る陳情書(第八一号)  真岡線存置に関する陳情書  (第八二号) 同月七日  自動車検査登録業務地方庁移管反対に関する  陳情書  (第一二三号)  同  (第一六二号)  真岡線及び烏山線の存置に関する陳情書  (第一二四号)  会津線存置に関する陳情書  (第一二五号)  列車ふん尿処理貯留方式採用に関する陳情  書(第一四五号)  瀬戸内海幹線航路整備等に関する陳情書  (第一四六号)  港湾整備費国庫補助率引上げに関する陳情書  (第一四七号)  四国観光周遊ルート早期整備に関する陳情書  (第一四八号)  国鉄陰陽連絡新幹線建設促進に関する陳情書  (第一四九号)  へき地のバス事業育成に関する陳情書  (第一五〇号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  閉会中審査に関する件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件  航空に関する件(新東京国際空港に関する問  題)  日本国有鉄道経営に関する件  請 願   一 国鉄会津線及び日中線完全ディーゼル     化等に関する請願八田貞義紹介)(     第三四号)   二 山陽新幹線建設に伴う側道設置等に関     する請願大村襄治紹介)(第三五号)   三 中小私鉄バス振興助成に関する請願     (太田一夫紹介)(第三六号)   四 大阪国際空港軍用機離着陸禁止等に関     する請願外二十三件(久保田鶴松君紹     介)(第九九号)   五 自動車検査登録業務地方庁移管反対に     関する請願小宮山重四郎紹介)(第     一三〇号)   六 大阪国際空港軍用機離着陸禁止等に関     する請願外二十二件(久保田鶴松君紹     介)(第一三一号)   七 同外二十三件(久保田鶴松紹介)(第     一九三号)   八 列車ふん尿処理貯留方式採用に関す     る請願外四件(枝村要作紹介)(第一三二号)   九 同外九件(久保三郎紹介)(第一三三号)  一〇 同外九件(兒玉末男紹介)(第一三四号)  一一 同外九件(下平正一紹介)(第一三五号)  一二 同外九件(勝澤芳雄紹介)(第一三六号)  一三 同外九件(楯兼次郎紹介)(第一三七号)  一四 同外九件(千葉佳男紹介)(第一三八号)  一五 同外九件(野間千代三君紹介)(第一三九号)  一六 同外九件(広沢賢一紹介)(第一四〇号)  一七 同外九件(山内広紹介)(第一四一号)  一八 同外九件(山田耻目君紹介)(第一四二号)  一九 同外九件(横山利秋紹介)(第一四三号)  二〇 同外十七件(神門至馬夫君紹介)(第一九五号)  二一 国鉄信楽線存続に関する請願宇野宗     佑君紹介)(第一九二号)  二二 山陽新幹線熊本まで延長に関する請願     (福永一臣紹介)(第一九四号)      ────◇─────
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件につきましておはかりをいたします。  運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため、  一、陸運に関する事項  一、海運に関する事項  一、航空に関する事項  一、日本国有鉄道経営に関する事項  一、港湾に関する事項  一、海上保安に関する事項  一、観光に関する事項  一、気象に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、議長提出する国政調査承認要求書作成及び手続などにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますので、御了承を願います。  それでは、直ちに手続をとらせることにいたします。      ────◇─────
  4. 大野市郎

    大野委員長 本日の請願日程全部を議題として審査を行ないます。  本日の請願日程に掲載されております請願は、二十二件でございます。これらの各請願につきましては、委員各位もすでに文書表でその内容は御承知のとおりと存じますが、理事会において慎重に検討いたしましたので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  本日の請願日程中、日程第一ないし第三、第五及び第八ないし第二二の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、日程第四、第六、第七の各請願取り扱いにつきましては、今後十分検討いたしたいと存じます。      ────◇─────
  8. 大野市郎

    大野委員長 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。野間千代三君。
  9. 野間千代三

    野間委員 日通の問題について伺いたいと思います。  いわゆる日通事件といわれる福島社長以下五名、並びに池田正之輔議員大倉議員等に関する処分についてはすでに御決定をされておるところでございますが、そうした問題については、今後の法廷における取り扱いにまつことになると思います。そこで、他の国会議員、当時は三十名といわれ、最近は刑事局発表によると、衆参両院議員合わせて四十七名と見られております。この四十七名の議員日通の問題について検事局に召喚をされ、あるいは出頭を求められ、あるいは事情聴取をされ、いろいろなケースがありますけれども、そうした取り扱いが行なわれておるということは、これはお認めになるところと思います。すでに新聞紙上等でも発表をされております。  そこで最終的には、私は四十七名の衆参両院議員の氏名の公表を求めたいというふうに思うので、まず最初に、政治家に渡されている金額が一億九千七百八十万円といわれておりますけれども政治家に渡されているという金額幾らであるかということが一つ。それから、その金額を渡されている国会議員の数が、一説には四十七名といわれておるけれども、その人員は何名であるか。この二点について最初答弁をいただきます。
  10. 石原一彦

    石原説明員 御説明申し上げます。  本日、参議院の法務委員会が開かれておりまして、同じく日通問題が取り上げられておるわけでございますが、法務大臣及び刑事局長はそちらに出席してただいま答弁中でございますので、僭越でございますが、私がかわりに出ましてお答え申し上げます。  ただいま二点御質問がございまして、最初の点は政治家に渡った金額という点でございますが、七月二十三日、事件の終了とともに、東京地検の検事正から正式に発表されたといいますか、談話として出ましたことが私どもにも報告されているのでございますが、その内容につきましては先生御存じだと思いますが、私ども報告を受けたところでは、政治献金は約一億八千七百八十万円であるというぐあいに聞いております。  それからなお人数でございますが、この点は、先般衆議院法務委員会におきまして刑事局長が答えたのでございますが、先生が先ほど御指摘されたとおり、四十七名という数字になっております。
  11. 野間千代三

    野間委員 そうすると、一億八千七百八十万円が四十七名の衆参両院国会議員に贈られておるということが明らかになりました。そうすると一人四、五百万円の、相当の額になるわけであります。そこで当時検事局捜査方針として、政治家日通から渡されておる金の中で、性質として、一つ盆暮れつけ届けなど儀礼的なものとして渡されておるもの。二番目に選挙の際に、福島社長など親しい者が、その親しい議員個人的に陣中見舞いとして渡されておるもの。三番目に、日通独占、つまり米麦あるいは防衛庁などの独占輸送を維持するために、それを依頼をするために渡されたもの。四番目に、日通のいわゆる不正事件がだいぶ国会追及が始められた。昨年あたりから激しくなってまいりましたけれども、その不正事件追及回避をしてもらうために渡されておるものというふうに区分をして、当時追及をされておったと思います。  そこで、いま逮捕をされ起訴された二人の議員の方々の問題は一応おいて、いま言われました一億八千七百八十万円という巨額な金額、四十七名はこの四つのうちのどういう範疇に入る人員なのか。四十七名全部が第四番目に入るのか、あるいは第一番目に入るのかということはわかると思います。捜査を打ち切った過程でおそらく整理されておると思いますので、まずその人員の配分といいますか、結果について御発表願いたいと思います。
  12. 石原一彦

    石原説明員 日通事件につきましては、御承知のように使途不明金がございまして、当初は四億円余り、いわゆるリベートに基づく使途不明金というものがあったわけでございます。その後会社経理あるいは横領脱税等観点から、いわゆる使途不明金を洗うということに相なりまして、捜査が始まったわけでございます。そのうちの約二億近くのものはリベートとして日通に入っていなかったということで、これは別なことになりまして、その余の約三億くらいだったと思いますが、その点が現実の捜査対象になったわけでございます。そのうちのまた一億二千万近くは、いわゆる業務横領ということで、福島社長以下をすでに起訴したのでございます。残り政治献金その他の金になる、こういうことでございます。ところでいま申し上げましたように、この政治献金と称せられておるお金、及び業務横領お金は、要するにただいま起訴いたしました福島社長らの各種事件犯罪事実を明らかにするために出たものでございます。  したがいまして、先生の御観点からは、政治献金がどうだというぐあいでお尋ねになるのはよく私ども了承しておるのでございますが、私どもといたしましては、現在起訴された事件につきましての、まさに情状、金の使途ということになるわけでございます。その観点からいきますと、まだ公判は開かれておりませんし、裁判所との関係もございますので、それに関する捜査の結果につきましては答弁は差し控えさしていただきたいというのが、従前からの法務省の、あるいは検察当局の態度でございまして、本件についてもこれは例外ではないわけでございます。その点はまさに福島社長らの事件情状犯罪成否そのもの関係いたすのでございますので、内容について申し上げることはごかんべん願いたい、かように思います。
  13. 野間千代三

    野間委員 別に私いま内容まで聞いていない。答弁が早過ぎるのじゃないかと思います。そこまで聞いておりません。いまお答えのように、一億八千七百八十万円の金が四十七名の議員にいっているというふうにお答えになった。それならば一億八千七百八十万円という出てきた金は、捜査方針によると四つの項目によってお調べになった。私が申し上げた三項、四項つまり独占維持のため、あるいは不正事件追及回避のためということになれば、これは明らかにわいろになる。あるいは二番目の選挙の際の陣中見舞いということでも、これは選挙の時期になってこれが公式なものであれば、明らかに公選法違反なり、あるいは政治資金規正法違反になる。ところが四十七名は、そういうものに該当をしていれば、おそらく起訴されておっただろうと思うのです。しかし起訴されていない。したがって一項の盆暮れつけ届け、つまり儀礼的なものであるとか、あるいは西村さん、池田さん、福島さんというような副社長社長などが個人的に親しい関係選挙の際に陣中見舞いをやったとかというような範疇に入るものじゃないかというふうにはわかる。つまりそれは、そうなれば福島社長事件、あるいは大倉池田等事件には関係がないから、一億八千七百八十万円も出たけれども、四十七名もおったけれども起訴をしていないとなっているのでしょう。  そこでまずそこまで明らかになったので、四十七名のこの一億八千七百八十万円というのは、たとえば一項と二項と分けるというと、どういう人員の配置になるのですか。その程度までは調べてあるはずですね。そういうことは調べてあるはずだ。したがって、まず捜査方針と、それに関係をして調べられた人員、それはどういう関係になっておるのですかというふうに聞いておるのです。これは決してほかに関連がないと思います。
  14. 石原一彦

    石原説明員 まさにその点は捜査内容でございまして、今後公判において立証いたすべき事項でございますので、この段階ではお答えいたしかねます。
  15. 野間千代三

    野間委員 そんなことないよ。それならば、一億八千七百八十万円を、四十七名を出さなければいいんだ。なぜ出すのだ。出すならばその内容を出したっていいじゃないか。おれはまだその問題まで聞いていないのだよ。聞いていないけれども、これだけの金とこれだけの人員が出ているならば、その範疇に属しているのは捜査過程ではこれこれこれの人員でした、こう言えるのじゃないですか。
  16. 石原一彦

    石原説明員 その一億八千万円余りの金が出ましたのは、そしてまた東京地検談話として出しましたのは、使途不明金幾らかということが一つの問題であるわけでございます。この点は報道機関その他も熱心に探索もされたわけでございますが、その結果だけは一応の形として出たわけでございますが、これが約三億円になるわけでございます。一方、起訴状をごらんになればすぐわかるわけでございますが、起訴状横領金額をトータルいたしますと、一億二千万円になるわけでございます。いま一億八千万円から先に出ましたけれども、話はそうではないので、使途不明金がありまして、そこから起訴されたものが一億二千万円、残りは何じゃということになりまして、その金額計算上一億八千万円であり、それは大体政治献金である、こういう結果になったわけでございます。そこまではやむを得ざる結果として出たということでございますが、そのあとの先生の四点にあげられました点が捜査方針であるかどうか、この点私つまびらかには承知いたしておりませんが、かりに捜査方針であるといたしますれば、まさに捜査内容を構成するものであろうかと存じます。そして私が公判において問題になるからと申し上げましたのは、やはりある会社経理、あるいは個人でも同様でございますが、そこから使途不明金というような金がございまして、その金の使い道がどういうところであったかということは、やはり犯罪の事実に相当影響するのではないでしょうか。たとえば個人横領金額というような場合に、その中には女性関係で使ったとか、自分の遊興費で使った、あるいは部下を接待するのに使ったというようないろいろな内容があると思いますが、その内容がそのまま犯罪情状を構成するものであろうと考えます。ただいま先生のあげられました四点はまさにそのような情状に関することでございますので、申し上げることはできないということでございます。  なお、先ほど先走った答弁ではないかというおしかりを受けたのでありますが、あるいはそうかもしれませんが、実はこの点に関しましての詳しい報告を私ども受けておりませんので、かりに報告がございましても、申し上げられる内容ではないのではないかという意味お答え申し上げた次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  17. 野間千代三

    野間委員 そうすると、もう一回聞きますけれども福島社長以下が横領したのは一億二千万円である、三億円ばかり対象になったので、残りの一億八千万円が使途不明金なのであるということですね。そうすると一億二千万と残り一億八千万円、両方ともその中に政治家があるかどうかということになるのですか、そういう意味ですか。
  18. 石原一彦

    石原説明員 一億二千万円は福島社長らが例の別荘であるとか、それから社債を購入して分けたとか、そういう方面に使われた金でございます。それ以外に一億二千万円の中には政治家関係の分は入っていないというぐあいに私どもは了承いたしております。
  19. 野間千代三

    野間委員 そうなんだよ。だから福島社長横領したと称せられている一億二千万円の問題は、明らかにこれからの裁判の問題でしょう。ですから、裁判進行過程における問題であるから、私は一億二千万の問題は聞いていない。これは聞かない。もしこの中でなおかつ政治家関係する問題があるとすれば、そこから派生して政治家起訴されているはずなんです。されていないんだから、そこで残る一億八千万円の金がどうなっておるのか、これはあなた使途不明というのですね。そうすると一億八千万円というのが使途不明であって、それが四十七名の国会議員に渡っているというふうに直ちにこれは直結しないのですか、するのですか。
  20. 石原一彦

    石原説明員 こういうことでございます。全般的な数字で申し上げますと、いま問題になっておりますのは、いわゆる日通リベートでいった金が問題になっているわけでございますね。日通リベートでいった金というのが四億九千万円くらいあるというのが、当初の計数から出てきたところでございます。ところがそのうちの一億九千万近くは日通起訴された課長リベートを出す会社社長個人的に費消したものであって、日通には入っていなかった。したがってそれを引きますと、日通にいったリベートというのは三億円、こうなるわけでございます。そのうち横領という犯罪事実を認めて起訴しました金額が約一億二千万、こうなるわけでございます。したがって、その残り政治家にいっているということでございます。ところが全体の事件といたしましては、三億円もあるリベートがいかに使われたか、そういうような会社経理形態がいいのか悪いのかというような点がまさに将来の公判においては問題になるところでありましょうという点で、残りの一億八千万円につきましてもその内容を申し上げることは、申しわけありませんが差し控えさせていただきたいということでございます。
  21. 野間千代三

    野間委員 一億九千万円の、課長会社へいった、つまり日通に入っていないというのは別に問題にしていない。それから一億二千万円横領したということも私は問題にしていない。そうすると、三億円リベート日通に入った、そうしてそのうちの横領金額が一億二千万円である、そうすると算術計算で一億八千万円が残ります。残ったものは全部政治家にいったものであるというふうにどうして言えるのですか。政治家以外にもらった者はないのですか。何でも金は政治家に行くのですか。捜査の結果そうなったのですか。それをはっきりしてください。
  22. 石原一彦

    石原説明員 この点は、捜査の詳しい内容はもちろん本省といたしましても聞いていないわけでございますが、東京地検からのその分に関する報告に関する限りにおきましては、一億八千七百八十万円は政治献金である、かように報告を受けているわけでございます。また、そのように事件終結の際に発表された、かように私どもも新聞等で承知しているわけでございます。
  23. 野間千代三

    野間委員 では、もう一回確認するけれども算術計算で出てきた一億八千七百八十万円が政治家に渡っているということは、これは単なる算術計算ではなくて、つまり四十七人の国会議員に聞いた結果、明らかに数字どおり一億八千七百八十万円が四十七人の政治家にいっているということなんですね。
  24. 石原一彦

    石原説明員 さようでございます。その使途を検察庁で取り調べた結果そういうことに解明することができた、こういうように報告を受けている次第でございます。
  25. 野間千代三

    野間委員 それは第一点としてわかった。それは確認しておきましょう。  そうすると、問題は、この一億八千七百八十万円がストレートに政治家にいっているということ、それから四十七人もそうですね、四十七人だということでいいですね。しかし、四十七人の政治家は、大倉さんや池田さんのように起訴をされていない。つまり犯罪が構成をされないということなんですか。
  26. 石原一彦

    石原説明員 さようでございます。
  27. 野間千代三

    野間委員 犯罪は構成されていない。そうですね、起訴していないのだから。これから起訴することもないですね。
  28. 石原一彦

    石原説明員 東京地検発表によりますと、先般の七月二十三日をもって捜査はおおむね終了したというぐあいに聞いております。したがって、その後捜査が行なわれているとは私どもも考えておりません。
  29. 野間千代三

    野間委員 そこまではっきりしているのだ。そこまではっきりしているのならば、つまり、四十七名の人は犯罪が構成されていない。しかし、犯罪が構成されない金として一億八千七百八十万円が渡っているのです。そうなれば、あなたがさつき言った、裁判の支障があるということは、裁判の金は一億二千万円のほうの金なんだ。一億二千万円の金なんだから、したがって、一億八千七百八十万円を日通横領したというかリベートとして取ったことには問題がある。ですから、リベートの問題として、全部の金額の三億が問題になるけれども、さて、その使途となった一億八千七百八十万円は政治家に渡っていて、これは政治家との関係においては犯罪が成立しないということなんですね。だとすれば、この四十七名の議員は、いまは世評の上では悪いことをしたのだとなっている。日通なんてものからもらったから悪いことをしたということになっている。それをわれわれとしては晴らしたい。したがって、四十七名の人はこれこれこれこれの性質で、したがって犯罪は成立をしていませんということで、四十七名の議員の名前を公表することは、国民の不安あるいはあらぬ疑惑を払拭することになるのじゃないですか。どうですか。
  30. 石原一彦

    石原説明員 先生最初の御質問は、一億八千万円についての四つ範疇についてということでございましたので、その段階でお答え申し上げたのでございますが、ただいまの御質問は、四十数名の氏名をどうして公表できないのかという点でございますので、その点に関しての私どもの見解を申し上げたいと思います。  あらゆる事件について同様でございますが、本件につきましても、検察当局、この場合は東京地検でございますが、真相究明のためにあらゆる角度から厳正公平な捜査をいたしたということは、先生も御了承くださると思うのでございます。ところが、その捜査をいたしたのでございますが、起訴されたお二人を除きましては、そのほかの方は被疑者としては取り調べておりません。いずれも参考人として取り調べたのでございます。言いかえれば、被疑者として立件するに足るだけの証拠が収集できなかったということでございます。したがいまして、犯罪の事実がございませんので、私どもといたしましては、その氏名、事実等について申し上げることは、従前からの立場によりましてお答えは差し控えたい、こういうぐあいに答弁を申し上げておる次第でございます。  そこで、かりに公表すれば一体どうなるかということでございますが、第一に考えられますことは、先ほど来申し上げておりますように、現在起訴済みの裁判所に係属中の事件に影響を及ぼすということが一つあるわけでございます。それからもう一つは、適正な捜査の結果犯罪と認むべきものがなかったのだということでございますので、そういうことである以上、本人の名誉ということも考えますれば、公表することは適当ではなかろう、かように思うのでございます。  もう一つは、参考人として検察庁の捜査にいわば協力してくださったわけでございますが、その観点でいきますと、その取り調べ結果を公表するということは、将来、検察庁に呼ばれて取り調べを受けるとみなそれが国会で出てしまうということになりましては、今後の検察の捜査に非常に悪い影響を及ぼすのでございます。将来の検察運営に重大なる支障が生ずるということでございまして、これらの、大きく分けますと三つでございますが、これらにつきまして公表はいたしていないということでございます。本件につきましても、また昨年来ございました大阪タクシー事件につきましても、ただいまの点を申し上げまして、公表することはごかんべん願いたいというぐあいに従前より説明申し上げておるわけでございます。
  31. 野間千代三

    野間委員 いまのは説得力がないですね。公表をすると裁判に影響があると言うけれども、これはさっきから述べているように、事件が違うのだから影響があるわけがないですよ。それからその人の名誉を傷つけると言うけれども、実際に何もなかったのだから、なかったことをはっきりして発表するのだから、むしろ名誉がはっきりするのじゃないか。最後に、協力したからこそ、疑惑を持たれておる人を晴らしてやったほうがいいのですよ。それが親切じゃないですか。しかも一億八千七百八十万円渡っているのだ、それが衆参両院を含めて四十七名あるというふうに国会で言っているのだよ。新聞記者が言うなら別だが、国会刑事局長が政府を代表して、法務省を代表して四十七名と公表しているのだよ。日本の国会に、衆参両院を含めて何人いるかはっきりしている。その中の四十七名と言われている。しかもきちんと一億八千七百八十万渡っていると言っておる。そこまで言っておって、なぜ発表しないのか。しかもずっといままでの新聞を見ると、いろいろな人がちゃんと出ておる。これは日通ロビーである、これは日通系統の議員であるとか、これは個人的に福島関係がある議員であるということが発表されておる。実は私もこれだけいろいろなものを持っておる。この中にも名前は入っておる。ただ四十七名ぴったりないから言わないのだ。もしそうすれば、私は名誉棄損で訴えられるかもしれない。しかしあなたのほうで、この四十七名をこれこれの事情で参考人として聞いた結果何もなかったのだというふうに言ってあげれば、ここに載っている方々もはっきりするのだし、もしはっきりしなかった者があったらそれは起訴をすればいいのだ。そうじゃないですか。それではひきょうだ。それは政治家をないがしろにするものだ。いま一億何千万円もらっておっても、そんな金幾らもらっておっても、それが明らかに検察当局で法規に照らして問題がないのだということになっておって、その法規の関係どもちゃんと発表される、あるいはこういう関係でこの人はこういう参考人として呼ばれておったのだということになれば、これははっきりするのですよ。それで釈然とする。政界もはっきりするし、国民もはっきりする。たとえば、先日参議院の法務委員会であったように、柴谷さんもそうだ。あの当時は、大倉さんから柴谷さんにいっておるとおたくのほうは発表していた。ところが五日の法務省刑事局長の答えでは、柴谷さんにはいっておらなかったようだと言っておる。柴谷さんはほっとしているでしょう。一般もああそうだったのかとなっている。そういうふうに検察当局法務省のほうは国民に対する影響力があると言う。だが、あなたの言っていることは全く反対で、裁判に対する影響もよくする、名誉も回復される、協力した結果も出てくる、そういうことじゃないですか、どうですか。
  32. 石原一彦

    石原説明員 私ども、氏名は国会議員だから発表しない。国会議員でなければ発表するというものではございませんで、あらゆる場合につきまして、参考人として取り調べた者につきましては、先ほどの理由で公表することは差し控える、こういう態度をとっているわけでございます。  なお、柴谷先生の点につきましては、本日の参議院の法務委員会でも瀬谷議員から御質問がございまして、私たまたま傍聴いたしておったのでございますが、法務大臣の答弁の要旨は、捜査上やむを得ない関係から名前が出たのだけれども、自分個人としてはお気の毒に思っているという趣旨の答弁をされました。なお、金の点につきましては、証拠上、金がいったと認められる点はないということであったと思います。詳細は速記録をごらん願いたいと思うのでございますが、さような点でございますので申し上げておきます。  問題は、柴谷先生の名前がどうして出たかということでございますが、それは、法務省なり検察庁から特段に金がいっているというぐあいに発表したことはないと私は思っております。ただあの事件は、大倉議員に対するあっせん収賄の事件でございまして、第三者に対するあっせんということで出た問題で、その第三者に柴谷先生の名前が出たわけでございます。これは、令状請求するような場合にやむを得ない形で出たものである、かように考えておるのでございます。
  33. 野間千代三

    野間委員 金が渡ってもいない者を、金が渡っていない柴谷さんがああいうふうに新聞に発表されるんだよ。そうして、しかも一億八千万円もの金が四十七名にいっているというふうに最近また発表されている。それは国会議員でなければ、たとえば一般に一億何千万円が流れているとか何かだけならば、まだはっきりしないけれども、身分を国会議員と、ちゃんと四十七名を指定しているんだ。一般市民じゃないんだよ。一般市民にいっているんじゃないんだよ。しかも、国会議員衆参両院含めて何名とちゃんとわかっている。特定の国会議員というグループの中から四十七名と発表している以上、一般から見れば、国会議員はだれでも四十七名の中に入るわけだ。おれもそうだ。おれは呼ばれていないけれども、おれも四十七名のうちと言うだろう。特にわれわれは運輸委員会だ。笑いごとじゃないですよ、あなた。そうでしょう。なぜ四十七名と発表したんだ。四十七名呼んだから発表したんでしょう。呼んだ以上、じゃ、どういうことで呼んでどういう結果になったということを言ったらいいじゃないか。それを言わなければ結末つかぬでしょう。裁判が終わったら、あなたの言うような第一項と三項はそうするとなくなるね。裁判に影響がある、あるいは協力したからできないということはなくなる、裁判が終わったんだから。じゃ、裁判が終わった時点で発表するという予定ですか。
  34. 石原一彦

    石原説明員 先ほど三点申し上げまして、ただいまの御質問は裁判終了後の件でございますが、この点につきましては、刑事訴訟法上、記録――いわば刑事記録でございますが、それの公開に関する条文があるのでございます。その条文は五十三条でございますが、原則といたしまして、「何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは、この限りでない。」ということで、あと公開禁止事件等に関する例外規定がありますが、訴訟終了後は原則として閲覧されるということから、訴訟終了後にそういう事実が出てくるということはあり得るというふうに思うのでございます。ただし、ずっと前の浦和事件と称せられる事件でございますが、裁判の結果の批判になるような形では出ないというふうになっておりますが、ただいまの刑事訴訟法の五十三条の点から申し上げる限りにおきましては、裁判終了後は訴訟記録が公開されるたてまえで、その内容についても明らかにされることがあり得るということでございます。
  35. 野間千代三

    野間委員 いまの七人の方の訴訟の関係とは、この四十七名は論理的には無関係だ。論理的には、あなた言うけれども、無関係ですよ。だから、今度の訴訟の経過の中でもって、その訴訟の記録の中に四十七名がぴったり出てくるとは限らない。全然出ないかもしれない。そうでしょう。そういうことを言っているのじゃないですよ。そんなことじゃなくて、おたくのほうでは、いま裁判が進行中だから発表しないと言うから、そんならば裁判が終わったらば発表するのかと聞いている。訴訟法の五十三条の条文とは別のことなんだ。そこで、そういうふうに考える問題ではなくて、国会議員の名誉なり国会議員の問題としていまぼくらは聞いているわけです。しかも一億八千万円が四十七名にいっていると言うから、そう聞いている。だからこの際に名前をきちっと、これこれの理由でこうだというふうに詳細に発表すれば世の中ははっきりするじゃないか、こう言っているのですよ。いま、課長さんだからどうにもならないけれども委員長にこれは――法務大臣とうしたのですか。
  36. 石原一彦

    石原説明員 先ほどお答え申し上げましたように、参議院の法務委員会でやはり日通事件についての質問がございまして、そちらに出席中でございます。刑事局長も一緒でございます。
  37. 野間千代三

    野間委員 委員長、これは確かに法務委員会の問題ではある。正規には法務委員会の問題であるけれども日通というものは、これは運輸委員会関係がある。しかも運輸委員という立場の者について、いろいろ新聞紙上や何かで取りざたをされている。したがって運輸委員会としては、これは重大な問題としてけじめをつける必要がある。しかも一億八千七百八十万円、四十七名に渡っていると公表をしている。したがって、運輸委員会の名誉をきちっと確立をするためには、運輸委員会としてこれは当然いわゆる決議として、この四十七名の氏名を公表してもらう。その四十七名がどういう参考人として呼ばれ、それが結果としてはどういうことになったのかということを、運輸委員会としては法務省発表させなければならぬとぼくは思う。したがって、これは運輸委員会として、日通問題に関して一億八千七百八十万円が政治家に渡っているという、その四十七名の氏名について、運輸委員会としては、法務省が氏名を発表すべきであるという決議をすべきだと思うのですが、いかがですか。
  38. 大野市郎

    大野委員長 野間委員に申し上げますが、ただいまの御発言は後刻理事会でこれを検討いたしたいと思いますから、さよう御承知願いたいと思います。
  39. 野間千代三

    野間委員 これは、あとの問題もあって、あとの質疑の方にはたいへん悪いのだけれども、これはたいへん重要な問題だから、直ちに理事会を開いて相談してください。
  40. 大野市郎

    大野委員長 野間君、ただいま法務委員会に大臣が出席中でありまして、物理的にただいますぐ間に合わないようでもありますし、ことにその問題は後刻理事会を開くことでまげて御了承いただきたいと思います。
  41. 野間千代三

    野間委員 そうじゃないよ、法務大臣なんか要らないんだよ。委員長と野党の理事がおればいい。理事会で、運輸委員会が決議すべきかどうかなんだから、ぼくが言っているのは。これはやはり理事会をすぐ開いてください。
  42. 大野市郎

    大野委員長 きょうの議事は理事会で一応の進行状況をきめてありまして、それぞれ重要な問題の発言を控えておりますから、これらが一応軌道に乗りまして、委員会終了後に理事会を開きますから、その席までひとつお待ちを願います。
  43. 野間千代三

    野間委員 いま法務省のほうで四十七名の氏名を公表してもらっておれば、別に私は決議なんということは言わなくていいんだ。ぼくは二、三日前から、衆議院法務委員会あるいは参議院の法務委員会あるいは参議院の運輸委員会、きょうのこの運輸委員会というふうにずっとやっておりましたから、あした予算委員会もあるしするから、きょうあたりは大体のことは発表してもらえると考えておったから、したがってこの決議の問題なんか理事会に出さなかった、出す必要はない。しかしいま聞いてみると、あくまでも氏名は発表しない、こう言っているのですね。これは個人の質疑では限界がある。限界です。したがって国会の意思として、運輸委員会の意思としてこれは当然公表してもらうべきものだと考える。したがって、あとの問題はまだ時間もあるのだし、あと国鉄の問題とそれから航空の問題だから、これはこれとしてやっていただく。これは重要な問題ですよ。正直にいってぼくは親戚で言われる、おまえだいじょうぶかと。これはほんとうなんだよ。日通の問題が新聞に出るたびに、おまえだいじょうぶかと言われる、運輸委員だから……(「理事だからな」と呼ぶ者あり)そうだ、しかも理事なんだ。これは明らかにしてもらいたい。これは直ちにまず理事会を開いて、そして決議をすべきかどうかについてはかってもらいたい。
  44. 大野市郎

    大野委員長 重ねて申し上げますが、理事会で本日の議事が一応用意されておりますので、あすやるというのじゃなくて、委員会終了後に直ちに理事会を開いてこの問題を議題に供したいと思いますから、ひとつ議事の進行にはまげて御協力を願いたいと思います。
  45. 野間千代三

    野間委員 あと出されている議題は、国鉄のふん尿の問題とそれから空港の問題で、これは社会党でもって要求した問題、したがって質疑をする者も社会党が主としてやっている。その社会党の理事である私がそう言っている。もしどうしてもあとの議事がということであれば、あとの議事は延ばしてもけっこうです。この問題のほうが重要です。
  46. 大野市郎

    大野委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  47. 大野市郎

    大野委員長 速記を始めて。
  48. 野間千代三

    野間委員 日通事件に関連をして一億八千七百八十万円の金が四十七名の国会議員に渡っているという関係について、私のほうから、法務省によってその氏名を公表すべきであるという要求をいたしました、質問をいたしましたけれどもお答えがないので、一応法務省に対する私の質問は以上で――今後またあるにしても、一応今日は保留をいたします。  あと国会の運輸委員会取り扱いについては、委員長のほうで、国鉄に対する委員長の質問が終わってから委員会を休憩にし、私は、運輸委員会が氏名の公表を求めるという決議をすべきだというふうに考えるので、その問題について理事会を開会していただくというふうにしたいと思います。  以上で終わります。     〔委員長退席、砂田委員長代理着席〕      ────◇─────
  49. 砂田重民

    砂田委員長代理 日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。大野市郎君。
  50. 大野市郎

    大野(市)委員 前回の委員会におきまして、御茶ノ水追突事件などが頻発せられました国鉄の事故防止の抜本策を議題にされたわけでありますが、その委員会の席上、国鉄総裁答弁を私は得ておりますが、速記録を再読いたしますと、なお確かめねばならぬ二つほどの問題がございますので、この点を明確にいたしたいと思うわけであります。  問題の核心は単純なことでありまして、当日の私の質疑の骨組みは、安全運転の原則というものを中心にいたしまして、安全運転の原則を守るならば事故の防止が可能であるということを一つの柱にいたしたのでございます。そのときに前提となる柱は、一つは信号機に許容信号と絶対停止信号の二種類があるという問題で提起をいたし、同時にツー・セクション・クリアの原則で、列車がそのルールを守るならば必ず安全であるというダイヤをつくるときの技術的な原則を確認を求めたのであります。この二点に対しては、副総裁から明らかな肯定の、そのとおりであるという御答弁をいただいておるのですが、この安全の原則に対して、国鉄労組の委員長、副委員長のお二人の方の談話が新聞の社説に引用せられておったことを問題にして質疑をいたしましたが、当時のこのお二人の方の引用された限りの談話内容は、非常にわれわれ心配をするような内容でございました。安全の原則を否認されるような極端な伝わり方でございましたので、そんなことはあるはずはなかろうという質問をいたしましたら、副総裁もそんなことは考えられないから、部内の人たちであるから十二分に話し合いをしてただしますという答弁で終わったわけです。  その後に野間委員からの御質問が出まして、過密ダイヤの問題で質疑が続いたのが最後でありましたが、この点で私は実は心配な問題が出たのであります。これは速記録で明確でありますが、言うなれば、今日の山手のような過密ダイヤのもとにおいてはという前提で野間委員の御質疑が速記録に載りましたが、結局、人が多くて乗り切れないような状況であるから、すぐに設備をふやすといってもできないのはわかるので、人のはぎ取りをやらなければダイヤの円満運行ができぬのじゃなかろうかという切実な御質疑があって、これに対して、技術的に十二分に安全が組んであるが、そういう事態のときにはお客さんを札どめせんならぬという副総裁の御発言があったのであります。私はすなおに読めば、そんな状況のときに札どめをしなければ事故が起きますから当然でありますが、あれを読み直しますと、過密ダイヤだから事故が起きそうだという印象に読み取れば読み取れるのであります。この点、先ほどの組織の正副委員長の発言の確認と、同時に、副総裁から言われた、現実はそのとおりなんだろうけれども、非常に誤解を生むようなおそれのある、技術的に安全ダイヤであるが、乗り手が多過ぎてお断わりをせんならぬ状態であるという問題は、私は、安全の原則に照らしたならば、別個の範疇でこれは述べていただくべきものでないかという私見を持ちますので、国民の大都市対策不安解消のために、この二点に対して明確な国鉄総裁の、国鉄を代表しての御答弁がいただけることを望む次第であります。
  51. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 去る七月二十五日の当委員会の席上におきまして、大野先生から御質問がございまして、私御答弁申し上げました。その節、先生が引用されました読売新聞その他の社説の中にある、私のほうの神戸委員長並びに藤井副委員長の発言につきまして、私自身非常にふに落ちない点もございました。それで、八月二日、金曜日に、私は国鉄労働組合、動力車労働組合並びに新国鉄労働組合、三組合の幹部に別々に来てもらいまして、私だけでなしに、担当の井上常務並びに職員局長を立ち会わせまして、まず国鉄労働組合は、ちょうど神戸委員長が地方の大会へ行っていておりませんので、委員長代理に臼井副委員長並びに中川書記長二人が参りました。私のほろ三人と国労二人、十分話をいたしました。その節に、大阪の大会におきまする神戸発言、藤井発言あるいはそのとき参りました臼井副委員長自身の発言――これも週刊誌に出ております。これらにつきましての発言のときの事情をいろいろ聞きました。やはり倉卒の間で非常に意を尽くさなかった点もあるということを言っておりましたし、私どもといたしましても、長年国鉄につとめた人が事態を客観的に見誤るということは、これはあり得ないことだということで、いわばコップの中のお互いの争い、責任のなすり合いというものは何ら前進にならない、したがって、この際一切コップの中の争いはやめよう、お互いに手を携えて国鉄再建のため、事故防止のためあらゆる努力をしたいというふうに私は申しました。それに対しましては、何ら異議はない、国鉄労働組合としても事故を防ぐということに対しては、また国民の輸送の安全を確保するということに対しては、何ら異議はないということをはっきり申しました。  引き続きまして、動力車労働組合から兼高委員長が参りました。これは兼高君一人で参りました。やはり兼高氏は長年の機関士の経験者でありまして、事故防止については自分たち自身、ことに機関士としては自分の生命にも関することである、したがって、機関士の過失による事故など起こすことはないと思う、自分たちもあらゆる努力をしたい、これまでの争いはいろいろあるけれども、事、事故防止については、何らわれわれとしても争う気はない、あくまでも事故を防ぎたい、全力をあげて防ぐということをはっきり言っております。  また新国鉄労働組合も、立場は若干違いますが、同じ立場で、むしろ三河島事故以後にできました事故防止対策委員会、これは現在組合ごとに別々にやっておりますが、これをぜひ一緒にやろうじゃないかというふうな発言もございました。おのおのの組合、約一時間ないし一時間数十分でもって会見を打ち切りましたけれども、そういう意味で、その発言のときの事情等もよくわかりましたし、また彼らの言ったことが必ずしもそのまま、その気持ちのまま、率直に活字になってなかったということもよくわかりましたので、この際この事故問題につきましての労使の立場の対立はないということを相互に確認した次第であります。  次に、いま御質問の第二の点でございますが、いわゆる過密ダイヤと申しますことは――私どもは物理的に稠密なダイヤであるということ、これは認めます。しかしながら、最近地下鉄を見てまいった職員の話を聞きましても、モスクワの地下鉄は九十秒のヘッドで七両で運転しております。レニングラードにおきましては、これはやはり七両で二分間隔で運転いたしております。したがって、ダイヤそのものには、二分のダイヤということは決して無理ではございません。その点は物理的にはっきりとしております。ただ稠密な輸送人口のために、あるいは無理やりに電車に乗るという人などがございます。ドアが締まりかかっているのにそれを無理やりあけて乗ろうという人もおられますし、また場合によっては、車両が故障するということなどもございます。そういう場合には輸送が乱れるわけでございます。その際にも、いま大野先生のおっしゃったように、あくまでも安全運転の原則によれば絶対に事故は起こらない。逆に申しますれば、安全運転の原則によらなければ、ATSがあろうと、あるいはスピードチェックがあろうと、事故が起こる可能性があるわけでございます。したがって、そういった不測の車両故障あるいはホームの雑踏による列車の遅延等がありました際には、これは安全運転の原則によって運転をするということによって危険の防止をするわけでございまして、その際に一番心配なのは、むしろ駅あるいは跨線橋等における過密事故でございます。これは現に国鉄におきましても、戦前ではございますが、京都の駅で数十名の死者を出したことがございます。また戦後日暮里の駅におきましても、跨線橋に人があふれまして、やはり数十名の死傷事故を出したことがございます。したがって、私どもといたしましては、もしそういった電車の運転が乱れたときに、しかも電車は次々には参りますが、お客さんが殺到しては困るというためには、当然改札どめはいたします。お客さんが多数構内に入って不測の事故が起こることを一番おそれますので、改札どめをいたしますが、これはダイヤとは関係のない問題でございまして、むしろ不測の事故で、不測の事態でダイヤが乱れたときの旅客の収拾対策、旅客混乱の収拾対策という角度で、私どもは勇敢に改札どめをしろということを命じております。したがって、現時点におきましても毎朝、池袋、新宿等におきましても、急にお客が出てくるというような場合には改札どめをいたしまして、そうして少なくとも駅の構内に、あるいはプラットホームに収容力以上の人が入らないようにするということによって、不測の日暮里とか京都とかという事故を防ぐということにいたしておるわけでございまして、この点はお説のとおり、ダイヤの問題とは全く関係のない問題であるというふうに私どもは了承いたしております。  以上、御答弁をいたします。
  52. 大野市郎

    大野(市)委員 御本人自身に時間の都合でお会いにならなかったらしいのでございますが、しかし組織の代表者が、ただいま副総裁の、速記に残されたような考え方で事故防止に努力されるのは当然であろうと思います。その意味で今後も、そのとき私からもお話しいたしましたが、部内で異論があるようなことであってはどうしようもないわけであります。そういう点に対してひとつ格段の努力をされたい。  同時に、あれ以来、何日かの日がたったわけでありますが、論説委員の諸君とか、PRを担当するマスコミの対策が必要であるということを当時申したのでありますが、そのほか新聞などで散見すると、部内の管理体制もさらに引き締めをされたとかいう記事を見ましたが、マスコミの対策、管理体制の対策、現場の組織体である国鉄労組その他の対策万般に対しまして、さらに何か報告をされる内容があればこの際承っておきたいと思います。
  53. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 前回の委員会におきまして御指摘のございました、まずマスコミ対策のうちの特にいわゆるATSの問題につきましての一種の誤解でございます。これは私どものいままでの申し方も悪かったと思います。その点なるべくわかりやすいように書きまして、まずATSの生い立ち、それからATSの機能、それからATSがいままで防いできた事故の実際の数字並びに最後にATSと自動運転との違いというふうに区別いたしまして、「国鉄通信」と申します、うちで発行いたしておりますパンフレットの中で一番発行部数の多い、数万部の発行部数を持っております、これは全部の新聞社の論説委員、また先生方にも大体見ていただいていると思っておりますが、それに載せまして、ATSについての具体的な御説明をしたつもりでございます。またさらに最近、論説委員だけ集まっていただく定例の簡単な会食がございますが、その席でも詳しく御説明いたしたわけでございます。  また一方、部内の体制につきましては、私どもいままでも一生懸命やってまいったつもりでございますが、ああいった事故を起こしましたことは明らかに私の不徳のいたすところで、私の部下統率の至らなかった点であると率直におわび申し上げますが、やはり何とかしなければいかぬということで、ごく最近、今週の月曜日でございますが、全国の管理局長を第八十七回の運転事故防止委員会に全員招致いたしまして、全員でいろいろ事故防止についての問題、ことにこれから十月一日までに各線で非常に多数の切りかえ工事がございます。いままで皆さま方、先生方の御協力によりまして第三次計画をやってまいりましたが、その成果がこれからいま実を結ぶちょうど頂点でございます。そのときに事故をやってはいかぬということで、切りかえに伴う事故の防止あるいは現場管理の問題、この三つに重点を置きまして、各管理局長から率直な意見を披瀝してもらい、また最後に、各管理局長が自発的に現場の総点検をしたい、これは組合側でもそういうふうに言っておりました。組合側でも現場の総点検をしたい。これは多少角度が違うかもしれません。私どものほうでは八月の十日から十月の十日まで、と申しますことは、十月一日にダイヤ改正をいたしますと、どうしてもダイヤが多少乱れます。そのあと十日間くらいしませんとおさまりませんので、二カ月間、これを総点検運動、これは本社から押しつけたものでなくて、現場の管理局長のどうしてもこのままじゃ申しわけないという気持ちがほとばしり出まして、彼らの間で総点検運動の決議をいたしました。いま準備期間でございます。八月二十日から幹部総出でもって現場を督励し、また現場の意見をよく聞いて、事故の起きないように、また切りかえが十分うまくいくように持っていくつもりでおります。  また私自身、一昨日、昨日と現場に参りまして、いろいろ現場の人とも話をしてまいりましたし、また今後、国会が済みますれば、幹部全部現場に出まして、大臣からの御指示のような現場とのいろいろな話し合い等をやってまいりたい、こういうふうに思っておりますが、重ねて私自身の不徳をおわび申し上げます。
  54. 大野市郎

    大野(市)委員 以上で終わります。
  55. 砂田重民

    砂田委員長代理 この際、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ────◇─────     午後三時三十一分開議
  56. 大野市郎

    大野委員長 再開をいたします。  引き続き国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。神門至馬夫君
  57. 神門至馬夫

    ○神門委員 私は列車内の汚物の処理の問題、列車便所のふん尿改善対策の問題についてお尋ねしたいと思います。たいへんきたない話になりますが、非常に緊急を要する問題でありますので、若干将来の問題について質問し、国鉄あるいは関係当局の御答弁をいただきたいと思います。  八月の五日に日比谷の公会堂におきまして、約二千三百名の者が集まりまして一これは主として国鉄の保線労働者であります。線路の保守をやっている労働者が集まりまして、列車便所の改善集会なるものを持ちました。そしてそのスローガンには、こういうことをいっております。憲法第二十五条にいう公衆衛生の向上とは、国民にふん尿を浴びせることか、こういうスローガンを掲げてこの大会を持っておるのであります。そしてその決議を見ますと、鉄道開設以来九十六年になる、しかし九十六年前と同じように、この列車内のふん尿の処理、どういいますか、いわゆるたれ流し方式が行なわれている、こういうような実態において憲法第二十五条もあったものではないではないか、こういうようなことが決議文の中に入れられておるのであります。そして、この大会に私もちょっと出てみましたが、非常に来賓が各階層から集まっていたこと、特に東京都美濃部知事も出られまして、この列車便所の処理については昔から非常に気にかかっていた、こういうことを言っておられました。このように列車のふん尿の処理のしかたが、あるいはつぶてとなったり、あるいはしぶきとなって飛散することによってこの処理がなされている。これはまさしく現在の列車便所による大きな公害であります。そして、日本の東京のどまん中の日比谷公会堂でこういうふん尿問題が論議されるということ自体が、これがいかに大きな社会問題になっているかということをつぶさに何よりも物語っていると私は思うのであります。  いろいろと質問なり、あるいは当局の考え方を尋ねてみたいと思うのでありますが、私たちはいわゆる開放性のものを俗称たれ流し飛散処理方式というような言い方で言っております。これは国鉄だけじゃなしに民間鉄道にもあることなんです。鉄監局長のほうにお尋ねをしたいのですが、ふん尿処理の方式としては正式にはどういう処理の方式であるか、このことをお尋ねしたいと思うのです。いわゆる新幹線の場合はタンク方式あるいは貯留方式というような言い方を言っていますね。これは何方式というのか。
  58. 大野市郎

    大野委員長 答弁は簡潔に願います。
  59. 町田直

    ○町田説明員 きめられた処理方式というのは正式にはございませんで、ただいま御指摘のございました消毒式と循環式、こういうふうに大体二つに分かれているわけであります。
  60. 神門至馬夫

    ○神門委員 鉄監局長ちょっとおわかりにならぬのじゃないかと思うのですが、いまのような循環方式とかあるいはタンク方式とかいうことでなしに、現在いわゆる飛散による処理の方法をやっていますね。こういうような処理の方法の便所は、正式には何方式というのか。いわゆるたれ流し方式とか、しぶき方式とかいろいろ言われていますが、これは国鉄のほうでは何方式と言っているのかということをお教え願いたい。
  61. 湯川龍二

    ○湯川説明員 ただいままでのは特に名称がございませんで、車両の便所と称しております。
  62. 神門至馬夫

    ○神門委員 その処理方式が特に固定した名称がないくらい、九十六年間放任されていたということを何より物語っていると思うのです。ですから新しい方式についてはそれぞれ名称があっても、九十六年間そういうふうな飛散方式そのものが列車便所である、こういうふうなことに実は問題があると思うのですが、一つずつ尋ねてみますから、これは大まかなお答えになってよろしいと思うのです。  いま列車から排出するふん尿の一日の量ですね、これが社会問題になっているのですが、一体どのくらいあるのか。この辺は当然、今後措置される以上は、まずもとになる量というふうなものが検討されてしかるべきだと思うので、お答え願いたい。
  63. 湯川龍二

    ○湯川説明員 これはさだかに実は測定が困難でございまして、いろいろお客さんの乗っている数、それから私どもも、最近の新しい車両にはタンク、それに循環をさせる薬を入れましてやる方式とか、あるいは消毒方式を使うということもありまして、東北線その他で実は調査をしたことがあるのですけれども、これは特定の列車についてお客さんの利用度、ある区間乗りましてどのくらい御利用になるか、これは季節によりまして若干違うのでありますが、そういった調査の結果いろいろ算定してまいります一つの根拠といたしましては、年間に御利用いただくお客さま、その中で定期のお客さんと普通のお客さんがいらっしゃるわけですが、その中で普通のお客さんも国電区間をお乗りになっている方がおいでになりますのでそれを差し引き、また定期のお客さんで一般の便所のついておる列車を御利用になっている方と国電を御利用になっている方がおいでになりますので、それを差し引くと四十二年度といたしまして二十六億人の方がお便所を御利用になるような列車に乗っていらっしゃるというような勘定になりまして、一日にしますと、大体七百十七、八万人ということになるわけでありますが、それらの方々が利用される便所の回数とかいろいろな数字につきましては、いろいろの算定方式がありますが、私どもが試験をしました列車で御利用になるお客さんの回数その他を調べまして計算をいたしましたところが、これはまあ大小ございますが、これら合わせまして大体十三、四万リットルになるのじゃないかという計算が出ておるのです。また一方、他の分野で御計算になっておる分野がありますので、そういった算定方式を使いまして、人数をいまのようなことで計算してまいりますと、大きいので六十七、八、まあ七十トン足らず、それから小さいほうで、これはリットルになるわけですが、五万リットルになるというような数字もありますが、こういった数字はいろいろ幅がございまして、われわれも具体的にとらまえ方についてなお検討しているところでございます。
  64. 神門至馬夫

    ○神門委員 国鉄労働組合がこの問題について量を計算しておりますが、もちろんいまおっしゃられる実態調査ができるわけはありません。ある程度の推測なんですが、相当数量としてはあなたがおっしゃるものよりか違うようですが、しかしたいへんなふん尿がばらまかれながら、目に見えない状態で、あるいはプラットホームから構内の見えるところにも、これはそのままの原形をとどめておるものもありますが、大体目に見えないような処理のしかたがされておる。こういう状態になってまいりますと、衛生上もたいへんな問題になるのじゃないか。特に都市構造の関係上、高架を列車が走っております、あるいはそれまで野っ原であったものが鉄道がつくことによって都市化してくる、こういうようなことになってきますと、その飛散するいわゆる黄害、これは黄色い害の黄害でありますが、こういう黄害が及ぼす影響というものはたいへんなことだろうと思うのです。  専門家の話によると、大のほうには大体一〇%から二〇%大腸菌がおる、あるいは赤痢菌については健康保菌者で約五十万人おるといわれます。寄生虫の保有者は、これは日本人が世界で第一番だ、こういわれる。こういうふうなものをばらまきながら列車が走っておるとすると、たいへんなことになるのじゃないかと思うのです。それで国鉄のほうでも、三月の予算委員会の分科会で答弁されたところによりますと、労働科学研究所のほうでこの問題を調べている、こういうことを言っておられますが、このような列車ふん尿の及ぼすものがどういう結果をもたらすか。具体的にいえば、たとえばプラットホームの汚染範囲ですね。いわゆる列車が入りますプラットホームのふちから一体どの範囲までそんなしぶきが、目に見えないものが飛んでいるのか。あるいは列車が走行中に、いい景色を見ながら窓をあけて弁当を食べている。実際にはその窓から霧が入っておるわけです。そういうものもどういうふうな影響を及ぼしているのか。いわゆる車内に流入する度合いですね。あるいは、さっき申しましたような高架鉄道による汚染度あるいは汚染範囲というようなものは、どの辺の範囲のものがあるか。あるいは隧道内においては攪乱気流になります、そういうことによって及ぼす影響はどういうふうなものがあるか。あるいは沿線に野菜をつくっておる、そういうものが清浄野菜として市場には出ておるのだが、実際はたいへんな問題だといわれておる、そういうようなもの。あるいは赤痢菌が、列車の排便がもたらす結果による赤痢の伝染ではないかというような部分的社会問題になった事例があります。そういうようなことにどういうふうな影響があるのか、あるいは保線労働者に及ぼす影響というものは衛生上どのように考えておいでになるのか。毎日ふん便をかぶりながら仕事をしておるあの保線労働者ですね、この辺のものについて、簡単でよろしいから具体的に御説明願いたいと思います。
  65. 湯川龍二

    ○湯川説明員 これはなかなか調査方法がむずかしいと申しますか、いろいろございますようで、かつて徳島の病院の方が調べられた例、あるいは長野大学の先生が調べられた例もございます。いろいろ調べ方もございます。おがくずを飛ばしてみるとか、あるいはトイレから赤インクのついたものを飛ばしまして窓の付近に散る状態を調べたものもございますけれども、まだはっきりとした具体的な伝幡範囲というものはつかまえておりません。東鉄にも衛生試験室がございまして、ここで、線路の高架で通っておるところ、特に橋げたのところを通らして、下に通ずるというようなところに落下する状態、飛散の状態を調べてみたこともございます。これらにつきましていまデータをいろいろ検討しておりますが、まだ明確にどの範囲までということが実はさだかではございません。なおわれわれといたしましても、十分これからそういったいままでの諸調査、またこれらの具体的な個所について調べてみたいと思っておりますが、早急にそういったことについて、実際の状況を、地区によっていろいろな状況があると思いますので、調べてみたいと思います。
  66. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうするとまだ国鉄のほうにはその調査データがない、データそのものがないということなんですか。
  67. 湯川龍二

    ○湯川説明員 部分的なことはございますが、非常に局地的ないろいろな状況でございまして、全般的な判断をする資料には十分でないというふうに考えております。
  68. 神門至馬夫

    ○神門委員 私らが調べた範囲内においては、プラットホームにおいては、大体五十五キロくらいで出入りするとすれば、プラットホームの端から五、六メートルは汚染されておる、あるいは普通の踏切の場合は線路の端から大体二十五メートルの範囲内が汚染をされるのではないか。高架鉄道の場合はこれが三十メートルから三十五メートルくらいこの汚染の範囲が広がるのではないか、こういういろいろなものがあるのです。しかし、保線労働者のほうから、このふん便による衛生上の問題というのは国鉄当局に早くからあがっておるはずなんですが、そういうふうにいっておるのですか。これらに及ぼす衛生上の問題というのは、国鉄当局のほうで別に検討したことはないのですか。
  69. 湯川龍二

    ○湯川説明員 私どもといたしまして、保線の作業ももちろんでありますが、各所でいろいろと油を使ったりよごれた作業をしておりますので、こういう問題がどの程度汚染になるかということとは別に、とにかく作業の関係でよごれることもかなりあるということでございますし、現実に線路にはこういった汚物が落ちているということもありますので、そういった作業環境の問題といたしまして、保線の作業者には、自動車の巡回で検査に出かける、そういった場合の自動車にもお手洗いを備えつける、これはもちろんこういった汚物の汚染だけでなしに油その他でもよごれますので、やっておりますのと、それから、作業の職場にはおふろも消毒液も備えまして、一般的な衛生管理の一環としまして十分作業員の保全につとめるということで現在までは来ております。
  70. 神門至馬夫

    ○神門委員 九十六年来の問題であるから慢性化している点があると思うのですが、このふん尿の処理問題というのは実はたいへんな問題だろうと思うのです。それで、先日も大臣のところにこの問題で請願者に同行したのですが、大臣のほうでは、案外この問題については早くから関心を持たれて、積極的な具体策をいろいろ考えておいでになるようですが、具体的なものについてどのような予算で、どういうふうにお考えになっているかはまたお聞きするとして、大臣としてはこの問題についてどのような関心を持っておいでになるか。いまこの問題は非常に――この間、日比谷の公会堂に私一時間ばかり行ったのですが、各界の、婦人代表、沿線住民の代表あるいは自治体の首長というものがこもごも立って、いまさらのようにこの問題に驚き、そして怒りを込めて改善要求をしておいでになります。これまで予算委員会でもすでに問題になった点ですが、大臣としてはどういうふうにお考えになっているかお聞きしたい。
  71. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 国鉄の便所の問題は私も実は関心を持っておりまして、ことしの春の議会のときに鉄監当局に調査を命じたこともございます。最近国鉄の従業員の諸君がその点の改良を強調されてこられたことは、私は時宜に適したことだと思って、ひとつ一緒に力を合わせて改良する方向に前向きに取っ組んでやろうと思っておるわけです。  ただ、国鉄はいまですら千二百億の赤字を持っておりまして、利子負担だけでも千百五十億ですか、一兆数千億の借金をしてやっている状態でありますから、九十七年間のものを一朝にして改良するということはできないと思うのです。そこで年次計画を立てて、そして長期的展望のもとに緊急度の強いものから改良に着手する。来年度からそういうことをひとつ始めてもらおう、そう思いまして当局に対してその調査検討を命じまして、できたら来年度予算で着手する方向で努力していきたいと思っておる次第でございます。
  72. 神門至馬夫

    ○神門委員 大臣が非常に関心を持っておいでになることを先日も伺って私ども喜んでおるわけなんですが、国鉄当局なり民間鉄道なりが実はいまのような列車便所の重大な公害の原因になっておるわけですが、一体便所はどういうふうな方法で改良したらよろしいと国鉄当局なりあるいは鉄監局長はお考えになっているか、お答え願いたいと思います。
  73. 湯川龍二

    ○湯川説明員 ちょっと私おそく参りまして、あるいは鉄監局長からお答えが一部出たのかもしれませんが、在来の方式は御承知のようなことになっておりますが、新幹線は御承知のように最初は、タンクをつけまして、これは屋根の上に水がありまして、これはお手洗いのほうも含めて流すようにしてあるわけですが、二両でもって一つのユニットになっていますから十二両編成で六両、つまり全体では六両についているわけですが、二両ごとに御存じのような形でお便所がついております。これは下に合成樹脂のタンクがついておりまして、大体一トン程度入る。これを新幹線では用いておりましたが、これですと水が――ことばがどうも恐縮ですが、水増しになるというかっこうになりまして、非常に利用度が少ないばかりでなしに、列車の運行処理にも非常に困難を来たすということもありまして、循環式というのに、いま皆さんが承知しておる形に――これは飛行機で使っておるような形でありまして、消毒液が一定量入っておりまして、これらと汚物とがまざりまして落ちるわけでありますが、それをろ過いたしまして、その消毒液が循環をしてくるというので循環式と申しております。こういう形でありますと、循環液が大体全体の量の半分入っておりまして、水増しする場合よりもはるかに有効に貯留できるということになりますので、しかも消毒をし、着色した形の液が回るということで、飛行機でごらんのように、あるいはまた新幹線でもすでに六割以上そうなっておりますのでごらんのように、そういう形に新幹線は間もなく全部なる。それからその他の線区につきましては優等電車と申しますか長距離の電車、それから「あさかぜ」等を含めました長距離列車、寝台列車、これらは最近新製してくるに従がいまして消毒式という方式をとっておりますが、これがすべてついております。ただし、残念なことに、現在ディーゼル動車で走っておる若干の急行がありますが、これはディーゼル動車は機器が下に非常にたくさんついておるものですから、これにつけることについていろいろ技術的に検討しておりまして、これは若干おくれておりますが、長距離の急行列車、寝台列車等については消毒式というのがついております。消毒式といいますのは、消毒液が処理されたあとに流れていきまして、汚物を粉砕をいたしましてこれと消毒液とまざりまして外部に放出するという形でございます。これは現在のところ新幹線は東京――大阪間でございまして両端に、また中間の三島にも一部電車を留置しておりますが、そういった個所に地上に汚物を取り出しまして放出する設備がございますのでできるわけでありますが、他の地帯につきましては列車が全国各方向に行っておりますので、これらの地上設備を完備いたすという計画がなかなかすぐにはできませんので、さしあたり消毒方式というのをそういった列車に取りつけることによって進めてきておる。現在、新幹線では三百九十六両、全編成の車両数の半分になるわけでありますが、それが結局全部の便所ですが、それに先ほどの方式がつきまして、それからいまのような一般線路における長距離列車、急行列車、特急列車等についておりますものが大体千両になっております。大体、毎年こういった形でふえてまいりまして、本年度も昨年に比べて約三百両近くがそういう形でふえておるということになっております。
  74. 神門至馬夫

    ○神門委員 そういう中で、いまの消毒方式あるいは粉砕方式といわれておるのですね、あるいは新幹線でやっておるようなタンク方式、貯留方式というのですか、その二つの改良した便所があるのですが、どちらが理想的なんですか。詳しい説明はよろしいですから、どちらが理想的で、そうしてその理想的な便所にするためには現在の国鉄車両の場合、どのくらいの予算を必要とするのか、投資規模を必要とするのですか。
  75. 湯川龍二

    ○湯川説明員 その他の方式は先ほど省略いたしましたからこの二つだけについて御質問にお答えいたしますが、いまの消毒方式は、消毒して衛生上無害の形にはなるわけでありますが、やはり汚物といいますか、そういう形で放出されるということになりますので、飛散その他は、もちろんその出し口のところになるべく飛ばないような設備もいたしますけれども、線路上に落ちるということはこういう形式でありますから、ありますので、望ましい形としては、やはりまとめましてタンクで基地まで持っていって処理するというのがよろしいというふうに私ども考えております。  なお、そういった形で現在持っております車に設備してまいろうといたしますと、大体車両関係で、一つの車両に、車の形にもよるのですけれども百万円、あるいはディーゼルのように下部を改造するということも含めますと二百四、五十万かかるというようなことがありまして、全部いたそうといたしますと大体三百五、六十億かかるかと計算しております。それから地上設備が要りまして、それぞれ列車が走ってまいりますので、一個列車参りましてもそこで処理しなければならないということになりますので、二百四、五十カ所のところに地上で、いま品川とかあるいは大阪で処理しているような処理設備をつくる必要がある。これらに、さだかではありませんが、一応の計算では四百ないし四百五十億ぐらいかかりそうだということで私どもいま鋭意検討をしております。
  76. 神門至馬夫

    ○神門委員 その中で、そういうふうにタンク方式にする一たとえば消毒方式というのは病気の菌は殺すかもわからないが、汚物であることには間違いないのですね。だから、きたないものをまき散らしながら走ることには変わりはないのだから、結局タンク方式にする以外に根本的な解決はない。大臣がおっしゃるように、九十六年の弊を一挙になかなか解決できないという、この点はわかると思うのです。ましてやいま国鉄の場合は二兆一千億も借金がある、一年に一千三百億の返済をしているという中で、五百億をそのほうへ回そうとすると第三次計画にも重大な影響があるというふうないろいろな問題が考えられます。しかし、そういうことは考えられるとしても、九十六年前の状態が今日この文化国家においてそのまま、いわゆる、きたないことばでいえばたれ流しの飛散方式で済まされていいということは絶対あり得ないと思うのです。ですからこれに対する調査研究をもう少し、国鉄はまだ資料もないというような状態なんですが、衛生観点からも早くこの資料を集めていただきたいと思うのです。そのようなものをきっちりと集めて、資料として運輸省なりあるいは大蔵当局に要求することによって、これが実現すると思う。主体は国鉄当局ですし、あるいは鉄監局長のほうで――民間の鉄道も同じことなんです、この辺をどういうふうに処理をしていただくかということは。ただ国鉄の問題ほどではないだけですから、鉄監局長として全体を監督していただかねばならない重要で緊急な問題だろうと思うのです。  それで大臣、先ほど所見をお伺いしたのですが、いま国鉄が直すとしても四百五十億程度の金が必要だと言っております。民間の場合も、これは相当な金が要るだろうと思う。国鉄にいろいろ調査研究等について指示はされておるようでありますが、この予算の背景が、いわゆる国鉄内部でやりくりをするということになってくると、いま国鉄経営問題が政治問題として抜本的に検討されているような実情の中に、なかなか実現はむずかしかろうと私は思う。ですから、いろいろ年次計画的にこのものを指示されるとしても、その予算的な面においてはどういうふうなお考えがあるのか、この辺をお聞かせ願いたいと思います。
  77. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 お説のとおり、四百億とか八百億とか膨大なものを国鉄がさらに引き受けてやるということは、なかなか困難な問題でもあります。そこで長期的展望のもとに年次計画を立ててと申し上げ、緊急度に応じてとも申し上げたのであります。それにしても、ある程度の金がよけいに要るわけであります。そういう点から来年度予算の編成等において国鉄財政の内容をよく見きわめまして、まず第一義的には国鉄に知恵をしぼってもらって、国鉄財政の内部においてこれを出してもらう、国鉄内部の改良問題でもあります。そのほか来年の国鉄の財政全般から考えると、国がいろんな部面でめんどうを見てやらないとやれない情勢もあると思いますので、いまやっております国鉄財政確立推進会議等の議論もよく拝聴しまして、総合的にあんばい処理していきたいと考えております。
  78. 神門至馬夫

    ○神門委員 時間が短いので、具体的な数字なんかは私のほうからもあげないし、当局のほうからもそういう点については聞かないのですが、ただ現在の列車便所という名称しかないといわれる、九十六年来の旧式のいわゆる開放性の分、これのもたらす現象というものは衛生上非常にたいへんな問題だということは、目に見えないだけであって、いまさらのように国民全体がびっくりするだろうと思う。また国鉄当局としましても、むしろ列車の窓をあけて走るというのは、新幹線なんかは密閉でありますが、あけて走るというふうなことは奨励できないだろうと思うのですね。あの状態からいけば、プラットの場合でも白線よりあとに下がりなさいということですが、おそらく中央のほうへいかないとふん尿の飛散範囲外に逃げることはできないだろうと思うのです。これが事実なんですね。これはおそらく住民要求として、いまの時代にこういう問題が一体あるのかというふうに、いまさらのように大きくクローズアップされることだろうと思います。いま大臣のほうからも積極的にこの問題を取り上げるという話がありますが、何といっても鉄監局長なりあるいは国鉄当局のほうで、この列車便所の汚物処理、ふん尿処理の問題について緊急に、来年度予算に間に合うように作業をひとつ進めてもらいたい。その要求する中で、これは運輸大臣も大蔵大臣も、いろいろと全体の中での配慮はあると思うのですが、そういう積極性を見せてもらいたいと考えるわけです。その点についての約束は鉄監局長なり国鉄当局のほうでいただけますか。
  79. 町田直

    ○町田説明員 ただいま大臣からお答えをいたしましたとおりでございます。予算の編成の全体の姿を見まして、その中で前向きに積極的にこの問題を解決するように努力いたしたいと考えておる次第であります。
  80. 湯川龍二

    ○湯川説明員 国鉄といたしましても、かねてから、三十九年から先ほどの消毒式などの生まれてきましたのもその過程でございますが、実際の汚物だけでない、いろいろな遺棄物などもありまして機械が非常に破壊されるというようなことで、せっかくつけたものが走行中に機能停止になるということが非常に多うございまして、そういった点についてもいろいろと、もちろん乗客の皆さんの御協力がまず根本ではございますが、そういったことも絶えませんので、これらについて強度も増す。あるいはまた先ほどのお話のように、実際の処理量から見まして最も有効適切な形を考えなければならぬということもありますし、一番大事と申しますか、私どもがこれから熱心に取り組んでいかなければならない問題は、先ほどのように一応の消毒方式は進めておりますが、将来の姿としてできるだけ早くタンクで循環させる方式に持っていくということが、機械の構造からいいましても実は望ましいということもありますので、そういった点を考えますと、何といいましても地上の基地を整備していかなければならないということがあります。これらには地域それぞれの、こういった汚水、汚物、し尿等の処理についてのいろいろ御協力も賜わらなければなりませんし、具体的なそういった設備につきましても、個所個所によりまして、下水道あるいは汚水処理場等の完備している都市の近傍にあるところもございますが、そういったところでないところもありますので、汚物処理の方法についても基地において十分処理できないといけないということもありますので、そういったことも含めまして、早急に今日の段階における技術を駆使いたしまして成案をつくって、運輸省御当局にもお願いに上がりたいというふうに考えております。
  81. 神門至馬夫

    ○神門委員 それじゃ時間が来たようでありますから、ひとついまお約束いただいたように国鉄及び民間鉄道、これは鉄監局長のほうにお願いして、ぜひともいまのような列車便所のふん尿処理の方式でないようにタンク方式に全面的に早急に切りかえるために具体的には資料を集めてもらって、それが実現するように今年は特に予算要求をきっちりと出していただきたいと思うのです。また次の運輸委員会では、それらの資料なり内容についてお尋ねしたいと思います。  終わります。
  82. 野間千代三

    野間委員 ちょっと関連して。いずれまたこの問題は論議をする機会もあると思うので、見解だけ聞いておきたいのですが、これは大臣にちょっと伺います。  清掃法という法律があって、第五条に便所のある車両を運行する者は環境衛生上の支障が生じないようにふん尿を処理することというふうになっているのですね。これはまさに「処理すること」だから、環境衛生上の支障が生じないようにしておかなければならぬ。いまのやつでいくと、質疑があったように、二十五メートルも病菌が飛ぶということになっておるわけで、これは環境衛生上支障があるんだけれども、どういうふうにお考えであるのか。  それから、その次に軽犯罪法のほうの条文によると、「公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」は「拘留又は科料に処する」となっておるわけです。便所には確かに停車中しちやいかぬということが書いてあるが、けっこう駅に汚物が置いてある。これは国鉄がさせたことになるのか、どういうことになるのかわからぬが、どういうふうにお考えになっておるのか。あとはまた論争は別にいたします。
  83. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 たしか清掃法の文章は「つとめなければならない」というようなことばがあったように思うのです。そういうような道徳的な性格が多少入った文章になっておるのだと思います。  それから軽犯罪法の点は、私よく法解釈はわかりませんが、やはり一つの施設の中で、一つの制度的なものとして慣習的にずっと認められてきたものでありますから、これを軽犯罪法違反として取り上げる対象には熟さない問題であろう、そう私思います。しかし、いずれにせよ、そういう長い間の慣習というものは、いい慣習なら続けていいのですけれども、近代文明国家としてあまりふさわしくない慣習は改革するのが当然でありますから、お説のとおりの方向に持っていきたいと思っております。
  84. 大野市郎

    大野委員長 航空に関する件について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  本件調査のため、本日新東京国際空港公団総裁今井栄文君を参考人として御出席をお願いし、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  参考人からの意見聴取は質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。水野清君。
  86. 水野清

    水野委員 先に公団の総裁に伺いたいのでありますが、本日の朝刊の各紙に新東京国際空港のマスタープランの図面が載っているわけであります。最初に、時間がありませんから簡単に伺います。この案は答申案というふうに新聞の記事に出ておりますが、答申案であるかどうかということと、このとおり実行されるのかということを伺いたいのであります。
  87. 今井栄文

    ○今井参考人 答申案でございまして、このとおり実行いたしたいと思います。
  88. 水野清

    水野委員 このとおり実行したいというお話なので、続いて伺いますが、第一期計画というふうにこの内容が新聞記事にはなっているわけです。四千メートルのA滑走路に沿って左のほうから貨物ターミナル、旅客ターミナル、さらに東の芝山町のほうに整備地区というふうになっておりますが、この計画が第二期のB滑走路、北のほうの二千五百メートルのB滑走路のほうにも同じように対照的につくられるのかどうか。そういうふうに各滑走路ごとに二分した方式でやることは、私はしろうとでよくわからないのですが、非常に不経済な感じがするわけであります。たとえB滑走路があとにできるまでにしても、それを予想してターミナルの心臓部に当たるものはいまから設計しておけばいいように思うのですが、それを分離しておられるということについて疑問があるのですが、これは専門家の御意見としては不経済だということは出なかったのかどうか伺いたい。
  89. 今井栄文

    ○今井参考人 昨日の計画委員会委員長の答申といたしましては、航空界の変遷内容的にいえば機種の変遷であるとか、あるいはまたいろいろな新しい施設の発明等の事態も起こってくるであろうし、非常に進歩の早い航空界に対応するためには、相当長期にわたっての検討を進める必要がある。したがって、二期工事についてはむしろ今後の研究課題にしたほうがいいというのが計画委員会の答申でございました。
  90. 水野清

    水野委員 いまの御答弁で若干私はあいまいさを感じたのですが、そうすると、けさの新聞記事、これは各紙に載っているから、おそらく公団かどこかで発表されたものと思うのですが、そうすると、この方式は将来は変わり得る、こういうことなんですか。
  91. 今井栄文

    ○今井参考人 私どもは、御承知のように昭和四十六年の四月までに第一期工事、四千メートル滑走路並びにそれに必要なターミナル・ビルディングあるいは貨物ターミナルその他保安施設等をつくることを政府から命ぜられておるわけでございます。したがって、私どもとしては、同委員会に対しましても、主として、でき得れば一期工事に早期に着工し得るような答申を期待しておったわけでございます。
  92. 水野清

    水野委員 それじゃ続いて伺いますが、整備地区というのがA滑走路の右のほうに、いわゆる横風用の滑走路、旅客ターミナルを横切って東南のほうにあるわけですね。この整備地区について、横風用の滑走路を横切って――ですからそこで飛行機の整備をすると、滑走路を横切ってずっと旅客ターミナルのほうに持っていかなければならない。そうすると、これは滑走路の利用の問題、それから距離があることによって時間を費やすというようないろいろな不経済、非能率だというふうな説があるわけです。それについて総裁はどういうふうにお考えになりますか。
  93. 今井栄文

    ○今井参考人 お答えいたします。  確かにB地域に整備施設を設けました点につきましては、御指摘のようなC滑走路を横切るという問題が起こるわけでございますが、私どもといたしましては、B地域の整備地域というものは、これは主としてオーバーホール、大修理を中心とするハンガーであるというふうに理解をいたしておるわけでございます。したがって、本来的にここへ修理に来る航空機は、数千時間飛んで定期に行なうべき大修理のためにここにやってくるというものを主とした対象に考えておるわけでございます。したがいまして、将来関係各方面と協議の上、あるいは他のA地域のほうにラインメーンテナンス、日常の整備のために必要なハンガーというものは当然設けなければならぬというふうに考えているわけでございまして、たとえばこの第一期工事の中でも、御承知のように貨物ターミナルというものが相当大きく、これは将来の貨物百四十万トンの伸びに相応するだけの施設をここへ計画いたしておるわけでございますが、当初からこれだけの施設が要るわけではございません。したがいまして、ラインメーンテナンスの仮の施設というふうなものもA施設につくることができますし、したがいまして第一期工事の完成の時期におきましてそういった不便はないことは、これはまだC滑走路ができない前でございますので当然に問題がないわけでございますが、C滑走路ができましてからも、ラインメーンテナンスの地域と、それからいわゆるオーバーホール等の大修理地域というふうなものを分けて、このいわゆる限られたスペースを最も有効に使うという点については、私はこれでいいのじゃないかというふうに考えるわけでございます。  それからなおもう一つつけ加えますことは、空港全体の施設計画といたしましては、エアラインの御要望もできるだけ満たす、それからまた、利用者である旅客の利便も十分考えなければならぬ、それからまた、この空港で非常に重要な機能を果たすCIQ関係というふうなものの機能も十分に考えていかなければならないわけでありまして、そういった全体の意見をできるだけ取り入れて調整してつくっていくということが、私どもの根本的な考え方であったわけでございます。
  94. 水野清

    水野委員 それじゃ続いて次の問題で伺いたいのですが、ただいまCIQのお話が出たのですが、このCIQ――検疫、出入国、関税、この三つの諸設備は、この空港敷地内のみで処理をなさるのかどうかということをまず伺いたい。
  95. 今井栄文

    ○今井参考人 おっしゃるとおり、空港の敷地内で処理いたしたいと思います。
  96. 水野清

    水野委員 実はこれはまだ私は一説だと思うのですが、日本橋に箱崎川というところがあるわけです。これは高速道路公団がこの付近に道路をつくっておりまして、放射何号線とか、だいぶ高速一号線、四号線が集中して、さらに高速六号線がその付近に来ており、将来は七号線が分岐して京葉道路、東関東高速道路につながるという高速道路公団の予定地があるわけです。そこに何かビルをつくって、そこで貨物の取りさばきをやりたいというようなことを計画をしておられる方がある。はっきり申し上げると、私の知っているのではシティー・ターミナルという仮称の会社をつくって、これはまだ会社はないわけですが、そういう企業をつくって、そこでさばいていこう。でき得ればそこで貨物関税ぐらいはやりたいというような話があるのですが、それについて御存じかどうか伺いたいと思います。
  97. 手塚良成

    ○手塚説明員 公式なものとしては、まだ私どもは伺ってはおりません。ただ一部に、先生のおっしゃるような場所にそういった構想のものを建ててはどらだろうというようなお話があるのを聞いております。考え方といたしまして、新空港が都心から六十キロという遠方にもございますので、その間の交通機関等のことを考えますと、そういったわれわれがいうところのダウンタウンビルということになるかとも思いますが、こういうビルがあるいは必要ではなかろうか。欧米諸国の例を見ましても、こういったものが相当つくられておる。中にはここで全部関税関係を済ませるもの、済ませないもの、いろいろございまして、済ませるものなどが非常にその使用率、効率が高く使われておるというような事例などもございますので、あるいは将来必要ではなかろうかと思っておりますが、詳細についてはまだ十分検討いたしておりません。今後の問題として十分調査の上、検討いたしたいというふうに考えております。
  98. 水野清

    水野委員 よくわかりました。そのことについて私は賛成でも反対でもないわけですが、あとでこの問題にもう一ぺん返ってきますから……。  次に、この空港の敷地の買収交渉も大体九割ぐらいは進んで、一筆測量も済んだということが新聞には出ているわけです。そうするとこのことは空港建設の進行上非常にけっこうなことなんですが、この用地の問題が見通しがつけばつくほど、今後、今度は次の問題として、地元の土地を提供した農民であるとか、あるいは騒音地域の人たちであるとか、これは商工業者もおりますし、それから成田、富里、芝山、多古、大栄というような一市、三町、一村の人たちの地元の就業対策の問題があるわけであります。  これは大臣に伺いたいのですが、せっかく今度補償金をもらうわけなんですけれども、その補償金をもらって就業対策を――農業をやる人は代替地をもらっていますが、就業対策を完全にやらないと、せっかくもらった金をまた使ってしまう可能性があるわけなんです。現につまらないことで、先に入ってくる見込みをつけてすでに金を使っているような農民の人たちもいるわけなんで、このことについて少し伺いたいのです。  まず第一に、私はこの前の運輸委員会で、大橋運輸大臣のときですが、この就業対策について、要するに空港周辺でいろいろな企業や職業が考えられるが、地元優先、地元の人にどうしてもできないものもあると思いますが、地元優先という方針を大臣も通されるのかどうかということを伺いたいのであります。
  99. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点は前大臣と考えを同じくしております。特に空港建設につきまして、地元優先という原則をできるだけ貫くということは、私も同感であります。そしてその地元優先に際しても、空港建設に対する協力の度合いあるいは犠牲負担の度合い等もよく考えて、協力が多く、犠牲の負担が多い人にはさらによけいのお返しをするということは当然考えるべきことでありまして、いろいろ施設や利便の供与、就職、あらゆる万般の問題についてそういう判断をもって処理していきたいと思っております。
  100. 水野清

    水野委員 そこで二つばかり伺いたいのですが、そのお話の大臣の御方針とややこれは違った方向で進んでいるのではないかという事例があるわけなんです。それは実は先ほど申し上げた箱崎川にできるターミナルビルと空港をつなぐ、あるいは空港と都内のホテル、あるいは空港周辺に将来できるホテルをつなぐのにリムジン交通というものがあるわけです。これはいま羽田と東京との間を営業しております。これは乗り合いができる、普通のバスとちょっと認可条件が違うのです。このリムジン交通がすでに成田の新国際空港のほうも自分たちがやるのだということを――現在羽田でやっている、近藤さんという方が社長のリムジン交通という会社があるのですが、これが大体既定の事実のようにしていろいろな計画を進めておられるように私は聞いているのですが、大臣はこういうものに対してそのまま許可をされるのかどうか、伺いたいと思います。
  101. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 許認可の対象あるいはそうでないものでも、いま申し上げましたような原則に沿って処理するように公団及び航空局に申しつけてやるつもりです。したがって、どうせリムジン交通なんかの場合も、これは道路運送事業法とか、そういう法律によって免許問題になると思いますが、そういう免許する際に際しては、ただいま申し上げたような基準をもって判断をすべきである、そう考えております。
  102. 水野清

    水野委員 非常にけっこうなお話なんですが、そうしますと、さっきの箱崎川のターミナルビルの問題です。航空局長に伺いますが、これはすでに私はこういう資料をもらってきたのですが、シティー・ターミナル株式会社(仮称)なるものをつくって、発起人の代表は日本空港ビルの秋山社長がなっております。そして都内の大体大きな私鉄の会社社長さんは全部これに参加している。いまのリムジン交通も参加している。三菱地所なんというものも入っております。こういうようなものを空港ビルにつくって、それで空港関係のいろいろな事業の足がかりにしようとしているというふうに考える。私は、さっき言ったように、箱崎川にターミナルビルをつくることは、これは都市計画その他から非常にけっこうだと思うのですが、その企業の経営形態問題でこれはやや疑義があると思うのです。おそらくこれはまだ正式な問題になっていないと思うのですが、これはひとつ厳にこういう動きを戒めてもらいたいということをお願いします。大臣でも、航空局長でもけっこうです。
  103. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大体、仕事は資本力とか経営能力とかあるいは経営の永続性とか、そういうことも考えなければなりませんので、そういう総合的な観点から、つまり事業法的色彩を持っても考えなければならぬ部面もあるわけです。ですから、地元の人がおやりになりたいということは、できるだけわれわれはその趣旨に沿ってやるように便宜をはかりたいと思いますが、どうも、地元ではとてもできないというふうな大がかりの資本あるいは技術、経営能力というものを要するものは、これはまた中央のものが出ていってやるということも、地元の発展のために考えてもいい問題であります。したがって、地元の人のために親切になるようにいろいろ措置をする、弾力性と幅をもってそういう親切という考え方を広げて考えてみたいと思うのです。  いまの具体的な問題は、そういう観点からどういうようにさばいたらいいか、よく検討してみたいと思っています。
  104. 水野清

    水野委員 大臣のお話で私は非常に満足なんですが、いまのお話のように、地元の人でできない仕事もあるわけです。たとえば帝国ホテルと同じようなレストランを地元の人が飛行場の中でやれといったって、できないわけです。しかし、できる仕事もある。たとえばタクシー事業なんというものはわりあいやりやすい仕事だ。あるいはこういうものが、経営ということになると、さらに高度のものですからできなくても、何かの方法で――たとえばリムジンなんというのはわりあい経営の苦労がほかのタクシーより少ないと私は思うのですが、そういうわけですから、そういうものについてはなるべく地元のタクシー業者だってやはり成田周辺の中小企業なんですから、そういうものを育成するような方向で持っていっていただきたい、これはひとつお願いをしておきます。  それからもう一つは、どうもいまのような御方針と違った一これは別に政府の方針ではないですが、民間企業がかってに出てきていることなんですが、もう一つ事例があるのです。それは成田に成田天然瓦斯という、天然ガスの配給会社があるのです。これは実は通産局の問題ですから、お聞きになっておいて、大臣にひとつお考えだけを聞いておきたいのですが、そういう会社があるのです。これはいままで成田市内の都市ガスの配給をやっておって、ようやく昨年ぐらいからわずかに配当ができるかというようなことになった。大体戦後につくった会社ですから、できたての会社だったのです。ところが最近、これは大体去年でありますが、この会社の株が三倍にはね上がった。いろいろ聞いてみると、ブローカーが飛び回っておったのですが、その買い元は東京瓦斯がおったわけです。結局今日は東京瓦斯が五〇%以上この成田天然瓦斯という会社の株を買い占めてしまったわけです。事実上経営権は東京瓦斯に移った。そうすると、これは将来国際空港の中の燃料ガスの供給をおそらく見込んでいるんだろうと私は思うのです。ここのガスの供給は、私はしろうとでわかりませんが、たいへんな数量だと思う。それを見込んでこういうことをやっておるんだ。ガス事業法というものによって、この会社がすぐ空港の中のガスの供給権を持ってはいないのですが、いろいろほかの例を見ると、供給地域を延長することによって、この空港の中の都市ガスの供給もできるわけです。私はこれはある意味においては、非常に人の目につかなかった利権のようなものだと思う。これは民間企業ですから、かってに株を買い占めることも自由でかまわないし、そこまでは阻止できないのですけれども、新たに空港地域の中へ事業の範囲を広げるという免許をするかしないかは政府の方針だと思うのです。その点でこういうものも、大臣は空港推進本部長でおられますから、大いに検討をしていただきたい。たとえばこういう会社が増資をする際に、必ずもうかるのでありますから、公団が半分持つとかあるいは地元のいわゆる土地買収をされた人たちや何かに対して株を優先的に公開してやる、そしてその利潤を配分してやるというようなことをやってやるべきだと思う。そういうような事象があるのですが、大臣からお考えを聞きたいと思います。
  105. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 通産大臣とも相談しまして、もしそういうことが出ました場合には、地元で犠牲を払われた皆さんや特に協力してくれた皆さん方に、できるだけシェアを分けるように協力していきたいと思っております。
  106. 水野清

    水野委員 実はあと、飛行場周辺に小中学校、幼稚園、保育園、それから精薄施設、社会福祉施設というようなものが非常にたくさんありまして、これを現行の防衛庁関係の基地周辺の騒音対策と同じような線で引かれると非常に迷惑するわけです。簡単に言うと、二重窓にするというようなことをよくいいますけれども、ぼろ校舎を二重窓にしても、さっぱり騒音対策にならないような例があるので、この問題についてやりたいのですが、やりだすと二十分くらいやらなければならないし、小川委員も待っておられますから、またの機会にやります。
  107. 大野市郎

  108. 小川三男

    小川(三)委員 いま水野委員から昨日発表されたマスタープランを中心として国際空港の建設についていろいろお話がありました。私は最初に今井さんに伺いますが、今日まで取得したあるいは契約の成立した面積はどれだけありますか。
  109. 今井栄文

    ○今井参考人 御承知のように、四月の下旬から七月の十八日まで敷地内の立ち入り調査に重点を置いて条件派の方々の住宅、立木等についての調査をいたしまして、七月の十八日に大体これを完了いたしまして、現在契約をやりながら、その調査結果についてそれぞれの項目の評価をやっておる段階でございます。現在までに取得した面積は、正確な数字は持ち合わせておりませんが、約六十ヘクタールであるというふうに記憶をいたしております。
  110. 大野市郎

    大野委員長 小川委員にお願いいたします。大臣は五時に約束で他出される都合がありますので、大臣の質問をそれまでに終了していただきますように、ひとつ御協力願います。
  111. 小川三男

    小川(三)委員 それでは伺いますが、いま空港を建設するという、建設する面だけであなたのほうで処理されておりますが、このこと自体、これで出発すること自体が、最初から無理なんです。あなたのほうでは無理だと理解しないけれども、これは最初から無理なんです。富里でだめだから三里塚という形で機械的にこれを持ち込んできた。したがって無理に無理を重ねている。あなたのほうで誠意をもって地元を説得すると言っているけれども、一体どういう形でやっているのか。四月の十八日から七月の十七日まで、二十四回現地で紛争がある。これは千葉県警本部長が県会で発表した数でも、機動隊は延べ九千人、おそらく私服やガードマンを加えたらもっと膨大な数が現地へ入っている。私のほうの調査だけでも、診断書をとっている農民の数だけでも百八十五名がけがをしている。こういうことで、どうしてこれを成功させることができるのか。これは今井さん、一体空港公団の職員はなぜ現地へこういうものを持っていかなければならないのですか。(実物を示す)これは空港公団の職員もしくはあなたのほうで頼んだガードマンか、その中に入っていたとすれば私服か。警察のは、これを押せばさっと出てくる、こういうものなんです。これでは逆ですよ。いいですか。こういうものを持って農民をなぐりつけて、何でものの解決ができますか。これは空港公団の職員の集団以外にないところから出たんです。これはスイカ畑です。千葉県警本部へ問い合わせたら――警察庁でもそうです。警察庁では、ここを押せば三段になって出てくるのはありますけれども、こういうものはありません。これをあなたのほうの職員が持っておる。何でこういうものを持って農民にけがをさせて、そうして農民との接触なり何なりができますか。私は主管官庁の大臣に、一体こういうものを公団の職員が持って歩くこと自体についてどうなのか、それを伺っておきたい。
  112. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 おそらく公団の職員はそういうものは持って行かぬと思います。ガードマンとかそういう関係の人じゃないかと思います。まあかりにもし万一持つとしても、それは正当防衛か緊急避難のために持っているので、あそこにおる三派全学連の連中がヘルメットとか角材とか、あらゆるもので身体に危害を加えたりする危険性もあったようだから、もし万一持っているとすれば、そういう正当防衛用に持っていたのじゃないかと思いますが、いま公団の総裁に聞いてみましたら、持っているはずはありません、こういう返事であります。
  113. 小川三男

    小川(三)委員 これは七月の十七日です。この衝突の現場はスイカ畑の中で、あなたのほうの職員以外にないのです。ここには機動隊はいない。しかも、いま運輸大臣は三派全学連と言われたけれども、三派全学連の学生はいま現地に七人しかいませんよ。現に農民がこれでけがをしているのですよ。こういうものを持って、しかもスイカ畑へ侵入して、あなたのほうの職員が何と言っていますか。「このこじき百姓」老人行動隊に対しては「くたばりぞこないめ」「土百姓」、こういう悪罵をやっている。あなたのほうは本部にいて仕事をされているから現地の実情を知らないが、現地はそういう状態です。しかも機動隊の諸君もそのとおり、もはや敵意を持って相対しているといって差しつかえない。だからカメラマンをなぐってみたり、朝日新聞の記者にけがをさせてみたり、見さかいなくやっつけている。こういうようなことで事態の解決ができますか。これのあった現場には機動隊はいないのですよ。あなたのほうの職員だ。もしそれがガードマンだというなら、ガードマンはなぜこういうものを持ってこなければならないのか。農民は何も持っていやしないですよ。正当防衛だと運輸大臣は言われるけれども、こういうものを持ってきて人をなぐることが正当防衛じゃない。だから、こういうようなことで事態の解決はできないのです。
  114. 今井栄文

    ○今井参考人 ただいまのお話でございますが、実は私もこういうお話を伺うのは初めてでございまして、それで現地に立ち入り調査に行きました情報については、現地からその調査の状況について逐一報告を受けてまいっておるわけでございます。公団の職員が立ち入り調査に伺うには、大体十人ないし十五人、それに建成社という、土地、立木等の鑑定の受託業者の職員が数名というふうなわずかな人間で入っておるわけでございます。常に私どもとしては調査が主であるから、公団職員そのものが暴力をふるうというようなことは私どもとしては厳に戒めておりますし、また事実、私どもが受けた毎日の情報によりましても、数百名の方々に取り囲まれて、全く悪口雑言の中に、場合によっては投石をされる、あるいはふん尿をかけられるというような事態の中でも、公団の職員が農家の方々に対して手向かいをしてそれにけがをさせたというふうな例は、私はいまだ報告は受けておりませんし、事実、新聞紙上にも、そういった公団職員が暴行したというふうな話は全く出ておりません。むしろ隣の家に逃げ込んで納屋へかくまってもらうとか、あるいはまた追いかけられて肥つぼにはまり込んだというケースは聞いております。したがいまして、こういうふうな物を持って立ち向かうというようなことで仕事は毛頭やっていないというふうに私は思うのでございます。もちろんいま御質問もございましたし、現実に私はいまこれを拝見いたしておるわけでございまして、私もこの物を記憶いたしておりますので、直ちに現地を調査いたしまして、公団職員がそういうものを持っておるかどうかという点については十分調べてみたいと思います。そういうことは、私どもとしては全く考えられない。むしろ、いつも追いかけられ、それからまた、場合によっては逃げて帰るというふうなことを繰り返しながら調査を進めてきているのが現状であります。
  115. 小川三男

    小川(三)委員 大臣はお出かけだそうですが、この間、新聞の報道によると、運輸大臣は印旛沼の干拓地を反対同盟に所属している農民に代替地として振り当てる、それで農林省と交渉した、こういうことをいわれているのですが、それは事実ですか。
  116. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 事実でありまして、農林省のほうも了承いたしております。
  117. 小川三男

    小川(三)委員 それは、せっかくですが、運輸大臣の認識不足であります。あそこのいま反対同盟に所属している農民は、ほとんど全部といっていいほど畑作の農家です。水田の経験はありません。かつて水田に経験のない農民が、しかも新たに造成された干拓地で水田農業をやるなどということはでき得ません。したがって、これについて代替地を割り当てても、これを受け入れる農民は一人もおりません。私はそう思います。そういう点で、これは明らかに水田農業と畑作農家との認識の誤りです。
  118. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 千葉県当局の話によりますと、水田農業に魅力を感じている農家もあるようでございまして、その辺は千葉県のほうにいろいろまかしているわけでございます。
  119. 小川三男

    小川(三)委員 これは千葉県当局の言い分を現地の農民は全然信用しておりません。最初は三十万都市をつくる、次には十万都市をつくる、次には六万都市をつくる、こういうように年じゅう変更しているのですから、千葉県当局の言い分は、少なくとも反対同盟に属する農民もしくは条件派の諸君といえども、そんなに軽々には信じておりません。この点は参考のために申し上げておきます。  ぼくはもうあと運輸大臣はけっこうです。  今井さんに続いて伺いますが、あそこにカントリークラブが二つありますね。房総興発の三里塚カントリークラブ、それから成田パブリックコース、これに対する交渉の経過はどうなっていますか。
  120. 今井栄文

    ○今井参考人 私どもは、いままでもっぱら敷地内の住民の方々の用地を取得するために交渉に全力を傾けてまいったのでございまして、ことしの四月の六日にようやく条件派の方々――敷地の約八八%を占める条件派の方々との間で協定に調印をいたして、今日までその用地買収に取り組んでおるわけでございます。したがって、三里塚カントリークラブ、これはいわゆるB地区の重要な区域のほとんど大部分を占めておるわけでございます。それからまた、成田パブリックコースは、二千五百メートル滑走路の上段に一部分がかかるゴルフ場でございます。したがいまして、当然これも買わなければならないわけでございますが、交渉の経過といいますか、これはむしろ向こうのほうで評価を希望いたしておりまして、私どもとしては、特にゴルフ場等の購入については慎重に慎重を期しまして、土地鑑定士はもちろん有力なりっぱな土地鑑定士を選ぶ、あるいはまたゴルフ場でございますので、芝生であるとかバンカーであるとか、あるいはまたグリーンであるとか、そういったようなものの評価をするためには、ゴルフコンサルタントに依頼する、それからまた営業権その他の評価につきましては、公認会計士にお願いするというふうなことで、ようやく最近に至って、私どもとしては評価の調査に手をつけ出したというのが現状でございます。したがって、結論が出るのはもうしばらくかかるのではないか、かように考えております。
  121. 小川三男

    小川(三)委員 では、あそこに鉱区を設定している帝国石油に対する鉱区権、これに対する交渉はどうなっているのですか。
  122. 今井栄文

    ○今井参考人 帝国石油に対する交渉といたしましては、現在のところまだ実はそこまで手が回っておりません。というのは、これは帝国石油のほうから、特に新空港の公聴会が千葉で開かれた際に、当時、私あまりはっきり金額は記憶しておりませんが、約五億前後の補償を希望するというふうなお話があったのを記憶しておりますが、それ以後において帝国石油との間に具体的な鉱業権の取得に関する交渉は行なっておらないように思います。
  123. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、交渉はあなたのほうはなさるのは当然であって、帝国石油の設定してある鉱区は、権利は認めないということですか。それともこれから交渉するということですか。
  124. 今井栄文

    ○今井参考人 当然、権利として存在するものにつきましては、これから交渉するということになるのではないかと思うのであります。
  125. 小川三男

    小川(三)委員 では、宮内庁の牧場の交渉経過はどうなっておりますか。
  126. 今井栄文

    ○今井参考人 宮内庁との交渉につきましては、高根沢の新御料牧場の予定地は、数人の地主さんを余すのみでございまして、ほとんど九十数%の土地はすでに入手いたしました。あとは価格の問題であるとか、東京の地主の方も若干おります。あすこを不動産業者を通じて買われた方も若干ございます。それからまた地主さんの中でむしろ代替地を希望するというふうな方もございまして、数件の地主さんの方を除いて、あと全部、約二百五十町歩について用地買収を完了いたしました。それで宮内庁と常時御連絡をとりながら一部整地工事を完了し、それから事務所あるいはまた宿舎というふうなものも若干建設をいたしたのが現状でございまして、今後の問題といたしましては、高根沢の用地の全面的な取得と合わせて、宮内庁のこまかい実行予算が確定次第、すでに設計されておる計画に基づきまして、新しい御料牧場を宮内庁とよく連絡をとりながらつくっていくというのが現状でございます。
  127. 小川三男

    小川(三)委員 空港公団法には牧場を建設するという項目は全然ない。空港公団法の第何条の規定によってあなたのほうで高根沢に牧場をつくっているのか。
  128. 手塚良成

    ○手塚説明員 公団法の第二十条で業務の範囲というものをきめてございます。この二十条の一号から四号までに業務の範囲が書いてございますが、その一号におきまして、「新東京国際空港の設置及び管理を行なうこと。」こういう項目がございます。この場合の「新東京国際空港の設置」といいますのは、単に現在行なわれております、決定されました敷地の範囲についての工事その他をやることのみならず、これの設置に必要不可欠と思われる内容も含めまして、要するに新東京国際空港を設置するためにどうしても必要であるという範囲のことは、この項目によって公団の業務の範囲であるという有権解釈になっております。この項によりまして、新空港をつくりますにはどうしても御料牧場を必要とし、その御料牧場の代替地がまた必要になる、こういう関連におきまして公団の業務であると解釈しております。
  129. 小川三男

    小川(三)委員 それは明らかなる拡大解釈で、拡大もはなはだしいですよ。あなた、新東京国際空港公団法には、新東京国際空港を建設し、維持管理する以外に事業はないんですよ。それを栃木県の高根沢に牧場をつくることが、どうして公団法の第何条に適用できますか。そんなことはありません。もしあなたのほうでそれが妥当であるというなら、なぜ千葉県のあの代替地の農民の問題については全部千葉県に委任して、あなたのほうで一坪の土地も造成してないのですか。それはできないからです。それを栃木県に行って牧場の建設をやるなどということは、明らかに公団法の違反ですよ。牧場が飛行場であったら、栃木県に飛行場をつくるということになるでしょう。どうなんですか。
  130. 手塚良成

    ○手塚説明員 ただいまのお話の中には、農地法の関連との問題が重要なポイントになっておるかと思います。農地法におきましては、農地を保有するというものについて非常に制限的にシビア――な規定がございます。すなわち農民並びにその農地の農業生産性団体というもの以外は一切保有ができないというたてまえになっております。したがいまして、公団が現在その周辺で代替地として確保されております農地については、手を触れることはできないということになっております。ところが高根沢の問題につきましては、これはやはり同じ農地ではございますが、農地法における省令の改正を一部いたしまして、高根沢における農地の確保については、これに限って新東京国際空港公団ができるという改正がなされております。この問題は、一般ができなくて、なぜこれだけできるのかという御疑問も直ちに出るかと思いますが、関係当局の御説明によりますと、これをつくりまして引き渡す相手といいますか、宮内庁というところの使用目的がきわめて明確にはっきりしておるということから、これを持ってもよろしい、こういうことでそういう省令改正が行なわれたということでございます。新東京国際空港公団以外の他の公団、たとえば道路、住宅等の公団におきましても、やはり代替地等の問題がございまして、こういった農地の確保ということが公共事業推進に非常に必要だということがいわれておりまして、同様なことを希望しておる公団もずいぶん多いように聞いております。しかしながら、これがまた乱用されますと、農地法の趣旨に反するということで、関係当局では非常に厳重にこれを縛っておりますが、新空港公団につきまして、高根沢の問題については、ただいま申し上げましたような見地で、特に農地法の省令の改正によりまして、公団ができるというたてまえにしてあるわけでございます。
  131. 小川三男

    小川(三)委員 これはおかしいですよ。一つには、あなたのほうで空港公団法の違反を犯しているということ。もう一つは、新東京国際空港公団が栃木県の高根沢で農地を取得するなんということはあり得ません。省令の一部を改正したというが、省令の一部をどういうぐあいに改正したのですか。
  132. 手塚良成

    ○手塚説明員 農地法の施行規則がございますが、この施行規則の第三条の第七号によりまして、これは農地法第三条第一項第九号の省令に定める場合のいわゆる特例がずっと列記してある条文でございます。その第七号に「新東京国際空港公団が国の牧畜及びその附帯事業の用に供する施設で新東京国際空港の建設に伴い廃止されるものに代わるべきものの造成及び譲渡を行なうため当該施設の用に供する農地又は採草放牧地を取得する場合」、これは要するに農地または採草牧草地の権利移動の場合の移動の制限の例外という条項で、いまのようにうたってあるわけであります。
  133. 小川三男

    小川(三)委員 これは運輸省から農林省に要請して、農林省の農地局では非常に困ったけれども、運輸省が主管官庁としてお願いするんだから何とかやってくれということでこの解釈をつくったのです。施行規則の第三条の第七号は、運輸省から農林省へ向かって、こういう事情だからやってもらいたいといわれている。これは私的交渉と同じです。こういうことで施行規則をぐるぐる改正されるなんということはあり得ないです。この問題はあらためて農林水産委員会で別にやりますが、もしそれだったら、あなたのほうでなぜ富里やその他の、いま千葉県が手に入れている代替地を空港公団自体がやらないのか、法律でできないでしょう。
  134. 手塚良成

    ○手塚説明員 繰り返しになるかとも思いますが、いま御指摘のとおり、周辺のものはできないというのが農林省の御解釈です。といいますのは、先ほど申し上げましたように、そういった一般的な代替地というものに農地法の特例を認めますことは、非常に悪例になるといいますか、悪用される。つまりこの取得しました農地をいろいろな目的に使いかねないというおそれがございますので、先ほど申し上げましたように、他公団におきましても考えておりますような、代替地としての農地の取得、それに周辺の場合は当てはまるということでございまして、実は業務の運営からいきますと、これについても特例を認めてもらうことがあるいは円滑ではなかったかと思うわけでございますけれども、農林省の非常に厳格な御解釈のもとに、これは認められないということになりました。この高根沢の問題につきましては、そういった、ほかに悪用され悪例になると考えられない。用途がきわめて明白であるということでありましたので、これのみについて例外的に認める、こういう結果になったわけでございます。
  135. 小川三男

    小川(三)委員 時間がありませんから先に急ぎますが、輸送油はどこに基地を設定して陸上輸送するのか、地下パイプによって輸送するのか、どういう計画を持っておられるか。
  136. 今井栄文

    ○今井参考人 現在計画を進めておりますのは、千葉県の千葉市にございます現在の埋め立て地、出洲の一角を給油のいわゆる港湾における基地にいたしたい。そこから成田まで地下パイプによって輸送をいたしたい、こういうことで計画を進めております。
  137. 小川三男

    小川(三)委員 推定ですが、あなたのほうの成田国際空港で使う一日の水の量を幾ら計算していますか。
  138. 手塚良成

    ○手塚説明員 私からお答えするのは適当でないかもしれませんが、実は実施本部でもって、いろいろなこういう関連公共事業のことをやっておりますので、ただいま手元にございます資料でちょっとお答え申し上げます。  五十七年度というのが空港の一番ピークの時期といいますか、完成後における最大の水の要る時期という推定になっております。これは空港内に従事する人の数、あるいは出入りの数、飛行機の数・そういうものの前提における最大の水を必要とする年度と考えております。昭和五十七年度の最大取水量が一秒当たり〇・四三立方メートル、日に換算いたしますと一日平均取水量一秒間に〇・二八立方メートル、こういうことになっております。
  139. 小川三男

    小川(三)委員 この水をどこから持ってくる計画を立てておりますか。
  140. 手塚良成

    ○手塚説明員 水は非常に問題でありますことは私ども承知いたしておりまして、これは関係各省といろいろただいま折衝をいたしております。いま空港用水だけのお話がございましたが、このほかに工業団地をつくりますと工業用水の問題があり、農業の畑地かんがいをやりますと農業用水の問題がございます。なお、さらに上水道自体がまた新都市などにおいて必要であるということになってまいりまして、それぞれただいま申し上げるようなやり方によりまして、水の量を空港関連用水ということで検討いたしました。ただいまのところ全体として必要な量について直ちにどこからどこへということの量は、いま検討の結果として発表する段階には至っておらないのですが、昭和五十年度を目標年度とする水資源開発基本計画――経済企画庁におきまして水資源開発基本計画というものの改定をいま行なわれておりまして、その中の昭和五十年度を目標年度とする基本計画の中で、こういったものについて善処をする、十分考える、こういう関係御当局のお答えを得ております。その背景には新たに建設するダムその他を考慮されていまして、そういったものをいま直ちにここであげられないというようなこともあるようでございますので、そういったような見方になっております。  なお、少し長くなりまして恐縮でありますが、四十五年度の当面は、利根の河口せきからとりあえず一トンを確保する、こういうところまでは現実になっております。
  141. 小川三男

    小川(三)委員 利根河口せきは佐原のずっと下の笹川ですね、あそこから三里塚まで水を持ってくる計画は、だれが立てて、だれが仕事をやるのですか。四十六年度にはあなたは飛行機を飛ばそうとしているのでしょう、五十年の水の計画を聞いているのじゃないのですよ。昭和四十六年に飛行機を飛ばす時点で、どこからこの水を持ってくるのか、だれがこの仕事をやるのか。
  142. 手塚良成

    ○手塚説明員 水は河口せき自体のところからパイプを敷いて引っぱってくるというのではなくて、この河口せき自体の水量というのを一トンとして確保するということでございます。取水口をどこにするのかというような問題についても、具体的にただいま県御当局で検討されておりまして、工事主体は県になるかと考えております。
  143. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、水の計画は、空港公団は関係しないということですね。それでは伺いますが、ここで使う水の排水はどうするのですか。取るのは利根川から持ってくるとして、ではここの水をどこへ排水するのか。
  144. 手塚良成

    ○手塚説明員 これも公団の計画の一部になりますが、ただいま検討されておりますのを仄聞いたしますと、印旛沼の流域下水道、これは従来県で広域下水道として検討されておりますが、これに空港から出るものを付加してこの広域下水道の計画の中に含める、こういうことに相なっております。
  145. 小川三男

    小川(三)委員 いまあなたはそう言うけれども、この排水を――三里塚はちょうど分水嶺になっています。芝山は反対運動が強いために一歩も入ることができぬのです。千葉県当局もだれもです。したがって、あそこの計画は捨てて、これを根本名川一本に水を持ってこようとしておる。根本名川を拡幅するためには、約百三十町歩の水田がつぶれてくるのです。これを農民が承認するはずはないです。したがって、至るところであなたのほうは壁にぶつかっているわけだ。この空港で使う水の排水事業は一体だれがやるのか。
  146. 手塚良成

    ○手塚説明員 ただいま印旛沼流域下水道でと申し上げましたのは、汚水の問題です。先生のおっしゃるのと少し違ったかと思うのでたいへん失礼しましたが、雨水その他の排水の問題につきましては、計画といたしましても、おっしゃるように、根本名川に落とすという計画に相なっております。そのために、先生のおっしゃいますように、河川の拡幅をする。そのためにまた土地の整理統合ということが必要になってくる。そのためにどういうことをやるかということで、その対策として一つはやはり畑地かんがい、農業用の用排水の手当て、そういうようなことでひとつ進めようという計画がいま練られております。
  147. 小川三男

    小川(三)委員 いまあなたは汚水は印旛沼へ下水道によって入れる――印旛沼ですね、どこへ入れるのです。あなたはいま印旛沼と言ったでしょう。
  148. 手塚良成

    ○手塚説明員 印旛沼流域下水道という名前の下水道でございまして、行く先は東京湾でございます。ただし空港から流し込みますまでには、いわゆる高級処理というのを一応いたします。これはいま羽田においてもやっておりますが、そのまま川に流し込んでもあるいはいい場合もあるのでございますけれども、それでもなおかつ周辺の農業その他にその水を使います場合の影響を考慮いたしまして、そういった流域下水道、そういう施設をつくりまして、一応東京湾に流し込まれるという計画に現在なっております。
  149. 小川三男

    小川(三)委員 その計画並びに工事は空港公団がやるのですね。
  150. 手塚良成

    ○手塚説明員 これは先ほども少し長々と申し上げましたが、従来県御当局でそういった広域のものについての御計画が一応あります。それに公団といたしまして空港から出るものを付加する、プラスアルファするということになります。したがいまして、その公団の金の持ち分というのが一つ出るわけでございますが、この金を県御当局に全部お預けして、一本で県でおやり願うか、あるいは当該分についての工事を公団でやるか、施工主体の問題については今後の打ち合わせにまつことになる予定になっております。
  151. 小川三男

    小川(三)委員 最後に伺いますが、いま反対同盟の、ここで発表してもいいけれども、あなたのほうでも調査されたほうがいいが、絶対反対をしている面積がありますね。農民もいる。これに対してあなたのほうではどんな対策でこれをやろうとしておるのか。それからもう一つは、あなたのほうでは最終的にいまの権力と金力とでこれを切りくずそうとしているのです。いまの鉄棒が示すように、権力と金力でこれを粉砕しようというぐあいに考えているけれども、これはできません。それから、あそこには、これは最終的にあなたのほうで土地収用法を適用しようとしても、土地収用法は土地は接収することはできるけれども、墓地に埋葬してある仏さまは土地収用法の対象にならないのですよ。これはできない。こういうようにあなたのほうには大きな障害があるわけだ。その障害を排除するのに、ただ国家権力、金力だけでこれを押し切ろうとしても、そういうことができるわけはないですよ。だからそこの問題なんだ。今井さん、あなたのほうではどういう対策を持っておるか、ぼくは伺って、それできょうはおしまいにしたいのです。
  152. 今井栄文

    ○今井参考人 反対同盟の方々の敷地内における土地は十数%、約七十八町歩程度でございます。こういった反対同盟に所属しておられる敷地内の農民の方々の土地につきましては、今後とも私どもとしては根強く空港の建設の必要性、日本の将来のためにどうしても必要な空港として、つくらしていただきたいということで、私どもとしてはお願いをしていくつもりであります。  御承知のように、現在まで私どもが立ち入り調査をいたしました部分につきましては、全部任意買収の形で行なっておる状況でございまして、私どもはしんぼう強く、特に御承知のように、反対派の方々の多い部分は、第二期工事に所属する地域の方々が比較的多うございますので、まだ相当な年月もございますし、私どもとしてはしんぼう強くあの人たちにお願いをいたしていきたい、かように考えております。      ────◇─────
  153. 大野市郎

    大野委員長 次に、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案  都市鉄道整備促進法案  自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件  気象に関する件 閉会中引き続き調査を行ないたいと存じますので、その旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、閉会中審査案件が本委員会に付託されました場合、委員を現地に派遣して実情を審査する必要があります場合には、その委員派遣承認申請の手続に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十一分散会