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国務大臣(
増田甲子七君) これは
前川さんとゆっくり対話を願わなくてはいけないと思いますが、第二次大戦後におきましては国連憲章が働いておりまして、国連憲章五十一条に基づいて、それぞれの二国間あるいは数国間の
安全保障条約があるわけでございます。そこで
米軍が北大西洋諸
地域に駐とんしております。したがいまして基地がございます。また西ドイツは特別の状況でございますが、英国の軍隊もフランスの軍隊も西ドイツに基地を持って西ドイツの平和と安全を守っておる状態でございます。日米
安全保障条約は数国間のうちの
安全保障条約、国連憲章五十一条に基づく集団
安全保障でございまして、二国間の集団
安全保障でございます。まあ当時から今日まで
日本の国力向上、あるいは憲法の条章等に照らしまして、米国の軍隊に
日本にいてもらう。イギリスの本土にもアメリカの軍隊がおり、
施設を提供し、
地域を提供するいわゆる基地があるわけでございます。
日本にも
米軍の基地がございまするが、しかし陸軍は補給部隊になってしまいました。かつては二十万の軍隊がおりましたが、陸軍は八千しかおりません。それから海軍は一万そこそこでございます。これも主として修理部隊、補給部隊でございます。空軍だけがおるわけでございまして、空軍は実力部隊として存在いたしております。これが青森県にあり、横田にある。そこで
施設庁
長官がたびたび申し上げておりますとおり、
水戸の射
爆場は三百五十万坪の広大なる
地域がございまして、
漁業にも
支障を来たしておりますのみならず、
地元の県市町村に相当な迷惑をおかけいたしておるわけでございまして、また
国会の
決議等もあったわけでございます。この
水戸の射
爆場を三百五十万坪あるうちで六、七十万坪に減らす、あとは開放する、これが
国会の要請でもございまするし、また
政府としてもそう
考えておりまして、
米軍に
申し入れましたのがずっと前の
政府、また
防衛庁長官でございます。そこですべての事柄は、この問題に関する限りは、
前川さんが私
どもと対話くださる前に、
水戸の射
爆場なりあるいは太田の
物量投下訓練所なり、これは六、七十万坪ございますが、これがなくなる。そうして民生に寄与する。つまり
日本の本土内にはなくなるのだ。これを目がけてわれわれは進んでおるのであるとともに、手を携えて
前川さんも私
どもも
国会の
決議もあり、進んでおるのである。このことを前提として、ほんとうはマスコミ等も大いに強調していただきたいと思う次第でございます。これをできるだけ早く撤去いたしたい。群馬県のごときは
水戸の射
爆場が
新島に移れば、群馬県は開放されます。これはなくなるわけでございます。これは数十万坪に過ぎませんけれ
ども、それがなくなるということは、やはり民生の上に非常に寄与すると私は
考えております。それから
茨城県の三百五十万坪が七十万坪になるということは、二百八十万坪が開放されるというわけでございまするし、また
付近の原子力
関係のところで誤爆等も将来あったらたいへんでございまするから、そういうような
立場から民衆の福祉を守るということでございます。そこで、横田にございまする空軍というものは二万でございまするが、三沢にもございます。この空軍が自衛隊が演習しておるごとく
訓練を継続しないと、やはり軍としての作用をなしませんから、そこでその
訓練をする
場所は横田から半径二百キロの
範囲内に求めてほしいというかねての
要望がございました。そこで、ほんとうは山岳地帯等にはそういう地帯もないわけではないのでございますが、山岳地帯はしかし一般に
乱気流等がございまするし、また山村の振興、福祉の確保という点からまずくもございまするし、また
飛行機が低高度に降下いたしまして射爆の演習ということもいたしかねる。結局
防衛施設庁で非常に苦心をした結果、まあ対話がないわけではなかったわけでございまして、もちろんそれぞれの御
意見はございまするが、まず
新島に射
爆場を設置いたしたい、それは
反対だ、それは賛成
——賛成ということはあまりございませんが、そういう声がありつつも、そこ以外には関東一円においてほかにございませんものですから、関東が
一つの共同
地域社会とするならば、
茨城もその
地域社会の
一つでございまするし、群馬もその
地域社会の
一つでございます。群馬県の太田の
飛行場が民間に引き渡されるということは非常に私は福祉に貢献すると思います。
水戸の射
爆場が二百八十万坪も民間に開放されるということは、単に
茨城県のみならず関東という共同社会に非常に貢献すると思います。そこで、
新島の方に、あるいはいま
水産庁のおっしゃるように、相当の出漁なさっておる方が関東一円のみならず静岡方面にもあるということは聞いております。その
漁業者の方々の福祉、
漁業が成り立っていくように各般のことも考慮いたしまして、どちらかで最小限度の犠牲は忍んでもらわないと、最大多数の方の幸福を約束できないわけでございますから、今度の問題はいきなり新しく設定せんとする問題ではございません。新しく基地を設定するということになれば私も
考えます。これは日米安保条約がございましても。しかし一方の受けんとする利益が非常に大きい。また非常に待ち望んでおります群馬県知事あるいは
茨城県知事、これは
茨城県民を代表するものとして、あるいは群馬県民を代表するものとして非常に待ち望んでおるわけでございまして、だれかに多少の犠牲を忍んでいただく、その犠牲を忍んでいただく方には非常に御同情にたえませんが、しかし最大多数の方々のしあわせのために忍ぶ犠牲である、こういうことでひとつ
前川さんも御協力願いたい、こう思う次第でございます。