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政府委員(高橋展子君) 先ほど来の有効活用の点につきまして私からも一言付言さしていただきます。
特に近年クローズアップされてまいりました中高年婦人の労働力というものをどう
考えるかということにつきまして、婦人少年問題審議会から
昭和四十一年に建議書が出ております。その中に、原則的に中高年齢婦人の労働力ということについての基本的な
考え方が述べられてございますが、その中で、これを単に若年労働力の量的補充としてではなく、中高年齢婦人の能力の有効な発揮と、その地位の向上のための条件を整備するという方向で
考えるべきであるという基本原則が述べられておりまして、私
どもももとよりこのような
考え方に立って仕事を進めております。ただ、その有効活用ということばはいかにも私
どもも抵抗を感じるのでございますが、ことばとして適切なことばが他に見つからないために今日まで使っているという点を御了解いただきたいと思います。当然私
どもは婦人自身の人間としての働く権利、働く喜び、能力を生かす、その喜びということを政策の上で実現させていく、そのことが国家、社会の経済の発展にもつながる、寄与すると、このような姿勢で施策に取り組んでおりますことをまず御了解いただきたいと思います。
で、お尋ねの中高年齢婦人の労働の現状でございますが、御存じのように近年、年を追って婦人労働者の年齢が高くなる傾向がございます。で、三十歳ということで一応区切りますと、
昭和三十八年には三十歳以上の者がきわめて少なくて三五%でございましたのが、四十一年になりますと、これが四六%というような数字になっているような次第でございます。また、これらの中高年の婦人は、当然のことでございますが、結婚をしている、あるいは死離別等によりましても、いずれにしても家庭を持っている方が多いわけでございます。有配偶の者についてだけその
割合を見ますと、近年では全婦人雇用者の中の四割に近い三六%が有配偶者、このようになっております。さらに、これに死離別者を加えますと四六%がいわゆる既婚者、家庭を持っている方と、このようになっているわけでございます。これらの方々の就労の
状態を見ますと、一般に就業分野といたしましては、若い方たちとかなり違った傾向が出ておりまして、若年の女子の多い分野でございます事務職という分野には
比較的少なくなります。これに比べまして販売あるいは技能工、生産工程従事者等の単純労働者、このような職種における就業が多くなります。また、いわゆる、
管理的職業あるいは専門的技術的職業という職種における従事者の
割合も多くなっております。また賃金水準で見ますと、女子の賃金は若年のその初任給は男女差がほとんどない
状態になっておりますが、年齢が高くなるにつれまして男女の差が出てまいります
状態でございます。特にいわゆる中高年齢になりますと、賃金の
伸びというものがほとんどとまりまして、年齢に応じたところの上昇カーブというものが女子の場合にはむしろ横ばいあるいは低下する、このような傾向が見られているようでございます。で、これが中高年齢女子の一般的な
状態でございます。特にその中でパートタイムということにつきましてのお尋ねがございましたが、パートタイム雇用は、日本では
比較的まだ歴史が浅いということもございまして、なかなか把握のしかたもむずかしいわけでございます。パートタイマーと呼ばれる人々に事実上は短時間労働ではない人たちがまざっているような
状態もございますために、なかなかその条件の把握等もむずかしいわけでございます。私
どもが数回の調査で把握いたしましたところでは、これらパートタイマーは非常に既婚者が多いということと、また年齢が高いということ、したがって、家庭、子供を持っている人が多いというような特徴が出ております。また、就業分野といたしましては、単純労務が多いのでございますが、最近の動きとしましては、事務職の分野にもパートタイマーがふえてきているわけでございます。また、パートタイマーの賃金につきましては、これは一時間当たりに換算いたしますと、把握できました範囲におきましても、一般女子雇用者の賃金と大差ない、このような傾向のようでございます。