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1968-04-10 第58回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十日(水曜日)    午前十時十九分開会     ―――――――――――――  昭和四十三年四月九日予算委員長において、左  のとおり本分科担当委員を指名した。                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 岡本  悟君                 梶原 茂嘉君                 任田 新治君                 山内 一郎君                 瀬谷 英行君                 鶴園 哲夫君                 戸田 菊雄君                 小平 芳平君                 中沢伊登子君     ―――――――――――――    委員の異動  四月十日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     加瀬  完君      戸田 菊雄君     森中 守義君      小平 芳平君     田代富士男君      中沢伊登子君     瓜生  清君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     主 査         鶴園 哲夫君     副主査         任田 新治君     委 員                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 岡本  悟君                 梶原 茂嘉君                 山内 一郎君                 加瀬  完君                 瀬谷 英行君                 戸田 菊雄君                 森中 守義君                 小平 芳平君                 田代富士男君                 中沢伊登子君    担当委員外委員                 岡田 宗司君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君        建 設 大 臣  保利  茂君    政府委員        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸大臣官房会        計課長      山上 孝史君        運輸省船舶局長  佐藤美津雄君        運輸省船員局長  河毛 一郎君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        鈴木 珊吉君        運輸省航空局長  澤  雄次君        建設政務次官   仮谷 忠男君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設大臣官房会        計課長      高橋 弘篤君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        建設省営繕局長  横山 正彦君    説明員        大蔵省国有財産        局鑑定審議官   三島 和夫君        労働省労働基準        局監督課長    藤繩 正勝君        労働省労働基準        局業務課長    細川 福治君        建設省住宅局調        査官       三宅 俊治君        建設省都市局技        術参事官     葛生 新一君        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        仁杉  厳君    参考人        日本鉄道建設公        団副総裁     篠原 武司君        新東京国際空港        公団総裁     今井 栄文君        新東京国際空港        公団理事     高橋 淳二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和四十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――   〔年長者梶原茂嘉主査席に着く〕
  2. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもちまして、私が正副主査選挙管理を行ないます。  これより正副主査互選を行ないますが、互選は、投票の方法によらないで、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶあり〕
  3. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 御異議ないと認めます。  それでは、主査鶴園哲夫君、副主査任田新治君を指名いたします。     ―――――――――――――   〔鶴園哲夫主査席に着く〕
  4. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 鶴園でございます。  ただいま皆様方の御推挙をいただきまして、主査の重責を果たすことになりました。不なれでございますが、よろしく御協力をお願いいたします。(拍手)  速記をとめて。   〔速記中止
  5. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 速記を起こして。  審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたします。  本分科会は、昭和四十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省運輸省郵政省及び建設省所管審議することになっております。なお、十二日、委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日は建設省及び運輸省を、明日は農林省を、明後日は郵政省及び運輸省という順序で審査を進めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) それでは、昭和四十三年度総予算中、建設省所管を議題といたします。  まず、政府側から説明を求めます。建設大臣
  8. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 建設省関係昭和四十三年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は二十九億七千五百余万円、歳出は六千七百三十二億七千五百余万円であります。歳出におきましては、このほかに、総理府及び労働省所管予算として計上されておりますが、実質上、建設省所管事業として実施される予定の経費等がありますので、これらを合わせますと、昭和四十三年度の建設省関係予算は、七千七百二十億八千三百余万円となり、前年度の当初予算に比べ四百六十三億一千七百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ三百三億六千六百余万円の増加となっております。なお、国庫債務負担行為として公営住宅建設事業費補助に三十四億九千八百余万円住宅地区改良事業費補助に十九億四千七百余万円官庁営繕に四十六億七千九百万円直轄道路災害復旧事業に一億二千万円河川等災害復旧事業費補助に八十九億円を予定いたしております。  次に、特別会計の概略を申し上げます。まず、道路整備特別会計昭和四十三年度の予算総額は、歳入歳出とも四千七百九十五億五百万円で、前年度の当初予算に比べ二百六十八億余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百九十五億五千百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ四千三百十億五千三百万円、地方公共団体工事費負担金収入三百六十四億七千八百万円、前年度剰余金受け入れ二十億円を予定いたしております。なお、国庫債務負担行為として直轄道路改築事業に二百四十九億円、街路事業費補助に四十億円、首都圏街路事業費補助に二十五億円、道路改築受託工事に十六億円、道路橋架設受託工事に三十億七千六百万円を予定いたしております。  次に、治水特別会計でありますが、本特別会計昭和四十三年度の予算総額は、歳入歳出とも一千七百億九千六百余万円で、前年度の当初予算に比べ百二十九億五千百余万円、また前年度の補正後の予算に比べ百十七億六千九百余万円の増となっております。これを勘定別に分けますと、治水勘定につきましては、総額一千四百七十七億三千百余万円で、前年度の当初予算に比べ百十七億五千七百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百六億二千三百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ一千二百四十一億三千四百余万円、地方公共団体工事費負担金収入百五十六億一千四百余万円、前年度剰余金受け入れ三億五千万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額二百二十三億六千四百余万円で、前年度の当初予算に比べ十一億九千三百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ十一億四千五百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ百三十九億七千六百余万円、地方公共団体工事費負担金収入二十七億八千余万円、電気事業者等工事費負担金収入四十億五千五百余万円、前年度剰余金受け入れ四億一千三百余万円を予定いたしております。なお、国庫債務負担行為として直轄河川改修事業に二十二億四千万円、直轄河川汚濁対策事業に五億七千万円、首都圏河川改修費補助に十二億五千万円、多目的ダム建設事業に七十一億三千九百万円を予定いたしております。  次に、都市開発資金融通特別会計でありますが、本特別会計昭和四十三年度の予算総額は、歳入歳出とも四十八億九千六百余万円で、前年度の当初予算に比べ十二億二千八百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ四億円、資金運用部資金からの借入金四十一億円を予定いたしております。  建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十三年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議の程をお願いいたします。なお、お手元に配付してあります予算説明につきましては、主査におかれまして会議録に掲載していただくよう御配慮方をお願いいたします。
  9. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) おはかりいたします。ただいま建設大臣の御発言中にありました、以下の説明につきましては会議録の末尾に掲載いたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最初に、それは建設行政として考えなければならないのではないかと思われるけれども、実際問題としては、建設行政のワクの外にある、こういう疑念を持った問題がありますから、それについて御質問したいと思うのです。  砂利採取の問題、常識的に考えると、砂利採取に対する規制というのは、私は建設省が妥当じゃないかという気がするわけです。ところが砂利採取法は、その抜本的改正を行なうということになっておりますけれども、これが通産省所管であって商工委員会にかかる、こういうのが現状であります。砂利採取法にしても、採石法にしても、内容を検討してみますと、公害対策というふうなことはあまり重点を置かれていないのです。それぞれ、たとえば砂利採取法は、「砂利採取業の健全な発達に資するとともに、砂利採取河川保全等との調整を図り、もって公共福祉増進に寄与することを目的とする。」と、こういうことを書いてあるし、採石法に至っては、「採石権制度を創設し、岩石の採取事業の健全な発達を図ることによって公共福祉増進に寄与することを目的とする。」、「公共福祉」なんて、つけ足りなんですね。もっぱら業者の育成をはかるというところに主眼が置かれておるわけです。ところが実際問題として、砂利採取から数々の公害が発生をしております。私は先般も建設委員会あるいは商工委員会でもこの点については述べておりますので、大臣も御承知のことだと思うのですけれども、この砂利公害の問題は、たとえば県議会等でもいろいろ問題になっているわけです。先般の埼玉県の県議会における議事録をちょっと私も読んでみたんでありますけれども、その中で、土木部長答弁をしております。河川砂利については、埼玉県でもここ二年くらいでもうなくなってしまうであろう。そうすると、今後は山砂利なり、おか砂利に転換せざるを得ないと思う、こういうふうに答弁しております。これは埼玉県だけでなくて、東京都であっても神奈川県であっても、あるいは日本国中どこだって現状では似たり寄ったりじゃないか、こういう気がいたします。そこで、いろいろな砂利採取に伴う公害の問題については、これは副知事が答弁をしておるのでありますけれども、農地における砂利採取についての方針は、通産省農林省と話し合ってきまったので、農地以外の山林原野、あるいは山採石についても、それらに関連するいろいろの法律を総合的に運用することによって規制をはかり、公害を防止していきたい、また、そういう方針でもって県としては内陸砂利採取対策要綱を決定した、こういうふうに述べております。東京都でもこの砂利採取対策要綱というものをきめているようであります。  そこで、対策要綱なんでありますけれども、基本になるのはやはり法律だろうと思うのです。そうすると、法律抜け穴があったんでは何にもならぬと思うのでありますが、たとえば砂利採取法律は、「砂利採取河川保全等との調整を図り、」とある。ところが、実態はもう河川砂利は一、二年でなくなってしまうだろう。そうすると、この砂利採取法のひっかからないところで、たとえば採石法というようなものは、川砂利から山砂利のほうに移っていった業者に対しては、一つの抜け穴になってしまう。採石法も手つかずで残っておる。そうすると、何らの規制方法はないということになると思うんであります。こういうような法の盲点というのがそのままこれは残されておる。特に、通産省にまかせておけば、これは業者保護が専門であって、いろいろ交通問題であるとか、公害問題であるとかいうのは自分のほうの所管ではないということになるのです。おのずからここにいろいろな問題が生じてくると思うんです。だから立法上も、建設省として、そういう公害対策道路対策等を含めた対策等というものを、当然、建設省で考えていかなければならないんじゃないかというふうに私は思うんでありますけれども、建設大臣見解をお伺いしたいと思います。
  12. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 瀬谷議員からたびたび砂利扱い方について、実例に基づいてお話を伺ってまいっておりまして、だんだん沿革的に見ますというと、河川砂利ウエートが相当変わってまいりまして、お話のように、河川砂利がだんだん資源が少なくなってきて、一方においては建設資材としての砂利の需要というものはますます大きくなってくるというような形から、おか砂利山砂利のほうにそのウエートが移りつつあるというその現状は、仰せのとおりだと思うわけでございます。そこで、河川管理者としての建設省といたしましては、従来とも河川管理と言われている砂利扱い方につきましては、相当手落ちなくやってきておりますが、おか砂利山砂利は御承知のように、同じく建設資材として重要な物資でございます。で、従来から通産省産業行政の問題としてこれを所管してまいっておるという行政的な沿革は御承知のとおりでございます。しかしながら、だんだんお話のようなこともございますので、おか砂利山砂利につきましても、建設省通産省共同で、とにかく事業資材の確保と公共福祉をそこなわないような措置をとってまいるということで、今回の砂利採取法取り扱い方につきましても、両省共管として御期待にこたえていくような方向で立案を願ったわけでございまして、由来、通産省行政産業保護の本位というような印象は、私は、ぬぐうことはできなかったろうと思うんですけれども、今日の時代において、各省行政のねらいというものは、もちろんそれはそれぞれの産業育成なり、そういうところに重点を置いていかなきゃなりませんけれども、あわせて、とにかく国民の福祉を向上さしていくためのやはり見地というものは、どの分野においても私はしっかり持ってもらわなきゃならない。だんだんそういうふうに行政性格が、戦前の行政性格と全然違ってきておるということには、おのずからやっぱりそういう考えに徹していかなきゃいかぬじゃないかという上からいきますというと、あすこで使っているからどうだ、ここで使っているからどうだというような手違い、同じ政府行政機関でございますから、そういうことのないようには自粛してまいらなきゃならぬと思いますけれども、ただいまの砂利問題につきましては、長い沿革もございまするし、また、それぞれその機能を持っておるわけでございますから、両省共管という形において要望にこたえてまいりたいというように考えておるようなわけでございます。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 なぜ建設省としてもっと力を入れなければならないかと言いますと、埼玉県では、たとえば県営でもって、県が直営で砂利採取をやる方法を考えた、私はこういうことはいいことだと思う。県がやることになると、一応県議会でも問題にできますし、地元と県との接触によっていろいろ問題が出た場合の解決する策も立つだろうと思う。そうでないと、いままでのように雰細な砂利業者に好きなように掘らしておく、こういうやり方をすると、問題が起きたときにどうにもならないわけですよ。これは具体的な例なんですけれども、大穴をあけられて、そうして何とかしてくれと地元民が騒いだら、その責任者は殺人、放火の被疑者であって留置場に入っている、そういう状態になっている実例がある、埼玉県に。これでは地元のほうは泣き寝入りということになってしまう。だから、どうしても公営でやるという方向に私は踏み切るべきじゃないか、こういう気がするのですよ。しかし、たとえば県営でやったとしても、県会議事録にもありますけれども、たとえば埼玉県の金勝山というところで砂利採取を始めた。しかし、国道二百五十四号がそれによって非常に危険になる、砂利トラックが往来するわけですから。どうしても道路もこわされるし、危険でもあるからバイパス早期実現ということが強く要望されておる段階でありまして、じゃバイパス早期実現自分たちでできるかということになると、これは今度は建設省の仕事になっている。この場合に、建設省がおれは知らないという態度をとっているならば、せっかく県営でもって砂利採取事業を始めるようになっても、こういう問題はやはり残るということになる。これは国のほうがめんどうをみないからというので、今度は国の責任になってしまう。こういう問題はやはりあるのですから、現実に。そうすると、当然、道路の問題、公害の問題を含めて、建設省として対策を主になって立てていくという必要があるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  14. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この間ラジオで私はじっと聞いておりました。一々事例は、あなたにだいぶ教えていただいておりますが、なるほどなあ、こういうことかなあということを何しましたのは、農家の方がその農地の水利とか、生産力を高めるために、要するに、掘ってもらいたいということで一メートルそこらを希望した、そういう発端でございます。そこへある乱暴な業者といいますか、二メートルも何して、まるで池みたいになってしまって、どうにもあと弱ってしまった。しかし、大体は農地所有者である農家の方が、その田の生産条件を整え、生産力を高めるために、むしろ歓迎してやっておられる節もあるが、それが乱暴に少し掘り過ぎて、めちゃくちゃにしてしまうというような、これはそっちのほうが例外的になるのかなあという感じがいたしておるわけです。そういうことが、私は今度のまた法案によりまして幸いに成立するということになりますれば、建設省出先土木関係発言力も大きくなるようでございますから、よほど改善されてまいるんじゃないか、また改善されなければならないわけでございますから、そういう期待をかけて一応この運用に万全を期してまいりますれば、事態は必ずしも事業自体公営に切りかえなくても、監督、運営によって十分御期待にこたえ得るんじゃないか、こういうふうにいま考えておるわけでございます。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣、一メートル掘らせるつもりだったが二メートル掘った。二メートルじゃない、二十メートルぐらいあるのです。これはたいへんな大穴ですよ。まあこまかな話はきょうは私は一々申し上げませんけれども、聞いてみたら、もぐりでもってやっている業者がいる。一種の私は詐欺だと思うのです。土壌改良でちょっと掘らしてくれと言うので、石だけ持っていってくれるんじゃありがたいと思って金をもらったところが、とんだ大穴をあけられてしまった、こういう話なんですけれども、これは業者罰金を払ってもそのほうが得だというわけです、聞いてみると。なるほど罰則を見るというと、やれ罰金が三万円だの、十万円だのと書いてありますけれども、少しばかりの罰金を払って済むことなら罰金を若干納めても、百万なり、二百万なりのまとまった収入を得られればそのほうが得なんです。だから、なまはんかな規制では何にもならない。それから、かりに砂利採取法改正をしても、砂利採取法の本来のねらいが河川砂利がねらいだった。河川保全等との調整砂利採取と、こういうふうにあるわけです。ところが先ほど私もちょっと指摘しましたように、県議会等においても、川砂利のほうはもう一、二年でなくなってしまう、こう言っておるのです。そうすると、一、二年でなくなってしまう川砂利規制法律を、一生懸命力を入れて、これからおか砂利なり、山砂利にみんな移行せざるを得ないだろう、こう言っている。山砂利のほうは、先般、私も指摘しましたように、具体的な例としては、採石法の適用を受けるということになると、砂利採取法幾ら手を入れても何にもならぬということになります。これではまことにどうもおかしなことじゃないかと思うのです。化粧品のセールスマンがばあさんをつかまえて一生懸命に売り込みをやっている、若い娘のほうは忘れておる、こういうことでは、これは化粧品売り込みには成功しないと思うのです。この砂利採取法規制だって、もう用がなくなってしまう河川砂利のほうばかり一生懸命力を入れて、これから問題が起きようとする山砂利のほうはうっちゃらかしにするということでは、私は片手落ちどころか、両手落ちになってくると思います。だから、そういう点は建設行政の中で当然考えるべき義務があると私は思うのですが、その点についての大臣見解を伺いたいと思います。
  16. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 先生も御指摘、御心配になっておられますが、今度の新しい砂利採取法改正の中には、先生承知と思いますが、第一点は、砂利業者登録制度の問題がございますが、これは従来はなかった点でございまして、従来は届け出制によって自由にできたわけでございます。今後は、登録制度を採用いたしましたために、そういった悪質の業者があった場合には登録段階においてまず押えることができる。ですから、そういった悪質な場合には、登録ができないというと、そういった砂利採取業が継続して行なうことができないというような問題が出てまいるわけであります。  それから採取計画認可制という問題が新しく入りまして、その採取計画の中で、こまかい砂利採取上の区域だとか、あるいは採取の期間、数量、採取方法、それから、いろんな採取の施設の関係、採取に伴う災害の防止、どういう方法をとっておるかというような問題、その他先ほど先生お話になりました搬入路の問題等も、この採取計画の中に含めて詳細にひとつ採取計画を出させまして、それを審査していこうという内容をうたっておりますので、そういう段階において相当厳密な規制ができるのじゃないかと考えます。それから、もう一つ重要なことは、新しく砂利採取計画の変更命令を出したり、あるいは災害防止のための緊急措置命令を出すことになっておりまして、そういう観点で相当押えている。罰則からいいますと、確かに改正法におきましても、一年以下の懲役あるいは十万円以下の罰金ということになっておりますけれども、そういったいろんな対策もあわせて、特に砂利採取業登録制度という問題が入りましたので、そういう点で建設省通産省共管の立場でございますので、建設省としても従来以上に河川砂利以外の問題につきましても発言権が出てくるということをわれわれとしては考えておりますので、そういう観点から、何とか採石法とこの新しい砂利採取法改正した法律とを組み合わせて、ひとつ万全の措置を期するようにいたしていきたいというぐあいに考えております。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあ法律の内容について質疑をしますと、こまかくなるし、長くなりますので、それは委員会の際にまたあらためてやりたいと思います。しかし、大臣として考えていかなけりゃならぬと思うことは、法の盲点とか、抜け穴というものをこさえておいたのじゃ何にもならぬと思うのですよ。それからまた、当然この砂利の問題は建設省が主になって私は考えるべきではないかと思うのです。通産省にまかせておくということになれば、通産省のほうの本来の任務というとおかしいけれども、業者の保護ということに重点が置かれているのですから、それは。そうすると、もろもろの公害対策という点ではどうしても手薄にならざるを得ないのです。だから、そういうことを考えるならば、当然、建設省でもって建設行政の一環として考慮するのが私は当然じゃないかと思うから、その点を大臣にお伺いをしているわけなんです。その点、大臣として、これはもうこまかく指摘すればいろいろありますけれども、要するに、抜け穴とか、盲点とかいうものができないような、ちゃんとした規制なり、あるいは根本的な砂利採取方法についての行政指導対策というものを立てる気があるのかないのかということを、砂利問題に関する質問の最後にしたいと思うのですが。
  18. 保利茂

    国務大臣保利茂君) ともかくこの砂利採取法改正法案におきましても、通産、建設両省所管共管の立場をはっきりあらわしておりまするように、しかも、建設省といたしましては、何といっても基礎的な建設資材を確保してまいるという非常に大事な要請がございますので、いや、これは通産省がおもにやるのだからというような感覚では御要請にこたえることはできないと思いますから、行政運営の面におきましては、とにかく通産省との共管ではありますけれども、建設省自分の仕事だという考えをもって、出先の第一線も砂利問題についての責任感を新たに持っていただくように十分指導してまいり、地元の方々の要請にこたえ得る行政をはかってまいりたい、かように御了承をいただきたいと、こう思っております。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それじゃ、砂利問題についてはこのくらいにいたしまして、建築基準法の問題についてお伺いしたいと思うのですが、建築基準法の改正ということが、これからいろいろ問題になるかと思いますけれども、一体、建築基準法でもってどういうことをきめようとするのかということです。たとえば皇居前の東京海上ビルの問題については、佐藤総理から待ったがかかった、その佐藤総理の意を受けて保利建設大臣がこれを忠実に押えているのだと、こんなふうに聞き取れるわけですよ。そうすると、いや、押えたほうがいいというのなら押えてもかまいませんけれども、じゃ何がゆえに押えなければならないのか、一体、超高層ビルというものはいけないのなら、いまあそこに建っておりますけれども、ああいうものができてみたらどうもぐあいが悪いというのなら、どこがぐあいが悪いのか。それから規制をするのならばどういう点で規制しようとするのか、その理由とか、その経緯とかいうものがはっきりしておったならば、この際、大臣見解を承りたいと思うのです。
  20. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は海上ビルについて総理から別段注文をつけられているわけじゃございません。これは私の建設大臣としての責任範囲に属することでございますから、こういうことまで一々総理に相談しようという気も持っておりません。ただ、私は皇居前といいますか、丸の内一帯といいますか、とにかく従来東京都においても美観地区として指定してある地域、これは、それにはそれの美観地区に指定せられたときの事情なり考え方なりというものがあったわけです。私はもっともだと思っております。賛成なんです。それは美観ということになりますと各人それぞれ主観もございましょうし、好みもございましょうから、見方見方によって大いに違うでしょうけれども、それではその美観地区を指定してどうしようとするのか、どういう運営をすることによってその美観地区の指定をせられたところが守られていこうとするのかというところにまだ十分の手配がつけられていない。また一面、都民生活の実際を見ますというと、今日交通公害の問題というのは非常に、とにかく当面黙視できない状態になってきておる。そこで、毎朝夕の通勤者、勤労者の方方の御苦労の状態を見まして、何とか都心への通勤状態をもう少し緩和せられる措置を当面とることが何より大事じゃないか。そこで考えますのは、でかい建物、これはどのくらいの人口を実際に収容するのか。これはしかし眠っているビルじゃありません。非常な活動力を持つ人たちが入るわけでございますから、実際に入っている人のおそらく倍か三倍かの出入りが出てくるであろう。その場合に、いまの交通状態と今日の交通施設をもってして、どうなっていくであろうかということを私は非常に心配をいたしておるわけでございます。いろいろ役所の中で聞いてみますと、数字をもって、いや何%通勤施設がどうだからどうというような数字の説明を受けますけれども、そんなことで割り切れるものじゃございませんので、しばらく、実際このビルの活動が開始せられようとする寸前でございますから、どういうふうに、実際の都民生活の上に及ぼす影響というようなものを見守ってみたいということであります。  それから御案内の建築審議会でございますか、これはすべて大事な問題、そういう問題を御心配いただく諮問機関である建築審議会に、海上ビルの一つの建物の高さがどうとかこうとか、低いとか、高さをどうとかこうとかでなしに、一体、丸の内地区なら丸の内地区のビジョンというものをどう持つのだ、それが大事じゃないか、そういった上に立ってビジョンを持ち得て、そして対処するようにしたほうがいいんじゃないか。高くてもけっこうであろうし、低くてもあるいは高くても困る、そういう場合もあろうというようなこと等も建議を受けておるわけでございまして、私はとにかく丸の内一帯、これは日本の東京は代表都市であり、しかも全国民の一つの描いている、何といいますか、イメージというものもあると思うわけです。そういう日本国民全体にとっても非常に関係の深い場所でございますから、でき得べくんば、やっぱり世界の中に恥ずかしくない首都としての、首都のセンターとしての姿というものを見つけ出していくために、そこでまあためらいを、いまこつ然としてぽこっと橋をかけるようなことにすることはいかがなものであろうかというためらいを実は感じている、ある面では私の率直なただいまの感じでございます。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 容積でもって規制をするということになると、建物がたとえばこういうふうに横長の場合と縦、長の場合と、結果的には同じになるわけでしょう、容積で規制すれば。中身は同じになるわけでしょう。横になっている場合と縦になっている場合と、島さは違うが、容積で規制すれば結果的には同じわけでしょう。そうすると、高いということが目ざわりになる、美観を損うということになれば、どのくらいの高さから上がいけないのだ、どの辺まではいいんだということをきめてしまえば問題は解決するでしょう。それをどうやってきめるのか、これからきめるつもりがあるのかないのか。これはこまごま聞きませんが、その点についてちょっとお聞きしたいと思うんです。
  22. 保利茂

    国務大臣保利茂君) どうも海上ビルとの関連を頭に置いての御質問でございますから、私もそれを頭に置いてお答えせざるを得ないわけです。私は一体、丸の内地区というものは個人が使っているのかというと、そうじゃない、いわゆる日本経済のトップ・レベルの方々が大体あそこを使っているんじゃないか。そのトップ・レベルの方々が使っておるならば、将来、国民からも、なおりっぱな町をつくってくれているというようなふうに、おのずからそこに良識というものもあろうじゃないか。この辺でいいところじゃないか、三十階建てなら三十階建て、それもけっこうだろう、いや、これはどうも少し高過ぎはせぬか、二十階ぐらいでどうかというならば、そういうことでもいいのじゃないか。しかし、そういうことが期待できないということになれば、やはり場合によれば東京都が美観条例をつくらなければならない。しかも、美観地区はそのまま指定したままにしておくということであれば、いやでもおうでも、ある時期には国会の労をわずらわさなければならないんじゃないか。そういうことをしなくても、おおよそものには程度があるわけでございましょうから、そういうことで何か合一点というか、国民が納得し得るような形のものが出てこないか。はなはだ靴の上からかいているにも当たらないくらいのまだるこしいことでございますけれども、率直な感じが私はそういうふうにしておるわけでございます。で、それはなるほど横のものを縦にする、縦のものを横にしても同じものだと言われますけれども、しからば、この霞が関あたりは横にしても縦にしても同じだ、じゃあこれはどうなる、だれしもこれが動き出したときのこの近来の交通状態、公害というものがどういうふうにまき起こってくるかということは非常に心配をいたしておるわけで、どうも縦のものを横に建てるということだけで、私はそれはそうだと簡単に割り切れないものもあるんじゃないか、もう少し慎重に考えさしていただきたいと思います。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 どうも大臣答弁は佐藤総理と似ていて要領を得ないのですけれども、こういうようなことはごまかしもきかないんだから、とにかく。何メートル以上がいけないとかいいとかいうことは、これはごまかしきかないですよ。だから、これは慎重な検討はけっこうですけれども、いいかげん検討してあると思うから私は聞いたわけなんです。私だってしろうとだから、何メートル以上がよくて何メートル以下でなきゃいけないとか、そういうことはちょっとわからないですよ。どのくらいの高さが美観をそこなうなんということは私自身にもわからない。わからないけれども、きめたならばきめられた範囲内でやったことに対してはこれは許可していかなければならぬ。それがいけなければ、こういうわけで法律改正するんだということを明らかにしなければならぬですよ。それが私の聞きたいところだった。何も皇居前に海上ビルを建てろと言っているわけじゃない。ああいうものが建とうが建つまいが私には関係のないことなんだ。おそらく大多数の方には関係のないことだと思うけれども、問題は、大臣も言われたけれども、丸の内のビジョンということを言われたでしょう。大事なのは丸の内のビジョンだけじゃないのですよ。これは日本のビジョンということが私は大事だと思うのですよ。東京が過密都市の代表的なもので、この丸の内からいろいろな問題が出てくるということになると、これは東京に限らないですね。首都圏がいま非常な過密状態にある。ところが、大阪-東京間だけは新幹線も走るし東名高速道路もできるし、すべての点で最優先的に交通機関も発達をしておる。ところが、それ以外は人口はだんだん減少すると、こういう傾向にあるわけでしょう。このままでいくと、首都圏の人口というものは十年か二十年もすればまた倍になるということが計算をされているわけですよ。こういう計算をされているなら、一体これでいいのかどうかということは、建設大臣として考えなきゃならぬことだろうと思う。だから、船で言うならば、こういう現象はひっくり返ってしまいますよ。片っかわだけに人が集まって片っかわだけ人がいかないんだから船はひっくり返っちゃう。そういう状態にいまなりつつあるのでしょう。そうすると、そのような人口の偏在というものはやむを得ないという立場に立って考えるのか、それをもっとまんべんなく分散をさせるというふうにするのか、これはもう基本的な問題だからはっきりさせるべきだろうと思うのです。この前、河野さんが建設大臣のときに、首都移転の構想というようなものを建設省から出されたことがある。その場合の予算はどうとか、計画はどうとかいうプランのようなものが出されたはずです。だから、宮城がここにあって、そこの前に超高層ビルが建つというようなことから、いろいろ考えなきゃならぬ問題が出てくるなら、それじゃ皇居も国会も政府もあまり人けのないところへ新たに移転をするということを考えたって、これはいいこっちゃないかという気もするのです。東京が首都でなければならぬというものじゃないし、鎌倉であったこともあるし、奈良であったこともあるし、京都であったこともある。そうすると、何も東京に固執することはない。首都が移転をするということになれば、東京国際空港だって、そんなに全学連を騒がしてごたごたすることはないということになる。そういう点を考えてみると、私は首都だけのことを言っているのじゃないけれども、将来の日本の都市計画というものはもっと広い視野でもって考えてみる必要があるのじゃないか。いま建設省が考えておるところの都市計画法だとか都市再開発法だとか、こんなスケールの小さな法案でもってこの動きのとれない現状を打開するということは私はできないだろうと思う。だから、もう少しスケールの大きな構想というものを打ち立てる必要がありはしないかと思うのですけれども、保利建設大臣にはそのような構想をこれから打ち出す用意があるのか、そこまで考えていないのか、それらの点についてお伺いしたいと思います。
  24. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 現在の都市化現象と申しますか、まあ、太平洋岸に人口、産業が集中して、船ならばもうとうに沈没してしまっておるというような状態、これはもう私も全く同じ認識であります。しからば、こういうものを、こういう状態を考え、期待してきておったかといえば、政府施策の、あるいは国民の願いとしても、こういうところを期待していなかった。何とか国土の均衡ある開発発展を期待してきた。そうして片寄った発展が行なわれないように、できるだけ均衡のとれた開発が行なわれるように期待をかけていろいろの地域開発法等も持たれて、実施されてまいっておるわけです。十五、六の新産都市の建設を考え、あるいは工業整備地域として数カ所の指定をしてやってきておるということも、願いは国土の均衡ある開発をはかっていきたいというところにあったと思うわけでございますが、しかしながら、この経済成長の足取りが非常に短期間のうちにスピードアップした。イギリスあたりの状態を見ましても、人口のほとんど全部は都市に集中してしまっておる。いわば片ちんばな国になっておるのじゃないかという事例等の反省から、私はこういうもろもろの計画を持たれたと思うわけでございますけれども、しかし、現実は残念ながら御指摘のような状態になってきておる。しからば、これでいいのか。都市計画法や都市再開発法を出したが、こんなみみっちいもので一体どうするのだという御指摘は、これはもうある面においてはまさに当たっておると思うわけでございます。そこで、ほかの席では申し上げましたけれども、こういう十数年の経済成長のあとに反省をして、全国総合開発計画というものをもう一ぺん見直してみる必要があるのじゃないか。先年来、経済企画庁を中心に、とにかく再検討をいたしておるわけでございまして、この秋には全国総合開発計画を発表できるところにいこうかと期待をいたしておるわけでございます。これはいわば天井に書いた絵だと思うのです。大きな国土全体の利用計画、開発計画というものを相当長期にわたって見通していこうというものでございます。で、都市計画法や再開発法は、その上部の計画全体の計画からいえば、地に書いた絵でなくちゃならない。したがって、非常に地についてまいりますだけにみみっちいものになってくる。それだけに、現実的である、現実的でなければならぬ。要は十年後、二十年後を想定した日本の都市の状態というものを描きつつ、できるだけ整備せられた都市をつくり上げていこうというところにねらいを持っていく。もちろん中部圏であるとか、首都圏でありますとか、近畿圏であるとかという中期計画も、上位計画に適合するように策定をして見直していかなければなりませんし、同時に、それと相適応する地区を、一番、地についた都市計画あるいは農業振興地域等の整備というようなものがからみ合ってこれらは末端の地についた計画として現実的な計画を立てていかなければならない、そういう考え方の上に立って都市計画法、再開発法並びに建築基準法の改正等を近い将来考えてまいりたい、こういう考えでおるわけでございます。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最後にもう一つお伺いしますが、いま大臣のお答えだと、経済企画庁でもって全国総合開発計画というものを立案をしておるということなんでありますけれども、これは天井にかいた絵という話がありましたけれども、絵だけかいてお見せをするというものなのか、この総合開発計画に基づいてすべての計画というものをこれから進めていくという意味なのか。
  26. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そうです。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ということになれば、たとえば、そうすると、さっき私もちょっと言いましたけれども、東京政府を置いて、あるいは国会なり皇居をここに置いていいか悪いかという、そういう問題を含めて、官庁から道路、交通、住宅、産業、港湾あるいは空港、こういったようなあり方ですね、すべてこの全国総合開発計画の中に入っているのかどうか、その予算的裏づけというものもかなり考慮をされた開発計画であるのかどうかということ。で、それは経済企画庁でいま立案をしているということだけれども、これは主体は経済企画庁であって建設省ではないのかどうか。もし建設省がこれにタッチしてないとすると、ちょっと解せないような気もするけれども、建設省の立場はどんなものになっているか。それから現状についてどうするかという問題がいろいろありますけれども、首都圏整備法だとか、あるいは近畿圏だとか、中部圏だとか、いろいろありますけれども、予算的に見てもごくわずかでおまじない程度なんですね。こういう機構だけ混在しておいて、はたしてどれだけの仕事ができるかという疑問が私には前々からあったのですけれども、それらの首都圏の整備だとか、あるいは近畿圏の整備だとかいうことを全国総合開発計画の中に包含をされるという性格のものなのかどうか、それらの点についてもお伺いしておきたいと思います。
  28. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 御承知のように、昭和三十七年に全国総合開発計画というものが発表されておるわけでございます。それの再検討をいたしておる。これはもちろん経済企画庁の重要なる仕事であるわけです。そこで全国の利用計画、開発計画を再検討していこうという段階において、都市計画法、都市再開発法というのが立案されておる。それに最も積極的な協力をいただいているのが経済企画庁に協力をいただいているわけでございまして、今度の全国計画の再検討をせられる段階において都市計画法と都市再開発法が立案、策定せられているということは、十分前提として考えていただいているわけでございまするし、また計画が発表になりますれば、この都市計画法や再開発法の実施運営にあたりましては、この全国計画と適応した実施運営をはかってまいるようにいたしてまいりたい、こういう考えでおるわけでございます。全国計画でございますから、たとえば大型航空機を着陸させるような空港をどこに置くとか、あるいは官庁をどうするとかいうような計画はおそらくその中には入っていないんじゃないかと私は思っております。ただ全体の国土――狭い国土でございますから、この狭い国土を効率的に運営してまいるためにはどうあるべきか、その計画が決定いたしますれば、政府施策の全体というものはそれにみんな焦点を合わして計画、策定、実施をしてまいるというようなことになるべき性質のものであると、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで政府も、御案内のように、これまでずいぶんやってきておりますが、どうもかたよってきておる、この現状は。まあ、この集中度が非常に早く、また強いものでございますから、いろいろの施設が手おくれになってきている。そういう計画が、事前にいろいろな公共施設、基幹施設等が持たれているところに人口や産業が集中してきているのはよろしいのですけれども、そうでなしに、ただ何もないところに、とにかく人と産業が集中してきているということですから、いかにもビジョンのないあと追い仕事ばかりに追われているという状態は、はなはだこれは残念なことでございますけれども、これをほうっておくわけにまいりませんので、とにかくそこにエネルギーの大半を注ぎ込んでいるというのが現状でございます。そうして、そういう上から、あるいは国土縦貫自動車道七千六百キロという大計画に着手いたしているわけでございますが、それは要するに、全体の国土が有機的に、有機的というか、みんな高いエンジンの音を立ててあっちもこっちも動くような国道をつくりたいという念願もこの中に入っているわけでございまして、それでは縦貫自動車道でも完成した暁は、どこもここもなくなってくるかといいますと、それは私は少し早計ではないか、むしろやはり集中度に拍車をかけるような心配はないか、そういう点は十分反省しつつ施策を講じていかなければならないんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。それから、これは瀬谷さんと談議でお話するのでしたら、私は首都圏の住宅というか、その移転とかが、そこまでいかないというと東京の運営というものはできないんじゃないかという点につきましては、私は非常に個人として魅力を感じておりますが、しかし、これはなかなか容易なことでなはい、これは私も気が弱いものですから、ちょっとついていけないのではないかと考えているわけでございますけれども、そういうくらいの状態になっているということだけは、しっかり私も腹に置いてやっているわけでございます。
  29. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 建設大臣に、住宅と交通安全対策補助金、さらには東北縦貫道の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。  昭和四十三年度の住宅不足は一体どのくらいあるのか、住宅なり、所帯数をひとつ項目別に説明してください。
  30. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これはひとつ政府委員のほうからお答えを。
  31. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 住宅不足の戸数でございますが、五カ年計画を策定いたしますときに、昭和三十八年度の住宅統計調査資料をもとにいたしておりますが、昭和四十一年度の当初には約二百五十六万戸、不足戸数があると推定いたしております。そういたしまして、昭和四十一年、二年度にそれぞれどれだけ不足の解消に向かったかということの御質問だと思いますけれども、単年度といたしましては、的確な資料を持ち合わせておりませんけれども、推定をいたしますと、毎年建設される住宅の戸数が、四十一年度当初の不足戸数そのものの解消に向かったが、その後におきまして、世帯数が増加する等の新しい要因と解消に向かうものとが、大体推定されまするのは、四対六くらいの比率であろうかと考えられますので、昭和四十一年度当初の二百五十六万戸の不足戸数に対しまして、四十一年度にはその不足戸数につきましては、約四十万戸、四十二年度にはその不足戸数に対しては約四十五万戸程度が不足解消されておるというふうに考えられます。
  32. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その調査の内容ですけれども、いろいろと内閣調査でやられたり、あるいは日本住宅公団で調査をされたり、いろいろ調査のケースがあるわけですが、建設省のいまの発表ですと、内閣調査の四十二年の住宅不足数、この調査でまいりますと四百五十万戸になっております。特にこの住宅難不足数を項目別にみていきますと、非住宅居住が十四万三千、同居が五十九万六千、老朽住宅居住が八万八千戸ですか、狭小過密住宅居住、これはもちろん設備共同住宅ということ、あるいは設備専用住宅、こういうようになりますが、その計が三十六万七千七百戸、住宅難世帯合計が総体で四百五十万あるわけですね、非常に住宅が不足だ、こういう調査が内閣調査によりますと出ているのです。いま建設省の発表されたのとだいぶ、二百五十六万戸ですから非常に調査の内容が違うと思うのですが、この辺は。
  33. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) ただいまの住宅統計調査の資料によりますところを、私どもが建設計画に組み入れてその基礎資料として使います場合には、狭小過密住宅が約三百十万戸ほどある。ところが狭小過密住宅というものは結局住みかえによって、要するに、過密居住であるものが、住みかえによって過密でなくなるということも考えなければならないこともございますので、実は狭小過密の三百十万戸の六割を五カ年計画における不足戸数として一応取り上げて考えようという措置をとったわけでございますので、その三百十万戸の〇・六倍、この数字をもとにいたしますと、先ほど申し上げましたような数字になるわけでございます。その点は住宅統計調査の実態の資料がそのまま五カ年計画の基礎資料になっているものではございませんので、差が出てきておるわけでございます。
  34. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 内閣調査と建設省調査と違うのですがね、どっちを信用すればいいのですか、建設省ですか。
  35. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 総理府の統計調査資料はそのままもちろん信用していただいてけっこうなんですが、私どもがそれを五カ年計画の基礎資料として使うときに、その住宅統計調査であらわれた狭小過密そのものが、その後の世帯異動等によって必ずしも全部が不足数としてとらえられることはないという判断をいたしたのでございまして、実態そのものについて差があるわけじゃございません。
  36. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 実態は違わないというのですが、出てくる数字は全部違うわけです。ですから、私はこの調査の内容が同じ国策上やられるものが違うということについてはどうも納得がいかないのですよ。その点について建設大臣はいかがお考えですか。
  37. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) ただいま申し上げましたように、調査の中身そのものが違っておるわけではございませんで、その中身そのものは、総理府の住宅統計調査そのものの数字が五カ年計画の基礎になっておる、ただその場合に、住みかえ等による狭小過密住宅等の解消というものが見込まれるということを私は申し上げたのでございます。
  38. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それじゃ具体的に聞きたいと思うのですが、東京、大阪、いわゆる旧六大都市といわれるもの、それと仙台と札幌を含めまして、現在、住宅難というものはどのくらい建設省の調査でございますか。
  39. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私どもが日々日常生活の中において味わっておりまするように、住宅難というのは、まだ数字をもって表示してもあまり意義がないほど、やはり深刻だと思うのであります。と申しまするのは、公営住宅あるいは公団住宅等、かなり長い間、相当の戸数、建設をしてまいってきておるにもかかわらず、この公営住宅あるいは公団住宅、大阪のように、大阪の住吉に最近できました公団アパートのように、まだ入居者が埋まらないというような例外のところがございますけれども、東京に例をとってみますというと、何十倍というような入居希望者が殺到をされておるこの現実をどうとらえるかということになろうかと思うわけであります。皆さんそれぞれ非常な悪条件の中に住まっておられる。だから、公営住宅でもできれば、そこにいろいろ通勤上利便の方とか何とか、そういうことを抜きにしても、とにかく公営に申し込もうというようなことで申し込む。それが何十倍というような状態にあるということは、いかに住宅条件が悪いかということを如実にあらわしておる。かなり戸数もやってきております。にかかわらず、そういう状態である。でございますので、大阪と東京とはやや事情が深刻だというのは、東京が一番高いわけでありますけれども、それにしましても、やはり東京と大阪というものは注意をしなければならぬと思うのであります。そこで、四十三年度の公営住宅の配分を考えるにいたしましても、これは公営住宅の数が少ないという御批判はいただいておりますけれども、一方におきましては、やはり土地の事情でありますとか、用地確保の上から公共団体がたいへん苦労をされておる。したがって、一万戸以上の公営住宅を建設消化するということは、公共団体ではたいへん苦労があるわけでございましょうし、にもかかわらず、東京にしても、大阪にしても、何とか住宅事情を緩和したいということで公営の希望を持っておる。私といたしましては東京や大阪、ほかの地区には多少御希望に沿い得なくても、東京、大阪は少くも公共団体でこれだけは四十三年度にやってみよう、消化し得る限度一ぱい、希望される一ぱいのところを、ひとつ建設省も協力をして配分をいたしてまいりたいというような措置を実は取っておるわけでございます。そこで、結局いたしまするに、どうしたならば困難な住宅事情から都民、国民の方々が抜け出ることができるか、一にやはり一人当たりどうなりこうなり、とにかく住まえるようになったという状態までいかないというと、住宅に関する諸般の問題というものを積極的に改善してまいるということは非常に困難だろうと思うのであります。ともかくもそういう意味におきまして住宅の欠乏感といいますか、不足感から一日も早く抜け出して、まあ衣食のようなぐあいにいきませんでしょうけれども、ある程度住居者が住宅を選ばれるときに、選択の、これならやめた、これならというようなところまでこぎつければ、衣食のようなぐあいにはいかぬにしましても、よほど国民生活というものは、気分の上におきましても、実質の物心ともに改善せられるのじゃないか。そこまで早くこぎつけたいということで、数字論を抜きに、全力でとにかくやっていきたい。四十三年度の予算をごらんいただきまして、いろいろ御批判をいただいておりますけれども、政府部内みなそういう気持ちであることはもう御了解をいただきたい。私はそういうかまえで、とにかく住宅問題に取り組ませていただいているということを御理解いただきたいと思います。どうか御叱正をいただきたいと思います。
  40. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まず、その建設大臣の熱意はわかるのですけれども、実態の進みぐあいというものは大臣が考えるようなほどにはいっていないと思うのです。そこで、私は具体的に聞くのですけれども、四十二年の五月に、建設省で都道府県を通じて調査をやっているはずだと思うのですよ。その調査結果があると思うのですが、それが一つ。東京、大阪、愛知等、まあその辺でけっこうですけれども、あると思いますので。  それからもう一つは、日本住宅公団の調査で、民間アパートの世帯居住の間数、面積ですね、この割合と、それから便所、浴室、こういうものが一体設備されているかどうか、その内容。それを、ひとつ、公団で調査していると思いますが、内容について、ひとつ、説明を願いたいと思います。
  41. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 四十一年度の住宅需要実態調査を私どもいたしましたのでございますけれども、全国総数一〇〇%といたしまして、そのうちで住宅の需要別の動向がどのようになっておるか、つまり持ち家と借家、給与住宅、それがどうなっておるかということを調査いたしました。持ち家六一・四%、借家三六・三%、給与住宅が二・三%。これは東京、大阪、その他の都市圏にあるわけでございますけれども、東京圏を例にとって申し上げますと、総数一〇〇%といたしまして、持ち家が五五・一%、借家が四二・四%、給与住宅が二・五%、こういうふうな住宅の需要動向というものの一応調査をいたした結果が出ておるわけでございます。  それから、民間借家の一戸当たりの平均の畳数等の御質問でございましたけれども、東京都における木造アパートの現状、これは住宅公団の調査等でございますけれども、規模でございますけれども、大体一棟建てのものが約六一%ございます。戸数では六戸ないし十戸くらいのものが大体四〇%くらいになっております。そういたしまして、五戸以下のもの、つまり非常に小規模な戸数からなっておるというものが約一四%ぐらいでございまして、平均の……。
  42. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私の聞いているのは、世帯居住の間数、面積ですよ。その割合を聞いておる。
  43. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) その戸数の中の平均の畳数というものは大体七・三畳が平均になっているわけでございます。
  44. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 民間アパートの間数の平均は、確かにいまおっしゃられたとおりだと思います。ひどいのになりますと、四・五畳に住んでいるという、一世帯ですよ。これは厚生省発表で標準世帯数で四・八人ということになっておりますが、これが四・五畳に住んでいるものが五三%、それから六畳一間に居住しておられる人が二二%、それから便所共用が八〇%になっているのですね。浴場の設備のないものが九五%、ほとんどないのですよ。こういう、いわば貧困居住状況なんですね。ですから、全く私はスラム街に住んでいるという、いわば山谷や釜ケ崎のような、ああいう生活というものは一般世帯の中にもずいぶん持ち込まれている、数多く。そういう住宅難に悩んでいる人が一ぱいいるのじゃないか、こういうように考えるのですよ。だから、こういう問題について、政府は少なくとも、四十一年の五十二国会でございますけれども、ここで新五カ年計画というものを立てたわけでありますが、この実施状況ですね、これは一体どういうふうにいっていますか、予定どおり進んでいますか。
  45. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 五カ年計画の実施状況でございますけれども、一応、昭和四十三年度計画の分が達成されると仮定いたしましての計算でございますけれども、公的資金による施策住宅、これで大体達成率五〇・一%、民間自力建設を合計いたしまして五二・八%ぐらいの達成率になるという計画を立てておるわけでございます。
  46. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは私のいろいろ調査をしました調査でありまするが、時間がありませんから、こちらで読み上げますから、もし間違いがあれば訂正していただきたいと思いますが、四十二年度の政府施策の住宅建設戸数、これは国庫補助住宅、中身は第一種、第二種公営住宅、第一種の場合は四十一年度で二万八千八百戸、四十二年度が三万二千四百戸、比較増が三千六百戸ある。倍率で一・一三、第二種は四万三千二百戸、四十二年度は四万八千六百戸、比較増が五千四百戸、倍率において一・一三、合計七万二千、八万一千、九千、倍率で一・一三、こういう結果になっているわけです。もう一つ重要なことは、公団住宅で、賃貸住宅が三万二千戸、四十二年度が三万六千戸、それから比較増において四千戸である。倍率で一・一三、分譲住宅が二万一千、四十二年度が二万五千、これも同じく四千増で倍率が一・一九、まあこういうことになっていると思うのでありますが、こういう状況で進んでいったのでは、私は少なくとも新五カ年計画でやるこの七百六十万戸ですか、この建設は非常に計画が危ぶまれている、こういうふうに考えるのですが、その見通しは、大臣、どうですか。
  47. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この住宅水準がいいか悪いか、これはしばらく別として、民間期待の五カ年計画の中に取り入れております四百万戸というのは、それにもかかわらず、建設意欲というか、民間の住宅建設戸数は予定よりも幾らかオーバーしているという状態でございます。政府施策住宅二百七十五戸、この進み方は多少こうでこぼこはあります。たとえば公営住宅にしても、公営住宅の建設戸数はまあ四十三年度になれば五四、五%になるのじゃないか。しかし、同時に、このスラム街の解消といったような改良住宅のほうの進み方が四九%何がしということで、五〇%に満たない。しかし、おおむね五〇%、やっとこさっとこのところまではこぎつける。そうすると、三年で五〇%、あと二年しかない。四十四年、四十五年度ではたして二百七十万戸の期待が達成できるかどうかということについては、危ぶまれる方は相当あるわけであります。予算委員会等においてもしばしば御論議をいただいたところでございますけれども、これは戸田委員よく御承知のように、こういう中長期の計画というものは、扱い方からいたしまして、後年度にウエートがかかってくるということからいたしまして、財政当局も――政府全体といたしましてもそのとおりでございますが、財政当局もよく理解いたしておりますから、あと二カ年、四十四年、四十五年をもってして必ず達成しなければならぬ。と申しますことは、先ほど申しますように、何とかこの住宅の不足感、欠乏感、それで事は済むというわけではない、またおそらく四十五年、六年度から新しい五カ年計画でも策定をしていかなきゃならぬことはわかっておるわけでありますけれども、とりあえず、とにかくこのただいまの五カ年計画を達成すれば、何とか困難に悩んでおられる住宅の不足感、欠乏感から解放せしめることができるんじゃないだろうかという期待をかけておるわけであります。しかし、何さま人口の分散計画もはかられなければなりませんけれども、また世帯の細分化というものは予想以上に激しい、それから住宅需要が起きてくる。何とか人口集中を抑制しようという意図にもかかわらず、やっぱり東京、大阪に人が寄って来られる、そこで新しい住宅需要が起きる。したがいまして、相当本格的に住居条件を改善してまいるという、私どもの念願するよりよき住宅ということには、多少それには年月がかかろうと思いますけれども、まずもって、とにかく一応五カ年計画を達成すれば、御不満は御不満ながらも、どうなりこうなりというところまでこぎつけるのではなかろうか、それは何としても達成しなければならぬということは、しばしば政府全体として言明も、国会で約束もいたしておるのでございまして、達成いたすべく最善の努力をはかってまいるつもりでございます。そうすることによりまして、先ほど来御懸念、御心配、御指摘のございますこの民間住宅の住居水準の低劣な――いまそう言っちゃおれないから、しょうがなくそこへ入っておられる。いや、こんな家にはおれぬということになってまいりますというと、民間住宅のほうも当然改善されてくることは、住居者、需要者のほうに選択の自由が得られるようになってまいりまするから、買い手の自由に動かされてくるというようなところに早くこぎつけなければならぬというふうに思っております。
  48. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私はぜひ大臣がおっしゃられたような結論で完成をしていただきたいと思うのですが、しかし、経済情勢を考えるときに、今年度も総合予算主義、あるいは硬直化、こういう非常に窮乏した形に逆に財政関係はきているわけですね。大臣がおっしゃられるように、後年度に向けて意図をかけていく、こういうお話ですが、ぜひそういう点、私は一応計画として国民に公約をした事柄でありますから、その実現についてはひとつ鋭意努力をしていただきたいと思うのです。  そこで問題は、いろいろ住宅を建てる諸団体があるわけですけれども、問題は公営住宅をどうふやしていくかがかなめじゃないかと思うのです。この五カ年計画六百七十万戸のうち、どのくらい公営住宅の割合があるのか、その辺ひとつお教えいただきたい。それから民間と公共住宅建設の比率は一体どういうことになっているか。あるいは建設投資、これに占める住宅の投資、これは一体どのくらいか。さらにイタリアであるとか、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、スイス、こういったところの国際比較は一体どういうふうになっているか、こういう点についてひとつお教えいただきたい。
  49. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 公営住宅の問題でございますけれども、三十九年度から四十二年度までの公共団体の公営住宅の建設の希望戸数、それと決定戸数を申し上げますと、三十九年度は希望戸数六万八千二百四十五戸に対しまして、決定戸数実績が五万八千六百八十四戸、昭和四十年度につきましては、希望戸数七万三千九百五戸に対しまして決定戸数六万五千四百四十、昭和四十一年度につきましては希望戸数八万戸に対しまして決定戸数七万二千五百五十一、昭和四十二年度につきましては九万百二十二戸の希望戸数に対しまして決定戸数は八万二千戸と、大体大まかにいきまして一割ぐらいの希望戸数と決定戸数との開きがあるようでございます。そこで、次の五カ年計画におきまして六百七十万戸の総建設戸数を予定いたしておりますけれども、公的資金の計画というものはそのうち二百七十万戸でございます。公営住宅は四十八万戸の計画でございまして、総建設戸数に対しましては七・二%、公的資金による住宅に対する割合といたしますと一七・八%になっておるわけであります。  それから諸外国におきましてはいろいろ国情によりまして違っておりますけれども、まあ国情によりまして住宅資金の導入にそれぞれ重点を置いてやっておるようでございます。そこで国民の所得の統計、これによります昭和四十一年度の政府の固定資本形成額との関連でございますけれども、昭和四十一年度の政府固定資本の形成額は三兆七千億円、このうち住宅に約二千億円となっておりまして、その割合は五・四ということでございます。その年度の国民総生産というものは三十六兆六千億でございまして、政府、民間合わせまして住宅投資は二兆三千億でございます。その割合は六・四%、この割合は大体諸外国の先進諸国と比べまして遜色のない水準と考えられます。
  50. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 公営住宅建設に占める総戸数の割合というのはわずか七二%ですから低いわけです。それから民間と公共住宅建設の比率、これは一対四ですね。そうですね、一対四でしょう。幾らですか。
  51. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 公的資金と民間資金によるものの比率は四対六でございます。
  52. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 日本の場合四対六、イギリスの場合一対四ですね、私の調査では。それから建設投資に占める住宅投資というものは、日本は二九・三%です、私の調査ですと。イタリアは五〇・一%、アメリカ、イギリス、西ドイツが四〇%、こうなっております。スイスですら三七・七%、非常に比率は高いのです。こういうところを見ますと、私は何といっても住宅難が解決できないという最大の原因というものは、公営住宅建設が軽視されておる、こういうところに私はあるんじゃないかと思うのですが、この辺は一体、大臣どうお思いですか。
  53. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 公営住宅を軽視しておるというようなことは、先ほど来、私申し上げておりますようなことで、実は私の頭には全然さようなことはございません。民間の住宅を改善してまいる上からいっても、公営住宅に力を入れて、そっちにウエートがいかないというと、民間住宅の水準を上げていく、改善していくということは困難である、こういう私は認識を持っておるわけでございます。全体の建設投資の上から見て住宅投資が低いのじゃないか、これは見方見方でいろいろあろうかと思いますが、何さまイギリスにしましてもヨーロッパの先進諸国にしますというと、もう早く産業革命を達成して、そしてもう百年あるいは百年以上にわたって資本投資社会投資をやってきておる。ところが、日本はもう近々この十数年の間に西欧諸国を追い越すような産業変化を来たしておるわけです。その一例として申しますれば、たとえば道路ならば道路にいたしましても、彼らは百年の蓄積の上にいまやっておる。日本はもうゼロの上から、とにかくこの建設投資に――まあいわばゼロと言えば言い過ぎでございますけれども、立ち向かってきておるわけでございますから、道路道路河川河川、あるいは住宅は住宅、ことごとく一時に殺到して、これに対応しなければ、取り組まなければならないというところに国情の相違というものもわれわれは大いに考えていかなければならぬ。したがって、この公共建設投資のいわゆる社会資本の整備ということは、超重点的に考えていかなければならない、社会保障と同様に超重点的に行なわれなければ、せっかく経済成長をはかられつつも国民生活の向上をもたらすということは困難である、そういう考えの上に立って住宅問題とも取り組んでいかなければならぬというように私は考えておるわけでございます。
  54. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ実際、新五カ年計画で、政府計画は、公営住宅は五十二万戸、公庫住宅は十万戸、公団住宅は三十五万、その他年金、公務員住宅が四十八万戸、調整戸数として二十七万戸、民間自力建設が四百万戸になっているじゃないですか。ですから、そういうところに民間対公営住宅の比率というものは、さっきおっしゃられたとおりに四対六だと、こういうことになっていると思うのです。ですから、どうしてもこういう民間にウエートが置かれるような建設状況では、新五カ年計画も私は危ぶまれるのじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。  そこで問題は、時間がありませんから先に急ぎますが、問題は補助金の問題でありますけれども、三十九年度に地方公共団体の希望戸数が公営住宅の場合上がってくるのですが、これが六万八千三百戸、うち六万戸決定ですね。四十年度は七万三千九百戸希望して六万五千、四十一年度は八万戸に対して七万二千で、四十二年度は九万百二十一戸に対して八万一千と、希望戸数が大きく出されているのですけれども、それを建設省が押えていますね。これはなぜかというと、やっぱり私は財源の問題だと思うのですけれども、そういう財源の補助金の問題について、一体、四十二年度、四十三年度、当初の予算要求はどのくらいで、決定額が一体どのくらいあったのか、この点だけを教えてもらいたい。
  55. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 九万八千戸の要求に対しまして八万八千戸の決定を一応見たわけでございます。
  56. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 現在、補助単価は安いと思いませんか、どうですか。
  57. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 補助単価につきましては、昭和四十一年度の実態を調査をいたしまして、その四十一年度の実態の調査の結果に基づきまして、大体そのときの実績を見ますと、超過負担というものは、工事費につきまして大体六%ないし七%くらいあるわけでございます。それを四十三年度から私ども三カ年計画で解消してまいりたいというふうに考えております。したがいまして、今年度の予算につきましては、通常ベースにおけるところの単価の上昇、これは大体一〇%ぐらい見込まれます。それにいまの六%ないし七%ぐらいの超過負担の過去の実績の解消を三カ年でやる、つまり単年度二%ぐらいの解消になると思いますが、それを合計いたしますと一二%、その程度の単価のアップというものを四十三年度で見込んでまいりたい。確かに超過負担の問題は重大な問題でございますし、ただいま申し上げましたように、実績はなかなか苦しい点もございますけれども、ただいま申し上げましたような計画で公営住宅の建設が円滑にいくようにつとめてまいりたいと思います。
  58. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 四十三年度幾らですか、補助金の総額を言ってください。
  59. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 全体の金額ですか。
  60. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 はい。
  61. 三宅俊治

    説明員(三宅俊治君) 公営住宅の補助金の全体の金額は百十二億五千五百万円でございます。
  62. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 少なくともこの補助金、国全体で見ますと四十三年度は一兆六千億をこえている、一兆六千億をこえているのですけれども、公営住宅等に対する補助金は、いまおっしゃられたとおり全く微々たるものです。ですから、私は、もっと建設省は深刻な国民の住宅難を解消していくというならば、もっともっとこの辺は主張していいのじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、その辺は大臣どうですか。
  63. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お説のとおりでございまして、したがいまして、予算の編成の段階におきましても、財政当局も、とにかく財政硬直化だとか何とかという苦しい中に、住宅の問題につきましては超重点の扱いをするということで、こういう予算をいたしておるわけでございます。少ないということにつきましては御批判はいただきますけれども、今後の努力にまちたいところでございますが、ただ、それにもかかわらず地方公共団体におきましてもこの公営八万八千戸の建設を十分にこなしていただけるかどうかということに、私はむしろ心配もいたしておるようなわけでございます。そういう点からいたしまして、地方公共団体のほうもおのずから能力の限界がございまするし、それで、まあどの道、四十四年度からもっとぐっと伸ばさなければなりませんわけでございますから、公共団体で公営住宅の建設が促進できまするように、いろいろな配慮をしていかなければならないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  64. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この補助金の単価でございますけれども、これは四十二年度でありますけれども、公営住宅建設補助金が第一種の場合は二分の一、第二種の場合は三分の二、第一種公営住宅建設、第二種公営住宅建設、これはイ、ロ、ハとあるのですが、ロのほうは四分の三ということでそれぞれ単価がきまっている。しかし、私はもう少し時代に即応した、資材費その他も相当上がってきているわけですから、補助単価の問題は検討されてもいいのじゃないか。たとえば公営住宅工事費は、木造で一平方米につき補助基本額は一万七千三百四十円、決算実績でいきますと、これは四十年度ですけれども、一万九千九百十九円、こういうようなことになっている。結局八七%の補助金ということになって、あとは全部地方公共団体がそれぞれ負担をする、こういうことになっておる、公営住宅の用地費は一平米について補助金額は千四百七十二円、これじゃとてもいま土地は買えない、したがって、その負担率は五七%ぐらいですね、そうすると、あとは多く戸数を建てていけば地方自治体に全部超過負担となってかぶさってくるわけですから、地方財政はもっと圧迫をされる、こういうことになってくるのです。ですから、こういう状態をいつまでも放任していることは、それ自体私は建築を促進することにならないのじゃないか、ですから、この辺の問題についても十分私は検討されてしかるべきじゃないか、こういうふうに考えます。  時間がありませんから前へ進みますが、もう一つは、四十年の十二月九日でありますが、社会開発懇談会、これの結論があるわけなんですが、これはどういうことを言っているかというと、結局は、国民生活の基盤である生活環境が外国と比較して非常に悪い。だから早急に住宅対策を改善しろ、こういうことを言われておるわけなんですね。大臣も佐藤総理もいろいろと口を開けば、これらについて善処しますと、こう言っていますが、いま言ったような内容の欠陥があるために遅遅として進まない。こういうのが私は偽らざるいまの実情じゃないか、こういうふうに考える。そこで問題は公営住宅建設資金の負担について、もっと増額する必要があるのじゃないか、これが一つであります。それからもう一つは特別会計方式によって、少しこの傾斜集中的な大量資金の導入、こういうものをひとつ考えたほうがいいんじゃないか。まあこういうふうに考えるのですが、その辺はどうですか。
  65. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 建設資金等の調達についての御提案につきましては十分検討をいたしてまいりたいと思うわけですが、ただいまお話ございました四十年の末に、社会開発懇談会でございますか、あれの結論、そういう論議が四十一年からの住宅五カ年計画を策定した大きな導火線になっておる、と申しまするのは、とにかく日本の経済産業がこれだけ高度成長をした、高度成長の一つの反省には、その高度成長の潤いというものは、目的はやはり国民生活を豊にしてまいるというところに目的があるわけでございまするし、それにしてみますれば、この社会開発、住宅をはじめもろもろの国民生活を圧迫している条件というものは、かなりいい条件にはない。それを経済の成長、国力の充実をはかっていくと同時に、本来のねらいである国民生活の改善に向かって政治は配慮をしていかなきゃならないというのが、私は社会開発を佐藤総理が提唱しておったもとだと思っておるわけでございます。それが、さあその住宅だけで事が済めばよろしゅうございますけれども、先ほど申しますように、諸事ことごとに補っておるものでございますから、まあ住宅のほうはとにかく五カ年で一世帯一住宅というところを目標にして取り組もうということが今日の状態でございます。  なおまた、この公営住宅、地方公共団体が行ないます補助率の問題につきましては、その他の事例と合わせてお考えいただきますると、かなり重点を置いてやっているわけであります。たとえば、これは非常に問題がありますし、私も来年度以降どういうふうにいたすべきかということを、これからまあ将来検討したいと思うわけでございますが、たとえばこの公営住宅に限って国が用地の補助というものは全然やっていないのではないか。また近隣、東京周辺、大都市周辺に人口が集中される、あるいはスプロール化で人口が集中する、学校が足りない、学校を建てなければならない、地価は高い、そこで公共団体も非常に弱っておられる。何とかその用地の補助をやってくれなけりゃ公共団体で土地を捜そうとしても手に入らぬじゃないか。その要請にもこたえ得ない今日の状態で、公営住宅の要求については、なるほどそれはもう御指摘のように補助単価というものは低うございますけれども、とにかく用地の獲得に向かっても国が施策をやっているわけでございまして、先ほど御提案のことにつきましてはさらに検討はいたしてみますけれども、その辺の事情はひとつ御理解をいただきたいと、こう思います。
  66. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これで最後ですが、二点だけお伺いしてみたいのですが、結局、今回の公団住宅は賃貸住宅を主体に進めていくべきじゃないかと思うのですが、この点はひとつ時間がありませんから、東京関係で一点。東北縦貫道についていま福島でいろいろな紛争が起きているわけですが、それはまあ御存じでしょうけれども、そこで問題は、東北縦貫自動車道用地取得事務の委託に関する協定というものがあり、委託者は日本道路公団の高速道路仙台建設所所長川野博司、受託者は福島県知事木村守江、こういうふうになっておる。一体、地方公共団体の首長が、こういう公団の委託業務を直接やるというようなことは正しいのかどうかですね。少なくとも知事というのは県民奉仕の立場で、私たちの解釈でいけば、当然、奉仕する立場だと思うのです。ですから、こういうことがあって、いま常識的にもこの土地収用ということになれば、紛争が起きることはさまっておるんですから、その際に適切な第三者的な立場であっせんするのが私はたてまえで、そういう点について、こういう明確な委託協定をやって、道路公団でやるべき本来の業務というものを全部県や市町村に持ち込んでいる。こういうようなことは、はたして地方自治上許されるのかどうか、もしそういうことがあったとすれば、法的根拠はどういうところにあるのか、この点をひとつお示しをいただきたい。
  67. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 住宅公団で賃貸住宅と分譲住宅をやっているわけでございますが、私も二、三この間の日曜日にも回ってまいりまして、分譲で入っておられる方のじかの話を聞いてみました。やはり頭金を置いて、そして何年かで家賃よりも低いような何で、まあ二十年か二十五年になるというようなことで満足しておられる。かなりの希望者があって、希望率が高いということですけれども、当面、とにかく賃貸住宅を中心に置いていったほうがいいじゃないかという御提案は、私は同感でございます。  それから東北自動車道の建設計画を進めるに当たりまして、公団と知事さんとの間に委託協定が結ばれた。本来、縦貫自動車道は大きな国土開発のビジョンの上に計画を進めておる。やはり地域住民のために、また地域の開発のために貢献していかなければならない。たとえば縦貫自動車道でインターチェンジができる。そうすると、その地域の公共団体では、それを起点とする道路計画を立てる。あるいは沿道の農地を供給していただいて、そこに道路をつくっていくということになりますと、あるいは土地改良を伴っていかなければならないという場合、関連した公共事業ができる。それはこの道路を利用することによって、その地域の開発向上をはかっていく、当然その公共団体においてはいろいろな計画を持たれるわけでありますし、どのみち、どっちにいたしましても、これだけの大事業を進めてまいりますのには、地元の御協力をいただかずしてはできるはずはございませんので、やはり地元の理解と御協力をいただいて進めていくためには、法律上の根拠はどういうふうになりますか、どういうふうになっておりますか、私はそういう点は何でございますが、とにかく各県ともに沿線の知事さんと道路公団の問で相談をして御協力をいただいて、そしてもろもろのその県内の開発、あるいは施設の改善等、計画せられていくという上においても好都合であるし、また施工者はどうしても地元の御協力をいただくということで、知事さんとお話し合いをして、お世話していただくようにいたしておる。私は、これはまあどうしてもこのほうがほんとじゃないか、法律の末節はどういうふうになるかわかりませんけれども。
  68. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私もそれは設置については賛成なんですよ。賛成だけれども、いまの路線の問題に関係する問題。さらにその上に立っての第三者で十分協力の範囲というものはあるんじゃないか、こういうふうに考えるのです。だからそれはいいです。法律的にはどうなるんですか、それだけちょっと聞いておきたい。
  69. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 道路公団が高速道路の用地の買収を県に委託しております。法律的にこれは根拠はございません。ただ、公団といたしましても、また自治法にいたしましても、特にこれを禁止しておるということもございませんので、ただいま大臣言われましたように、地方のその他の関連の事業と非常に大きな関連がございます。そういうこともございまして、委託している次第でございます。これと同じようなことは、各地の地方建設局で国道の用地の買収を県に委託しておる場合もございます。
  70. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 きわめて素朴な質問を簡単にいたしますから、簡単にお答えいただいてけっこうでございます。道路は日本の経済発展の基盤であることは申し上げるまでもないと思います。それぞれ長期計画等を基礎にしながら非常な速度で建設省の努力で進行しつつある、これも喜ばしいことであると思います。ただ、現実を見ますると、それらの道路というものがほとんど、と言いますと言いすぎかもわかりませんけれども、自動車の道路であります。東京都内におきましてもハイウエーは縦横にできましたが、これは一〇〇%自動車道であります。最近、地方におきましても若干の財政上の負担を政府が持ちまして、地方道におきましても補修等が進行しつつあります。しかし、その結果においては大部分自動車がこれを利用するということになるようであります。大体、道路というのは初めは人間が歩いた道であります。現在、東京におきましても人間の歩く道というものはほとんどないといっては言いすぎですけれども、少ない。車道と人道と区別のあるところはありますけれども、かろうじて車が通るというふうなところ、これはもうほとんどそのかいわいの住民が歩いた、子供も歩けば年寄りも歩く、そういうところもどんどんと自動車が入りまして、ほとんど人間は通れない。ことに朝とか夕方、ラッシュ時になりますと、ほとんど車が続いちゃって人が歩けない。何とか人間が歩く道はやはり確保していく努力が必要じゃなかろうかと思います。戦前ですか、ロンドンで、御承知でありましょうけれども、ロンドンから郊外に出る長距離歩道、八本か九本、財政窮乏難の政府自体が建設をした、ああいう話を聞いておりますし、ロンドンなり、パリに行きますと、都心は別としまして、特に郊外方面に出ようと思えば、十分人の歩く道がありまして、そこで若い主婦は小さい子供を、何といいますか、うば車のきのきいたのに乗っけて、ゆうゆうと歩いている。東京でうば車に赤ん坊を入れて歩く道はどこにあるか、ほとんど私はそういう姿を見ることはできない、こういうことでいいのだろうか。これは建設省行政ですぐどうこうということを私は言うわけではありませんけれども、こういう状況では、自動車のための道路行政がどんどん行なわれて、ほんとうに人の歩く道というのは何も考えていない、こういうことで将来いいのだろうかという感じが、数年来しきりにするわけであります。なるほど財政はなかなか苦しい。しかし、相当の金をそっちにかけている。しかも目的税を創設しまして、それを基盤にやっている、それはそれでいいですよ。しかし、そういうことだけで、人の歩く道というものはなくていいのだろうか、これが私の素朴な第一の質問であります。
  71. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 梶原さんと同じ私も感じで、私もずいぶん、十五年ばかり前だったか、十数年前だったか、アメリカに参りましたときに驚いたのですが、人間の通るところはなくて、道といえば自動車が通っている。まさに十年ばかりしてそれが日本にきてしまった。それで、そういう感を、憂いを等しゅうされて、佐藤総理も歩行者優先という、政治の上に歩行者優先ということまでも提唱しておられたところなんです。そこで、何さま経済、物資の交流が非常な勢いのものでございますから、まずもってその需要に答えなければならないということで、道路整備計画を立てておるわけでございますが、この数年、だんだんただいまのような御懸念から、交通安全施設と申しますか、あるいは防護さくを置いたり、歩道を構築したり、あるいは横断橋を設けたり、踏切道を改善したりという一連の交通安全施設をして、要するに、今日の交通禍から人命を守る、まあ楽しむ、エンジョイする段階ではなしに、どうして守るかということに力を入れてやらしていただいておるわけでございます。これからそういう考えで道路整備を進めてまいりますとともに、たとえば、各地でバイパスの建設計画を立てておりますわけでございますけれども、そういうところに少なくとも歩道の確保をはかってまいるというような点についても、道路行政当局も細心の注意を払っていこうといたしておるわけでございますけれども、まだ少し手ぬるいかもしれませんが、力を入れていかなければならぬと、私は同様の憂いをいたしております。
  72. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 自動車優先というたてまえで、私たちはそんなことを言っているけれども、そうして、いかに人を保護するか、そういうあれで、自動車優先のもとでの人間優先、こういうことばかり言っていると思います。その基本はそれでいいのですけれども、それだけではいかぬじゃないか、自動車に対して人間が優先するのじゃなくて、人間は人間でちゃんと本来優先すべきものなんです。本来そういうものだと思うのです。ところが、非常に狭い歩道を歩くとか、本来そこは人だけが通る道であったやつを、自動車が入ってくるのが無理なんですね。無理だけれども、どんどん入ってくる。人はどっか軒下にじっと立っているしかない、こういうことがひとつの反省すべき姿じゃないかということで、すぐどうこうということは無理なんですが、そこにひとつの道路行政の心がまえと申しますか、そういう点で御検討いただければありがたいと思います。それから第二は、これも道路管理の問題でありますが、これは建設大臣行政の最高責任者であろうと思います。で、道路をいろいろ利用さしているわけですね。管理上そのひとつとして電柱がありますね。道路横に電柱があります。あれは公道の上にある、私道の場合もあります。あれはおそらく地方公共団体で契約か何かでよけいやるというか、何かあって、使用料を取って使わしていると思います。これは資料があればいいんですが、なければ、適当なときにお聞かせ願えればいいんですが、一体あの電柱等でどれほどの道路の使用料といいますか、利用料といいますか、あがっているものであろうか。もちろん電気の関係からいえば、これは半ば公共的な仕事ですから、道路沿いに電柱を設備すること自体はどうこういうわけではありません。まあ地下に入れてしまうという考え方もありましょう。そうなるでしょうけれども、当面、公共的な仕事である電柱が、道路を利用するということ自体どうこういうわけではありません。一体どれほどの収入があるのであろうか、わからなければけっこうですよ。
  73. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 現在、国道の管理につきましては、昨年の十月から、現在指定区間という制度のあります区間につきましては国が直接管理いたします。そのほかの国道については、県に管理を委任している状態でございます。県道市町村道につきましては、おのおの県市が管理者となっております。実はいままでは各県が条例をきめておりまして、それで電柱の占用料をきめておりました。昨年の十月から指定区間の占用を全部国がやることになりまして、一応そのときの基準といたしましては、七大都市では大体電柱一本について三百五十円、そのほかの都市では二百四十円、平地では、その他の土地では二百二十円というように一応の基準をきめたのでございます。この実際の占用料の収入については、いろいろ暫定の措置を講じておりますが、現在、国道の、国が直轄で管理しておりますのが一万七百キロくらいございますが、これについての実は占用料の収入といたしましては、これは電柱だけでございませんが、一億一千八百万円程度でございまして、さらに電柱だけだともっと小さなものになろうかと思います。ちょっとその数字はいま持ち合わせておりません。
  74. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 それはそれでけっこうだと思います。それをとやかく言う気持ちはないのであります。私のお伺いしたいのは、その電柱、国が直接管理されておるところは少ないかと思います。電柱にこれは以前からありますけれども、広告がべたべた張られるわけですね。参議院選挙のビラを昔張ったけれども、それはよくないということで、おやめになった、それもけっこうだと思うのです。ところが、最近はあの電柱から張り出す広告ができるようになりましたね。これは比較的新しい。しかも、車が多くなったものですから、相当上にございまして、ずっとそれが道路沿いに電柱を使っているわけです。あれは一つの私企業体の営利事業に利用されているわけだと思います。電灯屋さんが広告をしているわけではなくて、いろいろの広告が張り出すやつがずっとある。あれは電柱をやっている企業体が収入を得ておるはずだと思います。一体、それは管理者のほうでそういうことを承認をしているのか、それは自由になっておるのか、その点はどういうふうになっているか、こういうことです。
  75. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 電柱につきましては占用の許可をしているわけでございます。その電柱に添加いたします広告については、やはりその電柱の所有者の許可を受けることと同時に、道路管理者の承認を受けて、広告として占用料を徴収するたてまえになっておる次第でございます。
  76. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 占用料として広告の収入をするというのは、管理者のほうが一部収入するわけですか。
  77. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 結局、広告業者とすれば、電柱の所有者にいわゆる一部取られております。それと道路管理者へ占用料として納めることになると思います。
  78. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私はそれは適当じゃないと思うのです。公の道路を、公共的な性質のものに若干の利用料を取ってその使用に供するということは、これはそれでいいと思うのです。しかし、それを広告等のような役割りに一部利用さして、それから収入を取るということは、決して適当じゃない。これは公のどういう権限でそういうことをやるか、ぼくには不可解なんですね。しかも、それが非常に都市の美観をそこねていると私は思います。もうだんだんこのごろは地方のほうも観光的なあり方になりまして、非常に自然の風致の上から言いましても適当じゃない。公の道路をそういう私企業のために利用さして、そして収益を取るということは、どうしても私は納得できないと思います。大臣のひとつ所見を伺いたいと思います。これで私の質問を終わります。
  79. 保利茂

    国務大臣保利茂君) なるほど、その電柱の使用料を取るところまでは、これは公共施設物と見られるわけですから、けっこうだと思いますが、ただいまの提案は、多分に御同感を申し上げるような私の気持ちでございますから、ひとつ検討をいたしまして、できるだけやっぱり美観上、いろいろな地区もございましょうし、そういう点を配慮して検討をさしていただきたいと思います。
  80. 大森久司

    大森久司君 ちょっとお伺いしたいのですが、建設省では住宅の建設に対しまして非常に御熱意を入れられてそうして六百七十万戸を五カ年でやっていこう、こういうことになりました。都市の過密化あるいはこれを排除するということに、いろいろの角度から考えておられます。それがために、住宅の建設はとかく大都市の周辺である近郊整備区域に、あるいは住宅公団であるとか、民間の建設会社によって進められております。ところが、政府のお考えそれ自体は、住宅を建設したらいいというお考えかのようにとれるふしがあります。そして、またそれがために地方の公共団体が非常に迷惑をしておる、これがいまの現状であります。その迷惑をしておる一つは、住宅が建っても水かなかったならば生活ができない。いわゆる水資源を分配するのに、その住宅と並行して考えられておるかという問題が一つあります。いま一つは、この都市に住宅が建てられましたならば、あるいは学校であるとか、道路であるとか、あるいはまた下水であるとか、あるいはその他いろいろな公共施設をやらなければならない。そうすると、それ対する先行投資それが非常に高くつく、大体一戸当たり四十万円くらいにつくと聞いております。そうすると、起債をした場合、年七分として二万七千円。一戸当たり利息がかかります。ところが、あがってくる税金は一戸当たり二万二、三千円しかあがらない。そうすると、一戸当たり五千円前後のものを負担をする。最近、各都市において、住宅公団とか、あるいは開発されて新しくどんどん発展していく都市は赤字を出しておる。その赤字の原因はそこにある、私はかように思っております。だから、そういうような都市は住宅公団のきてくれることを拒否するようになる。いままでは住宅公団にきてもらいたい、それが都市の発展であると、かように考えておりましたが、その赤字の原因をつぶさに研究してみると、そういう先行投資のような方面に非常に大きな犠牲が払われておる。だから、大きな都市ならともかくも、小さい都市ではその負担にたえかねて、そうして、その先行投資、いわゆるそれを償却するまでの年限までに自分の財政が息ついていくと、こういうようなことになっております。だから、政府においては、住宅建設を進められる一方において、この二つの点において考えてもらっておるのかどうかということをお尋ねしたいのであります。
  81. 川島博

    政府委員(川島博君) 御指摘になりました公団その他の団地形成にあたりまして、関連公共、公益施設の整備について非常に問題になっておりますことは、承知いたしております。これにつきましては、たとえば住宅公団が団地を開発いたします場合には、公団の費用でそういった関連の公共、公益施設の費用を立てかえまして建設いたします場合もございますし、また、公庫でございますと、地方公共団体に対しまして、そういった関連公共、公益施設の建設費用の融資をいたしまして、地元の地方公共団体の負担が少しでも軽くなるように、いろいろ配慮をいたしておるわけでございます。もちろん十分ではございませんけれども、今後ともにこういう建設工事、これは五省協定で方式もある程度確立されておりますので、この方向で進んでまいりたい。しかし、それよりも何よりも、やはりこういった特に大都市近郊の住宅団地の建設に対しましては、やはり都市計画によりましてあらかじめ計画を立て、これらの公共施設に対する公共投資をすみやかに行なうということが本筋であろうと思います。今後ともにこの団地関連の公共施設につきましては、投資順位につきましていろいろ再検討をいたしまして、優先的にこれらの公共投資が確保されるように、建設省といたしましても努力してまいりたいと存じます。
  82. 大森久司

    大森久司君 いろいろお考え願っておるそうですが、時間がないそうですから、この問題についてはあまり討論できないんですが、とにかくどちらにいたしましても、住宅公団のほうでは最近こういうようなものにぶつかって非常に考えてもらっておる。ところが民間建設業者は、売りっぱなしで、もうけて、そしてその土地を去って行く状態で、こういうことで非常に都市においても迷惑をしておる。だから、こういうような問題に対しては、建設省が指導的立場に立って、そうして、そういうような業者も協力しなければいかぬというようにしてもらわなかったならば、地元の市町村は立ちいかないと、私はこう思う。それと同時に、いわゆる起債なんかにおきましても、五年間ぐらいは据え置きにする、そうしてその間に、そういうような税金が入るようにしてもらいたい。建設されたらすぐに税金が入るというわけじゃないわけです。とにかく大阪に住んでおって、かりに奈良県に住んでおっても、あるいは埼玉県に住んでおっても、もとは東京におったから東京におるかのような態度をとっておる。そうして、一番税金の安いところに自分の住宅地を置いておることにして、事実は奈良県とか、埼玉県とか、あるいは千葉県に住んでおるというのが実例であります。そういうようなものがわかってくるまでには二、三年かかると、私はこう思うんです。それと同時に、政府はこれに対し利子補給をすると、こういうことが私は必要である。少なくとも三分五厘ぐらいの利子補給をやるということでなかったなれば、私は歓迎して市町村はこれに対して協力しかねるのじゃなかろうか、事実立っていかないのじゃなかろうか、これが私たちが考えておる問題であります。新産、工特の都市に対しては三分五厘の利子補給をやっておる。だから、近郊整備区域に対しても三分五厘の利子補給をやることも決しておかしくないと私は思っております。しかし、大蔵省では、これは受益地であるという考え方のために、それはいけないと言うておるが、とにかく受益地というものの解釈のしかたがちょっとおかしいと思う。近郊整備区域は大都市過密化の被害地であります。いずれ何年か先には受益地になるかもしれない。それが息つかないようにして初めて受益地になる。息ついて倒れてしまうような状態では受益地ではない、私はこう思います。そういう点、十分市町村の受け入れできる措置をお考え置き願っておきます。そうしてまた水資源に対しましても、住宅と水という問題と並行して十分考えてもらうということを大臣にお願いいたしまして、私は次の問題に移っていきたいと思います、時間がございませんので。  最近、新都市計画法というものが建設省で出されております。ところが一方において農業振興地域の整備に関する法律というものが農林省で出ておる。これは非常に、われわれはこれに対して政府がどういうような指導をされるのであるか、いわゆるこれは都市化の問題、市街化地域、これはわかりますが、市街化調整区域と、そうして農業振興区域とがダブってくる。そうすると、これは二重行政になる、そういうことになると、勢い役所の権限がセクショナリズムになって、なわ張り争いが起こるのではなかろうかというようなことも考えられるわけでありまして、これによりますと、市街化を抑制する区域がいわゆる市街化調整区域、こういうことになっておりますので、調整していくということと農業の振興ということとは、両立するかのような思われますが、これは役所の上のほうではよくわかりますが、下のほうではやはりセクショナリズムにおちいる危険性を多分に包蔵しておると、私はかような思うわけであります。  それからもう一つは、市街化区域の農地の転用統制を排除するということになっております。そうすると、農地の転用統制を排除した場合に、農地を許可なく自由販売することができる、あるいは悪ブローカーが跳梁して、そうして非常に土地が高騰する、あるいはまた税金が上がる、あるいは生鮮食料品が高騰して非常に付近の人が迷惑をする、営農生活に甚大な影響を与える、こういうようなことが考えられるわけであります。あるいはまたいわゆる農家に対する融資、あるいは災害復旧に対する補助、あるいは防助、あるいは復旧事業、そういうものに対して農林省が補助しておった。ところ今度は農地転用統制を排除するということになると、そういうものに対しどういうことになるのかということも、あわせてお伺いしたい。
  83. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 新しい都市計画法をただいま衆議院のほうで御審議をいただいておりますが、この都市計画地域を設定いたします都市計画を立てますのは、たとえば奈良県でいえば、奈良県知事がどういうふうに奈良周辺の都市計画を立てられるか、最終的には知事がおきめになる、そのためにはもちろん奈良市民、あるいは近郊村民の方々の意見は十分反映されて、そうしてお互いに住みよい地域社会をつくり上げていくという上から策定をされるわけでございますが、御質問のように、市街化区域と市街化調整区域、一方において農林省の農業振興地域の指定というものがからみ合ってくる、権限争いやなわ張り争いを誘発してくるような危険がないかということについては、これはもう行政区画をほんとうに反省をしていかないといけない点だと思っておるわけでありますが、私はこの秋に、全体の全国総合開発計画が打ち出される。そうして現実の面におきましては、その国土の利用計画の大筋にのっとって農村地域の振興をどうはかってまいるか、都市環境をどう整備してまいるか、それぞれ性格を持たせて、いわばやはり農村と都市とのありよう、今日の国情のもとにおける農村と都市のありようというものを一つの方向づけをしていく一つの画期的な施策になると思うわけでございますが、そこで一体、調整区域の多くは農地でありましょう。その農地はどうなるであろうか。農業政策上のもろもろの保護等の助成措置がとられる。これはもう当然、市街化調整区域は少なくともここ十年ぐらいは、今日まで各都市に見られておりますような無秩序な住宅その他の建設がなされないように押えていくということは、一面においては農業振興をはかってまいる、都市近郊農村にふさわしい農業振興をはかってまいるものとして確保されていくという上で、農業政策上の対象に扱われてまいる地域である。ただ題問は、お話のように市街化区域に指定された中にある農地の扱い、農業の扱いはどうなるか。これは農地法上の適用ははずされる。しかし、たとえば災害が起きたとき災害復旧をどうするか。それはもう災害が起きて農地が荒廃すればそのままにしておくのかというようなことにつきましては、少なくとも災害対策あるいは災害復旧等の対象としては、農地として保護をしていかなければならない。しかしながら、おおよそ市街化区域として指定を受けるところは、知事が最終的にきめられる場合、大体この地域はここ十年くらいを見通して、全面的に市街化区域になるであろうと想定されるところを指定せられるわけでございます。しかし、おおよそ見込みと現実とはずれてまいりますので、これは当然考えておかなければならない。現に農地である場合におきましては農地として保護をされる。これは私は農林省は当然考えておられることと思いますが、特に新しい都市計画法と農業振興地域の法案では、今後の農村と都市のありようを定めてまいる大事なポイントでございますから、農林、建設省でなわ張りを争うどころじゃなしに、抱き合って健全な調整をはかってまいるということが一番大切であろうと考えております。
  84. 大森久司

    大森久司君 両省で、農林省建設省で抱き合って考えていくというお話を承りましてこれは非常にけっこうだと思いますが、少なくとも、専業農家、あるいは農業協業化、あるいは農業構造改善事業というものを進めながら、一方においてそういうような二重行政のワクをはめていくというところに非常に不安といいますか、あるいはまたそういうようなものにいわゆるブローカーなんかが入り込んで、非常に自由にそういうようなものをあおり立てるという危険性をたぶんに持っておる、そういうようなものを一本化していくという大臣お話でありますが、少なくとも土地利用地域というようなかりに名称でもつけて、そうして、法律一本のもとにこれを統制していくというようなほうがいいのじゃなかろうかと私たちは思うのでありまするが、どういうようなお考えであるか、あるいはまた農地転用統制を廃止するということをせずに、市街化区域というものを進められないかどうかということをお伺いして、他に質問者もおられますから、私はこの程度にしておきます。
  85. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 第一の土地利用計画というような形で両者の統合ができないかというお話でございますが、私どももそういうような方向で問題が片づけば片づくということが一つの理想であろうと思います。私どもといたしましては、都市のサイドから土地利用をきめる、それから農林省のほうは農業のサイドから土地をきめるということで、ただいま大臣お話がありましたように、知事の段階というようなところで統合されていくわけでございますので、その基本には当然全国の国土利用を考えます。現在、全国総合開発計画の改定というものが考えられておりますので、実質的にはそういう理想に相当近づいた形で運営がされていくようにと、私どもは常に農林省と密接な連絡をとっておりますので、両方一緒になってやろうじゃないかということで話し合っておりますので、通常のような権限をお互いに主張して、この問題につきましてどちらの権限にするというようなことは事務的にもないわけでございます。  それから、もう一つの問題でございますが、市街化区域の中で農地転用を残したらどうであろうかということにつきましては、市街化区域は先ほど大臣からお話がございましたように、十年ぐらいで市街化するというような区域につきまして、これを地域設定をいたすわけでございます。したがいまして、その地域につきまして、当然まとまった優良農地というものは、これをはずして指定をやって、市街化区域の設定の段階におきましては、農林大臣が必ずこれをチェックするというようなことになっておりますので、そういうようなチェックのもとに優良なまとまった農地というものは必ずはずしてまいるというようなことをやっていくつもりでございます。したがいまして、市街化区域の中には、一部点在する農地というものは出てまいる、点在する農地なり、あるいは市街化の傾向によって相当宅地化されそうな農地というものは残るにいたしましても、市街化区域の中におきましては、まあ十年ぐらいで市街化するということが考えられますので、私ども農林省といたしましても、その区域におきまして一々転用というような制度をとる必要がないのじゃないか、転用許可を。あらかじめ概括的に農林大臣の承認によってはずす、このような考え方をとったわけでございます。
  86. 大森久司

    大森久司君 最後に一つ。現に農業用地に使っておるのにもかかわりませず、これを宅地並みに課税して、そうして、税制面から宅地化を促進しようとする動きが見られます。このように税制――課税面から都市農業の追い出しをはかろうとすることは、非常にこの付近の農家に対して不安を与えると私は思いますが、その点に対して十分考えてもらえるかどうか伺いたいと思います。
  87. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) これも法案をつくります場合に非常に問題になった点でございまして、私どもはあるいは農林省、自治省と相談いたしまして、市街化区域になったからといって、直ちにそこに転用農地がある。その農地について宅地並みの課税はしない。相当その周辺におきまして道路なり上水道なりの整備が行なわれる。また、おそらく客観的に宅地化されることが明らかになったような場合につきましては別でございますけれども、それ以外の農地につきましては、ひとつそのような課税はしないというような方針を確認し合っております。
  88. 大森久司

    大森久司君 これで終わります。
  89. 小平芳平

    小平芳平君 建設省の中に専門委員という制度があるようですが、これについて説明してください。
  90. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 建設省には大臣の諮問に応じまして調査、審議をさせるために専門委員を置くことにしております。これは昭和二十七年以降でございます。
  91. 小平芳平

    小平芳平君 大臣、何か専門委員に諮問したことがございますか。
  92. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 建設省の専門委員について御疑念を抱かれておるようでございますが、私も実は正直言いまして、何とか、せっかく専門委員として委嘱しておるわけでございますから、これは私は専門委員の存在を肯定いたしておりますのは、人についてはいろいろあろうと思います。あろうと思いますが、とにかく行政行政府の独善にならないように持っていくということは、非常に大事なことだと思うのであります。これはもう仕事をしていただけば、役所の人にこれほどの能力のある人はなかなかいないと思うのですが、それほど優秀な方々が行政の衝に当たられるわけでありますから、できるだけ民情といいますか、実際の事情とちぐはぐにならないように行政を心がけていかなければならないんじゃないか、私は基本的にそういう考えを持っております。したがいまして、いま何をおまえはこの専門委員に委嘱したかということにつきましては、たとえば、いま当面、万博問題等で建設省が受け持っておる分野が非常に多うございますから、これは国際的な行事であるし、できるだけ広い衆知を集めて、役所だけの考えでなしに、広く衆知を集めて間違いのないようにやっていきたいということで、特に公園等の問題、そういうことで幸いに近畿圏整備本部の要職に、首脳者でおった人たちもおるわけでございますから、そういう方々には万博の問題については特に官房長を通じて御委嘱をいたしておるわけでございます。
  93. 小平芳平

    小平芳平君 それでは官房長から、いま大臣の言われた、人についてはいろいろあると言われましたが、だれだれがいまこの専門委員になっていて、その前歴はどうということを発表してください。
  94. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 現在、専門委員は十七名おられます。そのうち七名の方は万博の日本庭園の関係で委嘱をお願いいたしております。それから就任の年月日順から一人ずつ申し上げましょうか。
  95. 小平芳平

    小平芳平君 一人ずつ前の職を。
  96. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 服部安司委員は前衆議院議員でございます。それから山本幸雄委員は元建設事務次官、小島徹三委員は前衆議院議員、中島茂喜委員は前衆議院議員、町田充委員は元近畿圏整備本部次長、それから関口えい太郎委員は京都大学の名誉教授、佐藤昌委員東京農大の教授、森蘊委員は庭園関係の権威者でございます、庭園の設計等についての権威者でございます。それから横山光雄委員は東大の教授、田坂美徳委員は明治神宮の顧問、森脇竜雄委員は都公園協会の理事、福山敏男委員は京都大学の教授、上田稔委員は前近畿圏整備本部の次長、石渡秀男委員は前参議院議員の秘書でございます。加藤高蔵委員は前衆議院議員、遠藤貞一委員は元建設省の監察官、上條勝久委員は元建設大学校の校長でございます。
  97. 小平芳平

    小平芳平君 いま発表のように、前衆議院議員という方は、いま何人かおるわけですね。そのほかにも選挙に立候補して落選をなさっている人がいるわけでしょう、いま官房長が発表された前衆議院議員と言われた方のそのほかにも、選挙に出て落選をされている、現在。あるいはこれから立候補しようとして準備中の人もいるようなうわさもありますが、そういう点いかがですか。いま、前の職を挙げられた中に、官庁に勤めていたようにあなたは発表されましたが、実際は選挙に出て落選をしているという人が何人いるか。それからまた、これから立候補しようとして準備中というような人が何人いるか、それはいかがですか。それからまた何党ですか、皆さんは。
  98. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 山本委員と町田委員が前回の衆議院議員の選挙に御出馬になられて落選されたように聞いております。
  99. 小平芳平

    小平芳平君 政党は何党。
  100. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 自民党でございます。
  101. 小平芳平

    小平芳平君 全部ですか。
  102. 志村清一

    政府委員(志村清一君) はい。
  103. 小平芳平

    小平芳平君 そこで大臣、いま官房長から発表のように、十七人のうち六人の人が落選をした人、それからなおこれから出るだろうという人が二人とか三人とかうわさされている。それは将来のことだから確定的なことはわかりませんけれども。ですから、人についてはいろいろあると大臣も言っておられましたけれども、実際上どうしてそういうある一つの政党の、しかも選挙に一たん出たけれども不幸落選なさった方が約半数ですね、そういう人を建設省の専門委員として委嘱をする理由ですね。大臣が先ほど言われたような、行政政府の独善にならないように広く民間の知識を行政の中に生かそうという、その趣旨はわかりますよ。その趣旨はわかりますが、こうして政党関係の人が半分くらいいるということは、これが立法府との関係はどうなるのかという疑問も起きるわけですね。その点いかがでしょう。
  104. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私がどうこう言っているわけじゃございませんので、そういう言われている人もあるようだからということを言っておるわけでございます。実は私はこういう制度があるということを知らなかったのであります。あるということで、見まして、ああそうかということで、これは大いにやってもらおうじゃないかという気持ちなんです、人によっては。そういうことで、しかし、たいへん小平委員言われますように、一部疑念を持たれる向きもあるようでございますから、運用につきましては私十分気をつけてまいりたい。なお今後の委嘱等につきましては、そういう誤解を受けないようにいたしたいものだと思っております。それで、まっとうにやっぱり建設行政は一番国民生活に直接つながっておるわけでございますから、そういう点は、いや、そんなことは必要ないじゃないかということを言われるようなところまで私は配慮していくべきだと、そういう意味で、せっかく御委嘱いたしておる方が、建設行政がよく言われる官僚独善的にならないように、せっかく長く置いてあるようでございますから、私もひとつ何したいと思うのですけれども、まだ個々の方々にお目にかかって、私、直ちに官房長を通じていろいろそう言っちゃおりますけれども、私は個々の方々にこういう点をひとつ頼むからというようなことをいろいろ腹の中に思っておりますけれども、まだそこまでいっておりません。しかし、十分今後につきましては、そういう声もあるということをよくわきまえまして対処してまいりたい、こういうふうに思っております。
  105. 小平芳平

    小平芳平君 大臣のおっしゃる意味はよくわかりますが、もう少し現行制度について申し上げておかないと。第一、専門委員委員会議を開いたかどうか。昭和二十七年以来、会議が何回開かれましたですか。
  106. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは小平さん、合議機関としての専門委員会ではないのでございますから、専門委員でございますから、一人一人の方々に御委嘱をしているわけでございますから、したがって、合議体の機関ではございませんから、会議を持つとか持たないとかいう、たとえば万博の公園の御委嘱等につきましては、それは同じ問題をとらえるわけですから、それは会議を持っていただいてけっこうだと思うのですけれども、本来は私はそういうものじゃないと思います。
  107. 小平芳平

    小平芳平君 したがって、会議は一度もやってないですね。それはいいですよ。合議体でなければ全員集まって会合するという必要がなければそれはけっこうですが、委員に委嘱されて一ぺんもここへ出てきたことがないという人がいると言われますが、これはどうですか。
  108. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 私、官房長になりましてまだ半年でございますが、それ以前のことは詳しく存じませんけれども、それ以後二人ほどまだお目にかかってない方がおられます。
  109. 小平芳平

    小平芳平君 それで、結局、きまった会議があるわけでもないし、どういう仕事をやるということもはっきりしているわけでもない。まあ極端に言えば、専門委員室には事務員がいて選挙の連絡でもやっているんじゃないかという感じさえ外部の者は受ける。また、こうした利権の多い建設省に顔がきくということがその選挙に利用されるのじゃないか、こういうふうに見られるのですね。ですから、大臣のおっしゃるような趣旨ならば、それなりのやはり人選と運営を考えなくちゃいけないと思うのですね、行政の独善化を防ぐためには。こうした政党関係、現在落選していて今度立つであろうというような人が半分もいたのでは、実際問題として、それじゃ、国会との関係をどうごらんになりますか。
  110. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私が就任しましてからお二人御委嘱をいたしております。一人は、これは私は一つの考え心があって、一人は官房長から、内務省の変遷史を労働省とか、厚生省とか、建設省とかというもので編さんしたい、それで、それの一番古い建設省関係の造詣のある人、遠藤さんという人を御委嘱した。もう一人は、建設業界の今日の悩みの一つは技能労務者の不足でございます。これに対処してまいります。もちろん役所は一生懸命で心配をしておりますけれども、建設大学校ではそういう技能労務といいますか、産業開発青年隊でございますか、そういう方々を扱ってきておるのでございますから、建設大学校長をしておってやめた人を、そういう点で少し知恵を借してくれぬかということで御委嘱をいたしたわけでございます。私がなってからみんな何すれば、私は別途の考えを持つかもしれませんけれども、まあ、とにかく現におられて任期がある方は、それぞれの専門委員のせっかく設置されている目的に沿うて、しかも誤解を受けないように、これはもう私の責任でございますから、そういうことでやりたいと思うのですけれども、まだそこまで実は手がつかぬでおるというのが実際の事情でございます。しかし、考えまして、よく御存意のこともわかりましたし、また、一部の声がそういう点で誤解を持たれやすい点があるようでありますから、気をつけて検討さしていきたいと思います。
  111. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  112. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 速記を始めて。
  113. 小平芳平

    小平芳平君 建設大臣あるいは官房長の、自分の就任前の人は知らない、それは確かに知らないうちになったことは事実でしょうけれども、ほかに言う先がありませんので、ひとつお願いしますよ、現在の大臣と官房長に言うより一切ないのですから。  次に、治水事業について、この治水事業については建設省が新しい五カ年計画を四十三年度に発足をさせようという予定にしていらっしゃる。この点については財政硬直化ということを理由に、こうした公共事業に対する大蔵省の査定なり考えがなかなか建設省の思うように進まなかったのじゃないかと私たち想像するわけです。それで、大きな台風、伊勢湾台風とか、あのころのことを思うと、大洪水というもの、あるいは高潮の大被害というものがわりあい少なくて済んだというような感じが、ここのところ何年かあるように思います。したがって、治水事業に対する全体の考え、特に財政当局が深刻に取り組んでこないというようなきらいがありはしないかということを私たちおそれるわけです。したがって、建設省が新五カ年計画を策定して、社会開発に応ずる、経済発展に応ずる、治水事業を興こそうということについては大いに賛成なんです。賛成なんですが、第一に初めに計画した二兆四千億ですか、二兆四千億というものが、二兆円を下らないというふうに、そこでまず落ちてしまい、それからまた四十三年度予算では、治水事業が全体で二千八百億ですか、これでは最初から一歩後退した、五カ年計画すら四十二年度予算並みのやり方じゃとても達成しそうにないようにおそれるわけですが、その点いかがでしょうか。
  114. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 御案内のように、現行五カ年計画が一兆一千億のワクで進行してまいっておるわけで、昨年の災害の集中豪雨等の状況からいたしまして、都市河川でありますとか、中小河川の被害というものが想像を越えるほどの甚大なものがあります。そこで、中小河川に対する重点の置き方が少し欠けておるのではないか。また、全体といたしまして、豊かな国土をつくり上げてまいりますために、どんな台風、洪水、集中豪雨等があってもたえ得られるような治水管理体系を整えまするためには、おそらく天文学的な私は経費を要する、まあ五十三兆、五十兆以上のものを要するのではないかと言われるくらいでありまして、おりからちょうどこの予算編成期に差しかかっておりますときに、私、就任をいたしましたもので、実は当惑をいたしたわけなんでございます。財政硬直化というこのムードの中で、はたして、さあ新しい五カ年計画を策定し得るかどうか。それで、私といたしましては、そういう実際の治水対策現状からいたしまして、一兆一千億の現行を続けておったのでは間尺に合わない。少なくとも二兆円というものはくだらないように、できれば、二兆円をくだるような計画ならば、これはもうやめようというくらいの気持ち、二兆四千億の当局案もよく承知をいたしておりましたけれども、実際、ことしの予算編成の状況のときに、新計画を立てるということは非常に困難を感じておりましたものですから、二兆円をくだらないところで再スタートができるならば、ひとつやってみよう、こういうことで取り組ましていただいたわけであります。はなはだ微温的で、そちらの面から見ますというと、まことに数にならないような状態でございますけれども、とにかく治水対策と積極的に取り組んでいかなければならぬというかまえだけ、これもまあかまえだけで。したがって、これは後年度にウエートが相当かかるわけでありますが、これは一たん閣議了解もとってございますわけでございますから、したがって、二兆五百億という内容につきましてもいろいろ問題があるのでありますけれども、少なくとも二兆五百億のワクというもの、将来これは長く続いていかなくちゃならぬわけですから、これの一つの階段としては、今日の財政事情からいたしましては、私はやむを得ないんだ、こういうことで承服いたしたところでございます。
  115. 小平芳平

    小平芳平君 それじゃ、もう一つ。  大臣、いまの中小河川の問題も、ちょっと、私、問題があると思うのですが、それはあとでまた政府委員にお尋ねすることにしまして、急傾斜地崩壊対策事業ですね、これも長年、集中豪雨のあるたびに叫ばれておりながら、実際にはこうした対策事業としての集中的な事業が進められなかったことを残念に思っていたわけです。まあ今回、この何百カ所というものを数えて、それで十五億円の予算要求をした。しかし、最終的には、これをはるかに下回る六億円に、国費は三億円に決定した。ところが、この急傾斜地対策は、建設省の要求どおりでも三十年くらいかかる計算になるのですね。建設省の調査結果をそのまま認めて、このとおり事業が進んだとしても三十年、大蔵省で減らされた現行予算で、事業規模でやったら七十三年かかるというような勘定になるわけですよね。ですから、まあかまえだけは確かにけっこうだと思うのですが、そういう点についてはいかがでしょう。
  116. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 仰せのとおりだと思います。そこで、昨年の都市並びに都市周辺の、新潟県等の災害のあとからやってきてはおりますけれども、まあ前年度はあの程度の予算である。今年度は幾らかそれに、二倍にしたとか三倍にしたとか言ってみたところで、これはもとが小さいのでございますから、指定しようというような急傾斜地、全国で七千カ所というように多く数えられるわけで、これはもうほんとうにそのとおりでございますけれども、そこで急傾斜地崩壊防止の立法もお願いをして、そうして後年度の努力を、そういうものをいただいて促進してまいりたい。まあ七十年というこれはちょっと何ですけれども、できるだけ早くそういう危険地帯を解放していくようにいたしたいと思うのでありますが、しかし、これだけというわけにはまいらぬものでございますから、いま治水対策にいたしましても、ちょっと申しましたように五十兆という。五十兆もかかるのを五年で二兆円なんというみみっちい対策をやれというのではどうするのだということにもなってまいりますし、しかし、全体がそういうことで、先ほど住宅問題でだいぶ御鞭撻をいただいておるようなことでございます。ことごとくこの社会資本の整備ということが急を告げておる。この認識の上に立ちまして努力いたしてまいりたいと思っております。
  117. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 分科担当委員外委員岡田宗司君から発言したい旨の申し出があります。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 御異議ないものと認め、発言を許します。岡田君。
  119. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) 建設大臣にお伺いいたします。  すでに御承知東京外郭環状線の問題です。これは先月も十三日の衆議院の予算委員会分科会で帆足計君のほうから詳しくいろいろお話があったことで、内容はもう、そのほか陳情等もお受けになっておられるので、よく御存じですから私は繰り返しません。この十三日の帆足君の質問に対されまして、建設大臣はこう言っておられるわけですね。「私が伺っておりましても、どうもこれでは沿線のみなさんを納得できるだろうかという疑問を、私は実は持っております。しかしまあきょうは時間もないことでございますから、おそらく都市局長もつぶさに御説明を申し上げることをいたさなかったと思いますけれども、実は私もこの陳情を直接伺いました。写真も拝見しました。はて無理だなという感じを、ありていに言って持っておるわけでございます。」、つまり無理だという感じをお持ちになっておるということをはっきり言われておる。それから一カ月たって私が質問をするわけでございますが、この無理だという感じはいまでもお持ちでしょうか。
  120. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 白状いたしますと、私は一ぺん見てみたいと思っているのです。ところが、お話をだんだん伺っておりますと、それはなるほど東京都の都市計画審議会ですか、そこできめられているわけですから、これはなかなか変更するということは手続上も容易じゃないだろうとは思うのですよ。しかし、それをやろうとしてできるかどうかということ、できないことを固執しておってもどうしようもない。事務当局の話を聞きますと、九号環状線、まあいわば九号環状線になるわけです。九号環状線が都心からあまり離れておったのじゃこれはもう役に立たない。ところが計画を図面の上で見ますというと、八号線と九号線というのはかなり接近しておる。もう少し離れておってもいいのじゃないかという、正直、御陳情を受けましたときに、図面を見せていただいてそういう感じを受けた。それから都市局長にも、実際やれるのか、こんなことをやっておるというようなことで疑問を投げかけましたままにいたしておるわけでございます。
  121. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) いや、無理だという感じをお持ちになっておったが、その後に、たとえば都市計画局長からいろいろ説明があって、無理じゃないんだ、これはひとつやろう、ことしはそれを進めるのだというお考えでしたら、これはたいへんなことになると思って、私はその無理だというお感じをいまでもお持ちかどうかということをまずお伺いしたわけなんです。無理だというお感じをお持ちになっておって、しかも、それについて一度自分で見たい、これもたいへんけっこうなことだと思います。やっぱりこういうものは実地に見ていただかないと、どれくらいみんなが反対しておるかということ、それからまた、それが無理か無理でないかということはおわかりにならないと思う。いままでの建設大臣も、まあごらんになった方もあるかもしれませんけれども、その役所のほうで出した計画でごらんになっておる、肝心なところはあんまり見ていない。あるいは、みんなこの問題はさわらぬ神にたたりなしでもって、できるだけ検討いたしますぐらいで逃げてしまうと、こういうことなんですが、これでは私はこの問題は片づかないと思います。やはり大臣のように率直に見ていただくと言われることはたいへんけっこうです。ひとつこれはここでお約束をしていただきたいと思うのです、いかがでしょう。
  122. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 岡田先輩の御注意を十分承りまして、私は、大騒ぎして見て歩くようなことはしたくないのです。見るなら自分一人で見に参ります。これは見るならばできるだけそうしたい。実際の線を引いてあるところがどういう状態になっておるか。そうでないとわからないと思います。だから、いろいろ大騒ぎして行きますというと、必ずしも見たいという意思が徹底しない場合があると私は思うので、できるだけそういうふうにして歩いておるわけです。しかし、いまの九号線につきましては、そのまま実施できるかどうか、非常に困難な、非常な疑問だという感じを抱いて、そうして一ぺん通ってみたいと、こういうふうに思います。
  123. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) 私も同じ感じを持っております。あまりに人家が多過ぎる。そして所有権者が多過ぎるです。その上にとにかくいろいろなたくさんの世帯がある。あんなものをとても建設省で幾ら権力を振り回したって、そう簡単に片づくものじゃないんですよ。私は大臣が再検討ということ、慎重に検討するということを言われておるので、慎重に検討というのは、たいがいの大臣がいつでもどこでも言われる。あとで聞いてみると、検討なんか一つもしていないというのが大体の例なんですね。今度は大臣、視察して歩くということになると、この検討というのは言いのがれ答弁ではなくて、大体ほんとうの検討に通ずることになりますのですね。ひとつぽんとうの検討をしていただきたい。これはまあ計画のよしあしの問題もありましょうけれども、一つの社会問題になっている。そして、場合によれば大きな抵抗が起こって、そこに建設省のお役人さんの予期しない問題が起こるということを十分考慮していただきたい。  なお、あとこまかい問題はちょっと局長にお伺いいたしますから、大臣にはそのことだけお伺いしておきます。
  124. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 検討するからと言って逃げるわけには、これはまいらぬと思います。東京都のこの状態からいたしまして、もはや東京都をどうするか、交通上の施設をどうするかということは、まあとにかく私は死にでもしなければ逃げるわけにはまいらぬわけでございますから、そういう私は心組みで対処してまいりたい、決して逃げるようなことはいたしませんつもりでございます。ただ、しかし、一応の手続を経て決定をされており、そして図面作製から――図面というか実際も見ているのでしょうけれども、まあそれはそこらにつくってもらえば一番いいことに違いないわけですけれども、それがだんだんお話のようなことも伏在するということは十分考えておかなければならぬと思っておりますから、少し時間をかしていただきたいと思います。
  125. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  126. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  127. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) ぼくはよく知らないのだけれども、都市計画局長ですか、そのほうの担当は。
  128. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) 都市局の技術参事官でございます。
  129. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) これはお伺いしたいのですが、きまったのは四十一年七月三十日に、瀬戸山建設大臣が計画決定を告示したわけですね、それからもう今年まで、三年にはならぬけれども二年半くらい、その後どうなっておるのですか、つまりどうなっておるかというのは、あなた方のほうは告示が出てからどうしようと思ってきたのですか。
  130. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) 告示が出ましてから、その当時はまだ計画決定でございますので、事業を起こします場合にはまた別に事業決定と、こうございますが、いまのところまだ計画だけでございまして、事業にまだ入っておりません。それでその後の状況でございますが、いろいろの現在のルートにつきましても御批判もございます。そういうことで、私どもといたしましては、いまの多摩川の左岸をさらにさかのぼりまして、もっと遠くに回そうというような案も一応検討しております。そういう段階でございます。
  131. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) まだ計画決定だけで事業決定はできておらぬ。そうすると、いま大臣が、自分で見てその上でもってほんとうに検討すると言われた。そうすると、事業決定は、計画決定と違うものになり得るという可能性は十分あるわけですね。
  132. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) 実際の事業を起こします場合に、現状の計画決定されておりますルートと違う場合には、計画そのものを変更いたしまして、その上で事業を起こすと、こういうことでまいります。
  133. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) 一ぺんできましたその計画決定を変更して、そうして新しい計画にする手続きはどういうことになりますか。
  134. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) 現在きまっております都市計画街路につきましては、実際の事務的な流れといたしましては、東京都知事のほうから現在の都市計画街路の変更案が出てまいります。それを建設省のほうで検討いたしまして、東京都に設けられております都市計画地方審議会に付議をいたしまして、それの答申をいただきまして、建設大臣が変更の決定をする、こういうことになります。
  135. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) それじゃ、いまのことだと、東京都のほうから計画の変更を出さなければならぬ。大臣が見て、どうも不適当だ、再検討の要があるということになった場合には、もう一度、東京都と話して、東京都のほうから出さすのですか、それとも大臣のほうで、何とか変更しなければならぬということで、何か手は打てないのですか。
  136. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) 東京都の都市計画地方審議会から答申が出てまいりまして、その後、官におきまして建設大臣が変更するという場合がございます。ただ、決定したものにつきましては、一応、私どもといたしましては東京都と協議いたしまして、これが一番いいのじゃないかというようなことになりまして、いわば話し合いの上で東京都のほうから変更案を出していただきまして、そうして変更決定するという考えであります。
  137. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) そうすると、大臣が、この計画は不適当である、したがって、これは計画を変更しなければならないという場合には、東京都の都知事なり何なりと話し合って、そこで新しい計画を作成して、それをもう一度手続を繰り返してやる、こういうことになりますね。
  138. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) はい。
  139. 岡田宗司

    担当委員外委員(岡田宗司君) わかりました。それでけっこうです。
  140. 小平芳平

    小平芳平君 あと二点ほど質問して、たいへん時間もおくれているようですから、終わりたいと思いますが、第一点は、大臣が先ほども言われました中小河川の改修に重点を置く、それを主眼として新五カ年計画を策定した、こういうことですが、われわれしろうとで、また外部のものでよくわかりませんので質問するのですが、中小河川という場合と小規模河川改修事業という場合と、そこにどういうところを区切って中小河川と言い、どういうところをさして小規模河川と言うか、その結果、また補助率も違うわけですね。ですから、これこれこういうところが中小河川である、これこれこれが小規模河川である。したがって、ここは補助率が幾ら、こういうふうに御説明していただきたい。
  141. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) いわゆる私どもが中小河川と言っておりますのは二つの考え方があると思います。一般的に私どもがPRするような場合に、中小河川の改修とか、中小の河川と言っておりますのは、そういう予算区分とか、法的な問題じゃなくて、いわゆる大河川に比べて、比較的中規模の河川、あるいは小規模の河川というものを含めて、いわゆる中小の河川の改修をひとつ重点的に五カ年計画でやっていこうと考えておりますのは、中小とか小規模であるという考え方でなくて、常識的に規模の中くらいの川、小規模の川というようなことを含めて、中小の河川と言っております。予算的に言いますと、中小河川の改修事業というのがございます。小規模の改修事業というのがございます。中小河川の改修工事といいますのは一定の範疇がございまして、大体規模によりまして分けるわけでございますが、それを申し上げますというと、中小河川というのは、総事業費が全体で二億以上というものを中小河川の改修工事として、一定計画に基づきまして国の補助を出しまして、そして改修をやっているわけでございます。したがって、非常にまあ小規模な河川に比べまして、はんらん面積等も多いわけでございまして、それから水没の戸数等も大体二百戸というようなことで、一応、標準をきめておるわけでございまして、小規模河川といいますのは、中小河川に比べまして、全体の事業の規模も少し小さくなるわけでございます。大体四千万円、全体の事業が四千万以上二億以下だというぐあいに私どもは考えておるわけでございます。そして、今度は小規模河川の中に、もちろん一級河川と二級河川というぐあいに分かれておるわけでございますが、また一級河川の中に小規模の第一種工事というのと、第二種工事の二つに分けておりまして、一級河川の中でも規模の大きいもの、流量にいたしますと、こまかい話になりますが、毎秒百トン以上に匹敵するような流量に対して改修を行なうというのが一種工事でございます。それ以下のものが二種というぐあいに考えておるわけでございます。  補助率のほうの関係でございますが、先生が先ほどおっしゃいましたように、中小河川の中でいわゆる一級に属するものは現在四分の三の補助率でやっております。二級に対しましては二分の一でやっているということでございます。それから小規模のほうにつきましては、規模の大きいほうの一級の第一種工事は大体中小河川に準ずるというような考え方で、これも二分の一でやっておりました。それで、それ以下のものにつきましては十分の四ということで、十分の四というのは、従来、河川の改修につきまして、旧法時代に十分の四ということで補助をいたしておりましたので、それに右へ習えいたしまして、予算補助で十分の四ということで現在実施いたしておるわけでございます。ちょっとわかりにくいかと思いますが、予算的な関係で、そういう予算の費目の関係で中小河川の改修事業というのと小規模の改修事業と二つに分けて考えておる。われわれが常識的に言うのは、中小の河川改修ということで、それは予算のそういった補助の規定にはとらわれないで、常識的な考え方で、中小の河川改修という場合には、総括的に規模の中くらいのもの、小規模のものを総括いたしまして中小の河川改修といっているわけであります。
  142. 小平芳平

    小平芳平君 よくわかりました。結局、中小河川改修ということを言われますと、聞いている国民はどこをやってくれるかわからないのですよ。で、いまの局長の御説明で、結局一本の川が流れていると、建設省からそういう係官が行きまして、これは大河川だ、ここは中小河川だと、そういうふうにきめる、それによって補助率が違ってくるわけですね。これは一級河川だから四分の一の補助だ、これは二級河川だから二分の一の補助だ、これは小規模河川だから十分の四の補助だ、変わってくるわけですね。ですから、そこが、行政上そういうやり方が、建設省の皆さんの立場ではやりいいかもしれませんけれども、聞いているほうはわからないのですね。ですから、やはり一級河川の水系なら一級河川の水系というものを一本にして、そうした建設省の認定によって補助率が上がったり下がったりするのじゃなくて、これを一本にしてやるような方法ですね。要するに、陳情とか、一々運動を地元でやらなければ、より有利なほうへ入れないというような現状を再考慮しなくちゃならないのじゃないか。現在はそのときの査定なり係官の考えを基本にして、補助率がいろいろなたくさんの区分になる。それも科学的に絶対の根拠があって動かせないというなら一つの考え方もありますけれども、こうした陳情合戦や請願合戦の起こるような余地のある現在の認定のやり方というものは問題があると思うのですね。ですから、将来としては、そうした地元の陳情で、陳情があまり強力でなければ低いほうへ入れちゃう。強力にやったら少しでも高いほうへ入れる余地があるというような現行制度というものは、将来考える余地があるのじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  143. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 先ほど申し上げましたように、非常にこれは一般の方にはわかりにくいかもしれませんが、私ども事務当局といたしましては、先ほど申し上げましたように、河川法に基づきまして、一定計画に基づいた一定の大規模な改修というものは、中小河川なり、あるいは小規模の一級の一種というようなことで考えているわけでございます。それの基準は、先ほど申し上げましたように、全体の事業費なり、あるいは流量なり、はんらん戸数というそういう基準がございまして、その基準で別に地元から陳情があるから、これは小規模をやめて中小河川にするとか、あるいは小規模二種を一種にするとか、一種を二種にするとかいうことはございませんので、その辺の基準がちょっとむずかしいと思いますが、先ほど申し上げましたように、規模の小さなもの、局部的なものは小規模の二種の工事でやっていく、あるいは局部改良というような事業もございますので、そういったもので一定の基準に照らしまして、それも河川法にもとるものじゃございませんので、河川法の範囲内で、抵触しないように大蔵省と協定いたしまして予算補助の基準をつくっておりますので、その基準に照らして、そのつど地元から要望がございましたら、これは一体どこに適用すべきかということを基準に照らしてやっておりますので、現行の制度におきまして私どもは別に不都合は感じていないわけでございますが、よく地元等の陳情がございましたら、その辺の基準等につきまして十分私ども今後説明いたしまして、誤解のないようにしていきたいと思います。
  144. 小平芳平

    小平芳平君 それは皆さんは非常にわかりよくやっていらっしゃるでしょうけれども、それじゃ、はんらん戸数二百戸といいますけれども、百九十九戸だったら、だめですか。ですから、そういうところがいかにも科学的に技術上すっきりいっているように思われるでしょうけれども、やはり問題がないわけじゃないと思うのです。ですから、水系主義というものが通れば、水系主義の精神で押していくということになれば、やはりまだそういう点にもあまり問題の起きる余地のないような方法も考えられるのじゃないかと、しろうと考えですけれども申し上げたわけです。
  145. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) この基準等につきましては、先ほど御説明いたしましたように、いろんな全体の流量だとか、工事の金額、それからはんらんの度数、はんらん面積、いろんな総合的な基準、各要素がございまして、それを分析してやっておるわけでございます。確かに先生のおっしゃる、あるいは疑問の点もあるかと思いますので、これにつきましては先生の御趣旨を体して一応検討をさしていただきたいと思います。
  146. 鶴園哲夫

    主査鶴園哲夫君) 以上をもちまして建設省所管に関す質疑は終了したものと認めます。  午後二時二十分まで休憩いたします。    午後一時五十一分休憩      ―――――・―――――   午後二時三十六分開会
  147. 任田新治

    ○副主査任田新治君) 休憩前に引き続き予算委員会第三分科会を再開いたします。  昭和四十三年度総予算中、運輸省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。運輸大臣
  148. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昭和四十三年度の運輸省関係の予算について御説明申し上げます。  初めに、予算の規模について申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、三十億八千六百四十八万六千円、歳出予算総額は他省所管計上分百五十五億九千七百四万二千円を含み、一千五百四十七億一千七百五十四万二千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百九十九億九千八百十四万一千円の増加となっており、一四・八%の増加率を示しております。この増加額の内訳を見ますと、行政費では百五十億二千四百五十一万五千円、公共事業費では四十九億七千三百六十二万六千円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は、四億一千四百二十万八千円であり、木船の鋼船化傾向を反映し、前年度に比較して二千二百八万七千円の減少となっております。  自動車損害賠償責任再保険特別会計歳入歳出予算額は一千八百四十三億九千三百五十二万五千円であり、車両数の増加、保険金額の引き上げ等により、前年度に比較して六百一億一千八十万一千円の増加となっております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は七百五十五億六千六百九万八千円であり、前年度に比較して四十八億七千六百三十一万三千円を増加し、新港湾整備五カ年計画の初年度として港湾の整備を推進することとしております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は三十七億六千九百二十一万円であり、車両数の増加により、前年度に比較して十二億四千八百七十八万八千円の増加となっております。  このほか、昭和四十三年度財政投融資計画中には、当省関係分として五千四百十億円が予定されております。  昭和四十三年度予算におきましては、当省は次の諸施策に重点を置いて、運輸行政を推進いたしたいと考えております。  わが国経済をめぐる国際環境は、最近ますますきびしさを加えており、今後の国際収支の悪化が懸念されておりますが、当省におきましては、海運、航空、観光の各分野において貿易外収支の改善をはかるとともに、舶船、鉄道車両等の輸出の振興につとめ、国際収支の改善に寄与したいと考えております。  次に、わが国の交通関係社会資本は、数次の長期計画の実施にもかかわらず、なお年々増大する輸送需要に対して不足の状態にあり、また、物的流通部門の立ちおくれが、物価の安定及び経済の効率化の隘路となっております。このため、鉄道、港湾、空港等輸送基礎施設の計画的な整備充実をはかるとともに、物的流通の近代化と運輸事業の基盤強化につとめる考えであります。  さらに、海陸空にわたる交通量の激増は、交通事故の頻発と死傷者の増加を招来しており、当省といたしましては、交通機関の基本的使命である交通安全対策を強力に推進することといたしております。また、排気ガス、騒音等、交通機関の発達に起因する公害の増大を防止するとともに、台風、豪雨等、自然災害による被害を最小限にとどめるため、交通公害対策及び防災対策の強化につとめる所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。  昭和四十三年度の予算の編成にあたりましては、まず、四十三年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要の動向を考慮し、損益勘定におきましては、公共負担の是正としての通勤通学定期運賃割引率の改定、四十三年度から新たに設けられた日本国有鉄道財政再建補助金五十四億円等を含め、収入支出予算九千三百九十七億円を計上し、また、資本勘定におきまして、財政投融資二千六百四十億円を含め、収入支出予算五千百六十八億円を、工事勘定におきまして三千七百八十億円を計上いたしまして、第三次長期計画に基づき、大都市通勤輸送の改善、主要幹線の輸送力増強及び保安対策の強化等を推進してまいりたいと考えております。  なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策概要につきまして、お手元に配付してあります昭和四十三年度運輸省予算説明及び昭和四十三年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和四十三年度の運輸省関係の予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  149. 任田新治

    ○副主査任田新治君) 質疑に入る前に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいまの運輸省所管審査に資するため、本日、日本鉄道建設公団の役職員及び新東京国際空港公団の役職員を参考人とし、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 任田新治

    ○副主査任田新治君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人の選定につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 任田新治

    ○副主査任田新治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。     ―――――――――――――
  152. 任田新治

    ○副主査任田新治君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  153. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大臣に、国鉄の交通安全対策等につきましてお伺いをしてまいりたいと思います。第一の問題といたしましては、現在政府には交通安全対策本部というものを設置をいたしまして、種々施策を講じておるわけでありますけれども、これをさらに発展をさせる立場から、交通安全対策委員会というものを設置をいたしまして、交通安全に関する施策を調整し、かつ総合的な実施を推進するために、これら委員会というものを、法制上から明確に決定をする意思があるかどうか。さらにこの対策本部というものを一応つくっておりまするけれども、総合的で、かつ一元的な交通安全対策というものが必要だろうと思いますけれども、これらに対する大臣の所見というものをお伺いしたいと思うわけです。
  154. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府では、目下交通安全対策基本法という法律を制定する準備をいたしておりまして、その中に交通安全対策に関する委員会をつくる方針になっております。そういう形で各省統合して委員会をつくるという方針を指示いたしまして、協力していきたいと思っております。
  155. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあただいまの答弁で基本法というものを設置したい、こういうことでありますが、その内容ですね、おもなる要綱はどういうことでありますか。
  156. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この所管は、実は総理府総務長官のほうでございまして、事務的連絡は官房長がしておりますから、官房長から答弁させます。
  157. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいまここに資料を持っておりませんけれども、大体三本の柱がございまして、まず交通安全に関する基本方針を示すことが一つ。それから交通安全に関する各省の施策の統合調整をすることが一つ。もちろん基本方針を定めましたら、その実施の推進をするわけでございます。それから三本目は、これらの施策についての財政的な措置を推進するという内容になっておると思います。なお、こまかいことにつきましては、法案を手元に持っておりませんので、後ほど御説明申し上げたいと思います。
  158. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時期的にはいつごろになりますか。
  159. 町田直

    政府委員(町田直君) 法案提出の準備を、ただいま大臣から御説明いたしましたように、総理府の交通安全調査室において準備いたしておりますので、私からあまりはっきりしたことは申し上げられませんが、できるだけ早く提出するという段取りになると思います。
  160. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 基本法が制定されるということでありますから、当然それには基本的な施策、具体的な政策目標というものが入ると思いまするけれども、現行の交通安全対策に対しましては、部分的には一応取り上げられてやっておるのでありまするが、総合的な立場からいけば、きわめて具体策というものが欠けているというような気がするわけであります。たとえば国及び地方公共団体等に対する基本法の明示といいますか、こういうものもあまりはっきりしておらない。あるいは企業の責任及び国民の協力義務、こういうものもはっきりしておらない。あるいはこの政策の重点目標というものが不明だ、こういうことで幾つかの交通安全対策上における欠陥というものがあると思うのですが、当面この交通安全対策に対する重点施策といいますか、こういうものは一体どういうふうにお考えですか、大臣にお聞いします。
  161. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり一番いま人命を損傷しておりまする道路交通の問題、それから軌道における踏切、高架線の問題そういう問題が当面の緊急を要する問題であるだろうと思います。
  162. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 三点について大臣お話をされましたけれども、私は、その一つは何と言っても車両等のいわゆる運転労働者、この労働者の労働条件あるいは生活保障の問題、こういう問題がやはり一つの要因としては早期に確立されなければいけないと思う。さらに一つは、道路の舗装ないし整備、安全施設の充実、さらに救急医療体制の整備、あるいはどうしても事故にあって、不幸にしてなくなられた、こういう場合に対するところの補償の援護措置、こういうものがやはり当面の交通安全対策上からくる重点施策として検討されなければいけない内容ではないかと思うのですが、いま大臣がおっしゃられたことを含めて、その辺が中心でしょうが、大臣にお尋ねいたします。
  163. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういう人的要因も無視してはならない大切な部分であると思います。
  164. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで、一つは運転労働者の立場から具体的な問題でお伺いしてまいりたいのでありますが、現在のハイヤー・タクシーの運転労働者の労働時間、これは一体どういうふうになっておるのか、さらに三十人以下の貨物自動車の運送業、こういったところの労働時間、こういったものは、一体どういうふうになっているのか。拘束、実働、こういった具体的な内容について御説明を願いたいと思うのです。さらに、超過勤務の状態は一体どうなっているのか、この辺についてひとつ承りたいと思います。
  165. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) ハイヤー・タクシーあるいはトラック等の運転手の労働条件、勤務条件、そういった点につきましては、基本的には労働省所管しておりまする労働基準法、並びにそれに基づきます諸通達によりまして規制されております。したがいまして、その面につきましては、労働省のほうの政府委員から御説明あるかと存じます。  なお、運輸省といたしましては、そういった基本的な基準法なり諸通達のワク内で事業者、使用者が、いかにそれを守ってやっているかという点につきまして、道路運送法に基づきます省令がございますし、その省令に基づきまして、そういった面の指導監督を行なっておる次第でございます。
  166. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) ただいま御質問のありました自動車運転者の労働時間の現況でございますが、トラック、ハイヤーなどの自動車運転者の労働時間は、一般産業に比較してかなり長い状態にございます。賃金労働基本統計調査というのを労働省でやっておりますが、これで見ますると、平均月当たり総労働時間数は、昭和四十二年におきまして、全産業男子労働者について二百八時間であるのに比しまして、タクシー運転者については二百三十六時間、営業用大型貨物自動車運転者につきましては、これは四十一年の数字でございますが、二百六十三時間というふうになっております。また、ただいま規模別にどうなっているかというようなお尋ねでございますが、自動車関係の事業量は、御承知のとおり比較的規模の中もしくは小のものが多うございまして、規模別格差は特に大きくないと思っております。手元に特段の規模別の数字をいま持っておりませんが、おしなべて長時間の状態にあるというふうに考えております。
  167. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 通常の労働者の平均時間からいって非常に長時間働かなきゃならぬと、こういう説明でありますが、結局私は、そういうところに交通事故の激発の一つの要因があるんではないか、こういうふうにも考えるわけであります。これは、昭和四十二年度における陸上における交通事故、その現状対策ということで総理府が書いたものであります。この内容をずっと見てまいりますと、事故発生の内容等については非常に詳しく説明をいたしておりながら、結局、労働者に対するところの一つの労働条件の緩和の問題、あるいは待遇の問題こういう問題については全く、わずか五行ぐらいで片づけられておるわけですね。こういうところに、私、いまの交通事故が撲滅のできない一つの要因というものが隠されていると、こういうように考えますけれども、その辺に対する見解はどういうふうに考えられていますか。
  168. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 交通事故の原因として、自動車運転者の労働条件の問題があるということは、たびたび御指摘を受けておりますし、私どももそのようなことがあってはならないという観点から、神風タクシー問題以来、労働基準法に基づきます監督指導を続けてまいりましたが、特に最近におきまして、御承知かと思いますが、昨年の二月九日に自動車運転者等の労働時間などに関する改善基準というものを出しまして、これに基づきまして強力な指導監督を進めておるわけでございます。で、私どもは単に通達を出すだけではなくて、むしろ労働基準監督官が全体として非常に数が少なくて、手が回りかねる面もございますけれども、できるだけ数多くの現場に臨検をいたしまして、労働条件の問題について監督をしていくという態度をとっておりまして、一例を申し上げますと、昭和三十九年あるいは四十年ごろでございますと、大体年間三千五、六百件の事業場を監督しておりましたが、昭和四十一年におきましては、九千百四十一件、昭和四十二年、これは暦年でございますが、二万一千八百九十件の事業場の監督をいたしております。そうして法違反につきましては、悪質のものについては厳重な勧告をし、是正を迫っておりますが、なお聞かれないという場合には、法に基づく司法処分というものも行ないますが、これも昭和三十九年ではわずか年間七件という記録になっておりますが、昭和四十年では三十四件、昭和四十一年では五十五件、昭和四十二年では二百六十五件というふうに、強力な監督指導というものを加えて、漸次改善をしていただくという手を打っているわけでございます。
  169. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 警視庁の調べでありますと、四十一年度の交通事故の総死傷件数は五十一万人をこえている、こういう状態になっておるわけでありますが、ことに時間帯でいきますと、十七時から十九時ごろまでが非常に発生率が多い、こういうことになっております。結局朝九時から始業して一日働いてくる、そうして神経がいわゆる疲れてきた夕方になって事故が激発をする、こういう傾向にあるのではないかと思うのです。さらに徹夜勤務してまいりまして、朝の六時ごろがまた事故の多発時間帯である、こういう一つの警視庁の調査等からいきましても、やはりそこに運転労働者の無理な労働条件が災いするのではないかと思いますが、その点はどうですか。
  170. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) ただいまお尋ねのありましたような点につきまして、結局長時間労働あるいは深夜労働及び休日労働というものが、直接、間接に事故につながるということが考えられるわけでございまして、先ほど申し上げました二月九日の改善基準通達におきましても、特にその辺に留意をいたしまして、一日の労働時間あるいは一カ月の休日あるいは残業というようなものにつきましても、御承知のように労働基準法第三十六条に基づきます手続をすれば可能なわけでございますから、そこにおのずから限度があるという考え方を打ち出して、たとえば休日については、三六協定を結んだ場合でも四週間に二回、あるいは残業につきましても、三六協定を結んだ場合でも、実残業時間は一日二時間というような限度を設けたわけでございます。また、いまお尋ねのようなケースに当てはまるかと思いますが、タクシーの一昼夜交代労働につきましては、一応現状として一昼夜ということをいま直ちに直すわけにはまいりませんけれども、連勤、つまり一昼夜明けて、また人が足りないとか、だれかが休んだということで連勤をするということは、厳重にやめていただくということで、それを通達をしておるというようなことでございまして、最初に申し上げましたように非常に現状が他の産業に比べてはなはだしく低位にある。そういったところから漸次これを引き上げていく、そういうことが事故防止につながるという観点で、強力な指導を行なっておるわけでございます。
  171. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 結局長いということはお認めになっているわけですけれども、具体的にどういう行政指導をやっているかということになりますれば、昨年二・九通達によってやっている、私はその内容についてもまだ不十分な点があるのではないか。少なくとも労働時間の基本時間ですね、こういう問題については六時間台に、できれば六時間四十分くらいまで、この程度まで短縮すべきじゃないか。あるいは一週間四十時間、もうすでに他産業におきましては、そういう労働者の勤務時間も相当あるようであります。ことに神経が刺激されて非常に疲労が感ぜられる、こういう交通労働者に対しましては、もっともっと私は緩和政策をとられていいのじゃないか、そういう二・九通達をさらに上回るような改善措置は、いまの段階で考えられないのか、その辺はどうのですか。
  172. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 昨日も全国のタクシー労働者の代表が来られまして、三時間近くにわたりましていろいろ御議論を承ったのでございますが、ただいま先生の出されましたような質問も出たわけでございます。ただ私どもは、労働基準法に基づく監督という手段で経営者に改善を迫る。しかしながら、それだけではございませんで、労働運動の面で改善をしてもらうという面もありましょうし、また経営者自身が、特に最近のように労働力不足時代を迎えまして、一般的な国民生活の改善の中で現状でいいか、このままでいけば、むしろ自動車運転者というようなものに来手がなくなるというようなことを十分自覚されまして、みずから改善をしていくという道を選ぶ、いろいろな方法があろうかと思います。そこでそれらを相寄りましてこの問題を解決せねばいけないと思うのだということをお話し申し上げたのでございますが、改善基準というのは、先ほども申し上げましたように、私どもとしては、最低基準としてこれだけはとにかく守ってもらいたい、もしどうしても守らなければ、私どもは法の定める手段に訴えてでもこれを守っていただくと、こういう強い線を出しておる。そのかわり、これが一〇〇%けっこうなものだなどと私どもが思っているわけではないのでありまして、今後ますますこの内容が改善されるという必要のあることは当然でございます。ただ現状が、最初に御指摘がありましたような現状であります。また車というものに対する需要も、非常に活発な中で、これを改善していかなければならないというようないろいろな事情がございますので、私どもはそういった事情の許す中で、いろいろな方法でこれを改善していくということが、一番実情に即した方法ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  173. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 運転者が徹夜勤務をやったような場合には、どの程度一体休養をとるのが妥当か、その点はどうでしょうか。
  174. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 医学的に徹夜勤務の場合にどれくらい疲労が出て、そしてそれをいやすのにどの程度の休養が必要かというようなことにつきましては、職種、業態等についていろいろ問題もあろうかと思いますが、一般的に、御承知のように労働基準法では女子あるいは年少者について深夜業を禁止しておりますけれども、成年男子につきまして特段の禁止は通常ないわけでございます。しかしながら、先ほどもお答えしましたように、一昼夜勤務というような、単に深夜業勤務だけでなくて、いわば二十四時間連続して勤務をしてくるというような状態の場合に、勤務明けに再び何らかの事情で労働につくということは、これはたいへん健康上も適当でないのみならず、事故にもつながる要素が少なくないというふうに考え、私どもは一昼夜交代勤務の明け番については、これは埋めることを絶対にしないという指導をいたしておるわけであります。この辺につきましては、単に自動車運転者のみならず、石炭の通勤というような問題についてもこれを排除するように、ここ数年来強力に指導をやって逐次成果をあげてきておるわけであります。そういう意味で、一昼夜交代の明け番というものはぜひ確保しなければならないというふうに考えております。
  175. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまの説明ですと、科学的に立証するものは何もない。ですから、もう一歩、事故撲滅という角度から、運転者の疲労度調査といいますか、そういうものをやはり労働省あたりで取り上げて、そして具体的に実施をして、どの程度一体疲労があるのか、そういうものをやはりやってみる必要があるんじゃないかと思うのですが、その辺はどうですか。
  176. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 運転者の労働条件につきましては、私どもはいろいろな角度から勉強していかなければならないと思っておりますが、とりあえず、来年度は一般的にこの改善基準を推し進めますと同時に、タクシーにつきましては、最重点を走行刺激をいたしますところの極端な累進歩合制の排除という点に置きたい。それから長距離線トラックにつきましては、ILOその他で採用いたしておりますところの乗務員手帳制度、これも昨年来大倉先生等からも御指摘のありました乗務員手帳制度というものをぜひやってみたい。それからダンプカーについては、昨年議員立法に相なりました特別法に基づく措置でこれを正していきたいというような点に重点を置いております。したがいまして、お尋ねの点もまことにごもっともだと思いますので、私ども勉強をさせていただきたいと思いますが、とりあえず、当面はそういった点に私どもの全精力を傾けて仕事をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  177. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは貨物自動車の例でありまするけれども、たとえば仙台から東京市場に向けて、夜の十時から出発して朝の五時ころ到着する。そうしますと、二人乗務ですね。具体的にはこの運行管理は、そうすると自動車の中で、一方は休憩ですね、そういうことになるのですが、それで交代しながら運転をしていく、こういうことが一体許されていいのですかということですね。この辺はどうですか。
  178. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) ただいま先生のおことばの中にも休憩ということばが出てまいりましたが、私どもは、たとえハンドルを握らない場合でも、運転者が助手席にすわりまして自動車から離れられないといいますか、自動車に乗って、指導者の指揮監督のもとに労務に従事している場合は、これは労働時間であるというふうに考えております。特にこの一月九日の通達では、一般的には労働時間の中でも特に規制を要する実作業時間の中に、私どもはむしろそれを加えていきたいという線を打ち出しているわけでございます。ただ最近、御承知のように、ベット式のからだを横にする施設のあるトラックがございます。そういったものに横たわっていく場合には、これは労働時間ではあるけれども、規制を厳重にしなければならない実作業時間とまで考えないでもいいんではないかということで、私どもは実作業時間からはこれを除外をして考えていきたいというふうに思っているわけでございますが、むしろそういった施設のないような場合には、私どもはそれは労働時間であるということはもとより、最も労働時間中の労働時間と言えるであろうところの実作業時間であるというふうに考えておるわけでございます。
  179. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 運転の継続時間の限度はどの程度だと思いますか。
  180. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 御承知のように、ILOの六十七号条約というのがございまして、これはまだ数国しか批准しておりません。わが国も批准はいたしておりませんが、その条約には、御承知のとおり、ハンドル時間は一日五時間ということがうたわれてございます。しかしながら、もう一方ILO覚え書がございまして、主としてトラック乗務員につきまして一日の限度の時間を出しておりますが、これによりますと、やはり十時間、あるいは二人車の場合には十二時間というようなたしか線が出ておったと思いますが、私ども今度の、先ほど来御説明をしております改善基準の中におきましても、一日の限度は十一時間、二人車の場合には十二時間というようなことを一応線として出しておる。しかしながら、隔日勤務の場合には一昼夜交代があり得る、そのかわり勤務明けは必ず休む、こういうような線で限度を引いておるわけでございます。科学的に何時間までが正しいか、また、それをこえればどうかという点は、私ども必ずしも確信を持っておりませんが、そういったILOその他の線から推測いたしまして、私どもがいま指導している線が、わが国の現状としては最低限度ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  181. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この乗務員というのは、生活設計を保持するのに非常に困難な事態が多くあると思う。そういう立場から、運転者のいわゆる勤務割りと申しますか、そういうものについては、いわゆる労働条件ですね、労働条件の明示をどの程度まで計画をして運転者に示したことがあるか、あるいは確定期日が大体どの辺か、三日前とか四日前とか大体あるでしょうけれども、生活設計を保持するために何日ぐらい前に明示することが妥当か、その辺の見解を伺いたい。
  182. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 御承知のとおり労働基準法では労働契約の締結にあたりまして、労働条件を明示することになっておりまして、一般的には就業規則をもってこれが示されるわけでございます。就業規則には通常の場合、始業、終業の時刻あるいは休日等が必ず含まれるわけでございますから、それで調査をいたすわけでございますが、運輸事業の特殊性からいいまして、運転計画と実際の労働時間とが密接に関連をいたしております場合に、個々の運転者につきまして、具体的に何時から何時まで乗務せよというような命令というものは、結局運行命令とうらはらになるわけでございます。そこでわりあいそれがつい出発直前になりがちでございますが、ただいまお話のありましたように、労働者は一方において人間としての生活設計を持っておるわけでございますから、できるだけ、あらかじめ人間らしい生活ができますような余裕を置いてそういったものが示されることが望ましいということは言うまでもないというふうに思うわけでございます。ただ具体的にいつまでが正しいか、いつまでに示すべきかというようなことになりますと、明確なお答えはできないのでございまするが、ただ参考までに申し上げますと、労働基準法三十二条の二項では、御承知のとおり変形労働者時間制というのがございまして、一般的に労働時間は一日八時間、一週四十八時間になっておりますが、交代制のある産業あるいは運輸事業等も含まれますが、そういったものにつきましては、四週を平均して一日八時間、一週四十八時間のワク内で就業規則その他の定めによってあらかじめ定めた場合に、これが適法なものになるということがあるわけでございます。そこであらかじめ定めるのは一体いつまでかというようなことがやはり議論になるわけでございますが、私どもは最低基準というものを解釈いたします場合に、ぎりぎり少なくとも前日までには示さるべきだということを従来から解釈として示しております。しかし、それはあくまでも最低基準でありまして、できるだけ早くこれを示すことがよいということは言うまでもないところでございます。
  183. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この日数の差はありますけれども、いずれにしても、事前通知をしろということについては、見解が大体統一されたようですね。私たちがもし希望できるとすれば、少なくとも三日前には、まあかりに、大阪から東京に来るあるいは青森から東京にやって来る、こういうことになりますと、行程は、青森は三日かかると思いますね、そういうことからいっても、生活設計を保持するためには、やはり最低三日くらいが私は妥当な線じゃないかと考えますが、その辺はどうですか。
  184. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 先ほどもお答いたしましたように、具体的に何日前かということになりますと、私どももよるべき根拠がなかなかつかみにくいと思います。一般的にはできるだけ余裕を見てこれを示すべきであるというふうに思います。そこで運行計画上、可能であれば三日といわず、できるだけ間隔を置いた運転計画、それによる労働時間というものを示すべきだというふうに思います。
  185. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 陸運局としてはどういう、直轄官庁としましてどういう指導内容で当たられるのですか、その辺ひとつ。
  186. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) ただいま労働省のほうからも御説明ございましたけれども、そういった内容につきまして、事業者を通じましてそういった労働基準、労働条件、給与体系というものが守られますように、指導監督しておりますし、これにつきまして具体的に申し上げますと、道路運送法に基づきます省令もございますし、道路運輸規則というのがございますが、そこでその中の条文に過労防止を十分に考慮した乗務時間並びに勤務時間を定めるべしという義務を事業者に命じております。それでそういう義務を課すだけであとはどうなっておるのかということでございますけれども、これにつきましては、各陸運局が事業者、並びにそういった事業の中で運行の管理をしておりまする運行管理者というのがございます。そういった人たちを集めまして研修を年に二度やっております。その中でどういう指導をしてやっているかと申しますと、先ほど申しましたような労働基準の内容につきまして、いろいろ休養の時間をどう取るとか、それから連続する場合にはどうするとかいうようなことを指導しております。それから並びに指導するとともに、現実にたとえばタクシーにつきましてどういうふうに事業者はきめておるのかということにつきましては、たとえば東京の例を申し上げますると、これは東京のタクシーの自動車協会、これは東京乗用旅客自動車協会というのがございます。この事業者団体におきまして、労働省、労働基準局長並びに東京陸運局長の指導を受けております。受けました結果、その意見を聞きまして、労働基準法並びに労働省の二・九通達等の指導方針に合った、そういった勤務体系を現実につくっております。それに基づきまして、各事業者が車の配車なり運行の管理なりをやっておるのでございます。  一例を申し上げますると、これは四十二年の、昨年の七月十五日からこういった意味での新しい勤務体系をこの協会がつくりまして、それによりまして各事業所が、それぞれの会社につきまして実態に合わせまして、そういう趣旨でつくっております。一例を申し上げますと、たとえばタクシーにつきましてはABCの三つの勤務状態を考えております。いわゆる一般勤務というのと、時差早朝勤務というのと、時差深夜勤務という三つの勤務状況をきめておりますし、それにつきましては、たとえば一番初めの一般勤務ということにつきましては、いわゆる事業場外の拘束時間を入れまして十八時間、そのうち休憩は三時間、実作業は十六時間、深夜の作業は四時間というふうにきめております。たとえば時差の深夜勤務につきましては、事業場外拘束十八時間、休憩三時間、実作業十六時間、深夜の作業五時間半というふうにきめております。そういうことで実際にやっております。ただし、これを実際に守っておるかどうかという点につきましては、私ども事業場監査をやっております。これはもちろん、たとえば東京全部の事業者をシラミつぶしに監査するわけにはいきませんけれども、順繰りに監査しております。その結果こういったような取りきめに違反しているものがあれば、労働基準法、二・九通達に違反しているものがあれば、これは摘発いたしまして、道路運送法の面から申しますると、そういったような悪質な労働者保護に欠けるものにつきましては、法律によりまして使用停止の処分とか、あるいは場合によりましたら事業停止という行政処分の規定がございますので、それにかからしめる。それからもう一つは、労働基準局のほうにそういった事実を通報いたしまして、労働基準局のほうでの労働基準法違反の法的の処分をやってもらうようにということで現在進んでおる次第でございます。
  187. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ちょっとこまかくなりますけれども、ハイヤー会社、タクシー会社あるいは貨物運送業など、この会社の数はどのくらいありますか。
  188. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 全国で申し上げますと、四十二年の十二月末現在で申し上げますると、法人も個人も入れまして、事業者の数が全国で一万九千五百六十三ございます。車両の数は十六万七千三百三十四両でございます。それから、そのうちでいわゆる個人タクシー一人一車制の個人タクシーの数は、全部で全国で一万二千八百五十九ということに相なっております。
  189. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 こういう膨大な会社の数に対しまして、具体的にそういった労働条件の監査状況といったようなものを、どういうふうにやっているか、その辺の内容についてひとつ。
  190. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) これは各陸運局並びに府県にございます各陸運事務所で、大体年間の計画をきめまして、タクシーだけでございません、トラックもございますし、バスもございますので、それを合わせまして年間計画をきめまして、それで現場で監査するという方式でやっております。
  191. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 基準局長にもう一点お伺いしたいと思いますが、交通産業労働者なるがゆえに、いま基準法上からいって除外規定が相当あると思いますが、何条と何条と何条ですか。
  192. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 交通労働者なるがゆえにということでは必ずしもないと思いますが、たとえば先ほど御説明しましたところの労働基準法三十二条二項の変形労働時間制というふうなものが、繊維、石炭等でも利用されておりますが、やはり交通労働者にも十分関係のある一種の変形時間制であると思っております。それから労働基準法四十条に御承知の規定がございまして、「公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるものについては、その必要避くべからざる限度」で、労働時間、休憩に関する規定について、命令で特別の定めをすることができるという規定がございます。そこで労働基準法施行規則におきまして、たとえば施行規則の二十六条では、交通関係の運転者を除きますが、「特殊日勤又は一昼夜交替」につきます者は、たとえば一日十時間、一週六十時間というよううな時間制も設けられておるというような例外規定がございます。
  193. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま説明があったように、労基法の三十二条あるいは三十四条の第二項あるいは三十五条二項、さらに三十六条、四十条、こういう関係法規がございますけれども、もちろんこの六十条、六十一条等についてはそれぞれ禁止条項があると思います。こういうように交通産業労働者といういわば特殊性から、そういう一般労働時間、休憩時間、休日、こういうものが軒並みに除外規定になっておる。それだけに私は法的な立場から言っても、明確にその監督官庁の指導なり行政指導を厳密に行なわれていかなければいけないと思うのでありますが、いまの二・九通達は十分だということで考えられておられますか。
  194. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 私どもはただいま御指摘になりましたような二、三の例外はございますけれども、交通労働者なるがゆえに大幅に労働基準法の適用が除外されておるというふうには私ども考えておりません。特にただいま御指摘のございました休日あるいは労働時間につきまして、労働基準法三十六条の規定に基づきますいわゆる三六協定によりまして時間外、休日勤務をすることは、これは必ずしも交通労働者のみでなく、あらゆる産業に共通した規定でございます。ただ問題は、労働基準法三十六条は、いわゆる軟式労働時間制でございまして、労使が協定をしますれば、その協定の範囲内で、まあいわばそれだけ時間外労働しても、休日労働しても、労使が納得して協定された範囲であれば、これは法律上は適法なものとみなされるというところに、従来から軟式という方式についていろいろ御議論があったことは事実でございます。そこで私どもは、労使の自主的におきめになることでございますから、原則的には、それでよろしいと思いますけれども、先ほど来御議論ありましたように、他の産業と比べて非常に長い、それからさらに交通災害に結びつくというようなところから、やはり役所が一つの基準を設定して、その範囲で三六協定を結んでもらいたいという指導をすべきであるというふうに考えまして、去年の二月九日に出しましたものも、先ほど来るる御説明しておりますような、本来なれば労使が自由にきめられるべき時間外あるいは休日労働につきまして一定のワクをはめまして、経営者の方からはたいへん苦しいワクであるという陳情もしばしばお聞きいたしておりますが、最低これだけは守ってもらいたいということを強力に指導いたしておるわけでございます。そこで、先ほどもお答えいたしましたように、これは決して私どもは一〇〇%りっぱなものだとは全然思っておりませんけれども、現段階で進める最低基準としては妥当なものではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。労使がさらに積極的に話をされまして、もっと短い時間外、休日、あるいは極端な議論をいたしますれば、本来労働組合が拒否すれば三六協定は結ばれないわけでございます。三六協定を結ばなければ、一日八時間、一週四十八時間の労働制あるいは週休制の原則は貫徹されるわけでございますので、私どもは私どもなりの考えで行政指導を進めたいと思いますが、労使におかれましても、それぞれ良識に従った三六協定の締結ということに御協力をわずらわしたいというふうに思うわけでございます。
  195. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間がありませんから先に進みたいと思いますが、賃金問題についてですけれども、現在逓増出来高払いということで歩合制がおもになっていると思うのでありますが、現状どういうふうになっておりますか。平均賃金は交通産業労働者の場合にどういうふうになっておるか、あるいは最低賃金でどの程度になっておるか、一般の労働者と比較をいたしまして、どういう割合になっておるか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  196. 細川福治

    説明員(細川福治君) タクシー運転手の賃金の水準といたしましては、昭和四十二年労働省の調査した結果の資料によりますと、きまって支給する給与といたしましては五万二千二百円、それから平均労働時間が二百三十六時間、このようになっております。なお参考までに一応技能労働者といわれております旋盤工の賃金について申し上げますと、同じ調査でございますが、きまって支給する費用としましては三万九千六百円、一カ月の平均労働時間が二百二十一時間、このようになっております。
  197. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 五万二千二百円ということですが、その中身です。いわゆる歩合給はどのぐらいまでいっているのか、固定給はどのぐらいであるか。
  198. 細川福治

    説明員(細川福治君) 御承知のように自動車運転者の労働態様は、事業場外の作業である、労働量が測定できると、このようなことから、賃金形態についても、他の一般産業と異なった制度が実施されておるのでございます。先ほど先生から御指摘のありましたように、歩合給制度という制度がほとんど大部分の事業において実施されております。  それからもう一つは、非常に事故と結びつくと、このような危険な作業であると、このような観点から、賃金管理面におきましては、愛車手当あるいは無事故手当、このような他産業で見られないような手当が支給されておると、このような実態でございます。  それから歩合給の内容でございますが、タクシー業におきましては、全体としましては、この歩合給制度の中で一番問題とされております累進歩合給制につきましては、五二%の事業所がこれを実施しておると、このような状況になっております。  それから歩合給の全体の賃金に占める割合でございますが、約四〇%程度になっておるのございます。
  199. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 労働省方針といたしましては、少なくとも固定給というものを六〇%台まで引き上げることが当面の目標であったと思うのです、昨年は。ですから、われわれとしては、あくまでも基本給をもってこの生活保障が足りると、こういう状況になっていかなければいけないのじゃないか。その上に立って、少なくともこのノルマ計算、歩合給というものが積み重なれば別だと思います。ところが、現行はそうでない。そういうところに私は非常にいわゆる無理な運転が暗黙のうちに強要されている、そういうものがひいては交通事故に結びついている、こういうことになっているのではないか。ことに東京都内のように自動車が非常にふくそうして、ラッシュ時などは全然動けない。場所によっては歩いたほうが早いという、こういうところも多くあるわけであります。そういうところになりますると、運転者から見れば、収入は減じますし、生活がかかっておりますから、勢い夜間帯になって違反スピードでもって走らなければいけない。全体の勤務総体を見ますると、そういうやり方というものが出ると思う。そういうところにまた事故発生が非常に多い、こういうことになっていくのだろうと思います。結局は悪循環態勢が継続される、こういうことでありますから、どうしてもこの収入の部面の賃金というものがもっともっと真剣に改善されて、ものをやらなければいけないと思うのですが、何か具体的な、将来八〇%とか九〇%、そこまでやはり基本給というものを引き上げていく、歩合給というものを減らしていくように、そういう何か具体策というものがありますか。
  200. 細川福治

    説明員(細川福治君) 自動車の運転者につきましては、先ほど申し上げましたように、歩合給制度がほとんどの企業において採用されておる、そのウエートもきわめて大きい。もともと歩合給制度につきましては生産性の上昇に応じて労使ともそれで潤う、このような制度で、賃金論としてはいろいろな問題がございますけれども、労使とも生産性の向上に見合った所得増と、このようなことで、多くの企業で採用されておる制度でございます。で、一般に能率給制度については、いい面はございますけれども、悪い面としましては、先ほど先生がおっしゃられましたように、所得が変動する、したがって、生活設計がなかなか困難になると、このようなマイナスの問題もございます。また、歩合給制度につきましては、確かに生産性は上がりますけれども、一般製造業におきましては不合格品も出る。しかしながら、自動車の運転者の場合には、交通事故にそれがストレートにつながるおそれがある。まあこのようなことから、昨年の二月に通常の賃金の六〇%以上の保証給を設定すること、さらに極端に刺激的な累進歩合給制度を一定率の歩合給制度に改善さすこと、それからトップ賞等、非常に刺激的な制度がございますが、これも廃止さす、このような三つの基準を指導基準として現在やっておるのでございます。で、昭和四十三年度におきましては、自動車の運転者の中で特に都市部のタクシー業が一番累進歩合給制度が実施されておりますので、これに重点を置いて実施していくと、このようなことでございます。先ほど先生から固定給部分をもっと多くというような話がございましたが、現実問題としては、きわめて刺激的な歩合給制度が実施されておりますので、最低基準として、先ほど申し上げました三つの基準で当面やっていきたい。で、その結果を待って再検討したいと、このように考える次第でございます。
  201. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間もありませんから、あと二点ほどで終わりたいと思うのでありますが、その一つは、タクシー、ハイヤー会社の労働者の退職手当、こういう制度がどの程度まで制度化されておるか、それから年金制、こういった問題はどの程度まで制度化されているか、この点をひとつお伺いしたいと思います。  それからもう一つは、飛行機の騒音防止等について、現在騒音防止は何ホンあたりが限度か、そのような基準があればひとつお示しを願いたいと思います。  もう一つは、一昨年の二月だろうと思いますが、羽田で全日空の飛行機事故がございまして、百何名かが死亡された、半年ぐらい過ぎまして高松で同じような事故がありまして、相当死傷者が出たわけであります。この補償問題が、羽田の場合は六百万、それから高松の場合には八百万円ですか、こういうことで二百万円もの差があるというようなことになりますと、同じ飛行機事故で貴重な生命が、一方は六百万であったり八百万円である、こういうことになっておるのでありますが、その辺の経過についてひとつ御説明願いたいと思います。  それからもう一つは、交通災害全体を通じまして、陸上、海上、あるいは航空、総体含めまして、この損害の補償金というものが非常にアンバランスが多いと思うのであります。そういうものは、やはり国家的見地から、一定の基準線というものを出すべきじゃないか。陸上においては自賠責三百万円まで、こういうことになっている、あとはそれぞれ加害者なり被害者なりの示談方式に基づいて、支払い能力があれば一千万円になったり、五百万円になるという非常にふぞろいの状況であります。一定の最低限度まで補償額というものを引き上げていくのが妥当じゃないか、そういう面についての大臣の明確な見解をひとつお伺いしたいと思います。  さらに、前段のハイヤー・タクシーの乗車拒否、こういうものも、せんじ詰めていけば、結局は労働者の労働条件が悪いこと、あるいは待遇が恵まれない、こういうことに私は起因するのではないか。結局は生活がかかっているわけでありますから、一定の目標までは自分でかせがなければいけない、こういうところに追いやられているところに、いまのそういったいろいろな悪弊というものが私は出ているように考えるのでありますが、こういう問題に対する労働者の待遇、あるいは労働条件等について、大臣としては一体どういうふうに考えられるか、最後にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  202. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず最初に交通災害における補償の問題でございますが、これはおのおのの私的営業機関等の約款で、契約で、業者の約款できめられているわけであります。したがいまして、会社とお客さんとの個人的契約上の民法上の問題になっていると思うのです。ですから全日空の場合とあるいは日航の場合、あるいはBOACの場合、あるいはオランダ航空、おのおのまた多少みんなかつて違っておったわけです。しかし、それがだんだん判決その他によって価額は上昇してきまして、それに伴って約款も移動してきておるようでありますが、確かにお説のとおりに、人命の値段というものが、一年ぐらいの間に二百万開くということは不合理であると思いまして、その点は検討してまいりたいと思います。  それから交通安全等の人的要因にかんがみまして、従業員の給与待遇等に関する部面もこれまた非常に大事であると思います。事故の大きな原因の中には、そういう超過勤務や疲労という問題も含まれておりまして、その点につきましても、運輸省としてよく検討を加えて、また業者に対しましても適切な指導をいたしまして、無理のないようにしていくようにいたしたいと思います。詳細な点は各局長から答弁させることにいたします。
  203. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 騒音対策の対象になるホンは、対策によりましていろいろ違うわけでございますが、小学校、中学校、病院等は騒音防止法によります対象は七十ホン以上を対象に考えております。それから土地の立ちのきをしたり、あるいは買い上げ補償をするというところは、滑走路の末端から千三百メートルというように距離をもってあらわしている次第でございます。
  204. 細川福治

    説明員(細川福治君) 退職金、年金制度について申し上げます。  ハイヤー・タクシー業についての退職金、年金制度の実情については、全国的な統計資料としてはございません。産業全体で見ますと、退職金制度について申し上げますと、退職後の生活の保障、長期勤続奨励、このような観点から、企業の大小を問わず、広く普及しております。で、労働省昭和四十一年の調査資料によりますと、四五%程度の事業所において本制度が実施されておるのでございます。  それから退職金、年金制度につきましては、経済の安定化した昭和三十年ごろから大手企業を中心に年金制度が実施されてきておるのでございますが、昭和三十七年、税法の改正によって現行年金制度が導入されるようになってから、現行年金制度が中小企業を中心として急速に普及いたしております。で、現在その数はちょっと記憶ございませんが、約二万件程度が国税庁の長官の承認を得て実施されておるというふうに記憶いたしております。それで全国的な統計資料は、ハイヤー・タクシー業についてはございませんけれども、部分的な賃金規則等を通して見ますと、ハイヤー・タクシー業につきましても、退職一時金制度が広く普及しておるようでございます。それから年金制度についてはどのようになっておるかどうか、その点はわかりません。
  205. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄財政の問題でお伺いしたいと思うのですけれども、いま四十三年度の国有鉄道の予算の内容をお聞きするところによると、旅客収入と貨物収入の割合が十年ほど前に比べるとえらく違ってきているということは、顕著な現象だと思うのです。たとえばこの数字を見ますと、旅客収入が六千五百十四億で、貨物収入が二千五百八億円ということですね。いまから十年ぐらい前は、大体この旅客と貨物が五分五分ぐらいであったような記憶があるんです。若干旅客のほうが多かったかもしれませんが、ほぼ五分五分ぐらいだったような気がする。いまや六千五百億円と二千五百億ということになるとですね、七、三ぐらいになってしまっておるわけですね。こういうふうに収入が開いてきたということは、これは原因は何かというと、やはりこのトラックであるとか、あるいは船舶であるとか、ほかの部門に貨物というものが移っていっているんじゃないかということが考えられるわけです。この傾向は、これから先を考えてみた場合にも、やはりますますその旅客と貨物の差は開いていくのではないかという気がするわけでありますけれども、その辺の推定、それからこのような旅客と貨物の収入が開いてきたという原因等について、総裁からまずお伺いしたと思います。
  206. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) お答えいたします。  旅客収入が貨物収入に比べて非常に多くなっておるというこの原因でありまするが、御承知のとおり、乗客数というものは年々六%、あるいはそれ以上の上昇でふえてくる。それにかかわらず、貨物のほうは最近ふえぬ。これは石炭の輸送量が減ったというようなことにも原因がありますが、ということと、つまり輸送量の関係から見て、旅客収入のほうが非常にふえた。それからさらにこの旅客収入のふえたことについては、急行列車だとか寝台列車、いわゆる優等列車、そういうものの収入が非常にふえてきた。国鉄としてもそういう需要は多いもんですからして、優等列車というものをできるだけふやすというふうにしております。たとえばそういう特殊列車による運賃及び料金の合計というものは、たとえば旅客列車というものは合計で二万くらいある。そのうちで優等列車というものは三千くらいだと思いますが、その三千の優等列車でもって全収入の四割五分を得ておるというようなこと、つまり優等列車による収入というものが非常にふえてきたというようなところにもってきて、最近においては例の新幹線とか、そういうことで、旅客列車の収入に非常に寄与することが多いということにあると私は申して差しつかえないと思います。
  207. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 時間の都合で総裁のほうに先にお伺いして、大臣のほうはあとにお伺いいたします。  国鉄の赤字線対策についてお伺いしたいと思う。国鉄財政再建のために、いろいろ計画をしているという話は、これは後ほど大臣からお伺いしますけれども、赤字の原因というのは、はっきりわかっているわけですね。いろいろといままででも、国鉄基本問題懇談会であるとか、あるいは何々会であるとかという、こういったいろいろな諮問機関のようなものがあって、答申があって、大体においてわかっておる。いまさら再検討してみなくたってはっきりしておると思うのですよ。特にこの赤字線の問題ですけれども、いま鉄道建設公団でもってこしらえておる線区もあらかた赤字線ではないかと思う。そうすると赤字線はふえる一方だ。それに対してその負担はどこもこれはめんどうを見ないということになると、国鉄の赤字というものはふえればこそ減る可能性はないということになってしまう。一体今後この赤字線はどうするつもりなのか。どんどんふえる一方の状態でいて、特にこのチェックするという必要はないのか、あるいはその経営形態というものをまるきり考え直すという必要はないのかどうか。こういう問題は国鉄の経営に非常に大きな問題だと思うので、これらの点についての総裁見解を承りたい。
  208. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) お答えいたします。  御承知のとおり、国鉄がいま約二万八百キロあるのであります。そのうちでプラスになっているやつというのは約三千五百ほど、それであとのやつは赤字線。ただし、その赤字線の中にも、三千四百キロの黒字線の浮揚効果をなしている――これは赤字ではあるが、結局浮揚効果をなしている点から見て、純然たる赤字線として取り扱うわけにはいかない。それで、国鉄が、大体赤字線として、どうしてもこれは今後何とかせなきゃならぬということに考えておるのは、二万八百キロのうちで約私は六千キロだと思う。これは、初めからこれはもう赤字になるという覚悟のもとに敷設されたものが大部分であります。私はもうこいつは例外がないと思います。そういうことで、それからくる赤字というものは、私は約五百億くらいのものじゃないかと思う。これがどうも将来非常に大きな収支の上からいくとガンだ。ということは、赤字線というものは、御承知のとおり、いなかの地方開発のためにやった線でありますので、いまの日本の状態からいくというと、そういうところは人口がだんだん希薄になってくる。そして荷物というものがふえぬということで、収入は減る。しかも経費というものはいわゆる人件費の増によって非常にふえてくるということでもって、赤字というのは年々えらい勢いでふえてくるんじゃないか、こういうことなんです。それで、それは在来線についていま申したことなんでありまするが、この新線建設公団のほうのやっておる線というもの、この中には、つまり武蔵野線ですとか、小金井線ですとか、東京外郭線、これはまあ、そのほかに湖西線でありますとか、それからさらに京葉線という鶴見のほうから海岸通ってくるやつ、これはつまり国鉄がやるべきものを新線建設公団のほうにやってもらうということになって、この損は損でも、これは国鉄としてはのむべき損だ、当然のまにゃならない。そのほかの線ですがね、これがつまり問題なんですね。これは私はさっき申した六千キロに類すべきもんだと思う。この線が完成して国鉄へ移された場合においては、国鉄としては年々歳々やっぱり七千百億の損というものは覚悟しにゃならぬということ、これも私は損が年々ふえればとて決して減らぬ。その場合に、一体これをどうするか。国鉄は現在の赤字線ですでにもう悩んでおるところへもってきて、さらに大きなマイナスが加わる。これについては、私はいまのここに持っておる赤字線というものに対して、何とかせにゃいかぬということで、赤字線に対する特別委員会というものをつくりまして、この処置をどうするかということで、いま真剣に考えておる次第でありますので、もしも新線建設公団のほうで新線ができて、それを国鉄が経営しなければならぬ、損をするということになれば、これは当然政府に何とかしてもらわにゃならぬ、政府にたよっていく以外には全然道はないと思う。少なくとも、国鉄というものは独立採算で経営せにゃならぬということなら、私は当然政府が見てくれるべきものであるというふうに考えております。
  209. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いま合理化ということが非常にやかましい問題になっているのですけれどもね。赤字累積でもって苦しまぎれにいろいろな合理化をはかるということは、これは苦しまぎれの知恵としてはわからぬことはないと思うけれども、根本的な合理化というものは、一番大きな赤字の原因を解消するということでなければいかぬだろうという気がするわけです。たとえば市町村の納付金のような問題でも、これは赤字線区といえども納めなければならぬわけでしょう。こういう初めから赤字がわかっておるところに金をかけて、赤字線区をこしらえて、でき上がったら今度は市町村に納付金までくれてやるということになると、このくらい筋の通らない話はなかろうという気がするのです。だから、もう人間よりもキツネやタヌキがよけいいるようなところは、線路をはずしてしまって、それを舗装道路にして、国鉄バスを走らせるとか、そういうような輸送手段の変更ということを考えるということのほうが、ほんとうの意味の合理化ということになるのじゃないか。つめに火をともすようなけちなことを一生懸命やって、大きく抜けておったのでは、何にもならぬという気がするのですがね。この経営を合理化するという意味では、赤字線を抜本的な対策を講じて解消するという方向でいかなければならぬと思うけれども、その見通しといいますか、国鉄当局のかまえとしては、いまどういうかまえをもってこれに臨もうとしているのか、これを総裁からお聞きしておきたいと思います。
  210. 石田禮助

    参考人(石田禮助君) まず国鉄の合理化の問題について申し上げますが、国鉄の合理化ということはだな、つまり国鉄を能率的に経営していく上においてですね、これはもうぜひともやらにゃならぬ問題です。赤字があろうがなかろうが、つまり能率的に経営していくということは、総裁に課せられた使命でありまして、それがためにだ、つまり合理化というものはぜひやらにゃいかぬ。現在これはプラスになっておっても、これはやらにゃならぬ問題であります。いわんや赤字になるがゆえに、大いに力を入れてやるということでありますけれども、これは赤字、黒字の問題じゃないと私は思う。  それから納付金の問題でありますが、これは瀬谷さんにおいてすでに御承知のとおり、私としてはずいぶん悪戦苦闘をしたのでありますが、どうも必要論というものが勝を制して、結局筋の通ったわれわれの主張というものが葬られちゃった。しかし、これは一時的な問題で、必ずこれらの納付金というものは永久化さないように、何とか早く解決するということにだ、今後とも私としては努力していく。こういう点につきまして、幸いに大臣も非常に賛成でありまして、四十三年度の予算において納付金というものはとうとう葬られちゃったのですが、四十四年度の予算についてはこの問題をひとつさらに検討していただきたいというふうになっているのでありまして、この納付金問題というものは必ず近き将来において私は解決せらるべきものである。  それから、赤字線の問題でありまするが、これは私は、国鉄ちゅうのは、つまり独立採算でやっていかにゃならぬというたてまえのもとにある以上は、こういう赤字線というものは、これは私は政府というものが当然見てくれるべきものであると思う。ただ、それにつきましては、赤字線は赤字線でありまするが、できるだけその損というものを軽減するべく、国鉄としては努力する必要がある。たとえば、乗客の非常に少ないところに対しては、これはCTCという方法によりまして、できるだけ駅員というものの数を減らす、そうして経費というものを減らす。あるいは、たとえば貨物や何かにいたしましても、いままでは大多数の駅でもって取り扱っておったものを、小さいものはこれはもう大きな駅に集中してやるかというようなぐあいに、できるだけ合理化の方法を講じて、赤字線というものの損を軽減する。それで、できるだけのことをやって、その上でひとつ政府にこれは何とかしてもらわにゃならぬということに、私は当然持っていって差しつかえないものだというふうに考えておる。  そのほかに、瀬谷さんがさっき申されませんでしたが、大きな問題は公共負担の問題、これなど全く政府のお荷物を国鉄がしょっているのだ。これはやはり独立採算のたてまえからいって、われわれが政府に頼まぬでも、当然、政府としては国鉄に対してこれを見てくれるのが当然のことじゃないかということに考えております。さらにそして、現在、赤字線というものの始末でありますが、これはつまり、日本ばかりでなくて、英国、フランス、ドイツ、アメリカあたりでも、盛んにレールというものをひっぱずしてやるというようなずいぶん思い切ったことをやっております。これは土地の状況によっていろいろでありましょうが、大体レールの敷かれているところについてはバスというものが盛んに発達をしてきておる。そのために赤字の損が大きくなっておるということが多いのですが、こういうところにおいては、あるいはレールをはずしても住民は困らぬようなところがあると思いますが、しかし大体においてやはり鉄道が敷設されるということを大なり小なり希望しておる。したがって、そのレールをひっぱずすということは、それだけ住民の交通の便がなくなるわけですから、これははなはだ気の毒なので、国鉄としては、鉄道にかわるのには、経済的な方法による交通機関というものを提供をして、まず、客の損というものを全部取り去るということはできませんが、それはできるだけ少ない数字にして、そして合理化をはかっていく、こういうふうに考えておる。そういう点につきましては、ただいま赤字線について徹底的に検討しております。そのうちこれは近代化することになるだろうと思います。
  211. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 合理化というのは能率的に経営をするということなんですけれども、これはそれならば不合理なことはやらないということでなければならぬと思う。合理化という名目でもって不合理なことをやるとすれば、それこそおかしな話。ところが、どんなに合理化をしてみたところで、乗り手のない汽車を動かしておったのでは、絶対に収入はあがるまいと思うのです。これは、人口は減る、貨物もお客も乗らない、汽車だけ年がら年じゅうからっぽで走っているということであれば、これは節約の余地がなかろうと思う。だから、こういうような場合には、線路をはずして自動車輸送に切りかえるといったような方法を考えるのも、国策としては私はやむを得ないのじゃないかという気がするのですよ。これはレールがないというと運べないというものではない。自動車だって、汽車だって、運ぶことに変わりはないわけですから、そうすると輸送分野の再検討ということも必要になってくるのじゃないかと思うのです。いままで国鉄で運んでおったものを、トラックならトラックのほうに移行してしまう、船に移行してしまう、こういうふうな輸送分野の再検討というものは、運輸収入の最近の傾向から見て、当然考えるべきではないかという気がするわけですが、輸送分野の再検討ということに踏み切ってしまうということと、貨物運賃――公共負担のことをいま総裁言われたけれども、公共負担の中には貨物運賃の割引きといったようなこともあるわけでしょう。あるいは新聞や小荷物運賃の問題もあるわけでしょう。これらの点については、独立採算制というたてまえで、先般定期のほうが値上げをしたけれども、貨物運賃のほうには手をつけないのかどうか、もし手をつけないとすれば、いかなる理由で手をつけないのか、この点についてお伺いしたいと思うのです。
  212. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 国鉄としては、輸送需要がないのにかかわらず列車を走らせておるというようなことは、これはすべきもんじゃない。ただ、現在走らせて、輸送需要が非常に少ないのにかかわらず、レールはありますが、そういうところは非常に運転回数というものは少ない。それをさらに合理化する意味におきまして、そういうところに対しては、さっき申したとおり、それはバスをもって代用するとかいうようなこと、さらにいつか九州でも一つ線がありましたが、そういうようなほとんど輸送需要のないところにつきましてはレールをはずしました。そういうところは非常に少ない。これは、輸送需要の緩急を考えまして、適当に処理して、そして決してむだな輸送力をそこに置くというようなことはありません。  さらに、公共負担の問題で、貨物運賃の問題でありまするが、これは私は結局近い将来においてやっぱり合理化していくというところに進んでいくということに考えております。  それから新聞の運賃でありまするが、これにつきましても、これは四十一年の運賃を値上げしたときにだいぶん是正したのでありますが、まだ三十億くらい残っておると思いますが、これも適当なときにやらざるを得ぬということに考えております。
  213. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでは、今度大臣にお伺いいたしますが、いま総裁の話によると、六千キロというのはもう初めから赤字の覚悟だ、これが五百億程度の赤字である、それからいま建設をしている線区でも年々歳々七、八百億くらいの赤字を生ずる、こういう話があったわであります。このように初めから赤字であることがわかっておって、現在も赤字を出しているというような線区を、国鉄の公共的使命から運営をしているということになってくると、これはいわゆる黒字線区でどんなにかせいでみたところで、こういう大穴があいておったんじゃ埋まるわけないと思うのです。そうするとそういう特別な線区の経営というものを国鉄にこれからもしょわしていくということになれば、その分は一体どこで見ていったらいいのか。その運賃の値上げを、たとえば黒字線区でもって必要以上によけい値上げをして、そういう部門の穴埋めをしていくのが正しいのか、経営形態というものを改めてもっと国鉄と切り離すというふうな方法を別途に考えたほうがよろしいのか、これは大きな課題になると思うのでありますけれども、今後の構想としてはどのように考えるおつもりなのか、お伺いしたい。
  214. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄の赤字線の問題は、非常に心痛にたえない問題なのであります。これが国鉄のかなりの負担になって、ほかの緊急を要する建設工事を阻害しているということもあるのであります。しかし、一面において、国鉄は利潤を追求する私企業とは違いますので、国家的要請にこたえて赤字線でも建設しなければならぬという立場にもありますし、政治の面から見ますと、全国民に文明の恩恵を均てんさせるという部面や、地方開発という部面もありますので、一がいに赤字だからといってこれを否定することは、政治の面からはまた言えないところがあります。つまり経済的合理性だけではカバーできない要素があるわけであります。そういうことで、それでは国鉄が一番迷惑することになると思いますので、この辺はやはり、国が乗り出してきて、いろいろ財政的にも調整をしてやらなければならぬ部面であるだろうと思います。もちろん赤字線全部を私は容認するという意味ではなくして、できるだけそういう地方の開発線や幹線というような路線は、バスであるとかそのほかの代替輸送機関にかえることが望ましいし、また現在運行しているものにつきましても、地元の了解を得てそのように転換していくということが望ましいとは思っております。しかし、また一面におきまして、国鉄自体が合理化を行なって国鉄経理内容を改善していく努力も、また国鉄という公社・公団をつくった趣旨にもありますので、努力していただかなければならぬ部面でもあると思います。総じて、いままでいろいろ勧告やなんかも出ましたけれども、私は、国鉄の社会的機能という面からも、さらに幅広く再検討を加えてみて、そして筋々を立てて、国鉄の負担すべき部分、国が措置をすべき部分、社会が考えなくてはならぬ部分、そういうあらゆる部面にわたって合理的に分析をして、国鉄の再建を考えたらいいと思いますし、また国鉄の機能自体も、手足を縛られていて、そのために国鉄の収入が十分に得られないという部面もまた多々あるだろうと思うんです。端的に申し上げれば、国鉄に不動産会社を一緒に経営させればかなりの収益を得るということも考えられる。まあこれは一つの思いつきの比喩でありますけれども、国鉄の機能というものをそういう意味においていままでどおり縛っておいていいのか、あるいは公団・公社という性格から見てある程度機能の拡充ということも考えていいのではないか、そういうようなあるいは広い意味の社会的観点に立って国鉄というものを再検討していただいて、そうして財政の確立をやっていきたいというのが私の念願でございまして、きのう閣議了解で国鉄財政再建推進会議というものをつくるように承認を求めたのも、そういう考え方からなのであります。
  215. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄財政再建推進会議を設けるというお話でありますけれども、これはどういう構成で、どういう権限を持って運営をされる性格のものであるのか、この際お伺いしたいと思います。
  216. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) このいわれは、総理府にありまする物価安定推進会議が勧告を出しまして、まだ総会の決定ではありませんが、中間的答申をつくりまして、総理大臣のところへ中山座長が持ってまいりました。ぐずぐずしていると時間がかかりますし、これを法律でやるとまた一年以上経過してしまいますので、とりあえずそれをいただいて、行政措置で閣議了解という機関にしたわけです。元来これは経済企画庁が総理府としてやるべき問題であるように思いましたが、企画庁長官ともいろいろ相談をして、ちょうどたまたま私のほうで先行してそういう国鉄財政確立のための諮問機関をつくる予定でおりましたから、幾つもつくることはダブるという意味もありまして、それで、各省大臣の協力を得るために、内容もそういうふうにいたしまして、閣議了解という形でこれをつくったのでございます。したがいまして、運輸省の諮問機関というよりも、むしろ各省を横断した連合的な国鉄財政再建のための機関という形をとりまして、自治省あるいは建設省あるいは大蔵省あるいは経済企画庁等関係各省からも人間を入れ、また学識経験者等も入れまして、以上のような観点から、幅の広い会議として、物価安定推進会議の要請にもこたえるという形で答申を出してもらいまして、それを実行していきたいと考えておるものであります。
  217. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いろいろ解釈のむずかしいのは合理化ということなんですけれども、国鉄の合理化といっても、経営者と組合との間の見解は非常に大きく食い違っておるわけです。かつて石田総裁が、国鉄にはもはや合理化の余地はないというようなことを断言をされた記憶があるんですよ。去年でしたかおととしでしたか忘れましたけれども、ともかく二、三年前だったかもしれませんが、その合理化の余地はないと言った国鉄に対して、さらに合理化をさせようということは、しぼればもっとしぼれるんじゃないかと、こんなような考え方から出発をしているんじゃないかと思うんでありますけれども、もしこのような筆法で再建推進会議が簡単に合理化を推進しろというふうな結論を出しますと、また大きな問題を労使の間の紛争として惹起をしてくるおそれも多分にあるのじゃないかという気がいたします。だから、もしも国鉄の財政を再建をする意味で推進会議をここで持とうということであれば、学識経験者をその中に入れるということでありましたけれども、実際にこの合理化の衝に当たる、その影響をこうむるような立場の人間をもこの推進会議の中に入れて、そういう意見というものを取り上げるような方法を講ずる。さらにまた、運賃の値上げによって影響をこうむるような消費者の代表のような人たちもこの機会にこういうメンバーの中に入れるということがあってしかるべきではないかと思うのでありますが、その辺まだきまっていないかどうかわかりませんが、大臣の考え方についてお伺いしたいと思います。
  218. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 推進会議は、脇村東大名誉教授を議長にいたしまして、脇村さん等ともいろいろ相談をして、二十人ぐらいのメンバーできめる予定でございますが、なるたけ利益代表という形を排しまして、学識経験者という形で入れたいという私の希望でございます。そういういろいろな内容等については、今後脇村さんといろいろ相談をしてまいりたいと思っております。
  219. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 利益代表というと少しわからないのですけれども、筋の通った考え方というものをここで打ち出す必要があるだろうと思うのですよ。やはり実情に合わないような、実態を知らないしろうとだけでもって推進会議を開いて、その結論というものが守られないということになると、何もならぬ。いままで国鉄の基本問題懇談会とかいろいろな組織というものが結論を出してきた例はあるのですけれども、事実上肝心のところは守られないできたというきらいがあるわけです。そうすると、これらの推進会議の答申とか、あるいはその権威であります、これがはたして守られるのかどうか。あるいはまた、その権限といったようなものについても、いままでの例からいうと、多少まゆにつばをつけたくなるような気もするわけでありますけれども、今度の場合は、その点、はたしてどういう権限なり権威というものを持っておるのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  220. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、座長の脇村さん――わざわざ座長になっていただく方でありますから、脇村さんの御意見もよく拝聴いたしまして、善処いたしたいと思っております。
  221. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きょう午前中のこの第三分科会において建設大臣にいろいろお伺いしたのでありますけれども、輸送需要の動向なんですけれども、日本の人口というのが、首都圏あるいは近畿圏、こういうところを中心にして急激にふえている。こうなると、人口なり、産業なり、それに合わせて輸送計画というものも考えなければならないだろうという気がいたします。いままでの輸送計画というのは、あとから追っかけてきている、こういう傾向があるわけです。だから、あとから追っかけてきて、年がら年じゅう通勤ラッシュが慢性的に続いているという現状でありますけれども、たとえば東京を中心とする首都圏が、ここ十年もしくは二十年の間に倍増する、あるいはさらにそれ以上ふえるといったような、地方自治体でもってはじき出した数字をもとにするとすれば、第三次長期計画といった程度のものでは間に合うまいという気がする。よほどこの根本的な輸送対策というものを講じないことには、今後輸送の使命を達成するなどということはできまいという気がするのでありますけれども、それらの点についてやはり関係方面と打ち合わせをしながらでないと計画はできまいと思うのでありますが、一体運輸大臣としてはどのような展望のもとに今後の輸送計画というものを策定をされるおつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  222. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) お説のとおり、日本の国民経済の高度成長に伴いまして、輸送体系等も、また輸送需要等も変化してまいりまして、政治が先行する必要を痛感しております。ただ、第三次輸送計画は国鉄が相当の研究をいたしましてスタートをしておるもので、すでに現実に足を踏み出しておるものでありますから、これをにわかに変更するということは、全体として非常にロスが私は出ると思いますし、大体第三次輸送計画のねらいやその他は妥当なものであるように私は思っております。運輸省としましては、私就任以来、いわゆる政策官庁、経済官庁として脱皮せよということを唱えまして、いまおっしゃるとおりの政策を先行させるという方向に省の主力を変えてまいりまして、国鉄とも協力して、その方向に将来政策を間違いないように持っていく考え方であります。これらの省内の改革も、ことしじゅう、できるだけ議会が終わり次第進めてまいりたいと考えております。
  223. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 船でいえば、片側にだけ、人でも貨物でも片寄ってくれば、しまいにはひっくり返るわけです。だから、日本列島だって、人口の分布の状況からいうと、これが船だったらひっくり返るような状況になってきていると思うのです。一体国土計画を、午前中の質問でちょっと建設大臣に聞いたのでありますが、総理府でなくて、経済企画庁ですか、総合的な国土計画についていま案を練っているということだったのですけれども、いまのような東海道メガロポリス、こう言われるところに集中をするという形態を是認をして輸送計画というものを今後立てるのか、あるいはまた、これをもっと分散をする、再配置するといったような計画を新たに立てて、輸送計画もそれにのっとるようになるのか、この点がはっきりわからないというと見当がつかないわけでありますけれども、総合的な国土計画の中で、交通計画道路計画すべてを含めて、将来のビジョンというようなものがはっきりしているのか、しないのか、その点もこの機会に運輸大臣からお伺いしたいと思います。
  224. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その辺になりますと、国土の総合計画の大計画でありまして、一運輸大臣の私見をもってしてはいかんともすべからざるぐらいの重大性を持っていると思いますので、私から申し上げるのははばかります。ただ、東海道メガリポリスみたいな地帯に人口が集中してきているのは、日本だけではなくして、世界的な現象であるように思います。それはおそらく、産業の性格、あるいは社会生活や社会構造、人間の意識というようなものが、われわれの目に見えないところで一つのパターンに現在やはり世界的に移りつつあるように思うのであります。それに抵抗するために、いわゆる新産業都市というものを国はつくる計画で、あれほど運動したりして新産業都市というものをつくりましたが、人口の存置という面についてはまだ必ずしも成功はしておらない。しかし、新産業都市をつくるという考え方自体は、私は合理的な考え方であったように思うのであります。そういうようなまあいままでの経緯もよく検討してみまして、国全体としての合理的な計画をつくっていくべきであるだろうと思います。ただ、運輸省としましては、港湾とか、あるいは道路交通とか、あるいは鉄道とか、そういう総合的な部面と産業立地という部面というものをよくにらみまして、国民経済的に一面においてロスがないようにするということと、それから、これから人間の生活というものには必ず緑とか自然のものが背景になければならぬということは当然想像されます。その上、将来対ソ貿易あるいは中国貿易というようなものが隆起してまいりますと、日本海沿岸ということも相当また考えなくてはならぬ条件でもあります。そういう将来の展望も考えながらいろいろの計画をつくっていく必要があるように思います。
  225. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあこまかな話ならば委員会でやりますけれども、予算委員会分科会ですから、多少大きな話も聞いてみたのですが、午前中の建設大臣に対する質問では、どうも要領を得ないのですよ。佐藤総理によく似たような答弁を懇切丁寧にされるわけです。ことばは多いけれども、中身がない。衣の厚いてんぷらみたいな感じを受けたものですから、あなたはまあ一運輸大臣の言うべきところじゃないと謙遜したようなことを言っているけれども、一運輸大臣だからこそやはり先を見通した一つの方針というものを打ち立てていかなきゃならないのじゃないかという気もするわけです。多少閣僚の中でも色合いが違うと言っちゃあ失礼だけれども、たいへんに斬新な感覚を――よく言えばですな――持っていらっしゃるのじゃないかというふうに期待をするものですから私もお伺いしたわけですけれども、そうすると、将来計画を考えてみた場合に、日本海といえども、これは人口は減って、向こうのほうが裏表の関係でさびれてしまうということを考えるのはまだ早い、対ソ貿易なりあるいは中国貿易というようなことも将来考えなきゃならぬことになるかもしらぬ、こういう意見がございました。そうすると、輸送形態も、いまのような在来線だけでもって、第三次長期計画といったような、これもスケールが小さなものになると思うのですが、こういうことでは間に合わなくなってくるということが考えられるわけです。第三次長期計画で、これはおおむね妥当なものだと思うというふうに言われたけれども、いままでの計画で現実に間に合ったためしがないのです。いつもいつもあとを追っかけてきておる。そうすると、今後の問題としては、長期の――長期のというか、長い区間の輸送というものは、新幹線方式をとるといったようなことも当然考えなきゃならぬわけです。それならば、新幹線を、東海道新幹線だけではなくて、東京から新潟方面に抜ける北回り新幹線であるとか、あるいは東北新幹線であるとか、こういうようなことも考えていかなきゃならぬだろうと思うわけです。それからまた、首都圏の交通の分野において通勤新幹線であるとか、これも考えていかなきゃなるまいという気がいたします。それらのビジョンというものを一応運輸大臣としては打ち立て、そのために必要な資金というものをどうやって捻出をするかということもあわせて考える。それと合うような国土計画というものを逆に推進をしていくような方向でもって輸送の長期の方針というものを策定をすべきでないかという気がいたしますが、その点についての大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
  226. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は全く御趣旨に同感でございます。まあ国土計画の話がありましたから、もう少し私見を述べさせていただきますと、日本海の沿岸にせよ、太平洋の沿岸にせよ、やはり人口が調密になってくるというのは、工業立地そのほかの適正なところへ集まるというのはこれは自然のことで、それが経済的合理性に合致しておる。ですから、たとえば瀬戸内海のような台風の来ないところとか、水のあるところとか、あるいは海上輸送に便利のあるところへコンビナートができる、これも必然でありますし、また、関東地方というものは東京その他の膨大な需要をかかえておる、したがって首都圏というものが次第に膨張していくということも、これは自然の勢いで、特に日本海沿岸におきまして、気象関係で、雪が多いとか、天候が悪いとか、風が強いとか、そういういろいろな条件が悪いために、みな日の当たる方向へ産業が動いてくるということも、やはりこれは自然な状態なので、こういう大きな大自然の条件を人間の力で打ち破るというには、よほど大きな投資がなければできない。そういう点から見ると、やはり太平洋沿岸に産業や人口が集中してくるのは、これは私は必然であって、それまで否定をしてかかっては、国費の損がかなりあると思うのです。しかし、将来への展望を考えてみますと、港湾のいい地帯――あるいは七尾でありますとか、あるいは伏木になりますか、ともかく港湾のいい地帯とか、ある程度の平野があって人口が集まる、そういうところへ日本海沿岸といえども相当集まってくるだろう。県によって過密と過疎が日本海は非常に激しくなるように思うし、それを押えることはできないと思う。そういう面から、ある場合は観光の地帯として、ある場合はソ連あるいは中共に対する貿易の中心地帯として、あるいはそういう天候に左右されない産業及び豊富な労働力を使う産業の地帯としてというような、さまざまな構想に立って、産業立地というものがある程度自然に従いながらつくられぬといかぬように思うのです。港湾やあるいは交通政策も、そういうことを見越して立地をつくり、同じように並行して進めなくてはならぬと思いますが、お説のように、新幹線体系というものは日本全国を網羅してもしかるべき宿命にあります。単に通勤新幹線のみならず、裏日本新幹線とか、そういう形に必ず私はいくと思います。そういうことを予見しながら交通政策を進めていくべきであると考えております。     ―――――――――――――
  227. 任田新治

    ○副主査任田新治君) 分科会担当委員の異動について報告いたします。  本日、瀬谷英行君及び小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君及び田代富士男君が選任されました。     ―――――――――――――
  228. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま主査からお話がありましたとおりに、当分科会におきまして運輸行政全般についての質問をしてまいりたいと思います。  私は運輸委員である関係上、運輸問題をいままでの運輸委員会におきましても取り上げてまいりましたが、特に最近は、すでに御承知のとおりに、昨年の冷房料金に端を発しましてLPGの汚職事件として発展してまいりましたあのような陸運汚職の問題、あるいは最近の日通事件の問題等、この運輸全般にわたりまして運輸関係の汚職問題がたびたび起こってきております。これは運輸省関係だけというものではありませんが、いままでにもあってはならないことではございますが、これが繰り返されてきております。それに対しまして、特に運輸省を例にとりますならば、歴代の運輸大臣は運輸大臣の名前のもとに通達等を出しまして綱紀粛正をはかってきております。これは各省にも言えることじゃないかと思います。私も中曾根運輸大臣からたびたび綱紀粛正の通達を出したということを聞いてまいりました。しかし、次から次といろいろな事件が起きてきております。この原因はどこにあるか。なかなかその根本原因というものはつかめないかわかりませんが、私はいま見ておりますと、一介の通達で終わられているような感じがしてならないのです。しかし、このような汚職事件というものは、これはただ単なる汚職事件と済まされる問題じゃありません。この事件を通じまして、国民大衆が政治不信の念を起こすことにも通じてくるのではないかと思うわけです。そういうことから、運輸大臣として、日通事件の問題も大きくなってまいりましたが、こういう問題に対しましてどのように今後対処していかれるのか。もし、いままで私はこのようにやってまいりましたという実績があるならば、その証拠と、あわせて最初に運輸大臣としての御所信をお聞かせ願いたいと思います。
  229. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、就任以来、綱紀粛正を政策の非常に大事な部面とも考えまして努力してまいっておるつもりでございますが、地方その他におきましてまだ完全に徹底していないのはまことに残念でございます。  私といたしましては、まず第一に、運輸省の公務員が政治からの悪い排気ガスを当てられて意に反して行政を曲げるというようなことをさせない、これがやっぱり一番基本である、そう考えまして、その点については政治家である自分から大いに率先して努力してきておるつもりであります。それと同時に、第二に、運輸省を中心とする、関係機関も含めまして、高級公務員、指導者、幹部クラスの職員が、まず率先して仕事その他についてもトップ・マネジメントという形でやれ、下からきめて判こを押すという形ではない、そういう形に切りかえるように大いに努力しておるつもりでもございます。  なお、末端の問題につきましては、運輸関係の業者というものはまだかなり封建的な古い要素がありまして、そういうような古い要素が公務員との接触部面においていろいろ出てきまして、因襲を生み、国民の非常な不満を買ったことは、新聞等に出てきておることでもあります。最近の日通の事件を見ましても、あれはやっぱり古い運送屋の大きく肥大したようなものだから、ああいう金の延べ棒を買ったりするような事件が出てきておるので、近代経営の大企業という面からはやはりかなり離れておる、そういう本質があそこにもやっぱり内包しているように私は思いました。そういう面から見て、その接触部面について、約三百人の公務員を配置がえをやりまして、二年以上の勤務者はかえる、そういうことを、陸運局及び海運局を中心にして実施をいたしました。なお、その長に当たる人たちに対しましては、業者との接触については、宴会その他をやってはいけない、ゴルフもやってはいけない。ただ、いろいろ陸運行政やら何かで、陳情やら連絡をやるという場合がありますが、そういう場合も、まあホテルでお茶を飲むぐらいならいいだろう、紅茶を飲むぐらいならいいだろう、それ以外はいかぬ、そういうふうに厳格に指示いたしまして、私が聞いたところでは、やはりそれはかなり徹底しておりまして、県あたりでも、自動車業者やトラック業者等が陸運の事務所長や陸運局長を招待してもおっかながって出てこない、そういう県もかなりあったように私思います。そういう点については、そういう威令は行なわれていると思いますけれども、まだしかし、何しろ膨大なものでございますから、必ずしも一〇〇%うまくいっているとも思いません。まあ今後とも、上から下に至るまで目を通しまして、御期待に沿うように努力してまいりたいと思っております。
  230. 田代富士男

    田代富士男君 いま運輸大臣が、上は最高幹部から下は末端の一業者の接触点に働いている人々の人員の配置がえ、そのようにして綱紀粛正していきたいと、そういうことでございますが、私はこれはぜひとも実施してもらいたいと思うのです。それもけっこうでしょうが、私はもう一つ言いたいことは、この前のときに南海電車に例をとって申し上げたかと思いますが、ただ単に、いままで三百人の人員の配置転換をやる、また二年以上そういう要職につけないような措置を講じていきたい、そういうような要するに配置がえその他の綱紀粛正をやっていくと言いますが、いま言われたように、運輸関係というのは封建的なところである。封建的ということは、下からの声が上部に反映してないというのが、ほかの各省に比べまして運輸関係は特に強い。  私もあらゆる人の意見を聞きましたが、下の声が聞かれてない、反映されてない。だから、第一線に従事している人々が、仕事の面においても張り合いがない。そのように仕事に意欲を持たすということは、張り合いを与えなくちゃならないかと思うのです。ところが、現実の実態と各省から打ち出されるものはかけ離れたものである。意欲なんかわいてこないと思うのです。そういう末端の声というものを反映さしていくというような点、大衆の声は天の声ともいわれております。このような末端の声をば聞いていくというような、顕著に聞くような、そのような機構というものをつくっていきながら、その実情に即した行政をやってこそ、封建的な現在の機構をば近代化していくこともできるのじゃないかと思うのですが、いままでいろいろ説明された中にそのことも含んでいるかと思うのですが、私は特に運輸面を担当している関係上調べましてその感が非常に強い。声が届いても、各大会社におきましても、課長のところまでいけばもうそれで終わりだ、部長以上のところはいかない。そのように一人一人に希望を与え、働く意欲を持たせ、張り合いを持たせるような、そういう環境でなかったならば、だめじゃないかと思うのです。だから、ただ一片の通達ではならないと思うのです。これはげすな話になるかわかりませんが、最近は少なくなりましたが、終戦直後はノミやシラミが一ぱいわきました。われわれがノミの種を植えシラミの種を植えた人は一人もいない。どうしてノミやシラミがわいてくるか。ノミやシラミの種は植えはしないけれども、それが住むような環境にあったところにノミやシラミがわいてきているわけなんです。そのような一片の通達とかそういうものだけであってもだめです。そのような環境も変えていかなくちゃならない。それをやるには、やはり、最高幹部はもちろんですけれども、一番最前戦で戦っている人に希望を与え、張り合いを与えていくという、こういうような機構を改革をしていくお考えがあるかどうか、お聞かせ願いたいと思うのです。
  231. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 確かに最前線にいる人たちの声を聞くということは非常に大事なことでありまして、まあ運輸省の仕事というものは、課とか、係とか、みんな一つのチームをつくって、ユニットでやっているものですから、その課とか係というものがお互いに連絡をとって、いろいろな情勢を上にも伝え、上からも下に伝え、またそれが次の上の段階に及んでくると、そういう形でやるのが実は私は正常であるように思うのです。しかし、国全体の大きな政策としては、公務員の昇進制度という点も考えてやらなくてはいかぬ。上級職の試験を通ればそれでずっとエスカレーターに乗ったみたいに上まで行ってしまうということに対して、試験が受かってないからといって下積みでいつまでもいくということでは、これは士気が上がるはずがない。昔は専検とか何とかというのがあって、中学や何かに行かなくても実力があれば最高学府に行くまでの資格や何かをもらったわけでありますけれども、公務員のシステムの中にもそういうものを大いに導入して、そうして、必ずしもそういう試験成績のみを中心にしないで、実力によって抜てきが行なわれるようなシステムを最前線のほうについてもとっていく必要があると私は感じまして、閣議でそういう発言をして、総務長官に、公務員関係のことをやっている責任者に、検討を要望しておるのであります。そういう点も考えていかなければならぬと思っております。
  232. 田代富士男

    田代富士男君 それは大いに反映していただきたいと思います。要望として、時間もありませんからこれ以上申し上げませんが、今後実現方をお願いしたいと思います。  それから、これはいまの反対でございますが、下の声が反映されないという一面もありますが、今度は、いま封建的であると言われた一面には、下のほうも悪いかわかりませんが、今度打ち出していく当局の姿勢というものにつきましても、これは改めなくちゃならない点もあるのじゃないかと思うのです。上のほうから考えてみますと、これは各省に通ずる問題でございますが、いまは運輸省を中心に質疑がなされておりますから、運輸省の例を一つとりましても、いま問題になっております成田の新空港の問題でございます。この問題につきましては、すでに八割方の契約が済まされまして、いろいろ説得がいまなされておりますが、三派全学連とのあのような衝突をなされ、国民大衆は、いかなるものであろうかと、そのように見ておりますが、あれ一つを静かに考えていくならば、運輸省運輸省としての言い分、あるいは現地の人は現地の人の言い分というものがあります。いまではお互いに敵視しておりますが、しかし同じ日本人です、じっくり話していくならばわからない点はありませんが、私は、現地の人の声――いまさっきは職場におけるところの声というものが反映されてないということを聞きましたが、あの土地の問題一つにつきましても、現地の人の声を聞いたとは運輸当局として言われますが、切なる声をほんとうに聞いたのか。そのような切なる声を聞きながら、相手のそのような切なる声をばそれ以上に納得さすべき国策として何ものかあるならば、そのような人の同感を得てもらえないわけはないし、ただ単にそのように説得をした――それが私はあまりにも官僚的じゃなかろうか。こういうところにも、下だけじゃなしに、上からも封建的なそういうやり方をやっているために解決ができていないのじゃなかろうかと思うわけなんです。まだ二割ないし三割弱の人々が反対しているということも聞いておりますが、このような一つ一つの行政をつかさどっていく上におきまして人間性というものが私は欠けているような感じがしてならない。人間性の尊重というものが政治の根本に生かされてこそ政治というものは生かされていくと思うのです。私は、成田空港の問題を考えましても、人間性というものが欠けた一面があるのじゃなかろうかと思う。もっとああいう人々にも納得をさすべき何ものかがあるのじゃないか。努力はしたと言いますが、あえて聞くならば、だれと比べて努力をしたかと言いたいのです。やらなかった人と比べて努力をしたならば努力をしたことに入るでしょうし、どういうことと比べて努力をしたか。ただ単に努力をしたという総体的な考えでいくならば、私は努力をしたうちに入らぬ。さっきから末端の声を聞きなさいと取り上げたのは、この問題も一つございます。成田の問題一つについても、もっと一人一人にひざを突き合わせての話、それができないとおっしゃるかわかりませんが、もうできないもんだときめるならば、きめつけたその一念によって問題は解決できません。こちらの一念で、よし解決せずにはおくものかというその一念があるならば、相手もわからないはずはありません。そのような政府としてのPR、相手を納得さすだけのこちら自身に対する忍耐力といいますか、人間性というものが欠除した一面が解決できないことの一つの要因じゃないかと思うわけなんです。この問題は、何も空港の問題だけじゃありません。これは運輸行政全般に通ずることじゃないかと思いますが、そのような問題に対する大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  233. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まことにお説のとおりであると思います。特に成田の問題のように、土地を提供したことから生活ができなくなるというときには、その人の身になりまして、ほんとうに親身の気持ちでやってあげなければならぬ問題であると思います。墳墓の地を離れて、一木一草に至るまで祖先からの思い出のあるものを奪われるということは断ちがたいものがあると思うのであります。これは第三者でわからない心境であるだろうと思います。決して物質にはかえられないものがあると思うのであります。そういう方に御納得をいただくというのは、物質だけではだめなのであって、話をする本人自体がそういう気持ちになってやらなければできないのであります。そういう考えから、私も公団の第一線の諸君にもそのことをよく話しました。また、声を聞くという意味におきましては、運輸省や公団や千葉県の人だけでなくって、私の友人やその他あらゆる関係の人を動員して、あの付近の住民、友人、その他等からいろんな情報、あるいは陳情、訴願、あるいは怒り、不満、恨み、そういうあらゆるものをやはり収集いたしまして、われわれのやり方がいいか悪いか、どういうことをやったらいいかということも実は考えてやっておるのでございます。しかし、何しろ大ぜいの方があり、みんな御要求も違いますから、御納得いくまで――いかないのはまことに残念でありますが、条件派が約八六%土地を出していただくことになりましたので、われわれの公約をすみやかに誠実に実行して、一戸一戸について生活相談の仕事にあずかっていただく。公団の職員に五軒とか八軒とか負担させまして、子供の就職の世話に至るまで一つ一つ各戸について相談に応ずるように、さように公団総裁にも指示をしてあります。なおまた、反対派の皆さんに対しても、賛成派といささかも取り扱いを異なることなく、誠心誠意、同じような平等な気持ちを持って今後忍耐強く説得もしていくつもりであります。私は、われわれの心が私心がなくしてほんとうに国家のために全国民にかわってお願い申し上げているという誠意が通れば、日本人同士であるから、必ずわかってくれると思うのであります。また、反対していらっしゃる政党に対しましてもいずれ適当な時期が来ましたらそういうお願いを私は申し上げてみたいとも思うのであります。そういうあらゆる方面からの力を結集してわれわれの誠意を貫いていく考えでおります。
  234. 田代富士男

    田代富士男君 いまは空港の問題を取り上げましたが、新しい時代に備えていろいろ施策を講じていかなくてはならないことは当然でありますし、いまも新幹線の問題が取り上げられまして、裏日本の新幹線あるいは山陽新幹線等を延ばして、そして国鉄の近代化をはかっていく。そのように第三次計画の一部を御説明なされたのも聞いておりますが、私は、そのように新しい建設的にやっていく面も大いにやらなくちゃならないと思います。しかし、もう一つ大事なことは、ここで忘れがちな点は、国鉄の一番基本とも言うべき問題が往々にして忘れられている場合が非常に多い。一つ考えれば、新幹線がどんどんでき上がります。私たちも利用さしていただいておりますが、あれには踏切というものが一つもありません。そうして東海道新幹線ができる。裏日本新幹線ができる。全部新幹線ができます。そうしますと、国鉄の当局者自身の頭の中というものは、踏切という問題に対して鋭意検討をしていくという研究もおろそかになってまいります。ところが、現実はまだまだそのような近代化を誇るような線は、御承知のとおりに、ごく一部でございます。まだ無人踏切がたくさんございます。こういう、国鉄でいま起こっておる事故というのを大半調べてみますと、これは国鉄に限らず、あるいは私鉄においても調べてみますと、事故の起きているところのおもな原因というものは、無人踏切なるがゆえに起きている事故が非常に多い。このような近代化がどしどし進められている一面において、このような国鉄の無人踏切についてどのような処置がとられているか、ここ十年前に比べて無人踏切がどれだけ減ったのか、年度別でもわかりますならば、十年間の、また現在無人踏切が全国に何カ所あるか、また、四十三年度の予算の中で無人踏切に対してどのような予算を組んでこの処置を講じようとしておるか、その概要あるいはいままでの経過を簡単に御説明を願いたいと思うのです。
  235. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昭和四十二年三月末で無設備の踏切は、国鉄、私鉄合計で三万七千八百九十三カ所の由であります。そうして、これらの中で特に対策を立てる緊急を要するものは一千カ所であると考えられております。そのほかのケースその他につきましては、責任者から答弁させていただきます。
  236. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 踏切の整備につきましては、ただいま先生のおっしゃったとおりでございまして、私ども自身といたしましても、突然外的な要因で大事故が起こるという問題が非常に大きな問題でございます。したがいまして、踏切の整備につきましては、実は今回の第三次長期計画になる前から相当重点を置いてまいりましたけれども、第三次長期計画になりまして六百億の予算を計上いたしまして、すでに四十年度から本年度まで合計いたしまして四百億の踏切関係の予算を使っております。主として立体交差並びに踏切の整備――整備と申しますのは、御承知の無人踏切をなくすための警報機をつける、そういったものでございます。それから、そのほかのいろいろ既設の踏切を改良するほうがございます。これらに重点を置いて現在やってきておりますが、ただ、重点指向を、ただいま大臣のおっしゃいますとおり、非常に踏切の数が多い、大体三百メートルないし四百メートルに一つずつございますので、全部一度にやることはとてもできませんので、私どもといたしましては、まず複線区間の踏切、これに最重点を置いている。なぜかと申しますと、複線間におきましては、一たん事故が起きまして、すなわち自動車と列車がぶつかり、その反対側から来る列車がまたぶつかった場合には、これは非常に大きな事故になります。したがいまして、まず複線区間におきましては、徹底的に無人踏切を廃止するということで、これは警察庁も非常に協力してくださいまして、車馬の通行量の少ない所は締めてしまう。そのかわり、いい踏切にはこれの設備をする、こういう法則によりまして複線区間の踏切はほとんど完了いたしました。現在残っておりますのは、複線区間では、これはいわゆる併発的な事故がございませんので、まず橋梁のそば、あるいはトンネルのそば、非常に結果の大きい――もし自動車と列車が衝突した場合に非常に大きな結果が予想される場所をピックアップいたしまして、これをほとんど整備いたしまして、現在残っているのは、単線区間の、わりあいいままで事故歴の少ない所などが残っておりますけれども、なおまだそれらにいたしましても、ただいま大臣のおっしゃったとおり、相当な数が残っております。ただ、おかげさまで、私のほうの踏切事故は、昭和三十六年度を頂点といたしましてずっと減ってきております。これはいわゆる自動車運転者側の一たん停止等が相当守られてまいったことも事実でございますが、また、私どものやりましたことが多少なりとも効果を発揮した面がある、こういうふうに考えております。
  237. 田代富士男

    田代富士男君 いま踏切事故に対しましては、警報機をつけたりいろいろな調査をしていらっしゃるということでございますが、警報機をつけた所で事故が起きているわけなんです。それじゃ何にも踏切の対策になりませんが。私は、十年一昔といいますが、十年前の数も聞きたかったのですが、いま申されなかったのですが、もしおわかりでしたらちょっと教えていただけませんか。
  238. 仁杉厳

    説明員(仁杉厳君) ただいま手元には昭和三十五年でございます。三十五年に踏切の総数は四万二千五百ぐらいございます。そのうち無防備のものが、三万七千程度無防備でございます。この場合には保安設備、いわゆる遮断機であるとか警報機であるとか、そういうものをつけます。つけてありますのを「装備してある踏切」とわれわれ申しておりますが、その装備率が大体一二・五%ぐらい。それが三十六年度は踏切総数が四万二千四百、無防備の踏切が三万六千七百、少し減ってまいっております。装備率が一三・三。三十七年度が踏切総数四万二千、無防備の踏切が三万五千六百、装備率一五・三。三十八年が踏切総数四万四百、それで、無防備踏切がだいぶ減りまして、三万一千七百、装備率が二一・四%。三十九年度は三万八千五百、これが踏切総数。無防備が二万七千四百装備率が二八・九%。四十年度に至りまして、踏切総数三万七千、ほぼ。それで無防備が二万三千三百、装備率が三六・九%。四十一年度に至りまして踏切総数が三万五千六百、無防備は二万を切りまして一万九千九百五十、装備率が四四%ということになっております。それで、これはいま副総裁が申しました第三次の長期計画を終わります四十六年度におきましては、大体装備率が六四%程度まで上げられるというふうに考えております。
  239. 田代富士男

    田代富士男君 私が申したいことは、装備をすれば事故が防げるということでございますが、三十六年から事故が減っているということでございますが、その装備をつけた所でも事故が起きているわけなんです。そこで、これをいまずっと経過を申されましたけれども、依然としてまだ無人踏切というものは残っております。また踏切も、線路がふえれば無人踏切もふえてきておりますが、新線を引くときにそのような根本的な対策をおやりになることをやらずに、従来と同じように、ここは無人踏切でいこうというのをなくして、そういう施策を新線建設のときにくふうしてやっていけないものだろうか。装備したから事故が防げるのじゃなくて、そこで事故が起きているのですから。それくらいのことは新線の建設のときにできないことはないと思いますが、この点はいかがですか。
  240. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) ただいまお話しのように、踏切は極力減らすということを私のほうでもやっておりまして、特に大都市周辺の大都市交通線と申しますか、東京外環状線とか湖西線のようなものは、ほとんど踏切がないような構造にいたしております。また、地方におきましても、踏切はできるだけ減らすというふうにいたしておりまして、非常に交通量の少ない所は、やむを得ず地形の関係で踏切のある所もございますが、極力減らすように努力しております。
  241. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんから、またこの問題は次回に回したいと思いますが、もう一つの大きな問題は、いま国鉄の駅が町のまん中に建っておりまして、そのために町が等分されておる。もちろん線路もありますけれども。そういう面で非常に町自身の発展の阻害を受けておる面もありますし、また、都市に住んでいる住民の人々に非常に迷惑をかけておる。そういう駅があるわけなんです。たとえて言えば京都駅でございますが、京都駅は、御承知のとおりに、新幹線の駅と旧東海道線の駅とが併設されております。あすこには近鉄の線も入り込んで来ております。そこで、その幅というものはずいぶんの幅になっております。だから、京都の北から南に出ようと思うならば、それはたいへんなことになります。東のほうへ行けば、陸橋を大回りして行かなくちゃならないし、西側から行こうと思いますと、向こうの大きな道路から、疎開道路の下から行かなくちゃならない。直線で行くことができるならば短距離で行くことができるわけです。このように考えていった場合には、もちろんその地域に対する発展の使命というものは駅は果たしておりますが、そういう不便をかけておる。そうして、小さな子供をおんぶしたおかあさん方は歩いて行けばよろしいのですが、一回り歩いて行けば、京都の例でいきますと、女の足でいいますと、十五分から二十分かかる。国鉄の構内の駅を歩いて行きますと三分ないし四分で行ける。そのような不便のために、何とかならぬかという声が非常に強く、国鉄にもこの声は反映されていると思いますが、その場合に、国鉄の中を通って行こうとするならば、往復で入場券を買わなくちゃならない。四十円している。まあ、日常生活をやり最低生活をしている人々の日々の四十円の金というものは、たいへんな金なんです。こういうことが、まあ京都の例を取り上げて申し上げましたけれども、あすこに何か地下道の一本でも通していただいたならば、どれだけ地域住民が喜ぶかわかりません。ちょうど東京駅も、従来は八重洲口と丸の内口とは行き来することができませんでしたが、一本あの地下道を通していただいたためにどれだけの国民に対して便利さというものを与えたことか。京都にしましても、利用者は非常に多いのです。人口にしましても東京の三分の一弱でございますが、他の都市に比べるならば人口密度も非常に多い。こういう問題に対しまして、要するに、建ったものはしかたがない、そのように考えずに、いまさっきから私は、一番最前線の声、大衆の声というものを、このような行政面に生かしていくのがわれわれの仕事じゃないかと思うわけです。だから、下の声を聞いてもらいたい。そういうわけで、もうそのような方法はないのか、あるいは国鉄として、運輸省としてそういう考えはあるのかないのか。また、こういう駅というものは、京都だけじゃありません。静岡駅も同じようなことが言えるのじゃないかと思うわけなんです。そういう点から考えれば、今度駅を増設する場合には、そういうことも考えていくならば、東海道線の富士のように、あのように架橋をつくったときに従来の人々もその架橋を通って行くことができる。踏切を横につくっただけで地元住民に非常に便利になって喜ばれております。そのような様式でやろうとしていくならば、どのような面においても生かせていくと思うのですが、そういう問題に対してのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  242. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまお話しの都市における駅の高架化の問題でございますが、いまお話しの京都、静岡等のほか、現在、私のほうに地方から同じような要求の出てまいっておりますのが約六十数カ所ございまして、これを一応全部高架にいたしますと、約四千億くらいの金がかかります。現在の建設省と国鉄の分担でまいりますと、国鉄はそのために約半分の負担をしなければならないということになっております。すなわち、約二千億の負担。とても国鉄の現在の財政状態ではこの負担をいたしかねますので、現在、建設省、大蔵省、自治省等といろいろ御相談いたしまして、何とか国鉄の負担部分を少なくしてほしいという折衝を、実はいまやっている最中でございます。まあ、私どもといたしましては、たいへんスロー・テンポだと言っておしかりを受けるかもしれませんが、この四千億のものをせいぜい十年の間に何とか解決したいというふうに思っておりますが、結局、国鉄の運賃でやるか、あるいは国民の税金でやるかということになってしまいまして、いま鋭意事務当局の間で折衝中であります。ただ、先生のおっしゃった富士のような例、あの程度の駅でございますれば、あのような新しい構造を考えまして、そして一般の人が自由に通る通路の中からホームにおりれるという方法を考えまして、これはすでに全国で三十以上あると思いますが、こういう小さな駅につきましては、大体あの程度で進みますが、大きな駅につきましては、根本的な問題といたしまして現在折衝中でございます。
  243. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、その問題につきましてもすみやかに実現してもらうようにお願いをしておきたいと思います。  時間がありませんから、次の問題に移りたいとと思いますが、いま国鉄としましても第三次計画の一つに入っておりますが、最近の人口の移動というものは大都市周辺に集まってきております。いま論ずるまでもありません、いま話しがありましたから。まあ、ほとんどというものが、ドーナツ型の現象を呈しておりますが、朝夕のラッシュのときの輸送というものは、これはたいへんな輸送です。私も、この前、城東線にも乗ってみました、大阪で。どの程度の混雑であるかということも実地に見てみましたら、これはたいへんなことです。これに対して、運輸省も国鉄もいろいろ施策を講じていらっしゃると思いますし、おそらく輸送というものは限度に来ていると言っても過言でないじゃないかと思うのです。まあ、そうこうしまして、一番その状況のひどいのが東京中心と京阪神の関係じゃないかと思うのです。そこで、第三次計画を見てみますと、東京付近には五千八百億円の予算をつぎ込みまして今度の対策を講じようとしていらっしゃる。まあ、五千八百億を国鉄がお出したなられた計算でいきますと、一人当たり四十万円の負担がかかるのだ、これが今回定期料金値上げの一つの国鉄の言い分でございましたが、そのような金をつぎ込んで東京周辺の通勤の過密化の解消をはかっていきたいという趣旨はよく私たちも聞かされてまいりました。もちろん、東京の中央線にしましても、総武線にしましても、山手線にしましても、営業係数からいくならば黒字の線でございます。高崎線にしましても、東海道線にしましても。ところが、大阪の場合を考えますと、東海道線、山陽線は営業係数は黒字でございますが、大阪の内環状線の場合はいま工事が終わったところであります。まあとんとんと言うより、以下というような状態じゃないかと考えておりますし、そこから出ております片町線あるいは阪和線に至りましては、営業係数は赤になっていることは御承知のとおりだと思いますが、この二つを考えますれば、東京はこれだけの予算をつぎ込んで対策を講ぜられた。ところが、大阪の場合には、対策を講じていると言われますが、この比重の面においては、地元の声を聞きますと、国鉄は何だ、何ら対策を講じていないじゃないか、地域住民の声を聞きますと、片町線の通勤者、あるいは阪和線の通勤者の声を聞きますと、ひどいです。定期料金値上げをやったときなんか、たいへんなことです。私はじかに聞きました。天王寺の駅において、あるいは京橋の駅において片町線の人々に、天王寺では阪和線をおりてきた人に聞きました。阪和線や片町線に送られてくる車両というものは新車が入ったためしがないじゃないか、全部古い車ばかりじゃないか、何ももうからないと言うかわからぬけれども、そうして定期を上げるとは何事だ、運輸省、国鉄は大阪に対してどういう考えをしているのだ、そういう損益採算で考えていくような、そういう運輸行政はけしからぬというような、――ほかにもいろいろな声がありましたが、代表の声を一つあげるならば、そのような声がございましたが、こういう過密化に対する対策を講じていらっしゃると思いますが、特に大阪周辺の通勤、通学のこのような過密解消のためにどのようにお考えであるか、対処しておいでになるか、その点をお聞かせ願いたいと思うのでございます。
  244. 仁杉厳

    説明員(仁杉厳君) 大阪付近におきましても、決して通勤輸送をないがしろにしているわけではございませんが、ただいま先生から御指摘がございましたように、東京付近の込み方は非常に激しいものでございますので、それに比較しますと、やや見劣りがするというような感じがないでもございません。その点につきまして具体的に申し上げますと、東海道本線では、いま非常に困っておりますのが草津から京都の間、これは複々線の工事をただいま鋭意進めておりまして、四十五年の春にはでき上がるというつもりでおります。それから、ただいま先生から御指摘がございました内環状の問題でございますが、これは天王寺-今宮間が関西線と一緒になっておりまして、線路容量がないというので、ただいま鋭意天王寺-今宮間の線増をいたしております。ただ、この辺は御承知のように、釜ケ崎の近くでございまして、多少用地買収に手こずったようでございますが、大体ことしじゅうに何とか解決をするというようなことで進めておるわけでございます。それからもう一つ、この環状線で問題になりますのは、編成両数の増加の問題でございまして、これも八両にするという計画を持っておりますが、これがいろいろ資金の事情で多少おくれておりますが、もうじき着工いたしまして八両運転に直してまいりたいというふうに考えております。それから片町線では鴫野-四条畷間につきましては、ただいま単線でございましたものを複線に直すという工事を鋭意進めております。この片町線につきましては、そのほかに、まだ計画が具体化しておりませんが、もう一つ福知山線の塚ロ-宝塚間の線増複線化がございますが、これと結びつけるような地下鉄をつくりたいということで、総裁から昨年に大阪市長にお願いをいたしまして、東京でやっておりますように、国鉄と地下鉄との相互乗り入れ、これが福知山線から大阪市の地下鉄を通りまして片町線に抜けて、それが四条畷のほうに行くというようなことを考えておるわけでございます。それから大阪外環状はいろいろ問題がございまして、まだ着工しておりませんが、先ほど先生からお話がございましたいろいろ踏切等の問題もございますので、今年度から踏切除却というようなことを頭にまず置きまして、前向きに検討をしてまいりたいというふうに努力しております。それから山陰線につきましては、京都-園部の間におきましてやはり同じような問題がございまして、複線にしなければならないというのでございますが、これも大体事務的な話が煮詰まってまいりましたので、ことしから前向きに取り組んでまいりたいというふうなつもりで努力をいたしておるわけでございます。  以上簡単でございますが、具体的にお答えいたしました。
  245. 田代富士男

    田代富士男君 私が申し上げたいことは、いまの御説明を聞きましても理解できましたが、なぜこのように大阪の問題を強く取り上げるかと申しますと、御承知のとおりに大阪は昭和四十五年に万博を控えております。いまの推定人員は一日に最低十七万、最高四十万の入場者が予定されております。そのような大ぜいの人々をやはり整理するには、交通問題というものが一番ひっかかってくるのではないかと思うわけであります。そうした場合に、この十七万、四十万の人を運ぶために、大阪市におきましては大阪府と協力いたしまして、この交通事情対策として地下鉄の建設、道路交通網の整備等、いま全力をあげております。それに対しまして、やはり万博というのは国をあげての一つの事業でございます。これはやはり各省が最高の技術、最高の英知をしぼり、そうして各省が団結をしてこれを成就していかなければならないと思うわけです。それに対しまして現在通勤通学だけでもこれだけの状態であるのに、万博を控えてどうなるであろうか。そこで地元はやはり現在大阪市の事情を考えてみますと、大阪市の衛星都市、すなわち万博が開かれるのは吹田市でございます。衛星都市の吹田市、それから東大阪市それから大阪の東の方向ですが、旭区、都島区、城東区それから東住吉区、こういうところの人口というものは、市役所の調べによりましても、どんどん大阪の区の中で一番伸びております、全部の人口というものは。どうしてもここにおきまして、何とかこれらの人々がスムーズに安全に輸送されるのにはどうすればいいか。それには外環状線という声が出ております。これは新線建設と違いまして、新線建設の場合にはそれぞれの審議会を経なくてはなりませんが、すでにいま貨物線が走っているわけです、城東貨物線が。その城東貨物線がすでに走っているその線路に対して、客車を走らせてもらいたい地元の要望でありますし、万博を控えるならば当然のことじゃないかと思います。言うならば、いま運輸省としましては、新線建設に対して赤字覚悟の上の新線建設をやっているところもあります。私はこの前岩目線の問題を取り上げました。営業係数も七四〇という赤の営業係数です。そういうところの地域開発のためという大義名分ですが、それであるならば、地域開発のためあるいは地域住民のためと言うならば、こういう万博を控え、国家的事業をスムーズにするためにも、あるいはそういう国土資源あるいは人口の密度を考えるならば当然であります。土地の買収等につきましては、もう少し努力をするならば、これは見通しがついております。たとえば、いま総武線のあのような複々線化が準備されているのに、新線のためには四割強の土地代だけの費用がかかっていると聞いております。山手線は、当時建設費用の中で土地代は一割そこそこであったということを聞いておりますが、城東線の場合は、新線建設で悩みになっている問題等は、これはもう削除してもよいくらいの状況になっているわけです。地元からも要望が強い。これは私一番最初に申し上げましたとおりに、地元の声というものを反映さしていかなくちゃならない。もちろん、全部の声を聞くというわけにはまいらないと思うわけなんですが、地元としても熱意を示しまして、昭和三十九年には六億の利用債も大阪市と大阪府が負担しまして、何とか実現しようと努力しておりますが、そのままになっているわけです。これに対して、万博を控えまして、万博に対しまして運輸省は協力をするのかしないのか。どういう面で協力をしていくか。地元は地下鉄の建設、道路整備をやっているのに対して、運輸省はどのようにして対処していくか。その点の御見解を運輸大臣からまずお聞かせいただきたいと思います。
  246. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 運輸省は万博完成のためには全面的に協力しようと思っております。そのために万博会場に至る新しい鉄道すら建設するようにいま努力しておる最中でございます。ただいまのお説の路線がそれに対していかなる意味を持っているか、私はまだ技術的によく承知しておりませんので、その辺は責任者答弁させることにいたします。
  247. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 大阪中心の都市圏につきましては。大阪市営の地下鉄六路線九十九キロ及び神戸高速鉄道の二路線七・八キロと、こういうものの整備を現在着々と進めておるわけでございます。かつ、これと接続いたします各施設の整備も都市交通審議会の答申の線に沿い、現在第三次輸送力増強計画に踏み込んでおる次第でございまして、これらが大体昭和四十五年度には大部分が整備を完了し、四十六年度ぐらいにはほとんどの答申の線に達し得るのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。また、ただいま大臣の申されましたように、万博に対しましては特別に北大阪急行という会社もつくりまして、これは地元の大阪府、それから大阪市あるいは阪急等の資本が入りまして特別な会社をつくりまして、万博輸送に対しましては万全を期しておるわけでございますし、また、阪急線の増強ということも行なわれております。また、関係国鉄の各線につきましても、それぞれ万博当局とも打ち合わせをいたしまして、輸送力増強並びに設備の改善あるいはサービスの向上という点から万全の対策を講じておる次第でございます。
  248. 仁杉厳

    説明員(仁杉厳君) ただいま先生からお話がございました大阪環状線でございますが、これを万博までにというお話がございました。この線はもう二十数年前からのいろいろ御要望のある線でございまして、われわれも三次計画の中で何とか実現をしたいというような考えを持っておりましたのですが、全般的な資金の関係もありまして、とても万博までには間に合わないということでございます。しかし、先生からさっきお話しがございましたように、三十九年度、四十年度には六億の金でもって大阪府内の用地売収をやり、さらに昨年、ことしにかけまして吹田市の区画整理と相まちまして土地売収を行ない、実際には昨年まではできませんで、本年度あたりになるかと思います。そういうような具体的な歩みがございますが、ただ現在の単線のままで電車輸送をするということは非常にむずかしいということで、電車で旅客輸送をするためには複線にしなければならぬというふうに考えております。ただ、複線にいたしました場合、たとえば加美から放出の間のような所は、これはただいまのところ、先ほど先生から踏切のお話がございましたが、これを単に踏切を二線分にふやすというかっこうでは、ちょっと都市の発展から申しましても、踏切事故の防止の面から申しましても、非常にむずかしいというふうに判断をいたしております。実は今年度から、できますれば加美-鴫野放-出加-美間ぐらいにつきましては、まず現在の線を上に上げるという作業を始めまして、それに引き続いて複線化をするというような段取りで仕事を進めてまいりたいと考えまして、ただいま前向きに検討を始めておる段階でございます。
  249. 田代富士男

    田代富士男君 もう時間があと五分だという連絡が来ておりますから、肝心かなめのところで時間が来て、なんでございますが、いま第三次計画の中では何とかやっていこうと努力したけれども見通しが立たないし、万博までには間に合わないというようなことでございますが、まあ考えてみるならば、この地域は、北のほうから行けば、大阪の交通というものは、東西には非常に便利でございます。京都-大阪間は、国鉄あり私鉄は京阪がございます。そして、片町線が東に延びておりますし、近鉄が延びておりますし、近鉄だけでも二、三本延びております。このように東西の線は非常に便利なんです。ところが、都市部に入ってから、北のセンター、南のセンターに行くのにはたいへんなんです。この新大阪から杉本間の環状線ができますならば、住宅、アパート、公団住宅はじめどんどん建っておりますが、これはよその、まあこういうことを言えば差しさわりがあるかもわかりませんが、赤字路線を建設する地域があるならば、価値論の上から判断して、これは当然黒字になることはもう目に見えております。もうこれは時間がありませんから数字はあげません。次回に譲りたいと思いますが、だから、優先的にやはり赤字を何とか解消しようとして経営に悩んでいらっしゃる国鉄当局であるし、運輸省としても、そのような地域開発のため、あるいはそういう過密交通の解消のためにも努力しているならば、一番先に私はやるべき問題じゃないかと思いますが、とりあえず、杉本町までできないとするならば、いま申されました加美までということでございますが、土地の問題は加美の周辺だけが残っているということを聞いております。あとはほぼ見通しも立って、土地の問題がその点だけだということでございますが、加美の近くには、御承知のとおりに、操車場もございますし、いろいろまだ検討する余地等が多々あると思いますが、何としてでも、東大阪のふくれ上がった人口に対しまして、あるいは東西に対して便利、南北に対する交通機関というのは吹田から八尾へ走っている国鉄のバスだけでございます。このような大都市圏における南北の交通は、国鉄のバスだけに、一日十何本の国鉄バスにかかっていると、こういうばかげたことはないと思うのです。だから、何としてでもことしじゅうに加美-放出間の線路を上げる作業にかかると、そういうことでございますが、ことしはそうでございますが、何としてでも万博まで、すべて大阪の地下鉄とかそういう道路、そういうものが整備されているときに、この外環状線ができるならば、機能というものは倍加されるのじゃないかと思うわけなんです。まあそういうわけで、それぞれの国鉄の方針もあるかと思いますけれども、できないときめつけずに、まだ、一応現時点ではそうであるけれども、四十三年度の中においても新線建設の赤字線と見比べて、そうしてまた、こちらよりも、国家的施策の上から、万博という大きな問題を控えて、新線を阪急と連絡をしまして新大阪駅から向こうにつくるということも聞いておりますが、それよりももっと大事なのは外環状線じゃないかと思うわけなんです。ただいま成田の問題も言いましたが、できないときめつけてしまったならば、もうできるものじゃありません。何とか努力していこう、万博という国家的事業のためにはそのような機能を発揮していこう、それが大阪の通勤者あるいは通学者のための益を与えることになるというならば、これはより以上の効果あらしめることにもなるのじゃないかと思うわけです。そういうわけで、私は大阪のことだけを取り上げるわけじゃありませんが、国鉄全般の上から、赤字解消のためから言っても、黒字線となるべき線は、そのように建設していくのが赤字解消の一環にもなるのじゃないかと思うわけなんです。そういう面に対しまして、ただ単にそのようにできないときめつけずに、それじゃ見通としてどのくらいになるのか、あるいは鋭意努力していくならば、どの程度まで進んでいくのか、ひとつ時間もありませんから、大臣並びに関係当局の方からお聞かせ願いたいと思います。
  250. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大阪の外環状線は、大阪全般から見れば確かに必要であると思います。ただ、どの程度の工事量を、国鉄予算との関係において、つぎ込むかということは、国鉄にまかしてやらせたいと思っておりますが、よく検討してみたいと思っております。
  251. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 城東貨物線の電化複線化につきましては、大体総工費は約二百五十億でございます。私どもといたしましては、先ほど来お話しのいろいろなことを、通勤輸送あるいは保安対策等、いろいろな方面に金を使うことが多々ございまして、とにかくことしの秋には一応の仕事のめどをつけたいということでやっておりますが、四十四年度以降が第三次長期計画の後半になります。そのときに今後の資金の獲得なりを現状でどう取り上げるかという問題を、実はいま検討している最中でございます。ただ、いま先ほど仁杉が申しましたとおり、非常に現在の国鉄の予算状況、あるいは緊急を要する、たとえば大阪付近でも通勤輸送の直接のほうに非常に金が回りますので、なかなかむずかしいということを申し上げたわけでございます。私どもも何もここを捨ててしまったわけではございませんが、とにかく複線電化ということは、当然高架化を伴うものであります。それで、高架化の問題と先ほど関連があると申しましたのは、その点でございまして、高架化の問題が片づいて、そうして建設省がもう少し税金からこれを出してくれるというようなことになりますれば、この問題の進捗はもう少し早くなる、こういうふうに考えておる次第であります。
  252. 田代富士男

    田代富士男君 いまの問題につきましては、また次回のときに質問したいと思いますが、大体の見通しとして、万博まで努力するならばどの程度までできるかという、言いにくいことじゃないかと思いますが、その一端でもちょっとお聞かせ願えたらいいと思うのですが、お願いいたします、これで終わりますから。
  253. 仁杉厳

    説明員(仁杉厳君) まことに先生のお説に、御期待に沿えないのでございますが、物理的に申しまして、万博まであと二年でございます。非常に急ぎましても、高架化の一線ができるかというような程度でございまして、複線までは至りかねるというのが実情でございます。
  254. 任田新治

    ○副主査任田新治君) 鉄道建設公団の方々、長時間にわたってどうも御苦労さまでございました。御協力ありがとうございました。
  255. 加瀬完

    加瀬完君 たいへんおそくなりまして恐縮でございますが、先ほど公明党さんからも御質問がございました成田空港の問題で伺います。  大臣は最近になりまして成田空港の担当に当たられたわけでございますので、現地の切なる声を聞いたかというお問いに対しまして、八六%の賛成もあれば、反対派ともひざを交えて話をするし、また、反対を標榜している政党とも話し合うというお話でございました。私はその反対を標榜している政党の一人でございますが、私どもはこの新東京国際空港というものに反対をいたしておるわけではございません。私どもの政党もさようでございます。ただ、この成田の場合、正しい資料というものが提示されておりません。それから、正しい方法で賛成を得るように取り運ばれてもおらないところに私どもは問題を持つわけでございます。たとえばここに有名な丸朝組合というのがございます。これはまあ統計の上では大体収入四十五万ということになっておりますが、それぞれ自家用車と貨物車を平均二台以上持っている生活をしているわけでございますから、粗収入は五百万前後と見なければなりません。こういう組合の構成をしている農家に対しまして、土地の金銭補償はいたしましても、それだけの四百万なり五百万なりの粗収入を得られるような生活保障というものの話をどれだけ煮詰めているかということになりますと、その生活保障という話は出てこないわけでございます。また、八六%の賛成がありましても、これは事実でしょう。しかし、五年たち十年たってこの人たちが全部公団やあるいは運輸省や県のやり方に満足をするかということになりますと、私は疑問を感ずるわけであります。なぜかと申しますと、この芝山町は初め十七対三で反対でありました。ところが、いろいろの工作がございまして、ある町の料亭に参りまして、そこで逆に今度は十八対三で賛成に変わりました。町民は非常に憤慨をいたしまして、リコール運動を起こして、七〇%近いリコールが成立をいたしましたところが、三月たっても半年たちましても、選管はできると思うとやめる。さらにそれは補充を長引かせる。たびたび私どもは県に県の監督指導の責任があるんじゃないかと要望をいたしましても、この選管をつくろうといたしません。したがいまして、もう一年に近い間リコール署名というものは中ぶらりんになりまして、とうとうリコールは成立をいたしませんでした。これらも県は一体直接行って指導したかといいますと、一回も直接県は行きません。出先の出張所の課長が一回行って、ただ様子を聞いただけでありまして、積極性が全然ないわけであります。これは公団でもなければ運輸省でもなくて、主として県が折衝しておるわけでございますが、そういう県の態度に対しましては、非常に地元は憤慨をいたしておるわけであります。  それから、空港ができれば五万人の就職ができるの十万人の就職ができるのと言いますけれども、はたして就職転業というものがそう簡単にできるか。あるいはかりにできても、現在の収入の保障というものが転職によって得られるかということになりますと、具体的な説明は何もございません。あるいは、千葉県は地域の開発計画というものを打ち出しております。関連産業というようなことを言っております。しかし、私どもが外国の空港地域をいささか調べてまいりましても、飛行機の関連産業というものが、そう簡単に飛行場のまわりに、五万も十万も収容するような大産業というものができるはずのものではございません。また、一帯が騒音の地域になりまして、そこにわざわざ都市計画が進むはずのものでもございませんし、作業能率の下がると言われる騒音地区に、工場の条件が急にできるわけでもございません。かりにできたとしても、いま芝山町は大体年間一億から一億二千万の財政規模でありますが、負担金だけでもおそらく二億なり三億を負担しなければならないことになります。町がほとんど大半姿を失うようなときに、一体二億、三億、一年の予算の倍の負担をどうしてできますか。こういうことをまことしやかに宣伝をいたしまして、結局空港はいいものだというまあ誘い方をいたしておるわけでございますが、これが正しい資料とは私は言えないと思うわけです。また、十七対三の反対を十八対三に変えたことは、手ぎわはいいかもしれませんけれども、正しい方法とは言えないわけです。町会議員はそれで説得をしても、説得に不満を持つたくさんの住民というものができてきておる。こういう状態の中にいま建設計画が進められておる。これは御存じかもしれませんが、一応お耳に報告を申し上げたい事項でございます。そこで、正しい資料というものを出しておらないということから、次の質問に移りますが、この間柳岡君も質問をしたわけでございますが、ここは前の航空法によれば十二分に地元と折衝をして、大体賛成が多いという場合に位置を指定するということになっておったわけです。ところが、新東京国際空港法が通りますときに、これは改正をされたわけです。それでは地元の住民の意思というものが全然考えられないで空港が指定されるということになるのじゃないかと、こう聞きましたときに、その当時の航空局長は、そういうことはありません、行政指導の上で前の航空法の精神や方法は生かされますと、こういうことであった。しかし、そういう手続はとられておらないことは御承知のとおりであります。そこでですね、また、適地として指定するからにはですね、空港としての条件が備わっておらなければならないはずです。一体ここに滑走路を建造するだけの地質的な条件があるか、こういう点を先般柳岡君が質問をいたしました。大体CBR値は三%前後ではないかということに対して、六のところもあれば八のところもあるという御説明でした。それで関東ローム地域という、これは建設省から出されたものがあるが、これによると、三里塚は三ということになっておる。空港敷地のどこが六でどこが八であったか、これはひとつ公団のほうに伺います。
  256. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 専門の高橋工務担当理事が来ておりますから、高橋理事からお答えさせていただきます。
  257. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 最後のいまのCBRの御意見でございますが、前回も申し上げたかと思いますが、CBRにつきましては、はかり方によりまして差が出てくる。と申しますのは、一般的にCBR三であるというのは、室内的な試験方法によってCBR三という数値をきめておるわけでございまして、その理由といたしまして、通常道路工事等におきましては、盛り土をいたします。それで、盛り土の場合には関東ロームを一ぺん砕きまして、それを再度転圧して強度をはかる。このためにやはり室内的にこね合わせてそれで値を取らざるを得ない。したがって、道路工事においては、一般的にCBR三である、こういうふうに言われております。  ただ、われわれの場合は、大体現地を切り取りまして、現地の何といいますか、土を露出させましたその面に直接舗装でつくります。したがいまして、ある程度につきましては、高くとっても矛盾しないというふうに考えます。
  258. 加瀬完

    加瀬完君 そんなCBRはないですよ。現地ではかれば含水比というのが当然中に入ってしまう。三里塚の場合は九〇%くらい含水比がありますね。水を含んだものと、今度はからからになったときのCBR、値はあなたのようなはかり方をしたら違ってきますよ。そういうことでは土木工事はできない。純粋に科学的に見てCBRは幾つだ、含水比は幾つだ、だからこういう工法でなければだめだ、こういう工法は使えないという判定を下さなければならない。そんな学問的な、あなたの言うように、現地で二〇〇%含んでいるんだか、八〇%含んでいるんだか、あるいは〇%だかわからないような土地に、その状態でCBRを出したって、CBRの値が一体確実に出ますか。
  259. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 学問的に見て、CBRというものは一体どういうことかということの問題点がまず第一にあるようでございますが、これにつきましては前回申し上げましたように、室内でこねまぜまして、それではかる場合と、それから現地に機材を持ってまいりまして、現地の土質について直接はかる、この二つの場合があるわけでございます。それで、われわれとしましては、必ず周辺の――空港敷そのものではございませんけれども――周辺の大体同じような地域を選びまして、そこで直接現場測定をいたしました。ただし、現場測定は、実際の室内でこね合わせてやる値よりは多少大きく出るというのが結果でございます。それでそのような差が出るわけでございます。
  260. 加瀬完

    加瀬完君 同じような状態の所はないわけですよね。三里塚と富里の両国あるいは七栄とCBRはみな違っておりますよ。しかも建設省は、この関東ローム層地域という、こういうものを、建設省関係道路整備促進協議会というのが出している。それに地図もある。この黄色いところが関東ローム層ですね。そして各地域を測定して、たとえば、いま言った三里塚は三、七栄は三・三というような資料も出ている。こういうものをお使いにならないで、CBRは幾らだと言えば、六のところもある、八のところもある、そういう不確実なことで工事を進めても、もし支障があった場合はどういうことになりますか。まあ、それはやってみりゃおわかりになることですから、質問を先へ進めまして、盛土をなさるということでございましたね、盛土をなさる。で、盛土の沈下予想というものはどう立てておるか。
  261. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 沈下の問題でございますが、まあ大きく分けまして、関東ローム地域層を削った上に舗装した場合に沈下はどうかという問題が一つございます。これは従来の建設省筋におけるいろいろな実験値等を徴しましても、ほとんど心配はない、こういうことで、われわれは有識者の御意見その他広く当たったわけでございますが、大体そういうことでございます。
  262. 加瀬完

    加瀬完君 建設省で、関東ローム層の場合、道路の舗装工事をする場合、平米当たり単価が普通のところと違ってきておりますね。これは御存じですか。
  263. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 関東ロームにつきましては、確かにその他の、たとえば関西方面等における花こう岩地帯等の地盤のいいところに比較しますと、はるかにこれは金がかかるということは聞いております。
  264. 加瀬完

    加瀬完君 この盛土をする必要があるとか、盛土がなくても、一体その滑走路ができるようなお話をなさっておりますが、確実な調査によってそういう結論をお出しになったのですか。どういう機関で、いっそういう御調査をなさいました。
  265. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 盛土の地区は、この前もたしか御返事申し上げたと思いますが、あるわけでございます。これは谷が数本ございまして、これはやはり盛土によりまして滑走路その他をつくるわけでございます。ただ、一般の道路工事と違いまして、われわれは、この滑走路分あるいは誘導路分につきまして、客土をいたしまして、良質の土砂をそこに投入する。それから、その下部の、さらに水を含んだ軟弱な層がございます。これも砂の柱を打ち込みまして、厚みを多くして十分荷重をかけて水を吸い出すというようなことで、目下考えております。
  266. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、ローム層の深度が二メーターないし五メーターといたしましたが、一番深いところが五メーターで、一番浅いところが二メーターという、確実にあなた、間違いないという御証明がおできになりますか。
  267. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 私自身ボーリングをして確かめたわけではございませんので、実際に現場に入りまして、それで数多くのボーリングをいたしませんと、これについては、はっきりしたお答えはできない筋でございますけれども、大体あの辺の地形としましては、付近の地層とあまり変わりはない。いろいろ専門家の意見を徴しましても、大体もう周囲と同じと見てよかろうということでございます。
  268. 加瀬完

    加瀬完君 それではね、どういう専門家が、あの大体同じような地層のどこをボーリングをいたしましたか、いつ。
  269. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 地点としては、正確に図面でもって申し上げないと、あるいは正確を欠くかもわかりませんけれども、大体国道五十一号線と二千五百の滑走路とのたしか交点の十余三付近が一カ所ございます。それから、先ほどちょっと先生からもお話がありました両国の地区でございます。その他多少離れておりますけれども、県有地の畜産試験場、それから部分的には三里塚のゴルフ場付近、これはオーガーボーリング程度でございますけれども、その四、五カ所程度やったと記憶しております。
  270. 加瀬完

    加瀬完君 それは周辺には違いないかもしれませんけれども、滑走路とは遠いですね。問題は、滑走路のボーリングについては、一体CBR幾らだということがわからなければ、あるいは客土をするのが何メートルだということがわからなければ、これはなかなかそう簡単には滑走路が完全だというわけにはまいりませんね。で、関東ローム層と言ったって、赤土だけではなくて、岩盤までの間にはまだ粘土質があるでしょう。その粘土質をそのままに置いて滑走路ができますか。
  271. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 実はこの問題につきまして、いろいろ学者の意見も聞いたわけでございます。それで、いわゆる下の岩盤と申しますか、固い成田層でございますが、この上に大体標準としましては、すぐ直上にやや軟弱な二メートルばかりの層がございます。それから、その上にちょっと三メートル程度の中間層がございまして、その最上層に一メートル半ないし二メートルの最上層がございます。強さの点から申しますと、一番上が一番強度があるわけでございます。中間がその次、最後の下末吉層と申しますか、これが実は含水比はあまりないのでございますけれども、強度がやや落ちるという地帯がございます。それで、専門家の意見によりますと、土工といたしましては、その下末吉層までは及ぼさないほうがよろしい、むしろ、最上層も一メートル五十ないし二メートルの層でカッティングをする。それで、その土はもちろん別なところに捨てて、重要な滑走路あるいは誘導路の下はできるだけ良質の土を使用するのがよろしい、こういう意見でございます。
  272. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、地下水はどこを通っているのですか。
  273. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 地下水には、大体精密な調査ではございませんけれども、二つどうもあるようでございまして、地下水といいますか、帯水層でございますけれども、これは成田層の直上の粘土層のすぐ上、ここに水があります。
  274. 加瀬完

    加瀬完君 その粘土層のすぐ上の地下水を排除しないで滑走路が保ちますか。
  275. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 滑走路の圧力といいますか、地盤に及ぼす力を考えまして、その下の水圧等を想定いたしますと、これは十分につり合うことができる。したがいまして、特に溝を掘ってその下の水を全部抜かなければならぬという、こういう専門家の意見でございます。
  276. 加瀬完

    加瀬完君 あなたのほうでは、滑走路の表面、どれだけの凹凸が出ればこれは着陸に危険だという御見解ですか。
  277. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 滑走路の凹凸につきましては、日本の航空法では格別の現在規定はございません。ただ、国際何といいますか、機関のICAOというのがございます。この規定によりますと、縦方向の勾配を相当詳しく規定してございます。これによりますと、大体勾配変換点では、約三十メートルの間で〇・一%程度の勾配まで変換を許すということでございます。
  278. 加瀬完

    加瀬完君 あなた方も御承知ですけれども、昨年の夏、スイスで、ヨーロッパの航空の技術者関係の会議が開かれまして、騒音の問題と滑走路の路面の凹凸が議論されましたね。そのときの結論は、SSTの時代になれば、五メートルにつき十二ミリの狂いがあれば危険だと、こういう結論が出ておりますが、御承知ですか。
  279. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 私、実はその方面の文献を承知しておりませんので、どういうぐあいにそれがきめられましたか、存じておりませんけれども、一般的に滑走路の表面の凹凸は三メートルの範囲内で三メリ以上の勾配があってはいけない、日本の航空法ではそのような規定がございます。
  280. 加瀬完

    加瀬完君 それじゃあ、なおきびしい。で、地下水を抜かない限り凹凸は必ずできると、こういう話もそのとき出ておりますね。ですから、コンクリートする下に地下水を置けば、地下水によって、特に関東ローム層あるいはローム層の近辺の土壌というものは含水比が違ってきますから地耐力が違ってきますので、必ず狂いを生ずる。地下水を抜くことを考えなければ、大型機の着陸には不完全だと、こういう議論がされておりますけれども、どうお考えですか。
  281. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 一般的に地下の地盤の水抜きと申しますか、水ができるだけたまらないように、めくら暗渠その他によって絶えず排水をはかるということは、これは道路であろうと、飛行場であろうと、常識でございまして、私どももそのように、地下水の排水につきましては、十分注意をして施工をするつもりでおります。ただ、先ほど先生の御懸念の下末吉層における帯水層を積極的に排除するという意思はいまのところございません。
  282. 加瀬完

    加瀬完君 私はしろうとですから、専門家でないからよくわかりませんが、滑走路というのは同じ厚さじゃありませんね。コンクリートがまん中に厚くて周辺にいくに従って薄いでしょう。そうすると、その地面に対する圧力はまん中とまわりと違いますね。そうでしょう。しかも、ささえる力が今度は水のあるところと水のないところと違ってくれば、これはゆがみを生ぜざるを得ませんね。問題は、地下水を完全に抜かない限り固定しないというのが、大体定説じゃないですか。滑走路の場合は、あなたのおっしゃるように、三メートルで三ミリの違いがあればだめだということになれば、これは地下水を抜かないでこの狂いが生じないという安定度は、しかも、土地そのものはCBRが低いです。固まりますか、固定しますか。
  283. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) その問題は、非常に長期間に調べなければ、あるいは結果が出ない問題かと思います。ただ、私どもとしましては、造成直後に、たちまち空港閉鎖をしなければならないというようなことは、これは絶対避けなければいけませんので、このようなことのないように、慎重に施工したいと思いますけれども、長期間にわたってこの程度の沈下はやむを得ないかもしれない、こういうふうに考えます。
  284. 加瀬完

    加瀬完君 使用に一〇〇%たえ得るような条件にあるか、あるいは心配があるかということを事前調査しないで空港をまずつくってみようということは、これはおかしいでしょう。だから、なぜ一体、事前に十二分な調査をなさらないのかと私どもは申し上げておるわけです。で、一応これは技術者に私は伺ったのですけれども、地下水を排水せざるを得ない。まあ、あそこに集まった水をどこかに排水する。それは根本名川とおっしゃいましたね。根本名川は何メートル幅を拡幅することになりますか。
  285. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 河川の根本名川の改修につきましては、目下県当局を中心にしまして改修計画を立てております。これは建設省の御当局の御指導によってしておるわけでございますが、まだ最終的にどういう断面になるということも正式に聞いておりません。ただ、相当な拡幅になるであろうということだけは伺っております。
  286. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、根本名川は御存じのように、ほとんど平面です。少し水が出ると全部冠水地域になるわけです。ですから、千葉県はあそこに農業構造改善事業をやろうと思ったけれども、地元が反対してだめになった。あの地域では、あそこしか耕地はない。耕地をつぶさない限り拡幅できないわけですね。この耕地が簡単に、根本名川の改修に、土地改良をしたこの地域が応ずるというお見込みですか。
  287. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) 私、実はその方面の担当でございませんので、これは私見にわたるかと思いますが、確かに重要な点でございまして、その問題につきましては、県当局も目下慎重にいろいろの方針を立てている最中と思います。
  288. 加瀬完

    加瀬完君 それから根本名川一本で排水が可能ですか。降水量は同じでも、流水量は違ってきますね、全部舗装されるわけですから。そうすると、根本名川だけでは現状においてもはけ切れないのですね。大体常時あそこは冠水をするところです。おたくのほうの下川さん、農林部長の御経験があるからよく御存じだ。どうしたって向こうの九十九里方面に一本つくらなければならぬ。このつぶれ地のかわりというのはないのですから、相当なものですね。そういう前面の計画というものは公団は一つも示していないじゃないですか。あそこの連中が土地を売ってどっかへ行っちゃえばいいのですけれども、空港が始まりました、われわれはさらに水をかぶります、汚水が来ます、反対だというときには、この排水の処理というのはほとんどできなくなりますね。そういう関係のところに全然手は打たれておらないわけですね。とにかく根本名川を広げるということは間違いないのですね。そこだけ念を押します。委員長いいですか。
  289. 高橋淳二

    参考人高橋淳二君) ただいまの南のほうの河川には、一応汚水は流さないというのは県の方針でございまして、したがいまして、根本名川一本で排水するというぐあいに計画しているようでございます。
  290. 加瀬完

    加瀬完君 どういう数字でそうなるか知りませんが、私どもは何回もその計算をした。根本名川をいまの何倍かに広げるなら別ですが、耕地がつぶれるわけですから、そう無限大な拡幅はできませんよ。これを南のほうに流す以外に方法ないのですよ。これはひとつ御検討をいただきたい。  それから二番目に、騒音問題を伺いますが、騒音の資料というものも、公団も航空局も、私は非常に御検討が不足だと、失礼ですが思うのですよ。で、一昨年ですか、日本公衆衛生学会で、北海道大学が千歳空港の空港騒音についてという発表をいたしましたけれども、御存じですか。
  291. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 承知いたしております。
  292. 加瀬完

    加瀬完君 それから、ここの立法考査局で、伊丹あるいは羽田、その他軍用飛行場の騒音調査をしたレファレンスが発表されておりますが、御存じですか。
  293. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) それは承知いたしておりません。
  294. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、千歳だけでいいですよ。千歳ではどういうことが問題になっておりますか。
  295. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) いまここに資料を持っておりませんが、人体に与える影響あるいは農業上の家畜その他に与える影響は問題になると思います。
  296. 加瀬完

    加瀬完君 じゃ、私のほうで編集したものがありますからね、おもな点だけを簡単に読みます。具体的な例について、これは各地域でアンケートをとったわけです。テレビ、ラジオ、電話が聞こえないというのが全地域の七〇%、赤ちゃんのおびえはというのに対して、六七・五%が赤ちゃんがおびえて困る、こういう回答を出しています。それから子供が夜中に目をさまして寝つかれないということがあるかという問いに対しては、直進方向では二キロ、横では二・五キロ、四四・八%がそういう訴えをいたしております。耳が痛いかというのに対しては、一・五キロ-二・五キロメートルは滑走路の延長上で二一%が、航空音によって耳が痛くて困るという訴えをいたしております。精神作業妨害、飛行機音によるものがひどくて、直進方向だけではなくて、横側からも二キロくらいの点では相当この訴えが出ております。頭痛は、十一カ所中六カ所が二五%から四六%が訴えております。食欲がなくなるか、二キロメートル程度のところでは二五・八%がそういう訴えをしております。学習障害、これは全地域で四九%、多いところは九三%こういう訴えをいたしております。思考力の障害は、二キロメートルの青葉中学では七一%、横の二・五キロの真町というのですか、ここで五五%こういう訴えをしております。いらいらしたり腹が立ちやすいかというのに対しては、全体で五〇・八%がそのとおりだという訴えをいたしております。そうすると、横側でも、二・五キロを離れておりましても被害を訴えております。進行方向では、四・八キロ離れておりましても非常に大きい被害を訴えております。被害は飛行機音によるものが最も多いわけであります。身体的障害――耳鳴りとか精神障害とか頭痛は、付近ばかりではなくて、相当側面からも被害が出ております。さらに伊丹の場合はこういうふうになっておりますね。風向きによって左旋回をしたり右旋回をしたりいたしますので、騒音の影響する区域が違うわけですね。羽田の場合は、六キロ以上離れても八〇ホンくらいをまっすぐなところだとあらわしておりますね。こういう状況でありますと、この間、柳岡君に御説明になったような、滑走路先端から二千メートル、横は中心から六百メートルだけを対象にして騒音対策ができるはずはないでしょう。ところが、いまの法律はそれだけしか、これは航空局がどんなに御誠意を示されようとしても、財源的な措置は二千メートル、六百メートル以外は出せませんね。だから、騒音防止法は実際に出ている騒音の防止には、三分の一程度しか役立たないということですね。こういう点、御見解いかがですか。
  297. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先生のいま発表されたような調査のあることは存じておりますが、私のほうでは、これは防衛庁が航空機の騒音防止につきましては、非常に長い歴史を持ってやっております。その研究の一部を申し上げますが、一般的に難聴は、八五ホン以下ならば問題にならない。音声レベルが七五ホンの場合、騒音が六五ホンならば八〇%以上会話に全く支障がない。それから乳牛――いろいろ例を申し上げます。
  298. 加瀬完

    加瀬完君 私もこまかいことは言いません。
  299. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 乳牛に対する影響、他の静かな地区から来た場合には、乳産量が一時的に約二〇%減ずるが間もなく回復する。それから、その地域で成長した乳牛については、ほとんど影響がない。トリに対する影響、トリには、騒音による産卵性の低下はほとんど認められない。授業中の学童に及ぼす影響、教室内における騒音が七〇ホン以下の場合は問題がないとされている。ずっとございますが、このようなあれに基づきまして、防衛庁におきましては、現在の基地周辺整備法をつくっておるわけでございます。それで、今度の騒音防止法も、防衛庁の長い間の実例に即しまして、ほぼそれと同じ対策をとったわけでございまして、もちろん、これで騒音の弊害が全部騒音防止法でなくなるとかいうことを申し上げておるのではございませんが、少なくとも、基地に対すると同程度の対策は、この騒音防止法でとれると、こういうことを申し上げておるわけであります。
  300. 加瀬完

    加瀬完君 防衛庁のをとるなら、もっと、たとえば九州大学の調査、いまの北海道大学の調査、あるいは羽田の周辺のこの対策委員会の調査、あるいは神奈川県でおやりになった調査、大阪の調査というようなものを出すべきです。防衛庁というのは、騒音が大きいと言えば、てめえのほうで金を払わなければならない立場だ、それが幾らでも金を払いますから騒音はたいへんでしたというデータを出すはずのものではない。防衛庁はこう言うのです、個人的に会うと。騒音の対策はありますかとございます、何ですかと言ったら、都市的変更をすることですと、都市的変更といったら何ですかと言ったら、音のないところへ引っ越しなさい、それ以外には騒音の対策はありませんというのが本音ですよ。羽田だって、六キロ離れて八〇ホン以上でしょう。千葉県の条例だというと、夜は六〇ホン、昼は六五ホン以上は条例で禁止されておる。六〇ホン以上といったら、千葉県全体が飛行場ができた場合は六〇ホンだ。私どもはもう被害者でありますから、この騒音については、長い間資料を集めておるのですけれども、最初のときには、失礼ですけれども、騒音に対する資料というものは全然航空局にはございませんでした。おっしゃるように資料のあるのは防衛庁だけでしょう。しかし、いまは、防衛庁よりも学界では、騒音病などということばが出るくらい、騒音に対する資料は多い。いいものが出ている。それをとってですね、騒音防止というものを考えなければ、防衛庁のそれ、ずっと古いものをだけとって、被害がありませんということが言われますか。それから、この騒音の与え方が違ってくると思う。あなたは、大型機のこの下降する角度を二十分の一だと、降角度は二十分の一だとおっしゃった。しかし、新東京国際空港法案が出されたときに、四十分の一を五十分の一と、あの前後で改めたでしょう。それはね、降角度が四十分の一では無理だというので、五十分の一ということにしたのでしょう。飛行機の、ずうたいが大きくなって、二十分の一で降下するということが可能ですか。そこで、技術的なことを伺いますが、それでは、SSTのような超音速機の場合ですね、いつかの東京港の事故みたいに失速する一体速度というものは、どのくらいになりますか。秒速幾らです。
  301. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 五十分の一、さっきの御質問でございますが、五十分の一というのは進入表面の角度でございます。
  302. 加瀬完

    加瀬完君 そうです。
  303. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ですから、これはもう制限区域の、区域制限の角度が五十分の一になっているわけでございます。
  304. 加瀬完

    加瀬完君 それがあなた、今度二十分の一でいいと言ったでしょう。
  305. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これはですね、飛行機の実際の下降する角度が二十分の一と、こういうことでございます。五十分の一までは区域制限、そこに建物を建てたり、そこを越える木があってはいけない。で、飛行機はその上を飛んで入ってくるわけでございます。  それから下降速度、ただいま御質問の下降速度、いま資料を持っておりませんが、この間柳岡先生の御質問の、約二万メーターのところから成田新空港に来るまでに、どういう経路をたどるか、こういうことと関係があるかと思いますが、二万メーターの位置は大体三宅島、これはいろんなもちろん降角度のやり方はございますんですが、うちのほうでいろいろ専門家で検討いたしまして、三宅島と八丈島の中間、これは成田から大体二百三十キロぐらいのところでございます。この辺で二万メーターの高度から角度を落としまして、そして九十九里浜の上で千二百メーターくらいの高さになりまして成田に入る、こういうことに相成るかと思います。
  306. 加瀬完

    加瀬完君 二十分の一じゃありませんね。で、超音速機は、相当離陸するときには急カーブで上がれるであろうという推定がなされておりますね。しかし、着陸するときには相当高度をゆるい高度にしないと危険だと言われておるわけですね。そうなりますと、音は離陸するときほど大きくはありませんけれども、九十九里で大体二十キロ弱ですか、そうもありませんか、そこで大体千メーターということになりますと、十キロぐらいのところは、逆算して五百メーターと、あるいは三百メーターと、こういう形でおりてまいりますと、この騒音の区域というのは、幅六百、先端から二千ということでは、これはとどまらなくなりますね、どうしたって。
  307. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 幅六百、長さ二千だけを対象にすれば騒音がないということを申し上げているのじゃございませんので、騒音地域のうちで長さ二千メーター、それから滑走路の中心点から六百メーターの範囲は、もしよそに移りたい、こういう御希望の方があれば、いろいろな飛行場の施設をそこにつくることにしてその土地を買い上げましょうと、また、その地域には、これは騒音と直接関係ないかもしれませんが、御希望の方があれば畑かんを実施いたしましょう、こういうことを申し上げているわけでございます。
  308. 加瀬完

    加瀬完君 それじゃ、その六百、二千という範囲は何ホンと押えているのですか。
  309. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 約百ホンでございます。
  310. 加瀬完

    加瀬完君 まあ百三十ホンなら大体耳が聞こえなくなる。百ホンと言っても、これは耐えられる状態ではありませんね。そうすると、九十ホンなり八十五ホンなりというところは、これは全然騒音防止の対象にはしないわけですね。
  311. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先ほど申し上げましたように、騒音対策といたしましては、いろいろな対策がございまして、まず、学校の騒音防止の工事であるとか、あるいは病院の騒音防止工事であるとか、こういうことは七十ホン以上を対象にする。もちろん、予算の制約がございますから、ホンの高いところからやっていきますが、七十ホン以上のところまで対象にしよう、これは滑走路の端から約八キロまでの距離に相なるわけでございます。二千メートルの範囲は特に厚くいろいろな対策をとらしていただきたい。
  312. 加瀬完

    加瀬完君 だから、それが二千メートルでいいかということですよ。そうすると、九十ホン、八十五ホン、最低限といいますか、九十ホンくらいは移転をさせるというのなら、まだ一応話はわかる。百ホンでなければ、九十五ホンの人はそこにいられるのか。学校は防音施設をするでしょう。あるいは、そんな病院にはあまり入らないでしょうが、病院があれば、防音施設の補助があるでしょう。一般の民家はどうなるのか。九十ホンなり九十五ホンでいられますか。
  313. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは御承知のように、日本に東京、大阪国際空港、また十幾つかの基地がございますが、これが全部滑走路の端から大体千メートル、この範囲が――失礼いたしました。着陸帯の端から千メートルのところが移転の対象、あるいは買い上げの対象として保護をしているわけでございます。それで、もちろん、その周辺に住まわれる方は非常にいろいろな苦痛を感じてはおられると思います。現状におきまして、日本の財政事情その他から、現在は、この点で騒音対策をやっておるというのが実情でございます。
  314. 加瀬完

    加瀬完君 それぞれ憲法で基本的人権というのは保障されているのです。財政事情で、耳が聞こえなくなる、赤ちゃんはおっぱいが飲めなくなるけれどもがまんしろという言い分は成り立たない。で、いままでの飛行機よりは大型になるから音は大きい。あなたはこの前、音は小さくなると言いましたけれども、私が先ほど例に出しましたヨーロッパでは、航空関係者の会議では、SST型の航空騒音を防止する、あるいは低下させる方法はいまのところないという結論になっておりますよ。そうですよ、違いますか。会社側では落とそうとして努力はしておりますけれども、しかし、専門家の見るところでは、おそらく方法は立たないだろうということに、その会議では一応なっております。変わったんですか。
  315. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) その会議の詳細のことは存じませんが、そのSSTをつくりますときは、アメリカのFAA――航空局が一定の指示をいたしております。それで、騒音レベルにつきましても、現在のDC8のホンをこえない程度、これは非常な急角度でのぼります関係で、たとえば離陸上昇の場合は現在のDC8の場合よりもホン数が少ないというような、いろいろな指示をいたしております。この指示どおりにまいりますれば、これはDC8よりもむしろ少なくなるわけでございます。それで、ボーイングももちろんこのFAAからの指示に従いまして、目下いろいろ検討しておるわけでございます。また、この間御説明しましたのは、ボーイングの747でございます。これはプラット・アンド・ホイットニー社がエンジンテストをやっておるわけでございます。これにつきましては、この間御説明申し上げましたように、バイパス・レーショが五対一、これは現在のDC8の場合は、バイパス・レーショが一・四対一でございますから、空気量一がエンジンで燃焼させられまして、そうすると、五のものが燃焼しないで外に出ていくわけです、圧縮されただけの空気が。それで排気量は非常に多くなるのですが、騒音は現在のDC8よりもむしろ少ない。さらに、このボーイングの場合には、747の場合にはノイズ・サプレッサー、一種のサイレンサー、空気が出ていきますと、それを分散させるノイズ・サプレッサーをつけますので、われわれとしては、ボーイングの747については、DC8とほぼ同じ音であるということを現在のところ確信しております。
  316. 加瀬完

    加瀬完君 ボーイングのとおりに超音速の大型機がなるかどうかということは非常に疑問で、一般はちょっと無理ではないかというのが定説ですね。時間がたちますから、結論を申し上げますが、で、その騒音に対しては、その騒音対策委員会というものを地元の人たちを含めてつくるということですけれども、こんなものをつくったって、法律的には八十五ホンから補償しろとか、八十ホンから補償しろと言ったって、補償しなければならない法的根拠というものは何もないわけですね。これはいかがですか。
  317. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) それはどのような補償か、補償の対象にもよりますが、その精神的苦痛を補償しろ、あるいは肉体的苦痛を補償しろと言っても、それは補償する法律は現在のところございません。
  318. 加瀬完

    加瀬完君 そういうことではなくて、二千メートルの中も同じように音のないところに移りたいから移転費をくれと、あるいは持っている耕地を全部買い取れと言ったって、それは現状においては法律の対象にはなりませんね。
  319. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) おっしゃるとおり、現在の騒音防止法では対象になりません。
  320. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、一応横六百、縦二千のところは移転対象として考えるけれども、それは音にして百ホンだ、百ホン以下のところは、法律的には何にも政府としても、公団としても、物的の騒音に対する補償はない、こういうことですね。そうでしょう、法律的にはそうでしょう。
  321. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 土地の買い上げ補償という意味では、先生のおっしゃるとおりでございます。
  322. 加瀬完

    加瀬完君 それから、これも柳岡委員のときにお答えになったわけですから、念を押すような形になりますが、風向きによりましては、成田の市街地も一応騒音、これが何ホンになるかわからないけれども、一応騒音の下になるということは確実ですね。そうでしょう。
  323. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) それはこの間も御説明申し上げましたように、風向きによりましては、成田市街が飛行経路に当たることがございます。
  324. 加瀬完

    加瀬完君 この滑走路が十二分に使えないという問題を、私はもっと論及したいですよ。  時間がありませんから、土地の価格問題に入ります。ここは固定資産は二万三千円です。大蔵省の評価は七十万です。あなたのほうは百四十万でお買いになった。百四十万をはじき出した根拠をひとつ示されたい。
  325. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 御承知のように、三里塚の価格問題につきましては、先生も非常によく御存じのとおり、当公団が発足いたしましたのが昭和四十一年の七月の末でございます。で、すでにその以前におきまして、富里が候補地にあがりました当時から、空港用地の価格問題につきましては、候補地につきまして、相当、反当たり百万円というふうな値段が地元に浸透しておったことは、先生もよく御承知であったと存じます。で、公団ができました後におきまして、第一回の説明会を千葉で九月に行ないました、それは公団発足後約二カ月あとでございますが。したがって、価格問題と公団が取り組みましたのは、全く白地に絵をかくというふうな状態で取り組んだのではございませんので、ある一つの既成の観念ができた上に、公団がいわばお仕着せを着せられた形で出ていったというのが現状でございます。
  326. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵省の鑑定審議官と国有財産の第一課長さんいらしておりますので。これは確認していいでしょう。三十七年の閣議決定の「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」というのはいま生きておりますね、改められておりませんね。
  327. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) お答えいたします。  その規定は現在も生きております。
  328. 加瀬完

    加瀬完君 これは適正価格で買うということですね。
  329. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) さようでございます。
  330. 加瀬完

    加瀬完君 適正価格というのは、売買実例、それから税金、収益還元、固定資産税等も含めて、そういうものが算定の基礎になると聞いておりますが、そうじゃないですか。
  331. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) 実はその補償基準につきましては、これは建設省のほうで主管されましておつくりになったというように私は聞いておりまして、直接大蔵省のなにではございませんので、私のほうでは現在それで評価はいたしておりません。また別途の方法で評価いたしております。
  332. 加瀬完

    加瀬完君 その別途の方法というのは、どんな基準ですか。
  333. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) これはもちろん売買実例、あるいは民間精通者の意見、それから固定資産税の評価額から見たもの、あるいは相続税の課税標準価額から見ましたもの、そういったようないろいろな要素を含めて現在は通常やっております。
  334. 加瀬完

    加瀬完君 売買実例として百四十万という数字がここに出ておりますが、固定資産税は反当たり二万三千円、いま言った相続や、それから贈与の税務署の査定は評価額が七十万。百万以上という数字はどこにも出ておらないのに、公団が百四十万という線を出したんです。根拠がわかりません。
  335. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 私、先ほどの話の結局続きになるわけでございますが、昭和四十一年の九月に公団が千葉県の説明会で、心がまえ価格といたしまして、畑の反当たり百万円という数字を御説明申し上げたのでございますが、その後、やはり九月の五日でございますが、関係閣僚協議会におきまして、当時の関係閣僚の方々がお集まりになりまして、畑の反当たりの単価を六十万円から百十万円というふうな線で一応の御了承があったわけでございます。
  336. 加瀬完

    加瀬完君 この四十年のこの付近の最高価格は十七万円、ゴルフ場に売ったのは十七万円で、百万円というのは、それは一部の人が百万円で買ってやるとか売ってやるとかといううわさが出ただけだ。しかし、この参議院の委員会では、二万三千円のような固定資産税、それから二十万円から二十五万円ぐらいの売買価格のものは百万円では買いません、買うことはおかしいという答弁が、建設省の計画局長から出されている。公共用地の取得が売る者の言い値によってきめられるということだったら、これから公共事業できますか、公共用地の取得ができますか。これは建設省がいないから変ですけれどもね。――時間がありませんから言いますよ。この鑑定する鑑定審議官、二万三千円で、大蔵省の評価は七十万円のものを百四十万円で買う、これは国費の浪費ですよ。
  337. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) ただいま二万三千円のものを七十万円の評価とおっしゃいましたが……。
  338. 加瀬完

    加瀬完君 二万三千円は固定資産税、税務署は七十万。それを百四十万円で買う。
  339. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) おっしゃいました七十万というのは、実はこれは税務署の評価とおっしゃいましたが、そういった価格は税務署のほうで調査したものでございますので、私どものほうの国有財産局では承知いたしておりませんので、一応御了承願いたいと思います。
  340. 加瀬完

    加瀬完君 おかしい。承知するしないではないのです。固定資産税は反二万三千円、それを、空港ができるというので、税務署はつり上げて、相続税に七十万という評価をしたわけです。しかし、それを飛び越して公団は百四十万でこれを買ったわけです。これが妥当と言えるかどうか。
  341. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) この価格につきましては、土地の価格はその使用目的と、それによる需給の度合いによって影響を受けるものと思われます。したがって、今回のように空港敷地として使用されるような場合には、通常の農地の取引価格よりも相当上回るというふうにわれわれ考えております。ただ、これが適当かどうかということは、現在私どもはその評価をやっておりませんので、お答えすることはできかねます。
  342. 加瀬完

    加瀬完君 適正価格と見られるかどうかということです。固定資産税を評価の基準とするならば、それは反二万三千円。大蔵省というか、税務署の評価を基準とするならば、それは七十万。それをどこにも、近傍類地どこ見ても、一番高値を見たって、百四十万というところはないのですよ。百四十万という値段を出したのはどういうわけだ。  では、質問をさらに続けると、同じ地域に下総の御料牧場がある。これも国有財産で、等価交換をするわけです。これは一反当たりは幾らに評価しますか。国有財産だから御存じでしょう。
  343. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) ただいま目下評価中でございますので、最終的な結論価格を得ておりません。
  344. 加瀬完

    加瀬完君 これは、四十一年の評価が反七万九千円です。これが大蔵省の国有財産台帳の価格だ。同じまわりのところが百四十万円という、どんな必要度があろうとも、そういう価格がはじき出せますか。だから、これはどういうことではじき出したか、あとで私は資料として出していただきたいと思うのです。  で、時価ということで買ったということであれば、今度は、事業認定の前までは、この売買実例の百四十万円というものが基準になるわけですね。八六%の賛成があって百四十万円でみな売ったということになれば、確実に飛行場はできるだろうというので、これはその売買実例の百四十万円よりも事業認定の間は地価が上がりますね。上がるとこれは見なければなりませんね。そうすると、売り惜しんで、あとからやればやるほど、百四十万円より上積みする価格で買わなければならないということになりますね。これは理論上そうでしょう。どうです。
  345. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 私どもはあくまで任意買収をたてまえにしていこうと思っておりますので、いまのところ、土地収用については事業認定の手続を進めてはおりますけれども、土地収用法によって土地収用を強行するということは、いまのところは考えておりません。
  346. 加瀬完

    加瀬完君 そういうことを言っているのじゃないのです。一応事業認定をこれから早晩出すでしょう。事業認定を出せば、事業認定を出した時点が評価の基準になりますよ。しかし、あしたあさって事業認定は出せないですから、そこに間があるでしょう。そうすると、何日か前の百四十万円というのは、時日がたつに従って、百五十万円なり百六十万円なりというふうに、これは上がってこざるを得ないでしょう、客観情勢は。百四十万で大ぜいの者が売って空港がはっきりできるということになったのだから、まわりの地価は上がりますね。上がれば、上がった評価でなければ今度は売らないとごねられたときには、これは高く買わざるを得ないでしょう。低く買うわけにいかぬでしょう、百四十万円より。  結論を聞きましょう。低く買いますか。高くは買いませんか。
  347. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 私どもは現在の値段で買いたいと思います。
  348. 加瀬完

    加瀬完君 現在の値段で買うと言っても、地価が上がってくるわけですから、百四十万円というべらぼうな値段をつけたのだから、今度百五十万に上がりますよ。上がったら、これまで百四十万、時価だと言って買ったなら、百五十万で買わざるを得なくなるでしょう。そういうような結局不手ぎわを、この百四十万の価格決定というものは行なっているということを私は指摘をしたいのです。これは決算委員会なり、あるいは会計検査院なりに、やがて私は――これは不当な国費の支出ですよ。あらためて伺いますが、百四十万出したということは、あと百五十万、百六十万出さなければ残った土地は買えないと、こういうひとつ覚悟をきめていただきたいと思います。  質問を終わります。
  349. 任田新治

    ○副主査任田新治君) 空港公団の方々には、長時間にわたりまして、まことにありがとうございました。  運輸省所管に対する残余の質疑は明後日、郵政省所管の後に行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十分散会