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1968-04-10 第58回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十日(水曜日)    午前十時二十分開会     ————————————— 昭和四十三年四月九日予算委員長において、左の とおり本分科担当委員を指名した。                 大谷 贇雄君                 櫻井 志郎君                 塩見 俊二君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 山本茂一郎君                 岡田 宗司君                 野上  元君                 村田 秀三君                 原田  立君     —————————————    委員の異動  四月九日     辞任         補欠選任      村田 秀三君     成瀬 幡治君      成瀬 幡治君     森中 守義君  四月十日     辞任         補欠選任      岡田 宗司君     田中寿美子君      森中 守義君     戸田 菊雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     主査          内藤誉三郎君     委員                 大谷 贇雄君                 塩見 俊二君                 山本茂一郎君                 岡田 宗司君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 森中 守義君                 原田  立君    国務大臣        国 務 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    政府委員        内閣参事官兼内        閣総理大臣官房        会計課長     朝日 邦夫君        国防会議事務局        長        海原  治君        人事院事務総局        管理局長     茨木  広君        内閣総理大臣官        房陸上交通安全        調査室長     宮崎 清文君        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        近畿圏整備本部        次長       井上 義光君        中部圏開発整備        本部次長     国宗 正義君        公正取引委員会        事務局長     柿沼幸一郎君        警察庁長官官房        会計課長     渡部 正郎君        行政管理庁長官        官房会計課長   戸谷 英雄君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        北海道開発庁総        務監理官     馬場 豊彦君        経済企画庁水資        源局長      今泉 一郎君        科学技術庁研究        調整局長     梅澤 邦臣君        外務省北米局長  東郷 文彦君        外務省国際連合        局長       重光  晶君        郵政大臣官房長  溝呂木 繁君        電気通信監理官  柏木 輝彦君        郵政省電波監理        局長       石川 忠夫君    説明員        日本学術会議事        務局長      鵜飼肥佐男君     —————————————   本日の会議に付した案件主査及び副主査互選昭和四十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————    〔年長者山本茂一郎主査席に着く〕
  2. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって、私が正副主査選挙管理を行ないます。  これより正副主査互選を行ないますが、互選は、投票によらず、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 御異議ないと認めます。  それでは、主査内藤誉三郎君、副主査野上元君を指名いたします。     —————————————    〔内藤誉三郎主査席に着く〕
  4. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 皆さまの御推挙によりまして主査をつとめることになりましたが、御協力を得まして本分科会運営を行なってまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)  審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。  本分科会は、昭和四十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会裁判所会計検査院内閣及び総理府のうち、防衛庁、経済企画庁、及び科学技術庁を除く部分法務省及び他分科会所管外事項を審査することになっております。  十二日には主査報告する予定になっておりますので、主査といたしましては、議事を進める都合上、本日、内閣及び総理府、明日、皇室費会計検査院及び国会、明後日、法務省及び裁判所という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定させていただきます。     —————————————
  6. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 昭和四十三年度総予算中、内閣及び総理府所管を便宜一括して議題といたします。  慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配付してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  8. 岡田宗司

    岡田宗司君 総理府沖縄関係の問題ですね、ちょっとお尋ねをしたいと思います。  沖縄特別委員会等でもしている問題でありますけれども、だんだん沖縄の問題がクローズアップされてまいりまして、政府のほうとしても年々援助を増額して、いわゆる一体化をはかられることになっていますが、なかなかむずかしい問題が多いと思います。昨年の佐藤ジョンソン会談以来、沖縄本土一体化一つの方策として、アンガー高等弁務官のもとに日米琉諮問委員会というものができて、もうすでに発足をして、何回か会議を行なわれています。しかし、これがどうも、委員会というものの性格、それから任務といいますか、それがどのくらいの力を持っておるのか、そこできめられたものがどういうふうに行なわれるのか、まだ未知数でありますけれども、やはりそこらを私どもよく知りたいのでありまして、まず、あなた方のほうで——形の上はもうわかっているのですけれども、そういう実質的な機能とか、あるいは権限とか、それからまた、それが沖縄施政に及ぼす影響とか、そういうものについてあなた方のほうのお考え方を伺わせていただきたいのですが、まず、そこからお願いいたします。
  9. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えいたします。  諮問委員会の、まず性格でございますが、これは、佐藤ジョンソン会談によります協定に従いまして、高等弁務官に対して意見を述べ、また勧告を行なうことができる。いわゆる民政府琉球政府並びに日本政府の三代表によって構成される国際機関の一種であって、同時に高等弁務官に隷属するものではなくして、高等弁務官に対して対等の資格を持ってこれに対し助言勧告をいたすことができるものである、かように心得ておる次第でございます。  なお、高等弁務官権限外事項に対しまして助言勧告をしても、これは行なわないことは当然であるわけでありますが、なかんずく本土との一体化のためにこれを進め、今後円滑に支障なくこの一体化が処理できるために、経済的、社会的の問題並びにこれに関連する事項に関しまして高等弁務官助言勧告をする、かように考えておる次第でございます。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっと私どもの理解するところと違うのですがね。いまのお話ですと、高等弁務官対等のというお話ですけれども高等弁務官のもとに置かれておるというのじゃないですか。これは、置かれるときのなには、高等弁務官のもととなっておるでしょう。対等ということじゃないでしょう。対等国際機関という問題じゃないのじゃないですか。
  11. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 御指摘のように、この諮問委員会は、高等弁務官に対する諮問委員会であることは間違いございませんが、しかしながら、この諮問委員会に出ます米国政府代表は、これは高等弁務官に対して訓令を仰いで出るものではなくて、直接米国政府訓令を仰いで出るわけでございます。したがって、先ほど総務長官からお話ございましたように、この委員会において三人の代表意見一致して高等弁務官に対して勧告するという場合には、これは米国政府訓令に従って行動した米国側代表の同意も入っておるわけでございますから、そういう意味におきましても、この勧告は必ず高等弁務官によって実施されるものであると、こう考えております。で、いまお話のように、形としては高等弁務官に対する諮問機関でございますが、実質的には高等弁務官指示のもとに動く代表アメリカ代表高等弁務官指示によって動くものではないわけでございます。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく、形の上では高等弁務官のもとに置かれておる諮問委員会ですね。そうなんですね。とにかく、諮問委員会という性質からいって、対等ということは、これはおかしな話なんで、どうなんですか、その点は。
  13. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 諮問委員会性格はどうかという御質問に対しまして、この本質は高等弁務官に隷属した、いわゆる高等弁務官諮問事項答申するような委員会ではないのでありまして、さような意味高等弁務官のもとに隷属する諮問委員会ではございません。国際機関として日米琉三政代表が、いわゆるアドバイザリー・コミッテイとしての勧告自体も、諮問に答えるだけではなく、自由な合意に基づきます助言もできますれば、勧告もできる、いわゆるアドバイザリー・コミッテイとして高等弁務官に対して対等な、それ以上の立場において自由に発言をするという点で、決して隷下に立つものではない。かように心得ております。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうもよくわからないのですが、こっちの頭が悪いせいか。それならお伺いしますがね。諮問委員会という、まあことばから受けると、やはり主たる仕事は、高等弁務官からの諮問があって、それに答えるというのが主じゃないですか。
  15. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 諮問委員会というその日本語でございますと、日本の大部分諮問委員会というものは、諮問をされ、その諮問答申をするという意味のものでございまするが、これは外務省のほうからもお答えいただきますけれども、アドバイザリー・コミッティとして、むしろアドバイスするという、助言なりまたは勧告内容を持った委員会である、かように心得ておる次第であります。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 その第一回の会議でしたかね。アンガー高等弁務官から、はっきり、この諮問委員会の取り扱う問題の性質と言いますか、種類と言うか、そういうものについて、ちゃんと指示がありましたね。たとえば、政治の問題については除くということ、そして何と何の問題に限ると、こういうふうにちゃんと高等弁務官のほうから、その問題をこれに限れという指示があって、しかも、諮問委員会という性格諮問に答えるということが主であったら、これはどうも対等権限を持った国際委員会として相対峙していくという性格のものとはどうも受け取れませんがね。どうでしょうか。
  17. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 第一回の高等弁務官指示を待ちますまでもなく、佐藤ジョンソン会談によりまする協定によりまして、日米両国は一日もすみやかに施政権を返還するための一体化のために、それに支障となるようなことの摩擦をできるだけ少なくするために、社会問題、経済問題並びにその関連事項についてこの諮問委員会を置くのだということが協定によってきめられている次第でございまして、あえて弁務官指示を待つまでもないわけでございます。しかしながら、われわれといたしましては、その社会的、経済的並びにそれに関連する事項につきまして相当幅のある発言をいたすことができる機関である、かように心得ております。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 初めにこの諮問委員会ができたときに、政府のほうでは鬼の首を取ったように、これは非常に権限の広いものだと、そうして大きな役割りを果たすものだということを相当うたったわけですね。ところが、だんだんだんだんその取り扱う問題も限定されてきておるし、その性格も、初め三木外務大臣あたり国会で答弁したものとはだいぶん変わってきておるのですね、しかし、いまの総務長官の御発言なりあるいは北米局長の御発言を聞いていて、相当やはり大きな権限を持っておるように言われておるのですけれども、これは、私、どうもそれをそのまま受け取っていいものかどうか、非常に疑問に思っておるのです。たとえば、一体化の問題を進める上におきまして、純粋に経済的な問題として、あるいは社会的な問題、教育の問題もあるし、これはもちろんこの委員会でいろいろ話し合いを進めていって問題になる。しかしながら、同時に、政治の問題にひっかかる問題がたくさんあるのですよ。一体これはどうなるのですか。たとえば、一体化を進めていく上に問題になってくるものとして人権の問題がある。沖縄における日本人の人権というものは、あなたは、日本のわれわれの持っておる人権とどういう程度に差があるか、どうお考えになりますか。
  19. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) まず、御質問の第一点の諮問委員会権限につきましては、これはわれわれといたしましては、できるだけ幅の広い権限として解釈し、また、今後ともにさような指導なり行動をとるべきであろうと、かように考えます。  第二の点でございまするが、この諮問事項にあたりましても、社会的、経済的並びにこれに関連する事項という、並びにこれに関連するということから申しましても、必然的に政治問題なり何なりも伴ってくることは当然でございます。で、さような意味におきまして、この諮問委員が、日本政府代表たる委員発言をいたしまする内容におきまして、高等弁務官権限内の事項はこれは当然でございましょうけれども、それに関連いたしまして、権限外にわたる事項も当然あろうと存じます。しかしながら、その限りにおきましては、権限内の事項弁務官が処理をいたし、権限外事項は、これは報告として本国にも連絡があるだろうと存じます。  御質問の第三点の、人権に関しまする事項でございまするが、この人権に関しまする事項につきましても、当然、代表たる委員発言をいたすであろうと存じますし、また、当然いたしますが、しかしながら、一口人権と申しましても、あるいは裁判権に属しますところの人権の問題もございましょうし、あるいはまた、逮捕権その他の警察制度にからみます人権もございましょうし、あるいはまた布令百十号といったような、いわゆる占領行政に伴いまする労働基本権の不足の点から来る人権もございましょうし、また、その他いろいろ、売春あるいはいろいろな雑件もございましょう。一口人権と申しましても非常に範囲の広いものでございますが、その人権につきましても、やはり高等弁務官に対しまする意見としては主張し得るものだと、その中におきまして、弁務官自分権限内の事項で処理できるものは処理してもらう。また、処理できない案件につきましては、あるいは外交交渉に移る問題もございましょうし、本国連絡をいたす問題もございましょう。同時にまた、諮問委員会協議内容日米協議委員会のほうに逐一報告されることにも相なっておりまするので、これはまた日米協議委員会として取り上げられる部面も出てくるだろうと思います。  大体以上でございます。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 北米局長に伺いますが、これはまあ、この委員会性質として、最初から弁務官権限、あるいは施政権の問題だとか、大統領の行政命令とか、そういう布令とか、そういうものに直接関連をしてくる問題は、これは初めから取り上げることを避ける、そういう方針で運用されていくんですか。それとも、それはたとえば日本側からは、この問題は一体化の上でもって必要であるから、たとえそういう問題に触れてきても、この問題を持ち出していくというふうに運営をしていくものか、これはまあ日本政府態度にもかかわる。また、その訓令に基づいてやる日本側代表行動にもよることになるのでありますが、その点は、監督官庁としての外務省のほうはどうお考えになっているんですか。
  21. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 諮問委員会をつくります交渉の過程におきましても、この諮問委員会はもっぱら経済社会分野における一体化の問題を取り扱い、その経済社会分野において沖縄米国施政日本政府考えを現実に生かしていく、まあこういうのが基本的な考え方でございます。したがって、経済社会とはいずれも関係ございますが、しかし純粋な、まあいわば政治的な問題というものを取り上げていくということは、最初の出発における了解とは違うわけでございますが、いまお話の、たとえば人権問題、いわゆる人権問題というものにつきましても、いわゆる人権問題というのは、多くの場合、終局的には日本裁判権ないしは琉球政府裁判権が排除されるというところに結びついてくるのではないかと思いますが、これを裁判権の問題として取り上げることは、高等弁務官権限なりあるいは諮問委員会に対する話し合いの問題としても、これは無理だろうと思いますが、しかしながら、いわゆる人権問題を扱うにいたしましても、やはり経済社会の問題としてどうしてもそういう問題も入ってくるわけでございます。われわれとしましては、いわゆる人権問題というのもそういう形でその解決に諮問委員会を活用していくというふうに考えております。諮問委員会設立交換公文にも、経済社会並びにその関連事項ということが書いてございます。同じいわゆる人権問題にしましても、いま申し上げたような角度から、なるべくこれを取り上げて、住民の福祉に寄与したいというのがわれわれの考えでございます。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、いまの北米局長お話だと、やっぱり初めから権限というものは限定をされておる。そうして、まあ、なるたけそれを越えないような範囲関連事項としてそういう問題が起こったときには、それはまあその程度でもって審議をして、そうして何らかの勧告を出す、こういうことになるわけですけれども、いずれにせよ、この諮問委員会でもって三者一致で得られた結論というものは高等弁務官に提出されるわけです。高等弁務官自身一つの見解を持っておるわけです。もし、これが高等弁務官権限の外に出る問題がしるされておった、こういうことになった場合に、高等弁務官は、この諮問委員会から出した勧告なり、あるいは答申なりに対して、拒否をする権利があるわけでしょう。そこのところはどうなんです。必ず聞かなければならぬのか。それとも、形式的に、法律的には拒否できるのか。どうなっていますか。
  23. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 諮問委員会に出ております米国政府代表は、これは、個々諮問事項個々の問題につきまして、その態度を、つまり諮問委員会における、何といいますか、表決といいますか、その勧告を決定する場合には、米国政府訓令を仰いでやるわけでございますが、諮問委員会結論として高等弁務官権限外のことがたびたび出てくるということは、これはあまり予想できないことでございますが、かりにそういうことがあったとしますれば、なるほど高等弁務官自分権限外のことは実施することができないわけでございますから、そういう場合には、もし諮問委員会でそういう結論が出たというときには、日米琉三政府の代表がそれぞれ本国政府に報告することになるでありましょうし、もし高等弁務官権限外のことであったとすれば、問題はそれぞれの政府の手に戻って、これは外交交渉で収拾をいたしていくような話し合いになると思います。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまの北米局長お話からわかりましたことは、この諮問委員会に参加をしているアメリカ代表というものは、本国訓令を受けておる。本国訓令を受けておるということは、同時に高等弁務官との間にツーツーであるということも予想されるわけです。したがって、この諮問委員会におけるアメリカ代表というものは、高等弁務官の意向も、間接ではあるけれども反映されておる、こういうふうに考えてよろしいんですか。
  25. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) これはアメリカの中でのことでございますけれども、実質的には全く別に行動していると想像することは困難でございますが、たてまえは、先刻申し上げましたように、あくまでも、諮問委員会代表高等弁務官指示を受けあるいはそれの意思に基づいて動くということにはなっておりません。しかし、実質問題としては、それはお互いに話はするだろうと思います。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこで、この日米琉諮問委員会のなには、これは必ず三者の一致がなければならぬはずですね。つまり勧告が、あるいはその答申——何というか、勧告が行なわれる場合には、三者の一致ということが要件になっておるわけですね。つまり、満場一致要件になっているわけですね。
  27. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) さようでございます。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 それで、日本側あるいは琉球政府側代表というものは、こうしてくれ、ああしてくれと言う。それからアメリカ側代表は、それを受けて立つほうの側、おそらく、かなりの意見の違いのあることもあろうと思います。ところが、そういう場合に、満場一致ということは、実質的にはアメリカ側拒否権を持っているということなんです。アメリカ側で、日本側なり、あるいは琉球側のほうから、これをしていただきたい、こういうふうに直していただきたい——いや、おれのほうはそれは認められない、こう一言言われれば、日本側が幾ら何を述べようと、琉球が何を言おうと、これはどうにもしようのないことでしょう。答申もできなければ勧告もできない。要するに、アメリカ拒否権を持っている委員会にすぎない。
  29. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 先生も、正規の拒否権と、諮問委員会の三者の合意という相違は十分御承知のことと思いますので申し上げませんが、要は、この諮問委員会勧告高等弁務官によって尊重されて、実施されるということが大事でございますから、したがいまして、それにはやはり日米琉三者合意というものがあって初めて、勧告の権威といいますか、そういうものが出てくるわけでございますから、もちろん、御指摘のように、意見相違は当然でございます。しかし、その意見相違は、議論の中で、会議協議の中で調整されるというものでございますから、したがいまして、私どもは、この勧告高等弁務官によって尊重され、実施されるためには、むしろ三者の完全な意見一致が必要だ、かように考えております。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだ、これから運営をしてみて、どういう問題を取り上げ、どういう答申をし、どういう勧告をするか、それが出ていませんから、なお私のほうでも、これによっていろいろ疑問を明らかにすることはできませんけれども、しかし、伝えられておるような、あるいは先ほど田中さんが言われたほど大きな権限を持ち、また役に立つものかどうかということは、非常に疑問だと思うのです。  それから、一体、こういうものを設けないでも、日本アメリカとの間の日米協議委員会で、沖縄における施政の問題等については、外交問題として話し合っていったほうが、そのものずばりの話ができていいのじゃないか。いままでの日米合同委員会だとか、あるいはまた日米琉技術何とか委員会だとか、ああいうものがあって、そういう下のほうの行政的な話だとかあるいは技術的な話というものは、そっちでやればいいのだ。根本の問題は、そんなものを設けてごまかすより、外交交渉でずばりずばりやっていったほうが私はいいと思うんです。それは、今度佐藤ジョンソン会談で、沖縄については何にもおみやげがないから、しようがないから、具体的にあんなものを設けたくらいにしか私ども考えておりません。今後の運営いかんにもよろうし、それから日本政府がこの委員会に対してどういう態度で臨むか、また、そこに出ておる日本代表がどれだけの政治性と勇気をもって臨むかにもかかっていることがあろうかと思いますけれども、私は、どうもそう大きな期待はできないと思うのです。  ところで、この日米琉諮問委員会で、まず何の問題から取り上げていくつもりです。日本側としては何の問題を持ち出して、それを議題にして解決をしたい、こうお考えですか。
  31. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 現在まで、日本政府代表アメリカ政府代表、それから琉球政府代表から、それぞれ諮問委員会で討議すべき事項について提案されております。たとえば、琉球政府の側からは、琉球開発金融公社の琉球政府への移管の問題が提案されております。それから日本政府からは、たとえば特定分野における医学とか、あるいは琉大の教授等についての人事交流の実現というような問題が出されております。それからアメリカ政府からは、たとえば教育の水準を向上させるための措置についてというような問題が出されております。こういう具体的な議題、事項につきまして、現在もうすでにいろいろ考え方が討議されまして、近く勧告も行なわれるように聞いておりますが、ただいま御指摘がございましたけれども、私どもは、施政権返還に至るまで沖縄本土との一体化をあらゆる分野で進めていくこと、これが、とりもなおさず、施政権返還につながるという考え方をとっておりますので、そういう一体化の問題について、現地で常時常設の機関として週に二回ずつ会合をして勧告をし、それを逐次実施していくということは、私は、沖縄本土との一体化の促進の意味において非常に大きな意義を持っておると、かように考えるわけでございます。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 諮問委員会は常設機関である——これは事務局を持っておるのですか。
  33. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 正規の事務局というものは置かれておりませんが、諮問委員会話し合いで、事務局に準じたものをつくられるように承知しておりますが、まだはっきりとこの構成ができているわけではございません。
  34. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま言ったような問題は、これはたいして解決困難な問題じゃないので、おそらくすらすら解決できるはずの問題ですが、これがこのくらいのことができないようなものだったら、こんなものはあったってなくたって、同じようなものです。  ところで、常設機関であるそういうものが置かれていって、ちゃんとそれ自身の独立の事務局を持って、そうして仕事を遂行していくということでなければならぬ。また、この勧告がいれられて、それが行なわれた場合に、それが満足に諮問委員会勧告どおり行なわれておるかどうかということに対する監査の問題——監査といいますか、そういう問題はどうなんです。
  35. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 事務局は置かれるような方向で進んでいるものと考えております。  それから勧告の実施の実現の問題ですが、先ほど東郷北米局長からもお答えがあったかと思いますが、三政府代表合意をして勧告した事項でございますから、高等弁務官は、これはもう最高度に尊重されて、勧告のあったことは私どもは必ず実現を見るものと考えております。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 その実施ですね。それは実現を見るものと考えておりますはいいのですけれども、やはり行政上の問題というものは、きめてやっても、なかなか行なわれないというのは、もうこれは私が言うまでもない。あなた方が出した沖縄予算がそのままうまく消化されていないようなものだ。だから、やはりそれについては、諮問委員会はちゃんとその勧告が実際に行なわれておるかどうかということの監査をやって、報告くらい出さなければ、私は——この諮問委員会というのは権威があるものとは思われないのですが、そこのところはどうお考えですか。
  37. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 御案内のように、勧告されますと、先ほど申し上げましたように、高等弁務官がこれを実施に移されるといいますか、一定期間の諮問委員会の活動状況はそのつど日米協議委員会にも通報されるようになっておりますし、それからまた、三政府代表も、それぞれその実施には強い関心を持っておるに違いありませんから、私どもは、特別にそういう監査機関と申しますか、そういったいろいろなものを特に設けなくても、信頼を持って、相互の信頼の上で必ず実施されるものと考えております。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、南方連絡事務所、あの性格がどうも私にはよくわからないのです。あれはアメリカ側のなんで置かれたわけなんですけれども、しかし、もう置かれてから、だいぶ長いことたっておる。そうなると、置かれたときと今日とでは、状況の変化によって、その機能も変わってきているんじゃないかと思うんですが、この点について北米局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  39. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 岡田先生よく御承知のように、この南方連絡事務所は、十年以上前に、特定の事項についてのみ、たとえば戸籍関係とか、あるいは旅行者の援助とか、まあ特定の事項についてのみ権限を与えられて発足したわけでございます。その後、現地の事情もいろいろ変わってまいりまして、実際には、事実上の接触によって、その活動範囲も現実の問題としては広がっておったわけでございますが、昨年十一月の日米会談の際に、これをもう少し実情に合わせて、南方連絡事務所はいままでのように特定の事項について連絡するというだけでなくして、日米双方に関心ある事項について、特定の事項という限定を設けずに連絡する、協議するということになったわけでございます。むろん、その間、旅券を発給するようになる等、いろいろ事態の変化に即してその機能も変わってまいりました。今後も、そのような意味におきまして、日本政府と現地の米国当局との意思疎通の役割りを有益に果たしていけるものと思っております。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 佐藤ジョンソン会談後に、権限が拡大されるというようなことになったわけですが、性格はちっとも前から変わってないんですか。ただ、多少活動範囲が広くなったとかなんとかというだけで、その置かれたときの性格には変化がないんですか。
  41. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 沖縄の現在の特殊な状態からしまして、これが昔の在外事務所とか、あるいは現在の外交機関のような、いわゆる外交的機能というふうに十一月に変わったとは申し上げられませんと思います。実際問題としまして、いま申し上げましたように、日本政府の唯一の現地における代表機関としまして、現地米当局と連絡し、協議していく。したがいまして、性格的にそれでは十一月にどう変わったかと申しますれば、特定の限定的な機能を与えられていたのを、一般的に双方に関心ある事項について連絡協議するということが変わったわけでございます。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、あれはまだ外交機関的な存在になりつつあるとも言えないんですね。
  43. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 沖縄の現在の特殊な地位からしまして、これが普通の意味における外交機関にまで発展するとはわれわれは考えておりません。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 南方連絡事務所と琉球政府との関係はどうなっていますか。
  45. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まあ、琉球政府は、法的に見れば米国政府機関的のものでございますが、しかし、ある程度の自治をゆだねられて、そして住民が選んだ立法院、それから選出された主席、それからそれによって任命される司法機関、こういうものでできております自治的な機関でございます。したがいまして、南方連絡事務所は、従来から、琉球政府との間のいろんな問題について連絡を行なってまいったのであります。したがいまして、この機能は、当初できました十三項目がありましたあの項目に限らず、本土沖縄一体化が進むにつれまして、本土沖縄とのあらゆる関連事項について緊密な連絡をとってまいっております。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは、私はね、その点お伺いしているのは、これから日本のほうからもどんどん援助が行く、その金でいろんな仕事が行なわれる。そうすると、これには日本政府の意向もかなり反映されなければならない、まあこういうことになりましょう。ところがですね。沖縄には日本政府の出先機関というものは、南方連絡事務所一つしかない。そうすると、日本から一体化のために行なういろいろな施策というものは、この南方連絡事務所を通じて琉球政府に対して伝えられ、そして行なわれるのか、また、それが行なわれているかどうかということについての、まあ監督ということばは適当でないかと思いますけれどもね、その実施を監督する、あるいはまた琉球政府のほうから、これだけの援助を受けてこういう仕事をやっていったと、それは南方連絡事務所を通して日本政府に伝えられる、南方連絡事務所というのはそういう権限を持っておるのか、つまり、日本政府の唯一の出先機関としての機能を持っておるのか……。
  47. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 御指摘のように、いろいろ経済援助の問題等の執行なり、あるいはそれを策定していく間のいろいろな連絡事項、こういうものにつきましては、南方連絡事務所にも援助業務課というのがございまして、そこを通じまして、もう常時緊密な連絡を保っております。これはもちろん業務の範囲内に入っておるかどうかということは別といたしまして、現在におきましては、そこを通さなければ援助関係でも緊密な連絡は保てないというような実態になっておるわけでございます。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、いまの政府は、この南方連絡事務所というものが政府の唯一の出先機関であり、それを通じて琉球政府との間に直接のいろんな関係を持っていると。今後一体化が進み、援助がだんだんにふえていくと、そうなってまいりますというと、この南方連絡事務所というものの権限の拡大ということも予想されるわけですね。そういう点について、この南方連絡事務所がアメリカ側のなにによって設置されておるという事実、そういうことと、どういうことになってきますか。これは北米局長にお伺いいたします。
  49. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 特連局長から御説明申し上げておりますように、その南方連絡事務所と琉球政府の関係は、事実上の関係でございます。これがたとえば特定の事業の実施のために監督云々ということになりますと、これは現在の施政権のたてまえから申しまして、正面衝突ということになりますので、やはり現在の沖縄米国施政権というものが続きます限りは、その意味におきましては、日本政府琉球政府の関係というのは、事実上の関係にとどまらざるを得ないと考えます。
  50. 岡田宗司

    岡田宗司君 ところがね、その施政権返還の問題との関連があることになりますがね、もし南方連絡事務所が政府の唯一の出先機関としてそういう仕事をどんどんやってくるというと、その設置されたときの状況と非常に違ってくるわけですね。これはおそらく、いろんな摩擦も生ずる、あるいは矛盾も生ずることになってくるんだろうが、そういう点について、南方連絡事務所の、つまり何といいますか、問題について、アメリカ側交渉をして南方連絡事務所というものの地位を変えていくというようなおつもりは、これは外務省にはないのかどうか。これはやはり、今後日本沖縄一体化というようなことを実際に進めていくと、必ずそういう問題にぶつかってきますよ。もしそうでなければ、今度総理府の出先機関も置かなければならぬ、あるいはまた厚生省の出先機関も置かなければならぬ、あるいは通産省の出先機関、建設省の出先機関、みんな置かなければならぬことになりますよ、何らかの形でね。そうでないとすれば、あのものを何とかしなければならぬ。そうすれば、その機能は初めにできたときのものとはまるで違ってくる。これはアメリカ側と話し合って変えていくということが必要になるんじゃないですか、どうですか、その点。いまのままでいいのですか。
  51. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 現在は、いろいろ行政指導上、あるいは連絡上、きわめて技術的な専門的な問題は、各省から直接沖縄へ出向いていろんな指導を行なっています。それから、日米で合意された沖縄援助費の執行等に関連した諸問題は、南連を通じて琉球政府と密接にやっております。おそらく先生は、そういう段階から一歩進んで、一体化が相当進んできた場合に、このいまの性格のままではおかしいじゃないかというような御指摘だろうと思いますが、確かに、将来一体化が進んで、そして現地において常時事実上の連絡指導を要するような場合が出てきました場合には、その時点においてあらためて検討していかなければならぬ問題だと、かように考えます。ただ、現在のところは、それほどの必要性を感じていないわけでございます。
  52. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、必要性を感じてなければそれでいいですけれどもね。これは必ず問題が出てきますよ。  そこで、今度北米局長にお伺いするのですが、ジョンソン・佐藤会談の結果、南方連絡事務所の機能がやや拡大されることになったというけれども、突き詰めていくと、あれは外交機関でも何でもない、こういうことなんで、ただ日本政府のほうからあそこへ何か言ってくる、それをどこかへ伝える連絡機関みたいなものですね。それと同時に、沖繩から外国へ出る人の旅券の発給なぞをやるわけなんで、これは民政府の下請みたいなものなんですな。そうすると、あの機関というのはそこいらが本質なんですか。本質的にいえば民政機関の下請がおもな仕事なんですか。あとは、実質的にやっている面は別ですよ。だけれども権限からいくと、民政機関の下請だけの仕事しかないのですか。
  53. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 南方連絡事務所において旅券を出すことになったわけでございますが、日本国民に旅券を出すということは、これは日本政府固有の事務でございまして、それを従来できなかったものを昨年以来やるようになったわけでございまして、これはそういう特殊な事務であるがゆえに、現在の状況のまま、米国と、南方連絡事務所においてそのような日本国政府の固有の事務をやることに話がついたわけでございます。なお、この旅券発給自体は、これは向こうの下請でも何でもなくて、日本政府固有の事務でございます。ただ、実際の出入国管理ということになりますれば、これは、現在、よかれあしかれ向こうが出入国管理権を持っておりますので、旅券をもらった上、出国するためにはまた米国側の手続も要るというのが現状でございます。
  54. 岡田宗司

    岡田宗司君 前に、あれは、琉球の人が外国へ行く場合には、初めは民政府のほうでもってなにしなければだめだったんでしょう、身分証明書をもらわなければ。これが日本政府の手に移されたということなんだけれども、実質的には出入国の管理権は向こうが持っているということなんです。形の上では日本国政府がやっていることになるのですが、実際は民政府の下請なんです。そのほかに南方連絡事務所の固有の仕事というのは、どういうことなんですか。
  55. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは非常に……。
  56. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカ側でなにした法規に基づく仕事というのは何ですかというのです。
  57. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは、いま手元に資料がございませんが、十三項目ばかりありまして、たとえば、日本と沖繩との貿易の問題とか、それから沖繩における日本人のいろいろ保護の問題とか、先ほど北米局長からお答えのあった戸籍その他の問題とか、それから文化その他の交流問題とか、それから技術援助といいますか、そういう指導関係のこととか、いろいろ各般にわたっての連絡事務というわけでございます。
  58. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま沖繩における日本人の保護というのがあったのですが、それはどういうことなんですか。
  59. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 当初は、もちろん厳格に施政権が分離されておりました当時は、たとえば漁船が遭難して沖繩へ着いたというような場合の取り扱い等を指したものと私は考えております。
  60. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、その日本人というのは、何ですか、沖繩以外の、つまり本土日本人がたとえば沖繩へ行った場合にいろいろな問題が起きたときの保護、そういう意味ですか。
  61. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ちょっと先生の御質問が聞き取れなかったのですが……。
  62. 岡田宗司

    岡田宗司君 つまり、沖縄における日本人の保護というのは、沖繩にいる日本人を除いた、つまり本土日本人が沖繩に行った場合に何か保護を受けなければならぬ場合には南方連絡事務所の保護を受ける、こういうことなんですか。
  63. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) それはそういうことでございます。
  64. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは、なんですか、日本政府の出先機関としてそれをやるのか、あるいはまた外国に派遣されておる外交機関のような性格からそれをやっているのですか、どうなんです。
  65. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 沖繩が特殊な法的地位にございますから、割り切って、外国にあるたとえば領事館的な事務とか、そういうぐあいには必ずしも把握できないと思いますが、当時合意された、だいぶ昔の昭和二十八年、一九五三年——昭和二十八年のころのことでございますから、やはり日本国民が海外に出、あるいは沖繩に旅行をし、あるいはその他のことで、いろいろ琉球政府からそういう——たとえはいま船員を例にとりましたが、船員で海難にあった者、あるいは旅行中非常に困窮な目にあったような場合、そういう場合にはその旅行者を保護する、そういう立場で取りきめが行なわれておるわけでございます。
  66. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度は援助問題等について少しお伺いしたいのですが、先ほど、日米琉の委員会で、アメリカ側が沖繩における教育のレベルアップの問題を出したが、まあたいへんけっこうなことだと思います。ところが、いままでアメリカが軍政をやっていて、そしてろくに教育を一生懸命やらないで、これはもう私向こうへ行ってよく見て知っていますがね。それで、いまさら教育のレベルアップを持ち出すということは、これはいい意味にとれば罪滅ぼしかもしれませんが、悪い意味にとれば、ごまかしなんで、とにかくいずれにせよ、アメリカ側が言うレベルアップとは、その内容はどういうことなんですか。
  67. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まだ実は詳細が参っておりませんので詳細に申し上げるわけにいきませんが、要は、沖繩の教育の諸水準が本土の府県と比較して見ると相当格差がある、そういうものを、まず実態をはっきりつかんで、そして今後これにどう対処するかということを、この諮問委員会等で協議をしていったらどうかというような趣旨で提案されているものと聞いております。
  68. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく、自分のほうでもって押えておいて、ろくに金を出さないでおいて、そしてその後に及んで日本で金をよけい出すようになった。そして日本の金でもってそれをレベルアップをやるというのですから虫のいい話ですが、しかし、レベルアップさせることそのものは悪いことじゃないのですからいいのですが、もしそれが諮問委員会でまとまりました場合、あるいはまとまらないでも日本政府としては沖繩に対する教育援助でそれをやろうということなんですが、本年度の計画におけるいわゆるレベルアップですね、一体本年度は具体的にどういう計画があるのですか。
  69. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 本年度におきまして、教育に関連して申し上げますと、実は本年度は学校の施設を相当重点的に考えたわけでございます。昭和四十二年の予算で申しますと、昭和四十二年度の、これは一部四十三年度にまたがる額も含まれておりますが、昭和四十二年度で日米合意しました学校の施設の総額は、援助費は四億四千六百九十一万円であったわけでございますが、昭和四十三年度分として合意された額は八億一千七百三万四千円、ほぼ倍近い増額を見ております。これは、沖繩の学校の特別教室その他諸施設が非常に不備でございますので、これを重点的に整備しようということでございます。それから、一昨年からやっております教職員の給与費に対しましては、同じ計画で前年度は二十九億五千八百七十二万円でございましたが、明年度は三十三億五千三百四十四万六千円等ということに相なっております。それから農業高校の整備を新たにいたすことにいたしまして、北部農業高校で三千八百八十四万一千円というものを計上しております。それから私立学校に対しまして、明年度初めてでございますが、額は必ずしも大きくはございませんが、私立学校の助成金として八百万円、それから幼稚園の整備助成としまして一千四十二万九千円を計上しております。その他、琉大関係におきましては保健学部を新たに設けることにいたしまして、そのための経費として一億一千六百九十一万円が計上されております。総合計いたしまして、前年度は四十二億二千三百九十八万円であったのが、明年度は四十九億一千八百八十四万一千円となります。
  70. 岡田宗司

    岡田宗司君 総高がふえたということは喜ばしいことだと思います。いまの御説明で、まだ私よくわからないのは、たとえば義務教育諸学校職員給与援助が計上されておりますね、ことしもだいぶ。これで一体沖繩の教員の給与水準というものは本土と比べるとどのくらいになるのか、それからまた、沖繩の一般の公務員の給与水準に比べてどのくらいにこれは上がっていっているのか、まずそれをお伺いいたしたい。
  71. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 沖繩の公務員と本土の公務員では諸手当等の制度が違っておりまして、期末手当をはじめとしまして……。したがって、そういう諸手当関係では、琉球政府のほうの公務員は、本土にあって沖繩にないものが相当ございます。したがいまして、そういう点では差が目立ったと思います。本俸におきましては、これはいろいろ、御案内のように、公務員の学歴、経験年数その他が全く沖繩と本土とは違っておりますので、したがって、私どもは、現在ある差は主としてそういうことに基づく差になっているんじゃないか。詳しい数字は持っておりませんが、まあそういうことを抜きにして考えれば、沖繩の公務員の給与は本土の公務員より低いということは言えると思います。
  72. 岡田宗司

    岡田宗司君 どの程度低いですか。三分の二くらいですか。
  73. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ごく大ざっぱに申しまして、本土の九割程度になっております。
  74. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、沖繩の一般公務員との比較ではどのくらいです。
  75. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは、本土でもそうでございますが、一般公務員より教職員が高くなっております。
  76. 岡田宗司

    岡田宗司君 本土の九割程度ということならば、これはまあ、本土と同じ程度まで引き上げるというのは、これから必ずしも困難ではない、それをやはり本土並みに引き上げるというおつもりがあるのですか。
  77. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) この問題は、ただ単に教職員の給与だけを抜き出して考えるのはどうだろうかと私ども考えております。琉球政府の一般公務員と教職員の権衡の問題もございますので、したがいまして、そこらは私どもは実はこういうぐあいに持っていくという具体的な考えはただいま持っておりませんので、琉球政府のほうの御意見を十分聞いてから対処していきたいと考えます。
  78. 岡田宗司

    岡田宗司君 沖繩も人口もふえておりますし、それから新しい教職員を補給していかなければならぬが、その方面の施設なり、あるいはその方面のいろいろな施策なりというのは、日本政府としても相当援助していかなければならぬと思うが、それはお考えですか。つまり、だんだん児童もふていくし、学校もいま過密でしょう。ですから、もっと教員が要るはずでしょう。それを補給していくことについて、日本政府としては力を入れるのかどうか。
  79. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもは、この琉球政府の学校を教育上毎年どの程度ずつふやしていかなければならぬかという問題は、これは琉球政府でおきめになりますが、そうしてこの置かれました教職員の給与費の二分の一を負担するわけでございますから、したがいまして、結果的には、岡田先生のおっしゃるようになると思います。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 なるほどね。教科書の無償供与ですね。これはもう中学三年まで全部行なわれておりますか。
  81. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) そのとおりでございます。
  82. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、あと、まあ先ほど学校の施設についてこれから力を入れるのだ、こういうことだけれども、行ってみると、ずいぶんひどいですね。とにかく講堂がある学校というものは数えるほどしかない。プールはないし、特別教室はないし、給食設備などもないしするのですが、校舎自身もずいぶんひどい。琉球政府としては何年計画くらいでこれを改善しようとしているのか。そうして、日本政府としてはそれをどの程度まで援助しようとしているのか。そこはどうお考えですか。
  83. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 琉球政府のほうでも、実は、教員増の問題と、それから施設のレベルアップと、二つの問題をかかえておられまして、現在、たしか施設については三年計画を持っておられるようでございますが、これにつきましても、当該年度の財政事情等もありまして、必ずしも従来つくられた計画がそのとおり進んでいるとは私は承知しておりません。なかなか、全体としましては相当多額の経費を必要とするわけでございますから、私どももさらに今後の学校整備で教育諸制度の整備全体の問題としてあらためて琉球政府等の意見を聞いてみたいと思っております。いま確定した何カ年計画というオーソライズされたそういう計画は、私どもはないように聞いております。
  84. 岡田宗司

    岡田宗司君 もし、今後レベルアップということが諮問委員会でもって決定されたとすれば、それはやはり、そういうことが行なわれなければならぬわけでしょう。そうなると、琉球政府側もそれに見合う計画を、三年計画とか五年計画を立てるでしょう。そうすれば結局本土側としても、それに相当する負担というものは、三ヵ年なり五ヵ年にわたって計画的に援助する、こういうことになるわけですか。
  85. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) そのようになりました場合には、御指摘のとおりだろうと思っております。
  86. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、ハンセン氏病対策助成というのが二百五十二万円計上されているのですが、総理府所管一般会計歳出予算各目明細書にね。私どもはあっちへ行ってみて、ハンセン氏病の人がかなりたくさんいるのじゃないかと思うのですがね。聞いてみるとね。そうして、収容施設も非常に少ない。中には、内地へ来て入りたいという人もたくさんいるということです。二百五十二万円では、これは沖繩におけるハンセン氏病対策としては、ちょっと少な過ぎるのじゃないですか。内地においてはだんだん絶滅に近くなっている。しかし、沖繩においては各地に散在をしている。まだその実数さえつかめていない。こういう状況で、これはもうまっ先に私は何とかしなければならぬ問題だと思うのですが、二百五十二万円じゃちょっと少な過ぎるのじゃないかな。それから、いまの沖繩のハンセン氏病というものをあなたのほうではどう把握しておられますか。
  87. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 沖繩のハンセン氏病の問題につきましては、収容施設の面から申しますと、現在はむしろ施設があいております。しかし、本土政府のほうから昨年も派遣いたしましたが、検診班を派遣して、宮古島を中心にいろいろ検診をしてみますと、潜在的な患者が相当発見できるというような事態がございましたので、私どもは、まず全琉的な検診と申しますか、そういう新規患者の発見を中心に仕事を進めていったらどうだろうということでございまして、現在、三年計画で検診班を派遣しまして、集中的にそういう検診を実施したい、もちろん琉球政府の協力を得なければなりませんが。そうしまして、ハンセン氏病の患者の総数を、全体をひとつ早急のうちに把握し、そしてそれに対して、収容施設に入る者は入らし、あるいは本土へ連れてくる人は本土へ連れてきて収容する。それから一方、これはもうどこでも同じでございますが、収容施設に入った人が、また、出ないわけでございます。したがいまして、明年度の予算にも若干計上してございますが、更生する場合に援助費を出しまして援助をしてやりまして、そうしてその患者が社会復帰ができるような態勢にして収容施設から出してやるということも実施しているつもりでございます。いずれにいたしましても、沖繩全体のハンセン氏病患者を確実に実態をまず把握せねばいかぬ。これは非常に簡単なことのようでございますが、なかなかその土地土地の風習等もありまして、むずかしい問題もあるわけでございますが、それを計画的に実施したい。そこへ重点を置きたい。かように考えております。
  88. 岡田宗司

    岡田宗司君 ハンセン氏病は、これは社会的に見ましても一番問題になると思うのですが、これなどは、もう早く本土政府としてもやっていただきたいと思います。  最後に私がお尋ねしたいのは、これはまあ、あなたの考えをお伺いしたいのですが、この間琉球政府アメリカの石油会社に、あそこに精油所をつくることを許可しましたね。これと日本政府との間に多少そごがあった、こういうことで、あとにもずいぶん問題になりましたけれども、この問題について、ちょっといきさつと、それからその後どうなったか、お聞かせを願いたい。
  89. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この石油会社の進出の問題につきましては、ちょうど私が一月の二十二日に向こうに参りますにあたりまして、一月の十八日の夕景、私が総理にお目にかかって、沖縄のほうに参りますごあいさつと、並びに、その中におきましても、いま自分が気になっておる当面の問題として、石油会社の進出の問題がある、この石油会社の進出の問題につきましては、総理府としては前々からも連絡を受け、また通産省のほうにも連絡はしてあったのでございますが、しかしながら、たまたま私が向こうに参りまする直前に、この二十日には松岡主席がそれに対して許可をする、こういうような、これはちょっとこちらから見ますると、いかにもふらついたような形において行政が執行されることにつきましてはまことに遺憾である、そういうことのみならず、いろいろな外国資本の流入にあたりましても、特に国際的な石油資本というものは非常に大きな力を持っておるのでありまして、今後この石油資本の進出については日・琉というものが一体化いたしました際におきまして、支障になっては相ならぬというようなことから、総理にもその節お話を申し上げ、また総理もそれに対して先方に行った場合の十分な注意なり、今後の処置に注意を喚起しておくようにというお話があったのでございます。で、私向こうにまいりまして、松岡主席初め関係方面にも会いまして、この点をとくと申したのでございます。先方といたしましては、まず販売シェアの問題につきましては、日本に対して販売のあれを持っておらない会社に対しては、これに日本向けの輸出は許可しないという問題でございまするとか、それからまた、日本一体化いたします場合におきましては日本の石油業法に従いまして、いわゆる資本のクォータの分も日本の制度に従うという問題でございまして、そういう問題をあらかじめ日本側からも注意されていましたし、また先方にも十分それは申し伝えて、そして善処いたしてある、かように申しておりました。また、その後に至りましても、その中に四会社ございますが、あるいは会社別に、はたしてそれに応じて進出をしてまいるかどうかというふうな、いろいろと中間の経過がございますが、しかしながら琉球政府におきましては、日本側といたしましての十分なその後の注意喚起並びに行政の指導に対しまして、協力をいたすということを申してまいっておる次第でございます。大体以上のような経過でございます。
  90. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカ側琉球政府の許可を得て、あそこに進出するというように——まあ沖縄自身の石油の需要というものは必ずしも大きくない。したがって、あそこに精油所を設けるということは、将来沖縄日本に返った場合に日本の国内に売り込もうと、あるいはあそこを基地にしてアジア方面に販路を開拓しようと、そういう意図があろうと思う。まあ許可もすでにおりたし、いまの田中さんのお話ですと、その後本土復帰が行なわれた場合についてのいろいろなトラブルを避けるための話し合いはできておると、こういうことなんですけれども、これは一体紳士協約なのか、ちゃんと文章によってお互いに確認されておることなのか、それはどうなっているのですか。この琉球政府が許可をする場合に、アメリカの会社側と文章によってちゃんとそれが確認されておるのですか。
  91. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 沖縄進出に関係のある会社に対しましては、日本の通産省におきまして会社を個々に招致いたしまして、十分注意喚起は通産省としていたしてあるのでございます。それからまた、沖縄に対しましては、ただいま申しましたような日本政府といたしましての注意喚起もいたしてございます。で、なお、松岡主席もこの問題については十分警戒をいたしておるのでございまして、沖縄も先方の各会社との協定にあたっては、これは十分に話がいたしてあると、なおまた協定にもそのことは申してあるということを、こちらのほうに回答いたしております。われわれとしてはそれを信頼いたしておる次第でございます。
  92. 岡田宗司

    岡田宗司君 私の聞いているのは、口頭で注意を喚起してあるとか何とかいうことでなくて、そういうことは、琉球政府が許可する際に会社との間に取りかわした文章の中に明記されているかどうか、ということをお伺いしている。そうでないと、こういうことはあとでトラブルになって、向こうにけつをまくられたって、どうにもしようがないことなんです。そこをお伺いしているんですよ。
  93. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その点は、私どものほうでも非常に警戒もいたし、また注意喚起もいたしたのでございまするが、最終的には琉球政府を信頼する以外には方法はないわけでございます。
  94. 岡田宗司

    岡田宗司君 琉球政府とその会社との間の文章にも、そういうことは記載されてないということなんですね。ただ信頼。信頼だけなんですか。
  95. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私どものほうは、そういうコントラクトの中におきましても、これを記載するように強硬に申し入れてございます。
  96. 岡田宗司

    岡田宗司君 強硬に申し入れてございますのはわかっているのです。記載されておるのかどうかということをお伺いしている。
  97. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ちょっと長官に補足して申し上げますと、長官が先ほどお答えになりましたように、通産省のほうから、日本政府としての意向は、関係会社に申し入れてあるわけでございます。それからまた、琉球政府の主席に対しては、日本政府の要請を十分説明をし、また、それに対して向こうも善処するというような回答もあったのでございますから、日本政府としては、それらの関係を通じまして、その琉球政府の回答を信頼して対処していくほかはないと、かように考えます。
  98. 岡田宗司

    岡田宗司君 ぼくは事実を聞いている、あなた方のやったことを聞いているのじゃない。その結果——琉球政府と許可された会社との間に取りかわされた文章の中に、そのことがちゃんと記載されてあるか。それに対してイエスかノーかを答えていただけばいいんです。
  99. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもは、その協定の中に具体的に書いてあるかないかということは承知いたしておりません。
  100. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういうことぐらい、ちゃんと確かめておきなさいよ、あとになって問題になるのだから。もう、そういうことがないと、あなた方のほうで幾ら向こうに言っても、向こうのほうじゃしまいに馬の耳に念仏になりますから。こういう外国の企業進出なんかの場合には、あとになっていろいろ問題が起こっていることは内地でもうすでに何件かあるでしょう。シェアの問題がいつの間にか一〇〇%になるということになってきているのです。だから私は、その点からいまの点をお聞きしたのです。甘過ぎやしないですか。
  101. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 御指摘の御趣旨は十分私どももわかるわけでございますが、そうして決して逃げるわけでも何でもございませんが、現在施政権もない関係にもございますし、日本政府として公式にできることの限界もあることも、あわせてひとつ御了承をいただきたいと思います。
  102. 岡田宗司

    岡田宗司君 それじゃ終わります。
  103. 森中守義

    森中守義君 官房長官は見えないようですから、総務長官にお聞きいたします。  総務長官にお尋ねしますが、二月二十二日の読売新聞に、大統領に千葉県の平野という、例の混血児の運動をやっている人が沖縄へ入域を許されるかということの手紙を送ったんですけれどもお聞きになっていますか。レミの問題。
  104. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題は、実は新聞で拝見をいたしましたし、また一昨日のテレビでもいろいろお話を承っております。
  105. 森中守義

    森中守義君 これは、その話を伺ったというだけではまずいんじゃないですか。そこで、あまり長期のものは必要ないけれども、たとえば昭和四十二年あるいは四十一年ぐらいから、本土から沖縄に行きたいという入域の申請者、及び沖縄から本土に出たいという出域の申請者、申請に対してどのくらい許可がおりていますか。いますぐにそれがなければ、あとでさがしてください。外務省で旅券法と沖縄の入域、出域を対比した場合に、かなり沖縄は入出域について制限がきびしい。これはどういうことですか。もっと具体的に言えば、民政府ができておりながら事実上軍政だ。こういう過酷な条件のもとに出域、入域に規制を加えている。むろん、こういった問題は、沖縄の法的地位それ自体が国際慣習法にもないわけでございますから、まあそのことの議論をここで展開しようと思いませんけれども、国際的に各国がおのおのの国内法で旅券法をつくり、渡航の自由を保障しているにかかわらず、沖縄だけどうしてこういう過酷な条件で出域、入域を制限するんですか。沖縄本土との一体化というものはまず渡航から始められねばならぬ。こういうレミ救済の運動に対しても許可をおろさないということは、一体どういうことですか。
  106. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) まず、旅券といまの米国施政権に基づく出入域の関係でありますが、昨年以来、沖縄において南方連絡事務所が旅券を出すようになりましたが、日本本土の側におきましては旅券を発給するということは、同時に出域の許可をも含んでおるわけでございますので、沖縄におきましては旅券を発給すること自体は日本政府固有の権限でございますから、これは日本政府がやるわけでございますが、沖縄からの出域につきましてはアメリカ側が留保しておる。したがって、同じ旅券を出しましても出域の許可まで含んでおるか——本土においては含んでおるが、沖縄においては含んでおらない。したがって、出域についてはまた米国当局の手続を要するという違いはございます。そこで、いまの出入域権を向こうでなぜ手放さないかという問題になりますが、この問題も久しく日米間の話の対象にはなっておりますが、現に施政権を行使し、その責任を持っておる米政府当局としては、出入域ということはやはり施政権の最も大事な部分に属する問題として、たてまえ上これを手放すことはできないという固い態度をとっておるのが実情でございます。しかしながら御指摘のように、同じ日本人でありながら出入域が制限されるというのは、これは現在米国施政権を持っておることからくる事実でございますが、はなはだ遺憾でございますので、その手続の迅速化、また出入域の自由化ということについては、われわれも努力いたしておるつもりではございます。そうして、まあだんだん改善されてはおりますが、なお出入域権をこちらにとるというところまでいっておらないのが、現状でございます。
  107. 森中守義

    森中守義君 官房長官、非常に急がれるそうでありますから——東郷さん、いまのは外交保護権の問題とも関連するので、あとでまた、ひとつゆっくりお尋ねいたしましょう。  官房長官、非常に御多用ですが、問題が非常に重要なので、ちょっとおつき合い願いたいと思います。これは、本来ならば外務省の仕事になるかわかりませんがね。端的に言うならば、外務省が当てにならぬのだ、全然らちがあかない。それで、できるだけすみやかに内閣一体の問題として閣議で検討を加えて結論を出してもらいたい、こういう趣旨でお尋ねしたいと思うのです。おそらく閣議に何回かはかられているのじゃないかと思うのですがね。例の地位協定の七条による電信電話公社の請求権及び二十四条による米側の拒否権、この問題は、私が三十六年に一回、予算委員会の総括のときに提起しました。それから同僚の藤田進、大森創造の両君も同じようにこの問題を提起してございます。そこで、その場における答えとしては、何か可能性があるような答弁が絶えず行なわれておりながら、一向に進んでないのですね。ですから私は、もはやこれは、単なる外交ルートに乗っけたというような答弁だけでは、済まないと思うのですよ。で、具体的にお尋ねしますが、いまどうなんですか、このことは。電電公社でどのくらい累積しているとつかんでおられますか、官房長官。
  108. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 大体未収金七十四億円余と先ほど承りました。
  109. 森中守義

    森中守義君 二十七年から四十一年現在です。四十二年は入っておりません。七十四億六千万円。電電公社は、御承知のように電話料を滞納した場合には日歩四銭の単利で利子を取るわけだが、この利る勘定はしたことがありますか。すぐできる……。
  110. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 私、少し計算に弱いものでございまして、すぐにはできません。
  111. 森中守義

    森中守義君 無理かわからんけれども、私の調べでは元金が七十四億六千万、それから金利を計算すれば八十九億、そこで問題なのは、すでに電電公社は長期計画のもとに二二%値上げをしなければどうにもならぬと言っておる。それを今日の物価の状態から押えられて、設備料を三倍にしているのですね。かなり公社の財政を圧迫しているのですよ。それなのに、取るものが取れないで、需用者にこういう負担をかけるという、まさに逆な状態、これは私は非常に大きな問題だと思う。そこで、公社の料金の体系の問題等もいろいろありますが、それは後日ほかのところで聞くといたしまして、七条の請求権はあくまでも正当であるという認識を持ちますか。
  112. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 一般の請求権……、この際の……。
  113. 森中守義

    森中守義君 この際の。
  114. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 現実の問題といたしましては、まだ地位協定に基づいて日米合同委員会における交渉が妥結していないという前提のもとに考えますので、国内法的には、これは確かに電気通信法による請求権が生まれると思います。ただ、地位協定に基づいての確定した請求権かどうかについては、まだ私は確信がございません。
  115. 森中守義

    森中守義君 これはしかし、いまの発言は重大ですよ。確信があればこそ、国内法によって請求しているわけじゃない、地位協定の上で、七条で日本は請求権があるということを踏まえて長年合同委員会にはかり、それでだめだから外交ルートに乗せている、こういうわけなんです。いま官房長官がそんな後退した態度じゃだめですよ。
  116. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 私がいま申し上げました意味は、わがほうとしては当然これは請求権があると認めております。しかしながら、交渉中でございますので、相手側がまだわがほうの請求権を認めていないという意味において確定してないと、そういう意味で申し上げたわけです。
  117. 森中守義

    森中守義君 いいでしょう。そこで、二十七年から現在に至っているわけですよ。この間に何かありましたか。三十五年に何かあったのですか。
  118. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 私実はたいへん申しわけないのですが、御質問の趣旨を受けまして、まだそこまで勉強しておりません。そこで、その記録を見ますと、森中委員質問をたびたびしておられますが、議事録等もまだ検討しておりません。はなはだ申しわけございません。
  119. 森中守義

    森中守義君 私が何かあったかというのは、三十五年に安保の改定がありましたね。だから、昔の行政協定の中で七条と二条と——わがほうは七条ですよ、アメリカのほうは二条。これを受ける二十四条をたてにとっているわけだから、少なくとも合意に達しないというのは、相対立したものが行政協定にあったということです、片づかなかったということは。したがって、三十五年の改定の時期に、同じ協定の中に合意に達しない、対立するものがあるならば、これは調整すべきですよ。調整をしておれば、その時点において米側の定着物という主張が正しいのか、日本側が、いやこれは請求権があるという解釈が正しいのか、そのいずれかによってこれは解決されておった。しかるに行政協定から地位協定にそのままの状態で移し込まれたということは一体どういうことなんです。というのは、それ以前に公社が三十五年段階では、ちょっと統計全部は出ておりませんが、このときすでに四十億か五十億くらいあったはずですよ。しばしばこれは合同委員会でその場合に問題に提起されているわけですからね、当然この問題は対立するものとして交渉さるべき筋合いのものですよ。それを政府はやっていない。むろん官房長官も当時そういう衝になかったわけですから、いまあなたに言ってもしようがないけれども、しかし政府一体の責任としては免れませんよ、これは。どうしますか、改定の時期が来たにもかかわらずそのまま放置したというのは。
  120. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) その当時、新しい事態に応じてその点をはっきり確認しておくべきだったと思います。
  121. 森中守義

    森中守義君 そのとおり。少なくとも旧安保から新安保にかわるときには、一連の協定等も、不合理な点があればこれは改定をして、しかも国益にこれは反しないようなものにしたいと、こういうことを、しばしば安保で当時の岸総理は答弁しています。しかるに、これだけは放置されておる。だから私は、いまさしむき必要なことは、まず一つの問題は、累積しておる七十六億をどう処理するのか。私の言うのは国内処理です。にわかにこの問題が外交ルートで解決するとは思わない。どうしますか、この状態を。電電公社にそのまま赤字を出さしておきますか。公社はこれまた、ちゃらんぽらんで調定もしていない。調定もしていないから未収金もある。ただ毎月米側に使用料の確認を求めるということで通知書を出しておる。これも公衆電気通信法ではだいぶ問題がありますがね、料金調定の問題では。いま、だからここで、私はにわかに元利一緒にして払えとは言わないけれども、いつまでもこういうことを一企業体に問題を背負わせておくということは正しいですか、何かいい方法はありませんか。
  122. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) まあ、米軍との国際的問題でもございます。また一方、電電公社の負担も考えなければならぬ。そういう両面から、できるだけ早くこれについての国内処理について、政府部内で相談をしたいと、こういうふうに思うわけであります。
  123. 森中守義

    森中守義君 ちょっと念のために申しておきますがね。地位協定の二十七条——協定の改正という条項がある。私は、いまこれは外交ルートに乗せながら交渉を進めていくということも一方法でありましょうけれども、二十七条で、「この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請することができる。」と、こう書いてある。明らかに相対立する、少なくとも合意に達しない条項が同じ協定の中にあるわけだから、これは当然なこととして改正すべきじゃありませんか。むろん改正するには、その前提となるものは、合意に達するということでなくちゃならぬけれども、どっちの道を選ぶのですか。どっちも外交交渉に乗せなければできないだろうけれどもね。
  124. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) ただいまの問題は、協定の二条と二十四条が抵触していると申しますよりは、協定に書いてある施設、区域の定着物ですか、部品ですか、その定義に入るかどうかという運用上の問題とわれわれ考えますが、本件が久しく解決しないのはまことに申しわけない次第でございますけれども、そのために協定の改正が必要だというふうにはわれわれ考えておらないわけでございます。新安保条約改定の際には、昭和三十五年にこの懸案を解決するように最後まで努力したわけでございます。御承知のように、いまの具体的の、特殊のこの施設に対する解釈について、意見一致が得られないまま今日に至っているわけでございます。そういう見地から、今後も引き続いて、アメリカ側に対しましては、満足な解決ができるように努力を続けたいと考えております。
  125. 森中守義

    森中守義君 官房長官、平和条約でも安保でも、いずれもやはり処理規定というのはあるのですよ。条約上の解釈の点で合意に達しないような場合——運用上疑問がある場合ですね。だから私は、その二十七条をたてにとって言おうとは思わないけれども、いま北米局長は努力をしたと、こう言うけれども、努力をしながらいずれも突っぱったような状態で流れ込んでいるというのは、一体どういうことになりますか、先々は。合同委員会で元来解決すべきものが、合同委員会にはもう能力がないのだ、これは。合同委員会の能力の限界を越えていますよ。だから二十七年以来ずっと十数回にわたって、分科会等で協議をしながら話がつかなかったから、それで外交交渉にのせた、こう言うのでしょう。いま北米局長は、今後努力すると言うけれども、三十五年の安保改定のときに努力して片づかなかったものが、今後片づく可能性がありますか。だから私は、もう外務省の現在の外交能力ではだめだ、これは。だから国務省と内閣それ自体がもっと高い次元で政治交渉をやらなきゃ片づかぬ、こう私は判断をするわけですが、いかがですか。北米局長は努力すると言うけれども、片づきやしないよ、こんなもの。こんなものが片づくくらいなら、三十五年の改定のときに片づいている。その見通しがありますか、外務省。能力がありますか。見通しがあるならば、いつごろまでに片づけるの。
  126. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) この問題は、お話のように、長く懸案になっておりまして、いまここで、いつ、こういう方式で解決できるだろうという見通しは遺憾ながら申し上げられません。
  127. 森中守義

    森中守義君 それならば、電電公社は条約の当事者じゃない、地位協定のワクの中で施設を提供させられているわけだから、ある意味では、これは被害者なんだね。外務省で七十六億を払いなさいよ。立てかえておいたらどうだ。一つの企業にこういう迷惑をかけるものじゃありませんよ。外務省予算の中から七十六億払ってやったらどうだ、電電公社に、来年の予算で。官房長官、その手当を外務省にさせますか。そうすれば、これはあまりしばしば問題を言うまい。
  128. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 実は、私もあまり長い間の未解決事項と知りまして驚いたのでございます。それで、これは日米間の問題でもありますし、かつまた、現実的な運営上の解釈からきておるトラブルでございます。そういう問題でございますから、その努力は継続するとして、ただ国内的な面、すなわち電電公社の負担をこのままでよろしいかどうかという問題は、これは国内処理でできることでございますから、政府部内で今後ひとつ検討していきたいと思います。
  129. 森中守義

    森中守義君 それで、この見通しがあるのかないのか。それと、七〇年には長期固定化になるのか、あるいは自動延長になるのか、廃止するか、その辺これから先の問題なんですが、少なくとも七〇年の改定の時期までにこの見通しがあるのかないのか。あと何年もありませんからね。だから協定上の問題としてやはり閣議で一回討議を加えて、もう少し高い次元でこれは解決してもらいたいと思います。それと、その七十六億の債務については、これは国内で手当てをしますね。
  130. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 先ほどのお尋ねの中で、一九七〇年ということがこの問題と関係のあるようなおことばでございましたが、私どもは一九七〇年とこれとは無関係なことだと考えております。ただ、できるだけ早くこういう問題は解決すべきだという点においては、御質問どおりに私ども考えております。ただ国内処理の問題につきましては、まだいろいろ問題も残っておりますのでこの場でお約束はいたしかねます。
  131. 森中守義

    森中守義君 それは、国内処理といいますと、ことしは、さっき申し上げたように電電公社は施設料を大幅に値上げした。来年も二二%上げたい、こう言っているわけです。需用者の側からしますと、こんなものはたえられませんよ。なにも私は、電電公社に金を渡せといっているのじゃない。少なくとも、電信電話の利用者にこういうマイナスの点を、他動的な意味で持っている電電公社が、値上げするのはけしからん。言ってしまうならば、政府全体の責任として公社に欠損を生ぜしめているわけだ。だから国内の処理としては当然じゃないか、こういうわけなんですが、何かいい方法が私は出てくると思う。したがって、四十四年の概計の作業段階等では、この問題が処理できるように、かたがた二国間の解決ができるようなことを閣議がひとつ検討いたしますか。そのくらいの約束はできるでしょう。
  132. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 特に閣議でどうというお話でございますが、当然これは政府の責任でございますので、政府部内でよく検討をした上で、またお答えをしたいと思います。
  133. 森中守義

    森中守義君 どうも官房長官、この辺になると歯切れが悪いね。それは、いままで同じようなことを、どなたの質問にも政府は答えてきているんですよ。いっこうに片づかない。ずいぶん業が煮えるじゃないですか。また、電電公社の利用者の側に立てば、普通の加入者というものには規定によってぴしゃっととめますよ。こういうものにはサービスの提供も依然として継続をする。一体いつ片づくのか、わけがわからん。長期計画をやるには資金調達に困る困るといって、すぐ負担をかける。この辺が一番問題の焦点であり、かつまた、少なくとも国益を失うようなことは安保体制のもとにおいてはしない、こう言うことをしばしば繰り返してきた政府ですから、このくらい現実的に国益を損じている問題を片づけないなんていう、ばかな話はないじゃないか、こう私は言っているわけですが、内容等につきましてはいままでずいぶん長くこの問題は検討してきたことですから、言いませんけれども、要するに、官房長官の責任において何らかの処理をするということは、ここで速記録に残しておいてください。だめですよ、そのくらいのことをしなければ。二十七年から十六年かかっていますよ。こんな長期にわたっている未解決の紛争というものは少ないのじゃないですか。ほかにありますか。
  134. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 私の責任ということもできません。これは当然政府の責任でございますが、できるだけ早い機会に解決をいたしたいと考えます。
  135. 森中守義

    森中守義君 それから例の宇宙開発の問題で、コミュニケに出ていますね、佐藤ジョンソン会談の。これを受けたものだと思うのですが。一月の十七日に駐日大使から政府に技術協定を結ぼう、援助協定を結ぼう、こういう話があったようですが間違いありませんか。
  136. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 間違いありません。
  137. 森中守義

    森中守義君 内容は。
  138. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 内容は、そのときの、私も実は立ち会ったのでございますが、ジョンソン大使の申し入れに従って当分の間公開しない、こういうことになっています。
  139. 森中守義

    森中守義君 どうしてですか。
  140. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) これは協力の内容が公表に適しないという意味ではございません。こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、その当時の状態では、まだアメリカの国内措置と申しますか、議会筋の了解を得ていない段階である、こういうようなことでございました。
  141. 森中守義

    森中守義君 いまの説明ですと、それはアメリカの国内における手続上の問題で公開できない、こう言うのですか。
  142. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) そのように承りました。
  143. 森中守義

    森中守義君 私は、そういう手続上の問題でいま公表できないということであれば話は別ですけれども、朝日新聞がこの問題をずいぶん大きく取り上げて、社説でも指摘しております。その内容は、必ずしも官房長官の言われるようなことではない。何といっても国内唯一の朝日新聞の論説ですから、虚構な論説だと私は思わない。相当以上にこれは信憑性があると思う。その中で——読まれたことありますか、御記憶あるでしょう、何と指摘しているのですか。
  144. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) だいぶ前のことでございますので、部分的にしか記憶はありません。どの点をおさしになっていますか。
  145. 森中守義

    森中守義君 要約して言いますと、大体五点になります。  一つは、日本が開発した星をアメリカのロケットで打ち上げてやってもよい、こういったこと。ジョンソンの文書ではそれが一つ。それから、打ち上げ用のロケットを提供してもよい、こういっている。それから、たとえば誘導制御の技術提供をやってもよい。これは現在日本でできないものですから、したがって、こういったようにかなり広範囲なものを日本に援助する。そのかわりに——これからが問題なんです。第三国に秘密が漏れないために日本政府が秘密の保証をするかというのが問題、きょう私があなたに聞こうというのは、それなんです。そういう内容に違いありませんか。出し得るならば出してもらいたい、その申し入れの文書を。
  146. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 公開しない理由は、先ほど申し上げた理由でございます。それ以外の何ものでもございません。ただ、いま朝日新聞に載りました社説の内容、大体そのとおりと記憶しております。ただ、これは協力の申し入れの内容でございまして、それをわがほうで検討いたしまして、どの程度協力の申し入れに応ずるかどうかは、今後日本政府がきめることでございます。ただ、協力の申し入れがあったからといって、全面的にわがほうがこれに応ずる必要はない、そういう性質のものでございます。
  147. 森中守義

    森中守義君 それはそのとおりでしょう。そのとおりです。そこで、アメリカのいう秘密の保証をするかということが、これから先の大きな問題になりますよ、協定を結ぶ際の。それは後ほど、またお聞きしようと思っているインテルサット及びその背景をなしているコムサット、こういう軍事的な意味合いというものが、コムサットであれ、その発展をしたインテルサットにも付随しているわけですから、その延長としてのわが国の宇宙開発になり、そして星を打ち上げるという段階になりますと、やはり朝日新聞がいっている秘密を保証するかという問題は単なる私は憶測じゃない、こう思うのです。そこで、いま長官の言われるように、わが国にはわが国の立場があるんだから、アメリカの申し入れを全部受け入れるのか、あるいはもっと変わったものにするかというのは、今後の対策でしょうけれども、一体いつの時期にその協定を結ぶつもりですか。つまり星の開発は科学技術庁で約七十億、債務負担行為が二十数億、約百億ですね、あるいは関係の機関等で五十億近くついていますから、いま一般的に星の開発というものは四十三年度内に終了するであろう。打ち上げるという方針を政府は持っているのですから、問題は打ち上げるロケットですからね。そうなると星が完全に開発される段階、すなわち四十三年中にはロケットの問題を片づけなくちゃいかぬ。でき上がった星をアメリカに持っていってNASAか何かで打ち上げてもらうのか、あるいはロケットを買ってきて打ち上げるのか、その辺も大きな問題になるのですが、少なくともアメリカの申し入れによるこの協定というものは、かなり時間的に切迫をしていると、私はこう見ている。したがって、閣議でジョンソンの文書による申し入れを受けて、そろそろ私は検討を加えられているんじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。その一連の問題を説明してください。
  148. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) ジョンソン大使がもたらした協力の申し入れは、まだ閣議で議題にしておりません。これは私のもとで、ごく制限した部数を関係閣僚に配付して検討している、こういう段階でございます。しかしながら、いまおことばの中にありました秘密保持の問題、これは私実は専門的な知識がないものですからはっきりわかりませんが、将来軍事利用とか何とかいう疑惑を生ずるような問題では毛頭ないという印象を受けております。ある意味で商業的秘密といいますか、産業的機密といいますか、技術的機密といいますか、そういう面の保持の保証がなければアメリカとしてもそういう協力ができない、こういう趣旨ではなかったかと思いますが、これは私別に確証をもって申し上げることでないので、私の受けた印象を申し上げたのでございます。したがって、これについての、協力の申し入れについての日本側の受け入れ態勢をいつの時点できめるかという問題は、ただいま国会に御審議願うために出しております宇宙開発委員会、やっとこれで宇宙開発に対する体制が整うのでございますから、その宇宙開発委員会でそういう基本的な問題の重要政策を討議する際に、あわせてこの協力に対して、どういう受け入れ態勢を日本が行なうべきかということも、あわせてその宇宙開発委員会でいろいろ論議される、こういうふうに私は考えております。
  149. 森中守義

    森中守義君 あまり勘ぐっていろいろものを見たくないのですが、その朝日の社説によれば、ロケット技術が少なくともアメリカでは秘密だと、こういうわけです。それが中国に流れていくのが困る。そのために機密保持を保証してくれと、こういっているわけですね。私はそういうように見ているのですよ。それといま一つは、一般的に見られているのは、いま国会でこの種問題がかなり注目をあびている。たとえばFXの問題もそうでしょうし、これも一連の問題として取り上げられて、下手すると秘密保護法をつくるのじゃないかと、こういう心配が相当広い範囲にあります。だから政府としては、国会が終わったところでこの協定を結ぶ、国会開会中は全然この問題には言及しまいという、そういうある種の作為が動いているようにも聞いているのですが、この点はどうですか。
  150. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) そういう作為は全然ございません。いま申し上げるように、やはり宇宙開発委員会の法律案を御審議願って、成立さしていただいた上で、その委員会で当然こういう問題を討議しなければならぬ、そういうタイミングの問題であると私は考えております。
  151. 森中守義

    森中守義君 わかりました。それでは、そのことをこの場において私は信用しておきたい。  それからいま一つ、これはこの前総括のときにだいぶ問題になりました例の事前協議の問題ですが、けさの読売でしたか、在日米空軍が一部韓国へ移った。それでわざわざ五軍のキャンプのスポークスマンかだれかが日本の新聞記者を呼んで談話を発表しておりますよ。一体何を意味したのか、私もその背景がちょっとつかめずにおりますが、最後にオーテック大佐というのが、こういうことを言っているのですね。「配属部隊を解除して動かす場合は、事前協議の必要はないはず」だ、こう言っていますよ。つまり事前協議をのがれるために配属を解除した、こういう意味合いのことがいわれている。いままで衆議院、参議院でこの問題を、私も総括のときにこれを聞きましたけれども、あのときに終始一貫アメリカの善意を期待するとか、アメリカを信頼するということでしたけれども、この記事からいけば、プエブロの事件が起きたその日にすでに第五空軍は三沢からもどこからも、あっちこっちから呼んで韓国に投入したと、こう言っている。投入したが、配属を解除してやったのだから事前協議の対象にならぬ、こういう言い方をしておりますよ。少なくとも在日米軍が動いたということを事実として知っておりましたか。
  152. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 私は、そういう詳しいことは存じませんでした。
  153. 森中守義

    森中守義君 これは大問題ですよ。いいですか。またこれは別な場所で問題にしなくてはなりませんが、いままで政府が繰り返してきた事前協議、それはやっぱり、これによってくずれたと私は見る。事前協議の対象になるべきものを、わざわざ対象にならないように、国内流で言うならば脱法行為、非常に作為をこらして、まっ正面から事前協議に乗せるべきものを乗せないために作為をこらして脱法状態でどんどん持っていく、これはけさの新聞ですよ。どう思いますか。事前協議が守られていると思いますか。
  154. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 私は、実は新聞をまだ見ておりません。配属を変更したから事前協議の対象にならないと書いてありますか。
  155. 森中守義

    森中守義君 配属を解除したと書いてあるのです。
  156. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 配属を解除したから事前協議の対象にならぬというのは、ややそれは正確を欠く表現ではないかと思います。たとえ配属を解除しなくても事前協議の対象にならないような配属の変更ではなかったか、そういうことではなかったかと思います。
  157. 森中守義

    森中守義君 わざわざオーテック大佐が言っているのは、新聞の字づらでは、「配属部隊を解除して動かす場合は」、こう言っている。だから、具体的にどういう態様を言っているのか、それはよくわかりませんが、少なくとも、事前協議の必要はないはずだ、こういう言い方をしておりますから、本来ならば違法なんだ。ただ、どの程度の重要な変更であるかという、その数的なものが出ておりませんがね、出ていないけれども、わざわざこのスポークスマンが言っているところからすると、状態としては事前協議の対象になる、しかし、それをのがれるために配属を解除したのだから対象にならぬ、こういう言い方をしている。ですから、これは官房長官、いまここでこの新聞をとらえて議論するのもどうかと思うけれども、少なくとも在日米軍がプエブロ事件のときに動いたか動かなかったかという問題に対しては、政府は正確な答弁をしておりませんよ、いままで。ところが、これはもう、米側によって動いたという事実が明らかにされた。重要な装備の変更、あるいは兵員の移動、つまり、いうところのジェントルマン・アグリーメント、あれに該当するかどうかという、これは直ちに調査の必要がありはしませんか。
  158. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 先ほどの私のお答えがややまだ正確を欠く点がございました。かりにその司令官ですか……。
  159. 森中守義

    森中守義君 司令官じゃない。スポークスマン。オーテック大佐です。
  160. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) スポークスマンが言ったことばがあるといたしましても、戦闘作戦行動に出動したのでなければ事前協議の対象にはならないということは御承知だと思います。それからもう一つは、部隊がたとえばアメリカから日本へ参りますが、その際でなしに、部隊がアメリカ本土へ帰るとか、他へ移動する場合には対象にならない、こういう点も御承知のとおりでございます。こういうことで、事前協議にそれは該当しなかったのではないか、たとえ解除しなくても。そういうふうに受け取れるのでございます。
  161. 森中守義

    森中守義君 これはあなたそんなことを言われるけれども。この前防衛庁長官もはっきり答えが出なかった。なぜかと言いますと、私もむろん軍事専門家でないのだけれども、一体その命令というのは、ペンタゴンから来るのか、ホワイトハウスから来るのか、少なくとも在日米軍の司令官に来ますよ。あるいは第七艦隊の司令官に来る。そうして命令を受けたのが命令を発するときに、これは戦闘作戦行動に入る。これは、軍隊の指揮系統、命令系統の常識ですよ。それを皆さんは、いや一回ソウルに着陸をして、どこかへ出ていくのは、それは戦闘作戦行動じゃない、事前協議の対象にならぬ、こういう解釈を繰り返しているんですね。そうじゃない。軍事専門家の一致した意見というものは、司令官が命令を受領して、そして移動の命令を発したときに、すでにこれは戦闘作戦行動という態様に入るんだ、こう言っておる。だから、政府がいままで言ってきたのは、これは全部存在しないんですよ。私はそう思う。それと、これによりますと、韓国への戦闘作戦行動だと言っている。単なる予備行動じゃない。プエブロ事件が発生したから直ちに在日米軍は戦闘作戦行動に入った、いまなおそれは増強しつつある、こう言っておる。閣僚室に行って読んでごらんなさい。戦闘作戦行動に直ちに入った、その日から入って、いまなおそのことは増強しつつある、ただし、配属を解除してやったから事前協議の対象にはならないはずだ、こういうような言い方ですよ。
  162. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 韓国では、もちろん戦闘行為は行なわれていないんですけれども、それに対する戦闘作戦行動であろうわけはないんですね。どうも、そのスポークスマンのいろいろな表現が私は不確かだと思いますので、あとで一度調べてみたいと思います。
  163. 森中守義

    森中守義君 これで終わりますが、それは、プエブロのときにエンタープライズが行ったのがデモンストレーションであったのか、抑止力であったのか、戦闘作戦行動であったのかということは、かりにてまえみそに見ましても、控え目に見ましても、抑止対策とは考えられない。それも、やっぱり戦闘作戦行動の一環だという見方が私は正しいと思う。ですから、これはまだ分科会の機会にいろいろお尋ねする機会も官房長官にはあるようですから、そのときまでに十分これは吟味しておいてください。もう一回事前協議をお尋ねいたしましょう。  それから最後に一つ聞いておきますが、最近、官房長官が国会質問のあとで、よく記者会見をされますね。しかも、その記者会見の中では、たとえば総理が国会でこう言ったことだとか、ああ言ったことだとかいうのは大体ああいう意味だ、こういう意味だというふうに、あなたはすべて注釈をつけておる。一体、行政府と立法府の関係はどうなんです。少なくとも国会に責任をになわなければならぬ行政府国会で答えておいて、そのあとで官房長官は、あの答弁はこうだった、ああだったということになれば、国会における答弁というのはどういうことになりますか。私は、この方式はどっかの国をまねしているのかしらぬけれども、もう少し慎重であってもらいたい。いまここに持っているあなたがしゃべったものには、いわゆるジョンソン声明に対する与党及び野党の中にある政府へのいろいろな意見、あるいは国会意見等は当たらないということをここで言っておるわけです。少なくともこれは一つの事例にすぎないけれども国会が終了したあとで、記者会見によって国会の答弁というものを補足しておる、あるいはその理由づけというものを曲げるということは、私は正しい内閣の姿勢じゃないと思いますが、少し用心したほうがよくありませんか。
  164. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) もちろん、国会におけるいろいろな審議の内容については、行政府としてそれにいろいろかってな解釈する、これはもう当然いけないことであります。それは私もそういうことはやっておりません。ただ、総理が発言した内容について、その真意はどうなんだというようなことは当然記者団の方から御質問を受ける。その際に、政府の政策を説明する意味において、実際国民の皆さん方に対して、総理の真意——総理と私は一体でございますから、総理の真意をかれこれ私が曲げることは毛頭ございません。そういう意味において、なお一そう国民の方々に総理の真意をお伝えするのは、当然政府スポークスマンの役目だと思っております。
  165. 森中守義

    森中守義君 まだ官房長官にお尋ねしたいことがたくさんありますが、明日及び明後日、あと二回の分科会におこしいただくようにしておりますから、そこでまたいろいろお尋ねをします。
  166. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 森中君の質疑の途中でございますが、午前の質疑はこの程度にして、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      —————・—————    午後一時四十九分開会
  167. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ただいまから第一分科会を再開いたします。  休憩前に引き続き、内閣及び総理府所管質疑を行ないます。
  168. 森中守義

    森中守義君 先ほど中断いたしました例の沖縄への入域、出域の問題ですが、これはずいぶん問題になりまして、相当の歴史を持っております。しかも現地では、あるいはまた本土におきましても、一体の態勢をとるには、まず渡航の問題からだと、常識的に考えても私はそうだと思う。それであるにかかわらず、一向に改善をされません。しかも先ほど一つの例として申し上げたレミ救済の運動に行こうとした平野さんは入れない、こういう問題があるようですが、先ほどお尋ねいたしました過去五年ぐらいの入域申請をして、あるいは沖縄からの出域申請をして許可されなかったものはどれくらいですか。
  169. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 昭和三十八年には、本土からの渡航者身分証明書発給件数でございますが、四万一千二百五十三件、それから三十九年には四万二千九百十二件、四十年度には四万六千七百八十件、四十一年には六万一千九百四十五件、四十二年はまだできていません。そのうち、本土から沖縄への渡航申請が不許可となった件数、昭和三十八年度四十九件、昭和三十九年度四十八件、四十年度八件、四十一年度十九件、こうなっております。なお、ただいま御指摘がございましたが、本土沖縄との渡航の許可の手続等につきまして、私ども大体二カ月おきぐらいに向こうの公安局長と渡航会議を一昨年から開催することにしておりまして、そこでいろいろ入域の手続の簡素化を、従来まで相当具体的に簡素化をしてまいっております。その端的な例を申し上げますと、二年以前は許可申請を出しましても二カ月以上かかる件数が相当あったわけでございます。なかなか許可になりません。で、最近の例を申し上げますと、昭和四十二年度で見ますと、一週間以内に許可されるものが全体の八二%、一週間から二週間、これが一一%。ですから九三%は二週間以内に許可になっております。二週間以上三週間以内が四・八%、三週間以上二・二%、こうなっておりまして、その他、この手続上の書類の様式その他の簡素化は相当具体的に、項目も減らしましたし、相当簡素化になっておると私ども考えております。なお、沖縄から本土へ渡られる人で不許可になった件は、瀬長さんが不許可になって、最近——去年でございましたか、許可になりましたが、それ以外はほとんどございません。
  170. 森中守義

    森中守義君 東郷局長、先ほどちょっと申し上げましよように、旅券法というのはこれはある程度国際的な共通性を持っているのですね。にもかかわらず、沖縄だけがずいぶん制限が、緩和されてきたとは言われるけれども、なお相当なものですよ。容易に簡単にいかない。したがって、これはもう最低、一般国際的に通用されている旅券法のところまでぐらいは緩和する必要がありはしませんか。少なくとも本土一体ということは、人と人との行き来ということが一番大事だ。そういう点でこれは総務長官、それから外務省、あるいは沖縄との関係は総務長官のようですが、少なくとも自由に行ったり来たりできるような、そういう交渉をやるような意思はありませんか。
  171. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 本土復帰の暁におきましては、日本の国内は日本人としてどこへ行ってもいい、決して制限を加えるようなことはないわけでございます。問題は施政権が返還になりますまでの間における、そこに一番問題があると思うのであります。それから、ただいま特連局長からのお話でお聞きになりましたように、米側といたしましてはこの施政権のあります間におきまする入国管理の問題については、相当過去において制約をしてきたのが、逐次ほぐれてきておるというようなところが現在の段階でございまして、今後われわれといたしましては、本土復帰の大前提として、日本人は日本の国内においてどこでも自由に行けるというこのたてまえなり原則から、一歩でも二歩でも前進いたすように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  172. 森中守義

    森中守義君 それは努力をするということですから信じたいと思いますがね。これと大体同質の問題ですが、沖縄からいま本土以外の外国に行っているような者、たとえばアルゼンチンヘの渡航者もだいぶおりましたね、移住した人。あるいは米英——各国にかなりの人が出ていくのではないかと思うのですがね、その数はわかりますか。何年度にどのくらい海外に沖縄の人が出ていっているか。その際に問題になるのは、一体、外交保護権というのはだれが持つのか。施政権下にあるからアメリカが外交保護するのか。そういった場合に国籍がアメリカでないわけですし、なかなか簡単にいかぬ。また日本が外交保護をするのか。これもずいぶん以前から沖縄の法的な地位にからんで相当国際学者の間では議論がありましたよ。しかし、その議論は議論として、具体的にだれが保護するのか、その辺のことがあまり明確でないようですね、どうですか。
  173. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおりに、沖縄は昔から非常に海外にたくさん渡航されておりまして、ペルーにおります六万人からの日本人の大部分沖縄の方々でありますとか、あるいはまたアルゼンチンをはじめ中米、南米には沖繩の方が非常にたくさん出ておられるのでございますが、まあこういうふうな戦前から戦後にかけまして向こうにおいでになった方々に対しまする日本人としての領事業務、保護は、日本の在外公館が当たってまいっておるのでございます。それからまた戦後におきまして、沖縄の渡航の方々がたくさんございます。このいまの渡航の問題を一昨年ですか、昨年から、日本が渡航業務を扱うということに相なりましたことは、いわゆる日本人という一つのたてまえを貫きました、外交上から申すならば一歩前進であろうと思いますが、後段の戦後におきまする渡航の諸般の問題並びに保護の問題につきましては、外務省のほうからお答えいたします。
  174. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 沖繩人の第三国、海外におります場合のいわゆる外交的保護という問題は、従来、米国が沖繩の施政権者であるというたてまえからして、米国政府がこれをやっておったわけでございます。しかし、そういう時代におきましても、やはり沖繩人は日本人であるということから、わがほうの出先も、事実問題としてアメリカ側の当局と協力して保護に当たるたてまえでございます。しかし、昨年の初めに日米間の話し合いがはっきりいたしまして、海外にある沖繩人の保護の問題は、いま申しましたように、施政権を持っておる米国政府と、日本人であるということから、日本政府と、いわば競合するわけでございますが、一時的の責任を日本政府がこれを引き受けると申しますか、第三国における沖繩人に対する外交的保護は日本政府がこれにあたる。何らかの理由でわがほうの出先がないとか、特殊な場合には、むろん第二次的にその責任の立場にある米国もあたるわけでございますが、いずれにしましても、通常の場合、日本政府の出先がその保護にあたるということになったわけでございます。
  175. 森中守義

    森中守義君 いまのことはいつからですか。
  176. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) その話し合いができましたのが去年の二月だったと思いますが、実際いろいろ出先の連絡その他米国の中の周知徹底というようなことがございまして、実施されたのはたしか五月だったと記憶しております。
  177. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、沖繩の県人が出て行くときには、那覇なら那覇の空港からまっすぐロスに行っても、シスコに行ってもいいというのですね、一体、日本を経由して、たとえば熊本の身寄りのうちに身を寄せて、それから出て行くとか、東京の知り合いのうちに寄って出て行く、そういう手続は要らないのですね。
  178. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) そういう手続は必要ございません。去年の初めまでの手続は、まっすぐ行く場合には、日本政府の旅券というものはとれませんものですから、米国当局の発行した身分証明書を持っていかなきゃならぬ、もし日本政府の旅券を持って行くためには、一度日本に立ち寄って、日本の官憲から旅券をもらっていく、事実上はどちらでも行けたわけでございますが、去年の初めからはまっすぐ行く場合にも日本の旅券を持っていけるということになったわけでございます。いまのお話のように、日本に立ち寄らなければいかぬということはございません。
  179. 森中守義

    森中守義君 それからごく最近、最近といっても三月の二十九日に、米軍の宿舎の中で日本人が殺された事件はお聞きになりましたか、女性が、御婦人が殺された。
  180. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 正式な詳細の報告は受けておりませんけれども、現地の新聞でそういう事実を知ったわけでございます。
  181. 森中守義

    森中守義君 特連があるんでしょう。特連から南連に調査ぐらい、事実はどうかぐらいの照会はしておりませんか。新聞を見て知ったというだけのことですか。
  182. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まあいろいろ沖繩で発生します事象につきましては、定期的に報告があるわけでございますけれども、その件につきましてはまだ報告がきておりません。
  183. 森中守義

    森中守義君 ですから、その定期的な報告に該当する事案であるかどうかという問題ですよ、これは。路上で殺された、そういうことでなくて、米軍の宿舎の中で日本の婦人が殺害をされた事件なんです。これはなるほど捜査権とか警察権は及ばないにしても、日本人が米軍の宿舎の中で殺されたという問題を現地の新聞で見たから知っているというだけでは、これは総理府、済まぬのじゃないですか。
  184. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これはまあいろいろの事案がございますけれども、第一次的にはもちろん流球政府警察の問題でございますから、したがいまして、私どもはそういう事態の進展を見まして、報告を受けて、さらに本土政府として特別な調査なり、あるいは検討なりを必要とする問題につきましては、あらためてそういう詳しい報告を聞くことにしております。
  185. 森中守義

    森中守義君 そうすると、日本人である沖繩の女性が殺されたというのは、しかも場所が米軍の宿舎の中ですよ。異例に近いような事件じゃないですか、米軍の施設の中につとめている人だ。新聞で見て、ただほうっておいていいのですか。私はこういう問題こそ、ほんとうにやはり本土政府が何とかしなくちゃならぬ問題だと思う。いま日米双方の話し合いで、施政権が返っていないことだから手がつかないことはわかっています。わかっているけれども。少なくとも人命の安全保障、沖繩における人命の安全保障は最大の課題じゃありませんか。いまの特連局長説明では承知できない。
  186. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 問題の性質につきましては、先生のおっしゃる趣旨と同じように私ども考えておりますが、しかし、事案自体はやはり琉球警察、琉球政府自体でまず第一次的に対処していただいて、そうしてさらに問題が残れば、これは日本政府としても何らかの対処のしかたを考えなければいかぬ問題、そういう事件が発生した。その事件の認識のしかたにおいては、先生のおっしゃるとおりに私ども考えております。
  187. 森中守義

    森中守義君 だから、手続の問題をいまおっしゃっているようだし、また、精神的なものとしては私の意見と同じだと、こうおっしゃるけれども、事件の発生した場所は米軍の宿舎の中ですよ。施設の中ですよ。しかも、自殺じゃなくて明らかに他殺だということを米軍が発表している。これぐらい重大な国際問題はないじゃないですか。日米間の問題。人一人の生命を奪っておいて、それは手も足も出ないところだから、琉球政府なり、あるいは南連が何とか言ってくるまで待ちましょう、そういうことでは困る。これはもう非常に重大な問題だから総務長官から。
  188. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおりに、琉球の方々はみな日本人でございますが、現在の段階におきましては、潜在主権であり、施政権が向こうにあるわけでございまして、同時にまた、この駐留軍の関係についての琉球政府の対駐留軍とのいろいろな問題も当然御案内のとおりに、捜査権、あるいはまたこれに対する逮捕権というふうなものも制約を受けているような状態でございます。お話しのとおりに、われわれは重大な関心を当然持たなければなりませんけれども、ただいまの、先方に施政権があり、琉球政府の制限せられておりまする警察権におきましては、容易にこの問題が解決しにくいのじゃないかと考えられるのでございます。われわれとしましても、十分な関心は持ち、また、これに対して注目はいたしてまいるつもりでございます。
  189. 森中守義

    森中守義君 総務長官、いま私は施政権、ひいてはそのカテゴリイの中にある捜査権や裁判権の問題を提起しているのじゃないですよ。この種の問題をいま私どもがとらえるべき限界というものは、むしろ政治的に外交的に取り上げる段階でないのか。そうしなければ基本的な施政権の問題等でこの問題を処理しようとしても、現状においては困難であるということは私もよく知っている。しかし、日米間の外交関係が凍結されているわけではないのだから、少なくとも九十五万、百万に近い沖繩県人の人命の安全の保障については、何としてもこれは日本政府は責任がありますよ。ただ重大な関心を持っているということだけでは、私は非常におそれるのは、こういう問題、嘉手納でも一回、米軍に殺害された事件がありましたよ。これで沖繩世論はわき上がったわけです。そうして、そういう事件の発生から自後に移行していく沖繩世論の動向というのは何であるか、ごく一口で言うならば、反米ですよ。反米思想というものが非常に旺盛になっている。そんなことを考えますと、いままでこういう路上で殺されたり、アメリカの兵隊に物を取られたという事件は際限なくあります、幾つもあり得る。しかし、米軍の宿舎の中で日本人が殺害をされたという事件は多くありません。今度だけでしょうね。これは政府はいち早くこういう問題を不問に付している。少なくとも総務長官は知らなかったでしょう。局長だって現地の新聞を読んで知っておりますという程度なんだ。こんなことを沖繩の皆さんが聞いたら何と思いますか。いま本土としてでき得ることは、経済の援助であると同時に沖繩の皆さんの生命の安全と保障じゃないですか。これは本土の最大の責任じゃありませんか。私はそういうように施政権のワクの中にあるからできるできないということではなくて、本土政府として外交が、しかも、友好的に皆さんがやっておられるわけだから、そういう問題から外交上の問題として沖繩県人の沖繩における安全と保障についてはどうしてくれるんだ、こういう事件があったのをどう見るかというくらいのことはジョンソン大使に言うべきですよ。本来ならば、へたすると、非常に不幸な事態が発生するような場合がありますよ、人ひとりの関係で。過去にも二国間あるいは多数国間の中にそういう自国人が殺されたということで戦闘状態に入ったという例はあるんですよ。総務長官、もう少しこういう問題は真剣に考えてくれなきゃ困りますよ。困るし、局長は長官に報告しましたか、そういう問題を。あなた知っていたんでしょう、現地の新聞を見て知っていたんでしょう。長官はあまりその事件の内容等についても知らないようだったけれども、報告しましたか、問題だよ。
  190. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私は現地の新聞で内容を知りましたが、ただ、事件そのものは目下捜査中、調査中でございますので、まだそういう過程でございますので、長官には、たまたま長官も病院におられましたし、まだ詳細は報告はしてございません。
  191. 森中守義

    森中守義君 私は一般的な刑事事犯としていま捜査中であるとか、係争中だから内容は言えませんという、国内における刑事事件の問題に対する国会質問じゃないですよ、これは。それはなるほど捜査権もない、基地の中では。しかし殺害をされた、他殺であった、その場所は米軍の宿舎の中であったということであれば、捜査がどう進展していくかということとは別の問題ですよ。日本人の人命の安全と保障についての、これはやっぱりすみやかに処理すべき問題じゃないですか。捜査とか係争中の問題だからということじゃ済まされない。一般論としましても、こういう具体的な事実があった、基地の中で発生した事件じゃないか、日本人の生命、その安全保障をどうしてくれるのだというくらいのことは、これはアメリカ大使館に言うべきじゃありませんか。
  192. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) その問題の本質はそのとおりでございますが、しかし、いかなるところでも思わざる事件は絶えずあるわけでございます。したがいまして、その当該事件がどういうことで起こり、そうしてその犯人がどういうぐあいに措置されたか、そういう経緯をはっきりつかんで、問題を、具体的にこの対処のしかたを考えるべきで、問題の本質そのものの重要性は私どももよくわかりますが、しかし、起こったからすぐこういう措置をとるというような問題、そういうぐあいには考えるべきでないんじゃないかと、かように考えます。
  193. 森中守義

    森中守義君 どうも少し次元が違いますね。それはなるほどそういうこともいままでしばしば聞いてきましたよ。国会の中でも、たとえば防衛庁の川崎一佐の問題はどうなんだと聞けば、いや、これは告発をして、いま捜査中だから言えない、こう言うのです。しかし、私は何回も申し上げるように、アメリカの基地の中で日本人が殺されたということは、少なくとも日本人の生命の安全の保障がなかったということだから、だから、どういう原因で、だれが殺したのか、その原因を究明せいといっているわけじゃないんですよ。それはアメリカ政府がやることだろうから、そこまでは言わぬけれども、少なくとも九十五万、百万人の沖繩の県人の沖繩における人命、財産の安全の保障というのは日本政府の責任なんです。せめてそのくらいのことはする必要がありますよ。だから、私はその内容を聞かせろというのじゃなくて、アメリカ側に対し、基地内でこういう事件が発生をしている。その保障は一体どうしてくれるのだ。少なくとも二度、三度こういうことがないように、人命の安全と保障については、その要請は当然の責任として言うべきじゃないかと、こう言ってるんだが、通じなければそれはしかたがない。通じないということで沖繩の人もまたそれなりに判断をするだろう、それはしようがない、通じなければ。それは局長よりも長官のほうがいいんじゃないかな。
  194. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 具体的な問題として、ちょっと補足的に先に説明いたしますが、米軍犯罪全体につきましては、従来から、いま御指摘もございましたが、反米感情等の運動にも刺激を与え、利用される、そういう面があるから、特に基地を円滑に維持していく上からも、米軍犯罪の起こらないように善処してもらいたいということは、もう歴代総務長官高等弁務官にお会いになると必ず、まずまっ先に要請されておるわけでございます。それに対しまして米軍高等弁務官も、これも歴代高等弁務官は、やはりそこに一番神経を使って、そういう犯罪等が起こらないように常時いろんな対策を講じておるが、なかなかむずかしい面もある、全く犯罪を起こさぬようにするにはむずかしい面もある。しかし、われわれはそういう犯罪の起こらないように、もう終始気を使っておるということも申しております。そういう面で、一般的に私ども常時、米軍犯罪についても、発生しないように、また発生したものに対しては適正な措置がとられるようにということは絶えず要請してまいっております。
  195. 森中守義

    森中守義君 これはしかし具体的な問題ですからね、いまのはそういうことがないようにという、予防的な話のようだけれども、発生した事実については事実らしくアメリカ側に言うべきじゃないですか。しかし、大体いまのお答えで、しょっちゅう言っているというから、それ以上のことは言いませんがね。ただし、こういう具体的に宿舎の中で殺された、これは見方によると非常に重要な問題ですよ。ですから総務長官、これは一度、あなたの所管のようですが、外務大臣あたりと相談をして、この問題は真相を知らしてほしい。あるいは将来どうしてくれるんだくらいのことの話をするようなわけにはなりませんか。
  196. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これを政治的にどう取り上げていくかという受けとめ方の問題につきましては、なかなかむずかしい問題があろうと思います。だが、本件につきましては、御注意に対しましてもわれわれといたしまして研究さしていただきとうございます。
  197. 森中守義

    森中守義君 それからこれは法案自体の審議もあることだからあまり多くを聞きませんが、NHKが今度沖繩にテレビジョン放送に必要な施設を無償で貸し付けるという法案が出ておりますね。事実を知っていますか、長官。
  198. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 存じておりますし、またその法案も出しております。
  199. 森中守義

    森中守義君 先年、先島に同様の問題がありましたね。問題というよりも、日本政府が譲渡したのがありましたね。政府がやってみたり、NHKがやってみたり、なるほど総ワクとしては沖繩の援助ということでこれは理解いたしますよ。それはけしからぬと、こういうわけじゃないんだから、そこは誤解があっては困りますがね。援助はこれは必要だ。しかし、多元的に、無原則に、無方針に、援助の方式は政府がやってみたり、NHKでやらしてみたりというようなことは、これはどういうもんでしょうか、どう考えますか。
  200. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 先島のテレビ放送施設につきましては、佐藤総理が訪琉されたときに、先島十二万住民の強い熱望があって、そしてとにかくビデオでいいから放送施設をぜひつくってもらいたいということに端を発しまして、約七億円の工事費で完成しまして、これを琉球政府に譲与したわけでございます。そのときは、これは琉球政府は将来沖繩放送協会をつくって、そして本土のNHKのようなものをつくって、そこで引き受けて運営するということでそういう施設を譲与したわけでございます。このときには全く政府としては、公共放送はなかったわけで、ところが今回、郵政省のほうから明年度施設を本島につくって、その設備を譲与するという問題は、これはもうすでに沖繩放送公社が発足しまして、そうして単に先島の放送だけではなくって、全島にまたがって公共放送を始める。そのときには公共放送でございますから、当然、料金をとって、そうして公共放送としての全琉的な放送を始めるということになったわけでございます。そういう態勢になりますと、日本政府がつくって従来どおり譲与するという方式ではなくて、NHKのほうから無償で貸与したほうが、むしろ筋としては合うのではないかという考え方で、琉球政府のほうもこれは料金をとって経営していくんですから、ひとつNHKから貸与してもらいたいという申し出がありまして、それに応じて今回のような措置がとられたものと聞いております。
  201. 森中守義

    森中守義君 総理府もそれではこの点については話し合いに入っているのですか。あるいは総理府もぜひ郵政を通じてNHKにこうやってほしいという申し入れをしたんですか。
  202. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 郵政省のほうから本件につきましてはこういう申し入れがあって、郵政省としてひとつNHKのほうからこういう措置をとらしたいという相談がありまして、私どもとしてもその方針に賛成をいたしておるわけでございます。
  203. 森中守義

    森中守義君 総理府自分のほうで出す金じゃないんだから大いにけっこうだと、こういうわけだな、一口に言えば。これは第三分科会なり法案審議のときにも問題にしなくちゃならぬことですけれども、要するに、援助の方式というのは、政府であろうと、あるいは公共企業であろうと、民間であろうと、できるものはできるだけすべきですよ、しなくちゃならぬ。やるのは筋があると思うんだ。いいですか。問題はそれですよ。それが一つと、NHKはこういうものをやり得るようなことになっていない、放送法は許容していませんよ。だから、わざわざこういう特別立法をしなければならぬ。そういう手続はいいとしましても、協会の財政というのはただじゃないんだから、協会の財政は受信料ですよ。おのおのの契約者が受信料を出して、やれ白黒だ、カラーだという契約を結ぶ際に、こういう援助まで含めて受信料を出しているんじゃない。問題はこの辺ですよ。だから、援助をしなければならぬという精神的なもの、あるいは今日沖繩の置かれている環境の中から発生をする感情的なもの、そういう意味で私は受けとめる。しかし、そのことと方式というのはおのずから別個のものだというふうに考える。だから、私は端的な言い方をすれば、郵政、NHKがそういうことを自発的に総理府に持ち込んできたとするならば、持ち込んできたほうが悪い。悪いと同時に、沖繩のそういう公共的なものへの援助というものは、政府一体でやるのだから、どのくらい金がかかるか知らぬけれども、当然これは総理府がやるべきじゃないですか。私はいやな言い方ですけれども、もしこういうことでNHKがどんどん海外に、沖繩に金を出していくというならば、三百十五円なり四百六十五円なりの受信料というものはちゅうちょせざるを得ませんよ。筋として通らぬのじゃないですか、総理府がやるべきじゃないですか。それで沖繩が返ってきたときに、当然、日本放送協会に吸収さるべきものだろうけれども、そのときに決済をすればいい、そのときに。要するに、NHKの財政というものはそういう沖繩への援助を理解した上で受信料をとっていない。許容してないのですからね。筋が立たない。こういうことですよ。どうですか。これはいまからでもそういう筋の通らぬことをやめて、総理府が金を出したらどうだ。受信料払わないよ。
  204. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御専門の先生から……。
  205. 森中守義

    森中守義君 いや、別に専門ではない。
  206. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) あれでございますけれども、われわれといたしましては、もう少し常識的に考えて、沖繩が近い将来において日本に返ってくる、このいまOHKと申します公共放送は間もなくこれはNHKになりますので、その先立ちみたいな、本土一体化を前提に置いた考え方でわれわれは常識的に判断いたした次第でございますが、また何分どうぞお教えのほどをいただきとうございます。
  207. 森中守義

    森中守義君 長官、せっかくのおことばですが、別に私は専門家じゃないのです。それで、実はNHKは御承知のように政策機関じゃないのだから。政策機関じゃないのですよ。そういうことはやり得ないのだ。それと財政は一体何なのか。こういうことを考えますと、先々返ってくるからいま先行投資しようとか、あるいは潜在的な権利を確保しておこうということは、他に競争相手があるとか、そういうことはないのだから、投資を政府がしておって、それをNHKがいつか将来において吸収するというならばそのときに決済すべきですよ。だから、先行投資だとか、潜在的にとっておくという、そういうものであるような政策機関としてNHKを見るべきではないじゃないですか。これはここにそれこそ専門の郵政の電波局長がおいでのようだが、どう思いますか。
  208. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) ただいま総理府のほうから御説明がありましたとおり、先島に対するまあ政府で援助して五局放送局をつくったというのは、先島地区が民放テレビも全然見えないいわば一つの離島振興対策として、琉球のほうからぜひ日本政府にやってくれ、こういうことでこれにこたえてやったわけでございますが、今回の那覇本島におけるOHKのテレビジョン局の建設につきまして、これを政府のお金でやるか、あるいはNHKのお金でやるかという御議論でございますが、OHKからNHKに対し、あるいは日本政府に対しましての要望といたしましても、NHKの番組をできるだけ沖繩において放送することが今後の沖繩、木土間の一体化をはかる上において必要であるということで、できるだけNHKの放送番組を放送したい。またNHKとしても、先ほどもお話にございましたように、いまのうちからできるだけNHKの番組を十分に沖繩の住民に見せるようにしたい、この両者の意思が合致いたしまして、NHKとしては三億五千万円の経費を予算に計上いたしました。これは計上してございますが、先ほどお話のございましたとおりに、現在の放送法は日本の領土内しか適用されませんので、沖繩にこういった施設をつくるための援助をして、そうして無償貸与をするというためには、どうしても特別立法しなければならないということで、法案を御提出し御審議をお願いしているところでございます。で、NHKの財政の基礎は、申すまでもなく受信料から成り立っているので、この受信料をこういった海外に投資することは不適当ではなかろうかという御意見も含まれていたと存じますが、これも理屈めいて恐縮でございますが、NHKは日本全国に放送の受信ができるように放送を実施すると同時に、国際放送として同胞に対しても慰安を与えなければならない、こういうことがございまして、沖繩は申すまでもなく同胞でございますので、この方たちにNHKの放送を受信させるために、受信料から一部分をさいて投資するということが必ずしも不適当ではない、こういうふうに私ども判断したわけでございます。
  209. 森中守義

    森中守義君 まあその判断は一つの理屈じゃありましょうけれども、筋としてはやはり私は同意しがたい。同時に、沖繩の援助、少なくとも公共的なものは、これは総理府が一体としてやるべきものですから、なるほど先島はこうであった、今回のOHKはこうであったということでは、ちょっとやはり筋論から言ってもおかしいと私は思う。だから、本来ならば特別立法等によってよけいな手間をかけないで済むように、やはり経理府がやるべきものですよ。将来いつまでのことかわからないにしても、やはりできるだけ経理府もよけいに予算をつけて、そういういろいろの要望についてはこたえるという態勢が適当じゃないのでしょうかね。それは決して予算の取り方が少なかったから、NHKにそれをしてもらったということになったとは思わないけれども、しかし、あまり理屈の通った話じゃありませんね。言が多過ぎますよ。非常にどれもこれも本土が総動員体制で沖繩のいろいろめんどうを見ようという気持ちはわかるけれども、しかし、そのことはおのずから整備されたものでないと、ただ、精神的なものであったり、感情的なものでは、これはやはり行政は折り目はくずれるのじゃないかと思うのですね。だが、これはいま法案を審議中のことですから、その機会にまたゆっくりひとつ長官にも聞いてもらうことにしまして、一応この事実については承っておきましょう。  それから例の布令一一六号、これはどういうものですか、沖繩では大問題になっている。
  210. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 布令一一六号は、沖繩の軍労務者の地位を定めた布令でございます。
  211. 森中守義

    森中守義君 内容はどうですか。
  212. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 布令一一六号のこの内容につきましていま問題になっておりますのは、一つは第一種の労務者——第一種から四種までございますが、第一種の軍雇用者については、争議権、団体交渉権及び労働協約の締結権がございません。それから争議権が第一種被用者についてはない。それから聞くところによりますと、第二種の被用者についても、別の規定で、この争議権が禁止されておるようでございます。それからその他重要産業における争議行為につきまして、重要産業という産業の事業の指定のしかたがきわめて広範であるというような問題、それから組合費の徴収のしかたが、本土と違いまして、天引きが禁止されておるとか、その他労働委員会等の実質的な規定は労働委員会が規定してございますが、実質的な活動が何ら行なわれてないというような問題点等が問題になっておるようでございます。
  213. 森中守義

    森中守義君 アメリカのタフト・ハートレー法というのは御存じですか。
  214. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私は、そのタフト・ハートレー法のあることについては聞いたことはございますが、具体的にその内容がどういうぐあいになっているかは詳しくは承知しておりません。
  215. 森中守義

    森中守義君 これが国際労働機関で問題になったことは御存じですか。
  216. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 国際労働機関で正規に議題になったことは、私は承知しておりません。
  217. 森中守義

    森中守義君 いまの国際労働機関というのはILOを言うわけじゃないのですね。国際自由労連というのがあるでしょう、ここのことですよ。
  218. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) もし私の記憶に間違いがございましたら訂正させていただきますが、相当前ですね。たしかもう十年くらい前に、自由労連のほうで、沖繩の労働者の地位について御調査になったことがあるような報告が何か出ておるように聞いております。
  219. 森中守義

    森中守義君 これはごく最近も、日米間の折衝の中にだいぶ出ております。あなたが出られたはずだ、まあ御存じないようだけれども。じゃ、もう少し内容的に聞きますがね。布令一一六号で沖繩の何人くらいの人が適用になっているのでしょう。それとその家族。家族にもこれは該当している、家族もくくっていますよ。
  220. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 軍労務者の正確な数字は知りませんが、大体四万五千人か、その前後ではないかと思っております。
  221. 森中守義

    森中守義君 特連局長、軍の施設に日本人がどのくらいつとめているかくらいのことは把握しておきなさいよ。そういう感覚でおるから、基地内で日本人が殺されても一向に気にしないような状態なんだ。沖繩問題で日本人を保障しているのはあなた方ですよ。肝心な特連局長がそういうことじゃ困る。何年特連局長やっておるのだ。五万人、軍施設の中に働いている人は。十五万人がその家族。したがって、二十万人が布令一一六号の中に置かれている、こういうことですよ。そこで、さっきちょっと言われたように、なるほど団結権は認められているけれども、その余の諸権利というものは全く認められていない。問題はこれですよ。それで、アメリカ側日本側が国内における労働三法を適用したらどうだという話を持ち込んだといういきさつがあります。あなたの前かわからぬ、大竹さんの時代かわからぬが、それを向こうはあまりにも進歩的だと言って断わったわけだ。ですから布令一一六号というのはタフト・ハートレー法を受けている。ところが、このタフト・ハートレー法というのはたいへんなしろものです。で、アメリカでは袋だたきに会っているのです。それはそれでいいとしまして、全く自由がない。何をやろうとしても身動きがとれないというので、現地の基地内につとめている皆さんを初め、ずいぶんこれはもう泣いている。そして問題になるのは、基地内ということは全島をさしておりますよ。あそこの場合は全島が基地と言ってもいいぐらいなものですよ。したがって、この法律、その布令一二八号というもの、ある意味では行政的な、司法的な、そういうものもかなり含んでいるという解釈をしてもいいんじゃないかと私は思うのです。それで、これは琉球政府から言ってきたのか、あるいはその余のほうからかよくわかりませんが、政府で問題になっているでしょう。何回もこういうことは困ると、いま少し一一六号については改正をするとか、制限をゆるめるようにしてほしいということを話しているはずですよ、政府の中で。その結果を私は聞きたい。聞いていますか。
  222. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) この布令一一六号の改正につきましては、米民政府のほうで本国から専門家を呼ばれまして、約一年に近いこの改正についていろいろ検討されてきております。それからまたこの労働組合、軍労関係の幹部の方々とも話し合いを持たれて、ワシントンヘも最近行かれまして、いろいろ陸海その他関係国防省等と話し合いも持たれて帰られたように聞いております。それで、まあ民政府側としてはそういう慎重な検討の結果、近い機会にこれを改正するという意思を持っておられるように思います。私ども日本政府のほうとしましても、この問題につきましては、まあ労働省とも相談をいたしまして、できるだけひとつ労働者の地位が向上する方向で改善してもらいたいという強い期待を持っておるわけでございまして、したがいまして、おそらく近い日米琉諮問委員会等でも、こういう問題も話題になるのではないかと考えます。
  223. 森中守義

    森中守義君 こういうような問題が幾つも幾つもあるのですがね。この布令一一六号というのは、地位の向上という言い方ではちょっとやはり私は適当でないとと思います。もっと深刻ではないかと思うのです。人権ですよ。一一六号によって完全に人権が奪われている。だから、地位の向上というその以前の問題として、人権解放ということがこの一一六号については言えるのではないか。こういうように思いますが、御存じなのかどうなのかしらぬけれども、具体的にこの内容をいま少し特連では検討する必要がありはしませんか。人権が保障されていない、どうですか。
  224. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まあいろいろ見方があろうかと思いますが、この布令の一一六号の問題につきましては、労働省のほうでも、それからまた私のほうでも相互にいろいろ内容は検討いたしております。で、先ほど来申し上げましたように、この布令が改善されるような方向で、将来、場合によっては諮問委員会においても議題になる、あるいは米側も、先ほど申し上げましたように、一年間も検討してきておりますので、したがって、私どもはその改善の方向に期待を持っておるわけでございます。
  225. 森中守義

    森中守義君 そこでその問題を幾つか具体的に提起してきましたが、たとえばいまの一一六号の問題とか、あるいは渡航の問題とか、少なくとも今日から将来にかけて改善をすべき問題はどういう方法によるものですか。すなわち諮問委の議題として提供できるのか、あるいは外交交渉によるのか、どうですか。諮問委は少なくともずいぶんきびしいこれはまた制約を受けていて、単に気休めという感じをしか受けていない。具体的にこういう幾つか幾つかの問題は、どの場所で、どの機関で検討するのですか。
  226. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 先ほどの御質問でもいろいろ話題になりましたが、やはり本土と沖繩との経済上、社会上、その他関連事項についての一体化の諸施策につきましては、諮問委員会が中心になって勧告をし、あるいは助言をしていく、それによって実施をしていくということになりますし、それからまあ純粋に政治的な問題、あるいは施政権等の問題、そういうような問題は、これは正規の外交交渉でやられることになりましょうし、それからまた経済援助だとか、技術援助、あるいはそれに関連をした諮問委員会よりやや高度のいろいろの諸懸案事項日米協議委員会の議題にもされる。あらゆるその方法を講じながら、全体として沖繩と本土との一体化を進めてまいりたい、かように私ども考えております。
  227. 森中守義

    森中守義君 早い機会の諮問委に、それでは予定している議題というものはどういうものでしょう。すでにもう整理されているんじゃないですか。どういうものがありますか。
  228. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まだ議題につきましては、非公式な三代表からのそれぞれの提案がございまして、それが整理されておりませんので、公式に全体につきましてここで発表申し上げる段階ではございませんけれども日本政府側から申しますと、たとえば教員とか、琉大の教授とか、あるいはお医者さんの関係、医学関係の人の本土と沖繩の人事交流をやろうじゃないか。その人事交流の問題とか、あるいはまた琉球政府の会計年度が本土の会計年度と違っておりますし、この会計年度を本土の会計年度に合わせたらどうだろうか、そういう点をひとつ検討して、実施してはどうかと、そういうような問題とか、あるいは教育の制度を本土と同じように、たとえば教育区というようなものが向こうにございますし、そういうものを本土一体化し、沖繩の本土復帰に備えては、やはり沖繩の教育そのものを本土と同じようにすべきじゃないか、そういう問題。それから米側等からは教員の各種の水準を本土に引き上げるための措置、そういうような問題についての提案があります。また、琉球政府側からは、開発金融公社を琉球政府に移管してもらいたいというふうな期待等もありまして、期待が相当出ておりまして、これを整理されておる段階で、逐次この議題について審議をして勧告していくということになるわけでございます。
  229. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ちょっと速記やめて。    〔速記中止〕
  230. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 速記つけて。
  231. 森中守義

    森中守義君 いままで概略触れてきた背景を考えますと、民政府と、こう言っているんだけれども、私はあえて軍政府と言う、制服が弁務官でおるし。だから、どうですか、皆さんが見られた感じで——感じというよりも、事実を中心にして考えた場合、いまの沖繩というのは民政という姿ですか、それとも軍政という姿としてとらうべきですか、どう見ますか。
  232. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 高等弁務官が現役の陸軍中将であるという面では、それは軍人でございますが、しかし、沖繩の民施政態度という面から見ますと、この間も高等弁務官は、自分の職務の大体八割は沖繩の内政の問題に向けられておるという非常に強い関心も示されておったわけですが、そして民政府も、現在における沖繩のいろいろ内政をやっていく上に、極力、琉球政府権限を強化して、できるだけ琉球政府でものを解決さしていくという方向は確かにうかがわれるし、また、そのための措置もとってきておるわけでございまして、したがいまして、まあ私どもの感じを端的に申しますと、軍政というには当たらないんじゃないかというぐあいに考えております。
  233. 森中守義

    森中守義君 なかなか軍政と言い切るにはむずかしい立場でしょうが、私は民政とは見えない。三十六年、私も行ってきましたよ。全島回りましたよ。しかも、その後いろいろ沖繩の皆さんと接触を重ねておりますが、一つも改善されていない。少なくとも民政、すなわち行政ベース、政治ベースで事は運んでいませんね。すべてやっぱり軍政ベースです。ただユニホームを平服に着かえているというだけのことである。ときにはユニホーム着ていますからね。むろん補佐官というのが、あの当時ブランケンシップというのがいたようですが、いまでもいるでしょう。いるけれども、こういう人たちの力というものはほとんど無力にひとしい、率直な言い方をすれば。だから、日本本土向け、あるいは国際社会に向ける一つの擬装されたものとして民政ということを表に出しながら、一枚めくればすべて軍政だ。そのあらわれが布令一一六号であり、国際的にある種の共通性を持っている旅券法を踏まえない入域出域のこういう問題等にもうかがえると思うんですね。だから、私は多少意見になりますが、いま沖繩にある南連が一体何であるかということ、さっき岡田質問にもありましたが、南連なんというのは何にもしてないでしょう。力ないですよ、あんなもの。ただし、われわれが考える特連の出先としてある南連というものは、日本政府機関の、つまり現地における唯一の機関なんだから、通例的に言われている領事事務、あるいはその他の経済あるいは外交、そういう権能等が実は南連に付与されてもいいはずだ、通例の行政ベース、政治ベースとしての民政府であるならば。認めていないでしょう。それを認めないとしたら軍政だということですよ。そういうふうに私は思っているのです。だから、結果的に諮問委にどういう権能を与えているのか、諮問委に供する議題がどういうものであるか、つまり民政か軍政かというその辺によってかなり変わってくるということなんですよ。だから、私は少し言い方が適当でないかわかりませんが、なるほど諮問委ができた、介在をしている幾つかの問題がこの諮問委で片づくだろうという、ある種の期待を概念的には持ちますよ。しかし、具体的に入っていった場合には片づかない。午前中私が本土の中における地位協定の七条と二十四条で片づかぬような、こういう本土においてすらそうなんだから、いわんや軍政がしかれている今日の状態において、諮問委で何を持ち出してもあまり期待を持てないじゃないですか、政府の意向とはだいぶ違うかわかりませんがね。だから、私はそういうことを考えると、よほど力を入れて、もっと沖繩対策というものが、あれもしてやった、これもしてやったという、そういうことじゃ整理できないじゃないかと、こういうように思うのですがね。だから相手のほうがどういう出方をするのか、もちろん琉球日本と同じような立場で、諮問委員会の場合は三者構成というわけだから、あえて琉球ということばを使いますが、二者は一体何なのか。アメリカの関係というものは片づかないというように私は思うのですが、片づける自信がありますか。
  234. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 本土復帰に備えての沖繩と本土との一体化の政策は、この琉球政府全体の機能に及ぶ非常に広範な分野でございます。したがいまして、社会経済その他の関連事項と申しましても非常に広いわけです。問題によりましては、相当実現の困難な事情のあることも、私どもは先生の御指摘されますように、十分予想される問題もあると思います。しかし、政府といたしましては、そういう困難を乗り越えて、なおかつこの一体化を強力に進めていかなければならぬ立場にございますので、近く、来月は政府の調査団も出しまして、一体化施策の総合的な検討も行なう。そして、それを日本政府代表に反映さして、そして強くその方向を打ち出していく。あるいはまた沖繩問題懇談会等でも、いろいろ大局的な立場から一体化施策について御審議を願っておりますので、そういうこともあわせまして、諮問委員会に、私どもは非常に大きな期待を持っておるわけでございます。
  235. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  236. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) それでは速記を始めて。
  237. 森中守義

    森中守義君 総務長官、まあ本来ならば総理、官房長官も必要なんですがね、外務大臣も。いま一通り内容的なものを少しお尋ねしたんですが、さて、いよい本論としての沖繩復帰の問題ですよ。もちろんいまかなりの流動状態にあるわけだが、非常に正確に測定を行なうということはまあ多少無理かわかりませんがね。ベトナムの問題、そしてこれに関連する沖繩の問題、大体ベトナムはどういうように進行すると思いますか。そしてベトナムがいよいよとまった場合、沖繩は核抜きで本土並みに返るという見解をお持ちなのか。つい最近ライシャワーは、前の大使ですね、この人が上院で証言をしたのでは、核抜き本土並みが一番いい、そのかわりに沖繩の基地はグアムに行ったらどうかという意見が出されているんですね。これは何もライシャワー教授のことばをかりなくとも、上院の中にはかなりその意見がある、いままでも。で、あるというのは、かりに中国の核ということを考えた場合にですよ、沖繩を核の吸収地点にしよう、だから、そのためには第二戦線としてのグアムの構築ということが早くから言われていた問題なんです。そうなれば安保条約にもかなり大きな影響をもたらしてきますしね。ライシャワー証言等がどの程度、上院で風雲を巻き起こして、沖繩返還の問題に結びついてくるのか、にわかに即断はできませんけれども、われわれが考える返還の方式はあくまでも核抜き本土並み、まあこういう最低のものを踏まえている。同時に、またグアムに行ってもらいたい、こういうようにまあ考えるんです。それで、本年じゅうぐらいには沖繩返還のある種の構想がまとまって、来年一月の大統領の就任式には総理行くんでしょう、あなたに聞いても無理かもしれぬけれども。しかし、やはり総理の大統領就任式という訪米は一つの転機だと思うんですよ。いま考えておられる沖繩の返還の見通し、もっと範囲を広げて言うならば、アメリカの世界戦略、そのワク内における極東戦略はどうなっていくのか、まあいわゆる政治ベースとしての御高見を拝聴しておきたいと思うんですが。
  238. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 冒頭仰せられましたベトナムの戦局の問題は、一日も早く片づきまするようにこいねがってやみません。  後段の沖繩の問題につきましての基地その他の問題並びに返還の時期等の問題につきましては、私は沖繩の本土復帰、本土との一体化の問題につきまして、これを担当いたしまする責任大臣でございまするが、ひたむきに、一日もすみやかに帰ってまいりまするように、われわれは最善の努力をいたしておる次第でございまして、国際情勢あるいはまた外交上、戦略上のいろいろ極東情勢の判断等に相なりますると、やはりつかさつかさがございますから、私が担当外の者として、たとえ国務大臣といえども、私見をこの場について申し上げることは差し控えなければ相ならぬと、かように考える次第でございます。私は、佐藤・ジョンソン会議によりまして両三年以内に一日もすみやかに沖繩は本土に復帰するものという前提のもとに、それと支障になりまするあらゆる障害を除去し、さらに本土との一体化に向かって一生懸命に努力をいたしつつある次第でございまして、どうぞこれにて御了承のほどをお願いいたします。
  239. 森中守義

    森中守義君 これにて御了承できませんよ。それはなるほど国務大臣だからということで聞いているわけじゃないんですがね、沖繩の所管なんだから。この前から総理が何回も言っておりますように、要するに、本土あるいは沖繩の衆知を集めたい、たとえばいろんな機関がこのごろできましたね。そういうところはそういうところなりに一つの見解を持つであろう。したがって、政府はそういう朝野の意見をまとめて意思をきめたい、こういうことを言っているわけですわね。そこでその沖繩の現地の皆さんの意向、あるいは本土における沖繩への一つの見解というものは、だれよりも一番あなたがお持ちになっていなければいかぬですよ。したがって、そういう沖繩所管の大臣として、それはなるほどベトナム戦争の問題や極東アジア戦略等、聞くのは多少無理かもわかりませんが、それらは抜きにしても、一体、沖繩はどういう状態で返ってくるのが一番望ましいかということは、総理は、来年の大統領就任式への訪米の前ぐらいには当然一つの答えを総理府として出すべきじゃないですか。私はあなたの所管としてどういう方式が一番いいのかと、こう聞いているわけですよ。それなら答えられるじゃないですか。
  240. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 総理もよく答弁されまするように、国民の総意に従いまして一日もすみやかに最も円滑な姿において返ってまいりまするように努力をいたします。
  241. 森中守義

    森中守義君 まあまあそれはそれとしましてね、また機会もありましょうから、少々無理のようだから。  今度科学技術庁が一通り中心のようですが、例の開発委員会の設置法、あれは総務長官の所管ですか。——いいですよ。  科学技術庁局長見えていますね。——じゃ、お尋ねいたしますが。例の七十年に恒久制度に変わりますね、今日のインテルサットが。このことと今日の開発の状態、どうなっていますか。
  242. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいまの宇宙委員会お話が出ましたが、実は現在、私たちのほうで先般まで宇宙審議会がございました。この宇宙審議会の答申に伴って現在考えております観点でまいりますと、四十八年にどうしても静止衛星を上げたいというのが一つございます。その前提になります中高度の衛星、軌道に乗ります衛星、これを四十六年にしたい。そうすると、その四十六年のやつを確実にするためには、四十五年には少なくとも低高度の衛星打ち上げの基礎的な実験衛星を打ち上げてみたいというのが、現在われわれのほうの自主的開発として一番最大限度早くいける形としていま考えております。したがいまして、現在、四十五年度の分につきましての打ち上げは、主として実験を行なって開発を進めておるところでございます。
  243. 森中守義

    森中守義君 星それ自体の開発ということは大体予定どおりにいっていますか。
  244. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 星につきましては、私たちのほうは、実は郵政省のほうで星をやっていただきまして、私たちのほうはその星を打ち上げますロケットを主体として考えておりまして、両者で考えあわせまして、いまの衛星のほうからきました計画と、われわれのほうの技術的にできる可能性と、両方合わせて考えたのが先ほどの考え方でございます。
  245. 森中守義

    森中守義君 郵政は、星は、いま科学技術庁局長が言われたように、四十八年度までに中高度のものを、それから四十三年に一つ予定していましたね、その星の開発は間違いなく完了いたしますか。
  246. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) 将来のことでございますので、間違いなくということを念を押されますと、非常にむずかしいことでございますが、いままでのところ、計画に従いまして、四十五年度までに大体電離層観測衛星を、それから四十六年度までに中高度衛星を、四十八年度までに静止衛星ということを目標にやって進めております。
  247. 森中守義

    森中守義君 調整局長、ちょっとお尋ねいたしますが、ロケットは星と並行して開発できますか。開発されたもので星が上げられますか。
  248. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) わが国としてやはり星だけをどこかで上げてもらうという考え方も一方にはおありになると思います。しかし、私たちは星とロケットを一緒に同時に開発していく、自主的に持っていくのが日本のためではないかという考え方で、現在ロケットと星を相マッチして進める形をとっています。したがいまして、四十五年度に上げますロケットにつきましても、先般、東大でやっております技術を基礎にいたしまして、ただ四十五年にまいりますと、やはりそのタイミングというものを考えてまいりますと、その間に、ある程度の技術導入あるいは技術協力という考え方が他国との間にあり得ると思います。その点につきましては、今度の委員会におきまして、できるだけ最大限度自主的にやってまいりますが、その中でどこの分野が技術協力していくかという点は明らかにさして進めていきたい、こう思っております。
  249. 森中守義

    森中守義君 いま一般的に言われているのでは、星は大体間違いなかろう。しかし、ロケットについては非常に立ちおくれていて、はたして四十三年に上げるのに間に合うのか、あるいは中高度のものに間に合うのか、四十八年のものに間に合うのかというのは、疑問視される向きが多いですね。これは私たちのようにしろうとが言っているのじゃなくて、多くの専門家がそういう意見を持っているようです。そこで、ロケットの開発に費している予算というものは相当膨大なものですね。ですから、運搬がどうなるかという問題はありましょうけれども、郵政のほうで星はできた、ロケットがないという場合に、アメリカが申し入れをしてきたその内容というものが明らかでありませんが、ロケットをアメリカから借り受けて上げるのか、逆に星をアメリカへ持っていって、ケープ・カナベラルかどこかの、例のNASA、あれで上げてもらうというのか。それが持ち込むことが困難であるのか、持っていくのがむずかしいのか、その辺どうですか。私は、しろうと考えだと、無理に立ちおくれたもののロケット開発をしなくても、アメリカにあるのだから、星を持っていって、アメリカで上げてもらったらどうだ、こういう気もするのですが、その点どうですか。日本の技術者としては、なかなかエリートのおそろいだから、そういう、よそに頼もうなんていう気持ちにもなれないような気はわかりますが、どうですか。
  250. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいまのお話でございますが、実はその点、確かにいろいろロケットのほうの技術につきましては、たとえば誘導制御の技術等においておくれをとっているということはよく言われております。したがいまして、先般この十二月に宇宙審議会で答申をいただきますときに、十分、四十五年にその点が、ロケットが間に合うであろうかどうであろうかということを審議会で御検討いただいたわけであります。その中には専門家も入っていただきまして、いまの日本が最大限度うまくやって、四十五年に、われわれはQロケットと言っておりますが、間に合うだろうということをもとにいたしまして現在考えておりまして、向こうに星を持っていって上げるということについては、現在全くいまの方針としては考えておりません。
  251. 森中守義

    森中守義君 そこで、もう帰ってみえたのかどうか知りませんが、野島調査団というのは、ロケットを中心にして、たとえばアメリカあるいはヨーロッパから調達するとか、あるいは借り受けるとか、そういう何か特殊な目的を持った調査団の派遣ですか。
  252. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 今度出ました調査団につきましては、きょうも、先生先ほどおっしゃいましたように、私たちの四十三年にやりますロケットの推進のほうに出ました金だけでも四十億になります。そういう関係から、日本が本格的にこれからロケットの開発を進めるについては、やはり官、学、民が一致して進めなければいけない。そうしますと、その連中が、皆さん一応海外の状況を判断しておくことも必要であるということが、一つの調査団を出した立場でございます。したがって、官庁関係からは関係の各省から約十名、それから民間から一緒に行っていただきました方は、経団連から約八名の推選をいただきまして、その形で今度の十八名の調査団が出まして、主として海外における技術の現状と、それからほかの、フランス、ドイツ、アメリカ等が、各国の技術の交流のあり方というものはどんなふうにやっているかという点の概括を見てくる調査団として出しております。したがいまして、こまかい、技術をどう導入するか、あるいはどういうことを具体的に折衝するかということは、今度の調査団としての主目的ではございません。
  253. 森中守義

    森中守義君 そこで一歩話を進めます。時間がありませんから簡単に申し上げますが、四十八年を目ざしている星というのは、これは実験にとどめるのですか、あるいは実用まで発展するのですか。
  254. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 現在の開発段階といたしまして、それ即そのあと実用衛星になるかもしれませんが、最初の第一号は一応実験衛星として考えております。したがいまして、四十八年に上げますものは静止衛星の初めての、第一の実験衛星、そういう考えであります。
  255. 森中守義

    森中守義君 その開発をやろうということは、実用に供しなければ意味ないわけです。それはよくわかります。ですから、その実用に入った場合に、一体今日のコムサット、それからその発展としてのインテルサットということを抜きにしては考えられない。私は私流の解釈からいけば、おそらく実用段階に入らぬのじゃないか。はたして七 ○年の一月一日に、新しく恒久制度をつくろうという場合に、アメリカは、コムサット、そうしてその発展としてのインテルサットにすべてをかけている。西欧グループは、逆にアメリカのそういう宇宙への独占体制というものを拒んでいるというようなことで、相当紛糾が生じるでしょうね。さて生じた結果どういう妥協的なものになるか、要するにこのインテルサットによれば単一のものといっているわけでしょう、前文にいっていますよ。で、この単一ということが、わが国の上げた星への、はたして使用というもの、実用というものが、どういうかっこうで供されるのか、その辺のことが私は明確にならないと、にわかにいま佐藤ジョンソン会談のコミュニケを受けて、それで宇宙開発だというこの状態は、雰囲気としてはわかりますがね、将来の展望ということにアンサーが与えられていないというように思うのですが、どうですか。
  256. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 星の実用化の、実用そのものの問題、これにつきましては郵政省のほうで考えていただいておりますが、実際にはいま先生のおっしゃいましたように概括しかわかっておりません。したがいまして、私たちは、ただいま法律を出しております委員会でございますから、その委員会で漸次その状況がわかる関係において、からみ合いを見ながら進めていくということが必要かと思います。
  257. 森中守義

    森中守義君 時間がありませんから、またゆっくりお尋ねいたしますが、最後に一つだけ意見を付してお尋ねいたします。  そのことは、すでに確立されている宇宙条約、さらに国連で二回採択になった決議がありますね。少なくとも宇宙衛生というものは平和利用に限りと、こういうものがある。ところが、先ほどから申し上げるように、コムサットがどういう成立の過程を経たのか、インテルサットがどういう経過でできたかということを考えますと、そしていま上がっている星が、いずれもかなり高度な軍事利用を目的にしているということを考えていけば、わが国の宇宙開発のその将来というものは非常に困難が横たわっている。ですから、いまのうちに、恒久制度に移行するときに、日本がどういう態度をとるかということが、私は開発体制の強化の前に、その前提として確立されておらなければいけないんじゃないか、こういうように考える。その基本的なものが示されなければ、ロケットを開発する、あるいは星をつくるんだといってみても、その将来の展望というものが開けないというように思っておりますがね。だから、もっとことばを縮めて言うならば、いよいよ恒久制度をつくろうという場合に、アメリカにくみしたものの考え方で恒久制度の中に入り込んでいくのか、あるいは西欧グループが少なくとも行政協定でいこうというのを変えたわけですからね。だからそういったような背景等を考えれば、やはり西欧グループとある種の緊密な連携をとりながら、コムサット、そしてインテルサットの現状を打破していく、あくまでも平和条約、それから国連の二回の決議というものを踏まえた状態でないとまずいというように思うのです。だから、一体アメリカ側考える宇宙体制をわが国はとるのか、西欧グループの考えるものにくみするのか、あるいは独自のものを考えるか。少なくとも多数国間でこういうものをやる以上、ある種のグループができても私はやむを得ない、またそういうグループの結成によってかなり民主化していくようなことも言えるのじゃないかと思うんです。それが一つ。  それと、今回債務負担行為まで入れて約百億近い金ですね、おそらく来年は相当膨大になるだろう、こういわれているのです。しかもそのことをもう少し広げて解釈すれば、今日わが国の財界あるいは産業界で言われているのは、まず第一次的には防衛産業だ、次にくるものは宇宙産業だと、こういうわけです。したがって、防衛産業に次ぐ宇宙産業というものが、へたするとロケットの開発のための、FXと同じような事件等が発生するおそれなしとしなということを最近ちらほら新聞なり、あるいは週刊誌等で見かけるのですが、よほどこれは用心をしてもらわねばならぬことじゃないかと思いますがね。そういう意味からして、一体開発のための調達体制はどうなるのか。いままでのように無原則な調達の方式じゃまずいと思う。だから調達の方式はどうするかという、その辺の見解も聞かしてもらいたいし、それと、最近星のほうでは連絡協議会というものを解体をして、開発本部というものができたようですね。しかし、それらのものがやっぱり一体とならなきゃ、どうしても最終的な目標に達することができませんので、今回の開発委員会がそれらの推進の役目にほんとうになるものかどうなのか。また、そういうふうな今日の社会の要請にこたえてですね、ある意味では科学技術庁それ自体の体質もいま少し変える必要があるのじゃないかということも考えるのですが、大体要約してこの三点を聞かしてもらいましょう。
  258. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) この初めのお話で、いわば宇宙条約、そういう点から、私たちのほうは、いままでございました審議会の第一号答申にも載っておりますように、自主的に開発し、その場合はすべて平和でやるということが一つです。それから、今度の宇宙条約におきましてもその点ははっきりしております。その範囲内で私たちはロケットの開発を、人工衛星の開発を進めていくという、いまの考えの基本方針はそういう形でございます。それを踏襲いたしまして、今度その開発を法律的に早く進めるために、今度の委員会を強力なものにしていただいたわけでございますが、今度はその委員会がそれを守りながら、今後世界の情勢、日本の技術の段階、そういう点を見ていただきまして、非常に、ほんとうにまあむだのない、ちゃんとした宇宙開発を進めていきたいというのがねらいでございます。  その際に、先ほどのあの調達の問題等は、当然宇宙ロケットをやります場合に、どこの会社にどの部分とか、どこという組み合わせになってまいりますが、そういう場合のいわば各社の組み合わせ等につきましては、現在経団連とわれわれ密接な連携をとりまして、経団連のほうの考え方で、日本の全体の会社がうまく進むという形で考えていきたいというのが、現在の考え方でございます。
  259. 森中守義

    森中守義君 それから、条約批准していませんね、暫定協定は。
  260. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ただいま御指摘の条約と申されますのは、暫定協定として政府間の協定と、それと同時に成立をいたしました事業者間の協定と二つ一緒でございますが、この政府協定につきましては、これは政府間の一種の行政協定として、これを国会で批准をするという手続はとっておりません。それから業者間協定、この業者間と申しましても、日本におきましては国際電信電話株式会社でございますが、外国におきましては国際通信業務を行なう主管庁、つまり政府関係のものが入っておるわけでございますが、それが一種の業者間の事業協定という意味合いのものでございますので、これにつきましても、これも批准とかという手続はとっておらない次第でございます。
  261. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  262. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) それじゃ速記を起こして。  この際、分科担当委員の異動について報告いたします。  本日、岡田宗司君が委員辞任され、その補欠として田中寿美子君が選任されました。     —————————————
  263. 原田立

    原田立君 局長さんお見えになっておりますか。——それでは局長さんお見えになる前に、日本学術会議総務長官のほうの担当のようにお伺いしておりましたので、その点で若干お伺いしたいと思うのです。  日本学術会議性格、組織及び役員の任期等、どのようになっているか、まず最初にお伺いしたい。
  264. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えいたしますが、学術会議は、わが国の科学者の内外に対しまする代表機関といたしまして、科学の向上発達をはかり、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的といたしまする機関でございまして、選挙されました二百十名の科学者を中心といたしまして組織されておる次第でございまして、大体会員は七つの部会に分属されておる次第でございます。  なお、また、学術会議内閣総理大臣の所管でございますが、これはあたかも公取や宮内庁と同じような、独立してその職務を行なっておりまする機構でございまして、その職務は、科学に関しまする重要事項を審議いたし、その実現をはかること並びに科学に関する研究の連絡をはかり、その能率を向上させることでありまして、科学に関しまする諸般の事項について政府諮問を受け、また進んで政府勧告することができるように相なっておるのでございます。また、同時に、国際団体に加入することができるように相なっております。しかし、先ほど申し上げたように、総理府の所管ではございまするが、公取等とともに自主的に独立した運営をいたしておる次第でございます。
  265. 原田立

    原田立君 自主的なものであるということですが、大体総務長官のほうにこの点お伺いしたらいいだろうと、こう思いますので、そのまま続けていきたいと思うのですが、わが国の学術研究体制、このあり方いかんによっては、今後の発展等において大きい問題を課せられると、こう思うのですけれども、わが国の学術研究体制をどのような確立のしかたをしていくのか、現状はどうなっているのか、この点はどうでしょう。
  266. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御質問でございますが、公取や宮内庁同様に、非常に自主的に独立した運営をいたされておりまして、たまたま、予算等の獲得といったような場合に私のほうのルートを通って御要望が出たりなんかいたすのでございますが、ただいまのようなお話は、むしろ科学技術庁なり、あるいはまた文部省なり、そららのほうの、運営の面におきましては、所掌かとも存ずるものでございまして、私のほうといたしましては、それらに何ら容喙もいたしませんし、制肘も加えておらないような次第でございます。
  267. 原田立

    原田立君 そうしますと、私、当面科学技術研究費や何かの配分問題で、もたもたしているその実情を見まして、それでその点で関連してお伺いしたいと思っているのですが、御答弁はいただけませんか。
  268. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま事務局長さんがお見えになりましたが、先生の御指摘の、いまの科学技術関係の研究資金等の問題についての科学技術審議会とのごたごたや、いろいろな問題は、もちろんこれは文部省等の関係でございまして、まあ事務局長がおりますから、お答えできる範囲はお答えいたしまするが、所掌といたしましては、私どものほうの所掌からははずれるわけでございます。
  269. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  270. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 速記を始めて。
  271. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) この問題に関しては、やはり事務局からお話を申し上げるのも一定の限度がございまして、学術会議は御承知のように会議体でございますので、ごく客観的に事務的にお話を申し上げたいと思います。  科学研究費の配分の問題に関しましては、昭和四十二年度、昨年度までは毎年文部省から諮問がございまして、そしてその内容は、第一は、翌年度の科学研究費の概算要求に関する学術会議考え意見というものを出してもらいたい。二番目は、科学研究費配分のための審査委員でございますが、この候補者の推薦を頼んでいるわけです。第三は、科学研究費の配分の基本方針についての意見、この三者をそれぞれ別個に文部省のほうから御依頼がありまして、日本学術会議からそれぞれにつきまして回答をいたして、文部省ではその回答を尊重いたしまして、科学研究費の配分を従来やってきておったわけでございます。ところが、昭和四十二年の十二月一日に、学術審議会の学術振興に関する当面の基本的な施策についての答申というものがございまして、これに基づきまして文部省は昭和四十三年度から、いわゆることしからは、研究費の配分の方法が従来の方法と違いまして、配分のための審査を、第一段階の審査、第二段階の審査と分けまして、両者をあわせて委員全体を推薦してもらう、候補者数が約四百名でございますので、その数を上回る候補者を出してもらいたい、日本学術会議にそういうことで推薦を求めてこられたわけでございます。しかし日本学術会議といたしましては、こういう本年度から変わった審査の方法と申しますか、委員の推薦方法については従来の行き方と違いますので、ことに第二段階の審査委員の最終的決定権を持つのは非常に重要と考えまして、従来どおり順位を付して推薦すべきものと主張してまいったのでございます。しかし、この点はいれられないまま、新しい方針で委員候補者の推薦をしてくれというお話がございましたので、十分に学術会議といたしましては審議をいたしまして、学協会にもいろいろ連絡いたしまして、この新方式によることではどうだろうということ、学協会あたりとも相談する関係がございますので、時間的にも非常に切迫いたしております。したがって、学術会議といたしましては、四十三年は従来の方式でやりたいのだ、こういうことを申し出ておるわけでございまして、文部省は新方式で本年度からやりたいということを、こちらのほうに、学術会議のほうへ申し出てきておる次第でございます。
  272. 原田立

    原田立君 そうすると、今回は新しい体制で、文部省の言うとおりにやったというようなふうなお答えのように思うのですが、文部省の意思に従ったということですが、では、日本学術会議としては、それに対してよろしいと、こういうふうな考え方できているのか、それともいろいろな意見等があるのか、この点はどうなんですか。
  273. 鵜飼肥佐男

    説明員鵜飼肥佐男君) 日本学術会議といたしましては、先ほどの文部省と申し入れました線というものをやはり堅持たいしておりまして、これにつきましては、実は本日でございますが、学協会の方々を会長が呼びまして、いろいろ学協会の意見を聞いてもおります。それからなお、四月の末になりますというと総会等もございまして、今後の処置をどうするかというようなことは、今後学術会議態度を一体どうするかという問題は、今後そこで議論さすべき問題であると思います。
  274. 原田立

    原田立君 長官ちょっとお伺いしたいのですけれども日本学術会議の中に——今度新たに、四十二年九月に学術奨励審議会を発展的に解消して、学術審議会という強力な諮問機関を発足させるということでありますけれども日本学術会議と学術審議会との性格関連性、ある一部の意見では、これはセクト争いではないかと、こういうふうな意見があるのでございますけれども、この点いかがですか。
  275. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは元来、文部省の関係でございますが、独立してれの職務を行なう日本学術会議の立場及びその権限より来たるものは、科学に関する研究についての諸事項にわたる諮問答申し、科学技術の振興をはかるというようなことでございまして、これに対して文部省の学術審議会なり、文部大臣の諮問にこたえて重要なことを審議いたしまする問題とも関連いたしますので、どうも私のほうの所掌ではなくて、運営の問題でございますので、文部大臣のほうからひとつ御答弁をいたすようにしていただきとうございますが、よろしくお願いいたします。
  276. 原田立

    原田立君 たいへんくどくて申しわけないのですが、もう一つ、科学技術研究は、総理府と文部省と科学技術庁と、こう分かれていまやっているわけでありますね。この三者の連絡、連携等はどうなさっておられるのか。いまの長官のお話ですと、ただ私のところは通過するだけだというようなことで、あんまり確としたことがないのですが、その点はっきりしてもらいたいと思います。
  277. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この総理府と文部省と科学技術庁との三部局が連絡を密にいたしてまいりますことにつきましては、これはもちろん、そうなくてはならぬ話でございまするが、御案内のとおりに、総理府は科学技術会議を所管しておりますけれども科学技術庁は科学技術に関しまする行政を総合的に推進いたすことを任務といたしておりまするし、文部省のほうは基礎科学研究充実のための諸施策を講ずることを一つの任務といたしておりまして、私のほうがこれらのあるいは調整機関として、また総理府という一つの立場から、連絡は緊密に保ちまするけれども運営並びに行政的な繰り回しのほうはその両者においてやっていただくといったような姿になっておりまして、予算その他の問題につきましては、私のほうが大蔵省その他のところと連絡をとる、こういうことに相なっております。
  278. 原田立

    原田立君 そこで、だから調整をしていくというところに非常に大きいお役目が総理府には、長官にはおありだろうと、こう私は思うのですよ。それで冒頭にも申し上げたような、現在の学術会議内での研究費の配分問題とかでがたがたしていると、新聞でも、これは日本全体のこういう科学技術振興に対するもう大問題だというふうに言われているわけです。その当事者間でがたがたやっているのを、これは当事者間だけで解決しろといってもなかなかできるものじゃない。長官は、あまり私のほうは関係ないという話ですけれども、その調整の段階になると、そういうようなお役目はたいへん重要になると、こう私思って、しつこいようですけれどもお伺いするのですが、どうですか。
  279. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 冒頭申し上げましたように、公取でございますとか宮内庁でございますとか、こういうふうなものは、私の所管下にはございますけれども、強い独立機関でございまして、その主体性につきましてとやこうという容喙はいたしておりません。ただ予算の問題がたまたま総理府を経由いたしまして出てまいり、われわれも、その予算につきまして努力をいたしますが、まあトンネルを申しますか、獲得したものは右から左に学術会議のほうに回るのでありまして、何らそれに対してそれを調整いたしましたり、制肘いたしましたりするような立場にはございませんことをひとつ御了承いただきとうございます。
  280. 原田立

    原田立君 それでは、ありましつこく聞いてもどうかと思いますので、行管庁長官もお見えいただきましたので、そちらのほうに入りたいと思います。  地方事務官制度ですが、この点について自治省のほうはその解消方を促進したいと言う。行管庁長官としては、どのようにお考えでしょうか。
  281. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 原田さんも御承知のように、この地方事務官制度は、まあ指揮監督権は知事にあって、任命権は中央にあると、それで今日までなかなか解決できなくて、いまでもややこしい問題になっておると思います。行管庁の立場からいいますると、臨調答申、そういうようなものは、大体原則は地方に移したらどうかという立場での答申が行なわれております。それから監理委員会意見も大体そういう方向なんでありまするから、行管の立場はその立場に立っておるわけでございます。したがって、そういう立場でこの問題と取り組んで、なるべく早く解決をしたいと、こういう気持ちであります。
  282. 原田立

    原田立君 なるべく早く解決をしたいということですが、そのなるべくは一体どれくらいかかるのですか。
  283. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 今度の行政改革の三年計画案を進めておりまするが、それが具体化されるのが、期限としては八月一ぱいであります。それでありまするから、八月一ぱいまでの間に解決の目安をつけてみたいと、こういう考えであります。
  284. 原田立

    原田立君 八月ごろまでには、じゃその方向がきまるということですか。
  285. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 方向だけきめたんではつまらないと思うものですから……。
  286. 原田立

    原田立君 そうです。
  287. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 方向だけでなく、ほんとうにはっきりしたものを出してみたい、こういう考えております。原田さんも御承知のように、運輸省、それから厚生省、それから労働省というものは、いろいろな問題があるに違いありませんが、地方に移すということには非常に抵抗を示しております。難色がある。自治省のほうは、原則に立って移せと、こういうことなんでありまして、そのことについて方向を示したなんという程度ではつまらぬだろうと私は考えておりまするから、はっきりしたものを出してみたい。これとこれとは移す、これとこれとは移せないという、はっきりしたものを出してみたい、こういう考えでおりまするから、まだその問題について三大臣と話はしていないのでありますが、労働大臣とも運輸大臣とも、厚生大臣とも話はしておりませんけれども、向こうのほうでいろいろのことを考えておるようでありまするから、こっちの考えと持ち寄って、はっきりした結論を八月一ぱいまでに出したいと、こういう考えであります。
  288. 原田立

    原田立君 たいへん失礼な言い方をして申しわけないのですが、まだ三大臣とも話をしてないと、そういう段階で、行管庁長官は八月までにはっきりしたものを出すと、こういうお考えというように承ったわけですが、だいじょうぶでしょうか。
  289. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) だいじょうぶです。それは、その三大臣が、運輸大臣も厚生大臣も労働大臣も、純然たる政党出身者でありまして、党人でありますから、ぐずぐずしないだろうと私は思っております。その点はだいじょうぶではないだろうか。そして、御心配かもしれませんけれども、だいじょうぶに必ずすると、こういうふうに申し上げておいてよかろうというふうに思います。原田立君 その先ほどのいまの長官のお答えの中でちょっとひっかかるのがあるのです。それは、移せるものは移す、移せないものは移さないと、こういう意味お話があったわけなんですが、それは一体どういうことなんですか。私は、地方事務官制度というのはもうないほうがいい、全廃のほうがいいのじゃないかと、こんなふうな考え方なんですが、長官のお考えでは、移すのもあるだろうけれども、移さないやつもあるのだと、こういうふうな意味にとれるのですが、じゃ具体的に、どれが移せてどれが移せないのか、そういう点の煮詰めはもうおやりでしょうか。
  290. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) そこがこれからの話し合いなんです。行管の立場は、二十年来の懸案を解決すると、その解決の方向は、移すということを大体基本方針として、これと取り組むということなんでありまするけれども、何せ三省相手に話をするのでありまするから、全部が全部移すというわけにはいかないのじゃないかと。そこで徹底した話し合いをしまして、自分たちの気に入るような移し方のほうに方向づけていきたい。しかし、その方向だけきめるのじゃない、ものははっきりしたものを出す。こういうことでありまするから、全部が移せないから、あんまり御期待には沿い得ないかもしれませんけれども、大体御期待に沿うようにやってみたいと、こういう考えなのであります。
  291. 原田立

    原田立君 わかったようなわからぬようなというような感じがするのですけれども、その「当分の間、なお、これを官吏とする。」ということで、いま長官も言われたように、「当分の間、」がとうとう二十年間延びちゃった。だから、ここであいまいな形にしておいたならば、これはまたこれから二十年も三十年も続いてしまうのじゃないか、こうも実は思うのです。長官、はっきりしてもらいたいと思うのですけれどもね。はっきりした態度を、この地方事務官制度に対してどう対処していくのか、あいまいにされないで、お答え願いたいと思います。
  292. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 二十年もかかったということから見ましても、非常に大きな問題であり、困難な問題であることは、原田さんもよく御承知のとおりだと思いまするが、二十年もかかったのだからこの辺で解決していこうじゃないか、こういうふうに私は考えておりまするから、非常にあいまいなものではありまするけれども、そうあいまいではないんです。ただ、話し合いをまだしていないし、その問題と真剣に取り組んでおりませんから、はっきりしたお答えができないというだけのことでありまして、三大臣と取り組みましたならば、そんなに時間はかからないではっきりしたものを打ち出すだけの自信は持っておりますから、どうか、はっきりしないですけれども、はっきりしたようなことにしておいてもらって、どうかその点はそうかなということにしておいてもらったら、非常に幸いだと思っております。どうも、私もこういうものと取り組みますると、私の性格から、投げやりにしたり、それからしばらくの間なんということばの中に隠れたりするということは、私の性質から、きらいなんです。取り組んだならば、私は必ず解決したいというのが私の性格なんですから、その性格を持っておるやつがやっているのだ、こういうことで、もっと大きくその点は割り切ってくださったならば非常に幸いだと思います。決してあいまいにはいたしませんです。
  293. 原田立

    原田立君 それでは、長官のお話を、今後を見させていただく、こんなふうなことになるわけでありますけれども、現在もう十分御承知のように、地方事務官制度についてとかくの難点が非常に多くあげられていること、これはせっかく御承知のとおりだと思うのであります。長官の仰せのように、じゃ八月ごろまでに何らかのはっきりした線が出るということをお伺いして、私は納得ということにしておきたいと思うのですが、長官の性格とかなんとかではなしに、要するに、行管庁長官として、そういう方向づけをはっきりと言明願いたいと思いますが。
  294. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 長官としてあなたにお約束申し上げます。八月までの間に必ずはっきりしたものを確立いたします。だから、まあそういう点で将来を楽しみにしておいていただきたいと思います。
  295. 原田立

    原田立君 じゃ、行管庁長官、けっこうです。  次に、国防会議のことについて若干お伺いしたいと思うのですが、海原さん、あなたは長らく防衛庁におって、今度国防会議事務局長になられたわけでありますが、今後のその抱負なり方針というようなものがおありだったら、お述べいただきたいと思います。
  296. 海原治

    政府委員(海原治君) 国家公務員でございますので、格別抱負というものはございません。上司の御指示を得て誠実に職務をやってまいりたいと考えております。
  297. 原田立

    原田立君 この新聞等によって拝見しているんですが、国防会議事務局が独自で自主防衛あるいは安保問題、ベトナム等につき世論調査を行ない、その結果を国民の前に明らかにする、こういうふうなお考えはないのかどうか。
  298. 海原治

    政府委員(海原治君) そういう考えは持っておりません。
  299. 原田立

    原田立君 去年十二月四日付の毎日新聞に出ている検討事項の中に、これは七項目出されておりますが、議長の指示によるものか、その点はどうですか。
  300. 海原治

    政府委員(海原治君) 当時新聞に出ました事務局としての検討項目は、私どもの部内限りの検討でございまして、議長でございます内閣総理大臣からの指示というものではございません。
  301. 原田立

    原田立君 議長の指示によらず、事務局が自主的にやっているとするならば、検討項目内容から見て、大きな問題点があると私思うのです。憲法上からいっても、あるいは事務局長権限等からいっても、考慮しても、これは非常に大きな問題であり過ぎるのではないか、こう私思うのですが、どうですか。
  302. 海原治

    政府委員(海原治君) 当時の新聞記事をどのようにお読みになっておりますかの点にかかりますが、私どもといたしましては、国防会議がいろいろ国防問題につきましての御検討をなさいます場合に備えまして、事務局におきまして、わが国の国防に関する問題点をいろいろ整理をするということで、事務局限りの検討でございますのでただいま御指摘のような御心配の点には関係はないと、こう考えております。
  303. 原田立

    原田立君 その七項目の中に、五番目のところに、総合国防政策として、「防衛意識の高揚策、教育面における必要な施策、非常時立法、民防衛。」、こういうようなことが新聞に書かれているわけでありますが、この非常時立法の検討の作業状況は、事務局としておやりになっているとすれば、どのくらいまでいかれているのか、あるいはまた、憲法上あるいは現在の世論から見て、ほんとうに立法ができると考えておられるのかどうか。その点はどうです。
  304. 海原治

    政府委員(海原治君) この点は、先般の三矢研究の際にも問題になりまして、その後いろいろの機会に防衛庁から御説明があったことではございますけれども、私どもといたしましては、まず第一義的には、これは防衛庁のほうで御検討になっていることである。同時に、防衛庁限りでは立法化の過程におきましていろいろと関係当局との御相談もございます。そういうような御相談をされる場を事務局として提供してはどうか、こういう考え方を持っておりますので、事務局としても、非常な場合に自衛隊が動きます場合、どのような点が問題になるかということを勉強しておこう、こういうことでございます。格別に一定の時期までの立法化の計画を持っているわけではございません。
  305. 原田立

    原田立君 この非常時立法を研究の対象の七項目の中に入れたということは、これは少し行き過ぎではないのか、こう私は思うのですが、どうですか。
  306. 海原治

    政府委員(海原治君) お断わりいたしますと、新聞記事では対象に七つと書いてございますが、別に七つの項目を特に限定したわけではございません。これは事務局に総計二十一名おりますが、この中でスタッフとしまして、この関係の勉強をできる者が大体十二、三名でございます。それぞれの担当者が勉強する項目を相当列挙いたしました、その中の一つでございます。したがいまして、七項目に限定したものではないということが第一の点でございます。  それから第二は、非常時立法につきましては、いま申し上げたわが国の防衛上どのような点に問題があるかということを事務局としても検討しておくことが必要だと、このように考えて実施をしておりますので、行き過ぎはないと考えております。
  307. 原田立

    原田立君 中間報告を何か最近出されるような話を聞いていますが、それはお出しになるんですか。
  308. 海原治

    政府委員(海原治君) 事務局としまして、このような事項につきましての問題点の整理をいたしますことは、官房長官に私、御報告しております。そのときには、一応ことしの六月ぐらいまでに、一応の検討の結果といいますか、整理の結果がまとまればいいがという気持ちでおりましたが、その後いろいろとやってまいりますと、私どもの能力の関係もございますので、いましばらく時間がかかるかと思います。中間報告ということではございませんで、それぞれの事項につきましての問題点の整理ができましたならば、その整理されましたものにつきまして上司のほうに報告をいたしたい、このように考えております。
  309. 原田立

    原田立君 上司に報告——中間報告みたいなものですね。それが出された後、その後どのような形で国防政策に反映さしていくお考えなのか、この点はどうですか。
  310. 海原治

    政府委員(海原治君) それから先につきましては、これは国防会議の議員をしておられる方々のお考えによるものと思いますので、私は事務局長でございますので、その先のことにつきましては申し上げるわけにはまいりません点を、ひとつ御了承願いたいと思います。
  311. 原田立

    原田立君 基本方針を二年以内に決定するというふうに報道されているんですが、それはそのとおりですか。
  312. 海原治

    政府委員(海原治君) これは、そのようなことではございませんで、ただ問題点の整理がことしの六月ごろまではかかるであろう、問題点を整理しまして個々の問題につきましての対策を検討していけば最小限さらに一年はかかるだろう、一応の問題点の整理並びにこれに対しての対策ということが事務段階でまとまりますにも最小限二年はかかるであろう、こういうことが私どもの当初の見積りでございまして、その辺のところが新聞には二年以内に基本方針という形になったかと存じます。
  313. 原田立

    原田立君 二年というには、いろいろな含みのある二年ということではなしに。実際事務当局として検討するのにそれだけかかると、こういう意味だけですか。
  314. 海原治

    政府委員(海原治君) そういうことでございまして、国防会議の事務局の構成は、御存じのように、各省からの派遣勤務で成立しておりますので、一つの項目につきましては、担当者が勤務しております間に問題の整理をしたいとこう考えておりますので、どうしても一年とか二年とかいうことが一つの基準になります。さらに、二年以内にできれば問題点の整理をしたいと思いましたのは、現在は第三次防衛力整備計画が実施されておりますけれども、引き続きまして第四次防衛力整備計画というものも当然検討される時期もやがて参りますので、それに対しての準備ということもございます。その二つから、大体二年ぐらいの期間というものが一応の目安として考えられた次第でございます。
  315. 原田立

    原田立君 ちょうど、二年というのは、安保改定のその年にもぶつかってくるわけであります。それに間に合わせるよう既定方針を定めて作業していると、こういうことですか。
  316. 海原治

    政府委員(海原治君) 一九七〇年の安保改定の年というように規定される方もおられますが、私どもはそのような考え方をいたしておりません。私どもと申しますのは事務局でございまして、一九七〇年になれば当然に安保が改定されるかどうかということは、これは一に当時の政治情勢によるものでございますので、そのような政治情勢の判断を前提にした検討を行なっているわけではございません。
  317. 原田立

    原田立君 そうすると、現在二年以内にというその検討しているのは、安保には関係ないというような御答弁のように伺うわけですが、この安保と自主防衛の基本方針との関係についてはどうですか。
  318. 海原治

    政府委員(海原治君) これは安保ということをどういうふうにお考えになるかによっておのずから変わってまいるかと思いますが、私どもは直接この安保体制というものとの関連において検討はいたしておりません。御存じのように、国防の基本方針というものがございます。これには現在の日米安全保障体制というものを前提にしてわが国の防衛を考えるということになっておりますので、私どもとしましては、その体制下でのわが国の防衛ということを検討している次第でございます。
  319. 原田立

    原田立君 じゃ、かりに二年後に作業が完成して自主防衛の基本方針ができた場合、国会に提出してその批判を受けるとか、あるいは国民の前に発表して批判を受ける、そういうふうな考えはおありなんですか。
  320. 海原治

    政府委員(海原治君) この点は、そのときにおきます国防会議の御判断になるかと思いますが、私といたしましては、国防というのは当然国民全般の問題でございますから、問題点の所在であるとか、これに対しての対策であるとかいうのは、当然に皆さま方の御審議をいただき、御批判をいただき、御決定になる事項である、このように考えております。
  321. 原田立

    原田立君 ちょっと昔の話になってまいりますけれども、国防会議が発足して十年以上経過して今日に至っているわけですが、その実績等はどうですか。
  322. 海原治

    政府委員(海原治君) 過去の実績ということになりますというと、御存じのように、正式の国防会議と申しますものと、国防会議議員懇談会、この二種類で従来運営してきておりますが、国防会議の議員懇談会も事実上国防会議というものと考えますというと、時々おりおりの防衛問題についての検討をされております。具体的には、国防の基本方針の御決定を得ているとか、あるいは第一次、第二次、第三次の防衛力の整備計画を決定するとか、その間におきまして、若干の装備品についての検討、決定ということが過去の実績でございます。
  323. 原田立

    原田立君 このせっかく事務局でいろいろつくっておられるそのでき上がった基本方針というものが——現在国防会議の議長は総理ですね、総理がもしかわったような場合ですね、その方針が変わると思うのかどうか。また、現在の佐藤総理でなくても、ずっと今後も検討していくことなのかどうか、その点はどうですか。
  324. 海原治

    政府委員(海原治君) 私どもの検討は、あくまで事務段階での整理でございますので、事務段階におきまして整理されましたものが政治レベルでどのようにお取り扱いになるかということは、これはあくまで政治の御判断でございますから、一事務局長でございます私が将来のことを申し上げるのは、これはひとつごかんべん願いたいと思います。
  325. 原田立

    原田立君 この自主防衛体制、このこと自体いま国会でも大きい課題になっておりますし、その中心、かなめに立っている局長に、今後将来の展望を言えといっても、それは無理だろうと思いますけれども、あなたのやっていられる仕事の内容等、これは大きい内容を含んでいると思うんです。そういう意味合いで、きょうは当委員会に来てもらってお聞きしたわけなんですけれども、先ほどの七項目というのは、別に発表したわけじゃないといいますけれども、私は新聞発表でこれを見て申し上げているわけなんですが、野党のわれわれは強いこのことに反対の考え方を実は持っております。それで、議論するのは今後の課題となるであろうと思いますが、ここで局長に先ほどからいろいろと諸般のことをお聞きしておりましたけれども、非常時立法を含めるというその一点について大きい問題として考えております。その非常時立法、それを含めた点については、重ねて、どういうお考えでそれを入れたのか、お聞きいたしておきたいと思います。
  326. 海原治

    政府委員(海原治君) これは、私が防衛庁におりまして政府委員をいたしましたときに、衆参両院の関係委員会で御説明したことでございますので、重ねてここで申し上げてもいいかとも思うのでございますが、たとえば自衛隊が非常時の際に行動いたします際、たとえばある地域を使用したいと思いましても、その土地を強制的に使用する方法はないわけでございます。所有者が使用を承諾しない場合には、現在の公用収用という形しかございませんが、実際に自衛隊が行動します場合にそのような手続をとれるかという点もございますし、さらには、自衛隊の戦車あるいは砲弾等によりまして損害をこうむった場合の補償をどうするかというようなことは、現在の平時を前提といたしました立法等ではこれはまかなえないことは当然だと思います。そのような非常時に際しての自衛隊の行動を容易ならしめるため、自衛隊に与えられました任務を達成するためには、まだまだいろいろと法律制度上不備な点がございます。その不備な点を御審議いただき、自衛隊が法律に定められました任務が達成できるような体制をつくるということは必要ではないかということでございまして、この非常時立法ということばからいろいろとお考えになる方が多うございますが、私ども考えておりますのは、ただいま申しましたように、三自衛隊が有事の際にその任務を達成するために必要な法的な体制というものの整備、これが前提でございまして、現在の自衛隊法及び関係法令におきましてはまだまだ不備な点があることは、これは事実でございます。先般の三矢研究の小委員会のときにおきましても、この点は詳細に御報告いたしてございますので、こういう点が私どもの検討の対象になりますことは当然だと思うわけでございまして、ひとつそのように御了解いただきたいと思います。
  327. 原田立

    原田立君 次に、水のほう。近畿圏の水需要は今後急速に増大することが予想されておるのでありますが、特に淀川下流における新規需要は飛躍的に増大すると、こう思っております。これに対処するためには、琵琶湖の総合開発を主体として、淀川上流あるいは猪名川などの多目的ダムによる開発を積極的に推進すべきである、こう思うのでありますが、特に琵琶湖の開発計画作成についてどの程度まで検討が進んでいるのか、その点お伺いしたい。
  328. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) 近畿圏におきます水需要が近年、また近い将来において非常に飛躍的に増大するであろうという点は、先生御指摘のとおりでございます。ことになかんずく農水——農業用水でございまするが——よりも、産業の一段の発展、あるいは人口の都市ないし都市周辺に対する集中、そういった状況を反映しまして、上水道用水あるいは工業用水の需要が非常に急に増加すると思います。われわれといたしましても、つとに淀川の水系をいわゆる水資源開発促進法並びに水資源開発公団法に基づきまする指定水系にいたしまして、ただいま先生からもお話に出ましたような高山のダム、あるいは青蓮寺ダム、宇陀川のダム、また大阪市内にございます長柄可動ぜき等の諸施設を計画し、あるいは工事しまして、その需要をまかないたいと思っております。なお、本年度からは、兵庫県の猪名川につきまして一庫のダムも予算が計上されまして実地調査の段階に入ってくる、こういうことになっておりますが、急速なこういう水需要に対応するためには、どうしてもやはり、昔から問題になっておりましたように、琵琶湖の水資源の適正な利用、開発ということが必要かと思います。この点につきましては、多年の問題でございまして、建設省並びに農林省と各関係省はじめ、また水の需要源である大阪その他兵庫県等が滋賀県の御当局等と鋭意協議を重ねてまいったというのが実情だろうかと思いますが、それが最近に至りまして、本年度の予算に一億数千万円の予算が計上せられまして、いよいよ本格的な調査が行なわれることになったということは、もう先生御承知のことかと思います。湖の開発につきましては、昔からその影響するところが非常に大きいものですから、周辺の農業はもちろんでございますけれども、漁業あるいは関連地域開発等についての影響というのが非常に大きい。そういう意味で、本件の取り扱い方、今後の進め方ということにつきましては、急速な需要に応ずるために至急促進しなければいかぬとともに、淀川水系の全地域住民の方々の総意を、協力と協調を得なければならぬ、こういうような方向で、ぜひなるべく早い機会にこれが本格的に進展することを希望し、またそのためにわれわれといたしても努力しにゃいかぬ、こう思っておるわけでございます。
  329. 原田立

    原田立君 開発計画に対する結論がいつごろまで出せるのか、——計画作成についていまいろいろ苦労の話があったわけでありますが、結論はいつごろまで出せるのか、あるいはまたこの淀川水系は三十七年八月十七日に水資源開発基本計画が閣議決定されているにもかかわらず結論を出すに至っていないというのは一体どういうふうなわけなのか、その点をお聞かせいただきたい。
  330. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) この淀川の水系が指定されましたにかかわらずその結論が出ていないという先生のお話でございましたが、それは需給の数字が必ずしも確定していないという御指摘じゃないかと思います。おっしゃるとおりでございます。そういう意味では、そのとおりでございます。これは、水系を指定いたしました際、水資源の開発を需給全体に見合わせまして種々の検討がなされたわけでございまするが、供給面の琵琶湖問題というのが、関係地域住民の方々の総意をもって御支援を得るまでに至っておりませなんだために、具体的な計数をあげるに至らなかった、こういう状況でございます。しかし、いよいよ、先ほど申し上げた一億三千万円でございますか、予算を計上し得る段階となっておるわけでございますから、これは有効にその予算を活用しまして、近畿地方全体の住民の方々の御納得いくような線で一日も早く数字が入った計画を得たい、かように考えておるわけでございます。詳細は建設省のほうですから、そちらのほうで御腐心なさっておると思いますけれども、私どものほうはそう考えております。
  331. 原田立

    原田立君 あまり時間がありませんので、まだ水の問題については二、三お伺いしたいと思っておりましたが、きょうはこれで水の問題は終わりにしたいと思います。  最後に、交通事故問題ですが、宮崎さんにも来てもらっておりますし、一番新しい状況における交通事故、すなわち死者何名、負傷者何名、それは前年度に比べてみてどのくらいの増加を示しているのか、その点を簡単に御説明を願いたい。
  332. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) ただいまの御質問、本年の事故でございますが、三月末までの集計しか出ておりませんが、三月末までの本年の交通事故の概数を申し上げますと、件数が四万九千五十二件、これは対前年の同期に比べまして二五・七%増でございます。それから交通事故によります死者数が千百十四名、これ同じく前年同期に比べまして七・九%増でございます。負傷者が六万二千十人、同じく対前年に比べまして三〇・四%増、こういうことに相なっております。
  333. 原田立

    原田立君 対前年の面でいくと、死者は七・九%増、それから負傷者については三〇・四%増、たいへんな数字ですね。それで、交通安全の立場から反則金制度等もしかれて、それからあがる収益によって信号機やあるいはいろいろな諸施設をつくっておりますけれども、その信号機をつくるにあたって——その点一つだけにしほりたいと思うのですが、信号機は現在どのくらいできていて、今後どのくらいのまだやらなければならないのが残っているのか、その点はどうですか。
  334. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) 信号機でございますが、御承知のように、交通安全施設等整備事業三カ年計画で現在鋭意実施中でございまして、現在の時点におきましてどれだけできているかというちょっと詳細なデータはございませんが、この三カ年計画が完成いたしますと、つまり来年の三月末までにはどれだけ整備できるかという数字を申し上げますと、信号機いろいろございますが、簡単に申しますと、一番簡単なもの……。
  335. 原田立

    原田立君 全部ひっくるめて。
  336. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) ひっくるめまして、大体七千基くらいが整備される予定でございます。
  337. 原田立

    原田立君 調査室長、私実はこういうことを聞いておるのです。信号機を早くつくってもらいたい。ところが予算がない。そのために、一基百五十万とか二百万かかる、そうして予算は百二十万か百三十万くらいで、あとは地元負担ですね。地元負担と言えばていさいはいいのですけれども、寄付ですよ、割り当て寄付ですよ。これはあちらこちらであって、たいへん難儀をしているということを聞いておるのです。そういうことはあってはならないのじゃないか。政府自身が交通安全計画をもっと推進していく面においても、寄付の割り当て等はあってはならない、こう私思うのですけれども、この点実際どうですか。
  338. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) この点は、本来ならば警察庁がお答えするのが筋じゃないかと思うのでございますが、実は私も数年前に警察庁におりまして交通担当の課長をやっておりまして、そのときの経験から照らしましても、御指摘のような事実がございました。しかし、当時は、私たちの努力も足りなかったせいもございますが、信号機に関する予算が限定されておりまして、そのために、やむを得ない処置として、民間の御希望に沿った御寄付などをいただいたこともございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、交通安全施設等整備事業三カ年計画が進捗いたしておりまして、予算もある程度ついておりますので、今後はそういうケースはだんだんなくなるものと考えております。
  339. 原田立

    原田立君 だんだんなくなるというけれども、実際あちこちで聞いております。そういうことは、ひとつ何らかの指導できちっと全国通達くらい出してもらいたいと思うのですが、どうでしょう。それは、なぜこんなことを言うかというと、そこに信号機がほしいことはもう確かだ、はっきりしているのです。ところが、その金が足りないというので、寄付割り当てがくると、実際に生活が苦しい人等も、お金を、そんな寄付なんか出す柄じゃないのですけれども、まあ隣近所の人から言われる、そうするといやでも出さなければならないという、そういう不満が出てくるわけです。地元受益者が負担するのだというようなことになれば、あたりまえだというふうにお考えになるかもしらぬけれども、それでは圧迫し過ぎると思うのですね。だから、もっとお金がある人が出すのは、これは幾らでもかまわないと思うのですけれども、ない人なんかにとっては、必要なことはわかるけれども、寄付なんか割り当てられてはたいへん困るということなんです。ですから、そういうようなことはないようにしてもらいたいと思うのです。だから、何らかのきちっとした通達を出すかどうか、そこら辺はそちらで御研究願うとして、そういうような傾向はなくしてもらいたい。そしてあわせて、もっともっと、交通安全の立場からいって、信号機の整備等にはもっと重点的に力を入れるべきだと、こう思うのですが、どうですか。
  340. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) 先ほどお答えいたしましたように、ごく最近の具体的な事例は、私は実は存じておりません。ただ、政府考え方といたしましては、こういう交通安全施設整備事業を行なっている際でございますので、そういう民間の方から寄付を受けて安全施設を設置するということはなるべくしない、すべきでないと思いますし、また、先生御承知のように、本年の七月からは交通反則金によります特別交付金が都道府県、市町村にも渡りまして、これがいまの交通安全施設の整備に充当されることになりますので、そういう面からも、そういうケースはなくなるものと考えております。この点につきましては、さっそく警察庁ともよく打ち合わせまして、御趣旨に沿うように善処いたしたいと考えます。
  341. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 分科担当委員の異動について報告いたします。  本日、森中守義君が委員辞任され、その補欠として戸田菊雄君が選任されました。
  342. 田中寿美子

    田中寿美子君 総務長官おからだが悪いようですから、おかけになったままで、私もかけたままで質問いたします。  私は沖縄経済問題にしぼって御質問したいと思っているのですけれども、これまで沖縄の問題については防衛とか安全保障の立場からずいぶん議論されてきたと思うのです。沖縄の現地に参りますと復帰の全く熱に打たれるわけなんでして、そして復帰運動も非常に盛り上がっておりますし、また本土でも返還の運動はずいぶん盛り上がっていると思うのです。佐藤総理が両三年内に返還のめどをつけるというような発言をなさっていらっしゃるわけなんですけれども、あの沖縄の置かれている状況からしますと、アメリカの軍事基地にほとんど全面的にその収入をたよっているような、そういう状況の中で復帰を実現させるためには、経済対策がなければ不可能だと思うのです。それで、総務長官のあいさつの中に——これは沖縄特別委員会ですが、日本施政権が返還される際の摩擦を最小限にするため沖縄住民とその制度の本土との一体化を進めるというふうにあるのですね。摩擦を最小限度にするという考え方なんですが、どうも私は経済一体化考え方の基本方針がどこにあるのかということを疑うのです。一体どこにそれがあるのか。つまり、アメリカの軍事基地としての価値を優先させて、それに合わせた経済一体化を進めようとしているんではないか。つまり、基地つきで経済一体化の政策を打ち出そうとしているか、基地なしの政策を立てていらっしゃるのか。両三年中といいますと、もうその政策は日程にのぼっていなければならないんですね。ですから、経済一体化の基本方針はどういうところにあるのかということをお聞かせ願いたいんです。
  343. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えをいたします。  お説のとおりに、ちょうど貿易じりが赤字になっております程度のものが、それと見合う程度のものが基地経済から散布されておるということをよく言われます。まあ沖縄経済に対しまして基地から間接に散布されてまいりまする資金量というものが一億五千万ドルとか二億ドルとかと言われるのでございますが、それがちょうど、貿易が非常に片貿易でございまして赤字を出しておる、それをちょうど補てんするような姿になっておるのが今日の沖縄経済の実態でございます。そういう点では、われわれは、経済構造から申しまして、非常に不安定と申しますか、健全ではないと、かように考えておるのでございます。そこで、われわれが本土一体化ということを特に進めてまいりまする上におきましては、一方におきまして行政機構等々、すなわち内地の相当県、相当町・村、こういうふうなものに比べまして沖縄の地方自治体財政がレベルが低い——あるいは六五%と言われており、また本年度の百五十三億の予算からいたしますると約これが七割程度までレベルアップできると心得ておりますのですが、そういうふうな自治体財政に対しまする分は、いわゆる政府援助資金——日政援助なり、あるいはまたアメリカの援助、こういうふうなもので自治体のレベルアップをはかってまいらなくちゃならぬ。他方、沖縄全体の産業経済の振興という点につきましては、特にわれわれは、沖縄の基幹産業でありますパイナップルあるいは砂糖工業、これらについて非常に手厚い保護を与えておるのでございますが、さらに、それだけではなく、あるいは畜力の導入によりまする畜産振興でありますとか、その他各種の産業の導入強化をはかってまいらなくちゃならない。こういうふうな産業政策と相並行いたしまして沖縄を一日もすみやかに健全な姿に構造改善してまいらなくちゃならない、かように考えておるのでございます。
  344. 田中寿美子

    田中寿美子君 ただいまの説明は、いままで言われていることそのままなんですけれども、私がお尋ねしたのは、そのような計画というのは、その軍事基地としての価値でいまの沖縄経済をはかって、そしてそのままで経済をレベルアップしていくということに考えられるわけなんですね。それで、基地をそのままにして、アメリカの基地の価値をまず優先させて、そのままでレベルアップしていこう、こういうことなんですか、それとも基地がなくなる日を予想して、そして根本的な計画を立てていらっしゃるのですか、その点がお聞きしたかったわけです。
  345. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それは、われわれ産業政策を扱いまする者といたしましては、基地を前提といたしましたといったような、現状にとどまるべきものではないのであります。たとえ基地がなくとも、沖縄が堂々とりっぱに産業経済の建設ができるように、われわれは鋭意努力をいたしてまいる所存でございます。
  346. 田中寿美子

    田中寿美子君 それであればですね、いまおっしゃったような程度では、とても私は沖繩の経済一体化できるとは考えられないのでございます。さっき貿易じりの赤字程度を基地収入で補っているというふうに言われたのですけれども、そういうことだけでなくて、産業の構造から見ますと、第三次産業からの収入が七〇・六%——直接軍雇用だけでなくて間接もあるし、それからそれに付随してすべての収入が基地に負っている。そういう状況で、いま言われた程度のことを少しずつやりながら、いざ基地がなくなったときに転換できるかどうか。それだから非常な心配を沖縄の人たちがしているわけなんです。本土にまかせていて米軍がいなくなったら自分たちは食えるのか、そういう不信感があるわけですね。それで、いまおっしゃった自治体への財政の援助という形で、まあ日本政府の援助来年度百五十三億、本土の相当県に、まあ類似県とよく言われますが——に出す地方交付税相当のものを援助していくというようなことで足りるというふうにお考えになったら、私は非常にこれは間違いじゃないかと思うのです。いかがですか。
  347. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 非常にありがたい御質問でございまして、私どもそのことが実は一番心配をいたしておるのでございます。で、沖縄が両三年の間に返還というような場合におきましては、少しオーバーな言い方かもしれませんけれども、内地相当県の自治体の体制を形成いたしまするためにも、まあ少なくとも二百億ぐらいの資金量というものは必要でございましょう。それからまた、いまお話しの産業経済の問題も、さようなことから、特に沖縄が第二次産業をもっともっと振興助長しなければならないというふうなことで、従来私の前任者などがフリーゾーンの問題をいろいろと努力をいたしてまいりましたり、あるいはまた松岡主席がいろいろとその問題について努力をいたしてまいりましたりいたしておるのでございます。問題は、沖縄というものの産業の振興というためには、ぜひともなくてはならないのは資金でございまして、土着資本の非常に少ない沖縄経済の建設のためには、やはりどこからか資金を持ってこなければならない。そのためには、われわれは、まずもって日本側がこれに対してほんとうに心からなる協力と支援とを惜しまない態勢をつくらなければならないと思うのでございます。そういう点で、沖縄の産業建設のためには、よく申しますけれども日本人全体、日本の産業機構全体で沖縄に対して愛情を持って包んであげていかなければならないのじゃないか。さような意味から申しまして、それをただ単に思いつきでやっちゃだめだ。やはり計画的な一定の方針のもとにやらなければならない。そういう点で、諮問委員会並びに琉球政府等も特に調査団を日本政府に派遣することを要望いたしております。あるいはまた、先般も日本琉球とのおのおのの民間経済の五団体が懇談会を持ちまして、そうして沖縄経済の振興のためにこれから真剣に協力もし取り組もうというような産業振興懇談会というふうなものが、これは数年前から発足いたしておりますが、いよいよ本格的に沖縄に調査団が参ろう——これは役所じゃございませんて、民間の各種実業人が現地調査に参ろうというようなふうになりましたことも非常にわれわれは喜んでおるような次第でございます。
  348. 田中寿美子

    田中寿美子君 いま沖縄に対する経済対策というものが私は非常におくれていたと思うのです。ちょうど昨年、私九月に参りましたころ、宮城島にアメリカのガルフ石油のコーポレーションの利権があそこで許可されたわけなんですね。そうして着々とアメリカの資本が入ってきつつある状況なんです。基地を取り払う日が来ても、アメリカ経済基地になるのではないかという感じがして、あのとき本土政府及び本土側の企業はどう考えているのかということを私は非常に心配して帰ってきたんですけれども、いまそれでは本土沖縄経済一体化についての具体的な日程のようなもの、計画というのは、政府にはどういうものがございますか。
  349. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) まず当面の問題といたしましては、御承知の民政府琉球政府が大来君のほうにお願いいたしまして、いわゆる一体化に伴いまする産業振興の根本的な計画調査を依頼いたしております。それからまた、琉球政府単独でもこの一体化促進のための研究会を持っております。それから、ただいま申し上げましたような商工会議所、経団連、同友会、それから日経連といったような民間五団体、これは琉球側もそうでございますが、民間同士がこれまた懇話会という主体のもとに根本的な調査をやろうといたしております。それとあわせまして、われわれは本土との一体化のために琉球政府の依頼のもとに諮問委員会を通じまして、日本政府に対して根本的な一体化促進のための調査団を派遣してもらいたいという要請を受けておる次第でございます。これは来月まず中間的にどういうふうな方向でやったらいいかという打合会をいたしまして、一日も早く派遣する予定でございます。  それからまたもう一つ、総理の諮問機関であります大浜委員会におきましても、御承知のとおり、一体化のための研究をいたしておりますから、そういう点では一体化の研究資料等々には事欠かないのでございますけれども、これを役所の機構、行政機構をいかに調整し、いかにスムーズにやっていくかということになりますと、どうしても官庁を中心とした相当大がかりな調査団を派遣しなければならない。それがただいま申しました琉球政府からの要請に基づく調査団の派遣でございます。これは架空のいろいろな、何といいますか、ただ単に思いつきや何かで言うのじゃなくて、現実に一体化のための基幹計画、あるいはまた段階的な一体化の計画を本式に取り組んでまいる予定でございます。
  350. 田中寿美子

    田中寿美子君 それは非常に急がなければならないと思いますと同時に、相当ほんとうに大がかりにやらなければならないだろうと思うんです。たとえば、一例ですけれども、これにも本土と同じような社会保障、福祉政策も適用するというようなことが書いてありますけれども、たとえば母子福祉法も適用するなんと書いてありますけれども、母子家庭の数すら把握されていないんですね。いま、だから全面的に調査をやらない限り、対策の立てようがないんじゃないか。それを急がなければならないし、一つは、大来調査団のアメリカの民政府の依頼でやられたのも相当詳細な報告書があるようですが、これは内容は私どもにはもらうことができませんので、大約を沖縄タイムスで読んだんですけれども、これなんかの考え方ですね、やはり相当アメリカの資本が出てくるための計画に役立つような結果が出ておるのじゃないかというような気がするわけです。それをどう考えるかという問題がありますけれども、その前に、さっきおっしゃいました、本土で言えば地方交付税ですね、日本政府援助額、それは二百億くらいが来年あたりは必要ではないかという御発言がありましたけれども、ちょうど私どもが松岡主席に会ったときも、本土の類似県並みなら三年間くらいの間に二百億くらいまで援助をふやしてほしいんだという話がありましたですが、私はそんなことで類似県並みになるとは思えないんです。日本政府本土政府が援助を始めたのはわずか数年前からですね。それまでの間全くほったらかしてありましたので、非常にいろいろな面のおくれが出ておりますから、それをカバーするために、あるいは基地がなくなったときのことを考えても、いろいろなことが必要でございますから、それを考えますと、私たちの計算では、たとえば佐賀県を類似県と考えて、佐賀県並みになるのには、七、八百億は来年あたりは要るのではないかというふうに考えたくらいなんです。ですから、地方交付税を、ちょうど人口とか規模からいって、本土の類似県並みに出せばそれでだいじょうぶだというふうには私は考えられないんですけれども、いかがですか。
  351. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それはちょっとお話のこまが違うと私は思うのでございますが、七、八百億程度出せばよろしいなんというような少ない金ではどてもだめだと私は思う。というのは、いま相当県、類似県に対しまする比較を申しましたのは、すでにでき上がっております内地の相当県に対して、あるいはまた町村に対して、その交付税でありますとか、あるいはまた補助金というものが同じレベルになりますのに二百億くらい必要とするということを、地方自治体に対する援助額として申しております。ところが、後段お話しになりました分は、佐賀県なりなんなりというのは、これはもう長年の産業経済の基盤というものがあって、膨大な資金的なそこには蓄積があるわけでございますから、だから、そのいまの単位町村がそれだけのあれで同じレベルになります。しかし、いまお話しのような蓄積というものを念頭に入れました場合におきましては、これはたいへんなことになるのでございまして、そういうことからいいまして、沖縄が内地相当の県と同じような蓄積を持ち、同じような産業構造として動いてまいりますためには、これはまたばく大な資本というもの、資金というものがその氷山の陰になくちゃならないわけです。それが非常に実は枯渇いたしておるわけです。それで、そのために先ほど申しましたように、結局、まあ自己資本というものがないのでございますから、どこからか資本を持ってこなければならない。それが松岡主席あたりが非常に苦慮したり、あるいはまた私の前任の総務長官あたりが歴代苦慮いたしたのはそこでございます。  そこで、いまのどっからか資本が入らなければ産業の振興ができない。それをまず、われわれは、何といいましても、日本がやってあげなければなりませんが、それは政府資金でできることではございません。これはやっぱり民間の企業体が自主的にどんどんとやらなくちゃならない。とてもそれは政府の命令や政府のあれでできることではない。そのときに、いまの民間が自主的にどんどんと投資をし、進出をいたすような経済基盤、経済条件というものが沖縄にそろうかそろわないか、これまた非常にむずかしい問題でございます。
  352. 田中寿美子

    田中寿美子君 いまおっしゃったこと、私も同感で、つまり地方交付税が類似県並みに出たらそれでよろしいという考え方では困るという意味なのでございます。長い間荒廃させられた、そしてあるいは基地をなくした場合に、それを再建しなければならないための費用というのは、非常なものだと思います。  ところで、現在のアメリカ及び日本政府の援助額ですけれども、この援助費はひもつきなんですね。非常にこまかく項目がきめられております。これは今度の地方交付税でしたら、その使途を制約しちゃいけないことになっておりますけれども、ところが、いまの沖縄の財政援助というのは、ほんとうにこまかい細目まで金額がきめられておりまして、ほとんど身動きもならないわけですね。ですから、現地に参りますと、これはたとえば私は那覇の郊外にあります北谷という村に行きましたけれども、そこの村長さんが言っておりましたけれども、軍用道路に畑の一部が取られてしまって、それに補償することもできない。つまり自治権がほとんどないような状況にある。何とかもう少しこの日本政府の援助額が自由に使えるようにしたい。しかし、いまこれは日米合同委員会で細目決定するわけでしょう。これは何とかもっとならないですか。
  353. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題は、行政機構の問題とそれから予算配分の技術上の問題とあるわけでございまして、これは私から御説明いたしますよりも、山野局長からひとつ田中先生によく御理解ができるように詳しく申し上げたいと思います。
  354. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 御指摘のようなひもつきでない、いわゆる一般資金的なものを琉球政府に援助してくれないかという御要望も現にございます。しかし、そもそも沖縄に対する経済援助は、やはり日本国民と同じ琉球住民に対して、日本本土国民と同じ程度にまで各般の水準を上げていこう、そのために日米も協力していこうというところから始まっておるのでございまして、したがいまして、たとえば教育について申しますれば、本土と同じように二分の一の国庫負担は援助して見てもらいたい。それから、あるいは学校の施設については、本土と比較してこれだけ劣っているから、こういう点については日本政府がたとえば八億なら八億の援助をしてもらいたい。それから、保育所が足らないから、保育所に対してはやはり日本政府も責任を持ってもらいたいと、こういう個別の要望も現実にこまかくあるわけでございます。したがいまして、私どもは、琉球政府の財源と、それから当該年度に琉球政府が必要とする全体の行政需要というものを考えまして、そして、それに米国の援助金を見合い、そして日本政府の援助金を見ておりますが、総ワクとしては一応の財源的なめども立てながら、しかも、各行政需要に対して日本政府はどの程度の責任をとるということで個別にしておるわけでございます。で、御案内のように、琉球政府は国の事務もやっておりますし、県の事務もやっております。それから、本土で言えば市町村の事務に当たる事務も相当程度やっております。たとえば小中学校の建築費なんか全部琉球政府が負担しておるわけでございます。そういう制度が本土と相当違っております。現在までのところ、そういう個別的な資金援助になっております。しかし、こういう問題は、漸次制度が本土と斉一化されるに伴ないまして、今後どういうぐあいにやっていくか、将来の研究問題であろうと思います。私どもは、個別的な援助になっていますが、その個別的な援助をきめるにあたりましては、琉球政府意見を相当重点に反映しておりますので、まあ末端に行きますと自由に使いたいという御要望もあると思いますが、現在のところそういうぐあいになっておるわけでございます。
  355. 田中寿美子

    田中寿美子君 私は琉球政府にも行って説明を詳しく受けました。そしていかに自治が自分たちにないかということ、いまさっき言われましたけれども、この財政援助ですね、アメリカはプライス法によって、特に極東における沖繩の基地としての価値を非常に重視し始めてから援助をし始め、またそれをふやしていったわけですね。そしてそれに対応して、本土復帰熱が盛んになってきて、日本本土政府も援助資金を出すことになったわけです。そして、その援助資金の項目というものは、沖縄自分で産業を開発して、そして立ち上がるというようなことを援助する項目というものは非常に少なくて、ほとんど福祉とか文教という面が多いのです。そのことは結局、アメリカがあそこを基地として長期に持っていたいという意味で、沖縄県民が協力してくれるように、不満を持たないようにということがそもそもプライス法の精神だったと思うのです。それで、福祉やら生活のほうの援助をしようということだったと思うのです。しかし、やはり本土政府は、ほんとうに一体化しようと思うなら、さっきから言われるように、沖縄が産業開発ができて、みずから立ち上がれるような方向に援助が使われるように、そういうふうにやはり計画を立てるべきだと思うのですけれども
  356. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 御指摘の点は、私ども十分理解ができるわけでございますが、先ほど来申し上げますように、沖縄の住民の民生、福祉を本土と同等に持っていくという見地から、いろいろと民生、福祉、教育、そういう面の援助費が多くなってきておることは事実でございます。それからまた、今後の問題としまして、沖縄経済発展のために、経済の基盤整備のためのいわゆる沖縄の地場経済力をつけていくためのそういう方向へ援助を向けていくべきである。これも全く私どももさよう考えておりまして、今後の問題としては、そういう方向についても十分関心を払っていきたい。ただ、この琉球政府予算の中で、琉球政府の自己財源でまかなうもの、それから米国の援助費でまかなうもの、それぞれございますので、それら全体を見ながら日本の援助費を沖縄経済発展のための方向に漸次向けていくことは必要だと考えます。
  357. 田中寿美子

    田中寿美子君 私はやはり援助の額をふやすことと、それの使い方にもっと幅を持たせるということを要望したいと思うのですが、さっきもちょっと話に出ました外資の問題なんですが、先ほど総務長官が、自由地域ですね、フリーゾーン、自由貿易地域という考え方もあるというようなことを言われました。また、アメリカの石油資本が四つ沖縄に利権を取りまして、これの状況はその後どうなっているかということと、それから、たとえば宮城島にガルフが自由貿易のできる地帯として持ってきております。今後そういうように幾つも資本が出てきて、そして自由貿易の地域をふやしていくということがあるのかどうか。で、そういうことになった場合に、沖縄経済にどういう影響が、本土との一体化にどんな問題があるか。たとえば本土の企業との競合の関係とか、そういうようなことをどうごらんになっておりますか。
  358. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ガルフ石油はじめ四石油会社の進出のその後の経過は山野局長から御説明いたさせますが、その前に実は申し上げたいことは、先ほども田中先生がおっしゃいましたが、どうも本土からの援助というのは文教関係だとか、社会福祉だとかなんとかいうようなものだけじゃないか、これはいわゆる政府としていたします援助は、結局、自治体に対しまする援助でありますとか、あるいはまた文教その他公共事業に対しまする援助というようなものに限られておるわけでありまして、それでほんとうの底力になります蓄積資本に対する協力というのは、これはどうしても政府の政策援助以外のものでないとできないものでございます。そういうような関係から、今度の百五十三億の中におきまして、二十八億という長期の財投資金を加えたこと、これは非常に一つは重大な意義があるわけでありまして、これは沖縄のほうとしては非常に喜んでくれたのでございます。なお、そのほか、今後日本の系統金融機関との関係をどうつけるかというようなむずかしい問題もございますが、まずもって沖縄に資本をどういうようにして集めてくるかということは、これはたいへんむずかしい問題です。そこで前任者の総務長官等がフリーゾーンの問題を申したと申しますのは、これは台湾で高雄をフリーゾーンという計画があったわけでございます。これは南方諸地域に対しまする一つのフリーゾーンというものによっての魅力と申しますか、産業振興と申しますか、これは当然沖縄としましては台湾が高雄をフリーゾーンにするのだったらば、沖縄地区におけるフリーゾーンを持ちたい、こういうふうなことも当然考えられます。それがすぐにアメリカの巨大資本と政治的にくっつくというふうな問題だけでなく、やはり東南アジアあるいはまたヨーロッパその他の資本も導入できる可能性もありましょう。特に日本の民間企業体が積極的に進出するということがなくてはならないと私は思うのでございます。そういうさなかに、いまの石油会社のガルフなんかの問題が起こったわけでございますが、何はともあれ、われわれは、日本に復帰いたしました際にそれに支障があってはならない。日本経済を撹乱するようなことがあってはならないということにつきましては、厳重に申し入れもいたしておりまするし、その点は復帰の際におきまする処理としていたせばよろしいことでございます。そこで、ガルフその他の四石油会社のその後の経過につきましては局長から御説明いたさせます。
  359. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 許可されました四社のうち、ガルフは六千万ドルで十万バーレル、それからエッソのほうが五千五百万ドルで八万バーレルの計画でございますが、この三社がやや具体的になっておりまして、ガルフのほうは用地買収にかかっておりますし、それからエッソのほうは埋め立ての交渉をやっておるように聞いております。しかし、当時の時点とごく最近の時点とでは、いろいろポンド、ドルの問題をはじめといたしまして情勢も相当変わってきておりますので、その後どういうぐあいに動いておりますか、あまり活発には動いてないように私どもは承知しています。
  360. 田中寿美子

    田中寿美子君 フリーゾーンのことですが、総務長官は好ましいというふうに考えていらっしゃるのかどうか。たとえば、沖縄の人たちの感じ方と、私は本土の人の感じ方と違うと思うのですね。それで、たとえば石油が大きなそこにコンビナートをガルフが持ってくる。そうすると、そこへ関連産業ができるから、だから基地がなくなった場合にもそれでやれるのじゃないかというような希望を持たざるを得ない。何にもいまほんとうに本土からこれまで手を差し伸べていないのですからね。それでその場合に、香港のような、あそこの自由貿易地帯をどんどん広げていって、そうしていまおっしゃった東南アジアでの自由貿易基地にしたらいいのではないかというような考えもあると思うのですね。しかし、はたしてそのことが可能かどうかという問題なんです。もしかりにそういうことを希望しても、そんなことができるかどうかということや、それから私は、いまほんとうに限られた地域にフリーゾーンがありますけれども、そこの工場を見に行きましたけれども、ほんとうにあれは貧弱なものですね。あれはいまのうちならば幾らでも、アメリカ施政権のもとでアメリカの資本がフリーゾーンを設定していくことができるものかどうかという点、そういうことをしていいものかどうか。将来の沖縄、そして沖縄本土の一部ですから、考えた場合にどうかということと、いまおっしゃった本土経済を撹乱してはならないという考え方なんですが、それも一つ問題があると思うのです。石油があそこに進出してくる、そうすると本土の石油資本を圧迫するという考え方なのかどうか。その辺どうですか。
  361. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) どうも例が石油でございますからちょっとぐあいが悪いのです。実は石油というものは、御承知の国際トラストとしての非常に大きな政治力を持っておりますから、石油というものが非常に政治的な、国際政治的な意味を持つので、別としてぐあいが悪いのでございますが、まあ、つまり、その石油の問題は別として、いま先生がおっしゃいました沖縄の方が持っておる考え方と、日本本土のものが抱いておる考え方とは、だいぶ違うのじゃないかとおっしゃいましたのは、私も全くそのとおりと思います。それで、はたして、沖縄に対して、本土復帰の暁において、真剣に沖縄の産業経済の振興なり何なりのことを考えてくれるのかくれないのかという点ですね。それで、まあ、たとえて言うならば、沖縄が漁業をしようというと、すぐに日本のほうから割り当て以外の、クォータ以外のあれがあるじゃないかと言って漁業組合が押える。あるいはまた、何かしようと思うと、またすぐ本土の犠牲になって、それに対して圧迫をこうむる。はたして沖縄のために日本本土の方々がほんとうに一体化考えてくれているのかどうかということで、デリケートな気持ちが沖縄の方にはあると思います。そこで、冒頭申し上げたように、沖縄の問題はほんとうにわれわれが愛を持って、愛情を持って、沖縄の人間になりかわって私どもは真剣に取り組んでいかなければならないということを考えますし、そうすると、沖縄の産業振興という問題に対して、何とでもして資本を導入しなければならぬということになるわけなんです。そういう場合に、日本の企業体が沖縄に対して喜んでどんどんと進出をし投資をしていくような、一体、経済条件、前提条件がはたしてあるかないか。これは私は、産業政策の上から言って、つくっていかなければいけないと思うのです。これは、いわゆる商工行政の面で、産業政策の面で、日本の企業体が喜んで進出できるようなふうな施策をまずしていきたい。それ以外には、日本の資本がそれだけ投下できるかというと、これまた限界があることでありますから、やはり沖縄の産業の振興のために、沖縄住民のほんとうの将来の繁栄のためには、やはり外国資本でも、アメリカと言わず、どこと言わず、喜んで資金の導入をしてかまわないのじゃないか。このために、その一つ考え方として、われわれの前任者が考えたフリーゾーンというのも浮かんでくるわけでございます。
  362. 田中寿美子

    田中寿美子君 そうしますと、フリーゾーンという考え方は賛成だということでございますね。
  363. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それはまあ内容によりますけれども、私は沖縄のためにけっこうなものもあると考えます。
  364. 田中寿美子

    田中寿美子君 たとえば牛肉ですね。あれは沖縄は、オーストラリアから五%の関税で買い入れて本土に輸出する。で、関西のダイエイというのが扱っている。そうしましたら、これは本土の食肉業者の保護のために困るということで、これを禁止した。そういうようなことがまだほかにもあると思いますね。こういったことは経済一体化の中でどういうふうに考えられますか。
  365. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまの食肉関係は、これは二つに分けて考えていただかなければならぬと思うのであります。一つは経過的な問題、一つは本質的な問題だと思います。沖縄が現在、畜産、畜力の導入のために、英国産の無角の、角のないアバディーン・アンガスを導入しようということは、これは沖縄畜産のためにけっこうなことだと私は思う。ところが、日本との間にまだ本土一体化ができない。その間に、その無税で入ったやつを転売していって、日本の食肉の系統を撹乱する、これはちょっと困るのですね。それから、それを押えたからといって、沖縄がアバディーン・アンガスの畜力の導入をする、品種を改良をするということを圧迫するわけではない。だから、いまの肉の問題は、経過措置を悪用しての一つの問題と、それから本質上の問題と、二様に考えられます。畜産についても、漁業についても、同様の問題がございます。  なお、特連局長からさらに詳細にお話しいたします。
  366. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いまの牛の問題でございますが、私どもは、そういうオーストラリアから関税を安く輸入して、そうして本土へ持ってくるというような、これは本土の側から見れば脱税的に見られます。それからまた、沖縄の将来の畜産から考えましても、そういうやり方は、将来の継続的な畜産業としては、永続的な畜産業の立場から見ますと、ウエートは少ないのじゃないか、ウエートは置くべきじゃないのじゃないか。むしろ、沖縄で牛を育てて成長させて、それを計画的に本土へ輸出するという本来の畜産を振興すべきだ。その線は大いに農林省のほうで、本土の肉牛の需給計画の中に入れて、そうして沖縄の畜産振興をはかってもらう。それに見合って、そういう飼育牛の輸出のようなやり方は漸減していく。こういうことで、私どもは現在、琉球政府と、それから農林省と総理府の間で話し合いを進めておるわけです。その他のいろいろ具体的な本土との一体化上生ずるいろいろな利害関係が出てまいりますが、そういうときにどういう対処のしかたをするかと申しますと、私どものほうは、沖縄本土へ返ったときの経済体制をやはり少しでも自立体制に持っていきたい。そういう基本的な産業政策については、本土もあたたかい目で日本の産業政策の中へかかえてやる。しかし、ほんとうに短期的な、しかも、ごく局部の沖縄の人たちの利害関係の問題は、これは本土の各府県が受けていると同じような規制なり統制なりは受けてもらわなければいかぬ。それは沖縄側もその点は納得してもらわなければいかぬ。その点は根本的な産業対策、産業政策、復帰後の産業政策はやはり本土のほうで大所高所から、それをあたたかい目で日本の産業政策の中で許容できる範囲内において許していってやらなければいかぬのじゃないか、こういう大体考え方でございます。
  367. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  368. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 速記をつけて。
  369. 田中寿美子

    田中寿美子君 いま沖縄はドル圏なわけですね。それで、一体化するためには、ドルを円に切りかえなければならぬわけなんですけれども、そういうことについての計画も、経済一体化のプランの中に入っておりますですか。
  370. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは当然日本に復帰いたしましたらば円経済になることはあたりまえではございますが、現在の沖縄経済の現状にかんがみまして、沖縄の通貨の切りかえの問題をいま取り上げるというようなことは時期早尚だろうと考えておるのでございます。
  371. 田中寿美子

    田中寿美子君 そうしますと、その本土に復帰してから切りかえるということですか。私は経済一体化の日程の中では、それがなかったらできないのじゃないか。それに付随していろんな問題がありますね。金融の問題もあるし、それから資本の問題もあるわけですから、ですから、それのプランがなくて一体化とは一体どういうことなんだろうかと思いますが。
  372. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それは私は、いまそれを考えることが時期尚早であるということでございまして、この一体化の問題が進むにつれまして、これはある時期においては当然円経済になるのでございますから、過渡的ないろいろな段階があるだろうと存じます。また、特にいわゆる系統金融機関あたりが沖縄に対しまして本格的な融資をいたし資金投下をいたすというような場合にあたりましても、やはり考えなければならぬことでございますが、しかし、それは考えなければならないことでございますが、いまその問題を当面スケジュールに上げるという気持ちはございません。
  373. 田中寿美子

    田中寿美子君 じゃ最後に、まあ、いままでお聞きしましたところでは、総務長官考え方は、沖縄に外貨の導入されてくるのも沖縄経済のためにはけっこうではないかということと、それからフリーゾーンもある程度認めるのがいいではないか。そうして本土からの資本が進出するための条件をつくるには非常に困難があるけれども努力をするのだ、これが骨子でございますか。
  374. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) さようでございます。何はともあれ、沖縄の民生が安定し向上いたしますためには、どうしてもお金が要る。そのお金が要るということだけは、どうかひとつよく御了承いただきたいと存じます。
  375. 田中寿美子

    田中寿美子君 私らもそう思っているのです。お金は要るけれども、魂を売っては困るのです。あそこが、外資が非常にたくさん入ってきて、外資の導入の基地になってしまうというような心配を私はしているわけなんです。ガルフもいままで本土に入っていないから、いまのうちに沖縄に出ておけば、やがてあそこを中心にして本土にも入ってくることができるし、それから東南アジアヘの進出ができるという考え方ではないかと思っているのですが、それで、アメリカ施政権のある間に野方図にフリーゾーンがつくられるということがないように私はしてほしいと思うのです。
  376. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) もちろん、私は沖縄のためにお金が要ることを申しましたけれども沖縄におられまする百万の日本人は、私は、日本魂の点におきましては十分信頼いたしておりますので、その点は私は、魂までも奪われるようなことは断じてないという信念に立っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  377. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでは特連局長経済一体化の過程でずいぶん問題があると思うのです。それで、たとえば相当こまかくそれはプランを立てていらっしゃるのかどうか、お伺いしたいのですけれども、たとえば米一つとってみましても、いま沖繩は自由販売ですね。そしてアメリカの米が本土よりずっと安く入ってるわけですね。そういうものは、本土ではいま食管制のもとにありますが、どうするかとか、あるいは、たばこは専売でありませんね。そういう点はどうするか、そういうことについても考えていらっしゃいますか。
  378. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) この本土復帰した場合に備えて沖縄経済をどうするかという問題は、非常にむずかしい問題でございまして、大体簡単に申しますと、沖縄経済の成長率は、軍の関係の投資と日米の経済援助の額と、その総額の伸び率と、沖縄経済成長率と大体同じ、そうして沖縄の住民の総生産力の二分の一が大体基地経済に依存しておるというその中で、基地経済を縮小していけという要請にもこたえて、そうして本土のこれから続くであろう経済成長にも追いついていかなければいかぬという要請にもこたえていかなければいけない。ですから、非常に経済全体の振興計画というのは、言うはやさしいけれども、非常に根本的にむずかしい問題があるわけでございます。したがいまして、これはいかぬ、あれはいかぬと言いながら、しかも、沖縄の住民の経済成長を可能にしていくということは、なかなかむずかしい問題であろうと思うわけです。そういうことを踏まえながら、一体、可能な限り、ひとつ本土の、相当、県並みの経済成長を続けさしていくための方策は何かということにウエートを置いて経済計画を立てていかなければならぬ。その場合に、御指摘になったたばこの専売制度なり、あるいは米の食管制度をどうするか、こういうような問題は、むしろ、きわめて簡単な問題だと私は考えます。問題は、根本的な基地経済をどうするかという問題になると、そう簡単に基地経済をオミットして。そうして沖縄経済発展を期するという筋は、おそらく現在の段階では生まれてこないじゃないかというのが、これが大来先生の調査の報告の中にもあったように思いますが、そこに一番大きい問題がございまして、そういう点を含めまして、今後、沖縄の長期経済計画のあるべき姿を模索していこうということでございます。
  379. 田中寿美子

    田中寿美子君 いまのおことばの中から、やはり基地経済を固定化していく、基地経済によってやっていこうという方向が見えたような気がするのですがね。私は、基地をなくす日を考えて、ほんとうの対策を立てておかないといけないと思います。で、アメリカ沖縄の基地に対する価値評価というのは変わるかもしれないし、それから場所もマリアナあたりに後退するかもしれない。そういうときのこともあるし、また、それは、われわれは基地を撤廃せよということを要求しているのですから、そういう運動とも関連して、そういうときになってあわてるというようなことでは、結局、沖縄の人たちはもう本土にはたよれないという気持ちが非常に強く出てくる。ですから、やっぱり私は、いまのような、結局、基地つきの経済一体化政策という考え方があると思うのですが、大来さんは、あれはアメリカ政府に頼まれた調査ですから、あの報告は、外資も導入したらいい、しかし、これにはある程度限度がある、いまドル防衛をしているのだから限度がある、これは経済の中継基地としたらいいとか、あるいはフリーゾーンもある程度やったらいいということを結論として出しているようなんですけれども、少なくとも、本土政府が出す調査団は、やっぱり日本の立場から私は結論を出してほしいというふうに思うのです。で、少しこまかいことになりますけれども沖縄県民は日本国民ですから、だから、日本国憲法が完全に実施されるということが、私は一体化だと、そういう点で次々と実際の日程を組んでいかなければいけないように思うんですね。それで、たとえば労働者の賃金なんか、たいへん差がある。こういった問題はどういうふうにしようとしていらっしゃいますか。
  380. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 沖縄の賃金を本土と比較しました場合の賃金の格差は確かにございます。単純に比較してみましても、一割か二割か、いろいろ比較のしようもあると思いますが、低いのでございますが、しかし、それをただ単純に比較して、それで格差があると言えるかどうか。これは日本の物価の問題もございますし、生計費の問題もございましょうし、沖縄沖縄で、沖縄の生計費なり全体の生活水準の問題もございますから、したがって、端的にそれだけで比較することは、形式的に比較することは、必ずしも妥当ではないと思いますが、数字から見ますと、やはり一、二割沖縄が低いということになっております。
  381. 田中寿美子

    田中寿美子君 それで、本土に返ったときには、その辺も非常に転換しなきゃならないことがたくさんある、物価にしても、賃金にしても、そのほかいろいろ。それで、そういうことについても、もちろん具体的なプランを立てられる必要があると思うんですが、いま、ついでですから、労働力のことなんですけれども沖縄に台湾から労働力が入っておりますね。パイナップルの季節労働者が入っておりましたが、あの沖縄の台湾の労働者の賃金は、沖縄の人の賃金より低いわけです。それで、あそこに毎年のように季節労務者を連れてくるわけですね。そうしまた、沖縄から、本土の若年労働者が足りないので毎年連れてきているわけですね。そして、いまの本土政府の計画では、今後復帰したときに、沖縄に産業がすぐさま発達して労働力を吸収することができないだろうから、そのときには、本土に相当多数の労働力を吸収するという考えがあるんだと思うんですが、いかがですか。
  382. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 沖縄の賃金でございますが、台湾、韓国が一としますと、沖縄はまあ二に当たる、本土の賃金は三、大体そういう比率になっていると思うのでございます。したがいまして、いまお話にもございましたが、大体三次産業に従事している労働力は約五割でございます。第一次が三割五分、第二次が一割六分でございますから、したがいまして、この傾向はますますこれは——日本本土でもそうでございますが、顕著になってまいりまして、みんな那覇周辺に労働力が集まってくる、こういう状態でございます。そうしますと、先島のほうのパインとか砂糖の非常な農繁期におきましては、台湾の安い労働力が入ってくる、こういうことになっておるわけです。将来、本土復帰した場合に、沖縄の労働力がどの程度本土へ流入してくるかという問題は、非常にむずかしい問題だと思いますが、移動可能な労働力が、たとえば十七、八歳から五十歳ぐらいまでの間の移動可能な、あるいは、もうちょっと低いかもしれませんが、移動可能な労働力がどの程度毎年あって、そして、その時点において沖縄の雇用の分布はどうなるかということをよくしさいに検討しなきゃ、はっきりした回答は出てこないと思いますけれども、しかし、そう予想されるほど——戦前に六十万もおったから六十万ぐらいになるだろうという安易な移動はとうていあり得ない。ごく限られた人数の移動しかないじゃないかという見方が強いようであります。
  383. 田中寿美子

    田中寿美子君 沖繩の若い労働力を全部引っばり出すというような、こんなべらぼうなことは、私は沖縄のために考えるべきじゃないと思っております。いま電力、水力、それから金融機関ですね、みんなアメリカの資本というか、アメリカが持っておりますね。こういうものを本土政府のほうに移され、あるいは琉球政府に移し、やがて本土一体化するというような構想はございますか。
  384. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 過般の日米琉諮問委員会でも、琉球政府側から開発金融公社の琉球政府移管の問題を議題にしてもらいましたということで、金融公社につきましては、具体的な議題にのることになって、現在もう審議中でございます。どういう方向になりますか……。それから電力公社、水道公社等は、日本政府のほうからも、かねてから琉球政府に移管してもらいたいということを申し入れておりますが、これは軍基地等の関係もございますし、いろいろ紆余曲折はあると思いますが、方向としては、ただいま御指摘になられましたような方向で私どもも進めてまいりたいと、かように考えております。
  385. 田中寿美子

    田中寿美子君 その他いろいろ租税の取り方も違うし、それから、いろいろ法律——労働法なんか違うところがありますね。非常にこまかく日程を立てなければいけないと思いますけれども、きょうは六時に終わる予定ですから、もうやめますけれども、最後に一つ、私はぜひ必要だなと思いましたのは、基地が撤廃されたとき、そのときに非常にあわてるのじゃないか。そういうことが突如として起こることはないでしょうか。私たちはそれを希望しているわけですけれども、そのときに沖縄の県民の生活が戦前よりも悪くなったりするようなことがあってはたいへんです。それから、そういうときの緊急措置というものが私は必要だと思っております。私たちは、社会党で沖縄経済建設十ヵ年計画というのをつくって持って行ったけれども、あれでも私は抽象的だ、それはいざというときの切りかえには、たとえば軍雇用者が直ちに三万九千ほど失業してしまう、それから間接に仕事がなくなってくる、あるいはサービス関係がずっと減ってしまう。それから特に女の人も特殊婦人と呼ばれるような人たちもいる。こういう人たちに対して、転職や、あるいは転職するまでの間の生活を保障するような緊急措置みたいなものが非常に必要なんじゃないかということを感じたんですけれどもね。そういうことはお考えになりませんか。
  386. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 先ほど来申し上げますように、五億ドルの住民総生産の中の二億五千万ドルをこえる、過半以上の基地経済でございまして、これがなくなった場合を想定しての計画というのは——ども、政策の問題を申し上げる立場にないわけでございますが、かりにそういうことを想定しましても、それの経済計画なり、あるいは対策なりということになると、とてもこれはたいへんな問題でございまして、私どもは、現在の時点では、そういう場合のことは想定していないのでございます。
  387. 田中寿美子

    田中寿美子君 いや、それは少し総務長官がおっしゃったこととそごしますね。総務長官は、基地がなくなることを前提として、そのための計画を練っているのである、沖縄が全面的に返ってくる場合を考えて計画を練っているのであるということをおっしゃいました。事務当局のほうはそうではなくて、あくまで基地は固定化し、長期固定化した形で、基地にたよりながら経済計画を立てて、そうして基地以外のところで一体化するというような感じがしますね。それは重大なことだと思います。
  388. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私は、ですから、お断わり申し上げましたように、政策を言う立場にございませんので、したがいまして、私どもは、事務的に、基地がなくなった場合の経済計画というのは、ちょっといまのところ、とても、どっから手をつけていいかわかりませんので、検討の段階ではございません。まあ、できるだけ基地経済に依存しないような沖縄経済の地力をつけていくための、依存度を減らしていくための努力はあらゆる面からやっていかなきゃいかぬし、そのための対策はやりますが、それがゼロになった場合を想定しての計画は、ただいまのところ、ちょっと手がつかないという段階でございます。
  389. 田中寿美子

    田中寿美子君 はい、わかりました。総理府一体化の構想をちょっと私は想像してみたり、あるいは、ちょっと資料で見ますと、根本的に基地は全然排除していないですね。ですから、米軍基地はあったままでできるところ、つまり、最初に申しましたように、米軍基地をまず優先させて、それに合わせた部分的な一体化の構想であるというふうに、いま私は感じているわけです。この問題はまた別のところで議論したいと思います。どうもありがとうございました。
  390. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 他に御発言がなければ、内閣及び総理府所管に関する質疑は終了したものと認めます。  明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会      —————・—————   〔参照〕  昭和四十三年度内閣及び総理府予算説明  昭和四十三年度における内閣及び総理府所管の歳出予算案について、その概要を御説明いたします。  内閣所管の昭和四十三年度における歳出予算要求額は、三十億一千二百六十二万一千円でありまして、これを前年度歳出予算額二十四億六百六十四万七千円に比較いたしますと六億五百九十七万四千円の増額となっております。  内閣所管の歳出予算に計上いたしましたものは、内閣官房、内閣法制局、人事院及び国防会議の事務の執行に必要な経費であります。  次に総理府所管昭和四十三年度における歳出予算要求額は九千百四十三億四千二百三万八千円でありまして、これを前年度歳出予算額八千二百三十二億一千九百九十五万一千円に比較いたしますと九百十一億二千二百八万七千円の増額となっております。  総理府所管の歳出予算に計上いたしましたものは、総理本府内部部局、附属機関及び青少年対策本部、日本学術会議近畿圏整備本部中部圏開発整備本部の機関のほかに、公正取引委員会、国家公安委員会、土地調整委員会、首都圏整備委員会、宮内庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁及び科学技術庁の外局に関すものでありますが、このうち防衛庁に関する歳出予算計上額四千二百二十億三千九百五十一万二千円、経済企画庁に関する歳出予算計上額三百三十五億百八十三万三千円、科学技術庁に関する歳出予算計上額三百十八億三千七百二十九万九千円につきましては、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外のおもなる経費について、以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと   総理本府に必要な経費二千五百十七億二百七 十九万四千円、青少年対策本部に必要な経費七 億百二十七万五千円、警察行政に必要な経費三 百四十二億六千七百十万一千円、行政管理庁に 必要な経費四十一億五千三百五十一万六千円、 北海道の開発事業に必要な経費一千三百三十六 億五千百八十一万六千円等であります。   なお、総理本府に必要な経費は、総理本府一 般行政等に必要な経費七十億三百二十三万三千 円、恩給支給に必要な経費二千三百三十億三千 二百七十四万八千円、沖縄援助等に必要な経費 百十六億六千六百八十一万三千円であります。次に、その概要を御説明いたします。  総理本府一般行政等に必要な経費は、行政施策に関する広報活動の積極的推進、生存者及び戦没者等の叙勲、陸上交通安全調査、明治百年記念行事等、新生活運動の助成及び各種統計調査等のための経費でありまして前年度に比較して六千九十七万七千円の増額となっております。  恩給の支給に必要な経費は「恩給法」等に基づいて、退職した文官、旧軍人及びその遺族等に対して年金又は恩給を支給するための経費でありまして、昭和四十三年度におきましては、新規裁定、失権等に伴う増減がありますほか、新たに恩給増額措置のための経費を計上しておりますために前年度に比較して三百二十三億九千四百三万一千円の増額となっております。  沖縄援助等に必要な経費は、沖縄における義務教育教職員給与費に対する半額負担、学校施設整備等の教育関係、社会福祉及び医療関係、産業開発関係、技術関係の援助及び南方同胞援護会に対する補助等のための経費でありまして前年度に比較して三十二億四千七百九十四万七千円の増額となっております。  なお、教育、医療等の援助経費につきましては、その執行にあたって必要に応じ、それぞれ関係各省の所管に移し替えて使用されるものであります。  青少年対策本部に必要な経費は、青少年対策本部(仮称)の一般事務、青少年健全育成対策及び国民健康体力増強等のための経費でありまして前年度に比較して九千百八十七万九千円の増額となっております。  警察行政に必要な経費は、警察庁及びその附属機関並びに地方機関の経費及び都道府県警察補助のための経費でありまして前年度に比較して二十五億一千八百七十四万円の増額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁及びその附属機関並びに地方機関の経費、都道府県に配置されている統計専任職員費及び国連アジア統計研修の実施協力のための経費でありまして前年度に比較して八千五百三十七万五千円の増額となっております。  北海道の開発事業に必要な経費は、北海道における土地改良、農用地開発、漁港、住宅、林道及び造林事業等の経費と、治山、治水、道路整備及び港湾整備事業等の経費に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして前年度に比較して八十三億百七十六万五千円の増額となっております。  なお、事業費につきましては、その執行にあたって、必要に応じ、それぞれ関係各省の所管に移し替えて使用されるものであります。  また、以上のほかに国庫債務負担行為として総理本府におきまして、光学式読取装置借入れ等について二千二十六万七千六百四十三円、警察庁におきまして、警察機動隊舎施設整備について十一億七千万円、北海道開発庁におきまして、国営かんがい排水事業及び千歳飛行場整備について二十二億三千三百七十万円を計上いたしております。  以上をもちまして、昭和四十三年度内閣及び総理府所管の歳出予算計上額の説明を終ります。  なお、詳細につきましては、御質問に応じまして、関係各政府委員からお答えいたすことにいたします。  よろしく御審議下さるようお願いいたします。