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政府委員(
村上孝太郎君) この硬直化対策というものは、われわれは去年からいろいろと考えたわけでございますけれ
ども、その対策としては二つある。
一つは、要するに、先ほど申し上げましたように、客観的な
経済情勢が変わってきておる。三十年代のように非常に恵まれた国際、国内的な成長要件というものが今後はなくなっていくと、そうした中において財政への過大な期待というものは従来どおりに存続する、あるいはそれが強まっていくというところに硬直化の大きな危険というものがあるわけでございますから、したがって、まず第一の対策としては、その財政に対する過大な期待のイナーシアを断ち切るというのが第一歩として一番重要である。第二には、この十一ページから十二ページに書いてございまするところの国債費であるとか、あるいは地方財政の経費であるとか、あるいは人件費であるとか、あるいは社会保障的な経費であるとか等々の制度的に義務づけられました諸経費について、もっと伸縮性を得させるように制度自体の根本的な検討をいたす。この二つが硬直化打開というための対策としてわれわれは予定したわけであります。御存じのように、この第二の制度の硬直性をほぐすという問題は、これはすべて法律の改正につながってくる問題であります。したがって、われわれが
あまりに早急に一方的な結論を出しましても、これは大方の御賛同を得るというのにはなかなかむずかしいと思いまして、この問題については財政制度審議会に引き続いて
昭和四十三
年度においても十分な審議をしていただき、そうして慎重に結論を出していただく。四十三
年度予算におきましては、従来のそうした財政の過大な期待というもののイナーシアを断ち切るということを念願したわけでございます。総合予算主義の問題であるとか、あるいは補助率の抑制の問題であるとか、あるいは人員等の整理の問題であるとか等々のそうした一連の問題につきまして、四十三
年度予算というものはいままでどおりの過大な期待を財政にかけても財政はその負担にたえないということで、三十年代における公共事業も社会保障も、あるいはさらに減税もというふうな、そういうことをやっていけないということを予算の上にあらわそうと、こういうことで対策を立てたわけでございます。したがって、この十一ページから十二ページに書いてございまする諸制度の根本的な検討というものは、今度の予算におきましては、ほんの少数の点を除きまして
あまり出ておりません。むしろ、先ほど大臣がおっしゃいましたように、従来と同じような
考え方で、財政に対する需要の増大を放置しておくとどうなったであろうかということに対して見れば一体どの
程度の削減が可能になったかということを、まあ、取り上げてみれば、言えるかと思うのであります。たとえば国債費にしましても、ことしの一四%という
程度の実行依存率というものを来
年度も続けるとしますれば大体八千億ぐらいになろうかと思うのでありますが、それに対して六千四百億の発行に押えたということは、千六百億の今後の公債費にたとえば六分五厘の利息が出ても百億になると思いますが、そういうものが削減されたということが言えましょうし、あるいはまた、公共事業費につきましても、現在ありまするところの五カ年計画というものを平均的に伸ばしていくとしますと、毎年一四%ぐらいの伸び率で運んでいかなければならぬ、こういうことに相なるわけでございます。それに対して来
年度は七%に押えたということでありますれば、大体七百億ぐらいの縮減がされたと、こう言えるのではないかと思うのであります。あるいはまた人員等につきましても、従来この五年間の
実績をとってみますと、毎年一万三千人ぐらいずつの増員が行なわれております。これが来
年度は非常に数は少ないのでありますけれ
ども、六百三十一人という逆に減少をしたわけでありまするから、一万三千人ふえたとすれば百三十億円
程度の人件費の増加があったところが、それが逆に減少になったと、まあこういうふうに、取り立ててみますれば、ある
程度の項目別の削減の経費ということを申し上げられるかと思うのでありますけれ
ども、この十一ページから十二ページに言っておりまするところの国債費等々につきましては、医療保険の問題にしましても、地方財政の問題にしましても、これから財政制度審議会において制度自体の検討をめぐって、その結論を待って、さらに削減を加えて、財政の伸縮性なり弾力性というものを確保すると、まあ、こういう段階にあると御理解を願いたいと思うのでございます。