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国務大臣(
佐藤榮作君) 御承知のように、私昨年
アメリカへ参りまして、いろいろ米
政府と相談をして、そのときに、とにかく沖繩の祖国復帰、そのめどを早くつける、ただいまの
状態では祖国復帰のそのめども立たない、こういう
状態だと……。これにはまあいろいろな事情もございます。ただいまのような国際情勢下において、祖国復帰がすぐ右から左に実現すると、こういうことも考えていない。
アメリカ自身にも、いろいろの準備その他の都合もあるだろう。また、ちょうど、大統領の選挙もありますし、まあいろいろな問題がそこにございますので、それらのことを勘案しながらできるだけ話を詰めていく、で、これが沖繩同胞の念願でもあるし、また、
日本国民としても一日も早く祖国復帰を念願しておる、祈っておる、そういう立場に立って両国
政府がこの問題の実現にひとつ協力してほしい、こういう話をしたについて、
アメリカ側も、
日本国民の願いはよく理解するところだ、かように申して、そうして返還ということを実現するについての長期的な継続的な協議をしよう、こういう共同コミュニケが出たわけです。これは御承知のとおりであります。そうして、皆さんからも、もうすでに、昨年の十月でありますか、それから半年たっているじゃないか、
政府は何をしているんだ、こういうおしかりか、あるいは鞭撻か、これを受けておるのがいまの実情であります。私どもはそれに答えまして、いろいろ皆さんから鞭撻をいただいておることはたいへんうれしいことだけれども、ただいま申すように、それぞれの立場もあり、いますぐその話に取り組めないような事情もある。私自身がいつまでも白紙であるというわけでもない。これも早く結論を出すということ、そういうことについては、私自身が責任の立場にあるものですから、みずからこれと真剣に取り組まなければならない。そのためには、経済の問題等について、いまの日米琉諮問
委員会ができて、本土との一体化をはかっておる。もうすでに高瀬諮問
委員が任命されております。そのほうの努力は着々と続けております。
しかし、一方で、この沖繩における米軍基地のあり方、これにつきましては、現状において十分把握をいたしておりませんし、また、これについての今後の変化、そういうことも
アメリカと十分話し合ってみる必要があるのじゃないか、かように実は方向を皆さん方にお示しして、しかる上で私どもの態度がきまるのだ、こういうようなお話をしております。だから、ただいま、そういう方向だというもんですから、あるいは基地の態様によっては国民の意思を聞くのかどうかというようなお尋ねまで実は受けております。しかし、これは皆さまのお気持ちはわかりますけれども、たいへん先ばしった、急いだ話のように思いますので、質問のように思えますので、それらの点については誤解のないように、ただいまの
状態は、私は白紙でございます、かように答えておる。しかし、私が白紙だからといって、私が何にもしないで、ただ傍観しているとか、こういうものでないことだけは御了承をぜひともいただきたいのです。しかし、さらに突き進んで、どんな態度で
アメリカと交渉するんだ、かように言われると、ただいままだ結論を得ていない。したがって、私は白紙だ、かようにお答えせざるを得ない、こういう状況でございます。