○杉原
荒太君 いま外務大臣の言われたことは、何も私の言わんとしていることと少しも矛盾していない。これはもうあまり触れる必要はない。
そこで、わが国が他の核兵器を保有しない国々にも働きかけて、核拡散防止条約の早期締結の促進に積極的に
協力する外交を展開していくにあたって、それと同時に大事なことがある。それと同時に、わが国がむしろイニシアチブをとって、わが国を含む核兵器を保育しない国々の一致の要望として、核兵器保有国たる米ソ両国に対して、ベトナム戦争の核戦争への拡大の危険を防止するとともに、平和的解決に努力する旨の意思表明の確認を求めることを
考えたらどうかと私は思う。そうすることが、核拡散防止条約のあの最終草案を見ましても、その前文の中に書いてあることを見ると、その重要なことの一つとして、当事国、つまり米ソ両国はもちろん含むが、それは核戦争の危険を避けるためにあらゆる努力を払うという旨の
規定をはっきりと掲げておりますね。そういう点から見ましても、私はいま言ったようなことの
措置をとるのは、これは筋の通ったことであり、また米ソ両国をしてそのような確認
措置をとらせるということは、ベトナム戦争の平和的解決への端緒をつくるという観点からして意義あることだと思うが、まあいずれにしましても、この核拡散防止条約締結の問題と、それからベトナム戦争の平和的解決の問題との
関係、実際上の
関係、事柄それ自体は別個であっても、実際上の国際政治上の
関係を見抜いて、そして次元の高い外交をやっていただきたいということを希望をして先に進みます。
それでは次の質問に移ります。次に中共の問題についてお尋ねいたします。
佐藤総理とジョンソン大統領との会談の結果発表された共同コミュニケを見ますと、その中には、中共の核兵器の開発に触れて、
佐藤総理とジョンソン大統領との、「両者は、中共が核兵器の開発を進めている事実に注目し、アジア諸国が中共からの脅威に影響されないような
状況を作ることが重要であることに意見が一致した。」とうたってあります。「中共からの脅威に影響されないような
状況を作ること」は、これは「重要である」に違いないが、そのようなことは、本来筋合いから言えば、そういうようなことは各国それぞれ自主的にやるべきことであって、他国から押しつけられたり、また他国に押しつけることではありません。そんなことはしかしわかり切ったことであるけれども、実際上その辺のところに根本の狂いや食い違いがあるために、かえって国際間の
混乱を来たす場合がなきにしもあらずということは、これは国際政治史上幾多の実例がこれを物語っております。
そこでお尋ねいたしますが、三点ばかりお尋ねしたいことがあるのだが、これは時間の都合で私はずっと三点ばかり続けて言います。中共が核兵器の開発を進めている事実に注目し、アジア諸国が中共からの脅威に影響されないような
状況をつくることが重要であることに意見が一致した、というこの共同コミュニケの文言は、これはそれによって具体的には一体どういう
政策内容を意味しているかというと、おそらく共同の、共通の
政策を予想しておられるのだと思うのですが、その日米共同の
政策内容はどういうものを意味するかということが第一ですよ。
また、そういう
政策は必ずその
前提として情勢判断があるに違いない。また、それは中共の核装備が開発、実験の
段階を終えて実戦配備につくという、つまりそういう現実的な脅威になってきますね、その周辺諸国に現実的脅威となる時期の見通しについて、どういう日米共通の情勢判断を基礎にしておるのか。非常にこれは情勢がむずかしいけれども、アメリカはある程度の資料を持っておるかもしれぬから、これはおそらくそういう共同の、共通の情勢判断を基礎としておるに違いないと思うが、それは一体どういう共通の情勢判断か。
また、もう一つちょっと加わりますけれども、必ずしも核兵器ばかりでなく、また中共の核武装があるなしにかかわらず、中共のいわゆる人民解放闘争方式による国際的影響力の拡大について、一体どういう日米共通の評価を、どういうバリュエーションを基本としておるものであるか、これが一つです。
それから、もう一点は、よその国のことはともかくとして、わが国として中共からの脅威、特に中共の核装備の脅威に影響されないような
状況をつくるために、
政府はいかなる対策を講ずる方針であるか。
以上のことをお尋ねいたします。