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1968-05-08 第58回国会 参議院 本会議 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月八日(水曜日)    午前十時七分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第十八号   昭和四十三年五月八日    午前十時開議  第一防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正   する法律案趣旨説明)  第二 領海及び接続水域に関する条約の締結に   ついて承認を求めるの件(衆議院送付)  第三 船員保険法の一部を改正する法律案(内   閣提出、衆議院送付)  第四 交付税及び譲与税配付金特別会計法の   一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送   付) ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり     ─────────────
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ─────・─────○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案趣旨説明)。  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。増田国務大臣。    〔国務大臣増田甲子七君登壇拍手
  3. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは海上自衛隊自衛官を八百三十人増加するための改正でございまして、この増員は、艦艇の増加に伴い必要となる人員並びに航空関係部隊及び後方支援部隊等の充実のため必要な人員でございます。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  現在、海上自衛隊航空集団は、司令部及び航空群からなることとされておりますが、この改正は、航空集団の編成に航空群以外の所要部隊直轄部隊として加えることができるようにするものでありまして、これは海上自衛隊航空関係部隊任務遂行の円滑をはかるためでございます。  以上が、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。伊藤顕道君。    〔伊藤顕道登壇拍手
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のございました防衛二法案について、佐藤総理並びに関係大臣質問を行ないたいと存じます。  まず、佐藤総理にお伺いいたします。  第一に、日本航空自衛隊は、都下の府中基地にある米第五空軍司令部指揮命令系統下にありますが、沖繩を含めた日本韓国に配置されたレーダーサイトから来る報告を不断にまとめる一つ指揮室がこの府中基地にあることが明らかにされました。この指揮室にある迎撃のボタンを米軍将校が一押しすると、迎撃機が発進し敵機を威圧するまでの時間が、バッジの導入によって三分に短縮されております。ことばをかえていえば、三分で、もしかしたら戦争が始まる可能性を、それは意味しておるのであります。しかも、その決定権米軍にあるのであります。自衛隊法防衛庁設置法によって、総理大臣命令なくしては自衛隊は出動できないことになっておりますけれども、わずか三分間で総理大臣承認をとるなどということは、とうていできるわけがございません。  したがって、総理大臣防衛庁長官も知らない間に、航空自衛隊がすべて実戦に組み込まれる可能性があるのであります。数年前、日本の安全とは全く関係がないキューバ危機の際、自衛隊出動態勢に入ったのであります。総理大臣はもちろん、国民が知らないうちに緊急出動態勢がとられたのであります。この一事をもってしても、日本自衛隊アメリカに従属する軍隊であることが非常にはっきりしているのであります。しかも、日本の安全とは全く関係のないことに使用される軍隊であることも明白であります。海上自衛隊陸上自衛隊も決して例外ではありません。しかるに佐藤内閣は、このような日本軍隊を強化するために、年々巨額の血税をつぎ込んでいます。この佐藤内閣防衛に対する姿勢、施策に対して、多数の国民は深い疑惑不信の念を強めてまいりました。さらに、総理府の最近の世論調査でさえ、国民の間に平和憲法平和主義が浸透し、軍備否定論者が漸増していることを明白にしております。  そこで、佐藤総理にお伺いいたします。  日本の安全のためではなく、アメリカの安全のための日本防衛力を増強することは、百害あって一利ないと断定せざるを得ないのでありますが、なぜ防衛力の増強に専念しておられるのか。また、いかなる理由で、かくも忠実にアメリカに奉仕しなければならないのか、もし「安保条約があるからだ」とおっしゃるのであるならば、日本の安全のためではなくアメリカの安全をはかるための安保条約などは、勇断をもって破棄すべきではありませんか。この点、あわせてお答えいただきたいと存じます。  第二に、佐藤総理は、今国会における所信表明において、核兵器の絶滅を強調し、また、いわゆる非核原則を提唱されました。しかし、非核原則基礎とする国会決議に対しては、これを否定し、また、新たに核四政策の提起によって実質的に非核原則を否定しているのであります。アメリカアジア戦略核戦略基礎に置いておる以上、日米安保条約存在によって、日本は必然的にアメリカの核のかさの下に入らざるを得ないのであり、そのため日本核戦争に巻き込まれる危険性は、安保条約と不可分の関係にあると言わなければなりません。  沖繩核つき返還を示唆し、原子力潜水艦原子力空母エンタープライズ寄港承認もその一環であり、また、三次防では核戦争を想定した自衛隊核ミサイル化や、原子力化学部隊設置、さては放射能防御訓練が進められておるのでありますが、これらは日米安保条約質的転換であり、いわゆる核安保体制への進展であります。核のかさは疑いもなく核軍事同盟であり、日米安保条約を実質的に改悪したものであります。しかるに、なぜ国会承認を求めなかったのでありましょう。国会軽視のそしりは免れないと言わなければなりません。  第三に、アメリカ核抑止力に依存することと、非核原則とは明らかに二律相反するものであって、これを一体であると主張することは、あたかもハチみつと青酸カリをまぜて、さあ、これをお飲みなさいと言うのに、ひとしいのであります。もし佐藤総理の言うように、これらが相互に矛盾しないものであるならば、非核原則に立った日本非核武装宣言を否定する根拠がないではありませんか。なぜ日本非核武装宣言を否定されるのか、お伺いいたします。  第四に、ここで特に留意しなければならないのは、佐藤総理が、沖繩核基地返還態度をさらに日本本土にまでふえんし、「核兵器自身については、これからの科学技術の進歩の状況から見て、いま、この段階で核兵器に対する三原則を打ち出すことは時期尚早」、こういう意味のことを言っておられることであります。これは明らかに、沖繩と同様、日本核武装化可能性を示唆したものであり、きわめて重大であると考えられますので、この際、総理の見解をお伺いしたいと存じます。(拍手)  第五に、核四政策のうち、核平和利用推進は何人も異議をはさむ余地のないところでありますが、要は、原子力開発平和利用軍事的利用の間には技術的にも境界がないということであります。その意味ではウ・タント報告を待つまでもなく、日本潜在的核保有国であります。日本は、憲法原子力基本法によって原子力軍事利用を排し、自主民主公開原則的立場から平和利用に徹することを内外に明言しているのであります。  しかるに、原子力平和利用宇宙ロケット開発に籍口して機密保護法の制定が云々され、自主民主公開原則を空洞化しようとしているのであります。したがって、佐藤内閣が核の平和利用をほんとうに推進するというのであれば、まずもって日本非核武装宣言し、かつ、アメリカの核のかさから離脱することが前提とならなければなりません。そこで、この点についての総理所信をお伺いいたします。  第六に、佐藤内閣は、ベトナム戦争に対しては、表面中立を唱えながら、現実には、沖繩を含む在日米軍基地を自由に使用させたり、エンタープライズ等を自由に寄港せしめ、佐藤総理自身が南ベトナムを訪問するなど、参戦国を激励して回り、ついには日米共同声明において、ベトナムにおけるアメリカ侵略戦争を公然と支持してまいったのであります。しかも、政府は、この態度日米安保条約上の義務とし、日米安保体制上当然のことと説明してまいりました。さりながら、国民はこのような説明に断じて納得しておりません。ベトナム戦争開始以来、日本国民はアメルカの介入に深い疑惑を抱いてまいりました。さればこそ、総理南べトナム訪問にあれほど強い批判が巻き起こり、エンタープライズ寄港阻止運動に全国民的な支持が結集されたのであります。この中で今度のジョンソン声明が出されたのであります。世界に誇るアメリカ戦力をもってしても、民族の解放運動の底力にはついに勝てなかったという厳粛な事態を生んだのであります。  そこで、佐藤総理にお伺いいたします。  総理は、ジョンソン声明をどのように理解し、いかに受けとめておられるか、承りたいのであります。さらに、このジョンソン声明は、明らかにアメリカ極東政策転換意味するものと断定せざるを得ないが、総理は、この事態に対応する日本政府外交方針について、どのように考えておられますか、お伺いいたします。  次に、防衛庁長官にお伺いいたします。  第一に、防衛庁年度予算は四千億をこえ、あまつさえ、第三次防衛力整備計画によって、さらに長期にわたって巨額予算が計上されようとしております。いま財政硬直化とその打開が強く問題とされ、政府予算は各分野において著しく規制を受け、公務員の定員減行政機関内部部局削減がはかられ、さらに間接税あるいは公共料金の引き上げなどによって、国民の犠牲と負担が著しく増大されつつありますが、この中で、ひとりアメリカの安全のための自衛官増員予算の増額がはかられていることは、多くの国民疑惑不信の眼が向けられておるところであります。  そこで、長官にお伺いいたします。海上自衛隊自衛官八百三十人の増員については、これを取り下げることが時宜に適した措置であると思うので、これを取り下げるお考えはないか、また、第三次防についても再検討を加え、これを削減ないし縮小することが賢明な策だと思うが、そのお考えはないか、お伺いいたします。  第二に、すでに本国会においても汚職、機密漏洩などの一端が鋭く指摘されてまいりましたように、防衛庁内の規律紊乱道義の低下には目に余るものがあります。庁内の腐敗紊乱は、まさに政府の言うところの戦力なき軍隊末期的症状を呈していると指摘し、悲憤慷慨する人もおります。防衛庁防衛産業及び一部政界との歪曲したつながりを、いまにして勇断をもって粛正しないと、今後も憂うべき事態が繰り返されると思うが、長官にその決意がおありかどうか、お伺いいたします。  次に、外務大臣にお伺いいたします。  世界に誇り得る平和憲法を持ち、世界唯一被爆国である日本が軍縮問題のイニシアチブをとらずして、世界のいずれの国がこれをとり得ましょうか。日本は、敗戦後、占領下にあったため、国際政治の舞台への復帰がおくれたとは申せ、国連に加盟してすでに十年余になります。この地上から原水爆をなくそう、こういう日本国民の悲願を国際政治の場で結実させるために、どのような努力を積み重ねてこられたか、お伺いいたします。  また、核軍縮を含む軍縮外交をいかに進めるかについての日本外交方針とその具体策をお伺いいたします。と同時に、ただいま問題となっておる核拡散防止条約問題に対する日本政府態度はどうなのか、あわせてお伺いいたします。  最後に、ベトナム和平予備会談が十日からパリで開催されることになりましたことは、まことに喜ばしいことでありますが、アメリカ北ベトナムとの交渉の前途についての日本外務大臣としてのお見通しはどういうことか。また、和平実現のために、どのような役割り日本政府は果たそうとしておるのか、具体的にお答えいただきたい。  以上、総理並びに関係大臣の明確な答弁を要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 伊藤君にお答えいたします。  わが国自衛隊、これはその本質におきまして防衛的のものであり、また、その行動自衛隊法によって縛られておりまして、外へ向かって攻撃的な行動をとるものではございません。したがいまして、ただいま、るるお述べになりましたが、これは自衛隊本質に反するお話でございます。三分間で戦争が勃発するとか、あるいは核戦争に巻き込まれるとかいうことはないのであります。攻撃がない限り、さような事態は起こらないのであります。したがって、ただいまいろいろ具体的な事例をあげられましたが、まず日本攻撃する力があって、はじめてこれに対する防衛態勢をとるということでありますから、わが国攻撃する力がない限り、わが国はただいまのような戦争に巻き込まれるとか、こういうものではない。まして、私自身がこれを知らないうちに戦闘が勃発するということはございません。私は全部の責任を持ち、また、全部私が知っております。ただいま、攻撃がある、ない、こういうところが議論になっておりますが、攻撃がないのだから自衛隊は要らないのではないかと言われます。しかし、日本憲法は、御承知のように、自衛権は否定しておりません。自衛権があるということは、この国がいつ攻撃されましても、これに対して立ち向かうという、その準備の自衛隊であります。だからこそ、自衛隊法でも、また、私どもの国防の基本的方針におきましても、国力国情に応じた必要な防衛力を持つということになっております。したがいまして、この点を誤解のないようにお願いをいたします。  次に、核の問題でありますが、私が一昨年——一昨々年になりますか、ワシントンを訪問いたしました際に、アメリカ軍は、日本攻撃をされたならば、いかなる攻撃に対しても日本を守ると、こういう話をしてくれたのであります。この約束で、ただいま、日本への攻撃が、通常兵器による攻撃ばかりでなく、その他の攻撃の場合におきましても、アメリカ日本防衛してくれる。そこで、アメリカの核の抑止力日本はたよっておる、そういう実情になったのであります。私は、このことは安全保障条約本質から当然のことだと思います。安全保障条約は、特定の攻撃に対してのみこれを発動するというものではありません。あらゆる攻撃に対して日本を守るというのが安全保障条約であります。したがいまして、私は、核の抑止力にたよると、かように申しましても、これは改悪ではない。また、このことは、いわゆる条約自身の内容の変化ではございませんから、国会承認を求める事柄でもありませんし、また、国会を軽視したというものでもない。この点も誤解のないようにお願いいたしておきます。  次に、非核武装宣言の三原則、なぜこれを宣言しないのか、あるいは国会決議をしないかというお尋ねであります。私は、しばしばお話をいたしましたように、わが国だけがこの決議をいたしましても、これが国際間の緊張緩和にどの程度役立つか、また、自分の国だけはその決議によって縛られるが、外国を縛る効力はもちろんない、これはおわかりだと思います。また、外国におきましても、この種の決議あるいは宣言をした国はまだないのであります。さような点を考えてみまして、この非核宣言を私の内閣においていたしますことは適当でない。佐藤内閣におきましては、いわゆる核兵器を持たない、製造もしない、持ち込みも許さない、このことは基本的方針でございますから、佐藤内閣ははっきりそれを守りますが、国、国民自身をさような決議で縛ることは、ただいまの状態では不適当だと、かように考えます。ことにただいまのような非核原則は、日米安全保障条約前提として、基礎として初めて成立するのであります。御承知のように、世界ではただいま核兵器を持っておる国が数カ国ございます。これらの国々が核兵器を持っておる。「核兵器を持たない日本が、わが国の安全を確保する上においてどういう処置をとったらいいか、ただいまの非核原則をとることは、これも一応わかるけれども、それだけではたして日本の安全は確保されるか」ということを国民から聞かれますならば、私は、アメリカの核の抑止力によってわが国の安全を確保しておる——これが現実の姿であります。この点もまた御了承をいただきたいと思います。  また、沖繩基地についていろいろお話がございました。ただいま沖繩基地米国施政権を持っておる。その意味におきまして、独自にまた自由に使用できる基地を持っておるわけであります。そして沖繩基地が果たしておる役割りは、わが国の安全のためにももちろんでありますが、同時に、アジア全般について重要なる役割りを果たしておると思います。したがいまして、この点について、沖繩日本に復帰する、その場合において、アメリカと十分これらの点について協議する必要がある。したがって、ただいままで私は、沖繩基地についてのあり方は白紙だということを申しておりますが、沖繩基地が果たしておる役割り考えますと、十分協議しないと最終的な結論は出てこない、かように思っております。ことに現在におきましては、沖繩自身核基地を持っておる、そういう実情でございますから、新しく持つということとは違いますので、十分協議する必要がある、かように思っております。  次に、お尋ねがありました日本平和利用を本気でやるのか、こういうことでありますが、これも申すまでもなく、基本法を持っておりますし、また、それが自主民主公開原則によって運用されており、また私ども、軍事的に一切使わないと、そういうことを約束しておる。このことはすでに御承知のとおりであります。平和利用の面では、すでに原子力発電、これは他の国にも——危険を比べましても、あまり劣らないようなものに発達しつつあります。今後は、さらにこれを推進力にする船舶等に使いたいというので、いろいろすでに皆さんの御協力を得ましたいわゆる測量船をつくるというようなことにもなっております。これらのさらに発達を期するつもりであります。  最後に、ジョンソン声明をどういうように考えるかということでありますが、これは、私がすでにもうお答えいたしましたように、ジョンソン和平提案並びに北ベトナムのこれに対する対応処置、これなどは私ども心から歓迎するものでありまして、これがベトナムに恒久的な平和のくるその端緒だと、かように思いますので、ぜひ守り育てたいと、かように思います。私がベトナムを訪問いたしましたのも、その当時申しましたように、平和への端緒を目ざすことが心からの自分の願いだと、かようなことを申しましたが、すでに今日和平への糸口が見つかったという状況でございますから、たいへんしあわせに思っております。私の訪ベトナムの目的も達しつつある、かように思っております。(拍手)  次に申し上げますが、米国の今回のベトナム和平提案は、世界政策転換を来たすものではないか、かように言われておりまするが、しかし、私は、ただいまアメリカ自身が、ベトナムへの和平提案をしたからといって、アメリカが本来主張しておる自由を守り平和に徹するその基本的政策が変更あるとは思っておりません。私自身も、自由を守り平和に徹する、日本のこの基本的方針を、この上とも堅持してまいるつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣増田甲子七君登壇拍手
  7. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 伊藤さんにお答えいたします。  自衛隊そのもの並びに日米安保条約必要性存在価値等につきましては、ただいま総理のおっしゃったとおりでございますから省略させていただきます。ただ、国連憲章第五十一条に基づきまして各国に存在しておりまする集団安全保障条約がございまして、その集団安全保障条約一つ日米安保条約でございまして、日ソ共同宣言の中にも、日米安保条約が合法的であるということが宣言されているということをつけ加えておきます。決して日米安保条約があるからといって、日本アメリカに隷属しているということではないということは、この際、確言申し上げる次第でございます。  それから、キューバの事件のときに自衛隊警戒態勢をしいたというようなお話がございましたが、そういう事実はございません。府中にはアメリカの第五空軍レーダーを見る関係情報指揮所がございます。ございまするが、日本レーダーは、日本本土の二百海里外までレーダーに写るわけでございまして、韓国の一部等は写りますが、沖繩は全然写っていないのでございます。ただ情報は、米軍を通じて自衛隊に入っているということだけは事実でございます。しこうして総理のおっしゃったとおりに、わが国の知らない間に戦争に突入するなんということは全然ないということを、私からも確言申し上げる次第でございます。  それから、その次に、防衛庁長官は四千二百二十億に達する膨大なる防衛費削減する考えがあるかどうか——護衛艦二隻、潜水艦一隻がふえるわけでございまして、そのふえる護衛艦二隻と潜水艦一隻に対する乗り組み員が、大体において八百三十名でございます。そこで護衛艦が二隻ふえ、潜水艦が一隻ふえると、これに対する八百三十名の増員所要のものでございます。また、四千二百二十億円というのは、昨年度の当初予算に比べまして四百十一億ふえておるということは事実でございまするが、また、全体の予算から見まして、昨年の防衛費は七・六九%でございましたが、本年度は七・二五%でございまして、率におきまして相当の減率を示しております。防衛庁といたしましても、財政硬直化打開のために協力を惜しむものではないということは、これをもってもおわかりくださると思う次第でございます。でございますから、三次防を現在の内外の情勢、その他国力国情に照らしまして、この際改変するというような考えは、総理も私も持っていないということを申し上げる次第でございます。  なお、綱紀粛正機密漏洩についての御質問、ある点については同感でございます。若干の機密漏洩があり、若干の道義退廃がございましたことは、きわめて少数ではございまするが、遺憾の意を表する次第でございます。そこで、国民信頼にこたえる自衛隊を建設するために、機密の保持、厳正なる規律を保持して綱紀を厳にすることが、自衛隊について特に大切なことは、申すまでもございません。私、就任以来、防衛庁は、さわやかな、清潔な、すがすがしい感じを外部の国民が受ける官庁にしなくてはいけないというのが、私の指導方針でございまして、そこでそのことを強調し、その実現努力してきたのでございます。現在規律に関する法律もございます。また、官吏服務紀律、その他の規律もあるわけでございます。でございますから、今後ともあらゆる機会をとらえまして、隊員が真に自衛隊の使命を自覚して、強い団結心責任感とをもって、専心職務遂行に当たるよう、一そう精神教育の徹底を期するとともに、部内の責任体制の維持及び信賞必罰の実を明らかにして、いやしくも国民の批評、指弾を受けることがないように、上官、部下相携えまして、一致団結して防衛産業にも対処いたしまするし、国民信頼にもこたえるよう、精強なる自衛部隊の建設のために、挺身努力をしてまいる所存でございます。(拍手)    〔国務大臣三木武夫登壇拍手
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 伊藤さんにお答えをいたしますが、第一点は、核拡散防止条約に対する日本政府態度いかんという御質問でございます。核兵器を持っている国が次々にふえていくことは、核戦争の危険を増大する、したがって、核兵器保有国を抑制していこうというこの条約精神には賛成する、これは政府の基本的態度でございます。しかしながら、これは重要な内容を含んでおりまして、ただいま再開国連総会において審議をされておりますので、さらにこの条約が公正な条約となるよう、最後努力を試みたいと思っております。この審議の結果等もにらみ合わせて、最終的な政府態度をきめたいと考えております。  第二は、軍縮、ことに核軍縮に対して日本の熱意いかんという御質問でございましたが、伊藤さんの御指摘になったごとく、核兵器を絶滅したいというのが、日本国民のこれは念願であります。したがって、核拡散防止条約の場合においても、この核拡散防止条約は核保有国の軍縮の義務を伴わなければならぬということを強く主張したのは、日本であります。そして、これは日本ばかりでもございませんけれども、非常に強く日本はこの点を主張したわけです。その結果、軍縮の義務というものが、前文ばかりではなしに、本文の中にも明記されました。そして日本は、五年ごとに、軍縮の義務履行というものを、これをレビューする、この条項を条約の中に加えることを、これもまた強く主張したのです。これは、日本が一番強く主張したのです。これは本文の中に入ったのです。したがって、この核拡散防止条約というものを通じても、核軍縮に対する日本政府の熱意というものはあらわれておるということが言えると思います。今後われわれは、この国民の念願である核兵器絶無に向かって、一ぺんにはいかぬでしょう、段階的に有効な国際管理のもとに、だんだんと核の軍縮をしていくという努力をいたしたい決意でございます。  第三点は、パリ会議、ハノイとアメリカとのパリ会議をどういうふうに見通しておるか、日本役割りはどうかという御質問でありますが、まあ十日ごろから始まるということになっておる、こういう話し合いが、解決への重要な一歩であることは間違いない。しかし、会談が始まっても、むろん全面的な北爆停止あるいは北から南への浸透、これの停止あるいは南ベトナム、ベトコンの問題、たくさん複雑な問題を含んでおりますから、劇的にこの和平会談がまとまるとは日本政府考えていない。相当な時間がかかるに違いないけれども、せっかく生まれてきた大きな和平への世界のこの大きな流れを、これをあとに戻すことはできない。戻してもらっては困る。この機会を、必ずベトナム問題の解決の機会たらしめなければならない。これは世界の期待でもあるし、アメリカとまたハノイ戦争当事国の責任でもあると私ども考えております。したがって、この和平会談の経過等に応じて日本が働いて有効であるならば、いかなる平和的解決への努力も惜しまない考えでございます。どういうふうにこの会議がなっていきますか、いまは、こういう場合、ああいう場合ということを申し上げることは困難でありますが、日本が働いて和平のために役立つならば、何でもしたいというのが日本政府考えでございます。で、この戦争が休戦協定のようなのができましても、これが長続きするためには、いろいろ戦争のために荒らされたベトナムの建設という問題も起こってまいりましょうし、日本が果たすべき役割りというものはたいへんに多いというふうに考えておるわけでございます。われわれも、日本憲法その他日本の事情の許す範囲内において、いわゆる和平、また和平の次に来る戦後の建設についても協力をいたしたいという所存でございます。  お答えをいたします。(拍手
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、領海及び接続水域に関する条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長三木與吉郎君。    〔三木與吉郎君登壇拍手
  11. 三木與吉郎

    ○三木與吉郎君 ただいま議題となりました領海及び接続水域に関する条約につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。  この条約は、一九五八年の国際海洋法会議において、領海及び接続水域に関する慣習国際法の法典化を目的として採択されたものでありまして、領海の幅につきましては合意が成立しなかったため、規定が設けられておりませんが、領海の幅を測定するための基線、領海の無害通航権、接続水城等について規定しております。  委員会におきましては、慎重審議、特にポラリス潜水艦の領海通航の問題等につきまして熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録に譲ります。  五月七日、討論、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。      —————・—————
  14. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長山木伊三郎君。    〔山本伊三郎君登壇拍手
  15. 山本伊三郎

    ○山本伊三郎君 この法律案は、さきに陸上の労働者に関して失業保険法の改正と労働者災害保険法の改正とが行なわれたことに対応いたしまして、船員保険における給付を陸上労働者と均衡がとれるよう改めるものであります。第一に、失業保険金について、その算定方法に弾力性を持たせること、第二に、職務上の障害給付にかかる障害等級表を改訂することの二つを内容といたしております。  社会労働委員会における審議経過は会議録に譲ります。  昨七日、採決の結果、全会一致をもって本法案は原案どおり可決すべきものと決しました。  以上報告いたします。(拍手
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長青柳秀夫君。    〔青柳秀夫君登壇拍手
  19. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 ただいま議題となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案は、昭和四十三年度の地方交付税にかかる特例措置に伴い、同年度以後における一般会計からの交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れ金の額の特例、及び借り入れ金の借り入れ、並びに特別事業債償還交付金に相当する金額の一般会計から同特別会計への繰り入れに関する規定を設ける等、所要改正を行なおうとするものであります。  委員会における審議の詳細につきましては、会議録によって御承知を願います。  質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時五十五分散会