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1968-04-27 第58回国会 参議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十七日(土曜日)    午後五時五十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十七号   昭和四十三年四月二十七日    午後一時開議  第一 沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員   となる日本国政府代表設置に関する暫定措   置法案内閣提出衆議院送付)  第二 国立学校設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第三 地方交付税法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、政治資金規正法改正に関する緊急質問  一、日程第一より第三まで  一、国立病院特別会計法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  横川正市君から、政治資金規正法改正に関する緊急質問提出されております。  横川君の緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。発言を許します。横川正市君。    〔横川正市君登壇拍手
  5. 横川正市

    横川正市君 私は、日本社会党代表して、政界浄化のために絶対に必要と、党派心を離れて決意をいたしました政治資金規制にかかわる法案が、審議会の五次にわたる答申があるにもかかわらず、いまだ提出されていない問題について、総理並びに自治大臣質問をしようとするものであります。(拍手)  昨日、衆議院は、わが党の西宮氏を代表に立てて本件を議題として質問をいたしました。  私がまず第一にお尋ねしたいのは、西宮氏の質問要旨は、およそ七項目に分かれ、今日、世論の中にある多数意見と考えるのであります。また、この質問要旨は、あらかじめ国会の係を通じて総理に手渡されているものと考えますが、この質問内容のどこが問題で衆議院議事が紛争したのか、事実と相反することがあるのならば、そこは一体どの個所であるのか。また、この質問に対して、総理の所見を明らかにしていただきたいと思うのであります。(折手)  項目別にあげますと、  第一は、総理議会発言に反して、資金法提出が停滞いたしているということであります。  第二は、政治資金取り扱いをめぐる与党議員内部取りまとめができないほどの反対意見ということは、どういうことかということであります。  第三は、現行法資金公開原則が守られていない事実についてであります。  第四は、金のかかる選挙は否定できないとすれば、それぞれの議員はどうして金を入手しているのかという問題であります。  第五は、財界政党の構造的な利害供与政治資金事件についてであります。  第六は、答申を受けて立法化しようとしている事務当局との対立意見、また、法制局段階での論議内容であります。  第七は、金がかかると覆うが、どこにそれほどの金がかかるのか、具体的な説明を求める、こういう問題なんであります。  私は、本質問は、議会制民主主義を守り育てるための、野党側からすれば、善意に基づいて出された質問だと思うのでありまして、具体的にこれは答弁を必要とするものだと思います。  私は、最近いろいろの論議の中に、井戸べいといわれるほどの議員活動者がだんだんいなくなってまいりまして、議員であることによって私財をなす議員が多くなったと評される。日本の今日の政治について、個々の人が田尻から信用されるため、現在何をなすべきか、真剣に考えて、議員の私心を捨てながら、政治資金規制を行なうべく、これを実行に移すべきときだと思うのであります。ことに昨年の一月の衆議院選挙は、国民から投げかけられた政治への不信を回復する決意をもって断行されたものであります。姿勢を正して国民の審判を受けたはずであります。また、とりあえずの措置を行ない、金のかかる選挙の悪弊を取り除くため、恒久的条件については、国民への公約として、改正のために必要な措置をとることとしたはずであります。それが政治資金規制立法化であったと思うのであります。  さて、昨年の四月までに、第五次にわたって選挙制度審議会委員の熱心な審議を経て答申されました。ことに政治資金規制のための政治資金規正法並びに公職選挙法について不十分であるとは考えられつつも、野党側全員賛成立場をとったのであります。それにもかかわらず、改正立法措置はたなざらしになったのであります。一方、政治腐敗現実あとを断たず、国民憂慮と疑惑による政治不信は一そうきびしいものがあると思うのであります。ことに不愉快きわまりないのは、今日までの政府与党答申立案化作業が、経過並びに国会における議会を通じて、また、その政治姿勢を見るときに、佐藤総理の再三の公約にもかかわらず、政府並びに与党自由民主党は、政治資金規制問題に本気に取り組んできたとはとうてい考えられないのであります。政党政治家政治活動に金が必要である。これ自体、われわれはとやかく言うものではありません。問題は、それがあまりにも多額で、ことに自由民主党の場合は、年間に収受する金額は、野党との差はもちろんでありますが、諸外国の政党に比べてもはるかに巨額になっておるのであります。さらに、その多額の献金が特定の利益に結びつきやすいことは、これはもう全くいろいろ論議をされたところであります。そういうことから一連の黒い霧事件が多発したために、政治の危機として、審議会も緊急に措置すべき問題として答申が出されたのでありますが、こういうことを考え合わせてみますと、その後もあとを断たないで政治腐敗顕在化が年中行事のようになって、国民批判を受けている。こういう問題をとらえてみますと、いまや政治に対する信頼は一体どうなっているのか、全くこれは議会議員として憂慮にたえないところだろうと思うのであります。(拍手)  このように政治腐敗表面化しているという現実を、総理はどのように受けとめているのか。本来から言えば、政局を担当する者として、審議会答申があるなしにかかわらず、何をさておき、きれいな政治資金受授の道を開き、即刻国民政治不信を解消しなければならないはずのものであります。ただ単に、みずからえりを正すと、口にだけ反省を繰り返して済まされる問題ではないと思うのであります。選挙制度審議会は、きれいな政治資金政党が向かうべき道として、「政党は、できるだけすみやかに近代化組織化を図り、」それにより「おおむね五箇年を目途としての個人献金と党費によりその運営を行なう」ことを前提として、さしあたって当面の政治資金規制措置を講ずることが緊急事項だとしているのであります。  総理は、国会におけるたびたびの質疑に対して、こう答えております。読み上げるまでもないのでありますけれども、まあ思い返していただきたいと思うのでありますが、「選挙制度審議会答申を尊重しなきゃならぬことは、これはもうはっきりあらゆる機会に申し上げております。したがって、その点では党員はみんな同じ考え方だと思っております。」「政治資金規制、これはむずかしい問題を幾つも包蔵しておりまして、研究すれば研究するほど困難な問題であります。しかし、こういうことでくじけては相ならないと考えておる。私が、総理といたしまして、また一党の総裁として、これこそ勇断をもって臨まなければならないものだと、かように思っておる。」「昨年とことしと私の考え方、また決意には変わりはございません。」と答弁されておるのでありますが、昨年末の一連の黒い霧事件LPガス、さては最近の口逸問題を前にして、先ほどのような所信のほどを具体的にはどういう措置をもって国民の前に示されようとするのか、このことを総理にお伺いいたしたいのであります。  政局を担当する総理として、総裁として、政治腐敗表面化現実を前にして、なおかつ精神論だけでは責任は済まされないのであります。特に日通のような「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者」その他公職選挙法百九十九に規定する会社からは、政治資金についても寄付は一切受け取らないと宣言するくらいの政治姿勢を示すことが、総理自身のまず第一にとるべき措置ではないかと思うのであります。あわせて所信お伺いたいと思います。単に法に触れなければ許されるとする現実ではないのであります。  次に、総理は、「今回はぜひとも成立のできる案、それをただいま事務並びに与党との間の調整をやらしておる」「政党自身に集まる金よりも、その個人の金の使い方が問題なんでありまして、それを調整することがいま私に課せられた仕事でございます。」と言われておりますが、新聞に報道されたその内容なるものは、会社寄付最高限度額は、損金算入限度額を一億数千万円まで、派閥個々政治家への寄付制限は、政党とは別ワクで、しかも政党への限度額と同額まで、会費の扱い制限対象としない等、答申の趣旨から大きくはずれることはもちろん、総理国会における答弁のうちからも大きくはずれているものと言わなければなりません。成立のできる案に調整中と言っておられる。成立のできる案とは、どういう内容意味を持つものなのか。そのための調整とは、どの方向を向いて歩いているのか。私どもの老婆心ならばたいへん幸いなんでありますけれども総理自治大臣は、政治腐敗現実を前にして、具体的な措置は何もとらず、政治資金規制立案に際しては、手直しだ、骨抜きだ、こういうことに終始いたしまして、最終的には、法案流産をするか、流産をしないまでも、今日野党連合法案を出しておりますけれども、それとは全く似て非なるもの、野党の賛成しがたいざる法を出して、廃案になったら、われわれは法案を出したのだが、野党反対廃案になったと、責任野党に着せようとしていることについては、私どもは容認しがたいのであります。もしそうでないならば、調整とは、答申の中にあります内容を明確に盛り込んだ、そういうものをつくりたい、これが調整ですということを、私ははっきり言っていただきたいと思うのであります。  また、総理とは別に、自治大臣は、たび重ねての答弁の中に、「筋道だけは間違えないという決意だけは持っております。」と、こう言っております。そういう自治大臣は、答申に沿った法案をどういう形で提出しようとされるのか、重ねて明快な答弁をいただきたいと思うのであります。手直し作業骨抜き作業として調整中というのであれば、総理責任はまことに重大であります。総理は、六四年十二月自由民主党総裁に就任以来、野党反対を押し切って、幾つかの法案国会成立いたさせました。たとえば、ILO八十七号とか、あるいは日韓条約とか、幾つかの懸案を成立させたときの、皆さんの中の一つの声というものは、総理はいわゆる実行力のある人だ、これが総理総裁の持っております価値なんだ、こういうふうに広く喧伝をされておったと思うのであります。ところか、衆目の中の政治資金規制について、今日のごとく放任状態とし、成案の見通しがない、こういうことになりますと、今日までの諸案の中で実行ある行為、いわゆる実力ある行為というのは、どうも、世論の中からは、うしろ向き法案に対してだけは実力を発揮し、今回のように前向きの法案を出そうとするときには、何か統制力といいますか、実力といいますか、こういうものが欠けるという、こういうことは一体どうしたわけなのかと疑念を抱くわけであります。ことに連休の後、二十日足らずの会期を残すのみとなった今日になって、なおかつ具体的な政治姿勢を示すことができない。これはたいへんな私どもとしては不満なことなのでありまして、総理決意所信をお伺いしたいと思うのであります。(拍手)  また、報道するところによると、罰則について、これは調整ということの対象には、善意寄付者を罰することのないようにしたい、こういうことのようなんであります。そういう考え方は、実は政党への政治献金ルートについて、いささか国民の気持ちから相反する結果になる、そういう要因があると思います。せめて、こういうことが論議される焦点になるなら、いわゆる政党への政治活動に対する献金、これはひとつ明確にしていただいて、そうして私生活に使ったお金というようなものは、これは報告の義務を与えて、同時に、それに献金したほうは、政治活動してもらおうと思ったのだが、私生活に金を投入したのでありますから、これは損金取り扱いをしない、こういうくらいなきびしさを、実は両者に与えておくことが私は必要なんではないかと、こう思うのであります。  さらに、制限額をこえた寄付でありますけれども、これは受けたほうも、あるいは出したほうも、明らかに今日の世論に違反をいたしております。そういうようなものに対しては、当然これは罰則をきびしくするということで臨むべきだと、私は思うのでありますけれども総理並びに自治大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。  最後に、資金公開制確立について、今回いろいろな事情で、たとえば最悪の事態をこの法案で見るというような現実になりましても、この公開制確立の問題だけは、これは実現すべきである、こういうふうに私どもは考えるわけであります。  この点のお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 横川君にお答えいたします。  政界浄化並びに政党近代化等につきましては、私も私なりにいろいろ努力をしておるところであります。ただいまお話のありました政治資金規制、この改善につきましては、いわゆる黒い霧事件以来と申しますか、前衆議院選挙以来、この問題と取り組んでおります。そうして毎回同じようなお答えをいたしてまいりました。それについても、どうもいままでも実現しなかったということで、私たいへん非難されることだと思いましたが、あまりそういう声は横川君のお話からはなかったわけであります。私自身もただいまの状態でこれはいいとは思っておりません。今日まで提案ができない、まことに残念だったと、国民に対しても遺憾に思っております。しかし、今回はぜひとも通したい、かように考えておりますので、いままでもしばしば聞かれましたように、この国会におきましては、二月末には出したい、あるいは三月末までにはと、二度も申してまいりましたが、もうすでに四月の末でございます。そうして会期もたいへん迫っております。そういう際でございますだけに、ぜひとも今回は成立できる法案を出しまして御審議を得たい、最近はその調整もたいへん進んでおるようでありますから、近く出てくると、かように私も考えております。どうか出てまいりましたら、審議の上で十分論議を尽くしていただきたい、かようにお願いをいたします。  そこで、これは私が重ねて申し上げるまでもなく、政治資金そのもの取り扱い方政治の基本に関する問題だと私も思います。さような意味で、政治選挙には金がかかる、かようには申しましても、その金が浄財でなければならない、同時にまた、不当に金が使われるようなことでは国民は納得しない、かように私も思いますので、そういう点で特に注意していかなければならない、かように思っております。これは当然のことだと、かように思います。  そこで、昨日、衆議院における西宮君の質問について、七項目についてお話がございました。この質問がたいへん問題になったのは一体どこなのかと、こういうお尋ねでございます。私はどういう点が審議の問題になりましたか、これは議場の取り扱い方のように思いますけれども、さすがに参議院におきましては、表現の自由はございましても良識の府である、かような意味におきまして、たいへんお話は聞きいい。どうも衆議院におきましては、みずから品位を保っておる、あるいは権威を高めた、かようには思われないような発言がしばしば行なわれております。そういうことが実は問題だったろうと思います。ただいま言われました事柄、これはそれより以上は申しません。  そこで、西君君の指摘されました、提案がおくれたこと、これについては、私ただいま率直に申しわけないと申しておりますし、また党内反対、これもございますが、ただいま調整いたしておりますから、あまり御心配なさらないようにお願いをいたします。  資金公開原則、これは今回の大きな改正の点だと思います。真剣にこの問題と取り組んでおります。  また、金がかからない選挙、どういうところに金がかかるのか、こういうお尋ねでございますが、最近、政治活動なり、あるいは選挙運動いたしましても、皆さん方もお気づきのように、会場一つ借りるにいたしましたも金が全然かからないわけではありません。特に通信費などはよほどかさんでおる、かように思います。そういうような金のかかる選挙政治活動、これを一体個人はどうして調達しておるか、かようなお話お尋ねがありました。私は各政党にそれぞれの扱い方があると思いますが、わが党におきましては、党においてまかなうということを本旨にしております。この関係におきまして、政界近代化政党近代化、その方向へただいま努力を続けておる次第であります。しかしながら、御指摘になりましたように、党内におきましては派閥がある、これは大きいところにも、また小さい政党にも同様だと思いますが、この派閥が最近の政党近代化をはばんでおる、こういう点を私も率直に認めなければならない、かように思います。  さらに、事務当局との案の調整等についてというお話でございますが、政治資金規制、このことは、本来お互いに政治家自身が取り組むべき問題で、いわゆる事務当局などよりも政治家自身がくふうすべき、取り扱うべき問題のように私は思います。したがいまして、しばしば事務当局意見が合わないということもあるだろうと思いますが、しかし、これは政治家自身がきめる、こういうことで臨まなければならぬと思います。また、過去の政治家がたいへん国民のために清廉な政治をしたという、そういう例から井戸べいの例をあげられましたが、私も過去の政治家には幾多のそういうことを伺いますけれども、ただいま、どうも政治家特権階級であるように国民から思われるような、そういう言動があると、私はたいへんこの点を政治家のためにも残念に思っております。で、したがいまして、これらは政治家自身がみずから反省し、考えていかなきゃならない問題だと、かように思います。  また、この前の選挙以来、浄化公約はどうなったかと、こういうおしかりでありますが、先ほど、この政治資金規正法改正に近く成案を得るということを皆さまに申し上げましたので、これで御了承いただきたいと思います。  与党は本気でないんじゃないのかという御批判でございますが、もちろん、私をはじめ与党の各政治家とも、党員ともこの問題については、まことに真剣であります。これは政党近代化をはかる、こういうような意味におきましても、たいへん熱意を持っておると、かように思っております。いろいろ調整を要するような議論のあるということ、それ自身が、たいへん真剣である証拠であります。したがいまして、それでなかなか一緒に——意見が簡単に固まらない、まとまらない、かように私思います。  さらにまた、この政治資金巨額にのぼる、こういうことにつきましても、産業界あるいは財界とのくされ縁が別にできるわけではありません。最近の腐敗状況等をこれと結びつけての御批判でございましたが、私は、こういう問題につきまして、たいへん気をつけて政治腐敗国民からの不信を買うようなことがないようにと、この上とも努力するつもりであります。  LPGあるいは日通問題等についてもお尋ねがありましたが、LPGの問題は、もうすでに検察当局の捜査も終わったようであります。日通問題は、ただいま取り組んでおる最中だと思います。私、こういう事件が次々に起こることは、まことに残念に思います。政治家自身がこういう問題に関係のないように、ただただ祈っておるような次第であります。  次に申し上げますが、近く政治資金規正法案提案されますから、その内容につきましては、赤澤君からお答えすることにいたします。私は、この基本的なものの考え方につきまして、第五次の選挙制度審議会答申、その精神を尊重していくと、こういうことをたびたび申しております。しかし、やはり現実と理想的な形との間には、相当の差がございますので、現実に合うように、やはり弾力的な案を今日はつくらなければならないだろうと、そういうところがどうも成立をはばむのではないか、かように私は思いますので、現実に即した案をつくるようにただいま取り組んでおる次第であります。  また、最後に、罰則の強化あるいは監査権、あるいは損金扱い等についてもお話がありましたが、赤澤君からお答えすることにいたしますが、公開原則はぜひ実現すると、こういうことでせっかく努力しておる最中でございます。  以上申し上げます。(拍手)    〔国務大臣赤澤正道登壇拍手
  7. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) お答えいたします。  総理が早く成案を得て出せとおっしゃいますけれども、なぜ党内調整に手間どったかと申しますと、これは腹のうちでは御承知になっておると思いますが、一口に言えば車の両輪論などがあった。選挙制度審議会最初池田総理がどういう諮問をしたかと申しますと、言うまでもなく、いまの選挙区制というものを改めて、金のかからない政党本位選挙をやれないものか、それを検討してほしいということが、選挙制度審議会の命題になっております。しかし、御案内のような経過をたどっておりまして、なかなか結論が出なかったものが先般出た。それには明らかに世界各国がやっておる小選挙区制に踏み切れ。ただ、単純小選挙区をやるか、ダラーベン方式をとるか、小選挙区制と比例代表制併用案によるか、細部の点で最終的なまとめがつかなかったということでございまして、はっきり区制改正を柱としてやれ、こういうことで答申をいただいております。ところが、その過程でああいう不祥事件が起こってまいりましたので、やはりこれは緊急措置をしなきゃならぬということで、特別委員会をつくりまして、答申がありましたのが政治資金規制のことでございました。そして総理からは、とにかくああいう事故が出たわけだから、区制改正はさておいても、とにかく資金面でも姿勢を正すべきであるという強い御要求がありました。すぐこの法案の成文を得る作業に入ったわけでありまするけれども、しかしながら、現実金がかかる状態にしながら、それをやりながら、しかも資金を規制するだけでは、なかなか議論が沸騰してまとめがむずかしいということは御了承いただけると思う。何のために保守党は金がかかるのかと、いま横川さんはおっしゃいましたけれども、しかし、ほんとうは政党本位選挙になれば、いまこれほど発達したラジオ、テレビの世界ですから——また、言論機関、マスコミと、ずいぶん発達しておる。これを利用すれば、政党立場をのせることもできるし、それぞれ個々の、そこら辺を歩き回っておかしな動きをする必要がないはずだ。そのことはみんな承知しておるはずだ。しかも、これを踏み切ろうとしてもなかなか踏み切れないのは、どこにあるのかということもよく御承知いただいておるところでございます。その苦しさがあるから、やはり党内でもこの会議を開きますと議論が沸騰するということは、ひとつお認めをいただきたいと思います。  そこで、私が、筋道ということを終始言っているということをおっしゃいましたが、私は、いまの政治資金規制のこの答申、これが唯一のものではないと最初から考えております。ですから私は、いろいろな考え方審議会の席でも申し述べてまいったわけでございますが、最終に、これはお取り上げにならなかったわけでございまして、そうしていまの答申が出た。出ましたからには、やはりこれを尊重いたしまして、この答申の線に沿って成文を得ましょう——また、総理も得るべきであるということでございますから、私は、もっといい方法があると思うけれども、そのことは、おくびにも出さないでおるわけでございます。  ただいま横川さんのことばの中にもありましたけれども、やはりこの政治資金などが、最終、個人に帰属する段階で、十分これが課税の対象になっておるかどうか、このことを国民は一番気にしておられると思います。また、そういう政治資金が集まったもので私財ができたということでありまするならば、全くこれくらい献金した人を小ばかにしたこともありませんし、国民に対して最も不誠実なことであると思いますので、そういう条文も私は、ぜひ入れたいとも考えておるわけでございますが、しかしながら、この全体の進め方といたしましては、この答申精神を十分生かしながら、総理も申しましたけれども、一歩でも前進できる実現可能な案だということで、いろいろ煮詰めてまいりました。  ただいまこの本会議が開かれる直前まで、総理といろいろ、最終的な詰めをしたものについて意見を交換いたしました。もう大体、要綱がやっと発表できる段階までできたということでございますので、長い時間がかかりましたけれども、近くこの成案を閣議決定願いまして、そうして皆さんの御審議に供することになると思います。その上でいろいろな御批判をいただきたいと思っております。  それから、外国の政治資金と御比較でございましたが、まあ、日本と外国とはそれぞれちょっと単純に金銭面では比較できぬ事情がございます。本来、政治活動は自発的に行なうべきものであることは当然のことです。それに必要な政治資金は、政党の規模あるいは政治活動の方法、手段などによって異なるのは当然でございます。しかしながら政党も、みずから近代化組織化について、国民の期待に沿うよう努力すべきであることはもちろんでありますし、また、私どもの党といたしましても、あるいは総裁以下いろいろこういった点に思いをいたしまして、新しい一歩を踏み出そうという、いま努力をいたしておるところでございます。この特定会社の規模のことなどちょっとお触れになりましたが、これは私どもは、さきの改正案に、答申のみでなくて、一般の政治活動に関するもの——選挙だけでなくて、一般の政治活動に関するものにつきましても、いままでだって禁止されておりましたけれども、今回の改正におきましても禁止の方向で結論を得ております。  さらに、損金算入限度額ということばがちょっと出たわけですが、それを新聞社の皆さん方がとらえて、理論的にはこういう金額にもなるということが出ましたために、国民は非常に意外な感に打たれたようでございます。しかしながら、私どもも、こういう入りもしない寄付の最高額をうたう必要は毛頭ないのでございまして、そういうものが計算上なったって、だれも寄付をしたものはいままであったためしはない。  そこで、先ほどの筋道ですけれども、一つは、総理が先ほどおっしゃった公開原則は守っていく。もう一つは、分相応でありませんと、やはりそこにいろいろの疑惑が起こるわけでございまするので、これは、会社の規模能力に応じまして、ある程度弾力的な措置をとることは必要であると思っております。損金算入限度額などという新聞記事なども出ましたけれども、私どもは、そういう方法はとらない考えであります。  それからまた、ざる法を出すのではないかということでございますが、私どもといたしましては、この法案提出いたしまして、まあ、おくれはいたしましたけれども、ぜひ全議員皆さんの御審議に供しまして、そうしてその結論をいただく、この法案を出しましたからには、成立さしていただきたいということをこい願っておるものでございます。少なくとも、現状よりはよほど前進した案という自負を持っております。しかし、横川さんのお考え方から見れば、まだ不十分だとおっしゃるかもしれませんけれども、それには、当初から申しました、金のかかるような選挙制度をそのままにしておいての話でございますから、法案が近く出まするので、十分御審議されますようにお願いいたします。(拍手)      —————・—————
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、沖縄島那覇に駐在する諮問委員会委員となる日本国政府代表設置に関する暫定措法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。沖縄及び北方問題等に関する特別委員長伊藤五郎君。     〔伊藤五郎君登壇拍手
  9. 伊藤五郎

    ○伊藤五郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、沖繩及び北方問題等に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  昨年十一月の佐藤総理とジョンソン大統領との共同声明及びその後の交換公文に基づき、沖繩の復帰に備えて本土との一体化を進めるとともに、沖繩の住民の福祉等を増進するため、高等弁務官に対して助言し、勧告することを目的として、このたび那覇に日米琉諮問委員会設置されましたが、本法律案は、この諮問委員会委員となる日本国政府代表一人を総理府に置くこととし、その任務、給与等について定めようとするものであります。  なお、本法律案は、衆議院において施行期日について所要の修正が行なわれております。  委員会におきましては、諮問委員会に関して、高等弁務官との関係、権限、今後取り上げるべき諸問題等について、熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。  四月二十六日質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党代表して、岡田委員より、「沖繩の返還時期、返還される姿が明白でない現在、この委員会は沖繩住民及び日本国民をなだめるためのものであり、また、委員会の性格はあいまいで、返還に関する基本的問題を取り上げることができないので、この法律案反対である」旨の発言がありました。  次いで採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      —————・—————
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。文教委員長中村喜四郎君。     〔中村喜四郎君登壇拍手
  13. 中村喜四郎

    ○中村喜四郎君 ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審議経過と結果を御報告申し上げます。  この法律案は、千葉大学及び愛媛大学の文理学部を改組するとともに、茨城大学外三大学に大学院を設置しようとするものであります。  なお、衆議院において施行期日に関する修正が行なわれましたことを申し添えます。  委員会におきましては、国立大学の整備充実策、大学教官の待遇改善及び定員充足と行政機関職員定員法案との関係、大学付属学校の今後のあり方、養護教諭の養成確保、私学振興策、大学紛争と大学の自治等、大学をめぐる広範な諸問題について、五日間、長時間にわたり熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、この法律案衆議院送付案のとおり、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次いで、楠理事より、国立電波高校の高専への転換につき、すみやかに検討、努力すべき旨の附帯決議案が提出され、これまた、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  14. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長津島文治君。     〔津島文治君登壇拍手
  17. 津島文治

    ○津島文治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  本案は、地方団体の行政経費の増高に対処するため、地方交付税の単位費用を改定するとともに、新たに特別事業債償還費を設ける等、基準財政需要額の算定方法を改め、あわせて昭利四十三年度から昭和四十六年度までの各年度の地方交付税の総額の特例を定めること、並びに特別事業債償還交付金の交付等について、必要な措置を講じようとするものであります。  委員会における審査の詳細は、会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、船田委員から提出の各派共同による附帯決議案は、これを全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。  以下御報告いたします。(拍手
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      —————・—————
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  告知要するに病院特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長青柳秀夫君。      〔青柳秀夫君登壇拍手
  22. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 ただいま議題となりました国立病院特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  国立療養所は、戦後におけるわが国の結核対策を推進する上に大きな役割りを果たしてまいりましたが、近年は、国民の疾病構造の変化に伴う各種の長期慢性疾患等の新たな医療需要にこたえるため、現在の国立療養所の施設をすみやかに、かつ、計画的に整備し、充実した医療を行ない得る体制を確立する必要があると考えられます。  本案は、従来、一般会計で行なっておりました国立療養所の経理を、新たに国立病院特別会計に移すことにより、その収支を明確にするとともに、借り入れ金の導入、資産の効率的活用、予算の弾力的運用等を行なうことにより、その施設設備の整備を促進し、あわせて、経営の円滑化をはかろうとするものであります。  委員会におきましては、社会労働委員会と連合審査会を開き、参考人より意見を聴取する等、慎重審議が行なわれましたが、その質疑のおもなるものを申し上げますと、本法案提出に至るまでのいきさつ、国立療養所を一般会計から特別会計に移す理由、特別会計移行に伴う独立採算制強化の懸念、二割引き制度の廃止及び基準加算の実施に伴う患者負担の増大の懸念、国立療養所における施設の整備、職員の充足等、諸般にわたる医療内容の向上、医師、看護婦等、職員の労働条件の改善、給与支払い遅延に伴う政府当局の責任、厚生省関係職員の綱紀問題等でありまして、その詳細は会議録によって御承知を願います。  佐藤隆委員より質疑打ち切りの動議が提出され、多数をもって可決されました。  採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。戸田菊雄君。    〔戸田菊雄君登壇拍手
  24. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は、日本社会党代表して、国立病院特別会計法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行なうものであります。  国立療養所の特別会計移行が、こんなに大問題となりましたのは、さきに発表されました医療保険の抜本改革試案とともに、政府・自民党の医療保障破壊政策の重要な柱になっておるからであります。しかも、医療保険の抜本改革に先行して、その受け入れ体制づくりの役割りを果たそうとしているからであります。  国立療養所は、戦争中の陸海軍病院や、傷痍軍人療養所を転用して、おもに結核、精神病、ハンセン氏病など、長期に療養を必要といたします患者を収容し、治療いたしてまいりましたことは、御承知のとおりであります。これらの病気は、普通、長期療養を必要といたしますので、患者の多くは収入の道を失い、家族も療養費を負担し切れない状況であります。そこで国は、その入院代など医療費を二割引といたし、さらに入院費に加算されます看護、給食、寝具の特別料金を免除してまいったのであります。  現在、国立療養所は全国で百七十一、六万四千床、うち結核は百五十三、五万一千床を持ち、わが国医療制度の根幹とも言うべきものであります。ところが、政府は、国立療養所の運営費、施設費に合計三百五十七億円も支出しているのに、診療収入は百四十億円にすぎず、差し引き二百十七億円の持ち出しになっているから、これは不都合だというのであります。  だから、収支が償うように、らい療養所を除いて特別会計にするのだと言っておるのであります。  佐藤内閣総理大臣は、口を開けば人権尊重を唱えますが、いま入院中の結核、精神障害患者などの入院療養を困難におとしいれ、これら患者の大部分を療養所から追い出す結果になることは明白であります。  以下、具体的に反対内容について申し上げたいと思うのであります。  第一は、国立としての性格を放棄し、患者負担の増大をねらうものだからであります。  特会法の審議の中で、政府はことごとに、社会保険が発達した今日、二割引廃止は当然であり、他が特会になっているのに国療のみ一般会計である理由はない、また患者にしわ寄せばしないと言っておるのでありますが、二割引廃止、基準料金徴収で、患者一日当たり入院料は六百四十円から一挙に千百五十円にはね上がるのであります。また、一番進んでいると言われます群馬県の場合でも、一月の単価四万三千五百六十三円に対し、特会法実施後は四万六千百四十円となり、明らかに民間の入院料よりもはるかに高くなる可能性があるのであります。  さらに、これは公費負担による地方自治体、すなわち県及び健保、国保組合財政を圧迫することになるのであります。  新潟県衛生部によれば、国療特会はね返りは結核予防法のみで年間三千六百九十八万円の支出増を見、全国で約八億円から十二億円の自治体負担増を招来する結果に相なるのであります。  国療が二割引を設け、基準料金を徴収せず、一般会計であった理由は、前述したとおりでございますが、結核、精神重症児、交通災害後遺症などの長期患者が、長期ゆえに貧困におちいらないための防貧措置であるはずなのであります。特会は国の直轄事業としての医療の公共性を奪い去るからであります。  第二は、国立療養所特別会計法は独立採算制を目ざすものであるからであります。  政府は口を開けば、「特会は独立採算制ではない」との主張を行なっているのでありますが、昭和二十四年に特会になったとき、当時の林厚生大臣は全国病院長を東京に招集し、訓示の中で次のように言っておるのであります。  「国立病院を特別会計にする理由は、現在、国立病院は一般会計で処理しているが、収入と支出に相互関係がないために、収入に不熱心となり、あるいは支出が放漫に流れるので、特会にすれば、収入に熱心になり、支出の面で節約がはかれる利点が生ずる。また、人員、金銭に機動性を持つことができるし、能率をあげることが要請され、各職員が能力を発揮する。加えて運営が合理化され、各種統計が迅速となる」のであります。「しかしながら、反面、欠点があらわれる。特別会計の最大の欠点は、収入をあげなければ運営が不可能となる結果、必然的に収入第一を目的とするようになり、そのため公的医療機関としての特色が希薄となり、少ない支出で多くの収入をあげようとすることになる。このために具体的な欠点として、まず、診療内容が不適正となり、実質的な医療費の高騰を来たす。次に、粗悪な薬品を使用し、診療費の徴収を目的として不必要な治療を行なうことになる。また、収入のあがらない患者を敬遠し、難病や慢性的な病気を歓迎しないことになる。その他、治療、診断などの基礎的な研究業務が等閑に付され、実施された場合は患者の負担となり、災害時、伝染病流行など、公衆衛生面の活動がおろそかにされ、新設・大修繕工事が困難となる」等々、多くの重要な問題に対しましてその欠陥が指摘されているのであります。  また、国立病院は、昭和二十四年特別会計に移された当初、二五%繰り入れるとのことにもかかわらず、実績二十四年度二三・七%、二十六年度に至って二五・一%実現、現在は一一%の繰り入れ率となって大幅に低下しているのであります。あと一歩で独立採算であります。もはやその公共性は失われてしまっているのみならず、病院整備借入金百十五億円の返済が、職員の肩にずっしりと重くのしかかっているのであります。  国立療養所についても、四十二年度は五六・三%が、四十三年度は四三・五%と、一年で一二・八%も減じられているのであります。四十三年度は初年度であり、二割引き廃止などに伴う在院患者等の免除措置がとられると言うが、これがはずされますと、四十四年度以降大幅な繰り入れ低下を招くことは、従来の政府のやり方からすれば、必至の情勢と見なければなりません。  第三は、多くの療養所がつぶされ、大量の労働者の首切りを招来するからであります。  独立採算制はとらない、四九%は一般会計から繰り入れますと、園田厚生大臣は言っておりますが、前述したとおり、昭和二十四年の国立病院の移行時に林厚生大臣が明らかにしているように、収支率のみがものを言うのが、特会制の本質なのであります。現在国立療養所の定員は、二万三千三百二十七名でありますが、収支率改善の第一着手であります。高齢者の退職勧奨、清掃、洗濯、給食などの現場全面下請とともに、国立療養所は、大量の労働者の首切りをもくろんでいることは間違いのないところであろうと思うのであります。  第四は、結核、精神重症児などの医療を後退させ、中断させることになるからであります。  結核は減少したとはいうものの、まだ百四十万もの患者が実際に保健所に登録されているのであります。活動性患者で医療を受けられず放置されている者が、十四万人もいるのであります。決して手を抜いたり中断してよい段階ではありません。しかし、二万五千円で国立療養所に入所できたものが、四万八千円にもなると、これは新潟の例でございまするけれども、これまで予防法のワクが十名分のところも、五名分となってしまう。県で国療に入所させたくとも、二分の一しか入所できなくなるのであります。精神ベッドも、昭和三十四年、国立四千二百九十六床、民間との比率九七%が、四十年五千三百三十床と、十年間で千三十四床ふやしたのみで、比率は三%へと、六七%も下がっているのであります。  精神重症児の医療の保障についても、民間、国立を問わず、医療費、重症児指導員に対する県の補助を加えても、収入に達していない。しかも、重症児と職員の比は、児童精神医学会の要望に見られますように、患者一対職員一には、はるかに及ばないのであります。採算を度外視しなければならない福祉的医療を特会にすること自体、理解に苦しむところであります。  以上、私は幾つかの例をあげ、反対してまいりましたが、国立といい、公立といい、もともとこれらの病院は赤字になるように、つまり、患者から医療費取り立てをできるだけ低く押えるようにつくられたものであるのであります。  すなわち、国立療養所の割引制や、僻地の自治体病院は、その代表的なものであります。したがって、赤字は当然国費によってまかない、国立療養所については、現行制度を維持するだけでなく、むしろ、積極的な改善が必要でありますし、自治体病院に対しては、一定の基準を設けて国が大幅に援助することが必要なのであります。  それにもかかわらず、佐藤内閣は、今次国会審議を通じて明らかになりましたように、アメリカの極東侵略政策に追随をし、倉石問題に見られますように、憲法を否定、軍国主義、汚職、公約無視等、数多くの政治不信を招来し、国民大衆からきびしい批判を受けるに至っておるのであります。そして総評、全医労、日患同盟の労働者共闘会議に結集する全労働者をはじめ、多くの国民大衆が心から反対をいたしておるのであります。それにもかかわらず、本日わが党をはじめ、野党各党が慎重審議中にもかかわらず、質問半ばにして、本特別会計法案を強行いたしました政府の態度は、絶対に容認のできないところであります。  政府はすなおにわが党の正しい要求を認め、本法案を撤回し、国民大衆の期待にこたえることを強く要望して、私の討論を終わりたいと思います。(拍手
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十五分散会