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1968-03-13 第58回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十三日(水曜日)    午前十時七分開議     —————————————議事日程 第七号   昭和四十三年三月十三日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(昭和四十三   年度地方財政計画について)  第二 地方交付税法の一部を改正する法律案及   び地方税法の一部を改正する法律案趣旨説   明)  第三 経済援助資金特別会計法及び余剰農産物   資金融通特別会計法廃止する法律案(内閣   提出、衆議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、議員派遣の件  以下議事日程のとおり     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省 略いたします。     —————————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議開きます。  この際、おはかりいたします。  奥村悦造君から病気のため二十九日間請暇の申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。  来たる四月十五日から同月二十一日まで、セネガルのダカールにおいて開催される列国議会同盟本年度春季会議に、本院から小柳牧衞君、中村英男君、加藤シヅエ君を派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣報告に関する件(昭和四十三年度地方財政計画について)、並びに、  日程第二、地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案趣旨説明)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  自治大臣報告及び趣旨説明を求めます。赤澤自治大臣。    〔国務大臣赤澤正道登壇拍手
  9. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 昭和四十三年度地方財政計画概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  昭和四十三年度におきましては、内外のきびしい経済情勢及び国、地方を通ずる財政環境にかんがみ、地方財政においても国と同一の基調により行政経費使用重点化に徹し、節度ある行財政運営を行なう必要があります。  昭和四十三年度地方財政計画はこのような考え方で策定いたしましたのでありますが、まずその策定の方針及び特徴などについて御説明申し上げます。  第一は、地方税負担現状にかんがみ、個人住民税個人事業税などについて負担軽減を行なうことであります。これらについての減税総額は七百四十二億円となっております。  第二は、財源の適正かつ効率的な配分につとめ、地方経費使用重点化を徹底することであります。そのため、道路目的税として自動車取得税創設し、道路交通安全施設の設置の財源として交通安全対策特別交付金百二億円を交付するほか、社会経済状勢進展に対応する財政需要の変化に即応するため、いわゆる過密地域後進地域にかかる事業などに要する地方債を重点的に増額するとともに、地方交付税配分合理化を推進することといたしております。  第三は、財政運営効率化を進めるとともに、財政秩序を確立し、地方財政健全化を促進することであります。その方策として、行政機構改善定員管理合理化をはかるとともに、既定経費を節減し、また、昭和四十三年度に限り、地方交付税繰り入れ額法定額から四百五十億円減額して翌年度以降に繰り越すとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計において二百五十億円を借り入れ、地方交付税に加算するほか、二百五十億円の地方債について繰り上げ償還を行ない、一定の特別事業債にかかる元利償還金財源として特別事業債償還交付金九十億円を交付することとしております。なお、いわゆる超過負担の問題につきましては、国庫補助負担金改善などの措置を講じ、解決をはかってまいる所存であります。  第四は、地方公営企業の経営の健全化をはかることであります。  以上の方針のもとに、昭和四十三年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は五兆六千五十一億円となり、その前年度に対する増加は八千三百三十七億円、一七・五%となるのであります。     —————————————  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げます。  第一は、地方交付税算定方法改正であります。  道路整備計画など各種の長期計画進展による公共事業費等増加分生活保護基準引き上げなどに伴い増加する社会保障関係経費給与改定の平年度化等により増加する給与関係経費、その他制度改正などによるものを基準財政需要額に算入するため、関係費目単位費用改定をはかるほか、人口、学校数などが急激に減少した地方団体にかかる補正特例を設けるなど、算定方法合理化をはかるとともに、いわゆる過密地域及び後進地域における所要財源に対する適切な配慮を加えてまいりたい所存であります。  第二は、地方交付税総額特例であります。  昭和四十三年度分地方交付税総額については、現行の法定額から四百五十億円を控除した額に、別途交付税及び譲与税配付金特別会計に借り入れる二百五十億円を加算した額とすることとし、これに伴って、昭和四十四年度から昭和四十六年度までの各年度分地方交付税総額についてそれぞれ特例を設けることといたしております。  第三は、特別事業債償還交付金交付に関することであります。  特別事業債償還交付金昭和四十三年度から昭和五十六年度までの各年度に限り、普通交付税配分方法に準じて交付することとし、その総額は、昭和四十三年度分にあっては九十億円、昭和四十四年度以降の各年度分にあっては政令で定める基準に従い予算で定めることといたしております。  以上のほか、地方団体昭和四十四年度以降に償還すべき地方債昭和四十三年度に繰り上げて償還する場合における必要経費基準財政需要額に算入するなど所要改正を加えることといたしております。     —————————————  次に、地方税法の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げます。  明年度地方税制改正にあたりましては、住民負担現状にかんがみ、個人住民税個人事業税などについて負担軽減合理化を行なうとともに、地方道整備緊急性にかんがみ、地方道路財源充実をはかるため、道路目的税として自動車取得税創設することとしたのであります。  以下、順を追ってその概要を御説明申し上げます。  第一は、個人住民税につきまして、夫婦子三人の給与所得者課税最低限を十万円程度引き上げることを目途として、基礎控除配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ一万円引き上げることといたしております。  第二は、住民税及び事業税を通じまして、中小事業者負担軽減をはかるため、専従者控除を、青色申告者については五万円、白色申告者については三万円引き上げることといたしております。  第三は、ガスにかかる電気ガス税免税点を八百円に引き上げることといたしております。  第四は、自動車取得税創設であります。自動車取得税は、道路に関する費用に充てるため、自動車取得者に対し、自動車取得価額課税標準として、百分の三の税率によって課するものとしております。なお、その免税点は十万円といたしております。  この自動車取得税は、その収入額より徴税費相当額を控除した額の十分の七の額を市町村交付するものとし、もって市町村道路財源充実に資することといたしております。  このほか、不動産取得税たばこ消費税固定資産税軽自動車税国民健康保険税などについても所要改正を行なうことといたしております。  以上の改正により、昭和四十三年度増減収額は、個人住民税個人事業税などにおきまして七百四十二億円の減収が見込まれますが、一方、自動車取得税創設等により三百九十三億円の増収が見込まれますので、差し引き三百四十九億円の減収となります。  以上が、昭和四十三年度地方財政計画概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案趣旨であります。
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。林虎雄君。    〔林虎雄登壇拍手
  11. 林虎雄

    林虎雄君 ただいま提案されました昭和四十三年度地方財政計画地方交付税法の一部を改正する法律案並びに地方税法の一部を改正する法律案に対し、私は、日本社会党を代表して、総理並びに関係大臣所信をお伺いいたしたいと存じます。  まず、地方財政計画について伺います。  地方財政計画は、地方交付税法によって義務づけられ、地方交付税総額が適当かどうかを判断するに必要な基礎資料であります。しかるに、地方財政計画と毎年度地方財政決算額との間に大きな開きがあり、その実態を把握することが非常に困難でありますので、お尋ねいたしたいと存じます。  四十一年度地方公共団体決算によりますと、おおよそ五兆円になります。計画によると四兆一千三百四十八億円でありますから、約九千億円の巨額の開きがあります。昭和四十二年度地方財政計画は四兆七千七百十四億円でありますから、四十一年度決算額のほうが約三千億円上回っております。四十二年度計画決算見込みはおそらく一兆円を上回り、今回提案された四十三年度計画を上回るのではないかと予想されるのであります。計画決算との開きがこのように巨額にのぼりますと、その実態把握が困難になりますので、政府は四十三年度計画とあわせて四十一年度計画決算との関係を明確に報告すべきと思いますが、その御意図はありませんか、または、計画を根本的に再検討するお考えがあるかどうかを伺いたいと存じます。  私は、地方財政実態は、伝えられるような地方税及び地方交付税大幅増収により好転したかのように印象づけられておりますことは、まことに遺憾に存じます。昭和四十三年度地方財政計画によりますと、地方税四千六十二億円、二一・一%の増収及び地方交付税二千百九十二億円の増と、いかにも好転したかのようでありますが、この額は四十二年度当初計画との比較であり、地方税において見ると、四十二年増収分を含んでおるのであります。四十一年度地方税計画決算との開き千九百四十五億円の実績から見て、昭和四十二年分はこの額を下回ることはないと思われますが、四十三年度分地方税はどのような見積りをされておるか、承りたいと思います。  また、地方交付税においては、四十二年度補正後の純増で見ますと、四十三年度は千六百四十三億円の増収にすぎないと思われますが、どうでしょうか。これを歳出計画について見ますと、四十三年度給与関係経費一般行政費及び公債費等、いわゆる義務的経費にかかる自然増の支出は実に四千五百億円と見積もられていますが、地方自主財源の主柱である地方税及び地方交付税の四十三年度実質自然増収と比較して、計画上これら義務的経費をどのようにまかなわれようとしているか、説明を願いたいのであります。  私は、地方財政はその構造において非常に硬直化しており、国の財政硬直化の比ではないと考えます。地方財政は、今日、依然として中央集権の度合いが強く、国の事務配分に伴う地方自主財源の増強こそ、緊急に措置すべきときと考えております。地方財政は決して好転したものとは思われませんが、地方自主財源の増強について自治大蔵大臣所信をお伺いいたしたいと思います。  次に、財政硬直化と、それに関連する地方交付税のいわゆる出世払いという点であります。これは地方交付税制度の将来に対し大きな問題を残すとともに、地方財政国家財政への従属がさらに強化されることが予想され、地方自治が弱体化されるおそれがあると思うからであります。  昨年秋、国は明年度予算編成にあたり、財政硬直化の原因が地方交付税制度にあるかのごときキャンペーンを行ないました。すなわち、地方交付税自然増収が二千四百億円に達し、歳出規模が三・一%増大したことや、地方財政が最近著しく好転したことを理由に交付税率の引き下げの説が起こりましたが、地方自治団体側地方交付税本質に立脚した反論にあうや、四十年度に減額しなかった国税三税の減に基づく地方交付税落ち込み分四百八十二億円の返済問題を出してまいりました。このいわゆる出世払いといわれるものは法律上の義務ではなく、当時の自治大蔵大臣の間でなされた覚え書きに基づくものにすぎません。その結果、四十三年度地方交付税総額から四百五十億円を国に融通し、過年度災害地方債二百五十億円に繰り上げ償還して、交付税会計が同額を借り入れて交付税交付金に加算して交付するという、ややっこしい便法がなされたのであります。景気の消長に応じて、国と地方との間に毎年のように論争が繰り返されるということは、国の財政地方財政との間に合理的なルールが欠けているからであります。地方自治の発展は、地方財政自立性自主性が確保されていることが前提であります。好調だといわれた四十一年度地方公共団体決算を見ても、特別事業債という、いわば借金政策でつじつまを合わせた結果であり、一般財源の七五ないし八〇%は経常的義務費に費やされている状態であります。  このように、地方財政現状は、国の財政より以前に、しかも、はるかに硬直化しているというべきであります。自治大蔵大臣覚え書きあと始末のために地方から国へ金を貸すという措置は、前代未聞であり、かつ、重大な問題であると思います。法定によって算出された交付税額を、たとえ貸借関係であるとはいえ、国の財政の都合で増減することは、地方交付税本質から見て不当であり、将来に悪例を残すものと言えましょう。しかも、今回の措置が一時的、便宜的なものから固定化、変質化するおそれがないとは言えないのであります。国と地方財源配分ルールを確立することが必要であり、国と地方を通ずる抜本的な税財源配分を行なうべきと考えます。すでに、地方制度調査会はこの点を指摘しておりますが、政府税財源配分を基本とする恒久的財政制度を確立するお考えがあるかどうか、承りたいと存じます。特にこの点、総理お尋ねをいたしたいと存じます。  次に、四十三年度地方財政歳入構造について伺いたいと存じます。  政府は、地方財政が好転したとされていますが、それが皮相的な見解であることは前に述べたとおりであります。地方公共団体行政水準は依然として低く、社会資本充実はきわめて立ちおくれているということを見のがしてはならないと思います。高度経済成長下における産業基盤整備を中心とした公共投資優先政策のもとで、とかく住民の生活や福祉の面がなおざりにされたために、生活環境施設市町村道等の地域的な社会資本の立ちおくれ、過密、過疎対策公害対策等地方公共団体財政需要はますます増大する一方であります。このような実情を放置して地方公共団体財政が豊かになったとはとうてい考えられないことであります。歳入構造好転の主因である地方税地方交付税増収は、主として四十二年度経済界の好況によるものでありますが、今後の景気動向いかんによっては再び歳入減収を見ることが十分に予想されると思うのであります。すでに引き締め政策による景気の先行き不安や、ポンド、ドル不安によるきびしい国際環境の中で、四十三年度日本経済は沈滞が予想されております。したがって、歳入の好転は一時的のものであると考えざるを得ません。一時的の好況を反映した地方財政の好転を恒久的かのように見ることは、近視眼的の即断と言えましょう。少なくとも三年、五年と長期的視野に立って地方財政を展望すべきものと考えますが、大蔵自治大臣地方財政長期的展望をどのようにとらえておられるのか、その所信を承りたいと存じます。  次に、地方税について伺いたいのであります。  地方税の中で、特に住民税ほど一般庶民税負担の重圧をひしひしと感じさせる税は他にありません。政府は、四十二年度において標準世帯四十三万円から五十三万円に引き上げ個人住民税を中心に初年度七百七億円、平年度七百三十億円の減税を実施し、しかも、すべて地方財政独自で行なったことは画期的のことであるとしておりますが、国民標準世帯における最低生活費は幾らになっていると考えておられますか、五十三万円で是なりと考えておられるのでありますか、まずお伺いをいたします。私は、政府がもし地方財政が好転した、そして余裕財源がありとするならば、四十五年度に達成しようとする所得税課税最低限百万円に即応する計画をすみやかに樹立して大幅に減税すべきと思いますが、政府所信をお伺いいたします。  なお、私は、国税の一千億円減税に伴う四十三年度地方税三百十億円の減収は、国税三二%の地方交付税収入からの持ち出し分でありまして、地方財源の剥奪になりはしないかということを憂うるのであります。今後国税減税に伴い当然地方税へのはね返りと、地方税自体計画的減税とに対処して、このような地方交付税三二%の地方自主財源の剥奪は容認できないところであります。これは当然、地方自主財源である地方交付税本質にかかる問題であると考えますと同時に、今後国及び地方減税計画の基本的な問題であると思いますので、あえてこの点を総理並びに大蔵自治の各大臣所信をお伺いいたしたいと存じます。  次に、道路財源についてであります。  道路財源は、特に目的税としての自動車取得税を新設することとなり、明年度三百九十四億円が見込まれることになっております。地方道路、特に市町村道整備は緊急を要するにもかかわらず、昨年度第二種交付金二十五億円を除き、特定財源は全く無視されてきております。第五次道路整備五カ年計画も六兆一千億円と決定されたままで、財源措置はとられておりません。この第五次計画では、地方単独事業分として一兆一千億円といわれていますが、地方公共団体に対する財源については皆目示されておりません。自動車取得税は、業界等は税収は相当伸びがあると見ているようでございますが、第五次計画を消化するにはほど遠いものがあると思います。先般来、地方道路公債発行や、燃料課税引き上げ等が論ぜられておりますが、一体この第五次道路整備五カ年計画財源措置はどのように考えておられるか、特に市町村特定財源の確保をどうされようとするのか、この際、自治大蔵の両大臣にお伺いをいたします。  次に、国鉄納付金についてであります。  国鉄納付金という名称ではありますが、その実体は固定資産税といえましょう。この国鉄納付金は、予算編成の際に廃止論が出たが、しかし、当面存続にきまったようでありますが、運輸大臣は、国鉄財政再建懇談会に付議して再検討するとして廃止の方向の姿勢はくずしておりません。国鉄の財政事情から、地方税に相当する納付金の存続が論議されることは、地方財政にとってゆゆしい問題といわなければなりません。自治、運輸両大臣の今後の方針について、御所信を伺いたいのであります。  次に、懸案でありながら、いまだ解決を見ていない地方事務官制度廃止について伺いたいと存じます。  政府中央官庁の省、庁、局の削減に対し、自治省は地方自治体の行政簡素化のため、国の事務地方への委譲、出先機関の整理を進める方針であるといわれております。都道府県の社会保険失業保険、職業安定、国民年金等に従事する地方事務官の数は約一万九千人といわれていますが、これらの職員の身分は、国家公務員でありながら、行政組織上、知事の事務部局にあります。この不合理な制度行政運営上、著しい障害となっていることは、周知の事実であります。すでに臨時行政調査会地方制度調査会からもしばしば指摘され、また、行政監理委員会でも具体的に改善案を提示しているところであります。この方向に立って、わが党は、すでに衆議院地方行政委員会地方自治法の一部改正案を提案しておりますし、また、常に国会でも、地方事務官制度廃止を取り上げてきましたが、いまもってその実施を見るに至っておりません。政府は、この問題を一体取り上げる意向があるのかどうか。ありとするならば、いつごろ、どのように具体化するお考えなのか、自治大臣行政管理庁長官所信を伺いたいと存じます。  次に、地域開発政策についてであります。  現在、地方公共団体が最も苦しんでいるのは、経済社会の著しい変動のさ中で、この事態に対応しつつ、いかに住民福祉の向上をはかるかの点であります。とりわけ、過密、過疎の実情はまことに深刻であります。四十三年度地方交付税は、後進地域対策として二百一億円、過密地域対策として百億円の措置が講ぜられてはいますが、政府は、もっと積極的施策を行なう要ありと存じます。私は、特に後進地域対策として過密過疎産炭地、離島、僻地、山村の個別的な振興策を総合して基本法を制定し、さらに一貫した強力な施策を打ち出す必要があると考えますが、この際、特に総理大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。  以上、提案されました案件に関連する、当面の諸点について、政府所信お尋ねいたしましたが、地方行財政をめぐる問題はきわめて複雑多岐にわたっております。政府は単に地方自治団体を国の従属的機関視することなく、地方自治の本旨にのっとり、真に住民による、住民自治が完全に行ない得るよう、格段の配意と対策を強く要望して質問を終わりたいと存じます。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 林君にお答えいたしますが、地方財政計画並びに地方財政実情につきましては、御指名のように、大蔵大臣並びに自治大臣から詳細に御報告すると思います。  私に対するお尋ねといたしまして、いわゆる出世払いの四百五十億円でございますが、これは、御指摘のように、四十三年度予算編成にかかって、私どもがやむを得ずこの処置をとったのでございます。それにつきまして、地方財政好転しておらない、こういう御指摘でございますが、この点では、私どもとやや見方を異にしております。したがいまして、これは臨時的な措置であって、交付税法基本に関する問題ではございません。御指摘にもありましたように、この交付税率、これをきめますことは、地方制度調査会におきましても、すでに指摘しておりますように、行財政の適正なる配分——国地方との配分でございますが、これが保たれるように、その財源が配賦されるということが望ましいのでございまして、そういう意味におきまして、今後とも、私ども、この点は慎重に検討していくつもりであります。  第二の問題として、住民税についてのお尋ねでありました。住民税は、申すまでもなく、国民負担の一部と、かように考えます。国税だけが負担ではございませんし、地方税ももちろん国民負担であります。そういう意味におきまして、国民負担を軽くするという基本的な施策、これは、どうしても私どもが大事に、真剣に取り組まなければならないところでございます。しかし、林君も御承知のように、住民税所得税は、その性質を異にしておりますから、必ずしも所得税住民税同一でなければならない、こういう結論は出ないように私は思います。地方実情に適してこの処置がとられ、負担軽減についてこの上とも努力されることが望ましいと、私はかように考えております。  最後に地方開発について、特に過疎地域についての御指摘の上で、これらについての対策を立てろというお話がございました。私は、日本の過密・過疎対策、これを見ますると、経済の発展によって社会的進展が乱れる。そのために時代的にいろいろの要求も出てくる。また地域的にそれぞれの要望が行てまいりまして、いわゆる地方開発、地域開発の立法というものは、基本的に見ましても、もう目ぼしいものだけでも二十に余っていると思います。さらにそれの実施計画等の立法をあわせて考えますと、非常に多数にのぼっておると思います。この法律が多数あることは、これは必ずしも望ましいことではありません。そのために総合性を欠いたり、あるいはどうも重点的な施策があとになったり、いろいろ問題を引き起こしておるように思います。ただいまお話になりました山村漁村あるいは産炭地域、離島だとか、特にこういうような過疎地帯に対して、私どもがそれらの自治体を強化するために財源も配賦いたしますが、同時に、これらの地域に適応した産業の開発等にも努力する、こういうことで、過密・過疎対策は総合的な観点に立って進めていかなければならぬと思います。したがって、私は、御指摘にありましたように、これらの立法措置がもうそろそろ体系的に整備され、同時にまた、自治体の行政水準を上げ得るような財源確保、これは必ずしも地方だけの負担ということではございません。中央からの援助なども得まして、そうして行政水準を高めるようにいたしたいものだ、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣赤澤正道登壇拍手
  13. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) お説のとおり、地方財政計画の面では、四十一年度を例にあげての御説明でしたが、決算額とたいへん食い違っております。これは毎年そういうことになっておりますが、四十一年度は確かに九千億円の差があることは、全く御指摘のとおりでございます。しかし、地方財政計画の全体の規模の問題もありますけれども、これは御承知のとおり、全体としてむしろ積算の内容を通じて、地方財政の運営の指標であるべきものである、さらに標準的な規模において収入支出のバランスを確保する、こういうことが中心になるわけでございまするので、財政規模において歳入歳出双方とも差があるからといって、それが地方財政計画対策、ないし運営を誤らせるものではないというふうに考えております。ただ、これだけの差があるということは、もちろん望ましいことではございませんので、やはりこれを近づけるということにつきましては、ずいぶんこれからも努力していかなければならぬと考えております。  それから、四十三年度地方税の見積りと申しますか、財源について広くお触れになりましたが、この地方財政歳入構造の是正につきましては、かねてからいろいろ自主財源をできるだけ確保するという意味で努力を継続しております。大きく歳入全体からながめました場合には、一般財源の比率から申しますと、まず歳入全体に占める一般財源の比率は、前年度の六〇%から六三%に変ってまいっておりまして、歳入構造で見ます限り、全体としては地方財政はやや健全化されておるという判断に立っております。しかし、これは地方財政が、それで内容がきわめてよくなったとか、あるいは四百五十億円ということをお述べになりましたが、非常な好転説が伝えられている、これは誤りでございます。やはり非常にむずかしい困難な状況にあることは、言うまでもないところでございます。なお、税源の再配分などを通じまして、今後とも自主財源の確保ということにつきましては、自治省としては極力つとめてまいらなきゃならぬというふうに考えております。  それから、最近いつも問題になっております例の四百五十億の扱いということでございますが、これは総理がいまお触れになりました、やむを得ずというおことばもありました。地方財政好転の見方というものは見解の相違があるというおことばもあったわけでありますが、私ども、やはり地方財政の中身がよくなったから国に金を貸す——何もそういうことを考えておるわけではございません。いま、林議員は、地方が国へ金を貸すなどとは前代未聞である、これは交付税本質から見てはなはだ不当である、将来について悪例を残すのじゃないかという御心配、これは私もよくわかります。しかし、これはいま総理も言われましたとおりに、国、地方を通じての財政環境にかんがみて、こういう措置を私どもとったわけでございますが、これは四十三年度限りであることは、たびたび申し上げたとおりでございまして、国と地方との間の税源の配分変更を行なったものでは決してございません。交付税本質に触れる問題ではないと、私ども考えておる次第でございます。  次に、住民税のことでございますが、総理負担を軽くするということについては、真剣に考えておるという御説明でございました。私どもといたしましても、できるだけ住民負担軽減をやるということにつきましては、いろいろ検討もし、努力もしております。今回は住民負担軽減をはかるために、住民税において、夫婦子三人の給与所得者課税最低限を十万円引き上げましたこと、先ほど御説明で申し上げたとおりでございます。それを目途として各種所得控除の額を一万ずつ引き上げることとしたわけでございまして、ただ最低生活費五十三万円という数字もいまお出しになりましたが、総理もこれは申しましたとおり、所得税住民税というものは、性格が違うわけでございまして、住民税の場合は、地域社会の費用住民がその能力に応じて広く負担するものである。さらに、したがって所得税に比較して、より広い範囲の納税義務者がその負担を分かち合うべき性格のものであるという、こういう観点に立っておりまするので、その課税最低限は、所得税とおのずから異なるというふうに考えております。しかしながら、それでいいということではございませんので、今後とも軽減することについて検討していかなければならぬことは当然のことでございまして、総理大臣も申しましたとおりでございます。  さらに、道路財源のことにお触れになりました。第五次道路整備五カ年計画は、六兆六千億円の膨大な計画がこれから進行しようとしております。その裏づけとして地方持ち出し分がありまするので、自治省といたしましては、この今日の地方公共団体財政状況にかんがみて、非常に心配をいたしております。そのためには、この裏づけとしての財源措置をどうしたらいいかということをいろいろ考えてまいったわけでありますが、それにつきましては、新しく自動車取得税創設することにいたしました。ただ、この自動車取得税の収入だけを考えているわけではもちろんありません。しかし、これが通過いたしますと、第五次道路五カ年計画の期間内に、市町村に約千八百億円の収入が見込まれることになりますので、地方税地方交付税などの収入と相まって、ほぼ計画の実施には支障がないという判断に今日立っているわけでございます。  それから国鉄納付金の扱いの問題でございますが、これも先回いろいろ議論いたしました。ただ国鉄さんの経理内容というものはわからなくはないわけです。非常に公共的な性格の高い事業でもございます。財政状況もよくわかります。わかりますけれども、やはり自治省といたしましては、今日地方公共団体財政内容というものをよく見なければなりませんので、この国鉄所在市町村財政に与える影響は、ばく大な市町村に及ぶわけでございますので、この影響なんかを考慮いたしまして存続することにいたしました。しかし、まあ今後は、やっぱり検討の対象にはしなければならぬというふうに考えてはおります。  それから地方事務官の移管問題についてちょっとお触れになりました。これは自治省といたしましてはきわめてはっきりしたことと考えて、割り切っているつもりでございますけれども、なかなか関係各省との意見調整が間に合わなくて、解決しないで今日に及んでおります。しかし、せっかく今度国、地方を通じての行政改革の具体案を、各省が六月末までに提出する運びになりましたので、この機会に一括してこういった問題の根本的な解決をはかりたい、かように考えております。  以上お答えといたします。(拍手)    〔国務大臣水田三喜男君登壇拍手
  14. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 地方財政については、地方行政水準をまだまだ上げなければならぬという事情にございますので、いまの地方財政を豊かになったとは申しませんが、しかし、過去の地方財政に比べ、また、国の財政に比べて非常に好転していることは確かだということが言えようと思います。まず、昭和四十年の不況のあとを受けて四十一年の地方財政は非常につらいということで、国の地方財政対策もいろいろのことをいたしましたが、経済の順調な発展に伴って、かえってその決算状況は非常によくなっていまして、昭和四十一年度においては、累積で七百五十億円の黒字と、千二百億円以上の積み立て金を残すというようなことになりました。また、地方財政全体で、黒字の財政の団体が九〇%をこすというようなことで、これも過去最高の水準となっております。引き続いて本年の四十二年度におきましても非常に順調に推移しておりまして、先般の補正予算のときにおきましては、給与改定のほか、また交通安全対策費をまかなって、なおかつ地方交付税に二百億円の余裕を残して、借金の繰り上げ償還をするというふうに、非常に地方財政健全化されてきていると思います。  で、昭和四十三年度の見込みを申し上げますと、先ほどお話がございましたように、地方税が四千六十二億円、地方交付税が二千百九十二億円、合計六千二百五十四億円という増加は、過去において例を見ない大きいものでございます。したがって、地方税とか譲与税とか地方交付税を総称した一般財源歳入に対する割合というようなものも六〇%以上をこえている。いままでにない高水準だということが言えようと思います。  また一方、地方債のほうを見ますというと、去年は四・八%でしたが、本年度は、地方財政総額が非常にふえましても地方起債の額はほとんど同じということでございますので、依存率は四・二%ということでございますから、国の国債への依存率というようなものから比べて、はるかに地方財政のほうが健全化してきているということが言えようと思います。  したがって、地方財政好転してきているということは事実でございますが、しかし、一方、国のほうの財政は非常に窮屈になっている。こういうことを考えますと、今後やはり経済が均衡のとれた発展をするというためには、中央・地方を通ずる公経済全体の中で円滑化とかあるいは効率化に対するいろいろな調整措置が行なわれることは、私は悪いことではないと考えています。で、四十年の補正予算のときは、さっき御指摘がありましたような四百八十二億円という金を国が交付税で増額してやって、そうして地方減収補てんをいたしたということがございます。これはいわゆる出世払いということで有名になりましたが、法律では、四百八十億を増額するという法律でございまして、あとで返してくれという約束は、これは法律事項ではございませんので、今回これは全部破棄して、もう返していただかなくてもいいことにいたしました。そうして、新しい問題として、今度は、交付税において四百五十億円本年は減額する、そのかわり、来年度から三年間の間、百五十億円ずつを増額する、という特別の措置を今回とりましたが、こういう調整は、これは短期的な年度間調整でございまして、私は、こういうやり方が今後中央・地方の間において行なわれてもいいんではないかと考えますが、いずれにしましても、今回限りということにして、いま国会に特別の法律の御審議を願っておるという事情でございます。  そこで、自主財源をもう少しふやさないかと、何かそういう措置考える必要はないかというお話でございましたが、自主財源を強化することは必要ではございますが、そうしますと、この地方間の税の偏在の問題をどうするかということに結びつきますし、また、同時に地方財源配分ということは、事務配分を度外視しては考えられないことであるということ、それから、いま相当、一兆何千億に及ぶこの地方に対する補助金がございますが、こういう国の支出のあり方をどうするかという問題と、地方交付税の問題は当然からんでくる問題でございますので、いずれにしましても、この問題が将来国の経済が安定発展をするためには、この問題の解決が必要だというところにきていますので、ただいま税制調査会も、あるいは財政制度審議会も、この問題とようやく昨年より取り組み出しているところでございますので、この検討をさらに進めて、私は、この中央、地方財源配分問題、安定した一つのルールを敷くということについては、今後一段と努力したいというふうに考えております。  それから、道路計画の問題についてのお尋ねがございましたが、いま道路種別の事業費の配分、国及び地方公共団体道路事業財源、これについては関係当局で検討を行なっている段階で、まだ結論が出ておりません。  また、公共事業長期計画というのは、国の施策の指針として投資額の目標をきめるものでございますので、これに対して毎年のこの予算というものは、この長期的な計画に沿って、そのときの財政事情考えながら、これを編成していくという性質のものでございますので、コンクリートな年次計画というものは、大体これは立てないということにしておりますので、来年は幾らという金額を盛った計画というものは現在持っておりません。いま全体の、五年間にわたる財源の問題についての検討は、ただいまやっている最中でございます。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇拍手
  15. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 国鉄財政危機の状態にございます。昭和四十三年度の赤字だけでも約千百億円、利子負担だけでも年間千三百二十億円であります。一日に直しますと、約三億八千万円ばかしの利子を毎日払うという状態であります。そういう状態でありますので、できるだけ負担を軽くしたいというので、昭和四十三年度に百二十八億円の地方市町村に対する納付金を免除してもらいたいという要望がございまして、予算審議の過程でそれが日程に上ったこともあるのであります。しかし、これを急速に廃止するということは、市町村に対する打撃も非常に多い、また、これをつくった趣旨が、ある意味において固定資産税という意味もありますので、他の三公社五現業に対する影響もあります。そういう点も考えまして、本年度はとりあえず残置して、四十三年度中に検討するということになっておるのであります。国鉄側の主張を聞いてみますと、地元からいろいろ要望がありまして、施設をつくれば、つくるだけ納付金が多くなるという妙な現象になっておるのでありまして、跨線橋をつくるとか、プラットホームをつくるとか、車両を増すとか、操車場をつくるとか、こういうような施設をしますと、その分だけ納付金がふえていく、サービスすればするだけ税金を取られる、そういう情勢にありますので、国鉄側からすれば、まことに無理のない要望であると私は思います。そこで、四十三年度中に国鉄財政確立のための委員会をつくりまして、それらの意見も徴しまして、来年度予算までにこの問題を決着するという考えでおります。(拍手)    〔国務大臣木村武雄君登壇拍手
  16. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 林さんの御指摘のとおり、地方事務官制度の問題は、かれこれ二十年間もたなざらしになった問題であります。それだけに非常に大きな問題であり、解決の困難な問題ではありまするが、それだけに、一日も早く解決せなければならない問題だと思います。佐藤総理の非常な強い御指示もありますので、私は、この問題とは精力的に取り組んでおります。  それで、行政改革の三カ年計画案を目下樹立、作成中でありまするが、その大体の試案は、六月一ぱいにつくり上げられまして、およその計画案は、八月一ぱいにつくり上げることになっておりまするので、八月一ぱいが過ぎますると、その解決の具体案をお示し申し上げることができると思います。(拍手)     —————————————
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 原田立君。    〔原田立君登壇拍手
  18. 原田立

    ○原田立君 私は、公明党を代表して、ただいま提案になりました地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案、及び昭和四十三年度地方財政計画について、総理並びに大蔵自治大臣に質問するものであります。  質問に入る前に、地方行財政現状が、いかに苦しく、貧弱なものであるかを述べてみたいと思います。  地方財政は、従来より三割自治と言われているごとく、長い間苦しいやりくり財政で今日に至ったのであります。景気好転で一時的に税収が伸びたからといって、国に金を貸すなど、いまだかつて地方自治史上に類例のないことでありました。長い間のやりくりに苦しんだ地方団体は、そんな余裕があるくらいなら、住民税所得税並みに減税せよ、地方道を国道並みに舗装せよ等々、数々の不満を訴えております。国に比べて地方が裕福であるなどとは、どこにもその理由を見るわけにはまいりません。一例をあげれば、国道の改良率一〇〇%に対し、都道府県道の改良率は三〇%、このうち、舗装してある部分はわずかに一六%であります。市町村道に至っては、全長の四二%が自動車通行不能道路であります。また、都道府県の投資的経費のうち、七八%が国の公共事業の裏負担であり、地方住民へのサービスである単独事業は、わずかに二二%であり、その貧弱さを示しております。また、市町村の小学校は、全体の一五%が危険校舎であります。住民サービスの一番身近なごみ、し尿処理等においては、その行き届いているのは、市街地のわずか四〇%にしかすぎません。このような状態は、地方財政の貧弱さからくる諸現象であり、まことに憂慮にたえない状態であります。このことをまず念頭に置いて、以下順次質問するものでありますが、内容が林委員とダブる点がある——重要であるがゆえにダブる面がありますので、御親切に御答弁願いたいと思います。  第一に、昭和四十三年度地方財政計画は五兆六千五十一億円と、膨大なもので、四十二年度に比べると一七・五%増となり、国の予算とほぼ同一の大型になっております。地方財政計画は、地方財政の指針ともなるものであるがゆえに、地方団体予算編成の便宜のためにも、もっと早く発表すべきであったと思います。今日、その成案発表がおくれ、ほとんど地方団体予算案はでき上った状態においての発表は、はなはだ遺憾でありますが、この発表のおくれた理由は何か。また、おくれてはならないと思うが、自治大臣はどうお考えか、お伺いするものであります。  第二に、わが国の経済圏の発展は、太平洋ベルト地帯に多く集中し、過密現象を呈しております。それに引きかえ、農山漁村の人口流出は多く、これらの市町村は現在の行政水準を維持するのにすらきゅうきゅうとしております。ただでさえ少ない税収に、借金は残り、税収の先細りの追い打ちをかけられている現状であります。公共事業の抑制に伴い、後進地域においては、特にその立ちおくれが深刻になっております。そこで、単独事業を十分行なえるように財政措置をしてもらいたいと強く望んでおるのですが、政府はどう対処なさるのか。  また他面、人口集中に伴い、都市の過密対策はわが国にとって大きな課題であります。今回とられた措置として、人口急減都市に二百億円、過密対策として百億円の手当てをしたと聞いておりますが、これでいままでの行政水準維持がどれだけできるのか、はなはだ疑問であります。特に過疎対策に対して、いわゆる施し財政ではなく、国の手厚い財政的援助が行なわれなければなりませんが、過密過疎解決の具体的方向総理及び大蔵自治大臣にお伺いするものであります。  第三に、地方交付税は、地方財政の中においてその占める地位はまことに重要な財源であるのは論をまちません。地方交付税地方固有の財源であり、国から施されるものでないことをはっきりさせなければならないと思います。大蔵省は、現行の地方交付税財政硬直化の原因であると言い、交付税率を引き下げるがごとき意見を持っていると聞いております。地方税収は、確かに今年度限りで見れば増収ではありますが、まだ先々のことを考えてみれば、根本的に豊かな地方財政が確立されたなどとはとんでもないことであり、非常に危険な状態であると言っても過言ではありません。今後とも、大蔵省はそのような交付税率引き下げなど考えるべきでないと思います。地方財政を根本的にゆり動かすような重要問題でありますがゆえに、政府のはっきりした意見をお聞きしたい。総理大蔵大臣は、この三二%の交付税率を十分守っていく考えかどうか、お伺いしたい。また、自治省としての見解はどうか、お伺いいたすものであります。  第四に、国鉄は、地方団体に、その使用している土地家屋等の資産に対して納付金を支払っておりますが、これは公共施設なるがゆえに、一般の固定資産税の約半額にしか満たないものにし、優遇的措置が講じられているのであります。地方団体に言わせれば、もっと率を高めて収入増をはかりたいという要望こそあれ、廃止などとはもってのほかという考えを持っております。聞くところによれば、四十三年度はそのまま納付する、この取り扱いについては、今後一年間にわたってその存廃を研究しようということで、自治運輸両省で了解がついたと聞いているが、この存廃のことについてどう考えておるのか。もしこれが制度改革にでもなれば、同じような性格の電電公社、専売公社等の納付金問題もからんでくるのであります。現在納付金を支払っているのは、国鉄百二十七億五千万円、電電公社百十億八千万円、専売公社六億三千三百万円、合計二百四十五億円にもなり、地方財政収入にとっても大事な収入源であります。自治大蔵大臣はどう処理する考えか、お伺いいたします。  第五に、従来、政府は、地方自主財源を強化したいと、何回となく言明してきているのでありますが、まだその実効があがっていないのは、残念なものであります。国と地方との事務の再配分及び税源再配分は、緊急かつ重要なる課題であります。しかるに、今回のように、多少地方税収が多いからといって、国に協力しろといろいろと押しつけるようなことならば、事務配分、税の再配分という構想はますます困難になり、実現性は薄くなるのではないかと危惧するものでありますが、自治大蔵大臣はどのようにこの問題を推し進めていく考えなのかお伺いいたします。  第六に、地方財政計画規模の是正についてでありますが、昭和四十一年度決算計画とでは約九千億円もの差が出ております。すなわち、決算計画とのズレがはなはだしいのであります。四十三年度もおそらく一兆円からの差額が出るだろうといわれておりますが、そこで、この開きが大きくなるのは計画規模がずさんなのではないか、その規模を是正せよという意見が言われているのですが、どう考えておりますか。地財計画地方財政の指針として使われるのでありますが、このような現状ではあまり意味がないのではないか。四十三年度考えてみると、一兆円もふくれ上がる等といわれているようでは、かつて自治省は、住民税減税は国の応援がなければできないとかなんとか言っていましたが、このような議論はナンセンスなものだと言わざるを得ません。今年度予算は総合予算と言っておりますが、地方財政計画規模の是正を考えるべきではないかと思うが、自治大臣のお考え伺いたいのであります。  第七に、市町村道路財源確保の問題であります。自動車取得税三百九十五億円を創設し、それに充てるということだが、このような措置のみで地方団体道路特定財源の確保が十分とれると考えているのかどうか、また、国の一般財源から四十二年度は八百二十億円が道路整備特別会計に繰り入れられておりました。今年度は減って四百七十億円になっております。したがって、四十四年度以降はガソリン税率を再び引き上げざるを得ぬだろう等々と見る向きがあるが、まさかそんなことはあるまいと思うが、これらの市町村道路財源確保をどう考えているのか、総理並びに大蔵自治大臣にお伺いいたします。  第八に、所得税については、昭和四十五年度までに課税最低限度額を百万円まで引き上げると政府は公約しているので、おそらく来年もまた引き上げることでありしょうが、そうなると、今回、住民税課税最低限度額をやっと十万円引き上げて五十三万円にしたのですが、おそらく来年度減税することだろうと思いますが、その見通しはどうか、総理自治大蔵大臣にお伺いいたします。  第九に、電気ガス税廃止したらどうかお聞きしたい。今回、ガス免税点を七百円から八百円に引き上げるようですが、こんなことで減税になるわけがありません。現に税収見込みも、需要増により増収が見込まれております。電気の免税点はわずかの四百円でありますが、そのままにしてあります。現在、電気ガスは私たちの最も身近にある生活必需品であります。免税点の低いのは、まさに大衆課税であり、悪税と言わざるを得ません。総理も、かつては悪税と言われたことがありますが、このような電気ガス税廃止すべきだと思いますが、総理及び大蔵自治大臣にお伺いいたします。  最後に、超過負担の問題ですが、現在約一千億円もあり、地方財政が圧迫されているのは御承知のとおりであります。このうち四十三年度において約三百二十億円を解消し、両三年にわたって全額を解消するということですが、この計算の基礎は、四十一年度の物価等を基礎としております。近来、物価の上昇、人件費の高騰がはなはだしいときでありますので、これらを十分織り込まないと、解消はおろか、またも超過負担が発生し、悪循環を繰り返すのみになってしまうおそれがあります。この計算の基礎を前年度の物価等にし、再び累増をつくってはならないと思うがどうか。今後も地方財政を圧迫するような超過負担は断じてつくってはならないし、政府はつくらないと言明すべきであると思うが、自治大蔵大臣のお考えを聞きたいと思います。  以上をもって質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 原田君にお答えいたし  ます。  地方財政の問題で、過密過疎の問題がいつも議論されます。先ほど林君からも同じ質問を受けました。すでにお答えしたので、それで、ある程度御了承をいただけるかと思います。絶えず過密過疎の問題を解決する場合にわれわれが考えなきゃならないことは、地方自治体をいかにして強化さすか、そうして独立的な措置がとれるかということでございます。そういう意味からは、お話にありましたように、その財源措置として、財政基盤を強固にするということ、これを絶えず考えることだと思いますし、また同時に、地域住民に便益を与える、こういう意味からも、また、地方自治体のあるべき姿からも、いわゆる地方の単独事業、これを十分行なうように力をつけることだ、かように思います。もちろん、都市におきましては、都市にふさわしい問題がございます。いわゆる都市の計画化の問題なども、積極的にその計画を樹立しなければならないと思います。同時にまた、過疎対策としては、地域産業の開発も必要でございます。先ほどのような公共施設の整備も、これまた必要でございます。これは御意見のうちにも、それらの点に触れられましたから、重ねては申し上げません。先ほどのような原則的なお話を申し上げたわけであります。  次に、いわゆる交付税率の三二%、これを維持すると確約しろと、こういうお話でございますが、これはなかなか確約というわけにはまいりません。御承知のように、国及び地方財政事情等を十分検討いたしまして、そうして適正なる交付税率をきめるのが、交付税法の定むるところでありますから、その趣旨は尊重いたしますが、ただいま私ども、これを確約しろということについては、言明いたしかねる、しかし、十分実情に応じた処置をとる、かように御了承いただきたいと思います。  次のお尋ねで、市町村道の問題であります。申すまでもなく、国としての幹線国道、この整備ができましても、その末端のいわゆる地方道、そのうちの市町村道整備されなければ、真の住民福祉につながらない、かようなことが言えると思います。私どもはそういう意味で、これはほんとうに皆さんが御指摘になるように、地方市町村道整備こそ、目下の緊急を要する問題だ、かように考えます。そういう意味で、今回も特別な目的税をこしらえようとしているわけでありますが、しかし、なかなかこれは足らないかもわかりません。また今後、いろいろ適当なる財源を確保することについて努力すべきだ、かように思います。私はそのうちで、ガソリン税を上げるという、その安易な方法だけではこの問題は解決しないだろうと思いますから、十分この点については、検討をさらに慎重に加えていくべき問題だ、かように思っております。  最後に、住民税についてのお尋ねでありますが、これは先ほど林君にお答えいたしましたので、それでひとつお許しをいただきます。(拍手)    〔国務大臣赤澤正道登壇拍手
  20. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) お答えいたします。  冒頭に、また四百五十億円の数字が出てまいりました。よく国に四百五十億円を貸した貸したということをおっしゃる方が多いので、たいへん困りますが、そんな大それた、なかなか国へたくさんお金を貸すほど余裕のある地方財政でないことは、十分御承知のとおりでございます。なぜかと申しますと、これは地方財政法にも示しておりましたとおりに、やっぱり国には財政の政策の筋があるわけでございまして、ことしは内外の日本経済を取り巻くいろんな環境から考えて抑制型の予算を組もうというので、いろいろ国の財政当局がみな苦労しておるわけでございまするので、そういう際に地方財政だけルーズにやっていいということは決して言えません。そこでわれわれといたしましては、前からもいろんな行きがかりもありますし、この際、こういったことも勘案して、自発的にということばは当たりませんが、いろんな地方財政の現況にかんがみ、将来も考えて、四百五十億円というものを交付税から減額をしたわけでございまするので、ただ四百八十二億円という数字をさっき大蔵大臣申し上げました。金額が似ているからといって、これを返したとかという筋合いのものでないということをひとつ御了承をいただきたいと思います。反面、地方ではいろんな行政需要がたくさん起こっておりまして、非常に苦しんでいることは十分承知をいたしておることでございます。それに対する措置というものも、現下非常に苦しい財政状態のもとにありましても手を尽くしておるつもりでございます。  それから地方財政計画を出すのがおくれるじゃないかという、これは始終御非難を聞きますが、地方財政は、国の財政と、いま言うまでもなく、非常に関連が強いのはあたりまえのことでして、国の予算に伴う地方負担額の精査が確定いたしませんと、地方財政計画を策定することは、つまりそれは組めないわけでございます。そこで、国の予算案が確定したあと若干の日時を要するのが現実でございまして、地方団体に対しましては、地方団体予算編成に支障のないように、随時途中でも必要な指導を行なってまいっておりまするので、大きな支障はないものと考えております。  それから例の人口の偏在、過密過疎問題にお触れになりました。これは総理からも大筋についてお答えがあったとおりでございますが、過密になる地帯とて、やっぱり社会資本充実いたしませんと、いろいろな害が起こってまいるわけでございまして、そのためにこういう方面にもやっぱり地方債の割り増しだとか、いろいろ手当てをいたさざるを得ない。一方過疎地帯に対しましては、御案内のとおりに交付税の傾斜配分、こういうことを中心として、それに離島だとか、あるいは辺地、また山村なんかは、それぞれ振興のための特殊立法もつくっておりまして、あとう限りの手厚い努力はいたしております。しかしながら、まだそれが至らない点があるということは十分承知をいたしておりまするので、将来にわたって努力をしなきゃならぬと考えております。  それから国鉄納付金のことでございますが、さっき林議員にもお答えいたしました。国鉄財政事情はわかるわけです。わかりますけれども、やはりこれは運輸大臣自身が、先ほど聞いておりましたら、固定資産税見合いのものであるとはっきり申されたわけです。それはたてまえでございまして、私どもといたしましては、やっぱり理由があって納付金をいただいておるわけでございますので、そう簡単にこれは譲歩するわけにまいりません。さっきも言いましたとおりに、これは関係しておる市町村が非常に多いわけでございまして、何かかわった財源でも考えませんことには、これを取り上げてしまうということはなかなか容易ではありません。ただ冒頭申しましたように、国鉄の立場はよくわかるわけでございます。ですから、そこが非常に苦しいわけですが、ことしはああいうふうな措置をとりましたけれども、将来にわたってということになると、いろいろ政府のほうでも協議をしなければなりませんが、私ども自治省の立場として、特に地方公共団体の今日の財政現状から考えて、言うべきことは言わなきゃならぬという立場に立っておる次第でございます。これは決して何も運輸大臣とせり合っているわけではございませんで・両方苦しいわけでございまするので、合理的な解決考えていかなきゃならぬという意味でございます。  それから、地方財政計画規模是正の問題ですけれども、これも先ほど林議員にお答えをしたとおりでございまして、この決算との間にたいへんな開きがあります。なるべくこれは縮めるのがほんとうですけれども、実際は、御案内のとおりに、当初にこういう計画を立てますと、その後いろんな補正その他のことがありまして、ずいぶん狂ってくる。ただ、そのために地方財政の運営を誤らせるかというと、そういうことはないのでございまして、この計画というものは地方財政運営の一応の指標である。標準的な規模において実際の収入支出のバランスを確保するということが目的でございまして、ですから、規模から申しますと、この差がありまするけれども、バランスという点ではそう大きな狂いはないわけであります。中途におきましてもいろいろそういった意味で指導もいたしておりますし、このことも大きな障害にはなっておらぬはずでございますが、なるべく決算額とは似たような数字の計画を立てるのが当然でございますので、これも十分努力しなきゃならぬと考えております。  それから、道路財源のことでございますが、これも総理がお触れになりました。いま一番困っておるのは市町村、この市町村道路目的財源というものが一銭も渡されておらない。しかも、国でどんどん施策を進めてまいりますと、言うまでもなく地方持ち出し分があるわけでございまして、それで毎年苦慮をしております。今度新しい自動車取得税というようなものを創設いたしましたので、これで千八百億円ばかりの財源が見込まれますが、これと交付税と、それから地方税、これを合わせまして、政府の第五次五カ年計画地方持ち出し分につきましては、大体これでやれるというめどだけはつけております。  それから、住民税課税最低限の問題にお触れになりましたが、将来にわたってこの最低限度額を示すということはなかなかむずかしい。これこそ地方財政の根底をゆるがす大きな問題でございまするので、この最低限の引き上げということについては努力はいたしまするけれども、これはやっぱり地方財政全体をにらみ合わして、そうしてできる限りの努力をするということを申し上げるよりしかたがない。結局、そういったいろいろな事情を勘案しながら検討するということでございます。いま直ちに昭和四十四年度における具体的な取り扱いについて結論を出すということはたいへん困難でございます。  それから、電気ガス税につきましては、これは前の総理、また現総理、引き続いて悪税だと。私も池田総理のこの御答弁を耳にしたこともありまするけれども、こういった大衆に関係のあるこういう消費税的なものは、やっぱり低める、また、なくするに越したことはありませんけれども、これもいま地方公共団体としてはほしいのは皆さんもう御承知のとおりでございます。それは消費者にはお気の毒ですけれども、ただ、やっぱりこういうものを免税するということになりますと、かわり財源というものを考えませんと、なかなか地方公共団体でも納得はしないわけでございます。これも毎年毎年、いろいろ減免ということにつきまして、もうここ七、八年になりますが、毎年いろいろ努力をいたしまして、多少ずつでも減らす努力をしておりますが、まだなかなか御期待にこたえるというところまでいっておりません。しかしながら、これにつきましては、国と地方との財源の再配分などの問題も議論されておりまするので、そういうことともからめて、今後引き続いて慎重に検討していかなければならぬと考えております。  それから、超過負担、例の地方公共団体が、国の施策に伴ういろいろな補助政策などが、結局単価の問題だとか、あるいは数量、あるいは補助対象、こういった問題につきまして、いろいろ食い違いがありましたために、結局所期の目的を達成するためには地方持ち出しが相当いっておる。つまり陰の負担が必要になっているということで、たいへん不満の声が高かった。それを両三年前からいろいろ議論いたしまして、結局一番大きな問題だけ六件、より出しまして精査いたしました結果、これは自治省、大蔵省ともに納得いたしまして、そうしてその解消措置を、ことしから三年にわたってやることにいたしました。  なお、そのほかにも、まだ超過負担をしておると考えられるものが若干ございます。これにつきましては、大体昭和四十三年度解決してしまおうということでございます。  ただ、御指摘は、超過負担をいまの時点で解消しても、また物価が値上がりしていけばあとを追っかけていくようなものじゃないか、何かきめ手がないかといったように私はとったわけでございまするけれども、なかなかきめ手と申しましてもむずかしい。超過負担を解消するという措置をとるだけでも、なかなか容易ならぬ努力をしてまいったわけでございまするので、再び超過負担などを生じないように、われわれといたしましては今後十分留意をしていかなきゃならぬと考えております。    〔国務大臣水田三喜男君登壇拍手
  21. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) お答えいたします。  地方の単独事業を拡充せよというお話でございましたが、四十三年度地方財政計画におきましては、投資的な単独事業昭和四十二年度の六千三百九十九億円に対して七千三百九十一億円、それから一般行政費の単独事業のほうは、四十二年度の四千二十五億円に対して五千六百六十六億円というふうに、今年度地方財政計画におきましては、相当大幅な増額をはかっておる次第でございます。  それから、地方交付税税率は下げないということをはっきり言えというお話でございましたが、地方交付税法に定めてありますように、地方団体財源の不足額と、普通交付税総額とが引き続き著しく異なったものになった場合においては、この率を変えるという規定がございますので、過去もそれによって累次変更してきたところでございますので、今後こういう状態がくれば、地方交付税税率はいじるということになろうと思いますので、今後絶対に上げないとか、絶対に下げないとかいうことは簡単には申し上げられないと思います。  その次は、先ほど、もうお答えございました国鉄納付金の問題でございます。国鉄はいま地方の利便のために運営している面も非常に多くて、そして極度の赤字財政に悩んでおるという状態でございますので、私どもは、国鉄財政再建期間中くらいは臨時的措置としてこれを免税してやってもいいのじゃないかというような考えを持って、今年度予算の内示段階ではそういうことにしておりましたが、実際になりますというと、自治省と運輸省でとうとうこの問題の話がつきませんので、本年度は従来どおりにいたしてございます。来年度はどうかということでございますが、これまた、来年度の問題として、関係省でこれは相談すべきことであろうと考えております。  地方道路財源の問題は、答弁が済んでおるようでございますから申し上げません。  それから、超過負担の問題でございますが、これは御承知のように、本年度自治大蔵そのほか関係省で実態の調査をやりましたために、相当この実態がはっきりしてまいりました。したがって、これを三年間に解消するということを考えまして、総額三百二十億円の改善措置をとっておることは御承知のとおりでございます。その中で、やはり一番問題は、補助単価が適正であるかどうかということでございますが、これは調査した結果は、きめられた補助単価でりっぱにやっているところもたくさんありますし、そうでなくて、これをはみ出て、補助単価が少ないということを訴えているところもございますし、非常にその実態はまちまちでございましたので、今度からは毎年度、給与水準とか物価の上昇というようなものも織り込んで、いままでの調査した実態を勘案しながら適否について十分検討の上、予算のときには毎年きめていきたい。こういう方針でおりますので、そうしますと、いままでのような心配はなくて済むのじゃないか、もっぱら補助単価の問題について私どもがくふうすべき点が多いというふうに考えております。  それから、先ほど電気ガス税について総理が答弁を漏らしてあるので、特に補足して答弁してくれと、いまお話がございましたが、これは大衆課税であるという非難はございますが、税収が非常に多い、そうしてこれは伸びていく税金であると同時に、普遍的な税金であるということから、地方財政の上では非常に重要な地位を占めているものでございますので、なかなかこれを一挙に廃止するということは困難でございます。したがって、毎年この免税点を上げたりして少しずつ解決しておりますが、将来の地方財政の事情を勘案しながら、さらにこれは改善方向へ努力はいたしますが、なかなか一挙にこれを廃止するということはむずかしいということを、ひとつ御了承を得たいと思います。(拍手
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法廃止する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長青柳秀夫君。     —————————————    〔青柳秀夫君登壇拍手
  24. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 ただいま議題になりました「経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法廃止する法律案」につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  経済援助資金特別会計と余剰農産物資金融通特別会計は、それぞれわが国とアメリカ合衆国との協定により、アメリカ合衆国からの贈与並びに借り入れ金の運用について、その経理を明確にするため設けられたものであります。しかしながら、協定成立後十年以上も経過した現在では、両会計はいずれも当初の貸し付けを終了して、回収金の再投資を行なっている段階であり、毎年度の貸し付け原資も少なく、独立の会計として存続させる意義が失われていると考えられるのであります。  本案は、以上のような事情にかんがみ、両会計を昭和四十二年度限りで廃止し、その権利義務を産業投資特別会計に引き継ぐことにより、産業投資関係の特別会計を整理統合して、国の会計経理の簡素化をはかろうとするものであります。  委員会における審議の詳細は、会議録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して須藤委員より反対の意見が述べられ、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十六分散会      ——————————