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亀田得治君 私は、本日、
農薬問題について、
人権を守るという
立場から若干
質問をいたしたいと思います。
実は、昨年の七月、私が
社会運動の
関係で非常に親しくしておる、
大阪の
松本さんという方がおるんですが、その方のおいに当たる方が、これは十八歳の高校生ですが、
農薬の
中毒で死んだということが和歌山県で発生いたしました。このなくなられた
松木悟君というのは、非常に健康な方でありまして、小
学校のころには二十日ほど
学校を休んだことがあるようですが、それ以来、中
学校も
高等学校も無欠席、それから無遅刻といったような、非常な健康でもあるし、精勤な方であったようです。この人が、七月の十日に、おとうさんと一緒に、
ミカン園ですね、
ミカンの
農薬を散布した。使ったのは
ニッソールですが、そのために
中毒にかかって三十六時間後に死亡した。こういうまあ
事件が起きたわけです。
この
関係者の
訴えは、
農薬問題についてこの種のことがときどきあるわけですが、どうかこれを最後にして、こういうことが
日本の農村で再び起こらぬように政治をやってもらいたい、こういう強い
訴えを受けておるわけです。私も、いろいろ当時の状況、経過などを聞きまして、まあ考えさせられる点が非常に多々あったわけです。
農薬問題は最近大きなやはり社会問題になっていて、
政府のほうでも以前よりは前向きの
姿勢で取り組もうとしておる、そういう点は理解できる点もあるわけですが、まだまだ私はこの問題についてはしっかり取り組まなき
ゃならぬのじゃないかというふうに痛感をいたしました。そういう
立場から若干の
問題点をひとつ拾い上げてお聞きをしてみたいと思うのです。
そこで第一にお聞きしたいのは、危険な
農薬が、十分な
解毒方法、こういうものが発見されないままに
使用を許されておる、こういうことは私は非常な問題ではないかと思うわけです。ただいま申し上げましたこの
ニッソールの場合でも、なるほどその
農薬の
注意書きと、こういうものが入っております。ここに私、現物持ってきておりますが、この
注意書きを見ますると、
中毒した場合の
応急手当てといったうらなこともここに書いてあります。しかし、これは決して、この
専門家に聞いてみますると、これでしからば完全に
中毒したものをなおせるのかというと、必ずしもそうではないようです。やらぬよりもやったほうがいいという
程度のことなんですね。こういう
事件が起きてから、私も若干聞いてみた。そうすると、内容はどうもそういうことのようです。そういうあいまいな状態でこの有害な
農薬の
使用を許すということは、非常に私問題があろうと思うのです。で、
松本悟君が死亡されまして、その親戚なり
関係者の方が
日本曹達の
大阪支店に行っていろいろ聞いたようです。いろんな話がありましたが、結論としては、確実にこの
ニッソールの
中毒にぴたっときく、そういう
解毒剤はないのだ、それは
研究中なんだと、こういう
ことばを使われたようです、
研究中という
ことばを。そうしますると、われわれとしては、そういうものを
研究するのであれば、
研究が完成してからこういうものを売り出すようにしてもらいたい、当然そうなるわけですね。
研究中ということが、単なるその場の言いのがれでそういうことを言われておるのか、あるいは
ほんとうに
研究をしておるのか、そこら辺も私が報告を聞きましていろいろ疑問に
感じておるところなんですが、要するに、こういう危険な
農薬というものをきちんとした
解毒剤が発明されてそれで初めて売り出すようにしていく、こういうことが私は
人命の尊重、
人権を守るという
立場からは当然必要なことじゃないかと思うのですが、そういう点についての考え方をまず最初に承りたいと思うんです。まず、
厚生省と
農林省と両方からその点についての
見解を披瀝してください。