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1968-05-23 第58回国会 参議院 文教委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十三日(木曜日)    午前十時五十八分開会     —————————————    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      加瀬  完君     佐野 芳雄君      岡  三郎君     田中  一君  五月二十二日     辞任         補欠選任      岡村文四郎君     久保 勘一君      松平 勇雄君     近藤 鶴代君      北畠 教真君     鈴木 万平君      田中  一君     藤田  進君      佐野 芳雄君     山本伊三郎君  五月二十三日     辞任         補欠選任      久保 勘一君     館  哲二君      山本伊三郎君     占部 秀男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村喜四郎君     理 事                 楠  正俊君                 佐藤  隆君                 小野  明君                 鈴木  力君     委 員                 剱木 亨弘君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 中野 文門君                 千葉千代世君                 松永 忠二君                 柏原 ヤス君        発  議  者  松永 忠二君        発  議  者  千葉千代世君    国務大臣        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君    政府委員        文部政務次官   久保田円次君        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部省初等中等        教育局長     天城  勲君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○学生運動秩序維持に関する請願(第三号)(第  二六号) ○義務教育学校施設費教材費国庫負担金並  びに理科教育振興法による国庫補助金拡大等  に関する請願(第九四号) ○福岡県太宰府町史蹟指定拡張反対に関する請願  (第一一一号) ○高等専門学校専攻科設置等に関する請願(第  二一九号) ○司書教諭即時発令及び学校司書制度法制化  に関する請願(第二七〇号)(第二八七号)(第二  九五号)(第三一八号)(第三一九号)第三二九号)  (第三三四号)(第三三九号)(第三五六号)(第三  七四号)(第三七七号)(第三七八号)(第三七九  号)(第三八五号)(第四二四号)(第四二五号)(第  四二六号)(第四四二号)(第四四三号)(第四五〇  号)(第四七〇号)(第四七一号)(第四七二号)(第  四七三号)(第四七四号)第五〇二号)(第五〇八  号)(第五〇九号)(第五三九号)(第五四三号)(第  五四八号)(第六二一号)(第一〇七五号)(第一一  七五号)(第一九二八号)(第一九九一号)(第二二  七〇号)(第二八七五号) ○藤原宮跡保存に関する請願(第八〇一号) ○司書教諭発令及び学校司書制度法制化に関 する請願(第八六三号)(第八六四号)(第九〇四号)  (第九〇五号)(第九五四号)(第九五七号(第一〇  〇〇号)(第一〇〇一号)(第一〇四八号)(第一一  〇九号)(第一一一〇号)(第一一二二号)(第一一  八一号)(第一一八二号)(第一一八三号)(第一二  一四号)(第一二七一号)(第一二七二号)(第一二  七七号)(第一三八六号)(第一三九〇号)(第一五  三五号)(第一五六六号)(第一五六七号)(第一五  六八号)(第一五六九号)(第一五七〇号)(第一五  七一号)(第一七〇三号)(第一七〇四号)(第一七  〇五号)(第一七八五号)(第一七八六号)(第一八  二九号)(第一九二一号)(第一九二二号)(第一九  二三号)(第一九二四号)(第一九二五号)(第一九  九三号)(第二〇〇七号)(第二〇七一号)(第二〇  八一号)(第二〇八二号)(第二一五六号)(第二一  五七号)(第二二三四号)(第二二八一号)(第二二  八二号)(第二四〇六号)(第二四〇七号)(第二四  八八号)(第二五五四号)(第二五五五号)(第二六  〇八号)(第二六三二号)(第二六七四号)(第二六  七五号)(第二六七六号)(第二七二二号)(第二七  二三号)(第二七二五号)(第二七七四号)(第二八  二〇号)(第二八六九号)(第二九九三号)(第三一  〇八号)(第三四三九号)(第四三二〇号) ○靖国神社国家護持に関する請願(第一六九七号) ○養護教諭必置並びに養護教諭確保のための養  成対策の樹立に関する請願(第一七〇〇号)(第  四二二五号)(第四二六三号)(第四四四一号)(第  四四六三号)(第四四六四号)(第四五三六号)(第  四六三二号)(第四六七〇号)(第四六七一号)(第  四六七二号)(第四七〇四号)(第四九〇二号)(第  四九五六号)(第四九五七号)(第四九五八号)(第  四九五九号)(第四九六〇号)(第五〇六八号)(第  五〇九八号)(第五一二七号)(第五一二八号)(第  五一二九号)(第五一三〇号)(第五一三一等)(第  五一三二号)(第五一三三号)(第五一三四号)(第  五一三五号)(第五一三六号)(第五一三七号)(第  五一三八号)(第五一三九号)(第五一四〇号)(第  五一四一号)(第五一四二号)(第五一四三号)(第  五二〇五号)(第五二〇六号)(第五二〇七号)(第  五二〇八号)(第五二〇九号)(第五二四一号) ○幼児教育振興に関する請願(第一九二六号)(第  一九二七号) ○「外国人学校制度創立反対に関する請願(第二  〇〇八号)(第二〇一四号)(第二〇一五号)(第二  〇一六号)(第二〇一七号)(第二〇一八号)(第二  〇一九号)(第二〇二〇号)(第二〇二一号)(第二  一三四号)(第二一三五号)(第二一三六号)(第二  一三七号)(第二一三八号)(第二一三九号)(第二  一四〇号)(第二一八四号)(第二二六二号)(第二  二六三号)(第二三三四号)(第二三七六号)(第二  三七七号)(第二三七八号)(第二三七九号)(第二  三八〇号)(第二三八一号)(第二三八二号)(第二  三八三号)(第二三八四号)(第二三八五号)(第二  三八六号)(第二三八七号)(第二三八八号)(第二  三八九号)(第二八七九号)(第三一〇九号)(第三  一一〇号)(第三一一一号)(第三一二九号)(第三  一六二号)(第三一六三号)(第三一六四号)(第三  一九七号)(第三一九八号)(第三一九九号)(第三  二〇〇号)(第三二〇一号)(第三二〇二号)(第三  二八七号)(第三二八八号)(第三三七四号)(第三  三八六号)(第三三八七号)(第三三八八号)(第三  四六九号)(第三五三六号)(第三七七〇号)(第三  七七一号)(第四三四四号)(第四三四五号)(第四  三四六号)(第四三四七号)(第四三四八号)(第四  三四九号)(第四三五〇号)(第四三五一号)(第四  三五二号)(第四三五三号)(第四三五四号)(第四  三五五号)(第四三五六号)(第四三五七号)(第四  三五八号)(第四三五九号)(第四三六〇号)(第四  三六一号)(第四三六二号)(第四三六三号)(第四  三六四号)(第四三六五号)(第四四八三号)(第四  五一三号)(第四五一四号)(第四五一五号)(第四  五一六号)(第四五一七号)(第四五一八号)(第四  五一九号)(第四五二〇号)(第四五二一号)(第四  五二二号)(第四五二三号)(第四五二四号)(第四  五五八号)(第四五八八号)(第四五八九号)(第四  五九〇号)(第四五九一号)(第四五九二号)(第四  五九三号)(第四五九四号)(第四五九五号)(第四  五九六号)(第四五九七号)(第四五九八号)(第四  五九九号)(第四六〇〇号)(第四六〇一号)(第四  六〇二号)(第四六〇三号)(第四七八六号)(第四  七八七号)(第四七八八号)(第四七八九号)(第四  七九〇号)(第四七九一号)(第四七九二号)(第四  七九三号)(第四七九四号)(第四七九五号)(第四  八四八号)(第四八六九号)(第四八七〇号)(第四  八七一号)(第四八七二号)(第四八七三号)(第四  八七四号)(第四八七五号)(第四八七六号)(第四  八七七号)(第四八七八号)(第四八七九号)(第四  八八〇号)(第四八八一号)(第四八八二号)(第四  八八三号)(第四八八四号)(第四八八五号)(第四  八八六号)(第四八八七号)(第四八八八号)(第四  八八九号)(第四八九〇号)(第四八九一号)(第四  八九二号)(第四八九三号)(第四八九四号)(第四  八九五号)(第四八九六号)(第四八九七号)(第四  九二二号)(第四九二三号)(第四九三五号)(第四  九三六号)(第四九三七号)(第四九三八号)(第四  九三九号)(第四九四〇号) ○学校図書館司書等制度法制化等に関する請  願(第二二三三号) ○戦傷病者の子女の育英資金等に関する請願(第  二三四二号) ○義務教育学校施設に対する特別措置に関す  る請願(第二六七七号)(第二六七八号)(第三六  五二号)(第三九〇三号)(第三九〇四号)(第三九  〇五号)(第三九〇六号)(第三九〇七号) ○外国人学校法案反対に関する請願(第三〇五一  号)(第四一一五号)(第四一四七号) ○女子教育職員育児休暇制度法制化促進に関す  る請願(第三二五三号(第三二五四号)(第三二  五五号)(第三二五六号)(第三三六〇号)(第三四  八四号)(第三八二二号)(第三八二三号)(第三八  二四号)(第三八二五号)(第三八二六号)(第三八  二七号)(第三八二八号)(第三八二九号)(第三八  三〇号)(第三八三一号)(第三八三二号)(第三八  三三号)(第三八三四号)(第三八七〇号)(第四一  一九号)(第四九六一号)(第四九六二号)(第四九  六三号)(第四九六四号)(第五〇六九号)(第五一  〇三号)(第五一五七号)(第五二一一号)(第五二  一二号)(第五二一三号)(第五二一四号) ○私立大学学費軽減等のための公費助成制度確  立に関する請願(第三三六一号)(第五〇八六号)  (第五〇八七号) ○各種学校における教育整備充実のための法律  改正促進に関する請願(第三五一一号) ○養護学校義務設置に関する請願(第三六三一  号) ○中学校高等学校の格技(武道)の時間数増加に  関する請願(第三六三二号) ○人口急増地域における義務教育施設整備に対す  る特別措置に関する請願(第三六四八号)(第三  六九二号)(第三七九六号)(第三九〇二号)(第四  三二八号)(第四三二九号)(第四三三〇号)(第四  三三一号)(第四三三二号)(第四三三三号)(第四  三三四号)(第四三三五号)(第四三九三号)(第四  三九四号)(第四三九五号)(第四三九六号)(第四  四〇六号)(第四四〇七号)(第四四四九号)(第四  四五一号)(第四五三七号)(第四五三八号)(第四  五六七号)(第四六八七号)(第四六八八号)(第四  六八九号)(第五一五八号) ○公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律改正に関する請願(第三  六八三号) ○学校教育法の一部改正案反対に関する請願(第  四〇二六号)(第四一一七号)(第四二二〇号)(第  四四八二号)(第四四九二号)(第四五二七号)(第  四五二八号)(第四五六八号)(第四五六九号)(第  四五七〇号)(第四五七一号)(第四六三〇号)(第  四六五八号)(第四六六〇号)(第四六六一号)(第  四七〇五号)(第四七〇六号)(第四七〇七号)(第  四七〇八号)(第四七〇九号)(第四七一〇号)(第  四七五六号)(第四七五七号)(第四七五八号)(第  四七五九号)(第四七九六号)(第四七九七号)(第  四七九八号)(第四八〇〇号)(第四八〇一号)(第  四八九八号)(第四九六五号)(第四九六六号)(第  四九六七号)(第五〇八八号)(第五〇九四号)(第  五〇九五号)(第五一〇一号)(第五一四四号)(第  五一四五号)(第五一四六号)(第五一四七号)(第  五一四八号)(第五一四九号)(第五一五〇号)(第  五一五一号)(第五二一〇号) ○教育公務員特例法の一部改正案反対に関する請  願(第四〇二七号)(第四一一八号)(第四二二一  号)(第四四九三号)(第四五二九号)(第四五三〇  号)(第四五三一号)(第四五三二号)(第四五三三  号)(第四五三四号)(第四五三五号)(第四五七二  号)(第四五七三号)(第四五七四号)(第四五七五  号)(第四五七六号)(第四六三一号)(第四六五九  号)(第四六六二号)(第四六六三号)(第四六六四  号)(第四六六五号)(第四六七三号)(第四七一一  号)(第四七一二万)(第四七一三号)(第四七一四  号)(第四七一五号)(第四七一六号)(第四七一七  号)(第四七一八号)(第四七一九号)(第四七二〇  号)(第四七二一号)(第四七六〇号)(第四七六一  号)(第四七六二号)(第四七六三号)(第四七六四  号)(第四七九九号)(第四八〇二号)(第四八〇三  号)(第四八〇四号)(第四八〇五号)(第四八九九  号)(第四九〇〇号)(第五一〇二号)(第五一五二  号)(第五一五三号)(第五一五四号) ○外国人学校法制定反対に関する請願(第四一一  六号)(第四二二二号)(第四四九四号)(第四四九  五号)(第四四九六号)(第四五二五号)(第四五二  六号)(第四六〇四号)(第四六〇五号)(第四六〇  六号)(第四六〇七号)(第四六三三号)(第四六三  四号)(第四六三五号)(第四六三六号)(第四六六  六号)(第四六六七号)(第四六六八号)(第四六六  九号)(第四七二二号)(第四七二三号)(第四七二  四号)(第四七二五号)(第四七二六号)(第四七二  七号)(第四七二八号)(第四七二九号)(第四七三  〇号)(第四七六五号)(第四七六六号)(第四七六  七号)(第四七六八号)(第四八〇六号)(第四八〇  七号)(第四八〇八号)(第四八〇九号)(第四八一  〇号)(第四九〇一号)(第五〇九六号)(第五〇九  七号)(第五〇九九号)(第五一〇〇号)(第五一五  五号)(第五一五六号) ○教育公務員超過勤務手当支給に関する請願  (第四二六二号) ○高等学校工芸科教員養成に関する請願第(第四  七〇三号) ○伊勢皇大神宮等特定神社国家護持等に関する  請願(第四八四四号) ○継続調査要求に関する件 ○高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一  部を改正する法律案松永忠二君外一名発議) ○日本育英会法等の一部を改正する法律案千葉  千代世君外一名発議) ○産炭地域における公立の小学校及び中学校の学  級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関  する法律案小野明君外一名発議)     —————————————
  2. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月二十一日、加瀬完君及び岡三郎君が委員辞任され、その補欠として佐野芳雄君及び田中一君が選任されました。また昨二十二日、松平勇雄君、岡村文四郎君、北畠教真君、田中一君及び佐野芳雄君が委員辞任され、その補欠として近藤鶴代君、久保勘一君、鈴木万平君、藤田進君及び山本伊三郎君が選任されました。本日、久保勘一君が委員辞任され、その補欠として館哲二君が選任されました。     —————————————
  3. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) これより請願審査を行ないます。  本委員会に付託になっております第三号 学生運動秩序維持に関する請願外五百三十九件を議題といたします。  便宜、速記を中止して審査を行ないます。  速記をとめてください。   〔速記中止
  4. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記を起こしてください。  ただいま速記を中止して御審査いただきましたとおり、第九四号 義務教育学校施設費教材費国庫負担金並びに理科教育振興法による国庫補助金拡大等に関する請願外百五十四件は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 継続調査要求についておはかりいたします。  教育、文化及び学術に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  10. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。  本法案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑の申し出がございますので、これを許します。楠君。
  11. 楠正俊

    楠正俊君 最初に文部省にお伺いいたしますが、四十一年十月に中教審から、「後期中等教育拡充整備について」という答申が出ておりますが、勤労青少年に対する教育機会を保障するということについて、文部省はどういった施策を立て、どのような施策のもとで措置をしてこられたかということについて、簡単に御説明願います。
  12. 天城勲

    政府委員天城勲君) 四十一年十月に中教審から、勤労青少年教育振興のための御答申がございます。いろいろございますが、大きく分けて四つ、一つは、生徒就学を容易にするため、定時制通信制併習形態を考えること、それから技能連携制度拡大、それから就学奨励制度拡充、もう一つ、農山村の定時制課程整備でございます。  これを受けまして、文部省といたしまして、いわゆる定通併習拡大につきましては、このような課程の独立の高等学校設置を計画的に推進するために、四十二年度以降特に必要な予算を用意いたしまして、補助金をもってこの設置を推進いたしております。これは御答申どおり発足したわけでございます。  それから、第二番目の定時制通信制高等学校技能教育施設との連携拡大、これは従前からある制度でございますが、拡大という意味で、従来連携の対象になっておりませんでした公共職業訓練所、それから准看護婦養成所、その他各種学校等にも連携が可能なように指定基準改正を行なったわけでございます。  それから、これは特に答申にはございませんでしたけれども、定通、特に勤労青少年教育振興のため、校舎ですとか夜間運動場照明施設あるいは夜間給食のための施設設備というような点につきまして助成をいたしておりますし、それから夜間定時制生徒に対する夜食費、それから通信制課程にある生徒に対する教科書、学習書の給与についてもさらにその後の施策を進めておるわけでございます。  中教審答申にございます就学奨励措置、それから農村定時制整備計画、この問題につきましては、もちろん重要な問題でございますが、就学奨励の問題につきましてはいろいろな角度からさらに検討を続けなければならぬ点がございますし、農村定時制の問題につきましては、御案内のように、最近の地域の変貌が非常に激しくて過密過疎というような課題の一環にもなる問題でございますので、なお検討を続けてこの中で適切な施策を積極的に進めたい、このように考えております。
  13. 楠正俊

    楠正俊君 いま一つ文部省にお伺いしますが、一昨年この法案に類似した法案を審議する際、文部省の御答弁の中に、中小企業等に一方的な経済的負担をかけないよう検討するという御答弁があったのでございますが、具体的にそれに対してどういった措置をおとりになったか。
  14. 天城勲

    政府委員天城勲君) 勤労青少年就学を容易にするために、特に雇用者の側にいろいろ御協力を願わなければならぬ点があるわけでございまして、これをただ一方的に義務づけましても、企業側のいろいろな負担が伴います。したがいまして、就学を容易にするためのいろいろな措置を求める以上は、それに対する反対給付的な施策を伴わなければならぬわけでございます。これにつきましてはいろいろな方法が考えられまして、一番大きい問題は税制上の問題があるわけでございますが、これらにつきましては、予算の編成の機会にいろいろ検討いたしまして関係のところと交渉はいたしたわけでございますけれども、残念ながら今日までその実現をされていない状況でございます。雇用主に対する措置といたしましては、いろいろな方法があるわけでございますけれども、連携拡大ということもその一つのつもりで始めておる点でございます。いま申した税制上の問題につきましては、なお検討してみたい、こう考えております。
  15. 楠正俊

    楠正俊君 提案者松永先生にお伺いしますが、定時制高校に志願する生徒がだんだん減ってきておる、特に東京あたりは第二次募集を行なってもなおかつ定員に達しないという現状のようでございますが、いろいろ理由があると思いますが、先生のほうでお調べになった理由、それからまた、途中で脱落してしまう、卒業しないで。どういうところにその脱落してしまう原因があるのか。おおよその見当はつきますが、具体的にお調べになった点がございましたら、お教え願いたいと思います。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 お話のありました点、特に志願者が非常に減少してきている、どういうことについては、なぜ入った者が減るかということと大体類似したような原因だと思うのでございますが、特に途中からやめる生徒の事情などを抽出して調べ資料等はよそから来ておるわけでございます。これによると、定時制に入学して卒業するまでに三分の一がやめてしまう。その中で一番大きな原因を占めているものは、   〔委員長退席理事佐藤隆君着席〕 家庭の都合によるというのが三分の一だと、こういう資料が出ておるわけでございます。そのほか、あるいは使用者雇用者のほうの理解というようなものが非常に少ないというような、こういう点なんかも理由の中に出ているわけでございます。勤務上の都合というようなこと、そういうようなものが相当やはり大きな部面を占めているようでございます。そういう点から、特に御答弁文部省のほうからありましたように、特に定時制の子供を雇用している経営者が、お話のように税制的にあるいは優遇措置がなされているとか、特にそういうふうな点について、たとえばイギリスのように一週間に二日は昼間就学の時間を与えるとかいう、これはまた法制的な、制度的なものが明確になっていると、こういうことになると、非常に就学する者も多くなるし、就学から脱落する者も少ない。  もう一つ私は特に指摘をしたいのは、定時制をこれだけ苦労して出た場合に、定時制を出たからといって、それじゃ全日制高等学校を出た生徒のように勤労格づけが上がるのかどうかということになると、ほとんど定時制を出ても待遇が何も改善されないのが八〇%だというようなことが出ているわけです。これは私は具体的に、相当大きなりっぱな会社が、定時制を出ても全日制の高校のような給与格づけはやらないということをきめているわけであります。同時にまた、募集の際に、もうはっきり募集要項に全日制高校に限るということを書いて募集しているものもあるわけでございます。私は、勤労青少年教育というのは、これから日本が非常に努力しなければいけない一つの部面だと思うのです。特に御承知のとおり、池田総理大臣が定時制の卒業生が冷遇されていることを取り上げて、総理大臣みずからこの施策に当たろうということを約束をされたことがあるわけです。それじゃ何が一体実現されたのかというと、こういう状況が一つも直っていないのであります。私は特に文部省にもお願いをしたいし、皆さんにもお願いしたいのは、経団連、日経連等が、とにかく会社の採用にあたっては、全日制定時制の差別はつけない、また、定時制卒業者には給与の格づけを改善するのだということをおきめになって実行されればできることだと私は思うのです。また、こういうことを文部省自身が要請をされればできることだと私は思うのです。そのくらいのことは、池田総理があれだけ約束をされた事例がら考えてみても、一歩前進をしてしかるべきだと思うのに、全くいまこの定時制の子供たちは、あれが一体何をしてくれたのだろうかということで落胆をしているわけであります。いろいろな事情があると私は思うのでありますけれども、何といっても、やはりこれだけ苦労をして出てきた子供らが、全日制の子供と同じような待遇を受けるとか、あるいは少なくも差別されない就職の試験を受けられる、そういうようなことをしてやらなければ、意欲的に就学するということにはならないわけであります。  特にこの提案の中に、道徳的な規定として、雇用者がそういうことに努力せよということを書いてありますけれども、私はもっと一歩前進をして、お話のあった答申等に基づいて、何かやはり制度的にきちっとしたものを立てていかなければ、この定時制の振興はできないのではないか。  で、もうすでに御承知だと思うのですが、定時制の分校がもう全部あちらこちらで閉鎖されて、数が少なくなるという状況であります。そういう意味で、御質問のあった問題、質問者もすでに御承知だと思うのでありますが、特にそういう状況であることを申し上げて、格段のひとつ御協力もお願いをしたいとこう思うわけです。
  17. 楠正俊

    楠正俊君 文部大臣にお伺いしますが、いま松永委員の言われました、大企業で採用のときに全日制に限るといったことがあるというお話でございますが、文部省としてそういったように全日制定時制を区別するといった雇用者側のそういう態度に対して、文部省から何か呼びかけたり指導する——指導というとおかしいけれども、そういうことがないようにということを、何か措置をされたということはありますか。それとも、そのままになっているのか。どうなんですか。
  18. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、この勤労青少年の処遇の問題ということから申しまするならば、全日制定時制と何ら区別する理由はないと思うのでございます。むしろ、心持ちを申し上げますれば、勉強心のある青年こそ大切にすべきじゃないかというふうな気持ちさえいたしているわけでございます。これは働く場合の処遇の問題ということになろうかと思うのであります。ただ、採用するいわゆる雇用の問題ということになりますと、それぞれ会社の、また仕事の上の計画その他もあろうかと思います。一がいにこれは締めつけるというわけにもいかないと思いますが、願わくは差別待遇をしないで採ってほしいという気持ちは、もとより持っているわけでございます。  具体的な措置をどういうことをやりましたかということにつきましては、政府委員からお答えいたさせます。
  19. 天城勲

    政府委員天城勲君) いろいろの機会にこのことはお伝えしているわけでございますが、たとえば文部次官名で、日本経営者団体連盟に対して依頼いたしましたこともございますし、また日本経営者団体連盟においても、この趣旨は十分御理解いただき、御賛同いただいて、傘下の各企業にも周知徹底をはかるように御協力もいただいております。また、府県の教育委員会におきましても、地元の職業安定所等の協力その他を通じて差別の扱いのないように、特に就職問題連絡協議会というのを各府県で設置していただきまして、企業者側との十分な意思の疎通をはかるというようなことを進めるように、いろいろお願いもし、また実際にその面の推進をはかってきているわけでございます。
  20. 楠正俊

    楠正俊君 経団連あたりにですね、次官通達でもって差別をつけるというようなことがないようにということを出されたというお話でありますが、それに対して何か経団連で、具体的にまた何か対処したというようなことはございますか。
  21. 天城勲

    政府委員天城勲君) 経団連は、先ほども申しましたように、この趣旨はたいへん当然なことであるということで、内部でも御検討いただき、したがって、傘下の各企業に対してその趣旨の周知徹底をはかるというような、内部における努力もしていただいているわけでございます。ただ、個々の企業のいろいろな条件がございますので、縛ってという形になかなかまいりませんので、不徹底な点がございますけれども、考え方におきましてはいま大臣が申し上げたように、われわれも全く学校制度の上からいっても平等に扱ってもらいたいという考え方は絶えずいろんな機会に浸透をはかっていきたいと、このように考えております。
  22. 楠正俊

    楠正俊君 この提案者にお聞きしますが、定通手当の支給対象を拡大すると同時に、夜間手当五千円をそれにプラスして出すわけでございますね。そうしますと、おおよその見当でございますが、国の経費がどのくらいかかるか、おわかりになりましたら御説明願います。
  23. 松永忠二

    松永忠二君 最初に、いま御質問いただいた点で文部省のほうから御答弁がございましたが、いまの点はぜひ今後も文部省に努力をしていただきたいと思うんですよ。私はそういう通達が出されているのにそれが守られていないというところに問題は出てきているわけだと思うんです。現に電機メーカーでも大メーカーの中に、はっきり定時制を出てきた者について給与の何らの考慮を払わないというのが現実にあるんですよ。それからまた、一体文部省はどれだけそれじゃ各会社の採用通知の規約の中にそういうものがあるかということをお調べになっておられるのかどうかという点なんです。これは、私は現実の問題をやっぱり取り上げてやってもらわなければ解決はできないと思うんですよ。  それで、特に私が申し上げるのは、総理大臣が、定時制の子供たちの差別のついていることについて、是正をせにゃいかぬと言われて、それを一般の職員も子供たちも非常な期待を持っていたわけですよ。しかし、それが何ら具体的に実ってこないわけです。私も何も、会社の都合でいろいろやられることも御自由ではあるけれども、もともとその就職試験について初めから入ってくる者を差別をつけるのはおかしい。そういうところに学歴尊重というか、偏重のことが出てくるわけであります。とにかくきまった就職試験に合格すれば、同じ力を持っているということがわかるわけなんです。そういう差別を平然と、しかも大会社がやっていると、こういうところをひとつ具体的にやはりお調べをいただいて、是正を願いたい。特にこの関係には課もあるわけだから、これはひとつ……。  特に今度文部省は独立の定時制高校をつくるということで、予算を取られて推進をされると、これは全くいいことだと私は思う。しかし、幾らそういう努力をしても、苦労して四年もかかって出てきた子供が何らの援護措置もないということになると、やはりそういう点についても非常な効果をあげることが十分できないわけで、私は、こういう通達を出しました、こういうことをやっていますということだけではないんであって、具体的にこうですというようなことをひとつ御答弁いただけるように、この問題についてひとつ十分な御努力を願いたいと思うですが、そういう一つ機会をお与えをいただいたという意味で私は非常に感謝をするわけであります。  それから、お話のように、定通手当については、いま二割くらいの実習助手が政令に基づく支給をされていない、それから事務職員とその他の職員も支給をされていないので、これに支給の対象を広げたいと。それから同時に、昼間と夜は定時制が二対八のようであります。昼間の先生定時制と夜の先生定時制と同じような手当をするということは、もう夜間の先生が非常に負担が多いだけに差をつけるということは当然なことのように私たちは思うので、そこに差がついているわけであります。この所要経費が、そこにも出ておりますけれども、約四億四千八百万円ばかりかかるわけであります。四億四千八百万円というのは、いま申しましたように、定通手当を拡大をするということと、それから夜間手当を出すということなどを含めた問題であって、昭和四十三年度予算で三億六千九百万円計上されているわけでありますから、全部が全部これだけの額がふえるというわけではありません。
  24. 楠正俊

    楠正俊君 いまの松永委員文部省に対する要望はたいへん私けっこうだと存じますが、具体的に、それじゃそういった定時制と全日制を区別している企業の実態調査をやるということが実際可能かということですね。それから、もしたとえその調査をした結果が出てきたとしても、そういう企業を文部省がくくるわけにいかぬのだから、その点はどうお考えになりますか。
  25. 松永忠二

    松永忠二君 私は調査はできると思うのです。これは特に定時制を担当している学校先生を使えば実態はわかると思うのですよ。私たちもそういう人たちから具体的に聞いて調べてみて、確かに何らの措置がなされていない。それで、しかも採用のときにははっきりと全日制に限るというふうなことを出しているわけです。だから、そういう方向からやれば私はできると思う。  それじゃ、調べてそういう結果があったからといって、私は拘束はできないと思うのですよ。拘束はできないけれども、いまのお話のように日経連の関係の人たちもそれに賛成をされているわけなんです。せめて私は日経連とかそういうところがこういう具体的な運動を推進してくれるということが、やはり何か独占資本だとか、大企業搾取だとか、こういうことを具体的に誤りを正すところがあるなら、正させていくということになると思うのです。そういう意味で、そういうことをやっていただければ効果は私は非常にあると思うのですよ。これは春闘のときの賃上げとは違うわけですから、経団連自身が一定の会議で決議をされて、それを推進をされれば、これは非常な効果を持っている。それは単に子供たちだけの影響じゃなくて、非常な大きな影響も持ち得るのじゃないか。また、そういうことについて政府は現実に相当の影響力を持っているわけだから、その影響力を使ってそういうことをやってもらいたい。それは可能なことじゃないか。せめてそれだけくらいな期待は与えてもらいたいと、こういうことを強く私は要望したいと思っておるわけです。
  26. 天城勲

    政府委員天城勲君) 少し補足させていただきますが、何にもしないし、何にも効果があらわれないということをおっしゃるのでありますが、実は先ほどもちょっと申し上げましたように、日経連に対して次官名で特にお願いをいたしておりますし、それと関連して、都道府県の教育委員会あてにも現場でのいろいろな御努力をお願いしておるわけでございます。これがいまこまかいデータを持っておりませんが、三十八年の調査によりますと、就職の機会を与えないというところが半分くらいございました。五〇%ございました。しかし、御理解を得まして、また実際に現場の先生方の御努力もいろいろ合わされまして、逐次これは減っているわけでございまして、いま手元にたまたまあります資料で見ますと、三十八年五〇%が四十年に三八%というふうに減ってきております。それなりの努力の効果はあらわれておるわけであります。  また、実際のやり方につきましても、経営者団体の連盟におかれましても、内部で毎年その事情を調査されて、しかもこれは企業の規模によっていろいろ違うものですから、そういう点についても調査をされ、また企業がなぜそういう措置をとらないのか、あるいはとれないのかというような事情についてもいろいろ調査を進めておられます。したがいまして、先ほど楠先生の御質問にございましたように、強制的にこれはできないことではございますけれども、この趣旨というのは逐次ではございますが、浸透してきている。  で、一方、先ほどもちょっと申しました技能施設との連携、あるいは企業内訓練施設等がかなり大きなところではございますので、そういうところと高等学校との連携というような方法によりまして、企業内訓練と高等学校教育とを、できるだけ負担を軽くしながら、重複を避けながら進めたいという措置のあらわれておるのも、そういうことの一つのあらわれだと、このように思っております。  問題は御指摘のとおり非常に大切な問題なので、私たちも十分この線でさらに努力を続けたい、このように考えております。
  27. 楠正俊

    楠正俊君 中教審答申に、そういった定時制に通っておる勤労青少年に少なくとも週一日だけは昼間に学校に行けるようにという答申が出ておりますが、そういうことをやっている学校はありますか。
  28. 天城勲

    政府委員天城勲君) いまの御指摘の、たとえばイギリスでやっておりますようなデーレリースのような方式をいま高等学校にすぐ導入する体制にまだなっておりませんし、実際もございません。ただ、勤労青年の勤務の態様にできるだけ合わせて、就学を便利にしようという努力はいろいろございまして、たとえば繊維関係で昼夜間の交代制をやっているところなどがございます。まとまって夜間の勤務のときと昼間の勤務のときがございますから、そういう企業形態に合わせて、普通夜間でやるのを二部とすれば、三部制の授業というような形態も逐次とり始めておりまして、現在公立で二十二校ほどそういう形態をとっている学校もございます。このことは、実は短大の夜間につきましても逐次起きかけているところで、私たちも基準や制度の上で許せる範囲内でこういう弾力的な措置を精一ぱいにつとめておるつもりでございます。
  29. 楠正俊

    楠正俊君 先ほど文部大臣が言われましたように、非常にこういった働きながら勉強しているという子供たちのことを深くお考えになっておられるということはよくわかるのでございますが、いま少しこの定時制、通信教育、そういった問題について深く御検討になって、先ほど松永委員の言われたような差別をしておるという実態については、すみやかにそれが解消されますようになお一そうの努力を要望いたしまして、次の質問に移ります。
  30. 佐藤隆

    ○理事(佐藤隆君) 他に御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  31. 佐藤隆

    ○理事(佐藤隆君) 日本育英会法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。楠君。
  32. 楠正俊

    楠正俊君 提案者千葉先生に二、三お伺いいたしますが、提案理由の二ページにございますが、文部大臣が教員養成の機関として適当な条件のそろったものについてのみ指定する、つまり指定養成機関を貸与金の返還免除の対象に加えるということについて、他の各種学校とのバランスの問題、これは不均衡を生じないか、これはどうでございますか。
  33. 千葉千代世

    千葉千代世君 御承知のように、教育職員免許法の規定によりまして教員を養成するという養成所に入っているものでございますから、他の各種学校と申しますといろいろあるわけなんです。教員の養成所もあるし、そうでないところもいろいろありますけれども、この場合には特にこれに該当する教員が不足したり、いろいろの条件の中で、特に希望している、こういう需給関係その他に基づいて養成されたわけなんです。したがいまして、この方々が教員になっていくということですから、その他の各種学校には特別ということではありませんけれども、平衡を失しないというふうに思っております。
  34. 楠正俊

    楠正俊君 時間がございませんので、簡単にお伺いいたしますが、現行法は就職前の期間を一年としながらも、文部大臣の認可した特別の事由がある場合にはその期間の延長が認められておりますから、事由の拡大、それから運用といった面で、必ずしも三年にしなくても対処できるのではないかと思うのでございますが、その点について御説明をお願いいたします。
  35. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは提案理由の四ページのところにおもに書いておいたのですけれども、おもに第一番として、需給関係が各県ごとに計画的にいま行なわれ得ない現状にあるわけなんです。そうしますと、一年以内で就職したいと思ってもできない条件が出てきているということが一つと、それから児童生徒が減少したりなんかいたしますというと、やはり教員志望者のほうで就職したくてもできないというふうな事情と、志望者数の変化の事情等も出てくるわけです。過不足になってくる事情もありますし、教員養成のいまの方法が御承知のように開放制をとっておりますから、どこの大学でもどこの機関でもできるというふうになっておりますから、需給関係もしたがって計画的に行なうことがなかなか容易ではないわけなんです。自分で就職したくてもできない場合に、さっき申し上げました計画的でございませんために、助教諭になっておったり、あるいは非常勤講師になっておったりするわけです。そうすると、その方々はたいがいなかなか一年以内にあれしたいと思ってもできないと、こういうことなんです。  それで、これは四回の改正を行なっておりますけれども、その中でも一年以内、それから大学院の場合には、傷痍疾病その他対象外の研究、就職、留学等でさらに四年ということになっております。私はやはり、そういう意味で、これは裏表の関係ですけれども、需給関係がしっかりと計画的に行なわれていくということと、あわせて、志望者が本人の事情ではなくて全く需給関係とかそういうふうな事情のために就職できない場合もかなり多いわけです。ですから、その解消とあわせて、それが解決できるまでということも考えますというと、そこで延長することが適当ではないかと、このように考えております。
  36. 楠正俊

    楠正俊君 次に、この御提案の法律によって救済しようとするものの中には、すでにこの借りたお金、貸与金の全部または一部を返還してしまっておる人もおるわけですね。そういった場合の具体的取り扱いはどうするのでございますか。
  37. 千葉千代世

    千葉千代世君 この法律ができまして公布された以後、それらの返還については政令で定めていくのが本体であろうと思うのです。したがいまして、すでに一部返還している方たちに対しては当然払い戻しをしていく、このたてまえで進むべきじゃないかと思っております。   〔理事佐藤隆君退席、委員長着席〕
  38. 楠正俊

    楠正俊君 それから最後に、多額の経費を使ってさかのぼって返還免除措置を講ずるといったことよりも、これだけの経費で貸与金のワクをもっと拡大するということのほうが有意義なような気がするのでございますが、その点はどうでございましょうか。
  39. 千葉千代世

    千葉千代世君 おっしゃるのはごもっともでございますけれども、貸与金のワクを拡大していくということは、これは当然のことでして、たびたびの文教委員会でも貸与金の額をふやすこと、それから人数をふやすこと、その他奨学金制度についての抜本的な改革の必要があるとか、こういう点が論議をされております。したがって、ワクを拡大していくということは十分わかります。しかし、この返還の措置の問題とは私は別の問題としてとらえてやっているわけなんです。なぜなれば、同じ教育の場に、たまたまその年度の違い等によりまして、片っ方は返還できる、片っ方は返還しなくてもいいということになりますというと、その学校におります者同士の問題もありますし、私はこの二つをやはり解決していくというのが至当ではないかと思っております。特に過去三回の改正、昭和二十八年、三十六年、四十年の改正、それから先ほどの御質問のお答えで申し上げましたように、三年延長するといたしますというとかなり数もふえてくるわけですから、やはりここらではっきりした解決をしておいて、そして今度は貸与金のワクを拡大するという方向に全力を尽くしていくべきではないかと思っております。
  40. 楠正俊

    楠正俊君 どうもありがとうございました。
  41. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 他に御発言がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  42. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、山本伊三郎君が委員辞任され、その補欠として占部秀男君が選任されました。     —————————————
  43. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 産炭地域における公立の小学校及び中学校学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。楠君。
  44. 楠正俊

    楠正俊君 文部省に最初にお伺いいたします。  提案理由に書いてございますが、産炭地域教育についてでございますが、四十年度から生活指導主事の少数配置、就学援助費の補助率の引き上げ等が行なわれてきた。しかし、これはたいした教育効果があがっていないと申しますか、十分な措置ではないというためにこういった特別立法を考えておられるようでございますが、それにつきまして文部省のお考えをお述べいただきたい。
  45. 天城勲

    政府委員天城勲君) 産炭地域教育が各種の面で指導上非常に困難な問題を持っているということは、私たちも十分承知いたしております。そのために現在の制度の中でできるだけ産炭地の実態に即するような措置を重ねてきておるわけであります。たとえば教員の定数標準法の扱いにおきましても、教員定数が急激に減少していろいろな支障のある点につきましては救済措置を講ずるという制度を使っておりますし、また要保護、準要保護生徒が多い学校に対しましては、十分それに必要な予算を配当することはもちろんでございますが、同時に、事務職員の配置をできるように考えるとか、あるいはまた生徒児童のための指導主事の配置につきましても、特にこれらの点については配置をいたしてきておるわけであります。  ただ、産炭地を対象にいたしまして特別な他の地域と違った手厚い措置をするかどうかにつきましては、実は御案内のように現在日本国内あちらこちらで非常な変動、変化を見せておりまして、ひとり産炭地だけでなくて、やはりそれぞれの地域に応じた問題を持っているところがたくさんございます。よくいわれますように、過疎地帯、過密地帯というのも、一般的にはそれぞれの条件を伴いながら教育の困難な状況にあります。また、同和地区といわれている地域もむずかしい問題を持っている。僻地の状況もそうであります。それらのことを考えますと、教育上の施策といたしましては、やはり全体の問題を考えていかなければならないものですから、特に産炭地だけについて特別の法律をつくるということはいかがかと、全体の情勢を整えていく必要がある、このように考えておりまして、特に本年度、激しく変貌しております日本の社会的な条件を背景にしていわゆる教育困難な状況を持っている地域の実態をつまびらかにいたしたい。その上で教員の定数ですとか、あるいは予算上の措置とか、あるいは指導人員の強化、その他もろもろの施策について妥当な方策をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  46. 楠正俊

    楠正俊君 いま局長が言われますように、産炭地だけの問題でなくて、僻地教育、それから特殊教育、いろいろ問題があるわけなんで、それとのバランスの問題があるわけです。産炭地だけ特別立法措置を講じて優遇措置を講ずるということ、これは必要ですが、ほかの特殊教育なり僻地教育なりとの関連もあるから、全体を見通した上で考えていかなければいけないことだと思いますが、すでに充て指導主事の増配とか、事務職員の増配とか、あるいは要保護、準要保護児童生徒就学援助費のかさ上げ、教育施設費補助のかさ上げ、それから標準定数法の附則による過員救済に関する経過措置とか、特別交付税措置、いろいろとられておるのですが、それで一応やっていけるのじゃないかという気がするのでございますが、その点はいかがでございますか。
  47. 松永忠二

    松永忠二君 ちょうどこの問題で一番御苦労をされている小野委員がちょっと所用がありましたので、私かわりまして、提案者でもありますのでお答えをするわけであります。  ただ、この問題は、当委員会でもずいぶんもう前に論が行なわれ、私は的確にそれが行なわれておれば、いまさらお話のようにこれだけの法律を出す必要はないと思うのです。やはりそれが的確に行なわれていないところにも問題があるということ、もう一つ、僻地とかあるいは過密過疎とか言うけれども、産炭地の現状というものはそれとはまた異様な様相を示すわけであります。そこにも説明してありますように、準要保護児童とかいうのは大体七%程度、当初はたいへん——何ですか、三%から五%、七%と進んできたわけです。ここにもあるように、北海道では九四・四%、福岡県では七七%、全部を平均して四、五〇%の要保護、準要保護児童を持っている。全く異様な状態だと思うのです。それからまた、ここには出ておりませんが、生活保護を非常にもらう。生活保護の取り扱いは事務の先生がやる。生活保護費を父兄に渡せば、結局子供には渡らぬので、結果的には生活保護費を先生が確保して、一部を親に渡さぬという状態も出てくるし、そのために非常な、先生方が事務的にもほとんどそういう事務をやっているという実態もあって、私は異様な状態だと思うんですよ。現に出ている、いま局長がお話しになったような現象とは、非常に違うというか、はなはだしいものだ。それと、すでにもう相当前からこれは出ている問題なんだ。だから、同じ法律をつくらぬでも、お話のように行政措置として充実をされていけば、それが満足であれば、別にこういうものを出すことはないわけであります。いろいろ文部省が努力されていることは事実であります。かさ上げの問題とかいろいろのことを努力しておるようでありますけれども、せめてここにも出ていますけれども、カウンセラーくらいは——生活指導をする制度先生をひとつ特別に配置してやるとか、こういうようなことは現実に法律をまたずしてもできるのが、それがなされていないので、そこで先生の一学級の編成基準を下げて、それから生活指導の先生を置く、養護教員を置く、事務職員を必置する、そのほか安全会等の掛け金についても国が助成をするということであるわけであります。  したがって、決してわれわれはこの法律を固執しているわけではありません。したがって、これと見合うような措置が行政的に今後なされるならば、これまた一つの私たちの期待をしているところでありますので、こういう点でひとつ努力をしていただきたい。また、いまの局長のような一般的なものとは、期間も早い、もうすでに当委員会でも相当前に論議をされているところだ、それから度合いが違うという、この点から特に法律を必要とするのではないかと、こういう考え方を持っているところであります。また、決してわれわれは文部省の努力を否定をしているものじゃありませんので、こういう点についてなお足らざるところをこの機会に補ってもらいたいというのが強いわれわれの要望であります。
  48. 楠正俊

    楠正俊君 松永委員が言われるように、他の僻地教育とかそういったものと度合いが違うということもわからないではないが、やはり特殊教育などでも非常に問題があって、これもやはり力を入れていきたい。僻地教育も、度合いが違うといっても、必ずしもそうとは私は考えられない。これはやはり大問題で、文部省としては、あれもやらなきゃいかぬ、これもやらなきゃいかぬといったような問題にいつも迫られておるわけでございますが、いずれにしましても、この産炭地域の非行少年問題等非常に大きくクローズアップしている問題でございますから、こういう十年がかりの問題でございますから、松永委員も言われるとおり、必ずしも法律に立法するということにはこだわっていない、何とかそれを文部省としても、こういった問題にいよいよもって力を入れていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わりますが、最後に、松永委員に、この昭和四十七年という時限立法にしたのは、何か根拠があってのことだと思いますが、どういう根拠でございますか。
  49. 松永忠二

    松永忠二君 これは私率直に——よくわかりませんが、またひとつ小野さんのほうからお話をしていただきます。
  50. 楠正俊

    楠正俊君 わかりました。
  51. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 他に御発言もなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会      —————・—————